令和5(ネ)329 地位確認等請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
令和6年4月19日 札幌高等裁判所 棄却 函館地方裁判所 令和4(ワ)32
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判決文本文5,287 文字)

主文 1 本件控訴をいずれも棄却する。 2 控訴費用は控訴人らの負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決中、控訴人ら敗訴部分を取り消す。 2 被控訴人の請求をいずれも棄却する。 第2 事案の概要 1 本件は、控訴人会社の従業員であって労働組合の書記長を務めていた被控訴人が、控訴人会社からされた懲戒解雇が違法・無効である旨主張して、控訴人会社 に対し、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、控訴人会社に対しては不法行為による損害賠償請求権に基づき、控訴人代表者に対しては会社法429条1項による損害賠償請求権に基づき、賠償金110万円(慰謝料100万円及び弁護士費用10万円)及びこれに対する令和2年11月27日(解雇日)から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の 連帯支払を求める事案である。 原審は、被控訴人の請求のうち、控訴人会社との間で雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認、控訴人らに対する55万円(慰謝料50万円及び弁護士費用5万円)及びこれに対する令和2年11月27日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による金員の連帯支払を求める限度で認容し、その余を棄却し たところ、控訴人らがそれぞれの敗訴部分に不服があるとして控訴した。 2 前提事実、本件の争点及びこれに対する当事者の主張の要旨は、次のとおり補正するほか、原判決の「事実及び理由」欄の第2の2及び3に記載のとおりであるから、これを引用する(以下原判決を引用する場合、「原告」を「被控訴人」と、「被告会社」を「控訴人会社」と、「被告A」を「控訴人代表者」と、「別 紙」を「原判決別紙」とそれぞれ読み替える。略称は原判決の例による。)。 ⑴ 原判決3頁11行 を「被控訴人」と、「被告会社」を「控訴人会社」と、「被告A」を「控訴人代表者」と、「別 紙」を「原判決別紙」とそれぞれ読み替える。略称は原判決の例による。)。 ⑴ 原判決3頁11行目から12行目にかけての「本件解雇」を「懲戒解雇」と改める。 ⑵ 原判決3頁15行目の「執行委員長」の次に「(平成24年11月から平成28年9月まで)」を加える。 ⑶ 原判決3頁16行目の「組合専従」を「令和元年11月1日から組合専従」 と改める。 ⑷ 原判決3頁17行目の「本件解雇の」を削る。 ⑸ 原判決5頁3行目の「本件解雇」を「懲戒解雇」と改める。 ⑹ 原判決5頁5行目から6行目にかけての「(甲5。本件解雇)」を「(以下この懲戒解雇処分を「本件解雇」という。甲5)」と改める。 ⑺ 原判決23頁2行目末尾に改行して次のとおり加える。 「 本件解雇は、前記第1のとおり、解雇権を濫用したものとして無効であるのみならず、次のとおり、控訴人会社が不当労働行為意思をもって行ったものであるから、被控訴人に対する不法行為を構成する。」第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も、被控訴人の請求のうち、控訴人会社との間で雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認並びに控訴人らに対する55万円(慰謝料50万円及び弁護士費用5万円)及び遅延損害金の連帯支払を求める限度で理由があり、その余の被控訴人の請求は理由がないと判断する。その理由は、次のとおり補正し、後記2を加えるほかは、原判決「事実及び理由」欄の第3の1ないし7に記 載のとおりであるから、これを引用する。 ⑴ 原判決10頁17行目の「控訴人会社の労働組合と」から同19行目の「前提を欠く。」までを「前記1⑵の認定事実のとおり、控訴人会社と控訴人会社の労働組合との間には であるから、これを引用する。 ⑴ 原判決10頁17行目の「控訴人会社の労働組合と」から同19行目の「前提を欠く。」までを「前記1⑵の認定事実のとおり、控訴人会社と控訴人会社の労働組合との間には、平成25年2月16日までに、労働協約上の組休を廃止する代わりに、新たに無給の組合休暇を設ける旨の合意が成立したとこ ろ、前記⑴のとおり、平成30年協議において、無給の組合休暇を取得できる のは組合三役に限る旨の本件合意がされたとは認められないから、本件欠勤処理により、組合員が本来取得できない休暇取得が可能になった旨の控訴人会社の主張は前提を欠く。」と改める。 ⑵ 原判決13頁20行目の「争点5」から同21行目の「ついて」までを「争点5(本件解雇についての控訴人会社の不法行為の成否及び控訴人代表者の会 社法429条1項所定の事由の有無、特に、本件解雇は不当労働行為〔労働組合法7条1号及び3号〕に該当するか否か)について」と改める。 ⑶ 原判決13頁22行目冒頭から同25行目末尾までを次のとおり改める。 「⑴ 本件解雇は、前記5のとおり、解雇権を濫用したものとして無効である。 では、本件解雇が被控訴人に対する不法行為を構成するか。この点につい て、被控訴人は、本件解雇について、控訴人会社が不当労働行為意思をもって行ったものであるから、被控訴人に対する不法行為を構成する旨主張する。」⑷ 原判決15頁10行目の「以上より」から同11行目の「違法である。」までを「以上によれば、本件解雇は、控訴人会社が不当労働行為意思をもって行っ たものであって、被控訴人との関係で不法行為を構成すると評価することができる。」と改める。 ⑸ 原判決15頁19行目から20行目にかけての「不当労働行為に該当するなど」を「不当労働行為意思に基 たものであって、被控訴人との関係で不法行為を構成すると評価することができる。」と改める。 ⑸ 原判決15頁19行目から20行目にかけての「不当労働行為に該当するなど」を「不当労働行為意思に基づくなど」と改める。 ⑹ 原判決15頁20行目の「、本件解雇によって」から同26行目の「生じた こと等」までを削る。 ⑺ 原判決15頁26行目から16頁1行目にかけての「同影響は将来のものにとどまり、」を削る。 2 控訴理由について⑴ 控訴人らは、平成30年協議の当事者であった訴外Bが本件合意をしたこ とを認めているなどと指摘した上で、そもそも本件合意が存在するからこそ 被控訴人は本件欠勤処理という姑息な手法を使ったのであって、本件合意が存在しない旨の事実認定は誤りである旨主張する。 しかしながら、訴外Bの陳述書(乙40)の記載を前提にしても、「他の組合員については今後の事情を踏まえ、継続的に協議しようとの回答でした」と記載されているだけであって、この記載をもって、平成30年協議において本件 合意が成立したものと認めることはできない。また、平成25年2月には無給の組合休暇を設ける旨の合意が成立し、それを制限する本件合意が存在しないにもかかわらず、控訴人会社が組合三役以外の組合員による無給の組合休暇の取得を認めなかったことから、本件欠勤処理という手法を使ったとみることができるのであって、被控訴人が本件欠勤処理の手法を使ったことや「とりあえ ず有給を出してくれと言われた」との発言をもって、本件合意の存在が推認されるとはいえない。その他、本件合意が存在することを裏付ける的確な証拠はない。以上によれば、前記1において引用して説示するとおり、本件合意が存在するとは認めることはできないから、控訴人らの上記主張は採用す はいえない。その他、本件合意が存在することを裏付ける的確な証拠はない。以上によれば、前記1において引用して説示するとおり、本件合意が存在するとは認めることはできないから、控訴人らの上記主張は採用することができない。 ⑵ 控訴人らは、本件合意が存在しない旨の前提が誤っており、無給の組合休暇を取得することは違法な自力救済にほかならず、その結果不必要な時間外賃金の支払が必要になったことや、本件欠勤処理が行われた従業員は毎月の給与のみならず年金や退職金の計算においても不利益に取り扱われることになるものの控訴人会社の労働組合はこれを填補することを想定していないこ とを踏まえると、被控訴人が訴外Cに本件欠勤処理を行わせたことが就業規則60条4号(素行不良にして職場の風紀又は秩序を乱したとき)及び11号(不正不義の行為をなし、従業員としての体面を汚した時)に該当しない旨の判断は誤りである旨主張する。 しかしながら、本件合意が存在すると認めることができないことは前記⑴の とおりである。また、本件欠勤処理が行われた従業員について年金や退職金の 計算において不利益な影響を及ぼすことがあったとしても、この点に関し従業員から苦情が出るなどして控訴人会社の業務に支障が生じたとか、控訴人会社に財産上の損害を生じたといった事情は認められない。そうすると、前記1において引用して説示するとおり、被控訴人による本件欠勤処理が懲戒事由にあたるとは認めることができないから、控訴人らの上記主張は採用することがで きない。 ⑶ 控訴人らは、訴外Dが今後も被控訴人や被控訴人と関係のある者から依頼を受けて反復して有償で車両修理行為等に及ぶ旨指摘して、訴外Dの行為が道路運送車両法78条に違反しないとの認定は誤りである旨主張する。 しかしながら が今後も被控訴人や被控訴人と関係のある者から依頼を受けて反復して有償で車両修理行為等に及ぶ旨指摘して、訴外Dの行為が道路運送車両法78条に違反しないとの認定は誤りである旨主張する。 しかしながら、前記1において引用して説示するとおり、訴外Dが被控訴人 会社の函館営業所敷地内において被控訴人の車両を一度修理したことがあるからといって、訴外Dが自動車分解整備事業を経営しようとしていると認めることはできない。控訴人らの上記指摘は控訴人らの推測の域を出るものではない。この点について、控訴人らは北海道運輸局函館運輸支局から同法違反の可能性が高い旨の回答を受けたなどというが、具体的な照会内容や回答内容は明 らかではない上に、これを裏付ける証拠もないから、上記判断を左右するものではない。したがって、控訴人らの上記主張は採用することができない。 ⑷ 控訴人らは、被控訴人が、その日に行われた自身に対する聴聞会に関し、当日に自分はいないなどと控訴人会社に虚偽の事実を述べていた後ろめたさから、組合事務所を訪れて被控訴人に会った訴外Eを脅迫して、被控訴人が虚偽 の事実を述べていたことを控訴人会社に報告させないようにして、控訴人会社の業務を妨害したから、就業規則60条14号(他人に対し、暴行、脅迫又は教唆行為をなし、又はその業務を妨害した時)に該当する旨主張する。 しかしながら、前記1において引用して説示するとおり、被控訴人が訴外Eを脅迫したと認めることはできない。また、本件処分通知書をみても、控訴人 会社の業務を妨害した旨の記載はなく、本件解雇時にこれを懲戒解雇の根拠に していたということもできない。したがって、控訴人らの上記主張は採用することができない。 ⑷ 控訴人らは、被控訴人の本件欠勤処理が違法な自力救済であるこ 本件解雇時にこれを懲戒解雇の根拠に していたということもできない。したがって、控訴人らの上記主張は採用することができない。 ⑷ 控訴人らは、被控訴人の本件欠勤処理が違法な自力救済であること、本件欠勤処理が行われた従業員の不利益が放置されたままであること、被控訴人が控訴人会社の労働組合の専従者であるなどを指摘し、本件解雇が不当労働 行為に該当する旨の判断は誤りである旨主張する。 しかしながら、本件欠勤処理が違法な自力救済とはいえないこと、上記従業員に及ぼす不利益な影響が原因となり控訴人会社の業務に支障が生じたり、控訴人会社に財産上の損害が生じたりしていないことは、前記⑵のとおりである。 また、本件解雇は、前記1において引用して説示するとおり、不当労働行為に 該当するのであって、控訴人らの上記主張は採用することができない。 ⑹ 控訴人らは、被控訴人が本件解雇にあたって告知聴聞の機会に参加することなくその権利を放棄したのであるから、その機会を全うしなかった者は保護する必要がない旨主張するが、これは控訴人らの独自の見解であって採用することができない。 ⑺ その他、控訴人は、本件解雇が有効であるとして縷々主張するが、いずれも前記1において補正の上引用して説示する当裁判所の認定及び判断を左右するものではない。 3 よって、原判決は相当であり、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとして、主文のとおり判決する。 札幌高等裁判所第2民事部 裁判長裁判官 佐久間健吉 裁判官 佐久間健吉 裁判官 力元慶雄 裁判官 豊田哲也 裁判長裁判官 佐久間健吉

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