平成16(行ウ)2 公文書不開示処分取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成16年9月21日 福島地方裁判所
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判決文本文9,044 文字)

- 1 -判決主文原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1請求被告が平成14年10月29日付け総相第67号により行った公文書不開示決定を取り消す。 第2事案の概要本件は,福島県の住民である原告が,福島県情報公開条例(以下「情報公開条例」という。)に基づき,被告に対し,原告が関与した交通事故に関し,原告に対する(運転免許本部等に宛てた)行政処分書(道路交通法に基づく違反行為に付する点数を5点としたもの)の開示を求めたところ,被告が不開示処分をしたことから,原告が同処分の取消しを求めた事案である。 前提事実(争いがないか掲記の証拠により容易に認められる事実)(1)原告は,福島県内に住所を有する者であり,被告は,情報公開条例の実施機関とされている者である。 (2)平成13年9月12日午後7時ころ,福島市a番b先の交差点において,国道13号線をc方面からd方面に向かい直進していた原告運転車両と,対向車線からe方面に右折しようとした訴外A運転の車両とが衝突する交通事故が発生した(甲25,33,34)。 - 2 -(3)原告は,平成13年11月14日ころ,自動車安全運転センター福島県事務所長から,「あなたの累積点数は,平成13年9月12日の交通違反(事故)で5点(行政処分の前歴0回)になりました。」との記載のある累積点数通知書の送付を受けた(甲35)。 (4)原告は,平成13年11月27日,自動車安全運転センター福島県事務所長から,「運転記録証明書」の発行を受けたところ,そこにも,「平成13年9月12日信号無視(赤色等)(軽傷事故)点数5点」との記載があった(甲36)。 (5)福島地方検察庁は,平成14年5月31日,原告に対する業務上過失傷害被疑事件につき,不起訴処分をなし,同 3年9月12日信号無視(赤色等)(軽傷事故)点数5点」との記載があった(甲36)。 (5)福島地方検察庁は,平成14年5月31日,原告に対する業務上過失傷害被疑事件につき,不起訴処分をなし,同年9月10日付けでその旨原告に通知した(甲37)。 (6)原告は,平成14年10月15日,被告に対し,情報公開条例に基づき,福島警察署作成に係る前記交通事故に関する原告に対する(運転免許本部等に宛てた)行政処分書(道路交通法に基づく違反行為に付する点数を5点としたもの)の開示を求めた。 (7)被告は,平成14年10月29日,上記公文書公開請求に係る公文書につき,開示しないことを決定し,同日付け公文書不開示決定通知書をもって,原告に対し,次のとおり通知した(甲4)。 「福島県情報公開条例第10条に該当します。 (理由)開示請求に係る公文書の存否を答えること自体が,条例第7条第2号の不開示情報を開示することになるので,当該公文書があるともないとも言- 3 -えないが,仮にあるとしても第7条第2号により不開示情報に該当します。」(8)情報公開条例には,次のような規定がある(甲6)。 「第7条実施機関は,開示請求があったときは,開示請求に係る公文書に次の各号のいずれかに該当する情報(以下「不開示情報」という。)が記録されている場合を除き,開示請求者に対し,当該公文書を開示しなければならない。 (1) (略)(2)個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって,当該情報に含まれる氏名,生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより,特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)又は特定の個人を識別することはできないが,公にすることにより,なお個人の権利利 人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより,特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)又は特定の個人を識別することはできないが,公にすることにより,なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの。ただし,次に掲げる情報を除く。 ア法令等の規定により又は慣行として公にされ,又は公にすることが予定されている情報イ人の生命,健康,生活又は財産を保護するため,公にすることが必要であると認められる情報(以下略)第9条実施機関は,開示請求に係る公文書に不開示情報(第7条第1号に該当する情報を除く。)が記録されている場合であっても,公益上特- 4 -に必要があると認めるときは,開示請求者に対し,当該公文書を開示することができる。 第10条開示請求に対し,当該開示請求に係る公文書が存在しているか否かを答えるだけで,不開示情報を開示することとなるときは,実施機関は,当該公文書の存否を明らかにしないで,当該開示請求を拒否することができる。 」(9)福島県には,情報公開条例とは別に,福島県個人情報保護条例(以下「個人情報保護条例」という。)が存在するが,同条例2条2号によれば,被告は個人情報保護条例の実施機関とされていない(甲23)。 (10)原告は,(7)の公文書不開示決定について,平成14年12月12日付けで,福島県公安委員会に対し,上記公文書不開示決定を取り消すこと等を求めて,行政不服審査法に基づく審査請求手続を行った(甲5)。 (11)福島県公安委員会は,平成15年1月10日付けで,審査請求事件について,福島県情報公開審査会に諮問した(甲7)。 平成15年10月15日,福島県情報公開審査会は,不開示を妥当とする結論を答申した(甲21)。 (12)福島県公安委員会は,平成15年12月9日付けで,審査請求 県情報公開審査会に諮問した(甲7)。 平成15年10月15日,福島県情報公開審査会は,不開示を妥当とする結論を答申した(甲21)。 (12)福島県公安委員会は,平成15年12月9日付けで,審査請求を棄却するとの裁決をした(甲22)。 主たる争点本件の主たる争点は,原告が開示を求めている情報が情報公開条例7条2号本文,10条の個人識別情報(不開示情報)に該当するか否か(争点1),争点1において,個人識別情報に該当するとき,情報公開条例7条2号ただし書- 5 -または同条例9条により例外的に開示すべき情報に該当するか否か(争点2)である。 (1)争点1について(原告の主張)原告が開示を求めている情報は,個人を識別できる情報ではある。しかし,情報公開条例7条2号は,個人のプライバシーの保護を図ったものであり,その趣旨は,公文書に記載されている個人情報が本人以外の者に公開されることによってプライバシーが侵害されることを防止することにあるから,公開を請求する本人の個人情報は,情報公開条例7条2号の個人識別情報に該当しない。 最高裁平成13年12月18日第三小法廷判決(民集55巻7号1603頁)も,「個人情報保護制度が採用されていない状況」の下において,情報公開制度に基づいてされた自己の個人情報の開示請求については,そのような請求を許さない趣旨の規定が置かれている場合等は格別,当該個人の権利利益を害さないことが請求自体において明らかなときは,個人に関する情報であることを理由に請求を拒否することはできないと判示している。 前記最高裁判決にいう「個人情報保護制度が採用されていない状況」とは,「当該個人が個人情報保護制度を利用して当該個人情報の開示請求ができない状況」の趣旨と解されるところ,個人情報保護条例が制定されていても,当該情報を保 個人情報保護制度が採用されていない状況」とは,「当該個人が個人情報保護制度を利用して当該個人情報の開示請求ができない状況」の趣旨と解されるところ,個人情報保護条例が制定されていても,当該情報を保有する行政機関が個人情報保護制度の実施機関になっていなければ,上記最高裁判例の事案と同様,実施機関に対して公文書の公開を求める方法は,情報公開制度において認められる請求を行う方法に限られている- 6 -からである。 したがって,被告が,個人情報保護条例の実施機関に加入しないでおきながら,個人情報保護の問題で解決すべきであるとして本件公文書の開示を拒否することは,信義側に反し許されないし,本件公文書は不開示情報にも該当しない。 (被告の主張)情報公開条例は,広く県民等一般に対して等しく開示請求権を認めるものであることから,開示請求者に対し,開示請求の理由や利用の目的等の個別的事情を問うものではなく,開示請求者が誰であるか,または開示請求者が開示請求に係る公文書に記録されている情報について利害関係を有しているかどうかなどの個別的事情によって,当該公文書の開示決定等の結論に影響を及ぼすものではない。個人に関する情報については,たとえ当該本人が請求した場合であっても,特定の個人を識別することができる個人に関する情報であれば,条例7条2号ただし書に該当する場合を除いて不開示とすべきである。条例とほぼ同じ規定である,いわゆる情報公開法の解釈においても,同様の解釈がとられている(乙2)。 原告は,警察本部長と公安委員会が個人情報保護条例の実施機関となっていない現在の状況を,前記最高裁判決にいう「個人情報保護制度が採用されていない状況」に当たるとして,情報公開条例に基づく本人請求を認めるべきであると主張しているが,福島県に個人情報保護条例がある以上,本人 現在の状況を,前記最高裁判決にいう「個人情報保護制度が採用されていない状況」に当たるとして,情報公開条例に基づく本人請求を認めるべきであると主張しているが,福島県に個人情報保護条例がある以上,本人に対する自己情報開示の問題は,基本的に個人情報の保護に関する制度の中で解決すべき問題である。 - 7 -また,本件請求に係る公文書の存否を明らかにすることにより,不開示情報として保護されるべき利益が害されることになるから,情報公開条例10条に基づき,本件不開示決定はその存否を明らかにしなかったものである。 (2)争点2について(原告の主張)仮に,本件で,情報公開条例7条2号本文の「個人識別情報」に該当するとの判断が許されるとしても,本件は,同号ただし書イの「人の生命,健康,生活又は財産を保護するため,公にすることが必要である情報」,又は,9条の「公益上必要があると認められるとき」に該当するから,本件公文書を開示すべきである。 情報公開条例7条2号ただし書イの規定は,個人識別情報を不開示とすることにより保護される利益と,開示することにより得られる公益とを比較衡量して,後者が前者に優越すると認められるときは,行政機関に開示義務が課されるものと解釈されている。そして,「人の生命,健康,生活又は財産を保護するため」とは,現に被害が発生している場合に限られず,これらの法益が侵害されるおそれがある場合を含みうると解釈されているから,形式的には個人識別情報に該当する事例であっても,それを理由に不開示とすることが,かえって人の生命,健康,生活又は財産などの権利を侵害することになったり,それを公開することにより県民の大切な人権を守ることが必要だと思われる事案については,県は,公開を決断しなければならない。 本件では,本人が公開を望んでいるのであるから,「 を侵害することになったり,それを公開することにより県民の大切な人権を守ることが必要だと思われる事案については,県は,公開を決断しなければならない。 本件では,本人が公開を望んでいるのであるから,「不開示により保護される利益」はそもそも存在しないのに対し,原告の人格権,名誉権の回復の- 8 -ためには,開示をすることが必要不可欠である。また,明白な事実誤認に基づく不当な行政措置により県民が不利益を受けている疑いが極めて濃厚な場合において,県民の人権救済と県の行政公務の適切なる運営を監視して確保するという公益的要請からも,本件は当該文書を開示すべき実質的理由がある。仮に県側がミスがないと考えているのであれば,ミスがないことを明らかにする意味でも,県としては公益のために開示すべきである。 (被告の主張)情報公開条例7条2号ただし書イの規定は,一個人の生命,健康,生活等を保護するために開示されるべき情報を意味しているものではない。確かに,一個人の権利利益を回復することが公益に結びつく場合もあり得ることは否定できないが,一般的に,交通事故に関する個人情報は,人の生命を保護するためなど公益上開示が必要な情報とは認められにくいものであり,本件も,開示することが公益上必要な情報には当たらない。 また,原告の開示請求は,原告自身が主張するとおり,自己の不利益を回復するという本人固有の利益を追求するものであり,本件開示請求に係る個人情報を開示することが,不開示により保護される利益に優越する公益上の利益を有していると認めることはできない。 よって,本件は,情報公開条例7条2号ただし書イ及び9条に該当しない。 第3争点に対する判断 争点1についてまず,前提として,公文書公開請求権の法的性質について検討するに,憲法21条は,表現の自由の前提として国民の 開条例7条2号ただし書イ及び9条に該当しない。 第3争点に対する判断 争点1についてまず,前提として,公文書公開請求権の法的性質について検討するに,憲法21条は,表現の自由の前提として国民の知る権利を保障していると解される- 9 -が,国民が国家機関等に情報の提供を求めうる具体的な権利まで保障しているとは解されないから,公文書公開請求権は,憲法から直接導き出される具体的権利ではなく,当該権利の内容等について具体的に定めた法律,条例によりはじめて認められる抽象的権利であるというべきである。そして,いかなる公文書を公開の対象とするかは立法政策の問題であるから,請求者は,当該法律,条例所定の要件の下でのみ,請求に係る公文書の公開を受けることができるにとどまる。 これを本件についてみるに,福島県には,情報公開条例とは別に個人情報保護条例が存在するところ,前者は,規定上,プライバシー保護の必要性を,開示不開示の直接の判断基準とする立場に立たず,特定の個人を識別することができる情報は原則として不開示とする立場をとっており,また,開示請求者が誰であるかを考慮する規定も置かれていないから,本人による自己情報の開示請求を特別なものとして取り扱うことは予定していないものと解される。他方,後者については,警察本部長は実施機関とされていないから,警察本部長が保有する個人情報については,個人情報保護条例による開示請求を認めないという立法政策を取っているものと認められる。 そうすると,福島県は,警察本部長が保有する情報については,情報公開条例に基づく開示請求のみを認め,かつ,情報公開条例に基づく開示請求については,請求者が誰であるかを考慮しない立場をとっているものと認められるから,請求に係る公文書に記載された情報が,情報公開条例7条2号本文に該当するか を認め,かつ,情報公開条例に基づく開示請求については,請求者が誰であるかを考慮しない立場をとっているものと認められるから,請求に係る公文書に記載された情報が,情報公開条例7条2号本文に該当するか否かは,開示請求者が誰であるかとか,開示請求者の個人的事情を考慮することなく決せられ,同号本文に該当する情報は,本人請求に係る場合であ- 10 -っても,同号ただし書又は9条に該当する情報を除き,開示を求めることができないと解さざるを得ない。 原告は,前記最高裁判決のいう「個人情報保護制度が採用されていない状況」とは,「当該個人が個人情報保護制度を利用して当該個人情報の開示請求ができない状況」の趣旨と解され,個人情報保護条例が制定されていたとしても,当該情報を保有する行政機関が個人情報保護制度の実施機関になっていなければ,公文書の公開を求める方法は,情報公開制度において認められる請求を行う方法に限られているから,情報公開条例による本人請求が認められるべきであると主張する。しかしながら,かかる解釈を認めることは,福島県が,個人情報保護条例の実施機関から,あえて警察本部長を除外した趣旨を没却することになるから,原告の主張は採用できない。前記最高裁判決は,「いまだ個人情報保護制度が採用されていない段階」において,「請求を許さない趣旨の規定が置かれている場合等」を除いて,例外的に情報公開制度に基づく本人請求を認めたものであるのに対し,福島県では,すでに個人情報保護制度が採用され,同制度上,警察本部長が実施機関から除外されているから,最高裁判決のいう「請求を許さない趣旨の規定が置かれている場合等」にあたり,明らかに事案を異にする。 以上のとおり,開示請求に係る情報が,情報公開条例7条2号に該当するか否かは,請求者が誰であるかを考慮することなく決せられ 許さない趣旨の規定が置かれている場合等」にあたり,明らかに事案を異にする。 以上のとおり,開示請求に係る情報が,情報公開条例7条2号に該当するか否かは,請求者が誰であるかを考慮することなく決せられるべきであるところ,本件において原告が開示請求を行った公文書が存在するとすれば,そこに記載された情報が情報公開条例7条2号本文の不開示情報である「個人識別情報」に該当することは明らかであるし,又,当該文書の存否を明らかにすることに- 11 -より,不開示情報として保護されるべき利益が害されることになるから,本件は同条例10条に基づき当該公文書の存否を明らかにしないで,当該開示請求を拒否することができる場合に該当する。したがって,原告は,同条例7条2号ただし書または9条に該当する場合を除き,被告に対し,当該公文書の開示を請求することはできないものといわざるを得ない。 争点2についてそこで次に,本件が,情報公開条例7条2号ただし書または9条に該当するかについて検討する。 (1)まず,7条2号ただし書イの該当性について検討するに,情報公開条例の目的が,「県民の公文書の開示を請求する権利を明らかにするとともに,公文書の開示及び情報提供の推進に関し必要な事項を定めることにより,県の保有する情報の一層の公開を図り,もって県の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにし,県民の県政への参加の下,公正で透明な県政の推進に資すること」にあること(1条),前記のとおり,同条例には開示請求者が誰であるかを考慮する規定が置かれていないことなどに照らすと,7条2号ただし書イの規定は,一個人である開示請求者の生命,健康,財産等を保護することを目的としたものではなく,同号本文により原則として不開示とされる個人情報のうち,広く県民全般の生命,健康,生活または財産 ただし書イの規定は,一個人である開示請求者の生命,健康,財産等を保護することを目的としたものではなく,同号本文により原則として不開示とされる個人情報のうち,広く県民全般の生命,健康,生活または財産を保護するために有益な情報について,公開により県民等が受ける利益と当該個人が受ける不利益とを比較衡量した上で,前者が後者を上回る場合に,例外的に開示を認めた規定と解するのが相当である。 これを本件についてみるに,原告は,本人が開示を望んでいる以上,不開- 12 -示とすることにより得られる利益は存在しないと主張するが,前記のとおり,情報公開条例は,開示請求者が誰であるか,本人が開示を望んでいるか否かなどの個別的事情を考慮しない立場をとっていると解さざるを得ないから,原告の主張は前提を欠く。 そして,一般的に,交通違反歴という情報は,これを秘匿する必要性が高い情報であるといえる。 他方,公開による利益について検討すると,原告は,原告本人の人格権,名誉権の回復のために開示をすることが必要不可欠であり,また,「人の生命,健康,生活又は財産を保護するため」とは,現に被害が発生している場合に限られず,これらの法益が侵害されるおそれがある場合をも含むから,本件公文書が開示されることは,行政が適正に行われているかを県民が監視するという公益的要請に資する結果になると主張する。 しかしながら,原告個人の人格権及び名誉権の回復は,7条2号ただし書イの「人の生命,健康,生活又は財産を保護するため」にはあたらない。 また,原告個人が交通違反により点数を付加されたという事実が記載されている公文書を開示することによって,行政の監視という効果を生むとは限らず,開示されることにより県民等が得る利益が,不開示により保護される個人の利益を上回っているとまではいえない。 (2) 載されている公文書を開示することによって,行政の監視という効果を生むとは限らず,開示されることにより県民等が得る利益が,不開示により保護される個人の利益を上回っているとまではいえない。 (2)次に,9条該当性について検討する。 この点,9条の規定は,原則として不開示とされる個人識別情報のうち,公益上特に必要があると認められる情報について,実施機関の裁量により開示を認めた規定であるから,実施機関が本条の規定に基づく開示をしなかっ- 13 -たことが条例違反となるのは,実施機関が与えられた裁量権の範囲を逸脱し,または裁量権を濫用したと認められる場合に限られる。本件では,前記のとおり,原告の開示請求に係る公文書に記載された情報を開示することにより得られる利益が,個人情報を保護することにより得られる利益を上回っているとまでは認められず,公益上特に公開の必要があったとはいえないから,被告に裁量権の濫用,逸脱があったとは認められない。 結語以上のとおりであるから,原告の請求は理由がないのでこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 福島地方裁判所第一民事部裁判長裁判官吉田徹裁判官本間健裕裁判官田中邦治

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