平成30(ネ)203 損害賠償請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
平成31年3月28日 広島高等裁判所 その他 広島地方裁判所 平成27(ワ)866
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判決文本文25,654 文字)

主文 1 原判決を次のとおり変更する。 2 被控訴人は,控訴人に対し,22万円及びこれに対する平成25年10月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 控訴人のその余の請求を棄却する。 4 訴訟費用は,第1,2審を通じてこれを20分し,その17を控訴人の負担とし,その余を被控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 控訴の趣旨⑴ 原判決を取り消す。 ⑵ 被控訴人は,控訴人に対し,144万円及びこれに対する平成25年10月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ⑶ 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。 ⑷ 仮執行宣言 2 控訴の趣旨に対する答弁⑴ 本件控訴を棄却する。 ⑵ 控訴費用は,控訴人の負担とする。 ⑶ 仮執行宣言を付する場合ア担保を条件とする仮執行免脱宣言イ仮執行宣言による執行開始時期は本判決が被控訴人に送達された後14日を経過したときとする。 第2 事案の概要 1 本件は,弁護士である控訴人が,平成25年10月10日,広島拘置所(以下「本件拘置所」という。)に勾留されていた被告人A(以下「本件被告人」という。)の弁護人として本件被告人と接見をした際,本件拘置所の職員の行 為により控訴人の接見交通権が侵害されたと主張し,本件拘置所を設置・運営する被控訴人に対し,国家賠償法1条1項に基づき,慰謝料120万円,弁護士費用24万円の合計144万円及びこれに対する違法行為の日(上記接見の日)である平成25年10月10日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 円,弁護士費用24万円の合計144万円及びこれに対する違法行為の日(上記接見の日)である平成25年10月10日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 原審は,控訴人の請求を棄却したため,控訴人がこれを不服として控訴した。 2 前提事実次のとおり補正するほか,原判決「事実及び理由」欄の第2の2項に記載のとおりであるから,これを引用する。 ⑴ 原判決4頁2行目の「乙3」の次に「,8」を加える。 ⑵ 原判決5頁17行目の「されていた」の次に「(以下『本件掲示』という。)」を加える。 ⑶ 原判決6頁13行目末尾に「(乙15)」を加える。 ⑷ 原判決6頁22行目の「申出」を「申入れ」と改める。 3 争点及び争点に関する当事者の主張次のとおり補正するほか,原判決「事実及び理由」欄の第2の3項に記載のとおりであるから,これを引用する。 ⑴ 原判決7頁20行目から8頁16行目までを次のとおり改め,これに伴い,8頁17行目冒頭の「(ア)」を「a」と,9頁1行目冒頭の「(イ)」を「b」と,5行目冒頭の「(ウ)」を「c」と,12行目冒頭の「オ」を「ウ」と改める。 「(ア) 刑訴法39条1項にいう『接見』には,口頭での打合せだけでなく,これに伴う証拠書類等の提示等が含まれると解すべきであるから,同項は,弁護人等が被告人と口頭で打ち合わせた内容のほか,上記証拠書類等の提示等を秘密裏に行うことをも保障するものと解される。ところが,本件申告措置は,本件DVDの内容の申告を求めるものであるから,こ れが控訴人の接見交通権を侵害することは明らかであるし,そもそも本件DVDが弁護事件の証拠物又は証拠物として提出を検討しているものであることを書面に記載するよう求めること自体,控訴人の接見交通権 れが控訴人の接見交通権を侵害することは明らかであるし,そもそも本件DVDが弁護事件の証拠物又は証拠物として提出を検討しているものであることを書面に記載するよう求めること自体,控訴人の接見交通権を侵害する。 (イ) 被控訴人は,B副看守長は本件通知に基づき,控訴人に対し,本件申告書への記載を求めたものであるから違法性はないと主張する。しかし,本件通知は行政機関内部での通知に過ぎない上,本件通知は,①弁護人等が持ち込もうとする再生機器やビデオテープ等を,打ち合わせに必要不可欠か否かを個別に判断する目的で検査することを求めており,罪証隠滅ないし逃走の防止や収容施設内の規律ないし秩序を著しく乱す物品の持込みの防止以外の目的で検査するものであること,②弁護人等が持ち込もうとするビデオテープ等の内容にまで及ぶ検査を定めていること,③罪証隠滅又は逃走の用に直接供される物品や収容施設内の規律ないし秩序を著しく乱す物品以外の物品の持込みを制限するものであること,④弁護人等が接見内容の録画(これは接見交通権の範囲に含まれるものである。)をしないと申告した場合に限り録画機能付きの機種の持込みを許可するものとされていることの各点で憲法34条,37条3項及び刑訴法39条1項に違反し,違法である。また,本件通知は,弁護人等が上記の制約を恐れて再生機器やビデオテープ等の持込み等を自粛せざるを得なくなるという萎縮効果をもたらす点でも接見交通権を侵害するものであって,刑訴法39条1項に違反する違法なものである。したがって,本件通知によって定められた本件申告書も,また,本件通知に従って弁護人等に本件申告書を記載させる本件拘置所の運用も,本件通知と同様に違法であって,本件申告措置がこれらに従って行われたものであるとしても,適法になるものではない。 また, ,本件通知に従って弁護人等に本件申告書を記載させる本件拘置所の運用も,本件通知と同様に違法であって,本件申告措置がこれらに従って行われたものであるとしても,適法になるものではない。 また,音声データのみが収録された本件DVDは,本件通知にいう『ビ デオテープ等』に該当しないから,本件DVDについて本件通知に基づく申告書の提出を求めることはそもそもできない。 (ウ) 加えて,本件申告措置には,次のとおり,本件通知の手続に則っていない手続上の瑕疵もある。」⑵ 原判決9頁14行目の「ものであり,」の次に次のとおり加える。 「しかも,本件拘置所の弁護人控室に,ノートパソコン及びボイスレコーダーを持ち込む場合,使用前後に検査を行う旨記載された掲示(本件掲示)があり,これらの記載によればノートパソコンの使用状況や使用内容まで覚知しようとするものであることが明らかであって,以上の点を併せ考慮すると,」⑶ 原判決9頁25行目冒頭に「(ア) 」を加える。 ⑷ 原判決10頁8行目を次のとおり改める。 「(イ) B副看守長は,本件通知に従って弁護人等に対し本件申告書への記載を求める本件拘置所の運用に則って本件申告書の記載を求めており,本件通知を根拠として行われたものであるところ,次のとおり,本件通知は刑訴法39条1項に違反するものではないから,B副看守長の上記行為に違法な点はない。 すなわち,被疑者及び被告人の接見交通権や防御権はできる限り尊重されるべきではあるが,他方,パソコンは,動画や静止画の撮影機能,録音機能,動画や音声の再生機能,電話と同様に通信する機能やインターネットに接続する機能など多種多様な機能を有しているため,これが無制約に使用されると,①保安・警備上の支障が生ずるおそれ,②被告人のプライバシーを侵害するお 機能,電話と同様に通信する機能やインターネットに接続する機能など多種多様な機能を有しているため,これが無制約に使用されると,①保安・警備上の支障が生ずるおそれ,②被告人のプライバシーを侵害するおそれ,③未決拘禁の目的に反する内容や戒護に支障を生じるおそれのある内容が含まれているのに,これが外部に流出するおそれ,④通信機能を使用した面会室外の第三者との通信等の面会の範囲を超えた不正な連絡がされるおそれなどがあり,拘置所に おいては,未決拘禁の目的や刑事施設の規律及び秩序の維持の目的から,上記のおそれが生じることや,それが現実化することを未然に防止することが要請される。 そこで,本件通知は,接見交通権をできる限り尊重すべきであるとの要請と拘置所の規律及び秩序の維持等の要請との調整を図ったものであり,このような調整を図る規定を設けることは憲法及び法令に何ら違背するものではない。 また,本件通知の内容をみても,①弁護人等からビデオテープ等を再生しながら接見したい旨の申出があった場合,弁護事件の証拠物又は証拠物として検討しているものか否か,持ち込まれる機器の機能について,録画機能が付いているか否か,録画をする予定があるか否かの三点について記載する本件申告書の作成を求め,必要に応じ,記載内容を口頭で確認すること,②弁護事件の証拠物又は証拠物として検討しているものか否かを確認し,証拠物又は証拠物として検討しているものであればこれを許可し,それ以外の場合については,弁護事件についての弁護人等との打合せに必要不可欠であるかという観点から個別に判断すること,③原則として,再生機能のみを有する機種の持込みを許可し,録画機能付きの機種を弁護人等が持参した場合には,接見内容を録画しないと申告した場合に限り,持込みを許可することなどを規 個別に判断すること,③原則として,再生機能のみを有する機種の持込みを許可し,録画機能付きの機種を弁護人等が持参した場合には,接見内容を録画しないと申告した場合に限り,持込みを許可することなどを規定するものであって,弁護人等に対し,記録された画像や音声等の具体的内容を申告するよう求めるものではないし,接見の具体的内容を確認するものでもない。 このように,本件通知は,接見交通権と刑罰権の発動ないし刑罰権発動のための捜査権の行使との間の合理的な調整を図り,弁護人等の行為が,刑事施設の規律及び秩序を害する行為があるか否かを判断するために,本件申告書への記載を求めるものに過ぎず,何ら弁護人等の接見交通権を侵害するものではないから,刑訴法39条1項に違反しない。」 ⑸ 原判決10頁15行目を次のとおり変更する。 「(ウ) 次のとおり,B副看守長が本件申告書の記載を求めたことにつき手続上の瑕疵はない。また,国家賠償法1条1項にいう『違法』とは,国又は公共団体の公権力の行使にあたる公務員が個別の国民に対して負担する職務上の法的義務に違背することをいい,公権力の行使に当たる公務員の行為が国家賠償法上違法と評価されるためには,当該公務員が,損害賠償を求めている個別の国民との関係で職務上の法的義務を負担し,かつ,当該行為が当該職務上の法的義務に違背してされた場合でなければならないが,本件通知は,行政庁に対する通達として,公務員の職務上の法的義務を措定する上で斟酌されることがあったとしても,そこに定められた手続に違反することが,直ちに個別の国民との関係で,職務上の法的義務違背と評価されるようなものではないから,B副看守長が本件申告書の記載を求めたことにつき手続上の瑕疵があるとする控訴人の主張は,そもそもそれ自体失当である。」⑹ 原判 の関係で,職務上の法的義務違背と評価されるようなものではないから,B副看守長が本件申告書の記載を求めたことにつき手続上の瑕疵があるとする控訴人の主張は,そもそもそれ自体失当である。」⑹ 原判決10頁16行目冒頭の「(ア)」を「a」と,21行目冒頭の「(イ)」を「b」と,11頁5行目冒頭の「(ウ)」を「c」と改める。 ⑺ 原判決11頁13行目の「オ」を「ウ」と改める。 ⑻ 原判決11頁16行目の「すぎない。」の次に次のとおり加える。 「控訴人は本件掲示の文言を問題とするが,C統括は,本件掲示の『検査』の意味について,目で見える範囲でパソコンを確認するものであって,実際にパソコンを手に取って確認するようなことはしていない旨明確に述べているし,現に本件においてB副看守長は,パソコンの検査をすると告知したり,パソコンを渡すよう求めたりしておらず,単に本件申告書を提示した上で,パソコンで音声を再生する場合には事前に申出をするよう求めたに過ぎないから,弁護人等の権利や自由を何ら制約するものではないし,その意思に反して強制的にその目的を遂げる性質も有しない。」 ⑼ 原判決13頁末行末尾に改行の上次のとおり加える。 「 被控訴人は,C統括がノートパソコンの使用を禁止する旨を告げたことを否定するが,本件拘置所は事前の申出をノートパソコン使用の要件であるとの方針を採っていたのであるから,事前の申出がなかった本件において,C統括がノートパソコンの使用を認めないと発言することはむしろ自然である。」⑽ 原判決14頁8行目末尾に改行の上次のとおり加える。 「 そして,控訴人は,B副看守長に対し,口頭で『証拠だよ。』と告げ,本件面会室内で証拠である音声を再生している旨を伝えているし,直接C統括に対しても同様の発言をしているから,C統括は,控 える。 「 そして,控訴人は,B副看守長に対し,口頭で『証拠だよ。』と告げ,本件面会室内で証拠である音声を再生している旨を伝えているし,直接C統括に対しても同様の発言をしているから,C統括は,控訴人が本件面会室内で再生している音声は本件被告事件に係る証拠の音声データであることを認識していた。したがって,C統括には,上記行為を行うについて故意又は過失が認められる。 被控訴人は,『証拠だよ。』との控訴人の発言だけでは,それが本件被告事件に関するものか否かは明らかでないし,本件通知がパソコン等を持ち込む弁護人等に対し,持ち込む機器に録画機能が付いているか否か,録画をする予定があるか否かについても回答するよう求めていることに照らすと,C統括において本件面会室内で再生されている音声が裁判資料であることを説明した後もなおその再生の中断を求めたことは適法であると主張する。しかし,控訴人は,国選弁護人として本件被告人と接見を行っているのであるから,控訴人のいう証拠が本件被告事件に係る証拠を指すことは明らかであるし,持ち込む機器に録画機能が付いているか否か,録画をする予定があるか否かは,それを確認することに関し,刑訴法39条2項にいう『逃亡,罪証の隠滅のおそれ』との具体的関連性がないから,被控訴人の上記主張は誤りである。」⑾ 原判決14頁19行目の「DVDに」から20行目の「認識していた。」 までを次のとおり改める。 「DVDに収録された音声を再生している旨を伝えているし,直接C統括に対しても同様の発言をしているから,C統括は,控訴人が本件面会室内で再生している音声データは本件被告事件に係る証拠のデータであることを認識していた。」⑿ 原判決16頁19行目末尾に改行の上次のとおり加える。 「 控訴人は,控訴人が『証拠だよ。』な 件面会室内で再生している音声データは本件被告事件に係る証拠のデータであることを認識していた。」⑿ 原判決16頁19行目末尾に改行の上次のとおり加える。 「 控訴人は,控訴人が『証拠だよ。』などと発言したから,同証拠が本件被告事件に係る証拠を指すことが明らかである旨主張するが,単に『証拠』ないし『裁判資料』とのみ説明されたのであれば,それが本件被告事件に関するものか否かは明らかでないし,本件通知がパソコン等を持ち込む弁護人等に対し,持ち込む機器に録画機能が付いているか否か,録画をする予定があるか否かについても回答するよう求めていることに照らすと,C統括において本件面会室内で再生されている音声が裁判資料であることを説明した後もなおその再生の中断を求めたことは,本件通知の定める手続に違反する措置とはいえない。」⒀ 原判決18頁12行目末尾に改行の上次のとおり加える。 「 被控訴人はC統括が控訴人に対して本件面会室からの退室を迫った事実を否定するが,C統括は,音声再生の中断に注力していたため,これに応じない控訴人に対し接見の中止や本件面会室からの退室を求める動機があったといえるし,控訴人と本件被告人との接見交通を継続させるために本件申告書の記載事項について口頭で尋ねた形跡がなく,本件通知の内容等について正しく理解していなかったと認められる。」第3 当裁判所の判断 1 事実関係等次のとおり補正するほか,原判決「事実及び理由」欄の第3の1項に記載のとおりであるから,これを引用する。 ⑴ 原判決19頁23行目の「平成25年10月10日」の後に「午後3時50分頃」を,20頁1行目の「上記前提事実⑸イ,」の後に「乙1,」をそれぞれ加える。 ⑵ 原判決20頁8行目の「平成25年10月10日,」の後に「本件接見が開始さ 10月10日」の後に「午後3時50分頃」を,20頁1行目の「上記前提事実⑸イ,」の後に「乙1,」をそれぞれ加える。 ⑵ 原判決20頁8行目の「平成25年10月10日,」の後に「本件接見が開始されてから50分程度経過した頃,」を,12行目の「32項」の次に「,控訴人本人・23項」をそれぞれ加える。 ⑶ 原判決21頁8行目の「191項」を「194項」と改める。 ⑷ 原判決21頁23行目末尾に改行の上次のとおり加え,これに伴い,21頁24行目の「(ア)」を「(イ)」と,22頁2行目の「(イ)」を「(ウ)」と,22頁6行目及び21行目の「(ウ)」を「(エ)」と,22頁10行目及び19行目並びに25頁5行目及び18行目の「(エ)」を「(オ)」と,22頁19行目及び21行目の「(オ)」を「(カ)」と,22頁21行目の「(カ)」を「(キ)」とそれぞれ改める。 「(ア) C統括は,平成25年10月10日当時,本件拘置所の処遇部処遇部門の上席統括矯正処遇官(第二担当)として主に収容者の処遇を担当していたが,これに先立つ平成22年4月1日から平成24年3月31日までは面会に携わる統括矯正処遇官(第一担当)として,未決勾留者の面会に関する職務を担当していた。(乙1,4,証人C・1~8項)」⑸ 原判決22頁17行目の「乙4,」の次に「15,」を加える。 ⑹ 原判決22頁18行目の「92,」の次に「93,」を加える。 ⑺ 原判決22頁22行目末尾に改行の上次のとおり加える。 「オ本件通知が発せられるに至った経緯(ア) 平成13年11月30日付け矯保4001法務省矯正局保安課長通知「弁護人が被告人との接見時に携帯型パソコン等の使用を願い出た場合の取扱いについて」では,弁護人待合室の掲示板等に「弁護人接見時にパソコン等の使用を希望する方は,あらかじ 1法務省矯正局保安課長通知「弁護人が被告人との接見時に携帯型パソコン等の使用を願い出た場合の取扱いについて」では,弁護人待合室の掲示板等に「弁護人接見時にパソコン等の使用を希望する方は,あらかじめ,職員に申し 出てください」等と記載する等の方法により,接見室にパソコン等を持ち込む場合には,あらかじめ,職員に申し出るよう周知すること,パソコン等の使用について申出があった場合には,当該パソコン等の,CCDカメラ機能及び内蔵マイクの有無を確認するとともに,CCDカメラ,PHSカード等の付属品の所持について質問すること,パソコン等の使用は,訴訟上の必要に基づく記録用等の使用目的に限るものとし,パソコン等の録音・再生機能,録画・再生機能,電話等の通信機能は,いずれも使用できない旨を周知すること等に留意すべき旨の通知がされていた。(乙9)(イ) 同年10月10日,大阪拘置所に勾留されていた被告人の刑事弁護人であった弁護士が,同拘置所の職員らに対し,上記被告人の刑事事件において証拠物として採用されたビデオテープを再生しながら上記被告人と接見することを申し入れたところ,上記職員らは,ビデオテープ等の内容を検査する必要があり,その検査をしなければビデオテープを再生しながらの接見は認められないとして上記申入れを拒否した。上記弁護士が国を被告として訴えた民事訴訟において,第1審判決及び控訴審判決は,いずれも,上記ビデオテープの内容を検査する必要があることを理由として上記申入れを拒否した同拘置所の職員らの行為は違憲,違法であると判断した。国は,上記控訴審判決に対し上告受理申立てをしたが,最高裁判所は,平成19年4月13日,上記申立てを受理しない旨の決定をした。(甲1,2,乙8)(ウ) 法務省矯正局成人矯正課長は,同月17日,上記最高裁 記控訴審判決に対し上告受理申立てをしたが,最高裁判所は,平成19年4月13日,上記申立てを受理しない旨の決定をした。(甲1,2,乙8)(ウ) 法務省矯正局成人矯正課長は,同月17日,上記最高裁判所の決定を受けて,本件通知を発した。(乙8)」⑻ 原判決22頁24行目から23頁18行目までを削除し,これに伴い,23頁19行目冒頭の「イ」を「ア」と,24頁19行目冒頭の「ウ」を「イ」と,25頁6行目冒頭の「エ」を「ウ」と,26頁6行目冒頭の「オ」を「エ」 と,27頁24行目冒頭の「カ」を「オ」と改める。 ⑼ 原判決24頁1行目の「203」を「198」と改める。 ⑽ 原判決25頁25行目の「ところが,」から26頁5行目末尾までを次のとおり改める。 「しかし,C統括が本件面会室の扉を開けた後,控訴人がC統括に対し扉を開けたことや本件面会室に入ったことについて抗議を行ったことを認めるに足りる証拠はなく,控訴人の上記(ア)の供述はこのことと整合しない。そして,上記以外に,C統括が本件面会室に無断で立ち入ったことを認めるに足りる証拠はないので,上記事実は認められない。」⑾ 原判決26頁15行目の「頁」を「項」と改める。 ⑿ 原判決27頁6行目の「そうすると,」から7行目末尾までを次のとおり改める。 「控訴人は,本件拘置所は事前の申出をノートパソコン使用の要件であるとの方針を採っていたのであるから,事前の申出がなかった本件において,C統括がノートパソコンの使用を認めないと発言することはむしろ自然であると主張するが,本件掲示の文言が,事前の申出がなかった場合にはノートパソコンの使用を一切認めないことまでを含意しているとは認められないから,控訴人の上記主張はその前提を欠く。したがって,控訴人の上記の供述は信用することができず,こ 前の申出がなかった場合にはノートパソコンの使用を一切認めないことまでを含意しているとは認められないから,控訴人の上記主張はその前提を欠く。したがって,控訴人の上記の供述は信用することができず,これ以外にC統括が控訴人に対しノートパソコンの使用を禁止する旨の発言をしたと認めるに足りる証拠はない。」⒀ 原判決27頁15行目の「本件申告書の」から16行目の「曖昧な証言をしている」までを次のとおり改める。 「本件申告書が備え付けられていた部屋の正確な位置及び本件面会室の構造の詳細については記憶がないと供述する」⒁ 原判決27頁20行目から23行目までを次のとおり改める。 「これらの点について記憶がないことはやむを得ないところであって,これによりC統括の上記の供述の信用性が減殺されるものではない。」⒂ 原判決28頁14行目の「C統括が,」から20行目末尾までを次のとおり改める。 「C統括は,前記のとおり本件拘置所の職員を監督する立場にあったから,本件通知の上記内容や本件拘置所の上記方針に従って行動したことが推認される。これに対し,控訴人は,C統括が音声再生の中断に注力していたため,これに応じない控訴人に対し接見の中止や本件面会室からの退室を求める動機があったといえるし,控訴人と本件被告人との接見交通を継続させるために本件申告書の記載事項について口頭で尋ねた形跡がなく,本件通知の内容等について正しく理解していなかったと認められると主張する。しかし,C統括が音声再生の中断に注力していたからといって,接見の中止や本件面会室からの退室を求める動機があったとまではいえないし,仮にC統括が本件通知の内容等について正しく理解していない面があったとしても,このことから接見の中止や本件面会室からの退室を求めたことまでが推認されるわけ 室を求める動機があったとまではいえないし,仮にC統括が本件通知の内容等について正しく理解していない面があったとしても,このことから接見の中止や本件面会室からの退室を求めたことまでが推認されるわけではない。したがって,C統括の上記証言の信用性を否定し,控訴人の上記の供述の信用性を肯定すべきと断ずるに足りる事情があるとはいえず,これ以外に,C統括が控訴人に対し接見の中止や本件面会室からの退室を求めた事実を認めるに足りる証拠はない。」 2 B副看守長による違法行為の有無等(争点⑴)について⑴ B副看守長の行為認定事実(前記補正の上で引用した原判決の「事実及び理由」欄の第3の1項。以下同じ。)のとおり,B副看守長は,本件面会室において本件被告人と接見をしていた控訴人に対し,本件申告書を示し,同書面への記入を求めた。 この点,控訴人は,B副看守長が,「ビデオを再生しているのであれば, 再生用紙に記入してもらう必要がある。」と発言したと主張するが,仮に控訴人の上記主張を前提としても,B副看守長が控訴人に対し本件DVDに収録されている情報の具体的な内容を尋ねたり,本件接見の内容を尋ねたりしたとまではいえず,上記以外に,B副看守長が控訴人に対し本件DVDに収録されている情報の具体的内容や本件接見の内容を尋ねたことを認めるに足りる証拠はない。したがって,B副看守長が控訴人に対し本件DVDに収録されている情報の具体的内容や本件接見の内容を尋ねたことを前提とする控訴人の主張は採用できない。 ⑵ B副看守長の行為の違法性についてアまず,弁護人等と被疑者・被告人との接見交通権の意義等について検討する。 (ア) 憲法34条前段は,「何人も,理由を直ちに告げられ,且つ,直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ,抑留又は拘禁 まず,弁護人等と被疑者・被告人との接見交通権の意義等について検討する。 (ア) 憲法34条前段は,「何人も,理由を直ちに告げられ,且つ,直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ,抑留又は拘禁されない。」と定める。この弁護人に依頼する権利は,身体の拘束を受けている被疑者又は被告人(以下「被告人等」という。)が,拘束の原因となっている嫌疑を晴らしたり,人身の自由を回復するための手段を講じたりするなど自己の自由と権利を守るため弁護人から援助を受けられるようにすることを目的とするものである。したがって,同規定は,単に被告人等が弁護人を選任することを官憲が妨害してはならないというにとどまるものではなく,被告人等に対し,弁護人を選任した上で,弁護人に相談し,その助言を受けるなど弁護人から援助を受ける機会を持つことを実質的に保障しているものと解すべきである。 刑訴法39条1項が,「身体の拘束を受けている被告人又は被疑者は,弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者(弁護士でない者にあつては,第31条第2項の許可があつた後に限る。)と立会人なくして接見し,又は書類若しくは物の授受を することができる。」として,被告人等と弁護人等との接見交通権を規定しているのは,上記の憲法34条の趣旨に則り,身体の拘束を受けている被告人等が弁護人等と相談し,その助言を受けるなど弁護人等から援助を受ける機会を確保する目的で設けられたものであり,その意味で,刑訴法の同規定は,憲法の保障に由来するものであるということができる。また,弁護人等との接見交通権は,身体を拘束された被告人等が弁護人等の援助を受けることができるための刑事手続上最も重要な基本的権利に属するものであるとともに,弁護人等からいえばその固有権の最も重 。また,弁護人等との接見交通権は,身体を拘束された被告人等が弁護人等の援助を受けることができるための刑事手続上最も重要な基本的権利に属するものであるとともに,弁護人等からいえばその固有権の最も重要なものの一つであることはいうまでもない。刑事収容施設法31条が,未決拘禁者の処遇に当たっては,未決の者としての地位を考慮し,その防御権の尊重に特に留意しなければならないものとしているのも,弁護人等との接見交通権が上記のとおり重要なものであることに由来するものということができる(以上につき,最高裁昭和49年(オ)第1088号同53年7月10日第一小法廷判決・民集32巻5号820頁,最高裁平成5年(オ)第1189号同11年3月24日大法廷判決・民集53巻3号514頁,最高裁平成29年(受)第990号同30年10月25日第一小法廷判決・民集72巻5号940頁等参照)。 (イ) もっとも,憲法は,刑罰権の発動ないし刑罰権発動のための捜査権の行使が国家の権能であることを当然の前提とするものであるから,被告人等と弁護人等との接見交通権が憲法の保障に由来するからといって,これが刑罰権等に絶対的に優先するような性質のものということはできない。憲法34条は,身体の拘束を受けている被告人等に対して弁護人等から援助を受ける機会を持つことを保障するという趣旨が実質的に損なわれない限りにおいて,法律に上記調整の規定を設けることを否定するものではない(前掲最高裁平成11年3月24日大法廷判決参照)。 そして,刑事収容施設法31条は,未決拘禁者の処遇に当たっては,未 決の者としての地位を考慮し,その防御権の尊重とともに,その逃走及び罪証の隠滅の防止にも特に留意しなければならないとし,また,刑事施設においては,その施設の目的や性格に照らし,未決拘禁者を含む被 決の者としての地位を考慮し,その防御権の尊重とともに,その逃走及び罪証の隠滅の防止にも特に留意しなければならないとし,また,刑事施設においては,その施設の目的や性格に照らし,未決拘禁者を含む被収容者の収容を確保し,その処遇のための適切な環境及び安全かつ平穏な共同生活を維持する必要があるため,規律及び秩序が適正に維持されなければならない(刑事収容施設法1条,73条参照)のであって,このような勾留の目的(逃走・罪証の隠滅の防止)や刑事施設内での規律及び秩序の維持の要請と弁護人等の接見交通権の保障との間において,合理的な調整を図らなければならないというべきである。 しかし,上記のとおり,弁護人等との接見交通権が,身体を拘束された被告人等が弁護人等の援助を受けることができるための刑事手続上最も重要な基本的権利に属するものであるとともに,弁護人等からいえばその固有権の最も重要なものの一つであることに照らすと,接見交通権の行使と刑罰権の発動ないし捜査権の行使との調整場面として上記のような制限の必要性及び合理性を検討するに当たっては,接見交通権をできるだけ保障する方向性が要請され,接見交通権が保障された趣旨を没却するような制約を加えることは許されないというべきである。 (ウ) 刑訴法39条1項は,被告人等は弁護人等と立会人なくして接見することができると規定して秘密交通権を保障するが,これは,接見の機会が保障されても,その内容が捜査機関や刑事収容施設等の第三者に知られることになれば,これを慮って,被告人等と弁護人等との情報伝達が差し控えられたり,弁護人等が適切な助言をすることができなくなったりするなどの萎縮的効果をもたらし,被告人等が弁護人等から実質的かつ効果的な援助を受けることができなくなるおそれがあることから,被告人等が弁護人等に必 弁護人等が適切な助言をすることができなくなったりするなどの萎縮的効果をもたらし,被告人等が弁護人等から実質的かつ効果的な援助を受けることができなくなるおそれがあることから,被告人等が弁護人等に必要かつ十分な情報を提供し,弁護人等が被告人等に対し適切な助言をするなどの自由な意思疎通が上記第三者に知られ ることなく行われることが,被告人等が弁護人等から有効かつ適切な援助を受ける上で必要不可欠であると考えられることに基づいている。 そうすると,刑訴法39条1項の「立会人なくして」とは,接見に際して捜査機関や刑事収容施設等の第三者が立ち会わないことのみを意味するものではなく,接見内容を上記第三者が知ることができない状態とすること(接見内容についての秘密)を保障するものであり,上記第三者において,接見内容を事前に告知させ,あるいは検査すること,接見内容を事後に報告させることはいずれも許されないと解される。 (エ) また,被告人等が弁護人等から有効かつ適切な援助を受けるためには,弁護事件に関する証拠資料等の情報が記載された書類等を閲覧しながら打合せをすることが必要不可欠であるから,接見交通権には,口頭での打合せだけでなく,弁護人等が,上記の書類等を閲覧しながら被告人等と打合せをすることも含まれると解すべきである。また,その打合わせにおいて萎縮することなく自由な意思疎通をし,弁護人等から有効かつ適切な援助を受けるためには,上記の書類等の内容が秘密の対象として保護される必要がある上,事案によっては,証拠資料を提示しながら打ち合わせを行うこと自体を秘密にする必要がある場合も考えられるから,証拠資料を提示しながら打合わせをしたこと自体も,秘密の対象として保護される必要がある。 そして,弁護事件に関する証拠資料等の情報が電磁的記録 と自体を秘密にする必要がある場合も考えられるから,証拠資料を提示しながら打合わせをしたこと自体も,秘密の対象として保護される必要がある。 そして,弁護事件に関する証拠資料等の情報が電磁的記録として保存されている場合,被告人等が弁護人等から有効かつ適切な援助を受けるためには,弁護人等が,上記電磁的記録を,被告人等との接見時にこれを再生するパソコン等の電子機器とともに持ち込み,これを再生しながら打ち合わせることが必要不可欠であるから,この打合せを上記の書類等を閲覧しながらの打合せと区別すべき理由はなく,上記電磁的記録を上記電子機器により再生しながらの打合せは,秘密交通権として保障さ れる行為に含まれるものと解される。 イ以上を前提として,本件パソコンを使用して本件DVDを再生して本件被告人と接見をしていた控訴人に対し,本件申告書を記載するように求めたB副看守長の行為の違法性について検討する。 (ア) まず,本件申告書の記載内容についてみると,本件申告項目1は,弁護人等に対し,再生しようとするビデオテープ等に記録されている情報の内容について,弁護事件の証拠物又は証拠物として提出を検討しているものであるか否かを申告させるとともに,再生しようとするビデオテープ等に記録されている情報の内容が弁護事件の証拠物又は証拠物として提出を検討しているものでない場合には,その内容を簡単に記載させることを定めるものである。 前記アで説示したところによれば,被告人等と弁護人等との秘密交通権としては,弁護事件に関する証拠資料等の情報が保存されている電磁的記録の内容や証拠資料である電磁的記録を再生して打ち合わせをしたこと自体の秘密性も保障されていると解すべきであるから,本件申告項目1は,秘密交通権で保障されるべき秘密の一部についての記載 いる電磁的記録の内容や証拠資料である電磁的記録を再生して打ち合わせをしたこと自体の秘密性も保障されていると解すべきであるから,本件申告項目1は,秘密交通権で保障されるべき秘密の一部についての記載を求めるものである。 ところで,本件申告項目1は,接見時に第三者の話が録音等されたビデオテープ等が再生されることにより,未決拘禁者と第三者との連絡に用いられ,未決勾留の目的に反する行為がされる可能性等を配慮し,記載を求めたものと解される。弁護人等が被告人等と接見する際に逃亡又は罪証隠滅に関する働きかけをするような書類等や,刑事収容施設内の規律や秩序を乱すような書類等を故意に持ち込むことは例外的事態ではあるが,このような可能性が全くないとまで断言することはできないし,映像及び音声等が収録された電磁的記録を再生する行為は,映像や音声のやり取りをする当人同士にしか分からない隠語や合図等が用いられる ことにより,弁護人等が意図しないまま第三者から被告人等に対する逃亡又は罪証隠滅に関する働きかけ,あるいは刑事収容施設内の規律や秩序を乱すような情報伝達がされる可能性が全くないとはいえない。このような故意又は過失により未決勾留の目的や刑事収容施設内の規律秩序維持が妨げられるおそれがあることから,これを防止するために,刑事収容施設において,弁護人等による電磁的記録の持込みに対し一定の制約を課す必要性があることは否定できない。 しかし,本件申告項目1は,電磁的記録を持ち込む弁護人等に対し,その内容の自主申告を求めるものに過ぎず,意図的に未決勾留の目的や刑事収容施設内の規律維持を妨げるような電磁的記録を持ち込もうとする弁護人等に対しては実効性に乏しく(なお,この危険性は,弁護人等が電磁的記録ではなく書類を示して接見する場合と異なるところ の目的や刑事収容施設内の規律維持を妨げるような電磁的記録を持ち込もうとする弁護人等に対しては実効性に乏しく(なお,この危険性は,弁護人等が電磁的記録ではなく書類を示して接見する場合と異なるところはない。),また,弁護人等が意図しないまま未決勾留の目的や刑事収容施設内の規律秩序維持を妨げるような電磁的記録を持ち込むことを防止するための方策としては,更に実効性に乏しいものといわなければならない。他方,本件申告項目1を弁護人等の側から見ると,再生しようとするビデオテープ等に記録されている情報の内容について,弁護事件の証拠物又は証拠物として提出を検討しているものであるか否かを申告しなければならないのであるから,弁護人等が弁護事件の証拠物又は証拠物として提出を検討しているものをビデオテープ等に記録されている情報として持ち込もうとする場合には,当該接見において,弁護人等が被告人等に上記情報を伝達することが,刑事収容施設である拘置所に対し明らかにされる結果となる。また,再生しようとするビデオテープ等に記録されている情報の内容が弁護事件の証拠物又は証拠物として提出を検討しているものでないからといって,直ちに秘密交通権の保障が及ばないと断ずることはできないところ,この場合には,弁護人等においてそ の内容を簡単に記載しなければならないのであるから,秘密交通権が侵害される程度はより一層明らかである。 そうすると,本件申告項目1の記載を求める行為は,その実効性とこれによって損なわれる利益とが,著しく不合理な程度に均衡を欠くものといわなければならないから,秘密交通権が保障された趣旨を没却するような不合理な制約として許されず,憲法34条前段,刑訴法39条1項に違反するというべきである。 これに対し,本件申告項目2は,持ち込まれる機器の ないから,秘密交通権が保障された趣旨を没却するような不合理な制約として許されず,憲法34条前段,刑訴法39条1項に違反するというべきである。 これに対し,本件申告項目2は,持ち込まれる機器の機能について,再生機能のみであるか,録画機能が付いているかの申告を求めるものであり,本件申告項目3は,持ち込まれる機器に録画機能が付いている場合に,接見内容を録画するか否かの申告を求めるものであるところ,接見内容について録画等がされ,そのまま外部に持ち出されて第三者との連絡に用いられるなどして勾留の目的に反する行為等が行われる危険性を考慮し,録画機能が使用されないことを確認するために設けたものと解され,そのような危険性を排除する必要性があることは否定できない。 また,弁護人等が被告人等の身体をカメラやビデオカメラで撮影したり,録音機を用いて被告人等との間の会話を録音したりすることは,刑訴法39条1項の「接見」に含まれないと解されるし,この記載を求めたからといって,弁護人等と被告人等との意思疎通に萎縮的効果があるとも認められないから,この点についての記載を求める措置は,接見交通権を侵害するものとは認められない。 (イ) B副看守長は,控訴人に対し,本件申告項目1を含む本件申告書への記入を求めたものであるところ,上記のとおり,弁護人等に本件申告項目1を申告させることは,秘密交通権が保障された趣旨を没却するような不合理な制約として許されず,憲法34条前段,刑訴法39条1項に違反するのであるから,B副看守長の上記行為もまた違憲,違法という ほかはなく,その違法性は明らかである。 ウさらに,控訴人は,①本件DVDのように音声データのみが収録された電磁的記録媒体は,本件通知にいう「ビデオテープ等」に該当しない,②本件通知は,弁護人等から はなく,その違法性は明らかである。 ウさらに,控訴人は,①本件DVDのように音声データのみが収録された電磁的記録媒体は,本件通知にいう「ビデオテープ等」に該当しない,②本件通知は,弁護人等からビデオテープ等を再生しながら接見したいとの申出があった場合,必要に応じて記載内容の確認を口頭で行うことを求めているところ,本件DVDのように音声データのみが収録された電磁的記録媒体は,本件通知にいう「ビデオテープ等」に該当するか否か明らかでないから,拘置所の職員は,ビデオテープ等を再生しながら接見したい旨申し出た弁護人等に対し,上記について説明した上で本件申告書への記入を求める義務があるのに,B副看守長は上記説明を怠った,③B副看守長は,C統括から,控訴人に対し本件申告書への記載を再度求めるとともに,本件申告書の内容について口頭で確認するよう指示されたのに,これに従わなかった,④本件通知は,弁護人等が本件申告書への記載を拒否した場合,弁護人等に対し口頭で質問し,回答結果を本件申告書に記載することなどを定めているが,B副看守長はこれらの行為を怠った,として,B副看守長は本件通知に従っていないから,手続上の瑕疵がある旨主張する。 そこで,まず,上記①,②の主張につき検討するに,本件通知は,弁護人等からビデオテープ等を再生しながら接見したいとの申出があった場合の対応を定めたものであるが,再生機器を使用して再生する電磁的記録媒体には,ビデオテープ以外にも様々なものがあり,また,音声データのみが収録された電磁的記録媒体によっても勾留の目的に反する内容のものが想定されるから,音声データのみが収録された電磁的記録媒体のみその他の電磁的記録媒体と異なる取扱いをすべき合理的根拠は見出し難い上,本件通知の文言上も音声データのみが収録された電磁的記録媒体を のが想定されるから,音声データのみが収録された電磁的記録媒体のみその他の電磁的記録媒体と異なる取扱いをすべき合理的根拠は見出し難い上,本件通知の文言上も音声データのみが収録された電磁的記録媒体を排除するものではないことからすると,本件通知にいう「ビデオテープ等」には,音声データのみが収録された本件DVDも含まれると解するのが相当であ る。したがって,控訴人の上記①の主張は採用できないし,音声データのみが収録された電磁的記録媒体が本件通知にいう「ビデオテープ等」に含まれるとの上記解釈は特異なものとはいえないから,拘置所の職員に対し,法律専門家である弁護士への上記②の説明義務を課すことも相当とはいい難く,上記②の主張も採用できない。 また,認定事実のとおり,上記③のC統括からの指示を認めることはできないから,上記③の主張も採用できない。 次に,上記④の主張につき検討するに,認定事実のとおり,B副看守長は,控訴人が本件申告書に記載することを拒否したため,弁護士である控訴人に対して一人でこれ以上対応することは相当でなく,本件拘置所の幹部職員に対応を交代してもらう必要があると判断し,本件面会室を離れたことが認められる。B副看守長が最初から最後まで一人で控訴人と対応しなければならないと解すべき根拠はなく,B副看守長の対応は,本件拘置所の組織に属する職員として合理的なものであって,上記④の主張も採用できない。 エ控訴人は,B副看守長の行為は,本件掲示の文言と相まって刑事収容施設法75条3項が禁止している所持品検査に該当するとも主張するが,B副看守長の行為は,認定事実のとおり,本件申告書への記入を求めたことだけであり,刑事収容施設法75条3項にいう「着衣及び携帯品を検査」することにも,「携帯品を取り上げて一時保管すること 張するが,B副看守長の行為は,認定事実のとおり,本件申告書への記入を求めたことだけであり,刑事収容施設法75条3項にいう「着衣及び携帯品を検査」することにも,「携帯品を取り上げて一時保管すること」にも該当しないことが明らかである。本件掲示の文言に誤解を招く余地があるかはともかく,控訴人の上記主張は採用できない。 ⑶ B副看守長の過失についてア認定事実のとおり,本件通知は,拘置所に勾留されていた被告人の弁護人であった弁護士が,同拘置所の職員らに対し,上記被告人の刑事事件において証拠物として採用されたビデオテープを再生しながら上記被告人と 接見することを申し入れたところ,上記職員らがビデオテープの内容を検査しなければ申入れに係る接見は認められないとして上記申入れを拒否したことについて,上記弁護士が国を被告として訴えた民事訴訟において,上記ビデオテープの内容を検査する必要があることを理由として上記申入れを拒否した大阪拘置所の職員らの行為は違憲,違法であると判断した判決が確定したことを受けて発せられたものである。 イしかし,上記のような経緯で発せられた本件通知について,その後本件接見までの約6年余りの間,本件通知に基づく対応の違憲・違法が争点となった訴訟のあったことを認めるに足りる証拠はない。また,上記期間内に,本件拘置所において,ビデオテープ等を再生しながら接見したい旨申し出た弁護人等から,本件通知に基づく対応が違憲又は違法であるとの指摘を受けたことを認めるに足りる証拠もない。 そうすると,本件通知に基づく対応が違憲,違法であることが法令の執行者にとって容易に理解できたということはできず,このことは国家公務員として法令に従ってその職務を遂行すべき義務を負う本件拘置所の職員にとっても同様であるから,本件通知に依拠 法であることが法令の執行者にとって容易に理解できたということはできず,このことは国家公務員として法令に従ってその職務を遂行すべき義務を負う本件拘置所の職員にとっても同様であるから,本件通知に依拠して本件申告書への記入を求めたB副看守長が,その当時,本件通知に基づく対応が違憲,違法とされることを予見し,又は予見すべきであったということはできない。 ウ以上のとおり,B副看守長に過失があるとはいえないから,控訴人において,被控訴人に対し,B副看守長の上記行為につき国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を請求することはできない。 3 C統括が無断で本件面会室に立ち入った行為の有無及び同行為の違法性(争点⑵)について原判決「事実及び理由」欄の第3の3項に記載のとおりであるから,これを引用する。 4 C統括が控訴人に対し音声の再生の中断を求め,ノートパソコンの使用を禁 止する旨を告げた行為の有無及び同行為の違法性(争点⑶)について⑴ C統括の行為認定事実のとおり,C統括は,本件面会室の扉を開けた後,控訴人に対し,音声の再生の中断を求め,控訴人から,音声が裁判資料である旨の発言があった後,再度,音声の再生の中断を求めたものである。 ⑵ C統括の上記行為の違法性ア控訴人は,C統括の上記行為は接見の一時停止に当たるところ,C統括は,控訴人が本件面会室内で再生している音声は本件被告事件に係る証拠であることを認識していたのであるから,上記音声の再生が刑事収容施設法117条1条の準用する同法113条1項1号ロ所定の「刑事施設の規律及び秩序を害する行為」に該当しないことは明らかであり,C統括の上記行為は違法であると主張する。 これに対し,被控訴人は,C統括の行為は,単に音声の再生を中断するように求めたに過ぎず,面会自 律及び秩序を害する行為」に該当しないことは明らかであり,C統括の上記行為は違法であると主張する。 これに対し,被控訴人は,C統括の行為は,単に音声の再生を中断するように求めたに過ぎず,面会自体の一時停止を求めたものではないし,これが仮に面会の一時停止に該当するとしても,控訴人が本件拘置所で定められた手続をとることなく本件パソコンを使用して音声を再生する行為は,刑事収容施設法117条1条の準用する同法113条1項1号ロ所定の「刑事施設の規律及び秩序を害する行為」に該当するから,C統括は控訴人に対し面会の一時停止を求めることができ,C統括の上記行為は違法ではないと主張する。 イそこで検討するに,まず,認定事実のとおり,C統括が控訴人に対し音声の再生を中断するように求めたものであるが,これは本件パソコンを使用して本件DVDの音声の再生に係る行為が「刑事施設の規律及び秩序を害する行為」に該当するとして,その行為の停止を求めたものと認めるのが相当である。 ウところで,未決勾留により拘禁された者は,(ア)逃亡又は罪証隠滅の防止 という未決勾留の目的のために必要かつ合理的な範囲において身体の自由及びそれ以外の行為の自由に制限を受け,また,(イ)刑事施設内の規律及び秩序の維持上放置することのできない程度の障害が生ずる相当の蓋然性が認められる場合には,その障害発生の防止のために必要な限度で身体の自由及びそれ以外の行為の自由に合理的な制限を受けるが,他方,(ウ)当該拘禁関係に伴う制約の範囲外においては,原則として一般市民としての自由を保障される(最高裁昭和63年(行ツ)第41号平成3年7月9日第三小法廷判決・民集45巻6号1049頁等参照)。これを受けて,刑事施設収用法117条,第113条1項1号ロは,刑事施設の職員は,弁護人 障される(最高裁昭和63年(行ツ)第41号平成3年7月9日第三小法廷判決・民集45巻6号1049頁等参照)。これを受けて,刑事施設収用法117条,第113条1項1号ロは,刑事施設の職員は,弁護人等との面会の場合にあって,未決拘禁者又は弁護人等が「刑事施設の規律及び秩序を害する行為」に及んだ場合には,その行為を制止し,又は面会を一時停止させることができると定めているところ,未決の被拘禁者の上記の地位及び弁護人等の接見交通権の重要さに照らすと,上記接見等の場における行為が「刑事施設の規律及び秩序を害する行為」に該当するとしてその行為の制止等をすることができるのは,単に当該刑事施設が定めた遵守事項に違反したというだけでは足りず,刑事施設内の規律及び秩序の維持上放置することのできない程度の障害が生ずる相当の蓋然性が認められる場合に限られ,これに反して当該行為の制止等がされ,その結果,接見交通に支障が生じた場合には,憲法34条前段,刑訴法39条1項に違反するものと認めるのが相当である。 エこのような観点から,C統括の上記行為の違法性について検討するに,認定事実のとおり,C統括は,B副看守長から,控訴人がパソコンを使用して音声の再生をしていることなどの報告を受けた上,本件面会室の弁護人側の視察口から本件面会室の中を視察して,控訴人が本件パソコンを使用して音声を再生していることを確認したことから,本件面会室の扉を開けた後,控訴人に対し,音声の再生を中断するように求め,控訴人から, 音声は裁判資料であるとの回答を受けた後も,控訴人に対し,音声の再生を中断するように求めたものである。そして,前提事実のとおり,本件接見当時,本件拘置所の弁護人控室には,本件拘置所の規律及び秩序を害する行為があった場合には,面会を一時停止させることがあるこ の再生を中断するように求めたものである。そして,前提事実のとおり,本件接見当時,本件拘置所の弁護人控室には,本件拘置所の規律及び秩序を害する行為があった場合には,面会を一時停止させることがあることを警告する文書とともに,ノートパソコンを使用する際にはあらかじめ職員にその旨を申し出ることを求める旨の複数の文書が掲示されていたのであるから,控訴人が本件拘置所の職員に申し出ることなく本件パソコンを使用した行為は,本件拘置所の定めた遵守事項に違反する行為であることは明らかである。 しかしながら,控訴人が行っていた上記の行為は,本件パソコンにより本件被告事件において証拠調べの請求がされたDVDの複製である本件DVDの音声を再生する行為であり,しかも,パソコンによって接見の場を録音するなどの行為に及ぼうとしていた様子もなかったのであるから,控訴人の行為が刑事施設内の規律及び秩序の維持上放置することのできない程度の障害が生ずる相当の蓋然性があるものとは認められない。 もっとも,C統括が本件面会室の扉を開けた時点では,どのようなDVDが再生されているのか明らかではなかったのであるから,刑事施設内の規律及び秩序の維持上放置することのできない程度の障害が生ずる相当の蓋然性があると認識したとしても,理由がないことではない。しかしながら,C統括は,その後,控訴人から,音声は裁判資料であると言われ,これにより,再生中の音声が本件被告事件の証拠であることが明らかとなったものであって,少なくとも,その時点では,控訴人の行為が「刑事施設の規律及び秩序を害する行為」に該当しないことは明らかになったというべきである。この点,被控訴人は,上記発言だけでは,本件被告事件の証拠であることが明らかになったとはいえないと主張するが,認定事実のとおり,控訴人が本件被告 」に該当しないことは明らかになったというべきである。この点,被控訴人は,上記発言だけでは,本件被告事件の証拠であることが明らかになったとはいえないと主張するが,認定事実のとおり,控訴人が本件被告事件に関し本件被告人の国選弁護人であったこ と,本件接見当時,本件被告人が本件被告事件以外の訴訟の当事者又は被告人であった事実を認めるに足りる証拠はないから,上記のとおり認定することができる。 ところが,C統括は,その後も,なお上記音声の再生の中断を求めたのであるから,控訴人が「刑事施設の規律及び秩序を害する行為」をしていないにもかかわらず,違法に,控訴人に対し,上記の中断を求めたものである。そして,前記説示のとおり,弁護人等がその担当する弁護事件について被告人と接見するに当たり,当該事件に関する証拠資料等の情報が電磁的記録として保存されている場合に,上記電磁的記録を,これを再生するパソコン等の電子機器とともに持ち込み,これを再生しながら打ち合わせることは必要不可欠であって,これは接見交通権として保障される行為に含まれると解されるから,控訴人による上記音声の再生もその保障の対象となる。 したがって,C統括の上記行為は,違法に控訴人の行為を制止し,その結果,控訴人と本件被告人との接見交通権を侵害するものである。 オ以上のとおりであるから,C統括の上記行為は,控訴人と本件被告人との接見交通権を侵害する違法なものといわなければならない。 ⑶ C統括の行為の手続上の瑕疵の有無控訴人は,C統括についても,B副看守長と同様の本件通知に基づく手続上の瑕疵,具体的には,①本件DVDが本件通知にいう「ビデオテープ等」に該当するか否か明らかでないから,C統括において,ビデオテープ等を再生しながら接見したい旨申し出た弁護人等に対し 知に基づく手続上の瑕疵,具体的には,①本件DVDが本件通知にいう「ビデオテープ等」に該当するか否か明らかでないから,C統括において,ビデオテープ等を再生しながら接見したい旨申し出た弁護人等に対し,上記について説明した上で本件申告書への記入を求める義務があるのにこれを怠った,②本件通知は,弁護人等が本件申告書への記載を拒否した場合,弁護人等に対し口頭で質問し,回答結果を本件申告書に記載することなどを定めているのに,C統括はこれを怠ったと主張する。 しかし,上記①の主張については,前記2⑵で説示したところと同様に採用できない。また,上記②の主張については,国家賠償法1条1項にいう「違法」とは,国又は公共団体の公権力の行使にあたる公務員が個別の国民に対して負担する職務上の法的義務に違背することをいうものと解するのが相当である(最高裁昭和53年(オ)第1240号同60年11月21日第一小法廷判決・民集39巻7号1512頁参照)ところ,拘置所の職員が弁護人等に対し口頭で質問した結果を本件申告書に記載することは,個別の国民,すなわち,当該弁護人等に対して負担する職務上の法的義務であるとはいえないし,拘置所の職員が弁護人等に対し口頭で質問すること自体も,個別の国民,すなわち,当該弁護人等の権利ないし利益のために行われるものとはいえないから,これを行わないことを,国家賠償法1条1項所定の「違法」と評価することはできない。そうすると,C統括が控訴人に対し口頭での質問を行わず,したがって,その結果を本件申告書に記載しなかったことが国家賠償法1条1項所定の「違法」な行為であるということはできないから,同主張も採用できない。 ⑷ C統括の過失C統括は,本件接見当時は,本件拘置所処遇部処遇部門の上席統括矯正処遇官(第二担当)とし 1条1項所定の「違法」な行為であるということはできないから,同主張も採用できない。 ⑷ C統括の過失C統括は,本件接見当時は,本件拘置所処遇部処遇部門の上席統括矯正処遇官(第二担当)として主に収容者の処遇を担当していたが,これに先立つ平成22年4月1日から平成24年3月31日までは面会に携わる統括矯正処遇官(第一担当)として,未決勾留者の面会に関する職務を担当していたのであるから,B副看守長からの相談を受けて被告人等と弁護人等との接見に関与するに当たり,違憲又は違法な行為に及ぶことのないよう注意すべき義務があったということができる。 ところが,C統括は,前記説示のとおり,控訴人が音声は裁判資料であるという趣旨の発言により,再生中の音声が本件被告事件の証拠であることが明らかとなった後も,なおその再生の中断を求めたものである。そして,前 記説示のとおり,被告事件に関する証拠資料等の情報が電磁的記録として保存されている場合に,これを再生しながらする打合せが秘密交通権として保障される行為に含まれることは明らかであること,本件申告項目1において,再生しようとするビデオテープ等に記録されている情報の内容が弁護事件の証拠物又は証拠物として提出を検討しているものである場合には,その内容を更に記載することを求めていないことも併せ考慮すると,C統括においても,弁護人等が再生中の音声が弁護事件の証拠であることが明らかとなった以上は,その再生を妨げることはできないことを認識していたか,少なくとも認識することが可能であったということができる。したがって,C統括には上記注意義務違反があったものといわなければならない。 ⑸ 結語よって,被控訴人は,C統括が控訴人に対し音声の再生の中断を求めたことによって控訴人が被った損害を賠償す したがって,C統括には上記注意義務違反があったものといわなければならない。 ⑸ 結語よって,被控訴人は,C統括が控訴人に対し音声の再生の中断を求めたことによって控訴人が被った損害を賠償すべき責任を負う。 5 C統括が控訴人に対し本件面会室からの退室を迫った行為の有無及び同行為の違法性(争点⑷)について原判決「事実及び理由」欄の第3の5項⑴,⑵に記載のとおりであるから,これを引用する(なお,同項⑶については,上記4で検討済みであるから引用しない。)。 6 控訴人の損害額(争点⑸)について⑴ 慰謝料前記4のとおり,被控訴人は,C統括が控訴人に対し音声の再生の中断を求めたことによって控訴人が被った損害を賠償すべき責任を負うところ,C統括の上記行為は憲法の保障に由来し刑訴法39条1項が保障する重要な権利である秘密交通権を侵害するものであるから,控訴人はこれにより精神的損害を被ったということができる。 そこで,上記精神的損害に対する慰謝料として相当な額を検討するに,C 統括の上記行為により侵害された控訴人の権利は重要な権利であること,他方で,控訴人の請求が認められるのは,C統括の本件DVDが証拠であることが明らかになった後に音声の再生の中断を求めた上記行為に係る部分のみであること,本件拘置所においてパソコンの録画機能が使用されないかに注意を払うことは当然であるのに,控訴人は,本件拘置所の職員に告げることなく本件パソコンの使用を始めたという経緯もあることなど,本件に現れた諸事情を勘案すると,控訴人の被った精神的損害に対して慰謝料は20万円と評価するのが相当である。 ⑵ 弁護士費用弁護士費用のうち,慰謝料の1割に相当する2万円については,C統括が控訴人に対し音声の再生の中断を求めた行為と相当因 的損害に対して慰謝料は20万円と評価するのが相当である。 ⑵ 弁護士費用弁護士費用のうち,慰謝料の1割に相当する2万円については,C統括が控訴人に対し音声の再生の中断を求めた行為と相当因果関係のある損害であるといえる。 7 結論以上によれば,控訴人の請求は,被控訴人に対し,22万円及びこれに対する本件の違法行為のあった日である平成25年10月10日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度において理由があるから認容し,その余は理由がなく棄却すべきであるので,これと異なる原判決を上記のとおり変更し,なお,仮執行宣言の申立てについてはその必要がないものと認めこれを付さないこととして,主文のとおり判決する。 広島高等裁判所第4部 裁判長裁判官森一岳 裁判官鈴木雄輔 裁判官沖本尚紀

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