令和4年6月29日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和3年(行コ)第246号固定資産税都市計画税賦課処分取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成30年(行ウ)第453号) 主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人の請求をいずれも棄却する。 第2 事案の概要(以下、略称は、別途定めるほかは、原判決の例による。) 1 本件は、宗教法人である被控訴人が、その所有する不動産の一部について、処分行政庁である東京都新宿都税事務所長(本件都税事務所長)から、平成29年度の固定資産税及び都市計画税(固定資産税等)の各賦課決定処分(本件 処分)を受けたところ、本件処分は、地方税法348条2項3号及び702条の2第2項(本件非課税規定)により非課税となるべき境内建物及び境内地(境内建物等)に対して課税した違法な処分であるとして、控訴人に対し、本件処分の取消しを求める事案である。 原判決は、被控訴人の請求を認容したため、控訴人は、これを不服として本 件控訴をした。 2 関連法令の定め、前提事実、争点及び当事者の主張は、次のとおり補正するほかは、原判決「事実及び理由」の「第2 事案の概要」1から4までに記載のとおりであるから、これを引用する。 原判決3頁16行目の「9名以上の」を「9名を超える」に改める。 原判決3頁25行目の「(甲2、4)」の後の「。」を削る。 原判決4頁22行目の「床面積」を「登記簿上の床面積(下記、についても同じ。)」に改める。 原判決5頁2行目の「兼ねている。」を「兼ねており、共用のトイレが設 の「。」を削る。 原判決4頁22行目の「床面積」を「登記簿上の床面積(下記、についても同じ。)」に改める。 原判決5頁2行目の「兼ねている。」を「兼ねており、共用のトイレが設けられている。」に改める。 原判決5頁7行目の「トイレ」の後に「(書庫・倉庫に設けられた共用の トイレとは別のもの)」を加える。 原判決5頁10行目の「通過しなければならず、」の後に「また、共用の廊下と本件管理人室内の台所との間、共用の洗面所と本件管理人室内の浴室・脱衣所との間にそれぞれ通行可能なドアが設けられており、」を加える。 原判決5頁22行目の「から」を削る。 原判決7頁16行目の「約2名」を「一、二名」に改める。 原判決7頁23行目の「本件不動産は」から同頁24行目の「なかった。」までを「被控訴人は、平成27年度以前においては、本件不動産(本件管理人室を含む。)につき、固定資産税等を課されたことがなかった。」 に改める。 原判決8頁3行目の「合計356.99㎡」の後に「(現況。以下、本件建物(その一部である場合も含む。)について同じ。)」を加える。 原判決34頁14行目の「いうと解すべきである。」を「いい、「専ら」との限定がある非課税規定については、その文理からして、特にその用に供 する頻度や割合が高いものである必要があると解すべきである。」に改める。 原判決34頁18行目末尾の後に「また、当該建物につき宗教法人法に定める規律にかからせることが適当といえるか否かという主観的あるいは裁量的な判断によることは不相当である。」を加える。 原判決35頁3行目の「会社に出勤しているほか」を「会社で勤務し、午 前8時から午後7時頃までの半日程度管理人室を不在にするほか」に改め 断によることは不相当である。」を加える。 原判決35頁3行目の「会社に出勤しているほか」を「会社で勤務し、午 前8時から午後7時頃までの半日程度管理人室を不在にするほか」に改める。 原判決35頁6行目末尾の後に「本件建物に不特定多数の信徒が出入りしているといい得る状況は見当たらないところ、本件管理人室については、なおさらそのような状況にあるとはいえない。」を加える。 原判決35頁26行目の「見ても、」の次に「行事の回数は少ない上、」を加える。 原判決37頁18行目の「ないとうかがわれる。」を「なく、株式会社等他の団体においても行われている施設管理業務と変わるところのない業務であって宗教法人がその立場で行う本質的な活動ではなく、本件管理人室は、 本件管理契約に基づき、上記業務を履行する際の便宜のために起居する場所として提供しているものにすぎないというべきである。」に改める。 原判決40頁21行目末尾の後に、改行して次のとおり加え、同頁22行目の「オ」を「カ」に改める。 「オ Aの通勤時間について Aの勤務先、αの旧住所、本件建物はいずれも東京都内にあり、αの旧住所からその勤務先とともに本件建物に通って管理人の業務を行うことは、およそ通常人にとって不可能であるとはいえない。」原判決42頁23行目末尾の後に、改行して次のとおり加える。 「ウ地方税法348条2項3号が「宗教法人が専らその本来の用に供す る」との要件を定めた趣旨は、宗教法人が主たる目的となる宗教的活動を行うほか、公益事業を行うことができ、さらに、その目的に反しない限り公益活動以外の事業を行うことができることから(宗教法人法6条1項、2項)、境内建物、境内地がこれらの事業の用に供されることがあり得るこ か、公益事業を行うことができ、さらに、その目的に反しない限り公益活動以外の事業を行うことができることから(宗教法人法6条1項、2項)、境内建物、境内地がこれらの事業の用に供されることがあり得ることを勘案したものである。 そして、たまたま例外的に他の使用目的において使用することがあっ たという程度では、ただちに「専ら」その本来の用に供するとはいえないということにはならないし、何らの活動にも供されていない時間をも目的外の使用とする趣旨ではないと解すべきである。」原判決44頁5行目の「世界236か国」を「世界236の国又は地域」に改める。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所の判断は、次のとおり補正するほかは、原判決「事実及び理由」の「第3 当裁判所の判断」に記載のとおりであるから、これを引用する。 原判決10頁21行目末尾の後に、改行して次のとおり加える。 「 この点につき、控訴人は、「専ら」とは、特にその用に供する頻度や割 合が高いものである必要があることを意味するものである旨主張する。 しかし、宗教法人による境内建物を含む宗教に供する財産の利用は、当該宗教法人の自律に委ねるべきものであり、営利目的による利用、信徒以外の不特定多数の者に対する布教目的を伴わない開放など、当該宗教法人の目的に含まれない利用をした場合に「専ら」の要件を満たすか 否かが問題となるのであって、そうでない限りは同要件を満たすものと解するのが相当である。境内建物の利用の頻度や割合を考慮し、これを利用しない時間があることを理由に「専ら」の要件を欠くと判断することは、利用の実態がほとんどないような顕著な場合でない限り、宗教法人の行う宗教活動を不当に選別するものであって相当性を欠くものとい わざるを得ない。 した に「専ら」の要件を欠くと判断することは、利用の実態がほとんどないような顕著な場合でない限り、宗教法人の行う宗教活動を不当に選別するものであって相当性を欠くものとい わざるを得ない。 したがって、控訴人の上記主張は採用できない。」 原判決12頁18行目の「福祉」を「福利」に改める。 原判決17頁6行目の「必要である。」の後に「また、共用の廊下と本件管理人室内の台所との間、共用の洗面所と本件管理人室内の浴室・脱衣所と の間には、それぞれドアが設けられて通行が可能になっており、本件管理人 室の一部も共用部分になっている状況にある。」を加える。 原判決22頁15行目冒頭から同頁18行目の「合理的である。」までを次のとおりに改める。 「 そうすると、本件建物内に管理人の起居する場所(本件管理人室)を設けることは、本件不動産のうち境内建物等に該当することについて争いが ない部分についての管理や、同部分において行うイベント等の補助をするために合理性を有するものと認められる。」 原判決23頁1行目から同頁2行目にかけての「およそ不可能であったといわざるを得ない。」を「困難であったといわざるを得ない。そして、バハイ教の教義の中に仕事につくことは義務であるというものが含まれているこ とからすれば、当該管理人固有の事情に関わりなく、管理人が本件建物に居住することが最も管理のために資するものといえる。」に改める。 原判決23頁11行目の「隣接」から同頁12行目の「一部であるといえる」までを「隣接しているほか、風呂場・脱衣所等については、信徒宿泊室を利用する者と共用することができる構造になっており、Aが居住するため のプライバシーを保ちつつ、必要な場合には宗教活動に供することが予定されているも 、風呂場・脱衣所等については、信徒宿泊室を利用する者と共用することができる構造になっており、Aが居住するため のプライバシーを保ちつつ、必要な場合には宗教活動に供することが予定されているものといえる」に改める。 原判決23頁13行目の「また」から同頁17行目の「されている。」までを削る。 原判決26頁6行目から同頁7行目にかけての「異なるものではない旨主 張する。」を「異なるものではなく、また、株式会社等他の団体においても行われている施設管理業務であって宗教法人がその立場で行う本質的な活動ではないと主張する。」に改める。 原判決26頁8行目の「しかしながら、」の後に「本件非課税規定の適用の可否を判断するに当たって考慮すべき点は、管理の態様ではなく管理の対 象が宗教上の施設であるか否かであり、宗教法人の目的を達成するために当 該宗教法人の用いる宗教上の施設を管理することが必要なことは明らかである。そして、」を加える。 原判決26頁10行目の「床面積」を「登記簿上の床面積」に改める。 原判決27頁3行目の「家族以外の者を」から同頁4行目の「存在する」までを「一部において信徒宿泊室を利用する者と共用できる構造になってい る」に改める。 原判決27頁17行目冒頭から同頁19行目末尾までを次のとおりに改める。 「カ控訴人は、当審において、本件管理人室に本件非課税規定が適用されないことを裏付けるものとして、総務大臣の取扱通知(乙30)及びこ れに沿った運用がされているという各種行政実例(乙31から33まで)を証拠として提出するが、上記取扱通知や行政実例は裁判所の判断を拘束するものではないし、その内容も、宗教法人の所有する庫裡、社務所等、性質上専ら宗教の用に供する う各種行政実例(乙31から33まで)を証拠として提出するが、上記取扱通知や行政実例は裁判所の判断を拘束するものではないし、その内容も、宗教法人の所有する庫裡、社務所等、性質上専ら宗教の用に供するものと認められる施設に関する例外的扱いに関するものであって、本件に妥当するものとはいえない。 キその他、控訴人は、原審及び当審において縷々主張するが、これに対する判断は、原審における説示(当審において補正後のもの)のとおりであり、いずれも採用できない。」 2 結論以上によれば、被控訴人の請求は理由があるから認容すべきであるところ、 これと同旨の原判決は相当であり、本件控訴は理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第12民事部 裁判長裁判官平田豊 裁判官酒井良介 裁判官矢口俊哉
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