【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理 由 上告代理人田村五男の上告理由第一点について。 原審はその挙示の証拠により「結
主文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理由 上告代理人田村五男の上告理由第一点について。 原審はその挙示の証拠により「結局控訴人(被上告人)主張の如く、本件建物につき夫婦である被控訴人(上告人)、控訴人(被上告人)間に書面による贈与契約が成立したものであると認定することができる」と判示し、次いで被控訴人(上告人)の(一)本件贈与契約は停止条件附贈与契約であるが、停止条件は未だ成就していないから贈与契約の効力は発生していない、(二)仮に停止条件附契約でないとしても、負担附贈与契約であるから負担の履行と贈与契約の履行との同時履行の請求でなくてはならぬ旨の主張に対しては、原判決は、挙示の証拠を総合して「……これらの事実からすれば、被控訴人(上告人)の右(一)の主張は、結局贈与というよりは負債を引受ける結果となる如き停止条件を附したことになるので、当事者間にこのような条件附の贈与を受諾する意思の合致のあつたことを認め、以つて前段認定を覆すことはできない。またこれと同じような理由から、被控訴人(上告人)主張の(二)の負担附贈与の申込みに対し、控訴人(被上告人)がこれを受諾したものと認めて、以つて前段認定を覆すには足らない。」と判示している。即ち原判決は、措辞必ずしも完全とはいいがたい点もあるが、その挙示の証拠により、本件贈与契約は、所論のような条件附贈与契約又は負担附贈与契約でなかつたことを認定し上告人の所論主張を排斥している趣旨であることは明らかである。それ故、原判決には所論のように、上告人の主張を判断せず又は理由を附さない違法があるということはできない。所論は採るを得ない。 同第二点について。 - 1 -所論の点に関する原判示は行文明確を欠くが、その要点は本件当 のように、上告人の主張を判断せず又は理由を附さない違法があるということはできない。所論は採るを得ない。 同第二点について。 - 1 -所論の点に関する原判示は行文明確を欠くが、その要点は本件当事者間の契約は証拠上単純贈与契約と認むべきであり、所論のような条件付または負担付贈与契約であることは証拠上これを認めて前示認定を覆えすことはできないとの趣旨に帰するのであつて、原判決挙示の証拠を案ずればそのような判断ができないわけのものではない。従つて原判決にはその点において所論の違法ありというを得ない。 同第三点について。 所論の点に関する原判示によれば、所論贈与の申込は、被上告人にその当事伝達されたというのであるから、原判決がその判示の事実から上告人の所論申込の撤回前に右申込を受諾したものと推認すべきであるとしたのは正当であつて、原判決には所論の違法は認められない。 上告代理人塚本重頼の上告理由第一点及び第三点について。 論旨は訴訟法違反をいうが、結局原審の裁量に属する証拠の取捨、事実の認定を非難するに帰する。しかし右事実認定は挙示の証拠によりこれを是認できるから、所論の違法は認められない。 同第二点について。 原判決は所論Dの証言を証拠に採用した上、その他の挙示の証拠と相まつて被控訴人(上告人)の主張を排斥しているのであるから、右証言中所論引用の部分はこれを排斥した趣旨であることを窺うことができる。それ故所論の違法は認められない。 同第四点について。 上告人は原審において、本件建物の贈与は(単純贈与か条件附または負担附贈与かは暫く措き)被上告人との間に離婚問題を生じ、離婚届を被上告人に交付すると同時になされたものであると主張しているのであつて、したがつて、原審が証拠に基き右贈与当時当事者間に不和がこうじ、夫婦関係がすでに破綻に )被上告人との間に離婚問題を生じ、離婚届を被上告人に交付すると同時になされたものであると主張しているのであつて、したがつて、原審が証拠に基き右贈与当時当事者間に不和がこうじ、夫婦関係がすでに破綻に瀕していたと認- 2 -定してもこれをもつて当事者の申し立てない事実を認定したということはできない。 そして右のように夫婦関係が破綻に瀕しているような場合になされた夫婦間の贈与はこれを取り消しえないと解すべきことは、原判決の判示するとおりであるから(昭和一九年一〇月五日大審院判決、民集二三巻五七九頁参照)、原審が適法に確定した事実につき、当事者の主張を待たず民法第七五四条を適用すべからざる旨判示したことも正当というべきである。なお原審は本件贈与の取消は権利の濫用であつて許されない旨判示しているが、右は単に本件につき民法第七五四条を適用すべからざるゆえんを補足的に説明したものにすぎないから、その判示をもつて原判決の前記判断を違法とする根拠となしえない。 同第五点について。 前記第四点の説示中に述べたごとく、既に原審が本件取消権の行使をもつて権利の濫用に該当すると判断し得たものである以上、更に所論のように釈明権を行使せねばならぬ必要は認められない。それ故所論は採るを得ない。 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。 最高裁判所第一小法廷裁判長裁判官入江俊郎裁判官斎藤悠輔裁判官下飯坂潤夫- 3 - 下飯坂潤夫
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