平成30(ワ)883等 取締役等に対する損害賠償請求事件、共同訴訟参加事件

裁判年月日・裁判所
令和7年10月31日 静岡地方裁判所
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判決文本文296,661 文字)

- 1 - 主文 1 原告及び原告共同訴訟参加人らの被告Ⓐ、被告Ⓑ、被告ⓒ及び被告Ⓓ並びに被告Ⓔに対する請求をいずれも棄却する。 2 被告Ⓕは、原告に対し、被告Ⓖ、被告Ⓗ、被告亡Ⓘ訴訟承継人Ⓙ、被告Ⓚ及び被告Ⓛと次項の限度で連帯して、13億3521万1789円及びこれに対 する平成30年12月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被告Ⓖ、被告Ⓗ、被告亡Ⓘ訴訟承継人Ⓙ、被告Ⓚ及び被告Ⓛは、原告に対し、被告Ⓕと連帯して、13億3521万1789円及びうち10億円に対する平成30年12月14日から支払済みまで、うち3億3521万1789円 に対する平成31年4月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 原告及び原告共同訴訟参加人らの被告Ⓕ、被告Ⓖ、被告Ⓗ、被告亡Ⓘ訴訟承継人Ⓙ、被告Ⓚ及び被告Ⓛに対するその余の請求をいずれも棄却する。 5 訴訟費用は、原告及び原告共同訴訟参加人らと被告Ⓐ、被告Ⓑ、被告ⓒ及び 被告Ⓓ並びに被告Ⓔとの間においては全部原告及び原告共同訴訟参加人らの連帯負担とし、原告及び原告共同訴訟参加人らと被告Ⓖとの間においては、これを25分し、その24を原告及び原告共同訴訟参加人らの連帯負担とし、その1を被告Ⓖの負担とし、原告及び原告共同訴訟参加人らと被告Ⓕ、被告Ⓗ、被告亡Ⓘ訴訟承継人Ⓙ、被告Ⓚ及び被告Ⓛとの間においては、これを10分し、 その9を原告及び原告共同訴訟参加人らの連帯負担とし、その1を被告Ⓕ、被告Ⓗ、被告亡Ⓘ訴訟承継人Ⓙ、被告Ⓚ及び被告Ⓛの連帯負担とする。 事実及び理由 第1 請求の趣旨原告及び共同訴訟参加人らの請求の趣旨は、それぞれ別紙「請求の趣旨」記 載第1及び第2のとおりである(共同訴訟参加人らの請求は、 告Ⓛの連帯負担とする。 事実及び理由 第1 請求の趣旨原告及び共同訴訟参加人らの請求の趣旨は、それぞれ別紙「請求の趣旨」記 載第1及び第2のとおりである(共同訴訟参加人らの請求は、同第1から同第- 2 - 2に請求を拡張するものであり、附帯請求については、同第1の金額に対する部分は訴状送達の日の翌日を始期とし、その余の部分は共同訴訟参加申出書送達の日の翌日を始期とするものと解される。)。 第2 事案の概要 1 事案の要旨 (1)銀行である原告は、平成23年12月頃から平成29年11月にかけて、シェアハウス(寄宿舎)への投資を目的とする個人顧客に対し、その取得費用等についての融資を実行していた(以下「シェアハウスローン」という。)。 平成29年以降、シェアハウスに関与していた複数の業者が破綻し、管理会社やサブリース会社等から顧客に対する賃料の支払が滞るなどし、多数か つ高額の融資先について今後の返済が懸念される事態が生じた(以下「シェアハウスローン問題」という。)。 (2)原告は、取締役であった亡Ⓜ(以下「亡Ⓜ」という。)、被告Ⓕ、被告Ⓖ、被告Ⓔ、被告Ⓗ、亡Ⓘ(以下「亡Ⓘ」という。)、被告Ⓚ及び被告Ⓛ(以下併せて「被告取締役ら」という。)には、シェアハウスローンという融資類 型全体(以下「シェアハウスローン類型」ともいう。)の実行につき、取締役としての監視監督義務ないし内部統制システム構築運用義務に違反する任務懈怠があり、これによりシェアハウスローン問題を惹起させ、原告にシェアハウスローンに係る融資金相当額又は回収不能相当額の損害及び信用毀損の損害を生じさせたなどと主張している。 (3)原告は、前記(2)について、亡Ⓜを除く被告取締役ら並びに亡Ⓜの相続人である被告Ⓐ、被告Ⓑ、被告ⓒ 金相当額又は回収不能相当額の損害及び信用毀損の損害を生じさせたなどと主張している。 (3)原告は、前記(2)について、亡Ⓜを除く被告取締役ら並びに亡Ⓜの相続人である被告Ⓐ、被告Ⓑ、被告ⓒ及び被告Ⓓ(以下、併せて「被告Ⓐら」という。)に対し、会社法423条1項に基づき、上記損害の一部として別紙「請求の趣旨」記載第1の各金員及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成30年12月14日から支払済みまで平成29年法律第44号による 改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めて、本件(平- 3 - 成30年(ワ)第883号)を提起した(亡Ⓘは、本件訴訟係属後に死亡し、相続人である被告Ⓙが本件訴訟を承継した。)。 原告の株主である共同訴訟参加人らは、前記(2)について、会社法849条1項本文に基づき、別紙「請求の趣旨」記載第2の各金員及びこれに対する請求後である平成31年4月25日(共同訴訟参加申出書送達の日の翌 日)から支払済みまで上記の遅延損害金の支払を求めて、原告側に共同訴訟参加をした(平成31年(ワ)第209号)。 2 前提事実以下の事実は、当事者間に争いがないか、後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる。 (1)原告とその内部組織等ア原告は、明治28年にⓃが株式会社根方銀行を設立することにより創業され、静岡県沼津市に本店を置く銀行業を営む株式会社である。(乙E1、乙F8)イ原告は、「組織に関する規程」(以下「組織規程」という。)等により、 経営組織に関する基本事項を定めており、平成27年4月1日時点の内部組織は別紙組織図記載のとおりであった。(甲3ないし7、9、11、12、15、304)組織規程によると、取締役会で選任された執行役員が取締役会の決 本事項を定めており、平成27年4月1日時点の内部組織は別紙組織図記載のとおりであった。(甲3ないし7、9、11、12、15、304)組織規程によると、取締役会で選任された執行役員が取締役会の決定する基本方針に従って業務執行を行うこととされていた。なお、原告は、執 行と監督を分離し、取締役は、原則として業務執行に従事しないことを旨とする組織体制としていた。(甲3、乙D15)取締役会規程によると、最高経営責任者としてCEO、最高業務執行責任者としてCOO、最高財務責任者としてCFO各1名を選任することができ、また、取締役会の決議により各取締役の管掌(その職務内容及び権 限等については争いがある。)及び所管業務が決定されていた。(甲4)- 4 - なお、後記(2)及び(3)のとおり、Co-COOという役職を有していた者があるが、その役割について明記したものはない。 ウ原告の営業店は、カスタマーサポート本部(営業本部とされていた時期もある。以下、単に「営業」ともいう。)に属し、大別するとパーソナルバンクとコミュニティバンクに分かれていた。 パーソナルバンクは、首都圏及びその他の地域(名古屋、大阪、札幌、福岡、仙台等)を主たる営業エリアとし、主に高金利の収益不動産ローンを取り扱っていた。一方、コミュニティバンクは、静岡県内及び神奈川県内を主たる営業エリアとし、主に法人向けの低金利融資や住宅ローンを取り扱っていた。(甲3、287、乙F8、被告Ⓕ本人) エ原告の審査部門は、審査第1部、審査第2部(個人向けローンのうちパーソナル・バンク部門の店舗及びコミュニティバンクの店舗から申請される有担保ローン案件を審査する部門であり、東京及び静岡に設けられていた。)、審査第3部(個人向けローンのうち、無担 けローンのうちパーソナル・バンク部門の店舗及びコミュニティバンクの店舗から申請される有担保ローン案件を審査する部門であり、東京及び静岡に設けられていた。)、審査第3部(個人向けローンのうち、無担保ローン案件を審査する部門)とからなる(以下「審査部」又は「審査」ともいう。)。(乙F 28)(2)被告ら等ア亡Ⓜは、創業家の出身であり、被告Ⓕの弟である。 亡Ⓜは、昭和58年6月に取締役、昭和61年に代表取締役(平成10年6月に副社長)、平成12年に最高業務執行責任者(COO)に就任し、 死亡するまでその任にあった。 亡Ⓜは、平成28年7月13日に死亡した。被告Ⓐは亡Ⓜの妻であり、被告Ⓑ、被告ⓒ及び被告Ⓓはいずれも亡Ⓜの子である(甲2の1ないし5)。 イ被告Ⓕは、創業家の出身であり、亡Ⓜの兄である。 被告Ⓕは、昭和54年6月に取締役、昭和60年に代表取締役(平成1 0年6月に社長、平成28年6月に会長)、平成12年に最高経営責任者- 5 - (CEO)に就任し、平成30年9月7日に辞任した。 ウ被告Ⓖは、平成21年から平成27年3月まで営業本部長を務め、平成27年6月に取締役に就任し、平成30年3月31日に辞任した。被告Ⓖは、COO補佐という役職についていたことがあるほか平成23年4月からCo-COOに就任していた。 被告Ⓖは、平成27年6月から平成29年3月まで営業本部の管掌取締役であり、平成29年4月から平成30年3月31日までは営業本部長を兼務していた。(甲192、乙F8)エ被告Ⓔは、平成24年6月に取締役に就任し、平成31年6月に退任した。 被告Ⓔは、平成24年6月からカスタマーサポート本部、平成27、28年は審査部、平成29年4月から業務部、平成30年4月から審査部の 24年6月に取締役に就任し、平成31年6月に退任した。 被告Ⓔは、平成24年6月からカスタマーサポート本部、平成27、28年は審査部、平成29年4月から業務部、平成30年4月から審査部の各管掌取締役であった。(甲159、乙D48)オ被告Ⓗは、平成24年から原告の執行役員(審査部長)を務めた後、平成29年6月に取締役に就任し、平成30年9月7日に辞任した。 被告Ⓗは、平成29年6月から平成30年4月まで審査部の管掌取締役であった(甲192の7)。 カ亡Ⓘは、平成20年6月に取締役(平成20年6月から常務、平成23年6月から専務)、平成24年4 月に代表取締役、平成28年6月に最高コンプライアンス責任者(COO)に就任し、平成30年9月7日に辞任 した。 亡Ⓘは、平成28年6月から経営企画部、システム部、平成29年4月から経営企画部の各管掌取締役であった(甲192の3)。 亡Ⓘは、令和5年に死亡した。被告Ⓙは亡Ⓘの妻である。 キ被告Ⓚは、平成26年4月からシステム部企画グループ長を、平成27 年4月から執行役員(システム部長)をそれぞれ務めた後、平成28年6- 6 - 月に取締役、代表取締役(社長)に就任し、平成30年9月7日に辞任した(甲192の8)。 ク被告Ⓛは、平成23年6月に取締役(専務)に就任し、平成30年9月7日に辞任した。被告Ⓛは、主に財務、運用及び決算を担当していた(甲192の4)。 (3)その他関係者(後記(4)以降、氏のみで表示する。)ア Ⓞは、平成13年以降、一貫して、営業本部の本部部署に所属しており、平成14年から執行役員を務め、平成16年にパーソナルバンクの部長となり、平成27年にはCo-COO兼営業本部長に就任し、パーソナルバンク本部長も兼務する 貫して、営業本部の本部部署に所属しており、平成14年から執行役員を務め、平成16年にパーソナルバンクの部長となり、平成27年にはCo-COO兼営業本部長に就任し、パーソナルバンク本部長も兼務することになった。(甲192) イ Ⓟは、平成25年から平成29年まで横浜東口支店の支店長、同年から平成30年まで営業本部副部長を務めていた。(乙F28)ウ Ⓠは、平成16年から審査第二部長(東京)等、平成27年から審査部副部長、平成29年に営業本部広域営業部の部長を務めていた。(甲169、乙F28) エ Ⓡは平成23年から平成30年まで審査第二部長(静岡又は東京)を務めていた。(甲171、乙F28)オ Ⓢは、平成29年に執行役員兼審査部長に就任した。(甲177、乙F28)カ Ⓣは、平成23年から平成30年まで営業企画に在籍していた。(甲2 96)キ Ⓤは、平成21年から神奈川コミュニティバンク営業推進部長、平成25年から平成29年まで渋谷支店支店長、平成29年から審査部融資管理を務めている。(甲179)ク Ⓥは、平成26年から横浜東口支店(平成29年10月1日に同支店へ の統合により廃止された「ドリームプラザ横浜」と称する営業部門を含む。 - 7 - 以下同じ。)に勤務していた。(甲233)ケ Ⓦは、平成23年から平成24年までカスタマーサポート本部都心特別推進チームに勤務し、Ⓞの部屋の目の前で働いていた。(甲231)コ Ⓧは、平成23年から経営管理部部長を務めていた。(甲295)サ Ⓨは、平成25年から審査第二の審査役を務めていた。(甲174) (4)シェアハウスローンの概要等ア原告は、平成23年12月頃から平成29年12月頃まで、シェアハウスローンを取り扱っていた。 25年から審査第二の審査役を務めていた。(甲174) (4)シェアハウスローンの概要等ア原告は、平成23年12月頃から平成29年12月頃まで、シェアハウスローンを取り扱っていた。 シェアハウスローンは、概要、シェアハウスの運営・投資を目的とする顧客に対し、原告がシェアハウスの敷地の取得費用や建設費用を融資し、 顧客は入居者又はサブリース業者から得る賃料により借入金を返済することを予定し、原告は当該シェアハウスの土地建物に担保権を設定するという形態の融資である。シェアハウスについては、販売企画、売買の勧誘、仲介、転売、建物の建築請負、管理運営、サブリースなど、複数の業者がさまざまな態様で関与することが通常であった。原告による融資に当たっ ては、顧客にシェアハウスの購入を勧誘し、原告に融資案件として紹介する業者が介在し、チャネルと呼ばれていた。 イ原告が実行したシェアハウスローンに関与した会社のうち主要なものとしては、株式会社スマートライフ(東京シェアハウス、スマートデイズ。 以下、会社名について「株式会社」等を付さず、短い略称を用いることが ある。)、アマテラス、イノベーターズ、サクトインベストメントパートナーズ、ガヤルド、ゴールデンゲイン(ゴールデンゲイト)などがあった(また、各会社が関与したシェアハウスローンについて「スマートライフ案件」のようにいうことがある。)。 ウスマートライフは、かぼちゃの馬車というブランド名の女性専用シェア ハウス等の販売企画、管理運営、サブリース等を行っていたが、平成30- 8 - 年1月、サブリース料の支払を停止し、同年4月9日付けで、東京地方裁判所に対し、民事再生手続開始決定の申立てをした後、平成30年4月16日債権者説明会を行うなどしたが が、平成30- 8 - 年1月、サブリース料の支払を停止し、同年4月9日付けで、東京地方裁判所に対し、民事再生手続開始決定の申立てをした後、平成30年4月16日債権者説明会を行うなどしたが、同年5月15日、破産手続開始決定を受けた(丙3、4)。 サクトは、サブリースを行っていたが、平成29年2月23日に租税債 務の滞納による差押えを受けた後、サブリース料の支払を停止した。 ガヤルドは、建物の建築を請け負っていたが、下請業者に対する支払を怠り、平成29年7月頃に所在不明となった。 ゴールデンゲインは、平成29年11月30日にサブリース契約の解除を通知し、同年12月28日にサブリース料の支払を停止し、平成30年 5月22日に破産手続開始決定を受けた(乙F8)。 (5) シェアハウスローン問題に関する主な事実経過ア営業と審査の間では、融資額1億円以上の融資案件については、正式な審査に先立ち事前協議を行う会議(SSP会議)が行われていた。 イ平成25年10月1日、審査部長は、「一棟収益不動産の定期的調査の 実施について」と題する通達を発出した(以下これに基づいて行われた調査を「物件調査」という。)。審査部は、物件調査をもとに1か月に1回程度ミーティングを行っていた。 (以下「物件調査ミーティング」という。)(後記第3の1(5)イ(イ))平成26年4月以降、物件調査の結果は、信用リスク委員会及び経営会 議に報告されていた。 ウ平成26年5月29日、営業本部長であった被告Ⓖは、「資産形成ローン審査申請時送付書類の簡素化について」と題する通達(以下「簡素化通達」という。)を発出した。(後記第3の1(5)ア(エ))エ平成27年1月16日、亡Ⓜ、被告Ⓕ、被告Ⓖ、被告Ⓔ、亡Ⓘ及び被告 審査申請時送付書類の簡素化について」と題する通達(以下「簡素化通達」という。)を発出した。(後記第3の1(5)ア(エ))エ平成27年1月16日、亡Ⓜ、被告Ⓕ、被告Ⓖ、被告Ⓔ、亡Ⓘ及び被告 Ⓛは、経営会議に出席した。同会議において、被告Ⓕ及び亡Ⓘは、原本確- 9 - 認の重要性を指摘した。(後記ケ、第3の1(5)ア(サ))オ亡Ⓜは、平成27年2月頃スマートライフ、平成27年5月頃アマテラスが関与する融資について口頭で取扱禁止とすることを指示した。(後記第3の1(5)ウ(ウ)(エ))カ遅くとも平成27年2月6日以降、亡Ⓜは、融資の出口を取り扱う融資 管理の視点から見た問題点や提言を確認するための「出口から見た気づき」という会議(以下「出口会議」という。)を開催していた。(後記第3の1(5)イ(オ))キ営業本部長であったⓄは、平成27年10月22日、有担保ローンの自己資金確認について、新しい運用基準を策定した(以下「新運用基準」と いう。)。(後記第3の1(5)ア(ツ))ク平成28年3月、「かぼちゃの馬車」スマートライフの裏側と題する記事(以下「FACTA記事」という。)がインターネット上に掲載された。 (後記第3の1(5)ウ(カ))ケ平成28年5月27日、Ⓞ、Ⓟ、Ⓤ、Ⓠ、Ⓡが参加して、シェアハウス ローンの取扱いに関する方向性を協議する会議が開催された(以下「シェアハウス会議」という。)。(後記第3の1(5)イ(ス))コ平成28年9月2日、Ⓞが出席して営業のセンター長会議が行われ、パーソナルバンクが風邪をひくと銀行全体が死亡するようなところまで追い詰められていることの自覚を求めるなどという発言がされた。 サ平成28年11月1日、被告Ⓔ及び被告Ⓗは、物件調査ミーティング ソナルバンクが風邪をひくと銀行全体が死亡するようなところまで追い詰められていることの自覚を求めるなどという発言がされた。 サ平成28年11月1日、被告Ⓔ及び被告Ⓗは、物件調査ミーティングに出席し、被告Ⓗは、完成状況を踏まえて入居率を再調査するよう指示し、同指示に基づく調査結果は、平成28年12月2日の物件調査ミーティングで報告された。(後記第3の1(5)イ(チ))シ平成29年4月6日、Ⓞ、被告Ⓖ、被告Ⓗ及び被告Ⓚは、信用リスク委 員会に出席し、サクト案件の説明を受けた。(後記第3の1(6)ア)- 10 - ス原告は、サクトの支払停止を受けて、合計4回、執行役員や営業の社員も参加したサクトに関する社内会議を開催し(以下「サクト会議」といい、開催された順に「第1回サクト会議」などという。)、サクト案件の債務者への対応、今後のシェアハウスローンに関する方針などを議論した。 (ア)平成29年4月13日、Ⓞ、被告Ⓗ、亡Ⓘ、被告Ⓚ及び被告Ⓛは、第 1回サクト会議に参加した。(後記第3の1(6)イ)(イ)平成29年4月19日、Ⓞ、被告Ⓖ、被告Ⓗ、亡Ⓘ、被告Ⓚ及び被告Ⓛは、第2回サクト会議に参加した。(後記第3の1(6)ウ)(ウ)平成29年5月31日、Ⓞ、被告Ⓖ、被告Ⓗ、亡Ⓘ、被告Ⓚ及び被告Ⓛは、第3回サクト会議に参加した。(後記第3の1(6)カ) (エ)平成29年7月5日、Ⓞ、被告Ⓖ、被告Ⓗ、亡Ⓘ、被告Ⓚ及び被告Ⓛは、第4回サクト会議に参加した。(後記第3の1(6)コ)セ審査部は、被告Ⓗの指示を受けて、平成29年4月26日から同年5月15日にかけて、シェアハウスの全件調査を行った(以下「シェアハウス全件調査」という。)。(後記第3の1(6)エ) ソ原告は、平成29年12月、 を受けて、平成29年4月26日から同年5月15日にかけて、シェアハウスの全件調査を行った(以下「シェアハウス全件調査」という。)。(後記第3の1(6)エ) ソ原告は、平成29年12月、シェアハウスローンにつき同年10月及び同年11月の取扱いを最後に全社レベルで終結することを決定した。 タ平成30年1月16日、被告Ⓕ、被告Ⓖ、被告Ⓔ、被告Ⓗ、亡Ⓘ、被告Ⓚ及び被告Ⓛは、経営会議に出席し、シェアハウスローン問題について外部の弁護士からなる危機管理委員会の設置を承認した。(甲111、後記 第3の1(7)ア(イ))チ平成30年5月15日、危機管理委員会は、原告に対し、調査結果の要旨を報告した。当該報告では、スマートデイズ関連の販売会社により、融資を受けるに当たって原告に提出する通帳等の自己資金確認資料の偽装、改ざん(以下単に「偽装」という。)が相当数行われていたこと、原告で は当該資料につき原本確認を行うべきことになっていたにもかかわらず、- 11 - その手続が省略され、相当数の原告の行員が当該資料の偽装の可能性について認識していたと考えられることなどが問題として指摘された。(甲253。後記第3の1(7)エ)原告は、同日、シェアハウスローン問題に関し、原告から独立した中立、公正な専門家のみで構成される第三者委員会を設置し、事案の調査及び原 因の究明を行わせる旨を公表した。(甲112。後記第3の1(7)オ)ツ原告は、平成30年6月29日、関東財務局長に対し、内部統制報告書を提出した。(後記第3の1(7)カ)テ第三者委員会は、平成30年9月7日、原告に対し、シェアハウスローン問題に関する調査報告書を提出した。同報告書では、融資関係書類等(自 己資金確認資料及び収入関係資料 の1(7)カ)テ第三者委員会は、平成30年9月7日、原告に対し、シェアハウスローン問題に関する調査報告書を提出した。同報告書では、融資関係書類等(自 己資金確認資料及び収入関係資料等の債務者関係資料、レントロール(収益物件の部屋ごとの現況、賃料、契約期間及び敷金等の賃貸借条件を一覧表にしたもの)及び事業計画等の物件関係資料並びに売買契約書等の売買関連資料等、融資に当たり原告に提出される書類等)の偽装などの個別の不正行為のほか、その原因である原告の審査体制、営業、内部監査体制、 統制環境(企業風土)及びガバナンスの各問題を指摘し、今後の改善策を提言するなどしていた。(乙F8)原告は、同日、上記調査報告書の提出を受け、一連の事案の経営責任を取り、被告Ⓕ、被告Ⓗ、亡Ⓘ、被告Ⓚ及び被告Ⓛが辞任した旨を報告した。 (甲254) ト平成30年10月5日、原告は、金融庁から、銀行法26条1項に基づき、シェアハウスローン等に関する不正行為などを理由として、業務の一部停止命令及び業務改善命令を受けた。(甲113。後記第3の1(7)ク) 3 争点 (1)被告取締役らの監視監督義務違反の有無(争点1)- 12 - (2)被告取締役らの内部統制システム構築運用義務違反の有無(争点2)(3)原告の損害(争点3) 4 争点に関する当事者の主張(1)争点1(被告取締役らの監視監督義務違反の有無)(原告の主張) アシェアハウスローンに関する監視監督義務及び債権保全措置義務原告においては、後述するとおり、シェアハウスローンに関し、客観的に、シェアハウスローンという商品類型全体につき債権保全措置がとられていないまま融資が実行されるという違法不当な状態(以下「シェアハウ 告においては、後述するとおり、シェアハウスローンに関し、客観的に、シェアハウスローンという商品類型全体につき債権保全措置がとられていないまま融資が実行されるという違法不当な状態(以下「シェアハウスローン債権保全措置懈怠状態」という。)が生じていた。 取締役は、善管注意義務(会社法330条、民法644条)として、他の取締役及び従業員の違法又は不当な行為を発見し、当該行為を阻止するために必要な措置をとるべき義務、すなわち監視監督義務を負い、その地位に応じて、①代表取締役は、他の取締役及び従業員の職務の執行全般について監視監督義務を負い、②業務担当取締役(会社法363条1項2号) は、担当部門については代表取締役と同様の監視監督義務を負い、③その他の取締役は、他の取締役及び従業員の違法、不当行為を認識し又は認識し得た場合に監視監督義務を負う。この点、原告は、業務担当取締役との名称を冠する取締役を定めていないが、管掌取締役と呼ばれる取締役を置いている。原告においては、取締役会が選任した執行役員に業務執行を委 任する執行と監督の分離が図られ、代表取締役が執行役員の職務執行を統轄し、指揮監督する責務を負うが、代表取締役である会長又は社長は、取締役会の決議に基づき執行役員の指揮監督を他の取締役に委嘱又は担当させることができ、また、管掌取締役は、統合リスク管理や信用リスク管理に関する社内規程において、管掌部門に関する責務を負うことが定めら れている。したがって、管掌取締役は、管掌部門に属する執行役員の職務- 13 - 執行を統轄し、指揮監督する責務を負い、その地位により他の取締役よりも管掌部門に係る業務に深く関与でき、同部門に係る情報を入手しやすく、取締役会への非上程事項であっても業務上の不適正な行為を容易に発見 を統轄し、指揮監督する責務を負い、その地位により他の取締役よりも管掌部門に係る業務に深く関与でき、同部門に係る情報を入手しやすく、取締役会への非上程事項であっても業務上の不適正な行為を容易に発見し得る立場にあった。したがって、原告の管掌取締役は、自己の管掌部門について、業務担当取締役と同様に又はこれに準じて高度の注意義務を尽 くし、執行役員等の従業員の職務執行について監督すべき義務を負っていた。 銀行の取締役は、融資業務の実施に当たっては、元利金の回収不能という事態が生じないよう、債権保全のため、融資先の経営状況、資産状態等を調査し、その安全性を確認して貸付けを決定し、原則として確実な担保 を徴求するなど、相当の措置をとるべき義務(債権保全措置義務)を負い(最高裁平成18年(あ)第2057号同21年11月9日第三小法廷決定・刑集63巻9号1117頁。以下「平成21年決定」という。)、他の取締役及び従業員が相当な債権保全措置をとることのないまま融資を実行している場合、客観的に違法又は不当な状態が生じているから、融資 業務に関する監視監督義務として、当該状態を阻止するために必要な措置をとるべき義務を負う。 本件において、被告取締役らは、後述のとおり、シェアハウスローン債権保全措置懈怠状態を認識し、または認識し得たから、監視監督義務として、当該状態を発見して阻止するための必要な措置を講じる義務を負って いた。 原告においては、シェアハウスローンに関し、①原本確認を怠り、融資関係書類等の偽装を招いたこと(以下「原本確認の懈怠等」という。)、②シェアハウスローンについてのリスク分析を怠ったこと(取扱開始後に明らかになったリスクへの対応の懈怠も含む。以下「リスク分析の懈怠」 という。)、③不芳業者との取引を継 懈怠等」という。)、②シェアハウスローンについてのリスク分析を怠ったこと(取扱開始後に明らかになったリスクへの対応の懈怠も含む。以下「リスク分析の懈怠」 という。)、③不芳業者との取引を継続したこと(以下「不芳業者との取- 14 - 引継続」という。)、④審査が形骸化していたこと(以下「審査の形骸化」という。)の各事実(以下「本件4根拠事実」という。)が生じていたところ、これらの事実が生じていたことをもって、シェアハウスローン債権保全措置懈怠状態が生じていたといえる。そして、本件4根拠事実に関しては、以下の(ア)ないし(エ)のとおり、それぞれ兆候となる事実が存 在する。 (ア)原本確認の懈怠等に関する兆候事実a 平成25年以降、チャネルが関与する融資に伴う団体信用生命保険の加入申込みのための診断書(以下「団信診断書」という。)や自己資金確認資料などについて、偽造に関する通報が多く寄せられ、調査 において実際に偽造などが確認されていた。 また、金融庁に対しても、偽装した融資関係書類等を金融機関に提出することが日常的に行われ、原告が黙認している旨や、顧客の保管している売買契約書と原告の保管している売買契約書の金額が異なり、原告がチャネルと癒着していると疑われる旨の告発がされており、金 融庁からは不祥事件の可能性があるため時間をかけて調査するよう指示されていた。 原告が十分な調査を実施していれば、相当な割合で融資関係書類等の偽装が行われているという異常事態が判明し、悪意のあるチャネルが融資関係書類等の偽装を行っている事態を想定して、さらに他のチ ャネルに関する融資案件につき調査を実施していれば、融資関係書類等の偽装がまん延していた状況が明らかとなっていた。 b 事務リスク委員会 書類等の偽装を行っている事態を想定して、さらに他のチ ャネルに関する融資案件につき調査を実施していれば、融資関係書類等の偽装がまん延していた状況が明らかとなっていた。 b 事務リスク委員会においては、申込金額と売買契約書の金額とが相違する事案や、自己資金確認資料が虚偽であり融資実行からわずか3か月で弁護士が介入した事案など、融資関係書類等の偽装が行われた 旨が報告されていた。 - 15 - c 平成27年1月の経営会議において、投資用マンションの融資に係る所得確認資料の改ざんの疑いが報告された際、亡Ⓘは、原告の行員が業者から自己資金確認資料のコピーを受け取り、現物を確認していないことが問題である旨や、対応策として事後的に原本確認をしているかヒアリングするなど営業担当者に対して牽制が必要である旨を指 摘した。また、被告Ⓕは、資料が正しいものかどうかの確認義務は銀行にあり、原本確認を怠っていることが問題である旨を指摘した。また、団信診断書の偽造につき他行でも同様の事案がある旨が報告されており、団信診断書の偽造事案が繰り返し報告され、対応についても議論がされた。 d 亡Ⓜは、平成27年2月以降、延滞事案の回収等を行う審査部融資管理(以下「融資管理」という。)の業務を通じて、多くの延滞事案に共通する問題について議論することを目的として、出口会議を不定期に開催し、収益不動産ローン全般に認められる各種リスクの指摘を受けていた。同会議では、デフォルトに至った案件のほぼ全てに架空 か偽造が認められる旨が指摘された上で、架空自己資金や偽造確認資料の排除のために、自己資金確認資料の原本確認を徹底することが提言されており、融資関係書類等に偽装があるとデフォルトにつながる旨が指摘されていた。 e 平成26年5月 で、架空自己資金や偽造確認資料の排除のために、自己資金確認資料の原本確認を徹底することが提言されており、融資関係書類等に偽装があるとデフォルトにつながる旨が指摘されていた。 e 平成26年5月、営業本部長から、融資の迅速性を重視する趣旨で、 資産形成用不動産向けローンの一部について、営業店の所属長が通帳及び源泉徴収票の写し等を確認することで足りることとし、営業店から審査部への送付を不要とする運用に変更する旨の簡素化通達が発出された。 また、平成27年10月には、営業本部長が新たに定めた新運用基 準により、有担保ローンの自己資金確認について、稟議申請段階では- 16 - ヒアリングに留めることも可とし、融資実行時までに所属長の責任において確認することで足りる運用に変更された。 簡素化通達及び新運用基準により、それまで審査部が行っていた融資関係書類等の偽装の有無を確認するための業務は、営業が引き取ることになった。 f 原告が採用していたリテール戦略は、対象となる個人が限定され、模倣性も高く他行が同種商品を取り扱うことにより陳腐化が早く、融資額が返済とともに減少するため、融資残高の維持が容易ではなかった。このような中で、原告においては、前年比増収増益を継続しなくてはならないというプレッシャーがかけられ、営業偏重の体質となり、 無理をしてでも融資案件を獲得し、速やかに融資を実行することが必要となっていた。 亡Ⓜは、創業家出身であり、長年にわたり、業務執行全般における実質的な最高意思決定者として、原告における実務の全てを最終的に決定する権限を有していたところ、営業偏重及び増収増益を目指す姿 勢を鮮明にし、営業優位の組織体制を作り上げた。また、亡Ⓜが営業成績を上げていたⓄを重用したことにより、Ⓞは 務の全てを最終的に決定する権限を有していたところ、営業偏重及び増収増益を目指す姿 勢を鮮明にし、営業優位の組織体制を作り上げた。また、亡Ⓜが営業成績を上げていたⓄを重用したことにより、Ⓞは強大な権限を有することとなり、審査部の人事に強い影響力を及ぼし、個別の融資案件につき審査担当者やその上長に対して圧力をかけるなどした。さらに、原告の営業現場においては、営業担当者が過大な営業ノルマを課され、 その実現のためパワハラを受けていた。 以上を背景として、営業偏重の企業風土が形成され、営業が審査部よりも優位に立ち、営業の主導・要請により簡素化通達及び新運用基準が採用されるなど、融資基準の設定に当たり審査部よりも営業の意向が優先された。また、審査担当者が融資関係書類等の偽装の疑いな どを指摘すると、営業担当者や所属長から威圧的な反論がされるなど、- 17 - 営業から審査部に強い圧力がかけられていた。 g 原告においては、平成12年頃から、住宅ローンの書類やレントロールの偽造、本人なりすましなどの事案があり、業者から提出される偽造書類の排除が永遠の課題となっていた。 h 原告は、チャネルと不動産投資セミナーを共催し、チャネルが顧客 との連絡窓口となるなど、融資の実行に至るまでチャネルに依存する営業を行っていた。そのため、融資実行までに原告の営業担当者と顧客が対面する機会が乏しく、チャネルによる融資関係書類等の偽装が行われる機会も増大した。原告の営業担当者としては、チャネルとの関係が悪化すると営業成績も低下するため、あえて原本確認を積極的 に行わなかった。 シェアハウスローンを取り扱っていたパーソナルバンクの営業担当者は、不動産業者出身の中途採用者が多数を占めていたところ、銀行員としての研修も実施しな えて原本確認を積極的 に行わなかった。 シェアハウスローンを取り扱っていたパーソナルバンクの営業担当者は、不動産業者出身の中途採用者が多数を占めていたところ、銀行員としての研修も実施しないまま営業に専従し、原本確認の徹底の重要性や融資関係書類等の偽装のリスクへの十分な認識を欠いたまま業 務に従事していた。 原告は、他行では取扱いが難しい融資案件に対して柔軟に対応できる商品を提供してきたため、他行では融資審査が通らない多少無理なものが多くなった。そのような融資案件でも原告に持ち込まれれば審査を通過することは、当時の不動産業界において公知の事実であった。 (イ)リスク分析の懈怠に関する兆候事実a 原告は、新商品の開発の際、社内規程に基づき、複数の関連部署によるリスク分析を実施することを義務付けるなど、商品設計の評価等の確認を行っていた。 しかし、シェアハウスローンについては、既存のアパートローンの 一種であると整理され、商品開発時のリスク分析が行われず、既存の- 18 - アパートローンと区別されて資産形成ローンとして取り扱われることになった際も、関連部署による評価は、商品名称及び区分を変更するという極めて形式的なものにすぎず、新たなリスク分析は行われなかった。 その後、シェアハウスローンの融資残高は急激に増加したが、本来 中心となって商品設計の評価等の確認を行うべき営業において、シェアハウスローンのリスク分析は行われなかった。 b 平成25年3月以降、信用リスク委員会及び経営会議において、債権保全に関する重要指標の分析及び検証を行い、返済原資である賃料収入に直結するのは入居率であり、その把握が与信管理上重要である との結果を得て、営業とは別の管理チームにより、入居率等を調査する 保全に関する重要指標の分析及び検証を行い、返済原資である賃料収入に直結するのは入居率であり、その把握が与信管理上重要である との結果を得て、営業とは別の管理チームにより、入居率等を調査する目的で、融資残高が1億5000万円の資産形成ローンに係る担保不動産について、年1回以上の定期的な物件調査及びその調査結果の報告が行われることとなった。物件調査の結果は、平成26年4月以降、CPC会議(業務規程や業務マニュアルが存在しない事項につい ての運用のすり合わせを行う不定期の会議)、信用リスク委員会及び経営会議に報告され、シェアハウスについては、外観からの入居率の把握が困難であるため、代替手段として賃料ないしサブリース料の支払状況を確認している旨が報告されていた。出口会議においても、収益不動産ローン全般につき空室リスクの問題点が指摘されていた。S SP会議も、シェアハウスローンの件数及び融資額の状況等が報告されていた。 c 平成28年5月、Ⓞその他の営業及び審査部の関係者らが参加するシェアハウス会議が開催された。 シェアハウス会議では、シェアハウスローンにおける家賃設定及び 家賃保証に対する疑義など、シェアハウスローンに関する重要なリス- 19 - クが指摘された。 d 原告は、シェアハウスローンと他のローンとを区別して扱ったり、シェアハウスローンのみの融資額を集計したりしていなかったが、平成27年5月以降、原告の自動審査システム上の融資の使途欄に「シェアハウス」の項目を追加し、平成28年6月以降、審査部が毎月作 成する1億円以上の融資案件の承認リスト(以下「本件承認リスト」という。)において、他の収益不動産ローンと区別して、シェアハウスローンの件数及び融資額を追記するようになった。 e 審査部で定 成する1億円以上の融資案件の承認リスト(以下「本件承認リスト」という。)において、他の収益不動産ローンと区別して、シェアハウスローンの件数及び融資額を追記するようになった。 e 審査部で定期的に開催されていた物件調査ミーティングでは、平成28年12月に、シェアハウスの入居率が全体平均で約50%である 旨が報告された。 審査部が平成29年4月から同年5月にかけて実施したシェアハウス全件調査の結果、客観的状況からみて明らかに入居者がいないと判断された物件が全体の約20%を占めており、稼働中であっても多数入居している物件は数件しかなく、入居状況が一切わからない物件が 多いことなどが報告された。 f 第4回サクト会議では、審査部から、シェアハウス全件調査の結果に基づいてシェアハウスの疑問点をまとめた資料が提出され、上記eのシェアハウスの入居状況や、かぼちゃの馬車の表示のある物件が多く存在し、スマートライフへの依存度が非常に高く、融資額も大きい 状況である旨が報告された。営業本部からは、審査部が調査したシェアハウスの入居状況を否定する説明がされたものの、その説明内容は、一般常識に反するなど明らかに虚偽ないし不合理なものであった。 g 原告においては、営業偏重の企業風土が形成され、審査部が営業から強い圧力をかけられていた。審査部は、第4回サクト会議の時点で、 シェアハウスローンの実行停止を企図していたが、シェアハウスロー- 20 - ンの取扱件数の多さによる営業上の支障が考慮され、直ちに停止されなかった。 (ウ)不芳業者との取引継続に関する兆候事実a 平成27年2月、原告は、第三者から直接あるいは第三者から告発を受けた金融庁から、スマートライフについて、実質的経営者の経歴 や同社の家 ウ)不芳業者との取引継続に関する兆候事実a 平成27年2月、原告は、第三者から直接あるいは第三者から告発を受けた金融庁から、スマートライフについて、実質的経営者の経歴 や同社の家賃保証などに関して不芳情報を得た。亡Ⓜは、その報告を受け、スマートライフとの取引を一切禁止する旨を指示した。原告は、金融庁に対し、スマートライフに関する案件の取扱いを停止している旨を報告した。 b その後、原告とスマートライフとの取引禁止を潜脱するため、スマ ートライフのダミー会社としてアマテラスが設立された。原告の営業担当者は、その報告を受け、以後、書類上はアマテラスの名で実質的にはスマートライフとの取引が継続された。 原告は、金融庁から、スマートライフがアマテラスというダミー会社を設立して原告と取引を行っている旨の告発があった旨伝えられ、 亡Ⓜは、アマテラスとの取引も禁止した。 c パーソナルバンクは、シェアハウスの状況を随時取りまとめていたところ、平成27年12月末時点において、スマートライフが管理運営していたかぼちゃの馬車と、それ以外のシェアハウスとを明確に区分しており、亡Ⓜの指示の下、スマートライフをその他のブランドや チャネルとは明確に区別していた。 d 平成27年4月以降、審査部がシェアハウスの入居率の調査を行ったところ、スマートライフを管理会社ないしサブリース会社とする物件が半数以上であることが判明した。 e 平成28年3月、FACTA記事がインターネット上に掲載された ところ、当該記事には、スマートライフに融資をする銀行は審査の甘- 21 - い原告くらいではないかなどと記載されていた。 f 審査部は、毎月1回の頻度で物件調査ミーティングを開催しており、物件調査の結果に基づき、各地 トライフに融資をする銀行は審査の甘- 21 - い原告くらいではないかなどと記載されていた。 f 審査部は、毎月1回の頻度で物件調査ミーティングを開催しており、物件調査の結果に基づき、各地域における収益不動産の入居率や前回調査からの増減率等の報告を行っていた。 平成28年12月に開催された物件調査ミーティングでは、サブリ ース料の振込元業者別の件数及び入居率、シェアハウスのブランド別の件数等が報告されたところ、スマートライフのブランドであるかぼちゃの馬車を掲げているものが全体の約6割を占めており、サブリース料の振込元業者が同社であるものの件数も非常に多い状況であった。 g 審査部は、平成29年2月、営業に対し、かぼちゃの馬車がスマー トライフの管理する物件であることを確認した上で、同物件につき稟議書上は別会社が管理会社となっているが、実際にはスマートライフが管理しているのではないかと問い合わせた。 これに対し、営業は、当該管理会社はスマートライフとは無関係である旨や、当該物件はスマートライフのかぼちゃの馬車ではない旨な ど事実と異なる回答をした。 h 第1回サクト会議前に開催された信用リスク委員会において、Ⓞから、サクトが破綻した経緯が説明されるとともに、営業本部が作成した資料に基づき、サクト案件の債務者への対応として、管理会社をスマートライフに移行することが選択肢として提案された。 被告Ⓗは、亡Ⓜからスマートライフとの取引禁止の指示を受けており、同社の元代表者に関する疑念が完全に払拭されていないため、上記の選択肢については取り上げるべきではない旨を発言した。また、他の出席者からも、スマートライフだけを個別に取り上げることに疑問が呈され、同社の企業調査を行う必要があるとして、上記のⓄの提 記の選択肢については取り上げるべきではない旨を発言した。また、他の出席者からも、スマートライフだけを個別に取り上げることに疑問が呈され、同社の企業調査を行う必要があるとして、上記のⓄの提 案は保留とされた。 - 22 - i シェアハウス全件調査では、全体の半数以上がスマートライフのかぼちゃの馬車であり、約3分の1はスマートライフが管理会社であったほか、客観的状況からみて明らかに入居者がいないと判断された物件のうち半数以上はスマートライフのシェアハウスであった。 j 第4回サクト会議では、審査部から、シェアハウス全件調査の結果 に基づき、スマートライフのブランドであるかぼちゃの馬車が表示されている物件が多くあり、同社への依存度が非常に高く、融資額も大きい状況である旨が報告された。その際、出席者から、シェアハウスの実態は亡Ⓜの指示により取引禁止とされたスマートライフではないかとの指摘がされ、同席していた営業本部副部長であったⓅは、アマ テラスがスマートライフとの取引禁止を迂回するための会社である旨を述べた。 k 営業偏重の企業風土を背景として、原告の営業担当者は、過大な営業ノルマを達成するために、不芳業者との関係性を深めていった。 また、原告の業績はパーソナルバンクに依存しており、同部門の発 言力や権限が増大していた。 (エ)審査の形骸化に関する兆候事実a 営業成績を上げてきたⓄは、亡Ⓜ及び被告Ⓕから長年にわたり重用され、収益不動産ローンの大半を実行し、原告の業績を支えるパーソナルバンクのトップとして同部門を直接指揮し、営業本部長として原 告の営業における業務執行のトップを務めるなどしており、上記両名以外の取締役は、異を唱えられない状況であった。Ⓞは、その強大な権限を行使 のトップとして同部門を直接指揮し、営業本部長として原 告の営業における業務執行のトップを務めるなどしており、上記両名以外の取締役は、異を唱えられない状況であった。Ⓞは、その強大な権限を行使して、審査部の人事に強い影響力を及ぼし、個別の融資案件に関して審査担当者やその上長を恫喝し、営業担当者や所属長は、稟議書類にⓄが承認している旨を記載するなどして、審査を優位に進 めようと圧力をかけていた。 - 23 - 原告の営業偏重の企業風土に加え、過大な営業ノルマを課されている営業担当者のプレッシャーや、パーソナルバンクへの業績依存による同部門の発言力や権限の増大を背景に、営業優位の体制が生じ、営業から審査部に圧力がかけられていた。 b 出口会議における指摘にもかかわらず、営業から審査部に対して強 い圧力をかけられていたことにより、平成27年から平成29年度上期に至るまで、シェアハウスローンを含む資産形成ローンの審査承認率が常に99%を超えて推移しており、営業から審査部に送られるほぼ全ての融資案件が承認されていた。 c 簡素化通達及び新運用基準により、自己資金確認資料の確認手続は 簡素化され、審査部において自己資金確認資料の写しを確認することができなくなった。 d 原告においては、融資関係書類等の偽装がまん延していたが、審査部で特に問題とされず融資が実行されていた。 e 審査部の上長も出席したシェアハウス会議では、設定家賃が高額に なるリスク、競争力がないことによる空室リスク、チャネルの自転車操業リスク等が指摘され、審査部のみならずⓄをはじめとする営業においても、これらのリスクを認識していることが明らかとなったが、その後もシェアハウスローンは減少することなく、審査により承認された上で実行され続けた。 され、審査部のみならずⓄをはじめとする営業においても、これらのリスクを認識していることが明らかとなったが、その後もシェアハウスローンは減少することなく、審査により承認された上で実行され続けた。 f 審査担当者は、シェアハウスローンについて、融資関係書類等の偽装等の可能性に気付き、空室リスクへの懸念等を認識していた。そして、自己資金、家賃設定及び入居状況等に疑義を抱いたが、営業に押し切られてやむを得ず稟議を承認した際には、審査部のみが閲覧できる審査意見として当該疑義の内容を記載していた。 g シェアハウスローンの融資額は平成28年2月にピークを迎え、同- 24 - 年に上記fの審査意見が急増する中、同年9月に開催された原告の営業店の所属長などが集まるセンター長会議と呼ばれる会議において、パーソナルバンクが風邪を引くと銀行全体が死亡する旨の発言がされるなど、営業の審査部に対する圧力が一層強まっていた。 h 第4回サクト会議では、審査部から、シェアハウスローンの実行を 停止する企図の下、シェアハウス全件調査の結果に基づき、シェアハウスの入居状況やスマートライフへの依存状況等が報告されたところ、これに対する営業本部の説明内容は一般常識に反するなど明らかに虚偽ないし不合理で到底信用できないものであったにもかかわらず、営業上の支障が考慮され、直ちにシェアハウスローンの実行が停止され ることはなかった。 i 原告は、外部の業者から、融資審査が甘く、通常であれば融資が実行されないような融資案件でも、容易に審査が通過すると評価されていた。 イ被告取締役らの認識及び監視監督義務違反 (ア)亡Ⓜa 原本確認の懈怠等についての認識(a)原告においては、平成12年頃から が通過すると評価されていた。 イ被告取締役らの認識及び監視監督義務違反 (ア)亡Ⓜa 原本確認の懈怠等についての認識(a)原告においては、平成12年頃から、住宅ローンの書類やレントロールの偽造、本人なりすましなどの事案が発生し、業者から提出される偽造書類の排除が永遠の課題であり、自己資金確認資料の原 本を確認して偽造を排除することが必須であった。亡Ⓜにおいても、平成26年5月頃、審査部から自己資金確認資料の偽造事案が発生した旨の報告を受けた際に統制強化を求められた。 しかし、簡素化通達により、それまで審査部が行っていた偽造の有無を確認する重要な業務である自己資金確認資料の確認業務を営 業が行うこととなった。過大な営業ノルマを課されてパワハラを受- 25 - け、早く稟議を通したいと考えていた原告の営業担当者において、自己資金確認資料の原本確認の徹底等を主体的ないし積極的に行うことは期待できず、そのような営業に自己資金確認資料の確認業務を行わせれば偽造を見落しやすくなることは容易に想定できたところ、亡Ⓜは、簡素化通達により自己資金確認資料等の確認業務を営 業が行うこととし、逆に統制を弱めた。 (b)亡Ⓜは、平成26年5月から同年12月にかけて、事務リスク委員会において、売買代金に関する二重契約や自己資金確認資料の原本確認の懈怠、自己資金が虚偽であることが発覚した旨の報告を受け、コンプライアンス・情報セキュリティリスク委員会や経営会議 においては、団信診断書の偽造があった旨の報告を受けた。 亡Ⓜは、団信診断書の偽造が次々と発覚し、関与したチャネルが複数存在していたことや、二重契約、原本確認の懈怠及び自己資金の虚偽について具体的に報告を受けていたから、団 造があった旨の報告を受けた。 亡Ⓜは、団信診断書の偽造が次々と発覚し、関与したチャネルが複数存在していたことや、二重契約、原本確認の懈怠及び自己資金の虚偽について具体的に報告を受けていたから、団信診断書やそれ以外の融資関係書類等の偽装がまん延していることを認識し又は認 識し得た。 (c)亡Ⓜは、平成27年1月の経営会議において、所得確認資料の改ざんの疑いが報告された際、亡Ⓘや被告Ⓕから原本確認の懈怠が問題である旨を指摘され、融資関係書類等の原本確認が徹底されていないことを認識し又は認識し得た。 (d)平成27年2月以降、亡Ⓜが主催する出口会議では、架空自己資金や偽造確認資料の排除が検討事項等として取り上げられ、デフォルトに至った案件のほぼ全てが架空や偽造である旨が指摘されていた。したがって、亡Ⓜは、架空や偽造が介在すると債権の回収不能につながりやすいことや偽造事案への対応が不可欠であることを認 識していた。 - 26 - (e)平成26年5月以降、審査部が行っていた自己資金確認資料等の確認業務を営業が行うようになり、多くの融資関係書類等の偽装が発生し、これを防止するには原本確認等を徹底する必要が生じていたにもかかわらず、かえって、平成27年10月に新運用基準が定められたことにより、原本確認がさらに緩和された。 (f)以上から、亡Ⓜは、遅くとも平成27年10月末時点において、原本確認の懈怠等を認識し又は認識し得たとともに、自己資金確認資料の原本確認が債権の回収不能の防止に不可欠であることも認識し又は認識し得た。 b リスク分析の懈怠についての認識 (a)亡Ⓜは、平成25年3月以降、信用リスク委員会及び経営会議における債権保全に関する重要指標の分析及びその し又は認識し得た。 b リスク分析の懈怠についての認識 (a)亡Ⓜは、平成25年3月以降、信用リスク委員会及び経営会議における債権保全に関する重要指標の分析及びその検証を踏まえ、平成26年4月以降、毎年、信用リスク委員会及び経営会議において、通達に基づく定期的な物件調査の結果報告を受けていた。平成28年1月から同年4月にかけて、信用リスク委員会、経営会議及びC PC会議等では、繰り返し、シェアハウスについては外観からの入居率の把握が困難であり、賃料ないしサブリース料の支払状況を確認するにとどめている旨が報告されていた。同月の出口会議では、シェアハウスについて入居率の確認が困難であることが明らかとなり、リスク分析が機能していないことが認識され、シェアハウス案 件の動向については今後調査予定とされた。 (b)亡Ⓜが主催した平成27年2月及び同年10月の出口会議においては、サブリースによる家賃保証が危険である旨、満室想定が危険である旨、設定家賃に疑義がある旨などが指摘されていた。サブリースの危険性については、具体的な理由が挙げられており、サブリ ースが付いていてもリスクを回避できないことが認識されていた。 - 27 - (c)亡Ⓜは、収益不動産ローンのリスク分析に当たり、ローンの返済原資となる賃料収入に直結する入居率の把握が極めて重要であるものの、シェアハウスは外観からの入居率の把握が困難であり、賃料ないしサブリース料の支払状況を確認するにとどまっていたことや、サブリースによりリスクを回避できないことを認識し又は認識し得 た。 したがって、亡Ⓜは、遅くとも平成28年1月末時点において、リスク分析の懈怠を認識し又は認識し得た。 c 不芳業者との取引継続に リスクを回避できないことを認識し又は認識し得 た。 したがって、亡Ⓜは、遅くとも平成28年1月末時点において、リスク分析の懈怠を認識し又は認識し得た。 c 不芳業者との取引継続についての認識亡Ⓜは、平成27年2月、スマートライフの不芳情報に関する報告 を受けて、被告Ⓗに対し、スマートライフとの取引を一切禁止する旨を指示した上で、営業と審査部にその旨を共有するようにと伝えた。 したがって、亡Ⓜは、同月時点において、不芳業者との取引継続を認識し又は認識し得た。 d 審査の形骸化についての認識 (a)亡Ⓜは、平成26年5月以降、売買の二重契約や自己資金の虚偽等に関する事案の報告を多数受けており、審査部による審査にもかかわらず、多くの偽造事案が発生していたことを認識し又は認識し得た。 (b)亡Ⓜは、平成26年5月頃、審査部から具体的な偽造事案の報告 を受けた際に統制強化を求められたにもかかわらず、簡素化通達により自己資金確認資料の確認業務を営業に行わせるなど、営業を重視してその裁量を広めたことで逆に統制を弱めた。 (c)亡Ⓜが重用したⓄは、パーソナルバンクを率いて原告の増収増益を実現し権限を強める中で、審査部の人事にまで権限を及ぼすよう になり、審査機能を無力化した。亡Ⓜは、Ⓞから人事案について確- 28 - 認を求められるなど、Ⓞの権限が審査部の人事にまで及んでいたことを認識し又は認識し得た。 亡Ⓜは、平成27年4月、ⓄをCo-COOというCOOと一体化したものとも受け取れる役職に選任し、Ⓞの率いるパーソナルバンクが独走する原因を作り、取締役であってもⓄに異議を述べるこ とが困難な状況を生じさせた。 (d)亡Ⓜは、平成26年に偽造事案が続発したことを受けて、平成27年以降 、Ⓞの率いるパーソナルバンクが独走する原因を作り、取締役であってもⓄに異議を述べるこ とが困難な状況を生じさせた。 (d)亡Ⓜは、平成26年に偽造事案が続発したことを受けて、平成27年以降に出口会議を主催したところ、同会議において賃料の妥当性や収益の想定等の問題点が指摘されていたから、審査部による審査にもかかわらず、問題のある収益不動産ローンが多く実行されて いたことを認識し又は認識し得た。 亡Ⓜは、長年にわたり営業及び審査の両面を統括していたから、上記のような問題点の指摘がある中で、平成27年以降、審査の承認率が99%を超えて推移していたことを認識し又は認識し得た。 (e)以上から、亡Ⓜは、遅くとも平成28年1月末時点において、審 査の形骸化を認識し又は認識し得た。 e 監視監督義務違反以上によれば、亡Ⓜは、遅くとも平成28年1月末時点において、シェアハウスローン債権保全措置懈怠状態を疑うに足りる事実を認識し又は認識し得たから、代表取締役として、シェアハウスローンにつ いて債権保全措置がとられているかについて調査を開始すべき義務を負っていたところ、これを怠った。 (イ)被告Ⓕa 原本確認の懈怠等についての認識(a)原告においては、業者から提出される偽造書類の排除が永遠の課 題であり、自己資金確認資料の原本を確認して偽造を排除すること- 29 - が必須であったにもかかわらず、簡素化通達により、審査に代わり営業が自己資金確認資料の原本確認を行うことになったが、過大な営業ノルマを課されてパワハラを受けていた原告の営業担当者において、自己資金確認資料の原本確認の徹底等を主体的ないし積極的に行うことは期待できず、偽造を見落しやすくなることは容易に想 定できた 営業ノルマを課されてパワハラを受けていた原告の営業担当者において、自己資金確認資料の原本確認の徹底等を主体的ないし積極的に行うことは期待できず、偽造を見落しやすくなることは容易に想 定できた。 (b)被告Ⓕは、平成26年9月及び同年12月の経営会議において、合計4社のチャネルに関する融資案件につき団信診断書の偽造の報告を受け、また、平成27年1月の経営会議において、所得確認資料の改ざんの疑いの報告を受けた。 以上のとおり、被告Ⓕは、団信診断書の偽造が次々と発覚し、関与したチャネルが複数存在していたことや、所得確認資料の改ざんの疑いについて、具体的な報告を受けていたから、団信診断書やそれ以外の融資関係書類等の偽装がまん延していることを認識し又は認識し得た。 (c)被告Ⓕは、代表者としての長年の経験により、銀行の主力業務である融資業務について高度の知見を有していたところ、平成27年1月の経営会議において、自己資金確認資料の原本確認が債権の回収不能の防止に不可欠であるとの認識に基づき、亡Ⓘとともに、原本確認の懈怠が問題である旨を自ら指摘した。 (d)被告Ⓕは、平成29年1月、原告の融資基準を逆手に取った売買契約後の値引きや、自己資金確認資料の偽造に関する通報があった旨及び当該通報に係る調査結果の報告を受けた。当該報告では、調査結果として書類偽造の事実は発見できなかったとされたものの、その調査方法は、顧客から受領した書類(原本ではなく写し)の調 査であった。 - 30 - (e)被告Ⓕは、自ら原本確認の懈怠が問題である旨を指摘しているから、偽造の有無を確認するためには顧客から受領した書類の調査では足りず、原本確認が必要なことを認識し又は認識し得た。したがって、被告Ⓕは、上記調査結 自ら原本確認の懈怠が問題である旨を指摘しているから、偽造の有無を確認するためには顧客から受領した書類の調査では足りず、原本確認が必要なことを認識し又は認識し得た。したがって、被告Ⓕは、上記調査結果をもって偽造がないと判断することはできないことや、むしろ上記調査方法によれば原本確認が懈怠さ れていることを認識し又は認識し得た。 (f)以上から、被告Ⓕは、遅くとも平成29年1月末時点において、原本確認の懈怠等を認識し又は認識し得たとともに、自己資金確認資料の原本確認が債権の回収不能の防止に不可欠であることも認識し又は認識し得た。 b リスク分析の懈怠についての認識(a)被告Ⓕは、平成25年4月の経営会議において、債権保全に関する重要指標の分析及びその検証を行う旨の報告を受けた後、平成26年4月以降、毎年、経営会議において、通達に基づく定期的な物件調査の結果報告を受けていた。 被告Ⓕは、平成28年1月、同年4月及び同年8月の経営会議において、シェアハウスについては外観からの入居率の把握が困難であり、賃料ないしサブリース料の支払状況を確認するにとどめている旨の報告を受けた。 (b)被告Ⓕは、平成29年1月、物件自体に問題があり、空室だらけ の物件を入居ありとして物件評価を取っている案件が多数あるという通報があった旨及び当該通報に係る調査結果の報告を受けた。 上記通報の内容は具体的であり、上記報告からは少なくとも空室だらけの物件を入居ありとしているおそれがあることを認識することができた。 (c)以上のとおり、被告Ⓕは、収益不動産ローンのリスク分析に当た- 31 - っては、ローンの返済原資となる賃料収入に直結する入居率の把握が極めて重要であるものの、シェアハウスは外観から入 (c)以上のとおり、被告Ⓕは、収益不動産ローンのリスク分析に当た- 31 - っては、ローンの返済原資となる賃料収入に直結する入居率の把握が極めて重要であるものの、シェアハウスは外観から入居率を把握することが困難であり、賃料ないしサブリース料の支払状況を確認するにとどまっていたことや、空室だらけの物件を入居ありとしているおそれがあることを認識し又は認識し得た。被告Ⓕは、代表者 としての長年の経験により、銀行の主力業務である融資業務について高度の知見を有していたことから、サブリースによりリスクを回避できないことを認識し又は認識し得た。 したがって、被告Ⓕは、遅くとも平成29年1月末時点において、リスク分析の懈怠を認識し又は認識し得た。 c サクト会議を通じての認識(a)被告Ⓕは、第4回サクト会議に出席していないものの、亡Ⓘを通じて、同会議の出席者に対し、営業や審査部などの一部の部署の責任を追及する会議ではなく、シェアハウスローンは経営判断で決定して推進してきた旨の自らの考えを伝えた。 被告Ⓕにおいて、第4回サクト会議の時点で、シェアハウスローンを推進してきた営業やこれを承認してきた審査部の責任が追及されることを懸念するほどに、シェアハウスローンに重大なリスクがあることを認識し、同会議で議論される内容を相当程度事前に把握していた。 (b)第4回サクト会議において、審査部から、シェアハウス全件調査の結果に基づき、シェアハウスの入居状況やスマートライフへの依存状況等が報告されたことにより、サブリースを設定しているスマートライフが自転車操業の破綻に陥るおそれが相当高いことや、与信集中リスクの極小化を目指すという原告の信用リスク管理の基本 方針に反する状態を把握でき ことにより、サブリースを設定しているスマートライフが自転車操業の破綻に陥るおそれが相当高いことや、与信集中リスクの極小化を目指すという原告の信用リスク管理の基本 方針に反する状態を把握できていなかったことなど、本来は審査や- 32 - 融資後の与信管理の段階で是正されるべきシェアハウスローン全般の重大かつ多数のリスクが顕在化した。また、営業において、当該顕在化を防ぐために事実と異なる説明を行っていたことや、亡Ⓜの指示に違反してスマートライフと取引を行っていたことが明らかとなった。 被告Ⓕは、第4回サクト会議の議論の結果について大きな関心を持っていたと考えられるから、亡Ⓘを通じて、上記の第4回サクト会議の議論の内容について報告を受けていたとみるべきである。 (c)以上から、被告Ⓕは、第4回サクト会議の報告を受けたことにより、リスク分析の懈怠、不芳業者との取引継続及び審査の形骸化を それぞれ認識し又は認識し得た。 d 監視監督義務違反以上によれば、被告Ⓕは、第4回サクト会議が開催された平成29年7月5日の時点において、シェアハウスローン債権保全措置懈怠状態を認識し又は認識し得たから、代表取締役として、債権保全措置が とられるまで直ちにシェアハウスローンの実行を差し止めるべき義務、具体的には、営業本部及び審査部に対し、同日以降、少なくともシェアハウスローンの純粋新規案件(第4回サクト会議の時点で、①土地に係る融資を実行済みで、建物に係る融資実行のみが未了、②建物に係る融資を分割実行中、③顧客との間で初回融資に係る融資契約を締 結済みの融資案件を除く融資案件で、同会議後に初回の新規の融資を実行するものをいう。以下同じ。)については、その取扱い(融資申込みの受付、稟議申 中、③顧客との間で初回融資に係る融資契約を締 結済みの融資案件を除く融資案件で、同会議後に初回の新規の融資を実行するものをいう。以下同じ。)については、その取扱い(融資申込みの受付、稟議申請、稟議承認及び融資実行)を中止するよう指示し、これを監督する方法により、以後、少なくともシェアハウスローンの純粋新規案件については実行されないようにすべき義務を負って いたところ、これを怠った。 - 33 - 仮に、被告Ⓕにおいて、直ちにシェアハウスローンの実行を差し止めるべき義務までは負わないとしても、シェアハウスローン債権保全措置懈怠状態を疑うに足りる事実を認識し又は認識し得たのであるから、シェアハウスローンについて債権保全措置がとられているかの調査を開始すべき義務を負っていたところ、被告Ⓕはこれを怠った。 (ウ)被告Ⓖa 原本確認の懈怠等についての認識(a)原告においては、業者から提出される偽造書類の排除が永遠の課題であり、自己資金確認資料の原本を確認して偽造を排除することが必須であったにもかかわらず、被告Ⓖは、営業本部長として簡素 化通達を発出し、審査部に代わり営業に自己資金確認資料の確認業務を行わせる運用に変更した。過大な営業ノルマを課されてパワハラを受けていた原告の営業担当者において、自己資金確認資料の原本確認の徹底等を主体的ないし積極的に行うことは期待できず、偽造を見落しやすくなることは容易に想定できた。 (b)被告Ⓖは、平成26年5月から同年12月にかけて、事務リスク委員会において、売買代金に関する二重契約や自己資金確認資料の原本確認の懈怠、自己資金が虚偽であることが発覚した旨の報告を受け、コンプライアンス・情報セキュリティリスク委員会や経営会議において、団信診断書の偽 て、売買代金に関する二重契約や自己資金確認資料の原本確認の懈怠、自己資金が虚偽であることが発覚した旨の報告を受け、コンプライアンス・情報セキュリティリスク委員会や経営会議において、団信診断書の偽造があった旨の報告を受けた。自らの 管掌部門である営業本部のお客さま相談センターに対しては、関係機関を経由して融資関係書類等の偽装に関する通報がされていた。 被告Ⓖは、団信診断書の偽造が次々と発覚し、関与したチャネルが複数存在していたことや、二重契約、原本確認の懈怠及び自己資金の虚偽について具体的に報告を受けていたから、団信診断書やそ れ以外の融資関係書類等の偽装がまん延していることを認識し又は- 34 - 認識し得た。 (c)被告Ⓖは、平成27年1月の経営会議において、団信診断書の偽造に対する再発防止策の報告を受けるとともに、所得確認資料の改ざんの疑いが報告された際に、亡Ⓘや被告Ⓕから原本確認の懈怠が問題である旨を指摘されたから、執行役員としての知見も相まって、 自己資金確認資料の原本確認が債権の回収不能の防止に不可欠であると認識し又は認識し得た。 (d)平成26年5月以降、簡素化通達により、審査部に代わり営業が自己資金確認資料の確認業務を行うようになり、多くの偽造事案が生じたことから、これを防止するために原本確認を徹底する必要が あった。 被告Ⓖは、平成27年6月に取締役に就任し、営業本部の管掌取締役として、営業現場における原本確認を徹底させ、これを監督すべきであったが、原本確認を徹底するための措置をとることなく、かえって、同年10月に営業本部長が定めた新運用基準により、原 本確認の不徹底を許した。 (e)被告Ⓖは、平成29年1月、お客さま相談センターに対し、原告の融資基準を逆手に取った売買契 く、かえって、同年10月に営業本部長が定めた新運用基準により、原 本確認の不徹底を許した。 (e)被告Ⓖは、平成29年1月、お客さま相談センターに対し、原告の融資基準を逆手に取った売買契約後の値引きや、自己資金確認資料の偽造に関する通報があった旨及び当該通報に係る調査結果の報告を受けた。当該報告では、調査結果として書類偽造の事実は発見 できなかったとされたものの、その調査方法は、顧客から受領した書類(原本ではなく写し)の調査であった。 被告Ⓖは、自らの管掌部門である営業本部のお客さま相談センターに対する通報内容を把握すべき立場にあり、偽造の有無を確認するには、顧客から受領した書類の調査では足りず、原本確認が必要 なことを認識し又は認識し得た。したがって、被告Ⓖは、上記調査- 35 - 結果をもって偽造がないと判断することはできないことや、むしろ上記調査方法によれば原本確認が懈怠されていることを認識し又は認識し得た。 (f)以上から、被告Ⓖは、遅くとも平成28年12月末時点において、原本確認の懈怠等を認識し又は認識し得たとともに、自己資金確認 資料の原本確認が債権の回収不能の防止に不可欠であることも認識し又は認識し得た。 b リスク分析の懈怠についての認識(a)被告Ⓖは、平成25年4月の経営会議において、債権保全に関する重要指標の分析及びその検証を行う旨の報告を受け、平成26年 4月以降、毎年、経営会議において、通達に基づく定期的な物件調査の結果報告を受けた。 被告Ⓖは、平成28年1月から同年8月にかけて、信用リスク委員会、経営会議及びCPC会議等において、繰り返し、シェアハウスについては外観からの入居率の把握が困難であり、賃料ないしサ ブリース料の支払状況を確認するに から同年8月にかけて、信用リスク委員会、経営会議及びCPC会議等において、繰り返し、シェアハウスについては外観からの入居率の把握が困難であり、賃料ないしサ ブリース料の支払状況を確認するにとどめている旨の報告を受けた。 (b)被告Ⓖは、平成29年1月、お客さま相談センターに対し、物件自体に問題があり、空室だらけの物件を入居ありと評価しているものが多くあるという通報があった旨及び当該通報に係る調査結果の報告を受けた。 上記通報の内容は具体的であり、上記報告からは少なくとも空室だらけの物件を入居ありとしているおそれがあることを認識することができた。 (c)被告Ⓖは、SSP会議に出席しており、審査担当者が記載した自己資金や家賃設定に疑義がある旨の審査意見に係る事実など、個別 のシェアハウスローンの内容や営業と審査部との間の協議内容につ- 36 - いて認識することができた。 (d)以上のとおり、被告Ⓖは、収益不動産ローンのリスク分析に当たっては、ローンの返済原資となる賃料収入に直結する入居率の把握が極めて重要であるものの、シェアハウスは外観からの入居率の把握が困難であり、賃料ないしサブリース料の支払状況を確認するに とどまっていたことや、空室だらけの物件を入居ありとしているおそれがあることを認識し又は認識し得た。また、被告Ⓖは、サブリースによりリスクを回避できないことを認識し又は認識し得た。また、新商品のリスク分析は、営業企画を中心に行うものとされていたから、営業本部の管掌取締役であった被告Ⓖは、シェアハウスロ ーンについてのリスクを認識した後、速やかにリスク分析を行うよう指示すべきであったが、何らの対応も取らなかった。 したがって、被告Ⓖは、遅くとも平成28年12月末時点において、リスク分 ロ ーンについてのリスクを認識した後、速やかにリスク分析を行うよう指示すべきであったが、何らの対応も取らなかった。 したがって、被告Ⓖは、遅くとも平成28年12月末時点において、リスク分析の懈怠を認識し又は認識し得た。 c 不芳業者との取引継続についての認識 (a)亡Ⓜは、平成27年2月、スマートライフとの取引を一切禁止する旨を指示し、営業や審査部にその旨を共有するように伝えた。被告Ⓖは、その時点で営業本部長であり、同年6月からは営業本部の管掌取締役であったから、上記指示を認識し又は認識し得た。 同年4月の時点で、原告が実行したシェアハウスローンの中に、 スマートライフとの取引が相当程度存在していたものの、被告Ⓖにおいて、その後にスマートライフとの取引禁止を指示した形跡はない。 (b)したがって、被告Ⓖは、不芳業者との取引継続を認識し又は認識し得た。 d 審査の形骸化についての認識- 37 - (a)被告Ⓖは、平成26年5月以降、売買の二重契約や自己資金の虚偽等に関する事案の報告を多数受けており、原告では審査部による審査にもかかわらず、多くの偽造事案が発生していたことを認識し又は認識し得た。 (b)原告においては、業者から提出される偽造書類の排除が永遠の課 題であり、自己資金確認資料の原本を確認して偽造を排除することが必須であった。 しかし、被告Ⓖは、営業本部長として簡素化通達を発出し、審査部に代わり営業に自己資金確認資料の確認業務を行わせる運用に変更するとともに、その後に偽造事案が多発する中で、自らの管掌に 係る営業本部長が定めた新運用基準により原本確認をさらに緩和させたことから、審査部による融資関係書類等の確認機能が弱まったことを認識し又は認識し得 の後に偽造事案が多発する中で、自らの管掌に 係る営業本部長が定めた新運用基準により原本確認をさらに緩和させたことから、審査部による融資関係書類等の確認機能が弱まったことを認識し又は認識し得た。 (c)被告Ⓖは、営業本部の管掌取締役として、パーソナルバンクを率いるⓄの権限が強く、審査部の人事にまで権限を及ぼすようになっ たことを認識していたか、又はⓄを監督する立場として当然に認識すべきであった。 また、審査担当者は、Ⓞから恫喝されるなど営業に押し切られてやむを得ず稟議を承認した際、審査意見として自己資金、家賃設定及び入居状況等に疑義がある旨や、Ⓞやパーソナルバンクからの強 力な要請がある旨を記載していたところ、当該記載は、平成28年に至るまで急増していた。被告Ⓖは、SSP会議に出席し、具体的な融資案件について、営業と審査部との協議に直接参加していたことから、審査部から営業に対して審査意見に記載された自己資金や家賃設定に疑義がある旨が指摘され、又はⓄやパーソナルバンクか らの強力な要請の下に疑義のある稟議が通過している状況を認識す- 38 - ることができた。 (d)シェアハウスローンの融資額がピークを迎えていたことや、審査意見が急増していたことから、平成28年9月のセンター長会議において、パーソナルバンクが風邪を引くと銀行全体が死亡する旨の発言がされた頃には、営業の審査部に対する圧力は一段と強まり、 審査は完全に形骸化していた。 被告Ⓖは、営業本部の管掌取締役として、上記のように営業の審査部に対する圧力が強まっていることを認識し又は認識し得た。 (e)以上から、被告Ⓖは、遅くとも平成28年12月末時点において、審査の形骸化を認識し又は認識し得た。 e 営業の審査部に対する圧力が強まっていることを認識し又は認識し得た。 (e)以上から、被告Ⓖは、遅くとも平成28年12月末時点において、審査の形骸化を認識し又は認識し得た。 e サクト会議を通じての認識第4回サクト会議では、本来は審査や融資後の与信管理の段階で是正されるべきシェアハウスローン全般の重大かつ多数のリスクが顕在化したことに加え、営業において、当該顕在化を防ぐために事実と異なる説明を行っていたことや、亡Ⓜの指示に違反してスマートライフ と取引を行っていたことが明らかとなった。 被告Ⓖは、同会議に出席してこれらを把握したことにより、リスク分析の懈怠、不芳業者との取引継続及び審査の形骸化をそれぞれ認識し又は認識し得た。 f 監視監督義務違反 (a)以上によれば、被告Ⓖは、遅くとも平成28年12月末時点において、シェアハウスローン債権保全措置懈怠状態を疑うに足りる事実を認識し又は認識し得たから、営業本部の管掌取締役として、シェアハウスローンについて債権保全措置がとられているかの調査を開始する義務を負っていたところ、これを怠った。 (b)仮に、上記義務を負わないとしても、被告Ⓖは、第4回サクト会- 39 - 議が開催された平成29年7月5日時点において、シェアハウスローン債権保全措置懈怠状態を認識し又は認識し得たから、営業本部の管掌取締役として、シェアハウスローンの実行を停止すべき義務を負っていたところ、これを怠った。 (エ)被告Ⓔ a 原本確認の懈怠等についての認識(a)原告においては、業者から提出される偽造書類の排除が永遠の課題であり、自己資金確認資料の原本を確認して偽造を排除することが必須であったにもかかわらず、簡素化通達に 確認の懈怠等についての認識(a)原告においては、業者から提出される偽造書類の排除が永遠の課題であり、自己資金確認資料の原本を確認して偽造を排除することが必須であったにもかかわらず、簡素化通達により、審査部に代わり営業が自己資金確認資料の確認業務を行うことになったところ、 過大な営業ノルマを課されてパワハラを受けていた原告の営業担当者において、自己資金確認資料の原本確認の徹底等を主体的ないし積極的に行うことは期待できず、偽造を見落しやすくなることは容易に想定できた。 (b)被告Ⓔは、平成26年6月から平成27年1月にかけて、団信診 断書の偽造について特別調査報告を受け、経営会議でも報告を受けたところ、特別調査報告では、調査結果として原告の営業担当者が団信診断書の偽造に直接関与している可能性は極めて低いと報告されたが、同担当者がチャネル担当者による偽造を黙認している可能性はあった。被告Ⓔは、平成27年1月の経営会議において、所得 確認資料の改ざんの疑いについて報告を受けた。 以上のとおり、被告Ⓔは、団信診断書の偽造が次々と発覚し、関与したチャネルが複数存在していたことや、所得確認資料の改ざんの疑いについて報告を受けていたから、団信診断書やそれ以外の融資関係書類等の偽装がまん延しており、原告の営業担当者がこれを 黙認している可能性を排除できないことを認識し又は認識し得た。 - 40 - (c)被告Ⓔは、平成27年1月の経営会議において、亡Ⓘや被告Ⓕから原本確認の懈怠が問題である旨を指摘され、原告の取締役としての知見も相まって、自己資金確認資料の原本確認が債権の回収不能の防止に不可欠であると認識し又は認識し得た。 (d)出口会議においては、平成26年以降に次々と発覚した偽造事案 告の取締役としての知見も相まって、自己資金確認資料の原本確認が債権の回収不能の防止に不可欠であると認識し又は認識し得た。 (d)出口会議においては、平成26年以降に次々と発覚した偽造事案 への対応が不可欠であるという認識から、架空自己資金や偽造確認資料の排除が取り上げられるとともに、架空や偽造が介在すると債権の回収不能につながりやすく、自己資金確認資料の原本確認が債権の回収不能の防止に不可欠であるという認識に基づき、デフォルトに至った案件のほぼ全てが架空や偽造であることが指摘され、自 己資金確認資料の原本確認の徹底が提言されていた。 出口会議には融資管理部長が出席していたことから、審査部の管掌取締役である被告Ⓔは、同会議の内容を認識し得たものであり、平成28年4月及び同年12月には、メールにより同会議の資料を受領している。 (e)平成26年5月以降、簡素化通達により、審査部に代わり営業が自己資金確認資料の確認業務を行うようになり、多くの偽造事案が生じたことから、これを防止するために原本確認を徹底する必要があったものの、平成27年10月に営業本部長が定めた新運用基準により、原本確認がさらに緩和することとなった。 (f)被告Ⓔは、平成28年12月、原告の融資基準を逆手に取った売買契約後の値引きや、自己資金確認資料の偽造に関する通報があった旨の報告を受けた。 (g)以上から、被告Ⓔは、遅くとも平成28年12月末時点において、原本確認の懈怠等を認識し又は認識し得たとともに、自己資金確認 資料の原本確認が債権の回収不能の防止に不可欠であることも認識- 41 - し又は認識し得た。 b リスク分析の懈怠についての認識(a)被告Ⓔは、平成25年4月の経営会議において、債権保全に関する の回収不能の防止に不可欠であることも認識- 41 - し又は認識し得た。 b リスク分析の懈怠についての認識(a)被告Ⓔは、平成25年4月の経営会議において、債権保全に関する重要指標の分析及びその検証を行う旨の報告を受け、平成26年4月以降、毎年、経営会議において、通達に基づく定期的な物件調 査の結果報告を受けていた。 平成27年4月以降、被告Ⓔの管掌する審査部がシェアハウスの入居率の調査を行ったところ、シェアハウスについては外観からの入居率の把握が困難であることが判明した。被告Ⓔは、平成28年1月から同年4月にかけて、信用リスク委員会及び経営会議におい て、繰り返し、シェアハウスについては外観からの入居率の把握が困難であり、賃料ないしサブリース料の支払状況を確認するにとどめている旨の報告を受けていた。 同月の出口会議では、シェアハウスについて入居率の確認が困難で、リスク分析が機能していないことが認識され、シェアハウス案 件の動向については今後調査予定とされた。 (b)平成27年2月及び同年10月の出口会議において、サブリースによる家賃保証が危険である旨、満室想定が危険である旨、設定家賃に疑義がある旨などが指摘されていた。サブリースの危険性については、具体的な理由が挙げられており、サブリースが付いていて もリスクを回避できないことが認識されていた。 出口会議には融資管理部長が出席していたから、被告Ⓔは、同会議の内容を認識し又は認識し得たし、平成28年4月及び同年12月には、メールにより、サブリースにつきサブリース会社の財務健全性や家賃保証が一過性のものでしかない旨を指摘する同会議の資 料を受領した。 - 42 - (c)平成27年4月以降、被告Ⓔの管掌す ールにより、サブリースにつきサブリース会社の財務健全性や家賃保証が一過性のものでしかない旨を指摘する同会議の資 料を受領した。 - 42 - (c)平成27年4月以降、被告Ⓔの管掌する審査部がシェアハウス72件を対象として入居率を調査したところ、明らかに満室が3件、明らかに未入居が8件、問題のある先が1件であり、その他目視では入居率50%程度が妥当と思われる状態であった。 被告Ⓔは、平成28年12月の物件調査ミーティングにおいて、 シェアハウスの全体の入居率が約50%である旨の報告を受けた。 (d)被告Ⓔは、平成28年12月、物件自体に問題があり、空室だらけの物件を入居ありとして物件評価を取っている案件が多数あるという通報があった旨の報告を受けた。 上記通報の内容は具体的であり、上記報告からは少なくとも空室 だらけの物件を入居ありとしているおそれがあることを認識することができた。 (e)以上から、被告Ⓔは、収益不動産ローンのリスク分析に当たっては、ローンの返済原資となる賃料収入に直結する入居率の把握が極めて重要であるものの、シェアハウスは外観からの入居率の把握が 困難であり、賃料ないしサブリース料の支払状況を確認するにとどまっていたことや、サブリースによりリスクを回避できないこと、空室だらけの物件を入居ありとしているおそれがあることを認識し又は認識し得た。 したがって、被告Ⓔは、遅くとも平成28年12月末時点におい て、リスク分析の懈怠を認識し又は認識し得た。 c 不芳業者との取引継続についての認識(a)被告Ⓔは、平成27年4月に審査部の管掌取締役となって間もなく、亡Ⓜからスマートライフとの取引を一切禁止する旨の指示をされたことを認識し又は認識し得た。 (b)被告Ⓔ ついての認識(a)被告Ⓔは、平成27年4月に審査部の管掌取締役となって間もなく、亡Ⓜからスマートライフとの取引を一切禁止する旨の指示をされたことを認識し又は認識し得た。 (b)被告Ⓔは、平成28年7月に受領した資料により、パーソナルバ- 43 - ンクにおいて、スマートライフのブランドであるかぼちゃの馬車をその他のブランドやチャネルと明確に区別して管理していた事実を認識し又は認識し得た。 そして、被告Ⓔは、同年12月の物件調査ミーティングにおいて、かぼちゃの馬車が全体の約6割を占めていたことや、サブリース料 の振込元業者別の取扱件数でスマートライフが非常に多い状況であったことを認識し又は認識し得た。 (c)したがって、被告Ⓔは、遅くとも上記の物件調査ミーティングの時点において、亡Ⓜの指示に反してスマートライフとの取引が継続していたこと、すなわち不芳業者との取引継続を認識し又は認識し 得た。 d 審査の形骸化についての認識(a)被告Ⓔは、平成26年6月以降、団信診断書の偽造等の事案の報告を多数受けており、原告では審査部による審査にもかかわらず、多くの偽造事案が発生していたことを認識し又は認識し得た。 (b)被告Ⓔは、平成26年5月頃、審査部が亡Ⓜに対し、具体的な偽造事案を報告して統制強化を求めたにもかかわらず、簡素化通達により自己資金確認資料の確認業務を営業に行わせ、逆に統制を弱めたこと、その後、多くの偽造事案の報告を受けたことにより、営業による確認では融資関係書類等の偽装を防止できないことを認識し 又は認識し得た。 (c)平成27年以降、審査の承認率が99%を超えて推移するようになり、Ⓞが審査担当者に恫喝するなど審査部が営業に押し切られる事態も生じていた。審査担当者 し 又は認識し得た。 (c)平成27年以降、審査の承認率が99%を超えて推移するようになり、Ⓞが審査担当者に恫喝するなど審査部が営業に押し切られる事態も生じていた。審査担当者は、営業に押し切られてやむを得ず稟議を承認した際、審査意見として自己資金、家賃設定及び入居状 況等に疑義がある旨を記載していたところ、当該記載は平成28年- 44 - に至るまでに急増し、営業の審査部に対する圧力は一層強まっていた。 被告Ⓔは、平成27年4月以降、審査部の管掌取締役として、上記の審査部の状況を認識し又は認識し得た。 (d)被告Ⓔは、メールで出口会議の資料を受領しているところ、当該 資料には、賃料や入居想定の妥当性、自己資金などにおいて問題のある収益不動産ローンが具体的に記載されていた。 したがって、被告Ⓔは、上記のような問題のある収益不動産ローンが審査で承認され、実行されていることを認識し又は認識し得た。 (e)以上から、被告Ⓔは、遅くとも平成28年12月末時点において、 審査の形骸化を認識し又は認識し得た。 e 監視監督義務違反以上によれば、被告Ⓔは、遅くとも平成28年12月末時点において、シェアハウスローン債権保全措置懈怠状態を疑うに足りる事実を認識し又は認識し得たから、審査部の管掌取締役として、シェアハウ スローンについて債権保全措置がとられているかの調査を開始する義務を負っていたところ、これを怠った。 (オ)被告Ⓗa 原本確認の懈怠等についての認識(a)原告においては、業者から提出される偽造書類の排除が永遠の課 題であり、自己資金確認資料の原本を確認して偽造を排除することが必須であったにもかかわらず、簡素化通達により、審査部に代わり (a)原告においては、業者から提出される偽造書類の排除が永遠の課 題であり、自己資金確認資料の原本を確認して偽造を排除することが必須であったにもかかわらず、簡素化通達により、審査部に代わり営業が自己資金確認資料の確認業務を行うこととなったところ、過大な営業ノルマを課されてパワハラを受けていた原告の営業担当者において、自己資金確認資料の原本確認の徹底等を主体的ないし 積極的に行うことは期待できず、偽造を見落しやすくなることは容- 45 - 易に想定できた。 (b)被告Ⓗは、平成26年5月から同年11月にかけて、事務リスク委員会において、売買代金に関する二重契約や自己資金確認資料の原本確認の懈怠、自己資金が虚偽であることが発覚した旨の報告を受け、コンプライアンス・情報セキュリティリスク委員会において は、団信診断書の偽造があった旨の報告を受けた。 以上のとおり、被告Ⓗは、団信診断書の偽造が次々と発覚し、関与したチャネルが複数存在していたことや、二重契約、原本確認の懈怠及び自己資金の虚偽について具体的に報告を受けていたことから、団信診断書やそれ以外の融資関係書類等の偽装がまん延してい ることを認識し又は認識し得た。 (c)亡Ⓜが平成27年2月以降に主催した出口会議においては、平成26年以降に次々と発覚した偽造事案への対応が不可欠であるという認識から、架空自己資金や偽造確認資料の排除が取り上げられるとともに、架空や偽造が介在すると債権の回収不能につながりやす く、自己資金確認資料の原本確認が債権の回収不能の防止に不可欠であるという認識に基づき、デフォルトに至った案件のほぼ全てが架空や偽造であることが指摘された上で、自己資金確認資料の原本確認の徹底が提言されていた。 そして、出口会議には融資管理部長 止に不可欠であるという認識に基づき、デフォルトに至った案件のほぼ全てが架空や偽造であることが指摘された上で、自己資金確認資料の原本確認の徹底が提言されていた。 そして、出口会議には融資管理部長が出席していたことから、被 告Ⓗは、同会議の内容を認識し又は認識し得たものであり、平成28年4月には、メールにより同会議の資料を受領している。 (d)平成26年5月以降、簡素化通達により、審査部に代わり営業が自己資金確認資料の確認業務を行うようになり、多くの偽造事案が生じたことから、これを防止するために原本確認を徹底する必要が あったものの、平成27年10月に営業本部長が定めた新運用基準- 46 - により、原本確認がさらに緩和することとなった。 (e)被告Ⓗは、平成29年1月、原告の融資基準を逆手に取った売買契約後の値引きや、自己資金確認資料の偽造に関する通報があった旨及び当該通報に係る調査結果の報告を受けた。当該報告では、調査結果として書類偽造の事実は発見できなかったとされていたもの の、その調査方法は、顧客から受領した書類(原本ではなく写し)の調査であった。 被告Ⓗは、偽造の有無を確認するためには、顧客から受領した書類の調査では足りず、原本確認が必要なことを認識し又は認識し得た。したがって、被告Ⓗは、上記調査結果をもって偽造がないと判 断することはできないことや、むしろ上記調査方法によれば原本確認が懈怠されていることを認識し又は認識し得た。 (f)以上から、被告Ⓗは、遅くとも平成29年1月末時点において、原本確認の懈怠等を認識し又は認識し得たとともに、自己資金確認資料の原本確認が債権の回収不能の防止に不可欠であることも認識 し又は認識し得た。 b リスク分析の懈怠についての認識 本確認の懈怠等を認識し又は認識し得たとともに、自己資金確認資料の原本確認が債権の回収不能の防止に不可欠であることも認識 し又は認識し得た。 b リスク分析の懈怠についての認識(a)被告Ⓗは、平成25年5月のCPC会議において、営業とは別の管理チームにより入居率を調査するという基本方針を固め、その後、審査部において、同年10月に発出された通達に基づき、定期的な 物件調査が実施された。 平成27年4月以降、審査部がシェアハウスの入居率の調査を行ったところ、シェアハウスについては外観からの入居率の把握が困難であることが判明した。審査部の執行役員であった被告Ⓗにおいても、平成28年1月から同年7月にかけて、信用リスク委員会に おいて、繰り返し、シェアハウスについては外観からの入居率の把- 47 - 握が困難であり、賃料ないしサブリース料の支払状況を確認するにとどめている旨の報告を受けていた。 また、同年4月の出口会議では、シェアハウスについて入居率の確認が困難であることが明らかとなり、リスク分析が機能していないことが認識されたことから、シェアハウス案件の動向については 今後調査予定とされた。 (b)平成27年2月及び同年10月の出口会議において、サブリースによる家賃保証が危険である旨、満室想定が危険である旨、設定家賃に疑義がある旨などが指摘されていた。サブリースの危険性については、具体的な理由が挙げられており、サブリースが付いていて もリスクを回避できないことが認識されていた。 出口会議に融資管理部長が出席していたことから、被告Ⓗは、審査部の執行役員として同会議の内容を認識し又は認識し得たものであり、平成28年4月には、メールにより同会議の資料を受領している ていた。 出口会議に融資管理部長が出席していたことから、被告Ⓗは、審査部の執行役員として同会議の内容を認識し又は認識し得たものであり、平成28年4月には、メールにより同会議の資料を受領している。当該資料には、サブリースにつきサブリース会社の財務健全 性や家賃保証が一過性のものでしかない旨が指摘されている。 (c)平成27年4月以降、審査部がシェアハウス72件を対象として入居率を調査したところ、明らかに満室が3件、明らかに未入居が8件、問題のある先が1件であり、その他目視では入居率50%程度が妥当と思われる状態であった。 そして、被告Ⓗは、平成28年12月の物件調査ミーティングにおいて、シェアハウスの全体の入居率が約50%である旨の報告を受けた。 (d)被告Ⓗは、平成29年1月、物件自体に問題があり、空室だらけの物件を入居ありとして物件評価を取っている案件が多数あるとい う通報があった旨及び当該通報に係る調査結果の報告を受けた。 - 48 - 上記通報の内容は具体的であり、上記報告からは少なくとも空室だらけの物件を入居ありとしているおそれがあることを認識することができた。 (e)以上から、被告Ⓗは、収益不動産ローンのリスク分析に当たっては、ローンの返済原資となる賃料収入に直結する入居率の把握が極 めて重要であるものの、シェアハウスは外観からの入居率の把握が困難であり、賃料ないしサブリース料の支払状況を確認するにとどまっていたことや、サブリースによりリスクを回避できないこと、空室だらけの物件を入居ありとしているおそれがあることを認識し又は認識し得た。 したがって、被告Ⓗは、遅くとも平成29年1月末時点において、リスク分析の懈怠を認識し又は認識し得た。 c 不芳業者との取引継続 ているおそれがあることを認識し又は認識し得た。 したがって、被告Ⓗは、遅くとも平成29年1月末時点において、リスク分析の懈怠を認識し又は認識し得た。 c 不芳業者との取引継続についての認識(a)被告Ⓗは、平成27年2月、亡Ⓜからスマートライフとの取引を一切禁止する旨の指示を直接受けた。 (b)被告Ⓗは、平成28年12月の物件調査ミーティングにおいて、かぼちゃの馬車が全体の約6割を占めていたことや、サブリース料の振込元業者別の取扱件数でスマートライフが非常に多い状況であったことを認識した。 当時、審査部内においては、かぼちゃの馬車がスマートライフの ブランドであることは共通認識となっており、かぼちゃの馬車につきスマートライフの関与があることは当然の前提となっていた。 (c)したがって、被告Ⓗは、遅くとも上記の物件調査ミーティングの時点において、亡Ⓜの指示に反してスマートライフとの取引が継続していたこと、すなわち不芳業者との取引継続を認識し又は認識し 得た。 - 49 - d 審査の形骸化についての認識(a)被告Ⓗは、平成26年5月以降、売買の二重契約や自己資金の虚偽等に関する事案の報告を多数受けており、原告では審査部による審査にもかかわらず、多くの偽造事案が発生していたことを認識し又は認識し得た。 (b)被告Ⓗは、平成26年5月頃、審査部が亡Ⓜに対し、具体的な偽造事案を報告して統制強化を求めたにもかかわらず、簡素化通達により自己資金確認資料の確認業務を営業に行わせ、逆に統制を弱めたこと、その後、多くの偽造事案の報告を受けたことにより、営業による確認では融資関係書類等の偽装を防止できないことを認識し 又は認識し得た。 (c)平成27年以降、審査の承認率 に統制を弱めたこと、その後、多くの偽造事案の報告を受けたことにより、営業による確認では融資関係書類等の偽装を防止できないことを認識し 又は認識し得た。 (c)平成27年以降、審査の承認率が99%を超えて推移するようになり、Ⓞから審査担当者に恫喝するなど審査部が営業に押し切られる事態も生じていた。審査担当者は、営業に押し切られてやむを得ず稟議を承認した際、審査意見として自己資金、家賃設定及び入居 状況等に疑義がある旨を記載していたところ、当該記載は、平成28年に至るまで急増し、営業の審査部に対する圧力は一層強まっていた。 被告Ⓗは、審査部の執行役員ないし管掌取締役として、上記の審査部の状況を認識し又は認識し得た。 (d)被告Ⓗは、メールで出口会議の資料を受領しているところ、当該資料には、賃料や入居想定の妥当性、自己資金などにおいて問題のある収益不動産ローンが具体的に記載されていた。 そして、出口会議には融資管理部長が出席していたことから、審査部の執行役員であった被告Ⓗは、上記資料以外の同会議の内容に ついても認識し得たものであり、上記のように問題のある収益不動- 50 - 産ローンが審査で承認され、実行されていることを認識し又は認識し得た。 (e)以上から、被告Ⓗは、遅くとも平成28年12月末時点において、審査の形骸化を認識し又は認識し得た。 e サクト会議を通じての認識 第4回サクト会議では、本来は審査や融資後の与信管理の段階で是正されるべきシェアハウスローン全般の重大かつ多数のリスクが顕在化したことに加え、営業において、当該顕在化を防ぐために事実と異なる説明を行っていたことや、亡Ⓜの指示に違反してスマートライフと取引を行っていたことが明らかとなった。 そして、 スクが顕在化したことに加え、営業において、当該顕在化を防ぐために事実と異なる説明を行っていたことや、亡Ⓜの指示に違反してスマートライフと取引を行っていたことが明らかとなった。 そして、被告Ⓗは、同会議に出席してこれらを把握したことにより、リスク分析の懈怠、不芳業者との取引継続及び審査の形骸化をそれぞれ認識し又は認識し得た。 f 監視監督義務違反以上によれば、被告Ⓗは、遅くとも第4回サクト会議が開催された 平成29年7月5日時点において、シェアハウスローン債権保全措置懈怠状態を認識し又は認識し得たから、審査部の管掌取締役として、審査部に対し、同日以降、少なくともシェアハウスローンの純粋新規案件については、融資審査を承認せず、又は既に承認済みであっても顧客との融資契約締結前の案件については稟議承認を取り消すように 指示し、監督する方法により、以後、少なくともシェアハウスローンの純粋新規案件については実行されないようにすべき義務を負っていたところ、これを怠った。 仮に、被告Ⓗにおいて、直ちにシェアハウスローンの実行を差し止めるべき義務までは負わないとしても、シェアハウスローン債権保全 措置懈怠状態を疑うに足りる事実を認識し又は認識し得たのであるか- 51 - ら、シェアハウスローンについて債権保全措置がとられているかの調査を開始すべき義務を負っていたところ、これを怠った。 (カ)亡Ⓘa 原本確認の懈怠等についての認識(a)原告においては、業者から提出される偽造書類の排除が永遠の課 題であり、自己資金確認資料の原本を確認して偽造を排除することが必須であったにもかかわらず、簡素化通達により、審査部に代わり営業が自己資金確認資料の確認業務を行うこととなったと 排除が永遠の課 題であり、自己資金確認資料の原本を確認して偽造を排除することが必須であったにもかかわらず、簡素化通達により、審査部に代わり営業が自己資金確認資料の確認業務を行うこととなったところ、過大な営業ノルマを課されてパワハラを受けていた原告の営業担当者において、自己資金確認資料の原本確認の徹底等を主体的ないし 積極的に行うことは期待できず、偽造を見落しやすくなることは容易に想定できた。 (b)亡Ⓘは、平成26年6月から同年12月にかけて、団信診断書の偽造について特別調査報告を受け、経営会議でも報告を受けたところ、特別調査報告では、調査結果として原告の営業担当者が団信診 断書の偽造に直接関与している可能性は極めて低いと報告されたが、同担当者がチャネル担当者による偽造を黙認している可能性を排除できなかった。また、亡Ⓘは、平成27年1月の経営会議において、所得確認資料の改ざんの疑いについて報告を受けた。 以上のとおり、亡Ⓘは、団信診断書の偽造が次々と発覚し、関与 したチャネルが複数存在していたことや、所得確認資料の改ざんの疑いについて報告を受けていたことから、団信診断書やそれ以外の融資関係書類等の偽装がまん延しており、原告の営業担当者がこれを黙認している可能性を排除できないことを認識し又は認識し得た。 (c)亡Ⓘは、上記の平成27年1月の経営会議において、被告Ⓕが原 本確認の懈怠が問題である旨を指摘したことにより、原告の取締役- 52 - としての知見も相まって、自己資金確認資料の原本確認が債権の回収不能の防止に不可欠であると認識し又は認識し得た。 (d)亡Ⓘは、平成29年1月、原告の融資基準を逆手に取った売買契約後の値引きや、自己資金確認資料の偽造に関する通報があった旨及 確認が債権の回収不能の防止に不可欠であると認識し又は認識し得た。 (d)亡Ⓘは、平成29年1月、原告の融資基準を逆手に取った売買契約後の値引きや、自己資金確認資料の偽造に関する通報があった旨及び当該通報に係る調査結果の報告を受けた。当該報告では、調査 結果として書類偽造の事実は発見できなかったとされたものの、その調査方法は、顧客から受領した書類(原本ではなく写し)の調査であった。 亡Ⓘは、偽造の有無を確認するためには、顧客から受領した書類の調査では足りず、原本確認が必要なことを認識し又は認識し得た。 したがって、亡Ⓘは、上記調査結果をもって偽造がないと判断することはできないことや、むしろ上記調査方法によれば原本確認が懈怠されていることを認識し又は認識し得た。 (e)以上から、亡Ⓘは、遅くとも平成29年1月末時点において、原本確認の懈怠等を認識し又は認識し得たとともに、自己資金確認資 料の原本確認が債権の回収不能の防止に不可欠であることも認識し又は認識し得た。 b リスク分析の懈怠についての認識(a)亡Ⓘは、平成25年4月の経営会議において、債権保全に関する重要指標の分析及びその検証を行う旨の報告を受けた後、平成26 年4月以降、毎年、経営会議において、通達に基づく定期的な物件調査の結果報告を受けていた。 そして、亡Ⓘは、平成28年1月、同年4月及び同年8月の経営会議において、シェアハウスについては外観からの入居率の把握が困難であり、賃料ないしサブリース料の支払状況を確認するにとど めている旨の報告を受けていた。 - 53 - (b)亡Ⓘは、平成29年1月、物件自体に問題があり、空室だらけの物件を入居ありとして物件評価を取っている案件が多数あるという通報及び当該通報に係る調査 旨の報告を受けていた。 - 53 - (b)亡Ⓘは、平成29年1月、物件自体に問題があり、空室だらけの物件を入居ありとして物件評価を取っている案件が多数あるという通報及び当該通報に係る調査結果の報告を受けた。 上記通報の内容は具体的であり、上記報告からは少なくとも空室だらけの物件を入居ありとしているおそれがあることを認識するこ とができた。 (c)以上から、亡Ⓘは、収益不動産ローンのリスク分析に当たっては、ローンの返済原資となる賃料収入に直結する入居率の把握が極めて重要であるものの、シェアハウスは外観からの入居率の把握が困難であり、賃料ないしサブリース料の支払状況を確認するにとどまっ ていたことや、空室だらけの物件を入居ありとしているおそれがあることを認識し又は認識し得た。また、亡Ⓘは、原告の代表取締役として高度の知見を有し、サブリースによりリスクを回避できないことを認識し又は認識し得た。 したがって、亡Ⓘは、遅くとも平成29年1月末時点において、 リスク分析の懈怠を認識し又は認識し得た。 c 審査の形骸化についての認識亡Ⓘは、Ⓞが原告において強大な権限を有していたことや、平成28年7月に亡Ⓜが死去したことにより、営業を牽制する機能が失われたことについて認識し又は認識し得た。 d サクト会議を通じての認識第4回サクト会議では、本来は審査や融資後の与信管理の段階で是正されるべきシェアハウスローン全般の重大かつ多数のリスクが顕在化したことに加え、営業において、当該顕在化を防ぐために事実と異なる説明を行っていたことや、亡Ⓜの指示に違反してスマートライフ と取引を行っていたことが明らかとなった。 - 54 - そして、亡Ⓘは、同会議に出席してこれらを 化を防ぐために事実と異なる説明を行っていたことや、亡Ⓜの指示に違反してスマートライフ と取引を行っていたことが明らかとなった。 - 54 - そして、亡Ⓘは、同会議に出席してこれらを把握したことにより、リスク分析の懈怠、不芳業者との取引継続及び審査の形骸化をそれぞれ認識し又は認識し得た。 e 監視監督義務違反以上によれば、亡Ⓘは、第4回サクト会議が開催された平成29年 7月5日の時点において、シェアハウスローン債権保全措置懈怠状態を認識し又は認識し得たから、代表取締役として、営業本部及び審査部に対し、同日以降、少なくともシェアハウスローンの純粋新規案件については、その取扱い(融資申込みの受付、稟議申請、稟議承認及び融資実行)を中止するように指示し、監督する方法により、以後、 少なくともシェアハウスローンの純粋新規案件については実行されないようにすべき義務を負っていたところ、これを怠った。 仮に、亡Ⓘにおいて、直ちにシェアハウスローンの実行を差し止めるべき義務までは負わないとしても、シェアハウスローン債権保全措置懈怠状態を疑うに足りる事実を認識し又は認識し得たのであるから、 シェアハウスローンについて債権保全措置がとられているかの調査を開始すべき義務を負っていたところ、これを怠った。 (キ)被告Ⓚa 原本確認の懈怠等についての認識(a)原告においては、業者から提出される偽造書類の排除が永遠の課 題であり、自己資金確認資料の原本を確認して偽造を排除することが必須であったにもかかわらず、簡素化通達により、審査部に代わり営業が自己資金確認資料の確認業務を行うこととなったところ、過大な営業ノルマを課されてパワハラを受けていた原告の営業担当者において、自己資金 であったにもかかわらず、簡素化通達により、審査部に代わり営業が自己資金確認資料の確認業務を行うこととなったところ、過大な営業ノルマを課されてパワハラを受けていた原告の営業担当者において、自己資金確認資料の原本確認の徹底等を主体的ないし 積極的に行うことは期待できず、偽造を見落しやすくなることは容- 55 - 易に想定できた。 (b)被告Ⓚは、平成27年8月、コンプライアンス・情報セキュリティリスク委員会において、4社について団信診断書の偽造があった旨の報告を受けた。 (c)被告Ⓚは、平成29年1月、原告の融資基準を逆手に取った売買 契約後の値引きや、自己資金確認資料の偽造に関する通報があった旨及び当該通報に係る調査結果の報告を受けた。 上記報告では、調査結果として書類偽造の事実は発見できなかったとされたものの、その調査方法は、顧客から受領した書類(原本ではなく写し)の調査であった。しかし、偽造の有無を確認するた めには、顧客から受領した書類の調査では足りず、原本確認が必要であった。 (d)以上から、被告Ⓚは、平成29年1月末時点において、原本確認の懈怠等を認識し又は認識し得た。 b リスク分析の懈怠についての認識 (a)被告Ⓚは、平成28年8月の経営会議において、通達に基づく定期的な物件調査の結果報告として、シェアハウスについては外観からの入居率の把握が困難であり、賃料ないしサブリース料の支払状況を確認するにとどめている旨の報告を受けた。 (b)被告Ⓚは、平成29年1月、物件自体に問題があり、空室だらけ の物件を入居ありとして物件評価を取っている案件が多数あるという通報及び当該通報に係る調査結果の報告を受けた。 上記通報の内容は具体的であり、上記報告からは少なくとも空室だら 、空室だらけ の物件を入居ありとして物件評価を取っている案件が多数あるという通報及び当該通報に係る調査結果の報告を受けた。 上記通報の内容は具体的であり、上記報告からは少なくとも空室だらけの物件を入居ありとしているおそれがあることを認識することができた。 (c)以上から、被告Ⓚは、収益不動産ローンのリスク分析に当たって- 56 - は、ローンの返済原資となる賃料収入に直結する入居率の把握が極めて重要であるものの、シェアハウスは外観からの入居率の把握が困難であり、賃料ないしサブリース料の支払状況を確認するにとどまっていたことや、空室だらけの物件を入居ありとしているおそれがあることを認識し又は認識し得た。 したがって、被告Ⓚは、平成29年1月末時点において、リスク分析の懈怠を認識し又は認識し得た。 c 審査の形骸化についての認識被告Ⓚは、Ⓞが原告において強大な権限を有していたことや、平成28年7月に亡Ⓜが死去したことにより、営業を牽制する機能が失わ れたことについて認識し又は認識し得た。 d サクト会議を通じての認識第4回サクト会議では、本来は審査や融資後の与信管理の段階で是正されるべきシェアハウスローン全般の重大かつ多数のリスクが顕在化したことに加え、営業において、当該顕在化を防ぐために事実と異 なる説明を行っていたことや、亡Ⓜの指示に違反してスマートライフと取引を行っていたことが明らかとなった。 そして、被告Ⓚは、同会議に出席してこれらを把握したことにより、リスク分析の懈怠、不芳業者との取引継続及び審査の形骸化をそれぞれ認識し又は認識し得た。 e 監視監督義務違反以上によれば、被告Ⓚは、第4回サクト会議が開催さ 、リスク分析の懈怠、不芳業者との取引継続及び審査の形骸化をそれぞれ認識し又は認識し得た。 e 監視監督義務違反以上によれば、被告Ⓚは、第4回サクト会議が開催された平成29年7月5日の時点において、シェアハウスローン債権保全措置懈怠状態を認識し又は認識し得たから、代表取締役として、営業本部及び審査部に対し、同日以降、少なくともシェアハウスローンの純粋新規案 件については、その取扱い(融資申込みの受付、稟議申請、稟議承認- 57 - 及び融資実行)を中止するように指示し、監督する方法により、以後、少なくともシェアハウスローンの純粋新規案件については実行されないようにすべき義務を負っていたところ、これを怠った。 仮に、被告Ⓚにおいて、直ちにシェアハウスローンの実行を差し止めるべき義務までは負わないとしても、シェアハウスローン債権保全 措置懈怠状態を疑うに足りる事実を認識し又は認識し得たのであるから、シェアハウスローンについて債権保全措置がとられているかの調査を開始すべき義務を負っていたところ、これを怠った。 (ク)被告Ⓛa 原本確認の懈怠等についての認識 (a)原告においては、業者から提出される偽造書類の排除が永遠の課題であり、自己資金確認資料の原本を確認して偽造を排除することが必須であったにもかかわらず、簡素化通達により、審査部に代わり営業が自己資金確認資料の確認業務を行うこととなったところ、過大な営業ノルマを課されてパワハラを受けていた原告の営業担当 者において、自己資金確認資料の原本確認の徹底等を主体的ないし積極的に行うことは期待できず、偽造を見落しやすくなることは容易に想定できた。 (b)被告Ⓛは、平成26年6月から平成27年8月 者において、自己資金確認資料の原本確認の徹底等を主体的ないし積極的に行うことは期待できず、偽造を見落しやすくなることは容易に想定できた。 (b)被告Ⓛは、平成26年6月から平成27年8月にかけて、コンプライアンス・情報セキュリティリスク委員会、コンプライアンス委 員会及び経営会議において、複数のチャネルで団信診断書の偽造があった旨の報告を受けた。また、被告Ⓛは、平成27年1月の経営会議において、所得確認資料の改ざんの疑いについて報告を受けた。 以上のとおり、被告Ⓛは、団信診断書の偽造が次々と発覚し、関与したチャネルが複数存在していたことや、所得確認資料の改ざん の疑いについて報告を受けていたことから、団信診断書やそれ以外- 58 - の融資関係書類等の偽装がまん延していることを認識し又は認識し得た。 (c)被告Ⓛは、上記の平成27年1月の経営会議において、団信診断書の偽造のまん延状態に鑑みて、亡Ⓘや被告Ⓕが原本確認の懈怠が問題である旨を指摘したことにより、原告では融資関係書類等の原 本確認が徹底されていないことを認識し又は認識し得た。 (d)被告Ⓛは、平成29年1月、原告の融資基準を逆手に取った売買契約後の値引きや、自己資金確認資料の偽造に関する通報があった旨及び当該通報に係る調査結果の報告を受けた。当該報告では、調査結果として書類偽造の事実は発見できなかったとされたものの、 その調査方法は、顧客から受領した書類(原本ではなく写し)の調査であった。 被告Ⓛは、偽造の有無を確認するためには、顧客から受領した書類の調査では足りず、原本確認が必要なことを認識し又は認識し得た。したがって、被告Ⓛは、上記調査結果をもって偽造がないと判 断することはできないことや、むしろ上記調査方法によれば原 受領した書類の調査では足りず、原本確認が必要なことを認識し又は認識し得た。したがって、被告Ⓛは、上記調査結果をもって偽造がないと判 断することはできないことや、むしろ上記調査方法によれば原本確認が懈怠されていることを認識し又は認識し得た。 (e)以上から、被告Ⓛは、遅くとも平成29年1月末時点において、原本確認の懈怠等を認識し又は認識し得た。 b リスク分析の懈怠についての認識 (a)被告Ⓛは、平成25年4月の経営会議において、債権保全に関する重要指標の分析及びその検証を行う旨の報告を受けた後、平成26年4月以降、毎年、経営会議において、通達に基づく定期的な物件調査の結果報告を受けていた。 そして、被告Ⓛは、平成28年1月、同年4月及び同年8月の経 営会議において、シェアハウスについては外観からの入居率の把握- 59 - が困難であり、賃料ないしサブリース料の支払状況を確認するにとどめている旨の報告を受けた。 (b)被告Ⓛは、平成29年1月、物件自体に問題があり、空室だらけの物件を入居ありとして物件評価を取っている案件が多数あるという通報及び当該通報に係る調査結果の報告を受けた。 上記通報の内容は具体的であり、上記報告からは少なくとも空室だらけの物件を入居ありとしているおそれがあることを認識することができた。 (c)以上から、被告Ⓛは、収益不動産ローンのリスク分析に当たっては、ローンの返済原資となる賃料収入に直結する入居率の把握が極 めて重要であるものの、シェアハウスは外観からの入居率の把握が困難であり、賃料ないしサブリース料の支払状況を確認するにとどまっていたことや、空室だらけの物件を入居ありとしているおそれがあることを認識し又は認識し得た。また、被告Ⓛは、原告の取締役 率の把握が困難であり、賃料ないしサブリース料の支払状況を確認するにとどまっていたことや、空室だらけの物件を入居ありとしているおそれがあることを認識し又は認識し得た。また、被告Ⓛは、原告の取締役として高度の知見を有し、サブリースによりリスクを回避できな いことを認識し又は認識し得た。 したがって、被告Ⓛは、遅くとも平成29年1月末時点において、リスク分析の懈怠を認識し又は認識し得た。 c 審査の形骸化についての認識被告Ⓛは、Ⓞが原告において強大な権限を有していたことや、平成 28年7月に亡Ⓜが死去したことにより、営業を牽制する機能が失われたことについて認識し又は認識し得た。 d サクト会議を通じての認識第4回サクト会議では、本来は審査や融資後の与信管理の段階で是正されるべきシェアハウスローン全般の重大かつ多数のリスクが顕在 化したことに加え、営業において、当該顕在化を防ぐために事実と異- 60 - なる説明を行っていたことや、亡Ⓜの指示に違反してスマートライフと取引を行っていたことが明らかとなった。 そして、被告Ⓛは、同会議に出席してこれらを把握したことにより、リスク分析の懈怠、不芳業者との取引継続及び審査の形骸化をそれぞれ認識し又は認識し得た。 e 監視監督義務違反以上によれば、被告Ⓛは、第4回サクト会議が開催された平成29年7月5日の時点において、シェアハウスローン債権保全措置懈怠状態を疑うに足りる事実を認識し又は認識し得たから、取締役として、第4回サクト会議に出席した代表取締役並びに営業本部及び審査部の 管掌取締役に対し、同日以降、少なくともシェアハウスローンの純粋新規案件については、融資の申請及び承認をせず、又は既に として、第4回サクト会議に出席した代表取締役並びに営業本部及び審査部の 管掌取締役に対し、同日以降、少なくともシェアハウスローンの純粋新規案件については、融資の申請及び承認をせず、又は既に承認済みであっても顧客との融資契約締結前の案件については稟議承認を取り消すように指示、監督するよう求め、以後、少なくともシェアハウスローンを実行されないようにすべき義務又は仮にこれが受け入れられ ない場合には、自ら取締役会を開催して、シェアハウスローンの純粋新規案件については、融資の申請及び承認をせず、又は既に承認済みであっても顧客との契約締結前の融資案件については稟議承認を取り消す旨の議題を上程し、シェアハウスローンを実行されないようにすべき義務を負っていたところ、これを怠った。 ウ信頼の原則(ア)取締役において、違法行為や不祥事等の兆候となる事実の認識がない限り、他の取締役や執行役員等の職務執行に対する信頼を置くことができる信頼の原則は、会社の業務全般に対する直接の監視監督に代えて監視監督を行うために構築される内部統制システムについて、その有効性 を損なうような状況が存在しないかにつき監視監督が行われ、かつ、当- 61 - 該有効性に疑義が生じないような情報伝達が十分に行われるなど、内部統制システムに関する不備・欠陥等の疑義を有すべき事情が存在しないことを前提とするものである。 したがって、内部統制システムに関する不備・欠陥等の疑義を有すべき事情が存在する場合には、信頼の原則は適用されず、取締役は、他の 取締役や執行役員等の職務執行一般につき常時自ら観察することにより、個別具体的に十分な監視監督を尽くすべき義務を負うこととなり、仮に違法行為や不祥事等の兆候となる事実の認識をしていなかったとしても 取締役や執行役員等の職務執行一般につき常時自ら観察することにより、個別具体的に十分な監視監督を尽くすべき義務を負うこととなり、仮に違法行為や不祥事等の兆候となる事実の認識をしていなかったとしても、それをもって監視監督義務違反を免れることはできない。 (イ)本件では、シェアハウスローンについて内部統制システムの機能不全 が生じており、被告取締役らはこれを認識し又は認識し得た。 したがって、内部統制システムに関する不備・欠陥等の疑義を有すべき事情が存在するから、被告取締役らは、他の取締役や執行役員等からの報告・情報提供等への信頼を基礎として監視監督義務を履行すれば足りることにはならない。 (被告Ⓐらの主張)アシェアハウスローンに関する監視監督義務及び債権保全措置義務(ア)原告がシェアハウスローンに関する債権保全措置義務の根拠として引用する平成21年決定は、あくまで実質倒産状態にある企業に対する個別の融資が問題となった事案にすぎず、銀行が取り扱う商品類型を問題 としたものではない。 シェアハウスが一般の収益不動産と同様、立地によって収益力が大きく左右される上、物件ごとに個性があるから、シェアハウスローンは、場所、時期及び物件ごとにリスクが異なり、一律にその適否を論じることはできない。したがって、シェアハウスローンという商品類型につい て、債権保全措置義務をいう原告の主張は失当である。 - 62 - (イ)本件4根拠事実は、いずれもシェアハウスローンについて債権保全措置がとられていないことの疑念を抱かせるものではなく、シェアハウスローン債権保全措置懈怠状態を基礎付ける事実とはならない。 イ亡Ⓜの認識等(ア)原本確認の懈怠等についての認識 a 簡素化通達につい を抱かせるものではなく、シェアハウスローン債権保全措置懈怠状態を基礎付ける事実とはならない。 イ亡Ⓜの認識等(ア)原本確認の懈怠等についての認識 a 簡素化通達については、全国有数の規模の地方銀行である原告の審査部が全ての融資案件について原本を確認するのが非現実的であること、同通達以前から営業店の所属長が融資関係書類等の原本確認を担っていたこと、同通達は所属長が原本確認を行うことを変更するものではなく、審査部に対する融資関係書類等の写しの送付の一部を簡素 化するものにすぎないこと、審査部と営業との役割分担を明確化することにより、審査部の審査機能の充実を図ることができることなどからすれば、同通達を発出すること自体は問題ではない。 b 団信診断書の偽造は、融資関係書類等の偽装とはいえず、また、偽造事案といっても、偽造の主体、対象書類及び方法等の個別の事情は 異なるから、団信診断書が偽造されたからといって、自己資金確認資料やレントロールの偽造が問題となったシェアハウスローンと結び付けることはできない。加えて、団信診断書の偽造が発覚した段階で、再発防止策を含む業務手続の策定が行われ、平成27年1月の経営会議においてこれが確認されるなど、偽造防止のための適切な措置がと られた。 亡Ⓜが事務リスク委員会で報告を受けた事案は、シェアハウスローンか明らかでなく、また、原告では、原本確認の不備が判明した場合には担当者又はその所属長の賞与を減額するなど、原本確認を徹底する体制が備わっていた。 c 亡Ⓜが平成27年1月の経営会議で報告を受けた事案は、投資用マ- 63 - ンションの融資案件であり、シェアハウスローンを含む収益不動産ローン一般に敷衍できる内容であるのか明らかでないから、 亡Ⓜが平成27年1月の経営会議で報告を受けた事案は、投資用マ- 63 - ンションの融資案件であり、シェアハウスローンを含む収益不動産ローン一般に敷衍できる内容であるのか明らかでないから、シェアハウスローンに関する原本確認の懈怠等の認識には結び付かない。 また、上記の経営会議では、営業担当者に対して原本確認を徹底させるとともに、写しが保管されることをもって営業担当者を牽制する ことなど、営業現場における原本確認の方法が検討されていた。 d 出口会議における指摘事項に関しては、そもそも亡Ⓜの同会議への出席状況や、亡Ⓜに対する正確な報告内容自体が不明である。 仮に、亡Ⓜが出口会議に出席して提言された内容を認識したとしても、同会議は、収益不動産ローン一般についての会議であり、債権管 理一般の注意事項について提言されたにすぎず、シェアハウスローンに関する原本確認の懈怠等の認識を生じさせるものではない。 e 新運用基準については、営業店の所属長が融資実行時までに自己資金確認資料の原本確認を厳格に行うこととされており、原本確認を簡素化したものではないから、同基準に運用を変更すること自体に問題 はない。 (イ)リスク分析の懈怠についての認識a シェアハウスローンは、場所、時期及び物件ごとにリスクが異なり、その融資の是非は様々な要素を総合的に考慮して決められるから、シェアハウスローン特有のリスクは存在しない。シェアハウスについて、 外観からの入居率の把握が困難であっても、他の方法で入居率を把握すればよく、直ちに融資を行うべきでないとの結論には結び付かない。 実際、平成28年1月の信用リスク委員会では、シェアハウスにつき賃料ないしサブリース料の支払状況を確認している旨が報告されており、シェアハウスローンを継続す うべきでないとの結論には結び付かない。 実際、平成28年1月の信用リスク委員会では、シェアハウスにつき賃料ないしサブリース料の支払状況を確認している旨が報告されており、シェアハウスローンを継続することについて何ら問題とされて いない。また、経営会議では、上記の信用リスク委員会での報告事項- 64 - が報告されたことを除き、シェアハウスローンに関する報告は一切されていない。 したがって、亡Ⓜが信用リスク委員会や経営会議等において物件調査の報告を受けたことは、シェアハウスローンに関するリスク分析の懈怠の認識を生じさせるものではない。 b 出口会議は、収益不動産ローン一般についての会議であり、債権管理一般の注意事項が提言されたにすぎないから、シェアハウスローンに関するリスク分析の懈怠の認識を生じさせるものではない。 c 平成28年4月の出口会議の時点では、シェアハウスローンの延滞は発生しておらず、少なくとも同時点まではシェアハウスローンの回 収可能性に問題はなかった。 同年5月のシェアハウス会議では、地域等を絞った上でシェアハウスローンの取扱いを絞っていく方向性の検討・協議が開始されたのであって、同年1月末は、シェアハウスローンを継続することを前提にその対応が話し合われた時期であった。 (ウ)不芳業者との取引継続についての認識亡Ⓜのスマートライフとの取引禁止指示は、スマートライフの代表者の逮捕歴を理由として、同社との取引を絶対的に禁止する趣旨で行ったものであり、シェアハウスローンにつき債権保全措置がとられていないことを疑ったものではなかった。当該指示後も亡Ⓜの秘密裏に、別会社 を介在させてスマートライフとの取引が実質的に継続されていた。 したがって、亡Ⓜは スローンにつき債権保全措置がとられていないことを疑ったものではなかった。当該指示後も亡Ⓜの秘密裏に、別会社 を介在させてスマートライフとの取引が実質的に継続されていた。 したがって、亡Ⓜは、不芳業者との取引継続について適切に対処しており、その後のスマートライフとの取引継続を認識し得なかった。 (エ)審査の形骸化についての認識a 亡Ⓜが事務リスク委員会等で報告を受けた事案は、シェアハウスロ ーンでないか、又はシェアハウスローンであることが明らかでなく、- 65 - シェアハウスローンに関する審査の形骸化の認識に結びつくものではない。 平成28年1月末より前に、審査の形骸化が具体的に発現したと原告が主張するシェアハウスローンは1件のみであり、当該事案のみをもってシェアハウスローン債権保全措置懈怠状態の疑念を抱くことは できない。 b 簡素化通達は、原本確認部署を変更するものではなく、審査部に対する融資関係書類等の写しの送付の一部を簡素化するものにすぎないことなどから、同通達を発出することに問題はなかった。 c 亡ⓂがⓄをCo-COOの役職に選任したこと、審査担当者等を恫 喝したり、審査部の人事に権限を及ぼしていたことは、不知ないし争う。 亡ⓂがⓄを上記役職に選任したというのは憶測にすぎず、むしろ、亡ⓂはⓄに歯止めを掛けていたから、亡Ⓜの重用によりⓄが強大な権限を有するに至ったものではない。また、仮にパーソナルバンクに所 属していた者が審査部に異動したとしても、審査部に異動した者は、審査部としての職責に基づいて審査を行うから、当該人事異動は審査機能に影響を及ぼさない。 原告は、取締役会設置会社であり、その決定に基づき業務執行が行われて 、審査部に異動した者は、審査部としての職責に基づいて審査を行うから、当該人事異動は審査機能に影響を及ぼさない。 原告は、取締役会設置会社であり、その決定に基づき業務執行が行われていたところ、亡Ⓜは、非公式の出口会議を開催し、審査部から 実情を確認するなど、原告における問題の把握に努め、営業に対して歯止めを掛けようとしていたのであって、審査の形骸化を認識ないし容認したことはない。 d 出口会議は、収益不動産ローン一般についての会議であり、債権管理一般の注意事項が提言されたにすぎないから、シェアハウスローン に関する審査の形骸化の認識に結びつくものではない。 - 66 - (オ)亡Ⓜに監視監督義務違反がないこと以上のとおり、原告が主張する亡Ⓜの認識に係る各事実は、シェアハウスローン債権保全措置懈怠状態の疑念を抱かせるものではない。当該疑念を基礎付け得る決定的な事実を認識し得たといえるのは、どれほど早くとも、原告の取締役間において、シェアハウスローンの問題点につ き共通の認識が生じた第4回サクト会議以降の事実である。 したがって、亡Ⓜは、平成28年1月末時点において、通常の収益不動産ローンを超えるリスクがシェアハウスローンに含まれるなど、シェアハウスローン債権保全措置懈怠状態を疑うに足りる事実を認識し又は認識し得なかったから、シェアハウスローンについて債権保全措置が とられているかの調査を開始すべき義務を負っていなかった。 ウ信頼の原則亡Ⓜは、内部統制システム構築運用義務に違反しておらず、当該システムの有効性について監視監督を怠った事実はなく、その不備・欠陥等の疑義を有すべき事情も存在しなかった。 したがって、亡Ⓜは、他の取締役や執行 システム構築運用義務に違反しておらず、当該システムの有効性について監視監督を怠った事実はなく、その不備・欠陥等の疑義を有すべき事情も存在しなかった。 したがって、亡Ⓜは、他の取締役や執行役員等の職務執行一般につき常時自ら観察する義務を負わないから、違法行為や不祥事等の兆候となる事実の認識がないことをもって監視監督義務違反を免れることができないとする原告の主張は失当である。 (被告Ⓕの主張) アシェアハウスローンに関する監視監督義務及び債権保全措置義務(ア)被告Ⓕは、原告の渉外業務を中心に担当し、シェアハウスローンの具体的な業務執行に直接関わることはほとんどなく、亡Ⓜ(その死後は被告Ⓚ)及び各管掌取締役が原告の業務執行を担当していたところ、被告Ⓕが取締役会の非上程事項である取締役の業務執行について、その全て を監視監督することは不可能であるから、業務執行を担当する取締役の- 67 - 業務活動の内容を知り又は知ることができる等の特段の事情があるにもかかわらずこれを看過したときに限り、善管注意義務違反が認められる。 (イ)原告が引用する平成21年決定は、あくまで実質倒産状態にある企業に対する個別の融資が問題となった事案にすぎず、これと異なり個別の融資ではないシェアハウスローンという商品類型が問題とされている本 件では、平成21年決定は妥当せず、債権保全措置義務を導くことはできない。 本件4根拠事実は、いずれもシェアハウスローン特有の事情ではなく、収益不動産ローン全体に関する事情であって、シェアハウスローン債権保全措置懈怠状態の疑念を抱かせるものではないから、当該懈怠状態を 基礎付ける事実とはならない。 シェアハウスローンは、それ自体何ら違法又は不当なものではなく、 ハウスローン債権保全措置懈怠状態の疑念を抱かせるものではないから、当該懈怠状態を 基礎付ける事実とはならない。 シェアハウスローンは、それ自体何ら違法又は不当なものではなく、これを商品として取り扱うことに関し、取締役の判断には一定の裁量が認められる。そして、被告取締役らにおいて、シェアハウスローンの実行に係る業務執行の判断につき許容された裁量の範囲を超えて善管注 意義務違反があったか否かは、判断の前提となった事実の認識に不注意な誤りがあったか否か、又は判断の過程・内容が取締役として著しく不合理なものであったか否かにより判断されるべきである(経営判断の原則)。 イ被告Ⓕの認識等 (ア)原本確認の懈怠等についての認識a 簡素化通達は、原本確認の手続を変更するものではなく、審査部が通帳の写しを取り寄せて確認していた実態があったことなどから、同通達によって審査部における融資関係書類等の偽装の確認機会が失われるものではない。また、新運用基準は、営業担当者に対して原本確 認の時期に裁量を与えたものにすぎず、営業担当者が自己資金確認資- 68 - 料の疑義を指摘する時間的・心理的余裕を奪うものではない。 そして、営業担当者が原本確認を懈怠し、又は自己資金確認資料の偽装に関与した場合には、懲戒を受けるとか、民事上ないし刑事上の責任を負う可能性があるところ、そのようなリスクを負ってまで、過大な営業ノルマやパワハラを理由に不正を行うとはいえないから、簡 素化通達及び新運用基準によっても、適正な原本確認を期待することは十分可能であった。 したがって、被告Ⓕは、簡素化通達及び新運用基準を認識していたとしても、原本確認の懈怠等を認識し又は認識し得なかった。 b 団信診断 、適正な原本確認を期待することは十分可能であった。 したがって、被告Ⓕは、簡素化通達及び新運用基準を認識していたとしても、原本確認の懈怠等を認識し又は認識し得なかった。 b 団信診断書の偽造等の通報について報告を受けたとしても、通報自 体は真偽不明の情報提供であり、調査結果と異なる内容も含まれているところ、団信診断書の偽造が確認された事案については、原告において適切に調査した上で対応されていた。通報に対して適切に調査した上で対処されたのであれば、原告のチャネルが多数の融資関係書類等の偽装をしているという認識にはつながらないため、通報を受けて 調査した結果、個別の事案やチャネルにおける偽装が確認されたからといって、当然に他のチャネルも偽装していると認識することにはならない。また、原告は、団信診断書の審査ではなく転送を担うにすぎず、融資審査で原本を確認するものではないから、団信診断書の偽造事案が報告されたとしても、原本確認の懈怠等の疑いを持つ契機には なり得なかった。 また、訴訟事件に関する報告についても、これにより原告の営業現場で原本確認が懈怠されているなどと認識することはできないことに加え、当該報告は原本確認をしても看破できない不正があった事案であるから、原告における原本確認の懈怠によってチャネルの融資関係 書類等の偽装が見逃されているという認識も持ち得ず、原告の行員が- 69 - 偽装に関与していることも認識できない。 c 被告Ⓕは、平成27年1月の経営会議において、所得確認資料の改ざんの疑いについての報告を受けた際、執行役員から原本確認を徹底させている旨の報告を受け、原本確認の状況に不安はないと認識した上で、銀行には所得確認資料の原本確認を行う義務があり、仮 得確認資料の改ざんの疑いについての報告を受けた際、執行役員から原本確認を徹底させている旨の報告を受け、原本確認の状況に不安はないと認識した上で、銀行には所得確認資料の原本確認を行う義務があり、仮に原本 確認を怠っていれば問題であるから確実に行うようにとの趣旨で発言したにすぎず、原本確認の懈怠等又はその疑いを認識していたわけではない。 d 原告の融資基準を逆手に取った売買契約後の値引きの覚書や、自己資金確認資料の偽造に関する通報については、顧客の契約書類、物件 の入居状況等の適切な調査がされた結果、値引きの覚書以外に書類の偽造等の事実は発見されなかった旨が報告された。また、値引きの覚書については、原告の従業員が融資審査で原本確認を行っても防止し難い不正であったところ、原告においては上記通報に係るチャネルを取扱停止とする対応をした。 したがって、上記通報に係る報告は、原告における原本確認体制の不備や原本確認の実態について疑義を抱かせるものではなく、少なくともシェアハウスローンに関する原本確認の懈怠等の認識又は認識可能性につながるものではない。また、原告の行員が融資関係書類等の偽装に積極的に関与していた形跡がうかがわれない状況において、原 告で保管されている融資関係書類等について、融資時に原本確認が行われた前提でこれを基礎資料として偽装の痕跡を調査することは不合理ではない。 e そのほか、被告Ⓕが、営業偏重の企業風土や営業現場でのパワハラ、チャネル依存の経営等を認識し又は認識し得たとする原告の主張は、 被告Ⓕが原告の創業家の出身であり、原告を長年経営していたことを- 70 - 根拠とするものにすぎず、被告Ⓕがこれらを認識し又は認識し得た理由になっていないことに加え、被告Ⓕの 張は、 被告Ⓕが原告の創業家の出身であり、原告を長年経営していたことを- 70 - 根拠とするものにすぎず、被告Ⓕがこれらを認識し又は認識し得た理由になっていないことに加え、被告Ⓕの主たる業務が対外的な活動にあることから、その前提においても誤りである。 一般論としても、営業偏重の企業風土や営業現場でのパワハラ、チャネル依存の経営等と原本確認の懈怠等との間に合理的な関連性はな いから、これらの事実を認識し又は認識し得たことをもって、原本確認の懈怠等を認識し又は認識し得たとするのは、明らかに論理の飛躍がある。 (イ)リスク分析の懈怠についての認識a 平成29年当時、投資用不動産向けの融資を取り扱う金融機関にお いて、融資実行後の期中管理として、収益物件の入居率調査が一般的に実施されていたとはいい難く、原告が実施していた定期的な物件調査による入居率の調査は、業界水準からみても先進的であった。 原告では、収益不動産ローンに係る担保不動産の定期的な物件調査として、外観からの入居率の調査、メンテナンス・清掃状況の調査、 不動産業者への賃料相場・需要の聞き取り等が行われていた。シェアハウスについては、外観からの入居率の把握が困難であったことから、賃料ないしサブリース料の支払状況が確認されていたところ、サブリース料の支払原資は当該物件の賃料であるため、入居状況を確認する手段として適切であった。 このように、シェアハウスについては、代替的な期中管理として賃料ないしサブリース料の支払状況の確認を行っていたから、外観からの入居率の把握が困難であることをもって、必ずしも危険な商品であることにはならない。したがって、シェアハウスについて外観からの入居率把握が困難であることを認識したからといって、リスク から、外観からの入居率の把握が困難であることをもって、必ずしも危険な商品であることにはならない。したがって、シェアハウスについて外観からの入居率把握が困難であることを認識したからといって、リスク分析の 懈怠を認識し又は認識し得ない。 - 71 - b 物件自体に問題があり、空室だらけの物件を入居ありとして物件評価を取っている案件が多数ある旨の通報に関しては、偽装は事実として確認されていない旨が報告されている。 そのほか、信用調査機関である株式会社帝国データバンク(以下「帝国データバンク」という。)の調査報告書等の資料とともに、上記通 報に係るチャネルの紹介顧客から受領した書類の調査を行った結果、書類偽造の事実は発見できなかったこと、過去に当該チャネルの持ち込みにより融資を実行した顧客から苦情等が寄せられていないこと、原告としては当該チャネルに関する融資案件を取扱中止にしたこと等が報告されており、上記通報で示されたいずれの不正についても、原 告の行員の関与は発見されなかった。 したがって、上記通報に係る報告を受けたとしても、シェアハウスローンに関与するチャネルが入居率を偽装して融資を実行させているなどのリスク分析の懈怠を認識し又は認識し得ない。 (ウ)不芳業者との取引継続についての認識 a 亡Ⓜがスマートライフとの取引禁止を指示した当時、同社に関しては、融資関係書類等の偽装といった不正行為への関与は何ら発覚しておらず、当該指示がされた理由は、同社の元代表者の逮捕歴のみである。 そして、亡Ⓜの上記指示は口頭によるものとされており、原告内部 で正式な処理はされていなかったことから、被告Ⓕは、スマートライフの存在はもとより、当該指示及びその理由などについても何ら知らなかった 、亡Ⓜの上記指示は口頭によるものとされており、原告内部 で正式な処理はされていなかったことから、被告Ⓕは、スマートライフの存在はもとより、当該指示及びその理由などについても何ら知らなかった。 b チャネル管理のシステム(以下「チャネルPRM」という。)が導入されたからといって、取引上の不正を行おうとする外部の不芳業者 が出現しなくなるわけではない。 - 72 - また、チャネルの不芳情報に関する通報それ自体は、真偽不明の情報提供にすぎず、重要性や根拠の有無も様々であり、怨恨等の不純な動機に基づくものも混在するところ、仮に当該通報の内容に事実が含まれるとしても、チャネルの組織的な関与があるのか等を考えるべきであるから、単にチャネルの不芳情報に関する通報を認識したことを もって、不芳業者との取引継続を認識し又は認識し得ることにはならない。 被告Ⓕに報告されたチャネルの不芳情報に関する通報については、いずれも適切な対応がされている。 したがって、チャネルPRMを導入後もチャネルの不芳情報に関す る通報が継続していることを認識したからといって、不芳業者との取引継続を認識し又は認識し得たとはいえない。 (エ)審査の形骸化審査の形骸化に関する兆候事実のうち、被告Ⓕが認識し又は認識し得たと原告が主張する事実の大半は、被告Ⓕが原告を長年経営していた等 を理由とするものにすぎず、理由がない。 (オ)サクト会議を通じての認識a 第1回サクト会議及び第2回サクト会議では、シェアハウスローン全般を停止すべきと考えられるようなリスクに関して議論された形跡はなく、第3回サクト会議においても、専らサクト案件への対応につ いて議論されており、その延長線上の問題として、融資先のサブリースの相手方が特 きと考えられるようなリスクに関して議論された形跡はなく、第3回サクト会議においても、専らサクト案件への対応につ いて議論されており、その延長線上の問題として、融資先のサブリースの相手方が特定のサブリース業者に集中すると、当該サブリース業者の破綻リスクを無視できないことが議論された。 被告Ⓕは、第4回サクト会議前の時点で、亡Ⓘからシェアハウスビジネスの概略的な説明を受けたものの、その全体像は理解できず、亡 Ⓘから聞いた話を踏まえて、営業と審査部の責任の押し付け合いでは- 73 - なく、組織として対応策を考えてほしい旨を伝えた。その際、被告Ⓕは、亡Ⓘに対し、シェアハウスローンは経営判断で決定して推進してきた旨や、第4回サクト会議で自らの意見を伝えてほしい旨を述べておらず、シェアハウスローンの継続等も指示していない。 そして、被告Ⓕは、第4回サクト会議後に、亡Ⓘから同会議の議論 の内容等について報告を受けていない。 b 第4回サクト会議の内容についてみても、シェアハウス全件調査の結果に対する営業本部の説明の真偽が不明であり、当該調査結果がシェアハウスローン全般のリスクにつながるか判然としない状況であった。 また、第4回サクト会議では、スマートライフが実質的に融資額ベースでシェアハウスローン全体の約6割に関与していると報告されたものの、融資先がスマートライフとの取引を任意に希望したものであって、これを覆す事情は明らかとなっていなかった。 亡Ⓜによるスマートライフとの取引禁止の指示は、その存在及び内 容が不明確であることに加え、その理由も同社の元代表者の逮捕歴にすぎず、取引停止の根拠として十分なものか疑義があり、第4回サクト会議に出席した被告取締役らにおいても、上記のスマートライ び内 容が不明確であることに加え、その理由も同社の元代表者の逮捕歴にすぎず、取引停止の根拠として十分なものか疑義があり、第4回サクト会議に出席した被告取締役らにおいても、上記のスマートライフの関与割合については、管理会社ないしサブリース会社の集中リスクの文脈で議論しており、必ずしもスマートライフが不正行為を行う可能 性の高い悪質な業者であるとは捉えていなかった。 そして、第4回サクト会議においては、審査の形骸化については全く話題に上がっていなかった。 (カ)被告Ⓕに監視監督義務違反がないことa 以上のとおり、第4回サクト会議の時点では、営業本部の説明に関 する調査が不十分であり、様々なリスク要因の兆候を踏まえて必要な- 74 - 議論ないし調査を継続していた段階であった。そして、シェアハウスローンは、他の金融機関も取り扱っている商品であり、商品自体が危険で取り扱うことが許されないものではなく、チャネルによる偽装及び原告の行員の関与又は黙認が問題であったところ、少なくとも、第4回サクト会議の時点ではこれらをうかがわせる事情がなく、また、 同会議の出席者において、スマートライフの信用不安や偽装への関与について何ら把握していなかった。そうすると、当時の原告の財務状況やシェアハウスローンの融資額の減少傾向等の諸般の事情を踏まえ、原告の経営に与える影響の程度を考慮すれば、経営判断の前提となる情報収集を待ってから慎重に判断することは不合理ではなかった。 第4回サクト会議後、原告においては、引き続き審査部を中心にシェアハウスに関する調査が実施され、管理会社の集中リスク等に対処するための収益不動産ローンに関する基準が議論された。そして、最終的にシェアハウスローン問題に関しては、平 は、引き続き審査部を中心にシェアハウスに関する調査が実施され、管理会社の集中リスク等に対処するための収益不動産ローンに関する基準が議論された。そして、最終的にシェアハウスローン問題に関しては、平成30年2月の取締役会で危機管理委員会の設置を含む経過を全て報告しており、その報告 時期も特段問題はない。 b 以上によれば、シェアハウスローン問題の発生からシェアハウスローンの実行停止に至るまで、判断の前提となる事実を認識するための適切な情報収集やその分析・検討が行われ、把握した事実に基づく適切な過程・内容の意思決定が行われた。したがって、シェアハウスロ ーンの業務執行に当たった他の被告取締役らに善管注意義務違反はないから、被告Ⓕの監視監督義務違反もない。 仮に、他の被告取締役らに違法又は不当な業務執行があったとしても、被告Ⓕにおいて、第4回サクト会議の時点でそのような業務執行をうかがわせる事情を認識することができなかったため、監視監督義 務違反はない。また、第4回サクト会議後に、取締役会や経営会議等- 75 - において何らかの報告を求め、それ以外で情報収集を行わなければならない合理的な理由はなかったから、第4回サクト会議後においても、被告Ⓕの監視監督義務違反はない。 ウ信頼の原則原告では、シェアハウスローンを含む個人融資に関する内部統制システ ムとして、通常想定される融資関係書類等の偽装リスクへの対策を踏まえた体制が敷かれて有効に機能しており、被告Ⓕにおいて、当該体制に不備があることを認識し又は認識し得なかった。 したがって、シェアハウスローンに関する被告Ⓕの監視監督義務については、信頼の原則が適用される。 (被告Ⓖの主張)アシェアハウスローンに ことを認識し又は認識し得なかった。 したがって、シェアハウスローンに関する被告Ⓕの監視監督義務については、信頼の原則が適用される。 (被告Ⓖの主張)アシェアハウスローンに関する監視監督義務及び債権保全措置義務(ア)原告の社内規程において、管掌取締役の定義やその具体的な職務内容、権限等に関する規定は存在せず、取締役会においても管掌部門が決議されるのみで、その具体的な職務内容等が決議されることはなかった。ま た、原告においては、執行と監督の分離の原則を前提として、取締役会を構成する取締役は原則として業務執行に従事しない組織体制であり、管掌取締役もあくまでこれを前提とするものであったから、管掌取締役の職務内容、権限等に業務執行が含まれることは想定されていなかった。 そして、執行役員規程によれば、執行役員に対して指揮監督権限を有 するのはあくまで代表取締役であり、管掌取締役は、管掌部門を担当する執行役員に対し、何らの指揮監督権限もなく、取締役会等で管掌部門に関する報告事項等についての説明を形式的に担当する程度の役割しか求められていなかった。また、営業本部において、管掌取締役に対する報告事項を定めた具体的な社内規程も存在せず、執行役員であったⓄ は、管掌取締役であった被告Ⓖではなく亡Ⓜに対し、融資に関する重要- 76 - 事項を報告し、指揮命令を受けていた。 (イ)平成21年決定は、あくまで倒産状態という特殊な状況にある企業グループへの個別の融資判断の是非を問題としたものにすぎず、シェアハウスローン全般を問題とする本件とは債権保全措置として考慮すべき内容が異なる。また、シェアハウスローンにおいては、顧客に対し、物的 担保(購入土地及び建築建物)を徴求した上で、外部の専門機関に不動産鑑 ン全般を問題とする本件とは債権保全措置として考慮すべき内容が異なる。また、シェアハウスローンにおいては、顧客に対し、物的 担保(購入土地及び建築建物)を徴求した上で、外部の専門機関に不動産鑑定を依頼して当該担保の価値を確認していたほか、支払原資の一部として自己資金や収入資料等を要求するなど、各融資につき確実な担保を徴求するなどの相当の措置をとっていた。 シェアハウスローンに関する経営判断については、経営判断の原則が 適用されるべきであり、経営判断の前提となる事実認識の過程(情報収集とその分析、検討)に不注意な誤りがあり合理性を欠いているか、その事実認識に基づく意思決定の過程及び内容に著しく不合理な点があったか否かという観点で判断すべきである。 イ被告Ⓖの認識等 (ア)原本確認の懈怠等についての認識前提として、シェアハウスローンについて、融資関係書類等の偽装が極めて多数存在した事実はなく、シェアハウスローンにおける融資関係書類等の原本確認の懈怠はなく、あったとしても極めて限定的であった。 a 営業本部営業企画は、原本確認の責任部署が営業店の所属長である ため、融資案件の全件につき融資関係書類等の写しの全てを審査部に送付することが無意味ではないかとの意見を受けて簡素化通達を提案し、審査部からも異議なく承認されたことから、同通達を発出した。 簡素化通達は、営業店の所属長が原本確認を行う融資関係書類等の一部について、審査部への写しの送付を簡素化するものにすぎず、融 資実行の重要事項である物件価格に係る資料については変更されなか- 77 - った。また、簡素化通達は、審査役が個別の融資案件について、所属長の確認書類の原本又は写しの送付を求めることを否定するものでは 要事項である物件価格に係る資料については変更されなか- 77 - った。また、簡素化通達は、審査役が個別の融資案件について、所属長の確認書類の原本又は写しの送付を求めることを否定するものではなく、審査役の責任において必要な審査をすることが可能であった。 以上のとおり、簡素化通達は、審査部からも異議が出なかったものであり、従前の融資審査に大きな影響を与えるものではないから、融 資関係書類等の偽装のリスクを助長するものではない。そして、営業店の所属長は、従前から融資関係書類等の原本確認を担当しており、その偽装を見過ごした場合には賞与減額処分を受けるなどの責任を負う地位にあったから、営業が融資関係書類等の偽装に加担するような事態を想定することは困難であった。 b 団信診断書の偽造については、その都度、再発防止策が講じられており、また、調査の結果、チャネルの担当者が行ったものであって、原告の行員が関与している可能性は極めて低い旨が報告されるなど、原告の行員の関与は認められなかった。そして、当時の原告では、チャネルPRMへの登録によって、不芳業者との取引を停止する仕組み が設けられており、他の金融機関と比較して厳格なチャネルの管理体制が構築されていた。 したがって、団信診断書の偽造等が報告されたとしても、原告やそのチャネルにおいて融資関係書類等の偽装がまん延していることや、それを受けて営業本部において独自に債権保全措置に関する調査を行 わなければならないことを認識し又は認識し得る端緒は存在しなかった。 c 平成27年1月の経営会議における亡Ⓘや被告Ⓕの各発言は、投資用マンションの融資に係る所得確認資料の改ざんの疑いについて報告された際のものである。そして、当該疑いについては、亡Ⓘの下で c 平成27年1月の経営会議における亡Ⓘや被告Ⓕの各発言は、投資用マンションの融資に係る所得確認資料の改ざんの疑いについて報告された際のものである。そして、当該疑いについては、亡Ⓘの下で調 査ないし検討しており、弁護士と相談して対応している旨が報告され- 78 - た。 被告Ⓖは、上記の経営会議の時点において、当時の営業では原本確認が徹底されていると認識しており、原本確認が徹底されていないと認識し又は認識し得る事情も存在しなかった。したがって、上記の経営会議は、原告やそのチャネルにおいて融資関係書類等の偽装がまん 延していることや、それを受けて営業本部において独自に債権保全措置に関する調査を行わなければならないことを認識し又は認識し得る端緒にならなかった。 d 新運用基準では、自己資金確認資料は融資の実行前に厳格に所属長責任において確認するものとされており、原本確認の時期を稟議申請 時から融資実行時までに変更したにすぎず、原本確認をしなければ融資が実行できないことに変わりはなかった。 そして、新運用基準以前から、営業店の所属長が自らの責任で原本確認を行っており、原告の審査は他の金融機関と比較しても厳格であった。 e 原告では、融資実行前に売買契約書の原本を確認していたところ、その後に顧客が売買契約書を書き換え、あるいは値引きの覚書を作成した場合、審査ないし融資実行までに原告の営業担当者や審査担当者が見抜くことは困難である。 また、審査部は、売買代金の不正を見抜くために、外部の不動産鑑 定評価会社に再評価を依頼していたから、審査部による審査が正常に行われていれば、市場価格と乖離した売買代金の設定等の不正を防止することができた。 (イ)リスク分析の懈怠に の不動産鑑 定評価会社に再評価を依頼していたから、審査部による審査が正常に行われていれば、市場価格と乖離した売買代金の設定等の不正を防止することができた。 (イ)リスク分析の懈怠についての認識a 物件の入居率の調査は、資産形成ローンのうち、特に融資額が高額 となる一棟中古物件(融資残高1億5000万円以上の物件)につい- 79 - て、担保である収益物件の価値(返済の原資である賃料も含む。)の著しい低下を招き、ひいては回収不能に陥らないための融資後の融資管理方法が必要となり議論されたものにすぎず、融資自体のリスクが議論されたものではない。 そして、シェアハウスの入居率の把握についても、融資後の融資管 理方法にすぎず、平成28年1月の信用リスク委員会では、入居率の把握以外の融資管理方法として、現地では事業の稼働状況のみを確認し、併せてサブリース料の支払状況を確認することで対応している旨が報告され、シェアハウスローンが回収不能に陥ると認識し又は認識し得る事情はなかった。 したがって、被告Ⓖにおいて、仮にシェアハウスが外観からの入居率の把握が困難であることを認識し又は認識し得たとしても、それにより直ちにシェアハウスローンが回収不能に陥るリスクがあり、原告として債権保全措置をとるべき端緒と捉えることは不可能であった。 b 物件自体に問題があり、空室だらけの物件を入居ありとして物件評 価を取っている案件が多数あるという通報については、原告において調査を行った結果、書類偽造の事実は発見できなかったこと、当該通報に係る融資案件は概ね原告の時価評価の範囲内となっていること、過去に当該通報に係るチャネルの持込案件に関する顧客の苦情は確認できていないこと、当該通報に係るチャネルは 発見できなかったこと、当該通報に係る融資案件は概ね原告の時価評価の範囲内となっていること、過去に当該通報に係るチャネルの持込案件に関する顧客の苦情は確認できていないこと、当該通報に係るチャネルは取扱中止登録済みであ ることなどが確認された。 したがって、被告Ⓖにおいて、上記の調査結果を疑い、営業本部が独自に債権保全措置に関する調査を行わなければならないことを認識し又は認識し得る端緒は存在しなかった。 c 被告Ⓖが具体的な内容を知っていた融資案件は、SSP会議で取り 扱う貸付額2億円から3億円の中古一棟建物購入等に係るローンのみ- 80 - であった。そして、平成28年ないし平成29年の融資案件で審査意見の多数を占めるのは家賃設定の疑義であり、シェアハウスローンの全てに自己資金に対する疑義があったわけではない。 d そのほか、原告には、様々な資金使途に対応する汎用フリーローンが存在したため、基本的に借入使途ごとに新商品を開発する必要はな い。したがって、過去に営業本部がリスク分析を主眼として新商品開発を検討したことはなく、シェアハウスローンについても要望がなかったため、特に新商品開発は行われなかった。 また、被告Ⓖに対しては、本件承認リストにつきメール等による連絡はなかったから、その末尾まで確認すべき重要な資料であるとの認 識に欠けてもやむを得ない状況であった。したがって、被告Ⓖは、平成28年6月以降、本件承認リストにおいて、他の収益不動産ローンとシェアハウスローンが区別されたことにつき明確な認識がなく、かつ、認識できないことがやむを得ない状況にあったから、本件承認リストは、被告Ⓖが債権保全措置をとるべき端緒とはなり得なかった。 (ウ)不芳業者との取引継続についての認 き明確な認識がなく、かつ、認識できないことがやむを得ない状況にあったから、本件承認リストは、被告Ⓖが債権保全措置をとるべき端緒とはなり得なかった。 (ウ)不芳業者との取引継続についての認識a チャネルに関する不芳情報が提供された場合、当該チャネルにつき取引停止するか否かは、当該情報の調査、検討次第であり、一律に取引停止の措置がとられていたわけではない。お客さま相談センターが各担当部署に不芳情報を報告した後は、各担当部署が当該情報の分析、 検証と対応策の検討を行い、各担当部署が単独では解決できないと判断した事案については、リスク委員会等に上程されて組織的な問題解決を図るとともに、経営会議に報告することとされていた。 スマートライフやアマテラスに関する不芳情報については、審査部が単独で対応したため、被告Ⓖは当該不芳情報を知らなかった。そし て、当時の審査部長である被告Ⓗから直接報告を受けた亡Ⓜは、経営- 81 - 会議等に諮ることなくスマートライフとの取引禁止を指示したから、被告Ⓖにおいて当該指示を認識し又は認識し得なかった。 b アマテラスが持ち込んだ融資案件について、客観的な資料からスマートライフの関与を把握することは困難であり、アマテラスとの取引が禁止となって以降、スマートライフは様々な販売会社を表向きの持 込業者とすることで関与し、特定のチャネルにスマートライフ案件を振り分ける役割を担わせるなど、通常容易に想定し難い方法により迂回取引を行っていた。また、被告Ⓖは、平成28年3月頃、スマートライフに関する記事がインターネット上に掲載されたことを受け、部下に対し、原告とスマートライフとの取引の有無を確認したところ、 原告の把握するチャネルにスマートライフの名前はなく、取 スマートライフに関する記事がインターネット上に掲載されたことを受け、部下に対し、原告とスマートライフとの取引の有無を確認したところ、 原告の把握するチャネルにスマートライフの名前はなく、取引は確認できない旨の報告を受けた。 以上のような状況において、被告Ⓖがスマートライフとの取引継続を疑うことは困難であった。 (エ)審査の形骸化についての認識 a シェアハウスローンについて、融資関係書類等の偽装が極めて多数存在した事実はないから、被告Ⓖは、他の融資案件における偽装の報告を受けていたとしても、シェアハウスローンについて審査の形骸化を認識し又は認識し得なかった。 b 簡素化通達以前から、原本確認の責任は営業店の所属長が負うもの とされており、審査部は写しを確認していたにすぎず、疑義が生じた場合には審査部から追加資料の送付や追加説明を求めることができたし、新運用基準は、原本確認の時期を融資実行時までに変更したものにすぎないから、簡素化通達及び新運用基準により審査が制約された事実はない。 cSSP会議で取り扱い、被告Ⓖが具体的な内容を把握していた融資- 82 - 案件は、貸付額2億円ないし3億円の借入使途中古一棟建物購入等に係るローンが5件ないし6件にすぎず、1億円程度のシェアハウスローンなどを議題として取り扱ったことはなかった。SSP会議では、審査部が2件ないし3件を不承認としており、被告Ⓖにおいて審査の承認率が99%を超えているとの認識はなく、また、原告においては、 1億円以上の融資案件については、本審査の依頼に先立ち、営業及び審査部の幹部がSSP会議で意見交換をしており、同会議での審査部の承認又は不承認の意見を受け、営業において承認可能性の高い融資案件の 1億円以上の融資案件については、本審査の依頼に先立ち、営業及び審査部の幹部がSSP会議で意見交換をしており、同会議での審査部の承認又は不承認の意見を受け、営業において承認可能性の高い融資案件のみ本審査を依頼する仕組みとなっていたから、本審査の承認率が高くなることは特段不自然ではなかった。 平成28年ないし平成29年の融資案件で審査意見の多数を占めるのは家賃設定の疑義であり、シェアハウスローンの全てに自己資金の疑義や営業からの圧力はなかった。加えて、原告が主張する審査意見は、パーソナルバンクの圧力をうかがわせる内容ではなく、パーソナルバンクが明示された内容であっても、シェアハウスローンの取扱件 数の増加に比例して否定的な審査意見が増加したと原告が主張する時期(平成28年及び平成29年)とは必ずしも一致しない。 d 被告Ⓖは、センター長会議に出席しておらず、同会議の内容について知らない。 そのほか、被告Ⓖは、営業の審査部に対する圧力を認識したことは なく、自ら圧力をかけたという認識もない。また、被告Ⓖは、Ⓞの審査部に対する恫喝等について営業や審査部から苦情を聞いたことはなく、そのような行動を承認するほど亡ⓂとⓄに密接な関係があったことも認識していない。また、審査は、融資に係る営業の経験を必要とし、従前から営業の経験者が審査部に配属されることが多くあったか ら、Ⓞの経歴を踏まえると、審査部にⓄの部下の割合が増えることは- 83 - 不自然ではない。 そして、被告Ⓖにおいて、取締役会で決議された営業目標が過大であり、営業店の所属長や担当者による規律違反を招くと認識し又は認識し得る事情はなかった。また、営業において積極的に情報を収集する根拠はなく、かつ、原告内部にはパワハラに関する苦情、相談 目標が過大であり、営業店の所属長や担当者による規律違反を招くと認識し又は認識し得る事情はなかった。また、営業において積極的に情報を収集する根拠はなく、かつ、原告内部にはパワハラに関する苦情、相談窓口 が設置されていたから、営業が独自にパワハラを把握する義務もなかった。 (オ)サクト会議を通じての認識a サクト会議は、サクトからサブリース料の支払を受けられなくなった債務者への対応を議論したものであり、シェアハウスローン全体の 今後については、第3回サクト会議以降において、付随的に一部議論があったにすぎない。 そして、少なくとも第3回サクト会議においては、シェアハウスローン全体について、直ちに債権保全措置をとることを議論する必要があるような危機的な状況とは捉えられていなかった。 b 第4回サクト会議では、審査部のシェアハウス全件調査の結果と営業本部の調査結果との間に食い違いはあったものの、営業本部が真実と異なる報告をしていたと認識できる客観的証拠は存在しなかったことから、亡Ⓘの主導の下で営業本部、審査部及び経営企画部がそれぞれ調査を行い、具体的な対応策の検討を行うべく、今後の対応策案が 示されたにすぎなかった。そのほか、第4回サクト会議の概要及びその後の対応については、被告Ⓗ、被告Ⓙ、被告Ⓚ及び被告Ⓛ(以下「被告Ⓗら」という。)の主張を自己に有利に援用する。 また、被告Ⓖは、原告とスマートライフとの取引がないことは認識していたが、それが亡Ⓜの指示によるものであると認識しておらず、 第4回サクト会議の時点で、スマートライフとの取引継続を認識し又- 84 - は認識し得る事情はなかった。 さらに、第4回サクト会議の時点で、シェアハウスローンの延滞はほと おらず、 第4回サクト会議の時点で、スマートライフとの取引継続を認識し又- 84 - は認識し得る事情はなかった。 さらに、第4回サクト会議の時点で、シェアハウスローンの延滞はほとんどなく、デフォルトも1件程度であった。 c 以上のとおり、被告Ⓖは、第4回サクト会議までを通じて、シェアハウスローン全般のリスク、スマートライフとの取引継続、原告にお ける審査の形骸化について議論した旨の認識はなく、同会議でシェアハウスローンの全てのリスクが明確になったわけではなかった。 したがって、第4回サクト会議の時点において、シェアハウスローン債権保全措置懈怠状態を認識し又は認識し得る事情がなかったから、被告Ⓖを含む同会議に出席した被告取締役らにおいて、十分な調査を 行わずに原告の主力商品となっていたシェアハウスローンの実行を全て差し止めるという経営判断は不可能であった。 (カ)被告Ⓖに監視監督義務違反がないことa 以上によれば、被告Ⓖは、平成28年12月末時点において、シェアハウスローン債権保全措置懈怠状態を疑うに足りる事実を認識し又 は認識し得なかったから、シェアハウスローンについて債権保全措置がとられているかの調査を開始することは不可能であり、被告Ⓖに監視監督義務違反はない。 b また、被告Ⓖは、第4回サクト会議の時点において、単独でシェアハウスローンの実行を停止する権限を有していなかったことに加え、 同会議までの状況にも鑑みれば、シェアハウスローンの実行を停止すべき義務を負っていたとはいえず、監視監督義務違反はない。 原告は、第4回サクト会議後の調査ないし検討を踏まえ、シェアハウスローンの審査基準を厳格化し、平成29年11月をもってシェアハウスローンの取扱いを全社レ ていたとはいえず、監視監督義務違反はない。 原告は、第4回サクト会議後の調査ないし検討を踏まえ、シェアハウスローンの審査基準を厳格化し、平成29年11月をもってシェアハウスローンの取扱いを全社レベルで終了するなど、被告取締役らが 銀行の取締役として求められる水準を十分に満たした迅速な対応を行- 85 - い、その注意義務を果たしたことについて、被告Ⓗらの主張を自己に有利に援用する。 ウ信頼の原則原告のように、専門知識と能力を有する行員を配置し、融資に際して各部署がそれぞれの立場から重畳的に情報収集、分析及び検討を加える手続 が整備された銀行においては、取締役は、特段の事情のない限り、各部署において期待された水準の情報収集、分析及び検討が誠実にされたとの前提に立って、自らの意思決定をすることが許される。このような組織における意思決定の在り方に照らすと、上記の特段の事情の有無は、当該取締役の知識・経験・担当職務、案件との関わり等を前提に、当該状況に置か れた取締役がこれらに依拠して意思決定を行うことに当然に躊躇を覚えるような不備・不足があったか否かにより判断すべきである。 そして、被告Ⓖについては、平成28年12月末及び平成29年7月5日のいずれの時点においても、上記の特段の事情はないから、各部署の行った情報収集、分析及び検討に依拠して意思決定を行うことが許される。 (被告Ⓔの主張)アシェアハウスローンに関する監視監督義務及び債権保全措置義務(ア)原告の社内規程上、管掌取締役を置く部署について具体的な定めはなく、審査部を含め管掌取締役の設置の有無が分かれる時期もあり、執行役員規程上も管掌取締役の指揮監督権限に関する定めはなかった。そし て、審査部の管掌取締役については 署について具体的な定めはなく、審査部を含め管掌取締役の設置の有無が分かれる時期もあり、執行役員規程上も管掌取締役の指揮監督権限に関する定めはなかった。そし て、審査部の管掌取締役については、その具体的な職務内容等を定めた取締役会決議や同取締役に対する報告事項を定めた社内規程は存在せず、審査部所属の行員の人事に関与する権限も付与されていなかったほか、SSP会議等の審査に関する重要会議への出席が求められず、会議の結果等について報告を受けることもなく、信用リスク委員会もオブザーバ ーとして傍聴し得るにすぎなかった。 - 86 - 被告Ⓔにおいても、融資に関する稟議について独自の決裁権限を付与されていなかったほか、審査部の指揮命令系統が執行役員である審査部長を頂点として完結していたことから、審査部を管掌することが決定されて以来、審査部の指揮命令系統から切り離され、指揮監督権限や報告事項等の明確な定めがない中で合理的に可能な方法で問題の把握等に 最大限努めていたのが実情であり、審査部の指揮命令系統に組み込まれて日常的に業務に関する報告を受ける状況には全くなかった。 以上に照らせば、審査部の管掌取締役であった被告Ⓔは、管掌部門である審査部の職務執行に対する監督義務を負う立場になく、上記のような審査部の管掌取締役の職責及び実態に照らすと、審査部の管掌取締役 には、取締役会等における審査部関連の報告事項等についての説明を形式的に担当する程度の役割しか求められていなかった。 (イ)平成21年決定等は、いずれも破綻に瀕した特定の融資先に対する個別の融資に係る銀行の取締役の責任が追及された事案であるのに対し、本件はシェアハウスローンという類型の融資全体の実行継続に係る銀行 の取締役の責任が追及されている事案である。 融資先に対する個別の融資に係る銀行の取締役の責任が追及された事案であるのに対し、本件はシェアハウスローンという類型の融資全体の実行継続に係る銀行 の取締役の責任が追及されている事案である。したがって、個別の融資に係る融資先の経営状況、資産状態等を調査し、その安全性を確認して貸付けを決定し、原則として確実な担保を徴求する等の相当の措置(債権保全措置)が十分にとられていたか否かという判断枠組みは本件に妥当せず、シェアハウスローン類型に関する銀行の取締役の義務として、 債権保全措置義務を位置付けるのは失当であり、当該義務を前提とする監視監督義務の主張も失当である。 (ウ)銀行の取締役は、不確実かつ流動的なビジネスの現場において、直面する各種のリスクを適切に把握、管理しつつ収益を確保すべく適切な経営判断を行うことが求められるから、当該経営判断については、原則と して取締役の広範な裁量に委ねるのが最も適切である。 - 87 - シェアハウスローンについても、原告の経営戦略の推進過程において発生したものであり、その商品類型全体の融資の実行継続に関する原告の取締役の判断においては、当該融資を実行継続することにより原告に生じる利害得失等に関する広範かつ専門的な考慮が求められ、取締役の広範な裁量が認められるべきである。したがって、被告取締役らの上記 判断に係る善管注意義務違反の有無は、行為当時の状況に照らし合理的な情報収集、調査及び検討等が行われたか否か、その状況と取締役に求められる能力水準に照らし不合理な判断がされなかったか否かを基準に判断されるべきである(経営判断の原則)。 イ被告Ⓔの認識等 (ア)原本確認の懈怠等についての認識a 簡素化通達においても、所得確認資料のうち確定申 否かを基準に判断されるべきである(経営判断の原則)。 イ被告Ⓔの認識等 (ア)原本確認の懈怠等についての認識a 簡素化通達においても、所得確認資料のうち確定申告書及び法人決算書は、稟議申請時に添付するものとされており、また、提出必須書類以外であっても融資案件の内容により適宜審査部に送付することとされていた。同通達が発出された後、審査部内の会議において、個人 ローンの運用基準における自己資金確認資料の取扱いについて、営業担当者による融資実行前までの確認という条件から、稟議申請時に原本写しを添付することへの変更を決定した。それ以降、審査担当者は、営業担当者に対し、自己資金確認資料が未送付の融資案件について、送付の指示をしていた。 以上のとおり、自己資金確認資料については審査部で確認しており、他の資料についても、少なくとも審査部に送付されたものは審査部が確認しており、審査部に送付されていないものについても営業において必要書類を確認していたから、営業において審査部が行っていた自己資金確認資料の確認業務を引き取った事実は存在しない。また、仮 に営業担当者が過大な営業ノルマを課されて圧力をかけられ、あるい- 88 - は不動産業者と密接な関係であったとしても、自らの義務とされている原本確認を怠ることにはつながらず、自己の会社に最終的に損害を与えることを知りながら融資を実行するといった懲罰対象となる背任的行為に及ぶとは考えられない。 b 団信診断書は、原告がその内容を確認する書類ではなく、その偽造 についても原本確認により判明するものではないから、原本確認を怠ったことにより融資関係書類等の偽装を招くという関係にはない。また、原告の行員が団信診断書の偽造に関与してい 類ではなく、その偽造 についても原本確認により判明するものではないから、原本確認を怠ったことにより融資関係書類等の偽装を招くという関係にはない。また、原告の行員が団信診断書の偽造に関与していないことが判明し、融資手続上の規律違反等はなかったほか、経営会議等における審議を経て、業務手続を改定して再発防止策を明文化するなど、適切に原因 を解明して必要十分な対応が行われたから、債権保全措置がとられたことは明白である。被告Ⓔは、経営会議で上記の再発防止策が適切に講じられている旨が報告されたものと認識しており、また、当時1万を超える業者がチャネルPRMに登録されていたと認識していたから、わずか数社による偽造が判明したからといって、融資関係書類等の偽 装がまん延しているとは認識し又は認識し得ない。 平成25年から平成29年までの間に原告に寄せられた通報の一部にしか偽造は確認されておらず、それも収益不動産ローンについて散発的に発生したものであって、シェアハウスローンに関するものではなく、それらの偽造に関与したチャネル等がシェアハウスローンを取 り扱っていたかも明らかではない。また、上記通報における偽造の対象、手口等は多種多様であり、共通の傾向を読み取ることは困難である。したがって、被告Ⓔにおいて、上記通報に係る報告を受けたことをもって、特にシェアハウスローンで融資関係書類等の偽装がまん延していると認識するのは不可能である。 c 平成27年1月の経営会議において、執行役員からは、原告の営業- 89 - では自己資金と返済財源が融資の最大の確認事項であると認識されており、原本確認が営業担当者の基本的な対応であって、既に顧客と直接面談する際に原本確認を徹底させているものの、さらに原本確認を再徹底する は自己資金と返済財源が融資の最大の確認事項であると認識されており、原本確認が営業担当者の基本的な対応であって、既に顧客と直接面談する際に原本確認を徹底させているものの、さらに原本確認を再徹底する旨が報告されている。当該報告に鑑みれば、同会議で報告された事案は、基本的な対応から外れた例外的な事案であるものの、 当該事案を踏まえて原本確認を再徹底させることや、ヒアリングでの牽制を利かせるなどの再発防止策が検討されるなど、適切な対策が講じられていた。 d 被告Ⓔは、出口会議に参加しておらず、部下に対し、同会議の議論の内容及び使用資料の位置付けなどについて説明を求めたものの、そ の後説明や報告を一切受けていないため、同会議の詳細について認識していなかった。 したがって、メールで出口会議の資料を受領したことを根拠に、被告Ⓔが融資関係書類等の偽装がまん延していることを認識し又は認識し得たとするのは不合理かつ不適切である。 e 原告は、他行との激しい競争の中において、経営判断として融資の迅速性を重視していたものの、審査の迅速性と厳格性の要請のバランスを適切に確保する観点から、事業環境等を踏まえて審査時の融資関係書類等の取扱いについて検討、実施及び変更してきたところ、新運用基準は、原本確認の手順を変更するものにすぎず、融資実行前まで に厳格に所属長の責任において原本確認を行うものとし、原本確認が緩和されたわけではない。 f 被告Ⓔは、売買契約後の値引きや自己資金確認資料の偽造に関する通報について、対象チャネルは問題がないとの調査回答を得られたものの、念のため当該チャネルの融資案件の取扱いを中止するという方 針を取った旨の報告を受けたことから、必要十分な調査、検討及び対- 90 - 、対象チャネルは問題がないとの調査回答を得られたものの、念のため当該チャネルの融資案件の取扱いを中止するという方 針を取った旨の報告を受けたことから、必要十分な調査、検討及び対- 90 - 策が行われたものと認識した。 g 以上のほか、シェアハウスローンに関しては、原本確認の懈怠と融資関係書類等の偽装、当該偽装とデフォルト及びデフォルトと債権の回収不能との間にはそれぞれ因果関係ないし相関関係がない。 また、仮にシェアハウスローンについて、融資関係書類等の偽装と 債権の回収不能が無関係でないとしても、原告においては、偽装リスクの完全な排除が不可能であり、最終的には抑止困難な事案が発生することを前提に、当該リスクを他の金融機関よりも高い金利水準に織り込む形で適切な債権保全措置をとっていた。 (イ)リスク分析の懈怠についての認識 a シェアハウスローンは、新たなビジネスであり、かつ、そのほとんどが新築物件に関するものであるから、商品開発段階又は融資実行段階で入居率を把握することは不可能である。 物件の入居率は、調査の時期、設定賃料、物件の管理状況及び周辺状況、経済情勢等にも左右され得るものであるから、一時の入居率だ けをもって特定の物件に関するリスクが決定され得るものではない。 また、原告において物件の入居率等の確認が行われていない場合があったとしても、当時の銀行における融資管理方法として一般的な水準よりも劣るとはいえない。 仮にシェアハウスについて、外観からの目視のみでの入居率の把握 が他の収益不動産よりも相対的に困難な場合があったとしても、インターネット等での入居者募集状況の確認、不動産業者への確認、債務者又はサブリース業者への確認等の他の手段で入居率を把握することは可能 が他の収益不動産よりも相対的に困難な場合があったとしても、インターネット等での入居者募集状況の確認、不動産業者への確認、債務者又はサブリース業者への確認等の他の手段で入居率を把握することは可能であるから、必ずしも他の収益不動産と異なる特有のリスクがあるわけではない。信用リスク委員会においても、シェアハウスにつ き目視での入居状況の詳細確認が困難である旨が報告されたにすぎず、- 91 - 稼働状況を確認した上で賃料の入金状況を確認する方法により入居状況を確認しており、物件管理としては必要十分であると判断している旨が報告されているところ、与信管理において外観からの入居率の調査のみが重視されていたことを示す根拠はなく、上記報告につき目視での入居状況の詳細確認が困難であることを理由にリスク分析として 不十分である等の報告や議論がされた形跡もない。そして、経営会議においても、シェアハウスにつき目視以外の方法による入居状況の確認が困難であることは一切報告等されていない上、シェアハウスを含む資産形成用不動産の平均入居率が全国入居率を上回っており、総じて管理状況は良好であると報告されており、シェアハウスに関して他 の出席者から質疑や指摘等は一切されていないから、被告Ⓔにおいて、シェアハウスについて与信管理上のリスクがある旨を認識していなかった。 b 被告Ⓔは、出口会議に関し、メールにより送付された資料しか受領しておらず、当該資料及びこれが使用された同会議の内容に関する説 明ないし報告を一切受けていないため、同会議の詳細について認識しておらず、シェアハウスローンに関してリスク等を認識すべき事情が存在しなかった。また、デフォルトに至った案件のほぼ全てが架空や偽造である旨の記載は、シェアハウスローンに関する記 の詳細について認識しておらず、シェアハウスローンに関してリスク等を認識すべき事情が存在しなかった。また、デフォルトに至った案件のほぼ全てが架空や偽造である旨の記載は、シェアハウスローンに関する記載ではなく、その点を措いたとしても、融資関係書類等が偽造されたものが全てデ フォルトに至っているとはいえない。 仮に、特定の物件に関して空室率が高い時期が存在したとしても、空室率や空室の継続期間によって債務者やサブリース業者に与える影響は異なり、サブリース料が支払われていれば融資の返済に問題は生じない。また、サブリース業者が自転車操業となりサブリース料の支 払が停止するかどうかは、空室率や空室の継続期間のみならず、当該- 92 - 業者の資産、負債及び自己資本の状態、他の事業の状況、その他の経営環境等によっても異なるから、一概に判断することはできない。 c 平成28年12月の物件調査ミーティングでは、完成後の経過期間ごとの入居率が報告され、シェアハウスは完成後12か月以上経過すると入居率が高位安定してくる傾向があることが明らかとなった。被 告Ⓔは、上記報告をもって、シェアハウスの入居率につき特段留意すべき状況であるとは認識しておらず、シェアハウスローンの債権管理に特段問題は生じていないと認識しており、審査部の従業員も同様に認識していた。 同年11月末時点でのシェアハウスローンにおける延滞債権は1件 のみであり、かつ、被告Ⓔは同年12月に延滞が解消したことを認識していた。同月末の時点において、シェアハウスローンに関して現実的かつ重要な問題は生じておらず、被告Ⓔにおいてもシェアハウスローンに問題があることを認識し又は認識し得なかった。 d 物件自体に問題があり、空室だらけの物件を入居ありとし ンに関して現実的かつ重要な問題は生じておらず、被告Ⓔにおいてもシェアハウスローンに問題があることを認識し又は認識し得なかった。 d 物件自体に問題があり、空室だらけの物件を入居ありとして物件評 価を取っている案件が多数あるという通報については、シェアハウスローンに関する内容ではない上、当該通報に係る事実はないと考えられる。 e シェアハウスに関しては、初期投資費用が少ないことや、他との差別化の余地が大きいことなどのメリットがあり、入居者においても敷 金、礼金及び仲介手数料が不要などのメリットもあり、これを活用したビジネスは、既に社会的に評価されて十分に定着しているものであって、決して一過性又は成立し得ないビジネスモデルではなかった。 原告が主張するシェアハウスローンのリスクについては、リスクとして重視する必要がないか、又は収益不動産ローン一般のリスクと何 ら質的な相違がなく、シェアハウスローン特有のものではない。そし- 93 - て、原告においては、営業において、近隣のシェアハウスの情報や事業計画などが確認され、審査部に送付された上で外部機関による物件評価等がされるという業務フローの中で必要十分なリスク分析が行われている上、シェアハウス会議等におけるシェアハウスローンに関するリスク分析を踏まえた必要な対策が講じられており、デフォルトの リスクは顕在化していなかった。 (ウ)不芳業者との取引継続についての認識a 亡Ⓜのスマートライフとの取引を禁止する旨の指示は、被告Ⓗに対して口頭でされたのみであり、当該指示の内容を客観的かつ明確に原告内に周知徹底するための文書等が作成された形跡がないことや、ス マートライフがチャネルPRMに登録されておらず、当該指示につきチャ 口頭でされたのみであり、当該指示の内容を客観的かつ明確に原告内に周知徹底するための文書等が作成された形跡がないことや、ス マートライフがチャネルPRMに登録されておらず、当該指示につきチャネルPRMに記録されていないことなどからすれば、亡Ⓜにおいてスマートライフとの取引を禁止する旨を原告内に明確に周知徹底させる必要があるとの意図を有していたとは解されない。 そうすると、平成28年12月の時点で、亡Ⓜの上記指示が原告に おいて順守しなければならない組織的かつ正式な規範であったとはいえず、被告Ⓔにおいても、当該指示に反してスマートライフとの取引が継続していることを認識しておらず、そのように認識し得なかった。 b 被告Ⓔは、平成28年12月の物件調査ミーティングの資料を見たものの、スマートライフについて特に関心を有しておらず、そのよう な事情も存在しなかった上、同会議においてスマートライフが特段協議の対象にならなかったことから、スマートライフとの取引状況等の詳細については認識しておらず、かぼちゃの馬車がスマートライフのブランドであることについても特に意識しておらず、そのように意識すべき理由も存在しなかった。 c スマートライフに関する不芳情報は、当時の同社の実質的経営者に- 94 - よる過去の行状等を指摘する内容のものであり、同社の支払能力に関する具体的な疑念を直ちに生じさせるものではない。むしろ、スマートライフが多数の企業や人材紹介会社と提携して家賃外収入をサブリース料に充てるというビジネスを展開し、帝国データバンクによる調査においても高評価を受け続けていたことからすれば、スマートライ フに関する信用リスクは低いと考えるのが合理的であった。現に、少なくともサクトが実質的に破綻に至ったことが発覚 ータバンクによる調査においても高評価を受け続けていたことからすれば、スマートライ フに関する信用リスクは低いと考えるのが合理的であった。現に、少なくともサクトが実質的に破綻に至ったことが発覚するまでの平成29年2月頃までにおいて、スマートライフ案件におけるデフォルトは一切発生しておらず、それ以外にもスマートライフの支払能力に疑義を生じさせるような事情はなかった。亡Ⓜの意図としても、不芳情報 に係る事実の有無などスマートライフの実情が明らかになるまでは、一時的に同社との直接の取引を停止し、問題がないと判断すれば取引を再開するという趣旨であったと考えられる。 したがって、少なくとも平成28年12月末時点においては、スマートライフとの取引継続により、シェアハウスローンの回収不能リス クが高まるという事態は想定できなかったから、亡Ⓜがスマートライフに関する不芳情報を理由に、同社との取引禁止を指示した可能性があることをもって、同社との取引継続がシェアハウスローン債権保全措置懈怠状態を基礎付けることにはならない。 (エ)審査の形骸化についての認識 a 団信診断書の偽造等については、適切に原因を解明して再発防止策がとられており、事案を踏まえた必要十分な対応がされていた。 b 簡素化通達が発出された後も、原本確認は行われており、被告Ⓔは、簡素化通達により審査部の統制が弱められ、営業による確認では融資関係書類等の偽装を防止できないこととなるとは認識していなかった。 審査部においては、簡素化通達の発出後、個人ローンの運用基準に- 95 - おける自己資金確認資料の取扱いの変更を決定するなどして、審査の厳格性及び適切性を担保すべく牽制を図っており、こうした取組みを通じて、事業環境等を踏まえた審 人ローンの運用基準に- 95 - おける自己資金確認資料の取扱いの変更を決定するなどして、審査の厳格性及び適切性を担保すべく牽制を図っており、こうした取組みを通じて、事業環境等を踏まえた審査の迅速性と厳格性につき最も望ましいバランスをとることができるよう常に注意を払っていた。 c 審査の承認率の高さは、営業が明らかに否決すべき融資案件をあえ て稟議に回すことがなくなり、営業による融資案件の見極めがより適切に行われるようになったこと等に起因する可能性も十分にあり得るから、審査の承認率の高さをもって審査が形骸化していたとはいえない。 Ⓞが亡Ⓜの支持・承認の下で強大な権限を有していたことは認める が、被告Ⓔは、勤務場所が審査部の執務室とは別だったこともあり、Ⓞの審査担当者に対する恫喝は認識しておらず、職責を放棄して当該恫喝に介入せず放置したことや、営業の業績を維持するためⓄの行為をやむを得ないとして容認したこともない。 審査部の管掌取締役は、借入総額が3億円以上の融資についてはそ の決裁を後閲し、対個人融資では4億円以上の融資についてのみ決裁に関与するところ、被告Ⓔは、シェアハウスローンについて審査担当者が否定的な審査意見を記載していることを認識しておらず、認識すべき契機も存在しなかった。また、審査意見自体についても、融資案件として取り扱うこと自体について否定的である意見はごく一部であ り、多くは自己資金や家賃設定等の融資に当たっての検討材料の一部に疑義がある旨の意見であって、当該融資案件を取り扱うべきでないと判断したものとまではいえない。上記審査意見は、審査担当者が後日の検証に資する等の目的で審査の経過等を記録化すべく記載していたものと解されるから、むしろ審査部が所要の牽制機能 を取り扱うべきでないと判断したものとまではいえない。上記審査意見は、審査担当者が後日の検証に資する等の目的で審査の経過等を記録化すべく記載していたものと解されるから、むしろ審査部が所要の牽制機能を発揮してい たとみるべきである。 - 96 - d 被告Ⓔは、メールで出口会議の資料を受領しているのみであり、被告Ⓔの要求にもかかわらず、同会議や当該資料の内容について報告ないし説明を一切受けていない。 (オ)被告Ⓔに監視監督義務違反がないこと以上のとおり、原告が主張する本件4根拠事実については、その存在 自体が客観的に認められないか、少なくともシェアハウスローン債権保全措置懈怠状態の認識又は認識可能性に結びつくものではない。 したがって、被告Ⓔは、平成28年12月末時点において、シェアハウスローン債権保全措置懈怠状態を疑うに足りる事実を認識し又は認識し得なかったから、シェアハウスローンについて債権保全措置がとら れているかの調査を開始すべき義務を負っていなかった。 ウ信頼の原則代表取締役及び業務執行取締役による内部統制システム構築義務の履行につき監視監督義務を負う取締役会の構成員としての取締役については、当該履行に際し違法行為があることや、当該履行に関する報告に虚偽があ ることを疑わせる特段の事情があることを認識し得た場合には、内部統制システムの構築以外の局面における他の取締役の職務執行に対する監視監督義務の要求水準が高まることがあり得る。 しかし、上記の場合において、取締役の監視監督義務の要求水準の変化の範囲、内容及び程度等は、あくまで当該違法行為等によって統制の効果 が減弱することとなる範囲、内容及び程度等に対応して定まる。このことを考慮する おいて、取締役の監視監督義務の要求水準の変化の範囲、内容及び程度等は、あくまで当該違法行為等によって統制の効果 が減弱することとなる範囲、内容及び程度等に対応して定まる。このことを考慮することなく、一律に、内部統制システムに関する不備・欠陥等の疑義を有すべき事情が存在する場合に、他の取締役や執行役員等の職務執行に対する信頼を置くことができず、当該職務執行一般につき常時自ら観察することにより個別具体的に十分な監視監督を尽くすべき義務を負う 旨や、違法行為や不祥事等の兆候となる事実を認識していないことをもっ- 97 - て監視監督義務違反を免れることはできない旨をいう原告の主張は、内部統制システムの構築に関する監視監督と、それ以外の他の取締役や執行役員等の職務執行に関する監視監督という全く異なる局面における取締役の義務を混同するものであり、失当である。 (被告Ⓗの主張) アシェアハウスローンに関する監視監督義務及び債権保全措置義務(ア)平成21年決定は、倒産状態にある既存融資先のグループ会社への実質無担保の個別の融資判断の是非を問題とした事案であるのに対し、シェアハウスローンについては、債権保全のために債務者の属性や資産負債の状況、物件の収益性等の審査が行われ、確実な担保として物件の担 保評価を行った上で対象物件に抵当権が設定されているから、債権保全措置がとられている。 また、上記の点を措いても、被告取締役らの監視監督義務違反の有無について、本件4根拠事実を考慮要素として導き出すのは、原告独自の見解にほかならない。 (イ)本件では、シェアハウスローンというビジネス全般について、個別の融資先の如何にかかわらず、一切の融資を差し止めるという経営判断の問題である。原告はリ 原告独自の見解にほかならない。 (イ)本件では、シェアハウスローンというビジネス全般について、個別の融資先の如何にかかわらず、一切の融資を差し止めるという経営判断の問題である。原告はリテール戦略を採用しており、その中でもシェアハウスローンの融資額は相当程度を占めていたから、シェアハウスローンを一切中止するとの経営判断は、原告の根本的なビジネスモデルにも関 わる極めて高度の専門的かつ総合的な判断であり、個別の融資判断とは全く異なる事実認識や意思決定が求められる。 したがって、本件については、経営判断の前提となる事実認識の過程(情報収集とその分析、検討)に不注意な誤りがあり合理性を欠いているか、その事実認識に基づく意思決定の過程及び内容に著しく不合理な 点があったか否かという観点で判断すべきである(経営判断の原則)。 - 98 - イ被告Ⓗの認識等(ア)原本確認の懈怠等についての認識a 原告の取締役において、業者から提出される偽造書類の排除が永遠の課題である旨の認識を共有していたことを示す事実はない。原告において、他の金融機関と同様の一般的な認識を超えて、チャネルによ る日常的な偽装行為や、これに対する原告の行員による黙認など、融資関係書類等の偽装が経営上のリスクとして特に問題視される状況にはなかった。 簡素化通達は、稟議申請時に審査部に送付する資料の写しに関するものであって、原本確認に関する通達ではないから、原本確認による 融資関係書類等の偽装の防止との関連性がない。また、原告においては、原本確認を行ったことが記録化され、営業店の所属長が融資関係書類等を管理し、融資実行後速やかに複数部署による確認を受ける体制であったから、原本確認を行う営業担当者としては、融資関 、原告においては、原本確認を行ったことが記録化され、営業店の所属長が融資関係書類等を管理し、融資実行後速やかに複数部署による確認を受ける体制であったから、原本確認を行う営業担当者としては、融資関係書類等の明白な偽装を見逃せば、事後的にそれが発覚し、責任を問われる ことを十分に意識していた。したがって、原告においては、営業担当者及び所属長が融資関係書類等の原本確認に相当の注意を払う体制が構築されており、簡素化通達のみをもって融資関係書類等の偽装のリスクが高まったと評価することはできない。 そのほか、原告においては、リテール戦略により個人顧客の獲得を 重視し、当該顧客の融資の申込みに迅速に対応する必要があったところ、全国の多数の顧客から提出されて直ちに返却する必要のあるものも含まれる融資関係書類等について、審査部がその全ての原本を確認するという運用はおよそ現実的ではなく、金融機関の実務から乖離する。 b 団信診断書は、融資に直結する自己資金確認資料とは性質が異なる- 99 - から、複数のチャネルについて団信診断書の偽造が報告されたとしても、自己資金確認資料の偽造も同様に発生していたとは認識し又は認識し得ない。また、原本自体が偽造された団信診断書につき原本確認を行っても再発防止は困難であり、原告の調査の結果、通報に係る団信診断書の偽造については、チャネルの従業員による不正行為があっ たと認定されており、いずれの事案においても原告の行員による不正への関与は判明していない。その後、原告においては、経営会議で団信診断書の受領に係る業務手続の改定を決定した上で通達が発出され、チャネルが関与する偽装への対応策が講じられた。それ以降の団信診断書の偽造に係る通報については、原告の行員が改定 いては、経営会議で団信診断書の受領に係る業務手続の改定を決定した上で通達が発出され、チャネルが関与する偽装への対応策が講じられた。それ以降の団信診断書の偽造に係る通報については、原告の行員が改定された業務手続 を順守しなかったことにより発生した事案であったため、制度自体を見直す必要まではなかったし、当該通報に係るチャネルについては取扱中止などの措置がとられていた。 事務リスク委員会においては、自己資金が虚偽であることが判明した事案について、自己資金確認資料の原本確認を行わなかった行員の 賞与の減額査定を行うなど適切な対処がされていた。そして、同委員会で取り上げられた事案は、いずれもシェアハウスローンとは無関係の事案である。 c 出口会議は、亡Ⓜが自らの諮問会議のような位置付けで開催していたものであり、原則として会議の内容が他の取締役らに共有されるこ とがなかったことから、出口会議の出席者ではない被告Ⓗは、同会議の内容を認識していなかった。 d 新運用基準は、原本確認の期限を融資実行前までに変更したものにすぎず、融資実行までのいずれの時点で原本確認を行うかによって、融資関係書類等の偽装のリスクが異なるものではない。また、営業に おいては、従前と同様、原則として稟議申請段階から自己資金確認資- 100 - 料の写しを取得して内容を確認していた。 新運用基準は、物件の価値や収益性に係る外部の鑑定手続を先行させ、業務の円滑化を図るためのものであり、融資実行時までには原本確認を行ったことが記録化され、融資実行後には速やかに複数部署による確認を受ける体制が構築されていたから、新運用基準による運用 変更は合理的な裁量に基づくものである。むしろ、新運用基準により営業店の所属長の責任 記録化され、融資実行後には速やかに複数部署による確認を受ける体制が構築されていたから、新運用基準による運用 変更は合理的な裁量に基づくものである。むしろ、新運用基準により営業店の所属長の責任で厳格に自己資金確認資料の原本確認を行う旨を明確に周知していた原告の運用は、投資用不動産向けの融資を取り扱う他の金融機関よりも厳格なものであった。 e 売買契約後の値引きや自己資金確認資料の偽造に関する通報につい ては、調査の結果、書類偽造の事実は確認されず、当該通報に係るチャネルについては取扱中止の措置がとられた。また、売買契約締結後に代金減額の覚書を作成する手法については、原告の行員が売買契約書の原本を確認しても不正を防止することはできない。 そのほか、金融庁に寄せられた苦情についても、原告は、対象とな り得るチャネルの融資案件の全てについて、原告保有の客観的資料を網羅的に精査し、関与した可能性のある原告の行員全員に個別ヒアリングを実施するなど、金融庁から苦情の連絡を受けた金融機関の対応として十分な調査を行った。調査の結果、書類偽造の事実は発見できなかった旨、自己資金確認資料に偽造の痕跡は認められなかった旨、 原告の行員が原本確認を徹底していた旨を述べた旨、原告の行員とチャネルとの癒着関係はなかった旨などが報告されている。これらの報告は、原告において、原本確認が相当程度意識されていると理解すべき内容であり、殊更に原本確認を徹底させる必要がある内容ではないから、上記苦情の連絡を受けたことにより原本確認の方法を変更する 必要はなかった。 - 101 - f 以上のほか、融資を受ける顧客ないしチャネルが審査の通過を求めることや、営業担当者が営業成績の向上を求めることは、シェア 方法を変更する 必要はなかった。 - 101 - f 以上のほか、融資を受ける顧客ないしチャネルが審査の通過を求めることや、営業担当者が営業成績の向上を求めることは、シェアハウスローンに限らず金融機関が取り扱う融資全般に妥当することであり、シェアハウスローンにおいて特に融資関係書類等の偽装を疑うべき理由とはならない。加えて、シェアハウスローンに関する融資審査にお いては、対象物件の近隣に所在する複数のシェアハウスに関する物件情報等の資料が提出され、審査部のみならず専門の不動産鑑定会社も当該資料を確認していたから、シェアハウスローンにおいてレントロールの偽装が特に容易であったとはいえず、レントロール以外の自己資金確認資料についても、その正確性とシェアハウスの新規性との関 連性はなく、シェアハウスローンにおいて特に偽装のリスクが高まる理由にはならない。 また、原告に限らず、金融機関の大半は、不動産業者が紹介する顧客に対して不動産の購入資金を融資するというビジネスモデルを実践しており、当該業者を経由して融資関係書類等を受領し、当該業者と 不動産投資セミナーを共催するなどしていた。そして、原告においては、チャネルPRMへの登録制度を構築し、一定の基準を満たした業者についてのみ登録を認め、不芳情報のあるチャネルについてはその理由をチャネルPRMに記載した上で取引を停止するなど、大多数の金融機関よりも厳格なチャネルの管理を行っていた。したがって、チ ャネルへの依存は、原告特有の事情として融資関係書類等の偽装のリスクを高めるものではない。 (イ)リスク分析の懈怠についての認識a 原告は、シェアハウスローンの取扱開始以前から、様々な収益不動産ローンを取り扱っていた 資関係書類等の偽装のリスクを高めるものではない。 (イ)リスク分析の懈怠についての認識a 原告は、シェアハウスローンの取扱開始以前から、様々な収益不動産ローンを取り扱っていたところ、シェアハウスは収益不動産の一種 にすぎず、新商品としてシェアハウスローンを開発したものではない- 102 - から、社内規程上の手続を経ていなくとも当該規程に違反するものではなく、シェアハウスローンの取扱いの開始に当たって改めてリスクを検討する必要はなかった。原告が主張するシェアハウス特有のリスクは、シェアハウスに限らず新築物件全般に妥当するリスクであって、物件の担保評価の適切性の問題に帰着するものにすぎない。入居率に ついても、現実に多数の融資を実行して入居率の調査を行うことで初めて判明する課題であり、そのような課題を商品開発時に把握してリスク分析を行うことは不可能である。 シェアハウスローンを含む収益不動産ローンにおいては、賃料収入が主たる返済原資となり、担保評価についても賃料収入が主要な考慮 要素となるから、シェアハウスローンにおいて収益還元法による物件評価を行うことは、担保価値を評価する方法として合理性が認められる。そして、原告においては、審査の過程で専門の不動産鑑定会社を関与させることにより、審査の妥当性を確保する措置がとられていたところ、当該会社の鑑定の妥当性に疑義を生じさせる事情はなく、当 該措置は適切であった。 原告では、シェアハウスローンの融資申請の際に近隣のシェアハウスの賃料相場が提出され、稟議の承認条件として建物完成後に審査部が営業から入居率の報告を受けることとするなど、シェアハウスの特性を踏まえた入居率の把握のための合理的な措置がとられていた。ま ハウスの賃料相場が提出され、稟議の承認条件として建物完成後に審査部が営業から入居率の報告を受けることとするなど、シェアハウスの特性を踏まえた入居率の把握のための合理的な措置がとられていた。ま た、担保不動産の期中管理として、物件のメンテナンスや清掃状況の調査、近隣の嫌悪施設の有無の確認や写真撮影、不動産業者への賃料相場及び需要の聴き取り等の定期的な物件調査を行っており、その中で、シェアハウスについては、目視での入居状況の確認に代えて賃料ないしサブリース料の入金状況を確認していた。このような確認は、 他行と比較しても、期中管理として一般的水準を十分満たしていた。 - 103 - 被告Ⓗは、信用リスク委員会において、シェアハウスの建物外部からの入居率の把握について報告を受けていたもので、当時の期中管理として銀行に求められる一般的水準を十分満たすものであった。 b 出口会議の内容が他の取締役らに共有されることは予定されておらず、同会議に出席していない被告Ⓗは、その内容を認識していなかっ た。 出口会議は、シェアハウスローンに限らず収益不動産ローン全般を対象とし、そこで議論される問題点は広範かつ多数に及び、かつ、融資管理からの視点にとどまるため、その全てが原告の業務手続等の具体的な変更に結びつくことが想定されていたわけではない。そして、 出口会議で指摘された問題点は、いずれもシェアハウスローンの問題点として指摘されたものではなく、収益不動産ローン全般に妥当するものであるから、当該指摘を受けたからといって、他の収益不動産ローンにはないシェアハウスローン特有のリスクの検討につながるものではなく、同会議の資料にシェアハウス案件の動向について今後調査 予定と記載されたことをもって、シ からといって、他の収益不動産ローンにはないシェアハウスローン特有のリスクの検討につながるものではなく、同会議の資料にシェアハウス案件の動向について今後調査 予定と記載されたことをもって、シェアハウスローンのリスクを認識することもできない。 サブリースはシェアハウスのみならず他の収益不動産でも頻繁に用いられる手法であるから、原告は、サブリースにおけるサブリース業者の健全性のリスクを十分に把握していた。また、当時、サブリース 業者の信用状況まで調査している金融機関は皆無に近かった。 c 審査部が行った物件調査において、目視では入居率50%程度が妥当と思われる旨の報告は、むしろシェアハウスにおいても外観から一定の入居率の把握が可能であることを前提に作成されたと捉えるべきであるから、当該報告をもって、審査部がシェアハウスについて外観 からの入居率の把握が困難であることについて問題意識を持っていた- 104 - とは判断できない。 また、上記物件調査における対象は、完成間もない物件であり、当該調査のみではシェアハウスに関するリスクを正確に把握することができなかった。 d 物件自体に問題があり、空室だらけの物件を入居ありとして物件評 価を取っている案件が多数あるという通報に関しては、原告の調査の結果、書類偽造の事実は確認されなかった。また、原告は、上記通報を受けて、対象チャネルの取扱いを中止とする措置をとっている。 e 被告Ⓗは、シェアハウス会議に出席した審査部のⓇから、資料を提示されることなく口頭で、同会議において一定の条件を付けてシェア ハウスローンを継続することをⓄが決定した旨の報告を受けたのみであり、Ⓞがシェアハウスローンの取扱自体についてリスクを述べた旨の報 れることなく口頭で、同会議において一定の条件を付けてシェア ハウスローンを継続することをⓄが決定した旨の報告を受けたのみであり、Ⓞがシェアハウスローンの取扱自体についてリスクを述べた旨の報告は受けていない。 シェアハウス会議は、シェアハウスローンに存するリスクを協議した上で、取扱いに一定のルールを定めるべきとするものにすぎず、同 会議に出席していない被告Ⓗにおいて、これを契機にシェアハウスローンの実行を停止すべきとの認識を持つことは不可能であった。 (ウ)不芳業者との取引継続についての認識a 被告Ⓗは、スマートライフに関する情報を亡Ⓜに報告し、亡Ⓜの指示により同社が取引禁止になったことは認識していたものの、亡Ⓜは、 同社の元代表者の経歴を踏まえて取引禁止を指示したものであり、その後の事情の変化にかかわらず今後一切の取引を禁止する旨を命ずるものではなかった。 そして、被告Ⓗは、亡Ⓜの指示によりアマテラスとの取引が中止となった後も、スマートライフが別会社を介して実質的な取引を行って いたことや、原告の行員がこれに関与していたことなどは認識してお- 105 - らず、認識すべき端緒も存在しなかった。 b 物件調査ミーティングにおいて、振込元業者別のスマートライフの件数や、ブランド別のかぼちゃの馬車の件数が多かったことについては、営業から審査部に対し、スマートライフの取引停止までに既に融資を行っていたものや、融資後に顧客がスマートライフを管理会社と して契約を締結したものが多いことによるものであると説明され、被告Ⓗにおいてもそのように認識していた。 物件調査ミーティングの資料に、亡Ⓜの取引禁止の指示後に着手されたスマートライフの融資案件が記載されていたとしても、一概に不自然であると断じ と説明され、被告Ⓗにおいてもそのように認識していた。 物件調査ミーティングの資料に、亡Ⓜの取引禁止の指示後に着手されたスマートライフの融資案件が記載されていたとしても、一概に不自然であると断じることはできず、また、融資後に顧客が管理会社を スマートライフに変更した場合には融資審査の段階でスマートライフを排除することはできず、結果的にスマートライフの件数が多くなったとしても亡Ⓜの上記指示に反するものではないから、被告Ⓗとしては、一応の合理性がある営業の説明に対して、直ちにこれを否定することは困難であった。 c 原告においては、チャネルPRMに登録する方法により不芳業者との取引を停止する仕組みが設けられており、当時の大多数の金融機関と比較して、チャネルの管理について厳格な体制を構築していたと評価すべきである。 (エ)審査の形骸化についての認識 a 団信診断書の偽造やその他の融資関係書類等の偽装に関する通報については、調査により判明した事実に基づき、しかるべき対応がとられており、偽装を認識しながら漫然と放置してシェアハウスローンの実行が継続されていたわけではない。 したがって、上記通報に関する報告を受けたことをもって、審査の 形骸化を認識し又は認識し得たとはいえない。 - 106 - b 審査部においては、簡素化通達が発出された後も、十分に確認すべきと考えた融資については、自主的に営業から自己資金確認資料の写しを取り寄せるなどして、審査の実を上げる努力をしていたのであり、新運用基準が発出された後も、必要と考える融資案件については営業店に連絡し、事前に写しを取得するよう依頼することもできた。 新運用基準は、原本確認の期限を融資実行前までに変更したものにすぎず、 運用基準が発出された後も、必要と考える融資案件については営業店に連絡し、事前に写しを取得するよう依頼することもできた。 新運用基準は、原本確認の期限を融資実行前までに変更したものにすぎず、営業が従前と同様に原則として稟議申請段階から自己資金確認資料の写しを取得して内容を確認していたことから、従前どおり、審査部において営業から自己資金確認資料の写しを取り寄せて確認することは何ら妨げられなかった。 c 審査の適否は、各融資案件の内容を個別に検討ないし評価して判断されるべきであり、全体の承認率から審査の適否を逆算できるものではなく、また、原告においては、迅速な審査が重視されていたから、審査が承認されないと考えられる融資案件については、営業の判断又は営業と審査部の協議によって、稟議から外されたり、稟議を取り下 げたりする場合が存在した。審査の承認率に係る原告の主張は、上記の実情を踏まえていないから、審査の承認率の高さをもって審査が形骸化していたとは評価できない。そして、原告においては、銀行のポートフォリオとしての信用リスク管理が十分に行われており、現に資産形成ローンにおいてもデフォルト率が適正に抑えられ、シェアハウ スローンではほとんど皆無の状態であったところ、審査部の審査がそのような状態を踏まえて行われていたことを十分考慮すべきである。 亡Ⓜは、業務執行全般における実質的な最高意思決定者ではなく、経営においても取締役会や経営会議に諮るなどして、法令及び社内規程に基づく業務運営が行われていた。亡Ⓜが営業成績を重視して増収 増益の継続を目標としていたこと自体は経営者として通常のことであ- 107 - り、それを超えて審査部よりも営業を優位に立たせて営業偏重の企業風土を築く方針であったか否か 重視して増収 増益の継続を目標としていたこと自体は経営者として通常のことであ- 107 - り、それを超えて審査部よりも営業を優位に立たせて営業偏重の企業風土を築く方針であったか否かは明らかでない。 営業実績を上げていたⓄは、重要な役職を務めていたものの、原告の創業家以外は取締役であっても異を唱えられない状況ではなかった。 また、Ⓞが審査部に対して必要以上に営業としての意見を述べていた ことは特段争わないものの、具体的にどのような発言等をしていたかは知らず、Ⓞの言動をもって審査が形骸化していたとはいえない。被告Ⓗは、およそ稟議を承認できないと判断したものについては、亡Ⓜに対し、個別に相談して稟議が通らないように止める等の対応をするなど、審査部の意見が通りやすい環境を整え、審査のけん制機能を高 めるための行動を行っており、不適切と認識した稟議を承認していたことはない。 d 出口会議の内容が他の取締役らに共有されることは予定されておらず、同会議に出席していない被告Ⓗは、その内容を認識していなかった。 出口会議は、収益不動産ローン全般を対象に、多数の融資案件のうちごく一部の延滞や破綻した案件を取り上げて意見交換する会議であり、指摘事項は必ずしも全ての融資案件に一般的に当てはまるものではないから、延滞や破綻に至るものがわずかであったシェアハウスローンに妥当する内容ではなかった。 e 問題のある融資案件としての原告が主張する収益不動産ローン及びシェアハウスローンは、いずれも被告Ⓗが取締役に就任する以前の事案であり、また、これらの事案は、原告が取り扱う極めて多数の収益不動産ローンのうちのわずかであり、これらの事案がその後デフォルトに至ったか否かも明らかでなく、原告に 被告Ⓗが取締役に就任する以前の事案であり、また、これらの事案は、原告が取り扱う極めて多数の収益不動産ローンのうちのわずかであり、これらの事案がその後デフォルトに至ったか否かも明らかでなく、原告における審査全般が機能して いなかったことの根拠にはならない。 - 108 - (オ)サクト会議を通じての認識a サクト会議は、あくまでサクトという個別の事業者が家賃保証を履行できなくなった問題を解決する目的で開催された会議であり、サクトからサブリース料の支払を受けられなくなった債務者への対応が主眼に置かれていた。 シェアハウスローン全体に関する協議は、第3回サクト会議以降で付随的に一部されたものの、原本確認の懈怠等や審査の形骸化について議論された形跡は全くない。 b 第4回サクト会議においては、シェアハウスローンについて、スマートライフが関与する割合が高いことが明らかになりつつも、シェア ハウスの入居状況に関し、審査部によるシェアハウス全件調査の結果と営業本部による説明との内容に食い違いがあり、Ⓞからは、シェアハウスの入居状況の特徴や、外観からのみでは必ずしも入居率の実体が把握できない旨の説明と併せて、建物の建築が予定よりも遅れた物件があるため、竣工後の経過期間を明確にして入居状況を調査する必 要があるとの指摘がされた。そして、営業本部からは、既にスマートライフが関連する案件の取扱いを停止している旨や、融資後に顧客がスマートライフへ運用を任せることを原告が否定できない旨が説明された上で、同社については以前から顧客の苦情やサブリース料の不払が発生していないこと、過去の不芳情報の虚偽性などが説明されたこ ともあり、最終的には、今後の対応を明確化すべきとの方針が示され(なお、当該方 については以前から顧客の苦情やサブリース料の不払が発生していないこと、過去の不芳情報の虚偽性などが説明されたこ ともあり、最終的には、今後の対応を明確化すべきとの方針が示され(なお、当該方針は、亡Ⓘが第4回サクト会議において議論された内容をまとめ、出席者が会議を通じて形成した概ねの共通認識を整理したものと認識しており、被告Ⓕや亡Ⓘの個人的、独断的な意見が一方的に述べられたものという認識はない。)、入居率の把握には調査を 要することを認識したにとどまるから、シェアハウスローン債権保全- 109 - 措置懈怠状態を疑うに足りる事実を認識し又は認識し得なかった。 そうすると、第4回サクト会議の時点において、十分な調査も行わずにシェアハウスローンの実行を直ちに差し止めることは現実的ではなく、原告の主力商品であったシェアハウスローンの実行を全て差し止める旨の経営判断が可能な程度に、短期間での調査が可能であった とは到底考えられない。 c 上記の点を措いても、原告では、平成29年11月をもってシェアハウスローンの取扱いを全社レベルで終了しており、被告Ⓗは、取締役に求められる水準を十分に満たした迅速な対応によって損害の発生を防止していた。 さらに、原告においては、第4回サクト会議後に、融資基準につき新規チャネル等のチェック方法の検討、工事進捗状況の管理方法の検討、管理会社一社当たりの上限額の設定、簡易宿所の稼働状況の確認方法の検討などの新たな項目を加えるなど、シェアハウスローンを含む収益不動産ローン全体の融資基準や審査手続を見直すなどの対応に よってリスク低減を図っており、被告Ⓗは、取締役として求められる注意義務を十分に果たしていた。 (カ)被告Ⓗに監視監督義務違反がないこと 基準や審査手続を見直すなどの対応に よってリスク低減を図っており、被告Ⓗは、取締役として求められる注意義務を十分に果たしていた。 (カ)被告Ⓗに監視監督義務違反がないことa 以上によれば、被告Ⓗは、第4回サクト会議が開催された平成29年7月5日の時点において、シェアハウスローン債権保全措置懈怠状 態又はこれを疑うに足りる事実を認識し又は認識し得なかったから、シェアハウスローンの実行を差し止めるべき義務又はシェアハウスローンについて債権保全措置がとられているかの調査を開始すべき義務を負っていなかった。 b 被告Ⓗは、自らシェアハウス全件調査を発案してこれを実施し、そ の後、同調査により把握した問題点について協議する必要があると考- 110 - え、第4回サクト会議において当該問題点について協議するとの方針を実現させた。このような被告Ⓗの問題提起は、取締役としての善管注意義務を果たしたものとして積極的に評価されるべきである。 そして、被告Ⓗは、第4回サクト会議後、シェアハウスローンを含む収益不動産ローン全体の融資基準や審査手続を見直すなどの対応の 原案を作成してリスク低減を図った。 以上のとおり、被告Ⓗは、審査部の管掌取締役に就任した後、シェアハウスローンを継続すべきか否かを議論するに当たって必要な情報収集に努め、第4回サクト会議後も収益不動産ローンの融資基準を見直すなど、今後もシェアハウスローンを継続するに当たり必要な対策 を講じていたから、取締役としての善管注意義務に違反しない。 ウ信頼の原則情報収集、調査及び検討などに関する体制が十分に整備される場合、取締役は、業務を担当する取締役ないし使用人が行った情報収集、調査及び分析等の結果に依拠 反しない。 ウ信頼の原則情報収集、調査及び検討などに関する体制が十分に整備される場合、取締役は、業務を担当する取締役ないし使用人が行った情報収集、調査及び分析等の結果に依拠して意思決定を行うことに当然に躊躇を覚えるよう な不備・不足があるなどの特段の事情がない限り、当該結果に依拠して意思決定を行えば足りる。また、リスク管理等に関する体制が十分に整備されていれば、他の取締役ないし使用人の業務活動に問題のあることを知り又は知ることが可能であるなどの特段の事情がある場合に限り、これを看過したときに善管注意義務違反が認められる。 原告においては、通常想定される不正行為を防止し得る程度の管理体制を整えており、業務を担当する取締役ないし使用人が行った情報収集、調査及び分析等の結果に依拠して意思決定を行うことに当然に躊躇を覚えるような不備・不足があるなどの特段の事情はなく、また、リスク管理等に関する体制が十分に整備されていた。 被告Ⓗに関しては、他の取締役ないし使用人の業務活動に問題のあるこ- 111 - とを知り又は知ることが可能であるなどの特段の事情はなかった。 (被告Ⓙの主張)アシェアハウスローンに関する監視監督義務及び債権保全措置義務平成21年決定が本件には妥当せず、シェアハウスローンについては債権保全措置がとられていること、被告取締役らの善管注意義務違反の有無 の考慮要素となる本件4根拠事実が原告独自の見解であること、本件では経営判断の原則が適用されるべきであることについて、被告Ⓗの主張と同旨である。 イ亡Ⓘの認識等(ア)原本確認の懈怠等についての認識 a 原告の取締役において業者から提出される偽造書類の排 べきであることについて、被告Ⓗの主張と同旨である。 イ亡Ⓘの認識等(ア)原本確認の懈怠等についての認識 a 原告の取締役において業者から提出される偽造書類の排除が永遠の課題である旨の認識を共有していたことを示す事実がなく、原告において融資関係書類等の偽装が経営上のリスクとして特に問題視される状況にはなかったこと、簡素化通達が原本確認による融資関係書類等の偽装の防止と関連性がなく、融資関係書類等の原本確認に相当の注 意を払う体制が構築されていたこと等について、被告Ⓗの主張と同旨である。 b 団信診断書の偽造に関し、その報告を受けたとしても自己資金確認資料の偽造も同様に発生していたとは認識し又は認識し得ないこと、原告の調査の結果、原告の行員による不正への関与は判明しなかった こと、業務手続の改定などの適切な再発防止策が講じられたこと等について、被告Ⓗの主張と同旨である。 c 平成27年1月の経営会議において指摘された所得確認資料の改ざんの疑いは、具体的な通報や根拠に基づいたものではなく、その他の融資関係書類等について、大規模かつ組織的な偽造が行われているこ とを疑うべき状況になかった。同会議においては、執行役員が、被告- 112 - Ⓕの指摘を受けて、自己資金と返済財源は融資の最大の確認事項であり、営業担当者は基本的な対応として原本確認をすることとしており、最終的に顧客と直接面談する機会で原本確認を徹底させており、現場での原本確認を再徹底する旨を述べており、原本確認を徹底する方向性が確認されたにすぎない。 d 売買契約後の値引きや自己資金確認資料の偽造に関する通報に関して、調査の結果、書類偽造の事実が確認されず、チャネルの取扱中止の措置がとら 底する方向性が確認されたにすぎない。 d 売買契約後の値引きや自己資金確認資料の偽造に関する通報に関して、調査の結果、書類偽造の事実が確認されず、チャネルの取扱中止の措置がとられたこと、そのほか金融庁に寄せられた苦情に関しても十分な調査が行われ、原本確認の方法を変更する必要のない報告であったこと等について、被告Ⓗの主張と同旨である。 e 融資を受ける顧客ないしチャネルが融資審査の通過を求めることなどが、シェアハウスローンにおいて特に融資関係書類等の偽装を疑うべき理由とはならず、シェアハウスローンにおけるレントロールの偽装が特に容易だったともいえないこと、チャネルへの依存が原告特有の事情として融資関係書類等の偽装のリスクを高めるものではないこ と等について、被告Ⓗの主張と同旨である。 (イ)リスク分析の懈怠についての認識a 原告が主張するシェアハウス特有のリスクがシェアハウスに限らず新築物件全般に妥当するリスクであること、シェアハウスローンにおける収益還元法による物件評価には合理性があること、原告において はシェアハウスの特性を踏まえた入居率の把握のための合理的な措置がとられており、他行と比較しても期中管理としての一般的水準を満たしていたこと等について、被告Ⓗの主張と同旨である。 b 物件自体に問題があり、空室だらけの物件を入居ありとして物件評価を取っている案件が多数あるという通報に関し、書類偽造の事実が 確認されなかったこと、当該通報に係る対象チャネルの取扱いを中止- 113 - とする措置をとったことについて、被告Ⓗの主張と同旨である。 c 亡Ⓘは、出口会議の内容を認識していない。シェアハウス会議については、その内容が営業本部及 扱いを中止- 113 - とする措置をとったことについて、被告Ⓗの主張と同旨である。 c 亡Ⓘは、出口会議の内容を認識していない。シェアハウス会議については、その内容が営業本部及び審査部以外に共有されたことはなく、亡Ⓘは、内容はもとより同会議が開催されたことすら認識していない。 (ウ)不芳業者との取引継続についての認識 a 亡Ⓘは、原告に対してスマートライフに関する通報が寄せられたこと、亡Ⓜの指示により同社との取引が禁止となったこと、その後同社が別会社を介して実質的な取引を行っていたことについて、情報提供を受けておらず、全く認識していなかった。 b 原告において、チャネルPRMに登録する方法により不芳業者との 取引を停止する仕組みが設けられており、チャネルの管理について厳格な体制を構築していたと評価すべきであることについて、被告Ⓗの主張と同旨である。 (エ)審査の形骸化についての認識a 亡Ⓘは、Ⓞが亡Ⓜの信任を得ていたことは認識していたものの、Ⓞ の審査部に対する具体的な言動等について報告を受けたことはなく、また、通報が寄せられたこともないため、Ⓞが営業及び審査部にどのような影響を与えていたかは関知していなかった。 亡Ⓘは、個別の融資案件について、一切認識し得る立場になく、問題のある稟議案件を承認していたことを含め、審査部における具体的 な審査内容について不知である。 b そのほか、審査の承認率の高さをもって審査が形骸化していたとは評価できないこと、亡Ⓜが業務全般における実質的な最高意思決定者ではなかったこと等について、被告Ⓗの主張と同旨である。 (オ)サクト会議を通じての認識 a 亡Ⓘは、スマートライフと ないこと、亡Ⓜが業務全般における実質的な最高意思決定者ではなかったこと等について、被告Ⓗの主張と同旨である。 (オ)サクト会議を通じての認識 a 亡Ⓘは、スマートライフとの取引禁止について、第1回サクト会議- 114 - において初めて知ったものであり、亡Ⓜによる指示の具体的な内容を把握していなかった。 亡Ⓘは、サクト会議においてシェアハウスローンに関する議論が行われていたことから、自らシェアハウスの実態を見分し、その理解を深める目的で、一部の物件の現地視察をしたにすぎず、審査部が行っ たシェアハウス全件調査の一環として、又は当該調査と関連して物件を確認したものではないから、シェアハウス全体の入居実態及び信用リスクを十分把握できたわけではなかった。 第4回サクト会議において、亡Ⓘが現地視察をした物件は入居済みとされていたところ、Ⓞは、同会議において、法人による一棟借りの ケースでは入居者のいない物件でも契約が締結されており賃料が支払われている旨や、竣工時期が遅延していて入居が遅れている旨などを説明した。亡Ⓘは、当該説明が一般常識に反するものと直ちに判断できなかったため、営業本部の説明と自らの現地視察の結果が矛盾するとの認識には至らなかった。亡Ⓘは、第4回サクト会議後、Ⓞから個々 の物件の契約状況を示す契約書の写し等を提示され、客観的資料に基づいた補足説明を受けた。 b 第4回サクト会議の概要及びその後の対応については、被告Ⓗの主張と同旨である。 (カ)亡Ⓘに監視監督義務違反がないこと 以上によれば、亡Ⓘは、第4回サクト会議が開催された平成29年7月5日の時点において、シェアハウスローン債権保全措置懈怠状態又はこれを疑うに足りる事 監視監督義務違反がないこと 以上によれば、亡Ⓘは、第4回サクト会議が開催された平成29年7月5日の時点において、シェアハウスローン債権保全措置懈怠状態又はこれを疑うに足りる事実を認識し又は認識し得なかったから、シェアハウスローンの実行を差し止めるべき義務又はシェアハウスローンについて債権保全措置がとられているかの調査を開始すべき義務を負って いなかった。 - 115 - 亡Ⓘは、管掌業務である経営企画業務において、融資関係書類等の偽装について金融機関として十分な対応を行い、シェアハウスローンについては、自ら物件の現地視察をした後に顧客対応室を設置した上で、新規の融資案件を段階的に減少させ、その取扱いを終了した。したがって、亡Ⓘは、当時の環境で現実的に可能な対応として最善を尽くし、その経 営判断に問題はなかったから、取締役としての善管注意義務に違反しない。 ウ信頼の原則情報収集、調査及び検討などに関する体制が十分に整備されている場合や、リスク管理等に関する体制が十分に整備されている場合において、取 締役の善管注意義務違反が認められる場合が限られること、通常想定される不正行為を防止し得る程度の管理体制を整えていた原告において、業務を担当する取締役ないし使用人が行った情報収集、調査及び分析等の結果に依拠して意思決定を行うことに当然に躊躇を覚えるような不備・不足があるなどの特段の事情はなく、また、リスク管理等に関する体制も十分に 整備されていたことについて、被告Ⓗの主張と同旨である。 亡Ⓘに関しては、他の取締役ないし使用人の業務活動に問題のあることを知り又は知ることが可能であるなどの特段の事情はなかった。 (被告Ⓚの主張)アシェアハウスロ の主張と同旨である。 亡Ⓘに関しては、他の取締役ないし使用人の業務活動に問題のあることを知り又は知ることが可能であるなどの特段の事情はなかった。 (被告Ⓚの主張)アシェアハウスローンに関する監視監督義務及び債権保全措置義務 被告Ⓚは、平成28年6月に取締役に就任したところ、それ以前はシステム部署に所属していたため、融資業務や審査業務の現場とは関わりの少ない立場であった。 平成21年決定が本件には妥当せず、シェアハウスローンについては債権保全措置がとられていること、被告取締役らの善管注意義務違反の有無 の考慮要素となる本件4根拠事実が原告独自の見解であること、本件では- 116 - 経営判断の原則が適用されるべきであることについて、被告Ⓗの主張と同旨である。 イ被告Ⓚの認識等(ア)原本確認の懈怠等についての認識a 原告の取締役において業者から提出される偽造書類の排除が永遠の 課題である旨の認識を共有していたことを示す事実がなく、原告において融資関係書類等の偽装が経営上のリスクとして特に問題視される状況にはなかったこと、簡素化通達が原本確認による融資関係書類等の偽装の防止と関連性がなく、融資関係書類等の原本確認に相当の注意を払う体制が構築されていたこと等について、被告Ⓗの主張と同旨 である。 b 被告Ⓚは、平成27年8月のコンプライアンス・情報セキュリティリスク委員会に、融資業務や審査業務に直接関わらないシステム部署の部長として出席したにとどまる。被告Ⓚは、上記委員会以外において、団信診断書の偽造に関する通報の報告を受けておらず、当該通報 について検討された会議にも出席していない。 団信診断書の偽造に関し、その報告を受けたと どまる。被告Ⓚは、上記委員会以外において、団信診断書の偽造に関する通報の報告を受けておらず、当該通報 について検討された会議にも出席していない。 団信診断書の偽造に関し、その報告を受けたとしても自己資金確認資料の偽造も同様に発生していたとは認識し又は認識し得ないこと、原告の調査の結果、原告の行員による不正への関与は判明しなかったこと、業務手続の改定などの適切な再発防止策が講じられたこと等に ついて、被告Ⓗの主張と同旨である。 c 売買契約後の値引きや自己資金確認資料の偽造に関する通報に関し、調査の結果、書類偽造の事実が確認されず、チャネルの取扱中止の措置がとられたこと等について、被告Ⓗの主張と同旨である。 d 被告Ⓚは、簡素化通達の作成や発出に関与しておらず、同通達の内 容と自身の業務との関連性も少なかったため、同通達の発出について- 117 - も明確に認識していなかった。 融資を受ける顧客ないしチャネルが融資審査の通過を求めることなどが、シェアハウスローンにおいて特に融資関係書類等の偽装を疑うべき理由とはならず、シェアハウスローンにおけるレントロールの偽装が特に容易だったともいえないこと、チャネルへの依存が原告特有 の事情として融資関係書類等の偽装のリスクを高めるものではないこと等について、被告Ⓗの主張と同旨である。 (イ)リスク分析の懈怠についての認識a 被告Ⓚは、定期的な物件調査の実施を定めた通達の作成や発出に関与しておらず、同通達の内容と自身の業務との関連性も少なかったた め、同通達の発出についても明確に認識していなかった。 原告が主張するシェアハウス特有のリスクが、シェアハウスに限らず新築物件全般に妥当するリスクであること、シェアハウスローンにおける た め、同通達の発出についても明確に認識していなかった。 原告が主張するシェアハウス特有のリスクが、シェアハウスに限らず新築物件全般に妥当するリスクであること、シェアハウスローンにおける収益還元法による物件評価には合理性があること、原告においてはシェアハウスの特性を踏まえた入居率の把握のための合理的な措 置がとられており、他行と比較しても期中管理としての一般的水準を満たしていたこと等について、被告Ⓗの主張と同旨である。 b 物件自体に問題があり、空室だらけの物件を入居ありとして物件評価を取っている案件が多数あるという通報に関し、書類偽造の事実が確認されなかったこと、当該通報に係る対象チャネルの取扱いを中止 とする措置をとったことについて、被告Ⓗの主張と同旨である。 c 被告Ⓚは、出口会議の内容を認識していない。シェアハウス会議については、その内容が営業本部及び審査部以外に共有されたことはなく、被告Ⓚは、内容はもとより同会議が開催されたことすら認識していない。 (ウ)不芳業者との取引継続についての認識- 118 - a 被告Ⓚは、原告に対してスマートライフに関する通報が寄せられたこと、亡Ⓜの指示により同社との取引が禁止となったこと、その後同社が別会社を介して実質的な取引を行っていたことについて、情報提供を受けておらず、全く認識していなかった。 b 原告において、チャネルPRMに登録する方法により不芳業者との 取引を停止する仕組みが設けられており、チャネルの管理について厳格な体制を構築していたと評価すべきであることについて、被告Ⓗの主張と同旨である。 (エ)審査の形骸化についての認識a 被告Ⓚは、Ⓞが亡Ⓜの信任を得ていたことを の管理について厳格な体制を構築していたと評価すべきであることについて、被告Ⓗの主張と同旨である。 (エ)審査の形骸化についての認識a 被告Ⓚは、Ⓞが亡Ⓜの信任を得ていたことを認識していたものの、 取締役への就任以前は専らシステム関連の業務に携わっていたにすぎず、営業と審査部の権限の状況やⓄの言動等についての具体的な認識はなかった。また、Ⓞの審査部に対する具体的な言動等について報告を受けたことがなく、通報が寄せられたこともないため、Ⓞが営業及び審査部にどのような影響を与えていたかは関知していなかった。 被告Ⓚは、個別の融資案件について、一切認識し得る立場になく、問題のある稟議案件を承認していたことを含め、審査部における具体的な審査内容について知らない。 b 審査の承認率の高さをもって審査が形骸化していたとは評価できないこと、亡Ⓜが業務全般における実質的な最高意思決定者ではなかっ たこと等について、被告Ⓗの主張と同旨である。 (オ)サクト会議を通じての認識a 被告Ⓚは、スマートライフとの取引禁止について、第1回サクト会議において初めて知ったものであり、亡Ⓜによる指示の具体的な内容を把握していなかった。 また、被告Ⓚは、第2回サクト会議において、スマートライフにつ- 119 - いての情報収集を指示し、Ⓞ及びⓅから同社に関する詳細な説明を受けた。 被告Ⓚは、第4回サクト会議に先立ち、被告Ⓗから、シェアハウス全件調査の結果について、個別に報告を受けていない。 b 第4回サクト会議の概要及びその後の対応については、被告Ⓗの主 張と同旨である。 (カ)被告Ⓚに監視監督義務違反がないこと以上に 個別に報告を受けていない。 b 第4回サクト会議の概要及びその後の対応については、被告Ⓗの主 張と同旨である。 (カ)被告Ⓚに監視監督義務違反がないこと以上によれば、被告Ⓚは、第4回サクト会議が開催された平成29年7月5日の時点において、シェアハウスローン債権保全措置懈怠状態又はこれを疑うに足りる事実を認識し又は認識し得なかったから、シェア ハウスローンの実行を差し止めるべき義務又はシェアハウスローンについて債権保全措置がとられているかの調査を開始すべき義務を負っていなかった。 被告Ⓚは、取締役として、必要な事実関係の調査を尽くした上で、得られた事実関係に基づき経営判断として合理的な判断を行っていたか ら、取締役としての善管注意義務に違反しない。 ウ信頼の原則情報収集、調査及び検討などに関する体制が十分に整備されている場合や、リスク管理等に関する体制が十分に整備されている場合において、取締役の善管注意義務違反が認められる場合が限られること、通常想定され る不正行為を防止し得る程度の管理体制を整えていた原告において、業務を担当する取締役ないし使用人が行った情報収集、調査及び分析等の結果に依拠して意思決定を行うことに当然に躊躇を覚えるような不備・不足があるなどの特段の事情はなく、また、リスク管理等に関する体制も十分に整備されていたことについて、被告Ⓗの主張と同旨である。 被告Ⓚに関しては、他の取締役ないし使用人の業務活動に問題のあるこ- 120 - とを知り又は知ることが可能であるなどの特段の事情はなかった。 (被告Ⓛの主張)アシェアハウスローンに関する監視監督義務及び債権保全措置義務平成21年決定が本件 - とを知り又は知ることが可能であるなどの特段の事情はなかった。 (被告Ⓛの主張)アシェアハウスローンに関する監視監督義務及び債権保全措置義務平成21年決定が本件には妥当せず、シェアハウスローンについては債権保全措置がとられていること、被告取締役らの善管注意義務違反の有無 の考慮要素となる本件4根拠事実が原告独自の見解であること、本件では経営判断の原則が適用されるべきであることについて、被告Ⓗの主張と同旨である。 イ被告Ⓛの認識等(ア)原本確認の懈怠等についての認識 a 原告の取締役において業者から提出される偽造書類の排除が永遠の課題である旨の認識を共有していたことを示す事実がなく、原告において融資関係書類等の偽装が経営上のリスクとして特に問題視される状況にはなかったこと、簡素化通達が原本確認による融資関係書類等の偽装の防止と関連性がなく、融資関係書類等の原本確認に相当の注 意を払う体制が構築されていたこと等について、被告Ⓗの主張と同旨である。 b 団信診断書の偽造に関し、その報告を受けたとしても自己資金確認資料の偽造も同様に発生していたとは認識し又は認識し得ないこと、原告の調査の結果、原告の行員による不正への関与は判明しなかった こと、業務手続の改定などの適切な再発防止策が講じられたこと等について、被告Ⓗの主張と同旨である。 c 平成27年1月の経営会議で報告された所得確認資料の改ざんの疑いに関する通報が具体的な根拠に基づくものではなく、その他の融資関係書類等について、大規模かつ組織的な偽造が行われていることを 疑うべき状況になかったこと、同会議では原本確認を徹底する方向性- 121 - が確認されたにすぎな はなく、その他の融資関係書類等について、大規模かつ組織的な偽造が行われていることを 疑うべき状況になかったこと、同会議では原本確認を徹底する方向性- 121 - が確認されたにすぎないこと等について、被告Ⓙの主張と同旨である。 d 売買契約後の値引きや自己資金確認資料の偽造に関する通報に関し、調査の結果、書類偽造の事実が確認されず、チャネルの取扱中止の措置がとられたこと等について、被告Ⓗの主張と同旨である。 e 融資を受ける顧客ないしチャネルが融資審査の通過を求めることな どは、シェアハウスローンにおいて特に融資関係書類等の偽装を疑うべき理由とはならず、シェアハウスローンにおけるレントロールの偽装が特に容易だったともいえないこと、チャネルへの依存が原告特有の事情として融資関係書類等の偽装のリスクを高めるものではないこと等について、被告Ⓗの主張と同旨である。 (イ)リスク分析の懈怠についての認識a 原告が主張するシェアハウス特有のリスクがシェアハウスに限らず新築物件全般に妥当するリスクであること、シェアハウスローンにおける収益還元法による物件評価には合理性があること、原告においてはシェアハウスの特性を踏まえた入居率の把握のための合理的な措置 がとられており、他行と比較しても期中管理としての一般的水準を満たしていたこと等について、被告Ⓗの主張と同旨である。 b 物件自体に問題があり、空室だらけの物件を入居ありとして物件評価を取っている案件が多数あるという通報に関し、書類偽造の事実が確認されなかったこと、当該通報に係る対象チャネルの取扱いを中止 とする措置をとったことについて、被告Ⓗの主張と同旨である。 c 被告Ⓛは、出口会議の内容を認識していない。 の事実が確認されなかったこと、当該通報に係る対象チャネルの取扱いを中止 とする措置をとったことについて、被告Ⓗの主張と同旨である。 c 被告Ⓛは、出口会議の内容を認識していない。また、シェアハウス会議については、その内容が営業本部及び審査部以外に共有されたことはなく、被告Ⓛは、内容はもとより同会議が開催されたことすら認識していない。 (ウ)不芳業者との取引継続についての認識- 122 - a 被告Ⓛは、原告に対してスマートライフに関する通報が寄せられたこと、亡Ⓜの指示により同社との取引が禁止となったこと、その後同社が別会社を介して実質的な取引を行っていたことについて、情報提供を受けておらず、全く認識していなかった。 b そのほか、原告において、チャネルPRMに登録する方法により不 芳業者との取引を停止する仕組みが設けられており、チャネルの管理について厳格な体制を構築していたと評価すべきであることについて、被告Ⓗの主張と同旨である。 (エ)審査の形骸化についての認識a 被告Ⓛは、Ⓞの審査部に対する具体的な言動等について報告を受け たことがなく、通報が寄せられたこともないため、Ⓞが営業及び審査部にどのような影響を与えていたかは関知していなかった。 そして、被告Ⓛは、個別の融資案件について、一切認識し得る立場になく、問題のある稟議案件を承認していたことを含め、審査部における具体的な審査内容について知らない。 b そのほか、審査の承認率の高さをもって審査が形骸化していたとは評価できないこと、亡Ⓜが業務全般における実質的な最高意思決定者ではなかったこと等について、被告Ⓗの主張と同旨である。 (オ)サクト会議を通じての認識 て審査が形骸化していたとは評価できないこと、亡Ⓜが業務全般における実質的な最高意思決定者ではなかったこと等について、被告Ⓗの主張と同旨である。 (オ)サクト会議を通じての認識a 被告Ⓛは、スマートライフとの取引禁止について、第1回サクト会 議において初めて知ったものであり、亡Ⓜによる指示の具体的な内容を把握していなかった。 b そのほか、第4回サクト会議の概要及びその後の対応については、被告Ⓗの主張と同旨である。 (カ)被告Ⓛに監視監督義務違反がないこと 以上によれば、被告Ⓛは、第4回サクト会議が開催された平成29年- 123 - 7月5日の時点において、シェアハウスローン債権保全措置懈怠状態を疑うに足りる事実を認識し又は認識し得なかったから、取締役会や監査役に対し、シェアハウスローンについて債権保全措置がとられていない疑いがあることを報告した上で、これを調査するよう求める義務を負っていなかった。 そして、被告Ⓛは、取締役として、上記時点で適切に情報提供を受け、これを踏まえて積極的に議論を行った結果として、直ちにシェアハウスローンの実行を全面的に中止しないが、取扱額を減額して徐々に撤退するという合理的な経営判断を行っていたから、取締役としての善管注意義務に違反しない。 ウ信頼の原則情報収集、調査及び検討などに関する体制が十分に整備されている場合や、リスク管理等に関する体制が十分に整備されている場合において、取締役の善管注意義務違反が認められる場合が限られること、通常想定される不正行為を防止し得る程度の管理体制を整えていた原告において、業務 を担当する取締役ないし使用人が行った情報収集、調査及び分析等の結果 意義務違反が認められる場合が限られること、通常想定される不正行為を防止し得る程度の管理体制を整えていた原告において、業務 を担当する取締役ないし使用人が行った情報収集、調査及び分析等の結果に依拠して意思決定を行うことに当然に躊躇を覚えるような不備・不足があるなどの特段の事情はなく、また、リスク管理等に関する体制も十分に整備されていたことについて、被告Ⓗの主張と同旨である。 被告Ⓛに関しては、他の取締役ないし使用人の業務活動に問題のあるこ とを知り又は知ることが可能であるなどの特段の事情はなかった。 (2)争点2(被告取締役らの内部統制システム構築運用義務違反の有無)について(原告の主張)ア取締役の内部統制システム構築運用義務 (ア)大会社である取締役会設置会社の取締役は、善管注意義務に基づき、- 124 - 内部統制システム構築運用義務を負うところ、その内容は、①各取締役において、取締役会の構成員として内部統制体制の構築の基本方針の決定に参加する義務、②代表取締役及び業務執行取締役において、取締役会の決議に基づき自ら又は使用人を指揮監督して内部統制システムを実際に構築し、実効的な運用を確保する義務、③取締役会の構成員として の各取締役において、適切な内部統制システムが構築されたかを監視監督する義務、④取締役会の構成員としての各取締役において、構築された内部統制システムが有効に機能しているかを継続的に監視監督する義務である。 (イ)代表取締役は、上記②の義務を履行するに当たり、過去に自社及び同 業他社等で現実化した様々な事案から、経験則に照らして今後も発生の蓋然性があるものを特定しながら内部統制システムを構築し、新たに生ずる事案を踏まえて構築した内部統制システムを随時見直す び同 業他社等で現実化した様々な事案から、経験則に照らして今後も発生の蓋然性があるものを特定しながら内部統制システムを構築し、新たに生ずる事案を踏まえて構築した内部統制システムを随時見直す必要がある。 また、代表取締役は、上記②の義務として、内部統制システムに不備が生じていることを認識し、他の取締役又は使用人にその是正を委ねた場 合、当該取締役又は使用人の下で内部統制システムが有効に運用されているかを監視監督する義務を負う。 また、原告における管掌取締役は、上記①、③及び④の各義務のほかに、⑤自己の管掌部門について、より具体的かつ個別的に委任を受けた執行役員によって適切な内部統制システムが構築されたかどうかを監 視監督する義務、構築された内部統制システムが構築後も有効に機能しているかどうかを継続的に監視監督する義務、執行役員から報告を受け、また、執行役員に対して報告を求め、その報告が適切に行われているかどうかにつき、内部監査部門や監査役などと意志疎通を図り、かつ、裏付けとなる事実を把握すべき義務を負う。 イ原告の内部統制システム- 125 - 原告においては、前記(1)のとおり、①原本確認の懈怠等、②リスク分析の懈怠、③不芳業者との取引継続、④審査の形骸化の各事実(本件4根拠事実)が生じていたほか、取締役会に上程される情報が極めて形式的かつ表面的なものにとどまり、債権保全措置がとられていないことを示す重要な事実が取締役会に報告されなかった点で、⑤情報の断絶も生じてい た。上記①ないし⑤の各事実によれば、原告においては、シェアハウスローン債権保全措置懈怠状態と同時に、債権保全措置に関する内部統制システムの機能不全が生じていたから、これを是正するための体制(①については原本確認を徹底で 実によれば、原告においては、シェアハウスローン債権保全措置懈怠状態と同時に、債権保全措置に関する内部統制システムの機能不全が生じていたから、これを是正するための体制(①については原本確認を徹底できる体制、②についてはシェアハウスの特性を踏まえた入居率調査の体制、③については不芳業者の情報を全社的・組織的に 共有する体制、④については審査部の権限強化などの営業からの圧力を排除して審査が実質的に機能する体制、⑤については重要な情報を全社的・組織的に適時かつ適切に伝達・共有できる体制)を整備すべきであった。 実際、原告は、シェアハウスローン問題の発覚後、関東財務局に提出した金融商品取引法に基づく内部統制報告書において、シェアハウスローン につき、そのビジネスモデルや不動産業者を窓口とした営業に起因するリスクを把握しないまま、それまでの投資用不動産関連融資の一つとして捉えて融資を推進し(原本確認の懈怠、リスク分析の懈怠、不芳業者との取引継続)、融資の実行に当たり、審査部門による牽制機能が十分に発揮できず(審査の形骸化)、融資実行後の関連情報の収集やモニタリングが不 十分であったとして内部統制システムの不備を認めており、被告取締役らにより内部統制システムが適切に運用されなかった結果、本件4根拠事実が発生し、シェアハウスローンの実行に当たり相当な債権保全措置が講じられなかったことにつながったと説明している。 ウ被告取締役らの内部統制システム構築運用義務違反 被告取締役らの上記①ないし④の各事実(本件4根拠事実)についての- 126 - 認識又は認識可能性は、前記(1)(原告の主張)のとおりであるところ、被告取締役らは、本件4根拠事実を認識し又は認識し得た時点において、これらが取締役会に報告されておらず ての- 126 - 認識又は認識可能性は、前記(1)(原告の主張)のとおりであるところ、被告取締役らは、本件4根拠事実を認識し又は認識し得た時点において、これらが取締役会に報告されておらず、重要な情報が全社的・組織的に伝達ないし共有されていないことを認識し又は認識し得たから、⑤情報の断絶を認識し又は認識し得た。したがって、被告取締役らは、各監視監督義 務違反の時点で、原告において、債権保全措置に関する内部統制システムに機能不全が生じていたことを認識し又は認識し得た。 被告取締役らに対する個別の主張は、次のとおりである。 (ア)亡Ⓜa 亡Ⓜは、偽造事案に係る報告や出口会議での指摘を通じて、原告に おいて、融資関係書類等の偽装を防止するための実効的な体制が整備されていないことを認識したが、営業現場における融資関係書類等の原本確認状況を検証して、抜本的な再発防止策を講じなかったばかりか、簡素化通達及び新運用基準により、逆に審査部が偽造を発見できなくなるように運用を改悪した。 また、亡Ⓜは、平成28年1月の信用リスク委員会及び経営会議において、シェアハウスについて外観からの入居率の把握が困難である旨の報告を受け、シェアハウスには入居者の有無や需要が検証できず審査に反映できないというリスクが内在し、シェアハウスローンが従前のアパートローンと異なり十分な知見が確保されていない新しい融 資であることを認識し又は認識し得ながら、当該融資に伴うリスクを合理的に軽減ないし除去するような体制を整備しなかった。 b 原告では、リスク管理体制として、リスク委員会において管掌範囲のリスクの管理や検討がされ、経営会議又は取締役会に対し、その検討結果や提言等を報告する体制が整備されていた。 しか b 原告では、リスク管理体制として、リスク委員会において管掌範囲のリスクの管理や検討がされ、経営会議又は取締役会に対し、その検討結果や提言等を報告する体制が整備されていた。 しかし、亡Ⓜは、長年にわたり、原告の業務執行全般における実質- 127 - 的な最高意思決定者として、営業と審査という相対立する権限の意思決定を行い、亡Ⓜの権限を縮小するなどの施策は講じてこなかった。 その結果、原告の執行役員等は、自らの業務における重要事項について、社内規程上の報告順序によらず、管掌取締役にも報告せずに亡Ⓜに対して直接報告や相談を行った。亡Ⓜにおいても、取締役会や経営 会議に諮ることなく、自ら対応方針を決定した上で関係者にのみ口頭で指示し、自ら開催した出口会議などで得た情報についても、取締役会や経営会議に共有することはなかった。 以上のとおり、亡Ⓜは、独断で、原告の社内規程で定められたリスク管理体制とは異なる運用を積み重ね、その結果、経営陣が把握すべ き情報が一部の人間に集中し、管掌取締役や監査役等に対して営業現場で発生していることの情報が十分共有されず、情報の断絶化が進んだ。亡Ⓜは、構築済みの内部統制システムに反する独自の運用も行い、その結果、原告の内部統制システムが無効化された。 c 亡Ⓜは、スマートライフとの取引禁止の指示を口頭で行い、経営会 議等の適切な会議体に共有しなかったところ、スマートライフは、チャネルとして認識されておらず、チャネルPRMに登録されていなかったため、システム上で取引停止とすることができず、記録化されなかった。 仮に、亡Ⓜが上記指示を信用リスク委員会や経営会議等で共有して いれば、原告のチャネル管理システムの不備も明らかとなり、より網羅的な管理体制の構築が することができず、記録化されなかった。 仮に、亡Ⓜが上記指示を信用リスク委員会や経営会議等で共有して いれば、原告のチャネル管理システムの不備も明らかとなり、より網羅的な管理体制の構築が可能であった。 d 亡Ⓜは、原告において営業優位の体制が構築され、審査部が営業から圧力をかけられていたことを認識しながら、業績悪化への懸念から、営業への抑制や審査の厳格化を具体的に指示したり、取締役会や経営 会議で検討したりすることなく放置していた。 - 128 - e 以上によれば、亡Ⓜは、遅くとも平成28年1月末の時点において、シェアハウスローンを含む収益不動産ローンにつき信用リスクの顕在化が差し迫っていることを十分に認識しながら、原告の内部統制システムの一部を構成する信用リスク管理体制を自ら無効化し、機能不全に陥らせたから、業務遂行上の重大なリスクの発生を予見すべき特別 の事情が存在していたというべきであり、原告の信用リスク管理体制を本来の状態に戻して機能を回復させる義務、具体的には、各管掌取締役が自ら適切に権限を行使するよう認識を改めさせるとともに、審査部の管掌取締役に対し、①審査部の独立性を確保して牽制機能を発揮させる体制の整備、②信用リスクの特定、評価、モニタリング、コ ントロール及び削減に関する方針の決定、③信用リスク管理上の問題が生じたときの速やかな審査部長から審査部の管掌取締役、信用リスク委員会及び経営会議への報告の徹底など、信用リスク管理体制を再構築すべき義務を負っていた。 しかし、亡Ⓜは、長年にわたり、原告の業務執行全般における実質 的な最高意思決定者として、原告の内部統制システムの不備を整備することが容易な立場にあり、当該不備を認識し又は認識し得たにもかかわらず、 亡Ⓜは、長年にわたり、原告の業務執行全般における実質 的な最高意思決定者として、原告の内部統制システムの不備を整備することが容易な立場にあり、当該不備を認識し又は認識し得たにもかかわらず、改善に向けた対応策を講じたり、経営会議や取締役会に報告したりせず漫然と放置し、上記義務を怠った。 (イ)被告Ⓕ a 被告Ⓕは、原告において、債権保全措置に関する内部統制システムに機能不全が生じていたことを認識し又は認識し得たから、取締役の構成員及び代表取締役として、これを是正するための体制を整備すべき義務(前記ア(ア)の②ないし④の各義務)を負っていた。 b しかし、被告Ⓕは、原告の収益の大半を占める個人向け融資に係る 内部統制システムの構築運用を亡Ⓜ(同人の死後は被告Ⓚ)及び管掌- 129 - 取締役に委ね、その後は適切な情報収集により随時リスクを把握することもなく、他の取締役又は使用人が適切に内部統制システムを構築したか否か、当該システムが有効に運用されているか否かについて監視監督を行わなかった。 c したがって、被告Ⓕは、上記aの義務を怠った。 (ウ)被告Ⓖa 被告Ⓖは、取締役会の構成員及び営業本部の管掌取締役兼営業本部長として、内部統制システム構築運用義務(前記アの③ないし⑤の各義務)を負っていた。 b 被告Ⓖは、本件4根拠事実について認識し又は認識し得たから、本 件4根拠事実が既存の内部統制システムによっては是正されず、取締役会等に報告されないことを認識し又は認識し得た。それにもかかわらず、被告Ⓖは、何らの措置もとらなかった。 また、被告Ⓖは、営業本部の管掌取締役でありながら、適切な内部統制システムが構築されたか否か、構築された内部統制システムが有 は認識し得た。それにもかかわらず、被告Ⓖは、何らの措置もとらなかった。 また、被告Ⓖは、営業本部の管掌取締役でありながら、適切な内部統制システムが構築されたか否か、構築された内部統制システムが有 効に機能しているか否かの監視監督の前提となる情報を全く収集しておらず、かつ、収集する意思も有していなかった。さらに、被告Ⓖは、平成29年4月から、自ら内部統制システム構築義務を負う立場にある営業本部長を兼任していながら、パーソナルバンクの実態を把握せず又は把握しようとせず、融資関係書類等の原本確認を徹底させるこ ともなく、営業本部が所管するお客さま相談センターに寄せられた外部通報の内容も確認せず、シェアハウスローンのリスク分析を怠り、本件承認リストを確認しなかったほか、サクト案件の問題が発覚した後もその解決について自ら指揮を執らず、Ⓞに対する監督を怠った。 c したがって、被告Ⓖは、上記aの義務を怠った。 (エ)被告Ⓔ- 130 - a 被告Ⓔは、取締役会の構成員及び審査部の管掌取締役として、内部統制システム構築運用義務(前記アの③ないし⑤の各義務)を負っていた。 b 被告Ⓔは、本件4根拠事実について認識し又は認識し得たから、本件4根拠事実が既存の内部統制システムによっては是正されず、取締 役会等に報告されないことを認識し又は認識し得た。それにもかかわらず、被告Ⓔは、自ら取締役会等に報告するなどの措置をとらなかった。 また、被告Ⓔは、審査部門の管掌取締役でありながら、同取締役が審査部に対する監督権限を有しておらず、その権限及び職責が極めて 限定的であり、収集し得た情報は限られた範囲のものにすぎなかったとの認識を前提として、適切な内部統制システムが構築され 取締役が審査部に対する監督権限を有しておらず、その権限及び職責が極めて 限定的であり、収集し得た情報は限られた範囲のものにすぎなかったとの認識を前提として、適切な内部統制システムが構築されたか否か、構築された内部統制システムが有効に機能しているか否かの監視監督の前提となる情報を全く収集しておらず、かつ、収集する意思も有していなかった。 c したがって、被告Ⓔは、上記aの義務を怠った。 (オ)被告Ⓗa 被告Ⓗは、原告の取締役に就任した平成29年6月以降、取締役会の構成員及び審査部の管掌取締役として、内部統制システム構築運用義務(前記アの③ないし⑤の各義務)を負っていた。 b 被告Ⓗは、コンプライアンス・情報セキュリティ委員会や事務リスク委員会等において、団信診断書の偽造やその他の融資関係書類等の偽装の報告を受け、原告において融資関係書類等の偽装を防止するための実効的な体制が整備されていないことを認識し又は認識し得た。 また、被告Ⓗは、シェアハウスローンについて、外観からの入居率 の把握が困難であるという新たな信用リスクが存在し、賃料ないしサ- 131 - ブリース料の支払状況の確認が入居率を把握するための代替手段にはならないことを認識し又は認識し得たから、原告の信用リスク管理体制に不備があったことを認識し又は認識し得た。 さらに、被告Ⓗは、物件調査ミーティングにおいて、亡Ⓜの指示に反してスマートライフとの取引が継続していたことを認識し又は認識 し得たから、原告において不芳業者との取引を排除するための実効的な仕組みが構築されていないことを認識し又は認識し得た。 加えて、被告Ⓗは、審査部の執行役員として、原告において営業と審査の相互牽制 し得たから、原告において不芳業者との取引を排除するための実効的な仕組みが構築されていないことを認識し又は認識し得た。 加えて、被告Ⓗは、審査部の執行役員として、原告において営業と審査の相互牽制作用が長年機能しておらず、亡Ⓜにこれらの権限が集中していたことを認識し又は認識し得た。 そして、被告Ⓗは、亡Ⓜが現場の情報を独占して取締役会等に共有していないこと、融資関係書類等の偽装に関する通報等につき被告Ⓗを含む一部の関係者のみで処理されていたこと、原告では出口会議やシェアハウス会議等の非公式の会議が開催され、それらの会議における議論の内容が取締役会や経営会議等に適切に報告されていないこと、 原告全体に大きな信用リスクを与えるおそれのあるシェアハウスローン問題を一部の取締役が出席した非公式のサクト会議でのみ議論し、その結果を取締役会に報告しなかったことを認識し又は認識し得たから、原告において情報が偏在化し、取締役会や経営会議等への適切な情報共有がされていなかったことを認識し又は認識し得た。 c 以上のとおり、被告Ⓗは、取締役に就任した時点で、原告のシェアハウスローンに関する内部統制システムの不備を認識し又は認識し得たにもかかわらず、当該不備について、改善に向けた対応策を講じたり、取締役会に報告したりすることもなく放置したことから、上記aの義務に違反した。 (カ)亡Ⓘ- 132 - a 亡Ⓘは、原告の取締役に就任した平成20年6月以降、内部統制システム構築運用義務を負っており、特に、平成24年4月に代表取締役に就任して以降は、前記ア(ア)の②ないし④の各義務を負っていたほか、経営企画部の管掌取締役であったから、前記ア(イ)の⑤の義務も負っていた。 b 亡Ⓘは、特別調査 成24年4月に代表取締役に就任して以降は、前記ア(ア)の②ないし④の各義務を負っていたほか、経営企画部の管掌取締役であったから、前記ア(イ)の⑤の義務も負っていた。 b 亡Ⓘは、特別調査報告や経営会議において、団信診断書の偽造やその他の融資関係書類等の偽装の報告を受けたことや、平成27年1月の経営会議で被告Ⓕが原本確認の懈怠が問題である旨を指摘しながら、その後も同様の偽造事案が発生していたことから、原告において、融資関係書類等の偽装を防止するための実効的な体制が整備されていな いことを認識し又は認識し得た。 また、亡Ⓘは、シェアハウスローンについて、外観からの入居率の把握が困難であるという新たな信用リスクが存在し、賃料ないしサブリース料の支払状況の確認が入居率を把握するための代替手段にはならないことを認識し又は認識し得たから、原告の信用リスク管理体制 に不備があったことを認識し又は認識し得た。 さらに、亡Ⓘは、平成24年4月から長年にわたり代表取締役を務めていたことから、原告において営業と審査の相互牽制作用が長年機能しておらず、亡Ⓜにこれらの権限が集中していたことを認識し又は認識し得た。 そして、亡Ⓘは、亡Ⓜが現場の情報を独占して取締役会等に共有していないこと、融資関係書類等の偽装に関する通報等につき被告Ⓗを含む一部の関係者のみで処理されていたこと、原告全体に大きな信用リスクを与えるおそれのあるシェアハウスローン問題を一部の取締役が出席した非公式のサクト会議でのみ議論し、その結果を取締役会に 報告しなかったことを認識し又は認識し得たから、原告において情報- 133 - が偏在化し、取締役会や経営会議等への適切な情報共有がされていなかったことを認識し又は認識し得た。 c 以 報告しなかったことを認識し又は認識し得たから、原告において情報- 133 - が偏在化し、取締役会や経営会議等への適切な情報共有がされていなかったことを認識し又は認識し得た。 c 以上のとおり、亡Ⓘは、代表取締役として、原告のシェアハウスローンに関する内部統制システムの不備を認識していたにもかかわらず、当該不備について、改善に向けた対応策を講じたり、取締役会に報告 したりすることもなく放置したことから、上記aの義務に違反した。 (キ)被告Ⓚa 被告Ⓚは、代表取締役に就任した平成28年6月以降、内部統制システム構築運用義務(前記ア(ア)の②ないし④の各義務)を負っていた。 b 被告Ⓚは、コンプライアンス・情報セキュリティ委員会等において、団信診断書の偽造やその他の融資関係書類等の偽装の報告を受け、原告において融資関係書類等の偽装を防止するための実効的な体制が整備されていないことを認識し又は認識し得た。 また、被告Ⓚは、原告において、営業と審査の相互牽制作用が長年 機能しておらず、亡Ⓜにこれらの権限が集中していたことや、従前から営業優位の体制が構築されており、審査部が営業に圧倒されていたことを認識し又は認識し得た。 c しかし、被告Ⓚは、何らの措置もとらなかったことから、上記aの義務に違反した。 (ク)被告Ⓛa 被告Ⓛは、原告の取締役に就任した平成23年6月以降、取締役会の構成員及び経営管理部の管掌取締役として、内部統制システム構築運用義務(前記ア③ないし⑤の各義務)を負っていた。 b 被告Ⓛは、特別調査報告や経営会議において、団信診断書の偽造や その他の融資関係書類等の偽装の報告を受けたことや、平成27年1- 134 - 月の経営会議 を負っていた。 b 被告Ⓛは、特別調査報告や経営会議において、団信診断書の偽造や その他の融資関係書類等の偽装の報告を受けたことや、平成27年1- 134 - 月の経営会議で被告Ⓕが原本確認の懈怠が問題である旨を指摘しながら、その後も同様の偽造事案が発生していたことから、原告において、融資関係書類等の偽装を防止するための実効的な体制が整備されていないことを認識し又は認識し得た。 また、被告Ⓛは、原告において、営業と審査の相互牽制作用が長年 機能しておらず、亡Ⓜにこれらの権限が集中していたことや、従前から営業優位の体制が構築されており、審査部が営業に圧倒されていたことを認識し又は認識し得た。 c しかし、被告Ⓛは、何らの措置もとらなかったことから、上記aの義務に違反した。 (被告Ⓐらの主張)ア取締役の内部統制システム構築運用義務内部統制システムの内容については、会社経営の専門家である取締役に広い裁量が与えられている。 そして、通常想定される不正行為を防止し得る程度の管理体制が整えら れている会社において、容易に想定し難い不正行為が発生した場合に、業務執行者である代表取締役が内部統制システム構築運用義務違反の責任を負うのは、代表取締役において、不正行為の発生を予見すべきであったという特別な事情がある場合に限られる。このことは、既に構築した内部統制システムの見直しの場合も同様であり、内部統制システムを構築した 時点では想定されなかった不正行為の発生を予見すべきであったという特別の事情がない限り、代表取締役が内部統制システムを見直す義務を負うことはない。 イ原告の内部統制システム平成29年3月末の時点で、原告の財務報告に係る内部統制は有 たという特別の事情がない限り、代表取締役が内部統制システムを見直す義務を負うことはない。 イ原告の内部統制システム平成29年3月末の時点で、原告の財務報告に係る内部統制は有効であ ると判断されている。そして、平成28年1月末の時点で、原告において- 135 - 通常想定される不正行為を防止し得る程度の管理体制(取締役会におけるリスク管理体制の大綱の決定並びに業務執行を担当する代表取締役及び業務担当取締役による担当部門におけるリスク管理体制の具体的な決定など)につき不備があったことを示す証拠はないから、原告では通常想定される不正行為を防止し得る程度の管理体制を整えていた。 平成30年3月31日を基準日とする内部統制報告書は、同年1月のスマートデイズによる賃料支払の停止に端を発して具体的な調査が行われたものであるから、そのような事後的な評価をもって、平成28年1月末時点で通常想定される不正行為を防止し得る程度の管理体制を整えていなかったことにはならない。 ウ亡Ⓜに内部統制システム構築運用義務違反がないこと(ア)仮に、原告において、シェアハウスローンに関する内部統制システムの不備があったとしても、取締役の内部統制システム構築運用義務違反を問うためには、シェアハウスローン特有のリスクの存在ではなく、シェアハウスローンにつき不正行為の発生を予見すべきであった特別な事 情が存在したことを要する。 しかし、シェアハウスローンという商品類型は極めて広範であり、一括りにしてその適否を論じることはできない。また、原告でシェアハウスローンに関する十分な知見が確保されておらず、他の収益不動産ローン一般とは異なるリスクがあったということもできず、亡Ⓜにおいても そのように 否を論じることはできない。また、原告でシェアハウスローンに関する十分な知見が確保されておらず、他の収益不動産ローン一般とは異なるリスクがあったということもできず、亡Ⓜにおいても そのように認識していなかった。そして、平成28年1月の信用リスク委員会及び経営会議において初めて、シェアハウスにつき目視での入居状況の詳細確認が困難であることを理由にサブリース料の支払状況を確認することで対応している旨が報告されたにすぎず、個別の融資案件においても、団信診断書の偽造の問題に対応していた事情しかうかがわ れないほか、シェアハウス会議においてもシェアハウスの取扱いをなく- 136 - すのではなく絞るべきとの結論が出されたにすぎない。 以上によれば、亡Ⓜにおいて、平成28年1月末の時点で、シェアハウスローンにつき不正行為の発生を予見すべきであった特別な事情が存在したとはいえない。 (イ)亡Ⓜが把握していた可能性のある偽造事案は、平成26年から平成2 8年までの2年間で、事務リスク委員会での指摘を含む7件にすぎず、そのうち、団信診断書の偽造に関しては、弁護士への紹介等も含めた対応がされている。 また、出口会議におけるデフォルトに至った案件のほぼ全てが架空か偽造である旨の指摘についても、当該案件の件数や内容が一切不明であ るから、当該指摘をもって融資関係書類等の偽装を防止するための実効的な体制が整備されていないことを認識し又は認識し得たとはいえない。 (ウ)原告においては、取締役会の決定に基づき業務執行が行われていたのであって、亡Ⓜが業務執行全般の最高意思決定者として意思決定をした ことはない。 また、出口会議は、亡Ⓜが融資管理の実情や本音を確認するために開催していたものであり、また、収益不動産 いたのであって、亡Ⓜが業務執行全般の最高意思決定者として意思決定をした ことはない。 また、出口会議は、亡Ⓜが融資管理の実情や本音を確認するために開催していたものであり、また、収益不動産ローン全般に関するものであり、シェアハウスローンに特化したものではない。 (エ)亡Ⓜのスマートライフとの取引禁止の指示は、同社との取引を絶対的 に禁止する趣旨であったから、亡Ⓜが同社との取引継続を認識していたことはなく、また、亡Ⓜの指示が不十分であったために原告の営業担当者による潜脱が生じたものではない。 (オ)原告の行員は、亡ⓂがⓄを制御していた旨や、亡Ⓜの死去後に融資管理が無力化された旨などを述べており、亡Ⓜが審査の形骸化を容認せず、 営業に対して必要な対応を行っていたことが裏付けられる。 - 137 - (カ)シェアハウスローンを含む収益不動産ローンの内容は千差万別であり、収益不動産ローンごとの債務者の信用状況等の個別事情を考慮することなく、収益不動産ローン一般について信用リスクの顕在化が差し迫っていることは認識できず、亡Ⓜにおいても、平成28年1月末時点でそのような認識には至っていない。したがって、亡Ⓜがシェアハウスローン を含む収益不動産ローンの信用リスクの顕在化が差し迫っていることを認識しながら、原告の信用リスク管理体制を自ら無効化し、機能不全に陥らせたとする原告の主張は、その前提において誤りである。 また、原告が主張する亡Ⓜの信用リスク体制の再構築義務の内容は抽象的であるところ、平成28年1月末時点においては、シェアハウスロ ーンにつき延滞はなく、その回収可能性に問題は生じておらず、目視での入居状況の詳細確認が困難である旨が報告されるにとどまっていた。 そのような状況下で、シェアハウスローンの実行 シェアハウスロ ーンにつき延滞はなく、その回収可能性に問題は生じておらず、目視での入居状況の詳細確認が困難である旨が報告されるにとどまっていた。 そのような状況下で、シェアハウスローンの実行を停止するためにどのような信用リスク管理体制を再構築すべきであったか全く明らかでなく、原告の主張するような抽象的な行動原則だけでは、シェアハウスロ ーンの実行を停止することはできない。 したがって、亡Ⓜは、平成28年1月末の時点で、信用リスク管理体制を再構築すべき義務に違反していない。 (被告Ⓕの主張)ア取締役の内部統制システム構築運用義務 代表取締役が具体的にいかなる内部統制システムを構築すべきかについては、経営判断事項として広範な裁量が与えられており、通常想定される不正行為を防止するための管理体制を整備すれば足りる。 そして、現実に発生した不正行為が通常容易に想定し難い方法によるものであった場合には、代表取締役において、不正行為の発生を予見すべき であったという特別な事情がない限り、内部統制システム構築義務に違反- 138 - したということはできない。 イ原告の内部統制システム(ア)原告においては、組織規程、取締役会規程及び執行役員規程等により、各会議体の位置付けや取締役の権限・職務の分担が規定されており、その他コンプライアンス規程や内部監査規程等により、内部監査等の法令 順守のための基本的な体制も整備されていた。 また、シェアハウスローンを含む個人融資についても、原本確認の徹底や担保価値の評価を含む融資関係書類等の取扱いを定めた業務規則により、融資担当者の業務遂行を統制し、通常想定されるリスクへの管理体制は整備されていた。 (イ)内部統制報告書は、シェアハ 担保価値の評価を含む融資関係書類等の取扱いを定めた業務規則により、融資担当者の業務遂行を統制し、通常想定されるリスクへの管理体制は整備されていた。 (イ)内部統制報告書は、シェアハウスローンに関する詳細な事実関係が不明のまま、危機管理委員会による暫定的な事実認定を踏まえて提出せざるを得ないという極めて特殊な状況で作成されたものであり、精緻な事実認定や法的評価を経たものではない。 したがって、内部統制報告書は、被告Ⓕがシェアハウスローンに関す る内部統制システムに不備があること又は適切な内部統制システムの運用ができていなかったことを自認した根拠にならないのは当然として、シェアハウスローンに関する内部統制システムの不備又は不適切な運用が客観的にあったことや、それに関する個別の取締役の主観を認定する根拠にもならない。 ウ被告Ⓕに内部統制システム構築運用義務違反がないこと(ア)被告Ⓕは、本件4根拠事実やその兆候となる事実を認識し又は認識し得なかった。 原告においては、通常想定されるリスクへの管理体制が整備されており、内部統制システムの運用状況に関する報告においても、本件に関係 するような問題は全く見当たらなかった。 - 139 - したがって、仮に本件4根拠事実やその兆候となる事実が存在し、被告Ⓕにその情報が寄せられなかったとしても、被告Ⓕは、原告の内部統制システム構築運用に不備があることなどの特別な事情を認識し又は認識し得なかった。 (イ)被告Ⓕは、取締役会や経営会議において、全店舗を対象とする臨店監 査の内容を踏まえた内部監査の状況や、その結果としての改善事項等の報告を受けていたほか、重要度の区分に応じて回付された通達又はその改正に関する内容を把握していた。また 全店舗を対象とする臨店監 査の内容を踏まえた内部監査の状況や、その結果としての改善事項等の報告を受けていたほか、重要度の区分に応じて回付された通達又はその改正に関する内容を把握していた。また、被告Ⓕは、役員から日常的な報告を受け、役員以外の従業員からも業務の相談や報告を受けていたほか、部長や店長などの幹部従業員と毎月定期的な会議を行い、担当部門 や業務に関する懸案事項等の報告及び相談に応じていた。 以上のとおり、原告においては、重要な情報が被告Ⓕにも随時報告されており、原告と同規模の会社の一般的な取締役であれば十分と考えられる程度の情報ないし他の取締役の職務執行に係る事項について情報を入手できる体制が整備されていた。そして、被告Ⓕは、当該体制によ り情報を入手し、他の取締役又は使用人が構築した内部統制システムの運用状況を適切に監視監督していたから、内部統制システム構築運用義務に違反していない。 (被告Ⓖの主張)ア取締役の内部統制システム構築運用義務 内部統制システム構築運用義務違反については、通常想定される不正行為を防止し得る程度の管理体制を整えていたか、以前に同様の手法による不正行為が行われたことがあったなど、個々の取締役において不正行為の発生を予見すべきであった特別な事情があったかどうかにより判断されるべきである。 イ原告の内部統制システム- 140 - (ア)原告においては、取締役会が内部統制の基本方針を決議した上で、リスク管理に関し、経営会議の下に設置されるリスク委員会が検討・提言等を行う体制や、リスク管理に関する社内規程が整備されていた。 また、コンプライアンスに関しては、担当の部門・役員を置き、コンプライアンス規程等や内部通報制度が整備され れるリスク委員会が検討・提言等を行う体制や、リスク管理に関する社内規程が整備されていた。 また、コンプライアンスに関しては、担当の部門・役員を置き、コンプライアンス規程等や内部通報制度が整備され、従業員の研修が行われ、 コンプライアンス違反につき報告義務が定められていたほか、内部監査部門が置かれて内部監査が実施され、その計画及び結果が取締役会に付議ないし報告されていた。 さらに、業務手続に関しても、多数の社内規程を定めてルールが整備されており、意思決定権限につき個別の規程が定められていた。 (イ)したがって、原告においては、通常想定される不正行為を防止し得る程度の管理体制が整備されていた。 ウ被告Ⓖに内部統制システム構築運用義務違反がないこと(ア)被告Ⓖにおける本件4根拠事実についての認識ないし認識可能性は、前記(1)(被告Ⓖの主張)イのとおりである。 また、被告Ⓖは内部統制報告書の提出時点で退任しており、かつ、同報告書の作成基準日は被告Ⓖの退任日であるから、被告Ⓖが同報告書記載の内容を認識、認容していた事実はない。 (イ)したがって、第4回サクト会議が開催された平成29年7月5日の時点までに、不正行為の発生を予見すべき特別な事情があったとはいえな いから、被告Ⓖにおいて、各部署の行った情報収集、分析及び検討等に依拠して意思決定を行うことは許され、営業現場や他部門の情報を自ら収集、分析及び検討等する義務まで負わない。 (被告Ⓔの主張)ア取締役の内部統制システム構築運用義務 (ア)内部統制システムを具体的に構築する義務を負うのは、あくまで代表- 141 - 取締役又は業務執行取締役であり、そのほかの取締役会の構成員としての各取締役(管掌取 用義務 (ア)内部統制システムを具体的に構築する義務を負うのは、あくまで代表- 141 - 取締役又は業務執行取締役であり、そのほかの取締役会の構成員としての各取締役(管掌取締役を含む。)が当該義務を負うものではない。 取締役会の構成員としての各取締役は、代表取締役及び業務執行取締役による内部統制システム構築義務の履行に際して違法行為があることや、当該履行に関する報告に虚偽があることを疑わせる特段の事情が あることを認識し又は認識し得た際に、当該履行に対する監視監督義務の一環として、取締役会において、当該違法行為を是正して適正に内部統制システムが構築されるようにし、又は当該報告に関する事実関係の調査等を行う義務を負う場合があり得るにすぎない。 (イ)リスク管理体制を含む内部統制システムについて、一般的基準ないし 最低水準を設定することは困難であり、取締役の合理的な裁量に委ねるほかない。 したがって、代表取締役及び業務執行取締役がいかなる水準及び内容等の内部統制システムを構築するかは、それ自体として経営判断の対象となるから、取締役会の構成員としての各取締役が負う監視監督義務の 範囲もおのずから限定され、直ちに冒険的なリスク情報の収集体制の構築が奨励されるものではない。 イ被告Ⓔに内部統制システム構築運用義務違反がないこと被告Ⓔの本件4根拠事実についての認識ないし認識可能性は、前記(1)(被告Ⓔの主張)イのとおりである。 したがって、被告Ⓔは、代表取締役及び業務執行取締役による内部統制システム構築義務の履行に際して違法行為があることや、当該履行に関する報告に虚偽があることを疑わせる特段の事情を認識せず又は認識し得なかったから、内部統制システムの構築運用を監視監督する義務を怠っ システム構築義務の履行に際して違法行為があることや、当該履行に関する報告に虚偽があることを疑わせる特段の事情を認識せず又は認識し得なかったから、内部統制システムの構築運用を監視監督する義務を怠ったとはいえない。 (被告Ⓗらの主張)- 142 - ア取締役の内部統制システム構築運用義務内部統制システム構築運用義務については、代表取締役及び業務執行取締役が自らの担当部門の具体的な内部統制システム構築運用義務を負い、他の取締役が当該義務の履行に対する監視監督義務を負う。そして、他の取締役の監視監督義務は、当該取締役の地位、在任期間及び職責等を踏ま え、監視監督の対象者の違法行為についての当該取締役の認識又は認識可能性を基準に判断する。 そして、内部統制システム構築運用義務違反については、通常想定される不正行為を防止し得る程度の管理体制を整えていたか、以前に同様の手法による不正行為が行われたことがあったなど個々の取締役において不 正行為の発生を予見すべきであった特別な事情があったかどうかという基準により判断されるべきである。 イ原告の内部統制システム(ア)原告においては、内部統制の基本方針が取締役会で決議されており、取締役会に内部統制システムの運用状況の概要の報告がされていた。 また、経営会議の下にリスク委員会が設置され、同委員会は経営会議に対する報告義務を負っていたほか、リスク管理に関する社内規程が整備されていた。 さらに、コンプライアンスに関しては、取締役会の下にコンプライアンス委員会が設置され、担当の部門・役員を置き、コンプライアンス規 程等や内部通報制度が整備され、従業員の研修が行われ、コンプライアンス違反につき報告義務が定められていたほか、内部監 プライアンス委員会が設置され、担当の部門・役員を置き、コンプライアンス規 程等や内部通報制度が整備され、従業員の研修が行われ、コンプライアンス違反につき報告義務が定められていたほか、内部監査部門が置かれて内部監査が実施され、その計画及び結果が取締役会に付議ないし報告されていた。 加えて、業務手続に関しても、多数の社内規程を定めてルールが整備 されており、意思決定権限につき個別の規程が定められていた。 - 143 - (イ)以上のとおり、原告においては、通常想定される不正行為を防止し得る程度の管理体制が整えられていた。 ウ被告Ⓗらに内部統制システム構築運用義務違反がないこと被告Ⓗらの本件4根拠事実についての認識ないし認識可能性は、前記(1)(被告Ⓗの主張)イ、(被告Ⓙの主張)イ、(被告Ⓚの主張)イ、 (被告Ⓛの主張)イのとおりである。 したがって、被告Ⓗらは、シェアハウスローンに関する内部統制システムの欠陥、不備等を認識せず又は認識し得ず、不正行為の発生を予見すべきであった特別な事情は存在しないから、内部統制システム構築運用を監視監督する義務を怠ったとはいえない。 (3)争点3(原告の損害)(原告の主張)アシェアハウスローンに係る融資金の損害(ア)銀行の取締役の任務懈怠により融資を実行した場合、銀行は、本来実行されるべきではない融資が実行されることにより融資金と同額の金銭 を失うことになるから、融資の実行時点において、銀行に融資金相当額の損害(以下「主位的損害」という。)が生じる。将来的に融資金を回収した場合には損害が填補されるが、そのような事情は損益相殺における利得の問題にすぎない。 仮に、融資の実行時点で銀行に融資金相当額の損害が生じないとして という。)が生じる。将来的に融資金を回収した場合には損害が填補されるが、そのような事情は損益相殺における利得の問題にすぎない。 仮に、融資の実行時点で銀行に融資金相当額の損害が生じないとして も、融資金の回収不能額が確定した時点において、銀行に回収不能相当額の損害(以下「予備的損害」という。)が生じる。本件では、シェアハウスローンの債務者らが申し立てた民事調停における調停勧告に基づき、原告が当該債務者らに対して一定額の解決金支払債務を負い、同債務とシェアハウスローンに係る債務を対当額で相殺した上で、相殺後 のシェアハウスローン債権を第三者に譲渡したこと、シェアハウスロー- 144 - ンの債務者が破産したこと等によって、これらの事由が生じていない一部のものを除き、シェアハウスローンに係る融資金の回収不能額が確定した。 (イ)亡Ⓜが、平成28年1月末までに、シェアハウスローンについて債権保全措置がとられているかの調査を開始すべき義務又は信用リスク管 理体制を再構築すべき義務を履行していれば、遅くとも同年4月末までにはシェアハウスローンの実行を停止することができた。そして、別紙1のとおり、令和6年3月末時点において、平成28年5月1日以降に新規に融資が実行されたシェアハウスローンに係る融資金合計818億5400万円のうち、未回収分は381億1155万8158円であ り、回収不能確定分は295億4368万3555円である。したがって、亡Ⓜの上記各義務違反と相当因果関係を有する損害は、主位的損害としては381億1155万8158円、予備的損害としては295億4368万3555円である。 また、仮に平成28年4月末にシェアハウスローンの実行を停止する ことができなかったとしても、亡Ⓜ 億1155万8158円、予備的損害としては295億4368万3555円である。 また、仮に平成28年4月末にシェアハウスローンの実行を停止する ことができなかったとしても、亡Ⓜが、同年1月末までに、信用リスク管理体制を再構築すべき義務を履行していれば、遅くとも平成29年3月末までにはシェアハウスローンの実行を停止することができた。そして、別紙2のとおり、令和6年3月末時点において、平成29年4月1日以降に新規に融資が実行されたシェアハウスローンに係る融資金合 計154億8400万円のうち、未回収分は78億3943万5149円であり、回収不能確定分は54億5989万2705円である。したがって、亡Ⓜの上記義務違反と相当因果関係を有する損害は、主位的損害としては78億3943万5149円、予備的損害としては54億5989万2705円である。 (ウ)被告Ⓖ及び被告Ⓔが、平成28年12月末までに、シェアハウスロー- 145 - ンについて債権保全措置がとられているかどうかの調査を開始すべき義務又は内部統制システム構築運用義務を履行していれば、遅くとも平成29年3月末までにはシェアハウスローンの実行を停止することができた。そして、別紙2のとおり、令和6年3月末時点において、平成29年4月1日以降に新規に融資が実行されたシェアハウスローンに 係る融資金合計154億8400万円のうち、未回収分は78億3943万5149円であり、回収不能確定分は54億5989万2705円である。したがって、被告Ⓖないし被告Ⓔの上記各義務違反と相当因果関係を有する損害は、主位的損害としては78億3943万5149円、予備的損害としては54億5989万2705円である。 (エ)被告Ⓕ、被告Ⓖ、被告Ⓗ、 告Ⓔの上記各義務違反と相当因果関係を有する損害は、主位的損害としては78億3943万5149円、予備的損害としては54億5989万2705円である。 (エ)被告Ⓕ、被告Ⓖ、被告Ⓗ、亡Ⓘ及び被告Ⓚが、平成29年7月5日時点で、シェアハウスローンの実行を停止すべき義務を履行していれば、同月6日以降のシェアハウスローンの実行を停止することができた。そして、別紙3のとおり、令和6年3月末時点において、平成29年7月6日以降に新規に融資が実行されたシェアハウスローンに係る融資金 合計56億1950万円のうち、未回収分は29億2285万5200円であり、回収不能確定分は20億7915万7951円である。したがって、被告Ⓕ、被告Ⓖ、被告Ⓗ、亡Ⓘ及び被告Ⓚの上記義務違反と相当因果関係を有する損害は、主位的損害としては29億2285万5200円、予備的損害としては20億7915万7951円である。 また、被告Ⓕ、被告Ⓗ、亡Ⓘ、被告Ⓚ及び被告Ⓛが、平成29年7月5日までに、シェアハウスローンについて債権保全措置がとられているかの調査を開始すべき義務及び内部統制システム構築運用義務を履行していれば、遅くとも同月末までにはシェアハウスローンの実行を停止することができた。そして、別紙4のとおり、令和6年3月末時点にお いて、平成29年8月1日以降に新規に融資が実行されたシェアハウス- 146 - ローンに係る融資金合計36億2380万円のうち、未回収分は17億8672万0360円であり、回収不能確定分は13億3521万1789円である。したがって、被告Ⓕ、被告Ⓗ、亡Ⓘ、被告Ⓚ及び被告Ⓛの上記各義務違反と相当因果関係を有する損害は、主位的損害としては17億8672万0360円、予備的損害としては13億3521万1 89円である。したがって、被告Ⓕ、被告Ⓗ、亡Ⓘ、被告Ⓚ及び被告Ⓛの上記各義務違反と相当因果関係を有する損害は、主位的損害としては17億8672万0360円、予備的損害としては13億3521万1 789円である。 イ信用毀損の損害シェアハウスローン問題の発生によって、原告のガバナンスに対する信頼は失墜し、原告に対する信用は著しく毀損されることとなった。 原告の信用が毀損し、顧客離れ等が生じたことによる原告の損害は、少 なくとも1億円を下回ることはない。 (共同訴訟参加人らの主張)アシェアハウスローンに係る融資金の損害(ア)原告のシェアハウスローンの大多数のシェアハウスを運営していたのはスマートデイズ(スマートライフ)であるところ、同社の民事再生手 続における説明によれば、シェアハウス1棟当たりの平均入居者数はわずかであり、シェアハウスの運営に相応の経費が必要となることを踏まえると、原告がシェアハウスの運用益からシェアハウスローンに係る債権の回収を図ることは事実上不可能である。 さらに、原告の主張のとおり、原告のシェアハウスローンは債権保全 措置が全くとられておらず、かつ、ほぼ全件において融資関係書類の偽装が行われていたことを考慮すれば、シェアハウスローンの債務者がその弁済能力を大幅に超える多額の債務を負った無資力の状態であることは明らかであり、同債務者の財産からの回収も不可能であるか、回収できたとしても著しく僅少なものにとどまる。 以上の事情を考慮すれば、原告がシェアハウスローンに係る債権の回- 147 - 収を図るためには、シェアハウス及びその敷地に設定された抵当権を実行するほかないが、原告のシェアハウスローンにおいては、土地売買 慮すれば、原告がシェアハウスローンに係る債権の回- 147 - 収を図るためには、シェアハウス及びその敷地に設定された抵当権を実行するほかないが、原告のシェアハウスローンにおいては、土地売買を仲介したチャネルやシェアハウスを建築した建築請負業者が代金額を不当に上乗せしたこと等によって、シェアハウス及びその敷地の担保価値がシェアハウスローンの融資額に比して極めて低いものとなってい る。そうすると、上記抵当権を実行することにより回収できる金額は、大きく見積もってもシェアハウスローンの融資額の3割程度であり、残りの7割は回収不能なものとして損害額を算定すべきである。 (イ)亡Ⓜは、遅くとも平成28年1月末の時点において、シェアハウスローンに関する監視監督義務及び内部統制システム構築運用義務を負っ ていたところ、当該時点で各義務を果たしていれば、遅くとも同年4月末までにはシェアハウスローンの実行を差し止めることができた。 同年5月1日以降に実行されたシェアハウスローンの融資実行額は1023億6860万円であるから、その7割に当たる716億5802万円が、亡Ⓜの上記各義務違反と相当因果関係を有する損害である。 (ウ)被告Ⓖ及び被告Ⓔにおいては、遅くとも平成28年12月末の時点において、シェアハウスローンに関する監視監督義務及び内部統制システム構築運用義務を負っていたところ、当該時点で各義務を果たしていれば、遅くとも平成29年3月末までにはシェアハウスローンの実行を差し止めることができた。 同年4月1日以降に実行されたシェアハウスローンの融資実行額は288億7070万円であるから、その7割に当たる202億0949万円が、被告Ⓖ及び被告Ⓔの上記各義務違反と相当因果関係を有する 同年4月1日以降に実行されたシェアハウスローンの融資実行額は288億7070万円であるから、その7割に当たる202億0949万円が、被告Ⓖ及び被告Ⓔの上記各義務違反と相当因果関係を有する損害である。 (エ)被告Ⓕ、被告Ⓗ、亡Ⓘ及び被告Ⓚは、平成29年7月5日の時点にお いて、直ちにシェアハウスローンの実行を差し止めるべき義務を負って- 148 - いた。同月6日以降に実行されたシェアハウスローンの融資実行額は143億7290万円であるから、その7割に当たる100億6103万円が、被告Ⓕ、被告Ⓗ、亡Ⓘ及び被告Ⓚの上記義務違反と相当因果関係を有する損害である。 仮に、上記時点では直ちにシェアハウスローンの実行を差し止めるべ き義務まで負わないとしても、被告Ⓕ、被告Ⓗ、亡Ⓘ及び被告Ⓚは、同時点において、シェアハウスローンに関し、相当な債権保全措置が講じられているかの調査を開始すべき義務及び内部統制システム構築運用義務を負っていたところ、同時点で各義務を果たしていれば、遅くとも同月末までにはシェアハウスローンの実行を差し止めることができた。 同年8月1日以降に実行されたシェアハウスローンの融資実行額は114億9860万円であるから、その7割に当たる80億4902万円が、被告Ⓕ、被告Ⓗ、亡Ⓘ及び被告Ⓚの上記各義務違反と相当因果関係を有する損害である。 (オ)被告Ⓛは、遅くとも平成29年7月5日の時点において、シェアハウ スローンに関し、取締役会や監査役に対して相当な債権保全措置が講じられていない疑いがあることを報告した上で、それを調査するよう求めるべき義務及び内部統制システム構築運用義務を負っていたところ、同時点で各義務を果たしていれば、遅くとも同月末までにはシェアハウスロ られていない疑いがあることを報告した上で、それを調査するよう求めるべき義務及び内部統制システム構築運用義務を負っていたところ、同時点で各義務を果たしていれば、遅くとも同月末までにはシェアハウスローンの実行を差し止めることができた。 同年8月1日以降に実行されたシェアハウスローンの融資実行額は114億9860万円であるから、その7割に当たる80億4902万円が、被告Ⓛの上記各義務違反と相当因果関係を有する損害である。 イ信用毀損の損害原告が被告取締役らの義務違反により被った信用毀損の損害の額は、少 なく見積もっても50億円は下らない。 - 149 - (被告Ⓐらの主張)アシェアハウスローンに係る融資金の損害(ア)原告は、平成28年5月1日以降に新規に融資が実行されたシェアハウスローンについて、その一部しか融資額に関する証拠を提出しておらず、損害を構成する個々のシェアハウスローンが実行されたこと及びそ の融資額が立証されていない。この点を措くとしても、原告は、シェアハウスローンの実行と同時に、債務者に対して債権を取得しているところ、融資によって取得した債権及びその担保の評価が誤っているなどの融資の不適切性が主張立証されていないから、融資自体によって原告に何らかの損害が生じたとは認められず、融資によって取得した債権のう ち、結果的に回収できなかった部分のみを損害とみるべきである。 シェアハウスローンを含む不動産ローンに係る融資については、対象物件の適正な価値を算定した上で、融資額から当該価値を控除したものが損害額となるから、融資額だけではなく対象物件の適正な価値を把握しなければ損害額を算定することができない。また、債権譲渡の対価は、 当事者間で任意 した上で、融資額から当該価値を控除したものが損害額となるから、融資額だけではなく対象物件の適正な価値を把握しなければ損害額を算定することができない。また、債権譲渡の対価は、 当事者間で任意に決定されるものであり、対象物件の適正な価値を反映したものではないから、債権譲渡の結果回収できなかった部分が損害額となるわけではない。しかし、原告は、個々のシェアハウスローン額や、債権譲渡の対価と残債権額との差額を主張するのみで、対象物件の適正な価値について一切主張立証していないから、原告の主張する損害額は 不当である。 (イ)危機管理委員会の設置が決定されてから約3か月後に調査結果の概要が提出されたとしても、当該調査結果は、その提出時点で判明した事実関係についての経過と同時点での対応策を報告するものにすぎず、融資実行の停止等の最終的な判断については言及されていないから、調査開 始後3か月でシェアハウスローンの実行を全て停止することができた根- 150 - 拠にはなり得ない。また、平成28年1月末時点で調査を実施したとしても、危機管理委員会とは調査方法・期間等が異なり、調査により判明し又は判明し得る事実にも大きな差異があるから、調査結果もおのずから異なるはずである。同月末時点では、原告においてシェアハウスにつき目視による入居状況の確認が困難であることが共有され、口座へのサ ブリース料の振込金額を確認するという対策等がようやく話し合われた時期であるから、同時点までにシェアハウスローンに関する調査を開始したとしても、危機管理委員会の設置など人的・物的資源を大幅に割くような調査を実施したとは考えられず、限定的な調査となり、判明し得る事実関係も極めて限定的となるため、わずか3か月でシェアハウスロ ーンの実行を全て停止 会の設置など人的・物的資源を大幅に割くような調査を実施したとは考えられず、限定的な調査となり、判明し得る事実関係も極めて限定的となるため、わずか3か月でシェアハウスロ ーンの実行を全て停止するという判断に至ったとは考えられない。 また、シェアハウスローンの実行を全て停止するという判断を行うには、その前提としてシェアハウスローンに関する全件調査及びその分析を行うことが必須であり、かつ、平成28年1月末の時点において具体的な施策に移すためには、収益不動産ローンに関する全件調査も必要に なったと考えられるところ、それらの調査に要する期間を踏まえると、調査開始から3か月でシェアハウスローンの実行を全て停止するという判断が非現実的であることは明らかである。実際に原告が行ったシェアハウス全件調査は、シェアハウスローンにつき不正や不適切な融資が行われていたか否かを明らかにするものではなく、あくまで入居状況や 家賃の振込状況等を調査したものにすぎないから、シェアハウスローンの実行を全て停止することができた根拠にはなり得ず、融資の適否を含むシェアハウスローンに関する全件調査を行うとなれば、シェアハウス全件調査と同程度の期間では到底終えることができず、長期間を要したと考えられる。そして、シェアハウス全件調査の実施から全社レベルで のシェアハウスローンの終結に至るまでの第4回サクト会議等の状況- 151 - からも明らかなとおり、たとえシェアハウスローンの調査や分析が進んだとしても、上場会社である原告が事業計画への影響や代替事業等を検討することなく、経営判断として直ちにシェアハウスローンの実行を全て停止するという判断を行うのは不可能であった。 以上のとおり、仮に平成28年1月末までにシェアハウスローンに関 する調査 を検討することなく、経営判断として直ちにシェアハウスローンの実行を全て停止するという判断を行うのは不可能であった。 以上のとおり、仮に平成28年1月末までにシェアハウスローンに関 する調査を開始しても、その3か月後にシェアハウスローンの実行を全て停止するという判断を行うことは現実に不可能であるから、原告の主張する亡Ⓜの義務違反と損害との間には因果関係が認められない。 イ信用毀損の損害争う。 (被告Ⓕの主張)アシェアハウスローンに係る融資金の損害(ア)損害賠償請求における損害とは、現状と当該行為がなかった場合を仮定した状態との変動(差額)であるところ、金銭消費貸借契約においては、金銭の支出と同時に同額の債権を取得するから、形式的には利益状 態の変動はなく、少なくとも貸付実行時において当該貸付債権につき回収不能リスクが存在し、又は回収不能が予見できた場合、当該債権の実質的な価値が額面額を下回ることから、貸付実行時において損害が発生し、その後の回収不能を予見できたと考えられる。原告らは、シェアハウスローンの融資手続のどのような点に問題があり、個別の回収不能な 融資が実行されるに至ったかを全く具体的に主張しておらず、また、個別の融資が融資時点で回収不能であったとする根拠やその範囲も示さず、個別の融資につき具体的にどのような問題があり、融資時点に回収不能と予見できる融資が実行されたといえるのか明らかにしていない。 原告のシェアハウスローンの多くは、融資関係書類の偽装が確認され ていない正常な手続に沿って実行されたものである。これらの正常な融- 152 - 資は、融資時点において回収不能のリスクがあったとはいえず、又はそのリスクを予見できないから、当該融資の ていない正常な手続に沿って実行されたものである。これらの正常な融- 152 - 資は、融資時点において回収不能のリスクがあったとはいえず、又はそのリスクを予見できないから、当該融資の実行前後で原告の利益の状態に差異はなく、原告に損害は生じていない。また、上記のような正常な融資について、原告が債務者と和解をしたことにより損失が生じたとしても、当該和解による損失の発生は、融資時点において予見不可能であ るから、原告に損害が生じていないことに変わりはない。 (イ)調査義務違反の主張にかかる合理的な調査期間が短すぎる。すなわち、調査義務違反と相当因果関係のある損害は結局ないと言わざるを得ない。 シェアハウスローンの実態に関しては、原告内部で調査を開始した後、 危機管理委員会及び第三者委員会による約3か月間ないし4か月間の調査を経て明らかになったから、シェアハウスローン問題につき正確な情報を入手するためには、第4回サクト会議以降も相当の時間が必要であったと考えられる。 そうすると、当時の原告の取締役らがシェアハウスローンの取扱中止 及び実行停止を判断するに至るまでには相当の時間を要したはずであり、平成29年7月末時点でシェアハウスローンの実行を全て停止するという判断が可能であったとはいえない。 イ信用毀損の損害否認ないし争う。 (被告Ⓖの主張)アシェアハウスローンに係る融資金の損害(ア)原告は、損害の対象とする個々のシェアハウスローンの関係資料等を明らかにしておらず、融資関係書類の偽装の有無及びその具体的内容、スマートライフの関与の有無及びその具体的内容、審査担当者の審査意 見など、シェアハウスローン債権保全措置懈怠状態を基礎付ける事実に- 153 - 関する事情が 有無及びその具体的内容、スマートライフの関与の有無及びその具体的内容、審査担当者の審査意 見など、シェアハウスローン債権保全措置懈怠状態を基礎付ける事実に- 153 - 関する事情が明らかでない。したがって、シェアハウスローンの実行時において、被告Ⓖの任務懈怠を構成し得ず、融資額が損害になることはない。 原告は、別紙1ないし4のほか、シェアハウスの建築目的の契約であること以外は不明な契約証書及び原告内で作成された資料を提出する のみで、回収不能の具体的な主張立証をしておらず、回収不能と判断された理由が不明である。また、債権譲渡額は、原告と譲受人との間で任意に決められた金額にすぎず、債権譲渡の対価の適正性については明らかになっていない。個々のシェアハウスローンの債務者の資力や担保不動産の価値から判断される回収不能とは異なるところ、担保不動産であ る物件が特定されていないため、当該物件の担保価値が立証されていない。 (イ)営業本部の管掌取締役にすぎない被告Ⓖが、単独でシェアハウスローンについて調査の上、その融資の実行を停止するという経営判断ができるものではない。また、十分な調査も行わずに、シェアハウスローンの 実行を直ちに停止することは現実的でないところ、原告が設置した危機管理委員会の調査は約3か月の期間を要し、その結果を踏まえて実施された第三者委員会の調査は約4か月の期間を要したこと等を踏まえれば、仮に被告Ⓖが平成28年12月末までにシェアハウスローンに関する調査を開始したとしても、調査開始後わずか3か月でシェアハウスローン の実行を直ちに停止できたとは考えられない。 また、第4回サクト会議では、シェアハウスローンの融資実行額を月10億円レベルにする方向で検討することとし、原告のコンプライアン ェアハウスローン の実行を直ちに停止できたとは考えられない。 また、第4回サクト会議では、シェアハウスローンの融資実行額を月10億円レベルにする方向で検討することとし、原告のコンプライアンスを担う亡Ⓘの主導の下、経営企画部、営業本部及び審査部が各々調査を行うことを決めたのであるから、それを無視して営業部門の被告Ⓖや Ⓞの判断のみで、シェアハウスローンの実行を直ちに停止することはで- 154 - きなかった。したがって、被告Ⓖが平成29年7月5日時点で直ちにシェアハウスローンの実行を停止すべき義務を負っていたことを前提とする原告の予備的損害に係る主張は、被告Ⓖに不可能を強いるものである。 イ信用毀損の損害 否認ないし争う。 (被告Ⓔの主張)アシェアハウスローンに係る融資金の損害(ア)シェアハウスローン全体の実行継続に関する被告取締役らの任務懈怠責任を追及する原告の主張を前提にすれば、あくまで当該任務懈怠によ ってシェアハウスローン全体において損害が生じたか否かという観点から検討される必要があるところ、シェアハウスローンの中に回収不能に陥るものが一定数混在することは本来的に不可避かつ予定された事態であり、そのようなリスクについてはシェアハウスローン全体における金利水準に織込済みである。したがって、被告取締役らの任務懈怠により シェアハウスローン全体において損害が生じたというためには、①シェアハウスローン全体において上記の金利水準に織り込まれていない回収不能リスクが現に発生したこと、②当該回収不能リスクの発生と被告取締役らの任務懈怠との間に因果関係が認められることが必要となる。 個々のシェアハウスローンの実行による出金は、それ自体としてシェ アハウスローン全体における回収不能リ 不能リスクの発生と被告取締役らの任務懈怠との間に因果関係が認められることが必要となる。 個々のシェアハウスローンの実行による出金は、それ自体としてシェ アハウスローン全体における回収不能リスクに何ら影響を及ぼすものでなく、上記①、②と論理的関係がないことは明らかであることに加え、実質的にみても、原告らの主張立証に照らせば、個々のシェアハウスローンにおいて必要な債権保全措置がとられていないために、融資の実行によって直ちに原告に損害が生じたと評価し得るものは認められない。 また、仮に個々のシェアハウスローンにおいて回収不能が確定的に生じ- 155 - たとしても、そのことは直接には上記①、②の充足を意味するものではない。 債権譲渡によって個別の債権をどの金額で回収不能額として確定させるかは、専ら債権譲渡を行った原告の裁量判断により決定するものであるから、そのような後発的事情によって確定した回収不能額は、被告取 締役らの任務懈怠との間の因果関係を欠く。また、原告らが主張する損害の対象となる個々のシェアハウスローンに関しては、債権譲渡以外の事情による回収不能の確定及びその額につき明らかでないから、当該事情による回収不能額と被告取締役らの任務懈怠との間の因果関係は不明である。その点を措いても、債権回収の過程においては、担保権の実 行、担保物件の任意売却、債権放棄などの原告の裁量判断による事情が多分に生じ得る以上、これらの事情を経て確定した回収不能額についても、被告取締役らの任務懈怠との間の因果関係が認められない。 (イ)シェアハウスローンに関する調査は、その調査手法・体制等に様々なものが想定されるほか、調査の時期等によっても、調査に要する期間や 調査で判明する事実の範囲、内容等も大きく異なり得る。したが イ)シェアハウスローンに関する調査は、その調査手法・体制等に様々なものが想定されるほか、調査の時期等によっても、調査に要する期間や 調査で判明する事実の範囲、内容等も大きく異なり得る。したがって、被告Ⓔが平成28年12月末までに調査を開始していれば、危機管理委員会による調査の期間と同じ3か月後にシェアハウスローンの実行が停止されたとするのはおよそ経験則に照らし根拠を欠くから、原告が主張する被告Ⓔの義務違反行為と損害との間に因果関係は認められない。 イ信用毀損の損害争う。 (被告Ⓗらの主張)アシェアハウスローンに係る融資金の損害(ア)銀行は、融資において貸付額と同額の債権及び対象物件に対する担保 権を取得するから、経済的損失は生じないところ、融資実行時点で融資- 156 - 額相当の損害が発生したと評価し得ることについて、原告らから合理的な主張立証がされていない。また、原告らの主張するシェアハウスローン債権の回収不能額は、原告が有する貸付債権及び担保権につき適切な評価を行うことなく、自ら適切な回収を放棄した結果をこれに関与し得なかった被告取締役らに転嫁するものにすぎないから、被告取締役らの 義務違反とシェアハウスローン債権の回収不能額との間に因果関係はない。 原告らの主張を前提としても、少なくとも原告らの主張する被告取締役らの責任原因と相当因果関係のある損害は、第4回サクト会議以降に稟議が承認されたシェアハウスローンに限られ、第4回サクト会議以前 に稟議が承認されたシェアハウスローンは損害として認められない。そして、稟議承認日を明らかにしない原告の訴訟態度に鑑みれば、第4回サクト会議以降に実行されたシェアハウスローンの大部分は、第4回サクト会議の時点で既に稟議が承認され又はそれに として認められない。そして、稟議承認日を明らかにしない原告の訴訟態度に鑑みれば、第4回サクト会議以降に実行されたシェアハウスローンの大部分は、第4回サクト会議の時点で既に稟議が承認され又はそれに準ずる状態にあったと推認されるから、原告らの主張する被告取締役らの義務違反との間に 相当因果関係があるとは認められない。 (イ)第4回サクト会議は、あくまでサクト問題への対応を目的とする会議であって、シェアハウスローン全体のリスクを議論する場ではなく、これに出席した被告取締役らは、同会議を通じてシェアハウスローン全般につき債権保全措置がとられていないことを疑うに足りる具体的事実を 認識し得なかった。当時、有担保ローンが収益の柱となっていた原告において、具体的リスクを認識していない中で、シェアハウスローンの新規融資を全て即時に停止し又は即時停止を前提とした検討を開始するという判断を行うことは事実上不可能であった。 また、第4回サクト会議以降、原告が設置した危機管理委員会による 調査には約3か月間、その結果を踏まえて実施された第三者委員会によ- 157 - る調査にもさらに約4か月間を要した。したがって、平成29年7月5日時点で既にシェアハウス全件調査が完了しており、シェアハウスローンの各種リスクにつき整理されている状況であったことを理由に、同月末までにシェアハウスローンの実行を停止することができた旨の原告らの主張には何ら根拠がない。 イ信用毀損の損害争う。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実前記前提事実のほか、後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が 認められる。 (1)原告の内部組織等原告は、組織規程その他の社内規程(平成27年4月1日時点のもの)により、内部組織等に のほか、後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が 認められる。 (1)原告の内部組織等原告は、組織規程その他の社内規程(平成27年4月1日時点のもの)により、内部組織等に関して次のとおり定めていた(甲3ないし7、9、11、12、15)。 ア取締役及び代表取締役並びに執行役員取締役は、取締役会の決議により、管掌及び所管業務が決定される。(取締役会規程14条)会長又は社長は、取締役会の決議に基づき、その職務の一部を他の取締役に委嘱又は担当させることができる。(組織規程14条) 執行役員は取締役会で選任され、取締役会が決定する基本方針に従い、業務執行を行う責任者とされる。(組織規程22条、執行役員規程2条)取締役会は、執行役員に対して、組織規程に定めるところにより業務の執行を委任し、執行役員の所管業務を決定し、代表取締役は、執行役員の職務の執行を統括し、指揮監督する。(執行役員規程6条1項、3項、取 締役会規程14条、別表取締役会決議事項5条)- 158 - 管掌が定められた取締役の一般的な職務内容及び権限等を定めた規定や管掌取締役を置く部門を具体的に定めた規定はなく、時期によっては管掌取締役がいない部門もあった。(被告Ⓕ本人)イ取締役会取締役会は、原告の業務執行の基本方針を決定する。(組織規程11条 1項)。 取締役会は、選任した執行役員に対して原告の業務執行を委任する。(執行役員規程6条1項)取締役会は、原則として毎月1回開催する。(取締役会規程3条1項)取締役会は、経営方針に関する事項(経営計画の策定、各部の基本方針 (戦略目標)の策定、内部管理体制に関する重要事項、コンプライアンスに関する重要事項、リスク管理に関する重要事項、顧客保 )取締役会は、経営方針に関する事項(経営計画の策定、各部の基本方針 (戦略目標)の策定、内部管理体制に関する重要事項、コンプライアンスに関する重要事項、リスク管理に関する重要事項、顧客保護等に関する重要事項等)、取締役に関する事項、人事に関する事項、社内規程及び就業に関する規程の制定、改廃などを決議する。(取締役会規程14条)取締役会において決議した事項の細目及び上記決議事項以外の事項の 決議は、経営会議又は執行会議に委任することができ、経営会議議長又は執行会議議長は、取締役会から委任された決議事項について、3か月に1回以上取締役会に報告しなければならない。(取締役会規程15条)ウ経営会議原告の基本方針に基づき取締役会から委任された事項の決議及び所定事 項について審議し、業務及びリスク管理が適切かつ実効的に機能する体制を整備することを目的とし、常勤取締役をもって構成し、CEOが招集して必要に応じ随時開催する。(経営会議規程1、2、3条)所定事項としては、業務運営に関する事項、内部管理体制に関する事項、コンプライアンスに関する事項、リスク管理に関する事項、取締役会に提 出する議案、経営計画案の策定、リスク委員会からの提案事項などを審議- 159 - し、重要な業務の状況報告、内部管理体制の状況報告、コンプライアンスの状況報告、リスク管理の状況報告などの報告を受ける。経営会議の下に内部監査部門として監査部を置く。(同8、9条、9条の2)エ執行会議原告の基本方針に基づき取締役会により委任された事項の業務執行に関 する決議、及び所定事項について審議し、業務の執行及びリスクを適切に管理することを目的とし、COO及び指名された執行役員をもって構成し、COOが招 き取締役会により委任された事項の業務執行に関 する決議、及び所定事項について審議し、業務の執行及びリスクを適切に管理することを目的とし、COO及び指名された執行役員をもって構成し、COOが招集して必要に応じ随時開催する。(執行会議規程1、2、3条)執行会議は、業務運営に関する事項、営業に関する事項、取締役会から執行会議に委任された事項のうち決議を要する事項などを審議し、重要な 業務の状況報告、営業に関する事項などの報告を受ける(同8、9条)。 オ監査部原告の内部監査を行う部門として、経営会議の下に置かれ、経営会議直轄で被監査部門等(原告の各業務部門の本部及び営業店等をいう。以下同じ。)からは独立した組織とし、被監査部門等から制約を受けずに内部監 査を実施する。(組織規程12条の2第1項、内部監査規程4条1項、2項)内部監査は、監査企画(内部監査計画の立案及び検証、内部監査規程等の立案、監査の改善事項等のフォローアップ及び検証)、業務監査(原告の内部管理体制の監査)、資産監査(自己査定の正確性の監査)、臨店監 査(原告の営業店、本部部門及び連結対象子会社の法令等遵守体制、各種リスク管理体制の適切性、有効性の監査)を職務として、原告の全ての業務を対象に、定例監査(内部監査計画書に基づき計画的に実施される監査)及び特別監査(業務、部門又はシステム等の状況に応じ、随時実施される監査。取締役会及び経営会議又はCEOから命じられたとき、並びに管掌 取締役又は監査部長が必要と認めたときに行うことができる。)を実施し、- 160 - 被監査部門等に対する確認、質問、閲覧、証憑突合等により行う。(内部監査規程3条)カリスク委員会原告の機構として、コンプライアンス委 きる。)を実施し、- 160 - 被監査部門等に対する確認、質問、閲覧、証憑突合等により行う。(内部監査規程3条)カリスク委員会原告の機構として、コンプライアンス委員会、コンプライアンス・情報セキュリティリスク委員会、統合リスク管理委員会、信用リスク委員会、 事務リスク委員会、システムリスク委員会があり、これらを総称してリスク委員会という。(組織規程5条、リスク委員会規程1条1項)リスク委員会は、それぞれの対象リスクについて、リスクの管理に関する重要事項について審議し、経営会議及び取締役会等に提案・報告を行うことを目的とし、経営会議の決議により選任された委員長及び委員若干名 をもって構成し、取締役は必要に応じて出席して意見を述べることができる。(リスク委員会規程2条、1条2項、3条)リスク委員会の審議事項として、戦略目標、方針、基準、規程、事務規定等の制定、改定、廃止に係る事項、新商品、新業務の開発、導入に係る事項などが定められ(同7条)、審議した重要事項及び審議の結果につい て、経営会議に提案・報告を行う(同9条)。また、各リスクの管理状況及び進捗状況、その他の各リスクに関する重要事項の報告を受ける(同8条)。 担当事務局は、リスク委員会において審議及び報告された議題を管理し、経営会議に提案・報告すべき議案を統括するとともに、リスク委員会にお ける指示・調査事項を取りまとめ、担当部店に通知する。(同10条2項、3項)(ア)コンプライアンス委員会コンプライアンス委員会は、取締役会の下に置かれる。(組織規程12条の3第1項、取締役会規程16条) 原則として3か月に1回開催し、経営企画部コンプライアンスが事務- 161 - 局 コンプライアンス委員会は、取締役会の下に置かれる。(組織規程12条の3第1項、取締役会規程16条) 原則として3か月に1回開催し、経営企画部コンプライアンスが事務- 161 - 局を担当する。(リスク委員会規程5条1項2号、10条4項)。 セキュリティリスク(情報セキュリティリスク)、法務リスク、人的リスク及び風評リスクを対象リスクとし、コンプライアンス体制の見直し、不正・不祥事件(銀行法施行規則35条38号に定める不祥事件をいう(コンプライアンス規程10条1項))等に関する再発防止策、そ の他コンプライアンスに関する重要事項などを審議し、不正・不祥事件等に関する事項、苦情処理に関する事項などの報告を受ける。(リスク委員会規程2、7、8条)。 下部組織としてコンプライアンス・情報セキュリティリスク委員会が置かれている。(組織規程12条の3第3項、コンプライアンス規程3 条1項)同委員会は、原告のコンプライアンスに関する実務レベルの事項及び情報セキュリティリスクに関する重要な事項について審議、報告を行い、コンプライアンス委員会に上程する。(リスク委員会規程2条)(イ)統合リスク管理委員会 統合リスク管理委員会は、経営会議の下に置かれる。(組織規程12条の3第2項1号、経営会議規程10条1号)原則として1か月に1回開催し、経営管理部統合リスクが事務局を担当する。(リスク委員会規程5条1項1号、10条4項)信用リスク、市場リスク、流動性リスク、オペレーショナル・リスク のほか、銀行業務に関わる全てのリスクを対象リスクとし、統合リスク管理体制、統合リスク管理の運用事項、その他各種リスク管理委員会から提案されたリスク管理に関する重要事項などを審議し、ストレステストなどの報告を 業務に関わる全てのリスクを対象リスクとし、統合リスク管理体制、統合リスク管理の運用事項、その他各種リスク管理委員会から提案されたリスク管理に関する重要事項などを審議し、ストレステストなどの報告を受ける。(リスク委員会規程2、7、8条)ストレステストとは、各種融資について、景気悪化や不動産価格の下 落などの複数のシナリオを想定し、各シナリオにおける生涯収益率を算- 162 - 出するものであり、原告においては、有担保ローンに関するストレステストとして、有担保ローン全体のほかに、住宅系やアパートローンなどの商品類型ごとにストレステストを実施していた。(甲202の1及び2)統合リスク管理規程においては、各種リスク管理につき所管部が設定 され、統括責任者は所管部の管掌取締役とされていた。具体的には、①信用リスク(与信集中リスクを含む。)は審査部、②市場リスク(金利リスクを含む。)及び流動性リスクは市場金融部及び経営管理部、③オペレーショナル・リスク・事務リスク等については業務部、システム部、経営企画部及び経営管理部がそれぞれ所管部とされ、その他のリスクに ついては、リスクの内容、発生頻度、経営に与える影響等を考慮の上、経営企画部及び経営管理部と関係部が協議し、所管部を決定することとされていた。(甲267)(ウ)信用リスク委員会信用リスク委員会は、経営会議の下に置かれていた。(組織規程12 条の3第2項2号、経営会議規程10条2号)原則として1か月に1回開催し、審査部企画管理が事務局を担当する。 (リスク委員会規程5条1項1号、10条4項)。 信用リスクを対象リスクとし(なお、平成29年4月5日以降は金融円滑化が対象リスクに追加された。)、融資の対象先、信用格付、ポー する。 (リスク委員会規程5条1項1号、10条4項)。 信用リスクを対象リスクとし(なお、平成29年4月5日以降は金融円滑化が対象リスクに追加された。)、融資の対象先、信用格付、ポー トフォリオ管理、決裁権限、与信査定等に関する事項、経営支援先の選定及び支援方針、同先に対する個別融資案件、大口与信先に対する与信方針、その他信用リスクに問題がある先や経営再建途上の与信先に対する管理、融資取組方針などを審議し、ポートフォリオの状況、信用格付や自動審査の精度など定量的な信用リスク管理手法の検証、大口与信先 に対する管理状況、経営支援先に対する支援状況、その他信用リスクに- 163 - 問題がある先、経営再建途上の与信管理状況の報告を受ける。(リスク委員会規程2、7、8条)(エ)事務リスク委員会事務リスク委員会は、経営会議の下に置かれている。(組織規程12条の3第2項3号、経営会議規程10条3号) 原則として3か月に1回開催し、カスタマーサポート本部品質サポート部(平成29年4月1日以降は業務部業務企画)が事務局を担当する。 (リスク委員会規程5条1項2号、10条4項)事務リスクを対象リスクとし、審議事項は、検査結果その他必要な事項、経営に重大な影響を与える不正・不祥事件、経営に重大な影響を与 えるような顧客からの苦情等、社内規程及び業務手続等に違反した事項などを審議し、検査結果その他必要な事項の報告を受ける。(リスク委員会規程2、7、8条)(2)原告の内部統制システム等ア内部統制システム構築の基本方針 原告は、平成27年5月1日時点において、内部統制システム構築の基本方針として、次の事項等を定めていた。(甲236)(ア) ステム等ア内部統制システム構築の基本方針 原告は、平成27年5月1日時点において、内部統制システム構築の基本方針として、次の事項等を定めていた。(甲236)(ア)取締役及び使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制(コンプライアンス規程等の制定、コンプライアンス委員会及びコンプライアンス統括部署の設置、具体的な行動指針であるコ ンプライアンス・プログラムの策定など)(イ)取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制(ウ)損失の危険の管理に関する規程その他の体制(統合的リスク管理規程等の制定、リスク委員会の設置、リスク管理体制の確立など)(エ)取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制(組 織規程等に基づく経営会議及び執行会議の設置、執行役員制度の採用な- 164 - ど)(オ)監査役の職務を補助すべき使用人並びに当該使用人の取締役からの独立性及び当該使用人に対する指示の実効性確保に関する事項(監査役の職務を補助すべき専属の使用人である監査役補助者の任命、監査役補助者が取締役から独立した立場を堅持し、監査役の指揮命令に従う体制の 確保など)(カ)原告並びに連結子会社等の取締役及び使用人等又はこれらの者から報告を受けた者が監査役に報告をするための体制(コンプライアンス上の問題につき直接経営企画部コンプライアンス及び外部の法律事務所に報告・相談できるコンプライアンス・ヘルプラインの整備など) (キ)監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制(監査役の会計監査人、監査部、経営企画部コンプライアンスとの連携強化など)イ原告のコンプライアンス体制原告は、コンプライアンスに関し、社内規程として に行われることを確保するための体制(監査役の会計監査人、監査部、経営企画部コンプライアンスとの連携強化など)イ原告のコンプライアンス体制原告は、コンプライアンスに関し、社内規程としてコンプライアンス規程を定めていた。その概要(平成26年12月19日時点のもの)は、次 のとおりである。(甲11)(ア)コンプライアンスの管理のプロセスは、業務上の行動について、セルフチェックや各部店の責任者により、コンプライアンスに沿っているかどうかのチェックを行う第一次チェック、経営企画部コンプライアンスや監査部臨店監査による第一次チェックが適切に行われているかのチェ ックを行う第二次チェック、監査部や監査法人、弁護士等によるコンプライアンス体制が適切かどうかのチェックを行う第三次チェックからなる。(コンプライアンス規程2条)(イ)リーガルチェックは、新商品及び新業務等、法的リスクが高いと判断される文書、契約、取引及び業務等を対象事項とし、所管部署で一次チ ェックを実施し、問題がないと判断したときは、経営企画部コンプライ- 165 - アンスが二次チェックを実施する。経営企画部コンプライアンスは、リーガルチェックの状況を定期的に又は随時コンプライアンス委員会及びコンプライアンス・情報セキュリティリスク委員会に報告する。(コンプライアンス規程2条の2第1、2、5項)リーガルチェックに関する具体的な手順は、「リーガルチェック業務 手続」に定める。(同条7項)(ウ)コンプライアンスの基本方針等の重要事項は、取締役会及び経営会議において策定するものとし、コンプライアンスに対する諸問題を審議するため、コンプライアンス委員会及び下部組織としてコンプライアンス・情報セキュリティリスク委員会を設置する。(コ 取締役会及び経営会議において策定するものとし、コンプライアンスに対する諸問題を審議するため、コンプライアンス委員会及び下部組織としてコンプライアンス・情報セキュリティリスク委員会を設置する。(コンプライアンス規 程3条1項)経営企画部コンプライアンスは、コンプライアンスを統括し、コンプライアンス関連情報を適時かつ効率的に収集し、管理するとともに、その内容を分析の上、未然防止、再発防止等の改善に努める。(同条2項、3項) 全部店にコンプライアンスの責任者として、コンプライアンス責任者及び内部責任者を配置し、同責任者らは、経営企画部コンプライアンスと連携し、自部店のコンプライアンス体制の整備を図る。(同条5項)常に法令等違反の防止に努めるとともに、コンプライアンスに関する事故等があった場合には、速やかに経営企画部コンプライアンスに報告 する。各部店の所属長(支店長等)は、コンプライアンス責任者として各部店のコンプライアンスに関する事項を統括し、内部責任者の任命、部店内のコンプライアンス体制の整備及び研修並びに指導等を行う。 (コンプライアンス規程4条1項、4項)。 (エ)コンプライアンスを実現するための具体的な手引書として、「ビジネ スガイドライン」と称するコンプライアンス・マニュアルを策定する。 - 166 - 全役職員は、自らの責任において、コンプライアンス・マニュアルに則り、行動しなければならない。(コンプライアンス規程5条)コンプライアンスを実現するための具体的な実践計画として、コンプライアンス・プログラムを策定し、これを推進することによって内部管理体制を強化し、法令等遵守違反の防止を図る。コンプライアンス・プ ログラムは、年度ごとに策定し、適時合理的なものとするため、 プライアンス・プログラムを策定し、これを推進することによって内部管理体制を強化し、法令等遵守違反の防止を図る。コンプライアンス・プ ログラムは、年度ごとに策定し、適時合理的なものとするため、進捗状況をフォローアップしなければならない。(同6条)(オ)原告の行員は、コンプライアンス違反又は各種ハラスメント(セクシャル・ハラスメント及びパワーハラスメントをいう。以下同じ。)に関する事項が発生したこと又は発生しようとしていることを認識したとき は、直ちに部店内のコンプライアンス責任者又は内部責任者に報告しなければならない。(コンプライアンス規程8条1項、8条の3第1項)コンプライアンス責任者又は内部責任者は、コンプライアンス違反又は各種ハラスメントの内容を調査するとともに、その旨を所管部署(コンプライアンス違反については経営企画部コンプライアンス、各種ハラ スメントについては経営企画部キャスティング。以下同じ。)に報告しなければならない。(同8条2項、4項)原告の行員は、コンプライアンス違反又は各種ハラスメントに関する事項が発生したこと又は発生しようとしていることを認識したことの通報又は相談を、「コンプライアンス・ヘルプライン」と称する報告・ 相談窓口(外部の弁護士に直接通報する窓口である「社外ヘルプライン」、社内の通報窓口である「社内ヘルプライン」、通報者の保護を重視し、制定の書式を利用して、文書によりコンプライアンス違反を通報するシステムである「スピーク・アップ・プログラム」の3種類が存在する。)又は「ハラスメント・ヘルプライン」と称する報告・相談窓口(社内の 通報窓口で、専用の外線電話により通報することができる。)を利用し- 167 - て所管部署に直接行うことができる。(同8条3項、8 メント・ヘルプライン」と称する報告・相談窓口(社内の 通報窓口で、専用の外線電話により通報することができる。)を利用し- 167 - て所管部署に直接行うことができる。(同8条3項、8条の2、8条の3)コンプライアンス・ヘルプライン又はハラスメント・ヘルプラインからの通報を受け付けた場合、受付担当者は、直ちに通報内容を経営企画部管掌役員に報告する。経営企画部管掌役員は、通報内容に調査が必要 な場合、直ちに関係部署に調査を指示する。調査を指示された関係部署は、直ちに必要な調査を実施し、その結果を速やかに経営企画部管掌役員に報告しなければならない。調査結果は、原則として経営企画部管掌役員より本人に回答される。(同8条の5ないし7)コンプライアンス・ヘルプライン又はハラスメント・ヘルプラインに 通報があった場合、所管部署は、必要に応じ、その通報内容及び調査結果をコンプライアンス委員会に報告する(その場合、所管部署は、調査対象部署に対し、問題の発生原因分析と対応策の策定を指示する。)。 コンプライアンス委員会は、コンプライアンス・ヘルプライン又はハラスメント・ヘルプラインの通報内容、発生原因、対応策についての検証 を実施し、その結果を経営会議に報告しなければならない。また、調査の結果、被調査者に対し懲戒処分が必要な場合は、リスク委員会規程に基づき対応する。(同8条の8第1項ないし3項)(カ)顧客からの相談・苦情等の申出事項は、「お客さまの声業務手続」により対応し、相談・苦情等がトラブルに発展した場合は、コンプライア ンス責任者又は内部責任者は各コミュニティ本部長に、本部は部長・管掌役員に報告しなければならない。(コンプライアンス規程9条1項、2項)受け付けた相談・苦情・トラブル等 イア ンス責任者又は内部責任者は各コミュニティ本部長に、本部は部長・管掌役員に報告しなければならない。(コンプライアンス規程9条1項、2項)受け付けた相談・苦情・トラブル等の中で、法令違反行為に関する情報が含まれるものについては、「お客さまの声業務手続」による対応に 加え、経営企画部コンプライアンスに報告する。(同条3項)- 168 - 経営企画部コンプライアンスは、法令違反の疑いのある報告を受けたときは、その内容を分析・検討の上、関連部店に還元するとともに、報告を受けた相談・苦情・トラブル等の中で、法令違反行為が含まれるもの、経営に重要な影響を及ぼす可能性のあるものについては、利害関係のない者による適切かつ十分な調査による原因究明を実施し、コンプラ イアンス委員会に報告する。(同条4項、5項)(キ)原告の行員は、不正・不祥事件等が発生したこと又は発生しようとしていることを認識したときは、直ちに部店内のコンプライアンス責任者又は内部責任者に報告しなければならない。(コンプライアンス規程10条2項) コンプライアンス責任者又は内部責任者は、直ちに上記報告があった旨を監査部臨店監査部長に報告しなければならない。報告を受けた監査部臨店監査部長は、速やかに経営企画部管掌役員、監査部管掌役員、経営企画部長及び監査部長にその旨を報告するとともに、必要な調査を行う。経営企画部管掌役員又は経営企画部長は、速やかに社長に当該事件 の概要を報告する。(同条3項)監査部臨店監査部長は、監査部長の指示により当該事件の調査を行う(なお、事件の内容によっては、経営企画部管掌役員の指示により経営企画部コンプライアンス又はキャスティングが単独で調査を行うことができる。)。監査部長等は、当該事件の発生 により当該事件の調査を行う(なお、事件の内容によっては、経営企画部管掌役員の指示により経営企画部コンプライアンス又はキャスティングが単独で調査を行うことができる。)。監査部長等は、当該事件の発生原因分析を行い、改善対 応策案を策定する。経営企画部コンプライアンスは、監査部長等が策定した改善対応策案に基づき、関係各部による不正・不祥事件対応会議を開催し、当該事件に係る具体的な改善対応策案を検討する。当該事件が原告の経営に与える影響が大きいとき、又は組織的な関与があるとみなされるときは、企業リスク管理規程に基づいた危機管理対応を行う。(同 条4項)- 169 - 経営企画部コンプライアンスは、上記会議において、改善対応プログラム案を策定する。改善対応プログラムは、コンプライアンス委員会等での審議を経て、経営会議において決裁する。また、取締役会において、コンプライアンス委員会での審議状況を報告する。(同条5項)(ク)原告の行員は、行員以外の不正行為等(顧客保護の観点から、原告に おける不正・不祥事件ではないものの、顧客の利益が著しく損なわれる可能性がある取引先等の他の関係者の不正行為(不正行為の疑いがあるときを含む。)をいう。以下同じ。)が発生したこと又は発生しようとしていることを認識したときは、直ちに部店内のコンプライアンス責任者又は内部責任者に報告しなければならない。(コンプライアンス規程 10条の2第1項、2項)コンプライアンス責任者又は内部責任者は、直ちに上記報告があった旨を監査部臨店監査部長に報告しなければならない。報告を受けた監査部臨店監査部長は、速やかに経営企画部管掌役員、監査部管掌役員、経営企画部長及び監査部長にその旨を報告する。(同条3項) 臨店監査部長に報告しなければならない。報告を受けた監査部臨店監査部長は、速やかに経営企画部管掌役員、監査部管掌役員、経営企画部長及び監査部長にその旨を報告する。(同条3項) 経営企画部管掌役員及び経営企画部長は、不正行為等の概要を精査し、報告が必要と認められるときは、コンプライアンス委員会に報告する。 対応策が必要なときは、同委員会で協議し、決定する。(同条4項)ウ顧客からの意見及び苦情等への対処手続原告は、「お客さまの声業務手続」という社内規程により、原告に寄せ られる顧客からの意見及び苦情等に対処する手続を定めていた。当該手続の概要(平成27年3月16日時点のもの)は、次のとおりである。(甲13、181)(ア)担当部署(統括部)は、営業本部品質サポート部品質サポートセンターお客さま相談センター(以下「お客さま相談センター」という。)で ある。 - 170 - (イ)営業店等で受け付けた顧客からの意見及び苦情等の申出をお客さま相談センターに報告し、お客さま相談センターが一元管理する。 お客さま相談センターは、申出内容に対する対応結果を検証し、担当部署による再発防止や未然防止の具体的な対応策が必要なときは、担当部署に分析・検証と対応策を回答させる。また、経営に重大な影響を与 えるとき等は、速やかに本部に報告し、対応を依頼する。 (ウ)お客さま相談センターは、各担当部署の発生原因の分析や対応状況、改善対応の進捗状況を毎月定期的に把握する。また、担当部署の回答状況から単独担当部署では解決困難な事案などを抽出した上で、業務改善委員会等の委員会に上程し、組織的な問題解決を図るとともに、毎月経 営会議に報告する。 お客さま相談センターは、担当部署が対応済み又は対応しないとした案件 な事案などを抽出した上で、業務改善委員会等の委員会に上程し、組織的な問題解決を図るとともに、毎月経 営会議に報告する。 お客さま相談センターは、担当部署が対応済み又は対応しないとした案件のうち、同様の苦情が繰り返し発生した案件を「対応が不適切な案件」とし、類似の苦情発生が継続傾向にある際、苦情の発生原因を再度検討して毎月経営会議に報告し、抜本的な対応策を実施して苦情の早期 解決を徹底する。また、四半期ごとに、担当部署ごとに振り分けた苦情・相談・照会案件に対する対応状況を経営会議に報告するとともに、抜本的対策の管理状況の検証を行う。 エ商品の開発原告は、「リーガルチェック業務手続」という社内規程により、商品の 開発に関する手続を定めていた。当該手続の概要(平成26年12月22日時点のもの)は、次のとおりである。(甲12)(ア)開発部署は、商品開発段階において、所定のリーガルチェック区分判定表を用いた区分の判定結果に応じて、経営企画部コンプライアンス法務部門(以下「コンプライアンス法務」という。)と協議し、法的問題 点の検証及び弁護士校閲を実施した上で、所定のチェックリストに企画- 171 - 担当部による評価を記入し、各リスク項目の関連部署に同チェックリストを提出して評価を受ける。 関連部署による評価完了後、所管部署は、コンプライアンス法務に上記チェックリストを提出する。コンプライアンス法務は、内容を確認の上、コメントを付して開発部署に返信する。 (イ)所管部署は、弁護士校閲を実施し、法律上問題がないことを確認する。 この際、コンプライアンス法務等の関連部署と協議し、質問事項等について適切な弁護士校閲を実施する。 (ウ)上記チェックリスト及び弁護士校閲資料等をコンプラ を実施し、法律上問題がないことを確認する。 この際、コンプライアンス法務等の関連部署と協議し、質問事項等について適切な弁護士校閲を実施する。 (ウ)上記チェックリスト及び弁護士校閲資料等をコンプライアンス法務に提出する。 オ融資手続原告は、融資手続に関し、信用リスク管理規程、融資事務手続等の各種規程を定めていたほか、具体的な商品ごとに事務取扱要領を定めていた。 原告の信用リスク管理規程(甲157の1)には、信用リスクを信用供与先の財務状況の悪化等により、資産(オフバランス資産を含む)の価値 が減少ないし消失し、当社が損失を被るリスクをいうと定義し、基本方針として、短期的な利益を優先せず、法令を遵守すること、与信の小口分散化を図り、与信集中リスクの極小化を目指すこと、借り手の経営状況、資金使途、回収可能性等を総合的に判断し、事業や家計からのキャッシュフローを重視の上融資の判断を行うこと、与信のポートフォリオ管理に努め、 定期的にモニタリングを実施し、信用リスクのコントロールを行うこと、適合性の原則、優越的地位の濫用と誤認防止の観点から適正な顧客説明を行うことなどを定めていた。また、信用リスク管理態勢として、経営会議は、具体的な業務を遂行し、経営に重要な影響を与える事項等、必要に応じて取締役会に上程すること、管掌取締役においては、信用リスク管理部 門並びに管理者に指示を与え、信用リスク管理体制の構築に努めること、- 172 - 信用リスク管理の所管部は審査部とし、管理者は所管部長とすることを定めていた。 また、信用リスク管理の対象として貸出金等を定め、個別の案件については、審査役の持つ知識、経験に加え、自動審査システムによる統計的なスコアリングモデルの結果等を参考に、融資先の健全性、融資の返済に また、信用リスク管理の対象として貸出金等を定め、個別の案件については、審査役の持つ知識、経験に加え、自動審査システムによる統計的なスコアリングモデルの結果等を参考に、融資先の健全性、融資の返済に問 題がないかを判断し、融資案件の諾否を決定すること、原告全体の貸出金ポートフォリオに内在する信用リスクについて、パラメータ推計の実施、ストレス・テストの実施、債務者格付け制度並びにパラメータの検証を行い、計量化を実施することで、信用リスクを把握して管理すること、融資先の信用リスクの状況に変化がないかモニタリングを実施することなど を定めていた。 また、投資用マンション(ワンルームマンション含む一戸)購入資金等を使途とする融資(プレミアムアセットプラン1、PA1)、資産形成を目的とする賃貸マンションの新築、増改築、購入資金等を使途とする融資(汎用フリーローン(収益用))については、融資対象者、融資金額、担 保権の設定、担保物件の調査、担保価額等について事務取扱要領が定められていた。(甲157の2、3)(3)原告のビジネスモデル等アリテール戦略(ア)原告は、全国有数規模の地方銀行と営業地域が隣接していることもあ り、早くから、個人市場に特化すべく個人向けローンを重視するリテール戦略を採用し、個人向けの商品の充実を重要な課題とした上で、他の金融機関では取り扱わないような一定のリスクのある融資案件について、他の金融機関よりも高金利で融資を実行し、その金利を回収することで当該リスクを吸収するという融資方針を採用していた。原告による融資 は、金利は他の銀行よりも高いが、融資上限金額が高く、担保評価が厳- 173 - しくなく、返済期間が長期間であり、融資実行までのスピードが速い点では、チャネル、 いた。原告による融資 は、金利は他の銀行よりも高いが、融資上限金額が高く、担保評価が厳- 173 - しくなく、返済期間が長期間であり、融資実行までのスピードが速い点では、チャネル、不動産所有者及び投資を希望する者のニーズに合致していた。(甲179、乙F8、証人Ⓣ、証人Ⓤ)(イ)原告は、住宅ローンの拡充を図ろうとしたものの、他の金融機関との競争が激しかったため、個人向けに収益(投資用)不動産ローンの拡充 を図ることとし、一般的なアパートローン(アパート、貸家及び貸店舗の新築ないし増改築資金等を使途とするもの)のほか、マンションビルプラン(賃貸ビルの建設資金向けローン)、プレミアムアセットプラン1(投資用の区分所有マンション向けローン)、ドリームライフアセット(別荘・セカンドハウス購入資金向けローン)などの商品を導入した。 (甲164、179、乙F8、証人Ⓤ)アパートローンには、元々土地を保有している者向けのローンと、新たに不動産を購入する者向けのローンが混在していたところ、原告は、平成27年10月から、両者を区別して扱うようになり、後者を資産形成ローンと称し、シェアハウスローンは資産形成ローンに分類された。 (甲164、179、乙F8、証人Ⓣ、証人Ⓤ)個人向けの収益不動産ローンはパーソナルバンクが取り扱っていたところ、パーソナルバンクの取り扱う融資が原告の融資額全体に占める割合は、平成20年は50%程度であったが、平成26年度から平成28年度には80%超まで増加していた(乙F8)。 (ウ)原告の総融資に占める投資用不動産向け融資の割合は、平成28年3月末時点で58.13%、平成29年3月末時点で60.40%、平成30年3月末時点で61.23%であり、一棟向け融資の割合は、平 (ウ)原告の総融資に占める投資用不動産向け融資の割合は、平成28年3月末時点で58.13%、平成29年3月末時点で60.40%、平成30年3月末時点で61.23%であり、一棟向け融資の割合は、平成28年3月末時点で41.28%、平成29年3月末時点で46.40%、平成30年3月末時点で49.16%であった。(甲182) 原告においては、平成24年度から平成28年度までの間、有担保ロ- 174 - ーンのうち、収益不動産ローン以外については、融資額が約定返済額及び繰上返済額を下回り、融資残高が減少していたが、収益不動産ローンについては、融資額が約定返済額及び繰上返済額を各年とも約2倍ないし4倍上回り、融資残高が増加していた。(甲184の1及び2)金融庁は、平成27年ころから28年ころにかけて、担保・保障に必 要以上に依存しない融資を促進しており、原告は、他行に先駆けて個人向け不動産取得資金融資の市場を開拓して収益を伸ばしているとして、金融庁長官から高く評価されることもあった。(乙D2ないし4、乙E5、6)イチャネル (ア)住宅ローンは、顧客が物件を決定した上で融資を受ける銀行を探すことが多いが、収益不動産ローンは、チャネル等から物件の情報を得て、銀行が当該物件の融資の取扱いの可否や上限額を決めた後に、不動産業者が投資を希望する顧客に営業をかけ、所有者からチャネルが買い取り、顧客に再販することが多かった。チャネルとして扱う基準は明確ではな く、仲介業者である場合もあるし、売主と投資家との間で、売主から買取りをした上で投資家に転売する業者(転売業者又は三為業者と呼ばれる。)である場合もあった。不動産を探してくる業者と投資家に勧誘する業者が分かれるような場合、後者はチャネルとして扱っていた 主から買取りをした上で投資家に転売する業者(転売業者又は三為業者と呼ばれる。)である場合もあった。不動産を探してくる業者と投資家に勧誘する業者が分かれるような場合、後者はチャネルとして扱っていたが、前者の位置づけは明確になっていなかった。 原告は、収益不動産ローンについて、チャネルから投資家や融資案件の紹介を受けるほか、チャネルと不動産投資等に関するセミナーを共催するなど、チャネルを利用して収益不動産ローンの拡充を図ってきた。 (甲179、183、証人Ⓤ)。 (イ)原告では、平成20年6月2日から、チャネルPRMという名称のシ ステムを用いてチャネルの情報を管理するようになった。チャネルPR- 175 - Mには、対象のチャネルに関し、基本情報(会社名、住所及び電話番号等)やチャネルへの訪問日誌等を登録する仕様となっていたほか、不良(不芳)情報(書類偽造、顧客属性の偽り、金額虚偽、物件瑕疵、チャネル先所在不審)を登録することができた。また、チャネルPRMにおいては、審査部だけが閲覧できるコメントを登録することができたため、 審査部は、不良行為を行った業者のチャネルPRMに、不良行為の内容及び取引中止とする旨を記載することができた。(乙F8)チャネルPRMは、当初、営業推進のツールとして稼働したこともあり、登録すべき情報等に関する規律が不明確であった。平成25年11月15日、信用調査の対象範囲を拡大することにより、融資案件にかか る不動産販売業者仲介業者等への十分な確認を徹底し、融資業務に係るリスク軽減を図ることを趣旨として、融資業務の業務手続において、融資案件に係る不動産販売業者及び仲介業者について、新規取扱時に会社の詳細情報の収集及び訪問調査を徹底し、十分な確認をした上でチャネ るリスク軽減を図ることを趣旨として、融資業務の業務手続において、融資案件に係る不動産販売業者及び仲介業者について、新規取扱時に会社の詳細情報の収集及び訪問調査を徹底し、十分な確認をした上でチャネルPRMに詳細な情報登録を行い、当該業者について苦情や風評等によ り必要と認められる場合には適宜追加調査を行うことを融資事務手続に追加する旨の通達が発出された。チャネルについては、資料の取り付け、調査役による調査、帝国データバンクの調査、ネガティブ情報の調査など審査部の審査を受け、途上管理として帝国データバンクの調査報告書の取り付けや決算書の提出を受けるなどしていた。これにより、チ ャネルPRMは、従来の営業推進のツールのほかに、チャネルの信用調査のツールとしても用いられることとなった。(甲52、乙F8、32)(4)シェアハウスローンアシェアハウスシェアハウスの運営事業者は、平成25年8月末時点で、全国に598 社存在したほか、全国2744件のシェアハウスのうち約4分の3が東京- 176 - 都に立地し、東京都内の物件のうち9割以上(1932件)が23区内に集中していた。また、平成25年6月15日から同年8月31日までの間に実施されたシェアハウスの運営事業者を対象に行われたアンケートによると、回答した63社のうち、稼働率が90%以上の事業者は全体の半数を超え、1割が100%稼働であった。 シェアハウスは、令和2年8月時点では、全国に約5000件存在するとされており、また、シェアハウスは令和2年の時点において現在も増えているとの報道もある。(乙D5、13)シェアハウスは、若者が住居費を節約するためにリビングや水回りを共有するだけの共同生活を営む場所にとどまらず、同じような趣味や嗜好を において現在も増えているとの報道もある。(乙D5、13)シェアハウスは、若者が住居費を節約するためにリビングや水回りを共有するだけの共同生活を営む場所にとどまらず、同じような趣味や嗜好を もつ者や、思考・境遇・目標を共通にする者が集うことが付加価値とされ、コンセプトやデザインを際立たせたもの(女性専用、シングルマザー専用、アウトドア愛好家向けのシェアハウスなど)も登場した。 シェアハウスについては、平成25年から29年ころまで、家賃を安くおさえることに加え、母子家庭向けなどの育児支援、外国人旅行者の短期 滞在の受け入れ、ペットの共同飼育、受験勉強その他各種趣味の活動や交流といった生活を充実させる付加価値を置くことで入居者の確保をはかるといった運営が行われていることが紹介され、また、生活困窮者、障害者やマイノリティの自立支援の切り札としての役割を期待する報道も見られた。(乙B8、乙D1ないし5) イ原告におけるシェアハウスローン(ア)原告は、平成23年12月頃から、アパートローンの一種としてシェアハウスローンの取扱いを開始した。(甲210)原告が取り扱うシェアハウスローンの対象となるシェアハウスの多くは、新築で寄宿舎型の新築収益事業用不動産であり、スマートライフの 展開していたシェアハウスも寄宿舎型であった。その特徴は、①玄関・- 177 - キッチン・トイレ・シャワールーム等を原則共有し、②入居者ごとに7㎡程度の個室を割り当て、③共用部分は最小限とし、④単身の若い世代(女性専用、外国人向け)をターゲットとし、⑤入居者の初期費用(敷金礼金)の負担がなく、家具家電が備え付けで、光熱費が管理費に含まれる、連帯保証人や保証会社が不要であるといった点にあるなどとされ ていた。(乙D1 け)をターゲットとし、⑤入居者の初期費用(敷金礼金)の負担がなく、家具家電が備え付けで、光熱費が管理費に含まれる、連帯保証人や保証会社が不要であるといった点にあるなどとされ ていた。(乙D12、26、27)(イ)シェアハウスローンは、新商品ではなく既存のアパートローンの一種として取扱いが開始され、アパートローン事務取扱要領が適用された。 そのため、「リーガルチェック業務手続」に基づくリスク評価手続等は特段実施されず、新しい商品類型としてストレステストが実施されるこ とはなかった。 平成26年11月10日、審査部長から、収益不動産におけるシェアハウスの取扱いについて、建築確認済証における建物の主要用途や、登記簿謄本における建物種類が寄宿舎であること等の確認の徹底を図るように指示する旨の通達が発出された(甲185の1及び2)。 (ウ)シェアハウスローンは、平成27年10月に資産形成ローンに区分され、資産形成ローン事務取扱要領が適用されるようになったところ、同要領に基づいて行われたシェアハウスローンの一般的な融資手続の概要は、おおむね次のとおりである。(甲10、178、甲202の1及び2、乙F8、証人Ⓤ) a 融資を申し込む顧客は、ローン仮審査依頼書(甲18)に、顧客の職業、年収、預貯金額及び既存借入状況額等を記入する。チャネルの担当者は、原告の営業担当者宛てに、顧客が記入したローン仮審査依頼書をメール等で送付し、併せて顧客の本人確認書類、所得確認資料等の必要書類を送付する。送付を受けた原告の営業担当者は、当該融 資案件のチャネルの情報を追記する。 - 178 - b チャネルは、原告の営業担当者に対し、物件概要書(甲19)、物件広告(甲20)、事業計画書及び資金計画書(甲21 当者は、当該融 資案件のチャネルの情報を追記する。 - 178 - b チャネルは、原告の営業担当者に対し、物件概要書(甲19)、物件広告(甲20)、事業計画書及び資金計画書(甲21の1及び2)、近隣のシェアハウスの家賃相場等(甲22)など、建築予定のシェアハウスに関する資料(以下「シェアハウス資料」という。)を送付するところ、物件概要書や事業計画書には、サブリースの有無及びその 期間が記載される。原告の営業担当者は、シェアハウス資料が送付されることで、シェアハウスローンの申込であることを把握する。 c ローン仮審査依頼書及びシェアハウス資料(以下併せて「融資申込資料」という。)を受領した原告の営業担当者は、株式会社東京カンテイ(以下「東京カンテイ」という。)を利用し、当該物件に関する 評価台帳、評価計算明細表、当該地域の売出事例等の調査を行った上で、不動産調査書を起案して上長の決裁を受ける。不動産調査書には、申込資料に基づき、当該シェアハウスのサブリース賃料、募集賃料等の情報が記載される。(甲23、196)d チャネルは、ローン仮審査依頼書の送付に先立ってシェアハウス資 料のみを送付することもある。この場合、原告の営業担当者は、当該資料に基づき、東京カンテイの提供する取引事例比較法による不動産評価システムによる不動産評価を行い、審査部は、不動産鑑定会社である株式会社東京アプレイザル(以下「アプレイザル」という。)に対して再評価を依頼するなどして、不動産評価に基づく原告の融資額 の目安を試算し、これをチャネルに対して回答する。 チャネルは、シェアハウスを購入するか否かの判断資料や融資申込額の目安とするため、上記回答をオーナー候補者に提供する。その後、当該シェアハウスについて投資家 算し、これをチャネルに対して回答する。 チャネルは、シェアハウスを購入するか否かの判断資料や融資申込額の目安とするため、上記回答をオーナー候補者に提供する。その後、当該シェアハウスについて投資家が決定し、かつ、原告に対する融資の申込が決まった段階で、チャネルから原告の営業担当者に対し、オ ーナーに係るローン仮審査依頼書が提出される。 - 179 - e ローン仮審査依頼書の送付を受けた原告の営業担当者は、記載された顧客の連絡先に電話し、顧客本人に意思確認を行った上で、同依頼書に記載された情報について口頭で確認するとともに、同依頼書に記載されていない情報がある場合には、口頭で聴き取って追記する。 原告の営業担当者は、不動産調査書の決裁を受けた後、審査部に対 し、シェアハウス資料とともに送付して融資の仮審査を申請する。審査部は、営業担当者から送付された資料を基に、担保価値の再評価を依頼し、アプレイザルから不動産担保再評価報告書(甲24)を受領する。 原告においては、平成25年から、取扱件数の増加に対して迅速な 対応を図るため、不動産担保再評価事務について一部地域(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、群馬県、栃木県、茨城県)分をアプレイザルに委託していた(甲134)。また、収益不動産ローンに関する審査部の再評価の際には、収益還元法を用いて担保評価を行うことが原則的な取扱いとされており、アプレイザルによる不動産評価も収益 還元法により行われていたところ、不動産調査書に記載されたサブリース料(保証賃料)の金額をもって当該不動産の賃料収入額として扱い、評価額を算定していた。 f 審査部は、アプレイザルの不動産担保評価報告書を営業担当者に送付する。当該報告書の送付を受けた営業担当 証賃料)の金額をもって当該不動産の賃料収入額として扱い、評価額を算定していた。 f 審査部は、アプレイザルの不動産担保評価報告書を営業担当者に送付する。当該報告書の送付を受けた営業担当者は、これを基にSSP シートを起案し、上長の決裁を受けた上で、有担保ローン審査申請表兼稟議書(以下「稟議書」という。)を起案し、支店長の決裁を受ける。SSPシートには、融資申込資料及び申込時の電話確認に基づき、融資希望額、チャネル名、物件所在地、物件用途、申込人情報(勤務先、所得、家族構成、経歴、金融資産など)、資金計画、所有不動産 及び既存借入れのほか、その他補足として、建築予定のシェアハウス- 180 - に関する情報(想定賃料、サブリースの有無、管理会社名、周辺のシェアハウスに関する事情などが記載されるほか、当該融資案件における融資額が適正であることを検討・算定する「貸出額の検討フロー」と、当該顧客が返済原資を有しているかを検討・算定する「返済財源の検討フロー」が記載される。(甲25、26、195の1及び2) 原告では、収益不動産ローンにおける融資条件として、顧客が物件価格の10%相当額の自己資金を有することを要し、物件価格の90%を融資上限額とする運用が事実上行われていたところ(証人Ⓦ)、SSPシートの「貸出額の検討フロー」においては、融資上限額である物件価格(土地については顧客が締結する売買契約書上の売買価格、 建築予定の建物については顧客が締結する請負契約書上の請負代金額)の90%を算定し、その額が融資希望額を超過しており、融資可能な範囲内に収まっていることが示される。 SSPシートの「返済財源の検討フロー」においては、満室時の想定賃料収入(サブリースの場合にはサブリース料)の7 希望額を超過しており、融資可能な範囲内に収まっていることが示される。 SSPシートの「返済財源の検討フロー」においては、満室時の想定賃料収入(サブリースの場合にはサブリース料)の70%及び所得 金額(直近の源泉徴収票の支払金額)の40%を返済原資額として算定するとともに、当該顧客のシェアハウスローン及び他の借入金等の返済額を算定した上で、それぞれを比較して返済原資額が返済額を超過するか検討される。 g 営業担当者は、稟議書の決裁を受けた上で、審査部に対し、稟議書、 補足説明書(甲27)、SSPシート、各種チェックシート及び不動産調査書等(以下併せて「稟議資料」という。)を送付し、本審査を依頼する。 資産形成ローン事務取扱要領では、融資の申込内容について、必要な場合には営業と審査部が事前に協議を行うことができる旨が定めら れていた。原告においては、本審査の依頼(正式な稟議申請)に先立- 181 - ち、1億円以上の融資案件や判断に悩む案件について、営業と審査部との間で個々の融資案件が往復することを回避し、審査の効率化に資することを目的として、毎週月曜日に、被告Ⓖ及びⓄのほか営業本部及び審査部の幹部が参加するSSP会議を開催し、各融資案件について意見交換を行い、個別の案件について正式に稟議申請をするかにつ いて協議していた。SSP会議にかけられない案件は、営業本部内で協議して正式に稟議申請を行っていた。(甲178、287、被告Ⓖ本人)。 h 稟議資料の送付を受けた審査部は、これを自動審査システムにかけた上で本審査を行い、当該融資を実行する場合には、決済指令書を営 業店に送付する。 資産形成ローン事務取扱要領では、融資額は1契約につき10万円以上1億円以内とし、建築 動審査システムにかけた上で本審査を行い、当該融資を実行する場合には、決済指令書を営 業店に送付する。 資産形成ローン事務取扱要領では、融資額は1契約につき10万円以上1億円以内とし、建築費の範囲内又は土地を含めた担保評価額の100%以内のいずれか低い金額とされていたが、原告では、遅くとも平成28年春頃の時期から、資産形成ローンについて、事実上、担 保評価額の120%程度であれば融資を実行する運用が行われていた(甲116)。 資産形成ローン事務取扱要領では、承認条件の履行、債権保全及び事後担保管理をおろそかにすることなく、常に担保条件の履行条件に万全を期する旨が定められているところ、審査に当たり、審査部が承 認条件として審査部報告応諾後の取扱いを求め、金融資産に関する資料が営業から審査部に送付されたものが存在した。(乙D9)i 営業担当者は、チャネルに対して融資判断の結果を通知する。 その後、顧客が土地売買契約書、サブリース契約書、源泉徴収票及び金融資産確認資料(通帳等)などの融資契約の締結に必要な書類を 持参して営業店に来店し、原本の提出又は原本確認が行われる。もっ- 182 - とも、原告の横浜東口支店においては、自己資金確認資料の原本を確認する代わりに、顧客から、原告に提出された自己資金確認資料は原本と相違ない旨の確認書を徴収するにとどめていた場合もあった(甲28、34、甲233、証人Ⓥ)。 営業担当者は、顧客に対し、融資契約に関する説明を行い、契約時 の必要書類及び融資契約書に不備がなく、決済指令書の融資条件を満たしていることを確認した上で、土地購入費用に関する融資契約及び土地に対する抵当権設定契約を締結する。 j その後、チャネルか 必要書類及び融資契約書に不備がなく、決済指令書の融資条件を満たしていることを確認した上で、土地購入費用に関する融資契約及び土地に対する抵当権設定契約を締結する。 j その後、チャネルからシェアハウスの建築につき確認済証が提出された段階で、営業担当者が現地に向かい、物件を実査した結果、問題 がないと判断されれば、顧客が必要書類を持参して営業店に来店し、建物購入費用に関する融資契約書を締結した上で、着工金について融資が実行される。 建物の上棟後に、再度、営業担当者が現地を訪問して実査し、上棟金について融資が実行される。そして、建物完成後に、営業担当者が 現地を訪問して実査した結果、問題がないと判断されれば、顧客が営業店に来店して建物に対する追加担保設定契約書を締結し、必要書類及び追加担保設定契約書に不備がないことが確認された上で、完成金について融資が実行される。 審査が承認条件を追加することもあった。(乙D9) k 審査部の決済区分については、平成27年2月は、亡Ⓜ、被告Ⓗ、被告Ⓖ、被告Ⓕ、平成29年4月は被告Ⓕ、被告Ⓚ、亡Ⓘ、被告Ⓛ、被告Ⓔ、被告Ⓗ、平成29年5月は被告Ⓕ、被告Ⓚ、亡Ⓘ、被告Ⓛ、被告Ⓔの決済がされて定められており、審査部長は4億、副部長は3億、審査第2部長は1億ないし2億と定められていた。(甲146) (エ)シェアハウスローンの実行額は年々増加し、その融資残高は、平成2- 183 - 5年3月時点で5億9600万円、平成26年3月時点で21億1400万円、平成27年3月時点で254億4800万円、平成28年3月時点で960億8100万円、平成29年3月時点で1757億5200万円、平成30年3月時点で2035億8700万円とな 21億1400万円、平成27年3月時点で254億4800万円、平成28年3月時点で960億8100万円、平成29年3月時点で1757億5200万円、平成30年3月時点で2035億8700万円となった(甲193)。 ウシェアハウスローンの関係者(乙F8、32)(ア)スマートライフは、平成24年8月2日に設立され、平成27年4月16日に新代表取締役が就任し、平成29年8月には別会社から出資を受け、平成30年1月12日同社の出身者が代表取締役に就任し、同年4月2日に別のスポンサーの出身者が代表取締役に就任した。 スマートライフは、かぼちゃの馬車というブランド名の女性専用シェアハウス等の販売企画、管理運営、サブリースを行っており、土地の仕入れ及び販売、シェアハウスの設計、施工及び入居者募集その他の管理運営、サブリースなどのシェアハウスに関する事業全般を行っていた。 原告は、平成25年4月頃から、スマートライフがチャネルとして関 与するシェアハウスに係るシェアハウスローンを実行し始めた。スマートライフ案件は、主に横浜東口支店が取り扱っていた。不芳情報の提供を受けて、平成27年2月にスマートライフとの取引が禁止となった後は、同社の従業員が設立したアマテラスが案件を持ち込むようになった。 同様に、不芳情報の提供を受けて、平成27年4月にアマテラスとの取 引が禁止となった後は、スマートライフやその関連会社が売買契約当事者となることを避けるため、スマートライフと投資家との間に販売会社が介在し、販売会社が投資家に対する勧誘を行い、売主となった。スマートライフ案件を取り扱った販売会社は84社あった。(甲179、180、乙B8、乙D1ないし12、31、40の1ないし3、証人Ⓥ) (イ)サクトは、平成22年6 い、売主となった。スマートライフ案件を取り扱った販売会社は84社あった。(甲179、180、乙B8、乙D1ないし12、31、40の1ないし3、証人Ⓥ) (イ)サクトは、平成22年6月25日に設立され、遅くとも平成26年こ- 184 - ろからシェアハウスの運営を行っていた。 サクト案件は、主に二子玉川支店が取り扱っていた。 (ウ)ゴールデンゲインは、平成27年3月26日に設立され、シェアハウスの運営を行っていた。 ゴールデンゲイン案件は、主に渋谷支店が取り扱っていた。なお、サ クトの関係者がゴールデンゲインの関係者としても関与しており、別途ソロモンの関係者としても原告に接触していた。 (エ)ガヤルドは、平成25年6月11日に設立された会社であり、コンパクトアパートの運営を行っていた。ガヤルド案件は、主に川崎支店が取り扱っていた。 (オ)シェアハウス債権におけるサブリース有無別調査によると、調査総数4150件のうち、サブリースがあるものが1816件で、サクト、ガヤルドがチャネルのものは、ほぼ全件がサブリースありであった。スマートライフのものが274件、ゴールデンゲインのものが243件、サクトのものが240件、アマテラスのものが95件、ガヤルドのものが 16件であった。(甲194)(5)サクト会議以前の事実経過ア融資関係書類等の原本確認の実際及び融資関係書類等の偽装に関する通報等(ア)原告の経営企画部コンプライアンスは、平成26年2月、保険会社か ら、B社(原告のチャネル)の融資案件において、団信診断書が偽造されていることが判明した旨の連絡を受けた。(甲62、71)亡Ⓜ、被告Ⓖ及び被告Ⓗは、同年6月19日、コンプライアンス・情報セキュリティリスク委員会に出席 ル)の融資案件において、団信診断書が偽造されていることが判明した旨の連絡を受けた。(甲62、71)亡Ⓜ、被告Ⓖ及び被告Ⓗは、同年6月19日、コンプライアンス・情報セキュリティリスク委員会に出席し、上記連絡があった旨の報告を受けた。(甲61) 被告Ⓔ及び亡Ⓘは、同月23日付けの監査部の特別調査報告により、- 185 - B社の融資案件において団信診断書の偽造が発覚し、監査部が当該融資案件を取り扱った原告の担当者に対する事情聴取、契約書類の検証などの社内調査を実施した結果、原告の担当者が団信診断書の偽造に直接関係している可能性は極めて低いと思料される旨の監査所見の報告を受けた。(甲62) (イ)亡Ⓜ、被告Ⓖ及び被告Ⓗは、平成26年5月15日、事務リスク委員会に出席し、審査不備事項として、①売買契約書の金額が融資額よりも350万円低く、差額の使途が不明であり、顧客が回答した使途に関する確認資料等がなかったこと、②融資実行時、自己資金の確認において原本確認を怠り、コピーを受け取って対応したこと等が指摘された事案 について、賞与査定を審議した。(甲87)(ウ)原告のお客さま相談センターは、平成26年5月27日、関係機関から、原告の融資の取組に対する照会を受けた。原告が当該照会に対応した結果、売買契約書及び重要事項説明書に関し、原告に提出されたものと顧客が所有しているものとの間に、売買代金額、手付の有無、特約事 項(建蔽率、容積率の超過)、建物の検査済証の取得の有無、未登記の増築部分への言及の有無に相違があることが判明した。(甲265)(エ)営業本部長であった被告Ⓖは、平成26年5月29日、「資産形成ローン審査申請時送付書類の簡素化について」と題する通達(簡素化通達)を発出し、所得確認資料の一部(源 とが判明した。(甲265)(エ)営業本部長であった被告Ⓖは、平成26年5月29日、「資産形成ローン審査申請時送付書類の簡素化について」と題する通達(簡素化通達)を発出し、所得確認資料の一部(源泉徴収票)、金融資産確認資料(通 帳の写し等)などについては、審査部への送付が不要とし、営業店の所属長が確認する取扱いに変更された。(甲16の1及び2、証人Ⓦ、被告Ⓖ本人)簡素化通達は、被告Ⓗ、被告Ⓖの順に承認され、最終承認者は審査部執行役員専務・部長であった。(乙C2、被告Ⓖ本人) (オ)原告の経営企画部コンプライアンスは、平成26年8月、保険会社か- 186 - ら、D社(原告のチャネル)の融資案件において、団信診断書の偽造事案があることが判明した旨の連絡を受けた。(甲71)亡Ⓜ、被告Ⓖ及び被告Ⓗは、同月21日、コンプライアンス・情報セキュリティリスク委員会に出席し、D社の融資案件について団信診断書の偽造が判明した旨の報告を受けた。(甲63) 被告Ⓔ及び亡Ⓘは、同月25日付けの監査部の特別調査報告により、D社の融資案件において団信診断書の偽造が発覚し、監査部が当該融資案件を取り扱った原告の担当者に対する事情聴取、契約書類の検証などの社内調査を実施した結果、原告の担当者が団信診断書の偽造に直接関係している可能性は極めて低いと思料される旨の監査所見の報告を受 けた。(甲71)(カ)亡Ⓜ、被告Ⓕ、被告Ⓖ、被告Ⓔ、亡Ⓘ及び被告Ⓛは、平成26年9月25日、経営会議に出席した。 亡Ⓘは、①B社及びD社の融資案件で団信診断書の偽造が発覚し、監査部が原告の担当者に対して調査した結果、同担当者の関与が認められ なかった旨、②原告の対応案として、融資事務手続及びコンプライアンス規程を改定すると の融資案件で団信診断書の偽造が発覚し、監査部が原告の担当者に対して調査した結果、同担当者の関与が認められ なかった旨、②原告の対応案として、融資事務手続及びコンプライアンス規程を改定するとともに、チャネルに対しては、偽造事案の連絡、事実確認及び適切な事務フローの策定や、厳格な事務処理を相互に検証すること等を検討する旨などを説明したところ、全員異議なく可決された。 (甲64の1及び2) (キ)原告の経営企画部コンプライアンスは、平成26年9月、保険会社から、E社(原告のチャネル)の融資案件において、団信診断書の偽造事案がある旨の連絡を受けた。 被告Ⓔ及び亡Ⓘは、同年10月15日付けの監査部の特別調査報告により、E社の融資案件において団信診断書の偽造が発覚し、監査部が当 該融資案件を取り扱った原告の担当者に対する事情聴取、契約書類の検- 187 - 証などの社内調査を実施した結果、原告の担当者が団信診断書の偽造に直接関係している可能性は極めて低いと思料される旨の監査所見の報告を受けた。(甲73)亡Ⓜ、被告Ⓖ及び被告Ⓗは、同年11月6日、コンプライアンス・情報セキュリティリスク委員会に出席し、B社及びD社に加え、新たにE 社の融資案件において団信診断書の偽造が発覚したところ、監査部の調査により原告の行員の関与は認められなかった旨の報告を受けるとともに、チャネルに対して偽造を行った従業員等の処分及び再発防止策につき書面で提出を要請することなどの対応を行う旨を了承した。(甲65) (ク)亡Ⓜ、被告Ⓖ及び被告Ⓗは、平成26年11月20日、事務リスク委員会に出席し、審査不備事項として、賃貸用不動産の購入案件につき自己資金確認資料の原本確認を行わずに融資を実行した結果、実行後3か (ク)亡Ⓜ、被告Ⓖ及び被告Ⓗは、平成26年11月20日、事務リスク委員会に出席し、審査不備事項として、賃貸用不動産の購入案件につき自己資金確認資料の原本確認を行わずに融資を実行した結果、実行後3か月以内に弁護士が介入し、後に自己資金が虚偽であることが発覚したこと等が指摘された事案について、賞与査定を審議した。(甲88) (ケ)亡Ⓜ、被告Ⓕ、被告Ⓖ、被告Ⓔ、亡Ⓘ及び被告Ⓛは、平成26年12月19日、経営会議に出席した。 亡Ⓘは、①B社、D社及びE社の融資案件で団信診断書の偽造が発覚し、監査部の調査により原告の従業員が偽造に関与していないことが確認された旨、②原告の対応として、チャネルに対しては偽造を行った者、 その者への処分の有無及び処分の内容、再発防止策につき書面による回答を求めるとともに、審査部が再発防止策を含む事務取扱要領を策定している旨などを説明したところ、②について全員異議なく可決された。 (甲66の1及び2)(コ)E社は、平成26年12月5日付けで、原告に対し、E社の融資案件 における団信診断書の偽造に関し、①E社の担当者の知り合いである紹- 188 - 介者が書類の改ざんを行った旨、②当該紹介者とは今後一切取引をせず、当該担当者についても営業担当から外した旨、③再発防止策として、自社顧客(セミナー顧客等)中心の客付を不動産部門の従業員に徹底し、安易に紹介者を利用しないことや、E社の従業員全員に対し、二度と同様の事案が起きないよう徹底指導、管理に努める旨を報告した。(甲7 2)D社は、同月18日付けで、原告に対し、D社の融資案件における団信診断書の偽造に関し、①偽造を行った者を特定して解雇した旨、②再発防止策として、コンプライアンス研修を行い、従業員の意識向上に努めるとと は、同月18日付けで、原告に対し、D社の融資案件における団信診断書の偽造に関し、①偽造を行った者を特定して解雇した旨、②再発防止策として、コンプライアンス研修を行い、従業員の意識向上に努めるとともに、団体信用生命保険に関する書類の授受には一切関わらな いものとする旨を報告した。(甲70)B社は、同月19日付けで、原告に対し、B社の融資案件における団信診断書の偽造に関し、①調査の結果、B社の従業員による偽造が確認されたこと、②再発防止策として、従業員全員を対象にコンプライアンス向上を目的とした教育体制を再構築し、徹底実施を行う旨が報告され た。(甲60)(サ)亡Ⓜ、被告Ⓕ、被告Ⓖ、被告Ⓔ、亡Ⓘ及び被告Ⓛは、平成27年1月16日、経営会議に出席した。 亡Ⓘは、投資用マンション融資に係る苦情等の状況について説明した際、増加した苦情等に係る事案では所得確認資料が改ざんされた疑いが あり、弁護士と相談して対応している旨などを説明したところ、被告Ⓕから所得確認資料の改ざんに対する対応を尋ねられ、原告の行員が通帳や源泉徴収票のコピーを業者から受け取り、現物を確認していないことが問題である旨を述べた。これに対し、審査部所管の執行役員は、自己資金と返済財源は融資の最大の確認事項であるため、営業担当者は基本 的な対応として原本を確認することとしている旨や、仮審査を含めて当- 189 - 初は写しで審査するが、最終的に顧客と直接面談する機会が必ずあり、原本を確認することを徹底させている旨、ファイルセンターには写しが入庫されるため、現場での原本確認を再徹底する旨などを述べた。被告Ⓕは、資料が正しいものかどうかの確認義務は銀行にあり、原本確認を怠っていることが問題である旨を述べた。 また が入庫されるため、現場での原本確認を再徹底する旨などを述べた。被告Ⓕは、資料が正しいものかどうかの確認義務は銀行にあり、原本確認を怠っていることが問題である旨を述べた。 また、亡Ⓘは、団信診断書の偽造に関し、①B社、D社及びE社から、偽造を行った者及びその者への処分内容や再発防止策などにつき書面による回答を得た旨、②審査部と経営企画部コンプライアンスで再発防止策を含む業務手続の策定を行っている旨、③平成26年12月に新たにF社(原告のチャネル)の融資案件で団信診断書の偽造が判明した旨 などを説明し、被告Ⓕから他行での同様の事案の発生状況を尋ねられると、他行でも同様の事案があると聞いている旨を述べた。(以上につき甲67の1及び2、被告Ⓕ本人)(シ)被告Ⓔ及び亡Ⓘは、平成27年1月21日付けの監査部からの特別調査報告により、F社の融資案件において団信診断書の偽造が発覚し、監 査部が当該融資案件を取り扱った原告の担当者に対する事情聴取、契約書の検証などの調査を行ったところ、同担当者が団信診断書の偽造に一切関わっていないと述べた旨などの報告を受けた。(甲75)F社は、同年2月17日付けで、原告に対し、F社の融資案件における団信診断書の偽造に関し、①F社の従業員が偽造を行った旨、②当該 従業員を営業停止にさせており、減給、降格及び1週間の出勤停止を命じる方針である旨、③再発防止策として、今後同じようなことを犯した場合は解雇処分を命じ、今回の件は全従業員に公表するとともに、二度とこのようなことが起きないよう、従業員一人一人にコンプライアンスの重要性について徹底教育し、社内管理体制の見直し及び社内チェック 体制の強化に徹底的に取り組む旨を報告した。(甲74)- 194 - 起きないよう、従業員一人一人にコンプライアンスの重要性について徹底教育し、社内管理体制の見直し及び社内チェック 体制の強化に徹底的に取り組む旨を報告した。(甲74)- 194 - 告のチャネル)に関する通報を受けた。 亡Ⓘは、同年11月1日付けの営業の調査報告により、H社からの紹介顧客の融資案件に係る書類の偽造、改ざん等の有無やH社を調査したところ、書類偽造等の事実は発見できず、H社自体も原告の取引チャネルとして特に問題ないとの調査回答を得られた旨の報告を受けた。(甲 76、181)同月30日以降、原告の複数の支店に対し、H社の従業員を名乗る者から匿名で、①H社の顧客は自己資金を有する者がほとんどおらず、他行で融資を受けており、原告と当該顧客との契約については全てオーバーローンであること、②H社は、原告が物件価格の90%を融資するこ とを逆手に取り、売買契約後に値引きの覚書を交わし、原告には値引き前の契約書を提出し、オーバーローンを取っていること、③H社のほとんどの顧客は、自己資金が1000万円以下であり、ネットバンク口座の金額(残高や取引履歴)を偽造し、原告に自己資金確認資料として提出していること、④物件自体にも問題があり、空室だらけの物件につい て入居があるとし、調査前にカーテンなどを付け、物件評価を取っている案件が多数あることなどを内部告発する旨の文書が届き、これらの事実の根拠として上記覚書が併せて添付されていた。被告Ⓔは、同年12月1日、メールにより、原告の複数の支店に対して上記文書が届いている旨の情報提供を受けるとともに、当該書面及び添付された覚書を受領 した。(甲96の1及び2、181)被告Ⓕ、被告Ⓖ、被告Ⓔ、被告Ⓗ、亡Ⓘ、被告Ⓚ及び被告Ⓛは、平成29年1月26 届いている旨の情報提供を受けるとともに、当該書面及び添付された覚書を受領 した。(甲96の1及び2、181)被告Ⓕ、被告Ⓖ、被告Ⓔ、被告Ⓗ、亡Ⓘ、被告Ⓚ及び被告Ⓛは、平成29年1月26日付けの営業の調査報告により、①H社からの紹介顧客の融資案件に係る書類の偽造等の有無について調査したところ、書類偽造等の事実は発見できなかった旨、②H社の社長に対してヒアリングを 実施したところ、同社の従業員個人が行ったことであると回答した旨、- 195 - ③H社の持込物件の取扱いは概ね原告の時価評価の範囲内となっており、該当顧客の購入物件の入居状況は当初の計画どおりに安定推移している旨、④H社の持込により融資を実行した顧客から、これまでに苦情等は寄せられていない旨、⑤原告の方針としてH社を取扱中止とした旨などの報告を受けた(甲77)。 (ニ)原告のコンプライアンスは、平成29年2月9日、営業(首都圏営業)に対し、I社(原告のチャネル)の融資案件における団信診断書の偽造に関する通報を報告した。(甲79)。 I社は、同月15日付けで、原告に対し、上記の診断書に関し、①I社のインターン生が、顧客の代理として病院に診断書を受け取りに行っ たところ、診断内容が空欄であったため独断で診断内容を追記したことが原因である旨、②当該インターン生の従業員を営業停止にさせており、減給、降格及び1週間の出勤停止を命じる方針である旨、③再発防止策として、診断書を受け取る際に代理取得をせず、顧客自身に受け取らせることを徹底し、I社の代表者が責任者に就き、今後同様の事例が発生 しないようにコンプライアンス教育、業務確認、育成を徹底する旨などが報告された。(甲78)被告Ⓔ及び被告Ⓗは、同年3月21日付けの営業(首都圏営業)の調査報 に就き、今後同様の事例が発生 しないようにコンプライアンス教育、業務確認、育成を徹底する旨などが報告された。(甲78)被告Ⓔ及び被告Ⓗは、同年3月21日付けの営業(首都圏営業)の調査報告により、I社の融資案件における団信診断書の偽造に関し、調査の結果、上記①の事実を確認した旨、原告の担当者が病院に対し診断書 に封をしないように依頼した事実はないことを確認した旨、原告の担当者がチャネルの担当者に診断書を手渡しており、今後の再発防止を指導徹底する旨などの報告を受けた。(甲79)(ヌ)平成28年12月頃、J社(原告のチャネル)の融資案件において、団信診断書の偽造があることが判明した。 J社は、平成29年3月31日付けで、原告に対し、J社の融資案件- 196 - における団信診断書の偽造に関し、①J社の従業員が偽造を行った旨、②当該従業員は引責退職となった旨、③再発防止策として、コンプライアンス研修の実施、社内管理体制の見直しによるチェック体制の強化に取り組む旨を報告した。(甲80)被告Ⓗは、同年4月6日付けの報告により、①J社の融資案件で提出 された団信診断書の偽造が判明した旨、②J社はチャネルPRMに登録済みであり、今後の対応としてJ社との取引を中止したい旨などの報告を受けた。(甲81)(ネ)原告のお客さま相談センターは、平成29年4月12日及び同月18日、東海財務局から、不動産業者の従業員と思われる人物より、K社(原 告のチャネル)に関し、①売買契約書を偽造して2通作成し、金額が高いものを金融機関用に使用し、金額が低いもの(本来の金額)を売主と買主の間で使用し、フルローンをできるようにしていること、②金融機関に提出する売主の自己資金のエビデンスについて、ネット し、金額が高いものを金融機関用に使用し、金額が低いもの(本来の金額)を売主と買主の間で使用し、フルローンをできるようにしていること、②金融機関に提出する売主の自己資金のエビデンスについて、ネットバンキングの口座残高を加工して水増ししていること、③団体信用生命保険に加入 できない人のために、地方の医者の印鑑を勝手に作り、身体に問題がないようにしていることなどの通報があった旨の連絡を受けた。 (甲82、181)(ノ)被告Ⓔは、審査の管掌取締役に在任中の平成27年4月から平成29年3月まで、何件か自己資金に疑いを持ったことがあり、Ⓠや被告Ⓗと 通帳偽造について議論したことはあった。(乙D45)イシェアハウスローンに関するリスク分析等(ア)亡Ⓜは、平成25年3月22日、信用リスク委員会に出席し、有担保ローン(住宅系、賃貸系、フリー及び全体)のデフォルト率と失業率(マクロ指標)との関係について分析を行った結果、個人ローン全体、住宅 系、フリー系は、失業率とデフォルト実績に有意の相関関係がある(特- 197 - に個人ローン全体、住宅系は高い相関関係がある)が、賃貸系に関しては失業率との相関関係はみられず、賃貸系のデフォルトは右上がりのトレンドとなっており、失業率のトレンドとかなりの差がみられること、失業率以外の住宅価格指数、有効求人倍率についても分析したものの、統計的に有意でない結果となり、賃貸系のデフォルトを予想し得るマク ロ指標について、今後も継続的に検討していく旨などの説明・報告を受けた。(甲40の1及び2)亡Ⓜ、被告Ⓕ、被告Ⓖ、被告Ⓔ、亡Ⓘ及び被告Ⓛは、同年4月25日、経営会議に出席し、上記の信用リスク委員会の結果報告を受けた。(甲41の1及び2) (イ)亡Ⓜ、 の1及び2)亡Ⓜ、被告Ⓕ、被告Ⓖ、被告Ⓔ、亡Ⓘ及び被告Ⓛは、同年4月25日、経営会議に出席し、上記の信用リスク委員会の結果報告を受けた。(甲41の1及び2) (イ)亡Ⓜ、被告Ⓖ、被告Ⓔ及び被告Ⓗは、平成25年5月2日、CPC会議に出席し、投資用ワンルームの物件調査ルールの見直しについて議論を交わした。その中で、現状中古物件の場合、購入・借り換えにかかわらず、現地調査及び物件写真を必須としているが、営業担当者の負担が増大しているとして、融資対象物件が空室の場合のみの実施としたい旨、 一棟の資産形成物件については現状どおり、すべて現地確認、写真撮影を実施することなどが確認された。被告Ⓗは、入居中であるという条件を付けることでリスクはかなり軽減されるなどと指摘し、亡Ⓜは、営業とは別の管理チームによる収益物件の管理の仕組みを検討すること、一棟ものから開始していくことを指示した。(甲42、174、証人Ⓨ) 亡Ⓜ、被告Ⓖ、被告Ⓔ及び被告Ⓗは、同年6月6日、CPC会議に出席し、収益物件(一棟)の定期的な管理について、①調査対象は資産形成ローンが残高1.5億円以上の債務者に係る担保不動産とすること、②調査頻度は実行日又は前回調査日から1年以内に1回以上実施すること、③調査方法は現地訪問による状況確認、周辺不動産業者への聞き 取り調査、必要に応じて顧客への訪問及び確認を行う(調査専門チーム- 198 - を作る)との方向性を固めた。(甲43)審査部長は、同年10月1日、一棟収益不動産の定期的調査の実施についてと題し、一棟資産形成不動産向けローン実行率の高まりとポートフォリオ拡大に伴い、空室リスク顕在化予兆の早期把握と実行後の物件管理体制が必要となっているとして、審査部に調査担当を配置し、定期 ついてと題し、一棟資産形成不動産向けローン実行率の高まりとポートフォリオ拡大に伴い、空室リスク顕在化予兆の早期把握と実行後の物件管理体制が必要となっているとして、審査部に調査担当を配置し、定期 的に物件調査を行う旨の通達を発出した。同通達では、当該物件調査について、調査対象は原則として上記①のとおりとされ、対象となるローンにはアパートローン(シェアハウスローンを含む。)、汎用フリーローン(収益不動産)、プレミアムアセットプラン2、マンションビルプランなどとされ、調査頻度は上記②のほかに家賃入金の大幅減少等の異 常値が認められる場合とされ、調査方法は概ね上記③と同じとされた。 (甲44)(ウ)亡Ⓜ及び被告Ⓗは、平成26年4月17日、信用リスク委員会に出席した。被告Ⓗは、同委員会において、平成25年10月から平成26年3月までの間に15都道府県で実施された資産形成ローンの物件調査 (対象総数は1859件、実際に調査されたのは982件)の結果として、①平均入居率は90.3%であり、全国平均の81.0%と比較しても約9%を上回る水準であったこと、②管理状況についても、清掃状況は比較的良好であり、修繕もされ、外観上問題があるものはなかったこと、③継続管理先についても、家賃振込みのない先が1先、想定家賃 入金額との乖離が大きい先が2先、入居率70%未満の先が10先あったものの、延滞先はなかったことなどを報告し、今後の対応と課題として、入居率、管理状況とも現在は良好であるが、今後の物件経年劣化やシーズニング効果を鑑み、対象を高属性に絞ることや管理会社の選定、修繕・管理(内部留保策、積立・敷金)の重要性は非常に高いこと、顧 客との交渉、他部署との連携、トラブル発生時の解決方法の確立等に備- 199 - えたコ 性に絞ることや管理会社の選定、修繕・管理(内部留保策、積立・敷金)の重要性は非常に高いこと、顧 客との交渉、他部署との連携、トラブル発生時の解決方法の確立等に備- 199 - えたコンサルティング能力の習得が求められることなどを指摘した。 (甲45の1及び2)亡Ⓜ、被告Ⓕ、被告Ⓖ、被告Ⓔ、亡Ⓘ及び被告Ⓛは、同年4月25日、経営会議に出席し、上記の信用リスク委員会の結果の報告を受けた(甲46の1及び2)。 (エ)被告Ⓔ及び被告Ⓗは、平成26年11月20日、メールにより、同月21日に開催される審査部内の会議において、「出口(注:融資実行後の融資管理を指す。)から見た入口(注:融資審査を指す。)の取扱いについて(融資管理)」及び「担保評価について(融資管理)」が議題に取り上げられる旨の報告を受けた(甲255の1)。 同日開催された上記会議においては、入口時点で収益還元法により1億0700万円と評価された物件が、実行半年後のデフォルト時点には積算価額で2600万円となり、評価時点の間隔が短期であるにもかかわらず、評価額が約8割も減少して不自然である上、実際の売買額は4000万円程度になると見込まれる事案が報告され、入口時点と出口時 点の担保評価方法を統一し、より実態に即した評価を行うべきであると指摘された。また、デフォルト時にPA1が9件、汎用FLが2件2億9200万円の借入を負っていて、満室であるにもかかわらず破綻した事案も報告され、債務者が医師であり、属性は不芳ではないが、借入総額が大きすぎたこと、満室想定で返済比率を出すべきではなく、想定レ ントロールを過大に見積もるべきではないこと、業者の言い値ではなく、審査目線での水準感を持つことが重要であるなどといった意見が出された。( こと、満室想定で返済比率を出すべきではなく、想定レ ントロールを過大に見積もるべきではないこと、業者の言い値ではなく、審査目線での水準感を持つことが重要であるなどといった意見が出された。(甲255の2)(オ)亡Ⓜは、平成27年2月6日、融資の出口を取り扱う融資管理の視点から見た問題点や提言を確認するために出口会議を開催し、融資管理が 作成した資料を受領した。同資料には、融資管理からの気づき・提言な- 200 - どとして、①架空自己資金及び偽造確認資料の排除のために、通帳(自己資金)の原本確認を徹底すること、②賃貸住宅の入居率は概ね70から90%であることから、満室想定での返済比率の算出は危険であること、③家賃保証は概ね1年から3年で見直され、保証額も保証会社の一存で変更できる契約があること等から、家賃保証契約の内容を検証する 必要があること、④現状の年間賃料を大きく上回る賃料保証は基本的にあり得ず、販売価格に上乗せしている可能性が高いことから、そのような賃料保証の妥当性を慎重に検討すること、⑤保証会社・管理会社の調査を徹底することなどが記載されていた。(甲53の1)(カ)審査第二部長は、平成27年9月29日、審査部内で行われたシェア ハウスに関する物件調査の結果を受領し、同年4月末時点の総件数72件のうち、①ブランドの内訳としてかぼちゃの馬車が47件(66.2%)を占めていたこと、②入居状況について、明らかに満室の物件は3件、明らかに未入居の物件は8件、問題ありの物件が1件で、その他は目視では入居率50%程度が妥当と思われること、③家賃振込状況について、 56件(77.8%)が正常である一方、15件(20.8%)に問題があり、15件のうち本人名義振込が10件、ATM入金が2件、金額乖離が %程度が妥当と思われること、③家賃振込状況について、 56件(77.8%)が正常である一方、15件(20.8%)に問題があり、15件のうち本人名義振込が10件、ATM入金が2件、金額乖離が2件、振込み・入金なしが1件であること、④スマートライフが管理会社である物件は48件(67.6%)、サブリース会社である物件は51件であることなどの報告を受けた。(甲48の1及び2) (キ)亡Ⓜは、平成27年10月5日、出口会議を開催し、融資管理が作成した資料を受領した。同資料には、融資管理からの気付き・提言などとして、一棟収益に関し、①融資実行後に短期間で破綻した先を検証したところ、取組時から家賃金額が大幅に減少しているケースが散見され、当初のレントロールの検証が確実にされているか疑問であり、収益物件 の与信総額に照らして、審査部として家賃相場を把握しておく必要があ- 201 - るのではないかという観点から、設定家賃額の妥当性に十分な調査が必要であるとの意見や、②破綻すると物件の処分時に多額のロスが発生するし、不動産賃貸に関し全くの素人を悪徳業者から守るためにも、販売価格と担保評価額を同額とすることに疑問を呈する意見などが記載されていた。(甲53の2) (ク)亡Ⓜ、被告Ⓖ、被告Ⓔ及び被告Ⓗは、平成28年1月7日、信用リスク委員会に出席した。被告Ⓗは、同委員会において、平成27年12月期の資産形成用不動産の定期的調査の結果として、調査期間が平成27年3月1日から11月30日、平成26年11月末現在で合計融資残高1億円以上の4559件、総残高5711億円、37都道府県を調査し た結果として、平均入居率は前回と同水準の90.3%であり、全国平均を10%上回っていること、担保物件については前回調査と同様に清掃 上の4559件、総残高5711億円、37都道府県を調査し た結果として、平均入居率は前回と同水準の90.3%であり、全国平均を10%上回っていること、担保物件については前回調査と同様に清掃・管理状況は良好であり、周辺環境及び入居者にも問題は見られなかった旨や、シェアハウスについては、入居者が女性限定、オートロック、カーテンが備え付け、戸別電気料金メーターがない、ポストが合同であ るなどの要因により、目視での入居状況の詳細確認が困難であったため、現地では事業の稼働状況のみ確認し、併せて口座へのサブリース料の振込金額を確認することで対応していること、継続管理先の件数は前記比50件増加し、このうち、入居率70%未満が前回比22件増加しているが、これには、低入居率の案件を入居保証付きで取扱後、短期間では 入居率が回復しきれないケース(ただし、入居保証金があるため延滞はない)が含まれていること、収支赤字については、購入後に予期せぬ大量退室が発生し、現状への回復費用が差し引きされているケースなどがあったため、前回比28件の増加となったこと、要注意以下は2009年11月以前実行分が43件と全体の74%を占め、資産活用型が多か ったこと、前回報告時の継続管理先43件については、30件が改善し- 202 - たことなどが報告された。(甲49の1及び2)亡Ⓜ、被告Ⓕ、被告Ⓖ、被告Ⓔ、亡Ⓘ及び被告Ⓛは、平成28年1月15日、経営会議に出席した。被告Ⓔは、上記の信用リスク委員会の結果を報告した。(甲50の1及び2)(ケ)亡Ⓜは、平成28年1月22日、出口会議を開催し、融資管理が作成 した資料を受領した。同資料には、出口から見た検討事項などとして、一棟収益に関し、①物件の評価については、実査の度に近隣物件と比較して 、平成28年1月22日、出口会議を開催し、融資管理が作成 した資料を受領した。同資料には、出口から見た検討事項などとして、一棟収益に関し、①物件の評価については、実査の度に近隣物件と比較して2割程度高いと感じること等から、今後は売買金額ではなく銀行としての評価を行うこと、②賃料算定については、不動産賃貸業に継続的な満室などあり得ないことから、想定年間収入につき80%から90% 程度をベースにすること、経年劣化が進めば基本的に家賃は下がり、入居者が変わって収支が悪化し、破綻という構図が散見されることから、賃料につき現状家賃の最も低い部屋の賃料を基本とすることなどが記載されていた。(甲53の3)(コ)被告Ⓖ及び被告Ⓗは、平成28年4月7日、CPC会議に出席し、平 成27年12月から開始した資産形成不動産の定期調査の経過として、平均入居率は89.1%で、前回調査時(90.3%)より微減しているが、全国平均81.0%を上回り、良好な結果であること、シェアハウスについては133件の調査を実施しているものの、女性限定のため詳細な入居状況の確認が困難であることから、物件調査では稼働状況調 査にとどめ、全物件について毎月CRMでの賃料の入金状況を確認していること、継続管理先93件のうち45件が改善している(完済を含む)旨などの報告を受けた。(甲51)亡Ⓜ、被告Ⓔ及び被告Ⓗは、平成28年4月7日、信用リスク委員会に出席した。被告Ⓗは、同委員会において、同年3月期の資産形成不動 産の定期的調査(調査期間平成27年12月1日から平成28年11月- 203 - 30日の予定)の途中経過として、平均入居率は89.1%で、前回調査時(90.3%)より微減しているが、全国平均81.0%を上回り、良好な結果で 12月1日から平成28年11月- 203 - 30日の予定)の途中経過として、平均入居率は89.1%で、前回調査時(90.3%)より微減しているが、全国平均81.0%を上回り、良好な結果であること、シェアハウスについては133件の調査を実施しているものの、入居者が女性限定であること、オートロック付きであること、カーテンが備え付けてあること、戸別電気メーターがないこと、 ポストが合同ポストであること等の理由により、目視による入居状況の確認が困難であるため、入居者の有無のみ確認し、併せて口座へのサブリース料の振込みにより確認したこと、継続管理先の発生割合は、前回比プラス1.96%の3.99%であること、延滞3件はすべて要注意以下先であること、収支赤字かつ入居率70%未満の先は、8件である 旨を報告した。(甲92の1及び2)(サ)亡Ⓜは、平成28年4月18日、出口会議を開催し、融資管理が作成した資料を受領した。同資料には、出口から見た検討事項として、①レントロールの妥当性、サブリース会社の財務健全性、入居までの家賃保証及び1年間の家賃保証が一過性のものでしかないことを理由に、一棟 収益の賃料の妥当性に関し、業者から提出された賃料の検証を行うこと、②シェアハウス案件の動向が今後の課題であり、今後調査予定であることなどが記載されていた。(甲53の4)被告Ⓔ及び被告Ⓗは、同日、メールにより上記資料を受領した。(甲89の1及び2) (シ)亡Ⓜ、被告Ⓕ、被告Ⓖ、被告Ⓔ、亡Ⓘ及び被告Ⓛは、平成28年4月22日、経営会議に出席した。被告Ⓔは、平成27年4月7日及び21日に開催された信用リスク委員会の結果を報告した。(甲94の1及び2)(ス)Ⓞは、平成28年5月27日、Ⓟ及びⓊなどのシェアハウ 22日、経営会議に出席した。被告Ⓔは、平成27年4月7日及び21日に開催された信用リスク委員会の結果を報告した。(甲94の1及び2)(ス)Ⓞは、平成28年5月27日、Ⓟ及びⓊなどのシェアハウスを主に取 り扱う営業店(パーソナルバンク)の支店長ら、審査部副部長のⓆ及び- 204 - 審査第二部長のⓇなどに呼び掛け、シェアハウス会議を開催した。被告Ⓗは、Ⓡからシェアハウス会議が開催される旨を聞いたが、審査部としてシェアハウスローンを止めるべきなどの意見を出すことは特段検討しなかった。 シェアハウス会議においては、木造投資物件(処分時セカンダリーに ローンが付きにくい)や投資地域(郊外は建設余地があり競合物件が出現しやすいが、都市部は建設余地が少ないため現状家賃、利回りが変化しにくい)のリスクのほか、無制限にシェアハウスを取り扱うリスクとして、新築・木造物件でも収益還元法での物件評価が可能であるので、逆算して家賃を決める動きが出てきたこと、建設・入居前であるにもか かわらず、入居見込み家賃をベースに評価計算をするため、価格を吊り上げる目的で見込み家賃を周辺の同等物件と比較して高額に設定するケースがあること、物件価格が同条件の物件と比べて高額になる上、家賃面での競争力がなく、空室リスクが高くなること、チャネルから入居するまで家賃保証をすると言われて購入を決意した債務者もいると思 われるところ、本当に家賃保証をできるだけの財務体質ではないチャネルでも家賃保証を宣言する場合があり注意が必要だが、オーナーがそのリスクを承知していない可能性があり、保証が空手形で終わった場合、そのリスクは債務者ないし銀行が負うことになること、チャネルに裏切られ、債務を背負って追い詰められた債務者が融資をした銀行にも責任 を承知していない可能性があり、保証が空手形で終わった場合、そのリスクは債務者ないし銀行が負うことになること、チャネルに裏切られ、債務を背負って追い詰められた債務者が融資をした銀行にも責任 があると訴えてくることが往々にしてあり、その際に、周辺の物件と比較して異常に高い評価をした上で融資をしている、異常に高い家賃を想定しているなど、銀行の融資姿勢が疑われる余地があるのは非常に良くないこと、積算評価以上に物件価格を高く設定した分だけストレートにチャネルの利益や家賃保証の原資になるなどし、内部留保の少ないチャ ネルが次から次へと自転車操業的に家賃保証の原資を集めて使ってい- 205 - る懸念があること、属性、地域を絞り、新築アパートが建たない地域など立地、価格を間違えなければ出口戦略はあり、シェアハウス取扱いはなくすのではなく絞るべきであることなどの意見が出された。 シェアハウス会議の結果、新築アパート・シェアハウス共通の取扱いの新ルールとして、①取扱地域を23区のうち江戸川区を除いた地域に 限定すること、同地域であれば利回り評価を実施しても積算評価と乖離が出にくいので利回り評価を上限として採用し、レートは3.5%を下限とすること、②22区以外は積算評価を基準として、実需に準ずる取扱いとし、土地の価格は周辺地域の流通価格をベースに考える、価格に妥当性があれば、家賃も妥当で空室率も低く収支マイナスはないであろ うこと、③現行のシェアハウスのチャネルには入居者の審査や管理能力があり家賃保証が可能だが、昨今新規チャネルに参入している業者はそれだけの力がないところが多く、過当競争によるチャネルの質の悪化や債権保全上の問題発生を防ぐため、新規取扱いは行わないことなどが決められた。被告Ⓗは、ⓇないしⓆから、シェアハウ 参入している業者はそれだけの力がないところが多く、過当競争によるチャネルの質の悪化や債権保全上の問題発生を防ぐため、新規取扱いは行わないことなどが決められた。被告Ⓗは、ⓇないしⓆから、シェアハウス会議の結果の報告 を受けた。 シェアハウス会議の後も、シェアハウスローンの取扱件数や実行額は減少しなかったが、ソロモンなどいくつかのチャネルについては、営業部として取扱いを停止した。また、ソロモンについては、審査部が不適格であるとして案件を扱わなかったことがあった。(甲55、166、 169、171、178、287、乙E13、乙F19、21、32、証人Ⓡ、被告Ⓗ本人)(セ)審査部は、1億円以上の新規実行貸出先承認稟議一覧(本件承認リスト)を作成していたが、平成28年6月頃から、これを作成するに当たり、資金使途としてシェアハウスであることを明記するとともに、その 末尾の融資案件別の合計件数及び合計融資額の記載欄に、収益不動産に- 206 - 係る融資案件のうち、シェアハウスの合計件数及び合計融資額を記載するようになった(甲91、乙D48)。 (ソ)亡Ⓜ、被告Ⓔ及び被告Ⓗは、平成28年7月7日、信用リスク委員会に出席した。被告Ⓗは、同委員会において、同年6月期の資産形成用不動産の定期的調査(調査期間は平成27年12月1日から平成28年1 1月30日の予定)の経過として、調査対象は平成27年9月末基準で融資残高1億円以上の5664件、総残高7185億円、調査件数は3315件であり、平均入居率は89.2%であり、全国平均を上回る水準であること、シェアハウスについては152件の調査を実施しているものの、入居者が女性限定であること、オートロック付きであること、 カーテンが備え付けてあること、 %であり、全国平均を上回る水準であること、シェアハウスについては152件の調査を実施しているものの、入居者が女性限定であること、オートロック付きであること、 カーテンが備え付けてあること、戸別電気メーターがないこと、ポストが合同ポストであること等の理由により、目視による入居状況の確認が困難であるため、物件調査では稼働状況の確認にとどめ、全物件について毎月CRMでの賃料の入金状況を確認している旨、継続管理先の発生割合は、前回比マイナス0.73%の3.26%で、延滞が5件発生し ているがすべて要注意以下先で、収支赤字かつ入居率70%未満の先は8件であることなどが報告された。(甲93の1及び2)被告Ⓕ、被告Ⓖ、被告Ⓔ、亡Ⓘ、被告Ⓚ及び被告Ⓛは、平成28年8月5日、経営会議に出席した。被告Ⓔは、上記の信用リスク委員会の結果を報告した。(甲95の1及び2) (タ)被告Ⓔは、平成28年10月11日、メールにより、福岡市内に本店を置くチャネルについて、毎月11日に家賃をオーナーに振り込んでいたが、10月から月末に変更した旨を報告し、なお、同チャネルについて、DP福岡の過去持込案件の半数以上を占めていたこと、過去に、延滞させると新規案件を持ち込めなくなるので、数千万円の使途不明金を 発生させてでも家賃を振り込み、原告のローンの延滞発生を防いでいた- 207 - ことなどの報告を受けた。(甲256)(チ)被告Ⓔ及び被告Ⓗは、平成28年11月1日、審査部の物件調査ミーティングに出席し、同年10月31日に完了した調査の結果として、シェアハウスが完成し始めて調査対象となってきたものの、入居者が少ないこと、現地に行っても詳細な入居状況が不明で、稼働している(入居 者がいる)か否か不明な物件もあったため た調査の結果として、シェアハウスが完成し始めて調査対象となってきたものの、入居者が少ないこと、現地に行っても詳細な入居状況が不明で、稼働している(入居 者がいる)か否か不明な物件もあったため、目視で判断した稼働の有無のみを確認し、入居率には計上していないことなどの報告を受けた。シェアハウスについては、上記報告に係る調査以前は、物件が完成していないこともあり、物件調査の対象となっておらず、審査部内の物件調査ミーティングでも特に調査結果は報告されなかった。 被告Ⓗは、入居者が少ないのは完成直後の物件が多いことによるものではないかとして、シェアハウスの完成状況を踏まえて入居率を再調査するよう指示をした。(甲174、乙D38、証人Ⓨ、被告Ⓔ本人、被告Ⓗ本人)被告Ⓔ及び被告Ⓗは、平成28年12月2日、審査部内の物件調査ミ ーティングに出席し、同年11月の物件調査の活動報告として、上記被告Ⓗの指示を踏まえた築年数ごとの入居率を調べた結果、シェアハウス合計337件のうち、①入居率については、完成後6か月以内のものが21.8%、完成後6か月から12か月までのものが47.6%、完成後12か月以降のものが78.3%、全体平均が48.5%であること のほか、②かぼちゃの馬車のブランドが205件(61%)であること、③サブリース会社がスマートライフのものが99件(完成後6か月以内のものが15件、完成後6か月から12か月までのものが45件、完成後12か月以降のものが39件)であること等の報告を受けた。(甲98、214、乙D38、証人Ⓡ、乙D48、被告Ⓔ本人、被告Ⓗ本人) (ツ)被告Ⓔは、平成28年12月12日、メールにより、平成27年2月- 208 - 6日の出口会議、平成28年1月22日の出口 38、証人Ⓡ、乙D48、被告Ⓔ本人、被告Ⓗ本人) (ツ)被告Ⓔは、平成28年12月12日、メールにより、平成27年2月- 208 - 6日の出口会議、平成28年1月22日の出口会議、同年4月18日の出口会議でそれぞれ使用された資料を受領した。(甲90の1ないし7)ウスマートライフに関する情報(ア)スマートライフは、シェアハウスの入居者(主に20代前半の者)が短期間で退去することを想定した上で、人材派遣会社と提携して入居者 に対する派遣企業を紹介したり、有料職業紹介事業者登録をしたりした上で、各種業種と提携し、職業講座を開催し、入居者に職業紹介を行うといった職業紹介サービス事業を併せて展開し、当該事業により提携企業から紹介手数料等の家賃外収入を得ていた。(甲179、180、乙B8、乙D1ないし12、31、40の1ないし3、証人Ⓥ、証人Ⓤ) (イ)平成27年から平成28年にかけて、スマートライフについては、女性入居者に就職先を紹介するといった事業を展開していること、その第1弾として美容業者と提携して入居者を対象としたネイル講座を開催すること、求人事業との相乗効果を目指していること、安価な美容サービスを提供すること、男性向けの社宅を提供することなどが新聞記事等と して取り上げられ、他にも訪日客向けの割安ホテルなどの事業を展開することなどが報じられていた。 帝国データバンクの調査では、スマートライフのシェアハウスは23区内に建築されており、将来的に担保となる土地については大幅な値下がりがなく、銀行からの融資が期待できることが想定され、管理収入や サブリース収入を得られ、シェアハウスは80から90%近い稼働率を維持していること、総売上高は27年3月末が114億8800万円、28年3 行からの融資が期待できることが想定され、管理収入や サブリース収入を得られ、シェアハウスは80から90%近い稼働率を維持していること、総売上高は27年3月末が114億8800万円、28年3月末が総売上高は263億4967万円、29年3月末締めの上期の総売上高が154億8703万円であったこと、いずれの期も必要運転資金に比較して現預金が不足気味であること、平成32年に上場 を見込んでいることなどが指摘されていた。(乙B8、乙D1ないし1- 209 - 2、31、40の1ないし3)(ウ)原告のお客さま相談センターは、平成27年2月3日、「お取引先に関するご報告」と題し、原告の取引先であるスマートライフの実質的経営者が傷害事件を起こし起訴された旨とともに、①同人に関し、住専に関連した詐欺で8年にわたり身柄を拘束されており、出所後は不動産業 を含む数社の実質的オーナーとして経営していたが、全ての会社を債務不履行の上、計画的に倒産させている旨、②元妻名義で法人を設立後、スマートライフに出資して株主となっており、会社の決定権をすべて握り、不動産投資家に自身で説明を行い、原告の担当者とも直接やり取りを行っている旨、③スマートライフの30年サブリース保証は、家賃相 場価格より倍以上の設定で収益シミュレーションを行い、高額のシェアハウスを販売しており、サブリースの支払は現行家賃では回収できず、到底まかないきれない状態である旨、④既に業者に対する未払も多数発生しており、近々被害者の会を発足する予定である旨の情報提供を受けた(甲14)。 上記のスマートライフに関する情報は、お客さま相談センター及び経営企画部を介して審査部に共有され、審査部長であった被告Ⓗは、亡Ⓜに対して当該情報を報告した。亡Ⓜ た(甲14)。 上記のスマートライフに関する情報は、お客さま相談センター及び経営企画部を介して審査部に共有され、審査部長であった被告Ⓗは、亡Ⓜに対して当該情報を報告した。亡Ⓜは、同日頃、被告Ⓗに対し、口頭で、スマートライフが関与する融資を取扱禁止とすること及び営業と審査部にその旨を共有することを指示したが、当該指示は、書面や会議での 報告等といった形での周知はされなかった。(甲171、178、179、296、乙D48、乙E13、証人Ⓨ、証人Ⓥ、証人Ⓣ、証人Ⓤ、被告Ⓔ本人、被告Ⓗ本人)(エ)原告の横浜東口支店では、平成25年4月頃に最初のスマートライフ案件を実行した後、平成27年5月ないし6月頃に同案件を集中して取 り扱うようになった。その結果、同支店は、平成27年から平成30年- 210 - までの各年3月末時点で、原告の支店の中で最も多くのシェアハウスローンを取り扱い、シェアハウスローン類型の融資残高の5割以上を占めるようになった。また、平成27年には同支店で取り扱う有担保ローンの95%程度がシェアハウスローンとなり、平成28年1月から平成29年9月までの間に同支店で取り扱った収益不動産ローンの新規融資実 行件数の3割前後、融資額の5割前後がスマートライフ案件であった。 (甲165、173、180、193、233、証人Ⓥ)亡Ⓜが平成27年2月にスマートライフとの取引を停止するよう指示をした当時、横浜東口支店では、スマートライフ案件が集約され、取り扱う有担保ローンの相当割合がシェアハウスローンとなっていた。横浜 東口支店は、亡Ⓜの指示がされた後、スマートライフの従業員の一人を代表者として設立されたアマテラスと取引を行うようになった。(甲178ないし180、233、乙 ハウスローンとなっていた。横浜 東口支店は、亡Ⓜの指示がされた後、スマートライフの従業員の一人を代表者として設立されたアマテラスと取引を行うようになった。(甲178ないし180、233、乙F8、証人Ⓥ、証人Ⓤ)アマテラスの代表者は、同月12日、同支店の担当者に対し、アマテラスの印鑑証明及び履歴事項全部証明書を送付し、同担当者から支店長 のⓅに当該印鑑証明等が転送された。(甲151の1)アマテラスの代表者は、同月23日、同支店の担当者に対し、アマテラスが建設業の許可を取得した旨をメールで報告し、同担当者は「これで安心ですね!」などと返信した(甲151の2)。 原告は、平成27年5月8日、スマートライフがアマテラスというダ ミー会社を設立し、アマテラスを通じて取引を行っている旨の情報提供を受けた。審査部は、同月13日、当該情報提供を踏まえ、アマテラスに対して取扱中止の措置をした。 原告の横浜東口支店は、上記措置によりアマテラスを介してスマートライフ案件を取り扱えなくなったことから、同案件の販売会社であった チャネルに対し、同案件を様々な販売会社に振り分ける総代理店のよう- 211 - な立場を担わせることとし、同案件の取扱いを継続した。(甲233、乙F8)(オ)原告は、平成27年5月11日、金融庁に対し、①平成27年2月3日付けのスマートライフに関する情報提供を受けて同社について調査した結果、当該情報提供の発信元は、同社の乗っ取りを企てて失敗して 解任された元取締役であろうと判明したところ、当該元取締役はスマートライフと同一のビジネスモデルで事業を計画して会社を設立し、原告との取引の申出をしたものの、原告が取引謝絶した経緯があり、原告がスマートライフの建築物件に対して融資 たところ、当該元取締役はスマートライフと同一のビジネスモデルで事業を計画して会社を設立し、原告との取引の申出をしたものの、原告が取引謝絶した経緯があり、原告がスマートライフの建築物件に対して融資を行うことを快く思わずに上記情報提供を行ったものと推察されること、原告はスマートライフから 融資案件の紹介を受けていないこと、②スマートライフ及びアマテラスは、地方から上京する20代女性のためのシェアハウスの企画、建築、販売を行っており、住居の提供のみならず、人材派遣会社2社と提携し、仕事の紹介や通信・携帯端末の取次ぎを行うなど、初めて上京する20代女性の生活を広くサポートするこれまでにないものであること、その ため、アマテラスが提供するシェアハウスのオーナーになることを希望する投資家が増え、同社の経営は順調に推移しているものと認識しており、アマテラスからの持込による融資実績が11件12億3700万円あるが、顧客からの苦情は発生していないこと、同社が販売したシェアハウスについて、融資後もモニタリングを行い入居状況を確認している が、入居率が著しく悪い物件や賃料の不払いが発生している物件はないこと、③スマートライフは監査法人の監査を受けており、適正意見が付されていること、アマテラスはスマートライフと協力関係にあるものの資本関係はなく、スマートライフとは独立した会社であると認識していること、④原告は上記文書を受けてスマートライフに関する案件の取扱 いを停止しており、今後もモニタリングを継続しつつ、融資希望者への- 212 - 対応については個別案件ごとに慎重に対応したいと考えていることなどを報告した。(甲119)(カ)平成28年3月、「かぼちゃの馬車」スマートライフの裏側と題する記事(FACTA記事)が 対応については個別案件ごとに慎重に対応したいと考えていることなどを報告した。(甲119)(カ)平成28年3月、「かぼちゃの馬車」スマートライフの裏側と題する記事(FACTA記事)がインターネット上に掲載された。同記事には、①スマートライフの実質的な経営者は事情があって表に出られない旨、 ②当該人物が風営法違反や旧住専から16億円を詐取した容疑で逮捕されたり、新規事業で集団提訴されたりした旨、③関係者は、スマートライフに融資する銀行は審査の甘い原告ぐらいではないかと述べている旨などが記載されていた。(甲186、乙E8)被告Ⓖは、Ⓣから上記記事が出ていることを伝えられると、原告とス マートライフとの間に取引があるか確認した。これに対し、Ⓣは、スマートライフとの取引はない旨を回答した。(乙C9、被告Ⓖ本人)また、被告Ⓔは、上記記事が掲載された旨の連絡を受け、Ⓡに対し、スマートライフとの取引状況について調査を指示するとともに、同社に関する帝国データバンクの調査報告書を入手するよう指示した(乙D4 8、被告Ⓔ本人)。 (キ)パーソナルバンクにおいては、新築シェアハウスの状況を随時取りまとめていた。平成27年12月末時点の資料には、シェアハウスの債務者、物件所在地、取扱業者名称、部屋数、入居済数、現在残高、月間入金家賃、月間返済額等が表形式で記載され、かぼちゃの馬車シリーズの シェアハウスについては物件名称欄にその旨が記載されており、その旨が表題の下部に注記されているほか、同シリーズに係るシェアハウスローンの承認件数、融資額及び融資残高が他の融資案件と区別して拠点(支店)ごとに記載されていた。上記時点において、新築シェアハウスの完成済み物件の合計件数は266件(調査件数は158件)、合計融資額 の承認件数、融資額及び融資残高が他の融資案件と区別して拠点(支店)ごとに記載されていた。上記時点において、新築シェアハウスの完成済み物件の合計件数は266件(調査件数は158件)、合計融資額 は340億5600万円、合計融資残高は344億5257万1000- 213 - 円であり、そのうち、かぼちゃの馬車シリーズのシェアハウスの合計件数は102件、合計融資額は132億5870万円、合計融資残高は139億2114万9000円であった。入居状況は、募集中や明記されていないものが77件で、満室が81件であった。 被告Ⓔは、平成28年7月20日、メールにより、上記資料を受領し た。(甲97の1及び2)平成28年11月1日及び12月2日に行われた審査部の物件調査チーム月例ミーティングにおいては、築1年以上については78.3%(新築物件については72.5%)の入居率、家賃も入っていると報告された。(乙D38) (ク)審査第二部長であったⓇは、平成29年2月2日、帝国データバンクの担当者から、スマートライフの「かぼちゃの馬車」の物件管理に関して、外部に委託しているケースがあるかを確認させたが、そのようなケースは確認できなかった旨のメールを受けた。Ⓡは、さらに、同担当者に対し、かぼちゃの馬車と名の付く物件は全てスマートライフが管理し ているという認識でよいか確認し、同日、「かぼちゃの馬車」と名の付く物件は、すべて、スマートライフが管理している認識である旨の回答を得た。(甲121、171、証人Ⓡ)(ケ)原告の横浜東口支店の営業担当者であったⓋは、平成29年2月3日、シェアハウスの管理会社であるイノベーターズがスマートライフと関係 があるのではないかという審査部の問合せに対し、スマートライフとは資本関係等 店の営業担当者であったⓋは、平成29年2月3日、シェアハウスの管理会社であるイノベーターズがスマートライフと関係 があるのではないかという審査部の問合せに対し、スマートライフとは資本関係等が一切なく、関係はない旨を回答した。(甲147の1、173、233、証人Ⓥ)審査第二部長であったⓇは、当該回答について報告を受けたものの、特段営業に対して当該回答に疑義がある旨などの指摘をしなかった(証 人Ⓡ)。 - 214 - 原告の横浜東口支店の営業担当者は、同年4月11日、稟議申請中のシェアハウス物件がスマートライフのものではないかという審査部の問合せに対し、イノベーターズのシェアハウス物件であり、スマートライフのかぼちゃの馬車ではないことを確認した旨回答した。(甲147の2、172)。 エ原告の営業及び審査の関係(ア)Ⓞは、週に1度、原告の横浜東口支店を訪れ、同支店の所属長から個別の融資案件や営業目標の相談を受けていたところ、同支店の担当者は、Ⓞから承認を受けた融資案件については、補足説明書の表紙において、パーソナルバンクと協議済みである旨の記載を付していた。 また、二子玉川支店、新宿支店及び渋谷支店のSSPシート等の稟議資料においても、パーソナルバンクと協議済みである旨の記載が付されていた。当該記載のある融資案件については、パーソナルバンクを取り仕切っていたⓄの意見を反映したものとして、取扱対象地域やネガティブ登録のある顧客に対する融資、築1年を新築と取り扱っているもの、 設備不足と思われるものであっても、審査において、これを否決せず、最終的に審査が承認されることがあった。また、Ⓞは、審査部から否定的な意見が返ってきた案件について、審査に承認するようメールで、あるいは直接要請する るものであっても、審査において、これを否決せず、最終的に審査が承認されることがあった。また、Ⓞは、審査部から否定的な意見が返ってきた案件について、審査に承認するようメールで、あるいは直接要請することがあった。(甲27、135、136、141ないし145、172、175の1、177、178、180、甲19 7の1ないし3、226ないし233、287、証人Ⓦ、証人Ⓢ、証人Ⓥ)。 Ⓞは、亡Ⓜ等に対し、パーソナルバンクの取り扱う収益不動産ローンの審査を担当していた東京勤務の審査第二部長と、コミュニティバンクの取り扱う有担保ローンの審査を担当していた静岡県勤務の審査第二 部長(Ⓡ)について、両者の勤務地を入れ替えることを提案したところ、- 215 - 平成26年5月、当該提案に沿った人事異動が行われた。(甲59の1及び2、122の1及び2、171、172、231、233、275の1、298、299、乙F8、証人Ⓡ)(イ)原告では、毎年、中期経営計画の方向性や前年度実績に鑑み、営業企画が次年度の原告全体の営業推進項目案等を作成した上で、執行会議及 び取締役会を経て営業推進項目を決定していた。当該営業推進項目は、実績等に応じて営業企画からパーソナルバンクなどの各部門・ブロックなどに配賦された後、エリア戦略や営業店の特性等を考慮して各部門・ブロックから各営業店・営業担当者に配賦された。これに加え、パーソナルバンクにおいては、上記の営業推進項目の目標値をさらに積み増し た独自の営業目標値である「ストレッチ目標」を作成し、これをパーソナルバンク内の営業店に課していたところ、その額は月に営業担当者1人当たり約6億円程度であり、これを達成できない場合、営業担当者は所属長などの上司から叱責を受けることがあった。(甲178、 をパーソナルバンク内の営業店に課していたところ、その額は月に営業担当者1人当たり約6億円程度であり、これを達成できない場合、営業担当者は所属長などの上司から叱責を受けることがあった。(甲178、231、乙F8、証人Ⓦ、被告Ⓖ本人) 平成29年3月16日に開催された取締役会において、平成28年度の営業推進項目の目標設定(無担保フリーローン純増額、有担保フリーローン純増額、住宅ローン純増額など)に関し、平成29年2月末時点の達成率が報告され、達成率は、無担保フリーローン純増額が62.81%、有担保フリーローン純増額が37.00%、住宅ローン純増額が 200.00%であった。これを踏まえ、平成29年度の営業推進項目(無担保パーソナルローン純増額、有担保パーソナルローン純増額、住宅ローン純増額など)の目標設定について検討が行われ、一部の項目については平成28年度の達成率を踏まえて目標値を引き下げることとなり、有担保パーソナルローン純増額については、900億円と前年度 から100億円引き下げられた。(乙C7)- 216 - (ウ)原告では、有担保ローンの承認率(件数又は金額)が平成20年度上期から平成21年度上期までは75%前後であったが、平成21年度下期及び平成22年度上期は80%前後、平成23年度下期には90%前後、平成24年度下期には95%前後、平成25年度下期には97%を超え、平成26年度下期には98%前後、平成27年度上期から平成2 9年度上期までは件数が98%台、金額は99%を超えていた。シェアハウスを含む資産形成ローンについては、その取扱いを開始した平成27年度から平成29年度に至るまで、半期ごとの審査承認率の平均が件数及び金額とも99%を超えていた。(甲57)また、平成27年度上 ハウスを含む資産形成ローンについては、その取扱いを開始した平成27年度から平成29年度に至るまで、半期ごとの審査承認率の平均が件数及び金額とも99%を超えていた。(甲57)また、平成27年度上期(同年5月以降)から平成29年度上期にか けては、自動審査システムにおいて有担保資金使途が「シェアハウス」と登録されている申請案件について、審査承認率が概ね99%を超えて推移していた。(甲153)なお、このような承認率の推移について、取締役が報告を受けていたといった事情はうかがわれない。 (エ)原告では、毎週1回、首都圏の営業店の所属長のほかにⓄ等の営業本部の幹部などが出席し、営業成績の報告等を行うセンター長会議が開催されていた。(甲178、179)平成27年11月30日のセンター長会議では、レントロールに乖離があるケースがあると指摘されていた。(甲221) 平成28年9月2日のセンター長会議において、同年8月のパーソナルバンクの有担保ローンの純増は昨年8月の半分にとどまり、平成28年8月の原告全体の業績は9200万円しか増加しておらず危機的な状況であり、今の状況はパーソナルバンクが風邪を引くと銀行全体が死亡するというようなところまで追い詰められていることの自覚を求め る旨の発言が出た。(甲99、証人Ⓤ)- 217 - また、平成29年5月1日に開催された首都圏センター長会議では、①業務はあくまで営業であり融資管理とは異なるため、ベクトルの統一を徹底すること、②業務は初期延滞先へのアプローチをきっかけとしてテールヘビー(毎月の元利金の返済額を抑える代わりに、最終回に残元金を一括で支払う返済方式)対応をしたり、その過程でパーソナルロー ンを獲得したりと、付帯取引の深耕も重要な任務となっている してテールヘビー(毎月の元利金の返済額を抑える代わりに、最終回に残元金を一括で支払う返済方式)対応をしたり、その過程でパーソナルロー ンを獲得したりと、付帯取引の深耕も重要な任務となっていること(収益物件債務者への離脱防止に関して、単純なレートダウンより、買い増しやテールヘビー対応のほうが税制上・キャッシュフロー改善の観点から魅力的で離脱防止効果が高いとの指摘もあった。)、③返済困難先のリスケなどは業務の管轄分野ではなく、融資管理の担当分野になるので 早急に引き継ぐこと、④配属人員のいる拠点の所属長は行動について管理することなどの指示がされた。(甲201の2)(6)サクト会議等及びシェアハウスローン終結までの経緯ア平成29年4月6日信用リスク委員会被告Ⓖ、被告Ⓗ及び被告Ⓚは、平成29年4月6日、信用リスク委員会 に出席し、Ⓞから、サクト案件について説明を受けた。Ⓞは、サクト債権は131件あり、貸金残高が121億5700万円であること、サクトには入居者あっせんスキーム(能力)がなく、シェアハウス販売利益をその他投資家への家賃保証原資に転用していたこと、シェアハウスの販売減少に伴い、家賃保証原資が減少し、入金遅れが発生したことを説明した。ま た、シェアハウス運営に対する投資家の選択肢として、①個人管理(債務者自身が物件の入居者募集、管理、維持などを実施する)、②賃貸管理会社に管理を委託すること、③スマートライフにシェアハウス運用業者を変更すること(スマートライフの入居者募集のノウハウ、スキームを活用し、入居状況を改善し、家賃収入を確保する)を提案し、スマートライフには ノウハウがあり、高い家賃設定と入居率を維持可能であるなどと説明した。 - 218 - これに対し、被告Ⓗは、スマー 入居状況を改善し、家賃収入を確保する)を提案し、スマートライフには ノウハウがあり、高い家賃設定と入居率を維持可能であるなどと説明した。 - 218 - これに対し、被告Ⓗは、スマートライフについては2年前に亡Ⓜから一切関わるなと指示を受けており、同社の元代表者が過去に住専問題で雑誌の記事に取り上げられており、同社への関与が株主等表面上見られないとしても、これまでの疑念が完全に払拭されたわけではないので、上記③については取り上げるべきではない旨の意見を述べた。また、別の出席者も、 上記③は上記②に内包されるのではないか、スマートライフだけを個別に取り上げる理由がよく分からず、同社の企業調査をしっかりと行う必要がある旨の意見を述べた。議論の結果、上記③については保留とし、継続審議となった。(甲120の1及び2、177、219、268、287、295、乙E10、13、乙F12、証人Ⓧ、証人Ⓢ、被告Ⓗ本人) イ平成29年4月13日第1回サクト会議被告Ⓗ、亡Ⓘ、被告Ⓚ及び被告Ⓛは、平成29年4月13日、第1回サクト会議に出席した。 Ⓞは、シェアハウスの特徴などのシェアハウスローンに関する一般的な説明をした上で、サクトの破綻は、開発したリゾートマンションの建設、 販売において、納税の滞納が発生し、差押えが発生したことにより、資金繰りに窮したことが発端であること、サクトは家主に対してサブリース契約の締結及び家賃保証を行っていたが、同社には入居者募集のノウハウがなかったこと、サクトがサブリース保証を行った原告の融資が125件あるが、サクトの立ち位置である管理会社の業務を別の会社に変更すること により、家主にとってはシェアハウスの形態のまま業務を継続することができ、例えばシェアハウスの業界で一番のノウ が125件あるが、サクトの立ち位置である管理会社の業務を別の会社に変更すること により、家主にとってはシェアハウスの形態のまま業務を継続することができ、例えばシェアハウスの業界で一番のノウハウを持っているといわれているスマートライフに管理会社を変更すれば、入居者募集の方策も取り入れられ、仕事の斡旋と住まいの斡旋を同時に行うことにより、入居者のインセンティブが高まり入居のスピードを速めることができることなど を説明した。その上で、Ⓞは、シェアハウス運営に対する投資家の選択肢- 219 - として、①個人管理(債務者自身が物件の入居者募集、管理、維持などを実施する)、②賃貸管理会社に管理を委託すること、③スマートライフのような会社にシェアハウス運用業者を変更すること(スマートライフの入居者募集のノウハウ、スキームを活用し、入居状況を改善し、家賃収入を確保する)を提案した。 同会議では、パーソナルバンクが作成したスマートライフに関する資料が併せて配布され、当該資料には、①同社につき過去に不芳情報が届けられたものの、当該情報のうち逮捕歴以外の中傷に関しては事実無根であること、②創業時の社長が退任して新たに別の社長が就任しており、創業一家と事業を分離するために創業一家の保有するスマートライフの株式を 同社が買い取り、問題のある創業一家や当該一家との資本関係は完全に分離されていること、③上記情報が届けられた前後において、スマートライフから紹介された原告の既存顧客からの苦情は一切ないことなどが記載されていた。併せて、営業本部から、上記②の裏付け資料として、スマートライフの締結した同社が株式を譲り受ける旨の株式譲渡契約書、同社の 作成した自己株式の取得及び主要株主の異動に関する案内書面並びに同社の株式会社変 本部から、上記②の裏付け資料として、スマートライフの締結した同社が株式を譲り受ける旨の株式譲渡契約書、同社の 作成した自己株式の取得及び主要株主の異動に関する案内書面並びに同社の株式会社変更登記申請を法務局が受け付けた旨の書面(甲154の1ないし3)が提出された。 亡Ⓘは、債務者の状況がそれぞれ違うと想定されるので、相談があった場合には個別に対応する方向性でよいと考える旨の意見を述べた。 被告Ⓛは、サクトのような業者は審査の段階で見ているのか、これだけ数多くの債務者に対して同じ仕組みで取り扱うとなるとプロジェクトファイナンスのような仕組融資になるのではないか、資産を形成するローンであるが、その審査においてはLTV(LoantoValue)の他にDSCR(DebtServiceCoverageRatio)といった目線も入れておいたほうがよ いなどと指摘した。 - 220 - 被告Ⓗは、チャネル先は入口の段階で審査している、サブリース契約の有無にかかわらず、管理会社の代替性があるかの目線は入れている、サクトと原告は、提携契約等の個別契約は一切結んでおらず、スキームによる提携融資や仕組融資といったものではないと考えている、審査部としては、資産査定については通常の方法と同様、それぞれの債務者ごとに実施する 方針である旨を述べた。 被告Ⓚは、物件の状況や入居状況を確認するように指示した。また、原告から債務者に対して別のシェアハウスの入居者募集を紹介、斡旋した場合の法的な問題やリスクについて、弁護士に確認することとなった。(甲100の1ないし5、215の1ないし5、295、乙E11ないし13、 乙F13、14、証人Ⓧ、証人Ⓢ、被告Ⓚ本人)ウ平成29年4月19日第2回サクト会議被告 こととなった。(甲100の1ないし5、215の1ないし5、295、乙E11ないし13、 乙F13、14、証人Ⓧ、証人Ⓢ、被告Ⓚ本人)ウ平成29年4月19日第2回サクト会議被告Ⓖ、被告Ⓗ、亡Ⓘ、被告Ⓚ及び被告Ⓛは、平成29年4月19日、第2回サクト会議に出席した。 同会議では、第1回サクト会議の議論を受けて弁護士に相談した結果が 報告された。サクトの財務状況や中長期的な事業計画などを確認し、計画の実現可能性を調査すべきであり、その内容の検証を受けて、サクトの自主的な自立が不可能であると判断した場合は、次善の策として銀行が投資家に対しシェアハウス経営方針を提案することは合理的であること、サクトが行う家賃保証がスキームの鍵になっている以上、同社の信用力に対し て銀行として注視しておく必要があったのではないか、現在分割実行中の案件については債務者と銀行間の契約上、残金の融資は実行される必要があるといった見解を示された旨の報告を受けた。報告のために示された弁護士との相談の議事録(甲101の2)には、「原告が融資した物件にはサクトによる家賃保証がついており、これまで返済の問題は露見してこな かったが、物件ごと実際の入居状況を調査してみると実行後時間がたって- 221 - いるにもかかわらず入居率が低い物件が数多く存在することが判明。要因として、サクトに入居者募集の能力が著しく低いことがあげられた。同社はシェアハウスの建設請負による利益を他の投資家への家賃保証原資にあてていたためこれまで問題が噴出しなかったが、家賃保証額の入金遅延の発生、同社の預金差押えを受け、同社の財務がひっ迫しているという状 態が判明。今後に亘り同社が家賃保証を継続できるか大いに疑問が呈される状況となった。」との記載があった 、家賃保証額の入金遅延の発生、同社の預金差押えを受け、同社の財務がひっ迫しているという状 態が判明。今後に亘り同社が家賃保証を継続できるか大いに疑問が呈される状況となった。」との記載があった。 Ⓞは、サクトはサブリース契約による管理業務から撤退する意向で、投資家としては管理会社を変更する必要性が発生する、13物件、債権額14億円について、顧客から営業店に入金が止まったことにより、資金がシ ョートしそうであるとの相談があり、個別に状況をヒアリングして相談に乗るよう指示をしてある旨を述べた。 被告Ⓛは、個別の債務者の対応はもちろんであるが、チャネル別の視点においても、全体のポートフォリオを今後どのように構築していくべきか考えなくてはならない、ストックベースにおける商品別、地位別、チャネ ル別などの構成は、審査部において定期的に分析、検証を行い、その分析状況によっては、キャップをつけるべきかといったことも考えていかなければならない、ローン案件を審査するときに、リスクの所在といったリスクアセスメントを実施しているのかなどと発言した。これに対し、被告Ⓗは、チャネルの会社状況についてスクリーニングを行うほか、原告への持 込件数や不芳状況等の目線も入れており、ローンのLTV はもちろん、地域や入居状況、家賃設定の妥当性、現況賃料へのストレス(掛目)等、定められたリスクアセスメントを入口の段階で実施している旨を述べた。被告Ⓛは、LTV についてロジカルな説明ができるように組み立てをするよう指摘した。 被告Ⓚは、スマートライフについて、ネット情報等で良くない記事もあ- 222 - る一方、上場をするといった説明もあり、いずれにしても興信所も含めた情報を収集し、改めて報告してほしい旨を述べた。(甲101の1及び イフについて、ネット情報等で良くない記事もあ- 222 - る一方、上場をするといった説明もあり、いずれにしても興信所も含めた情報を収集し、改めて報告してほしい旨を述べた。(甲101の1及び2、177、216の1及び2、295、乙E11ないし13、乙F15、16、証人Ⓧ、証人Ⓢ)エ審査部におけるシェアハウス全件調査 被告Ⓗは、亡Ⓜのスマートライフとの取引禁止の指示があったにもかかわらず、平成28年12月2日の物件調査ミーティングで同社のブランドであるかぼちゃの馬車が約6割存在する旨の報告を受けたことに疑念を抱いていたところ、審査部の管掌取締役への就任打診があったことや、サクト案件の問題が発生したことなどを機に、第1回サクト会議後、シェア ハウスの入居状況やスマートライフとの取引状況を調査すべく、審査部内にシェアハウス全件調査を行うよう指示した。 その指示を受けて、審査部は、平成29年4月26日から同年5月15日にかけて、現地訪問による目視調査及びCRMによる家賃振込状況の確認の方法により、シェアハウス全件調査を行った。(甲177、乙E13、 証人Ⓢ、被告Ⓗ本人)被告Ⓗは、同月18日の審査部内の物件調査ミーティングにおいて、シェアハウス全件調査の結果報告として、シェアハウス調査件数942件のうち、入居者ありの物件が598件、入居者なしの物件が276件、不明が68件であること、スマートライフが関連している物件の割合(かぼち ゃの馬車等のブランドの表示はないが、スマートライフ物件特有の物件の表示があるもの、家賃振込元がスマートライフのもの、実際の管理会社がスマートライフのものを含む。)が578件で61.4%を占めること、サクト、ゴールデンゲイン、ガヤルドなど21件がチャネルのもの の表示があるもの、家賃振込元がスマートライフのもの、実際の管理会社がスマートライフのものを含む。)が578件で61.4%を占めること、サクト、ゴールデンゲイン、ガヤルドなど21件がチャネルのものはスマートライフが関与していないが、アマテラスを含むその余の67件のチャ ネルのものは、スマートライフが関与しているものがあり、うち55件の- 223 - チャネルについては関与率が5割を超えていること、サクトからの振込がなくなっている物件が72件であること、サクト以外のものは建物完成から3か月の免責期間中を除き入金があることの報告を受けた。また、シェアハウスの問題点として、稼働中であっても1部屋入居している程度で、多数入居などは数件しかないこと、入居状況が一切分からない物件が多い こと、入居者は確認できるが、ガスメーターが0のケースもあること、3棟現場でサクト、かぼちゃの馬車、サクトと違うブランドが乱立している場所があること、イノベーターズの管理会社表示シールは、スマートライフとそっくりであること、断定はできないが、全物件の8割から9割がスマートライフと思われることなどの報告を受けた(甲152、証人Ⓢ、被 告Ⓗ本人)。 上記報告を受けた被告Ⓗは、保守的にみて確実に入居者がいない物件を入居者なしと区分するよう指示した。審査部内で精査した結果、総件数942件(総残高1086億1900万円)のうち、①かぼちゃの馬車の物件が535件(56.8%、残高618億6000万円)であること、② 管理会社がスマートライフの物件が325件(34.5%、残高301億6500万円)であること、③入居者なし(1棟に1名の入居者も確認できず、かつ、建物のガスメーター目盛りの増加が1㎥以下やガス栓が閉栓状態、又は電気未通電の状 件が325件(34.5%、残高301億6500万円)であること、③入居者なし(1棟に1名の入居者も確認できず、かつ、建物のガスメーター目盛りの増加が1㎥以下やガス栓が閉栓状態、又は電気未通電の状態や玄関ドアの取っ手に保護材が付いたままで鍵穴がシールで封印されている物件)の物件が191件(20.3%)で あり、当該191件のうち、かぼちゃの馬車の物件が99件であることなどが報告された。(甲54、174、177、213、証人Ⓨ、証人Ⓢ、被告Ⓗ本人)また、審査部は、帝国データバンクに対し、スマートライフに係る調査を依頼し、同月、調査報告書を受領した(乙D40、証人Ⓡ)。 オ苦情申入れ- 224 - 平成29年5月21日、シェアハウスについて、顧客からお客様相談センターに対し、原告の過剰融資により家賃相場が下落した、審査がアバウトすぎるなどといった苦情申入れがあった。(乙F33)カ平成29年5月31日第3回サクト会議被告Ⓖ、被告Ⓗ、亡Ⓘ、被告Ⓚ及び被告Ⓛは、平成29年5月31日、 第3回サクト会議に出席した。冒頭、Ⓞは、サクト案件に係る物件の進捗状況、債務者の返済見通し等について説明した。 亡Ⓘは、サクトの問題の対応と並行して、シェアハウスの取扱いについて、与信集中リスクも考慮しながら今後の方針を決めていかなければならない、シェアハウスの貸出金ポートフォリオに占める比率や残高の上限目 安や月間の実行額の目安といったことを検討する必要があるのではないかと述べた。 被告Ⓛは、シェアハウスの賃料のフェアバリューの見方について質問し、Ⓞがアパマンの評価が妥当である旨を述べた。 被告Ⓚは、他の業者への懸念を表明し、サブリース業者のリスクをよく 見るようにしなければならない旨を述 の賃料のフェアバリューの見方について質問し、Ⓞがアパマンの評価が妥当である旨を述べた。 被告Ⓚは、他の業者への懸念を表明し、サブリース業者のリスクをよく 見るようにしなければならない旨を述べた。(甲102の1及び2、217の1及び2、295、乙E11ないし13、証人Ⓧ)キ平成29年6月1日執行会議被告Ⓖ、被告Ⓗ及び被告Ⓚは、平成29年6月1日、執行会議に出席し、サクトに関する問題の出口戦略について審議した。 Ⓞは、①当該問題の本質は、シェアハウスのサブリース契約をしたサクトに入居者斡旋スキームの能力がなかったことであり、そのため同社はシェアハウスの販売利益をその他の投資家への家賃保証の原資に転用していたが、シェアハウスの販売減少に伴い家賃保証の原資が不足してきたことから発生したものである旨、②原告はサクトとは提携関係にないが、土 地建物の購入資金を融資した債権者として対応策等を検討した結果、物件- 225 - 管理や入居者募集の委託先管理会社を変更することによる解決の方向性が見えてきた旨などの中間報告をした。(甲190)ク審査部と営業の間のシェアハウス全件調査をめぐるやり取り(ア)被告Ⓗは、同年6月16日、Ⓞに対し、第4回サクト会議に先立って審査部の実地調査により入居者がいない懸念があるとされた上記の外観 上全空と思われる191件のシェアハウスの一覧表を送付した。(甲105)(イ)審査部は、平成29年6月19日時点で、シェアハウスの問題点を集約しており、シェアハウスの募集が行われていないこと、募集をしている会社が不明あるいはスマートライフであること、スマートライフは女 性限定の前提であったはずが、男性限定募集していること、募集家賃とレントロール家賃に乖離があることといっ いこと、募集をしている会社が不明あるいはスマートライフであること、スマートライフは女 性限定の前提であったはずが、男性限定募集していること、募集家賃とレントロール家賃に乖離があることといった状況が指摘されていた。 (甲148)被告Ⓗは、同月20日、営業が主張するシェアハウスと実際のシェアハウスとの相違点をまとめるよう指示し、同日、審査部のⓇから、シェ アハウス相違点と題して報告を受けた。 報告には、①入居者が確認できる物件が少なく、確認できる場合においても複数の入居者が確認できることはまれであること、②入居者がいないと思われる物件でも家賃(サブリース料)の振込みはあるが、原資が何か不明であること、③物件の入居状況がネットで掲載されているも のと掲載されていないものがあること、④SSP上の想定家賃(サブリース料)は実際に振り込まれている金額よりも平均で10%程度少なく、レントロールどおりに家賃募集していることは皆無で、2、3万円くらい安いこと、⑤竣工1年以上で、半年前に入居率80%程度で入居報告された物件が、ガスメーターが0、ドアノブに保護材が付いたままでイ ンターホンカメラ部分には保護材シールが貼られたまま、ポストに養生- 226 - テープが添付されているなど、入居状況に疑義のある物件があること、⑥SSP上の管理会社は別会社であるものの、実際現地の表示はほとんどスマートライフとなっていること、⑦シェアハウスの入居斡旋(募集)をしている会社が不明であること、⑧女性限定のシェアハウスで申請稟議がされた物件について、ネット募集では男性限定募集となっており、 女性限定のビジネスモデルに限界がある可能性のあること、⑨入居報告のレントロール入居状況とネット募集に大幅な相違がある場合もあり、レントロール ついて、ネット募集では男性限定募集となっており、 女性限定のビジネスモデルに限界がある可能性のあること、⑨入居報告のレントロール入居状況とネット募集に大幅な相違がある場合もあり、レントロール家賃とネット募集家賃にも乖離があること、⑩新築から半年くらいはほぼ入居者がおらず、ネットにも掲載されておらず募集している様子が見られないことなどが指摘されていた。(甲118、177、 証人Ⓡ、証人Ⓢ)。 (ウ)Ⓞは、平成29年6月29日、Ⓨを呼び出し、審査部がシェアハウス全件調査により191件の物件を未入居と認定したことを叱責した。 (甲163、174、証人Ⓨ)Ⓟは、同日、Ⓨに対し、シェアハウス全件調査により審査部が入居者 なしと認定した191件のシェアハウスについて、営業の見解を伝えた。 その内容は、物件を確保するために青田買いをして実際に入居する3か月前から契約する等の賃貸契約があれば入居しているとみるべきであること、入居済みの物件が121件(うち満室は20件、法人1棟貸6件、他の入居率は70から80%あること、)、法人への1棟貸しが4 5件、簡易宿所や保育所への計画変更をするため稼働させられていない物件が16件あり、実際に空きである物件は9件のみで、うち4件はイベントを企画中で、2件はスマートライフが倉庫代わりに利用しているほか、マンスリー等で短期間企業にホテル代わりに貸出しているものなどもあることなどを説明し、入居状況をまとめた一覧表を送付し、シェ アハウスの1棟貸しという特異性を考慮してほしい旨を伝えた。当該一- 227 - 覧表では、後記ケで被告Ⓗ及び亡Ⓘが現地視察した物件は3棟とも入居がある旨や、雑草が生えていた2棟は簡易宿泊所に計画変更している旨が記載されていた。(甲155、162の1 該一- 227 - 覧表では、後記ケで被告Ⓗ及び亡Ⓘが現地視察した物件は3棟とも入居がある旨や、雑草が生えていた2棟は簡易宿泊所に計画変更している旨が記載されていた。(甲155、162の1及び2、163、220)(エ)被告Ⓗは、同日、Ⓨから、メールにより、Ⓞに呼び出されて叱責を受けた旨の報告を受け、シェアハウス全件調査により審査部が全て空室と 認定した191件の入居状況について、上記のとおりⓅが送付した営業側の認識を示した一覧表を受領した。(甲163)ケ被告Ⓗ及び亡Ⓘによるシェアハウスの視察被告Ⓗは平成29年6月16日に、亡Ⓘは同月27日に、審査部が全て空室と認定したシェアハウスを現地視察し、外観から入居状況等を確認し た。(甲155、甲220、証人Ⓨ、証人Ⓢ、被告Ⓗ本人)亡Ⓘは、平成29年6月27日、被告Ⓗに対し、メールにより、自らが現地視察した葛飾区内の3 件のシェアハウスについて、入居の形跡が見られず、今後の信用リスクをどのように計量化したらよいかと思案に余る旨を伝えた。(甲156) コ平成29年7月5日第4回サクト会議被告Ⓖ、被告Ⓗ、亡Ⓘ、被告Ⓚ及び被告Ⓛは、平成29年7月5日、第4回サクト会議に出席した。同会議の内容は、次のとおりであった。(甲103の1、177、218の1、287、295、乙E10ないし13、証人Ⓧ、証人Ⓢ、被告Ⓕ本人、被告Ⓖ本人、被告Ⓗ本人、被告Ⓚ本人、被 告Ⓛ本人)(ア)被告Ⓗは、第4回サクト会議が開催される前、亡Ⓘ及び被告Ⓛを訪ね、審査部が行ったシェアハウス全件調査の結果等を報告した。 また、亡Ⓘは、第4回サクト会議の前に被告Ⓕを訪ね、サクト案件の問題に関する経過・対応策やシェアハウスのビジネス等について説明し た。 審査部が行ったシェアハウス全件調査の結果等を報告した。 また、亡Ⓘは、第4回サクト会議の前に被告Ⓕを訪ね、サクト案件の問題に関する経過・対応策やシェアハウスのビジネス等について説明し た。その中で、被告Ⓕは、営業と審査部が責任の押し付け合いになって- 228 - いる旨の話を聞き、組織として対応策を考えてほしい旨を述べた。 (イ)亡Ⓘは、第4回サクト会議の冒頭、被告Ⓕからの伝言として、同会議は、営業や審査部などの一部部署の責任を追及する会議ではなく、シェアハウスは経営判断で決定して推進してきた事案であって、シェアハウスビジネスの仕組みが理解できていないこともあり、不明な点を明確に し、銀行全体でどのような対応策を取り、組織だった具体的な対応策を決定したい旨を伝えた。 続いて、執行役員審査部長のⓈは、サクト案件に関する債務者の返済方法変更の対応状況、サクト案件に関する弁護士の介入状況やこれに伴う信用コスト発生の見通し等について説明した。説明内容には、債務者 数が110人、物件数が125件、債権額が128憶7000万円、条件変更の対応件数が50件、53億4100万円であることなどが含まれていた。 被告Ⓛは、担保物件の評価について、収益還元での物件評価で信用コストを算出すると2次ロスが発生する可能性があり、信用コストの算出 方法を早急に決める必要があるなどと指摘した。(甲103の2ないし5)(ウ)その後、Ⓞがサクトのシェアハウスビジネスに関するスキーム等を説明した。その内容は、サクトはシェアハウスの企画をし、仲介業者のケイズリアルティ等の不動産販売会社がサクトと投資家すなわち債務者と の間に入って不動産販売の仲介をしていること、顧客対応としては、サクトや仲介業者から説明をするよう依頼してい し、仲介業者のケイズリアルティ等の不動産販売会社がサクトと投資家すなわち債務者と の間に入って不動産販売の仲介をしていること、顧客対応としては、サクトや仲介業者から説明をするよう依頼しているほか、原告からも返済の可否を確認しているというものであった。 被告Ⓛは、サクトがアレンジャー(原告と債務者との間に入って調整を行う者)であることを認識して融資しているのであれば、ストラクチ ャードファイナンス(企業の事業や資産価値に依存する金融手法)であ- 229 - り、稟議書面に「仕組みローン」であることを明記すべきであり、本件も個々の案件として捉えるより全体として考えるべきである、ストラクチャードファイナンスでないのであれば、その根拠を明確にする必要があり、資産査定の手順書にも明記する必要がある旨などを述べた。 被告Ⓗは、サクト案件を提携ローンとはしていない、顧客自身で他の 管理会社を探してきて委託する方もいると発言した。 被告Ⓖは、他のアパートローンやPA1と仕組みは同じであるが、違うところがある、亡Ⓘは、PA1は一般の人が入居するが、シェアハウスは入居者が限られていると述べた。 参加していた執行役員は、物件の汎用性に違いがある、サクトが入居 者を募集したときと、アパマンが入居者を募集したときとの賃料に差額が生じているなどと指摘した。 被告Ⓚは、現時点で「サクトリスク」はある。他社で肩代わりができるのであればよいが、どこが変わってもだめであれば、「シェアハウスリスク」もあることになると述べた。 亡Ⓘは、シェアハウス案件で他の銀行の肩代わりはないのかと質問し、Ⓟは、シェアハウスは独特で特殊性がある、既に取り扱っている銀行や肩代わりする金融機関はあるが、原告と業者の関係構築のため他行の肩代わりを排 シェアハウス案件で他の銀行の肩代わりはないのかと質問し、Ⓟは、シェアハウスは独特で特殊性がある、既に取り扱っている銀行や肩代わりする金融機関はあるが、原告と業者の関係構築のため他行の肩代わりを排除してきたなどと説明した。 (エ)会議の席上、審査部が作成した「シェアハウス疑問点について」と題 する資料が出席者に配布された。同資料には、シェアハウスの問題点として、①審査部によるシェアハウス全件調査の結果、総件数942件、総残高1086億1900万円のうち、現地訪問による目視調査において外観上全て空室と思われる物件は191件であり、外観上は全て空室と思われる物件に対し、取扱店からは70ないし80%程度入居してい る旨の報告があること、②稟議上では、管理会社ないしサブリース会社- 230 - がスマートライフ又はアマテラス(スマートライフと実質的に同一と指摘されている)のものが187件のところ、かぼちゃの馬車などと建物に表示している物件が535件あり、また、ポストに管理会社がスマートライフと表示されている物件が325件あり、大幅に乖離していること、特に稟議申請時の管理会社がイノベーターズとなっている案件は、 取扱件数・金額ともに多い中で、確認できる中では物件管理のほとんどがスマートライフとなっていることや、実地調査において物件管理がスマートライフであってもオーナーへの賃料の振込みはイノベーターズからされているものが確認できるなど、結果として取扱案件のほぼ全てが管理会社はスマートライフとなっている業者が散見されること、③シェ アハウスの特徴として、家具等が完備されており即入居可能と説明されてきたが、インターネットでスマートライフの入居者募集を確認すると、家具等は完備されておらず、別途リース契約が必要であり、備え アハウスの特徴として、家具等が完備されており即入居可能と説明されてきたが、インターネットでスマートライフの入居者募集を確認すると、家具等は完備されておらず、別途リース契約が必要であり、備え付けまでに1週間程度を要するとされていること(融資金額(融資申込金額)の説明では、家具等の購入費を含むものとされていた)などが記載され ていた。資料の末尾には、シェアハウスの融資残高は、平成29年3月末時点で1086億円(建物完成済みの融資残高であり、承認額では1855億円)あり、そのうちスマートライフのブランドが表示されている物件は618億円と同社への依存度が非常に高く、また、サブリース契約の有無にかかわらず、管理会社の信用状況に変化が生じた場合は、 多額の信用リスクが顕在化する可能性があることから、原告のポートフォリオ構成や与信集中リスクを再度検討する必要がある旨が記載されていた。(甲103の6、218の2)これに対し、営業本部が審査部との間でやり取りした191件に関する調査結果も出席者に配布された。当該資料によれば、審査部の調査に より外観上全て空室と認定された191件の物件については、98件が- 231 - 入居済みであり、61件については未入居であるものの契約済みであって、契約がなく全て空室のものは32件にとどまるとされていた。(甲103の8)(オ)亡Ⓘは、1年から1年2か月前に竣工した物件を視察したが、外観からは入居が確認できず、入口やガスのメーター、郵便受け等からも入居 状況が確認できなかった旨を報告した。Ⓞは、竣工から1年2か月以上経過して入居していないのは問題であるが、建物の建築が予定より遅れている物件もあり、建物の完成時期を明確にして入居状況を調査する必要があるなどと述べた。被 旨を報告した。Ⓞは、竣工から1年2か月以上経過して入居していないのは問題であるが、建物の建築が予定より遅れている物件もあり、建物の完成時期を明確にして入居状況を調査する必要があるなどと述べた。被告Ⓗは、亡Ⓘが視察した物件には、入居状況調査で80%の入居率と報告を受けている物件もある旨を述べた。Ⓞは、 シェアハウスについては、ノウハウがあるかないかでスキームの成否が決まっていると述べたほか、シェアハウスの入口ドアの取っ手に保護材がついていたことを指摘された際、入居者が替わるとドアごと取り替える旨を述べた。被告Ⓚは、物件と条件等を明確にして、シェアハウスの本当の入居状況を明確にする必要がある旨を述べた。亡Ⓘは、入居状況 については、2年から3年が経過して入居状況を確認できるものと、現時点で入居状況が確認できない物件の理由を明確にして、再度確認する必要がある旨を述べた。 (カ)Ⓞは、現在、スマートライフ関連の案件の取扱いは停止していると述べたが、Ⓟは、シェアハウスに関してはスマートライフがナンバーワン であり、顧客が一番力のある同社に運用を任せることは否定できないなどと述べた。被告Ⓗは、稟議では管理会社がイノベーターズになっているが、現地調査をするとスマートハウスが管理している物件がある旨を述べた。Ⓟは、顧客から入居者の募集をスマートライフに依頼して、物件にかぼちゃの馬車の看板をつけることもあるなどと述べ、被告Ⓗから、 イノベーターズ等の不動産会社はスマートライフとの取引禁止を迂回- 232 - するための会社なのではないかと問われると、迂回である旨を述べ、これを聞いたⓄがⓅを制止する場面があった。 (キ)被告Ⓛは、スマートライフに管理を委託する案件を取り扱うのか、シェアハウスへの融資を継続 会社なのではないかと問われると、迂回である旨を述べ、これを聞いたⓄがⓅを制止する場面があった。 (キ)被告Ⓛは、スマートライフに管理を委託する案件を取り扱うのか、シェアハウスへの融資を継続するのか、そのあたりをどう考えるか決めていく必要がある旨を述べた。 Ⓞは、シェアハウス全体の新規案件は、マーケットでの飽和感や供給が多くなることによる家賃の下押し圧力、管理面でのキャパシティなどから減少していく見通しであり、今後1年程度でなくなると考えている旨を述べた。 被告Ⓗは、平成29年3月末時点のシェアハウスの完成物件に対する 融資残高約1000億円のうち、実質的にスマートライフが関与している物件が約600億円程度あり、原告の貸金ポートフォリオは個人に分散していることが強みであるが、一部に集中しているとみることができる旨を述べた。 Ⓟは、スマートライフがあと1年程度で新規案件がなくなっても既存 物件の管理だけでやっていける状況になると説明し、現在スマートライフの管理物件の平均入居率が73%であるところ、シェアハウスの入居率は60%以上で成り立つと言われていて、アパマンは全国7000社の不動産会社と提携しており、地方からの入居者募集に力があり、シェアハウスには法人の一棟借り上げもあると聞いている旨を述べた。 被告Ⓛは、スマートライフについては、上場するのであれば、スクリーニングの役割があるが、最近のマーケット動向からIPO(新規公開株式)が難しくなっているとの話もあると述べた。 被告Ⓚは、サクトは一つの塊としてリスク認識する必要があると述べた。 亡Ⓘは、アパートローンに関する当局の目線は、顧客本位かどうかで- 233 - ある、顧客が不当に高い物件を買わされていないかどうかが問題視される スク認識する必要があると述べた。 亡Ⓘは、アパートローンに関する当局の目線は、顧客本位かどうかで- 233 - ある、顧客が不当に高い物件を買わされていないかどうかが問題視されるなどと述べた。 Ⓞは、これを受けて、これまでは経営陣の有担保ローン案件に対する考え方が現場の社員に伝わっていなかった。現場の社員を納得させるため、経営陣の考え方をきちんと説明する必要があるなどと述べた。 亡Ⓘは、シェアハウスにつき小さな土地になぜこれだけの資金が出ているのか、経済合理性からみてサブリースが必要なのかという疑問点がある旨を質問し、Ⓞは、サブリース自体が問題というわけではなく、通常のサブリースは家賃相場より低く設定して、サブリース会社が鞘を抜くのが普通であるところ、シェアハウスの場合は、通常の家賃相場より サブリース契約の方が高い家賃設定である点に問題があるものの、仕掛中の案件を含めて突然取扱いを中止とすることはできない旨を述べた。 (ク)被告Ⓚは、シェアハウスの取扱いについては、状況を見ながら徐々にフェードアウトしていく方向性とすべきと考えると述べた。 被告Ⓛは、これまでは、貸金が小口分散化されていることが強みであ った、一債務者への融資残高の上限について再検討する必要があると述べた。Ⓞは、以前も一債務者3億円のリミッターを実施したことがあった、その結果、3億円以上の融資申込を断ったため、新規の案件を他行に持ち込まれた上に、既存の融資まで他行に肩代わりされる案件が多くなってしまい、途中で見直した経緯があるなどとし、貸出限度額につい ては、一律に設定するのではなく案件ごとに個別に対応していきたいなどと述べた。 被告Ⓚは、シェアハウスに関する案件について、ストレスを掛けたシミュレーションを行って とし、貸出限度額につい ては、一律に設定するのではなく案件ごとに個別に対応していきたいなどと述べた。 被告Ⓚは、シェアハウスに関する案件について、ストレスを掛けたシミュレーションを行っておく必要がある旨を述べた。 執行役員は、サクトがサブリースを行っている融資についてはすでに 積算価格での担保価格算出の作業を開始しており、その他のリスクとし- 234 - て、レピュテーショナルリスクがある旨を述べ、Ⓞは、サクトの顧客の対応を進める旨を述べた。 被告Ⓛは、担保評価でバリューアットリスクでは計算できない部分は、掛目を掛けて算出することとなり、リスク資本のバッファーが約2000億円であるから問題はなく、今後は信用コストをしっかり見ることと、 顧客に対してきちんと対応することが肝心である旨を述べた。 (ケ)亡Ⓘは、第4回サクト会議のまとめとして、①現状をきちんと把握するため、既に実行したシェアハウスの入居状況を再調査し、物件評価を確定させること、②スマートライフへの対応を明確にすること、③有担保ローンのスピード感を減速させるわけにはいかないこと、④本件につ いては軟着陸を図り、早急に次のビジネス展開を考えていくことを確認した。 その後、第4回サクト会議の議事録が作成された際、亡Ⓘは、対応策案として、①シェアハウス申請における担保評価に関し、収益還元法と別にオービックによる担保評価を実施して、予想コストの全体把握を行 い、併せて資産査定の手順書を策定すること(担当部署は審査部)、②シェアハウスの仕組みで不透明な部分は、入居状況を直接銀行側が把握できないことであり、審査部の認識している竣工時期では長期に入居していないとの認識となるので、営業本部が把握する実際の竣工時期を調査し、比較精査すること( 不透明な部分は、入居状況を直接銀行側が把握できないことであり、審査部の認識している竣工時期では長期に入居していないとの認識となるので、営業本部が把握する実際の竣工時期を調査し、比較精査すること(担当部署は営業本部及び審査部)、③上記確 認後、竣工時期がかなり経過した入居しているとする物件と最近竣工した物件を比較するため、営業本部と審査部が共同して物件調査を数件実施すること、④シェアハウスの実行額は毎月50億円前後であり、今後は10億円レベルにする方向性で検討するが、有担保ローンにおける積極対応すべき方向性はまだ出せておらず、予算上早急かつ慎重に検討す ること(担当部署は営業本部)、⑤サクト事案で返済条件等を見直す5- 235 - 0件以外の60件に対して、顧客動向を把握するため、積極的なコンタクトにより実態の把握に努めること(担当部署は営業本部)を方針として記載させた。 (コ)平成29年7月から9月は、シェアハウスローンの取扱額は月額10億円程度に抑えられていた。(乙F22) サ平成29年8月4日経営会議被告Ⓕ、被告Ⓖ、被告Ⓔ、被告Ⓗ、亡Ⓘ、被告Ⓚ及び被告Ⓛは、平成29年8月4日、経営会議に出席した。 被告Ⓗは、信用リスク委員会からの報告として、資産形成用不動産の定期的調査の実施状況を報告した。報告では、同年6月末までの調査進捗率 は51.6%で、平均入居率は88.7%であり、シェアハウスについては、入居状況の詳細調査が困難なため、外観より目視にて室内に私物や窓の解放などが確認できれば入居者ありとし、電気やガスメーターなどから使用感がないものは入居者なしとしているとされ、外見上、全空と思われる物件(ガス閉栓やメーター目盛り増加なし、電気未通電、玄関ドアノブ に保護カバー、郵便ポ りとし、電気やガスメーターなどから使用感がないものは入居者なしとしているとされ、外見上、全空と思われる物件(ガス閉栓やメーター目盛り増加なし、電気未通電、玄関ドアノブ に保護カバー、郵便ポストに目張り等)については、今後、営業本部と協力して実態調査を実施するとされていた。 亡Ⓘは、資産形成ローンに係る投書の調査結果について説明した。当該投書は、売買金額を下げずに個別に覚書を交わし、実質値下げをしているものと二重契約を行っているものがあり、銀行が騙されている可能性があ るという内容であり、現時点で不良債権化しているものはないが、当該チャネル先からの取扱いは消極的対応としていることや、当該チャネルや原告の担当者に聞き取りを実施したものの、ともに関与を否定したことを報告した。Ⓞは、現在の原告の融資における方針としては、基本的に売買価格を基準とせず、原告独自の評価としているため、10%の自己資金とは 売買価格の10%ではなく、原告独自の評価の10%としていることや、- 236 - 収益還元法も踏まえて評価を実施しており、東京カンテイの積算と収益還元法の両方を採用しているため、時価の売価を基準とする100%ではない旨を説明した。被告Ⓗは、債権譲渡の際には、収益還元法での評価とそれほど乖離はない旨を説明した。(以上につき乙B2の1ないし5、被告Ⓕ本人) シガヤルドへの対応平成29年7月中旬、原告のチャネルであるガヤルドが取り扱う融資案件で、原告から建物着工資金の融資が行われたにもかかわらず、建築工事が中断する事案が発生した。 Ⓞは、同年8月24日付けの川崎支店からの報告により、ガヤルドがチ ャネルとなっている案件について、建築工事が中断している事案があり、同月14日に行われた債務者本人と が発生した。 Ⓞは、同年8月24日付けの川崎支店からの報告により、ガヤルドがチ ャネルとなっている案件について、建築工事が中断している事案があり、同月14日に行われた債務者本人との面談において、自己資金確認資料(通帳)が虚偽であるとの申出があった旨の報告を受けた。(甲86)亡Ⓘは、同年9月19日付けの監査部の報告により、ガヤルドをチャネルとしてローンを実行した融資案件129件、債務者59名について行っ た調査の結果について報告を受けた。その内容は、①自己資金エビデンス(通帳の写し)に改ざんの形跡があるものがあったこと、②融資ファイルに保管された自己資金エビデンス(チャネルから受領した自己資金確認資料の写し)を確認した限り、明らかな改ざんは、担当者が通帳原本を確認していない債務者1名について認められたのみであるところ、債務者から 自己資金が水増しされているとの申出が複数あること、③社員による代筆は認められなかったが、業者によるお引き出し伝票の日付、口座番号、金額の代筆が合計129件、振込依頼書の日付、依頼人名、受取人名、金額の代筆が合計129件あり、社員は、代筆の認識があるものの、そのまま受け入れていたことなどの問題点が発見されたなどというものであった。 (甲85)- 237 - 同月21日、関係機関から、お客様相談センターに対し、ガヤルドに係る融資案件につき融資申込時に提出した通帳の写しが改ざんされ、同じような被害に遭った者が40人程度いるらしいなどと、原告の審査体制に対して苦情を述べる外部通報があった旨が報告された。(甲83)経営企画部は、同月29日付けのガヤルドに係る債務者3名の資産形成 ローン事案について調査結果を文書にまとめ、亡Ⓘはその報告を受けた。 その中には 報があった旨が報告された。(甲83)経営企画部は、同月29日付けのガヤルドに係る債務者3名の資産形成 ローン事案について調査結果を文書にまとめ、亡Ⓘはその報告を受けた。 その中には、自己資金を一切使用しておらず、自己資金も持っていないことなどを申し出た旨の記載があった。(甲84)ス平成29年9月21日信用リスク委員会被告Ⓗ及び被告Ⓚは、平成29年9月21日、信用リスク委員会に出席 し、ゲストハウス向け融資の取扱いについて検討・審議した。 その中で、リスク要因として、評価の妥当性、建物の完成可能性、管理会社の健全性、管理会社の集中リスク、集客の仕組み、物件の稼働状況、取扱額などが検討された。建物の完成可能性への対応策として、土地購入が先行するときは、原則として、同購入資金に係る資金交付の上限を積算 評価額(土地)の120%以内とし、また、管理会社及び建築業者は業歴5年以上の先とし、建物資金は建物完成時の最終一括資金交付とすること(ただし、管理会社及び建築業者が上場企業又は上場企業の子会社のときは、分割実行を可とする。)が提案された。これに対し、Ⓞは、業歴5年未満であっても、業者を選定の上、取り扱うことも検討することを要望す るとともに、住宅完成保証制度の適用が可能な物件については分割実行に応じてもよいのではないかとの意見を述べたところ、同委員会の委員長であったⓈは、サクト等は業歴5年未満の先であり、審査部として当該事案を踏まえ、業歴については一定の線引きが必要と考えている旨や、住宅完成保証制度はゲストハウスには利用できない旨の意見を述べた。(甲20 4、乙E10、13)- 238 - セ平成29年9月23日経営会議被告Ⓕ、被告Ⓖ、被告Ⓔ、被告Ⓗ、亡Ⓘ、被告Ⓚ及び被告Ⓛは トハウスには利用できない旨の意見を述べた。(甲20 4、乙E10、13)- 238 - セ平成29年9月23日経営会議被告Ⓕ、被告Ⓖ、被告Ⓔ、被告Ⓗ、亡Ⓘ、被告Ⓚ及び被告Ⓛは、平成29年9月23日、経営会議に出席した。 被告Ⓗは、ゲストハウス向け融資の取扱いについて、同月21日の信用リスク委員会で議論されたリスク要因とその対応策として、①評価の妥当 性は、原則再評価内での対応とすること、②建物の完成可能性は、土地購入資金は積算評価額の120%以内とし、管理会社及び建築業者は業歴5年以上の先とし、建物建築資金は分割実行を行わず、建物完成時の最終一括資金交付とすること、③管理会社の健全性は、申請許可取得後の取扱い(業歴5年以上)とし、債務者と管理会社の契約内容を確認するとともに、 毎期決算書を受領して財務状況等の内容確認を義務付けること、④管理会社の集中リスクに鑑み、本件融資については、当面100億円を上限として取り扱い、融資総額を月次で把握及び検証すること、また、稟議申請時の自己資金について、通帳の原本の確認の徹底を図るとともに、融資物件の稼働後6か月ごとに稼働率の報告を受け、想定稼働率及び想定運営費等 との乖離を検証することなどを説明した。 被告Ⓛは、土地購入時の資金交付を土地の積算評価額の120%以内とする根拠は何かと質問し、被告Ⓗは、建物が完成し、収益還元で評価するともっと高い評価となるが、建物建設前であるため、保守的にみて、120%を上限とすることが妥当であると考えていると説明した。被告Ⓛは、 デフォルト案件の2次ロスを含め、実績値を算出した上で上限を検討すべき旨の意見を述べた。 Ⓞは、建物の完成時の最終一括資金交付について、原則としてよいと思うが、業者によっては分割実行のニー デフォルト案件の2次ロスを含め、実績値を算出した上で上限を検討すべき旨の意見を述べた。 Ⓞは、建物の完成時の最終一括資金交付について、原則としてよいと思うが、業者によっては分割実行のニーズもあることや、業歴5年以上、資金トレースの確認等の一定の条件の下で分割実行ができる道を残してお くべきである旨の意見を述べた。亡Ⓘは、いったん建設会社や管理会社に- 239 - 送金してしまうとその後の資金トレースは難しいのではないかと指摘した。被告Ⓕは、本件の融資判断にあたっては、性善説ではなく、性悪説に立って判断すべきであると指摘した。亡Ⓘは、これまではチャネル先の取扱いについては、反社かどうか不芳情報があるか程度しか調査していなかったが、もう少し調査のレベルを上げることと、顧客の属性を限定するこ とも検討すべきである、物件の取扱いエリアをもう少し限定してもいいのではないかと発言した。被告Ⓗは、顧客と取扱いエリアを検討する旨説明した。被告Ⓕは、金融資産の確認に当たっては、3か月前の残高証明書を受領するなど、エビデンスの厳格な確認方法も検討する必要がある旨の意見を述べた。 被告Ⓚは、今回の議案はゲストハウス向け融資としているが、ゲストハウス向けだけでよいのかと発言し、被告Ⓗは、この案件にかかわらず同様のスキームでの融資について対象としたいと説明した。 監査役は、年収証明書に関する改ざんは問題がないのかと発言し、執行役員は最近の監査部の調査においても、ほとんどのケースで公的証明書が 添付されており、証明書の改ざんは確認されていないと説明した。 議論の結果、今後はゲストハウスを簡易宿所と呼称して議論し、次回の経営会議において、2次ロスを含めたデフォルト時の乖離率を算出し、土地取得時の資金の上限額を再度検討す 確認されていないと説明した。 議論の結果、今後はゲストハウスを簡易宿所と呼称して議論し、次回の経営会議において、2次ロスを含めたデフォルト時の乖離率を算出し、土地取得時の資金の上限額を再度検討するとともに、金融資産のエビデンスの確認の厳格化の方法などについて再度議論することとなった。 (以上につき甲205、乙B4の1及び2、乙E10ないし13)ソ平成29年10月12日信用リスク委員会被告Ⓗ及び被告Ⓚは、平成29年10月12日、信用リスク委員会に出席した。 席上、サクト及びガヤルドの債務者の状況報告がされたほか、①簡易宿 所向け融資の取扱額の上限を承認総額ベースで100億円とし、稼働状況- 240 - の把握については、通常の居住用物件と収入の形態が異なり対応が容易でないことが予想されるため引き続き検討すること、②収益物件全体について、管理会社及び建築業者は業歴5年以上の先とした上で、管理会社の健全性ないし集中リスクに対応すること、自己資金等につき通帳の原本確認の徹底を図ることなどを検討した。(甲160の1及び2、乙E10、1 3)タ平成29年10月19日経営会議(ア)被告Ⓕ、被告Ⓖ、被告Ⓔ、被告Ⓗ、亡Ⓘ、被告Ⓚ及び被告Ⓛは、平成29年10月19日、経営会議に出席した。 (イ)席上、平成29年9月21日及び10月12日に開催された信用リス ク委員会及び信用リスク委員会規程に基づく書面決議において、信用リスクを定期的・定量的に把握するための重要事項並びに金融円滑化に関する事項等のほか審議・報告内容について説明がされ、その中で、サクト及びガヤルド関連事案の債務者状況並びに簡易宿所向け融資の取扱いに関しても、資料に基づき詳細な説明がされた。 被告Ⓗは、サクト関連事案は ・報告内容について説明がされ、その中で、サクト及びガヤルド関連事案の債務者状況並びに簡易宿所向け融資の取扱いに関しても、資料に基づき詳細な説明がされた。 被告Ⓗは、サクト関連事案は125件126億円あったが、他行肩代わり等により、9月末現在で117件120億円で、うち条件変更対応先が107件110億円で、建物完成済物件は90件95億円となっていること、サクトが管理できなくなり、他の管理会社に変更しているが、管理会社を変えても入居率が上がっていないこと、狭小アパート融資の ガヤルド事案は、土地決済資金及び建物着工資金の融資後、建物建築のめどが立たなくなってしまった事案であり、9月末現在58件53億円で、実質的に夜逃げの状態で、建物完成済みが10件、工事が必要なものが48件、完成しているが入居不可の物件が13件であること、同事案は、6月中旬にガヤルド社員から下請業者への未払金について報告が あり、7月にガヤルドがお詫び書を債務者に送付したことから判明した- 241 - ことを報告した。 (ウ)被告Ⓗは、簡易宿所向け融資の取扱いにつき平成29年10月12日の信用リスク委員会における検討内容を説明した後、同委員会で結論が出なかった検討事項である、①管理会社及び建築業者の業歴を5年以上とする基準について、既に原告と取組実績がある業者は除外してもいい のではないかとの意見もあったこと、②建物資金の分割実行につき建物完成時の最終一括実行とすることについて、一部の事案については、分割実行を認めてもらいたいとの意見があったが、審査としては、一つのビジネスとして、残高を積み上げていくのであれば、一括実行でも耐えられる業者のみとしたいと考えていると説明し、これについて議論がさ れた。 被告Ⓖは、②について ったが、審査としては、一つのビジネスとして、残高を積み上げていくのであれば、一括実行でも耐えられる業者のみとしたいと考えていると説明し、これについて議論がさ れた。 被告Ⓖは、②について、新規案件で取組をしている案件の中には、分割実行ができないと影響を受けるところが相当数あると思われ、状況を確認していく必要がある旨の意見を述べ、被告Ⓕは、すでに取り組んでいる案件については引き続き取り組んでいくと述べた。 被告Ⓖは、①について、現在案件を取り扱っている業者の中に業歴5年以内の業者もあり、それらの業者の取扱いができなくなる旨の意見を述べ、取扱いの多い業者は累計実行額で700憶円、残高は550億円程度であると説明した。被告Ⓕは、業歴が5年もない企業に500憶円を出していることでいいのかとの観点で考える必要があるのではない かと発言し、被告Ⓗは、融資案件としては、個人個人、個別案件としての取扱いとしていると説明した。 被告Ⓛは、審査は、既存の物件についてどのように管理しているのかと発言し、被告Ⓗは、入居状況をチェックしている、いくつかの物件については昼間では入居が確認できない物件もあると説明し、被告Ⓚは、 賃貸物件については入居時期があり、2月から3月にならないと入居が- 242 - 完了しないと説明を受けていると発言した。亡Ⓘは、本件以外にも、現場の物件をすべて1件1件確認して、返済が大丈夫か確認していく必要がある、営業の説明では、建物ができてから入居者が入るまでに時間がかかるとのことであり、その間に元金の返済が始まってしまうとの説明もある、入居にはどの程度時間がかかるのかも明確にしていく必要があ る、一つ一つの債権を見ていって、現在の債権をつぶさない配慮も必要である、サクトやガヤルド案件につい 済が始まってしまうとの説明もある、入居にはどの程度時間がかかるのかも明確にしていく必要があ る、一つ一つの債権を見ていって、現在の債権をつぶさない配慮も必要である、サクトやガヤルド案件については、一人一人の債務者としてみていくのではなく、全体で管理していく必要があるなどと発言した。被告Ⓛは、問題は融資を実行してから半年で個人破産をしている顧客がいるということであると発言した。 被告Ⓕは、今後の案件は厳しく見ていく必要があり、取扱いの多い業者については現在の残高を上限とし、個人個人の案件としてではなく、全体として管理していく必要があると発言し、被告Ⓖは、本来はチャネル別に管理していく必要があったと発言した。 被告Ⓕは、資金繰りを調査した上で、業歴5年以上、建物完成時一括 実行、取扱額の上限を100億円とすると指示し、被告Ⓗは、管理会社の集中リスクも管理していくと説明した。 (エ)簡易宿所については、取扱エリアは13区に限定し、土地先行取得時の決済資金の上限については、債権譲渡の実績をふまえ実勢価格に近い積算評価の120%で対応すること、自己資金の確認方法については保 有金融資産の確認書を新設し、受領することとし、ルールを逸脱した社員については処分の対象とすること、完成予定時期の一定期間後の事案については、危機管理専門会社の個別調査を実施し、業者の情報、風評をヒアリングし、現状調査を行うこと、管理会社1社あたりの取扱上限の設定及び1社30億円を超えた先(管理会社、企画会社等含む)につ いては、個別に申請し、検討していくこと、物件の稼働状況の把握につ- 243 - いては、執行会議の中にSSP企画会議を設立して、新しい事案等に対する検討の仕組みを構築することなどが説明された。 (オ)被告Ⓕは、こ 討していくこと、物件の稼働状況の把握につ- 243 - いては、執行会議の中にSSP企画会議を設立して、新しい事案等に対する検討の仕組みを構築することなどが説明された。 (オ)被告Ⓕは、これまでは、スピード審査、スピード処理、スピード回答としてスピードを重視してきたが、これからはじっくり時間をかけて審査を行っていくと発言し、被告Ⓖは、本事案に関する内容について、首 都圏の営業社員を集めて説明を実施し、指導していくと発言し、亡Ⓘは、今回の議論内容を文書にして再度各部にて検証してもらうこととし、加除等を含め最終案を作成し稟議する方向ではどうかと提案し、全員が了承した。(甲161、乙B1の1ないし3、乙B9、乙E10、13、被告Ⓕ本人) チ平成29年10月19日取締役会(ア)被告Ⓕ、被告Ⓖ、被告Ⓔ、被告Ⓗ、亡Ⓘ、被告Ⓚ及び被告Ⓛは、平成29年10月19日、取締役会に出席した。 (イ)亡Ⓘは、当該取締役会において、資産形成ローン事案に関する報告として、シェアハウス運営会社による入居者募集業務が継続困難となって いる事案及び狭小アパート運営会社に係るローン事案について、債権の状況、建築状況、返済条件変更対応並びに延滞状況、顧客対応状況及び事案相関図等、資料に基づき具体的な数値を含め説明をし、①シェアハウス運営会社による入居者募集業務が継続困難となっている事案としてサクトの事案を、②土地決済資金及び建物着工資金の融資後に建物建築 の目途が立たなくなってしまった事案として狭小アパート運営会社のガヤルドに係るローン事案を取り上げて報告した。 両者のスキームとしては、サクトは、販売代理会社が顧客に販売活動を行い、顧客が販売代理会社に購入を申し込み、販売代理会社が顧客とサクトを紹介し、サクトが原告に案件を ーン事案を取り上げて報告した。 両者のスキームとしては、サクトは、販売代理会社が顧客に販売活動を行い、顧客が販売代理会社に購入を申し込み、販売代理会社が顧客とサクトを紹介し、サクトが原告に案件を紹介し、顧客が販売代理会社や サクトと売買契約、建築工事請負契約、サブリース契約を締結し、原告- 244 - に融資を申し込み、融資を受けてサクトに代金を支払い、サクトが建築会社に工事を発注するという流れであること、ガヤルドは、販売代理会社が顧客に販売活動を行い、顧客が販売代理会社に購入を申し込み、販売代理会社が顧客とガヤルドを紹介し、ガヤルドが原告に案件を紹介し、顧客が原告に融資を申し込み、融資を受けてガヤルドに代金を支払うが、 顧客が建築会社に工事を発注し、管理会社とサブリース契約を締結するという流れであることが説明された。 上記①については、運営会社の他の事業での不調に伴い発生し、入居するまでに時間を要するためサブリース契約の履行負担が重くなっていたこと、顧客には、その意向も確認しながらアパマンショップ等の紹 介を行っていること、上記②については、経営者が行方不明になっており、その資質をチェックしきれていなかったことや、一部の顧客から金融庁に苦情も入っているため、金融庁(東海財務局)に状況の報告を行っている旨が説明された。 (ウ)亡Ⓘは、今後の方向性として、審査上、融資管理上の対応は、担保評 価の厳格化、建物建設資金の資金交付のタイミング、管理会社、建設会社の健全性の確認、管理会社の集中リスク、自己資金の原本確認の厳格化、風評リスク対応は、守秘義務があるため、個別の事案には回答しない、適正な審査手続を経て融資を実行していることを説明する、被害者の会が立ち上がっていることは認識している、顧客保護の方針に則 の厳格化、風評リスク対応は、守秘義務があるため、個別の事案には回答しない、適正な審査手続を経て融資を実行していることを説明する、被害者の会が立ち上がっていることは認識している、顧客保護の方針に則り対 応する、案件の取扱いについて、当初スタートするときには、企業情報データベース会社である帝国データバンク等の調査報告書を取得し、ルールに基づき調査を実施していたが、今後は、これまでの調査に加えて危機管理専門会社である株式会社エス・ピー・ネットワークなどの調査会社による調査等も検討していく、管理会社の集中リスクも管理してい くなど、もう少し時間をかけて対応していく必要があると考えているな- 245 - どと説明した。被告Ⓕは、これまでは審査のスピードに重点を置いてきたが、今後は原点に立ち返ってしっかりした審査を行っていくと説明した。 (エ)被告らではない取締役の1名は、原告が、前の事案で滞っていたことが分かっていて、その情報が伝わっていれば、それ以降の事案は対応で きたのではないか、このような事案は、悪意をもって書こうとする人には利用されやすい面があるので、注意していくべきであるなどと発言した。 監査役の1名は、案件の取扱いが特定の支店に集中していることが気になった、1件1件は小さく見えても、全体ではかなりの規模になって いる、こんなにシェアハウスがあることが驚きであった、シェアハウスの計画は、最初から多少無理な計画であったのではないか、内部の調査を徹底的に行い、外部に対しては、静観し、動くべきではないと発言した。 被告らではない取締役1名は、基本的には投資家が金を稼ごうとして 投資しているのであり、株式投資と同じようにリスクは承知しているはずである、対顧客、対メディアの対応で、間違った対応をしな 。 被告らではない取締役1名は、基本的には投資家が金を稼ごうとして 投資しているのであり、株式投資と同じようにリスクは承知しているはずである、対顧客、対メディアの対応で、間違った対応をしないよう、社員にも徹底しておく必要があると発言し、全体の貸出金に対する同種の資産形成ローンの比率はどの程度であるかと確認し、全体の貸出金の約4%であり、リスクについては、配賦資本のバッファーで対応可能で あると説明を受け、スルガ銀行の貸金の全体が資産形成ローンだと思っている記者もいるので間違った認識をさせないように注意していく必要があると発言した。 監査役の1名は、ビジネスの経験がないのに、シェアハウスがトレンディであるということで、ただ金儲けのためだけに参入している業者も ある。中には詐欺目的の業者の参入もある。そういう業者には十分に気- 246 - を付けて対応する必要がある。誰が中心でやっているのか、信用度、信頼度をしっかり見ていく必要があると発言した。(甲206)ツスマートデイズに対する対応及び平成29年10月31日社内会議(ア)スマートデイズの代表者は、平成29年10月31日午前2時48分、Ⓟら営業担当者に対し、メールを送信し、資金繰りが苦しい状態であり、 短期間でめどが立てられないこと、同社の取引銀行から受けている口座凍結を解除するために、原告において、同月分及び同年11月分の決済を行うことや、金利の引下げを容認することを同年10月31日の原告の取締役会で決議し、取締役会で承認されたことをⓄから当該取引銀行に直接連絡してほしい旨を依頼し、これらが容れられない場合は、口座 凍結が解除されず、振込ができず、サブリースの支払いもできない状況であることを伝えた。(甲167)(イ)被告Ⓖ、被告 銀行に直接連絡してほしい旨を依頼し、これらが容れられない場合は、口座 凍結が解除されず、振込ができず、サブリースの支払いもできない状況であることを伝えた。(甲167)(イ)被告Ⓖ、被告Ⓗ、亡Ⓘ、被告Ⓚ及び被告Ⓛは、同日午前11時から、シェアハウス及び簡易宿所の取扱いに関する社内会議に出席した。 Ⓞは、概要以下のように説明して、管理会社イノベーターズに対する 取扱いについて、同月19日の経営会議での決定事項につき、①管理会社については業歴5年未満でも取扱いとしたい旨、②新築物件の評価は収益還元法で行い、その代わりに、土地決済資金は自己資金の10%以上を投入することとしたい旨、③建物建築資金については2回の分割実行としたい旨(上棟時に5分の2、引渡時に5分の3を実行する)を求 めて再協議を要求した。 a 経営会議の決定に係る融資方針をシェアハウス業者であるイノベーターズに説明したところ、その内容をイノベーターズが取引銀行に報告し、イノベーターズの業績に懸念を抱いた同銀行が預金の一部を拘束したため、イノベーターズは、月末のオーナーへの支払資金(賃料) について窮しており、資金繰りに非常に困っている状況である。 - 247 - b イノベーターズへの管理会社の集中リスクを分散するために、現在契約をしている簡易宿所の管理業務を別の会社に変更していくこと、シェアハウス事業は、マーケットでの供給が過剰気味であり、家賃の低下圧力が働いていること、現行のサブリース契約は、大手に移転していき、サブリース契約による資金繰り負担の影響を逓減させていく 方針であること、サブリース賃料も引下げをしていくこと、変更先の会社は、スマートデイズの大株主で、15億円を出資し、出資比率は75%、残りの25%はスマートデイズの代 担の影響を逓減させていく 方針であること、サブリース賃料も引下げをしていくこと、変更先の会社は、スマートデイズの大株主で、15億円を出資し、出資比率は75%、残りの25%はスマートデイズの代表者が保有することを予定している。 c イノベーターズは、シェアハウス、簡易宿所用の土地を先行取得し ている物件(物件数24件、融資総額約39億円)について、買主の申込を受け付けていることから、当該買主へのローン申込を取り扱いたい旨を要求し、シェアハウスのサブリース契約については、契約期限が到来するごとに順次相場に合わせた賃料保証額へ見直しをしていく方針である、入居率の芳しくないシェアハウス物件については、簡 易宿所への転換も検討している、原告が融資方針を見直ししたことにより新規顧客の取扱いに制限を設けられるために、サブリース賃料を引き下げると言っている。 (ウ)被告Ⓗは、管理会社が上記別会社に変更となったとしても、実態はスマートライフで何も変わらない、24件の融資申込については、個々の 稟議内容を確認してからでないと判断できない、案件を決裁するかしないかはそれが大前提であると述べた。被告Ⓛは、当該融資を行うか行わないかは、個別稟議の問題か、管理会社の問題なのか、そこを議論しなくてはいけないのではないか、信用リスクの考え方をどうするか、管理会社のリスクとして、管理会社ごとのデフォルト率を算出するべきでは ないか、スマートライフのデフォルトを調査する必要がある、こういう- 248 - 議論になってくると、これは個別の融資ではなく、前から話しているように仕組みローンとして考えるべきではないのか、担保評価を例にとっても、収益還元法による現状のルールで算出するのか、アプローチの方法を変えて算出するのか議論する必要 融資ではなく、前から話しているように仕組みローンとして考えるべきではないのか、担保評価を例にとっても、収益還元法による現状のルールで算出するのか、アプローチの方法を変えて算出するのか議論する必要がある、経営会議で議論・決定した内容を覆すことになり、今すぐここで個別の融資の可否を判断するの は無理がある旨の意見を述べた。 Ⓞは、スマートライフのデフォルトは1件しかないとし、24件の取扱いについて今日中に回答を求められている、原告の融資方針が変わったことにより上記銀行の対応が変化しており、原告が対応しない場合には家賃振込の不履行により訴訟問題になる可能性も否定できない、個別 案件の回答ではなく、取扱いの方向性の結論が欲しいということであるなどと述べた。 その後、24件のうち、既に申込がされている案件のすべてについて、席上に稟議が持ち込まれ、出席者は、個々の稟議内容に目を通したが、その場では融資の可否は決定されず、亡Ⓘは、当該稟議の審査について は、通常の審査方法に加えて、審査結果を当該社内会議に出席している専務以上に回した上で、融資申込の可否を判断する旨を決定した。出席していた監査役は、シェアハウスの業界状況や情報等について、社外取締役1名にヒアリングをすることはできないかなどと意見を述べた。 (甲168、287、295、乙E11) (エ)被告Ⓚは、被告Ⓕに対し、スマートライフに関連する融資案件として、上記社内会議に係るイノベーターズの融資案件を報告した。(被告Ⓕ本人)テシェアハウスローンの取扱いの終了及び平成29年12月5日執行会議平成29年11月以降、シェアハウスローンの純粋新規案件はなくなっ たところ、同年12月5日、執行会議において、シェアハウスローンにつ- 249 - いては 29年12月5日執行会議平成29年11月以降、シェアハウスローンの純粋新規案件はなくなっ たところ、同年12月5日、執行会議において、シェアハウスローンにつ- 249 - いては10月及び11月の取扱いを最後に全社レベルで終息することが決定された。また、簡易宿所向け融資の方針等については、現行の運用実績を検証した上で慎重に検討していくこととされた。 ト平成29年12月19日経営会議被告Ⓕ、被告Ⓖ、被告Ⓔ、被告Ⓗ、亡Ⓘ、被告Ⓚ及び被告Ⓛは、平成2 9年12月19日、経営会議に出席した。 被告Ⓗは、信用リスク管理に関する検討事項として、シェアハウスへの融資は3年ほど前から行っており、債務者からレートダウンの申出が増加している状況で、債権管理の観点から厳格な事業体の確認が必要であること、サクト事案については管理会社の変更を行っていること、ガヤルド事 案については事業転換の検討につき弁護士と協議対応したいことを説明し、シェアハウスの取扱いを同年10月及び同年11月の取扱いを最後に全社レベルで終結したい旨、簡易宿所等については、今後、現行の運用実績を検証の上、慎重に対応する旨の説明をした。 Ⓞは、横浜東口支店について、10月末時点で12月にシェアハウス・ 簡易宿所15件の融資取組を予定していたが、シェアハウス7件を簡易宿所に変更する旨を説明した。 監査役から、支店に臨店した際、顧客が非常に不安に感じているとのことであった旨が報告されると、被告Ⓚは、顧客対応が第一であり、シェアハウスローンについてはすぐに対応チームを組成して対応していく必要 がある旨を述べた。 簡易宿所向け融資の取扱いについては、既に当面の上限を100億円と設定しており、その範囲内での取扱いとすることを全員が了承した。(甲 チームを組成して対応していく必要 がある旨を述べた。 簡易宿所向け融資の取扱いについては、既に当面の上限を100億円と設定しており、その範囲内での取扱いとすることを全員が了承した。(甲110、乙E11、13、被告Ⓕ本人、被告Ⓗ本人)ナ平成29年12月19日取締役会 被告Ⓕ、被告Ⓖ、被告Ⓔ、被告Ⓗ、亡Ⓘ、被告Ⓚ及び被告Ⓛは、平成2- 250 - 9年12月19日、取締役会に出席した。 当該取締役会においては、個人ローン向けの資本配賦(自己資本をリスクカテゴリー別、部門別に配賦することをいう。以下同じ。)の額を40億円増額して166億円とすることが承認されたが、それ以外に、同日に開催された経営会議で議論されたシェアハウスの取扱いなどについては 特段取り上げられなかった。(甲208、乙E12、被告Ⓛ本人)(7)シェアハウスローン終結後の状況アシェアハウス問題の報道及び平成30年1月16日経営会議(ア)平成29年12月20日に発行された雑誌において、金融庁が11月に公表した「平成29事務年度金融行政方針」には、地銀による不動産 向け融資、中でもアパート・マンション向け融資について「将来的な賃貸物件の需要見込み、金利上昇や空室・賃料低下リスク等を借り手に十分説明できているかなどについて、引き続き対話を行う」との一説があること、寄宿舎型シェアハウスの販売・一括借上・サブリースを手掛ける先駆的存在として、アベノミクスによる金融緩和を追い風に、平成2 9年3月期の売上高を316億円にまで伸ばし、同年8月には大学発ベンチャーのオーシャナイズと資本業務提携し、グループの一員となった上場を視野に入れていたスマートデイズが、同年10月下旬、オーナーに対し、「サブリース賃料支払い変更のお知 ばし、同年8月には大学発ベンチャーのオーシャナイズと資本業務提携し、グループの一員となった上場を視野に入れていたスマートデイズが、同年10月下旬、オーナーに対し、「サブリース賃料支払い変更のお知らせ」と題する通知書を発し、金融機関から急な方針変更とともに今月予定をしていた新規決済分 を延期するとの通達を受け、これに伴い不動産事業における売上の低下が予想され、同社のキャッシュフローに大きく影響を及ぼす事態となったとして、サブリース賃料の減額通知を行ったこと、「かぼちゃの馬車」の入居状況が芳しくないとの噂もあるなか、今回の騒動でオーナーや取引先の信用は失墜しているとする記事が取り上げられた。(乙B10) (イ)被告Ⓕ、被告Ⓖ、被告Ⓔ、被告Ⓗ、亡Ⓘ、被告Ⓚ及び被告Ⓛは、平成- 251 - 30年1月16日、経営会議に出席した。 亡Ⓘは、①シェアハウスへの投資を目的としたオーナー向けローン(シェアハウスローン)において、管理会社からのサブリース契約の一方的な解除等により、今後の返済に懸念がある融資先が発生しており、ネットやマスコミなどメディア上でいろいろな情報が流れていることを受 けて、本事案を重大事態と捉え、外部の弁護士で構成される危機管理委員会を設置した旨、②当該委員会は、銀行としての危機管理を目的とし、深度ある事実調査と真因の究明を行うための調査委員会としての性格を持つが、外部に公表することを目的とする第三者委員会ではなく、銀行自らが委員会を設置して調査を行うものである旨、③業務の内容は、 シェアハウス案件関連融資に関する報道対応、行政対応等に対する危機管理の観点からのアドバイス、原告の内部統制等の体制上の問題点を含む必要な事案の調査、原因究明及びこれに基づく改善対策の提言等である旨、④調査は、スマ 連融資に関する報道対応、行政対応等に対する危機管理の観点からのアドバイス、原告の内部統制等の体制上の問題点を含む必要な事案の調査、原因究明及びこれに基づく改善対策の提言等である旨、④調査は、スマートデイズが関与したと考えられる融資案件の全体像の把握と同事案に対する受付、審査実行のプロセスの検証、取扱案 件の多い横浜東口支店等の活動実態とスマートデイズとの関係性等を中心に、最終的にはシェアハウス融資に関する内部管理体制、ガバナンスの状況についても検証する旨などを説明したところ、全員が了承した。 (甲111)イ平成30年1月16日取締役会 被告Ⓕ、被告Ⓖ、被告Ⓔ、被告Ⓗ、亡Ⓘ、被告Ⓚ及び被告Ⓛは、平成30年1月16日、取締役会に出席した。 当該取締役会においては、同日に開催された経営会議で議論されたシェアハウス案件関連融資についての危機管理委員会の設置については取り上げられなかった。(甲209) ウ平成30年2月7日取締役会- 252 - (ア)被告Ⓕ、被告Ⓖ、被告Ⓔ、被告Ⓗ、亡Ⓘ、被告Ⓚ及び被告Ⓛは、平成30年2月7日、取締役会に出席した。 (イ)亡Ⓘは、当該取締役会において、①危機管理委員会の設置、②資産形成ローンに関し、ガヤルド関連の債務者から届いた文書に対する対応や、スマートデイズが建築を計画している簡易宿所について届いた融資中止 の抗議文書に対する対応、③シェアハウスに係る融資経緯及びシェアハウス事案に関する営業店別・業者別集計表についての概要、申出人、対応、経緯等を資料に基づいて説明した。その内容は、平成23年12月頃、大宮出張所で初めてシェアハウス案件の受付を行い(平成24年1月頃実行)、その後、平成26年4月以降、取扱店が順次横浜東口支店、 渋谷支店、二子玉川 説明した。その内容は、平成23年12月頃、大宮出張所で初めてシェアハウス案件の受付を行い(平成24年1月頃実行)、その後、平成26年4月以降、取扱店が順次横浜東口支店、 渋谷支店、二子玉川支店等に拡大したこと、平成27年5月に金融庁にスマートライフ(スマートデイズ)に関する不芳情報の提供があり、東海財務局及び金融庁に報告を行っていること、平成29年になって、チャネル先であるサクト及びガヤルド問題が発生したこと、同年10月以降スマートデイズに関する問題が表面化したこと、平成30年にスマー トデイズがオーナー向けの説明会を開催するなどし、債務者からの問い合わせが急増し、対応したこと、現時点で把握しているシェアハウス事業に関する債務者数は約1000名で、金額は1500億円であるが、シェアハウスすべてが不良債権ということではなく、現時点でも100%入居している物件もあることなどであった。 (ウ)監査役からは、シェアハウス事案の一覧表を初めて見たとし、いつ頃実行された事案が多いのか、時系列で実行案件の推移を把握する必要がある、特定の支店に集中していることが問題である、1債務者への融資が1億円以上となっている事案があるが、対象物件の価値の評価が正しかったかも確認していく必要があると指摘された。 社外取締役1名からは、ガヤルドの問題が発覚したのちは審査を厳し- 253 - くしたのか、1店舗で発生した問題を他の店舗でも入手できる体制になっていたのかとの質問があり、資産形成ローンに慎重な対応をしてきており、平成29年11月の実行を最後に融資取扱いを中止している、融資諾否の回答スピードが速かったことで誤解されているが、不動産評価については、東京カンテイの評価だけではなく、収益還元法による評価 についてはアプ 1月の実行を最後に融資取扱いを中止している、融資諾否の回答スピードが速かったことで誤解されているが、不動産評価については、東京カンテイの評価だけではなく、収益還元法による評価 についてはアプレイザルという外部の不動産鑑定会社にも依頼して適正な評価を実施している、営業店の情報については横の連携もできる体制となっている旨の説明がされた。 被告らではない取締役1名からは、現場の噂レベルの情報を察知してもっと早く融資を止めることができなかったのか、問題が大きくなる前 にリスクを察知できる仕組みが必要であると指摘され、同様に取締役1名から貸出条件の変更や延滞等は発生していなかったのか、それはなぜかと質問があり、サクト、ガヤルド事案が発生するまでは、シェアハウスに関する延滞等はほとんど発生していなかった、サブリースの家賃が振り込まれていたため、延滞が生じなかったが、スマートデイズが平成 29年10月にサブリース料金を引き下げる旨を連絡したところから、顧客からの問い合わせが増加した、原告は、管理会社との契約はなく、サブリース契約を貸出条件とはしていなかったため、契約内容を把握していない、営業店が集中しているのは、調査中であるが、原告の担当者から業者に対して案件を持ち込むように誘導していたことも考えられ るなどと説明された。被告Ⓛは、原告は、スマートデイズに対してコーポレートローンを行っていない、基本的には個々の顧客に対する与信判断を行って融資を実行しているなどと説明した。 監査役1名は、物件の良し悪しがポイントで、物件の質が良ければ家賃収入は入ってくるため返済は可能となる、銀行としては、シェアハウ スのような事案について、個人投資家にどれだけ融資をするかの判断は- 254 - 難しいところであるが、管理会社 れば家賃収入は入ってくるため返済は可能となる、銀行としては、シェアハウ スのような事案について、個人投資家にどれだけ融資をするかの判断は- 254 - 難しいところであるが、管理会社についてもバックグラウンドを含めた信用力が判断のポイントとなる。シェアハウスのような分野は大手の賃貸事業者が取り扱わない、いわゆる隙間ビジネスであり、そこに入ってきた業者はリスクが多い業者が多かったと感じている、いずれにしても、物件の見極めと管理会社や販売会社の信頼性がポイントとなる、などと 指摘した。(甲210)エ危機管理委員会の調査結果危機管理委員会は、平成30年5月15日付けで、調査結果の要旨を報告した。その概要は以下のとおりである。(甲253)(ア)顧客に販売する不動産価格が転売により吊り上げられ、どの時点から そうであったかは不明であるが、その利ザヤを他のシェアハウスの空室による保証賃料の逆ザヤに補てんしていたと推測される。顧客がこのような高値を妥当と判断した大きな要因として、原告において行われる不動産評価の結果とこれに基づく不動産売買代金額に原告が9割までは融資を付けることを聞かされ、その評価にお墨付きが与えられていると 理解したことがあったと推測できるところ、原告としては、当該評価がそのように利用されることは想像可能であったはずで、関知しないことであったという弁解は容易に成り立つものとはいえない。 (イ)スマートデイズ関連の販売会社により、融資を受ける際に、顧客が原告に提出する自己資金の残高を証明する通帳等の偽造が相当数行われて いた。原告においても、自己資金確認資料(通帳等)につき原本確認を行うべきことになっていたにもかかわらずその手続が省略されていたことなど、自己資金確認書の運用に 通帳等の偽造が相当数行われて いた。原告においても、自己資金確認資料(通帳等)につき原本確認を行うべきことになっていたにもかかわらずその手続が省略されていたことなど、自己資金確認書の運用により本来の確認作業が疎かにされていた。スマートデイズ関連の販売会社と顧客により、本来受けることのできる金額より多額の融資を受けるために、実際の売買契約書とは別に売 買代金額を水増しした銀行提出用の売買契約書が作られていた事案(二- 255 - 重契約)も相当数存在する。原告が自己資金を1割求めていることは顧客も理解していたところであり、変更契約は顧客自ら締結しているから、顧客も認識した上で行われていたと考えられる。 原告の営業担当者が、二重契約や自己資金の偽造について明確に認識していたことを直接示す物的証拠はなく、危機管理委員会のヒアリング に対しては二重契約の存在について全員が認識を否定している。とはいえ、横浜東口支店の営業担当者はかぼちゃの馬車のシェアハウス案件に融資を行っているという認識を持っており、かぼちゃの馬車が「自己資金ゼロ」という宣伝を行っていた事実を知らなかったとは考えられない。 また、二重契約や自己資金の偽造が行われている事実が口頭で他の営業 担当者に伝えられていたり認識共有されていた可能性も否定できない。 相当数の行員が自己資金の偽造の可能性について認識していたと考えられる。 (ウ)シェアハウス問題の原因として考えられるのは、以下の点であり、原告は不良チャネルに欺かれて不良債権を掴まされた被害者という側面も 有しているが、「高度の専門性と職業倫理を保持し、顧客に対して誠実・公正に業務を行い、顧客の最善の利益を図る」という姿勢で臨んでいれば、スマートデイズのシェハウスビジネスの問題性を早期に把握 有しているが、「高度の専門性と職業倫理を保持し、顧客に対して誠実・公正に業務を行い、顧客の最善の利益を図る」という姿勢で臨んでいれば、スマートデイズのシェハウスビジネスの問題性を早期に把握できたはずであり、このビジネスから早々に手を引き、多くの顧客を巻き込み、自らも痛手を被るという事態に陥らずに済む可能性もあったと思われる などと結論付けた。 a チャネルが原告に個人投資家を紹介する手法による融資において、不動産の価格を転売等により吊り上げたり、二重契約等により過大な融資を引き出させたりする不良チャネルの危険性を認識せず、チャネルとの一体営業にのめり込んでいったリスク意識の欠如 b 前年比増収増益を継続しなくてはならないという全社的なプレッシ- 256 - ャーから、事実上、営業が審査部よりも優位に立ち、営業部門の幹部が融資の実行に難色を示す審査部担当者を恫喝するなどの圧力をかけることが行われるなどの内部統制の不全(審査機能の不全)c シェアハウス案件がアパートローンの延長としてしか捉えられず、新規ビジネスとしての事前のリスク評価がされなかったというビジネ スリスク分析の不在d 営業優位の風土によるコンプライアンス不在e チャネルの問題性を指摘する外部からの情報提供が何度かされていたが、その時点で十分な対応がとられなかったというリスク情報に対する感度の鈍さ f 平成29年2月まで取締役会や経営会議などでスマートデイズ関連融資について議論がされず、経営陣がシェアハウス関連融資の全体的な規模感を把握していなかったガバナンスの不全g 銀行は、社会の金融インフラを担う公共的な存在であり、貸金業者やノンバンク等と異なる厳しい規制の下にあり、既存の法令等のルー ルを守るという狭義の 感を把握していなかったガバナンスの不全g 銀行は、社会の金融インフラを担う公共的な存在であり、貸金業者やノンバンク等と異なる厳しい規制の下にあり、既存の法令等のルー ルを守るという狭義のコンプライアンスを実践しているだけでは不十分で、「顧客本位の業務運営」という社会的要請に応えられない不適切な行為は、社会的公正の観点から厳しい評価を受け、大きなリスク(コンダクトリスク)となることに対する意識の欠如オ第三者委員会の設置 原告は、平成30年5月15日付けで、シェアハウス関連融資の問題について、危機管理委員会による調査や社内調査等に基づく現時点での問題認識として、①営業及び審査の体制(不動産業者を窓口とした営業(チャネル営業)に依存した結果、不良チャネルに対するリスク認識が不十分となっていたこと、前年比増収増益を継続しなければならないというプレッ シャーから、事実上、営業が審査よりも優位に立ち、営業部門の幹部が審- 257 - 査部に圧力をかけるような状況も生じた結果、審査機能が十分に発揮できていなかった面があったこと)、②コンプライアンス体制(自己資金確認資料(通帳等)の原本確認手続が省略され、中には自己資金確認資料などが偽造された可能性があるとの疑念を抱いていた従業員もいたこと、顧客と不動産業者との間で、原告から過剰融資を引き出すために二重契約を締 結していたところ、銀行側としての対応策が十分にできておらず、相当数の社員が二重契約の可能性を認識していたと考えられること、)、③経営管理体制(シェアハウス関連融資について、それまでの資産形成ローンの一つとして捉えるのみであり、経営として全体的な規模感やビジネスリスクを把握しておらず、ガバナンス機能が不十分であったこと)を報告した。 原 ウス関連融資について、それまでの資産形成ローンの一つとして捉えるのみであり、経営として全体的な規模感やビジネスリスクを把握しておらず、ガバナンス機能が不十分であったこと)を報告した。 原告は、同日付けで、原告から完全に独立した中立、公正な専門家のみで構成される第三者委員会を設置し、事案の徹底調査と原因の究明を行うこととした。(甲112)カ平成30年6月29日付け内部統制報告書原告は、平成30年6月29日、関東財務局長に対し、シェアハウス関 連融資の問題の発生を受けて、外部の弁護士で構成される危機管理委員会を設置して事実関係の調査を実施し、これを踏まえて、①シェアハウス案件のビジネスモデルや不動産業者を窓口とした営業に起因するビジネスリスクを把握しないまま、それまでの投資用不動産関連融資の一つとして捉えて融資を推進したことや、融資の実行に当たり審査部門による牽制機 能が十分に発揮できていなかったこと、②シェアハウス関連融資においては、融資実行後のシェアハウス案件に関連する情報の収集やモニタリングが不十分であったことなど、財務報告に関する全社的な内部統制における不備を認識したことから、原告の財務報告に係る内部統制は有効でないと判断した旨を記載した内部統制報告書を提出した(甲234)。 キ第三者委員会の調査報告書及び被告Ⓔを除く被告ら取締役の辞任- 258 - (ア)第三者委員会は、平成30年9月7日、原告に対し、調査報告書を提出した。当該調査報告書では、①原告の営業現場において、債務者関係資料(通帳その他の自己資金確認資料、収入関係資料等)の偽装、物件関係資料(レントロール、物件概要書、入居状況等)の偽装、売買関連資料の偽装(二重契約、減額覚書等)などの不正行為がまん延 債務者関係資料(通帳その他の自己資金確認資料、収入関係資料等)の偽装、物件関係資料(レントロール、物件概要書、入居状況等)の偽装、売買関連資料の偽装(二重契約、減額覚書等)などの不正行為がまん延しており、 多くの原告の行員がそれらの不正行為を知りながらこれを黙認して融資を実行するなど、組織的に不正行為に関与していたこと、②このような問題が生じた原因として、審査部による信用リスク管理の実効性に問題があったこと、営業実績を重視する企業風土や営業ノルマを達成するための極めて厳しいプレッシャーが存在したことなどが指摘された。 (乙F8)(イ)原告は、同日、第三者委員会の調査報告書を受領したことを受け、当該報告書の指摘を真摯に受け止め、企業文化を抜本的に改革・転換し、コンプライアンス意識の徹底及び顧客本位の業務運営体制の構築に努め、ガバナンス機能が有効に発揮できるような体制整備を行うとともに、 今回の一連の事案の経営責任を取り、被告Ⓕ、被告Ⓗ、亡Ⓘ、被告Ⓚ及び被告Ⓛが辞任し、新たに代表取締役社長を選任した旨を報告した。(甲254)ク平成30年10月5日付け行政処分原告は、平成30年10月5日、銀行法26条1項の規定に基づき、金 融庁から、①シェアハウス向け融資及びその他投資用不動産融資に関する不正行為、②適切な信用リスク管理及び営業に対する牽制機能の欠如などを理由として、同月12日から平成31年4月12日までの間、新規の投資用不動産融資及び自らの居住に当てる部分が建物全体の50%を下回る新規の住宅ローンを停止すること、健全かつ適切な業務運営を確保する ための業務の改善計画を平成30年11月末までに提出し、直ちに実行す- 259 - ること等を内容とする行政処分(業務の一部停止命令、 ンを停止すること、健全かつ適切な業務運営を確保する ための業務の改善計画を平成30年11月末までに提出し、直ちに実行す- 259 - ること等を内容とする行政処分(業務の一部停止命令、業務改善命令)を受けた。(甲113)同処分においては、①の理由として、チャネルが賃料や入居率よりも高く想定し、もしくは実績値よりも高い数値に改ざんして、収益還元法で不動産を評価することにより、割り増された不動産価格が算出され、その価 額に基づき、当行から多額の収支が実行されたことが指摘されていた。 原告は、同月30日付けで、金融庁に対し、①企業文化・ガバナンス改革委員会の設置、②取締役会及び監査役会の機能強化、③コンプライアンス体制再構築委員会の設置、④内部通報制度の再構築、⑤目標設定・業績評価制度の見直し、⑥当局からの不芳情報提供・報告指示等への対応など のガバナンス体制の再構築等や、全ての行員に対する研修の実施などを内容とする業務改善計画を提出した。(甲114)ケ金融庁による投資用不動産向け融資に関するアンケート調査結果等(ア)金融庁は、平成30年10月から同年11月にかけて、121の銀行、261の信用金庫及び148の信用組合を対象に、投資用不動産向け融 資に関するアンケート調査を実施し、平成31年3月にその結果を報告した。 上記アンケート調査結果においては、有効回答のあった115の銀行及び305の信用金庫・信用組合のうち、平成27年4月から平成30年3月までの3年間に一棟建て(土地、建物)向け融資を実行したこと があると回答した銀行は97%(111行)、信用金庫・信用組合は79%(240行)にのぼる一方、それらの金融機関のうち紹介業者との取引を開始又は停止する要 土地、建物)向け融資を実行したこと があると回答した銀行は97%(111行)、信用金庫・信用組合は79%(240行)にのぼる一方、それらの金融機関のうち紹介業者との取引を開始又は停止する要件・基準等を設けていると回答したものは少数にとどまり(開始の要件・基準等を設けている銀行は14%、信用金庫・信用組合は3%、停止の要件・基準等を設けている銀行は16%、 信用金庫・信用組合は1%)、一部の金融機関では紹介業者により不適- 260 - 切な行為を営業店において察知し、融資の申込を謝絶した上、当該業者との取引を停止した事実が確認された一方、大多数の金融機関では紹介業者との取引を停止した実績はなく(平成25年4月から平成30年3月までの間に取引を停止した銀行は7%、信用金庫・信用組合は3%)、原告のシェアハウスローン問題が広く認知されるまでは取引を行う紹 介業者の業務の適切性を検証するという着意がない金融機関が多数であったと推測されることが報告された。 また、大多数の金融機関が一棟建て(土地、建物)向け融資の審査において、給与明細等や税務申告書の確認を行っていることがうかがえる一方、それぞれのエビデンスを確認するとしている場合に、原本により 確認している金融機関の割合は相当低くなっていること(有効回答のあった銀行、信用金庫及び信用組合のうち、原本確認を必ず行っている割合は、給与明細等につき銀行25%、信用金庫・信用組合31%、税務申告書につき銀行20%、信用金庫・信用組合32%、預金通帳等につき銀行18%、信用金庫・信用組合22%、インターネットバンキング の預金残高表示画面につき銀行11%、信用金庫・信用組合7%)が報告された。 さらに、上記アンケート調査結果においては、融 %、信用金庫・信用組合22%、インターネットバンキング の預金残高表示画面につき銀行11%、信用金庫・信用組合7%)が報告された。 さらに、上記アンケート調査結果においては、融資実行後に物件の賃料実績や空室率の確認を行う比率が低い金融機関も相応に認められること(有効回答のあった114の銀行及び305の信用金庫・信用組合 のうち、融資実行後に物件の空室率の実績確認を必ず行っていると回答した銀行は44%、信用金庫・信用組合は61%、融資実行後に物件の賃料の実績確認を必ず行っていると回答した銀行は39%、信用金庫・信用組合は58%)が報告された。(以上につき乙C3、乙E4)(イ)なお、金融庁は、令和6年8月にも本人確認書類の真正を確認する仕 組みの構築を要請している。(乙E15)- 261 - コ平成31年3月25日付け自己資金等の確認に関する通達業務管理本部長は、平成31年3月25日、融資における自己資金等の確認に関し、確認の時期を稟議申請時と金銭消費貸借契約時の2回とすることとし、確認方法として、①稟議申請時には、顧客との面談時に顧客から原本(通帳)の提示を受け、原本であることの確認を行った上で原本の コピーを受領し、ネット銀行等のため原本(通帳)の確認が困難なときは預金者名義が記載された画面のコピーを受領すること、②金銭消費貸借契約時には、社員2名以上で、顧客から原本(通帳)の提示を受け、原本(通帳)の確認を行い、当該社員がコピーを取得するか、又はネット銀行等のため原本(通帳)の確認が困難なときは原告のパソコンに自己資金等情報 を表示(預金者名義等を確認)し、当該ページをプリントアウトすること(顧客自身の携帯端末等での表示確認は不可)などを内容とする業務手続を )の確認が困難なときは原告のパソコンに自己資金等情報 を表示(預金者名義等を確認)し、当該ページをプリントアウトすること(顧客自身の携帯端末等での表示確認は不可)などを内容とする業務手続を改定する旨の通達を発出した(甲133)。 また、営業本部長は、令和元年7月30日、原則として顧客が提出する全ての書類につき面談対応を行った行員が原本確認を行うことを内容と する通達を発出した(甲188)。 サ投資用不動産融資の全件調査の結果原告は、令和元年5月15日、外部の弁護士チームによる投資用不動産融資に係る全件調査の結果を報告した。同調査においては、原告の投資用不動産に係る融資案件の全件3万7907件のうち7813件(シェアハ ウスについては1647件のうち886件)について、融資関係書類(自己資金確認書類、自己収入書類、売買契約書、レントロール、建築確認、団体信用生命保険)等の改ざん、偽造その他の偽装等、融資に当たって行われた不正行為が認定された。シェアハウスについては、自己資金確認書類556件、売買契約660件等であり、シェアハウス以外は、自己資金 確認書類4627件、自己収入資料307件、売買契約書3179件、レ- 262 - ントロール323件、団体信用生命保険77件であった。(甲107) 2 取締役の義務について(1)取締役の監視監督義務ア取締役会設置会社における取締役について取締役は、会社に対し善管注意義務(民法644条)及び忠実義務(会 社法355条)を負う。取締役会設置会社においては、取締役会はその決議により業務執行の決定を行い、業務執行の権限を委任された代表取締役がその決定を執行し、取締役会はその業務執行につき監査する地位にあり、また、取締役会は、 締役会設置会社においては、取締役会はその決議により業務執行の決定を行い、業務執行の権限を委任された代表取締役がその決定を執行し、取締役会はその業務執行につき監査する地位にあり、また、取締役会は、支配人その他の重要な従業員の選任及び解任の権限を有するから、取締役は、取締役会を通じて他の取締役及び従業員の業務執 行を監督すべき立場にある。 したがって、取締役会設置会社の取締役は、取締役会として職務執行を監督するための調査を行い、他の取締役及び従業員の違法・不当な行為を発見し又はこれを未然に防止するために必要な措置をとる注意義務を負う。 イ管掌取締役について原告では、執行と監督が分離され、取締役会で選任された執行役員が、取締役会の決定する基本方針に従い業務執行を行い、その職務の執行を統括し、指揮監督するのは代表取締役とされていた。そして、取締役会はその決議で管掌及び所管業務を決定するが、リスク管理に関するものを除き、 管掌取締役の一般的な職務内容や指揮監督権限等を定めた規定や決議はなく、会長又は社長の職務の一部を委嘱させる等の決議もなく、時期によっては管掌取締役がいない部門もあった。(前記1(1)ア)また、証拠(乙D48、証人Ⓣ、証人Ⓡ、被告Ⓖ本人、被告Ⓔ本人、被告Ⓗ本人)によると、執行役員から亡Ⓜに直接報告等がされることがしば しばあり、また、審査部の管掌取締役であった被告Ⓔには東京の審査部内- 263 - に専用の執務室はなく、月に1、2回の頻度で東京の審査部を訪れるにとどまるなど、管掌部門の業務に関わる機会も限定されており、事実上も、業務に関する報告や業務の監督方法等について、管掌取締役の位置付けは明確ではなかった。 これらの事実に鑑みると、原告においては、管掌取締役に、業務担当取 関わる機会も限定されており、事実上も、業務に関する報告や業務の監督方法等について、管掌取締役の位置付けは明確ではなかった。 これらの事実に鑑みると、原告においては、管掌取締役に、業務担当取 締役と同程度の高度な注意義務が課されていたとはいえない。 一方で、原告の会社規模に照らすと、代表取締役が執行役員等の全ての業務執行を指揮監督するのは現実的に不可能である。また、統合リスク管理規程及び信用リスク管理規程等には管掌取締役の職務が定められているところ、リスク管理は違法・不当な業務執行の予防、把握、是正という 重要な局面である。また、取締役は、コンプライアンス及び各種リスク等に関する重要な事項の発生、原告に著しい損害を及ぼす恐れのある事実の発見を取締役会に報告しなければならないとされている(取締役会規程17条)。そうすると、管掌取締役は、リスク管理という重要な局面に関する事柄を中心に、代表取締役の監視監督義務を分担し、手厚くすることを 目的として設置されていたものと合理的に理解できる。 したがって、原告において、管掌取締役は、統合リスク管理規程及び信用リスク管理規程等により個別に定められている職務内容を果たすほか、各々の管掌部門については、執行役員その他の従業員の業務執行について監視監督し、違法・不当な業務執行を認識し又は認識し得た場合には、違 法・不当な行為を発見し、これを取締役会等において他の取締役に報告・共有し、又はこれを未然に防止するために必要な措置をとるべき注意義務があったと解するのが相当である。 ウ代表取締役について代表取締役の代表権の範囲は会社の業務に関する一切の裁判上・裁判外 の行為に及び、取締役として前記アの注意義務を負い、その注意義務の程- 264 - 度は、対外的に 代表取締役について代表取締役の代表権の範囲は会社の業務に関する一切の裁判上・裁判外 の行為に及び、取締役として前記アの注意義務を負い、その注意義務の程- 264 - 度は、対外的には会社を代表し、対内的にはその業務執行権に基づき会社の運営にあたる役割に照らし、一般の取締役より一段と高度なものであり、前記イのとおり管掌取締役の職務が明確でなかった状況に即して高度の注意を払って監視監督を行うことが要求されるというべきである。 (2)銀行の取締役の債権保全措置に係る善管注意義務 ア一般に、取締役の善管注意義務・忠実義務については、企業収益の向上を図るために職務を遂行するにあたり、一定のリスク取引が不可欠であることから、いわゆる経営判断の原則が適用されると解される。 しかしながら、銀行の取締役については、銀行業が広く預金者から資金を集め、これを原資として企業等に融資することを本質とする免許事業で あること、銀行の取締役は金融取引の専門家であり、その知識経験を活用して融資業務を行うことが期待されていること、万一銀行経営が破綻し、あるいは危機にひんした場合には預金者及び融資先を始めとして社会一般に広範かつ深刻な混乱を生じさせること等に照らし、融資業務に関しては、元利金の回収不能という事態が生じないよう、債権保全のため、高い 水準の注意義務をもって、相当の措置をとるべき義務があると解される。 したがって、銀行の取締役は、融資業務の実施に当たっては、元利金の回収不能という事態が生じないよう、債権保全のため、融資先の経営状況、資産状態等を調査し、その安全性を確認して貸付を決定し、原則として確実な担保を徴求する等、相当の措置をとるべき義務を有する。仮に、実質 倒産状態にある企業に対する支援策として無担保又は不 況、資産状態等を調査し、その安全性を確認して貸付を決定し、原則として確実な担保を徴求する等、相当の措置をとるべき義務を有する。仮に、実質 倒産状態にある企業に対する支援策として無担保又は不十分な担保で追加融資をして再建又は整理を目指すこと等があり得るにしても、これが適法とされるためには客観性を持った再建・整理計画とこれを確実に実行する銀行本体の強い経営体質を必要とするなど、その融資判断が合理性のあるものでなければならず、手続的には銀行内部での明確な計画の策定とそ の正式な承認を欠かせない融資の回収可能性について、その判断の内容及- 265 - び過程が、銀行の取締役として著しく不合理である場合に債権保全措置に係る善管注意義務に違反したと評価すべきものと解される。そして、これらの注意義務違反は、監視監督義務の対象になるものというべきである。 (平成21年決定参照)イところで、各種の規程及び取扱要領の下で個別の融資判断がなされてい く場面においては、債務者の資力、不動産の担保価値、事業計画をはじめとする融資の判断要素について、融資の総合判断をするために合理的な基準の下で情報収集がされるよう相当の措置をとる必要があるところ、この点については、いわゆる経営判断の原則の下、取締役における当該措置に係る判断の内容及び過程が著しく不合理である場合には、債権保全措置に 係る善管注意義務に違反したと評価すべきものと解される。 (3)取締役の内部統制システム構築運用義務について健全な会社経営を行うためには、目的とする事業の種類、性質等に応じて生じる各種のリスク、例えば、信用リスク、市場リスク、流動性リスク、事務リスク、システムリスク等の状況を正確に把握し、適切に制御するこ と、すなわちリスク管理が欠かせず、 種類、性質等に応じて生じる各種のリスク、例えば、信用リスク、市場リスク、流動性リスク、事務リスク、システムリスク等の状況を正確に把握し、適切に制御するこ と、すなわちリスク管理が欠かせず、会社が営む事業の規模、特性等に応じた内部統制システムを整備することを要する。そして、取締役は、取締役会の構成員として、また、代表取締役として、リスク管理体制を構築すべき義務を負い、さらに、代表取締役がリスク管理体制を構築すべき義務を履行しているか否かを監視する義務を負い、これも、取締役としての善 管注意義務及び忠実義務の内容をなすものというべきである。 もっとも、整備すべきリスク管理体制の内容は、リスクが現実化して生じた事柄の経験の蓄積とリスク管理に関する研究の進展により、その内容が変化することは当然であるから、原告において、現時点で求められているリスク管理体制の水準をもって判断基準とすることは相当ではない。ま た、どのような内容の内部統制システムを整備すべきであるかは、基本的- 266 - には経営判断の問題であり、会社経営の専門家である取締役に広い裁量が与えられているものと解される。 3 シェアハウスローン類型に係る債権保全措置義務について(1)シェアハウスローン問題の概要アシェアハウスローンは、資産形成のために、投資物件を取得するにあた り利用されるローンであり、原告内部においても実際にそのようなものとして位置付けられていた。 その概要は、形式的には、顧客が、1割程度の自己資金と原告からの融資で不動産(土地・建物)を購入し、これを担保に供する一方、建物を賃貸して賃料収入を得て、当該賃料収入から当該不動産の維持管理費及び原 告に対する返済原資を捻出するという事業計画の下で、長期間にわたる返済計画 建物)を購入し、これを担保に供する一方、建物を賃貸して賃料収入を得て、当該賃料収入から当該不動産の維持管理費及び原 告に対する返済原資を捻出するという事業計画の下で、長期間にわたる返済計画を立て、これに従って元利金を返済するというものであり、当該事業計画どおりの賃料収入を得られない場合、顧客が他に有用な資産を保有していれば格別、当該不動産に設定した担保権を行使して債権回収を図ることとなる。 原告の扱う資産形成目的のローンは、顧客が自ら物件や銀行を探す住宅ローンと異なり、先に、チャネルや関連業者が原告に物件の情報を提供し、原告が融資取扱の可否や上限額を決めた後に、チャネル等が投資を希望する顧客に営業をかけることがほとんどであり、シェアハウスローン類型も同様であった。チャネル等は、顧客に対しては、チャネル自身や他の業者 によるサブリースや管理受託を前提に、収入の確実性や賃貸業務の負担がないことを売り文句としている。そのため、顧客は、長期間にわたるシェアハウスの運営の帰趨や原告に対する返済のリスクを検討したり、自らシェアハウス事業を行うことを想定したりしていないことがほとんどであると推測できる。そして、チャネル等の関連業者は、原告との契約上は当 事者になっておらず、これらは、不動産の転売、建物建築の受注、サブリ- 267 - ースを前提とする転貸、管理受託、これらの仲介ないしあっせんなどを手掛け、その過程で利益を得ていた。 原告の融資方針は、融資上限が高く、返済期間が長期間であるなどのリスクのある個人向けの融資を、他の金融機関より高金利かつ迅速に実行し、その金利を回収することで当該リスクを吸収するというものであり、当時 は、チャネルや関連業者に加え、投資を希望する者のニーズにも応えているものであり を、他の金融機関より高金利かつ迅速に実行し、その金利を回収することで当該リスクを吸収するというものであり、当時 は、チャネルや関連業者に加え、投資を希望する者のニーズにも応えているものであり、金融庁等から評価されている面もあった。 原告は、平成23年12月頃からシェアハウスローンを実行し、平成28年2月頃にピークを迎えた。(前記1(3)ア、イ、(4)イ、ウ)イ平成29年になると、サクト、ガヤルド及びスマートライフといったチ ャネルないし関係会社は、入居者を確保することが困難となり、転貸や管理受託では顧客に対するサブリース料や賃料を支払うだけの利益を確保できず、自転車操業状態に陥って、相次いで破綻した。サブリース業者の変更等も試みられたが、シェアハウスローンの債務者である顧客のうちの多数は、返済原資となる賃料収入を十分に得られず、原告に対する返済が困 難となり、シェアハウスローン問題に至った。原告の主張によれば、別紙1のとおり、平成28年5月1日以降に新規実行された融資について、返済が困難となり、現在までに損失が確定されたとされるのは約8割を超えているところ、原告の回収額は元本のおおよそ半分である。(前記1(4)ウ) (2)シェアハウスローン類型に係る債権保全措置義務前記(1)の事情の下において、シェアハウスローンの融資としての合理性は、債務者の資力、賃料収入の予測(入居者数の予測と設定賃料の妥当性)及び返済期間の収支すなわち事業計画の合理性、並びに不動産の担保価値を含む融資元利金の回収可能性を銀行として総合的に検討して判断されるべき ものである。 - 268 - 本件は、特定の債務者に対する個別の融資ではなく、シェアハウスローン類型という不特定多数の債務者に対する特定の資金使途に係 総合的に検討して判断されるべき ものである。 - 268 - 本件は、特定の債務者に対する個別の融資ではなく、シェアハウスローン類型という不特定多数の債務者に対する特定の資金使途に係る融資類型に関する判断が問題とされている。しかしながら、このような融資類型が対象であっても、銀行の融資であることに変わりはなく、その判断は広い意味での融資判断というべきである。もっとも、類型としての判断であるからには、 原則として、その判断の基礎となる事実は、単なる個々の融資における個別事情にとどまらない当該融資類型に広く共通ないし妥当する事情であるか否かという点を考慮すべきであり、シェアハウスローン類型を俯瞰して評価し、なおかつ長期間にわたるシェアハウスの需給バランスの予測等を背景とするシェアハウスローン融資総数のコントロールといった観点も含め、融資元利 金の回収可能性を銀行として総合的に検討すべきものと解される。 (3)リスク分析の懈怠についてア新商品としてのリスク分析がなされていないことについて原告は、類型として個別の審査基準等は設けないままシェアハウスローンの取扱いを開始し、シェアハウスローンは、当初はアパートローン、そ の後は資産形成ローンに位置付けられ、営業及び審査の稟議の過程を経て実行されていた。(前記1(4)イ(イ)(ウ))この点、個別の融資案件ごとに審査を行うべきことはいうまでもないが、シェアハウスそれ自体は、融資の対象としては新規性や個別性があるし、取扱いを始めた当初から直ちに類型として共通の特有のリスクを把握す るのは困難であったといえ、直ちに、シェアハウスローン類型としてこれを新商品としてリスク分析をすることが必要であったとまではいえない。 もっとも、前記(2)のとおり、その融資と スクを把握す るのは困難であったといえ、直ちに、シェアハウスローン類型としてこれを新商品としてリスク分析をすることが必要であったとまではいえない。 もっとも、前記(2)のとおり、その融資としての性質を見れば、債権保全の観点からは、一般の投資用不動産以上に、事業計画としての合理性と担保評価の適正が重要であることはいうまでもなく、類型として、そこ に一般的なリスクを見出し得るような事情を認識し得た場合には、新類型- 269 - としてリスク分析をするなどそれに対する措置をとるべき義務があるといえる。 イ事業計画の合理性について原告の融資方針は、リスクのある個人向けの融資を主体としており、自己資金を要求する程度も低く、しかも、後記ウのとおり、収入の予測は担 保評価にも影響するから、事業計画の合理性は重要な要素である。 事業計画の合理性は、返済期間を通じた賃料収入の予測(入居者数の予測と設定賃料の妥当性)と収支が主たる要素となる。したがって、賃料を融資の前提よりも低額に設定しているとか、設定賃料が実勢価格を上回っているとか、実際の入居者が想定を相当程度下回っているといった物件が 多数にわたるといった事情があれば、回収可能性の評価の前提となる事業計画の合理性の判断を誤っている可能性のある案件が多数であるということを意味するから、客観的には、債権保全措置が講じられていないことを推認させる。特に、シェアハウスは一般的な賃貸物件と異なり、新規性が高い上、新築であることが多いから、当該不動産の賃貸実績がなく、通 常の賃貸住宅よりも比較対象の物件も少ないため予測は容易ではないという面もある。 ところで、前記(1)のとおり、事業計画の前提となるシェアハウスの管理、サブリース及び一棟借上げは業者(会社)によって の賃貸住宅よりも比較対象の物件も少ないため予測は容易ではないという面もある。 ところで、前記(1)のとおり、事業計画の前提となるシェアハウスの管理、サブリース及び一棟借上げは業者(会社)によってなされることがほとんどである。この点、原告は、チャネルについては帝国データバンク の情報等を取得するなどし、業者の信用状態の調査結果を蓄積して確認しているし、別途、スマートライフについては、問題が指摘されると、帝国データバンクの情報等を確認していた(前記1(3)イ(イ)、(5)ウ(ウ)ないし(ク))。しかしながら、サブリース業者や管理会社がすべてチャネルであるとは限らない上、スマートライフが取引停止となったに もかかわらず、半数を超える物件について、スマートライフの関与が継続- 270 - された(前記1(4)ウ、(5)ウ)ところ、その場合、少なくとも、スマートライフの信用状態の確認がないままに、同社によるサブリースや管理等が行われていることとなる。 また、シェアハウス全件調査の結果(前記1(6)エ)によれば、事業計画で想定していた入居率を相当程度下回る物件が多数に及んでいたこ とが認められる。業者からサブリース料や賃料が支払われている以上、通常は、サブリースや管理であれば、想定どおりの入居者が確保され入居者(転借人)から相応の賃料収入があるもの、一棟借上げであれば、事業目的に基づき合理的な使用がなされているものと想定することは相応の合理性を有する。しかしながら、事業実態や実際の入居者の調査等に基づき、 矛盾する事情が相当数あれば、シェアハウスローン類型として回収可能性の評価の前提となる事業計画の合理性の判断を誤っている可能性があるということを意味するから、客観的には、シェアハウスローン類型について、債権保全 相当数あれば、シェアハウスローン類型として回収可能性の評価の前提となる事業計画の合理性の判断を誤っている可能性があるということを意味するから、客観的には、シェアハウスローン類型について、債権保全措置が講じられていないことを推認させる事情である。 さらに、シェアハウスローン類型としてみれば、融資の債務者自身はシ ェアハウスを運営することを想定しておらず、実質的にはチャネルや関連業者特にサブリース業者がシェアハウス事業を運営することが前提となっていたところ、原告の融資スタイルと相まって、それらの業者が偏って特定の業者に集中していた(前記1(4)ウ(オ)、(6)エ)ところ、そのような場合は、リスクが分散されず、一業者の破綻でも影響は大きく なるから、一業者の扱う案件数が多いとか、シェアハウスローン類型全体の案件数に占める一業者の割合が大きいといった事情があれば、それらの業者の信用力によっては、客観的には、シェアハウスローン類型について、債権保全措置が講じられていないことを推認させる事情である。 したがって、そのような事情を認識し得た場合には、調査をし、状況に 応じた措置をとるべき義務があるといえる。 - 271 - ウ担保評価の適正について原告の融資方針は、リスクのある個人向けの融資を主体としており、自己資金を要求する程度も低いから、シェアハウス事業が破綻した場合には、専ら当該シェアハウスの不動産が債務の引き当てとなるため、担保評価の適正は重要である。 原告は、担保評価を特定の鑑定会社に依頼するなどし、積算法及び収益還元法による評価を得たうえで担保評価を定めており、収益還元法による評価において、その基礎となる収益(賃料と入居率)については、上述した見込みを前提としていたことが認められる(前記1(4 法及び収益還元法による評価を得たうえで担保評価を定めており、収益還元法による評価において、その基礎となる収益(賃料と入居率)については、上述した見込みを前提としていたことが認められる(前記1(4)イ(ウ))。 収益還元法には不動産鑑定の評価方法としての合理性が認められるから、 収益還元法による評価を採用すること自体は直ちには不合理であるとはいえない。しかしながら、鑑定会社の評価も得ているにもかかわらず、担保評価が実勢価格と乖離がある物件が多数に及んでいる場合は、鑑定会社による鑑定を採用することが相当ではない事情があるといえ、債権保全措置が講じられていないことを推認させる事情であるといえる。 そして、前記(1)イのとおり、シェアハウスローンの回収率は融資額の半額程度であるところ、融資後10年も経ていない時点で相当数の案件の回収率が確定していることからすれば、これらは、シェアハウス事業による回収というよりは、調停案(後記11)等に基づく担保物件の売却による回収がほとんどであると合理的に推測できるところ、そうであるとす ると、客観的には、担保評価の適正さを相当程度欠いていたといわざるを得ない。 したがって、これらの事情を認識し得た場合には、調査をし、状況に応じた措置をとるべき義務があるといえる。 エ総合評価 個々のシェアハウスローンにおいて、事業計画の合理性と担保評価の適- 272 - 正さがどの案件でどの程度の乖離をもって実情と齟齬していたのかについて具体的な立証はない。そして、社会的実態としては、現在もシェアハウスは増加しており、また、それを事業として行っている業者も存在することが認められる(前記1(4)ア)。 しかしながら、シェアハウスローン類型については、サクト、ガヤルド、 ゴ 現在もシェアハウスは増加しており、また、それを事業として行っている業者も存在することが認められる(前記1(4)ア)。 しかしながら、シェアハウスローン類型については、サクト、ガヤルド、 ゴールデンゲイン、スマートライフといったチャネル又は関連会社が破綻しているところ、その大きな要因は、シェアハウスの入居者を想定ほど確保できなかったことにあり、シェアハウス問題が発覚した後には、原告も介在してサブリース業者の変更等も試みられた(前記1(6)イ、ウ)が、効果はなかった。 これらの事情に照らせば、シェアハウスローン類型について、リスク分析が不十分であったことは否定できず、なおかつ、これがシェアハウス問題を生じさせた大きな要因であったといえる。 もっとも、前記(1)アで述べたとおり、シェアハウスは個別性が高くその目的にも種々のものがあり得るところである。また、原告の融資方針 は、融資上限が高く、返済期間が長期間であるなどのリスクのある個人向けの融資を、他の金融機関より高金利かつ迅速に実行し、その金利を回収することで当該リスクを吸収するというものであり、当時は、チャネルや関連業者に加え、投資を希望する者のニーズにも応えているものであった。 そして、一般に、銀行が、特定の企業ないし事業について、財務内容、事 業内容及び経営者の資質等の情報を十分把握した上で、成長の可能性があると合理的に判断される企業に対し、確実な物的担保がなくとも積極的に融資を行ってその経営を金融面から支援することは,必ずしも一律に不合理な判断として否定されるべきものではない。 シェアハウスローン類型としてのリスク分析はされていないから、個別 の融資として合理性を有していた案件があったことを否定する証拠もな- 273 - い。しかしながら べきものではない。 シェアハウスローン類型としてのリスク分析はされていないから、個別 の融資として合理性を有していた案件があったことを否定する証拠もな- 273 - い。しかしながら、事後的・客観的にみれば、シェアハウスローン類型は、賃料相場及び入居率の予測や把握、サブリース業者の集中等、通常の資産形成ローンと異なるリスク判断を要するものであったといえる。そして、シェアハウスローンの取扱件数が増え、それにもかかわらず、関係する業者が固定化していくという状況の中で、少なくとも平成28年5月1日の 時点においては、客観的にみて、相当数の案件が、個別にも事業計画の合理性や担保評価の適正についての分析が不十分なまま融資が実行されていたことは否定できず、そのような状況にあるということは、シェアハウスローン類型としても、債権保全措置が講じられていないことを推認させる事情であるといえる。 したがって、これらの事情を認識し得た場合には、調査をし、状況に応じた措置をとるべき義務があるといえる。 (4)原本確認の懈怠等について令和2年の原告による調査において、シェアハウスローン契約1647件のうち、886件について、融資関係書類等(自己資金確認書類、自己収入 書類、売買契約書、レントロール、建築確認、団体信用生命保険)の偽装といった不正行為が認められ、そのうち自己資金確認書類556件、売買契約書660件について偽装があったとされている(前記1(7)サ)。 自己資金確認書類を偽装するのは、シェアハウスローンにおいて不動産購入資金の1割は自己資金によるとされている融資基準を潜脱し、あるいは、 顧客の信用状態の判断を良好なものと誤らせるためであり、売買契約書を偽装するのは、シェアハウスローン契約に当たり、実際の不 入資金の1割は自己資金によるとされている融資基準を潜脱し、あるいは、 顧客の信用状態の判断を良好なものと誤らせるためであり、売買契約書を偽装するのは、シェアハウスローン契約に当たり、実際の不動産購入資金を前提として融資を受けられる金額を超えた融資実行を受けるため(その差額は、顧客あるいは関係した業者において別の目的に費消される可能性がある。)であると合理的に推測できる。 そして、そのような偽装がシェアハウスローン類型の相当程度に及んでい- 274 - るという事態は、回収可能性の評価の前提となる債務者の資力や事業計画の合理性の判断を誤っている可能性のある案件が相当程度存在するということを意味するから、客観的には、シェアハウスローン類型について、債権保全措置が講じられていないことを推認させる事情であるといえる。 したがって、そのような事情を認識し得た場合には、調査をし、状況に応 じた措置をとるべき義務があるといえる。 (5)不芳業者との取引継続について亡Ⓜは、平成27年2月頃スマートライフの不芳情報に接し、取引を停止するよう指示し、また、同年4月にはアマテラスも取引が停止されている(前記1(4)ウ(ア))。そして、取引が禁止された後に、原告とスマートラ イフやアマテラスとの間で直接的な取引が行われていた事情はうかがわれない(前記1(4)ウ(ア))から、亡Ⓜの指示は必要な部門に伝達され、当該部門において徹底されていたといえる。一方、原告による調査によると、サブリース会社として原告のシェアハウスローンの対象物件に関与している件数は、スマートライフが274件、アマテラスが95件であるとされてお り、シェアハウス全件調査の結果、スマートライフが関連していると窺われた物件数には届かない(前記1 対象物件に関与している件数は、スマートライフが274件、アマテラスが95件であるとされてお り、シェアハウス全件調査の結果、スマートライフが関連していると窺われた物件数には届かない(前記1(4)ウ(オ)、(6)エ)ところ、スマートライフが管理会社等として関与していた案件が相当程度あるものと推測できる。 もっとも、不芳情報のうち、当初の代表者の前科等についていえば、その 後、代表者やスポンサーが変わっている。その余の事情についても調査が行われている。そして、帝国データバンクの調査(平成28年7月時点)によれば、スマートライフは、既存物件の稼働率は90%を超えており、サブリース物件の稼働率も提携事業の提供で高い推移が見込まれるほか、不動産コンサルティング会社等での勤務経験を有する新社長の就任で社内体制の強化 や金融機関との与信取引の開始など体制強化が図られているなどと評価され- 275 - ていた(前記1(5)ウ、乙D40の2)。 そうすると、不芳情報があったことそれ自体は、他の業者同様、その事業内容、経営余力、信用度等について審査するにあたり、そういった情報があるということを踏まえ、慎重に検討する必要があるというにとどまるものといえ、客観的に何らかの信用性を疑わせる事情が認められる場合には、リス ク分析の懈怠として債権保全措置が講じられていないことを推認させる事情であるというべきものである。 したがって、そのような事情を認識し得た場合には、調査をし、状況に応じた措置を取るべき義務があるといえる。 (6)審査の形骸化について ア営業実績を上げていたⓄは、重職に就き、パーソナルバンクを指揮し、審査担当者に対して強く審査の承認を要求することがあったほか、その意見のとおり審査部の人事が行われ、第 の形骸化について ア営業実績を上げていたⓄは、重職に就き、パーソナルバンクを指揮し、審査担当者に対して強く審査の承認を要求することがあったほか、その意見のとおり審査部の人事が行われ、第4回サクト会議の後にも、一度決定された融資方針を覆し、スマートライフへの融資を実行するよう求め、実際に実行されている(前記1(6)ツ)。 しかしながら、Ⓞの言動を客観的に示す証拠はなく、Ⓞが営業を推進する立場であることに照らすと、営業を推進する立場から審査部に対して強い態度で意見を述べることがあったとしても、その言動が相当性を欠くようなものであったとまで直ちには認めることはできない。 審査の承認率は、70%台であった時期もあるが、平成27年から平成 29年の間は99%に上った(前記1(5)エ(ウ))。しかしながら、審査が承認にあたって条件を付し、また、審査の意見を踏まえ、営業が正式な審査の前に案件を取り下げるなどしたこともあるし、審査部としては、当該記載が存在するからといって、本来承認すべきでない融資案件についてまで審査を承認していたわけではなかった(証人Ⓢ、証人Ⓡ、被告Ⓗ本 人)。 - 276 - したがって、審査の承認率のみをもって、審査が形骸化していたとまでいうことはできない。 イシェアハウスローンについては、他の融資と同様、その稟議申請の承認に至るまでに、外部の不動産鑑定会社に依頼して物件の担保評価を行った上で、顧客の自己資金を確認するなどして融資可能額を算定するといった、 資産形成ローン事務取扱要領に基づく審査手続が行われていた(前記1(4)イ(ウ))。SSP会議やシェアハウス会議においては、営業及び審査の双方が参加したうえで、正式に稟議を回すかどうかや家賃設定、空室リスク、自転車操業の 領に基づく審査手続が行われていた(前記1(4)イ(ウ))。SSP会議やシェアハウス会議においては、営業及び審査の双方が参加したうえで、正式に稟議を回すかどうかや家賃設定、空室リスク、自転車操業の可能性を踏まえて方針を決めるなどしている(前記1(5)イ(ス))。そうすると、営業が一方的に審査を度外視して融資を進めて いたとまでは認められない。 しかしながら、審査においては、パーソナルバンクと協議済みである旨の記載がある融資案件については、Ⓞの意見を反映したものとして稟議申請が承認されることが通例であり、自己資金や家賃設定に疑義がある場合も、その旨の審査意見を付すものの、審査を承認した案件もあった(前記 1(5)エ(ア))。 この事実は、審査書類上表面的には審査要件を満たしているが、審査において種々の事情から、それが実質を伴うものであるかという懸念を抱き、より詳細な事情の説明や資料の提出を求め、それを踏まえたより精緻な審査を行うことが妥当であると考える場面があることを意味している。そし て、そのような場合に、審査と営業の関係や審査の方式に起因して、営業においてそういった事情の説明や資料の提出の追加や精緻な審査に応じず、審査において妥当と考える審査が難しい場面があったことがうかがわれる。そして、そのような審査が行われていれば、偽装等が判明し、原告の融資において融資関係書類等の偽装や原本確認の懈怠が2割或いは5 割を超えるといった割合で行われているという事態が判明した可能性は- 277 - ある。 ウそうすると、審査が実効性を欠いていたのは、客観的にみれば、適切なリスク分析や偽装の実態把握ができておらず、より実態を踏まえた適切妥当な審査基準を設定できていなかったためであるといえ、これはリスク分析の懈 と、審査が実効性を欠いていたのは、客観的にみれば、適切なリスク分析や偽装の実態把握ができておらず、より実態を踏まえた適切妥当な審査基準を設定できていなかったためであるといえ、これはリスク分析の懈怠と相まってシェアハウス問題を生じさせた要因であったといえる。 そして、そのような状況にあるということは、シェアハウスローン類型について、債権保全措置が講じられていないことを推認させる事情である。 したがって、そのような状況にあることを認識し又は認識し得た場合には、リスク分析を踏まえた適切な審査基準を設定するために必要な措置をとるべき義務があったといえる。 (7)まとめ以上検討したところを踏まえ、後記5以下で、被告ら取締役ごとに、任務懈怠時期とされる時点において、シェアハウスローン債権保全措置懈怠状態を認識し又は認識し得たかについて検討する。 4 原告における内部統制システムについて (1)原告の内部統制システムア原告は、平成27年5月1日時点において、内部統制システム構築の基本方針として、①取締役及び使用人の職務執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制(コンプライアンス体制)、②損失の危険の管理に関する規程その他の体制(リスク管理体制)等を定めていた。 ①コンプライアンス体制について、原告では、被監査部門等から独立した組織として内部監査を実施する経営会議直轄の監査部が設置され、業務監査、臨店監査等を職務として、原告の全ての業務を対象に定期監査及び特別監査が実施されていた。また、不正・不祥事件等に関する再発防止策その他コンプライアンスに関する重要な事項などを審議し、不正・不祥事 件等に関する事項、苦情処理に関する事項などの報告を受けるコンプライ- 278 - アンス委 事件等に関する再発防止策その他コンプライアンスに関する重要な事項などを審議し、不正・不祥事 件等に関する事項、苦情処理に関する事項などの報告を受けるコンプライ- 278 - アンス委員会及びその下部組織であるコンプライアンス委員会が設置されていたほか、コンプライアンスを統括し、コンプライアンス関連情報を適時かつ効率的に収集・管理する部署として経営企画部コンプライアンスが設置されていた。 そして、原告は、社内規程としてコンプライアンス規程を定め、全部店 にコンプライアンス責任者(各部店の所属長)及び内部責任者を配置し、各部店におけるコンプライアンス体制の整備やコンプライアンス違反の報告を義務付けるとともに、コンプライアンス実現のための具体的な手引書(コンプライアンス・マニュアル)や実践計画(コンプライアンス・プログラム)を策定していた。そのほか、原告では、コンプライアンス規程 に基づき、行員がコンプライアンス違反、不正・不祥事件等、行員以外の不正行為等が発生し又は発生しようとしていることを認識した場合には、直ちに部店内のコンプライアンス責任者又は内部責任者にその旨が報告された上で調査が実施され、その結果が関係部署・管掌役員等に報告される体制となっていたことに加え、原告の行員がコンプライアンス違反の発 生を認識した際の通報・相談窓口(コンプライアンス・ヘルプライン)も整備されていた。 さらに、原告では、社内規程に基づき、顧客からの苦情等について担当部署(お客さま相談センター)が管理・検証しており、経営に重大な影響を与えるもの、単独担当部署では解決困難なもの、類似の苦情発生が継続 傾向にあるものなどについては、経営会議等に報告される仕組みとなっていた。 ②リスク管理体制について、原告では、社内規 を与えるもの、単独担当部署では解決困難なもの、類似の苦情発生が継続 傾向にあるものなどについては、経営会議等に報告される仕組みとなっていた。 ②リスク管理体制について、原告では、社内規程に基づき、統合リスク管理委員会、信用リスク委員会、事務リスク委員会などのリスク委員会が設置された上で、各委員会において信用リスク、事務リスク等の対象リス クに関する事項につき審議し又は報告を受ける体制となっていた。 - 279 - (前記1(1)カ、(2))イ以上のとおり、原告では、内部統制システム構築の基本方針に基づき、①コンプライアンス体制、②リスク管理体制が整備されており、原告の行員や顧客・チャネル等による融資に関する不正行為が発生した場合であっても、不正行為の発生事実やその調査結果が関係部署を通じて取締役に報 告される体制が整えられていたと認められる。 そうすると、平成29年7月以前において、原告は、通常想定される融資に関する不正行為を防止し得る程度の内部統制システムを一応整備していたというべきである。 ウ原告は、平成30年6月29日、関東財務局長に対し、原告の財務報告 に係る内部統制は有効でないと判断した旨を記載した内部統制報告書を提出しているが(前記1(7)カ)、これはまさしくリスクが現実化して生じた事柄の経験の蓄積とリスク管理に関する研究の結果として平成30年6月時点で求められているリスク管理体制の水準に照らした報告であるといわざるを得ず、上記の結論を左右しない。 (2)小括以上のとおり、原告においては、通常想定される融資に関する不正行為を防止し得る程度の内部統制システムが一応整備されていたから、被告取締役らにおいて、平成29年7月以前に、シェアハウスローン問題の発生(後記 、原告においては、通常想定される融資に関する不正行為を防止し得る程度の内部統制システムが一応整備されていたから、被告取締役らにおいて、平成29年7月以前に、シェアハウスローン問題の発生(後記10(1)のシェアハウスローンに関する不正行為等を含む。)を防止するた めの内部統制システム構築運用義務に違反した任務懈怠があるというためには、これらの内部統制システムでは不十分であることを認識し、あるいは認識し得るような事情があったといえることが必要となるというべきである。 5 平成28年1月末時点における亡Ⓜの任務懈怠の有無(1)リスク分析の懈怠についての認識ないし認識可能性 ア亡Ⓜは、平成25年3月以降、信用リスク委員会、経営会議及びCPC- 280 - 会議における検討を通じて、一定の融資残高の資産形成ローンに係る担保不動産について、融資実行後の期中管理として、審査部による定期的な物件調査を行う方向性を固めていき、その結果、同年10月1日に審査部長が発出した通達により物件調査が行われるようになった(前記1(5)イ(ア)(イ))。 亡Ⓜは、平成28年7月までの間、信用リスク委員会、経営会議及びCPC会議における物件調査の結果の報告において、シェアハウスは目視での入居状況の詳細確認が困難なため、現地では事業の稼働状況のみ確認し、併せて口座へのサブリース料の振込金額を確認することで対応しているなどと報告を受けたが、期中管理として、上記のようなサブリース料の入 金確認では不十分であるとか、空室率の高さから自転車操業に陥るリスクがあるなどとの指摘はなかった(前記1(5)イ(ク)(コ)(シ)(ソ))。 亡Ⓜが出席した平成28年1月までの間に開催された出口会議においては、融資管理からの気づき・提言として、不動産賃 陥るリスクがあるなどとの指摘はなかった(前記1(5)イ(ク)(コ)(シ)(ソ))。 亡Ⓜが出席した平成28年1月までの間に開催された出口会議においては、融資管理からの気づき・提言として、不動産賃貸において継続的な満室はあり得ず、満室想定での返済比率の算出は危険であること、家賃保 証契約の内容、賃料保証の妥当性及び設定家賃額の妥当性を調査、検討する必要がある、販売価格と担保評価額を同額にすることは疑問で、物件の評価が近隣物件と比較して2割程度高いと感じるなどと指摘された(前記1(5)イ(オ)(キ)(ケ)(サ))。 イサブリースは、多くの場合会社によって借り上げる形で行われ、転貸等 により収入を得るか、その他何らかの事業目的に基づいて行われるのが通常であって、サブリース料の支払が継続して滞りなくされている事実は、通常、サブリース会社が転貸するなり事業に利用するなりして、その事業目的どおりに物件を稼働させていることを裏付けるものといえる。 そして、平成28年12月時点までにおいて、シェアハウスローンのデ フォルト事案は1件も生じておらず(被告Ⓔ本人、弁論の全趣旨)、スマ- 281 - ートライフについていえば、シェアハウスの入居者に対する職業紹介等の事業を展開することで家賃外収入を得ており、帝国データバンクの調査(平成28年7月時点)によれば、既存物件の稼働率は90%を超えており、自己資金での繰り回しが可能となっており資金調達に支障はなく、課題となるサブリース物件の稼働率も提携事業の提供で高い推移が見込ま れるため、さらなる成長が期待されるなどと評価されていた(前記1(5)ウ(ア)(イ)、乙D40の2)。 そうすると、実際には、相当多数のシェアハウスにおいて入居者がない状態でサブリース料が支払われており め、さらなる成長が期待されるなどと評価されていた(前記1(5)ウ(ア)(イ)、乙D40の2)。 そうすると、実際には、相当多数のシェアハウスにおいて入居者がない状態でサブリース料が支払われており、サブリース会社等がシェアハウスの空室率の高さから自転車操業に陥って破綻し、その結果シェアハウスロ ーンの債務者から原告への返済が滞ることになったものであるとしても、亡Ⓜが、平成28年1月時点までにおいて、そのようなシェアハウスローンのリスクを認識するのは困難であったというべきであり、他にそのような認識が可能であったことをうかがわせる事情も見当たらない。 また、亡Ⓜは、担保評価が実勢と乖離している事案があることは認識し たと認められるが、シェアハウスローンには資産形成ローン事務取扱要領が適用され、その稟議申請の承認に至るまでに、外部の不動産鑑定会社に依頼して物件の担保評価を行った上で、顧客の自己資金を確認するなどして融資可能額を算定する等の審査手続が行われていたこと(前記1(4)イ(ウ))などに照らすと、シェアハウスローン類型として、類型的に物 件の処分価額が担保評価額の半額程度になるといった事態を予測することはできなかったものといえる。 そうすると、亡Ⓜが、出口会議で入居率想定や家賃設定・家賃保証の妥当性、担保評価額の適正に関する指摘を受けていたとしても、そのことをもって、シェアハウスローン類型が入居率や家賃設定・家賃保証に疑義の あるリスクの高い融資となっていることを具体的に認識することはでき- 282 - なかったといえる。 ウ以上説示したところによれば、亡Ⓜにおいては、平成28年1月末時点までに認識し又は認識し得た事実を基にしても、シェアハウスの空室率や家賃設定・家賃保証等に係るリスク分析が十分に ったといえる。 ウ以上説示したところによれば、亡Ⓜにおいては、平成28年1月末時点までに認識し又は認識し得た事実を基にしても、シェアハウスの空室率や家賃設定・家賃保証等に係るリスク分析が十分に行われないままシェアハウスローン類型が実行され、その結果、サブリース会社の破綻に伴うサブ リース料の支払停止によりデフォルトに陥る危険性が高くなっているなど、シェアハウスローン類型につき債権保全措置がとられていないと認識することは極めて困難であったといわざるを得ない。 (2)原本確認の懈怠等についての認識ないし認識可能性ア亡Ⓜは、平成26年2月以降、コンプライアンス・情報セキュリティリ スク委員会や経営会議において、原告のチャネル(B社、D社、E社、F社)の融資案件で団信診断書が偽造されていたこと、監査部の特別調査の結果として、原告の担当者が団信診断書の偽造に直接関与している可能性は極めて低いこと、チャネルに対し再発防止策等を書面で回答するよう求め、チャネルからは、処分の説明や再発防止策を講じる回答を得たこと、 担当部署で再発防止策を含む業務手続を策定したことなどの報告を受けた(前記1(5)ア(ア)(オ)(カ)(キ)(ケ)(コ)(サ)(シ)(セ)(タ)(チ)、弁論の全趣旨)。 また、亡Ⓜは、平成26年5月15日及び同年11月20日の事務リスク委員会において、賞与査定を審議し、融資実行時に自己資金確認資料の 原本確認を行わなかった事案が存在することを認識した(前記1(5)ア(イ)(ク))。 亡Ⓜが出席した平成27年1月16日の経営会議では、被告Ⓕ及び亡Ⓘが原本確認を怠っていることが問題であるなどと指摘し、審査部所管の執行役員が原本確認を徹底させている旨を述べた(前記1(5)ア(サ)(ツ))。 亡Ⓜが出 6日の経営会議では、被告Ⓕ及び亡Ⓘが原本確認を怠っていることが問題であるなどと指摘し、審査部所管の執行役員が原本確認を徹底させている旨を述べた(前記1(5)ア(サ)(ツ))。 亡Ⓜが出席した同年2月6日の出口会議では架空自己資金及び偽造確- 283 - 認資料の排除のために、通帳(自己資金)の原本確認を徹底すること等の提言がされた(前記1(5)イ(オ))。 イこれらの事情に照らすと、亡Ⓜは、平成28年1月末時点において、原告の融資全般において、原告に提出される書類が偽造されていることがあること、原告の従業員が原本確認を怠るなどして、それを看過することが あること自体は認識していたと認められる。 しかしながら、原告に限らず、金融機関の融資においては、偽造書類が提出される一般的な危険性が常に伴うものであるところ、上記事情だけでは、そのような融資における偽造書類提出の一般的な危険性を超えて、原本確認がされず、偽造が認められる案件が2割ないし5割を超えている (前記1(7)サ)といったことを想定するのは困難である。まして、シェアハウスローン類型において、そのような状況が顕著であると想定することもできない。 ウまた、簡素化通達により、所得や金融資産の確認資料の一部につき審査部への写しの送付が不要になるとともに、新運用基準により、稟議申請段 階では自己資金確認をヒアリングで可とする運用に変更された(前記1(5)ア(エ))が、いずれも、原本確認を不要とするものではなく、従前の運用であれば審査部で偽装を見破れる可能性があったとしても、これらの変更のみが原本確認の懈怠の原因となるとは直ちには評価できない。 さらに、上記アのとおり、判明した偽造については、各種リスク管理規 程に基づき、チャネル等に対するも があったとしても、これらの変更のみが原本確認の懈怠の原因となるとは直ちには評価できない。 さらに、上記アのとおり、判明した偽造については、各種リスク管理規 程に基づき、チャネル等に対するものも含め調査や対策がされ、原本確認の懈怠により融資関係書類等の偽装を看過した場合には賞与の減額等の処分を受ける可能性があり、実際に賞与査定が行われている。 これらの事実に照らせば、原告においては、営業店の営業担当者や所属長に対し、原本確認を履行させるための体制や偽造に関連したチャネルの 案件を取り扱わない仕組みが構築され、機能していたといえる。そうする- 284 - と、営業店の営業担当者や所属長において、厳しい営業ノルマが設定されているとしても(前記1(5)エ(イ)、甲178ないし180、231、232、乙F8、証人Ⓦ、証人Ⓤ、被告Ⓖ本人、弁論の全趣旨)、処分を受けるリスクを背負ってまで、あえて融資関係書類等の偽装を黙認・看過することは通常想定し難い。 エさらに、原告では、チャネルにつきチャネルPRMを用いて情報を管理しており、不芳情報が寄せられたチャネルとの取引を停止する制度が構築されていたことが認められるところ、チャネル情報の登録基準等に曖昧な部分があったとしても、他の金融機関の取組みと比較して、チャネルに対する監視機能として劣っていたものともいえない。 そうすると、亡Ⓜが、チャネルを利用した収益不動産ローンの拡充を認識し又は認識し得たとしても、そのことをもって融資関係書類等の偽装や原本確認の懈怠を招来しやすい状況にあったと認識し又は認識し得ることにはならないというべきである。 オ以上説示したところによれば、亡Ⓜにおいては、平成28年1月末時点 までに認識し又は認識し得た事実を基にしても、シェア 況にあったと認識し又は認識し得ることにはならないというべきである。 オ以上説示したところによれば、亡Ⓜにおいては、平成28年1月末時点 までに認識し又は認識し得た事実を基にしても、シェアハウスローンにおいて広く融資関係書類等の偽装や原本確認の懈怠が横行していることにより、シェアハウスローン類型につき債権保全措置が不十分な状態であったなどと認識することはできなかったというべきである。このことは、他に原告が原本確認の懈怠等に関する兆候事実として主張する事実を踏まえて も同様である。 (3)不芳業者との取引継続についての認識ないし認識可能性ア亡Ⓜは、平成27年2月3日頃、被告Ⓗから、スマートライフに関する不芳情報について報告を受け、口頭で同社が関与する融資を取扱い禁止とする旨の指示をした(前記1(5)ウ(ウ))。 亡Ⓜの上記指示の後、横浜東口支店は、スマートライフの従業員の一人- 285 - を代表者として設立されたアマテラスと取引を行うようになったが、審査部によりアマテラスについても取引停止とされた後は、同案件の販売会社であったチャネルに対し総代理店のような立場を担わせることで同案件の取扱いを継続していた(前記1(5)ウ(エ))。同支店の営業担当者は、スマートライフとイノベーターズとの関係性を疑った審査部からの問 合せに対し、イノベーターズはスマートライフと資本関係等が一切なく関係がない旨や、イノベーターズのシェアハウス物件はスマートライフのかぼちゃの馬車でない旨を回答した(前記1(5)ウ(ケ))。 イこれらの事実によれば、横浜東口支店の行員らは、亡Ⓜの指示を十分に認識し、表面上はスマートライフとの取引をしていないような形式を整え た上で、実質的に同社との取引を継続し、その事実を秘匿して これらの事実によれば、横浜東口支店の行員らは、亡Ⓜの指示を十分に認識し、表面上はスマートライフとの取引をしていないような形式を整え た上で、実質的に同社との取引を継続し、その事実を秘匿していたものであるところ、亡Ⓜは、平成28年1月時点において、その事実を認識できなかったといわざるを得ない。 そうすると、亡Ⓜにおいては、不芳業者であるスマートライフとの取引を継続していて、シェアハウスローン類型につき債権保全措置が不十分な 状況にあるなどとは認識できなかったといえる。 (4)審査の形骸化についての認識ないし認識可能性アシェアハウスローンについては、他の融資と同様、その稟議申請の承認に至るまでに、外部の不動産鑑定会社に依頼して物件の担保評価を行った上で、顧客の自己資金を確認するなどして融資可能額を算定するといった、 資産形成ローン事務取扱要領に基づく審査手続が行われていた(前記1(4)イ(ウ))。また、パーソナルバンクと協議済みである旨の記載がある融資案件については、Ⓞの意見を反映したものとして最終的に稟議申請が承認されていたが(前記1(5)エ(ア))、本来承認すべきでない融資案件についてまで審査を承認していたわけではなかった(証人Ⓢ、被告Ⓗ本 人)。 - 286 - Ⓞは、その営業実績を買われ、営業本部長や執行役員に就任したほか、Co-COOと呼ばれる重職等に就き、パーソナルバンクを指揮し、審査部の人事に意見を述べ、それが採用されるなどしていた(前記1(5)エ(ア))。そして、原告の総融資のうち投資用不動産の融資は約6割を占め、個人向けの収益不動産ローンを取り扱うパーソナルバンクの融資額は 8割を超えていた(前記1(3)ア(ウ)、甲59の1及び2、甲169ないし173、175の1、176、 動産の融資は約6割を占め、個人向けの収益不動産ローンを取り扱うパーソナルバンクの融資額は 8割を超えていた(前記1(3)ア(ウ)、甲59の1及び2、甲169ないし173、175の1、176、231、275の1、277の1及び2、284、乙F8、証人Ⓡ、証人Ⓦ、証人Ⓥ、証人Ⓣ、被告Ⓚ本人、被告Ⓗ本人、弁論の全趣旨)。 原告の有担保ローンの承認率(件数又は金額)は70%台であったもの が平成24年下期から90%を超え、特に平成27年上期から平成29年上期までは件数が98%台、金額は99%を超え、シェアハウスローンを含む資産形成ローンについては、その取扱いを開始した平成27年度から平成29年度に至るまで、半期ごとの審査承認率の平均が件数及び金額とも99%を超えていた(前記1(5)エ(ウ))。 イ以上の事実を踏まえると、Ⓞは、営業の業務執行において強い権限を有し、原告の経営方針等にも発言力があり、一定程度、営業優位の企業風土があったとはいえる。また、審査担当者は、Ⓞから、強い口調で審査の承認を迫られたなどと感じていた旨を述べている。 もっとも、Ⓞの言動の客観的な状況を示す証拠はなく、Ⓞが営業を推進 する立場であることに照らすと、その言動が相当性を欠いていたとまで認めることはできない。また、審査は、審査手続に沿って融資額基準や運用に基づいて行われており、営業が正式な稟議に上げる前に取り下げたことや、審査が条件を付したこともあり、本来承認すべきでない融資案件についてまで審査を承認していたわけではないというのであるから、そもそも、 審査がその独立した判断を阻害され、本来承認すべきでない融資を承認す- 287 - る程度にまで審査が形骸化していたとは認められない。 ウ原告に提出される書類の偽造についても そも、 審査がその独立した判断を阻害され、本来承認すべきでない融資を承認す- 287 - る程度にまで審査が形骸化していたとは認められない。 ウ原告に提出される書類の偽造についても、亡Ⓜにおいて、原告の融資で融資関係書類等の偽装や原本確認の懈怠が2割ないし5割を超えるといった割合で行われているとまでは認識できないことは前記(2)のとおりである。 また、簡素化通達及び新運用基準については、少なくとも制度として原本確認の懈怠を招来するものであるとはいえないことに加え、承認率の推移についても、取締役が報告を受けていたといった事情はうかがわれず、承認率をもって審査が形骸化しているとまでは直ちに評価できない。 そして、平成28年12月末時点までにおいては、シェアハウスローン のデフォルト事案が1件も生じていなかったことも併せて考慮すれば、亡Ⓜにおいて、シェアハウスローンについて、上記の審査手続により適正な審査が行われていると考えたとしても不合理ではない。 エ以上説示したところによれば、亡Ⓜにおいては、平成28年1月末時点までに認識し又は認識し得た事実を基にしても、シェアハウスローン類型 につき債権保全措置がとられていないといえる程度にまで、Ⓞをはじめとする営業の圧力などによって審査が形骸化しているとは認識できなかったというべきである。 (5)小括以上のとおりであって、本件4根拠事実やそれを基礎づける兆候事実につ いての亡Ⓜの認識ないし認識可能性を総合考慮しても、亡Ⓜにおいては、平成28年1月末時点で、シェアハウスローン類型につき債権保全措置がとられていないことを認識するのは不可能ないし極めて困難であったといわざるを得ないから、シェアハウスローン類型につき実行を停止すべきか否か検討しなければな シェアハウスローン類型につき債権保全措置がとられていないことを認識するのは不可能ないし極めて困難であったといわざるを得ないから、シェアハウスローン類型につき実行を停止すべきか否か検討しなければならなかったとは認められない。 したがって、亡Ⓜは、上記時点で、代表取締役として、シェアハウスロー- 288 - ンについて債権保全措置がとられているかの調査を開始すべき義務を負っていたとはいえず、監視監督義務違反があったとは認められない。 6 平成28年12月末時点における被告Ⓖの任務懈怠の有無(1)リスク分析の懈怠についての認識ないし認識可能性ア被告Ⓖは、平成25年3月以降、経営会議及びCPC会議における検討 を経て、同年10月1日に審査部長が発出した通達により物件調査が行われるようになったことは認識していた(前記1(5)イ(ア)(イ))。 被告Ⓖは、平成28年7月までの間、信用リスク委員会、経営会議及びCPC会議における物件調査の結果の報告において、シェアハウスは目視での入居状況の詳細確認が困難なため、現地では事業の稼働状況のみ確認し、 併せて口座へのサブリース料の振込金額を確認することで対応しているなどと報告を受けたが、期中管理として、上記のようなサブリース料の入金確認では不十分であるとか、空室率の高さから自転車操業に陥るリスクがあるなどとの指摘はなかった(前記1(5)イ(ク)(コ)(シ)(ソ))。 被告Ⓖは、毎週、営業本部及び審査部の幹部が参加するSSP会議に参加 し、1億円以上の融資案件や判断に悩む案件について意見交換を行い、個別の案件について正式に稟議申請をするかについて協議していた(前記1(4)イ(ウ)g)。 原告では、平成28年6月頃以降、審査部が作成した本件承認リストの末尾に、シェアハウ いて意見交換を行い、個別の案件について正式に稟議申請をするかについて協議していた(前記1(4)イ(ウ)g)。 原告では、平成28年6月頃以降、審査部が作成した本件承認リストの末尾に、シェアハウスローンの内訳が記載され、その他の融資案件と区別 されるようになった(前記1(5)イ(セ))。本件承認リストは、会議の際に資料として机上に置かれていたが、シェアハウスローンの内訳の記載部分が強調された書式にはなっておらず、本件承認リストが配布されるに当たり、シェアハウスローンについて特段の説明や報告は行われなかった(甲91、乙E13、被告Ⓖ本人、被告Ⓔ本人、被告Ⓗ本人、弁論の全 趣旨)。 - 289 - 平成28年5月27日にシェアハウス会議が開催され、無制限にシェアハウスを取り扱うリスクに関して議論がされ、その中で、チャネルが家賃保証可能な財務体質であるのか注意を要する旨や、周辺物件と比較して異常に高い評価をした上で融資するなど原告の融資姿勢が疑われる余地があるのは良くない旨などの意見が出た一方、現行のシェアハウスのチャネ ルは入居者の審査・管理能力を備え、家賃保証が可能であるとされ、最終的には、シェアハウス等の取扱いの新ルールとして地域を限定することやチャネルの新規取扱いを行わないこと等が決められた(前記1(5)イ(ス))。審査部は、シェアハウス会議に参加するに当たり、シェアハウスローン類型を止めるべきなどの意見は特段検討しておらず、会議の中で シェアハウスローン類型の実行を停止すべきなどの意見が述べられた形跡等も見当たらない。 イ前記5(1)イのとおり、サブリース料の支払が継続して滞りなくされている事実は、通常、サブリース会社がその事業目的どおりに物件を稼働させていることを裏付けるものであるところ、平 見当たらない。 イ前記5(1)イのとおり、サブリース料の支払が継続して滞りなくされている事実は、通常、サブリース会社がその事業目的どおりに物件を稼働させていることを裏付けるものであるところ、平成28年12月時点まで にシェアハウスローン類型のデフォルト事案は1件も生じておらず、信用調査会社からは、スマートライフにつき資金調達に支障はなく、課題となるサブリース物件の稼働率も提携事業の提供で高い推移が見込まれるなどと評価されていた。 また、シェアハウスローンには資産形成ローン事務取扱要領に従い、外 部の不動産鑑定会社による物件の担保評価を行い、顧客の自己資金を確認するなどして融資可能額を算定する審査手続が行われていた。 ウ SSP会議は、シェアハウスローンなどの特定の融資類型に特化して議論するものではなく、あくまで融資額が一定以上の個別の融資案件につき本審査の依頼に先立ち営業と審査部が事前協議する場であるから、そこで 取り扱われた融資案件に係る自己資金や家賃設定の疑義などの審査意見は、- 290 - シェアハウスローン類型に同様の疑義があることを示すものではなく、かつ、当然に審査を不承認とし又は営業に差し戻すべき事由に当たるものでもないから(証人Ⓡ)、およそ審査が承認されるべきではない融資が実行されていることを示すものともいえない。 また、本件承認リストに係るシェアハウスローンの記載についても、シ ェアハウスローン類型の取扱いが増加したことを受け、他の融資と区別するためのものにすぎず、上記アのような書式や取扱いに照らせば、シェアハウスローン類型に関する何らかのリスクを認識し得るものではなく、上記イの事情にも照らせば、シェアハウスローン類型の取扱いが増加したことに伴う新たなリスク分析等を検討しなかったこ に照らせば、シェアハウスローン類型に関する何らかのリスクを認識し得るものではなく、上記イの事情にも照らせば、シェアハウスローン類型の取扱いが増加したことに伴う新たなリスク分析等を検討しなかったことが不合理であるとは いい難い。 エ被告Ⓖがシェアハウス会議の内容・結果について報告を受けたと認めるに足る証拠はない。仮に、営業本部の管掌取締役として、自らの管掌部門である営業本部の従業員の業務執行につき監視監督すべきことをもって、シェアハウス会議の内容・結果について認識し得たとしても、上記アによ れば、既存のシェアハウスのチャネルの破綻リスク等までは認識できなかったというべきである。 オ以上のことを踏まえると、被告Ⓖが、平成28年12月末時点で、相当多数のシェアハウスにおいて入居者がない状態でサブリース料が支払われ、サブリース会社がシェアハウスの空室率の高さから自転車操業に陥って破 綻し、その結果シェアハウスローンの債務者から原告への返済が滞るといったシェアハウスローン類型のリスクを認識するのは困難であったというべきであり、他にそのような認識が可能であったことをうかがわせる事情も見当たらない。 そうすると、被告Ⓖにおいては、平成28年1月末時点までに認識し又 は認識し得た事実を基にしても、シェアハウスの空室率や家賃設定・家賃- 291 - 保証等に係るリスク分析が十分に行われないままシェアハウスローンが実行され、その結果、サブリース会社の破綻に伴うサブリース料の支払停止によりデフォルトに陥る危険性が高くなっているなど、シェアハウスローン類型につき債権保全措置がとられていないと認識することは極めて困難であったといわざるを得ない。 (2)原本確認の懈怠等についての認識ないし認識可能性ア被告Ⓖ いるなど、シェアハウスローン類型につき債権保全措置がとられていないと認識することは極めて困難であったといわざるを得ない。 (2)原本確認の懈怠等についての認識ないし認識可能性ア被告Ⓖは、平成26年2月以降、コンプライアンス・情報セキュリティリスク委員会や経営会議において、原告のチャネル(B社、D社、E社、F社)の融資案件で団信診断書が偽造されていたこと、監査部の特別調査の結果として、原告の担当者が団信診断書の偽造に直接関与している可能 性は極めて低いこと、チャネルに対し再発防止策等を書面で回答するよう求め、チャネルからは、処分の説明や再発防止策を講じる回答を得たこと、担当部署で再発防止策を含む業務手続を策定したことなどの報告を受けた(前記1(5)ア(ア)(オ)(カ)(キ)(ケ)(コ)(サ)(シ)(セ)(タ)(チ)、弁論の全趣旨)。 被告Ⓖは、平成26年5月15日及び同年11月20日の事務リスク委員会において、賞与査定を審議し、融資実行時に自己資金確認資料の原本確認を行わなかった事案が存在することを認識した(前記1(5)ア(イ)(ク))。また、被告Ⓖの管掌部門である営業本部に設置されたお客さま相談センターは、同年5月27日、関係機関から原告の融資の取組みに対 する照会を受け、これに対応した結果、原告に提出された売買契約書及び重要事項説明書と顧客が所有するそれらとの間に、売買代金額等に相違があることが判明した(前記1(5)ア(ウ))。 被告Ⓖが出席した平成27年1月16日の経営会議では、被告Ⓕ及び亡Ⓘが原本確認を怠っていることが問題であるなどと指摘し、審査部所管の 執行役員が原本確認を徹底させている旨を述べた(前記1(5)ア(サ))。 - 292 - イこれらの事情に照らすと、被告Ⓖは、 認を怠っていることが問題であるなどと指摘し、審査部所管の 執行役員が原本確認を徹底させている旨を述べた(前記1(5)ア(サ))。 - 292 - イこれらの事情に照らすと、被告Ⓖは、平成28年12月末時点において、原告の融資全般において、原告に提出される書類が偽造されていることがあること、原告の従業員が原本確認を怠るなどして、それを看過することがあることを認識していたものである。 しかしながら、前記5(2)イで説示したところによれば、上記事情だ けでは、融資における偽造書類提出の一般的な危険性を超えて、原本確認がされず、偽造が認められる案件が2割ないし5割を超えているといったことを想定すべき事情であるとはいえず、まして、シェアハウスローン類型において、そのような状況が顕著であると想定することもできない。 ウまた、前記5(2)ウのとおり、簡素化通達及び新運用基準は、いずれ も、原本確認を不要とするものではなく、審査部で偽装を見破れる可能性があったとしても、これが原本確認の懈怠の原因となるとは直ちには評価できない。 エそして、前記5(2)ウ及びエのとおり、原告においては、営業店の営業担当者や所属長に対し、原本確認を履行させるための体制や偽造に関連 したチャネルの案件を取り扱わない仕組みが構築されていたから、厳しい営業ノルマのために、処分を受けるリスクを背負ってまで、営業ノルマのためにあえて偽装を黙認・看過することは通常想定し難く、また、他の金融機関の取組みと比較して、原告のチャネルPRMによる管理体制がチャネルに対する監視機能として劣っていたともいえない。 このことを踏まえると、被告Ⓖが、チャネルを利用した収益不動産ローンの拡充を認識し又は認識し得たとしても、そのことをもって融資関係書類等 ネルに対する監視機能として劣っていたともいえない。 このことを踏まえると、被告Ⓖが、チャネルを利用した収益不動産ローンの拡充を認識し又は認識し得たとしても、そのことをもって融資関係書類等の偽装や原本確認の懈怠を招来しやすい状況にあったと認識し又は認識し得ることにはならないというべきである。 オ以上説示したところによれば、被告Ⓖにおいては、平成28年12月末 時点までに認識し又は認識し得た事実を基にしても、シェアハウスローン- 293 - において広く融資関係書類等の偽装や原本確認の懈怠が横行していることにより、シェアハウスローン類型につき債権保全措置が不十分な状態であったなどと認識することはできなかったというべきである。このことは、他に原告が原本確認の懈怠等に関する兆候事実として主張する事実を踏まえても同様である。 (3)不芳業者との取引継続についての認識ないし認識可能性ア亡Ⓜは、平成27年2月3日頃、被告Ⓗに対し、スマートライフに関する不芳情報を受け、口頭で同社が関与する融資を取扱禁止とする旨の指示をした。当該指示が書面や会議での報告等で周知されることはなかったが、営業及び審査という必要な部門には伝わっていた(前記1(5)、ウ(ウ) (エ)、弁論の全趣旨)。 イ被告Ⓖは、平成28年3月に掲載されたスマートライフの不芳情報に関するインターネット上の記事の存在を把握すると、部下に対して原告とスマートライフとの間に取引があるか確認し、取引はない旨の回答を得るとともに、審査部に対してもスマートライフとの取引状況の調査を指示した (前記1(5)ウ(カ))。 横浜東口支店5の行員らは、スマートライフとイノベーターズとの関係性を疑った審査部からの問合せに対し、イノベーターズはスマートライフと 取引状況の調査を指示した (前記1(5)ウ(カ))。 横浜東口支店5の行員らは、スマートライフとイノベーターズとの関係性を疑った審査部からの問合せに対し、イノベーターズはスマートライフと資本関係等が一切なく関係がない旨や、イノベーターズのシェアハウス物件はスマートライフのかぼちゃの馬車でない旨を回答するなど、亡Ⓜの 指示を十分に認識し、表面上はスマートライフとの取引をしていないような形式を整えた上で、実質的に同社との取引を継続し、その事実を秘匿していた。 そうすると、被告Ⓖは、原告がスマートライフと実質的に取引を継続していたことを認識し又は認識し得なかったというべきである。 ウ以上説示したところによれば、被告Ⓖは、平成28年12月末時点にお- 294 - いて、亡Ⓜの指示に反し、原告が不芳業者であるスマートライフとの取引を継続していて、シェアハウスローン類型につき債権保全措置が不十分な状況にあるなどとは認識できなかったというべきである。 (4)審査の形骸化についての認識ないし認識可能性ア前記5(4)イで説示したとおり、Ⓞは、営業の業務執行において強い 権限を有し、原告の経営方針等にも発言力があり、一定程度、営業優位の企業風土が醸成されていたことが認められる。 しかし、Ⓞの言動の客観的な状況を示す証拠はなく、営業を推進する立場に照らしてその言動が相当性を欠いていたとまではいえず、審査がその独立した判断を阻害され、本来承認すべきでない融資を承認する程度にま で審査が形骸化していたとは認められない。 イ簡素化通達及び新運用基準は、少なくとも制度として原本確認の懈怠を招来するものであるとはいえず、前記(2)イのとおり、被告Ⓖにおいて、原告の融資で2割ないし5割を超えるといった割合で融資関係 イ簡素化通達及び新運用基準は、少なくとも制度として原本確認の懈怠を招来するものであるとはいえず、前記(2)イのとおり、被告Ⓖにおいて、原告の融資で2割ないし5割を超えるといった割合で融資関係書類等の偽装や原本確認の懈怠が行われているとまでは認識できない。 承認率の推移につき取締役が報告を受けていたといった事情はうかがわれず、承認率をもって審査が形骸化しているとまでは直ちにはいえないことに加え、平成28年12月末時点では、シェアハウスローンのデフォルト事案が1件も生じていなかった。 これらのことを考慮すれば、被告Ⓖにおいて、シェアハウスローンにつ いて、他の融資と同様に、審査手続により適正な審査が行われていると考えていたとしても不合理ではない。 ウ以上説示したところによれば、被告Ⓖにおいては、平成28年12月末時点までに認識し又は認識し得た事実を基にしても、シェアハウスローン類型につき債権保全措置がとられていないといえる程度にまで、Ⓞをはじ めとする営業の圧力などによって審査が形骸化しているとは認識できなか- 295 - ったというべきである。 (5)小括以上のとおりであって、本件4根拠事実やそれを基礎づける兆候事実についての被告Ⓖの認識ないし認識可能性を総合考慮しても、被告Ⓖにおいては、平成28年12月末時点で、シェアハウスローン類型につき債権保全措置が とられていないことを認識するのは困難であったといわざるを得ないから、シェアハウスローン類型の実行を停止すべきか否か検討しなければならなかったとは認められない。 したがって、被告Ⓖは、上記時点で、営業本部の管掌取締役として、シェアハウスローンについて債権保全措置がとられているかの調査を開始すべき 義務を負っていたとはいえず、監視監 は認められない。 したがって、被告Ⓖは、上記時点で、営業本部の管掌取締役として、シェアハウスローンについて債権保全措置がとられているかの調査を開始すべき 義務を負っていたとはいえず、監視監督義務違反があったとは認められない。 7 平成28年12月末時点における被告Ⓔの任務懈怠の有無(1)リスク分析の懈怠についての認識ないし認識可能性ア被告Ⓔは、平成25年3月以降、経営会議及びCPC会議における検討を経て、同年10月1日に審査部長が発出した通達により物件調査が行わ れるようになったことは認識していた(前記1(5)イ(ア)(イ))。 その後、被告Ⓔは、平成28年7月までの間、信用リスク委員会及び経営会議における物件調査の結果の報告において、シェアハウスは目視での入居状況の詳細確認が困難なため、現地では事業の稼働状況のみ確認し、併せて口座へのサブリース料の振込金額を確認することで対応しているなど と報告を受けたが、期中管理として、上記のようなサブリース料の入金確認では不十分であるとか、空室率の高さから自転車操業に陥るリスクがあるなどとの指摘はなかった(前記1(5)イ(ク)(コ)(シ)(ソ))。 被告Ⓔは、平成26年11月20日、同月21日に開催される審査部内の会議において、融資実行後の融資管理の観点からみた融資審査の取扱い や、担保評価が議題として取り上げられる旨の報告を受けたところ、同会- 296 - 議においては、審査時点と融資管理時点との間隔が短期であるにもかかわらず、物件の評価額が約8割も減少している事案があり、両時点の担保評価を統一して実態に即した評価を行うべきである旨などが指摘された(前記1(5)イ(エ))。 被告Ⓔは、平成28年12月1日、審査部の物件調査ミーティングに参 加 いる事案があり、両時点の担保評価を統一して実態に即した評価を行うべきである旨などが指摘された(前記1(5)イ(エ))。 被告Ⓔは、平成28年12月1日、審査部の物件調査ミーティングに参 加し、シェアハウスの築年数ごとの入居率を調べた結果、シェアハウス合計337件のうち、①入居率については、完成後6か月以内のものが21. 8%、完成後6か月から12か月までのものが47.6%、完成後12か月以降のものが78.3%、全体平均が48.5%であることのほか、②かぼちゃの馬車のブランドが205件(61%)であること、③サブリー ス会社がスマートライフのものが99件(完成後6か月以内のものが15件、完成後6か月から12か月までのものが45件、完成後12か月以降のものが39件)であること等の報告を受けたところ、築1年以上のシェアハウスの入居状況は、全国平均と概ね同水準であった(前記1(5)イ(チ)、甲98、乙D14、被告Ⓔ本人、弁論の全趣旨)。 加えて、被告Ⓔは、平成28年12月12日、平成27年2月6日の出口会議、平成28年1月22日の出口会議及び同年4月18日の出口会議でそれぞれ使用された、融資管理からの気づき・提言として、不動産賃貸において継続的な満室はあり得ず、満室想定での返済比率の算出は危険であること、家賃保証契約の内容や賃料保証の妥当性や設定家賃額の妥当性 を調査、検証、検討する必要があること等の提言が記載された資料を受領した(前記1(5)イ(オ)(ケ)(サ)(ツ))。 イ前記5(1)イのとおり、サブリース料の支払が継続して滞りなくされている事実は、通常、サブリース会社がその事業目的どおりに物件を稼働させていることを裏付けるものであるところ、平成28年12月時点まで にシェアハウスローンのデフォ 支払が継続して滞りなくされている事実は、通常、サブリース会社がその事業目的どおりに物件を稼働させていることを裏付けるものであるところ、平成28年12月時点まで にシェアハウスローンのデフォルト事案は1件も生じておらず、信用調査- 297 - 会社からは、スマートライフにつき資金調達に支障はなく、課題となるサブリース物件の稼働率も提携事業の提供で高い推移が見込まれるなどと評価されていた。 また、シェアハウスローンには資産形成ローン事務取扱要領に従い、外部の不動産鑑定会社による物件の担保評価を行い、顧客の自己資金を確認 するなどして融資可能額を算定する審査手続が行われていた。 ウそして、平成28年12月2日の物件調査ミーティングにおける報告によれば、完成後12か月以降が経過したシェアハウスについては入居率が低水準であるとはいい難く、当該報告が直ちにシェアハウスの空室率の高さを表すものであるとは認め難い。 この点、Ⓨは、当時の原告のシェアハウスローンの多くは完成後間もない物件であるところ、シェアハウスの供給は頭打ちとなっていて、需給バランスが崩れており、過剰供給により今後入居率が上昇することはないと考えられた旨供述する。しかし、Ⓨの供述は、帝国データバンク等の信用調査機関の調査などによる客観的なデータを踏まえたものではなく、また、 上記の物件調査ミーティングにおいても、そのようなシェアハウスの供給の頭打ちや需給バランスの崩壊を理由とする空室リスクなどについては特段議論されなかった(証人Ⓨ)。そうすると、上記の物件調査ミーティングにおける報告をもって、完成後間もないシェアハウスの入居率が今後低迷する可能性があるなどと認識するのは困難であったというべきであ る。 エ上記の物件調査ミーティン 件調査ミーティングにおける報告をもって、完成後間もないシェアハウスの入居率が今後低迷する可能性があるなどと認識するのは困難であったというべきであ る。 エ上記の物件調査ミーティングでは、かぼちゃの馬車の件数やサブリース会社別におけるスマートライフの件数などが報告されたことにより、スマートライフが関わるシェアハウスローンが全体の中で相当程度の割合を占め、相当数のシェアハウスローンがスマートライフの財務状況に左右さ れる可能性があるという、いわば一極集中リスクが一般的に存在すること- 298 - は認識し又は認識し得たといえる。 しかし、上記イの信用調査会社によるスマートライフの評価のほか、上記の物件調査ミーティングにおいても、スマートライフへの物件の集中状況や同社の財務状況等を問題視する意見などは特に出されなかったことから(証人Ⓨ、被告Ⓔ本人、被告Ⓗ本人)、この時点においては、上記の ような一極集中リスクが具体的に顕在化する危険性があることまでは認識できなかったといわざるを得ない。 オ以上のことを踏まえると、被告Ⓔは、出口会議や審査部内の会議における家賃設定・家賃保証や審査時の担保評価方法の妥当性等に関する指摘を認識し又は認識し得たとしても、平成28年12月末時点で、相当多数の シェアハウスにおいて入居者がない状態でサブリース料が支払われ、サブリース会社がシェアハウスの空室率の高さから自転車操業に陥って破綻し、その結果シェアハウスローンの債務者から原告への返済が滞ることとなるというシェアハウスローンのリスクを認識するのは困難であったというべきであり、他にそのような認識が可能であったことをうかがわせる事情も 見当たらない。 そうすると、被告Ⓔにおいては、平成28年1月末時点までに認識し のリスクを認識するのは困難であったというべきであり、他にそのような認識が可能であったことをうかがわせる事情も 見当たらない。 そうすると、被告Ⓔにおいては、平成28年1月末時点までに認識し又は認識し得た事実を基にしても、シェアハウスの空室率や家賃設定・家賃保証及び担保評価等に係るリスク分析が十分に行われないままシェアハウスローンが実行され、その結果、サブリース会社の破綻に伴うサブリー ス料の支払停止によりデフォルトに陥る危険性が高くなっているなど、シェアハウスローン類型につき債権保全措置がとられていないと認識することは困難であったといわざるを得ない。 (2)原本確認の懈怠等についての認識ないし認識可能性ア被告Ⓔは、平成26年2月以降、監査部の特別調査報告書や経営会議を 通じて、原告のチャネル(B社、D社、E社、F社)の融資案件で団信診- 299 - 断書が偽造されていたこと、監査部の特別調査の結果として、原告の担当者が団信診断書の偽造に直接関与している可能性は極めて低いこと、チャネルに対し再発防止策等を書面で回答するよう求め、チャネルからは、処分の説明や再発防止策を講じる回答を得たこと、担当部署で再発防止策を含む業務手続を策定したことなどの報告を受けた(前記1(5)ア(ア) (オ)(カ)(キ)(ケ)(コ)(サ)(シ)(セ)(タ)(チ)、弁論の全趣旨)。 被告Ⓔが出席した平成27年1月16日の経営会議では、被告Ⓕ及び亡Ⓘが原本確認を怠っていることが問題であるなどと指摘し、審査部所管の執行役員が原本確認を徹底させている旨を述べた(前記1(5)ア(サ))。 また、被告Ⓔは、平成28年7月29日、原告のチャネル(L社、F社)につき偽造文書を金融機関に提出することが日常的に行われ、原告が黙認してい 底させている旨を述べた(前記1(5)ア(サ))。 また、被告Ⓔは、平成28年7月29日、原告のチャネル(L社、F社)につき偽造文書を金融機関に提出することが日常的に行われ、原告が黙認していると聞いているなどの通報が金融庁に寄せられ、金融庁から原告に対し、当該通報につきコンプライアンス担当部署による検証も含めた事実確認及び報告を求める調査依頼がされた旨の報告を受けた(前記1(5) ア(ト))。 被告Ⓔは、平成28年12月1日、原告の複数の支店に対し、原告のチャネル(H社)が代金値引き前の売買契約書や偽造した自己資金確認資料を原告に提出していること等を内部告発する文書が届いているとの情報提供を受けた(前記1(5)ア(ナ))。また、被告Ⓔは、同月12日、 平成27年2月6日の出口会議で使用された、架空自己資金及び偽造確認資料の排除のために通帳(自己資金)の原本確認を徹底すること等の提言が記載された資料を受領した(前記1(5)イ(オ)(ツ))。 イこれらの事情に照らすと、被告Ⓔは、平成28年12月末時点において、原告の融資全般において、原告に提出される書類が偽造されていることが あること、原告の従業員が原本確認を怠るなどして、それを看過すること- 300 - があることを認識していたものである。 しかしながら、前記5(2)イで説示したところによれば、上記事情だけでは、融資における偽造書類提出の一般的な危険性を超えて、原本確認がされず、偽造が認められる案件が2割ないし5割を超えているといったことを想定すべき事情であるとはいえず、まして、シェアハウスローン類 型において、そのような状況が顕著であると想定することもできない。 ウまた、前記5(2)ウのとおり、簡素化通達及び新運用基準は、いずれも、原本確認 るとはいえず、まして、シェアハウスローン類 型において、そのような状況が顕著であると想定することもできない。 ウまた、前記5(2)ウのとおり、簡素化通達及び新運用基準は、いずれも、原本確認を不要とするものではなく、審査部で偽装を見破れる可能性があったとしても、これが原本確認の懈怠の原因となるとは直ちには評価できない。 エそして、前記5(2)ウ及びエのとおり、原告においては、営業店の営業担当者や所属長に対し、原本確認を履行させるための体制や偽造に関連したチャネルの案件を取り扱わない仕組みが構築されていたから、厳しい営業ノルマのために、処分を受けるリスクを背負ってまで、営業ノルマのためにあえて偽装を黙認・看過することは通常想定し難く、また、他の金 融機関の取組みと比較して、原告のチャネルPRMによる管理体制がチャネルに対する監視機能として劣っていたともいえない。 このことを踏まえると、被告Ⓔが、チャネルを利用した収益不動産ローンの拡充を認識し又は認識し得たとしても、そのことをもって融資関係書類等の偽装や原本確認の懈怠を招来しやすい状況にあったと認識し又は 認識し得ることにはならないというべきである。 オ以上説示したところによれば、被告Ⓔにおいては、平成28年12月末時点までに認識し又は認識し得た事実を基にしても、シェアハウスローン類型において広く融資関係書類等の偽装や原本確認の懈怠が横行していることにより、シェアハウスローン類型につき債権保全措置が不十分な状 態であったなどと認識することはできなかったというべきである。このこ- 301 - とは、他に原告が原本確認の懈怠等に関する兆候事実として主張する事実を踏まえても同様である。 (3)不芳業者との取引継続についての認識ないし認識可 たというべきである。このこ- 301 - とは、他に原告が原本確認の懈怠等に関する兆候事実として主張する事実を踏まえても同様である。 (3)不芳業者との取引継続についての認識ないし認識可能性ア被告Ⓔは、審査部の管掌取締役となった平成27年4月以降、被告Ⓗを通じて、亡Ⓜがスマートライフの関与する融資を取扱禁止とする旨が指示 されたことを認識した(乙D48、被告Ⓔ本人)。 そして、前記(1)アのとおり、平成28年12月の物件調査ミーティングでは、かぼちゃの馬車のシェアハウスの件数やサブリース会社別におけるスマートライフの件数などが報告されており、被告Ⓔは、亡Ⓜの上記指示が解除されたと考えつつ、原告とスマートライフとの取引が継続して いたことを認識した(被告Ⓔ本人)。 イしかし、前記(1)イの信用調査会社のスマートライフに対する評価のほか、営業現場などにおいても特段スマートライフ自体が財務状況等に問題のある業者とは認識されていなかったこと(証人Ⓡ、証人Ⓥ、証人Ⓣ、証人Ⓤ、被告Ⓗ本人、弁論の全趣旨)、亡Ⓜの指示の前提となったスマー トライフに関する不芳情報については、調査の結果、発信元が同社の乗っ取りを企てて解任された元取締役であることが概ね判明し、私怨的な理由により当該不芳情報を提供したことが推察される旨や、スマートライフは監査法人の監査を受けており、適正意見が付されている旨が報告されていること(前記1(5)ウ(オ))などを踏まえると、平成28年12月の 物件調査ミーティングの時点で、客観的にみてスマートライフの財務状況等に問題があり、同社との取引がシェアハウスローン類型としての債権回収上のリスクを招くなどと認識することはできないというべきである。 ウ以上説示したところによれば、被告Ⓔは、 ートライフの財務状況等に問題があり、同社との取引がシェアハウスローン類型としての債権回収上のリスクを招くなどと認識することはできないというべきである。 ウ以上説示したところによれば、被告Ⓔは、平成28年12月末時点において、亡Ⓜの指示に反し、原告が不芳業者であるスマートライフとの取引 を継続していて、シェアハウスローン類型につき債権保全措置が不十分な- 302 - 状況にあるなどとは認識できなかったというべきである。したがって、被告Ⓔ及び被告Ⓗにおいて、上記時点でスマートライフとの取引が継続されていることを認識していたとしても、そこから債権回収リスクのある融資が実行されていることまでは認識することができなかった。 (4)審査の形骸化についての認識ないし認識可能性 ア前記6(4)アのとおり、Ⓞは、営業の業務執行において強い発言力があったことが認められるが、Ⓞの言動の客観的な状況を示す証拠はなく、営業を推進する立場に照らしてその言動が相当性を欠いていたとまではいえず、審査がその独立した判断を阻害され、本来承認すべきでない融資を承認する程度にまで審査が形骸化していたとは認められない。 イまた、簡素化通達及び新運用基準は、少なくとも制度として原本確認の懈怠を招来するものであるとはいえず、前記(2)イのとおり、被告Ⓔにおいて、原告の融資で2割ないし5割を超えるといった割合で融資関係書類等の偽装や原本確認の懈怠が行われているとまでは認識できない。 さらに、承認率の推移につき取締役が報告を受けていたといった事情は うかがわれず、承認率をもって審査が形骸化しているとまでは直ちにはいえないことに加え、平成28年12月末時点では、シェアハウスローンのデフォルト事案が1件も生じていなかった。 これらのこ うかがわれず、承認率をもって審査が形骸化しているとまでは直ちにはいえないことに加え、平成28年12月末時点では、シェアハウスローンのデフォルト事案が1件も生じていなかった。 これらのことを考慮すれば、被告Ⓔにおいて、シェアハウスローンについて、他の融資と同様に、審査手続により適正な審査が行われていると考 えていたとしても不合理ではない。 ウ以上説示したところによれば、被告Ⓔにおいては、平成28年12月末時点までに認識し又は認識し得た事実を基にしても、シェアハウスローン類型につき債権保全措置がとられていないといえる程度にまで、Ⓞをはじめとする営業の圧力などによって審査が形骸化しているとは認識できなか ったというべきである。 - 303 - (5)小括以上説示した、本件4根拠事実やそれを基礎づける兆候事実についての被告Ⓔの認識ないし認識可能性を総合考慮しても、被告Ⓔにおいては、平成28年12月末時点で、シェアハウスローン類型につき債権保全措置がとられていないことを認識するのは困難であったといわざるを得ないから、シェア ハウスローン類型の実行を停止すべきか否か検討しなければならなかったとは認められない。 したがって、被告Ⓔは、上記時点で、審査部の管掌取締役として、シェアハウスローンについて債権保全措置がとられているかの調査を開始すべき義務を負っていたとはいえず、監視監督義務違反があったとは認められない。 8 平成29年7月時点におけるサクト会議出席取締役の任務懈怠の有無(1)サクト会議における議論の概要アサクト会議は、サクトがサブリース料の支払を停止したため、顧客が返済困難な状況に陥ったことに端を発し、サクト事案の顧客対応等を議論するために開催された会議であり、取締役 における議論の概要アサクト会議は、サクトがサブリース料の支払を停止したため、顧客が返済困難な状況に陥ったことに端を発し、サクト事案の顧客対応等を議論するために開催された会議であり、取締役らのみならず、Ⓞや執行役員及び 営業の社員らも参加した。しかし、回数を重ねるにつれ、シェアハウスローン類型のリスク上の問題が表面化し、以下のとおり、シェアハウスローン類型を継続するリスクについても議論が及ぶに至っている。 (前記1(6)イ、ウ、カ、コ)この間、シェアハウスローンについて、シェアハウス全件調査や審査部 による「シェアハウス疑問点について」と題するまとめとこれに相反する営業による調査結果、被告Ⓗ及び亡Ⓘによる現地視察があり、第4回サクト会議においては、これらを踏まえて議論がされた。さらに、顧客からお客様相談センターに対し、シェアハウスが急増して家賃相場が下がったといった苦情があり、また、ガヤルドは第4回サクト会議終了後に破綻した が、平成29年6月中旬、同社の社員から下請業者への未払金について報- 304 - 告があった。(前記1(6)エ、オ、ケ、コ、タ(ウ))イ第1回サクト会議では、Ⓞは、シェアハウスローンの概要を説明し、サクトの破綻は、リゾートマンション事業の失敗により資金繰りに窮したものであるとしつつ、同社には入居者募集のノウハウがなかったことを指摘し、スマートライフの不芳情報の大部分は根拠がないとして、同社に管理 会社を変更することを顧客に提示することを提案した。 これに対し、被告Ⓛは、サクトのような業者の位置づけや仕組融資との類似性を指摘して審査の在り方に対する意見を述べ、被告Ⓗは、チャネルの審査はしている、サブリースや管理会社は代替性があり提携融資や仕組融資で し、被告Ⓛは、サクトのような業者の位置づけや仕組融資との類似性を指摘して審査の在り方に対する意見を述べ、被告Ⓗは、チャネルの審査はしている、サブリースや管理会社は代替性があり提携融資や仕組融資ではない、債務者ごとに査定しているなどと説明した。被告Ⓚは、物 件の状況や入居状況の確認を指示した。また、同会議に先立ち、被告Ⓖ、被告Ⓗ及び被告Ⓚが参加して開催された信用リスク委員会ではスマートライフが取引禁止となっていることなどを踏まえ、同社への変更に疑義が示されていた。(前記1(6)イ)ウ第2回サクト会議では、サクトが行う家賃保証がスキームの鍵になって いる以上、同社の信用力に対して銀行として注視しておく必要があったのではないか、分割実行中の案件については債務者と銀行間の契約上、残金の融資は実行される必要があるという相談した弁護士の見解が報告された。 また、サクト案件について、家賃保証はあるが、実行後時間がたっても入居率が低い物件が数多く存在し、サクトはシェアハウスの建設請負による 利益を他の投資家への家賃保証原資にあてていたといった分析が示された。 被告Ⓛは、チャネル別の視点で全体のポートフォリオを今後どのように構築していくべきか、審査部において定期的に分析、検証を行い、対応すべきである、ローン案件について、審査においてリスクアセスメントを実施しているのかなどと指摘した。これに対し、被告Ⓗは、チャネルについ て、会社状況、原告への持込件数や不芳状況等を検証し、LTVはもちろ- 305 - ん、地域や入居状況、家賃設定の妥当性、現況賃料へのストレス等、定められたリスクアセスメントを入口で実施している旨を述べた。被告Ⓚは、スマートライフの情報収集を求めた。(前記1(6)ウ)エ第3回サクト会議では、亡 家賃設定の妥当性、現況賃料へのストレス等、定められたリスクアセスメントを入口で実施している旨を述べた。被告Ⓚは、スマートライフの情報収集を求めた。(前記1(6)ウ)エ第3回サクト会議では、亡Ⓘは、シェアハウスの今後の取扱いは、与信集中リスクをみて、シェアハウスの貸出金ポートフォリオに占める比率や 残高の上限目安や月間の実行額の目安といったことを検討する必要があると述べた。被告Ⓛは、シェアハウスの賃料のフェアバリューの見方について質問し、これについて、Ⓞがアパマンの評価が妥当である旨を述べた。 被告Ⓚは、他の業者への懸念を表明し、サブリース業者のリスクをよく見るようにしなければならない旨を述べた。(前記1(6)カ) オ第4回サクト会議では、出席者らは、概要以下のように述べた。 被告Ⓗは、サクト案件は提携ローンではなく、自身で他の管理会社を探してきて委託する顧客もいるとしつつ、シェアハウス全件調査(総件数942件、総残高約1086億円)や亡Ⓘ及び被告Ⓗの現地視察によると、191件が外観上全て空室と思われること、稟議上、管理会社ないしサブ リース会社がスマートライフのものは187件であるのに、実際は6割程度で関与がうかがわれることが認められるが、調査結果が営業の調査(191件のうち61件は未入居であるが契約済み、32件は契約もなく空室であるが、その余は入居済みである。)や説明と矛盾していることなどを指摘し、サブリースの有無に関わらず、管理会社の信用状況の変化も多額 の信用リスクを顕在化させる可能性があり、ポートフォリオが個人に分散している強みが失われていて、与信集中リスクを検討する必要があると指摘した。 Ⓞは、建物の完成時期によって入居率が変わる、入居者が替わるとドアごと取り替えるので、ドアの取っ手に保護 オが個人に分散している強みが失われていて、与信集中リスクを検討する必要があると指摘した。 Ⓞは、建物の完成時期によって入居率が変わる、入居者が替わるとドアごと取り替えるので、ドアの取っ手に保護材があっても未入居ではないな どと述べた上、シェアハウスローン類型の新規案件は、マーケットでの飽- 306 - 和感や供給が多くなることによる家賃の下押し圧力、管理面でのキャパシティなどから減少していく見通しであり、今後1年程度でなくなると考えている、通常のサブリースは家賃相場より低く設定して、サブリース会社が鞘を抜くのが普通であるところ、シェアハウスの場合は、通常の家賃相場よりサブリース契約の方が高い家賃設定である点に問題があるが、仕掛 中の案件を含めて突然取扱いを中止とすることはできない旨を述べた。 Ⓟは、シェアハウスに関してはスマートライフがナンバーワンであり、顧客が同社に運用を任せることは否定できない、シェアハウスの入居率は60%以上で成り立つと言われていて、スマートライフは、平均入居率が73%で、1年程度で新規案件がなくなっても既存物件の管理だけでやっ ていける状況になる、地方からの入居者募集に力があるアパマンが参入し、法人の一棟借り上げもあるので事業として成り立つ旨を述べ、イノベーターズはスマートライフの迂回であるなどと発言した。 被告Ⓛは、担保物件の評価について、収益還元での物件評価が処分価格と乖離すること、サクトがアレンジャー(原告と債務者との間に入って調 整を行う者)であることを認識して融資しているのであればストラクチャードファイナンスであり、それを前提とした審査や稟議を行い、本件も個々の案件ではなく全体として考えるべきであること、貸金が小口分散化されていることが強みであり、一債務者への融資残 あればストラクチャードファイナンスであり、それを前提とした審査や稟議を行い、本件も個々の案件ではなく全体として考えるべきであること、貸金が小口分散化されていることが強みであり、一債務者への融資残高の上限について再検討するなど信用コストをよくみる必要があること、リスク資本のバッファ ーが約2000億円であるから経営上の問題はなく、顧客に対してきちんと対応することが肝心であることなどを述べた。 亡Ⓘ及び被告Ⓚほかの出席者は、入居者や汎用性の点からくるシェアハウスの特殊性や、サクトとアパマンとで入居者募集時の賃料に差があること、入居状況等に関するさらなる調査の必要性を指摘し、亡Ⓘは、シェア ハウスにつき小さな土地になぜこれだけの資金が出ているのか、経済合理- 307 - 性からみてサブリースが必要なのかという疑問点があるとし、アパートローンに関する当局の目線は、顧客本位かどうかである、顧客が不当に高い物件を買わされていないかどうかが問題視されるなどと述べ、被告Ⓚは、サクトは一つの塊としてリスク認識する必要があり、業者が変わっても状況が良くなければシェアハウス全体としてリスクもあるとし、シェアハウ スローン類型について、ストレスを掛けたシミュレーションを行っておく必要がある、状況を見ながら徐々にフェードアウトしていく方向性とすべきと考えると述べ、執行役員の中には、レピュテーショナルリスクを指摘した者もいた。(前記1(6)コ)(2)リスク分析の懈怠に関する事実 ア前記(1)でみたところによれば、第4回サクト会議の終了時には、被告Ⓖ、被告Ⓗ、亡Ⓘ、被告Ⓚ及び被告Ⓛにおいて、以下の点の認識があったものと認められる。 (ア)まず、サクトについては、①原告からのシェアハウスローン類型の融資総額が約121億円( 終了時には、被告Ⓖ、被告Ⓗ、亡Ⓘ、被告Ⓚ及び被告Ⓛにおいて、以下の点の認識があったものと認められる。 (ア)まず、サクトについては、①原告からのシェアハウスローン類型の融資総額が約121億円(シェアハウスローン類型の総残高は約1086 億円)あったサクトが、延滞やデフォルトが生じていなかったにもかかわらず、破綻したこと、②サクトは、シェアハウスの販売や建設請負の利益をその他投資家への家賃保証原資に転用するなど、シェアハウスの賃料収入以外の収入をもってサブリース料を支払うという自転車操業に陥っていたこと、③破綻の原因は、リゾートマンション事業の失敗のほ か、シェアハウスの入居者募集のノウハウがなく、実行後時間がたっても入居率が低い物件が多いことにあること、④弁護士から、サクトによる家賃保証がスキームの鍵である以上、同社の信用力に注視しておく必要があったことや分割実行中の融資は継続して実行する必要があることを指摘されたことなどの認識を有するに至った。 (イ)シェアハウスローン類型の入居率については、①シェアハウス全件調- 308 - 査により、融資実行後に時間が経過しているにもかかわらず入居率が低く、確実に空室である物件が審査部の見たところでは2割強の191件あり、その中には、営業の説明では入居率7割ないし8割とされているものが含まれていること、営業の説明によっても、そのうち、61件については契約済みだが未入居であり、32件は契約もなく空室であるこ と、②シェアハウスの性質上入居率を把握し難く、期中管理が困難であること、③審査と営業の入居率に関する説明が食い違い、営業は建築時期との比較でみるべきである、スマートライフの平均入居率は73%で、シェアハウスは入居率60%以上で成り立つなどとも説明していると あること、③審査と営業の入居率に関する説明が食い違い、営業は建築時期との比較でみるべきである、スマートライフの平均入居率は73%で、シェアハウスは入居率60%以上で成り立つなどとも説明しているところ、ドアの取っ手の保護材についての説明など営業の説明には不自然な ところもあるが、実態の把握のためにはさらなる調査が必要であることなどの認識を有するに至った。 (ウ)賃料については、①確立した家賃相場のある賃貸アパート等とは異なり、例えば、サクトとアパマンとで入居者募集時の賃料に差があり、より安いアパマンの賃料のほうが妥当であること、②通常の家賃相場より サブリース契約の方が高い家賃設定であるという問題があること、③シェアハウスの供給が多くなり、市場が飽和することにより賃料が低下する傾向があることなどの認識を有するに至った。 (エ)シェアハウスの運営については、①形式上、特定のチャネル、サブリース業者、管理会社等の存在を前提としたストラクチャードファイナン スではないとしても、実質的にはそのような業者からの賃料の支払が返済原資となるため、業者の信用力に依っている仕組みであり、しかも特定の業者に偏っているため、分散されていたはずのリスクが集中しているから、ポートフォリオの構築や業者の信用力を検証することが必要であるが、これらが効果的になされていなかった可能性があること、②特 に、アマテラスやイノベーターズを含め、実際にはスマートライフが関- 309 - 与しているとうかがわれる案件は全体の6割を占めているが、スマートライフの取引禁止を迂回するためかどうかはさておくとしても、サブリース業者や管理会社の実態が審査時の資料と異なるものとなっているため、スマートライフについてはシェアハウスの運営に関わる業者として、 ライフの取引禁止を迂回するためかどうかはさておくとしても、サブリース業者や管理会社の実態が審査時の資料と異なるものとなっているため、スマートライフについてはシェアハウスの運営に関わる業者として、個々の融資においては審査がされていないこと、③スマートライフは、 シェアハウスについてナンバーワンであるとされている一方で、あと1年程度で新規案件がなくとも既存物件の管理だけでやっていけるとされており、当面、新規案件がなければ事業の継続が困難な状況にあること、④原告が実行しているほどの高額な融資を受けてシェアハウスを運営すること自体の経済的合理性に疑問がありうること、⑤営業の説明でも、 シェアハウスローン類型は、家賃の下押し圧力、管理面でのキャパシティなどから減少していく見通しであり、あと1年程度でシェアハウスローン類型は融資として終了を迎えると考えられることなどの認識を有するに至った。 (オ)担保評価の適正については、収益還元による物件評価が処分価格と乖 離していることなどの認識を有するに至った。 イ以上のシェアハウスローンのリスク分析に関し明らかになった事情からすると、まず、大前提として、少なくとも、シェアハウスローン類型の約1割については、サクトの破綻により、債権回収のリスクが現実化していた状態であった。そして、参加取締役らにおいては、サブリース賃料の延 滞やデフォルトの有無だけでは債権回収リスクを把握することが不十分であることを認識し得た。そうすると、参加取締役らにおいては、シェアハウスローン類型の他の融資のリスクの有無を確認し、シェアハウスローン類型の継続について、合理性があるかを慎重に検討する必要があった。 そして、シェアハウスローン類型の約6割にサブリースや管理としてス マートライフが関与 スクの有無を確認し、シェアハウスローン類型の継続について、合理性があるかを慎重に検討する必要があった。 そして、シェアハウスローン類型の約6割にサブリースや管理としてス マートライフが関与しているとうかがわれる状況であるから、シェアハウ- 310 - スローン類型の融資としての合理性の評価においては、同社の信用力の検証が重要となる。しかしながら、スマートライフは取引禁止となっており、審査時の資料には同社の関与が示されず、サブリース業者や管理会社は異なる業者とされ、スマートライフについては、個々の融資に関わる業者としては、審査がされていないということになる。加えて、営業の説明によ ると、シェアハウスの業界では最も実績があるというスマートライフにおいて、シェアハウス事業そのものにより収支を安定させるには1年程度必要であるが、逆に、シェアハウス事業は、減少していく見通しであり、あと1年程度でシェアハウスローン類型は融資として終了を迎える状況であるというのであり、また、帝国データバンクの調査結果(前記1(5) エ)によれば、シェアハウス事業は順調であるようで、経営状態の悪化は指摘されてはいないものの、キャッシュフローについてはやや懸念が示されていたから、スマートライフの経営が順調に推移するかについては楽観視できるものではなかった。スマートライフの経営が楽観視できないのであれば、同社よりもシェアハウスの業者としての実力の劣る業者について も懸念すべき状況であるというべきである。 また、シェアハウス全件調査の結果を踏まえ、入居率については、第4回サクト会議前から営業と審査でそれぞれ異なる状況を説明しており、さらなる調査が必要であるところ、審査部によれば、融資実行後時間が経過した物件の入居率も低く、調査可 を踏まえ、入居率については、第4回サクト会議前から営業と審査でそれぞれ異なる状況を説明しており、さらなる調査が必要であるところ、審査部によれば、融資実行後時間が経過した物件の入居率も低く、調査可能な範囲で確実に空室である物件が2割 強の191件あり、営業によっても、そのうち、61件については契約済みだが未入居であり、32件は契約もなく空室であるというのであり、賃料は、サクトについては高額に過ぎていた上、供給過剰のため賃料が低下傾向にあり、しかも、通常の家賃相場よりサブリース契約の方が高い家賃設定であるというのであるから、入居率が低い場合はもちろん、入居があ る場合でもサブリース業者の収益が当然に確保されることにならないこ- 311 - ととなる。さらに、営業からは、事実状態として未入居であることを認める物件について、簡易宿所等への計画変更や一棟貸などの説明はされているが、その説明を裏付ける契約書等客観性のある資料は示されておらず、シェアハウスとしての活用が困難なことが前提となった内容が含まれている。 さらに、そのような状況で、担保評価について、収益還元法により物件評価を処分価格と乖離して高く評価しているとすれば、スマートライフその他の関係する業者に不測の事態が生じた場合には、シェアハウスローン類型の相当数の債権が回収不能に陥ることとなる。 また、投資目的の収益不動産ローンの一般的な枠組みでは、第一次的に は債務者においてリスク判断をするべきものであるが、亡Ⓘは、アパートローンに関する当局の目線は、顧客本位かどうかである、顧客が不当に高い物件を買わされていないかどうかが問題視されるなどと述べている。顧客が返済不能な高額の債務を負うことになれば、最終的に銀行も損失を被るのであるから、リスク分 顧客本位かどうかである、顧客が不当に高い物件を買わされていないかどうかが問題視されるなどと述べている。顧客が返済不能な高額の債務を負うことになれば、最終的に銀行も損失を被るのであるから、リスク分析を行い、過剰貸付を防止して顧客保護を図る ことも銀行の利益のために必要である。 ウそうすると、少なくとも、第4回サクト会議当時、原告における融資の基準や運用等において、リスク分析上重要な要素である事業計画を構成するサブリース業者や管理業者の信用力の検証について、空室リスクが顕在化している中で入居率、自転車操業の可能性や収益実態、正確な事業計画 を把握できておらず、合理的な情報収集をして融資判断をすることができない状態であり、また、シェアハウスローン類型としても、融資残高で6割近くを占めるスマートライフへの与信集中リスクに対処する必要があったといえる。そして、サクト会議に参加していた取締役らは、それを認識し得たといえる。 したがって、融資について債権保全措置義務を負う取締役においては、- 312 - 速やかに合理的な情報収集をし、合理的な融資判断がされていない状態を是正する必要があった。 なお、サブリース業者の信用力に関し、原告においては帝国データバンクの調査結果を取得することや興信所に対する調査の検討が行われていたが、信用調査会社等において必ずしも上述したようなリスク等を十分に 考慮した調査が行われるとはいえないこと、しかも、少なくとも、スマートライフについて、6割を占める割合でサブリース又は管理に関与していることを前提として審査がされていたと認めるに足る証拠はないことからすると、これをもって合理的な情報収集が尽くされていたとはいえない。 (3)リスク分析の懈怠以外の本件4根拠事実に関する事実 いることを前提として審査がされていたと認めるに足る証拠はないことからすると、これをもって合理的な情報収集が尽くされていたとはいえない。 (3)リスク分析の懈怠以外の本件4根拠事実に関する事実 アサクト会議及び信用リスク委員会では、スマートライフが取引禁止されていたこと(前記1(6)ア)、スマートライフがシェアハウスローンの多くの割合をサブリース業者又は管理会社として関与していること(前記1(6)エ、コ)、アマテラスやイノベーターズの業者で迂回がなされていること(前記1(6)コ(カ))が議論されていた。したがって、サク ト会議の出席取締役らは、不芳業者とされたスマートライフと取引を継続していたことは、当然、認識していた。そして、スマートライフが、審査時の稟議資料と異なる実態、例えば、審査時の稟議資料とは異なり、家具等の購入が建築時の備付けではなく入居者のリースとなっていること、賃料が乖離していること、女性限定ではなく男性や外国人も入居可能なブラ ンドになっていることなども、認識していた(前記1(6)コ(エ))。 第4回サクト会議において、営業は種々の説明をしたが、これらの疑問点が解消されるには至っておらず(前記1(6)コ(オ))、迂回であるなどとの発言もされた(前記1(6)コ(カ))。 このように、シェアハウスローンの融資判断で重要な事業計画について、 正確な情報に基づいて審査がなされていない以上、前記(2)で検討した- 313 - ところも併せ、リスク分析が十分でないことにより、審査も十分に機能していなかったことが認められる。そして、出席取締役は、このこともまた、認識できたものである。 イシェアハウスローン類型については、5割の案件で偽装が認められている。とはいえ、第4回サクト会議の時点 ったことが認められる。そして、出席取締役は、このこともまた、認識できたものである。 イシェアハウスローン類型については、5割の案件で偽装が認められている。とはいえ、第4回サクト会議の時点において、前記アで指摘した点を 除き、取締役らが5割もの案件で偽装がされていたと認識し得たと認めるに足る証拠はない。しかしながら、偽装の有無にかかわらず、シェアハウスローン類型についてリスク分析等がされていなかった事実がある以上、後記判断を左右しない。 (4)第4回サクト会議以降の対応 ア第4回サクト会議では、まとめとして、①現状把握のために入居状況を再調査し、物件評価を確定させる、②スマートライフへの対応を明確にする、③有担保ローンのスピード感を減速させるわけにはいかない、④本件については軟着陸を図り、早急に次のビジネス展開を考えていくとされた。 そして、対応策案として、①シェアハウスの担保評価を改め、資産査定の 手順書を策定する、②営業本部が把握する実際の竣工時期を調査し、比較精査する、③その確認後、営業本部と審査部が共同して数件の物件調査を実施する、④シェアハウスローンの実行額は月10億円レベルにする方向性で検討するが、有担保ローンにおける対応すべき方向性はまだ出せておらず、予算上早急にかつ慎重に検討することとされた(前記1(6)コ(ケ))。 しかしながら、本件の証拠上、第4回サクト会議後に竣工時期の精査や物件調査の実施が行われたとは認められず、シェアハウスローンの実行額も純粋新規案件のみで月10億円程度で推移した。サクト会議出席取締役においても、スマートライフの融資を継続するのか否か、純粋新規融資を行うのか継続案件に限るかの点などについて異なる認識を述べ(被告Ⓚ、 被告Ⓛ)、上記の対応策 で推移した。サクト会議出席取締役においても、スマートライフの融資を継続するのか否か、純粋新規融資を行うのか継続案件に限るかの点などについて異なる認識を述べ(被告Ⓚ、 被告Ⓛ)、上記の対応策案等の状況を確認する具体的な協議も行われてい- 314 - ない。 イ融資基準に関しては、信用リスク委員会及び経営会議における検討を経て、平成29年10月19日の経営会議で、被告Ⓕの指示により、シェアハウスを含む全収益物件につき、チャネル、管理会社、建設会社等は業歴5年以上の業者に限ること、建物完成時一括実行、簡易宿所への融資上限 は100億円とすることなどを内容とする方針が決定された(前記1(6)シないしソ)。これはシェアハウスローンの融資基準の見直しを含むものの、次のビジネス展開として簡易宿所への融資を進めることも念頭に置かれたものといえる。 しかしながら、上記の経営会議の決定により業歴5年未満で資金繰りが 困難となったイノベーターズの要請を受け、Ⓞは、同月31日、被告Ⓖ、被告Ⓗ、亡Ⓘ、被告Ⓚ及び被告Ⓛが出席する社内会議において、イノベーターズの融資案件を実行することを求めた。上記の出席取締役は、通常の審査方法に加えて、審査結果を当該社内会議に出席している専務以上に回した上で、融資申込みの可否を判断することとした(前記1(6)チ)。 すなわち、同日時点におけるイノベーターズは、資金繰りが困難であったから、シェアハウスローン類型の融資の判断要素において重要なサブリース業者が実質的な破綻状態にあったものである。したがって、取締役において、同社の要請に基づいてシェアハウスローンを実行することに合理性があるというためには、当該融資による事業計画の改善可能性、債務者の 資力や不動産の担保価値を慎重に検討 たがって、取締役において、同社の要請に基づいてシェアハウスローンを実行することに合理性があるというためには、当該融資による事業計画の改善可能性、債務者の 資力や不動産の担保価値を慎重に検討し、当該融資をほぼ確実に回収することができると判断することができる場合に限られるというべきである。 それにもかかわらず融資を許容する判断をしたのは、第4回サクト会議後のまとめで軟着陸という方針が示されていること(前記ア)にも表れているように、シェアハウスローンについてリスク分析上の問題点等があり長 く継続していくことが困難であることを認識しつつも、簡易宿所のビジネ- 315 - ス展開ができるまで現状のままにするという判断があったと推認される。 その背景には、前記(1)のシェアハウスローンのリスク内容からすると、原告からの新規融資の停止がスマートライフ等の既存物件から十分に収益を上げられていないサブリース業者の破綻リスクを現実化させること、また、被告Ⓚが述べたように、株価や収益計画に対する考慮があった ことが窺われる。しかしながら、経営者として株価や収益計画を考慮することは十分に理解できるものの、そのために類型的にも回収見込みの合理的な根拠がない融資を継続することは許されず、前記(1)ないし(3)で検討したとおり、金融機関の取締役としての債権保全措置を怠っていないとの評価をすべき事情にはならないといわざるを得ない。 ウシェアハウスローン類型の新規融資の実行は、平成29年10月に終了している。しかしながら、第4回サクト会議を経ている状況においては、前記(2)のとおり、融資について債権保全措置義務を負う取締役においては、遅くとも平成29年7月末までに、分割実行中のものはともかく、純粋な新規融資に限り、シェアハウス 議を経ている状況においては、前記(2)のとおり、融資について債権保全措置義務を負う取締役においては、遅くとも平成29年7月末までに、分割実行中のものはともかく、純粋な新規融資に限り、シェアハウスローン類型の融資の取扱いを停止し、 実態把握及び融資基準等の見直しを行うこと(そのために必要な措置を取ることも含む。)が求められていたというべきである。 原告は、上記監視監督義務により第4回サクト会議で即座にシェアハウスローンの融資を停止すべきであると主張するが、第4回サクト会議が経営会議等正式な会議体ではなかったことや原告内部の意思決定や調整・伝 達等に一定の時間を要すると考えられることからすると、即日の停止は困難といえ、遅くとも平成29年7月末日までに当時の債権保全措置の合理的な根拠がないシェアハウスローン類型の融資を停止し、これまでの債権保全措置の合理性の有無を調査する義務があったというべきである。なお、亡Ⓜは、平成27年2月、スマートライフの不芳情報を得て、口頭とはい え同社との取引を停止するよう指示し、その頃、必要な部署には同指示は- 316 - 伝わっていたことからすると、第4回サクト会議後約1か月後までに上記対応を取ることが不可能であったといった事情も認められない。 (5)被告Ⓗの任務懈怠の有無ア被告Ⓗは、リスク管理等を行う審査部門の管掌取締役として、前記(1)ないし(4)に関わる各会議等にすべて出席しており、サクト会議におい て明らかになったシェアハウスローンのリスクについて直接認識することができた。また、被告Ⓗは、平成28年12月の物件調査ミーティングに出席し、シェアハウスの入居率の問題やスマートライフとの取引が継続していることを疑うことができ(前記1(5)イ(チ))、シェアハウス全件調 。また、被告Ⓗは、平成28年12月の物件調査ミーティングに出席し、シェアハウスの入居率の問題やスマートライフとの取引が継続していることを疑うことができ(前記1(5)イ(チ))、シェアハウス全件調査やシェアハウスの疑問点の資料作成にも携わり、シェアハウスロー ンのリスクについて具体的に把握していたといえる。 イそして、前記(1)ないし(3)のとおり第4回サクト会議までに明らかになった本件4根拠事実に関する事実の内容からすると、シェアハウスローンのリスク分析上重要な要素である事業計画について、審査時に提出される業者等の情報が正確でない実態があり、迂回であればどの業者につ いての信用力をみるべきものかもわからず、業者を特定したとしても入居率の実態が明らかでなく信用力の評価も困難であり、入居率の見込みを踏まえた物件評価も困難で、担保評価の適正も欠いている上、サブリース業者の集中リスクに対する対応もできていない状況であり、合理的な情報収集をして融資判断をするための債権保全措置の合理的な根拠がない状態が あるといわざるを得ないところ、被告Ⓗにおいてこれを認識できたといえる。 しかしながら、前記(4)のとおり、被告Ⓗは、第4回サクト会議後の対応策において上記の債権保全措置の合理的な根拠がない状態を速やかに解消する対策をとらず、また、対応策に従った具体的な調査や検討も十 分に行わず、債権保全措置の合理的な根拠がないシェアハウスローンの融- 317 - 資が継続された。このような被告Ⓗの対応は、判断内容及び過程において著しく合理性を欠くものとして、債権保全措置に係る監視監督義務に反するというべきである。 ウ被告Ⓗは、①サクト会議における営業部門の説明は合理的であり、後に賃貸借契約書も提出された、②サクト会議時点 く合理性を欠くものとして、債権保全措置に係る監視監督義務に反するというべきである。 ウ被告Ⓗは、①サクト会議における営業部門の説明は合理的であり、後に賃貸借契約書も提出された、②サクト会議時点ではスマートライフとの関 係性が明確でなかった、③シェアハウスローンのデフォルト案件はほとんどなかった、④全体像が明らかにならない限り停止はできないことなどを主張する。 しかしながら、銀行の取締役は、融資業務に関し、元利金の回収不能という事態が生じないよう、債権保全のため、相当の措置をとるべき義務が あるのであって(前記2(2)ア)、元利金の回収不能が明白ではない限りいかなる融資の実行であっても許容されるというものではない。前記(1)ないし(3)のとおり、①については、第4回サクト会議においては、営業部門から反論によっても入居状況について疑問点が解消されるには至っておらず、反論の内容もシェアハウスからの計画変更を含むもので あり、本件の証拠上、第4回サクト会議後の賃貸借契約書を踏まえ具体的に入居率等の検討がされたことは窺われない。②については、スマートライフについて迂回や審査時の資料と異なる実態があることに変わりはない。③については、サクト会議では、シェアハウスローンのリスクは、まさにデフォルトの有無だけでは破綻リスクを評価できないことが明らか になったといえる。④については、サクトという全体の約1割を占める業者において破綻が生じている状況で、全体像が明らかでない以上、積極的な根拠をもってシェアハウスローン類型の合理性を判断できないまま、融資を継続することには、取締役の判断として合理性を見出すことは困難である。その他被告Ⓗの主張する事情によって、前記(1)ないし(4)の 認定及び評価を左右するもので 理性を判断できないまま、融資を継続することには、取締役の判断として合理性を見出すことは困難である。その他被告Ⓗの主張する事情によって、前記(1)ないし(4)の 認定及び評価を左右するものではなく、これに基づく前記イの判断が否定- 318 - されるものではないというべきである。 エ被告Ⓗは、信頼の原則により、善管注意義務違反は否定される旨主張する。しかしながら、被告Ⓗは、審査部門の管掌取締役としてシェアハウスローンのリスク分析等の問題点を踏まえ対応が求められるべき立場にあったところ、前記(1)ないし(4)に係る事実を直接認識しているのであ るから、上記主張は採用できない。 オ以上のとおり、被告Ⓗは、債権保全措置に係る監視監督義務として、遅くとも平成29年7月末日までに当時の債権保全措置の合理的な根拠がないシェアハウスローンの融資を停止し、これまでの債権保全措置の合理性の有無を調査する義務があったが、これを怠った任務懈怠があると認める のが相当である。 (6)被告Ⓖの任務懈怠の有無ア被告Ⓖは、具体的な融資の内容を検討する営業部門の管掌取締役として、前記(1)ないし(4)に関わる各会議等にすべて出席しており、サクト会議において明らかになったシェアハウスローンのリスクについて直接認 識することができた。また、営業部門の従業員等に対する直接的な監視監督の権限を有し、営業の実態等について積極的に確認することができる立場にあった。 イそして、前記(1)ないし(3)の本件4根拠事実に関する事情等からすると、被告Ⓖは、前記(5)イと同様に、債権保全措置に係る監視監督 義務として、遅くとも平成29年7月末日までに当時の債権保全措置の合理的な根拠がないシェアハウスローンの融資を停止し、これまでの債権保 告Ⓖは、前記(5)イと同様に、債権保全措置に係る監視監督 義務として、遅くとも平成29年7月末日までに当時の債権保全措置の合理的な根拠がないシェアハウスローンの融資を停止し、これまでの債権保全措置の合理性の有無を調査する義務があったが、これを怠ったといえる。 ウ被告Ⓖは、前記(5)ウ及びエと同様の主張のほか、サクト会議を通して本件4根拠事実に係る事情を認識できなかったと主張する。しかしなが ら、被告Ⓖは、営業部門の管掌取締役としてサブリース業者の実態等につ- 319 - いて確認し問題点について対応が求められる立場にあるといえる上、前記(1)ないし(4)の事情は各会議等に参加した被告Ⓖにおいて直接認識できたことであることからすると、いずれも採用できない。 エ以上のとおり、被告Ⓖは、債権保全措置に係る監視監督義務として、遅くとも平成29年7月末日までに当時の債権保全措置の合理的な根拠がな いシェアハウスローンの融資を停止し、これまでの債権保全措置の合理性の有無を調査する義務があったが、これを怠った任務懈怠があると認めるのが相当である。 (7)亡Ⓘの任務懈怠の有無ア亡Ⓘは、代表取締役として、サクト会議にすべて出席して議事を主導し ており、サクト会議において明らかになったシェアハウスローンのリスクについて直接認識することができた。また、代表取締役として管掌取締役の職務が明確でなかった状況に即して高度の注意を払って監視監督を行うことが要求される立場にあり(前記2(1)イ)、シェアハウス全件調査に参加するなど入居率の問題にも直接関与している。 イそして、前記(1)ないし(3)の本件4根拠事実に関する事情等からすると、亡Ⓘは、前記(5)イと同様に、債権保全措置に係る監視監督義務として、遅くとも 居率の問題にも直接関与している。 イそして、前記(1)ないし(3)の本件4根拠事実に関する事情等からすると、亡Ⓘは、前記(5)イと同様に、債権保全措置に係る監視監督義務として、遅くとも平成29年7月末日までに当時の債権保全措置の合理的な根拠がないシェアハウスローンの融資を停止し、これまでの債権保全措置の合理性の有無を調査する義務があったが、これを怠ったといえる。 ウ被告Ⓙは、前記(5)ウ及びエと同様の主張のほか、サクト会議後、ガヤルドの問題等に対処してきたと主張する。しかしながら、平成29年7月中旬以降のガヤルドの問題(前記1(6)サ)は、サクト会議等で明らかになったリスクの発露といえる状況であり、シェアハウスローン類型に対する対応をしなかったことを正当化する事情になるとはいえない。また、 亡Ⓘは、前記(1)ないし(4)の事情を直接認識でき、代表取締役とし- 320 - て対応策を決めるべき立場にあったことからすると、上記主張はいずれも採用できない。 エ以上のとおり、亡Ⓘは、債権保全措置に係る監視監督義務として、遅くとも平成29年7月末日までに当時の債権保全措置の合理的な根拠がないシェアハウスローンの融資を停止し、これまでの債権保全措置の合理性の 有無を調査する義務があったが、これを怠った任務懈怠があると認めるのが相当である。 (8)被告Ⓚの任務懈怠の有無ア被告Ⓚは、代表取締役として、前記(1)ないし(4)に関わる各会議等にすべて出席しており、サクト会議において明らかになったシェアハウ スローンのリスクについて直接認識することができた。また、代表取締役として管掌取締役の職務が明確でなかった状況に即して高度の注意を払って監視監督を行うことが要求される立場にあった(前記2(1)イ、ウ スローンのリスクについて直接認識することができた。また、代表取締役として管掌取締役の職務が明確でなかった状況に即して高度の注意を払って監視監督を行うことが要求される立場にあった(前記2(1)イ、ウ)。 イそして、前記(1)ないし(3)の本件4根拠事実に関する事情等からすると、被告Ⓚは、前記(5)イと同様に、債権保全措置に係る監視監督 義務として、遅くとも平成29年7月末日までに当時の債権保全措置の合理的な根拠がないシェアハウスローンの融資を停止し、これまでの債権保全措置の合理性の有無を調査する義務があったが、これを怠ったといえる。 ウ被告Ⓚは、前記(5)ウ及びエと同様の主張をする。しかしながら、同ウ及びエで説示するほか、被告Ⓚは、前記(1)ないし(4)の事情を直 接認識でき、代表取締役として対応策を決めるべき立場にあったことからすると、上記主張はいずれも採用できない。 エ以上のとおり、被告Ⓚは、債権保全措置に係る監視監督義務として、遅くとも平成29年7月末日までに当時の債権保全措置の合理的な根拠がないシェアハウスローンの融資を停止し、これまでの債権保全措置の合理性 の有無を調査する義務があったが、これを怠った任務懈怠があると認める- 321 - のが相当である。 (9)被告Ⓛの任務懈怠の有無ア被告Ⓛは、経営管理部、市場金融部の管掌取締役として、サクト会議にすべて出席しており、サクト会議において明らかになったシェアハウスローンのリスクについて直接認識することができた。被告Ⓛは、サクト会議 において、仕組み融資ではないかとサブリース業者の集中リスクについて指摘するとともに、リスク資本のバッファーが約2000億円あるなどシェアハウスローンの信用不安が現実化した場合の原告全体の影響について発言をし 組み融資ではないかとサブリース業者の集中リスクについて指摘するとともに、リスク資本のバッファーが約2000億円あるなどシェアハウスローンの信用不安が現実化した場合の原告全体の影響について発言をしている(前記1(6)コ(ウ)及び(ク))。 イそして、被告Ⓛは、営業部門や審査部門といった融資実行に直接関わる 部門の管掌取締役ではないが、前記(1)ないし(3)の本件4根拠事実に関し認識できた事情等からすると、債権保全措置義務を負う銀行の取締役として、当時の債権保全措置の合理的な根拠がないシェアハウスローンの融資を停止する判断ができ、これを代表取締役及び営業部門や審査部門の管掌取締役に進言すべきであったといえる。したがって、前記(5)イ と同様に、債権保全措置に係る監視監督義務として、遅くとも平成29年7月末日までに当時の債権保全措置の合理的な根拠がないシェアハウスローンの融資を停止し、これまでの債権保全措置の合理性の有無を調査する義務があったが、これを怠ったといえる。 ウ被告Ⓛは、前記(5)ウ及びエと同様の主張のほか、サクト会議後、資 本配賦額の増額を検討するよう指示をするなど対処してきたことなどを主張する。しかしながら、これらの対応は、シェアハウスローンにおいて具体的に原告に損害が発生することを想定した会社全体の収支等に係るものであり、前記イのように不合理な融資による損害を防ぐためのものとはいえない。また、被告Ⓛは、前記(1)ないし(4)の事情を直接認識でき たことからすると、上記主張はいずれも採用できない。 - 322 - エ以上のとおり、被告Ⓛは、債権保全措置に係る監視監督義務として、遅くとも平成29年7月末日までに当時の債権保全措置の合理的な根拠がないシェアハウスローンの融資を停止し、これま 322 - エ以上のとおり、被告Ⓛは、債権保全措置に係る監視監督義務として、遅くとも平成29年7月末日までに当時の債権保全措置の合理的な根拠がないシェアハウスローンの融資を停止し、これまでの債権保全措置の合理性の有無を調査する義務があったが、これを怠った任務懈怠があると認めるのが相当である。 9 平成29年7月時点における被告Ⓕの任務懈怠の有無(1)被告Ⓕは、創業家出身であり、平成29年7月時点において代表取締役の地位にあり、管掌取締役の職務が明確でなかった状況に即して高度の注意を払って監視監督を行うことが要求される立場にあった(前記2(1)イ、ウ)。 (2)亡Ⓘは、第4回サクト会議前に被告Ⓕにサクト案件の問題等について説明 した上で、第4回サクト会議冒頭において、被告Ⓕからの伝言として、一部部署の責任を追及するのではなく、シェアハウスについて銀行全体として対応策をとる旨話をした(前記1(6)コ(ア)、(イ))。 被告Ⓕは、第4回サクト会議に関し、会議前の亡Ⓘとのやりとりではあくまでサクトという特定の業者に関する対応策を協議し、シェアハウスローン 全体の問題点や見直しに関する話はなかった旨、亡Ⓘより会議の内容について報告を受けたこともない旨述べる。 しかしながら、亡Ⓘは、自らシェアハウス全件調査に関与する(前記1(6)ケ)などシェアハウスの問題に積極的に取り組んでおり、第4回サクト会議においては融資残高1000億円を超えるシェアハウスローン全体やそのう ち600億円を超えるスマートライフの今後の対応を協議し、対応策としてシェアハウスローンの実行額を月平均50億円から月10億円レベルにするなど原告の収益等に大きな影響のある内容を含んでいることからすると、被告Ⓕに説明する機会がありながら、あえて説 議し、対応策としてシェアハウスローンの実行額を月平均50億円から月10億円レベルにするなど原告の収益等に大きな影響のある内容を含んでいることからすると、被告Ⓕに説明する機会がありながら、あえて説明しない動機を見出し難い。また、亡Ⓘにおいて、会社内部で保存し被告Ⓕも閲読する可能性のある議事録 に残る会議において、被告Ⓕに無断で、虚偽の発言を伝言し、上記のような- 323 - 原告の収益等に大きな影響のある事項について結論を決めることは考え難い。 これらの事情からすると、被告Ⓕの上記供述は信用できず、被告Ⓕは、亡Ⓘから、上記の第4回サクト会議の議事録の伝言にあるように、シェアハウスについて銀行全体の対応策を協議するものであること、シェアハウス全件調査等をめぐり営業部門と審査部門で対立が生じていることなどの説明を受 けたと推認される。 (3)そして、サクトが破綻したという状況下において、被告Ⓕにおいて前記(2)のとおり亡Ⓘからの説明を受ければ、原告の収益等に大きく影響する規模でシェアハウスローンにおいてリスク分析上の問題点が生じていることを認識することができたといえ、代表取締役としてサクト会議の内容を積極的に把 握することが求められたというべきである。サクト会議の内容を把握すれば、前記8(1)ないし(3)の第4回サクト会議までに明らかになった本件4根拠事実に関する事実の内容を認識し、シェアハウスローンについて債権保全措置の合理的な根拠がない状態があることを認識できたといえる。 しかしながら、被告Ⓕは、第4回サクト会議後の対応策において上記の債 権保全措置の合理的な根拠がない状態を速やかに解消する対策をとらず、また、対応策に従った具体的な調査や検討も十分に行わず、前記8(4)のとおり、債権保全措置の合理的な根 応策において上記の債 権保全措置の合理的な根拠がない状態を速やかに解消する対策をとらず、また、対応策に従った具体的な調査や検討も十分に行わず、前記8(4)のとおり、債権保全措置の合理的な根拠がないシェアハウスローンの融資が継続された。このような被告Ⓕの対応は、判断内容及び過程において著しく合理性を欠くものとして、債権保全措置に係る監視監督義務に反するというべき であり、前記8(5)イと同様に、債権保全措置に係る監視監督義務として、遅くとも平成29年7月末日までに当時の債権保全措置の合理的な根拠がないシェアハウスローンの融資を停止する義務があったが、これを怠ったといえる。 (4)被告Ⓕは、原告の渉外業務を中心に担当しており、営業と審査(融資管理 を含む)に係るものは被告Ⓚやこれを支える管掌取締役らが担当していたこ- 324 - とから、第4回サクト会議までに明らかになった本件4根拠事実に関する事実の内容を認識すべき立場になかったことや信頼の原則が適用されることなどを主張する。 しかしながら、サクト会議で明らかになったシェアハウスローンに関し原告の収益等に大きな影響のある内容について、亡Ⓘら他の役員が創業家出身 の代表取締役である被告Ⓕに無断で原告の方策を推し進めることは想定し難い。また、原告の代表取締役は、管掌取締役の職務が明確でなかった状況に即して高度の注意を払って監視監督を行うことが要求される立場にあり(前記2(1)イ及びウ)、原告の収益等に大きな影響のあるリスク上の問題について積極的に把握すべきであったといえる。その他被告Ⓕの主張する事情 によって、前記(1)ないし(3)の判断は否定されるものではない。 (5)以上のとおり、被告Ⓕは、債権保全措置に係る監視監督義務として、遅くとも平成29年 いえる。その他被告Ⓕの主張する事情 によって、前記(1)ないし(3)の判断は否定されるものではない。 (5)以上のとおり、被告Ⓕは、債権保全措置に係る監視監督義務として、遅くとも平成29年7月末日までに当時の債権保全措置の合理的な根拠がないシェアハウスローンの融資を停止する義務があったが、これを怠った任務懈怠があると認めるのが相当である。 10 平成28年1月時点における亡Ⓜ、平成28年12月時点における被告Ⓖ及び被告Ⓔの内部統制システム構築運用義務違反について(1)シェアハウスローンに関する不正行為等ア危機管理委員会及び第三者委員会の調査結果によれば、シェアハウスローンに関する不正行為はシェアハウス類型の5割程度で認められたとこ ろ、顧客が原告に提出する自己資金の残高を証明する通帳等の偽造、本来よりも多額の融資を受けるために実際の売買契約書とは別の売買代金額を水増しした売買契約書の作成(二重契約)などのチャネルによる融資関係書類等の偽装が認定されているほか、原告の行員が原本確認を懈怠していたことや、当該偽装の可能性について認識していたと考えられることが 指摘されている(前記1(7)エ、キ、サ)。 - 325 - 銀行の行員としては、融資の回収可能性を正確に判断するために、虚偽のない融資関係書類等を徴収するのが当然の業務であって、融資関係書類等の偽装の可能性を認識しながらこれを黙認することは通常は考えられない。ましてや、前記(4)のようなコンプライアンス体制及びリスク管理体制に加え、前記5(2)で説示したような原本確認の履行体制が構築 されていた原告において、行員が原本確認を懈怠し、上記のようなシェアハウスローンに関する不正行為の可能性を認識しつつこれを黙認するよう え、前記5(2)で説示したような原本確認の履行体制が構築 されていた原告において、行員が原本確認を懈怠し、上記のようなシェアハウスローンに関する不正行為の可能性を認識しつつこれを黙認するような行為が組織的に横行することは、たとえ営業担当者に対する過大な営業ノルマやパワハラ等があったとしても、容易には想定し難い事態である。 イ被告取締役らは、各種会議などにおいて、チャネルによる団信診断書の 偽造やその他の融資関係書類等の偽装、原告の行員による原本確認の懈怠に関する報告を受けていたが、前記5(2)で説示したところによれば、それらはあくまで個別の事案に関する報告にすぎず、組織的な不正行為の兆候を示すものとはいえない。そして、当該事案に係る調査結果においても、原告の行員が偽造に直接関与している可能性は極めて低く、偽造書類 の受入れの認識及び黙認等による不適切なローンの取扱いの事実は認められないなどと報告されていることに加え、業務手続の改定や対象チャネルとの取引停止などの再発防止策が講じられたことも踏まえれば、被告取締役らにおいて、上記のようなシェアハウスローンに関する不正行為等が組織的にまん延していることを認識し又は認識し得たとはいえない。 そうすると、仮に危機管理委員会及び第三者委員会が認定したように、シェアハウスローンに関し、融資関係書類等の偽装などの不正行為が行われ、原告の行員においても原本確認を懈怠し、当該偽装の可能性を認識しつつこれを黙認するような行為が組織的に横行していたとしても、被告取締役らにおいて当該不正行為等を予見すべきであった特別な事情は認め られず、他にこれを認めるに足りる証拠もない。 - 326 - ウまた、コンプライアンス違反等の通報が寄せられた際に原告の実施し 該不正行為等を予見すべきであった特別な事情は認め られず、他にこれを認めるに足りる証拠もない。 - 326 - ウまた、コンプライアンス違反等の通報が寄せられた際に原告の実施した調査が不十分であるとはうかがわれず、過去に原告において上記アの事態と同様の事象が発生していたとも認められないことに照らすと、原本確認及び融資関係書類等の偽装に関する通報等の際に当該事態を確認できなかったことをもって、前記(4)の原告の内部統制システムが機能してい なかったということもできない。 (2)原告の主張に対する判断ア原告は、要旨、被告取締役らにおいて、内部統制システムが適切に構築され又は有効に機能しているか否かを監視監督する義務を負うことを前提に、原告の内部統制システムには債権保全措置に関する機能不全が生じて いたから、これを是正するための体制(①原本確認を徹底できる体制、②シェアハウスの特性を踏まえた入居率調査の体制、③不芳業者の情報を全社的・組織的に共有する体制、④審査が実質的に機能する体制、⑤重要な情報を全社的・組織的に適時かつ適切に伝達・共有できる体制)を整備すべきであった旨主張する。 イしかしながら、以下のとおり、少なくとも平成28年12月までの時点において、上記体制を整備すべきであったとはいえない。 ①については、原告では、シェアハウスローン問題の発生以前にも原本確認の履行体制が構築されており、原告の行員が原本確認を懈怠し、融資関係書類等の偽装の可能性を認識しつつこれを黙認するような行為が組 織的に横行するという通常容易には想定し難い事態を予見すべきであった特別な事情も認められない状況であった。このような状況に鑑みると、危機管理委員会及び第三者委員会により上記事態が報告さ が組 織的に横行するという通常容易には想定し難い事態を予見すべきであった特別な事情も認められない状況であった。このような状況に鑑みると、危機管理委員会及び第三者委員会により上記事態が報告された後の平成31年3月25日及び令和元年7月30日に発出された各通達に基づく原本確認手続(前記1(7)コ)と同程度の厳格な手続が、シェアハウス ローン問題の発生以前の段階で求められていたということはできず(前記- 327 - 1(7)ケ)、当時の原告における原本確認体制それ自体に不備があったとは認められない。 ②については、原告においては、シェアハウスについても定期的な物件調査が実施され、現地で事業の稼働状況が確認されており、併せてシェアハウスローンにつき期中管理としてサブリース料の入金確認が行われ、ス マートライフ等のサブリース会社に自転車操業のリスクがあるなどの議論は特段交わされておらず、スマートライフの財務状況に問題があることをうかがわせるような事情もなかった。当時の金融機関の期中管理の実情(前記1(7)ケ)も踏まえると、それを超えた入居率調査が求められていたということはできず、当時の原告における原本確認体制それ自体に不 備があったとは認められない。 上記③については、原告においては、チャネルPRMを用いてチャネルに関する不芳情報を管理し、不芳情報が寄せられたチャネルとの取引を停止する制度が構築されており、他の金融機関と比較しても劣るものではなかった(前記1(4)イ(イ)、(7)ケ)。そうすると、当時の原告に おけるチャネル等の管理体制に不備があったとは認められない。 上記④については、シェアハウスローンの融資手続は、他の融資と同様に、資産形成ローン事務取扱要領に基づき、外部の不動産 時の原告に おけるチャネル等の管理体制に不備があったとは認められない。 上記④については、シェアハウスローンの融資手続は、他の融資と同様に、資産形成ローン事務取扱要領に基づき、外部の不動産鑑定会社に依頼して担保評価を行った上で、審査が承認されて融資が実行され、審査部においては、本来承認すべきでない融資案件についてまで審査を承認してい たわけではなく、疑義のある融資案件については営業に資料を要求することもあった。これらの事実を踏まえると、当時の原告の審査体制が、実質的に機能不全に陥っているとみるべきほどに形骸化したものであったとは認められない。 上記⑤については、後記エで説示するところによれば、原告において、 シェアハウスローンに係る債権保全措置に関する機能不全が生じていた- 328 - ことを基礎付けるほどの重要な情報が断絶されていたとは認められない。 以上によれば、原告の内部統制システムについて、シェアハウスローン類型に係る債権保全措置に関する機能不全が生じていたということはできない。そして、被告取締役らが当該機能不全を認識し又は認識し得たとも認められない。したがって、被告取締役らにおいて、原告の内部統制シス テムが適切に構築され又は有効に機能しているか否かを監視監督する義務に違反したとは認められない。 ウまた、原告は、管掌取締役に関し、その管掌部門につき内部統制システムを監視監督等する義務を負う旨主張するが、前記2(1)イ及びウで説示した管掌取締役の職務内容等に照らせば、管掌取締役を務めていた被告 取締役らにおいて、原告の主張するような内部統制システムを監視監督等する義務を負っていたとは認められない。 エ原告は、亡Ⓜについて、要旨、原告の内部統制システムの一部を構成する いた被告 取締役らにおいて、原告の主張するような内部統制システムを監視監督等する義務を負っていたとは認められない。 エ原告は、亡Ⓜについて、要旨、原告の内部統制システムの一部を構成する信用リスク管理体制を自ら無効化し、機能不全に陥らせたから、業務遂行上の重大なリスクの発生を予見すべき特別な事情が存在し、信用リスク 管理体制の機能を回復させるべき義務を負っていた旨主張する。 しかし、出口会議では、あくまで個別の融資に係る問題点の指摘や、それを踏まえた提言が行われていたにすぎず、そこで取り上げられた過去の融資以外に、シェアハウスローン類型を含む他の多数の収益不動産ローンにおいて現に同様の問題が生じていることを示すものはなかった。そうす ると、亡Ⓜは、出口会議において、シェアハウスローン類型に関わる重大なリスクなど、原告の経営に関わる重大な情報について報告を受けていたとは認められない。また、同会議で取り上げられた情報をどのような形で他の取締役らと共有し、業務に還元するかについては、亡Ⓜの合理的な裁量にゆだねられているといえ、そのままの形で情報を共有しなければなら ないというものではなく、亡Ⓜが、およそ原告の経営上の重大なリスクに- 329 - つながり得る情報を断絶していたとは認められない。 Ⓣは、亡Ⓜが営業・審査などの原告の業務全般に関与し、取締役会や経営会議に諮る前に意思決定の内容を決めていた旨供述する。しかし、Ⓣは、取締役会や経営会議での議論の様子等を直接見たことがないとも供述しており、そうすると、実際のところ、亡Ⓜがいかなる事項につき取締役会や 経営会議に諮らず、実質的な最高意思決定者として営業・審査などの原告の業務全般に関与していたかは明らかでない。仮に、亡Ⓜが個別の融資等の関係で事 際のところ、亡Ⓜがいかなる事項につき取締役会や 経営会議に諮らず、実質的な最高意思決定者として営業・審査などの原告の業務全般に関与していたかは明らかでない。仮に、亡Ⓜが個別の融資等の関係で事実上の最終承認者となっていた実態があったとしても、被告Ⓕの供述等も踏まえれば、亡Ⓜが原告の経営に影響を及ぼす重大な事項についてまで、取締役会や経営会議に諮らずに自ら決定していた事実はうかが われず、他にそのような事実を認めるに足りる証拠もない。 以上によれば、少なくとも亡Ⓜは、シェアハウスローン問題など原告の経営上の重大なリスクにつながり得る情報について、他の被告取締役らに対して共有せずに情報を断絶していたとは認められず、シェアハウスローンに関して信用リスク管理体制を機能不全に陥らせたとはいえない。した がって、亡Ⓜにおいて、原告の信用リスク管理体制を整えるべき何らかの法的義務を負っていたとは認められず、これに反する原告の主張は採用することができない。 (3)小括以上説示したところによれば、亡Ⓜ、被告Ⓖ及び被告Ⓔにおいて、シェア ハウスローン問題の発生を防止するための内部統制システム構築運用義務に違反したということはできない。 11 争点3(原告の損害)について(1)シェアハウスローンに係る融資金の損害についてア被告Ⓕ、被告Ⓖ、被告Ⓗ、亡Ⓘ、被告Ⓚ及び被告Ⓛは、平成29年7月 5日時点で、監視監督義務を果たしていれば、原告の内部組織における事- 330 - 務手続等にかかる時間を考慮しても、遅くとも同年8月1日時点では、新規のシェアハウスローンの実行を停止することが可能であったというべきである。 そして、同日以降に新規に融資が実行されたシェアハウスローン(別紙4記載の各融資。以下「本件 も同年8月1日時点では、新規のシェアハウスローンの実行を停止することが可能であったというべきである。 そして、同日以降に新規に融資が実行されたシェアハウスローン(別紙4記載の各融資。以下「本件シェアハウスローン」という。)に係る融資 金は、合計36億2380万円であったことが認められる(甲259、260)。 イ原告は、金融庁に提出した業務改善計画の下、シェアハウスローンの債務者らに対する対応の一環として、令和2年3月から令和4年9月にかけて、シェアハウスローンの債務者らが集団で申し立てた民事調停における 調停委員会の調停勧告に基づき、当該債務者らに対するシェアハウスローン債権を一括して債権譲渡するための入札手続を実施した上で、当該債務者らに対し、債権譲渡前のシェアハウスローン残高から最高額を入札した落札者の付した価格を控除した額の解決金支払債務を負い、当該債務とシェアハウスローン債権を対当額で相殺し、シェアハウスローン債権を落札 者に譲渡したことが認められる(甲288の1ないし290の4、292ないし294)。 この点、上記の債権譲渡においては、シェアハウスローンの債務者らが所有する担保物件をもって代物弁済をすることによりシェアハウスローン債権が消滅するから(甲290の1ないし4、292ないし294)、シ ェアハウスローン債権の落札価格は実質的に担保物件の評価額に合致するといえる。 調停勧告は、原告がシェアハウスローンの債務者らに対して定型的に不法行為に基づく損害賠償債務を負い、その損害額は現時点におけるシェアハウスローン債権の残高から担保物件の評価額を控除した額を下回るこ とは定型的にないことを前提としたものである(甲289の1ないし4の- 331 - 2)。仮に、原告が調 におけるシェアハウスローン債権の残高から担保物件の評価額を控除した額を下回るこ とは定型的にないことを前提としたものである(甲289の1ないし4の- 331 - 2)。仮に、原告が調停勧告を受け入れなかった場合には、シェアハウスローンの債務者らから当該前提に立った主張が行われ、シェアハウスローン問題に係る紛争の長期化が予想される状況であり、仮に、例えば、原告の顧客に対する不法行為の成否を争い、過失相殺等を主張するなどし、その主張が容れられたとしても、結局、顧客の資産状況等によっては、当該 担保物件の評価額以上に債権を回収できる可能性が高いとはいえない状況であったと推認できる。一方で、原告は、シェアハウスローン問題を契機に金融庁から業務の一部停止命令及び業務改善命令を受け(前記1(7)ク)、シェアハウスローン問題の早期解決を図る必要性があり、上記の調停勧告を受け入れてシェアハウスローンの債務者らと集団的に調停を成 立させることは、これに応えるものであった。 これらの事実を踏まえると、原告が、上記の調停勧告に基づき、シェアハウスローン債権を譲渡することによってその回収不能額を確定させたことは、シェアハウスローン問題の解決とこれによる損失確定の選択として合理的なものであったものと認められる。 ウ本件シェアハウスローンのうち、別紙4の「損失確定先」欄に「●」が記載された融資については、令和6年3月末時点で、上記イの調停勧告に基づいて行われたシェアハウスローン債権の譲渡や債務者の破産等により回収不能が確定したものであり、その回収不能額が合計13億3521万1789円であることが認められる(甲259の1ないし72、260の 1ないし27、261の1ないし3、262の1ないし3、305の1及び2 たものであり、その回収不能額が合計13億3521万1789円であることが認められる(甲259の1ないし72、260の 1ないし27、261の1ないし3、262の1ないし3、305の1及び2、弁論の全趣旨)。 上記の回収不能額は、被告Ⓕ、被告Ⓖ、被告Ⓗ、亡Ⓘ、被告Ⓚ及び被告Ⓛが監視監督義務を果たし、本件シェアハウスローンの実行が停止されていれば発生しなかった損失であるというべきである。したがって、本件シ ェアハウスローンのうち回収不能が確定した13億3521万1789円- 332 - については、被告Ⓕ、被告Ⓖ、被告Ⓗ、亡Ⓘ、被告Ⓚ及び被告Ⓛの監視監督義務違反による任務懈怠と相当因果関係を有する損害と認められる。 エなお、原告は、主位的に、シェアハウスローンが実行されることにより、原告が融資金と同額の金銭を失うことになるから、シェアハウスローンに係る融資金相当額が損害となる旨を主張する。 しかし、原告は、当然のことながら、債務者から返済を受け、又は物件に設定した担保権を実行して融資金を回収することを前提に、シェアハウスローンを実行して融資金を支出するのであるから、シェアハウスローンの実行により支出された融資金相当額がそのまま損害になることを前提とする原告の主張は採用できない。 そして、本件シェアハウスローンのうち、別紙4の「損失確定先」欄に「●」の記載がない融資については、回収不能額が確定したこと、すなわち具体的な損害額の立証がなく、今後、債務者からの返済や担保権の実行により融資金が回収できる可能性も否定できないことを踏まえると、現時点において損害が発生したと認めることはできない。 オまた、前記調停に係る勧告は、原告がシェアハウスローンの債務者らに対して定型的に負う損害賠償 可能性も否定できないことを踏まえると、現時点において損害が発生したと認めることはできない。 オまた、前記調停に係る勧告は、原告がシェアハウスローンの債務者らに対して定型的に負う損害賠償債務額はシェアハウスローン債権の残高から担保物件の評価額を控除した額を下回ることは定型的にないことを前提としており、これは、原告において、顧客との関係においても、事業計画の合理性や担保評価の適正の観点からリスク分析等を尽くすべきであったこ とを前提としているものと解される。そうすると、上記ウの本件シェアハウスローンのうち回収不能額が確定したことによる損失は、シェアハウスローンにつき融資類型としての債権保全措置がとられていないことに起因する債権回収上の内在的なリスクが現実化したものとみるべきである。 したがって、上記ウの損害について、個々の融資において回収不能に結 び付いた要因等が明らかでないことをもって、前記8及び9で認定した被- 333 - 告Ⓕ、被告Ⓖ、被告Ⓗ、亡Ⓘ、被告Ⓚ及び被告Ⓛの監視監督義務違反による任務懈怠と間の相当因果関係が否定されるものではなく、これに反する被告Ⓕ、被告Ⓖ及び被告Ⓗらの主張は採用することができない。 (2)信用毀損の損害についてアシェアハウスローン問題の発生後、原告が設置した危機管理委員会及び 第三者委員会からは、シェアハウスローン問題に関し、チャネルによる融資関係書類等の偽装や原告の行員による原本確認の懈怠があったこと、その背景にある原告の営業優位の企業風土に起因する営業及び審査体制の問題、コンプライアンスや経営管理体制に関する問題などを指摘する調査結果が報告された。そして、原告は、金融庁から、銀行法の規定に基づき、 シェアハウスローン等に関する不正行為や適切な信用 制の問題、コンプライアンスや経営管理体制に関する問題などを指摘する調査結果が報告された。そして、原告は、金融庁から、銀行法の規定に基づき、 シェアハウスローン等に関する不正行為や適切な信用リスク管理及び営業に対する牽制機能の欠如などを理由として、金融庁から、銀行法の規定に基づく業務の一部停止命令及び業務改善命令を受けた(前記1(7)エないしク)。 このような一連の過程において、原告に対する社会一般からの信用は大 きく失われた。そして、このことにより原告から顧客が離れ、本来であれば確保できたはずの融資実行の機会を失ったこと等を観念することができるから、その損害額は別として、シェアハウスローン問題の発生を契機とする信用毀損により、原告が損害を被ったものと認めることができる。 イもっとも、平成29年3月時点で、シェアハウスローンの融資残高は1 757億52万円(建物完成済みの融資残高は約1086億円であり、そのうちスマートライフのブランドが表示されている物件は約618億円)であったところ(前記1(6)コ(エ))、上記(1)アのとおり、平成29年8月1日以降新規融資が実行されたシェアハウスローンに係る融資金は合計約36億円であり、上記のシェアハウスローンの融資残高に占め る割合としては2%程度にすぎない。 - 334 - そうすると、原告がシェアハウスローンの取扱いを全社レベルで終結するまでの間において、平成29年7月末時点では原告が取り扱ったシェアハウスローンの大半が既に実行されていたのであるから、仮に被告Ⓕ、被告Ⓗ、亡Ⓘ、被告Ⓖ、被告Ⓚ及び被告Ⓛが監視監督義務を果たし、同年8月1日以降、本件シェアハウスローンの実行を停止できたとしても、その 他の実行済みの大半のシェアハウスローンにつきリスクが顕 被告Ⓗ、亡Ⓘ、被告Ⓖ、被告Ⓚ及び被告Ⓛが監視監督義務を果たし、同年8月1日以降、本件シェアハウスローンの実行を停止できたとしても、その 他の実行済みの大半のシェアハウスローンにつきリスクが顕在化することにより、いずれにしてもシェアハウスローン問題が発生することは避けられなかったといわざるを得ない。したがって、仮に被告Ⓕ、被告Ⓗ、被告Ⓖ、亡Ⓘ、被告Ⓚ及び被告Ⓛが監視監督義務を果たしても、上記アのようなシェアハウスローン問題の発生を契機とする原告の信用毀損が生じ ることは不可避であり、当該信用毀損による損害を減少させることができたとも認め難く、そのように認めるに足りる証拠もない。 ウ以上説示したところによれば、シェアハウスローン問題の発生を契機とする原告の信用毀損による損害が生じたとしても、当該損害は、被告Ⓕ、被告Ⓖ、被告Ⓗ、亡Ⓘ、被告Ⓚ及び被告Ⓛの監視監督義務違反による任務 懈怠と相当因果関係を有するものとは認められない。 第4 結論以上によれば、亡Ⓜ及び被告Ⓔは、シェアハウスローン類型に関し、取締役としての善管注意義務ないし忠実義務に違反したということはできず、原告に対する会社法423条1項に基づく損害賠償責任は認められないが、被告Ⓕ、 亡Ⓘ、被告Ⓚ、被告Ⓖ、被告Ⓗ及び被告Ⓛは、平成29年7月5日時点において、シェアハウスローン類型の債権保全措置に係る監視監督義務に違反したと認められるから、原告に対して会社法423条1項に基づく損害賠償責任を負う。 よって、主文のとおり判決する。仮執行宣言は相当でないものと認め、これ を付さない。 - 335 - 静岡地方裁判所民事第1部 裁判長裁判官日野直子 裁判官成岡勇 め、これ を付さない。 - 335 - 静岡地方裁判所民事第1部 裁判長裁判官日野直子 裁判官成岡勇哉 裁判官島添聡一郎は差支えのため署名押印できない。 裁判長裁判官日野直子 - 336 - (別紙)請求の趣旨第1 原告の請求の趣旨1⑴ 被告Ⓐは、原告に対し、被告Ⓕと連帯して17億円(ただし10億円の限度で被告Ⓖ、被告Ⓔ、被告Ⓗ、被告Ⓙ、被告Ⓚ及び被告Ⓛと連帯して)及び これに対する平成30年12月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ⑵ 被告Ⓑ、被告ⓒ及び被告Ⓓは、それぞれ、原告に対し、被告Ⓕ、被告Ⓖ、被告Ⓔ、被告Ⓗ、被告Ⓙ、被告Ⓚ及び被告Ⓛと連帯して5億6666万6666円及びこれに対する平成30年12月14日から支払済みまで年5分の 割合による金員を支払え。 ⑶ 被告Ⓕは、原告に対し、34億円(ただし17億円の限度で被告Ⓐと連帯して、各5億6666万6666円の限度で被告Ⓑ、被告ⓒ及び被告Ⓓとそれぞれ連帯して、10億円の限度で被告Ⓖ、被告Ⓔ、被告Ⓗ、被告Ⓙ、被告Ⓚ及び被告Ⓛと連帯して)及びこれに対する平成30年12月14日から支 払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ⑷ 被告Ⓖは、原告に対し、被告Ⓐ、被告Ⓕ、被告Ⓔ、被告Ⓗ、被告Ⓙ、被告Ⓚ及び被告Ⓛと連帯して10億円(ただし各5億6666万6666円の限度で被告Ⓑ、被告ⓒ及び被告Ⓓとそれぞれ連帯して)及びこれに対する平成30年12月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ⑸ 被告Ⓔは、原告に対し、被告Ⓐ、被告Ⓕ、被告Ⓖ、被告Ⓗ、 、被告ⓒ及び被告Ⓓとそれぞれ連帯して)及びこれに対する平成30年12月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ⑸ 被告Ⓔは、原告に対し、被告Ⓐ、被告Ⓕ、被告Ⓖ、被告Ⓗ、被告Ⓙ、被告Ⓚ及び被告Ⓛと連帯して10億円(ただし各5億6666万6666円の限度で被告Ⓑ、被告ⓒ及び被告Ⓓとそれぞれ連帯して)及びこれに対する平成30年12月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ⑹ 被告Ⓗは、原告に対し、被告Ⓐ、被告Ⓕ、被告Ⓖ、被告Ⓔ、被告Ⓙ、被告 Ⓚ及び被告Ⓛと連帯して10億円(ただし各5億6666万6666円の限- 337 - 度で被告Ⓑ、被告ⓒ及び被告Ⓓとそれぞれ連帯して)及びこれに対する平成30年12月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ⑺ 被告Ⓙは、原告に対し、被告Ⓐ、被告Ⓕ、被告Ⓖ、被告Ⓔ、被告Ⓗ、被告Ⓚ及び被告Ⓛと連帯して10億円(ただし各5億6666万6666円の限度で被告Ⓑ、被告ⓒ及び被告Ⓓとそれぞれ連帯して)及びこれに対する平成 30年12月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ⑻ 被告Ⓚは、原告に対し、被告Ⓐ、被告Ⓕ、被告Ⓖ、被告Ⓔ、被告Ⓗ、被告Ⓙ及び被告Ⓛと連帯して10億円(ただし各5億6666万6666円の限度で被告Ⓑ、被告ⓒ及び被告Ⓓとそれぞれ連帯して)及びこれに対する平成30年12月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ⑼ 被告Ⓛは、原告に対し、被告Ⓐ、被告Ⓕ、被告Ⓖ、被告Ⓔ、被告Ⓗ、被告Ⓙ及び被告Ⓚと連帯して10億円(ただし各5億6666万6666円の限度で被告Ⓑ、被告ⓒ及び被告Ⓓとそれぞれ連帯して)及びこれに対する平成30年12月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を Ⓙ及び被告Ⓚと連帯して10億円(ただし各5億6666万6666円の限度で被告Ⓑ、被告ⓒ及び被告Ⓓとそれぞれ連帯して)及びこれに対する平成30年12月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2⑴ 被告Ⓐは、原告に対し、被告Ⓕ、被告Ⓖ、被告Ⓔ、被告Ⓗ、被告Ⓙ、被告 Ⓚ及び被告Ⓛと連帯して5000万円及びこれに対する平成30年12月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ⑵ 被告Ⓑ、被告ⓒ及び被告Ⓓは、それぞれ、原告に対し、被告Ⓕ、被告Ⓖ、被告Ⓔ、被告Ⓗ、被告Ⓙ、被告Ⓚ及び被告Ⓛと連帯して1666万6666円及びこれに対する平成30年12月14日から支払済みまで年5分の割合 による金員を支払え。 ⑶ 被告Ⓕ、被告Ⓖ、被告Ⓔ、被告Ⓗ、被告Ⓙ、被告Ⓚ及び被告Ⓛは、原告に対し、連帯して1億円(ただし5000万円の限度で被告Ⓐと連帯して、各1666万6666円の限度で被告Ⓑ、被告ⓒ及び被告Ⓓとそれぞれ連帯して)及びこれに対する平成30年12月14日から支払済みまで年5分の割 合による金員を支払え。 - 338 - 第2 共同訴訟参加人らの請求の趣旨1⑴ 被告Ⓐは、原告に対し、358億2901万円(ただし202億0949万円の限度で被告Ⓖ及び被告Ⓔと連帯して、100億6103万円の限度で被告Ⓕ、被告Ⓗ、被告Ⓙ及び被告Ⓚと連帯して、80億4902万円の限度で被告Ⓛと連帯して)並びにうち17億円に対する平成30年12月14日 から及びうち341億2901万円に対する平成31年4月25日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ⑵ 被告Ⓑ、被告ⓒ及び被告Ⓓは、それぞれ、原告に対し、被告Ⓖ及び被告Ⓔと連帯して119億4300万3333円(ただし100億6103万円の ら各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ⑵ 被告Ⓑ、被告ⓒ及び被告Ⓓは、それぞれ、原告に対し、被告Ⓖ及び被告Ⓔと連帯して119億4300万3333円(ただし100億6103万円の限度で被告Ⓕ、被告Ⓗ、被告Ⓙ及び被告Ⓚと連帯して、80億4902万円 の限度で被告Ⓛと連帯して)並びにうち5億6666万6666円に対する平成30年12月14日から及びうち113億7633万6667円に対する平成31年4月25日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ⑶ 被告Ⓕは、原告に対し、被告Ⓐ、被告Ⓑ、被告ⓒ、被告Ⓓ、被告Ⓖ、被告 Ⓔ、被告Ⓗ、被告Ⓙ及び被告Ⓚと連帯して100億6103万円(ただし80億4902万円の限度で被告Ⓛと連帯して)並びにうち34億円に対する平成30年12月14日から及びうち66億6103万円に対する平成31年4月25日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ⑷ 被告Ⓖは、原告に対し、被告Ⓐ及び被告Ⓔと連帯して202億0949万 円(ただし各119億4300万円の限度で被告Ⓑ、被告ⓒ及び被告Ⓓとそれぞれ連帯して、100億6103万円の限度で被告Ⓕ、被告Ⓗ、被告Ⓙ及び被告Ⓚと連帯して、80億4902万円の限度で被告Ⓛと連帯して)並びにうち10億円に対する平成30年12月14日から及びうち192億0949万円に対する平成31年4月25日から各支払済みまで年5分の割合に よる金員を支払え。 - 339 - ⑸ 被告Ⓔは、原告に対し、被告Ⓐ及び被告Ⓖと連帯して202億0949万円(ただし各119億4300万円の限度で被告Ⓑ、被告ⓒ及び被告Ⓓとそれぞれ連帯して、100億6103万円の限度で被告Ⓕ、被告Ⓗ、被告Ⓙ及び被告Ⓚと連帯して、80億4902万円の限 02億0949万円(ただし各119億4300万円の限度で被告Ⓑ、被告ⓒ及び被告Ⓓとそれぞれ連帯して、100億6103万円の限度で被告Ⓕ、被告Ⓗ、被告Ⓙ及び被告Ⓚと連帯して、80億4902万円の限度で被告Ⓛと連帯して)並びにうち10億円に対する平成30年12月14日から及びうち192億09 49万円に対する平成31年4月25日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ⑹ 被告Ⓗは、原告に対し、被告Ⓐ、被告Ⓑ、被告ⓒ、被告Ⓓ、被告Ⓕ、被告Ⓖ、被告Ⓔ、被告Ⓙ及び被告Ⓚと連帯して100億6103万円(ただし80億4902万円の限度で被告Ⓛと連帯して)並びにうち10億円に対する 平成30年12月14日から及びうち90億6103万円に対する平成31年4月25日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ⑺ 被告Ⓙは、原告に対し、被告Ⓐ、被告Ⓑ、被告ⓒ、被告Ⓓ、被告Ⓕ、被告Ⓖ、被告Ⓔ、被告Ⓗ及び被告Ⓚと連帯して100億6103万円(ただし80億4902万円の限度で被告Ⓛと連帯して)並びにうち10億円に対する 平成30年12月14日から及びうち90億6103万円に対する平成31年4月25日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ⑻ 被告Ⓚは、原告に対し、被告Ⓐ、被告Ⓑ、被告ⓒ、被告Ⓓ、被告Ⓕ、被告Ⓖ、被告Ⓔ、被告Ⓗ及び被告Ⓙと連帯して100億6103万円(ただし80億4902万円の限度で被告Ⓛと連帯して)並びにうち10億円に対する 平成30年12月14日から及びうち90億6103万円に対する平成31年4月25日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ⑼ 被告Ⓛは、原告に対し、被告Ⓐ、被告Ⓑ、被告ⓒ、被告Ⓓ、被告Ⓕ、被告Ⓖ、被告Ⓔ、被告Ⓗ、被告Ⓙ及び被告Ⓚと連帯して8 平成31年4月25日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ⑼ 被告Ⓛは、原告に対し、被告Ⓐ、被告Ⓑ、被告ⓒ、被告Ⓓ、被告Ⓕ、被告Ⓖ、被告Ⓔ、被告Ⓗ、被告Ⓙ及び被告Ⓚと連帯して80億4902万円並びにうち10億円に対する平成30年12月14日から及びうち70億490 - 340 - 2万円に対する平成31年4月25日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2⑴ 被告Ⓐは、原告に対し、被告Ⓕ、被告Ⓖ、被告Ⓔ、被告Ⓗ、被告Ⓙ、被告Ⓚ及び被告Ⓛと連帯して25億円並びにうち5000万円に対する平成30年12月14日から及びうち24億5000万円に対する平成31年4月2 5日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ⑵ 被告Ⓑ、被告ⓒ及び被告Ⓓは、それぞれ、原告に対し、被告Ⓕ、被告Ⓖ、被告Ⓔ、被告Ⓗ、被告Ⓙ、被告Ⓚ及び被告Ⓛと連帯して8億3333万3333円並びにうち1666万6666円に対する平成30年12月14日から及びうち8億1666万6667円に対する平成31年4月25日から各 支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ⑶ 被告Ⓕ、被告Ⓖ、被告Ⓔ、被告Ⓗ、被告Ⓙ、被告Ⓚ及び被告Ⓛは、原告に対し、連帯して50億円(ただし25億円の限度で被告Ⓐと連帯して、各8億3333万3333円の限度で被告Ⓑ、被告ⓒ及び被告Ⓓとそれぞれ連帯して)並びにうち1億円に対する平成30年12月14日から及びうち49 億円に対する平成31年4月25日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 以上 - 341 - (別紙当事者目録、別紙組織図及び別紙1から4までは添付省略) 員を支払え。 以上 (別紙当事者目録、別紙組織図及び別紙1から4までは添付省略)

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