主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用(補助参加によって生じた費用を含む。)は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求中央労働委員会が,平成17年(不再)第59号,第60号不当労働行為再審査申立事件について,平成20年6月4日付けでした命令の主文Ⅰ項の1及びⅡ項の部分を取り消す。 第2 事案の概要等 1 事案の概要東京都労働委員会(以下「都労委」という。)は,被告補助参加人が原告ほか2社を被申立人として申し立てた不当労働行為救済申立事件(都労委平成15年(不)第15号事件。以下「本件初審事件」という。)について,原告に対する申立ての一部を認容し,その余の被申立人2社に対する申立てをいずれも却下する旨の命令(以下「本件初審命令」という。)をした。 被告補助参加人及び原告は,それぞれ,中央労働委員会(以下「中労委」という。)に対し,本件初審命令について再審査を申し立て(中労委平成17年(不再)第59号,60号事件。以下「本件再審査事件」という。),中労委は,本件再審査事件について,平成20年6月4日付けで,①被告補助参加人の再審査申立てについては,○ⅰ原告が,被告補助参加人からの平成15年1月6日付け団体交渉申入れにおける団体交渉議題のうち,原告の東京支店(以下,単に「東京支店」という。)に係る組織再編に関する事項について,同申入れから平成16年1月26日までの間,原告の提案する団体交渉の方式に固執して,被告補助参加人との団体交渉に実質的に応じなかったことは,労働組合法7条2号に該当する不当労働行為である,○ⅱ原告が,被告補助参加人側交渉員の団体交渉開催場所への移動時間について賃金控除をしない旨述べていたにもかか わらず,平成14年7月26日に実施された団 2号に該当する不当労働行為である,○ⅱ原告が,被告補助参加人側交渉員の団体交渉開催場所への移動時間について賃金控除をしない旨述べていたにもかか わらず,平成14年7月26日に実施された団体交渉の際における被告補助参加人側交渉員の団体交渉開催場所への移動時間につき賃金を控除したことは,同条3号に該当する不当労働行為であるとして,本件初審命令の一部認容部分を別紙のⅠに記載のとおり変更し,②原告の再審査申立てについては,これを棄却する旨の命令をした(以下,同命令を「本件命令」という。)。 本件は,本件命令を不服とする原告が,本件命令のうち上記第1の部分の取消しを求める事案である。 2 前提事実(争いのない事実及び文末に掲記の証拠により容易に認められる事実)(1) 当事者等ア原告は,スイス連邦に本部を置くネスレグループの一組織であり,肩書地に本社を置き,日本各地に工場を有し,飲食料品の製造,販売等を行う株式会社である。 原告は,平成13年1月,商号をネスレ日本株式会社(以下「旧ネスレ日本」ともいう。)からネスレジャパンホールディング株式会社に変更し,本社を神戸市α区から肩書地へ移転した。これと同時に,ネスレ日本株式会社(旧ネスレ日本とは別法人。以下「新ネスレ日本」という。),ネスレジャパンアドミニストレーション株式会社及びネスレジャパンマニュファクチャリング株式会社が設立され,新ネスレ日本が旧ネスレ日本のマーケティング・セールス部門の業務を,ネスレジャパンアドミニストレーション株式会社が旧ネスレ日本のスタッフ部門の業務を,ネスレジャパンマニュファクチャリング株式会社が旧ネスレ日本の製造部門の業務をそれぞれ担当することとなり,原告は,上記各会社の保有会社となった。以上の原告を含む各会社は,他の関連会社を併せて,ネスレジ レジャパンマニュファクチャリング株式会社が旧ネスレ日本の製造部門の業務をそれぞれ担当することとなり,原告は,上記各会社の保有会社となった。以上の原告を含む各会社は,他の関連会社を併せて,ネスレジャパングループと総称されることとなった(以下,上記の商号変更,会社設立等をまとめて「本件組織再編」という。)。[甲3の1・2,乙A77の1・2] 原告は,平成18年1月,新ネスレ日本,ネスレジャパンアドミニストレーション株式会社及びネスレインターナショナルフーズ株式会社を吸収合併し,商号を再びネスレ日本株式会社に変更した。 イ被告補助参加人は,原告の従業員で組織するネッスル日本労働組合(以下「組合」又は「組合本部」という。)の下部組織(支部)であり,東京支店等の従業員及びその退職者で組織されている。組合の下部組織(支部)には,被告補助参加人のほかに,霞ヶ浦支部,島田支部,神戸支部及び姫路支部がある(以下,各支部を個別にいうときは「組合霞ヶ浦支部」のようにいい,これらを併せて「組合5支部」という。)。 (2) 本件組織再編に係る事実関係ア原告は,平成12年12月18日,イントラネット上に「Legalre-structuringofNestleJapanLtd.」と題する英文の文書を掲載した。同文書には,①旧ネスレ日本から以下の法人を組織することを決定したとして,○ⅰ新ネスレ日本は全製品の販売会社となり,そのスタッフは支店と営業所に勤務する従業員で構成されること,○ⅱネスレジャパンマニュファクチャリング株式会社は工場を管理し,すべての工場スタッフは同社に所属することになること,○ⅲネスレジャパンアドミニストレーション株式会社は,新ネスレ日本とネスレジャパンマニュファクチャリング株式会社にサービスを提供 工場を管理し,すべての工場スタッフは同社に所属することになること,○ⅲネスレジャパンアドミニストレーション株式会社は,新ネスレ日本とネスレジャパンマニュファクチャリング株式会社にサービスを提供し,すべての本社スタッフが同社に所属することになること,○ⅳネスレジャパンホールディング株式会社は,上記各会社の保有者であり,ネスレグループの日本における固定資産の保有者となること,②ネスレグループのすべての関連会社の法的構造に変更はないこと,③組織再編により社員の給与支払者の変更は必要となるが,人員削減が生じることも給与体系が変わることもなく,詳細な内容は1月に通知する予定であることなどの記載がされている。[甲3の1・2,乙A77の1・2]イ原告は,組合本部に対し,平成13年1月22日に開催された団体交渉 において,旧ネスレ日本の従業員は引き続き本件組織再編後の原告(ネスレジャパンホールディング株式会社)に在籍していること,旧ネスレ日本の従業員は,これまで本件組織再編によって新たに設立された会社に出向を命じられた事実はなく,全員が原告で働いていることなどを確認したが,本件組織再編により,原告,新ネスレ日本及びネスレジャパンアドミニストレーション株式会社と従業員とがどのような関係となり,従業員がどのように扱われるのかなどについては,具体的な説明をしなかった。 ウ原告は,平成13年1月23日,イントラネット上に「MANAGEMENTNEWS」と題する英文の文書とその和訳を掲載した。同文書には,同月1日付けで,社名を旧ネスレ日本からネスレジャパンホールディング株式会社に変更すると同時に,新ネスレ日本,ネスレジャパンマニュファクチャリング株式会社及びネスレジャパンアドミニストレーション株式会社の3法人を発足させたこと,社員の身分 レジャパンホールディング株式会社に変更すると同時に,新ネスレ日本,ネスレジャパンマニュファクチャリング株式会社及びネスレジャパンアドミニストレーション株式会社の3法人を発足させたこと,社員の身分は従来と変わらず,旧ネスレ日本の社員の身分は,ネスレジャパンホールディング株式会社に引き継がれ,ネスレジャパングループの一員として,グループの中のそれぞれのフィールドで働くということであり,労働条件も従来どおりであるなどの記載がされている。 (3) 本件組織再編後の状況ア被告補助参加人の組合員である東京支店の従業員が,本件組織再編後,雇用関係に関して交付を受けた各種書類には,以下のような記載等がされていた。 (ア) 基本給通知書には,会社名の記載がなく,「人事本部長」又は「人事戦略グループ統括マネジャー」という役職名と役職者の氏名が記載され,「ネスレジャパンアドミニストレーション株式会社」の社印が押捺されていた。 (イ) 給与の支給明細書及び源泉徴収票は,「ネスレ日本株式会社」名義 で作成されていた。 (ウ) 雇用保険被保険者離職票中の事業所名は,「ネスレジャパンホールディング株式会社」と記載されていた。 (エ) 定年退職する従業員に対して交付された老齢年金等に関する書類は,「ネスレジャパンアドミニストレーション株式会社」名義で作成されていた。 イ被告補助参加人から原告への団体交渉申入れ等に対する原告側の回答書等には,会社名の記載がなく,「ネスレジャパングループ」という記載並びに差出人の役職名及び氏名が記載されていた。 ウ 36協定の届には,協定当事者として「ネスレジャパンホールディング株式会社」と記載されているが,事業の名称の欄には,同社と「ネスレ日本株式会社東京支店」とが併記されていた。 れていた。 ウ 36協定の届には,協定当事者として「ネスレジャパンホールディング株式会社」と記載されているが,事業の名称の欄には,同社と「ネスレ日本株式会社東京支店」とが併記されていた。 エ原告の島田工場の従業員に交付された給与支給明細書,源泉徴収票及び年間休日のお知らせは,「ネスレジャパンマニュファクチャリング株式会社」名義で作成されていた。 オ原告の霞ヶ浦工場の従業員に交付された給与の支給明細書は,「ネスレジャパンホールディング株式会社」名義で作成されており,年間休日のお知らせは,「ネスレジャパンマニュファクチャリング株式会社霞ヶ浦工場長」名義で作成されていた。 (4) 都労委平成14年(不)第2号事件(以下「前事件」という。)ア被告補助参加人は,平成14年1月8日,都労委に対し,原告を被申立人として,原告が,組合本部及び組合5支部からそれぞれされた団体交渉の申入れに対し,組合本部及び組合5支部を一括して団体交渉の相手方とする方式(以下「連名方式」という。)により,組合本部及び組合5支部の各議題を一括して神戸で団体交渉を行い,かつ,組合側交渉員は5名以内とする旨の回答を行ったことについて,被告補助参加人の団体交渉権を 事実上否定しているものであるとして,不当労働行為の救済申立てをした。 イ前事件の第5回調査調書(平成14年6月25日)には,都労委が「東京団交」(支部団交)に関して各当事者に確認した事項の一つとして,「団体交渉および移動時間の申立人組合員の賃金について,会社は賃金カットを行わない。」との記載がある。同記載中の「申立人」は被告補助参加人を指し,「会社」は原告を指すものである。 ウ原告は,平成14年7月26日午後3時30分から東京都港区所在の芝パークホテルで行われた被告補助参加人との団体 る。同記載中の「申立人」は被告補助参加人を指し,「会社」は原告を指すものである。 ウ原告は,平成14年7月26日午後3時30分から東京都港区所在の芝パークホテルで行われた被告補助参加人との団体交渉の際における被告補助参加人側交渉員の開催場所への移動時間について,同年8月分給与から賃金控除をした。 (5) 被告補助参加人による団体交渉申入れ及び同申入れに係る事実経過ア被告補助参加人は,平成15年1月6日,原告,新ネスレ日本,ネスレジャパンアドミニストレーション株式会社及び新ネスレ日本東京支店長(以下,これらを併せて「原告及び関係2社ら」という。)に対し,「東京支部団体交渉開催申し入れ」と題する書面により,東京支店会議室又はCOT(東京コマーシャルオフィス)会議室において,同月15日午後7時から3時間程度,出席者は組合側7名,使用者側は申入れを受けた各会社を代表して回答できる者とした上で,下記ⅠないしⅣの議題について団体交渉するよう申し入れた(以下,同申入れを「本件団体交渉申入れ」といい,下記の議題を併せて「本件団体交渉申入議題」といい,個別にはそれぞれの番号に合わせて「本件団体交渉申入議題Ⅰ」のようにいう。)。 Ⅰ 東京支店における施設管理修理,賃金決定,什器備品購入,永年勤続表彰対象者決定,残業・休日出勤の決定,36協定締結,新規の人員採用又は人員削減,転勤・出向等の権限は,ネスレジャパンホールディング株式会社とネスレ日本株式会社とネスレジャパンアドミニストレーション株式会社の何処にあるのかを明確にされたい。また,その根拠も明 確にされたい。 Ⅱ 従業員の身分について,ネスレジャパンホールディング株式会社からネスレ日本株式会社に出向扱いをしているのか,それとも派遣扱いをしているのか,いずれ も明 確にされたい。 Ⅱ 従業員の身分について,ネスレジャパンホールディング株式会社からネスレ日本株式会社に出向扱いをしているのか,それとも派遣扱いをしているのか,いずれなのか,いずれでもないのか。賃金支払者がネスレ日本株式会社なのかも明確にされたい。 Ⅲ 従前の東京支部発ネスレ日本東京支店長宛団体交渉の申入れに関する会社側の回答文書はネスレジャパンホールディング株式会社名義でもネスレ日本株式会社名義でもなくネスレジャパングループ名義となっているが,ネスレジャパングループとはどの会社とどの会社なのか法人格を特定して回答されたい。又,グループ会社にネスレジャパンアドミニストレーション株式会社が含まれるのであれば,ネスレジャパンアドミニストレーション株式会社が団体交渉に関する権限を何故有しているのかを明確にされたい。 Ⅳ 1) 東京支店内で個人用ロッカーが設置していない職場に,早急に個人用ロッカーを設置すること。 2) 東京支店内に,休憩室又は休憩できる場所を男女別に設置すること。 3) 東京支店安全衛生委員会に東京支部推薦の委員を1名安全衛生委員として参加させること。 4) セールスマンの使用する社有車(リース車も含む)に,安全のためエアーバッグを装備すること。 5) ①事業所の防災対策のために,各事業所の耐震調査を家主へ申し入れ,その結果を公表すること。②各事業所の防災責任者を各地区の防災・防震災講習会などへ出席させること。③事業所内防災体制を確立し,併せて防災訓練を実施すること。④緊急対策として,食料品の備蓄を行うこと。 6) 各事業所の安全運転管理 防震災講習会などへ出席させること。③事業所内防災体制を確立し,併せて防災訓練を実施すること。④緊急対策として,食料品の備蓄を行うこと。 6) 各事業所の安全運転管理者に講習会などに出席させ,その報告会を各事業所で開催すること。 7) 東京支店安全衛生委員会の過去の議事録を公開すること。 イ原告は,本件団体交渉申入れに対して,「ネスレジャパングループ人事戦略グループエンプロイリレーションマネジャーP1」を差出人とする「回答並びに通知書」と題する書面により,平成15年1月8日,組合本部及び組合5支部に対し,連名方式による団体交渉を同月15日午後7時より2時間程度,芝パークホテル本館において,双方5名以内の出席者で行う旨の通知をした。 ウ被告補助参加人は,原告からの上記イの通知に対して,平成15年1月15日,原告に対し,「抗議並びに通告書」と題する書面により,支部団体交渉を正当な理由なく拒否したことは不当労働行為であるとして抗議するとともに,上記イの書面の差出人であるP1の責任,権限が不明であるため,同日,出席しないことなどを通知した。 エ原告は,平成15年1月15日,芝パークホテルで待機していたが,被告補助参加人側からの出席者がなかったため,団体交渉は開催されなかった。 (6) 他の支部の団体交渉申入れ状況ア組合島田支部は,平成15年1月6日,原告,ネスレジャパンマニュファクチャリング株式会社及びネスレジャパンアドミニストレーション株式会社に対し,本件組織再編に係る原告の島田工場における組織再編問題等を議題とし,開催日を同月13日,場所を同工場内,出席者は労使双方10名以内とする団体交渉の申入れをした。 原告は,同申入れに対して,同月8日,組 係る原告の島田工場における組織再編問題等を議題とし,開催日を同月13日,場所を同工場内,出席者は労使双方10名以内とする団体交渉の申入れをした。 原告は,同申入れに対して,同月8日,組合本部及び組合5支部に対し,「回答並びに通知書」と題する書面により,同月13日午後8時から芝パークホテルにおいて連名方式による団体交渉をする旨の通知をした。[乙 A3]原告は,同日午後8時から,芝パークホテルで待機していたが,組合島田支部からの出席者がなかったため,団体交渉は開催されなかった。 イ組合霞ヶ浦支部は,平成15年1月8日,原告,ネスレジャパンマニュファクチャリング株式会社及びネスレジャパンアドミニストレーション株式会社に対し,本件組織再編に係る原告の霞ヶ浦工場における組織再編問題等を議題とし,開催日を同月15日,場所を同工場内,出席者は労使双方10名以内とする団体交渉の申入れをした。 原告は,同申入れに対して,同月14日,組合霞ヶ浦支部に対し,「回答並びに通知書」と題する書面により,同月15日に東京において組合と団体交渉を開催することになっていること,同支部が希望するのであれば,同日開催の団体交渉において同支部が申し入れている議題を審議することもやぶさかではないこと,希望しないのであれば,交渉日が重複しないようにすることを申し入れた。[乙A4](7) 本件初審事件の申立て被告補助参加人は,平成15年2月13日,前事件の救済申立てを取り下げ,新たに,都労委に対し,原告,新ネスレ日本及びネスレジャパンアドミニストレーション株式会社を被申立人として,原告が,①被告補助参加人からの本件団体交渉申入れに対して,組合本部及び組合5支部を一括して団体交渉の相手方とし,日時と開催地は原告が指定し,出 パンアドミニストレーション株式会社を被申立人として,原告が,①被告補助参加人からの本件団体交渉申入れに対して,組合本部及び組合5支部を一括して団体交渉の相手方とし,日時と開催地は原告が指定し,出席者は双方5名以内とし,議題は組合本部及び組合5支部がそれぞれ提示した団体交渉の議題を一括して取り上げるという連名方式による団体交渉の申入れなどを行い,被告補助参加人単独の団体交渉に応じなかったこと,②被告補助参加人からの本件団体交渉申入れ等において本件組織再編に伴う東京支店における組織再編に関する事項の説明を求められたのに,これに応じず,会社名を使い分けて使用者をあいまいにしていること,③本件団体交渉申入れ等に係る団体交渉 において東京支店の支店長らを出席させなかったことについて,それぞれ原告,新ネスレ日本及びネスレジャパンアドミニストレーション株式会社による労働組合法7条2号及び3号に該当する不当労働行為であるとして,救済申立てをした。[甲1,乙A124](8) その後の原告と組合本部及び組合5支部との団体交渉の状況等ア原告は,平成15年5月14日,組合本部及び組合5支部に対し,「申し入れ書」と題する書面により,組合及び各支部は団体交渉の議題,開催希望日等を内部で整理,調整しないまま別個に申入れをしているため,議題の数が極めて多い上に重複もあり,交渉希望日も重複又は近接しているとして,組合本部と組合5支部の各団体交渉の議題について重複しないようあらかじめ内部で整理し,団体交渉開催希望日が重複又は近接しないようあらかじめ内部で調整するよう申し入れた。組合本部及び組合5支部は,原告からの上記申入れに対する回答をしなかった。[乙B12]なお,組合本部及び組合5支部からの各団体交渉の申入れは,いずれも,多数の交渉項目を含む議 するよう申し入れた。組合本部及び組合5支部は,原告からの上記申入れに対する回答をしなかった。[乙B12]なお,組合本部及び組合5支部からの各団体交渉の申入れは,いずれも,多数の交渉項目を含む議題を一括して交渉議題として申し入れ,同時期にこれらの交渉議題について団体交渉を求めるものであり,それぞれの団体交渉開催希望日が近接していた。 イ被告補助参加人は,平成15年6月19日,原告及び関係2社らに対し,「東京支部団体交渉開催申し入れ」と題する書面により,同月27日に午後7時から3時間程度,交渉議題として本件団体交渉申入議題ⅠないしⅣほかの議題を挙げて団体交渉の申入れをした。 原告は,同月25日,組合本部及び組合5支部に対し,「回答並びに通知書」と題する書面により,同年7月4日午後7時より2時間程度,連名方式により団体交渉を行う旨通知した。 同日午後7時から団体交渉が開始されたが,同団体交渉は,原告側が,連名方式による団体交渉を行うとの態度を一貫してとり,同団体交渉を支 部団体交渉と判断するかどうかは組合側で決めてほしいとの発言をしたのに対し,被告補助参加人側がこれを受け入れず,同団体交渉が被告補助参加人を交渉相手として開催されたものか否かのやり取りが行われただけで,45分ほどで終了した。[乙A15]ウ原告は,平成15年8月19日及び同年10月14日,被告補助参加人に対し,それぞれ「申し入れ書」と題する書面により,組合本部及び組合5支部による団体交渉の申入れは,交渉議題,開催希望日等が内部で整理,調整されていないなどとして,組合本部と組合5支部それぞれの団体交渉事項の分配を具体的に明らかにし,交渉議題についても重複する内容をあらかじめ整理し,合理的な範囲で限定して優先順位を明らかにした上,開催希望日についても重複, 組合本部と組合5支部それぞれの団体交渉事項の分配を具体的に明らかにし,交渉議題についても重複する内容をあらかじめ整理し,合理的な範囲で限定して優先順位を明らかにした上,開催希望日についても重複,近接しないよう調整し,組合本部及び組合5支部で協議して回答するよう求める旨の申入れをした。これに対し,組合及び組合5支部は回答をしなかった。[乙B13,90]エ被告補助参加人は,平成15年11月25日,原告及び関係2社らに対し,「東京支部団体交渉開催申入書」と題する書面により,同年12月5日午後7時15分から,本件団体交渉申入議題ⅠないしⅣを議題とする団体交渉の申入れをし,また,原告に対し,「貴平成15年10月14日付申込書に対する東京支部の回答」と題する書面により,被告補助参加人の要求は基本的に被告補助参加人にかかわる問題を交渉事項としており,組合本部等の要求と同一の文言を用いていても,求める内容は別個のものであるなどとして,原告からの上記ウの申入れに応じられない旨の回答をした。[乙A20,21]原告は,同年12月3日,被告補助参加人に対し,「回答並びに通知書」と題する書面により,同月10日午後7時15分から2時間程度,連名方式により団体交渉を行う旨の通知をした。 同日午後7時15分から団体交渉が開催されたが,同団体交渉は,被告 補助参加人側が,原告は本件初審事件の調査において被告補助参加人のみに対して回答することを確認していたにもかかわらず,連名方式による団体交渉を申し入れたことを質し,一方的な連名方式による団体交渉は拒否するとの発言などをしたのに対し,原告側が,交渉議題の重複が解消されておらず,前提条件が満たされていないため,従前と同じ連名方式による団体交渉の申入れをしたと答えるなど,交渉議題の重複や連名方式に関す との発言などをしたのに対し,原告側が,交渉議題の重複が解消されておらず,前提条件が満たされていないため,従前と同じ連名方式による団体交渉の申入れをしたと答えるなど,交渉議題の重複や連名方式に関するやり取りに終始し,具体的な交渉に入らないまま終了した。[乙A23]オ被告補助参加人は,平成16年1月26日,原告及び関係2社らに対し,「東京支部団体交渉開催申入書」と題する書面により,本件団体交渉申入議題Ⅳ及び組合事務所の貸与等を議題に挙げて,同年2月2日又は同月3日に団体交渉をするよう申し入れるとともに,同年1月26日付け要望書により,本件団体交渉申入れにおいて交渉議題としていた本件団体交渉申入議題ⅠないしⅢについて,これを交渉議題から区別するとした上,これと全く同じ内容の質問事項を挙げて,上記団体交渉開催希望日までに文書で回答するよう要望した。 原告は,同月29日,被告補助参加人の執行委員長宛ての「回答並びに通知書」と題する書面により,同年2月3日午後7時15分から平成15年12月3日付け「回答並びに通知書」と題する書面と同じ内容で団体交渉を行う旨の通知をした。 平成16年2月3日午後7時15分から団体交渉が開催された。被告補助参加人側出席者は,同団体交渉において,上記要望書で文書による回答を求めた質問事項について回答するよう求めたが,原告側出席者は,すでに都労委の調査で回答済みであるなどと答えるにとどまり,具体的な回答をしなかった。 (9) 本件初審事件における審理対象の追加被告補助参加人は,平成16年8月16日の本件初審事件の調査期日にお いて,救済申立ての追加として,被告補助参加人側交渉員の団体交渉開催場所までの移動時間について賃金補てんを行い,就業時間内に団体交渉を開催できるようにすることも命じるよう求め, 査期日にお いて,救済申立ての追加として,被告補助参加人側交渉員の団体交渉開催場所までの移動時間について賃金補てんを行い,就業時間内に団体交渉を開催できるようにすることも命じるよう求め,本件初審事件において,平成14年7月26日以降の団体交渉に際しての当該移動時間に係る賃金控除の相当性も審理の対象となった。[甲1,2](10) 本件初審命令都労委は,平成17年7月5日,新ネスレ日本及びネスレジャパンアドミニストレーション株式会社に対する救済申立てを却下し(主文4項),原告に対する救済申立てについては,①平成14年7月から同年12月までに行われた被告補助参加人と原告との団体交渉に関し,団体交渉開催場所への移動時間について被告補助参加人側交渉員の賃金控除を行ったことは,労働組合法7条3号に該当する不当労働行為である,②平成16年2月3日の団体交渉において被告補助参加人の説明要求にもかかわらず,東京支店における組織再編に関する事項について具体的な説明を行わなかったことは,同条2号に該当する不当労働行為であるとして,原告に対し,今後,原告がこのような行為を繰り返さないよう留意する旨を記載した文書の手交及び履行報告を命じ,その余の救済申立てを棄却した。[甲2](11) 本件再審査事件の申立て及び本件命令原告及び被告補助参加人は,それぞれ本件初審命令に対して再審査の申立てをした。中労委は,平成20年6月4日付けで,前記1の事案の概要のとおり,別紙記載の主文による命令を発した。 (12) 訴えの提起原告は,平成20年7月30日,本件命令の交付を受け,同年8月27日,本件命令の取消しを求めて,当裁判所に本件訴えを提起した。 3 争点(1) 本件団体交渉申入れに対する原告の対応は,労働組合法7条2号に該当す 日,本件命令の交付を受け,同年8月27日,本件命令の取消しを求めて,当裁判所に本件訴えを提起した。 3 争点(1) 本件団体交渉申入れに対する原告の対応は,労働組合法7条2号に該当す る不当労働行為か。 ア本件団体交渉申入事項のうち東京支店に係る組織再編に関する事項は義務的団体交渉事項か。 イ被告補助参加人が原告の申し入れた連名方式に応じないことは,原告が上記アの事項について団体交渉を拒否することの正当な理由となるか。 (2) 原告が,平成14年7月26日の団体交渉の際における被告補助参加人側交渉員の団体交渉開催場所への移動時間につき賃金控除をしたことは,労働組合法7条3号に該当する不当労働行為か。 4 争点に関する当事者の主張(1) 争点(1)(本件団体交渉申入れに対する原告の対応は,労働組合法7条2号に該当する不当労働行為か。)(被告及び被告補助参加人の主張)ア被告補助参加人が,組合本部とは別に,原告に対して固有の団体交渉権を有していることは,最高裁判所によって肯定されているところである。 本件団体交渉申入議題のうち東京支店における組織再編に関する事項についての本件団体交渉申入議題ⅠないしⅢは,本件組織再編後の東京支店においてネスレジャパングループ内のいくつかの会社名が使い分けられていることに関して,東京支店における施設管理修理,賃金決定,転勤・出向等の権限が原告及び関係2社らのいずれに帰属するのかを明確にし,また,その根拠を明らかにすることなど,いずれも東京支店独自の問題事項について説明を求めるものであり,被告補助参加人独自の交渉議題であって,被告補助参加人との関係における義務的団体交渉事項である。 被告補助参加人は,本件団体交渉申入議題ⅠないしⅢについて,平成16年1月26日 を求めるものであり,被告補助参加人独自の交渉議題であって,被告補助参加人との関係における義務的団体交渉事項である。 被告補助参加人は,本件団体交渉申入議題ⅠないしⅢについて,平成16年1月26日付け要望書を提出しているが(前記2(8)オ),同書面を提出するまでは,同議題を交渉議題から除外したことはなかった。したがって,本件団体交渉申入議題ⅠないしⅢは,同日までは義務的団体交渉事 項であった。 イ以上によれば,原告は,本件団体交渉申入議題ⅠないしⅢについて,被告補助参加人との単独の団体交渉に応じるべきであった。原告が,組合本部及び組合5支部からの各団体交渉の申入れに対し,交渉議題の重複や開催希望日の近接があるなどとして,連名方式による団体交渉を提案したこと自体が不当であるとまではいえないとしても,被告補助参加人からの本件団体交渉申入れに係る団体交渉において,連名方式による団体交渉に固執し,これが原因で上記議題について具体的な交渉に入らないまま団体交渉が終了したのは,原告が上記議題に係る団体交渉を実質的に拒否したものということができる。したがって,本件団体交渉申入れに対する原告の対応は,本件組織再編に関する上記議題に関してはそれが交渉議題から外された平成16年1月26日までは,労働組合法7条2号の不当労働行為に該当するというべきである。 (原告の主張)ア被告補助参加人は,組合の下部組織であるから,組合全体の中での団体交渉権限の配分に従わなければならず,組合本部が行う団体交渉と抵触する団体交渉を行ってはならないし,独自に団体交渉を行う場合,規約や慣行上必要とされる組合本部の承認を取得し,組合本部からの指令を遵守するなどの制約に服さなければならない。このように,被告補助参加人には,無限定な団体交渉権限が認められるもので 渉を行う場合,規約や慣行上必要とされる組合本部の承認を取得し,組合本部からの指令を遵守するなどの制約に服さなければならない。このように,被告補助参加人には,無限定な団体交渉権限が認められるものではない。 原告と組合本部は,平成13年1月から,本件組織再編に伴う従業員の身分,地位,労働条件等に関する事項を含め,団体交渉を行ってきていたところ,被告補助参加人が本件団体交渉申入れにおいて交渉議題とした本件組織再編に伴う東京支店における組織再編に関する事項(本件団体交渉申入議題ⅠないしⅢ)は,組合本部の交渉議題と重複するものであり,被告補助参加人独自の交渉議題とはいえないものであった。被告補助参加人 は,本件初審事件の第6回調査において,原告との間で交渉議題を整理する旨合意し,平成16年1月26日付け要望書により,本件団体交渉申入議題から東京支店における組織再編に関する議題を除外し,それ以降,同議題を交渉議題として扱うよう求めていないところ,これは,被告補助参加人自身,東京支店における組織再編に関する議題が被告補助参加人独自の交渉議題ではなく,これについて被告補助参加人が団体交渉権限を有していないと考えていたことを示すものである。このように,組合の側で本件組織再編に関する議題に係る団体交渉権限が組合本部又は組合5支部のいずれに帰属するのかを明らかにしない以上,同議題に係る団体交渉権限は,従前どおり組合本部に帰属すると考えるのが相当である。 また,原告は,組合本部との上記団体交渉において,組合本部が求めた本件組織再編に伴う従業員の身分,地位,労働条件等の説明要求に応答しており,また,平成13年1月23日付けマネジメントニュースにより,全従業員に対し,本件組織再編の説明を行ったほか,従業員から個別に照会等があった場合に 員の身分,地位,労働条件等の説明要求に応答しており,また,平成13年1月23日付けマネジメントニュースにより,全従業員に対し,本件組織再編の説明を行ったほか,従業員から個別に照会等があった場合には,個別に説明,対応をした。本件組織再編に関する本件団体交渉申入議題ⅠないしⅢは,原告が組合本部に説明済みの本件組織再編に関する事項について具体的な支障,疑問がないにもかかわらず,執拗に説明を求めるものであり,相応の理由のないものである。 以上によれば,被告補助参加人は本件団体交渉申入議題ⅠないしⅢについて団体交渉権限を有しておらず,同議題は被告補助参加人との関係において義務的団体交渉事項ではないから,原告が同議題について団体交渉に応じる義務はない。 イ組合本部及び組合5支部がそれぞれ原告との団体交渉権限を有するとしても,組合の内部において交渉事項を整理,調整して団体交渉権限を分配し,その内容を使用者である原告に明らかにしなければならない。原告は,組合本部及び組合5支部から出された交渉事項が重複する場合,二重交渉 を避けるため,交渉権限及び交渉議題の調整,整理がされるまで,団体交渉を一時的に拒否することができるというべきである。被告補助参加人による本件団体交渉申入れにおける交渉議題は,組合本部及び組合の他の支部からの団体交渉の申入れにおける交渉議題と重複するもの又は後に重複して申入れがされる可能性のある交渉議題であったところ,これに関して,組合本部及び組合5支部は,内部において交渉議題の調整,整理及び団体交渉権限の分配を一切行っておらず,また,原告からそれぞれの交渉議題の整理,開催希望日の調整をするよう申入れを受けたにもかかわらず,これらを全く行わなかった。したがって,組合側において上記の調整,整理を行うまでは,原 行っておらず,また,原告からそれぞれの交渉議題の整理,開催希望日の調整をするよう申入れを受けたにもかかわらず,これらを全く行わなかった。したがって,組合側において上記の調整,整理を行うまでは,原告には被告補助参加人からの申入れに係る団体交渉を拒否する正当な理由があり,原告がその間団体交渉を拒否しても不当労働行為とはならないと解すべきである。 原告は,以上の状況下において被告補助参加人らとの団体交渉を可能にするためには連名方式による以外に方法がないため,連名方式による団体交渉を求めたにすぎず,連名方式に固執していたものではない。そして,本件団体交渉申入れに係る原告と被告補助参加人との間の団体交渉において具体的な交渉ができていないのは,最初の団体交渉開催日とされた平成15年1月15日については,被告補助参加人が出席を拒否したことによるのであり,同年7月4日及び同年12月10日の各開催日については,被告補助参加人が個別交渉にこだわり,原告からの連名方式による団体交渉の申入れを問題とする対応をとり続けたため,交渉議題についての交渉に入らないまま団体交渉が終了したことによるのであり,原告が交渉議題について回答を拒否したことはない。したがって,以上の交渉経過について原告が責任を問われる理由はない。 (2) 争点(2)(原告が,平成14年7月26日の団体交渉の際における被告補助参加人側交渉員の団体交渉開催場所への移動時間につき賃金控除をした ことは,労働組合法7条3号に該当する不当労働行為か。)(被告の主張)原告と被告補助参加人との間には,被告補助参加人側交渉員の団体交渉開催場所への移動時間について賃金保証がされる旨の合意があった。この点は,被告補助参加人が原告を被申立人として都労委に救済申立てをした前事件に 告補助参加人との間には,被告補助参加人側交渉員の団体交渉開催場所への移動時間について賃金保証がされる旨の合意があった。この点は,被告補助参加人が原告を被申立人として都労委に救済申立てをした前事件において,公的機関である都労委が作成した第5回調査調書中に,原告が上記内容の賃金保証をすることを確認した旨が記載されている(前記2(4)イ)。 そうであるにもかかわらず,原告は,平成14年7月26日開催の団体交渉の際における被告補助参加人側交渉員の団体交渉開催場所への移動時間について賃金控除をした。 原告の上記賃金控除行為は,労働組合法7条3号に該当する不当労働行為である。 (原告の主張)前事件の原告側補佐人として出席したP1は,その第5回調査期日において,団体交渉の際における被告補助参加人側交渉員の団体交渉開催場所への移動時間について賃金保証をするかどうかを検討する旨の発言はしたが,被告補助参加人に対し,当該保証をする旨の約束はしていない。前事件の第5回調査調書は,誤って記載されたものである。なお,P1は,前事件の第7回調査期日において,第5回調査期日には賃金保証について検討する旨を述べたが,約束はしていない旨の説明をしたところ,都労委及び被告補助参加人側出席者から,同説明に関して第5回調査調書中の上記記載に関する指摘はなかった。 したがって,賃金保証をするとの合意があったとして原告が被告補助参加人側交渉員の団体交渉開催場所への移動時間につき賃金控除をしたことが労働組合法7条3号に該当する不当労働行為であるとの被告の主張は,その前提を欠く。 第3 争点に対する判断 1 争点(1)(本件団体交渉申入れに対する原告の対応は,労働組合法7条2号に該当する不当労働行為か。)(1)ア前記第2の2の前提事実(以下,単に「前提事 第3 争点に対する判断 1 争点(1)(本件団体交渉申入れに対する原告の対応は,労働組合法7条2号に該当する不当労働行為か。)(1)ア前記第2の2の前提事実(以下,単に「前提事実」という。)(2)及び(3)によれば,原告は,イントラネット上や本件組織再編後の平成13年1月22日に開催された組合本部との団体交渉において,本件組織再編に伴う原告及び新設会社の所管業務を説明し,従業員については,東京支店の従業員を含む旧ネスレ日本の従業員は引き続きネスレジャパンホールディング株式会社に在籍している旨の説明をしたこと,これに対し,本件組織再編後に被告補助参加人の組合員である東京支店の従業員が交付を受けた給与関係書類のうち,基本給通知書はネスレジャパンアドミニストレーション株式会社名義で作成され,給与の支給明細書及び源泉徴収票はネスレ日本株式会社名義で作成されていたことが認められる。 以上の状況は,被告補助参加人の組合員である東京支店の従業員の労働条件に直接関係し,かつ,それを基礎付ける重要な書類が,在籍しているとの説明を受けていたネスレジャパンホールディング株式会社以外の会社名義で作成されていたというものであり,被告補助参加人の組合員において使用者がだれであるかという基本的で重大な問題状況であるということができる。このような状況を前提として,被告補助参加人が,その組合員の身分や組合員が従事する東京支店に関する法的関係について,原告に対し説明を求めることには相応の理由があるというべきである。 本件団体交渉申入議題ⅠないしⅢの内容は,前提事実(5)アのとおりであり,①東京支店における施設管理修理,賃金決定等の権限がネスレジャパングループのどの会社にあるのか,②従業員の身分について,原告から新ネスレ日本への出向扱いなのか,派 ,前提事実(5)アのとおりであり,①東京支店における施設管理修理,賃金決定等の権限がネスレジャパングループのどの会社にあるのか,②従業員の身分について,原告から新ネスレ日本への出向扱いなのか,派遣扱いなのか,そのいずれでもないのか,また,賃金支払者は新ネスレ日本なのか,③被告補助参加人の東京 支店長に対する団体交渉の申入れに対する原告側の回答文書の作成者となっているネスレジャパングループを構成するのはどの会社であるのか,また,ネスレジャパングループにネスレジャパンアドミニストレーション株式会社が含まれるのであれば,なぜ同社が団体交渉権限を有するのかを問うものである。以上の内容からすると,本件団体交渉申入議題ⅠないしⅢは,東京支店における本件組織再編に関する事項を内容としたものであり,被告補助参加人の組合員の身分や組合員が従事する東京支店に関する法的関係についての交渉議題であることが優に認められる。 以上によれば,本件団体交渉申入議題ⅠないしⅢは,本件組織再編後の東京支店の従業員に関する労働条件その他の待遇や人事に関する事項として,被告補助参加人との関係における義務的団体交渉事項であるというべきである。そうすると,原告は,同議題について,被告補助参加人との間で個別に団体交渉に応じる義務がある。 イ原告の主張の検討(ア) 原告は,被告補助参加人は,組合本部の下部組織であるから,組合全体の中での団体交渉権限の配分に従わなければならず,組合本部が行う団体交渉と抵触する団体交渉を行ってはならないなど,無限定な団体交渉権限が認められるものではなく,本件組織再編に関する事項については,原告と組合本部との団体交渉において交渉議題とされており,被告補助参加人独自の交渉議題であるとはいえないから,組合の側で本件組織再編に関する事項 るものではなく,本件組織再編に関する事項については,原告と組合本部との団体交渉において交渉議題とされており,被告補助参加人独自の交渉議題であるとはいえないから,組合の側で本件組織再編に関する事項についての団体交渉権限が組合本部又は組合5支部のいずれに帰属するのかを明らかにしない以上,同事項に関する団体交渉権限は組合本部にあり,支部である被告補助参加人はこれを有していない旨主張する。 しかし,支部のような単位労働組合の下部組織についても,当該支部限りの交渉事項に当たるものについては,組合本部の統制に服する ものの,独自に団体交渉を行う権限があると解される。そして,本件団体交渉申入議題ⅠないしⅢの内容は,上記アで説示したとおり,被告補助参加人の組合員の身分や組合員が従事する東京支店に関する法的関係を内容とする交渉議題である。そうすると,本件団体交渉申入議題ⅠないしⅢは,東京支店に係る事項に限定した議題であり,被告補助参加人限りの交渉事項であるということができる。他方,本件全証拠によっても,本件団体交渉申入れがされた平成15年当時,組合本部が原告に対し,本件組織再編に関する事項について団体交渉を申し入れていたことをうかがわせる事情は認められず,その当時,原告が,組合本部及び被告補助参加人との関係において,当該事項について重複して団体交渉を求められる可能性が具体的に存在していたとはいえない。また,組合の各支部からの団体交渉の申入れに関して,組合本部が原告に対し,平成9年3月21日,それぞれの支部団交で誠意を持って回答するよう要求していたこと(当事者間に争いがない。)に照らして,組合本部が被告補助参加人の団体交渉権限に制約を加えていたとは考え難く,本件全証拠によっても,そのような事実をうかがわせる事情は認められない。 たこと(当事者間に争いがない。)に照らして,組合本部が被告補助参加人の団体交渉権限に制約を加えていたとは考え難く,本件全証拠によっても,そのような事実をうかがわせる事情は認められない。 したがって,原告の上記主張は採用することができない。 (イ) 原告は,本件団体交渉申入議題ⅠないしⅢについて,被告補助参加人が平成16年1月26日付け要望書により交渉議題から除外し,それ以降,交渉議題として扱うよう求めていないことからしても,義務的団体交渉事項ではない旨主張する。 前提事実(8)オ及び証拠(乙A24,129,乙B156)によれば,上記要望書の提出は,被告補助参加人が,本件初審事件の平成15年12月15日開催の調査期日において,都労委から,被告補助参加人が原告と支部団体交渉を開催することの障害となっている本件組 織再編に関する議題の取扱いについて検討するよう言われたことを受けて行われたものであること,上記要望書の内容は,「東京都労働委員会の調査を踏まえ東京支部団体交渉議題とは区別し本要望書を提出します。」とした上で,別途,原告,新ネスレ日本及びネスレジャパンアドミニストレーション株式会社に対し,本件団体交渉申入議題ⅠないしⅢと全く同じ内容の3項目の質問事項を挙げ,これについて文書による回答を求めるものであることが認められる。上記要望書が以上認定の経過により提出されたこと及びその記載内容に照らすと,被告補助参加人が上記要望書を提出した趣旨は,その提出以降,本件団体交渉申入議題ⅠないしⅢを交渉議題から除外することを意味するのにとどまるものであり,それ以上に,本件団体交渉申入議題ⅠないしⅢを当初から交渉議題としないこととしたものと解することはできない。 Ⅲを交渉議題から除外することを意味するのにとどまるものであり,それ以上に,本件団体交渉申入議題ⅠないしⅢを当初から交渉議題としないこととしたものと解することはできない。 したがって,原告の上記主張は採用することができない。 (ウ) 原告は,組合本部との団体交渉において,本件組織再編に伴う従業員の身分,地位,労働条件等について応答しており,また,平成13年1月23日付けマネージメントニュースにより,全従業員に対して本件組織再編の説明を行うなどしているから,具体的な支障や疑問がないにもかかわらず,本件団体交渉申入れにおいて本件団体交渉申入議題ⅠないしⅢを交渉議題とすることには,相応の理由がないと主張する。 しかし,被告補助参加人が本件団体交渉申入議題ⅠないしⅢを交渉議題とすることに相応の理由があることは,前記アで説示したところにより認めることができる。原告の上記主張は,採用することができない。 (2)ア前提事実(5)及び(8)によれば,被告補助参加人が原告に対して本件団 体交渉申入れをしてから平成16年2月3日までの間に,団体交渉開催日が定まったのは,平成15年1月15日,同年7月4日,同年12月10日及び平成16年2月3日の4回であり,そのうち団体交渉が実際に開催されたのは,平成15年1月15日以外の3回であること,原告は,上記4回の団体交渉開催日が定まった日の団体交渉に関して,いずれも連名方式により団体交渉を行うことを申し入れていたこと,平成15年1月15日に予定された団体交渉は,被告補助参加人が,原告に対し,原告の上記内容の申入れについて,支部団体交渉を拒否したものとして抗議するとともに,同日の団体交渉に出席しない旨の書面を送付して,団体交渉開催場所に出向 た団体交渉は,被告補助参加人が,原告に対し,原告の上記内容の申入れについて,支部団体交渉を拒否したものとして抗議するとともに,同日の団体交渉に出席しない旨の書面を送付して,団体交渉開催場所に出向かなかったため,開催されなかったこと,同年7月4日及び同年12月10日の各団体交渉は,それぞれ双方の交渉員が出席して開催されたが,いずれも,被告補助参加人側が被告補助参加人との単独の団体交渉を求めたのに対し,原告側が連名方式により団体交渉を進めようとして,団体交渉の方式等をめぐるやり取りに終始して実質的交渉に入らずに終了したこと,平成16年2月3日の団体交渉では,原告側交渉員から,本件団体交渉申入議題ⅠないしⅢについて具体的な回答がされずに終了したことが認められる。 上記認定事実によれば,平成15年1月15日の団体交渉については,それが開催されなかったのは,原告が連名方式による団体交渉を申し入れていたという事実があるものの,被告補助参加人側の欠席もその一因であることにかんがみると,直ちに原告が被告補助参加人との団体交渉を拒否したものということはできない。また,平成16年2月3日に開催された団体交渉においては,本件団体交渉申入議題ⅠないしⅢは交渉議題から外されていたのであるから(前記(1)イ(イ)),原告側交渉員が本件団体交渉申入議題ⅠないしⅢについて具体的な回答をしなかったことをもって,原告が同団体交渉において交渉議題に応答しなかったもの ということはできない。しかしながら,平成15年7月4日及び同年12月10日に開催された団体交渉については,被告補助参加人が,同年1月15日に予定された団体交渉について連名方式による団体交渉を拒否することを明らかにしていた上,上記各団体交渉の場でも同様の態度を示していたにもかかわらず 体交渉については,被告補助参加人が,同年1月15日に予定された団体交渉について連名方式による団体交渉を拒否することを明らかにしていた上,上記各団体交渉の場でも同様の態度を示していたにもかかわらず,原告が連名方式による団体交渉を行うことに固執したため,実質的な交渉に入ることができなかったものであることが認められる。この事実関係に,前記(1)アで説示したとおり,本件団体交渉申入議題ⅠないしⅢは,被告補助参加人との関係において義務的団体交渉事項であり,原告は同議題について被告補助参加人との間で個別に団体交渉に応じる義務を負うことを併せ考えると,同年7月4日及び同年12月10日に開催された団体交渉については,原告が被告補助参加人との間の個別の団体交渉を実質的に拒否したものと評価することができる。 イ原告の主張について(ア) 原告は,本件団体交渉申入れにおける交渉議題は,組合本部及び組合の他の支部からの団体交渉の申入れにおける交渉議題と重複するもの又は重複して申入れがされる可能性のある交渉議題であったから,原告は,組合本部及び組合5支部において交渉議題の調整,整理が行われるまで,被告補助参加人からの団体交渉の申入れを拒否する正当な理由がある旨主張する。 前提事実(6)によれば,本件団体交渉申入れと近接した時期に,組合島田支部や組合霞ヶ浦支部からも原告に対して団体交渉が申し入れられていたことが認められ,この事実関係からすると,原告が組合本部や組合5支部に対して議題や日程を調整,整理するよう求めたことには相応の理由があるということができる。しかし,本件団体交渉申入議題ⅠないしⅢは,東京支店に係る事項に限定した議題であり,被 告補助参加人限りの交渉事項であると認められることは,前記(1)アで 応の理由があるということができる。しかし,本件団体交渉申入議題ⅠないしⅢは,東京支店に係る事項に限定した議題であり,被 告補助参加人限りの交渉事項であると認められることは,前記(1)アで説示したとおりである。また,前提事実(6)によれば,組合島田支部及び組合霞ヶ浦支部からの各団体交渉の申入れにおける交渉議題は,それぞれの支部に係る事項を議題としたものであることが認められる。 これに対し,本件全証拠によっても,組合本部及び被告補助参加人以外の組合の各支部において,本件団体交渉申入議題ⅠないしⅢと重複する東京支店に係る事項を交渉議題に含む団体交渉の申入れをしていたことは認められず,また,原告が同議題について重複して団体交渉を求められる可能性が具体的に存在していたことも認められない。 以上によれば,原告の上記主張は,その前提を欠くものとして,採用することができない。 (イ) 原告は,本件団体交渉申入れに係る団体交渉において交渉議題に入らないまま終了したことについて,被告補助参加人が,出席を拒否し,また,個別交渉にこだわって連名方式による団体交渉の申入れを問題とする対応を続けたことによるものであり,原告が責任を問われる理由はない旨主張する。 しかし,平成15年7月4日及び同年12月10日開催の団体交渉における原告の対応が,被告補助参加人との間の個別の団体交渉を実質的に拒否したものと評価されるものであることは,上記アで説示したとおりである。したがって,原告の上記主張は採用することができない。 (3) 以上によれば,本件団体交渉申入れ後最初の団体交渉開催予定日に団体交渉が開催されなかったのは,直ちに原告がこれを拒否したことによるものとはいえないものの,その後2回開催さ とができない。 (3) 以上によれば,本件団体交渉申入れ後最初の団体交渉開催予定日に団体交渉が開催されなかったのは,直ちに原告がこれを拒否したことによるものとはいえないものの,その後2回開催された団体交渉については,被告補助参加人が個別の団体交渉を一貫して求めていたのに対して,原告が連名方式による団体交渉に固執したため,その間で東京支店に係る組織再編 に関する事項(本件団体交渉申入議題ⅠないしⅢ)について団体交渉が行われなかったものであり,その状態は平成16年1月26日に被告補助参加人が同事項を交渉議題から外すまで継続していたことが認められる。この間の原告の上記対応は,連名方式による団体交渉でなければ被告補助参加人との個別の団体交渉をしないというものであって,実質的に団体交渉を拒否したものと評価できるものであるから,労働組合法7条2号の不当労働行為に該当するというべきである。 2 争点(2)(原告が,平成14年7月26日の団体交渉の際における被告補助参加人側交渉員の団体交渉開催場所への移動時間につき賃金控除をしたのは,労働組合法7条3号に該当する不当労働行為か。)(1) 前提事実(4)によれば,平成14年6月25日に開催された前事件の第5回調査調書には,都労委の審査委員が原告及び被告補助参加人に確認した事項の一つとして,被告補助参加人側交渉員の団体交渉及び移動時間については賃金カットを行わない旨記載されていること,原告は,同年7月26日開催の団体交渉の際における被告補助参加人側交渉員の団体交渉開催場所への移動時間について賃金控除をしていることが認められる。 (2) 原告は,前事件の原告側補佐人として出席したP1は,その第5回調査期日において,組合員の団体交渉及び移動時間について賃金保証をするかどうかを検 賃金控除をしていることが認められる。 (2) 原告は,前事件の原告側補佐人として出席したP1は,その第5回調査期日において,組合員の団体交渉及び移動時間について賃金保証をするかどうかを検討する旨の発言はしたが,当該保証をする旨の約束はしておらず,前事件の第5回調査調書の記載は誤りであること,P1は,前事件の第7回調査期日において,当該保証を約束していないことを説明したと主張し,本件初審事件及び本件再審査事件において提出されたP1の陳述書(乙B153,159)並びに本件初審事件及び本件再審査事件におけるP1の証人尋問調書(乙C2,4,6)中には,上記主張と同旨の陳述及び供述部分がある。 しかし,証拠(乙A120,121,乙B154,159,乙C6)に よれば,被告補助参加人は,原告に対し,平成14年8月28日付け「抗議並びに要求書」と題する書面において,同年7月26日開催の原告と被告補助参加人との団体交渉の際における被告補助参加人側交渉員の団体交渉開催場所への移動時間につき原告が賃金控除をしたことについて,前事件の調査の席上,原告は移動時間について賃金保証の対象となることを確認し,その旨調査調書に記載されていることを取り上げて抗議していること,P1は,同年11月20日,前事件の第5回調査調書の写しを手に入れ,その記載内容を確認しているが,P1を含め原告側からは,同調書の記載が誤っている旨の指摘もその訂正の申出等もしていないことが認められる。これに加え,証拠(乙B154)によれば,前事件の第6回調査期日から前事件が取り下げられるまでの間に作成された調査調書及びあっせん調書には,原告から賃金保証に関する検討結果の報告や賃金保証はしない旨の発言等がされたことをうかがわせる記載は全くないことが認められる。以上の事実関係に れるまでの間に作成された調査調書及びあっせん調書には,原告から賃金保証に関する検討結果の報告や賃金保証はしない旨の発言等がされたことをうかがわせる記載は全くないことが認められる。以上の事実関係に照らすと,P1の上記陳述及び供述部分は信用することができない。 (3) 以上によれば,原告は,前事件の第5回調査期日において,被告補助参加人に対し,被告補助参加人側交渉員の団体交渉及び移動時間について賃金控除をしないことを確認したものであり,遅くともその時点では,原告と被告補助参加人との間に上記移動時間について賃金控除をしないことについて合意が成立していたものと認めるのが相当である。そうすると,原告が同調査期日後の平成14年7月26日に開催された団体交渉における被告補助参加人側交渉員の団体交渉開催場所への移動時間について賃金控除をしたのは,上記合意に違反する行為である。そして,原告が,当該賃金控除を行うについて,被告補助参加人に対し,事前に説明したり,協議を持ち掛けたりしたなどの事情がうかがえないことからすると,当該賃金控除は,原告が一方的に上記合意を破って被告補助参加人側交渉員に経済 的打撃を与える行為であり,被告補助参加人の団体交渉行為を萎縮させるものであるといえるから,原告がした当該賃金控除は,労働組合法7条3号の不当労働行為に該当するというべきである。 3 前記1及び2によれば,中労委が本件命令においてした,①本件団体交渉申入議題のうち東京支店に係る会社組織再編に関する事項について,同申入れから平成16年1月26日までの間,原告の提案する団体交渉の方式に固執して被告補助参加人との単独の団体交渉に実質的に応じなかったことが労働組合法7条2号に該当する不当労働行為であるとした判断,②前事件において,団体交渉開催場所への移 告の提案する団体交渉の方式に固執して被告補助参加人との単独の団体交渉に実質的に応じなかったことが労働組合法7条2号に該当する不当労働行為であるとした判断,②前事件において,団体交渉開催場所への移動時間について控除しない旨述べたにもかかわらず,平成14年7月26日に実施された原告と被告補助参加人との間の団体交渉が行われた際に団体交渉開催場所への移動時間について被告補助参加人側交渉員の賃金を控除したことが同条3号に該当する不当労働行為であるとした判断は,いずれも相当であり,原告が主張するような違法はない。そして,これに対する救済方法として,本件命令の主文Ⅰ項1の内容の文書掲示を命じたことも相当である。 第4 結論以上によれば,原告の請求は理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第19部 裁判長裁判官青野洋士 裁判官渡邉和義 裁判官荒谷謙介
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