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判決平成13年11月21日神戸地方裁判所平成10年(ワ)第6号損害賠償請求事件 主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。2 訴訟費用は原告らの負担とする。事実及び理由 第1 請求被告は,別紙請求目録の「原告氏名」欄記載の各原告に対し,同目録の「請求金額合計」欄記載の各金員,及び同目録の「請求(1)」欄記載の各金員に対する平成6年9月8日から各支払済みまで年5分の割合による各金員を支払え。第2 事案の概要等 1 事案の骨子本件は,伊丹市a3丁目,4丁目及び5丁目に居住していた原告らが,下記のとおり主張して,被告に対し,国家賠償法1条1項及び2条1項に基づき,別紙請求目録の「請求金額合計」欄記載の各金員,及び同目録の「請求(1)」欄記載の各金員に対する平成6年9月8日から各支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の各支払を求めた事案である。記被告が,平成4年12月,公共下水道c雨水幹線が流入する昆陽池に本件樋門(池の入口)及び倒伏堰(池の南側)を設置し,平成6年9月6日から翌7日にかけての集中豪雨の際,上記樋門扉を閉鎖し,倒伏堰をOP(海抜)25.9mに設定して,昆陽池の水位をOP25.9mと高位に維持していたために,上記雨水幹線を通じて昆陽池に排出すべき雨水を昆陽池に排出できず,溢水して低地に向かい,その大部分が原告ら居住地区に流入して,原告らに床上ないし床下浸水による被害(以下「本件水害」という。)を発生させた。2 前提事実(証拠を掲げた事項以外は,当事者間に争いがない。)(1) 当事者原告ら(一部の原告についてはその被相続人)は,いずれも本件豪雨当時,兵庫県伊丹市a(以下「原 生させた。2 前提事実(証拠を掲げた事項以外は,当事者間に争いがない。)(1) 当事者原告ら(一部の原告についてはその被相続人)は,いずれも本件豪雨当時,兵庫県伊丹市a(以下「原告ら居住地区」という。 水害」という。)を発生させた。2 前提事実(証拠を掲げた事項以外は,当事者間に争いがない。)(1) 当事者原告ら(一部の原告についてはその被相続人)は,いずれも本件豪雨当時,兵庫県伊丹市a(以下「原 生させた。2 前提事実(証拠を掲げた事項以外は,当事者間に争いがない。)(1) 当事者原告ら(一部の原告についてはその被相続人)は,いずれも本件豪雨当時,兵庫県伊丹市a(以下「原告ら居住地区」という。)に居住していた者である。被告は,公共下水道c雨水幹線(以下「本件雨水幹線」という。)及び昆陽池を管理する普通地方公共団体である。(2) 原告ら居住地区周辺の地理的状況原告ら居住地区(a)は,伊丹市役所の北西で,国道171号線の北西側,陸上自衛隊千僧駐屯地(伊丹市a1丁目所在)の南側,千僧浄水場の北東側に位置している(別紙図面1参照)。原告ら居住地区周辺の標高は,別紙図面3記載のとおりである(乙6,18)。(3) 本件事業計画,雨水幹線被告は,昭和46年9月22日,兵庫県知事から公共下水道事業計画の変更認可を受けた(乙15の1・2)。本件雨水幹線は,上記事業変更計画(以下「本件事業計画」という。)に基づき建設されたものである。本件雨水幹線は,別紙図面1に赤線で表示した部分が暗渠となっており,同暗渠の昆陽池流入口の幅員は2m,高さは1.2mである。その底面には幅員0.6m,深さ0.4mの排水管が掘られている。本件雨水幹線の昆陽池流入口の水路底は,OP(海抜)24.9mである。(4) 昆陽池,本件樋門の設置,撤去等昆陽池は,別紙図面1の中央やや下(南)寄りに表示された池である。昆陽池の周囲は昆陽池公園となっており,公園全体の面積は27haあり,水面の面積は約10haである。被告は,平成4年12月,別紙図面2記載①の位置(昆陽池に通ずる本件雨水幹線の終末で昆陽池流入口)に樋門ベースのコンクリート壁と樋門扉(以下「本件樋門」という。)を設置し,別紙図面2記載の 被告は,平成4年12月,別紙図面2記載①の位置(昆陽池に通ずる本件雨水幹線の終末で昆陽池流入口)に樋門ベースのコンクリート壁と樋門扉(以下「本件樋門」という。)を設置し,別紙図面2記載の②③の位置に倒伏堰を設置した(乙28,弁論の全趣旨)。被告は,本件豪雨後の平成6年10月中旬ころ本件樋門を撤去し,平成7年3月倒伏堰を低位に設定替えした。 門扉(以下「本件樋門」という。)を設置し,別紙図面2記載の 被告は,平成4年12月,別紙図面2記載①の位置(昆陽池に通ずる本件雨水幹線の終末で昆陽池流入口)に樋門ベースのコンクリート壁と樋門扉(以下「本件樋門」という。)を設置し,別紙図面2記載の②③の位置に倒伏堰を設置した(乙28,弁論の全趣旨)。被告は,本件豪雨後の平成6年10月中旬ころ本件樋門を撤去し,平成7年3月倒伏堰を低位に設定替えした。(5) 本件豪雨の発生平成6年9月6日から7日にかけて,伊丹市付近で集中豪雨(以下「本件豪雨」という。)があり,伊丹市庁舎屋上観測所の雨量計によると,6日の午後10時から翌7日午前2時までに次のとおりの降雨があり,4時間の合計降雨量は297㎜に達した。① 平成6年9月6日午後10時~11時 62.0㎜② 同日午後11時~12時 53.0㎜③ 同月7日午前0時~1時 107.5㎜④ 同日午前1時~2時 74.5㎜(6) 本件豪雨当時の本件樋門等の状況被告は,本件豪雨直前ころ,本件樋門扉を閉鎖し,昆陽池の倒伏堰をOP25.9mまで上げていた。本件豪雨の際の9月6日午後11時20分ころ,昆陽池の水位は本件樋門の天端(OP25.9m)に達していた。(7) 本件豪雨による被害状況ア伊丹市内の被害状況伊丹市内において,一般住宅で床上ないし床下浸水が発生した世帯は,3029世帯に達した(乙10)。兵庫県知事は,平成6年9月7日午前10時,本件豪雨について,伊丹市に災害救助法を適用した(乙5)。イ原告らの被害状況(ア) 本件豪雨により,原告A1,亡A2,原告A3,原告A4,原告A5,原告A6,原告A 日午前10時,本件豪雨について,伊丹市に災害救助法を適用した(乙5)。イ原告らの被害状況(ア) 本件豪雨により,原告A1,亡A2,原告A3,原告A4,原告A5,原告A6,原告A7,原告A8,原告A9,原告A10,原告A11,原告A12,原告A13,原告A14,原告A15,原告A16,原告A17,原告A18,原告A19,原告A20,原告A21,原告A22,原告A23は,いずれも床上浸水の被害を受け,伊丹市長から,その旨の「災害による被災証明書」の交付を受けた(甲1~8の各2,甲11~15の各2,甲17~19の各2,甲21~25の各2,甲27・28の各2,甲30・31の各2)。なお,原告A22は,住居半壊の被害も受けており,伊丹市長の上記証明書にはその旨の記載もある(甲30の2)。 告A17,原告A18,原告A19,原告A20,原告A21,原告A22,原告A23は,いずれも床上浸水の被害を受け,伊丹市長から,その旨の「災害による被災証明書」の交付を受けた(甲1~8の各2,甲11~15の各2,甲17~19の各2,甲21~25の各2,甲27・28の各2,甲30・31の各2)。なお,原告A22は,住居半壊の被害も受けており,伊丹市長の上記証明書にはその旨の記載もある(甲30の2)。(イ) 本件豪雨により,原告A34,原告A35は,いずれも床下浸水の被害を受け,伊丹市長から,その旨の「災害による被災証明書」の交付を受けた(甲10の2,甲26の2)(ウ) 本件豪雨により,原告A24は,設備,機械その他の損害を受け,伊丹市長から,その旨の「災害による被災証明書」の交付を受けた(甲9の2)。3 争点(1) 被告は国家賠償法1条1項の責任を負うか。具体的には,本件流入阻害措置の違法性,被告の過失の有無,本件流入阻害措置と本件水害発生との間の相当因果関係の有無である。(2) 被告は国家賠償法2条1項の責任を負うか。具体的には,公の営造物の設置又は管理の瑕疵の有無,公の営造物の設置又は管理の瑕疵(本件流入阻害措置)と本件水害発生との間の相当因果関係の有無である。(3) 原告らの本件水害による損害額。第3 争点に関する当事者の主張 1 争点(1)(国家賠償法1条1 設置又は管理の瑕疵(本件流入阻害措置)と本件水害発生との間の相当因果関係の有無である。(3) 原告らの本件水害による損害額。第3 争点に関する当事者の主張 1 争点(1)(国家賠償法1条1項の責任)について(原告らの主張)被告は,以下のとおり,原告らに対し,国家賠償法1条1項の責任を負う。(1) 本件流入阻害措置ア本件樋門等の設置被告(公共下水道管理者である被告市長,及び公共下水道の設置管理業務を遂行してきた被告幹部職員)は,平成4年12月,昆陽池(水面の面積約10ha)に通ずる本件雨水幹線の終末昆陽池流入口(幅2.5m,高さ1.45mの暗渠)を水平方向に2分し,その北西側をコンクリート壁で閉鎖し,残余南東側2分の1につき腰高かつ狭少な開口部の本件樋門を設置して,流入口を約4分の1に狭めた(甲38末尾添付の「昆陽池流入暗渠略図」参照)。さらに,被告は,平成4年12月,昆陽池南側の2箇所(別紙図面2記載の②③の位置)に倒伏堰を設置し,倒伏堰の巻上げによって昆陽池の水位を調節することができるようにした。 口(幅2.5m,高さ1.45mの暗渠)を水平方向に2分し,その北西側をコンクリート壁で閉鎖し,残余南東側2分の1につき腰高かつ狭少な開口部の本件樋門を設置して,流入口を約4分の1に狭めた(甲38末尾添付の「昆陽池流入暗渠略図」参照)。さらに,被告は,平成4年12月,昆陽池南側の2箇所(別紙図面2記載の②③の位置)に倒伏堰を設置し,倒伏堰の巻上げによって昆陽池の水位を調節することができるようにした。イ本件樋門の閉鎖,昆陽池の高水位維持被告は,平成6年の本件豪雨に至るまでの間,雨量が例年に比してかなり低かったことを口実として,昆陽池の水位を増嵩管理するため,本件樋門扉を完全に閉鎖し,既設の井戸よりの汲上げ及び上水用原水の違法流用によって昆陽池に水を充足し,倒伏堰をOP(海抜)25.9m(高位置)に設定替えすることにより,昆陽池の水位をOP25.9mと高水位に維持した。本件雨水幹線の水路底高はOP24.9mとして設計施工されていたが,上記措置によって,本件雨水幹線からの排水が昆陽池に流入することが不可能な状態になっていた。なお,本件豪雨当 本件雨水幹線の水路底高はOP24.9mとして設計施工されていたが,上記措置によって,本件雨水幹線からの排水が昆陽池に流入することが不可能な状態になっていた。なお,本件豪雨当時,本件樋門扉が閉鎖され,倒伏堰のレベル(OP)が高位置に設定されていたため,本件雨水幹線からの排水が昆陽池に流入することが不可能な状態になっていたことを,以下「本件流入阻害措置」という。(2) 違法性・過失ア本件雨水幹線は,伊丹市b1丁目及び2丁目並びに伊丹市c3丁目及び4丁目で構成される「c地区」(その総面積は約20.07ha)への降水全部が流入することを前提とし,これらの雨水をより低地である昆陽池に排水するものとして企画設置されているものである(別紙図面1,甲37末尾添付の2つの図面,甲42参照)。ところが,本件雨水幹線の効用をほとんど零とする本件流入阻害措置により,本件豪雨当時,昆陽池の水位は本件雨水幹線からの排水が昆陽池に流入することが不可能な状態になっており,本件流入阻害措置は違法である。そして,被告は,本件流入阻害措置をとる際,本件水害のような事態が発生する危険性についての検討を怠ったのであるから,この点について被告に過失がある。イ被告は,本件豪雨は未曾有のものであり,原告ら居住地区の浸水の原因はこの未曾有の集中豪雨が最大の原因であって,被告には過失がない旨主張する。 陽池の水位は本件雨水幹線からの排水が昆陽池に流入することが不可能な状態になっており,本件流入阻害措置は違法である。そして,被告は,本件流入阻害措置をとる際,本件水害のような事態が発生する危険性についての検討を怠ったのであるから,この点について被告に過失がある。イ被告は,本件豪雨は未曾有のものであり,原告ら居住地区の浸水の原因はこの未曾有の集中豪雨が最大の原因であって,被告には過失がない旨主張する。しかし,被告が本件事業計画を遵守し,本件豪雨前から本件樋門を開き,倒伏堰をもっと低いレベル(OP値)に設定するなどして,本件流入阻害措置をとらずに本件雨水幹線を管理しておれば,本件豪雨時も,本件雨水幹線からの排水が昆陽池に流入していたから,本件雨水幹線から溢水した雨水が原告ら居住地区に流れ込むこともなく,本件水害は発生しな 害措置をとらずに本件雨水幹線を管理しておれば,本件豪雨時も,本件雨水幹線からの排水が昆陽池に流入していたから,本件雨水幹線から溢水した雨水が原告ら居住地区に流れ込むこともなく,本件水害は発生しなかったものであるから,被告の前記主張は失当である。(3) 因果関係ア本件豪雨の際,c地区への総降水量は5万9607‰であり,本件事業計画では,c地区(20.07ha)への降雨水は円滑に本件雨水幹線に流入するように設計されていた。すなわち,本件流入阻害措置がなされなかった場合には,昆陽池の降雨水受容能力は7万0000‰あり,本件豪雨時のc地区への総降水量を上回るものであった。昆陽池流入口の広さは3.625㎡あり,最大の集中豪雨のあった平成6年9月7日午前零時から午前1時の1時間についても,本件流入阻害措置さえされていなければ,本件雨水幹線からの排水全量が昆陽池に流入するように設計されていた。イところが,被告の本件流入阻害措置により,本件雨水幹線を経て昆陽池に流入するべきc地区への降雨水のうち5万2067‰が排水できず,昆陽池暗渠流入口付近で溢水した。溢水した雨水は,東側の住友総合グラウンド付近全体を覆い,さらに東側の陸上自衛隊千僧駐屯地の西側を南下して,原告ら居住地区に流入した。そして,原告ら居住地区には,d地区(c地区の東側,面積40.88ha)の公共下水道a1号線雨水幹線からも雨水が流入していたから,これらが合流して原告ら居住地区を完全に覆う状態となり,原告ら居住地区に床上ないし床下浸水の被害(本件水害)を発生させたのである。 で溢水した。溢水した雨水は,東側の住友総合グラウンド付近全体を覆い,さらに東側の陸上自衛隊千僧駐屯地の西側を南下して,原告ら居住地区に流入した。そして,原告ら居住地区には,d地区(c地区の東側,面積40.88ha)の公共下水道a1号線雨水幹線からも雨水が流入していたから,これらが合流して原告ら居住地区を完全に覆う状態となり,原告ら居住地区に床上ないし床下浸水の被害(本件水害)を発生させたのである。ウ被告は,本件豪雨後,平成6年10月中旬に本件樋門を撤去し,平成7年3月に倒伏堰の低位への設定替えをしているが,これはまさしく,被告が本件流入阻害措置が 水害)を発生させたのである。ウ被告は,本件豪雨後,平成6年10月中旬に本件樋門を撤去し,平成7年3月に倒伏堰の低位への設定替えをしているが,これはまさしく,被告が本件流入阻害措置が本件水害の根本原因であることを認めて行ったものである。(被告の反論)被告は,以下のとおり,原告らに対し,国家賠償法1条1項の責任を負わない。(1) 違法性について被告(公共下水道管理者である被告市長,及び公共下水道の設置管理業務を遂行してきた被告幹部職員)は,法令ないしその下の技術的基準に適合する範囲内であれば,どのような内容の雨水排水計画を立てて実施するかについて裁量権を持っており,明白に法令に違反しているかまたは著しく不合理でないかぎり違法とはならない。被告は,建設省(当時。以下同じ。)の設計指針による計画策定方式に従い,昆陽池に本件樋門,倒伏堰を設置し,本件豪雨前から本件樋門扉を閉鎖し,倒伏堰を一定の水位に設定して,昆陽池の水位を維持してきたのであり,渇水対策も考慮した合理的なものであるから,本件流入阻害措置は違法なものではない。(2) 過失について国家賠償法1条は過失責任主義を採用しており,違法に他人に損害を生ぜしめるという結果について,予見可能性及び回避可能性があるにもかかわらず,結果回避義務を尽くさないときに過失責任が生ずるところ,次のとおり,被告が本件流入阻害措置をとったことについて過失はない。ア本件豪雨本件豪雨は,4時間に297㎜(時間最大雨量107.5㎜)の異常な集中豪雨であり,平成6年の年間降雨量の34.4%を記録する局地的集中豪雨であって,本件事業計画での予想をはるかに超え,公共下水道での排水能力をはるかに上まわるものであった。 び回避可能性があるにもかかわらず,結果回避義務を尽くさないときに過失責任が生ずるところ,次のとおり,被告が本件流入阻害措置をとったことについて過失はない。ア本件豪雨本件豪雨は,4時間に297㎜(時間最大雨量107.5㎜)の異常な集中豪雨であり,平成6年の年間降雨量の34.4%を記録する局地的集中豪雨であって,本件事業計画での予想をはるかに超え,公共下水道での排水能力をはるかに上まわるものであった。大阪管区気象 集中豪雨であり,平成6年の年間降雨量の34.4%を記録する局地的集中豪雨であって,本件事業計画での予想をはるかに超え,公共下水道での排水能力をはるかに上まわるものであった。大阪管区気象台のデータによっても,本件豪雨の降雨量を超えるものはない。大阪国際空港においても,滑走路等から雨水がターミナルビル地下に流れ込み,配電盤室が水没し空港機能が一時完全に麻痺した。伊丹市の近傍の市でも,本件豪雨による被害が続発している。伊丹市内各地でも多くの浸水被害が生じた。イ本件豪雨以前の渇水状況平成6年の降雨は平年の降雨量に比べ非常に少なく,近畿地方のほとんどの府県市町等で渇水対策本部が設置され,上水道,灌漑用水の確保に努めるとともに,水使用者に対する節水を呼びかけるという状況であった。伊丹市でも,平成6年の年間降雨量は過去37年間の平均降雨量の66.2%という異常に少ない降雨量であった。被告は,上記のような渇水状況下において,灌漑用水確保のため,昆陽池の本件樋門を閉鎖し,昆陽池公園内にある深井戸から地下水を汲み上げていたのであり,被告のかかる措置は合理的なものといえる。(3) 因果関係について原告らは,本件流入阻害措置によって,本件豪雨の際に昆陽池に流入すべきc地区の雨水が原告ら居住地区に流入し,本件水害が発生したと主張する。しかし,原告らの上記主張は,別紙図面3に赤色矢印で示される雨水の流れの方向に照らし,誤っている。同図面によれば,c2丁目の住友総合グランド,住友電気工業第一信友寮,昆陽池住友住宅,県立こやの里養護学校,コスモハイツcへの降雨は,本件樋門へは流入せず,別紙図面3で示される高低差により東の方向に流れる。また,d町1丁目ないし6丁目への降雨は,a1丁目の陸上自衛隊の 池住友住宅,県立こやの里養護学校,コスモハイツcへの降雨は,本件樋門へは流入せず,別紙図面3で示される高低差により東の方向に流れる。 同図面によれば,c2丁目の住友総合グランド,住友電気工業第一信友寮,昆陽池住友住宅,県立こやの里養護学校,コスモハイツcへの降雨は,本件樋門へは流入せず,別紙図面3で示される高低差により東の方向に流れる。また,d町1丁目ないし6丁目への降雨は,a1丁目の陸上自衛隊の 池住友住宅,県立こやの里養護学校,コスモハイツcへの降雨は,本件樋門へは流入せず,別紙図面3で示される高低差により東の方向に流れる。また,d町1丁目ないし6丁目への降雨は,a1丁目の陸上自衛隊の方へ流下し,a3丁目(伊丹市交通局のある場所)に影響する。すなわち,本件水害の原因となった雨水は,一部はc地区の水であったとしても,住友総合グランドからの水,自衛隊敷地からの水,d町6丁目などから流入する水その他があり,また原告ら居住地区へ降った雨水に起因するものである。このように,原告ら居住地区での水害は,原告ら居住地区自体への降雨及び隣接地域からの雨水の流入によるものであり,本件流入阻害措置等とは因果関係がない。2 争点(2)(国家賠償法2条1項の責任)について(原告らの主張)被告は,以下のとおり,原告らに対し,国家賠償法2条1項の責任を負う。(1) 公の営造物本件雨水幹線及び本件樋門及び倒伏堰は,国家賠償法2条1項所定の「公の営造物」に該当する。(2) 設置又は管理の瑕疵前記1(原告らの主張)の(1)(2)(本件流入阻害措置,違法性・過失)で述べたところは,営造物の「設置又は管理の瑕疵」についても当てはまる。すなわち,公の営造物の「設置又は管理の瑕疵」とは,公の営造物が通常備えるべき安全性を欠いていることをいうところ,被告は,平成4年12月,本件雨水幹線の終末昆陽池流入口に本件樋門を設置し,本件樋門扉を完全に閉鎖し,かつ昆陽池南側の倒伏堰を高位置に設定替えし,昆陽池の水位を高く維持し(本件流入阻害措置),通常備えるべき安全性を欠いた状態とした。そのため,被告(公共下水道管理者である被告市長,及び公共下水道の設置管理業務を遂行してきた被告幹部職員)は,c地区の降雨を本件雨 件流入阻害措置),通常備えるべき安全性を欠いた状態とした。そのため,被告(公共下水道管理者である被告市長,及び公共下水道の設置管理業務を遂行してきた被告幹部職員)は,c地区の降雨を本件雨水幹線により昆陽池に排出させることを不可能ならしめ,その設置又は管理の瑕疵により,原告らに本件水害による損害を発生させたのである。 ,及び公共下水道の設置管理業務を遂行してきた被告幹部職員)は,c地区の降雨を本件雨 件流入阻害措置),通常備えるべき安全性を欠いた状態とした。そのため,被告(公共下水道管理者である被告市長,及び公共下水道の設置管理業務を遂行してきた被告幹部職員)は,c地区の降雨を本件雨水幹線により昆陽池に排出させることを不可能ならしめ,その設置又は管理の瑕疵により,原告らに本件水害による損害を発生させたのである。(3) 因果関係前記1(原告らの主張)の(3)「因果関係」のとおり,公の営造物の設置又は管理の瑕疵(被告が本件流入阻害措置をとったこと)と原告らの本件水害による損害の発生との間には,相当因果関係が認められる。(被告の反論)被告は,以下のとおり,原告らに対し,国家賠償法2条1項の責任を負わない。(1) 設置又は管理の瑕疵について前記1(被告の反論)の(1)(2)(違法性,過失について)で述べたところは,公の営造物の「設置又は管理の瑕疵」についても当てはまり,被告が本件流入阻害措置をとったことは公の営造物の設置又は管理の瑕疵には当たらない。(2) 因果関係について前記1(被告の反論)の(3)(因果関係について)のとおり,公の営造物の設置又は管理の瑕疵(被告が本件流入阻害措置をとったこと)と原告らの本件水害による損害の発生との間には,相当因果関係が認められない。3 争点(3)(原告らの損害額)について(原告らの主張)(1) 原告らの被害状況及び損害原告らの本件水害による被害状況は,それぞれ別紙被害状況目録記載のとおりである。また,原告らの本件水害に係る損害額の合計,物的損害額,慰謝料及び弁護士費用相当額は,それぞれ別紙損害目録記載のとおりであり,原告らの物的損害についての内訳は,それぞれ別紙物的損害目録記載のとおりである。( 本件水害に係る損害額の合計,物的損害額,慰謝料及び弁護士費用相当額は,それぞれ別紙損害目録記載のとおりであり,原告らの物的損害についての内訳は,それぞれ別紙物的損害目録記載のとおりである。(2) 相続ア亡A2が平成7年2月23日死亡し,同人の妻である原告A25と同人の子である原告A26がそれぞれ2分の1の割合で本件損害賠償請求権を相続した。イ亡A1が本件訴訟係属中の平成12年10月5日死亡し,同人の妻である原告A27が本件損害賠償請求権を相続した。ウ亡A9が本件訴訟係属中の平成12年4月27日死亡し,同人の妻である原告A28が本件損害賠償請求権を相続した。 害目録記載のとおりである。(2) 相続ア亡A2が平成7年2月23日死亡し,同人の妻である原告A25と同人の子である原告A26がそれぞれ2分の1の割合で本件損害賠償請求権を相続した。イ亡A1が本件訴訟係属中の平成12年10月5日死亡し,同人の妻である原告A27が本件損害賠償請求権を相続した。ウ亡A9が本件訴訟係属中の平成12年4月27日死亡し,同人の妻である原告A28が本件損害賠償請求権を相続した。エ亡A15が本件訴訟係属中の平成10年8月25日死亡し,同人の子であるA29,A30,A31,A32がそれぞれ4分の1の割合で本件損害賠償請求権を相続した。オ亡A14が本件訴訟係属中の平成13年7月19日死亡し,同人の妻である原告A33が本件損害賠償請求権を相続した。(被告の認否)原告ら主張の損害の発生及びその損害額はいずれも知らない。第4 当裁判所の判断 1 事実の認定前記第2の2(前提事実),証拠(甲33-8・9頁,38末尾添付の「昆陽池流入暗渠略図」,乙3,6,9~11,13,15~18〔枝番を含む〕,23~25,28,30,証人B,原告本人A17〔一部〕)及び弁論の全趣旨を総合すると,以下の事実が認められる。(1) 伊丹市の下水道事業,本件雨水幹線伊丹市は,下水道事業について,昭和32年から金岡排水路の整備を始め,昭和40年からは公共下水道事業に着手し,昭和46年9月22日には,公共下水道事業計画の変更認可を受けた(乙15の1・2)。同事業計画変更認可後は,6年確率の合理式(久野・石 岡排水路の整備を始め,昭和40年からは公共下水道事業に着手し,昭和46年9月22日には,公共下水道事業計画の変更認可を受けた(乙15の1・2)。同事業計画変更認可後は,6年確率の合理式(久野・石黒式の降雨強度)に対応するものであり,建設省の基準に準拠するものであった。本件雨水幹線は,上記事業計画(変更)(本件事業計画)に基づき建設されたものであり,別紙図面1に赤線で表示した部分が暗渠となっており,同暗渠の昆陽池流入口(別紙図面3の昆陽池樋門手前)の幅員は2m,高さは1.2mである。その底面には幅員0.6m,深さ0.4mの排水管が掘られている。本件雨水幹線の昆陽池流入口の水路底は,OP(海抜)24.9mである。(2) 本件樋門等の設置被告は,平成4年12月,別紙図面2記載①の位置(昆陽池に通ずる本件雨水幹線の終末で昆陽池流入口)に本件樋門を設置し,別紙図面2記載の②,③の位置に倒伏堰を設置した(乙28)。 流入口(別紙図面3の昆陽池樋門手前)の幅員は2m,高さは1.2mである。その底面には幅員0.6m,深さ0.4mの排水管が掘られている。本件雨水幹線の昆陽池流入口の水路底は,OP(海抜)24.9mである。(2) 本件樋門等の設置被告は,平成4年12月,別紙図面2記載①の位置(昆陽池に通ずる本件雨水幹線の終末で昆陽池流入口)に本件樋門を設置し,別紙図面2記載の②,③の位置に倒伏堰を設置した(乙28)。本件樋門(甲33-8頁上の写真,甲38末尾添付の「昆陽池流入暗渠略図」参照)は,水路底より0.4m高までを樋門ベースとしてコンクリートで固め,ベース上に高さ0.6mの樋門扉が設置された構造である。本件樋門の設置により,昆陽池流入口がそれまでに比べて相当狭くなった。倒伏堰(甲33-9頁下の写真参照)が設置されたことにより,倒伏堰の巻上げによって昆陽池の水位を調節することができるようになった。(3) 本件豪雨以前の渇水状況等平成6年の降雨状況であるが,7月は19.0㎜,8月は13.5㎜と平年の降雨量に比べ非常に少なく,近畿地方のほとんどの府県市町等で渇水対策本部が設置され,上水道,灌漑用水の確保に努めるとともに,水使用者に対する節水を呼びかけるという状況であった。被告において 降雨量に比べ非常に少なく,近畿地方のほとんどの府県市町等で渇水対策本部が設置され,上水道,灌漑用水の確保に努めるとともに,水使用者に対する節水を呼びかけるという状況であった。被告においても,平成6年8月22日,渇水対策本部を設置し,翌9月初旬には,小中学校のプールの使用を中止したり,また,灌漑用水確保のため,昆陽池の本件樋門扉を閉鎖し,昆陽池公園内にある深井戸から地下水を汲み上げていた。伊丹市の年間平均降雨量は,過去37年間の統計に基づいて算出すると1306.1㎜であるが,平成6年の年間降雨量は864.5㎜(そのうちの300.5㎜が本件豪雨時の降水量)で,例年に比して少ない降雨量であった。そこで,被告(公共下水道管理者である被告市長,及び公共下水道の設置管理業務を遂行してきた被告幹部職員)は,本件豪雨の直前まで,渇水対策のため,本件樋門扉を閉鎖し,昆陽池の水が本件雨水幹線に逆流しないような措置をとり,倒伏堰のレベル(OP)を高位置に設定して,昆陽池の水が外へ流れないような措置(本件流入阻害措置)をとっていた。 の300.5㎜が本件豪雨時の降水量)で,例年に比して少ない降雨量であった。そこで,被告(公共下水道管理者である被告市長,及び公共下水道の設置管理業務を遂行してきた被告幹部職員)は,本件豪雨の直前まで,渇水対策のため,本件樋門扉を閉鎖し,昆陽池の水が本件雨水幹線に逆流しないような措置をとり,倒伏堰のレベル(OP)を高位置に設定して,昆陽池の水が外へ流れないような措置(本件流入阻害措置)をとっていた。(4) 本件豪雨の異常性等ア平成6年9月6日から7日にかけて,伊丹市を含む北摂地域で集中豪雨があり,伊丹市庁舎屋上観測所の雨量計によると,6日の22時から翌7日2時までの4時間で以下のとおり297㎜の降雨量があり,同月6・7日の両日で累計300.5㎜の降雨量があった。① 平成6年9月6日午後10時~11時 62.0㎜② 同日午後11時~12時 53.0㎜③ 同月7日午前0時~1時 107.5㎜④ 同日午前1時~2時 74.5㎜イ伊丹市に隣接する川西市,豊中市, 0㎜③ 同月7日午前0時~1時 107.5㎜④ 同日午前1時~2時 74.5㎜イ伊丹市に隣接する川西市,豊中市,池田市においても伊丹市と同様の集中豪雨があり,同地域での雨量測定地点で1時間当たりの降雨量が90㎜を,そして2時間当たりの降雨量が150㎜を超えたところも数か所もあり(乙30),各市の基準となる測定地点では,上記2日間で約273.5㎜から295.5㎜もの降雨量が観測された(乙10)。ウ平成6年9月6日午後11時40分,伊丹市を含む地域に大雨・洪水警報が発令された。被告は,同警報とともに上記異常な降雨量を踏まえ,同日午後11時45分,水害による災害防止等の豪雨対策を目的として水防本部を設置した。そして,翌7日零時に水防指令第1号を,同日零時10分には水防指令第2号を発令している。兵庫県知事は,平成6年9月7日午前10時,本件豪雨について伊丹市に災害救助法を適用した。エ大阪管区気象台が保存するデータを転記した「降雨情報」(平成元年から平成8年まで,雨量測定場所は原告ら居住地区に近接する大阪航空測候所)によれば,その観測期間において,本件豪雨による降雨量を超える記録はない。伊丹市に隣接する豊中市役所及び池田土木事務所の確率時間雨量を基に,各雨量観測所の本件豪雨時の1,2,3時間雨量を確率評価すると,別紙4記載のとおりとなる。 について伊丹市に災害救助法を適用した。エ大阪管区気象台が保存するデータを転記した「降雨情報」(平成元年から平成8年まで,雨量測定場所は原告ら居住地区に近接する大阪航空測候所)によれば,その観測期間において,本件豪雨による降雨量を超える記録はない。伊丹市に隣接する豊中市役所及び池田土木事務所の確率時間雨量を基に,各雨量観測所の本件豪雨時の1,2,3時間雨量を確率評価すると,別紙4記載のとおりとなる。すなわち,上池田,池田下水処理場,桜井谷ポンプ場及び大阪航空測候所では,1,2,3時間雨量とも1000年確率を超えるものであり,原田処理場でも1時間雨量では60年確率(豊中市で評価)であるが,2,3時間雨量では100年確率を超えるものとなっている。オ本件豪雨は,原告ら 時間雨量とも1000年確率を超えるものであり,原田処理場でも1時間雨量では60年確率(豊中市で評価)であるが,2,3時間雨量では100年確率を超えるものとなっている。オ本件豪雨は,原告らの居住地区にも4時間に297㎜(時間最大雨量107.5㎜)もの雨を降らせた異常な集中豪雨であり,平成6年の伊丹市の年間降雨量の34.4%を記録する局地的集中豪雨であって,本件事業計画での予想をはるかに超え,伊丹市の公共下水道での雨水排水能力をはるかに上まわるものであった。(5) 本件豪雨による被害状況等ア本件豪雨による被害は,大阪国際空港近辺の北摂地域(大阪府池田市,豊中市,箕面市,兵庫県伊丹市,川西市,尼崎市)に集中して発生し,大阪府・兵庫県合わせて床上浸水2683棟,床下浸水6460棟の被害が発生した。その詳細については別紙5記載のとおりである。イ伊丹市内においては,一般住宅の3029世帯で床上又は床下浸水が発生した。その他,伊丹市内で道路損壊6か所,河川堤防崩壊4か所,崖崩れ6か所の被害があった。ウ大阪国際空港においても,滑走路等から雨水がターミナルビル地下に流れ込み,配電盤室が水没し,停電により空港機能が麻痺した。降雨により国内空港が麻痺するという事態が発生したのは,これが初めてであった。2 本件流入阻害措置と本件水害の発生との因果関係の検討(1) 原告らの主張原告らは,次のとおり主張し,本件流入阻害措置と本件水害の発生との間には相当因果関係があるという。ア本件豪雨の際,c地区(d1・2丁目,c3・4丁目)への総降水量は5万9607‰であり,本件事業計画では,c地区(20.07ha)への降雨水は,全量が本件雨水幹線に排出可能なように設計されていた。 生したのは,これが初めてであった。2 本件流入阻害措置と本件水害の発生との因果関係の検討(1) 原告らの主張原告らは,次のとおり主張し,本件流入阻害措置と本件水害の発生との間には相当因果関係があるという。ア本件豪雨の際,c地区(d1・2丁目,c3・4丁目)への総降水量は5万9607‰であり,本件事業計画では,c地区(20.07ha)への降雨水は,全量が本件雨水幹線に排出可能なように設計されていた。イところが,被 d1・2丁目,c3・4丁目)への総降水量は5万9607‰であり,本件事業計画では,c地区(20.07ha)への降雨水は,全量が本件雨水幹線に排出可能なように設計されていた。イところが,被告の本件流入阻害措置により,本件豪雨当時,本件雨水幹線を経て昆陽池に流入するべきc地区への降雨水のうち5万2067‰が排水できず,昆陽池暗渠流入口付近で溢水し,溢水した雨水は原告ら居住地区(a1丁目ないし3丁目)に流入した。ウ被告が本件事業計画を遵守し,本件豪雨前から本件樋門を開き,倒伏堰をもっと低いレベル(OP値)で設定するなどして,本件流入阻害措置をとらずに本件雨水幹線を管理しておれば,本件豪雨当時も,本件雨水幹線からの排水全部が昆陽池に流入していたから,本件雨水幹線から溢水した雨水が原告ら居住地区に流れ込むこともなく,本件水害は発生していなかった。(2) 検討ア別紙図面3記載の赤色矢印前記1(4)(本件豪雨の異常性等)記載の事実に,証拠(乙18,乙25,証人B)を総合すると、次の事実が認められる。(ア) 別紙図面3記載の赤色矢印は,原告ら居住地区及びその周辺一帯についての道路勾配を矢印で示したものである。(イ) 本件豪雨時の原告ら居住地区及びその周辺一帯の降雨量は,道路の側溝及び雨水管渠の排水能力を超え,また地表での雨水の滞留能力をも超えていた。(ウ) そのため,本件豪雨当時,側溝や雨水管渠から溢れた雨水は,別紙図面4記載の赤色矢印のとおり,道路の勾配に沿って流れていった。イ c地区への降雨水の行方c地区は,伊丹市d1丁目及び2丁目並びに伊丹市c3丁目及び4丁目で構成され,その総面積は約20.07haである(乙18,弁論の全趣旨)。イ c地区への降雨水の行方c地区は,伊丹市d1丁目及び2丁目並びに伊丹市c3丁目及び4丁目で構成され,その総面積は約20.07haである(乙18,弁論の全趣旨)。 た雨水は,別紙図面4記載の赤色矢印のとおり,道路の勾配に沿って流れていった。イ c地区への降雨水の行方c地区は,伊丹市d1丁目及び2丁目並びに伊丹市c3丁目及び4丁目で構成され,その総面積は約20.07haである(乙18,弁論の全趣旨)。イ c地区への降雨水の行方c地区は,伊丹市d1丁目及び2丁目並びに伊丹市c3丁目及び4丁目で構成され,その総面積は約20.07haである(乙18,弁論の全趣旨)。別紙図面3記載のc地区内の赤色矢印は,南側(本件雨水幹線,昆陽池方面)に向いているものと,東側(c1丁目,d町5丁目,d町6丁目方面)に向いているものとがある。それゆえ,c地区内に降った雨水の相当量が東に流れ,本件雨水幹線へは流入しない(別紙図面1参照)。原告らが主張するように,c地区内に降った雨水全部が本件雨水幹線へ流入するのではない。本件雨水幹線はそのまま真っ直ぐ昆陽池に流れ込むように設計されているが,本件樋門扉を閉鎖すると,本件雨水幹線を流下していた雨水は,本件樋門(昆陽池流入口)手前付近で東南側に折れて,別紙図面3記載の青点線の水路(道路の側溝,雨水管渠)を流下して,その南側の青色実線の水路に流れ込む。それゆえ,本件豪雨当時,本件流入阻害措置により,本件雨水幹線の流水が昆陽池に流入できなかったが,その相当量が別紙図面3記載の青点線の水路を通り,さらに南側水路に流れ込んでいたことが認められる。以上によると,本件豪雨当時,本件流入阻害措置により,本件雨水幹線の流水が本件樋門(昆陽池流入口)手前付近で溢水し,溢水した降雨水が原告ら居住地区に流れ込んだとしても,そのようにして原告ら居住地区に流れ込んだ降雨水は,c地区への降雨水のうちの極く僅かな量に過ぎないと推認できる。ウ原告ら居住地区に流入した降雨水別紙図面3記載の赤色矢印によると,c2丁目の住友総合グランド,住友電気工業第一信友寮,昆陽池住友住宅,県立こやの里養護学校,コスモハイツc(これらの地域はc地区とほぼ同じ広さ)への降 別紙図面3記載の赤色矢印によると,c2丁目の住友総合グランド,住友電気工業第一信友寮,昆陽池住友住宅,県立こやの里養護学校,コスモハイツc(これらの地域はc地区とほぼ同じ広さ)への降雨は,本件雨水幹線へは流入せず,その高低差により東方向に流れ,d町6丁目,a1丁目(陸上自衛隊千僧駐屯地),a3丁目(伊丹市交通局のある場所)を経て,原告ら居住地区(a3丁目,4丁目,5丁目)に流入する(別紙図面1,3参照)。 3記載の赤色矢印によると,c2丁目の住友総合グランド,住友電気工業第一信友寮,昆陽池住友住宅,県立こやの里養護学校,コスモハイツc(これらの地域はc地区とほぼ同じ広さ)への降雨は,本件雨水幹線へは流入せず,その高低差により東方向に流れ,d町6丁目,a1丁目(陸上自衛隊千僧駐屯地),a3丁目(伊丹市交通局のある場所)を経て,原告ら居住地区(a3丁目,4丁目,5丁目)に流入する(別紙図面1,3参照)。また,別紙図面3記載の赤色矢印によると,c1丁目(c地区よりも狭い)への降雨も,本件雨水幹線へは流入せず,その高低差により,d町6丁目,a1丁目(陸上自衛隊千僧駐屯地),a3丁目(伊丹市交通局のある場所)を経て,原告ら居住地区に流入する(別紙図面1,3参照)。さらに,別紙図面3記載の赤色矢印によると,d町1丁目ないし6丁目地域(c地区よりも広い),a1丁目への降雨も,その高低差により,a1丁目(陸上自衛隊千僧駐屯地)からa3丁目(伊丹市交通局のある場所)を経て,原告ら居住地区に流入する(別紙図面1,3参照)。そのうえ,a(原告ら居住地区)への降雨も,当然のことながら,原告ら居住地区の水害に影響している(別紙図面1,3参照)。エまとめ(ア) 以上によると,原告ら居住地区での水害の原因となった降雨水は,そのほとんど全部が次のaないしfの降雨水によるものであることが認められる。ⅰ c地区への降雨水中,東側(c1丁目,d町5丁目,d町6丁目方向)に向い,原告ら居住地区に流入したもの。ⅱ c2丁目の住友総合グランド,住友電気工業第一信友寮,昆陽池住友住宅,県立こやの里養護学校,コスモハイツcへの降雨水中,原告ら居住地区に流入 向)に向い,原告ら居住地区に流入したもの。ⅱ c2丁目の住友総合グランド,住友電気工業第一信友寮,昆陽池住友住宅,県立こやの里養護学校,コスモハイツcへの降雨水中,原告ら居住地区に流入したもの。ⅲ c1丁目への降雨水中,原告ら居住地区に流入したもの。ⅳ d町1丁目ないし6丁目地域への降雨水中,原告ら居住地区に流入したもの。ⅴ a1丁目への降雨水中,原告ら居住地区に流入したもの。ⅵ a(原告ら居住地区)への降雨水。(イ) そして,以上によると,本件流入阻害措置により,本件雨水幹線の流水(c地区への降雨水の相当部分が流れ込んだもの)が昆陽池流入口付近で溢水し,溢水した雨水が原告ら居住地区に流れ込んだとしても,そのようにして原告ら居住地区に流れ込んだ降雨水は,原告ら居住地区での水害の原因となった降雨水のうちの極く僅かであったことが認められる。 ,原告ら居住地区に流入したもの。ⅵ a(原告ら居住地区)への降雨水。(イ) そして,以上によると,本件流入阻害措置により,本件雨水幹線の流水(c地区への降雨水の相当部分が流れ込んだもの)が昆陽池流入口付近で溢水し,溢水した雨水が原告ら居住地区に流れ込んだとしても,そのようにして原告ら居住地区に流れ込んだ降雨水は,原告ら居住地区での水害の原因となった降雨水のうちの極く僅かであったことが認められる。したがって,被告が本件豪雨当時本件流入阻害措置をとっていたため,本件雨水幹線から溢水した雨水が原告ら居住地区に大量に流れ込み,本件水害が発生したものとはいえず,本件流入阻害措置と本件水害の発生との間には相当因果関係があるものとは認められない。原告らの前記(1)の主張は採用できない。(3) 以上の認定に反する原告ら主張の個別検討ア別紙図面3の赤色矢印の否定原告A17は,「別紙図面3について,道路上の赤色矢印の方向に雨水が流れることはあり得ず,道路に落ちた雨水は直ちに側溝水路に落ちてその後は勾配によって流れるから,同図面は不合理である」と供述(①の供述)する。しかし,原告A17は,他方で,雨水は等高線に直角に流れるとし,まず雨水は基本的に水路に流れるが, 路に落ちてその後は勾配によって流れるから,同図面は不合理である」と供述(①の供述)する。しかし,原告A17は,他方で,雨水は等高線に直角に流れるとし,まず雨水は基本的に水路に流れるが,水路が溢れれば道路に沿って,地表勾配に沿って流れる旨供述(②の供述)しているのであり(平成11年12月20日付け本人調書61,62頁),①の供述と②の供述は矛盾し,曖昧である上に,②の供述は,むしろ別紙図面3の道路上の赤色矢印の方向に雨水が流れることを肯定する内容となっている。それゆえ,別紙図面3の赤色矢印を否定する原告堀池肇の前記①の供述は採用できない。イ本件豪雨後の樋門撤去等(ア) 原告らは,「被告は,本件豪雨後,平成6年10月中旬に本件樋門を撤去し,平成7年3月に倒伏堰の低位への設定替えをしたが,これはまさしく,被告が本件流入阻害措置が本件水害の根本原因であることを認めて行ったものである。」と主張する。(イ) しかし,証拠(甲33-8頁,乙25,証人永野)及び弁論の全趣旨によると,被告は,本件豪雨後,次のⅰⅱの理由により本件樋門を撤去し,倒伏堰の設定値(OP)を低位なものに修正したのであり,本件流入阻害措置が本件水害の原因であることを認めて行ったものではない。 堰の低位への設定替えをしたが,これはまさしく,被告が本件流入阻害措置が本件水害の根本原因であることを認めて行ったものである。」と主張する。(イ) しかし,証拠(甲33-8頁,乙25,証人永野)及び弁論の全趣旨によると,被告は,本件豪雨後,次のⅰⅱの理由により本件樋門を撤去し,倒伏堰の設定値(OP)を低位なものに修正したのであり,本件流入阻害措置が本件水害の原因であることを認めて行ったものではない。ⅰ 被告は,昭和40年度に公共下水道事業の認可を受けて以来,同事業の整備を進めてきたが,雨水流出量の増大や流出形態等都市環境が大きく変化したことに伴い,既計画の流出係数を超える区域(特に中心市街地)が出てきたため,雨水計画を見直す必要が生じた。ⅱ そこで,被告は,平成6年10月中旬に本件樋門を撤去し(甲33-8頁下の写真参照),平成7年3月に倒伏堰の設定値(OP値)を低位なものに修正した。ウ会議メモと 必要が生じた。ⅱ そこで,被告は,平成6年10月中旬に本件樋門を撤去し(甲33-8頁下の写真参照),平成7年3月に倒伏堰の設定値(OP値)を低位なものに修正した。ウ会議メモと題する書面会議メモと題する書面(甲33の28頁,平成6年10月28日付け)には,「本件樋門は,雨水の流入を不能とし,影響地区の浸水の原因となっているので撤去する。」との記載があり,出席者として,原告A17,伊丹市道路公園部長C,伊丹市下水道部長Dの3人の氏名がワープロ文字で記載されている。しかし,上記書面は,その体裁(会議出席者の署名押印がない),表題(単なる会議メモなる表題である)からして,原告A17と被告(伊丹市道路公園部長,伊丹市下水道部長)との間の正式な協定,取決めを記載した文書ではなく,あくまでの会議出席者の発言をメモしたものにすぎない。しかも,上記書面を作成したのは原告A17であり,同書面が伊丹市役所内部で正式な会議メモとして承認された文書でもなく(B証言),伊丹市道路公園部長や伊丹市下水道部長が会議の席上で上記発言をしたことの正確性も担保されていない。それゆえ,上記書面により,伊丹市道路公園部長や伊丹市下水道部長が,上記会議の席上で,原告A17に対し,本件流入阻害措置により本件水害が発生したことを認めたものとはにわかに速断し難い。エ原告A17からの本件樋門開放の要請(ア) 原告らは,原告堀池肇が本件豪雨の最中に被告職員に対し本件樋門扉を開くようにと要請したのに,被告職員が本件樋門扉を開かなかったことを問題としている。 正確性も担保されていない。それゆえ,上記書面により,伊丹市道路公園部長や伊丹市下水道部長が,上記会議の席上で,原告A17に対し,本件流入阻害措置により本件水害が発生したことを認めたものとはにわかに速断し難い。エ原告A17からの本件樋門開放の要請(ア) 原告らは,原告堀池肇が本件豪雨の最中に被告職員に対し本件樋門扉を開くようにと要請したのに,被告職員が本件樋門扉を開かなかったことを問題としている。(イ) しかし,証人Bの証言によると,次の事実が認められるのであり,被告職員が本件豪雨の最中に本件樋門扉を開放しなかったことを咎めることはでき 件樋門扉を開かなかったことを問題としている。(イ) しかし,証人Bの証言によると,次の事実が認められるのであり,被告職員が本件豪雨の最中に本件樋門扉を開放しなかったことを咎めることはできない。a 原告A17が,平成6年9月6日午後11時20分ころ,伊丹市役所下水道部職員に対し,本件樋門扉を開くようにと要請した。そこで,同職員は,直ちに,水防活動時の委託業者に本件樋門扉の開放を指示した。b しかし,上記業者が現地に到着した時には,既に昆陽池の水位は本件樋門の天端にまで達しており,本件樋門扉を開放すれば昆陽池の水が樋門から本件雨水幹線に逆流することが明らかであったので,同業者は本件樋門を開放できなかった。3 総括以上の認定判断によると,原告らが争点1で主張する被告の違法行為(本件流入阻害措置)と原告らの本件水害による損害の発生との間には相当因果関係があるものとは認められない。また,原告らが争点2で主張する被告の営造物の設置又は管理の瑕疵(本件流入阻害措置)と原告らの本件水害による損害の発生との間にも,相当因果関係があるものとは認められない。第5 結論 1 以上の次第で,本件流入阻害措置と本件水害の発生との間には相当因果関係があるものとは認められないので,その余の点について判断するまでもなく,原告らの国家賠償法1条1項及び2条1項に基づく本件損害賠償請求はいずれも理由がない。2 よって,原告らの請求をいずれも棄却することとし,訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。神戸地方裁判所第2民事部裁判長裁判官紙浦健二裁判官中村哲裁判官 主文 のとおり判決する。神戸地方裁判所第2民事部裁判長裁判官紙浦健二 裁判官中村哲 余の点について判断するまでもなく,原告らの国家賠償法1条1項及び2条1項に基づく本件損害賠償請求はいずれも理由がない。2 よって,原告らの請求をいずれも棄却することとし,訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。神戸地方裁判所第2民事部裁判長裁判官紙浦健二裁判官中村哲裁判官 主文 のとおり判決する。神戸地方裁判所第2民事部裁判長裁判官紙浦健二 裁判官中村哲 裁判官今井輝幸
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