令和5(わ)1522 詐欺幇助、詐欺、所得税法違反

裁判年月日・裁判所
令和6年4月22日 名古屋地方裁判所
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判決文本文9,722 文字)

- 1 -主 文 被告人を懲役9年及び罰金800万円に処する。 未決勾留日数中150日をその懲役刑に算入する。 その罰金を完納することができないときは、4万円を1日に換算した期間、被告人を労役場に留置する。 理 由 (罪となるべき事実)被告人は、第1 【令和5年9月13日付け起訴状記載の公訴事実】Aが「B」の偽名を用いてインターネットを通じて知り合ったC及びDがAに好意を寄せていることに乗じて、前記C及び前記Dから現金をだまし取ろうと考え、単独で、又はEと共謀の上、別表1記載のとおり(以下では別表は全て省略)、令和5年3月21日から同年5月11日までの間に、真実は、同別表「欺罔内容」欄各記載の事実はいずれもないのに、これらがあるように装い、Aの携帯電話機のメッセージ機能及び通話機能を利用して、前記C及び前記Dに対し、同欄各記載の事実がいずれも存在している旨の嘘を言い、同人らをその旨誤信させ、現金合計1065万円を振込入金させるなどして、もって人を欺いて財物を交付させた際、前記各犯行に使用されることを知りながら、インターネット上で、男性を籠絡して自己に好意を抱かせた後に同男性に対して家賃の支払を滞納しているなど自分が経済的苦境に陥っている旨の種々の嘘を告げて同男性から現金をだまし取る方法などを記載した「1ヶ月1000万頂くFの【みんなを稼がせるマニュアル】」と題する文書データ及び「Gの参考書」と題する文書データを出品して購入者を募り、その購入を申し込んできたAに対し、令和4年6月7日頃、東京都内又はその周辺において、前記各文書データを合計2万8000円で販売した上、令和5年2月2日、東京都内又はその周辺において、 入者を募り、その購入を申し込んできたAに対し、令和4年6月7日頃、東京都内又はその周辺において、前記各文書データを合計2万8000円で販売した上、令和5年2月2日、東京都内又はその周辺において、Aに対し、インターネット上の通信機能を使用して、男性の籠絡方法について助言をし、もってAの詐欺の犯行を容易にして幇助し、 - 2 -第2 【令和5年10月11日付け起訴状記載の各公訴事実】インターネットを通じて知り合ったH(当時50歳)が自己に好意を寄せていることに乗じて、前記Hから現金をだまし取ろうと考え、 1 同年4月26日から同月27日までの間、東京都内又はその周辺において、真実は、被告人が親と縁を切るために手切金として800万円を支払わなければならない事実はないのに、これがあるように装い、被告人の所有する携帯電話機を使用し、アプリケーションソフト「LINE」のメッセージ機能及び通話機能を利用して、前記Hに対し、被告人は、親と不仲であり、親と縁を切りたいが、そのためには、これまでに親が負担した養育費800万円を手切金として返さなければならない旨嘘を言い、前記Hにその旨誤信させ、よって、同日、同人に、茨城県つくば市(住所省略)所在のa銀行b支店からc銀行d支店に開設された被告人名義の普通預金口座に現金200万円を振込入金させ、さらに、同年5月1日、東京都渋谷区(住所省略)c銀行e支店敷地内において、前記Hと面会し、同人から現金600万円の交付を受け、もって人を欺いて財物を交付させ、 2 同月11日から同月22日までの間、東京都内又はその周辺において、真実は、被告人が池田なる人物から借金をしている事実も前記Hと同居するつもりもないのに、これらがあるように装い、前記携帯電話機を使用し、アプリケーションソフト「LINE」のメ 又はその周辺において、真実は、被告人が池田なる人物から借金をしている事実も前記Hと同居するつもりもないのに、これらがあるように装い、前記携帯電話機を使用し、アプリケーションソフト「LINE」のメッセージ機能及び通話機能を利用して、同人に対し、被告人は池田なる人物に2714万円の借金があり、同借金を返済すれば前記Hと同居することができる旨嘘を言い、前記Hにその旨誤信させ、よって、同日、同人に、同県土浦市(住所省略)所在のf組合g支店から前記被告人名義の普通預金口座に現金2680万円を振込入金させ、さらに、同月23日、同市(住所省略)所在のa銀行h支店から前記被告人名義の普通預金口座に現金36万円を振込入金させ、もって人を欺いて財物を交付させ、 3 同月15日から同月16日までの間、東京都内又はその周辺において、真実は、携帯電話料金の支払を滞納している事実がないのに、これがあるように装い、 - 3 -前記携帯電話機を使用し、アプリケーションソフト「LINE」のメッセージ機能及び通話機能を利用して、前記Hに対し、被告人が携帯電話料金を滞納しており、その料金を支払わなければ携帯電話機が使用できなくなるので、被告人名義の預金口座に現金を振り込んでほしい旨嘘を言い、前記Hにその旨誤信させ、よって、同日、同人に、同県つくば市(以下住所省略)所在のa銀行i支店から前記被告人名義の普通預金口座に現金11万円を振込入金させ、もって人を欺いて財物を交付させ、 4 同年6月21日から同年7月18日までの間、東京都内又はその周辺において、真実は、被告人が池田なる人物から借金をしている事実も前記Hと同居するつもりもないのに、これらがあるように装い、前記携帯電話機を使用し、アプリケーションソフト「LINE」のメッセージ機能及び通話機能を利用して、同人 池田なる人物から借金をしている事実も前記Hと同居するつもりもないのに、これらがあるように装い、前記携帯電話機を使用し、アプリケーションソフト「LINE」のメッセージ機能及び通話機能を利用して、同人に対し、被告人は池田なる人物に500万円ないし1000万円の借金があり、同借金のうち被告人が用立てるべき分を返済すれば前記Hと同居することができる旨嘘を言い、同人にその旨誤信させ、よって、同人に、別表2記載のとおり、同月1日から同月18日までの間、7回にわたり、前記a銀行i支店ほか2か所から前記被告人名義の普通預金口座に現金合計317万1000円を振込入金させ、もって人を欺いて財物を交付させ、 5 同年8月4日、東京都内又はその周辺において、真実は、携帯電話料金の支払を滞納している事実がないのに、これがあるように装い、前記携帯電話機のショートメッセージ機能を利用して、前記Hに対し、被告人が携帯電話料金を滞納しており、その料金を支払わなければ携帯電話機が使用できなくなるので、被告人名義の預金口座に現金を振り込んでほしい旨嘘を言い、前記Hにその旨誤信させ、よって、同日、同人に、前記a銀行i支店から前記被告人名義の普通預金口座に現金2万円を振込入金させ、もって人を欺いて財物を交付させ、第3 【令和5年11月10日付け起訴状記載の各公訴事実】I(当時51歳ないし54歳)が自己に好意を寄せていることに乗じて、前記I - 4 -から借用名下に現金をだまし取ろうと考え、 1 令和3年3月30日から同月31日までの間、東京都内又はその周辺において、真実は、被告人が家賃を滞納している事実も、退去を免れるために滞納した家賃を支払わなければならない事実もなく、前記Iから交付を受けた金銭は家賃の支払に充てるのではなく遊興等に費消するつもりであり、 、真実は、被告人が家賃を滞納している事実も、退去を免れるために滞納した家賃を支払わなければならない事実もなく、前記Iから交付を受けた金銭は家賃の支払に充てるのではなく遊興等に費消するつもりであり、返済の意思も能力もないのに、その情を秘し、前記携帯電話機を使用し、アプリケーションソフト「LINE」のメッセージ機能及び通話機能を利用して、前記Iに対し、被告人が家賃を滞納していて、退去を免れるためには滞納した家賃を支払う必要があり、必ず返済するので、家賃の支払に充てる金を貸してほしい旨嘘を言い、前記Iにその旨誤信させ、よって、別表3番号1記載のとおり、同月30日から同月31日までの間、3回にわたり、同人に、j銀行k支店に開設された同人名義の普通預金口座から前記被告人名義の普通預金口座に現金合計65万円を振込入金させ、もって人を欺いて財物を交付させ、 2 同年4月2日、東京都内又はその周辺において、真実は、被告人が知人から借金をした事実はなく、前記Iから交付を受けた金銭は借金の返済に充てるのではなく遊興等に費消するつもりであり、返済の意思も能力もないのに、その情を秘し、前記携帯電話機を使用し、アプリケーションソフト「LINE」のメッセージ機能及び通話機能を利用して、前記Iに対し、被告人が知人から借金をしていてその返済をする必要があり、必ず返済するので、知人への借金の返済に充てる金を貸してほしい旨嘘を言い、前記Iにその旨誤信させ、よって、同別表番号2記載のとおり、同日、同人に、前記I名義の普通預金口座から前記被告人名義の普通預金口座に現金20万円を振込入金させ、もって人を欺いて財物を交付させ、 3 同月5日、東京都内又はその周辺において、真実は、被告人が事故を起こして知人にけがをさせて同人に金銭を支払わなければならない事実も、滞納している携 込入金させ、もって人を欺いて財物を交付させ、 3 同月5日、東京都内又はその周辺において、真実は、被告人が事故を起こして知人にけがをさせて同人に金銭を支払わなければならない事実も、滞納している携帯電話料金を支払わなければならない事実もなく、前記Iから交付を受けた金銭は知人への支払や携帯電話料金の支払に充てるのではなく遊興等に費消するつもり - 5 -であり、返済の意思も能力もないのに、その情を秘し、前記携帯電話機を使用し、アプリケーションソフト「LINE」のメッセージ機能及び通話機能を利用して、前記Iに対し、被告人が事故を起こして知人にけがをさせ、同知人に金銭を支払う必要がある上、滞納している携帯電話料金を支払う必要があり、必ず返済するので、知人への支払や携帯電話料金の支払に充てる金を貸してほしい旨嘘を言い、前記Iにその旨誤信させ、よって、同別表番号3記載のとおり、同日、同人に、前記I名義の普通預金口座から前記被告人名義の普通預金口座に現金35万円を振込入金させ、もって人を欺いて財物を交付させ、 4 同月13日から同月28日までの間、東京都内またはその周辺において、真実は、被告人がカードローンの支払を滞納している事実はなく、前記Iから交付を受けた金銭はカードローンの支払に充てるのではなく、遊興等に費消するつもりであり、返済の意思も能力もないのに、その情を秘し、前記携帯電話機を使用し、アプリケーションソフト「LINE」のメッセージ機能及び通話機能を利用して、前記Iに対し、被告人がカードローンの滞納分を支払う必要があり、必ず返済するので、カードローンの返済に充てる金を貸してほしい旨嘘を言い、前記Iにその旨誤信させ、よって、同別表番号4記載のとおり、同月14日から同月28日までの間、3回にわたり、同人に、前記I名義の普通預金口座 で、カードローンの返済に充てる金を貸してほしい旨嘘を言い、前記Iにその旨誤信させ、よって、同別表番号4記載のとおり、同月14日から同月28日までの間、3回にわたり、同人に、前記I名義の普通預金口座から前記被告人名義の普通預金口座に現金合計1110万円を振込入金させ、もって人を欺いて財物を交付させ、 5 同月30日から同年6月30日までの間、東京都内又はその周辺において、真実は、被告人が親と縁を切るために手切金を支払わなければならない事実はなく、前記Iから交付を受けた金銭は親への手切金の支払に充てるのではなく遊興等に費消するつもりであり、返済の意思も能力もないのに、その情を秘し、前記携帯電話機を使用し、アプリケーションソフト「LINE」のメッセージ機能及び通話機能を利用して、前記Iに対し、被告人は親と不仲であり、親と縁を切りたいが、そのためには、これまでに親が負担した養育費を手切金として返さなければならず、必ず返済するので、親への手切金の支払に充てる金を貸してほしい旨嘘を言い、前記 - 6 -Iにその旨誤信させ、よって、同別表番号5記載のとおり、同年4月30日から同年6月30日までの間、11回にわたり、同人に、前記I名義の普通預金口座から前記被告人名義の普通預金口座に現金合計2120万円を振込入金させ、もって人を欺いて財物を交付させ、 6 同年7月16日から令和4年2月4日までの間、東京都内又はその周辺において、真実は、被告人がアパレル会社を設立した事実も、その際に複数の知人から借金をしてその返済をしなければならない事実もなく、前記Iから交付を受けた金銭は知人への借金の返済に充てるのではなく遊興等に費消するつもりであり、返済の意思も能力もないのに、その情を秘し、前記携帯電話機を使用し、アプリケーションソフト「LINE」のメッ から交付を受けた金銭は知人への借金の返済に充てるのではなく遊興等に費消するつもりであり、返済の意思も能力もないのに、その情を秘し、前記携帯電話機を使用し、アプリケーションソフト「LINE」のメッセージ機能及び通話機能を利用して、前記Iに対し、被告人が過去にアパレル会社を設立した際に複数の知人から借金をして、その返済を求められており、必ず返済するので、知人への借金の返済に充てる金を貸してほしい旨嘘を言い、前記Iにその旨誤信させ、よって、同別表番号6記載のとおり、令和3年7月16日から令和4年2月4日までの間、19回にわたり、同人に、前記I名義の普通預金口座から前記被告人名義の普通預金口座に現金合計4028万円を振込入金させ、もって人を欺いて財物を交付させ、 7 同月12日から同月24日までの間、東京都内又はその周辺において、前記Iが前記6記載のとおり誤信していることに乗じて、真実は、前記Iから交付を受けた金銭は知人への借金の返済に充てるのではなく遊興等に費消するつもりであり、被告人が資金力のある男性と結婚する予定はなく、返済の意思も能力もないのに、その情を秘し、前記携帯電話機を使用し、アプリケーションソフト「LINE」のメッセージ機能及び通話機能を利用して、前記Iに対し、資金力のある男性と結婚する予定であり、必ず返済するので、知人への返済に充てる金を貸してほしい旨嘘を言い、前記Iにその旨誤信させ、よって、同別表番号7記載のとおり、同月24日、同人に、前記I名義の普通預金口座から前記被告人名義の普通預金口座に現金1500万円を振込入金させ、もって人を欺いて財物を交付させ、 - 7 - 8 同年4月14日から令和5年8月6日までの間、東京都内又はその周辺において、前記Iが前記6記載のとおり誤信していることに乗じて、前記7と同様に て人を欺いて財物を交付させ、 - 7 - 8 同年4月14日から令和5年8月6日までの間、東京都内又はその周辺において、前記Iが前記6記載のとおり誤信していることに乗じて、前記7と同様にその情を秘し、前記携帯電話機を使用し、アプリケーションソフト「LINE」のメッセージ機能及び通話機能を利用して、前記Iに対し、必ず返済するので、知人への借金の返済に充てる金を貸してほしい旨嘘を言い、前記Iにその旨誤信させ、よって、同別表番号8記載のとおり、令和4年4月28日から令和5年8月6日までの間、37回にわたり、同人に、いずれも前記I名義の普通預金口座から前記被告人名義の普通預金口座に現金合計2826万円を振込入金させ、もって人を欺いて財物を交付させ、第4 【令和6年1月18日付け起訴状記載の各公訴事実】J(当時57歳)が自己に好意を寄せていることに乗じて、前記Jから借用名下に現金をだまし取ろうと考え、 1 同年6月7日、東京都内又はその周辺において、真実は、被告人が知人から借金をした事実はなく、前記Jから交付を受けた金銭は借金の返済に充てるのではなく遊興等に費消するつもりであり、返済の意思も能力もないのに、その情を秘し、前記携帯電話機を使用し、アプリケーションソフト「LINE」のメッセージ機能及び通話機能を利用して、前記Jに対し、被告人が知人から借金をしていてその返済をする必要があるので、知人への借金の返済に充てる金を貸してほしい旨嘘を言い、前記Jにその旨誤信させ、よって、同日、同人に、群馬県太田市(住所省略)所在のl組合m支店に設置された現金自動預払機から前記被告人名義の普通預金口座に現金20万円を振込入金させ、もって人を欺いて財物を交付させ、 2 同年7月3日、東京都内又はその周辺において、真実は、被告人が知人から借金 置された現金自動預払機から前記被告人名義の普通預金口座に現金20万円を振込入金させ、もって人を欺いて財物を交付させ、 2 同年7月3日、東京都内又はその周辺において、真実は、被告人が知人から借金をした事実はなく、前記Jから交付を受けた金銭は借金の返済に充てるのではなく遊興等に費消するつもりであり、返済の意思も能力もないのに、その情を秘し、前記携帯電話機を使用し、アプリケーションソフト「LINE」のメッセージ機能を利用して、前記Jに対し、被告人が知人から借金をしていてその返済をする必要 - 8 -があるので、知人への借金の返済に充てる金を貸してほしい旨嘘を言い、前記Jにその旨誤信させ、よって、同日、同人に、群馬県太田市(以下住所省略)所在のn店に設置された現金自動預払機から前記被告人名義の普通預金口座に現金10万円を振込入金させ、もって人を欺いて財物を交付させ、第5 【令和6年2月1日付け起訴状記載の各公訴事実】Iから金銭をだまし取っていたものであるが、自己の所得税を免れようと考え、 1 令和3年分の実際の総所得金額が7315万197円(別表4-1の所得金額総括表及び修正損益計算書参照)であり、これに対する所得税額及び復興特別所得税額が2865万5000円であったにもかかわらず、その所得税及び復興特別所得税の法定納期限である令和4年3月15日までに、埼玉県所沢市並木1丁目7番所轄所沢税務署長に対し、所得税及び復興特別所得税の確定申告書を提出しないで前記期限を徒過させたことにより、令和3年分の所得税及び復興特別所得税のうち、所得税額2806万5622円(別表5-1のほ脱税額計算書参照)を免れ、 2 令和4年分の実際の総所得金額が3768万9728円(別表4-2の所得金額総括表及び修正損益計算書参照)であり、これに対する所 税額2806万5622円(別表5-1のほ脱税額計算書参照)を免れ、 2 令和4年分の実際の総所得金額が3768万9728円(別表4-2の所得金額総括表及び修正損益計算書参照)であり、これに対する所得税額及び復興特別所得税額が1253万3300円であったにもかかわらず、その所得税及び復興特別所得税の法定納期限である令和5年3月15日までに、前記所沢税務署長に対し、所得税及び復興特別所得税の確定申告書を提出しないで前記期限を徒過させたことにより、令和4年分の所得税及び復興特別所得税のうち、所得税額1227万5514円(別表5-2のほ脱税額計算書参照)を免れた。 (補足説明)なお、弁護人は、判示第5の各事実に関し、事実自体は争わないとする一方で、各事実において所得として計上されているのはいずれも被告人が詐欺の犯罪行為によって得た収益であり、民事上被害者に不当利得として返還されるべきものであることなどを理由に、それらについての税法上の所得該当性に疑義を呈する旨の指摘をしている。しかし、現実に所得が生じていると認められる限り、課税の原因とな - 9 -った行為が厳密な法令の解釈適用の見地から客観的評価において不適法・無効とされるかどうかは問題ではなく、当該所得に租税を賦課徴収することは何ら妨げられないと解される(最判昭和46年11月9日民集25巻8号1120頁、最判昭和38年10月29日集民68号529頁各参照)。したがって、弁護人の上記指摘には理由がない。 (量刑の理由)本件は、「G」を自称する被告人が、3名の被害者から金銭合計約1億5000万円を詐取するとともに(判示第2ないし第4)、その手法をまとめた文書データを販売する等の方法により、同データを購入した本犯者らが合計約1000万円を詐取するのを幇助したほか(判示第 約1億5000万円を詐取するとともに(判示第2ないし第4)、その手法をまとめた文書データを販売する等の方法により、同データを購入した本犯者らが合計約1000万円を詐取するのを幇助したほか(判示第1)、自身が詐取した金員を所得として申告せずに所得税合計約4000万円をほ脱した(判示第5)という事案である。 重い詐欺の各事案について見ると、被告人は、マッチングアプリ等を通じて知り合った被害者らに対し、言葉巧みに好意があるように装って自身への恋愛感情を抱かせつつ、時には一人二役を演じるなどして自身が種々の金銭的な問題を抱えている旨仄めかし、それを信じた被害者らから種々の名目で繰り返し金銭を詐取した。 被害者らの男性心理を手玉に取り、その好意に付け込む誠に狡猾な犯行である。上記のとおり被害額は非常に多額に及んでいる。被害者らの中には長年築いてきた貯蓄を取り崩すだけでなく、生命保険を解約してまで金銭を工面するなどしてほぼ全財産をだまし取られた者もおり、生じた結果も重大である。しかるに、被告人は詐取した金銭をホストクラブでの遊興費等に費消しており、何ら被害回復の措置は講じられていない。被害者らが厳罰を望むのも当然である。また、被告人は、かねて同様の詐欺行為を「頂き行為」などと称してSNSに投稿する中、その手法をマニュアル化してインターネット上で販売し、実際にそれを利用した本犯者らが約1000万円もの金銭を詐取するのを幇助した。本犯者の求めに応じて男性の籠絡方法を助言するなど、主体的に同種犯罪を助長しており、この点も悪質である。さらに、被告人が、被害者らから得た金銭につき税務申告する必要性を認識しながらその申 - 10 -告を怠って多額の税金をほ脱した点も量刑上看過できない。被告人は、意中のホストらの売上げに貢献するための資金を得たいな から得た金銭につき税務申告する必要性を認識しながらその申 - 10 -告を怠って多額の税金をほ脱した点も量刑上看過できない。被告人は、意中のホストらの売上げに貢献するための資金を得たいなどと考えて本件各犯行に及んでおり、その動機は誠に身勝手で酌むべき余地はない。以上によれば、被告人の刑事責任は相当重いといわざるを得ない。 そこで、被告人が事実をいずれも認めた上で、被害者らに対する謝罪と賠償の意思を示すなど、被告人なりの反省の態度を示していること、詐欺幇助の点については本犯者と被害者らとの間で示談が成立していると窺われること、判示第3の各犯行において詐取した金額合計1億1000万円余の使途先であるホストが、そのうちの1800万円弱を同被害者に返還する意向を示していること、知人らが社会復帰後の支援を表明していること、前科は異種罰金前科1犯にとどまること等も考慮し、主文の刑を定めた。 (検察官の求刑:懲役13年及び罰金1200万円)令和6年4月22日名古屋地方裁判所刑事第5部 裁判長裁判官大村陽一 裁判官遠藤圭一郎 裁判官永野朋子

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