平成14(ヨ)469 日本オリーブ解雇

裁判年月日・裁判所
平成15年2月5日 名古屋地方裁判所
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判決文本文86,471 文字)

主文 1 債権者が債務者に対し,労働契約上の権利を有する地位にあることを仮に定める。 2 債務者は,債権者に対し,平成15年2月から平成16年1月まで毎月末日限り30万円ずつを仮に支払え。 3 債権者のその余の申立てを却下する。 4 申立費用は,債務者の負担とする。 事実及び理由 第1 申立て 1 主文第1項同旨 2 債務者は,債権者に対し,平成14年7月以降本案判決確定に至るまで,毎月末日限り42万9600円の割合による金員を仮に支払え。 第2 事案の概要 1 本件は,債務者に雇用されていた債権者が,債務者から解雇されたが,同解雇には,債務者主張の解雇事由が存在せず,債権者に対する不当な排除の意図に基づき,債権者の提起した訴えに対する報復としてなされたものであり,解雇権を濫用したものであって,無効であるとして,労働契約上の権利を有する地位にあることを仮に定めること及び賃金の仮払を求める事案である。 2 争いのない事実等(1) 当事者ア債権者債権者は,昭和59年12月ころ,債務者に入社し,営業活動に従事してきた。 また,債権者は,平成11年6月ころ,全労連・全国一般労働組合愛知地方本部あいち支部(以下「組合」という。)に加入し,現在まで,同組合員である。 イ債務者債務者は,化粧品の製造及び販売,医薬品の製造及び販売,医薬部外品の製造及び販売,オリーブその他農林産物の栽培及び研究,食料品の製造加工及び販売,土地建物の売買,賃貸借,斡旋及び管理,オリーブその他農産物を原料とする製品の製造及び販売,倉庫業の経営,スポーツ,遊園地,展望塔,ドライブイン,宿泊,飲食等の各施設の経営及び賃貸等を目的とした株式会社である。 (2) 新人事管理基本制度の導入平成12年5月1日,債務者は,従業員に対して,同年6月1日より賃金額 園地,展望塔,ドライブイン,宿泊,飲食等の各施設の経営及び賃貸等を目的とした株式会社である。 (2) 新人事管理基本制度の導入平成12年5月1日,債務者は,従業員に対して,同年6月1日より賃金額の大幅な変動を伴う新人事管理基本制度及びこれに伴う賃金制度を導入すると通告し,同時に,上記制度導入予定,新人事管理基本制度導入時において現行給与との差額が出た場合の措置を通告した。 新人事管理基本制度は,従業員をコース別処遇するものであり,同制度に伴う賃金制度は,基本給と諸手当からなる賃金制度を全面的に解消し,職群,グレードに基づく役割給と業績給及び諸手当からなるものであるが,役割給を低額に抑えた上で,グレード別に上限と下限の幅のある業績給を加算するという賃金制度であり,新人事管理基本制度と密接である。 債務者は,債権者については,平成12年6月1日以降の職群,グレードについて,エリア職群のグレード1を選択したが,同職群及びグレードでは,役割給と業績給を合計した金額は上限で24万円,下限で19万円となり,半額近く減額されるものとなった。 債権者は,債務者による平成12年5月2日,同月15日に行われた説明会席上で,上記制度導入について不同意を明らかにし,さらに,債権者及び組合は,同年7月24日付け書面(甲14)で,債権者の労働条件の大幅な変更になる上記新人事管理基本制度等の導入実施について,債権者への適用に対する不同意を通告した。 (3) 債権者に対する業務命令平成12年7月21日,債務者は,債権者に対して,「営業活動について」と題する書面(甲17)を交付して,営業活動を指示した。 その後,債務者は,平成12年12月13日,平成13年1月15日,同年2月1日,それぞれ,債権者に対する業務指示を書面(甲18ないし20)でなした。 これらの 17)を交付して,営業活動を指示した。 その後,債務者は,平成12年12月13日,平成13年1月15日,同年2月1日,それぞれ,債権者に対する業務指示を書面(甲18ないし20)でなした。 これらの書面には,債務者への報告がなされていないなどと記載されていた。 さらに,平成13年2月14日,債務者は,債権者に対して,営業エリアを変更する業務命令(甲第7の1ないし3)を出した。 (4) 債権者に対する懲戒処分通知平成13年4月2日,債務者は,債権者に対して,訓戒処分を通知した。同日付け懲戒処分通知書(甲21)には,「平成12年7月10日の団体交渉の合意に基づき出された業務命令に対し,職務を怠ったのは,「就業規則第78条(懲戒事由)(5)業務上の指示・命令に違反し,又は怠ったとき。」に該当」,「平成13年3月14日の団体交渉等において,所属長の職位を認めないとの発言を繰り返したのは,「第78条(懲戒事由)(1)第3章(服務規律)の定めその他この規則,会社諸規定に違反したとき。」に該当」として,訓戒処分とし,同月12日までに始末書を提出するように命じるとあった。 債権者としては,始末書提出要求には応じず,組合からも,始末書提出要求の撤回申入れを行った。これに対して,債務者は始末書提出要求の撤回を書面で申し入れてほしいと言ってきたので,組合としてはこれに応じる旨回答はしたが,書面による申入れは控えた。その後,債務者からは何の督促もなく平成13年7月まで至った。 債務者は,平成13年7月30日付け書面(甲22)により,組合から書面による始末書提出猶予の申入れを受ければ,当然に懲戒処分はするが申入れを受けるとし,また訓戒処分の根拠として業務命令違背を改めて主張してきた。 (5) 賃金減額に対する訴訟提起債権者の賃金は総支給額月額42万9600 の申入れを受ければ,当然に懲戒処分はするが申入れを受けるとし,また訓戒処分の根拠として業務命令違背を改めて主張してきた。 (5) 賃金減額に対する訴訟提起債権者の賃金は総支給額月額42万9600円であったところ,債務者は,平成13年7月支給分以降の債権者の賃金総支給額を37万5800円に減額した。 このため,平成13年8月23日,債権者は,債務者を被告として,名古屋地方裁判所に対して,未払賃金等請求事件を提起した(平成13年(ワ)第3505号。 以下「未払本訴」という。)。 (6) 就業規則の変更債権者による未払本訴提起後,債務者は,新人事管理基本制度及びこれに伴う賃金制度を就業規則の体裁に整え,労働基準監督署に対して就業規則の変更屈出をなした。 (7) 団体交渉債務者は,平成14年5月10日付け組合あての送信書(甲4)により団体交渉の申入れをなしたが,組合から回答がなく,債務者が債権者に日時等を指定して交渉に臨もうとしたところ,組合も指定日に同席してきたものであり,債務者が指定した同年6月3日午後1時過ぎころから,債務者名古屋営業所において団体交渉が開催された。 (8) 解雇通告平成14年6月3日,債務者は,約2時間半にわたる団体交渉の終了間際に,解雇通知と題する書面(甲3。以下「本件解雇通知書」という。)を示して,債権者に対して,同年7月3日付け解雇を通告した(以下「本件解雇」という。)。債権者は,その場で本件解雇通知書を受領することを拒否したが,同年6月7日,債権者の自宅に送付されてきた。 (9) 解雇事由本件解雇通知書は,就業規則(甲6)19条2号の勤務成績の不良,同3号のやむを得ない業務上の理由,同4号のその他やむを得ない事由の各解雇事由が存在するとするものであった。 (10) 債権者の生活状況債権者は,現在 就業規則(甲6)19条2号の勤務成績の不良,同3号のやむを得ない業務上の理由,同4号のその他やむを得ない事由の各解雇事由が存在するとするものであった。 (10) 債権者の生活状況債権者は,現在,住所地において,妻,18歳と16歳の子供二人,85歳の実母と一緒に暮らしている。 債権者の妻には,平成9年度に240万円の不動産所得(賃貸料収入)があった。 債務者は,平成14年7月30日,債権者に対し,退職金の一部として,318万3300円を送金した。 3 争点本件の争点は,①本件解雇は無効か,②債権者の賃金額は幾らか,③保全の必要性はあるか,という点にある。 (1) 争点①(本件解雇は無効か)についてア債権者の主張(ア) 本件解雇の無効解雇については,使用者の解雇権の行使もそれが客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当として是認することができない場合には権利の濫用として無効になるとされ(最高裁昭和50年4月25日判決),上記解雇権濫用法理は判例法上確立された法理である。 しかるに,後に詳述するとおり,本件解雇通知書記載の事由は事実無根であるか,著しく事実を歪曲したものであって,債権者に解雇事由は存在しない。したがって,本件解雇は無効である(甲2)。 また,本件解雇は,債権者に対する不当な排除の意図に基づくものであり,債務者に対する新人事管理基本制度及びこれに伴う賃金制度(甲9,10)の一方的導入に対する不同意(甲14),また賃金の一方的減額(甲16)についての未払本訴提起(甲27)に対する報復としてなされたものであって,明らかに解雇権を濫用したものである。本件解雇はこの点でも無効である。 (イ) 解雇事由の不存在a 本件解雇通知書は,就業規則19条2号ないし4号の解雇事由が存在するとするものである(甲3)。以下,同 かに解雇権を濫用したものである。本件解雇はこの点でも無効である。 (イ) 解雇事由の不存在a 本件解雇通知書は,就業規則19条2号ないし4号の解雇事由が存在するとするものである(甲3)。以下,同規則2号ないし4号該当とされる各事由について述べる。 b 就業規則19条2号(解雇事由①勤務成績不良)について(a) 就業規則19条2号は,勤務成績の不良を解雇事由と定める。そして,債務者は,債権者の売上高に照らして著しい勤務不良であるとし,また上司の指示伝達を守り,営業成績を上げる努力を怠ったとして,同条項に該当すると主張する(甲3)。しかし,売上高の件についても,上司の指示伝達の件についても債務者主張の解雇事由は存在しない。 すなわち,平成13年2月14日,債務者は債権者に対して,いきなり三重・岐阜エリア担当を命じたもので(甲7の1),三重・岐阜エリア内の取引店は年間売上金額が10万円を超える店舗がなく,著しく売上げの低い店舗ばかりであった(甲8の1)。しかも,営業に回るには地理的にも困難な店舗ばかりであった(甲8の3)。それでも,平成13年2月以降,債権者が新規開拓した店舗は8店舗ある(甲8の2)。したがって,債権者に著しい勤務不良の事実など存在しない(甲2)。 また,平成12年6月以降,債務者は,債権者に対して,業務連絡をせず,営業の打合せ会議からは排除しており,営業に関する上司の指示伝達がない。営業課長からわざわざ会議に出なくてよいとの連絡があったこともあり,業務指示伝達系統からの排除の下,債権者が指示伝達を守る努力を怠った事実は存在しない。 そうした状況の中でも,債権者は上記のとおりの努力をしたのであって,債権者が営業成績を上げる努力を怠った事実は存在しない(甲2)。債権者は,これまで数度にわたり,営業に関する意見を債務者に具 い。 そうした状況の中でも,債権者は上記のとおりの努力をしたのであって,債権者が営業成績を上げる努力を怠った事実は存在しない(甲2)。債権者は,これまで数度にわたり,営業に関する意見を債務者に具申し(甲25,26),営業に努力している(甲2)。 (b) 債務者が主張する売上面での勤務成績不良の主張は,要するに,月間400万円の売上げの合意があったにもかかわらず債権者はこれを達成しなかったこと,債権者の担当店につき担当者が変わる以前の実績より低下していること,新規取引店開拓における成績不良の主張であり,具体的内容は,平成12年7月10日の団体交渉で目標売上高を設定した後の同年8月1日より平成14年5月31日までの1年10か月での債権者の新規店開拓実績が8店で同期間中の新規店に対する売上高が23万5020円であり,同期間における総売上高実績が292万4224円という著しい勤務成績不良であること(甲3の1の(1))というものである。 しかし,上記解雇事由については,①そもそも平成12年7月10日の団体交渉で月間400万円の目標売上高を合意した事実自体がなく,②債権者が三重・岐阜エリア担当となったのは平成13年2月14日の業務指示(甲7の1)からであって,平成12年8月からではない,また,③債権者に対する三重・岐早エリア担当の指示は,著しく売上げの低い店舗のみを担当させられるという担当割当てにおける著しい差別,営業活動上での差別であり,そのため,売上高をもって勤務成績を公正に評価するための前提条件を欠如していたものであって,債権者の売上面での成績不良の事実は存在しないし,新規店開拓実績においても成績不良の事案も存在しない。以下,以上の①ないし③の点について詳述する。 ① 前記①の点について債務者は,平成12年7月10日の団体交渉で,月額 不良の事実は存在しないし,新規店開拓実績においても成績不良の事案も存在しない。以下,以上の①ないし③の点について詳述する。 ① 前記①の点について債務者は,平成12年7月10日の団体交渉で,月額400万円の売上目標と新規開拓,取引停止店の掘り起こしが合意されたと主張するが,同団体交渉でそのような合意がなされた事実は存在しない。 そもそも,月間売上げ400万円が合意されたというのであれば,団体交渉における労使間合意にほかならない。団体交渉における労使間合意は書面に作成されるのが通常であるが,そのような書面も作成されていない。 平成12年7月10日の団体交渉は,同年6月に新人事管理基本制度が強行導入されたことに対して持たれたものである。新人事管理基本制度の導入に反対を表明していた債権者として,焦眉の課題は正に新人事管理基本制度の問題であった。このことは,同団体交渉後に組合から「「新人事管理基本制度」等導入実施のA組合員への適用に対する不同意の通告書」(甲14)が送られた事実からも極めて明白なことである。 また,同団体交渉に出席したB書記長は,同団体交渉の「メインテーマは,会社の新しい賃金と人事についての制度改定にかかわり,これのAさんに対する不適用を求める内容のものであった」と述べ(甲59),①債務者がこうした制度を導入しなければならない経営状況や社内人事制度についての説明を求めたところ,債務者からは納得のゆく回答が得られなかった,②新制度導入により債権者に具体的不利益を生じさせないよう求めたところ,債務者からの回答は債権者が他の平均的な社員と同じように働くならそうはならないとの回答であったので,そうであれば債務者の債権者に対する仕事の提供の仕方や債務者としての経営方針・営業方針を明確にして営業会議を開催するなどして目安となる売上高 員と同じように働くならそうはならないとの回答であったので,そうであれば債務者の債権者に対する仕事の提供の仕方や債務者としての経営方針・営業方針を明確にして営業会議を開催するなどして目安となる売上高を実現できるようにしてもらいたいと求め,債務者はこの要請を承諾した,③組合としては,新人事管理基本制度の債権者への適用は認められないと重ねて述べた,と同団体交渉の内容を明らかにしている(甲54)。 同団体交渉の中で,組合,債権者としては,新人事管理基本制度,これに伴う賃金制度に対して,明確に不同意である旨を明らかにしたが,これに対する債務者の対応が明らかではなかったため,平成12年7月24日付けで組合は債務者に対して,前記「「新人事管理基本制度」等導入実施のA組合員への適用に対する不同意の通告書」(甲14)を送ることになったのである。 これに対し,債務者は,同団体交渉に関して,「団体交渉結果について」と題する書面(乙19)を提出するが,同書面は,債権者が関与することなく作成されたものであり,その作成経緯については重大な疑問がある。また,内容からしても,同書面の記載は実に不可解である。すなわち,「労働組合としては,新人事管理制度について交渉するつもりはない。」との記載があるが,団体交渉そのものの目的からして組合と債権者との間に齟齬があったことになり,そのような事態は全く考えられない。組合が同団体交渉後に甲14を送った事実とも明らかに矛盾する。もっとも,同団体交渉において,債務者が,営業職員の標準目標売上げが月400万円であること,新規店の開拓を口にしたことは事実である。しかし,話のついでに400万円という数字が出されたにすぎない。また,同団体交渉の場で,債権者は,新規開拓店の売上見込み等に関する経営戦略会議が必要不可欠であると強く主張した したことは事実である。しかし,話のついでに400万円という数字が出されたにすぎない。また,同団体交渉の場で,債権者は,新規開拓店の売上見込み等に関する経営戦略会議が必要不可欠であると強く主張したのである(甲53)から,400万円の売上目標を合意した事実は存在し得るはずがないのである。 三重・岐阜エリア担当となれば,年間売上金額が10万円を超える店舗がなく,月間売上げ400万円は,全店売上げを数十倍にするという実現不可能な数字であり,このことは,乙10にも明らかである。三重・岐阜エリア担当を言いながら,このような到底実現不可能な売上目標を話題にすること自体が,債権者に対する嫌がらせとしか言いようがない。ましてや債権者がこれに応じることなど考えられない。 したがって,平成12年7月10日の団体交渉で,月間売上げ400万円の合意がなされた事実など存在しない。 ② 前記②の点について債務者は,債権者が平成12年8月から三重・岐阜エリア担当になったことを前提として,平成12年8月1日から平成14年5月31日の期間について,債権者の勤務成績不良を主張するが,債権者の三重・岐阜エリア担当は平成12年8月以降ではなく,債務者の勤務成績不良の主張の前提事実には誤りがある。 債権者が三重・岐阜エリア担当とされたのは,平成13年2月14日付け「営業活動について」と題する書面(甲7の1)による業務命令を受けてからである。ここには「1.三重県,岐阜県内の新規店開拓計画立案,実行」「2.三重県,岐阜県内の下級店クラスアップ計画立案,実行(別添え販売店リスト)」との記載があり,別添え販売店リストは,このとき同時に送られてきた甲8の1の既存店リストであった。確かに,平成12年7月21日,「営業活動について」と題する書面(甲17)が送られてきた際,そこには, の記載があり,別添え販売店リストは,このとき同時に送られてきた甲8の1の既存店リストであった。確かに,平成12年7月21日,「営業活動について」と題する書面(甲17)が送られてきた際,そこには,それまで債権者が担当していた株式会社大山名古屋支店の管轄担当のほか,中部営業所エリア(東濃地区)の新規店開拓,取引停止店の取引再開,中部営業所エリア内における業務用オリーブオイルバジェステルによる新規取引先開拓が記載されていた。しかし,三重・岐阜エリアの既存店の営業活動の指示はなかった。 また,平成12年7月10日の団体交渉で新規開拓,取引停止店の掘り起こしが合意されたとの債務者の主張が事実に反することは前述のとおりであるが,この債務者の主張を前提としたとしても,やはり,甲8の1記載の既存店の営業担当を含む三重・岐阜エリア担当が指示の中には含まれていない。もっとも,前記のとおり,甲17には,中部営業所エリア(東濃地区)の新規店開拓,取引停止店の取引再開,中部営業所エリア内における業務用オリーブオイルバジェステルによる新規取引先開拓の記載がある。しかし,平成12年7月10日の団体交渉において,この点についての話が債務者から持ち出された際には,債権者は,前述のとおり,新規開拓店の売上見込み等に関する経営戦略会議が必要不可欠であると強く主張した。甲17が交付された以後も,債権者はそうした活動を行うためには不可欠な会議の開催を要望し続けた。しかし,債務者はこれに全く応じなかった。債務者がこうした対応であった以上,取引停止店の取引再開,新規店開拓など現実的に見て到底不可能だったとしか言いようがない。 後に詳述するとおり,営業社員の担当エリアは,既存店の担当指示があって,その地域の新規店開拓を指示され,既存店には売上げの高い店舗と低い店舗が抱き合 に見て到底不可能だったとしか言いようがない。 後に詳述するとおり,営業社員の担当エリアは,既存店の担当指示があって,その地域の新規店開拓を指示され,既存店には売上げの高い店舗と低い店舗が抱き合わせになっているのが,ごく通常であるにもかかわらず,甲17には,三重・岐阜の既存店の営業担当の指示がなく,取引停止店の取引再開,東濃地区の新規店開拓の記載のみなされている。したがって,債権者が新規店開拓を指示されたのは,平成12年8月以降ではなく,甲7の1の交付のあった平成13年2月14日以降である。 これに対し,債務者は,平成12年7月21日の業務指示に三重・岐阜の既存店の営業担当指示が含まれていなかったとしても,債権者の成績が不良であった事実に変わりがないと主張するが,平成12年7月21日の業務指示に三重・岐阜の既存店の営業担当が含まれていないとの事実は,債務者が債権者の担当指示の時期についてまで誤った事実を基礎として本件解雇に及んだことにほかならず,解雇権の濫用の意図が全く明らかであるといわざるを得ない。 債権者は,平成12年8月以降,平成13年2月14日までの時期,甲17にあるように,株式会社大山という問屋の名古屋支店の営業を精力的に行っていた。そして,株式会社大山との取引では相応の売上げがあったはずである。C総務企画部長(以下「C部長」という。)は,株式会社大山の売上高は掌握できないなどと言うが(乙15,30),そのようなことはあり得ない。株式会社大山東京本社経由ではなく,株式会社大山の名古屋支店からダイレクトで発注された商品も多数納品されているのであるから,その伝票から拾い上げれば売上高を計算することが当然できるはずである。そして,その売上げも考慮に入れれば売上高について勤務成績が不良であるというべき事実がないことはよりいっそう れているのであるから,その伝票から拾い上げれば売上高を計算することが当然できるはずである。そして,その売上げも考慮に入れれば売上高について勤務成績が不良であるというべき事実がないことはよりいっそう明らかになるはずである。 平成12年7月ころは,債権者は,株式会社大山一本で営業活動を展開しており,債権者の営業の懈怠をいうのであれば,売上げを掌握することは不可欠であって,債務者の怠慢であるとしかいいようがない。 ③ 前記③の点について債務者は,債権者を,他の営業社員と差別して,債権者を売上げの低い既存店の担当指示とともに三重・岐阜エリア担当とした。したがって,債権者は,売上高の比較に基づく勤務成績を評価する基盤が与えられていなかったもので,債権者に勤務成績不良の事実は存在しない。 ⅰ 債権者に対する担当割当てにおける差別営業社員の勤務成績を見る場合,債権者の担当エリア,担当店舗を抜きにして論じることはできない。この点は,年間売上高の特に低い店舗ばかりを担当させられた債権者の場合,特にそうである。担当エリア,担当店舗の実態を考慮しなければ勤務成績を云々することはまるで無意味であり,債権者には,売上げで成績評価する基盤が与えられていなかったのである。 営業社員は,担当エリアを指示される際,既存店の担当割当てがあって,その地域の担当を指示されるのが通常である。債権者が三重・岐阜エリア担当を指示された際にも,販売店リスト(甲8の1)を渡され,それらの店舗の営業をしながら新規店の開拓を指示されている(甲7の1)。担当割当てされた店舗の中に売上げの大きな店舗が多く含まれていれば,その営業社員の売上げが高くなり,そうでなければ,当然売上げが低くなる。エリアの地理的範囲ではなく,どの既存店の担当割当てがなされるかが営業社員個人の売上げを左右する。そ な店舗が多く含まれていれば,その営業社員の売上げが高くなり,そうでなければ,当然売上げが低くなる。エリアの地理的範囲ではなく,どの既存店の担当割当てがなされるかが営業社員個人の売上げを左右する。そうした実情を考慮して,売上げの大きな既存店と低い店舗を抱き合わせにして,各営業社員のエリア担当が決められるのである。したがって,営業社員の勤務成績を売上げで見ることを前提にすると,債務者全体の売上げを営業社員数で頭割りして,一人当たりの売上高基準を見込み,それに見合うように,売上げの高い店舗,低い店舗,店舗数,エリアの広さがほぼ同じようになるよう,合理的に配分するよりほかない。さもなくば,営業社員の営業努力を評価する基盤がなくなり,ひいては,債務者として売上高を上げるという経営方針自体が意味をなくすことになるのである。なお,債務者の営業担当には,小売店担当,問屋担当,食品担当などあるが,多くは,債権者と同じく小売店担当である。乙11中,D,Eは問屋担当,F,Gは食品(問屋,一部直販)担当,Hは通販担当であり,Iは研究開発課,Jは営業課長,Cは前記のとおり総務企画部長である。Iら以外の者は小売店担当であると思われる。小売店担当の営業社員の担当エリアを見ると,同じエリアを何人もの営業社員が担当になっている。しかし,同じエリア,同じ県の担当であるからといって,必ずしもそれらの営業社員が売上げに関して同じ基盤に立っているわけでもないのである。 しかるに,債権者に対する担当割当ては,全く異常なもので,明らかに他の営業社員と露骨に差別したものであった。すなわち,三重・岐阜エリアの中でも,年間売上げの高い店舗は,Kらに担当させ,債権者には売上げの低い店舗ばかりを担当させたが,Kらは,債権者が,三重・岐阜エリア担当を指示された平成13年2月14日以降も ち,三重・岐阜エリアの中でも,年間売上げの高い店舗は,Kらに担当させ,債権者には売上げの低い店舗ばかりを担当させたが,Kらは,債権者が,三重・岐阜エリア担当を指示された平成13年2月14日以降も,引き続き,三重・岐阜エリア内の売上げの高い店舗を担当し続けた(乙17)。店舗数で見ても,Kは約40ないし60店舗であった(甲17)のに対して,債権者は23店舗にすぎなかった(甲8の1)。しかも,債権者に対する平成13年2月14日付けでの指示は「1.三重県,岐阜県内の新規店開拓計画立案,実行」,「2.三重県,岐阜県内の下級店クラスアップ計画立案,実行(別添え販売店リスト)」(甲7の1)というもので,売上高の低い店舗を「下級店」と表現して,あえてそれらの店舗の担当を指示したものであった。債務者は「下級店」などと平気で言うが,「下級店」などという表現は,営業の世界ではあり得ない。売上げの高い店舗を有力店と言うことはあるが,売上げの低い店舗をわざわざ下級店などと言わない。「下級店」という表現は正に顧客に対する侮辱にほかならず,そのような表現を使わないことは商業的営業活動のイロハである。 債権者が担当割当ての差別をされた上で本件解雇に至り,解雇理由の中心が勤務成績不良であったことからすると,債権者に対する三重・岐阜エリア担当は勤務成績不良を言うための布石だったと断言できる。債権者の担当とされた三重県,岐阜県の小売店担当は,債権者以外にもL,Kがおり(乙11),Lの実際の担当店舗のほとんどは愛知県内であったが,Kは,三重県,岐阜県の店舗も多く担当しており(乙17),債権者に対する差別の実態を把握するためには,債権者が指示された担当店舗とKの担当店舗とを比較するのが有用である。Kについて,乙11では,営業担当都道府県は,愛知県,岐阜県,三重県,和歌山県 17),債権者に対する差別の実態を把握するためには,債権者が指示された担当店舗とKの担当店舗とを比較するのが有用である。Kについて,乙11では,営業担当都道府県は,愛知県,岐阜県,三重県,和歌山県となっており,乙16では,担当エリアが,愛知県(小牧市,犬山市,)となっており,確かに,県単位で見れば債権者よりも広いエリアの担当である。しかし,乙17の営業担当別売上実績表によると,平成12年6月1日ないし平成13年5月31日の間(第66期)の売上げで見ると,年間売上げが500万円を超える店舗が1店舗,300万円台の店舗が1店舗,200万円台の店舗が1店舗,100万円台の店舗が5店舗あり,30万円以上100万円未満の店舗が19店舗もある。また,乙17の第66期のKの営業担当別売上実績表によると,Kは,岐阜県内の店舗を22店舗担当しているが,このうち,年間売上げ30万円以上の店舗が11店舗あり,年間売上げ10万円以下の店舗は3店舗にすぎない。また,三重県内の店舗を13店舗担当しているが,このうち,年間売上げ30万円以上の店舗が7店舗あり,年間売上げ10万円以下の店舗は1店舗もない。こうした実態からすると,Kの担当店舗は,売上げの高い店舗と売上げの低い店舗が抱き合わせになっており,総売上げとしてそれなりの金額が出るようになっていることが明らかである。 これと比較して,債権者が平成13年2月14日に指示を受けた担当店舗は,甲8の1記載の店舗であり,債権者が担当指示を受けた時点で,年間売上げが10万円以上の店舗は1店舗もないこと,全部で24店舗しか担当がないことが一目瞭然である。しかも,甲8の1に記載されていた丸善薬品は,債権者が営業に回ったとき既に廃業していたから実質23店舗であった。乙16の右側の表は,債権者の担当店の前任担当者とされてい がないことが一目瞭然である。しかも,甲8の1に記載されていた丸善薬品は,債権者が営業に回ったとき既に廃業していたから実質23店舗であった。乙16の右側の表は,債権者の担当店の前任担当者とされている(ただし,みそのや化粧品店は債権者の担当ではない。)が,M,K,Lの実績は,甲8の1記載の売上げであったという点を看過できない。なお,Kの担当店舗の中には,債権者が担当として新規開拓した店舗が多く含まれている。乙17の第66期のKの営業担当別売上実績表記載の店舗のうち,三重県では,N,化粧品の艶光,なかじま化粧品店,株式会社むらさきや,松野燃料店,和歌山県では,コロラドはいずれも債権者が新規開拓した店舗であることにも注目しなければならない。また,乙15,17におけるM,K,Lのデータが信用できないことについては,甲53に指摘のとおりであり,乙27による乙15と乙17のデータの訂正は,訂正内容の説明が不十分であり,それぞれの数字が異なっている根拠も不明であって,不可解である。 以上のとおり,担当割当てにおいて債権者に対する差別があったことは,Kと債権者の営業担当店舗を比較すれば(甲8の1,乙17),一目瞭然であり,債務者による債権者に対する営業担当指示(甲7の1)そのものが,差別,嫌がらせであったのである(甲52)。 また,債務者は,債権者より広いエリアを任されている営業社員はほかにもいる(乙11)と主張するが,売上げにとってエリアの広さが問題ではないことは前記のとおりである。問題は,債権者の三重・岐阜エリアの担当を指示された際の既存店の割当てにある。債権者に割り当てられた既存店は三重・岐阜エリアの中でも年間売上げ10万円を超える店舗がなかった(甲8の1)にもかかわらず,債権者は,そうした店舗が散在する広い地域を回らなければならなかった( ある。債権者に割り当てられた既存店は三重・岐阜エリアの中でも年間売上げ10万円を超える店舗がなかった(甲8の1)にもかかわらず,債権者は,そうした店舗が散在する広い地域を回らなければならなかった(甲8の3)。 そうした意味でエリアの広さが問題となるのである。 以上のとおりであり,債権者に対する担当割当ての上での差別は,余りにも明らかであり,債権者に売上高で勤務成績を評価する基盤が欠如していることも余りにも明らかである。 ⅱ 債権者に対する営業活動上の差別債務者では,営業社員の大半がグループに組織されている。C部長の申述書(乙14)添付の組織図にあるように,東部17県と西部28県で分けられ,各営業社員はいずれかに所属して,それぞれ東京,大阪で営業会議を行い,営業活動に関する情報交換,検討を行い,その結果を営業活動に生かすというシステムになっている。札幌エリア担当のOは例外であるが,これは北海道という離れたエリアの担当であるという特殊性に基づくものである。Kも中部エリア担当として,西部に配属されている。 しかるに,債権者の場合,三重・岐阜エリア担当であるにかかわらず,東部にも西部にも所属がない。本社直属とされて営業会議から排除されているため,営業活動に関する情報を得る機会が与えられないままに,日々,孤立して,取引店を回るという,営業社員として全く考えられない待遇を余儀なくされていた。 この点でも,勤務成績を公正に評価する基盤が与えられていなかったことはいうまでもない。 ⅲ 担当者が替わる前の実績より低下したとの主張について債権者の実績が担当者が替わる前の実績より低下したとの事実は存在しない。債権者が担当を命じられた甲8の1記載の担当店舗(三重・岐阜エリア担当)の売上げについて,債務者提出の乙26によっても,債権者が担当する以前の平 当者が替わる前の実績より低下したとの事実は存在しない。債権者が担当を命じられた甲8の1記載の担当店舗(三重・岐阜エリア担当)の売上げについて,債務者提出の乙26によっても,債権者が担当する以前の平成11年6月1日から平成13年2月28日までの月平均売上げが13万9036円であるのに対して,債権者が担当した期間である平成13年3月1日から平成14年5月31日までの月平均売上げは13万5244円であり,低下したというほどのものではない。甲8の1は,債権者が三重・岐阜エリアの担当を命じられた平成13年2月14日(甲7の1)以降の売上げが解雇事由に該当するほどの売上げの低下ではないことを明確にしている。 ⅳ 新規店開拓における成績不良の主張について債務者は,平成12年8月1日より平成14年5月31日までの1年10か月間の債権者の新規店開拓実績が8店舗で同期間中の新規店に対する売上高が23万5020円であることから,勤務成績が不良である旨主張する。 しかし,まず,債権者が新規店開拓を指示されたのは,平成12年8月以降ではなく,甲7の1の交付のあった平成13年2月14日以降であることは,前述したとおりである。甲17は,取引停止店の取引再開,東濃地区の新規店開拓というだけの指示であり,債務者は,そうした活動を行うために不可欠な会議の開催の要望に全く応じず,遂行不可能であった。 また,そもそも,新規開拓店8店舗は,決して不良な成績ではない。乙10の3枚目の新規店開拓実績表を見ると,平成13年6月1日から平成14年5月31日までの間について,債権者の新規開拓店舗数は6店舗とあるが,6店舗以下の者は25名中17名である。乙15(C部長の申述書2)添付の「平成12年8月1日~平成14年5月31日までのエリア担当営業員の営業実績表」で見ると,平成13年 拓店舗数は6店舗とあるが,6店舗以下の者は25名中17名である。乙15(C部長の申述書2)添付の「平成12年8月1日~平成14年5月31日までのエリア担当営業員の営業実績表」で見ると,平成13年6月1日ないし平成14年5月31日の期間について,債権者の新規開拓店舗数は6店舗とあるが,新規開拓店舗数6店舗以下の者が17名中14名,一人平均5店舗となっており,債権者は店舗数で平均より上回る。また,これらの表は,平成12年8月1日ないし平成14年5月31日までの期間の合計が計算されているが,債権者の場合は,平成13年2月14日以降で集計されるべきことは前述のとおりである。 したがって,新規開拓店舗数の上で,著しい勤務成績不良など存在しないのである。 さらに,乙10の3枚目の新規店開拓実績表,乙15(C部長の申述書2)添付の「平成12年8月1日~平成14年5月31日までのエリア担当営業員の営業実績表」を見ると,確かに新規開拓店の売上げの数字は低くなっている。しかし,乙10の3枚目の新規店開拓実績表の平成13年6月1日から平成14年5月31日までの間について,新規店売上げで,債権者が18万2700円とされているが,10万円以下が3名もいて,2万5840円という者もいる。30万円以下の者は25名中4名いる。また,乙10の3枚目の新規店開拓実績表,乙15(C部長の申述書2)添付の「平成12年8月1日~平成14年5月31日までのエリア担当営業員の営業実績表」を見ると,新規開拓店舗数,新規店売上げが減少している者がいる。 以上のとおりであり,債務者による債権者の新規開拓実績についての勤務成績不良の主張は事実を著しく歪曲したものでしかないのである。 これに対し,債務者は,担当エリアに関して,地理的に不利ではない,それより広いエリアを任されている社 債権者の新規開拓実績についての勤務成績不良の主張は事実を著しく歪曲したものでしかないのである。 これに対し,債務者は,担当エリアに関して,地理的に不利ではない,それより広いエリアを任されている社員はほかにいる,債権者の住所との関係でも不利ではない,新規開拓で成果があればそれなりの評価は可能などと主張する。 しかし,地理的に困難なのは,営業先が広い地域に散在しているからであり(甲8の3),広いエリアなので不利でないとの債務者の主張は全く不可解である。また,単にエリアが広いから不利などと言ったものでもなく,担当エリアの指示における担当店舗が年間売上げが10万円を超える店舗がないような担当の指示であれば,大都市など消費圏を含む地域が担当エリアである場合とは全く事情が異なり,単純な売上比較で評価できないことになるということである。 担当エリアと勤務成績との関係は上記のとおりであるから,債権者の住所との関係が殊更大きな問題ではない。新規開拓での成果が上がるか否かは,担当エリアの性格に負うところが大きい。 債権者は,年間売上げ10万円以下の店舗が散在する三重・岐阜エリアであっても,平成13年2月以降,新規開拓した店舗が8店舗あった(甲8の2)のである。重要な点は,営業担当従業員の成績評価において,その担当エリアの性格を考慮しなければならないということであり,債権者の場合,担当エリアの性格からして,月間売上げ400万円は到底不可能だということである。 債務者は,乙23のデータを挙げて,三重・岐阜エリアは不利なエリアではないと主張するが,三重・岐阜エリアだから不利というだけでなく,三重・岐阜エリア担当を命じた際に担当指示する既存店について,他の営業社員との間で著しい差別があったのである。したがって,かかる担当の実態がある以上,債権者の勤務成績不 だから不利というだけでなく,三重・岐阜エリア担当を命じた際に担当指示する既存店について,他の営業社員との間で著しい差別があったのである。したがって,かかる担当の実態がある以上,債権者の勤務成績不良をいうことができるものではない。 なお,債務者は,小都市の零細な取引先を重視するのが債務者の営業政策であるというが,債務者は,これまで,自社の営業政策について,小規模の零細な取引先を重視する営業政策であるなどと言明したことはなかった。乙17,25からでも,全体の売上げを支える取引先が小規模の零細な取引先でないことは明らかである。債務者の営業政策全体の立場から見れば,小規模の零細な取引先を重視するというだけでは,全体の売上げは上がらない。小規模の零細な取引先に対する営業がいかにあるべきなのか,債務者として営業方針を明確にし営業努力をする必要があることは,むしろ,債権者がこれまで債務者に主張した事柄である。営業会議から排除された上で,小規模の零細な取引先のみの担当を命じられるという差別的待遇を受けるに及んで,債権者が営業会議を要求したことは必然であったのである。今になって,債権者に対して,小規模の零細な取引先を重視するのが債務者の営業政策であるなどと言明するのは,債権者に命じた担当についての差別を隠蔽しようとするものにほかならない。 債務者は,債権者の業務内容は,三重・岐阜エリアで新規開拓を中心に売上げを構築することであって,他の営業員とは相違するところがあったと主張するが,否認する。債権者は,三重・岐阜エリア担当を命じられて以後,新規開拓が中心で既存店はサブであるなどと言われたことがない。債権者の三重・岐阜エリア担当を命じた平成13年2月14日付け「営業活動について」と題する書面(甲7の1)は,既存店リスト(甲8の1)と共に送られたもので 存店はサブであるなどと言われたことがない。債権者の三重・岐阜エリア担当を命じた平成13年2月14日付け「営業活動について」と題する書面(甲7の1)は,既存店リスト(甲8の1)と共に送られたものであって,文面上も新規開拓が中心であるとはうかがわれない。すなわち,同書面には,「1.」として「三重県,岐阜県内の新規店開拓計画立案,実行」,「2.」として「三重県,岐阜県内の下級店クラスアップ計画立案,実行(別添え販売店リスト)」とあり,「※」の2番目に「別紙販売店リストをAさんの担当店としてマスター登録いたします。」と記載され,形式上も通常の営業担当指示そのものである。 債務者は,債権者担当の既存店数が少ないことを理由に,新規開拓について他の営業社員とは単純に比較できないと主張する。しかし,債務者は,売上げ400万円とする合意があったとも主張しており,そうであれば,新規開拓を中心に売上げを構築するという理屈は,あたかも新規開拓店の売上げだけで400万円相当の売上げを上げることを前提としているようなものであり,このような見通しが非現実的であることはいうまでもない。債務者において,新規開拓のみで月間400万円の売上げを超えた営業社員は過去には存在せず,未来にも存在し得ない。 債務者は,債務者において指示した担当エリア及び業務内容の決定に至る経過について主張するが,否認する。債権者は,債務者から,配転を言われたこともないし,中部地区でないといけないなどと言ったこともない。債務者は,中部営業所所属の社員は債権者と同じ職場になることを嫌っていたと言うが,全く不可解である。そもそも,営業社員は,店舗を訪問し,営業活動を行うことが業務の主体であって,会議以外で相互に顔を合わせるという職種ではないから,同じ職場になるということで嫌悪するということは考え く不可解である。そもそも,営業社員は,店舗を訪問し,営業活動を行うことが業務の主体であって,会議以外で相互に顔を合わせるという職種ではないから,同じ職場になるということで嫌悪するということは考えにくいからである。債務者は,退職強要以来,債権者を不当に排除する方法に腐心していたが,債務者が債権者に対する人格批判を強調すること自体,濫用の意図を明確にするものといわざるを得ない。 (c) 次に,債務者は,債権者の勤務成績不良として,上司の指示伝達を守らず,営業成績を上げる努力を怠ったこと(甲3の1の(2))を挙げる。 ① 上司の指示伝達を守らないとの主張について債務者は,甲18,19で,債務者から債権者に対して,再三,計画案の提出,営業活動報告を指示したが,実行せず,あるいは遅延したと述べる。 しかし,債務者が挙げる事実は,いずれも,事実に反し,あるいは事実を著しく歪曲したものでしかない。 まず,債務者は,文書で指示したにもかかわらず,計画案の提出,営業活動の結果報告を実行せず遅延したと主張する。すなわち,債務者は,平成12年7月10日の団体交渉において,債権者の月間売上目標を400万円と設定し,それに伴い債権者が具体的目標計画を作成すること,営業活動の重点事項として株式会社大山名古屋支店の営業,東濃地区の新規店開拓,同地区の取引停止店の取引再開等が取り決められ,これに基づき,文書(甲18,19)で債権者に指示が出されたが,債権者は計画案の提出,営業活動の結果報告を実行せず,遅延したと主張する。 しかし,平成12年7月10日の団体交渉で,売上目標と新規店開拓,取引停止店の掘り起こしの合意の事実など存在しないことについては前述したとおりである。 したがって,甲17は,上記団体交渉の合意に基づくものではなく,文書による嫌がらせの業務指示にほか と新規店開拓,取引停止店の掘り起こしの合意の事実など存在しないことについては前述したとおりである。 したがって,甲17は,上記団体交渉の合意に基づくものではなく,文書による嫌がらせの業務指示にほかならない。これを前提とした甲18,19も,嫌がらせの延長である。甲18には,4項目の指示について,計画案の連絡,営業結果報告が言われ,その4項目には,「1.大山名古屋支店の営業担当」,「2.中部営業エリアの東濃地区の新規店開拓」,「3.中部営業所エリアの取引停止店の取引再開」,「4.中部営業所エリア内における業務用オリーブオイルバジェステルによる新規取引店開拓」が掲げられている。しかし,「1.」の計画案については,債権者は,既に,平成12年1月17日,「大山流通戦略的基本販売計画」(甲48)を提出していたが,同年7月22日,「第66期大山流通販売計画」(甲49)を提出している。 そして,甲48では,化粧雑貨としては大型市場である問屋の株式会社大山の市場は債務者にとって軽視できない市場であったにもかかわらず,部分的にしか債務者の商品が投入されていなかったところ,この販売計画では66期から,全面的,全量的に化粧品を投入し,年数十億の売上げを目指すことを提案している(本文4枚目の下の表)。また,本文5枚目の部分では,債務者が,株式会社大山への対応として,営業情報活動の定期的交換,商品開発への提案などをしつつ,株式会社大山の本社と各支店への直接の営業のフォローの対応をすべきとの指摘をしている。さらにその中身として,情報提供,企画提案等の項目を提案している(本文6枚目)。今後3年間の売上げの目標も本文9枚目に記載している。債権者は,株式会社大山に対する流通の基本的な計画を立てて,これを債務者本社に送ったのである。しかし,債権者が提出した計画案「大山 本文6枚目)。今後3年間の売上げの目標も本文9枚目に記載している。債権者は,株式会社大山に対する流通の基本的な計画を立てて,これを債務者本社に送ったのである。しかし,債権者が提出した計画案「大山流通戦略的基本販売計画」(甲48)は,債務者からは,何の連絡もないまま放置された。C部長の申述書には「余りに内容がないもので,A社員に具体的な内容を聞くと「内容は会議で決めるもので自分が考えることではない」と言って,会議資料の作成もしないので会議を招集することも出来ませんでした。」などとあるが(乙14の4頁),債権者としては,株式会社大山の戦略を具体的に提案した中身で計画を立てて,債務者に報告していたのである。また,「第66期大山流通販売計画」(甲49)については,「大山流通戦略的基本販売計画」(甲48)が,債務者に無視され,66期(66期は平成12年6月1日から平成13年5月31日まで)に入ってしまったため,既存の商品を中心として,現在の債務者の体制の中で,どうやって株式会社大山に販売をしていくかという観点から計画を立てたのであった。この中では,商品をセットで販売するなどの企画を提案している(4頁)。また,取引条件を株式会社大山に有利にすると同時に,返品率を制限して債務者にも有利になるような変更も提案している(6頁)。ところが,これについても,債務者からは放置された。C部長は,これについても,「同年1月17日の「大山流通戦略的基本販売計画」と比較しても売上計画の売上額が追加された程度のものでした。」(乙14の5頁)などと言うが,甲49は,甲48が全く無視されて,66期が来てしまったために,66期においてすぐに実行できる現実的な計画を提案したものであって,両者は前提も,構想も全く違うものである。また,「1.」以外については,営業会議なくし 全く無視されて,66期が来てしまったために,66期においてすぐに実行できる現実的な計画を提案したものであって,両者は前提も,構想も全く違うものである。また,「1.」以外については,営業会議なくして,営業計画案を作成提出することは不可能であり,債権者は,平成12年12月13日付け甲18,平成13年1月15日付け甲19が送られてくる以前の,平成12年7月10日の団体交渉の席においても,また,平成12年7月24日付け「「新人事管理基本制度」等導入実施のA組合員への適用に対する不同意の通告書」(甲14)においても,市場動向の把握,売上げ増加のための取り組みの計画策定のための会議を開催するなどして,営業戦略,営業計画の方向性を明らかにする必要があると述べ(記3),具体的取り組みに不可欠な意見具申をしていた。しかし,債務者は,これに何らこたえることなく,計画書,報告書の提出を要求するのみだったのである。このため,債権者は,平成13年1月19日付け「営業活動報告及び関連要求について」と題する書面(甲50)を債務者に提出した。営業結果報告についてはこの書面に記載し,営業計画については,改めて営業会議の開催を求めた。営業計画案作成のための前提条件が充たされていない中で,債権者としては,この文書提出をもって,可能な限り,債務者の指示にこたえたのであって,上司の指示伝達を守らなかったとは全くの言いがかりである。以上の債権者の対応からは,債権者の営業努力がうかがわれこそすれ,「計画案の提出,営業活動の結果報告を実行せず遅延した」などとマイナス評価を受けるいわれはない。 債務者は,平成14年2月1日,J営業課長(以下「J課長」という。)が,同月以降の具体的な営業計画の提出を債権者に指示したが,債権者がこれを履行しなかったので,同月27日,J課長が同年3月5 ない。 債務者は,平成14年2月1日,J営業課長(以下「J課長」という。)が,同月以降の具体的な営業計画の提出を債権者に指示したが,債権者がこれを履行しなかったので,同月27日,J課長が同年3月5日までの提出を命じたところ,債権者はこの命令を拒否したと主張する。J課長が指示したという文書(乙6,7)は,既に,前年2月14日に,「営業活動について」と題する書面(甲7の1)で,「1.三重県,岐阜県内の新規店開拓計画立案,実行」,「2.三重県,岐阜県内の下級店クラスアップ計画立案,実行」が指示されて以後のことであり,著しく売上げの低い店舗のみを担当とする差別待遇が明確になって,その待遇差別を前提とした指示ということになる。その上で,債権者が,営業計画を提出することができなかったこと,「「売上げ計画」に就いて」と題する書面(乙8)を債務者本社に送ったことは事実である。 しかし,著しく売上げの低い店舗のみを担当とする差別待遇の下であってみればなおのこと,営業計画案の提出のためには,営業会議が不可欠といわなければならない。すなわち,ここでいう営業計画とは,甲57のような書式に数字を記入するものであり,通常,債務者では6か月営業計画として記入することになっている。したがって,債権者の場合,甲8の1に記載の各店舗についての売上目標数値を挙げたものということになるが,甲8の1に記載の年間売上金額を見ても分かるように,これらの店舗の売上目標を想定するためには,債務者としてこうした店舗に対してどのような方針で活動を展開するかが明確でなければ,書けるはずがない。もっとも,こうした問題は,営業会議を行い,方針を明らかにすれば,解決する問題である。そこで,債権者は,「「売上げ計画」に就いて」と題する書面(乙8)を債務者本社営業部あてに送り,営業計画書の提出よ っとも,こうした問題は,営業会議を行い,方針を明らかにすれば,解決する問題である。そこで,債権者は,「「売上げ計画」に就いて」と題する書面(乙8)を債務者本社営業部あてに送り,営業計画書の提出より以前に,営業会議が当然に先行しなければならないことを訴えた。しかるに,結局,債務者は,営業会議を開催することがなかった。 したがって,営業計画案の提出要求に従えなかったのは,むしろ,債務者の対応の当然の結果であるといえるのである。そもそも,甲17の「2.中部営業所エリア(東濃地区)の新規店開拓」,「3.中部営業所エリアの取引停止店の取引再開」,「4.中部営業所エリア内における業務用オリーブオイルバジェステルによる新規取引店開拓」や,甲7の1中の「1.三重県,岐阜県内の新規店開拓計画立案,実行」,「2.三重県,岐阜県内の下級店クラスアップ計画立案,実行」に関して,営業計画案を作成,提出することなど,営業会議なくしては到底不可能である。営業社員は,東部17県と西部28県で分けられ,それぞれ東京,大阪で営業会議を行って,営業活動に関する情報交換,検討を行い,その結果を営業活動に生かしていることは前述した。営業会議では,月別の営業企画,例えば,ある商品についてシーズンごとのキャンペーンを展開したり,特定商品の特別販売企画を設定したりもする。債権者は,東部17県,西部28県の担当営業社員とは同質の営業社員のはずであり,債権者の担当店舗についても,他の担当店舗と同様な営業企画が実施されるべきであるにもかかわらず,債権者は,いずれにも配属されずに(乙14添付の組織図),営業会議から排除されていた。こうした差別的状況下で,どのような営業計画を要求したのか不可解極まりない。債務者自身の具体的見通しを明確に確認する必要があるし,どのように具体的な方針を考えて 図),営業会議から排除されていた。こうした差別的状況下で,どのような営業計画を要求したのか不可解極まりない。債務者自身の具体的見通しを明確に確認する必要があるし,どのように具体的な方針を考えているのか,検討の必要性は急務であった。債権者が,債務者としての営業に関する会議の開催を強く要求したのは,計画書作成提出のための不可欠の前提だったのである。債務者が計画の提出を要求したことは不可能を強いたもの,嫌がらせであったと言うよりほかない。なお,C部長は,申述書で,「中部日用品化粧品卸市場販売提案」(甲25),「「フタバ化学」ルートによる当社商品販売提案」(甲26)を受け取っていないと述べるが(乙14の3頁3①),事実に反する。これらの書類は,債権者が,平成11年5月11日に債務者代表取締役社長P(以下「P社長」という。)から退職強要を受けた後,P社長に退職強要の撤回を求める電話を入れた際,P社長は仕事がないと言うので,債権者がやるべきことはあると言うと,P社長が,ほかにやるべき仕事があるなら提案があれば出すように言ったので,債権者は,急きょ,これらの書類を作成し,直接P社長あてにファクシミリ送信したものであった。退職強要を受けながらのことであり,この点に関する明確な記憶を債権者は有している。 平成14年3月8日のJ課長の指示について,債務者は,平成14年3月8日,J課長があらかじめ説明しておいた新商品の販売資料,発表会の企画書等を名古屋事務所に取りに行くように債権者に連絡したが,債権者がそれらを取りに行ったのは10日もたってからであった,4月の新製品発表会には,債権者の担当店からの出席は皆無であったと主張している。確かに,新製品の資料については,債権者は,送付の確認を取って,名古屋事務所に取りに行った。また,債権者の担当店舗から新製品 新製品発表会には,債権者の担当店からの出席は皆無であったと主張している。確かに,新製品の資料については,債権者は,送付の確認を取って,名古屋事務所に取りに行った。また,債権者の担当店舗から新製品発表会への出席がなかったのも事実である。しかし,新製品発表会の件は,最初に,J課長から債権者に連絡があったのではない。債権者は,名古屋事務所の営業社員のMと話をした際,同人から新製品発表会のことを聞いて,債権者の方からJ課長に電話を入れたところ,J課長から,新製品発表会があるということを聞かされたのである。 それで,債権者が新製品発表会の関連の資料を送るように頼み,名古屋事務所に送ってもらった資料を取りに行ったという経過であった。また,新製品発表会は,名古屋で開かれるのであれば,名古屋の営業社員と債務者本社との間で打合せを行い,具体的な企画内容が決まり,開催されるものであるが,債権者は,そうした話合いから排除されていた。したがって,債権者の担当店舗から新製品発表会への出席者がなかったのは,名古屋の担当の営業社員と差別された結果にすぎない。債権者は,営業マンとして新商品の知識を持たないといけないとの自覚から,新製品発表会に出席したのである。 平成14年4月18日のQ営業部長(以下「Q部長」という。)の指示について,債務者は,同月19日に債権者がQ部長に会うことを拒否したと主張するが,全く事実に反する。同月18日,Q部長から債権者に電話があり,翌日の19日に岐阜市に来られるかどうかを聞かれたとき,債権者は,翌日は,営業先の場所の関係で行くことができなかったため,その旨回答したにすぎない。Q部長が業務命令として,債権者に岐阜市に来るように指示した事実はないのである。また,翌日の19日,債権者は,岐阜県益田郡所在の活文社,ラボーテナカムラ本店,同支店に ため,その旨回答したにすぎない。Q部長が業務命令として,債権者に岐阜市に来るように指示した事実はないのである。また,翌日の19日,債権者は,岐阜県益田郡所在の活文社,ラボーテナカムラ本店,同支店に営業に回る予定があり,そのとおり,営業活動に回っている。同じ岐阜県でも岐阜市内と益田郡では距離的にも相当離れており,岐阜市に行くことができなかったことは客観的に明らかである(甲47の70)。債権者は,営業で行く予定があって,岐阜市には行けない旨,回答しただけのことである。 債務者は,平成13年3月にもQ部長の大阪出張に合わせて大阪事務所への出張を指示したのを債権者が断ったとも主張するが,そもそも,債権者がそのような指示を受けた事実はない。 以上のとおりであり,債権者には,上司の指示伝達の不遵守の事実はない。債務者の主張する事実が解雇事由になるとすると,債務者は従業員に対して不可能な指示を出せばいつでも容易に解雇できるということになるが,そのような事態は,余りにも不合理であり,考えられないことである。 ② 営業努力を怠ったとの主張について債務者は,上司の指示伝達の不遵守とともに,債権者が営業努力を怠ったと主張するが,全く事実に反する。それどころか,債権者は,連日,担当エリアの店舗を営業活動に回り,努力した。具体的な営業活動の内容は,各日の営業日報(甲44の1ないし47の108,平成11年9月1日以降の営業日報)に明らかなとおりである。営業日報には,地理的に遠く離れた店舗,売上げの低い店舗であっても,債権者がこまめに営業に回って,各顧客を大切にした営業活動を展開した経過が一目瞭然となっている。営業日報は,債務者に送られており,債務者としても債権者のこれらの活動内容を把握していたのである。 債権者が三重・岐阜エリア担当となって,担当指示された既 活動を展開した経過が一目瞭然となっている。営業日報は,債務者に送られており,債務者としても債権者のこれらの活動内容を把握していたのである。 債権者が三重・岐阜エリア担当となって,担当指示された既存店を回ったとき,顧客から,それまで債務者の営業社員が全く回ってこなかった,年に数回しか回ってこなかったということを少なからず聞かされた。フェイシャルサロンエム,R,たちばな,みどりやからは,これまで債務者の営業社員が全く訪店したことがなかったと聞かされた。また,ラボーテナカムラ,うめむら化粧品店,大美屋,有限会社活文社,株式会社前川商店からは,年に数回しか訪店していなかったと聞かされた。他の営業社員は一部しか営業活動をしていなかった,売上げの上がるところしか営業に回っていなかったことが明らかなのであるが,債権者は,月に数回は訪店し,売上げの低い店舗でも大切にして営業活動に従事した。 また,個々の営業社員の営業努力は,債務者の営業方針と密接不可分なものでなければ,決して債務者全体の利益にはつながらないし,そもそも,債務者の営業方針と各営業社員の個別の営業活動は一体となって組織的営業活動が成立するのであり,債務者の営業活動は,営業社員が全くばらばらの方針で相互に争うような活動ではない。 債権者は,営業会議から排除された状態で(甲53の10頁の「5」),他の営業社員と差別されて,著しく売上げの低い店舗の担当を命じられたが,そうした中にあっても,その担当店舗の営業,新規店舗の開拓に尽力して,少しでも売上げが上げられるように営業活動に専念した。その中で,売上げの低い店舗に対する営業政策全体に対する議論を活性化し,債務者として売上げの低い店舗に対する営業方針を確立すべく,営業会議の開催を求めてきた。これは,債務者全体の利益を考えた営業努力そのもので 上げの低い店舗に対する営業政策全体に対する議論を活性化し,債務者として売上げの低い店舗に対する営業方針を確立すべく,営業会議の開催を求めてきた。これは,債務者全体の利益を考えた営業努力そのものであった。 債務者は,債務者においては年間取引高が60万円以下(月間5万円以下)の店数が圧倒的に多く,しかも売上げの比率も20パーセントを占めているのが現状である,小都市の零細な取引先を重視するのが債務者の営業政策であるなどと主張しているが,これまで,債務者が,小規模の零細な取引先を重視する営業政策であるなどと言明したことはなかった。各営業社員もそうした活動をしていたわけではない。乙17,25からでも,全体の売上げを支える取引先が,小規模の零細な取引先でないことは明らかである。むしろ,小さな取引店でも大切にした営業活動をしたのは債権者である。もっとも,債務者の営業政策全体の立場から見れば,小規模の零細な取引先を重視するというだけでは,全体の売上げは上がらない。小規模の零細な取引先に対する営業がいかにあるべきなのか,債務者として営業方針を明確にし営業努力をする必要があることは,むしろ,債権者がこれまで主張してきた事柄であった。 以上のとおりであり,債権者ほど債務者のために営業努力を惜しまなかった従業員はいないほどであって,営業努力を怠ったという主張は,到底理解できない。 債務者は,債権者の営業活動は体裁を繕っていたとしか思えないものであると主張するが,否認する。未取引店の再訪問は営業活動として軽視されるべきことではない。一過性の商品の売り込みにのみ精力を尽くすのであれば格別,長期にわたった取引店契約を結ぶことを考慮すれば,ねばり強く,営業方針の説明などを行って,信頼を獲得することが必要なのであって,ちょっと訪問して断られたから早期に撤退すると を尽くすのであれば格別,長期にわたった取引店契約を結ぶことを考慮すれば,ねばり強く,営業方針の説明などを行って,信頼を獲得することが必要なのであって,ちょっと訪問して断られたから早期に撤退するという債務者の主張するやり方は,営業活動の準則を無視したやり方であるといわなければならない。 c 就業規則19条3号(解雇理由②やむを得ない業務上の理由)について(a) 就業規則19条3号は,やむを得ない業務上の理由を解雇事由と定める。そして,異動を拒む債権者は,売上高が低く同地同職で雇用継続できる状況でないとし,また,債権者は新人事管理基本制度及び就業規則変更に不同意として適用を拒んだとして,同条項に該当するとしている(甲3)。 しかし,そもそも,やむを得ない業務上の理由とは,使用者側の経営事情等により生じた従業員削減の必要性に基づく解雇,いわゆる整理解雇の場合の規定であり,経営事情等にかかわらない事由は同条項に該当しない。本件解雇通知書に記載の上記事由は,整理解雇事由ではなく,これに該当する余地が全くない(甲2)。 すなわち,整理解雇が有効であるためには,解雇権濫用法理の具体化として,①人員削減の経営上の必要性,②解雇回避努力義務の実行,③合理的な整理解雇基準の設定と公正な適用,④労使間での協議義務の実行が要件とされるが,本件の場合,そもそも,解雇事由として挙げられた事実が整理解雇事由に該当しないために,これら整理解雇要件を議論するまでもないのである(甲2)。 なお,債権者が「異動」を命じられた事実は全くない(甲2)。債権者が新人事管理基本制度及び就業規則変更について不同意として適用を拒んだ事実は,後述のとおり,存在する。しかし,この点は,新人事管理基本制度及び就業規則変更については,係属中の未払本訴の主要争点である(甲27ないし43)。 就業規則変更について不同意として適用を拒んだ事実は,後述のとおり,存在する。しかし,この点は,新人事管理基本制度及び就業規則変更については,係属中の未払本訴の主要争点である(甲27ないし43)。 (b) 債権者は,就業規則19条3号の「やむを得ない業務上の理由」について,労働者側の不都合で,企業の秩序,規律を維持し業務の円滑な遂行を図るため,解雇することがやむを得ない場合を含むとの解釈の上に,甲3の1の(2)の記載事項の一部,甲3の3の記載事項をも「やむを得ない業務上の理由」に当たるとして,解雇事由を追加する。 しかし,まさしく経営上の問題と無関係な事項が,「やむを得ない業務上の理由」に該当する余地はなく,かつ,これらの解雇事由については,事実に反するか,事実を著しく歪曲したものであって,解雇事由とはなり得ない。 すなわち,「やむを得ない業務上の理由」に,事業縮小等による人員削減の必要などの客観的事由以外の労働者側に生じた事由を含むか否かは,就業規則の規定の仕方から解釈されるべきであり,同様の規定について労働者側の事由以外の経営上やむを得ない事態を生じた場合をいうとした裁判例も存在する(大阪地裁昭和45年11月19日判決等)。 債務者の就業規則19条は,1号で精神又は身体の障害により,勤務に耐えられないとき,2号で勤務成績が不良で,勤務に適さないと認められるとき,3号でやむを得ない業務上の都合によるとき,4号でその他やむを得ない事由があるとき,を普通解雇事由と定めており,勤務不良として1号,2号を定め,4号以外に3号を独立して解雇事由とした規定の仕方からすると,3号のやむを得ない業務上の理由は使用者側の事情に限定したものであって,労働者側の事情は4号に定めたものと解するのが合理的である。 したがって,債務者の就業規則19条3号 た規定の仕方からすると,3号のやむを得ない業務上の理由は使用者側の事情に限定したものであって,労働者側の事情は4号に定めたものと解するのが合理的である。 したがって,債務者の就業規則19条3号には,労働者側の事情は含まれないから,労働者側の非を指摘した解雇事由である,甲3の2の(1)及び(2)の事由は,いずれも,就業規則19条3号に該当しない。そうすると,その余を論ずるまでもなく,債務者の主張には理由がない。 しかも,債務者の主張する事実自体認められないものである。すなわち,甲3の2の(1)の売上高が低く,同地同職での雇用継続ができる状況ではないことは,事実に反するものであり,既に詳述したとおり,売上高が低いことを理由にすることは不当である。 また,甲3の2の(2)の新人事管理基本制度及び就業規則変更に不同意の点について,債務者は,新人事管理基本制度及び就業規則の変更には,債権者を除く社員が同意しているのに,債権者のみその適用を拒むことは,労働条件の統一的,画一的処理の必要性で問題をはらんでいるとして,就業規則19条3号に該当すると主張する。しかし,係争中の未払本訴の重要争点について,債務者側の主張を認めないことが解雇事由になるとすると,労働契約関係に立つ当事者間での紛争が存在するだけで無条件に労働者を解雇できることになり,これでは労働契約が契約であることの意義さえ没却しかねない。甲3の2の(2)が解雇事由たり得る余地は全くない。また,債務者は,債権者のみその適用を拒むことが問題をはらんでいると言うが,問題など全くない。債務者は,自らの見解に従って,他の従業員と同様に新人事管理基本制度及びこれに伴う賃金制度を適用するとして,賃金を減額して支払っている。債権者は,賃金減額を不服として未払本訴を提起したが,債権者は適用を拒むと 自らの見解に従って,他の従業員と同様に新人事管理基本制度及びこれに伴う賃金制度を適用するとして,賃金を減額して支払っている。債権者は,賃金減額を不服として未払本訴を提起したが,債権者は適用を拒むと言っているにすぎず,訴訟で解決するまでは異議を留めて通常業務に従事しているのである。 甲3の2の(2)の解雇事由の記載は,単に解雇事由の一つとして問題となるだけではない。解雇が有効であるためには,解雇事由が存在して,濫用に当たらないことが必要であるが,仮に,いずれかの解雇事由が存在するとしても,解雇事由に甲3の2の(2)が挙げられている以上,本件解雇は未払本訴と無関係ではなく,報復意図の存在が明らかとなり,解雇権濫用の根拠事実ともなるのである。 d 就業規則19条4号(解雇理由③服務規律違反)について(a) 就業規則19条4号は,その他やむを得ない事由を解雇事由と定める。そして,債務者は,債権者が債務者の方針を批判し,上司,同僚社員の誹謗,中傷を繰り返すとして,同条項に該当するとする(甲3)。 しかし,本件解雇通知書には,債権者にいつ,いかなる具体的行為があったかの記載は全くなく,かかる事由では到底解雇の根拠とはなり得ない。 また,後述するとおり,債権者は,これまで,退職強要,懲戒処分通知,営業会議からの排除などの不合理な攻撃に対する批判,債務者の営業戦略についての意見具申をしたことはあっても,解雇事由となるべき債務者の方針の批判などは全くないのである(甲2)。 (b) 債務者は,指示命令違反として,債権者は,債務者が文書で指示したにもかかわらず,計画案の提出,営業活動の結果報告を実行せずに遅延したものであり,平成14年2月1日,J課長が,同月以降の具体的な営業計画書を同月10日までに提出するように指示したが,債権者がその後の再三にわたる催 計画案の提出,営業活動の結果報告を実行せずに遅延したものであり,平成14年2月1日,J課長が,同月以降の具体的な営業計画書を同月10日までに提出するように指示したが,債権者がその後の再三にわたる催促に対しても履行しなかったなどと主張するが,事実に反するなどの反論は既に詳述したとおりである。 (c) 債務者が,服務規律違反として,債権者が債務者の方針を批判し,上司,同僚に対する誹謗,中傷を繰り返したとして指摘する事実は,平成13年1月30日の件,同年2月19日の件,同年3月14日の件である。 ① 平成13年2月19日の件債務者は,平成13年2月19日,J課長が株式会社大山の業務をE社員に引き継ぐよう指示した際,債権者が「Eは能力がないので売上げが落ち,返品も発生する。」と言ったことを,債務者の方針を批判し,同僚を誹謗,中傷した事実として主張する。 しかし,そもそも,J課長から債権者に対する引継指示などなかった。もっとも,債権者がJ課長に,自分が株式会社大山の担当から外れると返品が発生するかもしれない,大手の問屋である株式会社大山はE氏では難しい旨述べたことはある。債権者は,平成13年2月14日付け「営業活動について」と題する書面(甲7の1)により,いきなり,同月21日から,三重・岐阜エリア担当を命じられた。株式会社大山は債権者がそれまで担当した得意先であり,株式会社大山の担当者の債権者に対する信頼の中で取引が行われてきた。債権者の陳述書(3)(甲58)に「ちょうど,平成12年の秋以降にオリーブクリームなどの商品を新規に大山名古屋支店に納入して,大山はユニー株式会社のアピタ各店,大型ドラッグストアに配荷し,陳列したということがありました。シーズン商品でもあり,このような場合,アピタ各店などをこまめに回って商品販売の促進をフォロー 入して,大山はユニー株式会社のアピタ各店,大型ドラッグストアに配荷し,陳列したということがありました。シーズン商品でもあり,このような場合,アピタ各店などをこまめに回って商品販売の促進をフォローしなければ返品が発生することにもなります。それで,そういう事情をよく知っている者が担当しなければ返品が発生するという趣旨で,述べたものでした。」とあるとおりである。したがって,債権者が,返品が発生するかもしれない,Eでは難しいと述べたことが,誹謗,中傷になるはずがない。また,このことが,債務者の方針を批判したことになるはずもない。債権者が,Eでは難しいと述べたことが,債務者の方針を批判し,同僚を誹謗,中傷した事実として,甲3に記載したとすれば,些細な言葉尻をとらえたこじつけというべきである(甲58の15頁以下)。 ② 平成13年1月30日及び同年3月14日の件債務者は,「債権者が平成13年1月30日の会議においてQ部長に対し,声を荒げ,机をたたきながら威圧的な態度を示し,しかも注意をしても改めなかった。」,「債権者は同日,債権者会社の応接室において,在室中ずっとコートを着,しかもマスクを掛けたままの無礼な態度を続けた。」と主張している。 しかし,平成13年1月30日に行われたのは,会議というものではない。債権者は,この日,本社に呼ばれて狭い個室に入れられ,C部長(社長室長),Q部長,J課長の3名から営業活動についてあれこれ注意を受けた。同日の債務者の債権者に対する対応は,債権者を狭い個室に入れて責任追及するというものであり,明らかに債務者の債権者に対する嫌がらせの一環である。その際に,債権者が,Q部長に対して,債務者として2年間で4億円もの売上げを落としたことについての責任を問いただしたものである。これには,個室に入れられての嫌がらせに 者に対する嫌がらせの一環である。その際に,債権者が,Q部長に対して,債務者として2年間で4億円もの売上げを落としたことについての責任を問いただしたものである。これには,個室に入れられての嫌がらせに対する防衛的側面もあったのであって,何ら問題とされる筋合いのものではない。この場にいたQ部長,J課長は,債務者の営業に関して責任ある立場にあり,債務者の売上げについて不都合な指摘であったことで,債権者が誹謗,中傷したとのそしりを受けるいわれはない。なお,債権者は,このとき風邪をひいていたので,マスク,コートの着用について事前に了解を得ていた。これについても誹謗,中傷とのそしりを受けるものではない(甲58の14,15頁)。 また,債務者は「同年3月14日の会合において自己の非を省みることなく,会社を非難し,」,「Q部長を営業部長として認めない,失格だなどと同人を侮辱する発言を繰り返した」と主張している。 しかし,所属長の地位を認めないとの発言は存在しない。もっとも,同日,団体交渉において,債権者は,Q部長は,営業部長としての責めを果たしていないと発言した事実はあるが,そもそも,平成13年3月14日の「会合」とは,団体交渉である。団体交渉の席における債権者の発言は,組合員としての発言であって,職制に基づく業務命令権は認められない。債権者の営業活動についての話題は,当然に債権者の労働条件,待遇に関する問題であり,これらの問題を労使対等の立場で話し合うのが団体交渉であって,営業部長の責任を問いただす発言が,「服務規律」違反になる余地など全く存在しない。ましてや,解雇事由になるはずもない(甲58の16頁以下)。団体交渉は,使用者と労働者が対等な立場で労働条件等について話合いをする場であって,使用者の労働者に対する業務指示の場ではない。営業部 い。ましてや,解雇事由になるはずもない(甲58の16頁以下)。団体交渉は,使用者と労働者が対等な立場で労働条件等について話合いをする場であって,使用者の労働者に対する業務指示の場ではない。営業部長の責任を問うなど使用者側の問題点を指摘することは,当然予想されたことであって,憲法28条の想定した範囲内であることは余りにも明らかである。 さらに,債務者は,経営幹部の人事に関することは団体交渉事項には当たらないと主張するが,強く争う。経営の基本方針や人事に関する事項等,いわゆる管理運営事項が団体交渉事項となるか否かについて,一律団体交渉事項に当たらないなどとされるものではなく,労働者の労働条件との関連で決まるのである。平成13年3月14日の団体交渉では,債権者の営業活動の内容が問題とされたのであり,その関係で営業部長の責任が問題となるのは,至極当然のことである。しかも,平成13年3月14日の件は,同年4月2日付け懲戒通知書(甲21)にも懲戒事由として掲げられていたものである。上記懲戒処分は無効であるが,1年以上経過した時点で,同一事由が解雇事由となる余地はない。 なお,債務者は,このときの債権者の言動につき,「その場で,組合側からも注意を受け,「処分されますよ。」とたしなめられたくらいである。」と主張する。しかし,B書記長は,このときのことについて,「「業績の悪化の責任論を言えば最後は(Q部長だけの責任ではなくて)社長ということになるのであるから(Q部長の営業責任だけを追及していては話が前に進まない。),その観点から問題に接近するのではなく,営業政策において改善点という前向きの観点から話してください。」と言ったにすぎないとしている(甲59の6,7頁)。すなわち,B書記長の発言は,「たしなめた」のではなく,建設的な話合いができる なく,営業政策において改善点という前向きの観点から話してください。」と言ったにすぎないとしている(甲59の6,7頁)。すなわち,B書記長の発言は,「たしなめた」のではなく,建設的な話合いができるように議論をリードしたというべきである。債務者の主張は,B書記長の発言の言葉尻をとらえて,殊更悪印象を与えるようにしているが,当時真摯に話合いを求めた組合の努力姿勢を債権者の批判の材料として主張するもので,債権者に対する信義に反するものである。 (d) 同僚からの苦情債務者は,債権者の態度から,同僚から苦情が出て,職場の秩序面において悪影響が出ていて,厳しい経営環境の中で懸命に働いている社員の志気にもかかわる事態となっていると主張する。 しかし,そもそも債権者の業務は営業であって取引先を回ることが業務の主体である。したがって,債務者の主張するような事実により職場の秩序に悪影響が出ることや,債務者の社員の志気にかかわる事態となるとは考えにくいものである。 なお,これに関連して,乙28,33が提出されている。しかし,乙28の内容自体は具体性がなく,債務者の主張を裏付けるものとはなっていない。また,作成の経緯からしても信用性はない。すなわち,平成14年8月6日(同日午後3時30分本件第3回審尋期日が行われている。)の昼ころ,C部長からの事前の連絡で,MがC部長と面会した際,Mは業務として陳述書の作成方を求められた,その際,C部長は,同人自身の陳述書を参考として示し,債権者に不利な事情を明確にして記載することを求め,Mはこれに応じて記載した。以上のような事情の下に作成された乙28は著しく信用性を欠くものといわなければならない。また,乙33については,新製品発表会の経過については,債権者の陳述書(3)(甲58)の9,10頁に記載のとおりで ような事情の下に作成された乙28は著しく信用性を欠くものといわなければならない。また,乙33については,新製品発表会の経過については,債権者の陳述書(3)(甲58)の9,10頁に記載のとおりである。債務者は,J課長が債権者に新製品発表会の件を連絡したと主張していたが,乙33は,Mが債権者に新製品発表会のことを連絡したことになっており,その点では,債権者の主張に沿う内容となっているが,資料の件は債権者がJ課長に頼んだものであって,Mから言われたものではない点で事実と異なるのである。 それ以外に「職場の秩序に悪影響が出る」という具体的な事実や立証はないのであって,このような主張が解雇の理由になるとはいえない。 e まとめ以上述べたとおり,債務者が,解雇事由として挙げた事実は,いずれも事実に反し,客観的に合理的な理由を欠くものである。 債務者の主張する勤務成績が不良で勤務に適さないと判断することという主張については,団体交渉において目標売上げを設定したこと自体が事実に反するほか,実際の売上高は,差別的な担当,指示に由来するものであって,債務者によって作り上げられた形式的な実績にすぎないことが明らかになった。また,営業努力の懈怠,上司の指示伝達の不遵守という指摘も,事実をねじ曲げて評価しているにすぎないことばかりである。さらに,就業規則の解釈を歪曲し,売上高が少ないことや,訴訟で賃金制度を争っていること自体を,本来経営上の問題であるべき「やむを得ない業務上の都合」(就業規則19条3号)の解雇理由にしていること,会社の方針の批判,上司,同僚の誹謗,中傷として些細な事実を取り上げてこれを解雇事由としていることなど,債務者の主張はいずれも客観的にみて解雇の合理的な理由ということはできないものばかりである。 債務者は,債権者の勤務成績が不 謗,中傷として些細な事実を取り上げてこれを解雇事由としていることなど,債務者の主張はいずれも客観的にみて解雇の合理的な理由ということはできないものばかりである。 債務者は,債権者の勤務成績が不良だと主張するが,債権者が営業活動をせずに,サボっていたなどという懈怠の主張は全くなされていない。そのような事実がないからである。債権者が,毎日債務者の業務として営業活動をしていたこと自体は債務者も認めざるを得ないはずである。債権者は,債務者の従業員として,営業マンとして,困難な,不合理な債務者の方針の中で,努力してきたものである。そもそも債権者の営業マンとしての能力については,元担当の取引先のNの陳述書(甲62)に具体的に記載があり,明らかである。債権者のこの間の売上高だけをみれば,非常に少なく,債務者の主張に理由があるかのように思えるが,その理由が,売上げを上げることがそもそも困難な仕事の与え方にあることについては,既に詳細に論じたとおりである。本来債務者が,解雇事由になるような事実を指摘できるはずがないのである。 債務者の解雇事由の主張自体から,本来一方的に解雇することができない債権者を,強引に解雇事由を作り上げ,債権者を何が何でも債務者から排除しようとしている意図は明白である。 (ウ) 解雇権の濫用a 本件解雇は,債権者を不当に排除しようとしたものであって,陰湿な嫌がらせであった。債権者は平成11年5月に退職強要を受け,同年9月13日,退職強要の撤回を得て以後も,様々な嫌がらせを受けた。その延長上での本件解雇は解雇権を濫用したものであることは明らかである。本件解雇が,債権者を不当に排除しようとの意図に基づくものであり,新人事管理基本制度とこれに伴う新賃金制度の導入に対する不同意,また未払本訴提起に対する報復であることは,平成11年 とは明らかである。本件解雇が,債権者を不当に排除しようとの意図に基づくものであり,新人事管理基本制度とこれに伴う新賃金制度の導入に対する不同意,また未払本訴提起に対する報復であることは,平成11年5月11日以降の退職強要以来の債権者に対する攻撃の事実の経過,解雇事由と未払本訴の争点との関係から,極めて明らかである(甲2)。 b 債権者に対する攻撃(a) 退職強要退職強要の具体的経過は以下のとおりである。 ① 平成11年5月11日,営業2部所属の従業員であるT(中部営業所),U(東京営業所),債権者の3名と,P社長,Q部長,V常務による,営業2部の通常会議が東京で行われた。決算期が5月末であることから,売上げの詰めをしたのであるが,会議が終了して,営業2部所属の従業員がそれぞれ帰ろうとしたところ,P社長が個別に面談したいとのことで,個別に社長室に行った。債権者が呼ばれた際,室内には,P社長,C部長(社長室長)がおり,営業2部の廃止が決まったので営業2部従業員は辞めてもらうと突然言われた。債権者は,余りに突然のことで,「本日は聞いておく。」と答えた。その後,債権者は先に面談したT,Uから二人は退職に応じたと聞いた。営業2部の廃止が決まったと聞いた債権者は,やるべき仕事はあるとして,「中部日用品化粧品卸市場販売提案」(甲25),「「フタバ化学」ルートによる当社商品販売提案」(甲26)を起案して,同月17日ころ,債務者本社にファクシミリ送信した。同月24日にP社長に電話して,提案内容を確認したところ,P社長は,だめだと言った。 ② 平成11年6月1日,債権者は,債務者の指示に基づき,岡山の債務者本社に行き,P社長に面会して,退職強要の撤回を求めたが,P社長は,仕事はないと繰り返し,ほかの会社で仕事を見つけてほしいと言った。また,債 1年6月1日,債権者は,債務者の指示に基づき,岡山の債務者本社に行き,P社長に面会して,退職強要の撤回を求めたが,P社長は,仕事はないと繰り返し,ほかの会社で仕事を見つけてほしいと言った。また,債権者が名古屋に帰る際,車でC部長(社長室長)が駅まで送ったが,債権者に対して,辞めた方がいいと言った。 ③ 平成11年6月11日にも,債権者は,債務者の指示に基づき,岡山の債務者本社に赴き,P社長に面会して,正当な理由がない不当な整理解雇はできないはずだと言って,退職強要の撤回を求めたが,P社長は,撤回しないと言い,仕事がない,自宅待機せよと繰り返すのみであった。 同月23日にも,債権者は,債務者の指示に基づき,岡山の債務者本社に赴き,P社長に面会して退職強要の撤回を求めたが,P社長は自宅待機を言うのみであった。このとき,Q部長,C部長(当時は社長室長)も同席した。 同年7月8日にも,債権者は,債務者の指示に基づき,岡山の債務者本社に赴いて,P社長に面会を求めたが,P社長は不在で,面会できなかった。午後5時ころ,P社長が出社してきたが,頭が痛いなどと言っていたので,大事にしてくださいと言って帰名した。 同年8月27日にも,債権者は,債務者の指示に基づき,岡山の債務者本社に赴き,P社長に面会して,明確な仕事の提示,退職強要の撤回を求めたが,P社長は仕事がないと繰り返すのみであった。名古屋ではどうなのかと聞くと,名古屋は4人で収まっているとの回答であった。同席していたQ部長は,名古屋には仕事が見つけられない状況であると言い,転勤も難しいと言った。 ④ この間,B書記長は,債務者に電話で,債権者の雇用・賃金の保障を求めたところ,債務者としては,解雇はしていない,本人の不同意があれば強要はしないと言いながら,退職強要を撤回するとは言わず,仕事 ④ この間,B書記長は,債務者に電話で,債権者の雇用・賃金の保障を求めたところ,債務者としては,解雇はしていない,本人の不同意があれば強要はしないと言いながら,退職強要を撤回するとは言わず,仕事がないと言うだけであった。 ⑤ しかし,平成11年9月13日,債権者とB書記長が岡山の債務者本社に行き,P社長と面会して団体交渉を持った際,その席で,債務者は,同月13日までのいきさつは終わったとして話をすると述べて,退職強要の撤回を明らかにした。 今後の仕事については,債権者が「株式会社大山の仕事を継続する。」と言い,債務者はこれを容認し,債務者は「大山の担当としては大山の名古屋支店のエリアに限定する。」とした。 ⑥ 以上の経過は,債務者が債権者に対して退職するよう強く求めたが,債権者が不同意の意思を明確にしたにもかかわらず,債務者は,債権者を何度も債務者本社に呼び出した上,仕事についての明確な指示を出さず,所属すら明らかにしないという対応のまま5か月間も経過させたことを明らかにするものであり,正に退職強要であった。 ⑦ 債務者は,平成11年5月10日,P社長が営業2部所属社員3名と担当の化粧品問屋営業でやるべき役割を話し合ったところ,3名の担う仕事はないとの結果に達し,その場で3名に退職を勧奨した,2名の者は即座に退職に同意したが,債権者は回答を避けて後日返答することとなったなどと主張する。 しかし,同年5月10日は,営業2部の通常の営業会議であって,営業2部を廃止するかどうかということを話し合ったものではない。営業会議を終了して帰ろうとしたときに,わざわざ個別にP社長に呼ばれ,初めて営業2部を廃止するとの話を聞かされたのである。また,債権者は後日回答すると答えたのでない。「聞き置き」であって,後で考えて退職に同意するといった余地のある回答 ,わざわざ個別にP社長に呼ばれ,初めて営業2部を廃止するとの話を聞かされたのである。また,債権者は後日回答すると答えたのでない。「聞き置き」であって,後で考えて退職に同意するといった余地のある回答をしたのではない。ましてや回答を避けたなどということではあり得ない。債務者の債権者に対する働き掛けは,退職を勧奨するといった程度のものではなく,債権者に選択の余地を許さない,退職強要であった。 また,債務者は,同年6月1日,債務者本社において,退職強要を撤回したと主張するが,前述のとおり,同年6月1日は,債権者が退職強要の撤回を求めても,P社長が仕事はないと繰り返した日であって,退職強要を撤回したなどとは到底考えられない。 (b) 新人事管理基本制度の一方的導入① 退職強要の撤回を余儀なくされた債務者は,平成12年5月1日,従業員に対して,同年6月1日より賃金額の大幅な変動を伴う新人事管理基本制度及びこれに伴う賃金制度を導入すると一方的に通告し(甲9,10),同時に,上記制度導入予定(甲11),新人事管理基本制度導入時において現行給与との差額が出た場合の措置(甲12)を通告した(甲2)。しかし,新人事管理基本制度及びこれに伴う新賃金制度の導入は,債権者を排除しようとの意図に基づくものであった。 ② 従業員をコース別処遇する新人事管理基本制度は,職群選択,グレード選択のいずれにも客観的な基準はなく,使用者の評価決定に関する裁量権の逸脱ないし濫用を前提とした違法な人事制度でしかない(甲2,9)。 また,新人事管理基本制度に伴う賃金制度は,基本給と諸手当からなる賃金制度を全面的に解消し,職群,グレードに基づく役割給と業績給及び諸手当からなるものであるが,役割給を低額に抑えた上で,グレード別に上限と下限の幅のある業績給を加算するという賃金制度で 当からなる賃金制度を全面的に解消し,職群,グレードに基づく役割給と業績給及び諸手当からなるものであるが,役割給を低額に抑えた上で,グレード別に上限と下限の幅のある業績給を加算するという賃金制度であり,新人事管理基本制度と密接である(甲10)。 したがって,新人事管理基本制度及びこれに伴う賃金制度は一方的で恣意的なものであり,債権者については,平成12年6月1日以降の職群,グレードについて,エリア職群のグレード1を恣意的に選択し(甲13),上記職群及びグレードでは,役割給と業績給を合計した金額は上限で24万円,下限で19万円となり,半額近く減額されるものとなっていることからしても,新人事管理基本制度及びこれに伴う賃金制度の恣意性,違法性が明らかである。 債権者は,債務者による平成12年5月2日,同月15日に行われた説明会席上で上記制度導入について不同意を明らかにし,さらに,債権者及び組合は,同年7月24日付け書面で,債権者の労働条件の大幅な変更になる上記新人事管理基本制度等の導入実施について,債権者への適用に対する不同意を通告した(甲14)。 ③ しかるに,債務者は,強行導入した新人事管理基本制度について,オープンな制度である,全社員に対して説明会を行い,債権者を除く社員の同意を得て導入したもので,一方的に通告,導入したものではないと主張する。しかし,新人事管理基本制度導入の事実関係は以下のとおりのもので,債権者に対する関係では,債権者を排除しようとの意図の下に導入されたものであることは極めて明白である。 確かに,新人事管理基本制度についての,単なる説明会が持たれたことはあった。債権者も,平成12年5月2日,同月15日の2回,いずれも岡山の債務者本社で行われた説明会に出席している。しかし,債権者が出席した説明会は,一方的通告 ついての,単なる説明会が持たれたことはあった。債権者も,平成12年5月2日,同月15日の2回,いずれも岡山の債務者本社で行われた説明会に出席している。しかし,債権者が出席した説明会は,一方的通告に対して諾否の意思を明確にできるようなものではなく,むしろ,説明会として,それも株式会社ビジネスコンサルタントの職員が説明を担当して,従業員が新人事管理基本制度の内容について聞かされただけの場でしかなかった。従業員から積極的賛成意見が出ることもなかった。また,平成12年5月15日の説明会で,個人目標記入用紙(債権者に渡された個人目標記入用紙が甲13である。)が各従業員に配付されて,記入することを求められたが,この個人目標記入用紙には既に役割グレードが記入されていた(甲13)。しかし,平成11年12月時点で管理職の間に各従業員の役割グレードが記入された一覧表(甲51)が配付されていた事実が存在する。債権者の場合,甲51では,役割グレード「S」とされているが,甲13では,役割グレード「A1」とされている。この経過については全く不明である。これらの事情を考えると,平成12年5月の説明会は,社員の同意を得るための手続という側面は全くなかったことが明らかである。 ④ そもそも債権者は,新人事管理基本制度を明確に拒否したのである(甲14)。しかるに,債務者は,平成12年5月に形だけの説明会を持って以来,平成12年8月に未払本訴を提起してもなお,労働基準監督署への就業規則の届出さえしていなかった。労働者の同意がない場合に,就業規則の変更すらしようとしないまま,債権者に対する納得のゆく説明すらしようとせずに導入したという事実は軽視できない。 (c) 退職強要後の経過における債権者に対する嫌がらせ① 退職強要後の経過の時系列の混同まず,債務者が退職強要後の 者に対する納得のゆく説明すらしようとせずに導入したという事実は軽視できない。 (c) 退職強要後の経過における債権者に対する嫌がらせ① 退職強要後の経過の時系列の混同まず,債務者が退職強要後の経過として主張する事実関係は,故意に時系列を前後させ,退職強要の事実を隠蔽し,組合との合意を捏造し,懲戒処分を有効なものと見せかけるための,虚偽に満ちたものである。 すなわち,債務者は,平成11年6月1日から債権者が営業部所属と決まり,それ以降数回にわたって債権者を交えて,債権者の具体的な営業活動について会議を持ったなどと主張するが,全くの虚偽である。そもそも,平成11年6月1日は,債権者がまだ退職強要を受けていた段階であり,退職強要後のことではない。それに,所属も明らかにされず仕事の指示もない状態で,営業会議などあり得ないのである。 平成11年9月13日の団体交渉で退職強要が撤回された後,債権者が株式会社大山の営業活動を展開していたところ,平成11年12月21日,岡山の債務者本社に呼ばれ,P社長から直接,株式会社大山の仕事は責任を取ってやってくださいと指示され,株式会社大山関係の販売計画書を提出するように言われた。もっとも,平成12年1月に,Q部長からは,営業責任者というわけではないと言われた。このため,債権者は,平成12年1月12日に,まずはメモ程度の販売計画書を提出して内容を説明し,同月17日には,再度販売計画書及び資料を債務者本社にファクシミリ送信した。しかし,先述のとおり,この計画書は全く無視された。 債務者は,平成11年9月14日,組合から雇用,身分等の保障を要望されたが,債務者としてはすべてを保障しているところであり,B書記長は債権者と随分話が違うと述べたと主張するが,そのような事実は全く存在しない。 ② 債権者に対する嫌がら ら雇用,身分等の保障を要望されたが,債務者としてはすべてを保障しているところであり,B書記長は債権者と随分話が違うと述べたと主張するが,そのような事実は全く存在しない。 ② 債権者に対する嫌がらせ平成12年6月ころ以降,債務者は,業務連絡など営業に関する打合せ等の会議から,債権者を排除した。その上で,債務者は,債権者が前述の不同意を明らかにした後,債権者に退職を余儀なくさせるため,業務命令の体裁を装い,債権者に対する次のとおりの嫌がらせを始めた(甲2)。 ③ 書面による業務指示平成12年7月21日,債務者は,債権者に対して,「営業活動について」と題する書面(甲17)を交付して,営業活動を指示した。それまで債務者において,特定従業員に対して,営業活動内容に関し,発行者名もなく印もない書面を交付するようなことはなかったところ,格別にかかる書面を交付したものである(甲2)。債務者は,甲17は団体交渉の決定事項を明確にするためのものなどと主張するが,甲17は決定事項ではない。決定事項の確認のためであれば,両者の合意書面を作成すれば足りることである。問題なのは,従業員に対する業務指示を,「7月21日」,「営業部」としか記載されていない甲17のような書面を一方的に交付するというやり方をとっている点である。債務者が,このような書面を交付した理由は,後に債権者の職務懈怠を騒ぎ立てる布石としたことにあるというべきである。 その後,上記書面を口実にして,同年12月13日(甲18),平成13年1月15日(甲19),同年2月1日(甲20),それぞれ,債権者に対する業務指示を書面でなした(甲2)。これらの書面には,債務者への報告がなされていないなどと記載されているが,債権者として営業活動を怠った事実はなく,債権者としての提案を行いながら活動してきたの 対する業務指示を書面でなした(甲2)。これらの書面には,債務者への報告がなされていないなどと記載されているが,債権者として営業活動を怠った事実はなく,債権者としての提案を行いながら活動してきたのである。従来,従業員からの提案を受けながら円滑に進めるというのが債務者としての営業活動の在り方であった(甲2)。しかるに,債務者は,新人事管理基本制度の導入に対する不同意を契機として,債権者に対しては,債権者からの具体的提案を営業活動の懈怠と一方的に決めつけて上記各書面を交付したのであり,これら債務者の債権者に対する対応は,債務者の一方的な評価に基づく新人事管理基本制度に対して不同意を明らかにした債権者に対する報復的措置であり,新人事管理基本制度の導入を強行しようとした債務者の債権者に対する嫌がらせとしか言いようがない(甲2)。 さらに,平成13年2月14日,債務者は,債権者に対して,営業エリアを変更する業務命令を出した(甲7の1ないし3)。岐阜県・三重県の広範囲に及ぶ出張を伴う営業活動は業績悪化の口実となりやすく,債権者の営業活動の懈怠を言うための布石であった(甲2)。 ④ 主任外し平成11年9月13日に退職強要が撤回されて後,債権者は,それまで「主任」であったところ,「主任」から外されたので,その後に債務者に対して抗議したことがあったが,聞き入れられなかった。 ⑤ 会議からの排除等平成12年6月以降,債権者に対しては,業務連絡をせず,営業の打合せ会議からは排除した。J課長から会議の件で連絡を受けたことは1度しかなく,その1度についても,会議の前に再度J課長から連絡があり,会議に出なくてよいと連絡を受けたものでしかなかった。なお,会議からの排除は,会議が,日々営業先を外回りして営業活動を従事する従業員にとって極めて重要なものであって 議の前に再度J課長から連絡があり,会議に出なくてよいと連絡を受けたものでしかなかった。なお,会議からの排除は,会議が,日々営業先を外回りして営業活動を従事する従業員にとって極めて重要なものであって,退職を迫る行為といって過言ではない。 平成13年2月14日以後の債権者排除は,露骨なものであった。乙14のC部長の申述書添付の組織図にあるように,営業社員は,東部17県と西部28県で分けられ,それぞれ東京,大阪で営業会議を行って,営業活動に関する情報交換,検討を行うが,債権者は,三重・岐阜エリア担当であるにもかかわらず,東部にも西部にも所属がない。このころ,債権者は,日々孤立して,取引店を回るという営業社員として考えられない待遇を余儀なくされた。 (d) 懲戒処分① 平成13年4月2日,債務者は,債権者に対して,訓戒処分を通知した(甲2,21)。 同日付け懲戒処分通知書には,「平成12年7月10日の団体交渉に基づき出された業務命令に対し,職務を怠ったのは,「就業規則第78条(懲戒事由)(5)業務上の指示・命令に違反し,又は怠ったとき。」に該当」,「平成13年3月14日の団体交渉等において,所属長の職位を認めないとの発言を繰り返したのは,「第78条(懲戒事由)(1)第3章(服務規律)の定めその他この規則,会社諸規定に違反したとき。」に該当」として,訓戒処分とし,同月12日までに始末書を提出するように命じるとある(甲2,21)。 ② しかし,使用者の懲戒権の行使が客観的に合理的な理由を欠き,又は社会通念上相当として是認し得ない場合には,懲戒権の濫用として無効となるというのが確立された判例である。 これを本件について見ると,債権者には,懲戒事由に該当するがごとき,業務命令違反の事実はなく,また所属長の地位を認めないとの発言は存在しない。したが して無効となるというのが確立された判例である。 これを本件について見ると,債権者には,懲戒事由に該当するがごとき,業務命令違反の事実はなく,また所属長の地位を認めないとの発言は存在しない。したがって,懲戒事由が存在しないから上記訓戒処分は無効である(甲2)。 また,一般的に,適正手続の保障が懲戒処分の有効要件とされるが,上記訓戒処分には,組合,債権者に対する弁明の機会が与えられておらず,上記有効要件を充たさない。したがって,この点でも上記訓戒処分は無効である(甲2)。 さらに,就業規則(甲6)77条によると,訓戒処分は始末書を取り将来を戒める内容のものであるから,始末書提出を伴うものとなっているところ,債権者としては訓戒処分は無効であるから,始末書提出要求には応じなかった。また,組合からも,始末書提出要求の撤回申入れを行った。これに対して,債務者は,始末書提出要求の撤回を書面で申し入れてほしいと言ってきたので,組合としてはこれに応じる旨回答はしたが,改めて検討した結果,上記のとおり,訓戒処分と始末書提出は一体であり,書面による申入れは訓戒処分の撤回要求を含むものとなって懲戒処分の有効性に関する全面的な対立となることが予想されると判断し,口頭で足りると考え,書面による申入れはこれを控えた。その後,債務者からは何の督促もなく平成13年7月まで至った(甲2)。 しかるに,債務者は,平成13年7月30日付け書面(甲22)により,組合から書面による始末書猶予の申入れを受ければ,当然に懲戒処分はするが申入れを受けるとし,また訓戒処分の根拠として業務命令違背を改めて主張してきた(甲2)。しかしながら,組合からの申入れは始末書撤回要求の申入れであったのであって,始末書提出の猶予の申入れをしたものではないし,そもそも無効の訓戒処分に関する事柄に 命令違背を改めて主張してきた(甲2)。しかしながら,組合からの申入れは始末書撤回要求の申入れであったのであって,始末書提出の猶予の申入れをしたものではないし,そもそも無効の訓戒処分に関する事柄について何らの対応も必要ないものである(甲2)。 ③ したがって,上記訓戒処分は理由のないものであり,上記訓戒処分は債務者による,新人事管理基本制度に不同意した債権者に対する報復的措置,嫌がらせである(甲2)。 (e) 未払本訴の提起と本件解雇事由① 債務者は,平成13年7月支給分から,債権者の賃金を減額するに至った(甲16)。このため,債権者は,前述のとおり,未払本訴を提起した(甲27)。 債権者による未払本訴提起後,債務者は,新人事管理基本制度及びこれに伴う賃金制度(甲9,10)を就業規則の体裁に整え,労働基準監督署に対して就業規則の変更届出をなしたが,同就業規則の効力は認められず,仮に就業規則の不合理な変更として債権者に対する効力は認められない(甲37)。なお,債務者は,就業規則変更手続から債権者を排除しようとした事実がある(甲23の1,2,24の1,2,甲2)。以上の事実の経過の後,本件解雇に至ったのである(甲3)。 以上の事実の経過は,正に債務者の違法,不当な債権者に対する攻撃である(甲2)。退職強要の撤回を余儀なくされると,新人事管理基本制度を導入することにより,事実上の退職強要を行い,債権者が不同意すると,不合理な業務命令を発して嫌がらせをした。債権者がこれにも耐えると理由のない訓戒処分を行ったが,これについても債務者は始末書提出要求を事実上撤回せざるを得なかった。そして,ついに,債務者が違法な減給に至るも,債権者は未払本訴を提起した(甲2)。これらの経過の上の本件解雇は,債権者を債務者から不当に排除しようとの意図に基づくものであ 上撤回せざるを得なかった。そして,ついに,債務者が違法な減給に至るも,債権者は未払本訴を提起した(甲2)。これらの経過の上の本件解雇は,債権者を債務者から不当に排除しようとの意図に基づくものであることは,余りにも明白である。 ② 未払本訴の提起を解雇事由としていることⅰ 本件解雇通知書(甲3)は,未払本訴の争点そのものであり,本件解雇における債権者の未払本訴提起に対する債務者の報復の意図が明確である(甲2)。 ⅱ すなわち,就業規則19条3号該当として挙げられた事由は,新人事管理基本制度及び就業規則変更に対する不同意であり,新人事管理基本制度,これに伴う賃金制度及び就業規則の効力,変更の不合理性は,未払本訴の主要争点である(甲2,27ないし43)。 ⅲ また,就業規則19条2号該当として挙げられた事由は,債権者の不当な処遇と表裏一体の関係にある事項である。 未払本訴において,債権者は,新人事管理基本制度及びこれに伴う賃金制度の債権者への適用の真の意図が債権者を債務者から排除することにあることを裏付ける事情として(甲29),また,就業規則変更の効力発生を否定する事情,就業規則変更の不合理性を基礎づける事実として(甲37),債権者に対する不当な攻撃,不当な処遇の事実を主張している。債権者の処遇に関する主張は,債権者,債務者双方からなされており(甲29,37,39,41,42),この点が,未払本訴の争点の一つであって訴訟で解決されるべき問題であることを,債務者自身がよく認識しているのである(甲43)。 ⅳ 就業規則19条4号該当として挙げられた事由も,解雇通知書(甲3)においては具体的事実が明らかでないが,債権者に対する不当な攻撃の事実として債権者が主張した債権者に対する違法な懲戒処分の事由とされていた内容であり(甲21),債務者との間で も,解雇通知書(甲3)においては具体的事実が明らかでないが,債権者に対する不当な攻撃の事実として債権者が主張した債権者に対する違法な懲戒処分の事由とされていた内容であり(甲21),債務者との間で争いの対象となっている(甲27ないし29)。 ⅴ したがって,本件解雇は,平成13年8月23日に未払本訴提訴以来の訴訟において審理されている事項について,訴訟で争っていることを理由に解雇したというほかない。かかる理由をもって解雇するのは,裁判制度,司法制度に対する真っ向からの挑戦といって過言ではない(甲2)。 このような解雇がなされた真の目的は,自ら招いた売上高の減少による経営の悪化の解決を人員削減に求めた債務者が,債務者のねらいどおりに退職勧奨に応じなかった債権者に対し,未払本訴で問題となっている賃金減額を強行し,これに対しても従わない債権者に,最終攻撃を仕掛けてきたものと評することができ,このような解雇権の濫用は断じて許されないのである。 これに対し,債務者は,未払本訴の争点は,新人事管理基本制度(賃金制度)の合理性及び新就業規則の効力であり,背景事情としてはともかく,本件解雇事由を直接争点とするものではないなどと主張する。しかし,甲3にも,「A社員以外の全社員が同意している新人事管理基本制度及び就業規則の変更に不同意として,適用を拒むこと。」が明確に解雇事由として挙げられている。そして,新人事管理基本制度及び就業規則の変更は,債務者も認めるように未払本訴の主要争点そのものである。また,就業規則変更の効力発生を否定する事情,個別の事情を総合して判断される就業規則の不利益変更の合理性判断においても,不合理性を基礎づける事実として,債権者に対する不当な攻撃のほか,不当な処遇の事実の主張もしている(甲37等)。本件解雇事由に密接な関連を有する 判断される就業規則の不利益変更の合理性判断においても,不合理性を基礎づける事実として,債権者に対する不当な攻撃のほか,不当な処遇の事実の主張もしている(甲37等)。本件解雇事由に密接な関連を有する事実関係が,未払本訴で背景事情にすぎないとの主張は,未払本訴の争点に関する債務者の独自の判断といわざるを得ない。 以上のとおりであるから,本件解雇について,未払本訴を起こしたことを理由として債権者を解雇した事実は疑う余地がない。未払本訴に対する報復意図の存在は,客観的に明らかなのであり,これ自体で,解雇権濫用を基礎づける事実として十分なものと評価できる。 (f) 本件解雇の通知の状況と濫用債務者は,平成13年5月10日付け組合あての送信書(甲4)により団体交渉の申入れをなし,債務者が指定した同年6月3日午後1時過ぎころ(甲5)から,債務者名古屋営業所において団体交渉が開催された。 本件解雇通知書は,約2時間半にわたる団体交渉の終了間際に債務者から提示されたもので,その場で債権者は書面の受領は拒否したが,同年6月7日,債権者の自宅に送付されたものである(甲2)。この団体交渉では,組合の分会長WやB書記長も出席し,債権者の売上高が上がらない原因,債務者の営業方針について意見交換し,今後も継続して話合いをするように求めたものである(甲52の5頁)。そもそも,債務者が,債権者の売上高を理由に解雇する場合,少なくとも事前に,この日の団体交渉のような意見交換をし,売上高を上げるための営業会議などの開催も含めて十分に協議し,十分に債務者の意向も伝えた上で,債権者の意向を十分に把握し,その上で本当の意味で,勤務成績不良が明らかになり,債権者がそれを改めない場合には解雇も許される場合があろう。ところが,本件では本来の意味での勤務成績不良の事実はな ,債権者の意向を十分に把握し,その上で本当の意味で,勤務成績不良が明らかになり,債権者がそれを改めない場合には解雇も許される場合があろう。ところが,本件では本来の意味での勤務成績不良の事実はない。そればかりか,手続的にも,債務者は,それまで売上高の不良が解雇に結びつくなどとは1度も話をせず,債権者とも売上高が上がらないことについて十分に対策を講ずることもしなかった。そして同日初めて売上げのことについて協議する団体交渉の機会を得て,2時間半も債権者の意見も聴くそぶりを見せて団体交渉に同席しながら,その話が終了してから,不意に売上高の問題など理由にした本件解雇通知書を手渡そうとし,その後結局解雇通知を強行したのである。このようなやり方は正に不意打ちである。このような解雇の告知方法からも,解雇事由のないこと,本件解雇が,正当な理由がないにもかかわらず,債権者を債務者から排除するために濫用して行われたことは明白なのである。 c 以上により,本件解雇が,債権者を不当に排除しようとの意図に基づくものであること,債権者の新人事管理基本制度及びこれに伴う賃金制度に対する不同意,また未払本訴の提訴に対する報復としてなされたことが明らかである。かかる意図に基づく本件解雇は,明らかに解雇権を濫用するものといわざるを得ない。 (エ) 結論以上のとおり,本件解雇は,全くの無効である。 退職強要に始まる平成11年5月からの事実の経過は,正に債務者の違法,不当な債権者に対する攻撃である(甲2)。同年5月11日の退職強要では,営業2部所属の従業員3名のうち,債権者を除く2名の従業員が退職を余儀なくされている。 債権者だけが退職強要に対し異議を唱え,債務者が退職強要の撤回を余儀なくされると,債務者は新人事管理基本制度を導入することにより,事実上の退職強要を行い,債権 名の従業員が退職を余儀なくされている。 債権者だけが退職強要に対し異議を唱え,債務者が退職強要の撤回を余儀なくされると,債務者は新人事管理基本制度を導入することにより,事実上の退職強要を行い,債権者が不同意すると,不合理な業務命令を発して嫌がらせをした。債権者がこれにも耐えると理由のない訓戒処分を行ったが,これについても債務者は始末書提出要求を事実上撤回せざるを得なかった。そして,ついに,債務者が違法な減給に至るも,債権者は未払本訴を提起した(甲2)。これらの経過の上の本件解雇は,債権者を債務者から不当に排除しようとの意図に基づくものであることは,余りにも明白である。 本件は,いわゆるリストラのために退職強要した債権者に対して,それが失敗に終わると,様々な攻撃をし,それでも辞めない債権者に対して,最終的に不当な理由をつけて解雇を強行したというのが実態なのである。 債権者が退職強要を受けたのと同じ時期に,債務者の岡山本社に勤務する40代の従業員が,経営者から辞めてくれと言われ,これに応じないと仕事を干され,退職をせざるを得なくなる状況に追い込まれた。債権者は,「許さない会」と共に岡山へ要請行動をしたとき,この人に会い,話を聞くことができた。この人は,今でもこのときに受けたストレスにより精神疾患の治療を受けていた。この人は,3年前に債権者を知っていれば,退職しなくてよかったと述べていた。債務者から退職強要をされ,嫌がらせをされたのは債権者だけではないのである。 債権者が,平成14年7月5日の岡山本社への要請行動をした際,債務者のX常務は,平然と「これ(債権者に対する解雇)で,リストラは終わった。」と言った。 債務者のねらいが,何が何でも債権者を債務者から追放することにあったことは,この発言からも明白である。 以上のとおりであり,本件解雇は無効 (債権者に対する解雇)で,リストラは終わった。」と言った。 債務者のねらいが,何が何でも債権者を債務者から追放することにあったことは,この発言からも明白である。 以上のとおりであり,本件解雇は無効であり,債権者は債務者に対して労働契約上の権利を有する地位を失わない。 イ債務者の主張(ア) 債務者の概要債務者は,本店所在地に本社及び工場を有し,化粧品,食品,医薬部外品等の製造販売を行っている。役員は10名(うち2名監査役)で,平成13年5月期の売上高は13億3000万円,税引前利益は3573万円,配当は10パーセントであった(乙4)。平成14年5月期の売上高は13億4960万円,税引前利益は3211万円,配当は10パーセントであり,期末現在の社員は64名で,ほかにパート等22名がいる(乙31)。 (イ) 新人事制度の導入いわゆるバブル崩壊後,日本経済は個人消費の不振と設備投資の落ち込みなど景気の低迷が長期化した。化粧品業界も個人消費低下の影響が強く,債務者において販売活動の強化や合理化による原価の低減,経費の削減と財務体質の改善に取り組むなど努力したが,売上高が平成11年5月期に前期より9パーセント減少するなどの業績の低下が続いた。そこで,更に経営基盤の強化を図るため,営業所の廃止等の組織変革に着手するとともに,新しい人事制度を導入することとなった。 (ウ) 退職勧奨平成11年5月当時,札幌,高崎,東京,静岡,中部,大阪,福岡,北京の各営業所があったが,営業部の再編成の一環として各営業所が廃止されることになり,そのころから各営業所の社員の理解を得て順次廃止し,平成12年1月までに完了した。 平成11年5月当時,債権者は営業2部に所属して自宅を拠点に中部地方の営業を担当していた。 営業2部も廃止の対象となり,平成11年5月1 員の理解を得て順次廃止し,平成12年1月までに完了した。 平成11年5月当時,債権者は営業2部に所属して自宅を拠点に中部地方の営業を担当していた。 営業2部も廃止の対象となり,平成11年5月10日,債務者代表取締役のP社長が営業2部所属社員のうち債権者を含む3名と,担当の化粧品問屋営業でやるべき役割を話し合ったところ,3名の担う仕事はないとの結果に達し,その場でP社長が3名に退職を勧奨した。 2名の者は即座に退職に同意したが,債権者が即答を避け,後日返答することとなった。 同年6月1日,本社において,債権者から退職に応じられないとの回答がなされた(この時入社以前から組合に加入しているとのことだった。)。 そこでP社長は,債権者に対し,今までの仕事に取り組む姿勢,考え方を改めるよう求めると,債権者は,しっかりと仕事にコミットするという表現を用い,仕事に向き合っていくことを約束したので,債務者はその場で退職勧奨を撤回した。 以上の次第で,債務者が債権者に退職を強要した事実はなく,退職を白紙に戻したのは組合が関与する以前である。 (エ) 新人事管理基本制度の周知新人事管理基本制度(賃金制度を含む)は,職群の選択,グレード選択について,役割設定,業務,対象,職種,勤務地等を明確に定義し,その選定基準により,人事委員会で協議の上決定するオープンな制度である。 債務者は,平成11年11月19日の管理職を対象の説明会を皮切りに,翌年5月15日までに前後7回にわたり全社員に新制度の説明をし,質疑応答を経て,債権者を除く九十数名の社員全員の同意を得た上で,平成12年6月1日から導入した。したがって,同制度は債務者が一方的に通告,導入したものではない。 (オ) 「嫌がらせ」について前述したように,債権者と債務者との間で双方前向きに取り組むこと 上で,平成12年6月1日から導入した。したがって,同制度は債務者が一方的に通告,導入したものではない。 (オ) 「嫌がらせ」について前述したように,債権者と債務者との間で双方前向きに取り組むことになって,平成11年6月1日から債権者は債務者営業部の所属と決まり,それ以降数回債権者を交え,債権者の具体的な営業活動について会議を持った。 ところが,債権者は,債務者の主要な得意先であって債権者が従来からその一部を担当していた株式会社大山に対する営業対策について,「会社側に営業基本方針,戦略が欠けているために,営業ができない。自分が責任者となれば,方針や戦略はすぐ出す。」と主張した。そこで,債務者としては,債権者から計画書の提出を受け,検討した上で実行責任者として認められる内容であれば,債権者を株式会社大山の営業責任者に任命することとした。 しかし,債権者の提出してきた販売計画書(乙5)は殴り書きで読みにくい上に,債権者の内容説明も不明確で,具体的な実施の話になると,「自分は指示を受けて営業現場で働くのが仕事だ。」と逃げる始末であった。具体的な実行計画を作り,実施するのが債権者の仕事であり,それが責任者になれる条件であることを説明し,計画書の再提出を命じた。 すると,同年9月14日に至り,債権者と組合のB書記長が債務者本社に来社し,団体交渉となった。組合からの要望は,債権者に仕事を与えること,雇用,身分,賃金,仕事を保障することであったが,債務者としてはすべてを保障していることでもあり,それを説明すると同書記長は,感想として,債権者より聞いた話と随分違う旨述べたこともあった。 新人事管理制度が導入された後の平成12年7月10日,債権者も交え団体交渉がなされたが,その際,労使で,売上目標を月400万円と設定し,東濃地区の新規店の開拓と取 随分違う旨述べたこともあった。 新人事管理制度が導入された後の平成12年7月10日,債権者も交え団体交渉がなされたが,その際,労使で,売上目標を月400万円と設定し,東濃地区の新規店の開拓と取引停止店の取引再開に努めることが合意された。 そして,同月21日,営業部より書面(甲17)で営業活動の指示がなされたが,それは団体交渉の決定事項を明確にし,債権者に活動を促すためであった。 その後も,債権者の販売計画書の提出を受け,主として株式会社大山に関して債権者と販売会議をしたが,満足のいく計画書ではなく,責任者としての適格性に欠けることが明白となった。 債権者は,債務者が債権者に対する業務連絡をせず,営業の打合会議から排除したと主張するが,このような事実はなく,J課長から電話等で連絡がされていたし,会議も債権者のような役割の営業員向けではなかった。 平成13年2月19日,J課長が株式会社大山の業務をE社員に引き継ぐよう指示した際,「Eは能力がないので売上げが落ち,返品も発生する。」と言って同僚を誹謗,中傷した。 (カ) 懲戒処分前述したように平成12年7月10日の団体交渉において,債権者の月間の売上目標を400万円と設定し,それに伴い債権者は具体的目標計画を作成すること,営業活動の重点事項として,株式会社大山名古屋支店の営業,東濃地区の新規店開拓,同地区の取引停止店の取引再開等が取り決められた。それに基づき,債務者から文書(甲18,19)で債権者に再三指示されたにもかかわらず,債権者は計画案の提出,営業活動の結果報告を実行せず,遅延した。 しかも,Q部長とJ課長の指示,命令により業務を遂行することが確認されているにもかかわらず,それを履行しないばかりか,平成13年1月30日の会議においてQ部長に対し,声を荒げ,机をたたきながらの威 しかも,Q部長とJ課長の指示,命令により業務を遂行することが確認されているにもかかわらず,それを履行しないばかりか,平成13年1月30日の会議においてQ部長に対し,声を荒げ,机をたたきながらの威圧的な態度を示し,しかも注意をしても改めなかった。債権者は同日,債務者の応接室において,在室中ずっとコートを着,しかもマスクを掛けたままの無礼な態度を続けた。その際,債務者側から注意を受けたにもかかわらず,同年3月14日の会合において自己の非を省みることなく,債務者を非難し,上記と同様に,Q部長を営業部長として認めない,失格だなどと同人を侮辱する発言を繰り返した(その場で,組合側からも注意を受け,「処分されますよ」とたしなめられたくらいである。職務懈怠の点についても,組合のB書記長が債務者を厳しく注意していた。)(乙12)。 このような債権者の行為は懲戒処分に該当し,無視し得ないことから,訓戒処分としたのであって,正当な懲戒処分であることは論を待たない。 (キ) 懲戒処分後の事実債務者は,従来の給与規定及び退職金支給規定を新人事管理基本制度に基づく新賃金制度(退職金を含む)に沿った内容に条文化し改定した。さらに,就業規則本体も若干の改正を施し,平成13年12月から全社員に変更された就業規則等の内容を説明し,債権者を除く全社員の了承を得た。次いで,社員(労働者)を代表する者としてYが選ばれたので,債務者は,同人の同意の意見書を徴収の上,平成14年1月24日,所轄の労働基準監督署に変更された就業規則を届け出た(乙9)。 平成14年2月1日,J課長は同月以降の具体的な営業計画書を同月10日までに提出するよう債権者に指示したが(乙6),債権者はその後の再三にわたる催促に対しても履行しなかったので,同月27日,同課長は同年3月5日までの提出を命 同月以降の具体的な営業計画書を同月10日までに提出するよう債権者に指示したが(乙6),債権者はその後の再三にわたる催促に対しても履行しなかったので,同月27日,同課長は同年3月5日までの提出を命じた(乙7)。ところが,債権者は,同月8日,債務者の方針の説明,検討及び会議の設定が先になされることが絶対条件であるとの回答を文書でなし,同課長の指示命令を拒否した(乙8)。その後も同様に,同課長の督促に応じなかった(乙13)。 平成14年3月8日,J課長が,あらかじめ説明しておいた新商品の販売資料,発表会の企画書等を名古屋事務所に取りに行くよう債権者に連絡したが,債権者がそれらを取りに行ったのは,10日もたってからであった。4月の新製品発表会には,債権者の担当店からの出席は皆無であった(乙12)。 平成14年4月18日,Q部長から債権者に対し,同月19日岐阜の得意先に行くので,岐阜に来るよう連絡したところ,債権者は,当日岐阜には行くが方向が違うと言って,会うことを拒否した(平成13年3月にも,同部長の大阪出張に合わせて大阪事務所への出張を指示したが,訪店予定を理由に断ってきたことがあった。)(乙12)。 (ク) 就業規則債務者の就業規則(変更後)には解雇事由は次のとおり定められている。 「第19条従業員が,次の各号の一に該当するときは,解雇することがある。 但し,懲戒により解雇するときは,(懲戒)に定めるところによる。 (1) 精神又は身体の障害により,勤務に耐えられないとき。 (2) 勤務成績が不良で,勤務に適さないと認められるとき。 (3) やむを得ない業務上の都合によるとき。 (4) その他やむを得ない事由があるとき。」なお,この点について,現行の就業規則は旧就業規則と条項番号も含め内容は同一である(ただし,旧規則では2号が「勤務に適 むを得ない業務上の都合によるとき。 (4) その他やむを得ない事由があるとき。」なお,この点について,現行の就業規則は旧就業規則と条項番号も含め内容は同一である(ただし,旧規則では2号が「勤務に適さないとき。」となっている。)。 ほかに服務規律,懲戒の条項も,少なくとも本件を論議する範囲内では条項番号も含め内容に変更はない。 (ケ) 解雇の意思表示債務者は,平成14年6月3日,債権者に甲3の本件解雇通知書を示し,同年7月3日付けで解雇する旨の解雇の予告をなした。 その後,債務者は,本件解雇通知書を債権者に郵送し,同書は同年6月7日に債権者に到達した。 本件解雇通知書には,解雇理由が次のように記載されている。 「 当社は,下記に記述する貴殿の営業活動及び一連の言動,行為は当社就業規則第2条,第9条第1項第1号ないし第3号,第2項第1号,第11条第4号及び第12条第11号の服務規律に違反し,同規則第19条第2号ないし第4号の解雇事由に該当すると判断せざるを得ません。 そこで,同規則第20条の解雇予告に従って本日,本書をもって平成14年7月3日付をもって解雇する旨の予告をいたします。 記1. 勤務成績が不良で勤務に適さないと判断すること。 1)平成12年7月10日の団体交渉で目標売上高を設定した後の平成12年8月1日より本年5月31日までの1年10カ月でのA社員の新規店開拓実績が8店で同期間中の新規店に対する売上高が235,020円であり,同期間における総売上高実績が2,924,224円という著しい成績不良であること。 2)A社員の上司である営業部長,営業課長の指示・伝達を守り,営業成績を上げる努力を怠ったこと。 2. やむを得ない業務上の都合と判断すること。 1)異動を拒むA社員に対して,売上高が月額 あること。 2)A社員の上司である営業部長,営業課長の指示・伝達を守り,営業成績を上げる努力を怠ったこと。 2. やむを得ない業務上の都合と判断すること。 1)異動を拒むA社員に対して,売上高が月額平均で13万円にも満たない営業職として,同地・同職で,これ以上継続雇用出来る状況ではないこと。 2)A社員以外の全社員が同意している新人事管理基本制度及び就業規則の変更に不同意として,適用を拒むこと。 3. その他やむを得ない事由(服務規律違反)会社の方針を批判し,上司,同僚社員の誹謗・中傷を繰返すこと。」(コ) 本件解雇理由に該当する事実の存在a 勤務成績不良前述したように平成12年7月10日の団体交渉において,月額400万円の売上目標と新規開拓,取引停止店の掘り起こしが合意されたが,新規開拓の実績面では,同年8月から平成14年5月までの間(22か月)で8店(平成12年度2店,平成13年度6店で,同期間中の新規店に対する総売上高は23万5020円)であり,売上げの面では,同期間の総売上高が292万4224円(月平均13万3000円弱)である(乙26)。 月間400万円の目標に遠く及ばないばかりか,債権者に担当が変わる前の実績(月平均14万4000円,乙10)より低下している(債権者が引き継いだ既存店の前任者(複数)は,その他に愛知県内等の地域も担当していた。)。 なお,債権者を除く他の営業員の実績(一人当たりの平均)は,新規開拓では,平成12年度及び平成13年度で,それぞれ19店及び14店,年間売上高(新規分)では,同じ年度で,それぞれ161万円及び157万円である(乙26)。 そのうち,債権者と同様のエリア担当営業員(問屋を除く,小売店向けの販売店営業員)に限って,上記の期間について述べると,新規店開拓は平均20店,新規店売 61万円及び157万円である(乙26)。 そのうち,債権者と同様のエリア担当営業員(問屋を除く,小売店向けの販売店営業員)に限って,上記の期間について述べると,新規店開拓は平均20店,新規店売上高は平均234万円,既存店との合計売上高は平均9467万円となっている(乙34)。 債権者の前記の勤務成績が著しく不良であることは何人も否定し得ないところであり,債権者はベテランの営業マンであることからみて,殊更努力を怠ったというほかなく,職務専念義務にも違反している。 したがって,債権者は,勤務成績が不良で,勤務に適さないと認められるので,就業規則19条2号の解雇事由に該当する。 b やむを得ない業務上の都合就業規則では,「やむを得ない業務上の都合によるとき」を解雇事由としている(19条3号)。 同事由は,経営不振等の会社側の客観的事情のみならず,労働者側の服務規律違反など労働者側に生じた事由により,業務の遂行上支障が生じ,職場の規律を維持し,業務の円滑な遂行を図る上で労働者を解雇することがやむを得ないと認められる場合も含むものである。 前記のように,債権者は,上司であるQ部長及びJ課長の業務上の指示を守らず,必要な報告を怠った(就業規則11条4号の服務規律違反)。 さらに,前記のように,債権者は,債務者の経営方針,とりわけ営業政策について,ことあるごとに債務者の方針,戦略がないなどと非難し(乙13,29),債務者を中傷,誹謗したほか,上司の職位を否定するような言動をなし,上司,同僚の誹謗,中傷を繰り返した(就業規則12条11号の服務規律違反)。 債権者のそうした態度に対し,同僚からも苦情が出,職場の秩序の面において悪影響が出ていて,厳しい経営環境の中で懸命に働いている社員の士気にもかかわる事態となっている。 債務者 務規律違反)。 債権者のそうした態度に対し,同僚からも苦情が出,職場の秩序の面において悪影響が出ていて,厳しい経営環境の中で懸命に働いている社員の士気にもかかわる事態となっている。 債務者は,決算上は赤字には陥っていないものの,年間売上高を超える銀行借入金を抱えて,依然,資金繰りの逼迫した状況が続き,人員削減等で黒字を維持しているが,債権者のような売上成績しか達成し得ない営業員の雇用を継続できる状況にはない。 しかも,新人事管理基本制度(賃金制度も含む)の導入及び就業規則の変更には債権者を除く社員が同意しているのに,債権者のみその適用を拒むことは,労働条件の統一的,画一的処理の必要性の面で問題をはらんでいる。 よって,債権者には,やむを得ない業務上の都合があることは明らかである。 c その他やむを得ない事由仮に,上記の事実が「やむを得ない業務上の都合によるとき」に該当しないとしても,「その他やむを得ない事由があるとき」(就業規則19条4号)に該当する。 (サ) 債権者の主張に対する反論a 売上目標,担当エリア,営業努力について債権者は,平成12年7月10日の団体交渉において,月額400万円の売上目標の設定及び担当エリアが決定されたことを否認する。 しかし,同日,400万円の数字が出されたきっかけは,組合側から債務者営業員の平均的な売上高の質問があって,債務者側はそれに答えたのであって,債務者から積極的に目標額として提示したものではない。月間400万円の売上目標が設定されたことは,その旨がC部長から債権者あての文書(甲20,乙20)に記載されており,しかも,当該金額について,本件係争に至るまで,債権者から異議の申出や反論がなされたことはなかった。当該金額は,C部長から債権者あての平成12年12月13日付け文書(甲18 20)に記載されており,しかも,当該金額について,本件係争に至るまで,債権者から異議の申出や反論がなされたことはなかった。当該金額は,C部長から債権者あての平成12年12月13日付け文書(甲18)にも明示されているものである。 担当エリアにしても,当日明確に岐阜・三重に限定した形で出てきたわけではないが,債権者の住居地,家族構成,従来の勤務履歴に照らし,中京地区を担当エリアとすることは,両者で当然の前提となっていたものである。その前提を踏まえ,債務者は,当初東濃地区を指定し,後に岐阜・三重に変更したが,いずれも中京地区内であり,何ら上記の前提を逸脱するものではない。 債権者は,労使間の合意書面のないことを理由に前記の合意の存在を否定するが,この理でいけば,退職勧奨の撤回を記した書面は存しないので,債権者の主張する団体交渉の場での退職勧奨撤回の事実があやしくなってしまう。なお,債務者は,後に前記団体交渉の経過を記載した書面を組合側に送付しておいた(乙19)。 債権者は,営業先が広い地域に散在していて地理的に困難なエリアであると主張する。 しかし,もともと既存店が27店と少数であるから,散在することはやむを得ないことであり,言い訳にはならない。債権者より広いエリアを任されている社員はほかにもいるし(乙11),債権者の住居との関係で三重・岐阜が不利とも思えない(債権者は以前三重を担当していたことがある。)。 次いで,債権者は,担当エリアの不利な事情として,年間売上げが10万円を超える店舗が少ないことを挙げている。 しかしながら,債務者の売上構成を見てみると,年間取引高が60万円以下(月間5万円以下)の店数が圧倒的に多く,しかも,売上げの比率も20パーセントを占めているのが現状である(乙22)。知名度の低い債務者は,集客力の強い大都 上構成を見てみると,年間取引高が60万円以下(月間5万円以下)の店数が圧倒的に多く,しかも,売上げの比率も20パーセントを占めているのが現状である(乙22)。知名度の低い債務者は,集客力の強い大都市の小売店への売上げが高いわけではなく,小都市での零細な取引先が比較的上位の売上げを占めていて,そのような取引先を重視するのが債務者の営業政策なのである。債務者の得意先は,上位5社程度は代理店が占めるものの,それ以下の得意先は個人経営,しかも債務者の専売店がかなりの数を占めていること(乙35)が表しているように,地方の零細な小売店がおろそかにされてはならないのである。 担当エリアが規模の大きい店舗が少ない地域だとしても,新規開拓で成果があれば,それなりの評価は可能であり(以前,開拓で能力を発揮した実績がある。),債権者は意図的にその成果を示さなかったのである。債権者は,8店舗を新規開拓したというが,22か月間の取引総額が23万円余では低額というほかない。 債務者の都道府県別の売上高と人口の各比率を考察してみると,東京都(問屋,代理店への売上げが一括して東京分に計上される。)と債務者の本店所在地である岡山県は別として,両者の比率はおおむね似かよっている(乙23)。ちなみに,岐阜県は,人口比率が1.7パーセントなのに対して,債務者の売上率は1.6ないし1.5パーセントであり,三重県は,人口比率が1.5パーセントなのに対して,売上率は1.0ないし0.9パーセントである。岐阜・三重の2年間の平均月間売上高は334万円であるが,その間の全国平均の月間売上高234万円を上回っている。これらの観点からも,岐阜・三重が不利なエリアとはいえないのである。 債権者は,平成12年7月21日の「営業活動について」と題する書面(甲17)には,既存店の営業担当を含む 4万円を上回っている。これらの観点からも,岐阜・三重が不利なエリアとはいえないのである。 債権者は,平成12年7月21日の「営業活動について」と題する書面(甲17)には,既存店の営業担当を含む営業担当指示はないと主張する。しかし,仮に,上記の業務指示に三重・岐阜の既存店営業担当の指示が含まれていなかったとしても,債権者の成績が不良であったことに変わりはない。すなわち,平成13年3月から平成14年5月までの1年3か月間の債権者の売上高は202万8660円(月平均13万5000円弱)で,そのうち新規開拓店は8店で,その売上高は23万5020円であって(乙26),平成12年8月から平成13年2月までの間を除外しても大勢に変化はない。 債権者は,債権者の担当エリアの指示は,売上げの高い店舗を他の社員に担当させているなどの理由で,差別,嫌がらせであると主張する。しかし,債権者に与えられた業務内容は,三重・岐阜エリアで新規店開拓を中心に売上げを構築することであって,他の営業員とは相違するところがあった。営業員の役割や能力等によって店舗の配分が異なることは当然のことであり,何ら差別ではない。 なお,債務者において指示した担当エリア及び業務内容の決定には,次のような経緯があった。すなわち,債務者が,営業2部の解体に伴い,債権者に退職を勧奨したのは,債権者に適した仕事が社内で見いだせなかったためであったが,債権者が強く雇用の維持を希望したので,債務者は仕事を与えるについて腐心することになった。債権者は,従来から家庭の状況もあってか,中部地区への配属を求めていたところであり,一方では中部営業所所属の社員は債権者と同じ職場になることを嫌っていた事情も考慮して,担当エリアを決定した(営業職から他の職種への変更,生活の本拠の移動を伴う転勤は考えられなかっ いたところであり,一方では中部営業所所属の社員は債権者と同じ職場になることを嫌っていた事情も考慮して,担当エリアを決定した(営業職から他の職種への変更,生活の本拠の移動を伴う転勤は考えられなかった。)。したがって,指示された業務等が他の営業員と相違するところが生じても,やむを得なかったというほかない。 債権者は,新規開拓店実績の面においても,他の従業員と遜色がない趣旨を力説する。しかし,債権者の業務の力点が新規開拓にあり,しかも割り当てられた既存店数も比較的少なく,新規開拓に営業活動を傾注できるのであるから,他の営業員とは単純に比較できない。債権者の営業日報によると,債権者の平成13年3月から平成14年5月までの未取引店の訪問回数は1日平均1.1店で,しかも平成13年6月から未取引店への再訪問を繰り返し(訪問回数を増やせばよいというものではなく,結論は早期に見いだせるはずである。),その成果から見ても,体裁を繕っていたとしか思えない活動状況であって,営業努力を怠ることはなかったとは到底言い得ないのである。 b 「排除」について債権者は,債務者は業務連絡せず,営業会議にも出席させず,業務の指示伝達系統から排除していると言う。 しかしながら,基本的には,債権者のような営業職にある者には,必ずしも営業会議への参加が必要ではないので,参加を要請しなかったにすぎない。債権者と同種の営業員は他にもいるが,それらを集めて会議をすることはない。 債務者が営業に関する指示伝達を怠った事実はなく,むしろ債権者がそれを無視したのである。 c 営業努力の懈怠,上司の指示伝達,意見具申について債権者は,営業努力を怠らなかったと主張し,上司の指示伝達を守らなかった点も否定し,若しくは債務者の営業戦略,営業計画の不備等を理由に抗弁する。 しかし,債権者は, ,上司の指示伝達,意見具申について債権者は,営業努力を怠らなかったと主張し,上司の指示伝達を守らなかった点も否定し,若しくは債務者の営業戦略,営業計画の不備等を理由に抗弁する。 しかし,債権者は,Q部長及びJ課長が現在の職位に就いた平成11年1月ころから,その職位を認めようとせず,一貫して反抗的な態度をとり続けてきた。おそらく,Q部長は債権者より勤続年数が少ない中途採用者であり,J課長は年若で営業の経歴が債権者より短いことが理由かと推測される。Q部長に対しては,平成13年1月30日の会議で侮辱的な態度を示したほか,同年3月14日の会合でも同人を営業部長と認めないなどと発言し,同様の態度をとった。 債権者は,同日の発言は組合員としての発言であって,営業部長の責任を問うのは問題がないかのごとく主張するが,そもそも部長職を否定するような経営幹部の人事にかかわることは団体交渉事項には当たらないし,団体交渉の場とはいえ,上司を誹謗,中傷することが許されるはずがない。ちなみに,債権者は,当日は終日営業に従事したとの就業報告を債務者になし,債務者も賃金カットはしなかった。 そのほか,Q部長の出張の際,面談のため出張先に来るよう要請したにもかかわらず,理由を設けて2度にわたり拒否して,同部長との接触を忌避した(乙12)。 なお,同部長名による営業計画書提出の指示を明白に拒否したことは既に述べたとおりである。 債権者は,常日ごろから自己のキャリア,営業経験を誇示し,強い自負心を抱いていて,J課長に対しては,その就任時から債権者の方が経験があり,能力も上であることを公言してはばからなかった。同課長に対する債権者の姿勢は,本件解雇後のことではあるが,平成14年4月5日,債権者と組合関係者らが債務者本社に抗議に来た際,債権者が,J課長を認めるやいなや,「あそこにい 言してはばからなかった。同課長に対する債権者の姿勢は,本件解雇後のことではあるが,平成14年4月5日,債権者と組合関係者らが債務者本社に抗議に来た際,債権者が,J課長を認めるやいなや,「あそこにいる連中が会社の状況を悪くしているのだ。私の方が能力は数段上なのだ。」とまくし立て,同課長らを嘲笑したことに象徴的に表れているといえよう。 それに加え,些事に属することかもしれないが,日ごろ債権者は読みやすい字による報告を求められたにもかかわらず,最後まで改めることなく,営業日報に見られるように読みづらい崩し字を多用してきた。 債権者は,営業計画書の提出よりも,営業会議の開催とその場での債務者としての営業戦略,営業計画の策定が先決という。 しかし,前述したように,債務者にとって地方の小規模店舗も主要な得意先であり,それを拡大,増強することが重要な営業政策であり,債務者がベテランの営業マンである債権者に求めたのは,既存店の取扱商品の増大と新規店の開拓であった。そして,その具体的方法,提案を考え,営業計画書として提出するよう指示したのであった。その計画を立案するについて,改めて会議する必要はなく,会議の不開催等を口実に上司の指示命令を無視し,勤務態度の不良と営業努力の懈怠を招いたのである。 債権者は,債務者が,市場動向の把握,売上増加のための取り組みの計画策定のための会議をするなどして,営業戦略,営業計画の方向性を明らかにする必要があるのに,それを怠ったとか,三重・岐阜の下級店のクラスアップ計画の立案,実行は,営業会議なくしては不可能であるなどと主張を重ねている。 かかる主張,言動は,債権者が終始とり続けたもので,営業努力を懈怠したこと,あるいは,上司の指示命令を無視するための口実にすぎず,自己の営業成績の不良の責任を債務者に転嫁しようとするものである る。 かかる主張,言動は,債権者が終始とり続けたもので,営業努力を懈怠したこと,あるいは,上司の指示命令を無視するための口実にすぎず,自己の営業成績の不良の責任を債務者に転嫁しようとするものである。債権者は,債務者から具体的な計画,実施方法を求められると,「自分は指示を受けて営業現場で働くのが仕事だ。」と逃げを打つのが常であったし(乙14の4頁⑤,⑥),債務者や上司,同僚を批判,誹謗する場合も,何ら具体的,建設的な提案,意見が示されることもなかった(乙14の14頁③,乙28,29)。債権者はベテランの営業マンなのであるから(相当の自負心を持っていたはずである。),債務者において,それに見合った営業計画の策定及び営業成績の達成を期待したことは当然であり,債権者は殊更その期待を裏切ったというほかない。 債権者は,営業に関する意見を具申し,営業に努力していると言う。 しかし,債権者のなす意見具申は,常に抽象的で具体的内容に欠けるもので,債務者が具体的施策を求めると,債権者は,会議で決めるものだと言い逃れをし,債務者に責任を転嫁するのが常である。 (シ) 解雇権の濫用について債権者は,本件解雇は,債権者を不当に排除しようとの意図に基づくこと,新人事管理基本制度とこれに伴う賃金制度の導入に対する不同意及び未払本訴提起に対する報復であるから,解雇権の濫用に当たり無効であると主張する。 しかしながら,債務者には,もとよりそのような意図はなく,前記理由により,真にやむを得ない事情で解雇に至ったもので,権利の濫用には該当せず,本件解雇に合理性があり,有効である。 以下,債権者が指摘する主要な事実に対し反論する。 a 退職強要について退職を勧奨したことはあるが,債務者は,債権者の不同意の意思が明示されるや,直ちに撤回した。債権者は,物事を殊更誇 である。 以下,債権者が指摘する主要な事実に対し反論する。 a 退職強要について退職を勧奨したことはあるが,債務者は,債権者の不同意の意思が明示されるや,直ちに撤回した。債権者は,物事を殊更誇張し,自己に有利に描いたストーリーに当てはめようとしている。 b 新人事管理基本制度の導入について未払本訴で主張しているように,新人事管理基本制度(賃金制度を含む)は有効で,債権者にも適用されるべきである。 c 「嫌がらせ」について平成12年7月21日付けの「営業活動について」と題する書面は,団体交渉での合意事項を確認の意味も含め,債権者に通知したにすぎず,「嫌がらせ」の意図では毛頭ない。その後の書面も,債権者との会議や電話でのやり取りを経た上で交付したものであり,債務者から,いきなり文書を送りつけるようなことはしていない。債権者は,懲戒処分を受けた後も,このような文書による業務指示に対して,まともに応ずることはなかったのである。債権者のこのような自らの非を棚に上げて,債務者を一方的に加害者と決めつける態度こそ問題である。 d 懲戒処分について債権者は,懲戒事由に該当する事実の存在をも否定し,懲戒処分の無効を未払本訴でも主張しているが,それ以前には債権者及び組合から処分自体が無効との指摘が間接的にもなされたことはなかった。ただ,組合の方から,「懲戒処分は会社の判断でされたことで組合が撤回を言うものではないが,始末書の提出は,撤回してほしい。」との申入れがあった。債務者は,文書での申入れがあれば始末書の提出を猶予すると回答し,いったんは組合は応諾しながら,その後請求しても実行してこなかったため,そのままとなっている。 e 未払本訴及び争点との関係について未払本訴の争点は,新人事管理基本制度(賃金制度)の合理性及び新就業規則の効 は応諾しながら,その後請求しても実行してこなかったため,そのままとなっている。 e 未払本訴及び争点との関係について未払本訴の争点は,新人事管理基本制度(賃金制度)の合理性及び新就業規則の効力であり,背景事情としてはともかく,本件解雇事由を直接争点とするものではない。本件解雇に至った原因は,債権者の主張するような訴訟提起に対する報復などといったものではなく,債権者の勤務成績,態度が劣悪で,社員間でも苦情が起こり,しかも,依然として上司の業務指示を無規する反抗的姿勢が続き,社内では企業秩序及び規律の面で看過し得ない状況に至ったことにある。加えて,債権者のような営業成績しか達成し得ない社員に,比較的高給を支給する事情にはない厳しい経営面の要因もあって,債権者を解雇するに至ったのであるから,何ら解雇権の濫用に及ぶ理由は存しないのである。 f 40代の元従業員の例及びX常務の発言について債権者は,解雇権濫用の主張の結論部分において,40代の元従業員の例及びX常務の発言に言及している。 しかし,元従業員の退職経過及び精神疾患の原因は明らかに事実と相違するし,指摘のようなX常務の発言も全くなかった(乙39)。 債権者こそ,事実を歪曲し,意図的に自己に有利なストーリーを展開しようとしている。 (2) 争点②(債権者の賃金額は幾らか)についてア債権者の主張(ア) 債権者の賃金額債務者における債権者の毎月の賃金総支給額は42万9600円であり(甲15の1ないし12),債務者における賃金支払日は,毎月末日である(甲2)。 (イ) 新人事管理基本制度に伴う賃金制度の無効なお,前述のとおり,平成13年7月支給分以降,債務者は債権者の賃金総支給額を37万5800円に減額した(甲2,16)が,上記減額について,債権者の同意はなく(甲14),就業 に伴う賃金制度の無効なお,前述のとおり,平成13年7月支給分以降,債務者は債権者の賃金総支給額を37万5800円に減額した(甲2,16)が,上記減額について,債権者の同意はなく(甲14),就業規則変更の形式がとられはしても,就業規則としての効力発生は認められず,不合理な変更であって債権者に対する効力は認められない(甲2,27ないし43)。 (ウ) 結論したがって,債権者は,平成14年7月以降も毎月末日限り42万9600円の賃金請求権を失わない。 イ債務者の主張42万9600円から37万5800円への賃金減額は正当である。 (3) 争点③(保全の必要性があるか)についてア債権者の主張(ア) 地位保全の必要性債権者は,本件解雇により従業員の地位を否定され,就労機会を奪われたことにより,多大の精神的苦痛を被っている(甲2)。 債権者は,昭和20年5月9日生まれで,定年退職の予定は,平成17年5月31日である。債権者は,債務者における営業業務への従事において,自らの能力を開拓し,これを生きがいとしてきた。債権者は,甲62に見られるような,精一杯の営業活動を展開する中で能力を開拓し,生きがいを感じてきたのである。定年間近の労働者である債権者にとって,仕事への従事の価値を軽視することはできないのであって,本訴による確定を待つことは,貴重な労働への従事がいたずらに遅れる結果とならざるを得ない。最悪の場合,債権者は,定年までの最後の期間は,裁判闘争をしていただけで仕事ができなかったということになり,就労の機会は生涯失われる。その精神的苦痛は回復し難い。 また,将来の疾病その他の事故の生じることは当然予想されることであり,債権者の健康保険の被保険者資格を否定されることは,著しい不利益である(甲2)。 以上の事情は,債権者の地位保全の は回復し難い。 また,将来の疾病その他の事故の生じることは当然予想されることであり,債権者の健康保険の被保険者資格を否定されることは,著しい不利益である(甲2)。 以上の事情は,債権者の地位保全の必要性の高さを判断するに当たって,最大限考慮されるべきであり,労働契約上の地位保全の必要性がある。 (イ) 賃金仮払の必要性(a) 債権者は,債務者からの賃金によって生活しており,毎月の賃金支払がなければ日々の生活に支障を来すことが明らかである(甲2)。 債権者は,現在,住所地において,妻,18歳と16歳の子供二人,85歳の実母と一緒に暮らしており,債権者の収入によって,子供の学費,実母の介護費用も賄われている(甲2)。 したがって,賃金仮払の必要性がある。 (b) この点,債務者は,債権者の妻に平成9年度に240万円の不動産所得(賃貸料収入)のあったこと,債権者が退職金の送金を受けていることを主張し,保全の必要性において考慮されるべき等と主張する。 (c) 債権者の妻に上記のような不動産所得があること,債権者が退職金の送金を受けていることは認める。また,債権者の妻には,不定期で,救急病院のパート,花屋のアルバイト収入合計120万円余りもあることも事実である。 しかし,これらの事実が保全の必要性において考慮されるべきであるという主張に対しては強く争う。このようなことが考慮されては断じてならない。 現実に,債権者は,平成13年6月ころ,実母を引き取ってバリアフリーを設置した離れを建築し,貯蓄がない状態であり,債権者の妻も債権者の母の介護に従事しなければならない状態にもなっている。また,債権者の長男が音楽専門学校に在学して月10万円以上の授業料の負担を余儀なくされている現状にある。したがって,債権者について,実際に賃金仮払の必要性は極めて高い ればならない状態にもなっている。また,債権者の長男が音楽専門学校に在学して月10万円以上の授業料の負担を余儀なくされている現状にある。したがって,債権者について,実際に賃金仮払の必要性は極めて高い。 そもそも,債権者は,債務者の理不尽な違法不当な解雇により,賃金全額の収入が喪失しているのであり,その結果,家計の予測も大幅な見込み違いを覚悟しなければならないのである。妻に収入があって一般的には生活できるのではないかと思われがちであるが,そのような発想は誤りである。なぜ,債権者が,理不尽な解雇により妻の収入だけに頼る生活を長期間甘受しなければならないのであろうか。 そのような必要は本来ないはずである。このような仮処分の必要性を考慮すれば,仮払賃金額は,全収入額というべきであり,また当然のことながら,仮払の期間は本案判決確定に至るまでというべきである。  また,債務者は,債権者に退職金318万3300円を送金したことを賃金仮払の必要性がないことの事情として挙げるが,解雇による退職金の支払で賃金仮払の必要性が欠如することはあり得ない。債権者としては,上記送金額は,平成14年7月以降の賃金に充当する旨,明確にしておく。 イ債務者の主張(ア) 仮に,仮処分が認容されるとしても,債権者は,平成13年7月分から37万5800円の賃金の支給を受け,以来約1年が経過し,その間生活を維持していることにかんがみると,減額前の賃金額の仮払の必要性はない。 (イ) 債権者は兼業農家であり,農業収入もあるはずである。 債権者の妻は,債権者の扶養家族となっておらず(母親も同様である。),給与所得のほか,継続的に不動産所得(平成9年度で240万円,乙32)がある。 債権者の息子も,就職したためか,扶養親族に該当しなくなった(乙36)。 (ウ) 債務者は,債権者に対 親も同様である。),給与所得のほか,継続的に不動産所得(平成9年度で240万円,乙32)がある。 債権者の息子も,就職したためか,扶養親族に該当しなくなった(乙36)。 (ウ) 債務者は,債権者に対し,退職金として,622万7600円を支給することになるところ(乙37),そのうち318万3300円を平成14年7月30日に債権者に送金したが,中小企業退職金共済事業団分70万5000円と企業適格年金分233万9300円については,債権者がその受領を拒否している。 (エ) 上記(ア)ないし(ウ)の事情を考慮の上,仮払額が決定されるべきである。 なお,仮払の終期は第1審判決言渡しまでとされるべきである。 第3 争点に対する判断 1 争点①(本件解雇は無効か)について(1) 前記争いのない事実に後掲疎明資料を総合すれば,以下のとおりの事実を一応認めることができる。 ア本件解雇の意思表示債務者は,平成14年6月3日,債権者に対し,本件解雇通知書(甲3)を示して,同年7月3日付けで解雇する旨の本件解雇の予告をなした。債権者は,本件解雇通知書の受領を拒否したところ,同年6月7日,債権者宅に送付されてきた(甲2)。 本件解雇通知書には,解雇理由として以下のとおり,記載されていた。 「 当社は,下記に記述する貴殿の営業活動及び一連の言動,行為は当社就業規則第2条,第9条第1項第1号ないし第3号,第2項第1号,第11条第4号及び第12条第11号の服務規律に違反し,同規則第19条第2号ないし第4号の解雇事由に該当すると判断せざるを得ません。 そこで,同規則第20条の解雇予告に従って本日,本書をもって平成14年7月3日付をもって解雇する旨の予告をいたします。 記1. 勤務成績が不良で勤務に適さないと判断すること。 1)平成 条の解雇予告に従って本日,本書をもって平成14年7月3日付をもって解雇する旨の予告をいたします。 記1. 勤務成績が不良で勤務に適さないと判断すること。 1)平成12年7月10日の団体交渉で目標売上高を設定した後の平成12年8月1日より本年5月31日までの1年10カ月でのA社員の新規店開拓実績が8店で同期間中の新規店に対する売上高が235,020円であり,同期間における総売上高実績が2,924,224円という著しい成績不良であること。 2)A社員の上司である営業部長,営業課長の指示・伝達を守り,営業成績を上げる努力を怠ったこと。 2. やむを得ない業務上の都合と判断すること。 1)異動を拒むA社員に対して,売上高が月額平均で13万円にも満たない営業職として,同地・同職で,これ以上継続雇用出来る状況ではないこと。 2)A社員以外の全社員が同意している新人事管理基本制度及び就業規則の変更に不同意として,適用を拒むこと。 3. その他やむを得ない事由(服務規律違反)会社の方針を批判し,上司,同僚社員の誹謗・中傷を繰返すこと。」イ就業規則の定め本件解雇通知書が引用する債務者の就業規則(平成14年1月24日に変更の届出がされたもの。乙9の3)の2条,9条1項1号ないし3号,2項1号,11条4号及び12条11号,19条2号ないし4号は,以下のとおり規定している。 「第 2 条会社及び従業員は,この規則を遵守し,相共に協力して社業の発展に努めなければならない。」「第 9 条従業員は,次の事項を守らなければならない。 (1) この規則及びその他の会社の諸規定並びに指示・通達を守り,会社の組織を尊重し,社業の発展に努める。 (2) 自己の業務に専念し,誠実にこれを遂行する。 (3) 会社従業員としての自覚を持ち,常 (1) この規則及びその他の会社の諸規定並びに指示・通達を守り,会社の組織を尊重し,社業の発展に努める。 (2) 自己の業務に専念し,誠実にこれを遂行する。 (3) 会社従業員としての自覚を持ち,常に体面を保持するとともに,不正不義の行為を行わない。 2. 従業員及び所属長は,相互に次の事項を守らなければならない。 (1) 従業員は,所属長の指揮に従い,職場の秩序を維持する。」「第11条従業員は,業務遂行に当たり,次の事項を守らなければならない。 (4) 所属長の指示・命令を守り,業務は責任をもって正確・迅速になすとともに,必要事項は報告又は申し送りすること。」「第12条従業員は,次の事項を守らなければならない。 (11) 会社又は会社に属する個人を中傷・誹謗したり,その名誉・信用を傷つけないこと。」「第19条従業員が,次の各号の一に該当するときは,解雇することがある。但し,懲戒により解雇するときは,(懲戒)に定めるところによる。 (2) 勤務成績が不良で,勤務に適さないと認められるとき。 (3) やむを得ない業務上の都合によるとき。 (4) その他やむを得ない事由があるとき。」ウ本件解雇通知書に記載の解雇理由の存否について(ア) 「1. 勤務成績が不良で勤務に適さないと判断すること。」のうちの「1)平成12年7月10日の団体交渉で目標売上高を設定した後の平成12年8月1日より本年5月31日までの1年10カ月でのA社員の新規店開拓実績が8店で同期間中の新規店に対する売上高が235,020円であり,同期間における総売上高実績が2,924,224円という著しい成績不良であること。」についてa 債務者は,平成12年7月10日の団体交渉において,月額400万円の売上目標と新規開拓,取引停止店の掘り起こしが合意されたものであり,月間40 ,224円という著しい成績不良であること。」についてa 債務者は,平成12年7月10日の団体交渉において,月額400万円の売上目標と新規開拓,取引停止店の掘り起こしが合意されたものであり,月間400万円の売上目標が設定されたことは,その旨がC部長から債権者あての文書(甲20,乙20)に記載されており,しかも,当該金額について,本件係争に至るまで,債権者から異議の申出や反論がなされたことはなく,当該金額は,C部長から債権者あての平成12年12月13日付け文書(甲18)にも明示されており,債務者は,後に前記団体交渉の経過を記載した書面を組合側に送付している(乙19)ところ,新規開拓の実績面では,同年8月から平成14年5月までの間(22か月)で8店(平成12年度2店,平成13年度6店で,同期間中の新規店に対する総売上高は23万5020円)であり,売上げの面では,同期間の総売上高が292万4224円(月平均13万3000円弱)であって(乙26),月間400万円の目標に遠く及ばないばかりか,債権者に担当が変わる前の実績(月平均14万4000円,乙10)より低下しているところ,債権者を除く他の営業員の実績(一人当たりの平均)は,新規開拓では,平成12年度及び平成13年度で,それぞれ19店及び14店,年間売上高(新規分)では,同じ年度で,それぞれ161万円及び157万円であり(乙26),そのうち,債権者と同様のエリア担当営業員に限って,上記の期間について述べると,新規店開拓は平均20店,新規店売上高は平均234万円,既存店との合計売上高は平均9467万円となっている(乙34)から,債権者の勤務成績が著しく不良であることは何人も否定し得ないところであり,債権者はベテランの営業マンであることからみて,殊更努力を怠ったというほかなく,職務専念義務にも となっている(乙34)から,債権者の勤務成績が著しく不良であることは何人も否定し得ないところであり,債権者はベテランの営業マンであることからみて,殊更努力を怠ったというほかなく,職務専念義務にも違反しているものであって,債権者は,勤務成績が不良で,勤務に適さないと認められるので,就業規則19条2号の解雇事由に該当する旨主張する。 b 平成12年7月10日の団体交渉において月間400万円の売上目標が設定された旨の債務者の主張に関しては,C部長から債権者あての平成13年2月1日文書(甲20,乙20)にその旨記載されていること,当該金額は,C部長から債権者あての平成12年12月13日付け文書(甲18)にも記載されていること,債務者が前記団体交渉の後にその経過を記載して組合側に送付した書面(乙19)にも,当該金額が記載されていることは,債務者が主張するとおりであり,乙12,14,30,38の各申述書には,債務者の主張に沿う記載がある。 しかし,債権者はこれを否定する陳述をし(甲53,58),前記団体交渉に立ち会ったB書記長もこれを否定する陳述をしている(甲59)。 ところで,甲17によれば,債務者の営業部から債権者に対し,平成12年7月21日付けの「営業活動について」と題する書面(甲17)が送られてきたが,そこには,それまで債権者が担当していた株式会社大山名古屋支店の管轄担当のほか,中部営業所エリア(東濃地区)の新規店開拓,取引停止店の取引再開,中部営業所エリア内における業務用オリーブオイルバジェステルによる新規取引先開拓が記載されていたが,三重・岐阜エリアの既存店の営業活動の指示はなかったことが,甲7の1,8の1によれば,債務者の営業部のQ部長から債権者に対し,平成13年2月14日付けの「営業活動について」と題する書面(甲7の1)が送られ 岐阜エリアの既存店の営業活動の指示はなかったことが,甲7の1,8の1によれば,債務者の営業部のQ部長から債権者に対し,平成13年2月14日付けの「営業活動について」と題する書面(甲7の1)が送られてきたが,そこには,「1.三重県,岐阜県内の新規店開拓計画立案,実行」,「2.三重県,岐阜県内の下級店クラスアップ計画立案,実行(別添え販売店リスト)」との記載があり,別添え販売店リストとして既存店のリスト(甲8の1)が添えられていたことが一応認められ,以上によれば,債権者が三重・岐阜エリア担当と具体的指示を受けたのは,平成13年2月14日の業務指示からであって,平成12年8月からではないと一応認めることができる。 そして,平成13年3月から三重・岐阜エリア担当となった債権者の営業成績をみると,乙26によれば,債権者が担当を命じられた三重・岐阜エリアの甲8の1記載の担当店舗の売上げは平均月額13万5244円であったものと一応認められるが,それ以前の担当者による平均月額も13万9036円にすぎないものと一応認められ,そうすると,債権者が月額400万円の売上目標を達成するには,それら既存店の売上げに加えて,新規店開拓によって月額380万円以上の売上げを上げなければならないことになる。しかるに,乙26によれば,平成12年6月から平成13年5月までの1年間の営業員一人当たりの新規店開拓による平均売上高は161万8768円であり,月額13万4897円にすぎないものと一応認められるから,平成12年7月10日当時において,新規店開拓によって月額380万円近い売上げを上げることを想定して,月間400万円の売上目標を設定するということは,到底合理的なものということはできない。 以上によれば,前掲疎明資料から,月間400万円の売上目標が設定された事実を一応認 げを上げることを想定して,月間400万円の売上目標を設定するということは,到底合理的なものということはできない。 以上によれば,前掲疎明資料から,月間400万円の売上目標が設定された事実を一応認めることは困難である。 c 債務者は,債権者の平成12年8月1日から平成14年5月31日までの22か月間の既存店関係の総売上高292万4224円をもって,著しい成績不良の理由の一つとする。 しかし,上記総売上高に基づく平均月額は13万2919円であり,前記のとおり,債権者が三重・岐阜エリア担当になったものと一応認められる平成13年3月以降の売上高の平均月額は13万5244円であって,これらの額をそれ以前の担当者による売上高の平均月額13万9036円と比較すると,売上げが若干低下していると一応認められるが,この程度の売上げ低下をもって著しい成績不良ということは困難である。 d 前記認定のとおり,債権者が三重・岐阜エリア担当となったのは平成13年3月以降と一応認められるところ,乙26によれば,それ以降平成14年5月31日までの間(15か月)の債権者の新規店開拓実績は,8店(平成13年5月31日まで2店,平成13年6月1日から平成14年5月31日まで6店),売上高は,平成13年5月31日まで5万2320円,平成13年6月1日から平成14年5月31日まで18万2700円の合計23万5020円であること,債権者を除く他の営業員の新規店の開拓実績(一人当たりの平均)は,平成12年6月1日から平成13年5月31日までが,19店,161万8768円,平成13年6月1日から平成14年5月31日までが,14店,157万1079円であることが,乙34によれば,債権者と同様のエリア担当営業員の平成12年6月1日から平成14年5月31日までの2年間の一人平均の新規 日から平成14年5月31日までが,14店,157万1079円であることが,乙34によれば,債権者と同様のエリア担当営業員の平成12年6月1日から平成14年5月31日までの2年間の一人平均の新規店開拓は20店,売上高は234万2000円であり,平成13年6月1日から平成14年5月31日までの間においては,一人平均の新規店開拓は7店,売上高は125万7000円であることが一応認められる。 ところで,乙34によれば,エリア担当営業員の平成13年6月1日から平成14年5月31日までの間の新規開拓店舗数について,債権者の実績である6店以下の者は17名中8名であると一応認められ,前記認定の一人平均7店からいっても,債権者の6店という実績が著しく低いものということはできない。 これに対し,前記認定の平成13年6月1日から平成14年5月31日までの間の債権者の新規店開拓の売上高18万2700円と,その間の他のエリア営業員の平均売上高125万7000円とを比較すると,結果としての債権者の売上高は相当低いといわざるを得ない。 しかし,乙34によれば,平成13年6月1日から平成14年5月31日までの間の新規店売上げについて,債権者の18万2700円の実績よりも低い者として,16万6000円,4万6000円の者がいるほか,債権者より多い場合であっても,29万円,38万8000円,35万9000円,52万2000円,54万3000円,59万4000円など,債権者に比べて極端に多いとはいえない者もいる。 そして,結果としての売上高は,営業努力と単純に比例するものとはいえず,担当するエリアの特質によるところが大きいといわざるを得ないところ,平成13年2月14日に債権者が三重・岐阜エリア担当を指示された際には,販売店リスト(甲8の1)を渡され,それらの既存店に対する ,担当するエリアの特質によるところが大きいといわざるを得ないところ,平成13年2月14日に債権者が三重・岐阜エリア担当を指示された際には,販売店リスト(甲8の1)を渡され,それらの既存店に対する営業をしながら新規店を開拓することを指示されているが(甲7の1),甲8の1によれば,債権者が指示を受けた既存店は,債権者が担当指示を受けた時点で,年間売上げが10万円以上の店舗は1店舗もないことが一応認められるのであり,これらの既存店の営業をしながら新規店の開拓をした場合,1店舗当たりの売上げについて,上記既存店に比較して極端に大幅な売上げを上げることを期待することは困難というべきであって,新規開拓店数に比べて,売上高が伸びないことはやむを得ない面があるといわざるを得ない。 乙15,30には,訪問店数からみて,債権者が新規店開拓の営業努力をしたとはいえない旨の記載があるが,前記のとおり,新規開拓の店数においては,債権者の6店という実績が著しく低いものということはできないのであって,訪問店数の多寡が売上高の低さに結びついているものということはできない。 以上によれば,結果としての新規開拓店の売上高から,債権者の勤務成績が,解雇事由に相当するほどの著しい成績不良に該当すると一応認めることは困難である。 (イ) 「1. 勤務成績が不良で勤務に適さないと判断すること。」のうちの「2)A社員の上司である営業部長,営業課長の指示・伝達を守り,営業成績を上げる努力を怠ったこと。」についてa 債務者は,債権者が債務者営業部の所属と決まった平成11年6月1日以降,債権者を交え,債権者の具体的な営業活動について会議を持ち,債権者から株式会社大山に対する営業対策の計画書の提出を受け,検討した上で実行責任者として認められる内容であれば,債権者を株式会社大山の営業責任者 を交え,債権者の具体的な営業活動について会議を持ち,債権者から株式会社大山に対する営業対策の計画書の提出を受け,検討した上で実行責任者として認められる内容であれば,債権者を株式会社大山の営業責任者に任命することとしたが,債権者の提出してきた販売計画書(乙5)は殴り書きで読みにくい上に,債権者の内容説明も不明確で,具体的な実施の話になると,「自分は指示を受けて営業現場で働くのが仕事だ。」と逃げる始末であり,計画書の再提出を命じたが,満足のいく計画書ではなく,責任者としての適格性に欠けることが明白となったものであり,平成12年7月10日の団体交渉において,債権者の月間の売上目標を400万円と設定し,それに伴い債権者は具体的目標計画を作成すること,営業活動の重点事項として,株式会社大山名古屋支店の営業,東濃地区の新規店開拓,同地区の取引停止店の取引再開等が取り決められ,それに基づき,債務者から文書(甲18,19)で再三指示されたにもかかわらず,計画案の提出,営業活動の結果報告を実行せず,これを遅延し,しかも,Q部長とJ課長の指示,命令により業務を遂行することが確認されているにもかかわらず,それを履行せず,さらに,平成14年2月1日,J課長が同月以降の具体的な営業計画書を同月10日までに提出するよう債権者に指示したが(乙6),債権者はその後の再三にわたる催促に対しても履行せず,同月27日,同課長は同年3月5日までの提出を命じた(乙7)が,債権者は,同月8日,債務者の方針の説明,検討及び会議の設定が先になされることが絶対条件であるとの回答を文書でなし,同課長の指示命令を拒否し(乙8),その後も同様に,同課長の督促に応じず(乙13),同年3月8日には,J課長が,あらかじめ説明しておいた新商品の販売資料,発表会の企画書等を名古屋事務所に取りに行 し,同課長の指示命令を拒否し(乙8),その後も同様に,同課長の督促に応じず(乙13),同年3月8日には,J課長が,あらかじめ説明しておいた新商品の販売資料,発表会の企画書等を名古屋事務所に取りに行くよう債権者に連絡したが,債権者がそれらを取りに行ったのは,10日もたってからであり,4月の新製品発表会には,債権者の担当店からの出席は皆無であり(乙12),同年4月18日には,Q部長から債権者に対し,同月19日に岐阜の得意先に行くので,岐阜に来るよう連絡したところ,債権者は,当日岐阜には行くが方向が違うと言って,会うことを拒否した(乙12)旨主張する。 b 平成12年7月21日付けの債務者営業部から債権者あての「営業活動について」と題する書面(甲17)には,「66期営業活動の重点事項をお知らせいたします。 1.株式会社大山名古屋支店の管轄担当 2.中部営業所エリア(東濃地区)の新規店開拓 3.中部営業所エリアの取引停止店の取引再開 4.中部営業所エリア内における業務用オリーブオイルバジェステルによる新規取引先開拓 ※新規開拓は既存店(別紙リスト)に留意してください。 ※取引停止店の取引再開については別紙リストに基づいて活動してください。」と,平成12年12月13日付けのC部長から債権者あての文書(甲18)には,「Aさんの売上目標を,月額400万円とし,具体的目標計画を作成し,営業活動を行うために,7月21日付で営業部より,66期営業活動の重点事項として,次の4項目の指示が出ています。1.大山名古屋支店の営業担当 2.中部営業エリアの東濃地区の新規店開拓(添付の既存店リストには留意) 3.中部営業所エリアの取引停止店の取引再開(添付のリスト店に基づいて活動) 4.中部営業所エリア内における業務用オリーブオイルバジェステルによる新規取引店開 開拓(添付の既存店リストには留意) 3.中部営業所エリアの取引停止店の取引再開(添付のリスト店に基づいて活動) 4.中部営業所エリア内における業務用オリーブオイルバジェステルによる新規取引店開拓この指示に対して,具体的な相談,計画案の連絡,実施報告がされていません。12月20日必着で,具体的に実施した結果報告をして下さい。」と記載されていた。 しかし,平成12年7月10日の団体交渉において,債権者の月間売上目標を400万円と設定する旨の合意がされたと一応認めることができないことは,前記認定のとおりであり,甲18にある「Aさんの売上目標を,月額400万円とし」との記載は,その前提を欠くものといわざるを得ない。 また,債権者は,債務者あてに,平成12年1月17日に「大山流通戦略的基本販売計画」(甲48)を,同年7月22日には「第66期大山流通販売計画」(甲49)を提出していたものであり,甲48には,株式会社大山について,65期までは,化粧品の一部しか取り扱われず,戦略的対応が欠落し,売上額が半減し,返品も倍増していたので,66期以降は,全面的,全量的な取扱商品とし,年数十億の売上げを目指すことを提案し(本文4枚目),株式会社大山への対応として,販売共同体制の構築としては,営業情報,活動の定期交換,商品開発への提案などをしつつ,株式会社大山の本,支店の業態担当責任者への直接営業のフォローなどを指摘し(本文5枚目),さらに,株式会社大山への販売サポート体制として,情報提供,企画提案,広告媒体等の項目について提案し(本文6枚目),今後3年間の売上高目標も記載し(本文9枚目),甲49には,第66期における株式会社大山に対する販売計画について,フローチャートの記載(2頁),投入商品の種類(3頁),投入商品別時系列売上計画(4頁),投入商品業態 目標も記載し(本文9枚目),甲49には,第66期における株式会社大山に対する販売計画について,フローチャートの記載(2頁),投入商品の種類(3頁),投入商品別時系列売上計画(4頁),投入商品業態別売上計画(5頁),取引条件の変更についての提案(6頁)などを記載していた。 この甲48の記載内容について,乙14のC部長の申述書には,「余りに内容がないもので,A社員に具体的な内容を聞くと「内容は会議で決めるもので自分が考えることではない」と言って,会議資料の作成もしないので会議を招集することも出来ませんでした。」との記載がある。しかし,甲48の記載内容が債務者の期待に沿うものではなかったとしても,その記載内容自体から,債権者が上司の指示・伝達を守り営業成績を上げる努力を怠ったものと直ちに一応認めることは困難であり,これが解雇事由に相当するほどの著しい成績不良に該当するものとたやすく一応認めることはできない。 また,甲49の記載内容についても,乙14のC部長の申述書には,「同年1月17日の「大山流通戦略的基本販売計画」と比較しても売上計画の売上額が追加された程度のものでした。」との記載があるが,甲58によれば,甲49は,66期が来てしまったため,すぐに実行できる現実的な計画を提案したものであり,商品をセットして販売するなどの企画を提案したものであって,甲48と49とでは前提も構想も違うものであり,売上計画の売上額が追加された程度のものではないと一応認めることができる。 したがって,甲18にある「この指示(平成12年7月21日付けの営業部からの66期営業活動の重点事項としての4項目の指示)に対して,具体的な相談,計画案の連絡,実施報告がされていません。」との記載のうち,具体的な相談,計画案の連絡がされていないとの点は,甲17の指示事項のうちの「 業活動の重点事項としての4項目の指示)に対して,具体的な相談,計画案の連絡,実施報告がされていません。」との記載のうち,具体的な相談,計画案の連絡がされていないとの点は,甲17の指示事項のうちの「1.株式会社大山名古屋支店の管轄担当」に関する限り,事実に相違する記載と一応認めることができる。 そして,甲17のその余の指示事項については,甲58によれば,営業会議をしないで具体的な計画案を作成することは不可能であるところ,債権者においてそれまでにも,会議を開催するなどして,営業戦略,営業計画の方向性を明らかにする必要があると述べていたが,債務者がこれにこたえようとしなかったことから,債権者においてその実行ができなかったものと一応認められる。 乙13には,売上構築の計画や商品提案については,営業会議を開催して事業計画や経営方針を決めなくてもできる旨の記載があるが,甲54には,「同業他社が支配している市場に切り込んで,新たに債務者の販売店を増やすには,より緻密かつ計画的に,本社営業部において債権者の仕事内容を日常的に点検し,よく相談して業務内容での売り込み方の工夫を具体化したり,売上状況を抜本的に改善できるようなバックアップがない場合には,非常に困難である」旨の記載があり,この記載に照らすと,乙13はたやすく採用することができない。 以上によれば,債権者が甲17,18の指示に違反したものと直ちに一応認めることはできず,その指示事項に関し,債権者に解雇事由に相当するほどの著しい成績不良があったものとたやすく一応認めることは困難である。 c 平成13年1月15日付けの債務者社長室から債権者あての文書(甲19)には,「昨年の7月21日に営業部からAさんへ営業活動の指示が出ていますが,それを実施した結果報告が何もされていないため,昨年12月末日までに(郵 5日付けの債務者社長室から債権者あての文書(甲19)には,「昨年の7月21日に営業部からAさんへ営業活動の指示が出ていますが,それを実施した結果報告が何もされていないため,昨年12月末日までに(郵便の遅れで12月20日までを12月末日までに報告するよう電話で伝えています)具体的に実施結果を報告するよう要請していましたが,報告されていません。以下,再々度の要請をします。1,1月22日までにQ営業部長に報告をしてください。 2,J営業課長と日程を打ち合わせのうえ,1月末日までには本社に出社して,今期の報告をし,今後の指示を受けてください。」と記載されていた。 そこで,債権者は,平成13年1月19日付けで,債務者あてに,「営業活動報告及び関連要求について」と題する書面(甲50)を送付し,営業結果報告についてはこの書面に記載し,営業計画については,改めて営業会議の開催を求めた。 ところで,前記認定のとおり,甲17の指示事項のうち,「1.株式会社大山名古屋支店の管轄担当」以外の指示事項については,営業会議をしないで具体的な計画案を作成することは不可能であり,債権者においてそれまでにも,会議を開催するなどして,営業戦略,営業計画の方向性を明らかにする必要があると述べていたが,債務者がこれにこたえようとしなかったことから,債権者においてその実行ができなかったものと一応認められるのであって,そうすると,債権者が債務者あてに甲50を送付したことによって,甲19による債務者の指示にこたえたものと一応認めることができ,その指示事項に関し,債権者に解雇事由に相当するほどの著しい成績不良があったものと直ちに一応認めることは困難である。 d その後,債務者営業部は,債権者あてに,平成14年2月1日付けの「2月10日までに計画書を本社宛お送りください。同封し 当するほどの著しい成績不良があったものと直ちに一応認めることは困難である。 d その後,債務者営業部は,債権者あてに,平成14年2月1日付けの「2月10日までに計画書を本社宛お送りください。同封しております6ヶ月営業計画書に作成して下さい。」などと記載した文書(乙6),平成14年2月27日付けの「「6ヶ月営業計画書」が提出期限の2月10日を過ぎても未提出です。電話では「会社の方針がないとできない。営業会議をしないとできない。」と主張されまいたが提出を拒む理由とは認められません。3月5日までに作成し提出をするよう再度指示します。期限までに標記計画書の提出ができない場合はその理由を3月8日までに提出してください。」などと記載した文書(乙7)を送付した。 これを受けて,債権者は,債務者営業部あてに,平成14年3月8日付けの「「売上げ計画」に就いて」と題する書面(乙8)を送付し,同書面において,売上計画を提出するには今期方針の説明及び検討会議の設定など諸前提をクリアすることが必要である旨主張した。 ところで,甲58によれば,6か月営業計画として記入するのは,債権者の場合は,甲8の1に記載の各店舗についての売上目標数値ということになるところ,甲8の1に記載の年間売上金額からいっても,これらの店舗の売上目標を想定するためには,債務者としてこうした店舗に対してどのような方針で活動を展開するかが明確でなければ,売上目標の想定は困難であることが一応認められる。そうすると,乙6,7の指示に対して,債権者が乙8の応答をしたことをもって,債権者に解雇事由に相当するほどの著しい成績不良があったものと直ちに一応認めることは困難である。 e 平成14年3月8日のJ課長からの連絡については,乙12には債務者の主張に沿う記載があるが,甲58によれば,債権者が,名古屋事務 の著しい成績不良があったものと直ちに一応認めることは困難である。 e 平成14年3月8日のJ課長からの連絡については,乙12には債務者の主張に沿う記載があるが,甲58によれば,債権者が,名古屋事務所の営業社員のMと話をした際,同人から新製品発表会のことを聞き,債権者の方からJ課長に電話を入れたところ,新製品発表会があるということを聞かされたので,債権者が新製品発表会の関連の資料を送るように頼み,名古屋事務所に送ってもらった資料を取りに行ったものであると一応認めることができ,新商品の販売資料,発表会の企画書等の受取について,債権者がJ課長の業務命令に違反したものと一応認めることは困難である。 また,同年4月の新製品発表会に債権者の担当店からの出席がなかったことについて,債権者が上司の指示・伝達を守り営業成績を上げる努力を怠ったことによるものと一応認めるに足りる疎明資料はない。 したがって,J課長の業務命令に関して,債権者に解雇事由に相当するほどの著しい成績不良があったものと直ちに一応認めることは困難である。 f 平成14年4月18日のQ部長からの連絡については,乙12には債務者の主張に沿う記載があるが,甲58によれば,債権者は,Q部長からの同月18日の電話で,翌19日に岐阜市に来られるかどうかを聞かれたが,営業のため他に回らねばならず,岐阜市には行けない旨回答したものと一応認められ,債権者がQ部長の業務命令に違反したものと一応認めることは困難である。 したがって,Q部長の業務命令に関して,債権者が上司の指示・伝達を守り営業成績を上げる努力を怠ったものということは困難であり,この点で債権者に解雇事由に相当するほどの著しい成績不良があったものと直ちに一応認めることは困難である。 g 債権者が営業努力を怠ったとの債務者の主張については 力を怠ったものということは困難であり,この点で債権者に解雇事由に相当するほどの著しい成績不良があったものと直ちに一応認めることは困難である。 g 債権者が営業努力を怠ったとの債務者の主張については,甲44の1ないし79,45の1ないし240,46の1ないし235,47の1ないし108,55,58によれば,債権者は,連日,担当エリアの店舗をこまめに営業活動に回っていたもので,売上げの低い店舗でも月に数回は訪店していたことが一応認められるのであって,債務者の主張はたやすく採用することができない。 (ウ) 「2.やむを得ない業務上の都合と判断すること。」のうちの「1)異動を拒むA社員に対して,売上高が月額平均で13万円にも満たない営業職として,同地・同職で,これ以上継続雇用出来る状況ではないこと。」についてa 債務者は,就業規則に定める「やむを得ない業務上の都合によるとき」との解雇事由は,経営不振等の会社側の客観的事情のみならず,労働者側の服務規律違反など労働者側に生じた事由により,業務の遂行上支障が生じ,職場の規律を維持し,業務の円滑な遂行を図る上で労働者を解雇することがやむを得ないと認められる場合も含むものであるが,債権者は,平成13年1月30日の会議においては,Q部長に対し,声を荒げ,机をたたきながらの威圧的な態度を示し,注意されてもこれを改めず,債務者の応接室において,在室中ずっとコートを着,しかもマスクを掛けたままの無礼な態度を続け,債務者側から注意を受け,さらに,同年2月19日には,J課長が株式会社大山の業務をE社員に引き継ぐよう指示した際には,「Eは能力がないので売上げが落ち,返品も発生する。」と言って同僚を誹謗,中傷するなどし,同年3月14日の会合においても,自己の非を省みることなく,債務者を非難し,上記と同様に,Q部長を 際には,「Eは能力がないので売上げが落ち,返品も発生する。」と言って同僚を誹謗,中傷するなどし,同年3月14日の会合においても,自己の非を省みることなく,債務者を非難し,上記と同様に,Q部長を営業部長として認めない,失格だなどと同人を侮辱する発言を繰り返し,上司の職位を否定するような言動をなしたものであって,以上のように,債権者は,上司であるQ部長及びJ課長の業務上の指示を守らず,必要な報告を怠り(就業規則11条4号の服務規律違反),さらに,債務者の経営方針,とりわけ営業政策について,ことあるごとに債務者の方針,戦略がないなどと非難し(乙13,29),債務者を中傷,誹謗したほか,上司の職位を否定するような言動をなし,上司,同僚の誹謗,中傷を繰り返した(同11条11号の服務規律違反)ものであり,債権者のそうした態度に対し,同僚からも苦情が出,職場の秩序の面において悪影響が出ていて,厳しい経営環境の中で懸命に働いている社員の士気にもかかわる事態となっているところ,債務者は,決算上は赤字には陥っていないものの,年間売上高を超える銀行借入金を抱えて,依然,資金繰りの逼迫した状況が続き,人員削減等で黒字を維持しており,債権者のような売上成績しか達成し得ない営業員の雇用を継続できる状況にはない旨主張する。 b 前記認定のとおり,債務者の就業規則19条本文は,「従業員が,次の各号の一に該当するときは,解雇することがある。但し,懲戒により解雇するときは,(懲戒)に定めるところによる。」と規定し,各号として,「(1)精神又は身体の障害により,勤務に耐えられないとき。(2)勤務成績が不良で,勤務に適さないと認められるとき。(3)やむを得ない業務上の都合によるとき。(4)その他やむを得ない事由があるとき。」と規定している。このように,同条は,労働者側に ないとき。(2)勤務成績が不良で,勤務に適さないと認められるとき。(3)やむを得ない業務上の都合によるとき。(4)その他やむを得ない事由があるとき。」と規定している。このように,同条は,労働者側に懲戒事由がある場合の懲戒解雇とは別に普通解雇事由を定めたものであるが,労働者側に勤務不能,不適という一定の帰責事由がある場合の解雇事由として1号と2号を規定し,4号の「その他やむを得ない事由があるとき。」以外に3号の「やむを得ない業務上の都合によるとき。」を独立した解雇事由として規定した規定の仕方からすると,3号の「やむを得ない業務上の都合」とは,労働者側には責めに帰すべき事由がなく,専ら使用者側の事情による解雇の場合に限定したものであって,労働者側の事情による解雇は4号に定められたものと解するのが合理的と解される。すなわち,債務者の主張としても,「やむを得ない業務上の都合」として,債権者の服務規律違反による他の社員への影響と債務者の経営状況における債権者の成績不良を挙げているところ,債権者の服務規律違反の点は,4号の「その他やむを得ない事由があるとき。」に該当するか否かとして,成績不良の点は,2号の「勤務成績が不良で,勤務に適さないと認められるとき。」に該当するか否かとして,それぞれ判断の対象となるということができ,3号の「やむを得ない業務上の都合によるとき。」として,債権者にこれらの事由があるか否かを判断することは合理性を欠くものというべきである。 したがって,債権者の服務規律違反による他の社員への影響と債務者の経営状況における債権者の成績不良に基づいて,3号の「やむを得ない業務上の都合によるとき。」という解雇事由に該当するという債務者の主張は,そもそも採用することができない。 c なお,債権者の勤務成績について,解雇事由に相当するほど に基づいて,3号の「やむを得ない業務上の都合によるとき。」という解雇事由に該当するという債務者の主張は,そもそも採用することができない。 c なお,債権者の勤務成績について,解雇事由に相当するほどの著しい成績不良に該当すると一応認めることが困難であることは,前記のとおりであり,甲58によれば,債権者が異動を拒んだということもないことが一応認められ,そうすると,債権者について,その勤務成績に照らし,異動がないままでは,同地・同職でこれ以上継続雇用できる状況にはないとする債務者の主張もたやすく採用できるものではない。 (エ) 「2.やむを得ない業務上の都合と判断すること。」のうちの「2)服部房親社員以外の全社員が同意している新人事管理基本制度及び就業規則の変更に不同意として,適用を拒むこと。」についてa 債務者は,新人事管理基本制度(賃金制度も含む)の導入及び就業規則の変更には債権者を除く社員が同意しているのに,債権者のみその適用を拒むことは,労働条件の統一的,画一的処理の必要性の面で問題をはらんでおり,これはやむを得ない業務上の都合に該当する旨主張する。 b しかし,そもそも,前記のとおり,債権者の責めに帰すべき事由の存在について,3号の「やむを得ない業務上の都合」に該当するものと解することはできないものというべきであるが,この点をおくとしても,債権者が他の社員が同意している新人事管理基本制度及び就業規則の変更に不同意とし,その適用を拒んでいるからといって,そのことが解雇を正当とする「やむを得ない業務上の都合」に該当するものと解することはできない。すなわち,債権者は,新人事管理基本制度の導入及び就業規則の変更に不同意であるとして,未払本訴を提起しているものであるが,甲58によれば,債権者は,新人事管理基本制度及び就業規則の変更に異議を ない。すなわち,債権者は,新人事管理基本制度の導入及び就業規則の変更に不同意であるとして,未払本訴を提起しているものであるが,甲58によれば,債権者は,新人事管理基本制度及び就業規則の変更に異議を留めて通常業務に従事していることが一応認められ,労働条件の統一的,画一的処理の必要性の面で具体的問題が生じているとはいえず,債務者の主張は採用することができないというべきである。 (オ) 「3.その他やむを得ない事由(服務規律違反)」の「会社の方針を批判し,上司,同僚社員の誹謗・中傷を繰返すこと。」についてa 債務者は,債権者が,上司であるQ部長及びJ課長の業務上の指示を守らず,必要な報告を怠り(就業規則11条4号の服務規律違反),債務者の経営方針,とりわけ営業政策について,ことあるごとに債務者の方針,戦略がないなどと非難し,債務者を中傷,誹謗したほか,上司の職位を否定するような言動をなし,上司,同僚の誹謗,中傷を繰り返し(就業規則12条11号の服務規律違反),債権者のそうした態度に対し,同僚からも苦情が出,職場の秩序の面において悪影響が出ていることは,仮に,「やむを得ない業務上の都合によるとき。」に該当しないとしても,「その他やむを得ない事由があるとき。」(就業規則19条4号)に該当する旨主張する。 b 債権者が,上司であるQ部長やJ課長の業務上の指示に対し,殊更にこれを守らず,必要な報告を怠ったものとはいえないことは,既に説示したとおりであり,債権者に就業規則11条4号所定の服務規律違反があったとたやすく一応認めることはできない。 c 債務者主張の平成13年1月30日の債権者の言動については,甲58によれば,債権者は,当日,債務者の本社に呼ばれ,狭い個室で,C部長(社長室長),Q部長,J課長の3名から営業活動についてあれこれ注意を受け, 張の平成13年1月30日の債権者の言動については,甲58によれば,債権者は,当日,債務者の本社に呼ばれ,狭い個室で,C部長(社長室長),Q部長,J課長の3名から営業活動についてあれこれ注意を受け,責任を追及されたが,債権者は,自己に対する嫌がらせの一環と感じて,これに対する防衛的側面もあって,Q部長に対し,債務者が2年間で4億円もの売上げを落としたことについての責任を問いただしたものであり,その際,風邪をひいていたことから,マスク,コートを着用していたが,そのことについては事前の了解を得ていたことが一応認められる。 乙12,38には,債権者の同日の言動について,両手で机をたたきながら,大声で,Q部長を部長とは認めていない旨同部長を侮辱したものである旨の記載がある。しかし,前記認定のとおり,債権者は,自己に対する嫌がらせの一環と感じて,これに対する防衛的側面もあって,Q部長に対する言動となったものと一応認められるから,乙12,38に記載の債権者の言動の態様を勘案しても,同日の債権者の言動について,債務者や同僚を誹謗,中傷したものとして,就業規則12条11号所定の服務規律違反に該当するものと直ちに一応認めることはできず,これが就業規則19条4号の「その他やむを得ない事由があるとき。」との解雇事由に該当するものとたやすく一応認めることはできない。 d 債務者主張の平成13年2月19日の債権者の発言の点については,甲58によれば,株式会社大山は,債権者がそれまで担当した得意先であり,同社の担当者の債権者に対する信頼の中で取引が行われてきたものであったところ,平成12年の秋以降,オリーブクリームなどの商品を新規に納入して,同社の取引先の小売店に配荷し,陳列していたことから,シーズン商品でもあり,各小売店をこまめに回って商品販売の促進をフォロ たところ,平成12年の秋以降,オリーブクリームなどの商品を新規に納入して,同社の取引先の小売店に配荷し,陳列していたことから,シーズン商品でもあり,各小売店をこまめに回って商品販売の促進をフォローしなければ返品が発生することにもなるので,そういう事情をよく知っている者が担当しなければ返品が発生するという趣旨で,「自分が株式会社大山の担当から外れると返品が発生するかもしれない。大手の問屋である株式会社大山はE氏では難しい。」旨,債権者がJ課長に述べたものであると一応認められる。 乙13,14には,債権者の同日の発言について,「Eは能力がないので実績が下がるし,返品も発生するが承知の上か。」と言った旨の記載がある。 しかし,前記認定のとおり,債権者の発言の趣旨としては,債権者が引き続き株式会社大山を担当する必要性について述べたものと一応認められるから,乙13,14に記載の債権者の発言の態様を勘案しても,債権者の発言について,これが直ちに債務者や同僚を誹謗,中傷したものとして,就業規則12条11号所定の服務規律違反に該当するものということはできず,これが就業規則19条4号の「その他やむを得ない事由があるとき。」との解雇事由に該当するものとたやすく一応認めることはできない。 e 債務者主張の平成13年3月14日の債権者の発言については,甲58によれば,同日の団体交渉において,債権者は,Q部長について,営業部長としての責めを果たしていないと発言したことが一応認められるが,団体交渉の場において,債権者の労働条件,待遇に関する問題として,債権者の営業活動について,営業部長の責任を問いただす発言をしたことをもって,これが直ちに債務者や上司を誹謗,中傷したものとして,就業規則12条11号所定の服務規律違反に該当するものということはできず,これが 活動について,営業部長の責任を問いただす発言をしたことをもって,これが直ちに債務者や上司を誹謗,中傷したものとして,就業規則12条11号所定の服務規律違反に該当するものということはできず,これが就業規則19条4号の「その他やむを得ない事由があるとき。」との解雇事由に該当するものとたやすく一応認めることはできない。 乙12,38には,当日の債権者の言動について,甲58に記載の内容以上のものがあり,組合からも債務者から処分される旨の注意を受けた旨の記載があるが,当日の団体交渉に同席したB書記長の陳述書である甲59の記載に照らし,たやすくこれを採用することはできない。 f 債権者の態度に関する同僚の苦情については,乙28,33に債務者の主張に沿う記載がある。しかし,これらの記載から,債権者に解雇事由に該当するほどの服務規律違反があったものと直ちに一応認めるには足りないというべきである。 (2) 以上によれば,債務者が主張する解雇事由については,いずれもこれを一応認めるには足りないというべきであって,解雇事由を一応認めるに足りない以上,その余の点について判断するまでもなく,本件解雇は無効といわざるを得ない。 2 争点②(債権者の賃金額は幾らか)について債権者は,債務者が平成13年7月支給分以降の債権者の賃金総支給額を37万5800円に減額したのは無効であり,債権者の毎月の賃金総支給額は42万9600円である旨主張し,債務者は,42万9600円から37万5800円への賃金減額は正当である旨主張する。 このように,債務者の主張によっても,本件解雇が無効であるとすると,債権者の賃金総支給額は月額37万5800円を下回るものではないと認められるところ,後記3の(2)で説示するとおり,債権者が債務者に仮払を求め得る額としては月額30万円と認めるのが相当 るとすると,債権者の賃金総支給額は月額37万5800円を下回るものではないと認められるところ,後記3の(2)で説示するとおり,債権者が債務者に仮払を求め得る額としては月額30万円と認めるのが相当であって,そうすると,債権者の賃金額が幾らかという点については,判断の要がないというべきである。 3 争点③(保全の必要性があるか)について(1) 労働契約上の地位を仮に定める保全の必要性について債権者は,就労の機会を奪われることによる精神的苦痛と健康保険の被保険者資格が否定される不利益から,労働契約上の地位を仮に定める保全の必要性がある旨主張する。 債権者の職務内容に照らすと,債権者に債務者に対する就労請求権があるものと直ちに一応認めることは困難であるが,甲2によれば,健康保険の被保険者として享受し得る利益の存在についてはこれを肯定することができ,かかる利益を包摂するものとして労働契約上の地位を仮に定めることは,債務者の任意の履行に期待する仮処分ではあるものの,なおその保全の必要性があると一応認めることができる。 (2) 賃金仮払の保全の必要性について前記争いのない事実に甲2,乙32及び審尋の全趣旨によれば,債権者は,住所地において,妻,18歳と16歳の子供二人,85歳の実母と一緒に暮らしており,債権者の収入と債権者の妻の年額240万円程度の不動産収入,年額120万程度のパート,アルバイト収入により,子供の学費,実母の介護費用を支出するなどして,生活をしていること,債務者は,平成14年7月30日,債権者に対し,退職金の一部として,318万3300円を送金していることが一応認められる。 以上の生活状況に照らせば,債権者の収入が全くなければ,債権者及びその家族の生活が困窮するに至るものと一応認めることができるが,仮払を必要とする額としては,標準生 送金していることが一応認められる。 以上の生活状況に照らせば,債権者の収入が全くなければ,債権者及びその家族の生活が困窮するに至るものと一応認めることができるが,仮払を必要とする額としては,標準生計費の額等も勘案すると,月額30万円をもって相当というべきである。 また,仮払の期間については,前記318万3300円の送金について,債権者が平成14年7月以降の賃金に充当する旨主張していることも勘案すれば,既に経過した過去分の賃金について,債権者がその仮払を受けなければ今後の生活に困窮する等の事情を一応認めるに足りる疎明資料はない。そして,金員仮払の必要性は,債権者の現在の生活状況等を前提としてこれを肯定できるものであるところ,債権者の現在の生活状況等が将来変わる可能性があることは否定し得ない。そうすると,債権者の現在の生活状況等を前提とした金員仮払の期間としては,平成15年2月からの1年間とするのが相当である。 これに対し,債権者は,債権者が理不尽な解雇により妻の収入だけに頼る生活を長期間甘受しなければならない必要はなく,このような仮処分の必要性を考慮すれば,仮払の賃金額は,全収入額というべきであり,また当然のことながら,仮払の期間は本案判決確定に至るまでというべきである旨主張する。 しかし,仮の地位を定める仮処分は,債権者に生ずる著しい損害又は急迫の危険を避けるためこれを必要とするときに発することができるものであって,債権者の従前の収入額の全額について本案判決確定に至るまでの仮払を受けなければ,債権者に著しい損害又は急迫の危険が生じるものと認めるに足りる疎明資料はない。 第4 結論よって,本件申立ては,主文掲記の限度で認容し,その余は却下することとして,主文のとおり決定する。 平成15年2月5日名古屋地方裁判所民事第1部裁判官 足りる疎明資料はない。 第4 結論よって,本件申立ては,主文掲記の限度で認容し,その余は却下することとして,主文のとおり決定する。 平成15年2月5日名古屋地方裁判所民事第1部裁判官橋本昌純

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