主文 1 被告らは,原告らそれぞれに対し,各自,金4436万4269円及びこれに対する平成13年4月24日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は,これを10分し,その7を被告らの負担とし,その余を原告らの負担とする。 4 この判決は,1項及び3項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求被告らは,原告らそれぞれに対し,各自,金6187万8925円及びこれに対する平成13年4月24日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は,被告らから暴行を受けて死亡したAの両親である原告らのそれぞれが,被告らに対し,Aか相続した被告らの共同不法行為による損害賠償請求権及び原告ら固有のそれに基づき,各自,逸失利益,慰謝料及び弁護士費用等の合計6187万8925円及びこれに対するAの死亡した日である平成13年4月24日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 2 基礎となる事実(証拠を付さない事実は,当事者間に争いがない。)(1) 当事者等ア Aは,福岡県太宰府に在住し,平成13年4月22日に行われる予定であった婚約者Bとの結納に備えて来阪していたところ,後記(2)の本件暴行事件により,同年4月24日,26歳で死亡した者である。 原告らは,Aの両親である。 イ 被告C及び被告Dは,被告Cの母が被告Dの母の妹に当たるいとこ同士の関係にある。 (2) 本件暴行事件Aは,平成13年4月22日午前0時55分ころ,大阪市a区b町c番d号所在の梅田楽天地ビル1階バーE側路上(以下「本件現場」という。)において,被告らから暴行を受けた(以下「本件暴行事件」という。)。 の後,Aは,同月24日午前1時27分ころ,同市e区 a区b町c番d号所在の梅田楽天地ビル1階バーE側路上(以下「本件現場」という。)において,被告らから暴行を受けた(以下「本件暴行事件」という。)。 の後,Aは,同月24日午前1時27分ころ,同市e区fg丁目h番i号所在の大阪市立総合医療センターにいて,急性硬膜下血腫により,死亡した。 3 争点(1) 被告らのAに対する共同不法行為責任の有無ア 関連共同性の有無イ 正当防衛の成否ウ 被告らの暴行とAの死亡との間の因果関係(2) 原告らの損害額(3) 過失相殺の成否 4 争点に対する原告らの主張(1) 共同不法行為責任の有無(争点(1))についてAは,平成13年4月21日,久しぶりに一緒に酒を飲もうと持ちかけたAの友人ら及びBと梅田の焼肉店飲食した後,Aの友人の一人であるFとでさらに飲食をし,その後,Aの宿泊先のホテルへ戻るため,Fともに歩き出した。 被告らは,共謀の上,同月22日午前0時55分ころ,Aの所持品を奪う目的で,A及びFが本件現場を通かかった際,被告Dにおいて,いきなり後方からAの肩にぶつかっていき,ぶつかったことを謝りもせず,に対し,「なんじゃ,こらぁ。」と文句を言った。Aは,被告Dに対して言い返したところが,被告Dは,Aの葉が大阪弁ではなかったため,さらに,Aに対し,「どこの言葉をしゃべってんねん。英語しゃべるな。日語しゃべれ。」などとAを侮辱する言葉を投げかけた上,先んじてAに殴りかかり,Aと被告Dとの間で殴合いとなった。 被告Cは,当初は「やめとけ,やめとけ」などと言っていたが,Fが「やめてくれ」などと言いながらAと被告Dのけんかを止めようとすると,Fに暴行を加えるなどしてこれを妨害した。 被告Cは,馬乗りになって被告Dを押さえつけていたAの左上顎部を,殺意を持って,いきなり右足で回蹴りし,Aを路上に仰向けに転倒させた上 んかを止めようとすると,Fに暴行を加えるなどしてこれを妨害した。 被告Cは,馬乗りになって被告Dを押さえつけていたAの左上顎部を,殺意を持って,いきなり右足で回蹴りし,Aを路上に仰向けに転倒させた上,被告Dとともに,頭部を強打し意識を失って動かなくなったAに対し,殺意を持って,頭部及び顔面を執拗に足蹴りにしたり,胸部を踏みつける暴行を加えた。 被告Cは,現場から逃走する際にAのセカンドバックを窃取したが,セカンドバック内に金目のものがなかったため,これを川に投棄した。 Aは,被告らが逃走した後,救急車によって医療法人行岡医学研究会行岡病院へ搬送されたが,検査結果,同病院では治療ができないことが判明し,大阪市立総合医療センターに搬送されて血腫の除去の治療を受けたが,広範囲の硬膜下血腫が生じており,意識が回復しないまま,同月24日午前1時27ころ,被告らの暴行に基づく急性硬膜下血腫により,死亡した。 ア 関連共同性の有無について以上のとおり,Aは,被告らの共謀に基づく暴行によって殺害されたものであるから,被告らの所為には観的関連共同性があり,仮に被告らに共謀がなかったとしても,被告らの所為には客観的関連共同性がある。 イ 正当防衛の成否について前記事実経過からすれば,被告らに対する急迫不正の侵害は存在せず,被告らに防衛の意思はなかったものというべきであるから,被告らの所為について正当防衛ないし過剰防衛は成立しない。 ウ 被告らの暴行とAの死亡との間の因果関係についてAの致命傷が被告Cの足蹴り以降の暴行によって発生し,Aの死亡が被告らのいずれの暴行によるものか不明であったとしても,遅くとも被告Cの足蹴りの時点までに,被告らの間で暴行の共謀が成立してい以上,被告らの共同不法行為の結果によってAの致命傷が発生したことは明らかであるから,被告らの行とAの死 か不明であったとしても,遅くとも被告Cの足蹴りの時点までに,被告らの間で暴行の共謀が成立してい以上,被告らの共同不法行為の結果によってAの致命傷が発生したことは明らかであるから,被告らの行とAの死亡との間に因果関係があることは明らかである。 (2) 損害額(争点(2))についてア Aの損害 1億0598万3884円損害費目金額内訳等治療費\246,570 行岡病院\9,570大阪市立総合医療センター\237,000葬祭費\5,095,450 葬儀費用\1,647,950墓地永代使用料及び管理費\1,840,080墓石彫刻費\105,000埋葬手続料及び納骨作業料\10,500仏壇購入費\1,050,000本尊等購入費\60,000遺体運搬料\381,920逸失利益\70,610,364 (計算式)\6,804,900*(1-0.4)*17.294平成13年度賃金センサスによる年収(男子大学卒全年齢平均)\6,804,900生活費控除率40%67歳までの就労可能年数(41年)に対応するライプニッツ係数17.294その他の財産損害\31,500 被告Cが窃取し投棄したAの鞄\10,000上記鞄在中の印鑑\10,000上記鞄在中の航空券\10,000慰謝料\30,000,000合計\105,983,884 原告らに各\52,991,942なお,Aは,本件暴行事件の当日,Bと結納を取り交わす予定であり,将来,配偶者及び親族を扶養する蓋然性が非常に高かったところ,その生活費控除率は,一家の支柱に準じた40%とすべきである。 イ 原告ら固有の損害各685万3650円損害費目金額内訳等交通費各\14,080 原告らが平成13年4月22日にAと会うために要したもの(博多新大阪間片道)犯人探しに要し きである。 イ 原告ら固有の損害各685万3650円損害費目金額内訳等交通費各\14,080 原告らが平成13年4月22日にAと会うために要したもの(博多新大阪間片道)犯人探しに要した費用各\1,839,570 懸賞金各\1,500,000チラシ作成費及び立看板作成復旧費各\283,250犯人探しのための交通費(博多新大阪間2往復)各\56,320慰謝料各\5,000,000合計各\6,853,650ウ 弁護士費用各300万円エ 犯罪被害者等給付金支給分の控除各96万6667円原告らは,本件暴行事件につき,福岡県公安委員会より犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律基づき,各96万6667円の支給を受けた。 (3) 過失相殺(争点(3))について本件暴行事件の発端は,被告DがAとしては避けようのない後方から,財物を奪う目的を持って因縁を付けるために,故意に肩をぶつけたことにある。そして,被告Dは,肩をぶつけたことをAに謝罪しないばかか,Aを手ひどく侮辱した上,Aが抵抗しなくなった後も暴行を加えており,当初からAに攻撃を加える意思と準備を有し,かつ,殺意を持っていたものである。さらに,Aの死亡の直接の原因が1対1の段階でない被告Cの参加後の暴行であることからすれば,Aが被告Dに殴りかかったことをもって過失相殺されるわれはない。 5 争点に対する被告Cの主張(1) 共同不法行為責任の有無(争点(1))について本件暴行事件は,被告Dの右肩がAの左肩とぶつかったことに端を発するが,2人は,にらみ合いを経てすぐに口論を始め,その際,Aの博多弁を聞いた被告Dから「英語しゃべるな。日本語しゃべれ。」と言われて立腹したAが被告Dの顔面を一発殴り,これに対し,被告DがAを殴り返したため,2人はつかみ合の喧嘩になった。 被告D その際,Aの博多弁を聞いた被告Dから「英語しゃべるな。日本語しゃべれ。」と言われて立腹したAが被告Dの顔面を一発殴り,これに対し,被告DがAを殴り返したため,2人はつかみ合の喧嘩になった。 被告Dは,この喧嘩が始まって間もなく,Aの力に押されて道路脇の建物の壁に体を押しつけられ,優勢なAから殴られるのを防ごうとする状態となった。かかる状況の下,Fが2人を制止するために近づいたがこれをAへの加勢と誤解した被告Cが,Fの後頭部右側を平手で2回叩いたため,それ以上にFも2人を制止しなかった。被告Cは,その後一旦携帯電話に出た後,様子を見ると,依然,Aが被告Dを殴っていたため,Aを制止すべくその右腕の服を引っ張ったが,これを被告Dへの加勢と誤解したFが妨害したため,被告Cも2人を制止するのをやめた。被告Cは,携帯電話で仲間を呼ぶ振りをすればAが驚いて喧をやめるかもしれないと思いつき,携帯電話をかける振りをしたところ,この様子を見たFは,警察を呼ぶべくその場を離れて近くの店へ駆け込んだが,依然,Aが被告Dに対する暴行を加え続けたため,被告は,再度,Aの右腕の服を引っ張って制止しようとしたが,Aは,それでも暴行をやめなかった。 その後,被告Dが一方的に殴られる状況となった上,被告Dの上に馬乗りになったAが被告Dの頭を道へぶつける等の暴行を加え続ける状態となったところ,このままでは被告Dが大怪我をすると考えた被告Cは,Aの暴行を制止すべくAの鼻から口にかけての部分を右足で1回蹴った。 なお,被告Cは,被告Dが本件現場に落とした鞄を拾おうとした際に偶々目に入ったAのハンドバッグを一緒に持ち去っただけであり,当初からAの所持品を奪う目的など有していない。 ア 関連共同性の有無について以上のとおり,被告らには共同してAに対して暴行を加える意思などなく,また,被告らの ドバッグを一緒に持ち去っただけであり,当初からAの所持品を奪う目的など有していない。 ア 関連共同性の有無について以上のとおり,被告らには共同してAに対して暴行を加える意思などなく,また,被告らの所為には共同法行為の要件たる関連共同性もない。 イ 正当防衛の成否について被告Cは,Aを蹴った際に殺意などなく,また,被告Cは,Aが被告Dに対して執拗に暴行を加えていため,このままでは被告Dの生命・身体に重大な損害が発生すると考え,やむを得ずAを蹴ったものであるから,被告Cの行為には正当防衛が成立する。 ウ 被告らの暴行とAの死亡との間の因果関係についてAの死因は明らかではなく,被告らのいずれの行為によって致命傷を負ったのか不明である以上,被告の行為とAの死との間には因果関係がない。被告Cは,自己の行為によって生じた損害についてのみ責任を負うべきところ,被告Cについては,Aの顔面を蹴ったことによって生じた損害についてのみ不法行責任が問題とされるべきである。 (2) 損害額(争点(2))について不知ないし否認ないし争う。 Aに対して適用されるべき生活費控除率は,Aが独身である以上,50%である。 (3) 過失相殺(争点(3))についてAは,被告Dに対し,執拗かつ一方的な暴行を加えているところ,前記(1)イ記載の事情によれば,被告Cの行為には少なくとも過剰防衛が成立するから,相当程度の過失相殺がなされるべきである。 6 争点に対する被告Dの主張(1) 共同不法行為責任の有無(争点(1))について本件暴行事件は,Aの肩と被告Dの肩が偶然当たったことに端を発するが,Aがわざと肩をぶつけてきたと思った上,Aがにらんできたため,絡まれたと思った被告Dが,Aに文句を言ったところ,Aが博多弁をくし立ててきたため,Aに対し,「英語しゃべるな。日本語しゃべれ。」と言い ,Aがわざと肩をぶつけてきたと思った上,Aがにらんできたため,絡まれたと思った被告Dが,Aに文句を言ったところ,Aが博多弁をくし立ててきたため,Aに対し,「英語しゃべるな。日本語しゃべれ。」と言い返した。これに対し,Aが被告Dの顔面をいきなり1発殴ってきたため,被告DもAを一発殴り返し,2人は,その後つかみ合いの喧嘩になった。 被告Dは,喧嘩が始まってすぐに,Aに押されて道路脇の建物の壁に体を押しつけられ,Aに対して防するのが精一杯の状態となったところ,圧倒的優位に立つAは,被告Dに対して執拗な攻撃を加え続け足を滑らせて仰向けに転倒した被告Dの上に馬乗りになっては,被告Dの頭を地面に叩き付けるなどの暴行を加えた。 被告Dは,この間,被告C及びFの行動を認識していなかったが,気が付くとAが仰向けに倒れていたため,Aが再び起き上がり攻撃してくるかもしれないという恐怖感から,Aに対し,その場で蹴ったりAの上乗って殴るなどの暴行を加えたが,周囲にいた野次馬の一人に制止されたため,被告Cとともに,本件現場を立ち去った。 なお,被告CがAのハンドバッグを持ち去ったことについて,被告Dが初めてこれを知ったのは,本件現から立ち去った後であり,被告Dには関係のないことである。 ア 関連共同性の有無について以上のとおり,被告Dの認識は終始単独で暴行していたというものであり,被告Cと共同してAに対して暴行を加える意思などなかった。 イ 正当防衛の成否について被告Dの行為は,自己の生命・身体を防衛するための相当な行為であり,正当防衛が成立する。 ウ 被告らの暴行とAの死亡との間の因果関係についてAは,後方へ転倒してその後頭部中央を地面に強打したため死亡したものであるが,被告DがAに対し加えた暴行によってAが後方へ転倒することはなく,被告Dの暴行とAの死亡との間には因 の間の因果関係についてAは,後方へ転倒してその後頭部中央を地面に強打したため死亡したものであるが,被告DがAに対し加えた暴行によってAが後方へ転倒することはなく,被告Dの暴行とAの死亡との間には因果関係がない。 Aが死亡した結果は,被告Cの行為によって生じたものであるから,被告Dが負うべき責任は,Aが被っ損害のうち,被告CがAを最初に蹴った行為によって生じた損害を除いた範囲内に限られる。 (2) 損害額(争点(2))について不知ないし否認ないし争う。 本件暴行当時,Aが職を有していた以上,逸失利益の算定に当たっては,実際の収入を基礎とすべきある。 また,Aが独身である以上,Aに対して適用される生活費控除率は,50%である。 (3) 過失相殺(争点(3))について本件暴行事件は偶発的な喧嘩である上,被告Dは途中から一方的にAの暴行を受けており,相当程度過失相殺がなされるべきである。 第3 当裁判所の判断 1 事実経過について(1) 第2,2の事実,証拠(甲11ないし26,29,30,33,34,乙1ないし8,11,13,丙1ないし3,被告本人)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ア 本件現場に至るまでのAら及び被告らの行動(甲11,12,18,24,26,29,乙4,5,13,丙1,3,論の全趣旨)被告らは,被告Dの整骨院への就職祝いとして酒を飲むこととし,平成13年4月21日午後9時すぎころ梅田で待ち合わせをして,居酒屋へ行き,そこで,被告Cはビール中ジョッキ2杯程度,被告Dはビールジョッキ2杯程度と焼酎を飲んだ後,同日午後11時ころ,この居酒屋を出て,j近くのキャバクラへ赴き,所で,被告Cはグラスビール2杯程度,被告Dは焼酎2,3杯を飲んで,同月22日午前0時40分ころ,こキャバクラを出た。その際,被告らは,被告Cの自宅へ行 ,この居酒屋を出て,j近くのキャバクラへ赴き,所で,被告Cはグラスビール2杯程度,被告Dは焼酎2,3杯を飲んで,同月22日午前0時40分ころ,こキャバクラを出た。その際,被告らは,被告Cの自宅へ行く話となったため,タクシーを拾うために,阪急田駅の方向へ歩き始めた。 Aは,平成13年4月21日,翌日に予定されていたBとの結納に備えて福岡から来阪していたが,友人らから久しぶりに一緒に酒を飲もうと持ちかけられ,同日午後9時ころから,その友人ら及び遅れて来たBともに梅田にある焼肉店「k」及び居酒屋「l」で飲食し,その際,生ビール中ジョッキ2杯及びFと2人で日本酒2合を飲んだ後,同日午後11時すぎ,その居酒屋を出て,F以外の友人らやBと別れた。AとFは,さに居酒屋「m」で日本酒4合程度を注文したが,「l」で酒を飲んでいたことなどから,その半分以上を残し同月22日午前0時45分ころには「m」を出て,Aの宿泊先のホテルのある阪急梅田駅の方向へ向かって歩き始めた。 イ 本件暴行事件の発端(甲11,12,15ないし20,24,26,29,30,33,34,乙1,4ないし8,13,丙ないし3,被告D本人,弁論の全趣旨)AとFは,前記「m」を出た後,大阪市a区b所在の梅田楽天地ビルの南側の道路の2段高くなったタイル張りの通路部分を,Aが先頭の縦列の状態で,西へ向かって歩いており,他方,被告らは,前記キャバクラから出た後,被告Dが上記通路部分を,被告Cが被告Dの左斜め後方2,3メートルの位置で上記通路部分の南側のアスファルト部分を,西へ向かって歩いていたところ,被告Dの右肩がFの左後方から右前方へと横切る形でAの左肩にぶつかった。 被告Dは,Aからにらみ付けられ,Aをにらみ返しながら「なんじゃあ,こりゃ。」と文句を言ったところ,Aが,ぶつかってきたのは被告Dの方であ がFの左後方から右前方へと横切る形でAの左肩にぶつかった。 被告Dは,Aからにらみ付けられ,Aをにらみ返しながら「なんじゃあ,こりゃ。」と文句を言ったところ,Aが,ぶつかってきたのは被告Dの方であると博多弁で言い返してきたため,被告Dは,「英語しゃべるな日本語しゃべれ。」などとAに言い返した。これに立腹したAは右手拳で被告Dの左顔面を1発殴った。 れに対し,被告DもAの顔面を手拳で殴り返したため,被告D及びAは,お互いに胸ぐらをつかみ合うなして,もみ合いの状態となり,そのままの状態で上記アスファルト部分へ移動した後は,その場で殴り合いの状態となった。 ウ 本件暴行事件の経過(甲11,12,15ないし20,24ないし26,29,30,33,34,乙1ないし8,13,1ないし3,被告D本人,弁論の全趣旨)(ア) Fは,被告DとAとの喧嘩を止めようと両名の間へ割って入るべく近づいたが,FがAの加勢に入るとった被告Cは,「どこいくんじゃ。」と言いながら,Fの後頭部を,後ろから手で2回叩いた(甲11,12,15いし18,29,30,34,乙1,4ないし7,13,弁論の全趣旨)。 (イ)そのころ,殴り合いの状態のまま本件現場南側のパチンコ店の壁際まで移動した被告DとAは,A被告Dの頭をヘッドロック様に固定して殴ったり,被告DがAを殴り返すなどしていた。この時点で,被告は顔面が腫れ上がって顔面全体に血が付着した状態となっており,Aも口から血を流していたが,両名依然として喧嘩を止めなかった。(甲12,18,25,26,29,乙1,6,7,13,丙1,被告D本人,弁論の全趣旨)(ウ) 他方,被告Cも,被告DとAとの喧嘩を制止するためAに近づこうとしたが,これを被告Dへの加勢とえたFは,Aと被告Cの間に割って入り,これを止めた。 そこで,被告Cは,被告らがやく の全趣旨)(ウ) 他方,被告Cも,被告DとAとの喧嘩を制止するためAに近づこうとしたが,これを被告Dへの加勢とえたFは,Aと被告Cの間に割って入り,これを止めた。 そこで,被告Cは,被告らがやくざであると見せかければ,Aが驚いて喧嘩が止まると考え,所携の携帯話で「事務所から人を4,5人呼んでくれ。」などと電話を架ける素振りをしたが,なお両名の喧嘩は止まなかった。(甲18,乙1,2,4,6,7,13,弁論の全趣旨)(エ) Fは,被告Cが加勢を求めるがごとき電話をする様子を見て,周囲に集まっていた野次馬に警察をんで欲しいと頼んだが,誰も警察に連絡してくれなかったため,警察への連絡を頼むべく,本件現場を離れ,前記「m」へ行った(甲11,12,18,29,乙1,2,4,6,7,13,弁論の全趣旨)。 (オ) Fが本件現場を離れた後,Aと被告Dを引き離そうと思った被告Cは,Aの右腕を引っ張ったが,そでも両名の喧嘩は止まらなかった。その時,被告Cの携帯電話に交際中の女性から電話がかかってきたため,被告Cは両名に背を向けてこれに応対した(甲18,乙1,2,13,弁論の全趣旨)。 (カ) 被告Cが電話に応対していた間に,被告Dは,本件現場にあった金属製の板で足を滑らせてバランを崩して仰向けに倒れ,Aが被告Dの身体の上に馬乗りの状態となった。この状態の下,Aは,上から被告Dの顔面を殴打するなどし,これに対して被告Dが下から殴り返すなどして応戦していた。(甲15,1618ないし20,24,26,33,乙1,2,4,5,8,13,丙1ないし3,被告D本人,弁論の全趣旨)(キ) 電話の応対を終えた被告Cは,被告DとAとの喧嘩の状況に見たところ,被告Dが劣勢であったためAへの腹立ちもあり,「お前,ええ加減しつこいんじゃ。」などと言いながら,右足でAの顔面を回し蹴りにた キ) 電話の応対を終えた被告Cは,被告DとAとの喧嘩の状況に見たところ,被告Dが劣勢であったためAへの腹立ちもあり,「お前,ええ加減しつこいんじゃ。」などと言いながら,右足でAの顔面を回し蹴りにたところ,Aは,その場で後方に倒れて動かなくなった(甲15,16,18ないし20,24,26,33,乙1ない5,7,8,13,弁論の全趣旨)。 (ク) 馬乗りされていた状態から解放された被告Dは,起き上がった後,「もうどうなってもええ。」と言いならAの顔面を蹴り始めたが,この直後,今まで被告Dが劣勢だったためAに立腹していた被告Cも,Aの部を1回足蹴りにした。さらに被告Dは,「俺が何をしたんや。」と言いながらAの頭部ないし顔面を両足で複数回,蹴ったり踏みつけたりした。(甲15ないし19,24ないし26,33,34,乙1ないし8,13,丙1ないし3,弁論の全趣旨)エ 被告らの本件現場から逃亡する前後の行動(甲11,12,15ないし18,20ないし26,29,33,乙1,ないし8,13,被告D本人,弁論の全趣旨)被告Dは,本件現場にいた野次馬に止められ,被告Cからも「もういいやんか。」などと言われたため,Aの暴行を止めた。 その後,被告Cは,被告Dとともに本件現場から逃走する際,路上にあった被告Dの鞄を拾うとともに,その隣にあった印鑑及び航空券の入っていたAの手提げ鞄を持ち去り,これを川へ投棄した。被告CがA手提げ鞄を持ち去ったことを被告Dが知ったのは,被告らが被告Cの事務所に到着したときであった。 オ Aの死亡(甲13,14,24,乙11,13,弁論の全趣旨)Aは,被告らの逃走後,本件現場に着いた救急車で病院へ搬送され,搬送先及び転送先の各病院で治療等を受けたが,その意識は回復せず,平成13年4月24日午前1時27分ころ,頭部打撲に基づく急性硬膜下血腫に は,被告らの逃走後,本件現場に着いた救急車で病院へ搬送され,搬送先及び転送先の各病院で治療等を受けたが,その意識は回復せず,平成13年4月24日午前1時27分ころ,頭部打撲に基づく急性硬膜下血腫により死亡した。 以上の事実が認められる。 (2)ア これに対し,原告らは,被告らが,共謀の上,Aの所持品を奪う目的で,被告Dにおいて,わざとAにぶつかっていった上,Aが手を出す前にAに殴りかかった旨主張し,Fも,本件暴行事件の刑事手続び陳述書において,被告DがAに相当強くぶつかったためAがよろけたり,被告Dが先に手を出したとして,これに沿うかのような供述をしている(甲11,12,29,乙6)。 しかし,前記認定事実のとおり,被告Dが,Aと肩がぶつかった後,Aと口論した結果,喧嘩に至ったとい経緯がある。被告Dは,被告Cの事務所に着くまではAの手提げ鞄の存在すら認識しておらず,他方,被告Cも,当初は被告DとAとの喧嘩を止めようとしていたのである。 被告DもAも本件現場に至るまでに,相当量を飲酒していたのであり,両名がぶつかった際にAがよろけることも十分ありうるから,上記F供述をもって,被告DがAにわざとぶつかったとは認められない。先に手を出したのが誰かという点についても,Fは,当初は被告Dであると供述しながら(乙6),後にほぼ同時であったなどと供述を変遷させている(甲11,12,29)一方,被告らは一貫してAが先に殴りかかったと供している(甲19,26,乙1,4,5,8,丙1)ことに鑑みれば,被告Dが先に手を出したとのFの供述は,こを採用することはできず,前記認定は覆されない。 イ また,原告らは,被告らがAに対して殺意を持って暴行を加えた旨主張する。 確かに,被告Cの暴行態様は,Aの身体の枢要部分である顔面を回し蹴りにするという危険なものでありAが倒れた後に 覆されない。 イ また,原告らは,被告らがAに対して殺意を持って暴行を加えた旨主張する。 確かに,被告Cの暴行態様は,Aの身体の枢要部分である顔面を回し蹴りにするという危険なものでありAが倒れた後にその腹部を足蹴りにしたというものである。また,被告Dの暴行態様は,Aが倒れた後,身体の枢要部分である頭部ないし顔面を両足で複数回にわたって蹴ったり踏みつけたりするという危険なのである。 しかし,被告Cの暴行は,2回の足蹴りにとどまっている上,被告Cが当初は被告DとAとの喧嘩を止めよとしていたことをも勘案すると,被告Dが劣勢であるという状況の下,被告CがAに腹を立て,上記のよう暴行を加えたからといって,被告Cに殺意があったとまでは認められない。被告Dにおいても,前記のよな喧嘩の態様に照らせば,Aと殴り合っていた時点では到底殺意があったとは認められないし,Aが倒れた後の被告Dの暴行についても,その直前まで被告Dが劣勢であったことに憤激して執拗な暴行になったことは認められるものの,Aが倒れる前の殴り合いの延長というべきものであるから,被告Dに殺意があったとまでは認められない。 ウ そして,他に前記認定を覆すに足りる証拠はない。 2 共同不法行為責任の有無(争点(1))について(1) 関連共同性について前記認定事実のとおり,被告Cは,Aの顔面を回し蹴りにしただけでなく,Aがその場で倒れて動かなくなった後も,被告Dが劣勢であったことに腹を立ててAへ暴行を加えているところ,この回し蹴りの後,被告Dも腹立ち紛れにAへ暴行を加えたというのであるから,少なくとも被告Cの回し蹴り以降の被告らの暴行については,主観的関連共同性があったものと認められる。 そして,Aは,その顔面を被告Cから回し蹴りされる前には,被告Dと殴り合いするなどの状態にあったものの,意識は明瞭であり, り以降の被告らの暴行については,主観的関連共同性があったものと認められる。 そして,Aは,その顔面を被告Cから回し蹴りされる前には,被告Dと殴り合いするなどの状態にあったものの,意識は明瞭であり,しかも,前記認定のとおり,被告Dとの喧嘩を優勢に進めていたのであるから被告Cの回し蹴り以前の被告Dの暴行によってAが死因である頭部打撲に基づく急性硬膜下血腫に直する傷害を負っていたとは認められず,かかる致命傷は,被告Cの回し蹴り以後の被告らの暴行によっ生じたものと認められる。 また,被告らは,本件暴行事件の前日の午後9時過ぎから飲食するなどして行動を共にしていた上,被DとAとが喧嘩となった後には,被告Cは,この喧嘩を断固として制止しようとすることなく,かえって,被告DとAとの喧嘩を制止するべく,間へ割って入ろうとしたFに対し,「どこいくんじゃ。」と言いながらFの後部を後ろから手で2回叩き,また,被告らがやくざであると見せかけるために,所携の携帯電話で「事務所から人を4,5人呼んでくれ。」などと電話を架ける素振りをするなどして,客観的には被告Dの行為を助する行動をとり,被告DとAとの喧嘩で劣勢の被告Dを援助するために,「お前,ええ加減しつこいんじゃ。」などと言いながら,右足でAの顔面を回し蹴りにし,さらに,Aの腹部を1回足蹴りにしたというのである。 これらの行為を総合的にみれば,被告Cと被告Dの行為は社会的に1個の行為とみることができ,上記の喧嘩闘争及びこれに付随する一連の行為には,全体として主観的関連共同性があるというべきであり,なくとも客観的関連共同性があることは明白である。 したがって,被告らは,Aの死亡によって発生した損害につき,共同不法行為責任を負う。また,Aの手げ鞄を持ち去った被告Cがこの点について不法行為責任を負うことは明白であるが,上記の ることは明白である。 したがって,被告らは,Aの死亡によって発生した損害につき,共同不法行為責任を負う。また,Aの手げ鞄を持ち去った被告Cがこの点について不法行為責任を負うことは明白であるが,上記の喧嘩闘争行為及びこれに付随する一連の行為に上記のような関連共同性が認められる以上,被告CがAの手提げを持ち去ろうとした時点で,被告DがAの手提げ鞄の存在を認識していないとしても,被告Dは,被告CAの手提げ鞄の持ち去りによって発生した損害についても共同不法行為責任を負うものというべきである。 (2) 正当防衛の成否について被告らは,各々の暴行が,被告Dの生命・身体を防衛するための相当なものであり,正当防衛が成立す旨主張する。 しかし,本件暴行事件は,被告Dが,Aの後方からぶつかっておきながら,謝ることもなくにらみ付けた上Aを侮辱する発言をしたことに端を発する上,被告Dが意識をなくしたAが倒れた後も執拗に暴行を加えていることなどに鑑みれば,被告Dに防衛の意思があったものとも認められない。 また,被告Cは,被告DとAとの喧嘩を止めるべく,仲間を呼ぶかのごとき電話をする振りをしたり,Aの手を引っ張ったりしている。しかし,被告Cは,Fないし本件現場の周囲に集まっていた第三者に両名の喧を止めるように協力を要請したりすることが容易であったにもかかわらず,このような制止行為をまったく行っていない上,被告Dが劣勢であったため,Aに腹を立てて回し蹴りに及び,Aがその場に倒れた後も,を再度蹴りつけたり,被告Dの執拗な暴行を放任していたことをも勘案すると,被告Cに防衛の意思があたものとも認められない。 (3) 被告らの暴行とAの死亡との間の因果関係について被告らは,各々共同してAに対して暴行を加える意思がなかった旨主張した上,各々の暴行とAの死因頭部打撲に基づく急性硬膜下 ものとも認められない。 (3) 被告らの暴行とAの死亡との間の因果関係について被告らは,各々共同してAに対して暴行を加える意思がなかった旨主張した上,各々の暴行とAの死因頭部打撲に基づく急性硬膜下血腫との間には因果関係がない旨主張する。 しかし,すでに説示したとおり,被告らの行為は,社会的には1個の行為とみることができ,全体として関共同していたというべきであるから,各被告らの行為と損害との間との個別的な因果関係は不要であって,被告らがAの死亡についての共同不法行為責任を負うとの判断は覆されない。 3 損害額(争点(2)及び(3))について(1) Aの財産的損害についてア 治療費証拠(甲2,3)によれば,Aの治療費として合計24万6570円の出捐があったと認められるが,これらは全額,被告らの暴行と相当因果関係の範囲内にある損害と認められる。 イ 葬祭費証拠(甲4ないし9,10の1・2)によれば,Aの葬祭費として合計509万5450円の出捐があったと認めらるが,これらについては,300万円の限度で被告らの暴行と相当因果関係の範囲内にある損害と認められる。 ウ 逸失利益証拠(甲1)及び弁論の全趣旨によれば,Aは,平成13年度賃金センサスによる年収(男子大学卒全年平均)に相当する額の収入を得ていたと認められる。そして,Aが死亡時に男子単身者であった以上,その生活費控除率は50%とするのが相当であり,死亡時の年齢26歳から就労可能年齢67歳までの間の民法所定の年5分の割合による中間利息を控除すれば,被告らの暴行と相当因果関係の範囲内にあるAの逸失利益は,次のとおり,5884万1970円と認められる。 (計算式)680万4900円×50%×17.294これに対し,原告らは,Aが将来配偶者及び親族を扶養する蓋然性が非常に高かったとして,その生活費控除率 のとおり,5884万1970円と認められる。 (計算式)680万4900円×50%×17.294これに対し,原告らは,Aが将来配偶者及び親族を扶養する蓋然性が非常に高かったとして,その生活費控除率を一家の支柱に準じた40%にすべきであると主張する。 しかし,Aの収入によって現に生計を営んでいた者がいない上,不法行為によって死亡した者が一家の支柱である場合に,その逸失利益の算定に当たって適用される生活費控除率が低減される根拠は,当死亡者の収入によって生計を営んでいた者の生活を保護する点にあるのであるから,この点についての原告らの主張は理由がない。 エ その他の財産的損害証拠(甲21ないし23)によれば,被告Cが本件現場からAの手提げ鞄を持ち去って川へ投棄したことにって発生した相当因果関係の範囲内にある損害は,3万1500円であると認められる。 (2) 原告ら固有の財産的損害についてア 交通費原告らが平成13年4月22日にAと面会するために要した,博多から大阪までの交通費各1万4080円(論の全趣旨)は,被告らの暴行と相当因果関係の範囲内にある損害と認めるのが相当である。 イ 犯人探しに要した費用原告らが犯人探しに要した費用各183万9570円(甲27,原告G本人,弁論の全趣旨)は,被告らが本暴行事件の後も約10か月にわたって逃走していたことからすれば,全額,被告らの暴行と相当因果関係の範囲内にある損害と認めるのが相当である。 (3) 慰謝料について(前記1の認定事実,甲18,24,27,28,31,35,乙1,8,13,丙1,原告G本人被告D本人,弁論の全趣旨)本件暴行事件は,被告Dの肩とAの肩とがぶつかったことに端を発するが,後方からぶつかった被告DしてはAに謝るべきであったのに,にらみ付けながら文句を付けた上,Aが言い返してきた言葉をひどく の全趣旨)本件暴行事件は,被告Dの肩とAの肩とがぶつかったことに端を発するが,後方からぶつかった被告DしてはAに謝るべきであったのに,にらみ付けながら文句を付けた上,Aが言い返してきた言葉をひどく辱しているところ,Aがこれに立腹することは十分に理解でき,本件暴行事件の発端につき,被告らに相当な責任があることは明らかである。また,被告Cは,被告DとAとの喧嘩を止めるための手段を尽くすこなく,被告Dが劣勢であったことに立腹し,いきなりAの顔面を回し蹴りにした上,Aが倒れた後もその腹を足蹴りにしているし,被告Dも,Aが倒れた後にその頭部ないし顔面を蹴ったり踏みつけたりという危険な暴行を複数回にわたって加え死に至らしめたものであって,被告らの暴行の態様は悪質なものといわるを得ない。さらに,Aは,Bとの結納を控え,将来の結婚生活への希望に満ちあふれており,Aの両親ある原告らも,息子の将来の幸せを切に願っていたはずである。ところが,不条理にも被告らの暴行によってAの命が奪われた結果,Aにおいては,希望ある未来を断ち切られ,原告らにおいては,これまで慈しみ育ててきた息子の幸せを破壊されたものであって,A及び原告らの苦しみ,無念さそして悲しみは,我々の想像の及ぶところではないであろう。加えて,被告らは,原告らが犯人探しを続けていることを知ながら,約10か月もの間,逃走し続けていた上,被告らがAないし原告らに十分な誠意を尽くしたともい難い。 これらの事情のほか,本件において認められる全ての事情を斟酌すれば,A及び原告らの被った精神的損害の慰謝料は,それぞれ,3000万円及び各500万円と評価すべきである。 (4) 損害額のまとめ以上の次第で,Aの損害額は9212万0040円,原告らの損害額はそれぞれ685万3650円となる。 4 過失相殺(争点(3))について 万円及び各500万円と評価すべきである。 (4) 損害額のまとめ以上の次第で,Aの損害額は9212万0040円,原告らの損害額はそれぞれ685万3650円となる。 4 過失相殺(争点(3))について本件暴行事件の発端について被告らに過半の責任があることは前記のとおりであるが,さりとて,被告Dに先んじて殴りかかった点に何ら非難されるところがないとまでいうことはできない上,Aが被告Cから顔に回し蹴りを受けるまで被告Dとの喧嘩を優勢に進めていたことからすれば,Aがふるった暴行もそれ相応のものであったといわざるを得ず,Aが,被告Cから腕を引っ張られるなど一定の制止行為を受けていたことも看過できない。 これらの事情を斟酌すれば,Aについては自己のものとして,原告らについては被害者側のものとして,それぞれ過失があったといわざるを得ない。 しかし,これらの事情は,相互の喧嘩闘争から生ずることが通常予測される範囲内の損害の過失相殺については,かなりの程度斟酌されるべきであろうが,損害の公平な分担という過失相殺の目的に照らせば,この範囲を超えるAの死という極めて重大な損害の過失相殺についてまで,さほど大きく斟酌するこは相当ではない。 以上に加えて本件に現れた一切の事情を斟酌すれば,原告らの各損失額から,それぞれ2割を過失相殺として控除するのが相当である。 これに対し,原告らは,被告らが当初からAへ暴行を加える意思と準備を有し,かつ,殺意を有していたするが,この事実が認められないことは既に説示したとおりである。また,原告らは,Aの死亡の直接の原因が1対1の喧嘩ではない被告Cの参加後の暴行であることから,過失相殺されるいわれはない旨主張るが,前記認定に係る喧嘩の発端時の経緯や全体を通した喧嘩闘争の態様が,A死亡の結果に影響していることは否定できないから,かかる主張は Cの参加後の暴行であることから,過失相殺されるいわれはない旨主張るが,前記認定に係る喧嘩の発端時の経緯や全体を通した喧嘩闘争の態様が,A死亡の結果に影響していることは否定できないから,かかる主張は認められない。 5 弁護士費用及び認容額のまとめ本件における原告らの弁護士費用のうち被告らが負担すべき額としては,各300万円が相当であるところ,認容額は,次表のとおり,原告ら各々につき4436万4269円となる。 なお,犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律8条1項が損害賠償を受けた価額の限度において犯罪被害者等給付金を支給しないと規定し,同条2項が国が犯罪被害者等給付金を支給したときは,その額の限度においてその支給を受けたものが有する損害賠償請求権を取得すると規定しているところ,同法に基づく犯罪被害者等給付金は,犯罪被害者等が加害者に対して現に請求できる損害賠償を一部も早期に填補するためのものと解されるから,原告らが同法に基づき支給を受けた犯罪被害者等給付金各96万6667円については,過失相殺後の被告らの負担すべき額から損益相殺されるべきである。 ①Aの損害合計\92,120,040(各\46,060,020)②原告ら固有の損害各\6,853,650③原告らの損害の合計額[①+②]各\52,913,670④過失相殺20%⑤被告らの負担すべき額[③*(100%-④)]各\42,330,936⑥犯罪被害者等給付金の控除額各\966,667⑦弁護士費用各\3,000,000認容額[⑤-⑥+⑦]各\44,364,269 6 結論よって,原告らの請求は主文1項の限度で理由があるから,これを認容し,その余の請求は理由がないから,いずれも棄却することとし,訴訟費用の負担につき民事訴訟法65条1項本文,64条本文,61条を,仮執行の て,原告らの請求は主文1項の限度で理由があるから,これを認容し,その余の請求は理由がないから,いずれも棄却することとし,訴訟費用の負担につき民事訴訟法65条1項本文,64条本文,61条を,仮執行の宣言につき同法259条1項を,それぞれ適用して,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第24民事部裁判長裁判官森宏司裁判官真辺朋子裁判官安木進
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