平成28(行ウ)6 特例補装具費不支給処分取消請求事件

裁判年月日・裁判所
令和3年3月16日 京都地方裁判所
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判決文本文47,138 文字)

主文 1 本件訴えのうち,座位保持装置としての頭頸部の加算ないしネックサポート金具の加算に係る特例補装具費の支給の義務付けを求める部分を却下する。 2 被告が平成27年3月27日付けで原告に対して行った,原告の平成26年1月19日付け特例補装具費支給申請に係る決定のうち,リフト機能につき不支給 とした部分を取り消す。 3 被告は,原告に対し,前項の申請を構成するリフト機能部分に係る特例補装具費を支給する決定をせよ。 4 原告のその余の請求を棄却する。 5 訴訟費用は,これを2分し,その1を原告の負担とし,その余を被告の負担と する。 事実 及び理由第1 請求 1 被告が平成27年3月27日付けで原告に対して行った,原告の平成26年11月19日付け特例補装具費支給申請に係る決定のうち,①座位保持装置として の頭頸部の加算ないしネックサポート金具の加算につき不支給とした部分,及び②リフト機能につき不支給とした部分(一部却下部分)を取り消す。 2 被告は,原告に対し,前項の申請を構成する①座位保持装置としての頭頸部の加算ないしネックサポート金具の加算,及び②リフト機能部分に係る特例補装具費について,全部支給する決定をせよ。 第2 事案の概要等 1 事案の概要本件は,筋ジストロフィーへの罹患を原因とする筋萎縮及び筋力低下のため電動車椅子を利用している原告が,中京福祉事務所長に対し,新たな電動車椅子の購入費用に関して障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法 律(以下「障害者総合支援法」という。)に基づく補装具費支給申請(以下「本件 申請」という。)を行ったところ,被告が,申請に係る補装具費のうち,①座位保持装置としての頭頸 めの法 律(以下「障害者総合支援法」という。)に基づく補装具費支給申請(以下「本件 申請」という。)を行ったところ,被告が,申請に係る補装具費のうち,①座位保持装置としての頭頸部加算及びネックサポート金具の加算並びに②リフト機能に係る特例補装具費(以下,①②に係る特例補装具費を「本件特例補装具費」という。)を含まない支給決定をしたため,原告が被告に対し,上記①②について原告の申請の一部を却下する処分がされており,かかる処分は違法で取り消される べきであると主張して,上記一部却下処分の取消しを求めるとともに,本件特例補装具費の支給決定の義務付けを求める訴訟である。 2 関係法令別紙関係法令のとおり 3 前提事実(争いのない事実並びに証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められ る事実)当事者及び関係者ア原告は,京都市内に居住する平成5年▲月▲日生まれの男性であり,筋ジストロフィーに罹患し,「先天性ミオパチーによる音声機能障害(4級)」及び「疾病による四肢・体幹機能障害1級」の障害を有する障害等級1種1級 の身体障害者であって,障害者総合支援法4条及び身体障害者福祉法4条所定の障害者に該当する(甲6,9)。 原告は,筋萎縮及び筋力低下のために車椅子を利用する必要があり,従前,京都市から電動車椅子の購入費の支給を受けてきた(乙4の4)。 原告は,本件申請当時,A大学マンガ学部マンガ学科3学年に在籍してい た(争いなし)。 イ被告は京都市の執行機関である。 ウ有限会社フジドライブ(以下「本件業者」という。)は,原告が本件申請時に提出した見積書を作成した業者であり,原告は,本件申請の際,希望する補装具業者として本件業者の名称を記載していた。 補装 ジドライブ(以下「本件業者」という。)は,原告が本件申請時に提出した見積書を作成した業者であり,原告は,本件申請の際,希望する補装具業者として本件業者の名称を記載していた。 補装具費及び特例補装具費の支給制度の概要 ア障害者は,障害者総合支援法76条1項に基づき,市町村に対し,補装具(障害者等の身体機能を補完し,又は代替し,かつ,長期間にわたり継続して使用されるものその他の厚生労働省令で定める基準に該当するものとして,義肢,装具,車椅子その他の厚生労働大臣が定めるもの)の購入等に要した費用の支給を申請することができる。市町村は,当該申請に係る障害者 の障害の状態からみて,当該障害者等が補装具の購入等を必要とする者であると認めるときは,当該補装具の購入等に要した費用について,補装具費を支給する(同法同条項)。市町村は,補装具費の支給に当たって必要があると認めるときは,身体障害者更生相談所等の意見を聴くことができる(同法同条3項)。 イ補装具費のうち,厚労省基準が定める補装具の種目に該当し,かつ,厚労省基準の別表に記載された名称,型式,基本構造等によるものは,購入基準を基準額とし,そこから政令で定める額を控除した額が補装具費として支給される(障害者総合支援法76条2項,厚労省基準1項本文)。 ウこれに対し,厚労省基準が定める補装具の種目には該当するものの,同基 準の別表に定められた名称,型式,基本構造等によることができない補装具(以下「特例補装具」という。)の購入又は修理に要する費用(以下「特例補装具費」という。)については,障害の現症,生活環境等を特に考慮して市町村が費用を支給すると決定した場合に,身体障害者更生相談所等の意見に基づき市町村がその金額を定める 理に要する費用(以下「特例補装具費」という。)については,障害の現症,生活環境等を特に考慮して市町村が費用を支給すると決定した場合に,身体障害者更生相談所等の意見に基づき市町村がその金額を定めるものとされている(厚労省基準1項ただし書 き)。また,特例補装具費の支給決定に関しては,厚労省指針において,身体障害者の障害の現症,生活環境その他真にやむを得ない事情により支給する必要が生じた場合には,更生相談所等の判定又は意見に基づき市町村が決定することとされている(厚労省指針第2の1)。(乙2)京都市における補装具費申請の手続 京都市では,特例補装具費を含む補装具の支給を申請する際,①補装具費の 支給申請書,②申請者に係る世帯状況・収入・資産等の申告書,③補装具費の支給に関する医師の意見書,④見積書の提出が必要とされている。 申請がされると,特例補装具の必要性や金額の適正性等について,申請者が提出した上記書類を基に,京都市身体障害者更生相談所(以下「市更生相談所」という。)が判定し,この判定に基づき特例補装具費の支給決定がされる(厚労 。 原告による補装具費の申請原告は,平成26年11月19日付けで,京都市に対し「補装具費(購入・修理)支給申請書」を提出し,電動車椅子の購入費用に関する本件申請を行った。 原告が本件申請時に提出した本件業者作成の見積書(以下「当初見積書」という。)は,別紙1「御見積書」記載のとおりであり,「ヘッドサポートマルチタイプ調整式」(金額4万6050円)及び「枕(オーダー)」(金額1万0330円)のほか,座位保持装置としての頭頸部加算として,①座位保持装置の基本価格採寸「頭・頸部」(金額2550円),②製作要素支持部「頭部支え」(金 額7150円),③支 ー)」(金額1万0330円)のほか,座位保持装置としての頭頸部加算として,①座位保持装置の基本価格採寸「頭・頸部」(金額2550円),②製作要素支持部「頭部支え」(金 額7150円),③支持部カバー「頭部支え」(金額2250円),④体圧分散補助素材「頭部」(金額3450円)と記載され,また,⑤構造フレームである「ネックサポート金具(3次元位置調整式)」(単価1万9000円,数量2個)が記載されていた。また,当初見積書にはリフト機能の記載がなかったものの,本件申請の際の添付書類のうち,理学療法士B(以下「B」という。)作成に係 る「電動車いす申請に関する補装具使用による効果見込み」と題する書面(乙3の3。以下「理学療法士意見書」という。)には,「昇降機能の意義について」との記載に続き,座面の昇降機能(リフト機能)の活用に関するB の意見が記載されていたほか,同添付書類のうち「車椅子処方箋」(乙3の5)には,「座形式」として「電動リフト式」との記載がされていた。そのため,被告は,原 告がリフト機能に係る加算を希望しているものと取り扱った上で検討を行っ た。 本件申請において原告が支給を希望していた補装具費のうち,座位保持装置としての頭頸部加算(上記①~④)及びネックサポート金具(上記⑤)の加算並びにリフト機能に係る費用は,いずれも,特例補装具費に該当するものであった(以下,上記①~⑤及びリフト機能に関する費用を合わせて「本件特例補 装具費」という。)。(甲6,12,乙3の2) 支給決定被告は,平成27年3月27日付けで,原告に対し,座位保持装置姿勢保持機能付電動車椅子について,基準額として110万2428円(内訳は別紙2「御見積書」記載のとおりを支給することを内容とする支給決定(以下「本 成27年3月27日付けで,原告に対し,座位保持装置姿勢保持機能付電動車椅子について,基準額として110万2428円(内訳は別紙2「御見積書」記載のとおりを支給することを内容とする支給決定(以下「本件 支給決定」という。)を行った。 本件支給決定の基準額の中には本件特例補装具費は含まれていなかった。なお,本件支給決定において認められなかった本件特例補装具費の額は,リフト機能が1万1528円(受託報酬額4.8パーセント込み)であり,頭頸部の加算が合計1万5400円,ネックサポート金具(三次元位置調整式)が3万 8000円(受託報酬額4.8パーセント込みでは5万5963円),全体の合計が6万7491円(受託報酬額4.8パーセント込み)であった(甲12)。 被告は,同日付けで,原告に対し,上記基準額どおりの補装具費支給券を交付した(甲7の2)。 中京福祉事務所長は,平成27年3月31 日,原告に対し,「障害者の日常生 活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく特例補装具の交付について」と題する文書(以下「中京福祉事務所通知」という。)を交付した。同文書には,支給対象とする補装具を「座位保持装置姿勢保持機能付電動リフト・ティルト式電動車椅子」とし,別紙3の見積書案のとおり決定したこと,決定の理由として,「協議いただいた資料から,四肢・体幹機能の低下や身体の変形, 呼吸機能への影響等を考慮しますと,三次元位置調整機能及びティルト機能を 備えた座位保持装置付電動車椅子の必要性が認められます。しかしながら,リフト機能については,医学的な必要性が認められない点や,リフト機能がなければ就学上支障があるとは認められない点等から,支給は不適当と考えられます。」との記載があり,また,見積書の修正を依頼すべき事 フト機能については,医学的な必要性が認められない点や,リフト機能がなければ就学上支障があるとは認められない点等から,支給は不適当と考えられます。」との記載があり,また,見積書の修正を依頼すべき事項として,「車椅子の付属品であるヘッドサポートマルチタイプ調整式及び枕(オーダー)を使用 しているため,座位保持装置として頭頸部の加算及びネックサポート金具の加算は認められません。」との記載があった。(甲1,乙10)原告は,京都市長に対し,平成27年5月26日付けで,申立ての趣旨を「平成27年3月27日付けで京都市長が異議申立人に対して行った,特例補装具費の支給決定のうち,①座位保持装置としての頭頸部加算ないしネックサポー ト金具の加算を認めなかった処分及び②リフト機能部分に関して支給不相当とした処分(一部却下処分)を取り消す。」として,異議申立てを行った(甲2,4)。 これに対し,京都市長は,同年10月5日付けで,上記異議申立てを棄却する旨の裁決を行った(甲5)。 原告は,本件支給決定により認められなかった部分については別途資金を調達して電動車椅子を完成させ,平成27年8月に引渡しを受け,以降同電動車椅子を使用している。 本件訴えの提起原告は,平成28年3月16日,本件訴えを提起した(顕著な事実)。 4 争点及び争点に関する当事者の主張本件の争点は,本案前の争点として,訴えの利益の有無(争点1),本案の争点として,機能に重複があるとして頭頸部の加算及びネックサポート金具の費用支給を認めなかった被告の判断に裁量の逸脱・濫用があるか(争点2),リフト機能を必要とする真にやむを得ない事情がないとした被告の判断に裁量の逸脱・濫用 があるか(争点3),理由提示の不備の有無(争点4)及び本件特例 の判断に裁量の逸脱・濫用があるか(争点2),リフト機能を必要とする真にやむを得ない事情がないとした被告の判断に裁量の逸脱・濫用 があるか(争点3),理由提示の不備の有無(争点4)及び本件特例補装具費の支 給義務付けの可否(争点5)であり,これらに関する当事者の主張は以下のとおりである。 訴えの利益の有無(争点1)(被告の主張)本件支給処分は,原告の申請の全部を認容するものであり,そもそも本件一 部不支給処分は存在しない。そのため,本件訴えには訴えの利益がない。 原告は,被告が座位保持装置としての頭頸部の加算又はネックサポート金具費用の支給申請を却下したと主張するが,市更生相談所における判定会議の結果を受けて,原告において申請内容を補正し,補正後の申請については全て認められているから,被告が却下処分を行ったという事実はない。本件支給決定 に先立ち,原告の母から,原告の申請内容を変更する旨が市に伝えられ,その内容を示す見積書(乙9)も提出された。同見積書は,本件業者の担当者が,市更生相談所の判定結果を原告の母に伝えた上,早く新しい車椅子に替えたいのであれば判定結果に適合する見積書を提出した方がよいという話をし,原告の母の了解を得て作成した上で市に提出したものであり,原告から申請内容の 変更の申出があったといえる。 原告は,中京福祉事務所通知に教示が付されている点をとらえて,被告が一部却下決定であるとの認識を有していたと主張するが,教示の義務がない限り教示してはならないなどという規律はなく,教示の有無は処分の内容と直結しない。また,原告からの異議申立てに対して本案について判断したのは,本件 支給決定の後にも原告の母らから内容の説明を求められ,異議申立てもなされたという経過に鑑 教示の有無は処分の内容と直結しない。また,原告からの異議申立てに対して本案について判断したのは,本件 支給決定の後にも原告の母らから内容の説明を求められ,異議申立てもなされたという経過に鑑み,改めて判定内容の詳細を明らかにすることが原告らの利益に適うとの考慮から,本件支給決定は全部認容の処分であったが,異議申立てを適法なものとして取り扱ったにすぎず,一部却下処分であることを前提にしたものではない。 なお,原告は,補正前の申請に形式上の不備はなかったと主張するが,平成 27年3月20日の原告の母からの申出により,原告の希望する補装具は,市更生相談所の判定結果と同じ座位保持装置としての頭頸部加算及びネックサポート金具の価格を除くものに変更されたが,当初見積書にはこれらの価格が計上されたままであったので,申請内容に合致しない,形式上不備のある見積りとなっていた。 (原告の主張)原告の申請が補正されたという事実はなく,原告及び原告の母は,一貫して本件申請どおりの決定を求めていた。したがって,本件申請の一部を認めない旨の本件支給決定は,本件申請に対する一部却下処分であり,本件訴えに訴えの利益が認められる。 原告の母は,リフト機能や頭頸部の加算,ネックサポート金具の加算が認められないことを聞かされ,認められなかった部分は不服申立てで争うこととして,とりあえず支給される部分のみの見積書を作成することを認めたにすぎず,判定結果どおりの決定を受け入れる意図がなかったことは明らかである。 そもそも補正とは,申請に形式上の不備がある場合に求めるものであるとこ ろ,本件では,当初見積書について形式上の不備はなく,原告側から修正された見積書が提出されたという事実のみで補正手続がとられたとはいえない。原 請に形式上の不備がある場合に求めるものであるとこ ろ,本件では,当初見積書について形式上の不備はなく,原告側から修正された見積書が提出されたという事実のみで補正手続がとられたとはいえない。原告自身が申請内容を変更する旨の意思表示をしたことはなく,原告の母に申請内容の変更の申出を依頼した事実もないし,被告から変更意思の確認を求められたこともない。 また,処分庁である京都市長が,本件支給決定に不服があれば異議申立てをすることができる旨教示したこと,被告が原告の異議申立てを却下することなく,適法なものとして取り扱っていたことに照らしても,被告の主張は理由がない。被告は,教示義務がない場合でも,教示することは許容されるなどと主張するが,不服申立てをすることができない場合であるのに不服申立てをする ことができる旨の教示をすることは虚偽の教示であって,許容されているはず がない。 以上より,本件支給決定が一部却下決定であることは明らかである。 機能に重複があるとして頭頸部の加算及びネックサポート金具の費用支給を認めなかった被告の判断に裁量の逸脱・濫用があるか(争点2)(被告の主張) ア原告の申請した補装具は,座位保持装置姿勢保持機能付電動車椅子であり,座位保持装置と電動車椅子は,いずれも使用者が座って使用するという点で共通する用具であるが,補装具費支給制度においては,別の種目とされている。そして,座位保持装置に電動車椅子の機能を付加する場合に,一部の付属品等で,電動車椅子の部品と座位保持装置の部品が重複することになるた め,厚労省基準に基づき,重複する電動車椅子の部品の価格の一部を控除するか,重複により製作しない座位保持装置付の部品の価格を算定しないこととなる。 原告の場合,座位保持装 することになるた め,厚労省基準に基づき,重複する電動車椅子の部品の価格の一部を控除するか,重複により製作しない座位保持装置付の部品の価格を算定しないこととなる。 原告の場合,座位保持装置としての頭頸部の加算又はネックサポート金具については,これらを含むヘッドサポートマルチタイプ調整式及び枕(オー ダー)(以下「本件ヘッドサポート等」という。)として支給しているため,別途重複して支給する必要性が認められなかったものである。すなわち,頭頸部を支える部品として厚労省基準で定められているものは,「ヘッドサポートベース(マルチタイプ)」(以下「基準内ヘッドサポートベース」という。)であるが,これは,頭頸部を支持する機能を有する部品一式(車椅子一台分) を指すものであり,頭頸部には頭部及び頸部の全てを含む。頭頸部を支持するに当たり,1面のみで支持することで足りるか,複数の面で支持することを要するかは人によって異なるが,支持面や部品の数量にかかわらず,電動車椅子一台分のヘッドサポートベースとして扱われる。したがって,基準内ヘッドサポートベースと座位保持装置としての頭頸部の加算及びネックサ ポート金具(三次元位置調整式)とは機能的に重複するものであった。被告 としても,原告にとって頸部を支持する機能(ネックサポート)が必要であることは認めた上で支給決定をしており,原告が主張するように支持性の不足する機構の製作しか認めていないなどということはないから,ネックサポートの必要性に関する医学的な議論は,本件の争点とは関連性がない。 なお,厚労省基準が定める基準内ヘッドサポートベースは基準額が1万6 950円であるところ,原告の障害の現症等を考慮すると,原告が必要とする構造を基準額内で製作することは困難であり 性がない。 なお,厚労省基準が定める基準内ヘッドサポートベースは基準額が1万6 950円であるところ,原告の障害の現症等を考慮すると,原告が必要とする構造を基準額内で製作することは困難であり,基準額を超える費用を特例補装具費として支給する必要性自体は認められたが,これに係る費用については,過去に原告の実弟から同様の申請があった際に,市更生相談所が,本件業者から,当初見積書に記載されているものと同じ「ヘッドサポートベー スマルチタイプ調整式」及び「枕(オーダー)」の価格を合計した5万6380円(内訳は,ヘッドサポートマルチタイプ調整式4万6050円及び枕(オーダー)1万0330円)で必要とする機能を持つ部品の製作が可能であることを確認している。ところが,原告が提出した当初見積書には,頭頸部を支える部品として本件ヘッドサポート等の他,座位保持装置としての頭頸部 加算及びネックサポート金具(三次元位置調整式)の総額10万9780円が計上されており,座位保持装置としての頭頸部の加算及びネックサポート金具(三次元位置調整式)の費用まで支給することは,金額的にみても過剰であった。 このように,被告は,原告の諸事情を十分に考慮した上で,原告にとって 必要と認められるヘッドサポートベース(マルチタイプ)について,厚労省基準を超える特例の費用支給を認めたものであるところ,これは,基準内ヘッドサポートの価格に当初見積書に計上されていたネックサポート金具(三次元位置調整式)の価格を加えた額を上回る額であり,原告の身体の状況に即した補装具の製作が十分に可能な額であった。原告に支給された基準額と 実際に製作された部品の価格の差額は,使用者本人である申請者が希望する デザイン,素材等を選択することにより生じたもので の製作が十分に可能な額であった。原告に支給された基準額と 実際に製作された部品の価格の差額は,使用者本人である申請者が希望する デザイン,素材等を選択することにより生じたものであり,原告の自己負担とすることが適当である。 原告は,本件ヘッドサポート等が既製品であると主張するが,本件ヘッドサポート等は,既製品ではなく,オーダーメイドで作成されるものであり,原告が主張するような頸椎損傷の患者を念頭に置いて開発されたものでは ない。また,原告は,本件ヘッドサポート等とネックサポート金具の両方が必要であると主張するが,実際に原告の車椅子の作成を担当した工作室はらっぱの見積書を見ても,必要とされる部品は,ヘッドレスト金具(三次元位置調整式)とネックサポート金具(三次元位置調整式)であり,本件ヘッドサポートベース等は含まれていない。なお,工作室はらっぱの作成した見積 書を基に補装具費を算定したとすれば異なる支給結果となっていた可能性はあるが,被告が原告から提出を受けたのは本件業者作成の見積書であるから,それに基づいて算定したことに違法はない。 イ被告が判定に際し必要な調査等を行っていないとの原告主張は争う。 (原告の主張) アネックサポート金具は頭頸部を支えるために必要なもので,本件ヘッドサポート等との機能の重複はない。 ヘッドサポートベース(マルチタイプ)は,ある程度頸部の筋力で頭部を支えられる程度の障害のあるユーザーが使用することを想定して設計・製作されているもので,原告の障害の現症では,その頭部を支えるのに十分では ない。支給決定がされている本件ヘッドサポート等は,後頭部を支えるヘッドサポートに,首周りにあてがう部品が装着されているものであり,頸部の支持もできることが標榜 その頭部を支えるのに十分では ない。支給決定がされている本件ヘッドサポート等は,後頭部を支えるヘッドサポートに,首周りにあてがう部品が装着されているものであり,頸部の支持もできることが標榜されてはいるが,当該部品では,頭部を様々な角度から支持,解放,除圧することはできず,原告が支えられつつ動けるようになるための道具として不十分である。また,頭部を支える部分,頸部にあて がう部分の軸がいずれも1点しかなく,頭部の質量を支える十分な強度を持 たず,変形することも多い。原告には,ヘッドサポートベース(マルチタイプ)以上にしっかりとした頸部の支持機構が必要であり,当該支持機構を補装具費として表したものが頭頸部加算及びネックサポート金具の加算である。 ヘッドサポートは,後頭部を支え,頭が後ろに倒れないようにする装置で あるのに対し,ネックサポート金具は座位保持装置であり,長時間車椅子に座っているために必要不可欠なものであって機能に重複はない。ヘッドサポートは,リクライニングやティルト機能を使用した場合に必要になるものであるが,原告の場合,これらの機能を使用する場合だけではなく,座面が床に平行の座位の状態でも,体幹が前傾位になってしまうため,頸部の機能の みでは頭部を支えることができない。また,筋ジストロフィー患者は,強度の筋緊張が生じるため,これに耐え得る強度を有していなければならない。 原告の場合,首の座りが悪く,重力で首が傾くため,首から背骨にかけて常に圧力が加わっている状態となっており,ネックサポート金具のない車椅子に長時間座ると,背骨の傷みの他,臀部に荷重がかかり疼痛やしびれが生じ る可能性もあるほか,下がった首に背骨が圧迫され,背骨の変形が加速する。 また,頸部が体に沈み込み, ポート金具のない車椅子に長時間座ると,背骨の傷みの他,臀部に荷重がかかり疼痛やしびれが生じ る可能性もあるほか,下がった首に背骨が圧迫され,背骨の変形が加速する。 また,頸部が体に沈み込み,気道を確保することが困難になる。ネックサポート金具の頭部支持により,僧帽筋を頭部支持することによる負担から解放し,残存する筋力を運動的な作用に用いることで,左右に首を動かすことや,肩の上下や腕の動きに使うことが可能となる。座位時の頭部質量を預けるこ とができ,かつ,ティルトリクライニング時には頸部を側面から支持する機能を実現するために,ヘッドサポートベースの頸部パッドを利用しつつ,ネックサポ―ト金具を組み込む形で,原告の身体的特徴に合うように調整する必要があった。 イ被告は,電動車椅子の付属品であるヘッドサポートベースと座位保持装置 としての頭頸部加算は重複すると主張するところ,電動車椅子に座位保持装 置を付加する際,一般的に機能が重複する可能性は否定しないが,そもそも頭頸部の支持機構の製作に当たって,電動車椅子に分類される部品と座位保持装置に分類される部品を両方使用してはならないという規制はない。厚労省基準においても,電動車椅子の付加機能と座位保持装置を併用する場合において,重複することとなる部分がある場合に,当該部分の金額の調整を行 うとされているに過ぎない。結局,「重複」があるかどうかが問題になるが,原告の置かれた環境は非常に厳しく,著しい身体変形に対応し,わずかに残された僧帽筋が過負荷にならないような車椅子を製作する必要があったことから,ヘッドサポートをベースにネックサポート金具や座位保持装置を組み合わせる必要があったものであり,機能上の重複はない。 被告は,原告の実弟からの 椅子を製作する必要があったことから,ヘッドサポートをベースにネックサポート金具や座位保持装置を組み合わせる必要があったものであり,機能上の重複はない。 被告は,原告の実弟からの申請の際の認定に言及するが,実際には,原告の実弟も原告と同様のネックサポート金具を利用しており,被告が支給しなかった分の差額を自費で負担している。したがって,被告の支給した補装具費で十分だったとの主張は当たらない。 ウ被告は,原告や大学等に対して,直接の調査を行っておらず,原告のネッ クサポート金具を直接確認もしていない。被告は,単に就学状況について調査したのみで,原告が欠席を余儀なくされている授業があることも確認せず,原告が大学で学ぶ意味等も検討していない。 原告が申請していたネックサポート金具は,本件業者が見積書に掲載した本件ヘッドサポート等にはない頭頸部の支持機能を有するものであるが,被 告は,その点について調査・確認を何らせず,独立行政法人国立病院機構八雲病院(以下「八雲病院」という。)や原告の車椅子製作を実際に担当している工作室はらっぱの関係者等から具体的製作物の詳細を聴取確認等することなく決定したもので,不当である。 原告が現在使用している電動車椅子に設けられた頭頸部支持機構は,ヘッ ドサポート部分については当初想定していたマルチヘッドサポート様のも のを使わず,ヘッドレストに加工した上,ネックサポートを用いて頭部支持を行うことにするなど,原告の残存機能から必要不可欠な機能を逆算して製作されたものであり,このようにして工作室はらっぱにより作成された見積書(甲34の1,2)は,原告の障害特性に過不足のない内容・体裁となっていた。ところが,本件業者が作成した当初見積書(乙3の3)は,工 れたものであり,このようにして工作室はらっぱにより作成された見積書(甲34の1,2)は,原告の障害特性に過不足のない内容・体裁となっていた。ところが,本件業者が作成した当初見積書(乙3の3)は,工作室 はらっぱ作成の上記見積書とは大幅に異なる内容となっていた。そのため,原告が本件ヘッドサポート等に加えてネックサポート金具を求めていると誤解されたものであるが,原告は,そのような内容は求めておらず,工作室はらっぱが作成した見積書のとおり,ヘッドレスト金具(3次元位置調整式)及びネックサポート金具(3次元位置調整式)の両方の費用の支給を求めて いたにすぎない。被告としては,当初見積書を検討した際,ネックサポート金具をオーダーメイドする必要性について,原告からの聴き取り調査や八雲病院への照会等を通じて詳細な調査をすべきであったし,仮にネックサポート金具が不要であると判断するのであれば,本件ヘッドサポート等のみの支給で原告の身体条件に合致するのかさらに検討すべきであった。それにもか かわらず,被告が頭頸部加算及びネックサポート金具について上記の調査検討をした痕跡はなく,第2回判定会議では,他の部品と重複すると判断されてしまった。 上記のとおり,被告は,必要な調査を行わなかった上,本件業者が作成した見積書には,電動車椅子の操作制御のために不可欠な多機能コントローラ ーR-NETジョイスティックの項目が欠落していたり,原告が申請していない体幹部シート張り調整型カバー,肩甲部サポート3次元位置調整式,開閉・着脱式レッグサポート等が計上されているなど技術的に不可解な点が多々あったのに,理解不足から確認もせずに本件支給決定を行った。このように,重要な事実の基礎を欠き,考慮すべき要素を考慮せずにされた結果, 社会通念 等が計上されているなど技術的に不可解な点が多々あったのに,理解不足から確認もせずに本件支給決定を行った。このように,重要な事実の基礎を欠き,考慮すべき要素を考慮せずにされた結果, 社会通念に照らし著しく妥当性を欠くこととなった本件処分には裁量の逸 脱・濫用がある。 リフト機能を必要とする真にやむを得ない事情がないとした被告の判断に裁量の逸脱・濫用があるか(争点3)(被告の主張)ア特例補装具費の支給に当たっては,厚労省基準及び厚労省指針で示された 基準を斟酌し,障害の状況や生活環境などの真にやむを得ない事情を理由に支給されるものであり,具体的には,その用具,機能がなければ生活,就労,就学が困難であるか,その用具を使わないことで痛みや褥瘡,変形が発生するなど医学的な問題が生じるかなどの視点も踏まえて必要性を判断すべきこととされている。本件においては,医師や理学療法士の意見書等からも, リフト機能が,呼吸機能や身体の変形拘縮など,生命や運動機能に与える影響がなく,医学的な必要性がないことを確認している。また,原告は,基本的に24時間重度訪問介護を利用しており,常時ヘルパーが傍らにいる状況であり,この点も考慮に入れるとリフト機能の必要性は認められない。 原告が主張する日常生活・社会生活上におけるリフト機能の必要性は,車 椅子利用者共通の利便性の向上に資するという内容のものであり,このような車椅子利用者共通の課題を解消するために車椅子の機能として必要と認められるものは,厚労省基準別表に定められている。特例補装具費の必要性は,原告の障害の現症,生活環境その他真にやむを得ない事情の有無によって判断するものであるが,原告に特有の事情でリフト機能を必要としている とは認められなかった。 る。特例補装具費の必要性は,原告の障害の現症,生活環境その他真にやむを得ない事情の有無によって判断するものであるが,原告に特有の事情でリフト機能を必要としている とは認められなかった。 原告が日常生活における必要性を主張する点は,いずれも抽象的なものや,限定的な条件におけるものであり,多くの場合でヘルパーによる支援や相手方の合理的配慮等により解消され得るものである。厚生労働省は,利便性の向上やQOL(生活の質)の向上,介助の軽減は特例補装具費を支給される ための理由に当たらず,機能がなければ生活,就労,就学が極めて困難かど うかという視点で必要性を判断することを示しており,この観点からも必要性は認められない。個別に原告が主張する事情について見ても,高い棚にある商品を確認することが困難と指摘する点は,気になったものを店員やヘルパーに取って見せてもらうことで足りることであるし,カウンターと目線が同じであるとする点も,カウンター上に置かれた書類等を職員やヘルパーに 取って見せてもらえば足りる。クレジットカードの暗証番号を入力するためにリフト機能が必要であるとするが,ヘルパーに暗唱番号を入力するための機械を取ってもらい手元で作業できるようにすれば足りる。役所のカウンターが一般的に約100センチメートルであるという前提も,座って対応するカウンターであれば75センチメートル程度であるから,事実ではない。そ の他に原告が主張する点は,相当に限られた条件の中での現象であって,これをもってリフト機能の要否を判断することは妥当ではない。 原告が使用している座位保持装置付電動車椅子には,体圧分散を目的とするティルト機能が備え付けられているところ,同機能を用いて14度傾けることで,当該補装具を約50度まで傾けることが 妥当ではない。 原告が使用している座位保持装置付電動車椅子には,体圧分散を目的とするティルト機能が備え付けられているところ,同機能を用いて14度傾けることで,当該補装具を約50度まで傾けることが可能であり,リフト機能を 用いるときと同様,視点を25センチメートル上昇させることが可能である。 また,原告は,介助者の負担軽減のためにリフト機能が必要であるとも主張するが,介助の軽減は,特例補装具費の支給理由に当たらない。 イ本件申請時において,原告はリフト機能を使用せずとも就学し,進学している状況であったことから,就学の困難性は確認できなかった。 原告は,学業上の必要性について種々主張するが,大きなキャンバスに描画する授業やデッサンの授業における困難性については,これまでの教育内容において一時的な困難性はあっても,大学の合理的配慮をもってしてもこれらの理由により進級ができないなど,学業の継続自体が危ぶまれるほどの困難性はなく,特例補装具費を支給するために必要な真にやむを得ない事情 があるとはいえない。同様に,質の高い描画を行うことも,原告にとっての 特例補装具費の支給基準に当たらない。 厚労省指針においては,対象者の将来の進路の希望についてまで考慮すべきという記載はなく,特例補装具費の必要性の判断は,あくまで現在の職業,教育,生活環境等の諸条件を考慮することによって行うべきである。障害者総合支援法は障害児と障害者とを年齢により明確に区別し,補装具の使用目 的も区別して示しており,障害児に関する規律を原告に適用しようとする原告の主張は認められない。申請時において,原告は職業としてマンガ家をしていたものではなく,本件の判定においても,原告の希望を職業上の必要性として考慮することはできない。 ライブ 適用しようとする原告の主張は認められない。申請時において,原告は職業としてマンガ家をしていたものではなく,本件の判定においても,原告の希望を職業上の必要性として考慮することはできない。 ライブペインティングの活動についても,申請時には伝えられていない内 容であり,考慮することはできなかった。 ウ原告は,被告が必要な調査をしていないなどと主張するが,被告は必要な調査を行って判定している。被告は,必要性を確認するため,大学での様子を見に行かせてほしいと申出を行ったものの,日程の調整がつかなかったため,原告の請願書及び学部長の意見書の提出を受けることでこれに代えるこ ととしたもので,何ら不当ではない。 (原告の主張)ア社会生活上必要であること車椅子に乗った状態の原告の目線の高さは,通常104センチメートル程度であるが,リフト機能により電動車椅子が25センチメートル上昇するこ とにより,目線は128.3センチメートルになる。これにより,たとえば,ATMでパネルを見る,店のカウンター越しに店員とやりとりをする,店の棚から商品を取る,人混みで鞄等がぶつかる危険を回避する,人混みで前が見えるようにするなどのことが可能になるため,リフト機能が必要である。 原告は,胸鎖乳突筋の機能が低下し,自らの筋力で頭部をコントロールでき ないことから,頭を上に上げることができず,上の方に視線を上げることが 困難な状況にある。このような状況において,ヘルパーに指示を出す前提として,原告が自ら意思決定をするためにも,十分な情報を得ることが必要であり,リフト機能により目線を上げて視覚情報を得ることが必要である。店舗や役所の窓口,カウンターを利用する際にも,これらは一般的に100センチメートルが基 するためにも,十分な情報を得ることが必要であり,リフト機能により目線を上げて視覚情報を得ることが必要である。店舗や役所の窓口,カウンターを利用する際にも,これらは一般的に100センチメートルが基準とされており,104センチメートルでは原告の目線は カウンターと同じところに位置し,カウンター上に置かれた書類や物が確認できない。奥行のある棚等についても,リフト機能がなければ,奥に何があるのか分からない。日光や照明の光が反射してよく見えないという事態を解消するためにも,リフト機能を用いて目線を変えることが必要である。 原告は,筋力が健常者に比べてかなり低下しており,手にほとんど力が入 らず,肩よりも高い位置に腕を上げることができず,伸ばすこともほとんどできない。原告は,携帯電話やタッチパネルのパソコンを操作したり,ペンや筆を使って紙に字や絵を書くなど,自らの手が作動する範囲で,あまり力が必要でないことに限り自ら行っている。こうした動作を行うために,リフト機能により,手の動作範囲を広くすることが必要である。また,エレベー ターや緊急通報システム等,原告自身が機器を操作しなければならない場合,とりわけ,ヘルパーが何らかの理由で活用できない緊急時には,これらのことも,自ら行う必要があり,リフト機能が必要である。また,原告は,肺活量が極端に少ないため,声が非常に小さく,対話する相手に声を伝えるためには,相手の耳元で声を出す必要があるが,そのためにはリフト機能で相手 の耳に顔を近づける必要があり,それによりヘルパーへの指示の伝達等も間違いなく行うことができる。 このように,原告が社会生活を行うためには,電動車椅子にリフト機能を付けることが必要不可欠である。リフト機能があれば,他人の力を借りることなく多くの 伝達等も間違いなく行うことができる。 このように,原告が社会生活を行うためには,電動車椅子にリフト機能を付けることが必要不可欠である。リフト機能があれば,他人の力を借りることなく多くのことを一人でできるようになり,これこそが障害者の自立生活 の向上である。 また,原告は,車椅子を利用しない者と対話をする際に,視点が低くなってしまうことから,相手から見下ろされる形となり,常に心理的な屈辱感を受け続けることになる。このような目線の違いによる精神的苦痛の軽減についても考慮されるべきである。 被告は,リフト機能の必要性は他の車椅子利用者にも共通する事情である などと主張するが,法律やその下位規範は,原告にしか該当がない特有の事情であることを要件とはしておらず,被告の主張は法律にない概念を加重するものである。 イ学業・職業における必要性障害者権利条約,障害者基本法,障害者総合支援法,憲法の基本理念に照ら すと,当該障害者の職業,教育,生活環境等の諸条件から必要性が認められれば,特例補装具費の支給は認められるべきであり,例外的な場合にのみ「やむを得ない事情」が認められると解するべきではない。障害者総合支援法が定める合理的配慮の観点から見ると,「真にやむを得ない事情」の有無は,障害のない他の者が到達可能な基準までの平等を享受できるかという観点から検討す べきである。 そもそも,「特例補装具費」という概念や,「障害の現症,生活環境その他真にやむを得ない事情」という概念は,厚労省指針にのみ登場する概念であるが,法令においては,一定の類型化された補装具費だけを支給するという趣旨は読み取れず,むしろ個別の障害者の事情に応じて支給すべきものと読める。厚労 省指針にある「真 針にのみ登場する概念であるが,法令においては,一定の類型化された補装具費だけを支給するという趣旨は読み取れず,むしろ個別の障害者の事情に応じて支給すべきものと読める。厚労 省指針にある「真にやむを得ない事情」という文言は,厚労省基準の別表に定められる補装具費に比して,支給のハードルが高いように読める点で不正確で,法令等の趣旨に反するおそれがある。法令を整合的に解釈すれば,通常の補装具に比して,個別の障害者の障害の状況や生活環境等の事情を考慮して,特例補装具費を支給するということになり,支給する必要性等のハードルの高さで はなく,個別的な判断が必要というにとどまるというべきである。 また,厚労省指針において,身体障害児の場合には将来的な独立自活のための素地としての補装具の必要性も認めているから,補装具費の支給に当たっては,将来の就業の可能性も考慮に入れて検討すべきである。20歳以上になると,6年に一度しか車椅子を新調することができない運用になっていることに照らしても,今後6年間の生活や環境の変化は加味すべきである。 原告は,本件支給決定当時,大学のマンガ学部に所属しており,卒業後もマンガの執筆を続け,プロデビューを目指すことを予定していた。原告は,本件申請当時,就学を控えた学生であり,近い将来の社会参加の機会を得るための素地の育成,助長が必要な状況にあって,大学卒業後に原告が漫画家として活動するために必要な機能については,当然考慮されなければならない。 大学においては,B4サイズで行うマンガの執筆には比較的支障は少なかったものの,さらに大きなキャンバスに課題画を描くこともあり,身長よりも大きなキャンバスの上部には全く手が届かず,分割して作成せざるを得ず,それより小さい ズで行うマンガの執筆には比較的支障は少なかったものの,さらに大きなキャンバスに課題画を描くこともあり,身長よりも大きなキャンバスの上部には全く手が届かず,分割して作成せざるを得ず,それより小さい画用紙でも筋力の衰えから手が届かない状態であった。原告は,本件申請当時,リフト機能を使用せずとも,進学自体はしていたが,リフト機能 のない車椅子では受講できず欠席を余儀なくされていた授業もあった。リフト機能があれば,広い範囲に絵を描くことができ,身体への負担を軽くして,より長時間絵を描くことが可能になる。 デッサンの授業の際には,様々な視点からモチーフを観察した上でデッサンをする必要があり,それには目線を高くすることができるリフト機能が不可欠 である。 また,ストーリーマンガを創作するためには,画力が必要となるが,これを高めるためにはリフト機能によって視点を転換できることが不可欠である。また,原告は,本件申請後の大学4学年の11月から,観客の前で2メートルを超える大きなキャンバスに絵を描くライブペインティングの活動もしている が,ダイナミックな動きで製作するために,書き手の位置を変更できるリフト 機能が不可欠である。 以上に照らし,原告がマンガ学部の学生として就学するために又は将来マンガ家として活動するためにリフト機能は不可欠であった。 ウ医学的必要性を加味しても必要性が高いこと医学的必要性は,補装具費支給の必須の要件であるとは解されないが,医療 の観点から見ても,以下のとおり原告にはリフト機能が必要である。すなわち,原告は,重度の筋ジストロフィーのため,腕を支えなしで持ち上げること自体が困難である。これを補う代償動作として,前腕部にひじ掛けの内側を利用した支点を設け 原告にはリフト機能が必要である。すなわち,原告は,重度の筋ジストロフィーのため,腕を支えなしで持ち上げること自体が困難である。これを補う代償動作として,前腕部にひじ掛けの内側を利用した支点を設け,肘に体重を乗せることで手を挙げる動作を行うことになるが,このような代償動作では,体を傾けるため身体に異常な変形を生じさせること になる。腕を持ち上げることは,店舗のカウンターでクレジットカードの暗証番号を押す場合等日常生活において必要となるが,リフト機能があれば,体を傾けずに自然な状態で行うことができる。絵を描く動作との関係でも同様で,原告は,リフト機能を利用するまでは,絵を描く際に体を右に傾けて右手を挙げるという動作をしていたため,右凸側彎という特徴的な側彎形成をしてしま ったが,リフト機能があればこのような動作は不要になる。 また,高い位置に手を伸ばそうとして無理な姿勢をすると,肩や腕の筋肉に過度な負担をかけることとなるが,リフト機能を利用すればこれらの負担から解放される。 さらに,原告は,重度の筋ジストロフィーのため,胸鎖乳突筋の機能が低下 して,頭の重さを支えることができず,頭をコントロールできないため,上を向くという首の動作自体が困難な状況にある。ヘッドサポート等の支えがあっても,原告は肺活量がわずかしかなく,頭を無理に上に向けると気道が曲がって狭くなり,空気の吸い込みや吐き出しができなくなり呼吸ができなくなってしまう。首や肩に負担をかけず,呼吸を維持させつつ高い位置にある物を見よ うとすれば,リフト機能によって自らの目線を高くするほかない。 筋ジストロフィー患者にとって,過負荷条件の継続は単に疲労を高めるだけではなく,障害の増悪を招くこととなるため,リフト機能を用いて過負荷条件を減 って自らの目線を高くするほかない。 筋ジストロフィー患者にとって,過負荷条件の継続は単に疲労を高めるだけではなく,障害の増悪を招くこととなるため,リフト機能を用いて過負荷条件を減らすことは,医療の観点からも必要である。 エリフト機能に関する調査,検討が不十分であること被告は,原告や大学などに対する直接の調査は一切行わずに医療の観点だけ を偏重し判断しており,不当である。被告は,大学での様子を見学すべく調整を進めたなどと弁解するが,調整を開始したのが平成27年1月9日頃で,その後同月16日には代替書面が作成されており,実質的な調整など行っていないことは明らかである。リフト機能は,食事や授業等の活動範囲の拡大や,介助量の軽減等の効果が十分期待できるものであり,原告の生活状況や活動状況, 進行性障害の状況等との関連性も検討されるべきであったのに,行われていない。就学上の必要性について提出した情報について全く考慮されていない。 被告は,医学的な必要性が認められない点や,就学上支障があるとは認められないことなどを理由に支給しないとの決定をしているが,不当である。医学的な問題が生じるか否かは検討に際しての一要素であり必要条件ではない。医 師の意見としても,原告には補装具付きの車椅子が必要とされているし,本件で医療の観点からも必要性が認められる点は前記のとおりである。 また,就学上の支障については原告がデッサンをする際にキャンバスの上の方に手が届かないことなども考慮すべきであるし,介助者による援助があればよい等の現実の社会生活を考えない決めつけによって必要性を過少評価して いる点も厚労省指針に則していない。学業継続ができさえすればよいとの考え方も,関連法や特例補装具の支給目的に照らし あればよい等の現実の社会生活を考えない決めつけによって必要性を過少評価して いる点も厚労省指針に則していない。学業継続ができさえすればよいとの考え方も,関連法や特例補装具の支給目的に照らして誤っている。被告の主張は,障害者総合支援法の「自立」概念を真っ向から否定するに等しい。 被告は,ライブペインティングを行う必要性については考慮できなかったと主張するが,原告がキャンバスの上の方まで手が届かなかったり,野外でスケ ッチする際に目線を高くするために台を持参しなければならなかったりして いたことは,被告が当然把握していたことであり,申請時の原告が抱える課題を解決するためにリフト機能が必要であることは明らかであった。 理由提示の不備の有無(争点4)(原告の主張)本件処分は,申請の一部を拒否する処分であるから,京都市長は,書面でこ れを行う場合,当該処分の理由を当該処分と同時に示す必要がある。それにもかかわらず,京都市長は,書面により本件処分を行うに当たり,何ら拒否理由を示さなかった。 また,中京福祉事務所長が中京福祉事務所長通知において提示した理由は,行政手続法上求められる提示とは評価できないし,そもそも理由を提示した主 体も,処分庁たる京都市長ではない。 中京福祉事務所長が提示した理由を見ても,中京福祉事務所通知の理由の記載は,リフト機能について,就学上支障があるとは認められないなどとするだけで,就学上の支障が何を指すのか不明であり,頭頸部の加算及びネックサポートについても,どのような判断基準でどのように判断したかが理由の記載自 体からは明らかではなく,理由の提示として不十分である。 したがって,行政手続法8条2項に照らして違法である。 (被告の主張)争う。 うな判断基準でどのように判断したかが理由の記載自 体からは明らかではなく,理由の提示として不十分である。 したがって,行政手続法8条2項に照らして違法である。 (被告の主張)争う。本件は原告の申請を全部認容した事案であり,行政手続法上のいわゆる理由提示は不要である。 本件特例補装具費の支給義務付けの可否(争点5)(原告の主張)本件は,いわゆる申請型義務付訴訟(行政事件訴訟法37条の3第1項2号,3条6項2号)であるところ,以上のとおり,実体面でも手続面でも違法であり取消しを免れないことに加え,当該取消部分について,京都市長が原告の申 請を全部認容すべきことは法令上明らかである。また,京都市長が原告の申請 を全部認容しないことが,その裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となることが認められるから,義務付けについても認められるべきである。 (被告の主張)上記のとおり,本件処分に取り消すべき違法はないから,訴訟要件を満たさず,却下されるべきである。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実前記前提事実に証拠(後掲各証拠のほか,甲50,原告本人。ただし,いずれも後記認定に反する部分を除く。)及び弁論の全趣旨を総合すれば,以下の事実が認められる。 原告の障害の状況原告は,本件申請当時,身長が164センチメートル,体重が19.6キログラムで,障害の部位は,四肢,体幹,左右の上肢,左右の下肢に及び,感覚・運動障害として,弛緩性麻痺がある状況にあった。姿勢保持能力は,立位や自力での座位はできず,支え座位のみが可能であり,日常生活においては,食事 には介助が必要で,更衣などの動作や,排泄・排尿は全介助を要する状況にあっ がある状況にあった。姿勢保持能力は,立位や自力での座位はできず,支え座位のみが可能であり,日常生活においては,食事 には介助が必要で,更衣などの動作や,排泄・排尿は全介助を要する状況にあった。原告は,本件申請当時から,1日24時間ヘルパーによる訪問介護サービスを受けていた。(乙3の1,28)原告は,罹患している筋ジストロフィーの影響により,胸鎖乳突筋の機能が低下し,正常な姿勢をとると頭部が後屈してしまい,元に戻すことができなく なってしまうことから,後屈を防ぐために僧帽筋を使って前傾位をとることが通常であり,頭部を筋力で支えたり,筋力でコントロールしたりすることができないことなどから,座った状態で見上げるという動作ができない(甲31,39)。 また,原告は,筋ジストロフィーの影響により,腕の筋力が発達しておらず, 腕を支えなしで持ち上げることができない状態にある。 本件申請に至る経緯原告は,本件申請に先立ち,筋ジストロフィーに関する専門的知見のある医院として紹介を受けた北海道に所在する八雲病院の医師の診察を受け,補装具費支給意見書が作成された。同意見書に基づき,北海道に所在する車椅子製作業者であり,実際に原告の車椅子製作を担当する予定であった工作室はらっぱ が,京都市の登録業者である本件業者に向けて,原告のために製作する予定の車椅子の見積書案(以下「はらっぱ見積書」という。)を作成した。 はらっぱ見積書においては,座位保持装置と電動車椅子の項目が分けて記載されており,電動車椅子として,「ヘッドレスト金具」「ネックサポート金具」の記載がされているが,「ヘッドサポートベース(マルチタイプ調整式)」や「枕 (オーダー)」の記載はなかった。(甲34の されており,電動車椅子として,「ヘッドレスト金具」「ネックサポート金具」の記載がされているが,「ヘッドサポートベース(マルチタイプ調整式)」や「枕 (オーダー)」の記載はなかった。(甲34の1~3)本件業者は,本件申請に先立ち,はらっぱ見積書及び写真の送付を受け(甲34の1~3),それをもとに,原告が申請に用いる当初見積書を作成した(乙3の2)。しかし,本件業者が作成した当初見積書は,はらっぱ見積書とは異なり,電動リフト加算やヘッドレスト金具の記載がなく,他方でヘッドサポート マルチタイプ調整式の記載がされているものであった。 本件申請の経緯ア原告は,平成26年11月19日付けで,補装具費(購入・修理)支給申請書(甲6の1)及び世帯状況・収入・資産等申告書(甲6の2)を提出し,併せて,以下の書類を提出した(以下の書類の中には,原告が提出したもの も,被告の求めに応じて書類作成者から被告に追加提出されたものもある。)。 平成26年8月28日付け主治医作成の補装具費の支給に係る意見書(乙3の1)当初見積書(乙3の2)理学療法士意見書(乙3の3) 「昇降機能の意義について」という見出しと共に,「本患者様は大学通 学中の学生であり,就学活動の手段として準備しております。医療施設外の生活が中心となるため,座面の昇降機能の活用については,食事や授業など,異なる環境での活動に対応できることを期待しております。」との記載があるもの。 座位保持装置処方箋(乙3の4) 車椅子処方箋(乙3の5)「座形式」欄の「その他」を選択した上で,「電動リフト式」と記載され,「バックサポート」欄の「枕(オーダー)」及び「ヘッドサポートベース(マルチタイプ)」が選択され,「その他」の欄 乙3の5)「座形式」欄の「その他」を選択した上で,「電動リフト式」と記載され,「バックサポート」欄の「枕(オーダー)」及び「ヘッドサポートベース(マルチタイプ)」が選択され,「その他」の欄に「ネックサポート金具」との記載がされているもの。 補装具試用時の写真等(乙3の6)ネックサポート金具(三次元位置調整式)の写真を含むもの。 カタログ(乙3の7)イ中京福祉事務所は,原告が希望する補装具は,座位保持装置姿勢保持機能付電動リフト・ティルト式電動車椅子であると認め,原告の申請のうち,電 動リフト機能と電動ティルト機能とを複合的に備えるものは特例補装具に該当するものと判断し,また,当初見積書に記載されたコントローラー金具(三次元位置調整式スイングアウト),ヘッドサポートマルチタイプ調整式の価格,アームサポート高さ調整角度調整式の価格,肩甲骨部サポート三次元位置調整式,胸部サポート三次元位置調整式,骨盤サポート三次元位置調 整式,テーブルアルミクランプ角度調整式が特例補装具に該当するものと判断した。 そのため,中京福祉事務所は,平成26年12月4日付けで,特例補装具費支給協議書,判定依頼書,基準外補装具交付に係る副申書,基準外補装具訪問調査資料を作成し,市更生相談所に京都市保健福祉局障害保健福祉推進 室を経由して提出した。 上記基準外補装具交付に係る副申書には,「日常生活のほぼすべてにおいて介助を要する。今使用の電動車いすでは,体幹を支持することが難しく姿勢が悪くなってしまい,呼吸機能の低下につながり,生命にかかわることになる。本人の安全な在宅生活のためには,身体にあったティルトリクライニング式の電動車いすが必要である。又,現在大学に通学中であり,授業を受 け い,呼吸機能の低下につながり,生命にかかわることになる。本人の安全な在宅生活のためには,身体にあったティルトリクライニング式の電動車いすが必要である。又,現在大学に通学中であり,授業を受 けるために,座面の昇降機能も必要とされている。」との記載がされていた。 (乙4の1~4)ウ原告の本件申請を受け,市更生相談所は,同年12月24日に特定補装具費支給判定会議(以下「判定会議」という。)を実施し,特例補装具の必要性等についての検討を行った。 その後,市更生相談所は,平成27年1月5日付けで,八雲病院に対して「特例補装具費支給判定会議の補足資料について(依頼)」を送付してリフト機能等の必要性を確認するための質問をし(乙6の1),これに対して八雲病院から同月8日付けで回答があった(乙6の2)。また,同日付けで修正された理学療法士意見書の提出もされた(乙6の3)。同意見書には,リフト 機能の意義に関して,「本患者様は大学通学中の学生であり,就学活動の手段として準備しております。前述いたしました呼吸機能や身体の変形拘縮など,生命や運動機能に与える影響はありませんが,医療施設外での生活が中心となるため,座面の昇降機能の活用については,食事や授業など,異なる環境での活動に対応でき,活動範囲の拡大と介助量の軽減などの効果を期待 しております。」との記載に修正された。 エ平成27年1月16日付けで原告から「請願書」(乙7の1)が,同年2月2日付けで「A大学マンガ学部マンガ学科3年原告が申請している電動車椅子の機能について」と題する大学学部長の意見書(乙7の2)が提出された。 原告作成の請願書においては,リフト機能の必要性に関して,目線を上げ ることで人混みに紛れた場合の危険が減ることや,手の届く範囲が足りず 題する大学学部長の意見書(乙7の2)が提出された。 原告作成の請願書においては,リフト機能の必要性に関して,目線を上げ ることで人混みに紛れた場合の危険が減ることや,手の届く範囲が足りず作 品製作に支障が出ている点を改善できること,美術館,博物館における展示物が見やすくなること,人が集まる場所でも視界を確保できること,目線の低さから生じる精神的苦痛を緩和できることなどが記載されていた。また,大学学部長の意見書には,「本人の要望どおり電動車椅子へ昇降機の取り付けへの補助を承認していただければ,本人の負担を軽減し,レベルの高い作 品を生み出すことに貢献できることから修学上の多大な効果があると判断いたしました」との記載がされていた。 これらの提出を受け,中京福祉事務所は,同月16日付けで,リフト機能に係る記載に修正を加えた基準外補装具交付に係る副申書(乙5)を市更生相談所に提出した。 同副申書には,リフト機能の必要性に関し,「本人は,美術系大学の4回生であり,デッサンや屋外でのクロッキーの授業のため,リフト機能設置の希望がある。デッサンにおいて,大きな絵を描くためには上部や下部を描く必要があり,高さの調節が必要となり,健常者が座ったり,立ったりして描くことと同様に,本人が座面の昇降をおこなうことで,より良い作品を製作で き,今まで欠席していた授業にも参加可能となり,本人の学業面において有効と考えます。」との記載がされていた。 オ市更生相談所においては,平成27年2月25日に再度判定会議が実施され,提出された資料を基に原告の特例補装具の必要性等について検討を行った。その結果,リフト機能について支給は不適当であると判定し,また,座 位保持装置としての頭頸部の加算及びネックサポート金具の加 提出された資料を基に原告の特例補装具の必要性等について検討を行った。その結果,リフト機能について支給は不適当であると判定し,また,座 位保持装置としての頭頸部の加算及びネックサポート金具の加算は他の部品と重複するため加算は認めないとの判定がされた。 カ京都市保健福祉局障害保健福祉推進室長は,中京福祉事務所長に対し,「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく特例補装具の交付について」と題し,リフト機能の支給が不適当であること,車 椅子の付属品である本件ヘッドサポート等を使用しているため,座位保持装 置として頭頸部の加算及びネックサポート金具の加算が認められないこと,別紙3の見積書案のとおり見積書を修正すべきことなどを記載した決定通知を交付した(乙8)。 の判定会議の結果を受けて,中京福祉事務所の担当ケースワーカーは,平成27年3月19日に原告の母に対し,判定会議の結果を口頭で伝えた。そ の際,原告の母は,「とにかく納得できないので,会議での内容を書面にしてほしい」旨の話をした。(乙8,13)原告の母は,本件業者の担当者から,判定に沿った形での見積書を提出することで,認められた分の支給を速やかに受けることができる旨の話を聞き,本件業者に修正した見積書を提出するよう依頼した。その際,原告の母は本件業 者の担当者に対し,「リフト機能,頭頸部の加算やネックサポート金具の加算が認められないなら不服申立てで争うので,前に進めてください。」と発言していた。また,原告の母は,同月20日に中京福祉事務所に電話をし,リフトは自費で取り付けるのでそれ以外の認められている部分で申請する旨を連絡した。(乙13,15) 平成27年3月20日,原告は本件業者を通じて,当初見積書 日に中京福祉事務所に電話をし,リフトは自費で取り付けるのでそれ以外の認められている部分で申請する旨を連絡した。(乙13,15) 平成27年3月20日,原告は本件業者を通じて,当初見積書から,頭頸部の加算及びネックサポート金具を控除するなどした見積書(以下「変更後見積書」という。)を提出した(乙9,15)。これを受けて,中京福祉事務所は,変更後見積書どおりに特例補装具費の支給を決定し,特例補装具費支給決定通知書(甲7の1,乙10)及び補装具費支給券(甲7の2)を原告に交付した。 中京福祉事務所は,平成27年3月31日付けで「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく特例補装具の交付について」(乙10。中京福祉事務所通知)を交付した。 各補装具についてアヘッドサポートベース(マルチタイプ) 厚労省基準において定められている電動車椅子に障害状況等に応じて追 加できる頭・頸部を支持する部品は,ヘッドサポートベース(マルチタイプ)であり,これと「ヘッドサポートマルチタイプ調整式」とは同義である(乙3の5)。 ヘッドサポートベース(マルチタイプ)は,「義肢,装具及び座位保持装置等に係る補装具費支給事務取扱要領」(平成18年9月29日付け障地発第 0929002号厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課自立支援振興室長通知)において,「頭頸部を支持するためにバックサポートパイプに取り付けられるベース部品。高さ・前後・角度調整が可能なもの。枕を含む」とされ,枕(オーダー)の構造として,「利用者の頭頸部に適合させたオーダーメイドの枕。カバー含む」とされている。(乙11) イネックサポート金具 一般的に頭頸部の支持機能 れ,枕(オーダー)の構造として,「利用者の頭頸部に適合させたオーダーメイドの枕。カバー含む」とされている。(乙11) イネックサポート金具 一般的に頭頸部の支持機能を有する部品である。 ウリフト機能リフト機能を用いることにより,車椅子の座面は約25センチメートル上昇する。また,リフト機能を用いない場合において,原告が電動車椅子に座 ったときの目線の高さは地面から104センチメートルの位置にあり,リフト機能を用いた場合の目線の高さは,地面から128.3センチメートルの位置になる。(甲44,46)原告は,本件支給決定に基づく補装具費の支給を受けた後,支給額と実際の製作費との差額は自己負担とした上で,工作室はらっぱに製作を依頼し,はら っぱ見積書に沿った内容で,頭頸部の支持機構としてヘッドレスト金具及びネックサポート金具等を用い,リフト機能を付加した電動車椅子を製作し,現在利用している。 2 争点1(訴えの利益の有無)について は,本件特例補装具費を含むものであったと認められる。このうち,リフト機 能に関しては,当初見積書には記載がなかったものの,その他の添付書類からは,原告がリフト機能についても支給を求める意思を有することが明らかとされており,被告においても,原告がリフト機能の加算を希望しているものと扱った上で判定を行っている。 そして,原告が,本件特例補装具費については支給を求めないとして本件申 請を補正又は変更(一部撤回)した事実については,これを認めるに足りる証拠がない。 これに対し,被告は,原告の母の了解の下に,本件業者が本件特例補装具費に関する記載を削除した変更後見積書(乙9)の提出を行った事実をもって,原 ついては,これを認めるに足りる証拠がない。 これに対し,被告は,原告の母の了解の下に,本件業者が本件特例補装具費に関する記載を削除した変更後見積書(乙9)の提出を行った事実をもって,原告が本件申請の内容を変更後見積書のとおりに補正したと主張する。 しかしながら,変更後のとおり,中京福祉事務所の担当ケースワーカーが,原告の母に対し,市更生相談所が本件特例補装具費の支給を認めない旨の判定をしたことを口頭で伝えたところ,原告の母は,納得できないとの意向を示し,その後も,本件業者とのやりとりの中で,認められなかった本件特例補装具費については不服申立てで 争う姿勢を示しつつ,認められた部分の支給を速やかに受けることができるよう修正した見積書の提出を依頼したというものである。上記の経過に照らすと,変更後見積書の提出は,原告の母が,市更生相談所の判定結果を知らされたことから,認められなかった本件特例補装具費については不服申立てにより争うことを留保した上で,認められた部分の支給手続を速やかに進めることを目的 として,とりあえず判定結果に沿う内容の見積書を提出したにすぎないと認められる。その他,変更後見積書の提出時点において,原告が本件特例補装具費の支給を求める意思を失っていたことを窺わせる事情は見当たらず,被告としても,本件特例補装具費の不支給について原告に不服があることを認識しており,それゆえ中京福祉事務所通知を交付したものと認められる 。 以上に照らせば,原告が変更後見積書を提出したことをもって,本件申請の対象から本件特例補装具費を除外し,その支給を求めない内容に補正ないし変更(一部撤回)したとは認められない。よって,被告の上記主張は,採用することができない。 したがって て,本件申請の対象から本件特例補装具費を除外し,その支給を求めない内容に補正ないし変更(一部撤回)したとは認められない。よって,被告の上記主張は,採用することができない。 したがって,本件支給決定は,本件申請のうち本件特例補装具費の支給を求 める部分についてはこれを認めないという判断を含むものであり,一部不支給決定であるというべきであるから,その違法を争う本件訴えには訴えの利益がある。 3 本案の争点について補装具費の支給に係る決定の適法性の判断枠組 障害者総合支援法76条1項は,補装具費の支給要件につき,「当該申請に係る障害者等の障害の状態からみて,当該障害者等が補装具の購入,借受け又は修理を必要とする者であると認めるとき」と規定するのみで,市町村が補装具費の支給の要否を決定するについて検討するべき障害の状態や補装具の必要性の程度につき具体的な基準を置いていない。 このような障害者総合支援法の規定に照らすと,同法は,障害者に対し特例補装具費を含めた補装具費を支給するか否かの判断については,その前提となる必要性の有無についての判断を含め,市町村の合理的裁量に委ねているものと解するのが相当である。 したがって,市町村が行う補装具費の支給要否の決定は,その判断の基礎と された重要な事実に誤認があること等により重要な事実の基礎を欠くこととなる場合,又は,事実に対する評価が明らかに合理性を欠くこと,判断の過程において考慮すべき事情を考慮しないこと等によりその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合に限り,裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したものとして違法となるというべきである。 争点2(機能に重複があるとして頭頸部の加算及びネックサポート金具の費 ものと認められる場合に限り,裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したものとして違法となるというべきである。 争点2(機能に重複があるとして頭頸部の加算及びネックサポート金具の費 用支給を認めなかった被告の判断に裁量の逸脱・濫用があるか)についてア座位保持装置と電動車椅子は,補装具費支給制度においては,別の種目と位置付けられているところ(厚労省基準1項,別表),座位保持装置に電動車椅子の機能を付加する場合において,一部の付属品等で電動車椅子の部品と座位保持装置の部品が重複するときは,電動車椅子の各部位の交換価 格の95パーセントに相当する価格とみなし,これを控除することとされている(厚労省基準別表1 かかる規律に加え,厚労省基準が付属品の種類ごとに基準価格を定めていることに照らしても,全く同じ部位や同じ目的のために重複して複数の付属品を用いることは,基本的に想定されていないものと解される。 このことからすれば,電動車椅子に元々備わっていない付属品(特例補装具)を取り付ける場合においても,当該付属品が座位保持装置の他の部品と目的や機能を同じくする場合には,一方の付属品の取付け(補装具費の支給)のみが認められるものと解するのが合理的である(乙23,24参照)。 イ本件についてみるに,原告が被告に提出した当初見積書には,電動車椅子 の付属品として本件ヘッドサポート等の記載がされているのに加え,座位保持装置として頭頸部の加算及びネックサポート金具も記載されていたところ,被告は,本件ヘッドサポート等のみで頭頸部の支持機能を有するため,重ねて座位保持装置として同じ頭頸部の支持を目的とする頭頸部の加算及びネックサポート金具の費用を支給することは機能の重複となり認められ ,本件ヘッドサポート等のみで頭頸部の支持機能を有するため,重ねて座位保持装置として同じ頭頸部の支持を目的とする頭頸部の加算及びネックサポート金具の費用を支給することは機能の重複となり認められ ないと判断したものである。 この点,本件ヘッドサポート等は,頭頸部を支持するためにバックサポートパイプに取り付けの頭頸部支持部品と機能が重複するものであると認められる。また,被告は,原告が本件申請時に提出した当初見積書(乙3の2)の本件ヘッドサポート 等の金額や,添付の写真(乙3の6)を踏まえ,当初見積書に記載された「ヘ ッドサポートマルチタイプ調整式」が,頭頸部の支持機構を有するオーダーメイドの部品であり,基準内ヘッドサポートではない特例補装具であると判断したものと認められるが,上記資料の内容に照らすと,そのように判断したことには合理性がある。そして,このような判断を前提とすれば,当初見積書の記載中,頭頸部の加算やネックサポート金具の費用を本件ヘッドサポ ート等と別の費目(部品)として計上することが費目の重複に当たり,一方のみの支給しか認められないと判断したことにも合理性があるというべきである。 ウまた,被告は,原告の障害の現症等を考慮し,頸部を支持する機能(ネックサポート)の必要性自体は認め,基準内ヘッドサポートの費用(1万65 00円)の支給では足りないと考えて,平成25年に原告と同じ障害を有する原告の弟から補装具費支給申請を受けた際に本件業者から受領した頭頸部支持機構の仕様書(基準額1万6950円の基準内ヘッドサポート(枕を含むもの)ではなく,基準額を超える「ヘッドサポートマルチタイプ調整式」及び「枕(オーダー)」の価格を合計して5万6380円としたもの)を参 照し,同じ業者が同じ仕様の 内ヘッドサポート(枕を含むもの)ではなく,基準額を超える「ヘッドサポートマルチタイプ調整式」及び「枕(オーダー)」の価格を合計して5万6380円としたもの)を参 照し,同じ業者が同じ仕様の頭頸部支持機構を製作するものであったことから,上記と同額である5万6380円を頭部支持機構(本件ヘッドサポート等)の製作に必要な費用額(特例補装具費)として認めることとしたものであるところ(乙25),この判断にも不合理なところはない。 エこれに対し,原告は,本件ヘッドサポート等が頭頸部を支える装置である のに対し,ネックサポート金具は座位保持装置であって機能に重複がないとも主張するが,ネックサポート金具は,座位保持装置の部品の中で頭頸部の支持を目的とするものであり,電動車椅子の部品の中で頭頸部の支持を目的とする本件ヘッドサポート等と機能に重複があることは,上記イに判示したとおりである。 原告は,また,本件ヘッドサポート等は既製品であり,原告のような重度 の筋ジストロフィー患者を対象として作られたものではないとか,本件ヘッドサポート等では頭部を様々な角度から支持,解放,除圧することができず,機能的に不十分であるとか,原告の頭頸部を支えるには強度が不十分であるとか主張する。しかしながら,ヘッドサポートは,一般的に頭頸部の支持機本件ヘッドサポ ート等は,オーダーメイドで製作されることを前提に製作費が計上されているものであることなどに照らせば,本件ヘッドサポート等が機能的又は強度的に原告の頭頸部を支えるのに不十分であるとは認められない。そもそも,本件ヘッドサポート等は,原告が被告に提出した当初見積書に記載されていたものであって,被告は,同見積書の記載を前提に,本件ヘッドサポート等 とネックサポート金 あるとは認められない。そもそも,本件ヘッドサポート等は,原告が被告に提出した当初見積書に記載されていたものであって,被告は,同見積書の記載を前提に,本件ヘッドサポート等 とネックサポート金具との間に機能の重複があると判断したものであるから,本件ヘッドサポート等が機能的又は強度的に不十分であるなどという主張は,被告の上記判断の合理性を否定する理由にはならないというべきである。 また,原告は,原告の障害の現症に照らし,僧帽筋に過度な負荷をかけな いような車椅子を製作するためには,ヘッドサポートマルチタイプ調整式及び枕(本件ヘッドサポート等)によるのではなく,ヘッドサポートをベースにネックサポート金具を組み合わせる必要があったなどとも主張するが,上記のとおり,原告が被告に提出した当初見積書はそのような内容ではなかったのであるから,原告の上記主張は,失当である。 オ原告は,被告において,原告や大学に対して直接の調査を行ったり,原告が使用しているネックサポート金具を直接確認したり,八雲病院や工房関係者等から具体的製作物の詳細を聴取したりして,本件業者が見積書に記載した本件ヘッドサポート等では機能的に不十分であることなどを調査確認すべきであったとも主張するようである。 しかしながら,補装具費の支給決定をするに当たり,誰を対象にどのよう な方法で調査を行うかについて定めた法令上の規定は存在せず,市町村の裁量に委ねられているものと解されるところ,本件において,被告が原告や大学関係者から直接の聴き取りを行うべきであったというべき事情は認められない。また,ネックサポート金具については,被告としても,頭頸部の支持機能の必要性自体は認識した上で,ネックサポート金具と本件ヘッドサポ 直接の聴き取りを行うべきであったというべき事情は認められない。また,ネックサポート金具については,被告としても,頭頸部の支持機能の必要性自体は認識した上で,ネックサポート金具と本件ヘッドサポ ート等との機能の重複の有無を問題としていたものであるから,原告が使用しているネックサポート金具を直接確認しなかったために判断を誤ったとも認められない。さらに,被告は,八雲病院から原告の主治医の意見書の提出を受けているほか,理学療法士であるB の作成した意見書の提出も受けて,これらの内容を踏まえて検討しており,原告が通院する医院を対象にし た調査等に不十分なところはない。原告は,工房関係者からも聴取すべきであったとも主張するが,本件申請に際し,原告は,希望する業者として本件業者を選定し,本件業者が作成した見積書を提出していたものであるから,被告が当該見積書の記載内容を前提に補装具費支給の可否を検討するのは当然であって,見積書等も提出されていない工作室はらっぱその他の工房関 係者に対して被告が何らかの調査をすべき状況にあったとは認められない。 なお,原告は,本件業者作成の見積書自体が原告の申請内容を正確に反映したものではなく,不備があったなどとも主張するが,上記のとおり,申請者である原告自身が本件業者を希望する補装具業者として選定し,本件業者の作成した当初見積書を被告に提出していたのであるから,被告としては, 原告の申請内容は当初見積書に記載されたとおりであるとの前提で支給の可否を判断すれば足りるものというべきである。また,原告が見積書の不備として指摘する点は,通常必要となる一部の付属品の記載がなかったという点にすぎず,頭頸部の加算やネックサポート金具に関する補装具費の支給の可否に関する判断に影響を及ぼすものではな 原告が見積書の不備として指摘する点は,通常必要となる一部の付属品の記載がなかったという点にすぎず,頭頸部の加算やネックサポート金具に関する補装具費の支給の可否に関する判断に影響を及ぼすものではないから,上記の点で当初見積書 の記載内容に不備があったとしても,そのことをもって,被告による上記判 断に裁量権の逸脱ないし濫用があったなどとはいえない。 カ以上によれば,頭頸部を支える部品としての本件ヘッドサポート等と座位保持装置としての頭頸部加算及びネックサポート金具とが機能的に重複するとした上で,原告の障害の現症等に照らし,本件ヘッドサポートの製作に必要な費用額(特例補装具費)として基準額を上回る5万6380円の支給 を認めた一方,頭頸部加算及びネックサポート金具に係る特例補装具費の支給は認めないとした被告の判断について,これが社会通念に照らして著しく妥当性を欠くものとは認められず,裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したものということはできない。 争点3(リフト機能を必要とする真にやむを得ない事情がないとした被告の 判断に裁量の逸脱・濫用があるか)についてア判断基準について 障害者基本法1条は,全ての国民が,障害の有無にかかわらず,等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのっとり,障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策 の推進をその目的に掲げ,障害者総合支援法1条は,その基本的理念にのっとり,障害者及び障害児が自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう,必要な障害福祉サービスに係る給付その他の支援を行い,もって障害者及び障害児の福祉の増進を図ることを目的としている。これらに加えて,補装具費支給の根拠条文である障 は社会生活を営むことができるよう,必要な障害福祉サービスに係る給付その他の支援を行い,もって障害者及び障害児の福祉の増進を図ることを目的としている。これらに加えて,補装具費支給の根拠条文である障害者総合支援法76条 1項が,補装具の購入の必要性を判断するに当たり,障害者等の障害の状態を勘案するべき旨を規定していることをも踏まえれば,補装具費支給の要否を判断するに当たっては,当該障害者の具体的な身体の状態(障害の状態)を勘案した上で,それにより当該障害者が日常生活又は社会生活を自立して営むことがどの程度困難となっているか,当該補装具によっ てその困難がどのように軽減され得るかといった観点から,当該障害者 の生活環境等についても考慮すべきである。 このことは,障害者総合支援法76条に基づく補装具費の支給事務が円滑,適正に運用されることを指向して定められた厚労省指針において,市町村は,補装具費の支給に当たり,医師,理学療法士,作業療法士,身体障害者福祉司,保健師等の専門職員及び補装具の販売又は修理を行 う業者との連携を図りながら,身体障害者・児の身体の状況,性別,年齢,職業,教育,生活環境等の諸条件を考慮して行うものとされていることからも裏付けられるところである。 また,特例補装具費の支給に関しては,厚労省指針において,身体障害者等の障害の現症,生活環境その他真にやむを得ない事情により,特例補 装具の購入又は修理に要する費用を支給する必要が生じた場合に,更生相談所等の判定又は意見に基づき市町村が決定するものとする旨定めている。この厚労省指針は,障害者総合支援法76条に基づく補装具費の支給事務が円滑,適正に運用されることを指向して定められた技術的助言(地方自治法245条の4 基づき市町村が決定するものとする旨定めている。この厚労省指針は,障害者総合支援法76条に基づく補装具費の支給事務が円滑,適正に運用されることを指向して定められた技術的助言(地方自治法245条の4)であり,市町村が裁量権を行使する上で参考 にすべきものである。 以上を前提に,そもそも補装具が身体機能を補完又は代替する用具であるという性質にも照らすと,特例補装具であるリフト機能が真にやむを得ない事情により必要なものといえるためには,単にあれば便利であるというような車椅子利用者一般に共通する利便性の向上に資するという だけでは足りず,原告の具体的な身体の状態(障害の状態)を踏まえ,また,原告の生活環境等をも考慮して,リフト機能がないことにより生活,就労,就学等に困難が生じるか否か,又は,リフト機能がないことで痛みや褥瘡,変形が発生するなど医学的な問題が生じるか否かといった観点から,その必要性の有無を判断するのが相当である。(乙2,20) イ上記の観点から,原告の身体の状態(障害の状態)を踏まえて,リフト機 能を必要とする真にやむを得ない事情があるといえるか否かについて検討する。 生活上の必要性 のとおり,原告は,筋ジストロフィーの影響により胸鎖乳突筋の機能が低下し,頭の重さを支えることが困難になっていることなど により,頭を筋力でコントロールして見上げるという動作ができなくなっている。また,頸部を無理に曲げようとすれば,障害の影響により,気道が曲がって狭くなり,同世代の男性の平均肺活量の6パーセント程度の肺活量しかない原告の体には,呼吸が困難になるなどの影響が出るものと認められる(原告本人〈7頁〉)。そのため,原告が上方を見る方法と しては, り,同世代の男性の平均肺活量の6パーセント程度の肺活量しかない原告の体には,呼吸が困難になるなどの影響が出るものと認められる(原告本人〈7頁〉)。そのため,原告が上方を見る方法と しては,目線を上げる程度しかできないのであるが,この方法によると焦点が合う範囲は限られ,視野の拡大には限界がある。日常生活において,見上げる動作は,上方の情報を読み取り,ときに危険の有無を把握する上で不可欠のものといえるところ,リフト機能を利用することで座面が2),それに伴い目線 も25センチ高くなり,前記のとおり,自力で見上げるという動作ができない原告にとって,リフト機能はそれを補う役割を果たすものといえる。 上方の情報を読み取ることは,その情報を基に意思決定をする上で必要なものであるし,とりわけ危険の有無を把握するという場面を想定すると,ヘルパー等の他人に全てを委ねることは適切ではなく,可能な限り自 ら状況を把握して判断できることが重要である。 また,原告は,重度の筋ジストロフィーのために腕の筋力が発達しておらず,腕を支えなしで持ち上げることができない。 そのため,腕を上げるためには,体を左右どちらかに傾けて肘に体重を乗せることで手を挙げる動作を行うことになるが(原告本人〈3~5頁〉), この方法によれば,体を傾けることで無理な負担をかけ,その蓄積により 側彎形成が進むなどしてしまう。リフト機能を利用することで,上記のとおり,肘かけの位置自体が25センチメートル上昇するため,このような方法によらずとも腕を持ち上げたのと同程度の高さまで手の位置を変えることができる。日常生活の様々な場面で車椅子の本来のひじ掛けの高さ以上の位置に手を持ち上げる必要性が生じることは容易に想定される から,原告の障害の現症を考えれば 程度の高さまで手の位置を変えることができる。日常生活の様々な場面で車椅子の本来のひじ掛けの高さ以上の位置に手を持ち上げる必要性が生じることは容易に想定される から,原告の障害の現症を考えれば,日常生活を営むのに必要な機能といえる。 原告は,日常生活においてリフト機能が必要になる場面として,ATMでパネルを見る,店のカウンター越しに店員とやりとりをする,店の棚から商品をとる,人混みで鞄等がぶつかるなどの危険を回避するなどの例 を挙げるところ,多くの場合,ヘルパーによる介助や相手方に配慮を求めることによって,必ずしもリフト機能がなくてもこれらの用を済ませること自体は可能であろうが,例えば暗証番号の入力を伴うATMの操作等は自らが行う必要があり,そのためには,腕を持ち上げることのできない原告がATMのパネルに無理なく手を伸ばせる位置まで上昇できるこ とが必要であるし,ヘルパーに指示を出す前提として上方にある情報を読み取ることが必要な場面も多くあると考えられる。 このように,リフト機能は,障害のために見上げるという動作ができず,また,腕を持ち上げることができないという原告の障害の現症を踏まえると,これらの身体機能を代替し,原告が日常生活を送る上で必要不可欠 なものといえる。 さらに,リフト機能を用いることなく日常生活を送った場合には,前記のとおり,頸部を曲げることにより呼吸困難の症状を来したり,無理な姿勢で腕を持ち上げるために側彎形成が進んだりするなど,長期的にみて身体に過負荷がかかる可能性が高く,原告の身体の健康を損なうことなく日 常生活に必要な動作を行うという観点からも,リフト機能は必要なものと いえる。 就学上の必要性a 原告は,本件申請当時,美術 の健康を損なうことなく日 常生活に必要な動作を行うという観点からも,リフト機能は必要なものと いえる。 就学上の必要性a 原告は,本件申請当時,美術系の大学に通い,マンガを専攻しており,聴講の方法で授業を受けることが中心となる学部とは異なり,絵を描くという実習が中心的な学習内容の一つとなっていたものと認められる (前提。 絵を描くためには,被写体を観察することが必要であり,被写体が立体である場合には,見る角度を変える必要が通常生ずるものと考えられるが,障害のため首を自由に動かすことのできない原告にとって(認定,上下に見る角度を変えるためにはリフト機能を利用する以外 に方法がないと認められる。また,原告は,前記のとおり,腕を持ち上げることができないため,絵を描く筆の位置が狭い範囲で固定されてしまうところ,腕の可動域を上下に広げるためにもリフト機能が必要であったといえる。原告にとって,絵を描くという実習が中心的な学習内容であるという特殊な状況を踏まえると,リフト機能を用いて観察する角 度を変えたり,腕の可動域を上下に広げたりすることは,就学上必要なものであったといえる。 電動車椅子の付属品のうちリフト機能と類似する機能として,ティルト機能があるが,これは,後方に傾きをつけ仰向けに近い姿勢をつくることによって体を休ませる機能であって,観察する角度を変えたり,上 から見下ろしたりすることを可能にするための機能ではない。 なお,原告は,就業上の必要性についても主張しているが,原告は本件申請当時,学生であって,就業しておらず,また具体的な就業の予定が定まっていたという事情も認められないから,就学上の必要性にとどまらず,就業における必要性ま 性についても主張しているが,原告は本件申請当時,学生であって,就業しておらず,また具体的な就業の予定が定まっていたという事情も認められないから,就学上の必要性にとどまらず,就業における必要性まで考慮すべきであったと はいえない。 b 以上に対し,被告は,原告が従前からリフト機能のない車椅子を利用しており,就学が困難な状況には至っていなかったことから,就学上の必要性は認められないと主張する。 確かに,本件申請当時,原告は大学3学年に在籍しており,それまで進級ができていたことからすると,リフト機能がなければ大学を卒業す ることもできないという状況にはなかったといえる。しかしながら,就学の目的は,単に必要な単位を取得し卒業をすることにあるのではなく,自らが目的とした学問を修め,その学習要求を満たすことや,今後の就業等に必要な知識,能力を身に着けることなどにあると考えられる。本件において,原告は,マンガ家を目指して,それを可能とするような知 識,能力を身に着けることを目的に大学に入学していたこと(甲50)に照らすと,単に進級や卒業ができればよいというものではなく,中心的な学習内容であった絵を描くという実習において,被写体を観察し,また,他の学生と同じ課題を製作するために必要な範囲で絵筆を動かすといった場面でリフト機能の必要性が高かったであろうことは否定で きない。前記のような原告の障害の状態に,原告が美術系の大学の学生でありその中心的な学習の一つが絵を描くという実習にあったという具体的な事情を併せれば,リフト機能は,原告の就学において必要性の高いものであったといえる。 以上のとおり,原告の具体的な障害の状態を踏まえ,また,原告の生活 環境等をも考慮して検討すると,リフト機能がない リフト機能は,原告の就学において必要性の高いものであったといえる。 以上のとおり,原告の具体的な障害の状態を踏まえ,また,原告の生活 環境等をも考慮して検討すると,リフト機能がないことにより原告の生活に現実に困難が生じるものと認められ,原告にとって,リフト機能は,単に利便性を向上させるにとどまらず,日常生活を送る上で必要不可欠ということができ,医学的な観点からもその必要性が認められるほか(上記イ就学上の必要性も高かったと認められる。これらを総合すれば,原告 について,リフト機能を必要とする真にやむを得ない事情があったことは 明らかというべきである。 ウ上記のとおり,原告について,リフト機能を必要とする真にやむを得ない事情があったにもかかわらず,被告は,医学上の必要性が認められず,また,就学上も支障が生じていないことを理由にリフト機能に係る特例補装具費を支給しないとの決定をしたものであるところ,この判断は,原告の障害の 状況,生活環境等の考慮要素を適切に考慮せずになされたものであって,明らかに不合理というべきであるから,裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したものとして違法である。 したがって,本件支給決定のうち,リフト機能につき不支給とした部分は取り消されるべきである。 4 争点4(理由提示の不備の有無)について 原告は,①被告は,本件支給決定と同時に不支給の理由を提示しておらず,②中京福祉事務所通知は被告名義で作成されたものではなく,③また,その内容を見ても中京福祉事務所通知の理由の記載は,リフト機能について,就学上の支障が何を指すのか不明であり,ネックサポートについても,どのような判 断基準でどのように判断したかが理由の記載自体からは明らかではないため, 通知の理由の記載は,リフト機能について,就学上の支障が何を指すのか不明であり,ネックサポートについても,どのような判 断基準でどのように判断したかが理由の記載自体からは明らかではないため,行政手続法8条の違反があるなどと主張する。 しかしながら,上記①及び②については,中京福祉事務所通知が,本件支給決定とほとんど同時に原告に交付されていること,被告が不支給とした部分の処分理由を説明するため,実際の具体的検討を行った中京福祉事務所において 作成されていることに照らすと,形式的な時間的相違や文書作成主体の相違にかかわらず,頭頸部の加算及びネックサポート金具の費用並びにリフト機能の費用を不支給とした理由の説明と同視できる。また,上記③についてみても,行政手続法8条1項に基づく理由の提示は,いかなる事実関係に基づきいかなる法規を適用して当該処分がなされたのかを処分の相手方においてその記載 自体から了知し得るものであることを要するが(最高裁昭和45年(行ツ)第 36号同49年4月25日第一小法廷判決・民集28巻3号405頁参照),中京福祉事務所通知における記載内容()を見れば,障害者総合支援法に基づく特例補装具費としてのリフト機能の支給が医学上,就学上の必要性が認められないことを理由に不適当とされたこと,頭頸部加算及びネックサポート金具の加算に係る同法に基づく支給については,本件ヘッドサ ポート等との重複の観点から不適当とされたことが,その記載自体から一応了知し得るものということができる。 支給決定に係る審査基準を詳細に定めているものではなく,市町村の合理的な裁量に委ねられていることに照らせば,上記の程度の記載によっても,理由の提示に欠けるところがあるとはいえない。 したがって,本件支給決定に 準を詳細に定めているものではなく,市町村の合理的な裁量に委ねられていることに照らせば,上記の程度の記載によっても,理由の提示に欠けるところがあるとはいえない。 したがって,本件支給決定について行政手続法8条1項本文又は同条2項に違反する違法があるとはいえない。 5 争点5(本件特例補装具費の支給義務付けの可否)について本件訴えのうち,座位保持装置としての頭頸部の加算ないしネックサポート金具の費用に係る特例補装具費の支給の義務付けを求める部分は,行政事件訴 訟法3条6項2号所定のいわゆる申請型の義務付けの訴えであると解される。 前記3のとおり,座位保持装置としての頭頸部の加算ないしネックサポート金具の費用を不支給とした処分は適法であり,当該処分が取り消されるべきものであり,又は無効若しくは不存在であるものとは認められないから,同訴えは,同法37条の3第1項2号の要件を欠き,不適法である。 他方,本件訴えのうち,本件支給決定中,リフト機能につき不支給とした部分の取消しを求める部分は,,行政事件訴訟法37条の3第1項2号に基づき,リフト機能部分に係る特例補装具費の支給を義務付けるのが相当である。 6 まとめ 以上によれば,① 本件取消請求は,本件支給決定のうちリフト機能につき不 支給とした部分の取消しを求める限度で理由があるからこれを認容し,その余は理由がないからこれを棄却し,② 本件義務付けの訴えは,リフト機能部分に係る特例補装具費の支給決定の義務付けを求める限度で理由があるからその請求を認容し,座位保持装置としての頭頸部の加算ないしネックサポート金具の費用に係る特例補装具費の支給決定の義務付けを求める部分は不適法であるから,これ を却下すべきである。 第4 結語 の請求を認容し,座位保持装置としての頭頸部の加算ないしネックサポート金具の費用に係る特例補装具費の支給決定の義務付けを求める部分は不適法であるから,これ を却下すべきである。 第4 結語よって,主文のとおり判決する。 京都地方裁判所第3民事部 裁判長裁判官増森珠美 裁判官佐藤彩香 裁判官牛島賢 別紙当事者目録省略 別紙関係法令第1 障害者総合支援法 1 4条1項・2項 1項 この法律において「障害者」とは,身体障害者福祉法第四条に規定する身体障害者,知的障害者福祉法にいう知的障害者のうち十八歳以上である者及び精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第五条に規定する精神障害者(発達障害者支援法(平成十六年法律第百六十七号)第二条第二項に規定する発達障害者を含み,知的障害者福祉法にいう知的障害者を除く。以下「精 神障害者」という。)のうち十八歳以上である者並びに治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病であって政令で定めるものによる障害の程度が厚生労働大臣が定める程度である者であって十八歳以上であるものをいう。 2項この法律において「障害児」とは,児童福祉法第四条第二項に規定する障 害児をいう。 2 5条25項この法律において「補装具」とは,障害者等の身体機能を補完し,又は代替し,かつ,長期間にわたり継続して使用されるものその他の厚生労働省令で定 める基準に該当するものとして,義肢,装具,車椅子その他の厚生労働大臣が定めるものをいう。 3 76条(支給基準) かつ,長期間にわたり継続して使用されるものその他の厚生労働省令で定 める基準に該当するものとして,義肢,装具,車椅子その他の厚生労働大臣が定めるものをいう。 3 76条(支給基準) 1項市町村は,障害者又は障害児の保護者から申請があった場合において,当 該申請に係る障害者等の障害の状態からみて,当該障害者等が補装具の購 入,借受け又は修理(以下この条及び次条において「購入等」という。)を必要とする者であると認めるとき(補装具の借受けにあっては,補装具の借受けによることが適当である場合として厚生労働省令で定める場合に限る。)は,当該障害者又は障害児の保護者(以下この条において「補装具費支給対象障害者等」という。)に対し,当該補装具の購入等に要した費用について, 補装具費を支給する。ただし,当該申請に係る障害者等又はその属する世帯の他の世帯員のうち政令で定める者の所得が政令で定める基準以上であるときは,この限りでない。 2項補装具費の額は,一月につき,同一の月に購入等をした補装具について, 補装具の購入等に通常要する費用の額を勘案して厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額(その額が現に当該補装具の購入等に要した費用の額を超えるときは,当該現に補装具の購入等に要した費用の額。以下この項において「基準額」という。)を合計した額から,当該補装具費支給対象障害者等の家計の負担能力その他の事情をしん酌して政令で定める額(当該政令 で定める額が基準額を合計した額の百分の十に相当する額を超えるときは,当該相当する額)を控除して得た額とする。 第3項市町村は,補装具費の支給に当たって必要があると認めるときは,厚生労働省令で定めるところにより,身体障害者更生相談所その他 る額を超えるときは,当該相当する額)を控除して得た額とする。 第3項市町村は,補装具費の支給に当たって必要があると認めるときは,厚生労働省令で定めるところにより,身体障害者更生相談所その他厚生労働省令で 定める機関の意見を聴くことができる。 第2 障害者総合支援法施行規則 1 6条の20法第五条第二十五項に規定する厚生労働省令で定める基準は,次の各号のい ずれにも該当することとする。 一障害者等の身体機能を補完し,又は代替し,かつ,その身体への適合を図るように製作されたものであること。 二障害者等の身体に装着することにより,その日常生活において又は就労若しくは就学のために,同一の製品につき長期間にわたり継続して使用されるものであること。 三医師等による専門的な知識に基づく意見又は診断に基づき使用されることが必要とされるものであること。 2 65条の7(補装具費の支給の申請) 1項 法第七十六条第一項の規定に基づき補装具費の支給を受けようとする障害者又は障害児の保護者は,補装具の購入等(法第七十六条第一項に規定する購入等をいう。以下同じ。)を行おうとするときには,市町村に対し,あらかじめ,第一号から第五号までに掲げる事項を記載した申請書及び第六号から第八号までに掲げる添付書類を提出し,補装具の購入等が完了した後に第九 号及び第十号に掲げる書類を市町村に提出しなければならない。ただし,市町村は,当該添付書類により証明すべき事項を公簿等によって確認することができるときは,当該添付書類を,身体障害者福祉法第十五条第四項の規定に基づき交付を受けた身体障害者手帳によって当該申請に係る障害者等が補装具の購入等を必要とする者であることを確認することができ とができるときは,当該添付書類を,身体障害者福祉法第十五条第四項の規定に基づき交付を受けた身体障害者手帳によって当該申請に係る障害者等が補装具の購入等を必要とする者であることを確認することができるときは,第 六号に掲げる添付書類を,それぞれ省略させることができる。 一当該申請を行う障害者又は障害児の保護者の氏名,居住地,生年月日,個人番号及び連絡先二当該申請に係る障害者等が障害児である場合においては,当該障害児の氏名,生年月日,個人番号及び当該障害児の保護者との続柄 三当該申請に係る補装具の種目,名称,製造事業者名及び販売事業者名,貸付け事業者名又は修理事業者名四身体障害者福祉法第十五条第四項の規定に基づき交付を受けた身体障害者手帳を所持している当該申請に係る障害者等にあっては,その番号五当該申請に係る障害者等又はその属する世帯の他の世帯員のうち令第四 十三条の二第一項に規定する者の所得が同条第二項の基準未満であることその他所得の状況に関する事項六医師の意見書又は診断書七第五号の事項を証する書類その他負担上限月額の算定のために必要な事項に関する書類 八当該申請に係る補装具の購入等に要する費用の見積り九当該申請に係る補装具の購入等に要した費用に係る領収証十当該申請に係る補装具の購入等の完了後の当該申請に係る障害者等の身体への適合の状態を確認できる書類等2項 前項の規定にかかわらず,やむを得ない事情がある場合には,補装具の購入等が完了した後に,同項第一号から第五号までに掲げる事項を記載した申請書並びに同項第六号及び第七号に掲げる添付書類を提出することができる。 3 65条の8(身体障害者更生相談所等の意見聴取等) ,同項第一号から第五号までに掲げる事項を記載した申請書並びに同項第六号及び第七号に掲げる添付書類を提出することができる。 3 65条の8(身体障害者更生相談所等の意見聴取等) 1項市町村は,補装具費の支給に当たって必要があると認めるときは,身体障害者福祉法第九条第七項に規定する身体障害者更生相談所及び次条に定める機関(次項において「身体障害者更生相談所等」という。)の意見を聴くこと ができる。 2項身体障害者更生相談所等は,補装具費の支給に係る補装具に関し,当該支給に係る障害者等の身体に適合したものとなるよう,当該補装具の販売事業者,貸付け事業者又は修理事業者に対し,必要な助言及び指導を行うことができる。 4 65条の9(法第76条第3項に規定する厚生労働省令で定める機関)法第七十六条第三項に規定する厚生労働省令で定める機関は,指定自立支援医療機関(精神通院医療に係るものを除く。)及び保健所とする。 第3 平成18年9月29日付け厚生労働省告示第528号「補装具の種目,購入又は修理に要する費用の額の算定等に関する基準」(以下「厚労省基準」という。)(乙1) 1 1項障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成十七年 法律第百二十三号。以下「法」という。)第五条第二十三項に規定する厚生労働大臣が定める補装具の種目は,義肢,装具,座位保持装置,盲人安全つえ,義眼,眼鏡,補聴器,車椅子,電動車椅子,座位保持椅子,起立保持具,歩行器,頭部保持具,排便補助具,歩行補助つえ及び重度障害者用意思伝達装置とし,次項から第五項までに定める基準以外の基準については,別表のとおりと する。ただし,障害の現症,生活環境等を特に考慮し 器,頭部保持具,排便補助具,歩行補助つえ及び重度障害者用意思伝達装置とし,次項から第五項までに定める基準以外の基準については,別表のとおりと する。ただし,障害の現症,生活環境等を特に考慮して市町村が費用を支給する補装具については,別表の規定にかかわらず,法第七十六条第三項の規定による身体障害者更生相談所その他厚生労働省令で定める機関の意見に基づき当該市町村が定めるものとする。 2 2項 前項ただし書の補装具は,同項前段に掲げる補装具の種目に該当し,かつ,別表の規定によらないものとする。 3 3項法第七十六条第二項の規定に基づき厚生労働大臣が定める補装具の購入又は修理に係る費用の額の基準は,別表の規定による価格の百分の百四・八に相当 する額とする。ただし,第一項ただし書の補装具については,市町村が定める額とする。 4 4項次の各号に掲げる購入又は交換に係る費用の額の基準は,前項の規定にかかわらず,別表の規定による価格の百分の百八に相当する額とする。 一から七省略八別表の2の(5)の電動車椅子の項中枕(オーダー)交換,バッテリー交換(マイコン内蔵型に係るものを含む。),外部充電器交換,オイル又はグリス交換,ステッキホルダー(杖たて)交換,栄養パック取り付け用ガートル架交換,点滴ポール交換,延長式スイッチ交換,レバーノブ各種形状(小ノ ブ,球ノブ,こけしノブ)交換,レバーノブ各種形状(Uノブ,十字ノブ,ペンノブ,太長ノブ,T字ノブ,極小ノブ)交換,日よけ(雨よけ)部品交換,リフレクタ(反射器―夜光反射板)交換及びテーブル交換九,十省略 別表は別紙厚労省基準別表のとおり(関係部分のみ抜粋) 第4 平成18年9月29日付け障発第0929006 換,リフレクタ(反射器―夜光反射板)交換及びテーブル交換九,十省略 別表は別紙厚労省基準別表のとおり(関係部分のみ抜粋) 第4 平成18年9月29日付け障発第0929006号厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知「補装具費支給事務取扱指針について」(以下「厚労省指針」という。)(甲10の1,2) 第2 具体的事項 1 補装具の種目,購入又は修理に要する費用の額の算定等に関する基準の運用について 略特例補装具費の支給について 身体障害者・児の障害の現症,生活環境その他真にやむを得ない事情により,告示に定められた補装具の種目に該当するものであって,別表に定める名称,型式,基本構造等によることができない補装具(以下「特例補装具」という。)の購入又は修理に要する費用を支給する必要が生じた場合の取扱いは次のとおりとすること。 ア特例補装具費の支給の必要性及び当該補装具の購入又は修理に要する費用の額等については,更生相談所又は指定自立支援医療機関若しくは保健所(以下「更生相談所等」という。)の判定又は意見に基づき市町村が決定するものとする。 イなお,身体障害児に係る特例補装具費の支給に当たっては,市町村は必 要に応じ,補装具の構造,機能等に関する技術的助言を更生相談所に求めるものとする。 略 2 補装具費支給に係る事務処理について支給の申請及び判定 ① 身体障害者の補装具費支給ア申請の受付市町村は,身体障害者から障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律施行規則(平成18年厚生労働省令第19号。)第65条の7に基づき,本事務取扱指針の別添様式例(以下「様式例」とい う。)第1 日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律施行規則(平成18年厚生労働省令第19号。)第65条の7に基づき,本事務取扱指針の別添様式例(以下「様式例」とい う。)第1号の補装具費支給申請書の提出を受け,補装具費の支給に係る申請を受付けた場合には,様式例第2号の調査書を作成すること。 イ更生相談所による判定当該申請が,義肢,装具,座位保持装置,補聴器,車椅子(オーダーメイド),電動車椅子及び重度障害者用意思伝達装置の新規支給に係るものであ るときには,更生相談所に対し,補装具費支給の要否について,様式例第3号の判定依頼書による判定依頼をするとともに,様式例第4号の判定通知書を身体障害者に送付すること。 判定依頼を受けた更生相談所は,申請があった身体障害者について,義肢,装具,座位保持装置及び電動車椅子に係る申請の場合は,申請 者の来所により,補聴器,車椅子(オーダーメイド)及び重度障害者用意思伝達装置に係る申請で,補装具費支給申請書等により判定できる場合は,当該申請書等により,医学的判定を行い,身体障害者福祉法施行規則(昭和25年厚生省令第15 号。)別表第1号(別添様式1)の判定書により,判定結果を市町村に送付する。この場合,判定書には様式例第5号の補装具処方箋を添付することができる。 これらの種目については,再支給(軽微なものを除く。)に際しても,障害状況等に変化のある場合,身体障害者本人が処方内容の変更を希望する 場合,又は,それまで使用していた補装具から性能等が変更されている場合等は,同様の判定を行うこと。 なお,補装具のうち,別表の「種目」欄に掲げる補装具の対象者は,原則として,同表の「対象者」欄に掲げる者とする。(身体障害児についても同様の取り扱い 更されている場合等は,同様の判定を行うこと。 なお,補装具のうち,別表の「種目」欄に掲げる補装具の対象者は,原則として,同表の「対象者」欄に掲げる者とする。(身体障害児についても同様の取り扱いとする。) ウ更生相談所は,新規申請者に係る判定を行うときは,できる限り切断その他の医療措置を行った医師と緊密な連絡を取り判定に慎重を期すること。 エ更生相談所の長は,補装具費の支給判定を行うに当たって,更生相談所に専任の医師又は適切な検査設備の置かれていないときは,身体障害者福 祉法第15条第1項に基づく指定医又は指定自立支援医療機関において当該医療を主として担当する医師であって,所属医学会において認定されている専門医(平成19年厚生労働省告示第108号第1条で定める項目を満たすものとして,厚生労働大臣に届け出を行った団体に所属し,当該団体から医師の専門性に関する認定を受けた医師)に医学的判定を委嘱するこ と。 オ市町村による決定当該申請が,義眼,眼鏡(矯正眼鏡,遮光眼鏡,コンタクトレンズ,弱視眼鏡),車椅子(レディメイド),歩行器,盲人安全つえ及び歩行補助つえ(一本つえを除く)に係るものであって,補装具費支給申請書等により判断 できる場合は,更生相談所の判定を要せず,市町村が決定して差し支えないこと。 なお,身体障害者福祉法第15条第4項の規定に基づき交付を受けた身体障害者手帳によって当該申請に係る身体障害者が補装具の購入又は修理を必要とする者であることを確認することができるときは,補装具費支給 意見書を省略させることができること。 以下略以上 支給 意見書を省略させることができること。

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