【DRY-RUN】○ 主文 原告の被告法務大臣に対する主位的請求および被告仙台入国管理事務所主任審査官 に対する請求をいずれも棄却する。 原告の被告法務大臣に対する在留期間更新不許可決定の取消を求める訴(予備的請 求)
○ 主文原告の被告法務大臣に対する主位的請求および被告仙台入国管理事務所主任審査官に対する請求をいずれも棄却する。 原告の被告法務大臣に対する在留期間更新不許可決定の取消を求める訴(予備的請求)を却下する。 訴訟費用は原告の負担とする。 ○ 事実原告訴訟代理人は、被告法務大臣に対する主位的請求として「被告法務大臣が昭和四二年一〇月一九日付仙台入国管理事務所名義の不許可通知と題する書面で原告に通知した原告の在留期間更新不許可決定は無効であることを確認する。訴訟費用は被告法務大臣の負担とする。」との判決を求め、予備的請求として「被告法務大臣が昭和四二年一〇月一九日付仙台入国管理事務所名義の不許可通知と題する書面で原告に通知した原告の在留期間更新不許可の決定はこれを取消す。訴訟費用は被告法務大臣の負担とする。」との判決を求め、被告仙台入国管理事務所主任審査官(以下被告主任審査官という。)に対し「被告主任審査官が昭和四三年九月二四日原告についてなした仙第九号の退去強制令書の発付処分はこれを取消す。」との判決を求め、これらの請求原因として、一、原告は朝鮮慶尚北道<以下略>に本籍を有する<略>生れの朝鮮人で、朝鮮戸籍令による戸籍を有する日本人として誕生したものである。 そして昭和一四年、両親及び兄Aと当時大阪に居住していた長兄を頼つて来日し、終戦に至るまで兄と共に大阪の軍需工場で働いていたが、終戦で職を失い秋田に移住し、昭和二二年妻Bと結婚して同二五年八月秋田市役所に婚姻届を済ませ、両者間に長男C(略生)、長女DことE(略生)、次男F(略生)の三子を得、その間昭和二三年頃から兄Aの営む大衆食堂を妻と共に手伝つていたが、同三三年から同市で独立して「白原食堂」を営み、現在肩書住所地で親子で妻の両親と共に生活しているものである。 二、ところで、原告は その間昭和二三年頃から兄Aの営む大衆食堂を妻と共に手伝つていたが、同三三年から同市で独立して「白原食堂」を営み、現在肩書住所地で親子で妻の両親と共に生活しているものである。 二、ところで、原告は昭和三八年刑事々件で秋田刑務所に服役したが、昭和四〇年服役を終えて同刑務所を出所するに先立ち、仙台入国管理事務所入国警備官の取調を受け入国審査官の審査、特別審査官の口頭審理を経、その出入国管理令(以下単に令という。)二四条四号ロ、リに該当する旨の認定に対し被告法務大臣に異議申立をした結果、被告法務大臣から特に一八〇日に限つて在留を許可されることとなつた。 三、その後原告は六ヶ月ごとに右在留許可の更新を繰り返し、昭和四二年六月一一日からの在留についても、従来どおり正規の手続に則りその許可を被告法務大臣に申請していたものであるが、同年一〇月二〇日頃仙台入国管理事務所から同月一九日付の不許可通知により右在留期間更新許可申請に対する被告法務大臣の不許可決定(以下本件不許可決定又は不許可処分という。)の通知を受けた。 そして被告法務大臣の右不許可決定を受けた仙台入国管理事務所入国警備官は、原告を令二四条四号ロに該当するとの被疑事実で立件し、昭和四三年五月二二日同所主任審査官の発した収容令書により原告を強制収容したうえ入国審査官に引渡し、同審査官は右被疑事実を認定したものの原告の家庭の事情その他を考慮して同日原告を仮放免した。 原告は右認定を不満として特別審理官に口頭審理を請求したが、特別審理官が入国審査官の右認定に誤りがない旨判定したので、更に右判定に対し被告法務大臣に異議を申立てた。 ところが被告法務大臣に対する右異議申立が昭和四三年八月六日棄却されたとして、同年九月二四日被告主任審査官が原告に対する請求の趣旨記載の退去強制令書(以下本件退去強制令書と 大臣に異議を申立てた。 ところが被告法務大臣に対する右異議申立が昭和四三年八月六日棄却されたとして、同年九月二四日被告主任審査官が原告に対する請求の趣旨記載の退去強制令書(以下本件退去強制令書という。)を発付(以下本件退去強制処分という。)して執行したため、原告に同日仙台入国管理事務所に収容されるに至つた。 四、しかしながら、被告法務大臣の本件不許可決定及び被告主任審査官の本件退去強制処分には次の瑕疵がある。 (一) 被告法務大臣の本件不許可決定は、そもそも原告の在留期間が六ヶ月であることを前提としてなされたものである。 しかしながら、原告は昭和二七年四月二八日までは朝鮮戸籍令による戸籍を有する日本人として日本の国籍を有し、日本において自由に居住でき国外に追放されることのない法的地位を有していたものである。 ところが右同日の「日本国との平和条約」発効に伴い、朝鮮戸籍令に基づき朝鮮に本籍を有していた者は、その意思にかかわりなく一方的に日本国籍を離脱することとされ、ただ在日朝鮮人の特殊な立場に鑑み「ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基づく外務省関係諸法令の措置に関する法律」(昭和二七年法律第一二六号、以下法律第一二六号という。)が制定され、同法二条六項により「日本国との平和条約の規定に基づき、同条約の最初の効力発生の日において日本の国籍を離脱するもので昭和二〇年九月二日以前からこの法律施行の日まで引続き本部に在留するもの」は、令二二条の二第一項の規定にかかわらず、別に法律で定めるところによりその者の在留資格及び在留期間が決定されるまでの間、引続き在留資格を有することなく日本国に在留できるものと定められ(以下法律第一二六号二条六項該当者という。)、別に法律で然るべく処理するまでは従来どおり期限に限りなく居住できることとされたため、 、引続き在留資格を有することなく日本国に在留できるものと定められ(以下法律第一二六号二条六項該当者という。)、別に法律で然るべく処理するまでは従来どおり期限に限りなく居住できることとされたため、原告は法律第一二六号二条六項によつて別に法律で在留資格及び在留期間が決定されるまでは引続き在留許可なしに在留できる地位を有するものである。 即ち、出入国管理令によれば、外国人はすべて在留資格と在留期間によつて規制され、日本国籍を離脱した者は、令二二条の二の規定では在留資格なしには六〇日間しか在留できないこととされているが、原告のような法律第一二六号二条六項該当者は出入国管理令によつてではなく、別の法律を定め、それにより在留資格と在留期間を定めることとするので、その法律ができるまでは出入国管理令の規制外にある者として、従来の日本人であつた時と同様に在留することができることとされたのである。 そして、その後昭和四〇年一二月日韓会談により在日韓国人の法的地位に関する協定即ち「日本国に居住する大韓民国国民の法的地位及び待遇に関する日本国と大韓民国との間の協定」が成立し、これに基づき出入国管理特別法が定められたが、右法律が正に前述の「別に定める法律」の一部をなすものとして制定されたものである。 ところで日本政府は昭和四〇年一〇月二六日統一見解を発表し、韓国との表示を大韓民国の国籍として取扱うことを明らかにしたので、右協定及びそれに基づいて制定された法律は、大韓民国の国籍を有する在日朝鮮人即ち在日韓国人についての法律ということになり、朝鮮即ち朝鮮民主々義人民共和国の国籍を有する者及び右二つの国籍のいずれか明らかでない在日朝鮮人についての適用法律は未だ制定されていないものである。 したがつて、原告のような朝鮮民主々義人民共和国の国籍を主張する者についての法 の国籍を有する者及び右二つの国籍のいずれか明らかでない在日朝鮮人についての適用法律は未だ制定されていないものである。 したがつて、原告のような朝鮮民主々義人民共和国の国籍を主張する者についての法的地位に関する「別の法律」が未だ制定されていない以上、被告法務大臣と雖も原告の在留を否定することはできず、法律によらずして原告の在留期間を定めることもできないものである。しかるに被告法務大臣は右法律第一二六号の定めに反して原告の在留期間を一八〇日と決定したばかりか、その後本件の更新不許可決定をして原告の在留を拒否するに至つたものであるから、被告法務大臣の本件不許可決定は明らかに違法な決定であり無効である。 (二) 仮に右主張が認められないとしても、被告法務大臣の本件不許可決定は権限の濫用にわたる違法な決定であり取消されなければならない。 すなわち外国人が在留期間の更新を求め、被告法務大臣においてその更新を適当と認める相当の理由があるときにはこれを許可することになつており、原告に対してはこれまで三回にわたり更新を許可してきたものであつて、本件の在留期間更新についても、原告は昭和四二年七月一三日罰金五万円の刑を受けているものの、在留期間更新の許可基準により検討されるべき事情(家族共々居住地に根をおろし正業を営んで安定した生活していること)は前回と変りなく、むしろ以前にも増して真剣に家業に打ち込んでいるものである。 しかるに被告法務大臣は何らの理由もなしに原告に対する本件不許可決定の処分を行つたものであり、これは明らかに権限の濫用にわたる違法な決定である。 (三) 次に、原告は朝鮮慶尚北道<以下略>を本籍とし、外国人登録令、外国人登録法による登録に際しても国籍を朝鮮と表示してきたものであるところ、在日朝鮮人で国籍を朝鮮と主張してきた者については、朝鮮民主 ) 次に、原告は朝鮮慶尚北道<以下略>を本籍とし、外国人登録令、外国人登録法による登録に際しても国籍を朝鮮と表示してきたものであるところ、在日朝鮮人で国籍を朝鮮と主張してきた者については、朝鮮民主々義人民共和国国籍法により自動的に同国の国籍を取得するとされているが、一方の大韓民国国籍法には同様の規定が存在せず、したがつて原告の国籍は朝鮮民主々義人民共和国となる。 ところが日本国と大韓民国との間には日韓基本関係条約、在日韓国人の法的地位及び待遇に関する協定及び合意された議事録が存在し、前述のように現在大韓民国の国籍を有しかつ一定の条件を備えている者の待遇取扱について両国間において合意をみているものの、日本国と朝鮮民主々義人民共和国との間には在日朝鮮人の待遇取扱につき何らの取決めも存在しない。 してみれば原告に対し被告法務大臣が本件不許可決定をなし、同主任審査官が本件退去強制令書を発付しても日本政府は原告を引渡すべきいかなる国をも有しないことになり、処分の前提である退去強制が法的に不可能であることが明白であるから、被告らの処分はいずれも無効であり、少くとも取消を免れないものである。 五、以上のとおり、被告法務大臣のなした本件不許可決定が無効ないしは取消されるべきものであるから、右決定に基づく被告主任審査官による本件退去強制処分も取消されるべきである。 六、よつて原告は被告らに対し本訴請求に及んだ。 と述べ、被告法務大臣の令二一条三項の権限は自由裁量であり恩恵的なものであるとの被告らの主張に対する反論として、行政行為に関して裁量権が付与された場合、行政機関がこれを誠実に行使するためには少くとも行政機関としては具体的な行政行為に関する判断、決定を規律すべき裁量基準を内部的に定立し、この基準によつて各個の行政行為を行う必要がある。そしてこの行政機関 関がこれを誠実に行使するためには少くとも行政機関としては具体的な行政行為に関する判断、決定を規律すべき裁量基準を内部的に定立し、この基準によつて各個の行政行為を行う必要がある。そしてこの行政機関の定立する裁量基準が根拠法令に内在する目的に違反し、若しくは憲法上当然認められる比例原則や平等原則に違反している場合に、行政行為がこの違反した裁量基準によつて行われる場合や裁量基準自体には瑕疵がないとしても、その運用に際して事実の誤認若しくは右憲法上の原則違反がある場合にはいずれも違法な裁量濫用として司法審査の対象となるものであり、本件においても従来の経緯からして被告法務大臣の今回の本件不許可処分は客観的に不合理なものであることが明白であるから裁量濫用であり取消されるべきである。 と述べ、立証として、甲第一ないし第一二号証を提出し、証人G、同H、同E、同I、同J、同C、同Aの各証言及び原告本人尋問の結果を援用し、乙号各証の成立は全て認めると述べた。 被告法務大臣指定代理人及び同主任審査官指定代理人はいずれも「原告の請求はいずれも棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。」との判決を求め、請求原因事実に対し、一、請求原因第一項事実中、原告の本籍地、生年月日が原告主張のとおりであること、原告が妻Bと結婚して三子を儲けていること、原告が昭和二〇年九月二日以前から本邦に在留している朝鮮人で現在秋田市に居住していること、原告が昭和二七年四月二八日までは朝鮮戸籍令による戸籍を有する日本人であつたことは認めるが、その余は不知。 二、同第二、三項の事実は認める。 三、第四項の(一)ないし(三)のうち、原告が朝鮮戸籍令にもとづき朝鮮に本籍を有し、昭和二七年四月二八日日本国との平和条約発効に伴い日本国籍を離脱した外国人(朝鮮人)であること、原告が法律第一二六号二条 第四項の(一)ないし(三)のうち、原告が朝鮮戸籍令にもとづき朝鮮に本籍を有し、昭和二七年四月二八日日本国との平和条約発効に伴い日本国籍を離脱した外国人(朝鮮人)であること、原告が法律第一二六号二条六項にいう引続き在留資格を有することなく本邦に在留することができる者(法律第一二六号二条六項該当者)であつたことは認めるが、本件不許可決定及び本件退去強制処分が違法であるとの主張はすべて争う。 四、同第五項は争う。 と答弁し、被告の主張として、一、本件外国人退去強制令書が発付されるまでの経過は次のとおりである。 (一) 原告に、法律第一二六号二条六項にいう引き続き在留資格を有することなく本邦に在留できる者であつたところ、昭和三四年三月一四日秋田地方裁判所において窃盗、傷害、銃砲刀剣類所持等取締法違反、脅迫及び賍物寄蔵罪により懲役二年、罰金二〇、〇〇〇円に処せられ秋田刑務所に服役した。 そこで仙台入国管理事務所入国警備官は同年六月一九日令二四条四号リ該当容疑で違反調査を行い、同月三〇日事件を同所入国審査官に引き継いたところ、同審査官は審査の結果同年七月二五日令二四条四号リに該当する旨の認定をなし、更に右認定に対して原告のなした口頭審理の請求についても同所特別審理官が右審査官の認定に誤りがない旨判定をしたので、原告は被告法務大臣に対して異議の申出を行い、右申出に対し被告法務大臣は同三五年七月二七日付をもつて令五〇条の規定による在留特別許可(令四条一項一六号による在留資格及び昭和二七年五月一二日外務省令第一四号一項三号による一八〇日間の在留期間)の裁決をなし、以来原告は右決定された在留資格及び在留期間をもつて在留することとなり、その後五回にわたり在留期間を更新してきた。 (二) しかるに原告は右許可にかかる在留期間の満了日である昭和三八年四月二三日ま 以来原告は右決定された在留資格及び在留期間をもつて在留することとなり、その後五回にわたり在留期間を更新してきた。 (二) しかるに原告は右許可にかかる在留期間の満了日である昭和三八年四月二三日までに在留期間更新許可申請を行わず、同日をこえて本邦に残留し、かつ昭和三八年七月一一日秋田地方裁判所において傷害、暴行、恐喝罪により懲役一年二月に処せられ同年同月一八日右判決が確定したので、原告は仙台入国管理事務所入国警備官の違反調査、同所人国審査官の審査の結果、令二四条四号ロ、リに該当する旨の認定を受け、更に前同様特別審理官の口頭審理を経たうえ、昭和四〇年六月九日被告法務大臣から令五〇条の規定による在留特別許可(在留資格、在留期間とも前回と同じ)を受け、以後原告は右により決定された在留資格をもつて在留を継続することになつた。 そして原告はその後三回にわたり在留期間を更新してきたが、昭和四二年七月二〇日被告法務大臣に対して四回目の在留期間更新許可申請をなしたところ、被告法務大臣は右申請に対し不許可の決定(本件不許可決定)をなし、仙台入国管理事務所より原告に対しその旨同年一〇月二〇日付書面をもつて通知した。 (三) 被告法務大臣の右不許可決定により原告が在留期間をこえて本邦に在留していることになつたので、仙台入国管理事務所入国警備官は令二四条四号ロ該当容疑により違反調査を開始し、昭和四三年五月二二日同所入国審査官に事件を引渡し、同所入国審査官は審査の結果令二四条四号ロに該当する旨の認定をなした。原告に右認定に対し口頭審理の請求をしたので同所特別審理官は同日右入国審査官の認定に誤りがない旨の判定をなしたところ、原告は被告法務大臣に対し異議の申出を行つたが被告法務大臣は昭和四三年八月六日令四九条三項により「異議の申出には理由がない」との裁決をなし、被告 入国審査官の認定に誤りがない旨の判定をなしたところ、原告は被告法務大臣に対し異議の申出を行つたが被告法務大臣は昭和四三年八月六日令四九条三項により「異議の申出には理由がない」との裁決をなし、被告主任審査官は原告に対し同年九月二四日右裁決の結果を告知すると共に本件退去強制令書を発付して同所入国警備官に交付した。入国警備官は同日本件退去強制令書を原告に示して執行し同所収容場に収容したものである。 二、原告はまず同人が法律第一二六号二条六項該当者であり、別に法律で定めるまで期限なく在留できるものであるから、本件不許可処分は無効又は取消されるべきであると主張するが、原告は昭和三五年八月六日以降は法律第一二六号二条六項の適用をうける者でないから右主張は理由がない。即ち、朝鮮人、台湾人は昭和二七年法律一二六号二条六項にいう「日本国との平和条約の規定に基づき同条約の最初の効力発生の日において日本の国籍を離脱する者」として同日以後令二条二号に規定する外国人となり、令の対象となつたが、右法律第一二六号二条六項は戦前からの特殊事情を考慮して我国が降伏文書に調印した昭和二〇年九月二日以前から引き続き日本に在留しているものは令二二条の二、第一項の規定にかかわらず別に法律で定めるところによりその者の在留資格及び在留期間が決定されるまでの間は引続き在留資格を有することなく本邦に在留できることとしたのである。この条項が令二二条の二、第一項の適用だけを除外する特別規定であることは明らかであり、令の適用を全部排除するものではない。 原告は、前に述べたように令二四条四号リ又はロ、リ該当者として退去強制されるべきを、昭和三五年七月二七日及び昭和四〇年六月九日それぞれ令五〇条の規定により、特に被告法務大臣より在留特別許可を与えられて在留を継続しているものであるから、昭和三 、リ該当者として退去強制されるべきを、昭和三五年七月二七日及び昭和四〇年六月九日それぞれ令五〇条の規定により、特に被告法務大臣より在留特別許可を与えられて在留を継続しているものであるから、昭和三五年八月六日以後法律第一二六号二条六項の適用を受けるものではなく、一般在留外国人と同様右在留特別許可により被告法務大臣の決定した前記在留資格及び在留期間で在留しうるにすぎないのである。 したがつて原告が法律第一二六号二条六項該当者であることを前提として被告法務大臣の本件不許可処分を難ずる原告の主張は明らかに失当である。 三、また被告法務大臣の本件不許可処分につき裁量権の逸脱又は濫用が存するとの主張も以下に述べるとおり失当である。 (一) 外国人の在留は国が外国人に対して一方的に付与する恩恵であり、在留期間更新の許可は令二一条三項に定められているとおり被告法務大臣が当該外国人の提出した文書により、在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当な理由があるときに限りなされるものであり、右の相当な理由の有無の判断は被告法務大臣の自由裁量に委ねられ、その裁量の範囲はきわめて広く、在留期間の更新の許否は、被告法務大臣が当該外国人の個人的事情のみならずその当時の国際情勢、政治事情、外交関係等一切の事情を考慮のうえ自由裁量により決定しうるものである。 (二) 次に被告法務大臣が原告に対し昭和三五年七月二七日及び同四〇年六月九日の二回にわたり在留特別許可を与えた経緯は前記のとおりであるが、原告は前記退去強制事由となつた犯罪の外に次の犯罪処罰歴も有しているものである。 (イ) 昭和二一年七月二〇日(確定、以下(ル)まで同じ)、秋田区裁判所において傷害罪により懲役二月(ロ) 昭和二一年一一月二二日、同裁判所において傷害罪により罰金一〇〇円(ハ) 昭和二二年一一月一五日、大阪 二一年七月二〇日(確定、以下(ル)まで同じ)、秋田区裁判所において傷害罪により懲役二月(ロ) 昭和二一年一一月二二日、同裁判所において傷害罪により罰金一〇〇円(ハ) 昭和二二年一一月一五日、大阪地方裁判所において窃盗罪により懲役二年(ニ) 昭和二六年二月一五日、秋田簡易裁判所において器物毀棄罪により罰金一、〇〇〇円(ホ) 昭和二七年二月一二日、秋田地方裁判所において傷害、暴行罪により罰金二〇、〇〇〇円(ヘ) 昭和二七年六月二九日、秋田簡易裁判所において窃盗罪により懲役一年(ト) 昭和二八年九月三〇日、同裁判所において窃盗罪により懲役一年(チ) 昭和二九年一月五日、秋田地方裁判所において窃盗、暴行罪により懲役一〇月(リ) 昭和二三年一一月二〇日、秋田簡易裁判所において外国人登録法違反により罰金二、〇〇〇円(ヌ) 昭和三三年五月七日、同裁判所において道路交通取締法違反により罰金二、〇〇〇円(ル) 昭和三八年四月九日、秋田地方裁判所において公務執行妨害罪により懲役一年(三) そして原告がこのような悪質な犯罪者であり当然に本邦外に退去を強制されるべきものであるにもかかわらず、被告法務大臣において前記のとおり二回にわたり在留を特別に許可したのは、原告が法律第一二六号二条六項該当者であつたこと及びその経歴、家族状況などの個人的事情を考慮したほか、戦前からわが国に引き続き居住する在日朝鮮人のうち退去強制手続を受けた者に対する取扱につき当時の国際情勢、特にわが国と韓国との外交関係を考慮して定められたわが国の当時の一般的な方針に基づくものである。 すなわち在日朝鮮人に対する韓国への強制送還は平和条約発効後昭和二七年五月から開始されたが、右送還者のうち終戦前から日本に在留していた者については、その法的地位が日韓会談で決定されるべきであるとして すなわち在日朝鮮人に対する韓国への強制送還は平和条約発効後昭和二七年五月から開始されたが、右送還者のうち終戦前から日本に在留していた者については、その法的地位が日韓会談で決定されるべきであるとして韓国がその引取りを拒否し、その後も、わが国の再三の交渉にもかかわらず右引取りを拒否し続けたため、法律第一二六号二条六項該当者であつた者で刑罰法令違反によつて退去を強制されたものについては、事実上これを送還することができず、わが国としてもこの特殊事情にかんがみ韓国が引取りを拒否することの明らかな右の者に対しては、退去強制令書を発付してもその目的を達しえない実情を考慮し、前科があつてもわが国に身元引受人がおり、かつ多少なりとも更生の余地が認められるものについては在留の特別許可を与える寛大な取扱いをするという方針がとられていたのである。 (四) つまり被告法務大臣が原告に対し、昭和三五年七月二九日及び同四〇年六月九日の二回にわたり在留特別許可を与え、しかも在留期間を一八〇日と定めたのは、右の特殊事情から、やむを得ず在留特別許可をなして原告のその後の更生の余地を見定めるためであつた。 しかるに原告は更生するどころか昭和四二年六月二八日秋田簡易裁判所において賭博罪及び銃砲刀剣類所持等取締法違反により罰金五万円に処せられ(同年七月一五日確定)、右事実は原告の同年二〇日付在留期間更新許可申請に際して被告法務大臣の知るところとなつた。しかも本件不許可処分のなされた昭和四二年当時のわが国と韓国との間の国際情勢は、原告が在留の特別許可を受けた同三五年当時と著しく相違し、既に同四〇年六月に日韓両国間において「日本国に居住する大韓民国国民の法的地位及び待遇に関する日本国と大韓民国との間の協定」が締結され、右協定の履行措置として同年一二月一七日「日本国に居住する大韓民国 に同四〇年六月に日韓両国間において「日本国に居住する大韓民国国民の法的地位及び待遇に関する日本国と大韓民国との間の協定」が締結され、右協定の履行措置として同年一二月一七日「日本国に居住する大韓民国国民の法的地位及び待遇に関する日本国と大韓民国との間の協定の実施に伴う出入国管理特別法」が制定され、同四一年一月一七日から施行されるに至つており、韓国政府も右協定の効力発生の後は出入国管理に関する日本の法令により日本から退去を強制される大韓民国国民の引取りについて協力する旨明らかにしているのであるから、右協定に基づく出入国管理特別法施行後はわが国と韓国との間に被退去強制者の送還に関する障害は存在しなくなつたものである。 (五) 以上から被告法務大臣は原告の昭和四二年七月二〇日付在留期間更新許可申請に際して判明した前記犯罪事実及び右日韓両国間の諸事情を十分検討したうえ、原告の本件在留期間更新申請につき在留期間更新を相当と認めるに足りる理由がないと判断して本件不許可処分をなしたものであるから、右処分につき裁量権の逸脱又は濫用は存在しないものであり、原告のこの点の主張も理由がない。 四、更に原告に対する退去強制令書の執行についても執行は可能であるから、右執行の不能を前提として被告らの各処分が無効又は取消を免れないとする原告の主張は失当である。 (一) 平和条約の発効により日本の国籍を離脱することになつた在日朝鮮人の登録については外国人登録令により一律に「朝鮮」と記載されることになつていたものであるが、昭和二三年八月一五日、韓国が正統政府の樹立を宣言し、同年一二月一二日国際連合総会において朝鮮にある唯一の合法的な政府であることを承認された結果、連合国最高司令部は同二五年二月二〇日日本国政府に対し「朝鮮に代り韓国の名称の使用」を指令し、これに応じて日本国 月一二日国際連合総会において朝鮮にある唯一の合法的な政府であることを承認された結果、連合国最高司令部は同二五年二月二〇日日本国政府に対し「朝鮮に代り韓国の名称の使用」を指令し、これに応じて日本国政府は同月二三日、法務総裁談話をもつて外国人登録の国籍を「朝鮮」から「韓国」に書換えることを認めることとし、それ以後、旅券又はこれに代わる国籍証明書を提示した者については韓国の国籍を有するものとして外国人登録上の国籍を「韓国」と表示し、それ以外の者については従来外国人登録において実施されたとおり「朝鮮」と表示して朝鮮半島出身者であることを表示することとしているのである。 したがつて、原告に係る外国人登録等の国籍欄の記載に当たつても、右の外国人登録上の取扱いと同様に表示しているのであつて、原告が韓国の国籍を有しないとか、朝鮮民主々義人民共和国の国籍を有するとかを意味するものではない。 (二) 令における退去強制令書の送還先についても、右国籍の表示に応じて韓国の国籍を有する者についてはその送還先を「韓国」として第一次的送還先(令五三条一項)が同国政府の有効な支配及び管轄権が現実に及んでいる地域であることを表示し、それ以外の者については「朝鮮」として朝鮮半島に送還するものであることを表示し、更に、送還先を「朝鮮」と表示されている者についても、当該本人が韓国への送還を希望するときには同国政府の有効な支配及び管轄権が現実に及んでいる朝鮮半島の地域へ、当該本人が韓国政府の有効な支配及び管轄権が現実に及んでいない朝鮮半島の他の地域へ送還されることを希望するときはその地域へ送還するものとしている。 しかし、右送還先を「朝鮮」と表示されている者が、右のいずれの地域への送還も希望しないなど、その選択を放棄した場合には、そのいずれの地域への送還も可能となるのである。 域へ送還するものとしている。 しかし、右送還先を「朝鮮」と表示されている者が、右のいずれの地域への送還も希望しないなど、その選択を放棄した場合には、そのいずれの地域への送還も可能となるのである。けたし、退去強制令書の執行は、令五二条の規定から明らかなように、送還先との国交関係ないし送還交渉あるいは当該本人の意思・希望等の存在を前提とするものではないからであり、現に、韓国政府の有効な支配及び管轄権が現実に及んでいない朝鮮半島の他の地域にも送還は行われているのである(この場合は令五二条四項に基づき自らの負担により退去することとなるが、この方法によつたものは、昭和四六年二四名、同四七年一八名、同四八年二五名、同四九年二二名、同五〇年七名に及んでいる。)。 (三) そして退去強制令書の国籍及び送還先が「朝鮮」と表示されている者の送還は以上のとおりであるから、原告に対する退去強制令書の執行は可能であり、何らの瑕疵も存在せず、したがつて被告らの各処分も適法といわざるを得ないのである。 と述べ、立証として乙第一ないし第八号証、第九号証の一、二、第一〇ないし第一五号証、第一六号証の一、二、第一七ないし第二六号証、第二七号証の一、二、第二八ないし第三〇号証を提出し、甲第一ないし第八号証の成立及び第九ないし第一二号証の原本の存在とその成立はいずれも認めると述べた。 ○ 理由一、原告が朝鮮慶尚北道<以下略>に本籍を有する一九二七年一月五日生れの朝鮮人であつて、妻Bと婚姻し三子をもうけていること、原告は、昭和二〇年九月二日以前から本邦に在留し、法律第一二六号二条六項該当者であつたがその後被告法務大臣から一八〇日に限つて在留を許可されることとなり、六ヶ月ごとに右在留期間の更新許可を得てきたこと、ところで原告のなした昭和四二年六月一一日以降の在留期間更新許可 項該当者であつたがその後被告法務大臣から一八〇日に限つて在留を許可されることとなり、六ヶ月ごとに右在留期間の更新許可を得てきたこと、ところで原告のなした昭和四二年六月一一日以降の在留期間更新許可申請に対し被告法務大臣は同年一〇月一九日不許可決定(本件不許可決定)をなしたこと、これをうけて仙台入国管理事務所入国審査官は原告を令二四条四号ロに該当するとの認定をなしたこと、原告が右認定を不服として口頭審理の請求をしたが同所特別審理官が右審査官の認定に誤りがない旨の判定をなしたので更に被告法務大臣に異議を申立てたが昭和四三年八月六日右異議申立が棄却されたことについては当事者間に争いがなく、成立に争いのない乙第一ないし第八号証、第九号証の一、二、第一〇ないし第一五号証、第一六号証の一、二、第一七号証によれば、原告は、右のように法律第一二六号二条六項に該当する者であつたが、昭和三四年三月一四日秋田地方裁判所において窃盗罪等により懲役二年、罰金二万円の判決言渡を受け、右判決が確定して秋田刑務所に服役したこと、仙台入国管理事務所入国審査官は昭和三四年七月二五日右が令二四条四号リに該当する旨の審査をし、原告は右審査につき同所特別審理官に口頭審理の請求をしたが右審査官の認定に誤りがない旨の判定を受けたの、更に被告法務大臣に異議の申出を行ない、被告法務大臣において昭和三五年七月二七日令五〇条による在留特別許可の裁決(在留期間一八〇日)をなし、仙台入国管理事務所主任審査官が原告に右在留特別許可書を交付し、その後原告は在留期間の更新許可を得てきたこと、ところが原告は右許可にかかる在留期間満了日である昭和三八年四月二三日までに在留期間更新許可申請を行なわずに同日をこえて在留し、かつ昭和三八年七月一一日秋田地方裁判所において傷害罪等により懲役一年二月の判決言渡を 右許可にかかる在留期間満了日である昭和三八年四月二三日までに在留期間更新許可申請を行なわずに同日をこえて在留し、かつ昭和三八年七月一一日秋田地方裁判所において傷害罪等により懲役一年二月の判決言渡を受け右判決が確定したので、仙台入国管理事務所入国審査官は昭和四〇年二月一五日令二四条四号ロ、リに該当する旨の認定をなしたこと、原告は右認定に対し口頭審理の請求をしたが同所特別審理官が右入国審査官の認定に誤りがない旨の判定をしたので、更に被告法務大臣に異議の申出を行ない、被告法務大臣において昭和四〇年六月九日令五〇条の規定による特別在留許可の裁決(在留期間一八〇日)をなし、前記主任審査官は同年同月一一日在留特別許可書を原告に交付しその後原告は右在留期間の更新許可を得てきたものであることが認められる。 二、原告は、まず法律第一二六号二条六項により別に法律でその在留資格及び在留期間が定められるまでは在留期間の定めなく在留できるものであるから、被告法務大臣の本件不許可処分は法律によらずして原告の日本に在留しうる地位を奪うもので無効であると主張する。 しかしながら法律第一二六号二条六項は「日本国との平和条約の規定に基づき同条約の最初の効力発生の日において日本の国籍を離脱する者で、昭和二〇年九月二日以前からこの法律施行の日まで引き続き本邦に在留するものは、出入国管理令二二条の二第一項の規定にかかわらず、別に法律で定めるところによりその者の在留資格及び在留期間が決定されるまでの間引き続き在留資格を有することなく本邦に在留することができる。」と定められ、令二二条の二第一項の適用を除外する特別規定であることが明らかであり、令の他の規定の適用を排除するものとは解されないから、原告が前記のように令二四条に該当するものと認定され、原告の異議申立に対し被告法務大臣が令 一項の適用を除外する特別規定であることが明らかであり、令の他の規定の適用を排除するものとは解されないから、原告が前記のように令二四条に該当するものと認定され、原告の異議申立に対し被告法務大臣が令五〇条の特別在留許可の裁決をしたことに違法はなく、したがつて、原告は以後右特別許可に定める在留資格と在留期間をもつてのみ在留を継続しうるもので原告に対して法律第一二六号二条六項の適用される余地はないから、同条項の適用を前提とする原告の主張は失当である。 三、次に原告に対する本件退去強制令書の執行が不能であるから本件処分は無効又は取消されるべきであるとの主張について判断すると、まず成立に争いのない乙第二八号証によれば右退去強制令書の原告の国籍欄及び送還先欄にそれぞれ「朝鮮」と記載されていることが明らかであるところ、原告は、同人が朝鮮民主々義人民共和国の国籍を有するものであるから右「朝鮮」の記載も同国を意味し、同国と日本との間に国交関係の存しない現状において原告に対する退去強制は不能であると主張する。 しかしながら外国人に対する退去強制は当該外国人に対し自国からの退去を命ずる処分であつて、そもそも国家の自由な権能であるから、送還先となる外国との国交関係又は送還者引き取りの合意の有無により制約を受けるものではなく、ただ国交関係のない外国に対し送還する場合は令五二条三項の規定により直接に送還することが通常できないことになるが、これを以つて国の外国人に対する退去強制が不能になるものと解することはできないし、令は右の場合に備えて他の送還先への送還(令五三条二項)及び自主退去(令五二条四項)の方途を定めて送還の方法を確保しているのであるから、原告の送還先が朝鮮民主々義人民共和国であるとしても、原告に対する退去強制は可能であつて本件退去強制令書の執行にも何らの び自主退去(令五二条四項)の方途を定めて送還の方法を確保しているのであるから、原告の送還先が朝鮮民主々義人民共和国であるとしても、原告に対する退去強制は可能であつて本件退去強制令書の執行にも何らの差支えなく、したがつて、原告のこの点の主張も理由がない。 四、原告は予備的に被告法務大臣の本件不許可処分が裁量権の逸脱又は権限の濫用によるもので違法であるから取消されるべきであると主張する。 しかし、原告の被告法務大臣に対する本件不許可決定取消の訴は行政事件訴訟法一四条一項により原告が右決定のあつたことを知つた日から三ヶ月以内になされなければならないところ、被告法務大臣が原告に対し、昭和四二年一〇月一九日本件不許可決定をなし、右不許可決定の書面が翌一〇月二〇日原告に到達していることは当事者間に争いがない。しかるに本件訴が提起されたのはそれより三ヶ月以上経過した後の昭和四三年九月二七日であること告記録上明らかである。 してみると、原告が予備的になした被告法務大臣の本件不許可決定取消の訴は前記行政事件訴訟法に定める出訴期間を経過した後に提起されたものであるから、原告の右訴は不適法である。 のみならず外国人の出入国及び滞在の許否は元来国家の自由に決すべきことがらであり、令五〇条及び二一条に定める被告法務大臣の在留特別許可及びその更新についてもそれを許すか否かは法務大臣の自由裁量に属するものと解すべきところ、本件においては、原告は前認定のとおり過去二回にわたり刑罰法令違反を理由として本邦から退去を強制されようとしたが、その都度被告法務大臣の在留特別許可を得て在留を継続更新してきたものであり、成立に争いのない乙第一九号証によれば本件の在留期間更新許可申請の直前である昭和四二年六月二八日にも秋田簡易裁判所において賭博罪及び銃砲刀剣類所持等取締法違反により罰金 を継続更新してきたものであり、成立に争いのない乙第一九号証によれば本件の在留期間更新許可申請の直前である昭和四二年六月二八日にも秋田簡易裁判所において賭博罪及び銃砲刀剣類所持等取締法違反により罰金五〇、〇〇〇円に処せられていることが認められ、以上の事由によれば証人H、同J、同A、同C、同Eの各証言および原告本人尋問の結果から窺われる原告のこれまでの本邦における生活歴、家族関係、生活状況その他諸般の事情を考慮しても、被告法務大臣の本件不許可処分が理由のない恣意的なもので裁量権を逸脱又は濫用したものとは認められない。 五、被告法務大臣の本件不許可決定に瑕疵の存しないこと以上のとおりであるから、右決定の瑕疵を前提として本件退去強制令書の発付が違法であるとする原告の主張は理由がないし、本件退去強制令書の執行が不能でないことも前示のとおりであるから、いずれにしても原告の被告主任審査官に対する請求は理由がないことになる。 六、よつて原告の被告法務大臣に対する主位的請求および被告主任審査官に対する請求はいずれも理由がないから失当としてこれを棄却し、被告法務大臣に対する本件不許可処分取消の訴(予備的請求)は不適法であるからこれを却下することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条を適用して主文のとおり判決する。 (裁判官伊藤和男後藤一男宮岡章)
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