平成19(行コ)366 勧告取消請求控訴事件(原審・水戸地方裁判所平成17年(行ウ)第17号)

裁判年月日・裁判所
平成20年5月14日 東京高等裁判所 警察関係
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判決文本文4,398 文字)

- 1 -主文 本件控訴を棄却する。 控訴費用は,控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1控訴の趣旨 原判決を取り消す。 被控訴人が平成11年12月9日付けで控訴人に対してした「病床数308床のうち248床を削減し,申請に係る病床数を60床とすること」とする勧告を取り消す。 第2事案の概要 事案の要旨(1)控訴人は,茨城県土浦市(以下「土浦市」という)内において病院を開。 設することを計画し,被控訴人に対して病床数を308床とする病院の開設に係る医療法平成11年法律第87号による改正前のもの以下同じ (。 。)条1項の許可申請以下本件申請というをしたが被控訴人から医(「」。),,療法30条の7の規定に基づき,病床数を308床から60床に削減するよう勧告された(この勧告を,以下「本件勧告」という。 。)控訴人は,本件勧告は行政手続法,医療法及び茨城県行政手続条例(平成7年茨城県条例第5号以下行政手続条例というに違反した違法なも。 「」。)のであると主張して,被控訴人に対し,その取消しを求めた。 (2)差戻前の第一審判決水戸地方裁判所平成12年行ウ第7号は本(()),件勧告が行政事件訴訟法3条2項に規定する「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に該当しないという理由により本件訴えを却下し,その控訴審判決(東京高等裁判所平成15年(行コ)第132号)は,控訴を棄却したが,上告審判決(最高裁判所平成15年(行ヒ)第320号)は,本件勧告が上記「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に該当する- 2 -と判断して,控訴審判決を破棄し,差戻前の第一審判決を取り消して,本件を水戸地方裁判所に差し戻した。 (3)差戻後の原審は本件勧告 政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に該当する- 2 -と判断して,控訴審判決を破棄し,差戻前の第一審判決を取り消して,本件を水戸地方裁判所に差し戻した。 (3)差戻後の原審は本件勧告に違法事由は認められないとして控訴人の請,,求を棄却したところ,これを不服とする控訴人が請求の認容を求めて控訴した。 当事者の主張等,,「」前提事実争点及びこれに関する当事者の主張は原判決の 事実及び理由 中の「第2事案の概要」の1ないし3に記載のとおりであるから,これを引用する。 第3当裁判所の判断当裁判所も,控訴人の請求は理由がないと判断する。その理由は,次のとおり控訴理由に対する判断を補足するほかは原判決の 事実及び理由 中の第,「」「 当裁判所の判断」に説示するとおりであるから,これを引用する。 (控訴理由に対する判断) 控訴人は指導要綱及びこれに基づく事前協議という法的仕組は(1)講学,,上の「法規命令」に該当しない単なる指導要綱をもって,私人に事前協議を義務付けている点において法治主義に反し違法であり(2)事前協議に応じな,,い者,改善指導に従わない者に対して,医療法30条の7の勧告ができる旨を規定し,同法30条の7の勧告の要件を勝手に変更している点において,同法30条の7に違反し(3)病院開設許可申請に先立って事前協議を経ること,,を要求し,同法7条の病院開設許可申請に対し,法規命令ではない指導要綱でもって要件を加重している点において,同法7条に違反し,また,これを行政,,手続の観点からみると指導要綱及びこれに基づく事前協議という法的仕組は病院開設許可申請そのものに対する障害であって,行政手続法7条に違反すると主張する。 しかし,茨城県においても,病院の開設等 ,手続の観点からみると指導要綱及びこれに基づく事前協議という法的仕組は病院開設許可申請そのものに対する障害であって,行政手続法7条に違反すると主張する。 しかし,茨城県においても,病院の開設等の申請について,事前協議を経る- 3 -こと及びこれに従うことは要件とはなっておらず,実際,控訴人は,事前協議に従わずに,本件申請をし,これが許可されていること,医療法30条の7に基づく勧告を受けた者は,同勧告の適法性を争うことができるところ,前記引用に係る原判決の 事実及び理由 中の第3当裁判所の判断の2(2)イの「」「」第2段落(30頁2行目から16行目まで)に説示するとおり,医療法30条の7に基づく勧告は医療計画の達成の推進のため特に必要がある場合に限,「」って行うことができるのであって,指導要綱8条の規定のみを根拠として被控。 ,,訴人が勧告を行うことが許されるわけではないそうすると勧告の適法性は上記の医療法30条の7に規定する要件を満たしているか否かによって決せられるから,被控訴人は,指導要綱及びこれに基づく事前協議に参加せず,又は。 ,これに従わなかったことを本件勧告の理由とすることはできないしたがって指導要綱又はこれに基づく事前協議には,拘束力,強制力がないから,私人に法的な義務を課すものとはいえない。また,指導要綱により,医療法30条の7の勧告の要件が変更され,医療法7条の病院開設許可の申請の要件が加重されているとはいえないし,病院開設許可申請に対する障害になっているということもできない。 したがって,控訴人の上記主張は,いずれも採用することができない。 なお,控訴人は,平成10年7月通知は,病院開設許可申請後に病床調整をするよう規定したものであり,申請前の調整は平成10年7月通知に反すると主張す 訴人の上記主張は,いずれも採用することができない。 なお,控訴人は,平成10年7月通知は,病院開設許可申請後に病床調整をするよう規定したものであり,申請前の調整は平成10年7月通知に反すると主張するが,平成10年7月通知には,申請前の調整を禁止する旨の記載はなく,平成10年7月通知の趣旨は,調整手続の透明性,公平性,公正性の確保にあるものと解されるところ,被控訴人の実施した事前協議は,指定した期間を公示し,その期間内に事前協議の申出をした全ての開設者等から事前協議書の提出を受け,ヒアリングを実施するなどした上,地域保険医療推進協議会の,(,,,),意見も踏まえ調整を行うというものであり乙27 証人A同B手続的な透明性,公正性,公正性が確保されていると認められるから,このよ- 4 -うな調整方法が平成10年7月通知に反するとはいえない。 ,,,また被控訴人の実施した事前協議に合理性が認められ手続的にも透明性公正性が確保されていることは,前記引用に係る原判決の「事実及び理由」中の第3当裁判所の判断の2(2)に説示するとおりであるそして被控訴「」。 ,,,人が事前協議を実施したことによってこれを実施しなかった場合に比較して本件勧告の内容が控訴人に不利益なものになったとも認められない。 したがって,控訴人の上記主張は,採用することができない。 控訴人は,医療法30条の7の趣旨からして,過剰病床数を超えて必要病床数に食い込んでまで削減勧告をすることはできないから,C病院D分院が,60床の病床に係る病院の開設の申請を取り下げた結果,本件勧告時における不足病床数は120床になったにもかかわらず,控訴人に対して,188床ではなく248床の削減を命じた本件勧告は違法であると主張する。しかし,証拠(乙2 開設の申請を取り下げた結果,本件勧告時における不足病床数は120床になったにもかかわらず,控訴人に対して,188床ではなく248床の削減を命じた本件勧告は違法であると主張する。しかし,証拠(乙28,証人B)及び弁論の全趣旨によれば,C病院D分院が上記申請を取り下げた時点で,病院の開設等の申請をしていたのは控訴人のみであったが,これは,他の開設者等が事前協議による病床配分に従って,当初の希望病床数を下回る申請をしたためであって,同時点で申請がないからといって,控訴人の他に,病床の配分を希望している者がいないとはいえない。そして,被控訴人は,上記取下げがなされたのが事前協議書を提出した開設者等に対する病床配分の結果通知から半年以上が経過した後であり,控訴人以外の開設者等には既に開設等の許可がなされ,建築基準法上の建築確認の取得等病床整備の準備が具体的に進行し,中には,病床の整備を終えて稼働している者もあるという状況であったことから,C病院D分院の申請取下げにより生じた不足病床数60床については,開設者等の十分な準備期間を確保して公平・公正な病床配分を実施するために,直ちには病床配分を実施しないことにし,本件勧告を行ったことが認められ,被控訴人のこの判断は,医療法30条の7の趣旨に沿うものと認められる。 - 5 -したがって,控訴人の上記主張は,採用することができない。 控訴人は,被控訴人がE病院に20床の病床を優先的に配分したことは違法であると主張する。しかし,この点に関する当裁判所の判断は,前記引用に係る原判決の 事実及び理由 中の第3当裁判所の判断の5(2)に説示する「」「」とおりであり,これが違法であるということはできない。 したがって,控訴人の上記主張は,採用することができない。 控訴人は,医療計画の作成につ 当裁判所の判断の5(2)に説示する「」「」とおりであり,これが違法であるということはできない。 したがって,控訴人の上記主張は,採用することができない。 控訴人は,医療計画の作成については,厚生労働省に裁量権があるから,医療法30条の7の勧告について,知事に裁量は認められないと主張する。しかし,前記引用に係る原判決の「事実及び理由」中の「第3当裁判所の判断」の4及び5に説示するとおり,医療法30条の7の勧告の要件が充たされる場合に行うことが許される勧告の内容については,医療法に規定がなく,平成10年6月通知等,厚生労働省から発せられた通知には,上記勧告要件が充たされる場合に,どの開設者等に対し,いかなる場合に中止を勧告し,いかなる場合に削減を勧告するべきであるのか,また,削減を勧告する場合にどの程度の,,削減を勧告するべきなのかについて記載はないのであってこれらについては上記勧告を発する権限を有する知事に裁量が認められるというべきである。 したがって,控訴人の上記主張は,採用することができない。 第4 結論 以上によれば,控訴人の請求は理由がないから棄却すべきであり,これと同旨の原判決は相当であって,本件控訴は理由がないから,これを棄却することとする。 東京高等裁判所第12民事部- 6 -裁判長裁判官柳田幸三裁判官白石史子裁判官田中治は,退官のため,署名押印することができない。 裁判官柳田幸三

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