令和 4年 5月16日判決言渡同日原本領収裁判所書記官- 1 - 令和3年(ワ)第7039号国家賠償請求事件口頭弁論終結日令和4年3月14日判決 主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告は、原告に対し、104円を支払え。 第2 事案の概要 1 東京都知事は、新型コロナウイルス感染症のまん延防止対策としての緊急事態宣言期間中であった令和3年3月18日、都内で経営する飲食店において、被告が行った営業時間短縮の要請に応じなかった原告に対し、新型インフルエンザ等対策特別措置法(以下「特措法」という。)45条3項に基づき、原告の施設(店舗)を午後8時から翌日午前5時までの間の営業のために使用する ことを停止する旨の命令を発出した。 本件は、原告が、上記要請に応じない正当な理由があったこと、上記命令の発出は特に必要があったと認められないことなどの理由で、同命令は違法であり、また、特措法及び同命令は営業の自由、表現の自由等の基本的人権を侵害するなどの理由で違憲であるところ、同命令に従い営業時間を短縮したために 売上高が減少し、営業損害を被ったと主張して、国家賠償法1条1項に基づき、被告に対し、上記損害の一部である104円の支払を求める事案である。 2 法令の規定特措法及び関連法令の規定は、別紙1のとおりである。 3 前提事実(当事者間に争いがないか、弁論の全趣旨により認められる事実) ⑴ 当事者- 2 - ア原告は、レストラン経営による飲食事業等を目的とする株式会社であ 。 3 前提事実(当事者間に争いがないか、弁論の全趣旨により認められる事実) ⑴ 当事者- 2 - ア原告は、レストラン経営による飲食事業等を目的とする株式会社であり、令和3年2月ないし3月当時、東京証券取引所第二部(同取引所の市場区分の見直し前)に上場し、東京都港区、渋谷区等、23区内に所在する別紙2の26施設(店舗)(以下「本件対象施設」という。)を含む飲食店を経営していた。 イ被告は、地方自治法1条の3所定の普通地方公共団体であり、国家賠償法1条1項所定の公共団体である。 ⑵ 令和2年中の経緯等ア令和2年1月中旬頃、日本国内において、新型コロナウイルス感染症の発生が確認され、翌2月以降、感染が拡大した。 3月13日、特措法の一部改正により、新型コロナウイルス感染症は暫定的に新型インフルエンザ等とみなされ、同感染症に特措法が適用されることになった。 イ特措法15条に基づき設置された新型コロナウイルス感染症対策本部の本部長である内閣総理大臣(以下「政府対策本部長」という。)は、4月 7日、新型コロナウイルス感染症の全国的かつ急速なまん延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある事態(新型インフルエンザ等緊急事態、特措法32条1項)が発生したとして、期間を同日から5月6日まで、対象区域を東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県(1都3県)ほかと定め、緊急事態宣言をした。 同宣言は、期間の延長、対象区域の変更等を経て、東京都に関しては、5月25日に解除宣言(緊急事態宣言が終了した旨の公示)がされた(同条5項)。 ウ新型コロナウイルス感染症の拡大は世界的な社会問題になり、8月頃には、新型コロナウイルス感 京都に関しては、5月25日に解除宣言(緊急事態宣言が終了した旨の公示)がされた(同条5項)。 ウ新型コロナウイルス感染症の拡大は世界的な社会問題になり、8月頃には、新型コロナウイルス感染症対策分科会(以下「分科会」という。)に おいて、感染拡大防止のため、3密(密閉、密集、密接)の回避、大声を- 3 - 上げる環境の回避、人と人との距離をとることの徹底、室内の換気の徹底等が必要であるとの認識の下、別紙3のとおり、感染状況を4段階のステージに分類するとともに、ステージを判断するための6つの指標が示された。 これに基づき、緊急事態宣言の発出の判断に当たっては、国内での感染 拡大及び医療提供体制、公衆衛生体制のひっ迫の状況、特に分科会提言におけるステージⅣ相当の対策が必要な地域の状況等を踏まえること、その解除の判断に当たっては、国内での感染及び医療提供体制、公衆衛生体制のひっ迫の状況、特に緊急事態措置を実施すべき区域が分科会提言におけるステージⅢ相当の対策が必要な地域になっているかなどを踏まえること が基本になった。 エ 12月頃までに、分科会において、次のような提言がされた。 ① 感染リスクや感染拡大防止に関し、飲酒を伴う懇親会、大人数や深夜に及ぶ飲食、大人数やマスクなしでの会話が感染リスクを高める行動であるとの認識を踏まえ、ステージⅢ相当の強い対策が必要な状況に達し たと考えられる地域(別紙3参照)では、酒類を提供する飲食店に対し、夜間の営業時間短縮の要請又は休業要請を行うこと、営業時間短縮の要請を引き続き推進し、必要に応じて同要請を行う地域の拡大や閉店時間の午後8時への前倒し等を検討すること② 日常生活の中では飲酒を伴う会食による感染リスクが極めて高く、ク 、営業時間短縮の要請を引き続き推進し、必要に応じて同要請を行う地域の拡大や閉店時間の午後8時への前倒し等を検討すること② 日常生活の中では飲酒を伴う会食による感染リスクが極めて高く、ク ラスター発生の主要な原因の1つであることが分かり、感染経路が判明している割合の高い地域でも、飲酒を伴うクラスター感染が最近になっても多く報告されたことなどを踏まえ、急所を押さえる対策として、飲食店等の更なる営業時間短縮の要請を含め、会食、飲食による感染リスクを徹底的に抑えることが必要であること ⑶ 令和3年中の経緯等- 4 - ア政府対策本部長は、令和3年1月7日、新型コロナウイルス感染症の全国的かつ急速なまん延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある事態が発生したとして、期間を同日から2月7日まで、対象区域を1都3県と定め、2回目の緊急事態宣言をした(以下「本件緊急事態宣言」という。)。 本件緊急事態宣言は、期間の延長、対象区域の変更等を経て、東京都に関しては、3月5日、期間が同月21日まで延長され、同日に解除宣言がされた。 政府対策本部長は、これに先立つ同月17日、本件緊急事態宣言を同月21日に解除する旨の方針を示し、その理由を、4段階のステージの数字 を踏まえ、新規感染者数(当事者の主張や証拠には新規陽性者数との語も用いられているが、新規感染者数に統一する。)や病床使用率が解除の方向にあるなどと説明した上、同月18日、上記の方針のとおり、同月21日に同宣言を解除する旨表明した。 イその間の2月13日、特措法の一部改正により、新型コロナウイルス感 染症が感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律6条7項の感染性の疾患に加 宣言を解除する旨表明した。 イその間の2月13日、特措法の一部改正により、新型コロナウイルス感 染症が感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律6条7項の感染性の疾患に加えられ(上記⑵アのみなし規定の廃止)、また、45条3項に基づき、都知事は、飲食店等の施設管理者に対し、施設使用制限等の措置を講ずべきことを命ずることができるようになった(以下「45条3項命令」という。)。この時点で、45条3項命令に至る手続の概要は、 別紙4のとおりであった。 また、上記改正により、制裁規定(79条)が加えられ、45条3項命令に違反した場合には、当該違反行為をした者は、30万円以下の過料に処することにされた。 ウ原告は、1月7日以降、自社のホームページに、原告代表者名で別紙5 の記事(以下「本件記事」という。)を掲載していた。 - 5 - エ他方、被告は、1月8日以降、都内全域につき、都民に対し、特措法45条1項に基づき、不要不急の外出自粛、特に午後8時以降の徹底した不要不急の外出自粛を求め、飲食店等を経営する事業者に対しては、同法24条9項に基づき、営業時間を午前5時から午後8時まで(ただし、酒類の提供を伴う場合は午前11時から午後7時まで)とすることを求める旨 の協力要請を行った(以下、午後8時から翌日午前5時までの時間帯を単に「夜間」ということもある。)。2月8日以降、上記事業者に対し、飲食店における感染防止対策等をまとめた業種別ガイドラインの遵守を求める旨の協力要請が加わった。 オ被告は、2月26日、営業時間短縮の協力要請に応じず夜間の営業を継 続していた原告に対し、同日から本件緊急事態宣言が解除されるまでの間、本件対象施設での営業時間短縮の要請(以下 。 オ被告は、2月26日、営業時間短縮の協力要請に応じず夜間の営業を継 続していた原告に対し、同日から本件緊急事態宣言が解除されるまでの間、本件対象施設での営業時間短縮の要請(以下、一般的に「45条2項要請」といい、原告に対するものを「本件要請」という。)を行った。 カ原告は、3月11日、被告に対し、行政手続法13条1項、29条所定の弁明として弁明書(以下「本件弁明書」という。)を提出し、本件要請 に応じない正当な理由があると考えているので、今後も応じないが、正当な理由がないという非常に不本意な判断がされ、営業時間短縮の命令を受ければ、遺憾ながらこれには従う旨表明した。 被告は、同月15日、原告に対し、本件対象施設での夜間の営業を継続し、客の来店を促すことで、飲食につながる人の流れを増大させ、市中の 感染リスクを高めていること、加えて、緊急事態措置に応じない旨を強く発信するなど、他の飲食店の夜間の営業継続を誘発するおそれがあることを指摘し、同月17日以降も夜間の営業を継続する場合は、45条3項命令を行う予定である旨の事前の通知をした。 上記発信は、原告が自社のホームページに本件記事を掲載していたこと を指す。 - 6 - キ被告(都知事)は、3月18日、その後も本件対象施設で夜間の営業を継続していた原告に対し、特措法45条3項に基づき、別紙6の趣旨の命令を行う理由を付記して、同日から本件緊急事態宣言が終了するまでの間、本件対象施設を夜間の営業のために使用することを停止する旨の45条3項命令(以下、原告に対するものを「本件命令」という。)を発出した。 ク原告は、本件命令に従い、3月18日から本件緊急事態宣言が解除された同月21日までの4日間、 停止する旨の45条3項命令(以下、原告に対するものを「本件命令」という。)を発出した。 ク原告は、本件命令に従い、3月18日から本件緊急事態宣言が解除された同月21日までの4日間、本件対象施設での夜間の営業を行わなかった。 ケ被告は、本件命令のほかに、3月18日、都内の1施設に対し、45条3項命令を発出し、同月19日、都内の5施設(5事業者)に対し、同命令を発出した。 被告の目視による調査によれば、その頃、都内の飲食店の約10万5500の店舗のうち10万3000(約98%)が夜間の営業を行っていなかったが、2000余りの店舗は、営業時間短縮の協力要請に応じず夜間の営業を継続していた。 ⑷ 新型コロナウイルス感染症に関する統計数値 ア令和2年12月19日から令和3年3月12日までの間、各土曜日から翌週金曜日までの1週間ごとの東京都における新規感染者数の推移は、別紙7のとおりであった。 イ令和2年12月16日から令和3年3月10日までの間、7日おきの東京都における入院患者数、病床使用率等の推移は、別紙8のとおりであり、 同じく重症の入院患者数、重症用病床使用率等の推移は、別紙9のとおりであった(ただし、重症用病床数については一部争いがある。)。 4 争点⑴ 本件命令の違法性(争点1)⑵ 特措法及び本件命令の違憲性(争点2) ⑶ 原告の損害(争点3)- 7 - 5 争点についての当事者の主張⑴ 争点1(本件命令の違法性)について(原告の主張)ア本件命令発出日に新型インフルエンザ等緊急事態であったかどうか特措法45条2項、3項の文言のとおり、新型インフルエンザ等緊急事 態にあるこ ついて(原告の主張)ア本件命令発出日に新型インフルエンザ等緊急事態であったかどうか特措法45条2項、3項の文言のとおり、新型インフルエンザ等緊急事 態にあることは、45条3項命令の発出の要件である。同各条項の新型インフルエンザ等緊急事態は、特措法32条1項所定の事態を指し、その有無は、新型インフルエンザ等対策特別措置法施行令(以下「特措法施行令」という。)6条所定の場合に該当するか否かによって判断される。そうすると、新型インフルエンザ等緊急事態であるか否かは、形式上緊急事態宣 言期間中であることではなく、新規感染者数の推移や医療提供体制の状況に基づき、実質的に上記事態にあるかどうかという基準により判断されるべきである。 東京都の新規感染者数は、別紙7のとおり、遅くとも令和3年1月中旬以降減少が続き、本件緊急事態宣言期間中、増加に転じなかった。1都3 県における新規感染者数も、1月中旬以降減少し、2月末までその状況が続き、3月に入ってからは下げ止まったものの、本件緊急事態宣言がされた頃の約3分の1、ピーク時の約5分の1まで減少し、同宣言がされる前の令和2年12月頃よりも少なかった。1都3県の実効再生産数(ある時点において1人の感染者が何人に感染させているかを表す指標であり、1 を上回れば感染拡大を意味し、1を下回れば感染収束を意味する。)は、令和3年1月中旬から2月末までの間、継続的に1を下回っていた。東京都における重症用病床数は、2月17日以前も同月24日以降と同じく1000床であったとみられ(別紙9参照)、そうすると、2月17日の時点で実際の重症用病床使用率は43.1%であり、ステージⅢ相当であっ た。また、同月下旬から3月中旬にかけて、そのほかの指標もすべ 0床であったとみられ(別紙9参照)、そうすると、2月17日の時点で実際の重症用病床使用率は43.1%であり、ステージⅢ相当であっ た。また、同月下旬から3月中旬にかけて、そのほかの指標もすべてステ- 8 - ージⅢないしⅡ相当であった。これらによれば、2月下旬以降、新型インフルエンザ等緊急事態にあったとはいえない。 さらに、政府対策本部長が3月17日に新規感染者数や病床使用率が解除の方向にあるなどとして、本件緊急事態宣言を同月21日に解除する旨の方針を示したことも考慮すると、本件命令発出日(3月18日)に新型 インフルエンザ等緊急事態ではなかった。 イ本件命令に違法な目的があったかどうか本件命令発出日の頃、都内の飲食店のうち2000余りもの店舗が営業時間短縮の協力要請に応じず夜間の営業を継続していた。本件対象施設での夜間の営業継続が飲食につながる人の流れを増やしたとしても、その程 度は、上記の2000余りの店舗の中ではごく小さく、市中の感染リスクを高めるものではなかった。ところが、被告は、本件対象施設のほかには、わずか6施設(6事業者)に対してしか、45条3項命令を発出しなかった。これらによれば、本件命令は、本件記事を発信し、飲食店に対する緊急事態措置に反対意見を表明していた原告を狙い撃ちにした、報復ないし 見せしめであったから、同命令に違法な目的があったというほかない。 ウ本件要請に応じない正当な理由があったかどうか特措法は、所定の場合に損失補償ないし損害賠償をしなければならない旨定め(62条、63条)、国及び地方公共団体は事業者の経営に及ぼす影響の緩和のための財政上の措置を講じるものとするなど(63条の2第 1項)、45条2項要請を行うに当た をしなければならない旨定め(62条、63条)、国及び地方公共団体は事業者の経営に及ぼす影響の緩和のための財政上の措置を講じるものとするなど(63条の2第 1項)、45条2項要請を行うに当たり、その影響が及ぶ事業者の経済的な事情を考慮することを当然の前提とするから、同法45条3項所定の正当な理由の有無については、上記要請を受ける事業者の経済的な事情が考慮されるべきである。ところが、原告が本件要請に応じて営業時間を短縮し、損失を被ったとしても、これに対する十分な補償の仕組みはない。本 件要請は、飲食店において最も集客を見込むことができる時間帯である夜- 9 - 間の営業停止を求めるものであり、原告が漫然とこれに応じていては、経営の維持に支障を来すことは明白であった。被告の事務取扱要綱に基づく営業時間短縮に係る感染拡大防止協力金は、1店舗当たり日額6万円にすぎず、原告の経営規模との均衡を欠き、著しく不十分であった。したがって、原告は、本件要請に応じない正当な理由があった。 エ本件命令の発出は特に必要があったと認められるかどうか特措法は、新型コロナウイルス感染症に対する対策の強化を図り、もって同感染症発生時において国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済に及ぼす影響が最小となるようにすることを目的としており(1条)、また、国民の自由と権利に制限が加えられるときであっても、 その制限は当該対策を実施するため必要最小限のものでなければならないと定める(5条)。これら各規定を踏まえれば、45条3項命令の発出によって得られる感染防止への寄与度は、その発出が国民生活、国民経済に及ぼす影響を大きく上回ることを要する。そうすると、他に採り得る手段が存在するなど、命令を受ける者に対する権利 5条3項命令の発出によって得られる感染防止への寄与度は、その発出が国民生活、国民経済に及ぼす影響を大きく上回ることを要する。そうすると、他に採り得る手段が存在するなど、命令を受ける者に対する権利制限が必要最小限であると はいえない場合には、違法の疑いが強いことになる。そして、45条3項命令は、命令を受ける施設管理者にとっては過料の制裁の前提になる不利益処分であるから、同項の「特に必要があると認めるときに限り」との要件の下、都知事が同命令を行うに当たっては、当該施設管理者に対する必要最小限の措置であり、そのような不利益処分を課すことが感染防止対策 としてやむを得ないというに足りる高度の必要性があることが求められると解される。 被告は、本件命令を行う理由として、①本件対象施設は夜間の営業を継続し、客の来店を促すことで、飲食につながる人の流れを増大させ、市中の感染リスクを高めていること、②原告が緊急事態措置に応じない旨を強 く発信し、他の飲食店の夜間の営業を誘発するおそれがあることの2点を- 10 - 挙げた。 しかし、①の事情は何ら立証されていない。B大学大学院〇〇専攻のC教授の分析によれば、本件命令の効力が生じた4日間において、本件対象施設の営業時間短縮によって来客数が減少した場合に抑止し得た新規感染は、わずか約0.082人であった。これと同程度の二次感染の抑止は、 PCR検査を4日間で2.204件(1.81日当たり1件)増やすことで実現し得るのであるから、本件命令は、感染拡大防止対策として実効性を欠いていたことが明らかである。そうすると、本件命令の感染防止への寄与度は、原告における雇用や経営状況の維持の利益に及ぼす影響を大きく上回るものではなく、同命令によって抑止し得る感染リスク 実効性を欠いていたことが明らかである。そうすると、本件命令の感染防止への寄与度は、原告における雇用や経営状況の維持の利益に及ぼす影響を大きく上回るものではなく、同命令によって抑止し得る感染リスクは、他の代替 手段によって容易に実現することができるものであったというべきである。 また、②に関し、被告が問題視する本件記事において、原告代表者は、主に雇用の維持が困難になるなどの経済的理由により、緊急事態宣言がされても平常通り営業を続けるとの意見を表明したにすぎず、他の飲食店に夜間の営業継続を扇動したり原告との協調を呼びかけたりしていない。そ もそも、本件記事の影響を受けて実際に夜間の営業を継続した飲食店は存在しない。すなわち、本件記事の発信は、他の飲食店の夜間の営業継続を誘発するものではなく、原告に対し不利益処分を課す理由にならない。 以上によれば、都知事が同命令を発出するに当たって求められる高度の必要性はなかったというほかない。したがって、本件命令の発出は特に必 要があったと認められない。 オ本件命令が比例原則に違反するかどうか本件命令発出日の頃の客観的状況において、本件命令によって得られる感染リスク抑制効果と原告が被る損失を比較すれば、本件命令は著しく過剰な規制であり、比例原則に違反する。 カ特措法施行令等の定めは特措法の委任の範囲を超えているかどうか- 11 - 特措法は、45条2項要請の対象として、学校、社会福祉施設、興行場を列挙した上で、多数の者が利用する施設を定めることを政令に委任している。しかし、飲食店は、施設というよりも営業の態様であり、小規模な店舗が大多数であって、学校、社会福祉施設、興行場に準じて多数の者が利用する施設には の者が利用する施設を定めることを政令に委任している。しかし、飲食店は、施設というよりも営業の態様であり、小規模な店舗が大多数であって、学校、社会福祉施設、興行場に準じて多数の者が利用する施設には該当しない。まして、特措法施行令及び「新型コロナウ イルス感染症のまん延を防止するため新型インフルエンザ等対策特別措置法第45条第2項の規定による要請を行うことが特に必要な施設(令和3年厚生労働省告示第35号)」の、新型コロナウイルス感染症につき特措法施行令11条1項15号の規定を適用する場合においては、同号に掲げる施設は、同項4号から6号まで、9号、11号及び14号に掲げる施設 であって、その建築物の床面積の合計が1000平方メートルを超えないものとする旨の告示は、その規模を問わずに飲食店を対象としており、特措法が本来的に想定している委任の範囲を超えている。したがって、特措法施行令及び上記告示が、規模を問わずに飲食店を45条2項要請の対象にする点は無効であり、少なくとも法改正を経ない限り、飲食店につき同 要請、ひいては45条3項命令を行うことはできないから、同条2項、3項、特措法施行令11条1項15号及び上記告示に基づく本件命令は違法である。 キ都知事が職務上の注意義務に違反したかどうか上記のとおり、都知事は、新型インフルエンザ等緊急事態ではなかった のに本件命令を発出し、しかも同命令には違法な目的があった。また、都知事は、原告が本件要請に応じない正当な理由があったかどうかの判断に当たり、原告の経営状況等を考慮すべきであったにもかかわらず、この観点を看過した。 さらに、本件命令の発出は特に必要があったと認められるかどうかに関 し、都知事は、原告が本件対象店舗においてどのような感 等を考慮すべきであったにもかかわらず、この観点を看過した。 さらに、本件命令の発出は特に必要があったと認められるかどうかに関 し、都知事は、原告が本件対象店舗においてどのような感染防止対策を実- 12 - 施していたか、原告の店舗で実際にクラスターが発生したか、本件記事の発信の影響を受けて夜間の営業を継続した飲食店が存在したかなどについて検証を行わなかった。本件命令の発出に先立ち専門家に対する意見聴取が行われたものの、これは、発出の必要性の有無につき検討された痕跡が全くないなど、極めて不十分なものであった。 したがって、都知事は、本件命令の発出に当たり、特措法45条3項所定の各要件についての検討を怠った過失があり、職務上の注意義務に違反したというべきである。 (被告の主張)ア本件命令発出日に新型インフルエンザ等緊急事態であったかどうか 特措法45条2項の新型インフルエンザ等緊急事態は、同法32条1項所定の緊急事態宣言がされ、かつ、同条5項所定の解除宣言が発出されていない状態をいうのであり、緊急事態宣言期間中を意味することは明らかである。 イ本件命令に違法な目的があったかどうか 上場企業であり知名度も高い原告が本件対象施設での夜間の営業を継続すれば、客の来店を促し、飲食につながる人の流れを増大させて市中の感染リスクを高め、また、本件記事の発信により、他の事業者の夜間の営業継続を誘発するおそれがあった。そこで、被告は、原告に対して本件要請を行ったが、原告がこれに応じなかったので、本件命令を発出した。また、 被告は、原告以外の飲食店に対しても45条3項命令を発出し、あるいは同命令の前提となる45条2項要請を行った。本件命令発出の 行ったが、原告がこれに応じなかったので、本件命令を発出した。また、 被告は、原告以外の飲食店に対しても45条3項命令を発出し、あるいは同命令の前提となる45条2項要請を行った。本件命令発出の経緯はこのとおりであり、本件命令は、原告を狙い撃ちした、報復や見せしめではなく、同命令に違法な目的はなかった。 ウ本件要請に応じない正当な理由があったかどうか 本件緊急事態宣言期間中、会食、飲食による感染リスクの徹底的な抑制- 13 - が求められたのに、飲食店ごとの経営状況を理由に45条2項要請に応じないことが正当化されれば、緊急事態措置は機能不全に陥り、国民の生命及び健康を保護することなど、特措法の目的の達成に支障を来す。45条2項要請が施設管理者の利益と相反することは、同法が当然の前提とするところである。そうすると、経営状況が悪化したなどとして45条2項要 請に応じないことは許されない。 したがって、同条3項所定の正当な理由に飲食店ごとの経営状況は含まれないのであり、原告が本件要請に応じない正当な理由はなかったというべきである。 エ本件命令の発出は特に必要があったと認められるかどうか 特措法45条2項、3項に基づき都知事に付与された緊急事態措置の権限は、要件裁量及び効果裁量があり、新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策として、どのようにして迅速かつ的確に対策、措置等を講ずるかは、都知事の広範な裁量に委ねられている。 酒類を提供する飲食店は、不特定の客同士が長時間接近して飲食するこ と、飲食時にマスクを外すこと、酔いが回ると注意が散漫になり会話が大声となりやすいことなどの危険因子が重なり、新型コロナウイルス感染症の感染リスクが最も高い根源的な感 時間接近して飲食するこ と、飲食時にマスクを外すこと、酔いが回ると注意が散漫になり会話が大声となりやすいことなどの危険因子が重なり、新型コロナウイルス感染症の感染リスクが最も高い根源的な感染源と考えられる。飲食店の夜間の営業は、酒類の提供を伴い、感染リスクが高まる蓋然性が高いので、夜間の営業を制限することが当然に必要である。そして、本件命令発出日の頃の 都内での感染再拡大のおそれや医療提供体制のひっ迫の状況に基づけば、飲食店の営業時間短縮の徹底を図るべきであったこと、店舗内の換気、消毒等、飲食店ごとの感染防止対策にまかせるのみでは、営業時間短縮措置の代替策として十分ではなかったこと、更に別紙6のとおり、上場企業であり知名度の高い原告が本件対象施設での夜間の営業を継続し、客の来店 を促すことで、飲食につながる人の流れを増大させ、市中の感染リスクを- 14 - 高めたこと、加えて本件記事の発信により、他の飲食店の夜間の営業継続を誘発するおそれがあったことなどの事情を考慮すると、本件命令の発出は特に必要があったと認められる。 オ本件命令が比例原則に違反する旨、法律上の委任の範囲を超えている旨の原告の主張は争う。 カ上記のとおり、本件命令の発出は、特措法45条3項の要件を満たしており、違法なものではないから、都知事が職務上の注意義務に違反したとする原告の主張は前提を欠く。 ⑵ 争点2(特措法及び本件命令の違憲性)について(原告の主張) ア法令違憲憲法22条1項は、選択した職業を遂行する自由として、営業の自由を保障する。そして、職業は、生計維持のための継続的活動を通じて、経済合理性を満たすという側面だけでなく、社会の存続と発展に寄与する社会的活動の 1項は、選択した職業を遂行する自由として、営業の自由を保障する。そして、職業は、生計維持のための継続的活動を通じて、経済合理性を満たすという側面だけでなく、社会の存続と発展に寄与する社会的活動の性質を有し、各人が自己の個性を全うすべき場として、個人の人 格的価値とも不可分に関連するという側面がある。 このような人格的意義や、それを前提とする営業の自由の価値及び本質に照らせば、営業の自由が公共の福祉の観点から一定程度の制約に服することはやむを得ないとしても、その制約の合憲性判断は、規制の目的、必要性、内容、制限される営業の自由の性質、内容及び制限の程度を検討し、 これらの比較考量の上で慎重に行われなければならない。そして、社会経済政策上の積極目的の規制ではなく、自由な職業活動が社会公共に対してもたらす弊害を防止するための消極目的の規制である場合には、その規制が目的達成のために必要かつ合理的な措置であり、消極目的の規制に比してより緩やかな制限である職業活動の内容及び態様に対する規制によって は、当該目的を十分に達成し得ないと認められることを要する(最高裁昭- 15 - 和50年4月30日大法廷判決・民集29巻4号572頁参照)。 特措法の目的は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のみにあるのではなく、国民の権利行使への影響を最小化し、国民の生活及び経済のための権利行使を尊重することにより、感染防止対策と国民生活及び国民経済の維持との調和を求めるものと解される(1条、5条)。 この目的達成の手段として、特措法は、45条2項要請及び45条3項命令を行うことができる旨定める。また、内閣官房は、令和3年2月12日に発した事務連絡において、飲食店の経営状況等を理由に要請に応じないこと 達成の手段として、特措法は、45条2項要請及び45条3項命令を行うことができる旨定める。また、内閣官房は、令和3年2月12日に発した事務連絡において、飲食店の経営状況等を理由に要請に応じないことや、店舗の感染防止対策を講じていることは、45条3項所定の正当な理由がある場合に該当しないとの見解を示した。しかし、この解釈に よれば、適切かつ厳格な感染症対策を徹底して営業を行っている飲食店等、感染リスクが極めて低い施設であっても、45条2項要請に応じない正当な理由が認められないという不合理な結論に至る。また、上記事務連絡は、正当な理由がある場合として、地域の飲食店が休業等したときに、近隣に食料品店が立地していないなど他に代替手段もなく、地域の住民が生活を 維持していくことが困難となる場合を例示するが、都内のような大都市圏では、上記代替手段が存在しないということは観念できず、正当な理由があると認められる余地がなくなってしまう。以上のとおり、特措法45条2項、3項及び特措法施行令の規制は、わずかな例外を除き、飲食店の営業を広範に制限することを可能にするものであり、しかも施設管理者が4 5条3項命令に違反した場合には過料に処せられることも考慮すると、事実上及び法律上、事業者に対する極めて厳しい権利制約となる。 このような規制は、新型コロナウイルス感染症の拡大及びまん延の防止と国民生活及び経済活動の尊重という目的を達成する手段として、同規制に比してより緩やかな制限である職業活動の内容及び態様に対する規制に よっては、上記目的を十分に達成し得ないものとは認められず、営業の自- 16 - 由に対する過度の規制であるから、憲法22条1項に違反する。 イ適用違憲ないし処分違憲① 営業の自由 記目的を十分に達成し得ないものとは認められず、営業の自- 16 - 由に対する過度の規制であるから、憲法22条1項に違反する。 イ適用違憲ないし処分違憲① 営業の自由上記のとおり、本件命令発出日に新型インフルエンザ等緊急事態ではなかった。それにもかかわらず発出された本件命令は、前提条件を欠い ており、特措法の目的に照らして必要最小限とはいえない。また、被告は、本件命令の発出に当たり、原告が本件対象施設において実施していた感染防止対策の検討を怠り、しかも代替手段として特措法72条2項所定の立入検査等を行わなかった。これらのことは、原告の営業の自由を侵害するものとして、憲法22条1項に違反する。 ② 表現の自由被告は、原告代表者個人の意見表明にすぎない本件記事の発信を問題視し、他の飲食店の夜間の営業を誘発するおそれなどないのに、本件命令を行う理由において、これがある旨断定した。このような理由で発出された本件命令は、緊急事態措置に対する反対意見を表明していた原告 を狙い撃ちした、報復ないし見せしめであった。これは、原告の表現の自由への過度な干渉として、特措法45条2項、3項の適用上、憲法21条1項に違反する。 ③ 法の下の平等夜間の営業を継続していた2000余りの店舗中、被告は、本件対象 施設のほかには、わずか6施設(6事業者)に対してしか、45条3項命令を発出しなかった。このような取扱いは、差別として許されないことが明らかである。そうすると、本件命令は、特措法の目的達成の手段として合理性が認められず、その適用上、経済的又は社会的関係において差別を禁止し、個人に対し不合理な差別をされない権利を保障する憲 法14条1項に うすると、本件命令は、特措法の目的達成の手段として合理性が認められず、その適用上、経済的又は社会的関係において差別を禁止し、個人に対し不合理な差別をされない権利を保障する憲 法14条1項に違反する。 - 17 - ウ憲法適合性審査の欠如憲法尊重擁護義務(憲法98条1項)を負う公務員である都知事は、当然に、自らが発出する本件命令が憲法及び法令に適合するかどうかを審査しなければならない。これを履行せずに、違法かつ違憲である本件命令を発出した都知事は、重大な過失があり、職務上の注意義務に違反したとい える。 (被告の主張)ア原告の主張ア、イは争う。本件命令は、被告が、新型コロナウイルス感染症のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため発出したものであり、目的が公共の福祉 に適合している。そして、新型コロナウイルス感染症は主に飛沫感染や接触感染によって感染するものであるが、飲食店では客が飲食の際にマスクを外し、特に飲酒すると注意力が低下し、大声になりやすく、感染リスクが高まること、都内の全部の飲食店が業種別ガイドラインを遵守して感染防止対策を実施しているかどうかを立入検査で確認するのは不可能である し、仮に立入検査を行ったとしても営業時間の短縮と同等の効果を得られるとの保障もないこと、本件命令は、夜間の営業を制限するにとどまり、営業全部を禁止するものではないことなどによれば、本件命令は合理的な規制であり、原告の営業の自由を侵害しない。 本件命令を行う理由において、被告は、社会での影響力の大きい原告が 本件記事を発信することにより、営業時間短縮の要請という緊急事態措置の実効性が損なわれかねないとの懸念を指摘し 。 本件命令を行う理由において、被告は、社会での影響力の大きい原告が 本件記事を発信することにより、営業時間短縮の要請という緊急事態措置の実効性が損なわれかねないとの懸念を指摘したにすぎず、何ら原告の表現の自由を侵害するものではない。 また、本件命令が原告に対する差別であるとする根拠はなく、平等原則にも反しない。 イ原告の主張ウは争う。法令を誠実に執行すべき被告(都知事)において、- 18 - 特措法の適用に当たり、特措法そのものの憲法適合性を審査すべき職務上の注意義務があるとは到底解されない。 ⑶ 争点3(原告の損害)について(原告の主張)原告は、本件命令に従い、本件対象店舗につき、令和3年3月18日から 21日までの4日間、夜間の営業を停止するなどの対応を取らざるを得なかった。その結果、原告は、上記期間の前週の同じ曜日(3月11日から14日まで)の売上高から上記期間の売上高を控除した額(本件対象施設の上記期間中の売上減少額)に、令和3年3月度の限界利益率を乗じた額である2159万8150円の損害を被った。 そのうち、本件対象施設1店舗当たり日額1円(26店舗)の4日分である104円が本件の請求額である。 (被告の反論)原告の主張は不知ないし争う。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実前提事実、後記証拠及び弁論の全趣旨によれば、次のとおりの事実が認められる。 ⑴ 新型コロナウイルス感染症対策本部が決定した新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針(以下「基本的対処方針」という。特措法18条)で は、新型コロナウイルス感染症の特徴として、感染者のうち重症化する割合は高齢者が高く、若者は低い 新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針(以下「基本的対処方針」という。特措法18条)で は、新型コロナウイルス感染症の特徴として、感染者のうち重症化する割合は高齢者が高く、若者は低い傾向にあること、感染者が他者に感染させる可能性がある期間は、発症の2日前から発症後7日ないし10日間程度であり、感染者のうち他者に感染させているのは2割以下で、多くは他者に感染させていないと考えられること、主に飛沫感染や接触感染により感染し、①密閉 空間(換気の悪い密閉空間)、②密集場所(多くの人が密集している)、③密- 19 - 接場面(互いに手を伸ばしたら手が届く距離での会話や発声が行われる)という3つの条件(3密)の環境で感染リスクが高まること、個人の基本的な感染予防策は3密の回避、マスクの着用、手洗い等が有効であり、推奨されることなどが指摘された。(乙1の1~3)令和2年5月25日に1回目の緊急事態宣言が解除された後、新型コロナ ウイルス感染症の都内の新規感染者数は、いったんかなり減少したが、6月下旬頃から増加し、7月下旬頃をピークに再び減少したものの、11月以降増加が続き、年末から令和3年初頭にかけて顕著に増加し、1月前半には1週間で1万人を超えた。世界的にも感染爆発等の深刻な事態が頻発して多数の死者の発生が報道されるなどし、新型コロナウイルス感染症の感染防止対 策の策定、実施等が喫緊の課題とされた。(甲28、29)このような状況において、感染症や疫学の専門家等の有識者で分科会が構成され、同会における分析等に基づき、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止対策に関し、次の提言等がされた。(乙1の1、5~14、56)。 ア令和2年7月16日、直近の感染状況等の分析と評価が行われ、東京都 ける分析等に基づき、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止対策に関し、次の提言等がされた。(乙1の1、5~14、56)。 ア令和2年7月16日、直近の感染状況等の分析と評価が行われ、東京都 を中心に接待を伴う飲食店や会食を介した感染拡大が続いていること、世界保健機関が同月9日に、新型コロナウイルス感染症につき、混雑した換気の悪い環境下における、空気中を漂う微粒子であるエアロゾルを介した感染である旨を認めたことから、これまで取り組まれてきた3密(密閉、密集、密接)の回避、大声を上げる環境の回避、換気の徹底などの必要性 が改めて強く示唆されるなどの認識が示された。 イ 8月7日、今後想定される感染状況と対策についての提言がされ、別紙3のとおり、感染状況を4段階のステージに分類するとともに、ステージを判断するための6つの指標及び各ステージにおいて講じるべき施策が示された。 上記提言を踏まえ、基本的対処方針では、今後、緊急事態宣言の発出の- 20 - 判断に当たっては、国内での感染拡大及び医療提供体制、公衆衛生体制のひっ迫の状況(特に、分科会提言におけるステージⅣ相当の対策が必要な地域の状況等)を踏まえて、全国的かつ急速なまん延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがあるか否かについて、政府対策本部長が基本的対処方針等諮問委員会(以下「諮問委員会」という。)の意 見を十分踏まえた上で総合的に判断すること、同宣言の解除の判断に当たっては、国内での感染及び医療提供体制、公衆衛生体制のひっ迫の状況(特に、緊急事態措置を実施すべき区域が、分科会提言におけるステージⅢ相当の対策が必要な地域になっているか等)を踏まえて、政府対策本部長が諮問委員会の意見を十分踏まえた上で総合的に判断 ひっ迫の状況(特に、緊急事態措置を実施すべき区域が、分科会提言におけるステージⅢ相当の対策が必要な地域になっているか等)を踏まえて、政府対策本部長が諮問委員会の意見を十分踏まえた上で総合的に判断することが基本と された。また、その際、上記4段階のステージを判断するための6つの指標はあくまで目安であり、これらの指標をもって機械的に判断するのではなく、国や自治体はこれらの指標を総合的に判断すべきとされていることに留意するものとされた。 ウ 10月23日、各地域におけるクラスターの分析や自治体に対するヒア リング調査を踏まえた「クラスターの分析に関するヒアリング調査等の結果と今後に向けた検討」において、従前示された日常の生活において感染リスクを高めると考えられる場面を具体化した7つの場面(飲酒を伴う懇親会、大人数や深夜に及ぶ飲食、大人数やマスクなしでの会話等)は概ね妥当であり、このような具体化した場面を国民に分かりやすく提示してい くことが、対策を進めていく上で有用である旨の検証結果が報告され、7つの場面を整理した形式で、感染リスクが高まる5つの場面として、飲酒を伴う懇親会等、大人数や長時間に及ぶ飲食、マスクなしでの会話等の場面が示され、飲酒を伴う会食でのクラスターの発生が多いとの問題意識に基づき、「感染リスクを下げながら会食を楽しむ工夫」として、飲酒は、 少人数、短時間で、なるべく普段一緒にいる人と、深酒、はしご酒などは- 21 - 控え、適度な酒量にすること、会話ではなるべくマスクを着用すること、飲食店は業種別ガイドラインを遵守することなどが提言された。 エ 11月20日、「私たちの考え-分科会から政府への提言-」において、現下の状況につき、一部の地域では、既にステージⅢ相当の強い対策が必 は業種別ガイドラインを遵守することなどが提言された。 エ 11月20日、「私たちの考え-分科会から政府への提言-」において、現下の状況につき、一部の地域では、既にステージⅢ相当の強い対策が必要な状況に達したと考えられる地域も存在し、今まで通りの対応では、早 晩、公衆衛生体制及び医療提供体制がひっ迫する可能性が高く、このままの状況が続くと、結果的には経済、雇用への影響が甚大になってしまうとの判断の下、これまでの知見を踏まえ、感染リスクが高い状況に焦点を絞ることが重要であり、これまでより強い対策が特に重要であるとして、飲食店の営業時間の短縮が提言された。そして、上記5つの場面のとおり、 飲み会の場での感染が多く見られているとして、感染が拡大している自治体では、できる限り迅速に、3週間程度の期間限定で、酒類の提供を行う飲食店に対し、夜間の営業時間短縮の要請又は休業要請を行ってもらいたいとの見解が示された。 オ 11月25日、「現在の感染拡大を沈静化させるための分科会から政府 への提言」において、春の段階よりも医療提供体制は着実に向上しているものの、医療提供体制及び保健所への負担が更に深刻化した地域では、既にステージⅢ相当の対策が必要であり、このままの状態が続けば、早晩、通常の医療で助けられる命を助けられなくなる事態に陥りかねないとの分析の下、現状を早期に打開するために感染が急速に拡大している地域では 営業時間の短縮等が最も重要であるとして、酒類を提供する飲食店における営業時間の短縮要請を早急に検討することが提言された。 カ 12月11日、「今後の感染の状況を踏まえた対応についての分科会から政府への提言」において、これまでの提言等を踏まえ、特にステージⅢ相当の対策が必要となる地域においては、短期間 された。 カ 12月11日、「今後の感染の状況を踏まえた対応についての分科会から政府への提言」において、これまでの提言等を踏まえ、特にステージⅢ相当の対策が必要となる地域においては、短期間に現在の感染拡大を沈静 化するために強い対策が行われており、そうした対策によって感染拡大が- 22 - 沈静化するか否かなど、対策の効果の見通しは12月中旬頃をめどに分析、判断する必要があるとした上で、今後の対策の検討の参考として、次のとおり、想定される状況に基づき、行うべき取組が示された。 ステージⅢ相当の対策が必要とされ、かつ、新規感染者数が高止まりしている地域は、感染高止まり地域と位置付けられ、当該地域で上記の状況 が継続すると、医療提供体制や公衆衛生体制に大きな支障が発生するとして、現行の対策の延長だけでなく、対策の更なる強化を図ることが必要と考えられるとの見解が示され、延長、強化すべき対策として、飲食店に対する営業時間短縮の要請を引き続き推進し、必要に応じて同要請を行う地域の拡大や、飲食店の閉店時間の午後8時への前倒し等を検討することな どが提言された。また、ステージⅢ相当の対策が必要とされ、かつ、新規感染者数が継続して拡大している地域は、感染拡大継続地域と位置付けられ、当該地域では、深刻な医療提供体制の機能不全等を避けるため、人の動きや接触機会の更なる低減策を講じることが必要であるとの見解が示され、強化すべき対策として、上記の地域の拡大や閉店時間の前倒し等、営 業時間短縮の要請の強化等の対策が提言された。 キ 12月23日、「現在直面する3つの課題」において示された課題は、歓楽街や飲食を介しての感染が感染拡大の原因であり、家庭内感染や院内感染は感染拡大の結果であること、感染者の多くが れた。 キ 12月23日、「現在直面する3つの課題」において示された課題は、歓楽街や飲食を介しての感染が感染拡大の原因であり、家庭内感染や院内感染は感染拡大の結果であること、感染者の多くが20歳代ないし50歳代であり、二次感染者の多くも20歳代ないし50歳代であること、見え ているクラスターだけでも飲食店でのクラスターが多いこと、クラスターは飲食店で先行した後に医療、福祉施設で発生すること、レストランの再開が感染を最も増加させることなどであった。そして、感染経路が分からない感染の多くは、飲食店における感染によるものと考えられ、その理由は、これまでのクラスター分析の結果、日常生活の中では、飲酒を伴う会 食による感染リスクが極めて高く、クラスター発生の主要な原因の一つで- 23 - あることが分かっており、感染経路が判明している割合の高い地方でも、飲酒を伴うクラスター感染が最近になっても多く報告されていることが指摘され、感染拡大の重要な要素の1つが飲食を介しての感染であるとの注意喚起がされた。 また、冬を迎えての対策は初めての経験であるが、この半年以上の経験 を通じて多くのことを学び、急所を押さえることができれば感染を収束させることが可能であることが分かってきたとして、国民に対し、忘年会、新年会、年末の買い出しや初売り、帰省に際しての注意を呼びかけるとともに、感染拡大継続地域では、飲食を中心として感染が拡大していると考えられるため、飲食店等の営業時間短縮の要請を含め、会食、飲食による 感染拡大を徹底的に抑えることが必要である旨、このまま感染拡大が続くと、更に医療がひっ迫することは明らかである旨の見解が示された。 ⑵ 令和3年1月7日、本件緊急事態宣言がされた。その前後の都内の新規感染 底的に抑えることが必要である旨、このまま感染拡大が続くと、更に医療がひっ迫することは明らかである旨の見解が示された。 ⑵ 令和3年1月7日、本件緊急事態宣言がされた。その前後の都内の新規感染者数や入院患者数等は、別紙7ないし9のとおり推移した。また、3月中、新型コロナウイルス感染症に対する国や東京都の分析、報告等の経緯は、次 のとおりであった。 ア 3月5日、政府の新型コロナウイルス感染症対策本部会議(以下「対策本部会議」という。)において、全国の新規感染者数は、1月中旬以降減少が継続しているが、2月中旬以降減少スピードが鈍化しており、下げ止まる可能性やリバウンド(感染再拡大)に留意が必要であること、東京都 では、新規感染者数は減少傾向が続き、直近1週間合計の対人口10万人の値が13人と、ステージⅢの指標となっている15人を下回ったものの、感染者の減少スピードは鈍化したことなどが指摘され、本件緊急事態宣言期間が3月21日まで延長されることが決定された。(甲32の4、乙45) また、3月5日、諮問委員会において、新型コロナウイルス感染症の対- 24 - 処に関する全般的な方針を、緊急事態措置区域においては、社会経済活動を幅広く止めるのではなく、感染リスクが高く感染拡大の主な起点となっている場面に効果的な対策を徹底すること、すなわち、飲食を伴うものを中心として対策を講じ、その実効性を上げるために、飲食につながる人の流れを制限すること、具体的には、飲食店に対する営業時間短縮の要請、 外出の自粛要請、テレワークの推進等の取組を強力に推進することとされ、新型コロナウイルス感染症対策の実施に関する重要事項のうち、施設の使用制限として、東京都等では、感染リスクが高いと指定されている飲食の場を 要請、テレワークの推進等の取組を強力に推進することとされ、新型コロナウイルス感染症対策の実施に関する重要事項のうち、施設の使用制限として、東京都等では、感染リスクが高いと指定されている飲食の場を避ける観点から、飲食店に対し営業時間の短縮を求めて45条2項要請を行うとともに、特措法24条9項に基づき、業種別ガイドラインの遵 守への協力要請を行うとされた。(乙1の2)イ東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議の分析によれば、3月10日の時点で、新規感染者数は下げ止まりが見られ、今後、変異株等により急激に感染再拡大が起こる可能性があるばかりか、一部の繁華街では本件緊急事態宣言発出直後(1月8日)よりも人の流れが増加し、感染 の急拡大が危惧されており、医療提供体制はひっ迫していること、3月17日の時点で、新規感染者数の増加比が100%を超え、急激な感染再拡大の可能性があることに加え、花見、歓送迎会や卒業旅行等の行事により、例年と同じく人の流れが増加すれば、年末年始を超える感染の急拡大も危惧されるなど、感染再拡大の危険性が高い状況であり、医療提供体制も大 きく制限されているとみられることなどが指摘された。(乙36の1・2,42,43)ウ政府対策本部長は、3月17日の会見において、緊急事態宣言の解除について、「関係閣僚と会談をして、状況確認をいたしました。そして、21日に期限を迎えます緊急事態宣言(本件緊急事態宣言)については解除 する方向で、明日、専門委員会の先生方に意見を伺った上で最終的に判断- 25 - したいと思います。」、感染再拡大の状況について、「厚生労働省の正規の専門家の委員の皆さんから、そこはしっかり話も今日伺って、提言も頂いております。その中で、明日諮問委員会に解除の 25 - したいと思います。」、感染再拡大の状況について、「厚生労働省の正規の専門家の委員の皆さんから、そこはしっかり話も今日伺って、提言も頂いております。その中で、明日諮問委員会に解除の方向で提案するということです。」、なぜここで解除の方針を決めたのかについて、「なぜというよりも、今まで国民の皆さんに説明しているステージの数字があります。感 染者数あるいは病床の使用率が解除の方向に入っているということです。」、この2週間の評価について、「病床は当時は使用率が50%前後で極めて厳しい状況でありましたけれども、そうしたものはしっかりとクリアできていると思っています。」などと述べた。(甲55)そして、3月18日、対策本部会議において、同日に開催された諮問委 員会で、同月21日に本件緊急事態宣言を解除することが了承されたこと、新規感染者数が微増傾向にあるが、1月のピーク時からは約8割の減少の効果が見られ、病床使用率も下がり、ステージⅢ相当が確実になっていることなどが報告され、また、感染拡大防止のために緊張感や警戒感を持つべきなのは、マスクを外す場面であるので、やはり飲食がポイントであり、 飲食店による業種別ガイドラインの遵守を強化すること、呼びかけ、換気、アクリル板の設置、会話時のマスク着用を徹底するとともに、本件緊急事態宣言解除後も飲食店に対しては営業時間短縮の要請を続けることが指摘された。 政府対策本部長は、本件緊急事態宣言の発出以降、飲食店の営業時間短 縮を中心としてピンポイントで行った対策は大きな成果を上げ、1都3県の新規感染者数は8割以上減少していることなどを指摘し、こうした状況を踏まえ、1都3県について、3月21日に同宣言を解除すると表明し、さらに、新規感染者数は横ばい、 対策は大きな成果を上げ、1都3県の新規感染者数は8割以上減少していることなどを指摘し、こうした状況を踏まえ、1都3県について、3月21日に同宣言を解除すると表明し、さらに、新規感染者数は横ばい、あるいは微増の傾向が見られ、感染再拡大も懸念されるとして、宣言解除に当たり、その発生を防ぐため、引き続 き対策の中心となる飲食を通じた感染防止等の総合的な対策を決定したこ- 26 - とを公表した。その際の資料では、概要、本件緊急事態宣言が終了するが、すでに1都3県を中心に感染再拡大の発生の懸念もあること、人々の協力なくしてこれは防止できず、これまで以上に人々の理解と共感を得るためには、まず、国や自治体が必要な対策を確実に実行することが重要であること、緊急事態宣言の主な目的は、医療提供体制の負荷を取ることであっ たところ、本件緊急事態宣言の急所を突いた対策によって、新規感染者数は短期間で8割減少し、病床の負荷が確実に改善され、効果があったと考えられること、ただし、1都3県を中心に感染減少は下げ止まり、一部では微増傾向になっていることが指摘された。(甲26、乙1の3、37、38) エ 3月18日、医師、医科大学教授、弁護士等で構成された東京都新型コロナウイルス感染症対策審議会(以下「対策審議会」という。)において、新規感染者数の7日間平均が3月17日時点で増加に転じたこと、新規感染者数は下げ止まりになっていること、感染拡大傾向に転じた要因は、感染力の高い変異株の影響はまだ少なく、人心の緩みによる人流の上昇と思 われることなどが報告され、本件緊急事態宣言解除後も飲食店に対する営業時間短縮要請を継続することは適当とする意見が出された。(甲47)⑶ 主に原告に関し、本件命令発出日の前後の経緯は、次のとおり れることなどが報告され、本件緊急事態宣言解除後も飲食店に対する営業時間短縮要請を継続することは適当とする意見が出された。(甲47)⑶ 主に原告に関し、本件命令発出日の前後の経緯は、次のとおりであった。 ア被告は、令和3年1月8日から本件緊急事態宣言が解除されるまでの間、緊急事態措置として、都民に対しては、特措法45条1項に基づき、不要 不急の外出自粛、特に夜間の徹底した不要不急の外出自粛への協力を求め、飲食店に対しては、同法24条9項に基づき、営業時間短縮の協力要請を行っていた。大多数の施設がこれに応じていたが、上場企業である原告は応じなかったので、被告は、2月19日、原告に対し、書面により、本件対象施設での営業時間短縮の協力要請を行った。(甲17) イ被告は、2月19日、対策審議会において、45条2項要請を行うこと- 27 - は適当であるとの意見を聴取した。その際、各委員は、概要、「特措法24条9項による営業時間短縮の要請に大多数の飲食店は応じている。一方で営業を続けている飲食店はあり、この状況は不公平を生じる。」、「東京都の新規感染者数は1月中旬以降減少傾向にあるが、2月中旬過ぎから減少傾向に鈍化がみられる。その一方で、都内の盛り場などへの夜間の人出 は増加していることから、飲食業に対する営業時間短縮の要請を強化することが必要と考える。」などの意見を書面で提出した。被告は、同月22日、原告に対し、本件対象施設は、事業の性質上、多くの人が集まり3密の環境となり得るから、夜間の営業を継続すれば、新型コロナウイルス感染症のまん延につながる懸念があるなどと指摘し、同施設での営業時間の 短縮を改めて求めるとともに、同月24日以降も夜間の営業を継続する場合は、45条2項要請を行う予定で 、新型コロナウイルス感染症のまん延につながる懸念があるなどと指摘し、同施設での営業時間の 短縮を改めて求めるとともに、同月24日以降も夜間の営業を継続する場合は、45条2項要請を行う予定である旨、事前の通知をした。(甲18、乙23)ウ被告は、2月26日、原告に対し、本件対象施設は、事業の性質上、多くの人が集まり3密の環境となり得るから、新型コロナウイルス感染症の まん延につながる懸念がある旨の理由で、本件要請をした。(甲19)エ被告は、3月5日、対策審議会において、45条3項命令を行うことは適当であるとの意見を聴取した。その際、各委員は、概要、「多くの都民、事業者の方々の多大な努力によって、新規感染者数は大きく減少し、医療提供体制への負荷も一定程度軽減されつつあるが、日本各地で変異株の感 染例が報告されており、未だ警戒を怠ることのできない状況が続いている。 加えて、足元で新規感染者数の減少ペースに鈍化の兆候がみられるなど、もう一段の感染抑制に向けた協力をお願いしなければならない局面にあると認識している。そうした状況下、多くの飲食店が営業時間短縮の要請を遵守する一方で、一部とはいえ要請に従わず、今もなお夜間の営業を継続 している飲食店が存在することは、来客誘因を通じて感染リスクを拡大さ- 28 - せるだけでなく、同要請に応じている飲食店との不公平を生じさせ、緊急事態措置自体の実効性を低下させかねないリスクをはらんでいる。これを軽減させる観点から、45条3項命令の実施は適当である。」、「要請に応じないことの結果として、人流の増加をきたし感染を助長すれば、感染対策に対する飲食店や都民の協力自体を無力化する可能性がある。」、「飛沫 感染リスクは低いが人の接触減や人流の増大防止のために 応じないことの結果として、人流の増加をきたし感染を助長すれば、感染対策に対する飲食店や都民の協力自体を無力化する可能性がある。」、「飛沫 感染リスクは低いが人の接触減や人流の増大防止のために営業時間を短縮している施設も多数ある。平等原則からも、夜間の営業を継続している施設に対しては、次の段階の命令を発することが必要である。」などの意見を書面で提出した。(乙24)オ被告は、3月5日、原告に対し、本件対象施設につき45条3項命令を 発出する予定であるとして、弁明の機会を付与する旨通知し、弁明書の提出を求めた。(甲20)原告は、同月11日、都知事宛てに本件弁明書を提出し、概要、「新型コロナウイルス感染症のような弱毒性のウイルスは完全に封じ込めるのは不可能であると考えている。同感染症での死亡者の多くは高齢者であり、 そのようなハイリスク者と若者を家庭内で分離する必要があるが、そのような施策が見られない。不要不急の外出を控えるよう言いつつ、映画やイベント、テーマパークなどの営業が認められるような緊急事態宣言に何の意味があるのか。少なくとも外食は、それを必要とする人は、どの時間帯においても少なからずいる。協力金等の経済対策も、一律1日6万円とい うのはあまりにも不合理である。感染症対策や経済対策に大きな不備がある中で、民間、特に飲食店を狙い撃ちした経済的我慢を強いる緊急事態宣言と営業時間短縮の要請については不信しかない。」などの考えを述べた上で、本件要請に応じない正当な理由があると考えているので、今後も応じないが、正当な理由がないという非常に不本意な判断がされ、45条3 項命令が発出されれば、遺憾ながらこれには従う旨表明した。(甲21)- 29 - 上記の協力金は、被告の じないが、正当な理由がないという非常に不本意な判断がされ、45条3 項命令が発出されれば、遺憾ながらこれには従う旨表明した。(甲21)- 29 - 上記の協力金は、被告の事務取扱要綱に基づく営業時間短縮に係る感染拡大防止協力金を指す。 カ被告は、原告に対し、3月15日、事前の通知をした上で、同月18日、特措法45条3項に基づき、講ずべき措置を本件対象施設の使用制限(午後8時から翌日午前5時まで(酒類の提供を伴う場合は午後7時から翌日 午前11時まで)の間において、本件対象施設を営業(中略)のために使用することの停止)とし、措置を講ずべき期間を同日から本件緊急事態宣言が終了するまでの間として、本件命令を発出した。(甲22、23)被告は、本件命令に係る措置命令書に、別紙6の趣旨の命令を行う理由を付記し、また、同命令書の別紙に、本件対象施設それぞれにつき、45 条命令に係る事実との表題で、「本件要請を行った2月26日から3月14日まで、同要請に応じる旨の連絡がなく、また、同要請に応じた事実の確認ができなかった。同月15日に本件命令に関する事前通知を行ったものの、同月17日に現地を確認し、午後8時以降に本件対象施設を営業のために使用した事実を確認した。」旨、本件命令に至る事実経過を記載し た。(甲23)本件命令を行う理由中にある発信は、原告が自社のホームページに本件記事(別紙5)を掲載していたことを指す。原告代表者は、本件記事に表した考え方を敷衍し、本件弁明書に詳細に記したほか、原告代表者の陳述書や尋問でも一貫して同旨を述べた。(甲27、68、原告代表者) キ原告は、従前から、業種別ガイドラインの項目(客席へのアクリル板の設置、客に対する飲食時以外 ほか、原告代表者の陳述書や尋問でも一貫して同旨を述べた。(甲27、68、原告代表者) キ原告は、従前から、業種別ガイドラインの項目(客席へのアクリル板の設置、客に対する飲食時以外のマスク着用の促し等)を逐一遵守していたわけではなかったものの、本件対象施設内の座席同士の間隔を1メートルには達しないまでも空けており、飛沫感染や接触感染の危険性が高いという新型コロナウイルス感染症の特徴を踏まえ、強力吸排気により店舗内の 換気を図り、また、トイレ便座、シンク、水道ハンドル、メニュー、テー- 30 - ブル、椅子等、客や従業員の手の触れる場所の消毒や拭き取りを行い、消毒液や検温器を設置するなどの感染防止対策を実施していた。被告の担当者が本件対象施設の見回りをしたが、その主な目的は、夜間の営業を継続しているかどうかを確かめることにあり、同施設の構造や感染防止対策の取組状況を調査するなどの様子は見られなかった。(甲68、乙56、原 告代表者)ク被告は、3月18日、原告以外の1施設に対し、45条3項命令を発出した。その理由は、緊急事態措置に応じない旨を強く発信し、他の飲食店の夜間営業を誘発するおそれがある旨を含め、本件命令と同様であった。 (甲24、乙40の6) 次いで、被告は、3月19日、5施設(5事業者)に対し、45条3項命令を発出した。その理由は、緊急事態措置に応じない旨を強く発信した旨を除き、本件命令と同様であった。(乙40の1~5)ケ原告は、本件命令に従い、3月18日から同月21日までの4日間、本件対象施設での夜間営業を行わなかった。 被告の目視による調査によれば、その頃、都内の飲食店の約10万5500の店舗のうち約10万3000(約98%)が夜間 21日までの4日間、本件対象施設での夜間営業を行わなかった。 被告の目視による調査によれば、その頃、都内の飲食店の約10万5500の店舗のうち約10万3000(約98%)が夜間の営業を行っていなかったが、他の2000余りの店舗は、営業時間短縮の協力要請に応じず夜間の営業を継続していた。(乙25)コ 2月以降に被告が行った45条2項要請、45条3項命令等の経緯を時 系列で整理すると次のとおりである。 その間、被告は、夜間の営業を継続していた129施設(原告を含む96事業者)に対して45条2項要請を行ったが、そのうち3月に入ってから同要請を行った98施設(89事業者)については、本件緊急事態宣言期間中に現地確認や弁明の機会付与等をする時間がないという理由で、同 要請より後の手続を進めなかった。 - 31 - ・2月22日 ①65施設(原告ほか1社の上場企業を含む10事業者)に対し、45条2項要請の事前通知・2月26日上記①のうち34施設(原告を含む9事業者)に対し、同要請(事前通知を受けていた原告以外の上場企業1社は、それまでに夜間の営業を止めたため、同要請の対象にならなか った。)②47施設(46事業者)に対し、同要請の事前通知・3月2日 ③38施設(36事業者)に対し、同要請の事前通知・3月3日上記②のうち40施設(34事業者)に対し、同要請・3月5日上記②のうち1施設(1事業者)に対し、同要請 上記③の38施設(36事業者)に対し、同要請・3月5日及び8日上記①のうち33施設(原告を含む8事業者)に対し、弁明の機会の付 上記③の38施設(36事業者)に対し、同要請・3月5日及び8日上記①のうち33施設(原告を含む8事業者)に対し、弁明の機会の付与・3月15日 ④20施設(20事業者)に対し、45条2項要請の事前 通知上記①のうち27施設(原告を含む2事業者)に対し、45条3項命令の事前通知・3月16日上記①のうち5施設(5事業者)に対し、同命令の事前通知 ・3月18日上記④のうち16施設(16事業者)に対し、45条2項要請上記①のうち3月15日に45条3項命令の事前通知を受けた27施設(原告を含む2事業者)に対し、同命令(本件命令を含む。) ・3月19日上記①のうち3月16日に同命令の事前通知を受けた5施- 32 - 設(5事業者)に対し同命令⑷ その他の事情等ア統計学に基づく分析によれば、本件命令の効力が生じた令和3年3月18日から同月21日までの4日間において、本件対象施設の営業時間の短縮によって来客数が減少したことにより抑止し得た新規感染は、約0.0 82人であり、これと同程度の二次感染の抑止は、PCR検査を4日間で2.204件(1.81日当たり1件)増やすことで実現し得るものであった。(甲53の1・2、54、69、70、72,85、証人C)イ原告の売上高は、令和元年に約96億円であったものが令和2年には約56億円に減少し(減少率41%)、令和2年12月期(同年1月1日か ら12月31日まで)の営業損失は、10億9400万円であり、資金繰りのために金融機関から多額の借入れをした。原告は、デリバリーやテイクアウト 少率41%)、令和2年12月期(同年1月1日か ら12月31日まで)の営業損失は、10億9400万円であり、資金繰りのために金融機関から多額の借入れをした。原告は、デリバリーやテイクアウトを強化し、テラス席等の屋外スペースの活用、ランチ、アイドルタイムを強化するためのメニュー開発を行うなどの対策を実施したほか、都内の複数の店舗を閉店した。他方、令和3年2月から3月にかけて、原 告の売上は増加し、その頃、他の飲食店の営業時間の短縮により、原告の店舗に顧客が流れ込んでいる旨の報道も見られた。(甲3、48、乙27~29、原告代表者)ウ内閣官房は、令和3年2月12日、都知事ほかに対し、新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律の公布に係る事務連絡にお いて、次の趣旨の見解を示した。(乙4)① 特措法45条3項所定の正当な理由につき、今回の改正において、国及び地方公共団体が新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者等を支援するために必要な措置を講ずる義務を明記しており、事業者への影響が緩和されると考えられること、措置が実施される期間は一時的で あることなどを踏まえ、限定的に解釈されるべきである。 - 33 - 要請に応じない正当な理由がある場合とは、具体的な状況における諸般の事情を考慮して客観的に判断されるものであるが、例えば、地域の飲食店が休業等した場合、近隣に食料品店が立地していないなど他に代替手段もなく、地域の住民が生活を維持していくことが困難となる場合等が該当すると考えられる。一方で、経営状況等を理由に要請に応じな いことなどは、正当な理由がある場合に該当しない。 また、感染防止対策を講じていることは、要請に応じない正当な理由がある場合 ると考えられる。一方で、経営状況等を理由に要請に応じな いことなどは、正当な理由がある場合に該当しない。 また、感染防止対策を講じていることは、要請に応じない正当な理由がある場合には該当しないが、例えば命令の際に、特に必要があると認めるときに該当するかどうかを判断する際の考慮要素とすることが考えられる。 ② 同法45条3項所定の特に必要があると認めるときにつき、これに該当する状況は、必ずしも現に対象となる個別の施設においてクラスターが発生している必要はないが、例えば、専門家の意見として、対象となる施設やその類似の環境(業種)が、クラスターが発生するリスクが高いものとして認識されている上に、当該施設において、3つの密に当た る環境が発生し、クラスターが発生するリスクが高まっていることが実際に確認できる場合などが考えられる。 エまた、内閣官房は、令和3年4月9日、都知事ほかに対し、「要請・命令に際しての適切な判断の在り方について」と題して、45条3項命令につき、次の事項に留意すべきである旨の事務連絡を発出した。(甲50) 令和3年2月12日付け事務連絡において、正当な理由がないのに要請に応じない個別の者に対して行うこと、特に必要があると認めるときに行うこと、学識経験者への意見の聴取を経て行うこと、指導、助言や文書による事前通知を経た上で行うこと等を示したところであるが、①まん延を防止するため「特に必要があると認める」との評価について合理的な説明 が可能であるか、②個別施設に対して要請や命令を行う判断の考え方や基- 34 - 準について合理的説明が可能であり、公正性の観点からも説明ができるものになっているかといった観点からも検討を行うことオ令和3年 に対して要請や命令を行う判断の考え方や基- 34 - 準について合理的説明が可能であり、公正性の観点からも説明ができるものになっているかといった観点からも検討を行うことオ令和3年2月頃、新型コロナウイルス感染症の感染防止対策としてのワクチン接種は、同年前半までに全国民に提供できる数量の確保を目指し、海外の製薬会社3社との間でワクチンの供給を受ける旨の契約を締結し、 2月14日に上記のうち1社のワクチンにつき、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(昭和35年法律第145号)14条の3所定の厚生労働大臣による特例承認があり、同月17日に医療従事者向けの先行接種が始まった段階であった。(乙1の3)カ本件緊急事態宣言が解除された令和3年3月21日の後、再び新規感染 者数の増加や医療提供体制のひっ迫が生じ、政府対策本部長は、4月23日、新型コロナウイルス感染症の全国的かつ急速なまん延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼす事態にあるとして、3回目の緊急事態宣言をした。(甲73) 2 争点1(本件命令の違法性)について ⑴ 本件命令発出日に新型インフルエンザ等緊急事態であったかどうかア新型インフルエンザ等緊急事態とは、新型インフルエンザ等が国内で発生し、その全国的かつ急速なまん延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼし、又はそのおそれがあるものとして政令で定める要件に該当する事態をいう(特措法32条1項)。政府対策本部長は、これが発生し たと認めるときは、新型インフルエンザ等緊急事態が発生した旨等を公示し(緊急事態宣言)、緊急事態措置を実施する必要がなくなったと認めるときは、緊急事態解除宣言をするところ、この解除宣言は新型インフルエ 認めるときは、新型インフルエンザ等緊急事態が発生した旨等を公示し(緊急事態宣言)、緊急事態措置を実施する必要がなくなったと認めるときは、緊急事態解除宣言をするところ、この解除宣言は新型インフルエンザ等緊急事態が終了した旨の公示をいうのであるから(同条5項)、同公示がされるまでの間は新型インフルエンザ等緊急事態である。そして、 特措法45条2項、3項所定の新型インフルエンザ等緊急事態を、同法3- 35 - 2条所定のそれと異なるものと解すべき合理的根拠は見当たらない。したがって、本件命令発出日に新型インフルエンザ等緊急事態であったと認められる。 イ原告は、新型インフルエンザ等緊急事態であるか否かは、形式上緊急事態宣言期間中であることではなく、新規感染者数の推移や医療提供体制の 状況に基づき、実質的に緊急事態にあるかどうかという基準により判断されるべきであると主張する。しかし、この主張は、その基準自体が不明確であるし、上記アの文言解釈とも齟齬し、採用することができない。 ただし、別紙7ないし9のとおり、令和3年3月中旬頃には、感染再拡大の懸念はあったものの、新規感染者数が1月のピーク時に比べて大幅に 減少し(減少が続いていた頃は、原告の主張のとおり、実効再生産数が1を下回っていたということができる。)、医療提供体制のひっ迫の状況も、ステージ区分がⅣ相当であったものがⅢ相当に緩和しており、政府対策本部長は、本件命令発出日の前日(同月17日)に、ステージの数字が解除の方向に入っているなどと述べて、同月21日に本件緊急事態宣言を解除 する旨の方針を示した(認定事実⑵ウ)。上記ステージ区分を判断するための6つの指標はあくまで目安であるが(同⑴イ)、認定事実⑵ウ等の一連の経緯によれば、政府はこれら に本件緊急事態宣言を解除 する旨の方針を示した(認定事実⑵ウ)。上記ステージ区分を判断するための6つの指標はあくまで目安であるが(同⑴イ)、認定事実⑵ウ等の一連の経緯によれば、政府はこれらの指標を総合的に判断したということができる。このような事情は、本件命令発出日に新型インフルエンザ等緊急事態であったかどうかの判断を左右するとはいえないものの、同命令の発 出は特に必要があったと認められるかどうかの判断において、考慮要素になり得る(後記⑷)。 ⑵ 本件命令に違法な目的があったかどうかア被告は、本件命令を行う理由として、原告が緊急事態措置に応じない旨を強く発信するなど、他の飲食店の夜間営業を誘発するおそれがあること を挙げた(認定事実⑶カ、別紙6)。この部分は、被告において、原告が- 36 - 本件記事を自社のホームページに掲載し、緊急事態宣言がされても平常通り営業を続ける旨を表明していたことをことさらに問題視したものであった。被告は、同様に緊急事態措置に応じない旨を発信していた原告以外の1施設に対しても、本件命令発出日と同日に、上記と同様の理由を付記して45条3項命令を発出した(同⑶ク)。 しかし、被告は、そのほかにも、本件記事のような発信をしていない5施設(5事業者)に対し、45条3項命令を発出し、別の98施設(89事業者)に対し、45条2項要請を行ったが(同⑶ク、コ)、これらの事業者が緊急事態措置に対する反対意見を表明するなどした形跡はない。また、被告が上記98施設に対して45条3項命令を発出しなかったのは、 本件緊急事態宣言期間中に45条2項要請より後の手続を進める時間がなかったためであり(同⑶コ)、時間的余裕があれば、上記98施設のうち同要請に応じず夜間の営業を 項命令を発出しなかったのは、 本件緊急事態宣言期間中に45条2項要請より後の手続を進める時間がなかったためであり(同⑶コ)、時間的余裕があれば、上記98施設のうち同要請に応じず夜間の営業を継続した施設に対し、45条3項命令を発出したと考えられる。これらによれば、仮に原告が本件記事を自社のホームページに掲載していなかったとしても、被告が原告に対して45条3項命 令を発出し、又は発生に向けて手続を進めるのは確実であったということができる。すなわち、本件緊急事態宣言期間中に45条3項命令を受けたのは原告だけではないし、同命令は緊急事態措置に対し明示的に反対意見を表明していない飲食店にも発出され、又は発出される蓋然性が高かった。 そうだとすると、他の45条3項命令と同日若しくは前日、又は同命令に 先行する手続中に発出された本件命令が、原告を狙い撃ちした、報復ないし見せしめであったとまでは認め難い。したがって、本件命令に違法な目的があったとは認められない。 イ原告は、夜間の営業を継続していた2000余りの店舗中、被告が本件対象施設のほかには、わずか6施設(6事業者)に対してしか、45条3 項命令を発出しなかったことをもって、本件命令は原告を狙い撃ちにした、- 37 - 報復ないし見せしめであり、同命令に違法な目的があった旨主張するが、上記アの説示に反し、採用することができない。 ただし、上記2000余りの店舗が夜間の営業を継続する中で、45条3項命令の対象になった施設の大多数が原告の店舗であったことは、原告の指摘するとおりである。この点は、上記⑴イの場合と同じく、本件命令 の発出は特に必要があったと認められるかどうかの判断において、考慮要素にするのが相当である(後記⑷)。 ⑶ 原告に 原告の指摘するとおりである。この点は、上記⑴イの場合と同じく、本件命令 の発出は特に必要があったと認められるかどうかの判断において、考慮要素にするのが相当である(後記⑷)。 ⑶ 原告において本件要請に応じない正当な理由があったかどうかア認定事実⑴冒頭のとおり、新型コロナウイルス感染症は、感染者のうち若者は重症化する傾向が低い(感染を自覚せずに外出するなどのリスクが ある)、発症前から感染者が他者に感染させる可能性がある、主に飛沫感染や接触感染により感染し、3密の環境で感染リスクが高まるなどの特徴がある。 そして、令和2年に入り新型コロナウイルス感染症の感染が拡大し、感染防止対策の策定、実施等が喫緊の課題とされる中、世界保健機関が混雑 した換気の悪い環境下における、空気中を漂う微粒子であるエアロゾルを介した感染である旨を認め(認定事実⑴ア)、国内では分科会において、飲酒を伴う懇親会等、大人数や長時間に及ぶ飲食、大人数やマスクなしでの会話等の場面でクラスターの発生が多いなどの問題意識が示され(同⑴ウ)、その後も感染防止対策として飲食店の営業時間の短縮が最も重要で あるなどの提言が繰り返され(同⑴エないしカ)、同年12月には、飲食店でのクラスターが多く、クラスターは飲食店で先行した後に医療、福祉施設で発生すること、レストランの再開が感染を最も増加させること、日常生活の中では、飲酒を伴う会食による感染リスクが極めて高いので、感染経路が分からない感染の多くは、飲食店における感染によるものと考え られることなどが指摘された上、感染拡大継続地域では、飲食を中心とし- 38 - て感染が拡大していると考えられるため、飲食店等の営業時間の短縮を含め、会食、飲食による感染リスクを徹底的に抑 られることなどが指摘された上、感染拡大継続地域では、飲食を中心とし- 38 - て感染が拡大していると考えられるため、飲食店等の営業時間の短縮を含め、会食、飲食による感染リスクを徹底的に抑えることが必要である旨、このまま感染拡大が続くと、更に医療がひっ迫することは明らかである旨の見解が示された(同⑴キ)。 令和3年1月、本件緊急事態宣言がされ、被告は、都内において同月8 日から同宣言が解除されるまでの間、都民に対しては、不要不急の外出自粛、特に夜間の徹底した不要不急の外出自粛への協力を求め、飲食店に対しては、営業時間短縮の協力要請を行った(同⑶ア)。その後3月には、諮問委員会において、感染リスクが高く感染拡大の主な起点となっている飲食を伴うものを中心として対策を講じることとし、その実効性を上げる ために、飲食店に対する営業時間短縮の要請等を強力に推進し、飲食につながる人の流れを制限するとの方針が示され、対策本部会議において、急所を突いた対策により新規感染者数は大幅に減少し、医療提供体制の状況も改善が図られたものの、感染拡大防止のために緊張感や警戒感を持つべきなのは、マスクを外す場面であるので、やはり飲食がポイントであると して、飲食店による業種別ガイドラインの遵守、会話時のマスク着用等の感染防止対策の徹底を図るとともに、本件緊急事態宣言解除後も飲食店に対しては営業時間短縮の要請を続けることが指摘され、対策審議会においては、同宣言解除後も飲食店に対して同要請を続けることは適当とする意見が出された(同⑵ア、ウ、エ、⑶エ)。このように、新型コロナウイル ス感染症の感染拡大が深刻な社会問題になった頃以降、飲食、会食の場面でのクラスター発生の危険性に対する警戒心が解かれることはなく、飲食店に対する営 、エ、⑶エ)。このように、新型コロナウイル ス感染症の感染拡大が深刻な社会問題になった頃以降、飲食、会食の場面でのクラスター発生の危険性に対する警戒心が解かれることはなく、飲食店に対する営業時間短縮の要請は、一貫して最も重要な感染防止対策の1つであり、このことは都民にも浸透し、都内の飲食店のうち約98%の店舗が営業時間短縮の協力要請に応じ、夜間の営業を行っていなかった(同 ⑵ア、⑶ア、エ、ケ)。 - 39 - また、3月中旬頃には、都内の新規感染者数の下げ止まりが見られ、感染再拡大の懸念も示されていた(同⑵イ、ウ)。被告は、その前後の2月から3月にかけて、夜間の営業を継続していた本件対象施設を含む129施設(原告を含む96事業者)に対し、45条2項要請(原告に対する本件要請)を行った(同⑶コ)。本件緊急事態宣言の解除後、再び新規感染 者数の増加や医療提供体制のひっ迫が生じ、4月23日、3回目の緊急事態宣言がされた(同⑷カ)。 以上の経緯によれば、飲食店に対する営業時間短縮の協力要請は、少なくとも令和2年から翌3年にかけての頃には、クラスター発生の起点とみられた飲食を中心とした人の流れを抑制する対策として必要かつ有用なも のであったと認められ、この認定を覆すに足りる証拠はない。そうすると、上記協力要請に応じなかった原告に対して引き続き行われた、本件対象施設での営業時間短縮の要請を内容とする本件要請も、新型コロナウイルス感染症に対する対策の強化を図り、また、国民の生命及び健康を保護するために必要かつ有用であったということができる。 イ原告は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、令和2年の売上高が前年に比べて大幅に減少し、資金繰りのために多額の借入れをしたり 要かつ有用であったということができる。 イ原告は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、令和2年の売上高が前年に比べて大幅に減少し、資金繰りのために多額の借入れをしたり複数の店舗を閉店したりしていたところ(認定事実⑷イ)、特措法は被告が45条2項要請を行うに当たり、その影響の及ぶ事業者の経済的な事情を考慮することを当然の前提としているから、同法45条3項所定 の正当な理由の有無につき、経営状況等の経済的事情が考慮されるべきである旨主張する。 しかし、45条2項要請に応じた場合には、店舗の営業時間の短縮により、必然的に売上が減少するから、同要請は事業者の経済的利益と相反する。それにもかかわらず、被告が45条2項要請を行うに際し、飲食店ご との経営状況を考慮しなければならないとすると、同要請の影響を受けて- 40 - 経営状況が悪化し、又は悪化する可能性のある事業者に対しては営業時間短縮の要請を行うことができなくなって、新型コロナウイルス感染症に対する対策の強化を図り、現に発生して感染防止対策が喫緊の課題となっていた同感染症から国民の生命及び健康を保護するという目的の達成に支障を来す。 そうすると、特措法が緊急事態措置の影響を受けた事業者を支援するために必要な財政上の措置等を効果的に講ずる義務(63条の2第1項)等を定め、これにより事業者に対する影響が緩和されると考えられること、措置が実施される期間は一時的であることなどを踏まえ、45条2項要請に応じない正当な理由は限定的に解釈されるべきであるし、経営状況等を 理由に要請に応じないことなどは、正当な理由がある場合に該当しないという内閣官房の見解は(同⑷ウ)、相当なものといえる。 また、本件要請は、 に解釈されるべきであるし、経営状況等を 理由に要請に応じないことなどは、正当な理由がある場合に該当しないという内閣官房の見解は(同⑷ウ)、相当なものといえる。 また、本件要請は、営業時間短縮の要請であり、営業全部の停止(休業)を求めるものではないこと、原告は強い不服を表すものの、被告の事務取扱要綱に基づく営業時間短縮に係る感染拡大防止協力金の支給により、本 件要請に応じた場合には、損失が一定程度てん補され得たことなどを考慮すれば、原告において同要請に応じない正当な理由があったとは認められない。 ⑷ 本件命令の発出は特に必要があったと認められるかどうかア特措法45条3項は、都知事が45条3項命令を発出し得る場合を、飲 食店等の施設管理者が45条2項要請に応じないことに加え、新型コロナウイルス感染症のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため「特に必要があると認めるとき」に限定している。45条3項命令は、これに違反した場合、当該違反行為をした施設管理者は過料に処せられるのであり(同法79条)、制裁 規定の前提になるものであるから、その運用は、慎重なものでなければな- 41 - らないというべきである。 この点につき、原告は、45条3項命令の発出によって得られる感染拡大防止への寄与度は、同発出が国民生活、国民経済に及ぼす影響を大きく上回ることを要するとした上で、「特に必要があると認めるとき」の要件の下、都知事が命令を行うに当たっては、当該施設管理者に対する必要最 小限の措置であり、過料の制裁の前提になる不利益処分を課してもやむを得ないというに足りる高度の必要性があることが求められると主張する。 この主張は、上記要件を非常 、当該施設管理者に対する必要最 小限の措置であり、過料の制裁の前提になる不利益処分を課してもやむを得ないというに足りる高度の必要性があることが求められると主張する。 この主張は、上記要件を非常に厳格に解している点で、前記⑶アのとおり飲食店に対する営業時間短縮の要請が新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策として必要かつ有用なものといえることとの均衡を失し、そのまま 採用し難いものの、施設管理者が45条2項要請に応じないことに加え、当該施設管理者に不利益処分を課してもやむを得ないといえる程度の個別の事情があることを要するという限度で、首肯し得るものということができる。 内閣官房は、上記要件該当性判断に関し、都知事ほかに対し、本件命令 発出日に先立ち、これに該当する状況は、必ずしも現に対象となる個別の施設においてクラスターが発生している必要はないが、例えば、専門家の意見として、対象となる施設等が、クラスターが発生するリスクが高いものとして認識されている上に、当該施設において3つの密に当たる環境が発生し、クラスターが発生するリスクが高まっていることが実際に確認で きる場合などが考えられ、また、感染防止対策を講じていることは、上記要件の考慮要素になり得る旨の見解を示し(認定事実⑷ウ)、本件命令発出日の後には、上記要件該当性の評価について合理的な説明が可能であるか、個別施設に対して命令を行う判断の考え方や基準について合理的な説明が可能であり、公正性の観点からも説明ができるものになっているかに 留意すべきである旨指摘した(同⑷エ)。この見解等は、上記個別の事情- 42 - の有無の判断に当たり、参考になるといえる。 イまず、上記個別の事情の有無につき、原告は、業種別ガイドラインの項目を逐一遵 摘した(同⑷エ)。この見解等は、上記個別の事情- 42 - の有無の判断に当たり、参考になるといえる。 イまず、上記個別の事情の有無につき、原告は、業種別ガイドラインの項目を逐一遵守していたわけではなかったものの、本件対象施設内の座席同士の間隔を従来よりも空けており、飛沫感染や接触感染の危険性が高いという新型コロナウイルス感染症の特徴を踏まえ、強力吸排気により店舗内 の換気を図り、また、店舗内の客や従業員の手の触れる場所の消毒や拭き取りを行い、消毒液や検温器を設置するなどの感染防止対策を実施していた(認定事実⑶キ)。このことによれば、本件命令発出日の頃、本件対象施設において、上記アの内閣官房の見解等にいう3つの密に当たる環境のうち少なくとも密閉空間(換気の悪い密閉空間)が発生していたとはいえ ず(同⑴冒頭)、他方で相当の感染防止対策が実施されていたのであるから、クラスターが発生するリスクが高いものとして実際に確認できる場合にあったと認めることはできない。 ウ被告は、本件命令発出の必要性の有無の判断は、都知事の広範な裁量に委ねられているとした上で、①同命令発出日の頃の都内での新規感染者数 の推移や医療提供体制のひっ迫の状況に基づけば、緊急事態措置として飲食店の営業時間短縮の徹底を図るべきであったこと、②飲食店ごとの感染防止対策にまかせるのみでは、営業時間短縮措置の代替策として十分ではなかったことを挙げて、本件命令の発出は特に必要があったと認められると主張する。 しかし、本件命令発出の必要性の有無の判断が都知事の裁量に委ねられているとしても、上記アのとおり、特措法は、都知事が45条3項命令を発出し得る場合を、施設管理者が45条2項要請に応じないことに加え、特に必要があると認め 必要性の有無の判断が都知事の裁量に委ねられているとしても、上記アのとおり、特措法は、都知事が45条3項命令を発出し得る場合を、施設管理者が45条2項要請に応じないことに加え、特に必要があると認めるときに限定しているのであるから、その裁量の幅が被告の主張のように広範なものとはいえない。 ①の事情は、都知事が45条2項要請を行うに当たっての前提条件であ- 43 - るところ、同要請を受けた施設管理者がこれに応じないとき、更に①の事情があれば45条3項命令発出は特に必要があると認められるとすると、対象となる施設の個別の事情とは関わりなく、常に「特に必要があると認めるとき」との要件が満たされることになり、制裁規定の前提となる不利益処分を課すのは慎重でなければならないという観点から、都知事が同命 令を発出し得る場合を限定した法の趣旨が損なわれ、不合理といわざるを得ない。①の主張は、失当というべきである。 ②の主張は、感染防止対策を講じていることが上記要件の考慮要素になり得る旨の内閣官房の見解と齟齬するし、営業時間短縮措置の代替策として十分でなかったというのは、同措置の徹底を図るべきであった旨、上記 ①の主張を繰り返すものにすぎず、もとより失当である。 エ次に、被告は、本件命令を行う理由(別紙6)に関連付けて、上場企業であり知名度の高い原告が本件対象施設での夜間の営業を継続し、客の来店を促すことで、飲食につながる人の流れを増大させ、市中の感染リスクを高めており、加えて、原告が緊急事態措置に応じない旨を強く発信する ことにより、他の飲食店の夜間の営業継続を誘発するおそれがあったとして、感染リスクの抑制のために、本件命令の発出は特に必要があったと認められると主張する。 しかし を強く発信する ことにより、他の飲食店の夜間の営業継続を誘発するおそれがあったとして、感染リスクの抑制のために、本件命令の発出は特に必要があったと認められると主張する。 しかし、本件命令発出日の頃、都内の飲食店のうち2000余りの店舗は、営業時間短縮の協力要請に応じず夜間の営業を継続していた(認定事 実⑶ケ)。こうした中、いかに上場企業であるとはいえ、上記2000余りの店舗の1%強を占めるにすぎない本件対象施設において、原告が実施していた感染防止対策の実情や、クラスター発生の危険の程度等の個別の事情の有無を確認することなく、同施設での夜間の営業継続が、ただちに飲食につながる人の流れを増大させ、市中の感染リスクを高めていたと認 める根拠は見出し難い。 - 44 - 政府対策本部長が令和3年3月17日の会見で、同月21日に本件緊急事態宣言を解除する方針である旨述べたことから(同⑵ウ)、本件命令発出日(同月18日)の時点で、同宣言が3日後に解除されることにより、本件命令の効力が生じる期間は、発出日当日を含めて4日間しかないことが確定しており、被告はこのことを当然に認識していた。その当時、1都 3県を中心に感染再拡大の懸念があったとはいえ、飲食店の営業時間短縮を中心としてピンポイントで行った対策は大きな成果を上げ、同地域の新規感染者数は大幅に減少し、医療提供体制のひっ迫の状況も緩和されていた(同⑵ウ)。そして、統計学に基づく分析によれば、この4日間において、本件対象施設の営業時間の短縮によって来客数が減少したことにより 抑止し得た新規感染はわずかであり、これと同程度の二次感染の抑止は、少数のPCR検査を増やすだけで実現し得るものであった(同⑷ア)。こうした中、本件命令は4日間しか効 数が減少したことにより 抑止し得た新規感染はわずかであり、これと同程度の二次感染の抑止は、少数のPCR検査を増やすだけで実現し得るものであった(同⑷ア)。こうした中、本件命令は4日間しか効力を生じないことが確定していたにもかかわらず、被告が同命令をあえて発出したことの必要性について、上記アの内閣官房の見解等において求められる合理的な説明はされておらず、 また、同命令を行う判断の考え方や基準についても説明がない。 原告が、本件緊急事態宣言がされた日(令和3年1月7日)以降、本件記事を自社のホームページに掲載し、緊急事態措置に応じない旨の意見を発信していたことは、認定事実⑶カのとおりである。しかし、本件記事は、別紙5のとおり、営業時間短縮の協力要請に応じた場合、事業の維持、雇 用の維持が困難であることなどを理由に挙げて、緊急事態宣言がされても平常通り営業を続けるという原告代表者の意見を表明したにとどまり、他の飲食店に夜間の営業継続を扇動したり原告との協調を呼びかけたりしたものではなかった(むしろ、他の飲食店の動向に関わりなく、自社は緊急事態措置に応じないという意思表明であったと読むのが自然である。その 旨は、本件弁明書の記述(同⑶オ)からもうかがわれる。)。また、本件記- 45 - 事の掲載日から本件命令発出日までの2か月余りの間に、本件記事に示された原告代表者の意見に触発されるなどして実際に夜間の営業を継続した飲食店の存在を認めるに足りる証拠はない。そうだとすると、これに引き続き本件命令発出日以降の4日間のうちに、本件記事の発信が他の飲食店の夜間の営業継続を誘発する具体的なおそれがあったということもできな いと考えられる。すなわち、この点についても、本件命令は4日間しか効力を生じないこと 日間のうちに、本件記事の発信が他の飲食店の夜間の営業継続を誘発する具体的なおそれがあったということもできな いと考えられる。すなわち、この点についても、本件命令は4日間しか効力を生じないことが確定していたにもかかわらず、被告が同命令をあえて発出したことの必要性について、合理的な説明はされておらず、また、同命令を行う判断の考え方や基準についても説明がない。 さらに、上記2000余りの店舗中、被告が本件対象施設のほかには、 わずか6施設(6事業者)に対してしか、45条3項命令を発出しなかったことは(同⑶ケ、コ)、制裁規定の前提となる不利益処分を課された原告にとって不公平なものであり、内閣官房の指摘する公正性の観点からの説明は困難といわざるを得ない。 オ以上のとおりであるから、本件命令につき、原告が本件要請に応じない ことに加え、本件対象施設につき、原告に不利益処分を課してもやむを得ないといえる程度の個別の事情があったと認めることはできない。したがって、本件命令の発出は特に必要であったと認められず、違法というべきである。 ⑸ 上記⑷の説示のとおり、本件命令は、特措法45条3項の「特に必要があ ると認めるとき」の要件に該当せず違法である。そうすると、本件命令が比例原則に反するかどうか、特措法施行令等の定めは特措法の委任の範囲を超えているかどうかにつき、判断は必要がない。 ⑹ 都知事が職務上の注意義務に違反したかどうかア原告が本件対象施設において、店舗内の換気や消毒等の新型コロナウイ ルス感染症の感染防止対策を実施していたことは、上記⑷イのとおりであ- 46 - る。 これに対し、被告は、本件命令の発出に先立ち、本件対象施設を現地確認し、原告が本件要請に応 ルス感染症の感染防止対策を実施していたことは、上記⑷イのとおりであ- 46 - る。 これに対し、被告は、本件命令の発出に先立ち、本件対象施設を現地確認し、原告が本件要請に応じず夜間の営業を継続していることを確かめたものの(認定事実⑶カ)、本件対象施設における上記対策の実情等を調査した様子は見られなかった。この点は、原告が分科会の提言のとおりに業 種別ガイドラインを遵守していたわけではなく、客席へのアクリル板の設置や、客に対する飲食時以外のマスク着用の促し等は行っていなかったこと(同⑴ウ、⑵ア、⑶キ)を考慮しても、都知事の職務上の注意義務違反を基礎付ける事情として看過し得ない。 イしかし、上記⑵及び⑶のとおり、本件命令に違法な目的があったとはい えず、また、飲食店に対する営業時間短縮の要請は、クラスター発生の起点とみられた飲食を中心とした人の流れを抑制する対策として必要かつ有用なものであったから、原告において本件要請に応じない正当な理由は認められない。 本件命令の発出は特に必要があったと認められないものの、45条3項 命令自体が違法というわけではなく、本件命令は4日間しか効力を生じないことが確定していたにもかかわらず、被告が同命令をあえて発出したなどの事情の下、原告が本件要請に応じないことに加え、原告に不利益処分を課してもやむを得ないといえる程度の個別の事情があったとは認められない旨の違法性判断であること(上記⑷)を考慮すれば、同命令の発出に 当たり、都知事が裁量の範囲を著しく逸脱したとまではいい難い。 本件命令は、その発出日に先立ち特措法45条3項の要件該当性判断に関する内閣官房の見解が示されていたものの(認定事実⑷ウ)、令和3年2月の特措法の一部改正によ 逸脱したとまではいい難い。 本件命令は、その発出日に先立ち特措法45条3項の要件該当性判断に関する内閣官房の見解が示されていたものの(認定事実⑷ウ)、令和3年2月の特措法の一部改正による45条3項命令の法定後、最初の発出事例であり、その発出までの間、都知事において、要件該当性判断の当否等の 検討のために参照すべき先例がなかった。このような状況の下、都知事が- 47 - 本件命令発出日の頃、同条項の要件該当性を適切に判断するのは容易でなかったということができる。 また、本件命令は、対策審議会における学識経験者からの意見聴取、行政手続法所定の弁明の機会の付与等を踏まえており、原告に対する手続保障が確保されていたところ、そのうち上記意見聴取の結果は、こぞって本 件命令の発出の必要性を認めるものであった(同⑶エ)。他方、本件弁明書に表れた原告代表者の考え方は、新型コロナウイルス感染症のような弱毒性のウイルスを完全に封じ込めるのは不可能であるとして、飲食店に対する営業時間短縮の要請に不信感を露わにするなど(同⑶オ)、その当否はさておき、必要な感染防止対策を確実に実行することが重要とされた被 告の立場(同⑵ウ)とは相容れないものであった。その上で、上記のとおり45条3項命令の最初の発出事例であり、要件該当性判断の当否等の検討のために参照すべき先例がなかった当時において、都知事が上記意見聴取の結果よりも本件弁明書の考え方を優先し、本件命令の発出を差し控える旨判断することは、期待し得なかったというべきである。 ウ以上に加え、行政処分の違法性が認められるとしても、違法であることを予見できない事情がある場合には、国家賠償法1条1項にいう過失がないとされた判例(最高裁平成3年7月9日第三小法廷 ウ以上に加え、行政処分の違法性が認められるとしても、違法であることを予見できない事情がある場合には、国家賠償法1条1項にいう過失がないとされた判例(最高裁平成3年7月9日第三小法廷判決・民集45巻6号1049頁、最高裁平成16年1月15日第一小法廷判決・民集58巻1号226頁参照)も参考にすれば、都知事が本件命令を発出するに当た り過失があるとまではいえず、職務上の注意義務に違反したとは認められないというべきである。 3 争点2(特措法及び本件命令の違憲性)について⑴ 法令違憲(営業の自由)前記2⑶アのとおり、飲食店に対する営業時間短縮の協力要請は、少なく とも令和2年から翌3年にかけての頃には、クラスターの起点とみられた飲- 48 - 食を中心とした人の流れを抑制する対策として必要かつ有用なものであったと認められる。新型コロナウイルス感染症の感染拡大が深刻な社会問題になり、不特定多数人の前でマスクを外す場面が不可避的に生じる飲食店において、クラスター発生の危険性に対する警戒心が解かれることはなく、上記協力要請は一貫して最も重要な感染防止対策の1つであり、このことは都民に も浸透し、都内の飲食店のうち大多数の店舗が同協力要請に応じていたなどの事情においては、通常は上記協力要請の後に行われる45条2項要請及び45条3項命令が、飲食店に対する過剰な規制として許されないものと認めることはできない。そうだとすると、特措法45条2項及び3項所定の規制は、同法の目的に照らして不合理な手段であるとはいえないから、これら各 条項が原告の営業の自由を侵害し、法令違憲であるとは認められない。 ⑵ 適用違憲、処分違憲ア営業の自由本件命令発出日に新型インフルエンザ はいえないから、これら各 条項が原告の営業の自由を侵害し、法令違憲であるとは認められない。 ⑵ 適用違憲、処分違憲ア営業の自由本件命令発出日に新型インフルエンザ等緊急事態ではなかったとして、本件命令の発出が前提条件を欠いており、特措法の目的に照らして必要最 小限とはいえないという原告の主張は、前記2⑴アの判断に反する。被告において、原告が本件対象施設において実施していた感染防止対策の検討を怠ったとしても、被告が特措法72条2項により立入検査等を行う義務を負うとはいえない。したがって、原告の営業の自由が侵害されたというべき事情は認められない。 イ表現の自由原告は、被告は本件記事の発信を問題視し、他の飲食店の夜間の営業を誘発するおそれなどないのに、本件命令を行う理由において、これがある旨断定したとして、原告の表現の自由が侵害された旨主張する。 この点につき、本件記事に示された原告代表者の意見に触発されるなど して実際に夜間の営業を継続した飲食店の存在を認めるに足りる証拠がな- 49 - いこと、本件命令発出日以降の4日間のうちに、他の飲食店の夜間の営業継続を誘発する具体的なおそれがあったともいえないことは、前記2⑷エのとおりであり、本件命令を行う理由のうち上記部分は、前提を誤るものであったといわざるを得ない。 しかし、上記部分は、本件要請に応じない原告に対して本件命令を発出 するに当たり、同命令に係る措置命令書に付記された理由の一部であり、本件記事に表れた原告代表者の考え方に対する批判や攻撃を目的とするものではなかった。また、対策審議会の委員から、原告が本件要請に応じない状況は、営業時間短縮の協力要請に応じている多数の飲食店との 、本件記事に表れた原告代表者の考え方に対する批判や攻撃を目的とするものではなかった。また、対策審議会の委員から、原告が本件要請に応じない状況は、営業時間短縮の協力要請に応じている多数の飲食店との不公平を生じさせるなどの意見が出されたこと(認定事実⑶エ)、原告の売上は 増加し、他の飲食店の営業の短縮により、原告の店舗に顧客が流れ込んでいる旨の報道も見られたこと(同⑷イ)によれば、本件命令発出日の頃、不公平感を募らせた他の飲食店が売上を増やそうとして、夜間の営業を継続する可能性が全くなかったとまではいい難い。そうだとすると、上記部分は、前提を誤っていたとはいえ、およそ根拠を欠くものであったとはい えず、また、行政手続上著しく不相当な理由の付記であったとも認められない。 以上に加え、前記2⑵アのとおり、本件命令は原告に対する報復や見せしめではなく、同命令に違法な目的があったとは認められないことを考慮すれば、本件命令を行う理由のうち上記部分が、原告の表現の自由に対す る過度な干渉として憲法21条1項に違反すると認めることはできない。 ウ法の下の平等被告が夜間の営業を継続していた2000余りの店舗中、本件対象施設のほかには数店舗に対してしか、45条3項命令を発出しなかったことは、不利益処分の対象になった原告にとって不公平なものであった。しかし、 この点は、争点1(本件命令の違法性)の判断において事情として考慮し- 50 - たとおりであり(前記2⑷エ)、更に平等原則違反の有無を判断する必要性を認めない。 第4 結論よって、そのほかの争点について判断するまでもなく、原告の請求は理由がないから棄却することとし、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第42 要性を認めない。 第4 結論よって、そのほかの争点について判断するまでもなく、原告の請求は理由がないから棄却することとし、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第42部 裁判長裁判官松田典浩 裁判官澤田順子 裁判官成岡勇哉 - 51 - 別紙1【法令の規定】 1 新型インフルエンザ等対策特別措置法(目的)第一条この法律は、国民の大部分が現在その免疫を獲得していないこと等から、新 型インフルエンザ等が全国的かつ急速にまん延し、かつ、これにかかった場合の病状の程度が重篤となるおそれがあり、また、国民生活及び国民経済に重大な影響を及ぼすおそれがあることに鑑み、新型インフルエンザ等対策の実施に関する計画、新型インフルエンザ等の発生時における措置、新型インフルエンザ等まん延防止等重点措置、新型インフルエンザ等緊急事態措置その他新型インフルエンザ等に関す る事項について特別の措置を定めることにより、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号。以下「感染症法」という。)その他新型インフルエンザ等の発生の予防及びまん延の防止に関する法律と相まって、新型インフルエンザ等に対する対策の強化を図り、もって新型インフルエンザ等の発生時において国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済に 及ぼす影響が最小となるようにすることを目的とする。 (定義)第二条この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。 一新型イ 及び国民経済に 及ぼす影響が最小となるようにすることを目的とする。 (定義)第二条この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。 一新型インフルエンザ等感染症法第六条第七項に規定する新型インフルエンザ 等感染症(中略)をいう。 四新型インフルエンザ等緊急事態措置第三十二条第一項の規定により同項に規定する新型インフルエンザ等緊急事態宣言がされた時から同条第五項の規定により同項に規定する新型インフルエンザ等緊急事態解除宣言がされるまでの間において、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済に及ぼす影響 が最小となるようにするため、国、地方公共団体並びに指定公共機関及び指定地- 52 - 方公共機関がこの法律の規定により実施する措置をいう。 (基本的人権の尊重)第五条国民の自由と権利が尊重されるべきことに鑑み、新型インフルエンザ等対策を実施する場合において、国民の自由と権利に制限が加えられるときであっても、その制限は当該新型インフルエンザ等対策を実施するため必要最小限のものでなけ ればならない。 (政府対策本部の設置)第十五条内閣総理大臣は、前条の報告があったときは、当該報告に係る新型インフルエンザ等にかかった場合の病状の程度が、感染症法第六条第六項第一号に掲げるインフルエンザにかかった場合の病状の程度に比しておおむね同程度以下であると 認められる場合を除き、内閣法(昭和二十二年法律第五号)第十二条第四項の規定にかかわらず、閣議にかけて、臨時に内閣に新型インフルエンザ等対策本部(以下「政府対策本部」という。)を設置するものとする。 2 内閣総理大臣は、政府対策本部を置いたときは、当該政府対策本部の名称並びに設置の場所及び期間 て、臨時に内閣に新型インフルエンザ等対策本部(以下「政府対策本部」という。)を設置するものとする。 2 内閣総理大臣は、政府対策本部を置いたときは、当該政府対策本部の名称並びに設置の場所及び期間を国会に報告するとともに、これを公示しなければならない。 (基本的対処方針)第十八条政府対策本部は、政府行動計画に基づき、新型インフルエンザ等への基本的な対処の方針(以下「基本的対処方針」という。)を定めるものとする。 2 基本的対処方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。 一新型インフルエンザ等の発生の状況に関する事実 二当該新型インフルエンザ等への対処に関する全般的な方針三新型インフルエンザ等対策の実施に関する重要事項 3 政府対策本部長は、基本的対処方針を定めたときは、直ちに、これを公示してその周知を図らなければならない。 4 政府対策本部長は、基本的対処方針を定めようとするときは、あらかじめ、第七 十条の二の新型インフルエンザ等対策推進会議の意見を聴かなければならない。た- 53 - だし、緊急を要する場合で、あらかじめ、その意見を聴くいとまがないときは、この限りでない。 5 前二項の規定は、基本的対処方針の変更について準用する。 (都道府県対策本部長の権限)第二十四条 9 都道府県対策本部長は、当該都道府県の区域に係る新型インフルエンザ等対策を的確かつ迅速に実施するため必要があると認めるときは、公私の団体又は個人に対し、その区域に係る新型インフルエンザ等対策の実施に関し必要な協力の要請をすることができる。 (新型インフルエンザ等緊急事態宣言等) 第三十二条政府対策本部長は、新型インフルエンザ等が国内で発生し、その全国的かつ急速なまん延により国民生活及び国民 力の要請をすることができる。 (新型インフルエンザ等緊急事態宣言等) 第三十二条政府対策本部長は、新型インフルエンザ等が国内で発生し、その全国的かつ急速なまん延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼし、又はそのおそれがあるものとして政令で定める要件に該当する事態(以下「新型インフルエンザ等緊急事態」という。)が発生したと認めるときは、新型インフルエンザ等緊急事態が発生した旨及び次に掲げる事項の公示(第五項(中略)において「新型イン フルエンザ等緊急事態宣言」という。)をし、並びにその旨及び当該事項を国会に報告するものとする。 一新型インフルエンザ等緊急事態措置を実施すべき期間二新型インフルエンザ等緊急事態措置(中略)を実施すべき区域三新型インフルエンザ等緊急事態の概要 2 前項第一号に掲げる期間は、二年を超えてはならない。 3 政府対策本部長は、新型インフルエンザ等のまん延の状況並びに国民生活及び国民経済の状況を勘案して第一項第一号に掲げる期間を延長し、又は同項第二号に掲げる区域を変更することが必要であると認めるときは、当該期間を延長する旨又は当該区域を変更する旨の公示をし、及びこれを国会に報告するものとする。 4 前項の規定により延長する期間は、一年を超えてはならない。 - 54 - 5 政府対策本部長は、新型インフルエンザ等緊急事態宣言をした後、新型インフルエンザ等緊急事態措置を実施する必要がなくなったと認めるときは、速やかに、新型インフルエンザ等緊急事態解除宣言(新型インフルエンザ等緊急事態が終了した旨の公示をいう。)をし、及び国会に報告するものとする。 6 政府対策本部長は、第一項又は第三項の公示をしたときは、基本的対処方針を変 更し、第十八条第二項第三号に掲げ ンザ等緊急事態が終了した旨の公示をいう。)をし、及び国会に報告するものとする。 6 政府対策本部長は、第一項又は第三項の公示をしたときは、基本的対処方針を変 更し、第十八条第二項第三号に掲げる事項として当該公示の後に必要とされる新型インフルエンザ等緊急事態措置の実施に関する重要な事項を定めなければならない。 (感染を防止するための協力要請等)第四十五条特定都道府県知事は、新型インフルエンザ等緊急事態において、新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活 及び国民経済の混乱を回避するため必要があると認めるときは、当該特定都道府県の住民に対し、新型インフルエンザ等の潜伏期間及び治癒までの期間並びに発生の状況を考慮して当該特定都道府県知事が定める期間及び区域において、生活の維持に必要な場合を除きみだりに当該者の居宅又はこれに相当する場所から外出しないことその他の新型インフルエンザ等の感染の防止に必要な協力を要請することがで きる。 2 特定都道府県知事は、新型インフルエンザ等緊急事態において、新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため必要があると認めるときは、新型インフルエンザ等の潜伏期間及び治癒までの期間並びに発生の状況を考慮して当該特定都道府県知事が定 める期間において、学校、社会福祉施設(通所又は短期間の入所により利用されるものに限る。)、興行場(中略)その他の政令で定める多数の者が利用する施設を管理する者又は当該施設を使用して催物を開催する者(次項及び第七十二条第二項において「施設管理者等」という。)に対し、当該施設の使用の制限若しくは停止又は催物の開催の制限若しくは停止その他政令で定める措置を講ず は当該施設を使用して催物を開催する者(次項及び第七十二条第二項において「施設管理者等」という。)に対し、当該施設の使用の制限若しくは停止又は催物の開催の制限若しくは停止その他政令で定める措置を講ずるよう要請するこ とができる。 - 55 - 3 施設管理者等が正当な理由がないのに前項の規定による要請に応じないときは、特定都道府県知事は、新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため特に必要があると認めるときに限り、当該施設管理者等に対し、当該要請に係る措置を講ずべきことを命ずることができる。 4 特定都道府県知事は、第一項若しくは第二項の規定による要請又は前項の規定による命令を行う必要があるか否かを判断するに当たっては、あらかじめ、感染症に関する専門的な知識を有する者その他の学識経験者の意見を聴かなければならない。 5 特定都道府県知事は、第二項の規定による要請又は第三項の規定による命令をしたときは、その旨を公表することができる。 (損失補償等)第六十二条国及び都道府県は、第二十九条第五項、第三十一条の三、第四十九条又は第五十五条第二項、第三項若しくは第四項(中略)の規定による処分が行われたときは、それぞれ、当該処分により通常生ずべき損失を補償しなければならない。 2 国及び都道府県は、第三十一条第一項若しくは第二項(中略)の規定による要請 に応じ、又は第三十一条第三項(中略)の規定による指示に従って患者等に対する医療等を行う医療関係者に対して、政令で定める基準に従い、その実費を弁償しなければならない。 (損害補償)第六十三条都道府県は、第三十一条第一項の規定による要請に応じ、又は同条第三 項の規定による指示に従って 対して、政令で定める基準に従い、その実費を弁償しなければならない。 (損害補償)第六十三条都道府県は、第三十一条第一項の規定による要請に応じ、又は同条第三 項の規定による指示に従って患者等に対する医療の提供を行う医療関係者が、そのため死亡し、負傷し、若しくは疾病にかかり、又は障害の状態となったときは、政令で定めるところにより、その者又はその者の遺族若しくは被扶養者がこれらの原因によって受ける損害を補償しなければならない。 (事業者に対する支援等) 第六十三条の二国及び地方公共団体は、新型インフルエンザ等及び新型インフルエ- 56 - ンザ等のまん延の防止に関する措置が事業者の経営及び国民生活に及ぼす影響を緩和し、国民生活及び国民経済の安定を図るため、当該影響を受けた事業者を支援するために必要な財政上の措置その他の必要な措置を効果的に講ずるものとする。 (立入検査等)第七十二条 2 都道府県知事は、第四十五条第三項の規定の施行に必要な限度において、同条第二項の規定による要請を受けた施設管理者等に対し、必要な報告を求め、又はその職員に、当該要請に係る施設若しくは当該施設管理者等の営業所、事務所その他の事業場に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。 第七十九条第四十五条第三項の規定による命令に違反した場合には、当該違反行為をした者は、三十万円以下の過料に処する。 2 新型インフルエンザ等対策特別措置法施行令(新型インフルエンザ等緊急事態の要件)第六条法第三十二条第一項の新型インフルエンザ等緊急事態についての政令で定め る要件は、都道府県における感染症患者等の発生の状況、感染症患者等のうち新型インフルエンザ ザ等緊急事態の要件)第六条法第三十二条第一項の新型インフルエンザ等緊急事態についての政令で定め る要件は、都道府県における感染症患者等の発生の状況、感染症患者等のうち新型インフルエンザ等に感染し、又は感染したおそれがある経路が特定できない者の発生の状況その他の新型インフルエンザ等の発生の状況を踏まえ、一の都道府県の区域を越えて新型インフルエンザ等の感染が拡大し、又はまん延していると認められる場合であって、当該感染の拡大又はまん延により医療の提供に支障が生じている 都道府県があると認められるときに該当することとする。 (使用の制限等の要請の対象となる施設)第十一条法第四十五条第二項の政令で定める多数の者が利用する施設は、次のとおりとする。ただし、第三号から第十四号までに掲げる施設にあっては、その建築物の床面積の合計が千平方メートルを超えるものに限る。 四劇場、観覧場、映画館又は演芸場- 57 - 五集会場又は公会堂六展示場九体育館、水泳場、ボーリング場その他これらに類する運動施設又は遊技場十一キャバレー、ナイトクラブ、ダンスホールその他これらに類する遊興施設十四飲食店、喫茶店その他設備を設けて客に飲食をさせる営業が行われる施設 十五第三号から前号までに掲げる施設であって、その建築物の床面積の合計が千平方メートルを超えないもののうち、新型インフルエンザ等緊急事態において、新型インフルエンザ等の発生の状況、動向若しくは原因又は社会状況を踏まえ、新型インフルエンザ等のまん延を防止するため法第四十五条第二項の規定による要請を行うことが特に必要なものとして厚生労働大臣が定めて公示するもの (感染の防止のために必要な措置)第十二条法第四十五条第二項の政令で定め 防止するため法第四十五条第二項の規定による要請を行うことが特に必要なものとして厚生労働大臣が定めて公示するもの (感染の防止のために必要な措置)第十二条法第四十五条第二項の政令で定める措置は、次のとおりとする。 一従業員に対する新型インフルエンザ等にかかっているかどうかについての検査を受けることの勧奨二新型インフルエンザ等の感染の防止のための入場者の整理及び誘導 三発熱その他の新型インフルエンザ等の症状を呈している者の入場の禁止四手指の消毒設備の設置五施設の消毒六マスクの着用その他の新型インフルエンザ等の感染の防止に関する措置の入場者に対する周知 七正当な理由がなく前号に規定する措置を講じない者の入場の禁止八前各号に掲げるもののほか、新型インフルエンザ等緊急事態において、新型インフルエンザ等の感染の防止のために必要な措置として厚生労働大臣が定めて公示するもの 3 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律 (定義等)- 58 - 第六条 7 この法律において「新型インフルエンザ等感染症」とは、次に掲げる感染性の疾病をいう。 三新型コロナウイルス感染症(新たに人から人に伝染する能力を有することとなったコロナウイルスを病原体とする感染症であって、一般に国民が当該感染症に 対する免疫を獲得していないことから、当該感染症の全国的かつ急速なまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるものをいう。)四再興型コロナウイルス感染症(かつて世界的規模で流行したコロナウイルスを病原体とする感染症であってその後流行することなく長期間が経過しているもの として厚生労働大臣が定めるものが再興したものであって、一般に現在 ス感染症(かつて世界的規模で流行したコロナウイルスを病原体とする感染症であってその後流行することなく長期間が経過しているもの として厚生労働大臣が定めるものが再興したものであって、一般に現在の国民の大部分が当該感染症に対する免疫を獲得していないことから、当該感染症の全国的かつ急速なまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるものをいう。)以上 別紙3ステージⅠステージⅡステージⅢステージⅣ監視体制病床全体うち重症者用病床ステージⅢの指標・最大確保病床の占有率 1/5以上・現時点の確保病床数の占有率1/4以上・最大確保病床の占有率 1/5以上・現時点の確保病床数の占有率1/4以上人口10万人当たりの全療養者数15人以上10%15人/10万人/週以上直近1週間が先週1週間より多い。 50%ステージⅣの指標・最大確保病床の占有率 1/2以上・最大確保病床の占有率 1/2以上人口10万人当たりの全療養者数25人以上10%25人/10万人/週以上直近1週間が先週1週間より多い。 50%*最大確保病床とは、都道府県がピーク時に向けて確保しようとしている病床数をいう。 *現時点の確保病床数とは、現時点において都道府県が医療機関と調整を行い、確保している病床数であり、直近に追加確保できる見込みがある場合はその病床分も追加して確認する。 *全療養者:入院者数、自宅・宿泊療養者等数の合計感染の状況④新規報告者数⑤直近1週間と先週1週間の比較⑥感染経路不明割合感染者の散発的発生及び医療提供体制に特段の支障がない段階感染者の漸増及び医療提供体制への負荷が蓄積する段階感染者の急増及び医療提供体 規報告者数⑤直近1週間と先週1週間の比較⑥感染経路不明割合感染者の散発的発生及び医療提供体制に特段の支障がない段階感染者の漸増及び医療提供体制への負荷が蓄積する段階感染者の急増及び医療提供体制における大きな支障の発生を避けるための対応が必要な段階爆発的な感染拡大及び深刻な医療提供体制の機能不全を避けるための対応が必要な段階医療提供体制等の負荷①病床のひっ迫具合②療養者数③PCR陽性率 別紙4 新型インフルエンザ等対策(特措法2条2号)の実施に関し必要な協力の要請(特措法24条9項) 特措法45条2項に基づく施設の使用制限等の要請についての事前通知 特措法45条2項に基づく施設の使用制限等の要請同要請を行う必要があるか否かを判断するに当たって、あらかじめ、感染症に関する専門的な知識を有する者その他の学識経験者の意見聴取(同条4項) 不利益処分(特措法45条3項に基づく施設の使用制限等の命令)をしようとする場合の手続としての弁明の機会の付与(弁明書の提出の機会の付与)(行政手続法13条1項、29条) 特措法45条3項に基づく施設の使用制限等の命令についての事前通知 特措法45条3項に基づく施設の使用制限等の措置を講ずる旨の命令同命令を行う必要があるか否かを判断するに当たって、あらかじめ、感染症に関する専門的な知識を有する者その他の学識経験者の意見聴取(同条4項)*ただし、上記1の協力要請は、3の要請に前置されるものではない。 別紙5緊急事態宣言の発令に関して、X代表:Aの考え方2021年1月7日現在の状況におきまして、当社は宣言が発令されても営業は平常通り行う予定でございます。 ■以下にその理由を記させていただきます。 ⑴現在「緊急事態」であるのか? 私はそう思えません。 緊急事態とは「国民の生命」、 おきまして、当社は宣言が発令されても営業は平常通り行う予定でございます。 ■以下にその理由を記させていただきます。 ⑴現在「緊急事態」であるのか? 私はそう思えません。 緊急事態とは「国民の生命」、「健康」、「財産」、「環境」に甚大な脅威となり得る事態と認識しております。 幸いなことに日本における新型コロナによる死者数は米国に比べると約40分の1と極端に少なく(中略)累計で3,718人。 (中略)厚生労働省の人口動態統計速報によると、2020年10月までの総死者数は2019年と比べて約14,000人減少したとのこと。 一番の理由は、インフルエンザの感染が抑えられ、その死者数が激減した事だそうです。 ⑵ロックダウンを徹底している国々で感染が下火にならず、「時短」や「休業」が感染をコントロールするのに効果ないのは世界規模で証明されていると思っているからです。 ⑶医療崩壊、本当なのか疑問に思っています。 冬にウイルス感染症は増えるのは自然の摂理。 これに対して(パニックを起こして)、医療崩壊とおっしゃっている国や自治体の関係者、感染症専門家の方々は何の準備もしていなかった? また、死者数は米国などの約4分の1しかいないのに、なぜ医療崩壊? ⑷今の行政からの協力金やサポートでは時短要請に応えられません。 飲食で19時までの飲食の提供、20時までの営業では事業の維持、雇用の維持は無理です。 以上の理由により、当社は緊急事態が発令された後も、平常通り営業を続ける所存です。 2021年1月7日A 別紙6(命令を行う理由)本件対象施設は、正当な理由なく本件要請に応じず、午後8時以降に対象施設を営業のために使用した事実が認められた。 また、行政手続法(平成5年法律第88号)13条1項2号及び29条の規定に基づき原告が提出した弁明書において、本件要請に応じない ず、午後8時以降に対象施設を営業のために使用した事実が認められた。 また、行政手続法(平成5年法律第88号)13条1項2号及び29条の規定に基づき原告が提出した弁明書において、本件要請に応じないことに正当な理由があると主張する。しかし、当該弁明書に記載された内容からは、特措法45条3項所定の正当な理由があるとは認められない。 「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」(令和2年3月28日付新型コロナウイルス感染症対策本部決定)では、飲食の場を感染リスクが高く感染拡大の主な起点となっていると指摘した上で、緊急事態措置区域において飲食につながる人の流れを制限するための効果的な対策として、飲食店に対する午後8時までの営業時間短縮要請を行うよう指針を示しており、当該指針を踏まえ、被告の緊急事態措置として、令和3年1月8日から本件緊急事態が終了するまでの間、飲食店に対して午後8時までの営業時間短縮要請を行っている。 本件対象施設は、午後8時以降も対象施設を使用して飲食店の営業を継続し、客の来店を促すことで、飲食につながる人の流れを増大させ、市中の感染リスクを高めている。加えて、緊急事態措置に応じない旨を強く発信するなど、他の飲食店の午後8時以降の営業継続を誘発するおそれがある。 これらのことは、更なる新型コロナウイルス感染症のまん延につながるおそれがある。したがって、新型コロナウイルス感染症のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため特に必要があると認め、本件対象施設の使用制限を命ずるものである。 別紙7期間新規感染者数ステージ区分令和2年12月19日〜25日4,802人(34.49人)ステージⅣ12月26日〜1月1日6,129人(44.03人)ステージⅣ令和3年1月 別紙7期間新規感染者数ステージ区分令和2年12月19日〜25日4,802人(34.49人)ステージⅣ12月26日〜1月1日6,129人(44.03人)ステージⅣ令和3年1月2日〜8日10,494人(75.38人)ステージⅣ1月9日〜15日11,195人(80.42人)ステージⅣ1月16日〜22日9,859人(70.82人)ステージⅣ1月23日〜29日6,622人(47.57人)ステージⅣ1月30日〜2月5日4,340人(31.76人)ステージⅣ2月6日〜12日2,988人(21.46人)ステージⅢ2月13日〜19日2,532人(18.19人)ステージⅢ2月20日〜26日1,875人(13.47人)ステージⅡ2月27日〜3月5日1,915人(13.75人)ステージⅡ3月6日〜12日1,915人(13.75人)ステージⅡ東京都における新規感染者数の推移注:括弧内の数字は、対人口10万人当たりの人数。東京都の人口1392万1000人を基に算出した。 別紙8時点入院患者数病床数病床使用率ステージ区分令和2年12月16日1,987人4,000床50%ステージⅣ12月23日2,148人4,000床54%ステージⅣ12月30日2,457人4,000床61%ステージⅣ令和3年1月6日3,134人4,000床78%ステージⅣ1月13日3,345人4,000床84%ステージⅣ1月20日2,957人4,000床74%ステージⅣ1月27日2,933人4,000床73%ステージⅣ2月3日2,924人4,900床60%ステージⅣ2月10日2,595人4,900床53%ステージⅣ2月17日2,244 1月27日2,933人4,000床73%ステージⅣ2月3日2,924人4,900床60%ステージⅣ2月10日2,595人4,900床53%ステージⅣ2月17日2,244人5,000床45%ステージⅢ2月24日1,894人5,000床38%ステージⅢ3月3日1,566人5,000床31%ステージⅢ3月10日1,353人5,048床27%ステージⅢ東京都における入院患者数、病床使用率等の推移 別紙9時点重症者数病床数重症用病床使用率ステージ区分令和2年12月16日332人500床66%ステージⅣ12月23日343人500床69%ステージⅣ12月30日379人500床76%ステージⅣ令和3年1月6日437人500床87%ステージⅣ1月13日523人500床105%ステージⅣ1月20日535人500床107%ステージⅣ1月27日567人500床113%ステージⅣ2月3日537人500床107%ステージⅣ2月10日498人500床100%ステージⅣ2月17日431人500床86%ステージⅣ2月24日327人1,000床33%ステージⅢ3月3日303人1,000床30%ステージⅢ3月10日267人1,000床26%ステージⅢ東京都における重症の入院患者数、重症用病床使用率等の推移 - 66 - 別紙2については、記載を省略。
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