【DRY-RUN】主 文 原競落許可決定を取消す。 同許可決定添付目録に記載の不動産の競落は許さない。 原競落不許可決定に対する抗告は之を棄却する。 理 由
主文 原競落許可決定を取消す。 同許可決定添付目録に記載の不動産の競落は許さない。 原競落不許可決定に対する抗告は之を棄却する。 理由 本件抗告の理由とするところは、末尾添付の抗告申立書写に記載の通りである。 よつて案ずるに、一、 本件競売記録によれば、本件の競売は、債権者兼抵当権者たる商工組合中央金庫の申立により、抵当物たる土地家屋七筆(即ち抗告申立書添付の物件目録(甲)(乙)に記載の物件)につき開始せられたもので、原裁判所は、右物件の各筆に鑑定人をして評価をさせ、之に基ずき各筆につき最低競売価格を定めたのであるが、その合計額は、債権者より申出の債権額四十九万五千八百円及び競売手続費用額を遥かに超えており数次の競売期日に競買の申出がなかつた為最低競売価格を次第に低減したが最後に定めた最低競売価格でさえも、その合計額は百十七万円余となつていたのである。 それにも拘らず原裁判所は、前記七筆の物件全部を同時に競売すべきものとして、昭和二十八年十一月二十四日を競売期日と定め、各筆の最低競売価格その他の要件を記載して公告を為した上、右期日に競売を実行させたので、抗告人はその期日に全部の物件につき最低競売価格を以て競買の申出を為したのであるが、同月三十日の競落期日において、原裁判所は、前記物件目録(乙)に記載の宅地・鉱泉地・及び建物一棟の計三筆についてのみ競落許可決定を言渡すと共に、同(甲)に記載の家屋四筆については、「乙の物件の売得金を以て、債権者に弁済し且つ手続費用を償うに足るから、其の余の物件の競落は許すべきでない」との趣旨の下に競落不許可の決定を言渡したのである。 二、 民事訴訟法第六百七十五条が抵当権実行の為にする競売にも準用されることは疑のないところである。従つて、原 の余の物件の競落は許すべきでない」との趣旨の下に競落不許可の決定を言渡したのである。 二、 民事訴訟法第六百七十五条が抵当権実行の為にする競売にも準用されることは疑のないところである。従つて、原裁判所が物件目録甲記載の四筆の物件につき競落不許可の決定を為したのは当然であつて、之を取消すべき何等の理由も見出し難い。 三、 ところで、本件競売においては、前記の通り、(甲)(乙)の物件はすべて同時に競売すべきものとして公告せられ、且つその通り実行せられたのであり、しかも、(乙)物件の最低競売価格のみで以て債権額や手続費用を償うに足る金額であつたのである。而してかように競売に付せられ得べき不動産が多数あり、しかもその一部の最低競売価格のみで債権額及び手続費用の合計額を超えるときには、他の不動産を同時に競売に付することは出来ない、と解するのが相当である。何となれば、競売は最低競売価格以上の価格を以て競買されることを目標とし、之を前提として為されるものであり、従つて、一部の物件の最低競売価格のみで既に債権額や手続費用を超える限りは、その他の物件は競売に付する必要なきに帰するからである。つまり、数筆不動産を同時に競売に付する場合には、その最低競売価格の合計が債権額及び手続費用の合計額に達するを限度にとどむべきである。 ところが、本件競売は、右の限度を超えて同時に競売を行つた(その結果、(甲)物件についんの競落不許可を言渡さざるを得ぬ結果となつた)のであつて、その点に違法があると言わざるを得ない。而して、その違法が競落不許可となつた甲物件に関する違法のみにとどまり、(乙)物件の競売・競落等に何等影響を及ぼさないものならば、(乙)物件の競落許可決定は之を取消すべきでないこと勿論であるが、本件の同時競売は、(乙)物件の競落にも左記の様な影響があるので にとどまり、(乙)物件の競売・競落等に何等影響を及ぼさないものならば、(乙)物件の競落許可決定は之を取消すべきでないこと勿論であるが、本件の同時競売は、(乙)物件の競落にも左記の様な影響があるのである。 四、 即ち、本件競売の公告には、競売に付すべからざる物件(正確に言えば、競売に付すべき限度を超えた物件)まで之を競売するものの如く記載した違法がある。 尤も、右の様な公告の記載が為されて居ても、現実の競売は民訴第六百七十五条所定の限度の物件にとどめてその余の物件は競売しないことも出来るし又仮に右の限度を超えて競売競落せられてもその限度超過の物件については(あたかも本件甲物件の場合の如く)競落不許可とすることも出来るわけであり、而して、以上のような場合に、もし公告に係る各物件がそれぞれ他の物件と格別の関係を持たない独立別箇の物件であるようなときには右の様な公告の違法は右法条所定の限度内の競落に関する限り、単に無用な記載を為したものに過ぎず、之を以て右法条限度内の物件の競落に対する異議や抗告の事由と為し難いのが通常であろう。何となれば、右の様な記載は(違法な記載とは言え)右限度内の物件の競落に関しては利害関係人に何等不利益な影響を与えるものでないのが通常だからである。 <要旨>然し乍ら、本件の場合は多少事情を異にしている。即ち、本件甲物件の家屋四棟は実際上は(乙)物件中の七</要旨>六番の一の宅地百二十坪二合三勺の地上に存するものであることが、抗告人提出の証明書によつて明かである。然るに拘らず、本件競売公告中に債権額の記載がないのは勿論、競売期日の手続中などに於て特に「債権額及び手続費用の合計額を超える部分については、競落は許されない」旨を競買申出人に注意警告したような形跡もない。およそ土地とその地上の建物とが、同一人の所有にある場 期日の手続中などに於て特に「債権額及び手続費用の合計額を超える部分については、競落は許されない」旨を競買申出人に注意警告したような形跡もない。およそ土地とその地上の建物とが、同一人の所有にある場合とそれぞれ各別の人の所有に属する場合とでは、その利用価値や交換価格において多大の相違があることは言うまでもないところであるから、本件に於て抗告人はその主張する如く、(甲)物件も(乙)の土地と共に自己の手に競落されるものと信じたればこそ、(甲)(乙)全部の物件を競買すべく申出たものであり、若し甲物件のみが競落を許可されない様なことが前以てわかつて居たならば、全部の物件の競買申出は為さなかつたであろうと、容易に推測せられるのである。抗告人が「競買申出に要素の錯誤がある」と言うのも無理からぬことである。本件競売の公告は、競売すべからざる物件まで記載した違法があり、この違法の記載は単に無用の記載であるにとどまらず、実に競買申出人をして右の様な誤解を生ぜしむるような有害な記載であつたわけであり、かような事情の下に於て為された競落は、競落人が之を欲する限り之を許すべからざるものとするのがむしろ当然である。 従つて当裁判所は、乙物件の競落も又許すべからざるものあり之についての原裁判所の競落許可決定は不当で、本件抗告は理由があるものと認める。 五、 抗告人は「原決定を取消し、甲、乙の全物件について改めて申出価格による抗告人の競落を許可する」旨の決定を求めているのであるが、左様な決定を為し得べきものでないことは、以上の論述に徴して明かであろう。 よつて、本件抗告は一部理由ありと認め主文の通り決定する。 (裁判長判事森静雄判事竹下利之右衛門判事高次三吉) 主文 一部理由ありと認め主文の通り決定する。 理由 (裁判長判事森静雄判事竹下利之右衛門判事高次三吉)
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