平成25(ワ)12646 商標権侵害行為差止等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成27年2月20日 東京地方裁判所
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平成25年(ワ)第12646号商標権侵害行為差止等請求事件口頭弁論終結日平成27年1月16日判決山梨県甲斐市〈以下略〉原告株式会社湯ーとぴあ同訴訟代理人弁護士土橋順静岡県田方郡函南町〈以下略〉被告函南町同訴訟代理人弁護士小川良昭同重光純同安本晋同田上悠 主文 1 被告は,別紙被告施設目録記載の入浴施設の外壁及び掲示物,送迎用車両,別紙ウェブサイト目録記載の各ウェブサイト並びにパンフレット,チラシ等の広告物に別紙被告標章目録記載の標章を使用してはならない。 2 被告は,別紙被告施設目録記載の入浴施設の外壁及び掲示物,送迎用車両,別紙ウェブサイト目録記載の各ウェブサイトから,別紙被告標章目録記載の標章を抹消せよ。 3 被告は,別紙被告標章目録記載の標章を付したパンフレット,チラシ等の広告物を廃棄せよ。 4 被告は,原告に対し,1234万9069円及びうち1088万1892円に対する平成25年5月25日から,うち146万7177円に対する平成26年11月1日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 5 原告のその余の請求を棄却する。 6 訴訟費用は,これを2分し,その1を被告の負担とし,その余を原告の負担 とする。 事実及び理由 第1 請求 1 主文第1項ないし第3項と同旨 2 被告は,原告に対し,8400万円及びうち760 ,その1を被告の負担とし,その余を原告の負担 とする。 事実及び理由 第1 請求 1 主文第1項ないし第3項と同旨 2 被告は,原告に対し,8400万円及びうち7600万円に対する平成25年5月25日から,うち800万円に対する平成26年11月1日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 仮執行宣言第2 事案の概要 1 本件は,「入浴施設の提供」を指定役務とする商標権を有する原告が,被告の運営する入浴施設において使用される標章が上記商標権に係る商標に類似し,その使用が原告商標権を侵害すると主張して,被告に対して,商標法36条1項及び2項に基づき,上記入浴施設の外壁・掲示物,送迎用車両,ウェブサイト及び広告物等への標章の使用の差止め,外壁・掲示物等からの標章の抹消並びに標章を付した広告物の廃棄を求めるとともに,商標権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求として,8400万円及びうち7600万円に対する不法行為後の日(訴状送達日の翌日)である平成25年5月25日から,うち800万円に対する不法行為後の日(損害算定期間の最終日の翌日)である平成26年11月1日から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 2 前提となる事実(証拠等〈略〉を掲げていない事実は当事者間に争いがない。)(1) 当事者ア原告は,温泉ホテルの経営を主な業務としている株式会社である。 イ被告は,静岡県内の地方公共団体である。 (2) 原告の商標権原告は,以下の商標権(以下「原告商標権」といい,その登録商標を「原 告商標」という。)を有している。 登録番号第3112304号出願日平成4年9月30日登録日 告商標権」といい,その登録商標を「原 告商標」という。)を有している。 登録番号第3112304号出願日平成4年9月30日登録日平成8年1月31日登録商標 商品及び役務の区分第42類指定役務入浴施設の提供(3) 原告の営業原告は,山梨県甲斐市所在の温泉ホテル「ラドン健康パレス湯~とぴあ」(以下「原告施設」という。)を経営し,平成7年以降,原告商標を用いて,入浴施設の提供を行っている。 (4) 被告の行為被告は,平成14年10月20日から現在に至るまで,静岡県田方郡函南町所在の別紙被告施設目録記載の施設(以下「被告施設」という。)において,別紙被告標章目録記載の標章(以下「被告標章」という。)を使用して,入浴施設の提供を行っている。 被告は,入浴施設の提供に当たり,被告施設の外壁,施設の掲示物,送迎バスに被告標章を付している。また,被告は,別紙ウェブサイト目録〈略〉記載1のウェブサイト(被告函南町のウェブサイト)及び同2のウェブサイト(被告施設のウェブサイト)上の被告施設の広告に,被告標章を付して電磁的方法により提供しており,また,被告標章を付したパンフレット,チラシ等の広告物を展示,頒布している。 なお,被告施設の運営管理は,平成22年4月1日以降,被告から委託を 受けたFunSpace株式会社(以下「FunSpace社」という。)が行っている。 (5) 指定役務と被告の役務との対比被告施設における役務の提供は,原告商標の指定役務である「入浴施設の提供」に含まれる。 3 争点(1) 原告商標と被告標章の類否(2) 原告の損害の有無及びその額 役務との対比被告施設における役務の提供は,原告商標の指定役務である「入浴施設の提供」に含まれる。 3 争点(1) 原告商標と被告標章の類否(2) 原告の損害の有無及びその額(3) 消滅時効の成否第3 争点に関する当事者の主張 1 争点(1)(原告商標と被告標章の類否)について〔原告の主張〕(1) 原告商標についてア原告商標は,外観上,「ラドン健康パレス」及び「湯~とぴあ」の文字をそれぞれ上下二段に配して成る商標であって,一体性が低く,分離して看取されるべきものである。また,「湯~とぴあ」は,造語であって,独立して識別力を有する部分である一方,「ラドン健康パレス」は,提供する入浴施設(温泉施設)の種類を意味する一般的・普遍的な文字であり,付加的な部分である。したがって,原告商標のうち「湯~とぴあ」の部分は,その要部ということができる。 イ原告商標の要部である「湯~とぴあ」部分は,「~」が「湯」の一部と一体となり,丸味を帯びたポップ体の文字で構成されており,同部分からは,「ユートピア」との称呼を生じ,「理想的に快適な浴場」である「湯~とぴあ」という入浴施設との観念を生じる。 (2) 被告標章についてア被告標章の外観は,「湯~トピア」及び「かんなみ」の文字を前部後部 として一段に配して成るが,前部に配された「湯~トピア」は,黒色のポップ体の文字で構成され,後部の「かんなみ」は,緑色のポップ体の文字で構成される。そのため,「湯~トピア」と「かんなみ」は,一体性が低く,分離して看取されるべきものである。また,「湯~トピア」は,造語であって,独立して識別力を有する部分である一方,「かんなみ」は,提供する入浴施設(温泉施設)の所在地を意味する一般的・普遍的な文字であり,付加的な れるべきものである。また,「湯~トピア」は,造語であって,独立して識別力を有する部分である一方,「かんなみ」は,提供する入浴施設(温泉施設)の所在地を意味する一般的・普遍的な文字であり,付加的な部分である。 したがって,被告標章のうち「湯~トピア」の部分は,その要部ということができる。 イ被告標章の要部である「湯~トピア」の部分は,黒色のポップ体の文字で構成されており,同部分からは,「ユートピア」との称呼を生じ,「理想的に快適な浴場」である「湯~トピア」という入浴施設との観念を生じる。 (3) 取引の実情について元来,わが国においては,入浴を娯楽とする習慣がある。そのため,入浴施設は,その周辺地域の住民だけでなく,市町村や都道府県を越えて利用されている。しかも,インターネットの普及により,様々な情報をインターネットから検索する機会が増えていることは公知の事実であり,入浴施設には以前より広い範囲からの集客があることも容易に想像できる。実際,インターネットの検索サイトで「湯~とぴあ」を検索すると,その検索結果の最上位に原告施設が表示されることから,インターネット上で最も言及されているのが原告施設であることが分かり,さらに,その検索結果の1頁目に表示され,「湯~とぴあ」ないし「湯~トピア」の文字で競合する施設は,原告施設,被告施設及び登録商標を有する「湯~とぴあ宝」だけである。 また,入浴施設に関しては,同一の経営母体が各地において複数の施設を経営することは一般的である。 したがって,取引の実情として,市町村や都道府県を越えて,「湯~とぴあ」という商標の使用が役務の混同を生じさせやすい状況にあるということができる。 (4) 類否判断そこで,原告商標の要部及び被告標章の要部とを対比すると,いずれも「ユート えて,「湯~とぴあ」という商標の使用が役務の混同を生じさせやすい状況にあるということができる。 (4) 類否判断そこで,原告商標の要部及び被告標章の要部とを対比すると,いずれも「ユートピア」という同一の称呼が生じ,また,「理想的に快適な浴場」である「湯-とぴあ(湯-トピア)」という入浴施設との共通の観念を生じる。 なお,外観については,平仮名・片仮名という相違点はあるものの,「湯-とぴあ」という基本的な語は同一であること,書体は異なるが,標準文字ではなく装飾された書体である点で共通することから,類似しているということができる。 そして,前記(3)のような取引の実情も併せて総合的に考慮すると,被告標章と原告商標とが入浴施設の提供という同一の役務に使用された場合には,当該役務の出所の誤認混同を生じさせるおそれがあるといえるから,被告標章は,全体として,原告商標と類似しているということができる。 なお,被告は被告標章について商標登録を得たようであるが,原告は,これに対する無効審判を請求している。 〔被告の主張〕(1) 原告商標についてア原告商標の外観については,「ラドン健康パレス」及び「湯~とぴあ」の文字がいずれも丸みを帯びた字体であり,「ラドン健康パレス」は,上部に,少し小さめの青い文字で,「湯~とぴあ」は,下部に,少し大きめの青で囲まれた黄色の太文字で配されている。 原告商標からは,「ラドンケンコウパレスユートピア」との称呼が生じ,ラドン温泉を利用した入浴施設又は健康増進施設との観念が生じる。 イ原告商標のうち「湯~とぴあ」の部分は,「ユートピア」という一般的 な外来語の一部について,入浴施設等を想起させる「湯」の漢字を当てはめただけのありふれた用語にすぎない。実際,他の登録商標においても「 ち「湯~とぴあ」の部分は,「ユートピア」という一般的 な外来語の一部について,入浴施設等を想起させる「湯」の漢字を当てはめただけのありふれた用語にすぎない。実際,他の登録商標においても「湯とぴあ」,「湯ートピア」及び「湯~とぴあ」等の文字が使用されており,インターネットの検索サイトで「湯~とぴあ」を検索すると,原告施設及び被告施設以外にも様々な入浴施設が列挙されることからすれば,「湯とぴあ」,「湯ートピア」及び「湯~とぴあ」などが,入浴施設の標章として慣用的に使用されていることは明らかである。よって,原告商標のうち「湯~とぴあ」の部分が出所識別標識として強く支配的な印象を与えていることはない。 他方,原告商標のうち「ラドン健康パレス」の部分は,「ラドン」,「健康」及び「パレス」の三つの単語を合わせた造語として極めて特徴的な用語を形成しており,インターネットの検索サイトで検索しても,原告施設以外の施設が検出されないことからすれば,「ラドン健康パレス」の部分は,「湯~とぴあ」の部分以上に,出所識別機能がある。 したがって,原告商標のうち「湯~とぴあ」の部分が需要者に対して役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えているとは到底認められないから,同部分を原告商標の要部と評価することはできない。 (2) 被告標章についてア被告標章は,「湯~トピアかんなみ」及び「IZUKANNAMISPA」の文字並びに函南町の花であるハコネザクラの絵で構成されており,このうち,「湯~トピア」は黒色,「かんなみ」は緑色で,いずれも細い毛筆体である。 被告標章からは,「ユートピアカンナミイズカンナミスパ」との称呼が生じ,静岡県田方郡函南町に所在し,同町が運営に関与している公共性を有する温泉入浴施設という観念が生じる。 イ被告標章 である。 被告標章からは,「ユートピアカンナミイズカンナミスパ」との称呼が生じ,静岡県田方郡函南町に所在し,同町が運営に関与している公共性を有する温泉入浴施設という観念が生じる。 イ被告標章のうち「湯~トピア」の部分は,それ自体が出所識別機能を有 するものでない上,「かんなみ」という語が結びつくことによってはじめて,函南町に所在し,函南町がその町民の健康・福祉増進に役立つ施設とすることを目的として管理運営していることが明確になるものであるから,被告標章における「湯~トピア」と「かんなみ」は不可分一体として理解されるべきものである。また,「湯~トピア」と「かんなみ」が全く同じ字体で1列に表示され,さらにその中心部にハコネザクラの絵が配置されていることからも,被告標章における「かんなみ」の部分が不可欠の要素といえる。よって,「湯~トピア」の部分だけを被告標章の要部として評価することはできない。 (3) 取引の実情原告施設は,山梨県甲斐市の1か所のみに存在し,原告が営利目的で運営する入浴施設付き宿泊施設である。原告施設は,ウェブページ等でラドン温泉関連の施設であることを強く打ち出しており,原告商標においても「ラドン健康パレス」の文字が強い意義を有し,顧客誘引力の中核をなしている。 また,原告施設の中心的な顧客は,山梨県又は東京都を中心とする関東地方の住民である。これに対して,被告施設は,町民の健康増進及び福祉向上並びに地域振興を目的とした公共的な施設であり,宿泊設備も有していない。 被告施設にはラドン温泉関連施設がなく,その利用者の約9割が函南町民及びその付近住民であり,他県住民の利用がほとんどない。そして,原告商標は,上記所在地の原告施設で使用されている一方で,被告標章は,静岡県田方郡函南町に所在する被告施設で使用 用者の約9割が函南町民及びその付近住民であり,他県住民の利用がほとんどない。そして,原告商標は,上記所在地の原告施設で使用されている一方で,被告標章は,静岡県田方郡函南町に所在する被告施設で使用されており,いずれも他の地域における入浴施設の提供ために使用されている事実はない。 また,「湯~とぴあ」の語をインターネットの検索サイトで検索すると,その上位100件の中に,原告施設及び被告施設のほかに,「湯~とぴあ宝」,「箱根小涌園ユネッサン(HAKONEKOWAKI-ENSunshine 湯~とぴあ箱根小涌園ユネッサン)」,「湯とぴあ雁の里温泉」,「な にわ健康ランド湯ートピア」,「湯~とぴあダイゴ」,「臼別温泉湯とぴあ臼別」,「ゆ~とぴあみろく」,「湯~とぴあ熊の湯」,「藤河別湯ーとぴあ」,「あわくら温泉湯~とぴあ黄金泉」,「湯~トピア小中野」及び「湯都ピア浜脇」という競合する入浴施設が検出される。 さらに,入浴施設の提供において重視されるのは,その所在地,湯の質及び成分内容,風呂の数や種類などであるから,これらの要素を捨象して,単に「ユートピア」と称呼される文字を含む標章を使用しているというだけで,標章同士の誤認混同が生じることはあり得ない。 (4) 類否判断ア外観上,原告商標における「湯~とぴあ」は平仮名であるが,被告標章における「湯~トピア」は片仮名である上,原告商標の文字は丸みを帯びた黄色のデザインとなっているが,被告標章の文字は黒色と緑色の毛筆で流れるように手書き風のデザインとなっている。また,原告商標は2列で記載されているが,被告標章は1列で記載されている上,「ユートピア」と称呼される文字が,原告商標では最後に位置しているのに対して,被告標章では最初に位置しているなど,文字の配置状 ,原告商標は2列で記載されているが,被告標章は1列で記載されている上,「ユートピア」と称呼される文字が,原告商標では最後に位置しているのに対して,被告標章では最初に位置しているなど,文字の配置状況においても異なっている。原告商標と被告標章を並べて比較すれば,両者が全く異なる外観を呈していることは一見して明らかである。 そして,どちらも「ユートピア」と称呼される文字を含み,入浴又はこれに類する施設との観念を生じる点で共通するが,その称呼を全体として観察すれば全く類似していないし,ラドン温泉と強く結びついた観念を生じる原告商標と,函南町に所在する公共的性格を有する温泉入浴施設との観念を生じる被告標章は,その出所を別にすることは明らかである。 このように,原告商標と被告標章を対比しても,全体としての表記が大きく異なるだけでなく,字体及び配色等のデザインにおいて一見して明らかに異なっており,さらに前記(3)の取引の実情も考慮すれば,原告商標と 被告標章に接した者が,両者について誤認混同を生じるおそれは皆無である。 イこの点に関して原告は,原告商標の一部である「湯~とぴあ」と被告標章の一部である「湯~トピア」をそれぞれの要部として対比することにより,両者が類似すると主張するが,「湯~とぴあ」ないし「湯~トピア」の部分は出所識別標識として強く支配的な印象を与えているものではなく,他方,原告商標の「ラドン健康パレス」や,被告標章の「かんなみ」,「IZUKANNAMISPA」及びハコネザクラの絵も,それぞれ出所識別標識となるから,原告の主張するような要部による類否判断は許されない。 ウ特許庁においては,称呼を「ユートピア」,類似群コードを「42D01」とする商標として,原告商標以外に,①「湯とぴあ宝」,②「HAKON 原告の主張するような要部による類否判断は許されない。 ウ特許庁においては,称呼を「ユートピア」,類似群コードを「42D01」とする商標として,原告商標以外に,①「湯とぴあ宝」,②「HAKONEKOWAKI-ENSunshine 湯~とぴあ」,③「YOU,ゆ~ SAUNAandBATHUTOPIA」,④「ユートピア赤城」(イメージあり),⑤「ユートピア赤城」(イメージなし),⑥「湯とぴあ雁の里温泉」及び⑦「さくらんぼ湯ートピア」の7件が登録されており,このうち,①及び②については原告商標の出願より早く出願されたものであり,③は原告商標と同日に出願されているが,その余の商標は,いずれも原告商標の登録後に出願されたものである。 このような商標登録状況に鑑みれば,特許庁は,「湯とぴあ」,「湯ートピア」及び「湯~とぴあ」などの文字には出所を特定する機能がないと判断し,かかる文字を含む商標を入浴施設の提供という役務について使用したとしても,他の商標との誤認混同のおそれがないと扱っていることが明らかである。 なお,被告が被告標章について商標登録を申請したところ,何ら問題なく,その登録が認められた(商標登録第5692791号)。 2 争点(2)(原告の損害の有無及びその額)について〔原告の主張〕(1) 被告施設の売上高被告施設における,平成14年10月20日から平成25年3月31日までの売上高は,19億7648万0605円である。また,平成22年以降の売上高に鑑みれば,平成25年4月1日から平成26年10月31日までの19か月間に少なくとも2億5333万3333円の売上げが発生している。 よって,平成14年10月20日から平成26年10月31日までの売上高は,少なくとも22億2981万3938 1日までの19か月間に少なくとも2億5333万3333円の売上げが発生している。 よって,平成14年10月20日から平成26年10月31日までの売上高は,少なくとも22億2981万3938円である。 なお,被告は,平成22年4月1日以降被告施設を指定管理者たるFunSpace社に運営させており,被告には収入が帰属していないと主張するが,被告は同社に業務委託することによって被告標章を使用させているのであるから,同日以降の売上高も損害算定の基礎に算入すべきである。 (2) 原告が受けるべき金額(商標法38条3項)ア使用料率原告商標には顧客吸引力があり,被告が被告標章を使用することで被告施設の売上げに寄与しているから,原告には,使用料相当額の損害が発生している。 そして,使用料相当額を算定するための使用料率は,以下の事情を考慮すると,売上高の5%とするのが相当である。 (ア) 原告商標の顧客吸引力原告商標は「湯~とぴあ」の部分を中核としているところ,その「湯~とぴあ」は,「湯」の文字で入浴施設であることを示し,「ユートピア」という称呼と合わさることによって,快適な入浴施設であることをイメージさせるものであり,顧客吸引力が高く,原告の営業努力によっ て,山梨県内だけでなく山梨県外からも観光客を吸引し,山梨の観光の一角を担う存在となっている。 (イ) 被告標章の使用態様被告は,被告標章を,ホームページ,パンフレット,チラシ等の宣伝広告の全てに用い,施設の外壁,送迎用バスにもこれを用いて宣伝効果を補完するなど,被告標章を統一的なブランドとして使用している。 (ウ) 被告標章独自の顧客吸引力がないこと被告標章のうち「湯~トピア」の部分は,原告商標と共通して,顧客 いて宣伝効果を補完するなど,被告標章を統一的なブランドとして使用している。 (ウ) 被告標章独自の顧客吸引力がないこと被告標章のうち「湯~トピア」の部分は,原告商標と共通して,顧客吸引力の中核をなす部分であるが,被告標章のうち「かんなみ」の部分は,被告施設の所在地を表すのみであり,独自の顧客吸引力がない。 (エ) 原告に使用許諾の意思がないこと原告は,第三者が原告商標又はこれに類似する標章を使用することを望んでおらず,実際に,原告商標又これに類似する標章を使用する施設に対して,使用の中止を求める交渉をしてきた。特に被告施設は,山梨県に隣接する静岡県に所在し,しかも利益を度外視できるために,競合可能性が高いから,使用料の支払を条件としても被告標章の使用を許諾する意思はない。 イ使用料相当額前記(1)の売上高に使用料率5%を乗じると,原告が受けるべき使用料相当額は,1億1149万0696円となる。 (3) 弁護士費用原告は,本件訴訟の追行を原告訴訟代理人弁護士に委任した。それに要した費用のうち,被告の不法行為と相当因果関係のある弁護士費用額は,400万円である。 (4) 小括よって,原告は,被告に対し,1億1549万0696円の損害賠償請求 権を有するが,その一部請求として,使用料相当額に係る損害の一部である8000万円(平成14年10月20日から平成24年12月31日までの分として7200万円,平成25年1月1日から平成26年10月31日までの分として800万円)及び弁護士費用に係る損害金400万円の支払を求める。 なお,遅延損害金は,平成14年10月20日から平成24年12月31日までの使用料相当額及び弁護士費用については,訴状送達日の翌日から,平成2 護士費用に係る損害金400万円の支払を求める。 なお,遅延損害金は,平成14年10月20日から平成24年12月31日までの使用料相当額及び弁護士費用については,訴状送達日の翌日から,平成25年1月1日から平成26年10月31日までの使用料相当額については,平成26年11月1日から,それぞれ起算する。 〔被告の主張〕(1) 被告施設の売上高被告施設における平成14年10月20日から平成25年3月31日までの収支については,被告施設関連の「歳入歳出決算額及び入館者数」と題する書面に記載のとおりであるが,平成22年4月1日以降は,指定管理者であるFunSpace社が被告施設を運営していることから,被告施設に係る収入は,温泉スタンドの給湯料を除き,一切被告に帰属していない(同社から賃料その他の金銭も受領していない。)。 なお,被告施設の収支は赤字であり,平成24年度では,1870万6739円が被告の赤字として計上され,FunSpace社においても2858万0458円の赤字を生じている。 (2) 原告が受けるべき金額原告商標と被告標章が類似していると仮定しても,以下の各事情によれば,原告商標に顧客吸引力は認められず,被告標章の使用が被告施設の売上げの増加に寄与したことはなく,また,その使用により原告に何らかの損害が生じたことはないから,商標法38条3項によって算定される使用料相当額は認められない。 また,仮にいくばくかの損害を原告に認めることができるとしても,それは極めて微小な程度にとどまるべきであり,売上高の5%などという法外な使用料相当額を認める理由はない。 ア施設の目的原告施設は,営利を目的とする施設であり,想定する顧客が山梨県内又は東京都を中心とする首都圏の観光客であ あり,売上高の5%などという法外な使用料相当額を認める理由はない。 ア施設の目的原告施設は,営利を目的とする施設であり,想定する顧客が山梨県内又は東京都を中心とする首都圏の観光客であるのに対して,被告施設は,町民の健康増進及び福祉の向上並びに地域の振興に寄与することを目的とする公共的な施設であって,想定する顧客は函南町民が中心であり,実際に被告施設の利用者のほぼ100%が静岡県東部の住民である。 イ施設の所在地等原告施設は,山梨県甲斐市の1か所に存在するだけであるから,被告施設を利用する一般需要者にとって原告施設は全く著名ではなく,顧客吸引力は皆無というべきである。また,「湯」の字を使用し「ユートピア」と称呼される文字を含む名称の入浴施設が,原告施設以外にも日本全国に複数存在するため,被告標章から,これらの他の入浴施設と区別して直ちに原告施設が連想されることはあり得ない。 よって,被告標章の利用において,原告商標の顧客吸引力が発揮されることはない。 ウ施設の特徴原告施設は,その名称や広告等において,ラドン温泉関連施設であることを重視しており,原告商標における「ラドン健康パレス」の部分が強い意義を有し,その顧客吸引力の中核をなしているのに対し,被告施設には一切ラドン温泉関連施設は存在しない。また,被告施設はいわゆる日帰り入浴施設であり宿泊設備を有していないから,入浴施設の充実した宿泊施設である原告施設とは性格を異にしている。 エ被告施設発足の経緯 被告施設は,地方公共団体である被告が,町民の健康増進及び福祉の向上並びに地域の振興に寄与することを目的として設立し,維持する公共施設であり,函南町の住民をその利用者として想定し,広告宣伝活動も函南町を中心として行っているから,被告 ,町民の健康増進及び福祉の向上並びに地域の振興に寄与することを目的として設立し,維持する公共施設であり,函南町の住民をその利用者として想定し,広告宣伝活動も函南町を中心として行っているから,被告施設の運営によって原告施設の顧客が減少したり,原告商標と誤認混同されることによって被告施設の売上げが増加したりすることは,全く想起し難い。 (3) 原告の請求権等原告の主張する使用料相当額の損害金,弁護士費用及びそれについての被告の損害賠償義務については,否認ないし争う。 3 争点(3)(消滅時効の成否)について〔被告の主張〕被告は,平成14年10月以降被告施設において被告標章を使用し,遅くとも平成17年9月までには被告のホームページ内に被告施設のページを設けて,その存在を広く周知していた。そして,同ページは,「湯~トピア」の語で検索すると上位で検出されることから,「湯~とぴあ」の文字を含む名称の入浴施設を強く意識していた原告は,遅くとも平成20年末までに被告施設の存在を認識していたはずである。 したがって,本件訴訟の提起から3年以上前に発生した損害についての原告の損害賠償請求権は,時効により消滅しているというべきであるから,被告はこれを援用する。 〔原告の主張〕原告が被告施設のホームページの存在を知ったのは,平成24年2月頃である。 よって,本件訴訟における原告の請求権が時効により消滅することはない。 第4 当裁判所の判断 1 争点(1)(原告商標と被告標章の類否)について (1) 類否の判断について商標の類否は,対比される商標が同一又は類似の商品又は役務に使用された場合に,その商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが,それには 類否の判断について商標の類否は,対比される商標が同一又は類似の商品又は役務に使用された場合に,その商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが,それには,使用された商標がその外観,観念,称呼等によって取引者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すべく,しかも,その商品又は役務に係る取引の実情を明らかにし得る限り,その具体的な取引状況に基づいて判断するのが相当である(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁,最高裁平成6年(オ)第1102号同9年3月11日第三小法廷判決・民集51巻3号1055頁参照)。 また,複数の構成部分を組み合わせた結合商標については,商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合していると認められる場合においては,その構成部分の一部を抽出し,この部分だけを他人の商標と比較して類否を判断することは,原則として許されないが,他方で,商標の構成部分の一部が取引者又は需要者に対し,商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与える場合や,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じない場合などには,商標の構成部分の一部だけを取り出して,他人の商標と比較し,その類否を判断することが許されるものと解される(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁,最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁,最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決・裁判集民事228号561頁参照)。 (2) 原告商標についてア原告商標の外観は,前記第2,2(2)記 47巻7号5009頁,最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決・裁判集民事228号561頁参照)。 (2) 原告商標についてア原告商標の外観は,前記第2,2(2)記載のとおり,「ラドン健康パレス」の文字及び「湯~とぴあ」の文字(なお,「湯~」の部分は,「湯」 の旁である「昜」の中の「一」を,「~」と波状に変形しつつ,その右端を伸ばすことによって,「湯~」を一体的に表現している。)を上下二段にそれぞれ横書きして成り,上段の「ラドン健康パレス」の文字は,細いゴシック調で色は青色であり,下段の「湯~とぴあ」の文字は,丸みを帯びた太いフォントのポップ体で,やや立体感を持たせた黄色の文字を青地でふち取って表されており,上段の文字の約7,8倍大きく,また,「湯~とぴあ」の「湯」の文字が「とぴあ」の文字よりも大きく強調されている。 原告商標は,上記の上下二段の文字から,全体として,「ラドンケンコウパレスユートピア」との称呼を生じる。 また,原告商標の下段の「湯~とぴあ」の部分は,「理想郷,理想社会」などを意味する英単語「utopia」(ユートピア)の「ユ」を「湯」に置き換えた造語であると認められるところ,この下段部分と上段部分の意味上の繋がりから,原告商標を全体として見ると,「ラドンを用いた健康によい温泉施設であって,理想的で快適な入浴施設」という程度の観念が生じるということができる。 イもっとも,原告商標は,その外観上,上段の「ラドン健康パレス」の部分と下段の「湯~とぴあ」の部分とから成る結合商標と認められるところ,その文字の色及び大きさの違い,その配置態様によって,一見して明瞭に区分して認識されるものであるから,これらの二つの部分は,分離して観察することが取引上不自然と思われるほど不可分 認められるところ,その文字の色及び大きさの違い,その配置態様によって,一見して明瞭に区分して認識されるものであるから,これらの二つの部分は,分離して観察することが取引上不自然と思われるほど不可分に結合しているものということはできない。 そして,上段の「ラドン健康パレス」の部分は,元素の一つである「ラドン」,身体に悪いところがなくすこやかなことを意味する「健康」及び「宮殿,御殿。娯楽又は公益のための建築物」の意味を持つ「パレス」という一般的な単語を繋げたものであり,それらの単語が持つ個々の意味合 いを併せて,後記認定のとおり,全国に数多く存在する「ラドン健康センター」,「ラドン温泉健康センター」,「ラドン健康美容センター」,「ラドン保養センター」,「ラドン保健センター」などと同様に,「ラドンを用いた健康によい温泉施設」という程度の一般名称的な意味を示すにすぎないのに対して,下段の「湯~とぴあ」の部分は,「ユートピア」の「ユ」を「湯」に置き換えた造語であり,しかも,その文字が上段の文字よりもはるかに大きく目立つ態様で示されていることからすれば,原告商標の中で,「湯~とぴあ」の部分は,強く支配的な印象を与える部分ということができる。 そうすると,原告商標においては,その全体での称呼及び観念とは別に,その下段の「湯~とぴあ」の部分のみから,「ユートピア」の称呼が生じ,「理想的で快適な入浴施設」という程度の観念が生じるということができる。 (3) 被告標章についてア被告標章の外観は,別紙被告標章目録記載のとおり,上段に「湯~トピアかんなみ」の文字を横書きし,下段に,3枚の葉を伴う1輪の花(被告の主張によれば,函南町の花である「ハコネザクラ」。)の図形と,その図形の左右にそれぞれ「IZUKANNAMI」と「SPA」 トピアかんなみ」の文字を横書きし,下段に,3枚の葉を伴う1輪の花(被告の主張によれば,函南町の花である「ハコネザクラ」。)の図形と,その図形の左右にそれぞれ「IZUKANNAMI」と「SPA」の極めて小さな欧文字を横書きに配して成る結合商標と認められるところ,上段の文字は,いずれも毛筆様のもので書いたように濃淡や太さに変化を持たせたデザインの字体(なお,「湯」の字の中の「日」の部分は,その中央の「-」が赤い丸に置き換えられて表現されている。)となっているが,このうち「湯~トピア」の部分は黒色(上記赤い丸を除く。以下同じ。)で,「かんなみ」の部分は緑色でそれぞれ表されており,「湯~トピア」の「湯」の文字が「~トピア」の文字よりも大きく強調されており,また,下段の花の図形は,上段の一文字と同程度かそれより小さく描かれ,下段の欧文 字は,上段の文字に比して極めて小さいフォントで黒色で記されている。 被告標章の中において,その外観上,「湯~トピアかんなみ」の文字で構成される上段部分は,下段の図形及びごく小さな欧文字とは,明らかに区別されて,独立して認識されるものと認められるところ,その上段部分からは「ユートピアカンナミ」の称呼が生じ,また,「函南町にある,理想的で快適な入浴施設」という程度の観念が生じる。 イ被告標章の上段の「湯~トピアかんなみ」の文字は,いずれも同様の字体で,1行でまとまりよく記載されているものの,視覚上,黒色の「湯~トピア」と緑色の「かんなみ」の二つの部分によって構成されていることが容易に認識されるものであるから,これらの二つの部分は,分離して観察することが取引上不自然と思われるほど不可分に結合しているものということはできない。また,前方の「湯~トピア」の部分は,「ユートピア」の「ユ」を「湯」に置 るから,これらの二つの部分は,分離して観察することが取引上不自然と思われるほど不可分に結合しているものということはできない。また,前方の「湯~トピア」の部分は,「ユートピア」の「ユ」を「湯」に置き換えた造語であり,出所識別標識として強い印象を与える部分であるということができるが,他方,後方の「かんなみ」の部分は,「函南」という地名若しくは町名を指していることは明らかであるから,入浴施設が所在し,その役務が提供される場所を表すものにすぎず,自他役務を識別する機能が弱いというべきである。そうすると,「かんなみ」の部分は,「湯~トピア」の部分と一体となって上記の称呼及び観念が生じ得るとしても,「かんなみ」の部分それ自体からは,独自の出所識別標識としての称呼及び観念を生じないというのが相当である。 したがって,被告標章の上段部分からは,その全体に対応した称呼及び観念とは別に,「湯~トピア」の部分に対応した「ユートピア」という称呼及び「理想的で快適な入浴施設」という程度の観念も生じるものというのが相当である。 (4) 取引の実情等証拠〈略〉及び弁論の全趣旨によれば,被告施設は,被告がその町民の健 康増進及び福祉の向上並びに地域の振興に寄与することを目的として設立・運営する公共の日帰り入浴施設であり,その利用者の約半数が函南町の住民で,三島市,沼津市などの近隣市町村の住民を含めると利用者の大半を占めること,被告標章は,被告施設についてのみ使用されており,他の地域における入浴施設の提供のために使用されていないこと,他方,原告施設は,山梨県甲斐市に所在する入浴施設付きの宿泊施設であり,同施設のホームページ上では,館内にラドン温泉を含む複数の風呂があることが謳われ,宿泊予約サイトではラドン温泉関連施設として紹介されていること, 山梨県甲斐市に所在する入浴施設付きの宿泊施設であり,同施設のホームページ上では,館内にラドン温泉を含む複数の風呂があることが謳われ,宿泊予約サイトではラドン温泉関連施設として紹介されていること,原告が原告商標を使用して運営する入浴施設は,原告施設のみであること,また,全国の入浴施設については,同一の経営主体が各地において同様の名称を用いて複数の施設を運営することがあること,インターネットの検索サイトで「湯~とぴあ」の語を検索した結果によれば,全国には,「湯ーとぴあ」又はこれに類する語を含む名称を有する入浴施設として,原告施設及び被告施設のほかに,少なくとも「湯~とぴあ宝」(名古屋市),「湯とぴあ雁の里温泉」(秋田県仙北郡美郷町),「なにわ健康ランド湯ートピア」(大阪府東大阪道せたな町),「湯~とぴあ熊の湯」(東京都板橋区),「藤河内湯ーとぴあ」(大分県佐伯市),「あわくら温泉湯~とぴあ黄金泉」(岡山県英田郡西粟倉村)及び「湯~トピア小中野」(青森県八戸市)の各施設があることが,それぞれ認められる。 (5) 類否判断前記(2)及び(3)のとおり,原告商標のうち強く支配的な印象を与える部分である「湯~とぴあ」と,被告標章のうち強く支配的な印象を与える部分である「湯~トピア」とを対比すると,原告商標の「湯~とぴあ」の部分から,「ユートピア」の称呼及び「理想的で快適な入浴施設」という程度の観念が生じ,被告標章の「湯~トピア」の部分からも,「ユートピア」の称呼及び 「理想的で快適な入浴施設」という程度の観念が生じることが認められるから,原告商標と被告標章とは,強く支配的な印象を与える部分において同一の称呼及び観念を有するものということができ,また,外観においても,いずれも「湯~とぴあ」ないし「湯~トピア」の文字を含み,平 から,原告商標と被告標章とは,強く支配的な印象を与える部分において同一の称呼及び観念を有するものということができ,また,外観においても,いずれも「湯~とぴあ」ないし「湯~トピア」の文字を含み,平仮名か片仮名かの違いがあるにすぎず,実質的に同じ語をその構成に含んでいるということができる。一方で,原告商標と被告標章とは,その文字の字体が異なるほか,原告商標には,「湯~とぴあ」の文字のほかに「ラドン健康パレス」との文字があり,また,被告標章には,「湯~トピア」の文字のほか,「かんなみ」の文字,「IZUKANNAMI」及び「SPA」の欧文字並びに花の図形が含まれているが,前記(2)及び(3)のとおり,それらの構成部分は,原告商標又は被告標章において,「湯~とぴあ」ないし「湯~トピア」の部分と比べて目立つ部分であるとはいえず,出所識別標識としての機能を有しているとは認められないので,それらの相違は類否判断に影響を与えるものではない。 そうすると,原告商標及び被告標章からは同一の称呼及び観念が生じること,その外観上も上記のとおり類似性を有することに加えて,前記(4)のとおり,全国の入浴施設については,同一の経営主体が各地において同様の名称を用いて複数の施設を運営することがあることも考慮すると,原告商標と被告標章との外観上の相違点,原告施設と被告施設の所在地,施設の性格及び利用者の層が異なること,原告施設及び被告施設のほかにも「湯ーとぴあ」又はこれに類する名称を用いた施設が全国に複数存在することなどの事情を斟酌したとしても,原告商標と被告標章が,入浴施設の提供という同一の役務に使用された場合には,その需要者において,その役務の出所について誤認混同を生ずるおそれがあると認めるのが相当というべきである。 よって,被告標章は,原告商標に類似する 浴施設の提供という同一の役務に使用された場合には,その需要者において,その役務の出所について誤認混同を生ずるおそれがあると認めるのが相当というべきである。 よって,被告標章は,原告商標に類似するというべきであるから,被告が被告施設について被告標章を使用する行為は,原告商標権を侵害するものと みなされる(商標法37条1号)。 (6) 被告の主張についてアこの点に関して被告は,原告商標のうち「ラドン健康パレス」の部分は,極めて特徴的な造語であって,インターネット検索によっても原告施設以外の施設が検出されないことから,出所識別機能があり,したがって,「湯~とぴあ」の部分だけを原告商標の要部と評価することができないと主張する。 確かに,証拠〈略〉によれば,「ラドン健康パレス」の語をインターネットの検索サイトで検索した場合,その検索結果の上位40件は,いずれも原告施設に関するウェブサイトであったことが認められる。 しかし,これはインターネット検索を用いた調査によって判明したものにすぎないから,そのような事実が,入浴施設の需要者において一般的に認識されているものであるとは,認めることができない。 しかも,前記(2)イのとおり,「ラドン健康パレス」の語は,元素の一つである「ラドン」,身体に悪いところがなくすこやかなことを意味する「健康」及び「宮殿,御殿。娯楽又は公益のための建築物」の意味を持つ「パレス」という一般的な単語を繋げたものであって,その上,証拠〈略〉及び弁論の全趣旨によれば,ラドン温泉を提供する施設は日本全国に多数存在し,その中には,「ラドン健康センター」,「ラドン温泉健康センター」,「ラドン健康美容センター」,「ラドン温泉センター」,「ラドン保養センター」,「ラドン保健センター」,「ラドンセンタ 国に多数存在し,その中には,「ラドン健康センター」,「ラドン温泉健康センター」,「ラドン健康美容センター」,「ラドン温泉センター」,「ラドン保養センター」,「ラドン保健センター」,「ラドンセンター」,「ラドンスパ」,「ラドンサウナセンター」等の名称を用いる施設も多く,また,サウナや入浴施設の名称として,「センター」のほか「プラザ」,「ランド」,「パレス」の語が用いられることも一般的であることが認められることからすると,「ラドン健康パレス」の語が温泉施設の名称の中で用いられた場合には,それらの単語が持つ個々の意味合いを併せた「ラドンを用いた健康 によい温泉施設」という程度の観念が生じるにすぎず,それ自体は,需要者にとって,その役務の提供場所,質,用に供する物,効能などを想起させるものにとどまるものと解される。 そうすると,入浴施設の提供を指定役務とする原告商標については,「ラドン健康パレス」の部分が,造語である「湯~とぴあ」の部分に比して,需要者に対する出所識別標識として強く働いているものとは認めることができない。 イまた,被告は,被告標章について,「湯~トピア」と「かんなみ」の文字が同じ字体で1列に表示され,函南町の花であるハコネザクラの絵が付されているから,「かんなみ」の部分も,「湯~トピア」と不可分一体のものとして,不可欠の要素であると主張する。 しかし,前記(3)のとおり,被告標章においては,「湯~トピア」の文字と「かんなみ」の文字は色が異なり,外観上,二つの部分であると容易に認識されるものである。また,被告標章は,その中の「かんなみ」の文字やハコネザクラの図形から,函南町又はそれに関連する事柄を想起させるものであるとはいえるが,被告標章自体から,それを使用する施設が函南町の設置・運営す 。また,被告標章は,その中の「かんなみ」の文字やハコネザクラの図形から,函南町又はそれに関連する事柄を想起させるものであるとはいえるが,被告標章自体から,それを使用する施設が函南町の設置・運営する公共施設であることを認識することはできないというべきところ,前記(4)のとおり,同一の経営主体が各地において同様の名称を用いて複数の施設を運営することがあるとの実情も考慮すると,一般の需要者は,被告標章の中の「かんなみ」の文字(又は,同文字とハコネザクラの図形)を,被告施設の所在地を指すものとして認識するにとどまるものであると認められる。 したがって,被告標章において「かんなみ」の文字が「湯~トピア」の文字と不可分一体のものとして出所識別機能を果たしていると解することはできない。 ウさらに,被告は,原告商標のうち「湯~とぴあ」の部分について,全国 には,原告施設及び被告施設のほかに,「湯~とぴあ」又はこれに類する名称を有する入浴施設が複数存在することや,特許庁においても,被告標章を含めて,「ユートピア」の称呼を有する商標が複数登録されていることを挙げて,同部分が出所識別機能を有していないと主張する。 しかし,前記(2)のとおり,原告商標のうち「湯~とぴあ」の語は,「utopia」(ユートピア)の「ユ」を「湯」に置き換えた造語であり,しかも,原告商標の中で,他の文字と比べてかなり大きなフォントで,目立つ態様で表示されていることから,需要者に対して,出所識別標識として強く支配的な印象を与える部分ということができる。 この点,前記(4)のとおり,全国には,原告施設及び被告施設のほかに,「湯~とぴあ」又はこれに類する語を含む名称の入浴施設が10件程度存在することが認められるが,そのような事実によっても この点,前記(4)のとおり,全国には,原告施設及び被告施設のほかに,「湯~とぴあ」又はこれに類する語を含む名称の入浴施設が10件程度存在することが認められるが,そのような事実によっても,「湯~とぴあ」の語が入浴施設を表す用語として一般的でありふれていて,入浴施設に用いられた場合に出所識別標識としての機能を果たさない表示になっているとは認めることができないのであって,むしろ,それらの施設の各名称において,当該部分がそれぞれ顧客誘引力を有する出所識別標識としての機能を果たしていると解するのが相当である。 また,証拠〈略〉によれば,特許庁において,称呼(参考情報)を「ユートピア」,類似群コードを「42D01」とする登録商標として,原告商標のほかに,①第3095368号(平成4年9月28日出願。「湯~とぴあ宝」の文字と図形から成る。),②第3101577号(平成4年9月4日出願。「HAKONEKOWAKI-EN」,「Sunshine」及び「湯~とぴあ」の各文字と図形から成る。),③第3222289号(平成4年9月30日出願。「YOU,ゆ~ 」及び「SAUNAandBATHUTOPIA」の各文字と図形から成る。),④第4387677号(平成10年11月19日出願。「ユートピア赤城」の文字と 図形から成る。),⑤第4436206号(平成10年11月12日出願。 「ユートピア赤城」の標準文字),⑥第4506388号(平成12年3月14日出願。「湯とぴあ雁の里温泉」の標準文字)及び⑦第4587033号(平成13年6月25日出願。「さくらんぼ湯ートピア」の標準文字)の7件が存在することが認められるが,このうち上記①ないし③の登録商標は,いずれも平成3年法律第65号による商標法改正(平成4年4月1日施行)によ 月25日出願。「さくらんぼ湯ートピア」の標準文字)の7件が存在することが認められるが,このうち上記①ないし③の登録商標は,いずれも平成3年法律第65号による商標法改正(平成4年4月1日施行)によって役務に係る商標の登録が可能となった際に,同施行日から6月以内に出願されたものであるから,同一又は類似の商標であっても,原則として,商標法4条1項11号,同法8条1項,2項の先願や同日出願の規定による制限を受けないものであり(上記改正法の改正附則4条2項,3項,5条1項,3項),また,上記③ないし⑥の登録商標は,いずれも「UTOPIA」,「ユートピア」又は「湯とぴあ」の文字を含むが,「湯ートピア」ないし「湯ーとぴあ」の文字を含むものではなく,そして,上記⑤ないし⑦の登録商標は,いずれも標準文字から成るものであって,各文字の大きさ及び書体は同一であり,その全体が等間隔に1 行でまとまりよく表されているものであるから,そのうちの一部の文字部分だけが独立して見る者の注意をひくように構成されているということはできないものである。したがって,これら7件の登録商標があるからといって,それらとの比較から,原告商標のうち「湯~とぴあ」の部分が出所識別機能を果たしていないということはできない。 エこのほか,被告は,原告施設及び被告施設について,各施設の所在地,性格,利用者層の違いなどを取引の実情として挙げて,誤認混同のおそれがないと主張する。 しかし,原告商標を使用した原告施設が山梨県甲斐市に存するのみであり,これが被告標章を使用する被告施設の所在地(静岡県田方郡函南町)と一定の距離を有しているとしても(ただし,両県は県境を接する隣県で ある。),登録商標は国内全域で効力を有するものである以上,かかる事情をもって,原告商標と 地(静岡県田方郡函南町)と一定の距離を有しているとしても(ただし,両県は県境を接する隣県で ある。),登録商標は国内全域で効力を有するものである以上,かかる事情をもって,原告商標と被告標章との誤認混同のおそれを否定することは相当でない。また,被告施設は函南町が設立・運営する公共施設であるが,被告標章自体からそのことが認識できるわけではなく,かつその具体的使用態様においても,そのことが明示されているわけではないから,被告標章に接した需要者が,そのような施設の性格の違いを認識して,出所を区別するものとは認められない。さらに,被告標章を使用する被告施設にラドン温泉関連施設がないとの事実についても,被告標章に接した需要者が,その標章自体から被告施設におけるラドン温泉関連施設の有無を認識するものとはいえないし,また,原告商標において強く支配的な印象を与える部分は,「ラドン健康パレス」の部分ではなく,「湯~とぴあ」の部分であると認められるから,被告施設にラドン関連施設がないとの事実が,原告商標と被告標章との誤認混同のおそれを否定するに足りるものであるとはいえない。そして,被告施設の利用者の大半が函南町及びその近隣市町村の住民であるとの実情があるとしても,被告施設の利用は,それらの住民に限定されているものではなく,他の地域からの利用者がいることも事実であり,しかも,被告標章がインターネット上のウェブサイトにおいても使用されていることに照らせば,上記実情によっても,誤認混同のおそれがないということはできない。 オ以上のとおり,原告商標と被告標章との誤認混同のおそれを否定する被告の主張は,いずれも採用することができない。 2 争点(2)(原告の損害の有無及びその額)について(1) 被告施設の売上高前記第2,2(2)な 標と被告標章との誤認混同のおそれを否定する被告の主張は,いずれも採用することができない。 2 争点(2)(原告の損害の有無及びその額)について(1) 被告施設の売上高前記第2,2(2)ないし(4)のとおり,原告商標は平成8年1月31日に登録され,原告は平成7年以降同商標を用いて入浴施設の提供を行っており,一方,被告は,平成14年10月20日から現在に至るまで,被告標章を使 用して,被告施設における入浴施設の提供を行っているところ,証拠〈略〉及び弁論の全趣旨によれば,平成14年10月20日から平成25年3月31日までの間の被告施設における売上高は,19億7648万0605円であると認められる(なお,平成24年4月1日から平成25年3月31日までの間の売上高が,1億6040万8118円であることに照らすと,このうち平成24年4月1日から同年12月31日までの9か月間の売上高は,1億2030万6088円を下らないと認められるから,平成14年10月20日から平成24年12月31日までの間の被告施設の売上高は,19億3637万8575円となる。)そして,被告施設では,平成22年4月以降,毎年1億6000万円を超える売上げがあることに照らすと,平成25年4月1日から平成26年10月31日までの19か月間で,少なくとも2億5333万3333円の売上げがあったと推認される。 したがって,被告施設の平成14年10月20日から平成26年10月31日までの売上高は,合計で22億2981万3938円と認めるのが相当である。 (2) 指定管理者への運営委託について被告は,被告施設の売上げに関して,平成22年4月1日以降は指定管理者であるFunSpace社が被告施設を運営しており,その収入は被告に帰属していないと ) 指定管理者への運営委託について被告は,被告施設の売上げに関して,平成22年4月1日以降は指定管理者であるFunSpace社が被告施設を運営しており,その収入は被告に帰属していないと主張する。 しかし,平成22年4月1日以降,被告施設の管理を指定管理者(地方自治法244条の2第3項)であるFunSpace社が行っているとしても,被告は,その条例に基づいて,「公の施設」(同法244条1項)である被告施設を設置し(同法244条の2第1項),その施設の名称を「湯~トピアかんなみ」と定めたのであり,被告は,その管理権限を指定管理者に委任しているにすぎない(同条第3項)。また,実際にも,被告標章は,Fun Space社が指定管理者になる以前から,被告が被告施設において使用してきたものであるから,指定管理者であるFunSpace社が,被告からの委任に基づかずに,独自の判断と責任で被告標章を使用しているとは認め難い。 そうすると,被告が,自ら設置した被告施設について,その管理を指定管理者に行わせているとしても,被告施設における被告標章の使用に係る商標権侵害の責任は,被告が負うべきものと認めるのが相当であるから,被告が被告施設の利用料金を指定管理者の収入として収受させており(同条第8項),被告自身はその収入を収受せず,また,指定管理者から賃料等の支払を受けていないとしても,商標法38条3項の「商標の使用に対し受けるべき金銭の額に相当する額」を算定するに当たって,その利用料金に係る売上高を,算定の基礎から除外すべきであるということはできない。 (3) 使用料相当額ア前記第2,2及び前記1(2)ないし(6)記載の各事実並びに証拠〈略〉及び弁論の全趣旨によれば,原告商標及び被告標章の使用態様などについ あるということはできない。 (3) 使用料相当額ア前記第2,2及び前記1(2)ないし(6)記載の各事実並びに証拠〈略〉及び弁論の全趣旨によれば,原告商標及び被告標章の使用態様などについて,以下の事実が認められる。 すなわち,原告は,平成7年以降,原告商標を使用して山梨県甲斐市において入浴施設付きの宿泊施設である原告施設を運営し,ウェブサイトのほか,山梨県及び東京都,神奈川県などの関東地方の新聞等でその宣伝広告を行っており,また,被告施設は山梨県の公式の観光情報ウェブサイトにも掲載されているが,原告商標が使用されている施設は原告施設のみであり,原告施設又はそこで使用される原告商標が周知ないし著名であるとはいえないこと,被告は,遅くとも平成14年10月20日以降,被告施設において被告標章を用いており,施設の外壁・掲示物,送迎用バスに被告標章を付しているほか,そのホームページ,パンフレット,チラシ等の宣伝広告にも被告標章を付していること,被告施設は,函南町の町民の健 康増進及び福祉の向上並びに地域の振興に寄与することを目的として設立された公共施設であり,その利用者の大半が函南町及びその近隣市町村の住民であり,被告標章は同施設についてのみ使用されていること,被告施設の売上高は前記(1)のとおりであるが,被告施設の収支は,平成16年度(平成16年4月1日から平成17年3月31日まで)以降,毎年赤字が続いており,平成24年度においては,単年度で4700万円を超える歳出超過(被告及び指定管理者の合計)となっていること,需要者が温泉施設を選択する際には,その温泉の所在地,湯の質及び成分内容,風呂の数や種類などが重要な要素として考慮されること,原告商標と被告標章は,類似するとは認められるが,その構成において共通す 需要者が温泉施設を選択する際には,その温泉の所在地,湯の質及び成分内容,風呂の数や種類などが重要な要素として考慮されること,原告商標と被告標章は,類似するとは認められるが,その構成において共通するのは「湯~とぴあ」と「湯~トピア」の文字部分に限られること,その共通部分に当たる「湯~とぴあ」ないし「湯~トピア」の語は,「utopia」(ユートピア)の「ユ」を「湯」に置き換えた造語であり,需要者に対して「理想的で快適な入浴施設」といったイメージを訴求するものであって,複数の入浴施設の名称の中に用いられていること,原告は,これまで,「湯~とぴあ」又はこれに類する可能性のある名称(「湯~とぴあ荻窪」,「なにわ健康ランド湯ートピア」,「ゆ~とぴあみろく」,「あわくら温泉湯~とぴあ黄金泉」,「湯都ピア浜脇」等)を使用する入浴施設に対して,警告書を送付する等して名称変更を求めており,原告商標について他の入浴施設での使用を許諾する方針を採用していないものの,実際には,警告を受けた施設の多くは,平成3年法律第65号の改正附則3条1項に基づく継続的使用権を主張するなどして,現在もその名称を使用し続けていること,「湯~とぴあ」の文字は,原告商標以外に,前記1(6)ウの①の登録商標(第3095368号。「湯~とぴあ宝」の文字と図形から成る。)及び同②の登録商標(第3101577号。「HAKONEKOWAKI-EN」,「Sunshine」及び「湯~とぴあ」の各文字と図形から成る。)に も含まれていること,がそれぞれ認められる。 イ以上によれば,原告商標と被告標章との類似の程度及び被告施設の収支状況のほか,上記のとおり,温泉施設の選択においては,その温泉の所在地,湯の質及び成分内容,風呂の数や種類などが重要な要素として考慮されること ば,原告商標と被告標章との類似の程度及び被告施設の収支状況のほか,上記のとおり,温泉施設の選択においては,その温泉の所在地,湯の質及び成分内容,風呂の数や種類などが重要な要素として考慮されること,原告商標が周知・著名とはいえず,他にも「湯~とぴあ」ないしこれに類する名称を有する入浴施設が複数存在し,特に「湯~とぴあ」の文字を含む登録商標が他にも存在することに照らせば,被告標章を用いた被告施設における売上げについて,原告商標が有する顧客誘引力が寄与したといえる程度は極めて限定的なものであると解するのが相当である。 さらに,被告施設が函南町のみに所在し,その町民の健康増進及び福祉の向上並びに地域の振興に寄与することを目的とする公共施設であり,実際,その利用者の大半が函南町及びその近隣市町村の住民であることからすれば,被告標章が被告施設で使用されたことによる原告施設の売上げ又は利益への影響は極めて小さいものであったと推認される。 これらの事情を総合考慮すれば,被告施設における被告標章の使用について,原告が受けるべき使用料相当額を算定するに当たっては,被告施設の売上高に対する使用料の割合を,0.5%とするのが相当であると認められる。 ウしたがって,平成14年10月20日から平成26年10月31日までの間の被告標章の使用について原告が受けるべき使用料相当額は,前記(1)の売上高22億2981万3938円に前記イの使用料率0.5%を乗じた1114万9069円であると認められる。 よって,商標法38条3項に基づき,同額が原告の損害額となる(なお,このうち平成24年12月31日までの使用に係る損害額は,同日までの売上高19億3637万8575円に使用料率0.5%を乗じた968万1892円となる。)。 損害額となる(なお,このうち平成24年12月31日までの使用に係る損害額は,同日までの売上高19億3637万8575円に使用料率0.5%を乗じた968万1892円となる。)。 エこの点に関して被告は,原告商標に顧客吸引力は認められず,被告標章の使用が被告施設の売上げの増加に寄与したことはなく,また,その使用により原告に何らかの損害が生じたことはないと主張する。 しかし,前記アのとおり,原告商標に含まれる「湯~とぴあ」と同様な文字が複数の施設によって選択されて使用され続けていることに照らすと,「湯~とぴあ」の部分に顧客誘引力が全くないとまでいうことはできず,現に,原告は,この原告商標を用いて入浴施設である原告施設を経営し,他方で,被告も,同じく入浴施設である被告施設について,原告商標に類似する被告標章を用い,宣伝広告においてもこれを広く使用してきたのであるから,かかる被告標章の使用によって,原告に何らの損害も発生していないものであるということはできない。そして,このほか,被告標章の使用によっても原告に損害が発生していないことを認めるに足りる的確な証拠はない。 よって,損害の不発生に係る被告の上記主張は採用することができない。 (4) 弁護士費用原告は,本件訴訟の提起・追行を原告訴訟代理人弁護士に委任し,その弁護士費用を支出していると認められるところ,本件事案の内容,事案の難易,訴訟の経緯及び認容額等の諸般の事情を考慮すると,被告の商標権侵害の不法行為と相当因果関係のある弁護士費用の額は,120万円であると認めるのが相当である。 (5) 小括以上によれば,商標権侵害の不法行為に基づき,被告は,原告に対し,1234万9069円の損害賠償義務を負うものと認められる は,120万円であると認めるのが相当である。 (5) 小括以上によれば,商標権侵害の不法行為に基づき,被告は,原告に対し,1234万9069円の損害賠償義務を負うものと認められる。 なお,同損害賠償金に対する遅延損害金は,原告の請求に従い,平成24年12月31日までの使用料相当額968万1892円及び弁護士費用120万円の合計である1088万1892円については,訴状送達の日の翌日 である平成25年5月25日から,平成25年1月1日から平成26年10月31日までの間の使用料相当額146万7177円については,終期の翌日である同年11月1日から,それぞれ起算するものとする。 3 争点(3)(消滅時効の成否)について(1) 被告は,原告が遅くとも平成20年末までに被告施設の存在を認識していたはずであるから,本件訴訟の提起から3年以上前に発生した損害に係る原告の損害賠償請求権は時効により消滅していると主張する。 この点,本件訴訟が平成25年5月16日に提起されたことは,当裁判所に顕著であるところ,前記第2,2(4)のとおり,被告は,被告施設において平成14年10月20日から被告標章を使用しており,また,証拠〈略〉及び弁論の全趣旨によれば,被告のホームページでは,遅くとも平成17年9月頃までには,被告施設の案内ページを設けて,そこに「湯~トピアかんなみ」の名称を表示していたこと,インターネット検索サイト(Google)で,「湯~とぴあ」の語を検索した場合(平成25年6月20日時点)又は「湯~トピア」の語を検索した場合(平成26年11月5日時点)に,それぞれの検索結果の4番目に,被告施設のウェブサイトが表示されたこと,原告は,平成10年に,当時「湯とぴあ雁の里温泉」,「湯~とぴあ荻窪」,「なにわ健 検索した場合(平成26年11月5日時点)に,それぞれの検索結果の4番目に,被告施設のウェブサイトが表示されたこと,原告は,平成10年に,当時「湯とぴあ雁の里温泉」,「湯~とぴあ荻窪」,「なにわ健康ランド湯ートピア」,「ゆ~とぴあみろく」,「あわくら温泉ア浜脇」の名称を有していた各入浴施設に対して,警告書を送付し,名称使用の中止の交渉をしていたこと,原告は,平成24年4月21日付けで,被告施設の指定管理者であるFunSpace社に対して,被告施設の名称の使用が原告商標権の侵害に当たるとして,その名称の使用の中止を求める警告書を送付したことが,それぞれ認められる。 (2) 上記のとおり,原告が平成10年に,原告商標と類似する可能性のある名称の入浴施設に対して警告書を送付していたことからすれば,少なくともその当時においては,原告が類似名称の入浴施設の有無について関心を抱いて いたことが推認されるが,その後も,原告が,類似名称の入浴施設の有無を随時確認し,当該施設に対して警告書を送付することを継続的に行っていたとの事情はうかがわれない。そうすると,平成17年9月頃までに被告施設の名称を表示したウェブサイトが作成されていたとしても,同時期から,本件訴訟の提起の3年前である平成22年5月頃までの間に,原告がインターネット検索等を通じて被告施設のウェブサイトを確認するなどして,被告施設の存在及びその名称を認識したとの事実を推認することはできないというべきであり,このほかにも,その事実を認めるに足りる的確な証拠はない。 むしろ,上記のとおり,原告が,平成10年には,原告商標に類似する可能性のある名称を有する複数の施設を確認し,それらに対して警告書を送付したにもかかわらず,被告施設については,平成24年4月21日になって初めて警告書 ,原告が,平成10年には,原告商標に類似する可能性のある名称を有する複数の施設を確認し,それらに対して警告書を送付したにもかかわらず,被告施設については,平成24年4月21日になって初めて警告書を送付していることに照らすと,原告は,同警告書を送付する以前には被告施設の存在及びその名称を認識していなかったことがうかがわれるというべきである。 (3) したがって,原告が遅くとも平成20年末までに被告施設の存在を認識していたことを前提として,本件訴訟の提起から3年以上前の被告標章の使用についての損害賠償請求権が時効により消滅しているとの被告の主張は,採用することができない。 4 結論以上によれば,原告の請求は,被告施設の外壁・掲示物,送迎用車両及びウェブサイト,広告物への被告標章の使用の差止め,外壁・掲示物等からの被告標章の抹消並びに被告標章を付した広告物の廃棄と主文第4項記載の損害賠償金の支払を求める限度で理由があるが,その余は理由がない。なお,仮執行宣言を付すのは相当でないからこれを付さないこととする。 よって,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第40部 裁判長裁判官東海林保 裁判官今井弘晃 裁判官足立拓人 別紙被告標章目録 別紙被告施設目録 施設名湯~トピアかんなみ所在地静岡県田方郡函南町(以下略)種類入浴施設 類入浴施設

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