- 1 -主文 原告の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は,原告の負担とする。 事実 及び理由第1請求 東京入国管理局入国審査官が平成18年10月5日付けで原告を出入国管理及び難民認定法24条4号イに該当すると認定した処分を取り消す。 東京入国管理局長が平成18年10月26日付けで原告に対してした出入国管理及び難民認定法49条1項の規定による異議の申出には理由がない旨の裁決を取り消す。 東京入国管理局主任審査官が平成18年10月27日付けで原告に対してした退去強制令書発付処分を取り消す。 第2事案の概要 本件は,フィリピン共和国(以下「フィリピン」という)の国籍を有し,。 「投資・経営」の在留資格で上陸許可及び在留期間更新許可を受けて本邦に在留していた原告が,ホステスとして就労していたため,出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という)24条4号イ(資格外活動)に該当すること。 を理由として,退去強制対象者に該当する旨の東京入国管理局(以下「東京入管」という)入国審査官の認定(以下「本件認定」という)及びこれに誤り。 。 がない旨の東京入管特別審理官の判定(以下「本件判定」という)を受け,。 さらに,法務大臣から権限の委任を受けた東京入国管理局長から入管法49条1項に基づく異議の申出には理由がない旨の裁決(以下「本件裁決」という)を受け,東京入管主任審査官から退去強制令書(以下「本件退令書」と。 いう)の発付処分(以下「本件退令処分」という)を受けたため,本件認定。 。 は資格外活動の認定を誤っており,本件裁決及び本件退令処分は裁量権の逸脱又は濫用により違法である等として,本件認定,本件裁決及び本件退令処分の- 2 -取消しを求めている事案である。 前提事実(争いのない事実並びに掲記の証拠及 件裁決及び本件退令処分は裁量権の逸脱又は濫用により違法である等として,本件認定,本件裁決及び本件退令処分の- 2 -取消しを求めている事案である。 前提事実(争いのない事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)( )当事者等 ア原告は,▲年(昭和▲年)▲月▲日,フィリピンにおいて出生したフィリピン国籍を有する外国人女性である。原告の実父母の所在は不明で,原告は幼少時から養親に養育され,原告の養父は既に死亡しているが,養母及び兄(養母の子)は,フィリピンで生活している(甲1,29,乙1,。 弁論の全趣旨)イ原告は,マニラ市内にある大学に進学したが,妊娠したため大学を中退し,▲年(平成▲年)▲月▲日,長男P1(以下「長男」という)を出。 産し,フィリピンで,自動車のセールス,レストランでの勤務などをして生活していた(甲1,29,弁論の全趣旨)。 ( )原告の以前の入国及び在留の状況等 ア原告は,平成10年10月2日,新東京国際空港(現在の成田国際空港,以下「成田空港」という)に到着し,東京入管成田空港支局入国審査官。 から,在留資格「興行」及び在留期間3月の上陸許可を受け,本邦に上陸し,平成11年1月14日,在留期間3月の在留期間更新許可を受けた後,同年4月2日出国した(乙2の1。 。 )イ原告は,上記アの出国後,在留資格を「興行」又は「短期滞在」として上陸許可を受け,必要に応じて在留期間更新許可を得て,下記の表のとおり,複数回,本邦への出入国を行った(出国先はすべてフィリピンである。その間,原告は,再入国の都度,外国人登録法3条1項に基づく新。)規登録(以下「新規登録」という)を行ったが,平成13年6月5日に。 は,東京都港区α×番7-×××号β(以下「β」という)を居住地と。 ,原告は,再入国の都度,外国人登録法3条1項に基づく新。)規登録(以下「新規登録」という)を行ったが,平成13年6月5日に。 は,東京都港区α×番7-×××号β(以下「β」という)を居住地と。 して新規登録を行い,平成14年7月17日にも,βを居住地として新規- 3 -登録を行った(乙1,2の2ないし5)。 記再入国平成11年6月8日再出国同年12月8日再入国平成12年2月15日再出国同年8月15日再入国平成13年5月4日再出国同年10月31日再入国平成14年7月15日再出国同年10月12日ウ原告は,平成10年に本邦に入国して以来,ホステスとして働いていたが,平成11年ころ,友人を介してP2と知り合い,P2及びその従兄弟であるP3と共に出資して,平成13年4月2日,有限会社P4(以下「本件会社」という)を設立し,原告及びP3が本件会社の取締役に就。 任した。原告の出資額は,当初,50万円であったが(資本金総額は300万円,本件会社が平成14年3月に300万円の増資をした際,原告)が全額を引き受けた(甲18の1・2,同19の1,同20の1ないし。 5,同29,乙12の1,同13)( )原告の今回の入国及び在留の状況等 ア原告は,平成15年2月13日,成田空港に到着し,東京入管成田空港支局入国審査官から,在留資格「投資・経営」及び在留期間1年の上陸許可を受け,本邦に上陸し,同月14日,βを居住地として新規登録を行った(乙1,2の6)。 イ長男は,原告が上記のとおり本邦への出入国を繰り返し始めた後もフィリピンに在住していたが,同年4月17日,短期滞在の在留資格で本邦に入国し,同年6月10日,在留資格につき「家族滞在」へと変更を受け,同月12日,本邦内の小学校に入学した後,平 り返し始めた後もフィリピンに在住していたが,同年4月17日,短期滞在の在留資格で本邦に入国し,同年6月10日,在留資格につき「家族滞在」へと変更を受け,同月12日,本邦内の小学校に入学した後,平成16年5月21日,期間1年の在留期間更新許可を受け,平成17年6月24日,期間3年の在留期間更新許可を受け,平成20年4月には,本邦内の中学校に入学した。 (甲1,21の1ないし4,同23,29,31ないし33,弁論の全趣- 4 -旨)ウ原告は,平成16年4月5日,期間1年の在留期間更新許可を受け,さらに,平成17年2月25日,期間3年の在留期間更新許可を受けたが,その間,下記の表のとおり,複数回,本邦への出入国を行った(出国先は,平成15年2月21日及び平成18年2月18日の出国以外はフィリピンである(乙2の6)。)。 記再出国平成15年2月21日再入国同月23日再出国同年4月9日再入国同月17日再出国同年7月29日再入国同年9月4日再出国平成16年8月3日再入国平成16年9月3日再出国平成18年2月18日再入国平成18年2月22日( )本件退令処分に至る経緯 ア原告は,平成18年9月6日午後10時30分,東京都港区γ×番6号・δビル○階所在の飲食店「P5(以下「本件店舗」という)でホス」。 テスとして就労中(以下,原告の本件店舗における就労を「本件就労」という,警視庁麻布警察署警察官及び東京入管入国警備官によって,入管。)法違反の容疑で摘発され(以下「本件摘発」という,同月7日の東京入。)管入国警備官による違反調査の結果,同日,入管法24条4号イ(資格外活動)に該当すると疑うに足りる相当の理由があるとして,東京入管主任審査官から,収容期間を同年10月6 う,同月7日の東京入。)管入国警備官による違反調査の結果,同日,入管法24条4号イ(資格外活動)に該当すると疑うに足りる相当の理由があるとして,東京入管主任審査官から,収容期間を同年10月6日まで(ただし,同日に同年11月5日まで延長された)とする収容令書の発付を受け,東京入管入国警備。 官による同令書の執行により東京入管収容場に収容され,東京入管入国審査官に引き渡された(乙3ないし8)。 イ東京入管入国審査官は,同年9月8日及び同年10月5日,原告に係る違反審査をした後,同日,原告が入管法24条4号イ(資格外活動)に該- 5 -当すると認定し(本件認定,これを原告に通知した(甲2,乙10))。 ウ上記イの通知を受けた原告は,特別審理官による口頭審理を請求したが,同年10月18日の東京入管特別審理官による口頭審理の結果,同日,東京入管入国審査官の本件認定に誤りはない旨の判定(本件判定)及びその。 ,通知を受け,同日,法務大臣に対し,異議の申出をした(甲3,乙1415)エ法務大臣から権限の委任を受けた東京入国管理局長は,同月26日,上記ウの原告の異議の申出には理由がない旨の裁決(本件裁決)をし,同日,東京入管主任審査官に本件裁決を通知した(乙16,17)。 オ上記エの通知を受けた東京入管主任審査官は,同月27日,原告に対し,本件裁決を通知するとともに,フィリピンを送還先とする原告の退去強制令書(本件退令書)の発付処分(本件退令処分)をした。東京入管入国警備官は,同日,本件各退令書を執行したが,東京入管主任審査官は,同年12月1日,原告の仮放免を許可した(甲4,5,乙18)。 資格外活動に関する関係法令の定め( )入管法19条1項1号は,入管法別表第一の一の表,二の表及び五の表 の上欄に掲げる在留資格を 12月1日,原告の仮放免を許可した(甲4,5,乙18)。 資格外活動に関する関係法令の定め( )入管法19条1項1号は,入管法別表第一の一の表,二の表及び五の表 の上欄に掲げる在留資格をもって在留する者は,同条2項の許可を受けて行う場合を除き,当該在留資格に応じこれらの表の下欄に掲げる活動に属しない「収入を伴う事業を運営する活動(以下「事業活動」という)又は「報」。 酬(業として行うものではない講演に対する謝金,日常生活に伴う臨時の報酬その他の法務省令で定めるものを除く。以下同じ)を受ける活動(以下。 」「就労活動」という)を行ってはならないと規定しており,同条1項2号。 は,同法別表第一の三の表及び四の表の上欄に掲げる在留資格をもって在留する者は,同条2項の許可を受けて行う場合を除き,事業活動又は就労活動を行ってはならないと規定している(以下,同法別表第一の各表の上欄に掲げる在留資格に応じこれらの表の下欄に掲げる活動を「在留資格に対応する- 6 -活動」ともいい,在留資格に対応する活動に属しない事業活動又は就労活動を「資格外活動」ともいう。 。)( )入管法24条4号イは,本邦に在留する外国人が,同法19条1項の規 定に違反して事業活動又は就労活動を「専ら行つていると明らかに認められる者」に該当する場合,すなわち,①無許可で資格外活動を行っていること(以下「要件①」という,②無許可で資格外活動を「専ら」行っているこ。)と(以下「要件②」という,③無許可で資格外活動を専ら行っていると。)「明らかに認められる」こと(以下「要件③」という)の各要件を満たす。 場合には,人身取引等により他人の支配下に置かれている場合を除き,本邦からの退去を強制することができると規定している。 争点 ( )本件認定の適法 と(以下「要件③」という)の各要件を満たす。 場合には,人身取引等により他人の支配下に置かれている場合を除き,本邦からの退去を強制することができると規定している。 争点 ( )本件認定の適法性(入管法24条4号イ該当性) ( )本件裁決の適法性(在留特別許可に係る裁量権の逸脱又は濫用の有無) ( )本件退令処分の適法性 当事者の主張の要旨( )争点( )(本件認定の適法性(入管法24条4号イ該当性)について )(被告の主張)ア要件①について原告は,本件摘発当時,入管法別表第一の二の表の上欄に掲げる在留資格「投資・経営」をもって在留中のところ,法務大臣の資格外活動の許可を受けることなく,本件店舗においてホステスとして接客行為をして就労することにより役務提供の対価として収入を得ていたから,原告が,同法19条1項1号に違反して就労活動(資格外活動)を行っていたことは明らかである。 イ要件②について(ア)当該外国人が事業活動又は就労活動(資格外活動)を「専ら」行- 7 -つているとは,資格外活動の継続性及び有償性,本来の在留資格に基づく活動をどの程度行っているか等を総合的に考慮して判断し,在留目的たる活動が在留資格に対応した活動から実質的に変更されたと評価できる程度まで在留資格外の活動を行っていることをいうと解すべきである。いかなる場合に資格外活動を「専ら」行っているといえるかが問題となるが,在留資格には,入管法別表第一の一の表及び二の表のように,一定の範囲内において事業活動又は就労活動が許されるもの(就労資格)もあれば,入管法別表第一の三の表及び四の表のように,およそ事業活動又は就労活動が許されないもの(非就労資格)もあるから,本来の在留の目的であるところの在留資格の内容が事業活動又は就労活 就労資格)もあれば,入管法別表第一の三の表及び四の表のように,およそ事業活動又は就労活動が許されないもの(非就労資格)もあるから,本来の在留の目的であるところの在留資格の内容が事業活動又は就労活動を許容するか否か,許容する場合はどの程度のものかといった点を考慮した上で,検討しなければならない。 入管法は,我が国における外国人の入国及び在留の管理の基本的枠組みとなる制度として在留資格制度を採用しているが,在留資格は,我が国社会にとって好ましいと認める外国人の活動類型を法律で明示したものであり,これに該当する活動に従事する外国人の入国・在留が認められるという意味において,我が国の外国人受入れ政策を対外的に明らかにしたものということができる。すなわち,入管法は,本来無限に近い広がりを有する人の社会生活上の活動を,在留資格により限定し類型化することにより,我が国社会にとって有益な外国人に限ってこれを受け入れようとするものである。 以上のような観点から,入管法2条の2第2項は,我が国に在留する外国人が,別表第一又は別表第二の上欄に掲げる在留資格に対応して,別表第一の下欄に掲げる「活動」又は別表第二の下欄に掲げる「身分若しくは地位を有する者としての活動」を行うことができる旨定めている。また,入管法7条1項2号は,我が国に上陸しようとす- 8 -る外国人が上陸の申請をする場合,入国審査官が適合性を審査しなければならない上陸のための条件の一として,当該外国人が我が国において行おうとする活動が上記「活動」又は「身分若しくは地位を有する者としての活動」のいずれかに該当することを求めている。そして,上記の在留資格制度の趣旨からして,在留資格の決定を受けて本邦に上陸し在留する外国人は,その現に有する在留資格に該当する活動を,その在留期間中一貫して行っ ずれかに該当することを求めている。そして,上記の在留資格制度の趣旨からして,在留資格の決定を受けて本邦に上陸し在留する外国人は,その現に有する在留資格に該当する活動を,その在留期間中一貫して行って在留するというのが基本である。 ,,そして,外国人が「投資・経営」の在留資格を取得するためには単に社長,部長等の地位を有しているというだけでは十分ではなく,実際に事業の経営又は管理の活動に従事する者として本邦に在留するものであることを立証しなければならず,これを立証するに当たっては,当該外国人が経営し又は管理する事業が安定的かつ継続的に営まれることの確たる見通しを示す必要がある。当該外国人の有する肩書がどのようなものであっても,その者の本邦で行おうとする活動が,経営基盤が弱い,経営実績が乏しい,経営が安定していないなどの不安定要因を抱えている企業等の経営・管理を行うものである場合には,このような外国人は「投資・経営」の在留資格に該当する活動を確実に行って在留するものであるとは認められない。 (イ)①原告は,本件会社における具体的活動状況について,品物の研究,日本の流行,売れる物の研究,自動車のホイールに広告を貼り,宣伝するというアイデアを出すなど,様々なアイデアを出すこと,フィリピンのWEBサイト「○○「○○」等をチェックすること,」,フィリピンにいる友人との間で輸出入の手配をすることだけであること,本件会社の会計関係,人事関係及び給与関係には一切関与しておらず,売上額も知らなかったこと等を入国審査官及び特別審理官に対して供述していることなどからすると,本件摘発当時,原告- 9 -が本件会社の経営に関与する活動をしていたとは認め難い。 ②本件会社は,平成17年1月期及び平成18年1月期のいずれにおいても,営業損失があり,債務 となどからすると,本件摘発当時,原告- 9 -が本件会社の経営に関与する活動をしていたとは認め難い。 ②本件会社は,平成17年1月期及び平成18年1月期のいずれにおいても,営業損失があり,債務超過であることに加えて,本店所在地として登記している住所地において,電力会社との間で電気供給契約を締結しておらず,また,ガス会社との間のガス供給契約は,平成16年4月13日から同年11月30日までの約7か月間のみであって,そのころ移転閉栓により契約は終了していること,本件会社が利用していた銀行預金口座も平成18年8月以降は出入金の動きが見当たらないことなどからすると,原告が本件摘発を受けた同年9月6日の時点において,会社の登記のとおりに本店事務所を置いていたこと自体疑わしく,ひいては本件会社の活動の実態も疑わしい。 ③原告は,平成17年4月ころから,本件会社に出勤しておらず,そのころから給料を受領しておらず,その一方で,同月中旬ころから本件摘発が行われた平成18年9月6日までの間,ホステスとして本件就労を行っていた。 (ウ)以上のとおり,原告は,在留資格「投資・経営」をもって本邦に在留中の平成17年4月中旬ころから平成18年9月6日までの間,継続的に,本件店舗においてホステスとして就労して報酬を受ける活動に従事する一方,かねてから本件会社の人事・会計面に携わらず,平成17年4月以降は本件就労による収入に依存した生活を送っていたのであって,このことに加えて,原告の本件店舗における上記の就労状況や本件会社の決算状況からすれば,原告が供述するところの本件会社における活動状況等を前提としてみても,原告が本来の在留資格である「投資・経営」に基づく活動を行っていたとは評価し得ない。 したがって,原告が,本件摘発を受けた平成18年9月6日の時点- の本件会社における活動状況等を前提としてみても,原告が本来の在留資格である「投資・経営」に基づく活動を行っていたとは評価し得ない。 したがって,原告が,本件摘発を受けた平成18年9月6日の時点- 10 -において,19条1項に違反して就労活動(資格外活動)を「専ら」行っていることは明らかである。 ウ要件③について「明らかに認められる」とは,証拠資料,本人の供述,関係者の供述等から,当該資格外活動を専ら行っていることが明白であると認められることを意味する。 原告は,入管法19条1項に違反して就労活動(資格外活動)を「専ら」行っているものであるが,この事実は,原告の供述のほか,関係各証拠から明白であると認められる。 エ以上のとおり,原告は,入管法19条1項に違反して就労活動(資格外活動)を「専ら行つていると明らかに認められる者」と認められ,同法24条4号イ所定の退去強制事由に該当することは明らかであるから,本件認定は適法である。 (原告の主張)ア原告は,本件会社の人事や給与等の会計関係のことに関わってはいなかったし,平成17年4月以降は生計を維持するために本件店舗の収入に依存していたことは事実である。しかし,入管法24条4号イの退去強制事由に該当するといえるためには,同法19条1項の規定に違反して事業活動又は就労活動を「専ら」行っていると明らかに認められる者であることが必要であるところ「専ら」といえるか否かは,単純に金,銭的な面あるいは時間的な面だけから判断するのではなく,その投資・経営の対象となっている事業の継続性,計画性,将来性及びその事業への当事者の関与等を総合的に判断しなければならないのであって,原告については,この要件を満たさない。 イすなわち,本件会社の設立の発端は,原告がシンガポールで見付けた自動車のホイー 及びその事業への当事者の関与等を総合的に判断しなければならないのであって,原告については,この要件を満たさない。 イすなわち,本件会社の設立の発端は,原告がシンガポールで見付けた自動車のホイールを利用した屋外広告事業(以下「本件広告事業」とい- 11 -う)を日本でも行うことを思い付いたことにあり,原告及び本件会社。 は,共同で,本件広告事業に関する特許申請をしており,このような広告宣伝方法は,自由化の流れの中で既に神奈川県等では許されているところ,東京都でも東京都屋外広告物条例(以下「都条例」という)の。 改正により近いうちに許可される可能性が高く,大きな事業成果がほぼ確実に見込まれる。また,本件会社はフィリピンのカジュアルウエアのブランドである「○○」及び「○○」に関した商標登録を行っているが,原告は,語学力を活かして,このブランドの関連商品その他商品の海外からの輸入販売に関して本件会社において中心的役割を担っており,一時的にはかなりの収益を上げることに貢献していたのであって,平成18年9月に原告が本件摘発を受けて,それまでの会社の主たる収入源であった海外からの輸入に支障を来したことにより,本件会社は事実上閉店に追い込まれたのである。さらに,原告は,本件会社で介護関係の仕事をすべく,会社の費用により介護員養成研修(2級)を修了しており,本件会社に対して今後の介護事業の展開を提案してもいる。 本件会社は,平成13年に設立されて以来,現在まで継続して存在しており,また,上記のとおり事業展開に必要な特許申請を行ったり,必要な商標の取得等をしたりしており,事業の将来性も認められる。そして,本件広告事業は,都条例が改正されて自動車のホイールを利用した広告宣伝が解禁されればすぐにでも事業化できるのであり,フィリピン等からのカジュアル をしたりしており,事業の将来性も認められる。そして,本件広告事業は,都条例が改正されて自動車のホイールを利用した広告宣伝が解禁されればすぐにでも事業化できるのであり,フィリピン等からのカジュアルウェアの輸入販売,介護事業等も,必ずしも現在軌道に乗っているとはいえないとしても,将来性はいずれも十分にあるのであって,いずれの事業に関しても,本件会社にとって原告の存在が不可欠であることはいうまでもない。 本件会社は,平成13年の設立後存続している継続的な企業であり,ホイールを使用した広告宣伝事業,フィリピン等からのカジュアルウェ- 12 -アの輸入販売等を行っており,原告はこれら事業につき,中心的な役割を果たしている。 確かに,原告は,平成17年4月ころから本件就労を始めたが,これは,本件広告事業が都条例との関係で実施できず本件会社の経営が苦しい状況が続いたことから,一般従業員ではなく経営者である原告としては役員報酬を返上せざるを得なくなる一方で,子供との生活を維持するために,昼間は可能な範囲で本件会社での業務に従事し,夜間は本件就労により報酬を得ざるを得なかったことによるのであり,原告が経営者であるからこそ本件就労をせざるを得なかったのである。 上記アの観点から,以上のような原告の活動を総合的に見る限り,本件就労は,本業である本件会社の経営不振のためやむを得ず行っている副業に過ぎず,本件摘発時の原告の活動の中心は本件会社にあったというべきであって,原告が入管法19条1項の規定に違反して事業活動又は就労活動(資格外活動)を「専ら」行っているとは認められないから,同法24条4号イに該当するとの本件認定は誤りである。 ( )争点( )(本件裁決の適法性(在留特別許可に係る裁量権の逸脱又は濫 用の有無)について)(被告の主張)在 認められないから,同法24条4号イに該当するとの本件認定は誤りである。 ( )争点( )(本件裁決の適法性(在留特別許可に係る裁量権の逸脱又は濫 用の有無)について)(被告の主張)在留特別許可は,退去強制事由に該当し本邦からの退去を強制されるべき外国人に対し,特別に在留を認める処分であり,その許否に係る裁量の範囲は極めて広いから,その判断が裁量権の逸脱・濫用となるのは,当該外国人について,本邦に在留することを認めなければならない積極的な理由があったにもかかわらずこれが看過されたなど,在留特別許可の制度を設けた法の趣旨に明らかに反するような極めて特別な事情がある場合に限られる。 原告は,入管法19条1項1号に違反する違法な資格外活動をしていた- 13 -ものであり,原告に在留特別許可を付与しなければならない積極的な理由はないから,本件裁決に裁量権の逸脱・濫用はない。原告は,本件会社の事業が軌道に乗る可能性があるとして,原告に在留特別許可を付与すべきであると主張するが,仮定の事実を前提とするもので失当である。原告は,原告及び長男をフィリピンに帰国させることは,原告及び長男の生活の基盤を完全に奪い,生存すら危うくさせることになると主張するが,原告は,フィリピンで出生して成育し,教育を受け,生活を営んできたものであり,稼働能力を有する成人であって,本国には血のつながりはともかく親族もあり,自ら購入した土地もあるのだから,フィリピンに帰国したとしても,本国での生活に特段の支障があるとは認められず,そもそも,本国に生活基盤がないことが直ちに在留特別許可を付与すべき事情となるものではないし,長男についても,出生時から平成15年に本邦に入国するまではフィリピンで生活していた上,いまだ可塑性に富む年齢にあるのだから,フィリピンでの生 ちに在留特別許可を付与すべき事情となるものではないし,長男についても,出生時から平成15年に本邦に入国するまではフィリピンで生活していた上,いまだ可塑性に富む年齢にあるのだから,フィリピンでの生活を再開することにより,言語面の困難を克服することができるというべきであって,原告の主張は理由がない。 (原告の主張)上記のとおり,本件認定は違法であるから,本件認定に誤りがない旨の東京入管特別審理官の判定に対する異議の申出には理由がない旨の本件裁決も違法である。 仮に,本件認定が違法ではないとしても,①原告は「投資・経営」の,在留資格で在留を始める以前に,何度か来日しているが,いずれも在留期間内にフィリピンに帰国しており,今まで不法残留をしたことはないこと,②近時の規制緩和の流れから,都条例が改正され本件広告事業が軌道に乗る可能性も高いこと,原告も介護員養成研修(2級)を修了した上,P2と本件会社において介護関係の事業ができないか相談していたことなどからすると,原告が出資して取締役となっている本件会社が,今後本格的な- 14 -活動を再開し,その事業が軌道に乗る可能性も十分にあること,③原告は,平成10年以降の10年間日本に生活の本拠があり,フィリピンには血縁関係のある者もおらず,めぼしい財産もないため,フィリピンに戻っても生活することはできず,長男も小学校2年生時から日本の学校に通っており,現在では日本語はネイティブ同様に話せるが,母国語であるタガログ語はほとんど話せなくなっており,原告及び長男をフィリピンに帰国させることは,原告から事業の機会を奪うだけでなく原告及び長男の生活の基盤を完全に奪い,生存すら危うくさせることを勘案すれば,原告につき特別に在留を許可すべき事情があるとは認められないとした法務大臣の判断は,社会通念上著しく 機会を奪うだけでなく原告及び長男の生活の基盤を完全に奪い,生存すら危うくさせることを勘案すれば,原告につき特別に在留を許可すべき事情があるとは認められないとした法務大臣の判断は,社会通念上著しく妥当性を欠き,法務大臣の有する裁量権を濫用した違法なものであるというべきである。 ( )争点( )(本件退令処分の適法性)について (被告の主張)退去強制手続において,法務大臣等から「異議の申出には理由がない」との裁決をした旨の通知を受けた場合,主任審査官は,速やかに退去強制令書を発付しなければならないのであって(入管法49条6項),退去強制令書を発付するにつき裁量の余地は全くないのであるから,本件裁決が適法である以上,本件退令処分も当然に適法であるというべきである。 (原告の主張)本件裁決は違法であるから,それに基づく本件退令処分も違法である。 第3当裁判所の判断 前提事実,争いのない事実,掲記した各証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の各事実を認めることができる。 ( )本件会社は,平成13年4月2日,①自動車アクセサリー等の輸出入及 び企画,製造,販売,②洋服・服飾品の輸出入及び企画,製造,販売,③日用雑貨の輸出入販売等を目的として,東京都港区ε×番4号を本店とする有- 15 -限会社として設立されたが,平成16年6月1日,株式会社に組織変更され,P2が代表取締役に就任し(そのころP3は取締役を退任した,同年7月。)1日には,東京都渋谷区ζ×番3号(以下「P6事務所」という)に本店。 を移転した。本件会社は,同年4月にP6事務所に係る店舗につき賃貸借契約を締結したが,同年11月には同契約を終了しており,また,P6事務所に関して,自らは電気供給契約を締結せず,ガスに関しても同年4月13日に使用開始したものの,同年11 務所に係る店舗につき賃貸借契約を締結したが,同年11月には同契約を終了しており,また,P6事務所に関して,自らは電気供給契約を締結せず,ガスに関しても同年4月13日に使用開始したものの,同年11月30日には移転閉栓している。本件会社は,同年6月に東京都渋谷区η×番17号(以下「P7事務所」という)。 に係る店舗につき賃貸借契約を締結し,P7事務所で衣料品販売等の事業活動も行ったが,商業登記簿上の本店を移転することはなく,平成18年ころにP7事務所での事業活動も止めた。平成18年5月23日,P3が代表取締役を務める株式会社P8が,P7事務所を本店所在地として設立されたが,遅くとも平成20年1月ころには同社もP7事務所での事業活動を止めた。 (甲15,20の4,乙22(4ないし7枚目,59,60枚目,34な)いし36,39,40)( )本件会社は,平成15年1月期決算では,年間売上高が約2478万円, 営業利益が約16万円,平成16年1月期では,年間売上高が約2940万円,営業利益が約30万4553円であったが。平成17年1月期には,年間売上高が約5682万円と増加したものの,P2の役員報酬の計上に伴う販売費及び一般管理費の増大等に伴い,営業損失が約1339万円,欠損金が約1848万円(約848万円の債務超過)に及び,平成18年1月期には,年間売上高が約3006万円と再度落ち込み,営業損失が約7万円,欠損金も約1870万円(約870万円の債務超過)に及ぶなど,経営状態は悪化の一途を辿った。また,本件会社は,平成16年8月30日に株式会社P9銀行P10営業部に普通預金口座を開設した上,同銀行から年間売上高にも匹敵する約3000万円の融資を受け,平成17年4月5日までは上記- 16 -口座を通じて上記融資金に関する返済を行っていた P9銀行P10営業部に普通預金口座を開設した上,同銀行から年間売上高にも匹敵する約3000万円の融資を受け,平成17年4月5日までは上記- 16 -口座を通じて上記融資金に関する返済を行っていたことがうかがわれるが,同日以降は上記口座を通じて上記融資金に関する返済は行われておらず,同日以降も上記口座につき少額の出入金はされたものの残高が10万円を超えることはなく,平成18年8月11日に入金がされて以降は出入金は一切されていない(甲13ないし16,乙32)。 ( )本件会社は,設立後,フィリピンやブラジルからの衣料品の輸入販売等 を行い始め,原告は,本件会社において,海外の会社のホームページ等を閲覧して輸入販売を行う商品を探し出し,商品に関するアイデアを提案し,海外の会社の担当者との間で英語等で連絡を取るなどの業務に従事していたが,本件会社の会計関係,人事・給与関係には一切関与しておらず,売上額すら知らない状況であり,会社が経営不振に陥った際にも,打開策の策定・協議に関与することはなく,これらの点については専らP2に任せきりであった。 また,原告は,本件広告事業を行うべく,原告を発明者とし,原告及び本件会社を特許出願人として,本件広告事業に関して自動車のホイールカバーに係る特許出願をしたが,これについての出願審査の請求(特許法48条の2)がされなかったため,平成17年9月27日,その特許出願は取り下げたものとみなされている(同法48条の3第4項(甲9,10,29,乙)。 4,10,12の1,同14,27,原告本人)( )原告は,本件会社との間の平成13年6月8日付け委任契約書(甲17 の1)では年額600万円の役員報酬を受給するとの合意がされていたが,現実には,月額約28万円がP2から原告名義の銀行預金口座に振り込み送金 会社との間の平成13年6月8日付け委任契約書(甲17 の1)では年額600万円の役員報酬を受給するとの合意がされていたが,現実には,月額約28万円がP2から原告名義の銀行預金口座に振り込み送金される方法でその支給を受けていたにすぎず,平成15年度には合計330万円(乙21の12枚目,平成16年度には360万円(乙22の35)枚目)の役員報酬を受給した後,平成17年4月ころ以降は,本件会社から役員報酬等の金員の支給をされなくなった。また,原告は,本件会社が経営不振となった平成17年4月ころ以降は,本件会社へ出勤しなくなり,それ- 17 -以前も,原告の本件会社における勤務時間はフレックスタイムとされ,原告については出勤簿が作成されなかったため,原告の本件会社への出退勤の実態に関する客観的な記録は存在しない。また,原告が居住していたβの家賃(月額13万2000円)については,本件会社から支払われていたが,遅くとも平成18年の前半ころから家賃の支払が滞納されるようになった。 (甲14ないし16,乙4,10,11,13(ただし,上記認定に反する部分を除く,30)。)( )原告は,上記( )のとおり,平成17年4月ころから本件会社から役員 報酬等の金員の支給をされなくなったことから,自ら及び長男の生活費を稼ぐために,入管法19条2項に基づく資格外活動の許可を受けていないにもかかわらず,平成17年4月中旬ころから,本件店舗でホステスとして就労を開始し,本件摘発を受けた平成18年9月6日までの間,勤務日数は1週間当たり概ね5ないし6日,勤務時間は午後8時ころから翌日午前3時ころまでとして就労を継続し,就労の対価として,給料(日額1万2000円)や指名料(本指名1000円,場内指名500円)を得ており,その詳細は別紙「本件店舗の 勤務時間は午後8時ころから翌日午前3時ころまでとして就労を継続し,就労の対価として,給料(日額1万2000円)や指名料(本指名1000円,場内指名500円)を得ており,その詳細は別紙「本件店舗の給料等の支給額」のとおりであって(括弧内の日数は就労日数,この間の給料等の支給合計額は少なくとも369万1550円に及)。 ,び,原告は主にこの収入により生計を維持していた(乙4,9ないし1113,14) 争点( )(本件認定の適法性(入管法24条4号イ該当性)について )( )要件①の該当性 原告は,入管法別表第一の二の表の上欄に掲げる「経営・投資」の在留資格により本邦に在留するフィリピン国籍の外国人であるから,この在留資格によって本邦において行うことができる活動は,この在留資格に応じ同表の下欄に掲げる活動,すなわち,(ア)本邦において貿易その他の事業の経営を開始し若しくは本邦におけるこれらの事業に投資してその経営を行い若しく- 18 -は当該事業の管理に従事する活動又は(イ)本邦においてこれらの事業の経営を開始した外国人(外国法人を含む)若しくは本邦におけるこれらの事業。 に投資している外国人(同上)に代わってその経営を行い若しくは当該事業の管理に従事する活動(同表の法律・会計業務の項の下欄に掲げる資格を有しなければ法律上行うことができないこととされている事業の経営若しくは管理に従事する活動を除く)に限られるところ,上記1( )のとおり,入。 管法19条2項に基づく資格外活動の許可を受けていないにもかかわらず,平成17年4月中旬ころから本件摘発を受けた平成18年9月6日まで,本件店舗においてホステスとして働くことにより対価を得ていたのであるから,本来の在留資格に応じ同表の下欄に掲げる活動(在留資格に対応する活動) 月中旬ころから本件摘発を受けた平成18年9月6日まで,本件店舗においてホステスとして働くことにより対価を得ていたのであるから,本来の在留資格に応じ同表の下欄に掲げる活動(在留資格に対応する活動)に属しない就労活動(資格外活動)を行っていたことになる。 したがって,本邦に在留する外国人である原告は,平成17年4月中旬ころから平成18年9月6日まで,入管法19条1項の規定に違反して無許可で資格外活動を行っていたというべきであり,要件①を満たしていたものと認められる。 ( )要件②の該当性 ア(ア)入管法は,本邦に在留する外国人の在留資格は,別表第一又は第二の上欄に掲げるとおりとした上,別表第一の上欄に掲げる在留資格をもって在留する者は,当該在留資格に応じそれぞれ本邦において同表の下欄に掲げる活動を行うことができ,別表第二の上欄に掲げる在留資格をもって在留する者は,当該在留資格に応じそれぞれ本邦において同表の下欄に掲げる身分又は地位を有する者としての活動を行うことができるとし(2条の2第2項,また,入国審査官が行う上陸のための審査に)おいては,外国人の申請に係る本邦において行おうとする活動が虚偽のものでなく,別表第一の下欄に掲げる活動又は別表第二の下欄に掲げる身分若しくは地位を有する者としての活動のいずれかに該当することを- 19 -審査すべきものとしている(7条1項2号。これらによれば,入管法)は,個々の外国人が本邦において行おうとする活動に着目し,一定の活動を行おうとする者のみに対してその活動内容に応じた在留資格を取得させ,本邦への上陸及び在留を認めることとしているものと解される(最高裁平成11年(行ヒ)第46号同14年10月17日第一小法廷判決・民集56巻8号1823頁参照。 )(イ)そして,入管法は,(a)別表第 への上陸及び在留を認めることとしているものと解される(最高裁平成11年(行ヒ)第46号同14年10月17日第一小法廷判決・民集56巻8号1823頁参照。 )(イ)そして,入管法は,(a)別表第一の各表の上欄に掲げる在留資格(以下「活動類型在留資格」という)を就労資格(別表第一の一の表。 及び二の表の上欄)と非就労資格(別表第一の三の表及び四の表の上欄)とに区分し,就労資格に応じ当該各表の下欄に掲げる就労活動以外の事業活動及び就労活動を原則として一切禁止し(19条1項,その)例外として,法務大臣は,活動類型在留資格をもって在留する者について,当該在留資格に応じ同表の下欄に掲げる活動(在留資格に対応する活動)に属しない事業活動又は就労活動(資格外活動)を希望する旨の申請があった場合において,相当と認めるときは,これを許可することができると定めているが,資格外活動が認められる範囲については,在留資格に対応する活動の遂行を阻害しない範囲内との限定を付している(同条2項)こと,(b)活動類型在留資格をもって在留する外国人が,当初の在留目的を達成して他の在留資格に対応する活動を行おうとする場合など,在留目的の活動を変更しようとする場合に,新たに他の在留資格を取得することができるように,在留資格の変更の制度(20条)を設けていること,(c)活動類型在留資格をもって在留する者が,当該在留資格に対応する活動を継続して3か月以上行わないで在留していることが判明した場合には,法務大臣は,法務省令で定める手続により,当該外国人が現に有する在留資格を取り消すことができると定めていること(22条の4第1項5号)等からすると,入管法は,活動類型在留- 20 -資格をもって在留する外国人は,本来その本邦において行おうとする一定の活動についての在留資格該 ことができると定めていること(22条の4第1項5号)等からすると,入管法は,活動類型在留- 20 -資格をもって在留する外国人は,本来その本邦において行おうとする一定の活動についての在留資格該当性が認められ,その認められた一定の活動を行うべき者として上陸が許可されたものであるから,その現に有する在留資格に対応する活動をその在留期間中一貫して行って在留することを基本とし,このような観点から,例外的に資格外活動を認める際にも,その前提として本来の在留資格に対応する活動の遂行を妨げないことを求めているものと解される。 (ウ)ところで,別表第一の二の表の上欄に掲げる「経営・投資」の在留資格は,貿易の自由化,資本の自由化など世界経済の自由化に対応し,外資系企業の経営者,管理者等を外国から受け入れるために設けられたものとされている。 そして,(a)入管法7条1項2号は,上陸のための条件の一つとして,別表第一の二の表及び四の表の下欄に掲げる活動を行おうとする者については,我が国の産業及び国民生活に与える影響その他の事情を勘案して法務省令で定める基準に適合することを要するものと規定しているところ「出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める,省令(平成2年法務省令第16号)所定の表の「法別表第一の二の表」の投資・経営の項の下欄に掲げる活動」の項の下欄には,例えば,申請人が本邦において貿易その他の事業の経営を開始しようとする場合に関して,当該事業を営むための事業所として使用する施設が本邦に確保されていること及び当該事業がその経営又は管理に従事する者以外に二人以上の本邦に居住する者(入管法別表第一の上欄に掲げる在留資格をもって在留する者を除く)で常勤の職員が従事して営まれる規模のもの。 であることのいずれにも該当していることが基 に従事する者以外に二人以上の本邦に居住する者(入管法別表第一の上欄に掲げる在留資格をもって在留する者を除く)で常勤の職員が従事して営まれる規模のもの。 であることのいずれにも該当していることが基準として掲げられていること,(b)入管法施行規則6条,別表第三は「投資・経営」の目的で,本邦に上陸しようとする外国人が,入管法7条2項の規定により同条1- 21 -項2号に定める上陸のための条件に適合していることを自ら立証しようとする場合には(i)事業計画書,会社又は法人の登記事項証明書及,び損益計算書の写し()当該外国人を除く常勤の職員の総数を明ら,iiかにする資料,並びに,その数が2人である場合には,当該2人の職員に係る賃金支払に関する文書及び住民票又は外国人登録証明書の写し,()事業所の概要を明らかにする資料()当該外国人の投資額をiiiiv,明らかにする資料等の資料を提出しなければならないと定めていることなどからすると,入管法及び関係法令は,労働市場の安定等の見地から,我が国の産業及び国民生活に与える影響等にかんがみ,就労資格の一つである「投資・経営」の在留資格を取得するためには,単に形式的に社長等の肩書きを有しているだけではなく,現に実質的に事業の経営又は管理の活動に従事する者として本邦に在留する者であることの立証を求め,この立証に当たっては,外国人の経営又は管理する事業が安定的かつ継続的に営まれることの確たる見通しを示す必要があるとの立場を採っているものと考えられる。 (エ)また,入管法は,19条1項の規定に違反して事業活動又は就労活動(資格外活動)を行った者は,70条1項4号に該当する場合を除き,1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは200万円以下の罰金に処し,又はその懲役若しくは禁錮及び罰金を併科するが(7 事業活動又は就労活動(資格外活動)を行った者は,70条1項4号に該当する場合を除き,1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは200万円以下の罰金に処し,又はその懲役若しくは禁錮及び罰金を併科するが(73条,19条1項)の規定に違反して事業活動又は就労活動(資格外活動)を専ら行っていると明らかに認められる者は,3年以下の懲役若しくは禁錮若しくは300万円以下の罰金に処し,又はその懲役若しくは禁錮及び罰金を併科するものとして(70条1項4号,単なる資格外活動と退去強制事由)に該当する資格外活動とを区別してそれぞれ構成要件及び法定刑を規定するとともに,無許可の資格外活動によって刑罰を受けた場合であっても,それ自体では退去強制事由となることはない旨規定している(24- 22 -条4号リ。 )(オ)以上のとおり,入管法及びその関係法令は,活動類型在留資格をもって在留する外国人は,本来その本邦において行おうとする一定の活動についての在留資格該当性が認められ,その認められた一定の活動を行うべき者として上陸が許可されたものであるから,その現に有する在留資格に該当する活動をその在留期間中一貫して行って在留することを基本とした上,労働市場の安定等の見地から,我が国の産業及び国民生活に与える影響等も考慮して,外国人が同法19条1項の規定に違反して無許可で資格外活動に該当する事業活動又は就労活動を行うことを禁止する一方,無許可で資格外活動を行ったことのみをとらえて直ちに退去強制事由とせず,退去強制事由に当たるかどうかについては,更に個別の事情を検討し,無許可で資格外活動を「専ら行つていると明らかに認められる者」に該当するかどうかを判断することを要するとしているものと解される。 このような入管法及びその関係法令の趣旨にかんがみると「投資・,経営」 可で資格外活動を「専ら行つていると明らかに認められる者」に該当するかどうかを判断することを要するとしているものと解される。 このような入管法及びその関係法令の趣旨にかんがみると「投資・,経営」の在留資格を有する外国人が,入管法24条4号イの定める要件②(無許可で資格外活動を「専ら」行っていること)に当たるというためには,当該外国人の在留資格に対応する活動(本邦において外国人が開始し又は投資している事業の経営又は管理への従事)の状況,無許可で行われた資格外活動の状況・態様及びその就労等に至った経緯,生活費の支出状況その他の諸事情を総合考慮し,本来の在留資格に係る事業の経営又は管理の遂行の状況と資格外活動の状況・態様等を比較検討した上で,当該外国人の本邦における活動の内容が,在留を正当化する本来の在留資格に対応する活動(投資・経営」に対応する当該事業の経「営又は管理)以外のもの(資格外活動に該当する就労等)に実質的に変更されたものと認められるか否かという観点から判断することを要する- 23 -と解するのが相当である。 (カ)この点,原告は「専ら」といえるか否かは,単純に金銭的な面あ,るいは時間的な面だけから判断するのではなく,その投資・経営の対象となっている事業の継続性,計画性,将来性及びその事業への当事者の関与等を総合的に判断しなければならないと主張する。この原告の主張の趣旨は必ずしも明らかではないが,上記(オ)の基準と比較した場合,本件認定が行われた時点での資格外活動の状況のみをとらえるのではなく,資格外活動を行わざるを得ない状況が将来的に解消される可能性を十分に考慮すべきとの主張をしているものと考えられる。しかしながら,既に検討したとおり,入管法及びその関係法令は,活動類型在留資格をもって在留する外国人はその現に有す 況が将来的に解消される可能性を十分に考慮すべきとの主張をしているものと考えられる。しかしながら,既に検討したとおり,入管法及びその関係法令は,活動類型在留資格をもって在留する外国人はその現に有する在留資格に該当する活動をその在留期間中一貫して行って在留することを基本としている以上,入管法24条4号イの該当性の認定に当たっても,資格外活動を行わざるを得ない状況が将来的に解消される可能性というような将来の事情を考慮すべきではなく,認定の時点において「専ら」といえるか否かの判断をすべきであると解されるので,上記主張は理由がない。 イそこで検討するに,原告は本件会社の取締役ではあるものの,本件会社における具体的な業務内容は,上記1( )のとおり,海外の会社のホーム ページ等を閲覧して輸入販売を行う商品を探し出し,商品に関するアイデアを提案し,海外の会社の担当者との間で英語等で連絡を取るなど,それほど高度の専門的知識・技能や経営・管理上の判断を要するものではない上,原告は本件会社の会計関係,人事・給与関係には一切関与しておらず,売上額すら知らない状況で,経営方針の策定・協議にも一切関与することはなかったというのであるから,本件会社の事業の経営・管理の主体としての役割を担ってはいなかったというべきであり,原告自身も,日本語を十分に使いこなせるわけではなく,実際の経営面に携われるだけの語学力- 24 -を持ち合わせていないため,経営に関する決定は日本人であるP2らが中心にならざるを得なかったと供述していること(原告本人)等に照らしても,原告の本件会社の事業への関与は,その設立及び取締役就任の当初から「投資・経営」の在留資格に対応する活動である入管法所定の事業の,経営又は管理としての実質が極めて希薄なものであったといわざるを得ない。この 会社の事業への関与は,その設立及び取締役就任の当初から「投資・経営」の在留資格に対応する活動である入管法所定の事業の,経営又は管理としての実質が極めて希薄なものであったといわざるを得ない。この点,原告は,本件会社において,本件広告事業の提案,将来の介護事業の提案を行うなどしていたと主張するが,本件広告事業については,原告の主張によれば都条例の規制のために軌道に乗らなかったもので,他府県の中にはそのような規制がなく展開に支障のない地域もあったというのであり,法令の規制の存在すら調査せずに看過し,規制のない地域での展開の成否も検討しないで事業の提案をしたのであれば,いかにも初歩的かつ稚拙な対応といわざるを得ないし,本件広告事業に関してされた自動車のホイールカバーに係る特許申請に関しても,既に平成17年9月に取り下げたものとみなされていること(上記1( ))すら原告自身は本件訴 訟で知るまで認識していなかったのであり(原告本人,介護事業につい)ても,本件会社において具体的な展開がされたことを認めるに足りる客観的な証拠はなく,これらの提案等をもって,原告の本件会社の事業への関与が経営又は管理の実質を相応に備えたものと評価し得るとはいい難い。 そして,本件会社の経営状態は,平成17年1月期以降悪化の一途をたどり,同年4月ころからは,融資金に関する返済もできなくなる状況になっていたことがうかがわれ(上記1( ) ,同月ころ以降は,原告に対す 2 )る役員報酬の支給もできない状態に陥ったこと(上記1( ) ,本件会社 4 )は,平成16年11月には商業登記上の本店所在地であるP6事務所での事業活動は既に休止していた上,同年6月から開始したP7事務所での事業活動も平成18年には休止し,代わって,かつて本件会社の取締役を務めていたP3が代表取 商業登記上の本店所在地であるP6事務所での事業活動は既に休止していた上,同年6月から開始したP7事務所での事業活動も平成18年には休止し,代わって,かつて本件会社の取締役を務めていたP3が代表取締役を務める株式会社P8がP7事務所を本店所在- 25 -地として同年5月23日に設立されていること(上記1( ))からすると, 本件会社は,平成17年4月ころには経営状況が相当逼迫した上,遅くとも平成18年5月ころには実質的に休眠状態に至ったものと推認される。 そして,原告は,平成17年4月ころ以降,本件会社から役員報酬等の),金員の支給をされなくなったため,本件会社には出勤せず(上記1( ) 同月中旬ころからは,本件店舗における本件就労を行っているところである(上記1( ))が,その内容は,勤務日数が1週間当たり5ないし6日, 勤務時間も約7時間,収入も約20ないし30万円に及び,原告は主にこの収入により生計を維持していたものである。 以上のとおり,原告は,本件就労を開始する以前から本件会社の事業の経営・管理の主体としての役割を担っておらず,原告の本件会社の事業への関与は当該事業の経営又は管理としての実質が極めて希薄なものにとどまる状況であったことに加えて,平成17年4月ころ以降は,本件会社の経営状況の逼迫に伴い,役員報酬等の金員の支給もされなくなったことから,自ら及び長男の生活費を稼ぐために,同月中旬ころから平成18年9月6日までの1年5か月以上にわたって,本件店舗において,1週間当たり5ないし6日,約7時間の就労を行い,その収入は月額約20ないし30万円に及び,主にこの収入により生計を維持していたこと,本件会社は平成18年5月ころには実質的に休眠状態に至っていること,そして,原告が本件会社以外の会社等に関して「投資・経営」の 約20ないし30万円に及び,主にこの収入により生計を維持していたこと,本件会社は平成18年5月ころには実質的に休眠状態に至っていること,そして,原告が本件会社以外の会社等に関して「投資・経営」の在留資格に対応する活動(本邦において外国人が開始し又は投資している事業の経営又は管理への従事)を行った形跡も見当たらないこと等の諸事情を総合考慮し,本来の在留資格に係る本件会社の事業への関与の状況と無許可で行われた資格外活動である上記就労の状況・態様等を比較検討すると,少なくとも本件摘発が行われた平成18年9月6日の時点において,原告の本邦における活動の内容が,在留を正当化する本来の在留資格に対応する活動(投「- 26 -資・経営」に対応する当該事業の経営又は管理)以外のもの(資格外活動に該当する本件店舗における就労)に実質的に変更されていたものと認められることは明らかであるというべきである。 ウ(ア)この点,(a)原告は,平成18年10月5日付け東京入管入国審査官に対する審査調書(乙13)及び同月18日付け東京入管特別審理官に対する口頭審理調書(乙14)において,本件就労を開始した平成17年4月中旬ころ以降も,特に曜日は決めず,週2回ほど,自分が行ける時間に本件会社の事務所に出向き,1日当たり約4時間ほどコンピュータでウェブサイトの確認をするなどしていたが,本件会社から支給される役員報酬月額は約28万円から8万5000円へと減額されていた旨を供述し,(b)P2も,平成18年9月11日付け東京入管入国警備官に対する供述調書(乙12の1・2)において,平成17年2月又は3月ころ,本件会社から原告に支払う役員報酬月額を30万円から8万5000円に減額したが,そのころ以降も本件会社に出勤していた旨を供述する。しかし,原告の本件会社への出勤 おいて,平成17年2月又は3月ころ,本件会社から原告に支払う役員報酬月額を30万円から8万5000円に減額したが,そのころ以降も本件会社に出勤していた旨を供述する。しかし,原告の本件会社への出勤状況を裏付ける客観的な資料はなく,役員報酬等の金員の支給状況についても,これを裏付ける客観的な証拠はないのみならず,むしろ,港区長作成の「特別区民税・都民税課税内容について(回答」と題する書面(乙30)には原告の平成)18年分の給与所得額は0円であるとの記載がされていることからすると,少なくとも平成18年に関しては,原告は本件会社から役員報酬等の金員を支給されていなかったと推認されるところであって,結局,上記各供述はにわかに採用し難い。また,原告は,平成17年4月以降は,P2から現金を受け取っており,その具体的な受領方法は,数万円ずつを数回に分けて1か月当たり合計約8万5000円を受け取るというもので,給料明細書を渡されてはいなかった旨を供述する(原告本人)ところ,証拠(乙12の1,同13,25,原告本人)によれば,P2は- 27 -1週間に2,3回は原告の自宅を訪れて宿泊することもあり,違反調査の際,原告はP2との婚姻を望む気持ちからその予定がある旨を述べ,P2も情が移って恋人気分になったこともあると述べるなど,原告とP2との間には交際関係があったことが認められ,給料明細書の交付もなかったことも併せ考えると,仮に原告の主張するようなP2との間の金員の授受があったとしても,それは,P2が本件会社とは無関係に個人的に交際相手である原告に対して渡していたものにすぎず,本件会社の役員報酬等として支払われていたものとは認め難いといわざるを得ない。 (イ)さらに,原告は,東京入管入国警備官に対する平成18年9月7日付け供述調書(乙4)及び東京 していたものにすぎず,本件会社の役員報酬等として支払われていたものとは認め難いといわざるを得ない。 (イ)さらに,原告は,東京入管入国警備官に対する平成18年9月7日付け供述調書(乙4)及び東京入管入国審査官に対する同月8日付け審査調書(乙10)において,平成17年3月ないし4月ころから,本件会社の経営状態が悪くなったため,本件会社に出勤しておらず,給料ももらっていない旨供述しているところであって,本件摘発直後にされたこの供述内容は,具体的かつ詳細であり,本件会社の経営状態に関する上記1( )の客観的事実とも合致するものであって信用性が高いという べきであり,この点からも,上記(ア)(a)及び(b)の原告及びP2の各供述内容は採用し難いものといわざるを得ない。 エ以上に検討したところによれば,原告は,少なくとも本件摘発が行われた平成18年9月6日の時点において,すなわち,同年10月5日の本件認定の当時,無許可で資格外活動を「専ら」行っているというべきであって,要件②を満たしていたものと認められる。 ( )要件③の該当性 以上に検討したところによれば,客観的証拠,原告本人及び関係者の供述等によって,本件認定の当時,原告が無許可で資格外活動を専ら行っていると「明らかに認められる」というべきであるから,要件③を満たしていたものと認められる。 - 28 -( )以上のとおり,原告は,本件認定の当時,法19条1項に違反して無許 可で資格外活動を「専ら行つていると明らかに認められる者」に該当すると認められ,人身取引等により他人の支配下に置かれているものでないことも明らかである以上,入管法24条4号イ(資格外活動)所定の退去強制事由に該当すると認められるから,本件認定は,適法であるというべきである。 争点( )(本件裁決の適法性 かれているものでないことも明らかである以上,入管法24条4号イ(資格外活動)所定の退去強制事由に該当すると認められるから,本件認定は,適法であるというべきである。 争点( )(本件裁決の適法性(在留特別許可に係る裁量権の逸脱又は濫用の 有無)について)( )ア入管法は,同法24条各号掲記の退去強制事由のいずれかに該当する と思料される外国人の審査等の手続として,特別審理官が口頭審理の結果,外国人が同法24条各号掲記の退去強制事由のいずれかに該当するとの入国審査官の認定に誤りがないと判定した場合,当該外国人は,法務大臣に対し異議の申出をすることができると規定している(同法49条1項。 )そして,法務大臣がその異議の申出に理由があるかどうかの裁決(同条3項)をするに当たっては,当該外国人が退去強制対象者(入管法24条各号掲記の退去強制事由が認められ,かつ,出国命令対象者に該当しない外国人をいう。同法45条1項参照)に該当すると認められ,その異議の申出が理由がないと認める場合においても,当該外国人が同法50条1項各号掲記の事由のいずれかに該当するときは,その者の在留を特別に許可することができるとされており(同条1項柱書,この許可が与えられた場)合には,同法49条4項の適用については,異議の申出が理由がある旨の裁決(同条3項)とみなすとされ,その旨の通知を受けた主任審査官は直ちに当該外国人を放免しなければならないとされている(同法50条3項。 )入管法49条3項及び50条1項に規定する法務大臣の権限は地方入国管理局長に委任することができ(同法69条の2,同法施行規則61条の2第10号,第11号。以下,法務大臣又は法務大臣から権限の委任を受- 29 -けた地方入国管理局長を「法務大臣等」という,本件においては東京入。) ができ(同法69条の2,同法施行規則61条の2第10号,第11号。以下,法務大臣又は法務大臣から権限の委任を受- 29 -けた地方入国管理局長を「法務大臣等」という,本件においては東京入。)国管理局長がその委任を受けているため,以上において法務大臣の権限として述べたことはいずれも東京入国管理局長に妥当するものである。 上記前提事実( )及び( )並びに上記2で検討したところによると,原 告は入管法24条4号イに該当する者であって,かつ,出国命令対象者(同法24条の3)に該当しない外国人であると認められ,原告の入国及び在留の経緯に照らすと,本件裁決に関しては,同法50条1項1号から3号までは問題にならず,専ら同項4号の在留特別許可事由に該当するか否かが問題となるものである。そこで,同号に基づく在留特別許可をするか否かについての法務大臣等の判断の性格について,以下検討する。 イ憲法は,日本国内における居住・移転の自由を保障する(22条1項)にとどまり,外国人が本邦に入国し又は在留することについては何ら規定しておらず,国に対し外国人の入国又は在留を許容することを義務付ける規定も存在しない。このことは,国際慣習法上,国家は外国人を受け入れる義務を負うものではなく,特別の条約がない限り,外国人を自国内に受け入れるかどうか,これを受け入れる場合にいかなる条件を付するかを,当該国家が自由に決定することができるものとされていることと,その考えを同じくするものと解される。したがって,憲法上,外国人は,本邦に入国する自由を保障されていないことはもとより,本邦に在留する権利ないし引き続き在留することを要求し得る権利を保障されているものでもなく,入管法に基づく外国人在留制度の枠内においてのみ本邦に在留し得る地位を認められているものと解すべきで より,本邦に在留する権利ないし引き続き在留することを要求し得る権利を保障されているものでもなく,入管法に基づく外国人在留制度の枠内においてのみ本邦に在留し得る地位を認められているものと解すべきである(最高裁昭和50年(行ツ)第120号同53年10月4日大法廷判決・民集32巻7号1223頁,最高裁昭和29年(あ)第3594号同32年6月19日大法廷判決・刑集11巻6号1663頁参照。 )そして,入管法50条1項4号は「特別に在留を許可すべき事情があ,- 30 -ると認めるとき」と規定するだけであって,文言上その要件を具体的に限定するものはなく,入管法上,法務大臣が考慮すべき事項を掲げるなどしてその判断を羈束するような規定も存在しない。また,このような在留特別許可の判断の対象となる者は,在留期間更新許可の場合のように適法に在留している外国人とは異なり,既に入管法24条各号掲記の退去強制事由に該当し,本来的には退去強制の対象となるべき地位にある外国人である。さらに,外国人の出入国管理は,国内の治安と善良な風俗の維持,保健・衛生の確保,労働市場の安定等の国益の保持を目的として行われるものであって,その性質上,広く情報を収集し,その分析を踏まえて,時宜に応じた専門的・政策的な判断を行うことが必要であり,高度な政治的判断を要する場合もあり得るところである。 以上を総合勘案すれば,入管法50条1項4号に基づき在留特別許可をするか否かの判断は,法務大臣等の極めて広範な裁量にゆだねられており,その裁量権の範囲は,在留期間更新許可の場合よりも更に広範であると解するのが相当であって,法務大臣等は,前述した外国人の出入国管理の目的である国内の治安と善良な風俗の維持,保健・衛生の確保,労働市場の安定等の国益の保持の見地に立って,当該外国人の在留の状況 ると解するのが相当であって,法務大臣等は,前述した外国人の出入国管理の目的である国内の治安と善良な風俗の維持,保健・衛生の確保,労働市場の安定等の国益の保持の見地に立って,当該外国人の在留の状況,特別に在留を求める理由の当否のみならず,国内の政治・経済・社会等の諸事情,国際情勢,外交関係,国際礼譲等の諸般の事情を総合的に勘案してその許否を判断する裁量を与えられているものと解される。したがって,同号に基づき在留特別許可をするか否かについての法務大臣等の判断が違法となるのは,その判断が全く事実の基礎を欠き又は社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかであるなど,法務大臣等に与えられた裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した場合に限られるものというべきである(前掲最高裁昭和53年10月4日大法廷判決参照。 )( )そこで,上記( )の判断の枠組みに従って,原告に在留特別許可を付与 - 31 -しないとした東京入国管理局長の判断に裁量権の逸脱又は濫用があるといえるか否かについて検討する。 ア原告は,上記2で検討したとおり,入管法24条4号イ(資格外活動)所定の退去強制事由に該当するから,法律上,本来的には当然に退去強制されるべき外国人に当たることは明らかである。 イそして,前記1( )のとおり,原告は,平成17年4月ころから平成1 8年9月6日までの約1年5か月にわたって入管法19条1項の規定に違反して資格外活動に該当する本件就労を行っており,これにより1か月当たり概ね20万円から30万円程度の収入を得ていたことが認められ,このような事情は,在留特別許可の許否の判断において,消極的要素として評価されるべきものである。 この点,原告は,本件会社から役員報酬等の金員の支給を受けられなくなり,長男との生活を維持するためやむなく本件就 事情は,在留特別許可の許否の判断において,消極的要素として評価されるべきものである。 この点,原告は,本件会社から役員報酬等の金員の支給を受けられなくなり,長男との生活を維持するためやむなく本件就労を行ったのであって,このような事情を原告のために最大限有利に斟酌すべきである旨主張するもののようであるが,既に述べたとおり,入管法及びその関係法令は,活動類型在留資格をもって在留する外国人は,本来その本邦において行おうとする一定の活動について在留資格該当性を認められ,その認められた一定の活動を行うべき者として上陸が許可されたものであることにかんがみ,法務大臣等の許可のない限り,その現に有する在留資格に対応する活動をその在留期間中一貫して行って在留すべきものとした上,労働市場の安定等の見地から,我が国の産業及び国民生活に与える影響等も考慮して,外国人が無許可で在留資格に対応しない事業活動又は就労活動(資格外活動)を行うことを禁止し,これに違反した場合には一定の刑事罰をもって臨んでいるところであって,本来の在留資格に対応する活動による収入が減少したからといって無許可で資格外活動を行うことは許容されていないのであるから,原告の上記主張を容易に採用することはできない。 - 32 -ウそして,原告は,フィリピンで出生して成育し,教育を受け,大学まで進学して妊娠による中退後も自ら稼働して生活をしていたものであること,現在も十分な稼働能力を有する成人であること,フィリピンには血縁関係はないものの原告の養母及び幼少時から共に育ってきた兄(養母の子)が生活しており,平成10年に本邦に入国した後も度々フィリピンに帰国していること,以前に興行の資格で本邦に在留していたときの貯金でフィリピン内の土地を購入していること(乙13,14,原告本人)などに照らし, おり,平成10年に本邦に入国した後も度々フィリピンに帰国していること,以前に興行の資格で本邦に在留していたときの貯金でフィリピン内の土地を購入していること(乙13,14,原告本人)などに照らし,原告がフィリピンにおいて生活することに特段の支障があると認めることはできない。 また,長男も,フィリピンで出生して約8歳までフィリピンで成育し,本邦においてもフィリピン人である原告に養育されてきており,原告の母国語であるタガログ語もある程度は理解できること(乙13参照,本件)裁決当時,11歳と可塑性に富む年齢であることからすれば,帰国当初は日常生活,学校等において一定の不便さや環境の変化による精神的な負担を伴うことがあるとしても,帰国後に引き続きタガログ語やフィリピンにおける習慣を習得することに大きな障害があるとは認められない。 このような事情に照らすと,原告及び長男がフィリピンに帰国してそこで家族としての共同生活を営んだ場合,本邦での生活を続けた場合と同等の生活水準を維持することは困難な面があるとしても,生活をする上での客観的かつ重大な障害があるとまでは認められないというべきである。 エ前記( )において説示したとおり,在留特別許可を付与するか否かは, 法務大臣等が,個々の事案ごとの諸般の事情を総合的に勘案し,極めて広範な裁量に基づき判断すべきものであるところ,上記アないしウの各事情を考慮すると,本件裁決を行うに当たって原告に在留特別許可を付与しなかった東京入国管理局長の判断が,全く事実の基礎を欠き又は社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかであるとはいえないから,東京入国管理- 33 -局長に裁量権の逸脱又は濫用があったと認めることはできない。 したがって,本件裁決は,適法であるというべきである。 争点( )(本件退令処分の適法性 あるとはいえないから,東京入国管理- 33 -局長に裁量権の逸脱又は濫用があったと認めることはできない。 したがって,本件裁決は,適法であるというべきである。 争点( )(本件退令処分の適法性)について 入管法49条5項は,主任審査官は,法務大臣等から同条1項の規定に基づく異議の申出が理由がないと裁決した旨の通知を受けたときは,速やかに退去強制令書を発付しなければならないとしており,同法第5章に規定する退去強制の手続等に照らしても,主任審査官には,退去強制令書を発付するか否かについて裁量の余地はないと解されるから,上記3において説示したとおり本件裁決が適法であると認められ,東京入管主任審査官は東京入国管理局長からその適法な本件裁決の通知を受け,本件退令書を発付したものである以上(前提事実( )エ及びオ,本件退令処分は,適法であるというべきである。 ) 結論 以上によれば,原告の請求はいずれも理由がないから,これらを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第2部裁判長裁判官岩井伸晃裁判官三輪方大裁判官小島清二
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