- 1 -平成26年6月27日判決言渡平成23年(行ウ)第370号法人税更正処分取消等請求事件 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 麹町税務署長が原告に対し平成21年10月29日付けでした,原告の被合併法人である株式会社A(以下「A」という。)の平成20年1月29日から同年4月30日までの事業年度(以下「平成20年4月期」という。)の法人税に係る更正をすべき旨の請求(以下「本件更正の請求」という。)に対する更正をすべき理由がない旨の通知処分(以下「本件通知処分」という。)を取り消す。 2 麹町税務署長が原告に対し平成22年3月31日付けでした,①Aの平成20年4月期の法人税の更正の処分(以下「平成20年4月期更正処分」という。)のうち所得の金額がマイナス17億2998万2665円を超え,翌期へ繰り越す欠損金額が17億2998万2665円を下回り,納付すべき税額がマイナス2億0139万3906円を超える部分及び②平成20年4月期更正処分に係る過少申告加算税の賦課決定の処分(以下「平成20年4月期賦課決定処分」といい,これと平成20年4月期更正処分とを併せて以下「平成20年4月期更正処分等」という。)を,いずれも取り消す。 3 麹町税務署長が原告に対し平成22年3月31日付けでした,原告の平成20年1月1日から同年12月31日までの連結事業年度(以下「平成20年12月連結期」という。)の法人税の更正の処分(以下「平成20年12月連結期更正処分」といい,平成20年4月期更正処分と平成20年12月連結期更正処分を併せて以下「本件各更正処分」といい,本件各更正処分と平成20年 - 2 -4月期賦課決定処分を併せて以下「本 結期更正処分」といい,平成20年4月期更正処分と平成20年12月連結期更正処分を併せて以下「本件各更正処分」といい,本件各更正処分と平成20年 - 2 -4月期賦課決定処分を併せて以下「本件各更正処分等」という。)のうち連結所得の金額がマイナス282億8814万7654円を超え,翌期へ繰り越す連結欠損金額が282億8814万7654円を下回る部分を取り消す。 第2 事案の概要等 1 事案の要旨(1)ア原告は,平成20年12月連結期から連結納税の承認を受けている持株会社であり,同年5月1日,原告を合併法人とし,Aを被合併法人とする吸収合併(以下「本件合併」という。)をしたため,同社の平成20年4月期の法人税の申告及び納税の義務を承継した。 イ(ア) 原告は,①Aが発行済株式の100%を引き受け,英国領ケイマン諸島(以下「ケイマン」という。)に本店を有するものとしケイマン法を準拠法として設立された日本国内に支店を有する外国法人であるBが租税特別措置法(平成20年法律第23号による改正前のもの。以下「措置法」という。)66条の6第1項及び租税特別措置法施行令(平成20年政令第161号による改正前のもの。以下「措置令」という。)39条の14第1項にいう特定外国子会社等(以下単に「特定外国子会社等」という。)に該当するものとして,Aの平成20年4月期の法人税の確定申告をしたが,②その後,Bが同社の平成19年4月1日から同年12月31日までの事業年度(以下「B平成19年12月期」という。)においてAに係る特定外国子会社等に該当しなかったとして,Aの平成20年4月期の法人税に係る本件更正の請求をした。 (イ) 麹町税務署長は,①本件更正の請求に対し,更正をすべき理由がない旨の本件通知処分をするとともに,②Aの平成20年4月期の たとして,Aの平成20年4月期の法人税に係る本件更正の請求をした。 (イ) 麹町税務署長は,①本件更正の請求に対し,更正をすべき理由がない旨の本件通知処分をするとともに,②Aの平成20年4月期の法人税につき,BがB平成19年12月期においてAに係る特定外国子会社等に該当し,特定外国子会社等の「課税対象留保金額」(措置法66条の6第1項)の益金の額への算入漏れがあるなどとして,平成20年4月 - 3 -期更正処分等をした。 ウ ①原告は,平成20年12月連結期の連結所得の金額の計算につき,原告がAの平成20年4月期における翌期へ繰り越す欠損金額を承継したものとして,平成20年12月連結期の法人税の申告をしたところ,②麹町税務署長は,平成20年4月期更正処分を前提に,欠損金額の損金の額への算入額が過大であるとして,平成20年12月連結期更正処分をした。 (2) 本件は,原告が,①特定外国子会社等の範囲について定める措置令39条の14第1項1号の規定は,措置法66条の6第1項のいわゆる柱書きの規定による委任の範囲を超える無効なものである,②B平成19年12月期において,Bは国内源泉所得(法人税法141条1号,143条)のみを有していたものであるところ,いわゆる外国子会社合算税制の趣旨,これに関する措置令の規定の内容等に照らせば,○ア特定外国子会社等の国内源泉所得は,措置法66条の6第1項の「課税対象留保金額」には該当せず,○イまた,Bは同期においてAに係る特定外国子会社等に該当しないものというべきであり,○ウさらに,少なくとも本件事案に限っては,同税制に関する措置法及び措置令の規定を限定解釈し,同期におけるBにはこれらの規定は適用されないものと解すべきであるなどと主張して,本件通知処分及び本件各更正処分等(これらを総称し 事案に限っては,同税制に関する措置法及び措置令の規定を限定解釈し,同期におけるBにはこれらの規定は適用されないものと解すべきであるなどと主張して,本件通知処分及び本件各更正処分等(これらを総称して以下「本件各処分」という。)の各取消し(ただし,平成20年4月期更正処分につき取消しを求める範囲は,前記第1の2①のとおり。)を求める事案である 。 2 関係法令等の定め別紙1(関係法令等の定め)に記載のとおりである(同別紙において定めた略称は,以下においても用いることとする。)。 3 前提事実(証拠等の掲記のない事実は,当事者間に争いがないか,当事者において争うことを明らかにしない事実である。以下「前提事実」という。)(1) 原告等 - 4 -ア原告は,米国法人であるCのいわゆる100%子会社であり,金融商品取引法に規定する金融商品取引業等を営む外国会社の株式を有することにより,当該会社の事業活動を支配・管理することを目的とする株式会社である。 イ Aは,平成14年2月18日,その子会社であるD株式会社(以下「D」という。)が有していたいわゆる政策保有株式の一部を譲り受けるための法人として,その発行済株式の100%を引き受け,ケイマン法を準拠法とし(乙7),ケイマンを本店の所在地とするBを設立した。そして,Dは,同年3月末,その有していた政策保有株式(時価約317億円,簿価約463億円)を,A及びB(E支店)に売却した。 なお,Bは,その設立時から東京にのみ支店を有しているところ,ケイマンに所在する同社の本店に実態はなく,上記の政策保有株式の管理はE支店において行われており,同社の全ての資産,負債及び損益は,E支店に帰属している(乙6,7)。また,Aは,B平成19年12月期終了時においてもBの発行済株式の全部 く,上記の政策保有株式の管理はE支店において行われており,同社の全ての資産,負債及び損益は,E支店に帰属している(乙6,7)。また,Aは,B平成19年12月期終了時においてもBの発行済株式の全部を有していた(乙10)。 (2) BによるB平成19年12月期の法人税等の納付等ア BのB平成19年12月期の所得の金額は,385億8167万0508円であったところ,同社は,平成20年1月22日,200億円を配当する旨の決議をし,同月25日,Aに対し,上記200億円を配当(以下「本件配当金」という。)として支払った 。 イ Bは,平成20年2月6日,B平成19年12月期の本邦における法人税,法人住民税及び法人事業税につき,前記アの385億8167万0508円を同期の所得の金額(この金額を以下「本件所得」という。)として確定申告をし(甲4の1・2),同月29日,上記の法人税等として合計178億1406万4000円(法人税115億2640万6300円,法人住民税23億9672万9800円,法人事業税38億9092万7 - 5 -900円)を納付した(上記法人住民税及び法人事業税の納付につき弁論の全趣旨)。 (3) 原告とAとの合併等ア原告は,平成20年1月29日,Aとの間で,原告の完全親会社であるCの普通株式を交付するものとする株式交換(いわゆる三角株式交換)をし,これにより,Aは,原告の完全子会社となった。また,Aは,同日,原告を連結親法人とする連結法人に属することとなった。 イ原告は,平成20年5月1日,原告を合併法人とし,Aを被合併法人とする吸収合併(本件合併)をし,同社の平成20年4月期の法人税の申告及び納税の義務を承継した。 (4) 確定申告等ア Aの平成20年4月期の法人税について(ア) 原告は,平成2 被合併法人とする吸収合併(本件合併)をし,同社の平成20年4月期の法人税の申告及び納税の義務を承継した。 (4) 確定申告等ア Aの平成20年4月期の法人税について(ア) 原告は,平成20年7月30日,BがAに係る特定外国子会社等に該当するものとして,別表1中の「原告被合併法人 (株)A 平成20年4月期」の表の「①確定申告」欄記載のとおり,Aの平成20年4月期の法人税の確定申告をした。同申告に係る確定申告書(甲5の1。以下「平成20年4月期確定申告書」という。)の別表十七(二)(特定外国子会社等に係る課税対象留保金額又は個別課税対象留保金額の計算に関する明細書)には,課税対象留保金額として7億6760万6508円(本件所得385億8167万0508円を「未処分所得の金額」〔措置法66条の6第1項〕とし,それから前記(2)イの法人税等の額である178億1406万4000円及び本件配当金の額である200億円を控除した金額)と記載され,その別表四(所得の金額の計算に関する明細書)においては,上記の課税対象留保金額が益金の額に加算されている。 (イ) 原告は,平成21年7月31日,BはB平成19年12月期において - 6 -Aに係る特定外国子会社等に該当しなかったとして,別表1中の「原告被合併法人 (株)A 平成20年4月期」の表の「②更正の請求」欄記載のとおり本件更正の請求をした。 イ原告の平成20年12月連結期について原告は,平成21年6月1日,原告がAの平成20年4月期における翌期へ繰り越す欠損金額を承継したものとして,別表1中の「原告 F(株) 平成20年12月連結期」の表の「⑩確定申告」欄のとおり,原告の平成20年12月連結期の法人税の確定申告をした(同申告に係る確定申告書〔以下「平成20年12月連結期 て,別表1中の「原告 F(株) 平成20年12月連結期」の表の「⑩確定申告」欄のとおり,原告の平成20年12月連結期の法人税の確定申告をした(同申告に係る確定申告書〔以下「平成20年12月連結期確定申告書」という。〕は甲6)。 (5) 本件通知処分及び本件各更正処分等の経緯等ア麹町税務署長は,原告に対し,平成21年10月29日付けで,別表1中の「原告被合併法人 (株)A 平成20年4月期」の表の「③通知処分」欄記載のとおり,本件更正の請求に対して更正をすべき理由がない旨の本件通知処分をした。 イ麹町税務署長は,原告に対し,平成22年3月31日付けで,①特定外国子会社等に係る課税対象留保金額の加算漏れ等を理由として,別表1中の「原告被合併法人 (株)A 平成20年4月期」の表の「⑥更正処分」欄記載のとおり平成20年4月期更正処分等をするとともに,②分割前事業年度等の欠損金額の損金の額への算入額が過大であること等を理由として,別表1中の「原告 F(株) 平成20年12月連結期」の表の「⑪更正処分」欄記載のとおり平成20年12月連結期更正処分をした。 ウ本件通知処分及び本件各更正処分等についての異議申立てないし審査請求,これらについての決定ないし裁決の経緯は,別表1(ただし,各表中の前記ア及びイにおいて言及した各欄を除く。)記載のとおりである。 (6) 本件訴えの提起 - 7 -原告は,平成23年6月10日,本件訴えを提起した(当裁判所に顕著な事実)。 4 本件各更正処分等の根拠及び適法性に関する被告の主張別紙3(争点に関する当事者の主張の要点)中に被告の主張の要点として摘示されているもののほか,別紙2(本件各更正処分等の根拠及び適法性に関する被告の主張)に記載されているとおりであ 被告の主張別紙3(争点に関する当事者の主張の要点)中に被告の主張の要点として摘示されているもののほか,別紙2(本件各更正処分等の根拠及び適法性に関する被告の主張)に記載されているとおりである(これらの別紙において定めた略称は,以下においても用いることとする。)。 5 争点(1) 本件訴えのうち本件通知処分の取消請求に係る部分についての訴えの利益の有無(争点1)(2) 特定外国子会社等の範囲について定める措置令39条の14第1項1号の規定が措置法66条の6第1項の柱書きの規定による委任の範囲を超える無効なものであるか否か(争点2)(3) Bの国内源泉所得が措置法66条の6第1項にいう「課税対象留保金額」に該当するか否か(争点3)(4) B平成19年12月期においてBがAに係る特定外国子会社等に該当するか否か(争点4)(5) 本件の事案に限って外国子会社合算税制に関する措置法及び措置令の規定を限定解釈し,B平成19年12月期におけるBについてはこれらの規定が適用されないものと解すべきであるか否か(争点5) 6 争点に関する当事者の主張の要点別紙3(争点に関する当事者の主張の要点)に記載されているとおりである。 第3 当裁判所の判断 1 本件訴えのうち本件通知処分の取消請求に係る部分についての訴えの利益の有無(争点1)について(1) 被告は,①総額主義の下では,通知処分の取消訴訟における審理の対象は, - 8 -税額全体であって,通知処分の取消訴訟と増額更正処分の取消訴訟とは,審理の対象が重なり合い,これらの処分を別々の訴訟で争わせると,同一の納税義務についての裁判所の判断に矛盾・抵触が生ずるおそれがある,②通知処分が申告税額の減少の理由の有無についてのみに関わるのに対し,増額更 重なり合い,これらの処分を別々の訴訟で争わせると,同一の納税義務についての裁判所の判断に矛盾・抵触が生ずるおそれがある,②通知処分が申告税額の減少の理由の有無についてのみに関わるのに対し,増額更正処分は,納付すべき税額全体に関わり,申告税額を正当でないものとして否定し,これに増額更正を加えて税額の総額を確定するものであって,増額更正処分の内容は通知処分の内容を包摂する関係にあるといい得るから,通知処分と増額更正処分が相前後してされた場合は,通知処分が増額更正処分に吸収され,増額更正処分のみが取消訴訟の対象となると解すべきであるなどとして,本件訴えのうち本件通知処分の取消請求に係る部分については,訴えの利益を欠く旨主張する。 (2) 納付すべき税額の確定の手続について申告納税方式によるものとされる国税においては,納付すべき税額は,納税者のする申告によって確定することが原則とされ(通則法16条1項1号),納税者においてその申告に係る既に確定した税額を減少させるためには,税務署長等に対して更正の請求をし,その請求に係る課税標準等又は税額等についての調査により上記申告に係る税額を減少させる更正の処分(以下「減額更正処分」という。)がされることを要するのであって(同法23条),上記の調査によっても更正をすべき理由がない旨をその請求をした者に通知する処分(通知処分)は,納税者の更正の請求に対して税務署長等がその請求において理由とされたところをもって減額更正処分をすることを拒否する応答をするものであって,これがされることを通じ,納付すべき税額が申告により既に確定したとおりであることが確認される意味を持つものということができる(なお,税務署長等が更正の請求がされたことを契機として当該請求において理由とされたところとは別の事由に基づき職権により より既に確定したとおりであることが確認される意味を持つものということができる(なお,税務署長等が更正の請求がされたことを契機として当該請求において理由とされたところとは別の事由に基づき職権により減額更正処分をする場合については,ひとまずおく。)。一方,税務署長等が申告に係る税額を増加させる更正の処分 - 9 -(増額更正処分)をした場合においては,納税者の納付すべき税額は当該増額更正処分により改めて確定されるが(同法16条1項1号等参照),納税者が更正の請求の手続(同法23条1項参照)を執ることなくその取消しを求めることができるのは,当該増額更正処分に係る税額のうち納税者の申告に係る税額を超える部分のみである(同法29条1項参照)。このように,増額更正処分と通知処分とは,内容を異にし別個の効果を有する処分であり,関係法令を見ても,それぞれについて個別に審査請求ないし訴訟の対象とすることを妨げる明文規定は見当たらず,また,通知処分がされた後に増額更正処分がされた場合において,通知処分が増額更正処分に吸収される旨を定めた規定や,納税者が増額更正処分についての審査請求やその取消しの訴えの中で,増額更正処分のうち納税者の申告に係る税額を超える部分のみならず,上記申告に係る税額と更正の請求に係る税額との差額部分についても,併せて当然に取消しを求めることができる旨を定めた規定も見当たらない。 そうすると,納税者において,後にされた増額更正処分のうち納税者の申告に係る税額と更正の請求に係る税額との差額部分を争うためには,通知処分について適法に不服申立てをした上で適法にそれの取消しの訴えを提起することが必要とされるものというべきであるから,本件訴えのうち本件通知処分の取消請求に係る部分について,訴えの利益を欠くということはできない。 被告が指 立てをした上で適法にそれの取消しの訴えを提起することが必要とされるものというべきであるから,本件訴えのうち本件通知処分の取消請求に係る部分について,訴えの利益を欠くということはできない。 被告が指摘する同一の納税義務についての判断の矛盾・抵触という問題については,不服申立てに関しては,併合審理によって対処するものとされており(同法104条),訴訟に関しても,同様に,請求の併合(行政事件訴訟法13条等)ないし口頭弁論の併合(同法7条,民事訴訟法152条1項)によって対処することが可能であるところ,不服の利益の消長をめぐって訴訟においては不服申立てにおけるのと異なる取扱いをするのを相当とする根拠となるべき法令の規定は見当たらず,上記の点をもって既に述べたような当裁判所の判断を左右するものとはいえない。 - 10 -以上のとおりであって,争点1に関する被告の主張は,採用することができない。 2 外国子会社合算税制の概要(1) 措置法66条の6第1項等の定めア措置法66条の6第1項は,内国法人に係る特定外国子会社等が,各事業年度において,適用対象留保金額を有する場合には,その適用対象留保金額のうち課税対象留保金額に相当する金額を,その内国法人の収益の額とみなして当該内国法人の一定の事業年度の所得の金額の計算上,益金の額に算入する旨を定めている。 そして,特定外国子会社等とは,同項の規定による委任に基づき定められた措置令39条の14第1項において,①法人の所得に対して課される税が存在しない国又は地域に本店又は主たる事務所を有する外国関係会社(同項1号)及び②その各事業年度の所得に対して課される租税の額が当該所得の金額の100分の25以下である外国関係会社(同項2号)をいうものとされている。 イ一方,措置法6 る外国関係会社(同項1号)及び②その各事業年度の所得に対して課される租税の額が当該所得の金額の100分の25以下である外国関係会社(同項2号)をいうものとされている。 イ一方,措置法66条の6第4項は,同条1項及び3項の規定は,同条1項各号に掲げる内国法人に係る同条3項に規定する特定外国子会社等がその本店又は主たる事務所の所在する国又は地域において固定施設を有するものである場合(同条3項参照)であって,各事業年度においてその行う主たる事業が同条4項各号に掲げる事業のいずれに該当するかに応じ当該各号に定める場合に該当するときは,当該特定外国子会社等のその該当する事業年度に係る適用対象留保金額については,適用しない旨を定めている。 (2) 外国子会社合算税制の趣旨及び目的ア外国子会社合算税制は,いわゆるタックス・ヘイブン(軽課税国)にその本店等が所在する外国法人で我が国の法人又は居住者により株式又は出 - 11 -資の保有を通じて支配されているとみなされるものの留保所得をそれらの我が国の株主のいわゆる持分に応じてその所得に合算して課税するというものである(甲12)。その目的は,タックス・ヘイブンにある子会社等で我が国の株主により支配されているようなものに我が国の株主が所得を留保し,我が国での税負担を不当に軽減することを規制することにあり,特定外国子会社等の適用対象留保金額のうち株主の持分に応じて計算される課税対象留保金額を「収益の額とみなして」これを合算して課税するという課税方法が採用されているのは,株主たる内国法人又は居住者に係る課税対象留保金額が,通常であれば当該内国法人又は居住者に対する剰余金の配当等として支払われるべき性質のものであり,株主は子会社等にそうさせるだけの支配力を有しているにもかかわらず,子 居住者に係る課税対象留保金額が,通常であれば当該内国法人又は居住者に対する剰余金の配当等として支払われるべき性質のものであり,株主は子会社等にそうさせるだけの支配力を有しているにもかかわらず,子会社等が剰余金の配当等を全くあるいはわずかしかせず,留保所得を蓄積しているところに税の回避を推認し得るという考え方の表れであるとされている(乙8)。 そして,ある国又は地域がタックス・ヘイブンに該当するか否かについて,外国子会社合算税制の導入時においては,昭和53年大蔵省告示第38号により,タックス・ヘイブンに該当する国又は地域が具体的に指定されていた(乙9。いわゆる軽課税国指定制度)が,平成4年の税制改正において,税の回避に利用されやすい課税上の措置を講ずる国があとを絶たず,諸外国の税制改正のめまぐるしい動きを漏れなく適時適切に把握することは非常に困難となってきたことから,上記のような軽課税国指定制度は廃止され,個々の外国関係会社ごとに,特定外国子会社等に当たるか否かを判定することとされたものである(甲13)。 このように,措置法66条の6第1項の規定は,内国法人が,法人の所得に対して課される税の負担がないか又は本邦におけるそれに比して著しく低い国又は地域に子会社を設立して経済活動を行い,当該子会社に所得を留保することによって,我が国における税の負担を回避しようとする事 - 12 -例が生ずるようになったことから,課税要件を明確化して課税執行面における安定性を確保しつつ,このような事例に対処して税負担の実質的な公平を図ることを目的として,一定の要件を満たす外国会社を内国法人に係る特定外国子会社等と規定し,これが適用対象留保金額を有する場合に,当該内国法人の有する株式等に対応するものとして算出された一定の金額を当該内国法人の所得の 一定の要件を満たす外国会社を内国法人に係る特定外国子会社等と規定し,これが適用対象留保金額を有する場合に,当該内国法人の有する株式等に対応するものとして算出された一定の金額を当該内国法人の所得の金額の計算上益金の額に算入することとしたものということができる(前掲最高裁平成19年9月28日第二小法廷判決,前掲最高裁平成21年10月29日第一小法廷判決参照)。 イ一方,特定の内国法人に係る特定外国子会社等に該当する外国法人であっても,独立企業としての実体を備え,その所在する国又は地域において事業活動を行うことにつき十分な経済合理性がある場合にまで上記の取扱いを及ぼすとすれば,当該内国法人の海外進出を不当に阻害するおそれがあることから,措置法66条の6第4項は,特定外国子会社等の事業活動が固定施設を有し実体を備えていることなど経済合理性を有すると認められるための要件を法定した上,これらの要件が全て満たされる場合には同条1項の規定を適用しないこととしたものである(前掲最高裁平成21年10月29日第一小法廷判決参照)。 (3) 課税対象留保金額の計算課税対象留保金額は,概要,まず内国法人に係る特定外国子会社等の「未処分所得の金額」を計算し,それから法人所得税の額等を控除して「適用対象留保金額」を計算した上で,これに当該内国法人が有する株式の割合を乗じて計算される。 ア未処分所得の金額(措置法66条の6第2項2号)未処分所得の金額とは,特定外国子会社等の各事業年度の決算に基づく所得の金額につき,法人税法及び措置法による各事業年度の所得の金額の計算に準ずるものとして政令で定める基準により計算した金額を基礎とし - 13 -て政令で定める調整を加えた金額をいう(措置法66条の6第2項2号)。 そして,上記の政令で定 年度の所得の金額の計算に準ずるものとして政令で定める基準により計算した金額を基礎とし - 13 -て政令で定める調整を加えた金額をいう(措置法66条の6第2項2号)。 そして,上記の政令で定める基準により計算した金額は,原則として,特定外国子会社等の各事業年度の決算に基づく所得の金額について,一定の「本邦法令の規定」の例に準じて計算した場合に算出される所得の金額等により計算することとなるが(措置令39条の15第1項),これにかかわらず,当該特定外国子会社等の「本店所在地国の法令」の規定により計算した所得の金額により計算することも認められている(同条2項)。 なお,内国法人に係る特定外国子会社等の各事業年度につき控除対象配当等の額がある場合には,措置法66条の6第2項2号に規定する政令で定める基準により計算した金額は,上記のいずれかの方法により計算した金額から,当該控除対象配当等の額を控除した残額とするものとされている(措置令39条の15第3項)。 イ適用対象留保金額(措置令39条の16第1項)適用対象留保金額は,特定外国子会社等の各事業年度の未処分所得の金額から,当該各事業年度において納付をすることとなる法人所得税の額及び当該各事業年度を基準事業年度とする剰余金の配当等の額の合計額を控除した残額である。 ウ課税対象留保金額(措置令39条の16第2項)課税対象留保金額は,前記イの適用対象留保金額に,当該特定外国子会社等の当該各事業年度終了の時における発行済株式等のうちに当該各事業年度終了の時における当該内国法人の有する当該特定外国子会社等の請求権勘案保有株式等の占める割合を乗じて計算した金額である。 (4) 二重課税の調整前記(1)により,内国法人に係る特定外国子会社等の課税対象留保金額に相当する金額を当該内国 定外国子会社等の請求権勘案保有株式等の占める割合を乗じて計算した金額である。 (4) 二重課税の調整前記(1)により,内国法人に係る特定外国子会社等の課税対象留保金額に相当する金額を当該内国法人の所得の金額の計算上益金の額に算入した上で課税がされた場合において,その合算の対象とされた所得に対して当該特定 - 14 -外国子会社等の本店等の所在する国等で税が課されていれば,いわゆる二重課税が生ずることとなる。その調整をするため,以下のア及びイのとおり,課税対象留保金額等に係る外国法人税の額の控除及び課税済留保金額の損金算入に関する規定が設けられている。 ア課税対象留保金額等に係る外国法人税の額の控除(ア) 措置法66条の7等措置法66条の7第1項は,内国法人に係る特定外国子会社等の所得に対して課される外国法人税の額のうち,課税対象留保金額に対応するものとされる部分の金額を,当該内国法人が納付する控除対象外国法人税の額とみなして当該内国法人の納付すべき法人税の額の計算に当たり外国税額の控除(法人税法69条)をすることができる旨を定めている。 そして,当該控除対象外国法人税の額とみなされる特定外国子会社等の課税対象留保金額に係る外国法人税の額は,課税対象年度の所得に対して課される外国法人税の額に,当該課税対象年度に係る適用対象留保金額と当該適用対象留保金額の計算上控除される剰余金の配当等の額との合計額のうちに当該内国法人に係る課税対象留保金額の占める割合を乗じて計算した金額(当該金額が当該課税対象留保金額を超える場合には,当該課税対象留保金額に相当する金額)とされている(措置令39条の18第1項)。 なお,措置法通達66の6-20は,措置法66条の7第1項及び措置令39条の14第2項1号に規定する外国法人税 は,当該課税対象留保金額に相当する金額)とされている(措置令39条の18第1項)。 なお,措置法通達66の6-20は,措置法66条の7第1項及び措置令39条の14第2項1号に規定する外国法人税の額には,特定外国子会社等が法人税法138条又は所得税法161条に規定する国内源泉所得に係る所得について課された法人税,所得税及び法人税法38条2項2号に掲げるものの額を含めることができる旨を定めている。 (イ) 法人税法69条法人税法69条1項は,内国法人が各事業年度において外国法人税を - 15 -納付することとなる場合には,控除限度額を限度として,控除対象外国法人税の額を当該事業年度の所得に対する法人税の額から控除する旨を定めている(ただし,繰越控除限度額があるときは,その繰越控除限度額を限度として,その超える部分の金額を当該事業年度の所得に対する法人税の額から控除し〔同条2項〕,繰越控除対象外国法人税額があるときは,当該控除限度額から当該事業年度において納付することとなる控除対象外国法人税の額を控除した残額を限度として,その繰越控除対象外国法人税額を当該事業年度の所得に対する法人税の額から控除する〔同条3項〕こととなる。)。 イ課税済留保金額の損金算入(措置法66条の8等)特定外国子会社等の課税対象留保金額に相当する金額の益金の額への算入の規定(措置法66条の6第1項)の適用を受けた内国法人が,当該特定外国子会社等から剰余金の配当等の支払を受けた場合は,課税済留保金額に相当する金額は,課税対象留保金額から充てられたものとして計算した金額に相当する金額を限度として,当該内国法人の所得の金額の計算上,損金の額に算入するものとされている。 ウ二重課税の調整の趣旨前記ア(ア)及びイの課税対象留保金 たものとして計算した金額に相当する金額を限度として,当該内国法人の所得の金額の計算上,損金の額に算入するものとされている。 ウ二重課税の調整の趣旨前記ア(ア)及びイの課税対象留保金額等に係る外国法人税の額の控除及び課税済留保金額の損金算入に係る規定は,外国子会社合算税制の適用により発生する二重課税の調整をするものである。 すなわち,①前記ア(ア)は,それに相当する金額が内国法人の益金の額への算入の対象となる課税対象留保金額に対して既に外国法人税が課されているとすると,同一の所得に対して外国法人税と我が国の法人税とが二重に課される(経済的な意味において二重課税が生ずる)こととなるので,この二重課税の調整を外国税額の控除の制度の方式によりすることとしたものであり,これは,外国子会社合算税制の対象となる内国法人が特定外 - 16 -国子会社等を利用しなかった場合とほぼ等しい税負担となるように調整することを意図したものと解される(前掲最高裁平成21年10月29日第一小法廷判決参照)。②また,前記イは,上記のように課税対象留保金額に相当する金額が内国法人の益金の額への算入の対象とされ,当該内国法人に対して我が国の法人税が課されている場合において,その金額を原資とする特定外国子会社等からの剰余金の配当等があったときには,それについても法人税が課され,同一の所得に対して我が国の法人税が二重に課されることとなるので,この二重課税の調整を過去10年以内に当該内国法人の益金の額に算入された金額の一部を逆に損金の額に算入するという方式によりすることとしたものである(甲12)。 3 Bの国内源泉所得が措置法66条の6第1項にいう「課税対象留保金額」に該当するか否か(争点3)について(1) 措置法66条の6第1項等の規定の文理解 りすることとしたものである(甲12)。 3 Bの国内源泉所得が措置法66条の6第1項にいう「課税対象留保金額」に該当するか否か(争点3)について(1) 措置法66条の6第1項等の規定の文理解釈についてア(ア) 前記2(3)のとおり,措置法66条の6第1項所定の「課税対象留保金額」の計算の基となる特定外国子会社等の「未処分所得の金額」とは,特定外国子会社等の各事業年度の決算に基づく所得の金額につき,法人税法及び措置法による各事業年度の所得の金額の計算に準ずるものとして政令で定める基準により計算した金額を基礎として政令で定める調整を加えた金額をいうものとされ(措置法66条の6第2項2号),上記の政令で定める基準により計算した金額は,原則として,特定外国子会社等の各事業年度の決算に基づく所得の金額について,一定の「本邦法令の規定」の例に準じて計算した場合に算出される所得の金額等により計算することとなるが(措置令39条の15第1項),これにかかわらず,当該特定外国子会社等の「本店所在地国の法令」の規定により計算した所得の金額により計算することも認められるものとされている(同条2項)。 - 17 -(イ) 一般に,「決算」とは,一定の期間における収入,支出,損益等の全ての実績を明らかにして予算と対比することをいい,決算の際に作成される帳簿書類(総勘定元帳における各勘定)等には,当該企業に関わる全ての取引が記録されることからすれば,措置法66条の6第2項2号及び措置令39条の15第1項にいう「特定外国子会社等の各事業年度の決算に基づく所得の金額」とは,特定外国子会社等の各事業年度の全ての所得(いわゆる全世界所得)の金額を指すと解するのが,その文言上,最も素直である。 (ウ) 措置法66条の6第2項2号において,内国法人に係 く所得の金額」とは,特定外国子会社等の各事業年度の全ての所得(いわゆる全世界所得)の金額を指すと解するのが,その文言上,最も素直である。 (ウ) 措置法66条の6第2項2号において,内国法人に係る特定外国子会社等の未処分所得の金額が「法人税法及び措置法による各事業年度の所得の金額の計算に準ずるものとして政令で定める基準により計算した金額を基礎」とするものと定められているのは,当該内国法人の益金の額に算入するものとする金額の計算は基本的には我が国の税法における所得の金額の計算の基準に従って統一的に行うことが望ましいとの考え方に立つものと解され,措置令39条の15の規定もこれを前提として定められたものと解される。 そして,①特定外国子会社等の各事業年度の決算に基づく所得の金額について,「本邦法令の規定」の例に準じて計算する場合(同条1項)には,同項1号に掲げられている法人税法22条等の規定の例に準じてその計算がされるところ,このような計算の方法が「法人税法及び措置法による各事業年度の所得の金額の計算に準ずるもの」として措置法66条の6第2項2号の規定の想定するものに含まれることは明らかである。そして,措置令39条の15第1項1号に掲げられている法人税法22条等の規定は,それらの内容に照らせば,課税所得等の範囲等に関する同法第1編第3章の規定(そこでは,内国法人に対しては,各事業年度の所得〔これが各事業年度の全ての所得を指すことは明らかであ - 18 -る。〕について,各事業年度の所得に対する法人税を課するものとされている。同法5条〕)や,同法第2編第1章第1節第1款中の内国法人の法人税の課税標準に関する同法21条の規定を前提として,内国法人の所得の金額の計算の方法を定めるものであると解されるのであって,措置令39条の15第 )や,同法第2編第1章第1節第1款中の内国法人の法人税の課税標準に関する同法21条の規定を前提として,内国法人の所得の金額の計算の方法を定めるものであると解されるのであって,措置令39条の15第1項1号は,特定外国子会社等の「未処分所得の金額」にその国内源泉所得が含まれることを前提とするものということができ,上記のとおり同項の定める計算の方法が措置法66条の6第2項2号の規定の想定するものに含まれることからすれば,同号の規定もまた特定外国子会社等の「未処分所得の金額」にその国内源泉所得が含まれることを前提としたものということができる。②一方,特定外国子会社等の各事業年度の決算に基づく所得の金額について,当該特定外国子会社等の「本店所在地国の法令」の規定により計算する場合(措置令39条の15第2項)についても,「本邦法令の規定」の例に準じて計算する場合との間で著しいかい離が生じないような一定の調整を加える計算の方法を採るものとされており,このような手法もまた措置法66条の6第2項2号の規定の許容するところであると解されものであって,特定外国子会社等の各事業年度の決算に基づく所得の金額について,当該特定外国子会社等の「本店所在地国の法令」の規定により計算する場合においてもまた,特定外国子会社等の「未処分所得の金額」にその国内源泉所得が含まれることが前提とされているものというべきである。 以上に述べたところも,前記(イ)において述べた措置法66条の6第2項2号の規定の文言に着目しての解釈を補強するものということができる。 (エ) そして,措置法,措置令等の関係法令の規定を見ても,措置法66条の6第2項2号の定める未処分所得の金額から特定外国子会社等の国内源泉所得が除かれる旨を定めたものは見当たらない。 - 19 - して,措置法,措置令等の関係法令の規定を見ても,措置法66条の6第2項2号の定める未処分所得の金額から特定外国子会社等の国内源泉所得が除かれる旨を定めたものは見当たらない。 - 19 -イこの点,原告は,①「未処分所得の金額」を定義する措置法66条の6第2項2号の「決算に基づく所得の金額」との文言からは,それにどの範囲の所得が含まれるのかを一義的に明らかにすることはできない,②同号の「法人税法及び措置法による各事業年度の所得の金額の計算に準ずるものとして政令で定める基準により計算した金額」の文言は,それ自体「未処分所得の金額」の範囲を定めるものではなく,その計算方法を定め,その具体的な計算方法を政令に委任するものであり,法人税法において「所得の金額の計算の方法」には課税所得の範囲を定める同法の規定は含まれないから,措置法66条の6第2項2号の「法人税法及び措置法による各事業年度の所得の金額の計算に準ずるものとして政令で定める基準により計算した金額」を,法人税法の課税所得の範囲を定める規定を準用するという意味に解することはできない,③上記①及び②のとおり「未処分所得の金額」に特定外国子会社の全世界所得が含まれることが文理上一義的に明らかとはいえないから,特定外国子会社等の国内源泉所得を課税対象留保金額に含めない旨の明文規定のないことは,課税対象留保金額に国内源泉所得が含まれることの根拠とはならないなどと主張するが,前記アにおいて述べたところに照らし,採用することができない。 ウなお,原告は,いわゆる土地譲渡益重課制度に関する措置法63条の規定を例示して,租税法律主義(課税要件法定主義)に照らし,同法66条の6第1項が「同一所得」に対して法人税を加算して課税することを規定するのであれば,同法63条と同様に,特定外 する措置法63条の規定を例示して,租税法律主義(課税要件法定主義)に照らし,同法66条の6第1項が「同一所得」に対して法人税を加算して課税することを規定するのであれば,同法63条と同様に,特定外国子会社等の課税対象留保金額が既に法人税法の外国法人税に関する規定によって法人税の課税対象とされている場合については,当該課税対象留保金額に対しては法人税法の規定にかかわらず同法66条の6第1項に従って合算課税の対象とする旨を,「法人税法の規定にかかわらず」などの文言を用いて明確に規定しなければならないなどとも主張するが,措置法等の規定の文言上,同項に - 20 -いう「課税対象留保金額」に特定外国子会社等の国内源泉所得が含まれることは明らかであるから,いわゆる二重所得に対する調整がされない限り,原告のいう第3の二重課税【国内源泉所得・合算利益間】が生ずることは,措置法等の規定それ自体から明白であって,同法63条のような規定がされていないとの一事をもって,同法66条の6第1項等の規定が租税法律主義(課税要件法定主義)に反するなどとはいえないものというべきである。原告の上記の主張は,採用することができない。 (2) 原告の主張する趣旨解釈によれば外国子会社合算税制に関する法令の規定を整合的に理解することができ,これらの法令の規定については,特定外国子会社等の国内源泉所得が課税対象留保金額に含まれないことを前提とするものと解すべきである旨をいう原告の主張についてア原告は,以下のとおり,原告の主張する趣旨解釈によれば外国子会社合算税制に関する法令の規定を整合的に理解することができ,これらの法令の規定については,特定外国子会社等の国内源泉所得が課税対象留保金額に含まれないことを前提とするものと解すべきである旨を主張する。 (ア) る法令の規定を整合的に理解することができ,これらの法令の規定については,特定外国子会社等の国内源泉所得が課税対象留保金額に含まれないことを前提とするものと解すべきである旨を主張する。 (ア) 外国子会社合算税制に関しては,第1の二重課税【外国課税所得・合算利益間】及び第2の二重課税【合算利益・配当間】を調整するための仕組みが法令上設けられている(措置法66条の7,66条の8等)一方,第3の二重課税【国内源泉所得・合算利益間】を調整するための規定は置かれていない。同税制の制定当時に,特定外国子会社等の国内源泉所得が課税対象留保金額に含まれることが前提とされていたとすれば,第3の二重課税【国内源泉所得・合算利益間】が生じ得ることは容易に想定することができたはずであり,これを調整する規定が法令に置かれたはずであって,第3の二重課税【国内源泉所得・合算利益間】につき何ら手当てがされていないのは,同税制が特定外国子会社等の国内源泉所得を合算課税の対象としていないことを示すものにほかならない。 - 21 -(イ) 被告は,措置法通達66の6-20の定めるとおり,第3の二重課税【国内源泉所得・合算利益間】は,外国税額の控除に関する措置法66条の7及び法人税法69条の規定により調整される旨主張するが,これらの規定にいう「外国法人税」の定義(法人税法施行令141条1項)に照らせば,それに我が国の法人税,所得税及び法人住民税が含まれないことは文理上一義的に明らかであって,これらを「外国法人税」に含ませることができるとする措置法通達66の6-20は違法無効なものである。特定外国子会社等の国内源泉所得が内国法人に対して課される法人税における合算課税の対象に含まれないとの趣旨解釈によれば,第3の二重課税【国内源泉所得・合算利益間】が生ずること 違法無効なものである。特定外国子会社等の国内源泉所得が内国法人に対して課される法人税における合算課税の対象に含まれないとの趣旨解釈によれば,第3の二重課税【国内源泉所得・合算利益間】が生ずることはないから,措置法66条の7にいう「外国法人税」についても,それを文理どおりに解釈すれば足りることになる。 (ウ) ①措置法66条の6第1項の柱書きの「本店又は主たる事務所の所在する国又は地域におけるその所得に対して課される税の負担が本邦における法人の所得に対して課される税の負担に比して著しく低いもの」との文言は,文言解釈では一義的にその意味内容を確定することのできないものであり,②同項の委任を受けて制定された措置令39条の14の文言上は,同条1項2号にいう「その各事業年度の所得」には国内源泉所得も含まれると解するのが素直である一方,同条2項2号イにいう「外国法人税」の額に我が国の法人税等は含まれないから,同条1項1号と2号とでは,上記①の措置法66条の6第1項の柱書きの文言の解釈につき異なる立場が採られ,両者は矛盾しているのであって,同項並びに措置令39条の14第1項2号及び2項の規定は,文言解釈ではその意味内容を一義的に理解し難いものである。 そして,同条1項2号の規定は,「『税の負担』の割合=租税/所得≦25/100」と数式化することができ,これが論理的に意味を成す - 22 -のは,○ア分母及び分子がいずれも「全世界」を基準とする場合か,○イいずれも「外国のみ」を基準とする場合のみであるところ,同号及び同条2項の規定において定義される「税の負担」の割合を上記②の文言解釈に依拠して上記と同様に分数で表すと「外国法人税/全世界所得=外国法人税/国外源泉所得+国内源泉所得」となって,論理的に意味のない割合が算出され おいて定義される「税の負担」の割合を上記②の文言解釈に依拠して上記と同様に分数で表すと「外国法人税/全世界所得=外国法人税/国外源泉所得+国内源泉所得」となって,論理的に意味のない割合が算出されてしまう一方,外国関係会社が国内源泉所得を有していない場合のみにこの数式を適用するのであれば,上記○イと同じ割合が算出されることになり,原告の主張する趣旨解釈によれば,上記①及び②のとおり文言解釈ではその意味内容を一義的に理解し難い措置法66条の6第1項及び措置令39条の14の規定を合理的に理解することができる。 (エ) 特定外国子会社等の国内源泉所得が課税対象留保金額に含まれるとすると,措置令39条の18第8項の規定は「国内源泉所得」である所得を「国外源泉所得」に変換するという意味を持つことになるところ,法律による具体的な委任がないのに政令によってそのような変更を行うことは,租税法律主義(特に課税要件法定主義)の要請の下では,違法無効と考えられる一方,同項について,特定外国子会社等の「国内源泉所得」は合算対象所得に含まれないとの解釈を前提として規定されたものであると理解すれば,もともと「国外源泉所得」であったものを「国外源泉所得」として扱うことを規定しているという意味しか持たず,上記のような問題は生じない。この点も,同項が特定外国子会社等の「国内源泉所得」が合算対象所得に含まれないことを前提とするものであることの証左であるイ(ア) しかしながら,前記(1)において述べたとおり,措置法66条の6第1項所定の「課税対象留保金額」の計算の基となる特定外国子会社等の「未処分所得の金額」を定義する同条2項2号等の規定においては,そ - 23 -れに特定外国子会社等の「国内源泉所得」が含まれることが前提とされているものというべ の基となる特定外国子会社等の「未処分所得の金額」を定義する同条2項2号等の規定においては,そ - 23 -れに特定外国子会社等の「国内源泉所得」が含まれることが前提とされているものというべきである。この点と比較すると,原告の主張する諸点は,外国子会社合算税制に関する法令の規定について,特定外国子会社等の国内源泉所得が課税対象留保金額に含まれないことを前提とするものと解すべき十分な根拠となるものとはいい難いものというべきである。 (イ) また,前記(ア)の点をおくとしても,以下のとおり,原告の主張する諸点は,やはり,外国子会社合算税制に関する法令の規定について,特定外国子会社等の国内源泉所得が課税対象留保金額に含まれないことを前提とするものと解すべき十分な根拠となるものとはいい難いものというべきである。 a 仮に,原告が前記ア(ア)及び(イ)のように主張するとおり,外国子会社合算税制に関する法令に第3の二重課税【国内源泉所得・合算利益間】を調整するための規定が置かれていない(措置法通達66の6-20の定めが法令に反する違法無効な通達であり,第3の二重課税【国内源泉所得・合算利益間】が外国税額の控除に関する措置法66条の7及び法人税法69条の規定により調整されるとはいえない)としても,そのことから,同税制に関する法令の規定が特定外国子会社等の国内源泉所得が課税対象留保金額に含まれないことを前提として定められたことが論理必然的に導かれるものではなく,これらの点は,前記アの原告の主張を基礎付ける決め手となるものとはいい難い。 b 措置法66条の6第1項の柱書き及び措置令39条の14の規定が文言解釈ではその意味内容を一義的に理解し難いものであり,また,同条1項1号の規定と同項2号及び同条2項の規定とが矛盾したものであ b 措置法66条の6第1項の柱書き及び措置令39条の14の規定が文言解釈ではその意味内容を一義的に理解し難いものであり,また,同条1項1号の規定と同項2号及び同条2項の規定とが矛盾したものであるということができないことは,後記4(1)において述べるとおりであって,前記ア(ウ)のような原告の主張は,その前提を欠くもの - 24 -である。 c 措置法66の7第1項の規定は,内国法人に係る特定外国子会社等の課税対象留保金額に相当する金額を当該内国法人の所得の金額の計算上益金の額に算入して課税がされた場合,その合算の対象とされた所得に対して当該特定外国子会社等の本店等の所在する国等において課税がされていると経済的な意味において二重課税が生ずることから,その調整をするために設けられたものであるところ,その方法として用いられる外国税額の控除の制度における控除限度額の計算という極めて技術的かつ限定された場面において,前記ア(エ)において原告が主張するような事態が生じ得るとしても,そのことの一事をもって,措置令39条の18第8項本文の規定が上記のような措置法66の7第1項の規定の趣旨に反し,その委任の範囲を逸脱したものであるとまではいうことはできず,また,措置令39条の18第8項本文の規定が,前記ア(エ)の原告の主張のような意味しか持たないのであるならば,そのような規定をあえて置く必要性に乏しく,特定外国子会社等の国内源泉所得が課税対象留保金額に含まれるからこそ,同項本文のような規定が置かれたものとも解し得るのであって,原告の上記ア(エ)の主張は,その前提を欠くものというべきである。 (ウ) 以上のとおりであるから,前記アのような原告の主張は,採用することができない。 (3) 外国子会社合算税制の趣旨・目的に照らせば特定外国 主張は,その前提を欠くものというべきである。 (ウ) 以上のとおりであるから,前記アのような原告の主張は,採用することができない。 (3) 外国子会社合算税制の趣旨・目的に照らせば特定外国子会社等の国内源泉所得は課税対象留保金額に含まれないものと解すべきである旨をいう原告の主張についてア原告は,措置法通達66の6-20の定めは,法令に反する違法無効な通達であって,第3の二重課税【国内源泉所得・合算利益間】が外国税額の控除に関する措置法66条の7及び法人税法69条の規定により調整さ - 25 -れるとはいえず,外国子会社合算税制に関する法令に第3の二重課税【国内源泉所得・合算利益間】を調整するための規定が置かれていないとした上で,特定外国子会社等の国内源泉所得が課税対象留保金額に含まれるとすると,第3の二重課税【国内源泉所得・合算利益間】が調整されないため,外国子会社合算税制の趣旨・目的や所得の一回的課税の原則に反する不合理な結果が生ずるなどとして,特定外国子会社等の国内源泉所得は課税対象留保金額に含まれないものと解すべきである旨も主張する。 イしかしながら,前記(1)において述べたとおり,措置法66条の6第1項所定の「課税対象留保金額」の計算の基となる特定外国子会社等の「未処分所得の金額」を定義する同条2項2号等の規定においては,それに特定外国子会社等の「国内源泉所得」が含まれることが前提とされているものと解されるのであって,それにもかかわらず上記の「課税対象留保金額」に特定外国子会社等の国内源泉所得が含まれないとの原告の主張するような解釈をしなければならないのは,そのような限定解釈をしなければ,措置法66条の6第1項の規定の法律の定めとしての有効性それ自体を認めることができないような場合,すなわ れないとの原告の主張するような解釈をしなければならないのは,そのような限定解釈をしなければ,措置法66条の6第1項の規定の法律の定めとしての有効性それ自体を認めることができないような場合,すなわち,同規定につきいわゆる合憲限定解釈を要するような場合に限られるものというべきである(本件において租税公平主義との関係を指摘するなどする原告の主張も,そのような観点から,同項所定の「課税対象留保金額」の範囲について限定解釈をすべきであるとする趣旨を含むものとも解し得るところである。)。 ウ(ア) 租税は,国家が,その課税権に基づき,特別の給付に対する反対給付としてではなく,その経費に充てるための資金を調達する目的をもって,一定の要件に該当する全ての者に課する金銭給付であり,憲法は,民主主義国家にあっては,国家の維持及び活動に必要な経費は主権者たる国民が共同の費用として代表者を通じて定めるところにより自ら負担すべきであるとの見地の下に,国民がその総意を反映する租税立法に基づい - 26 -て納税の義務を負うことを定め(30条),新たに租税を課し又は現行の租税を変更するには,法律又は法律の定める条件によることを必要としている(84条)ものであるが,憲法自体は,その内容について特に定めることをせず,これを法律の定めるところに委ねている。そして,租税は,今日では,国家の財政需要を充足するという本来の機能に加え,所得の再分配,資源の適正配分,景気の調整等の諸機能をも有しており,租税負担を定めるについて,財政・経済・社会政策等の国政全般からの総合的な政策判断を必要とするばかりでなく,課税要件等を定めるについて,極めて専門技術的な判断を必要とすることも明らかであって,租税法の定立については,国家財政,社会経済,国民所得,国民生活等の実態に 的な政策判断を必要とするばかりでなく,課税要件等を定めるについて,極めて専門技術的な判断を必要とすることも明らかであって,租税法の定立については,国家財政,社会経済,国民所得,国民生活等の実態についての正確な資料を基礎とする立法府の政策的,技術的な判断に委ねるほかはなく,裁判所は,基本的にはその裁量的判断を尊重せざるを得ないものというべきである(最高裁昭和55年(行ツ)第15号同60年3月27日大法廷判決・民集39巻2号247頁参照)。 (イ) 以上のような前提に立って外国子会社合算税制に関する法令の規定を見ると,①措置法66条の7第1項にいう「外国法人税」は,法人税法69条1項に規定する外国法人税をいうものとされ,同項において,「外国法人税」とは,外国の法令により課される法人税に相当する税で政令で定めるものをいうものと定義され,法人税法施行令141条1項は,法人税法69条1項に規定する外国法人税は,外国の法令に基づき外国又はその地方公共団体により法人の所得を課税標準として課される税とする旨を定めているのであって,これらの規定の文言に照らすと,措置法通達66の6-20にいう「特定外国子会社等が…国内源泉所得に係る所得について課された法人税,所得税及び措置法38条2項2号に掲げるもの」が同法66条の7第1項にいう「外国法人税」に含まれないことは明らかというべきであり,②また,同項の規定による委任に - 27 -基づき定められた措置令39条の18第8項ただし書において3分の1ルールが採用されているのは,外国において非課税とされ,又は軽課税とされる所得から生ずる控除限度額を利用して,別の外国において高額で課された外国税額が控除されてしまうという問題(控除余裕枠の彼此流用の問題)に対応するためであるところ,措置法通達66の 又は軽課税とされる所得から生ずる控除限度額を利用して,別の外国において高額で課された外国税額が控除されてしまうという問題(控除余裕枠の彼此流用の問題)に対応するためであるところ,措置法通達66の6-20にいう「特定外国子会社等が…国内源泉所得に係る所得について課された法人税,所得税及び措置法38条2項2号に掲げるもの」についてそのような問題が生ずることは考え難いことからしても,同法66条の7第1項にいう「外国法人税」について,措置法通達66の6-20の定めのような解釈をすることはできないものというべきである。第3の二重課税【国内源泉所得・合算利益間】が外国税額の控除に関する措置法66条の7及び法人税法69条の規定により調整されるとの被告の主張は,その前提を欠くものといわざるを得ない。 (ウ) しかし,外国子会社合算税制から生ずるいわゆる二重課税の調整をどのようにするかは,前記(ア)に述べたような立法府の政策的,技術的な判断によって大きく左右される問題であり,そのことは,原告が強調するいわゆる所得の一回的課税の原則との関係が問題となる場面においても異なるものではないものというべきである(そもそも,原告のいう「所得の一回的課税の原則」もまた,そのような立法府の政策的判断に基づいて採用されているものである。)。 そして,①措置法等の定める外国子会社合算税制(我が国のタックス・ヘイブン対策税制)は,特定外国子会社等に所得を留保して我が国における税の負担を免れることとなる内国法人に対しては当該所得に係る一定の金額を当該内国法人の所得の金額の計算上益金の額に算入して課税することによって税負担の実質的な公平性を追求しつつ,特定外国子会社等の事業活動が経済合理性を有すると認められる場合をその適用 - 28 -の対象から除外し,か の計算上益金の額に算入して課税することによって税負担の実質的な公平性を追求しつつ,特定外国子会社等の事業活動が経済合理性を有すると認められる場合をその適用 - 28 -の対象から除外し,かつ,それが適用される場合であっても所定の方法による外国法人税の額の控除を認めるなど,全体として合理性のある制度ということができるものというべきこと(前掲最高裁平成21年10月29日第一小法廷判決参照。なお,原告は,同判決の他の部分の判示も併せて引用するなどして,原告の主張する3種類の二重課税の問題が全て解消されない限り,同税制それ自体の合理性を肯定することができないかのように主張するが,同判決がそのような前提に立つものでないことは,同判決においていわゆる二重課税を調整するための規定として具体的に掲げられているのが措置法66条の7第1項のみであることなどに照らし,明らかというべきである。),②第3の二重課税【国内源泉所得・合算利益間】の問題が生ずるのは,特定外国子会社等が国内源泉所得を有する場合のみであるところ,特定外国子会社等に該当する外国関係会社がある内国法人においては,特段の事情のない限り,多かれ少なかれ我が国における税の負担を回避することを考慮してそのような外国法人を置いているものと推認するのが相当であり,特定外国子会社等に国内源泉所得があるというのはまれなものと考えられ,そのような事態までを想定した規定が設けられていないことが一概に不合理であるとまではいい難く,また,そのような例外的な事態に対処するために,法令の規定についてその文理を離れて一般的に限定解釈をすべきともいい難いものというべきこと,③第3の二重課税【国内源泉所得・合算利益間】において問題となっているのは,特定外国子会社等に該当する外国法人と内国法人という別個の法人に て一般的に限定解釈をすべきともいい難いものというべきこと,③第3の二重課税【国内源泉所得・合算利益間】において問題となっているのは,特定外国子会社等に該当する外国法人と内国法人という別個の法人に対して課される税の関係であり,これらについて「同一の所得」に対する課税との評価をするか否かそれ自体も,立法政策に係る問題であるというべきことなどを併せて考慮すれば,前記(イ)の点をもって,措置法66条の6第1項所定の「課税対象留保金額」に特定外国子会社等の国内源泉所得が含まれないとの限定 - 29 -解釈をしなければならないものとまではいい難く,本件において,他にそのような限定解釈を要することを基礎付けるべき事情は見当たらない。 (4) 小括以上のとおりであって,争点3に関する原告の主張は,採用することができず(なお,前記(1)~(3)に具体的に掲げた以外の争点3に関する原告の主張についても,これまで述べたところに照らして,採用することができないものというべきである。),措置法66条の6第1項所定の「課税対象留保金額」には,特定外国子会社等の国内源泉所得も含まれるものと解するのが相当である。 4 特定外国子会社等の範囲について定める措置令39条の14第1項1号の規定が措置法66条の6第1項の柱書きの規定による委任の範囲を超える無効なものであるか否か(争点2)及びB平成19年12月期においてBがAに係る特定外国子会社等に該当するか否か(争点4)について(1) 特定外国子会社等の範囲について定める措置令39条の14第1項1号の規定が措置法66条の6第1項の柱書きの規定による委任の範囲を超える無効なものであるとの原告の主張についてア原告は,①措置法66条の6第1項の柱書きにおける「本店又は主たる事務所の所在する国又は地域に 置法66条の6第1項の柱書きの規定による委任の範囲を超える無効なものであるとの原告の主張についてア原告は,①措置法66条の6第1項の柱書きにおける「本店又は主たる事務所の所在する国又は地域におけるその所得に対して課される税の負担が本邦における法人の所得に対して課される税の負担に比して著しく低いもの」との文言が文言解釈によっては一義的にその意味内容を確定することのできないものであるとの前提に立った上で,②同項の規定の委任を受けて制定された措置令39条の14第1項の規定を見ると,措置法66条の6第1項の柱書きの「税の負担」について,○ア措置令39条の14第1項1号では「本店又は主たる事務所の所在する国又は地域における」ものに限定されているのに対し,○イ同項2号及び同条2項においては,「本店又は主たる事務所の所在する国又は地域における」税の負担のみならず, - 30 -それ以外の国又は地域における税の負担も含むものとされており,両者においては,措置法66条の6第1項の柱書きの「本店又は主たる事務所の所在する国又は地域におけるその所得に対して課される税の負担」との文言の解釈につき矛盾する立場が採られているところ,外国子会社合算税制の趣旨・目的に照らせば,同項の柱書きの「税の負担」とは上記○イの立場を前提とするものというべきであるから,措置令39条の14第1項1号は,措置法66条の6第1項の規定による委任の範囲を超える無効なものというべきであるなどと主張する。 イしかし,措置法66条の6第1項の柱書きにおける「本店又は主たる事務所の所在する国又は地域におけるその所得に対して課される税の負担が本邦における法人の所得に対して課される税の負担に比して著しく低いもの」との文言は,外国関係会社の本店等の所在する国等において,当 務所の所在する国又は地域におけるその所得に対して課される税の負担が本邦における法人の所得に対して課される税の負担に比して著しく低いもの」との文言は,外国関係会社の本店等の所在する国等において,当該外国関係会社の所得に対して課される税の負担が,我が国における同様の税の負担に比して著しく低いものを意味すると解するのが,その文言上,最も素直であるものというべきであって,前記ア①の原告の主張は,採用することができない。 そして,同項の規定の趣旨・目的は,内国法人が,法人の所得に対して課される税の負担がないか又は本邦におけるそれに比して著しく低い国又は地域に子会社を設立して経済活動を行い,当該子会社に所得を留保することによって,我が国における税の負担を回避しようとする事例が生ずるようになったことから,課税要件を明確化しつつ,このような事例に対処して税負担の実質的な公平を図ることにあるところ,外国関係会社の本店又は主たる事務所が措置令39条の14第1項1号にいう「法人の所得に課される税が存在しない国又は地域」に所在する場合が,措置法66条の6第1項の柱書きにおける「本店又は主たる事務所の所在する国又は地域におけるその所得に対して課される税の負担が本邦における法人の所得に - 31 -対して課される税の負担に比して著しく低いもの」に該当することは,その文言上も,上記のような同項の規定の趣旨・目的からも,明らかというべきであって,措置令39条の14第1項1号の規定は措置法66条の6第1項の柱書きの規定による委任の範囲内のものであるということができる。原告は,同項の規定の趣旨・目的に照らせば,同項にいう「税の負担」は前記ア②○イの意義のみに解すべきである旨を主張するが,外国子会社合算税制に関する規定は同項及び措置令39条の14第1項1号 る。原告は,同項の規定の趣旨・目的に照らせば,同項にいう「税の負担」は前記ア②○イの意義のみに解すべきである旨を主張するが,外国子会社合算税制に関する規定は同項及び措置令39条の14第1項1号だけではなく,同税制に関する他の規定と相まって上記の趣旨・目的が達成されるべきことも考慮して特定外国子会社等の範囲を定めることもまた措置法66条の6第1項の規定の許容するところと解されるのであって,原告の上記の主張は,採用し難い。 なお, 措置法66条の6第1項の柱書きの定める「本店又は主たる事務所の所在する国又は地域におけるその所得に対して課される税の負担が本邦における法人の所得に対して課される税の負担に比して著しく低いもの」は,一定の幅のある概念であることが明らかであって,前記のような同項の規定の趣旨・目的に照らせば,措置令39条の14第1項1号とは異なる観点から特定外国子会社等の範囲を定める同項2号及び同条2項の規定もまた,措置法66条の6第1項の規定による委任の範囲内のものというべきである。措置令39条の14第1項1号と同項2号及び同条2項とが矛盾するなどという原告の主張は,文理上明らかな上記のような概念の幅を考慮しない議論というほかなく,採用することができない。 (2) B平成19年12月期においてBがAに係る特定外国子会社等に該当するか否かについてア前提事実(1)イのとおり,Bは,平成14年2月にAを唯一の株主としケイマン法を準拠法として設立され,同地域内に本店を有する外国法人であり,また,Aは,B平成19年12月期終了時においてもBの発行済株 - 32 -式の全部を有していたものであるから,Bは,Aの外国関係会社(措置法66条の6第2項1号)に該当する。そして,Bの本店が所在するケイマンは,法人の所得に対し おいてもBの発行済株 - 32 -式の全部を有していたものであるから,Bは,Aの外国関係会社(措置法66条の6第2項1号)に該当する。そして,Bの本店が所在するケイマンは,法人の所得に対して課される税が存在しない地域である(乙2~乙4,乙11)から,Bは,「法人の所得に対して課される税が存在しない国又は地域に本店又は主たる事務所を有する外国関係会社」(措置令39条の14第1項1号)に該当し,措置法66条の6第1項にいう「本店の所在する国又は地域におけるその所得に対して課される税の負担が本邦における法人の所得に対して課される税の負担に比して著しく低いものとして政令で定める外国関係会社」として同項にいう「特定外国子会社等」に該当するものというべきである。 イ原告は,①法人の所得に対して課される税が存在しない国又は地域に本店又は主たる事務所を有する外国関係会社について,その税負担率が25%を超えるか否かにかかわらず,全て特定外国子会社等に該当するものとすることは誤りである,②軽課税国に本店が所在する外国関係会社が我が国に支店を有し,その国内源泉所得につき法人税を負担している場合には,その本店の所在する国等に法人の所得に対して課される税が存在しないことだけを理由に,当該外国関係会社を特定外国子会社等に該当すると判断することはできないなどと主張する。 しかし,措置令39条の14第1項1号の規定が措置法66条の6第1項の規定による委任の範囲内のものであることは,前記(1)において述べたとおりである。原告の上記の主張は,いずれも法令の規定の文理に反する独自の見解をいうものであって,採用することができない。 ウまた,原告は,外国子会社合算税制に関する現行法令の規定によっては第3の二重課税【国内源泉所得・合算利益間】が解消さ の文理に反する独自の見解をいうものであって,採用することができない。 ウまた,原告は,外国子会社合算税制に関する現行法令の規定によっては第3の二重課税【国内源泉所得・合算利益間】が解消されないことなどを根拠として,外国子会社合算税制の趣旨・目的に照らせば,軽課税国に本店が所在する外国関係会社が我が国に支店を有し,その国内源泉所得につ - 33 -き法人税を負担している場合には,措置法66条の6第1項の規定を限定解釈し,当該外国関係会社は特定外国子会社等に該当しないものと解すべきである旨主張するが,前記3(3)において述べたところに照らし,採用することができない(なお,原告は,平成4年度税制改正により軽課税国を限定列挙して指定する方式が「個別の企業ごとに税負担割合で判断していこうという制度」〔かぎ括弧内は,甲19の一部を引用したものである。〕に改められたのであるから,本店等の所在する国等に法人の所得に対して課される税があるか否かだけに注目する理由はなくなったとも主張するが,既に述べたとおり措置法66条の6第1項の規定による委任の範囲内のものと認められる措置令39条の15の規定に照らし,甲19の原告の引用する部分は,現行の制度を過不足なく要約したものとはいい難いのであって,このような原告の主張は,現行の制度について誤った前提に立つものというほかなく,採用し難いものである。)。 5 本件の事案に限って外国子会社合算税制に関する措置法及び措置令の規定を限定解釈し,B平成19年12月期におけるBについてはこれらの規定が適用されないものと解すべきであるか否か(争点5)について原告は,争点2~4に関する原告の主張が認められないとしても,本件の事案に限っては,外国子会社合算税制に関する措置法及び措置令の規定を限定解釈し,B平成 のと解すべきであるか否か(争点5)について原告は,争点2~4に関する原告の主張が認められないとしても,本件の事案に限っては,外国子会社合算税制に関する措置法及び措置令の規定を限定解釈し,B平成19年12月期におけるBについてはこれらの規定が適用されないものと解すべきであるなどと主張する。 しかし,これまで述べたところや,納税者がどのような法形式を選択するかによって租税の額等に差異が生ずることは租税法の予定するものであり,本件に外国子会社合算税制に関する措置法等の規定が適用されることとなったのも原告(A)自らが選択した結果であることなどに照らせば,本件の事案に限って,これまで述べたような外国子会社合算税制に関する措置法等の規定の定めるところをあえて離れ,B平成19年12月期におけるBにつきこれらの規定 - 34 -の適用を排除すべきものとまではいい難いものというべきである。原告の上記の主張は,採用することができない。 6 本件各処分の適法性について以上に述べたところや,本件における全ての証拠及び弁論の全趣旨によれば,Aの平成20年4月期及び原告の平成20年12月連結期の納付すべき税額等は,別紙4(A及び原告の納付すべき税額等)に記載したとおりであるから,本件各更正処分は,いずれも適法なものというべきである。 そうすると,本件通知処分も,適法なものといえ,平成20年4月期賦課決定処分も,別紙2(本件各更正処分等の根拠及び適法性に関する被告の主張)の第3及び第4に記載のとおり,やはり適法なものというべきである。 7 結論以上の次第であって,原告の請求はいずれも理由がないから,これらを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第3部 裁判長裁判官八 論以上の次第であって,原告の請求はいずれも理由がないから,これらを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第3部 裁判長裁判官八木一洋 裁判官川嶋知正 裁判官田中一彦は,転補のため署名押印することができない。 - 35 - 裁判長裁判官八木一洋 - 36 -(別紙1)関係法令等の定め 1 措置法の定め(1) 措置法66条の6(内国法人に係る特定外国子会社等の留保金額の益金算入)ア措置法66条の6第1項は,同項各号に掲げる内国法人に係る外国関係会社のうち,本店又は主たる事務所の所在する国又は地域におけるその所得に対して課される税の負担が本邦における法人の所得に対して課される税の負担に比して著しく低いものとして政令で定める外国関係会社に該当するもの(特定外国子会社等)が,昭和53年4月1日以後に開始する各事業年度において,その未処分所得の金額から留保したものとして,政令で定めるところにより,当該未処分所得の金額につき当該未処分所得の金額に係る税額及び法人税法23条1項1号に規定する剰余金の配当,利益の配当又は剰余金の分配(以下「剰余金の配当等」という。)の額に関する調整を加えた金額(以下「適用対象留保金額」という。)を有する場合には,その適用対象留保金額のうちその内国法人の有する当該特定外国子会社等の直接及び間接保有の株式等の数に対応するものとしてその株式等(株式又は出資をいう。以下同じ。)の請求権(剰余金の配当等,財産の分配その他の経済的な利益の給付を請求する権利をいう。以下同じ。)の内容を勘案して政令 有の株式等の数に対応するものとしてその株式等(株式又は出資をいう。以下同じ。)の請求権(剰余金の配当等,財産の分配その他の経済的な利益の給付を請求する権利をいう。以下同じ。)の内容を勘案して政令で定めるところにより計算した金額(以下「課税対象留保金額」という。)に相当する金額は,その内国法人の収益の額とみなして当該各事業年度終了の日の翌日から2月を経過する日を含むその内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上,益金の額に算入する旨を定めている。 1号その有する外国関係会社の直接及び間接保有の株式等の数の当該外 - 37 -国関係会社の発行済株式又は出資(当該外国関係会社が有する自己の株式等を除く。)の総数又は総額のうちに占める割合(当該外国関係会社が次のイからハまでに掲げる法人である場合には、当該割合とそれぞれイからハまでに定める割合のいずれか高い割合。以下「直接及び間接の外国関係会社株式等の保有割合」という。)が100分の5以上である内国法人イからハまで (省略)2号直接及び間接の外国関係会社株式等の保有割合が100分の5以上である一の同族株主グループに属する内国法人(1号に掲げる内国法人を除く。)イ措置法66条の6第2項は,同条1項及び2項において,同項各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによる旨を定めている。 1号外国関係会社外国法人で,その発行済株式又は出資(その有する自己の株式等を除く。)の総数又は総額のうちに居住者(同法2条1項1号の2に規定する居住者をいう。以下同じ。)及び内国法人並びに特殊関係非居住者(居住者又は内国法人と政令で定める特殊の関係のある同項1号の2に規定する非居住者をいう。以下同じ。)が有する直接及び間接保有の株式等の数の合計数又は合計額の占める割合(当該外国 に特殊関係非居住者(居住者又は内国法人と政令で定める特殊の関係のある同項1号の2に規定する非居住者をいう。以下同じ。)が有する直接及び間接保有の株式等の数の合計数又は合計額の占める割合(当該外国法人が次のイからハまでに掲げる法人である場合には,当該割合とそれぞれイからハまでに定める割合のいずれか高い割合)が100分の50を超えるものをいう。 イからハまで (省略)2号未処分所得の金額特定外国子会社等の各事業年度の決算に基づく所得の金額につき,法人税法及び措置法による各事業年度の所得の金額の計算に準ずるものとして政令で定める基準により計算した金額を基礎として政令で定めるところにより当該各事業年度開始の日前7年以内に - 38 -開始した各事業年度において生じた欠損の金額に係る調整を加えた金額をいう。 3号直接及び間接保有の株式等の数個人又は内国法人が直接に有する外国法人の株式の数又は出資の金額及び他の外国法人を通じて間接に有するものとして政令で定める当該外国法人の株式の数又は出資の金額の合計数又は合計額をいう。 4号及び5号 (省略)6号同族株主グループ外国関係会社の株式等を直接又は間接に保有する者のうち,一の居住者又は内国法人及び当該一の居住者又は内国法人と政令で定める特殊の関係のある者(外国法人を除く。)をいう。 ウ措置法66条の6第3項は,同条1項各号に掲げる内国法人に係る特定外国子会社等(株式〔出資を含む。〕若しくは債券の保有,工業所有権その他の技術に関する権利,特別の技術による生産方式若しくはこれらに準ずるもの〔これらの権利に関する使用権を含む。〕若しくは著作権〔出版権及び著作隣接権その他これに準ずるものを含む。〕の提供又は船舶若しくは航空機の貸付けを主たる事業とするものを除く。)が これらに準ずるもの〔これらの権利に関する使用権を含む。〕若しくは著作権〔出版権及び著作隣接権その他これに準ずるものを含む。〕の提供又は船舶若しくは航空機の貸付けを主たる事業とするものを除く。)がその本店又は主たる事務所の所在する国又は地域においてその主たる事業を行うに必要と認められる事務所,店舗,工場その他の固定施設を有し,かつ,その事業の管理,支配及び運営を自ら行っているものである場合(同条4項において「固定施設を有するものである場合」という。)における同条1項の規定の適用については,同項中「調整を加えた金額」とあるのは,「調整を加えた金額から当該特定外国子会社等の事業に従事する者の人件費として政令で定める費用の額の100分の10に相当する金額を控除した金額」とする旨を定めている。 エ措置法66条の6第4項は,同条1項及び3項の規定は,同条1項各号に掲げる内国法人に係る同条3項に規定する特定外国子会社等がその本店 - 39 -又は主たる事務所の所在する国又は地域において固定施設を有するものである場合であって,各事業年度においてその行う主たる事業が同条4項各号に掲げる事業のいずれに該当するかに応じ当該各号に定める場合に該当するときは,当該特定外国子会社等のその該当する事業年度に係る適用対象留保金額については,適用しない旨を定めている。 1号及び2号 (省略)(2) 措置法66条の7措置法66条の7第1項前段は,同法66条の6第1項各号に掲げる内国法人が同項の規定の適用を受ける場合には,当該内国法人に係る特定外国子会社等の所得に対して課される外国法人税(法人税法69条1項に規定する外国法人税をいう。)の額のうち当該特定外国子会社等の課税対象留保金額に対応するもの(当該課税対象留保金額に相当する金額を限度とする。) の所得に対して課される外国法人税(法人税法69条1項に規定する外国法人税をいう。)の額のうち当該特定外国子会社等の課税対象留保金額に対応するもの(当該課税対象留保金額に相当する金額を限度とする。)として政令で定めるところにより計算した金額は,政令で定めるところにより,当該内国法人が納付する控除対象外国法人税の額(同項に規定する控除対象外国法人税の額をいう。)とみなして,同条1項から7項まで,10項及び15項から18項までの規定を適用する旨を定めている。 (3) 措置法66条の8措置法66条の8第1項は,同法66条の6第1項の規定の適用を受けた内国法人に係る特定外国子会社等につき同法66条の8第1項1号若しくは2号に掲げる事実が生じた場合又は当該内国法人に係る同法66条の6第2項1号に規定する外国関係会社(当該特定外国子会社等から剰余金の配当等の支払〔同法66条の8第1項2号に定める金額の同号に掲げる交付を含む。〕を受けた外国関係会社のうち政令で定めるものに限る。以下同項において同じ。)につき同項3号に掲げる事実が生じた場合で,当該内国法人のこれらの事実が生じた日を含む事業年度開始の日前10年以内に開始した各事業年度(以下「前10年以内の各事業年度」という。)において当該特定 - 40 -外国子会社等の課税対象留保金額で同法66条の6第1項の規定により前10年以内の各事業年度の所得の金額の計算上益金の額に算入された金額(同法66条の8第1項の規定により前10年以内の各事業年度において損金の額に算入された金額を除く。以下「課税済留保金額」という。)があるときは,当該課税済留保金額に相当する金額は,当該特定外国子会社等又は当該外国関係会社につき生じた事実が同項各号に掲げる事実のいずれに該当するかに応じ当該各号に定める金額のうち 額」という。)があるときは,当該課税済留保金額に相当する金額は,当該特定外国子会社等又は当該外国関係会社につき生じた事実が同項各号に掲げる事実のいずれに該当するかに応じ当該各号に定める金額のうち当該内国法人に係る課税対象留保金額から充てられたものとして政令で定めるところにより計算した金額に相当する金額を限度として,当該内国法人のその事実が生じた日を含む事業年度の所得の金額の計算上,損金の額に算入する旨を定めている。 1号剰余金の配当等の支払その支払う剰余金の配当等の額2号法人税法24条1項各号に掲げる事由による金銭その他の資産の交付(以下「みなし配当」という。) そのみなし配当により減少することとなる利益積立金額に相当する金額3号当該内国法人に対する剰余金の配当等の支払又は法人税法24条1項各号に掲げる事由による金銭その他の資産の交付その支払う剰余金の配当等の額又はその交付により減少することとなる利益積立金額に相当する金額 2 措置令の定め(1) 措置令39条の14(特定外国子会社等の範囲)ア措置令39条の14第1項は,措置法66条の6第1項に規定する政令で定める外国関係会社は,次の各号に掲げるものとする旨を定めている。 1号法人の所得に対して課される税が存在しない国又は地域に本店又は主たる事務所を有する外国関係会社(措置法66条の6第2項1号に規定する外国関係会社をいう。以下同じ。)2号その各事業年度の所得に対して課される租税の額が当該所得の金額 - 41 -の100分の25以下である外国関係会社イ措置令39条の14第2項は,外国関係会社が同条1項2号の外国関係会社に該当するかどうかの判定については,次の各号に定めるところによる旨を定めている。 1号同条第1項2号の所得の金 社イ措置令39条の14第2項は,外国関係会社が同条1項2号の外国関係会社に該当するかどうかの判定については,次の各号に定めるところによる旨を定めている。 1号同条第1項2号の所得の金額は,当該外国関係会社の当該各事業年度の決算に基づく所得の金額につき,その本店又は主たる事務所の所在する国又は地域(以下同令第3章第8節の4〔同令39条の14~39条の20〕において「本店所在地国」という。)の外国法人税(法人税法69条1項に規定する外国法人税をいう。以下同令第3章第8節の4において同じ。)に関する法令(当該外国法人税に関する法令が二以上ある場合には,そのうち主たる外国法人税に関する法令をいう。以下同令39条の14第2項において「本店所在地国の法令」という。)の規定により計算した所得の金額に当該所得の金額に係るイからホまでに掲げる金額の合計額を加算した金額から当該所得の金額に係るヘに掲げる金額を控除した残額とする。 イからヘまで (省略)2号措置令39条の14第1項2号の租税の額は,次に掲げる金額の合計額とする。 イ当該外国関係会社の当該各事業年度の決算に基づく所得の金額につき,その本店所在地国又は本店所在地国以外の国若しくは地域において課される外国法人税の額(その本店所在地国の法令により当該外国関係会社が納付したものとみなしてその本店所在地国の外国法人税の額から控除されるものを含むものとし,同条2項1号イ(2)に掲げる金額に対して課されるものを除く。)ロ (省略)3号及び4号 (省略) - 42 -(2) 措置令39条の15(特定外国子会社等の未処分所得の金額の計算)ア措置令39条の15第1項は,措置法66条の6第2項2号に規定する政令で定める基準により計算した金額は,特定外国子会社 (2) 措置令39条の15(特定外国子会社等の未処分所得の金額の計算)ア措置令39条の15第1項は,措置法66条の6第2項2号に規定する政令で定める基準により計算した金額は,特定外国子会社等の各事業年度の決算に基づく所得の金額に係る措置令39条の15第1項1号に掲げる金額及び同項2号に掲げる金額の合計額から当該所得の金額に係る同項3号に掲げる金額を控除した残額(当該所得の金額に係る同項1号に掲げる金額が欠損の金額である場合には,当該所得の金額に係る同項2号に掲げる金額から当該欠損の金額と当該所得の金額に係る同項3号に掲げる金額との合計額を控除した残額)とする旨を定めている。 1号当該各事業年度の決算に基づく所得の金額につき,法人税法第2編第1章第1節第2款から第9款まで(同法23条,26条1項~4項,28条,38条~41条,55条3項,57条,58条,59条及び61条の11~61条の13を除く。)及び第11款の規定並びに措置法43条,45条の2,52条の2,57条の5,57条の6,57条の8,57条の10,61条の4,65条の7~65条の9(同法65条の7第1項の表の19号に係る部分に限る。),66条の4第3項,67条の12及び67条の13の規定(以下措置令39条の15第1項1号において「本邦法令の規定」という。)の例に準じて計算した場合に算出される所得の金額又は欠損の金額(当該特定外国子会社等に係る措置法66条の6第1項各号に掲げる内国法人との間の取引につき同法66条の4第1項又は68条の88第1項の規定の適用がある場合には,当該取引がこれらの規定に規定する独立企業間価格で行われたものとして本邦法令の規定の例に準じて計算した場合に算出される所得の金額又は欠損の金額)2号当該各事業年度において納付する法人所得税( 当該取引がこれらの規定に規定する独立企業間価格で行われたものとして本邦法令の規定の例に準じて計算した場合に算出される所得の金額又は欠損の金額)2号当該各事業年度において納付する法人所得税(本店所在地国若しくは本店所在地国以外の国若しくは地域又はこれらの国若しくは地域の地 - 43 -方公共団体により法人の所得を課税標準として課される税〔これらの国若しくは地域又はこれらの国若しくは地域の地方公共団体により課される法人税法施行令141条2項各号に掲げる税を含む。〕及びこれに附帯して課される法人税法2条45号に規定する附帯税〔利子税を除く。〕に相当する税その他当該附帯税に相当する税に類する税をいう。 以下措置令第3章第8節の4〔同令39条の14~39条の20)〕において同じ。)の額3号当該各事業年度において還付を受ける法人所得税の額イ措置令39条の15第2項は,措置法66条の6第1項各号に掲げる内国法人は,措置令39条の15第1項の規定にかかわらず,特定外国子会社等の各事業年度の決算に基づく所得の金額につき,当該特定外国子会社等の本店所在地国の法人所得税に関する法令(当該法人所得税に関する法令が二以上ある場合には,そのうち主たる法人所得税に関する法令をいう。 以下同条2項において「本店所在地国の法令」という。)の規定により計算した所得の金額(当該特定外国子会社等と当該内国法人との間の取引につき措置法66条の4第1項又は68条の88第1項の規定の適用がある場合には,当該取引がこれらの規定に規定する独立企業間価格で行われたものとして本店所在地国の法令の規定により計算した場合に算出される所得の金額)に当該所得の金額に係る措置令39条の15第2項1号~13号に掲げる金額の合計額を加算した金額から当該所得の金額に係る同項 ものとして本店所在地国の法令の規定により計算した場合に算出される所得の金額)に当該所得の金額に係る措置令39条の15第2項1号~13号に掲げる金額の合計額を加算した金額から当該所得の金額に係る同項14号~16号に掲げる金額の合計額を控除した残額(本店所在地国の法令の規定により計算した金額が欠損の金額となる場合には,当該計算した金額に係る同項1号~13号までに掲げる金額の合計額から当該欠損の金額に当該計算した金額に係る同項14号~16号に掲げる金額の合計額を加算した金額を控除した残額)をもって措置法66条の6第2項2号に規定する政令で定める基準により計算した金額とすることができる旨を定めて - 44 -いる。 1号~16号 (省略)(3) 措置令39条の16(内国法人に係る特定外国子会社等の課税対象留保金額の計算等)ア措置令39条の16第1項は,措置法66条の6第1項の未処分所得の金額につき当該未処分所得の金額に係る税額及び剰余金の配当等の額に関する調整を加えた金額は,特定外国子会社等の各事業年度の同条2項2号に規定する未処分所得の金額(以下措置令39条の16第1項において「未処分所得の金額」という。)から次に掲げる金額の合計額を控除した残額(同項1号に規定する還付を受けることとなる法人所得税の額が同号に規定する納付をすることとなる法人所得税の額を超えることとなる場合には,未処分所得の金額にその超える部分の金額を加算した金額から同項2号に掲げる金額を控除した残額)とする旨などを定めている。 1号当該各事業年度において納付をすることとなる法人所得税の額(当該各事業年度において還付を受けることとなる法人所得税の額がある場合には、当該還付を受けることとなる法人所得税の額を控除した残額)2号当該各事業年 おいて納付をすることとなる法人所得税の額(当該各事業年度において還付を受けることとなる法人所得税の額がある場合には、当該還付を受けることとなる法人所得税の額を控除した残額)2号当該各事業年度を基準事業年度(剰余金の配当等の支払に係る基準日の属する事業年度をいう。以下同じ。)とする剰余金の配当等の額(当該各事業年度終了の日の翌日から2月を経過する日を含む当該特定外国子会社等に係る内国法人の事業年度終了の日までに支払義務が確定したものに限る。以下同じ。)の合計額(当該各事業年度を基準事業年度とする剰余金の配当等の額の全部又は一部が次のイ及びロに掲げる者に支払われた場合には,当該合計額は零とする。)イ当該内国法人に係る外国関係会社(当該内国法人に係る特定外国子会社等〔措置法68条の90第1項に規定する特定外国子会 - 45 -社等を含む。以下同様の意味において「特定外国子会社等」の語を用いることがある。〕を除く。)でその受ける剰余金の配当等の額につきその本店所在地国において課される税の負担が本邦における法人の所得に対して課される税の負担に比して著しく低い税の負担として財務省令で定める基準以下のものロ当該内国法人に係る他の特定外国子会社等イ措置令39条の16第2項は,措置法66条の6第1項に規定する政令で定めるところにより計算した金額は,同項各号に掲げる内国法人に係る特定外国子会社等の各事業年度の適用対象留保金額に,当該特定外国子会社等の当該各事業年度終了の時における発行済株式等のうちに当該各事業年度終了の時における当該内国法人の有する当該特定外国子会社等の請求権勘案保有株式等の占める割合を乗じて計算した金額(当該内国法人の同項の規定の適用に係る各事業年度において,当該特定外国子会社等につき措置令39条 ける当該内国法人の有する当該特定外国子会社等の請求権勘案保有株式等の占める割合を乗じて計算した金額(当該内国法人の同項の規定の適用に係る各事業年度において,当該特定外国子会社等につき措置令39条の16第2項1号若しくは2号に掲げる事実が生じた場合又は当該内国法人に係る外国関係会社〔当該特定外国子会社等に係る控除未済課税済配当等の額を有するものに限る。〕につき同項3号に掲げる事実が生じた場合には,当該計算した金額からそれぞれこれらの号に定める金額を控除した残額)とする旨を定めている。 1号措置法66条の8第1項1号に掲げる事実(当該特定外国子会社等の当該適用対象留保金額の計算上控除されなかった剰余金の配当等の支払の事実に限る。) 当該剰余金の配当等の額(当該剰余金の配当等の額が当該適用対象留保金額を超える場合には,当該適用対象留保金額に相当する金額)に当該適用対象留保金額に係る事業年度終了の時における当該特定外国子会社等の発行済株式等のうちに当該事業年度終了の時における当該内国法人の有する当該特定外国子会社等の請求権勘案保有株式等(当該内国法人に係る措置令39条の16第1項 - 46 -2号イ及びロに掲げる者を通じて保有する請求権勘案間接保有株式等を除く。)の占める割合を乗じて計算した金額2号措置法66条の8第1項2号に掲げる事実同号に定める金額に当該事実が生じた時における当該特定外国子会社等の発行済株式等のうちに当該事実が生じた時における当該内国法人の有する当該特定外国子会社等の請求権勘案保有株式等(同号に定める金額が当該内国法人に係る措置令39条の16第1項2号イ及びロに掲げる者に対して交付された場合におけるこれらの者を通じて保有する請求権勘案間接保有株式等を除く。)の占める割合を乗じて計算した金額3号措 内国法人に係る措置令39条の16第1項2号イ及びロに掲げる者に対して交付された場合におけるこれらの者を通じて保有する請求権勘案間接保有株式等を除く。)の占める割合を乗じて計算した金額3号措置法66条の8第1項3号に掲げる事実同号に定める金額(当該金額が他の特定外国子会社等に該当する外国関係会社から受けたものである場合には,当該金額から当該他の特定外国子会社等に係る適用対象留保金額又は課税対象留保金額若しくは個別課税対象留保金額の計算上控除される金額と当該事実が生じたことにより同項又は同法68条の92第1項の規定により損金の額に算入される金額との合計額に相当する金額を控除した残額)のうち控除未済課税済配当等の額(措置令39条の16第3項3号参照)に達するまでの金額(4) 措置令39条の18(特定外国子会社等の課税対象留保金額に係る外国法人税額の計算等)ア措置令39条の18第1項は,措置法66条の7第1項に規定する政令で定めるところにより計算した金額は,特定外国子会社等につきその適用対象留保金額を有する事業年度(以下「課税対象年度」という。)の所得に対して課される外国法人税の額に,当該課税対象年度に係る適用対象留保金額(同令39条の15第3項に規定する控除対象配当等の額がある場合には,当該金額を加算した金額)と当該適用対象留保金額の計算上控除される剰余金の配当等の額との合計額のうちに同法66条の7第1項に規 - 47 -定する内国法人に係る課税対象留保金額の占める割合を乗じて計算した金額(当該金額が当該課税対象留保金額を超える場合には,当該課税対象留保金額に相当する金額)とする旨を定めている。 イ措置令39条の18第2項は,特定外国子会社等につきその課税対象年度の所得に対して二以上の外国法人税が課され, 超える場合には,当該課税対象留保金額に相当する金額)とする旨を定めている。 イ措置令39条の18第2項は,特定外国子会社等につきその課税対象年度の所得に対して二以上の外国法人税が課され,又は2回以上にわたって外国法人税が課された場合において,当該特定外国子会社等に係る内国法人がその二以上の事業年度又は連結事業年度において当該外国法人税の額につき措置法66条の7第1項(同条2項の規定によりみなして適用する場合を含む。以下同じ。)又は68条の91第1項(同条2項の規定によりみなして適用する場合を含む。以下同じ。)の規定の適用を受けるときは,当該二以上の事業年度又は連結事業年度のうち最初の事業年度又は連結事業年度後の事業年度に係る措置法66条の7第1項の規定の適用については,措置令39条の18第2項1号に掲げる金額から同項2号に掲げる金額(措置法68条の91第1項の規定の適用を受けた場合で,その適用を受けた後最初に同法66条の7第1項の規定の適用を受けるときは,同令39条の18第2項3号に掲げる金額)を控除した金額をもって同条1項に規定する計算した金額とする旨を定めている。 1号措置法66条の7第1項の規定の適用を受ける事業年度(以下「適用事業年度」という。)終了の日までに当該課税対象年度の所得に対して課された外国法人税の額(措置令39条の18第4項又は39条の118第4項の規定により措置法66条の7第1項又は68条の91第1項の規定の適用を受けることを選択したものに限る。以下同じ。)の合計額について同令39条の18第1項の規定により計算した金額2号適用事業年度開始の日の前日までに当該課税対象年度の所得に対して課された外国法人税の額の合計額について措置令39条の18第1 - 48 -項の規定により計算し 規定により計算した金額2号適用事業年度開始の日の前日までに当該課税対象年度の所得に対して課された外国法人税の額の合計額について措置令39条の18第1 - 48 -項の規定により計算した金額3号適用事業年度開始の日の前日までに当該課税対象年度の所得に対して課された外国法人税の額の合計額について措置令39条の118第1項の規定により計算した金額ウ措置令39条の18第8項は,①措置法66条の6第1項各号に掲げる内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上同項の規定により益金の額に算入された金額がある場合には,当該益金の額に算入された金額は,当該内国法人の当該各事業年度に係る法人税法69条1項に規定する控除限度額の計算については,法人税法施行令142条3項本文に規定する国外所得金額に含まれるものとする(本文)が,②当該内国法人に係る特定外国子会社等の本店所在地国が当該特定外国子会社等の所得に対して同令141条1項に規定する外国法人税を課さない国又は地域である場合には,当該国外所得金額に含まれる金額は,当該益金の額に算入された金額の3分の1に相当する金額とする(ただし書)旨を定めている。 3 法人税法の定め(1) 法人税法23条(受取配当等の益金不算入)法人税法23条1項は,内国法人が同項各号に掲げる金額(同項1号に掲げる金額にあっては,外国法人若しくは公益法人等又は人格のない社団等から受けるもの及び適格現物分配に係るものを除く。以下「配当等の額」という。)を受けるときは,その配当等の額(完全子法人株式等及び関係法人株式等のいずれにも該当しない株式等〔株式,出資又は受益権をいう。〕に係る配当等の額にあっては,当該配当等の額の100分の50に相当する金額)は,その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上,益金の額 式等のいずれにも該当しない株式等〔株式,出資又は受益権をいう。〕に係る配当等の額にあっては,当該配当等の額の100分の50に相当する金額)は,その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上,益金の額に算入しない旨を定めている。 1号剰余金の配当(株式又は出資に係るものに限るものとし,資本剰余金の額の減少に伴うもの及び分割型分割によるものを除く。)若しくは利 - 49 -益の配当(分割型分割によるものを除く。)又は剰余金の分配(出資に係るものに限る。)の額2号及び3号 (省略)(2) 法人税法69条(外国税額の控除)法人税法69条1項は,内国法人が各事業年度において外国法人税(外国の法令により課される法人税に相当する税で政令で定めるものをいう。以下同項及び同条8項において同じ。)を納付することとなる場合には,当該事業年度の所得の金額につき同法66条1項から3項まで(各事業年度の所得に対する法人税の税率)の規定を適用して計算した金額のうち当該事業年度の所得でその源泉が国外にあるものに対応するものとして政令で定めるところにより計算した金額(以下「控除限度額」という。)を限度として,その外国法人税の額(その所得に対する負担が高率な部分として政令で定める外国法人税の額,内国法人の通常行われる取引と認められないものとして政令で定める取引に基因して生じた所得に対して課される外国法人税の額,内国法人の法人税に関する法令の規定により法人税が課されないこととなる金額を課税標準として外国法人税に関する法令により課されるものとして政令で定める外国法人税の額その他政令で定める外国法人税の額を除く。以下同法69条において「控除対象外国法人税の額」という。)を当該事業年度の所得に対する法人税の額から控除する旨を定めている。 (3) 法人税法1 法人税の額その他政令で定める外国法人税の額を除く。以下同法69条において「控除対象外国法人税の額」という。)を当該事業年度の所得に対する法人税の額から控除する旨を定めている。 (3) 法人税法138条(国内源泉所得)法人税法138条は,同法第3編(外国法人の法人税)において「国内源泉所得」とは,同項1号から11号までに掲げるものをいう旨を定めており,同条1号は,国内において行う事業から生じ,又は国内にある資産の運用,保有若しくは譲渡により生ずる所得(同条2号から11号までに該当するものを除く。)その他その源泉が国内にある所得として政令で定めるものを掲げている。 - 50 - 4 法人税法施行令の定め法人税法施行令141条(外国法人税の範囲)1項は,法人税法69条1項(外国税額の控除)に規定する外国法人税は,外国の法令に基づき外国又はその地方公共団体により法人の所得を課税標準として課される税とする旨を定めている。 5 租税特別措置法関係通達(法人税編)(昭和50年2月14日付け直法2-2(例規)国税庁長官通達。以下「措置法通達」という。)の定め(甲14)措置法通達66の6-20(外国法人税の範囲)は,措置法66条の7第1項及び措置令39条の14第2項1号に規定する外国法人税の額には,特定外国子会社等が法人税法138条又は所得税法161条に規定する国内源泉所得に係る所得について課された法人税,所得税及び法人税法38条2項2号に掲げるものの額を含めることができる旨を定めている。 以上 - 51 -(別紙2)本件各更正処分等の根拠及び適法性に関する被告の主張 第1 本件各更正処分の根拠被告が本件訴えにおいて主張するAの平成20年4月期及び原告の平成20年12月連結期の所得の金額及び 本件各更正処分等の根拠及び適法性に関する被告の主張 第1 本件各更正処分の根拠被告が本件訴えにおいて主張するAの平成20年4月期及び原告の平成20年12月連結期の所得の金額及び納付すべき税額は,次のとおりである。なお,所得の金額に「△」を付したものは,欠損の金額を表す。 1 平成20年4月期更正処分について(1) 課税所得金額(別表2⑤欄) 163億3874万3171円上記金額は,次のアの金額にイ及びウの金額を加算した金額である。 ア確定申告における所得の金額(別表2①欄)△17億7196万1702円上記金額は,原告が麹町税務署長に対して平成20年7月30日に提出した平成20年4月期確定申告書に記載された所得の金額と同額である。 イ特定外国子会社等に係る課税対象留保金額の益金算入額(別表2②欄)180億6872万5836円上記金額は,原告(合併前のA)が,発行済株式の100%を有するBの平成19年12月期に係る措置法66条の6第1項に規定する課税対象留保金額として188億3633万2344円を所得の金額の計算上益金の額に算入すべきところ,7億6760万6508円のみを加算することによって,過少に所得の金額に加算していると認められる金額であるから,所得の金額の計算上,益金の額に算入される金額である。 ウ未収消費税の損金不算入額(別表2③欄) 4197万9037円上記金額は,原告(合併前のA)が,控除対象外消費税額として5447万3781円を所得の金額の計算上益金の額に算入すべ 費税の損金不算入額(別表2③欄) 4197万9037円上記金額は,原告(合併前のA)が,控除対象外消費税額として5447万3781円を所得の金額の計算上益金の額に算入すべきところ,1249万4744円のみを算入していたため,益金の額に算入されるべき金 - 52 -額である。 (2) 課税所得金額に対する法人税の額(別表2⑥欄)49億0162万2900円上記金額は,前記(1)の課税所得金額(国税通則法〔以下「通則法」という。〕118条1項の規定に基づき1000円未満の端数金額を切り捨てた後のもの。)に法人税法66条1項に規定する税率を乗じて計算した金額である。 (3) 法人税の額から控除される所得税の額(別表2⑦欄)2億0139万3906円上記金額は,法人税法68条に規定する法人税の額から控除される所得税の額であり,平成20年4月期確定申告書に記載された控除所得税額の金額と同額である。 (4) 納付すべき法人税の額(別表2⑧欄) 47億0022万8900円上記金額は,前記(2)の金額から前記(3)の金額を控除した金額(通則法119条1項の規定に基づき100円未満の端数金額を切り捨てた後のもの。)である。 (5) 既に納付の確定した法人税の額(別表2⑨欄)△2億0139万3906円上記金額は,平成20 の確定した法人税の額(別表2⑨欄)△2億0139万3906円上記金額は,平成20年4月期確定申告書に記載された還付金の額と同額である。 (6) 差引納付すべき法人税の額(別表2⑩欄) 49億0162万2800円上記金額は,前記(4)の金額から前記(5)の金額を控除した金額(通則法119条1項の規定に基づき100円未満の端数金額を切り捨てた後のもの。)であり,原告が新たに納付すべき法人税の額である。 2 平成20年12月連結期更正処分について(1) 課税所得金額(別表3⑬欄) △278億7741万9885円 - 53 -上記金額は,次のアの金額にイの金額を加算し,ウの金額を控除した金額である。 ア確定申告における連結所得の金額(別表3①欄)△282億8814万7654円上記金額は,原告が麹町税務署長に対して平成21年6月1日に提出した平成20年12月連結期確定申告書に記載された連結所得の金額と同額である。 イ連結所得に加算すべき金額の合計(別表3⑦欄)22億8367万9533円上記金額は,次の(ア)ないし(オ)の金額の合計金額である。 (ア) 分割前事業年度の欠損金の損金算入過大額(別表3②欄)17億7196万1702円上記金額は,平成20年4月期更正処分により被合併法人であ (ア) 分割前事業年度の欠損金の損金算入過大額(別表3②欄)17億7196万1702円上記金額は,平成20年4月期更正処分により被合併法人であるAの平成20年4月期における欠損金額が0円となったことから,連結所得の金額の計算上,過大に損金の額に算入された金額である。 (イ) 役員給与の損金不算入額(別表3③欄) 1億4689万5480円上記金額は,原告が役員に対して退職金を支給したとして所得の金額の計算上損金の額に算入していたものの,支給金額計算基準等から判断した結果,他の引き続き勤務している者に支払われる給与等と同性質であり,また,法人税法34条1項に規定する給与等にも該当しないことから,連結所得の金額の計算上損金の額に算入されない金額である。 (ウ) 外国法人税還付金減算過大額(別表3④欄)3億5959万9572円上記金額は,連結親法人の過年度の租税公課の見積計上額として所得の金額に加算した金額のうち,平成20年12月連結期に確定した3億0743万4661円を所得の金額の計算上損金の額に算入すべきとこ - 54 -ろ,6億6703万4233円を減算したために,連結所得の金額の計算上過大に損金の額に算入された金額である。 (エ) 一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の繰入限度超過額の増加額(別表3⑤欄) 522万2682円上記金額は,連結子法人であるG株式会社(以下「G」という。)の法人税法52条に規定する一括評価金銭債権に係る貸倒引当 522万2682円上記金額は,連結子法人であるG株式会社(以下「G」という。)の法人税法52条に規定する一括評価金銭債権に係る貸倒引当金について,法人税法施行令96条2項に基づき貸倒実績率を再計算して繰入限度額を計算したところ,繰入限度超過額が過少となっていた金額であり,益金の額に算入される金額である。 (オ) 雑益計上漏れ(別表3⑥欄) 97円上記金額は,連結子法人であるGの消費税及び地方消費税の更正に伴う消費税額等の納付税額と未払消費税額との差額であり,雑益として連結所得の金額の計算上益金の額に算入される金額である。 ウ連結所得の金額から減算すべき金額の合計(別表3⑫欄)18億7295万1764円上記金額は,次の(ア)ないし(エ)の金額の合計金額である。 (ア) 外国法人税還付金加算過大額(別表3⑧欄)4億5759万1274円上記金額は,外国法人税還付金に係る為替差損のうち,平成20年12月連結期において未確定の外国法人税還付金に係る為替差損は1億5159万0163円であるにもかかわらず,6億0918万1437円を所得の金額の計算上益金の額に算入したために,連結所得の金額が過大に計上された金額であり,損金の額に算入される金額である。 (イ) 事業再構築引当金加算過大額(別表3⑨欄) 9520万0000円上記 金の額に算入したために,連結所得の金額が過大に計上された金額であり,損金の額に算入される金額である。 (イ) 事業再構築引当金加算過大額(別表3⑨欄) 9520万0000円上記金額は,事業再構築引当金として所得の金額の計算上益金の額に算入した1億9970万円のうち,役員に対する退職金として支払が確 - 55 -定した金額であり,損金の額に算入される金額である。 (ウ) 事業税の損金算入額(別表3⑩欄) 12億5474万7400円上記金額は,Aの平成20年4月期更正処分により所得の金額が増加したことに伴い生じた事業税の金額であり,損金の額に算入される金額である。 (エ) 未払消費税の損金不算入額加算過大額(別表3⑪欄)6541万3090円上記金額は,原告の控除対象外消費税額として4904万7551円が連結所得の金額の計算上過大に益金の額に算入され,また,連結子法人であるGの控除対象外消費税額として1636万5539円が連結所得の金額の計算上過大に益金の額に算入されたものであり,連結所得の金額の計算上損金の額に算入される金額である。 (2) 課税所得金額に対する法人税の額(別表3⑭欄) 0円上記金額は,前記(1)の課税所得金額に法人税法66条1項に規定する税率を乗じて計算した金額である。 (3) 還付される所得税の額(別表3⑮欄) 80億7037万5088円上記金額は,法人税法78条に規定する還付される所得税の額であり,原告の平成20年12月連結期 (3) 還付される所得税の額(別表3⑮欄) 80億7037万5088円上記金額は,法人税法78条に規定する還付される所得税の額であり,原告の平成20年12月連結期確定申告書に記載された所得税額等の還付金額と同額である。 (4) 納付すべき法人税の額(別表3⑯欄) △80億7037万5088円上記金額は,前記(2)の金額から前記(3)の金額を控除した金額である。 (5) 既に納付の確定した法人税の額(別表3⑰欄)△80億7037万5088円上記金額は,平成20年12月連結期確定申告書に記載された還付金額と同額である。 (6) 差引納付すべき法人税の額(別表3⑱欄) 0円 - 56 -上記金額は,前記(4)の金額から前記(5)の金額を控除した金額であり,原告が新たに納付すべき法人税の額である。 (7) 翌期へ繰り越す連結欠損金の額(別表3⑲欄)278億7741万9885円上記金額は,平成20年12月連結期確定申告書に記載された翌期へ繰り越す連結欠損金の額282億8814万7654円から,前記(1)イの金額を控除し,前記(1)ウの金額を加算した金額である。 第2 本件各更正処分の適法性 1 平成20年4月期更正処分について原告の平成20年4月期の所得の金額及び納付すべき法人税の額は,前記第1の1(1)及び(6)のとおり,それぞれ163億3874万3171円,49億0162 20年4月期更正処分について原告の平成20年4月期の所得の金額及び納付すべき法人税の額は,前記第1の1(1)及び(6)のとおり,それぞれ163億3874万3171円,49億0162万2800円であるところ,これらの各金額は,それぞれ,平成20年4月期更正処分における所得の金額,納付すべき法人税の額と同額であるから,平成20年4月期更正処分は適法である。 2 平成20年12月連結期更正処分について原告の平成20年12月連結期の連結所得の金額,納付すべき法人税の額及び翌期へ繰り越す連結欠損金の額は,前記第1の2(1),(6)及び(7)のとおり,それぞれ△278億7741万9885円,0円及び278億7741万9885円であるところ,これらの各金額は,それぞれ,平成20年12月連結期更正処分における連結所得の金額,納付すべき法人税の額及び翌期へ繰り越す連結欠損金の額と同額であるから,平成20年12月連結期更正処分は適法である。 第3 平成20年4月期賦課決定処分の根拠前記第2の1のとおり,平成20年4月期更正処分は適法であるところ,同処分により原告が新たに納付すべき法人税の額については,その基礎となった事実について,原告がこれを計算の基礎としなかったことに,通則法65条4 - 57 -項に規定する「正当な理由」があるとは認められない。 したがって,平成20年4月期の法人税に係る過少申告加算税の額は,平成20年4月期更正処分により原告が新たに納付すべきこととなる税額49億0162万円(通則法118条3項の規定に基づき1万円未満の端数金額を切り捨てた後のもの。)に,通則法65条1項に基づき100分の10の割合を乗じて算出した金額4億9016万2000円と,同条2項に基づき上記 円(通則法118条3項の規定に基づき1万円未満の端数金額を切り捨てた後のもの。)に,通則法65条1項に基づき100分の10の割合を乗じて算出した金額4億9016万2000円と,同条2項に基づき上記49億0162万円のうち50万円を超える部分の金額49億0112万円に100分の5の割合を乗じて算出した金額2億4505万6000円との合計額7億3521万8000円である。 第4 平成20年4月期賦課決定処分の適法性被告が本件訴えにおいて主張する平成20年4月期更正処分に伴って賦課されるべき過少申告加算税の額は,前記第3のとおり7億3521万8000円であるところ,この金額は,平成20年4月期賦課決定処分における過少申告加算税の額と同額であるから,同処分は適法である。 以上 - 58 -(別紙3)争点に関する当事者の主張の要点 第1 本件訴えのうち本件通知処分の取消請求に係る部分についての訴えの利益の有無(争点1)について 1 被告の主張の要点(1) 麹町税務署長は,Aの平成20年4月期の法人税について,前提事実(5)ア及びイのとおり,原告の本件更正の請求(別表1②欄)に対して,通則法23条4項の規定に基づき本件通知処分(別表1③欄)をし,その後,通則法24条の規定に基づき,平成22年3月31日付けで,平成20年4月期に係る法人税につき納付すべき税額を増額する旨の更正処分(同別表1⑥欄)をした。 (2) 更正の請求に対してする更正をすべき理由がない旨の通知の処分(以下単に「通知処分」という。)と既に確定した納付すべき税額を増加させる更正の処分(以下「増額更正処分」という。)とが相前後してされた場合,以下に述べる理由から,通知処分は増額更正処分に吸収され,増額更正処分のみが取消訴訟の対 と既に確定した納付すべき税額を増加させる更正の処分(以下「増額更正処分」という。)とが相前後してされた場合,以下に述べる理由から,通知処分は増額更正処分に吸収され,増額更正処分のみが取消訴訟の対象になると解すべきである。 すなわち,通知処分は,納税者の更正の請求に対し課税庁が減額更正することを拒否し,申告税額等について税額を全体的に見直し,減額を認めないことを確認する効果を持つ処分であり,更正処分や決定処分のように新たに税額を確定する効果はないものではある。しかし,課税処分の同一性を確定される租税債務の同一性ととらえ,課税処分取消訴訟の審理の対象は客観的に存在する税額の存否であるとする総額主義の下では,通知処分の取消訴訟における審理の対象は,税額全体であり,税額全体を見直した上で,申告額を下回るか否かを判断することになると解される。そうすると,通知処分の取消訴訟と増額更正処分の取消訴訟とは,審理の対象が重なり合うことにな - 59 -るため,これらの処分を別々の訴訟で争わせると,同一の納税義務についての裁判所の判断に矛盾・抵触が生ずるおそれがある。 このことからすれば,更正処分ないし決定処分がされた後に増額再更正処分がされた場合においては,最後の増額再更正処分にそれ以前の更正処分等が吸収され,最後の増額更正処分のみが取消訴訟の対象となり,それ以前の増額更正処分等に対する取消訴訟は,訴えの利益が失われて不適法なものとなる(最高裁昭和27年(オ)第1058号同32年9月19日第一小法廷判決・民集11巻9号1608頁,最高裁昭和53年(行ツ)第55号同55年11月20日第一小法廷判決・裁判集民事131号135頁参照)のと同様,通知処分と増額更正処分の両処分について 9日第一小法廷判決・民集11巻9号1608頁,最高裁昭和53年(行ツ)第55号同55年11月20日第一小法廷判決・裁判集民事131号135頁参照)のと同様,通知処分と増額更正処分の両処分について不服申立手続が執られた上,これらの取消訴訟が提起された場合には,いずれか一方の処分が他方の処分を訴訟上においては吸収することになると解すべきである。そして,通知処分は申告税額の減少の理由の有無についてのみに関わるものであるのに対し,増額更正処分は納付すべき税額全体に関わり,申告税額を正当でないものとして否定し,これに増額更正を加えて税額の総額を確定するものであるから,増額更正処分の内容は通知処分の内容を包摂する関係にあるといい得る。したがって,通知処分が増額更正処分に吸収される関係になると解すべきであり,通知処分と増額更正処分が相前後してされた場合は,増額更正処分のみが取消訴訟の対象となると解すべきである。 (3) これを本件についてみると,原告は,本件通知処分及び平成20年4月期更正処分のいずれについても適法な不服申立てをし,これらの確定を遮断した上で,これらの取消しを求める本件訴えを提起したものであるから,平成20年4月期更正処分の取消訴訟において,本件更正の請求の内容である申告額を下回る部分の取消しをも請求することができる。したがって,原告の平成20年4月期の法人税については,平成20年4月期更正処分の取消しを訴求すれば足り,本件通知処分の取消しを求める訴えには,訴えの利益が - 60 -ない。 2 原告の主張の要点本件通知処分の取消請求に係る訴えにつき訴えの利益がない旨の被告の主張は,争う。 第2 特定外国子会社等の範囲について定める措置令39条の14第1項1号の規定が措置法66条の6第1項の柱書きの規定によ 通知処分の取消請求に係る訴えにつき訴えの利益がない旨の被告の主張は,争う。 第2 特定外国子会社等の範囲について定める措置令39条の14第1項1号の規定が措置法66条の6第1項の柱書きの規定による委任の範囲を超える無効なものであるか否か(争点2)について 1 被告の主張の要点(1) 措置法66条の6第1項の柱書きにいう「本店又は主たる事務所の所在する国又は地域におけるその所得に対して課される税の負担が本邦における法人の所得に対して課される税の負担に比して著しく低いもの」とは,その文理を自然に読めば,外国関係会社の本店所在地等において,当該外国関係会社の所得に対して課される税の負担が我が国のそれに比して著しく低いものをいうと解され,外国関係会社の本店又は主たる事務所が措置令39条の14第1項1号にいう「法人の所得に課される税が存在しない国又は地域」にある場合については,そもそもその国又は地域においては「税の負担」がないのであるから,これが措置法66条の6第1項の柱書きにいう「税の負担が…著しく低いもの」に該当することは,上記の文理解釈から明らかであるというべきである。したがって,措置令39条の14第1項1号が「法人の所得に課される税が存在しない国又は地域に本店又は主たる事務所を有する外国関係会社」と規定したのは委任の範囲を超えないことは明らかである。 なお,同項2号については,わずかではあっても,法人の所得に対して課される税が著しく低い場合には,当然に法人所得税に関する法律が存在し,法人の所得に対する租税の負担が著しく低いか否かを検討する上で,本店所在地国の法令に従って,本店所在地国で課される外国法人税,本店所在地国以外で課される外国法人税,租税条約などの関係から納付したとみなされる - 61 -外国法人税を加味し 検討する上で,本店所在地国の法令に従って,本店所在地国で課される外国法人税,本店所在地国以外で課される外国法人税,租税条約などの関係から納付したとみなされる - 61 -外国法人税を加味しなければ,外国関係会社の所得に対して課される税の負担が本邦における法人の所得に対して課される税の負担に比して著しく低いか否かを判断できないのであるから,「税の負担」とは,本店所在地国以外の国の税の負担を含むのである。 そうすると,措置令39条の14第1項1号と2号とにおいて,「税の負担」を検討する上で,他の国において課税される国税を考慮しなければならないか否かの差が生ずるのは当然であって,措置法66条の6第1項の委任の範囲を逸脱するものではないから,原告の主張は,その前提において失当というほかない。 (2) 外国子会社合算税制の目的は,軽課税国(いわゆるタックス・ヘイブン)にある子会社等で我が国株主により支配されているようなものに我が国株主が所得を留保し,我が国での税負担を不当に軽減することを規制することにあるが,外国子会社合算税制は,子会社等の法人格を否定することなく,その留保所得が実質的に帰属する者である我が国株主に課税しようとするものであり,別個の法人格を有する外国法人の所得を株主の所得に算入するような措置は極めて異例なものともされている(乙8)。そして,外国子会社合算税制が,特定外国子会社等の適用対象留保金額のうち株主の持分に応じて計算される課税対象留保金額を「収益の額とみなして」合算課税するというものであることからすれば,税負担の実質的な公平を図る観点からも,課税要件を明確に規定することが極めて重要である。このような考え方から,その導入時は,特定外国子会社等の該当性の判定においては,いわゆる軽課税国指定制度 れば,税負担の実質的な公平を図る観点からも,課税要件を明確に規定することが極めて重要である。このような考え方から,その導入時は,特定外国子会社等の該当性の判定においては,いわゆる軽課税国指定制度によりタックス・ヘイブンに該当する国又は地域が明確に指定されていた。しかし,その後,租税回避に利用されやすい課税上の措置を講じる国があとを絶たず,諸外国の税制改正のめまぐるしい動きを漏れなく適時適切に把握することは非常に困難となってきたことから,平成4年の税制改正において,軽課税国指定制度を廃止し,特定外国子会社等に当たるか否かの - 62 -判定は個々の外国関係会社ごとに行うこととされた。もっとも,特定外国子会社等の判定を個々の外国関係会社ごとに行うとはいえ,平成4年の税制改正においてその趣旨・目的自体を変更したわけでなく,その判定は,その外国関係会社の「本店所在地国」の租税に関する法令の規定を基に行うこととされているから,従来もタックス・ヘイブンであった「法人の所得に課される税が存在しない国又は地域」に主たる事務所を有する外国関係会社(措置令39の14第1項1号)は,当然に特定外国子会社等と判定され,「本店所在地国」の外国法人税(法人税法69条1項に規定する外国法人税)に関する法令の規定を基に計算した租税の負担割合が「その各事業年度の所得(中略)の金額の100分の25以下である外国関係会社」(措置令39の14第1項2号及び同条2項)は,「本邦における法人の所得に対して課される税の負担に比して著しく低いもの」(措置法66条の6第1項)として特定外国子会社等と判定される。このことは,軽課税国を利用した租税回避の防止を目的に導入された外国子会社合算税制の趣旨・目的や,上記のような同制度導入後の特定外国子会社等の判定方法の改正経緯から当然 定外国子会社等と判定される。このことは,軽課税国を利用した租税回避の防止を目的に導入された外国子会社合算税制の趣旨・目的や,上記のような同制度導入後の特定外国子会社等の判定方法の改正経緯から当然に導かれる結果であり,課税要件を明確に規定し軽課税国を利用した租税回避を防止するという同税制の趣旨・目的に適合するものである。 (3) ①外国子会社合算税制導入時の「昭和53年度の税制改正に関する答申」(甲1)において,「いわゆるタックスヘイブンとしては,法人税が全くないか若しくは我が国法人税に比しその実効税率が著しく低い国又は国外源泉所得を非課税としている国等を対象とする」とされ,②これを受けて制定された措置法66条の6第1項(昭和53年法律第11号によりこの規定が新設された当時のもの)は,「本邦における法人の所得に対して課される税の負担に比して法人のすべての所得又は特定の所得に対して課される税の負担が著しく低い国又は地域としてすべての所得又は特定の所得の区分ごとに政令で定める国又は地域に本店又は主たる事務所を有するもの」(乙12)と規 - 63 -定し,③その委任を受けた租税特別措置法施行令(平成4年政令第87号による改正前のもの。以下「平成4年改正前措置令」という。)39条の13第1項は,「政令で定める国又は地域は,次の各号に掲げる所得に対して税を課さない国若しくは地域又は当該各号に掲げる所得に対して課される税の負担が本邦における法人の所得に対して課される税の負担に比して著しく低い国若しくは地域として当該各号に掲げる所得の区分ごとに大蔵大臣が指定する国又は地域とする」(乙13)旨規定し,「所得に対して税を課さない国若しくは地域」と「所得に対して課される税の負担が本邦における法人の所得に対して課される税の負担に比して…著しく 大蔵大臣が指定する国又は地域とする」(乙13)旨規定し,「所得に対して税を課さない国若しくは地域」と「所得に対して課される税の負担が本邦における法人の所得に対して課される税の負担に比して…著しく低い国又は地域」が明確に区分して規定されていたことからも,被告の主張が正当であることが裏付けられる。 2 原告の主張の要点(1) 最高裁判例において,政令の規定が法律による委任の範囲を超えるかどうかについては,形式的に法律及び政令の文言を比較するだけでなく,「委任の範囲については,その文言はもとより,法の趣旨や目的,さらには,同項が一定の類型の児童を支給対象者として掲げた趣旨や支給対象児童とされた者との均衡等をも考慮して解釈すべきである。」などとされている(最高裁平成8年(行ツ)第42号同14年1月31日第一小法廷判決・民集56巻1号246頁。児童扶養手当法4条1項5号の委任に基づき児童扶養手当の支給対象児童を定める政令の規定の効力が問題とされた事案に関するもの。)ように,最高裁判所は,委任の根拠法の趣旨を明らかにした上で,当該根拠法の趣旨と当該委任を受けた政令の趣旨とが合致するかどうかという枠組みで政令・省令が法律の委任の範囲を超えるかどうかを判断している。 (2)ア措置法66条の6第1項の柱書きの定める特定外国子会社等の定義は,「次に掲げる内国法人に係る外国関係会社のうち,」「本店又は主たる事務所の所在する国又は地域におけるその所得に対して課される税の負担」 - 64 -(①)が「本邦における法人の所得に対して課される税の負担」(②)に「比して著しく低いものとして政令で定める外国関係会社に該当するもの」と分節することができる。 イ外国子会社合算税制は,昭和53年の税制改正(昭和53年法律第11号による措置法の 負担」(②)に「比して著しく低いものとして政令で定める外国関係会社に該当するもの」と分節することができる。 イ外国子会社合算税制は,昭和53年の税制改正(昭和53年法律第11号による措置法の改正)によって創設され,その際には,特定外国子会社等の範囲について,いわゆる軽課税国限定列挙方式が採用されたが,その後,平成4年の税制改正(平成4年法律第14号による措置法の改正)によって,特定外国子会社等の判定方法は,個々の法人ごとに,かつ,事業年度ごとに「税の負担」の割合が25%以下か否かにより特定外国子会社等に該当するか否かを判定する方式(税負担率判定方式)に変更された。 しかし,前記ア②の「本邦における法人の所得に対して課される税の負担」という文言は,平成4年の改正前後において一貫して用いられており,また,平成4年の改正の趣旨・目的において当該文言の解釈に影響を与えるものは見当たらないから,当該文言は,平成4年の改正の前後において同様に解釈されるべきであるところ,昭和53年度の税制改正に関する答申(甲1)に「いわゆるタックス・ヘイブンとしては,法人税が全くないか若しくは我が国法人税に比しその実効税率が著しく低い国又は国外源泉所得を非課税としている国等を対象とする。」とあるように,当該文言は,我が国の実効税率を指すものと解されている(甲12参照)。 ウ前記ア①の「本店又は主たる事務所の所在する国又は地域におけるその所得に対して課される税の負担」との文言は,「本店又は主たる事務所の所在する国又は地域における」が「その所得」と「課される税の負担」とのいずれに掛かるのかについて,少なくとも両方の解釈が可能であり,文言解釈のみからは,そのいずれが正しいかを決することができないものというべきである。 そして,措置法66条の6第1項の委任を受 とのいずれに掛かるのかについて,少なくとも両方の解釈が可能であり,文言解釈のみからは,そのいずれが正しいかを決することができないものというべきである。 そして,措置法66条の6第1項の委任を受けて制定された措置令39 - 65 -条の14第1項は,特定外国子会社等の範囲を定めるものであるが,①同項1号においては,措置法66条の6第1項の柱書きの「税の負担」は,飽くまで「本店又は主たる事務所の所在する国又は地域における」ものに限定することが前提とされている(前記「本店又は主たる事務所の所在する国又は地域における」との文言は,「課される税の負担」に掛かる。)のに対し,②措置令39条の14第1項2号及び2項においては,措置法66条の6第1項の柱書きの「税の負担」は,「本店又は主たる事務所の所在する国又は地域における」税の負担のみならず,「本店又は主たる事務所の所在する国又は地域以外における」税の負担も含むものとして解釈されている(「本店又は主たる事務所の所在する国又は地域における」との文言は,「課される税の負担」ではなく「その所得」にのみ掛かることが前提とされている。)。このように,措置令39条の14第1項1号と2号とでは,「税の負担」との文言の解釈,ひいては,措置法66条の6第1項の柱書きの「本店又は主たる事務所の所在する国又は地域におけるその所得に対して課される税の負担」との文言の解釈につき異なる立場が採られており,両者は矛盾しているといわざるを得ない。同項の柱書きの想定する「税の負担」の概念は,単一の文言であることに加えて,外国子会社合算税制の趣旨・目的を実現するためにも一つの意義でしかあり得ず,措置令39条の14第1項1号又は2号の少なくともいずれか一方は,措置法66条の6第1項の柱書きに定める「税の負担」の解釈を誤っ 会社合算税制の趣旨・目的を実現するためにも一つの意義でしかあり得ず,措置令39条の14第1項1号又は2号の少なくともいずれか一方は,措置法66条の6第1項の柱書きに定める「税の負担」の解釈を誤って制定されたものであり,同項の柱書きの委任の範囲を超え,無効であると解するほかない。 エ外国子会社合算税制の趣旨・目的は,①課税要件を明確化して課税執行面における安定性を確保するとともに,②いわゆるタックス・ヘイブンを利用して我が国における租税の負担を回避しようとする事例に対処して税負担の実質的な公平を図ることにあること(最高裁平成17年(行ヒ)第 - 66 -照)に照らせば,ここでの税負担の実質的な公平とは,内国法人の所得の税負担とタックス・ヘイブンに置かれた外国子会社の所得の税負担との間の実質的な公平であると解されるから,例えば,その所得に対して本店所在地国でのみ30%課税される外国関係会社と,その所得に対して本店所在地国で10%,本店所在地国以外で20%課税される外国関係会社とを我が国における外国子会社合算税制の適用対象において区別する合理的な根拠は見いだし難い。後記第4の2においても述べるとおり,法人の所得に対して課される税が存在しない国又は地域に本店又は主たる事務所を有する外国関係会社は,その税負担率が25%超であるか否かにかかわらず,全て特定外国子会社等に該当するものとすることは,外国子会社合算税制の趣旨・目的に反するものというべきであって,前掲最高裁平成19年9月28日第二小法廷判決の判示は,「特定外国子会社等」の範囲,すなわち外国子会社合算税制の適用範囲を画することとなる概念である「税の負担」とは,「本店又は主たる事務所の所在する国又は地域(本店所在地国)における」「税の負担」に加えて「本店又は主たる事務所の所在 わち外国子会社合算税制の適用範囲を画することとなる概念である「税の負担」とは,「本店又は主たる事務所の所在する国又は地域(本店所在地国)における」「税の負担」に加えて「本店又は主たる事務所の所在する国又は地域」(本店所在地国)以外の地域における「税の負担」も含んだものを意味するという解釈を前提とするものと解することができる。 加えて,措置令39条の16第1項2号イの「その本店所在地国において課される税の負担が本邦における法人の所得に対して課される税の負担に比して著しく低い税の負担として財務省令で定める基準以下のもの」との規定ぶりに照らすと,仮に,措置法66条の6第1項の柱書きにおいて「税の負担」をその本店所在地国における「税の負担」に限定して定めることを立法者が意図していたのであれば,同項の柱書きは,「次に掲げる内国法人に係る外国関係会社のうち,その所得に対して本店又は主たる事務所の所在する国又は地域において課される税の負担が本邦における法人 - 67 -の所得に対して課される税の負担に比して著しく低いものとして政令で定める外国関係会社に該当するもの」と規定されていてしかるべきであったはずであり,このような文言が用いられていないこともまた,上記の解釈が正当であることを示している。 そうすると,措置法66条の6第1項の柱書きの「税の負担」は,前記ウ②において述べた意味内容(措置令39条の14第1項2号において前提とされている意味内容)のものであるというべきであるから,同項1号は,措置法66条の6第1項の柱書きによる委任の範囲を超えるものであることが明らかであって,前記(1)において述べた判断枠組みに照らせば,無効なものと解すべきである。 (3) 被告は,措置令39条の14第1項1号が措置法66条の6第1項の柱書きの委 ものであることが明らかであって,前記(1)において述べた判断枠組みに照らせば,無効なものと解すべきである。 (3) 被告は,措置令39条の14第1項1号が措置法66条の6第1項の柱書きの委任に反しないことの理由の一つとして,平成4年法律第14号による改正前の措置法66条の6第1項の柱書き及び平成4年改正前措置令39条の13の第1項の文言を引用するが,上記改正の前と後では措置法66条の6第1項の柱書きの文言が変更されていることを看過している。平成4年改正を経た後の措置令が委任規定による委任の範囲を逸脱しているかどうかを判断するに当たっては,平成4年改正後の措置法の規定の文言を解釈する必要があるのであって,平成4年改正前の措置法及び措置令の文言を持ち出してきたところで何ら意味を有するものではない。 第3 Bの国内源泉所得が措置法66条の6第1項にいう「課税対象留保金額」に該当するか否か(争点3) 1 被告の主張の要点(1) B平成19年12月期に係る課税対象留保金額の算定は,平成20年4月期更正処分において,以下のとおり適法にされている。 ア未処分所得の金額の計算B平成19年12月期の決算に基づく所得の金額222億1306万5 - 68 -152円につき,本邦法令の規定の例に準じて計算した場合に算出される所得の金額(措置令39条の15第1項)は,原告が平成20年4月期確定申告書にBに係る「未処分所得の金額」として記載した385億8167万0508円に,計算誤りと認められた次の各金額を加算又は減算した後の388億3754万2344円である(甲8,乙1)。 (ア) 申告時に「損金の額に算入した納税充当金」として所得の金額に加算されていた金額(乙1・2枚目)のうち4761万4642円は,B 算した後の388億3754万2344円である(甲8,乙1)。 (ア) 申告時に「損金の額に算入した納税充当金」として所得の金額に加算されていた金額(乙1・2枚目)のうち4761万4642円は,B平成19年12月期において納付した配当等に係る所得税の額であるから,当該金額を加算過大額として減算する(甲8・更正の理由1(1))。 (イ) 申告時に「控除対象配当等の額」として所得の金額から減算されていた1億6080万1651円(乙1・2枚目)は,法人税法23条の規定による受取配当等の益金不算入相当額であるが,同条の規定は,未処分所得の金額の計算に適用されない(措置令39条の15第1項)ため,当該金額を減算過大額として加算する(甲8・更正の理由1(2))。 (ウ) 平成20年4月期確定申告書別表十七(二)付表「特定外国子会社等の判定に関する明細書」(乙1・3枚目)の「控除未済欠損金額」を繰越欠損金の「当期控除額」として所得の金額から減算した18億4145万6635円は,当該金額に次のbを加算し,a及びcを減算した16億9877万1808円が正当であるから,その差額1億4268万4827円を所得の金額の計算上加算する(甲8・更正の理由1(3))。 aBの平成17年4月1日から平成18年3月31日までの事業年度(以下「B平成18年3月期」という。)及び同年4月1日から平成19年3月31日までの事業年度(以下「B平成19年3月期」という。)に係る未処分所得の金額の計算において,受取配当等の益金不算入相当額を「控除対象配当等の額」として所得の金額から減算したことにより,その平成14年4月1日から平成15年3月31日まで - 69 -の事業年度(以下「B平成15年3月期」という。)に係る控除未 額を「控除対象配当等の額」として所得の金額から減算したことにより,その平成14年4月1日から平成15年3月31日まで - 69 -の事業年度(以下「B平成15年3月期」という。)に係る控除未済欠損金額が9517万3628円過大となっていたので,同金額を繰越欠損金の当期控除額から減算する。 bBの平成15年4月1日から平成16年3月31日までの事業年度(以下「B平成16年3月期」という。)に係る未処分所得の金額の計算において,配当等に係る所得税の額を「損金の額に算入した納税充当金」として所得の金額に加算したことにより控除未済欠損金額が2329万4282円過少となっていたので,同金額を繰越欠損金の当期控除額に加算する。cBの平成16年4月1日から平成17年3月31日までの事業年度(以下「B平成17年3月期」という。)に係る未処分所得の金額の計算において,受取配当等の益金不算入相当額を「控除対象配当等の額」として所得の金額から減算したことにより控除未済欠損金額が7080万5481円過大となっていたので,同金額を繰越欠損金の当期控除額から減算する。 イ適用対象留保金額の計算適用対象留保金額は,特定外国子会社等の各事業年度の未処分所得の金額から,当該各事業年度において納付をすることとなる法人所得税の額及び当該各事業年度を基準事業年度とする剰余金の配当等の額の合計額を控除して計算する(措置令39条の16第1項)。 したがって,前記アのBに係る「未処分所得の金額」388億3754万2344円から,Bに係る平成19年5月29日に申告した都民税の額121万円及びBが平成20年1月22日に配当決議をし,同月25日に支払った200億円(本件配当金)を控除すると,適用対象留保金額は,188億3633万2344円となる(甲 9日に申告した都民税の額121万円及びBが平成20年1月22日に配当決議をし,同月25日に支払った200億円(本件配当金)を控除すると,適用対象留保金額は,188億3633万2344円となる(甲8・更正の理由1)。 なお,原告は,平成20年4月期確定申告書(甲5の1・17枚目)に - 70 -おいて,B平成19年12月期に係る適用対象留保金額の計算について,「当期中に納付することとなる法人所得税の額」として178億1406万4000円を未処分所得の金額から控除しているが,当該金額は,Bが平成20年2月6日に申告した法人税115億2640万6300円,法人住民税23億9672万9800円及び法人事業税38億9092万7900円の合計額であり(甲4の1・2),「当該事業年度において納付をすることとなる法人所得税の額」に該当しない。 ウ課税対象留保金額の計算課税対象留保金額は,適用対象留保金額に,当該特定外国子会社等の当該各事業年度終了の時における発行済株式等のうちに当該各事業年度終了の時における当該内国法人の有する当該特定外国子会社等の請求権勘案保有株式等の占める割合を乗じて計算した金額と規定されている(措置令39条の16第2項)。 Aは,B平成19年12月期終了の時においてもBの発行済株式の全部を有していることから,適用対象留保金額188億3633万2344円の全額が課税対象留保金額となる(甲8・更正の理由1)。 (2)ア原告は,措置法66条の6第1項の柱書き,措置令39条の14第1項1号及び2号の各規定は,文理のみではその解釈を一義的に確定し難く,外国子会社合算税制の趣旨・目的等に照らせば,我が国において法人税等が課されることになる特定外国子会社等の国 置令39条の14第1項1号及び2号の各規定は,文理のみではその解釈を一義的に確定し難く,外国子会社合算税制の趣旨・目的等に照らせば,我が国において法人税等が課されることになる特定外国子会社等の国内源泉所得は,同税制の下では課税対象留保金額には含まれないものというべきであるなどと主張する。 イしかし,特定外国子会社等に係る課税対象留保金額に相当する金額は,特定外国子会社等が,各事業年度において,「特定外国子会社等の各事業年度の決算に基づく所得の金額」に所定の調整を加えた未処分所得の金額から留保したものとして算出される適用対象留保金額に基づき計算されるところ,課税対象留保金額に相当する金額の計算上,特定外国子会社等の - 71 -我が国における国内源泉所得を除外する規定はないのであるから,当該国内源泉所得が「決算に基づく所得の金額」(措置法66条の6第2項2号,措置令39条の15第1項の柱書き)に含まれることは明らかである。 そもそも,「本税制においては,軽課税国の子会社等の留保所得のうち株主の持分に応じて計算される課税対象留保金額は『収益の額とみなして』…合算課税されることとされている。これは,株主たる内国法人…に係る課税対象留保金額が,通常であれば当該内国法人…に対する利益の配当又は剰余金の分配として交付されるべき性質のものであり,株主は子会社等にそうさせるだけの支配力をもっているにもかかわらず,子会社等が配当を全くあるいはわずかしか行わず,留保所得を蓄積しているところに税の回避を推認し得る,という考え方の表われ」とされ,「本税制は,子会社等の法人格を否定することなく,その留保所得が実質的に帰属する者である我が国株主に課税しようとするものであり,そのための課税要件を明確かつ具体的に定めている。別個の法人格を有する外 本税制は,子会社等の法人格を否定することなく,その留保所得が実質的に帰属する者である我が国株主に課税しようとするものであり,そのための課税要件を明確かつ具体的に定めている。別個の法人格を有する外国法人の所得を株主の所得に算入するような措置は極めて異例なものといえるが,しかし,タックス・ヘイブンの利用という事態に対しては課税の実質的公平を確保するために本税制のような所得計算についての本則の特例を設けることにより株主に対する措置を講ずることが妥当と考えられたのである。従って,本税制は連結納税制度的な考え方に基づくものでは全くな」いとされている(乙8)。したがって,同税制においては,特定外国子会社等に留保所得が生じていることが問題なのであって,留保所得の源泉に我が国の国内源泉所得が含まれているかどうかは,その課税要件と何ら関係がなく,これを課税対象留保金額から除くべき理由は認められない。 (3)ア原告は,措置令39条の15第1項の柱書きにいう「決算に基づく所得の金額」という文言について,具体的にどの範囲の所得が含まれるのかが文言上明らかでなく,特定外国子会社等が国内源泉所得を有する場合の取 - 72 -扱いについては明文で定められていないと解されるなどとした上で,このような場合には,課税対象留保金額の範囲については,外国子会社合算税制の趣旨・目的を踏まえた解釈をすべきである旨主張する。 イしかし,租税法規は,多数の納税者間の税負担の公平を図る観点から,法的安定性の要請が強く働くことから,その解釈は,原則として文理解釈によるべきであり,文理解釈によっては規定の意味内容を明らかにすることが困難な場合に初めて,当該規定の趣旨・目的に照らしてその意味内容を明らかにする目的的解釈が行われるべきである。 べきであり,文理解釈によっては規定の意味内容を明らかにすることが困難な場合に初めて,当該規定の趣旨・目的に照らしてその意味内容を明らかにする目的的解釈が行われるべきである。 そして,措置令39条の15第1項の柱書きは「決算に基づく所得の金額」と定めているところ,「決算」とは,一定の期間における収入支出,損益等の総実績を明らかにして,予算と対比することをいい,決算の際に作成される帳簿書類(総勘定元帳の各勘定)等には,当該企業に関わる全ての経済的事象(取引)が記録されるのであって,「決算に基づく所得の金額」には企業が行う取引によって稼得する全ての所得が含まれることが明らかである。 以上からすれば,措置令39条の15第1項の柱書きの文理解釈上,国内源泉所得は,「決算に基づく所得の金額」に含まれるというほかないから,当然,特定外国子会社等の国内源泉所得についても,法令の文理解釈上,課税対象留保金額に含まれることとなる。したがって,法令の趣旨・目的に照らした合目的的解釈又は趣旨解釈をする必要性はなく,原告の上記主張は,そもそもその前提において誤りといわざるを得ない。 (4)ア原告は,「未処分所得の金額」を定義する措置法66条の6第2項2号の文言からは,「未処分所得の金額」にどの範囲の所得が含まれるかは一義的に明らかではなく,その結果「課税対象留保金額」に特定外国子会社等の国内源泉所得が含まれるか否かは一義的には確定できないなどと主張する。 - 73 -イしかし,以下のとおり,特定外国子会社等の国内源泉所得が未処分所得の金額に含まれることは明らかである。 (ア) 未処分所得の金額は,原則として,特定外国子会社等の当該各事業年度の決算に基づく所得の金額につき,本邦 会社等の国内源泉所得が未処分所得の金額に含まれることは明らかである。 (ア) 未処分所得の金額は,原則として,特定外国子会社等の当該各事業年度の決算に基づく所得の金額につき,本邦法令の規定の例に準じて計算した場合に算出される所得の金額又は欠損金額と当該各事業年度において納付する法人所得税の額との合計額から当該各事業年度において還付を受ける法人所得税の額を控除した残額と定められている(措置令39条の15第1項)。そして,この未処分所得の金額の計算については,「本税制が特定外国子会社の留保所得の内国法人への帰属というシステムを採っている以上,その合算の基礎となる金額の計算は原則として我が国税法の所得計算の基準に従って統一的に行うことが望ましい」との考え方に立ち(甲12),措置令39条の15第1項では,法人税法22条等の本邦法令に準じて計算することが規定されている。特に,同条は,内国法人の各事業年度の所得の金額は,各事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とし(1項),その益金の額に算入すべき金額は,別段の定めがあるものを除き,資本等取引以外の取引に関わる収益の額であることとし(2項),益金には企業会計上の収益が算入されることを明確にしている。そして,別段の定めのあるものを除き,原則的には,企業会計上の費用及び損失を控除することとし(3項),上記の収益,費用及び損失については,「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」に従って計算されるものとすることを明らかにしている(4項)。このような同条に規定されている課税所得計算を措置令39条の15に照らしてみると,特定外国子会社等の未処分所得の金額は,特定外国子会社等の益金の額から損金の額を控除して計算することとなり,当該益金としては企業会計上の収益が,当 課税所得計算を措置令39条の15に照らしてみると,特定外国子会社等の未処分所得の金額は,特定外国子会社等の益金の額から損金の額を控除して計算することとなり,当該益金としては企業会計上の収益が,当該損金としては企業会計上の費用及び損失が,それぞれ算入され,その企業会計上の収益,費用及び - 74 -損失については,一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算することとなる。そして,一般に公正妥当と認められる会計処理の基準である企業会計原則においては,企業会計上,「すべての取引につき,正規の簿記の原則に従って,正確な会計帳簿を作成しなければなら」ず,「損益計算書は,…すべての収益とこれに対応するすべての費用とを記載して経常利益を表示」するものとされている。 このことからすれば,特定外国子会社等の未処分所得の金額についても,特定外国子会社等の全ての取引について会計帳簿が作成され,そこに記載された全ての収益とこれに対応する全ての費用とから計算されるのであって,我が国の企業会計上,在外支店の収益とこれに対応する費用を未処分所得の金額の計算から除くことなど規定していない上に,法人税法上も国外源泉所得を除く規定にはなっていないから,特定外国子会社等の未処分所得の金額を本邦法令の規定の例に準じて計算した場合において,国内源泉所得が未処分所得の金額に含まれることは明らかである。 (イ) 未処分所得の金額の計算上,特定外国子会社等の各事業年度の決算に基づく所得の金額については,「本邦法令の規定」に準じて計算することを原則としつつ,「本店所在地国の法令の規定」に準じて計算することも認められているところ(措置令39条の15第1項及び2項),この場合については,「一定の調整(例えば国外 計算することを原則としつつ,「本店所在地国の法令の規定」に準じて計算することも認められているところ(措置令39条の15第1項及び2項),この場合については,「一定の調整(例えば国外源泉所得が課税所得に含まれないような税制の国の場合にそれを未処分所得の金額に含める。)を加えればそれによることも可能とされました。」と説明されている(甲12,措置令39条の15第2項)。すなわち,本店所在地国の法令に準じて計算する場合には,本邦法令の規定に準じて計算した場合との間で著しいかい離が生じないように,一定の調整を行うことによって,本邦法令の規定に準じて計算した場合と同様に特定外国子会社等の - 75 -国内源泉所得を含む全ての所得を課税対象留保金額の計算に含めることとされている。このことからすれば,本店所在地国の法令の規定に準じて計算する場合においても,国内源泉所得が未処分所得の金額に含まれることは明らかである。 (ウ) 前記(3)において述べたとおり,文理解釈上,国内源泉所得は,「決算に基づく所得」に含まれるものというべきであるから,「未処分所得の金額」に含まれる。このことをおくとしても,措置法66条の6等が規定する「未処分所得の金額」に国内源泉所得が含まれるというのは公定解釈であり,これに反する解釈は本件における原告の主張以外に見当たらないから,少なくとも,この「未処分所得の金額」に国内源泉所得が含まれると解することは一般的な解釈であるということはできる。これを前提とすると,仮に,措置法及び措置令が規定する特定外国子会社等の未処分所得の金額に国内源泉所得が含まれないというのであれば,他の措置法の各規定でもみられるように(例えば,いわゆる移転価格税制に係る措置法66条の4第1項は,適切な国外関連者の判定 外国子会社等の未処分所得の金額に国内源泉所得が含まれないというのであれば,他の措置法の各規定でもみられるように(例えば,いわゆる移転価格税制に係る措置法66条の4第1項は,適切な国外関連者の判定を行うため「(当該他方の法人が有する自己の株式又は出資を除く。)」と規定している。),措置令39条の15第1項の柱書きに「国内源泉所得を除く」等の文言が入れられ,あるいは,法人税法22条等を引用する際に「国内源泉所得を除く」等の文言が入れられるものと考えられる。しかし,措置令39条の15第1項にそのような文言はないのであって,措置法及び措置令が規定する特定外国子会社等の「未処分所得の金額」にも国内源泉所得が含まれるものと解するのが自然かつ合理的である。 (エ) 特定外国子会社等の未処分所得の金額の計算を規定する措置令39条の15の規定は,合算の基礎となる金額の計算は原則として我が国税法の所得計算の基準に従って統一的に行うことが望ましいという立法時の考えに基づいて規定されているものであり,制定当時における規定内容 - 76 -と平成20年4月期の期末時における規定内容について,条文の規定振りに大きな変更は認められないから,立法時における基本的な考え方が変わっていないことは明らかである。したがって,外国子会社合算税制において,特定外国子会社等の未処分所得の金額に国内源泉所得を含めないと解することはできない。 (オ) 平成25年度税制改正の大綱においては,「無税国に所在する特定外国子会社等に係る外国子会社合算税制の合算所得につき,本店所在地国以外の国で課税される場合には,当該合算所得は,外国税額控除の適用上,非課税国外所得に該当しないこととする。」とされたところ(乙28),これは,I及びJの改正要望が反映 合算所得につき,本店所在地国以外の国で課税される場合には,当該合算所得は,外国税額控除の適用上,非課税国外所得に該当しないこととする。」とされたところ(乙28),これは,I及びJの改正要望が反映されたものである(乙29,乙30)。かかる改正要望は,原告の主張のように特定外国子会社等の本店所在地国以外の国又は地域における所得を外国子会社合算税制の合算の対象から除くといった内容ではなく,現行措置令39条の18第9項の規定を改正することにより経済的二重課税の調整を行うこととするものであり,実際の改正もこの改正要望に沿うものであって,原告が主張するような内容のものとはなっていない。この点からみても,特定外国子会社等の国内源泉所得が「未処分所得の金額」に含まれることは明らかである。 (カ) 以上のとおり,特定外国子会社等の国内源泉所得が措置法66条の6第2項2号に規定する「未処分所得の金額」に含まれることは文理上明らかであり,また,本邦法令の規定に準じて計算する場合も,本店所在地国の法令の規定に準じて計算する場合も,他の措置法の各規定との対比からみても,措置令39条の15の立法経緯からみても,さらには,平成25年度税制改正要望及び平成25年度税制改正の大綱からみても,特定外国子会社等の国内源泉所得が「未処分所得の金額」に含まれることは,より一層明らかである。 - 77 -(5)ア原告は,土地譲渡益重課制度に関する規定と対比させ,措置法66条の6第1項は,特定外国子会社等の国内源泉所得に対して本来法人税法上課される法人税を超えて「同一所得」に対して法人税を加算して課税するという文言を欠いた規定であるといわざるを得ず,租税法律主義(特に課税要件法定主義)及び一般法と特別法の関係に関する法理の観点からは,その文言を を超えて「同一所得」に対して法人税を加算して課税するという文言を欠いた規定であるといわざるを得ず,租税法律主義(特に課税要件法定主義)及び一般法と特別法の関係に関する法理の観点からは,その文言を欠いている以上,特定外国子会社等の国内源泉所得に対して法人税を加算して課するために必要な課税要件が一義的に明確に法定されていないと解すべきである旨主張する。 イしかし,外国子会社合算税制の趣旨・目的は,いわゆるタックス・ヘイブンにある子会社等で我が国株主により支配されているようなものに我が国株主が所得を留保し,我が国での税負担を不当に軽減することを規制することにあり,特定外国子会社等の課税対象留保金額を「収益の額とみなして」我が国親会社の所得の金額の計算上,益金に加算するものであるのに対し,土地譲渡益重課制度は,当該土地の譲渡等に係る譲渡利益金額の合計額に20%を乗じて計算した金額が法人税額として加算される(甲27)とされているように,同一の課税主体の同一の所得に対して,重ねて課税するものであり,明らかにその性質が異なるものである。また,外国子会社合算税制は,特定外国子会社等に所得を留保して我が国の税負担を免れることとなる内国法人に対しては当該所得を当該内国法人の所得に合算して課税することによって税負担の公平性を追求したものであるのに対し,土地譲渡益重課制度は,土地の商品としての特殊性と投機的な土地取引を抑制するという観点から土地譲渡益に重課するものであり,税負担の公平性を追求し規定された外国子会社合算税制とは,その趣旨・目的が明らかに異なる。そして,本件で原告が問題視している「経済的二重課税」は,後に述べるとおり,外国税額控除の規定(措置法66条の7)及び課税済留保金額の損金算入の規定(措置令66条の8)により調整されるもので - そして,本件で原告が問題視している「経済的二重課税」は,後に述べるとおり,外国税額控除の規定(措置法66条の7)及び課税済留保金額の損金算入の規定(措置令66条の8)により調整されるもので - 78 -ある。したがって,土地の譲渡益に法人税を重課する規定である土地譲渡益重課制度を例に挙げ,措置法66条の6第1項は法人税を重課する規定であると決めつけ,法人税を重課することを明確に定める文言が欠けていることから,外国子会社合算税制において,特定外国子会社等の国内源泉所得が合算課税の対象に含まれるという解釈を文理解釈により導くことができないなどとする原告の主張は,失当である。 (6)ア原告は,措置令39条の18第8項の規定は「国内源泉所得」である所得を「国外源泉所得」に変換することを意味し,法律による具体的な委任なく,政令によってそのような変更を行うことは,租税法律主義(特に課税要件法定主義)の要請の下では,違法無効と考えられる一方,同項について,特定外国子会社等の「国内源泉所得」は合算対象所得に含まれないとの解釈を前提として規定されたものであると理解すれば,もともと「国外源泉所得」であったものを「国外源泉所得」として扱うことを規定しているという意味しか持たず,上記のような問題は生じないなどとして,この点も特定外国子会社等の「国内源泉所得」が合算対象所得に含まれないことの根拠となる旨主張する。 イしかし,以下のとおり,前記アの原告の主張は,失当なものというべきである。 (ア) 措置法66条の7第1項は,特定外国子会社等の所得に対し課された税のうち,合算課税が行われる内国法人の課税対象留保金額に対応する部分の金額を当該内国法人が納付した控除対象外国法人税の額とみなして,法人税法69条に規定する外国税額控除を行 等の所得に対し課された税のうち,合算課税が行われる内国法人の課税対象留保金額に対応する部分の金額を当該内国法人が納付した控除対象外国法人税の額とみなして,法人税法69条に規定する外国税額控除を行うことができる旨を規定している。これは,特定外国子会社等に係る課税対象留保金額を内国法人の所得に合算して課税した場合,その合算の対象とされる所得に対して既にその所在地国で税が課されていれば,当然に経済的な意味において二重課税が生ずることとなるため,その調整をするために,特定外 - 79 -国子会社等の所得に対し課された税のうち,合算課税が行われる内国法人の課税対象留保金額に対応する部分の金額を当該内国法人が納付した外国税額とみなして外国税額控除を行うことができるように措置したものである。 そして,措置法66条の7第1項は,具体的な計算方法については,政令である措置令39条の18に委任しているところ,その委任を受けた措置令39条の18第8項は,前段において,特定外国子会社等に係る課税対象留保金額を益金算入する場合には,「経済的二重課税」を調整するために,その益金の額に算入された金額は,その内国法人の外国税額控除の限度額の計算上,国外所得の金額に含まれるとしている。 これは,特定外国子会社等の所得に対し課された税のうち,合算課税が行われる内国法人の課税対象留保金額に対応する部分の金額を,当該内国法人が納付した外国税額とみなして外国税額控除を行うことができるようにするとする措置法66条の7の趣旨にも合致する。 したがって,措置令39条の18第8項の規定(外国税額控除の控除限度額の計算において「国内源泉所得」を「国外所得金額」として計算すること)は,違法無効ではない。 したがって,措置令39条の18第8項の規定(外国税額控除の控除限度額の計算において「国内源泉所得」を「国外所得金額」として計算すること)は,違法無効ではない。 (イ) 措置法66条の7の基となる法人税法69条においても,外国税額控除の控除限度額の計算において「国内源泉所得」を「国外所得金額」として計算する考え方が見受けられる。 すなわち,法人税法69条8項は,間接外国税額控除について,「内国法人が外国子会社…から受ける剰余金の配当…若しくは利益の配当…又は剰余金の分配…の額(以下この条において『配当等の額』という。)がある場合には,当該外国子会社の所得に対して課される外国法人税の額のうち当該配当等の額に対応するもの…として政令で定めるところにより計算した金額は,政令で定めるところにより,当該内国法人が納付 - 80 -する控除対象外国法人税の額とみなして,第1項から第3項までの規定を適用する。」と規定していた。これは,同法69条1項等に規定の直接外国税額控除においては,その対象となる所得税等は我が国法人が外国で課された所得税等のみに限られ,我が国法人が我が国で課される所得税等がこれに含まれる余地はないのに対し,同法69条8項に規定する間接外国税額控除においては,我が国法人の外国子会社(一定の要件を満たすもの)がその所得に対して課された所得税等のうち一定のものを当該我が国法人の法人税額から間接的に控除するとの趣旨・目的からすれば,直接外国税額控除の場合と異なり,当然のこととして,外国子会社の所得に対して課された全ての所得税等を間接税額控除の対象とすべきであるからである。このように,同項に規定する間接外国税額控除については,二重課税を排除するとする外国税額控除制 ととして,外国子会社の所得に対して課された全ての所得税等を間接税額控除の対象とすべきであるからである。このように,同項に規定する間接外国税額控除については,二重課税を排除するとする外国税額控除制度の趣旨・目的に照らせば,当然のこととして,我が国で課された所得税等についても外国法人税に含まれると解されるものである。 (ウ) 以上のとおり,措置令39条の18第8項は,措置法66条の7第1項の委任を受けて規定されたものであり,規定された内容についても措置法66条の7第1項及びその基となる法人税法69条の趣旨に合致するものであるから,前記アの原告の主張には,理由がない。 (7)ア原告は,最高裁平成20年(行ヒ)第91号同21年10月29日第一小法廷判決・民集63巻8号1881頁の判示を部分的に引用,強調し,外国子会社合算税制において,特定外国子会社等の国内源泉所得に対する我が国の法人税等の二重課税に何ら手当てがなされていないのは,外国子会社合算課税がそのような手当てをする必要がそもそもない場合のみを想定して制定されたものであるからであるなどと主張する。 イしかし,以下のとおり,特定外国子会社等に係る課税対象留保金額の合算課税により生ずる二重課税は,合算課税時には外国税額控除(措置法6 - 81 -6条の7)により調整され,課税済留保金額を原資とした配当等があったときには,課税済留保金額を損金算入することにより調整される(措置法66条の8)のであるから,原告の主張は,そもそも,何ら手当てがなされていないとする前提において誤っている。 (ア) 課税対象留保金額等に係る外国法人税額の控除について,措置法66条の7第1項は,特定外国子会社等の所得に対し課される外国法人税のうち,合算課税が行われる内国法人の課税対 て誤っている。 (ア) 課税対象留保金額等に係る外国法人税額の控除について,措置法66条の7第1項は,特定外国子会社等の所得に対し課される外国法人税のうち,合算課税が行われる内国法人の課税対象留保金額に対応する部分の金額を当該内国法人が納付した控除対象外国法人税の額とみなして外国税額控除(法人税法69条)をすることができる旨を規定し,当該控除対象外国法人税の額とみなされる特定外国子会社等の課税対象留保金額に係る外国法人税額は,課税対象年度の所得に対して課される外国法人税額に,当該課税対象年度に係る適用対象留保金額と当該適用対象留保金額の計算上控除される剰余金の配当等の額との合計額のうちに当該内国法人に係る課税対象留保金額の占める割合を乗じて計算した金額(当該金額が当該課税対象留保金額を超える場合には,当該課税対象留保金額に相当する金額)とされている(措置令39条の18第1項)。なお,措置法66条の7第1項及び措置令39条の14第2項1号に規定する外国法人税の額には,特定外国子会社等が法人税法138条又は所得税法161条に規定する国内源泉所得に係る所得について課された法人税,所得税及び法人税法38条2項2号に掲げるものの額を含めることができるものとされている(措置法通達66の6-20)。 また,法人税法69条1項は,控除対象外国法人税の額を当該事業年度の所得に対する法人税の額から控除する旨を規定している(ただし,繰越控除限度額があるときは,その繰越控除限度額を限度として,その超える部分の金額を当該事業年度の所得に対する法人税の額から控除し〔同条2項〕,繰越控除対象外国法人税額があるときは,当該控除限度 - 82 -額から当該事業年度において納付することとなる控除対象外国法人税の額を控除した残額を限度として,その繰越控除 除し〔同条2項〕,繰越控除対象外国法人税額があるときは,当該控除限度 - 82 -額から当該事業年度において納付することとなる控除対象外国法人税の額を控除した残額を限度として,その繰越控除対象外国法人税額を当該事業年度の所得に対する法人税の額から控除する〔同条3項〕こととなる。 (イ) 特定外国子会社等に係る課税対象留保金額の益金算入の規定の適用を受けた内国法人が,当該特定外国子会社等から剰余金の配当等の支払を受けた場合は,課税済留保金額に相当する金額は,課税対象留保金額から充てられたものとして計算した金額を限度として,内国法人の所得の金額の計算上,損金の額に算入することとされている(措置法66条の8等)。 (ウ) 前記(ア)及び(イ)の課税対象留保金額等に係る外国法人税額の控除及び課税済留保金額の損金算入に係る規定は,外国子会社合算税制の適用により発生する二重課税の調整を行うものである。 すなわち,租税法上,外国子会社合算税制における二重課税の調整については,「一つは,合算の対象となる課税対象留保金額に対し既に外国の法人税が課されているとしますと,同一所得に対し外国の法人税と我が国の法人税とが二重に課されることとなりますので」,この二重課税の調整を,「外国税額控除制度の方式」で行うこと,「次に,課税対象留保金額が合算の対象とされ我が国の法人税が課されている場合に,その金額を原資とする特定外国子会社等からの配当があったときには,その配当についても法人税が課されるので,同一所得に対し我が国の法人税が二重に課されることとなります。この二重課税の調整は,過去5年以内に益金算入された金額を逆に損金算入するという方式を採」る(なお,「5年以内」との期間は,平成17年3月法律21号により「10年以内」に改正された。)こととされて この二重課税の調整は,過去5年以内に益金算入された金額を逆に損金算入するという方式を採」る(なお,「5年以内」との期間は,平成17年3月法律21号により「10年以内」に改正された。)こととされている(甲12)。この課税済留保金額の損金算入は,「過去に内国法人の所得に合算された金額を - 83 -損金に算入することによって二重課税を排除しており,これにより過去の課税関係はなかったものと同様の効果が生ずるわけですが,…その控除の対象となった外国法人税についても課税関係がなかったと同様にすることが必要とされます。そこでその控除の対象とした外国法人税で損金に算入された金額に対応する部分のものは減額されたものとみなして,現行外国税額控除制度にある外国法人税が減額された場合の取扱いと同様に取扱うことによってその調整を図ること」(甲12)とされており,つまり,前記(ア)の外国税額控除による二重課税の調整は,特定外国子会社等の課税済留保金額が内国法人に配当されるまでの間に生ずる二重課税を調整するものであり,最終的な調整は前記(イ)の課税済留保金額の損金算入により行われるものといえる。 なお,前記(ア)の二重課税の調整の対象となる外国法人税とは,課税対象留保金額の計算の基礎となった事業年度の所得に対して課された法人税法69条1項に規定する外国法人税をいうのであり,特定外国子会社等が我が国の法令に基づいて,その国内源泉所得に対して課された法人税等は含まれないことになるが,これは二重課税の調整の観点から不合理であることから,措置法通達66の6-20は,この場合の外国法人税等の額には,特定外国子会社等が法人税法138条又は所得税法161条に規定する国内源泉所得に係る所得について課された法人税,所得税及び法人税法38条2項2号に掲げるものの額を含 この場合の外国法人税等の額には,特定外国子会社等が法人税法138条又は所得税法161条に規定する国内源泉所得に係る所得について課された法人税,所得税及び法人税法38条2項2号に掲げるものの額を含めることができることを明らかにしている(甲14)。 (8)ア原告は,被告が外国子会社合算税制における外国税額控除の対象に特定外国子会社等の国内源泉所得が含まれるとする根拠として挙げる措置法通達66の6-20は法令に反する通達であるから無効であり,外国子会社合算税制上,原告のいう「第3の二重課税【国内源泉所得・合算利益間】」(特定外国子会社等の国内源泉所得につき特定外国子会社等に対し - 84 -て課された我が国の法人税等ないし所得税と,当該国内源泉所得が合算課税されることにより親会社たる内国法人に課される我が国の法人税等の間の二重課税。以下単に「第3の二重課税【国内源泉所得・合算利益間】」という。)を調整する仕組みはないと主張する。 イしかし,措置法通達66の6-20の内容については,前記(7)イ(ウ)において述べたとおり,二重課税の調整を外国税額控除制度の方式で行う場合に,この外国法人税には,特定外国子会社等が我が国の法令に基づいて,その国内源泉所得に対して課された法人税等は含まれないことになるが,これは二重課税の調整の観点から不合理であることから,この場合の外国法人税等の額には,特定外国子会社等が法人税法138条又は所得税法161条に規定する国内源泉所得に係る所得について課された法人税,所得税及び法人税法38条2項2号に掲げるものの額を含めることができることを明らかにしているものである。 また,外国子会社合算税制における外国税額控除(措置法66条の7)の趣旨・目的は,同一所得に対する外国の法人税と我が国の法人税の二 の額を含めることができることを明らかにしているものである。 また,外国子会社合算税制における外国税額控除(措置法66条の7)の趣旨・目的は,同一所得に対する外国の法人税と我が国の法人税の二重課税を調整することにあるところ,かかる趣旨・目的は,当該特定外国子会社等が国外源泉所得を得る場合に限らず,我が国における事業により国内源泉所得を得る場合にも同様に当てはまるといえる。言い換えれば,合算の対象となる国外源泉所得を有する場合と,合算の対象となる国内源泉所得を有する場合とは,当該特定外国子会社等が当該所得の源泉となる事業を行う場所が我が国以外か否かの相違にすぎず,いずれの場合も二重課税の調整の要請は,同様に働くものと認められる。 以上からすれば,措置法通達66の6-20は,法令の趣旨・目的に適合する合理的なものというべきであるから,違法,無効でないことは明らかであり,前記アの原告主張には理由がない。 (9)ア原告は,第3の二重課税【国内源泉所得・合算利益間】について,外国 - 85 -子会社合算税制においてその二重課税を調整する規定が存在しないということは,同税制が,特定外国子会社等(外国関係会社)が我が国の国内源泉所得を有する場合を想定せずに制定されたことを示すものであり,外国関係会社が国内源泉所得を有する場合については,法令には定めがない状態であって,同制度の趣旨・目的を踏まえた合理的かつ妥当な合目的的解釈又は趣旨解釈によりこれを補わなければならない旨主張する。 イ(ア) しかし,前記(8)イにおいて指摘したように,特定外国子会社等が国外源泉所得を有する場合と国内源泉所得を有する場合とは,当該特定外国子会社等が所得を生み出した事業を行う場所が異なるにすぎない。そして,既に述べたとおり,措置法令の文理解 うに,特定外国子会社等が国外源泉所得を有する場合と国内源泉所得を有する場合とは,当該特定外国子会社等が所得を生み出した事業を行う場所が異なるにすぎない。そして,既に述べたとおり,措置法令の文理解釈上,特定外国子会社等の国内源泉所得は課税対象留保金額に含まれ,これを前提とした特定外国子会社等に係る課税対象留保金額の合算課税により生ずる二重課税は,合算時には外国税額控除により調整され,そして配当時には,課税済留保金額を損金算入することにより調整されるのであるから,原告の前記アの主張は,外国子会社合算税制においてその二重課税を調整する規定が存在しないことを前提としている点において失当というほかない。 (イ) また,いわゆるタックス・ヘイブンに設立される企業は,多種多様であり,それらの企業が我が国の国内源泉所得を有しない法人のみであるなどとは到底考えられない。むしろ当該企業に関して様々な事例が生じ得ることを前提に,特定外国子会社等に当たる場合においても,合算課税の適用が除外される場合の要件を措置法66条の6第4項等に規定し,また,外国子会社合算税制が適用される場合のその課税対象留保金額等の計算方法を措置令において具体的に規定しているのである。したがって,仮に国内源泉所得を課税対象留保金額に含めないのであれば,むしろ当然にその旨が規定されてしかるべきであり,そのような規定がない以上,原告の前記アの主張には根拠がないものといわざるを得ない。 - 86 -この点,前掲最高裁平成21年10月29日第一小法廷判決においても,「措置法の各規定等から成る我が国のタックス・ヘイブン対策税制は,特定外国子会社等に所得を留保して我が国の税負担を免れることとなる内国法人に対しては当該所得を当該内国法人の所得に合 判決においても,「措置法の各規定等から成る我が国のタックス・ヘイブン対策税制は,特定外国子会社等に所得を留保して我が国の税負担を免れることとなる内国法人に対しては当該所得を当該内国法人の所得に合算して課税することによって税負担の公平性を追及しつつ,特定外国子会社等の事業活動に経済合理性が認められる場合を適用除外とし,かつ,それが適用される場合であっても所定の方法による外国法人税額の控除を認めるなど,全体として合理性のある制度ということができる」と判示されているように,制度全体としても,合理的と評価できるものであるから,原告の前記アの主張は失当というほかない。 (10)ア原告は,合算対象所得に特定外国子会社等の国内源泉所得が含まれるという被告が主張する文理解釈を採用すると,第3の二重課税【国内源泉所得・合算利益間】が生じ,かつそれを調整する仕組みが用意されていないために,著しく不合理かつ非常識な課税がなされてしまうなどと主張する。 イしかしながら,以下のとおり,原告の前記アの主張は,外国子会社合算税制の法令の規定を正解せずに,独自の見解に基づいて主張を展開するものにすぎず,理由がない。 (ア) 外国子会社合算税制は,その制度設計として,内国法人の外国子会社が特定外国子会社等に該当する場合,当該特定外国子会社等につき適用除外に該当しない限りは,課税対象留保金額をその内国法人の所得に合算して課税することとし,他方で,その合算課税により「経済的二重課税」が生ずる場合には,外国税額控除や課税済留保金額の損金算入によってその調整を行うこととするという方式を採用している。 このことから,経済的二重課税を生じさせないようにするために,特定外国子会社等の所得のうち,課税済みのものについて合算の対象から除外するとい - 調整を行うこととするという方式を採用している。 このことから,経済的二重課税を生じさせないようにするために,特定外国子会社等の所得のうち,課税済みのものについて合算の対象から除外するとい - 87 -う方式は採用していないということができる。 (イ) 外国子会社合算税制は,いわゆるタックス・ヘイブンに所在する外国法人で我が国の法人又は居住者により株式又は出資の保有を通じて支配されているとみなされるものの留保所得をそれら我が国株主の持分に応じてその所得に合算して課税するというものであり,その目的は,そのような国等にある子会社等で我が国株主により支配されているようなものに我が国の株主が所得を留保し,我が国での税負担を不当に軽減することを規制することにあるとされているところ,同税制は,前掲最高裁平成21年10月29日第一小法廷判決が判示しているように,同税制が適用される場合であっても特定外国子会社等の事業活動に経済合理性が認められる場合には適用除外とし,適用される場合であっても所定の方法による外国法人税額の控除及び課税済留保金額の損金算入を認めるなど,全体として合理性のある制度である。そして,仮に,同税制において国内源泉所得を外国子会社合算税制の対象とすることにより不合理が生ずるのであれば,既に述べたように国内源泉所得を外国子会社合算税制の対象から除外するといった規定を設けるはずであるが,現行法令上,そのような規定は存在せず,また,平成25年度税制改正要望(乙30)においてもそのような要望はない(むしろ,国内源泉所得を合算課税の対象とすることを前提とした要望となっている。)ことからも,国内源泉所得を合算課税の対象とすることは何ら不合理ではないといえる。 (ウ) 外国税額控除制度は,一定の政策目的に基づき 課税の対象とすることを前提とした要望となっている。)ことからも,国内源泉所得を合算課税の対象とすることは何ら不合理ではないといえる。 (ウ) 外国税額控除制度は,一定の政策目的に基づき,課税を減免するという,国家による一方的な恩恵的措置であり,その要件をいかに規定するかは国家の立法政策,租税政策に属する事柄であることを反映して,外国税額控除制度には,一定の制限が設けられている。すなわち,「外国税額控除は,いずれの国の制度においても,無制限に認められるもので - 88 -はなく,一般的に,国外で得た所得に対し居住地国で課される税額を限度とするという考え方がとられて」おり,「我が国においては,控除対象となるすべての外国税額とすべての国外所得をそれぞれ一括通算して限度計算を行ういわゆる一括限度額方式を採用してい」る(甲23)。 そして,実際,控除限度額の計算における国外所得金額については,国際的二重課税が発生していない非課税国外所得の控除限度額の余裕額を利用して控除がされるという彼此流用の余地を縮減するという観点から,①国外源泉所得の中に外国法人税が課されないものがある場合には,外国法人税が課されない当該国外源泉所得に係る所得の金額の3分の2に相当する金額を除外した後の残額を所得の金額とすることとし,ただし,②上記①により算出された国外所得金額が当該事業年度の所得の金額の90%相当額と当該事業年度の所得の金額に全従業員数に占める国外従業員数の割合を乗じた金額のいずれか大きい方の金額を下回る場合には,当該いずれか大きい方の金額を国外所得金額とすることとしている(法人税法施行令142条3項)。 また,控除限度額の計算においては,上記①により非課税国外所得の3分の2を国外所得金額から除くとしても,依然として非課税国外所得 国外所得金額とすることとしている(法人税法施行令142条3項)。 また,控除限度額の計算においては,上記①により非課税国外所得の3分の2を国外所得金額から除くとしても,依然として非課税国外所得の残りの3分の1や軽課税国外所得から控除余裕額が創出されることから,高率外国税そのものについて入り口で制限することを目的として,外国税額控除の対象とされる外国法人税の額から50パーセントを超える高率で課される外国法人税額の高率部分を除外することとしている(法人税法69条1項,法人税法施行令142条の3第1項)。 このように,外国税額控除は,外国に租税を納付したからといって無制限にその納付した金額について税額控除を認める制度とはなっていないのであり,外国子会社合算税制の制度設計及び外国税額控除の趣旨・目的を踏まえれば,外国子会社合算税制において,外国税額控除による - 89 -二重課税の調整が完全にできないとしても,そのことをもって外国子会社合算税制自体が不合理であるということはできない。 本件における二重課税(第3の二重課税【国内源泉所得・合算利益間】)は,同じ利益を2人以上の者の所得に含めてそれぞれに課税する「経済的二重課税」であり,一般に,同じ者の同一の所得に対して課税するという「法的二重課税」については完全に調整されなければならないとされているが,経済的二重課税についてはそのように考えられてはいない。そして,外国税額控除の要件をいかに規定するかは,国家の立法政策,租税政策に属する事柄であり,外国税額控除による二重課税の排除に後に改めて述べる控除余裕枠の彼此流用の防止を目的として一定の制限が設けられていることに鑑みれば,二重課税が常に完全に排除されるとは限らず,外国子会社合算税制を適用した場合に,経済的二重課税が完全に解消され 述べる控除余裕枠の彼此流用の防止を目的として一定の制限が設けられていることに鑑みれば,二重課税が常に完全に排除されるとは限らず,外国子会社合算税制を適用した場合に,経済的二重課税が完全に解消されずに残るとしても,そのことのみをもって,外国子会社合算税制の適用が不合理であるということはできない。また,同様に,そのことが,特定外国子会社等の国内源泉所得が合算課税の対象に含まれないと解釈すべき理由にならないことは明らかである。 (11)ア原告は,①特定外国子会社等の国内源泉所得は,日本において課税されるのであるから,その時点で日本の課税権は確保されており,外国子会社合算税制が防止しようとしている我が国での税負担を不当に軽減することはおよそ考えられず,これを外国子会社合算税制によって,もう一度日本で当該所得に課税しなければならない又はすべき合理的な理由は存在しない,②同税制には,タックス・ヘイブン子会社を利用することに対する懲罰的な課税を行うという目的はなく,重加算税が課される事案よりも重く課税する理由は全くないから,同税制の趣旨・目的に照らせば,特定外国子会社等の国内源泉所得は合算対象所得に含まないと解するのが論理的かつ合理的な結論であるなどと主張する。 - 90 -イしかしながら,既に述べたとおり,外国子会社合算税制の目的は,軽課税国にある子会社等を用いて我が国での税負担を不当に軽減することを規制することにあり,同税制は,その規制の方法として,特定外国子会社等の課税対象留保金額を「収益の額とみなして」合算課税するという課税方法を採用したものである。そして,同税制に関連する措置法及び措置令の規定上,本店所在地国に留保されている所得につき,我が国において課税権が行使されたものである場合には,これを課税対象留保金額としないな 採用したものである。そして,同税制に関連する措置法及び措置令の規定上,本店所在地国に留保されている所得につき,我が国において課税権が行使されたものである場合には,これを課税対象留保金額としないなどの要件は見当たらない。そうすると,同税制においては,本店所在地国に所得が留保されているか否かに着目し,留保されている所得があれば合算課税の対象とするのであって,当該留保されている所得につき,我が国において課税権が行使されたものであるか否かにより,合算課税の対象とするか否かが左右されるものではないから,我が国において課税権が行使されている所得であることを理由として,Bの国内源泉所得は合算対象所得に含まれないとする原告の主張は,いわば,法令において規定されていない要件を何らの根拠もなく付加するものであって,失当といわざるを得ない。 (12)ア原告は,趣旨解釈により特定外国子会社等の国内源泉所得は合算課税のの対象に含まれないと解すれば,①特定外国子会社等の国内源泉所得に課された我が国の法人税・所得税等と,当該特定外国子会社等に係る内国法人に対する外国子会社合算税制による合算課税との間の二重課税(原告のいう第3の二重課税【国内源泉所得・合算利益間】)は生じ得ない以上,本件のような不合理かつ非常識な課税がされるおそれはなく,②また,特定外国子会社等の国内源泉所得に対して,我が国の法人税・所得税等が課されるにもかかわらず,当該国内源泉所得を合算課税の対象に含めた上で,そのことによって生じる二重課税を解消するため,「外国法人税」(措置法66条の7第1項,法人税法69条1項,法人税法施行令141条1 - 91 -項)に我が国の法人税,所得税及び法人住民税が含まれるという,文理に明らかに反する措置法通達66の6-20に定められた解釈を採る必要は 法人税法69条1項,法人税法施行令141条1 - 91 -項)に我が国の法人税,所得税及び法人住民税が含まれるという,文理に明らかに反する措置法通達66の6-20に定められた解釈を採る必要はなく,第3の二重課税【国内源泉所得・合算利益間】が解消されないなどという不合理な結論が導かれることもないなどと主張する。 イしかしながら,前記(11)イで述べた点をおくとしても,以下のとおり,原告の前記アの主張は失当である。 (ア) 第3の二重課税【国内源泉所得・合算利益間】は,原告のいう第1の二重課税【外国課税所得・合算利益間】(合算の対象となる課税対象留保金額に相当する特定外国子会社等の所得に対して課された外国法人税と合算課税によって親会社たる内国法人に課される我が国の法人税等の間の二重課税。以下単に「第1の二重課税【外国課税所得・合算利益間】」という。)と二重課税の対象とされる所得が特定外国子会社等の所得である点では同じであり,あえてこれらを区別する必要はない。そして,これらの二重課税は,いずれも,措置法66条の7の規定を始めとする外国税額控除に係る法令等を適用することにより調整されるところ,この外国税額控除の仕組みが設けられていることにより,外国子会社合算税制につき全体として合理性のある制度と評されていることについては,既に述べたとおりである。したがって,両者が別のものであるとした上で,第3の二重課税【国内源泉所得・合算利益間】が解消されない旨を主張する原告の前記アの主張は失当である。 (イ) また,①既に述べたとおり,間接外国税額控除については,二重課税を排除するとの外国税額控除制度の趣旨・目的に照らせば,当然のこととして,我が国で課された所得税等についても外国法人税に含まれると解されるし,② に述べたとおり,間接外国税額控除については,二重課税を排除するとの外国税額控除制度の趣旨・目的に照らせば,当然のこととして,我が国で課された所得税等についても外国法人税に含まれると解されるし,②措置法66条の7の趣旨は,特定外国子会社等の所得に対し課された税のうち,合算課税が行われる内国法人の課税対象留保金額に対応する部分の金額を当該内国法人が納付した外国税額とみなして - 92 -外国税額控除を行うことができるようにするというものであるから,上記①に述べた間接外国税額控除の場合と同様に,同条に規定する特定外国子会社等の課税対象留保金額に係る外国税額控除の対象となる外国子会社の所得税等は,外国子会社の所得に対して課された全ての所得税等ということになり,当然のこととして,我が国で課される所得税等もこれに含まれることとなる( なお,「タックス・ヘイブン対策税制の解説」〔乙32〕には,「措置法通達66の6-13において,外国税額控除の対象となる外国法人税には,特定外国子会社等に課された我が国の所得税,法人税及び住民税が含まれる旨確認的に規定されている。」〔引用部分中の「措置法通達66の6-13」とは本件における措置法通達66の6-20に相当する定めである。〕との記載がある。 上記①及び②において述べたことからすれば,措置法66条の7第1項に規定する「特定外国子会社等の所得に対して課される外国法人税」には,当該特定外国子会社等の所得に対して課された全ての所得税等が含まれると解するのが,法令の趣旨・目的に合致する合理的な解釈というべきであるから,この点に関する原告の主張は理由がない。 (13)ア原告は,原告のいう3分の1ルール(平成4年の税制改正〔平成4年法律第14号による改正〕後の措置令39条の18第8項ただし書の規定により, から,この点に関する原告の主張は理由がない。 (13)ア原告は,原告のいう3分の1ルール(平成4年の税制改正〔平成4年法律第14号による改正〕後の措置令39条の18第8項ただし書の規定により,特定外国子会社等が外国法人税を課さない国又は地域を本店所在地国とする場合には,控除限度額の計算上,外国法人税の額を3分の1に限定することとされていることをいう。以下同じ。)の適用範囲に関する条文(措置令39条の18第8項ただし書)については,文理解釈によって一義的にその意味を確定することができず,被告の解釈は3分の1ルールの趣旨・目的に沿わないものである旨主張する。 イしかしながら,3分の1ルールの適用範囲に関する条文については,措置令39条の18第8項と9項,法人税法施行令142条3項と5項及び - 93 -同令148条2項の各規定,これらの関係法令の解釈からみた3分の1ルールの適用範囲について整理することで,文理解釈によって一義的にその意味を確定することができ,また,その文理解釈の結果は,二重課税の排除及び彼此流用の問題への対処といった外国税額控除の趣旨・目的に沿うものである。そもそも,3分の1ルールとは,外国税額控除制度の一方の側面である控除制限に係るルールのうちの一つにすぎないのであって,当該制限に係るルールの趣旨・目的ばかりを追求することには余り意味がないというべきであり,むしろ,二重課税の排除をも考慮した外国税額控除制度全体の趣旨・目的に沿うものであるか否かを検討すべきである。したがって,前記アの原告の主張には理由がない。 なお,原告の示すシミュレーションは,我が国の外国税額控除制度が予定する二重課税の調整ができないような極めて限定的な条件設定であり,なおかつ二重課税について論ずるのであれば当然考慮されてしかるべき間 お,原告の示すシミュレーションは,我が国の外国税額控除制度が予定する二重課税の調整ができないような極めて限定的な条件設定であり,なおかつ二重課税について論ずるのであれば当然考慮されてしかるべき間接税額控除が適用されていないのであるから,当該シミュレーションを根拠に外国子会社合算税制の仕組みを非難する原告の主張は失当であるといわざるを得ない。 2 原告の主張の要点(1) 最高裁判所の判例は,租税に関する法規の解釈について,法規の文理が明確で,文理に即した解釈の結果が規定の趣旨・目的に合致する場合には文理解釈をし,文理が不明確な場合又は文理解釈の結果が不合理ないし非常識である場合には趣旨解釈によって法規の意義を明らかにすべきであるとの解釈原理を,結果が納税者に有利な場合にも不利な場合にも等しく適用する傾向にあるものということができる(甲24参照)。 (2)ア(ア) 被告は,合算対象所得を定める規定の文理解釈によれば,「課税対象留保金額」(措置法66条の6第1項)には特定外国子会社等の国内源泉所得が含まれる旨主張し,①「決算」とは一定の期間における収入 - 94 -支出,損益等の総実績を明らかにして予算と対比することをいうから,措置令39条の15条1項の柱書きにいう「決算に基づく所得の金額」には企業が行う取引によって稼得する全ての所得が含まれるというべきこと,②措置法66条の6第2項2号に規定する「政令で定める基準により計算した金額」を本邦法令の規定に準じて計算する場合(措置令39条の15第1項)については,我が国の法人税法が各事業年度の所得の金額に全世界所得が含まれるとしているから,特定外国子会社等の未処分所得の金額においてもその国内源泉所得を含む全ての所得(全世界所得)が計算の対象になるというべきこと,③上記②の「政 業年度の所得の金額に全世界所得が含まれるとしているから,特定外国子会社等の未処分所得の金額においてもその国内源泉所得を含む全ての所得(全世界所得)が計算の対象になるというべきこと,③上記②の「政令で定める基準により計算した金額」を本店所在地国の法令に準じて計算する場合(同条2項)については,上記②の場合との間で著しいかい離が生じないように,一定の調整を行うことによって上記②の場合と同様に特定外国子会社等の国内源泉所得を含む全ての所得(全世界所得)を課税対象留保金額の計算に含めることとされていること,④国内源泉所得を課税対象留保金額に含めないのであれば,その旨が規定されていしかるべきであるのにそのような規定はないことを,根拠として挙げる。 (イ) 措置法66条の6第1項では,まず,特定外国子会社等の「未処分所得の金額」を計算し,それに一定の調整を加えたものを「適用対象留保金額」と定義し,次に,「適用対象留保金額」のうち内国法人の有する当該特定外国子会社等の直接及び間接保有の株式等の数に対応するものとして政令で定める金額を「課税対象留保金額」と定義し,この「課税対象留保金額」を外国子会社合算税制の合算課税の対象として定めている。そうすると,「課税対象留保金額」の範囲を確定するためには,特定外国子会社等の「未処分所得の金額」(同条2項2号)の意義を確定する必要がある。そして,「未処分所得の金額」に含まれる特定外国子会社等の所得の範囲を確定するためには,措置法66条の6第2項2号 - 95 -の定義中の「決算に基づく所得の金額」との文言の意味を確定しなければならないところ,そもそも「決算」に何が含まれるかは一義的に明確でない。また,被告が主張するように「決算」には企業に関わる全ての取引が記載されているとの前提を置いたとし の文言の意味を確定しなければならないところ,そもそも「決算」に何が含まれるかは一義的に明確でない。また,被告が主張するように「決算」には企業に関わる全ての取引が記載されているとの前提を置いたとしても,例えば,国外所得免除方式を採用している国においては,全ての国外所得が常に「所得」(課税所得)に含まれるとは限らないことからも分かるように,「所得」の範囲も一義的に明確とはいえない上,「決算」の範囲と決算に基づき認識される「所得」の範囲は必ずしも一致しないから,「決算に基づく所得の金額」に企業が行う取引によって稼得する全ての所得が含まれるともいえない。したがって,「決算に基づく所得の金額」との文言から,どの範囲の所得が含まれるのかを一義的に明らかにすることはできない。したがって,被告の前記(ア)①の主張は誤りである。 (ウ) 次に,措置法66条の6第2項2号の「未処分所得の金額」の定義中の「法人税及びこの法律による各事業年度の所得の金額の計算に準ずるものとして政令で定める基準による計算した金額」との文言について検討すると,法人税の計算においては,①まず課税対象の所得(課税所得)の範囲を定め(法人税法5条~10条の3),②当該課税対象について,所得税の金額の「計算方法」を定めるが(同法22条以下),措置法66条の6第2項2号の文言は,それ自身で「未処分所得の金額」の範囲(上記①)を定めるものではなく,飽くまでも「決算に基づく所得の金額」についてどのような計算方法を適用して「未処分所得の金額」を導き出すかという計算方法(上記②)を定め,その具体的な計算方法を政令に委任するものである。そして,法人税法において「所得の金額の計算方法」とは,同法第2編第1章第1節第2款(同法22条以下)に定められている規定を指し,課税所得の範囲を定め の具体的な計算方法を政令に委任するものである。そして,法人税法において「所得の金額の計算方法」とは,同法第2編第1章第1節第2款(同法22条以下)に定められている規定を指し,課税所得の範囲を定める同法第1編第3章(5条~10条の3)は含まれないから,「法人税及びこの法律 - 96 -による各事業年度の所得の金額の計算に準ずるものとして政令で定める基準による計算した金額」という文言を,法人税法の課税所得の範囲を定める規定を準用するという意味に解することはできない。そうすると,被告の前記(ア)②及び③の主張は,いずれも誤りであるというべきである。 (エ) さらに,被告の前記(ア)④の主張についても,「未処分所得の金額」に特定外国子会社等の全世界所得が含まれることが文理上一義的に明らかであることを前提とする主張としか解されないところ,前記(イ)及び(ウ) において述べたところからすれば,前提を誤ったものであり,失当である。 イ(ア) 措置法に基づいて法人税法によって課される法人税に更に法人税を重課する場合には,その旨を法律において明確に規定しなければならないことは,租税法律主義(特に課税要件法定主義)の下では当然の要請であり,措置法が法人税法の特別法であることからも導かれる。例えば,措置法63条においては,一定の土地譲渡利益金額に課される「法人税の額」は,「法人税に関する法令の規定にかかわらず」,これらの規定により計算した法人税の額に当該譲渡利益金額の合計額に100分の10の割合を乗じて計算した金額を「加算した金額とする」との文言を用い,法人税法による課税に加えて,措置法によって法人税を重課することが文理上極めて明確に規定されている。 特定外国子会社等の国内源泉所得を合算課税の対象に含めるとの被告主張の解釈によった 文言を用い,法人税法による課税に加えて,措置法によって法人税を重課することが文理上極めて明確に規定されている。 特定外国子会社等の国内源泉所得を合算課税の対象に含めるとの被告主張の解釈によった場合には,当該国内源泉所得については,法人税法の外国法人課税に関する規定(同法141条,138条)に基づき我が国の法人税が課された上で,措置法に規定される外国子会社合算税制に基づく合算課税もされることになるが,合算課税の対象とされる特定外国子会社等の「課税対象留保金額」と合算課税を受ける内国法人の益金 - 97 -に算入される金額は「同一所得」であるから,かかる「同一所得」に対して措置法66条の6第1項が法人税を加算して課税することを規定するのであれば,同法63条と同様に,特定外国子会社等の課税対象留保金額が既に法人税法の外国法人税に関する規定によって法人税の課税対象とされている場合については,当該課税対象留保金額に対しては,法人税法の規定にかかわらず,同法66条の6第1項に従って合算課税の対象とする旨を,「同一所得」に対して更に法人税を重課することを一義的に明確な文言で規定しなければならない。しかるに,同項には,「法人税法の規定にかかわらず」という趣旨を表す文言は全くない。 (イ) この点,被告は,①土地譲渡益重課制度(措置法63条)は,同一の税主体の同一の所得に対して,重ねて課税するものであるという点で外国子会社合算税制とはその性質を異にし,②また,両者はその趣旨・目的が明らかに異なることを前提として,③本件で原告が問題視している「経済的二重課税」(第3の二重課税【国内源泉所得・合算利益間】)は,外国税額控除の規定(措置法66条の7)及び課税済留保金額の損金算入の規定(措置令66条の8)により調整されるから,合算対象所得 「経済的二重課税」(第3の二重課税【国内源泉所得・合算利益間】)は,外国税額控除の規定(措置法66条の7)及び課税済留保金額の損金算入の規定(措置令66条の8)により調整されるから,合算対象所得を定める規定に法人税を重課する旨の明確な文言がなくとも問題はない旨主張する。 しかし,原告は,土地譲渡益重課制度は,同一の所得に対して法人税を重課するものであり,同一の所得に対して通常の課税よりも重い負担を生じさせる規定であることから,その例を挙げて,通常の法人税の負担よりも重い負担を負わせる立法においては,その旨が法律に明確に定められていなければならないことを論じたものであって,上記①及び②の被告の主張は的外れである。また,上記③の被告の主張についても,上記①及び②が誤っているという意味で前提を誤ったものである上,第3の二重課税【国内源泉所得・合算利益間】が被告主張の両規定を適用 - 98 -しても排除されないことは後に述べるとおりあるから,採用できないものというべきである。 ウ(ア) 措置令39条の18第8項本文は,外国税額控除の控除限度額の計算上,外国子会社合算税制により合算課税の対象とされた金額は「法人税法施行令142条3項本文に規定する国外所得金額に含まれる」旨を定めているところ,被告が主張するように同税制の合算課税の対象に特定外国子会社等の国内源泉所得が含まれると解すると,この規定は,外国税額控除の控除限度額の計算目的についてだけではあるが,特定外国子会社等の「国内源泉所得」であったものを国外所得金額(国内源泉所得以外の所得=国外源泉所得)に変換するという意味を持つことになる。 外国税額控除制度は,全世界所得のうちに国外所得金額(各事業年度におけるこの国外所得金額の意義については,法人税法69条1項の委任を受 の所得=国外源泉所得)に変換するという意味を持つことになる。 外国税額控除制度は,全世界所得のうちに国外所得金額(各事業年度におけるこの国外所得金額の意義については,法人税法69条1項の委任を受けた法人税法施行令142条3項本文が,当該事業年度において生じた法人税法138条に規定する国内源泉所得以外の所得と定義している。)が占める割合に応じて外国法人税の税額控除を認めることを基本構造とするものであるから,そのような基本構造の根幹に関わる国内源泉所得である所得を国外源泉所得に変換することは,同法の定める外国税額控除の基本的構造ないし仕組みを変更することにほかならず,法律による具体的な委任なく,政令によってそのような変更を行うことは,租税法律主義(特に課税要件法定主義)の要請の下では,違法無効なものであると考えられる。そして,外国子会社合算税制を定める措置法の規定には,このような外国税額控除の基本的仕組みの変更を政令に委任する規定はなく,措置法67条の7第1項(措置令39条の18第8項は,その委任を受けて定められた政令である。)にも,国内源泉所得を国外源泉所得に変換することに関する委任文言はないから,同項の規定が国内源泉所得を国外源泉所得に変換するという意味を有するものであ - 99 -るならば,それは課税要件法定主義に違反し,無効であると解すべきである。特定外国子会社等の国外源泉所得が合算課税の対象とされている限りにおいては,同項は,もともと国外源泉所得であったものを国外源泉所得として扱うことを規定している意味しか持たず,この問題は,合算課税の対象に特定外国子会社等の「国内源泉所得」が含まれるという被告の主張を前提として初めて起こるものであり,このことは,被告主張の文理解釈に問題があること(同項が特定外国子会社等の国内源泉所 合算課税の対象に特定外国子会社等の「国内源泉所得」が含まれるという被告の主張を前提として初めて起こるものであり,このことは,被告主張の文理解釈に問題があること(同項が特定外国子会社等の国内源泉所得が合算課税の対象となる所得に含まれないことを前提とするものであること)の証左というべきである。 (イ) この点,被告は,二重課税を調整するために外国税額控除を用いることに変わりはないので,外国税額控除の控除限度額の計算において「国内源泉所得」を「国外源泉所得」として計算することは違法無効ではないなどと主張する。 被告の上記主張は,後記(3)イにおいて述べるとおり同一所得に対する法人税二重課税(本件で問題となる第3の二重課税【国内源泉所得・合算利益間】)と国際的二重課税(第1の二重課税【外国課税所得・合算利益間】)が本質的に異なる問題であるという点や,法人税法が国内源泉所得と国外源泉所得とを明確に区別して規定している点を看過し,両者が同じ「同一の所得」に対する二重課税であるとの理由のみによって,同一所得に対する法人税二重課税についても,国内源泉所得を国外源泉所得に変換した上で外国税額控除を適用することによって調整すればよいと主張するものである。しかし,後記(3)イにおいて述べるとおり,同一所得に対する法人税二重課税については,国際的二重課税のための調整規定である外国税額控除をそのまま用いて調整することは許されないから,被告の上記主張は,誤りである。 (ウ) また,被告は,措置法66条の7の基になる法人税法69条の外国税 - 100 -額控除のうち同条8項の間接外国税額控除においても,その趣旨・目的からすれば,国内源泉所得を国外源泉所得に変換する考え方が見られるから,措置令39条の18第8項の規定は,措置法66条の 100 -額控除のうち同条8項の間接外国税額控除においても,その趣旨・目的からすれば,国内源泉所得を国外源泉所得に変換する考え方が見られるから,措置令39条の18第8項の規定は,措置法66条の7の委任に反するものではないなどとも主張する。 しかし,外国税額控除における「外国法人税」(法人税法69条1項)については,「外国の法令に基づき外国又はその地方公共団体により法人の所得を課税標準として課される税」と明確に定められている以上(法人税法施行令141条1項),その文言上,「外国法人税」に我が国の法人税等が含まれると解する余地はない。「外国法人税」という用語は,法人税法及び措置法において複数の箇所で用いられているが,これらの箇所では,条文の構造として,「外国法人税」という用語は,法人税法69条1項及び法人税法施行令141条1項に言及する形で定義されているか,法人税法69条1項の定義を引用する形で用いられているから,間接外国税額控除の対象となる「外国法人税」についてのみ我が国の法人税等もそれに含まれると解することは,法令の解釈として整合性がなく,不合理・不自然である。また,間接外国税額控除の立法の沿革から見ても,「外国法人税」に我が国の法人税等が含まれると解することはできないものというべきである。したがって,被告の上記主張は,その前提において誤っているものというべきである。 エ以上からすれば,文理解釈によって措置法66条の6第1項に定める合算税制の対象(適用対象留保金額)の範囲を一義的に明らかにすることはできないものというべきである。 (3)ア外国子会社合算税制は,昭和53年度税制改正により「タックス・ヘイブン対策税制」として立法されたものが,その後,制度自体の趣旨・目的は維持されたまま,細部についての改正を経て, る。 (3)ア外国子会社合算税制は,昭和53年度税制改正により「タックス・ヘイブン対策税制」として立法されたものが,その後,制度自体の趣旨・目的は維持されたまま,細部についての改正を経て,外国子会社合算税制と呼ばれるようになったものであるが,「タックス・ヘイブン対策税制」導入 - 101 -時には,①合算の対象となる課税対象留保金額に相当する特定外国子会社等の所得に対して課された外国法人税と合算課税によって親会社たる内国法人に課される我が国の法人税等の間の二重課税(第1の二重課税【外国課税所得・合算利益間】),②課税対象留保金額が合算の対象とされたことにより親会社たる内国法人に課される我が国の法人税等と上記課税対象留保金額を原資とする配当について当該内国法人に課される法人税等の間の二重課税(以下単に「第2の二重課税【合算利益・配当間】」という。)が想定されたことから,それぞれについて調整のための仕組みが設けられ,同税制が外国子会社合算税制と呼ばれることになった以降も,この2つの異なる二重課税についてそれぞれ法令上設けられた調整の仕組みが維持されてきた(措置法66条の7,66条の8第1項等。甲12参照)。 イ(ア) ところで,特定外国子会社等の国内源泉所得も合算の対象となる課税対象留保金額に含まれるとの被告の解釈を採ると,当該国内源泉所得につき特定外国子会社等に対して課された我が国の法人税等ないし所得税と,当該国内源泉所得が合算課税されることにより親会社たる内国法人に課される我が国の法人税等の間の二重課税(第3の二重課税【国内源泉所得・合算利益間】)が生ずることになるが,外国子会社合算税制に関する法令には,このような二重課税を調整する規定はなく,その結果,法人の所得に対して外国法人税が存在しない国又は地域を本店所在地 源泉所得・合算利益間】)が生ずることになるが,外国子会社合算税制に関する法令には,このような二重課税を調整する規定はなく,その結果,法人の所得に対して外国法人税が存在しない国又は地域を本店所在地国とする特定外国子会社等の国内源泉所得が負担することになる我が国の法人税等の税負担については,我が国の法人税等の実効税率である40%をはるかに超える超高率(例えば,平成24年10月12日付け被告準備書面(4)におけるシミュレーションの「ケース5」〔同準備書面別紙3の1(1)オ〕では約1.4倍の55%,「ケース10」〔同準備書面別紙4の1(1)オ〕では約1.6倍の64%)となる。外国子会社 - 102 -合算税制の趣旨・目的は,内国法人がいわゆるタックス・ヘイブンを利用して我が国における租税の負担を回避しようとする事例に対処して税負担の実質的な公平を図ることにあり,そのような国又は地域に子会社を設立することに対して懲罰を課することにあるのではない。特定外国子会社等の国内源泉所得のように,我が国において法人税の課税を受ける所得の場合には,既に内国法人と実質的に同率で我が国における課税を受けているのであるから,当該所得に上記のとおり法人税等の実効税率40%をはるかに超える課税をすることは,上記のような同税制の趣旨・目的に照らすと,著しく不合理な課税というほかない。重加算税ですら免れた法人税の35%であること(通則法68条1項)を考えると,懲罰を課すことを目的としていない同税制の適用の結果,それを上回る上記実効税率の1.4倍あるいは1.6倍の税負担率となることは,非常識というべきである。 (イ) この点,被告は,措置法通達66の6-20の定めによって第3の二重課税【国内源泉所得・合算利益間】が調整される旨を主張する。 しかし,措置法通達 率となることは,非常識というべきである。 (イ) この点,被告は,措置法通達66の6-20の定めによって第3の二重課税【国内源泉所得・合算利益間】が調整される旨を主張する。 しかし,措置法通達66の6-20は,外国税額控除制度によって調整されるべき第1の二重課税【外国課税所得・合算利益間】の調整ルールである措置法66条の7を,似て非なる第3の二重課税【国内源泉所得・合算利益間】に適用できるなどとし,もってこれとは何の関係もない政策(外国で非課税とされ,又は軽課税される所得から生ずる控除限度額を利用して,別の外国で高率で課された外国税額が控除されてしまうという控除余裕枠の彼此流用の問題への対応)に基づいて定められたルールを採用している外国税額控除制度を適用できることとするというものであることや,前記(2)ウにおいて述べたとおり同条にいう「外国法人税」に我が国の法人税等が含まれないことに照らし,同条の規定から逸脱し,法律に定めなければならない内容を定めた法律に反する通達 - 103 -であるものというべきである。 原告によるシミュレーション(訴状の別紙2,平成24年2月24日付け原告第一準備書面の別紙1及び2参照)からも明らかなとおり,措置法通達66の6-20を用いても,第3の二重課税【国内源泉所得・合算利益間】は調整されず,場合によってはかえってそれを悪化させる効果をもたらすものである。その主たる理由は,外国税額控除制度においては,外国で非課税とされ,又は軽課税される所得から生じる控除限度額を利用して,高率で課された外国税額が控除されてしまうという問題(控除余裕枠の彼此流用の問題)に対処するために,特定外国子会社等が外国法人税を課さない国又は地域を本店所在地国とする場合には控除限度額が限定されていること(措置令39条の1 されてしまうという問題(控除余裕枠の彼此流用の問題)に対処するために,特定外国子会社等が外国法人税を課さない国又は地域を本店所在地国とする場合には控除限度額が限定されていること(措置令39条の18第8項ただし書。 具体的には,昭和63年の税制改正〔昭和63年法律第109号による改正〕により,特定外国子会社等が外国法人税を課さない国又は地域を本店所在地国とする場合には,控除限度額の計算上,外国法人税の額を2分の1に限定することとされ〔このルールを以下「2分の1ルール」ということがある。〕,平成4年の税制改正〔平成4年法律第14号による改正〕により,それが3分の1に限定されることとされた[3分の1ルール]。)にある。3分の1ルールによって,本件において見られるように,外国税額控除を適用する際の益金算入規定による我が国の法人税等の増加分が,外国税額控除の控除限度額の増額分を上回るという事態が生ずるのである。このように,措置法通達66の6-20の定めは,第3の二重課税【国内源泉所得・合算利益間】の調整に寄与しないどころか,法令に定めのない課税をももたらすものですらあって,租税法律主義の観点からも違法なものというべきである。 (ウ) また,被告は,本件における二重課税(第3の二重課税【国内源泉所得・合算利益間】)は,同じ利益を2人以上の者の所得に含めてそれぞ - 104 -れに課税する「経済的二重課税」であり,一般に,同じ者の同一の所得に対して課税するという「法的二重課税」については完全に調整されなければならないとされているが,経済的二重課税についてはそのように考えられてはいないとした上で,外国税額控除の要件をいかに規定するかは,国家の立法政策,租税政策に属する事柄であり,それにより二重課税が常に完全に排除されるとは限らない 二重課税についてはそのように考えられてはいないとした上で,外国税額控除の要件をいかに規定するかは,国家の立法政策,租税政策に属する事柄であり,それにより二重課税が常に完全に排除されるとは限らないことからすれば,そのことのみをもって,外国子会社合算税制の適用が不合理であるということはできないなどとも主張する。 しかし,①外国税額控除は,同一の所得に対して外国の法人税と我が国の法人税等がそれぞれ課されたことによって生ずる「国際的二重課税」,すなわち,外国の課税権と我が国の課税権とを調整することを目的とする制度であり,このような二重課税を調整することは,我が国の課税権が外国の課税権に対して譲歩することを意味するから,立法者は,税収の確保のための我が国の課税権の行使と国際的二重課税の排除という相反する考慮要素を検討し,我が国がどの程度の譲歩を是とするかを租税政策によって決定することになり,一定の場合には,我が国の課税権の行使を優先するという政策判断がされることがあることから,その限度では,二重課税が完全には排除されないことも違法の問題を生じないと考えられることになる。第1の二重課税【外国課税所得・合算利益間】は,まさにこの「国際的二重課税」に含まれるものである(この二重課税の場合,形式的には特定外国子会社等とその親会社である内国法人という別々の納税主体が外国と我が国でそれぞれ課税されるという意味では,同一の納税主体が2つ以上の国による所得課税を受けるという典型的な「国際的二重課税」の場合と異なるように見えるが,その違いは本質的なものではない。本質的に重要なことは,課税を受ける対象となっている所得が「同一の所得」であるという点である。なぜなら, - 105 -「同一の所得」が2つ以上の国において二重に税負担を負うことは,通常「国 本質的に重要なことは,課税を受ける対象となっている所得が「同一の所得」であるという点である。なぜなら, - 105 -「同一の所得」が2つ以上の国において二重に税負担を負うことは,通常「国際的二重課税」といわれるものと全く同一の問題を提起するからである。)。②これに対し,第3の二重課税【国内源泉所得・合算利益間】は,我が国の課税権と外国の課税権の抵触とは無関係であり,我が国における同一所得に対する2回にわたる(二重の)法人税等の課税根拠いかんという純粋な国内課税問題であって,上記①のような「国際的二重課税」とは法律上区別されなければならず,したがって,第3の二重課税【国内源泉所得・合算利益間】に上記②のとおり外国の課税権と我が国の課税権とを調整することを目的とする制度である外国税額控除を用いることは,そもそもできないものというべきである。 また,我が国の所得課税制度においては,所得はその帰属先として特定される一の納税主体において一回的に課税されるという基本原則(所得の一回的課税の原則)を採用しており,ある所得が別々の納税主体のもとで2回にわたり課税されることは許されない。外国子会社合算税制において,「同一の所得」について,本来的な所得の帰属者である特定外国子会社等ではなく,その親会社である内国法人に我が国の法人税等が課税されるという形式が採られているのは,法律上,我が国が,特定外国子会社等に対して,居住地管轄権及び源泉地管轄権のいずれに基づいても直接課税権を行使することができないという前提の下で,我が国が当該所得に対する課税権を行使できるようにするために,当該内国法人が特定外国子会社等を支配していることを根拠として,その所得を当該内国法人の所得とみなすことにより居住地管轄権に基づく課税を可能とするものである。同税制におい 使できるようにするために,当該内国法人が特定外国子会社等を支配していることを根拠として,その所得を当該内国法人の所得とみなすことにより居住地管轄権に基づく課税を可能とするものである。同税制においては,本来の所得の帰属者である特定外国子会社等において我が国で既に法人税等を課されている所得に対して二重に我が国の法人税等を負担させることは全く想定されておらず,所得の一回的課税の原則は維持されていると解されるのであって,同税 - 106 -制は,同原則の例外として同一所得に対する二重課税を容認する趣旨のものではない。 (4)ア前記(2)及び(3)において述べたところからすれば,本件は,(1)において述べた「文理が不明確な場合」か「文理解釈の結果が不合理ないし非常識である場合」のいずれかに当たるから,趣旨解釈によって法規の意義を明らかにする必要があるということになる。 外国子会社合算税制(タックス・ヘイブン対策税制)が導入された昭和53年頃には,タックス・ヘイブンに設立された内国法人の子会社である法人が国内源泉所得を稼得することは,立法事実としても想定されていなかったかもしれないが,その後,証券化取引の台頭などを契機としてそのような法人が国内源泉所得を稼得することも珍しいことではなくなった。 また,平成4年度税制改正により特定外国子会社等の判定を税負担率判定方式に改正したこと,外国税額控除制度にも相当のルールの変更があったこと(特に3分の1ルールの前身である2分の1のルールの導入は措置法通達66の6-20が発せられた昭和53年よりも後の昭和63年であった。)などの変化が徐々に積み重なった結果,外国子会社合算税制に関する条文や通達の文理が同税制の趣旨・目的から期せずしてかい離させられたという指摘をすることも可能である。そのような 昭和63年であった。)などの変化が徐々に積み重なった結果,外国子会社合算税制に関する条文や通達の文理が同税制の趣旨・目的から期せずしてかい離させられたという指摘をすることも可能である。そのような状況下においては,より広い視野から,最高裁判所の判例が示した前記(1)のような解釈原理に沿った解釈がされなければならない。 イ措置法66条の6第1項の趣旨・目的は,内国法人が,タックス・ヘイブンを利用して我が国における租税の負担を回避しようとする事例に対処して税負担の実質的な公平を図ること,現にタックス・ヘイブンを利用することによって国内の税負担が回避されている所得を日本の課税所得に取り込むことによって失われた税収を回復し,もって税制の中立性と納税者間の公平を維持することにあり,このことに照らせば,以下の理由により, - 107 -特定外国子会社等の国内源泉所得は,合算税制の対象には含まれないものと解すべきである。 (ア) 特定外国子会社等の国内源泉所得は,日本において法令の定めるところに従って課税されるのであるから,その時点において日本の課税権は確保されており,外国子会社合算税制が防止しようとしている「我が国での税負担を不当に軽減すること」はおよそ考えられず,これを課税対象留保金額に含めてもう一度日本で課税すべき合理的な理由はない。また,同税制には,タックス・ヘイブンに設立された子会社を利用することに対する懲罰的な課税を行うという目的は全くなく,特定外国子会社等の国内源泉所得に対して,前記(3)イ(ア)のような重い課税をする理由もない。 (イ) 趣旨解釈により特定外国子会社等の国内源泉所得が合算課税の対象には生じ得ず,本件のような不合理かつ非常識な課税がされるおそれはなくなる(被告が主張するような解釈を る理由もない。 (イ) 趣旨解釈により特定外国子会社等の国内源泉所得が合算課税の対象には生じ得ず,本件のような不合理かつ非常識な課税がされるおそれはなくなる(被告が主張するような解釈を採った場合のように法令の文理に明らかに反する措置法通達66の6-20に定められた解釈を採る必要はないし,そのような解釈をとってもなお前記(3)イ(イ)において述べという不合理な結論が導かれることもない。)。 (ウ) 特定外国子会社等の国内源泉所得が合算課税の対象に含まれないとの趣旨解釈によれば,以下のとおり,外国子会社合算税制に関する諸規定を整合的に解釈することが可能となる。 a 外国子会社合算税制の制定の当時に,特定外国子会社等の国内源泉所得も合算の対象となる課税対象留保金額に含まれることが前提とされていたとすれば,第3の二重課税【国内源泉所得・合算利益間】が生じ得ることは容易に想定できたはずであり,そのような二重課税を - 108 -調整する規定が法令に置かれたはずである(前掲最高裁平成21年10月29日第一小法廷判決の判示を踏まえると,仮に外国子会社合算税制が第3の二重課税【国内源泉所得・合算利益間】に何ら手当てをせずそれを放置するものであるならば,同税制は不合理な制度であるとの評価を免れない。)。同税制に関する法令上,第3の二重課税【国内源泉所得・合算利益間】につき何ら手当てがなされていないのは,そのような手当てをする必要がそもそもない場合のみを想定して同税制が制定されたものであること,すなわち,同税制が特定外国子会社等の国内源泉所得を合算課税の対象としていないことを示すものにほかならないと解するのが合理的である。 b 措置法66条の7第1項にいう「外国法人税」とは,「外国の法令に基づき外国又 会社等の国内源泉所得を合算課税の対象としていないことを示すものにほかならないと解するのが合理的である。 b 措置法66条の7第1項にいう「外国法人税」とは,「外国の法令に基づき外国又はその地方公共団体により法人の所得を課税標準として課される税」を指し(法人税法施行令141条1項),我が国の法人税,所得税及び法人住民税が含まれないことは文理上一義的に明らかである。それにもかかわらず,我が国の法人税,所得税及び法人住民税を「外国法人税」に含ませることができるとする措置法通達66の6-20が違法無効なものであることは既に述べたとおりであり,そのような通達が必要であると課税庁が考えた理由は,合算課税の対象となる所得に特定外国子会社等の国内源泉所得が含まれるとの被告主張の解釈そのものに内在している。特定外国子会社等の国内源泉所得が合算課税の対象に含まれないとの趣旨解釈によれば,第3の二重課税【国内源泉所得・合算利益間】が生ずることはないから,措置法66条の7にいう「外国法人税」についても,それを文理どおりに解釈すれば足りることになる。 c ①措置法66条の6第1項の柱書きの「本店又は主たる事務所の所在する国又は地域におけるその所得に対して課される税の負担が本邦 - 109 -における法人の所得に対して課される税の負担に比して著しく低いもの」との文言は,文言解釈では一義的にその意味内容を確定することのできないものであり,②同項の委任を受けて制定された措置令39条の14の文言上は,同条1項2号にいう「その各事業年度の所得」には国内源泉所得も含まれると解するのが素直である一方,同条2項2号イにいう「外国法人税」の額に我が国の法人税等は含まれないから,同条1項1号と2号とでは,上記①の措置法66条の6第1項の柱書きの文言の解 源泉所得も含まれると解するのが素直である一方,同条2項2号イにいう「外国法人税」の額に我が国の法人税等は含まれないから,同条1項1号と2号とでは,上記①の措置法66条の6第1項の柱書きの文言の解釈につき異なる立場が採られ,両者は矛盾しているのであって,同項並びに措置令39条の14第1項2号及び2項の規定は,文言解釈ではその意味内容を一義的に理解し難いものである。 ところで,措置令39条の14第1項2号の規定を簡略化すると,「『税の負担』の割合=租税/所得≦25/100」と数式化することができ,この「税の負担」の割合が論理的に意味を成すのは,分母及び分子が○アいずれも「全世界」を基準とする場合(数式は「外国法人税+日本の法人税等/全世界所得=外国法人税+日本の法人税等/国内源泉所得+国外源泉所得≦25/100」となる。)か,○イいずれも「外国のみ」を基準とする場合(数式は「外国法人税/国内源泉所得=外国法人税/全世界所得-国内源泉所得≦25/100」となる。)のみであり,分母と分子の基準が異なると,実質的に何の意味もない割合が算出されることになる。そして,同号及び同条2項の規定において定義される「税の負担」の割合を上記②の文言解釈に依拠して上記と同様に分数で表すと「外国法人税/全世界所得=外国法人税/国外源泉所得+国内源泉所得」となって,論理的に意味のない割合が算出されてしまう。一方,外国関係会社が国内源泉所得を有していない場合のみにこの数式を適用するのであれば,上記○イと同じ割合が算出されることになり,原告主張の趣旨解釈によれば,上記①及び - 110 -②のとおり文言解釈ではその意味内容を一義的に理解し難い措置法66条の6第1項及び措置令39条の14の規定を合理的に理解することができる。 d 前記(2)ウにお 上記①及び - 110 -②のとおり文言解釈ではその意味内容を一義的に理解し難い措置法66条の6第1項及び措置令39条の14の規定を合理的に理解することができる。 d 前記(2)ウにおいて述べたとおり,措置令39条の18第8項の規定は,被告が主張するように合算課税の対象に特定外国子会社等の国内源泉所得が含まれると解した場合には,租税法律主義(特に課税要件法定主義)の要請の下では,違法無効なものということになる一方,原告主張の趣旨解釈によれば,同項は,もともと国外源泉所得であったものを国外源泉所得として扱うことを規定している意味しか持たず,そのような問題は全く生じないことになる。 (5) 所得税及び法人税は,納税義務者の全体としての所得(内国法人の場合は全世界所得,外国法人の場合は国内源泉所得)を課税標準とし,同一の所得を有する者に対しては同一の税負担を課することをもって公平を維持しようとするものである。租税特別措置は,この所得の画一,無差別の税負担に対する重要な例外を成すものであり,担税力の観点からは同様の状況にある者につき,税負担の上では特別の利益又は不利益を与えるものであるから,①その措置の政策目的が合理的であるか,②その目的を達成するのにその措置が有効であるか,③それによって公平負担がどの程度に害されるか等の諸点に照らして当該措置が不合理である場合には,租税公平主義(憲法14条1項)に違反して無効である。 そして,外国関係会社の所得が全て国内源泉所得であり,内国法人同様に我が国で法人税が納付されているにもかかわらず,更に外国子会社合算税制の適用によって当該所得を内国法人に合算して日本の法人税を負担させるとすれば,既に述べたような同税制の趣旨・目的と全く整合せず,そのような目的を達成するために当該措置が有効で 更に外国子会社合算税制の適用によって当該所得を内国法人に合算して日本の法人税を負担させるとすれば,既に述べたような同税制の趣旨・目的と全く整合せず,そのような目的を達成するために当該措置が有効であるとは認められない。また,我が国においては,内国法人の所得に対する税率は法人税単体で30%(地方税 - 111 -を含めた実効税率は約40%)となるように課税が行われているのに対し,本件のように内国法人が軽課税国に所在する子会社を通じて国内源泉所得を得た場合には法人税の税負担率が約55.9%(地方税を含めると約72. 2%)もの高率で課税を行うこと(本件各更正処分は,まさにそのような結果を生じさせるものである。)は,担税力等の政策的考慮を全く無視した公平負担の侵害というべきである。同税制がこのような租税公平主義違反を生じさせる不合理な租税重課措置を定めたものと解することは,その趣旨・目的に反するものである。 (6) 措置法は,法人税法,所得税法等の特別法であり,各種の租税特別措置を定めるものであるところ,外国子会社合算税制が特定外国子会社等の国外源泉所得に対して実質的に課税する趣旨・目的の制度であって,その国内源泉所得(法人税法によって我が国において課税されている所得)に対して更に課税することを予定するものではないことは,措置法が一般法である法人税法の特則であるという関係からも導かれる帰結である。 すなわち,特別法は,そこに明示されている限りにおいて一般法に優先するものであり,租税法の適用については,租税法律主義の要請が加わる結果,そのような局面がより強調されなければならないのであって,特別法である措置法の定めが不十分又は不明確である場合には,租税法律主義の観点から,当該特別措置の定めは存在しないこととなり,一般法である法人税法に戻 な局面がより強調されなければならないのであって,特別法である措置法の定めが不十分又は不明確である場合には,租税法律主義の観点から,当該特別措置の定めは存在しないこととなり,一般法である法人税法に戻って法律の適用関係を考えなければならない。そして,外国子会社合算税制に関する措置令の規定には,外国関係会社が国内源泉所得を有している場合を想定せずに制定されたという重大な欠陥があり,外国関係会社が国内源泉所得を有する場合の適用関係,課税関係はおよそ不明確といわざるを得ないから,特別法である外国子会社合算税制の適用は排除され,一般法である法人税法の規定に戻って課税関係を決する必要があり,そうすると,外国法人たる外国関係会社の国内源泉所得が親会社である内国法人の所得に合算されて - 112 -法人税が課税されるものではない。 (7) 以上のとおり,我が国において法人税等が課されることとなる特定外国子会社等の国内源泉所得は,「課税対象留保金額」として合算課税の対象とされるべきものではないものというべきである。 第4 B平成19年12月期においてBがAに係る特定外国子会社等に該当するか否か(争点4) 1 被告の主張の要点(1) 前提事実(1)イのとおり,Bは,平成14年2月にAの全額出資によりケイマンにおいて設立され,同地に本店を置く外国法人であり,また,Aは,B平成19年12月期終了時においてもBの発行済株式の全部を保有していた。このように,Bは,Aによって全株式を保有されているのであるから,同社の外国関係会社に該当する。 また,Bが本店を置くケイマンは,法人の所得に対して課される税が存在しない地域である(乙2~乙4,乙11)。 したがって,Bは,本店の所在する地域におけるその所得に対して課される税の負担が本 本店を置くケイマンは,法人の所得に対して課される税が存在しない地域である(乙2~乙4,乙11)。 したがって,Bは,本店の所在する地域におけるその所得に対して課される税の負担が本邦における法人の所得に対して課される税の負担に比して著しく低いものとして政令で定める外国関係会社に当たることから,「特定外国子会社等」(措置法66条の6第1項)に該当する。 (2)ア原告は,法人の所得に対して課される税が存在しない国又は地域に本店又は主たる事務所を有する外国関係会社は,その税負担率が25%超であるか否かにかかわらず,全て特定外国子会社等に該当するという被告の解釈は誤りである旨主張する。 イしかしながら,措置法66条の6第1項の柱書きにいう「本店又は主たる事務所の所在する国又は地域におけるその所得に対して課される税の負担が…著しく低いもの」とは,その文理を自然に読めば,外国関係会社の本店所在地国等において,当該外国関係会社の所得に対して課される税の - 113 -負担が,我が国のそれに比して著しく低いものをいうと解され,上記の「著しく低いもの」には,所得に対する課税がない場合が含まれるのであるから,措置令39条の14第1項1号にいう「法人の所得に課される税が存在しない国又は地域」がこれに該当することは,上記の文理解釈から明らかである。このことは,軽課税国を利用した租税回避の防止を目的に導入された外国子会社合算税制の趣旨・目的や,同制度導入後の特定外国子会社等の判定方法の改正経緯から当然に導かれる結果であり,課税要件を明確に規定し軽課税国を利用した租税回避を防止するという外国子会社合算税制の趣旨・目的に適合するものである。 したがって,法人の所得に課される税が存在しない国又は地域に主たる事務所を有する外国 を明確に規定し軽課税国を利用した租税回避を防止するという外国子会社合算税制の趣旨・目的に適合するものである。 したがって,法人の所得に課される税が存在しない国又は地域に主たる事務所を有する外国関係会社(措置令39条の14第1項1号)は,当然,特定外国子会社等と判定される。 (3)ア原告は,軽課税国を利用した租税回避の防止が外国子会社合算税制の目的であれば,例えば,本件のようにタックス・ヘイブン国(軽課税国)に本店が所在する外国関係会社が我が国に支店を有し,その国内源泉所得について我が国の内国法人同様に我が国の法人税を負担している場合には,何ら租税回避は存在しない以上,本店所在地国以外の税負担をおよそ考慮することなく,ただその本店所在地国に「法人の所得に対して課される税が存在しないこと」だけを理由に,直ちに特定外国子会社等に該当すると判断することは,外国子会社合算税制の趣旨・目的に合致しないと主張する。 イしかしながら,軽課税国を利用した租税回避を防止するためには,「法人の所得に課される税が存在しない国又は地域」を本店所在地国とする外国関係会社を外国子会社合算税制の対象とする必要があることは明らかであり,そのような国又は地域が,措置法66条の6第1項の柱書きの「税の負担」が「著しく低いもの」に含まれるとすることが同税制の趣旨・目的に合致することは明らかである。また,平成4年の税制改正において, - 114 -特定外国子会社等の該当性の判定を個々の外国関係会社ごとに行うこととしたとはいえ,同改正において同税制の趣旨・目的自体を変更したわけでなく,その判定は,その外国関係会社の「本店所在地国」の租税に関する法令の規定を基に行うこととされている。 以上からすれば,従来も軽課税国であった「法 ・目的自体を変更したわけでなく,その判定は,その外国関係会社の「本店所在地国」の租税に関する法令の規定を基に行うこととされている。 以上からすれば,従来も軽課税国であった「法人の所得に課される税が存在しない国又は地域」に主たる事務所を有する外国関係会社(措置令39条の14第1項1号)は,当然に特定外国子会社等に判定され,このことは,軽課税国を利用した租税回避の防止を目的に導入された外国子会社合算税制の趣旨・目的や,同税制の導入後の特定外国子会社等の判定方法の改正経緯から当然に導かれる結果であり,課税要件を明確に規定し軽課税国を利用した租税回避を防止するという外国子会社合算税制の趣旨・目的に適合するものである。したがって,原告の前記アの主張は理由がない。 (4)ア原告は,外国子会社等合算税制の適用の結果二重課税が生ずることを理由に,特定外国子会社等の解釈を文理どおりに行うべきではない旨主張するようである。 イしかしながら,既に述べたような外国子会社合算税制の趣旨・目的に照らせば,本店所在地国に留保されている所得につき,我が国において法人税が課税されているか否かにより,合算課税の対象とするか否かが左右されるものではない。 また,外国子会社合算税制については,いわゆるタックス・ヘイブン対策税制が適用される場合であっても所定の方法による外国法人税額の控除を認めるなど,全体として合理性のある制度ということができるとされているのであり(前掲最高裁平成21年10月29日第一小法廷判決参照)とされているのであり,本件においても,既に述べたとおり,法令等において設けられている外国法人税額の控除に係る仕組みを適切に適用すれば,二重課税は大部分が排除されるのであるから,この点に関する原 )とされているのであり,本件においても,既に述べたとおり,法令等において設けられている外国法人税額の控除に係る仕組みを適切に適用すれば,二重課税は大部分が排除されるのであるから,この点に関する原告の主張 - 115 -は,その前提を欠くものであり,失当というほかない。 (5)ア原告は,①適用対象留保金額の基準となる未処分所得の計算上,我が国において課税対象となる特定外国子会社等の国内源泉所得を合算の対象から除外せず,特定外国子会社等の国内源泉所得に対する我が国の法人税等の二重課税について法令上何ら手当てすることなく放置することになる措置令39条の15第1項1号は,外国子会社合算課税制の趣旨・目的から著しく逸脱することになるものであって,当該条項にはその有効性を失わせしめる致命的な欠陥がある,②措置令は,本件のように外国関係会社が国内源泉所得を有する場合を想定することなく制定されたものである結果,そのような場合に外国子会社合算税制に関する措置令の規定を,制度の趣旨・目的を全く顧慮することなく,条文の字義どおりに適用した場合には立法の不備が顕在化してしまうなどとして,外国関係会社が国内源泉所得を有する場合に条文の文言どおりに適用することは許されず,Bは特定外国子会社等に該当しないなどと主張する。 イしかしながら,外国子会社合算税制においては,二重課税を調整するための規定が設けられているところ,外国税額控除を規定する措置法66条の7の「外国法人税」に,「特定外国子会社等が我が国の法令に基づいて,その国内源泉所得に対して課された法人税等」が含まれないとすることは,二重課税の調整の観点から不合理であることから,措置法通達66の6-20は,この場合の外国法人税の額に特定外国子会社等が国内源泉所得に係る所得について課 課された法人税等」が含まれないとすることは,二重課税の調整の観点から不合理であることから,措置法通達66の6-20は,この場合の外国法人税の額に特定外国子会社等が国内源泉所得に係る所得について課された法人税,所得税等を含めることができることを明らかにしたものであり,このことを指摘して,「何ら手当てすることなく放置」したとする原告の主張は,法令,通達の果たす役割を正解しないものであり,失当である。 2 原告の主張の要点(1) 措置令39条の14第1項2号の規定を簡略化すると,「『税の負担』の - 116 -割合=租税/所得≦25/100」と数式化することができるが,同項や措置法66条の6第1項の文言からは,この数式中の「所得」及び「租税」の範囲について,解釈の手がかりを読み取ることすら困難である。もっとも,上記「税の負担」の割合が論理的に意味を成すのは,分母及び分子が①いずれも「全世界」を基準とする場合(数式は「外国法人税+日本の法人税等/全世界所得=外国法人税+日本の法人税等/国内源泉所得+国外源泉所得≦25/100」となる。)か,②いずれも「外国のみ」を基準とする場合(数式は「外国法人税/国内源泉所得=外国法人税/全世界所得-国内源泉所得≦25/100」となる。)のみであり,分母と分子の基準が異なると,実質的に何の意味もない割合が算出されることになる。 ところが,措置令39条の14第2項2号イにいう「外国法人税」の額に我が国の法人税等は含まれない一方,同条1項2号にいう「その各事業年度の所得」には,外国に源泉を有する所得(国外源泉所得)のみならず国内源泉所得も含まれると解することが文理上最も素直であると思われ,そうすると,同条1項2号及び2項で定義される「税の負担」の割合をこれらの規定の文言のみに依拠して上記と (国外源泉所得)のみならず国内源泉所得も含まれると解することが文理上最も素直であると思われ,そうすると,同条1項2号及び2項で定義される「税の負担」の割合をこれらの規定の文言のみに依拠して上記と同様に分数で表すと「外国法人税/全世界所得=外国法人税/国外源泉所得+国内源泉所得」となって,実質的に何の意味もない割合が算出されることになる。すなわち,同条1項2号及び2項は,外国関係会社が国内源泉所得を有しているか否かにより,時として全く意味のない「税の負担」の割合が計算されることになる規定であり,措置法66条の6第1項が求めている「税の負担」の割合を算出する方法としては不合理・不適切なものであるが,外国関係会社が国内源泉所得を有していない場合にのみこの数式を用いるのであれば,上記分数で示される「税の負担」の割合は意味のあるものとなる。このことは,これらの規定が本件のように外国関係会社が国内源泉所得を有する場合を想定せずに制定されたことを強く示唆しており,外国関係会社が国内源泉所得を有する場合の特定外国子会社 - 117 -等の判定方法は,措置令には明示的には規定されていないと解さざるを得ない。したがって,本件のように外国関係会社が国内源泉所得を有する事案においては,これらの規定の表面上の文言のみに依拠して特定外国子会社等に該当するかどうかを判定することは,許されない。 (2) 措置法66条の6第2項2号の委任を受けて適用対象留保金額(特定外国子会社等の親会社である内国法人に対する合算課税の対象となる金額)の基準となる未処分所得の計算方法を定める措置令39条の15第1項1号は,その文言上,我が国において法人税等の課税対象となる特定外国子会社等の国内源泉所得を合算課税の対象から除外していない。そのため,特定外国子会社等の国内源泉所 を定める措置令39条の15第1項1号は,その文言上,我が国において法人税等の課税対象となる特定外国子会社等の国内源泉所得を合算課税の対象から除外していない。そのため,特定外国子会社等の国内源泉所得については,当該特定外国子会社等に対して法人税等が課される上,その親会社である内国法人にも法人税等が課税され,第3の二重課税【国内源泉所得・合算利益間】が引き起こされることになる。そして,措置法及び措置令には,このような二重課税を調整するための明文の規定は全く存在しないため,法令上,そのような二重課税は放置されることになる。このような結果は,内国法人がタックス・ヘイブンを利用して我が国における租税の負担を回避しようとする事例に対処して税負担の実質的な公平を図るという外国子会社合算税制の趣旨・目的に反するし,特定外国子会社等に課税される外国法人税について外国税額控除制度を利用して経済的二重課税に一定の手当てをしていることを,外国子会社合算税制の合理性を基礎付ける一つの根拠としている前掲最高裁平成21年10月29日第一小法廷判決の判示に照らしても不合理である。措置令39条の15第1項1号の規定には,その有効性を失わせしめる致命的な欠陥があるというべきであり,この規定を,制度の趣旨・目的を全く顧慮することなく条文の字義どおりに適用した場合には,立法の不備が顕在化してしまうことになる。 (3) 措置法66条の7第1項及び措置令39条の14第2項第1号に規定する外国法人税の額に特定外国子会社等が国内源泉所得に係る所得について課さ - 118 -れた法人税等の額を含めることができる旨を定める措置法通達66の6-20は,①措置令39条の15第1項の規定が,外国子会社合算税制において本来想定していなかった第3の二重課税【国内源泉所得・合算利益間 た法人税等の額を含めることができる旨を定める措置法通達66の6-20は,①措置令39条の15第1項の規定が,外国子会社合算税制において本来想定していなかった第3の二重課税【国内源泉所得・合算利益間】を引き起こしてしまうことが不合理であること(上記規定に不備があり,これを文言どおりに解釈し形式的に適用するだけでは合理的な結論が導かれないこと)を正面から認めた上で,外国子会社合算税制の趣旨・目的,さらには外国子会社合算税制が我が国の法人税等について二重課税を何ら手当てすることなく放置することをおよそ許すものではないとの理念の下,そのような二重課税の排除を,措置法に定められた外国税額控除制度をいわば借用することにより実現しようとするとともに(ただし,既に述べたとおり,このような手当てによる法人税等の二重課税の排除ははなはだ不完全なものである。),②同令39条の14第2項1号の規定にも,その文言及び構造上看過し難い重大な不備があり,同項は,外国関係会社が我が国の法人税が課されない国外源泉所得のみを有している場合においてのみ外国子会社合算税制の目的を達成するのに有効な判定方法であることを国税庁が認め,国内源泉所得を有する外国関係会社の税負担率が問題となるべき場面では,同項に定められている特定外国子会社等の判定方法そのものではなく,同条1項及び2項に準じて措置法66条の6の規定の趣旨・目的に照らした判定を行うべきであるとの解釈を示したものと解するのが論理的かつ合理的である。 上記②のような措置法通達66の6-20の定めは,前記(1)において述べたとおり国内源泉所得を有する外国関係会社の「税の負担」の割合(税負担率)を措置令39条の14第1項2号及び2項の文言のみに依拠して分数で表すと「外国法人税/全世界所得=外国法人税/国外源泉所得+ べたとおり国内源泉所得を有する外国関係会社の「税の負担」の割合(税負担率)を措置令39条の14第1項2号及び2項の文言のみに依拠して分数で表すと「外国法人税/全世界所得=外国法人税/国外源泉所得+国内源泉所得」となり,実質的に何の意味もない割合が算出されてしまうところを,論理的に意味を成すように上記分数の分子についても分母と同様に「全世界」を基準とすること定めたものといえる。そして,措置法66条の6第1 - 119 -項の規定の改正経緯や外国子会社合算税制の趣旨・目的に照らせば,同項は,25%以下か否かという税負担率の計算を何らかの合理的な方法で判定することを目的としたものであるということができ,その判定方法として,全世界における所得を分母とし,全世界における負担税額を分子とすること自体には,同条の規定の趣旨・目的に合致し,一定の合理性があるといえる。 このような措置法通達66の6-20に示された措置法66条の6第1項柱書きの「税の負担」概念に照らせば,我が国において法人税等の課税対象となる国内源泉所得以外に所得がなく,当該所得について25%を優に超える税負担率の我が国の法人税が課されたB平成19年12月期のBは,特定外国子会社等に該当しないものというべきである。 (4)ア被告は,①軽課税国を利用した租税回避を防止するためには,「法人の所得に課される税が存在しない国又は地域」を本店所在地国とする外国関係会社を外国子会社合算税制の対象とする必要があることは明らかであり,そのような国又は地域が,措置法66条の6第1項柱書きの「税の負担」が「著しく低いもの」に含まれるとすることが同税制の趣旨・目的に合致することは明らかである,②平成4年の税制改正において,特定外国子会社等の該当性の判定を個々の外国関係会社ごとに行うこととした 担」が「著しく低いもの」に含まれるとすることが同税制の趣旨・目的に合致することは明らかである,②平成4年の税制改正において,特定外国子会社等の該当性の判定を個々の外国関係会社ごとに行うこととしたとはいえ,同改正において同税制の趣旨・目的自体を変更したわけでなく,その判定は,その外国関係会社の「本店所在地国」の租税に関する法令の規定を基に行うこととされているなどとして,従来も軽課税国であった「法人の所得に課される税が存在しない国又は地域」に主たる事務所を有する外国関係会社(措置令39条の14第1項1号)は,当然に特定外国子会社等に判定され,このことは,軽課税国を利用した租税回避の防止を目的に導入された外国子会社合算税制の趣旨・目的や,同税制の導入後の特定外国子会社等の判定方法の改正経緯から当然に導かれる結果であり,課税要件を明確に規定し軽課税国を利用した租税回避を防止するという外国子会社合算 - 120 -税制の趣旨・目的に適合するなどと主張する。 イ前記ア①の主張について,被告は,法人の所得に課される税が存在しない国又は地域を本店所在地国とする外国関係会社であったとしても,我が国において多額の法人税が課税されている会社についてまで外国子会社合算税制の対象として極めて重い二重課税をする必要があるのかや,そのような二重課税をすることが同税制の趣旨・目的に合致するのか,その実質的な根拠を何一つ示していないから,被告の上記主張は失当である。 ウまた,本店所在地国以外で課される外国法人税については,当該本店所在地国以外の国(タックス・ヘイブンから見た外国)の法令に従って算出することが可能なのであって,本店所在地国に法人所得税に関する法律が存在しないことは,法人所得税に関する法律の存在しない国又は地域に本店を有する外 タックス・ヘイブンから見た外国)の法令に従って算出することが可能なのであって,本店所在地国に法人所得税に関する法律が存在しないことは,法人所得税に関する法律の存在しない国又は地域に本店を有する外国関係会社について,本店所在地国以外において課された外国法人税をおよそ考慮しないことを何ら正当化するものではない。すなわち,本店所在地国に法人の所得に対して課される税が存在しない特定外国子会社等の場合においても,措置法66条の7による外国税額控除制度の適用においては,本店所在地国以外の外国で課された外国法人税があることを想定し,同制度の適用を認めるというのが外国子会社合算税制の制度設計となっていることからすれば,本店所在地国に法人の所得に対して課される税が存在しない外国関係会社についてのみ,本店所在地国以外においてかされた外国法人税をいわば一旦ゼロとみなして特定外国子会社等に該当するか否かを判定した後,かかる外国法人税を外国税額控除制度の対象とし,第3の二重課税【国内源泉所得・合算利益間】を調整する仕組みも用意しないまま放置するというのは,論理的整合性を欠く不明確な税制というべきであるから,租税法律主義の要請が妥当する租税法にあってそのような解釈を採ることはできない。 確かに,平成4年度税制改正までの外国子会社合算税制においては,軽 - 121 -課税国を限定列挙して指定する方式が採られていたから,軽課税国であるか(本店所在地国に法人の所得に対して課される税があるか否か)にまず注目して制度を作ることに意味があったと考えられるが,平成4年度税制改正により,同税制は「個別の企業ごとに税負担割合で判断していこうという制度に改め」られた(甲19)のであるから,本店所在地国に法人の所得に対して課される税があるか否かだけに注目する理由はなくなっ 改正により,同税制は「個別の企業ごとに税負担割合で判断していこうという制度に改め」られた(甲19)のであるから,本店所在地国に法人の所得に対して課される税があるか否かだけに注目する理由はなくなったものである。 そして,軽課税国を利用した租税回避の防止が外国子会社合算税制の目的であれば,例えば,本件のようにタックス・ヘイブン国(軽課税国)に本店が所在する外国関係会社が我が国に支店を有し,その国内源泉所得について我が国の内国法人同様に我が国の法人税を負担している場合には,何ら租税回避は存在しない以上,本店所在地国以外の税負担をおよそ考慮することなく,ただその本店所在地国に「法人の所得に対して課される税が存在しないこと」だけを理由に,直ちに特定外国子会社等に該当すると判断することこそが,同税制の趣旨・目的に合致しないものであることはいうまでもない。 以上のとおりであるから,前記ア②の被告の主張にも理由がない。 (5)ア被告は,原告において,適用対象留保金額の基準となる未処分所得の計算上,我が国において課税対象となる特定外国子会社等の国内源泉所得を合算の対象から除外せず,特定外国子会社等の国内源泉所得に対する我が国の法人税等の二重課税について法令上何ら手当てすることなく放置することになる措置令39条の15第1項1号は,外国子会社合算課税制の趣旨・目的から著しく逸脱することになるものであって,当該条項にはその有効性を失わせしめる致命的な欠陥があるなどと主張したことに対し,措置法通達66の6-20によって二重課税が調整されるから,二重課税を何ら手当てすることなく放置したとする原告の上記主張は失当であるなど - 122 -と主張する。 イしかし,原告は,我が国の法人税等の二重課税が「法令上」何ら手当されることなく放置されて 何ら手当てすることなく放置したとする原告の上記主張は失当であるなど - 122 -と主張する。 イしかし,原告は,我が国の法人税等の二重課税が「法令上」何ら手当されることなく放置されていると主張しているものであり,前記アの被告の主張は,法令と通達とを同列に扱おうとするものである上,既に述べたとおり,上記通達の定めを考慮したとしても,第3の二重課税【国内源泉所得・合算利益間】は解消されず,かえって悪化する場合もあるから,前記アの被告の主張は,失当である。 第5 本件の事案に限って外国子会社合算税制に関する措置法及び措置令の規定を限定解釈し,B平成19年12月期におけるBについてはこれらの規定が適用されないものと解すべきであるか否か(争点5) 1 原告の主張の要点(1)ア前掲最高裁平成21年10月29日第一小法廷判決は,特定外国子会社等に課税される外国法人税につき外国税額控除制度を利用して経済的二重課税に一定の手当てをし,内国法人が特定外国子会社等を利用しなかった場合とほぼ等しい税負担となるように調整することとしていることを,外国子会社合算税制の合理性を基礎づける一つの根拠として示している。そして,仮に同税制それ自体が合理的な制度であることを認めるとしても,これを適用した結果が明らかに不当かつ不合理なものとなる場合,すなわち,明らかに当該内国法人が特定外国子会社等を利用しなかった場合とほぼ等しい税負担とならない場合(当該内国法人が特定外国子会社等を利用しなかった場合と比較しておよそかけ離れた税負担となるような場合)には,外国子会社合算税制の適用は排除しなければならないと解釈するのが,上記判決に照らして論理的かつ合理的な帰結であるとともに,「内国法人が,いわゆるタックス・ヘイブンを利用して我が国における租税の負担 ,外国子会社合算税制の適用は排除しなければならないと解釈するのが,上記判決に照らして論理的かつ合理的な帰結であるとともに,「内国法人が,いわゆるタックス・ヘイブンを利用して我が国における租税の負担を回避しようとする事例に対処して税負担の実質的な公平を図る」という外国子会社合算税制の趣旨・目的にも合致する。 - 123 -イ前記アのような解釈が租税法律主義(憲法84条)に反するものでないことは,租税法規の文言の形式的な解釈のみでは導き得ない解釈を租税法規の趣旨等に基づいて導く多数の最高裁判決(最高裁平成15年(行ヒ)第215号同17年12月19日第二小法定判決・民集59巻10号2964頁,前掲最高裁平成21年10月29日第一小法廷判決等)や,租税法規について,法令の文言を重視しつつも,法令の趣旨・目的,租税の基本原則,税負担の公平性・相当性等を総合考慮し,法的安定性,予測可能性を損なうことのない限度で,租税法令を客観的,合理的に解釈することも許されるとする福岡高等裁判所平成21年7月29日(最高裁判所ホームページ登載)からも導くことができるものである。 特に,前掲最高裁平成17年12月19日第二小法定判決の最高裁判所調査官の解説は,租税法律主義は,租税の賦課徴収が,法律の根拠に基づき,法律に従って行われなければならないとする原則であり,私人にとって将来の予測を可能にし,法的安定を確保することを目的とするものであるから,租税法規が適用されて租税の賦課徴収がされるべき事案であること,あるいは,租税の減免を認める租税法規が適用されるべき事案でないことが,関係者に明らかな場合であるならば,租税法規を適用して租税を賦課徴収すること,あるいは,租税の減免を認める租税法規を適用しないこととしても,租税法律主義違反の問題は生じない るべき事案でないことが,関係者に明らかな場合であるならば,租税法規を適用して租税を賦課徴収すること,あるいは,租税の減免を認める租税法規を適用しないこととしても,租税法律主義違反の問題は生じない旨,租税法規の適用範囲の限定(限定解釈)が許容される場合があることを明確に論じている。 これは,直接には政策的租税軽課措置についての説明であるが,上記のような限定解釈を導く根拠とされている租税法律主義の目的は,政策的租税重課措置についても同様に当てはまるから,同様の適用範囲の限定(限定解釈)は,本件で問題となっている政策的租税重課措置である外国子会社合算税制についても許容される。 (2) 第3の2(3)において言及した原告によるシミュレーションをめぐる求釈 - 124 -明の結果,被告も,本件事案においては同一所得に対する法人税二重課税が生じていること(第3の二重課税【国内源泉所得・合算利益間】が解消されないこと)を認めるに至っているところ(平成25年4月19日付け被告準備書面(5)第4の3(2)ウ・49頁参照),本件事案の特徴は,以下のとおりである。 ア Bは,B平成19年12月期において,そのE支店において保有していた政策保有株式の一部を譲渡した結果生じた385億8167万0508円の所得(本件所得)について,その全額が国内源泉所得として我が国について法人税等の課税に服することとされ(法人税法141条1号,同法143条,地方税法53条,同法72条の2,同法321条の8,同法1条2項),前提事実(2)イのとおり,上記の法人税等として合計178億1406万4000円を納付した。 イ一方で,Bは,本件所得から前記アの納税資金と若干の当面の運転資金等を控除した200億円を,前提事実(2)アのとおり,B平成19年12月期の末日から 78億1406万4000円を納付した。 イ一方で,Bは,本件所得から前記アの納税資金と若干の当面の運転資金等を控除した200億円を,前提事実(2)アのとおり,B平成19年12月期の末日から2か月以内に,当時の100%親会社であり,内国法人であるAに対して本件配当として支払った。すなわち,本件所得は,①Aにおいて我が国の課税に服することになった本件配当200億円,②B平成19年12月期に係る法人税等としてBが納付した我が国の法人税等合計178億1406万4000円及び③その他から構成されるが,上記①~③の全額を課税所得として我が国の法人税等がBに課されているのであるから,本件所得を構成する上記①~③の全ては,我が国の法人税等が課税済みの所得であり,そのうち上記②が我が国の法人税等として我が国に納付された税額である。上記①~③のいずれについても,Bが我が国の課税を逃れたとか不当に軽減したとかいう事実はない。 ウそもそも,外国子会社合算税制が特定外国子会社等の留保所得に着目している理由は,同税制の目的が「我が国での税負担を不当に軽減すること - 125 -を規制すること」にあり,株主たる内国法人は,特待外国子会社等に,課税対象留保金額を配当させるだけの「支配力をもっているにもかかわらず,子会社等が配当を全くあるいはわずかしか行わず,留保所得を蓄積しているところに税の回避を推認し得る」からである(乙8)。ここにおいて「留保所得」として問題視されているのは,本来我が国の居住者の全世界所得の一部として我が国で課税されるべきであるにもかかわらずその課税を受けないまま特定外国子会社等に蓄積されている所得であることは,上記のような同税制の目的を併せ考慮すれば明らかであるところ,本件所得を構成する前記イ①~③は,いずれもこのような意 かわらずその課税を受けないまま特定外国子会社等に蓄積されている所得であることは,上記のような同税制の目的を併せ考慮すれば明らかであるところ,本件所得を構成する前記イ①~③は,いずれもこのような意味における「留保所得」には該当しない。 しかも,前記イ②は,Bにより,その全額が本件所得に課されたBの法人税等として本来の法定納期限までに納付されている。すなわち,我が国は,Bの全所得を対象として計算された法人税等の税額の全額の納付をBから受けることによって,Bの所得から,通常の内国法人が負担するのと全く同等の税収を,本件各更正処分がされるよりもはるか前に得ているのである。 エそれにもかかわらず,本件においては,更に本件各処分をすることにより,平成20年4月期においてBがAの特定外国子会社等に該当するとして,B平成19年12月期の本件所得385億8167万0508円のうちAに配当された本件配当200億円(前記イ①)を控除した残額を基礎に算出された188億3633万2344円が課税対象留保金額としてAに合算され,Aが約49億円の法人税を負担することになった。この結果,本件所得のうち課税対象留保金額に対応するとされた部分(前記イ②及び③)に対しては,我が国の法人税が合計105億2904万1648円(地方税を含めると合計135億9880万0125円。なお,課税対象留保金額188億3633万2344円に対して課された法人税等の額は, - 126 -本件所得385億8167万0508円に対して課された法人税額及び地方税額からそれぞれあん分計算によって算出している。)が課され,本件各処分によって合算課税の対象とされた所得の我が国における法人税の税負担率は55.9%(地方税を含めると約72.2%)に達し,我が国の法人税の税率約30%の約1 よって算出している。)が課され,本件各処分によって合算課税の対象とされた所得の我が国における法人税の税負担率は55.9%(地方税を含めると約72.2%)に達し,我が国の法人税の税率約30%の約1.9倍(内国法人の法人税等の実効税率約40.7%の約1.8倍)となっている。 (3)ア既に述べたような外国子会社合算税制の趣旨・目的に照らせば,本件各処分によってされた前記(2)エのような課税は,不当かつ極めて不合理なものであることが明らかである。 イ仮に,同税制の構造上,特定外国子会社等の所得に対する外国法人税と合算課税の間の二重課税は外国税額控除により調整されるという被告の解釈を前提としたとしても,外国税額控除においては,「国際的二重課税」の調整に当たって,3分の1ルール(措置令39条の18第8項ただし書)やいわゆる90%シーリング(法人税法施行令142条3項1号)など,その調整を一定程度制限する規定が設けられていることから,本件におけるBのように特定外国子会社等がケイマンのような法人の所得に対して課される税が存在しない国又は地域に本店又は主たる事務所を有する外国法人であり,かつ,我が国において内国法人と同率の法人税等の課税を受けている場合において,外国子会社合算税制による合算課税の結果生ずる第3の二重課税【国内源泉所得・合算利益間】(同一所得に対する法人税二重課税)が完全に排除されず,残ることになる。問題は,そのようにして残ってしまった同一所得に対する法人税二重課税は,租税法律主義の下において,法律に根拠のある課税といえるのかである。 ウそもそも,被告が第3の二重課税【国内源泉所得・合算利益間】に外国税額控除を適用すると主張している理由は,そのような同一の所得に対する二重課税が,外国子会社合算税制の趣旨・目的に反する不当か ウそもそも,被告が第3の二重課税【国内源泉所得・合算利益間】に外国税額控除を適用すると主張している理由は,そのような同一の所得に対する二重課税が,外国子会社合算税制の趣旨・目的に反する不当かつ極めて - 127 -不合理な課税であるからにほかならないから,外国税額控除を適用してもなお残る前記イのような課税が,外国税額控除を適用したことによって適法な課税に変身することについて,明確な根拠となる法律がない限り,そのような課税はやはり同税制の趣旨・目的に反する不当かつ極めて不合理な課税であり続けるはずである。 既に述べたとおり,外国税額控除において二重課税が完全には排除されなくてもよいと考えられている理由は,複数国の課税権の抵触を調整する場合には居住地国としての我が国が全面譲歩をするべき理由はないというところにあるから,外国子会社合算税制によって生ずる第3の二重課税【国内源泉所得・合算利益間】に対して外国税額控除を適用することが認められるとの前提を採ったとしても,本件のように外国税額控除を適用しても第3の二重課税【国内源泉所得・合算利益間】につき相当程度の調整がされるどころかかえって税負担が増えるという事案においては,同税制の趣旨・目的に反する不当かつ極めて不合理な課税に外国税額控除を適用してもなお残る課税が,外国税額控除を適用したことによって適法な課税に変身するというのは背理である。 エ被告は,本件については,外国子会社合算税制の趣旨・目的に照らせば,Bが法人の所得に対する課税のないケイマンにおいて原告に配当することなくその所得を留保しているのであるから,実質的に見ても,正に同税制を適用すべきケースであるなどと主張する。 しかし,そのような主張を前提とすれば,本件の事案では,Bは,我が国の法人税等を納付するための前 所得を留保しているのであるから,実質的に見ても,正に同税制を適用すべきケースであるなどと主張する。 しかし,そのような主張を前提とすれば,本件の事案では,Bは,我が国の法人税等を納付するための前記(2)イ②の納税資金を残すことなく,本件所得の全額を親会社であるAに配当しない限り,同税制の趣旨・目的に反する不当かつ極めて不合理な課税を甘受しなければならず,そのような課税を排除する方法がないどころか,外国税額控除の適用を受けると課税がより高率になるという不合理極まりない課税を受けることになるので - 128 -あって,被告の上記主張は,失当である。 オ結局のところ,本件のように,合算課税による同一所得に対する法人税二重課税の結果,実質税負担率が72.2%という結果になるような事案においては,このような課税は,外国子会社合算税制の趣旨・目的に反する不当かつ極めて不合理なものであることが明らかであって,仮に個別の条文の解釈については被告の主張を前提とするのであっても,本件のような事案においては,限定解釈により同税制の適用は排除すべきである。すなわち,本件は,前記(1)アにおいて述べた「当該内国法人が特定外国子会社等を利用しなかった場合と比較しておよそかけ離れた税負担となるような場合」に該当することが明らかであって,前掲最高裁平成21年10月29日第一小法廷判決に照らしても,本件は,同税制の適用が排除されなければならない事案であるということができる。 (4)アなお,被告は,税負担の観点からは,ケイマンに子会社を設立するという法形式を選択した場合には,措置法上合算課税の対象とされることで「経済的二重課税」が生じ得るため,直接我が国に子会社を設立するという法形式を選択した場合における税負担よりも重い税負担を負うこととなり得ること 択した場合には,措置法上合算課税の対象とされることで「経済的二重課税」が生じ得るため,直接我が国に子会社を設立するという法形式を選択した場合における税負担よりも重い税負担を負うこととなり得ることが事前に予測可能であったにもかかわらず,Aは,あえてケイマンに子会社を設立するという法形式を選択したのであるから,本件は,当事者が,自由な意思によりあえて「経済的二重課税」が生じ得る法形式を選択したものであるなどと主張する。 イしかし,本件において問題とされている法令の条文においては,当事者の主観的事情や認識の有無が課税要件ではないことが明らかである上,仮に二重課税が生ずることを予測することができたとしても,原告が課税処分を争うことは何ら妨げられないから,被告の前記アの主張に係る事情は,本件の判断に何ら影響を与えるものではない。 被告がAにおいてBの設立時には租税回避を意図していたことを示唆す - 129 -る目的で前記アのような主張をしているとしても,Bの設立には経済的な理由があり,かつ,Bは設立以来日本に支店を有してその所得全額につき我が国の法人税等の課税を受けているのであるから,そのような主張には事実誤認がある。 さらに,外国子会社合算税制において,特定外国子会社等該当性及び合算課税をするか否かは,事業年度ごとに判定されるものであり,B設立時において,その後の事業年度に同税制が適用されるか否かは確実には分からないことであるから,AがBの国内源泉所得が同税制の対象となることを予測してBを設立したか否かは,やはり本件において何の意味も持たない。 2 被告の主張の要点限定解釈とは,「形式的に既存の法令の規定を適用した場合に結論が制度趣旨・目的に反して,明らかに不当かつ不合理なものとなるときに,法令上の明文の定め(括弧内省 たない。 2 被告の主張の要点限定解釈とは,「形式的に既存の法令の規定を適用した場合に結論が制度趣旨・目的に反して,明らかに不当かつ不合理なものとなるときに,法令上の明文の定め(括弧内省略)がなくとも,法令の適用範囲を限定的に解釈することにより結論の妥当性を図る解釈手法」であるところ,本件については,外国子会社合算税制の趣旨・目的に照らせば,Bが法人の所得に対する課税のないケイマンにおいて原告に配当することなくその所得を留保しているのであるから,実質的にみても,正に外国子会社合算税制を適用するべきケースであるというべきである。したがって,本件が「形式的に既存の法令の規定を適用する場合」に該当しないことは明らかであり,また,原告が主張するように結果としての税負担が40%を超えるものとなったとしても,そのことのみをもって,外国子会社合算税制を適用した結果が明らかに不当かつ不合理なものということもできない。 以上のとおりであるから,前記1の原告の主張は,「結論が制度趣旨・目的に反して,不当かつ不合理なものとなる」という前提を欠き,理由がないというほかない。 - 130 -なお,Bの事業は,Aの子会社であるDから取得した政策保有株式を保有することであったが,ケイマンに法人の実体はなく,全ての資産負債及び損益はE支店に帰属し,その収入は,我が国で発生したもののみであり,その意味で,ケイマンに法人を設立する経済的理由は何ら存在しなかったものである。また,税負担の観点からは,ケイマンに子会社を設立するという法形式を選択した場合には,措置法上合算課税の対象とされることで「経済的二重課税」が生じ得るため,直接我が国に子会社を設立するという法形式を選択した場合における税負担よりも重い税負担を負うこととなり得ることが事前に 合には,措置法上合算課税の対象とされることで「経済的二重課税」が生じ得るため,直接我が国に子会社を設立するという法形式を選択した場合における税負担よりも重い税負担を負うこととなり得ることが事前に予測可能であった。 それにもかかわらず,Aは,あえてケイマンに子会社を設立するという法形式を選択したのであるから,本件は,当事者が,自由な意思によりあえて「経済的二重課税」が生じ得る法形式を選択したものである。このような法形式を選択した場合に外国子会社合算税制の適用対象とされることを原告及びA(平成20年5月の合併後はH株式会社)が認識していたことは,Bの平成14年2月18日から同年3月31日までの事業年度ないしB平成19年12月期について,Bが特定外国子会社等に該当することを前提とした確定申告書(乙2ないし5)を提出していることからも明らかである。 以上 - 131 -(別紙4)A及び原告の納付すべき税額等 第1 Aの平成20年4月期における納付すべき税額等について 1 課税所得金額 163億3874万3171円上記金額は,次の(1)の金額に(2)及び(3)の金額を加算した金額である。 (1) 確定申告における所得の金額 △17億7196万1702円上記金額は,原告が麹町税務署長に対して平成20年7月30日に提出した平成20年4月期確定申告書に記載された所得の金額と同額である。 (2) 特定外国子会社等に係る課税対象留保金額の益金算入額180億6872万5836円上記金額は,原告(合併前のA)が,Bの平成19年12月期に係る措置法66条の6第1項に規定する課税対象留保金額として次のアからウまでに述べるように188億3633万2 872万5836円上記金額は,原告(合併前のA)が,Bの平成19年12月期に係る措置法66条の6第1項に規定する課税対象留保金額として次のアからウまでに述べるように188億3633万2344円を所得の金額の計算上益金の額に算入すべきところ,7億6760万6508円のみを算入することによって,所得の金額を過少に計算していると認められる金額であるから,所得の金額の計算上,益金の額に算入される金額である。 ア未処分所得の金額の計算B平成19年12月期の決算に基づく所得の金額222億1306万5152円につき,本邦法令の規定の例に準じて計算した場合に算出される所得の金額(措置令39条の15第1項)は,原告が平成20年4月期確定申告書にBに係る「未処分所得の金額」として記載した385億8167万0508円に,計算誤りと認められる次の各金額を加算又は減算した後の388億3754万2344円である。 (ア) 申告時に「損金の額に算入した納税充当金」として所得の金額に加算されていた金額のうち4761万4642円は,B平成19年12月期 - 132 -において納付した配当等に係る所得税の額であるから,当該金額を加算過大額として減算する。 (イ) 申告時に「控除対象配当等の額」として所得の金額から減算されていた1億6080万1651円は,法人税法23条の規定による受取配当等の益金不算入相当額であるが,同条の規定は,未処分所得の金額の計算に適用されない(措置令39条の15第1項)ため,当該金額を減算過大額として加算する。 (ウ) 平成20年4月期確定申告書別表十七(二)付表「特定外国子会社等の判定に関する明細書」の「控除未済欠損金額」を繰越欠損金の「当期控除額」として所得の金額から減算した18億4145万663 (ウ) 平成20年4月期確定申告書別表十七(二)付表「特定外国子会社等の判定に関する明細書」の「控除未済欠損金額」を繰越欠損金の「当期控除額」として所得の金額から減算した18億4145万6635円は,当該金額に次のbを加算し,a及びcを減算した16億9877万1808円が正当であるから,その差額1億4268万4827円を所得の金額の計算上加算する。 aB平成18年3月期及びB平成19年3月期に係る未処分所得の金額の計算において,受取配当等の益金不算入相当額を「控除対象配当等の額」として所得の金額から減算したことにより,B平成15年3月期に係る控除未済欠損金額が9517万3628円過大となっていたので,同金額を繰越欠損金の当期控除額から減算する。 bB平成16年3月期に係る未処分所得の金額の計算において,配当等に係る所得税の額を「損金の額に算入した納税充当金」として所得の金額に加算したことにより控除未済欠損金額が2329万4282円過少となっていたので,同金額を繰越欠損金の当期控除額に加算する。cB平成17年3月期に係る未処分所得の金額の計算において,受取配当等の益金不算入相当額を「控除対象配当等の額」として所得の金額から減算したことにより控除未済欠損金額が7080万5481円 - 133 -過大となっていたので,同金額を繰越欠損金の当期控除額から減算する。 イ適用対象留保金額の計算既に述べたとおり,適用対象留保金額は,特定外国子会社等の各事業年度の未処分所得の金額から,当該各事業年度において納付をすることとなる法人所得税の額及び当該各事業年度を基準事業年度とする剰余金の配当等の額の合計額を控除して計算するものである。 前記アのBに係る「未処分所得の金額」388億3754万2344 て納付をすることとなる法人所得税の額及び当該各事業年度を基準事業年度とする剰余金の配当等の額の合計額を控除して計算するものである。 前記アのBに係る「未処分所得の金額」388億3754万2344円から,Bに係る平成19年5月29日に申告された都民税の額121万0000円及びBが平成20年1月22日に配当決議をし,同月25日に支払った200億円(本件配当金)を控除すると,適用対象留保金額は,188億3633万2344円となる。 ウ課税対象留保金額の計算課税対象留保金額は,適用対象留保金額に,当該特定外国子会社等の当該各事業年度終了の時における発行済株式等のうちに当該各事業年度終了の時における当該内国法人の有する当該特定外国子会社等の請求権勘案保有株式等の占める割合を乗じて計算した金額である。 既に述べたとおり,Aは,B平成19年12月期終了の時においてもBの発行済株式の全部を有していることから,適用対象留保金額188億3633万2344円の全額が課税対象留保金額となる。 (3) 未収消費税の損金不算入額 4197万9037円上記金額は,原告(合併前のA)が,控除対象外消費税額として5447万3781円を所得の金額の計算上益金の額に算入すべきところ,1249万4744円のみを算入していたため,益金の額に算入されるべき金額である。 2 課税所得金額に対する法人税の額 49億0162万2900円 - 134 -上記金額は,前記1の課税所得金額(通則法118条1項の規定に基づき1000円未満の端数金額を切り捨てた後のもの。)に法人税法66条1項に規定する税率を乗じて計算した金額である。 3 法人税の額から控除される所得税の額 条1項の規定に基づき1000円未満の端数金額を切り捨てた後のもの。)に法人税法66条1項に規定する税率を乗じて計算した金額である。 3 法人税の額から控除される所得税の額 2億0139万3906円上記金額は,法人税法68条に規定する法人税の額から控除される所得税の額であり,平成20年4月期確定申告書の控除所得税額に記載された金額と同額である。 4 納付すべき法人税の額 47億0022万8900円上記金額は,前記2の金額から前記3の金額を控除した金額(通則法119条1項の規定に基づき100円未満の端数金額を切り捨てた後のもの。)である。 5 既に納付の確定した法人税の額 △2億0139万3906円上記金額は,平成20年4月期確定申告書に記載された還付金の額と同額である。 6 差引納付すべき法人税の額 49億0162万2800円上記金額は,前記4の金額から前記5の金額を控除した金額(通則法119条1項の規定に基づき100円未満の端数金額を切り捨てた後のもの。)であり,原告が新たに納付すべき法人税の額である。 第2 原告の平成20年12月連結期における納付すべき税額等について 1 課税所得金額 △278億7741万9885円上記金額は,次の(1)の金額に(2)の金額を加算し,(3)の金額を控除した金額である。 (1) 確定申告における連結所得金額 △282億8814万7654円上記金額は,原告が麹町税務署長に対して平成21年6月1日に提出した平成20年12月連結期確定申告書に記載された連結所得の金額と同額である。 - 億8814万7654円上記金額は,原告が麹町税務署長に対して平成21年6月1日に提出した平成20年12月連結期確定申告書に記載された連結所得の金額と同額である。 - 135 -(2) 連結所得に加算すべき金額の合計 22億8367万9533円上記金額は,次のア~オの金額の合計金額である。 ア分割前事業年度の欠損金の損金算入過大額17億7196万1702円上記金額は,平成20年4月期更正処分により被合併法人であるAの平成20年4月期における欠損金額が0円となったことから,連結所得の金額の計算上,過大に損金の額に算入された金額である。 イ役員給与の損金不算入額 1億4689万5480円上記金額は,原告が役員に対して退職金を支給したとして所得の金額の計算上損金の額に算入していたものの,支給金額計算基準等から判断した結果,他の引き続き勤務している者に支払われる給与等と同性質であり,また,法人税法34条1項に規定する給与等にも該当しないことから,連結所得の金額の計算上損金の額に算入されない金額である。 ウ外国法人税還付金減算過大額 3億5959万9572円上記金額は,連結親法人の過年度の租税公課の見積計上額として所得の金額に加算した金額のうち,平成20年12月連結期に確定した3億0743万4661円を所得の金額の計算上損金の額に算入すべきところ,6億6703万4233円を減算したために,連結所得の金額の計算上過大に損金の額に算入された金額である。 エ一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の繰入限度超過額の増加額 33円を減算したために,連結所得の金額の計算上過大に損金の額に算入された金額である。 エ一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の繰入限度超過額の増加額522万2682円上記金額は,連結子法人であるGの法人税法52条に規定する一括評価金銭債権に係る貸倒引当金について,法人税法施行令96条2項に基づき貸倒実績率を再計算して繰入限度額を計算したところ,繰入限度超過額が過少となっていた金額であり,益金の額に算入される金額である。 オ雑益計上漏れ 97円 - 136 -上記金額は,連結子法人であるGの消費税及び地方消費税の更正に伴う消費税額等の納付税額と未払消費税額との差額であり,雑益として連結所得の金額の計算上益金の額に算入される金額である。 (3) 連結所得の金額から減算すべき金額の合計 18億7295万1764円上記金額は,次のア~エの金額の合計金額である。 ア外国法人税還付金加算過大額 4億5759万1274円上記金額は,外国法人税還付金に係る為替差損のうち,平成20年12月連結期において未確定の外国法人税還付金に係る為替差損は1億5159万0163円であるにもかかわらず,6億0918万1437円を所得の金額の計算上益金の額に算入したために,連結所得の金額が過大に計上された金額であり,損金の額に算入される金額である。 イ事業再構築引当金加算過大額 9520万0000円上記金額は,事業再構築引当金として所得の金額の計算上益金の額に算入した1億 り,損金の額に算入される金額である。 イ事業再構築引当金加算過大額 9520万0000円上記金額は,事業再構築引当金として所得の金額の計算上益金の額に算入した1億9970万円のうち,役員に対する退職金として支払が確定した金額であり,損金の額に算入される金額である。 ウ事業税の損金算入額 12億5474万7400円上記金額は,Aの平成20年4月期更正処分により所得の金額が増加したことに伴い生じた事業税の金額であり,損金の額に算入される金額である。 エ未払消費税の損金不算入額加算過大額 6541万3090円上記金額は,原告の控除対象外消費税額として4904万7551円が連結所得の金額の計算上過大に益金の額に算入され,また,連結子法人であるGの控除対象外消費税額として1636万5539円が連結所得の金額の計算上過大に益金の額に算入されたものであり,連結所得の金額の計算上損金の額に算入される金額である。 2 課税所得金額に対する法人税の額 0円 - 137 -上記金額は,前記1の課税所得金額に法人税法66条1項に規定する税率を乗じて計算した金額である。 3 還付される所得税の額 80億7037万5088円上記金額は,法人税法78条に規定する還付される所得税の額であり,原告の平成20年12月連結期確定申告書に記載された所得税額等の還付金額と同額である。 4 納付すべき法人税の額 △80億7037万5088円上記金額は,前記2の金額から前記3の金額を控除した金額である。 所得税額等の還付金額と同額である。 4 納付すべき法人税の額 △80億7037万5088円上記金額は,前記2の金額から前記3の金額を控除した金額である。 5 既に納付の確定した法人税の額 △80億7037万5088円上記金額は,平成20年12月連結期確定申告書に記載された還付金額と同額である。 6 差引納付すべき法人税の額 0円上記金額は,前記4の金額から前記5の金額を控除した金額であり,原告が新たに納付すべき法人税の額である。 7 翌期へ繰り越す連結欠損金の額 278億7741万9885円上記金額は,平成20年12月連結期確定申告書に記載された翌期へ繰り越す連結欠損金の額282億8814万7654円から,前記1(2)の金額を控除し,前記1(3)の金額を加算した金額である。 以上
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