平成9(行ウ)64 法人税更正処分等取消

裁判年月日・裁判所
平成14年9月20日 大阪地方裁判所
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判決文本文193,682 文字)

主文 1 承継前の被告東税務署長が,原告の平成3年4月1日から平成4年3月31日までの事業年度の法人税について平成7年6月22日付けでした更正処分のうち差引所得に対する法人税額が金568億9826万8000円を超える部分の取消しを求める訴えを却下する。 2 承継前の被告東税務署長が,原告の平成4年4月1日から平成5年3月31日までの事業年度の法人税について平成7年6月22日付けでした更正処分のうち差引所得に対する法人税額が金709億4613万9900円を超える部分の取消しを求める訴えを却下する。 3 承継前の被告東税務署長が,原告の平成元年4月1日から平成2年3月31日までの事業年度の法人税について平成7年6月22日付けでした更正処分のうち差引所得に対する法人税額が金1138億5119万9000円を超える部分及び重加算税賦課決定のうち新たに納付すべきこととなった重加算税を金4411万0500円とする部分を取り消す。 4 承継前の被告東税務署長が,原告の平成2年4月1日から平成3年3月31日までの事業年度の法人税について平成7年6月22日付けでした更正処分のうち差引所得に対する法人税額が金578億1417万0500円を超える部分及び重加算税賦課決定のうち新たに納付すべきこととなった重加算税を金6580万7000円とする部分を取り消す。 5 承継前の被告東税務署長が,原告の平成3年4月1日から平成4年3月31日までの事業年度の法人税について平成9年3月31日付けでした更正処分のうち差引所得に対する法人税額が金569億4216万5100円を超える部分,及び平成7年6月22日付けでした過少申告加算税及び重加算税賦課決定のうち新たに納付すべきこととなった過少申告加算税を金1億3139万4000円及び新たに納付すべきこととなった重 0円を超える部分,及び平成7年6月22日付けでした過少申告加算税及び重加算税賦課決定のうち新たに納付すべきこととなった過少申告加算税を金1億3139万4000円及び新たに納付すべきこととなった重加算税を金5768万0000円とする部分を取り消す。 6 承継前の被告東税務署長が,原告の平成4年4月1日から平成5年3月31日までの事業年度の法人税について平成9年3月31日付けでした更正処分のうち差引所得に対する法人税額が金709億9436万0100円を超える部分,及び平成7年6月22日付けでした過少申告加算税及び重加算税賦課決定のうち新たに納付すべきこととなった過少申告加算税を金1億1248万1000円及び重加算税を金2112万9500円とする部分を取り消す。 7 原告のその余の請求を棄却する。 8 訴訟費用は,これを3分し,その1を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求(主位的請求)1(1)承継前の被告東税務署長が,原告の平成元年4月1日から平成2年3月31日までの事業年度の法人税について平成7年6月22日付けでした更正処分のうち差引所得に対する法人税額が金1138億5119万9000円を超える部分を取り消す。 (2)承継前の被告東税務署長が,原告の平成元年4月1日から平成2年3月31日までの事業年度の法人税について平成7年6月22日付けでした重加算税賦課決定のうち新たに納付すべきこととなった重加算税を金4411万0500円とする部分を取り消す。 2(1)承継前の被告東税務署長が,原告の平成2年4月1日から平成3年3月31日までの事業年度の法人税について平成7年6月22日付けでした更正処分のうち差引所得に対する法人税額が金578億1417万0500円を超える部分を取り消す。 告の平成2年4月1日から平成3年3月31日までの事業年度の法人税について平成7年6月22日付けでした更正処分のうち差引所得に対する法人税額が金578億1417万0500円を超える部分を取り消す。 (2)承継前の被告東税務署長が,原告の平成2年4月1日から平成3年3月31日までの事業年度の法人税について平成7年6月22日付けでした重加算税賦課決定のうち新たに納付すべきこととなった重加算税を金6580万7000円とする部分を取り消す。 3(1)承継前の被告東税務署長が,原告の平成3年4月1日から平成4年3月31日までの事業年度の法人税について平成7年6月22日付けでした更正処分のうち差引所得に対する法人税額が金568億9826万8000円を超える部分を取り消す。 (2)承継前の被告東税務署長が,原告の平成3年4月1日から平成4年3月31日までの事業年度の法人税について平成7年6月22日付けでした過少申告加算税及び重加算税賦課決定のうち新たに納付すべきこととなった過少申告加算税を金1億3139万4000円及び新たに納付すべきこととなった重加算税を金5768万0000円とする部分を取り消す。 4(1)承継前の被告東税務署長が,原告の平成4年4月1日から平成5年3月31日までの事業年度の法人税について平成7年6月22日付けでした更正処分のうち差引所得に対する法人税額が金709億4613万9900円を超える部分を取り消す。 (2)承継前の被告東税務署長が,原告の平成4年4月1日から平成5年3月31日までの事業年度の法人税について平成7年6月22日付けでした過少申告加算税及び重加算税賦課決定のうち新たに納付すべきこととなった過少申告加算税を金1億1248万1000円及び重加算税を金2112万9500円とする部分を取り消す。 (主位的 22日付けでした過少申告加算税及び重加算税賦課決定のうち新たに納付すべきこととなった過少申告加算税を金1億1248万1000円及び重加算税を金2112万9500円とする部分を取り消す。 (主位的請求の3(1)及び4(1)に対する予備的請求)3(1)’承継前の被告東税務署長が,原告の平成3年4月1日から平成4年3月31日までの事業年度の法人税について平成9年3月31日付けでした更正処分のうち差引所得に対する法人税額が金569億4216万5100円を超える部分を取り消す。 4(1)’承継前の被告東税務署長が,原告の平成4年4月1日から平成5年3月31日までの事業年度の法人税について平成9年3月31日付けでした更正処分のうち差引所得に対する法人税額が金709億9436万0000円を超える部分を取り消す。 第2 事案の概要本件は,銀行業を営む原告が,平成元年4月1日から平成2年3月31日までの事業年度(以下「平成2年3月期」という。),平成2年4月1日から平成3年3月31日までの事業年度(以下「平成3年3月期」という。),平成3年4月1日から平成4年3月31日までの事業年度(以下「平成4年3月期」という。)及び平成4年4月1日から平成5年3月31日までの事業年度(以下「平成5年3月期」という。)の法人税に関し,下記第2の1の経緯でなされた更正処分等の取消しを求める事案である。原告は,平成14年1月15日,商号を「株式会社三和銀行」から「株式会社ユーエフジェイ銀行」に変更し,本店を「大阪市中央区伏見町三丁目5番6号」から「名古屋市中区錦三丁目21番24号」に移転し,それに伴い,承継前の被告東税務署長(以下「東税務署長」という。)から被告(名古屋中税務署長)に事務が承継された。 第2の1 課税の経緯(争いのない事実) 1 原告は, 目21番24号」に移転し,それに伴い,承継前の被告東税務署長(以下「東税務署長」という。)から被告(名古屋中税務署長)に事務が承継された。 第2の1 課税の経緯(争いのない事実) 1 原告は,平成2年6月29日,平成2年3月期の法人税につき,所得金額金3566億0441万4093円,納税額金1134億5136万5800円として確定申告したところ,東税務署長は,調査に基づき,平成7年6月22日付けで,同所得金額を金3568億4318万7440円,差引所得に対する法人税額を金1139億7722万8400円,差引納付すべき法人税額を金1億2602万9400円とする更正処分(以下「本件平成2年3月期更正処分」という。)及びこれに係る重加算税を金4411万0500円とする加算税賦課決定処分(以下「本件平成2年3月期重加算税賦課決定処分」という。)を行った。 2 原告は,平成3年7月1日,平成3年3月期の法人税につき,所得金額金2125億5147万3620円,納税額金575億5973万2400円として確定申告したところ,東税務署長は,調査に基づき,平成7年6月22日付けで,同所得金額を金2131億2738万5329円,差引所得に対する法人税額を金580億0218万4600円,差引納付すべき法人税額を金1億8801万4100円とする更正処分(以下「本件平成3年3月期更正処分」という。)及びこれに係る重加算税を金6580万7000円とする加算税賦課決定処分(以下「本件平成3年3月期重加算税賦課決定処分」という。)を行った。 3 原告は,平成4年6月30日,平成4年3月期の法人税につき,所得金額金2193億4651万9655円,納税額金567億1002万8500円として確定申告したところ,東税務署長は,調査に基づき,平成7年6月22日付けで,同所 ,平成4年3月期の法人税につき,所得金額金2193億4651万9655円,納税額金567億1002万8500円として確定申告したところ,東税務署長は,調査に基づき,平成7年6月22日付けで,同所得金額を金2194億6875万8249円,差引所得に対する法人税額を金583億7699万6500円,差引納付すべき法人税額を金14億7872万8500円とする更正処分(以下「本件平成4年3月期更正処分」という。)及びこれに係る過少申告加算税を金1億3139万4000円,重加算税を金5768万0000円とする加算税賦課決定処分(以下それぞれ「本件平成4年3月期過少申告加算税賦課決定処分」「本件平成4年3月期重加算税賦課決定処分」という。)を行った。 4 原告は,平成5年6月30日,平成5年3月期の法人税につき,所得金額金2620億4065万6481円,納税額金704億9593万2000円として確定申告したところ,東税務署長は,調査に基づき,平成7年6月22日付けで,同所得金額を金2629億0562万1995円,差引所得に対する法人税額金721億3132万1600円,差引納付すべき法人税額を金11億8518万1700円とする更正処分(以下「本件平成5年3月期更正処分」という。)及びこれに係る過少申告加算税を金1億1248万1000円,重加算税を金2112万9500円とする加算税賦課決定処分(以下それぞれ「本件平成5年3月期過少申告加算税賦課決定処分」「本件平成5年3月期重加算税賦課決定処分」という。)を行った。 5 原告は,前記1ないし4の各更正処分及び賦課決定処分を不服として,平成7年8月18日,国税不服審判所長に対し,本件各処分について審査請求をしたが,同所長は,平成9年6月10日,審査請求をいずれも棄却する旨の裁決をし,同月13日ころ, び賦課決定処分を不服として,平成7年8月18日,国税不服審判所長に対し,本件各処分について審査請求をしたが,同所長は,平成9年6月10日,審査請求をいずれも棄却する旨の裁決をし,同月13日ころ,同裁決書謄本が原告に送達された。 6 原告の平成4年3月期における法人税について,東税務署長は,調査に基づき,平成9年3月31日付けで,同所得金額を金2195億8581万7755円,差引所得に対する法人税額を金584億2089万3600円,差引納付すべき法人税額を金4389万7100円とする更正処分(以下「本件平成4年3月期再更正処分」という。)及びこれに係る重加算税を金1536万1500円とする加算税賦課決定処分を行った。 7 原告の平成5年3月期における法人税について,東税務署長は,調査に基づき,平成9年3月31日付けで,同所得金額を金2630億3420万8796円,差引所得に対する法人税額を金721億7954万1700円,差引納付すべき法人税額を金3484万5300円とする更正処分(以下「本件平成5年3月期再更正処分」という。)及びこれに係る重加算税を金1219万4000円とする加算税賦課決定処分を行った。 なお,以下,本件平成4年3月期更正処分及び平成5年3月期更正処分を併せて「本件各先行更正処分」といい,本件平成4年3月期再更正処分及び平成5年3月期再更正処分を併せて「本件各再更正処分」という。 8 前記6及び7の両更正等処分の処分理由は,主位的請求として原告が取消しを求める更正等の処分理由と全く別のものであり,原告は当該処分理由には異議がなかったので,異議申立あるいは審査請求等の不服申立をしていない。 9 なお,課税の経緯の詳細は,別紙1ないし4記載のとおりである。 第2の2 本案前の争点 1 本件各先行更正処分(平成4年 異議がなかったので,異議申立あるいは審査請求等の不服申立をしていない。 9 なお,課税の経緯の詳細は,別紙1ないし4記載のとおりである。 第2の2 本案前の争点 1 本件各先行更正処分(平成4年3月期更正処分及び本件平成5年3月期更正処分)の取消しを求める訴え(主位的請求第3項及び第4項の更正処分の取消しを求める部分)が,後に増額更正処分となる本件各再更正処分(本件平成4年3月期再更正処分及び本件平成5年3月期再更正処分)を経たことにより訴えの利益を欠くに至ったか否か。 2 本件各再更正処分(本件平成4年3月期再更正処分及び本件平成5年3月期再更正処分)の取消しを求める訴え(予備的請求第3(1)’項及び第4(1)’項の更正処分の取消しを求める部分)が,不服申立手続を経ておらず,国税通則法115条1項に反するか否か。 第2の3 本案の争点東税務署長は,原告の平成2年3月期ないし平成5年3月期の各事業年度における確定申告において,原告が支払ったニュー・ジーランド国における源泉税(以下「ニュー・ジーランド源泉税」という。)について法人税法(以下単に「法」といい,同法施行令を単に「施行令」という。)69条(平成13年法律第6号による改正前のもの特に断りのない限り以下同じ。)に基づき税額控除したところ,これを否認し,また,原告の平成4年3月期及び平成5年3月期における各確定申告において,原告が支払ったクック諸島国における源泉税(以下「クック諸島源泉税」という。なお,以下,ニュー・ジーランド源泉税及びクック諸島源泉税を併せて「本件各源泉税」という。)について法69条に基づき税額控除したところ,これを否認し,以下のような更正処分及び賦課決定処分を行った。 本件における本案の争点は,上記否認を前提とする以下の更正処分(再更正処分を いう。)について法69条に基づき税額控除したところ,これを否認し,以下のような更正処分及び賦課決定処分を行った。 本件における本案の争点は,上記否認を前提とする以下の更正処分(再更正処分を含む。)及び賦課決定処分の違法性である。なお,以下,特に断らない部分は当事者間に争いがない。 1 平成2年3月期(1)所得金額の計算についてア平成5年5月31日付け更正処分による所得金額3568億7444万3939円イ租税公課のうち損金の額に算入されない金額1億3853万1755円原告は,当期の確定申告において,ニュー・ジーランド源泉税1億3853万1755円を納付したとして,当期の損金の額に算入している。 しかしながら,東税務署長は,上記ニュー・ジーランド源泉税が,法69条の外国法人税に該当せず,原告の当期の損金の額に算入できないとして,これを所得金額に加算した。 ウ法人税額から控除する外国法人税額の損金不算入額の過大額1億3853万1755円原告は,ニュー・ジーランド源泉税につき,イで述べたとおり損金の額に算入し,さらに,法69条に基づき外国税額控除を適用し,そのため法41条に基づき損金不算入額として,申告調整により所得金額に加算していた。 しかしながら,東税務署長は,イで述べたとおり,同ニュー・ジーランド源泉税は,法69条の外国法人税に該当しないとして,これを所得金額から減算した。 エ受取利息のうち当期利益から減算する金額3125万6499円原告は,ニュ して,これを所得金額から減算した。 エ受取利息のうち当期利益から減算する金額3125万6499円原告は,ニュー・ジーランド国法人の TelecomCorporationOfNewZealandLtd. (以下「テレコムNZ社」という。)との間で「LOANAGREEMENT」(以下「本件ローン契約」という。なお,以下本件で表示する各契約は,後記第2の3で定義する該当案件の箇所で言及する際は案件毎の契約を意味し,特に案件を区別する必要がある場合は案件名を付して表記する。以下各案件の各契約につき同じ。)を,またケイマン諸島法人の TelecomCorporationOfNewZealand (OverseasFinance ) Ltd.(以下「テレコムCA社」という。)との間で「DEPOSITAGREEMENT」(以下「本件預金契約」という。)を,それぞれ昭和63年12月15日付けで締結し,上記各契約に基づき,テレコムNZ社から受け取ったとする貸付金利息9億2354万5030円を当期の受取利息として計上するとともに,テレコムCA社に支払ったとする預金利息8億9228万8531円を当期の支払利息として計上していた。 しかしながら,東税務署長は,上記各契約が,テレコムCA社が負担すべきニュー・ジーランド源泉税を原告が負担したかのようにするために,仮装して作出されたものであって,上記各契約書に基づく取引は存在しないものであり,したがって,前述した貸付金利息及び預金利息は架空に計上されたものと認められるとして,同貸付金利息を所得金額から減算するとともに,同預金利息を所得金額に加算した。 (減算額) (加算額) ( ,前述した貸付金利息及び預金利息は架空に計上されたものと認められるとして,同貸付金利息を所得金額から減算するとともに,同預金利息を所得金額に加算した。 (減算額) (加算額) (差引減算額)(算式)923,545,030-892,288,531=31,256,499円オ所得金額3568億4318万7440円東税務署長は,上記アの平成5年5月31日付け更正処分による所得金額3568億7444万3939円に,上記イの租税公課のうち損金の額に算入されない金額1億3853万1755円を加算し,上記ウの法人税額から控除する外国法人税額の損金不算入額の過大額1億3853万1755円及び同エの受取利息のうち当期利益から減算する金額3125万6499円を減算した金額,すなわち,3568億4318万7440円を調査後の所得金額とした。 (2)法人税額についてア所得金額に対する法人税額1415億5039万4450円東税務署長は,原告の当期の所得金額が,前記(1)オのとおりであるから,国税通則法118条1項の規定により1000円未満の端数金額を切り捨てた金額3568億4318万7000円に法66条1項(平成10年法律第24号による改正前のもの。以下同じ。ただし,昭和63年法律109号改正附則17条によるもの。)及び租税特別措置法42条の2《配当等に充てた所得に対する法人税率の特例》1項(ただし,昭和63年法律109号改正附則68条によるもの。)に規定する税率を乗じて計算し,同所得金額に対する法人税額を,1415億5039万4450円とした。 イ控除税額275億 正附則68条によるもの。)に規定する税率を乗じて計算し,同所得金額に対する法人税額を,1415億5039万4450円とした。 イ控除税額275億7316万6013円東税務署長は,前記(1)ウで述べたとおり,控除対象外国法人税額が1億3853万1755円減少したとして,本件更正処分直前の原告の控除税額277億1169万7768円から同額を差し引いた275億7316万6013円を,原告の当期の控除税額とした。 ウ差引合計法人税額1139億7722万8400円同税額は,前記アの所得金額に対する法人税額1415億5039万4450円から,前記イの控除税額275億7316万6013円を減算した金額(国税通則法119条1項の規定により100円未満の端数金額を切り捨てたもの)である。 (3)重加算税の賦課決定処分について原告は,前記(1)エで述べたとおり,テレコムNZ社との間で本件ローン契約を,またテレコムCA社との間で本件預金契約を締結し,同各契約に基づき,テレコムNZ社から受け取ったとする貸付金利息9億2354万5030円を当期の受取利息として計上するとともに,テレコムCA社に支払ったとする預金利息8億9228万8531円を当期の支払利息として計上していた。 しかしながら,東税務署長は,同各契約が,テレコムCA社が負担すべきニュー・ジーランド源泉税を原告が負担したかのようにするために,仮装して作出されたものであって,同各契約書に基づく取引は存在しないものであり,そして,同事実に基づいて確定申告書を提出していることから,国税通則法68条1項に該当するとして,当期に係る本件更正処分により納付すべき税額を計算の基礎 同各契約書に基づく取引は存在しないものであり,そして,同事実に基づいて確定申告書を提出していることから,国税通則法68条1項に該当するとして,当期に係る本件更正処分により納付すべき税額を計算の基礎として金額4411万0500円の重加算税の賦課決定処分をした。 2 平成3年3月期(1)所得金額の計算についてア平成6年11月30日付け更正処分による所得金額2131億5724万2448円イ租税公課のうち損金の額に算入されない金額2億0114万7399円原告は,当期の確定申告において,ニュー・ジーランド源泉税2億0114万7399円を納付したとして,当期の損金の額に算入している。 しかしながら,東税務署長は,同ニュー・ジーランド源泉税が,法69条の外国法人税に該当せず,原告の当期の損金の額に算入できないとして,これを所得金額に加算した。 ウ法人税額から控除する外国法人税額の損金不算入額の過大額2億0114万7399円原告は,ニュー・ジーランド源泉税につき,イで述べたとおり損金の額に算入し,さらに,法69条に基づき外国税額控除を適用し,そのため法41条に基づき損金不算入額として,申告調整により所得金額に加算していた。 しかしながら,東税務署長は,イで述べたとおり,前記ニュー・ジーランド源泉税が,法69条の外国法人税に該当しないとして,これを所得金額から減算した。 エ受取利息のうち当期利益から減算する金額2985万7119円同受取利息のうち当期利益から減算する金額の内容については 算した。 エ受取利息のうち当期利益から減算する金額2985万7119円同受取利息のうち当期利益から減算する金額の内容については,前記1(1)エ(平成2年3月期)と同様である。 なお,原告が計上した当期の貸付金利息は13億4098万2662円で,預金利息は13億1112万5543円であり,東税務署長は,差引2985万7119円を当期利益から減算した。 (減算額)  (加算額) (差引減算額)(算式)1,340,982,662-1,311,125,543=29,857,119円オ所得金額2131億2738万5329円東税務署長は,前記アの平成6年11月30日付け更正処分による所得金額2131億5724万2448円に,前記イの租税公課のうち損金の額に算入されない金額2億0114万7399円を加算し,前記ウの法人税額から控除する外国法人税額の損金不算入額の過大額2億0114万7399円及び同エの受取利息のうち当期利益から減算する金額2985万7119円を減算した金額,すなわち,2131億2738万5329円を調査後の所得金額とした。 (2)法人税額についてア所得金額に対する法人税額799億2276万9375円東税務署長は,原告の当期の所得金額が,前記(1)オのとおりであるから,国税通則法118条1項の規定により1000円未満の端数金額を切り捨てた金額2131億2738万5000円に法66条1項に規定する税率を乗じて計算し,同所得金額に対する法人税額を,799億2276万9375円とした。 イ控除税額 未満の端数金額を切り捨てた金額2131億2738万5000円に法66条1項に規定する税率を乗じて計算し,同所得金額に対する法人税額を,799億2276万9375円とした。 イ控除税額219億2058万4749円東税務署長は,前記(1)ウで述べたとおり,控除対象外国法人税が2億0114万7399円減少し,また,国外所得の金額の計算にも誤りがあったとして,正当額に基づいて法人税額から控除する外国法人税額を再計算し,法人税額から控除する外国税額が1億9921万0419円減少したとして,本件更正処分直前の原告の控除税額221億1979万5168円から同額を差し引いた219億2058万4749円を,原告の当期の控除税額とした。 ウ差引合計法人税額580億0218万4600円同税額は,前記アの所得金額に対する法人税額799億2276万9375円から,前記イの控除税額219億2058万4749円を減算した金額(国税通則法119条1項の規定により100円未満の端数金額を切り捨てたもの)である。 (3)重加算税の賦課決定処分について東税務署長は,本件平成3年3月期更正処分により納付すべき税額を計算の基礎として金額6580万7000円の重加算税の賦課決定処分をした。その理由については,前記1(3)と同一である。 3 平成4年3月期(1)所得金額の計算についてア平成7年3月31日付け更正処分による所得金額2198億1788万3015円イ租税公課のうち損金の額に算入されない金額16億0965万0372円原告は,当 2198億1788万3015円イ租税公課のうち損金の額に算入されない金額16億0965万0372円原告は,当期の確定申告において,ニュー・ジーランド源泉税1億7602万7801円及びクック諸島源泉税14億3362万2571円を納付したとして,当期の損金の額に算入している。 しかしながら,東税務署長は,同本件源泉税は,法69条の外国法人税に該当せず,原告の当期の損金の額に算入できないとして,これを所得金額に加算した。 ウ法人税額から控除する外国法人税額の損金不算入額の過大額16億0965万0372円原告は,イで述べたとおり,本件源泉税を損金の額に算入し,さらに,法69条に基づき,同本件源泉税について外国税額控除を適用し,そのため法41条に基づき,同本件源泉税を損金不算入額として,申告調整により加算していた。 しかしながら,東税務署長は,イで述べたとおり,同本件源泉税は,法69条の外国法人税に該当しないとして,これを所得金額から減算した。 エ受取利息のうち当期利益から減算する金額3億3454万4766円(ア)同受取利息のうち当期利益から減算する金額のうち,ニュー・ジーランド源泉税に係る部分については,前記1(1)エと同様である。 (イ)また,原告は,クック諸島国法人の EuropeanPacificBankingCo.Ltd.(以下「ユーロピアン社」という。)及び FirstCapitalBankLtd.(以下「ファースト社」といい,ユーロピアン社及びファースト社を併せて「クック諸島 ankingCo.Ltd.(以下「ユーロピアン社」という。)及び FirstCapitalBankLtd.(以下「ファースト社」といい,ユーロピアン社及びファースト社を併せて「クック諸島法人」という。)との間でそれぞれ「LOANAGREEMENT」(以下それぞれ「本件ローン契約」という。)を,またバーミューダ諸島法人の KingstonShippingLtd.(以下「キングストン社」という。)及び GreshamLtd. (以下「グレシャム社」といい,キングストン社及びグレシャム社を併せて「バーミューダ諸島法人」という。)との間でそれぞれ「DEPOSITAGREEMENT」(以下それぞれ「本件預金契約」という。)を,それぞれ締結し,同各契約に基づき,クック諸島法人から受け取ったとする貸付金利息を当期の受取利息として計上するとともに,バーミューダ諸島法人に支払ったとする預金利息を当期の支払利息として計上していた。 しかしながら,東税務署長は,上記各契約は,バーミューダ諸島法人が負担すべきクック諸島源泉税を原告が負担したかのようにするために,仮装したものであり,前述した貸付金利息及び預金利息は架空に計上されたものと認められるとして同貸付金利息を減算するとともに,同預金利息を加算した。 (ウ)なお,原告が計上した当期の貸付金利息は107億3002万8895円で,預金利息は103億9548万4129円であり,東税務署長は,差引3億3454万4766円を当期利益から減算した。 (減算額)  (加算額)  (差引減算額)(算式)10,730,028,895-10,395,484,129=334,544,766円オ貸倒引当金の戻入益のうち当期利益から減算する金額 )  (差引減算額)(算式)10,730,028,895-10,395,484,129=334,544,766円オ貸倒引当金の戻入益のうち当期利益から減算する金額1458万0000円東税務署長は,前記エ(イ)で述べた理由により,クック諸島源泉税に関する貸付金に係る貸倒引当金の戻入益2億5371万0000円を当期利益から減算するとともに,繰入損2億3913万0000円を損金の額に算入しない結果として,差引1458万0000円を当期利益から減算した。 (減算額)(加算額)(差引減算額)(算式)253,710,000-239,130,000=14,580,000円カ交際費等の損金不算入額(本件平成4年3月期再更正処分)1億1705万9506円キ所得金額2195億8581万7755円東税務署長は,前記アの平成7年3月31日付け更正処分による所得金額2198億1788万3015円に,同イの租税公課のうち損金の額に算入されない金額16億0965万0372円及び同カの交際費等の損金不算入額1億1705万9506円を加算し,前記ウの法人税額から控除する外国法人税額の損金不算入額の過大額16億0965万0372円,同エの受取利息のうち当期利益から減算する金額3億3454万4766円及び同オの貸倒引当金の戻入益のうち当期利益から減算する金額1458万0000円を減算した金額,すなわち,2195億8581万7755円を調査後の所得金額とした。 (2)法人税額についてア所得金額に対する法人税額 1458万0000円を減算した金額,すなわち,2195億8581万7755円を調査後の所得金額とした。 (2)法人税額についてア所得金額に対する法人税額823億4468万1375円東税務署長は,原告の当期の所得金額は,前記(1)キのとおりであるから,国税通則法118条1項の規定により1000円未満の端数金額を切り捨てた金額2195億8581万7000円に法66条1項に規定する税率を乗じて計算し,同所得金額に対する法人税額を,823億4468万1375円とした。 イ控除税額239億2378万7702円東税務署長は,前記(1)ウで述べたとおり,控除対象外国法人税額が16億0965万0372円減少し,また,国外所得の金額の計算にも誤りがあったとして,正当額に基づいて法人税額から控除する外国税額を再計算し,法人税額から控除する外国税額が16億0965万0372円減少したとして,本件更正処分直前の原告の控除税額255億3343万8074円から同額を差し引いた239億2378万7702円を,原告の当期の控除税額とした。 ウ差引合計法人税額584億2089万3600円同税額は,前記アの所得金額に対する法人税額823億4468万1375円から,同イの控除税額239億2378万7702円を減算した金額(国税通則法119条1項の規定により100円未満の端数金額を切り捨てたもの)である。 (3)過少申告加算税の賦課決定処分について東税務署長は,本件更正処分に基づき納付すべき法人税額13億1394万0000円(ただし,国税通則法118条3項の規定により1万円未満の端 る。 (3)過少申告加算税の賦課決定処分について東税務署長は,本件更正処分に基づき納付すべき法人税額13億1394万0000円(ただし,国税通則法118条3項の規定により1万円未満の端数金額を切り捨てた金額。)に100分の10の割合を乗じた金額1億3139万4000円を過少申告加算税の額とした。 (4)重加算税の賦課決定処分について東税務署長は,本件平成4年3月期更正処分により納付すべき税額のうちニュー・ジーランド源泉税の否認により納付すべき税額を計算の基礎として金額5768万0000円の重加算税の賦課決定処分をした(なお,再更正処分に係る重加算税の賦課決定処分については当事者間に争いがない。)。その理由は,前記1(3)と同一である。 4 平成5年3月期(1)所得金額の計算についてア平成7年3月31日付け更正処分による所得金額2632億3080万3871円イ租税公課のうち損金の額に算入されない金額13億0712万4919円原告は当期の確定申告において,ニュー・ジーランド源泉税6037万8226円及びクック諸島源泉税12億4674万6693円を納付したとして,当期の損金の額に算入している。 しかしながら,東税務署長は,上記本件源泉税は,法69条の外国法人税に該当せず,原告の当期の損金の額に算入できないとして,これを所得金額に加算した。 ウ法人税額から控除する外国法人税額の損金不算入額の過大額13億0712万4919円原告は,イで述べたとおり,本件源泉税を損金の額に算入し,さらに,法69条に基づき,同本件源泉税について外国税額控 13億0712万4919円原告は,イで述べたとおり,本件源泉税を損金の額に算入し,さらに,法69条に基づき,同本件源泉税について外国税額控除を適用し,そのため法41条に基づき,同本件源泉税を損金不算入額として,申告調整により加算していた。 しかしながら,東税務署長は,イで述べたとおり,同本件源泉税は,法69条の外国法人税に該当しないとして,これを所得金額から減算した。 エ受取利息のうち当期利益から減算する金額2億9539万1876円同受取利息のうち当期利益から減算する金額の内容については,前記3(1)エで述べたとおりである。 なお,原告が計上した当期の貸付金利息は90億8113万2820円で,預金利息は87億8574万0944円であり,東税務署長は,差引2億9539万1876円を当期利益から減算した。 (減算額) (加算額)  (差引減算額)(算式)9,081,132,820-8,785,740,944= 295,391,876円オ貸倒引当金の戻入益のうち当期利益から減算する金額2979万0000円前記3(1)エ(イ)で述べた理由により,クック諸島源泉税に関する貸付金に係る貸倒引当金の戻入益2億3913万0000円を当期利益から減算するとともに,繰入損2億0934万0000円を損金の額に算入しない結果,差引2979万0000円を当期利益から減算した。 (減算額)(加算額) (差引減算額)(算式)239,130,000-209,340,000=29,790,000円カ交際費 0000円を当期利益から減算した。 (減算額)(加算額) (差引減算額)(算式)239,130,000-209,340,000=29,790,000円カ交際費等の損金不算入額(平成8年3月29日付け更正処分及び本件平成5年3月期再更正処分)1億4288万1851円キ損金の額に算入される通信費の額(平成8年3月29日付け更正処分)24万9050円ク事業税の損金算入額(本件平成5年3月期再更正処分)1404万6000円ケ所得金額2630億3420万8796円東税務署長は,上記アの平成7年3月31日付け更正処分による所得金額2632億3080万3871円に,上記イの租税公課のうち損金の額に算入されない金額13億0712万4919円及び同カの交際費等の損金不算入額1億4288万1851円を加算し,同ウの法人税額から控除する外国法人税額の損金不算入額の過大額13億0712万4919円,同エの受取利息のうち当期利益から減算する金額2億9539万1876円,同オの貸倒引当金の戻入益のうち当期利益から減算する金額2979万0000円,同キの損金の額に算入される通信費の額24万9050円及び同クの事業税の損金算入額1404万6000円を減算した金額,すなわち,2630億3420万8796円を調査後の所得金額とした。 (2)法人税額についてア所得金額に対する法人税額986億3782万8000円東税務署長は,原告の当期の所得金額が,前 得金額とした。 (2)法人税額についてア所得金額に対する法人税額986億3782万8000円東税務署長は,原告の当期の所得金額が,前記(1)ケのとおりであるとして,国税通則法118条1項の規定により1000円未満の端数金額を切り捨てた金額2630億3420万8000円に法66条1項に規定する税率を乗じて計算し,同所得金額に対する法人税額を,986億3782万8000円とした。 イ課税土地譲渡利益金額に対する税額19億4494万8100円ウ控除税額284億0323万4310円東税務署長は,前記(1)ウで述べたとおり,控除対象外国法人税額が13億0712万4919円減少し,また,国外所得の金額の計算にも誤りがあったとして,正当額に基づいて法人税額から控除する外国税額を再計算し,法人税額から控除する外国税額が13億0712万4919円減少したとして,本件更正処分直前の原告の控除税額297億1035万9229円から同額を差し引いた284億0323万4310円を,原告の当期の控除税額とした。 エ差引合計法人税額721億7954万1700円同税額は,前記アの所得金額に対する法人税額986億3782万8000円に同イの課税土地譲渡利益金額に対する税額19億4494万8100円を加算し,同ウの控除税額284億0323万4310円を減算した金額(国税通則法119条1項の規定により100円未満の端数金額を切り捨てたもの)である。 (3)過少申告加算税の賦課決定処分について東税務署長は,本件更正処分に基づき納付すべ 円を減算した金額(国税通則法119条1項の規定により100円未満の端数金額を切り捨てたもの)である。 (3)過少申告加算税の賦課決定処分について東税務署長は,本件更正処分に基づき納付すべき法人税額11億2481万0000円(ただし,国税通則法118条3項の規定により1万円未満の端数金額を切り捨てた金額。)に100分の10の割合を乗じた金額1億1248万1000円を過少申告加算税の額とした。 (4)重加算税の賦課決定処分について東税務署長は,本件平成5年3月期更正処分により納付すべき税額のうちニュー・ジーランド源泉税の否認により納付すべき税額を計算の基礎として金額2112万9500円の重加算税の賦課決定処分をした(なお,再更正処分に係る重加算税賦課決定処分については当事者間に争いがない。)。その理由は,前記1(3)と同一である。 第2の4 本件各取引の概要(争いのない事実及び証拠により容易に認定できる事実)第2の4の1 ニュー・ジーランド源泉税に係るテレコム社案件 1 テレコムNZ社は,1862年にニュー・ジーランドで設立された電信電話事業を営む政府100パーセント出資の会社である(なお,1987年に政府機関から独立,民営化された。)。 2 テレコムNZ社は,ケイマン諸島にテレコムNZ社の100パーセント子会社(テレコムCA社)を設立し,同テレコムCA社によって調達した資金をニュー・ジーランド国内に持ち込み運用しようとした。ところが,テレコムCA社が調達した資金をテレコムNZ社への融資という形でニュー・ジーランド国内に持ち込んだ場合,ニュー・ジーランドの税制によってテレコムNZ社がテレコムCA社に対して支払う借入金利息に15パーセントの源泉税が課され,テレコムNZ社にとっては,実質同源泉税が資金調達コストとなる。 込んだ場合,ニュー・ジーランドの税制によってテレコムNZ社がテレコムCA社に対して支払う借入金利息に15パーセントの源泉税が課され,テレコムNZ社にとっては,実質同源泉税が資金調達コストとなる。このため,テレコムNZ社は,資金調達コストを軽減する目的で,ニュー・ジーランドの商業銀行である訴外 FayRichwhite & Co. (以下「フェイリッチ社」という。)に本件取引のアレンジを依頼した。(乙4の1及び2,5) 3 フェイリッチ社は,原告に対し,香港に所在する原告の香港現地法人である訴外 SanwaInternationalFinanceLimited.(以下「SIF社」という。)を通じて申し出をなし,原告は,テレコムNZ社との間で,1988(昭和63)年12月15日付けで本件ローン契約(甲10の1及び2)を,またテレコムCA社との間で,同日付けで本件預金契約(甲11の1及び2)を締結した。 4 上記各契約の内容は,概ね次のとおりである。 (1)原告とテレコムNZ社との本件ローン契約ア原告は,テレコムNZ社に対し,本契約上の条件に従い,160億円の貸付けを行う。 イテレコムNZ社は,原告に対し,本契約に基づき貸付けが実行される日から60か月後に当たる日(以下「償還日」という。)まで,毎年3月31日及び9月30日並びに償還日において, LIBOR (LondonInterbankofferedRate ,ロンドン銀行間資金市場での貸出レート)に0.185パーセントを加算した利息を支払う(より具体的には,利率は,利息計算期間と同期間の円預金に対するオファーレートとして当該計算期間の2営業日前のロンドン時間午前11時にロイタースクリーンに表示されるレートの算術平均に年利0.185パーセントを加えたもの 率は,利息計算期間と同期間の円預金に対するオファーレートとして当該計算期間の2営業日前のロンドン時間午前11時にロイタースクリーンに表示されるレートの算術平均に年利0.185パーセントを加えたものと定められた。)。 ウテレコムNZ社は,上記利息を支払う際に同利息からニュー・ジーランド所得税法により課される源泉税15パーセントを控除することができる。ただし,この規定は,テレコムNZ社が支払利息から控除または源泉徴収した税金について,原告が日本の税務当局から税額控除を受けられない場合には,原告がその旨を証明した日から16日目以降に支払われる利息に関しては適用しないものとする。 エ上記ウの支払利息から控除または源泉徴収された税金について,原告が日本の税制面から税額控除を受けられない場合には,原告の請求により,テレコムNZ社は,原告が税額控除を受けられなかったために被った損失を補償しなければならない。なお,この場合,原告は,本件ローン契約に基づく一切の権利義務をテレコムCA社に譲渡することができ,また,テレコムCA社がその旨を要求するときは,原告は,テレコムCA社に対し,かかる譲渡をしなければならない。 (2)原告とテレコムCA社との本件預金契約アテレコムCA社は,原告とテレコムNZ社との間の本件ローン契約に基づく貸付実行日に,160億円を原告に預金する。 イテレコムCA社は,原告とテレコムNZ社との間の本件ローン契約に基づくテレコムNZ社の支払債務が全額弁済されるまで預金の払戻し,引き出し及び振替等の処分をすることができない。 ウ原告は,原告とテレコムNZ社との間の本件ローン契約に基づき,テレコムNZ社から貸付金利息の支払を受けることを条件に,テレコムNZ社から受領した貸付金利息(源泉税相当額控除後の できない。 ウ原告は,原告とテレコムNZ社との間の本件ローン契約に基づき,テレコムNZ社から貸付金利息の支払を受けることを条件に,テレコムNZ社から受領した貸付金利息(源泉税相当額控除後のもの)に源泉税相当額を加算した金額から年利0.185パーセントのマージンを控除した金額を預金利息としてテレコムCA社に対して支払う。 エテレコムCA社は,原告が原告とテレコムNZ社との間の本件ローン契約に基づき,同契約にかかる権利義務をテレコムCA社に譲渡する場合は,その対価として,同契約に基づく貸付金の未済元本相当額,既発生の利息相当額及びその他一切の支払債務相当額を原告に対して支払う。 5 本件ローン契約及び預金契約に基づく元本及び利息の資金決済は以下のとおり行われた(なお,以下は,各期間ごとに便宜「第・・・回資金決済」として表記する。また,他案件についても同様とする。)。 (1)第1回資金決済(貸付元本及び預金元本の資金決済を含む。)ア元本取引(貸付元本及び預金元本の資金決済)原告は,昭和63年12月20日,まず,テレコムNZ社が原告香港支店に開設した円建て普通預金口座(No.130316 )(以下「テレコムNZ社預金口座」という。)に本件ローン契約に基づく貸付元本160億円を入金記帳し,次に,同口座から同額を,テレコムCA社が原告香港支店に開設した円建て普通預金口座(No.130324 )(以下「テレコムCA社預金口座」という。)へ振替処理し,さらに,同口座から本件預金契約に基づく預金元本として同額を,テレコムCA社が原告香港支店に開設した円建て定期預金口座へ振替処理した。 イ第1回資金決済(貸付金利息及び預金利息の決済)第1回資金決済は,平成元年3月31日,昭和63年12月20日から平成 が原告香港支店に開設した円建て定期預金口座へ振替処理した。 イ第1回資金決済(貸付金利息及び預金利息の決済)第1回資金決済は,平成元年3月31日,昭和63年12月20日から平成元年3月31日までを計算期間(101日,ただし,起算日を含み終了日を除く。以下同じ。)として行われた。 ただし,後記(ア)のテレコムCA社預金口座への預金利息の記帳及び後記(イ)のテレコムCA社預金口座からテレコムNZ社預金口座への振替処理は,原告のテレコムNZ社に対する平成元年3月28日付け要請により,同月30日付けでテレコムCA社から徴求された指示書により行われたものである。 (ア)まず,原告は,テレコムCA社預金口座に,テレコムCA社に対する預金利息として2億0476万7123円を入金記帳した。 同預金利息は,次の計算式により算出された。 すなわち,原告は,テレコムNZ社が原告に対し,本件ローン契約に基づき支払うべき貸付金利息の85パーセント(後記a)に,同貸付金利息に係る源泉税(後記b)を加え,利ざや(後記c)を控除した金額(後記d)を,本件預金契約に基づく預金利息として,テレコムCA社に対し支払うことにしたのである。 a テレコムNZ社が原告に対し,本件ローン契約に基づき支払うべき貸付金利息の85パーセント(本件ローン契約に基づき原告がテレコムNZ社から受領した利息額(源泉税相当額を控除したもの))1億8101万4137円(貸付元本) (年利率) (経過日数)16,000,000,000円×4.81%×101 日/365日×85%=181,014,137 円b 貸付金利息に係る源泉税(15パーセント) 年利率) (経過日数)16,000,000,000円×4.81%×101 日/365日×85%=181,014,137 円b 貸付金利息に係る源泉税(15パーセント)3194万3671円(貸付元本) (年利率) (経過日数)16,000,000,000円×4.81%×101 日/365日×15%= 31,943,671 円c 利ざや(0.185パーセント) 819万0685円(貸付元本) (経過日数)16,000,000,000円×101 日/365日×0.185 %=8,190,685 円d 原告がテレコムCA社に対し,本件預金契約に基づき支払うべき預金利息2億0476万7123円181,014,137 円+31,943,671円-8,190,685 円=204,767,123 円(イ)次に,原告は,テレコムCA社の指示に基づき,テレコムCA社預金口座から,テレコムNZ社預金口座へ,前記(ア)dの2億0476万7123円を振替処理した。 (ウ)次に,原告は,テレコムNZ社の指示に基づき,テレコムNZ社預金口座から,本件ローン契約に基づきテレコムNZ社から受け取るべき貸付金利息2億1295万7808円(16,000,000,000円×4.81%×101 日/365日)から源泉税3194万3671円(前記(ア)b)を控除した残額1億8101万4137円分を引き落とした。 (エ)最後に,原告は,テレコムNZ社の指示に基づき,テレコムNZ社預金口座からロイズ銀行内ニュー・ジーランドナショナル銀行のテレコムNZ社口座 残額1億8101万4137円分を引き落とした。 (エ)最後に,原告は,テレコムNZ社の指示に基づき,テレコムNZ社預金口座からロイズ銀行内ニュー・ジーランドナショナル銀行のテレコムNZ社口座へ,前記(イ)の2億0476万7123円から前記(ウ)の1億8101万4137円を控除した残額2375万2986円を送金した。 (オ)以上より,原告は,第1回資金決済の利ざやとして819万0685円を得,テレコムNZ社は,貸付金利息に係る源泉税相当額から前記利ざやを控除した残額2375万2986円を受け取った。 (2)第2回資金決済第2回資金決済は,平成元年9月29日,同年3月31日から同年9月29日までを計算期間(182日)として行われた。 アまず,原告は,テレコムCA社預金口座に,テレコムCA社に対する預金利息として3億8394万5205円を入金記帳した。 同預金利息は,前記(1)イ(ア)と同様の計算式により算出された。 (ア)テレコムNZ社が原告に対し,本件ローン契約に基づき支払うべき貸付金利息の85パーセント3億3889万8959円(貸付元本)(年利率)(経過日数)16,000,000,000円×4.9975%×182 日/365日×85%=338,898,959 円(イ)貸付金利息に係る源泉税(15パーセント)5980万5699円(貸付元本)(年利率)(経過日数)16,000,000,000円×4.9975%×182 日/365日×15%= 59,805,699 円(ウ)利ざや(0.185パーセント)  1475万9453円(貸付元本) 000,000,000円×4.9975%×182 日/365日×15%= 59,805,699 円(ウ)利ざや(0.185パーセント)  1475万9453円(貸付元本) (経過日数)16,000,000,000円×182 日/365日×0.185 %=14,759,453円なお,上記計算式は,1円単位で端数処理されている。 (エ)原告がテレコムCA社に対し,本件預金契約に基づき支払うべき預金利息3億8394万5205円338,898,959 円+59,805,699円-14,759,453円=383,945,205 円イ次に,原告は,テレコムCA社の指示に基づき,テレコムCA社預金口座から,テレコムNZ社預金口座へ,前記アの3億8394万5205円を振替処理した。 ウ次に,原告は,テレコムNZ社の指示に基づき,テレコムNZ社預金口座から,本件ローン契約に基づきテレコムNZ社から受け取るべき貸付金利息3億9870万4658円(16,000,000,000円×4.9975%×182 日/365日)から源泉税5980万5699円(前記ア(イ))を控除した残額3億3889万8959円分を引き落とした。 エ最後に,原告は,テレコムNZ社の指示に基づき,テレコムNZ社預金口座からロイズ銀行内ニュー・ジーランドナショナル銀行のテレコムNZ社口座へ,前記アの3億8394万5205円から前記ウの3億3889万8959円を控除した残額4504万6246円を送金した。 オ以上より,原告は,第2回資金決済の利ざやとして1475万9453円を得,テレコムNZ社は,貸付金利息に係る源泉税相当額から前記利ざやを控除した残額 た残額4504万6246円を送金した。 オ以上より,原告は,第2回資金決済の利ざやとして1475万9453円を得,テレコムNZ社は,貸付金利息に係る源泉税相当額から前記利ざやを控除した残額4504万6246円を受け取ったのである。 (3)第3回資金決済第3回資金決済は,平成2年3月30日,平成元年9月29日から平成2年3月30日までを計算期間(182日)として行われた。 アまず,原告は,テレコムCA社預金口座に,テレコムCA社に対する預金利息として4億5873万9726円を入金記帳した。 同預金利息は,前記(1)イ(ア)と同様の計算式により算出された。 (ア)テレコムNZ社が原告に対し,本件ローン契約に基づき支払うべき貸付金利息の85パーセント4億0247万4301円(貸付元本)  (年利率) (経過日数)16,000,000,000円×5.935 %×182 日/365日×85%=402,474,301 円(イ)貸付金利息に係る源泉税(15パーセント)7102万4877円(貸付元本)  (年利率) (経過日数)16,000,000,000円×5.935 %×182 日/365日×15%= 71,024,877 円(ウ)手数料(0.185パーセント)  1475万9452円(貸付元本)  (経過日数)16,000,000,000円×182 日/365日×0.185 %=14,759,452円(エ)原告がテレコムCA社に対し,本件預金契約に基づき支払うべき預金利息4億5873万9 日/365日×0.185 %=14,759,452円(エ)原告がテレコムCA社に対し,本件預金契約に基づき支払うべき預金利息4億5873万9726円402,474,301 円+71,024,877円-14,759,452円=458,739,726 円イ次に,原告は,テレコムCA社の指示に基づき,テレコムCA社預金口座から,テレコムNZ社預金口座へ,前記アの4億5873万9726円から後記エの5626万5425円を控除した残額4億0247万4301円を振替処理した。 ウ次に,原告は,テレコムNZ社の指示に基づき,テレコムNZ社預金口座から,前記イの4億0247万4301円(すなわち,本件ローン契約に基づきテレコムNZ社から受け取るべき貸付金利息4億7349万9178円(16,000,000,000円×5.935 %×182 日/365日)から源泉税7102万4877円(前記ア(イ))を控除した残額と同額分)を引き落とした。 エ最後に,原告は,テレコムCA社の指示に基づき,前記アのテレコムCA社預金口座からロイズ銀行内ニュー・ジーランドナショナル銀行のテレコムNZ社口座へ,前記アの4億5873万9726円から前記イの4億0247万4301円を控除した残額5626万5425円を送金した。 オ以上より,原告は,第3回資金決済の利ざやとして1475万9452円を得,テレコムNZ社は,貸付金利息に係る源泉税相当額から前記利ざやを控除した残額5626万5425円を受け取った。 (4)第4回ないし第9回資金決済第4回ないし第9回資金決済は,前記(2)第2回資金決済と同様に,別紙5「ニュー・ジーランド源泉税に係るキャッシュフロー」のとおり決済された。 受け取った。 (4)第4回ないし第9回資金決済第4回ないし第9回資金決済は,前記(2)第2回資金決済と同様に,別紙5「ニュー・ジーランド源泉税に係るキャッシュフロー」のとおり決済された。 (5)なお,上記各決済に関する原告香港支店内の勘定の処理は別紙6の1ないし3「原告香港支店内の伝票処理」のとおりである。 (6)なお,本件ローン契約及び本件預金契約の取扱いは,原告の香港支店を通して行われた。香港においては,税制上,預金利息に係る源泉税は課されないため,本件取引においても,原告からテレコムCA社に支払われる預金利息に源泉税は課されていない。 6 本件取引の終了段階における資金の流れ(原告とテレコムNZ社及びテレコムCA社との関係)原告とテレコムNZ社及びテレコムCA社は,平成5年3月18日ころ,テレコムCA社の原告に対する本件預金契約に基づく預金元本をもってテレコムNZ社の原告に対する本件ローン契約に基づく貸付元本の返済に充てる旨合意したのであり,同合意に基づき,原告は,平成5年4月1日,テレコムCA社が原告香港支店に開設した円建て定期預金口座から160億円をテレコムNZ社預金口座に振替処理し,これにより,本件預金契約に基づく預金元本を返済し,また,同口座から,同160億円を引き落とすことにより,テレコムNZ社からの本件ローン契約に基づく貸付元本160億円の返済を受けた。 7 本件取引に関する管理手数料原告は,本件取引に係るアレンジメントフィー(斡旋手数料)又はマネージメントフィー(管理手数料)として200万円を取得した。 すなわち,原告は,原告の香港現地法人であるSIF社がテレコムNZ社から本件取引に係るフロントエンドフィーとして支払を受けた800万円について,SIF社との間で,原告が200万円,S 得した。 すなわち,原告は,原告の香港現地法人であるSIF社がテレコムNZ社から本件取引に係るフロントエンドフィーとして支払を受けた800万円について,SIF社との間で,原告が200万円,SIF社が600万円で分配する旨合意し,同合意に基づき,200万円を取得した。 8 原告は,本件ローン契約に基づき,本件ニュー・ジーランド源泉税を納付したとして,平成2年3月期に1億3853万1755円,平成3年3月期に,2億0114万7399円,平成4年3月期に1億7602万7801円,平成5年3月期に6037万8226円について,それぞれ外国税額の控除を適用して申告した。 第2の4の2 クック諸島源泉税に係る案件第2の4の2の1 ユーロピアン社案件について 1 訴外 EuropeanPacificInvestmentS.A. (以下「ユーロピアン・インベストメント社」という。)は,1986年にルクセンブルクで設立された法人であり,訴外 BankofNewZealand ,訴外 BrierleyInvestmentLtd. 及び訴外CapitalMarketLtd. (以下「キャピタルマーケット社」という。)の3社がそれぞれユーロピアン・インベストメント社の発行済株式の28パーセントを有している(乙7)。 2 ユーロピアン・インベストメント社が所有する訴外 EuropeanPacificTrust& BankingGroup は,多くの国際的な銀行から資金を調達し,その調達した資金をクック諸島に持ち込み,グループ法人であるユーロピアン社に運用させることとし,実際には,バーミューダ諸島にキングストン社を設立して,同社に資金調達をさせ,ユーロピアン社に貸し付けることとしたが,この場合には,クック諸島の税制では,ユー るユーロピアン社に運用させることとし,実際には,バーミューダ諸島にキングストン社を設立して,同社に資金調達をさせ,ユーロピアン社に貸し付けることとしたが,この場合には,クック諸島の税制では,ユーロピアン社がキングストン社に対して支払う借入金利息に15パーセントの源泉税が課せられ,ユーロピアン社らにとっては,実質同源泉税が資金調達コストとなる。そこで,ユーロピアン・インベストメント社は自らの株主の1人のキャピタルマーケット社の関連会社であるフェイリッチ社に本件取引のアレンジを依頼した。(乙7,8の1及び2,9) 3 原告は,フェイリッチ社を通じて,ユーロピアン社との間で,1988(昭和63)年9月29日及び同年12月21日の2回に渡り本件クック諸島源泉税に係るローン契約(甲14の3,14の7)を,またキングストン社との間で,それぞれ同日付けで本件クック諸島源泉税に係る預金契約及び担保設定契約(甲14の4,14の5,14の8,14の9)を,原告,ユーロピアン社及びキングストン社の3者間で本件オプション契約(甲14の6,14の10)を締結した(以下,昭和63年9月29日付けの契約を「ユーロピアン社案件Ⅰ」といい,昭和63年12月21日付の契約を「ユーロピアン社案件Ⅱ」という。)。 4 上記各契約の内容は,概ね次のとおりである。 4の1 ユーロピアン社案件Ⅰ(1988(昭和63)年9月29日付け契約)の契約内容(1)原告とユーロピアン社との間の本件ローン契約ア原告はユーロピアン社に対し,2億米国ドル(以下「米ドル」という。)の与信枠を設定するが,キングストン社が同額を原告に預金することが貸付けの実行条件である。 イユーロピアン社は,原告に対し,一定の利払日において,年利11.37パーセントの利息を支払う(なお,同利率 を設定するが,キングストン社が同額を原告に預金することが貸付けの実行条件である。 イユーロピアン社は,原告に対し,一定の利払日において,年利11.37パーセントの利息を支払う(なお,同利率にはフェイリッチ社の取り分0.08パーセントも含まれており,原告が受け取る実際の利息は年利11.29パーセントである。)。ただし,ユーロピアン社は,当該利息からクック諸島所得税法により課される源泉税15パーセントを控除することができる。 ウユーロピアン社は,原告に対し,貸付けが実行された日から償還日までの間において,未払となっている一切の金員を弁済する。 エ原告が,関係法令の解釈や運用上の変更のため,外国税額の控除の適用を受けることができないと判断した場合,合理的に可能な限り速やかにその旨をユーロピアン社に通知する。この場合,ユーロピアン社は,原告に対し,当該通知から30日以内に,本契約に基づき支払義務を有する一切の金員を期限前弁済することができ,また,原告から要求されたときは期限前弁済しなければならない。 オエによりユーロピアン社が期限前弁済する場合には,エの金員とは別に,外国税額の控除の適用が受けられないことになった日から,期限前弁済時まで一定の利率で計算した金額を補償金として原告に支払う。 カ本契約に調印した時点で,ユーロピアン社は,原告に対し,与信枠設定手数料として20万米ドルを支払う。 (2)原告とキングストン社との間の本件預金契約アキングストン社は,原告とユーロピアン社との間の本件クック諸島源泉税に係るローン契約に基づく資金を原告に供給するため,本契約に定める方法及び条件により,貸金引出実行予定日に,貸付額と同額の米ドル資金を銀行に預け入れる。 イ預金の預入期間は,原告とユーロピアン社と ローン契約に基づく資金を原告に供給するため,本契約に定める方法及び条件により,貸金引出実行予定日に,貸付額と同額の米ドル資金を銀行に預け入れる。 イ預金の預入期間は,原告とユーロピアン社との間の本件クック諸島源泉税に係るローン契約の貸付期間と同一とする。 ウ原告は,原告とユーロピアン社との間の本件クック諸島源泉税に係るローン契約に係る貸付金元本の弁済を受けた範囲以外には,預金元本について払い戻す義務を負わない。 エ原告は,キングストン社に対し,年利11パーセントの預金利息を支払う。ただし,原告は,原告とユーロピアン社との間の本件クック諸島源泉税に係るローン契約に係る貸付金利息の支払を受けた範囲以外には,預金利息を支払う義務を負わない。 (3)原告とキングストン社との間の本件担保設定契約アキングストン社は,原告が原告とユーロピアン社との間の本件クック諸島源泉税に係るローン契約に従い与信枠を提供することを条件として,当該貸付けに係るユーロピアン社の原告に対する支払を継続的に担保するため,原告とキングストン社との間の本件クック諸島源泉税に係る預金契約に基づくすべての権利,権限,権益及び利益について,譲渡抵当の方法により原告を受益的所有者とする担保権を設定する。 イ原告は,原告とユーロピアン社との間の本件クック諸島源泉税に係るローン契約に基づく貸付金利息が支払われないなど債務不履行事由が生じた場合は,ユーロピアン社及びキングストン社に対し,書面による通知をした上,自己が適当と認める方法で,キングストン社の預金の全部または一部を担保付き債務の履行に充当することができる。 (4)原告,ユーロピアン社及びキングストン社の3者間の本件オプション契約ア本契約は,原告が原告とユーロピアン社との間の本件クッ 全部または一部を担保付き債務の履行に充当することができる。 (4)原告,ユーロピアン社及びキングストン社の3者間の本件オプション契約ア本契約は,原告が原告とユーロピアン社との間の本件クック諸島源泉税に係るローン契約及び原告とキングストン社との間の担保設定契約に基づく自己の権利をキングストン社に移転する際の条件を定めるものである。 イ原告とユーロピアン社との間の本件クック諸島源泉税に係るローン契約において債務不履行事由や期限前弁済事由が生じた場合においては,何らの行為を要せずして,原告の有するすべての権利義務がキングストン社に譲渡されることとし,この対価として,キングストン社は,原告に対し,その時点における未払ローン残高及び本件クック諸島源泉税に係るローン契約等に基づき原告に支払われるべき一切の金員の合計額を支払う。この支払においては,キングストン社の原告に対する預金が対当額の範囲内において充当される。 (5)前記(1)ないし(4)の各契約に関連して,原告,ユーロピアン社及びキングストン社の3者間で,1993(平成5)年9月30日付け債権譲渡契約が締結されている。 同債権譲渡契約の内容は,おおむね次のとおりである。 ア原告は,原告とユーロピアン社との間の本件クック諸島源泉税に係るローン契約の償還日において,キングストン社に対し,同本件クック諸島源泉税に係るローン契約に基づく一切の権利義務を譲渡することとし,ユーロピアン社は同譲渡に同意する。 イ同譲渡において,原告がキングストン社から受ける対価は,キングストン社の原告に対する預金により相殺し充当されるものとする。 4の2 ユーロピアン社案件Ⅱ(1988(昭和63)年12月21日付け契約)の契約内容(1)原告,ユーロピアン社及びキングストン社の間 ン社の原告に対する預金により相殺し充当されるものとする。 4の2 ユーロピアン社案件Ⅱ(1988(昭和63)年12月21日付け契約)の契約内容(1)原告,ユーロピアン社及びキングストン社の間で締結された各契約は,貸付金利率,預金利率及び与信枠設定手数料額を除いて,すべて前記4の1(1)ないし(4)と同一の内容である。 (2)(1)の各契約に関連して,原告,ユーロピアン社及びキングストン社の3者間で,1993(平成5)年12月22日付け債権譲渡契約が締結されている。 同債権譲渡契約の内容は,前記4の1(5)と同様である。 5 本件クック諸島源泉税に係るユーロピアン社案件のローン契約及び本件クック諸島源泉税に係る預金契約に基づく元本ないし利息の決済は以下のとおり行われた。 5の1 ユーロピアン社案件Ⅰについて同案件の元本及び利息の決済に付いては,次のとおり第1回ないし第11回の資金決済により行われた。 (1)第1回資金決済(貸付元本及び預金元本の決済も含む。)第1回資金決済は,昭和63年9月30日から12月30日までを計算期間(91日。ただし,起算日を含み終了日を除く。以下同じ。)として実行された。 ア原告は,昭和63年9月30日,BANKOFNewZealand, NewYorkBranch (以下「NZ銀行NY支店」という。)の EuropeanPacificBankingCorporation (以下「ユーロピアン社(親)」という。本件取引の主体はユーロピアン社であるが,取引の決済については同社の親会社であるユーロピアン社(親)の口座によりされた。以下同じ。)の口座から,キングストン社からの預金元本2億米ドル並びにユーロピアン社からの後記ファシリティーフィー20万米ドル及び貸 いては同社の親会社であるユーロピアン社(親)の口座によりされた。以下同じ。)の口座から,キングストン社からの預金元本2億米ドル並びにユーロピアン社からの後記ファシリティーフィー20万米ドル及び貸付金利息の先取り分488万5943.89米ドル(ただし,貸付金利息574万8169.28米ドルからクック諸島源泉税86万2225.39米ドルを控除した後の金額。)の合計2億0508万5943.89米ドルを,原告ニューヨーク支店の原告香港支店勘定により受領した。 イ原告は,入金を確認した後,同日,原告ニューヨーク支店の原告香港支店勘定から,NZ銀行NY支店のユーロピアン社(親)の口座へ,ユーロピアン社に対する貸付元本2億米ドル及びキングストン社に対する預金利息の先払い分556万1111.11米ドルの合計2億0556万1111.11米ドルを送金した。 ウ前記アの入金及び前記イの送金は,同日付けで, CHIPS (ClearringHouseInterbankPaymentSystem)を経由して行われた。 ところで, CHIPS とは,ニューヨーク手形交換所協会が運営主体となり,国際金融取引の資金決済の円滑化を目的として,1970年(昭和45年)4月に設立された銀行間の電子決済システムであり,その決済方法は,加盟銀行がニューヨーク連邦銀行に有する預金口座において同日決済が行われる方式となっている。 上記個別の決済のみをみると,原告には,47万5167.22米ドルの逆ざやが発生した。 (2)第2回資金決済第2回資金決済は,昭和63年12月30日から平成元年6月30日までを計算期間(182日)として実行された。 ア原告は,昭和63年12月30日,NZ銀行NY支店のユーロピアン社(親)の口座から 2回資金決済は,昭和63年12月30日から平成元年6月30日までを計算期間(182日)として実行された。 ア原告は,昭和63年12月30日,NZ銀行NY支店のユーロピアン社(親)の口座から,ユーロピアン社からの貸付金利息の先取り分977万1883.33米ドル(ただし,貸付金利息1149万6333.33米ドルからクック諸島源泉税172万4450.00米ドルを控除した後の金額。)を,原告ニューヨーク支店の原告香港支店勘定により受領した。 イ原告は,入金を確認した後,同日,原告ニューヨーク支店の原告香港支店勘定から,NZ銀行NY支店のユーロピアン社(親)の口座へ,キングストン社に対する預金利息の先払い分1112万2222.22米ドルを送金した。 ウ前記アの入金及び前記イの送金は,同日付けで, CHIPS を経由して行われた。 上記個別の決済のみをみると,原告には,135万0338.89米ドルの逆ざやが発生した。 (3)第3回ないし第11回資金決済第3回ないし第11回資金決済は,上記(2)第2回資金決済と同様に,別紙7「クック諸島源泉税に係るキャッシュフロー1」のとおり決済された。 なお,第5回資金決済以降,原告は,ユーロピアン社からの貸付金利息の先取り分は,NZ銀行NY支店のユーロピアン社(親)の口座からCitibankN. A.NewYork(以下「シティーバンクNY支店」という。)経由 CHIPS 決済で,原告ニューヨーク支店の原告香港支店勘定により受領し,キングストン社に対する預金利息の先払い分は,ユーロピアン社(親)を受益者として,シティーバンクNY支店のNZ銀行NY支店口座へ送金した。 5の2 ユーロピアン社Ⅱについて(1)第1回資金決済(貸付元本及び預金元本の決済も含む。) い分は,ユーロピアン社(親)を受益者として,シティーバンクNY支店のNZ銀行NY支店口座へ送金した。 5の2 ユーロピアン社Ⅱについて(1)第1回資金決済(貸付元本及び預金元本の決済も含む。)第1回資金決済は,昭和63年12月22日から平成元年6月22日までを計算期間(182日。ただし,起算日を含み終了日を除く。以下同じ。)として実行された。 ア原告は,昭和63年12月22日,NZ銀行NY支店のユーロピアン社(親)の口座から,キングストン社からの預金元本2億米ドル並びにユーロピアン社からの後記ファシリティーフィー25万米ドル及び貸付金利息の先取り分1024万8875.00米ドル(ただし,貸付金利息1205万7500.00米ドルからクック諸島源泉税180万8625.00米ドルを控除した後の金額。)の合計2億1049万8875.00米ドルを,原告ニューヨーク支店の原告香港支店勘定により受領した。 イ原告は,入金を確認した後,同日,原告ニューヨーク支店の原告香港支店勘定から,NZ銀行NY支店のユーロピアン社(親)の口座へ,ユーロピアン社に対する貸付元本2億米ドル及びキングストン社に対する預金利息の先払い分1167万8333.33米ドルの合計2億1167万8333.33米ドルを送金した。 ウ前記アの入金及び前記イの送金は,同日付けで, CHIPS を経由して行われた。 上記決済を個別にみると,原告には,117万9458.33米ドルの逆ざやが発生した。 (2)第2回資金決済第2回資金決済は,平成元年6月22日から12月22日までを計算期間(183日)として実行された。 ア原告は,平成元年6月22日,NZ銀行NY支店のユーロピアン社(親)の口座から,ユーロピアン社からの貸付金利息の先 年6月22日から12月22日までを計算期間(183日)として実行された。 ア原告は,平成元年6月22日,NZ銀行NY支店のユーロピアン社(親)の口座から,ユーロピアン社からの貸付金利息の先取り分1030万5187.50米ドル(ただし,貸付金利息1212万3750.00米ドルからクック諸島源泉税181万8562.50米ドルを控除した後の金額。)を,原告ニューヨーク支店の原告香港支店勘定により受領した。 イ原告は,入金を確認した後,同日,原告ニューヨーク支店の原告香港支店勘定から,NZ銀行NY支店のユーロピアン社(親)の口座へ,キングストン社に対する預金利息の先払い分1174万2500.00米ドルを送金した。 ウ前記ア入金及び前記イの送金は,同日付けで, CHIPS を経由して行われた。 上記決済を個別にみると,原告には,143万7312.50米ドルの逆ざやが発生した。 (3)第3回ないし第10回資金決済第3回ないし第10回資金決済は,上記(2)第2回資金決済と同様に,別紙8「クック諸島源泉税に係るキャッシュフロー2」のとおり決済された。 なお,第4回資金決済以降,原告は,ユーロピアン社からの貸付金利息の先取り分は,NZ銀行NY支店のユーロピアン社(親)の口座からシティーバンクNY支店経由 CHIPS 決済で,原告ニューヨーク支店の原告香港支店勘定により受領し,キングストン社に対する預金利息の先払い分は,ユーロピアン社(親)を受益者として,シティーバンクNY支店のNZ銀行NY支店口座へ送金した。 5の3(1)ユーロピアン社は前記各原告とユーロピアン社との間の本件クック諸島源泉税に係るローン契約に基づき,原告に対し,貸付金利息として,平成4年3月期において53億7108万8047円(クック の3(1)ユーロピアン社は前記各原告とユーロピアン社との間の本件クック諸島源泉税に係るローン契約に基づき,原告に対し,貸付金利息として,平成4年3月期において53億7108万8047円(クック諸島により課された源泉税控除前の額は63億1803万0746円),平成5年3月期において46億8755万9805円(クック諸島により課された源泉税控除前の額は55億0987万7623円)をそれぞれ支払い,原告は,前記原告とキングストン社との間の本件預金契約に基づき,キングストン社に対し,預金利息として平成4年3月期において,61億1596万7849円,平成5年3月期において,53億3366万1243円をそれぞれ支払った。 (2)なお,各本件クック諸島源泉税に係るローン契約及び各本件クック諸島源泉税に係る預金契約の取扱いは,原告の香港支店を通して行われた。香港においては,税制上,預金利息に係る源泉税は課されないため,本件取引においても,原告からバーミューダ諸島法人に支払われる預金利息に源泉税は課されていない。 6 本件取引の終了段階における資金の流れ6の1 ユーロピアン社案件Ⅰについて(1)原告とユーロピアン社及びキングストン社との関係ア本件債権譲渡契約原告は,平成5年9月30日,ユーロピアン社及びキングストン社との間で本件債権譲渡契約を締結した。 イ原告とユーロピアン社との契約関係の終了原告及びユーロピアン社は,本件ローン契約書17条3項において,予めユーロピアン社の書面による同意またはオプション契約に従って本件ローン契約及び担保証書に基づく権利を随時譲渡できる旨合意している。 原告は,キングストン社に対し,平成5年9月30日付けで,本件債権譲渡契約に基づき,本件ローン契約上の権利等のすべ て本件ローン契約及び担保証書に基づく権利を随時譲渡できる旨合意している。 原告は,キングストン社に対し,平成5年9月30日付けで,本件債権譲渡契約に基づき,本件ローン契約上の権利等のすべてを譲渡した(本件債権譲渡契約書2条1項及び4項)。ただし,同譲渡の対価である2億米ドルについては,後記のとおり同日付けで,原告とキングストン社が本件預金契約に基づく預金と相殺した。 これに対し,ユーロピアン社は,同日付けで,原告のキングストン社に対する本件ローン契約上の権利等の譲渡について同意した(同契約書2条5項)。 以上より,原告は,平成5年9月30日付けで本件ローン契約上の権利等のすべてをキングストン社に譲渡したことになり,原告とユーロピアン社との間の契約関係は終了した。 ウ原告とキングストン社との契約関係の終了原告は,前記のとおり,平成5年9月30日付けの本件債権譲渡契約に基づき,本件ローン契約上の権利等のすべてを,キングストン社に譲渡し同譲渡の対価を取得したが,同日付けで,原告とキングストン社が同譲渡の対価と本件預金契約に基づく預金を相殺する旨合意したことによりその支払に充当されたため(本件債権譲渡契約書2条2項及び3項),両者間の契約関係は終了した。 6の2 ユーロピアン社案件Ⅱについて(1)原告とユーロピアン社及びキングストン社との関係ア本件債権譲渡契約原告は,平成5年12月22日,ユーロピアン社及びキングストン社との間で本件債権譲渡契約を締結した。 イ原告とユーロピアン社との契約関係の終了原告及びユーロピアン社は,本件ローン契約書17条3項において,予めユーロピアン社の書面による同意またはオプション契約に従って本件ローン契約及び担保証書に基づく権利 ン社との契約関係の終了原告及びユーロピアン社は,本件ローン契約書17条3項において,予めユーロピアン社の書面による同意またはオプション契約に従って本件ローン契約及び担保証書に基づく権利を随時譲渡できる旨合意している。 原告は,キングストン社に対し,平成5年12月22日付けで,本件債権譲渡契約に基づき,本件ローン契約上の権利等のすべてを譲渡した(本件債権譲渡契約書2条1項及び4項)。ただし,同譲渡の対価である2億米ドルについては,後記のとおり,同日付けで,原告とキングストン社が本件預金契約に基づく預金と相殺した。 これに対し,ユーロピアン社は,同日付けで,原告のキングストン社に対する本件ローン契約上の権利等の譲渡について同意した(同契約書2条5項)。 以上より,原告は,平成5年12月22日付けで本件ローン契約上の権利等のすべてをキングストン社に譲渡したことになり,原告とユーロピアン社との間の契約関係は終了した。 ウ原告とキングストン社との契約関係の終了原告は,前記のとおり,平成5年12月22日付けの本件債権譲渡契約に基づき,本件ローン契約上の権利等のすべてを,キングストン社に譲渡し同譲渡の対価を取得したが,同日付けで,原告とキングストン社が同譲渡の対価と本件預金契約に基づく預金を相殺する旨合意したことによりその支払に充当されたため(本件債権譲渡契約書2条2項及び3項),両者間の契約関係は終了した。 7 本件取引参加料原告は,ユーロピアン社案件Ⅰにつき,ローン契約書10条1項に従い,第1回資金決済で支払われたファシリティーフィーとして20万米ドルを取得し,ユーロピアン社案件Ⅱにつき,ローン契約書10条1項に従い,第1回資金決済で支払われたファシリティーフィーとして25万米ドルを 1回資金決済で支払われたファシリティーフィーとして20万米ドルを取得し,ユーロピアン社案件Ⅱにつき,ローン契約書10条1項に従い,第1回資金決済で支払われたファシリティーフィーとして25万米ドルを取得した。 第2の4の2の2 ファースト社案件について 1 キャピタルマーケット社は,1984年にニュー・ジーランドで設立された法人であり,フェイリッチ社の関連会社である。 2 キャピタルマーケット社は,投資家から集めた資金をクック諸島に持ち込んで利用するに当たり,クック諸島にファースト社を設立し,さらにバーミューダ諸島にグレシャム社を設立し,同グレシャム社が,投資家から資金を調達することとした。 しかし,グレシャム社がファースト社に上記資金を直接貸し付ける場合には,クック諸島の税制により,ファースト社がグレシャム社に対して支払う借入金利息に15パーセントの源泉税が課されることとなり,ファースト社らにとっては,同源泉税が実質資金調達コストとなる。 このため,キャピタルマーケット社は,フェイリッチ社に資金調達コストを軽減する目的で,本件取引のアレンジを依頼した。(乙10,11の1及び2) 3 原告は,フェイリッチ社を通じて,ファースト社との間で1989年(平成元年)3月25日付けで本件クック諸島源泉税に係るローン契約を,またグレシャム社との間で,同日付けで本件クック諸島源泉税に係る預金契約及び担保設定契約を,原告,ファースト社及びグレシャム社の3者間でオプション契約を締結した。 4 原告,ファースト社及びグレシャム社の間で締結された各契約の内容は,契約当事者,貸付金利率,預金利率及び与信枠設定手数料額を除いて,すべて前記第2の4の2の1,4の1(1)ないし(4)と同一である。 また,上記の各契約について,原告,ファースト社及びグ 容は,契約当事者,貸付金利率,預金利率及び与信枠設定手数料額を除いて,すべて前記第2の4の2の1,4の1(1)ないし(4)と同一である。 また,上記の各契約について,原告,ファースト社及びグレシャム社の3者間で,1994(平成6)年3月30日付け債権譲渡契約がそれぞれ締結されている。 同債権譲渡契約の内容は,おおむね次のとおりである。 (1)原告は,原告とファースト社との間の本件クック諸島源泉税に係るローン契約の償還日において,グレシャム社に対し,同本件クック諸島源泉税に係るローン契約に基づく一切の権利義務を譲渡することとし,ファースト社は同譲渡に同意する。 (2)同譲渡において,原告がグレシャム社から受ける対価は,グレシャム社の原告に対する預金により相殺し充当されるものとする。 5 各本件クック諸島源泉税に係るファースト社案件のローン契約及び各本件クック諸島源泉税に係る預金契約に基づく元本ないし利息の決済は以下のとおり行われた。 (1)第1回資金決済(貸付元本及び預金元本の決済も含む。)第1回資金決済は,平成元年3月30日から平成元年9月29日までを計算期間(183日。ただし,起算日を含み終了日を除く。以下同じ。)として実行された。 ア原告は,平成元年3月30日,NZ銀行NY支店のユーロピアン社(親)の口座から,グレシャム社からの預金元本2億米ドル並びにファースト社からの後記ファシリティーフィー25万米ドル及び貸付金利息の先取り分1037万米ドル(ただし,貸付金利息1220万米ドルからクック諸島源泉税183万米ドルを控除した後の金額。)の合計2億1062万米ドルを,原告ニューヨーク支店の原告香港支店勘定により受領した。 イ原告は,入金を確認した後,同日,原告ニューヨーク支店の原告香港支店勘定 米ドルを控除した後の金額。)の合計2億1062万米ドルを,原告ニューヨーク支店の原告香港支店勘定により受領した。 イ原告は,入金を確認した後,同日,原告ニューヨーク支店の原告香港支店勘定から,NZ銀行NY支店のユーロピアン社(親)の口座へ,ファースト社に対する貸付元本2億米ドル及びグレシャム社に対する預金利息の先払い分1181万3666.67米ドルの合計2億1181万3666.67米ドルを送金した。 ウ前記アの入金及び前記イの送金は,同日付けで, CHIPS を経由して行われた。 上記決済を個別にみると,原告には,119万3666.67米ドルをの逆ざやが発生した。 (2)第2回資金決済第2回資金決済は,平成元年9月29日から平成2年3月29日までを計算期間(181日)として実行された。 ア原告は,平成元年9月29日,NZ銀行NY支店のユーロピアン社(親)の口座から,ファースト社からの貸付金利息の先取り分1025万6666.67米ドル(ただし,貸付金利息1206万6666.67米ドルからクック諸島源泉税181万米ドルを控除した後の金額。)を,原告ニューヨーク支店の原告香港支店勘定により受領した。 イ原告は,入金を確認した後,同日,原告ニューヨーク支店の原告香港支店勘定から,NZ銀行NY支店のユーロピアン社(親)の口座へ,グレシャム社に対する預金利息の先払い分1168万4555.56米ドルを送金した。 ウ前記アの入金及び前記イの送金は,同日付けで, CHIPS を経由して行われた。 上記決済を個別にみると,原告には,142万7888.89米ドルの逆ざやが発生した。 (3)第3回ないし第10回資金決済第3回ないし第10回資金決済は,前記(2)第2回資金決済と同様に, 上記決済を個別にみると,原告には,142万7888.89米ドルの逆ざやが発生した。 (3)第3回ないし第10回資金決済第3回ないし第10回資金決済は,前記(2)第2回資金決済と同様に,別紙9「クック諸島源泉税に係るキャッシュフロー3」のとおり決済された。 なお,第4回資金決済以降,原告は,ファースト社からの貸付金利息の先取り分は,NZ銀行NY支店のユーロピアン社(親)の口座からシティーバンクNY支店経由 CHIPS 決済で,原告ニューヨーク支店の原告香港支店勘定により受領し,グレシャム社に対する預金利息の先払い分は,ユーロピアン社(親)を受益者として,シティーバンクNY支店のNZ銀行NY支店口座へ送金した。 (4)ファースト社は,前記原告とファースト社との間の本件クック諸島源泉税に係るローン契約に基づき,原告に対し,貸付金利息として,平成4年3月期において27億5179万9614円(クック諸島により課された源泉税控除前の額は32億3847万9486円),平成5年3月期において24億0648万0640円(クック諸島により課された源泉税控除前の額は28億3090万9515円)をそれぞれ支払い,原告は,前記原告とグレシャム社との間の本件預金契約に基づき,グレシャム社に対し,預金利息として平成4年3月期において,31億3592万7636円,平成5年3月期において,27億4126万4046円をそれぞれ支払った。 (5)なお,各本件クック諸島源泉税に係るローン契約及び各本件クック諸島源泉税に係る預金契約の取扱いは,原告の香港支店を通して行われた。香港においては,税制上,預金利息に係る源泉税は課されないため,本件取引においても,原告からバーミューダ諸島法人に支払われる預金利息に源泉税は課されていない。 6 本件取引の終了段階にお 行われた。香港においては,税制上,預金利息に係る源泉税は課されないため,本件取引においても,原告からバーミューダ諸島法人に支払われる預金利息に源泉税は課されていない。 6 本件取引の終了段階における資金の流れについてみる。 (1)原告とファースト社及びグレシャム社との関係ア本件債権譲渡契約原告は,平成6年3月30日,ファースト社及びグレシャム社との間で本件債権譲渡契約を締結した。 イ原告とファースト社との契約関係の終了原告及びファースト社は,本件ローン契約書17条3項において,予めファースト社の書面による同意またはオプション契約に従って本件ローン契約及び担保証書に基づく権利を随時譲渡できる旨合意している。 原告は,グレシャム社に対し,平成6年3月30日付けで,本件債権譲渡契約に基づき,本件ローン契約上の権利等のすべてを譲渡した(本件債権譲渡契約書2条1項及び4項)ただし,同譲渡の対価である2億米ドルについては,後記のとおり,同日付けで,原告とグレシャム社が本件預金契約に基づく預金と相殺した。 これに対し,ファースト社は,同日付けで,原告のグレシャム社に対する本件ローン契約上の権利等の譲渡について同意した(同契約書2条5項)。 以上より,原告は,平成6年3月30日付けで本件ローン契約上の権利等のすべてをグレシャム社に譲渡したことになり,原告とファースト社との間の契約関係は終了した。 ウ原告とグレシャム社との契約関係の終了原告は,前記のとおり平成6年3月30日付けの本件債権譲渡契約に基づき本件ローン契約上の権利等のすべてを,グレシャム社に譲渡し同譲渡の対価を取得したが,同日付けで,原告とグレシャム社が同譲渡の対価と本件預金契約に基づく預金を相殺する旨合意 の本件債権譲渡契約に基づき本件ローン契約上の権利等のすべてを,グレシャム社に譲渡し同譲渡の対価を取得したが,同日付けで,原告とグレシャム社が同譲渡の対価と本件預金契約に基づく預金を相殺する旨合意したことによりその支払に充当されたため(本件債権譲渡契約書2条2項及び3項),両者間の契約関係は終了した。 7 本件取引参加料原告は,本件ローン契約書10条1項に従い,第1回資金決済で支払われたファシリティーフィーとして25万米ドルを取得した。 第2の4の2の3 クック諸島源泉税の納付と原告の申告原告は,本件各クック諸島源泉税に係るローン契約に基づき,本件クック諸島源泉税を納付したとして,平成4年3月期に14億3362万2571円,平成5年3月期に12億4674万6693円について,それぞれ外国税額の控除を適用して申告した。 第3 被告の主張第3の1 本案前の主張 1 原告の主位的請求について(1)更正処分と増額再更正処分との関係について更正処分がなされた後に増額再更正処分がなされた場合,更正及び増額再更正ともにそれぞれ別個の処分であることは否定できないが,再更正は当初の更正をそのままにしてこれに脱漏した部分だけを追加するものではなく,再調査により判明した結果に基づいて課税標準等及び税額等を新たに確定するものであるから,増額再更正がなされた場合には,当初の更正は増額再更正に吸収されてその内容となり独立の処分としての存在を失うに至り,更正を独立の対象としてその取消しを求める利益はないものと解されている(最高裁昭和55年11月20日第1小法廷判決・訟務月報27巻3号597頁)。 (2)課税の経緯について本件係争事業年度の課税の経緯については,別紙1ないし別紙4のとおりである。原告が取消しを求める本件訴えのうち 0日第1小法廷判決・訟務月報27巻3号597頁)。 (2)課税の経緯について本件係争事業年度の課税の経緯については,別紙1ないし別紙4のとおりである。原告が取消しを求める本件訴えのうち,本件各先行更正処分については,その後,被告は,平成9年3月31日付けで新たに課税標準及び納付すべき税額を増加させる本件各再更正処分を行っており,原告は本件各再更正処分に対して,何ら不服申立て等を行っていないことから,いずれも確定しているものと推認される。 (3)訴えの利益について前記(1)で述べたとおり,本件各先行更正処分は,その後になされた本件各再更正処分に吸収されて独立の処分としての存在を失っており,本件各先行更正処分を独立の対象としてその取消しを求める利益はない。 2 原告の予備的請求について国税に関する法律に基づく処分で不服申立てをすることができるものの取消しを求める訴えは,異議申立てをすることができる処分にあっては異議申立てについての決定を,審査請求をすることができる処分にあっては審査請求についての裁決をそれぞれ経た後でなければ,提起することができない旨規定されている(国税通則法115条1項)。 これを本件についてみると,原告は,青色申告の承認を受けていることから,本件各再更正処分について,不服があれば選択により異議申立てをしないで国税不服審判所長に対して,審査請求をすることもできる(国税通則法75条4項1号)。 しかし,原告は,本件各再更正処分についての異議申立て又は審査請求のいずれもしておらず,原告の本件各再更正処分の取消しを求める予備的請求は,不服申立ての前置の点においてその要件を満たしていない不適法な訴えである。 第3の2 本案の主張第3の2の1 租税回避行為の否認(一般論) 1 租税負担回 各再更正処分の取消しを求める予備的請求は,不服申立ての前置の点においてその要件を満たしていない不適法な訴えである。 第3の2 本案の主張第3の2の1 租税回避行為の否認(一般論) 1 租税負担回避を目的とした行為に対しては,明文の規定がない場合でも,次のような許容される否認類型が存在し,これらは課税庁の恣意が入り込む余地はなく,特に租税法律主義の見地からも問題がない。 (1)私法上の法律構成による否認ア私法上の法律構成による否認とは,裁判所が私法上の当事者の真の意思を探求する形で事実認定を行い,その結果として課税が行われるものである。 課税は,第一義的に私法の適用を受ける経済取引の存在を前提として行われるのであるから,私法上の法律構成においても,当事者間の表面的形式的合意にとらわれることなく,経済的実態を考慮して実質的に認定し,当事者が真に意図した私法上の法律構成による私法上の合意内容に基づいて課税を行うことになる。 例えば,裁判所による事実認定の結果として,納税者側の主張と異なる課税要件該当事実を認定し,課税が行われることは当然のことであるし,また,通謀虚偽表示の場合には,当事者の外形的な表示にとらわれず,民法上認定される当事者の真の意思に基づき課税が行われることもあり,結果として当事者が課税を免れるために外形上作り出された表面的な私法上の法律関係は無視されることになるのである。 したがって,私法上の法律構成による否認とは,いわば真実の法律関係に基づく課税にすぎないのである。 イところで,本件のようなスキーム事案において,取引が仮装であるかどうかの判断は,契約内容が既に履行された後の状態について検討しても意味はない。 すなわち,租税回避スキームは,租税回避目的の達成のために,取引 うなスキーム事案において,取引が仮装であるかどうかの判断は,契約内容が既に履行された後の状態について検討しても意味はない。 すなわち,租税回避スキームは,租税回避目的の達成のために,取引の形式を考案し,それに応じた法的効果が生じても当事者間に問題が生じないような関係を意図して創出しているのであるから,履行を終えた段階での法的効果を比較すれば,ほとんどの場合,取引の形式と法的効果に差異は生じない。そのようにデザインしているのであるから,このことは当然である。 取引の法的形式が仮装かどうかについて意味のある検討をするためには,アレンジャーが選択した異常で不自然な法律構成と,自然な法律構成を比較し,その間で法的効果に相異が生じる場合に,当事者がいずれの構成に基づく法的効果を意図しているのか,法的効果に差異が生じないように不自然な条項がたくさん盛り込まれているかどうかを判断しなければならない。 ウなお,私法上の法律構成による否認により租税回避を否認した例としては,カリフォルニア州弁護士 HarryMargolis が行った取引がある。同取引は,タックス・ヘイブン法人間を資金循環( CircularFinancing )(実体上金銭貸付けの実質がないのに,外観上資金を循環させてあたかも金銭貸付けがあったかのような形式を創り出し,租税負担の回避を図るテクニックである。)させることにより投資家に多額の費用控除を創り出すという極めて人為的なもので,資金循環の手法を用いて法人間の貸付けを何度も繰り返し,控除されるべく多額の利子費用を計上したものである。連邦巡回控訴裁判所は,同資金循環の手法を用いた取引による利子については,実際は利子支払ではないから,控除は認められないと判示した(裁判例としてU.S. v.Schulman, 計上したものである。連邦巡回控訴裁判所は,同資金循環の手法を用いた取引による利子については,実際は利子支払ではないから,控除は認められないと判示した(裁判例としてU.S. v.Schulman, 817 F 2nd. 1355 (9thCir. 1987)がある。)。 (2)課税減免規定の限定解釈による否認課税減免規定とは,課税要件を定める規定のうち,政策的に一定の趣旨及び目的を達成するため課税の減免を内容として制定された規定である。 ア課税減免規定については,その趣旨及び目的にかなう事業活動が行われ,それにより政策目的が実現されることを前提として制定されたのであるから,当該規定の趣旨及び目的に合致しない行為に対してまで課税の減免を認めなければならない理由はない。そもそも当事者が課税減免規定の適用を受けることのみを目的として行った取引は,事業目的を欠いた不自然な取引として当該課税減免規定の適用の射程外であり,課税減免規定を適用することはできない。 したがって,課税減免規定の限定解釈による否認は,課税減免規定の目的的解釈及び適用の一場面として租税回避取引の否認と同様の効果を得ることができるのである。 イ課税減免規定の限定解釈による否認により租税回避を否認したのと同様の効果を認めた例としてアメリカのグレゴリー事件がある。 同連邦最高裁判所の判決( Gregoryv. Helvering, 293 U.S.465(1935))は,課税減免規定の趣旨及び目的から事業目的( businesspurpose )の基準を導き出し,形式上は当該取引が法の規定する要件に該当するように見えたとしても,当該取引が租税回避のみを目的としたもので事業目的がないことを理由に,それは立法者の予定するものではなく課税 )の基準を導き出し,形式上は当該取引が法の規定する要件に該当するように見えたとしても,当該取引が租税回避のみを目的としたもので事業目的がないことを理由に,それは立法者の予定するものではなく課税減免規定の適用を受け得ないとしたものである。すなわち,同判決は,課税減免規定の立法目的に照らして,その適用範囲を限定的にあるいは厳格に解釈することにより同立法目的と無縁な租税回避のみを目的とする行為を同適用範囲から除外するという解釈方法をとったのである。 同解釈方法は,法を拡大解釈するものではなく法の趣旨目的に従って合理的かつ客観的に解釈するものであり,我が国においても十分に採用可能な法解釈の手法である。 ウ租税法律主義課税減免規定の限定解釈による否認は租税法律主義の見地から特に問題がない。 すなわち,立法に当たりあらゆる事態を想定し,すべての場合について個別的具体的に明文の規定を設けることは不可能であるから,租税法律主義も当然に法令の厳格解釈を要求するものではなく,法律上の概念又は用語はそれぞれの法律の規定の趣旨及び目的に沿うよう合目的的に解釈すべきである。 また,租税法律主義は国民の経済活動に対する法的安定性と予測可能性を担保することを目的とするものであり,本件取引について外国税額控除に関する規定を適用できないと解することが,法的安定性及び予測可能性を害する解釈ということはできない。 2 租税回避行為と司法に期待される役割(1)急速な国際化の進展とともに,国際取引における租税回避行為は,ますます巧妙化しており,その形態は,タックス・ヘイブンの利用,租税条約の濫用による方法など様々であるが,実際の国際的租税回避戦略においては,各国の国内法,租税条約,外国為替管理法,金融事情,会社設立手続き,地理的政 おり,その形態は,タックス・ヘイブンの利用,租税条約の濫用による方法など様々であるが,実際の国際的租税回避戦略においては,各国の国内法,租税条約,外国為替管理法,金融事情,会社設立手続き,地理的政治的経済的環境等を徹底的に研究し,各種の方法を組み合せ,企業全体の全世界的租税負担を極小とするような複雑な秘密性のあるスキームを作成する高度な戦略が採られている。 このような国際的租税回避戦略は,各国の税制や税率の差異,タックス・ヘイブンの存在等を不自然な形態で,かつ経済合理性がないにもかかわらず,極限まで巧みに利用するものであり,これらの国際的租税回避行為は1987年のOECD租税委員会報告書「国際的租税回避行為と脱税」に沿って述べれば,①租税負担の公平の原則に反し,②国家財政に深刻な影響を与え,③適正な国際競争や国際資本の流れを歪めることになり(国際競争力の阻害),④特定の企業が国際的租税回避の利益を享受し,他の者はこれを享受できないという不公平をもたらすことになる。さらに,国民に対する法律の権威を失墜させ,納税道義あるいは申告水準の低下をもたらすという弊害をも生じるものであって,到底放置できないものである。 このような国際的租税回避行為による課税逃れに対し,各国の裁判所は,これを許さないとの姿勢を明確にしてきている。 これに対し,我が国においては,租税法律主義が比較的厳格に適用される傾向があり,明文の租税回避否認規定がなければ否認をし得ないと解されていることなどから,ともすれば,租税法の解釈・適用が,硬直的,形式的な判断に流れやすく,そのため,もともと外国のアレンジャーにねらわれやすい面がある。また,このような見解は,課税逃れの防止は新たな立法によって対応すれば足りるとするのであるが,事後的に新たな立法を行うことに れやすく,そのため,もともと外国のアレンジャーにねらわれやすい面がある。また,このような見解は,課税逃れの防止は新たな立法によって対応すれば足りるとするのであるが,事後的に新たな立法を行うことにより租税回避防止を図ることには限界がある。 したがって,制度を濫用した租税回避の事案においてこそ,具体的妥当性を確保するための司法の役割が重要であるのであり,このような見地から事実認定,法律解釈を展開する裁判所の活動により,一定の範囲内において正義が確保されることにこそ司法権の存在意義があるのであり,これがされないことは,正に司法の役割の自己放棄にほかならない。 第3の2の2 私法上の法律構成による否認(主位的主張)第3の2の2の1 テレコム社案件 1 本件取引における当事者意思の探求原告は,昭和63年12月15日付けの本件ローン契約書(甲10の1及び2)によりテレコムNZ社に対し160億円を貸し付けるかのような内容の契約を締結するとともに,同日付けの本件預金契約書(甲11の1及び2)によりテレコムCA社から160億円の預入れを受けたかのような内容の契約を締結したとされるが,本件ローン契約を締結するに当たって,当事者双方には160億円を貸し付ける意思も借り受ける意思も有していなかったものと認められるし,また,本件預金契約を締結するに当たって,当事者双方には160億円の預入れを行う意思も同預入れを受ける意思も有していなかったものと認められる。理由は以下のとおりである。 (1)本件ローン契約における当事者双方の意思貸金契約を締結する当事者双方の目的は,通常,貸主においては,一定の期間にわたり貸付元本を借主に利用させるのと引き替えに,同期間に対応する貸付利息を得ることにあり,他方,借主においては,前記貸付利息の支払と引き替 する当事者双方の目的は,通常,貸主においては,一定の期間にわたり貸付元本を借主に利用させるのと引き替えに,同期間に対応する貸付利息を得ることにあり,他方,借主においては,前記貸付利息の支払と引き替えに,一定の期間にわたり貸付元本を利用できることにある。 そこで,本件ローン契約が通常の貸金契約であると解した場合,そのような原告及びテレコムNZ社の意思は,同貸金契約における貸主及び借主の意思解釈として合理的であると認められるかについてみる。 ア資金循環まず,原告は,本件ローン契約に基づき,テレコムNZ社に対し160億円の貸付けを行ったとされているが,同金銭貸付けは,本件取引における資金循環の一部を構成するものであり私法上真正なものでないことは明らかである。 (ア)本件取引の開始段階における160億円の流れをみると,まず,本件ローン契約に基づく貸付元本160億円が原告香港支店からテレコムNZ社へ送金され,次に,テレコムNZ社とテレコムCA社間の160億円の貸付契約(以下「本件貸付金契約」という。)に基づく貸付金として同額の金員が同社からテレコムCA社へ送金され,さらに,本件預金契約に基づく預金元本として同額の金員が同社から原告香港支店へ送金されたのであり,160億円は,同一日付けで,原告香港支店から,テレコムNZ社及びテレコムCA社を経由し,再び原告香港支店へ戻ることになる。 このような160億円の流れをみれば,本件取引に特徴的なことは極めて初歩的,かつ典型的な循環金融の手法が用いられていることである。循環金融とは,実体上金銭貸付けの実質がないのに,外観上資金を循環させてあたかも金銭貸付けがあったかのような形式を創り出し,租税負担の回避を図るテクニックである。 (イ)テレコムCA社は,本件取引 融とは,実体上金銭貸付けの実質がないのに,外観上資金を循環させてあたかも金銭貸付けがあったかのような形式を創り出し,租税負担の回避を図るテクニックである。 (イ)テレコムCA社は,本件取引の開始段階で,本件ローン契約及び本件預金契約の各締結日までに,テレコムNZ社との間で,通貨スワップ契約を締結し,NZドルを券面通貨とするユーロキウイボンドを発行することにより投資家から調達した資金を,テレコムNZ社に対し,無税で送金する予定であった。すなわち,テレコムNZ社から160億円を借り入れる本件貸付金契約のほか,同貸付元本160億円と投資家から調達した160億円相当NZドルを交換する通貨スワップ契約を締結しなければ,同160億円相当NZドルに係る金利相当額につき源泉徴収課税されずに送金することはできなかったからである。そのため,テレコムCA社は,本件ローン契約及び本件預金契約の各締結及び実行に間に合わせるためユーロキウイボンドを発行する予定でいたが,本件取引の開始後,ユーロキウイボンド発行に至るまでの段階では,同社においてユーロキウイボンドの発行が遅れ,投資家から前記資金を調達できなかったため,本件貸付金契約だけ締結するほかなかった。これにより,テレコムNZ社は,本件ローン契約に基づき原告香港支店から借り入れた160億円を,本件貸付金契約に基づき,子会社であるテレコムCA社に対し貸し付け,同160億円は,同社において,本件預金契約に基づき原告香港支店に預け入れられたのである。 その後,テレコムCA社は,平成元年9月21日以降,ユーロキウイボンドを発行し,資金を調達するごとにテレコムNZ社との間で通貨スワップ契約を締結し,同契約により,160億円相当NZドルに係る金利相当額につき源泉徴収課税されずにテレコムNZ社へ同額を送 ロキウイボンドを発行し,資金を調達するごとにテレコムNZ社との間で通貨スワップ契約を締結し,同契約により,160億円相当NZドルに係る金利相当額につき源泉徴収課税されずにテレコムNZ社へ同額を送金することができるに至った。 このような本件取引の開始後,ユーロキウイボンド発行に至るまでの経緯からすれば,本件取引における160億円の流れは,単に経済的な意味もない,形式的なものにすぎず,前記ボンド発行後の段階における160億円相当NZドルが,テレコムCA社からテレコムNZ社に流れるに至って初めて,関係当事者の専ら租税に関する利益ないし租税回避の利益を獲得することに向けられた意図が見い出されるのである。 よって,前記160億円の流れは,前記経緯からみても,実体上金銭貸付けの実質がないのに,外観上資金を循環させることによりあたかも金銭貸付けがあったかのように創り出された形式にすぎない循環金融であると認められるのである。 (ウ)本件取引開始段階における貸付元本及び預金元本の決済をみると,原告香港支店は,昭和63年12月20日付けで,まず,テレコムNZ社が原告香港支店に開設したテレコムNZ社預金口座へ本件ローン契約に基づく貸付元本として160億円を記帳し,次に,同口座からテレコムCA社が同一支店に開設したテレコムCA社預金口座へ本件貸付金契約に基づく貸付元本として同額を振替処理し,さらに,同口座からテレコムCA社が同一支店に開設した円建て定期預金口座へ本件預金契約に基づく預金元本として同額を振替処理することにより行われたのである。 このように,本件では,同一通貨で,同額の元本たる160億円は,同一支店内における預金口座間の振替処理により,同一日付けで順次,伝票操作により決済されているのであり,同決済方法は, る。 このように,本件では,同一通貨で,同額の元本たる160億円は,同一支店内における預金口座間の振替処理により,同一日付けで順次,伝票操作により決済されているのであり,同決済方法は,特段の事情がある場合を除き,実体上金銭貸付けの実質を有する決済方法であるとは認められない。 よって,前記160億円の流れは,前記決済方法からみても,実体上金銭貸付けの実質がないのに,外観上資金を循環させることによりあたかも金銭貸付けがあったかのように創り出された形式にすぎない循環金融であると認められるのである。 (エ)また,本件取引が通常の預金担保貸付けであると解した場合には,貸付実行額は,借主の信用状況等が勘案されて査定されるのであり,貸付けの担保となる預金元本と同額の金員が融資されることは,通常考えられないことであるにもかかわらず,本件取引では,預金元本と同額の金員が貸付元本として融資されているのであり,このことからみても,本件取引が通常の預金担保貸付けであると解することができず,むしろ,前記資金の流れは,循環金融の一部を構成するものであると解するのが実体に合致しているのである。 (オ)小括前期(ア)ないし(エ)によれば,本件ローン契約に基づく160億円の貸付けは私法上真正なものでないことは明らかであり,同契約における当事者双方の私法上の意思も,金銭を貸し付けたり,借り受けたりすることにあるのではなく,専ら租税に関する利益ないし租税回避の利益を得ることにあったと認められる。 イ貸付金金利の非正常性原告は,本件ローン契約に基づき,テレコムNZ社から一定の利息計算期間に対応する貸付金利息(年率 LIBOR +年率0.185%)の支払を受けるとされているが,同貸付金利息についても通常の貸金契 原告は,本件ローン契約に基づき,テレコムNZ社から一定の利息計算期間に対応する貸付金利息(年率 LIBOR +年率0.185%)の支払を受けるとされているが,同貸付金利息についても通常の貸金契約における貸付利息と異なり私法上真正なものでないことは,以下のとおり明らかである。 (ア)本件ローン契約に基づく貸付金利息(ニュー・ジーランド源泉税控除後)の受領原告は,本件ローン契約に基づき利払日ごとにテレコムNZ社から,貸付金利息(年率 LIBOR +年率0.185%)の支払を受けられるが,同社において貸付金利息の支払をする際には,同貸付金利息からニュー・ジーランド源泉税(貸付金利息の15%)を控除してすることが許されているため,前記貸付金利息から前記源泉税相当額が控除された後の金額を受領することになる。 (イ)本件預金契約に基づく預金利息の支払原告は,本件預金契約に基づき利払日ごとにテレコムCA社に対し,本件ローン契約に基づきテレコムNZ社から受領した利息額に,前記控除したニュー・ジーランド源泉税相当額を加え,マージン(年率0.185%)を控除した金額(同貸付金利息の支払通貨と同一建て通貨による。)の支払をしなければならない。 (ウ)貸付金利息と預金利息の決済前記(ア)の貸付金利息及び前記(イ)の預金利息は,原告香港支店内における伝票操作により決済された。 すなわち,原告香港支店は,利払日に,まず,テレコムCA社預金口座に本件預金契約に基づく預金利息を記帳し,次に,同口座からテレコムNZ社預金口座へ同預金利息相当額を振替処理し,次に,同口座から,本件ローン契約に基づき受領すべき貸付金利息として同貸付金利息からニュー・ジーランド源泉税相当額を控除した残額を引き落とし,最後に ムNZ社預金口座へ同預金利息相当額を振替処理し,次に,同口座から,本件ローン契約に基づき受領すべき貸付金利息として同貸付金利息からニュー・ジーランド源泉税相当額を控除した残額を引き落とし,最後に,同口座から,ロイズ銀行内ニュー・ジーランドナショナル銀行のテレコムNZ社口座へ前記預金利息相当額から同残額を控除した残額,すなわち前記源泉税相当額からマージン相当額を控除した金額(以下「テレコムNZ社送金額」という。)を送金することにより行われたのである。 このように,本件取引における貸付金利息と預金利息の決済については,テレコムNZ社送金額を除き,現実的な資金移動が行われることなく同一支店内における預金口座間の振替処理により,同一日付で順次,伝票操作により行われているのであり,同貸付金利息の支払は,特段の事情がある場合を除き,通常の貸金契約における貸金利息の支払であると認めることはできない。 なお,平成2年3月30日行われた第3回資金決済では,原告香港支店は,本件預金契約に基づく預金利息をテレコムCA社預金口座に記帳した後,同口座から直接,ロイズ銀行内ニュー・ジーランドナショナル銀行テレコムNZ社口座へテレコムNZ社送金額を送金している。これは,本件ローン契約に基づく貸付金利息に係る源泉税が,契約外の第三者たるテレコムCA社の預金口座から決済されたことを意味するのであり,本件ローン契約及び本件預金契約の内容に照らしてみても,通常の貸金利息の支払とは認められない不合理なものである。 (エ)貸付金利息と預金利息の決済(逆ざやの発生)前記(ウ)に加えて,本件取引では,本件ローン契約上の貸付金利息は,年率 LIBOR に0.185パーセントを加えたもの,本件預金契約上の預金利息は,年率 LIBOR と定められ 発生)前記(ウ)に加えて,本件取引では,本件ローン契約上の貸付金利息は,年率 LIBOR に0.185パーセントを加えたもの,本件預金契約上の預金利息は,年率 LIBOR と定められているから,本件取引が通常の預金担保貸付けであると解する場合には,貸付金利息と預金利息の決済により利ざや(マージン,年率0. 185パーセント)が生じるはずであるが,本件ではテレコムNZ社が本件ローン契約に基づく貸付金利息の支払をする際,同貸付金利息に係る源泉税相当額を控除することが許されているため,前記決済では利ざやが生じない。そして,原告が本件取引における利ざやを得るため前記源泉税相当額を回収するためには,我が国の外国税額控除の適用を受けることが必要不可欠となる。 すなわち,原告は,外国税額控除の適用を受けることができなければ,本件取引における利ざや(マージン)を得ることができないことになるのであり,このことからみても,本件取引が,通常の預金担保貸付けと解することができないことは明らかである。 (オ)貸付けに係るリスク負担の有無原告は,平成元年ないし平成6年の各3月期の確定申告では,外国税額控除の適用が受けられるのを前提として税務申告を行うことにより,本件取引における利ざや(マージン)を得たことになるものであるから,原告は,外国税額控除の適用が受けられない場合には,前記利ざやを得ることができないことになるため,結果として,本件取引で金銭貸付けに関するリスクを負担していることになりそうである。 そこで,原告は,本件取引で外国税額控除の適用を受けられない場合,金銭貸付けに関するリスクを負担することになるのかについてみる。 本件ローン契約書によれば,原告は,テレコムNZ社が本件ローン契約上の貸付 本件取引で外国税額控除の適用を受けられない場合,金銭貸付けに関するリスクを負担することになるのかについてみる。 本件ローン契約書によれば,原告は,テレコムNZ社が本件ローン契約上の貸付金利息から税額控除又は源泉徴収した税金について,日本の税務当局から税額控除若しくは還付を受けられないか,又はこれらに係る主張の正当性を立証できないとき(及びその他の関係税務当局からも税額控除又は還付を受けられないとき),あるいは実際の源泉徴収額若しくは還付額よりも少額の税額控除若しくは還付額しか受けられないか,又はこれらに係る主張の正当性を立証できないときには,原告は,テレコムNZ社に対し,前記控除若しくは還付を受けることができず又はこれらに係る主張の正当性を立証できないことにより生じた損失,あるいは原告が受けられた又は主張の正当性を立証できた控除若しくは還付の額が実際の控除額若しくは源泉徴収額よりも下回ったことにより生じた損失を補填するのに十分な金額の支払を,これらに関連して支払義務が生じ又は負担することとなった,一切の利息,過怠金,経費とともに,一切の控除や源泉徴収の負担のない形でもって要求することができる(7条1項2号,以下「補填義務」という。)。 また,原告は,テレコムNZ社が本件ローン契約上の貸付金利息から税額控除又は源泉徴収した税金について,日本の税務当局から税額控除又は還付を受けることができないか,今後受けることができないこと,あるいは実際の税額控除額若しくは還付額よりも少額の税額控除額若しくは還付額しか受けることができないか,今後受けることができなくなることを同社に証明し,本件ローン契約に基づく譲渡を実行する意思を5日以上の予告をもって書面で同社に通知するときは,テレコムCA社に対し,本件ローン契約に基づく一切の権 か,今後受けることができなくなることを同社に証明し,本件ローン契約に基づく譲渡を実行する意思を5日以上の予告をもって書面で同社に通知するときは,テレコムCA社に対し,本件ローン契約に基づく一切の権利,利益及び義務を譲渡できる権利を有するし(18条3項本文,同項2号),これら権利,利益及び義務が譲渡された場合であっても,同譲渡がなければテレコムNZ社に損失補填を要求できるときには,同譲渡の日以降いかなる時であろうと,原告は,テレコムNZ社に対し,補填義務が生じた事由により被り,負担し,あるいは要求された一切の支払,責任,費用(増加費用も含む),損失及び経費について,補償を要求することができる(18条7項前段,以下「補償義務」という。)。 なお,テレコムNZ社の補償義務は,本件ローン契約上の義務とは明確に区別されたものであり,譲受人であるテレコムCA社には譲渡できず,本件ローン契約上の権利,利益及び義務がテレコムCA社に譲渡した後も有効に存続し,原告の利益に帰するものとされる(18条7項後段)。 以上より,本件では,原告は,我が国における外国税額控除の適用を受けられない場合でも,本件ローン契約に基づき,テレコムNZ社に対し補填義務ないし補償義務を要求することにより,本件取引における利ざやを得たのと同様の効果を実現することができるのであり,その限りにおいては,何ら金銭貸付けに関するリスクを負担していないことが認められるのである。 すなわち,原告は,本件取引においては,我が国における外国税額控除の適用を受ける場合はもちろん受けられない場合でも,金銭貸付けに関するリスクを負担することなく,利ざやを得たのと同様の効果を実現できるのであり,通常の貸金契約における貸主が,金銭貸付けに関するリスクを負担しながら,貸付元 ちろん受けられない場合でも,金銭貸付けに関するリスクを負担することなく,利ざやを得たのと同様の効果を実現できるのであり,通常の貸金契約における貸主が,金銭貸付けに関するリスクを負担しながら,貸付元本を借主に利用させ,これと引き替えに貸付利息の支払を受けるのとは異なる契約意思により本件取引に参加していることが認められるのである。 (カ)前記(ア)ないし(オ)によれば,本件ローン契約に基づきテレコムNZ社から原告に対し支払われる貸付金利息は,通常の貸金契約における貸付利息とは異なり,私法上真正なものであると認めることができないのである。 ウ取引手数料次に,原告は,テレコムNZ社から,本件ローン契約に基づく貸付金利息とは別に,本件取引に係るアレンジメントフィー(斡旋手数料)又はマネジメントフィー(管理手数料)(以下,合わせて「取引手数料」という。)として,200万円を取得した。 しかし,本件取引手数料とは,本件取引の何に対する対価であるのかが全く不明である。 すなわち,本件ローン契約が通常の貸金契約であると解されるならば,通常,貸主としては貸付元本を借主に利用させるのと引き替えに,貸付利息を得ることに目的があり,同貸付金利息の受領とは別に本件取引手数料を取得することは,同目的に照らし全く理解できないのである。 したがって,原告が本件取引において本件取引手数料を受領していること自体が通常の貸金契約における貸主の意思とかけ離れたものであると認められるのである。 エ契約関係終了における現実的資金移動の不存在次に,原告,テレコムNZ社及びテレコムCA社の各契約関係は,本件取引の終了段階において現実的な資金移動もなく,原告香港支店内における伝票操作により終了している。 (ア) 動の不存在次に,原告,テレコムNZ社及びテレコムCA社の各契約関係は,本件取引の終了段階において現実的な資金移動もなく,原告香港支店内における伝票操作により終了している。 (ア)原告とテレコムNZ社及びテレコムCA社との関係原告は,平成5年4月1日,テレコムNZ社及びテレコムCA社との合意に基づき,原告香港支店内における伝票操作により預金元本及び貸付元本の決済を行った。 すなわち,原告は,テレコムCA社が原告香港支店に開設した円建て定期預金口座に当初振替処理された160億円を別段預金を通じてテレコムNZ社預金口座に振替処理し,これにより,本件預金契約に基づく預金元本の返済を行ったことにし,また,同口座から,上記160億円を引き落とすことにより,テレコムNZ社からの本件ローン契約に基づく貸付元本160億円の返済を受けたことにしたのである。 以上より原告とテレコムNZ社及びテレコムCA社の契約関係は,本件取引の終了段階において現実的な資金移動もなく原告香港支店内における伝票操作により終了していることが認められる。 (イ)テレコムNZ社とテレコムCA社との契約テレコムNZ社とテレコムCA社は,本件取引の終了段階において,通貨スワップ契約に基づきテレコムNZ社からテレコムCA社に対する160億円相当NZドルとテレコムCA社からテレコムNZ社に対する160億円の交換を行い,これにより契約関係を終了させることにしており,同終了段階で両者間に現実的な資金移動がないことは明らかである。 以上より,テレコムNZ社及びテレコムCA社との間の契約関係も,通貨スワップ契約による交換により,現実的な資金移動もなく終了したことが認められる。 (ウ)前記(ア)及び(イ)によれば 以上より,テレコムNZ社及びテレコムCA社との間の契約関係も,通貨スワップ契約による交換により,現実的な資金移動もなく終了したことが認められる。 (ウ)前記(ア)及び(イ)によれば,原告,テレコムNZ社及びテレコムCA社の各契約関係は,いずれも現実的な資金移動もなく,原告香港支店内のいわゆる伝票操作により終了したことが認められるのであり,これは,前記のとおり本件取引の開始段階における160億円が本件取引における循環金融の一部を構成するものであり私法上真正なものでなかったことからすればむしろ当然のことであり,このことからも,本件ローン契約における当事者双方の意思は,通常の貸金契約における貸主,借主の意思とは異なるものであると認めることができるのである。 オ小括前記アないしエからすれば,本件ローン契約の原告及びテレコムNZ社の意思は,通常の貸金契約における貸主及び借主の意思解釈として不合理であることが明らかなのである。 (2)本件預金契約における当事者双方の意思通常の預金契約を締結する当事者双方の目的は,通常,預金者においては,一定の期間,預金元本を預入先に預け入れるのと引き替えに,同期間経過後に同預入れに対応する預金利息を得ることにあり,他方,預入先においては,前記預金利息の支払と引き替えに,預金元本を運用できることにある。 そこで,本件預金契約が通常の預金契約であると解した場合,そのようなテレコムCA社及び原告の意思は,通常の預金契約における預金者及び預入先の意思解釈として合理的であると認められるかについてみる。 ア資金循環まず,テレコムCA社は,本件預金契約に基づき,原告に対し160億円の預入れを行ったとされているが,同金銭の預入れが本件取引における循環金融の一 られるかについてみる。 ア資金循環まず,テレコムCA社は,本件預金契約に基づき,原告に対し160億円の預入れを行ったとされているが,同金銭の預入れが本件取引における循環金融の一部を構成するものであり私法上真正なものでないことについては,前記(1)アからも明らかである。 したがって,本件預金契約に基づく160億円の預入れは私法上真正なものではなく,同契約における当事者双方の私法上の意思は,金銭を預け入れたり,受け入れたりすることにあるのではなく,専ら租税に関する利益ないし租税回避の利益を得ることにあったことが認められるのである。 イ預金金利の非正常性次に,原告は,本件預金契約に基づき,テレコムCA社に対し一定の預金利息(年率 LIBOR )の支払を行うとされているが,同預金利息の支払についても,前記(1)イと同様の理由から,通常の預金契約における預金利息の支払と異なり私法上真正なものであると認めることはできない。 ウ現実的資金移動の不存在次に,テレコムCA社は,原告がテレコムNZ社から本件ローン契約に基づき実行された貸付元本全額の返済を受けるまでは本件預金契約に基づく預金の払戻しを受けることも,預金の全部又は一部について引出し,振替え又はその他の方法による取扱いもできない旨確認し,同意していたが,実際には,前記のとおり貸付元本の返済がされていないにもかかわらず,平成5年4月1日付けで本預金契約に基づく預金元本をもって本件ローン契約に基づく貸付元本の返済に充てるとの相殺の合意がされ,同合意に基づき関係当事者間の契約関係は,現実的な資金移動もなく終了したのである。 これは,前記のとおり本件取引の開始段階における160億円が本件取引における循環金融の一部を構成するもので 同合意に基づき関係当事者間の契約関係は,現実的な資金移動もなく終了したのである。 これは,前記のとおり本件取引の開始段階における160億円が本件取引における循環金融の一部を構成するものであり私法上真正なものでなかったことからすればむしろ当然のことであり,このことからも,本件預金契約における当事者双方の意思は,通常の預金契約における預金者,預入先の意思とは異なるものであると認めることができるのである。 エ小括前記ア及びウからすれば,本件預金契約におけるテレコムCA社及び原告の意思は,通常の預金契約における預金者及び預入先の意思解釈として不合理であることが明らかなのである。 (3)本件取引の目的(当事者が真に意図した私法上の法律構成)本件取引のうち,本件ローン契約及び本件預金契約を通常の貸金契約及び預金契約であると解した場合,契約当事者の意思として不合理であることは前記のとおりであるが,それにもかかわらず,本件で,原告,テレコムNZ社及びテレコムCA社が本件ローン契約及び本件預金契約を締結した真の意思は,後記のとおり,テレコムNZ社及びテレコムCA社においては被告主張の「本来の取引」を行った場合に生じるテレコムCA社の源泉徴収課税の回避を図ることにあり,原告においては,同租税負担の回避を図るため,我が国における外国税額控除の余裕枠を提供し,同役務提供に対する対価を取得することにあったと認められるのである。 以下では,被告主張の「本来の取引」及び同「仮装作出取引」を対比することにより関係当事者が本件取引に参加した目的を探求することにする。なお,被告の主張する「本来の取引」及び同「仮装作出取引」の概要は,別紙10の1ないし3のとおりである。 アまず,被告主張の「本来の取引」とは,テレコムCA 参加した目的を探求することにする。なお,被告の主張する「本来の取引」及び同「仮装作出取引」の概要は,別紙10の1ないし3のとおりである。 アまず,被告主張の「本来の取引」とは,テレコムCA社がテレコムNZ社に対し,自社がユーロキウイボンド発行により投資家から調達した160億円相当NZドルを貸し付けることを内容とする取引であり,同取引の目的は,テレコムNZ社においては貸付元本をもとに民営化に伴う資金として運用することにあり,テレコムCA社においては貸付元本の運用により得られる運用利益の取得にあったと認められる。 ただし,被告主張の「本来の取引」を行った場合,テレコムCA社は,ケイマン諸島の税制によりテレコムNZ社からの貸付金利息に課されるニュー・ジーランド源泉税について外国税額控除を受けることができないため,同源泉徴収課税は,テレコムCA社にはコストになってしまうのである。 イ次に,被告主張の「仮装作出取引」とは,次のような複数の取引により構成される一連の取引である。 (ア)テレコムNZ社及びテレコムCA社は,仮に,被告主張の「本来の取引」を行った場合には,ニュー・ジーランドの税制によりテレコムNZ社からの貸付金利息についてニュー・ジーランド源泉税が課せられるため,同源泉徴収課税を免れる目的で,両者間で通貨スワップ契約を締結し,同契約により想定元本たる160億円相当NZドルに係る金利相当額について同源泉徴収課税を免れることにした。 なお,テレコムCA社においてユーロキウイボンドの発行が遅れ,本件ローン契約及び預金契約の締結及び実行までに投資家から資金を調達できなかったことについては既に述べたとおりである。 (イ)テレコムCA社は,形式的には,原告香港支店に対し160億円の預入れを行ったかの 約及び預金契約の締結及び実行までに投資家から資金を調達できなかったことについては既に述べたとおりである。 (イ)テレコムCA社は,形式的には,原告香港支店に対し160億円の預入れを行ったかのような内容の本件預金契約を締結し,同契約に基づく預金利息を取得しているが,実質的には,同契約により原告香港支店を通じテレコムNZ社に対し同160億円を循環金融の方法により送金し,同社において,通貨スワップ契約により同160億円と交換された160億円相当NZドルを運用させていたのであり,同運用利益は,本件預金契約に基づく預金利息という形で回収されていたのである。 (ウ)テレコムNZ社は,形式的には,原告香港支店から160億円の貸付けを受けたかのような内容の本件ローン契約を締結し,同契約に基づく貸付金利息の支払をしている(貸付金利息に係るニュージーランド源泉税については,我が国における原告の外国税額控除の余裕枠を利用することにより吸収されるのである。)が,実質的には,同貸付元本は,テレコムNZ社から,テレコムCA社及び原告香港支店を経由して循環金融の方法により送金された金員であり,通貨スワップ契約によりテレコムCA社からテレコムNZ社への160億円相当NZドルに交換され,テレコムNZ社において同金員をもとに民営化に伴う資金として運用されていたのである。 (エ)原告香港支店は,形式的には,本件預金契約に基づきテレコムCA社から160億円の預入れを受け,かつ本件ローン契約に基づきテレコムNZ社に対し同額の金員を貸し付けていることになるが,実質的には,テレコムCA社に代わり本件ローン契約の貸主として介在することにより,ニュー・ジーランド源泉税につき我が国における外国税額控除の適用を受ける形で吸収していたのでありこのような外国税額控除の余裕枠 ,テレコムCA社に代わり本件ローン契約の貸主として介在することにより,ニュー・ジーランド源泉税につき我が国における外国税額控除の適用を受ける形で吸収していたのでありこのような外国税額控除の余裕枠を利用させたことの対価として,マージン相当額及び本件取引手数料を取得していたのである。 ウ前記ア及びイによれば,原告,テレコムNZ社及びテレコムCA社が本件ローン契約及び本件預金契約を締結した真の意思は,以下のとおりである。 (ア)まず,テレコムNZ社は,本件取引によりテレコムCA社から,同社が投資家から調達した160億円相当NZドルの融資を受けこれを民営化に伴う資金として運用する目的で同取引に参加したのであり,被告主張の「本来の取引」を行った場合には,テレコムCA社に対する貸付金利息に係るニュー・ジーランド源泉徴収課税について同社がケイマン諸島で外国税額控除を受けることができないため,形式的には原告香港支店から160億円の融資を受けたかのような内容の本件ローン契約を締結し(これにより,同契約に基づく貸付金利息に係るニュー・ジーランド源泉税については,前記のとおり,原告の我が国における外国税額控除の余裕枠を利用することにより吸収される。),実質的には,通貨スワップ契約により,関係当事者間を資金循環してきた同160億円がテレコムCA社からテレコムNZ社への160億円相当NZドルに交換され,テレコムNZ社において同額の金員を運用していたのである。 そうすると,テレコムNZ社は,被告主張の「本来の取引」を行った場合であっても,テレコムCA社からの160億円相当NZドルを運用するとの目的は達成されるのであり,同一の目的を達成するために,原告との間で本件ローン契約を締結することにより,160億円を資金循環させる必要はなかったと認 ムCA社からの160億円相当NZドルを運用するとの目的は達成されるのであり,同一の目的を達成するために,原告との間で本件ローン契約を締結することにより,160億円を資金循環させる必要はなかったと認められるのである。 したがって,テレコムNZ社が本件ローン契約を締結した真の意思は,テレコムCA社の租税負担の回避を図るためであったと認められる。 (イ)次に,テレコムCA社は,本件取引により,同社が調達した160億円相当NZドルをテレコムNZ社に融資し同融資による運用利益を取得する目的で同取引に参加したのであり,被告主張の「本来の取引」を行った場合にはテレコムNZ社からの貸付金利息に係るニュー・ジーランド源泉徴収課税につきケイマン諸島で外国税額控除を受けることができないため,形式的には原告香港支店に対し160億円の預入れを行ったかのような内容の本件預金契約を締結し同契約に基づき預金利息を取得しているが,実質的には,同契約により原告香港支店を通じてテレコムNZ社に前記160億円を循環金融の方法により送金し,同社において,通貨スワップ契約により同160億円と交換された160億円相当NZドルを運用させていたのであり,同運用利益は,本件預金契約に基づく預金利息という形で回収されていたのである。 そうすると,テレコムCA社は,被告主張の「本来の取引」を行った場合であっても,テレコムNZ社に対し160億円相当NZドルを融資し同融資による運用利益を取得する目的は達成されるのであり,同一の目的を達成するため,原告との間で本件預金契約を締結することにより160億円を循環金融の方法によりテレコムNZ社へ送金する必要はなかったのである。 したがって,テレコムCA社が本件預金契約を締結した真の意思は,自社の租税負担の回避を図 結することにより160億円を循環金融の方法によりテレコムNZ社へ送金する必要はなかったのである。 したがって,テレコムCA社が本件預金契約を締結した真の意思は,自社の租税負担の回避を図るためであったと認められる。 (ウ)次に,原告は,被告主張の「本来の取引」が行われた場合には,本件取引に参加する必要のない立場にあったが,この場合は,前記のとおり,テレコムCA社において源泉徴収課税がコストになるため,形式的には,本件預金契約に基づきテレコムCA社から160億円の預入れを受け,かつ本件ローン契約に基づきテレコムNZ社に対し同額の金員の貸付けを行ったことになっているが(これら金員の流れが循環金融の一部を構成するものであることについては前記のとおりである。),実質的には,テレコムCA社に代わり本件ローン契約の貸主として本件取引に介在することによりニュー・ジーランド源泉税については,我が国における外国税額控除の適用を受ける形で吸収したのであり,このような外国税額控除の余裕枠を利用させたことの対価としてマージン相当額及び本件取引手数料を取得していたのである。 そうすると,原告は,被告主張の「本来の取引」が行われた場合に生じるテレコムCA社の源泉徴収課税を回避する目的をもって本件ローン契約の貸主及び本件預金契約の預入先として介在しているにすぎないのであり,このように介在すること自体の意味は,我が国における外国税額控除の余裕枠を利用させるのと引き替えに,同利用に対する報酬を得ること以外には何も存在しない。 したがって,原告が本件ローン契約及び本件預金契約を締結した真の意思は,テレコムCA社の租税負担の回避を図るため我が国における外国税額控除の余裕枠を提供するのと引き替えに同役務提供に対する対価を得ることであったと 告が本件ローン契約及び本件預金契約を締結した真の意思は,テレコムCA社の租税負担の回避を図るため我が国における外国税額控除の余裕枠を提供するのと引き替えに同役務提供に対する対価を得ることであったと認められる。 (エ)本件ローン契約及び本件預金契約の効力前記(ア)ないし(ウ)からすれば,本件取引のうち本件ローン契約及び本件預金契約は,テレコムCA社の租税負担の回避を図ることを目的としてそれぞれ締結されたものであり,外観上貸金契約及び預金契約の形式はあるものの,実体上貸金契約及び預金契約の実質が認められないのであり,契約当事者の真の意思を探求すれば,むしろ原告が我が国における外国税額控除の余裕枠をテレコムNZ社及びテレコムCA社に提供し,これに対しテレコムNZ社及びテレコムCA社が原告に対し同役務提供に対する対価を支払うことを内容とする合意をしていると認めることが合理的であり,同合意内容からすれば,いわゆる外国税額控除の余裕枠に関する売買契約であると解するのが相当であるから,貸金契約及び預金契約としては,通謀虚偽表示(民法94条1項)によりいずれも無効であると解すべきである。 2 原告は,本件各契約が通謀虚偽表示であることを否認し,①本件取引の目的がテレコムCA社が負担すべきニュー・ジーランド源泉税を免れさせることにあることを知らなかった,②本件取引が循環金融の一翼を担っていることは知らなかった,③本件スワップ契約の存在を知らなかった,④テレコムCA社によるユーロキウイボンドの発行を知らなかったなどと主張するが,本件各証拠に照らせばいずれも理由のないことは明らかである。 (1)原告は,本件各契約の目的がテレコムCA社が負担すべきニュー・ジーランド源泉税を免れさせること,その意味で同源泉税を自己が吸収することにあると らせばいずれも理由のないことは明らかである。 (1)原告は,本件各契約の目的がテレコムCA社が負担すべきニュー・ジーランド源泉税を免れさせること,その意味で同源泉税を自己が吸収することにあると知っていたこと。 アフェイリッチ社からSIF社に宛てた原告の取引参加を誘引する文書(乙4の1及び2,以下「乙4書面」という。)において,件名として「源泉税吸収ファシリティー(便宜)」とあり,その内容として「テレコム(NZ)社は,源泉税吸収ファシリティーの組成をフェイリッチ社に委託し,当該ファシリティーの見積もりを三和銀行に提供するよう求めています。なお,源泉税吸収ファシリティーの構成図を参考のために添付します。」と記載されていること,本件預金契約の金利に関し,「ローンファシリティーに関する源泉税の吸収対価としてのマージン」を控除すると記載されており,本件各取引によって原告が得るマージンがニュー・ジーランド源泉税を吸収する対価であると明記されていること,原告香港支店から原告国際審査部に上げた稟議書(乙5)において,本件各取引の構成図を記載した上,原告の役割がニュー・ジーランド源泉税を吸収することにあることを明記していることなどから,SIF社及び原告において,本件各取引がニュー・ジーランド源泉税の吸収を目的としてフェイリッチ社により計画されたものであることは十分認識していたところである。 イところで,SIF社は,香港に所在する原告の子会社である現地法人であり,テレコム社案件に係る原告の窓口として,原告を代理してフェイリッチ社と交渉していたものであることから,その交渉内容は,同社から原告香港支店及び原告国際部に逐一報告されていた。 また,原告においても,本件取引をSIF社を通じてなし,本件各契約を締結したことは認めるところ ものであることから,その交渉内容は,同社から原告香港支店及び原告国際部に逐一報告されていた。 また,原告においても,本件取引をSIF社を通じてなし,本件各契約を締結したことは認めるところである。 (2)原告は,本件各契約が循環金融の一翼を担っていることを認識していたこと。 ア乙4書面に添付された構成図は本件取引の仕組みを図示しており,そこには円建て資金が原告香港支店からテレコムNZ社,テレコムCA社を経由して再び原告香港支店に循環する旨明記されている。 また,乙4書面には,「本件ローンは直ちに引き出され,原告香港支店にテレコムCA社名義の預金とします。」と記載されており,本件取引の構造は,テレコムNZ社が原告香港支店から借り入れた資金をもって原告香港支店の預金とすることで達成される旨明記されている。 イ乙4書面の取引申込み(プロポーザル)において,本件ローン契約の支払に関し,「すべての支払を始めるに当たり,テレコムNZ社及びテレコムCA社によって用意される現金等の通貨はありません。」と記載されているが,これは本件取引が現実の資金の流れを必要としない取引であることを明らかにしたものである。 およそ,現実の資金の流れを不要とするためには,当該取引が循環金融であることが前提であることから,本件取引において現実の資金の流れを不要としたことはとりもなおさず本件取引が循環金融の一翼を担っていたことの証左である。 ウ香港の法律事務所である LINKLATERS & PAINES が,本件各契約の検討に際し,SIF社に宛てた文書(乙122の1及び2)において,「テレコムNZ社は,異なる契約間で,増加費用の公正な割当てや分配を調整することは難しいものと考えています。もっとも,他のファシリティーでは当該 ,SIF社に宛てた文書(乙122の1及び2)において,「テレコムNZ社は,異なる契約間で,増加費用の公正な割当てや分配を調整することは難しいものと考えています。もっとも,他のファシリティーでは当該条項を規定するけれども,循環金融(サーキュラーファンディング)を必然的に含む本件ウェアハウジングファシリティー(源泉税吸収取引)には相応しくないと考えています」と記載し,本件取引が循環金融の手法により構築された取引である旨指摘した形で報告している。 エ以上からすれば,本件各契約がテレコムNZ社,テレコムCA社及び原告の三者間における循環金融の一翼を担っていること及び原告がそのことを認識していたことは疑いのない事実である。 なお,テレコムNZ社の決算書(乙82の1及び2,73頁)には「当社は640億円の借入を行い,その資金は子会社を通じて元の海外の貸手に対し全額貸し付けている。このファシリティーの取決めは連結貸借対照表上相殺され,持株会社の貸借対照表上継続して相殺される」と記載されており,テレコムNZ社としても自己の借入金がそのままその借入先に対して貸し付けられていることを認識しており,本件取引が循環金融の一環であることを認めている。 (3)原告は本件スワップ契約を認識していたこと。 原告は,本件スワップ契約の存在及びその内容について全く知らないと主張するが,ユーロピアン社案件における源泉税吸収の構造は,テレコム社案件と同様であり,同構造にスワップ取引が介在する旨明記されていることなどからすれば,原告がテレコムNZ社とテレコムCA社間のスワップ契約及び本件が循環金融の手法により構築された取引であることを十分認識した上,そのことを前提として,テレコムCA社のニュー・ジーランド源泉税回避のために本件各契約を締結したことは明 A社間のスワップ契約及び本件が循環金融の手法により構築された取引であることを十分認識した上,そのことを前提として,テレコムCA社のニュー・ジーランド源泉税回避のために本件各契約を締結したことは明らかである。 (4)原告は,本件ユーロキウイボンドの発行を認識していたこと。 原告は,本件ユーロキウイボンドの発行を本件各契約締結時において知らなかった旨主張するが,本件各契約締結前の昭和63年9月30日付けのSIF社の議事録(乙84の1及び2)において,「当社は640億円のウェアハウジングファシリティーが先頃決着したことを知らされた。この税金のウェアハウジングファシリティーに関し,テレコムNZ社は,ケイマンにある子会社(テレコムCA社)を通じて相当の債券を発行します。テレコムNZ社は,金額と時期について明かさないものの,税金のウェアハウジングファシリティーの実行に合わせるため同額の債券をケイマンで発行するものと思われます。」とケイマンでユーロキウイボンド又はこれに類する債券の発行がなされることが本件取引の実行に必要である旨記載されており,このことからその当時原告において,本件ユーロキウイボンド又はこれに類する債券が発行されることは当然認識していたというべきである。 3 まとめ以上のとおり,本件取引については,第1に,各契約当事者において資金を循環させること以外に資金の需要はなく,契約上160億円は実際に本件循環取引以外に利用されていないこと,第2に,本件各取引は,その一つでも成立しなければ残りの二つも成立しないという不可分一体性を持っていること,第3に,原告とテレコムNZ社,テレコムCA社との各取引における金員の授受が全て同一日付で原告香港支店の各口座間を伝票操作により循環しており,すなわち,現実の資金交付及び利息の支払等 っていること,第3に,原告とテレコムNZ社,テレコムCA社との各取引における金員の授受が全て同一日付で原告香港支店の各口座間を伝票操作により循環しており,すなわち,現実の資金交付及び利息の支払等が相殺勘定によりなされることが当初から予定されている。その結果,テレコムNZ社,テレコムCA社において,160億円の資金及びその利息を実質的に取得して運用する機会が封じられていること,第4に,テレコムCA社のユーロキウイボンド発行が遅れたため,投資家からテレコムCA社,テレコムNZ社へと流れる経済的実体のある資金の流れがないままに,循環取引のみが先行して行われたものであること,第5に,原告は,外国税額控除の適用が受けられない場合には,利ざやを得ることができないことになるのであり,このことからみても,本件取引が通常の預金担保貸付と解することができないことは明らかであることが指摘できる。 このように,本件ローン契約及び本件預金契約は,貸金契約及び預金契約としては無効であるから,原告が本件ローン契約に基づく貸付金利息に関して負担したとされるニュー・ジーランド源泉税については,法69条1項の定める外国法人税には該当しないと解すべきである。 あるいは,通謀虚偽表示として無効ではないとしても,契約当事者の真の意思は,原告が我が国における外国税額控除の余裕枠をテレコムNZ社及びテレコムCA社に提供し,これに対しテレコムNZ社及びテレコムCA社が原告に対し同役務提供に対する対価を支払うことを内容とする合意をしていると認めることが合理的であり,同合意内容からすれば,いわゆる外国税額控除の余裕枠に関する売買契約であると解するのが相当であり,かかる当事者の真意に従って課税されるべきである。 したがって,本件で,原告は,平成2年ないし平成5年の各3月 すれば,いわゆる外国税額控除の余裕枠に関する売買契約であると解するのが相当であり,かかる当事者の真意に従って課税されるべきである。 したがって,本件で,原告は,平成2年ないし平成5年の各3月期における法人税について,いずれも法69条1項が定める外国税額控除の適用を受けることはできないのである。 第3の2の2の2 ユーロピアン社案件及びファースト社案件 1 本件各取引における当事者意思の探求原告は,本件各ローン契約書(甲14の3,7,11)によりクック諸島法人(ユーロピアン社及びファースト社)に対し2億米ドルを貸し付けるかのような内容の契約を締結するとともに本件各預金契約書(甲14の4,8,12)によりバーミューダ諸島法人(キングストン社及びグレシャム社)から2億米ドルの預入れを受けたかのような内容の契約を締結したとされるが,本件各ローン契約を締結するに当たって,当事者双方には,2億米ドルを貸し付ける意思も借り受ける意思も有していなかったものと認められるし,また,本件各預金契約を締結するに当たって,当事者双方には,2億米ドルの預入れを行う意思も同預入れを受ける意思も有していなかったものと認められる。理由は以下のとおりである。 (1)本件各ローン契約における当事者双方の意思本件各ローン契約が通常の貸金契約であると解した場合,かかる原告及びクック諸島法人の意思は,貸金契約における貸主及び借主の意思解釈として合理的であると認められるかについてみる。 ア資金循環まず,原告は,本件各ローン契約に基づき,クック諸島法人に対し2億米ドルの貸付けを行ったとされているが,同金銭貸付けは,本件各取引における資金循環の一部を構成するものであり私法上真正なものでないことは明らかである。 (ア)本件各取引の開始段階に 人に対し2億米ドルの貸付けを行ったとされているが,同金銭貸付けは,本件各取引における資金循環の一部を構成するものであり私法上真正なものでないことは明らかである。 (ア)本件各取引の開始段階における2億米ドルの流れをみると,本件各預金契約に基づく預金元本として同2億米ドルがバーミューダ諸島法人から原告香港支店へ送金され,本件各ローン契約に基づく貸付元本として同額の金員が原告香港支店からクック諸島法人へ送金されたが,これは,もともとクック諸島法人からバーミューダ諸島法人へ送金されたものであり,バーミューダ諸島法人のクック諸島法人に対する2億米ドル相当NZドルと,通貨スワップ契約により一対とされたものであるから,2億米ドルは,同一日付でクック諸島法人から,バーミューダ諸島法人及び原告香港支店を経由し再びクック諸島法人へ戻ることになる。 (イ)また,本件各取引では,預金元本と同額の金員が貸付元本として融資されているのであり,このことからみても,本件各取引が通常の預金担保貸付けであると解することができず,むしろ,循環金融の一部を構成するものであると解するのが実体に合致しているのである。 (ウ)前記(ア)及び(イ)によれば,本件各ローン契約に基づく2億米ドルの貸付けが私法上真正なものでないことは明らかであり,同契約における当事者双方の私法上の意思も金銭を貸し付けたり借り受けたりすることにあるのではなく,専ら租税に関する利益ないし租税回避の利益を得ることにあったと認められる。 イ貸付金金利の非正常性次に,原告は,本件各ローン契約に基づき,クック諸島法人から一定の利息計算期間に対応する貸付金利息(ユーロピアン社案件Ⅰは年率11.37パーセント,同案件Ⅱは年率11.925パーセント,ファースト社案件は年率12パーセン ン契約に基づき,クック諸島法人から一定の利息計算期間に対応する貸付金利息(ユーロピアン社案件Ⅰは年率11.37パーセント,同案件Ⅱは年率11.925パーセント,ファースト社案件は年率12パーセントである。)の前払を受けるとされているが,同貸付金利息についても通常の貸金契約における貸付利息と異なり私法上真正なものでないことは,以下のとおり明らかである。 (ア)本件各ローン契約に基づく貸付金利息(クック諸島源泉税相当額控除後)の受領原告は,本件各ローン契約に基づき,クック諸島法人から貸付金利息の前払を受けられるが,同社において貸付金利息の支払をする際には,同貸付金利息からクック諸島源泉税(貸付金利息の15パーセントを限度とする。)を控除してすることが許されているため,それぞれ,前記貸付金利息からクック諸島源泉税相当額が控除された後の金額を受領することになる。 (イ)本件各預金契約に基づく預金利息の前払原告は,本件各ローン契約に基づき貸付金利息の前払を受けるのと同じ日に,本件各預金契約に基づきバーミューダ諸島法人に対し,預金利息の前払をしなければならず,前記貸付金利息を受領した日に預金利息の前払を行っていた。 (ウ)貸付金利息と預金利息の決済(逆ざやの発生)前記(ア)貸付金利息と前記(イ)の預金利息は, CHIPS により相殺決済された。 本件各取引では,本件各ローン契約上の貸付金利息はユーロピアン社案件Ⅰが年率11.37パーセント,同案件Ⅱが年率11.925パーセント,ファースト社案件が年率12パーセント,本件各預金契約上の預金利息はユーロピアン社案件Ⅰが年率11パーセント,同案件Ⅱが年率11.55パーセント,ファースト社案件が年率11.62パーセントと定められているから, 案件が年率12パーセント,本件各預金契約上の預金利息はユーロピアン社案件Ⅰが年率11パーセント,同案件Ⅱが年率11.55パーセント,ファースト社案件が年率11.62パーセントと定められているから,本件各取引が通常の預金担保貸付けであると解する場合には,貸付金利息と預金利息の決済により利ざや(マージン,ユーロピアン社案件Ⅰでは年率0.37パーセント,同案件Ⅱでは年率0.375パーセント,ファースト社案件では年率0.38パーセント。)が生じるはずであるが,本件ではクック諸島法人が本件各ローン契約に基づく貸付金利息の前払をする際,前記貸付金利息に係るクック諸島源泉税相当額が控除されているため,前記CHIPS 決済により逆ざやが生じることになるのである。そして,原告が本件各取引における利ざやを得るためクック諸島源泉税相当額を回収するには我が国の外国税額控除の適用を受けることが必要不可欠となるのである。 すなわち,原告は,外国税額控除の適用を受けることができなければ,本件各取引における利ざや(マージン)を得ることができないことになるのであり,このことからみても,本件各取引が,通常の預金担保貸付けと解することができないことは明らかである。 (エ)貸付けに係るリスク負担の有無原告は,平成元年ないし平成6年の各3月期の確定申告では,外国税額控除の適用が受けられるのを前提として税務申告を行うことにより,本件各取引における利ざや(マージン)を得たことになるものであるから,原告は,外国税額控除の適用が受けられない場合には,前記利ざやを得ることができないことになるため,結果として,本件各取引で金銭貸付けに関するリスクを負担していることになりそうである。 そこで,原告は,本件各取引で外国税額控除の適用が受けられない場 を得ることができないことになるため,結果として,本件各取引で金銭貸付けに関するリスクを負担していることになりそうである。 そこで,原告は,本件各取引で外国税額控除の適用が受けられない場合,金銭貸付けに関するリスクを負担することになるのかについてみる。 本件各ローン契約書によれば,原告は,関係法令の改正又はその解釈や運用上の変更のため,あるいは適用を受ける所轄政府その他の当局の指導,要請又は要求(法的効力の有無に関係なく)に従うことにより,本件各ローン契約に基づく利息の支払に適用される源泉徴収税に関して,日本の法律に基づいて現在又は今後受けることのできる税額控除,租税割戻又は所得控除が削除され,排除され又はその他の方法で資格を失うことになると認めたときは,合理的に可能な限り速やかに(ファースト社案件では7銀行取引日以内の予告を要する。)クック諸島法人に通知することにより,同社に対し,同通知から30日以内に,弁済日までにローンに対して発生した経過利息及び本件各ローン契約上支払義務を有する一切の金員を添えて期限前弁済するよう要求することができるのであり,この場合には,同社は,適用期間中にローンに対して発生する利息相当額を補償金として別途原告に対し支払わなければならないとされている(9条2項,3項,以下「補償義務」という。)。 また,原告は,関係法令の改正又はその解釈や運用上の変更のため,あるいは適用を受ける所轄政府その他の当局の指導,要請又は要求(法的効力の有無に関係なく)に従うことにより,クック諸島法人が本件各ローン契約に基づき支払うべき債務について原告に租税その他の支払義務が生じる場合に現在又は今後該当することになると認めたときは,直ちに同社に対し,その旨通知するのであり,この場合には,同社は,原告か ーン契約に基づき支払うべき債務について原告に租税その他の支払義務が生じる場合に現在又は今後該当することになると認めたときは,直ちに同社に対し,その旨通知するのであり,この場合には,同社は,原告から要求があり次第,租税,支払,費用の増大又は受取額の減少を補填するするために必要であると原告により証明された金額を支払わなければならないとされている(8条2項前段,以下「補填義務」という。)。 以上より,本件では,原告は,我が国における外国税額控除の適用を受けられない場合でも,本件各ローン契約に基づき,クック諸島法人に対し補償義務ないし補填義務を要求することにより,本件各取引における利ざやを得たのと同様の効果を実現することができるのであり,その限りにおいては,何ら金銭貸付けに関するリスクを負担していないことが認められるのである。 (オ)前記(ア)ないし(エ)によれば,本件各ローン契約に基づきクック諸島法人から原告に対し前払がされる貸付金利息は,通常の貸金契約における貸付利息と異なり,私法上真正なものであると認めることができないのである。 ウ本件各取引参加料次に,原告はクック諸島法人から本件各ローン契約に基づき貸付金利息とは別に本件各取引参加料(契約書上は与信枠設定手数料)を受領することが定められ(10条1項),実際上も同参加料としてユーロピアン社案件Ⅰでは20万米ドル,同案件Ⅱ及びファースト社案件では25万米ドルを取得した。 しかし,同参加料は,契約書上,与信枠設定手数料と定められているが,実質的にみても,本件各取引の何に対する対価であるのかが全く不明であり,原告が本件各取引で同参加料を受領していること自体が通常の貸金契約における貸主の意思とかけ離れたものであると認められるのである。 エ契約終了 各取引の何に対する対価であるのかが全く不明であり,原告が本件各取引で同参加料を受領していること自体が通常の貸金契約における貸主の意思とかけ離れたものであると認められるのである。 エ契約終了における現実的資金移動の不存在次に,原告は,本件各ローン契約上の償還日である平成5年9月30日(ユーロピアン社案件Ⅰ),同年12月22日(同案件Ⅱ)あるいは平成6年3月30日(ファースト社案件)にクック諸島法人から,貸付元本全額の返済を受ける旨合意されていたが(6条1項),実際には,貸付元本の返済はされることなく,原告,クック諸島法人及びバーミューダ諸島法人の各契約関係は,以下のとおり現実的な資金移動もなく終了した。 (ア)原告とクック諸島法人との契約関係の終了原告は,本件各ローン契約で,クック諸島法人との間で,あらかじめ同社の書面による同意を得ること又は本件オプション契約に従い譲渡を行うことを条件として本件各ローン契約及び担保証書に基づく自己の権利を随時譲渡できる旨合意している(17条3項)。 原告とバーミューダ諸島法人は,本件各担保設定契約において同契約に基づく自己の権利の全部又は一部を本件各ローン契約の規定に従い譲渡することができる旨合意している(15条)。 本件各オプション契約は,原告がバーミューダ諸島法人に対し本件各ローン契約及び本件各担保設定契約に基づく自己の権利を移転する際の条件について定めるものである(前文(A)ないし(D))。 本件で,原告は,バーミューダ諸島法人に対し,本件各債権譲渡契約に基づき,本件各ローン契約上のすべての権利,権原,利益を譲渡し,クック諸島法人もまた同譲渡について同意している(2条1項,4項,5項)。 以上より,原告とクック諸島法人 件各債権譲渡契約に基づき,本件各ローン契約上のすべての権利,権原,利益を譲渡し,クック諸島法人もまた同譲渡について同意している(2条1項,4項,5項)。 以上より,原告とクック諸島法人との契約関係は,本件各取引の開始段階から,原告がバーミューダ諸島法人に対し,本件各ローン契約上のすべての権利,権原,利益を譲渡することにより現実的な資金移動もなく終了することが予定されていたのであり,実際にも,現実的な資金移動もなく終了した。 (イ)原告とバーミューダ諸島法人との契約関係の終了原告は,本件債権譲渡契約に基づき,本件各ローン契約上のすべての権利,権原,利益をバーミューダ諸島法人に譲渡したことにより,同社に対し,同譲渡の対価である2億米ドルを取得することになるが,原告とバーミューダ諸島法人は,同譲渡の対価と本件各預金契約に基づく預金元本2億米ドルとを相殺することにより充当する旨合意した(2条2項,3項)。 以上より原告とバーミューダ諸島法人との契約関係は,現実的な資金移動もなく終了した。 (ウ)クック諸島法人とバーミューダ諸島法人との契約関係の終了クック諸島法人とバーミューダ諸島法人は,通貨スワップ契約によりクック諸島法人のバーミューダ諸島法人に対する2億米ドル相当NZドルと,同社からの2億米ドルを交換することにより契約関係が終了することが予定されていた。 本件では,バーミューダ諸島法人は,本件各ローン契約上のすべての権利,権原,利益を原告から譲り受けたことにより,クック諸島法人に対する2億米ドルを貸し付けた地位を取得したのであり,新たに通貨スワップ契約による交換のため,クック諸島法人に対し同額の金員を送金する必要はないから,同契約上の地位をもって2億米ドル相当NZドルとの する2億米ドルを貸し付けた地位を取得したのであり,新たに通貨スワップ契約による交換のため,クック諸島法人に対し同額の金員を送金する必要はないから,同契約上の地位をもって2億米ドル相当NZドルとの交換に充当された。 以上より,両者間の契約関係は,通貨スワップ契約による交換により,現実的な資金移動もなく終了したのである。 (エ)前記(ア)ないし(ウ)によれば,原告,クック諸島法人及びバーミューダ諸島法人の各契約関係は,いずれも現実的な資金移動もなく終了したことが認められるのであり,これは,前記のとおり本件各取引の開始段階における2億米ドルが本件各取引における循環金融の一部を構成するものであり私法上真正なものでなかったことからすればむしろ当然のことであり,このことからも,本件各ローン契約における当事者双方の意思は,通常の貸金契約における貸主,借主の意思とは異なるものであると認めることができるのである。 オ小括前記アないしエからすれば,本件各ローン契約の原告及びクック諸島法人の意思は,通常の貸金契約における貸主及び借主の意思解釈として不合理であることが明らかなのである。 (2)本件各預金契約における当事者双方の意思本件各預金契約が通常の預金契約であると解した場合,かかるバーミューダ諸島法人及び原告の意思は,通常の預金契約における預金者及び預入先の意思解釈として合理的であると認められるかについてみる。 ア資金循環まず,バーミューダ諸島法人は,本件各預金契約に基づき,原告に対し2億米ドルの預入れを行ったとされているが,同預入れが本件各取引における循環金融の一部を構成するものであり私法上真正なものでないことについては,前記(1)アからも明らかである。 したがって,本件各預金契 入れを行ったとされているが,同預入れが本件各取引における循環金融の一部を構成するものであり私法上真正なものでないことについては,前記(1)アからも明らかである。 したがって,本件各預金契約に基づく2億米ドルの預入れは私法上真正なものではなく,同契約における当事者双方の私法上の意思は,金銭を預け入れたり,受け入れたりすることにあるのではなく,専ら租税に関する利益ないし租税回避の利益を得ることにあったことが認められるのである。 イ預金利息の非正常性次に,原告は,本件各預金契約に基づき,バーミューダ諸島法人に対し一定の預金利息(ユーロピアン社案件Ⅰは年率11パーセント,同案件Ⅱは年率11.55パーセント,ファースト社案件は11.62パーセント)の支払を行うとされているが,同預金利息の支払についても,前記(1)イと同様の理由から,通常の預金契約における預金利息の支払と異なり私法上真正なものであると認めることはできない。 ウ現実的な資金移動の不存在次に,原告は,クック諸島法人から本件各ローン契約に基づき実行された貸付元本の弁済を受けた場合には,本件各預金契約に基づき,バーミューダ諸島法人に対し預金元本の払戻しをしなければならない旨合意されていたが,実際には預金元本の払戻しはされることなく,前記のとおり,原告は,本件債権譲渡契約に基づき,本件各ローン契約上のすべての権利,権原,利益をバーミューダ諸島法人に対し譲渡した対価と,本件各預金契約に基づく預金元本とを相殺する旨合意することにより,両者の契約関係は,現実的な資金移動もなく終了したのである。 これは,前記のとおり本件各取引の開始段階における2億米ドルが本件各取引における資金循環の一部を構成するものであり私法上真正なものでなかったことからす 的な資金移動もなく終了したのである。 これは,前記のとおり本件各取引の開始段階における2億米ドルが本件各取引における資金循環の一部を構成するものであり私法上真正なものでなかったことからすればむしろ当然のことであり,このことからも,本件各預金契約における当事者双方の意思は,通常の預金契約における預金者,預入先の意思とは異なるものであると認めることができるのである。 エ小括前記アないしウからすれば,本件各預金契約におけるバーミューダ諸島法人及び原告の意思は,通常の預金契約における預金者及び預入先の意思解釈として不合理であることが明らかなのである。 (3)本件各取引の目的(当事者が真に意図した私法上の法律構成)本件各取引のうち,本件各ローン契約及び本件各預金契約を通常の貸金契約及び預金契約であると解した場合,契約当事者の意思として不合理であることは前記のとおりであるが,それにもかかわらず,本件で,原告,クック諸島法人及びバーミューダ諸島法人が本件各ローン契約及び本件各預金契約を締結した真の意思は,後記のとおり,クック諸島法人及びバーミューダ諸島法人においては,被告主張の「本来の取引」を行った場合に生じるバーミューダ諸島法人の源泉徴収課税の回避を図ることにあり,原告においては,同租税負担の回避を図るため,我が国における外国税額控除の余裕枠を提供し,同役務提供に対する対価を取得することにあったと認められるのである。 以下では,被告主張の「本来の取引」及び同「仮装作出取引」を対比するにより関係当事者が本件各取引に参加した目的を探求することにする。なお,被告の主張する「本来の取引」及び同「仮装作出取引」の概要は,別紙11ないし13の各1及び2のとおりである。 アまず,被告主張の「本来の取引」とは, に参加した目的を探求することにする。なお,被告の主張する「本来の取引」及び同「仮装作出取引」の概要は,別紙11ないし13の各1及び2のとおりである。 アまず,被告主張の「本来の取引」とは,バーミューダ諸島法人がクック諸島法人に対し,自社が投資家から調達した2億米ドル相当NZドルを貸し付けることを内容とする取引であり,同取引の目的は,クック諸島法人においては貸付元本をもとにNZドル建てユーロ債を購入して運用することにあり,バーミューダ諸島法人においては貸付元本の運用により得られる運用利益の取得にあったと認められる。 ただし,被告主張の「本来の取引」を行った場合,バーミューダ諸島法人は,バーミューダ諸島の税制によりクック諸島法人からの貸付金利息に課される源泉税につき外国税額控除を受けることができないため,同源泉徴収課税は,バーミューダ諸島法人にはコストになってしまうのである。 イ次に,被告主張の「仮装作出取引」とは,次のような複数の取引により構成される一連の取引である。 (ア)クック諸島法人及びバーミューダ諸島法人は,仮に,被告主張の「本来の取引」を行った場合には,クック諸島の税制によりクック諸島法人からの貸付金利息について源泉税が課せられるため,同源泉徴収課税を免れる目的で,両者の間で通貨スワップ契約を締結し,同契約により想定元本たる2億米ドル相当NZドルに係る金利相当額について同源泉徴収課税を免れることにした。 (イ)バーミューダ諸島法人は,形式的には,原告香港支店に対し2億米ドルの預入れを行ったかのような内容の本件各預金契約を締結し,同契約に基づく預金利息を取得しているが,実質的には,同契約により原告香港支店を通じクック諸島法人に対し同2億米ドルを循環金融の方法により送金し,同社において,通貨スワ 容の本件各預金契約を締結し,同契約に基づく預金利息を取得しているが,実質的には,同契約により原告香港支店を通じクック諸島法人に対し同2億米ドルを循環金融の方法により送金し,同社において,通貨スワップ契約により同2億米ドルと交換された2億米ドル相当NZドルを運用させていたのであり,同運用利益は,本件各預金契約に基づく預金利息という形で回収されていたのである。 (ウ)クック諸島法人は,形式的には,原告香港支店から2億米ドルの貸付けを受けたかのような内容の本件各ローン契約を締結し,同契約に基づく貸付金利息の支払をしている(本件各ローン契約に基づく貸付金利息に係るクック諸島源泉税については,我が国における原告の外国税額控除の余裕枠を利用することにより吸収されるのである。)が,実質的には,同貸付元本は,クック諸島法人からバーミューダ諸島法人及び原告香港支店を経由して循環金融の方法により送金された金員であり,通貨スワップ契約によりバーミューダ諸島法人からクック諸島法人への2億米ドル相当NZドルに交換され,クック諸島法人において同金員をもとにNZドル建てユーロ債が購入され運用されていたのである。 (エ)原告香港支店は,形式的には,本件各預金契約に基づきバーミューダ諸島法人から2億米ドルの預入れを受け,かつ本件各ローン契約に基づきクック諸島法人に対し同額の金員を貸し付けていることになるが,実質的には,バーミューダ諸島法人に代わり本件各ローン契約の貸主として介在することにより,クック諸島源泉税につき我が国における外国税額控除の適用を受ける形で吸収していたのであり,このような外国税額控除の余裕枠を利用させたことの対価として,マージン相当額及び本件各取引参加料(契約書上は与信枠設定手数料)を取得していたのである。 ウ前記ア及びイによれば いたのであり,このような外国税額控除の余裕枠を利用させたことの対価として,マージン相当額及び本件各取引参加料(契約書上は与信枠設定手数料)を取得していたのである。 ウ前記ア及びイによれば,原告,クック諸島法人及びバーミューダ諸島法人が本件各ローン契約及び本件各預金契約を締結した真の意思は,以下のとおりである。 (ア)まず,クック諸島法人は,本件各取引によりバーミューダ諸島法人から,同社が投資家から調達した2億米ドル相当NZドルの融資を受けこれを運用する目的で同取引に参加したのであり,被告主張の「本来の取引」を行った場合には,バーミューダ諸島法人に対する貸付金利息に係るクック諸島源泉徴収課税について同社がバーミューダ諸島で外国税額控除を受けることができないため,形式的には原告香港支店から2億米ドルの融資を受けたかのような内容の本件各ローン契約を締結し(これにより,同契約に基づく貸付金利息に係るクック諸島源泉税については,前記のとおり,原告の我が国における外国税額控除の余裕枠を利用することにより吸収される。),実質的には,通貨スワップ契約により関係当事者間を資金循環してきた前記2億米ドルがバーミューダ諸島法人からクック諸島法人への2億米ドル相当NZドルに交換され,クック諸島法人において同額の金員を運用していたのである。 そうすると,クック諸島法人は,被告主張の「本来の取引」を行った場合であっても,バーミューダ諸島法人からの2億米ドル相当NZドルを運用するとの目的は達成されるのであり,同一の目的を達成するために,原告との間で本件各ローン契約を締結することにより,2億米ドルを資金循環させる必要はなかったと認められるのである。 したがって,クック諸島法人が本件各ローン契約を締結した真の意思は,バーミューダ で本件各ローン契約を締結することにより,2億米ドルを資金循環させる必要はなかったと認められるのである。 したがって,クック諸島法人が本件各ローン契約を締結した真の意思は,バーミューダ諸島法人の租税負担の回避を図るためであったと認められる。 (イ)次に,バーミューダ諸島法人は,本件各取引により,同社が調達した2億米ドル相当NZドルをクック諸島法人に融資し同融資による運用利益を取得する目的で同取引に参加したのであり,被告主張の「本来の取引」を行った場合にはクック諸島法人からの貸付金利息に係るクック諸島源泉徴収課税につきバーミューダ諸島で外国税額控除を受けることができないため,形式的には原告香港支店に対し2億米ドルの預入れを行ったかのような内容の本件各預金契約を締結し同契約に基づき預金利息を取得しているが,実質的には,同契約により,原告香港支店を通じてクック諸島法人に前記2億米ドルを循環金融の方法により送金し,同社において,通貨スワップ契約により同2億米ドルと交換された2億米ドル相当NZドルを運用させていたのであり,同運用利益は,本件各預金契約に基づく預金利息という形で回収されていたのである。 そうすると,バーミューダ諸島法人は,被告主張の「本来の取引」を行った場合であっても,クック諸島法人に対し2億米ドル相当NZドルを融資し同融資による運用利益を取得する目的は達成されるのであり,同一の目的を達成するため,原告との間で本件各預金契約を締結することにより2億米ドルを循環金融の方法によりクック諸島法人へ送金する必要はなかったのである。 したがって,バーミューダ諸島法人が本件各預金契約を締結した真の意思は,自社の租税負担の回避を図るためであったと認められる(ウ)次に,原告は,被告主張の「本来の取引」 たのである。 したがって,バーミューダ諸島法人が本件各預金契約を締結した真の意思は,自社の租税負担の回避を図るためであったと認められる(ウ)次に,原告は,被告主張の「本来の取引」が行われた場合には,本件各取引に参加する必要のない立場にあったが,この場合は,前記のとおり,バーミューダ諸島法人において源泉徴収課税がコストになるため,形式的には,本件各預金契約に基づきバーミューダ諸島法人から2億米ドルの預入れを受け,かつ本件各ローン契約に基づきクック諸島法人に対し同額の金員の貸付けを行ったことになっているが(これら金員の流れが循環金融の一部を構成するものであることについては前記のとおりである。),実質的には,バーミューダ諸島法人に代わり本件各ローン契約の貸主として本件各取引に介在することによりクック諸島源泉税については,我が国における外国税額控除の適用を受ける形で吸収したのであり,このような外国税額控除の余裕枠を利用させたことの対価として,マージン相当額及び本件各取引参加料(契約書上は与信枠設定手数料)を取得していたのである。 そうすると,原告は,被告主張の「本来の取引」が行われた場合に生じるバーミューダ諸島法人の源泉徴収課税を回避する目的をもって本件各ローン契約の貸主及び本件各預金契約の預入先として介在しているにすぎないのであり,同介在すること自体の意味は,我が国における外国税額控除の余裕枠を利用させるのと引き替えに,同利用に対する報酬を得ること以外には何も存在しない。 したがって,原告が本件各ローン契約及び本件各預金契約を締結した真の意思は,バーミューダ諸島法人の租税負担の回避を図るため,我が国における外国税額控除の余裕枠を提供するのと引き替えに同役務提供に対する対価を得ることであったと認められ び本件各預金契約を締結した真の意思は,バーミューダ諸島法人の租税負担の回避を図るため,我が国における外国税額控除の余裕枠を提供するのと引き替えに同役務提供に対する対価を得ることであったと認められる。 エ本件各ローン契約及び本件各預金契約の効力前記アないしウからすれば,本件各取引のうち本件各ローン契約及び本件各預金契約は,バーミューダ諸島法人の租税負担の回避を図ることを目的としてそれぞれ締結されたものであり,外観上貸金契約及び預金契約の形式はあるものの,実体上貸金契約及び預金契約の実質が認められないのであり,契約当事者の真の意思を探求すれば,むしろ原告が我が国における外国税額控除の余裕枠をクック諸島法人及びバーミューダ諸島法人に提供し,これに対しクック諸島法人及びバーミューダ諸島法人が原告に対し同役務提供に対する対価を支払うことを内容とする合意をしていると認めることが合理的であり,同合意内容からすれば,いわゆる外国税額控除の余裕枠に関する売買契約であると解するのが相当であるから,貸金契約及び預金契約としては,通謀虚偽表示(民法94条1項)により,いずれも無効であると解すべきである。 2 原告は,本件各契約が通謀虚偽表示であることを否認するが,原告がクック諸島源泉税を吸収することを目的とし,クック諸島法人とバーミューダ諸島法人間の通貨スワップ契約並びに本件各ローン契約及び預金契約に深く関与し,本件仮装作出取引としての循環金融の一翼を担っていたことは,次のような本件各書証の記載内容に照らせば,紛れもない事実である。 (1)ユーロピアン社案件アフェイリッチ社から原告シドニー支店に宛てた原告の取引参加を誘引する文書(乙8の1及び2)において,件名として「源泉税吸収ファシリティー(便宜)」とし,「前回の取引と同じ ーロピアン社案件アフェイリッチ社から原告シドニー支店に宛てた原告の取引参加を誘引する文書(乙8の1及び2)において,件名として「源泉税吸収ファシリティー(便宜)」とし,「前回の取引と同じように借入人は資金を円で引き出し,借入人が欲しい通貨にスワップする予定です。源泉税吸収の構造は,我々がニュー・ジーランドの顧客に提案したものと同じ構造となります。すなわち,借入人(バーミューダ諸島法人)は,クック諸島法人より借り入れた資金をもって,銀行に預金を作成いたします。ローンの返済は預金を崩すことによって実行されます。」と記載されており,本件各取引がクック諸島源泉税の吸収を目的としてフェイリッチ社により計画され,同源泉税吸収の方法がテレコム社案件で提案したものと同じ構造でスワップ契約を前提としてクック諸島法人が原告香港支店から借り入れた資金をもって原告香港支店の預金とすることで達成される旨明記されていることイ原告の稟議書(乙9)に「借入人はクック諸島をベースにした金融機関であり,BankofNewZealand の子会社。オフショアにある預金をクック諸島に持ち込み使用したいが高税率回避のため本件申し出あるもの。」と記載されていること(2)ファースト社案件ア原告の平成5年2月8日付け稟議書(乙117)に,「Itisonlyatax-structuredtransaction (本件は,税のみを目的として構築された取引である。)」と記載していること,フェイリッチ社から原告シドニー支店に宛てた文書において,クック諸島の会社とバーミューダとの会社の間に通貨金利スワップを行うとしていること(乙11の1及び2)。 イ原告のシドニー支店から香港支店に宛てた部内連絡文書において,NZドルから米ドルのスワップ 諸島の会社とバーミューダとの会社の間に通貨金利スワップを行うとしていること(乙11の1及び2)。 イ原告のシドニー支店から香港支店に宛てた部内連絡文書において,NZドルから米ドルのスワップは,ファースト社とバーミューダの間で行うと明記していること(乙118)ウ同様に,フェイリッチ社からの書簡の中に,ファースト社案件がユーロピアン社案件と同じ構造と条件によると明記されていること(乙119の1及び2)エフェイリッチ社から原告シドニー支店あてに送付された「源泉税吸収ファシリティー(便宜)」と題する書簡(乙120の1及び2)の中に「キャピタルマーケット社(ファースト社の親会社)は,フェイリッチ社を通じてニュー・ジーランド市場に容易に参加できることから,ニュー・ジーランド・ドル建て証券を取り扱うことを主な重要業務としています。(中略)海外の投資家にとってやっかいなのはこの投資に源泉税が課せられることです。貴殿がレターでまさにご指摘されるとおり,源泉税は投資家の利回りを著しく減少させます。キャピタルマーケット社は,もし源泉税を最小限にできるのであれば,利回りが著しく改善されたファシリティーを提供することができます。キャピタルマーケット社がバーミューダの子会社を通じて提供するものは,確定利回りで源泉税のかからない投資案件であって,その子会社はファースト社の子会社でクック諸島の内国銀行を予定しています。クック諸島で課される源泉税は15パーセントでそれゆえに三和銀行にお願いしたいのは源泉税吸収ファシリティーでの協力を提供していただくことです。ファースト社はそうしていただくことによって,源泉税が全くかからないニュー・ジーランド・ドル債で起債されるファンドに投資できます。」と記載されていること 3 まとめ以上のとおり, ことです。ファースト社はそうしていただくことによって,源泉税が全くかからないニュー・ジーランド・ドル債で起債されるファンドに投資できます。」と記載されていること 3 まとめ以上のとおり,本件各取引については,第1に,各契約当事者において資金を循環させること以外に資金の需要はなく,契約上の金員は実際に本件循環取引以外に利用されていないこと,第2に,本件各取引は,その一つでも成立しなければ残りの二つも成立しないという不可分一体性を持っていること,第3に,原告とクック諸島法人及びバーミューダ諸島法人との各取引における金員の授受がそれぞれ同一日付で原告ニューヨーク支店の原告香港支店勘定とユーロピアン社(親)のNZ銀行NY支店に有する口座との間における CHIPS を利用した相殺勘定によりなされることとなっており,すなわち,現実の資金交付及び利息の支払等が相殺勘定によりなされることが当初から予定されて,その結果,クック諸島法人,バーミューダ諸島法人において,貸付・預金元本及びその利息を実質的に取得して運用する機会が封じられていること,第4に,原告は,外国税額控除の適用が受けられない場合には,利ざやを得ることができないことになるのであり,このことからみても,本件各取引が通常の預金担保貸付と解することができないことは明らかであることが指摘できる。 このように,本件各ローン契約及び本件各預金契約は,貸金契約及び預金契約としては無効であるから,原告が本件各ローン契約に基づく貸付金利息に関して負担したとされるクック諸島源泉税については,法69条1項の定める外国法人税には該当しないと解すべきである。 あるいは,通謀虚偽表示として無効ではないとしても,契約当事者の真の意思は,原告が我が国における外国税額控除の余裕枠をクック諸島法人及びバー の定める外国法人税には該当しないと解すべきである。 あるいは,通謀虚偽表示として無効ではないとしても,契約当事者の真の意思は,原告が我が国における外国税額控除の余裕枠をクック諸島法人及びバーミューダ諸島法人に提供し,これに対しクック諸島法人及びバーミューダ諸島法人が原告に対し同役務提供に対する対価を支払うことを内容とする合意をしていると認めることが合理的であり,同合意内容からすれば,いわゆる外国税額控除の余裕枠に関する売買契約であると解するのが相当であり,かかる当事者の真意に従って課税されるべきである。 したがって,本件で,原告は,平成2年ないし平成5年の各3月期における法人税について,いずれも法69条1項が定める外国税額控除の適用を受けることはできないのである。 第3の2の3 法69条の限定解釈による否認(予備的主張)第3の2の3の1 総論 1 外国税額控除制度の特質(1)外国税額控除の政策性外国税額控除制度は,確立された国際ルールを基に我が国企業の海外経済活動の振興を図るという政策的要請の下で整備されたものであり,国際的二重課税を防止して我が国企業の国際的取引に伴う税制上の障害を排除することを目的とする。つまり,外国税額控除制度は,我が国企業の国際的経済活動に対して,税制がそれを阻害することなく,租税以外の考慮のみによって取引やその形態が決定されるべきとする経済的中立性の維持を目的とするのであり,特に国内企業又は居住者がその投資を国内で行うか国外で行うかの選択に影響を与えないという資本輸出中立性(capitalexportneutrality)を保つ観点から規定するのである。 そもそも国家の課税に関する立法管轄権には,国際法的な制限が余り存在せず,各国家は比較的自由にそれを行使することができるの exportneutrality)を保つ観点から規定するのである。 そもそも国家の課税に関する立法管轄権には,国際法的な制限が余り存在せず,各国家は比較的自由にそれを行使することができるのであり,居住者の全世界所得に課税することを制約する原則は存在しない。日本を含む多くの国家は,内国法人について,全世界所得に課税する方式を国内法において採用している。これは,日本が居住地管轄に基づいて課税管轄権を行使する場合においては,日本の内国法人が外国で得た利益をも日本国内で得た利益と同じように課税しなければ課税の公平を維持できないという考慮に基づくものである。 他方で,全世界所得に課税する方式を採用した場合に生ずる国際的な二重課税について,多くの国家は,外国税額控除制度によりこれを排除している。これは,要するに日本の課税権に関する限り国外で得た所得について課税を軽減するものであって,外国政府に支払った税額を自国の税額より控除することを認めるということであるから,我が国の課税権の譲歩にほかならない。国際的に租税法上,国家は,その立法において課税権を広く行使することが認められているにもかかわらず,国際的二重課税を排除するという課税権の調整のため,外国税額控除という国際課税特有の措置を採用したのは,国外投資促進のためのインセンティブや国際競争力の確保といった政策的理由があったのであり,国際的二重課税を排除するか否かは各国家の政策的判断により決定される事項にほかならない。すなわち,ある国家が内国法人の全世界所得に課税する方式を採用する場合であっても,外国税額控除を認めることは当該国家の義務ではなく,国家は,一定の政策的考慮に基づき,外国税額控除を認めることも認めないこともできるし,外国税額控除を認める場合であってもそれに一定の制限を付す も,外国税額控除を認めることは当該国家の義務ではなく,国家は,一定の政策的考慮に基づき,外国税額控除を認めることも認めないこともできるし,外国税額控除を認める場合であってもそれに一定の制限を付することが可能である。 (2)外国税額控除の選択適用(損金経理との選択可能性)法は,外国税額の損金算入について,「内国法人が第69条第1項(外国税額の控除)に規定する控除対象外国法人税の額につき同条(中略)の規定の適用を受ける場合には,当該控除対象外国法人税の額は,その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上,損金の額に算入しない」と規定し(法41条),国内法上,外国税額は損金に算入されることが原則で,外国税額控除制度の適用は納税者の選択によるものとしている(法69条7項参照)。すなわち,外国税は,第一義的に経費として扱われるのであって,外国税額控除制度は,法69条の趣旨,目的に沿って外国税額の特典を受けることを選択した納税者に恩恵的に与えられるものにほかならない。 このように,法69条に規定する外国税額控除の適用は納税者の選択によること及び外国法人税を納付した者が外国税額を控除できることからすれば,外国における通常の業務により発生した所得が法的に帰属し,その発生した所得に対する適正な外国税額の法的な意味における納税者が外国税額控除の適用を受け得るのであって,外国税額の形式的帰属によって判断することは認められない。 (3)外国税額控除限度額の意義我が国は,外国税額控除の控除限度額に関して一括限度額方式を採用している。このように,外国税額控除の控除限度額制度の存在それ自体が,外国税額控除による政策的恩恵を政策的見地から制限していることを考慮すれば,一定の場合において,課税減免規定の限定解釈による否認を行うことは当然に許さ ,外国税額控除の控除限度額制度の存在それ自体が,外国税額控除による政策的恩恵を政策的見地から制限していることを考慮すれば,一定の場合において,課税減免規定の限定解釈による否認を行うことは当然に許される。なお,一括限度額方式は,外国から生じた所得に対応するものとして,国別に分けずに国外所得を一括し総額をもって計算する方式であり,計算が比較的簡便である反面,我が国よりも税率の高い国で支払った外国税額の控除限度額超過部分を,我が国よりも税率の低い国における控除限度額の余裕枠でもって吸収するという控除限度額に彼此流用の問題を生じさせた。 しかし,昭和63年改正は,一括限度額方式を維持したことで,外国税額控除余裕枠の彼此流用問題をその限度で許容するという割り切った立法政策を採用したものではなく,同改正においても,国際的二重課税の排除という制度本来の趣旨に反するような場合には,法69条の適用が排除されていたというべきである。 このことは,立法担当者の解説にも「納税・執行の簡潔性ということもあって一括限度額方式を採用している以上,国外源泉所得への課税部分に関して控除枠の彼此流用を利用した外国税額控除が行われたとしてもこのような事態はもとより前提としているものであって,我が国の国内源泉税への課税さえしっかりと確保できればよいと割りきるべきではないかとの議論も場合によってはありましょう。しかしながら,・・・やはり,控除枠の彼此流用の問題はできるだけ是正していくことが必要であると考えられたものです。」とされている(「昭和63年改正税法のすべて」,乙1,386頁)ことからも明らかである。 (4)また,同一法人内の彼此流用の場面ではない,内国法人が外国企業にその控除限度枠を提供するという形で,事業活動上の能力・資源として利用する場面まで彼此流用の考 頁)ことからも明らかである。 (4)また,同一法人内の彼此流用の場面ではない,内国法人が外国企業にその控除限度枠を提供するという形で,事業活動上の能力・資源として利用する場面まで彼此流用の考え方が妥当するとは考えられない。 そして,外国税額控除限度枠を自らの事業活動上の能力・資源として利用することまでも許容したと解することは,二重課税の排除という法69条の制度の趣旨そのものをも蹂躙するものである。よって,昭和63年改正において,なお残存することとなった彼此流用の問題とは,一括限度方式という簡便法をとることから生じるものをいうにすぎず,海外の法人に対し積極的に外国税額控除の余裕枠を役務の提供手段として利用させ,手数料を得ることまでも許容するものではない。 2 法69条の限定解釈(1)法69条の限定解釈可能性外国税額控除制度は,前記のとおり,国際的二重課税排除を目的として設けられたものであり,資本輸出中立性の確保等の政策目的実現のために課税を減免する国家による一方的な恩恵的措置であり,いわゆる課税減免規定にほかならない。 課税減免規定は,一般の課税根拠規定と異なり,特有の趣旨目的を有するものとして制定されたものであるから,その立法趣旨に従って解釈するのは当然のことであり,当該規定の趣旨目的に反する行為又は当該規定が本来予定していないような当該規定の射程範囲外にある行為についてまで課税の減免を認めなければならない理由はない。また,かかる解釈は,法律解釈の方法としていわば当然のことであり,かかる解釈を個別的な法律規定が存在しない場合に行うとしても租税法律主義には反しない。 換言すれば,法69条は,同条が内包する趣旨,目的から,その控除されるべき源泉税が当然に予定されており,同条の趣旨に反する取引には同条 存在しない場合に行うとしても租税法律主義には反しない。 換言すれば,法69条は,同条が内包する趣旨,目的から,その控除されるべき源泉税が当然に予定されており,同条の趣旨に反する取引には同条の適用は認められず,当該規定の射程範囲の外にある行為についてまで課税の減免を認めなければならない理由はないのである。 (2)法69条の課税減免要件ア法69条1項の「納付することとなる場合」の限定解釈(ア)正当な事業目的法69条は,前記のとおり課税減免規定であるから,その適用においては,法の文言を形式的に解釈するのではなく,法の趣旨,目的に合致する場合に限定的に解釈されなければならず,当該規定の趣旨及び目的に反する行為又は当該規定が本来予定してない当該規定の射程範囲外にある行為について外国税額控除は認められない。 そして,法69条の適用に関して同条の趣旨から限定的に解釈することが可能であるとしても,具体的にいかなる場合に法69条の趣旨に反し,同条の適用がない取引であるといえるかという点については以下のように考えるべきである。 すなわち,法69条は,国際的二重課税を排除して,我が国企業の国際取引に伴う課税上の障害を取り除き,事業活動に対する税制の中立性を確保することを目的とすることから,法69条は,内国法人が客観的にみて正当な事業目的を有する通常の経済活動に伴う国際的取引から必然的に外国税を納付することとなる場合に適用され,かかる場合に外国税額控除が認められ,かつその場合に限定されるというべきである。 そこで,法69条1項の「納付することとなる場合」とは,内国法人が正当な事業目的( businesspurpose )を有する通常の経済活動に伴う国際的取引から必然的に外国税を納付す そこで,法69条1項の「納付することとなる場合」とは,内国法人が正当な事業目的( businesspurpose )を有する通常の経済活動に伴う国際的取引から必然的に外国税を納付することとなる場合をいい,かかる事業目的のない取引から生じた「納付」は,そもそも法69条1項の「納付することとなる場合」には当たらないものと解されるのである。 例えば,①当該取引から得られる利益が名目的なものにとどまり,外国税額控除を得ることのみを目的とした取引と認められる場合,換言すれば,租税に関する利益ないし租税回避のみを目的としたと認められる場合や,②当該取引から得られる利益と,外国税額控除から得られる利益とを比較した場合に前者が後者に比べて著しく少ない場合には,正当な事業目的を有せず,法69条1項の「納付することとなる場合」には当たらないものと解される。 これらの取引は,一般的に期待される外国税額控除による課税上の利益と比較してほとんどあるいは全く経済的利益を生み出さないように構築されており,外国税額控除が前提とする事業活動がない取引にほかならない。 また,前記①及び②の各場合には,一括限度額方式を採用した我が国の外国税額控除制度の趣旨に明らかに矛盾するのであり,低税率で課された国外源泉所得に対する我が国の課税を減少させるために開発された濫用的取引から生じる外国税について税額控除を認めれば法律の目的が害されることになる。当該取引から得られる外国税額控除の利益は,実質的には,低税率ないし無税の地域で活動し所得を得ている納税者に対する補助金の性質を有するのであり,当該取引を国際金融の手段を通じて他国の法人に供与することは外国税額控除余裕枠の売買であり認められない。 したがって,法69条の趣旨及び目 いる納税者に対する補助金の性質を有するのであり,当該取引を国際金融の手段を通じて他国の法人に供与することは外国税額控除余裕枠の売買であり認められない。 したがって,法69条の趣旨及び目的から,前記①及び②の要件に該当するような場合には,そもそも同条の与える恩恵は及ばず,当該取引から生じた外国源泉所得税について外国税額控除は認められないと解されるのである。 (イ)事業目的の主体事業目的の判断に当たっては,その主体に留意するべきである。本件各取引において判断すべき事業目的とは,外国税額控除が認められるかという解釈に際しての「事業目的」の有無についての判断なのであるから,それは当然,同制度を利用する立場にある原告について,その事業目的の内容が検討されなければならないのであって,相手方の事業目的は無関係である。 本件において,テレコム社案件におけるテレコムNZ社の民営化資金の調達目的並びにユーロピアン社案件及びファースト社案件におけるNZドル建てユーロ債の購入目的があったことは当然であり,そもそも,それがなければ,およそ取引はなく,それによって生じる租税を回避する必要もない。すなわち,事業目的について取引の相手方のこのような目的を問題とすれば,租税回避行為には,常に事業目的があるということになってしまうのであり,このような事業目的は,本件各取引において判断すべき「事業目的」ではない。 (ウ)なお,無償で租税回避行為に加担するものがあるはずはないから,原告が本件取引で利益を得ようとすることをもって,原告の事業目的とすることは相当ではない。このように解すれば,有償で租税回避行為に加担する行為は常に事業目的があることになってしまうが,そうだとすれば,外形的にも外国税額控除枠の売買契約とか,有償で外国税額 目的とすることは相当ではない。このように解すれば,有償で租税回避行為に加担する行為は常に事業目的があることになってしまうが,そうだとすれば,外形的にも外国税額控除枠の売買契約とか,有償で外国税額納付の名義を貸す契約を締結した場合であっても,事業目的があるということになるであろう。 また,外国税額控除余裕枠の提供が自らの事業活動上の能力・資源の活用であるなどとして合法であるとされるのであれば,外国税額控除余裕枠のある限り,これを提供して手数料を得ることが可能となるのであって,これはすなわち,合法的に我が国の租税歳入を取引の手段と化し,租税歳入を侵食して,手数料を得ることを認めるものである。 イ法69条の名義主義とその羈束性について原告は,法69条10項,同法施行規則29条の2第7号の規定が,外国税額控除の適用要件の一つとして,確定申告書に外国法人税を課されたことを証する納税申告書の写し又はこれにかわるべき書類及びその納付事実を証する書類の添付を要求していることが,法69条1項にいう「内国法人が・・外国法人税を納付することとなる場合」の解釈において,名義主義によることを示したものであると主張するが,明らかに論理の飛躍がある。 すなわち,法は,その適用において実質所得者課税の原則を採用しているのであり(法11条,法23条の受取配当等の益金不算入の適用上,名義株について国税庁長官通達「法人税基本通達」(昭和44年5月1日付直審(法)25)3-1-1(名義株の配当)など),これを前提とするならば,外国税額控除の適用においても,名義のみによって判断するのではなく,課税の経緯を踏まえてケースバイケースで判断する余地があるのであり,現地国の課税の証明書類の添付があることをもって,一義的に課税当局が拘束されること 用においても,名義のみによって判断するのではなく,課税の経緯を踏まえてケースバイケースで判断する余地があるのであり,現地国の課税の証明書類の添付があることをもって,一義的に課税当局が拘束されることはないというべきである。 ウ正当な事業目的の有無に関する具体的判断基準当該取引が正当な事業目的を有するか否かについて具体的な判断をするに当たっては,例えば後記のような諸事情が考慮されなければならない。 なお,当該取引が正当な事業目的を有するか否かを判断するに当たっては,当該取引が複数の個々の取引により構成される一連の取引であると認められる場合には,当該一連の取引を全体的に考察して,同取引から得られる利益及び外国税額控除により得られる利益を評価することが同各利益を適正に評価することになるのは当然である。 (ア)取引開始前に検討されるべき事項①事業の目的及び取引に至る経緯当該取引が正当な事業目的を有するというためには,その取引が,専ら租税に関する利益又は租税回避を目的として開始される取引ではないことはもちろん,取引それ自体が企業の通常の事業目的と適合したものであるべきであり,事業利益の創出に役立つものであることが必要である。その判断については,企業が行う事業目的として妥当であるかのみならず,当該取引に至る経緯を通じて合理性が判断される。 ② 取引の種類「納付」は,企業が通常行う取引から必然的に生じるものであり,故意に「納付」を作出する取引は通常の取引とはいえず,このような取引は正当な事業目的を有するとはいえない。当該取引の通常性は,当該企業の業種及び業態により判断される。 ③ 契約内容の妥当性正当な事業目的があるというためには,当該取引の締結を 正当な事業目的を有するとはいえない。当該取引の通常性は,当該企業の業種及び業態により判断される。 ③ 契約内容の妥当性正当な事業目的があるというためには,当該取引の締結を示す契約書等における当事者間の合意内容が適正なものでなければならない。特にリスクの分担及び租税負担の配分は経済的に合理的なものでなければならない。 ④ 予定される決済の妥当性正当な事業目的があるというためには,同事業目的を達成するために必要かつ合理的な決済方法が予定されるべきであり,合理的な理由もなく決済手段をう回するような取引は,事業目的に背理した取引であると考えられる。 ⑤ 期待利益の妥当性正当な事業目的があるというためには,当該取引を実行する上で,しかるべき利益が得られるものでなければならない。 なお,外国税額控除の利益に比べて名目的な利益しか生じない取引及び合理的な理由もなく取引の遂行により損失を生み出す取引は,経済的に合理的な取引とは認められず,事業目的を有するとはいえない。 ⑥ 複数の取引相互間の関連性正当な事業目的があるというためには,当該取引が,複数の個々の取引により構成される一連の取引の一部であると認められる場合には,個々の取引相互間の関連性と,複数の取引から構成される合理的な理由が存在していなければならない。 ⑦ 既存取引参画の合理性一定の経済的目的実現のために既に取引が行われ,同取引によってその目的が達成し得ると認められる場合に,同取引に参画して新たな取引を行う場合には,同参画によって付加される利益があり,かつ同参画の理由が合理的なものでなければ,当該新たな取引は正当な事業目的を有するものとはいえない。 (イ 場合に,同取引に参画して新たな取引を行う場合には,同参画によって付加される利益があり,かつ同参画の理由が合理的なものでなければ,当該新たな取引は正当な事業目的を有するものとはいえない。 (イ)取引開始後に検討されるべき事項①取引内容の妥当性正当な事業目的があるというためには,前記イ(ア)①の事業目的要件が合理的に遂行されていることが必要である。 ② 資金の流れ正当な事業目的の有無の判断においては,資金の決済が契約で締結した内容と合致するか及び事業目的遂行の上で,採用された決済方法が妥当かが検討されなければならない。現実に金銭の移動がない取引は一般に資金決済として不適当である。 ③ リベート等収入の有無取引に係わることに関して実質的にリベートを与え,又は与えられる取引で,リベートなしには取引そのものが行われないようなものは,本来の事業目的とは異なる目的を有するからにほかならず,事業目的を有する取引として不適当である。 (ウ)当該取引が正当な事業目的を有し当該取引から生じる外国税の納付が法69条1項に規定する「納付することとなる場合」に該当するか否かについては,前記(ア)及び(イ)の検討すべき事項を総合的に検討の上,判断されなければならない。 第3の2の3の2 本件取引への当てはめ各案件につき法69条1項の外国税額控除の適否が問題となるのは,本件各ローン契約に基づく貸付金利息に関し負担したとされる本件各源泉税であるから,正当な事業目的の有無を判断すべき取引は,本件各ローン契約となるが,本件各取引は,本件各ローン契約,本件各預金契約及び各通貨スワップ契約により構成された一連の取引であるため,かかる正当な事業目的の有無を判断するに当たっても本件各取引全 ,本件各ローン契約となるが,本件各取引は,本件各ローン契約,本件各預金契約及び各通貨スワップ契約により構成された一連の取引であるため,かかる正当な事業目的の有無を判断するに当たっても本件各取引全体を考察して判断せざるを得ないため,以下においては,特に本件各ローン契約に限定することなく本件各取引全体を検討の対象とする。 第3の2の3の2の1 テレコム社案件 1 取引開始前に検討されるべき事項(1)事業の目的及び取引に至る経緯前記第3の2の2の1のとおり,本件取引が,テレコムNZ社及びテレコムCA社においては,被告主張の「本来の取引」を行った場合に生じるテレコムCA社の源泉徴収課税の負担を回避する目的で開始されたものであり,他方,原告においては,前記目的に適合させるため,本件ローン契約の貸主及び本件預金契約の預入先として介在し,もって我が国における外国税額控除の余裕枠を提供するのと引き替えに同役務提供に対する対価を得ることを目指して開始された取引であり,その経緯からも明らかなとおり,本件取引は専ら租税に関する利益ないし租税負担の回避を得ることを目的として開始されたものである。 以上より,本件取引は,租税負担の回避を目的として開始された取引であり,取引それ自体が企業の通常の事業目的として適合していないことは明らかである。 (2)取引の種類同じく前記第3の2の2の1のとおり,原告は,銀行業を営む法人であるから,本件取引のうち本件ローン契約及び本件預金契約の各締結は,形式的には,銀行が通常行う取引であると認められるけれども,実質的には,通常の貸金契約及び預金契約であると認めることができず,また,原告は,本件取引において,形式的には,本件預金契約に基づきテレコムCA社から160億円の預入れを受け,かつ本件ローン契約 ,実質的には,通常の貸金契約及び預金契約であると認めることができず,また,原告は,本件取引において,形式的には,本件預金契約に基づきテレコムCA社から160億円の預入れを受け,かつ本件ローン契約に基づきテレコムNZ社に対し同額の金員の貸付けを行っているようにみえるが,実質的には,本件ローン契約における貸主の立場で本件取引に介在することにより,テレコムCA社に代わりニュー・ジーランド源泉税について我が国における外国税額控除の適用を受ける形で吸収していたにすぎないものである。 以上より,本件取引は,銀行が通常行う取引ではなく,当初から原告の外国税額控除の余裕枠を利用させることを目的として本件ローン契約及び本件預金契約の各締結という形式により故意に外国税額の「納付」が作出された取引であると認められるのであり,このような取引は,正当な事業目的を有しているとはいえないのである。 (3)契約内容の妥当性前記第3の2の2の1のとおり,本件取引は,契約書上,貸付金利息及び預金利息の決済により,原告が利ざやを取得できることが予定されていたのであるが,テレコムNZ社から貸付金利息の支払を受ける際には同社においてニュー・ジーランド源泉税相当額の控除をすることが許されているため,我が国における外国税額控除の適用を受けなければ,当初予定された利ざやを取得できない仕組みになっており,これが通常の預金担保貸付けの合意内容として不合理であり,特に本件ローン契約書には,原告において我が国における外国税額控除の適用を受けられない場合でも,テレコムNZ社に対し,補填義務ないし補償義務を要求することにより同利ざやを得たのと同様の効果が実現できると定められているものであり,その限りにおいて何ら金銭貸付けに関するリスクの負担が定められていない点で経済的に不 ,補填義務ないし補償義務を要求することにより同利ざやを得たのと同様の効果が実現できると定められているものであり,その限りにおいて何ら金銭貸付けに関するリスクの負担が定められていない点で経済的に不合理である。 (4)予定される決済の妥当性本件取引は,本来はテレコムNZ社とテレコムCA社との取引であるにもかかわらず,本件ローン契約の貸主及び本件預金契約の預入先として原告香港支店が介在し決済手段をう回させたことにより原告においてニュー・ジーランド源泉税を発生させる取引を作出したのである。このような決済は,事業目的に背理した取引である。 (5)期待利益の妥当性本件取引は,前記(3)で述べたとおり我が国における外国税額控除の適用を受けない限り,原告は,当初契約で予定された利ざやを取得できないのであり,同外国税額控除の適用に依存している点で当該取引自体の実行により期待された利益が取得できる取引ではないというべきである。 また,原告が本件取引により得ることができる利益は,外国税額控除の余裕枠を提供するのと引き替えに得られる対価にすぎず,この対価は,外国税額控除から得られる利益に比べれば著しく少ないものである。 (6)複数の取引相互間の関連性本件取引は,原告,テレコムNZ社及びテレコムCA社間の個々の複数の取引により構成されているのであるが,テレコムNZ社とテレコムCA社は,被告主張の「本来の取引」を行った場合でも,160億円相当NZドルを融資する目的は達成されるから,同一の目的を達成するため,別途,原告との間で本件預金契約及び本件ローン契約を各締結する必要はないのである。 また,原告は,被告主張の「本来の取引」を行った場合に生じるテレコムCA社の源泉徴収課税を回避する目的をもって本件ローン契約の貸主及び 契約及び本件ローン契約を各締結する必要はないのである。 また,原告は,被告主張の「本来の取引」を行った場合に生じるテレコムCA社の源泉徴収課税を回避する目的をもって本件ローン契約の貸主及び本件預金契約の預入先として介在しているにすぎないのであり,介在すること自体の意味は,我が国における外国税額控除の余裕枠を提供するのと引き替えに同役務提供に対する対価を取得する以外には何も存在しないのである。 以上より,本件取引は,本来,テレコムCA社がテレコムNZ社に対し,160億円相当NZドルを融資することにより,当事者の目的が実現される取引であり,特に,本件ローン契約の貸主及び本件預金契約の預入先として原告を介在させる必要もないから,個々の複数の取引により構成される合理的な理由は存在しないのである。 (7)既存取引参画の合理性本件取引は,前記(6)で述べたとおり本来テレコムCA社がテレコムNZ社に対し,160億円相当NZドルを融資することにより,当事者の目的が実現される取引であり,特に,本件ローン契約の貸主及び本件預金契約の預入先として原告を介在させる必要もないのであるが,介在すること自体の意味は,もとより,被告主張の「本来の取引」を行った場合に生じるテレコムCA社の源泉徴収課税を回避する目的をもって,外国税額控除の余裕枠を提供しこれと引き替えに同役務提供に対する対価を取得することであり,専ら租税に関する利益ないし租税回避の利益の追求自体が,本件取引に参画する理由である以上,同参画の理由が合理性を有するとは認められない。 2 取引開始後に検討されるべき事項(1)取引内容の妥当性本件取引は,前記1(1)で述べたとおり,被告主張の「本来の取引」を行った場合に生じるテレコムCA社の源泉徴収課税の負担を回避する目的 取引開始後に検討されるべき事項(1)取引内容の妥当性本件取引は,前記1(1)で述べたとおり,被告主張の「本来の取引」を行った場合に生じるテレコムCA社の源泉徴収課税の負担を回避する目的で開始されたものであり,原告においては,前記目的に適合させるため,本件ローン契約の貸主及び本件預金契約の預入先として介在することにより,もって我が国における外国税額控除の余裕枠を提供するのと引き替えに同役務提供に対する対価を得ることを目指して開始された取引である。 このような取引が正当な事業目的のため合理的に遂行された取引であると認められないことは明らかである。 (2)資金の流れ前記第3の2の2の1のとおり,本件取引における160億円の流れは,形式的には本件預金契約に基づく預金元本としてテレコムCA社から原告香港支店へ送金され,本件ローン契約に基づく貸付元本として原告香港支店からテレコムNZ社へ送金されているが,実質的には,同160億円は,同一日付で関係当事者間を環流しており資金循環の一部を構成しているにすぎないものであり,また,同160億円が,本件取引の開始段階で資金循環していることに対応し,本件取引の終了段階では,契約書上,貸付元本の返済及び預金元本の返還が約定されているにもかかわらず現実的な資金移動もなく契約関係が終了していることが認められる。 以上より,本件取引では極めて初歩的,かつ典型的な循環金融の手法が行われている点で正当な事業目的を認めることができない。 (3)リベート等収入の有無前記第3の2の2の1のとおり,本件取引においては,原告は,貸付金利息の受領とは別に本件取引手数料を受領しているのであり,同取引手数料が,通常の貸金契約における貸主が本来受領すべきリベート収入ではない。 また,本 とおり,本件取引においては,原告は,貸付金利息の受領とは別に本件取引手数料を受領しているのであり,同取引手数料が,通常の貸金契約における貸主が本来受領すべきリベート収入ではない。 また,本件取引の実質を考慮すれば,本件取引手数料は,前記のとおり,外国税額控除の余裕枠を提供したことに対する対価の一部と認められるが,貸主が借主からリベートの付与を受けることが定められていること自体,本件ローン契約が,本来の事業目的とは異なる,専ら租税に関する利益ないし租税負担の回避を目的とする取引であることを示しているのであり,このような意味で,本件ローン契約は,正当な事業目的を有する取引として不適当である。 3 前記1及び2の各事情を総合的に考慮して判断すれば,本件取引が正当な事業目的を有する取引であると認めることができないことは明らかであり,本件取引のうち本件ローン契約に基づく貸付金利息に関して負担したとされるニュー・ジーランド源泉税については,法69条1項の「納付することとなる場合」には当たらないと解すべきである。 加えて,このような外国企業の租税負担の回避のための利益操作にくみするなら,国際的二重課税の排除を目的とした外国税額控除の名の下に,日本国における外国税額控除の余裕枠を外国企業に売り払うことを許容することになり,我が国の税収確保に甚大な損害を与えるばかりか,外国税額控除制度の存在意義そのものが失われることになると言わざるを得ないことから,法69条は,外国税額控除制度の適用を目的とするような不自然かつ不合理な取引を行い,故意に外国法人税を発生させたような場合までをも予定していると解することはできない。 したがって,本件で,原告は,平成2年3月期ないし平成5年3月期における法人税について,いずれも法69条1項が定める外国税額控 発生させたような場合までをも予定していると解することはできない。 したがって,本件で,原告は,平成2年3月期ないし平成5年3月期における法人税について,いずれも法69条1項が定める外国税額控除の適用を受けることはできないのである。 第3の2の3の2の2 ユーロピアン社案件及びファースト社案件 1 取引開始前に検討されるべき事項(1)事業の目的及び取引に至る経緯前記第3の2の2の2のとおり,本件各取引が,クック諸島法人及びバーミューダ諸島法人においては,被告主張の「本来の取引」を行った場合に生じるバーミューダ諸島法人の源泉徴収課税の負担を回避する目的で開始されたものであり,他方,原告においては,前記目的に適合させるため,本件各ローン契約の貸主及び本件各預金契約の預入先として介在し,もって我が国における外国税額控除の余裕枠を提供するのと引き替えに同役務提供に対する対価を得ることを目指して開始された取引であり,その経緯からも明らかなとおり本件各取引は,租税負担の回避を得ることを目的として開始されたものである。 以上より,本件各取引は,租税負担の回避を目的として開始された取引であり,取引それ自体が企業の通常の事業目的として適合していないことは明らかである。 (2)取引の種類前記第3の2の2の2のとおり,原告は,銀行業を営む法人であるから,本件各取引のうち本件各ローン契約及び本件各預金契約の各締結は,形式的には,銀行が通常行う取引であると認められるけれども,実質的には,通常の貸金契約及び預金契約であると認めることができず,また,原告は,本件各取引において,形式的には,本件各預金契約に基づきバーミューダ諸島法人から2億米ドルの預入れを受け,かつ本件各ローン契約に基づきクック諸島法人に対し同額の金員の貸付けを行 きず,また,原告は,本件各取引において,形式的には,本件各預金契約に基づきバーミューダ諸島法人から2億米ドルの預入れを受け,かつ本件各ローン契約に基づきクック諸島法人に対し同額の金員の貸付けを行っているようにみえるが,実質的には,本件各ローン契約における貸主の立場で本件各取引に介在することにより,バーミューダ諸島法人に代わりクック諸島源泉税について我が国における外国税額控除の適用を受ける形で吸収していたにすぎないものである。 以上より,本件各取引は,銀行が通常行う取引ではなく,当初から原告の外国税額控除の余裕枠を利用させることを目的として本件各ローン契約及び本件各預金契約の各締結という形式により故意に外国税額の「納付」が作出された取引であると認められるのであり,このような取引は,正当な事業目的を有しているとはいえないのである。 (3)契約内容の妥当性前記第3の2の2の2のとおり,本件各取引は,契約書上,貸付金利息及び預金利息の決済により,原告が利ざやを取得できることが予定されていたのであるが,クック諸島法人から貸付金利息の前払を受ける際には同社においてクック諸島源泉税相当額の控除をすることが許されているため,前記決済により,原告には逆ざやが生じることになり,我が国における外国税額控除の適用を受けなければ,当初予定された利ざやを取得できない仕組みになっており,これが通常の預金担保貸付けの合意内容として不合理であり,また,契約書上,預金利息の前払が予定されているが,預金利息の前払は,通常の預金契約における当事者の合理的な意思解釈からみても,また,金融機関一般の慣行に照らしてみても不合理である。特に本件各ローン契約書には,原告において我が国における外国税額控除の適用を受けられない場合でも,クック諸島法人に対し補償義務な 釈からみても,また,金融機関一般の慣行に照らしてみても不合理である。特に本件各ローン契約書には,原告において我が国における外国税額控除の適用を受けられない場合でも,クック諸島法人に対し補償義務ないし補填義務を要求することにより上記利ざやを得たのと同様の効果が実現できると定められているものであり,その限りにおいて何ら金銭貸付けに関するリスクの負担が定められていない点で経済的に不合理である。 (4)予定される決済の妥当性本件各取引は,本来はバーミューダ諸島法人とクック諸島法人との取引であるにもかかわらず,本件各ローン契約の貸主及び本件各預金契約の預入先として原告香港支店が介在し決済手段をう回させたことにより原告においてクック諸島源泉税を発生させる取引を作出したのである。このような決済は,事業目的に背理した取引である。 (5)期待利益の妥当性本件各取引は,前記(3)で述べたとおり我が国における外国税額控除の適用を受けない限り,原告は,当初契約で予定された利ざやを取得できないのであり,同外国税額控除の適用に依存している点で当該取引自体の実行により期待された利益が取得できる取引ではないというべきである。 また,原告が本件各取引により得ることができる利益は,外国税額控除の余裕枠を提供するのと引き替えに得られる対価にすぎず,この対価は,外国税額控除から得られる利益に比べれば著しく少ないものである。 (6)複数の取引相互間の関連性本件各取引は,原告,バーミューダ諸島法人及びクック諸島法人間の個々の複数の取引により構成されているのであるが,バーミューダ諸島法人とクック諸島法人は,被告主張の「本来の取引」を行った場合でも,2億米ドル相当NZドルを融資する目的は達成されるから,同一の目的を達成するため,別途,原告との れているのであるが,バーミューダ諸島法人とクック諸島法人は,被告主張の「本来の取引」を行った場合でも,2億米ドル相当NZドルを融資する目的は達成されるから,同一の目的を達成するため,別途,原告との間で本件各預金契約及び本件各ローン契約を各締結する必要はないのである。 また,原告は,被告主張の「本来の取引」を行った場合に生じるバーミューダ諸島法人の源泉徴収課税を回避する目的をもって本件各ローン契約の貸主及び本件各預金契約の預入先として介在しているにすぎないのであり,介在すること自体の意味は,我が国における外国税額控除の余裕枠を提供するのと引き替えに同役務提供に対する対価を取得する以外には何も存在しないのである。 以上より,本件各取引は,本来,バーミューダ諸島法人がクック諸島法人に対し,2億米ドル相当NZドルを融資することにより,同当事者の目的が実現される取引であり,特に,本件各ローン契約の貸主及び本件各預金契約の預入先として原告を介在させる必要もないから,個々の複数の取引により構成される合理的な理由は存在しないのである。 (7)既存取引参画の合理性本件各取引は,前記(6)で述べたとおり本来バーミューダ諸島法人がクック諸島法人に対し,2億米ドル相当NZドルを融資することにより,当事者の目的が実現される取引であり,特に,本件各ローン契約の貸主及び本件各預金契約の預入先として原告を介在させる必要もないのであるが,介在すること自体の意味は,もとより,被告主張の「本来の取引」を行った場合に生じるバーミューダ諸島法人の源泉徴収課税を回避する目的をもって,外国税額控除の余裕枠を提供しこれと引き替えに同役務提供に対する対価を取得することであり,専ら租税に関する利益ないし租税回避の利益の追求自体が,本件各取引に参画する理由である以 回避する目的をもって,外国税額控除の余裕枠を提供しこれと引き替えに同役務提供に対する対価を取得することであり,専ら租税に関する利益ないし租税回避の利益の追求自体が,本件各取引に参画する理由である以上,同参画の理由が合理性を有するとは認められない。 2 取引開始後に検討されるべき事項(1)取引内容の妥当性本件各取引は,前記1(1)で述べたとおり,被告主張の「本来の取引」を行った場合に生じるバーミューダ諸島法人の源泉徴収課税の負担を回避する目的で開始されたものであり,原告においては,前記目的に適合させるため,本件各ローン契約の貸主及び本件各預金契約の預入先として介在することにより,もって我が国における外国税額控除の余裕枠を提供するのと引き替えに同役務提供に対する対価を得ることを目指して開始された取引である。 このような取引が正当な事業目的のため合理的に遂行された取引であると認められないことは明らかである。 (2)資金の流れ前記第3の2の2の2のとおり,本件各取引における2億米ドルの流れは,形式的には本件各預金契約に基づく預金元本としてバーミューダ諸島法人から原告香港支店へ送金され,本件各ローン契約に基づく貸付元本として原告香港支店からクック諸島法人へ送金されているが,実質的には,同2億米ドルは,同一日付で関係当事者間を環流しており循環金融の一部を構成しているにすぎないものであり,また,同2億米ドルが,本件各取引の開始段階で資金循環していることに対応し,本件各取引の終了段階では,契約書上,貸付元本の弁済及び預金元本の払戻しが約定されているにもかかわらず現実的な資金移動もなく契約関係が終了していることが認められる。 以上より,本件各取引では極めて初歩的,かつ典型的な循環金融の手法が行われている点で正当な 戻しが約定されているにもかかわらず現実的な資金移動もなく契約関係が終了していることが認められる。 以上より,本件各取引では極めて初歩的,かつ典型的な循環金融の手法が行われている点で正当な事業目的を認めることができない。 (3)リベート等収入の有無前記第3の2の2の2のとおり,本件各取引においては,原告は,本件各ローン契約に基づき,貸付金利息の受領とは別に本件各取引参加料(契約書上は与信枠設定手数料)を受領しているのであり,同取引参加料が,通常の貸金契約における貸主が本来受領すべきリベート収入でない。 また,本件各取引の実質を考慮すれば,本件各取引参加料は,前記のとおり,外国税額控除の余裕枠を提供したことに対する対価の一部と認められるが,本件各ローン契約書において,貸主が借主からリベートの付与を受けることが定められていること自体,本件各ローン契約が,本来の事業目的とは異なる,専ら租税に関する利益ないし租税負担の回避を目的とする取引であることを示しているのであり,このような意味で,本件各ローン契約は,正当な事業目的を有する取引として不適当である。 3 前記1及び2の各事情を総合的に考慮して判断すれば,本件各取引が正当な事業目的を有する取引であると認めることができないことは明らかであるから,本件各取引のうち本件各ローン契約に基づく貸付金利息に関して負担したとされるクック諸島源泉税については,法69条1項の「納付することとなる場合」には当たらないと解すべきである。 加えて,このような外国企業の租税負担の回避のための利益操作にくみするなら,国際的二重課税の排除を目的とした外国税額控除の名の下に,日本国における外国税額控除の余裕枠を外国企業に売り払うことを許容することになり,我が国の税収確保に甚大な損害を与えるば 操作にくみするなら,国際的二重課税の排除を目的とした外国税額控除の名の下に,日本国における外国税額控除の余裕枠を外国企業に売り払うことを許容することになり,我が国の税収確保に甚大な損害を与えるばかりか,外国税額控除制度の存在意義そのものが失われることになると言わざるを得ないことから,法69条は,外国税額控除制度の適用を目的とするような不自然かつ不合理な取引を行い,故意に外国法人税を発生させたような場合までをも予定していると解することはできない。 したがって,本件で,原告は,平成2年ないし平成5年の各3月期における法人税について,いずれも法69条1項が定める外国税額控除の適用を受けることはできない。 第3の2の3の3 外国税額控除制度の濫用以下のとおり,本件各取引は,外国税額控除制度の濫用事案であり,法69条の限定解釈により,外国税額控除制度の適用はない。 1 アレンジャーによる本件スキームの目的本件各取引は以下のとおり租税回避のみのために仕組まれたことは明らかである。 (1)本件各取引におけるアレンジャーの目的の一つは,資金調達法人(本件においては,テレコムCA社,キングストン社及びグレシャム社)が投資家から集めた資金にかかる配当に際して,資金調達法人の所在地国の源泉所得税が課税されないようにするところにあるが,これをタックス・ヘイブンにある子会社を利用することによりその目的を達している。 (2)本件各取引におけるアレンジャーのもう一つの目的は,資金運用法人(本件においては,テレコムNZ社,ユーロピアン社及びファースト社)から資金調達法人への利息に対する源泉税が課税されないようにすることであるが,そのための方法が,資金調達法人から資金運用法人への貸付金と同額の貸付金を資金運用法人から資金調達法人に発生させ,ス 社)から資金調達法人への利息に対する源泉税が課税されないようにすることであるが,そのための方法が,資金調達法人から資金運用法人への貸付金と同額の貸付金を資金運用法人から資金調達法人に発生させ,スワップする方法であった。すなわち,スワップが行われた場合,金利相当額を単に交換して双方が授受しているものであり,相互に元本相当額の金銭消費貸借が行われているわけではないので,国際税務上,当該金利相当額には源泉徴収課税が行われないこととなる。 しかしながら,そのためには,資金運用法人から資金調達法人への貸付金の元本が必要となるところ,そのような多額の資金はそもそも存在しないことから,資金運用法人及び資金調達法人と第三者間を循環する取引が必要となった。原告は,非居住者に対する利子・配当の支払に対して源泉所得税を課税しない香港に支店を持ち,我が国における外国税額控除余裕枠を持つ法人であることから,資金運用法人からの利息に対する源泉所得税を外国税額控除により吸収できるし,資金調達法人への利息の支払には源泉所得税が課税されない。 (3)このようにみると,三者の間の循環取引が租税回避目的のための形式を整えるだけの役割しか持たないものであることは,より一層明らかになる。 2 本件における実質的な課税(1)本件のように,形式的な所得者と実質的な所得者が異なる者であるにもかかわらず,外国税額控除制度の適用を認めると,実質的に所得を得た者は,タックス・ヘイブンや第三者の外国税額控除余裕枠等を利用し,全く課税されることはなく,逆に形式的な所得を得た者に源泉国は課税し,居住国は外国税額控除を認めるということになるのであり,課税の趣旨や控除の趣旨は失われてしまう。したがって,このような取引に外国税額控除を認めることは,我が国のみならず,世界各国の国際取引に 税し,居住国は外国税額控除を認めるということになるのであり,課税の趣旨や控除の趣旨は失われてしまう。したがって,このような取引に外国税額控除を認めることは,我が国のみならず,世界各国の国際取引に対する課税及び控除の制度を混乱させるものであり,居住国において補正される必要がある。 (2)本件各取引は,外国税額控除制度の趣旨に鑑みれば,故意に二重課税を生じさせようとした濫用的取引なのであるから,法69条は適用されないと解するのは当然の帰結である。 また,法69条の趣旨は,本来の取引において国外所得が生じ,それに外国税額が課されたために二重課税の排除の配慮から我が国の課税権を譲歩するという状態が予定されているものであるが,本件各取引は,原告の逆ざやとなる取引であり,初から損失の生じる取引であった。 さらに,本件各取引は,資金運用法人とは異なるタックス・ヘイブンに所在地を置く原告にいったん利息の支払をして源泉所得税の担税者とし,資金調達法人には課税されないよう利息を支払うものであり,故意に担税者のすり替えを行ったものである。このような形式と実体とが異なる取引が行われた場合,その形式又は名義にとらわれることなく,その経済的実質に着目し,現実に担税力を有す者と認められる者に対して課税しなければならない(所得税法12条,法11条)。この原則は,早くから,我が国の租税法上内在する条理として是認されてきた基本的指導理念であることからすれば(最高裁昭和37年6月29日第二小法廷判決・税務訴訟資料39号1頁),本件のような外国税額控除の場合であっても同様に租税法の基本的な考え方として採用されるべきである。 3 故意に生じさせた二重課税本件各取引は,本来何ら関係のない原告が,「外国税額控除の余裕枠の提供」をし,その対価を得ることの も同様に租税法の基本的な考え方として採用されるべきである。 3 故意に生じさせた二重課税本件各取引は,本来何ら関係のない原告が,「外国税額控除の余裕枠の提供」をし,その対価を得ることのみを目的として,外国企業間の運用資金とは何ら関係のない米ドルや日本円の資金を循環して,わざわざ取引に介在した外形を作り出したものであり,故意に外国税を発生させ,二重課税を生じさせたものである。 (1)テレコム社案件テレコムNZ社は,テレコムCA社が調達した160億円相当NZドルを民営化のための運転資金として利用する予定であった。 しかしながら,テレコムCA社は,投資家への配当の際に源泉所得税が課税されないようタックス・ヘイブンが作用するケイマン諸島に設立されていることから,テレコムNZ社から受領する利息に課されるニュー・ジーランド源泉税を外国税額控除することができなかった。そこで,フェイリッチ社がニュー・ジーランド源泉税を吸収するスキームを構築し,原告が本件ローン契約及び本件預金契約を締結したものである。 この点について,原告香港支店から原告国際審査部に上げた禀議書(乙5)によると,申請経緯の項において「依頼人はケイマン子会社が保有する預金をNZ国内に持ち込み利用したいが,その場合,借入金となりW/HTax 15%がかかることになる。そこで,日系各行(当行,住友,三井,DKB,etc )に対し,Tax吸収を条件にオファーの要請あったもの」などと記載され,フェイリッチ社から原告香港支店に充てた原告の取引参加を誘引する文書(乙4の1及び2)の件名は「源泉税吸収ファシリティー」と記載されていることからも明らかなように,源泉税を肩代わりしてその対価を得る以外に目的はなかったことは明らかである。 (2)ユーロピアン社案件 の1及び2)の件名は「源泉税吸収ファシリティー」と記載されていることからも明らかなように,源泉税を肩代わりしてその対価を得る以外に目的はなかったことは明らかである。 (2)ユーロピアン社案件キングストン社は,投資家から調達した2億米ドル相当NZドルを,ユーロピアン社に貸し付け,同社において,同貸付金を元にNZドル建てユーロ債が購入される予定であった。 しかしながら,キングストン社は,投資家への配当の際に,源泉所得税が課税されないようタックス・ヘイブンが作用するバーミューダ諸島に設立されていることから,ユーロピアン社から受領する利息に課されるクック諸島源泉税を外国税額控除することができなかった。そこで,フェイリッチ社がクック諸島源泉税を吸収するスキームを構築し,原告が本件ローン契約及び本件預金契約を締結したものである。 この点について,原告の禀議書(乙7,9)によれば,ユーロピアン社の本件ローン契約の申請理由は,「オフショアにある預金をクック諸島に振込み使用したいが,高税率回避の為,本件申し出あるもの」などと記載され,フェイリッチ社から原告シドニー支店にあてた原告の取引参加を誘引する文書(乙8の1及び2)の件名は「源泉税吸収ファシリティー-EUROPEANPACIFIC 向」と記載されていることからも明らかなように,源泉税を肩代わりしてその対価を得る以外に目的がなかったことは明らかである。 (3)ファースト社案件グレシャム社は,投資家から調達した2億米ドル相当NZドルを,ファースト社に貸し付け,同社において,同貸付金を元にNZドル建てユーロ債が購入される予定であった。 しかしながら,グレシャム社は,投資家への配当の際に,源泉所得税が課税されないようタックス・ヘイブンが作用するバーミューダ諸島 ,同貸付金を元にNZドル建てユーロ債が購入される予定であった。 しかしながら,グレシャム社は,投資家への配当の際に,源泉所得税が課税されないようタックス・ヘイブンが作用するバーミューダ諸島に設立されていることから,ファースト社から受領する利息に課されるクック諸島源泉税を外国税額控除することができなかった。そこで,フェイリッチ社がクック諸島源泉税を吸収するスキームを構築し,原告が本件ローン契約及び本件預金契約を締結したものである。 この点について,原告の禀議書(乙117)に,「Itisonlyatax-structuredtransaction (本件は,税のみを目的として構築された取引である。)」などと記載され,フェイリッチ社から原告シドニー支店にあて送付された「源泉税吸収ファシリティー」と題する書簡(乙120の1及び2)には,「三和銀行にお願いしたいのは,源泉税吸収ファシリティーでの協力を提供していただくことです。」と記載されていることからも明らかなように,源泉税を肩代わりしてその対価を得る以外に目的がなかったことは明らかである。 4 経費の控除の回避(1)本件各取引は,本来経費の控除が可能であるのに,ことさら多額の納税をしなければならない形式を取り,外国企業の税金を肩代わりしてその対価を得ることを意図してなされた取引である。 すなわち,本件各取引は,原告にとって,本来,収入から経費を控除して所得を計算するのであれば,多額の外国税の納税を要しないのに,外国企業の税金を肩代わりしてその対価を得るために,外国源泉税納付という外形を作り出すため,債務者所在地国外の支店を利用し,ことさら経費が控除できないような取引を仕組み,源泉税を納付する形式を採ることで,外形上国際的な二重課税の状況を作出して,外国税額 泉税納付という外形を作り出すため,債務者所在地国外の支店を利用し,ことさら経費が控除できないような取引を仕組み,源泉税を納付する形式を採ることで,外形上国際的な二重課税の状況を作出して,外国税額控除の適用を受けようとした取引である。 (2)仮に,原告が債務者の所在地の居住者であると仮定すると,以下に述べるとおり,源泉税がわずかしか発生しないか,その源泉税が還付され外国法人税の納税自体がごく少額となるため,税額控除の余裕枠の提供の余地が生じ得ないと考えられる。 すなわち,内国法人が内国法人に支払う利子・利息に源泉税が課されない国の場合,債権者が債務者から受け取る貸付金利息については,全額が申告納税による収益として所得課税の対象とされることとなり,債権者が貸付金に関して調達資金等の利子・利息を第三者に支払っている場合,当該支払利子・利息は,経費として収入から控除できることとなる。この場合,債権者は,ごくわずかな利ざやが生じるだけであるから,当該利ざやに対する所得課税は少額ですみ,しかも,源泉税も課されないため,外国税を納税したという外形はほとんど生ぜず,多額の外国税額控除枠を提供する余地がない。 また,内国法人が内国法人に支払う利子・利息に源泉税が課される国においては,債権者が債務武者から受ける貸金利息についても,源泉税控除前の全額が収益として計上され,債務者が国庫に納付した源泉税については,同額が債権者において申告納税の際に税額控除として利用できることとなる。しかも,債権者が当該貸付金に関して,調達資金等の利子・利息を第三者に支払っている場合,当該利子・利息は,経費として収入から控除できることとなる。そうすると,本件のような取引においては,利ざや分に対するわずかな所得が生じるのみであり,実質的には,先に納税された源泉税 払っている場合,当該利子・利息は,経費として収入から控除できることとなる。そうすると,本件のような取引においては,利ざや分に対するわずかな所得が生じるのみであり,実質的には,先に納税された源泉税のほとんどが還付されることになる。このように,利子にかかる源泉税が還付されるとすれば,外国税額の納税自体が少額に止まることになるのであり,外国税額控除の枠の提供を行う余地はわずかしかないこととなる。 本件においては,ニュー・ジーランド国においては,邦銀のニュー・ジーランド支店が同様の取引を行った場合,ニュー・ジーランド国の税制上国内取引となり貸付金利息について源泉徴収は行われず,利ざやによる利益はごくわずかであるから,ニュー・ジーランド国に対する多額の外国税の納付が行われたという外形を創出することができない。また,クック諸島においては,邦銀のクック諸島支店が同様の取引を行った場合,クック諸島の税制上国内取引となり,貸付金利息について5パーセントの源泉徴収しか行われず,利ざやによる利益もごくわずかであるから,クック諸島国に対する多額の外国税の納付が行われたという外形を創出することができない。 (3)以上に対し,国外支店を通じての取引をすると,債務者の所在地国では源泉課税で課税関係が終了し,収入に対してのみ源泉税が課税され,当該源泉税の課税上では,経費を控除することはできないこととなるため,本件のような取引においても,外国税額控除枠の提供が可能となる。 本件各事案及び類似の事案においては,すべて,債務者の所在地国以外の支店を通じての取引となっているのであり,このことは,収入と経費をことさら分断して納税するために不可欠なものである。 (4)さらに,テレコムCA社,キングストン社及びグレシャム社にすれば,自らの外国税額控除枠がないた なっているのであり,このことは,収入と経費をことさら分断して納税するために不可欠なものである。 (4)さらに,テレコムCA社,キングストン社及びグレシャム社にすれば,自らの外国税額控除枠がないため,債務者に対する貸付金の受取利息に対する外国源泉税を邦銀に肩代りさせようとしてスキームを組んだのに,邦銀に対する預金等からの受取利子・利息に外国の源泉税が課されてしまうとスキームの意味がなくなってしまいかねないのでの,邦銀の預金等からの受取利子・利息に外国の源泉税が課されないようにする必要があり,邦銀の支店が債務者の所在地国外にあるというだけでは足りず,租税条約等により,利子・利息に対する源泉税が課されない第三国内にあることが必要となる。 本件においては,いずれも原告の香港支店が関与することでスキームが構成された。香港の税制によると,非居住者に対する利子等の支払に対しては源泉税は課されない。 (5)結局,本件各取引がすべて同一国内で行われれば,外国税額控除枠の提供は,ごく少額しか生じ得なかったものであるところ,本件では,債務者の所在地国外にある支店を通じての取引を行い,債務者が支払う借入金利息にかかる源泉税については,債権者において,外国税額控除を可能とするとともに,債権者が支払う利子等について,作為的に外国の源泉税がかからない国にある邦銀支店を選択することにより,スキームの概要が構成されることになるのである。 そうすると,本件スキームは,邦銀の受取利息と支払利子等をことさらに分断することによって,無理矢理多額の外国源泉税を納付したような外形を創り出して,外国税額控除を受けようとするものであり,外国税額控除制度を濫用するものであることは明らかである。 第3の2の4 予備的主張の場合の損金処理の可否及び税額 1 仮払金性( うな外形を創り出して,外国税額控除を受けようとするものであり,外国税額控除制度を濫用するものであることは明らかである。 第3の2の4 予備的主張の場合の損金処理の可否及び税額 1 仮払金性(1)ニュ-・ジ-ランド源泉税についてアテレコム社案件における本件ローン契約は,テレコムNZ社と原告との間で,原告が外国税額控除を受けることを前提として締結されたものであり,原告が外国税額控除を受けられない場合について,前記第3の2の2の1,1(1)イ(オ)のとおり,7条1項2号に補填義務の定めがある。 イこれらの契約内容によれば,原告が外国税額控除の適用が受けられない場合には,その受けられない部分について,テレコムNZ社に対し,請求できるといえる。 すなわち,本件ロ-ン契約の上記規定は,原告が外国税額控除制度を利用して,外国源泉税をテレコムCA社に交付する代わりに,直接当該外国税額控除制度適用による利益を享受しない原告が不測の損害を被ることのないよう,原告の利益保護のために設けられた条項であると考えられ,原告は,課税庁の調査により外国税額控除の適用ができない場合に,改めてテレコムNZ社に対して,適用が否認された外国税額の負担について,補償を求めることができる。 したがって,原告がニュ-・ジ-ランド源泉税相当額を支出したとしても,外国税控除が受けられなければ,その返還を受けることができるのであるから,原告の同支出が直ちに損金になることはなく,これを仮払金として取り扱うべきものというべきである。 ウ仮に,原告が前記条項に基づいて,テレコムNZ社らに対する補償を求め得ないものとした場合であっても,本件ロ-ン契約は,原告において外国税額控除を受けることが当然の前提となっており,その場合の補償規定がないとすれば, 条項に基づいて,テレコムNZ社らに対する補償を求め得ないものとした場合であっても,本件ロ-ン契約は,原告において外国税額控除を受けることが当然の前提となっており,その場合の補償規定がないとすれば,契約について,要素の錯誤があるというべきで,原告はテレコムNZ社らに対して,本件ロ-ン契約の錯誤無効等を主張して,原状回復を求める余地があると解される。 エそれゆえ,外国税額控除が認められない場合に原告が負担すべき額については,原告が同契約条項に基づき,又は錯誤無効を主張するなどして本件ニュ-ジ-ランド源泉税相当額の返還を求めて,テレコムNZ社との間で協議し,協議が整わなければ,訴訟を提起するなどしてその償還を求めることができるのであって,仮に同債権がその後回収不能になったとしても,そのことを原告が主張・立証しない限り,損金に算入できないし,その時期についても,実際に同源泉税相当額が回収不能となった時点で損金に算入すべきこととなるのである。 オ以上によれば,原告が納付したとする本件ニュ-・ジ-ランド源泉税相当額は,当該事業年度においては,仮払金として処理すべきものであり,本件係争となった最終事業年度の平成5年3月期においては未だ原告の損金とはならないのである。 (2)クック諸島源泉税についてアユーロピアン社案件Ⅰ,Ⅱ及びファースト社案件における本件ローン契約は原告が外国税額控除を受けることが前提となっている。そして原告が外国税額控除を受けられない場合について,前記第3の2の2の2,1(1)イ(エ)のとおり,ローン契約の9条2項,3項には補償義務が,8条2項には補填義務が定められている。 イこれらの契約内容によれば,原告が外国税額控除の適用が受けられない場合には,その受けられない部分について,ユーロピアン社案件 項,3項には補償義務が,8条2項には補填義務が定められている。 イこれらの契約内容によれば,原告が外国税額控除の適用が受けられない場合には,その受けられない部分について,ユーロピアン社案件Ⅰ,Ⅱにおいてはユーロピアン社に対し,ファースト社案件においてはファースト社に対し,それぞれ請求できるといえる。 すなわち,本件ローン契約の上記規定は,原告が外国税額控除制度を利用して,外国源泉税をキングストン社もしくはグレシャム社に交付する代わりに,直接当該外国税額控除制度適用による利益を享受しない原告が不測の損害を被ることのないよう,原告の利益保護のための条項であると考えられ,原告は,課税庁の調査により外国税額控除の適用ができない場合に,改めてユーロピアン社及びファースト社に対して,適用が否認された外国税額の負担について,補償を求めることができる。 したがって,原告が本件クック諸島源泉税相当額を支出したとしても,外国税控除が受けられなければ,その返還を受けることができるのであるから,原告の前記支出が直ちに損金になることはなく,これを仮払金として取り扱うべきものというべきである。 ウ仮に,原告が前記条項に基づいて,ユ-ロピアン社又はファ-スト社らに対する補償を求め得ないものとした場合であっても,本件各契約は,原告において外国税額控除を受けることが当然の前提となっており,その場合の補償規定がないとすれば,契約について,要素の錯誤があるというべきで,原告はユ-ロピアン社又はファ-スト社らに対して,本件ロ-ン契約の錯誤無効等を主張して,原状回復を求める余地があると解される。 エそれゆえ,外国税額控除が認められない場合に原告が負担すべき額については,原告が前記契約条項に基づき,又は錯誤無効を主張するなどして本件クッ 張して,原状回復を求める余地があると解される。 エそれゆえ,外国税額控除が認められない場合に原告が負担すべき額については,原告が前記契約条項に基づき,又は錯誤無効を主張するなどして本件クック諸島源泉税相当額の返還を求めて,ユ-ロピアン社又はファ-スト社との間で協議し,協議が整わなければ,訴訟を提起するなどしてその償還を求めることができるのであって,仮に同債権がその後回収不能になったとしても,そのことを原告が主張・立証しない限り,損金に算入できないし,その時期についても,実際に同源泉税相当額が回収不能となった時点で損金に算入すべきこととなるのである。 オ以上によれば,原告が納付したとする本件クック諸島源泉税相当額は,当該事業年度においては,仮払金として処理すべきものであり,本件係争となった最終事業年度の平成5年3月期においては未だ原告の損金とはならず,仮に損金となることがあっても,損金への計上は平成6年3月以降の事業年度になるというべきである。 2 法41条による損金不算入(外国税額控除制度の適用と損金経理との選択)(1)法41条の趣旨について我が国の国内法上,外国税は損金に算入されることが原則であるところ,法41条は,外国税額の損金算入について「内国法人が第69条第1項(外国税額の控除)に規定する控除対象外国法人税の額につき同条(中略)の規定の適用を受ける場合には,当該控除対象外国法人税の額は,その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上,損金の額に算入しない」と規定し,納税者が外国税額控除制度を選択する場合には,外国法人税の全部について損金の額に算入しないとしている。 すなわち,法41条は,外国法人税額につき損金に算入をし,同時に税額控除をも認めると二重に控除を認めることとなること及び我が国の外国税 外国法人税の全部について損金の額に算入しないとしている。 すなわち,法41条は,外国法人税額につき損金に算入をし,同時に税額控除をも認めると二重に控除を認めることとなること及び我が国の外国税額控除制度が一括限度額方式を採用し,外国税額控除の適用を受けるかどうかの選択が事業年度を単位として行われ,各事業年度において納付することとなる外国法人税を一括して計算することから,納税者が法69条に定める外国税額控除を選択するときには,税額控除あるいは還付を受けた金額ではなく,控除額計算の基礎となった外国法人税額の全額について損金に算入しないことを明記したのである。 そのことは,同様に法人税額から控除する所得税額の損金不算入について定めた法40条が「これらの規定による控除又は還付をされる金額に相当する金額は・・」と規定され,所得税額の損金不算入が控除あるいは還付を受けた金額に相当する金額であるとされるのに比し,法41条が「当該控除対象外国法人税の額は・・」と異なる文言で規定されていることから,法40条とは違って外国税額の損金不算入が控除あるいは還付を受けた金額ではなく,控除額計算の基礎となった額全額に及ぶと解されるところにある。 そして,これを受けて,法人税基本通達16-3-1は,「内国法人が,当該事業年度において納付する外国法人税の額(法69条1項【外国税額の控除】に規定する控除対象外国法人税の額に限る。以下,16-3-1において同じ。)の一部につき同条の規定の適用を受ける場合には,法41条【法人税額から控除する外国税額の損金不算入】の規定により当該外国法人税の額の全部が損金の額に算入されないことに留意する。」と定め,外国法人税を納付する内国法人は,各事業年度ごとに,納付することとなった外国法人税の全部について,税額控除の適用 の規定により当該外国法人税の額の全部が損金の額に算入されないことに留意する。」と定め,外国法人税を納付する内国法人は,各事業年度ごとに,納付することとなった外国法人税の全部について,税額控除の適用を受けるか損金に算入するかを選択することになるのであって,仮に,法人が各事業年度において納付した外国法人税の一部についてだけ,法69条1項に規定する税額控除の適用をし,他の外国法人税について同条の規定を適用しないで損金に算入した場合でもその事業年度において納付する外国法人税をすべて税額控除を選択したものとみなして,その事業年度に納付する外国法人税の全額について,所得金額の計算上,損金の額には算入しないことを明らかにしている。 (2)このように,外国税額控除制度は,外国法人税の全部について税額控除か損金算入のいずれか一方の方法を選ばなければならず,当該事業年度において納付する外国法人税の一部について,税額控除を選択して法69条の適用を受けてしまうと,同条の適用を受けなかった残りの外国法人税も損金に算入されないことになるのである。 この結果,本件において,原告は,本件ニュー・ジーランド源泉税及びクック諸島源泉税の外に平成2年3月期においては164億4796万6674円,平成3年3月期においては207億0725万5134円,平成4年3月期においては116億0710万5245円,平成5年3月期においては164億5538万3505円の外国税額控除の適用を選択しているので,本件取引で原告が納付したとする外国法人税は,損金の額に算入できないのである。 3 予備的主張における税額次に具体的な税額であるが,原告が納付したという本件ニュー・ジーランド源泉税及びクック諸島源泉税が仮払金となる場合の各事業年度の税額は,別紙14ないし17のとおりで 3 予備的主張における税額次に具体的な税額であるが,原告が納付したという本件ニュー・ジーランド源泉税及びクック諸島源泉税が仮払金となる場合の各事業年度の税額は,別紙14ないし17のとおりであり,そうでないとしても,原告が納付したとする外国法人税が,法施行令141条2項にいう外国法人税であることで,法41条により損金に算入できないこととなる場合の各事業年度の税額は,別紙18ないし21のとおりである。 したがって,その範囲内でなされた本件各更正処分は適法である。 第3の2の5  テレコム社案件に係る重加算税賦課決定処分について 1 重加算税の賦課決定処分について過少申告加算税を課する場合において,納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし,又は仮装し,その隠ぺいし,又は仮装したところに基づき,納税申告書を提出していたときには,当該納税者に対し,過少申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額に係る過少申告加算税に代え,当該基礎となるべき税額に100分の35の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を課することとされている(国税通則法68条1項)。 そして,上記にいう事実の隠ぺいとは,売上除外,証拠書類の廃棄等,課税要件に該当する事実の全部又は一部を隠すことをいい,事実の仮装とは,架空仕入・架空契約書の作成,他人名義の使用等,存在しない課税要件事実が存在するように見せかけることをいう。 2 以下,テレコム社案件が上記1の要件に該当するか否か検討する。 (1)仮装された預金担保貸付の創出テレコム社案件は,原告がテレコムNZ社及びテレコムCA社と通謀してテレコムCA社が負担すべきニュー・ジーランド源泉税を吸収することを目的とする循環金融のために本件ローン契約及び預金契 創出テレコム社案件は,原告がテレコムNZ社及びテレコムCA社と通謀してテレコムCA社が負担すべきニュー・ジーランド源泉税を吸収することを目的とする循環金融のために本件ローン契約及び預金契約を仮装して作出したもので,本件ローン契約を締結するに当たり,当事者双方に160億円を貸し付ける意思も借り受ける意思も有しておらず,また,本件預金契約を締結するに当たり,当事者双方に160億円の預入れを行なう意思も預入れを受ける意思もなかったものである。 ア伝票操作による取引の仮装(ア)本件取引開始段階における本件ローン契約に基づく貸付金及び本件預金契約に基づく預金は,いずれも,原告香港支店内の伝票操作により記帳のみがなされ,実体がないこと,本件ローン契約に基づく貸付金利息及び本件預金契約に基づく預金利息の支払についても,いずれも,原告香港支店内の伝票操作により記帳のみがなされ,実体がないこと(なお,原告は,第3回資金決済においては,本件預金契約に基づく預金利息をテレコムCA社の預金口座に記帳した後,かかるテレコムCA社の預金口座から直接に,ロイズ銀行内ニュー・ジーランドナショナル銀行テレコムNZ社口座へ送金しており,本件ローン契約に基づく貸付金利息に係る源泉税が,契約外の第三者たるテレコムCA社の預金口座から決済されている。),本件取引終了段階における本件ローン契約に基づく貸付金及び本件預金契約に基づく預金は,いずれも,原告香港支店内の伝票操作により記帳のみがなされ,実体がないことは,これまで詳細に述べたとおりである。 (イ)このように,本件取引の開始段階では,同一通貨で,同額の元本たる160億円は,同一支店内における預金口座間の伝票操作による振替処理により決済されたのであり,貸付金利息と預金利息の決済については,テレコ のように,本件取引の開始段階では,同一通貨で,同額の元本たる160億円は,同一支店内における預金口座間の伝票操作による振替処理により決済されたのであり,貸付金利息と預金利息の決済については,テレコムNZ社への送金を除いては,現実的な資金移動もなく同一支店内の伝票操作により行われ,また,本件取引の終了段階においても,原告とテレコムNZ社及びテレコムCA社の契約関係は,現実的な資金移動もなく原告香港支店内におけるいわゆる伝票操作により終了している。 すなわち,本件取引は,異なる取引先に対する貸付金及び定期預金の発生であるにもかかわらず,本来あるべき実需の裏付けのある対外的な資金移動もなく,貸付金及び預金の元本は,同一通貨をもって原告がテレコムNZ社に送金したかのごとく,また,同額をテレコムNZ社がテレコムCA社へ,さらにテレコムCA社が原告へ送金したかのごとく原告香港支店内において伝票操作が行われたのであり,ローン及び預金取引として全く実体のないものとなっている。 イ実需のない循環金融取引の創出(ア)原告は,本件ローン契約に基づき,テレコムNZ社に対し,160億円の貸付けを行ったとされているが,同金銭貸付けは,本件取引における循環金融の一部を構成するもので,そもそも実質的な資金の流れを必要としないものであるが,本件取引は,テレコムCA社において発行されるべきユーロキウイボンドが本件取引の実行に遅れてなされたために,現実にも資金の裏付けの全くない取引となっている。 すなわち,テレコムCA社は,本件ローン契約及び預金契約の各締結日までに,ユーロキウイボンドを発行して,これにより投資家から調達した160億円相当NZドルを同社に送金する予定でいたが,同ボンドの発行が遅れたことにより,本件各契約の締結及び実行ま 金契約の各締結日までに,ユーロキウイボンドを発行して,これにより投資家から調達した160億円相当NZドルを同社に送金する予定でいたが,同ボンドの発行が遅れたことにより,本件各契約の締結及び実行までの間に前記160億円相当NZドルを調達することができなかった。 テレコムCA社は,本件取引の開始段階で,テレコムNZ社から借り入れた160億円と投資家から調達した160億円相当NZドルを交換する通貨スワップ契約を締結しなければ,前記160億円相当NZドルに係る金利相当額につき源泉徴収課税されずに送金することはできないが,前記のとおり投資家から資金を調達することもできなかったため,本件貸付金契約だけを締結するほかなかったのである。 このような本件取引開始後,ユーロキウイボンドの発行に至るまでの経緯からすれば,本件取引における160億円の流れは,単に経済的な意味もない,全く形式的なものにすぎないのである。 (イ)上記のとおり,テレコムCA社がテレコムNZ社に貸し付ける資金は,ボンド発行により調達を行うとしているが,テレコムCA社の実際のボンド発行は大幅に遅れてなされたのであり,その結果,資金の裏付けのない名目だけの元本が,原告,テレコムNZ社,テレコムCA社の三者間を,伝票操作のみをもって一巡している。 すなわち,本件においては,循環金融により取引が構築され現実の資金の流れがないこと及びそもそもボンド発行が本件取引を実行する上で重要な要素であるにもかかわらず,取引開始段階では,ボンドの発行による資金の調達がなされず実需が全くないままに取引が実行されていることからすれば,本件ローン契約及び預金契約に基づく160億円の流れは,実体上金銭貸付けの実質がないのに,外観上資金を循環させることによりあたかも金銭貸付け ず実需が全くないままに取引が実行されていることからすれば,本件ローン契約及び預金契約に基づく160億円の流れは,実体上金銭貸付けの実質がないのに,外観上資金を循環させることによりあたかも金銭貸付けがあったかのように仮装されたものにすぎないのである。 (ウ)なお,クック諸島源泉税に係る取引は,上記と同様に循環金融の手法が採られ,取引を仮装したものであることは既に述べたとおりである。しかしながら,クック諸島源泉税に係る取引は,まだしも国際決済手段である CHIPS による一応の送金が認められるところ,テレコム社案件の場合には,実需取引に先立って資金が一巡する取引が伝票上のみ先行しているのであって,かつ,対外的な資金移動も,本件各契約に基づく実体的な送金もないのであるから,仮装の程度においてクック諸島源泉税に係る取引と同列に論じることはできないというべきである。 ウ仮装作出取引に対する原告の積極的関与原告は,テレコム社案件に関して,取引の目的及び構造を,テレコムNZ社ないしはフェイリッチ社より説明を受け充分に関知していたこと,また,原告においても,テレコムNZ社らが考案する取引を原告香港支店における内部処理だけで済ませるよう,積極的にその方策を原告香港支店内の伝票処理として示していたことは,前記イに記載するとおりである。 すなわち,原告は,テレコムNZ社に送金する資金以外は伝票操作(ブックエントリー)のみで利払処理をすませたいとのテレコムNZ社の依頼に基づき,原告自ら,本件取引の原告香港支店における伝票操作を積極的に指示し,原告支店に設定したテレコムNZ社及びテレコムCA社の預金口座を利用して,他からの資金調達のないまま同日同時に,原告と両社間の取引を仮装作出し,これを原告の別段勘定を通じて行ったのである。 示し,原告支店に設定したテレコムNZ社及びテレコムCA社の預金口座を利用して,他からの資金調達のないまま同日同時に,原告と両社間の取引を仮装作出し,これを原告の別段勘定を通じて行ったのである。 また,原告は,原告香港支店における上記の伝票操作を行うに際し,テレコムNZ社及びテレコムCA社から指示文書を取り付け,自ら取引の実行行為者として本件仮装作出取引を実行しているのである。 (2)重加算税賦課決定処分の適法性上記のとおり,テレコム社案件は,本件ローン契約及び預金契約に定める元本160億円が,原告香港支店,テレコムNZ社及びテレコムCA社を三者間で一巡するだけで経済的に全く意味のない取引である。 そして,上記の経済的に全く意味のない取引が,初めて原告らにとって意味を有する取引となるのは,現実にテレコムCA社がボンド発行により投資家から資金を調達し,スワップ取引によりテレコムNZ社とテレコムCA社間で資金が流れる仕組みと密接に結び付くことによって,本来テレコムCA社が負担すべきニュー・ジーランド源泉税を免れさせたときでしかないのである。 すなわち,テレコムNZ社の本来の目的はテレコムCA社経由で調達されたNZドル建ての資金の利用にあるのであって,原告香港支店,テレコムNZ社及びテレコムCA社間の円建てによる契約は,テレコムNZ社とテレコムCA社間に,通貨スワップによってNZドルを移動させる際に生じる円貨の流れを吸収するために機能したにすぎない。このように,原告香港支店,テレコムNZ社及びテレコムCA社間の取引が,後日,実際にテレコムCA社が資金を調達し,スワップ契約に基づく元本交換によりテレコムNZ社に直接NZドルを交付する際に,あるいは,同契約に基づく最終元本の交換によりテレコムNZ社からテレコムCA ,後日,実際にテレコムCA社が資金を調達し,スワップ契約に基づく元本交換によりテレコムNZ社に直接NZドルを交付する際に,あるいは,同契約に基づく最終元本の交換によりテレコムNZ社からテレコムCA社にNZドルを直接交付する際に,それぞれ円貨の流れを実際に発生させないがためにのみ機能したということは,テレコムCA社から原告への預金,原告からテレコムNZ社への貸付は,単に経済的に無意味なだけでなく,資金の実需のない形式的なものにほかならず,当事者間において,真実貸付及び預金に係る契約関係を発生させようとする意思が存在していたとは認められない。 かかる本件ローン契約及び預金契約は,スワップ取引により,円貨の流れを循環金融を通じて消去し,テレコムCA社からテレコムNZ社に対するNZドルの資金の流れだけを発生させるために構築されたのであり,循環金融による円貨の流れの過程で生じる源泉税の負担を日本の外国税額控除制度を利用して吸収し,テレコムCA社が負担すべきニュー・ジーランド源泉税を回避する目的のために締結されたものにすぎないのであって,真実,ローン契約及び預金契約としての実体を伴わない仮装のものであるといわざるを得ない。 したがって,本件ローン契約及び預金契約は,いずれも当事者間において,真実,貸付や預金の効果意思が存在しないにもかかわらず,それがあるかのように装って締結されたものであり,通謀虚偽表示により無効であるばかりか,原告は,テレコムNZ社及びテレコムCA社の源泉税吸収取引に加担して,本件ローン契約及び預金契約を仮装作出し,かつ,仮装した法律関係に基づき外国税額控除を適用して申告したものであるから,かかる原告の行為は,国税通則法68条1項に規定する「課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし ,仮装した法律関係に基づき外国税額控除を適用して申告したものであるから,かかる原告の行為は,国税通則法68条1項に規定する「課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし,又は仮装し,その隠ぺいし又は仮装したところに基づいて納税申告書を提出していたとき」に該当し,ニュー・ジーランド源泉税に関して,被告の行った本件重加算税賦課決定処分は適法である。 第4 原告の主張第4の1 本案前の主張 1 主位的請求について更正処分と増額更正処分とは別個独立の処分として存立し,増額再更正の効力は,その処分によって変更を生じた増差税額に関する部分についてのみ生じるのであるから,原告の平成4年3月期及び平成5年3月期に係る主位的請求は,訴えの利益を有する。 2 予備的請求について原告が,平成4年3月期及び平成5年3月期について,平成9年3月31日付けでなされた本件各再更正処分について不服申立を経ずにその取消しを求めて本訴を提起したことは,以下述べるとおり,国税通則法115条1項3号にいう正当な理由があるときに該当し,何ら違法ではない。 (1)2つ以上の処分があり,1つの処分についてのみ不服申立をし,他の処分について不服申立を経ない場合に,国税通則法115条1項3号にいう正当当な理由がある場合とは,司法審査に先立ち,他の処分につき不服申立手続きを経由させる合理的な理由がない場合を意味する。 すなわち,①各処分が実質的に同一である場合とか,あるいは,②1つの処分について不服申立をした以上他の処分について不服申立をしても,もはや行政庁等の対応が変わる余地がなく,紛争の自主的解決を期待し得ないような場合であることが必要であり,上記②を具体的にいえば,各処分が処分の理由を共通にし,不服申立において攻撃する点もも ても,もはや行政庁等の対応が変わる余地がなく,紛争の自主的解決を期待し得ないような場合であることが必要であり,上記②を具体的にいえば,各処分が処分の理由を共通にし,不服申立において攻撃する点ももっぱら共通の処分理由に対するものであり,かつそれに対する行政庁等の基本的な判断が1つの処分に対する不服申立手続きにおいてすでに示されていて変更の余地がないような場合である。 (2)平成4年3月期及び平成5年3月期にかかる原告の不服申立の経緯は次のとおりである。 ア平成7年6月22日の各更正処分を受けて,原告は,同年8月18日,国税不服審判所長に対し,審査請求を申し立てた。原告の審査請求の理由は,平成4年3月期,平成5年3月期における確定申告において,原告がニュー・ジーランド源泉税及びクック諸島源泉税について,法69条の規定に基づき外国税額控除したところ,東税務署長はこれを否認したが,同税務署長は事実認定を誤り,同法条の解釈適用を誤ったものであるというものである。 イ平成9年6月10日,審査請求をいずれも棄却する旨の裁決がなされ,裁決書謄本は,同年6月13日,原告に送達された。 ウ原告は,同年9月10日,大阪地方裁判所に,本件各再更正処分の取消しを予備的請求として求めて本訴を提起した。本訴において原告は,平成4年3月期及び平成5年3月期における確定申告において,原告が支払ったニュー・ジーランド源泉税及びクック諸島源泉税について法69条の規定に基づき外国税額控除した原告の行為を否認した東税務署長には,事実認定を誤り,同法条の解釈適用を誤った違法があるとして,本件各再更正処分の取消しを求めるものである。 (3)上記のとおり,原告は,平成7年6月22日付けの本件各先行更正処分に対して同年8月18日審査請求し,その審理が継続中に, 誤った違法があるとして,本件各再更正処分の取消しを求めるものである。 (3)上記のとおり,原告は,平成7年6月22日付けの本件各先行更正処分に対して同年8月18日審査請求し,その審理が継続中に,平成9年3月31日付けで,本件各再更正処分がなされた(平成5年3月期については,平成8年3月29日付けでも更正処分がなされている。)。 本件各再更正処分は,クック諸島源泉税及びニュー・ジーランド源泉税に関する外国税額控除の争点とは全く異なる理由により税額が変更になった結果なされた処分であり,原告は,新たな処分理由については争わないので,不服申立をしていない。 原告が不服とするのは,原告が支払ったクック諸島源泉税及びニュー・ジーランド源泉税について法69条の適用を東税務署長が否定した点であり,審査請求及び本件訴訟のいずれにも共通である。原告は本訴において,本件各再更正処分の全部の取消しを求めているのではなく,あくまでも本件各先行更正処分と同一の理由に基づく処分の範囲についてのみ求めているものであり,本件各先行更正処分について不服申立をしている以上,本件各再更正処分についても不服申立手続きを経たのと実質的に全く同一である。 (4)また,原告が審査請求して以降,裁決がなされるまで,原告と原処分庁との間で厳しいやりとりがなされており,新たに平成9年3月31日付けの本件各再更正処分について不服申立をしても,行政庁の対応が変わる見込みはなかった。 しかも本件各再更正処分の処分内容には本件各先行更正処分の処分理由に基づく事項が含まれているにもかかわらず,本件各再更正処分の処分通知書には,本件各先行更正処分の処分理由は記載されていない。したがって,本件各再更正処分の処分通知書記載理由に不服がない原告が,不服申立をしなかったことが直ちに かかわらず,本件各再更正処分の処分通知書には,本件各先行更正処分の処分理由は記載されていない。したがって,本件各再更正処分の処分通知書記載理由に不服がない原告が,不服申立をしなかったことが直ちに,本件各先行更正処分の処分理由をも認めたことになるというのは一納税者にすぎない原告に酷であり,不当である。 (5)以上のとおり,本件の審査請求及び本件訴訟を通じて,原告が本件各先行更正処分及び本件各再更正処分中不服とする処分理由は共通しており,本件各先行更正処分についての審査請求手続き中に本件各再更正処分についての不服申立をしても行政庁の対応が変更される可能性はなかったのであるから,原告が本件各再更正処分について不服申立を経ずに本件訴えを提起したことは,国税通則法115条1項ただし書き,同項3号の「決定又は裁決を経ないことにつき正当な理由があるとき」に該当し,本件訴えは適法である。 第4の2 本案の主張第4の2の1 私法上の法律構成に対する反論(本件各取引の有効性)本件各契約には何ら不自然,不合理な点はなく,原告は,真実契約内容の法的効果を発生させる目的で各契約を締結し,実行したのであり,本件各契約は有効に成立している。 以下詳述するとおり,原告は,融資に伴う回収の危険性の程度,本件各取引から得る原告の利益等,融資にあたって通常行うべき検討を加えた上で,本件各取引に取り組んだ。 そして,本件各契約について,原告は,真実契約内容どおりの法的効果を発生させる目的で契約を締結したのであり,表示上の効果意思と内心の意思は一致しているのであるから,その他の要件を云々するまでもなく,本件各契約に民法94条の適用がないことは明らかである。 また,被告が,本件各取引を通謀虚偽表示とする根拠として主張する点は,いずれも国際金融取引の現実 から,その他の要件を云々するまでもなく,本件各契約に民法94条の適用がないことは明らかである。 また,被告が,本件各取引を通謀虚偽表示とする根拠として主張する点は,いずれも国際金融取引の現実を無視し,原告が全く知らない事実を加味して,被告の都合の良いように事実を曲げて構築したものであり,何ら根拠のない不当なものである。原告は,企業に融資を実行して利息収入を図るという,金融機関として当然の経済活動を行ったにすぎない。本件に外国税額控除が適用されることは,法律の規定がある以上原告としても当然の前提にしていたものであるが,原告は,外国税額控除枠を提供してその対価を得ることを目的として契約を締結したものではない。 第4の2の1の1 テレコム社案件 1 本件取引に至るまでの経緯(1)1988年8月15日,SIF社のA代表取締役及び同社の取締役でマーケッティング・マネージャーであったB英雄は,ニュー・ジーランドのウエリントン所在の投資銀行であるフェイリッチ社を訪問中,同社のパートナーのCからテレコムNZ社に対する融資案件があるが,これについて原告が融資取組みを行うことについて興味があるか否か打診を受けた。 SIF社は,原告の子会社である香港法人であり,当時,シンジケートローン(国際協調融資)や債券の引受を主たる業務とし,日本人スタッフ約10人,現地スタッフ約30人程度を擁していた。 (2)A及びBは,当日フェイリッチ社から口頭で概略の内容説明を受けるとともに,同月15日,フェイリッチ社から本件融資案件を説明するファックスを受領した。同説明によると,本件融資案件の概略は以下のとおりであった。 ア原告は,テレコムNZ社に対し,320億円を,期間3年から5年,利率ロンドン銀行間レート( LIBOR )からニュー・ジーランド非居住 明によると,本件融資案件の概略は以下のとおりであった。 ア原告は,テレコムNZ社に対し,320億円を,期間3年から5年,利率ロンドン銀行間レート( LIBOR )からニュー・ジーランド非居住者の源泉税率を差し引いた利率を基準とした変動利率との条件で貸し付ける。 イ原告は,テレコムNZ社の100パーセントの子会社(以下,「テレコム子会社」という)から,320億円を,期間3年から5年,利率貸金契約上の利息金にニュー・ジーランド非居住者の源泉徴収税に相当する金額を加えた金額から原告のマージン相当額を差し引いた額との条件で融資金と同額の預金担保を受け入れる。 ウテレコムNZ社は,原告のテレコムNZ社に対する貸金を同社の貸借対照表上に記載しないようにするため,原告のテレコムNZ社に対する貸金契約上の権利義務をテレコム子会社に譲渡する権利を有するものとされる。 (3)その後,8月19日に,フェイリッチ社からA宛に,テレコムNZ社の弁護士と話し合った結果,本件融資案件において,同社の他の融資契約の条項において,テレコムNZ社が原告に対して正式担保を差し入れることは禁止されているため,テレコム子会社の預金には質権設定ができない旨の連絡がなされた。 (4)SIF社では,本件融資案件は,テレコムNZ社が金融子会社を通じて調達した資金を直接その子会社から借り入れた場合,その利息にニュー・ジーランド国内での源泉所得税が課税されるため,当該資金を,香港等預金利息について源泉所得税の発生しない地域における邦銀の支店に預金として預け入れ,邦銀からテレコムNZ社に対し貸金を行うという当時邦銀により多数行われていた融資案件と同種の案件と理解した。そして,テレコムNZ社がニュー・ジーランドの政府の100パーセント出資の企業であり,信用面で懸念が少な コムNZ社に対し貸金を行うという当時邦銀により多数行われていた融資案件と同種の案件と理解した。そして,テレコムNZ社がニュー・ジーランドの政府の100パーセント出資の企業であり,信用面で懸念が少ないこと等から本件融資案件が前向きに検討し得るものであると考えた。そこで,8月19日,Bは,原告の東京の国際金融部に対し,本件融資案件の概要を報告し,取組みが可能か否かの検討を依頼した。 (5)ところで,フェイリッチ社の説明によると,原告のテレコムNZ社に対する貸金とテレコム子会社の原告に対する預金に併存してテレコムNZ社のテレコム子会社に対する貸金が存在するとのことであったが,前記のようなテレコムNZ社のテレコム子会社を通じた資金調達目的からは,テレコムNZ社と原告の間の貸金契約と原告とテレコム子会社の間の預金契約のほかに,テレコム子会社からテレコムNZ社に対する資金移動を伴う別の金融取引が存在し,原告とテレコムNZ社及びテレコム子会社の間の各契約と総合して,上記の目的を達成するものと推測された。このため,SIF社及び原告では,テレコムNZ社とテレコム子会社間の金融取引スキームがいかなる形態のものか解明しようとした。しかし,フェイリッチ社は,本件融資案件の当初からSIF社及び原告に対して,テレコム子会社からテレコムNZ社に対する資金移動を含めた全体像に関する情報を開示しようとしなかった。このため,原告では,本件訴訟において被告が主張するようなテレコムCA社によるユーロキウイボンドの発行や同社とテレコムNZ社の間のスワップ契約の存在など一切知らされていなかった。原告は本件融資取引に関する全体像を解明しようと努力をしたが,結局最後までこれを解明するに至らなかったものである。 (6)8月25日,Bは,フェイリッチ社と面談し,本件融資案件に関する ていなかった。原告は本件融資取引に関する全体像を解明しようと努力をしたが,結局最後までこれを解明するに至らなかったものである。 (6)8月25日,Bは,フェイリッチ社と面談し,本件融資案件に関する原告の条件提示等について話し合った。フェイリッチ社は,Bに対し,本件融資案件については原告を含め邦銀5行に打診していること,その日までに既に2行から条件提示を受け,翌日までには,さらに2行から条件提示を受ける予定になっていること,及び,原告の条件はその中でも高いことなどを述べた。また,フェイリッチ社からは上記の預金担保の点については,正式の質権設定はできず,相殺契約のかたちになることが再度確認された。 テレコム子会社の預金に対する正式の質権の設定がなされないことから,原告はテレコム子会社の預金に対して第三者に対する優先権を有せず,テレコムNZ社が倒産した場合には,原告に与信リスクが発生することになるが,原告はテレコムNZ社がニュー・ジーランドの政府の100パーセント出資の企業であることから,上記正式担保にならない場合でも信用面で懸念がないものと判断し,本件融資案件を前向きに進めることにした。 (7)8月31日,Bは,本件融資案件についてフェイリッチ社と再度面談した。同社によると,その前日までに既に邦銀2行から正式の条件提示がなされ,翌日には,他の1行から正式の条件提示がなされる予定であるとのことであった。そして,テレコムNZ社はその前日フェイリッチ社に対して本件融資案件をできるだけ早期に実行したいと依頼したとのことであった。これに対し,Bは,原告から正式条件提示をするまで待って欲しいと依頼し,これに対し,フェイリッチ社はその週の終わりまでは待つことができると回答した。 (8)Bは,その後,原告の香港支店に連絡を取り,同支店から9月1 原告から正式条件提示をするまで待って欲しいと依頼し,これに対し,フェイリッチ社はその週の終わりまでは待つことができると回答した。 (8)Bは,その後,原告の香港支店に連絡を取り,同支店から9月1日付でフェイリッチ社に対して要旨以下のとおり本件貸金の正式条件提示がなされた。 金額  320億円利率期間3年の場合LIBOR +0.1875期間5年の場合LIBOR +0.2%利払毎月,3か月,もしくは半年ごと後払い手数料期間3年の場合貸金額の0.03%期間5年の場合貸金額の0.05%返済期限一括税金  15%までの源泉所得税を除き,債務者負担費用弁護士費用を含め債務者負担準拠法香港法管轄香港の非専属的管轄これに対し,フェイリッチ社では,原告を含めた邦銀からの条件提示が同等であるため,原告に対し,再度,条件提示をするよう打診し,原告香港支店は9月6日,フェイリッチ社に対し,9月1日に提示した条件のうち,利率を期間3年の場合に「LIBOR +0.175%」,期間5年の場合に,「LIBOR +0.1875%」に引き下げる旨再度条件提示を行った。 (9)原告による9月6日の改訂条件提示の後,同月16日に,Bは,再度フェイリッチ社のC及びテレコムNZ社の財務担当役員Dと面談し,再度融資条件について交渉を行った。その交渉に基づき,原告は,同月19日,期間5年の貸金について,利率を「LIBOR +0.185%」とする旨の再度の条件提示を行った。 (10)原告の9月19日付の利率の条件提示に対し,同月23日フェイリッチ社は,Bに対し,テ 19日,期間5年の貸金について,利率を「LIBOR +0.185%」とする旨の再度の条件提示を行った。 (10)原告の9月19日付の利率の条件提示に対し,同月23日フェイリッチ社は,Bに対し,テレコムNZ社が契約文書の合意を条件にこれを承諾した旨及び原告が行う貸金額は金160億円とする旨の連絡を行った。 (11)上記基本条件について合意が成立したことから,原告とテレコムNZ社は本件融資案件に関する契約書を作成することになり,同年10月7日,原告はフェイリッチ社を介してテレコムNZ社の弁護士であるチャップマン・トリップ・シェフィールド・ヤング法律事務所(以下「チャップマン法律事務所」という)が作成した契約書案の送付を受けた。 原告は,同送付を受けた契約書案について香港支店内部及びSIF社の顧問弁護士事務所であるリンクレーター・アンド・ペインズ法律事務所(以下「リンクレーター法律事務所」という)において検討し,その検討結果に基づき,同月26日,SIF社からフェイリッチ社を介して,原告の債権保全の見地から前記契約書案につき,多数の変更を求めた。 以後,上記契約書案について,チャップマン法律事務所とリンクレーター法律事務所の間では,同契約書の内容について直接交渉が行われるようになり,11月いっぱいは,両法律事務所の間で契約書の細部について交渉が行われた。この結果,当初テレコムNZ社が予定していた同年11月23日に契約書の署名のスケジュールは変更せざるを得なくなった。 (12)契約書案の文言について,原告及びテレコムNZ社の弁護士間で交渉がされる一方,原告香港支店とテレコムNZ社は,本件融資案件に関する利息及び元金の資金移動の方法の詳細について打合せを行った。貸金及び預金の利払いについては,預金契約上テレコムCA社に対して原告 渉がされる一方,原告香港支店とテレコムNZ社は,本件融資案件に関する利息及び元金の資金移動の方法の詳細について打合せを行った。貸金及び預金の利払いについては,預金契約上テレコムCA社に対して原告が支払うべき利息を原告香港支店のテレコムCA社名義の普通預金口座に振込み,テレコムCA社は同預金利息相当額を上記普通預金口座からそのまま出金して原告香港支店のテレコムNZ社名義の普通預金口座に送金すること,並びに,原告香港支店はテレコムNZ社の同普通預金口座から本件貸金の利息相当額(源泉徴収税控除後の金額)を引き落とすことが合意された。 (13)同月15日,原告とテレコムNZ社との間の貸金契約及び原告とテレコムCA社との間の預金契約(いずれも香港法上諾成契約として成立する)が締結され,これに基づき,テレコムNZ社から原告に対し,同月20日付けで融資金を受領したい旨の通知がなされた。そして,テレコムNZ社からは,本件貸金の融資金は原告香港支店のテレコムCA社名義の口座に振り替えるよう指示がなされた。これを受けて原告香港支店では,本件貸金の融資金160億円を同支店のテレコムNZ社名義の預金口座に入金し,同日これを出金して,同支店のテレコム子会社(テレコムCA社)名義の預金口座に送金する旨の指示書の案文を作成し,テレコムNZ社の署名を受けた。 (14)同月20日までに,本融資案件の契約文書及び預金の開設の必要書類等並びに契約書上融資金の支払の条件とされた,テレコムNZ社の定款,取締役会議事録,役員証明及び同社及び原告の顧問弁護士の意見書が揃い,同日付けで原告のテレコムNZ社に対する貸金及びテレコムCA社の原告に対する預金の預入れがなされた。同契約文書の必要書類とされた弁護士意見書には,独立の弁護士としての立場から,本件融資案件に関する貸金契約及 原告のテレコムNZ社に対する貸金及びテレコムCA社の原告に対する預金の預入れがなされた。同契約文書の必要書類とされた弁護士意見書には,独立の弁護士としての立場から,本件融資案件に関する貸金契約及び預金契約が,ニュー・ジーランド及び香港の両方の法律上有効に成立した契約であるとの意見が述べられている。 (15)本件融資の実行後,最初の利払いが1989年3月末日に行われることになり,同月23日テレコムNZ社の財務担当役員Dから原告に対して本件貸金及び本件預金の利息の支払の手順に関する照会がなされた。これについては,前記のとおり,貸金契約の時点で合意済みであったが,これに関する指示書がテレコムCA社から徴求もれとなっていたため,原告は同月30日にテレコムCA社からその提出を受けた。そして,原告は,同月末日,本件貸金契約の締結時にテレコムNZ社から発行されていた指示書に基づき,原告のテレコムNZ社の普通預金口座から本件貸金の利息相当額(源泉徴収税控除後の金額)を引き落とした。なお,同引落し後の残高は,テレコムNZ社の同月29日付の指示書に基づき,ロイズ銀行東京支店のナショナル・バンク・オブ・ニュー・ジーランド名義の口座に送金するものとされた。以後,利払いごとに同様の処理がなされた。 (16)なお,本件融資の利息及び元金の資金移動の方法の詳細については原告香港支店とテレコムNZ社との間で次のとおり打合せを行い,それに従って資金移動を行ったにすぎない。 テレコムNZ社から原告に対して,160億円は12月20日に受領したいこと,同融資金を原告香港支店のテレコムCA社名義の口座に振り込むよう指示があったので,原告は,指示に基づき,同月20日,160億円を原告香港支店のテレコムNZ社名義の普通預金口座に入金し,同日,テレコムNZ社の振込依頼に 支店のテレコムCA社名義の口座に振り込むよう指示があったので,原告は,指示に基づき,同月20日,160億円を原告香港支店のテレコムNZ社名義の普通預金口座に入金し,同日,テレコムNZ社の振込依頼により同額を出金して同支店のテレコムCA社名義の普通預金口座に振込入金し,同日,テレコムCA社の依頼により同普通預金口座から出金してテレコムCA社の定期預金を開設した。 利息の取扱いについては,預金契約上テレコムCA社に対して原告が支払うべき利息を原告香港支店のテレコムCA社名義の普通預金口座に振込み,テレコムCA社は同預金利息相当額を同普通預金口座からそのまま出金して原告香港支店のテレコムNZ社名義の普通預金口座に送金すること,並びに,原告香港支店はテレコムNZ社の同普通預金口座から本件貸金の利息相当額(源泉徴収税控除後の金額)を引き落とすことが契約当初に合意されていたので,テレコムCA社及びテレコムNZ社からのそれぞれの指示書に基づいて,利払期毎に合意内容どおり出金,送金,引落しの手続きをとった。 2 テレコム社案件の有効性について原告はテレコムNZ社との間で本件ローン契約(甲10の1及び2)を締結し,テレコムCA社との間で本件預金契約(甲11の1及び2)を締結して,各契約に基づき融資を実行しあるいは預金の受入れを行った。 原告は,前記1のとおり,本件融資案件の打診を受けて以後,頻繁に期間・利率・担保等融資条件細部についての検討・交渉を行い,特に利率について厳しいやりとりを何度も行っており,債権保全を図るべく金融機関として当然なすべき行動をとって融資の基本内容について合意し,その後テレコム側と原告側はそれぞれ弁護士に依頼して契約内容について厳しいチェックを受けたものであり,原告は本件取引に取り組むに当たって多大の時間と すべき行動をとって融資の基本内容について合意し,その後テレコム側と原告側はそれぞれ弁護士に依頼して契約内容について厳しいチェックを受けたものであり,原告は本件取引に取り組むに当たって多大の時間と労力を費やしているのであって,被告が主張するようにテレコム各社と通謀して単純に契約形式を整えたものでは断じてない。 なお,原告とテレコムNZ社の間で合意されたローン契約の利ざや0.185パーセントは,原告を含めた邦銀4行の実質入札により決定されたものであるが,その当時ニュー・ジーランド地域での公営企業に対する利率の趨勢からみて,特に低い金利ではない。 また,特に,原告のテレコムNZ社に対するローンの見合いとするテレコムCA社からの預金については正式担保が設定できなかったため,原告は,テレコムNZ社に対する与信リスクについては十分留意したものである。 3 本件ローン契約・預金契約の有効性に関する被告主張への反論(1)資金循環(循環金融)についてア被告は,本件取引は実体上金銭貸付けの実績がないのに外観上資金を循環させてあたかも金銭貸付けがあったかのような形式を作り出した循環金融であって,実体的金銭貸付けの実質がないと主張するが,原告はテレコムNZ社及びテレコムCA社の指示に基づいて資金を移動したにすぎない。 原告は,テレコムNZ社からテレコムCA社に対する160億円の送金手続きをとっているが,これはテレコムNZ社の指示に基づくものである。被告は,テレコム両社間には貸付金契約が存しており,そのことを原告は知っていたということをもって被告の通謀虚偽表示の主張の一つの根拠としているが,原告は,テレコムNZ社の指示どおりの処理手続きをとったにすぎず,テレコムNZ社とテレコムCA社との間に貸付金契約が存在したか全く知らない。 をもって被告の通謀虚偽表示の主張の一つの根拠としているが,原告は,テレコムNZ社の指示どおりの処理手続きをとったにすぎず,テレコムNZ社とテレコムCA社との間に貸付金契約が存在したか全く知らない。 原告は取引先の指示に基づいて処理を行う義務があるのであり,指示があるにもかかわらずその処理をしないことは債務不履行として責任を問われるのである。 各取引先の指示に基づいて同一店舗内において資金を移動させた結果を単純に図式化して実質がないと結論付けるのは,あまりにも金融取引の実体を無視している。同一店舗内におけるかような取引は通常行われており,何ら不自然ではなく,当然のことながら実質的に資金は移動している。 被告は伝票操作なる文言を随所に使用するが,原告は資金移動という実体を伝票に記すことによって表しているのであり,金融機関の通常業務の方式であって,何ら操作しているものではない。被告が言うところの資金移動とは何を指すのか全く不明であるが,現金の移動を伴う場合のみを指すのであれば,多額の資金が移動する今日の経済状況を無視した論である。銀行内においては現金が動くことの方が例外である。 イ被告は,テレコムCA社は,当初は,本件ローン契約及び本件預金契約の締結日までにテレコムNZ社との間で通貨スワップ契約を締結し,ユーロキウイボンド発行により投資家から調達した160億円相当NZドルをテレコムNZ社に送金する予定であったのであり,本件取引による160億円の流れは経済的に無意味である,と主張する。 しかし,原告は,通貨スワップ契約の存在および内容について全く知らない。また,テレコムCA社がユーロキウイボンドの発行を計画していたことは,契約締結時は全く知らなかった。SIF社及び原告は,テレコムNZ社とテレコムC スワップ契約の存在および内容について全く知らない。また,テレコムCA社がユーロキウイボンドの発行を計画していたことは,契約締結時は全く知らなかった。SIF社及び原告は,テレコムNZ社とテレコムCA社間の金融取引スキームがいかなる形態のものか解明しようとしたが,フェイリッチ社は,頑として本件取引スキームの全体像に関する情報を開示しようとしなかった。そのため,原告は,本件訴訟において被告が主張するようなテレコムCA社によるユーロキウイボンドの発行や同社とテレコムNZ社間のスワップ契約の存在など一切知らされていなかったのである。原告の契約意思を推認する場合に,原告が全く知らなかった事情を根拠にすることが如何に不当・不合理であるかは言うまでもない。 なお,仮に,本件取引の全体像が被告の主張するようなテレコムCA社が発行したユーロキウイボンドによる160億円相当NZドルとテレコムNZ社が原告から借り入れた160億円の通貨スワップ契約を予定した取引であったとすると,むしろ,160億円の流れは経済的実体を有したものでなければならない。すなわち,テレコムNZ社はテレコムCA社が投資家から調達した160億円相当NZドルを現実に入手しようとするのであれば,これと交換する160億円をテレコムNZ社が現実に調達し,これをテレコムCA社に引き渡さなければならないのである。したがって,本件取引の日時点でのテレコムNZ社からテレコムCA社への160億円の流れは意味もなく当事者間で外観上資金を循環させたのではなく,経済的には,スワップ契約に基づき,テレコムNZ社が160億円相当のNZドルと引き換えに将来テレコムCA社に引き渡すべき160億円の円貨をあらかじめ送金したことになるのである。この意味でテレコムNZ社は原告から借入れを必要としていたのである。 が160億円相当のNZドルと引き換えに将来テレコムCA社に引き渡すべき160億円の円貨をあらかじめ送金したことになるのである。この意味でテレコムNZ社は原告から借入れを必要としていたのである。 また,テレコムCA社は,投資家に対してNZドル建ての利息を支払う必要があると解されるところ,これを仮にテレコムNZ社とテレコムCA社の間に金利スワップ契約により調達するためには,テレコムCA社が交換すべき円建ての利息を保有している必要があるところ,テレコムCA社は,本件預金契約により源泉税を課されることなくかかる金利を得ることができたのである。 さらに,被告の主張を前提とすると,通貨スワップ契約実行後,本件取引終了までの間に成立する関係当事者間の債権債務関係は,①投資家のテレコムCA社に対する社債権,②テレコムCA社の原告に対する預金債権,③原告のテレコムNZ社に対する貸金債権,の3つの債権債務関係であり,この債権債務関係は,いかなる意味においても循環しておらず(通常の意味での循環金融とは,上記に加え,④テレコムNZ社の投資家に対する債権,が存在しなければならないが,本件ではそのような関係は存在しない),また,これらの法律関係が併存して存在しなければ,経済的にも意味を持たないものである(仮に,被告主張のように,上記②及び③の債権債務関係が不存在であると評価されるとすると,テレコムCA社は投資家に対して社債権に基づく債務を負担する反面,何らの資産を有しないことになる)。したがって,「循環金融」なる被告の主張は,その主張する事実関係を前提としても,主張自体失当といわざるを得ない。 (2)現実的資金移動の不存在について被告は,本件取引において利息の決済や終了時に,現実的な資金移動もなく,原告香港支店内の処理で終了している としても,主張自体失当といわざるを得ない。 (2)現実的資金移動の不存在について被告は,本件取引において利息の決済や終了時に,現実的な資金移動もなく,原告香港支店内の処理で終了しているとして,盛んに資金移動がないと強調する。 しかし,現実に「現金」が動く場合のみを資金の移動があったとするものでないことは一般常識である。同一支店内における預金口座間の振替処理により同一日付で行われる決済は,実体上金銭貸付の実質を有する決済方法ではないとの被告の主張は,金融界の常識から剥離している。 これをローン契約に基づく融資金についてみると,原告は,昭和62年12月20日,160億円を原告香港支店のテレコムNZ社名義の普通預金口座に入金し,次に,テレコムNZ社から原告に対し,原告香港支店のテレコムCA社名義の口座に160億円を振り込むよう依頼が合ったため,原告は,同日,上記金額を出金して同支店のテレコムCA社名義の普通預金口座に振り込み入金し,さらに,同日,原告は,テレコムCA社の依頼により,上記普通預金口座から出金してテレコムCA社の定期預金を開設した。 上記預金契約及びローン契約に基づく資金移動は,原告の同一支店内で行われているため,実際の資金移動は省略され,かつ資金が当事者間で一巡しているような外形を呈しているが,これは,テレコムCA社と原告の間に預金契約が存在し,原告がテレコムCA社から160億円の預金を受け入れることが合意されていたこと,他方,原告とテレコムNZ社との間にローン契約が存在し,原告がテレコムNZ社に同額の資金を融資することが合意されていたこと,さらに,原告がテレコムNZ社から同融資金をテレコムCA社に送金するよう指示を受けたことから,これらの取引を同時に現実に履行したことから生ずる結果であり,こ の資金を融資することが合意されていたこと,さらに,原告がテレコムNZ社から同融資金をテレコムCA社に送金するよう指示を受けたことから,これらの取引を同時に現実に履行したことから生ずる結果であり,これをもって仮装行為であると解することはできない。 また,ローン契約及び預金契約に基づく利息についてみると,預金契上テレコムCA社に対して原告が支払うべき利息を原告香港支店のテレコムCA社名義の普通預金口座に振り込み,テレコムCA社は同預金利息相当額を同普通預金口座からそのまま出金して原告香港支店のテレコムNZ社名義の普通預金口座に送金すること,並びに,原告香港支店はテレコムNZ社の同普通預金口座から本件貸金の利息相当額(源泉徴収税控除後の金額)を引き落とすことが契約当初に合意されていたので,テレコムCA社及びテレコムNZ社からの各指示書に基づいて利払期ごとに合意内容どおり出金,送金及び引落しの手続をとったものである。 (3)預金元本と融資額との関係について被告は,貸付の担保となる預金元本と同額の金員が融資されることは,通常考えられないと主張するが,このような融資はなされており,何ら不自然ではない。 (4)逆ざやの発生(利ざやの不発生)について被告は,本件取引では利ざやが生じないと主張するが,経済活動をしている原告がそのような取引を行うはずがない。 テレコムNZ社に対する貸付利率は,「LIBOR+0.185%」であり,テレコムCA社への支払利息の年率は LIBOR であるので,原告としては本件を取り組むことにより,「テレコムNZ社から受け取る利息」と「テレコムCA社へ支払う利息」の差額である0.185パーセントが利益となる。取引によって利益(利ざや)が出る以上前向きに取り組むのは金融機関として至極当然のことであ レコムNZ社から受け取る利息」と「テレコムCA社へ支払う利息」の差額である0.185パーセントが利益となる。取引によって利益(利ざや)が出る以上前向きに取り組むのは金融機関として至極当然のことである。 (5)貸付に係るリスクの負担の有無について被告は,本件取引で外国税額控除の適用を受けられない場合,原告が金銭貸付に関するリスクを負担しない内容になっていることを以て,本件取引の有効性を否定する根拠の一つとしている。 また,被告は,金銭貸付けに関するリスクを負担しないことを以て,当事者に貸金契約に入る契約意思がないと主張するが,これが不合理であることはいうまでもない。およそいかなる契約であっても,自己にリスク負担がないように契約内容を交渉するものである。特に海外取引においてはあらゆる状況を想定してリスクヘッジするのが原則であり,それ故にこそ契約締結の場面で弁護士の関与が求められている。本件においても前述したように契約の両当事者がそれぞれ法律事務所に契約の検討を依頼しているのである。 原告は,預金者からの大切な預金を運用する金融機関として,融資は慎重に行い,可能な限り回収に懸念が無い契約内容にすることを心がけている。すなわち保全がしっかりしていればいるほど良いのであって,完全に保全されている契約を不自然な取引と称する被告の主張には驚くばかりである。 ちなみに,本件では,原告は,テレコムCA社の預金に対して正式の質権設定をしていないことから,原告はその預金に対して第三者に対する優先権を有せず,テレコムNZ社が倒産した場合には,原告に与信リスクが発生することになるのであり,そもそも原告が金銭貸付けに関するリスクを負担していないとする被告の主張はその前提を欠いている。 また,被告は,本件ローン契約書7条や18 には,原告に与信リスクが発生することになるのであり,そもそも原告が金銭貸付けに関するリスクを負担していないとする被告の主張はその前提を欠いている。 また,被告は,本件ローン契約書7条や18条により原告は外国税額控除の適用を受けない場合でもテレコムNZ社に対して補填義務ないし補償義務を要求できるのであるから金銭貸付けに関するリスクを負担していないと主張するが,この点も前提を欠いている。すなわち,本件ローン契約書上は,テレコムNZ社がローンの元金を全額返済した後は,原告が税額控除を受けられなかったために蒙った損失を補償しなければならないことを要求する規定はなく,また,原告は,香港の弁護士からテレコムNZ社がローンの元金を全額返済した場合には,いずれにしても本件契約は終了し,その後に同社から原告は補償義務の履行を請求できないとの意見を受けている。したがって,原告は外国税額控除の点についてもリスクを負担していたものである。 (6)取引手数料について原告は,本件取引においてファシリティフィーを受領している。 被告は,何に対する対価なのか不明であると主張するが,しかしながら,契約締結時に貸出元本に一定比率を乗じたものを一括で収受するのは,国際金融取引の場において,広く認められた慣行である。原告は国際金融取引の慣行に則って受領したにすぎない。 第4の2の1の2 ユーロピアン社案件 1 本件取引に至る経緯1の1 ユーロピアン社案件Ⅰ(1)1988年9月19日,フェイリッチ社のEから,原告シドニー駐在員事務所のF宛に,まず,電話で,次いでファクシミリで,同社が株式の28パーセントを保有するルクセンブルク法人ユーロピアン・インベストメント社の子会社ユーロピアン社(クック諸島法人)に対して,ユーロピアン社の子会社キングス 電話で,次いでファクシミリで,同社が株式の28パーセントを保有するルクセンブルク法人ユーロピアン・インベストメント社の子会社ユーロピアン社(クック諸島法人)に対して,ユーロピアン社の子会社キングストン社(バーミューダ諸島法人)の預金を担保に,1億米ドル相当円を5年間貸付されたい旨の申入れがなされ,同日,Fから原告香港支店G宛に,上記申入れが連携された。 (2)同日,Gは,預金担保貸付という定型的かつ保全上問題のない融資案件であり,しかも,融資実行希望日が同月30日までと切迫していたために,同融資案件について,Fを介し,前記Eとやり取りを行ない,フェイリッチ社との間で契約条件について詰めを行なう一方,取り急ぎ原告香港支店の顧問弁護士事務所であるベーカー・アンド・マッケンジー法律事務所(以下「ベーカー・アンド・マッケンジー法律事務所」という)に貸付契約書,預金契約書,預金担保設定契約書及びこれら契約関係を清算する方法を定めたオプション契約書の作成ならびに委任状,資格証明,意見書等の関連書類の確認を依頼した。 (3)同月24日には,ベーカー・アンド・マッケンジー法律事務所より上記各契約書の原案が送付され,以後その修正に関するやり取りがベーカー・アンド・マッケンジー法律事務所および当事者間でなされる一方,ユーロピアン社およびキングストン社側の弁護士に上記各契約の有効性に関する意見書の作成依頼等がなされた。 (4)同月29日,Gは,フェイリッチ社に対し最終的な契約内容を確認する書面を送付し,同日付で,原告とユーロピアン社との間で次の条件による貸付契約が,原告とキングストン社との間で預金契約および預金担保設定契約が,三者間でオプション契約がそれぞれ締結された。 金額 2億米ドル金利預金金利+年0.29% 約が,原告とキングストン社との間で預金契約および預金担保設定契約が,三者間でオプション契約がそれぞれ締結された。 金額 2億米ドル金利預金金利+年0.29%期間 5年間使途運転資金手数料貸金額の0.1%(5)翌30日,原告香港支店は,キングストン社から,上記預金契約に基づき,原告ニューヨーク支店の米ドル口座宛に2億米ドルの送金を受け,これを担保として,上記貸付契約に基づき,(貸付金が米ドル建てであるため)同支店の米ドル口座がある原告ニューヨーク支店に貸付金2億米ドルの送金依頼をし,同金額は,NZ銀行NY支店のユーロピアン社名義の米ドル口座宛送金された。 (6)同日,原告香港支店は,ベーカー・アンド・マッケンジー法律事務所から前記各契約の関連書類の写しの送付を受けたが,そこに含まれたユーロピアン社およびキングストン社側の弁護士の意見書には,原告とは独立の立場において検討した結果,本件各契約が適法に成立し法的拘束力を有すると判断した旨記載されている。 1の2 ユーロピアン社案件Ⅱ(1)1988年12月6日,Gは,ユーロピアン社の取締役Hから,2億米ドルを,期間を実行日から5年間,利息を預金金利に0.375パーセントを上乗せしたもの,手数料を貸金額の0.1パーセント,実行日を1988年12月23日以前として前回(前記1の1)と同様の預金担保貸付の取組をされたい旨の申入れを受けた。 (2)原告としては,この預金担保貸付がフェイリッチ社らの組み立てた投資スキームの中でどのような位置づけを担っているか分からなかったものの,前回と同様,預金担保貸付という定型的かつ貸付金の保全に問題がない融資案件のうえ,前回より上乗せ金利が高かったため,これ てた投資スキームの中でどのような位置づけを担っているか分からなかったものの,前回と同様,預金担保貸付という定型的かつ貸付金の保全に問題がない融資案件のうえ,前回より上乗せ金利が高かったため,これを前向きに検討することとし,同月15日,Gは原告香港支店内で次の内容の最終稟議を上げ,また,ベーカー・アンド・マッケンジー法律事務所に貸付契約書,預金契約書,預金担保設定契約書及びこれら契約関係を清算する方法を定めたオプション契約書の作成ならびに委任状,資格証明,意見書等の関連書類の確認を依頼した。 金額 2億米ドル金利預金金利+年0.375%期間 5年間使途運転資金手数料貸金額の0.125%(3)上記稟議に基づき,同月21日付で,原告とユーロピアン社との間で貸付契約が,原告とキングストン社との間で預金契約および預金担保設定契約が,三者間でオプション契約がそれぞれ締結された。 (4)翌22日,原告香港支店は,キングストン社から,上記預金契約に基づき,原告ニューヨーク支店の米ドル口座宛に2億米ドルの送金を受け,これを担保として,上記貸付契約に基づき,(貸付金が米ドル建てであるため)同支店の米ドル口座がある原告ニューヨーク支店に貸付金2億米ドルの送金依頼をし,同金額は,NZ銀行NY支店のユーロピアン社名義の米ドル口座宛送金された。 (5)後日,原告香港支店は,ベーカー・アンド・マッケンジー法律事務所から上記各契約の関連書類の写しの送付を受けたが,そこに含まれたユーロピアン社,キングストン社側の弁護士の意見書には,原告とは独立の立場において検討した結果,本件各契約が適法に成立し法的拘束力を有すると判断した旨記載されている。 2 ユーロピアン社案件の れたユーロピアン社,キングストン社側の弁護士の意見書には,原告とは独立の立場において検討した結果,本件各契約が適法に成立し法的拘束力を有すると判断した旨記載されている。 2 ユーロピアン社案件の有効性について原告は,1988年(昭和63年)9月29日及び同年12月21日,ユーロピアン社との間で本件ローン契約(甲14の3,7)を締結し,1988年(昭和63年)9月29日及び同年12月21日,キングストン社との間で本件預金契約(甲14の4,8)を締結して,各契約に基づき融資を実行しあるいは預金の受入れを行った。 原告は,前記1の1及び2のとおり,本件融資の打診を受けて以降,採算面や債権保全について検討を加え,金融機関として当然なすべき検討を行った上で融資の基本内容について合意し,その後ユーロピアン社側と原告側はそれぞれ弁護士に依頼して契約内容について独自に厳しいチェックを受けているのであって,被告が主張するようにユーロピアン社やキングストン社と通謀して単純に契約形式を整えたものでは断じてない。 3 本件ローン契約・預金契約の有効性に関する被告主張への反論(1)資金循環(循環金融)について被告は,本件取引の開始段階における資金の流れが,①本件預金契約に基づく預金元本として,2億米ドルがキングストン社から原告香港支店へ送金され,②本件ローン契約に基づく貸付元本として,2億米ドルが原告香港支店からユーロピアン社へ送金され,③これはもともとユーロピアン社からキングストン社へ送金されたものであり,キングストン社のユーロピアン社に対する2億米ドル相当NZドルと,通貨スワップ契約により一対とされたものであるから,2億米ドルは,同一日付でユーロピアン社から,キングストン社及び原告香港支店を経由し再びユーロピアン社へ戻ることにな する2億米ドル相当NZドルと,通貨スワップ契約により一対とされたものであるから,2億米ドルは,同一日付でユーロピアン社から,キングストン社及び原告香港支店を経由し再びユーロピアン社へ戻ることになるとして,本件ローン契約に基づくユーロピアン社に対する2億米ドルの貸付は,本件取引における資金循環の一部を構成するものであり私法上真正なものではないと主張する。 しかし,原告は,本件預金契約に基づいてキングストン社から2億米ドルの預金を受け入れ,本件ローン契約に基づいてユーロピアン社に対して2億米ドルを貸し付けたものであり,上記①②の事実は何ら非難されるものではない。 ③については原告は一切関与しておらず,ユーロピアン社からキングストン社へ送金がなされたか否か,また両社間において通貨スワップ契約が締結されているか否か知らない。仮に,被告の主張するように通貨スワップが行われていたとしても,本件取引にあっては,ユーロピアン社が,調達資金を米ドルのまま利用するのであればともかく,これをニュー・ジーランド国内において使うのであれば,NZドルに転換する必要が生じ,通貨を交換することから生じる為替変動および2通貨分の金利変動という合計3つのマーケット・リスクをヘッジするために,取引開始から終了までのすべてのキャッシュ・フローを現在価値に引き直してこれを交換するスワップ取引の必要性が生じたものであって,循環金融とは何の関係もない。 (2)預金元本と融資額との関係について前記第4の2の1の1,3(3)に同じ。特に本件は,2億米ドルという同通貨・同金額の取引であり,為替リスクも無いのであるから担保となる預金元本と同額の金員を融資したことは通常の取扱いであって,非難されることではない。 (3)逆ざやの発生(利ざやの不発生)について 貨・同金額の取引であり,為替リスクも無いのであるから担保となる預金元本と同額の金員を融資したことは通常の取扱いであって,非難されることではない。 (3)逆ざやの発生(利ざやの不発生)について被告は,本件取引では利ざやが生じないと主張するが,経済活動をしている原告がそのような取引を行うはずがない。 原告としては本件を取り組むことにより,「ユーロピアン社から受け取る利息」と「キングストン社へ支払う利息」の差額が利益となるのであり,昭和63年9月29日付け契約におけるユーロピアン社に対する貸付利息は年利11.37パーセント,キングストン社への支払利息は年利11パーセントであり,同年12月21日付け契約における貸付利息は年利11.925パーセント,支払利息は年利11.55パーセントであったから,いずれの場合も原告は取引によって利益を得ることができた。 (4)貸付に係るリスクの負担の有無について前記第4の2の1の1,3(5)に同じ。 なお,被告は,本件ローン契約書により原告は外国税額控除の適用を受けない場合でもユーロピアン社に対して補填義務ないし補償義務を要求できるのであるから金銭貸付けに関するリスクを負担していないと主張するが,そもそも本件においてはこの点の前提を欠いている。すなわち,本件ローン契約書上は,ユーロピアン社がローンの元金を全額返済した後は,原告が税額控除を受けられなかったために蒙った損失を補償しなければならないことを要求する規定が存在しない以上,契約社会の欧米において,当然に損失補償を要求することはできないのである。 (5)取引手数料について前記第4の2の1の1,3(6)に同じ。 (6)現実的資金移動の不存在について被告は,本件取引の終了時には,原告,ユーロピアン社及びキングス いのである。 (5)取引手数料について前記第4の2の1の1,3(6)に同じ。 (6)現実的資金移動の不存在について被告は,本件取引の終了時には,原告,ユーロピアン社及びキングストン社の各契約関係は,現実的な資金移動もなく終了したとして,盛んに資金移動がないと強調するが,前記第4の2の1の1,3(2)に同じ。 (7)預金利息の前払について本件預金契約における預金利息は,本件ローン契約に基づき貸付金利息が前払されているのと同じ日に原告からキングストン社に対し前払がされている。 被告は,通常の預金契約では利息は後払が原則であり,前払は金融機関一般の慣行に照らし不合理な取扱いであると主張するが,預金利息は後払が多いものの,元来は契約自由の原則の範疇に入るものであり,前払が不合理であるとは言えない。 被告は,平成4年4月1日付蔵銀第455号通達をもって預金利息の前払は不合理であると主張するが,同通達は臨時金利調整法の告示における預金金利体系に係るものであるところ,臨時金利調整法1条2項は,「この法律において,金利とは,全国各地における金融機関の実際に行う預金又は貯金の利率,定期積金の利廻,無尽,掛金の利廻,指定金銭信託の予定配当率,貸付の利率,手形の割引率,当座貸越の利率,コールローン又はコールマネーの利率並びに有価証券の引受料,戻料その他これらに準ずるものをいう。」と規定しており,同法が国内における金利について規定していることが明らかである。したがって同通達は,国外における取引である本件には適用がない。国外の取引においては,契約自由の原則に則り,利息の支払時期についても当事者が自由に決定できるのである。 本件預金契約では,キングストン社から利息前払の要求があり,原告は同要求に応じたものであ の取引においては,契約自由の原則に則り,利息の支払時期についても当事者が自由に決定できるのである。 本件預金契約では,キングストン社から利息前払の要求があり,原告は同要求に応じたものである。 第4の2の1の3 ファースト社案件 1 本件取引に至る経緯(1)1989年(平成元年)2月27日,フェイリッチ社のIから,原告香港支店のG宛に,まず,電話で,次いでファクシミリで,同社が株式の62パーセントを保有するニュー・ジーランド法人キャピタル・マーケット社の子会社ファースト社(クック諸島法人)に対して,グレシャム社(バーミューダ諸島法人)の預金を担保に,2億米ドルを,期間を5年間,利率を預金金利に0.3パーセントを上乗せしたもの,手数料を貸金額の0.1パーセントとして貸付をされたい旨の申入れがなされた。 (2)原告としては,この預金担保貸付がフェイリッチ社らの組み立てた投資スキームの中でどのような位置づけを担っているか分からなかったものの,前回と同様,預金担保貸付という定型的かつ貸付金の保全に問題がない融資案件のうえ,前回と同率の上乗せ金利であったため,これを前向きに検討することとし,3月15日,Gは原告香港支店内で次の内容の最終稟議を上げ,また,ベーカー・アンド・マッケンジー法律事務所に貸付契約書,預金契約書,預金担保設定契約書およびこれら契約関係を清算する方法を定めたオプション契約書の作成ならびに委任状,資格証明,意見書等の関連書類の確認を依頼した。 金額 2億米ドル金利預金金利+年0.375%期間 5年間使途運転資金手数料金額の0.125%(3)同稟議に基づき,同月25日付けで原告とファースト社との間で貸付契約が,原告と %期間 5年間使途運転資金手数料金額の0.125%(3)同稟議に基づき,同月25日付けで原告とファースト社との間で貸付契約が,原告とグレシャム社との間で預金契約および預金担保設定契約が,三者間でオプション契約がそれぞれ締結された。 (4)同月30日,原告香港支店は,グレシャム社から,同預金契約に基づき,原告ニューヨーク支店の米ドル口座宛に2億米ドルの送金を受け,これを担保として,同貸付契約に基づき,(貸付金が米ドル建てであるため)同支店の米ドル口座がある原告ニューヨーク支店に貸付金2億米ドルの送金依頼をし,同金額は,NZ銀行NY支店のファースト社名義の米ドル口座宛送金された。 (5)後日,原告香港支店は,ベーカー・アンド・マッケンジー法律事務所から上記各契約の関連書類の写しの送付を受けたが,そこに含まれたファースト社,グレシャム社側の弁護士の意見書には,原告とは独立の立場において検討した結果,本件各契約が適法に成立し法的拘束力を有すると判断した旨記載されている。 2 ファースト社案件の有効性について原告は,平成元年3月25日,ファースト社との間で本件ローン契約(甲14の11)を締結し,平成元年3月25日,グレシャム社との間で本件預金契約(甲14の12)を締結して,各契約に基づき融資を実行しあるいは預金の受入れを行った。 原告は,前記1のとおり,本件融資の打診を受けて以降,採算面や債権保全について検討を加え,金融機関として当然なすべき検討を行った上で融資の基本内容について合意し,その後ファースト社側と原告側はそれぞれ弁護士に依頼して契約内容について独自に厳しいチェックを受けているのであって,被告が主張するようにファースト社やグレシャム社と通謀して単純に契約形式 いて合意し,その後ファースト社側と原告側はそれぞれ弁護士に依頼して契約内容について独自に厳しいチェックを受けているのであって,被告が主張するようにファースト社やグレシャム社と通謀して単純に契約形式を整えたものでは断じてない。 3 本件ローン契約・預金契約の有効性に関する被告主張への反論(1)資金循環(循環金融)について被告は,本件取引の開始段階における資金の流れが,①本件預金契約に基づく預金元本として,2億米ドルがグレシャム社から原告香港支店へ送金され,②本件ローン契約に基づく貸付元本として,2億米ドルが原告香港支店からファースト社へ送金され,③これはもともとファースト社からグレシャム社へ送金されたものであり,グレシャム社のファースト社に対する2億米ドル相当NZドルと,通貨スワップ契約により一対とされたものであるから,2億米ドルは,同一日付けでファースト社から,グレシャム社及び原告香港支店を経由し再びファースト社へ戻ることになるとして,本件ローン契約に基づくファースト社に対する2億米ドルの貸付は,本件取引における資金循環の一部を構成するものであり私法上真正なものではないと主張する。 しかし,原告は,本件預金契約に基づいてグレシャム社から2億米ドルの預金を受け入れ,本件ローン契約に基づいてファースト社に対して2億米ドルを貸し付けたものであり,上記①②の事実は何ら非難されるものではない。 ③については原告は一切関与しておらず,ファースト社からグレシャム社へ送金がなされたか否か,また両社間において通貨スワップ契約が締結されているか否か知らない。通貨スワップの必要性については,前記第4の2の1の2,3(1)に同じ。 (2)預金元本と融資額との関係について前記第4の2の1の2,3(2)に同じ。 (3)逆ざ ているか否か知らない。通貨スワップの必要性については,前記第4の2の1の2,3(1)に同じ。 (2)預金元本と融資額との関係について前記第4の2の1の2,3(2)に同じ。 (3)逆ざやの発生(利ざやの不発)について前記第4の2の1の2,3(3)に同じ。 なお,原告としては本件を取り組むことにより,「ファースト社から受け取る利息である年利12%」と「グレシャム社へ支払う利息である年利11.62%」の差額が利益となるのであり,原告は取引によって利益を得ることができた。 (4)貸付に係るリスク負担の有無について前記第4の2の1の2,3(4)に同じ。 (5)取引手数料について前記第4の2の1の2,3(5)に同じ。 (6)現実的資金移動の不存在について被告は,本件取引の終了時には,原告,ファースト社及びグレシャム社の各契約関係は,現実的な資金移動もなく終了したとして,盛んに資金移動がないと強調するが,前記第4の2の1の2,3(6)に同じ。 (7)預金利息の前払について本件預金契約における預金利息は,本件ローン契約に基づき貸付金利息が前払されているのと同じ日に原告からグレシャム社に対し前払がされているが,前記第4の2の1の2,3(7)に同じ。 なお,本件預金契約では,グレシャム社から利息前払の要求があり,原告は同要求に応じたものである。 第4の2の2 課税減免規定の限定解釈による否認に対する反論 1 租税法律主義(1)本件取引は,従来金融機関において一般的に広く行われてその有効性が確立している預金担保,預金見合いによる融資となんら変わりはなく,原告は金融機関の通常業務の一つとして本件取引に取り組んだものであり,外国において税金を支払った結果,法69条の規定に基づいて税額 が確立している預金担保,預金見合いによる融資となんら変わりはなく,原告は金融機関の通常業務の一つとして本件取引に取り組んだものであり,外国において税金を支払った結果,法69条の規定に基づいて税額控除を行ったにすぎない。 しかるところ,法が明確に規定する条項について租税行政庁が恣意的な解釈を行い,本件取引に法69条の適用を否認することは以下に述べるとおり,憲法の規定する租税法律主義という大原則に違反する違法な行為であって許されない。 (2)国民の納税義務は,日本国憲法30条に規定されており,国民の重要な義務の1つである。税の徴収は公平でなければならず,憲法は84条で「あらたに租税を課し,又は現行の租税を変更するには,法律又は法律の定める条件によることを必要とする。」と規定して,租税法律主義の原則に基づくことを明確に規定している。 租税法律主義は,国民の税負担について予測可能性と法的安定性を保障することを目的とする法原理であり,「遡及立法の禁止」,「課税要件法定主義」,「課税要件明確主義」などを内容とする。すなわち,課税要件は,原則として全て法律で規定されなければならず,その規定の内容は,できる限り一義的で明確でなければならない。課税要件や租税の賦課徴収の手続きの規定は,租税行政庁の裁量を認める規定や不確定概念又は概括条項を持つ規定を定めることは許されない。租税行政庁には,厳格に税の徴求にあたることが要求されるが,それはあくまでも税法の規定に基づいたものでなければならない。 (3)外国税額控除に関する法律の規定としては,法69条を初めとする規定があるが,我が国の税法が一括限度額方式を採用していることにより控除枠利用の余地があることから,その対応策として昭和63年12月に法改正がなされた。同改正は,法律が一括限度額方式を採 初めとする規定があるが,我が国の税法が一括限度額方式を採用していることにより控除枠利用の余地があることから,その対応策として昭和63年12月に法改正がなされた。同改正は,法律が一括限度額方式を採用している以上当該方式自体は変更せずに,課税の公平さを図る観点から当該方式の細かい適用要件に関して改正されたものである。すなわち憲法の定める租税法律主義に則って,控除できる限度について詳細な条件,計算方法を法律によって規定したものである。 言い換えれば,法の規定する条件を満たす外国税額は当然に控除できることを明確に規定したものである。外国税額控除の適用要件に関する条項は詳細に規定されており,そこには行政庁の自由な解釈による課税要件が発生する余地はない。 (4)被告は,外国税額控除制度の特質として,国際的二重課税を排除するか否かは各国家の政治的判断により決定されるものであって,国家の義務ではなく,外国税額控除制度は我が国課税権の譲歩であり,また,外国税額は損金に算入されることが原則で,外国税は第一義的には経費として扱われるべきであり,外国税額の特典を受けることを選択した納税者に恩恵的に与えられると主張する。 外国税額は損金に算入されることが原則であるとして被告が掲げる法41条は,内国法人が外国税額控除の適用を受ける場合は当期に納付する外国法人税に係る控除対象外国法人税額は,その全部が損金の額に算入されないことを規定しているにすぎず,損金算入が原則であるとは一切言及していない上,同条文からは被告主張の解釈も出てくる余地がない。 自ら納付した外国法人税額について,外国税額の直接控除の適用を受けるかそれとも損金算入するかは法人が自由に選択できるところであり,一方を原則とする関係にあるものではなく,外国税額控除と損金算入は同列に扱 納付した外国法人税額について,外国税額の直接控除の適用を受けるかそれとも損金算入するかは法人が自由に選択できるところであり,一方を原則とする関係にあるものではなく,外国税額控除と損金算入は同列に扱うべきものである。 また,外国税額控除の限度枠制度の存在それ自体が,外国税額控除による政策的恩恵を政策的見地から制限しているという点から,直ちに,法律の明文の規定を超えて,一定の場合において,課税減免規定の限定解釈による否認を行うことは当然許されると主張するのは,論理の飛躍である。 我が国の外国税額控除制度は,国際的な二重課税の調整を目的として設けられたものであり,厳として規定が存する以上租税法律主義の下において,法69条の適用に当たって,租税行政庁は,法の要件を満たす外国税が納付されている限り当然に適用を認めなければならず,恣意的運用によって否認することは許されない。 (5)被告は,前述のとおり法69条を恩恵的規定と捉え,したがって法69条の要件を客観的に満たしていても必ずしも法69条を適用しなければならないものではないと主張する。しかし,そもそも法69条を恩恵的と捉えること自体が誤りである上,被告が本件取引に外国税額控除制度の適用を否認する理由として掲げることは,「法69条の趣旨」という,極めて曖昧・不明瞭な理由である。これは,租税行政庁の独断によって法69条の適用の可否を左右できることを意味する。 この様な行政庁の一方的な法解釈を根拠として,税法の解釈・適用を左右することは,立法府でもない行政庁が法律の規定によらずして課税要件を創設したことと等しく,憲法が規定する租税法律主義に違反することは明らかであって,決して許されるものではない。原告が外国税額控除制度の適用を前提として本件取引における利益を算定したからといっ 要件を創設したことと等しく,憲法が規定する租税法律主義に違反することは明らかであって,決して許されるものではない。原告が外国税額控除制度の適用を前提として本件取引における利益を算定したからといって,それを禁止していない我が国においては,何ら非難されるものではなく,本件取引に法69条の適用を否認した被告の行為は憲法に違反する。 2 法69条の解釈適用(1)ア法69条に言う外国法人税の定義については条文中に明記されているところ,具体的事案において,法人が納付した外国の税が法69条の外国法人税に当たるかどうかは,一義的にその課税の根拠となった現地国の税法に基づいて判断することになっており,また,その税が当該法人に課されたものであるかどうかも,現地国における課税が誰に対してなされたかという,いわゆる名義主義によることを原則としている。 イまた,「納付する」というのは事実行為であり,客観的にその有無を了知することができるものである。しかるに被告は,「法69条1項の納付することとなる場合とは,内国法人が正当な事業目的を有する通常の経済活動に伴う国際的取引から必然的に外国税を納付することとなる場合をいう」として,納付という事実を表現する言葉に独自の限定的解釈を付加する。しかもその限定条件は「正当な事業目的を有する」とあって解釈適用に曖昧さを残すものであり,結局外国税を納付してもそれが法69条にいう納付と言えるか否かは被告が独断で判断することになり,法的安定性は根底から覆ることになる(例えば,被告が「正当な事業目的」の有無の判断の根幹に据えるところの,①当該取引から得られる利益が名目的なものにとどまり,外国税額控除を得ることのみを目的とした取引と認められる場合,換言すれば,租税に関する利益ないし租税回避のみを目的としたと認められる場 ところの,①当該取引から得られる利益が名目的なものにとどまり,外国税額控除を得ることのみを目的とした取引と認められる場合,換言すれば,租税に関する利益ないし租税回避のみを目的としたと認められる場合の「名目的」や,②当該取引から得られる利益と,外国税額控除から選られる利益とを比較した場合に前者が後者に比べて著しく少ない場合の「著しく少ない」だけをとらえても,一義的に確定できない概念である。特に,本件のように,独立当事者間の取引であり,かつ,実質邦銀数行の入札形式により決定された利ざやについて,上記概念を適用しようとすることは,ほとんどその有効性を失うといえるであろう。その他,被告が主張するところの「正当な事業目的の有無」の具体的判断基準の選定はいずれも恣意的かつ不明確であり,納税者にとって,その判断結果の予測可能性は皆無である。)。文言の解釈は厳格でなければならず,そこに何らかの意味を持たせたいのであれば,条文中にその旨明記しなければならないところ,法69条には,被告が主張する趣旨の文言は一切見あたらない。 ウさらに,法人の納付した外国の税が現地国の税法に照らして適法な課税手続きの下で外国所得税として課されたものであり,かつ,そのことがその納税申告書の写しその他の書類を確定申告書に添付することにより証明されているものである限りは,これについて外国税額控除の適用を排除することはできない。 特定の税制を適用する上での要件とされる証明書類の添付は,当該税制の適用の前提となる要件事実の存在を担保するものであると同時に,その限りにおいて課税当局をも拘束するものであるから,そのことを無視して,課税当局が自在にその要件事実の存在を否認することはできない性質のものである。 原告は,ニュー・ジーランド国の法律に基づいて課された て課税当局をも拘束するものであるから,そのことを無視して,課税当局が自在にその要件事実の存在を否認することはできない性質のものである。 原告は,ニュー・ジーランド国の法律に基づいて課された源泉税を現実に納付し,その証明書を添付して税額控除制度を適用して確定申告をしたのであるから,その証明書を無視して法69条の適用を拒否した被告の行為は不当である。 (2)被告は,法69条は,外国税額控除制度の適用を目的とするような不自然かつ不合理な取引を行い,故意に外国法人税を発生させたような場合までをも予定していると解することはできず,法69条の趣旨からして本件取引に法69条を適用することはできないと主張する。 しかし,原告は,原告が受け取るローン利息と支払う預金利息との差額という利益を得ることができることから本件取引に取り組んだものであり,外国税額控除制度の適用はいわゆるコスト計算において考慮したに過ぎない。税金をコストの一つとしてとらえ,それを基に経済活動方針を立てることは一般的であり,何ら不自然ではない。およそ法治国家に属するものとして,法律が規定する条項を適用した場合にいかなる結果になるかをシュミレーションして経済活動を行うこと自体は何ら非難されることではなく,法に外国税額控除制度に関する規定が存する以上,同法条を適用することを前提とした契約内容で取引を行うことは,正当な経済活動として許されている。 法人や個人がその営業活動や投資行動に当って取引形態の選択をする場合には,その結果として生ずる税負担の軽重を強く意識して,可能な限り合法的にその負担の軽減ないしは回避を図ろうとすることは,およそ自由経済の下における常識である。 具体的に規制をするための別段の定めがない特定の税制の下においては,納税者である法人又は個人 合法的にその負担の軽減ないしは回避を図ろうとすることは,およそ自由経済の下における常識である。 具体的に規制をするための別段の定めがない特定の税制の下においては,納税者である法人又は個人が,その税負担の軽重を考慮に入れたところで一定の取引形態を選択し,その結果として税負担の軽減が図られている事実があったとしても,それが明らかに虚構のものであるなど,その取引の存在そのものが否定されるものでない限り,その税負担の軽減の事実のみをもってその選択されている取引形態が税法上否認されることはない。 原告が本件取引において,外国税額控除適用を前提にコスト計算をしたことは経済活動を行う者として当然のことをしたまでであり,非難されるものではない。正当な行為に法69条の適用を否定した被告の行為は,法の適用を恣意的に拒否したものであって不当である。 3 アメリカにおける判例法等(1)アメリカにおける判例法ア被告が,課税減免規定の限定解釈による否認により租税回避を否認したのと同様の効果を認めた例として挙げるグレゴリー事件は,法律上の要件を満たした「組織変更」について,組織変更に該当しないとして課税減免規定の適用を否定したものであるが,その理由は,新たに設立された法人が,「経済的実体」(economicsubstance)を有しないということである。その法人が事業目的を有しないということは,その経済的実体の不存在と並んで課税上取引を否認する一つの根拠とされたものである。 また,その後の判例法では,グレゴリー事件の判決は,「見せ掛け」(sham)の取引について課税上否認するという先例として一般化されており,「見せ掛け」の取引か否かという点の判断については,「事業目的の原理」に加え,経済的実体が存在するか否かという点が問題 け」(sham)の取引について課税上否認するという先例として一般化されており,「見せ掛け」の取引か否かという点の判断については,「事業目的の原理」に加え,経済的実体が存在するか否かという点が問題とされる。すなわち,「事業目的」も「経済的実体」も存在しない場合には,「見せ掛け」の取引として課税上取引が否認されるものであり,この2点が否認のメルクマールとされているのである。 ところで,このような「経済的実体」の有無の判断にあたって第一次的に問題とされるのは,客観的に「当該取引が所得税上の損失の創出以外に何らかの実際的な経済的効果を有していたか否か」ということである。換言すれば,「納税者の経済的地位の変動の有無」(netchangeinthetaxpayer'seconomicposition)が問題とされるものである(「経済的な利益テスト」)。そして,この経済的な利益テストによって課税減免規定の適用が制限される事例は,税の効果を除けば,経済的地位の変動はゼロであったか実質ゼロであったケースである。 これに対し,本件各取引においては,原告は,例えば,テレコム社案件においては,テレコムNZ社から受け取るローン利息とテレコムCA社へ支払う預金利息の差額として0.185パーセントの利ざやという利益を実際に受けており,この意味で原告にとって実際的な経済的効果を有する取引である。同利ざやによる現金収入は,同取引が継続した5年間にわたり合計1億2675万円に及んでおり,前記判例法によって「経済的実体」が存在しないとされた事例とは全く異なるものである。当然のことながら,本件各取引は,原告の税引後のネットのキャッシュフロー(配当可能利益)を増加させるものとして,いかなる意味においても原告の「事業目的」を否定することは不可能で く異なるものである。当然のことながら,本件各取引は,原告の税引後のネットのキャッシュフロー(配当可能利益)を増加させるものとして,いかなる意味においても原告の「事業目的」を否定することは不可能である。したがって,本件取引は,アメリカにおいても「見せ掛け」の取引として否認することができない事例である。 イなお,関連して,被告は,アメリカにおいて私法上の法律構成により「循環金融」の手法を用いた取引による利子の支払は,実際には利子支払ではなく控除は認められないと判示したと述べるが,この点も誤っている。HarryMargolisに関する連邦巡回控訴裁判所の判決(U.S. v. Schulman, 817 F 2d 1335 (9thCir.1987))において,問題となった金融取引は,前記の意味での「経済的実体」のテストから,真正な借入金ではないと判断されたものであり,単に資金が循環したという理由から私法上無効という法律構成により真正な借入金の存在を否定したものではない。 すなわち,アメリカの判例上,「経済的実体」のない「真正な債務」を構成しない「見せ掛け」の取引に該当するかどうかという問題と,私法上有効な債務を構成するか否かという問題は区別されており,私法上有効な債務であっても,経済的実体のない「真正な債務」を構成しない場合には,課税上否認されるとされている。HarryMargolis に関する事件について,連邦巡回控訴裁判所判決は,私法上の法律構成による否認ではなく,「経済的実体」の不存在に基づく否認を認めるものである。 ウ以上のとおり,グレゴリー判決以後のアメリカの判例は,「経済的利益テスト」により,経済的に実体のない取引があたかも存在するように主張された事例を課税上否認するというにとどまり,「課税減 。 ウ以上のとおり,グレゴリー判決以後のアメリカの判例は,「経済的利益テスト」により,経済的に実体のない取引があたかも存在するように主張された事例を課税上否認するというにとどまり,「課税減免規定の立法目的に照らして,その適用範囲を限定的にあるいは厳格に解釈することにより同立法目的と無縁な租税回避のみを目的とする行為を同適用範囲から除外するという解釈方法」というように一般化できないものである。被告の主張は,アメリカの判例において,最も重要視されてきた前記「経済的な利益テスト」に言及せず,「立法目的に照らした限定的解釈」がなされていると主張するものであるが,これはアメリカの判例上も根拠のないことである。 (2)内国歳入庁指針98-5について被告が依拠する中里意見書は,アメリカの内国歳入庁の指針98-5号が,納税者が外国の源泉所得税に服するような取引にわざわざ入った場合において,当該取引から得られる利益が,外国税額控除から得られる恩典と比べてかなり小さい場合には,外国税額控除制度の趣旨・目的からいって外国税額控除が否定されるということを明示的に示していると述べ,本件のような取引について外国税額控除を否定することは,国際的にも認知されたものであるとする。しかし,次のとおり,同意見書は,同指針の性格を誤解しており,上記記述には何の根拠もない。 アまず,そもそも,同指針は,内国歳入庁が,外国税額控除に関して様々な濫用的な取引が行われてきたことを指摘し,「財務省及び内国歳入庁がこれらの取引に対して,規則の制定及び現行法の原則によって対処する意向であることを発表するとともに,これら及び関連する外国税額控除の問題に関する一般のコメントを求める」性格のものにすぎず,それ自体,正式な規則たる法的性格を有しない。 イまた,同指 対処する意向であることを発表するとともに,これら及び関連する外国税額控除の問題に関する一般のコメントを求める」性格のものにすぎず,それ自体,正式な規則たる法的性格を有しない。 イまた,同指針の,「期待される合衆国における課税上の利益と比較して,ほとんど経済的利益を生み出さないように構築され」た取引という表現は,前記のグレゴリー事件判決以後,アメリカの判例において使用されてきた「経済的な利益テスト」を意識してこれを外国税額控除のケースに接木しようとするもののようであるが,同指針には,判例法上確立された「経済的な利益テスト」に基づく現行法のもとでの否認の可能性はどこにも示唆されていない。これは,同指針の「経済的な利益テスト」は,現行の判例上,使用されてきた「経済的利益テスト」とは明らかに異質のものであるからである。 すなわち,中里意見書が本件と事案と酷似したものとして引用する,同指針の事例1(法人が30パーセントの源泉税率に属する外国において100ドルの使用料が見込まれる著作権を75ドルで取得するという例)も含めて,同指針に記載された事例は,外国税が事実,税額控除されるとの仮定のもとで,意義のある,積極的に課税し得る所得をつくり出すのであり,このようなことは,現行の判例上「経済的な利益テスト」によって,税の便益が否定されている典型的なケースとは異なるものである。このため,同指針はその経済的な利益の有無の判断について,「合理的に期待された利益は,外国税の結果(但し,合衆国税の結果を含まない)を考慮して決定される」と記載し,外国税額を費用として取り扱った上で,経済的利益があるかどうかを判断しようとするものであるが,このような意味での「経済的利益テスト」は,前述する判例上の「経済的な利益テスト」とも異なるのみならず,内国歳入法 費用として取り扱った上で,経済的利益があるかどうかを判断しようとするものであるが,このような意味での「経済的利益テスト」は,前述する判例上の「経済的な利益テスト」とも異なるのみならず,内国歳入法典904条のもとで外国税額控除の要件とは認識されておらず,解釈の範囲を逸脱したものと評さざるを得ないものである。 ウさらに,同指針には,「内国歳入庁は,(同指針)に記載する種類の取引で主張された外国税額控除について,同指針に基づき制定された規則の適用によらなくても,現行法のもとで否認されるべきであるかどうか注意深く検討する意向である」と記載されているものの,内国歳入庁は同指針においてこれらの外国税額控除を現行法のどのような原則によって否認できると考えているものか全く明らかにしておらず,内国歳入庁は,むしろ,少なくとも,新たに規則の制定を行わない限り,現行法の原則では,主張するような外国税額控除の濫用を規制できないとの認識を示したものといえるものであり,このような規則の制定なくして,「外国税額控除の趣旨・目的からいって,外国税額控除が否定されるということを明示的に示している」という性格のものでないことは明らかなのである。 エこのように,同指針は,アメリカにおいても必ずしも一般に支持されるに至っておらず,原告の知る限り,同指針に基づく外国税額控除の規制に関する財務省規則はいまだに公表されていない。被告が課税減免規定の限定解釈が裁判上行われていると主張するアメリカにおいてすら,上記のような指針が公表されているということ自体,本件のような事例の規制には,少なくとも規則レベルの立法が必要であることが示され,被告が主張するような法律の限定解釈による対処が困難であることが示されているものである。 第4の2の2の1 テレコム社案件原告 の規制には,少なくとも規則レベルの立法が必要であることが示され,被告が主張するような法律の限定解釈による対処が困難であることが示されているものである。 第4の2の2の1 テレコム社案件原告は,本件取引当時,テレコムNZ社は民営化に当たり多額の運転資金が必要となり,これを調達する必要に迫られていたが,テレコムNZ社が金融子会社であるテレコムCA社を通じて調達した資金を直接借り入れた場合,その利息にニュー・ジーランド国内での源泉所得税が課されるため,当該資金を,香港等預金利息について源泉所得税の発生しない地域における邦銀の支店に預金として預け入れ,邦銀からテレコムNZ社に対し貸し金を行う,そして,邦銀はテレコムNZ社から受ける利息に対する源泉徴収税を外国税額控除枠によって回収するものと理解していた。 原告は,このような取引に関与することにより,テレコムCA社が調達した資金の投資家は,原告がテレコムCA社に対して支払う源泉所得税が付加されない預金利息を原資とした利息の支払を受けるため,結果としてテレコムNZ社は低い調達コストで資金調達をすることができると考えていたものである。 このように,当該運転資金調達のためのコストを低下させるために,自らの外国税額控除枠を利用して,より低いコストの金融を提供するということは,金融を受けるテレコムNZ社にとってのみならず,原告にとっても正当な事業目的を有するものである。 原告は,上記のようなテレコムNZ社の意図を認識した上で,その対価として0.185パーセントの利ざやを得る取引を行ったものである。 原告は,金融機関としての業務の一環として,自らの外国税額控除枠を利用してコストを引き下げた融資を行ったのであり,当該行為が事業目的のない不自然な取引であるということはできないものであ ある。 原告は,金融機関としての業務の一環として,自らの外国税額控除枠を利用してコストを引き下げた融資を行ったのであり,当該行為が事業目的のない不自然な取引であるということはできないものである。そして,原告の0.185パーセントの利ざやを得る取引を行うとの事業目的は,当時のニュー・ジーランド地域での公営企業に対する利率の水準からみて,不自然なものではない。 第4の2の2の2 ユーロピアン社案件及びファースト社案件バーミューダ諸島法人が原告香港支店に預金し,これを担保にクック諸島法人が原告香港支店から融資を受ければ,バーミューダ諸島法人が原告香港支店から受け取る金利は香港の税法上非課税であることに加え,原告香港支店がクック諸島法人から受け取る金利にかかる源泉課税については外国税額控除の対象となり,クック諸島法人に転嫁される心配が無いため,原告香港支店に支払う利ざやを考慮してもなお原告香港支店から貸付けを受ける方が投資コストの軽減につながることとなる。 原告としても,原告香港支店がクック諸島法人から受け取る金利にかかる源泉課税については,外国税額控除の対象になることとを認識し,それを織り込んだ利ざやを設定するのは当然である。原告が外国税額控除を無視して利ざやを設定すれば,顧客にとってもうまみがなくなり,結局他行との競争に負けてしまう。 第4の2の3 損金処理の可否 1 損金該当性(1)法は,租税公課のうち,法人の各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されないものとして,法38条ないし41条の規定をおいているが,法41条は,「内国法人が第69条第1項(外国税額の控除)に規定する控除対象外国法人税の額につき,同条又は第79条第1項(確定申告による所得税額等の還付)若しくは第133条第1項(確定申告に係る更正による所得 ,「内国法人が第69条第1項(外国税額の控除)に規定する控除対象外国法人税の額につき,同条又は第79条第1項(確定申告による所得税額等の還付)若しくは第133条第1項(確定申告に係る更正による所得税額等の還付)の規定の適用を受ける場合には,当該控除対象外国法人税の額は,その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上,損金の額に算入しない。」として,内国法人が納付した外国法人税等の額を法人税の額から控除する場合(法69条による外国税額控除)又はこれにより控除しきれなかった部分の金額につき確定申告若しくは確定申告に係る更正により還付を受ける場合には,その控除又は還付される金額に相当する外国法人税等の額は,その内国法人の所得の計算上損金の額に算入しないことを規定している。 法41条は内国法人が納付した外国法人税について損金として計上しない場合を具体的に掲げたものであり,いいかえれば法41条に規定する場合に該当しない外国法人税,すなわち外国法人税の額の全部について外国税額控除の適用を受けない場合には,その外国法人税額は当然に損金として取り扱うことを大前提としているものである。 (2)本件各契約が有効である場合,原告が外国の法令に基づいて外国で支払った本件源泉税は,外国法人税であることは明らかであり,それが控除対象外国法人税額の範疇であれば原告には外国税額控除の適用を受けるかそれとも損金算入するかの選択権が生じる。そこで原告は本件源泉税について法69条第1項の適用を選択して申告したのである。 (3)被告は,法41条の条文は,納税者が外国税額控除制度を選択する場合には,外国法人税の全部について損金の額に算入しない旨の規定であると説明するが,法41条は「外国法人税」の損金不算入についての規定ではなく,同条文に明記されているとおり「控除対象 制度を選択する場合には,外国法人税の全部について損金の額に算入しない旨の規定であると説明するが,法41条は「外国法人税」の損金不算入についての規定ではなく,同条文に明記されているとおり「控除対象外国法人税」についての規定である。 「外国法人税」と「控除対象外国法人税」とは明らかに範囲が異なっており,同義語ではない。 外国法人税のうち控除対象とされる部分については,法人税基本通達等により制限がなされている。すなわち控除対象外国法人税とは,納付した外国法人税について法人税基本通達16―3―22,16―3―23を基本として施行令142条の3第2項,第3項を計算基礎として得た金額を控除して得た金額であり,外国法人税の概念より控除対象外国法人税の方が狭い。 法41条の解釈に当たっては,外国法人税と控除対象外国法人税との差異を厳然と区別した上で,正確になされなければならない。 被告は,法41条により,外国税額控除制度の適用を受ける事業年度において納付した他の外国法人税とともに,それが外国税額控除の適用がなされるか否かにかかわりなく,一括して外国法人税額の全額が損金に算入できないと主張する。 しかしながら法41条は,冒頭に「内国法人が第69条第1項(外国税額の控除)に規定する控除対象外国法人税の額につき」と明記していることから明らかなとおり,あくまでも控除対象外国法人税に該当する部分の外国法人税についての規定である。 本件各契約が有効である場合,原告が外国の法令に基づいて外国で支払った本件ニュー・ジーランド源泉税及びクック諸島源泉税は,外国法人税であることは明らかであり,それが控除対象外国法人税額の範疇であれば原告には外国税額控除の適用を受けるかそれとも損金算入するかの選択権が生じる。そこで原告は本件ニ 及びクック諸島源泉税は,外国法人税であることは明らかであり,それが控除対象外国法人税額の範疇であれば原告には外国税額控除の適用を受けるかそれとも損金算入するかの選択権が生じる。そこで原告は本件ニュー・ジーランド源泉税及びクック諸島源泉税について法69条第1項の適用を選択して申告したのである。 しかるに被告は,本件各契約が有効であっても,法69条の限定解釈により,本件源泉税は外国税額控除の対象外であると主張しているのであるから,そもそも外国税額控除の適用と損金算入の選択の場面が生じることはなく,法41条の適用が問題になることはない。したがって原告が本件源泉税の外に外国税額控除の適用を選択していても,本件源泉税について損金経理をすることは何ら問題がない。むしろ被告の法69条の限定解釈論を前提とする場合は,損金経理以外の方法はないものである。 (4)本件ニュー・ジーランド源泉税及びクック諸島源泉税は,契約上,原告の負担となっており,原告は契約に基づいて各源泉税を納付した。原告が各源泉税を現実に納付していることは,確定申告に添付している証明書から明らかである。本件各ローン契約および預金契約が有効に成立している以上,本件ニュー・ジーランド源泉税及び本件クック諸島源泉税は原告の公租公課であり,原告が経済的負担をしたことは紛れもない事実であるから,法69条,41条の適用がないとする場合は,これに係る支出は原告の損金に該当するのであって,所得の計算上損金に算入されることになる。 なお,納付という事実行為自体を否定することはできないのであり,被告の主張を前提としたとしても,原告が外国において現実に納付した法人税については法69条の適用を選択する余地はないことを意味するにすぎず,損金性を否定するものではない。 2 仮払金処理の不当性 告の主張を前提としたとしても,原告が外国において現実に納付した法人税については法69条の適用を選択する余地はないことを意味するにすぎず,損金性を否定するものではない。 2 仮払金処理の不当性(1)原告は,本件預金契約上もローン契約上も,原告が既に各国に支払った源泉税相当額について補償請求権を行使できる権利を有していない。契約中心の欧米社会にあっては具体的に双方の合意事項を予め契約書中に記さない限り権利の主張はできないのが常識であり,契約書中に本件源泉税相当額について原告が補償請求権を行使できる規定がない以上,当該権利の存在を前提とする被告の仮払金の処理は許されない。 まず,本件各預金契約を見るに,テレコムCA社に対する本件ニュー・ジーランド源泉税の取戻条項は存在しないし,バーミューダ諸島法人に対する本件クック諸島源泉税の取戻条項は存在しない。契約書に条項がない以上,原告はテレコムCA社及びバーミューダ諸島法人に対して補償請求権を有していないのである。 また,原告とテレコムNZ社との本件ローン契約書によれば,テレコムNZ社がローンの元金を全額返済した場合には本件契約は終了するのであって,原告は契約終了後はテレコムNZ社に対して補償義務の履行を請求できない。なお,原告は,香港の弁護士からも同旨の意見を得ている。 同様に,原告とクック諸島法人との本件ローン契約書によれば,クック諸島法人がローンの元金を全額返済した後は,原告が税額控除を受けられなかったために被った損失を補償しなければならないことを要求する規定はない。 原告は,テレコムNZ社とのローン契約については,平成5年4月1日に元金全額の返済を受けており,クック諸島法人であるユーロピアン社については平成5年9月30日及び同年12月22日の返済をもって全額 原告は,テレコムNZ社とのローン契約については,平成5年4月1日に元金全額の返済を受けており,クック諸島法人であるユーロピアン社については平成5年9月30日及び同年12月22日の返済をもって全額の返済を受け,またクック諸島法人であるファースト社については平成6年3月30日に元金全額の返済を受けているのであって,全てのローン契約は終了している。すなわち原告の損失補償請求権も消滅しているのである。 (2)被告は,原告が損失補償請求権を有していることを前提に,原告が支払った源泉税について仮払金の処理をしているが,本件に関する被告の最初の更正処分は平成7年6月22日になされており,最後のローン完済日から計算しても1年以上も経過しているのであって,ローン契約条項がなおも有効に存続しているとすることは不合理・不自然である。 3 損金算入の時期について(1)以上述べたとおり,被告が本件各源泉税について外国税額控除の適用を否定する場合は,原告が契約に基づいて経済的負担をしている以上,各源泉税が納付された日が属する事業年度における原告の所得の計算上損金として処理されることになるのであるが,仮に源泉税相当額について原告が補償請求権を有しているとしても,以下に述べるとおり,源泉税相当額を損金算入すべき時期は,当該源泉税を納付した日が属する事業年度である。 (2)損害賠償金等の帰属の時期に関する法人税基本通達2-1-37は,「他の者から支払を受ける損害賠償金の額は,その支払を受けるべきことが確定した日の属する事業年度の益金の額に算入するのであるが,法人がその損害賠償金の額について実際に支払を受けた日の属する事業年度の益金の額に算入する場合には,これを認める。 (注)当該損害賠償金の請求の基因となった損害に係る損失の額は,保険金又は共済金によ 損害賠償金の額について実際に支払を受けた日の属する事業年度の益金の額に算入する場合には,これを認める。 (注)当該損害賠償金の請求の基因となった損害に係る損失の額は,保険金又は共済金により補てんされる部分の金額を除き,その損害の発生した日の属する事業年度の損金の額に算入することができる。」と規定する。 同通達は,法人が他の者から支払を受ける損害賠償金の収益計上時期について,原則としてその支払を受けるべきことが確定した日の属する事業年度の益金の額に算入するが,法人が実際に支払を受けた日の属する事業年度の益金として処理することを認めており,その注意書きで,損害賠償金の基因となった損害に係る損失については,その損害の発生した日の属する事業年度の損金の額に算入することができるとして,損害賠償金収入との対応関係を切断して処理することを認めている。 上記通達に基づき,外国源泉税は当該外国源泉税の納付が確定した事業年度に損金計上し,損失補償金はその受領が確定した事業年度に益金計上する処理をすることになるのである。 4 税額について本件各契約が有効である場合,原告が現実に負担した本件ニュー・ジーランド源泉税及びクック諸島源泉税について法69条第1項の適用を否定する以上は前述したとおり損金経理をすべきであり,平成2年3月期から平成5年3月期における損金経理をした場合の原告が納付すべき法人税額は,別紙22及び23のとおりである。 第4の2の4 重加算税について被告は,テレコム社案件は,通謀虚偽表示により無効であり,原告は,テレコムNZ社及びテレコムCA社の源泉税吸収取引に加担して本件ローン契約及び預金契約を作出して,それにより外国税額控除を適用して申告したとして重加算税を課している。 しかし,テレコム社案件に レコムNZ社及びテレコムCA社の源泉税吸収取引に加担して本件ローン契約及び預金契約を作出して,それにより外国税額控除を適用して申告したとして重加算税を課している。 しかし,テレコム社案件にかかる各契約は有効に成立しており,通謀虚偽表示でないことは前述のとおりである。原告は,融資に伴う回収の危険性の程度,本件取引から得る原告の利益等,融資にあたって通常行うべき検討を加えた上で,本件取引に取り組んだ。本件各契約について,原告は,真実契約内容どおりの法的効果を発生させる目的で契約を締結したのであり,表示上の効果意思と内心の意思は一致しているのであるから,本件各契約に民法94条の適用がないことは明かである。 被告は,外国税額控除制度を念頭において取引したことを不当な取引であると非難するが,外国税額控除の適用関係を意識した上で取引形態や取引条件,取引経路等の選択を行うことはなんら違法ではない。 このように,原告の貸出行為が金融機関として通常行われている取引形態のものであって,特に不自然不合理なものではなく,しかも現に実体のある債務者との間に契約形式どおりの貸出行為が存在し,かつ,その利子に対して原告が外国法人税の課税を受けている事実には全く疑いを差しはさむ余地がないと認められることからすれば,これが重加算税の付加要件である隠ぺい又は仮装の事実に当たるとはとうてい考えられない。 したがって,テレコム社案件に関して被告がなした重加算税の付加決定処分は理由がないから取り消されるべきである。 第5 当裁判所の判断第5の1 本案前の主張について 1 主位的請求(原告の請求3(1)及び4(1))について(1)更正処分と増額再更正処分との関係について更正処分がなされた後に増額再更正処分がなされた場合,更正及び増額再更正と ついて 1 主位的請求(原告の請求3(1)及び4(1))について(1)更正処分と増額再更正処分との関係について更正処分がなされた後に増額再更正処分がなされた場合,更正及び増額再更正ともにそれぞれ別個の処分であることは明らかであるが,両者の関係について,主として,増額再更正は更正・決定を白紙に戻したうえで,あらためて税額を全体として確定し直す行為であるから,当初の更正・決定は増額再更正の内容としてこれに吸収されて一体となり,その外形が消滅して,独立の存在を失うとする見解(以下「吸収説」という。)と,増額再更正は更正・決定とは別個・独立の行為であり,更正・決定によって確定した税額に一定の税額を追加するにすぎず,当初の更正と増額再更正の両者によって1個の納税義務が確定されるとする見解(以下「併存説」という。)とが対立しているところ,国税通則法は,更正処分と増額再更正処分との関係について,いずれの見解をとるかを抽象的一般的に宣明するものではない。 しかしながら,増額再更正は当初の更正・決定をそのままにしてこれに脱漏した部分だけを追加することに限定されるものではなく,課税標準の内容の変更をも許容するものであるから,本質的には,増額再更正は,再調査により判明した結果に基づいて課税標準等及び税額等を新たに確定するものとする吸収説が正当であり,その結果,増額再更正がなされた場合には,当初の更正は増額再更正に吸収されてその内容となり独立の処分としての存在を失うに至り,更正を独立の対象としてその取消しを求める利益はなくなるものといわなければならない(最高裁昭和55年11月20日第一小法廷判決・裁判集民事131号135頁)。 (2)本件各先行更正処分の取消しを求める訴えの利益原告の平成4年3月期及び平成5年3月期における法人 らない(最高裁昭和55年11月20日第一小法廷判決・裁判集民事131号135頁)。 (2)本件各先行更正処分の取消しを求める訴えの利益原告の平成4年3月期及び平成5年3月期における法人税の課税の経緯については,別紙3及び4記載のとおりである。原告が取消しを求める本件各先行更正処分については,その後,被告は,平成9年3月31日付けで新たに課税標準及び納付すべき税額を増加させる本件各再更正処分を行っている。 したがって,本件各先行更正処分は,その後になされた本件各再更正処分に吸収されて独立の処分としての存在を失い,本件各先行更正処分を独立の対象としてその取消しを求める利益はなく,原告の前記第1,3(1)及び同4(1)の請求にかかる訴えは不適法である。 2 予備的請求について国税に関する法律に基づく処分で不服申立てをすることができるものの取消しを求める訴えは,異議申立てをすることができる処分にあっては異議申立てについての決定を,審査請求をすることができる処分にあっては審査請求についての裁決をそれぞれ経た後でなければ,提起することができない旨規定されている(国税通則法115条1項)。そして,原告は,青色申告の承認を受けていることから,本件各再更正処分について,不服があれば選択により異議申立てをしないで国税不服審判所長に対して,審査請求をすることもできる(国税通則法75条4項1号)。 しかし,原告が本件各再更正処分についての異議申立て又は審査請求のいずれも経ていないことは明らかである。 ところで,国税通則法115条1項2号によれば,更正決定等の取消しを求める訴えを提起した者が,その訴訟の係属している間に当該更正決定等に係る国税の課税標準等又は税額等についてされた他の更正決定等の取消しを求めようとするとき 条1項2号によれば,更正決定等の取消しを求める訴えを提起した者が,その訴訟の係属している間に当該更正決定等に係る国税の課税標準等又は税額等についてされた他の更正決定等の取消しを求めようとするときは,他の更正決定等につき異議申立てや審査請求を経る必要のない旨規定されている。しかるところ,本件においては,本件訴えが提起された平成9年9月10日よりも前である平成9年3月31日付けで本件各再更正処分がなされているので,上記規定が直接適用される場合ではない。しかし,本件各先行更正処分に対する審査請求は,平成7年8月18日になされ,それに対する裁決は,約1年10か月後の平成9年6月10日付でなされているところ,本件各再更正処分は本件各先行更正処分に対する審査請求につき裁決がなされる約2か月前の平成9年3月31日付けでなされたものであり,このように,先行する更正処分につき不服申立手続きが履践され審査庁による判断が間もなく出されると合理的に期待できる段階で再更正がされた場合には,当該再更正に対しても所定の不服申立手続を経由することを要求することは,更正に対する所定の不服申立手続を経由し出訴の要件を備えた納税者に対して,さらに煩雑な手続の履践を強制することとなり,本来課税庁の知識経験を生かして,簡易迅速な方法で納税者の救済を図ることを目的とする不服申立前置の制度趣旨にもとり不合理である。 しかも,前記のとおり,原告が本件各先行更正処分及び本件各再更正処分を通じて主張する違法事由は共通であり,本件各再更正処分について独立に不服申立手続を経由しても異なる判断を得る可能性は低いといわざるを得ない。 そうであるならば,本件各再更正処分については,国税通則法115条1項3号後段にいう「その他その決定又は裁決を経ないことにつき正当な理由があるとき」に 断を得る可能性は低いといわざるを得ない。 そうであるならば,本件各再更正処分については,国税通則法115条1項3号後段にいう「その他その決定又は裁決を経ないことにつき正当な理由があるとき」に該当し,不服申立手続きを経ずに訴えを提起することができると言うべきである。 3 まとめしたがって,原告の請求中,前記第1のうち,3(1)及び4(1)にかかる訴えは不適法であるが,それらの予備的請求である3(1)’及び4(1)’にかかる訴えは適法である。 第5の2 本案の争点について本件の本案の争点は,本件各源泉税を法69条に基づき税額控除することの可否であるが,被告は,本件各源泉税の発生の前提となる本件取引を,主位的には,私法上の法律構成による否認によって,予備的には,法69条の限定解釈による否認によって否認し得ると主張するので,以下,被告の各主張につき判断する。 第5の2の1 私法上の法律構成による否認について第5の2の1の1 総論 1 本件における規範構造及び準拠法(1)法69条1項は,「外国法人税(外国の法令により課される法人税に相当する税で政令で定めるものをいう。)を納付することとなる場合」に外国税額控除を認めるが,同条の委任を受けた施行令141条1項は,「外国法人税」を「外国の法令に基づき外国又はその地方公共団体により法人の所得を課税標準として課される税」と定義づけている。そして,施行令141条2項3号は,同条1項の外国法人税に含まれるものとして「法人の所得を課税標準として課される税と同一の税目に属する税で,法人の特定の所得につき,徴税上の便宜のため,所得に代えて収入金額その他これに準ずるものを課税標準として課されるもの」をあげる。 本件では,本件各源泉税に法69条1項の適用があるか否かが争点となっているが 得につき,徴税上の便宜のため,所得に代えて収入金額その他これに準ずるものを課税標準として課されるもの」をあげる。 本件では,本件各源泉税に法69条1項の適用があるか否かが争点となっているが,本件各源泉税が,「外国の法令に基づき外国又はその地方公共団体により」法人である原告がテレコムNZ社,ユーロピアン社及びファースト社から得たとされる利息額を「課税標準として課される税」であり,形式的には施行令141条2項3号,同条1項により前記外国法人税に該当することは当事者間に争いがないのであるから,結局,本件においては,原告がテレコムNZ社,ユーロピアン社及びファースト社から得たとされる利息が真実原告の利子による「所得」等の利得に当たるか否かが問題となる。 (2)ところで,「所得」は通常ある特定の私法上の権利又は法律関係を前提としているのであるから,所得の有無を判断するには,当該法律関係の効力が問題となる余地がある。そして,租税法の適用上,本件取引の私法上の効力が問題となる場合には,本件取引,すなわち本件ローン契約及び本件預金契約は,当事者の合意によって英国法あるいは香港法が準拠法として指定されているのであるから(甲10の1及び2,11の1及び2,14の3,4,7,8,11及び12),所得の有無を判断する上での前提として,本件取引の私法上の効力の有無については英国法あるいは香港法を準拠法とすべきとの考え方もあり得るところである。 しかし,後記第5の2の2の1,2のとおり,外国税額控除の制度は国際的二重課税を排除することを目的とするものであるから,施行令141条1項にいう「所得」は我が国の法人税法においても課税標準とされるものであると解するのが相当であるが,かかる「所得」は我が国租税法固有の概念であり,その「所得」に該当するか否かを から,施行令141条1項にいう「所得」は我が国の法人税法においても課税標準とされるものであると解するのが相当であるが,かかる「所得」は我が国租税法固有の概念であり,その「所得」に該当するか否かを判断するために準拠すべき法は我が国租税法であることは疑いがない。そして,所得に対する課税は,所得自体に担税力を認めて課税するものであるから,その原因行為の私法上の効力は原則として問題となる余地がなく,「所得」とみられる利得が,利得者が私法上有効に保有し得る場合のみでなく,私法上無効であっても,それが現実に利得者の管理支配のもとに入っている場合には,課税の対象となると解すべきである(最高裁昭和38年10月29日第三小法廷判決・集民68号529頁,最高裁昭和46年11月9日第三小法廷判決・民集25巻8号1120頁)。 そして,施行令141条2項3号の「収入金額」も上記「所得」と同様,担税力の観点からすれば,利得者が私法上有効に保有し得る場合のみでなく,私法上無効であっても,それが現実に利得者の管理支配のもとに入っている場合をいうと解するべきである。 したがって,本件における私法上の法律構成による否認においては,本件各契約の私法上の有効無効を判断すること,その前提として,契約の有効無効を判断するための準拠法を探求すること自体は無意味であり,真実利得が確保されているのか否か,それが当事者の真意として利子による利得に該当するのか否かが判断されなければならず,かかる判断は,結局のところ事実認定の問題に帰着し,事実認定の問題は法廷地法によるべきであり,本件においては,準拠法を問題とする余地はない。 2 私法上の法律構成による否認の可能性(1)所得に対する課税は,私法上の行為によって現実に発生している経済効果に則して行われるものであるから ,本件においては,準拠法を問題とする余地はない。 2 私法上の法律構成による否認の可能性(1)所得に対する課税は,私法上の行為によって現実に発生している経済効果に則して行われるものであるから,第一義的には私法の適用を受ける経済取引の存在を前提として行われる。 しかしながら,その経済取引の意義内容を当事者の合意の単なる表面的,形式的な意味によって判断するのは相当ではなく,裁判所は,私法上の真実の法律関係に立ち入って判断すべきであって,このような裁判所による事実認定の結果として,納税者側の主張と異なる課税要件該当事実を認定し,課税が行われることは私法上の真実の法律関係に即した課税であり,当然のことであるといえる。そして,かかる事実認定を行い得る場合としては,①当該取引が実体のない仮装取引である場合と②表面的,形式的に存在する法律関係とは別に真実の法律関係が存する場合が考えられる。 (2)仮装取引の場合まず,当事者が外形上取引を仮装し,同外形に応じた経済的効果が発生していない場合には,これをもって課税要件を充足したものと解することができないのは明らかである(なお,通謀虚偽表示の結果,当該契約が無効とされ,結果として課税要件を充たさない場合があり得るが,これは,前記1(2)のとおり,通謀虚偽表示により契約が無効となるか否かが問題となるのではなく,その結果として,当事者間で利得の保有が確保されなくなる場合に問題になるにすぎない。したがって,私法上の契約の効力自体が直接問題となるものではない。)。 (3)真実の法律関係が存する場合また,当事者間の契約等において,当事者の選択した法形式と当事者間における合意の実質が異なる場合には,取引の経済実体を考慮した実質的な合意内容に従って解釈し,その真に意図している私法上の事 また,当事者間の契約等において,当事者の選択した法形式と当事者間における合意の実質が異なる場合には,取引の経済実体を考慮した実質的な合意内容に従って解釈し,その真に意図している私法上の事実関係を前提として法律構成をして課税要件への当てはめを行うべきである(なお,この場合も,当事者の意思の問題として,本件に即して言えば,まず,真実原告が利子による利得を事実上確保しているのか否かという事実認定が問題となるのであって,当該意思が法的にいかなる類型の契約等に該当するか否かが問題となるものではないから,準拠法が問題となる余地はない。)。 ただし,上記の解釈は,要件事実の認定に必要な法律関係については,表面的に存在するように見える法律関係に則してではなく,真実に存在する法律関係に則して要件事実の認定がなされるべきことを意味するに止まり,真実に存在する法律関係から離れて,もっぱらその経済的成果や目的に則して法律要件の存否を判断することを許容するものではない。 この限度で,かかる解釈も,租税法律主義が要請する法的安定性,予測可能性を充足するものであるということができる。 (4)なお,上記(2)あるいは(3)の判断にあたっては,複数の当事者間で行われた個々の契約が存在するとしても,全体があらかじめ計画された一連のスキームであるならば,全体を一体のものとして判断すべきであり,そのような一連の取引は,個々の契約がそのとおり実行されていたとしても,そのことゆえに各契約が各契約所定の内容のものとして当然有効となるものではない。 第5の2の1の2 本件取引について第5の2の1の2の1 テレコム社案件 1 本件取引については,次の各点を指摘することができる。 (1)当事者の経済的目的とその認識ア当事者間の書簡及び内部文書には次の 本件取引について第5の2の1の2の1 テレコム社案件 1 本件取引については,次の各点を指摘することができる。 (1)当事者の経済的目的とその認識ア当事者間の書簡及び内部文書には次のような記載がある。 (ア)フェイリッチ社からSIF社に交付された昭和63年8月15日付け書簡(乙4の1及び2)には,件名として「源泉税吸収ファシリティー」との記載の下に,テレコムNZ社が,源泉税吸収ファシリティーのアレンジのためにフェイリッチ社に委託し,原告に接触することを求めている旨の記載がある。 (イ)原告の昭和63年9月作成の禀議書(乙5)には,申請経緯として「依頼人はケイマン子会社が保有する預金をNZ国内に持ちこみ利用したいが,その場合,借入金となり W/HTax 15%がかかることになる。そこで,日系各行(当行,住友,三井,DKB etc)に対し,Tax 吸収を条件にオファーの要請あったもの」との記載がある。 (ウ)昭和63年9月30日付けのSIF社の議事録(乙84の1及び2)には,「当社は640億円のウェアハウジング(税金を免れる)ファシリティーが,つい先頃決着したことを知らされた。上記税金のウェアハウジングファシリティーに関し,テレコムNZ社は,ケイマンにある子会社(テレコムCA社)を通じて相当の債券を発行します。テレコムNZ社は,金額と時期について明かさないものの,税金のウェアハウジングファシリティーの実行に合わせるため同額の債券をケイマンで発行するものと思われます。」との記載がある。 (エ)テレコムNZ社の1992年次報告書(乙82の1及び2)には,同社が640億円の借入を行い,「その資金は,子会社を通じて,元の海外の貸し手に対しまるまる貸し付けられている」との記載がある。 イさらに,後記(3)イ 2年次報告書(乙82の1及び2)には,同社が640億円の借入を行い,「その資金は,子会社を通じて,元の海外の貸し手に対しまるまる貸し付けられている」との記載がある。 イさらに,後記(3)イ(イ)のとおり,当事者間の利息の決済の算定方法は,原告とテレコムNZ社との貸金契約上の利息金の手取額(ニュー・ジーランド源泉税を控除したもの)に,ニュー・ジーランド源泉税に相当する金額を加えた金額から原告の利ざや相当額を差し引いた額とするという形で決められた。 ウ上記ア及びイ並びに前記第2の4の1,2の事実によれば,テレコムNZ社は,テレコムCA社によって調達した資金をニュー・ジーランド国内に持ち込み運用するに際し,テレコムCA社からテレコムNZ社へ直接融資した場合にその利子に課されるニュー・ジーランド源泉税を軽減化する目的で本件取引に原告を介在させ,原告に,外国税額控除を利用してニュー・ジーランド源泉税分の税額控除を受けさせることによりこれを吸収(負担)させたものであり,原告も,かかる経済的目的を認識していたものと認められる。 (2)利ざやア原告の昭和63年9月作成の禀議書(乙5)には,所見として「採算面不芳ではあるが,邦銀各行も同レベルでの厳しい条件を呈示している様子」との記載がある。 イまた,当時,SIF社のディレクターであったB作成の陳述書(甲19)によると,SIF社は当初フェイリッチ社に対し,本件取引の利ざやを当初期間3年の場合は,0.1875パーセント,期間5年の場合は,0.2パーセントと提示したが,最終的に,他行と条件が同程度であることから,さらなる条件提示を求められて,利ざやを期間3年の場合は0.175パーセント,期間5年の場合は0.1875パーセントに引き下げる旨の提示を行い,さらに,交渉に基づき, と条件が同程度であることから,さらなる条件提示を求められて,利ざやを期間3年の場合は0.175パーセント,期間5年の場合は0.1875パーセントに引き下げる旨の提示を行い,さらに,交渉に基づき,期間5年の利ざやを0.185パーセントとする旨の再度の条件の提示を行い合意に至った経緯が認められ,かかる利ざやの交渉には,同様のサービスを行う邦銀間の競争が働いて行われたことが認められる。 (3)資金の流れア通貨スワップの存在前記本件取引の動機に照らすと,テレコムNZ社とテレコムCA社の間では,160億円の円貨のテレコムNZ社からテレコムCA社に対する移転のみでは経済目的を達成できないのであり,テレコムCA社からテレコムNZ社に対するNZドルの移転があるものと解され,かかる双方の移転を通貨スワップをもって行ったことは,本件取引が後記第5の2の1の2の2のユーロピアン社案件及びファースト社案件のアレンジを行ったフェイリッチ社によりアレンジされたものであることをも併せ考えると,十分に推認でき,同推認を覆すに足る証拠はない。 そして,原告の子会社であるSIF社に出向して,本件取引に関わったBも,円貨の三者間を循環する取引のみではテレコムNZ社がテレコムCA社を通じて資金を調達するという目的を達成できないことから,円貨の取引以外に,テレコムNZ社とテレコムCA社との間で資金移動を伴う別の金融取引が存在するであろうことを認識していた(甲19)。 したがって,原告自身もテレコムCA社とテレコムNZ社間の金融取引を認識していたものであり,それが通貨スワップを利用するとの認識も遅くとも昭和63年9月ころには持っていたと解される(乙8の1及び2)。 イ具体的な資金の移動本件取引に関し,具体的な資金移動は, ものであり,それが通貨スワップを利用するとの認識も遅くとも昭和63年9月ころには持っていたと解される(乙8の1及び2)。 イ具体的な資金の移動本件取引に関し,具体的な資金移動は,前記第2の4の1,5の事実のとおり行われた。これを取引の各段階でみると,以下の点が指摘できる。 (ア)元本取引(貸付元本及び預金元本の資金決済)原告は,昭和63年12月20日,まず,テレコムNZ社が原告香港支店に開設した円建て普通預金口座(テレコムNZ社預金口座)に本件ローン契約に基づく貸付元本160億円を入金記帳し,次に,同口座から同額を,テレコムCA社が原告香港支店に開設した円建て普通預金口座(テレコムCA社預金口座)へ振替処理し,さらに,同口座から本件預金契約に基づく預金元本として同額を,テレコムCA社が原告香港支店に開設した円建て定期預金口座へ振替処理した。 このように,いずれも同一日付で原告の同一支店で伝票による処理をすることにより行われ,現実の資金移動を伴わず,さらに,テレコムNZ社口座からテレコムCA社預金口座へ振替え処理されることにより,円貨が循環している。 (イ)利息の処理利息に関する処理をみると,原告香港支店は,利払日に,まず,テレコムCA社預金口座に本件預金契約に基づく預金利息を記帳し,次に,同口座からテレコムNZ社預金口座へ同預金利息相当額を振替処理し,次に,同口座から,本件ローン契約に基づき受領すべき貸付金利息として同貸付金利息からニュー・ジーランド源泉税相当額を控除した残額を引き落とし,最後に,同口座から,ロイズ銀行内ニュー・ジーランドナショナル銀行のテレコムNZ社口座へ前記預金利息相当額から同残額を控除した残額,すなわち前記源泉税相当額からマージン相当額を控除した金額 落とし,最後に,同口座から,ロイズ銀行内ニュー・ジーランドナショナル銀行のテレコムNZ社口座へ前記預金利息相当額から同残額を控除した残額,すなわち前記源泉税相当額からマージン相当額を控除した金額(テレコムNZ社送金額)を送金することにより行われたのである(第3回資金決済においては,CA社預金口座から直接,ロイズ銀行内ニュー・ジーランドナショナル銀行テレコムNZ社口座へテレコムNZ社送金額が送金されている。)。 このように,本件取引における貸付金利息と預金利息の決済についても,テレコムNZ社送金額を除き,現実的な資金移動が行われることなく同一支店内における預金口座間の振替処理により,同一日付で順次,伝票処理により行われており,円貨が循環している。 そして,テレコムNZ社及びテレコムCA社間でも預金利息相当額の円貨の移転が見られる。 (ウ)契約終了時原告は,テレコムNZ社及びテレコムCA社との合意に基づき,平成5年4月1日,テレコムCA社が原告香港支店に開設した円建て定期預金口座から160億円をテレコムNZ社預金口座に振替処理し,これにより,本件預金契約に基づく預金元本を返済し,また,同口座から,同160億円を引き落とすことにより,テレコムNZ社からの本件ローン契約に基づく貸付元本160億円の返済を受けた。 このように,契約終了段階においても,現実的な資金移動が行われることなく同一支店内における預金口座間の振替処理により,同一日付で,伝票処理により行われている。 (4)契約当初のNZドルの流れテレコムCA社によるNZドル建て資金の調達は,テレコムCA社が平成元年9月20日以降にNZドルを券面通貨とするユーロキウイボンドを発行することなどにより行われた(甲9,乙82の1及び2 れテレコムCA社によるNZドル建て資金の調達は,テレコムCA社が平成元年9月20日以降にNZドルを券面通貨とするユーロキウイボンドを発行することなどにより行われた(甲9,乙82の1及び2,83)。 このように,本件ローン契約よりもNZドル建て資金の調達が半年以上も遅れていた事情がうかがわれる。 なお,前記(1)ア(ウ)の文書の記載からすると,原告は,テレコムCA社において債券を発行することを認識していたものと認められる。 (5)貸付けにかかるリスクア本件ローン契約は,預金を正式に担保としたものではないが(本件預金契約6条3項),テレコムNZ社に債務不履行がある場合などは,テレコムCA社に本件ローン契約に基づく権利,利益及び義務を譲渡し,テレコムCA社が対価として本件ローン契約に基づく貸付けの未決済元金相当額,未払利息及びその他全ての支払債務を支払うこととされ,これと預金との相殺を認める旨の規定がおかれており(本件ローン契約10条1項,18条3項1号,本件預金契約7条),貸し倒れにより原告に生じるリスクは最小限に抑えられている。 イさらに,本件ローン契約においては,原告のリスクに対処するいくつかの規定がおかれている。 まず,テレコムNZ社が本件ローン契約上の貸付金利息から控除又は源泉徴収した税金について,原告が日本の税務当局から税額控除若しくは還付を受けられないか,又はこれらに係る請求権の正当性を立証できなくなり,かつ,その他の関係税務当局からも税額控除又は還付を受けることができず,あるいは実際の源泉徴収額若しくは還付額よりも少額の税額控除若しくは還付額しか受けられないか,又はこれらに係る主張の正当性を立証できないときには,原告が要求した場合は,テコムNZ社は,前記控除若しくは還付を受け 源泉徴収額若しくは還付額よりも少額の税額控除若しくは還付額しか受けられないか,又はこれらに係る主張の正当性を立証できないときには,原告が要求した場合は,テコムNZ社は,前記控除若しくは還付を受けることができず又はこれらに係る主張の正当性を立証できないことにより生じた損失,あるいは原告が受けられた又は主張の正当性を立証できた控除若しくは還付の額が実際の控除額若しくは源泉徴収額よりも下回ったことにより生じた損失を補填するのに十分な金額の支払を,これらに関連して支払義務が生じ又は負担することとなった,一切の利息,過怠金,経費とともに,一切の控除や源泉徴収の負担のない形で支払わなければならない(7条1項2号)。 また,原告は,テレコムNZ社が本件ローン契約上の貸付金利息から税額控除又は源泉徴収した税金について,原告が日本の税務当局から税額控除又は還付を受けることができないか,今後受けることができないこと,あるいは実際の税額控除額若しくは還付額よりも少額の税額控除額若しくは還付額しか受けることができないか,今後受けることができなくなることを同社に証明し,本件ローン契約に基づく譲渡を実行する意思を5日以上の予告をもって書面で同社に通知するときは,テレコムCA社に対し,本件ローン契約に基づく一切の権利,利益及び義務を譲渡できる権利を有するし(18条3項2号),これら権利,利益及び義務が譲渡された場合であっても,原告が要求すれば,テレコムNZ社は,同譲渡がなければ原告がテレコムNZ社に損失補償を要求できるときには,同譲渡の日以降いかなる時であろうと,補填義務が生じた事由により被り,負担し,あるいは要求された一切の支払,責任,費用(増加費用も含む),損失及び経費について,補償免責をしなければならない(18条7項前段)。 以上より と,補填義務が生じた事由により被り,負担し,あるいは要求された一切の支払,責任,費用(増加費用も含む),損失及び経費について,補償免責をしなければならない(18条7項前段)。 以上より,本件では,原告は,我が国における外国税額控除の適用を受けられない場合でも,本件ローン契約に基づき,テレコムNZ社に対し,上記義務の履行を要求することにより,本件取引における利ざやを得たのと同様の効果を実現することができる。 2 検討(1)上記の各点からすると,原告は,テレコムNZ社及びテレコムCA社がニュー・ジーランド源泉税を軽減する目的で原告の外国税額控除の余裕枠を利用するために本件ローン契約・本件預金契約を締結したことを理解し,そのための対価を得ることを目的として,本件各ローン契約・本件各預金契約を締結したものと認められる。 そこで,かかる目的を持つ本件取引が,私法上の法律構成により否認することが可能か否か検討する。 (2)仮装取引か否かについてアまず,仮装取引とは,意図的に真の事実や法律関係を隠ぺいないし秘匿して,みせかけの事実や法律関係を仮装することであって,ある法的効果を生み出す法律関係が実体として存しない場合をいうと解すべきであり,本件においては,原告がテレコムNZ社に貸し付けた金員に対する利子を得たことが実体を有するものであるか否かが問題となる。 この点,本件取引の当事者らは,本件取引により,所期の目的を達成するために,本件取引の形式を選択し,それに応じた法的効果を意図して本件ローン契約・本件預金契約を締結したのであって,当該法的形式と法的効果は一致しており,これをもって,仮装行為であると解することは困難である。 イところで,本件取引においては,原告香港支店の口座を用い,伝票処理による決 締結したのであって,当該法的形式と法的効果は一致しており,これをもって,仮装行為であると解することは困難である。 イところで,本件取引においては,原告香港支店の口座を用い,伝票処理による決済をしていることから円貨については一部の送金を除き現実の資金移動はないが,これをもって法的にも資金移動が存在しなかったと断ずることはできない。 ウ次に,資金循環,通貨スワップの存在であるが,160億円の円貨の移動のみをみると,当事者間を循環している事情が認められ,単独では,実質が伴わないとの評価もなし得ないではないが,本件スキームにおいては,当事者の経済的なねらいは,前述のとおり,テレコムCA社からテレコムNZ社へ160億円相当NZドルという投資家から調達した価値を移転し,テレコムCA社はその対価をニュー・ジーランド源泉税の負担を軽減して受け取るというところにあったのであり,テレコムNZ社及びテレコムCA社は,通貨スワップにより,結局,かかる価値の移転を実現したものであり,その前提となる,テレコムNZ社において通貨スワップを可能とする160億円のテレコムNZ社への移転自体は,本件ローン契約により実現されたといえるのであり,さらに,スワップを実行したのと同様になるテレコムNZ社からテレコムCA社への160億円の移転も,本件ローン契約により実現されたといえるのである。したがって,かかる160億円の資金循環を仮装のものであると評価することはできない。 すなわち,被告が主張するように,円貨の流れのみをみると特段の経済的目的を有しない取引であると見ることもできないわけではないが,これをNZドル建ての資金の移動と併せて取引全体をみると,まさに,NZドルを移転し運用する際に,コストを低減させるという取引の目的が現われるのである。 ると見ることもできないわけではないが,これをNZドル建ての資金の移動と併せて取引全体をみると,まさに,NZドルを移転し運用する際に,コストを低減させるという取引の目的が現われるのである。 ところで,前記のとおり,本件取引で160億円の貸付け及び預金がなされた段階では,ユーロキウイボンドは発行されておらず,上記の循環取引のみが存在する状態となっている。 かかる操作が行われた理由を考察すると,契約締結日が平成元年4月1日以降であると,昭和63年改正により,原告においては本件源泉税のうち10パーセントを超える部分を税額控除の対象となし得なくなる事情があったことはこれを推認するに難くない(後記のとおり,昭和63年改正により原告のように金融業を主として営む内国法人が納付することとなる所得税法23条1項(利子所得)に規定する利子等の収入金額を課税標準として源泉徴収の方法に類する方法により課される外国法人税については,所得率が10パーセント以下の場合は利子等の収入金額の10パーセントを超える部分,所得率が10パーセントを超え20パーセント以下の場合は利子等の収入金額の15パーセントを超える部分を控除対象外国法人税の額から除外することとされた(施行令142条の3第2項1号)が,昭和63年政令第362号附則20条により,施行令142条の3第2項の規定は,昭和64年4月1日以後最初に開始する事業年度の直前の事業年度終了の日において有する預貯金,貸付金その他これらに準ずる債権(同日以前に締結した契約に基づき同日後に行った金銭の貸付けに係る債権を含む。)の利子について適用される旨の経過規定が設けられた。)。 しかし,かかる準備行為を実際の資金需要が生じる前に行っていたからといって,両者の間に目的と手段の関係がある場合は,それ故に 含む。)の利子について適用される旨の経過規定が設けられた。)。 しかし,かかる準備行為を実際の資金需要が生じる前に行っていたからといって,両者の間に目的と手段の関係がある場合は,それ故に仮装行為であると断ずることはできない。 なお,本件取引の最終段階のテレコムNZ社とテレコムCA社間の資金移動を検討すると,円貨については,前記第2の4の1,6のとおり,原告香港支店における口座間の処理により行われているが,同円貨と通貨スワップの関係にあるテレコムCA社からテレコムNZ社に対するNZドル債権については,現実の決済が必要となることは明らかである。 エさらに,被告は,本件ローン契約書の条項をとらえて,原告は,本件取引にあっては,我が国における外国税額控除の適用を受ける場合はもちろん受けられない場合でも,金銭貸付けに関するリスクを負担することなく利ざやを得たのと同様の効果を実現できるのであり,原告が金銭貸付に関するリスクを負担していないと主張する。 そして,本件ローン契約における条項は前記1(5)イのとおりであり,原告のリスクの負担は相当程度軽減されているといえる。そして,これらの規定は,本件取引が,原告が本件源泉税につき外国税額控除を受けることが重要な要素となっていたことをうかがわせるものである。 しかしながら,かかるリスクの負担の軽減,さらには,外国税額税額控除が重要な要素となっていたことをもって,本件取引が仮装であることを裏付けるものとは断じ得ない。 オ原告とテレコムNZ社,テレコムCA社との各取引における金員の授受が全て同一日付で原告香港支店の各口座間を伝票操作により循環しており,すなわち,現実の資金交付及び利息の支払等が相殺勘定によりなされることが当初から予定されていたのであり,そ 取引における金員の授受が全て同一日付で原告香港支店の各口座間を伝票操作により循環しており,すなわち,現実の資金交付及び利息の支払等が相殺勘定によりなされることが当初から予定されていたのであり,その結果,テレコムNZ社,テレコムCA社において,160億円の資金及びその利息を実質的に取得して運用する機会が封じられているが,これは,その結果としてNZドル建ての元本,利息の移転の実現を可能としているのであり,かかる意味での運用が行われているとも評価し得るのであるから,同様に本件取引が仮装であることを裏付けるものではない。 カなお,第3回資金決済においては,テレコムCA社の口座からテレコムNZ社がニュー・ジーランド政府に源泉税を支払う原資になると推測されるテレコムNZ社送金額をロイズ銀行内ニュー・ジーランドナショナル銀行のテレコムNZ社口座に送金しているが,同送金は,原告とテレコムNZ社あるいはテレコムCA社との直接の権利義務を構成するものではなく,また,テレコムCA社がテレコムNZ社の関連会社であることを考慮すると特段不自然なものではなく,本件取引の仮装性を基礎づけるものではない。 キ加えて,被告は,ローンの貸付金額と預金の金額が同額であること,取引手数料の存在をもって,本件取引の仮装性を主張するが,被告の主張する点が本件取引において特段不合理なものとは認められない。 ク以上によれば,本件取引を仮装取引と断ずることはできない。 (3)当事者の真実の意思次に,真実の法律関係について検討するが,ここでの真実の法律関係は,原告との関係で問題となるのであるから,原告を含めた当事者間で,その経済的目的を実現するための真実の法律関係を探求すべきである。 そして,当事者が求めた経済的目的は,テレコムNZ社及びテレコムC 告との関係で問題となるのであるから,原告を含めた当事者間で,その経済的目的を実現するための真実の法律関係を探求すべきである。 そして,当事者が求めた経済的目的は,テレコムNZ社及びテレコムCA社にとっては,テレコムCA社からテレコムNZ社へより低いコストで資金を移動させるため,原告を介して,その外国税額控除の余裕枠を利用してニュー・ジーランド源泉税を軽減することであり,原告にとっては,外国税額控除の余裕枠を提供し,利得を得ることにあるのである。このように,当事者の経済的目的を法律関係として端的に構成すると,原告からテレコムCA社への役務の提供契約ということができるが,この場合の「役務」は単なる事実行為ではなく,必然的に何らかの法律関係を介在して行う役務である。 この点,被告の主張によれば,当事者の真実の意思として,①原告が我が国における外国税額控除の余裕枠をテレコムNZ社及びテレコムCA社に提供し,これに対しテレコムNZ社及びテレコムCA社が原告に対し同役務提供に対する対価を支払うことを内容とする合意(いわゆる外国税額控除の余裕枠に関する売買契約)であると解するか,または,②テレコムNZ社がテレコムCA社に対して負っていた貸付金利息を原告を介してテレコムCA社が取得することを内容とする合意(したがって,テレコムNZ社とテレコムCA社間の取引関係に基づく利息収入はテレコムCA社が得ており,クック諸島源泉税の担税者もテレコムCA社であって原告ではないと認められる。)と解することができるか否か問題となる。 しかしながら,原告,テレコムNZ社及びテレコムCA社は,この役務を実現するための法律関係として,本件取引及びその結果として生ずる原告による本件源泉税の納付を選択したものであり,この法律関係が,被告主張のように,単なる レコムNZ社及びテレコムCA社は,この役務を実現するための法律関係として,本件取引及びその結果として生ずる原告による本件源泉税の納付を選択したものであり,この法律関係が,被告主張のように,単なる外国税額控除の余裕枠の売買,あるいは,テレコムNZ社がテレコムCA社に対して負っていた貸付金利息を原告を介してテレコムCA社が取得することとみなすことは,経済的な実態にのみ着目した場合にはこれを首肯し得るとしても,法律関係の解釈としては擬制にすぎ,前述のとおり,本件でいう「役務」が必然的に本件契約という法律関係を介在させてはじめて提供し得る性質のものであることにかんがみると,原告,テレコムNZ社及びテレコムCA社の選択した法律関係が当事者の真実の法律関係ではないとするのは,余りに本件の経済的成果や目的にのみとらわれた解釈であって相当ではない。 そして,如何なる法律関係を用いるかは,第一次的には,当事者の選択にゆだねられているというべきであり,まして,原告は資金仲介機能を有する銀行であり,預金受入及び貸付は本来業務であることからすると,当事者の真意としても本件預金契約・本件ローン契約として本件取引を選択していたものと解するのが合理的であり,これを外国税額控除余裕枠の売買あるいは貸付金利息の送金に過ぎないと断ずることはできない。 第5の2の1の2の2 ユーロピアン社案件及びファースト社案件 1 本件取引については,次の各点を指摘することができる。 (1)当事者間の書簡及び内部文書には次のような記載がある。 アユーロピアン社案件(ア)フェイリッチ社からの原告シドニー駐在員事務所宛て昭和63年9月19日付け書簡(乙8の1及び2)には,件名として「源泉税吸収ファシリティー」との記載があり,さらに,「前回の取引と同じように,借入人は フェイリッチ社からの原告シドニー駐在員事務所宛て昭和63年9月19日付け書簡(乙8の1及び2)には,件名として「源泉税吸収ファシリティー」との記載があり,さらに,「前回の取引と同じように,借入人は資金を円で引出し,借入人が欲しい通貨にスワップする予定です。」との記載がある。 (イ)原告内部の昭和63年9月29日付け禀議書(乙7)には,申請事由として「オフショアにある預金をクック諸島に振込み使用したいが,高税率回避の為,本件申し出あるもの」との記載があり,さらに,採択事由として,「本件,フル保全(預担,かつ金利先取り)」,「トータル採算31b.p.p.a とまずまず。」との記載がある。 (ウ)原告内部の昭和63年12月15日付け禀議書(乙9)には,申請事由として「オフショアにある預金をクック諸島に振込み使用したいが,高税率回避の為,本件申し出あるもの」との記載があり,さらに,採択事由として,「本件,フル保全」,「Pricing 前回比大幅に up (spread 29 b.p.p.a.→37.5b.p.p.a.)」との記載がある。 イファースト社案件(ア)フェイリッチ社から原告香港支店宛ての平成元年2月27日付け書簡(乙119の1及び2)には,「源泉税吸収ファシリティーは,ユーロピアンパシフィック社案件に関して提案され,実行されたのと同じ構造と条件によります。」との記載がある。 (イ)フェイリッチ社から原告シドニー駐在員事務所宛て平成元年3月3日付け書簡(乙120の1及び2)には,源泉税吸収ファシリティーとの件名の下,「キャピタルマーケット社(ファースト社の親会社)は,フェイリッチ社を通じてニュー・ジーランド市場に容易に参加できることから,ニュー・ジーランド・ドル建て証券を取り扱うことを主な重要業務として 下,「キャピタルマーケット社(ファースト社の親会社)は,フェイリッチ社を通じてニュー・ジーランド市場に容易に参加できることから,ニュー・ジーランド・ドル建て証券を取り扱うことを主な重要業務としています。(中略)海外の投資家にとってやっかいなのはこの投資に源泉税が課せられることです。貴殿がレターでまさにご指摘されるとおり,源泉税は投資家の利回りを著しく減少させます。キャピタルマーケット社は,もし源泉税を最小限にできるのであれば,利回りが著しく改善されたファシリティーを提供することができます。キャピタルマーケット社がバーミューダの子会社を通じて提供するものは,確定利回りで源泉税のかからない投資案件であって,その子会社はファースト社の子会社でクック諸島の内国銀行を予定しています。クック諸島で課される源泉税は15パーセントでそれゆえに三和銀行にお願いしたいのは源泉税吸収ファシリティーでの協力を提供していただくことです。ファースト社はそうしていただくことによって,源泉税が全くかからないニュー・ジーランド・ドル債で起債されるファンドに投資できます。」との記載がある。 (ウ)原告のシドニー駐在員事務所から香港支店に宛てた平成元年3月10日付け連絡文書(乙118)には,「NZドルから米ドルの SWAP は,FIRSTCapitalBK (BMUDA) と FIRSTCapitalBank (Cook) の間で行う。」との記載がある。 (エ)原告の平成元年3月15日付け禀議書(乙10)には,採択事由として,「本件預担(同額同通貨)であり,フル保全」,「採算面,期間5年でオールイン40b.p.p.a.(Tax吸収後30b.p.p.a.)は FullySecured ベースの水準としては良好」との記載がある。 (オ)原告の平成5 ル保全」,「採算面,期間5年でオールイン40b.p.p.a.(Tax吸収後30b.p.p.a.)は FullySecured ベースの水準としては良好」との記載がある。 (オ)原告の平成5年2月8日付け稟議書(乙117)には,「Itisonlyatax-structuredtransaction (本件は,税のみを目的として構築された取引である。)」との記載がある。 (2)当事者の経済的目的とその認識上記(1)の各文書の記載,及び後記当事者間の利息の決済の算定方法が,原告がバーミューダ諸島法人に支払う預金利息が,原告とクック諸島法人とのローン契約上の利息金の手取額(クック諸島源泉税を控除したもの)に,クック諸島源泉税に相当する金額を加えた金額から原告の利ざや相当額を差し引いた額とするという形で決められたこと並びに前記第2の4の2の1,2及び第2の4の2の2,2の事実によれば,クック諸島法人は,バーミューダ諸島法人によって調達した資金をクック諸島国内に持ち込み運用するに際し,バーミューダ諸島法人からクック諸島法人へ直接融資した場合にその利子に課されるクック諸島源泉税を軽減化する目的で本件取引に原告を介在させ,原告に,外国税額控除を利用してクック諸島源泉税分の税額控除を受けさせることによりこれを吸収(負担)させたものと解される。 そして,原告もこれを認識して本件各取引に参加したものと認められる。 (3)資金の流れ本件取引に関しては,当事者間の合意に従った,資金移動が前記第2の4の2の1及び2,各5及び6のとおり行われた。これを取引の各段階でみると,以下の点が指摘できる。 ア通貨スワップの存在クック諸島法人とバーミューダ諸島法人間には,米ドルとそれに相当するNZドルとの通貨 び6のとおり行われた。これを取引の各段階でみると,以下の点が指摘できる。 ア通貨スワップの存在クック諸島法人とバーミューダ諸島法人間には,米ドルとそれに相当するNZドルとの通貨スワップが存在するが,原告も同スワップの存在を認識していた。 イ具体的な資金の流れ(ア)元本取引(貸付元本及び預金元本の資金決済)及び利息前記第2の4の2の1及び2,各5の事実のとおり,本件各取引について,資金の決済は,ファースト社及びバーミューダ諸島法人との関係も含めてユーロピアン社(親)の口座を利用して行われ,原告とファースト社及びバーミューダ諸島法人との間での直接の資金移動は認められない。 (イ)契約終了時また,契約の終了段階をみると,第2の4の2の1及び2,各6の事実のとおり,原告のクック諸島法人に対する本件ローン契約上の権利,利益及び義務の全てはバーミューダ諸島法人に譲渡され,同譲渡の対価は本件各預金契約に基づく預金と相殺され現実の資金移動は認められない。 (4)貸付けにかかるリスクア本件各ローン契約は,クック諸島法人の預金を担保としたものであり,原告に生じるリスクは最小限に抑えられているといえる(本件各担保設定契約甲14の5,9,13)。 イさらに,本件各ローン契約においては,原告のリスクに対処するいくつかの規定が置かれている。 まず,原告は,関係法令の改正又はその解釈や運用上の変更のため,あるいは適用を受ける所轄政府その他の当局の指導,要請又は要求(法的効力の有無に関係なく)に従うことにより,本件各ローン契約に基づく利息の支払に適用される源泉徴収税に関して,日本の法律に基づいて現在又は今後受けることのできる税額控除,租税割戻又は所得控除が削除され,排除され に関係なく)に従うことにより,本件各ローン契約に基づく利息の支払に適用される源泉徴収税に関して,日本の法律に基づいて現在又は今後受けることのできる税額控除,租税割戻又は所得控除が削除され,排除され又はその他の方法で資格を失うことになると認めたときは,合理的に可能な限り速やかに(ファースト社案件では7銀行取引日以内の予告を要する。)クック諸島法人に通知することにより,同社に対し,同通知から30日以内に,弁済日までにローンに対して発生した経過利息及び本件各ローン契約上支払義務を有する一切の金員を添えて期限前弁済するよう要求することができるのであり,この場合には,同社は,適用期間中にローンに対して発生する利息相当額を補償金として別途原告に対し支払わなければならない(9条2項,3項)。 また,原告は,関係法令の改正又はその解釈や運用上の変更のため,あるいは適用を受ける所轄政府その他の当局の指導,要請又は要求(法的効力の有無に関係なく)に従うことにより,クック諸島法人が本件各ローン契約に基づき支払うべき債務について原告に租税その他の支払義務が生じる場合に現在又は今後該当することになると認めたときは,直ちに同社に対し,その旨通知するものとされ,この場合には,同社は,原告から要求があり次第,租税,支払,費用の増大又は受取額の減少を補填するために必要であると原告により証明された金額を支払わなければならない(8条2項前段)。 以上より,本件では,原告は,我が国における外国税額控除の適用を受けられない場合でも,本件各ローン契約に基づき,クック諸島法人に対し上記義務の履行を要求することにより,本件各取引における利ざやを得たのと同様の効果を実現することができるのであり,その限りにおいては,何ら金銭貸付けに関するリスクを負担していないこと 諸島法人に対し上記義務の履行を要求することにより,本件各取引における利ざやを得たのと同様の効果を実現することができるのであり,その限りにおいては,何ら金銭貸付けに関するリスクを負担していないことが認められるのである。 2 検討(1)上記の点からすると,原告は,バーミューダ諸島法人がクック諸島源泉税を軽減する目的で原告の外国税額控除の余裕枠を利用するために本件ローン契約・本件預金契約を締結したことを理解し,そのための対価を得ることを目的として,本件各ローン契約・本件各預金契約を締結したものと認められる。 そこで,かかる目的を持つ本件取引が,私法上の法律構成により否認することが可能か否か検討する。 (2)仮装取引か否かについてアまず,本件においては,原告がファースト社に貸し付けた金員に対する利子を得たことが実体を有するものであるか否かが問題となる。 この点,本件取引の当事者らは,本件取引により,所期の目的を達成するために,本件取引の形式を選択し,それに応じた法的効果を意図して本件ローン契約・本件預金契約を締結したのであって,当該法的形式と法的効果は一致しており,これをもって,仮装行為であると解することは困難である。 イところで,本件取引においては, CHIPS により決済をしていることから現実の資金移動はないが,これをもって法的にも資金移動が存在しなかったということはできず,また,原告とクック諸島法人及びバーミューダ諸島法人間の資金の移動はすべてユーロピアン社(親)の口座を通じて行われているが,これも,前記各社の指示に基づくものであり,法的な意味で原告と前記各社間での資金の移動が存在しなかったと断ずることはできない。 ウ次に,資金循環,通貨スワップの存在であるが,2億米ドルの移動のみをみると, 社の指示に基づくものであり,法的な意味で原告と前記各社間での資金の移動が存在しなかったと断ずることはできない。 ウ次に,資金循環,通貨スワップの存在であるが,2億米ドルの移動のみをみると,通貨スワップにより,2億米ドルは,バーミューダ諸島法人,原告,クック諸島法人の間を循環していることになり,本件ローン契約の経済的実質が伴わないとの評価もなし得ないではないが,本件スキームにおいては,当事者の経済的なねらいは,前述のとおり,バーミューダ諸島法人からクック諸島法人へ2億米ドル相当NZドルという価値を移転し,バーミューダ諸島法人はその対価を,クック諸島源泉税の負担を軽減して受け取るというところにあったのであり,バーミューダ諸島法人及びクック諸島法人は,通貨スワップにより,結局,かかる価値の移転を実現したものであり,クック諸島法人において通貨スワップを可能とする2億米ドルのクック諸島法人への移転自体は,本件ローン契約により実現されたといえるのであるから,かかる2億米ドルの資金循環を仮装のものであると評価することはできない。 なお,本件取引の最終段階のクック諸島法人とバーミューダ諸島法人間の資金移動を検討すると,クック諸島法人のバーミューダ諸島法人に対する通貨スワップによる米ドル債権と,バーミューダ諸島法人が原告から債権譲渡により取得した米ドルのローン債権を相殺により消滅させることが可能であったと解されるが,かかる相殺が行われたとしても,バーミューダ諸島法人からクック諸島法人に対するNZドル債権は残り,その決済が必要となることは明らかである。 エさらに,被告は,本件ローン契約書の条項をとらえて,原告は,本件取引にあっては,我が国における外国税額控除の適用を受ける場合はもちろん受けられない場合でも,金銭貸付けに関するリスク ある。 エさらに,被告は,本件ローン契約書の条項をとらえて,原告は,本件取引にあっては,我が国における外国税額控除の適用を受ける場合はもちろん受けられない場合でも,金銭貸付けに関するリスクを負担することなく利ざやを得たのと同様の効果を実現できるのであり,原告が金銭貸し付けに関するリスクを負担していないと主張する。 そして,本件ローン契約における条項は前記1(4)イのとおりであり,原告のリスクの負担は相当程度軽減されているといえる。これらの規定は,本件取引が,原告が本件源泉税につき外国税額控除を受けることが重要な要素となっていたことをうかがわせるものである。 しかしながら,かかるリスクの負担の軽減,さらには,外国税額税額控除が重要な要素となっていたことをもって,本件取引が仮装であることを裏付けるものとは断じ得ない。 オ原告とクック諸島法人及びバーミューダ諸島法人との各取引における金員の授受がそれぞれ同一日付で原告ニューヨーク支店の原告香港支店勘定とユーロピアン社(親)のNZ銀行NY支店に有する口座との間における CHIPS を利用した相殺勘定によりなされることとなっており,すなわち,現実の資金交付及び利息の支払等が相殺勘定によりなされることが当初から予定されている。その結果,クック諸島法人及びバーミューダ諸島法人において,貸付・預金元本及びその利息を実質的に取得して運用する機会が封じられているが,これは,その結果としてNZドル建ての元本,利息の移転の実現を可能としているのであり,かかる意味での運用が行われているとも評価し得るのであるから,同様に本件取引が仮装であることを裏付けるものではない。 カ加えて,被告は,預金金利の前払や取引参加料の存在をもって,本件取引の仮装性を主張するが,被告の主張す とも評価し得るのであるから,同様に本件取引が仮装であることを裏付けるものではない。 カ加えて,被告は,預金金利の前払や取引参加料の存在をもって,本件取引の仮装性を主張するが,被告の主張する点が本件取引において特段不合理なものとは認められない。 キ以上によれば,本件取引を仮装取引と断ずることはできない。 (3)当事者の真実の意思次に,真実の法律関係について検討するが,当事者が求めた経済的目的は,クック諸島法人及びバーミューダ諸島法人にとっては,バーミューダ諸島法人からクック諸島法人へより低いコストで資金を移動させるため,原告を介して,その外国税額控除の余裕枠を利用してクック諸島源泉税を軽減することであり,原告にとっては,外国税額控除の余裕枠を提供し,利得を得ることにあるのである。このように,当事者の経済的目的を法律関係として端的に構成すると,原告からバーミューダ諸島法人への役務の提供契約ということができそうであるが,この場合の「役務」は単なる事実行為ではなく,必然的に何らかの法律関係を介在して行う役務である。 この点,被告の主張によれば,当事者の真実の意思として,①原告が我が国における外国税額控除の余裕枠をクック諸島法人及びバーミューダ諸島法人に提供し,これに対しクック諸島法人及びバーミューダ諸島法人が原告に対し同役務提供に対する対価を支払うことを内容とする合意(いわゆる外国税額控除の余裕枠に関する売買契約)であると解するか,または,②クック諸島法人がバーミューダ諸島法人に対して負っていた貸付金利息を原告を介してバーミューダ諸島法人が取得することを内容とする合意(したがって,クック諸島法人及びバーミューダ諸島法人間の取引関係に基づく利息収入はバーミューダ諸島法人が得ており,クック諸島源泉税の担税者もバ てバーミューダ諸島法人が取得することを内容とする合意(したがって,クック諸島法人及びバーミューダ諸島法人間の取引関係に基づく利息収入はバーミューダ諸島法人が得ており,クック諸島源泉税の担税者もバーミューダ諸島法人であって原告ではないと認められる。)と解することができるか否か問題となる。 しかしながら,原告,クック諸島法人及びバーミューダ諸島法人は,この役務を実現するための法律関係として,本件取引及びその結果として生ずる原告による本件源泉税の納付を選択したものであり,この法律関係が,被告主張のように,単なる外国税額控除の余裕枠の売買,あるいは,クック諸島法人がバーミューダ諸島法人に対して負っていた貸付金利息を原告を介してバーミューダ諸島法人が取得することとみなすことは,経済的な実態にのみ着目した場合にはこれを首肯し得るとしても,法律関係の解釈としては擬制にすぎ,前述のとおり,本件でいう「役務」が必然的に本件契約という法律関係を介在させてはじめて提供し得る性質のものであることにかんがみると,原告,クック諸島法人及びバーミューダ諸島法人の選択した法律関係が当事者の真実の法律関係ではないとするのは,余りに本件の経済的成果や目的にのみとらわれた解釈であって相当ではない。 そして,如何なる法律関係を用いるかは,第一次的には,当事者の選択にゆだねられているというべきであり,まして,原告は資金仲介機能を有する銀行であり,預金受入及び貸付は本来業務であること,前記1(1)ア(イ)及び(ウ),同イ(エ)の文書の記載によれば,原告が本件ローン契約による収益を預金担保案件のカテゴリーに含めて審査検討していたことがうかがえるのであり,当事者の真意としても本件預金契約・本件ローン契約として本件取引を選択していたものと解するのが合理的である。 による収益を預金担保案件のカテゴリーに含めて審査検討していたことがうかがえるのであり,当事者の真意としても本件預金契約・本件ローン契約として本件取引を選択していたものと解するのが合理的である。 3 小括以上のとおり,被告の私法上の法律構成による否認の主張は採用することができない。 第5の2の2 法69条の限定解釈について第5の2の2の1 総論 1 課税減免規定の限定解釈の許容性前記第5の2の1の判断のとおり,本件取引から利子による利得を得て,本件源泉税を納付したのは法律的には真実原告であるといわざるを得ないが,以下法69条1項を限定解釈し,原告が同条項にいう本件各源泉税を納付したものではないとの認定判断が可能か否か検討する。 ところで,租税法律主義の見地からすると,租税法規は,納税者の有利・不利にかかわらず,みだりに拡張解釈したり縮小解釈することは許されないと解される。しかし,税額控除の規定を含む減免規定は,通常,政策的判断から設けられた規定であり,その趣旨・目的に合致しない場合を除外するとの解釈をとる余地もあり,また,これらの規定については,租税負担公平の原則から不公平の拡大を防止するため,解釈の狭義性が要請されるものということができる。 したがって,租税法律主義によっても,かかる場合に課税減免規定を限定解釈することが全く禁止されるものではないと解するのが相当である。 ところで,具体的にどのような限定解釈が可能であるかは,各課税減免規定を通じて一般化することはできず,各法規の文言,関連規定の定め方,制度の趣旨等から,当該課税減免規定から要請される解釈を探るべきである。 2 法69条(外国税額控除制度)そこで,上記観点に立ち,法69条(外国税額控除制度)の趣旨を検討する。 (1)外国税額控除 等から,当該課税減免規定から要請される解釈を探るべきである。 2 法69条(外国税額控除制度)そこで,上記観点に立ち,法69条(外国税額控除制度)の趣旨を検討する。 (1)外国税額控除制度の創設の趣旨,改正経緯我が国の法人税法は,法人の国内所得と国外所得を含めた所得全体(全世界所得)を課税対象としており,海外支店の事業所得,本店が海外に投資を行うことから生じる利子,配当,使用料等の法人が国外で得た所得(国外所得)についても,国内で得た所得と同様に課税されることとなる。 しかし,国外所得に関しては,各国が独自に発達させてきた租税制度の下に固有の課税権を排他的,普遍的に行使しており,日本国が行使する課税権の範囲が,他国の行使する課税権の範囲と重複,競合する場合が生じ得る。そして,所得の源泉地である外国が課税権を行使することは,国際的に認められていることから,同一の所得(課税物件)に対して,我が国と外国の双方の課税権が重複,競合する問題が生じるところとなる。 外国税額控除制度は,このような国際間の二重課税を排除するため昭和28年に創設されたものであり,我が国法人の海外支店等の所得に対し,外国で我が国の法人税に相当する課税を受けた場合には,当該外国で課された所得に対して我が国で法人税を課する際に,その国外所得に対する我が国の法人税額の限度内で,外国で課税された税額を控除できることとなった。 ところで,国際的二重課税を排除する方法としては,外国税額控除のほかに,国外所得免除方式があるが,我が国が外国税額控除制度を採用したのは,内外投資の中立性,すなわち,国内企業が国外進出を選択することが,国内活動をするより不利に扱われないということを重視したものである。これは,企業の海外進出に伴う経済のグローバル化と国 採用したのは,内外投資の中立性,すなわち,国内企業が国外進出を選択することが,国内活動をするより不利に扱われないということを重視したものである。これは,企業の海外進出に伴う経済のグローバル化と国際的な資本移動の自由化が進むなかで,我が国企業の海外活動を容易にし,活発な資本交流を維持,促進し,世界的な経済資源の効率的配分に資するとともに,我が国経済の長期的発展を支えるという政策を重視していたからに他ならない。なお,国外所得免除方式は,企業の居住地国において,国外所得に対する課税権を放棄するというものであり,この方式の下では,外国での課税額が少なければ少ない分だけ,企業の税負担は小さくなり,その意味で内外投資への中立性は確保されない。 そして,この外国税額控除制度は,昭和30年代後半には,我が国企業の海外事業活動の活発化に即応し,昭和37年及び同38年の改正を通じて,従前の控除すべき限度額の計算を所得の生じた当該外国ごとに行う国別限度額方式から,国外所得全体として一括して限度額の計算をする一括限度額方式を採用する等大幅な拡充整備が行われきた。 しかし,この一括限度額方式は,控除限度額の計算が比較的簡明であるといった利点がある反面,軽課税国又は非課税国の国外所得から創出される控除限度額を利用して,我が国の実効税率を超える高率で課された外国税についてまで我が国で控除され得るため,結果として国際的二重課税の排除という制度本来の趣旨を超えた控除が行われることとなるほか,高税率で課された外国の租税を控除できるようにするため,高率課税国に進出している企業が,控除枠をつくるためだけのために軽課税又は非課税国に投資を行うなど,企業が控除枠の創出を目的とした投資行動をとる誘因となるといった制度の趣旨に反する問題が生じた(「昭和63年改正 出している企業が,控除枠をつくるためだけのために軽課税又は非課税国に投資を行うなど,企業が控除枠の創出を目的とした投資行動をとる誘因となるといった制度の趣旨に反する問題が生じた(「昭和63年改正税法のすべて」(乙1)383頁以下,昭和61年10月税制調査会答申(乙114)及び昭和63年4月税制調査会中間答申(乙2)参照)。 このような制度の趣旨に反する問題をできる限り除去し,制度の本来の趣旨に沿って所要の措置を講じたのが,昭和63年12月の改正である。同改正では,①控除限度額計算上の国外所得から当該非課税国外源泉所得に係る所得の2分の1に相当する金額を控除することとされ,また,②外国において50パーセントを超える税率で課される外国法人税のうち50パーセントを超える部分を控除対象外国法人税額から除くこととし(施行令142条の3),さらに,利子等の収入金額を課税標準として源泉徴収の方法に類する方法により課される外国法人税については,金融業等利子収入割合の高い法人の所得率が10パーセント以下の場合は利子等の収入金額の10パーセントを超える部分,所得率が10パーセントを超え20パーセント以下の場合は利子等の収入金額の15パーセントを超える部分を控除対象外国法人税の額から除外することとし(同条2項),③これまで5年間の控除繰越しが認められていた控除余裕枠及び控除限度超過外国税額について,その繰越期間をいずれも3年に短縮した。 (2)外国税額控除制度の内容についてア控除限度額外国税額控除の制度については,法69条1項において「内国法人が各事業年度において外国法人税(外国の法令により課される法人税に相当する税で政令で定めるものをいう。)を納付することとなる場合には,当該事業年度の所得の金額につき66条1項から3項ま て「内国法人が各事業年度において外国法人税(外国の法令により課される法人税に相当する税で政令で定めるものをいう。)を納付することとなる場合には,当該事業年度の所得の金額につき66条1項から3項まで(各事業年度の所得に対する法人税の税率)の規定を適用して計算した金額のうち,当該事業年度の所得でその源泉が国外にあるものに対応するものとして政令で定めるところにより計算した金額を限度として,その外国法人税の額(その所得に対する負担が高率な部分として政令で定める金額を除く。)を当該事業年度の所得に対する法人税の額から控除する」旨規定している。 このように,外国税額控除は,外国に租税を納付したからといって,無制限にその納付した金額について税額控除を認められるのではなく,次の①の額又は計算式②で算出される額のうち,いずれか少ない金額を限度として控除を認められている(法69条1項,施行令142条1項,なお,計算式②の括弧書きの割合は,平成4年3月期は,2分の1(平成4年3月31日政令第85号による改正前のものが適用される。),平成5年3月期は,12分の7(平成4年改正法施行令(平成4年3月31日政令第85号)附則5条)となっている)。 (計算式)①各事業年度において納付することとなる外国法人税の額②各事業年度の全世界所得に対する日本の法人税の額当該事業年度の国外所得金額(外国で非課税とされる所得の3分の2を除く)×─────────────────────────当該事業年度の全世界所得イ控除余裕枠及び控除限度超過外国税額についての繰越期間法69条2項及び3項においては,外国税額控除の限度 ───────当該事業年度の全世界所得イ控除余裕枠及び控除限度超過外国税額についての繰越期間法69条2項及び3項においては,外国税額控除の限度額が当該事業年度に課された外国税額よりも大きく,限度額に余裕が生じた場合には,その余裕の範囲内で当該事業年度前3年以内の事業年度中に課された外国税額で,それらの年度の限度額を超えるため控除しきれなかった部分の外国税額を当期に繰り越して控除できること,反対に,当該事業年度に課された外国税額がその控除の限度額を超え十分控除しきれないときは,当該事業年度前3年以内の事業年度における控除限度額に余裕がある場合に,当該事業年度の限度額に上述した余裕額を加えた範囲内で,その当期の外国税額を控除することができることを規定している。 これは,我が国における所得計算が,発生主義を基調として行われており,外国における課税は必ずしもその課税原因となった国外源泉所得の発生に対応する我が国の課税年度中に行われるわけではなく,また,現行の外国税額控除制度が個々の国外源泉所得とそれに対応する外国法人税額を個別的に対応させて控除するのではなく,当期において納付することとなった外国法人税額を控除限度額の範囲内で控除することとなっているために,前後3年間の期間を通じて対応させ,国外源泉所得の発生時期と外国法人税額とのずれを調整するものである。 なお,余裕枠の繰越しについては,経過規定により平成元年4月1日から平成6年3月31日までの間に開始する事業年度については,従前の前5年の事業年度からの繰越限度額及び繰越外国法人税額の適用を認めている(昭和63年改正法(昭和63年12月30日法第109号)附則18条1項)。 ウ控除対象外国法人税法69条1 前5年の事業年度からの繰越限度額及び繰越外国法人税額の適用を認めている(昭和63年改正法(昭和63年12月30日法第109号)附則18条1項)。 ウ控除対象外国法人税法69条1項(外国税額の控除)に規定する外国の法令により課される法人税に相当する税とは,外国の法令に基づき外国又はその地方公共団体により法人の所得を課税標準として課される税(以下「外国法人税」という。)であることが要件とされており(施行令141条1項),また,法人の所得を課税標準として課される税と同一の税目に属する税で,法人の特定の所得につき,徴税上の便宜のため,所得に代えて収入金額その他これに準ずるものを課税標準として課されるもの等が外国法人税に含まれることとされている(施行令141条2項3号)。 さらに,法69条1項は,その所得に対する負担が高率な部分として政令で定める金額を除くとしているが,具体的には,負担が高率な部分として,外国において50パーセントを超える税率で課される外国法人税のうち50パーセントを超える部分(施行令142条の3第1項)がこれに当たるとされ,さらに,原告のように金融業を主として営む内国法人が納付することとなる所得税法23条1項(利子所得)に規定する利子等の収入金額を課税標準として源泉徴収の方法に類する方法により課される外国法人税については,所得率が10パーセント以下の場合は利子等の収入金額の10パーセントを超える部分,所得率が10パーセントを超え20パーセント以下の場合は利子等の収入金額の15パーセントを超える部分を控除対象外国法人税の額から除外することとされている(施行令142条の3第2項1号)。 (3)平成13年改正なお,平成13年法律第6号による改正により法69条1項が改正され,外国税額控除の適用が 外国法人税の額から除外することとされている(施行令142条の3第2項1号)。 (3)平成13年改正なお,平成13年法律第6号による改正により法69条1項が改正され,外国税額控除の適用がある内国法人が各事業年度において外国法人税を納付することとなる場合から,内国法人が通常行われる取引と認められないものとして政令で定める取引に起因して生じた所得に対する外国法人税を納付することとなる場合が除かれた。なお,同改正法附則6条は,新法69条1項の規定が,内国法人が平成13年4月1日以後に行う同項に規定する取引に起因して生ずる所得に対する外国法人税を納付することとなる場合について適用する旨規定している。 そして,平成13年政令第135号により新設された施行令141条4項は,改正後の法69条1項に規定する政令で定める取引として,内国法人が当該内国法人が借入れをしている者と第4条(同族関係者の範囲)に規定する特殊の関係のある者に対し,当該借り入れられた金銭の額に相当する金銭を貸し付ける取引(当該貸付けに係る利率その他の条件が,当該借入れに係る利率その他の条件に比し特に有利な条件であると認められる場合に限る。)を通常行われる取引と認められないものとして規定した。 3 限定解釈の可能性被告は,法69条1項の「納付することとなる場合」を限定解釈し,本件各取引における原告の外国源泉税の納付がこれに当たらないと主張するので,以下,前記1,2を前提に同文言の限定解釈の可能性を検討する。 (1)まず,同条の文言は,「納付することとなる場合」と一義的な規定をしており,また,「納付」自体は,租税債務の弁済という事実行為であり,加えて「納付」は我が国租税法上の固有概念であるところ,我が国の租税法上は,第三者による納付も許容されており(国税通則法 な規定をしており,また,「納付」自体は,租税債務の弁済という事実行為であり,加えて「納付」は我が国租税法上の固有概念であるところ,我が国の租税法上は,第三者による納付も許容されており(国税通則法41条),その文言自体から,例えば,真実経済的に外国法人税を負担する者による納付に限定することはできず,解釈の幅は極めて狭いといえる。 (2)つぎに,制度趣旨の点から検討するに,前記2の事実から明らかなように,外国税額控除制度は,結局のところ,同一の所得に対する国際的二重課税を排斥し,かつ,資本輸出中立性を担保しようとする極めて合理的な政策目的に基づく制度である。 ところで,昭和63年の抜本的な改正時には立法者によって,外国税額控除枠のいわゆる彼此流用の問題(一括限度額方式の下で,我が国の実効税率を超える高率で課された外国税が,他の軽課税ないし非課税とされた国外所得から生じる控除枠を利用して控除されてしまうという問題)は認識されていた。かかる彼此流用の結果,国際的二重課税の制度趣旨を超えて内国法人に税額控除の利益を与えることもあり,控除枠を創出するために,軽課税国ないし非課税国へ投資するという傾向が強まるという資本移動のゆがみが生ずることも認識されていた。 ところが,昭和63年12月の法改正は,これを一般的に禁止することはせず,控除限度額の枠の管理を強化したり,高率部分を控除対象外国法人税に含めないとすることによって対応することを明らかにしたものであると解される。改正の経緯からすると,法が無条件で彼此流用を許容したものとは解されないが,制度の客観的側面から判断すると,彼此流用については,数値基準の限度で許容するという割り切った立法政策を採ったものと解さざるを得ない。 かかる制度を採用した以上,経済主体である内国法人が外国 制度の客観的側面から判断すると,彼此流用については,数値基準の限度で許容するという割り切った立法政策を採ったものと解さざるを得ない。 かかる制度を採用した以上,経済主体である内国法人が外国税額控除枠の存在を認識して経済活動を行うことはいわば当然であり,租税法自体は法の範囲内にある限り,このような内国法人の経済活動を禁止し得るものではなく,したがって,内国法人が控除限度枠を自らの事業活動上の能力,資源として認識し,これを利用することを一般的に禁ずることはできないといわなければならない。 (3)しかしながら,本件各取引の問題は,同一法人内の彼此流用の問題ではなく,当事者の経済的な目的として,外国法人に控除枠を利用させて,その対価を得る取引が問題となっているのであるから,別途の考察が必要である。 そこで検討するに,上記(1)のとおり,文言上は限定解釈の余地は極めて狭く,また,上記(2)のとおり,外国税額控除の制度趣旨である,国際的二重課税の排斥及び資本輸出中立性の確保も一定後退せざるを得ない事情がうかがわれる。しかし,その根底には,あくまでも内国法人の海外における事業活動を阻害しないという政策があるのであるから,およそ正当な事業目的がなく,税額控除の利用のみを目的とするような取引により外国法人税を納付することとなるような場合には,納付自体が真正なものであったとしても,法69条が適用されないとの解釈が許容される余地がある。 4 具体的な判断基準そこで,法69条の「納付することとなる場合」に該当しないとする具体的な判断基準について,検討する。 この点について,被告は,法69条1項の「納付することとなる場合」とは,内国法人が正当な事業目的を有する通常の経済活動に伴う国際取引から必然的に外国税を納付することとなる場合を て,検討する。 この点について,被告は,法69条1項の「納付することとなる場合」とは,内国法人が正当な事業目的を有する通常の経済活動に伴う国際取引から必然的に外国税を納付することとなる場合をいうと主張し,当該取引が正当な事業目的を有し,当該取引から生じる外国税の納付が法69条1項の「納付することとなる場合」に該当するか否かについては以下の具体的判断基準,すなわち,取引開始前に検討されるべき事項として,①事業の目的及び取引に至る経緯,②取引の種類,③契約内容の妥当性,④予定される決済の妥当性,⑤期待利益の妥当性,⑥複数の取引相互間の関連性,⑦既存取引参画の合理性,取引開始後に検討されるべき事項として,⑧取引内容の妥当性,⑨資金の流れ,⑩リベート等収入の有無を総合的に検討の上,判断されなければならないとしている。しかしながら,被告の主張する上記判断基準は,以下に述べる理由により,採用することはできない。 すなわち,被告の主張する判断基準は,アメリカ合衆国におけるグレゴリー事件の判決において示された,当時の歳入法の組織変更規定の趣旨・目的(立法意図)から事業目的の基準を導き出し,当該取引は,形の上では組織変更の定義に該当するとしても,租税回避のみを目的とするもので,事業目的を持っていないことを理由に,それは立法者の予定している組織変更には当らず,したがって,非課税規定の適用を受け得ない,と解することによって,租税回避行為の否認を認めたのと同じ結果に到達した解釈技術,すなわち,非課税規定の立法目的に照らして,その適用範囲を限定的にあるいは厳格に解釈し,その立法目的と無縁な租税回避のみを目的とする行為をその適用範囲から除外するという解釈技術を本件事案に導入したものと考えられる。しかしながら,前述のとおり,法69条1項の「納付するこ 厳格に解釈し,その立法目的と無縁な租税回避のみを目的とする行為をその適用範囲から除外するという解釈技術を本件事案に導入したものと考えられる。しかしながら,前述のとおり,法69条1項の「納付することとなる場合」という文言は,限定解釈する余地が極めて狭い上,上記グレゴリー事件判決において確立されたといわれる「事業目的の原理」と同趣旨の概念である「正当な事業目的」を用いて「納付」の意味・内容を限定することには無理があり,困難であるといわざるを得ない。しかも,「正当な事業目的」か否かを判断するために総合考慮されるべき要素の大半は「妥当性」という判断と結びつけられていて,結局,被告のいう「正当な事業目的」か否かは,事業を全体としてみて妥当なものか否かという判断に帰着することとなるのは明らかであって,かかる判断自体客観性に問題があり,国民の経済活動の予測可能性を害する危険をはらんでいると評価せざるを得ない。のみならず,正当な事業目的を認定するには,事業目的の多様性,私的自治の原則,経済的合理人として租税の軽減を図ることは一般的に許容されていること,営利法人にとって最大の関心事は,税引き後利益であり,税を企業経営若しくは投資その他の利潤追求行動上のコストの一つとして認識することは当然であること,さらに,前記のとおり,税額控除の枠を自らの事業活動上の能力,資源として利用することを法が一般に禁じているとは解されないことなどに留意する必要があり,かつ,租税法律主義から要請される基準の明確性からもきわめて問題があるといわなければならない。 これらの点に鑑みるならば,取引各当事者に,税額控除の枠を利用することあるいは税額控除余裕枠を創出すること以外におよそ事業目的がない場合や,それ以外の事業目的が極めて限局されたものである場合には,「納付することとな るならば,取引各当事者に,税額控除の枠を利用することあるいは税額控除余裕枠を創出すること以外におよそ事業目的がない場合や,それ以外の事業目的が極めて限局されたものである場合には,「納付することとなる場合」には当たらないが,それ以外の場合には「納付することとなる場合」に該当するという基準が採用されるべきである。 かかる観点から法69条1項の「納付することとなる場合」に該当しないとされる取引としては,具体的には,内国法人が預金利息に源泉税が課されない国の支店を通じて,利息等の収入金額に比較的低率の源泉税を課す国の外国法人に融資を行うと同時に,当該外国法人から同額の預金を受け入れることにより,外国税額控除の余裕枠を創出するといった事案が考えられよう。すなわち,上記事案においては,相手の外国法人においては経済的な目的は特に認められず,一方,内国法人には,外国税額控除の余裕枠を創出するという目的(税額控除の枠を利用する一形態と見うる。)のみが見られるのである。 5 本件各取引へのあてはめ(1)本件各取引をみると,前記第5の2の1の2で検討したとおり,本件各取引においては,テレコム社案件における160億円,ユーロピアン社案件及びファースト社案件における各2億米ドルについては,原告,テレコムNZ社及びテレコムCA社,並びに,原告,クック諸島法人及びバーミューダ法人の間で循環している事情がうかがわれる。 そして,かかる関係のみに着目すると当裁判所が法69条1項の「納付することとなる場合」に該当しないとされる取引の具体例としてあげた前記事例に状況が類似すると指摘することが可能である。 しかしながら,本件各取引を,テレコムCA社,キングストン社及びグレシャム(以下,併せて「資金調達法人」という。)とテレコムNZ社,ユーロピアン社 況が類似すると指摘することが可能である。 しかしながら,本件各取引を,テレコムCA社,キングストン社及びグレシャム(以下,併せて「資金調達法人」という。)とテレコムNZ社,ユーロピアン社及びファースト社(以下,併せて「資金運用法人」という。)間の円貨あるいは米ドルとNZドルの通貨・金利スワップをも含めて全体として考察し判断するならば,前記第5の2の1の2で検討したとおり,当事者の目的は,資金調達法人の資金運用法人に対する投資の総合的コストを下げることにあったと解される。そして,本件各取引において,原告以外の当事者が原告の有する控除枠を利用するのは,あくまでも,上記コストを低下させるための手段と位置づけることが可能である。 原告は,金融機関として,各当事者の意図を認識した上で,自らの外国税額控除枠を利用して,よりコストの低い金融を提供し,その対価として,0.185パーセントないし0.375パーセントの利ざや及び手数料を得る取引を行ったと解することができる。すなわち,原告は,金融機関として,資金調達法人と資金運用法人の投資の総合的コストを下げるというそれ自体はなんら非難することのできない事業目的を実現するために,自らの業務の一環として外国税額控除枠を利用してコストを引き下げた融資を行ったのであり,これを相手方に対する金融サービスと位置づけることが可能である。 したがって,原告は,かかる資金調達法人及び資金運用法人の事業目的のために,金融機関としての金融サービスを提供してその対価を得たというべきであり,これらの行為を事業目的のない不自然な取引であると断ずることはできず,原告が資金仲介機能を有する銀行であることを併せ考えると,原告についてもまた税額控除を利用する以外の事業目的を認めることが可能となるのである。 (2) のない不自然な取引であると断ずることはできず,原告が資金仲介機能を有する銀行であることを併せ考えると,原告についてもまた税額控除を利用する以外の事業目的を認めることが可能となるのである。 (2)そして,前記第5の2の1の2で認定判断したとおり,各利ざやは預金担保という極めてリスクの低い取引を前提として,あるいは,邦銀間の競争を前提として,利ざやを判断して決定されたものであり,その総額も平成2年3月期では3125万6499円,平成3年3月期では2985万7119円,平成4年3月期では3億3454万4766円,平成5年3月期では2億9539万1876円となり,本件ローン契約が担保としては極めて安定した預金を担保とした取引であることを考慮するならば相当な範囲の利ざやと評価でき,前記事業目的が極めて限局された事業目的であると断ずることはできない。 (3)被告は,本件各取引が外国税額控除制度の濫用に当たるとして,本件各取引のスキームが租税を回避する目的のものとに仕組まれたものであること,原告には実質的な所得がなく,本件各取引が故意に二重課税を生じさせたものであること,原告が資金運用法人の居住国にある支店等を用いず経費控除を回避したことなどを指摘する。 この点,確かに,被告が指摘する事実の側面は認められるが,かかる事実も,上記(1)のとおり原告に事業目的が認められるという点を併せ考えると,必ずしも濫用と断言できるものではない。 (4)さらに,被告は,租税回避行為に加担した場合の報酬の取得をもって事業目的とすることはできないと主張するが,本件において,原告が取得した利ざやは,貸付利息と預金利息との差額であり,租税回避行為に加担したことに対する報酬であるのか,許容される事業による利益であるのか,これを峻別することは困難というべきであり,い いて,原告が取得した利ざやは,貸付利息と預金利息との差額であり,租税回避行為に加担したことに対する報酬であるのか,許容される事業による利益であるのか,これを峻別することは困難というべきであり,いまだ,事業目的がないと断定することはできない。 6 小括以上のとおり,被告の法69条の限定解釈による否認の主張も採用することはできない。 第5の3 まとめ,税額以上のとおり,本件各源泉税については法69条が適用されるべきであり,これに反する被告の本件各更正処分は違法であり,その限度で取消しを免れない。 そこで,以下,前記第2の3,1ないし4の事実,上記第5の2の判断,証拠(甲1ないし6)及び弁論の全趣旨に基づき正当な税額を検討する。 1 平成2年3月期について(1)所得金額について3568億7444万3939円同金額は,当事者間に争いのない平成5年5月31日付け更正処分により求めた。 (2)法人税額についてア所得金額に対する法人税額1415億6289万6850円同税額は,原告の当期の所得金額から国税通則法118条1項の規定により1000円未満の端数金額を切り捨てた金額3568億7444万3000円に法66条1項(平成10年法律第24号による改正前のもの。以下同じ。ただし,昭和63年法律109号改正附則17条によるもの。)に規定する税率100分の40(ただし,一部,租税特別措置法42条の2《配当等に充てた所得に対する法人税率の特例》1項(ただし,昭和63年法律109号改正附則68条によるもの)に規定する軽減された税率を適用する。)を乗じたものである。 イ控除税額 税率の特例》1項(ただし,昭和63年法律109号改正附則68条によるもの)に規定する軽減された税率を適用する。)を乗じたものである。 イ控除税額277億1169万7768円平成2年3月期更正処分による控除税額の計算は,本件取引が否認されたことによる修正であり,前記第5の2の判断に基づきニュー・ジーランド源泉税1億3853万1755円を控除することが可能であることから,本件更正処分直前の原告の控除税額277億1169万7768円全額が税額控除の対象となる。 ウ差引合計法人税額1138億5119万9000円同税額は,前記アの所得金額に対する法人税額1415億6289万6850円から,前記イの控除税額277億1169万7768円を減算した金額1138億5119万9082円から国税通則法119条1項の規定により100円未満の端数金額を切り捨てたものである。 (3)重加算税の賦課決定処分について同重加算税4411万0500円は,いずれも,テレコム社案件に係る本件取引を否認することから生じた納付すべき税額1億2602万9400円を基礎としたものであるから,全額につき不適法である。 2 平成3年3月期について(1)所得金額について2131億5724万2448円同金額は,当事者間に争いのない平成6年11月30日付け更正処分により求めた。 (2)法人税額についてア所得金額に対する法人税額799億3396万5750円同税額は,原告の当期の所得金額から国税通則法118条1項の規定により1000円未満の端数金額を切 額に対する法人税額799億3396万5750円同税額は,原告の当期の所得金額から国税通則法118条1項の規定により1000円未満の端数金額を切り捨てた金額2131億5724万2000円に法66条1項に規定する税率100分の37.5を乗じたものである。 イ控除税額221億1979万5168円平成3年3月期更正処分による控除税額の計算は,本件取引が否認されたことによる修正であるので,前記第5の2の判断に基づきニュー・ジーランド源泉税2億0114万7399円を控除することが可能であることから,本件更正処分直前の原告の控除税額221億1979万5168円全額が税額控除の対象となる。 ウ差引合計法人税額578億1417万0500円同税額は,前記アの所得金額に対する法人税額799億3396万5750円から,前記イの控除税額221億1979万5168円を減算した金額578億1417万0582円から国税通則法119条1項の規定により100円未満の端数金額を切り捨てたものである。 (3)重加算税の賦課決定処分について同重加算税6580万7000円は,いずれもテレコム社案件に係る本件取引を否認することから生じた納付すべき税額を基礎として算定されたものであるから全額につき違法である。 3 平成4年3月期について(1)所得金額についてア平成7年3月31日付け更正処分による所得金額2198億1788万3015円イ交際費等の損金不算入額(本件平成4年3月期再更正処分)1億1 所得金額2198億1788万3015円イ交際費等の損金不算入額(本件平成4年3月期再更正処分)1億1705万9506円ウ所得金額2199億3494万2521円同金額は,前記アの平成7年3月31日付け更正処分による所得金額2198億1788万3015円にイの交際費等の損金不算入額1億1705万9506円を加えて求めたものである。 (2)法人税額についてア所得金額に対する法人税額824億7560万3250円同金額は,原告の当期の所得金額は,前記(1)ウのとおりであるから,同金額から国税通則法118条1項の規定により1000円未満の端数金額を切り捨てた金額2199億3494万2000円に法66条1項に規定する税率100分の37.5を乗じて求めたものである。 イ控除税額255億3343万8074円同金額は,本件更正処分により減少された控除対象外国法人税額16億0965万0372円が前記判断を前提とするといずれも控除限度枠内に含まれると解されるので,これを加えた255億3343万8074円として求めた。 ウ差引合計法人税額569億4216万5100円同税額は,前記アの所得金額に対する法人税額824億7560万3250円から,同イの控除税額255億3343万8074円を減算した金額569億4216万5176円から国税通則法119条1項の規定により100円未満の端数金額を切り捨てたものである。 (3)過少申告加 円から,同イの控除税額255億3343万8074円を減算した金額569億4216万5176円から国税通則法119条1項の規定により100円未満の端数金額を切り捨てたものである。 (3)過少申告加算税及びの賦課決定処分について同過少申告加算税1億3139万4000円は,本件各取引を否認することから生じた納付すべき税額を基礎として算定されたものであるから全額につき違法である。 (4)重加算税の賦課決定処分について同重加算税5768万0000円は,いずれもテレコム社案件に係る本件取引を否認することから生じた納付すべき税額を基礎として算定されたものであるから全額につき違法である。 4 平成5年3月期について(1)所得金額についてア平成7年3月31日付け更正処分による所得金額2632億3080万3871円イ交際費等の損金不算入額(平成8年3月29日付け更正処分及び本件平成5年3月期再更正処分)1億4288万1851円ウ損金の額に算入される通信費の額(平成8年3月29日付け更正処分)24万9050円エ事業税の損金算入額(本件平成5年3月期再更正処分)1404万6000円オ所得金額2633億5939万0672円同金額は,上記アの平成7年3月31日付け更正処分による所得金額2632億3080万3871円に,上記イの交際費等の損金不算入額1億4288万1851円を加算し,同ウの損金の額に算入される通信費の額24万9050円及び同エの事業税の損金算 正処分による所得金額2632億3080万3871円に,上記イの交際費等の損金不算入額1億4288万1851円を加算し,同ウの損金の額に算入される通信費の額24万9050円及び同エの事業税の損金算入額1404万6000円を減算して求めた。 (2)法人税額についてア所得金額に対する法人税額987億5977万1250円同税額は,原告の当期の所得金額が,前記(1)オのとおりであるから,同金額から国税通則法118条1項の規定により1000円未満の端数金額を切り捨てた金額2633億5939万0000円に法66条1項に規定する税率100分の37.5を乗じて求めたものである。 イ課税土地譲渡利益金額に対する税額19億4494万8100円ウ控除税額297億1035万9229円同金額は,本件更正処分により減額された控除対象外国法人税13億0712万4919円が,前記判断を前提とすると控除限度額内にあると解され,同金額を加えて求めた。 エ差引合計法人税額709億9436万0100円同税額は,前記アの所得金額に対する法人税額987億5977万1250円に同イの課税土地譲渡利益金額に対する税額19億4494万8100円を加算し,同ウの控除税額297億1035万9229円を減算した金額709億9436万0121円から国税通則法119条1項の規定により100円未満の端数金額を切り捨てて求めた。 (3)過少申告加算税の賦課決定処分について同過少申告加算税1億1248万1000円は,いずれも本件各取引を否認することから生じた納付すべき税額 00円未満の端数金額を切り捨てて求めた。 (3)過少申告加算税の賦課決定処分について同過少申告加算税1億1248万1000円は,いずれも本件各取引を否認することから生じた納付すべき税額を基礎として算定されたものであるから全額につき違法である。 (4)重加算税の賦課決定処分について同重加算税2112万9500円は,いずれもテレコム社案件に係る本件取引を否認することから生じた納付すべき税額を基礎として算定されたものであるから全額につき違法である。 第6 結論以上のとおり,第1原告の請求のうち3(1)及び4(1)に係る訴えは不適法であるから却下し,同4(1)’は差引所得に対する法人税額が金709億9436万0100円を超える部分は理由があるから認容し,その余は理由がないから棄却し,原告のその余の請求はいずれも理由があるから認容することとし,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第二民事部裁判長裁判官三浦潤裁判官林俊之裁判官千松順子

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