○ 主文原告らの請求をいずれも棄却する。訴訟費用は原告らの負担とする。○ 事実(当事者が求めた裁判)一原告ら被告らは茨城町に対し、各金三三萬三、〇二六円およびこれに対する昭和四五年一月二八日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。訴訟費用は被告らの負担とする。との判決および仮執行の宣言。二被告ら主文同旨。(当事者が主張した事実)第一請求の原因一原告らは、地方公共団体たる茨城県東茨城郡茨城町の住民であり、被告Aは茨城町々長である。二茨城町は、同町役場車庫の建設工事を、昭和四三年一二月一日に起工し、翌四四年一月二〇日に竣工したが、被告らは右車庫建設工事について、次のような違法行為をしで、茨城町に損害を蒙らせた。三本件車庫建設工事費については、茨城町が直営工事をすることを前提として、予算案が編成され、この予算は昭和四三年一二月一九日に同町議会の議決を経た。そこで、茨城町は本件車庫鉄骨工事を実施するため、被告会社との間に鉄骨の購入と現場組立を含む鉄骨加工に関する契約を締結した。被告会社は右契約にもとづいて、茨城町の指示にしたがい鉄骨を加工し一部を現場で組立てたうえ、右工事に鉄骨(軽量鋼材C型およびPL)七、九二〇キログラムを使用したものとして、茨城町に対し金七〇萬六、一四〇円を請求し、同町は被告会社に対し、昭和四三年一一月末頃、内金三〇萬円を支払い、同年一二月二五日には右請求金額の支払を了した。ところが、本件車庫の鉄骨工事に実際に使用された鋼材は四、二二九キログラムにすぎなかつたものである。被告会社は前記予算が右工事に鉄骨七、〇〇〇キログラム以上を必要とする計算のもとに編成されたものであることを奇貨として、茨城町に対し本件車庫鉄骨工事費を前記のように水増して請求し、一方被告Aは、被告会社の右請求が水 算が右工事に鉄骨七、〇〇〇キログラム以上を必要とする計算のもとに編成されたものであることを奇貨として、茨城町に対し本件車庫鉄骨工事費を前記のように水増して請求し、一方被告Aは、被告会社の右請求が水増された過大請求であることを知りながら、被告会社と通謀のうえ、同町収入役に対して請求金額の支出を命じて支払わしめ、茨城町に対し、後記の損害を与えた。 うに水増して請求し、一方被告Aは、被告会社の右請求が水 算が右工事に鉄骨七、〇〇〇キログラム以上を必要とする計算のもとに編成されたものであることを奇貨として、茨城町に対し本件車庫鉄骨工事費を前記のように水増して請求し、一方被告Aは、被告会社の右請求が水増された過大請求であることを知りながら、被告会社と通謀のうえ、同町収入役に対して請求金額の支出を命じて支払わしめ、茨城町に対し、後記の損害を与えた。四仮に、本件車庫鉄骨工事が茨城町の直営工事として施工されたものでなく、被告ら主張のように、同町の注文によつて被告会社が請負工事として施行したものであり、したがつて同町が支出した前記金七〇萬六、一四〇円が請負代金として授受されたものであるとしても、この請負契約の締結および公金支出は、次の理由により違法である。(一) 地方自治法は、普通地方公共団体の支出の原因となるべき契約その他の行為(支出負担行為)は、予算の定めるところに従つてしなければならない旨を定めている。ところが、茨城町議会において本件車庫建設のための予算が成立したのは、昭和四三年一二月一九日であつて、この予算がまだ成立していないのに、茨城町の車庫建設担当者は被告会社との間に本件車庫鉄骨工事の請負契約を締結し、被告Aはこれを承認し、一部請負代金三〇萬円を支払つたものであり、右請負契約の締結は右規定に反する違法なものである。(二) 請負契約の手続において、法に定められた要件を充たしていないので、請負契約の締結は違法である。1 地方自治法第二三四条第二項によれば、地方公共団体における請負その他の契約は、原則として、一般競争入札によるべきものとされ、随意契約は同法施行令第一六条の二に定められた場合に限りこれによることができるものであるところ、茨城町と被告会社間の前記請負契約は、右条項のいずれにも該当する要件がないのに、一般競争入札によらず 、随意契約は同法施行令第一六条の二に定められた場合に限りこれによることができるものであるところ、茨城町と被告会社間の前記請負契約は、右条項のいずれにも該当する要件がないのに、一般競争入札によらずに随意契約が締結されたものである。2 茨城町財務規則は、その第九六条、第一〇〇条において、随意契約を締結する場合には契約書案その他見積りに必要な事項を示して、二人以上の者から見積書を徴するものとし、見積書を徴しないときには、見積書に代え、契約の相手方から明細書、価格表示の書類等を徴しなければならないものとし、更に、契約書を作成すべきものとしている。 れにも該当する要件がないのに、一般競争入札によらずに随意契約が締結されたものである。2 茨城町財務規則は、その第九六条、第一〇〇条において、随意契約を締結する場合には契約書案その他見積りに必要な事項を示して、二人以上の者から見積書を徴するものとし、見積書を徴しないときには、見積書に代え、契約の相手方から明細書、価格表示の書類等を徴しなければならないものとし、更に、契約書を作成すべきものとしている。しかるに、本件車庫鉄骨工事の請負契約については見積書も徴せず、これに代るべき明細書、価格表示の書類等も徴しておらず、又、これに代る請書なども作成されていないから、右請負契約は違法に締結されたものである。被告会社はこれら(一)(二)の事実を知りながら、請負契約にもとづく代金を請求し、被告Aはその支払として前記金七〇萬六、一四〇円の支出を命じて公金を支出せしめ、よつて茨城町に対し次の損害を与えたものであり、被告らに共同して不法行為をしたものとして、その賠償の責に任ずべきである。五被告らは違法に茨城町の公金七〇萬六、一四〇円を授受したのであるが、本件車庫建設工事は同町の直営工事で施工すべきものであり、直営工事で施工したとすれば本件工事には金三六萬一、〇一四円を要するにとゞまるものであるから、茨城町が支払つた金額と右直営工事に要する費用との差額が、茨城町が被告らの違法行為によつて蒙つた損害である。右直営工事の場合に要する費用の内訳は次のとおりである。イ軽量型鋼四、二二九キログラム金一七萬三、三八九円ロ右加工費金一九萬〇、三〇五円ハスチールサツシ二個金一萬〇、 場合に要する費用の内訳は次のとおりである。イ軽量型鋼四、二二九キログラム金一七萬三、三八九円ロ右加工費金一九萬〇、三〇五円ハスチールサツシ二個金一萬〇、二二〇円右加工賃には現場組立代も含まれているところ、被告会社が現場組立をしなかつたので、茨城町は組立のため、ブルトーザ使用料金三、〇〇〇円、人夫賃金六、六〇〇円、建設課工手使用分金三、三〇〇円の合計金一萬二、九〇〇円を支出したから、直営工事に要する費用は前記金三七萬三、九一四円から右金一萬二、九〇〇円を差引いた金三六萬一、〇一四円である。したがつて茨城町の蒙つた損害は、茨城町が支出した金七〇萬六、一四〇円から右金三六萬一、〇一四円を差引いた金三四萬五、一二六円であるところ、被告会社は後に茨城町に対し金一萬二、一〇〇円を返納したので、これを右金額から差引いた金三三萬三、〇二六円が茨城町の蒙つている損害である。 円を支出したから、直営工事に要する費用は前記金三七萬三、九一四円から右金一萬二、九〇〇円を差引いた金三六萬一、〇一四円である。したがつて茨城町の蒙つた損害は、茨城町が支出した金七〇萬六、一四〇円から右金三六萬一、〇一四円を差引いた金三四萬五、一二六円であるところ、被告会社は後に茨城町に対し金一萬二、一〇〇円を返納したので、これを右金額から差引いた金三三萬三、〇二六円が茨城町の蒙つている損害である。六被告Aの違法行為について原告らは地方自治法第二四二条一項の措置請求をしたところ、茨城町監査委員は、昭和四四年一一月二九日、被告Aに対して金四八萬四、〇七六円の返還措置を構ずることを骨子とする勧告を行つたが、被告Aは金九萬七、一〇〇円の返還措置をとつたのみで、主要な勧告を拒否した。よつて原告らは、茨城町に代位して被告らに対し、茨城町が蒙つた前記損害とこれに対する訴状送達の日の翌日たる昭和四五年一月二八日以降支払ずみまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。第二請求原因に対する答弁一請求原因第一項の事実は認める。二同第二項の事実中、車庫建設工事を行つたことは認めるが、その起工は昭和四三年一一月二四日頃であり、竣工は翌四四年二月九日頃である。三請求原因第三項の事実中、車庫建設のため予算が昭和四三年一二月一九日に茨 の事実中、車庫建設工事を行つたことは認めるが、その起工は昭和四三年一一月二四日頃であり、竣工は翌四四年二月九日頃である。三請求原因第三項の事実中、車庫建設のため予算が昭和四三年一二月一九日に茨城町議会により議決されたこと、被告会社が鉄骨工事を施工し、茨城町に対して金七〇萬六、一四〇円の支払を請求し、被告Aが右金員の支出を命令して、茨城町がこれを被告会社に支払つたことは認めるが、その余の事実は否認する。本件車庫建設工事は予算上茨城町の直営工事の形式になつてはいたが、全部直営ではなく、本件工事のうち鋼材の加工、切断、熔接、組立など鉄骨工事については、いずれも技術者と機械設備を必要とするところ、同町にはこれらの技術者も機械設備もないので、この工事部分を同町が直営で施工することはできないので、同町の建設担当者は、同町で行なわれていた慣例にしたがい、昭和四三年一一月三〇日、車庫工事中の鋼材購入、加工、切断、熔接、取付、組立の作業を坪当り金二萬円(工事面積を三五・四〇坪として)で施工せしめる請負契約を被告会社との間に締結し、被告Aは同年一二月二五日これを承認し、この請負代金として金七〇萬六、一四〇円の授受が行われたものである。 ないので、この工事部分を同町が直営で施工することはできないので、同町の建設担当者は、同町で行なわれていた慣例にしたがい、昭和四三年一一月三〇日、車庫工事中の鋼材購入、加工、切断、熔接、取付、組立の作業を坪当り金二萬円(工事面積を三五・四〇坪として)で施工せしめる請負契約を被告会社との間に締結し、被告Aは同年一二月二五日これを承認し、この請負代金として金七〇萬六、一四〇円の授受が行われたものである。又、本件鉄骨工事の相当な請負代金額は、被告会社が支払を受けた請負金額を超えるものであつて、被告会社はむしろ安価に請負い施工したものである。四請求原因第四項(一)の事実中、請負契約締結当時には予算が成立していなかつたことは認めるが、右契約による支出についての予算が、昭和四三年一二月一九日に成立したのであるから、これによつて瑕疵は治癒された。右予算においては、車庫建設のための支出について、予算の款、項、目、節のうちの節に直営工事であることが摘示されており、請負による工事であることは表示されていないけれども、町議会による予 治癒された。右予算においては、車庫建設のための支出について、予算の款、項、目、節のうちの節に直営工事であることが摘示されており、請負による工事であることは表示されていないけれども、町議会による予算の議決は款および項についてなさるものであつて、目および節についてなされるものではないから、目および節に関する事項についての齟齬をもつて違法とするに足りない。又、茨城町財務規則第一六条は、各課長は已むを得ない理由により予算を流用しようとするときは、財政主管課長を経て町長の決裁を受け、これを収入役に通知することを定めており、この手続は予算成立後その趣旨に反しない限度においてその内容を変更する場合もこれに準じて取扱われている。しかして、本件車庫建設のため直営でできない鉄骨工事の部分について工事請負費に変更することは、予算の目的達成のためやむを得ない措置であるから、予算科目設定の趣旨に反しないものであり、かつ町長である被告Aが被告会社に対する工事請負代金の支払を命じてこれを承認したことにより、予算の内容を一部変更する町長の決裁があつたものというべきであるから違法はない。更に、茨城町においては従来から、直営工事の一部を請負契約によつて施工させ、これを直営工事として取扱うことが慣例であり、本件車庫建設における請負契約もその慣例に従つたものであるから、直営工事としての予算をこのような請負契約のための支出に充てることは違法視さるべきではない。 工事請負代金の支払を命じてこれを承認したことにより、予算の内容を一部変更する町長の決裁があつたものというべきであるから違法はない。更に、茨城町においては従来から、直営工事の一部を請負契約によつて施工させ、これを直営工事として取扱うことが慣例であり、本件車庫建設における請負契約もその慣例に従つたものであるから、直営工事としての予算をこのような請負契約のための支出に充てることは違法視さるべきではない。五請求原因第四項(二)1の事実中、茨城町と被告会社間の請負契約が一般競争入札によらず随意契約によつてなされたことは認める。随意契約が行われるについては地方自治法施行令第一七六条の二第一項2号に該当する要件があつたものである。すなわち、茨城町は昭和四三年一一月に消防自動車一台を購入したが、当初の計画では消防自動車の 。随意契約が行われるについては地方自治法施行令第一七六条の二第一項2号に該当する要件があつたものである。すなわち、茨城町は昭和四三年一一月に消防自動車一台を購入したが、当初の計画では消防自動車の車庫は役場構内から離れたところに建設する予定であつたところ、常設消防の建前から既存の役場構内の建設課車庫を消防車庫とし、建設課の車庫を新たに建設することに計画が変更され、購入した消防車は建設課車庫に格納した。このため同課所管のダンプカーと小型トラツク各一台を屋外に置かざるを得なくなり、従来から屋外にあつたダンプカー二台とともに同課所管の全車両が野晒状態となつた。このため各季に向うとともにエンジンの起動が困難となり作業に支障を生じ、又、車庫建設に必要な鉄材の価格が年末に向うにしたがつて高騰の気配をみせており一刻の猶予も許さない情状にあつたので、被告会社との請負契約によつて工事を進めたものであつて、かかる事情により極めて緊急の必要があつて競争人札に付することができなかつたため随意契約によつたものである。六請求原因第四項(二)2の事実中、本件請負契等について、契約書、見積書、見積書に代わる明細書、価格表示の書類が作成されなかつたことは認める。しかし、茨城町財務規則は契約権者が契約書を作成する必要がないと特に認めるときは、契約書を作成しないことができるものとしており、又、見積書についても契約権者が必要がないと認めたときはこれを徴しないことができるものとしているから、これらの書類が作成されていないからといつて違法というに足りない。 中、本件請負契等について、契約書、見積書、見積書に代わる明細書、価格表示の書類が作成されなかつたことは認める。しかし、茨城町財務規則は契約権者が契約書を作成する必要がないと特に認めるときは、契約書を作成しないことができるものとしており、又、見積書についても契約権者が必要がないと認めたときはこれを徴しないことができるものとしているから、これらの書類が作成されていないからといつて違法というに足りない。たといそれが手続上の瑕疵であるとしても、被告Aが昭和四三年一二月二五日にこの請負契約にもとづく支出を命じ、請負契約を承認したことによつて瑕疵は治癒された。七請求原因第四項末尾の事実中、被告会社が同項(一)(二)の事実を あるとしても、被告Aが昭和四三年一二月二五日にこの請負契約にもとづく支出を命じ、請負契約を承認したことによつて瑕疵は治癒された。七請求原因第四項末尾の事実中、被告会社が同項(一)(二)の事実を知つていたことは否認する。又、被告Aは被告会社との間に請負契約が締結されていることを昭和四三年一二月二五日に請負金支出命令をするまで知らなかつたものである。八請求原因第五項の事実中、茨城町が被告会社に対し金七〇萬六、一四〇円を支払つたこと、被告会社が後に茨城町に対し金一萬二、一〇〇円を返納したことは認め、その余の事実は否認する。茨城町は被告会社による本件車庫鉄骨工事によつて、工事の完成と同時に、少なくとも、その主要構造部分が金七一萬四、〇七二円に相当する価値の車庫を取得したものであるから、損益相殺の理により茨城町の損害は皆無である。九請求原因第六項の事実は認める。(証拠関係)(省略)○ 理由一次の事実はいずれも当事者間に争いない事実である。原告らが地方公共団体である茨城県茨城町の住民であり、被告Aは茨城町々長であること、茨城町は昭和四三年暮に同町役場車庫の建設工事をしたこと、車庫建設のための予算が同年一二月一九日に茨城町議会により議決されたこと、被告会社が車庫建設工事中の鉄骨工事を施工し、茨城町に対して金七〇萬六、一四〇円の支払を請求し、被告Aが右金員の支出を命じて、茨城町がこれを被告会社に支払つたこと、原告らは右車庫建設工事について被告らに違法行為があるとして、地方自治法第二四二条一項の措置請求をなし、茨城町監査委員は昭和四四年一一月二九日、被告Aに対して金員返還措置を講ずることを骨子とする勧告を行つたが、被告Aは一部金員の返還措置をとつたのみで、勧告の主要な部分に応じなかつたこと。 町に対して金七〇萬六、一四〇円の支払を請求し、被告Aが右金員の支出を命じて、茨城町がこれを被告会社に支払つたこと、原告らは右車庫建設工事について被告らに違法行為があるとして、地方自治法第二四二条一項の措置請求をなし、茨城町監査委員は昭和四四年一一月二九日、被告Aに対して金員返還措置を講ずることを骨子とする勧告を行つたが、被告Aは一部金員の返還措置をとつたのみで、勧告の主要な部分に応じなかつたこと。二原告らが主張する被告らの違法行為について 九日、被告Aに対して金員返還措置を講ずることを骨子とする勧告を行つたが、被告Aは一部金員の返還措置をとつたのみで、勧告の主要な部分に応じなかつたこと。二原告らが主張する被告らの違法行為について、まず請求原因第三項の事実を検討する。いずれも真正に成立したことに争いのない甲第四号証の一、二、乙第一ないし五号証、証人B、同C、同D、同E(第一回)、同Fの各証言、被告A本人尋問の結果および鑑定人Gの鑑定の結果によれば、次の事実が認められ、この認定を左右するに足りる証拠はない。1 茨城町は昭和四三年度予算で消防自動車を購入し、この消防車を格納する車庫を新設すべく、昭和四三年九月一七日、同町議会において同町補正予算として、消防費のうち消防車庫建設工事請負費金九八萬円か可決成立した。右消防車は、同年一一月一五日頃同町に到着したが、その頃、当初は消防車庫を新設してこれに格納する予定であつたものが、消防車配備の便宜のため予定を変更し、同町役場構内に既設されていた建設課車両のための車庫を消防車の格納にあてることになつた。そのため建設課のトラツクが車庫外に出され、従来から車庫外に置かれていたものを合せて建設課の全車両五台が野天下に置かれることになり、建設課車両を格納するための車庫を新設する必要を生じた。2 茨城町役場建設課長Cは、昭和四三年一一月中旬、町長である被告Aに右車庫新設の必要を上申し、被告Aは、同月一八日頃の同町役場課長会議にはかつたうえ、建設課長に対して、建設課車両格納のための車庫新設工事を行うよう命じ、これを前記消防車用車庫新設のための予算額九八萬円の金額内で、町役場直営の工事によつて行うことを指示した。これをうけて建設課長は、同課技術吏員Bに対して本件車庫の建築設計を命じ、Bは車両五台を格納する車庫として、建坪を約一〇八平方米(約 九八萬円の金額内で、町役場直営の工事によつて行うことを指示した。 同町役場課長会議にはかつたうえ、建設課長に対して、建設課車両格納のための車庫新設工事を行うよう命じ、これを前記消防車用車庫新設のための予算額九八萬円の金額内で、町役場直営の工事によつて行うことを指示した。これをうけて建設課長は、同課技術吏員Bに対して本件車庫の建築設計を命じ、Bは車両五台を格納する車庫として、建坪を約一〇八平方米(約 九八萬円の金額内で、町役場直営の工事によつて行うことを指示した。これをうけて建設課長は、同課技術吏員Bに対して本件車庫の建築設計を命じ、Bは車両五台を格納する車庫として、建坪を約一〇八平方米(約三五坪)とする鉄骨造り、スレート葺、亜鉛引渡鉄板張り車庫を設計した。Bは右車庫工事費用を、仮設工事金五、〇〇〇円、基礎工事(杭打、基礎鉄筋、コンクリート、敷砂利)金一五萬二、一〇〇円、屋根工事金七萬五、四〇〇円、外壁工事金四萬八、〇〇〇円と概算し、車庫の主要構造部分である鉄骨工事については、その費用を、同町内の土木衛生組合の車庫建築例や鉄骨業者に対する問合せの結果を参酌して、軽量鉄骨一式坪当り金二萬円を要するものとして金七〇萬円(そのほか鉄骨建方費用一萬円)と概算し、総費用金九八萬八、五〇〇円とする工事設計書(乙第一号証)を作成し(工事費用として指示された金九八萬円を超過する分は、施工の段階で融通減額できるものと予定した。)、被告Aは右設計書による工事施工を決裁承認した。3 本件建設工事を担当した前記Bは、車庫の主要構造部分である鉄骨工事については、建設課が直接に施工するのではなく鉄骨業者をして施工せしめようと考え、建設課長の承認のもとに、同年一一月二〇日頃、従来から町役場関係工事を度々依頼したことのある被告有限会社中央工業に赴き、同会社役員Eに対し、B作成の設計図を示して本件車庫工事の鉄骨工事施工を依頼し、接衝の結果同月二三日、被告会社が車庫工事のうち鉄骨工事の部分、即ち鋼材等材料購入、切断、加工、熔接、工事現場への運搬、組立、錆止め塗装およびアルミサツシ購入、取付を坪当り金二萬円の代価で施行することを引受けた。4 建設課は、茨城町<以下略>において、同月二〇日頃本件車庫工事に着手し、建設課の直接施工によつて基礎工事(鉄筋コンクリート土台 ミサツシ購入、取付を坪当り金二萬円の代価で施行することを引受けた。4 建設課は、茨城町<以下略>において、同月二〇日頃本件車庫工事に着手し、建設課の直接施工によつて基礎工事(鉄筋コンクリート土台工事)を完了し、被告会社は同月下旬から同年一二月二八日頃にかけて、前記鉄骨工事を施工完了した。 町<以下略>において、同月二〇日頃本件車庫工事に着手し、建設課の直接施工によつて基礎工事(鉄筋コンクリート土台 ミサツシ購入、取付を坪当り金二萬円の代価で施行することを引受けた。4 建設課は、茨城町<以下略>において、同月二〇日頃本件車庫工事に着手し、建設課の直接施工によつて基礎工事(鉄筋コンクリート土台工事)を完了し、被告会社は同月下旬から同年一二月二八日頃にかけて、前記鉄骨工事を施工完了した。その間、被告会社役員Eは、Bに対し、本件工事の資材購入にあてる費用として金三〇萬円の前払いを求め、これをうけた建設課長は被告Aに対して、工事資材購入のため金三〇萬円を建設課長に支出することを求め、被告Aは同年一一月三〇日、収入役に対して右金員の支出を命じ、同日これを受領した建設課長は右Eに対して工事代金の一部前渡金としてこれを交付した。同年一二月二五日、被告会社は茨城町に対して車庫工事代金七〇萬六一四〇円の支払を請求したが、この請求内訳は、実際には坪当り金二萬円で引受けたものであるのに、工事引受に際して前記BがEに対し、本件工事は茨城町の直営工事として行うことになつているから請求は坪当り金二萬円の形ではいけないこと、および予想される必要鋼材量は約七トンである旨を告げていたため、これと符節を合せて直営工事による場合の請求のような体裁を整えんものと、材料代、軽量鋼材七、九二〇キロ金三二萬四、七二〇円(トン当り金四萬一、〇〇〇円)、その加工賃金三五萬六、四〇〇円(トン当り金四萬五、〇〇〇円)、その他スチールサツシ金一萬〇、二二〇円、ボールトナツト金二、七〇〇円、アンカーB金二、一〇〇円、組立ワエルダー出張金一萬円と記載した請求書を作成提出した。5 被告会社が施工した本件車庫鉄骨工事の面積は一一八・一一二四平方米(三五・七九一坪)あつたものであるが、被告会社はこの面積を三五・四坪と算定していたため、坪当り二萬円の割合によつて工事代金を計算すると金七〇萬八、 した本件車庫鉄骨工事の面積は一一八・一一二四平方米(三五・七九一坪)あつたものであるが、被告会社はこの面積を三五・四坪と算定していたため、坪当り二萬円の割合によつて工事代金を計算すると金七〇萬八、〇〇〇円の支払を請求することができるものと考えられたけれども、請求内訳の計算の都合上、これを減額して金七〇萬六、一四〇円を茨城町に対して請求したものである。 の割合によつて工事代金を計算すると金七〇萬八、 した本件車庫鉄骨工事の面積は一一八・一一二四平方米(三五・七九一坪)あつたものであるが、被告会社はこの面積を三五・四坪と算定していたため、坪当り二萬円の割合によつて工事代金を計算すると金七〇萬八、〇〇〇円の支払を請求することができるものと考えられたけれども、請求内訳の計算の都合上、これを減額して金七〇萬六、一四〇円を茨城町に対して請求したものである。又被告会社が本件工事に使用した軽量型鋼は三、一三三キロ、組立に要した厚鋼板、薄鋼板、丸鋼は一、三七二キロで、使用鋼材総量は計四、五〇五キロであり、請求内訳記載のように七、九二〇キロではなかつたものであるが、被告会社は前記請求内訳を記載するについて、請求総額が金七〇萬八、〇〇〇円に近い額になることを考慮しつつ、使用鋼材が前記Bが予想した約七トン程度となるように配慮し、トン当り価格は取引価格例より多少減額し、トン当り加工賃は当時の被告会社の他の工事例にならつて、これらの金額を記載し、残余をスチールサツシ、ボールトナツト代などと適宜記載したものであつて、請求内訳記載の内容はいずれも実際に使用した資材量、価格等に符合しないものである。更に、被告会社が施工した鉄骨工事(鋼材、スチールサツシ、ボールトナツト等の所要原材料の購入、加工、切断、熔接、窓取付、組立作業)は、当時の適正な請負価格に照らすと金七五萬七、八七二円(坪当り金二萬一、一七五円)に相当する工事であつた。6 茨城町議会は、被告会社による前記支払請求に先立つ昭和四三年一二月一九日、先に消防車用車庫建設のため成立させた補正予算(款、消防費。項、消防費。目、消防施設費。節、工事請負費、金九八萬円)を消除減額し、新たに建設課車庫を茨城町の直営工事によつて建設するための補正予算(款、総務費。項、総務管理費。目、財産管理費。節、賃金八萬円、原材 防費。目、消防施設費。節、工事請負費、金九八萬円)を消除減額し、新たに建設課車庫を茨城町の直営工事によつて建設するための補正予算(款、総務費。項、総務管理費。目、財産管理費。節、賃金八萬円、原材料費九〇萬円合計金九八萬円)を成立させた。被告Aは、同月二六日、本件車庫工事のうち鉄骨工事部分が建設課の直接施工によつてなされたものではなく、被告会社によつて坪当り金二萬円で施工されたものであることを前記Bから説明を受けてこれを知つたが、被告会社の前記請求にもとづいて、同日収入役に対して、右金七〇萬六、一四〇円の支出を命じ、被告会社は、先に支払いを受けていた前渡金三〇萬円を右金額から差引いた金四〇萬六、一四〇円の交付を受け、請求全額七〇萬六、一四〇円の受領を了した。 庫工事のうち鉄骨工事部分が建設課の直接施工によつてなされたものではなく、被告会社によつて坪当り金二萬円で施工されたものであることを前記Bから説明を受けてこれを知つたが、被告会社の前記請求にもとづいて、同日収入役に対して、右金七〇萬六、一四〇円の支出を命じ、被告会社は、先に支払いを受けていた前渡金三〇萬円を右金額から差引いた金四〇萬六、一四〇円の交付を受け、請求全額七〇萬六、一四〇円の受領を了した。三原告らの主張の要旨は、被告会社は本件車庫鉄骨工事について、実際には鋼材を四、二二九キロ使用したにすぎないのに、茨城町に対し、これを七、九二〇キロ使用したものとして水増し請求したというのである。しかし、右認定事実によれば、被告会社と茨城町との間になされた鉄骨工事に関する契約は、約三五坪の面積の鉄骨工事について、その鋼材等材料購入、切断、加工、熔接、工事現場搬入、組立、錆止め塗装およびアルミサツシ購入、取付をすべて被告会社が施行し、その代価を坪当り金二萬円とする内容のものであつたのであるから、これは坪当り金二萬円の鉄骨工事請負契約であつたものというべく、右契約によれば、被告会社は茨城町に対し、工事に使用した鋼材量の多少にかゝわりなく、完成した鉄骨工事一一八・一一二四平方米(三五・七九一坪)分の請負代金として、金七一萬五、八二〇円を請求することができたものである。なお、地方自治法第二三四条二項には、地方公共団体が請負契約を締結する場合の制限規定があり、又、成立に争いない乙第二三号 )分の請負代金として、金七一萬五、八二〇円を請求することができたものである。なお、地方自治法第二三四条二項には、地方公共団体が請負契約を締結する場合の制限規定があり、又、成立に争いない乙第二三号証の一ないし三によれば、随意請負契約を締結する場合の諸手続を定めた茨城町財務規則があることが認められ、本件請負契約が右制限に反し又諸手続を経ていないことは明らかであるけれども、これら諸規定はいずれも地方公共団体の機関が不正な契約を締結することを防かつするために公共団体の機関の行為を規制する団体内部の制限規定、手続規定であつて、これら諸規定に反して請負契約がなされた場合には公共団体の機関の責任が問われることはあつても、特別の事情がないかぎり、この違背をもつて直ちに当該契約の私法上の効力が否定されることはないものというべきである。 手続を経ていないことは明らかであるけれども、これら諸規定はいずれも地方公共団体の機関が不正な契約を締結することを防かつするために公共団体の機関の行為を規制する団体内部の制限規定、手続規定であつて、これら諸規定に反して請負契約がなされた場合には公共団体の機関の責任が問われることはあつても、特別の事情がないかぎり、この違背をもつて直ちに当該契約の私法上の効力が否定されることはないものというべきである。しかして、被告会社が茨城町に提示した請求書の鋼材七、九二〇キロを使用したことを請求金額算出の基礎とした請求内訳の記載は、契約締結を担当した同町技術吏員の示唆によつて、同町役場内の事務処理上の便宜に対応するためになされたものであつて、この請求金額が鋼材用量を算出の基礎にしたものでないことは、同町の契約担当者によつて諒解されていたものであるから、被告会社の請求は契約上請求し得る金額を多少値引きして請求したものというべきであつて、契約と工事内容に反する不当な請求をしたものということはできない。又、前認定事実によれば、被告会社が施行した鉄骨工事部分の当時における適正請負価額は金七五萬七、八七二円に相当するのであるから、被告会社の茨城町に対する請求金額はこれを下廻るものであり、実際の工事量、使用資材量を超える高額の水増し請求がなされたものということもできないのであつて、右いずれの意味においても、被告会社の茨城町に対する請求を違法 対する請求金額はこれを下廻るものであり、実際の工事量、使用資材量を超える高額の水増し請求がなされたものということもできないのであつて、右いずれの意味においても、被告会社の茨城町に対する請求を違法不当とすべき理由はない。四次に、請求原因第四項(一)について検討する。茨城町議会において本件車庫建設工事についての予算が議決成立したのは、昭和四三年一二月一九日であり、茨城町と被告会社との間に本件車庫鉄骨工事の請負契約がなされた昭和四三年一一月二三日当時には、まだ右予算が成立していなかつたことは当事者間に争いがない。そして、地方自治法第二三二条の三には、普通地方公共団体の支出の原因となるべき契約その他の行為(支出負担行為)は、法令又は、予算の定めるところに従い、これをしなければならない旨を定めて、予算の裏付けのない請負契約を締結することを禁止しているのであるから、茨城町と被告会社間の前記請負契約が右規定に反して違法に締結されたものであることは明らかである。 右予算が成立していなかつたことは当事者間に争いがない。そして、地方自治法第二三二条の三には、普通地方公共団体の支出の原因となるべき契約その他の行為(支出負担行為)は、法令又は、予算の定めるところに従い、これをしなければならない旨を定めて、予算の裏付けのない請負契約を締結することを禁止しているのであるから、茨城町と被告会社間の前記請負契約が右規定に反して違法に締結されたものであることは明らかである。これについて被告らは、昭和四三年一二月一九日に成立した予算は、車庫建設について、款を総務費、項を総務管理費、目を財産管理費、節を賃金および原材料費とするもので、その節によつてこの予算が直営工事のためのものであることを示していても、予算の議決はその款および項についてなされるのであつて、目および節についてなされるものではないから、この予算を請負工事のために支出することは議決に反しないので、この補正予算の成立によつて予算成立前の契約締結という瑕疵は治癒されたと主張する。しかしながら、違法な瑕疵が事後の追認的行為によつて治癒されるためには、その違法な行為の内容が事後的に明確に承認されることが必要であつて、議決機関と執行機関とを分離して、議会の意思と承認にもとづいて執行機関に執行せしめようとす の追認的行為によつて治癒されるためには、その違法な行為の内容が事後的に明確に承認されることが必要であつて、議決機関と執行機関とを分離して、議会の意思と承認にもとづいて執行機関に執行せしめようとする地方公共団体の町議会と町長の関係に鑑みると、予算と支出即ち支出負担行為との関係においては瑕疵の治癒については慎重に考えなければならない。本件の場合、町議会の予算の議決が款および項についてなされるものであつて、目および節についてなされるものでないことは一般論としては首肯できる。又、当該補正予算は、節において賃金および原材料費であることを摘示して、それが直営工事のための予算であることが説明されているものであることは前認定のとおりである。したがつて、右予算の款および項は、目および節の摘示によつて初めてその支出目的が明らかになるものであつて、その意味で町議会は直営工事による車庫建設を目的として予算を議決したものであることは明らかである。又、茨城町が請負契約をするためには地方自治法第二三四条二項による一般人札の原則があつて、例外的に特定の要件のある場合にだけ随意契約が認められるので、前出乙第二三号証の一ないし三によれば、茨城町財務規則は随意契約をする場合の見積書の徴収、契約締結についての契約書作成などの手続を要求しており、請負契約によつて工事を行う場合には厳正な要件が要求されているのであつて、直営工事のための支出と請負工事のための支出には重大な要件的手続的相違があるのであるから、事後的承認に明確性の要求される本件のような場合に、直営工事のための予算が事後に成立したからといつて、予算成立前になされた請負契約の締結についての瑕疵が治癒されたとは、到底いうことができない。 締結についての契約書作成などの手続を要求しており、請負契約によつて工事を行う場合には厳正な要件が要求されているのであつて、直営工事のための支出と請負工事のための支出には重大な要件的手続的相違があるのであるから、事後的承認に明確性の要求される本件のような場合に、直営工事のための予算が事後に成立したからといつて、予算成立前になされた請負契約の締結についての瑕疵が治癒されたとは、到底いうことができない。又、被告らは茨城町財務規則第一六条に定める予算の流用を認める規定に準じ、直営ででき 立したからといつて、予算成立前になされた請負契約の締結についての瑕疵が治癒されたとは、到底いうことができない。又、被告らは茨城町財務規則第一六条に定める予算の流用を認める規定に準じ、直営でできない鉄骨工事の部分のために直営工事費を請負工事費に変更して支出することは、予算科目設定の趣旨に反しない旨主張する。しかし、同条が定めるいわゆる予算の流用は、予算に設けられている予算項目相互の間において、その金額を流用することをいうものであつて、予算項目として設けられていない請負工事のために、予算で設けられている直営工事のための費用を流用支出することを許容するものではなく、もしかかる流用が執行機関によつて行われることが許容されるとすれば、町議会の議決する予算による執行機関に対する拘束は著るしく損われることになり、町議会による予算制度の趣旨に反することになるから、予算流用の規定に準じてこれを許容することは到底認められず、被告らのこの主張は採用のかぎりでない。更に、被告らは茨城町においては直営工事の一部を請負契約によつて施工させることが慣例となつていたから、直営工事のための予算を本件鉄骨工事請負契約のために支出することは違法でないと主張するが、全証拠によるもそのようなことが慣例になつていたことを認めるに足りず、又、たといそれが同町の慣例となつていたとしても、違法性が阻却されるためにはこれに対する町議会の承認が不可缺であるところ、このような町議会の承認が行われていたことの主張も立証もないから、被告らのこの主張は採用するに足りない。以上のとおりであるから、茨城町が被告会社との間に締結した鉄骨工事請負契約は予算にもとづかないでなされたものとして、その余の判断をするまでもなく違法たるを免れない。五被告Aの責任について考えるに、先に認定したように、被告 ても、違法性が阻却されるためにはこれに対する町議会の承認が不可缺であるところ、このような町議会の承認が行われていたことの主張も立証もないから、被告らのこの主張は採用するに足りない。以上のとおりであるから、茨城町が被告会社との間に締結した鉄骨工事請負契約は予算にもとづかないでなされたものとして、その余の判断をするまでもなく違法たるを免れない。五被告Aの責任について考えるに、先に認定したように、被告 城町が被告会社との間に締結した鉄骨工事請負契約は予算にもとづかないでなされたものとして、その余の判断をするまでもなく違法たるを免れない。五被告Aの責任について考えるに、先に認定したように、被告Aは建設課長Cに対して、直営工事によつて車庫を建設するように命じたものであり、茨城町と被告会社間に鉄骨工事請負契約がなされ、これによつて車庫工事が施工されたことを関知しなかつたが、昭和四三年一二月二六日に、被告会社の請求によつて工事請負代金を支払うに際して、右契約締結担当者である技術吏員Bから被告会社が請負によつて鉄骨工事を行つた旨の説明をきいて、右事実を知つたものである。被告Aはこれによつて、請負契約が予算の裏付けのないものであることを了知したのに、敢て、違法な請負契約にもとづく請負代金請求に応じて、収入役に対して金七〇萬六、一四〇円の支出を命じ、収入役をしてこれを支払わしめたのであるから、被告Aが右支出を命じた行為は違法であるというべく、同被告はこれによつて茨城町が蒙つた損害を賠償する義務あるものといわねばならない。被告会社の責任については、被告会社代表者の代理人である前記Eが請負契約を締結するに際して、予算が成立していない違法な契約であることを知つて契約し、かつ支払請求をしたかどうかについて考えてみると、前認定のように、同人が本件車庫工事が直営で施工することになつていることについては、Bから説明を受けて知つていたことが認められるが、予算と契約との関係についてまで了知していたことを認めるに足る証拠はなく、又、地方公共団体と請負契約を結ぶ者が、契約をするにあたつて、当該契約について公共団体の予算が成立しているか否かを確認する義務があるとはいえないから、被告会社に不法行為が成立する余地はない。六次に、被告Aの違法行為によつて茨城町が蒙つた をするにあたつて、当該契約について公共団体の予算が成立しているか否かを確認する義務があるとはいえないから、被告会社に不法行為が成立する余地はない。 に足る証拠はなく、又、地方公共団体と請負契約を結ぶ者が、契約をするにあたつて、当該契約について公共団体の予算が成立しているか否かを確認する義務があるとはいえないから、被告会社に不法行為が成立する余地はない。六次に、被告Aの違法行為によつて茨城町が蒙つた をするにあたつて、当該契約について公共団体の予算が成立しているか否かを確認する義務があるとはいえないから、被告会社に不法行為が成立する余地はない。六次に、被告Aの違法行為によつて茨城町が蒙つた損害について検討する。前認定のように、被告Aの支出命令によつて、違法な請負契約にもとづく請負代金七〇萬六、一四〇円を茨城町が被告会社に支払つたのであるから、茨城町は一応この支出金額と同額の損害を蒙つたものということができる。しかし、前出各証拠によれば、茨城町は被告会社の施工による鉄骨工事を含めて完成した本件車庫の所有権を取得したことが認められるので、茨城町は被告Aの違法行為によつて被告会社施工の鉄骨工事による建物部分を取得し利益を得たものと考えられるから、損益相殺の理によつて、前記支出金同額の損害から右鉄骨工事部分を取得したことによる利益を減じたものが、茨城町の蒙つた損害であるものというべきである。しかして、右鉄骨工事部分を取得したことによる利益は、その鉄骨工事部分の価値によるべきところ、その価値は当該鉄骨工事の工事費ないしは建築費によつて評価算定すべきであると考えられ、鑑定人Gの鑑定の結果によれば、これは金七五萬七、八七二円と認められ、この認定を覆えすに足りる証拠はない。そうであるとすれば、茨城町は本件車庫鉄骨工事部分を取得したことによつて、請負代金として支出した金七〇萬六、一四〇円を超える利益を得たものということができるから、結局被告Aの違法行為によつて茨城町の蒙つた損害は存在しないことに帰する。原告らは、茨城町の蒙つた損害は、茨城町が被告会社に対して支出した金額から、本件鉄骨工事部分を茨城町が直営によつて施工した場合の工事費を減じたその差額であると主張しているけれども、本件車庫建設工事は、その工事当時、この建設工事に対する予算は全く成 対して支出した金額から、本件鉄骨工事部分を茨城町が直営によつて施工した場合の工事費を減じたその差額であると主張しているけれども、本件車庫建設工事は、その工事当時、この建設工事に対する予算は全く成立しておらず、請負工事によつてすることは勿論のこと、直営工事によつてすることも許されないものであつたばかりでなく、そもそも茨城町建設課において右の鉄骨工事を直営工事として完成すること自体、同課の人的、物的条件等にかんがみるときは社会通念に照し不能というほかないことは、甲第二四ないし第三二号証(写真)証人E、Hの各証言(いずれも第二回)と弁論の全趣旨を総合して認めうるところであるから、請負契約に基づき茨城町が引渡を受けた本件鉄骨工事部分の価格を算定するに当り、直営で実施した場合の工事費に拠ることは正鵠を得ていないことは明らかであろう。 いて右の鉄骨工事を直営工事として完成すること自体、同課の人的、物的条件等にかんがみるときは社会通念に照し不能というほかないことは、甲第二四ないし第三二号証(写真)証人E、Hの各証言(いずれも第二回)と弁論の全趣旨を総合して認めうるところであるから、請負契約に基づき茨城町が引渡を受けた本件鉄骨工事部分の価格を算定するに当り、直営で実施した場合の工事費に拠ることは正鵠を得ていないことは明らかであろう。翻つて、前述のように、茨城町が支出した金額から同町が得た鉄骨工事部分の価値を差引いたものをもつて損害を算定するものとすれば、地方公共団体が違法な行為によつて財物を取得した場合には、結果的にその財物の価値が対価としての支出に相応するものであるかぎりは、その違法行為をとらえた住民訴訟によつて救済することは殆んど望めないことになる。しかし、地方自治法第二四二条の二に定める住民訴訟にあつては、その一項各号において違法な行為の態様とそれにより生ずる結果に応じて、多様な救済方法を予定しているのであるところ、同項第四号の損害賠償請求の態様による救済は、もつぱら地方公共団体が蒙る財産上の損害の補填を目的とするものであるから、違法行為の存在が明白であつても、結果的に客観的な財産上の損害を生じていない限りはこの態様による救済は得られないことになるのであるが、損害についての前述の考え方がこのような結論をもたらすからといつて、一斑をもつ が明白であつても、結果的に客観的な財産上の損害を生じていない限りはこの態様による救済は得られないことになるのであるが、損害についての前述の考え方がこのような結論をもたらすからといつて、一斑をもつて全貌を論じ住民訴訟による違法行為追及の途を閉ざすことになるということにはならない。七以上のとおりであるから、原告らの被告らに対する請求はいずれも理由がないものとして棄却すべく、訴訟費用の負担について民事訴訟法第八九条第九三条を適用して、主文のとおり判決する。(裁判官石崎政男長久保武田中昌弘)
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