令和7年3月17日宣告収賄、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反被告事件 主文 被告人を懲役1年6月及び罰金50万円に処する。 その罰金を完納することができないときは、金5000円を1日に換算した期間被告人を労役場に留置する。 この裁判確定の日から3年間その懲役刑の執行を猶予する。 被告人から金33万5000円を追徴する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、第1 刑務官として盛岡市上田字松屋敷11番地の11所在の盛岡少年刑務所処遇部処遇部門に勤務し、同刑務所の被収容者の規律秩序の維持に関する職務、願せんの受付及び物品の支給その他の被収容者の生活管理に関する職務並びに被収容者の発受に係る信書の検査及び記録に関する職務等に従事していたものであるが、 1 同刑務所に懲役受刑者として収容されていたAの同刑務所内での金品の使用、所持及び授受並びに同人の発受に係る信書の検査及び記録等について、有利かつ便宜な取り計らいを受けたことへの謝礼及び今後も同様の取り計らいを受けたいとの趣旨の下に供与されるものであることを知りながら、 令和5年11月6日、前記Aから、情を知らない同人の母親であるBを介し、インターネットバンキングを利用して、被告人が管理する仙台市(以下略)株式会社C銀行Dセンターに開設された被告人名義の通常貯金口座に現金10万円の振込入金を受け、 令和6年1月20日、青森市(以下略)所在のE方において、前記Aから、 あらかじめ被告人から現金の受領を依頼されていた情を知らない前記Eに同人宛てに郵送された現金5万円を受け取らせて受領し、もっていずれも自己の職務に関し賄賂を収受し、 2 同刑務所に懲役受刑者 あらかじめ被告人から現金の受領を依頼されていた情を知らない前記Eに同人宛てに郵送された現金5万円を受け取らせて受領し、もっていずれも自己の職務に関し賄賂を収受し、 2 同刑務所に懲役受刑者として収容されていたFの同刑務所内での金品の使用、所持及び授受等について、有利かつ便宜な取り計らいを受けたことへの謝礼及び今後も同様の取り計らいを受けたいとの趣旨の下に供与されるものであることを知りながら、 令和5年11月8日、青森県弘前市(以下略)所在のG方において、前記Fから、同人の同房者である情を知らないHを介し、あらかじめ被告人から現金の受領を依頼されていた情を知らない前記Gに同人方宛てに郵送された現金5万5000円を受け取らせて受領し、 令和6年1月20日、前記G方において、前記Fから、前記Hを介し、あらかじめ被告人から現金の受領を依頼されていた情を知らない前記Gに同人方宛てに郵送された現金13万円を受け取らせて受領し、もっていずれも自己の職務に関し賄賂を収受し、第2 前記第1の1、2及びの各現金を交付させるに当たり、その取得につき事実を仮装しようと考え、別表(略)記載のとおり、令和5年11月1日から令和6年1月19日までの間、3回にわたり、同刑務所において、前記Fほか1名をして、別表記載の方法により現金合計23万5000円を郵送させ、令和5年11月8日から令和6年1月20日までの間、前記G方ほか1か所において、同人ほか1名にこれを受領させ、もって犯罪収益等の取得につき事実を仮装したものである。 (量刑の理由)被告人は、刑務官として受刑者を管理監督する立場にあったものであるが、受刑者に対し、自分の知人を外部交通の相手方として登録させて、その知人名義で書籍 等の物品を郵便で差し入 理由)被告人は、刑務官として受刑者を管理監督する立場にあったものであるが、受刑者に対し、自分の知人を外部交通の相手方として登録させて、その知人名義で書籍 等の物品を郵便で差し入れたり、差し入れできない酒類やたばこ等の禁止物品を同僚や他の受刑者らの目を盗んで直接手渡したりした。受刑者から信書を預かり、その検査や記録を省略して外部に発出したりした。このような私的な便宜供与の見返りとして、自分名義の銀行口座に現金を振込入金させ、あるいは、知人方に現金を郵送させて、賄賂を収受したものである。 このように、本件は、刑事施設の規律及び秩序を維持し、受刑者の矯正処遇を適切に実施するという刑務官の職務の公正さやそれに対する国民の信頼を著しく損なうとともに、犯罪収益の帰属主体を偽ってその保持等を容易にしようとする悪質な犯行といわなければらならない。その手口も、犯行が発覚しないよう現金の受領に事情を知らない知人を利用するなど巧妙なものである。被告人は、2名の受刑者から、複数回にわたり、合計33万5000円の現金を受領し、これを遊興費や差し入れする物品の購入費等に充てているのであって、その利欲性の高さには看過できないものがある。 被告人は、刑務官としての立場や職責を顧みることなく、本件各犯行を繰り返しているのであって、公務員としての倫理感の欠如は甚だしく、その規範意識は著しく鈍麻しているというほかない。 以上によれば、被告人の本件刑事責任を軽くみることはできないが、被告人が事実を認め、反省の態度を示していること、被告人には前科がないこと、母が情状証人として出廷し、被告人の更生への支援を申し出ていることなどの事情を併せ考慮し、主文のとおりの刑を量定した。 よって、主文のとおり判決する。 (求刑・懲役1年6月及び罰金50万円、3 主文 母が情状証人として出廷し、被告人の更生への支援を申し出ていることなどの事情を併せ考慮し、主文のとおりの刑を量定した。よって、主文のとおり判決する。 (求刑・懲役1年6月及び罰金50万円、33万5000円の追徴)令和7年3月17日盛岡地方裁判所刑事部 裁判長裁判官中島真一郎 裁判官佐々木耕 裁判官上野友輔
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