平成12年(ワ)第220号共有物分割請求事件 主文 1 別紙物件目録1から5まで記載の土地を別紙分割目録記載のとおり分割する。 2 被告は、原告に対し、別紙物件目録1から5まで記載の土地のうち別紙分割目録1記載の部分について、共有物分割を原因とする被告持分全部移転登記手続をせよ。 3 原告は、被告に対し、別紙物件目録1から5まで記載の土地のうち別紙分割目録2記載の部分について、共有物分割を原因とする原告持分全部移転登記手続をせよ。 4 訴訟費用はこれを2分し、その1を原告の負担とし、その余は被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求別紙物件目録1から5まで記載の土地を別紙原告分割案目録記載のとおり分割する。 第2 事案の概要本件は、別紙物件目録1から5まで記載の土地の共有者である原告(持分2分の1)が、同じく共有者である被告(持分2分の1)に対し、これらの土地の共有物分割を求めた事案である。 1 基礎となる事実(甲1~9,乙2,4,5,鑑定の結果,弁論の全趣旨,争いのない事実)(1) 原告と被告による本件土地の共有原告とその実弟である被告は、別紙物件目録1から5まで記載の土地(以下これらを総称して「本件土地」という。)をいずれも持分2分の1の割合で共有している。 (2) 本件土地の現況本件土地は、別紙現況図のとおり、原被告の実母であるa所有の別紙物件目録6記載の土地(以下「a所有地」という。)とともに一団の土地を形成している。 これらの土地上には、別紙現況図のとおり、b産業有限会社(以下「b産業」という。)所有の別紙物件目録7、8記載の建物(以下それぞれを「本件建物1」、「本件建物2」という。)及び未登記建物2棟が建っており、更地部分はb産業が駐車場経営に使用している。 下「b産業」という。)所有の別紙物件目録7、8記載の建物(以下それぞれを「本件建物1」、「本件建物2」という。)及び未登記建物2棟が建っており、更地部分はb産業が駐車場経営に使用している。 本件建物1は駐車場事務所として、本件建物2はbビルの名称で飲食業の店舗などとして、それぞれ使用されている。 (3) b産業の経営状況b産業は、原被告の実父であるcとaによって、昭和48年ころ、本件土地を含む一団の土地で駐車場業を営むために設立された会社である。原告も同社の取締役に名を連ねたが、経営の実権はc・a夫婦が握っていた(なお、aは、昭和56年ころ、病弱なcに代わってb産業の代表取締役に就任した。)。 昭和52年にbビル(本件建物2)が新築され、b産業は、従前からの駐車場業のほか、同ビルにおいてうなぎ料理業を営むこととなった。 原告は、同ビルの4階に居住し、家業である駐車場業とうなぎ料理業を手伝っていたが、平成3年に被告が帰鹿したことを契機として、b産業の営業から手を引き独立する旨宣言した上、平成4年以降、b産業から同ビルの1、2階を格安な家賃で賃借し、「d」の屋号で自ら飲食業を経営するようになった。このため、その後は、c・a夫婦と被告がb産業の営業に当たっている。 (4) 原告とaの関係の悪化平成9年ころ、本件土地を含む一団の土地の利用方法をめぐる意見の相違などから、原告とaの仲は悪化し、それまでbビルの3階に居住していたaは、同ビルを出て、原告の実妹の家に移った。 平成10年、aは、原告に対し、昭和63年度から平成9年度までの本件土地の固定資産税等のうち原告負担分約400万円を立替払したとして、その支払を求める訴えを提起した。平成11年7月、aの請求を一部認める判決がされ、原告は控訴した。 さらに、平成12年、b 本件土地の固定資産税等のうち原告負担分約400万円を立替払したとして、その支払を求める訴えを提起した。平成11年7月、aの請求を一部認める判決がされ、原告は控訴した。 さらに、平成12年、b産業は、原告に対し、bビルのうちの原告使用部分(1、2、4階)の明渡しを求める訴えを提起し、同年12月、原告はこれを明け渡した。 (5) 本件土地の分割協議の状況原告と被告は、いずれも本件土地の共有物分割を望んでいるが、意見の一致をみないため、協議が成立しない。 2 当事者の主張最終的には、原被告双方とも、本件土地を別紙測量図のとおり分割した上、同図面上のTUSXJIRKLMNOP’YTの各点を順次結んだ直線で囲まれた範囲内を取得することを求めている。また、分割により取得した土地について、相手方に対し、持分全部移転登記手続の履行を希望している。 第3 当裁判所の判断 1 本件土地の分割方法について本件土地の形状、位置関係、利用状況等にかんがみれば、本件土地は現物分割の方法により分割することが可能であり、当事者双方ともこれを望んでいるから、本件土地の分割は現物分割の方法によるのが相当である。 本件土地を含む一団の土地は、別紙現況図のとおり、全体としてほぼ長方形の形状をしており、その北東側の面は国道に接しているが、他の面はいずれも隣接地に接している。そして、その北西端と南東端にb産業所有の建物4棟が存在するが、両建物の間は更地となっている。このような本件土地の形状及び利用状況を考慮すれば、本件土地は、北西側隣接地との境界線である別紙測量図上のABEの各点を結んだ直線と平行な直線により、北西側部分と南東側部分とに分割するのが適当である。 2 当事者双方の取得部分について原被告の双方とも、本件土地を北西側部分と南東側部分とに分割し、 ABEの各点を結んだ直線と平行な直線により、北西側部分と南東側部分とに分割するのが適当である。 2 当事者双方の取得部分について原被告の双方とも、本件土地を北西側部分と南東側部分とに分割し、南東側部分を取得することを希望している。これらの部分のうち、北西側部分については、整形の土地であって、その上に現存する本件建物1は小規模の木造建物であり、収去も比較的容易と考えられるから、原被告のいずれが分割により取得したとしても、それほど問題は生じない。しかし、南東側部分は、a所有地を取り囲むように「コ」の字型をした極めて不整形な形状である上、5階建の堅固建物であるbビルが存在しているから、この部分を原被告のいずれに取得させるかを決定するに当たっては、今後紛争が再燃することがないよう配慮が必要である。 そこで、この点について検討すれば、前記のとおり、bビルを所有するb産業は、現在、被告とaが経営の実権を握っており、b産業・原告間及びa・原告間にいずれも訴えが提起されるなど、原告との関係が極めて悪化していることから、南東側部分を原告に取得させることにした場合には、bビル敷地部分の利用関係をめぐる紛争やa所有地との境界に関する紛争などの発生が予測され、将来に禍根を残す可能性が高いといえる。他方で、南東側部分を被告に取得させることにした場合には、この部分とa所有地とを一体として利用することが可能となり、土地の利用効率の観点からも望ましい上、bビル敷地部分の利用関係やa所有地との境界等に関しても特に紛争は生じないと考えられる。 このような事情を考慮に入れれば、本件土地の南東側部分を被告に取得させ、北西側部分を原告に取得させるのが相当である。 3 本件土地の分割線の位置について鑑定の結果によれば、本件土地を更地価格で等価となるように分割した 入れれば、本件土地の南東側部分を被告に取得させ、北西側部分を原告に取得させるのが相当である。 3 本件土地の分割線の位置について鑑定の結果によれば、本件土地を更地価格で等価となるように分割した場合の分割線の位置は、別紙測量図上の「分割線(更地価格)」のとおりであり、本件土地上にb産業所有の各建物が存在することを考慮した上で等価となるように分割した場合の分割線の位置は、同図上の「分割線」のとおりであることが認められる。 本件土地を同図上の「分割線」により分割した場合の各部分の面積は、北西側部分189.12㎡、南東側部分285.90㎡とかなりの格差があるが、これは、南東側部分について、形状不整形による個別格差を0.704(減価率29.6%)とするとともに、bビル及び未登記建物の敷地利用権価額として643万円余りの減価をしたためである。なお、北西側部分については、個別格差を1.00とした上、本件建物1の敷地利用権価額として181万円余りを減価している。 本件土地の客観的な形状及び利用状況に基づいて分割線の位置を決定するのであれば、同図上の「分割線」により分割するのが当事者間の公平に合致するといえよう。しかし、前記2で判断したとおり、本件土地の分割に当たっては、両当事者とb産業及びaとの関係を考慮に入れた上で、南東側部分を被告に、北西側部分を原告にそれぞれ取得させることにするのであるから、分割線の位置についても、この点を考慮の上、当事者間の公平の観点から決定するのが妥当である。これによれば、被告が取得することになる南東側部分については、a所有地と一体として利用することが可能であり、実質的にほぼ整形の土地とみることができる上、bビル及び未登記建物の敷地利用権に関しても、土地と建物の所有者を実質的に同一人とみることができるが、原告が取得 地と一体として利用することが可能であり、実質的にほぼ整形の土地とみることができる上、bビル及び未登記建物の敷地利用権に関しても、土地と建物の所有者を実質的に同一人とみることができるが、原告が取得することになる北西側部分については、本件建物1の敷地利用権価額の減価に配慮することが必要となる。このような諸事情を勘案すれば、本件土地の分割線の位置については、両部分が面積比でほぼ均等になるように定めるのが当事者間の公平に合致するというべきである。 鑑定の結果によれば、本件土地の面積合計は475.02㎡であるから、その2分の1は237.51㎡となる。別紙測量図上の「分割線(更地価格)」の北西側部分の面積は196.26㎡であるから、その南東側に、同図上のXYイアXの各点を順次直線で結んだ範囲内の面積が41.25㎡になるように、分割線アイ(アは筆界線JF上の点、イは筆界線OP上の点)の位置を定めれば、分割線アイの南東側と北西側の部分の面積はほぼ均等になる。 同図上の「分割線」と「分割線(更地価格)」に挟まれた部分(STYXSの各点を順次直線で結んだ範囲内)の面積は7.14㎡であり(196.26㎡-189.12㎡)、41.25㎡はその約5.78倍である。同図上のXS間、YT間の距離はいずれも0.35mであり、その5.78倍は2.00m余りとなるから、X点及びY点の南東側に、両点からの距離がそれぞれ2.00mとなるようにア点及びイ点の位置を定めれば、両部分の面積はほぼ均等となる。 このようにして定めたアイの両点を結んだ直線により本件土地を分割するのが、当事者間の公平の観点から相当と考えられる。 4 まとめ以上によれば、本件土地は、別紙分割目録記載のとおり分割するのが相当である。 また、当事者双方は、いずれも分割により取得した土地 当事者間の公平の観点から相当と考えられる。 4 まとめ以上によれば、本件土地は、別紙分割目録記載のとおり分割するのが相当である。 また、当事者双方は、いずれも分割により取得した土地について、相手方に対し、持分全部移転登記手続の履行を希望しているので、共有物分割の訴えの本質が形式的形成訴訟であることを考慮して、家事審判規則49条を類推し、登記手続の履行を命じることとする。 第4 結論よって、主文のとおり判決する。 鹿児島地方裁判所民事第1部裁判官市原義孝
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