平成26(行ウ)529

裁判年月日・裁判所
平成27年3月6日 東京地方裁判所
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判決文本文4,953 文字)

平成27年3月6日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成26年(行ウ)第529号特許庁長官方式指令無効確認請求事件口頭弁論終結日平成27年2月6日判決東京都台東区<以下略>原告A東京都千代田区<以下略>被告国代表者法務大臣上川陽子処分行政庁特許庁長官伊藤仁指定代理人中島伸一郎同曽我寛同徳同平川千鶴子同古閑裕人 主文 1 本件訴えを却下する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求の趣旨 1 特許庁長官が原告に対して発した平成26年8月5日付け手続補正指令(発送番号067492号)による9万9000円の納付義務が不存在であることを確認する。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 第2 事案の概要 1 前提となる事実(1) 原告は,平成25年8月5日,発明の名称を「国会議員選挙事前調査政党別議席数予測システム」とする特許出願(特願2013-162348号。以下「本件出願」という。)をした。原告は,同日付けで審査請求をしたが,平成26年3月3日付けで拒絶査定 国会議員選挙事前調査政党別議席数予測システム」とする特許出願(特願2013-162348号。 以下「本件出願」という。)をした。原告は,同日付けで審査請求をしたが,平成26年3月3日付けで拒絶査定(以下「本件拒絶査定」という。)がされた。 (2) 原告は,これに対して拒絶査定不服審判請求をした(不服2014-12580。以下「本件審判請求」という。)ところ,その手続において,特許庁長官は,原告に対し,本件審判請求につき,相当の期間を指定して未納の審判手数料9万9000円に相当する特許印紙を納付する補正を命ずる平成26年8月5日付け「手続補正指令書(方式)」(発送番号067492号。 甲2)による補正命令(以下「本件補正命令」という。)をした。 (3) 原告は,国を被告として,本件補正命令を取り消し,特許庁審査官による前置審査を開始すること等を求める訴えを当庁に提起した(当庁平成26年(行ウ)第419号特許庁長官方式指令取消等請求事件)が,平成26年9月29日,本件補正命令は,特許法17条3項の規定に基づく補正命令であると認められるところ,補正命令は,その行為によって手続の補正をすべきことを命じられた者の権利義務を形成し,又はその範囲を確定するものであるとはいえないから,特許法17条3項の補正命令は取消訴訟の対象となる行政処分とはいえず,したがって,本件補正命令の取消しを求める訴えは不適法であり,その不備を補正することはできないとして,民訴法140条に基づき口頭弁論を経ずに訴えを却下する判決をした。〔当裁判所に顕著〕 2 原告の主張する請求原因事実(1) 原告は,本件出願に関しては,住民税非課税証明書を添付して審査請求手数料の減免申請を行った結果,特許法195条の2に基づき,平成25年9月9日発送の通知により,特許庁長官より審査 因事実(1) 原告は,本件出願に関しては,住民税非課税証明書を添付して審査請求手数料の減免申請を行った結果,特許法195条の2に基づき,平成25年9月9日発送の通知により,特許庁長官より審査請求手数料の全額免除を受け - 3 -た。 その後,本件出願については,特許庁審査官により本件拒絶査定がされ,原告は,平成26年4月1日にその旨受領した。 (2) 原告は,本件拒絶査定を不服として本件審判請求を行ったが,手数料9万9000円については予納していなかったところ,平成26年8月5日付けで特許庁長官より本件補正命令がされ,同月30日に原告は本件補正命令を受領した。 (3) 原告は,本件出願に係る審査請求手数料について全額免除を受けており,特許庁長官による本件補正命令は,裁量権を超えた権利の濫用であって無効であり,その無効の確認をすべき事情がある。 また,審判請求に対する手数料未納の審査権限は特許法133条の2による審判長の専権事項であり,特許庁長官にはないから,本件補正命令は違法無効である。 (4) よって,原告は,原告の行った本件出願に対する本件拒絶査定につき,原告が請求した本件審判請求の手続において,特許庁長官が原告に対して発した,未納の審判手数料9万9000円に相当する特許印紙の補正を求める平成26年8月5日付け本件補正命令による同額の納付義務が存在しないことの確認を求める。 3 被告の本案前の答弁(1) 本件訴えは確認の利益を欠き,不適法なものである。 原告は,本件補正命令が違法・無効であることを前提として,本件補正命令に基づいて審判手数料を納付する義務が不存在である旨の確認を求めるものであるところ,本件訴えの実質は,原告に特許法195条2項の規定により納付すべき手数料の支払を命じ ことを前提として,本件補正命令に基づいて審判手数料を納付する義務が不存在である旨の確認を求めるものであるところ,本件訴えの実質は,原告に特許法195条2項の規定により納付すべき手数料の支払を命じた本件補正命令の判断に不服があるとしてその是正を求めることにある。このような原告の不服は,本件補正命令に続いて審判請求手続の却下の処分(特許法18条1項)がされた後,当該却下 - 4 -処分の取消しを求める中で本件補正命令の違法を主張すること等により救済され得べき性質のものである。 なお,審判事件について合議体を構成すべき審判官が特許庁長官により指定される前の手続については,特許法17条3項が適用され,特許庁長官による補正命令の対象となると解されているところ,本件審判請求についても,審判官が指定される前に特許法17条3項3号の規定に基づき本件補正命令がされたものである。 以上により,原告が主張する権利又は法律上の地位の不安や危険を除去するために他に適切な手段が存するものであるから,本件訴えにより確認判決を得る以外に有効・適切な方法がないとは認められない。 したがって,本件訴えは確認の利益を欠き不適法である。 (2) 本件訴えが無効等確認請求であると解しても,本件補正命令には処分性が認められない。 無効等確認の訴えの対象となる「処分」(行訴法3条4項)は,同条2項にいう「行政庁の処分」と同義と解されるところ,特許法17条3項の規定による補正命令は,手続の補正をすべきことを命じられた者に対し,補正を促す効果を有するにとどまるものであるから,権利義務を形成し又はその範囲を確定する性質を有するものではなく,「行政庁の処分」に当たらない。 したがって,本件訴えは,たとえ無効等確認の訴えであると解したとしても,「 にとどまるものであるから,権利義務を形成し又はその範囲を確定する性質を有するものではなく,「行政庁の処分」に当たらない。 したがって,本件訴えは,たとえ無効等確認の訴えであると解したとしても,「処分」に該当しないものを無効確認の対象とする訴えであって,不適法である。 第3 当裁判所の判断 1 本件訴えは,特許法195条2項の規定により納付すべき手数料の支払を命じた本件補正命令に基づく手数料を納付する義務が不存在である旨の確認を求めるものと解されるところ,確認の訴えを提起するについては,原告の有する権利又は法律上の地位に危険または不安が存し,これを除去するため - 5 -に,当該確認の訴えによって確認判決を得る以外に有効・適切な方法がないことを要し,他により適切な手段があれば確認の利益は認められず,その訴えは不適法となると解される(最高裁昭和27年(オ)第683号・同30年12月26日第三小法廷判決・民集9巻14号2082頁参照)。 これを本件についてみると,本件補正命令は,特許法17条3項の規定に基づく補正命令であるところ,同法17条3項,18条の規定によれば,特許庁長官は,同法17条3項各号所定の手続上の瑕疵がある場合には,手続の補正をすべきことを命じて,その補正の機会を与えるものであるから,同項の規定による補正命令は,手続の補正をすべきことを命じられた者に対し補正を促すにとどまるものである。したがって,補正命令は,その行為によって手続の補正をすべきことを命じられた者の権利義務を形成し,又はその範囲を確定するものとはいえない。そして,手続の補正をすべきことを命じられた者が指定された期間内に補正をしないときは,同法18条1項の規定により,特許庁長官によって手続が却下されることとなるが,これにより具体的な権利義務が ない。そして,手続の補正をすべきことを命じられた者が指定された期間内に補正をしないときは,同法18条1項の規定により,特許庁長官によって手続が却下されることとなるが,これにより具体的な権利義務が形成され,その範囲が確定することとなる。 そして,行訴法3条2項の処分取消しの訴えの対象となる行政処分すなわち「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」とは,公権力の主体たる国又は公共団体が,その行為によって直接国民の権利義務を形成し,又はその範囲を確定することが法律上認められているものをいうと解される(最高裁昭和28年(オ)第1362号・同30年2月24日第一小法廷判決・民集9巻2号217頁,最高裁昭和37年(オ)第296号・同39年10月29日第一小法廷判決・民集18巻8号1809頁)。上記のとおり,本件補正命令に続き,特許法18条1項に基づく手続却下処分がされた場合には,これにより初めて具体的な権利義務が形成され,その範囲が確定するものであるから,本件補正命令は取消訴訟の対象となる行政処分には当たらないが,手続却下処分についてはこれに当たるということができる。 - 6 -そうすると,本件補正命令についての不服は,上記のとおり,取消訴訟の対象となる行政処分に当たる手続却下の処分(同法18条1項)がされた後,当該却下処分の取消しを求める中で本件補正命令の違法を主張することによるべきであり,原告が主張する権利又は法律上の地位の危険や不安を除去するために他に適切な手段が存するものといえるから,本件訴えにより確認判決を得る以外に有効・適切な方法がないものとは認められず,本件訴えは確認の利益を欠き,不適法である(なお,審判事件について合議体を構成すべき審判官が特許法137条1項に基づき特許庁長官により指定される前の手続につ 効・適切な方法がないものとは認められず,本件訴えは確認の利益を欠き,不適法である(なお,審判事件について合議体を構成すべき審判官が特許法137条1項に基づき特許庁長官により指定される前の手続については,同法17条3項が適用されて特許庁長官による補正命令の対象となり,本件審判請求についても,審判官が指定される前に同法17条3項3号,195条2項に基づいて特許庁長官により本件補正命令がされたものであるから,この点に違法はないものと解される。)。 2 なお,本件訴えは,本件補正命令が違法無効であることを理由に,行訴法3条4項にいう無効等確認の訴えとしてされたものとも解し得るので,この点についても検討する。 前記1のとおり,行訴法3条2項の処分取消しの訴えの対象となる行政処分とは,公権力の主体たる国又は公共団体がその行為によって直接国民の権利義務を形成し,又はその範囲を確定することが法律上認められているものをいうと解されるところ,同条4項所定の無効等確認の訴えの対象となる「処分」についてもこれと同義に解される。 そうすると,前記1において説示したのと同様に,本件補正命令は無効等確認の訴えの対象となる行政処分には当たらないから,本件訴えは不適法である。 3 結論以上によれば,本件訴えは不適法なものであるから却下することとして,主文のとおり判決する。 - 7 -東京地方裁判所民事第40部 裁判長裁判官 東海林 保 裁判官 今井弘晃 裁判官 実 裁判官 今井弘晃 裁判官 実本滋

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