○ 主文本件各訴えを却下する。 訴訟費用は原告の負担とする。 ○ 事実及び理由第一原告の請求一被告が平成元年九月二八日付けでAに対してなした別紙文書目録一記載の文書を公開するとの決定は、同日録二記載の図書に関する部分につき、これを取り消す。 二被告が平成元年九月二八日付けで那覇市職員労働組合に対してなした別紙文書目録一記載の文書を公開するとの決定は、同目録二記載の図書に関する部分につき、これを取り消す。 第二事案の概要一本件は、那覇市長である被告が、那覇市情報公開条例に基づき、平成元年九月二八日付けでA及び那覇市職員労働組合に対して別紙文書目録一記載の文書を公開するとの決定をしたところ、国が、右公開決定により秘密保護等に係る法的利益の侵害を受けたとして、同決定の一部の取消しを求めた事案である。 二那覇市における情報公開に関する条例の内容那覇市においては、昭和六三年那覇市条例第一号「那覇市情報公開条例」(以下、「本件条例」という。)が制定されており、その内容は、本件に関連する部分については、以下のとおりである。(乙一) 1 目的市の保有する公文書の公開を求める権利を明らかにすることにより、日本国憲法の保障する基本的人権としての知る権利を保障するとともに、市政に関する情報を積極的に公開して、市政への市民参加を一層推進し、市政に対する市民の理解と信頼を深め、もって地方自治の本旨に則した公正かつ民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。(一条) 2 実施機関の責務実施機関は、市民の知る権利が十分に保障されるよう、この条例を解釈し、運用しなければならない。 実施機関は、この条例の解釈及び運用に当たっては、個人の尊厳を守るため、個人に関する情報がみだりに公開されることのないよう最大限の配慮をしなければならない。(三条)3 運用しなければならない。 実施機関は、この条例の解釈及び運用に当たっては、個人の尊厳を守るため、個人に関する情報がみだりに公開されることのないよう最大限の配慮をしなければならない。(三条) 3 公文書の公開を請求する権利何人も、実施機関(本件においては被告)に対し、当該実施機関の所管する事務に係る公文書の公開を請求することができる。(五条) 4 非公開とすることができる公文書実施機関は、次の各号の一に該当する情報が記録されている公文書については、当該公文書を非公開とすることができる。 (1) 法令により、明らかに守秘義務が課されている情報(2) (個人に関する情報)、(3)(法人等に関する情報)略(4) 行政に関する情報であって、次に掲げるものア(意思決定過程情報)、イ(事業執行過程情報)、エ(取締り・捜査情報)略ウ市の機関と国等の機関との間における協議、依頼、委任等に基づいて作成し、又は取得した情報であって、公開することにより、国等との協力関係を著しく損なうおそれのあるものオその他公開することにより、行政の公正かつ円滑な執行に著しい支障を生ずることが明らかな情報(六条一項) 5 一部開示実施機関は、公開請求に係る公文書に前項各号の一に該当する情報とそれ以外の情報とが記録されている場合において、同項各号に該当する情報とそれ以外の情報とを合理的かつ容易に区分することができるときは、同項の規定にかかわらず、同項各号に該当する部分を除いて、当該公文書を公開しなければならない。(六条二項)三本訴に至る経緯当事者間に争いのない事実及び後掲かつこ内の客観的証拠によれば、本件訴訟提起に至る経緯は以下のとおりと認められる。 1 原告の機関である那覇防衛施設局長は、昭和六三年一二月六日、建築基準法一八条二項に基づき、那覇市<地名略>に建 掲かつこ内の客観的証拠によれば、本件訴訟提起に至る経緯は以下のとおりと認められる。 1 原告の機関である那覇防衛施設局長は、昭和六三年一二月六日、建築基準法一八条二項に基づき、那覇市<地名略>に建築予定の海上自衛隊第五航空群司令部庁舎(以下、「本件建物」という。)の建築工事に関する計画を那覇市建築主事へ通知した。那覇市建築主事は、右建築計画につき建築基準法に適合している旨の判断を下し、平成元年一月一九日、那覇防衛施設局長に対しその旨通知した。(甲三の一、三の二)本件建物は、地下一階、地上二階で延べ面積約三三〇〇平方メートルの構造物であり、部隊を指揮監督する機能を有する司令部が入る施設であるが、その地下階部分には、ASWOC(対潜水艦戦作戦センター)の指揮所及びこれに必要な電子機器等が設置される。 2 Aは、本件条例に基づき、被告に対し、平成元年三月一五日、「航空自衛隊那覇基地内に建設される予定となっている対潜水艦戦作戦センター(ASWOC)に関する建物の設計図及び建築申請に関する資料」の公開を請求したが、被告は、同月二八日、非公開とする旨決定した。 那覇市職員労働組合も、同年六月一日、同様の公開請求をしたが、被告は、同月一二日、非公開とする旨決定した。(乙二ないし五) 3 本件条例一一条一項、行政不服審査法に基づき、Aは平成元年五月二六日に、那覇市職員労働組合は同年六月一四日に、それぞれ右非公開決定に対し異議申立てをした。(乙六、七)同年七月二七日、本件建物の計画通知に係る文書について「那覇市は公開する方針をほぼ固めた」との地元新聞の報道があり、那覇防衛施設局建設部長らが那覇市都市計画部長に面会し、非公開とするよう申し入れた。その後、那覇防衛施設局長作成の被告宛て同月二九日付け及び同月三一日付け各書面で、計画通知書を公開しないよう申 り、那覇防衛施設局建設部長らが那覇市都市計画部長に面会し、非公開とするよう申し入れた。その後、那覇防衛施設局長作成の被告宛て同月二九日付け及び同月三一日付け各書面で、計画通知書を公開しないよう申し入れがなされる等の折衝を経て、同年八月四日、那覇防衛施設局長は、Aらの異議申立手続につき、行政不服審査法に基づく参加を申し立てた。参加人として、那覇防衛施設局長は、同月二五日、九月六日、「本件文書には防衛上の秘密が含まれており、本件文書を明らかにされることは国の防衛上の重大な支障を生じることに」なるとの意見を述べた。(甲五、六、八、一一、一三、乙三一)被告は、同年九月二八日、A及び那覇市職員労働組合に対する先の非公開とする旨の決定を取り消し、両名に対し、本件計画通知に係る別紙文書目録一記載の文書を公開する旨の各決定(以下、「本件処分」という。)をした。(乙八ないし一一) 4 原告は、平成元年九月二八日、本件処分の取消しを求めて本訴を提起するとともに、本件処分の執行停止を申し立てた。右執行停止申立事件(平成元年(行ク)第二号)の審理において、原告は、本件計画通知に係る別紙文書目録一記載の文書のうち、同目録二記載の図書(以下、「本件図書」という。)を除く文書については、「防衛上の秘密に該当するものが含まれていないから」、「これらの図面を請求人らの閲覧に供することに反対はしない。」との意見を述べた(平成元年一〇月四日付け申立補充書(二)、同月五日付け申立補充書(三))。 当裁判所は、同年一〇月一一日、本件処分の効力は、別紙文書目録二記載の図書に関する部分につき、本案判決確定に至るまでこれを停止する旨決定し、その余の申立てを却下した。被告は、右決定を受けて、本件計画通知に係る別紙文書目録一記載の文書のうち、同目録二記載の図書を除く文書(以下、「本件公開 き、本案判決確定に至るまでこれを停止する旨決定し、その余の申立てを却下した。被告は、右決定を受けて、本件計画通知に係る別紙文書目録一記載の文書のうち、同目録二記載の図書を除く文書(以下、「本件公開図書」という。)を公開した。 そこで、原告は、第一回口頭弁論期日において、訴えを変更して、本件処分のうち別紙文書目録二記載の図書に関する部分についてのみ取消しを求めることとした。 四本件訴訟の争点及びこれに関する当事者の主張は、以下のとおりである。 1 本件訴訟は抗告訴訟か。 (原告の主張)(一) 本件抗告訴訟における国の法的地位抗告訴訟は、違法な公権力の行使によって自己の権利又は法律上保護された利益を侵害された者の権利利益の救済を図ることを目的とする制度であって、そのような制度の趣旨に鑑みれば、法律上保護された利益を侵害された者として救済を求める上で、国は、私人と法的地位を異にするものではない。 即ち、本件において、国は、本件図書に係る秘密等の帰属主体であり、この秘密を違法に侵害され、あるいは侵害されようとしている者である。この秘密の保護を受けるべき地位は、プライバシーの保護を受ける私人の立場や、営業に係る秘密を保護される私企業の立場と基本的に異なるところはない。また、この秘密は、後述するようなASWOC庁舎の管理、保全に関わるものであるが、国は、このASWOC庁舎の建設主体であり、同庁舎の所有者としての地位にある。この地位は、財産権の主体としての地位であって、私人の地位と基本的に異なるものではない。本件図書の公開決定により、国の防衛上の秘密とされるべきASWOC庁舎の内部構造が明らかにされると、後述するとおり、外部からの攻撃に対応する機能が減殺され、かつ、容易に攻撃の対象とされ、同庁舎が損壊され、国の財産権が侵害される危険性が高まる。この べきASWOC庁舎の内部構造が明らかにされると、後述するとおり、外部からの攻撃に対応する機能が減殺され、かつ、容易に攻撃の対象とされ、同庁舎が損壊され、国の財産権が侵害される危険性が高まる。このような結果は、私人が、その所有する建物に関わる秘密を侵害され、ひいてはその財産権的利益を侵害される場合と基本的に異なるところはない。 また、ASWOC庁舎の建設、管理は、国の防衛行政の主体としての活動に関わるが、一口に行政主体であるといっても、その行政目的を達成するための活動の態様、手段、法的性質等は、権力的なものから非権力的なものまで多種多様である。 これを本件についてみると、国が管理する土地内にASWOC庁舎を建設し、国有財産として管理すること自体は、もとより非権力的な作用である。また、このASwOC施設を利用して固定翼対潜哨戒機P‐3Cからの情報を受信し、それを分析してP‐3Cに指示するという防衛行政活動も国民に対する公権力行使的な要素はない。 そして、那覇市長は、本件図書の公開決定により、国に対して一方的に受忍義務を課す優越的な地位にあり、国がその結果侵害される利益の回復を図るためには抗告訴訟によって救済を求めなければならないという点は、私人の地位と何ら異なるところはない。そうすると、国が、たまたま行政主体でもあるという理由によって、抗告訴訟によって救済を求める途を閉ざされる合理的な理由はない。 (二) 本件訴訟の実質は機関訴訟であるとの被告の主張について被告は、本件訴訟の実質は行政内部の機関相互の争いであるから、本件訴訟は抗告訴訟には当たらず、不適法である旨主張する。しかし、右主張は、以下に述べるとおり失当である。 なるほど、本件図書の保存・管理事務は、後述するように国の機関委任事務と同様の法的性質を有するから、右事務に関し、主務大臣に 不適法である旨主張する。しかし、右主張は、以下に述べるとおり失当である。 なるほど、本件図書の保存・管理事務は、後述するように国の機関委任事務と同様の法的性質を有するから、右事務に関し、主務大臣において一定の範囲で国の機関を指揮監督することができる。すなわち、主務大臣である建設大臣において、那覇市長が、建築基準法一八条二項の規定に基づく建築計画通知に係る本件図書を一般の閲覧に供することが同法の委任の趣旨に反すると判断した場合、建設大臣は、那覇市長に対して必要な勧告(同法一四条二項)や指揮監督(地方自治法一五〇条)をすることができる。そして、那覇市長がこれに従わない場合は、地方自治法一五一条の二の規定に基づき、極めて限定された要件の下にではあるが、那覇市長に対し、行政事件訴訟法六条所定の機関訴訟としての職務執行命令訴訟を提起するように、沖縄県知事を指揮し、命令する方途が存在している。 ところで、本件訴訟において審理されている本件図書に係る公開決定をめぐる国と那覇市長との間の紛争を、右のような建築基準行政上の紛争として把握すれば、本件訴訟は、抗告訴訟の形式を採っているものの、実質的には機関訴訟ではないか、という疑問が生ずるかもしれない。 しかし、本件紛争は、国の機関相互間すなわち建設大臣と特定行政庁たる那覇市長との間の建築基準行政上の紛争ではなく、地方公共団体の長たる那覇市長が、その担任に係る自治事務の処理として、本件条例に基づき国の防衛上の秘密に関する文書の公開決定をしたことによって、右那覇市長と秘密の保護等に係る法的利益を侵害された国との間に生じた紛争である。そして、本件訴訟は、この紛争の解決を図るため、右のように法的利益を侵害された国が原告となり、処分行政庁たる那覇市長を被告として、防衛上の秘密の保護等に係る法的利益の回復を図るために じた紛争である。そして、本件訴訟は、この紛争の解決を図るため、右のように法的利益を侵害された国が原告となり、処分行政庁たる那覇市長を被告として、防衛上の秘密の保護等に係る法的利益の回復を図るために提起された訴訟であるから、抗告訴訟たる実質を有することは疑いがない。 もともと、国の機関委任事務としての建築基準行政に係る文書の保存・管理事務処理に関する争訟(機関訴訟)と、地方公共団体の自治事務としての文書の公開決定に関する争訟(抗告訴訟)とは、その法的性質を基本的に異にし、争訟の当事者たる資格、争訟の対象となる法律関係、争点が全く異なる。すなわち、これを本件に即していえば、前者の機関訴訟は、双方とも国の機関である建設大臣と特定行政庁たる那覇市長との間の争訟であって、文書の保存・管理方法が建築基準法の委任の趣旨に反しているか否かを争点とするものであり、訴訟の結果が反射的に公開決定に影響を及ぼすことはあっても、直接公開決定の適否が争われているものではなく、その本質は裁判所法三条にいう法律上の争訟に当たらない。これに対し、後者の抗告訴訟は、国とは別個、独立の行政主体であり公権力の主体たる地方公共団体の長たる那覇市長と、その処分を受忍することを求められている権利主体たる国との間の紛争であって、文書の公開決定という行政処分が公開条例その他の根拠法令に適合しているか否かを争点とするものであり、その本質は法律上の争訟である。 従って、本件訴訟は実質的にも抗告訴訟の性質を有し、機関訴訟の性質を有するということはできない。このことは、仮に那覇市長がたまたま自治事務の執行の過程で国の秘密の情報を入手し、その公開決定をしたために、当該公開決定処分の取消訴訟が提起された場合を想定すると、その訴訟が抗告訴訟であることに疑いを入れる余地がないことによっても明らかである 行の過程で国の秘密の情報を入手し、その公開決定をしたために、当該公開決定処分の取消訴訟が提起された場合を想定すると、その訴訟が抗告訴訟であることに疑いを入れる余地がないことによっても明らかである。 要するに、建築基準行政上の紛争に関して、建設大臣が機関訴訟(職務執行命令訴訟)により解決を図るという方途が存在しているからといって、文書の公開決定により違法に法的利益の侵害を受けた国が、その取消しを求める抗告訴訟を提起することが許されない理由はない。 (被告の主張)(一) 本件訴訟における国の法的地位(1) 原告は、「本件条例は、六条一項一号の規定によって国の秘密保護の利益を、六条一項四号ウ及びオの規定によって国の適正かつ円滑な行政活動を行う利益をそれぞれ具体的に保護している。従って、国は本件決定によって右の各利益を侵害されあるいは侵害されようとしている者であるから、本件決定の取消しを求める原告適格を有する」と主張する。原告が右にいう「国の秘密保護の利益」とは、まさに国家の利益そのものであり、行政主体としての利益の主張である。また、「国の適正かつ円滑な行政活動を行う利益」というのも、同様に行政主体としての利益そのものであり、国家としての利益主張である。原告は、本件処分により国の右各利益が侵害されるので、抗告訴訟の原告適格を有すると主張する。 抗告訴訟は「公権力の行使」により権利・利益を侵害される“国民の権利・利益救済”を本質とするものであり、本件のように行政主体としての権利・利益、すなわち「国防上の秘密保護」という行政上の利益救済を目的とするものではない。このことは、抗告訴訟の法的構造からこれまで自明のこととされてきた。 (2) 行政不服審査法一条一項は「この法律は、行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、国民に対し はない。このことは、抗告訴訟の法的構造からこれまで自明のこととされてきた。 (2) 行政不服審査法一条一項は「この法律は、行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、国民に対して広く行政庁に対する不服申立てのみちを開くことによって、簡易迅速な手続による国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とする。」と定め、同法の手続が「国民に対して」認められたものであり、国に対して認められたものではないことを明記する。行政不服審査法は、行政庁に対する不服申立ての制度を定めたものであるが、同法が不服申立者を「国民」と明記していることは、不服申立ての制度が(行政事件訴訟法を含めて)国民の権利・利益の救済を目的とするものであることを示すものである。 (3) 国が行政主体として、行政上の利益を主張して抗告訴訟を提起し得ることを認めることは、現行の抗告訴訟の構造を本質的に変更するものであり、到底とり得ない見解といわなければならない。 原告は、抗告訴訟を提起しうる者を「国民」に限定せず、「法律上保護された利益を侵害された者」 一般に拡大し、これに行政主体たる国を含ましめようとする。 しかし、抗告訴訟についての原告の主張は相当でない。本件処分により、仮に、国の防衛行政上何らかの不利益が生じるとしても、その不利益が、抗告訴訟によって救済されるべき性質の不利益か否かが検討されなければならない。 判例・通説は、抗告訴訟によって救済されるべき権利・利益の内容を「国民の権利・利益」としているものであり、国の行政上の利益をこれに含めていないから、仮に本件処分により国が行政上の不利益を受けることとなったとしても、それは未だ抗告訴訟によって救済されるべき不利益ということはできない。原告の主張は、抗告訴訟によって救済されるべき利益の ないから、仮に本件処分により国が行政上の不利益を受けることとなったとしても、それは未だ抗告訴訟によって救済されるべき不利益ということはできない。原告の主張は、抗告訴訟によって救済されるべき利益の中に、国の行政上の利益、本件に即していうと、国の防衛行政上の利益を含ましめようとするものであるが、この主張を認めると、国は、地方公共団体が行う行政処分に対して、それが国の行政に不利益を与えることを理由に、常に抗告訴訟を提起しうることになる。このような主張は、行政処分による国民の具体的な権利・利益の侵害を救済する制度として制定され運用されてきた抗告訴訟を、国の行政保護のための制度に変質せしめるものであり、到底容認できないものである。 原告は、「国の秘密保護の利益」を「プライバシーの保護を受ける私人の立場や営業に係る秘密を保護される私企業の立場と基本的に異なるところはない」と主張するが、「国の秘密保護の利益」は、公共の利益であり、プライバシーの権利や私企業の営業に係る利益等の私的利益と全く異なることは、自明のことである。右主張は、結局抗告訴訟は「法律上保護された利益を侵害された者の権利・利益の救済を図ることを目的とする制度」であるとして、国家の利益ないしは行政上の利益(公共の利益)を保護するために抗告訴訟を提起しうると主張するものである。確かに、原告は本件建物の建設主体であり所有者であるが、本件で原告が主張するのは本件建物の所有権に関する侵害ではなく、原告が所有する本件建物の中で国が国防行政として行う防衛業務についての秘密保護を主張しているものであり、決して原告がいうように「私人の地位と基本的に異な(らない)」主張をしているものではない。 ところで、原告が主張するように、仮に、本件条例六条一項四号が国その他の地方公共団体の公正かつ適正な行政執行を て原告がいうように「私人の地位と基本的に異な(らない)」主張をしているものではない。 ところで、原告が主張するように、仮に、本件条例六条一項四号が国その他の地方公共団体の公正かつ適正な行政執行を法的に保護しているものだとすると、「国その他の地方公共団体」は何故に抗告訴訟を起こしうることになるのであろうか。本件条例六条一項一号については、「国は私人と法的地位を異にするものではない」として私人と同じ立場で抗告訴訟を提起しうるとしていた。しかし、同項四号については、「国その他の地方公共団体の公正かつ適正な行政執行」が保護されていると主張するのであるから、原告の主張を前提にしても、国その他の地方公共団体を私人と同一視して論じることはできない。 ここで原告が主張しているのは、明らかに行政主体としての行政上の利益であり、私人の利益とは異なるからである。要するに、原告は一号を論ずるについては、「国の防衛行政上の秘密」を前面に押し出して、プライバシー又は企業の営業上の秘密との同一性を強調し、私人と同じ立場で抗告訴訟を提起し得るとしたが、四号を論ずる段になるとそのようなごまかしの手法がとれなくなり、私人との同一性論を展開出来なくなったものである。行政主体が行政上の利益の保護を求めて、抗告訴訟を提起しうるとする原告の論理は、四号の解釈において完全に破綻したと言えよう。 (二) 本件訴訟の実質は機関訴訟である。 原告は、「当該文書の保管事務が国の機関委任事務の性質を有する場合において、その文書を公開するか否かは、主務大臣が法令の規定に基づき判断すべき事柄であって、主務大臣が当該文書の公開の可否を那覇市長等の実施機関に委ねている等の特段の事情のない限り、実施機関は、国の機関として保管している文書を条例の規定により公開することはできない」と主張するものであるか 主務大臣が当該文書の公開の可否を那覇市長等の実施機関に委ねている等の特段の事情のない限り、実施機関は、国の機関として保管している文書を条例の規定により公開することはできない」と主張するものであるから、まさに機関委任事務により取得した文書の保存・管理権限が被告にないことを主張するものである。 従って、本件紛争は、機関委任事務により取得した文書について、保存・管理権限を有しない被告が行った違法な公開決定に対し、保存・管理権限を有する原告が、不服・異議を唱えるものであるから、まさに紛争の実態は原告と被告との間における機関委任事務により取得した文書の保存・管理権限の有無をめぐる紛争と評すべきものである。 以上のように、本件文書の保存・管理が機関委任事務と同様の性質を有するとの原告の主張に立つと、被告が本件文書の保存・管理権限を持たない場合であれ、また権限を持つ場合であれ、本件文書の公開の是非を巡る紛争は国の機関内部の争いということになり、機関訴訟の実態を有する争訟ということになる。 原告は、本件訴訟の実質が機関委任事務により取得した文書の管理をめぐる紛争であるにもかかわらず、紛争の法的争点が異なるとして、機関訴訟と抗告訴訟の差異を強調しようとする。いわく、機関訴訟は「文書の保存・管理方法が建築基準法の委任の趣旨に反しているか否かを争点とするものであり・・・・・・・・・・・・直接公開決定の適否が争われているものではな(い)」のに対し、抗告訴訟は「文書の公開決定という行政処分が公開条例その他の根拠法令に適合しているか否かを争点とする」と。しかし、原告の右主張は、同一の紛争についてどのように法的構成をするかという技術的問題を指摘しているにすぎない。公開決定の違法性を公開権限、すなわち文書管理権限の不存在という側面に重点を置いて法的構成をすると、前者の は、同一の紛争についてどのように法的構成をするかという技術的問題を指摘しているにすぎない。公開決定の違法性を公開権限、すなわち文書管理権限の不存在という側面に重点を置いて法的構成をすると、前者の主張となり、文書管理権限の不存在を主張しないで、公開要件に該当するか否かの条例適合性の側面にしぼって法的構成をすると、後者の主張となるに過ぎない。原告は、本件公開決定を機関訴訟の形で争う場合と、抗告訴訟の形で争う場合とは紛争の実質が異なるかのように主張するが、それは紛争の実質の問題と法的構成という技術的問題とを混同したものであり、誤ったものである。 2 原告は本件処分の取消しを求めるにつき本件条例上保護された利益を有するか。 (原告の主張)本件条例は、三条二項で「実施機関は、この条例の解釈及び運用に当たっては、個人の尊厳を守るため、個人に関する情報がみだりに公開されることがないよう最大限の配慮をしなければならない。」と定め、六条一項柱書きにおいて「実施機関は、次の各号の一に該当する情報が記録されている公文書については、当該公文書を非公開とすることができる。」とした上、同項一号ないし四号において、法令上の秘密に係る情報(一号)、個人に関する一定の情報(二号)、法人等に関する一定の情報(三号)、行政執行に関する一定の情報(四号)を列挙している。さらに、那覇市は、本件条例に基づき公開請求があった公文書に、市及び請求者以外の第三者の情報が記録されている場合における取扱いに関し、「那覇市情報公開に係る第三者情報の取扱いに関する要領」を定め、公開の諾否の判断をするに当たり、必要と認めるときは第三者への告知と事情聴取を行うこと(同要領二条)など、第三者の利益保護のための具体的な手続規定を置いている。 これらの規定は、公文書に記載された第三者の秘密等の利益を公 に当たり、必要と認めるときは第三者への告知と事情聴取を行うこと(同要領二条)など、第三者の利益保護のための具体的な手続規定を置いている。 これらの規定は、公文書に記載された第三者の秘密等の利益を公文書の公開を求める権利と対立する具体的な利益として捉え、情報公開によって係る第三者の利益を不当に侵害することのないように保護したものといってよい。すなわち、自己の秘密等をみだりに開示されないことによる第三者の利益は、本件条例で具体的、直接的に保護された利益であって、これは、行政法規が公益の実現等を目的として行政権の行使に制約を課した結果たまたま一定の者が受けることとなる反射的利益ではない。 これを本件事案に即してみてみると、本件条例は、非公開とすべき情報として、六条一項一号において「法令により、明らかに守秘義務が課されている情報」を掲げ、また、同項四号において「行政執行に関する情報であって、次に掲げるもの」と規定した上、同号ウにおいて「市の機関と国等の機関との間における協議、依頼、委任等に基づいて作成し、又は取得した情報であって、公開することにより、国等との協力関係を著しく損なうおそれのあるもの」、同号オにおいて「その他公開することにより、行政の公正かつ円滑な執行に著しい支障を生ずることが明らかな情報」をそれぞれ掲げているが、右六条一項一号において法令上守秘義務が課されている秘密に関し、その保持の利益を有している者(守られるべき秘密が本件のように国の秘密のときは、国がかかる利益の享有主体である。)の利益を、同項四号において国又は地方公共団体の適正かつ円滑な行政活動を行う利益をそれぞれ具体的に保護している。 そして、本件条例六条一項四号を更に細かくみると、同号ウは、那覇市と国等の機関との相互の協力関係に基づいて円滑に行われるべき行政を阻害されな 円滑な行政活動を行う利益をそれぞれ具体的に保護している。 そして、本件条例六条一項四号を更に細かくみると、同号ウは、那覇市と国等の機関との相互の協力関係に基づいて円滑に行われるべき行政を阻害されないことによる那覇市及び国等の利益を、同号オは、(同号アないしエに該当しないその他の)行政の公正かつ円滑な執行を阻害されないことによる那覇市その他の地方公共団体及び国の利益をそれぞれ具体的に保護している。 なお、同号ウの規定については、この規定が保護しているのは那覇市の行政のみであるという解釈も考えられないではないが、「協力関係」なる概念それ自体から明らかなように、右の「協力関係」が損なわれることによりひとり那覇市の行政活動ばかりではなく、これと協力関係にある国等の行政活動も必然的に支障をきたす。 そして、そのような協力関係にある国等は当然単なる第三者より高い保護されるべき利益を有していることは明らかであるから、同号ウの規定は、那覇市の行政活動のみを保護するものではない。また、同号オの規定が那覇市の行政上の利益のみならず、国の行政一般の利益を保護する趣旨であることも同様である。 (被告の主張)(一) 本件条例六条一項一号は、決して原告が主張するように「国の秘密保護の利益」を保護したものではない。 同規定は「法令により、明らかに守秘義務が課されている情報」について、本件条例が那覇市長(実施機関)に対して課した公開義務を免除したものに過ぎない。 本件条例六条一項一号がいわゆる法令秘情報を、適用除外事由としたのは、「明らかに」守秘義務を課した法令との抵触を回避する目的で規定したものであり、同号が直接法令秘情報の保護を目的としたからではない。法令がどのような理由により守秘義務を課しているかは、当該法令により異なるものであり、一様ではない(例、刑法一三四条の 目的で規定したものであり、同号が直接法令秘情報の保護を目的としたからではない。法令がどのような理由により守秘義務を課しているかは、当該法令により異なるものであり、一様ではない(例、刑法一三四条の守秘義務、住民基本台帳法三五条、地方税法二二条等と自衛隊法五九条一項、地方公務員法三四条一項の守秘義務との相違に注目)。仮に、当該法令が直接的に、当該情報を保護する内容のものであれば、それは当該法令がそのような保護規定を置いているからであり、本件条例が適用除外事由としたことによるものではない。情報公開条例が、法令との抵触を回避するために、あるいは一般的な行政の公正かつ適正な執行という公益実現のために行政権の行使に制約を加えた結果、たまたま一定の者が保護されることになったとしても、それは行政権に制約を加えたことにより、事実上生ずる反射的結果に過ぎない。本件条例における適用除外事由の規定は、まさにこの場合に該当するものである。原告の前記主張は、情報公開条例を秘密保護条例と解するものであり、本件条例がとる立場と全く掛け離れた観点から条例を解釈しようとするものであり、相当でない。 (二) 次に、原告は、本件条例六条一項四号ウ、オの規定は、市政の公正かつ適正な執行を保護しているだけでなく、「国その他の地方公共団体の行政一般」を保護するものだと主張する。 しかし、実施機関が公開義務を履行するにつき「国その他の地方公共団体の行政執行上の支障についても配慮しなければならない。」ことは、そのとおりだとしても、配慮しなければならないということと、国その他の地方公共団体の行政の公正かつ適正な執行を条例が直接保護しているか否かということとは、全く別個の問題である。原告は、「配慮すべき」ということから、直ちに四号の規定を「国その他の地方公共団体の行政一般」を保護する規定 の公正かつ適正な執行を条例が直接保護しているか否かということとは、全く別個の問題である。原告は、「配慮すべき」ということから、直ちに四号の規定を「国その他の地方公共団体の行政一般」を保護する規定と読み込もうとするものであるが、その論理にはやはり無理が存する。本件条例六条一項四号は、国民の知る権利の保障と那覇市の市行政を公正かつ適正に執行するという行政上の利益(公共の利益)との調和を図るために定められたものであり、決して「国その他の地方公共団体の利益」を保護することを目的としたものではない。「国その他の地方公共団体の利益」は那覇市長等の実施機関の主体的・自主的判断を通じて達成される間接的な効果に過ぎないものである。 (三) また、那覇市情報公開に係る第三者情報の取扱いに関する要領は、那覇市が「必要と認めるとき」に限り、公開請求があった旨を告知し、さらに事情聴取することができるという、那覇市の裁量権限を定めたものにすぎず、原告主張のように第三者の利益が個別具体的な法的利益であることを前提として定めたものではない。 3 本件図書は、本件条例により公開を請求することのできる公文書に該当するか。 (原告の主張)本件図書は、本件条例により公開を請求することのできる公文書に該当しない。その理由は、以下のとおりである。 (一) 本件条例により公開を請求することのできる公文書とは、本件条例が実施機関(市長、教育委員会、議会等を言う。本件条例二条二号)の責任と判断に基づいてその保有する文書を公開することを定めたものであることに鑑みると、那覇市の自治事務の処理に関して、実施機関の職員が作成、取得し、又は保有している文書に限られると解すべきである。このように解さなければ、「普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて第二条第二項(自治事務)に関し、条例 関して、実施機関の職員が作成、取得し、又は保有している文書に限られると解すべきである。このように解さなければ、「普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて第二条第二項(自治事務)に関し、条例を制定することができる」(地方自治法一四条一項。なお、憲法九四条参照。)とする法の建前に反することになる。 従って、当該文書の保存・管理事務(以下、「保管事務」という。)が機関委任事務となる文書はもとより、当該文書の保管事務が機関委任事務の処理と密接な関連を有し、それが機関委任事務と同様の法的性質を有する文書もまた、本件条例が公開の対象としている公文書の中に含まれない。当該文書の保管事務が国の機関委任事務の性質を有する場合において、その文書を公開するか否かは、主務大臣が法令の規定に基づき判断すべき事柄であって、主務大臣が当該文書の公開の可否を那覇市長等の実施機関に委ねている等の特段の事情がない限り、実施機関は国の機関として保管している文書を条例の規定により公開することはできない。 建築基準法一八条二項に基づく建築計画通知に係る文書の保管事務の法的性質は、国の機関委任事務そのものか少なくともこれと同様の法的性質を有するものと解すべきであるから、本件図書は、本件条例により公開を請求することのできる公文書に該当しない。 (二) なお、仮に、機関委任事務に係る文書であっても、機関委任事務の趣旨に反しない限度において、主務大臣の許可等があれば、地方公共団体の長が公開条例等によって公開することが可能であるとの見解に立ったとしても、本件図書については、主務大臣たる建設大臣が公開に明示的に反対している。 (被告の主張)本件図書は、本件条例により公開請求することのできる公文書に該当する。 (一) 機関委任事務の執行として生じた公文書の保存・管理は、地方公共団体の 設大臣が公開に明示的に反対している。 (被告の主張)本件図書は、本件条例により公開請求することのできる公文書に該当する。 (一) 機関委任事務の執行として生じた公文書の保存・管理は、地方公共団体の固有事務であり、地方公共団体は、機関委任事務により取得した文書を情報公開の対象とすることができるというのは、国の公式見解である(昭和五七年四月二三日参議院決算委員会における世耕自治大臣の答弁)。 (二) 建築主事が行う建築確認事務(建築基準法への適合性の判断事務)は、国の機関委任事務として行われるものであるが、同事務の結果生じた確認図面等の文書の保存・管理は、那覇市が地方公共団体の固有の事務として行う文書保存管理事務に属するものである。那覇市においては、右各図書の管理は、すべて那覇市文書取扱規程及びそれに付随する文書種目表に基づいてなされている。右各図書の管理については、すべて「那覇市の文書」を取り扱う「那覇市固有の事務」として、那覇市の責任において行われているのである。他方、右各図書の保存期間、保存状況、廃棄等につき、国の権限を定めた法令はない。しかも、保存期間等は地方自治体毎に異なり、画一的でない。 4 本件図書に記載された情報が本件条例六条一項一号(法令秘に関する情報)に該当するか。 (一) 本件条例六条柱書きの「非公開とすることができる」という規定の趣旨は、同条一項一号に該当する情報が記録された公文書について、実施機関に対して公開義務を免除し、裁量により当該公文書を公開するか否か判断し得ることを定めたものか、裁量の余地なく常に非公開とすべき旨を定めたものか。 (原告の主張)本件条例六条一項は、各号の非公開事由に該当する場合でも裁量により公開する余地を認めたかの規定振りをしているが、憲法九四条、地方自治法一四条一項の趣旨によれば、実施機関 めたものか。 (原告の主張)本件条例六条一項は、各号の非公開事由に該当する場合でも裁量により公開する余地を認めたかの規定振りをしているが、憲法九四条、地方自治法一四条一項の趣旨によれば、実施機関に裁量の余地がなく、常に非公開とすべき旨を規定したものである。 (被告の主張)本件条例六条一項は、同項各号に該当する場合には、実施機関に対して公開義務を免除し、実施機関が、本件条例の趣旨にそって、当該公文書を公開するか否かを判断し得ることを定めたものであり、本件条例六条一項本文は、同項各号に該当する場合には、当該公文書を一律に公開禁止とすべきことを規定したものではない。法令上の守秘義務情報に該当する場合でも、被告は、法令上の守秘義務を定めた具体的な当該法令の立法趣旨及びその実質的な理由を検討して当該事項が憲法上優越的保障をされた国民の知る権利を制限する程の理由が存するか否かを改めて判断し、裁量により公開することができる。 (二) 地方公務員法三四条一項、自衛隊法五九条一項は、本件条例六条一項一号の「法令」に該当するか。 (被告の主張)本件条例六条一項一号の法令には、一般的守秘義務規定は含まれない。 那覇市は、本件条例を制定するにあたって、「明文の規定をもって閲覧等が禁止されている」法令等による個別的守秘義務情報のみを公開義務免除事項とし、地方公務員法三四条等により公務員に対し一般的に守秘義務を課した、いわゆる一般的守秘義務情報は公開義務免除事項としないものとして本号を置いた。本号が「法令により、守秘義務が課されている情報」と規定せず「法令により明らかに守秘義務が課されている情報」としたのは、右趣旨をより一層明らかにしたものである。 よって、地方公務員法三四条一項、自衛隊法五九条一項の守秘義務情報は、本号には含まれない。 (原告の主張)本件条例 守秘義務が課されている情報」としたのは、右趣旨をより一層明らかにしたものである。 よって、地方公務員法三四条一項、自衛隊法五九条一項の守秘義務情報は、本号には含まれない。 (原告の主張)本件条例六条一項一号の規定の文言上、単に「法令」と規定して何ら限定を付していないにもかかわらず、ことさらその範囲を限定しようとする被告の解釈はそれ自体無理な解釈であるばかりでなく、そもそも法令の規定によって守秘義務が課されている情報を公開することができる旨の規定を条例で定めることは、憲法九四条及び地方自治法一四条一項に反し許されない。 被告は、本件条例六条一項一号にいう「法令」の例として、住民基本台帳法三五条、地方税法二二条の規定を掲げるが、これらの守秘義務を定めた法令の多くは「その事務に関して知り得た秘密」を漏らしてはならない(住民基本台帳法三五条、地方税法二二条)というような規定の仕方をしており、文言上守秘義務の範囲が明確に特定されておらず、地方公務員法や自衛隊法の規定の仕方と実質的に差異がないことからしても、本件条例六条一項一号の規定の解釈上、これらの法令の規定に基づく守秘義務と地方公務員法や自衛隊法の規定に基づく守秘義務とを別異に取扱う合理的根拠はない。 また、本件条例六条一項一号は、「明らかに」守秘義務が課されている情報を非公開とすると定め、仮に守秘義務が課されていても、それが「明らか」でなければ、公開してもよいかのように読める規定の仕方となっている。しかし、法令上客観的にみて守秘義務が課されている情報を公開することは地方自治法一四条一項に反し許されないのであるから、右の「明らかに」という文言をいたずらに強調すべきではない。 (三) 建築基準法九三条の二の規定は、建築計画通知に係る図書、少なくともそのうち昭和二五年一一月一六日建設事務次官通達 ないのであるから、右の「明らかに」という文言をいたずらに強調すべきではない。 (三) 建築基準法九三条の二の規定は、建築計画通知に係る図書、少なくともそのうち昭和二五年一一月一六日建設事務次官通達「建築基準法一八条に規定する国の建築物の場合の取扱方法について」別記第一号様式によるもの以外のものの公開を禁止する趣旨か。 (原告の主張)建築基準法九三条の二は、「特定行政庁は、確認の申請書に関する図書のうち、当該確認の申請に係る計画が建築物の敷地に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定に適合するものであることを表示している図書であって、建設省令で定めるものについては、建設省令で定めるところにより、閲覧の請求があった場合には、これを閲覧させなければならない。」と規定しており、同法施行規則一一条の七は、特定の様式による建築計画概要書等一定の文書を右閲覧可能なものとして定めている。 この規定の趣旨は、一方において、右規定に係る図書の閲覧を通じて違反建築を未然に防止したり、違反建築物を購入しようとしている善意の買主を保護する等の点にあるが、他方において、建築確認申請書のうち敷地に関する図書についての閲覧のみを認め、それ以外の、建築物の平面図、立面図、構造計算書等敷地に関しない図書については、建築主のプライバシー保護等の見地からこれを閲覧の対象とさせないことを明らかにしたものである。しかして、建築基準法においては建築計画通知に係る図書の閲覧について直接定めた規定はないところから、右の同法九三条の二の規定の反面解釈として、同法は、建築計画通知に係る図書を一般の閲覧に供することを予定していないと解すべきである。 仮に、右規定は、直接には建築確認申請に関する図書についての閲覧請求権の範囲について規定したものであるところから、本件図書のような建築計画 を一般の閲覧に供することを予定していないと解すべきである。 仮に、右規定は、直接には建築確認申請に関する図書についての閲覧請求権の範囲について規定したものであるところから、本件図書のような建築計画通知に係る図書については関知しておらず、かつ、建築計画通知に係る図書を情報公開条例に基づいて公開することの可否については触れていないと解するとしても、同法が確認申請書に係る図書について、建築主等のプライバシー保護等の見地から、敷地に関する図書のみを閲覧の対象としている趣旨は尊重されるべきであって、建築計画通知に係る図書の公開の範囲ば、建築確認申請に関する図書について閲覧が認められる範囲との均衡を考慮し、建築主の正当な利益を害するおそれのないものに限定されるべきである。 この点、本件条例に基づく建築計画通知に係る図書の公開に関し、建設省住宅局建築指導課長から沖縄県土木建築部長に対する平成元年八月三日付け文書(建設省沖住指発第一〇号)において、「計画通知書のうち別記第一号様式によるものを限度に閲覧に供し得る」との見解が示されているが、この見解は、建築計画通知に係る図書について情報公開条例によって公開が認められることがあるとしても、右以上の開示をすることは、建築主の正当な利益を侵害するおそれがあることを根拠としたものである。 本件図書は、建築基準法一八条二項に基づく建築計画の通知に関する図書の一部であって、しかも、計画通知のうち「別記第一号様式」によるものを著しく超えた範囲の図書であるから、本件図書に記載された情報は、同法九三条の二の趣旨に照らして、法令上公開を禁止されたものであり、本件条例六条一項一号により、公開することができない。 (被告の主張)建築基準法九三条の二は、本件図書の公開を禁止していない。 (1) 建築基準法九三条の二が確認の申請書 公開を禁止されたものであり、本件条例六条一項一号により、公開することができない。 (被告の主張)建築基準法九三条の二は、本件図書の公開を禁止していない。 (1) 建築基準法九三条の二が確認の申請書に関する図書について閲覧の制限を設けたのは、違反建築物のうち最も多い無確認建築物、建ぺい率制限違反の建築物等の建築を防止するためには、提出された確認の申請書類を閲覧の用に供して、無確認建築物の売買等を未然に防止し、敷地の不足、二重使用等による違反建築物が建てられないようにするためである。 右規定は、確認申請図書のうち、構造、建築設備等の敷地に関しない図書を閲覧対象から除外しているが、それは、右に述べた閲覧制度の目的を達成するには、敷地に関する図書のみを閲覧の用に供すれば足りるからであって、敷地に関しない図書は敢えて閲覧に供する必要性が存しないからである。右規定は、敷地に関しない図書の閲覧については何ら規定しておらず、その閲覧については行政庁の裁量に委ねられているものである。 従って、同法九三条の二は、国民の知る権利を保障するために情報公開条例に基づき、右閲覧対象の図書以外の図書についての情報を公開することまで禁止する趣旨を有するものではないと解するのが正当である。 さらに同法九三条の二が、閲覧させるべき図書を確認の申請書に関する図書とし、同法一八条二項の規定による計画通知にかかる建築物の敷地に関する図書を含めなかったのは、国、都道府県等が建築する建築物については、違反行為が想定されないため、違反建築物の建築を未然に防止するという閲覧制度の設置趣旨に照らして、敢えて閲覧の用に供する必要性がないと考えられたためである。 従って、同法九三条の二は、計画の通知に関する図書は、建築主との関係において、その性質上、特に閲覧の必要性を認めないという趣旨にとどま て、敢えて閲覧の用に供する必要性がないと考えられたためである。 従って、同法九三条の二は、計画の通知に関する図書は、建築主との関係において、その性質上、特に閲覧の必要性を認めないという趣旨にとどまるのであって、情報公開条例に基づいて同図書を公開することを禁止した規定と解することはできないものである。 このように、閲覧制度に関する建築基準法上の規定は、建築行政目的をより良く達成するために積極的に閲覧の対象範囲を規定したものであって、閲覧対象外の図書について公開を禁止した規定と解すべきではない。 (2) 原告主張のように、仮に建築主のプライバシー保護等の見地を考慮する事情があるとしても、本件条例においては、「個人に関する情報であって、特定の個人が識別され、又は識別され得るもの」(本件条例六条一項二号)等の適用除外事項に照らし、当該図書中の個々の情報が個別具体的に右適用除外事項に該当するか否かにより決せられるものであり、建築基準法九三条の二の解釈によるわけではなく、また、右適用除外事項に基づく個別具体的な判断が可能である以上、同法九三条の二の解釈によらなければならない必要性は何ら存在しないのである。 (3) 建設省住宅局建築指導課長から沖縄県土木建築部長に対する平成元年八月三日付け文書(建設省沖住指発第一〇号)は、沖縄県土木建築部長から建設省住宅局建築指導課長に対する平成元年八月二日付け照会文書(土建第八二三号)に対する回答である。そして、右照会文書は、那覇市の本件情報公開条例に基づき何人も那覇市が管理する公文書の閲覧を行うことができることを周知のこととして、これとは別に、建築基準法においては、本件条例に基づき法一八条二項による図書等の閲覧請求があった場合においては、昭和二五年一一月一六日付住発第六七号の二建設事務次官通達「建築基準法第一八条 として、これとは別に、建築基準法においては、本件条例に基づき法一八条二項による図書等の閲覧請求があった場合においては、昭和二五年一一月一六日付住発第六七号の二建設事務次官通達「建築基準法第一八条に規定する国の建築物の場合の取扱方法について」第二にいう計画通知書のうち別記第一号様式によるものを限度に閲覧に供し得ると考えられる、と述べるにとどまり、それ以外の文書を本件条例に基づき公開することを禁止することは明示していないのである。即ち、右回答文書は、建築計画通知に係る図書について本件情報公開条例によって公開が認められることがあることを周知のこととして、これを禁止するものではなく、建築基準法において閲覧に供し得るものを明記したにとどまるものである。 (四) 地方公務員法三四条一項、自衛隊法五九条一項にいう「秘密」とは、実質秘のみで足りるか、形式秘と実質秘との両方を必要とするか。 (原告の主張)実質秘のみで足りる。 (被告の主張)形式秘と実質秘との両方を必要とする。 本件図書については、秘密保全に関する訓令(昭和三三年一一月一五日防衛庁訓令第一〇二号)に基づく秘密指定がなされていない。 (五) 本件図書に記載された情報が、実質秘の要件である秘匿の必要性及び非公知性を具備しているか。 (原告の主張)(1) 秘匿の必要性について本件図書の内容には、自衛隊の能力に関する事項が含まれており、これらが明らかにされると、わが国の防衛上重大な支障が生じる。 ア ASWOCの防衛上の重要性本件図書は、海上自衛隊が那覇市<地名略>に建設する第五艇空群の群司令部庁舎の建築計画に関するものであり、その具体的な内容は、すべて右庁舎の設計関係図書である。同庁舎地下階部分には、ASWOC(AntiSubmarineWarfareOperationCenter の建築計画に関するものであり、その具体的な内容は、すべて右庁舎の設計関係図書である。同庁舎地下階部分には、ASWOC(AntiSubmarineWarfareOperationCenter 対潜水艦戦作戦センター)が設置されている。ASWOCは、固定翼対潜哨戒機P‐3C(以下、「P3‐C」という。)に対する戦術支援、指揮管制を行うもので、海上自衛隊の対潜水艦戦を遂行するに当たって極めて重要な施設である。我が国にとって、海上交通の安全確保、即ちシーレーン防衛が不可欠である。海上交通に対して妨害が行われる場合、潜水艦等を使用して我が国周辺の海域を航行する船舶を攻撃することが予想されるため、自衛隊はP‐3C等によって敵潜水艦を制圧する必要がある。近年、潜水艦の中に占める原子力潜水艦の比率が増大し、その性能も向上してきたため、自衛隊の対潜部隊は広い海域においてより速やかに、より密度の濃い対潜作戦を行わなければならなくなった。ASWOCは、このような作戦上の要求を満足するために、P‐3Cとの組み合わせを前提として、戦術支援機能として作戦計画作成等のための資料を作成し、P‐3Cの収集したものを含む戦術データや音響信号を解析、評価するとともに、指揮管制機能として、データリンク(二局以上の間を結ぶデータ通信回線並びにその回線に接続されている全ての局の変復調整装置及び通信制御装置)によるリアルタイムな指揮管制や飛行前、飛行後のP‐3C搭乗員に対する状況説明等を実施するものである。 以上のとおり、ASwOCは、P‐3Cによる対潜戦の中枢であって、極めて重要なものである。 本件図書が公開されると、中枢機能を維持する上で不可欠な施設の抗たん性の程度が明らかになるほか、警備上の支障も生じ、また、コンピュータの能力の推定も可能となる。そして、これらの問題は なものである。 本件図書が公開されると、中枢機能を維持する上で不可欠な施設の抗たん性の程度が明らかになるほか、警備上の支障も生じ、また、コンピュータの能力の推定も可能となる。そして、これらの問題は本件那覇ASWOCだけの問題にとどまらず、厚木、八戸、鹿屋及び岩国のASWOCについても同様の問題を生ぜしめることになる。なぜなら、これら厚木等のASWOCも、本件那覇のASWOCと同様の任務・機能を有しており、その庁舎の地下階はほぼ同様の構造となっているからである。 イ抗たん性について図書番号3、4、7の1、7の2、7の3、8の1、8の2、20、25、26、28、29、33、35の各図書が公開されると、ASWOCの設置される本件建物地下階部分(地下階の天井(その大部分は一階の床ともなっている。)を含む。 以下、単に「地下階部分」という。)の抗たん性の能力が明らかになる。a自衛隊の基地や施設が、侵略国側から攻撃を受けた場合に直ちにその機能を停止することになっては、我が国が整備に努めてきた防衛力を十分に発揮できない。このため、防衛庁においては、基地や施設等が敵の攻撃を受けた場合でも、簡単にはその機能を停止することのないよう所要の措置を講じている。抗たん性とは、基地、施設等が、敵から攻撃を受けても簡単にその機能を停止しないような性質のことをいい、破壊に耐える能力や代替措置の有無等様々な観点から総合的に評価されるものであるが、本件では、原告は本件建物地下階部分の耐爆撃強度という物理的な観点のみに限定して抗たん性の点を問題とする。 本件建物地下階についても、爆撃等によって容易に破壊されることのないよう、地下化、堅固化を図っている。具体的には、本件建物地下階は、主として爆撃機による爆弾攻撃を想定し、その爆弾の重量、投下速度、投下高度等から弾道、弾着角 爆撃等によって容易に破壊されることのないよう、地下化、堅固化を図っている。具体的には、本件建物地下階は、主として爆撃機による爆弾攻撃を想定し、その爆弾の重量、投下速度、投下高度等から弾道、弾着角度、弾着速度を見積もり、爆弾による破壊威力を計算して、これに耐え得る鉄筋コンクリートの壁厚等を設計したものである。この点、本件建物地下階は、一般庁舎、宿舎、隊舎等の通常の自衛隊施設とは全く異なった特殊な施設である。 b 本件建物地下階部分の耐爆撃強度を考えるに当たり、徹甲弾(装甲車両やコンクリート構造物等の堅固な目標の破壊用に弾殻を強固にし、侵徹能力を高めている爆弾)が地盤面に着弾後、土を侵徹して本件建物地下階部分の壁や天井に当たり、さらに構造物を侵徹あるいは貫徹した後に延期信管(着弾衝撃と爆発間に時間差がある信管)が作動することにより壁等が破壊されたり建物内部で爆発が起こり、建物内部の人員、器材等に被害が生じるという破壊の形態を想定すると、弾丸等が外壁や天井に衝突し、どこまで内部に侵入するかが重要な要素となる。弾丸等がコンクリート版に衝突した場合における挙動については、弾丸等の持つエネルギーの大小に応じて、弾丸等がコンクリート版に侵徹する(突き刺さる)場合、侵徹してコンクリートの裏面に剥離が生じる場合、更に弾丸等がコンクリートを貫徹する(一突き抜ける)場合があるが、どのような条件があれば、それぞれの場合が生じるか、言い換えれば、弾丸等のコンクリートへの侵徹深さは、弾丸等の質量、直径、衝突速度等とコンクリートの圧縮強度から算出可能である。即ち、弾丸等のコンクリートへの侵徹深さと、弾丸等の直径、弾丸等の先端の形状による係数、弾丸等の質量、弾丸等のコンクリートへの衝突速度及びコンクリートの圧縮強度との関係を示す公式が承認されている。コンクリートの圧 ンクリートへの侵徹深さと、弾丸等の直径、弾丸等の先端の形状による係数、弾丸等の質量、弾丸等のコンクリートへの衝突速度及びコンクリートの圧縮強度との関係を示す公式が承認されている。コンクリートの圧縮強度については、本件図書にその数値の表示はないが、鉄筋コンクリート造の庁舎建物に使用されるそれは、建築構造設計基準(建設省大臣官房官庁営繕部監修)や防衛施設庁制定の建築工事共通仕様書等一般人も入手可能な資料から推定が可能であることから、コンクリートの壁厚が分かれば、これを突き抜けるのに必要な弾丸等の直径、弾丸等の先端の形状、弾丸等の質量、弾丸等のコンクリートへの衝突速度の組み合わせを知ることができる。 そして、弾丸等の土への侵徹深さと、土の種類によって定まる抵抗係数、弾丸等の弾頭の形状による係数、弾丸等の質量、弾丸等の最大断面積、弾丸等の土への衝突速度の関係も一定の公式で表すことが承認されている。従って、地下階の屋根に載った土砂の厚さ(以下、「土かぶり厚」という。)や地下階部分の外壁が接する外部の土砂の地盤面からの深さ(以下、「地下部分の深さ」という。)がわかれば、これを突き抜けるのに必要な弾丸等の直径、弾丸等の先端の形状、弾丸等の質量、弾丸等の土への衝突速度の組み合わせを知ることができる。 このようなことから、本件建物地下階部分の壁や天井の厚さ及び土かぶり厚や地下部分の深さがわかれば、どのような弾丸を使用してどのような攻撃を行えば効果的な被害を与え得るかということが判明し、最適な航空機及び爆弾等の種類を選定することが可能となる。 また、例えば、鉄板等の特殊な材料を用いた建物内部の仕上げやそれらの材料の壁等への張り付け方法等により壁等の強度が増すこととなり、弾丸等が衝突した場合の侵徹や貫徹に対する強度を考える上で、これらの建物内部の特殊な仕上 等の特殊な材料を用いた建物内部の仕上げやそれらの材料の壁等への張り付け方法等により壁等の強度が増すこととなり、弾丸等が衝突した場合の侵徹や貫徹に対する強度を考える上で、これらの建物内部の特殊な仕上げ材料や仕上げ方法の有無が抗たん性に係る情報となる。 c 他に、爆弾が近傍に投下され爆発することにより、その爆発威力により本件建物地下階部分が破壊されるという破壊の形態がある。これは、至近弾の爆発による爆圧が施設に作用することによる破壊であり、この場合には、本件建物地下階部分の壁、天井、床の厚さ、土かぶり厚及び地下部分の深さだけでなく、コンクリートの圧縮強度並びにコンクリートの中の鉄筋量及び鉄筋の配置方法等から計算される施設の強度の大小により破壊されるかどうかを判断することになる。この場合、鉄筋に関するデータがわからなければ詳細な強度はわからないにしても、鉄筋に関するデータが洩れたり、全く推定できないという絶対の保障はなく、施設の強度を判断する上でコンクリートの壁厚が重要な要素であることに変わりはない。 d 以上のとおりであるから、本件図書の一部に記載されている本件建物地下階部分の抗たん性の程度に係る情報、具体的には建物内部の仕上げ材料や仕上げ方法、土かぶり厚及び地下部分の深さ、床、壁及び天井の厚さが、秘匿を要するものであることは明らかである。 ウ警備上の支障について図書番号5、7の1、8の1、9、14、17、20、23、25、26、28、29、33、35の各図書が公開されると、本件建物地下階の部屋の配置に係る情報、特に、電子機器、通信機器及び発電機がどの部屋に配置されるかという情報が明らかになり、警備上の支障が生じる。 本件図書が公開されると、本件建物地下階の各部屋名が明らかになり、第一の攻撃目標である電子機器、通信機器及び発電機が本件建物 がどの部屋に配置されるかという情報が明らかになり、警備上の支障が生じる。 本件図書が公開されると、本件建物地下階の各部屋名が明らかになり、第一の攻撃目標である電子機器、通信機器及び発電機が本件建物地下階のどこにあるかを予め知られることとなる。この結果、侵入者側は効率的な侵入計画を作成することができ、侵入開始から目標到達までの時間を短縮することが可能になるとともに、対象目標に対し的確な破壊活動を実施することが可能になる。逆にこれを守る立場からは、そのような器材等の配置を無制限に外部に知らせることは、ASWOCの警備能力を著しく低下させることになる。器材等の配置が秘匿されている限り、侵入者が攻撃目標に到達し、的確な破壊活動を行う前に制圧し得ると見積もられている。 即ち、侵入者が予め地下一階における器材等の配置を知らなかった場合に、侵入してから攻撃目標に到達し破壊活動を行うまでに要する時間を、器材等の配置を予め知らない者が侵入した場合に通常たどるであろう移動経路を想定して見積もり、これと本件施設の警備主体が侵入を探知してから攻撃目標に到達するまでに要する時間(自衛隊那覇基地における日常の警備訓練の実績に基づき見積もった時間)とを比較した結果、後者の方が短時間であるということが確認されている。 エコンピュータの能力の推定についてASWOCは、コンピュータによりシステム化されたP‐3Cに対して戦術支援、指揮管制を行う機能を有することから、ASwOCの機能を発揮させるためには、コンピュータが極めて重要な役割を果している。図書番号18及び19の各図書が公開されると、コンピュータの中央処理装置等が設置される機械室等につながる電気負荷容量が明らかになり、これにより相当な限度でコンピュータの能力の推定が可能となる。 a コンピュータは、通常、その処理速度 されると、コンピュータの中央処理装置等が設置される機械室等につながる電気負荷容量が明らかになり、これにより相当な限度でコンピュータの能力の推定が可能となる。 a コンピュータは、通常、その処理速度が増大するにつれて、その消費電力は増大せざるを得ず、コンピュータの処理速度と消費電力との間には一定の相関関係がある。従って、コンピュータの本体の消費電力の最大値が判明すれば、コンピュータの処理速度の限度、即ち能力を推定することが可能になる。 b 図書番号18の図書は、負荷容量表であり、図書番号19の図書は、幹線系統図・分電盤負荷容量表である。図書番号19の図書には地下階の電気系統への供給電力量が明示されているところ、図書番号18の図書のある特定の分電盤の負荷容量表に記載されている負荷名(例えば、電算機室のコンセント等と記載されている。)により、同分電盤がコンピュータ関連のものであることが判明するから、右分電盤が連なる分電盤、更にはこれらの分電盤が連なる地下階の電気系統もコンピュータ関連のものと判明する。従って、図書番号18及び19の各図書を照合することにより、図書番号19の図書に明示されている地下階の電気系統への供給電力量の値から、コンピュータ・システム(コンピュータ本体のほか、空調及び付帯設備を含む。)に係る供給電力量が判明する。コンピュータ・システムの設計に当たっては、システム規模の変動を考慮して、システムの必要電力量に対し一定割合の余裕を持たせて供給電力量を設定するのが一般的であることから、システムへの供給電力量からシステムの必要電力量が推定できる。そして、システムの必要電力量は、コンピュータの本体、空調及び付帯設備の必要電力量を足し合わせた値であるが、コンピュータの本体の必要電力量と空調の必要電力量はほぼ同じものとして設計するのが一般 る。そして、システムの必要電力量は、コンピュータの本体、空調及び付帯設備の必要電力量を足し合わせた値であるが、コンピュータの本体の必要電力量と空調の必要電力量はほぼ同じものとして設計するのが一般的であること、及び付帯設備の必要電力量は図書番号19の図書に示されている付帯設備に関わる分電盤の電気負荷容量の和と推定し得ることから、コンピュータの本体の必要電力量、即ちコンピュータの本体の消費電力の最大値が推定できる。 (2) 非公知性について本件図書は、本件建物の設計図の一部を用いて作成されたものであるが、防衛庁において適切に管理されており、以下のとおり、過去において公開されたことはなく、また、将来においても公開されることがない。 ア那覇防衛施設局は、本件建物の設計委託契約、建築工事請負契約の締結及び建設工事の施工に当たっては、以下のとおり本件図書を適切に管理しており、本件図書が外部に流出した事実はない。 a 本件建物にかかる設計業務においては、設計委託契約書において、「設計者は、設計の処理上知り得た秘密を他人に洩らしてはならない」と規定している。 b 建設工事入札前に行う図面説明に際しては、指名業者に対し、「貸与した図面及び仕様書は入札前に返却すること、また、本工事は重要な施設であるため、図面の取扱いについては厳重に注意すること」を説明し、そのことを記した書面に記名捺印させ、周知徹底を計り、返却された図面については、焼却処分をしている。 c 工事現場においては、設計図等が工事関係者以外に流出しないよう、工事監督官から、工事現場における業者側の代表者である現場代理人に対し、(1)保全管理には十分注意すること、(2)元図面から部分的に複写させる必要がある場合には、必要な部分及び必要部数のみとし、使用済みの時は請負者の責任で右複写物を処分し、元 である現場代理人に対し、(1)保全管理には十分注意すること、(2)元図面から部分的に複写させる必要がある場合には、必要な部分及び必要部数のみとし、使用済みの時は請負者の責任で右複写物を処分し、元図面自体は発注者側に返却すること、(3)下請業者及び見積業者等へ設計図面を貸与した場合は、確実に返却させること等を常々注意指導するとともに、工事に使用した設計図面は、工事完了後工事監督官へ返却することとしている。 イ本件建物は、航空自衛隊那覇基地内に建設されるものであり、一般公衆の利用、見学等を目的として設置されるものではないことはもちろん、防衛庁職員といえども特定の許された者だけが立ち入り可能である。また、本件図書については、建築基準法上も閲覧の規定は設けられていない(建築基準法九三条の二参照)。 (被告の主張)(1) 秘匿の必要性についてア自衛隊の有する「秘密」は「軍事秘密」であるから、平和的生存権を宣言し、徹底した非武装平和主義を採用した憲法前文及び九条に違反する違憲の秘密として法的に保護されない。従って仮に本件図書に「秘密」情報が含まれるとしても、その秘密はまさに違憲の秘密として、本件条例六条一項各号のいずれの条項にも該当しない。 また、ASWOCそれ自体の我が国の安全に占める役割の重要性は認められないから、本件図書が公開されても、我が国の安全に重大な問題は生じない。 イ本件図書は、秘密保全に関する訓令(昭和三三年一一月一五日防衛庁訓令第一〇二号)に基づく秘密指定はおろか、昭和五六年三月二日付け防衛庁事務次官通達「取扱い上の注意を要する文書等の取扱いについて」に基づく「取扱い上の注意を要する文書」にすら指定されていない。 ウ本作図書の公開により本件建物地下階の抗たん性の能力が明らかになるとの原告の主張についてa 本来秘匿の必要 書等の取扱いについて」に基づく「取扱い上の注意を要する文書」にすら指定されていない。 ウ本作図書の公開により本件建物地下階の抗たん性の能力が明らかになるとの原告の主張についてa 本来秘匿の必要性を主張立証するためには、どの程度の厚さがあるとか、どの程度の特殊な仕上げになっているとか、相当程度主張立証しなければならないものである。ましてや原告は、総合的に評価されるべき抗たん性を本件訴訟においては物理的特性だけで立証しようというのであるから、その物理的特性については、相当程度主張立証しなければならないのである。こうした主張立証をしないだけでなく、通常の建物に比較して厚いとか特殊な仕上げをしているとかも主張せずに、仕上げ方法、壁厚等の抗たん性の程度に係る情報はそのこと自体が秘密であるとする原告の姿勢は、本件図書によって本件建物が通常の事務棟と変わるものではないことが露顕することを秘匿するものであり、壁の厚さ等の情報は、その厚さの如何にかかわらず秘密であるという秘密万能主義以外のなにものでもない。 原告の主張によれば、本件図書が公開されて本件建物が通常の建物にすぎないことがわかると、「本件施設の破壊にとって最も効率的なデータ・・・を攻撃側に対して与えることになり、同庁舎に対する攻撃を極めて容易かつ効率的なものにすることになる」というのが秘匿の必要性である。敵に攻撃されやすくしてはならないというのは本件建物に限ったことではないから、原告の右主張に従えば、ありとあらゆる自衛隊の基地や施設を秘匿しなければならないことになる。即ち、すべては秘密で、何を国民に知らせるかは国の随意ということになる。これでは国民は主権者としての地位を全うできない。防衛情報のすべてを秘密とする原告の論法は、とうてい容認できるものではない。 b 原告は、「耐爆撃強度を考える に知らせるかは国の随意ということになる。これでは国民は主権者としての地位を全うできない。防衛情報のすべてを秘密とする原告の論法は、とうてい容認できるものではない。 b 原告は、「耐爆撃強度を考えるに当たり、弾丸等が外壁に衝突した場合にどこまで内部に侵入するかが重要な要素となる」との主張を訴訟の最終段階でするに至った。原告が、「爆発」という問題を避け、壁厚や土かぶり厚の耐爆撃強度を「弾丸等がどこまで内部に侵入するか」の問題としてとらえようとする理由は明らかである。 爆発してしまえば、本件公開図書から推論し得る範囲内の壁厚、土かぶり厚程度では、地中爆発による爆土庄に耐えられず、何らの抗たん性もないからである。例えば、自衛隊のF1攻撃機が八発積める二二五キログラム爆弾が一発当たるとすると、厚さ二メートルの鉄筋コンクリートでないと抗たん性がなく、原告提出の甲二一の一に従って通常の侵徹深さを算定すると約七・五メートルであり、そのうえ現代の爆弾は同じところに何発も当たる精度を持っているのであるから、最新型でもないF1攻撃機一機ですら本件建物の地下部分などひとたまりもなく破壊してしまうのである。 なお、原告は、地下部分の深さを抗たん性の重要な指標のごとく主張しているが、地中深く存在している構造物であれば、意味のある主張であるが、本件建物のように、地盤面と同じ位置から地下階が存在しており、地下階部分の外壁に地盤面から到達するには、何十センチメートルも必要としない場合には、無意味な議論である。 c 原告は、図書番号3、7の3、8の1の各図書には地下内部の仕上げ材料や仕上げ方法が、図書番号4、8の1の各図書には一階床面の仕上げ材料や仕上げ方法がそれぞれ表示され、これらの情報は抗たん性の程度を判断するために必要な情報であると主張する。 仕上げ材料や仕上げ方 料や仕上げ方法が、図書番号4、8の1の各図書には一階床面の仕上げ材料や仕上げ方法がそれぞれ表示され、これらの情報は抗たん性の程度を判断するために必要な情報であると主張する。 仕上げ材料や仕上げ方法は、建築基準法三五条の二の規定により内装の制限を受ける建築物について、その壁、床及び天井の室内に面する部分の仕上げを防火上支障がないようにしなければならないとの規定に基づいて、提出を要求されているものである。内部仕上材に、内装制限に適合するような不燃材、もしくは準不燃材が使用されるのか否かをチェックするために必要とされる図書であり、その眼目はあくまでも防火であって、建物の強度とは何ら関係のないものである。 現に、右各図書に記載された仕上げ材料や仕上げ方法は、他の一般事務所建築物で使用されるものと異なった、特殊な仕上げ材料や仕上げ方法が用いられているようなことはまったくない。 d また、原告の主張は、本件施設の地下階の壁のコンクリートの圧縮強度が建築構造設計基準(建設大臣官房庁営繕部監修)や防衛施設庁制定の建築工事共通仕様書などから推定が可能であるという前提に立つものであるが、右前提は全くの誤りである。 建築構造設計基準や共通仕様書からは、本件施設の具体的な設計基準強度を知ることはできない。 本件施設の設計基準強度が記載されている特記仕様書は本件計画通知手続においては提出されておらず、公開もされていないのであるから、本件施設の設計基準強度を推定することは不可能である。 翻って考えるに、そもそも原告は、本件建物地下階部分は一般庁舎、宿舎、衛舎などの通常の自衛隊施設とは全く異なった特殊な施設であると主張しているのであるから、通常の自衛隊施設の設計にあたって参考とされる共通仕様書から、本件施設の部材の圧縮強度が推定できると主張することは、全くの論理矛盾 衛隊施設とは全く異なった特殊な施設であると主張しているのであるから、通常の自衛隊施設の設計にあたって参考とされる共通仕様書から、本件施設の部材の圧縮強度が推定できると主張することは、全くの論理矛盾という他はない。 e 爆弾の爆発による圧力に耐える建物の強度については、例え壁やスラブ等の厚さが判っても、鉄筋に関する情報が判らなければ知りえない。即ち、爆圧によって鉄筋コンクリート構造物が破壊される形態は、コンクリートにひび割れ生じ、そのひび割れが発達することによって構造物の破壊に至るというものであるが、このひび割れに対する補強は主に鉄筋によってなされており、鉄筋に関する情報(鉄筋自体の強度、鉄筋の数と配置、鉄筋とコンクリートの付着等)が判らなければ、鉄筋コンクリートの強度は知りえないのである。そして、鉄筋に関する情報は、構造詳細図及び構造計算書によってしか判明しえないところ、一般建築物の建築確認手続においてはそれらの提出が義務づけられているが、国の建築物については、「建築基準法第一八条に規定する国の建築物の場合の取扱方法について」と題する通達(建設省発注第六七号の二)によって、計画通知書にそれらの図書の添付は不要とされている。従って、本件建物の計画通知書には構造詳細図及び構造計画書は添付されておらず、公開もされていないのであるから、本件施設の鉄筋に関する情報を被告はもちろん那覇市建築主事も知りえないところであり、まして一般人が知ることは不可能である。 エ本件図書が公開されると警備上の支障が生じるとの原告の主張について原告が、公開されると警備上の支障があるとする情報は、本件建物地下階部分についての各区画割りの室名である。これらは、すべて既に公開された図書からも知り得ることであって、何らの秘密性がないばかりか、警備上重要な情報でもない。 a 支障があるとする情報は、本件建物地下階部分についての各区画割りの室名である。これらは、すべて既に公開された図書からも知り得ることであって、何らの秘密性がないばかりか、警備上重要な情報でもない。 a 本件建物に対する最も重要な警備は、自衛隊那覇基地内及び本件建物内への侵入を未然に防ぐことである。従って、本件建物の警備に関する最も重要な情報とは、自衛隊那覇基地の警備体制についての情報並びに本件建物の入口、地下一階への階段等の経路及び防犯カメラや警報装置についての情報である。本件建物程度の規模の施設は、一旦攻撃側に侵入されれば、容易に破壊され、その機能を停止させられることは明白であるから、一旦侵入された後の警備というのは無意味である。 そして、公開図書から、本件建物の入口の数や場所、地下への階段の位置、階段入口扉(電機鍵によって施錠される)の存在や位置まで明らかになっている。従って、攻撃する側は、公開図書により、電子機器等が配置されている地下一階部分への侵入経路を解明し侵入計画を立てることが可能である。 b 原告は、本件建物内に侵入された後の、いわば事後的な警備を問題にしている。 敵が施設内に侵入するという事態は有事のもとで発生する事態である。有事とは内閣総理大臣、防衛庁長官によって防衛出動が命じられた後で、「敵国」と戦闘状態にある時である。洋上ではシーレーン防衛をめぐって敵潜水艦と対潜戦が激しくたたかわれ、那覇市に爆撃が加えられている状態である。そもそもASWOC施設が真つ先に狙われるわけではないから、本件建物内に敵の軍隊の一部が侵入するという事態が発生した時には、那覇自衛隊基地内の主要部分が敵の軍隊に制圧され、沖縄の上空の制空権もかなりの程度奪われている事態にあることになる。すでに敵の攻撃目標となる脆弱なレーダー基地や滑走路、滑走路上のP‐ 発生した時には、那覇自衛隊基地内の主要部分が敵の軍隊に制圧され、沖縄の上空の制空権もかなりの程度奪われている事態にあることになる。すでに敵の攻撃目標となる脆弱なレーダー基地や滑走路、滑走路上のP‐3Cは破壊され、飛び立っていたP‐3Cは戻れない状態なのである。すでにASWOCの機能は全面的に麻痺していて、その抗たん性は失われているのである。かかる事態のもとで本件建物内に侵入する必要性はまったくないのである。 原告の主張によれば、侵入した者が部屋の配置を知らなければ、それに行き着く間(もたもたするというのであろう)に、応援部隊が駆けつけ侵入者を制圧するというのである。庁舎へ侵入する敵軍は、公開文書から、すでに本件庁舎の入口の数、場所さらには地下への階段の位置、階段入口扉の存在とその位置、地下の部屋の区画と広さまで分かっているのである。かかる情報を入手していて攻撃を加える敵軍がさして広くもない本件建物の地下部分でまごついて相当の時間がかかるとは考えられない。 オ本件図書が公開されるとコンピュータの能力の推定が可能になるとの原告の主張について図書番号18及び19の図書に記載されている電気負荷容量からコンピュータ本体の消費電力量を推定することはできない。コンピュータ本体の消費電力量からはハードウェアの「処理速度」に関する性能を推定することもできない。更にハードウェアの機種のクラスがある程度判明したとしても、直ちにシステム全体の能力は判明しない。従って、右各図書から「相当な限度でコンピュータの能力の推定を可能」とすることはおよそ不可能であり、コンピュータの能力に関する「秘密」は右各図書には全く存しない。 (2) 公知性についてア公開図書によって、本件建物地下階の壁、床、天井の厚さ、土かぶり圧及び地下部分の深さと本件建物地下階部分の部屋名を ータの能力に関する「秘密」は右各図書には全く存しない。 (2) 公知性についてア公開図書によって、本件建物地下階の壁、床、天井の厚さ、土かぶり圧及び地下部分の深さと本件建物地下階部分の部屋名を推定することができるので、これらの情報は非公知性がない。 イ原告が主張する本件図書の取扱いは、国や地方自治体の発注する公共工事においては一般的に行われている、通常の建築物の設計図書等に関する取扱いと同様である。 5 本件図書に記載された情報が本件条例六条一項四号ウ(協力関係情報)に該当するか。 (一) 本件図書に記載された情報は、公開することにより、建築基準行政の分野において、国との協力関係を著しく損なうおそれがあるものに該当するか。 (原告の主張)本件図書に記載された情報は、公開することにより、建築基準行政の分野において、国との協力関係を著しく損なうおそれがあるものに該当する。 (1) 平成元年八月三日ころ、建設省は、沖縄県土木建築部長に対し、同部長名義の照会(平成元年八月二日付け土建第八二三号)に対する住宅局建築指導課長名義の回答(平成元年八月三日付け建設省沖住指発第一〇号)により、「情報公開条例に基づき建築基準法一八条二項による図書等の閲覧請求があった場合においては、昭和二五年一一月一六日付け住発第六七号の二建設事務次官通達「建築基準法第一八条に規定する国の建築物の場合の取扱い方法について」第二にいう計画通知書のうち別記第一号様式によるものを限度に、閲覧に供し得ると考えられる」旨の指導を行った。これを受けて、平成元年八月四日、沖縄県土木建築部の職員が、那覇市都市計画部長に対し、沖縄県土木建築部長名義の那覇市長あての通知(平成元年八月四日付け土建第八二三号)を手交して、右照会の内容に沿って閲覧請求を処理するように指導し、加えて、同道した建 員が、那覇市都市計画部長に対し、沖縄県土木建築部長名義の那覇市長あての通知(平成元年八月四日付け土建第八二三号)を手交して、右照会の内容に沿って閲覧請求を処理するように指導し、加えて、同道した建設省の職員からも直接、那覇市都市計画部長に対し、本件図書に記載された情報を公開しては困る旨の申し入れを行った。 また、被告が平成元年九月二八日に本件決定をした直後の同年一〇月ころ、建設省の要求により、那覇市都市計画部長が建設省に赴き、住宅局建築指導課長に対し本件決定の根拠等を説明したことがあったが、その際にも、同建築指導課長は、那覇市都市計画部長に対し、直接、右照会についての回答と同旨の指導をした上、本件図書に記載された情報を公開することは困る、被告が本件のような決定をすると、国の機関が過不足なく計画通知書を提出しないおそれが生じ、建築行政上支障がある旨の申し入れを行った。 行政実務において、主務大臣から地方公共団体の長に対する指導が行われる場合、必ずしも、当該主務大臣名義の文書によって行われるものではなく、指導内容に係る事務を分掌する部局の長名義でなされることが少なくなく、本件においても、以上一連の経過は、本件機関委任事務に係る主務大臣である建設大臣が、その有する直接又は間接の指揮監督権ないし勧告権により、被告に対し、具体的かつ明確に記載した文書をもって、本件文書を公開しないように指導したものというべきである。 このように、下級行政庁である被告が、上級行政庁である建設大臣の指揮、勧告に従わず本件図書をあえて公開しようとすることは、我が国の法秩序に反するものであって、本件図書に記載された情報を公開することは国との協力関係を著しく損なうおそれがある。 (2) 更に、本件決定のように国の秘密に関わる文書が公開されるならば、秘密の漏洩を恐れる余り、今 ものであって、本件図書に記載された情報を公開することは国との協力関係を著しく損なうおそれがある。 (2) 更に、本件決定のように国の秘密に関わる文書が公開されるならば、秘密の漏洩を恐れる余り、今後建築計画文書が過不足なく提出されないおそれがないではない。実務上、建築基準法一八条二項の規定に基づき建築計画通知を行う場合、必ずしも法律上義務づけられた文書のみを提出しているわけではなく、那覇防衛施設局においても、那覇市建築主事の審査を円滑ならしめるために、通知義務の課せられていない文書であっても、建築主事から要請された以上これを提出していた。 このような通知義務が課せられていない文書は、すべて那覇市建築主事からの求めに応じて、審査事務を円滑ならしめるために提出されたものである。しかしながら、このような文書のうち秘密を含もものが公開されると、それらの建築基準法上提出する必要がない文書が提出されることはなくなる結果、建築主事の審査資料が限定され、その円滑な審査に支障が生じる。そうなった場合、建築基準行政に多大な支障を生じることが明白であるから、この点からも、本件は国との協力関係を著しく損なう場合にあたる。 (被告の主張)(1) 本件条例六条一項四号ウの「協力関係を著しく損なうおそれ」については、那覇市の定める解釈・運用基準がその個別具体的事例を列挙し、「機関委任事務の処理に関して作成し、または取得した情報であって、主務大臣から具体的かつ明確に公開してはならない旨の指示があったもの」を掲げている。 そして、原告は、建設省が沖縄県土木建築部長に対し、同部長名義の照会に対する住宅局建築指導課長名義の文書により指導を行い、沖縄県土木建築部長名義の那覇市長宛の通知を手交して、右回答の内容に沿って閲覧請求を処理するよう指導した旨主張している。 しかしながら 義の照会に対する住宅局建築指導課長名義の文書により指導を行い、沖縄県土木建築部長名義の那覇市長宛の通知を手交して、右回答の内容に沿って閲覧請求を処理するよう指導した旨主張している。 しかしながら、右指導は、そもそも、当該機関委任事務の主務大臣である建設大臣からの、本件未公開図書を公開してはならない旨の具体的かつ明確な指示ではない。そもそも、建築基準法九三条の二は、情報公開条例に基づき建築基準法による閲覧対象の図書以外の図書を公開することまでも禁止する趣旨は含んでいないと解釈すべきものであるから、本件条例を何ら前提としていない指導は、本件条例の適正な解釈適用のための指導とはいえない。 さらに、B那覇市都市計画部長が平成元年七月二七日とその後三、四回にわたり、那覇防衛施設局職員と面談しているが、その際にも、「建築その他設備の設計に当たっての取り扱い上の注意の方法」「工事発注に当たり見積りを取って入札する時の設計図の取扱い」「工事中の現場での図面等の管理の方法」「設計内容について、秘密とすべき設計上のポイントとその根拠」等について問いただしている。しかし、右職員らからは何らの明確な回答は得られず、本件未公開図書について、特に非公開としなければならないような実質的な理由は何ら知ることすらできなかったのである。それゆえ、被告は、本件未公開図書が「公開することにより、国等との協力関係を著しく損なうおそれのあるもの」(本件条例六条一項四号ウ)に該当しないと判断し、公開決定をしたのである。そして、その後も、那覇市と国との間で協力関係を著しく損なう事実は何ら発生していない。また、前記建設省住宅局建築指導課長から沖縄県土木建築部長に対する文書が沖縄県に交付された後にも、沖縄県自身が本部通信施設の図面を公開しており、この点からも建築基準法九三条の二の規定 生していない。また、前記建設省住宅局建築指導課長から沖縄県土木建築部長に対する文書が沖縄県に交付された後にも、沖縄県自身が本部通信施設の図面を公開しており、この点からも建築基準法九三条の二の規定が情報公開条例に基づき建築基準法による閲覧対象の図書以外の図書を公開することを禁止する趣旨ではなかったことが明らかである。 なお、原告は、建設省建築指導課長が、本件未公開図書公開決定の後の平成元年一〇月ころ、前記照会についての回答と同旨の指導をした旨主張しているが、右日時において、B都市計画部長は、建設省建築指導課長に対し、本件未公開図書が本件条例に基づいて公開されたものであり、建築基準法九三条の二による閲覧対象外の図書の公開は禁止されてはいない旨を説明し、さらに、「建築基準法では県庁舎、公営住宅や学校の関係ではすべて建築通知と位置付けられるがこういうものも公開してはいけないのか」と問いただしたところ、右指導課長は、「建設省はそこまで公開しては困るという気持ちはない」と答えたのである。右事実においても、建設大臣が本件未公開図書を本件条例に基づいて公開してはならない旨の具体的かつ明確な指示をしていないことが明らかである。 また、その後の被告による武器弾薬庫等の図面の公開、沖縄県知事による本部通信施設の図面の公開、相模原市長による米軍相模補給廠内の倉庫の図面の公開等によっても、建築大臣は右通達に基づき右各図書を情報公開条例に基づいて公開してはならない旨の具体的かつ明確な指示をしていない。 (2) 原告は、本件決定のように国の秘密に関わる文書が公開されるならば、秘密の漏洩をおそれる余り、今後の建築計画文書が過不足なく提出されないおそれがないわけではない旨主張しているが、右主張は事実に反する。 被告による武器弾薬庫等の図面の公開、沖縄県知事による本部通信施 秘密の漏洩をおそれる余り、今後の建築計画文書が過不足なく提出されないおそれがないわけではない旨主張しているが、右主張は事実に反する。 被告による武器弾薬庫等の図面の公開、沖縄県知事による本部通信施設の図面の公開、相模原市長による米軍相模補給廠内の倉庫の図面の公開等によっても、建築計画文書が過不足なく提出されない事態は生じておらず、そのおそれは存在しないものと解すべきである。 この点からも、本件は国との「協力関係」を著しく損なう場合には当たらないというべきである。 (二) 本件図書に記載された情報は、公開することにより、防衛行政の分野において、国との協力関係を著しく損なうおそれがあるものに該当するか。 (原告の主張)本件図書に記載された情報は、公開することにより、防衛行政の分野において、国との協力関係を著しく損なうおそれがあるものに該当する。 本件図書を公開した場合において、国の防衛行政の公正かつ円滑な執行に著しい支障を生ずることは、前記4(五)(原告の主張)(1)において主張したとおりである。 地方公共団体には、国の安全や防衛に対して必要な協力をすべき一般的義務が存する。防衛上の秘密の保持については、地方公共団体の機関としても、これを阻害しないように協力すべき義務がある。従って、被告も、本件図書に記載された防衛上の秘密を保持するように国に協力すべき義務があるところ、本件図書に記載された情報を公開されると、国の防衛上重大な支障を来すから、これによって国との協力関係を著しく損なうおそれのある場合に該当する。 (被告の主張)防衛行政との関係について検討したとしても、防衛庁は、そもそも、建築確認事務について主務大臣として前記「指示」をなす法令上の権限を有しないものであって、実際にも、具体的かつ明確な指示はしていない。建築計画通知書の付属文書で 討したとしても、防衛庁は、そもそも、建築確認事務について主務大臣として前記「指示」をなす法令上の権限を有しないものであって、実際にも、具体的かつ明確な指示はしていない。建築計画通知書の付属文書である本件未公開図書は、建築基準法上、那覇市の建築主事に対し提出を義務付けられているものであるが、法律による公開禁止が明確ではない限り、公開されることは法の許容するところであり、また、公開されたとしても、法律上の右提出の義務には何ら変化はないのであるから、本件条例に基づく公開によっても、国等との協力関係を著しく損なうおそれは通常ありえない。 また、本件図書には何ら防衛上の秘密が記載されていないことは、前記4(五)(被告の主張)(1)において主張したとおりである。 原告は、地方公共団体の機関には、防衛上の秘密の保持については、これを阻害しないように協力すべき義務があると主張している。しかし、そもそも、地方公共団体の機関には、外部からの武力攻撃(自衛隊法七六条)、内閣総理大臣の命令による治安出動(同法七八条、八一条)、災害派遣(同法八三条)、地震防災派遣(同法八三条の二)以外には、連絡・協力義務は規定されていない。地方公共団体の機関は、独自の判断によって、「職務上知り得た秘密」を保持する義務を負うにすぎないのであって、原告の右主張は誤りである。しかも、本件未公開図書は何ら秘密性を有しないものであるから、那覇市は右協力義務を負わない。 したがって、本件未公開図書に記載された情報を公開しても、国の防衛上重大な支障を来すことはなく、これによって、本件条例六条一項四号ウの「国等との協力関係を著しく損なうおそれ」は生じない。 6 本件図書に記載された情報が本件条例六条一項四号オ(その他情報)に該当するか。 (一) 本件条例六条一項四号オにいう「行政」とは、那覇市の の「国等との協力関係を著しく損なうおそれ」は生じない。 6 本件図書に記載された情報が本件条例六条一項四号オ(その他情報)に該当するか。 (一) 本件条例六条一項四号オにいう「行政」とは、那覇市の行政に限定する趣旨か、国及び他の地方公共団体の行政も含も行政一般を意味するか。 (原告の主張)右規定の「行政」とは、那覇市の行政に限定する趣旨ではなく、国及び他の地方公共団体の行政も含も行政一般を指すと解される。 (被告の主張)本件条例六条一項四号オの規定の「行政」とは、那覇市の行政に限定する趣旨である。 本件条例六条一項四号は、市政に関する情報の中には、公開することにより、市政の公正かつ適正な執行を妨げ、結果的に市民全体の利益を損なうものもあるため、その限りにおいて必要最小限の例外を具体的に明示したものである。それゆえ、同四号本文の「行政執行に関する情報」とは、市政に関する情報であり、そこには、市政(機関委任事務を含めて)を離れて、国の一般行政の観点から公開義務の免除の是非を判断する趣旨は、全く含まれていない。 (二) 本件図書を公開した場合、国の防衛行政の公正かつ円滑な執行に著しい支障を生ずるか。 (原告の主張)本件図書を公開した場合において、国の防衛行政の公正かつ円滑な執行に著しい支障を生ずることは、前記4(五)(原告の主張)(1)において主張したとおりである。 被告は、本件決定に当たって右防衛行政上の支障について十分検討していないし、また被告においてはそもそもこの点を適切に判断し得ない。実施機関は、国又は他の地方公共団体の行政について、必ずしも十分な知識や情報を有しているとは限らないし、またこれらの行政について責任を負うものではないため、その行政上の支障について、必ずしも適切な判断を行い得るものではない。従って、かかる場合においては も十分な知識や情報を有しているとは限らないし、またこれらの行政について責任を負うものではないため、その行政上の支障について、必ずしも適切な判断を行い得るものではない。従って、かかる場合においては、実施機関は右の判断に当たり、当該行政の主体たる国又は他の地方公共団体の見解を尊重して対応すべきことは当然である。 ことに防衛行政事務は、事柄の性質上、国に専属する行政事務であって、その適正な執行については極めて高度な政策的判断と専門技術的な判断とを必要とするから、かかる防衛行政上の支障の有無について、実施機関が、防衛行政の主体である国の判断と異なる独自の判断を適切に行い得る余地はほとんどない。しかるに、原告は、防衛行政について責任を負う立場から、被告に対し、本件公開決定に先立ち、平成元年七月三一日の那覇防衛施設局長の被告に対する書面による申し入れ、本件にかかる行政不服審査手続において参加人那覇防衛施設局長の被告に対する同年八月二五日の口頭意見陳述及び同年九月六日付け追加意見書により、本件図書を公開されることによって防衛行政上著しい支障を生じる旨の見解を表明してきたが、被告は、本件条例六条一項四号オに規定する「行政」は那覇市の行政のみを指すという誤った解釈に立って、防衛行政上の支障について具体的に検討することなく、本件決定をした。 (被告の主張)本件図書を公開した場合においても、国の防衛行政の公正かつ円滑な執行に著しい支障を生ずることがないことは、前記4(五)(被告の主張)(1)において主張したとおりである。 第三争点に対する判断一争点1について 1 本件は、那覇市長である被告のした本件条例に基づく文書の公開決定によって、国の秘密保護の利益及び国の適正かつ円滑な行政活動を行う利益を侵害されたとして、国が原告となり、同決定の一部の取消しを求 1 本件は、那覇市長である被告のした本件条例に基づく文書の公開決定によって、国の秘密保護の利益及び国の適正かつ円滑な行政活動を行う利益を侵害されたとして、国が原告となり、同決定の一部の取消しを求めて提起した訴訟である。 原告は、本件訴訟は抗告訴訟として提起したものであるとするが、被告は、本件訴訟の性格は機関訴訟であると主張する。そこで、まず、この点について検討する。 2 裁判所は、「日本国憲法に特別の定のある場合を除いて一切の法律上の争訟を裁判」する権限を有する(裁判所法三条一項前段)ものである。そして、法律上の争訟とは、国民の権利義務に関する紛争の概念を中心として構成された観念であり、私人相互間の権利義務の存否に関する紛争、あるいは行政訴訟の領域では私人と公権力の主体たる行政庁との間の権利義務の存否に関する紛争を言い、行政内部の問題はこれにはあたらない。勿論、法律上の争訟に属しない事件についても、立法政策上裁判所を解決調整機関とすることが適当であるとの見地から、特に法律で裁判所の権限とすることも可能ではある(同項後段)が、憲法七六条に言う固有の「司法権」の範囲が、法律上の争訟に限定されることは言うまでもないところである。行政事件訴訟法は、法律上の争訟にあたる訴訟類型(主観訴訟)のひとつして抗告訴訟を、客観的な法秩序維持の見地から政策上法律において特に定めることにより裁判所の権限に属するものとなる訴訟類型(客観訴訟)のひとつとして機関訴訟を定めている。前者であれば、特別な規定がなくとも、行政事件訴訟法により出訴することが一般的に許されるのに対し、後者の場合は、法律により特別に裁判所への出訴権が規定されていない限り、訴えを提起することはできない。 以上のとおり、抗告訴訟は、個人の権利利益の救済を目的とする主観訴訟であるから、原則として、行 、後者の場合は、法律により特別に裁判所への出訴権が規定されていない限り、訴えを提起することはできない。 以上のとおり、抗告訴訟は、個人の権利利益の救済を目的とする主観訴訟であるから、原則として、行政主体が原告となって抗告訴訟を提起することは認められない。しかしながら、行政主体と言えども私人と同視される地位にある場合、あるいは国民と同様の立場に立つものと認められる場合には、例外的に、抗告訴訟を提起する余地がある。 そこで、本件がかかる例外的な場合にあたるか否かについて、更に検討する。 3 本件において、原告が、侵害された法的利益として主張する利益は、国の秘密保護の利益と国の適正かつ円滑な行政活動を行う利益である。 国の適正かつ円滑な行政活動を行う利益を侵害されたことを理由とする訴えは、まさに行政主体が、他の行政主体に属する行政庁の公権力の行使によって、その行政権限の行使を妨げられるという場合そのものであり、いかなる意味でも、個人の自由や権利の侵害と同様に見る余地はなく、法律上の争訟に当たらないことは明らかである。 これに対し、国の秘密保護の利益を侵害されたことを理由とする訴えは、今少し検討の余地がある。原告の主張する秘密保持の利益は、後記四で検討するように、地方公務員法三四条一項、自衛隊法五九条一項という実体法規によって守られ、客観的にその範囲が定まっている利益であり、その利益の帰属主体としては国以外には考え難いのであるから、侵害された法益の主体が原告として訴えを提起しているという点で、主観訴訟の外形的枠組みには合致しているところである。そして、原告は、国の秘密保護を受けるべき地位は、プライバシーの保護を受ける私人の立場や、営業に係る秘密を保護される私企業の立場と基本的に異なることはないと主張する。 しかしながら、本件において原告が主張する は、国の秘密保護を受けるべき地位は、プライバシーの保護を受ける私人の立場や、営業に係る秘密を保護される私企業の立場と基本的に異なることはないと主張する。 しかしながら、本件において原告が主張する秘密とは、国の防衛上の秘密である。 防衛上の秘密は、私権であるプライバシーの権利とは全く異なり、国家の安全保障に関わる公共の利益そのものである。また、防衛行政を具体的に担う主体として、人や物的設備等を組織化した集合体としての防衛庁を中心とする国の行政機構を観念した上、営業に係る秘密を保護される私企業と比較しても、両者はその目的が全く異なり、防衛行政遂行の過程には私的権利の実現という性質はなく、私的な側面がない。 更に、原告は、本件において抗告訴訟を提起し得る所以を、本件建物の所有者としての地位、即ち財産権の主体としての地位に基づいても主張するかの如くである。 勿論国と言えども、私人と同様の立場で私産を有することはあり、このような立場、即ち普通財産の管理の主体としての地位に立つ場合において、他の行政主体に属する行政庁の公権力の行使によって当該普通財産権の管理に影響を被るとして、その公権力の行使の適否を争うような場合については、抗告訴訟を提起することは許容される。ところが、本件建物は、防衛の用に供される施設で、公用財産(国有財産法三条二項一号)たる行政財産であり私的財産という性格を持たないものであるばかりか、本件においては、原告はあくまで防衛行政の主体である地位に基づいて、防衛行政遂行上支障が生じるという主張の一環として本件建物の抗たん性や警備上の支障を主張しているものであり、訴えの適法性の根拠を単なる普通財産の管理の主体と同様の立場に求めることは、本件訴訟の本質を著しく矮小化するものである。 以上のとおり、国の秘密保護の利益を侵害されたことを理由と しているものであり、訴えの適法性の根拠を単なる普通財産の管理の主体と同様の立場に求めることは、本件訴訟の本質を著しく矮小化するものである。 以上のとおり、国の秘密保護の利益を侵害されたことを理由とする訴えも、主観訴訟の外形的枠組みには一応合致しているものの、救済を求める利益の性質は私的利益ではなく公的利益と言わざるを得ないから、法律上の争訟には当たらず、抗告訴訟の枠を超えるものである。 4 もっとも、本件の情報公開行政の場面においては、被告那覇市長は、公権力行使の主体たる行政庁として、公開決定により、原告国に対して一方的に受忍義務を課す優越的地位にある。そして、原告国は、たまたま被告が第三者の公文書の開示請求に応じて公開決定処分をすることによって、実体法規(本件では地方公務員法三四条一項、自衛隊法五九条一項)によって守られた法的利益を侵害され、法的地位に変動を受けることになる。しかも、原告国が、那覇市長の処分に拘束されることの合理性を情報公開制度の趣旨から説明することも不可能である。 本件の場合は、後記二で検討するとおり、本件図書はたまたま機関委任事務の処理に関して取得した文書であり、その管理方法についても主務大臣である建設大臣の指揮監督権が及ぶものであるから、後記二3で検討するとおり、職務執行命令訴訟を提起することができ、抗告訴訟のように執行停止の制度はないものの、一応司法手続による救済は可能である。しかし、機関委任事務の処理に関して取得したものでない文書の場合を想定すると、職務執行命令訴訟の方途もなく、司法的救済は不可能ということになる。 かかる結果は、情報公開に係る法制を整備して、地方自治の本旨を侵害しない範囲で、国や他の地方公共団体との利害の調整を図り、国等による情報の開示の差し止めの方法について、合理的な仕組みを制度化すること かかる結果は、情報公開に係る法制を整備して、地方自治の本旨を侵害しない範囲で、国や他の地方公共団体との利害の調整を図り、国等による情報の開示の差し止めの方法について、合理的な仕組みを制度化することで解消すべきである。その際には、裁判所を解決調整機関として、機関訴訟の制度を盛り込むことも方途のひとつであろう。 5 以上のとおり、本件訴訟の性格は一種の機関訴訟であり、これを許す特別の規定がないのであるから、本件各訴えは不適法と言うべきである。 よって、本件各訴えは却下を免れないのであるが、平成元年一二月五日の第一回口頭弁論期日から平成七年一月二三日の第二八回口頭弁論期日に至るまで五年間にわたって主に本案につき攻撃防御が尽くされてきた審理の経過や本案について判断を示しておかなければ控訴審において本件訴訟の法律上の争訟性について異なる判断がなされた場合には必要的差戻しとなり訴訟経済に著しく反することに鑑み、いわゆる狭義の原告適格の有無(争点2)についてはさて置き、更に進んで、本案についても、当裁判所の判断を示しておくこととする。 二争点3について 1 本件条例二条一号は、公開を請求することのできる公文書とは、「実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図面(これらを撮影したマイクロフィルムを含む。)及び磁気テープその他これに類するものから出力又は採録されたものであって、実施機関が現に保有しているものをいう。」と規定している。そして、同六条一項四号ウが、非公開とすることのできる公文書として、「市の機関と国等の機関との間における」「委任等に基づいて作成し、又は取得した情報であって、公開することにより、国等との協力関係を著しく損なうおそれのあるもの」と規定しており、乙一(那覇市情報公開条例解釈・運用基準。以下、「解釈・運用基準」という。)七四 成し、又は取得した情報であって、公開することにより、国等との協力関係を著しく損なうおそれのあるもの」と規定しており、乙一(那覇市情報公開条例解釈・運用基準。以下、「解釈・運用基準」という。)七四頁の記載によれば、立法者が右情報の一例として、「機関委任事務の処理に関して、作成し又は取得した情報」を想定したことが認められる。従って、本件条例が、機関委任事務により取得した文書を、公開の対象としていることは明らかである。 原告は、機関委任事務については地方公共団体の条例制定権の対象外であるから(地方自治法一四条一項)、機関委任事務の処理に関して作成、取得し、又は保有している文書は条例による公開の対象とはなし得ないと主張するので、この点について検討する。 2 地方自治法一四九条八号は、普通地方公共団体の長の担任事務の例として「証書及び公文書類を保管すること」と規定しており、文書の保管事務は、一般的には地方公共団体の固有事務であると解されている。 また、昭和五七年四月二三日の参議院決算委員会において、C内閣法制局長官は、「機関委任事務に係るものでありましても、文書の管理自体は一般には地方公共団体の事務と考えることは可能だと思います。」と答弁していることは、公知の事実であり、これによれば、行政実務においては、国の機関委任事務の執行を通じて取得した文書の保管事務についても、一般的には、地方自治体の固有事務であると解されていると認められる。そして、現実の行政運用においても、文書の管理については、各自治体において、自治事務の処理に関する文書か、機関委任事務の処理に関する文書かを区別することなく、それぞれが独自の文書取扱規程等を定めて文書の管理を行っているのが実情である。例えば、那覇市における実際の建築計画通知に係る文書類の取扱いを見てみると、これらは、那 関する文書かを区別することなく、それぞれが独自の文書取扱規程等を定めて文書の管理を行っているのが実情である。例えば、那覇市における実際の建築計画通知に係る文書類の取扱いを見てみると、これらは、那覇市文書取扱規程(乙一四)及びこれに付随する文書種目表(乙一五)に基づいて管理される。右規程には、保存年限、保存方法、廃棄等について詳細な定めがあるにもかかわず、これらの関係文書の管理について、国の権限を定めた法令はない。そして、このような文書の取扱規程は、各地方自治体毎にそれぞれ独自に定められており、画一的でない。例えば、建築計画通知書の保存年限に限って見ても、那覇市は五年間であるが(那覇市文書取扱規程三三条、三四条、那覇市文書種目表)、隣の市である浦添市では三年である(浦添市文書取扱規程一〇条、乙五九)。 機関委任事務の処理に関する文書の保管事務は固有事務であるとの前提に立ったうえ、文書の公開も文書の管理の一形態ととらえられるとして、昭和五七年四月二三日参議院決算委員会において、D自治大臣は、「機関委任事務に関するものは、大体従来から固有の事務というふうに自治省でも地方団体でも大体考えているところでごさいます。」「ですから、その情報公開の条例の対象となるわけでございますが、この情報公開の場合には、その地方自治体の長が判断しながら、適正に判断したり、その責任において機関委任事務の文書を公開するのは構わない」と答弁していることは、公知の事実である。このように、機関委任事務の処理に関連して収集・作成された情報の公開は、原則として固有事務と解すべきであり、従って、地方公共団体の情報公開条例による公開の対象となるとする自治省の見解は、機関委任事務は地方公共団体が処理する事務の七割から八割を占めており、同じ文書が機関委任事務と固有事務の双方に関連する 従って、地方公共団体の情報公開条例による公開の対象となるとする自治省の見解は、機関委任事務は地方公共団体が処理する事務の七割から八割を占めており、同じ文書が機関委任事務と固有事務の双方に関連することも多く、当該地方公共団体にとっても住民にとっても機関委任事務に関する文書か固有事務に関する文書かは明らかでないことがあり得るし、機関委任事務に関する情報を公開できないとすると、情報公開条例の持つ意味が著しく減殺されるという現状に照らしても、正当な見解というべきである。 従って、本件条例が、機関委任事務により取得した文書についても、公開の対象となると定めたことは、地方自治法一四条一項の趣旨に反しない。 3 もっとも、文書の保管が原則として固有事務であるといっても、機関委任事務としての性格が併存する場合もあり得る。そもそも、戸籍事務(地方自治法別表第四、二(四))等は、情報(戸籍簿)の管理自体が機関委任事務と解すべき場合である。また、例えば、機関委任事務の処理について起案してから決済するまでの間の当該文書の管理を考えると、固有事務としての文書たる性格を有すると同時に、当該機関委任事務の本体事務である行政の意思決定という性格が併存するのであって、その限りでは機関委任事務としての性格を有することになる。本件の建築計画通知に係る文書についてみても、建築主事による建築基準法一八条三項に基づく審査にとっては必要不可欠な文書であり、同条六項に基づく工事の検査並びに同条七項に基づく検査済証の交付に際し、建築主事はこれを参照すべきものである。また、検査済証が交付された後においても同法九三条の二、同法施行規則一一条の七に準じて閲覧の対象となるものとして保管する必要もある。これらの点に鑑みると、建築計画通知に係る文書は、建築主事に提出された後においても、機関委任事 後においても同法九三条の二、同法施行規則一一条の七に準じて閲覧の対象となるものとして保管する必要もある。これらの点に鑑みると、建築計画通知に係る文書は、建築主事に提出された後においても、機関委任事務である国等の建築物の審査、通知等に係る事務または閲覧に関する事務の遂行のために、引き続き必要なものである。そのような場合でなくとも、機関委任事務の処理に関連して収集・作成された文書については、文書の公開が実際上当該機関委任事務の管理執行自体に影響を及ぼすことが少なからずあり得る。 このように、文書の保管事務について、機関委任事務としての性格を有することを否定できない場合があるとしても、そのことから直ちに条例による公開の対象たることを否定することは相当ではない。このような場合には、主務大臣の指揮監督権が及ぶとすることで合理的な調整を期することが可能であるからである。 本件条例においても、そのような調整規定として、六条一項四号ウが設けられており、「機関委任事務の処理に関して、作成し又は取得した情報であって、主務大臣から具体的かつ明確に公開してはならない旨の指示があったもの」は、非公開文書としている。そして、那覇市長が主務大臣からの具体的かつ明確な指示に従わない場合には、主務大臣は、地方自治法一五一条の二の規定に基づき、那覇市長に対し、職務執行命令訴訟を提起するように、沖縄県知事を指揮し、命令することができる。 右のような調整規定は、合理的であり、機関委任事務の処理に関して取得した情報は、そもそも主務大臣の許可がない限り情報公開条例による公開の対象とならないとの原告の主張は採用できない。 三争点4(一)について本件条例六条一項柱書きは、「非公開とすることができる。」と規定しており、各号の非公開事由に該当する場合でも、裁量により公開することもできる との原告の主張は採用できない。 三争点4(一)について本件条例六条一項柱書きは、「非公開とすることができる。」と規定しており、各号の非公開事由に該当する場合でも、裁量により公開することもできるかのような規定振りをしている。また、証人Eの証言及び乙一 (解釈・運用基準)によれば、立法者意思も、各号の非公開事由に該当する場合でも、さらに那覇市の裁量によって公開できる余地が残されていると解していたことが認められる。 なるほど、条例の解釈にあたっては、当該条例の立法政策を尊重すべきことはいうまでもないが、同時に条例が法律に違反することは許されない(地方自治法一四条一項)のであるから、できるだけ関係する法律違反とならないよう、合法限定的に解釈しなければならない。そうすると、守秘義務があると法律に定められている情報について、条例によりその公開を規定することはできないものと解するのが右の要請に適う。従って、本件条例の定める非公開事由のうち、一号に関しては、実施機関に裁量の余地がなく、常に非公開とすべき旨を規定したものというべきである。 四争点4(二)について乙一 (解釈・運用基準)四四頁及び証人Eの証言によれば、本件条例の立法者の意思は、本件条例六条一項一号の規定において、「守秘義務が課されている情報」に「明らかに」という限定を付することによって、法令秘情報における法令を、秘密を個別具体的に定めた法令の規定(地方税法二二条、住民基本台帳法三五条、結核予防法六二条等)に限定し、地方公務員法三四条一項や自衛隊法五九条一項は地方公務員や自衛隊員に対し一般的に守秘義務を課したものであるから、これに当たらないと考えたものと認められる。 しかし、地方公務員法三四条一項は、一般職の地方公務員に対して、職務上知り得た秘密を漏らしてはならないと規定しており、こ に守秘義務を課したものであるから、これに当たらないと考えたものと認められる。 しかし、地方公務員法三四条一項は、一般職の地方公務員に対して、職務上知り得た秘密を漏らしてはならないと規定しており、これに違反した場合は懲戒事由となるばかりか(同法二九条一項一号)、刑罰の対象ともなり得る(同法六〇条二号)。自衛隊法五九条一項も同様の規定である(同法四六条三号、一一八条一項一号)。右両規定にいう秘密とは、非公知の事項であって、実質的にもそれを秘密として保護するに価するものと認められるものをいうところ、両規定とも刑罰法規でもあるから、罪刑法定主義に違反し違憲でない限り、具体的な情報が秘密にあたるかどうかは、右定義によって規定上客観的に定まっているものと解すべきである。 なるほど、条例の解釈にあたっては、当該条例の立法者意思を尊重すべきことはいうまでもないが、同時に条例が法律に違反することは許されない(地方自治法一四条一項)のであるから、関係する法律違反とならないよう、合法限定的に解釈しなければならない。 そうすると、法令上客観的に守秘義務が課されている情報を公開することは、地方自治法一四条一項の規定の趣旨に反し許されないのであるから、地方公務員法三四条一項及び自衛隊法五九条一項は、本件条例六条一項一号の「法令」に該当すると解すべきである。 五争点4(三)について建築基準法九三条の二は、「特定行政庁は、確認の申請書に関する図書のうち、当該確認の申請に係る計画が建築物の敷地に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定に適合するものであることを表示している図書であって建設省令で定めるものについては、建設省令で定めるところにより、閲覧の請求があった場合には、これを閲覧させなければならない。」と規定しており、同法施行規則一一条の七は、特定の様式によ る図書であって建設省令で定めるものについては、建設省令で定めるところにより、閲覧の請求があった場合には、これを閲覧させなければならない。」と規定しており、同法施行規則一一条の七は、特定の様式による建築概要書等一定の文書を右閲覧可能なものとして定めている。 右閲覧制度の趣旨について、昭和五〇年七月二五日住指第一一二六号・兵庫県建築部長あて建設省住宅局建築指導課長回答により、「建築主事に提出された当該図書を閲覧の用に供し周辺住民の協力のもとに違反建築物の建築を未然に防止するとともに、無確認建築物の売買等をも防止しようとするものである」との行政解釈が示されていることは公知の事実であり、右解釈は相当というべきである。かかる建築基準行政上の目的を達成する場合にも、市民的自由の最大限の確保を目的とする憲法上の原則から、建築主のプライバシー保護等に配慮し、行政目的との均衡を図らなければならないことはいうまでもない。そうであるからこそ、違反建築物のうち最も多いのが無確認建築物や建ぺい率制限違反の建築物等であること、国、都道府県が建築主である建築物については違反の事例が皆無に近いこと等の実情に鑑み、建築基準法において建築確認申請書のうち敷地に関する図書についての閲覧のみを認める旨規定されたのである。 要するに、同法九三条の二の規定は、右のような建築基準行政上の目的達成のためには、閲覧の範囲を右の程度に限定することで充分であるとする趣旨を示したにすぎないものであって、同条で閲覧を認めたもの以外の建築基準関係文書類の公開を禁止したり、守秘義務を課す旨定めたものと解することはできない。 六争点4(四)について国家公務員法一〇〇条一項の秘密については、実質秘であることを要し、かつ、それで足りると解するのが判例(最高裁昭和五三年五月三一日第一小法廷決定刑集三 することはできない。 六争点4(四)について国家公務員法一〇〇条一項の秘密については、実質秘であることを要し、かつ、それで足りると解するのが判例(最高裁昭和五三年五月三一日第一小法廷決定刑集三二巻三号四五七頁)の立場であり、地方公務員法三四条一項、自衛隊法五九条一項の秘密についても同様に解するのが相当である。 従って、地方公務員法三四条一項、自衛隊法五九条一項の秘密の要件としては、非公知性と要保護性があることを要するが、形式秘であることは要しない。 七争点4(五)について 1 本件図書の性格(一) 甲三の一、一〇の一、二及び一二並びに証人Fの証言によれば、以下の事実が認められる。 那覇防衛施設局長は、建築基準法一八条二項の規定に基づき、国の建築物である海上自衛隊第五航空群司令部庁舎の建築工事に関する計画を那覇市建築主事に通知したが(前記第二、三1)、その際、計画通知書(甲三の一)に別紙文書目録一の図書目録欄記載の四四枚の図書を添付した。これらは、昭和二五年一一月一六日付け建設省住発第六七号の二建設事務次官から都道府県知事あて「建築基準法第一八条に規定する国の建築物の場合の取扱方法について」と題する通達第二所定の、付近見取図、配置図、各階平面図、屎尿浄化槽の見取図、立面図又は断面図、室内仕上げ表と、右通達には拠らない消防法上の審査に必要な図面等であるが、すべて設計関係図書である。 (二) 本件図書は、右四四枚の図書のうち、別紙文書目録二記載の二一枚の図書である。前記第二、三4のとおりの経緯で、本件建物の計画通知に係る文書のうち、計画通知書と、本件図書を除く二三枚の図書(乙一二の四ないし二六)は公開された。以下、右四四枚の図書の特定については、別紙文書目録一の図書目録欄記載の図書番号に拠ることとし、例えば、非公開のものについては「図書番 本件図書を除く二三枚の図書(乙一二の四ないし二六)は公開された。以下、右四四枚の図書の特定については、別紙文書目録一の図書目録欄記載の図書番号に拠ることとし、例えば、非公開のものについては「図書番号3の図書」、公開のものについては「図書番号1の公開図書」等ということとする。 2 原告が主張する防衛上の秘密たる情報の内容(一) 甲三の一及び一四並びに証人Gの証言によれば、以下の事実が認められる。 本件建物は、自衛隊那覇基地内に建設された、地下一階地上二階建ての海上自衛隊第五航空群の群司令部庁舎である。本件建物の一、二階部分は、部隊指揮官やこれを補佐する幕僚等が日常執務する庁舎であるが、地下階部分には、ASwOCが設置されている。 ASWOCとは、AntiSubmarinewarfareOperationCenter(対潜水艦戦作戦センター)の略称であるが、固定翼対潜哨戒機P‐3Cに対する戦術支援、指揮管制を行うものであり、P‐3Cとの組み合わせを前提として、戦術支援機能として作戦計画作成等のための資料を作成し、P‐3Cの収集したものを含む戦術データや音響信号を解析、評価するとともに、指揮管制機能として、データリンク(二局以上の間を結ぶデータ通信回線並びにその回線に接続されている全ての局の変復調整装置及び通信制御装置)によるリアルタイムな指揮管制や飛行前、飛行後のP‐3C搭乗員に対する状況説明等を実施するものである。ASWOCは、P‐3Cによる対潜水艦戦の中枢となる施設である。 (二) 原告は、本件図書には、公開されると、ASWOCが設置されている本件建物の地下階部分の抗たん性の程度が明らかになる情報、警備上の支障が生じる情報、設置されるコンピュータの能力の推定が可能となる情報が記録されていると主張する。 (1) 抗たん性とは、原告 ている本件建物の地下階部分の抗たん性の程度が明らかになる情報、警備上の支障が生じる情報、設置されるコンピュータの能力の推定が可能となる情報が記録されていると主張する。 (1) 抗たん性とは、原告の主張によれば、軍事基地や軍事施設等が敵から攻撃を受けても簡単にはその機能を停止しないような性質のことをいい、破壊に耐える能力や代替措置の有無等さまざまな観点から総合的に評価されるものであるが、本件では、本件建物の地下階部分の耐爆撃強度という物理的な観点に限定して抗たん性の点を問題とするとする。そして、本件図書の一部に記載された、右の意味での抗たん性に係る情報とは、具体的には(1)本件建物の地下階部分の外壁(以下、単に「壁」という。)、地下床スラブ(以下、単に「床」という。)及び天井(地上階のある部分については一階床スラブ、地上階のない部分については地下階の屋根スラブの意味。以下、単に「天井」という。)それぞれの厚さ、(2)地下階の内部(地下階天井スラブの上面を構成することになる一階の床面スラブを含む。)の特殊な仕上げ材料や仕上げ方法の有無、(3)土かぶり厚(地下階のうち、地上階のない部分の屋根に載った土砂の厚さ)、地下部分の深さ(地下階部分の外壁が接する外部の土砂の地盤面からの深さ)である。 原告は、右各情報が公開されると、本件建物の地下階部分の耐爆撃強度が判明し、その破壊にとって最も効率的なデータを攻撃側に対して与えることになり、同部分に対する攻撃を極めて容易かつ効率的なものにすると主張する。 (2) 本件図書の一部に記載された警備上の支障が生じる情報とは、具体的には、地下階の各区画の部屋名である。 原告は、特に、電子機器、通信機器や発電機が設置される部屋の配置が判明する情報が公開されると、それを知った侵入者の攻撃目標への到達をより容易ならし 報とは、具体的には、地下階の各区画の部屋名である。 原告は、特に、電子機器、通信機器や発電機が設置される部屋の配置が判明する情報が公開されると、それを知った侵入者の攻撃目標への到達をより容易ならしめ、本件建物の地下階部分の警備を無力化すると主張する。 (3) 本件図書の一部に記載されたコンピュータの能力の推定が可能となる情報とは、具体的には、コンピュータ・システムへの供給電力量を推定することができる情報のことである。 原告は、供給電力量が消費電力の最大値であり、コンピュータの処理速度と消費電カとの間には一定の相関関係があるので、コンピュータの性能が明らかとなると主張する。 3 本件図書の取扱い(一) 甲二九、乙二六、三九の一、二、四八の一、二及び四九並びに証人H及び証人Fの各証言によれば、以下の事実が認められる。 防衛庁においては、秘密保全に関する訓令(昭和三三年一一月一五日防衛庁訓令第一〇二号)が定められている。右訓令五条には、(秘密区分の基準)として「秘密は、その保全の必要度に応じて、次の各号の基準により、機密、極秘又は秘のいずれかに区分するものとする。(1)「機密」とは、秘密の保全が最高度に必要であって、その漏えいが国の安全又は利益に重大な損害を与えるおそれがあるものをいう。(2)「極秘」とは、機密につぐ程度の秘密の保全が必要であって、その漏えいが国の安全又は利益に損害を与えるおそれがあるものをいう。(3)「秘」とは、極秘につぐ程度の秘密の保全が必要であって、関係職員以外の者に知らせてはならないものをいう。」と、同一〇条には、(秘密区分の指定)として、「防衛庁の所掌する事務に関する知識又は文書、図画若しくは物件で、その内容が第五条各号の一に該当するものは、当該各号の秘密区分に指定しなければならない。」と規定されている。そして、本 指定)として、「防衛庁の所掌する事務に関する知識又は文書、図画若しくは物件で、その内容が第五条各号の一に該当するものは、当該各号の秘密区分に指定しなければならない。」と規定されている。そして、本件図書が那覇市建築主事へ交付された年である昭和六三年の一二月三一日現在において、同訓令に基づき秘密指定されているものは、「機密」が一九二九件、四万一六三四点、「極秘」が八五四六件、五万三三一九点、「秘」が一三万三四一四件、一五一万八三四六点と膨大な数量となっている。また、昭和五六年三月二日付け防防調一第九四八号「取扱い上の注意を要する文書等の取扱いについて」と題する事務次官通達によれば、「防衛庁の職員以外の者又は当該事務に関与しない職員にみだりに知られることが業務の遂行に支障を与えるおそれのあるもの」には「取扱い上の注意を要する」旨の表示(「部内限り」、「注意」)をすることとされている。 しかし、本件図書には、右訓令に基づく秘密指定はおろか、取扱い上の注意を要する旨の表示すらなされていない。 防衛施設庁では、従来から、建設工事の図面については、秘密指定をしておらず、本件図書が問題となるまで、防衛施設の建設に伴い建築基準法一八条二項に基づき建築主事に提出する計画通知書の添付図書についても、形式的な秘密指定をした例はなかった。その理由については、防衛施設庁担当者は、「防衛施設局の意向に反して外部に公開されるなどということは全く予想していなかったため」である(甲二九)と述べるに止まる。 本件訴訟提起の後である平成三年三月七日に広島防衛施設局長から山口県建築主事に対し提出された岩国ASWOC庁舎の新設に係る建築計画通知書の添付書類については、同防衛施設局長が右通知に先立ち、同年二月二七日に右訓令に基づき、実質的な秘密が含まれるとする図書につき「秘」の指 に対し提出された岩国ASWOC庁舎の新設に係る建築計画通知書の添付書類については、同防衛施設局長が右通知に先立ち、同年二月二七日に右訓令に基づき、実質的な秘密が含まれるとする図書につき「秘」の指定をした。防衛施設に係る計画通知書の添付図面について、右訓令に基づく秘密の指定が行われたのは、右の例が最初である。防衛施設庁担当者は、那覇市において、本件図書に係る紛争が起こったことに加え、地方公共団体において情報公開条例を制定する例が増加してきたという状況の変化を踏まえて、右のような措置を採ったと説明している。 (二) (1)甲一、二、四、九、一二、乙一二の四ないし二六、二五の一ないし一〇及び四三の一ないし一一並びに証人F及び証人Bの各証言によれば、那覇防衛施設局において、本件図書の内容の秘密保全のために実際に講じた措置は以下のような内容であったことが認められる。 本件図書はすべて設計関係図書であり、その基となる設計図面等の殆どは株式会社九建設計や株式会社岡崎設備設計事務所に外注された。昭和五七年四月二八日付け「防衛施設庁において実施する建設工事に係る設計外注の契約等の事務処理要領について」と題する防衛施設庁長官通達により、外注する場合の契約の方式は、所定の様式の設計委託契約書、建設工事設計業務委託共通仕様書に拠るものとされている。右契約書二九条には、「設計者は、設計の処理上知り得た秘密を他人に漏らしてはならない。」との条項があり、右共通仕様書にも同旨の秘密の保持条項がある。そして、本件建物に係る設計委託契約においても、右所定の様式がそのまま利用された。 本件建物の入札予定価格を決定する際には、一〇社を超える見積業者に部分的に見積価格を算定させ、これを合計したが、見積業者には各担当部分毎に必要な設計図面等しか渡さず、見積書の提出の際に交付した た。 本件建物の入札予定価格を決定する際には、一〇社を超える見積業者に部分的に見積価格を算定させ、これを合計したが、見積業者には各担当部分毎に必要な設計図面等しか渡さず、見積書の提出の際に交付したものを返却させた。 本件建物の工事の入札には、一〇の建設共同企業体が指名業者として参加し、それぞれの建設共同企業体は各三社の建設会社をもって構成されていた。即ち、合計三〇社の建設会社が本件入札に関与したものである。現場事務所の構内設置の可否や工事期間中の貸与物品名等細々とした工事現場の条件を説明した「現場(図面)説明事項」と題する書面の末尾に、その他として「貸与した図面及び仕様書は入札前に返却すること。本工事は重要な施設であるため図面の取扱いについては厳重に注意すること。」と記載して、これに各建設共同企業体の担当者に署名押印させた。 そして、返却された設計図面等は、那覇防衛施設局において焼却処分した。 本件建物の工事現場では、下請、孫請業者を含めて延べ一万八〇〇〇人を超える工事関係者が作業に従事したものである。工事監督官から業者側の現場代理人に対し、設計図面等の保全管理には十分注意すること、元図面から部分的に複写させる必要がある場合には、必要な部分及び必要部数のみとし、使用済みの時は請負者の責任で右複写物を処分し、元図面自体は発注者側に返却すること、下請業者及び見積業者等へ設計図面を貸与した場合には、確実に返却させること等を、口頭で常々注意した。そして、工事に使用した設計図面は工事完了後工事監督官へ返却させた。 (2) 那覇防衛施設局において、本件図書の秘密保全のために講じた以上の措置を、秘密保全に関する訓令に基づく秘密保全の手続きと比較すると、いくつかの重要な差異がある。右訓令二七条には、秘密の文書等の製作等を政府機関以外の者に委託するときは、 密保全のために講じた以上の措置を、秘密保全に関する訓令に基づく秘密保全の手続きと比較すると、いくつかの重要な差異がある。右訓令二七条には、秘密の文書等の製作等を政府機関以外の者に委託するときは、別記第四号様式の基準(秘密保全に関する特約条項)に拠るものとされ、右特約条項五条では、複製や写真撮影等には許可が必要とされ、同九条では、「他の業者に下請負させてはならない。ただし、やむを得ず下請負させるときは、その下請負先、契約内容、秘密保全の手段等を記した書面を添え、」「許可を受けるものとする。」とされ、同一〇条では、業者自身が「この特約条項締結の日から一箇月以内に秘密の保全に関する規則を作成のうえ、」「確認を受けるものとする。」とされている。(乙二六)また、那覇防衛施設局が秘密保全のために講じた右(1)の措置も具体的内容を子細に見てみると、設計業者との関係では、通達上一般的に使用すべきとされている様式の設計委託契約書、建設工事設計業務委託共通仕様書を使用したというにすぎず、通常の官庁における公共工事に係る業務委託契約書等と何ら変わるとごろはない。例えば、那覇市が委託した市内の公園設計の業務委託契約書、業務委託特記仕様書(乙二七ないし二九)と本件建物に係る設計委託契約書等とは秘密保全に関する規定の内容とほぼ同一である。見積業者との関係でも、各担当部分毎に必要な設計図面等しか渡さないのは当然のことである。入札業者との関係では、「現場(図面)説明事項」と題する書面の末尾に、秘密保全に関する事項を、付けたりのように手書きで記載しているにすぎない。工事請負業者との関係も、要は、工事監督官から元請負業者の現場代理人に対し、口頭で注意を与えたというに止まる。 (三) まとめ(一) で検討したとおり、本件図書は、秘密保全に関する訓令に基づく秘密指定の手 業者との関係も、要は、工事監督官から元請負業者の現場代理人に対し、口頭で注意を与えたというに止まる。 (三) まとめ(一) で検討したとおり、本件図書は、秘密保全に関する訓令に基づく秘密指定の手続はおろか、防衛庁事務次官通達に基づく取扱い上の注意を要する旨の表示もなされていない。 原告は、本件図書に形式秘の指定を行わなかった理由につき、国と国の機関委任による審査を行う建築主事との信頼関係から、地方公共団体を通じ防衛庁の意向に反して本件図書が外部に公開される事態が生じることは全く予想しなかったと主張する。しかしながら、右訓令に基づく秘密指定の要件は、「秘密」の基準に該当するか否かであって、秘密が漏洩するおそれの有無ではないのであるから、原告の右主張は何ら合理的な説明ではない。 また、原告は、被告が本件図書について本件条例に基づき全面公開の決定を行ったことや情報公開条例を制定する地方公共団体が増加したこと等事情の変化を踏まえ、防衛施設庁においては、地方公共団体に提出する、実質的な秘密を含む文書について、形式的な秘密指定を行ってその旨を文書の体裁上明確に表示するように取扱いを変更した旨主張し、現に(一)で認定したとおり、平成三年二月一七日岩国ASWOC庁舎新設に係る計画通知書添付書類については、右訓令に基づき「秘」の指定がなされている。ところで、乙五三の一ないし一三によれば、被告は、本件条例に基づき、平成二年四月一九日航空自衛隊那覇基地内の貯蔵場(弾薬庫)に係る計画通知書添付書類について公開決定したこと、右各文書には右訓令に基づく秘密指定がなされていないことが認められる。何故に、岩国ASWOC庁舎に係る計画通知書添付書類には秘密指定手続が執られ、航空自衛隊那覇基地内の貯蔵場(弾薬庫)に係る計画通知書添付書類については秘密指定がなされないのか いないことが認められる。何故に、岩国ASWOC庁舎に係る計画通知書添付書類には秘密指定手続が執られ、航空自衛隊那覇基地内の貯蔵場(弾薬庫)に係る計画通知書添付書類については秘密指定がなされないのか、疑問が生じるところであるが、その区別の基準について原告側証人は何らの合理的説明をしないし、その他何らかの合理的理由を窺わせるに足りる証拠も提出しない。 そして、(二)で検討したとおり、本件図書については一応の秘密保全措置が採られてはいる。しかしながら、建設に関与する多くの人の目に触れざるを得ないという本件図書の性格からして、かつ右訓令に基づく厳格な秘密保持手続との比較からして、右の措置は本件図書の秘密を保全するためには不十分であるといわざるを得ない。 4 抗たん性の程度が明らかになるという情報について(一) 原告が、抗たん性の程度が明らかになる情報が記載されていると主張する図書の内容乙二五の一ないし一〇、四三の一ないし一一及び証人Bの証言によれば、本件図書には、一枚の図書中に複数の図面や区分可能な複数の一覧表が記載されているものも多数あることが推定できる。従って、原告主張の抗たん性に係る情報が記載されている部分と記載されていない部分とを合理的かつ容易に区分することが可能となり、原告の主張を前提としても、本件条例六条二項により、少なくとも一部公開すべきではないかとの疑念が生じるところである。 しかし、合理的かつ容易に区分することが可能な形式で右情報と無関係な情報が記載されているか否かはしばらくおくとして、少なくとも、本件各図書の中には、以下のような情報が記載されていること自体は当事者間に争いがない。但し、一部争いのある(4)図書番号7の2の図書については、甲二八により認定する。 (1) 図書番号3の図書右図書は、仕上表(1)である。これには地 報が記載されていること自体は当事者間に争いがない。但し、一部争いのある(4)図書番号7の2の図書については、甲二八により認定する。 (1) 図書番号3の図書右図書は、仕上表(1)である。これには地下階の各室の名称及び各室の床、幅木、内壁、外壁内部、天井の具体的な仕上げ材料や仕上げ方法が表示されている。 (2) 図書番号4の図書右図書は、仕上表(2)である。これには一階の床面(これが地下階天井の上面を構成する。)部分の具体的な仕上げ材料や仕上げ方法が表示されている。 (3) 図書番号7の1の図書右図書は、立面図・断面図である。これには地下階の断面図が縮尺二〇〇分の一で記載されており、同断面図には土かぶり厚及び地下部分の深さが数字で表示されている。 (4) 図書番号7の2の図書右図書は、平面詳細図(2)である。これには平面図及び断面図が縮尺五〇分の一で記載されており、同平面図から地下階の壁の厚さが測定でき、同断面図から地下階の壁、天井(一階の床ともなっている。)の厚さが測定できる。 (5) 図書番号7の3の図書右図書は、階段詳細図(1)である。これには地下階の平面図及び断面図が縮尺五〇分の一で記載されており、同平面図には地下階の壁の厚さが数字で表示され、同断面図には地下階の壁、床の下方の基礎部分、天井(一階の床ともなっている。)の厚さが数字で表示され、同断面図には地下部分の深さが数字で表示され、同断面図には地下階内部における具体的な仕上げ材料や仕上げ方法が表示されている。 (6) 図書番号8の1の図書右図書は、矩計(かなばかり)詳細図である。これには地下階の断面図が縮尺五〇分の一で記載されており、同断面図には地下階の壁、床、天井(その大部分は一階の床ともなっている。)の厚さ、土かぶり厚及び地下部分の深さが数字で表示されており、同断面図には は地下階の断面図が縮尺五〇分の一で記載されており、同断面図には地下階の壁、床、天井(その大部分は一階の床ともなっている。)の厚さ、土かぶり厚及び地下部分の深さが数字で表示されており、同断面図には一階の床面(これが地下階天井の上面を構成する。)及び地下階内部における具体的な仕上げ材料や仕上げ方法が表示されている。 (7) 図書番号8の2の図書右図書は、伏図(2)である。これには地下階の平面図が縮尺二〇〇分の一で記載されており、同平面図には壁の厚さが数字で表示されている。 (8) 図書番号20の図書右図書は、詳細図である。これに地下階の平面図、断面図がそれぞれ縮尺五〇分の一及び四〇分の一で記載されており、同平面図から壁の厚さが測定でき、同断面図から壁、床、天井(一階の床ともなっている。)の厚さが測定できる。 (9) 図書番号25の図書右図書は、地下一階連結散水設備平面図である。これには地下階の平面図、断面図が縮尺一〇〇分の一で記載されており、同平面図から地下階の壁の厚さが測定でき、同断面図から地下階の壁、床、天井(一階の床ともなっている。)の厚さが測定できる。 (10) 図書番号26の図書右図書は、地下一階ハロゲン化物消火設備平面図である。これには地下階の平面図が縮尺一〇〇分の一で記載されており、同平面図から地下階の壁の厚さが測定できる。 (11) 図書番号28の図書右図書は、ダクト平面図(地下一階)である。これには地下階の平面図が縮尺一〇〇分の一で記載されており、同平面図から地下階の壁の厚さが測定できる。 (12) 図書番号29の図書右図書は、屋外換気図である。これに地下階の断面図が縮尺五〇分の一で記載されており、同断面図から地下階の壁、床、天井(一階の床ともなっている。)の厚さが測定できる。 (13) 図書番号33の図書右図書は、 、屋外換気図である。これに地下階の断面図が縮尺五〇分の一で記載されており、同断面図から地下階の壁、床、天井(一階の床ともなっている。)の厚さが測定できる。 (13) 図書番号33の図書右図書は、空調ダクト断面図である。これにはダクト部のみでなく地下階の断面図が縮尺一〇〇分の一で記載されており、同断面図から地下階の壁、床、天井(その大部分は一階の床ともなっている。)の厚さ及び土かぶり厚が測定でき、地下部分の深さが数字で表示されている。 (14) 図書番号35の図書右図書は、換気地下一階平面図である。これには地下階の平面図が縮尺一〇〇分の一で記載されており、同平面図から地下階の壁の厚さが測定できる。 (二) 公開図書による抗たん性に係る情報の推定本件建物の計画通知書の添付図面四四枚のうち二二枚は、前記第二、三4のとおりの経緯で、公開されている。これらの公開図書によって、一四枚の図書に右(一)のとおりそれぞれ記載されている、前記七2(二)(1)の抗たん性に係る情報は、以下のとおり相当部分が推定可能である。 (1) 地下階の壁の厚さについて(1) 乙一二の一三によれば、図書番号21の公開図書は、自動火災報知設備図面であり、これには別紙図面(一)のとおりの地下階の平面図が縮尺二〇〇分の一で記載されていることが認められる。証人Bの「技術者が書く以上、縮尺に忠実に書くので、正確だ」との証言(第二四回口頭弁論、三〇項)によれば、右平面図は、二〇〇分の一の図面がその縮尺なりの通常有すべき程度の精度をもって作製されたものであることが認められる。 右平面図には、別紙図面(一)の赤線のとおり、地下階の壁が厚みをもって記載され、その厚さは場所によって基本的に厚薄はなく、ほぼ同一であり、これにスケールをあてて計測すると、約三五センチメートルとの数値が得られる。 紙図面(一)の赤線のとおり、地下階の壁が厚みをもって記載され、その厚さは場所によって基本的に厚薄はなく、ほぼ同一であり、これにスケールをあてて計測すると、約三五センチメートルとの数値が得られる。 (2) 乙一二の二一によれば、図書番号36の公開図書は、換気給気フアン廻り詳細図であり、これには、別紙図面(二)のとおりの給気ダクト室についての地下階及び一階部分の(A)―(A)断面図が縮尺五〇分の一で、別紙図面(三)のとおりの地下階部分の給気フアンの周辺の平面図が縮尺五〇分の一で記載されていることが認められる。縮尺五〇分の一の図面が、壁の測定が可能である程度に精度の高いことは、原告が縮尺五〇分の一の図面でもって構成されている図書番号7の2、20、29の各図書のみならず、縮尺一〇〇分の一の図面でもって構成されている図書番号25、26、28、33、35の各図書からも、壁の厚さが測定可能であると主張していることからも明らかである。 乙一二の二一によれば、別紙図面(二)、(三)の赤線のとおり、地下階の壁が記載され、その記載自体からその中間部分に一点鎖線で表示された線は一階(基準階)壁の中心線であることも判明する。右赤線部分にスケールをあてて計測すると、約三五センチメートルとの数値が得られる。従って、右赤線部分の壁の厚さが、約三五センチメートルであることが判明する。 (3) 図書番号21の公開図書は、本来地下の火災報知器を設置する位置、種別を示すことが目的であり、縮尺も二〇〇分の一であることから、右図書記載の図面の壁厚についての記載内容には、相当程度の誤差がある可能性は否定できない。しかし、他方で、図書番号36の公開図書に記載された部分の壁の厚さが約三五センチメートルであることが、客観的事実として判明している。一つの建物の地下階部分について極端に厚さの 可能性は否定できない。しかし、他方で、図書番号36の公開図書に記載された部分の壁の厚さが約三五センチメートルであることが、客観的事実として判明している。一つの建物の地下階部分について極端に厚さの異なった外壁を何種類も組み合わせて建築するということは通常は考えられず、右平面図が二〇〇分の一の縮尺なりの精度を持った図面であり、目的が前述のとおりの図面であるからといって、ことさらに極端に不正確な平面図を用いるとも考えられないのであるから、右平面図に記載された本件建物地下階部分が約三五センチメートルの外壁で囲われているということは、現実とそれほどの差異がないものと推定できる。 (2) 地下階の床の厚さについて乙一二の二一、六四の一によれば、別紙図面(二)の緑色部分が地下階非常用発電機室の床であること、その上部の茶色部分が建物の強度に影響を及ぼすものではない軽量コンクリート製の機械の台座であること、床の下部が基礎部分であることが判明する。 右緑線部分にスケールをあてて計測すると、約一五センチメートルとの数値が得られる。右図面の縮尺は五〇分の一であり、床の厚さの測定が可能である程度に精度が高いものであるから、非常用発電機室の床の厚さは、約一五センチメートルであることが判明する。 そして、地下階の各部屋のうち、この非常用発電機室のみ特殊な床の厚さとする可能性は小さく、況んやこの部屋のみ特に床の厚さを他の部屋より薄くして抗たん性の程度を弱くすることは通常考えられない。 従って、地下階の床の厚さは、約一五センチメートル程度であると推定することは必ずしも不合理ではない。 (3) 地下階の天井の厚さについて(1) 乙一二の二〇によれば、図書番号34の公開図書は、空調空調室ダクト詳細図であり、これには、一階の空調室について、別紙図面(四)のとおりの(A)- はない。 (3) 地下階の天井の厚さについて(1) 乙一二の二〇によれば、図書番号34の公開図書は、空調空調室ダクト詳細図であり、これには、一階の空調室について、別紙図面(四)のとおりの(A)-(A)断面図が、別紙図面(五)のとおりの(B)-(B)断面図がいずれも縮尺五〇分の一で記載されていることが認められる。 右各断面図には、いずれにも一階の空調室の床の厚さが表記されており(別紙図面(四)、(五)の紫色部分)、これにスケールをあてて計測すると、約二〇センチメートルとの数値が得られる。そればかりか、右(B)-(B)断面図においては、別紙図面(五)のとおり一階の床の厚さに相当する長さが二〇センチメートルであることが数字で表示されている。 従って、一階の空調室の床の厚さが約二〇センチメートルであることが判明する。 (2) 乙一二の二一によれば、図書番号36の公開図書に記載された給気ダクト室についての地下階及び一階部分の縮尺五〇分の一の(A)-(A)断面図(別紙図面(二))には、地下階の非常用発電機室の天井(一階の床ともなっている。)の厚さが表記されている(別紙図面(二)の紫色部分)ことが認められる。これにスケールをあてて計測すると、約二〇センチメートルとの数値が得られる。 従って、地下階の非常用発電機室の天井の厚さが約二〇センチメートルであることが判明する。 (3) 次の(4)で検討するとおり、本件建物地下階には地上階のある部分とない部分があるが、地上階のある部分は、地下階の天井が即ち一階の床ともなっているわけである。 一階の床の厚さが場所によって相違があることは通常考え難いから、右(1)と(2)で検討した結果によれば、地上階のある地下階部分の天井の厚さは、約二〇センチメートル前後であると推定できる。 (4) 地上階のない地下部分の天井の厚さに があることは通常考え難いから、右(1)と(2)で検討した結果によれば、地上階のある地下階部分の天井の厚さは、約二〇センチメートル前後であると推定できる。 (4) 地上階のない地下部分の天井の厚さについては、公開図書をもってしても、推定することはできない。 (4) 土かぶり厚について(1) 乙一二の一、五によれば、本件建物の床面積について、地下階が一四二三・八二平方メートル、一階が九五〇・一八平方メートル、二階が九〇三・一五平方メートルであることが認められる。以上のとおり、地下階の床面積は一階の床面積よりも四七三・六四平方メートル広くなっていることから、その面積差に該当する部分が、地上階のない地下部分であることは明らかである。 そして、図書番号21の公開図書(乙一二の一三)には、一階平面図と地下階平面図とがそれぞれ記載され、縦の通り芯と横の通り芯とが共通の番号と記号をもって表記されているから、右両図面を比較すれば、地上階のない地下部分は、本件建物の一階正面玄関の前部の地下部分に存すること、それは地上階の存する地下部分と連続しており、一体として使用されていることが判明する、土かぶりの存在そのものは、原告が主張するところであるから、地上階の存しない地下部分が覆土式となっていることは、明らかである。 (2) 乙一二の二一によれば、図書番号36の公開図書に記載された縮尺五〇分の一の(A)-(A)断面図(別紙図面(二))には、地盤面から地下一階の室内床面(地下床スラブとは異なる。)までの深さが五・九メートルと数字で表示されていることが認められる。 従って、右五・九メートルから、室内床面より室内天井までの空間距離、設備空間の長さ、梁高、天井の厚さ(スラブ厚)を差し引いた数値が、土かぶりの厚さである。 甲三の一、乙一二の一によれば、公開図書である計画通 右五・九メートルから、室内床面より室内天井までの空間距離、設備空間の長さ、梁高、天井の厚さ(スラブ厚)を差し引いた数値が、土かぶりの厚さである。 甲三の一、乙一二の一によれば、公開図書である計画通知書には、地下一階の「居室の天井の高さ」が全て一律に二八〇〇ミリメートルとの記載があることが認められるので、室内床面から室内天井までの空間距離は二・八メートルである。 しかし、設備空間の長さ、梁高、天井の厚さ(スラブ厚)については、一義的に、公開図書から確定することはできない。もっとも、地上階の存する地下部分の梁高は、図書番号36の公開図書の右(A)-(A)断面図から一メートルであること(別紙図面(二)の黄色部分)が測定できるし、前記(3)のとおり、地上階のある地下階部分の天井の厚さは、約二〇センチメートルであると推定することはできる。また、設備空間は、一般的にいって事務所建築物においては、一メートル前後であるとされている。 以上のとおり判明している事実及び一般的な事実から、土かぶり厚について精度の高い数値を推定することは困難である。 しかしながら、地盤面から地下一階室内床面までの深さ五・九メートルから右室内床面から室内天井までの空間距離二・八メートルを差し引いた数値三・一メートルが、土かぶりの厚さの他に、設備空間の長さ、梁高、天井の厚さ(スラブ厚)を合わせたものであることは、確実に推定できる。これを前提として、右に認定した地上階の存する部分の梁高及び天井の厚さ並びに一般的な事務所の設備空間の長さを参考にして考察してみると、地上階の存しない地下部分の梁高や天井の厚さ(スラブ厚)が地上階の存する地下部分のそれよりも極端に短いということや本件建物地下部分の設備空間が一般事務所建築物のそれより極端に短いということは考え難いから、本件の土かぶり厚は、ど や天井の厚さ(スラブ厚)が地上階の存する地下部分のそれよりも極端に短いということや本件建物地下部分の設備空間が一般事務所建築物のそれより極端に短いということは考え難いから、本件の土かぶり厚は、どんなに厚く見積もっても、一メートルを大幅に超えるような厚さではあり得ないと推定することはできる。 (5) 地下部分の深さについて(1) 前記のとおり、図書番号36の図書(乙一二の二一)に記載された給気ダクト室についての地下階及び一階部分の縮尺五〇分の一の(A)-(A)断面図(別紙図面(二))には、地盤面から地下一階の室内床面までの深さが五・九メートルであることが数字で表示されている。また、地下一階室内床面から基礎部分の最下辺までの深さは別紙図面(二)にスケールをあてれば、約二・六メートルであることが測定できる。 従って、右の和である約八・五メートル前後が地下部分の深さであることが容易に推定できる。 (2) 右の地下部分の深さは、非常用発電機室を基に測定したものであるが、乙一二の一三によれば、地下階部分の平面図には、非常用発電機室(その地下階における位置の特定は、後記5(二)において詳述する。)とその他の部屋とでは階段等の段差を表示する記載は全くないのであるから、本件建物の地下部分の深さは場所によって異なることはなく、ほぼ同一であることが推定できる。 (6) まとめ以上のとおりであるから、公開図書によって、本件建物地下階部分の様相は次のとおりであることが推定できる。 約三五センチメートルの外壁でほとんどの周囲が囲われており、床の厚さは約一五センチメートル程度、地下階の天井のうち一階の床ともなっている部分の厚さは約二〇センチメートル程度、地下部分の深さは約八・五メートル程度である。 そして、地下階の床面積一四二三・八二平方メートルのうち、一階正面玄関 程度、地下階の天井のうち一階の床ともなっている部分の厚さは約二〇センチメートル程度、地下部分の深さは約八・五メートル程度である。 そして、地下階の床面積一四二三・八二平方メートルのうち、一階正面玄関前部の地下部分四七三・六四平方メートルに土かぶりが存する。この土かぶりの厚さは、どんなに厚く見積もっても、一メートルを大幅に超えることはない。 もっとも、地下階の天井のうち地上階のない部分の厚さは、公開図書から推定することができない。 また、公開図書からは、地下階の内部の特殊な仕上げ材料や仕上げ方法の有無を直接推定することもできない。 (三) 本件建物地下階部分の抗たん性の程度(1) 乙一二の一六、一八によれば、図書番号27の公開図書は一階ハロゲン化物消化設備平面図、図書番号31の公開図書は空調一階平面図であり、いずれにも縮尺一〇〇分の一の本件建物一階部分の平面図が記載されていることが認められる。乙一二の一九によれば、図書番号32の公開図書は空調二階平面図であり、縮尺一〇〇分の一の本件建物二階部分の平面図が記載されていることが認められる。 原告によれば、縮尺一〇〇分の一の図面からは正確な長さの測定が可能であるというのであるから、右各図面にスケールをあてて計測することによって、本件建物の一階及び二階の壁の厚さが、約二〇センチメートルであることが判明する。 一階及び二階の壁の厚さである約二〇センチメートルと前記(二)(1)で推定した地下階の壁の厚さである約三五センチメートル前後という数値とを比較すると、後者が約一五センチメートル前後厚くなっている。このことは、別紙図面(一)ないし(三)の赤線部分の中に一点鎖線で表示された基準階の壁の中心線(一、二階の壁の中心線)の位置からも読みとれる。 証人Gの「一、二階は普通のオフィスと考えていいです。」との証言( 、別紙図面(一)ないし(三)の赤線部分の中に一点鎖線で表示された基準階の壁の中心線(一、二階の壁の中心線)の位置からも読みとれる。 証人Gの「一、二階は普通のオフィスと考えていいです。」との証言(第二二回口頭弁論・一八九項)や原告が本件訴訟において本件建物の地下階部分のみを抗たん性施設として主張していることによれば、本件建物の一、二階部分が、特段の抗たん性を備えてはいない通常の事務棟であることは明らかである。 乙七四によれば、通常の建物においても、地下階の外壁は土圧に抵抗させる必要から地上階の壁よりも厚く設計することは一般であることが認められる。右の事実からすると、本件建物地下階の壁を通常の事務棟である一、二階部分の壁の一・七五倍程度の厚さに設計したということは、外壁の厚さという点においては、通常の建物と変わらないということになる。この点においては、抗たん性確保の見地から通常の建物と異なる特段の設計上の考慮をしているとは認められず、この点では、高度な抗たん性を備えていないことが明らかとなっていると言うことができる。 (2) 前記のとおり、図書番号34の公開図書には、一階空調室の縮尺五〇分の一の二枚の断面図が別紙(四)、(五)のとおり記載されている。原告によれば、縮尺五〇分の一の図面からは正確な長さの測定が可能であるというのであるから、右各断面図にスケールをあてて計測することによって、本件建物の一階の天井即ち二階の床の厚さが、約二〇センチメートルであることが判明する。 従って、地下階のうち地上階のある部分の天井(一階の床ともなっている)の厚さは、通常の事務棟である一階の天井即ち二階の床の厚さと全く同じである。また、地下階の床の厚さは約一五センチメートルと推定できるから、これよりも相当薄い。よって、床と地上階のある部分の天井(一階の床ともなっ 常の事務棟である一階の天井即ち二階の床の厚さと全く同じである。また、地下階の床の厚さは約一五センチメートルと推定できるから、これよりも相当薄い。よって、床と地上階のある部分の天井(一階の床ともなっている)の厚さという点においては、通常の事務棟と変わらず、抗たん性の確保という見地から特段の設計上の考慮をしているとは認められず、この点では特段の抗たん性を備えていないことが明らかになっていると言うことができる。 (3) 証人Bの証言(第二三回口頭弁論・六三項)によれば、土かぶりの地表面に植木するときは一メートルないし一・五メートルの土かぶり厚を確保し、駐車場に利用する場合でも、通常、土かぶり厚を四〇センチメートル内外確保するのが一般であることが認められる。 乙四二及び証人Hの証言によれば、一トン爆弾に耐えられるように設計された旧日本軍の大本営大地下壕は、天井を四メートルの鉄筋コンクリートとしたうえ、さらに八メートルの土かぶり厚があったこと、防衛庁の中央指揮所は地下三階の深さが二三・四メートルあり、通常の建物の六階分にも相当すること、アメリカ合衆国では地下三〇〇メートルまで岩盤を掘った軍事施設があること、以上の事実が認められる。 本件建物の土かぶり厚については、公開文書により正確に推定することはできないが、前記(二)(4)のとおり、どんなに厚く見積もっても、一メートルを大幅に超えるような厚さでないことは確実に推定できる。一定の範囲内で推定できる本件土かぶり厚と約八・五メートル前後である地下部分の深さとを、右に挙げた通常の事務棟の例及び本格的な軍事施設の例と比較した場合、本件建物地下階部分は、土かぶり厚と地下部分の深さの点では、さほど高度な抗たん性を備えていないことは明らかであると言うことができる。 (4) 乙六三(原告提出の甲二一の一と同一の著 例と比較した場合、本件建物地下階部分は、土かぶり厚と地下部分の深さの点では、さほど高度な抗たん性を備えていないことは明らかであると言うことができる。 (4) 乙六三(原告提出の甲二一の一と同一の著者・防衛庁技術研究本部第四研究所築城研究室長藤本一男による論文)によれば、近年の砲爆弾は大量化し、かつ命中精度が極めて向上していること、従って、ピンポイント攻撃を対象とした防護、即ち一発のみならず、二発、三発と同一場所を攻撃することも考慮した防護構造物、設計法の確立が必要となっていること、そして、(1)通常弾である二五〇キログラム爆弾が秒速二五〇メートルの速度で壁に対し六〇度の角度で一発命中した場合にはスラブ厚が一・六メートルかつ壁厚が二・二メートル必要であること、(2)秒速四〇〇メートルの速度で壁に対する角度二〇度で一〇〇〇キログラムの半徹甲爆弾が一発命中した場合にはスラブ厚が三・二メートルかつ壁厚が三・五メートル必要であること、(3)同条件で、一〇〇〇キログラムの半徹甲爆弾が四発命中した場合にはスラブ厚が四・〇メートルかつ壁厚が三・五メートル必要であること、(4)同条件で、一〇〇〇キログラムの半徹甲爆弾が八発命中した場合にはスラブ厚が七・五メートルかつ壁厚が三・五メートル必要であること、(5)至近距離に対するコンクリート製の地下構造物の壁厚は、壁面より五メートル離れた一〇〇〇キログラム爆弾の地中爆発で二メートル必要であり、一〇メートル離れていても〇・七メートル必要であること、以上の事実が認められる。 以上の事実に照らすと、(1)ないし(3)で検討したとおり、公開図書によって判明した本件建物地下階部分の様相は、壁、天井(地上階のある部分に限る。)、床のそれぞれの厚さ並びに土かぶり厚及び地下部分の深さという点においては、およそ抗たん性の程度を たとおり、公開図書によって判明した本件建物地下階部分の様相は、壁、天井(地上階のある部分に限る。)、床のそれぞれの厚さ並びに土かぶり厚及び地下部分の深さという点においては、およそ抗たん性の程度を問題とするまでもない程脆弱なものであることは明らかであり、右の各情報が公開されたとしても、公開されていない場合に比較して敵側の攻撃をかなりの程度容易かつ効率的なものにするとまでは言えないのではないかとの強い疑念が生じるところである。 もっとも、地下階内部の特殊な仕上げ材料や仕上げ方法の有無については、本件公開図書によっても何ら判明しない。また、地上階のない部分の天井の厚さは、公開図書をもっても直接推定することはできない。 しかしながら、地下階部分は一体として利用され、地下階全体の床面積も一四二三・八二平方メートル程度の広さしかないのであるから、抗たん性の観点から見て、地上階のある部分の天井の厚さが推定できる以上、地上階のない部分の天井の厚さを秘匿することの必要性につき、多大な疑問が生じるところであるばかりか、本件公開図書によって、本件建物の地下階の様相が右の程度まで判明し、判明した結果によれば、地下化したという以外には特段抗たん性を備えた施設ではないのではないかとの強い疑念が生じている以上、本件条例六条一項一号に該当しないこと(本件処分の適法性を基礎付ける事項)の主張立証責任を被告が負うとしても、また、情報の内容を公開することなく立証活動を行わなければならないという訴訟活動上の制約を考慮に入れるとしても、原告において、具体的な事実を主張して右の疑念を相当程度払拭するべく反証しなければならないものというべきである。 そこで、進んで、原告の主張について検討する。 (四) 抗たん性に係る情報の要保護性に関する原告の主張について(1) 原告は、防衛行政事 当程度払拭するべく反証しなければならないものというべきである。 そこで、進んで、原告の主張について検討する。 (四) 抗たん性に係る情報の要保護性に関する原告の主張について(1) 原告は、防衛行政事務を専属的に所掌し、その執行に唯一責任を負い、最も豊富で質の高い防衛に関する知識や情報を有する立場にあって、本件抗たん性に係る情報の要保護性についても、最も適切な判断を行い得ると期待される地位にあるものである。しかしながら、原告がそのような地位にあるからといって、原告の主観において、本件情報が要保護性を有すると単に抽象的、概括的に主張するだけでは不十分であり、訴訟の場においては、具体的、客観的な事実や経験則に基づく主張でなければ、要保護性についての判断資料とはなし得ないことはいうまでもない。 (2) 原告の具体的主張は次のとおりである。 即ち、まず次の二つの破壊の形態を想定する。 (1)徹甲弾が地盤面に着弾後、土を侵徹して本件建物地下階部分の壁や天井に当たり、さらに構造物を侵徹あるいは貫徹した後に延期信管が作動することにより壁等が破壊されたり建物内部で爆発が起こり、建物内部の人員・器材等に被害が生じる場合と、(2)爆弾が本件建物地下階部分の近傍に投下され爆発することにより、その爆発威力により本件建物地下階部分が破壊される場合である。 そして、原告は、右(1)の破壊形態を想定した場合には、弾丸等が壁や天井に衝突し、どこまで内部に侵入するかが重要であるところ、弾丸等のコンクリートへの侵徹深さと、弾丸等の直径、先端の形状による係数、質量及び速度と、コンクリートの圧縮強度との関係を示す一定の公式が承認されているから、コンクリートの圧縮強度の数字が一義的に決まるとすると、コンクリートの壁厚が分かれば、これを突き抜けるのに必要な弾丸等の直径、先端の形状、質量 の圧縮強度との関係を示す一定の公式が承認されているから、コンクリートの圧縮強度の数字が一義的に決まるとすると、コンクリートの壁厚が分かれば、これを突き抜けるのに必要な弾丸等の直径、先端の形状、質量及び速度の組み合わせを知ることができる、また、弾丸等の土への侵徹深さと、土の種類によって定まる抵抗係数と、弾丸等の先端の形状による係数、質量、最大断面積及び速度との関係も一定の公式によって表すことが承認されているから、土かぶり厚や地下部分の深さが分かれば、これを突き抜けるのに必要な弾丸等の直径、先端の形状、質量及び速度の組み合わせを知ることができると主張する。 なるほど原告が援用する甲二一の一(防衛庁技術研究本部第四研究所築城室長藤本一男論文「施設抗堪技術の現状と展望(その3)」)には、弾丸等がコンクリート版に衝突した場合の侵徹深さに関する式として、アメリカ国防研究委員会が提案した公式と米陸軍工兵隊が提案した公式が紹介されているが、「同じ条件で実験を行っても、実験結果にかなりバラツキがあり、正確に推定は困難であるが、以下紹介する式は比較的現象を予測するのに適しているものである。」との限定が付され、予測式から算定される数値には、具体的条件によって相当の誤差があることが前提とされている。現に、右書証で挙げている一五五ミリメートルりゆう弾の場合のアメリカ国防研究委員会が提案した公式による算定例を見ると、予測式によって、貫通するコンクリートの限界厚さ数値が八六・三センチメートルとの計算結果を得たうえ、結論としては、コンクリートの厚さは約九〇センチメートルであれば、一五センチメートル級の砲弾には耐えられることになるとし、更に米陸軍工兵隊が提案した公式によると、右数値は大きく評価されるとしている。 また右書証には、弾丸の土中への侵徹量の算定の方法として、ヤ ば、一五センチメートル級の砲弾には耐えられることになるとし、更に米陸軍工兵隊が提案した公式によると、右数値は大きく評価されるとしている。 また右書証には、弾丸の土中への侵徹量の算定の方法として、ヤング式と従来から米軍が用いているという実験データに基づくモノグラフによるものとが紹介されている。ヤング式については、「細長い弾丸は土の中に侵徹しても比較的安定しており、侵徹量も算定し易いが、通常のりゆう弾や小銃弾等は侵徹中に弾丸が回転し、侵徹量は非常にばらつく。」とされ、右式の適応範囲が限定されることが指摘されている。そして、モノグラフによるものは、「容易に算定でき」、「非常に便利である」が、そもそも「概略の侵徹量」を算定するものとされ、例示として挙げられた弾丸質量五〇キログラム、衝突速度秒速三四〇メートルの場合には、モノグラフから侵徹深さが約四・八メートルと読み取れるが、実際の侵徹量は三分の二程度になるとされ、その読み取りの結果と現実との間に相当大きな乖離があることが容易に窺われる。 以上のとおりであるから、原告提出の甲二一の一によれば、例え、本件建物地下部分の壁、天井の厚さや土かぶり厚、地下部分の深さについて、正確な数値が判明した場合でも、軍事技術の分野で一般に承認されている算式やグラフをもってしても、壁や天井を構成するコンクリートを侵徹し裏面剥離を生じさせ、あるいは貫徹するに要する、又は、土かぶりを突き抜けるに要する弾丸等の質量、直径、衝突速度等の組み合わせを、精緻に解明することは不可能であり、所詮相当程度幅のある範囲内で解明できるにすぎないものといわざるを得ない。 そうすると、前記(三)の程度に本件建物地下階部分の抗たん性の程度が明らかとなっているのであるから、これに加えて、壁や天井の厚さや土かぶり厚、地下部分の深さの正確な数値が明ら のといわざるを得ない。 そうすると、前記(三)の程度に本件建物地下階部分の抗たん性の程度が明らかとなっているのであるから、これに加えて、壁や天井の厚さや土かぶり厚、地下部分の深さの正確な数値が明らかになったところで、このことが攻撃する側に決定的に有利になるとまでいうことはできない。 (3) また、原告は、右(2)の破壊形態を想定した場合には、コンクリートの壁厚、土かぶり厚及び地下部分の深さだけでなく、コンクリートの圧縮強度並びにコンクリートの中の鉄筋量及び鉄筋の配置方法等から計算される施設の強度の大小により、破壊されるかどうか判断することとなるが、鉄筋に関するデータが洩れたり、全く推定できないという保証はないから、施設の強度を判断するうえでコンクリートの壁厚等が重要な要素であることに変わりはないと主張する。 乙六四の一、六五の一、二、証人Bの証言によれば、至近弾の爆発による爆圧が建物に作用すると、壁、床、天井等の建物の部材を曲げる力が働くこと、また部材の両端は固定されているので、ある面を境としてその両側を逆方向にずらそうとする力(剪断力)も働くこと、コンクリートは、圧縮強度は強いが、曲げ強度や剪断力強度等は極端に弱いという特質があり、また破壊に至るまでの変形能力に乏しいため、鉄筋の入っていないコンクリートの部材に曲げる力が働くと、さほど大きくない力を受けただけで、二つに折れてしまうこと、そのために、鉄筋コンクリートは曲げ強度や剪断力強度等の強い鉄筋を配置して補強していること、以上の事実が認められる。 右の事実によれば、鉄筋コンクリート構造物の爆圧に対する強度との関係では、コンクリートの中の鉄筋量、鉄筋の配置方法等鉄筋に関する情報こそが重要であり、これと比較した場合、壁、床、天井の厚さに関する情報の重要性は必ずしも高くないものと判断するこ に対する強度との関係では、コンクリートの中の鉄筋量、鉄筋の配置方法等鉄筋に関する情報こそが重要であり、これと比較した場合、壁、床、天井の厚さに関する情報の重要性は必ずしも高くないものと判断することができる。そして、甲一〇の一、二によれば、建築計画通知書には、鉄筋に関する情報を記載した構造詳細図及び構造計算書の添付は不要とされ、本件図書には右情報の記載は全くないことが認められる。 前記(三)のとおり、本件公開図書により、本件建物地下階部分の抗たん性の程度が判明しており、また右のとおり、鉄筋に関する情報に比較して重要性が必ずしも高くないにもかかわらず、爆圧に対する強度との関係において、原告による右以上の具体的事実に基づく主張がないのであるから、本件情報の開示によって、本件建物地下階部分に対する攻撃が極めて容易かつ効率的なものになると認めることはできない。 (4) 特殊な仕上げ材料や仕上げ方法の有無に係る情報について原告は、特殊な仕上げ材料や仕上げ方法の有無の情報(図書番号3、4、7の3、8の1の各図書に記載)が、抗たん性に係る情報であることの理由として、例えば、鉄板等の特殊な材料を用いた仕上げや、それらの材料の壁等への張り付け方法等により壁等の強度が増すこととなり、弾丸等が衝突した場合の侵徹や貫徹に対する強度を考えるうえで、これらの特殊な仕上げ材料や仕上げ方法の有無が抗たん性に係る情報となると主張する。 甲一〇の一、二によれば、仕上げ材料や仕上げ方法に関する図書は、建築基準法三五条の二の規定により内装の制限を受ける建築物等について、その壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを防火上支障がないようにしなければならないとの規定に基づいて、建築計画通知の際に提出を要求されているものである。前記(一)のとおり、図書番号3、4、7の3、8の1の各図書 室内に面する部分の仕上げを防火上支障がないようにしなければならないとの規定に基づいて、建築計画通知の際に提出を要求されているものである。前記(一)のとおり、図書番号3、4、7の3、8の1の各図書には、右のような趣旨から、内装制限に適合するような不燃材、準不燃材が使用されるか否かをチェックするために必要な内部仕上げ材に関する記載の他、外部仕上げ材に関する記載もある。 建築基準法上は防火に係わる情報である仕上げ材料や仕上げ方法に関する情報が、前記(三)のとおり、壁、床、天井の厚さや土かぶり厚、地下部分の深さの面からの本件建物地下部分の抗たん性の程度が明らかになっているにもかかわらず、秘匿を要する重要な情報であるというためには、原告の右主張は、あまりに抽象的一般論にすぎず、一応世人を首肯せしめるに足る主張とすらいえない。 (5) 原告の具体的事実に基づく主張は、右程度であり、また、「ASWOC施設の抗たん性に関する情報が公開されることが防衛上の発揮に及ぼす影響」「が重大であり防衛行政上に支障をきたすこと」という立証趣旨(平成四年一一月二日付け証拠申出書)の証人であるGの証言内容も、抗たん性に係る情報の重要性を一般論として説明するのみで(第二一回口頭弁論・三五、三六項)、本件図書に記載された情報の内容に則しての重要性を何ら説明しない。 5 警備上の支障が生じるという情報について(一) 原告が、警備上の支障が生じる情報が記載されていると主張する図書の内容原告が警備上の支障が生じる情報が記載されていると主張する本件各図書のそれぞれにつき、原告主張の警備に関する情報が記載されている部分と記載されていない部分とを合理的かつ容易に区分することが可能ではないかとの疑念が生じることは、前記4(一)で述べたと同様である。しかし、合理的かつ容易に区分すること 関する情報が記載されている部分と記載されていない部分とを合理的かつ容易に区分することが可能ではないかとの疑念が生じることは、前記4(一)で述べたと同様である。しかし、合理的かつ容易に区分することが可能な形式で右情報と無関係な情報が記載されているか否かはしばらく措くとして、少なくとも、本件各図書の中には、以下のような情報が記載されていることは当事者間に争いがない。但し、一部争いのある(12)図書番号29の図書については、甲二八により認定する。 (1) 図書番号5の図書右図書は、平面図である。 これには地下階の平面図が縮尺二〇〇分の一で記載されており、同平面図には各室の区画割り及び室名が表示されている。なお、同平面図には、柱と柱との中心間距離(外壁部分は壁と柱との中心間距離)あるいは壁と壁との中心間距離が数字で表示されている。 (2) 図書番号7の1の図書右図書は、立面図・断面図である。これには地下階の断面図が縮尺二〇〇分の一で記載されており、同断面図には区画割り及び室名が表示されている。なお、同断面図には、柱と柱との中心間距離(外壁部分は壁と柱との中心間距離)が数字で表示されている。 (3) 図書番号8の1の図書右図書は、矩計詳細図である。これには地下階の断面図が縮尺五〇分の一で記載されており、同断面図には区画割り及び室名が表示されている。 (4) 図書番号9の図書右図書は、建具配置図・建具表(1)である。これには地下階の平面図が縮尺二〇〇分の一で記載されており、同平面図には各室の区画割り及び室名が表示されている。 (5) 図書番号14の図書右図書は、電灯配線図である。これには地下階の平面図が縮尺二〇〇分の一で記載されており、同平面図には各室の区画割り及び室名が表示されている。 (6) 図書番号17の図書右図書は、幹線動力配線図であ 右図書は、電灯配線図である。これには地下階の平面図が縮尺二〇〇分の一で記載されており、同平面図には各室の区画割り及び室名が表示されている。 (6) 図書番号17の図書右図書は、幹線動力配線図である。これには地下階の平面図が縮尺二〇〇分の一で記載されており、同平面図には各室の区画割り及び室名が表示されている。 (7) 図書番号20の図書右図書は、詳細図である。これには地下階の平面図、断面図がそれぞれ縮尺五〇分の一及び四〇分の一で記載されており、同平面図、同断面図には区画割り及び室名が表示されている。 (8) 図書番号23の図書右図書は、屋内消火栓設備平面図である。これには地下階の平面図が縮尺二〇〇分の一で記載されており、同平面図には各室の区画割り及び室名が表示されている。 (9) 図書番号25の図書右図書は、地下一階連結散水設備平面図である。これには地下階の平面図、断面図が縮尺一〇〇分の一で記載されており、同平面図には各室の区画割り及び室名が表示されている。 (10) 図書番号26の図書右図書は、地下一階ハロゲン化物消火設備平面図である。これには地下階の平面図が縮尺一〇〇分の一で記載されており、同平面図には各室の区画割り及び室名が表示されている。 (11) 図書番号28の図書右図書は、ダクト平面図(地下一階)である。これには地下階の平面図が縮尺一〇〇分の一で記載されており、同平面図には各室の区画割り及び室名が表示されている。 (12) 図書番号29の図書右図書は、屋外換気図である。これには地下階の断面図が縮尺五〇分の一で記載されており、同断面図には区画割り及び室名が表示されている。 (13) 図書番号33の図書右図書は、空調ダクト断面図である。これにはダクト部のみでなく地下階の断面図が縮尺一〇〇分の一で記載されており、同断面図には区 面図には区画割り及び室名が表示されている。 (13) 図書番号33の図書右図書は、空調ダクト断面図である。これにはダクト部のみでなく地下階の断面図が縮尺一〇〇分の一で記載されており、同断面図には区画割り及び室名が表示されている。 (14) 図書番号35の図書右図書は、換気地下一階平面図である。これには地下階の平面図が縮尺一〇〇分の一で記載されており、同平面図には各室の区画割り及び室名が表示されている。 (二) 公開図書による警備上の支障に係る情報の推定原告が主張する警備上の支障が生じる情報とは、具体的には、右(一)のとおり、本件建物地下階の各区画の部屋名であり、特に電子機器、通信機器や発電機が設置される部屋がどこであるかの点を秘匿する必要があるとする。しかし、電子機器、通信機器や発電機が設置される部屋の配置は、公開図書から以下のとおり推定することが可能である。 (1) 後掲各証拠によれば、公開図書から、以下のような情報が明らかとなっているものと認められる。 ア乙一二の一三によれば、図書番号21の公開図書が自動火災報知設備図面であること、右図書には、別紙図面(六)のとおりの地下階の平面図が縮尺二〇〇分の一で記載されていることが認められる。 右地下階平面図には、具体的な部屋名の記載はないものの、地下階にどのような形をした、どのような大きさの部屋がどこにあるのか、即ち、各部屋の「区画割り」はすべて記載されている。 そして、この図面は、前記4(二)(1)(1)で検討したとおり縮尺二〇〇分の一の図面として通常有すべき程度の精度をもって作製されたものであること、縦及び横の各通り芯の間の距離が記載されていることに加えて、証人Fの証言(第二〇回口頭弁論・二〇九項)、証人Bの証言(第二三回口頭弁論・一〇六、一二九項、第二四回口頭弁論・五七、八一項)によ こと、縦及び横の各通り芯の間の距離が記載されていることに加えて、証人Fの証言(第二〇回口頭弁論・二〇九項)、証人Bの証言(第二三回口頭弁論・一〇六、一二九項、第二四回口頭弁論・五七、八一項)によれば、右平面図から、地下階の各部屋の縦横の長さを測定して、地下階の各部屋の相当程度正確な面積を測定することができることが認められる。 また、右平面図には、各部屋に設置される扉(あるいは窓)について、どのような種類・大きさの扉(窓)が設置されるかも、図示されている。 さらに、右平面図には、便器の形の記載もあるので、男子トイレ及び女子トイレの場所がその記載自体から明らかである。 イ乙一二の一二によれば、図書番号16の公開図書が器具取付表であること、右表は本件建物の各部屋にどのような電灯やコンセント等が設置されるかを記載したものであること、これには本件各階の部屋の名称が記載されていることが認められる。 右器具取付表によれば、本件建物地下階には、通信機械室が五部屋、電算機室が二部屋、非常用発電機室、電源室が各一部屋設置されているほか、資料室が三部屋、事務室が二部屋、空調機械室が二部屋、階段室が三部屋、資料庫、整備作業室、教育訓練室、当直室、男子便所、女子便所、湯沸室、ハロン庫、ポンプ室、倉庫が各一部屋、それぞれ存在することが判明する。 ウ乙一二の二六によれば、番号の付されていない公開図書が換気量計算書であること、これは外気と遮断されている地下階の空調設備のために地下階の主要な各部屋の換気量を計算したものであること、これには地下階の主要な各部屋の正確な面積が記載されていることが認められる。 右計算書により、地下階の主要な部屋の正確な面積が判明する。 エ乙一二の七によれば、図書番号10の公開図書が建具表であること、これには、設置される扉・窓の建具について 載されていることが認められる。 右計算書により、地下階の主要な部屋の正確な面積が判明する。 エ乙一二の七によれば、図書番号10の公開図書が建具表であること、これには、設置される扉・窓の建具について、その種類(両開・親子開・片開きの別)・大きさ・設置される部屋名等が記載されていることが認められる。 オ乙一二の二一によれば、図書番号36の公開図書(換気給気フアン廻り詳細図)には、給気ダクトと排気ダクト周辺の平面図と断面図が記載されていること、右各図面の記載から、非常用発電機室は、給気ダクトと排気ダクトに接する位置にあること、また右断面図の記載から、給気ダクトと排気ダクトは一階から地下階までまつすぐに延びていることが認められる。 乙一二の一八によれば、図書番号31の公開図書(空調一階平面図)には、部屋名の入った本件建物の一階の平面図が記載されていること、右平面図の記載から、給気ダクトと排気ダクトとの位置が判明することが認められる。 以上の各事実から、別紙図面(六)の(9)と記載のある部屋が非常用発電機室であることが明らかに認められる。 カ乙一二の一三、一四によれば、図書番号22の公開図書(自動火災報知設備系統図)には、図書番号21の公開図書で示されている自動火災報知設備の系統図が記載されていること、その地下階(B1F)部分の記載にはAP-1、AP-2、AP-3、AP-4の記載があり、それらが空調機を示す記号であることが認められる。 以上により、別紙図面(六)の(8)と記載のある部屋のAP-1、同(22)と記載のある部屋のAP-2、同(12)と記載のある部屋のAP-3、AP-4との記載が、空調機の意味であることが判明する。 (2) 以上の公開図書から判明している情報から、電子機器が配置される電算機室二部屋、通信機器が配置される通信機械室五部屋や る部屋のAP-3、AP-4との記載が、空調機の意味であることが判明する。 (2) 以上の公開図書から判明している情報から、電子機器が配置される電算機室二部屋、通信機器が配置される通信機械室五部屋や発電機が設置される電源室及び非常用発電機室に限って、その配置について推定することとする。 ア図書番号21の公開図書から、各部屋の壁の内側の縦横の長さを測定し、各部屋の面積を測定した結果は、別紙各部屋面積計算表(部屋番号は別紙図面(六)記載の番号に拠る。以下同様。)のとおりである。 なお、(7)と記載のある部屋については、階段の下となる部分が換気量計算においては除外して計算されたことは、面積計算の結果と換気量計算書の数値との突き合わせの結果明らかである。 また、(7)と(8)との間に位置する区画は、平面図の記載自体から、男子トイレ及び女子トイレであることが明らかであるから、右表に挙げない。 右の各部屋面積計算表の結果と、換気量計算書の記載されている各部屋の面積を、それぞれ大きいものから順番に並べると、別紙各部屋面積対比表のとおりである。 右対比の結果によれば、図書番号21の公開図書による面積の計算に若干の誤差があり得ることを見込んでも、以下の各部屋については、面積の値自体からその部屋名が一義的に明らかである。 (16) 通信機械室3(13) 電算機室2(14) 電算機室1(17) 通信機械室5(19) 通信機械室2イ (9)(12)(22)(20)の各部屋については、図書番号21の公開図書から計測した面積の値が近似しているので、面積の値のみから部屋名が一義的に明らかになるということはできない。しかし、面積の値から、それらが非常用発電機室、通信機械室4、空調機械室1、空調機械室2の四つの部屋のどれかであることは明らかである。 まず、(9)が非常 一義的に明らかになるということはできない。しかし、面積の値から、それらが非常用発電機室、通信機械室4、空調機械室1、空調機械室2の四つの部屋のどれかであることは明らかである。 まず、(9)が非常用発電機室であることが明らかであることは、前記(1)オのとおりである。 残るは、(12)(22)(20)であるが、その内、(12)と(22)には、前記(1)カのとおり、空調機が配置されており、(20)には配置されていないから、(12)と(22)が空調機械室であり、(20)が残るところの通信機械室4であることが明らかである。 ウ (5)(21)(8)の各部屋についても、図書番号21の公開図書から計測した面積の値が近似しているので、面積の値のみから部屋名が一義的に明らかということはできない。しかし、面積の値から、それらが通信機械室1、電源室、事務室2の三つの部屋のどれかであることは明らかである。 別紙図面(六)から、(21)の部屋には片開扉が一つだけ、(8)の部屋には両開扉が一つだけ、(5)の部屋には親子開扉が一つだけ設置されていることが認められる。 乙一二の七(図書番号10の公開図書に記載の建具表)によれば、通信機械室1には片開扉が一つだけ、電源室には両開扉が一つだけ、事務室2には親子開扉が一つだけ設置されていることが認められる。 従って、(21)が通信機械室1、(8)が電源室、(5)が事務室2であることが明らかである。 (3) まとめ以上の推定の結果、電子機器、通信機器や発電機が設置される部屋の配置は、次のとおり明らかになっている。 電算機室1 (14)電算機室2 (13)通信機械室1 (21)通信機械室2 (19)通信機械室3 (16)通信機械室4 (20)通信機械室5 (17)非常用発電機室 (9)電源室 4)電算機室2 (13)通信機械室1 (21)通信機械室2 (19)通信機械室3 (16)通信機械室4 (20)通信機械室5 (17)非常用発電機室 (9)電源室 (8)(三) 乙一二の一ないし二六、三一ないし三三によれば、公開図書や新聞報道によって、本件建物地下階にASwOCが設置されること自体、本件建物の正確な所在位置が公知となっているばかりか、公開図書に記載された本件建物各階の平面図等によって、本件建物各階(地下部分も含めて)の区画割り、本件建物の出入り口の場所や地下階への階段の場所、侵入経路も公知となっている。また、本件建物の所在する自衛隊那覇基地の警備体制に関する情報や本件建物の防犯カメラや警報装置等といった直接的な警備情報が、本件図書に記載されていないことも当事者間に争いがない。 原告が、公開されると警備上の支障が生じると主張する情報とは、前記2(二)(2)のとおり、具体的には、本件建物地下階の各区画割りの部屋であり、特に、部屋名から判明することになる電子機器、通信機器及び発電機がどの部屋に配置されるかという情報である。かかる情報が、秘匿の必要がある理由について、原告は、「侵入者が、予め地下階における電子機器、通信機器及び発電機の配置を知らなかった場合に、侵入してから攻撃目標に到達し破壊活動を行うまでに要する時間を、通常たどるであろう移動経路を想定して見積もり、これと警備する者らが侵入を探知してから攻撃目標に到達するまでに要する時間(自衛隊那覇基地における日常の警備訓練の実績に基づき見積もった時間)とを比較した結果、後者の方が短時間であるということが確認されている。従って、器材等の配置が秘匿されている限り、侵入者が攻撃目標に到達し、的確な破壊活動を行う前に制圧することができる。」と主張す )とを比較した結果、後者の方が短時間であるということが確認されている。従って、器材等の配置が秘匿されている限り、侵入者が攻撃目標に到達し、的確な破壊活動を行う前に制圧することができる。」と主張する。 しかしながら、公開図書によって、本件建物の正確な所在場所、本件建物地下階への侵入経路解明に必要な情報、本件建物地下階の区画割りが判明しているうえに、別紙図面(六)のとおり約五〇メートルの中央廊下を挟んで、そこから出入りできるように各部屋が配置されており、巨大な床面積があるわけでもなく、迷路状にする等特別複雑な間取りになっているわけでもない本件建物において、敵特殊部隊等の侵入者に器材等の配置が明らかとなった場合と秘匿された場合とで、本件建物地下階を警備するうえで一体どれほどの違いがあるのか疑問が生じるところである。 ところが、この点について、原告は、その主張を裏付ける証拠を爾後の警備に支障が生じるおそれがあるとして何ら提出しない。 それだけではなく、前記(二)で検討したとおり、公開図書から推定することにより、電子機器、通信機器や発電機が設置される部屋の配置が判明するのである。この点につき、原告は、公開図書による推定は、客観的に確定されたものではないので、本件図書の公開の場合と比較して、警備上の支障の度合いは質的に大きく異なると主張する。しかし、推論の過程は比較的単純であり、検討の結果電子機器、通信機器や発電機が設置される部屋の配置が一義的に確定するものであるから、部屋名自体を記載された図書を公開された場合とそうでない場合とを比較すると、警備上の支障の度合いにおいて、ほとんど異なるところはない。 以上検討したところによれば、原告が公開されては本件建物地下階の警備上の支障が生じると主張する前記(一)の情報は、秘匿を要する実質的な理由がないものとい 度合いにおいて、ほとんど異なるところはない。 以上検討したところによれば、原告が公開されては本件建物地下階の警備上の支障が生じると主張する前記(一)の情報は、秘匿を要する実質的な理由がないものというべきである。 6 コンピュータの能力の推定が可能となるという情報について(一) 原告が、公開されることによってASWOC施設のコンピュータの能力の推定が可能となると主張する図書番号18及び19の各図書の内容甲二八、乙二五の八、九及び弁論の全趣旨(特に平成七年一月二三日付け原告準備書面(一七)別図、一九九五年一月二三日付け被告第一六準備書面別紙)によれば、各図書の内容は次のとおりであると認められる。 (1) 図書番号18の図書右図書は、負荷容量表である。これには電気系統の末端部に位置する一二個の分電盤の電気負荷容量表が記載されている。右表は、いずれも負荷名(使用器具の名称)とその許容電力(VAボルトアンペア)等からなっている。 (2) 図書番号19の図書右図書は、幹線系統図・分電盤負荷容量表である。これには幹線系統図と図書番号18の図書に記載された分電盤の上流に位置する五個の分電盤の電気負荷容量表が記載されている。右各表も、図書番号18の図書(負荷容量表)と同様にそれぞれ負荷名とその許容電力量等が記載されている。幹線系統図の概略は、別紙図面(七)のとおりであり、容量規格(単位はKVA)を明示したトランス二基が設置され、そのうち一基は地上階の各分電盤に、もう一基は地下階の各分電盤に接続されるように記載されている。 (二) 原告は、右二つの図書から、ASWOC施設のコンピュータの消費電力の最大値が推定でき、消費電力が明らかになれば、コンピュータの処理速度と消費電力との間には一定の相関関係があるから、コンピュータの性能が明らかとなると主張する。 原 OC施設のコンピュータの消費電力の最大値が推定でき、消費電力が明らかになれば、コンピュータの処理速度と消費電力との間には一定の相関関係があるから、コンピュータの性能が明らかとなると主張する。 原告は、次のような手法により、右二つの図書から、ASWOC施設のコンピュータの消費電力が推定できると主張する。 図書番号19の図書には、地下階分電盤に接続されるトランスの容量規格の数値(単位KVA)が記載されているので、地下階の電気系統への供給電力量が右数値であると判明する。図書番号18の図書に記載のある分電盤の負荷名(例えば、電算機室のコンセント)から、ASWOC施設のコンピュータは地下階の電気系統に連なることが判明する。コンピュータと空調設備については別途工事のため、右各図書には、コンピュータと空調設備に接続される分電盤の電気負荷容量表の記載はないが、それら以外の地下階の設備に接続される分電盤の電気負荷容量表の記載はあるので、右のトランスの容量規格の数値から図書番号19の図書に記載のある最上流に位置する分電盤の電気負荷容量の総和を控除すると、コンピュータと空調設備への供給電力量の最大値が判明する。コンピュータ・システムの設計に当たっては、システムの必要電力量に対し一定割合の余裕を持たせて供給電力量を設定するのが一般的であること、コンピュータの必要電力量と空調設備の必要電力量はほぼ同じものとして設計するのが一般的であることから、右計算の結果判明したコンピュータと空調設備への供給電力量の最大値から一定の割合を除した数字の二分の一が、コンピュータの必要電力量、即ちコンピュータの消費電力の最大値である。 (三) しかし、原告の、ASWOC施設のコンピュータの消費電力の最大値が推定できるとの主張は、以下に述べるように、その推論の過程や前提に多くの問題点 量、即ちコンピュータの消費電力の最大値である。 (三) しかし、原告の、ASWOC施設のコンピュータの消費電力の最大値が推定できるとの主張は、以下に述べるように、その推論の過程や前提に多くの問題点を含み採用できない。 (1) 図書番号19の図書の幹線系統図に記載のない、地下階用のトランスに接続される別途工事の内容について、どのようなものが、いくつなされるかは、同図書の記載自体からは判明せず、コンピュータと空調設備の二つだけであると断定する根拠は公開図書からは見いだせない。 (2) トランスの容量規格は、これに接続される負荷容量の総和とは必ずしも一致しない。即ち、トランスの容量規格は、これに接続される負荷容量の総和よりも相当な余裕を持たせている場合もあれば、逆に全負荷が一斉に作動することはあり得ないとの考えを前提に、全負荷容量の総和の何割かに設定されている場合もある。原告は、本件においては、トランスの容量規格は、これに接続される負荷容量の総和とほぼ一致するとの前提に立って立論しているが、このように断定する根拠は公開図書からは見いだせない。 (3) 原告が主張するとおり、コンピュータ・システムの設計に当たっては、システムの必要電力量に対し一定割合の余裕を持たせて供給電力量を設定するのが一般的であるが、その余裕の率に一般的に規格が定められているわけでもなく、公表もされていない。従って、トランスの容量規格や分電盤の許容電力量から実際に設置されている機器の消費電力を意味のある精度で算定することは著しく困難である。 (4) 電源の許容電力量は、将来のシステムの増設に備え、相当程度余裕を持たせるのが通常であり、現状の許容電力量が現在のコンピュータの消費電力を反映しているとは限らない。 (5) 実際に設置されるコンピュータには、中央演算処理装置(CPU) の増設に備え、相当程度余裕を持たせるのが通常であり、現状の許容電力量が現在のコンピュータの消費電力を反映しているとは限らない。 (5) 実際に設置されるコンピュータには、中央演算処理装置(CPU)のみならず、主記憶装置が増設されていたり、入出力チャンネルが増設されていたりするし、これに加えて、ディスク・テープ等の補助記憶装置(これらのモーターが相当に電力を消費する)や、グラフィックディスプレーなどの入出力装置などの周辺装置が一緒に設置されるのが常である。即ち、コンピュータシステムの消費電力は、中央演算処理装置(CPU)と周辺装置の消費電力の総和であり、これらの組み合わせ次第で消費電力は大幅に異なるし、逆に同一消費電力のシステムでも、これらの組み合わせには多様なものがある。従って、周辺装置の構成が判明しない以上、仮にコンピュータシステム全体の消費電力が判明しても、中央演算処理装置(CPU)の消費電力を推測することはできない。 (6) 本件のコンピュータが、ASWOC施設のコンピュータであることから、故障に備えて別の演算処理装置を含む予備的なシステムも設置している蓋然性が強い。本件の場合、この予備的なシステムの数や規模はまったく不明である。主たる装置と予備的な装置の規模の比率が明らかにならない限り、システム全体への供給電力量が判明したからといって、主たるシステムの消費電力を特定することは不可能である。 (四) 以上のとおり、図書番号18及び19の図書から、ASWOC施設のコンピュータの消費電力の最大値を意味のある精度で推定することはできないというべきであるから、消費電力が明らかになれば、コンピュータの性能が明らかとなるとの原告の主張の適否について検討するまでもなく、図書番号18及び19の図書は、秘匿を要する実質的な理由がないものというべき きであるから、消費電力が明らかになれば、コンピュータの性能が明らかとなるとの原告の主張の適否について検討するまでもなく、図書番号18及び19の図書は、秘匿を要する実質的な理由がないものというべきである。 7 まとめ以上検討したとおり、本件図書には秘密保全に関する訓令に基づく秘密の指定手続がなされておらず、またそもそも本件図書は建設に関与する多くの人の目に触れざるを得ないという性格を有するうえ、実際の管理のあり方を見ても、秘密保全のために必要と考えられる万全の措置がとられているとはいい難い。 そして、本件公開図書により、本件建物地下階部分が一般事務所建築物の地下部分に比して特段異なるといいうる程高度な抗なん性を備えていないことが判明していることは前判示のとおりである。さらに本件図書に記載された抗たん性に係る各情報が開示されたとしても、秘匿した場合と比べ、同地下階部分に対する攻撃を一層容易かつ効率的なものにするとまで認めることはできない。また、原告が主張する警備上の支障に係る情報については、本件図書を秘匿することが警備上の重要な意味を有すると認めることについて著しい疑問があるうえ、本件公開図書により原告が最も秘匿を要するとする電子機器、通信機器や発電機が設置される部屋がどこであるかは、前述のとおり、極めて容易に判明するのである。さらに、図書番号18及び19の図書からASWOC施設のコンピュータの性能について意味のある推定が不可能であることも前判示のとおりである。 従って、原告主張のとおり、ASwOCが防衛上重要な施設であることを前提としても、本件図書に記載された情報には、要保護性が認められないというべきである。 八争点5(一)について 1 本件条例六条一項は、四号ウにおいて、「市の機関と国等の機関との間における協議、依頼、委任等に基づい 図書に記載された情報には、要保護性が認められないというべきである。 八争点5(一)について 1 本件条例六条一項は、四号ウにおいて、「市の機関と国等の機関との間における協議、依頼、委任等に基づいて作成し、又は取得した情報であって、公開することにより、国等との協力関係を著しく損なうおそれのあるもの」を挙げ、この「情報が記録されている公文書については、当該公文書を非公開とすることができる。」と規定している。そして、乙一 (解釈・運用基準)七五頁には、「協力関係を著しく損なうおそれのあるもの」の例として、「機関委任事務の処理に関して、作成し又は取得した情報であって、主務大臣から具体的かつ明確に公開してはならない旨の指示があったもの」が挙げられている。 本件図書は、前記第二、三1のとおり、那覇防衛施設局長から建築基準法一八条二項に基づき那覇市建築主事に提出されたものであるから、機関委任事務(地方自治法一四八条三項、別表第四、二(五十))を執行する過程で取得した情報であることは明らかであるところ、原告は、建設大臣が指揮監督権ないし勧告権により、被告に対して、本件図書に記載された情報を公開しないように指導した旨主張するので、この点について検討する。 2 証人Bの証言並びに甲七の二ないし四、乙五三の一ないし一三、五四の一ないし二二、五五の一ないし四九、五六の一ないし三七、五七及び七二によれば、以下の事実が認められる。 (一) 平成元年八月三日ころ、建設省住宅局建築指導課長は、沖縄県土木建築部長からの「建築基準法第一八条第二項による図書等の閲覧について(照会)」(平成元年八月二日付け土建第八二三号)と題する文書(以下、「照会書」という。)による照会に対し、「建築基準法第一八条第二項による図書等の閲覧について(回答)」(平成元年八月三日付け建設省沖住指 」(平成元年八月二日付け土建第八二三号)と題する文書(以下、「照会書」という。)による照会に対し、「建築基準法第一八条第二項による図書等の閲覧について(回答)」(平成元年八月三日付け建設省沖住指発第一〇号)と題する文書(以下、「回答書」という。)による回答を行った。 右照会書には、「建築基準法(以下「法」という。)においては、法第一八条に基づく計画通知に関し、図書の閲覧に係る規定がないが、条例に基づき法第一八条第二項による図書等の閲覧請求があった場合においては、昭和二五年一一月一六日付住発第六七号の二建設事務次官通達「建築基準法第一八条に規定する国の建築物の場合の取扱い方法について」第二にいう計画通知書のうち別記第一号様式によるものを限度に、閲覧に供し得ると考えられます。以上の判断につき、貴職の御見解を伺います。」と、右回答書には、「貴見のとおりである。」とそれぞれ記載されている。 (二) 同月四日、沖縄県土木建築部の職員が那覇市都市計画部長に面談のうえ、沖縄県土木建築部長名義の那覇市長あての「建築基準法第一八条第二項による図書等の閲覧について(通知)」(平成元年八月四日付け土建第八二三号)と題する文書を手交し、右建設省住宅局建築指導課長の回答の内容を伝えた。その際、同道した建設省住宅局建築指導課長補佐からも、那覇市都市計画部長に対し、「公開されては困る。」との発言がなされた。 (三) 被告が平成元年九月二八日本件処分をした直後である一〇月ころ、建設省の求めにより、那覇市都市計画部長らが建設省に赴き、住宅局建築指導課長に対し、本件処分の根拠等について説明を行った。その際、同課長は、建築基準法九三条の二の規定が、建築確認申請に係る図書の閲覧については特定の様式による建築計画概要書等一定の文書を閲覧可能なものとして定めていることからして、 について説明を行った。その際、同課長は、建築基準法九三条の二の規定が、建築確認申請に係る図書の閲覧については特定の様式による建築計画概要書等一定の文書を閲覧可能なものとして定めていることからして、建築計画通知に係る図書についても計画通知書を限度に公開し得るのではないかとの趣旨の発言をし、那覇市都市計画部長は、建築基準法九三条の二の規定は同条で閲覧を認めた以外の建築基準関係文書類の公開を禁止する趣旨とは解されない旨の反論をしたうえ、県庁舎、公営住宅や学校に関する図書まで公開してはいけないのかとの質問を行った。同課長は、そこまで公開しては困るという気持ちはない、被告が本件のような処分をすると国の機関が秘密保持のために過不足なく計画通知書を提出しないおそれがある、残念だとの発言をした。 (四) 本件処分の後、計画通知に係る図書について、地方自治体の情報公開条例に基づく公開決定例が少なくとも次の五例ある。 被告は、平成二年四月一九日、那覇防衛施設局長提出の航空自衛隊那覇基地内に建設予定の貯蔵場三棟に係る計画通知書及び添付書類と那覇航空基地隊司令提出の同基地内に設置した海上自衛隊の空中線鉄塔に係る計画通知書及び添付書類とを公開する旨それぞれ決定した。 相模原市長は、平成三年四月一六日ころ、横浜防衛施設局長提出の神奈川県相模原市内米軍相模補給廠内に建設予定の倉庫に係る計画通知書及び添付書類を公開する旨決定した。 沖縄県知事は、平成五年四月三〇日、那覇防衛施設局長提出の沖縄県本部町に建設予定の通信施設に係る計画通知書及び添付書類を公開する旨決定した。 被告は、平成六年には、パトリオットミサイル貯蔵庫施設に係る計画通知書及び添付書類を公開する旨決定した。 被告の貯蔵場三棟に係る計画通知書等の右公開決定については、これに先立ち那覇防衛施設局長名義の平成二年 平成六年には、パトリオットミサイル貯蔵庫施設に係る計画通知書及び添付書類を公開する旨決定した。 被告の貯蔵場三棟に係る計画通知書等の右公開決定については、これに先立ち那覇防衛施設局長名義の平成二年三月二九日付け「計画通知の情報公開について(申し入れ)」と題する書面をもって、また被告の空中線鉄塔に係る計画通知書等の右公開決定については、これに先立ち那覇航空基地隊司令名義の平成二年四月七日付けの右同様の標題の書面をもって、前記(一)認定の、建設省住宅局建築指導課長名義の沖縄県土木建築部長からの照会に対する回答の存在を指摘したうえ、適切な対応を申し入れている。ところが、右五公開決定例について、建設大臣から、指揮監督権ないし勧告権により、各文書について公開しないようにとの何らかの指導がなされた形跡は証拠上窺えない。 3 原告は、建設省住宅局建築指導課長作成の回答書をもって、主務大臣からの具体的かつ明確な指示があったと主張する。しかしながら、右回答書をもって具体的かつ明確な指示ということはできない。その理由は以下のとおりである。 建設省住宅局建築指導課長作成の回答書及び沖縄県土木建築部長作成の照会書の記載の文言に照らすと、同課長の回答の趣旨は、建築基準法一八条二項に係る計画通知書及び添付図書について、条例に基づいて閲覧に供することができるのは計画通知書(昭和二五年一一月一六日付住発第六七号の二建設事務次官通達・別記第一号様式)に限られるという一般的な見解を示したものと解さざるを得ない。ところが、平成元年一〇月における同課長と那覇市都市計画部長との問答を見てみると、同課長は、計画通知に係る場合は全て一律に計画通知書以外の図書の条例による公開をすることができないという見解ではなく、学校や公営住宅等については公開しても構わないという意見も述べている。更 みると、同課長は、計画通知に係る場合は全て一律に計画通知書以外の図書の条例による公開をすることができないという見解ではなく、学校や公営住宅等については公開しても構わないという意見も述べている。更に、本件の他にも地方自治体の情報公開条例に基づく計画通知書及びその添付図書の全面公開決定例が少なくとも五例あるにもかかわらず、これらの場合に、形式はともかくとして、建設大臣から、指揮監督権ないし勧告権により、各文書について公開しないようにとの何らかの指導がなされた形跡がない。また、前記第二、三4のとおり、原告は、本件訴訟の執行停止申立事件の審理において、既に右回答書が発せられた後に、平成元年一〇月四付け申立補充書(二)、同月五日付け申立補充書(三)において、本件計画通知に係る別紙文書目録一記載の文書のうち、本件図書を除く文書については、請求人らの閲覧に供することに反対しないとの意見を述べている。即ち、原告は従来、計画通知書以外の図書については一律に条例による公開をすることができないとの立場をとってきたものではないということができる。 以上を総合すると、建設大臣としては、計画通知に係る場合は全て一律に計画通知書以外の図書の条例による公開をすることができないとまでの見解を有しているのではなく、条例に基づき公開の許される場合と許されない場合とがあるとの見解を有しているものと解することができる。 しかしながら、沖縄県土木建築部長作成の照会書に対する建設省住宅局建築指導課長作成の回答書には、前記のとおりの一般的な見解が示されているに過ぎず、公開の可否の基準についての明確な指示がないし、本件図書に則して、例えば、全ての図書を公開してはならないとか、あるいはその内の特定の図書について公開してはならないといった具体的な指示も示されていない。従って、右回答書をも ての明確な指示がないし、本件図書に則して、例えば、全ての図書を公開してはならないとか、あるいはその内の特定の図書について公開してはならないといった具体的な指示も示されていない。従って、右回答書をもって「具体的かつ明確」な指示ということはできない。 4 更に、原告は、本件処分のように国の秘密に関わる文書が公開されるならば、秘密の漏洩をおそれる余り、今後建築計画文書が過不足なく提出されないおそれがないではなく、そうなった場合、建築基準行政に多大な支障を生じるから、国との協力関係を著しく損なうと主張する。 しかしながら、原告は右のような危惧を抽象的に主張するのみで、具体的事実に基づく主張や証拠を何ら提出しない。かえって、乙七二によれば、被告による本件処分や航空自衛隊那覇基地内の貯蔵場三棟、海上自衛隊の空中線鉄塔やパトリオットミサイル貯蔵庫施設に係る計画通知書及び添付書類の公開、相模原市長による神奈川県相模原市内米軍相模補給廠内に建設予定の倉庫に係る計画通知書及び添付書類の公開、沖縄県知事による沖縄県本部町に建設予定の通信施設に係る計画通知書及び添付書類の公開等によっても、建築計画文書が過不足なく提出されないということはなく、特段建築計画の適合審査事務に支障を来すという事態は生じていないことが認められる。 九争点5(二)について原告は、本件図書に記載された情報は、公開することにより、防衛行政の分野において、国との協力関係を著しく損なうおそれがあるものに該当すると主張する。 しかしながら、前記七において検討したとおり、本件図書に記載された情報は要保護性を欠き、本件図書が公開されても防衛行政上著しい支障が生じるとは認められないから、原告の主張は前提を欠く。 一〇 争点6について 1 原告は、本件条例六条一項四号オにいう「行政」とは、那覇市の行政のみ を欠き、本件図書が公開されても防衛行政上著しい支障が生じるとは認められないから、原告の主張は前提を欠く。 一〇 争点6について 1 原告は、本件条例六条一項四号オにいう「行政」とは、那覇市の行政のみならず、国及び他の地方自治体の行政も含む行政一般を意味するものであると主張する。しかしながら、右主張は採用できない。その理由は、以下のとおりである。 (一) 本件条例は、同項四号において「行政執行に関する情報であって、次に掲げるもの」と規定した上、アないしオに類型化して個別列挙している。 乙一(解釈・運用基準)六五頁には、同項四号全体の趣旨について、「市政に関する情報の中には、公開することにより、市政の公正かつ適正な執行を妨げ、結果的に市民全体の利益を損なうものもあり、こうした市政情報については、非公開とする必要があるところから、「行政執行に関する情報」として、適用除外事項を規定したものである。 」との記載があり、証人Eの証言に照らしても、本件条例の立法者意思としては、四号の趣旨は、原則として、市政の公正かつ円滑な執行の確保にあることが窺える。那覇市の定めた条例に基づき、那覇市の機関である各実施機関が処分を行うのであるから、那覇市の市政執行に支障のないようにこれを運用することを原則とし、国や他の地方自治体の行政活動の支障の有無まで通常考慮の対象としないことはけだし当然であり、本件条例の立法者意思もそのような前提に立つものと思われる。乙一九によれば、川崎市の定める情報公開条例(昭和五九年三月三〇日条例第三号)は、非公開事由に係る七条一項三号において「市政執行に関する情報であって、次に掲げるもの」と規定したうえ、アないし力に類型化して個別列挙しているが、その内アイウオは、本件条例六条一項四号アイウエとほぼ同様の文言が用いられていることが認められ、こ 行に関する情報であって、次に掲げるもの」と規定したうえ、アないし力に類型化して個別列挙しているが、その内アイウオは、本件条例六条一項四号アイウエとほぼ同様の文言が用いられていることが認められ、このことから行政執行に関する情報については、川崎市と那覇市とはほぼ同様の立法態度を採り、川崎市においてはより明瞭に条例に「市政執行に関する」との文言を盛り込んだものということができる。 (二) 本件条例六条一項四号オは、「その他公開することにより、行政の公正かつ円滑な執行に著しい支障を及ぼすことが明らかな情報」と規定している。乙一(解釈・運用基準)八一頁には、右規定の趣旨につき、「行政が日々変化し、多様化、複雑化している中で、本号アからエに掲げるもののほかにも予測困難な情報があると考えられるところから、行政の公正かつ円滑な執行に支障を及ぼすことが明らかな情報について、適用除外事項として規定したものである。」と記載されている。 右規定の趣旨からも明らかなように、四号オは、アないしエにおいて類型化した条項を補完する規定であるが、「解釈に当たっては他項目の管轄内容、範囲等を十分考慮するとともに、安易に本項目を拡大適用することがないよう注意しなければならない。」「本項目に該当するとして非公開にするためには、那覇市情報公開諾否調整委員会の意見を聴くなど、慎重に対応するものとする。」(乙一(解釈・運用基準)八一頁)などの記載からも明らかなように、オの適用範囲を極めて厳格に限定しようとする立法者の意思が窺われる。これに照らすと、四号オの規定は、「行政」とは市政に限られるものと解するのが相当であり、国等の行政をも含む行政一般を指すものと解すべきではない。 もっとも、本件条例は、六条一項四号を、原則として市政の公正かつ円滑な執行の確保を図ることを目的とする規定であ るものと解するのが相当であり、国等の行政をも含む行政一般を指すものと解すべきではない。 もっとも、本件条例は、六条一項四号を、原則として市政の公正かつ円滑な執行の確保を図ることを目的とする規定であるとの基本的立場に立ったうえで、個々的に検討して具体的な必要性があると認められる場合に限って、一定の要件の下で、国等の行政活動を保護する趣旨の規定も盛り込んでいる。例えば、(1)アは、「市の機関内部若しくは機関相互間又は市の機関と国等の機関との間における審議、検討、調査等の意思決定過程において作成し、又は取得した情報であって、公開することにより、公正又は適正な意思決定に著しい支障を生じるおそれのあるもの」と規定している。右規定は、市の機関と国等の機関との間における意思決定過程において取得等した情報も対象としており、乙一(解釈・運用基準)六七頁においては、「市の機関としての意思決定は終了していても、国等の最終的な意思決定が得られていないもの」も含まれるとの見解を示していることから、那覇市との間での共通の行政目的に向かって行政意思を決定していくような場面においては、国等の公正又は適正な意思決定も、情報公開によって妨げられないように保護したものと解される。(2)イは、「市の機関又は国等の機関が行う検査、監査等の計画及び実施細目、入札の予定価格、試験の問題、交渉の方針、争訟の方針等の事務又は事業に関する情報であって、当該事務又は事業の性質上公開することにより、当該事務又は事業の公正又は適正な執行を妨げるおそれのあるもの」と規定している。本来その性質上公開に馴染まない「事務又は事業」については、市の機関のみならず「国等の機関が行う」ものも対象としていることは文理上明らかであり、そのような性質を持つ行政事務については、国等が行う場合もその公正又は適正な執 染まない「事務又は事業」については、市の機関のみならず「国等の機関が行う」ものも対象としていることは文理上明らかであり、そのような性質を持つ行政事務については、国等が行う場合もその公正又は適正な執行が、情報公開によって妨げられないように保護したものである。(3)エは、「行政上の義務に違反する行為の取締り又は犯罪の捜査に関する情報であって、公開することにより、個人の生命、身体、財産等の保護、犯罪の予防又は捜査その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすと認められるもの」と規定している。右規定の趣旨は、乙一(解釈・運用基準)七八頁によれば、「義務違反や犯罪等の反社会的行為から市民生活の安全性を確保するとともに、社会の秩序維持に着目して、公開することにより、これらに支障を及ぼすと認められるものについては、非公開とする」というものである。犯罪の捜査等は、国の機関である検察庁、警察庁又は都道府県の機関である警察等が行うものであって、那覇市には捜査機関はないから、右の規定は、国等の犯罪の捜査等に係る行政活動を保護しているものということができる。 しかしながら、本件条例が、右のとおり個別的に検討のうえ具体的な必要性があると認められる場合には、国等の行政活動を保護する趣旨の規定も盛り込んでいるからと言って、そのことの故に四号オの規定の「行政」が、国等の行政を含む行政一般を指すものと解することはできない。 (三) 原告は、右のように解すると、本件条例には、公開により国及び他の地方公共団体の行政一般の公正かつ円滑な執行に著しい支障を生じることが明らかな情報が記録されている公文書に関する非公開事由の定めが存しない結果となり、本件条例は、常にこれに基づく情報の公開によって関係分野における国の行政の適正・円滑な執行を阻害する可能性を内包していることになり、この されている公文書に関する非公開事由の定めが存しない結果となり、本件条例は、常にこれに基づく情報の公開によって関係分野における国の行政の適正・円滑な執行を阻害する可能性を内包していることになり、このような条例は憲法九四条、地方自治法一四条一項の趣旨に反すると主張する。 しかしながら、(二)で見たように、本件条例は、具体的な必要性があると認められる場合には、国等の行政活動を保護する趣旨の規定も盛り込んでおり、その結果国等の行政活動との調整は相当な範囲で可能であること、仮に、原告が主張するような条例上の欠缺があるとしても、そもそも地方自治体の情報公開決定において実施機関が国等の行政活動一般の支障の有無を常に判断しなければならないということ自体に疑問があるうえ、そのことはむしろ地方自治体における情報公開制度と国等の行政活動との調整の手続、要件を定めた情報公開に関する法律が未だ整備されていないことに起因するものと考えられることに照らすと、四号オの規定する「行政」とは市政に限られるという解釈を採ったからといって、本件条例が憲法九四条、地方自治法一四条一項の趣旨に反するということはできない。 2 また、前記七において検討したとおり、本件図書に記載された情報は要保護性を欠くから、本件図書が公開されても防衛行政の公正かつ円滑な執行に著しい支障が生じるとも認められない。 一一結論以上のとおり、本件各訴えは不適法であり却下を免れないばかりか、本案についてもいずれも理由がないものというべきである。 (裁判官稲葉耶季生島弘康伊元啓)別紙図面(一)~(七)、各部屋面積計算表、各部屋面積対比表(省略)文書目録一建築基準法一八条二項の規定に基づき那覇防衛施設局長が昭和六三年一二月六日に那覇市建築主事へ通知した建築工事計画通知書及び左記の同添付図書記二 屋面積計算表、各部屋面積対比表(省略)文書目録一建築基準法一八条二項の規定に基づき那覇防衛施設局長が昭和六三年一二月六日に那覇市建築主事へ通知した建築工事計画通知書及び左記の同添付図書記二建築基準法一八条二項の規定に基づき那覇防衛施設局長が昭和六三年一二月六日に那覇市建築主事へ通知した建築工事計画通知書添付の前記図書目録記載の図書のうち、図書番号3ないし5、7の1ないし3、8の1及び2、9、14、17ないし20、23、25、26、28、29、33、35の図書
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