昭和62(行ウ)3 法人税更正処分等取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成4年12月25日 神戸地方裁判所 租税
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【DRY-RUN】○ 主文 一 原告藤田ビル株式会社の訴えのうち、被告が同原告に対して、昭和五九年八月 八日付けでした同原告の昭和五七年七月一日から昭和五八年六月三〇日までの事業 年度の法人税に係る更正の請求に対する更

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○ 主文一原告藤田ビル株式会社の訴えのうち、被告が同原告に対して、昭和五九年八月八日付けでした同原告の昭和五七年七月一日から昭和五八年六月三〇日までの事業年度の法人税に係る更正の請求に対する更正すべき理由がない旨の通知の取消しを求める部分を却下する。 二原告藤田ビル株式会社のその余の請求及び原告Aの請求をいずれも棄却する。 三訴訟費用は原告らの負担とする。 ○ 事実及び理由第一原告らの請求 1 被告が原告藤田ビル株式会社に対して、昭和五九年八月八日付けでした同原告の昭和五七年七月一日から昭和五八年六月三〇日までの事業年度の法人税に係る更正の請求に対する更正すべき理由がない旨の通知及び昭和六〇年四月一二日付けでした右事業年度の法人税の更正処分を取り消す。 2 被告が原告Aに対して、昭和六〇年四月一二日付けでした同原告の昭和五七年分の所得税の更正処分を取り消す。 第二事案の概要一本件は、原告藤田ビル株式会社(以下「原告会社」という。)が、同原告の昭和五七年七月一日から昭和五八年六月三〇日までの事業年度(以下「本件事業年度」という。)の法人税について、原告会社の昭和五八年一二月二六日付け修正申告に関し、原告会社が昭和五九年六月二〇日にした更正の請求に対し、被告が同年八月八日付けでした「更正すべき理由がない旨の通知」処分(同月一〇日到達)並びに被告が昭和六〇年四月一二日付けでした更正処分の取消しを求め、また、原告Aが、同原告の昭和五七年分の所得税について、被告が昭和六〇年四月一二日付けでした更正処分の取消しを、それぞれ求めたものである。 二争いがない事実 1 不動産の売買(一) 原告会社及び原告A並びにBは、昭和五七年八月二六日、株式会社ハヤマ(以下「ハヤマ」という。)との間で、原告A所有の尼崎市<地名略>宅地三六六七・八五平方 争いがない事実 1 不動産の売買(一) 原告会社及び原告A並びにBは、昭和五七年八月二六日、株式会社ハヤマ(以下「ハヤマ」という。)との間で、原告A所有の尼崎市<地名略>宅地三六六七・八五平方メートル、同所<地名略>宅地三三一・七四平方メートル及びB所有の同所<地名略>宅地三二三・二六平方メートル(以下、これらの土地を「本件土地」という。)並びに右各土地上の原告会社所有の鉄筋コンクリート造陸屋根地下一階付三階建店舗延床面積八九五六・四六平方メートル(以下「本件建物」といい、本件土地と併せて、以下「本件土地建物」という。)について、原告ら両名及びBを共同売主、ハヤマを買主とする売買契約(以下「本件売買契約」という。)を締結した。 (二) 本件土地建物についての不動産売買契約書には、本件土地建物の売買代金額として一八億二六九三万八二一六円と記載されていた。 (三) 本件建物は、「パセオ」というショッピングセンターであり、多数の賃借人がおり、右売買契約当時、原告会社は、各賃借人から建設協力金である保証金及び敷金として、計七億八二二一万一七八四円の預託を受けていた。 (四) 本件売買契約には、「買主は、売主原告会社が各賃借人から預かり保管中の敷金、保証金七億八二二一万一七八四円の返還債務を引き継ぎ、各賃借人との賃貸借契約書の定めに従い、自己の責任で将来これを各賃借人に返済する責に任ずる。」と定められていた。 2 原告会社関係(一) 原告会社は、不動産賃貸を業とする資本金二〇〇万円の株式会社であり、被告から青色申告書の提出の承認を受けた法人税法二条一〇号に規定する同族会社である。 (二) 原告会社は、本件事業年度の法人税確定申告書に別紙1(1)欄のとおり記載して、法定申告期限内の昭和五八年八月三〇日、被告に対し、右事業年度の法人税の確定申告を 号に規定する同族会社である。 (二) 原告会社は、本件事業年度の法人税確定申告書に別紙1(1)欄のとおり記載して、法定申告期限内の昭和五八年八月三〇日、被告に対し、右事業年度の法人税の確定申告をした。 (三) 同年一二月二六日、被告に対し、原告会社の名で、別紙1(2)欄記載のとおりの内容の修正申告書が提出された。 (四) 被告は、同年一二月二七日付けで、原告会社に対し、別紙1(3)欄記載のとおり、右修正申告に係る過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分をした。 (五) 原告会社は、昭和五九年六月二〇日、被告に対し、別紙1(4)欄記載のとおり、更正の請求をした。その内容は、別紙3「申告内容等一覧表」記載のとおりである。 被告は、同年八月八日付けで、原告会社に対し、右更正の請求について、その更正すべき理由がない旨の通知をした。 (六) 原告会社は、昭和五九年一〇月八日、被告に対し、右通知処分に対して異議申立てをした。 被告は、昭和六〇年三月三〇日付けで、右異議申立てを棄却する旨の異議決定をした。 (七) 被告は、昭和六〇年四月一二日付けで、本件事業年度の法人税について、別紙1(8)欄記載のとおり、法人税額等の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をした。 (八) 原告会社は、同年四月一八日、国税不服審判所長に対し、右異議決定を経た後の処分になお不服があるとし、審査請求をした。 また、原告会社は、前記(七)の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分に対し、昭和六〇年六月三日に、異議申立てをしたところ、被告は、国税通則法九〇条一項に該当するものとして、同年六月一四日に異議申立書を国税不服審判所長に送付するとともに、原告会社にその旨通知したので、同条三項により、同日、審査請求がされたとみなされた。 同所長は、右各審査請求を併合し、昭和六一年一二 、同年六月一四日に異議申立書を国税不服審判所長に送付するとともに、原告会社にその旨通知したので、同条三項により、同日、審査請求がされたとみなされた。 同所長は、右各審査請求を併合し、昭和六一年一二月四日付けで、右審査請求をいずれも棄却する裁決をした。 3 原告A関係(一) 原告Aは、原告会社の代表取締役である。 (二) 原告Aは、昭和五七年分の所得税確定申告書に別紙2確定申告欄のとおり記載して、法定申告期限内の昭和五八年三月一一日、被告に対し、申告をした。 (三) 被告は、昭和六〇年四月一二日付けで、原告Aに対し、別紙2更正・賦課決定欄記載のとおり、所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をした。 (四) 原告Aは、昭和六〇年六月三日、被告に対し、右各処分に対して異議申立てをした。 被告は、昭和六一年三月二四日付けで、右異議申立てを棄却する旨の異議決定をした。 (五) 原告Aは、同年四月二二日、国税不服審判所長に対し、右異議決定を経た後の処分になお不服があるとし、審査請求をした。 同所長は、昭和六一年一二月四日付けで、右審査請求をいずれも棄却する裁決をした。 三被告の主張による更正処分の内容 1 原告会社関係(一) 原告会社の所得金額及び土地譲渡利益金額は、別紙1(8)欄記載のとおりであるが、その計算内容は、次のとおりである。 (1) 修正申告所得金額一億八七八八万八八九四円(別紙1(2))(2) 貸倒金損金不算入額二億九〇〇〇万円原告会社は、修正申告において、貸倒金外二億九〇〇〇万円を減算して、所得金額を計算しているが、原告会社は、貸倒れの対象となるべき債権を、設立以後のいずれの事業年度においても債権として記載したことはないし、かつ、貸倒れとして損金処理をしたことも債務免除をしたこともないから、右金員は、所得金額の計 会社は、貸倒れの対象となるべき債権を、設立以後のいずれの事業年度においても債権として記載したことはないし、かつ、貸倒れとして損金処理をしたことも債務免除をしたこともないから、右金員は、所得金額の計算上減算することはできない。 (3) 譲渡益過大申告額三億一四二〇万五三九二円(4) 所得金額一億六三六八万三五〇二円((1)+(2)-(3))(5) (4)に対する法人税額六七七八万六八六〇円(6) 課税土地譲渡利益金額一億六四〇三万一〇〇〇円(7) (6)に対する法人税額三二八〇万六二〇〇円(8) 法人税額計一億〇〇五九万三〇〇〇円((5)+(7))(二) 譲渡益過大申告額の計算について(1) 原告会社らがハヤマに譲渡した本件土地建物の売買代金額は、敷金・保証金返還債務を含む二六億〇九一五万円であるが、右譲渡価額の物件毎、売主毎の内訳は明らかでない。そこで、被告は、右譲渡価額を本件土地建物の時価で按分して、各資産に付すべき譲渡価額を求め、その後に本件建物に係る譲渡価額と、本件土地に係る譲渡価額のうち原告会社が保有していた借地権部分の価額の合計額を、原告会社が収受すべき譲渡価額とした。その具体的計算は以下のとおりである。 (2) 本件土地の譲渡時における価額の算定は次のとおりである。 ア本件土地の価額は、公示価格を基礎にすることとし、本件土地については、公示価格の標準地には該当していないので、まず、近傍土地の公示価格を相続税財産評価による路線価額(以下「路線価」という。)との格差で修正して、昭和五七年一月一日現在の公示価格相当額を求め、一平方メートル当たり二九万四〇〇〇円と算定した。 (a) 近傍土地の公示価格一平方メートル当たり二一万円(b) 近傍土地の路線価一平方メートル当たり一〇 月一日現在の公示価格相当額を求め、一平方メートル当たり二九万四〇〇〇円と算定した。 (a) 近傍土地の公示価格一平方メートル当たり二一万円(b) 近傍土地の路線価一平方メートル当たり一〇万円(c) 本件土地の路線価一平方メートル当たり一四万円(d) (a)ないし(c)から本件土地の一平方メートル当たりの価額を二九万四〇〇〇円と算定した。 210、00×140、00/100、000=294、000イ右の公示価格は、昭和五七年一月一日現在であるので、本件土地の譲渡日(昭和五七年八月二六日)における価額の算定に当たって、次により時点修正を行い、一平方メートル当たり三〇万三三五八円と算定した。 (a) 財団法人日本不動産研究所が発表している全国市街地価格指数のうち六大都市を除く都市の商業地価格指数(昭和三〇年三月末日を一〇〇)は次のとおりである。 (1) 昭和五六年九月末日二・九七五(2) 昭和五七年三月末日三・〇五六(3) 昭和五七年九月末日三・一二四(b) (a)の(1)(2)から昭和五七年一月一日現在の指数を三・〇一六と算定した。 2.975+(3.056-2.975)3月/6月=3.016(c) (a)の(2)(3)から昭和五七年八月二六日現在の指数を三・一一二と算定した。 3.056+(3.124-3.056)×5月/6月=3.112(d) アの(d)及びイの(b)、(c)から本件土地の昭和五七年八月二六日現在における一平方メートル当たりの価額を三〇万三三五八円と算定した。 294、000×3.112/3.016=303、358ウ本件土地の面積は、四三三二・八五平方メートルであるから、右一平方メートル当たりの価額三〇万三三五八円を乗ずると、本件土地の価額は一三億一一三七万一一三〇円となる 2/3.016=303、358ウ本件土地の面積は、四三三二・八五平方メートルであるから、右一平方メートル当たりの価額三〇万三三五八円を乗ずると、本件土地の価額は一三億一一三七万一一三〇円となる。 (3) 本件建物の譲渡時における価額は、譲渡時における再取得価額から譲渡時までの減価償却費相当額を控除する方法で算定した。 ア本件建物の建築価額は、昭和五四年一二月に支出した電気工事代金を含めて一〇億八八七〇万六二五三円である。 イ建設省が公表している構造用途別工事単価(一平方メートル当たり)によれば、鉄骨鉄筋コンクリート造の店舗は、昭和五四年には一一万九九〇〇円、昭和五七年には一五万四九〇〇円であり、その間の上昇率は、昭和五四年を一〇〇とした場合、昭和五七年は一二九・二となる。 ウ本件建物の耐用年数を六〇年、経過年数(昭和五四年五月から昭和五七年八月まで)を三年四か月とした場合の、定率法による未償却残額割合は〇・八八〇となる。 経過年数三年 〇・八九一経過年数四年 〇・八五八0.891-(0.891-0.858)×4/12=0.880エ以上から本件建物の譲渡時の価額は一二億三七八一万五四六一円となる。 1、088、706、253×129.2×0.880=1、237、815、4 (4) 以上により、本件土地及び本件建物の、譲渡時における(客観的な)価額の合計額は、二五億四九一八万六五九一円となる。 (5) 本件土地建物の現実の譲渡価額は、二六億〇九一五万円であるから、この額を前記(2)及び(3)で算定した譲渡時のそれぞれの価額がその合計額に占める割合によって按分し、本件土地及び本件建物のそれぞれの譲渡価額を算定すると次のとおりである。 本件土地の譲渡価額一三億四二二一万七九四四円2、69、150、000×1、311、3 その合計額に占める割合によって按分し、本件土地及び本件建物のそれぞれの譲渡価額を算定すると次のとおりである。 本件土地の譲渡価額一三億四二二一万七九四四円2、69、150、000×1、311、371、130/2、549、186、591=1、342、217、944本件建物の譲渡価額一二億六六九三万二〇五六円2、609、150、000-1、342、217、944=1、266、932、056(6) 借地権の価額については、右(5)による本件土地の譲渡価額一三億四二二一万七九四四円に相続税財産評価に関する基本通達により大阪国税局長が定めた借地権割合に準じて七〇パーセントを乗じて借地権の価額を九億三九五五万二五六一円と計算した。 (7) したがって、前記(5)に掲げた本件建物の譲渡価額一二億六六九三万二〇五六円に、借地権価額九億三九五五万二五六一円を加えた二二億〇六四八万四六一七円が原告会社の収受すべき建物及び借地権の譲渡価額であって、修正申告額二五億二〇九六万〇〇〇九円は過大であり、差額の三億一四二〇万五三九二円は譲渡益の過大申告となる。 なお、右の金額によって計算すると、原告会社の課税所得金額は、一億六三六八万三五〇二円となり、被告は、別紙1(8)の「所得金額」欄の記載を正当額に訂正する(但し、課税標準額に変動はない。)。 (三) 課税土地譲渡利益金額の計算について(1) 原告会社が所有していた借地権の譲渡は、租税特別措置法六三条一項に規定する土地等の譲渡に該当するから、その収益の額は、前記(二)(6)に記載した九億三九五五万二五六一円となる。 (2) 原告会社が昭和五三年七月一日から昭和五四年六月三〇日までの事業年度(以下「昭和五四年六月期」という。)の確定申告において、開発費の取得価額として計上している五億一一三三万二五七二円を、本 (2) 原告会社が昭和五三年七月一日から昭和五四年六月三〇日までの事業年度(以下「昭和五四年六月期」という。)の確定申告において、開発費の取得価額として計上している五億一一三三万二五七二円を、本件土地の取得価額として認め、これを譲渡原価とした。 (3) 土地等の譲渡に係る経費の額について、譲渡した土地等の保有のために要した負債の利子の額は、租税特別措置法施行令(昭和五八年政令第六一号による改正前のもの。以下「措置法施行令」という。)三八条の四(土地の譲渡等がある場合の特別税率)第六項一号により計算した額一億五八五一万三〇九七円となり、土地等の譲渡のために要した販売費及び一般管理費は、措置法施行令三八条の四第六項二号により計算した額一億〇五六七万五三九八円となる。 (4) 右(1)の土地等の譲渡による収益の額から、右(2)の土地等の譲渡原価及び(3)の土地等の譲渡に係る直接又は間接に要した経費の額を控除すると、課税土地譲渡利益金額は、一億六四〇三万一四九四円となる。 (四) 過少申告加算税及び重加算税の賦課決定処分の適法性右のとおり、更正処分は適法であるから、これに基づいてされた過少申告加算税及び重加算税の賦課決定処分も次のとおり適法である。 (1) 過少申告加算税ア計算の基礎となるべき税額五八二九万八〇〇〇円イ過少申告加算税額二九一万四五〇〇円(2) 重加算税ア計算の基礎となるべき税額三三一〇万一〇〇〇円イ重加算税額九九三万〇三〇〇円 2 原告A関係(一) 原告Aの更正処分による総所得金額等は、別紙2記載のとおりであるが、その内容は次のとおりである。 (1) 給与所得五四三万円(確定申告額)(2) 分離長期譲渡所得金額二億九一四五万四三一九円(3) 譲渡収入金 は、別紙2記載のとおりであるが、その内容は次のとおりである。 (1) 給与所得五四三万円(確定申告額)(2) 分離長期譲渡所得金額二億九一四五万四三一九円(3) 譲渡収入金額三億七二五五万四三一九円(4) 取得費七八一〇万円(確定申告額)(5) 譲渡費用二〇〇万円(確定申告額)(6) 特別控除額一〇〇万円(租税特別措置法三一条三項)(7) 所得税額九六六六万四四〇〇円(二) 分離長期譲渡所得の金額(1) 原告会社関係に係る前記1の(二)の(1)ないし(7)までは、原告A男関係についても同様である。 (2) 本件土地には、原告会社が借地権を有しているので、原告A及びBの本件土地の譲渡価額は、本件土地の譲渡価額一三億四二二一万七九九四円(前記1の(二)の(5))から、借地権価額九億三九五五万二五六一円(前記1の(二)の(6))を差し引いた四億〇二六六万五三八三円で、原告Aの譲渡収入金額は、それぞれが所有する土地の面積(前記二の1の(一)の割合によって按分すると、三億七二五五万四三一九円となる。 402、665、383×(3、667.85+331.74)/(3、667. 85+331.74+332.26)よって、右の金額により計算すると、原告Aの分離長期譲渡所得金額は、二億九一四五万四三一九円となり、被告は、別紙2の記載(更正・賦課決定欄)を正当額に訂正する(但し、課税標準額は変動しない。)。 (三) 過少申告加算税賦課決定処分の適法性右のとおり、更正処分は適法であるから、これに基づいてされた過少申告加算税の賦課決定処分は次のとおり適法である。 (1) 計算の基礎となるべき税額九六六四万四四〇〇円(2) 過少申告加算税額 正処分は適法であるから、これに基づいてされた過少申告加算税の賦課決定処分は次のとおり適法である。 (1) 計算の基礎となるべき税額九六六四万四四〇〇円(2) 過少申告加算税額四八二万五五〇〇円四主な争点 1 原告藤田ビル株式会社の訴えのうち、被告が同原告に対して、昭和五九年八月八日付けでした同原告の昭和五七年七月一日から昭和五八年六月三〇日までの事業年度の法人税に係る更正の請求に対する更正すべき理由がない旨の通知の取消しを求める部分は、不適法か。 2 被告の原告らに対する更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の賦課決定処分は正当か。そのうち、特に、次の点が主に争われている。 (一) 原告会社の「資産の譲渡に係る収益の額」(法人税法二二条二項)又は原告Aの「譲渡所得に係る総収入金額」(所得税法三三条三項)の算定の基礎となる本件土地建物の売買代金額はいくらか。 被告は、右売買代金額は、売買契約書に記載されている一八億二六九三万八二一六円及びハヤマが原告会社から引き継いで賃借人に返還すべき債務を負担することとなった敷金、保証金七億八二二一万一七八四円の合計二六億〇九一五万円である旨主張する。 これに対し、原告らは、各賃借人に対する敷金及び保証金の返還債務をハヤマが引き継ぐとの合意は、原告会社とハヤマとの間でされたもので、右返還債務の債権者である各賃借人は何ら関与しておらず、各賃借人に対する原告会社の返還債務は法律上残存したままであるから、右敷金及び保証金の額を売買代金額に加算することは不当であり、真実の売買代金額は、売買契約書に売買代金額として記載されているとおり、一八億二六九三万八二一六円である旨主張する。 (二) 被告が、原告会社からハヤマに対する借地権の譲渡があったとして、租税特別措置法六三条一項に基づき、原 約書に売買代金額として記載されているとおり、一八億二六九三万八二一六円である旨主張する。 (二) 被告が、原告会社からハヤマに対する借地権の譲渡があったとして、租税特別措置法六三条一項に基づき、原告会社の土地譲渡利益金額を九億三九五五万二五六一円とし、これに課税したことは、相当か。またその計算において、借地権の取得価額として、原告会社が昭和五四年六月期の事業年度において、開発費の取得価額として計上している五億一一三三万二五七二円を譲渡原価としたことは相当か。 原告らは、右借地権の取得価額として控除されるべき金額は、第一次的には九億三九五五万二五六一円であるとし、第二次的には、五億六〇〇〇万円である旨主張する。 3 原告会社の昭和五八年一二月二六日付け法人税の修正申告は、原告代表者の真意に基づかないでされたものか。 4 被告の原告会社に対する昭和五八年一二月二七日付け過少申告加算税及び重加算税賦課決定処分並びに昭和六〇年四月一二日付け更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分が信義則に著しく反するか。 第三裁判所の判断一争点1について前記争いがない事実のとおり、被告は、原告会社の昭和五七年七月一日から昭和五八年六月三〇日までの事業年度(本件事業年度)の法人税に係る更正の請求に対し、昭和五九年八月八日付けで、更正すべき理由がない旨の通知をしたが、その後、昭和六〇年四月一二日付けで、右事業年度の法人税について、更正処分をした。 ところで、更正すべき理由がない旨の通知は、更正の請求に係る課税標準等について調査した結果に基づいて行う処分であり、単なる棄却処分ではなく、その実質は数額に関する一種の更正処分あるいは更正処分に準じるものであると解せられる。 そうすると、原告会社が取消しを求めている通知処分は、後にされた更正処分との関係においては、「最 却処分ではなく、その実質は数額に関する一種の更正処分あるいは更正処分に準じるものであると解せられる。 そうすると、原告会社が取消しを求めている通知処分は、後にされた更正処分との関係においては、「最初の更正処分」に相当することとなり、右通知は、後にされた更正処分に吸収されて消滅したというべきである。 したがって、本件訴えのうち、右通知の取消しを求める部分は、不適法であって、却下すべきである。 二争点2につき述べる前に、原告会社に対する更正処分等について検討する。 1 原告会社の修正申告における所得金額が一億八七八八万八八九四円であることは、当事者間に争いがない。 2 次に、原告会社は、修正申告において、貸倒金外二億九〇〇〇万円を減算して所得金額を計算している。しかし、乙第一号証、第五ないし第八号証、第一一号証、第一八号証、第二三、第二四号証によれば、原告会社は、原告会社が設立された昭和五二年七月二一日以降、各事業年度において、貸倒れの対象となるべき債権を、債権として計上したことはなく、かつ、貸倒れとして損金処理したことも債務の免除をしたことはなかったと認められる。したがって、右金員は、所得金額の計算上、減算することはできない。 3 そこで、原告会社(及び原告A)の本件土地建物の譲渡益が問題となるが、本件土地建物の譲渡金額について、次に項を改めて述べることとする。 三争点2の(一)について 1 前記争いがない事実に、証拠によれば、次の各事実が認められる。 (一) 原告会社が所有する本件建物は、「パセオ」というショッピングセンターであるが、原告会社は、同建物の各部分を賃貸し、各賃借人(以下「テナント」ということがある。)との間の賃貸借契約に基づき、保証金及び敷金の預託を受けていた。(この事実は、当事者間に争いがない。)(二) 原告会社と各テナン 建物の各部分を賃貸し、各賃借人(以下「テナント」ということがある。)との間の賃貸借契約に基づき、保証金及び敷金の預託を受けていた。(この事実は、当事者間に争いがない。)(二) 原告会社と各テナントの賃貸借契約における保証金及び敷金に関する合意についてみると、まずキー・テナントである株式会社ニッショー(以下「ニッショー」という。)が預託している敷金は二九八二万五〇五五円、保証金は二億六八四二万五四九五円で、いずれも無利息である。このうち、敷金については、「原因の如何を問わず賃貸借が終了したときは直ちに返還する」とされ、また保証金については、「開店日より一〇年間据置き一一年目より一〇年間に渡り毎年開店日応当日に均等分割して返還する。」と定められている。(甲一)(三) ニッショー以外の大多数のテナント(後述のテナントを除く。)との賃貸借契約においては、概ね次のような約定になっている。(甲二ないし二七)(1) 敷金については、契約の終了に伴い、賃借人が現実に賃借物件を返還し、かつ契約上の一切の義務を履行した後、六か月以内に返還する。 (2) 保証金については、「開店日より一〇年間据置き一一年目より一〇年間に渡り毎年開店日応当日に均等分割して返還する。」と定められている。但し、期間満了前に賃貸人又は賃借人のいずれかの都合により、六か月前の予告による解約をした場合及び賃借人に賃料不払その他所定の事由があり、賃貸人が契約を解除した場合には、賃借人が退店し、次の新テナントが出店した日から六か月以内に返還する。 (四) ニッショー以外のテナントのうち、賃貸借終了時が一〇年の前後により控除割合を異にして定めたテナント四者(番号〇-九磯寿司(C)、番号二一ぺぺ(D)、番号三六カメラパセオ(株式会社兵庫フオトサービス)、番号一〇〇カトレア(E))との間の賃 了時が一〇年の前後により控除割合を異にして定めたテナント四者(番号〇-九磯寿司(C)、番号二一ぺぺ(D)、番号三六カメラパセオ(株式会社兵庫フオトサービス)、番号一〇〇カトレア(E))との間の賃貸借契約においては、次のような定めになっている。(甲二八ないし三一)(1) 無利息の保証金一本とし、敷金はなしとする。 (2) 契約期間は一〇年とし、更新することができる。 (3) 保証金については、賃借人が賃借部分を返還し、新テナントの営業開始後二か月後に返還するが、その時期が契約日から一〇年未満のときは保証金額の三〇パーセントを、一〇年を超えるときはその二〇パーセントをそれぞれ控除する。 (五) 特例に属するものとして、次の賃借人が存する。 (1) 番号五五東福(F)及び番号五三コーヒー院(G)は、委託販売契約につき、保証金及び敷金の約定はない。但し、Gについては、事実上一〇〇万円の保証金が差し入れられているが、返還についての約定は、特に存しない。(甲三二、三三)(2) 番号三三メンズショップアーロン(株式会社エヒメ商事)、番号三七チヨダ(株式会社チヨダ靴店)及び番号〇-一もしくは番号一三ルイ(G)は、いずれも歩合賃料のみにつき、保証金及び敷金ともにない。(甲三四ないし三六)(3) 番号一二やましろ(H)及び番号二二天正堂(I)については、無利息の保証金のみであり、やましろについては、新テナント開業後二か月後に二〇パーセントを控除して返還し、天正堂については、同じ時期に控除なく全額を返還する。 (甲三七、三八)(4) 番号五四久ら吉(J)、番号五六平和クラブ(K)及び番号プレイランド(L)については、賃貸人との特別の関係により、返還期限を特に短くし、そのかわりに無利息の保証金一本とするとともに、保証金については、賃借人の解約の申入れがあった 和クラブ(K)及び番号プレイランド(L)については、賃貸人との特別の関係により、返還期限を特に短くし、そのかわりに無利息の保証金一本とするとともに、保証金については、賃借人の解約の申入れがあった場合、その明渡し後一週間以内にその全額を返還する。(甲三九ないし四一)(5) 番号二九アルファ(株式会社アルファ)については、保証金、敷金についての約定が一切なく、現実に差入れもない。(甲四二)(六) 原告会社は、本件売買契約後において、各賃借人(テナント)に対し、挨拶状を送付し、「本件土地建物をハヤマに昭和五七年八月二六日付けで譲渡したこと、これにより賃貸人の地位がハヤマに承継されたこと」及び「保証金等については、特約事項三項の(五)によりハヤマが原告会社よりそのまま承継し、テナント各位の立場は変動がないこと」を表明した。(乙一五の二、一六の二)(七) 原告会社は、本件売買契約が締結された次の事業年度(昭和五八年七月一日から昭和五九年六月三〇日まで)の確定決算において、右の敷金・保証金七億八二二一万一七八四円を「前期修正益」として収益の額に計上した。(乙一一)(八) 他方、ハヤマは、本件土地建物の取得時において、本件土地建物の取得価額が敷金・保証金返還債務七億八二二一万一七八四円を含めた二六億〇九一五万円であり、したがって、差引支払金額が一八億二六九三万八二一六円であるとした会計処理をした。(乙一、一四の一、二)(九) ハヤマは、本件土地建物を取得した後、間もなく本件建物から退去した賃借人株式会社トミヤに対し、同社から預託されていた敷金八九万六七〇〇円及び保証金八〇七万一一〇〇円、合計八九六万七八〇〇円を全額返済した。 また、ハヤマは、同じく賃借人浜野公生に対し、同人から預託された敷金七〇万円及び保証金六三〇万円、計七〇〇万円を全額返済し 〇〇円及び保証金八〇七万一一〇〇円、合計八九六万七八〇〇円を全額返済した。 また、ハヤマは、同じく賃借人浜野公生に対し、同人から預託された敷金七〇万円及び保証金六三〇万円、計七〇〇万円を全額返済した。(甲九、二二、乙九の一、二) 2 右の事実によれば、原告会社とハヤマとの間の売買契約では、「買主は、売主原告会社が各賃借人から預かり保管中の敷金、保証金七億八二二一万一七八四円の返還債務を引き継ぎ、各賃借人との賃貸借契約書の定めに従い、自己の責任で将来これを各賃借人に返済する責に任ずる。」と明確に定められており、契約当事者双方ともにハヤマが敷金及び保証金七億八二二一万一七八四円を各賃借人に返還する債務を負うことを合意していることが認められる。そして右に認定したとおり、原告会社自身、各テナントに対して右合意の内容に従った挨拶状を送付し、また、ハヤマが本件土池建物の取得価額を保証金等を含む二六憶〇九一五万円と会計処理し、原告会社が本件の譲渡の翌事業年度の確定決算において保証金等を「前期修正益」として収益の額に計上しているなど、売主及び買主共に、右合意に副った会計処理をしているうえ、現実に、本件売買契約の後に退店した賃借人に対して、ハヤマから、契約に従って、保証金等全額が返還されているという、その後における原告会社及びハヤマ双方の行動からみても、本件土地建物の譲渡価額は、敷金及び保証金七億八二二一万一七八四円を含む二六億〇九一五万円であると当事者双方が認識していたと推認することができる。 この点に関し、原告らは、ハヤマにおける経理処理は同社の都合により適宜行われるもので、原告らに関係なく、その内容においても本件に影響をもつものではない旨主張する。 しかし、本件において、法人税法上、益金の額に算入すべき収益である土地建物の譲渡価額の総額は、当事者 宜行われるもので、原告らに関係なく、その内容においても本件に影響をもつものではない旨主張する。 しかし、本件において、法人税法上、益金の額に算入すべき収益である土地建物の譲渡価額の総額は、当事者間で行われた取引・合意の内容、それらを表した会計上の処理を重視すべきであるから、原告らの右主張は理由がない。 3 したがって、原告会社は、本件売買契約中の右特約に基づき、ハヤマに対し、原告会社の各賃借人に対する債務を原告会社に代わって返済することにより、これを消滅させるよう請求することができる権利を取得したもので、右権利の取得、すなわち、敷金・保証金の返還債務を免れる利益は、本件土地建物の譲渡に係る「収益の額」ないし「総収入金額」に含まれる経済的利益に該当する。 4 原告らは、本件の敷金・保証金は、法形式的にはともかく、経済実質的には現実にこれを返還することがないことを予定した資産であり、したがって、原告会社が免れたとされる敷金・保証金の返還債務は存在しないに等しいものである旨主張する。 しかし、前記認定のとおり、原告会社から敷金・保証金返還債務を承継したハヤマは、本件土地建物を取得して間もなく、本件建物から退店した賃借人二名に対し、現実に、原告会社と同賃借人らとの間の賃貸借契約に基づき敷金・保証金を全額返済しているのである。したがって、原告らの右主張は理由がない。 5 原告らは、本件土地建物が繰り返し、何回も転売される場合を想定すると、その転売の都度「債務免脱利益」が発生し、その度に多額の課税が行われ不合理である旨主張する。 しかし、敷金、保証金の返還債務が承継されるか否かによって賃貸不動産の譲渡価額が決定される以上、敷金・保証金の返還債務が不動産の譲受人に承継されるとされた場合に、承継される敷金・保証金の返還債務の額を含む譲渡価額に対して、そ 務が承継されるか否かによって賃貸不動産の譲渡価額が決定される以上、敷金・保証金の返還債務が不動産の譲受人に承継されるとされた場合に、承継される敷金・保証金の返還債務の額を含む譲渡価額に対して、その都度、課税が行われたとしても、それは資産の譲渡により発生する所得に対する当然の課税であって何ら不当な課税ではない。このことは、不動産が短期間に、順次、譲渡された場合に、各譲渡人にそれぞれ譲渡所得税が課せられても不合理ではないのと全く同様である。 したがって、原告らの右主張は理由がない。 6 原告らは、敷金・保証金に係る債務は、承継時における現況を算定すべきで、複利現価方式により算定した経済的利益の額を控除した残額を譲渡価額に参入すべきである旨主張する。 (一) しかし、既に認定したとおり、原告会社とハヤマとの間において成立している合意は、文言の上でも、明確に、ハヤマが敷金・保証金七億八二二一万一七八四円を各賃借人に返還する義務を負うというものであって、ハヤマにおいて、右七億八二二一万一七八四円から経済的利益を控除した残額のみを返還すれば足りるとの合意ではない。 そして、前記認定のとおり、原告会社とハヤマとの間の契約書上の文言のみならず、契約後における両当事者の行動からみても、原告会社及びハヤマは、本件土地建物の売買代金額について、敷金及び保証金七億八二二一万一七八四円を含む二六億〇九一五万円である、すなわち、ハヤマは右七億八二二一万一七八四円の敷金及び保証金返還債務を承継し、原告会社は、右返還債務を免れるということを認識していたと推認されるのである。 (二) 原告らは、敷金・保証金の返還債務が長期間据え置かれることを前提として、複利現価方式により、経済的利益を控除すべきであると主張している。 しかし、賃借人は、何時退店するのか分からないのであるか (二) 原告らは、敷金・保証金の返還債務が長期間据え置かれることを前提として、複利現価方式により、経済的利益を控除すべきであると主張している。 しかし、賃借人は、何時退店するのか分からないのであるから、その前提自体誤っているといわなければならないし、本件でも、現に、本件売買契約後間もなく、退店した賃借人が出現し、そのために、ハヤマにおいて、敷金・保証金を契約に定められたところに従い、全額、直ちに返還しているのであるから、原告らの右主張に理由がないことは明らかである。 (三) また、原告らは、複利現価方式により、経済的利益を控除すべきであるという主張の根拠として、本件の敷金・保証金の返還債務を相続税における債務控除に係る債務と同様に考えるべきであるとする。 しかし、本件の訴訟は、法人税法あるいは所得税法における債務の額について争われているものであるところ、法人税あるいは所得税においては、現実に換価された財産の価額を基礎とし、換価額自体で所得の計算を行うのであり、原則として、評価の問題は生じないのである。そして、本件において、売買契約の両当事者である原告会社及びハヤマ共に、土地建物の取引価額につき、敷金・保証金返還債務引継額七億八二二一万一七八四円を含む二六億〇九一五万円であると認識していたものであり、被告は、右経済取引の実態に着目して課税しているのであるから、敷金・保証金返還債務引継額においては、評価という問題は生じないといわなければならない。 7 以上によれば、本件土地建物の譲渡価額は、不動産売買契約書に記載された売買代金一八億二六九三万八二一六円及び敷金・保証金返還債務を免れたことによる経済的利益の額七億八二二一万一七八四円の合計二六億〇九一五万円であると認められる。 四 1以上のとおり、原告らがハヤマに譲渡した本件土地建物の売買代金額 円及び敷金・保証金返還債務を免れたことによる経済的利益の額七億八二二一万一七八四円の合計二六億〇九一五万円であると認められる。 四 1以上のとおり、原告らがハヤマに譲渡した本件土地建物の売買代金額は、敷金・保証金返還債務を含む二六億〇九一五万円であるが、右譲渡価額の物件毎、売主毎の内訳は判然としない。 そこで、被告は、更正処分に当たり、前記第二の三の「被告の主張による更正処分の内容」記載のとおり、右譲渡価額を、本件土地建物の時価で按分し、土地及び建物に付すべき譲渡価額を求め、その後に、本件建物に係る譲渡価額と、土地に係る譲渡価額のうち、原告会社が保有していた借地権部分の価額の合計額を、原告会社が収受すべき譲渡価額とし(逆に原告Aについては、本件土地に係る譲渡価額から借地権部分の価額を控除した底地部分の価額を、同原告が収受すべき譲渡価額とし)ている。 2 被告の右のような考え方は基本的に正当であり、乙第一号証、第一七号証によれば、前記「被告の主張による更正処分の内容」記載の算定方法による譲渡価額を認めることができる。 3 したがって、被告主張のとおり、譲渡益の過大申告となることが認められる。 五争点2の(二)について 1 原告会社が所有していた本件土地の借地権の譲渡は、租税特別措置法六三条一項にいう土地等の譲渡に該当する。そして、その収益の額は、被告の主張に従って右に認定したところによれば、九億三九五五万二五六一円となる。 2 右収益の額から控除される土地等の譲渡原価(取得原価)について、被告は、乙第五号証により、原告会社が昭和五四年六月期において、開発費の取得価額として計上している五億一一三三万二五七二円をもって、本件土地の取得価額と認め、これを譲渡原価としている。 3 原告らは、原告会社の借地権が設定された昭和五二年上月二一日から昭和五 、開発費の取得価額として計上している五億一一三三万二五七二円をもって、本件土地の取得価額と認め、これを譲渡原価としている。 3 原告らは、原告会社の借地権が設定された昭和五二年上月二一日から昭和五三年六月三〇日までの第一期事業年度(以下「昭和五三年六月期」という。)に、原告会社は、右借地権を無償で取得したが、被告は、原告会社の右受贈益である借地権の取得につき認定課税をしなかったから、原告会社には、借地権相当額に対応する納税に関していわゆる「時効利益」が発生しており、右借地権を処分した場合の課税については、その処分代金を益金として計上するものの、他方において、右「時効利益」に対応する取得価額を控除する必要があり、その取得価額として控除されるべき金額は、第一次的には、取得価額に等しい九億三九五五万二五六一円であり、第二次的には、五億六〇〇〇万円(借地権を設定した昭和五三年ころの本件土地の更地価額八億円に借地権割合七〇パーセントを乗じたもの)である旨主張する。 (一) 前記のとおり、原告会社は、その代表者ほかが所有する本件土地上に本件建物を建築し、その際に、本件土地についての使用権原(借地権)を取得したのであるが、右借地権の取得につき、無償であったことを窺わせる証拠は存しない。本件建物が建築された時期を含む昭和五三年六月期の原告会社の確定申告書(乙第二三号証)にも、その点について、何ら触れるところがない。 (二) これに対し、乙第五号証によれば、原告会社は、昭和五四年六月期の申告において、開発費として五億一一三三万二五七二円を計上していることが認められる。そして、右金員は、乙第一号証によれば、本件土地の所有者で、かつ、同土地上の旧建物の所有者である原告Aが旧建物の賃借人に対して支払うべき立退料等を、原告会社が代わって支払ったものであることが れる。そして、右金員は、乙第一号証によれば、本件土地の所有者で、かつ、同土地上の旧建物の所有者である原告Aが旧建物の賃借人に対して支払うべき立退料等を、原告会社が代わって支払ったものであることが認められる。 (三) また、原告会社が本件土地建物を譲渡する前の昭和五六年七月一日から昭和五七年六月三〇日までの事業年度(昭和五七年六月期)の確定申告書(乙第六号証)添付の貸借対照表には、開発費として四億七二七七万九七四六円が計上されているのに対し、本件土地建物が譲渡された昭和五七年八月二六日が含まれる本件事業年度(昭和五八年六月期)の確定申告書(乙第八号証)添付の貸借対照表には、開発費が計上されていないこと、原告会社は、右昭和五八年六月期の確定申告書の「土地の譲渡に係る譲渡利益金額に対する税額の計算に関する明細書」及びその付属計算書において、借地権付建物の譲渡の額を一七億三八四七万八二二五円(売買総額一八億二六九三万八二一六円から原告Aの分として八八四五万九九九一円を控除した額)とし、それからその原価として開発費四億七二七七万九七四六円を含めた一六億六一七八万八五六〇円を控除した売却益七六六八万九六六五円を損益計算書に計上していることが認められる。 (四) 以上によれば、原告会社が開発費として計上している金員は、本件土地及び旧建物の所有者であった原告Aが旧建物の賃借人らに対して本来支払うべき立退料を、原告会社が代わって支払ったものであり、また、原告会社自身、右開発費を借地権譲渡の対価と認識していたことは明らかであって、右金員は、原告会社の会計処理上、本件土地を賃借するための費用と推認することができるから、原告会社が原告Aから借地権を有償で取得したと認められる。 (五) また、原告らは、借地権設定年度と処分年度における借地権価額が同額であること 本件土地を賃借するための費用と推認することができるから、原告会社が原告Aから借地権を有償で取得したと認められる。 (五) また、原告らは、借地権設定年度と処分年度における借地権価額が同額であることを前提とした主張をしている。 しかし、借地権相当額の金額は、当該土地の更地価格に借地権割合を乗じて算出されるのであるが、乙第一七号証の「六大都市を除く市街地価格指数」によれば、原告会社が原告Aから本件土地を借り受けて事業の用に供した時期のころである原告会社が設立された昭和五二年の少し後である昭和五三年九月と譲渡時期(昭和五七年八月二六日)の少し前である昭和五七年三月とを比較すると、更地価格は一・二倍となっていることが認められるから、借地権の取得価額と処分価額とが同額であるということはありえない。したがって、原告らの主張は採用することができない。 (六) 原告らは、原告会社が取得した借地権の取得価額について、昭和五三年ころの本件土地の更地価格約八億円に借地権割合七〇パーセントを乗じた約五億六〇〇〇万円をもって相当とする旨主張する。 しかし、右金額は、あくまでも、仮定の数字に過ぎず、前記認定のとおり、原告会社は、現実に、右借地権の取得価額について、五億一一三三万二五七二円を計上しているのであって、かつ、右価額は、決して不当な額ではないと認められるから、原告らの右主張は採用することができない。 (七) したがって、本件土地の取得価額に関する原告らの右主張は採用することができない。 4 以上によれば、本件土地の取得価額を五億一一三三万二五七二円とし、これを原告会社の譲渡原価とした被告の計算は正当であると認められる。 5 土地等の譲渡に係る経費の額について、譲渡した土地等の保有のために要した負債の利子の額が、措置法施行令三八条の四(土地の譲渡等がある場合の特 社の譲渡原価とした被告の計算は正当であると認められる。 5 土地等の譲渡に係る経費の額について、譲渡した土地等の保有のために要した負債の利子の額が、措置法施行令三八条の四(土地の譲渡等がある場合の特別税率)第六項一号により計算した額一億五八五一万三〇九七円であり、土地等の譲渡のために要した販売費及び一般管理費が、措置法施行令三八条の四第六項二号により計算した額一億〇五六七万五三九八円であることは、被告主張のとおりであると認められる。 6 したがって、右1の土地等の譲渡による収益の額から、右4の土地等の譲渡原価及び5の土地等の譲渡に係る直接又は間接に要した経費の額を控除すると、課税土地譲渡利益金額は、一億六四〇三万一四九四円となることが認められる。 7 右のとおり、原告会社に対する更正処分は被告主張のとおり適法である。 六争点3について 1 原告らは、原告会社の昭和五八年一二月二六日付けの修正申告は、原告の真意に基づかないものである旨主張し、甲第五一号証(原告会社代表者兼原告Aの陳述書)には、右修正申告が原告会社の意思に基づかないことについての事情が記載されている。 2 右主張は、原告会社の真意と、修正申告に係る原告会社の表示に食い違いがあるという、錯誤の主張であると解せられるが、右甲第五一号証をもって、右の修正申告が原告会社の真意ではないと直ちに推認することはできない。のみならず、右修正申告において、原告会社に真意と表示との間に錯誤があったとしても、その是正については、当該錯誤が客観的に重大かつ明白であって、法の定める方法以外にその是正を許さないとすると納税者の利益を著しく害すると認められる特別の事情がある場合でなければ、税法所定の方法によらないで申告書の記載内容の錯誤を主張することは許されないと解すべきところ、本件では、その後において、 とすると納税者の利益を著しく害すると認められる特別の事情がある場合でなければ、税法所定の方法によらないで申告書の記載内容の錯誤を主張することは許されないと解すべきところ、本件では、その後において、被告から原告会社に対し、昭和六〇年四月一二日付けで、更正処分がされており、原告会社としては、右更正処分の内容を争うことにより、過誤の是正を図ることができるのであるから、特に修正申告が真意に基づくか否かについて審理判断しなければ原告会社の利益を著しく害するということはできないといわなければならない。 したがって、原告らの右主張は採用することができない。 七争点4について 1 租税法規に適合している課税処分について、信義則の法理の適用により、右課税処分を違法なものとして取り消すことができるのは、租税法規の適用における納税者間の平等、公平という要請を犠牲にしてもなお当該課税処分に係る課税を免れしめて納税者の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合に限られると解すべきである。そして、右特別の事情が存するかどうかの判断に当たっては、少なくとも、税務官庁が納税者に対し信頼の対象となる公的見解を表示したことにより、納税者がその表示を信頼しその信頼に基づいて行動したところ、のちに右表示に反する課税処分が行われ、そのために納税者が経済的不利益を受けることになったものであるかどうか、また、納税者が税務官庁の右表示を信頼しその信頼に基づいて行動したことについて納税者の責めに帰すべき事由がないかどうかという点を考慮する必要があるといわなければならない。 2 右に述べたところによれば、本件において、原告らが信義則違反として、種々主張している事情のうち、原告会社と被告の担当者との間の交渉経過に関する事実については、そのような事情があったことから い。 2 右に述べたところによれば、本件において、原告らが信義則違反として、種々主張している事情のうち、原告会社と被告の担当者との間の交渉経過に関する事実については、そのような事情があったことから、直ちに更正処分や過少申告加算税等の処分をすることが信義則に反するものとならないことは言うまでもない。 3 原告らは、被告においては、当初、修正申告の段階では、貸倒損金として二億九〇〇〇万円を認めていたにもかかわらず、更正処分では、右金員が貸倒損金に算入されないとしているのは著しく信義則に反する旨主張する。 (一) 次の事実は、当事者間に争いがない。 (1) 原告会社の代表者である原告Aは、昭和五八年一二月二六日、尼崎税務署を訪れた。 被告の部下職員は、提出された借用証(乙第四号証の一ないし七)に基づき、貸倒損金を二億九〇〇〇万円とする原告会社の同日付け修正申告書を、原告Aに代わって作成し、原告Aから渡された原告会社の印鑑により、右部下職員が押印した。 (2) 被告は、同年一二月二七日付けで修正申告に係る過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分をした。 (3) 被告は、修正申告書に対して、原告会社の譲渡金額を減額するとともに、貸倒損金を零とし、さらに、借地権の譲渡に係る課税土地譲渡利益金額を算定し、本件更正処分を行った。 (二) 原告ら提出の甲第五一号証(原告Aの陳述書)には、被告の部下職員が、貸倒損金を二億九〇〇〇万円とするよう強く指導し、その指導に沿った修正申告書を部下職員自ら作成したとの供述部分が存する。 しかし、貸倒損金の基礎となった借用証については、少なくとも原告会社側から提出されたものであって、被告の部下職員が勝手にこれを作成したものではないし、また修正申告書を被告の部下職員が代筆したとしても、申告に係る原告会社の経理内容につき予め右部 、少なくとも原告会社側から提出されたものであって、被告の部下職員が勝手にこれを作成したものではないし、また修正申告書を被告の部下職員が代筆したとしても、申告に係る原告会社の経理内容につき予め右部下職員が知っていたということが有りえない以上、貸倒れ損金について税務署が原告会社に対し、見解を示したということはできないし、また代筆ということから、被告の部下職員において、申告内容をそのまま認めてその後更正等の措置を一切採らないという確定的な意思を表明したということもできないことは明らかである。 そして、原告Aが右申告内容を全く知らなかったということができないことは、前記認定のとおりである。 (三) 以上によれば、貸倒損金の処理について、原告ら主張の事実を認めることができない。したがって、少なくとも、税務官庁が納税者に対し信頼の対象となる公的見解を表示したと認めることができず、したがって、納税者である原告会社がその表示を信頼しその信頼に基づいて行動したということも認められないから、原告らの信義則に反するという主張を採用することはできない。 八原告Aに対する更正処分について原告Aに対する更正処分の内容について、被告主張の事実関係が認められることは、原告会社に対して述べたところと同様である。したがって、原告Aの関係においても、被告がした更正処分が適法であるといわなければならない。 九よって、本件各訴えのうち、原告会社に対する本件事業年度の法人税に係る更正の請求に対する更正すべき理由がない旨の通知の取消しを求める部分は不適法であるから却下し、本件の更正処分等はいずれも適法であって、その余の部分に関する原告らの請求はいずれも理由がないから棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民訴法八九条、九三条を適用して、主文のとおり判決する。 等はいずれも適法であって、その余の部分に関する原告らの請求はいずれも理由がないから棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民訴法八九条、九三条を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判官辻忠雄吉野孝義北川和郎)別紙2、3(省略)

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