平成16(あ)727 強盗殺人,同未遂,現住建造物等放火被告事件

裁判年月日・裁判所
平成19年3月27日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 仙台高等裁判所
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判決文本文1,589 文字)

- 1 -主文本件上告を棄却する。 理由 弁護人小川原優之,同北村晋治の上告趣意のうち,死刑制度に関して憲法31条,36条違反をいう点は,死刑制度が憲法のこれらの規定に違反しないことは当裁判所の判例(最高裁昭和22年(れ)第119号同23年3月12日大法廷判決・刑集2巻3号191頁,最高裁昭和32年(あ)第2247号同36年7月19日大法廷判決・刑集15巻7号1106頁)とするところであるから,理由がなく,その余は,単なる法令違反,事実誤認,量刑不当の主張であって,適法な上告理由に当たらない。 なお,所論にかんがみ記録を調査しても,刑訴法411条を適用すべきものとは認められない。 付言すると,本件は,被告人が,借金の返済資金等に困窮し,ビル3階にある営業中の消費者金融会社店舗から金員を強奪しようと企て,前日に下見をし,ガソリンを主成分とする混合油,ライター,点火用の紙を用意するなどした上,同店舗において,いきなり混合油約4ℓを店舗内カウンター内側の床にまき,支店長らに対し,「ガソリンだ。」と叫んだ上,ライター及び紙をねじったものを取り出して見せるなどして脅迫し,金員を強取しようとしたが,同人らが警察に通報するなどしてこれに応じようとしなかったことから,憤激の余り,支店長を含む従業員9名が現在する同店舗に放火することを決意し,その際,同人らが焼死するに至る可能性が高いことを認識しながら,あえて,ライターで点火した紙を,床にまいた混合油の上に投げ入れて火を放ち,よって,同店舗をほぼ全焼させて焼損するとともに,- 2 -そのころ,同所において,従業員のうち5名をいずれも火傷死させて殺害し,4名にそれぞれ加療約4週間から入院加療約7か月間を要する熱傷等の傷害を負わせたが殺害するに至らなかったという強盗殺人,同未遂,現住建造物等放火の事 て,従業員のうち5名をいずれも火傷死させて殺害し,4名にそれぞれ加療約4週間から入院加療約7か月間を要する熱傷等の傷害を負わせたが殺害するに至らなかったという強盗殺人,同未遂,現住建造物等放火の事案である。 本件は,罪質が甚だ悪質であるところ,混合油を脅迫等の手段として用いる強盗に至った動機や経緯に酌量の余地がなく,支店長が被告人の要求に応じなかったことに対する怒りと,強盗が失敗したことに対する自暴自棄の気持ちから,従業員多数に対する未必の殺意をもって放火行為を実行した身勝手極まりない犯行である。 逃げ道のない室内で燃焼力の強い混合油に放火し,恐怖におののいている被害者らを焼き殺すなどした態様は,凶悪かつ残虐なものであり,当時20歳から46歳の男女合わせて5名の命を奪い,4名の被害者に後遺症を残すなどの重傷を負わせ,建物3階部分をほぼ全焼させたという結果も,極めて悲惨かつ重大である。遺族や生存被害者の被害感情はいずれも厳しく,本件犯行が社会に与えた衝撃も大きい。 以上のような犯情に照らすと,本件犯行についての被告人の刑事責任は,極めて重大であるといわざるを得ない。 そうしてみると,被告人が上記放火行為に及んだのは,現場におけるとっさの決意によるものであり,殺意が未必のものにとどまること,前科がないことなど,被告人のために酌むべき情状を十分考慮しても,原判決が維持した第1審判決の死刑の科刑は,やむを得ないものとして当裁判所もこれを是認せざるを得ない。 よって,刑訴法414条,396条,181条1項ただし書により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。 検察官水野美鈴公判出席- 3 -(裁判長裁判官上田豊三裁判官藤田宙靖裁判官堀籠幸男裁判官那須弘平裁判官田原睦夫) 決する。 検察官水野美鈴公判出席- 3 -(裁判長裁判官上田豊三裁判官藤田宙靖裁判官堀籠幸男裁判官那須弘平裁判官田原睦夫)

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