- 1 -主文 原判決を取り消す。 被控訴人が控訴人に対し平成16年6月25日付けでした軽油引取税更正・決定処分を取り消す。 訴訟費用は,第一,二審とも被控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1控訴の趣旨主文と同旨第2事案の概要 本件は,地方税法700条の4第1項5号に該当するのに申告書を提出しなかったとして,被控訴人が控訴人について軽油引取税に係る課税標準量,税額及び不申告加算税額を決定する処分(以下「本件処分」という。)をしたところ,控訴人が被控訴人に対し,この処分は課税要件を欠く違法なものであるとしてその取消しを求める事案である。 原審は,控訴人の請求を棄却した。 法令等の定め,前提事実,争点及び争点に係る当事者の主張は,原判決の該当部分について次のとおり補正するほか,その「事実及び理由」欄の「第2事案の概要」の「1法令等の定め」,「2前提事実」,「3争点」及び「4争点に係る当事者の主張」に記載のとおりであるから,これを引用する。 (1)4頁5行目末尾の次に「控訴人は,平成13年7月から平成14年10月までの間,軽油引取税における特約業者又は元売業者となったことはない。 また,控訴人は,製造軽油の販売について直接関係を有する事務所・事業所を有しなかった。さらに,控訴人は,平成13年7月から平成14年10月までの間における製造軽油の譲渡について,原判決別紙2に記載の申告期限までに,課税標準量及び税額等を記載した軽油引取税の申告書を提出しなかった。」を加える。 - 2 -(2)6頁10行目の「リッター」を「リットル」に改め,12行目と13行目の間に次のとおり加える。 控訴人は,P6に軽油の製造を依頼し,P6は,控訴人の依頼に応じて軽油の製造をしたものであり,控訴人とP6は軽油の製造の請負契約を締 「リットル」に改め,12行目と13行目の間に次のとおり加える。 控訴人は,P6に軽油の製造を依頼し,P6は,控訴人の依頼に応じて軽油の製造をしたものであり,控訴人とP6は軽油の製造の請負契約を締結したのである。この請負契約において,控訴人自らが原料である重油と灯油を持ち込み,出来上がった軽油を控訴人が持ち出し,P6は加工賃のみを日々受け取ることとしていたのであり,出来上がった軽油は出来上がったと同時に所有権を控訴人に取得させるとの黙示の合意があった。 なお,この黙示の合意が認められないとしても,以下に主張しているとおり,P6に持ち込まれた原料の重油及び灯油はいずれも控訴人の所有であり,重油と灯油の比率が10対6で軽油ができるというのであり,重油は1リットル当たり30円,灯油は31円であるから,軽油1リットルを製造するのに必要な材料費は,30.375円となる。これに対し,軽油1リットル当たりの加工賃は11円ないし11円50銭であり(乙23),販売価格は53円ないし55円であった(乙25)。そうすると,控訴人が1リットル当たり30.375円の材料を供給し,P6がこれに工作を加え,それによって生じた価格は22.625円ないし24.625円程度ということになって,民法246条1項本文を適用しても,工作によって生じた価格は材料の価格を著しく超えることはないから,出来上がった軽油の所有者は材料の重油と灯油の所有者である控訴人というべきことになる(なお,軽油製造に必要な硫酸,活性炭,活性白土及び消石灰は軽油の原料ではなく,材料に当たらない。)。 (3)8頁4行目の「リッター」を「リットル」に改める。 (4)9頁15行目の「ものである。」の次に「軽油販売先も控訴人本人が関- 3 -わっていることを承知していた。」を加える。 (5)10頁2 )8頁4行目の「リッター」を「リットル」に改める。 (4)9頁15行目の「ものである。」の次に「軽油販売先も控訴人本人が関- 3 -わっていることを承知していた。」を加える。 (5)10頁21行目と22行目の間に次のとおり加える。 イ控訴人の主体性について本件軽油取引は,次に述べるとおり,P1及びP7という実体のないダミー会社の名義やP2の名義を利用した仮装のものであって,これらの名義による取引は,それを実質的かつ主体的に行った者,すなわち控訴人の取引にほかならないのであり,控訴人の行為として課税要件の充足が検討されるべきである。そして,その結果,課税要件を充たすから,控訴人が納税義務者となる。 (ア)P1及びP7P29名義の各銀行口座は控訴人が管理・支配していたことa本件軽油取引においては,発注者,納品者及び請求書のあて先としてP1及びP7の名義が使用され,取引代金の振込元や入金口座としてこれらの名義の銀行口座が使用された。 bP1及びP7のP29名義の銀行口座は,本件軽油取引における決済口座として使用されており,P6への加工賃の振込み,本件軽油の販売代金の振込が行われているほか,P1名義の銀行口座からは合計2500万円が引き出され,それと同時にその全額が控訴人の個人名義の銀行口座に入金され,P7名義の銀行口座からは,少なくとも3826万円が引き出し後直ちに控訴人の個人名義口座に入金されており(乙11),さらに,P7名義の銀行口座からP1の借入金の返済が行われている(乙13)。 c控訴人名義の口座には本件軽油取引による約9500万円の入金があり,これから原料費の支払や製造委託手数料を除くと,控訴人は,本件軽油取引によって,少なくとも6700万円の利得を得ていると認められる(乙12)。 - 4 -d控訴人は,P 500万円の入金があり,これから原料費の支払や製造委託手数料を除くと,控訴人は,本件軽油取引によって,少なくとも6700万円の利得を得ていると認められる(乙12)。 - 4 -d控訴人は,P7の口座を動かしていたのは控訴人本人であると認め(乙25),P7のカードを預かり,P7の口座から出金して報酬を受領したことを認めている(乙14)。 e控訴人は,これらの銀行口座の入出金について,P11への貸付金の相殺であるとか,支払代行であるなどと説明するが,いずれも何ら証拠がないものであり,具体性も合理性も見出せないものであって,到底信用できるものではない。 f以上からすれば,控訴人がP1及びP7P29名義の銀行口座を管理・支配していたものと認められる。 (イ)P1及びP7は実体を伴わないものであり,本件軽油取引を行うに当たり控訴人が利用した名義であることaP1について(a)P1は,控訴人が代表取締役を務めていた株式会社であり,昭和61年に控訴人が設立したが,経営が悪化し,平成13年当時は休業状態となっており(甲8,乙15,控訴人本人),平成14年12月3日休眠法人としてみなし解散の登記がされている(乙2)。 P1は,平成9年以降決算を行っておらず,税務署長への法人税の申告を行っていない。会計帳簿も存在しない。株主総会も開催されておらず,形骸化した法人格のみが残っている状態であった(乙15)。 (b)本件軽油取引において,P1の名義及び銀行口座が使用されているが,いずれも単に名義が使用されたに止まり,P1の行為として会社の会計帳簿に記帳され,法人税等の申告が行われ,P1の役員・従業員に報酬・給与が支払われる等ということはなかった(乙15)。 - 5 -(c)P1の名義については,名義貸しが行われたとされるが,控訴人が本 記帳され,法人税等の申告が行われ,P1の役員・従業員に報酬・給与が支払われる等ということはなかった(乙15)。 - 5 -(c)P1の名義については,名義貸しが行われたとされるが,控訴人が本件軽油取引を行うに当たり,控訴人の取引をP1の取引と仮装するために,その名義を利用したというべきである。 bP7について(a)P7は,法人格はなく,P29が行っていた個人事業で使用された商号であるとされる(甲8)。平成13年12月ころより,P1に代わって本件軽油取引にP7の名義が使用されるようになった。 (b)P29は本件軽油取引には無関係であり(証人P30),P29が個人事業主であるP7が本件軽油取引に関与した事実は認められない。 (c)控訴人は,P7は誰がやっていたのかとの質問に対し,「私がやっていました。(P7の)P26銀行P27支店の口座を動かしていたのも私です。」と回答している(乙25)。P7P29名義の銀行口座の入出金状況をみれば(乙11,13),控訴人の関与なしには説明ができないから,P7名義の取引も控訴人が行ったものと認められる。 更に詳しく述べると,P29は,自分は何もやっていない,P31という人物から口座を作ってくれと依頼され,P26銀行P27支店で口座を開設し,控訴人のP2の事務所にP31と一緒に行って開設した預金通帳を渡したと述べるに止まり,その後の預金調査や関係者の事情聴取によっても本件軽油取引への関与は全くみられなかった(証人P30)。これに対し,控訴人がP7の名義を使用して本件軽油取引に関与していたことは疑いがない。 すなわち,P7P29名義の口座から合計3826万円が引き出され,直ちに控訴人名義の口座に入金されており(乙11),さ- 6 -らに,P7P29名義の口座からP1の借入金の返済が行われて がない。 すなわち,P7P29名義の口座から合計3826万円が引き出され,直ちに控訴人名義の口座に入金されており(乙11),さ- 6 -らに,P7P29名義の口座からP1の借入金の返済が行われており(乙13),P7あての請求書が控訴人の会社であるP2に送られるなど,控訴人がP7及びP7P29の名義を使用し,P7の取引であると仮装して本件軽油取引を行っていたことは明らかである。 cP2について(a)P2は,控訴人が設立した有限会社であり(甲8,控訴人本人),本件軽油取引が行われた当時の控訴人の勤務先であり,本件軽油取引において,控訴人への連絡先,請求書のあて先及び振込名義として使用された。また,P2の事務所がP7P29名義の預金通帳の受渡場所として使われるなど,控訴人が実際に本件軽油取引に係る連絡を行った場所として重要な役割を果たしている。しかし,いずれも連絡先等の場所として使用されたに止まり,P2が本件軽油取引において具体的な取引行為を行ったと認められる事実はない。 (b)P2は,本件軽油取引が行われた当時,法人として営業を行っており,実体があったが,P2あてに請求が行われ,P2名義でP7の銀行口座から振込みが行われたP4への運送料及びタンク料について,P2名義の銀行口座から支払が行われた事実はない。 (c)P4が発行した運送料及びタンク料の請求書のあて先は,19件中4件がP1,15件がP2となっているのに対し,支払は,P2あての15件のうち,3件がP2名で,残りはP7P29名で,P1又はP7P29の銀行口座から送金されている(乙5)。 通常,請求先と異なる振込先から入金があれば,請求元としては,これがどの請求に対する入金であるか確かめる必要があるが,- 7 -本件においては,関係者からそのような説明は一切なく,P る(乙5)。 通常,請求先と異なる振込先から入金があれば,請求元としては,これがどの請求に対する入金であるか確かめる必要があるが,- 7 -本件においては,関係者からそのような説明は一切なく,P4との間では,P1,P7,P2の名義による行為がいずれも控訴人の行為であるとの了解があったとみるほかはない。P2を含め,これらの仮装された会社や商号を使用し,実際に請求書等のやり取りをし,電話連絡を行い,振込み等を行うことができたのは,控訴人以外には存在しない。 (d)P2が,運送料及びタンク料の請求書のあて先となり,控訴人及びP1への連絡先の電話番号としてP2の事務所の電話番号が,控訴人個人の携帯電話番号とともに使用されたことは,控訴人が軽油取引先と連絡を取るためであって,控訴人が本件軽油取引の主体として,これらの取引を実際に行っていたことを示すものにほかならない。控訴人がP1の仕事でもあり,P2の仕事でもあったと述べたことは(乙23),まさしく控訴人の認識として,控訴人が会社の名義という外形を利用し,自らの商売として本件軽油取引を行っていたことを表したものにほかならない。 (ウ)控訴人に本件軽油取引を行うことについての積極的な動機及び意思並びにP1及びP7の名義を利用する意思が認められることa控訴人は,P1に係る多額の借入金を抱えており,本件軽油取引によって少しでも収入を得たいという意図から,これを行うこととした(乙23)。 b控訴人は,すべて自分で分かってやっている,自分の名前で本件軽油を売った等自ら本件軽油取引に主体的に関与していたことを認め(乙23),P1及びP7という名前で自分が商売をしていたことを認めている(乙23,25)。 c控訴人は,当初から本件軽油が不正軽油であることを認識しており(乙25),軽油引取税を脱 たことを認め(乙23),P1及びP7という名前で自分が商売をしていたことを認めている(乙23,25)。 c控訴人は,当初から本件軽油が不正軽油であることを認識しており(乙25),軽油引取税を脱税することにより,安価に軽油を製- 8 -造・譲渡できると認識していた。 d控訴人は,自らP5と連絡を取って本件軽油製造の段取りを行い,自ら原料となる重油と灯油を仕入れ,タンクローリーの手配を行い,自ら需要家へ積極的に売り込みを行っている。 e控訴人は,P1及びP7名義の銀行口座を管理・支配し,控訴人名義の銀行口座に資金を移動し,少なくとも6700万円にも及び利得を得るなど,積極的に利得を確保しようとし,現に利得を得た。 (エ)取引先が控訴人を取引の主体と認識していたことaP4及びP10は,P1,アポロ商事及びP2が控訴人の関与する会社及び商号であることを承知しており,本件軽油取引が控訴人本人との取引であることを十分認識していた。 bP14の担当者は,P2の事務所又は控訴人の携帯電話に連絡し,控訴人に対し,軽油購入の注文を行い,P32の専務取締役はP2の事務所に連絡し,控訴人に対して軽油購入の注文を行っていたから,控訴人が主体的に取引を行う立場にあり,P1及びP7の実質的な行為者であると考えていたことは疑いがない。 (6)10頁22行目の「イ」を「ウ」に改める。 (7)14頁1行目から15頁12行目までを次のとおり改める。 (オ)控訴人は,課税要件明確主義に反するというがいかなる根拠に基づく主張か明らかでなく,失当である。 (カ)控訴人は,本件軽油取引後の平成16年に法700条の22の3の罰則規定が創設されたことをもって,本件処分が同規定の遡及適用であると主張しているが,同規定は不正軽油の運搬,保管等の行為が不正軽油の製造やほ は,本件軽油取引後の平成16年に法700条の22の3の罰則規定が創設されたことをもって,本件処分が同規定の遡及適用であると主張しているが,同規定は不正軽油の運搬,保管等の行為が不正軽油の製造やほ脱行為を助成し又は誘発するものであることから,これら関与者に対し秩序罰を科すものであり,同規定はそもそも課税規定ではないから,控訴人の主張は失当である。 - 9 -(キ)控訴人は,仮に本件処分が控訴人に関係するものであるとしても,控訴人はP1の第二次納税義務者に当たると主張するようであるが,第二次納税義務とは,本来の納税義務者等が地方公共団体の徴収金を滞納している場合に,主たる納税義務者等の財産に滞納処分をしてもなお徴収すべき徴収金が不足すると認められるときに,その者と一定の関係がある者に対し,第二次的にその納税義務を負わせることにより,徴税の確保ないし合理化を図ろうとする徴収手続に係る規定であり,本件において,徴収手続の適用可能性を論じることは適切ではなく,控訴人の主張は失当である。 (ク)控訴人は,本件処分が事実関係について十分な調査を尽くさないで事実を誤認したまま,推計で行われたものと主張するようであるが,十分な調査を尽くした上で行われているから,この主張は失当である。 (ケ)控訴人は,本件軽油取引が刑事告発されなかったことをもって,本件処分に疑問を呈しているが,刑事告発をしたか否かにより課税処分の適法性が左右されることはないから,この主張は失当である。 (8)15頁24行目の「ならない」から「いない」までを「ならない」に改め,24行目と25行目の間に次のとおり加え,同行目の「(ア)」を「(イ)」に改める。 (ア)上記(ア)(軽油製造依頼)について,控訴人がP6に軽油の製造を委託したことはなく,また,P6との間で,製造された軽 と25行目の間に次のとおり加え,同行目の「(ア)」を「(イ)」に改める。 (ア)上記(ア)(軽油製造依頼)について,控訴人がP6に軽油の製造を委託したことはなく,また,P6との間で,製造された軽油の所有権が原始的に控訴人に帰属する旨の合意をした事実もない。P6の軽油製造過程において,P6が控訴人の持ち込んだ材料を用いて製造を行ったかは不明であり,P6と控訴人とが結んだとされる契約が請負契約であるのかについてすら疑問が存在する。控訴人がP6と契約を結んだとしても,その契約は軽油の売買契約である可能性があり,P6はその製造した軽油の所有権を原始取得した上で,これを控訴人に- 10 -譲渡した疑いがあるというべきである。 また,控訴人は,製造される軽油について,よく分からない旨供述しており(乙23),これは,主体的に軽油の製造依頼を行ったのではなく,P11らの主導の下に副次的に関わったにすぎない事実を示している。控訴人が主体的に軽油の製造依頼を行っていた事実はない。 (9)16頁7行目末尾の次に「他方,控訴人は,どういう状態で油を持ち込んだのか分からない旨供述しているところ,一般に,自らが行った取引において自らが仕入れた商品の状態を知らずに仕入れることは考え難く,この供述は,P11らの主導の下で副次的に関わったにすぎない事実を示すものというべきであり,控訴人について(イ)の要件は充たされていない。」を加え,10行目と11行目の間に次のとおり加える。 (ウ)上記(ウ)(原料の運搬)について控訴人は,製造工場に原料がどのようにしてどのような状態で持ち込まれたのか知らず,製造されて引き渡された軽油が自分の持ち込んだものかどうかも知らず,それが最終的にどこに持ち出されるのかも知らなかった。控訴人は,P11らの主導の下に軽油運搬の手配及び で持ち込まれたのか知らず,製造されて引き渡された軽油が自分の持ち込んだものかどうかも知らず,それが最終的にどこに持ち出されるのかも知らなかった。控訴人は,P11らの主導の下に軽油運搬の手配及び連絡役を務めていたにすぎず,控訴人について(ウ)の要件は充たされていない。 (エ)上記(エ)(軽油製造委託先への指示)について控訴人は,本件軽油を実際に運搬したP4に対して,指定された時間に行くように指示しているだけであり,軽油製造委託先とされるP5に対して指示をした事実はない。むしろ,P5又はP11らの指示どおりに運搬することをP4に連絡したにすぎず,控訴人について(エ)の要件は充たされていない。 (オ)上記(オ)(軽油の引取り)について控訴人は,タンクローリーの手配及びタンク使用料の支払をしたが,- 11 -運搬する軽油の中身が何であるかを知らないまま,P11らの指示に従って手配及び支払をしたにすぎず,控訴人について(オ)の要件は充たされていない。 (カ)上記(カ)(軽油製造に対する報酬の支払)についてP5に対する支払が加工賃であるとしても,控訴人は,P1の仕事でもある本件軽油取引に係る支払として支払ったにすぎない。本件軽油取引に関し控訴人名義の口座が使用されたことは事実であるが,これは,P1の名義を含めP11らに名義を貸したものであり,このことは,P7ことP29がP11らに名義を貸した事実と何ら変わりがない。 (キ)上記(キ)(軽油購入の勧誘)についてP13に控訴人が行ったのは,P11らからあいさつに行くように指示されたためにすぎない。控訴人について(キ)の要件は充たされていない。 (ク)上記(ク)(軽油購入の申込み受ける)について控訴人は,P11らの主導の下に連絡役を務めていたのであるから,控訴人がその携帯電話やP2 ない。控訴人について(キ)の要件は充たされていない。 (ク)上記(ク)(軽油購入の申込み受ける)について控訴人は,P11らの主導の下に連絡役を務めていたのであるから,控訴人がその携帯電話やP2の事務所を連絡場所としていたことは当然である。 (10)16頁11行目の「(イ)」を「(ケ)」に改め,22行目末尾の次に「なお,控訴人は,本件軽油取引の連絡を個人で行ったとの認識はあったものの,事業として本件軽油取引を行ったのは法人としてのP1又はP2であったと供述しており,控訴人自身の取引であることを自認したことはない。」を加え,23行目の「(ウ)」を「(コ)」に改める。 (11)17頁15行目の「リッター」を「リットル」に改める。 (12)19頁10行目と11行目の間に次のとおり加える。 ウ納税義務者の誤認- 12 -(ア)本件処分の前提となる事実関係は,次に述べるように,P1及びP7の名義で行われている。課税対象とされる行為は原則として名義を前提に判断されるべきであるから,本件軽油取引に係る納税義務者は控訴人ではない。 aP6に対する軽油製造委託定数料の支払は,P1又はP7名義の預金口座から送金されている(乙3)。 bP10からの重油,灯油等の買い付け代金の請求がP1又はP7あてにされ,P10に対する支払がP1又はP7名義の預金口座から送金されている(乙4)。 cP4に対する運送料及びタンク使用料の支払やP12に対する運送料の支払は,いずれもP1又はP7名義の預金口座から送金されている(乙5,6)。P4の取引の相手方がP1であった事実は,P4代表者の陳述書及びその証人尋問の結果からも明らかである。 dP10外3社からの軽油販売代金の請求がP1又はP7あてにされ,P10外3社に対する軽油買付代金の支払がP1又はP7名義の 事実は,P4代表者の陳述書及びその証人尋問の結果からも明らかである。 dP10外3社からの軽油販売代金の請求がP1又はP7あてにされ,P10外3社に対する軽油買付代金の支払がP1又はP7名義の預金口座から送金されている(乙7)。P10の取引の相手方がP1であった事実は,P10代表者の陳述書(甲6)及びその証人尋問の結果からも明らかである。 eP13の専務取締役は,被控訴人担当者の事情聴取に対して,軽油の購入先はP1である旨を述べている。また,P33協同組合や,P14の担当者も,軽油の購入先はP1である旨を述べている(乙9)。 fP5に販売された重油,灯油の代金の請求者はP1又はP7であり,P5からの送金はP1又はP7名義の預金口座にされている。 (イ)本件軽油取引に係る納税義務者を,課税対象行為の名義人であるP1又はP7ではなく,控訴人であるとするには,法人格否認の法理,- 13 -実質帰属者課税の原則又は第二次納税義務者のいずれかによる必要があるが,被控訴人は必要な主張,立証をしていない。 (13)19頁11行目の「ウ」を「エ」に改める。 (14)23頁10行目の「エ」を「オ」に改める。 (15)24頁14行目の次行に次のとおり加える。 カその他の控訴人の主張(ア)課税要件明確主義課税要件明確主義の趣旨からすれば,課税要件を充足するとするための評価の対象となる事実関係は明確なものが必要となるというべきところ,本件処分は,その前提とする事実関係が説得的でない。 (イ)地方税法の遡及適用の疑い本件軽油取引後の平成16年に,法700条の22の3の罰則規定が創設された。控訴人は,審査請求の段階から一貫して単なる連絡役にすぎないことを主張しており,本件軽油取引の時点でこの地方税法改正が行われていたとすれば,同規定が適用さ 700条の22の3の罰則規定が創設された。控訴人は,審査請求の段階から一貫して単なる連絡役にすぎないことを主張しており,本件軽油取引の時点でこの地方税法改正が行われていたとすれば,同規定が適用されていたと考えられる。 そうだとすれば,被控訴人の本件処分は,同規定を遡及適用したもので,違法である。 (ウ)連帯納税義務者控訴人が本件軽油取引に共同経営者として関与したものであるとするのであれば,控訴人は,P11やP19らと連帯してひとつの納税義務を負担する連帯納税義務者であるところ,本件処分は,この点を看過し,控訴人を単独の納税義務者としている。しかし,共同して製造,販売をした者の中のひとりのみに対して課税をすることを許容する税法上の規定は存在しない。控訴人の財産が滞納処分で執行されても,控訴人は,P11らに対する求償権を保証されないという不当な結果を生じさせるものであり,租税法律主義の趣旨を逸脱する。この- 14 -点においても,本件処分は違法である。 (エ)調査方法の不備,刑事告発等との整合性本件処分は,事実誤認と思い込みにより適切な調査がされないまま,不十分な調査に基づき,収集すべき証拠をそろえないままされた不当な処分である。 本件は,被控訴人らの主張によれば,3億5000万円もの脱税事件であるにもかかわらず,刑事告発が行われておらず,重加算税も課されていないのは,税務調査の過程で不十分な調査しか行わなかったためであるとの疑いが強く,この点からも課税要件が充足しているとは認められないというべきである。 第3当裁判所の判断 法700条の4第1項5号は,①特約業者及び元売業者以外の者が,②軽油の製造をして,当該製造に係る軽油を他の者に譲渡するという要件を充足することによって,当該軽油を譲渡した特約業者及び元売業者以外の者が 00条の4第1項5号は,①特約業者及び元売業者以外の者が,②軽油の製造をして,当該製造に係る軽油を他の者に譲渡するという要件を充足することによって,当該軽油を譲渡した特約業者及び元売業者以外の者が納税義務を負担する旨規定している。本件では①について争いはないが,②について,控訴人が軽油の製造をして,当該製造に係る軽油を他の者に譲渡したといえるのか否かが争点となっている。以下,この点について検討する。 被控訴人は,平成13年7月1日から平成14年10月31日までの間に,控訴人が軽油の製造をした旨を主張しているので,まず,このことが認められるかについて検討する。 (1)軽油引取税は,消費税の一種であって,軽油の引取りで当該引取りに係る軽油の現実の納入を伴うものを課税要件(引取課税方式),引取り数量を課税標準とし,元売業者又は特約業者からの引取りの時点において,その引取りを行う者を納税義務者とした上,徴税手続の簡素化を図るために元売業者又は特約業者を特別徴収義務者とした仕組みの税制である。軽油の流通過程は,元売業者が輸入した原油を精製して製造したものが特約業者を経て消- 15 -費者に譲渡されて消費されるのが通例であるから,主に特約業者の手を離れる時点において課税して消費者に転嫁するのが合理的である。そこで,上記のような仕組みが採用されたのであるが,他方において,上記流通過程から外れた軽油が消費されるに至る場合も存在するため,公平課税の見地から,それらも広く捕捉する必要性を認め,数種のみなす課税が定められている。 その1つが,特約業者及び元売業者以外の者が軽油を製造して他の者に譲渡した場合を引取りとみなして課税するものである(法700条の4第1項5号)。 このみなす課税は,製造して,その製造に係る軽油を他の者に譲渡する行為を課税要件 業者以外の者が軽油を製造して他の者に譲渡した場合を引取りとみなして課税するものである(法700条の4第1項5号)。 このみなす課税は,製造して,その製造に係る軽油を他の者に譲渡する行為を課税要件(移出課税方式),譲渡数量を課税標準とし,譲渡の時点において,元売業者及び特約業者以外の者(製造者)を納税義務者とするものであるところ,その「譲渡」とは,有償たると無償たるとを問わず,当事者間の契約によって所有権を他人に移転することをいうものと解される。ところで,法700条の4第1項5号は,課税要件を定めるものであるほか,これによる軽油引取税の納税義務違反に対しては罰則が設けられており(法700条の14第1項5号,700条の28第2項,第4項),法700条の4第1項5号の「軽油の製造をして」は犯罪構成要件でもあるから,厳格な解釈を旨としなければならないところ,「譲渡」の前段階である「製造」とは,文言どおり,社会通念に従い材料又は原料に物理的若くは化学的な変化を与え,操作を加えることにより,軽油を造り出し,造られた軽油の所有権を原始的に取得することを意味すると解すべきである。なぜならば,所有権移転を伴う「譲渡」をするには軽油の所有権が帰属していなければならないし(犯罪構成要件の観点からしても,所有権の帰属を問題としなければ「製造」も「譲渡」もその概念を画することができない。),所有権の原始取得をすることが「製造」の通常の用語例に合致するからである(例えば,法699条の2第2項においても,物を造り出し,造り出された物の所有権を原- 16 -始的に取得することの意味で「製造」との文言が使用されている。)。さらに,平成16年法律第17号による改正後の法700条の4の2第1項が「第700条の22の2第1項第1号又は第2号の規定に違反して道府県知事 することの意味で「製造」との文言が使用されている。)。さらに,平成16年法律第17号による改正後の法700条の4の2第1項が「第700条の22の2第1項第1号又は第2号の規定に違反して道府県知事の承認を受けないで製造された軽油について,第700条の3第4項又は前条第1項第5号の規定により軽油引取税を納付する義務を負う者(以下本条において「納税義務者」という。)が特定できないとき又はその所在が明らかでないときは,当該軽油の製造を行つた者・・(中略)・・は,当該納税義務者と連帯して当該軽油引取税に係る地方団体の徴収金を納付する義務を負う。」と規定し,「軽油の製造を行つた者」が納税義務者と連帯して軽油引取税を納付する義務(補完的納税義務)を負うこととされていることとの関係でも,「製造」について上のように解することで全体として整合的な解釈をすることができるのである。すなわち,そこでいう「軽油の製造を行つた者」は,「軽油の製造をして」これを他の者に譲渡等した者(納税義務者)とは別の立場の者であるところ,納税義務者が特定できず,又はその所在が明らかではないときは,これと連帯して徴収金の納付義務を負うことになる。そうすると,「軽油の製造をし」た納税義務者とは別異な存在である「軽油の製造を行った者」は実際上軽油の製造を行ったがその所有権を取得しない者であり,この者をして軽油の製造をし,その所有権を原始取得した者が納税義務者であるとすることによって両者が初めて区別されることになる。ところが「製造」について所有権の取得を問題としないこととすると,いずれも「軽油の製造」の主体であって,その区別をすることが困難となってしまうのである(「軽油の製造を行った者」は,多くの場合,他の者の委託を受けて軽油を実際に製造した者〔受託製造者〕であると考えられるから, 油の製造」の主体であって,その区別をすることが困難となってしまうのである(「軽油の製造を行った者」は,多くの場合,他の者の委託を受けて軽油を実際に製造した者〔受託製造者〕であると考えられるから,委託を受けて製造したか否かによって区別をすることを考える余地がないではない。しかし,どのような行為があれば委託があったというのか一義的に明確とはいえないから,委託をした者と委託をされた者との区別で両者を明- 17 -確に線引することが可能かはそもそも疑問がある上,条文の文言上委託があることは何ら要件とされていないにもかかわらず,解釈で新たな要件を加えることが租税法律主義の見地から妥当かの問題がある。それに,この補完的納税義務の導入がダミー会社を仮装して納税を逃れようとする悪質な行為を防ごうとするものであるところ,委託の有無を要件に加えるとなると,委託があるかどうかが新たな立証事項となりそれがあるか否かが不明な場合には補完的納税義務を課することが不能となってしまい,立法の目的を大幅に減殺することになる。これらにかんがみれば,委託を受けて製造したか否かによって区別をするとの考えを採ることはできない。)。 (2)本件において被控訴人は,控訴人がP6に委託して軽油を製造した,出来上がった軽油は出来上がったと同時にその所有権を控訴人に取得させるとの黙示の合意があったと主張し,これに対し,控訴人は,P6に製造を委託したことはなく,P6との間で製造された軽油の所有権が原始的に控訴人に帰属する旨の合意をした事実もないと争っているから,具体的には,P6によって製造された軽油を控訴人が原始取得したと認められるか否かが問題となる。 (3)この点,甲第3号証(被控訴人による弁明書)には,茨城県庁からの通報資料から,控訴人が原料をP6に供給して軽油の製造を委託し された軽油を控訴人が原始取得したと認められるか否かが問題となる。 (3)この点,甲第3号証(被控訴人による弁明書)には,茨城県庁からの通報資料から,控訴人が原料をP6に供給して軽油の製造を委託したことが確認できたとの記載があり,また,乙第23号証(P5の刑事公判における控訴人の証人尋問調書)には,P5の刑事事件公判廷での証人尋問において,P6の石油精製工場に重油と灯油を持ち込み,1リットル当たりいくらという加工賃を払って軽油に加工してもらう取引をP5とした旨を控訴人が供述したとの記載部分がある(乙第1号証にも同旨の記載部分がある。)。 しかし,同調書に記載された控訴人の供述はこの取引の具体的な内容をほとんど説明しておらず,P6の石油精製工場で製造された軽油を控訴人が原始取得することを直接認めるに足りるだけの中身があるものとはいえない。 - 18 -これによって,被控訴人が主張している軽油の所有権の取得に係る黙示の合意を認めることはできず,ほかにこれを認めるに足りる証拠はない。むしろ,同調書によれば,持ち込んだ重油と灯油の合計量と同量の軽油を持ち帰るという取引であったとされていることに加え,乙第28号証(P5の刑事事件第一審判決)によれば,P6の石油精製工場においては,同時期に複数の者から重油及び灯油の持ち込みを受け入れていた可能性があるものの,それらの重油等を分別管理できるだけの施設があったとは必ずしも認められない(十分に判然とはしないものの,むしろ原料貯蔵タンクは1基しかなかった可能性が強い。)上,同工場での軽油製造には相当程度の時間が必要であると認められるのに(同判決によれば,概要,重油と灯油の混合油に硫酸を加えてかくはんし,硫酸ピッチを沈殿させ,混合輸送に活性炭,活性白土及び消石灰を加えて拡販し,ろ過をするという工程を経て製 要であると認められるのに(同判決によれば,概要,重油と灯油の混合油に硫酸を加えてかくはんし,硫酸ピッチを沈殿させ,混合輸送に活性炭,活性白土及び消石灰を加えて拡販し,ろ過をするという工程を経て製造されていたものと認められる。),被控訴人が控訴人とP6の取引であると主張しているP1名義での取引に係るタンクローリーの運転手は,重油10キロリットルと灯油6キロリットルを同工場に搬入し下ろし終わると,すぐに軽油16キロリットルの荷積みをしていた旨を公判廷で証言していることが認められる(別途,乙第23号証によれば,控訴人は,同工場から持ち帰る軽油は控訴人の持ち込んだ原料を加工したものなのか,他の顧客の持ち込んだ原料を加工したものなのか分からないと公判廷で証言したことが認められる。)。 これらによれば,P6は,あらかじめ重油等の原料を加工して軽油を製造しておき,その中から,新たに原料である重油と灯油を持ち込んだ顧客に対してその合計量と同量の軽油を引き換えに渡し,これとともに1リットル当たりいくらとして定めた金額を加工賃と称して取得するという取引をしていた可能性が高いといわざるを得ない。その場合,特段の事情がない限り,P6が製造した軽油はひとまずはP6の所有物となると考えられるところ,この特段の事情を認めるに足りる証拠はない(なお,被控訴人は,民法246- 19 -条により控訴人が軽油の所有権を原始取得するなどと主張しているが,これは別段の合意がない場合の規定であり,説示したような取引であったとすればこの規定の適用の余地はないのであって,いずれにしてもこの点がこの特段の事情に当たることはない。)。そうだとすると,控訴人がP6と軽油製造に関わる取引をしていたとしても,製造された軽油を控訴人が原始取得したと認めることは困難であるから,控訴人が軽油 この点がこの特段の事情に当たることはない。)。そうだとすると,控訴人がP6と軽油製造に関わる取引をしていたとしても,製造された軽油を控訴人が原始取得したと認めることは困難であるから,控訴人が軽油を製造したとは認められない。 (4)結局のところ,その余の点を検討するまでもなく,控訴人が軽油の製造をして,当該製造に係る軽油を他の者に譲渡したということはできない。 まとめ以上の次第で,本件処分は課税要件を欠く違法なものといわざるを得ないから,取消しを免れない。 第4 結論 よって,これと異なる原判決は不当であるからこれを取り消すこととして,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第24民事部裁判長裁判官都築弘裁判官園部秀穗裁判官小海隆則- 20 -(原裁判等の表示)主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1請求被告が原告に対し平成16年6月25日付けでした軽油引取税更正・決定処分を取り消す。 第2事案の概要本件は、被告が原告に対し、原告が原料(重油及び灯油)を仕入れ、茨城県所在の石油精製工場に原料を持ち込み、軽油の製造を委託して軽油を製造し、同工場で製造された軽油を販売譲渡したことは、地方税法700条の4第1項5号に該当するとして、軽油引取税に係る課税標準量、税額及び不申告加算税額を決定する処分(以下「本件処分」という。)をしたのに対し、原告が、原告には軽油の製造をして他の者に譲渡した事実はなく、同処分は、課税要件を欠く違法な処分である旨主張し、同処分の取消しを求めた事案である。 法令等の定め本件に関連する法令等の定めは次のとおりである。 (1)地方税法(以下「法」という。)1条2項(用語)この法律中道府県に関する規定は都に(中略)準用する 取消しを求めた事案である。 法令等の定め本件に関連する法令等の定めは次のとおりである。 (1)地方税法(以下「法」という。)1条2項(用語)この法律中道府県に関する規定は都に(中略)準用する(後略)。 (2)法700条の3第1項(軽油引取税の納税義務者等)軽油引取税は、特約業者又は元売業者からの軽油の引取り(特約業者の元売業者からの引取り及び元売業者の他の元売業者からの引取りを除く。(中略))で当該引取りに係る軽油の現実の納入を伴うものに対し、その数量を課税標準として、当該軽油の納入地(中略)所在の道府県において、その引取りを行う者に課する。 - 21 -(3)法700条の4第1項(軽油引取税のみなす課税)軽油引取税は、前条に規定する場合のほか、次の各号に掲げる者の当該各号に掲げる消費、譲渡又は輸入に対し、当該消費、譲渡又は輸入を同条第1項に規定する引取りと、当該消費、譲渡又は輸入する者を同項に規定する引取りを行う者とみなし、その数量を課税標準として、(中略)、第5号の場合にあっては当該消費又は譲渡する者の当該消費又は譲渡について直接関係を有する事務所又は事業所所在の道府県において、(中略)、それぞれ当該消費、譲渡又は輸入をする者に課する。 (中略)五特約業者及び元売業者以外の者が軽油の製造をして、当該製造に係る軽油を自ら消費し、又は他の者に譲渡する場合における当該軽油の消費又は譲渡(後略)(4)法700条の10(軽油引取税の徴収の方法)軽油引取税の徴収については、特別徴収の方法によらなければならない。 ただし(中略)700条の4の規定によって軽油引取税を課する場合(中略)における徴収は、申告納付の方法によるものとする。 (5)法700条の30第2項(軽油引取税に係る更正及び決定)道府県知事は、軽油引取税の特別徴 0条の4の規定によって軽油引取税を課する場合(中略)における徴収は、申告納付の方法によるものとする。 (5)法700条の30第2項(軽油引取税に係る更正及び決定)道府県知事は、軽油引取税の特別徴収義務者又は納税者が申告書を提出しなかった場合においては、その調査によって、納入申告し、又は申告すべき課税標準量及び税額を決定することができる。 (6)法700条の33第2項(軽油引取税にかかる過少申告加算金及び不申告加算金)次の各号の一に該当する場合においては、道府県知事は、当該各号に規定する申告、決定又は更正により納入し、又は納付すべき税額に100分の15の割合を乗じて計算した金額に相当する不申告加算金額を徴収しなければ- 22 -ならない(中略)。 一(中略)第700条の30第2項の規定による決定があった場合(後略)(7)法附則32条の2第2項(軽油引取税の税率)平成5年12月1日から平成20年3月31日までの間に(中略)第700条の4第1項各号の軽油の消費、譲渡若しくは輸入が行われた場合(中略)における軽油引取税の税率は、第700条の7の規定にかかわらず、1キロリットルにつき、3万2100円とする。 前提事実(証拠を掲記していない事実は、当事者間に争いがない。)(1)原告は、昭和61年に生鮮魚介類及び冷凍魚介類の輸出入並びに国内販売を主な業務とする株式会社P1(以下「P1」という。)を設立し、経営していたが、経営が悪化し、平成13年当時は、P1は休業状態となっており(甲8)、平成14年12月3日、休眠法人であるとして登記官の職権でみなし解散の登記がされている(乙2)。また、原告は、平成8年に、上記と同様の業務を行う別会社として有限会社P2(以下「P2」という。)を設立し、経営している(乙23)。 (2)株式会社P3 権でみなし解散の登記がされている(乙2)。また、原告は、平成8年に、上記と同様の業務を行う別会社として有限会社P2(以下「P2」という。)を設立し、経営している(乙23)。 (2)株式会社P3(以下「P3」という。)は、石油類販売会社である(甲6)。 (3)P4株式会社(以下「P4」という。)は、石油類の販売、タンクローリーによる石油類の運送を目的とした会社である(甲7)。 (4)P5は、茨城県岩井市に石油製品の精製工場を設けて軽油の製造をしていた有限会社P6(以下「P6」という。)の取締役として同会社の業務全般を統括していた(乙28)。なおP5は、本件に関係する地方税法違反(軽油引取税の脱税)で起訴されたが、原告は、平成16年2月9日、水戸地方裁判所で行われたP5の刑事事件の公判で、検察側証人として出廷し、証言した(乙23)。 - 23 -(5)被告は、平成16年6月25日、原告の上記証言、茨城県からの通報資料及び独自調査の結果、原告自身も、平成13年7月1日から平成14年10月31日までの間、P3から原料(重油及び灯油)を仕入れ、P4に委託して当該原料を茨城県岩井市所在のP6の石油精製工場に持ち込んでP6に軽油の製造を委託して軽油を製造し、当該製造軽油を一旦P4の貯蔵タンクに保管した後、販売先に譲渡するという取引(以下「本件軽油取引」という。)をP1及びP7の名義で行っていたことが判明したとして、原告が別紙1記載の数量の軽油を製造し、当該製造に係る軽油を譲渡したものと認定し、課税標準量、軽油引取税額及び不申告加算金を別紙2記載のとおりとする旨の本件処分をした。本件処分に係る課税額3億0154万7400円は、原告が平成13年7月から平成14年10月までの間に製造、譲渡したとする軽油全量9394キロリットルを課税標準量とし とおりとする旨の本件処分をした。本件処分に係る課税額3億0154万7400円は、原告が平成13年7月から平成14年10月までの間に製造、譲渡したとする軽油全量9394キロリットルを課税標準量として、法附則32条の2第2項に定める税率である3万2100円を乗じた合計額であり、また、本件処分に係る不申告加算金額4523万1100円は、原告が納付すべき各月の上記税額(ただし、法20条の4の2第2項により1000円未満の端数金額を切り捨てる。)に法700条の33第2項に定める100分の15の割合を乗じて計算した合計額であり、以上の税額の計算過程については当事者間に争いはない。 (6)原告は、平成16年8月6日、東京都知事に対し、本件処分を不服として審査請求をした(甲2)。 (7)東京都知事は、同年10月29日、上記審査請求を棄却する旨の裁決をした(甲5)。 (8)原告は、同年11月18日、本件処分の取消しを求める本訴を提起した。 争点 本件の争点は、原告に対する本件処分が、法700条の4第1項5号(軽油引取税のみなす課税)の要件である「軽油の製造をして、当該製造に係る軽油- 24 -を他の者に譲渡する」を充足するものであるといえるかどうかである。 争点に係る当事者の主張(1)被告の主張ア納税者が軽油製造を委託した場合、軽油を製造したという要件は、(ア)委託先に軽油の製造を依頼し、委託先がこれに応じたこと、(イ)軽油製造に必要な原料を調達したこと、(ウ)軽油製造に必要な原料を委託先に運び込んだこと、(エ)委託先に対し、軽油製造数量・製造時期を指示したこと、(オ)製造された軽油を引き取ったこと、(カ)軽油製造に対する報酬を委託先に支払ったことの各事実が立証されることによって認定され、納税者が製造した軽油を他の者に譲渡したとい 製造時期を指示したこと、(オ)製造された軽油を引き取ったこと、(カ)軽油製造に対する報酬を委託先に支払ったことの各事実が立証されることによって認定され、納税者が製造した軽油を他の者に譲渡したという要件は、(キ)相手方に対し、軽油の購入を勧めたこと、(ク)相手方から軽油購入の申込みを受けたこと、(ケ)納税者の名義で相手方に軽油を販売したこと、(コ)相手方から支払われた軽油代金を得たことの各事実が立証されることによって認定されるところ、以下に述べるように、本件では、原告について上記(ア)ないし(コ)の各事実が認められるから、本件処分は課税要件を充足するもので適法である(なお、上記各事実は、課税要件を認定するための必要条件ではなく、十分条件である。)(ア)上記(ア)(軽油製造依頼)について原告は、P5に対する地方税法違反被告事件において証人として出廷し、P5から重油10キロリットルに対して灯油6キロリットルの割合で重油と灯油を持ってくれば、合計量と同量の軽油を製造してやる、加工賃はリッター当たり11円である旨の説明を受け、この条件でP5に軽油製造を依頼し、P5もこれに応じた旨証言している(乙23)ことからすれば、上記(ア)の事実が認められる。 (イ)上記(イ)(原料の調達)について原告は、P8という会社のP9なる人物に電話をかけて自ら取引主体- 25 -として軽油の原料を発注していたことを自認し(甲8、乙23)、原料購入に係る取引も含め、すべての取引が自己の取引であることも認めている(乙23)。また、原告は、P8から購入した原料は、P8がP3から仕入れたものであると供述しているところ(乙23)、原告の管理するP1、P7及び原告名義の各口座からP3に対して代金が支払われていることからすれば、上記(イ)の事実が認められる。 なお、 がP3から仕入れたものであると供述しているところ(乙23)、原告の管理するP1、P7及び原告名義の各口座からP3に対して代金が支払われていることからすれば、上記(イ)の事実が認められる。 なお、P3の代表取締役であるP10証人は、P1に重油と灯油を販売したのであり、取引条件、価格交渉及び注文はP11に対して行っていたもので、取引が行われた平成13年当時、P1が原告の経営する会社であるとは知らなかった旨証言している。しかし、同証言によれば、タンクローリーの手配の依頼等、原告と取引を始めたのが平成10年ころであるところ、P10証人は、その当時、原告からP1が休眠状態であるという話を聞いていたとも供述しているのであるから(甲6)、P1が原告の経営する会社であることを当然知っていたというべきであり、P1と原告の関係についての認識を否定するP10証人の証言は信用できない。そもそも、P10証人は、東京都の質問検査においてP1を知らないと供述していたものであり(乙29)、このような供述経過からも同人の証言は信用することはできない。 (ウ)上記(ウ)(原料の運搬)について原告は、P4及び有限会社P12(以下「P12」という。)に連絡し、タンクローリーを手配して、軽油製造の原料となる重油と灯油をP5の工場に運搬させたことを自認し(甲8、乙23)、自らP4に対して運送料を支払ったことも認めており(乙23)、現に、原告の管理するP1及びP7名義の口座(以下両者を併せて「本件決済口座」という。)からP4に対して、運送料が振り込まれている(乙5)ことからすれば、上記(ウ)の事実が認められる。 - 26 -(エ)上記(エ)(軽油製造委託先への指示)について原告は、P5に対し、あらかじめ日時を指定して、運び込む原料の量を連絡し、P5からの連絡があれば適 、上記(ウ)の事実が認められる。 - 26 -(エ)上記(エ)(軽油製造委託先への指示)について原告は、P5に対し、あらかじめ日時を指定して、運び込む原料の量を連絡し、P5からの連絡があれば適宜日時等の変更を自ら決定していたことを自認している(甲8、乙23)ことからすれば、上記(エ)の事実が認められる。 (オ)上記(オ)(軽油の引取り)について原告は、自らP4及びP12に連絡し、P5の工場で製造された軽油を積み込んで運び出した上、P4のタンクに一時保管させた旨自認し(甲8、乙23)、自らP4に対してタンク使用料を支払ったことも認めており(乙23)、現に、原告の管理する本件決済口座から、P4に対して、タンク使用料が振り込まれている(乙5)ことからすれば、上記(オ)の事実が認められる。 (カ)上記(カ)(軽油製造に対する報酬の支払)について原告は、P5との間で、軽油製造の加工賃をリッター当たり11円とすることを決め、その後11円50銭になった旨証言しているところ(乙23)、原告の管理する本件決済口座及び原告名義の口座から、P6名義の口座に、加工賃相当額が振り込まれており(乙3)、原告も加工賃として支払ったものであることを認めていること(乙23)からすれば、上記(カ)の事実が認められる。 (キ)上記(キ)(軽油購入の勧誘)について原告は、P1の代表者の立場で、本件軽油取引開始後に株式会社P13(以下「P13」という。)の事務所に赴いている外(乙8)、P14株式会社(以下「P14」という。)の営業所に軽油取引の勧誘に赴き、原告が代表者を務めるP2の電話番号を取引に関する連絡先とし(乙9、乙10及び乙24)、月初めにP14の営業所に注文取りの電話をかけていたこと(乙24)からすれば、上記(キ)の事実が認められ- 27 -る。 務めるP2の電話番号を取引に関する連絡先とし(乙9、乙10及び乙24)、月初めにP14の営業所に注文取りの電話をかけていたこと(乙24)からすれば、上記(キ)の事実が認められ- 27 -る。 この点、原告は、軽油の購入を勧めたことはなく、販売先であるP13の事務所に赴いたことはあるが、これは、P13との間にトラブルがあったことからP11から依頼されて行ったものであり、既に軽油取引を開始した後であって、単なる挨拶目的であった旨述べているが、原告の供述を前提とするならば、原告は単にP1の名義を貸しただけで、販売には関わっていないにもかかわらず、トラブルのあった販売先に挨拶に行ったことになるが、このようなことは通常考え難いことであり、原告の上記供述は信用できない。また、このような挨拶行為が、爾後の取引継続を確保する目的で行われたことは明らかである。 (ク)上記(ク)(軽油購入の申込みを受ける)について原告は、P11から、軽油の譲渡先からの電話の応対を受けるよう依頼を受け、現に譲渡先から納入数量や納入日時の変更の申し入れを受けていた旨供述し(甲8)、東京都都税検査吏員による質問調査に対し、相手方から直接連絡を受けていたことを認める発言をしていること(乙15)、P14の担当者は、P2の事務所あるいは原告の携帯電話に連絡し、原告に対し軽油購入の注文を行っていた旨供述していること(乙24)、P13の専務取締役は、P2の事務所に連絡し、原告に対して軽油購入の注文を行っていた旨供述していること(乙8)からすれば、上記(ク)の事実が認められる。 (ケ)上記(ケ)(軽油の販売)について原告の名義で軽油を販売したことは、原告も自認するところであり(乙23)、これは、P1及びP7名義で行われた軽油販売が、実質的には原告の取引であることを認めているも 上記(ケ)(軽油の販売)について原告の名義で軽油を販売したことは、原告も自認するところであり(乙23)、これは、P1及びP7名義で行われた軽油販売が、実質的には原告の取引であることを認めているものである。したがって、上記(ケ)の事実が認められる。 なお、P4の代表取締役であるP15証人は、P11からP1名義で- 28 -軽油を購入していたが、P1が原告の会社であることは知らなかった旨証言している。しかし、P15証人は、陳述書において、P1の名義貸しについて直ちに原告に確認した旨述べていること(甲7)からすれば、P1が原告の会社であることは当然知っていたはずである。また、P4が発行した運送料及びタンク使用料の請求書の宛先は、19件中15件がP1ではなく、原告が経営するP2であり(乙5)、原告本人もP4からP2の事務所に請求書が送られて来たことを認めている。したがって、P15証人がP11ではなく原告と取引していたことは明らかであり、P15証人の上記証言は信用できない。 (コ)上記(コ)(軽油代金の受領)について軽油の販売先である有限会社P16、P13、P17株式会社(以下P17」という。)及びP3から、原告が管理する本件決済口座に、軽油を譲渡した代金が振り込まれている(乙7)ことからすれば、上記(コ)の事実が認められる。 原告は、本件決済口座のうちP1の口座については、P11らに通帳、銀行印及びキャッシュカードを貸していたので、原告が管理していたものではない旨供述している(甲8)。しかし、原告は、これらの口座から出金された軽油の原料及び運搬費用並びに貯蔵用タンク使用料の支払いについて、自らの取引に基づくもので自らが支出したものであることをP5の刑事公判で証言しているところであって(乙23)、同証言が偽証罪の制裁を告知された上でな 搬費用並びに貯蔵用タンク使用料の支払いについて、自らの取引に基づくもので自らが支出したものであることをP5の刑事公判で証言しているところであって(乙23)、同証言が偽証罪の制裁を告知された上でなされたものであることに鑑みると信用性が高いものである一方、何ら供述変遷の理由を述べることもない原告の上記供述は信用することができない。 原告は、本件決済口座のうちP7名義の口座については、原告自身が預金の移動を行うことは不可能である旨主張する。しかし、同口座に預け入れられた預金をもってP1の借入金の返済が行われたことは明らか- 29 -であるところ(乙13)、原告は、これがなされた背景事情について全く説明をしていないのであるから、原告の上記主張は、信用できない。 イ原告の主張に対する反論(ア)原告は、①軽油製造において単なる連絡役としての役割を担ったものに過ぎない、②軽油販売には関与していない、③仕入・運送代金等の支払いはP11らが行ったものであって、原告は関与していない、④P11から報酬を封筒に入った現金で受け取ったが、その合計は1500万円である旨供述し(甲8)、これらの事実関係からすると、本件において租税義務を負うのはP11らであって原告ではない旨主張する。しかし、原告の上記主張は以下のとおり失当である。 (イ)原告の供述は以下のとおり変遷しているところ、大筋において自らの納税義務を否定する方向に供述を変遷させている上、供述変遷の十分な理由が説明されておらず、本件訴訟における原告の供述は信用できない。 a関係者の氏名P11について、従来は「下の名前は知らない。」と供述していたにもかかわらず(乙15)、現在は「P11」であるとしている(甲8)。 P18について、従来一切供述していなかったにもかかわらず(乙14ないし乙16、乙 従来は「下の名前は知らない。」と供述していたにもかかわらず(乙15)、現在は「P11」であるとしている(甲8)。 P18について、従来一切供述していなかったにもかかわらず(乙14ないし乙16、乙23、乙25)、本件訴訟が始まって初めてその存在を明らかにした(甲8)。 P8の担当者の氏名について、従来は「○○」と供述していたにもかかわらず(乙14ないし乙16)、現在では「P9」であるとしている(甲8)。 bP11と知り合った経緯P5の刑事公判においては、P19の紹介で知り合ったと証言して- 30 -いるにもかかわらず(乙23)、現在では、P18の紹介で知り合ったとしている(甲8)。 c不正軽油に関する知識原告は、従来、当初から不正軽油であることを知っていたと供述したり(乙25、乙23)、途中から不正軽油であると感づいたと供述していた(乙14)にもかかわらず、現在では、違法の認識は全くなかったとしている(甲8)。 dP4への支払原告は、従来、自らP4への支払を行っていた旨供述していたにもかかわらず(乙25、乙23)、現在では、P4への支払には全く関与していないとしている(甲8)。 e重油と灯油の購入原告は、当初、自ら原料となる重油と灯油を仕入れており、自らP3への支払を行っていた旨供述していたにもかかわらず(乙25)、その後、原料発注の連絡のみ行っており、支払は行っていない旨供述するに至っている(乙14ないし乙16、乙23、甲8)。 f不正軽油の販売原告は、当初、自ら不正軽油を販売していた旨の供述をしていたにもかかわらず(乙25)、その後、不正軽油を販売したのはP11らであって、原告自ら不正軽油販売を行っていたことはない旨供述するに至っている(乙23、甲8)。 g本件決済口座の取扱い原告は、当初、自らP7名義の口座 5)、その後、不正軽油を販売したのはP11らであって、原告自ら不正軽油販売を行っていたことはない旨供述するに至っている(乙23、甲8)。 g本件決済口座の取扱い原告は、当初、自らP7名義の口座を管理していたことを認めていたが(乙25)、その後、一時カードを預かっただけである旨の供述に転じ(乙14)、その後は上記口座については具体的に供述しないばかりか、P1名義の口座についてすら自ら管理していなかった旨供- 31 -述するに至っている(乙15、乙16、甲8)。 h関係者との取引における原告の地位原告は、当初、自ら主体的にP5との取引を行っていた旨認めていたにもかかわらず(乙25)、その後、一転して単なる連絡役に過ぎない旨の供述に転じたものの(乙14ないし乙16)、P5の刑事公判においては再度自らが製造委託・販売の取引主体であることを認め(乙23)、現在においては、更に証言を覆して単なる連絡役に過ぎないとしている(甲8)。 (ウ)預金口座の入出金状況に鑑みれば、本件不正軽油製造・販売に関する金員の流れを原告自身が管理していたものと認められること本件不正軽油販売代金受け入れのために利用されたのは、本件決済口座であるが、このうちP1名義の口座からは、合計2500万円が引き出され、同時に全額が原告名義の口座に入金され、P7名義の口座からは、合計3826万円が引き出され、原告名義の口座に入金されていること(乙11)からすれば、P11らから報酬を封筒入りの現金で受け取ったという原告の供述(甲8)は信用できず、上記金員を本件決済口座から原告が自ら引き出し、それを自らの個人名義口座に移し替えたものと認めることができる。 さらに、原告は、P5に対して自らが取引主体となって重油及び灯油を販売しており、販売代金は銀行口座に振り込んでもらっていた ら引き出し、それを自らの個人名義口座に移し替えたものと認めることができる。 さらに、原告は、P5に対して自らが取引主体となって重油及び灯油を販売しており、販売代金は銀行口座に振り込んでもらっていた旨証言しているところ(乙23)、その振込先口座は本件決済口座である。 すると、本件決済口座を管理していたのは原告であるというべきであるから、本件不正軽油の販売代金をP11らが管理し、原告がP11から報酬を受け取っていた旨の原告主張を認めることはできない。 なお、原告は、原告名義の口座に入金された約6300万円余りのうち、報酬として受け取ったのが1500万円であり、残りは、台湾の友- 32 -人の預り金、P11への貸付金の返還金等である旨供述するが、いずれも原告本人尋問で唐突に言い出したものである上、多額の預り金を無断で流用すること自体が不自然であり信用できない。 (エ)以上により、原告が本件軽油製造、販売において単なる連絡役としての役割を担ったに過ぎないものではなく、資金の流れを管理し、製造・販売を自ら手配して中心的な役割を担ったものであると認められ、原告の主張は、その前提となる事実関係に誤りがあり、失当である。 ウまとめ(ア)このように、原告は、軽油の製造を開始するに当たり、自らP5と条件等について話し合いを持ち、軽油製造の原料として用いるべき重油及び灯油を原告が調達してP6のタンクに運び込むことや、委託手数料として支払う金員の額等の条件について合意したものであり、このことは、原告が主体的にP5との関係を築いて軽油を製造したことを示すものである。 また、原告は、軽油の販売先についても自ら主体的に開拓して取引を開始しているのであって、この点からしても、原告が製造軽油の販売行為を主体的に行っているとみるほかない。 さらに、原告は、P7名 ある。 また、原告は、軽油の販売先についても自ら主体的に開拓して取引を開始しているのであって、この点からしても、原告が製造軽油の販売行為を主体的に行っているとみるほかない。 さらに、原告は、P7名義の口座から自己の個人用途に出金しているほか、本件決済口座に入金された製造軽油販売代金から少なくとも6300万円余りを原告名義の口座に移し替えたり、一旦原告名義に入金したものを軽油製造の原料費や委託製造手数料名目で出金しており、このことは、原告が原告名義の口座のみならず、本件決済口座も自らの意思の下に使用していたことの証左である。そして、本件決済口座は、本件製造軽油の販売代金の振込先として指定されていた口座であるから、販売行為も原告の意思の下に行われたというべきである。 (イ)原告は、本件訴訟においては、P11らの指示を受けて、その連絡- 33 -役をしていたにすぎない旨の主張をするが、原告は、P5の刑事公判において、自ら不正軽油の製造に主体的に関わったことを認めていたところ、本件訴訟においてこれを否定するに至ったもので、その供述には変遷がみられることに加え、原告名義の口座には、平成13年7月から平成14年10月までの間、軽油代金として9500万円もの入金があり、上記入金額から原料費の支払や製造委託手数料を除いた6700万円余りの利得を得ていることに鑑みれば、本件製造軽油の販売に原告以外の者が関与していたとしても、原告の果たす役割は補助的な関与にとどまるものではなく、原告が主体的かつ中心的な役割を果たしていたと見るのが相当である。 (ウ)仮に、原告がP5に製造させた軽油を販売したのがP11らであり、原告はP11らの求める数量に応じてP4のタンクに不正軽油を運搬・保管したものであったとしても、軽油引取税の課税要件である「譲渡」とは、有 、原告がP5に製造させた軽油を販売したのがP11らであり、原告はP11らの求める数量に応じてP4のタンクに不正軽油を運搬・保管したものであったとしても、軽油引取税の課税要件である「譲渡」とは、有償・無償を問わないのであるから(乙27)、原告は、P5に委託して製造した軽油をP11らに譲渡したことになるから、やはり原告が納税義務者となる。 したがって、不正軽油を販売した者がP11らであったとしても、軽油引取税の納税義務者は原告であって、本件処分は適法である。 (2)原告の主張ア本件処分が課税要件を充足し適法であるというためには、原告が軽油を製造し、かつ、当該軽油を他の者に譲渡した事実が認められなければならず、そのためには、原告が、(ア)委託先に軽油の製造を依頼し、委託先がこれに応じたこと、(イ)軽油製造に必要な原料を調達したこと、(ウ)軽油製造に必要な原料を委託先に運び込んだこと、(エ)委託先に対し、軽油製造数量・製造時期を指示したこと、(オ)製造された軽油を引き取ったこと、(カ)軽油製造に対する報酬を委託先に支払ったこと、(キ)軽油を販売する- 34 -相手方に対し、購入を勧めたこと、(ク)相手方から軽油購入の申込みを受けたこと、(ケ)納税者の名義で相手方に軽油を販売したこと、(コ)相手方から支払われた軽油代金を得たことの各事実がすべて立証されなければならないが、特に(イ)、(ケ)、(コ)の事実については十分に立証されていない。 (ア)上記(イ)(原料の調達)について被告は、原告の陳述書(甲8)の記載及びP5の刑事公判での証言(乙23)をもって、(イ)の事実が認められるとしているようであるが、甲8では、原告は、「P11からの指示でP8のP9に対して発注した。」、「P9とは電話で話をしただけで会ったことはない。」と述べている 3)をもって、(イ)の事実が認められるとしているようであるが、甲8では、原告は、「P11からの指示でP8のP9に対して発注した。」、「P9とは電話で話をしただけで会ったことはない。」と述べているに過ぎず、乙23では、原告は、単に重油と灯油の仕入先がP8であった旨を証言しているのみで、いずれも原告が自ら取引主体としてP8に原料を発注した事実を自認しているものではない。 なお、P10証言によれば、P11がP1の名前で軽油製造に必要な原料をP3から調達していた事実が認められ、原告が軽油製造に必要な原料の調達に関わっていなかったことは明らかである。 (イ)上記(ケ)(軽油の販売)について(ケ)の事実が認められるためには、少なくとも、主要販売先と原告との間での売買契約の成立を認めるに足りる証拠資料が必要である。被告は、原告のP5の刑事公判での証言(乙23)のうち、「あなたの名前で、だれかに売るわけでしょう。」「私の名前で…そうです、はい。」「売るんだよね。」「はい。」という部分のみをその根拠としているが、この部分のみでは、(ケ)の事実をみとめることはできないというべきである。むしろ、乙23によれば、原告自身軽油の販売網をもっていなかったこと、原告の仕事は、P4のタンクに軽油を入れるまでで、販売の仕事はしていなかったこと、販売先はP11らが探してきたこと、原告- 35 -は販売先への配送についてほとんど知らなかったことなどが認められ、原告が販売に関与していなかったことは明らかである。 (ウ)上記(コ)(軽油代金の受領)について被告は、主要販売先4社からの販売代金入金状況を示した報告書(乙7)及び軽油の販売先に関する調査報告書(乙9)を根拠に(コ)の事実が認められるとしているようであるが、これらは主要販売先の販売代金が本件決済口座に入金さ 社からの販売代金入金状況を示した報告書(乙7)及び軽油の販売先に関する調査報告書(乙9)を根拠に(コ)の事実が認められるとしているようであるが、これらは主要販売先の販売代金が本件決済口座に入金されていることを示すものにすぎず、原告が主要販売先から軽油の販売代金を受領している事実は何ら明らかにされていない。本件決済口座のうちP1の預金口座はP11の求めに応じて原告が貸し付けたもので、原告が管理していたものではなく、P7名義の預金口座については原告は何ら関与していない。 イ本件における原告の役割について(ア)P11らと知り合った経緯原告は、平成13年6月ころ、知り合いであったP18の紹介でP11と知り合い、P18、P11及び知り合いであったP19から、P1の預金通帳と印を貸してほしい旨の依頼を受け、その後、P11らから、原告に対し、「原告の仕事は、タンクローリーで重油と灯油を工場に運び、製造された軽油をP4のタンクに納めるために、軽油を製造するP20(P6)と連絡をすることであり、仕入れや販売の仕事はしなくてよい。P1の預金通帳と銀行印、キャッシュカードを貸して欲しい。報酬はリッタ-当たり1円50銭である。」という具体的な条件の提示があり、原告は、P1の多額の負債返済に困っていた事情もあったことからこれに応じることにした。 (イ)原告の具体的な役割aタンクローリーの手配原告は、P11らから指示された油槽所でタンクローリーに灯油と- 36 -重油を積み込み、P6のタンクに運び、その後、製造された軽油を積み込み、P4のタンクまで運ぶ仕事の連絡役であった。具体的には、毎週末になるとP11らから、翌週分の日程と数量について連絡があり、原告は、これに従ってタンクローリーを手配した。当初は、灯油や重油を受け取る油槽所はP11らの指 仕事の連絡役であった。具体的には、毎週末になるとP11らから、翌週分の日程と数量について連絡があり、原告は、これに従ってタンクローリーを手配した。当初は、灯油や重油を受け取る油槽所はP11らの指示で決められていたが、平成14年5月からは、P11らから、P8のP9に連絡をして灯油と重油の発注をする旨指示されたことから、原告は、P9に対して、前週に翌週分の予定を電話連絡し、翌週にP9から確認の電話連絡を受けていた。また、原告は、P4の従業員に電話をして、タンクローリーの車番を聞いてP11らに連絡していた。 bP6への連絡原告は、P6に対し、灯油と重油がタンクローリーで運び込まれる時間を電話で確認したり、P6から積み込みの時間の変更依頼の電話を受けて時間調整をするなどしていた。また、P6から、自社買付分としての灯油や重油の注文を受けることもあったので、P11らの指示に従って、タンクローリーを手配していた。 cその他の連絡業務等P11らは、軽油の販売先に対して原告宛に連絡を入れるように手配していたらしく、販売先から納入数量や納入日時の変更について原告宛に電話が入ることがあった。 また、原告は、P11らの指示を受けて、P1の代表者として販売先に挨拶に行くことが何度かあった。平成13年10月ころ、P11らから、取引先として開拓したP13に挨拶に行くよう指示されて、1人で挨拶に行ったことがある。 d仕入代金や運送代金の支払原告は、灯油や重油の仕入代金支払及びP4への運送代金等の支払- 37 -については関与していない。 e報酬の受取原告は、P1の名義貸し及びタンクローリーの手配等に関する報酬をP11から受け取った。ほとんどの場合、銀行の封筒に入れられた現金で渡され、P11から報酬を受け取る都度、原告名義の口座に入金した。P11か 、P1の名義貸し及びタンクローリーの手配等に関する報酬をP11から受け取った。ほとんどの場合、銀行の封筒に入れられた現金で渡され、P11から報酬を受け取る都度、原告名義の口座に入金した。P11からP19、P18の取り分を預かってくれと言われて、P19やP18の報酬分を原告名義の口座に入金したこともある。 報酬は、平成13年7月から平成14年10月までで合計約1500万円になった。報酬は、原告個人の借入金やP1の借入金、妻からの借入金の返済等に充てた。 (ウ)小括このように、原告は、本件に関して、タンクローリーの手配等に関わり、P1の預金通帳等を貸すなどして、平成13年7月から平成14年10月までの約1年4か月にわたり、P11らから合計1500万円の報酬をもらったが、原告が、自ら原料を仕入れて軽油の製造を委託した事実、軽油を販売した事実はない。 ウ乙号証に関する原告の反論(ア)乙3(軽油製造委託手数料の支払状況)について原告は、軽油製造委託手数料の支払には関与していない。 被告担当者が平成16年3月に作成した軽油製造委託手数料の支払状況についての報告書(乙3)によれば、原告名義の口座から6回にわたり合計340万1480円が送金されているが、これはP11から立替払いの依頼を受けて行ったものであり、原告自らが軽油製造委託手数料を支払ったものではない。 (イ)乙4(P3に対する重油及び灯油等の代金の支払)について原告は、P3に対する重油及び灯油等の支払には関与していない。 - 38 -被告担当者が平成16年3月に作成したP3に対する重油及び灯油等の代金の支払についての報告書(乙4)によれば、原告名義の口座から8回にわたり合計2365万8270円がP3に送金されているが、これはP11から立替払いの依頼を受けて行ったものであり、原告自 灯油等の代金の支払についての報告書(乙4)によれば、原告名義の口座から8回にわたり合計2365万8270円がP3に送金されているが、これはP11から立替払いの依頼を受けて行ったものであり、原告自らが重油及び灯油等の代金の支払を行ったものではない。 (ウ)乙5(P4に対する運送料及びタンク使用料の支払)について原告は、P4に対する運送料及びタンク使用料の支払には関与していない。 被告担当者が平成16年3月に作成したP4に対する運送料及びタンク使用料の支払についての報告書(乙5)によれば、原告が代表取締役を務めるP2からP4に対して振込が行われている(平成14年1月28日に113万1480円、同年2月8日に6万1980円)が、これは、平成13年11月に石油販売会社である有限会社P21からタンクローリーの手配を依頼され、P2がP4からタンクローリーを借りて有限会社P21に転貸したことがあり、その際、P4から借りたタンクローリーの賃借料の送金分である。 乙5によれば、P4作成の請求書の宛先がP1の外にP2も記載されているが、原告は、当時P4からの郵便物は未開封のままP11に渡していたので、宛先としてP2が記載されているものもあることは知らなかった。 (エ)乙8(軽油引取税関係報告書)について被告担当者が平成15年11月に作成した主要販売先であるP13から事情聴取した報告書(乙8)には、平成13年7月ころ原告がP3の社長と同伴でP13を訪問した事実が記載されているが、そのような事実はない。 原告は、P11から指示されて、平成13年10月ころP13を訪問- 39 -したことはある。乙8添付の名刺は、そのとき交付したものである。 (オ)乙9(軽油引取税関係報告書)について被告担当者が平成15年12月にP14担当者から事情聴取した報告書 3を訪問- 39 -したことはある。乙8添付の名刺は、そのとき交付したものである。 (オ)乙9(軽油引取税関係報告書)について被告担当者が平成15年12月にP14担当者から事情聴取した報告書(乙9)には、原告が平成14年1月、P14本社の事務所、営業所を訪問して、軽油の売り込みをした旨の記載があるが、そのような事実はない。 原告は、平成14年1月ころ、P4のP22課長とともに、P14のP23営業所に行き、同社のP24課長と会い、その際乙9に添付された名刺を交付した。これはP22課長がP4の売り込みをP11に依頼し、P11からP22課長とともにP14に行くよう指示されたものであり、本件軽油取引とは無関係である。 (カ)乙11(口座の操作)について被告担当者が平成16年3月に作成した本件決済口座から原告名義の口座への口座振替の状況を記載した書面(乙11)には、平成13年7月から平成14年10月にかけて、本件決済口座から、原告名義の口座へ6320万円が振替入金された旨記載されている。 このうち、P1名義の口座から原告名義の口座に振替した2件(平成13年7月13日に1000万円、同年8月21日に1000万円)は、原告がP4の社長から、ガソリンの入手先の紹介を依頼され、保証金及び前渡金として各1000万円が必要であることをP4の社長に伝えると、P4からP1に同年7月10日に1000万円、同年8月21日に1000万円の送金があり、これは本件軽油取引とは別であることから原告名義の口座に振り替えたものである。なお、ガソリンの入手先の紹介の件は、不調に終わったが、上記2000万円は、P4の社長から今後の軽油の購入代金に充てるということであったので、そのまま預かっていた。 - 40 -(キ)乙12(原告が得た利益)について被告担当者が平成 に終わったが、上記2000万円は、P4の社長から今後の軽油の購入代金に充てるということであったので、そのまま預かっていた。 - 40 -(キ)乙12(原告が得た利益)について被告担当者が平成16年3月に作成した報告書(乙12)には、原告名義の口座への入金額からP3への重油・灯油購入代金及びP5への軽油製造委託手数料を差し引いた6786万1170円が原告の利得である旨記載されている。しかし、同報告書にもあるとおり、平成14年10月末現在の原告名義の預金残高合計は、4102万5914円であり、このうち約2800万円には、原告が台湾の友人から中古漁船の購入代金として預かった分が含まれているから、原告が得た利得は、約1500万円であって6786万1170円が原告の利得であるとの記載は誤りである。 (ク)乙13(P25への振込状況一覧)について被告担当者が平成16年3月に作成したP25への振込状況についての一覧表(乙13)には、P7(P26銀行P27支店)から出金された金員が、原告のP25の借入金の支払(11万2000円)に充てられた旨の記載があるが、原告は、P7の口座やキャッシュカードを所持していないのであるから、原告が、同口座からP25へ送金することは不可能である。 (ケ)乙15、乙16(質問てん末書)及び乙25(報告書)について被告担当者が作成した原告に対する質問てん末書である乙15(平成15年12月18日付け)及び乙16(平成16年1月15日付け)並びに被告担当者が平成15年1月17日付けで作成した原告に対する事情聴取の報告書(乙25)のうち、乙15及び乙16は内容が不正確であったことから原告は署名押印を拒否したものであり、乙25は、被告の担当者が一方的に作成した報告書であり、原告が署名捺印した供述録取書ではないから、い 25)のうち、乙15及び乙16は内容が不正確であったことから原告は署名押印を拒否したものであり、乙25は、被告の担当者が一方的に作成した報告書であり、原告が署名捺印した供述録取書ではないから、いずれも記載内容の真実性が何ら担保されていないものである。 - 41 -(コ)乙23(刑事公判での原告の証言調書)の証拠評価についてP5の刑事公判での原告の証言の際には、①P5の処罰に協力するという気持ちから、実際とは異なる話をしてしまったこと、②緊張してあがってしまった上、耳がよく聞こえないため、質問の意味を理解しないまま返答してしまった部分があること等の事情があり、証言の信用性評価において考慮されなければならない。 (サ)乙24(質問てん末書)について被告担当者が平成17年4月19日付けで作成したP14のP24課長に対する質問てん末書(乙24)には、平成14年1月にP14のP28営業所に軽油の売り込みに行ったのは、原告である旨の記載があるが、これは、P4のP22課長の誤りであり、中央区αの本社に軽油の売り込みに原告が来た旨の記載があるが、これもP22課長の誤りである。原告がP24課長と会ったのは、P14がP11から軽油を購入することを決めた直後に、P11から指示されて挨拶に行った時の1回だけである。 エ原告の供述が変遷している旨の被告主張に対する反論(ア)被告は、乙15、乙16及び乙25をもとに原告の供述が変遷している旨主張するが、上記各証拠については記載内容の真実性が何ら担保されていないのであるから、これらの記載内容をもとに供述の変遷を主張するのは誤りである。 (イ)関係者の氏名について供述が変遷している旨の主張について被告は、原告が本件訴訟が始まるまでP18について、従来一切供述していなかった旨主張するが、これは調査担当 を主張するのは誤りである。 (イ)関係者の氏名について供述が変遷している旨の主張について被告は、原告が本件訴訟が始まるまでP18について、従来一切供述していなかった旨主張するが、これは調査担当者から聞かれなかったからにすぎない。 被告は、P8の担当者の氏名について、従来は「○○」と供述していたにもかかわらず、現在では「P9」であるとしているなどと主張する- 42 -が、原告は一貫してP9と説明していたのを被告担当者が○○と聞き取っただけのことで供述の変遷ではない。 (ウ)P11と知り合った経緯についてP5の刑事公判での証言と現在の供述が異なるが、これは証言当時、本件での人間関係が必ずしも整理できていなかったものである。 (エ)被告は、原告の不正軽油についての知識に関する供述について、以前は、当初から不正軽油であることを知っていたと供述したり(乙25、乙23)、途中から不正軽油であると感づいたと供述していた(乙14)にもかかわらず、現在では、違法の認識は全くなかったとしている(甲8)として供述が変遷している旨主張するが、この変遷は、原告が軽油の成分の基準が軽油の規格に反しないから問題がないという考えと、税金を納めていないから問題があるという考えを整理できないまま供述していたことによるものである。原告としては、自分は単に運送の手配をするだけだから税金を納めるかどうかという点は関係がないと考えていた。 (オ)P4への支払について、確かに原告がP4への支払を行っていた旨のP5の刑事公判での証言(乙23)があるが、これは、それまでに原告がP11から聞き及んでいたことをそのまま証言したものであり、原告が実質的にP4に対する支払を行っていたという意味ではない。 第3当裁判所の判断 法700条の4第1項5号は、①特約業者・元売業者以 P11から聞き及んでいたことをそのまま証言したものであり、原告が実質的にP4に対する支払を行っていたという意味ではない。 第3当裁判所の判断 法700条の4第1項5号は、①特約業者・元売業者以外の者が、②軽油の製造をして、当該製造に係る軽油を他の者に譲渡するという要件を充足することによって、当該軽油を譲渡した特約業者又は元売業者以外の者が納税義務を負担する旨規定しているところ、本件では①については争いがなく、②について、原告が本件軽油取引に一部関与したことについても争いがないが、原告が本件軽油取引の各過程、すなわち、原料の仕入れ、原料及び製造軽油の運搬・- 43 -保管、軽油製造の委託、製造軽油の販売にどの程度関与したのか、及びその関与の程度を前提に、原告が軽油を製造し、その軽油を他の者に譲渡したと評価することができるかが争点となっている。 そして、本件のように、軽油の製造及び譲渡の各過程に複数の者が関与した場合も法700条の4第1項5号は想定していると解されるところ、原告が同号により納税義務を負うというためには、原告が本件軽油取引の各過程を直接自らの手で行う必要はなく、原告が本件軽油取引に主体的に関与して共同して軽油を製造し、当該製造に係る軽油を譲渡したと評価できる場合は、納税義務を免れないものというべきであり、このことは法10条の2第1項の規定に照らしても明らかである。 そこで、以上の判断の枠組みに従って、原告が本件軽油取引に主体的に関与したと評価できるかどうかについて以下検討する。 (1)証拠(乙14、乙23、甲8、原告本人尋問)によれば、原告が本件軽油取引に関与するに至った経緯及び原告の果たした役割について、少なくとも以下の事実が認められる(一部争いのない事実を含む。)。 ア原告が本件軽油取引に関与するに至った経緯 問)によれば、原告が本件軽油取引に関与するに至った経緯及び原告の果たした役割について、少なくとも以下の事実が認められる(一部争いのない事実を含む。)。 ア原告が本件軽油取引に関与するに至った経緯原告は、平成13年7月ころ、P1として約6000万円の借金を抱えて経済的に困窮していたところ、知人の紹介で知り合ったP11らから本件軽油取引の話を持ちかけられ、これを承諾した(なお、原告は、P5の刑事公判の証人尋問(乙23)においては、平成13年5月ころ、知人であるP19から、重油と灯油を加工して安い軽油を造ってもらえるという話を聞き、P5を紹介され、P5から、工場に持ってくる重油と灯油の割合(16キロローリーの場合は重油が10キロリットルで灯油が6キロリットル)、原料を持参する工場の場所、加工賃がリッター当たり11円(途中から11円50銭)であることの外、加工された軽油の品質について分析表のようなものを見せられ、軽油と同じであるという説明を受け、- 44 -同年7月ころから本件軽油取引に関与するようになったと供述しているが、いずれにせよ、同月ころから本件軽油取引に関与するようになったことは明らかである。)。 イ本件軽油取引において原告の果たした役割(ア)P1の名義貸し原告は、自己が代表者を務め休眠中の会社であったP1名義で本件軽油取引を行うことを承認し、かつ、P1名義の預金通帳、銀行印及びキャッシュカードをP11らに貸した。 (イ)タンクローリーの手配原告は、油槽所で重油と灯油を積み込み、茨城県岩井市のP5(P6)の工場まで運び、その後、製造した軽油をP4の油槽所まで運ぶタンクローリーを手配するためにP4に連絡を取る役割を果たしていた。 (ウ)P6への連絡等原告は、P6の工場に重油と灯油がタンクローリーで運び込まれる時間等 後、製造した軽油をP4の油槽所まで運ぶタンクローリーを手配するためにP4に連絡を取る役割を果たしていた。 (ウ)P6への連絡等原告は、P6の工場に重油と灯油がタンクローリーで運び込まれる時間等を電話連絡し、P6から積み替えの時間を変更するよう依頼があるときは、P11らに連絡して積み替え時間を調整した。またP6から、自社買付分としての重油と灯油の注文を受けることもあった。 (エ)P4の紹介原告は、軽油の原料の運搬と軽油の保管を依頼するために、石油類の運搬及び保管を業とするP4をP11らに紹介した。 (オ)軽油の販売先の訪問原告は、軽油の販売先から連絡を受けて、納入数量や納入日時の変更を受け付けたり、P1の代表者として何度か販売先に挨拶に行くことがあり、主要販売先であるP13に挨拶に行っている(なお、その訪問時期及び目的については争いがあるが、上記の限度では原告も認めているところである。)。 - 45 -(2)証拠(乙3、乙4、乙5、乙6、乙7、乙11、乙12、乙14、乙26)によれば、本件軽油取引に関する金銭の支払状況等について以下の事実が認められる。 ア乙4(P3に対する原料の代金支払)P3に対する重油及び灯油の支払状況は、平成13年7月から平成14年10月までで合計5億6701万1540円が支払われている。P3への支払には、本件決済口座及び原告名義の口座が使われているところ、平成13年7月10日から同年12月10日までは、本件決済口座のうちのP1の口座から支払われており、同年12月13日から平成14年1月15日までは、本件決済口座及び原告名義の口座から支払われ(うち原告名義の口座からは、8回にわたって合計2365万9950円が支払われている。)、同年1月17日から同年10月31日までは、本件決済口座から支払われてい 済口座及び原告名義の口座から支払われ(うち原告名義の口座からは、8回にわたって合計2365万9950円が支払われている。)、同年1月17日から同年10月31日までは、本件決済口座から支払われている。 イ乙5(P4に対する運送料及びタンク使用料の支払)P4から、P1及びP2に対し、運送料及びタンク使用料として総額3940万9065円が請求されているところ、これらの金員は、本件決済口座からP4に支払われている。なお、平成14年10月2日の240万3450円及び11月6日の271万6350円の運送料の支払については、本件決済口座のうちのP1の口座からP7の名で支払われている。 ウ乙6(P12に対する運送料の支払)P12から、P7に対し、運送料として総額216万1950円が請求されているところ、これらの金員は、P7の口座から支払われている。 エ乙3(軽油製造委託手数料の支払状況)P6に対する軽油製造委託手数料の支払状況は、平成13年7月から平成14年10月までで合計1億0718万5260円が支払われている。 P6に対する軽油製造委託手数料の支払には、本件決済口座及び原告名義- 46 -の口座が使われているところ、平成13年7月5日から同年12月19日までは、P1の口座から支払われており、同年12月20日から平成14年10月31日まではP7及び原告名義の口座から支払われている(うち、原告名義の口座からは、平成14年7月、9月、10月の7回にわたって合計358万6530円が支払われている。)。 オ乙7(主要販売先4社からの販売代金入金状況)本件軽油取引に関する主要販売先4社からの販売代金(総合計4億7457万2615円)の入金状況は、以下のとおりである。 (ア)有限会社P16分有限会社P16から、本件決済口座に、平成13年7月から平成 軽油取引に関する主要販売先4社からの販売代金(総合計4億7457万2615円)の入金状況は、以下のとおりである。 (ア)有限会社P16分有限会社P16から、本件決済口座に、平成13年7月から平成14年10月の軽油代金として合計5740万2065円が入金されている。 (イ)P13分P13から、P1の口座に、平成13年7月から同年12月の軽油代金として合計3133万5930円が入金されている(ウ)P17分P17から、本件決済口座に、平成13年9月から平成14年9月の軽油代金として合計4033万8270円が入金されている。 (エ)P3分P3から、P7の口座に、平成13年12月から平成14年10月の軽油代金として合計3億4549万6350円が入金されている。 カ乙26(P5からの販売代金入金状況)P6から、本件決済口座に、平成13年7月から平成14年10月の軽油代金として合計4549万8495円が入金されている。 キ乙11(本件決済口座から原告口座への口座振替状況)平成13年7月から平成14年10月までの間に、本件決済口座から合計51回6380万円が出金され、そのうち少なくとも6326万円が直- 47 -ちに原告名義の口座に入金されている。すなわち、P1の口座からは、平成13年7月13日に1000万円、8月21日に1000万円、11月2日に500万円の3回にわたって出金があり、同時に原告名義の口座に同額が振替入金され、P7の口座からは、平成13年12月が4回、平成14年1月が16回、2月が1回、3月が6回、4月が2回、5月が3回、6月が2回、7月が2回、8月が5回、9月が4回、10月が3回にわたって出金され、直ちに原告名義の口座にほぼ同額が入金されている。 なお、原告は、P7のカードを預かり、P7の口座から出金して報酬を受領 月が2回、7月が2回、8月が5回、9月が4回、10月が3回にわたって出金され、直ちに原告名義の口座にほぼ同額が入金されている。 なお、原告は、P7のカードを預かり、P7の口座から出金して報酬を受領したことを認めている(乙14)。 ク乙12(原告名義の口座の入出金状況)平成13年7月から平成14年10月までの間に、原告名義の口座に本件軽油取引によって合計9510万7650円が入金されており、同口座から本件軽油取引によってP3へ2365万9950円、P5(P6)へ358万6530円が出金されている。 (3)検討ア本件軽油取引に関わった動機について原告は、P1として多額の負債を抱えて経済的に困窮していたところ、知人の紹介で知り合ったP11らから本件軽油取引の話を持ちかけられ、これを承諾し、現に報酬を得ていたものであり、本件軽油取引に主体的に関わるだけの十分な動機があることは否定し難いところである。 イ口座の管理について前記認定のとおり、本件決済口座が原料の仕入代金の支払、運送・保管料の支払、軽油製造委託手数料の支払、販売代金の入金口座に使用されていたところ(乙3、乙4、乙5、乙6、乙7、乙26)、これらによれば、本件決済口座に入金された軽油販売代金から少なくとも全51回にわたり合計6326万円を原告名義の口座に移し替え(乙11)、いったん原告- 48 -名義の口座に入金した後に、軽油製造の原料費や委託手数料名目で出金しているものであり(乙3、乙4)、また、P7の口座についてカードを預かり、同口座から出金していたことは原告自身も認めており(乙14)、現に乙11によれば相当回数P7から原告名義の口座に振替していることが認められることからすれば、原告は、本件決済口座を現に管理し、あるいは支配する立場にいたというべきである。 これに対 (乙14)、現に乙11によれば相当回数P7から原告名義の口座に振替していることが認められることからすれば、原告は、本件決済口座を現に管理し、あるいは支配する立場にいたというべきである。 これに対し、原告は、本件決済口座のうちP1名義の口座は、P11に口座の名義貸しを頼まれて預金通帳、届出印、キャッシュカードを預け、自由に利用させていたものであり、口座の振替等はP11が行っていたものであるから、原告の積極的な関与の裏付けとなるものではない旨の主張をし、その本人尋問においても、同旨の供述をしている。しかし、証拠(乙3、乙4、乙11、乙12)によれば、原告名義の口座に、本件軽油取引に関連する多数回、多額の入出金がされていることが認められるのであって、これらは原告の関与なしには説明のできないものなのであり、原告の上記主張ないし供述を採用することはできないものというほかはない。 ウ原告の得た利得について乙12によれば、原告名義の口座に本件軽油取引による約9500万円の入金があり、上記入金額から原料費の支払や製造委託手数料を除くと、原告は、本件軽油取引によって、少なくとも約6700万円の利得を得ていると認められる。平成13年7月から平成14年10月までの約1年4か月の間で上記金額の利得を得ていることは、社会通念上相当多額の利得を得ているといわざるを得ないし、証拠上認められる本件軽油取引に係る軽油の製造原価相当額である7億円余り(乙3、乙4、乙5及び乙6の合計額を合算したもの。)と対比しても少なくない金額の利得を得ているということができる。 エ本件軽油取引において原告の果たした役割について- 49 -原告は、本件軽油取引に関して、①P1の名義を貸し、同社の口座を決済口座として利用することを許諾していること、②タンクローリーの手配、③P6 軽油取引において原告の果たした役割について- 49 -原告は、本件軽油取引に関して、①P1の名義を貸し、同社の口座を決済口座として利用することを許諾していること、②タンクローリーの手配、③P6との連絡、④その他事務連絡を行い、⑤軽油の原料の運搬と製造軽油の保管を依頼するために、P4をP11らに紹介する等の役割を果たしていることを認めている。 また、それに加えて、その時期及び訪問目的については争いがあるものの、原告は、軽油販売先であるP13にP1の代表者として訪問していることや、軽油製造を開始するに当たり、P5との間で、軽油製造の原料を原告が調達してP6のタンクに運び込むことや、委託手数料等の条件について話し合っていること(乙23)、P4は、原告が代表者を務めるP2に対して運送料の支払を請求していること(乙5)からすると、本件軽油取引に関わった関係者は、本件軽油取引における原告の立場を単なる連絡役としてではなく、主体的に取引を行う立場にあると考えていたものと解するのが相当である。 なお、P15証人は、P1が原告の会社であることは知らず、本件軽油取引はP11との取引であると思っていた旨証言しているが、他方、陳述書(甲7)においては、P1の名義貸しについて直ちに原告に電話をして確認した旨述べていることや、P4の請求書の宛先が原告の経営するP2となっていることからすると、P15証人はP1の経営者が原告であることを認識していたというべきであるから、その証言は信憑性に乏しく採用することができない。 また、P3の代表者であるP10証人も、P11がP1の経営者であり、本件軽油取引はP11の取引であると思っていた旨証言しているが、他方、陳述書(甲6)では原告がP1という会社を休眠状態にしていると聞いたとも述べていること、P10証人と原告は、これま 経営者であり、本件軽油取引はP11の取引であると思っていた旨証言しているが、他方、陳述書(甲6)では原告がP1という会社を休眠状態にしていると聞いたとも述べていること、P10証人と原告は、これまでP3が原告にタンクローリーの手配を依頼するなど、本件軽油取引の前からの知り合いである- 50 -ことなどからすると、P1の経営者が原告であることを認識していなかったというのは不自然であるというほかはなく、その証言は信憑性に乏しく採用することはできない。 オ 結論 このように、原告は、本件軽油取引に関し、軽油の製造の関係では、製造者であるP6(P5)との協議や連絡、原料の調達、保管、運搬に関する手配、手数料の支払等に関して重要な役割を担い、また、軽油の販売に関しても、販売先への挨拶を行っているほか、本件軽油取引全般についてP1の名義を利用することを承諾し、本件決済口座や原告名義の口座を利用して、販売代金の徴収、各種経費の支払等に関しても、主体的な役割を果たしているのであるから、これらを総合考慮すれば、本件軽油取引全般にわたって主体的な関与をしたものと評価すべきであるし、これらの関与の対価として多額の利得を得たものというべきである。そうすると、このような原告の行為を単なる手足としての行為にすぎないということは到底できないのであって、むしろ、本件軽油取引に対し、少なくとも共同経営者として主体的に関与したものと評価するほかはない。ちなみに、原告は、P5の刑事公判での証人尋問においては、自らが本件軽油取引に主体的に関与していたことを認めており、例えば、弁護人との間で、次のようなやり取りを交わしている(乙23、15頁)。 弁護人あなたは名前をちょっと貸しただけで、だれか裏で引いている人がいるんじゃないですか。 原告いや、おりません。 弁護人 護人との間で、次のようなやり取りを交わしている(乙23、15頁)。 弁護人あなたは名前をちょっと貸しただけで、だれか裏で引いている人がいるんじゃないですか。 原告いや、おりません。 弁護人じゃあ、あなたはやったことは全部自分で分かって、やっているわけですね。 原告そうです。 なお、原告は、P5の刑事公判の証人尋問の際には、P5の処罰に協力- 51 -するという気持ちから、実際とは異なる話をしてしまったとか、あがってしまった上、耳がよく聞こえないため、質問の意味を理解しないまま返答してしまったなどといった弁解をしているのであるが、上記の返答は、質問の意味を理解した上で行われたものというほかはないし、P5の処罰のためにあえて自らが軽油取引の主体であったとの供述をする必要も認められないのであるから、当時の原告自身の認識を吐露したものと評価するほかはなく、このことは、原告自身が、自らの役割を単なる手足とは考えていなかったことを裏付けるものというべきである。 したがって、原告は、法700条の4第1項5号による納税義務を免れないものというべきである。 原告主張に対する検討(1)本件決済口座の管理について原告は、P1の口座から原告名義の口座に6320万円が振替されている点について、このうち2件(平成13年7月13日に1000万円、同年8月21日に1000万円)は、原告がP4の社長からガソリンの入手先の紹介を依頼され、その保証金及び前渡金として送金を受けたものであり、本件軽油取引とは無関係である旨の主張をしている(前記第2、4、(2)、ウ、(カ))。しかし、上記主張は、P1から原告名義に振替された6320万円の一部の説明でしかない点は措くとしても、その裏付証拠となるべきP15証人の証言は、油の取引に関しては素人であると自認してい 、(カ))。しかし、上記主張は、P1から原告名義に振替された6320万円の一部の説明でしかない点は措くとしても、その裏付証拠となるべきP15証人の証言は、油の取引に関しては素人であると自認している原告に対し、2000万円もの前金を交付し、紹介がうまくいかなかった後も返還を受けずに原告がそのまま預かっていたというものであって、不自然といわざるを得ず採用することはできないから、これを前提とする上記主張も採用することはできない。 (2)原告の得た報酬について原告は、本件軽油取引により得た報酬は、本件軽油取引が終了した平成1- 52 -4年10月の原告名義の口座の預金残高から台湾の友人の預り金を控除した約1500万円である旨の主張をしているが(前記第2、4、(2)、ウ、(キ))、台湾の友人の預り金の存在については、原告の供述以外これを裏付ける証拠がないことに加え、本件軽油取引が行われた平成13年7月から平成14年10月の期間中に原告が得た利得について、本件軽油取引の終了時の預金残高を基礎に上記期間中の利得を算出するのは不合理であることは明らかである(更にいえば、原告は、本人尋問において、報酬はP11から現金で受け取っていたと供述しているのであるから、預金残高を基準とした報酬額の主張は一貫性を欠くのではないかとの疑いもある。)。また、原告は、本人尋問において、原告名義の口座への入金には、P19やP18の報酬分や台湾の友人からの預り金をP11へ貸し付けしていた返済分が含まれている旨の供述をしているが、上記供述を裏付ける証拠はないことに加え、その内容も、どの入金部分がP19やP18の報酬分あるいはP11からの返済分であるかの特定がなされておらず、具体性に欠けるものであるし、友人からの多額の預り金(原告の供述によれば最高額で300万円ないし 内容も、どの入金部分がP19やP18の報酬分あるいはP11からの返済分であるかの特定がなされておらず、具体性に欠けるものであるし、友人からの多額の預り金(原告の供述によれば最高額で300万円ないし400万円)を無断で流用していたというものであり、その合理性に疑問を差し挟まざるを得ないことに照らすと、採用することはできない。 (3)その他ア原告は、P6に対する軽油製造委託手数料の支払及びP3に対する重油等の代金の支払が原告名義の口座から送金されていること(乙3、乙4)について、P11から立替払の依頼を受けたからであり、原告自らが支払を行ったものではない旨主張しているが(前記第2、4、(2)、ウ、(ア)、(イ))、口座の管理状況全般は、むしろ原告の主体的な関与を裏付けるものとみざるを得ないことは既に指摘したとおり(前記第3、2、(3)、イ)であることに加え、仮にP11から立替払いの依頼を受けたことが事実であるとしても、その回数及び金額が相当多額に及ぶこと(特にP3に- 53 -対する重油等の代金の支払として原告名義の口座から8回にわたり合計2365万8270円が出金されていることが認められる。)からすると、これを確実に回収できると考えていたからこそ立替払いに応じたと認められ、そうであれば、むしろ原告が本件決済口座を管理しうる立場にあったことを裏付けるものであるから、いずれにしても、前記認定を覆すに足りるものではないといわざるを得ない。 イ原告は、P4に対する運送料及びタンク使用料の支払のうち、P2から振り込まれている部分は、本件軽油取引とは別の取引でP4から借りたタンクローリーの賃借料である旨主張しているが(前記第2、4、(2)、ウ、(ウ))、上記主張を認めるに足りる証拠はないことに加え、P4の請求書がP2宛に送付されている理 とは別の取引でP4から借りたタンクローリーの賃借料である旨主張しているが(前記第2、4、(2)、ウ、(ウ))、上記主張を認めるに足りる証拠はないことに加え、P4の請求書がP2宛に送付されている理由をすべて説明するものでもなく、いずれにしても前記認定を覆すに足りるものではない。 ウそのほか、原告は、乙号証の信用性や、その評価について種々主張しているが(前記第2、4、(2)、ウ)、これらを採用することはできないことは既に説示したところから明らかである。そして、他に本件処分の適法性を疑わせるに足りる証拠はない。 第4 結論 以上によれば、本件処分は適法であって、原告の請求は理由がないから棄却することとし、訴訟費用の負担について、行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条を適用して、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第3部裁判長裁判官鶴岡稔彦- 54 -裁判官古田孝夫裁判官潮海二郎
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