昭和32(オ)934 公売処分無効確認並びに所有権取得登記の抹消登記手続請求

裁判年月日・裁判所
昭和35年3月31日 最高裁判所第一小法廷 判決 破棄自判 名古屋高等裁判所
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【DRY-RUN】- 1 - 主 文 原判決を破棄し、第一審判決を取消す。 被上告人富山税務署長が富山県下新川郡a村bc番地D鋳造株式会社に 対する国税滞納処分として昭和二五年八月二一日富山地方法務局東岩瀬出張所登記

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判決文本文3,944 文字)

- 1 -主文原判決を破棄し、第一審判決を取消す。 被上告人富山税務署長が富山県下新川郡a村bc番地D鋳造株式会社に対する国税滞納処分として昭和二五年八月二一日富山地方法務局東岩瀬出張所登記受附第三八九八号を以て差押えた別紙目録記載の土地に対し昭和二六年一〇月二二日被上告人B2を競落人としてなした公売処分の無効なることを確認する。 被上告人B2は同被上告人を権利者として昭和二六年一〇月二九日富山地方法務局東岩瀬出張所登記受附第一六四一号を以て前項の土地についてなした所有権移転登記の抹消登記手続をせよ。 訴訟費用は全審級を通じ被上告人らの負担とする。 理由 上告代理人弁護士松岡松平、同大庭登の上告理由第二点について。 (イ)別紙目録の本件土地はもと、訴外株式会社E製作所(後に商号をD鋳造株式会社と変更)の所有に属していたこと。 (ロ)上告人は右会社から昭和二一年二月八日本件土地を買受け代金の支払を終つたが、右会社側の都合でその所有権移転登記手続が未済となつていたこと。 (ハ)上告人は同二月一五日魚津税務署長に対し本件土地を自己の所有財産として財産税の申告をなし、次いでこれを納入したこと。そして右申告書には「登記面は下新川郡a村b株式会社E製作所代表者F分」と明記していたこと。 (ニ)上告人は右所有権の取得後本件魚津税務署長としては、上告人が本件土地の所有権を取得したものであることを一応承認していたこと。 (ホ)上告人は右所有権の取得後本件土地の上にあつた建物を訴外Gに売渡した上、右土地を同人に賃料五〇〇〇円で賃貸するとともに、右土地に対する公租公課の徴税令書が登記名義人である前示会社に送達されないように所轄富山市役所東- 2 -岩瀬支所に対しGにおいて代納するから同人に令書を交付されたい旨申出で、右会社宛の徴税令書は同人が受取り 公租公課の徴税令書が登記名義人である前示会社に送達されないように所轄富山市役所東- 2 -岩瀬支所に対しGにおいて代納するから同人に令書を交付されたい旨申出で、右会社宛の徴税令書は同人が受取り同人は上告人に支払うべき右賃料を以て昭和二一年度の地租及び地方税昭和二二年以降二四年頃迄の地方税を代納したこと。 (へ)魚津税務署長は前示会社に対する滞納税徴収のため同会社所有の富山県下新川郡a村bc番地所在工場内の機械器具を差押えたところ、本件土地に対する税金を上告人のため代納していたGが事業不振により滞納したため富山市役所東岩瀬支所から登記名義人である右会社に徴税令書が送達され、同会社の事実上の支配、、者であつたHにおいて本件土地がなお同会社名義になつていることを知るに及びこれを奇貨としHから魚津税務署係員に対し既に差押えられている会社所有の機械器具に代えて、本件土地を差押え、機械器具の差押を解放されたい旨陳情し、昭和二五年三月三〇日本件土地の所在地を管轄する富山市役所東岩瀬支所の所有証明書を添付して本件土地に対する差押希望書を提出したところ、魚津税務署長は右申請を容れこれに関する事務を本件土地について管轄庁である被上告人富山税務署長に引継ぎ同被上告人は右所有証明書に基いて昭和二五年八月二一日本件土地を差押え、かつ同日その登記を経由したこと。 (ト)かくて、被上告人富山税務署長は本件土地に対する公売処分を実施し、昭和二六年一〇月二二日被上告人B2を権利者とする公売処分を了り、同月二九日富山地方法務局東岩瀬出張所受附第一六四一号を以て被上告人B2を権利者とする所有権移転登記手続を経由したこと。 (チ)本件土地の買受後その所有について何人からも異議を差しはさまれなかつた上告人は前示会社に対する滞納処分として前示差押がなされたことを知るや 2を権利者とする所有権移転登記手続を経由したこと。 (チ)本件土地の買受後その所有について何人からも異議を差しはさまれなかつた上告人は前示会社に対する滞納処分として前示差押がなされたことを知るや、直ちに弁護士小林宗信を代理人として富山税務署に対し数回に亘り本件土地は上告人が買受け所有するものであるから差押を解除されたい旨陳情し、証明書類として前示会社の代表者Fと上告人間の売買契約書を示し一方上告人自身も魚津税務署係- 3 -員に同様苦情を申出で、次いで本件土地につき昭和二五年八月三一日自己の為めに所有権移転登記手続を経由すると同時に右弁護士小林宗信をして被上告人富山税務署長に対し同年九月一四日滞納処分取消申請書を提出させたところ、富山税務署係員は本件土地の登記簿上の名義が上告人でないことの事由で右陳情を取上げず右申請書はこれを正式に受理しながら富山税務署員Iの書類箱に抛置したまま失念し、本件訴が提起された後もしばらくその存在に気付かず、約一年半を経過した昭和二八年六月四日(前示差押登記後約三年を閲している)に至り差押当時上告人において登記がしてなかつたとの理由で、右申請を棄却する旨通知したこと。 以上が原判決において、確定されている事実である。 よつて、叙上の事実関係の下において被上告人富山税務署長は上告人の本件土地の所有権取得について、登記の欠缺を主張するについての正当の利益を有する第三者に該当するか、どうかを判断するわけであるが、この点に関し当審の判断を覊束する前上告審判決は次のように述べているのである。すなわち、本件のような場合国が上告人の本件土地所有権の取得に対し登記の欠缺を主張するについて正当の利益を有する第三者に該当しないという為めには財産税の徴収に際し前控訴審判決の認定したようなな経緯、詳言すれば、上告人は前示差押登記 告人の本件土地所有権の取得に対し登記の欠缺を主張するについて正当の利益を有する第三者に該当しないという為めには財産税の徴収に際し前控訴審判決の認定したようなな経緯、詳言すれば、上告人は前示差押登記前である昭和二一年二月一五日魚津税務署長に対し本件土地を自己の所有として申告し、同署長は該申告を受理して、上告人から財産税を徴税したという事実だけでは足りず、更に上告人において本件土地が所轄税務署長から、上告人の所有として取り扱わるべきことを強く期待することがもつともと思われるような特段の事情がなければならないというのである。 そこで考えてみるに、原審は前控訴審判決の確定した右事実に附け加えて前掲(イ)ないし(チ)の各事実を確定しているのであつて、これらの事実、殊に上告人の提出した前示財産税の申告書には特に「登記面は前示訴外会社代表者名義には- 4 -なつているが、実質は上告人の所有であること」の趣意を記していたこと、魚津税務署長は上告人が本件土地の所有権を取得したものであることを一応承認していたこと、そして爾来前示差押登記のなされた昭和二五年八月一日に至る約五年の間上告人は何人からも本件土地の所有に関し異議を差しはさまれたことのないこと、上告人は前掲(ホ)に示したように、本件土地の所有権を取得したものの登記面は依然所有者名義になつていたのでその公租公課の徴税令書が登記名義人に送達されぬよう特に配慮し、右徴税令書もその代納人が受取り、かつ同人において国税地方税(一部)を納入していたこと、そして右差押登記がなされたのを知るや上告人は富山税務署又は魚津税務署に対し陳情または正規の手続によつて、本件公売処分の取消方を求めたところ、被上告人富山税務署長はこれに対しその決定を前示のように遷引していたこと本件公売処分がなさるるに至つた関係については前掲 税務署に対し陳情または正規の手続によつて、本件公売処分の取消方を求めたところ、被上告人富山税務署長はこれに対しその決定を前示のように遷引していたこと本件公売処分がなさるるに至つた関係については前掲(へ)に示したような事情が伏在していたこと等の事実に着目して考察するときは前上告審判決にいう上告人において、本件土地が所轄税務署長から上告人の所有として取り扱わるべきことを強く期待することが、もつともと思われる事情があつたものと認めるを相当と考える。 さすれば、被上告人富山税務署長は上告人の本件土地の所有権取得に対し登記の欠缺を主張するについて正当の利益を有する第三者に該当しないものと認むべきが故に、被上告人富山税務署長のなした前示差押並びにその登記を含む一連の本件公売処分は滞納者の所有に属しない目的物件を対象としてなされたものとして競落人たる被上告人B2に目的物件の所有権を取得せしめる効果を生じないとする意味において無効となり同被告人のためになされた前示所有権取得登記も抹消されるを免れないものと言わざるを得ない。 されば、原判決は民法一七七条の解釈を誤つたものというべく、この誤りは原判決主文に影響を及ぼすこと勿論であるから本論旨(但し違憲をいう点を除く)は結- 5 -局理由あるに帰し、原判決は爾余の論点の審究をまつまでもなく、上叙の点において到底破棄を免れない。そして、事案は当審において自判をなす程度に熟しているものと認められるが故に、上告人の本訴請求は全部これを認容すべきものとする。 よつて、民訴四〇八条、三九六条、三八六条、九六条、八九条に従い、裁判官全員の一致で主文のとおり判決する。 最高裁判所第一小法廷裁判長裁判官下飯坂潤夫裁判官斎藤悠輔裁判官入江俊郎裁判官高木常七<別紙は省略> 裁判官全員の一致で主文のとおり判決する。 最高裁判所第一小法廷裁判長裁判官下飯坂潤夫裁判官斎藤悠輔裁判官入江俊郎裁判官高木常七<別紙は省略>

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