平成26(ワ)11576 意匠権侵害差止等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成27年12月22日 大阪地方裁判所
ファイル
hanrei-pdf-85601.txt

キーワード

判決文本文27,581 文字)

平成27年12月22日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成26年(ワ)第11576号意匠権侵害差止等請求事件口頭弁論終結日平成27年10月27日判決 原告 P1同訴訟代理人弁護士冨宅 恵同西村 啓同補佐人弁理士髙山嘉成 被告株式会社ネットランドジャパン 同訴訟代理人弁護士堀籠佳典同牧野知彦同訴訟代理人弁理士原島典孝同谷﨑政剛主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は,原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 被告は,別紙物件目録1記載の製品及び同2記載の製品を,それぞれ製造,輸入,販売又は販売の申出をしてはならない。 2 被告は,前項の製品を廃棄せよ。 3 被告は,原告に対し,645万円及びこれに対する平成26年12月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要等本件は,意匠に係る物品をカラーコンタクトレンズとする後記本件意匠権を有する原告が,被告に対し,被告による別紙物件目録1記載の製品(以下「イ号製品」という。)及び同2記載の製品(以下「ロ号製品」といい,これら2つの製品を併せて「被告製品」という。)の製造,輸入,販売又は販売の申出(以下「販売等」という。)が,本件意匠権を侵害すると主張して,意匠法3 。)及び同2記載の製品(以下「ロ号製品」といい,これら2つの製品を併せて「被告製品」という。)の製造,輸入,販売又は販売の申出(以下「販売等」という。)が,本件意匠権を侵害すると主張して,意匠法37条1項に基づく被告製品の販売等の差止め,同条2項に基づく被告製品の廃棄,意匠権侵害の不法行為に基づく損害賠償として645万円及びこれに対する不法行為日の後である平成26年12月6日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払いを求める事案である。 1 判断の基礎となる事実(認定に用いた証拠は末尾に掲記する。その余は当事者間に争いがない。)(1) 当事者原告は,後記本件意匠権を有し,自らが代表取締役を務める株式会社ElDorado及び株式会社Lcodeに対してのみ,後記本件意匠に係るカラーコンタクトレンズの製造,輸入,販売及び販売のための展示を許諾している。 被告は,医療機器の販売等を目的とする株式会社である。 (2) 本件意匠権原告は,以下の内容の意匠権(以下「本件意匠権」といい,本件意匠権に係る意匠を「本件意匠」,その登録を「本件意匠登録」という。)を有している(甲2,乙1)。 登録番号第1470103号出願日平成24年10月30日登録日平成25年4月19日意匠に係る物品カラーコンタクトレンズ 登録意匠別紙意匠公報のとおり(同公報に掲載された本件意匠の願書添付の写真を「本件願書添付写真」という。)(3) 被告の行為被告は,平成26年7月以降,被告製品の製造,輸入,販売及び販売の申出を行っている。 被告製品は,いずれもカラーコンタクトレンズであり,その意匠は,イ号製品については別紙イ号意匠説明図のとおりであり,ロ号製品について 月以降,被告製品の製造,輸入,販売及び販売の申出を行っている。 被告製品は,いずれもカラーコンタクトレンズであり,その意匠は,イ号製品については別紙イ号意匠説明図のとおりであり,ロ号製品については別紙ロ号意匠説明図のとおりである(以下,イ号製品の意匠を「イ号意匠」といい,ロ号製品の意匠を「ロ号意匠」という。)。 2 争点(1) 本件意匠の構成態様(2) イ号意匠及びロ号意匠は本件意匠と類似するか(3) 本件意匠登録は無効審判により無効にされるべきものか(4) 損害額 3 争点についての当事者の主張(1) 争点(1)(本件意匠の構成態様)について(原告の主張)ア本件意匠は,本件願書添付写真のとおりであり,その構成態様は,別紙本件意匠構成態様対照表の「原告主張の本件意匠」欄に記載のとおりである(各構成部位の名称については別紙本件意匠構成部位説明図,本件意匠の比率寸法については別紙本件意匠比率寸法説明図,本件意匠黒色線状模様の本数については別紙本件意匠黒色線状模様本数説明図,本件意匠黒色線状模様突出部分については別紙本件意匠黒色線状模様突出部分説明図のとおりである。)。 イ被告は,本件意匠に係るカラーコンタクトレンズの「中央部」,「内周部」及び「外周部」(平面によって切り取られた球面体の一部である本件 意匠の中心からずれた位置)に円環状のぼかしたような灰色の模様(以下「ぼかし模様」という。)が存在し,これが本件意匠の構成に含まれる旨主張する。 しかし,被告が指摘するぼかし模様は,本件意匠に係るカラーコンタクトレンズに施された「模様」,「色彩」のいずれでもない。すなわち本件願書添付写真は,アクリル板上に本件意匠が施されたカラーコンタクトレンズを置いた上で撮影されたものであ 本件意匠に係るカラーコンタクトレンズに施された「模様」,「色彩」のいずれでもない。すなわち本件願書添付写真は,アクリル板上に本件意匠が施されたカラーコンタクトレンズを置いた上で撮影されたものであるが,ぼかし模様は,【斜視図】,【平面図】及び【底面図】を撮影する際にアクリル板上に映ったカラーコンタクトレンズに施された本件意匠の影が写り込んだものにすぎない。 登録意匠の範囲は,願書の記載及び願書に添付した図面に記載され又は願書に添付した写真等により現された意匠に基づいて定めなければならないが(意匠法24条1項),それぞれの図面において整合性がとれない場合には当業者を基準として,図面より把握することができる意匠を定め,当該意匠を基準に登録意匠の範囲が決せられるべきである。 本件意匠においては,前記の影が意匠の構成であるとすると,影が写り込んだ【斜視図】,【平面図】及び【底面図】と,影が写り込んでいない【正面図】,【背面図】,【右側面図】及び【左側面図】との間で整合性がとれていないことになるのであり,したがって,当業者であれば,【斜視図】,【平面図】及び【底面図】に写し出されている中央部影は,本件意匠を構成する模様及び色彩ではないことを,容易に理解することができる。 また,そもそも,カラーコンタクトレンズ中央部は,これを装着する者の視界を妨げることがないように透明でなければならないものであり,本件意匠においても,被告主張のぼかし模様は存在しないものと理解することができるから,そのような意匠として把握しなければならない。 ウ仮にぼかし模様に関する原告の主張が認められず,これが意匠の構成で あるとするのであれば,本件意匠の具体的構成態様について,以下の内容を付加するとおりである。 すなわち,【斜視図】につき,中央部の約60%の する原告の主張が認められず,これが意匠の構成で あるとするのであれば,本件意匠の具体的構成態様について,以下の内容を付加するとおりである。 すなわち,【斜視図】につき,中央部の約60%の領域において,まだら模様部に施された色彩を遥かに薄くした色彩によって構成された模様が,右斜め2時方向,上方45度の角度からライトを照射したことによって,まだら模様部が反射性を有する床面に投射された様の模様及び色彩が存在する。 また,【平面図】につき,中央部の約30%の領域において,まだら模様部に施された色彩を遥かに薄くした色彩によって構成された模様が,右斜め2時方向,上方45度の角度からライトを照射したことによって,まだら模様部が反射性を有する床面に投射された様の模様及び色彩が存在する。 さらに,【底面図】につき,中央部の約20%の領域において,まだら模様部に施された色彩を遥かに薄くした色彩によって構成された模様が,右斜め2時方向,上方45度の角度からライトを照射したことによって,まだら模様部が反射性を有する床面に投射された様の模様及び色彩が存在する。 (被告の主張)ア(ア) 本件意匠は,本件願書添付写真のとおりであり,その構成態様は,別紙本件意匠構成態様対照表の「被告主張の本件意匠」欄記載のとおりである。 (イ) 本件意匠の構成に関する原告の主張は,本件意匠の中央部,内周部及び外周部の一部に存在するぼかし模様が本件意匠を構成せず存在しないものとしており,本件願書添付写真に基づかないものであって,失当である。 そもそも意匠登録出願の願書には,意匠登録を受けようとする意匠を 記載した図面を添付するのが原則であり(意匠法6条1項),写真により意匠が明瞭に現され,しかも意匠を構成しないものが入らないなどの所定の要件を満たす 書には,意匠登録を受けようとする意匠を 記載した図面を添付するのが原則であり(意匠法6条1項),写真により意匠が明瞭に現され,しかも意匠を構成しないものが入らないなどの所定の要件を満たす場合に限り,出願人は図面に代えて写真を意匠登録出願の願書に添付することを認められているにすぎない(同条2項,3項,意匠法施行規則4条1項,意匠法施行規則様式第7備考1)。そして,特許庁の「意匠登録出願の願書及び図面等の記載の手引き(平成20年3月)」も,図面に代えて写真を添付する場合には,その写真(図面代用写真)には,物品の影など意匠を構成しないものが写らないことが必要であることを指摘するとともに,意匠を構成しないものを消去する等の操作を加えたものも写真とすることを認めている。 写真に意匠を構成しないものが入らないものとされていることは,登録意匠の範囲は意匠図面や写真等に現された意匠に基づいて定められるとする意匠法24条1項と表裏の関係にあり,意匠図面ないしは図面代用写真を含む意匠登録願は,出願人により提出されるものであり,意匠公報に掲載されて,権利範囲を公示するからである。 (ウ) 原告は,本件意匠の出願において,これらの定めに従うものとして,図面に代えて本件願書添付写真を意匠登録出願の願書に添付したのであるから,意匠登録後において,本件願書添付写真に現れているものが影であり,意匠を構成しないと主張することは許されないというべきである。 なお,原告は,カラーコンタクトレンズ中央部は,これを装着する者の視界を妨げることがないように透明でなければならないから,ぼかし模様は存在しないものと理解することができる旨主張するが,カラーコンタクトレンズの中央部に模様や色彩を施した商品は存在するし,中央部に模様や色彩を施したカラーコンタクトレンズの ならないから,ぼかし模様は存在しないものと理解することができる旨主張するが,カラーコンタクトレンズの中央部に模様や色彩を施した商品は存在するし,中央部に模様や色彩を施したカラーコンタクトレンズの意匠登録が認められないというものでもないから,原告の主張は失当である。 仮に,【平面図】や【底面図】のぼかし模様が影であり,本件意匠を構成しないとすると,影(ぼかし模様)と原告のいう「まだら模様部」における「薄墨色の斑点」は,色彩がほぼ同じであり,かつ,相互に混じり合っているのであるから,【平面図】や【底面図】から,影の部分のみを除去した画像を認識することは不可能である。すなわち,ぼかし模様が本件意匠を構成しないとする原告の主張を前提とすれば,本件意匠登録には,対象とする意匠が明確でないという無効理由(意匠法3条1項柱書違反,48条1項1号)があることとなる。 イその他の点についても,本件意匠の構成は,以下のとおり,正確に特定されるべきである。 (ア) 別紙本件意匠構成態様対照表の原告主張の本件意匠欄の具体的構成態様欄②bについて原告は,「薄茶色の斑点模様は,外周部近辺に近づくにつれて,配置密度が小さくなるように施されている。」とする。 しかし,本件意匠では,内周部において,赤みを帯びた薄茶色のドットは,外周に向けて放射状に延びる線状領域からなる縞模様を形成するように配されており,外周部に向けての密度の変化はなく,「薄茶色の斑点模様は,外周部近辺に近づくにつれて,配置密度が小さくなるように施されている。」とはいえない(下図1-1ないし1-3参照)。 【図1-1】本件意匠の平面図 【図1-2】 【図1-3】 (図1-2が,本件意匠の【平面図】の赤みを帯 図1-1ないし1-3参照)。 【図1-1】本件意匠の平面図 【図1-2】 【図1-3】 (図1-2が,本件意匠の【平面図】の赤みを帯びた薄茶色のドットがある領域を赤線で囲ったもの,図1-3が,本件意匠の【平面図】から,赤みを帯びた薄茶色のドットを抽出したもの)(イ) 同②bについて原告は,「薄茶色の斑点模様は,外周部の略半分程度まで,重なって施されているが,重なって施されている部分の薄茶色の斑点模様の密度は,小さい。当該重なり部分では,薄茶色の斑点模様は,所々先細りの模様となっている。」とする。 しかし,本件意匠では,赤みを帯びた薄茶色のドットが,「外周部の略半分程度まで,重なって施されている」ことは認められるが,重なっ て施されている部分の赤みを帯びた薄茶色のドットの密度が内周部のそれと比べて小さいことや,赤みを帯びた薄茶色のドットが所々先細りの模様となっていることは本件願書添付写真からは知覚することはできない。本件願書添付写真から知覚できない事項を本件意匠の構成態様として記載すべきではない。 (ウ) 同②cについて原告は,「まだら模様部の幅をzとした場合,まだら模様部の全体に占める割合z/xは,約14%である。」とする。 しかし,内周部(原告のいう「まだら模様部」)の赤みを帯びた薄茶色のドット及び灰色のドットと,外周部の黒色線は,一部重なって配されており,内周部と外周部の明確な境界線は存在しない。したがって,本件願書添付写真から,内周部の全体に占める割合が約14%であるということはできず,これを本件意匠の構成態様として記載すべきではない。 (エ) 同③b,c,dについて本件意匠では,内周部と外周部の明確な境界線や, の全体に占める割合が約14%であるということはできず,これを本件意匠の構成態様として記載すべきではない。 (エ) 同③b,c,dについて本件意匠では,内周部と外周部の明確な境界線や,外周部の明確な外縁線は存在しないので,「縁部分に向けて突出している黒色線状模様」や「まだら模様部に向けて突出している黒い線状模様」は,「突出」方向を決める基準をどこにするかで,その数は大きく変わってくる。そうすると,本件願書添付写真から,これらの数が原告の主張どおりであるということはできない。同様の理由で,本件願書添付写真から,「外周部の全体に占める割合」や「黒色線状模様の太さ」が原告の主張どおりであるということはできない。 したがって,これらの事項を本件意匠の構成態様として記載すべきではない。 (2) 争点(2)(イ号意匠及びロ号意匠は本件意匠と類似するか)について (原告の主張)アイ号意匠について(ア) イ号意匠の構成態様イ号意匠は,別紙イ号意匠説明図のとおりであり,イ号意匠の構成態様は,別紙本件意匠・イ号意匠対比表(原告主張)の「イ号意匠」欄記載のとおりである(各構成部位の名称については別紙イ号意匠構成部位説明図,イ号意匠の比率寸法については別紙イ号意匠比率寸法説明図,イ号意匠黒色線状模様の本数については別紙イ号意匠黒色線状模様本数説明図,イ号意匠黒色線状模様突出部分については別紙イ号意匠黒色線状模様突出部分説明図のとおりである。)。 (イ) 本件意匠とイ号意匠の類似性基本的構成態様は,全て同一であるが,具体的構成態様において,次の差異点が存する。 ① 中央部の全体に占める割合本件意匠においては約47%であるのに対し,イ号意匠では約38%である。 ② まだら模様部a 薄墨色の斑点 るが,具体的構成態様において,次の差異点が存する。 ① 中央部の全体に占める割合本件意匠においては約47%であるのに対し,イ号意匠では約38%である。 ② まだら模様部a 薄墨色の斑点模様同一である。 b 薄茶色の斑点模様本件意匠においては「薄茶色の斑点模様は,外周部の略半分程度まで,重なって施されているが,重なって施されている部分の薄茶色の斑点模様の密度は,小さい。当該重なり部分では」であるのに対し,イ号意匠においては「薄茶色の斑点模様の内,約11の領域では,外周部の一部にまで重なって施されている。重なって施されている部分において」という構成態様となっている点で差異点が存 在するものの,その余は,全て同一である。 c まだら模様部の全体に占める割合本件意匠においては約14%であるのに対し,イ号意匠では約17%である。 ③ 外周部a 黒色線状模様の本数本件意匠の黒色線状模様の本数は211本であるのに対し,イ号意匠の本数は205本である。 b 黒色線状模様の配置本件意匠の縁部分に向けて突出している黒色線状模様は57本であるのに対し,イ号意匠は58本である。 また,本件意匠のまだら模様部に向けて突出している黒色線状模様は64本であるのに対し,イ号意匠は72本である。 その余は,全て同一である。 c 外周部の全体に占める割合本件意匠の外周部の全体に占める割合は約11%であるのに対し,イ号意匠は約12%である。 d 黒色線状模様の太さ本件意匠の外周部の幅を基準とした黒色線状模様の太さの割合は約11%であるのに対し,イ号意匠は約10%である。 以上のとおり,本件意匠とイ号意匠との差異点は,中央部の全体に占める割合及び薄茶色の斑点模様と外周部との関係を除き,いずれも透明のコンタクトレ 約11%であるのに対し,イ号意匠は約10%である。 以上のとおり,本件意匠とイ号意匠との差異点は,中央部の全体に占める割合及び薄茶色の斑点模様と外周部との関係を除き,いずれも透明のコンタクトレンズに模様を印刷するにあたっての誤差の範囲を脱しておらず,需要者の視覚を通じて起こさせる美感に影響を及ぼすことはない。また,中央部の全体に占める割合及び薄茶色の斑点模様と外周部との関係に関する差異点は,本件意匠とイ号意匠の共通点(前記の印刷上 の誤差と評価し得るものを含める。)を凌駕するものではなく,需要者に異なる美感を抱かせるものではない。 したがって,本件意匠とイ号意匠とは類似する。 イロ号意匠について(ア) ロ号意匠の構成態様ロ号意匠は,別紙ロ号意匠説明図のとおりであり,ロ号意匠の構成態様は,別紙本件意匠・ロ号意匠対比表(原告主張)の「ロ号意匠」欄記載のとおりである(各構成部位の名称については別紙ロ号意匠構成部位説明図,ロ号意匠の比率寸法については別紙ロ号意匠比率寸法説明図,ロ号意匠黒色線状模様の本数については別紙ロ号意匠黒色線状模様本数説明図,ロ号意匠黒色線状模様突出部分については別紙ロ号意匠黒色線状模様突出部分説明図のとおりである。)。 (イ) 本件意匠とロ号意匠の類似性基本的構成態様は,本件意匠のまだら模様部が薄茶色及び薄墨色から構成されているのに対し,ロ号意匠が茶色及び薄茶色から構成されている(色違い)との差異点が存する点を除き,全て同一であり,具体的構成態様については,次の差異点が存する。 ① 中央部の全体に占める割合本件意匠においては約47%であるのに対し,ロ号意匠では約38%である。 ② まだら模様部a 薄墨色の斑点模様本件意匠の斑点模様は薄墨色であるのに対し,ロ号意匠では 央部の全体に占める割合本件意匠においては約47%であるのに対し,ロ号意匠では約38%である。 ② まだら模様部a 薄墨色の斑点模様本件意匠の斑点模様は薄墨色であるのに対し,ロ号意匠では薄茶色である(色違い)との差異点が存在する点を除き,全て同一である。 b 薄茶色の斑点模様 本件意匠において斑点模様は薄茶色であるのに対し,ロ号意匠では茶色である点,本件意匠においては「薄茶色の斑点模様は,外周部の略半分程度まで,重なって施されているが,重なって施されている部分の薄茶色の斑点模様の密度は,小さい。当該重なり部分では」であるのに対し,ロ号意匠においては「茶色の斑点模様の内,約11の領域では,外周部の一部にまで重なって施されている。重なって施されている部分において」という構成態様となっている点で差異点が存在するものの,その余は,全て同一である。 c まだら模様部の全体に占める割合本件意匠においては約14%であるのに対し,ロ号意匠では約17%である。 ③ 外周部a 黒色線状模様の本数本件意匠の黒色線状模様の本数は211本であるのに対し,ロ号意匠の本数は205本である。 b 黒色線状模様の配置本件意匠の縁部分に向けて突出している黒色線状模様は57本であるのに対し,ロ号意匠は58本である。 また,本件意匠のまだら模様部に向けて突出している黒色線状模様は64本であるのに対し,ロ号意匠は72本である。 その余は,全て同一である。 c 外周部の全体に占める割合本件意匠の外周部の全体に占める割合は約11%であるのに対し,ロ号意匠は約12%である。 d 黒色線状模様の太さ本件意匠の外周部の幅を基準とした黒色線状模様の太さの割合は 約11%であるのに対し,ロ号意匠は約10%である。 以上の のに対し,ロ号意匠は約12%である。 d 黒色線状模様の太さ本件意匠の外周部の幅を基準とした黒色線状模様の太さの割合は 約11%であるのに対し,ロ号意匠は約10%である。 以上のとおり,本件意匠とロ号意匠との差異点は,中央部の全体に占める割合及び薄茶色の斑点模様と外周部との関係を除き,いずれも透明のコンタクトレンズに模様を印刷するに当たっての誤差の範囲を脱しておらず,需要者の視覚を通じて起こさせる美感に影響を及ぼすことはない。また,基本的構成態様のまだら模様部,具体的構成態様の薄墨色の斑点模様及び薄茶色の斑点模様の色違いは,需要者に異なる美感を起こさせるものではない。さらに,中央部の全体に占める割合及び薄茶色の斑点模様と外周部との関係に関する差異点は,本件意匠とロ号意匠の共通点(前記の印刷上の誤差と評価し得るものを含める。)を凌駕するものではなく,需要者に異なる美感を抱かせるものではない。 したがって,本件意匠とロ号意匠とは類似する。 ウなお,仮に本件意匠の構成態様に前記(1)(原告の主張)欄ウ記載のぼかし模様に関する構成態様を付加すべきとしても,そもそも,本件意匠に係る物品であるカラーコンタクトレンズの需要者は,まだら模様部及び外周部の模様並びに色彩に着目して商品選択をしていることから,中央部の模様や色彩が意匠の類否判断に与える影響は少ない。そして,【斜視図】,【平面図】及び【底面図】にそれぞれ存在する前記各模様及び色彩は,全体的に曲面体縁部分の色彩より薄く,模様が有意の構成をなしていないため,意匠を構成する色彩と評価し得るものであって,その差異は意匠の類否判断に影響を全く与えない。また,中央部無模様,無着色部との区別が明確ではなく,その占める割合も【平面図】においては約30%,【底面図】においては約 彩と評価し得るものであって,その差異は意匠の類否判断に影響を全く与えない。また,中央部無模様,無着色部との区別が明確ではなく,その占める割合も【平面図】においては約30%,【底面図】においては約20%にすぎず,法的には色彩と評価し得るものであることも考慮するならば,カラーコンタクトレンズにおいてぼかし模様の存在が異なる美感を生じさせることもあり得ない。 したがって,本件意匠の構成に前記(1)(原告の主張)欄ウ記載のぼかし 模様に関する構成態様を付加し,【斜視図】,【平面図】及び【底面図】にそれぞれ存在する前記各模様及び色彩が本件意匠を構成するものであると認めたところで,本件意匠とイ号意匠及びロ号意匠の類否判断に影響を及ぼさない。 (被告の主張)アイ号意匠について(ア) イ号意匠の構成態様イ号意匠の構成態様は,別紙本件意匠・イ号意匠対比表(被告主張)の「イ号意匠」欄記載のとおりである。 (イ) 本件意匠とイ号意匠の類否イ号意匠と本件意匠は,基本的構成態様は共通するが,具体的構成態様に関して次の共通点,差異点がある。 a 共通点・内周部には,2色のドットが配されている点・外周部には,径方向に多数の黒色線が配されており,その数は全部で205ないし211本である点b 差異点イ号意匠は,・中央部の全体に占める割合が,約38%であるのに対し,本件意匠では約47%であり,・中央部に灰色のぼかし模様が施された部分は存在しないのに対し,本件意匠では,中央部の約3分の1の三日月形の部分に灰色のぼかし模様が施されており,・内周部に配されたドットが,オレンジ色のドットと灰色のドットであるのに対し,本件意匠では,赤みを帯びた薄茶色のドットと灰色のド 部の約3分の1の三日月形の部分に灰色のぼかし模様が施されており,・内周部に配されたドットが,オレンジ色のドットと灰色のドットであるのに対し,本件意匠では,赤みを帯びた薄茶色のドットと灰色のドットであり, ・内周部に灰色のぼかし模様が施された部分は存在しないのに対し,本件意匠では,内周部の約3分の2の領域(平面図において左下の領域以外の領域)には,灰色のぼかし模様が配されており,・内周部の灰色のドットの密度は,内周部の内縁において一番まばらであり,そこから外周方向に行くに従って徐々に密になっていくのに対し,本件意匠では,内周部の約3分の1の領域(平面図において左下の領域)に配された灰色のドットの密度は,外周部に向けての変化はなく,・内周部のオレンジ色のドットが,内周部の内縁において一番密度が密であり,そこから外周方向に行くにしたがって徐々にまばらになり,全体として,フレアー模様を形成するように配されているのに対し(後掲の図参照),本件意匠では,赤みを帯びた薄茶色のドットは,外周に向けて放射状に延びる線状領域からなる縞模様を形成するように配されており,外周部に向けての密度の変化はなく,・内周部にみられるオレンジ色のドットは,外周部にはほとんど配されていないのに対し,本件意匠では,内周部にみられる赤みを帯びた薄茶色のドットは,外周部の略半分程度まで,重なって施されており,・外周部には灰色のぼかし模様が施された部分は存在しないのに対し,本件意匠では,外周部の約半分の領域に灰色のぼかし模様が施されている点で本件意匠と異なっている。 【図2-1】イ号製品のデザイン 【図2-2】 【図2-3】 (図2-2はイ号製品に付されている模様のオレ と異なっている。 【図2-1】イ号製品のデザイン 【図2-2】 【図2-3】 (図2-2はイ号製品に付されている模様のオレンジ色のドットがある領域を赤線で囲ったもの,図2-3はイ号製品に付されている模様からオレンジ色のドットを抽出したもの)c 類否の検討前記のとおり,イ号意匠と本件意匠は,基本的構成態様は共通するが,これらの点は,本件意匠の出願日以前からカラーコンタクトレンズ一般にみられるものであり,本件意匠に特有な構成ではない。 また,イ号意匠と本件意匠の具体的構成態様における前記共通点も,先行意匠にもみられることであり,本件意匠に特有な構成ではない。 具体的構成態様の差異点について見るに,一般に,カラーコンタク トレンズは,眼に装着することにより,様々な色やデザインを楽しみながら自分好みのお洒落な目元を演出するものであるから,装着時に,瞳(瞳孔)や虹彩に重なる中央部や内周部の色やデザインは,看者(需要者)が最も注目する部分である。 そして,イ号意匠と本件意匠とは,中央部から外周部に及ぶぼかし模様が存在するかという点において異なっているほか,イ号意匠では,①中央部は比較的小さく,②オレンジ色のフレアー模様,灰色の背景及び黒の外周の3つが比較的セパレートされた略3層構造で,オレンジ色のフレアー模様により瞳の縁取りを強調したデザインとなっているのに対し,本件意匠では,①中央部が比較的大きく,②赤みを帯びた薄茶色の放射状の縞模様及び黒の外周との略2層構造とぼかし模様を組み合わせ,かつ,それぞれが重なり合った構成で,瞳の縁取りを強調しない,雑然としたデザインとなっている。 このように,イ号意匠と本件意匠とでは,全体的な色彩もデザインも 略2層構造とぼかし模様を組み合わせ,かつ,それぞれが重なり合った構成で,瞳の縁取りを強調しない,雑然としたデザインとなっている。 このように,イ号意匠と本件意匠とでは,全体的な色彩もデザインも異なるのである。 以上から,イ号意匠が本件意匠に類似しないことは明らかであり,被告が本件意匠権を侵害しているという原告の主張は失当である。 イロ号意匠について(ア) ロ号意匠の構成態様ロ号意匠の構成態様は,別紙本件意匠・ロ号意匠対比表(被告主張)の「ロ号意匠」欄記載のとおりである。 (イ) 本件意匠とロ号意匠の類否ロ号意匠と本件意匠の差異点は,基本的に,イ号意匠と本件意匠の差異点と同じであるが,色彩に関しては,ロ号意匠では,内周部に配されているのがオレンジ色のドットと黄色のドットであるのに対し,本件意匠では,赤みを帯びた薄茶色のドットと灰色のドットである点も差異点 となる。したがって,ロ号意匠と本件意匠とでは,全体的な色彩もデザインも異なり,ロ号意匠は本件意匠に類似しないことは明らかである。 ウ原告は,ぼかし模様が本件意匠の構成態様に含まれないことを前提にイ号意匠及びロ号意匠との非類似を主張し,さらに仮に含まれるとしても,カラーコンタクトレンズの需要者は,商品選択の際に,内周部(まだら模様部)及び外周部の模様並びに色彩に着目して選択を行うから,ぼかし模様の存在が類否判断に影響しないように主張する。 しかしながら,需要者は,その商品選択時にカラーコンタクトレンズを正面(本件願書添付写真の【平面図】)から観察し,必然的に,正面の中央付近の広い範囲に及んで施されているぼかし模様に着目するのであるから,ぼかし模様が本件意匠の要部を構成し,その存在が意匠の類否判断に影響を与えることは明らかである。 また, ,必然的に,正面の中央付近の広い範囲に及んで施されているぼかし模様に着目するのであるから,ぼかし模様が本件意匠の要部を構成し,その存在が意匠の類否判断に影響を与えることは明らかである。 また,原告は,ぼかし模様は意匠を構成する模様ではなく,色彩であるとも主張しているが,ぼかし模様は,その色合いや濃さが内周部の灰色のドットとほぼ同じであり,とくに中央部において,ぼかし模様の輪郭(境界)は明瞭であるから,これが単なる色彩ではなく模様であることは明らかである。原告が中央部全体に対するぼかし模様の面積割合を20%あるいは30%と具体的な数値で主張していること自体,ぼかし模様の輪郭(境界)が明瞭であることの証左である。 したがって,原告の主張は採用できず,本件意匠のぼかし模様が美感に影響を与えることは明らかであり,イ号意匠及びロ号意匠は,ぼかし模様が存在しない点においても,本件意匠と美感を異にするのであって,イ号意匠及びロ号意匠は本件意匠と類似しない。 (3) 争点(3)(本件意匠登録は無効審判により無効にされるべきものか)について(被告の主張) ア原告の主張を前提とすると,本件意匠は,先行して販売されていた他社のコンタクトレンズ(乙13の1,2)の意匠により新規性を欠如するか,少なくともこれに基づいて容易に創作できたものといえるから,意匠法3条1項3号,2項により意匠登録を受けることができないものであり,本件意匠登録は,同法48条1項1号に該当し無効審判により無効とされるべきである。したがって,原告において,本件意匠権に基づく権利の行使をすることができない(同法41条,特許法104条の3第1項)。なお,以下においては,本件意匠並びにイ号意匠及びロ号意匠の構成態様を原告主張に係る構成態様に基づいて,本件意匠と先行して く権利の行使をすることができない(同法41条,特許法104条の3第1項)。なお,以下においては,本件意匠並びにイ号意匠及びロ号意匠の構成態様を原告主張に係る構成態様に基づいて,本件意匠と先行して販売されていた他社のコンタクトレンズ(乙13の1,2)の意匠の対比を行う。 イ乙13の1,2に記載された意匠POLYTOUCH社は,ソフトコンタクトレンズ及びそのケア製品を製造する会社(韓国)であり,本件意匠の出願前の2010年(平成22年)12月19日頃の同社のウェブサイトには,以下のコンタクトレンズの意匠(以下,左図の意匠を「乙13グレー意匠」,右図の意匠を「乙13ブラウン意匠」といい,あわせて「乙13意匠」という。)が掲載されていた。 なお,乙13グレー意匠は,内周部の内縁部におけるブラウンのドットの密度がまばらである点等において,イ号意匠と差異があるが,その他はほぼ同じである。 ウ乙13グレー意匠について(ア) 本件意匠並びにイ号意匠及びロ号意匠についての原告の主張を前提にすると,乙13グレー意匠は,別紙本件意匠・乙13グレー意匠対比表(被告主張)の「乙13グレー意匠」欄記載のとおりとなる。 (イ) 本件意匠と乙13グレー意匠との対比乙13グレー意匠の物品はカラーコンタクトレンズであり,本件意匠の意匠に係る物品と同一である。また,本件意匠と乙13グレー意匠は,以下のとおり,類似する。 基本的構成態様は,全て同一であり,具体的構成態様については,次のとおりとなる。 ① 中央部の全体に占める割合本件意匠においては約47%であるのに対し,乙13グレー意匠では約35%である。 ② まだら模様部a 薄墨色の斑点模様同一である。 b 薄茶色の斑点模様本件意 央部の全体に占める割合本件意匠においては約47%であるのに対し,乙13グレー意匠では約35%である。 ② まだら模様部a 薄墨色の斑点模様同一である。 b 薄茶色の斑点模様本件意匠においては「薄茶色の斑点模様は,外周部の略半分程度まで,重なって施されているが,重なって施されている部分の薄茶色の斑点模様の密度は, 小さい。当該重なり部分では」であるのに対し,乙13グレー意匠においては「薄茶色の斑点模様の内,約12の領域では,外周部の一部にまで重なって施されている。重なって施されている部分において」という構成態様となっている点で差 異点が存在するものの,その余は,全て同一である。 c まだら模様部の全体に占める割合本件意匠においては約14%であるのに対し,乙13グレー意匠では約15%である。 ③ 外周部a 黒色線状模様の本数本件意匠の黒色線状模様の本数は211本であるのに対し,乙13グレー意匠の本数は約200本程度である。 b 黒色線状模様の配置本件意匠の縁部分に向けて突出している黒色線状模様は57本であるのに対し,乙13グレー意匠は60ないし70本程度である。 また,本件意匠のまだら模様部に向けて突出している黒色線状模様は64本であるのに対し,乙13グレー意匠は60ないし70本程度である。 その余は,全て同一である。 c 外周部の全体に占める割合同一である(いずれも約11%)。 d 黒色線状模様の太さ同一である(いずれも約11%)。 (ウ) 類否本件意匠と乙13グレー意匠との差異点は,中央部の全体に占める割合及び薄茶色の斑点模様と外周部との関係を除き,いずれも透明のコンタクトレンズに模様を印刷するに当たっての誤差の範囲を脱しておらず,需要者の視覚を通じて起こさせる美感に影響 ,中央部の全体に占める割合及び薄茶色の斑点模様と外周部との関係を除き,いずれも透明のコンタクトレンズに模様を印刷するに当たっての誤差の範囲を脱しておらず,需要者の視覚を通じて起こさせる美感に影響を及ぼすことはない。 また,中央部の全体に占める割合及び薄茶色の斑点模様と外周部との関係に関する差異点は, 本件意匠と乙13グレー意匠の共通点(前記の 印刷上の誤差と評価し得るものを含める。)を凌駕するものではなく,需要者に異なる美感を抱かせるものではない。 したがって,本件意匠と乙13グレー意匠とは類似し,これにより新規性を欠如する(少なくともこれに基づいて容易に創作できた)こととなる。 エ乙13ブラウン意匠について(ア) 本件意匠並びにイ号意匠及びロ号意匠についての原告の主張を前提にすると,乙13ブラウン意匠は,別紙本件意匠・乙13ブラウン意匠対比表(被告主張)の「乙13ブラウン意匠」欄記載のとおりとなる。 (イ) 本件意匠と乙13ブラウン意匠との対比乙13ブラウン意匠の物品はカラーコンタクトレンズであり,本件意匠の意匠に係る物品と同一である。また,本件意匠と乙13ブラウン意匠は,以下のとおり,類似する。 基本的構成態様は,全て同一であり,具体的構成態様については,前記ウ(イ)(②を除く)と同様であり,②まだら模様部は次のとおりとなる。 ② まだら模様部a 薄墨色の斑点模様本件意匠の斑点模様は薄墨色であるのに対し,乙13ブラウン意匠では薄茶色である(色違い)との差異点が存在する点を除き,全て同一である。 b 薄茶色の斑点模様本件意匠においては斑点模様が薄茶色であるのに対し,乙13ブラウン意匠では茶色である点,本件意匠においては「薄茶色の斑点模様は,外周部の略半分程度まで,重 て同一である。 b 薄茶色の斑点模様本件意匠においては斑点模様が薄茶色であるのに対し,乙13ブラウン意匠では茶色である点,本件意匠においては「薄茶色の斑点模様は,外周部の略半分程度まで,重なって施されているが,重なって施されている部分の薄茶色の斑点模様の密度は,小さい。当該重なり部分では」であるのに対し,乙13ブラウン意匠においては 「茶色の斑点模様の内,約12の領域では,外周部の一部にまで重なって施されている。重なって施されている部分において」という構成態様となっている点で差異点が存在するものの,その余は,全て同一である。 c まだら模様部の全体に占める割合本件意匠においては約14%であるのに対し,乙13ブラウン意匠では約15%である。 (ウ) 類否本件意匠と乙13ブラウン意匠との差異点は,中央部の全体に占める割合及び薄茶色の斑点模様と外周部との関係を除き,いずれも透明のコンタクトレンズに模様を印刷するにあたっての誤差の範囲を脱しておらず,需要者の視覚を通じて起こさせる美感に影響を及ぼすことはない。 また,中央部の全体に占める割合及び薄茶色の斑点模様と外周部との関係に関する差異点は, 本件意匠と乙13ブラウン意匠の共通点(前記の印刷上の誤差と評価し得るものを含める。)を凌駕するものではなく,需要者に異なる美感を抱かせるものではない。 したがって,本件意匠と乙13ブラウン意匠とは類似し,これにより新規性を欠如する(少なくともこれに基づいて容易に創作できた)こととなる。 (原告の主張)ア公開日について被告は,「TheWaybackMachine」(以下「ウェイバックマシーン」という。)による「INTERNETARCHIVE」に基づき,乙13の1に示された画像データが2010年(平成2 被告は,「TheWaybackMachine」(以下「ウェイバックマシーン」という。)による「INTERNETARCHIVE」に基づき,乙13の1に示された画像データが2010年(平成22年)12月19日頃に公開されており,同日頃には,乙13グレー意匠及び乙13ブラウン意匠のいずれもが「電気通信回線を通じて公衆に利用可 能となった」旨主張する。 しかし,乙13の2に記載された日付けは信憑性が低いものとして裁判例において取り扱われており,また,原告の確認したところでは乙13の1の元データにあたる甲20に示されたデータが平2015年(成27年)5月20日に保存されていること(甲20ないし25),保存日と保存されたウェブページの内容について齟齬が認められること(甲26ないし30)からすれば,ウェイバックマシーンによる保存内容の信憑性そのものが欠如している。また,平成22年12月に乙13意匠に係るカラーコンタクトレンズをウェブサイトに掲載したとするPOLYTOUCH社からのメールについても,同様の内容のウェイバックマシーンの信憑性が欠如しているゆえに信憑性を欠く。したがって,乙13の1に示された画像データが同月19日頃にインターネット上において公開されていたと認めることはできない。 イ本件意匠と乙13意匠との非類似性(ア) 本件意匠と乙13意匠の対比乙13意匠は,前記(被告の主張)イの掲載図のとおりである。乙13グレー意匠の構成態様は別紙本件意匠・乙13グレー意匠対比表(原告主張)の「乙13グレー意匠」欄記載のとおりであり,本件意匠との対比は,同別紙のとおりである。乙13ブラウン意匠の構成態様は,別紙本件意匠・乙13ブラウン意匠対比表(原告主張)の「乙13ブラウン意匠」欄記載のとおりであり,本件意匠 のとおりであり,本件意匠との対比は,同別紙のとおりである。乙13ブラウン意匠の構成態様は,別紙本件意匠・乙13ブラウン意匠対比表(原告主張)の「乙13ブラウン意匠」欄記載のとおりであり,本件意匠との対比は,同別紙のとおりである。 (イ) 本件意匠と乙13意匠の差異点a 本件意匠と乙13グレー意匠との差異点本件意匠の基本的構成態様であり,かつ本件意匠の要部である「外周部」は「多数の黒色線状模様によって,まだら模様部の周囲を囲む」 であるのに対し,乙13グレー意匠の「外周部」は,公知意匠においても多く採用されている「黒色ドットによって球面体を黒く縁取った」ものとなった点に差異がある。また,本件意匠と乙13グレー意匠とは,具体的構成態様の全てにおいて差異点が存在し,特に「まだら模様部」及び「外周部」の差異が顕著である。 b 本件意匠と乙13ブラウン意匠との差異点本件意匠の基本的構成態様であり,かつ本件意匠の要部である「外周部」は「多数の黒色線状模様によって,まだら模様部の周囲を囲む」であるのに対し,乙13ブラウン意匠の「外周部」は,公知意匠においても多く採用されている「黒色ドットによって球面体を黒く縁取った」ものとなった点に差異がある。また,本件意匠と乙13ブラウン意匠とは,具体的構成態様の全てにおいて差異点が存在し,特に「まだら模様部」及び「外周部」の差異が顕著である。 (ウ) 類否判断本件意匠と乙13意匠とは,本件意匠の基本的構成態様であり,かつ本件意匠の要部である「外周部」において差異点があり,具体的構成態様においても,「まだら模様部」及び「外周部」には顕著な差異点が存在する上に,他の具体的構成態様にも差異点が存在するため,需要者に異なる美感を与える。 したがって,本件意匠と乙13意匠とは,いずれも類 おいても,「まだら模様部」及び「外周部」には顕著な差異点が存在する上に,他の具体的構成態様にも差異点が存在するため,需要者に異なる美感を与える。 したがって,本件意匠と乙13意匠とは,いずれも類似しない。 (4) 争点(4)(損害額)について(原告の主張)被告製品の販売単価は1500円であり,被告による被告製品の一月当たりの販売数は合計2000個であるところ,被告製品の利益率は43%であるから,被告は,平成26年7月から同年11月までの間の被告製品販売により645万円の利益を得た。 したがって,意匠法39条2項に基づき,原告の損害額は前記利益額である645万円と推定される。 (被告の主張)争う。 第3 当裁判所の判断 1 争点(1)(本件意匠の構成態様)について(1) 原告は,本件願書添付写真には整合性がなく,そのため本件願書添付写真を見た当業者であれば,ぼかし模様が本件意匠を構成する模様及び色彩ではなく影であることを容易に理解することができるから,影に由来するぼかし模様は意匠を構成しないとして,当業者を基準として,ぼかし模様を除いて本件添付写真より把握することができる意匠を定め,当該意匠を基準に登録意匠の範囲が決せられるべきであるとして,本件意匠の構成を主張している。 (2) 確かに本件願書添付写真には,【平面図】,【底面図】及び【斜視図】に,平面によって切り取られた球面体の一部である本件意匠の中心からずれた位置に円環状の灰色のぼかし模様が明らかに認められるが,証拠(甲12ないし14,乙1)によれば,これは,模様として付されたものではなく,写真撮影の際に台として使用されたアクリル板に他の模様が映った影であることが認められる。 (3) しかし,登録意匠の範囲は,願書に写真を添付 )によれば,これは,模様として付されたものではなく,写真撮影の際に台として使用されたアクリル板に他の模様が映った影であることが認められる。 (3) しかし,登録意匠の範囲は,願書に写真を添付した場合,願書の記載及び願書に添付した写真により現された意匠に基づいて定められるべきであるから(意匠法24条1項),ぼかし模様も写真により現されている以上,本件意匠を構成すると解すべきである。 この点,原告は,当業者であれば六面図間の不整合からぼかし模様が影であることが容易に分かることを前提に,ぼかし模様を除くべきように前記主張をしているところであるが,そもそも一見したところでは,本件願書添付写真上に看取されるぼかし模様の図面ごとのコンタクトレンズ上の位置関係 の整合性が欠けているものと認識できるわけではない。また,仮に当業者が微細な点に注意して見たとしても,ぼかし模様は,【平面図】で正面から見た場合,球面体の一部で現された本件意匠の中央頂点の中心からずれた位置の円環状の模様であるため,見る角度によってその現れる位置が異なってくると想定され,そのため,【平面図】,【底面図】及び【斜視図】との間に整合性がない部分が仮にあったとしても,それが図面間の不整合に由来するのか,見る角度の違いに由来するのかを識別判断することは極めて困難なことと考えられる。なお,本件願書添付写真のうち,【正面図】,【右側面図】,【左側面図】及び【背面図】からは,ぼかし模様の存在を明確に認識することはできないが,これらの側方から撮影した写真は,撮影時における手前側の模様等と反対側の模様等とが重なっていることから,そのことが原因となってぼかし模様が見にくいものと理解される余地が多分にあるし,そうでなくとも中央部の上部には影のような部分があることが認められ 側の模様等と反対側の模様等とが重なっていることから,そのことが原因となってぼかし模様が見にくいものと理解される余地が多分にあるし,そうでなくとも中央部の上部には影のような部分があることが認められ,これがぼかし模様に由来するものであるとの認識を生じさせるということができるから,図間に整合性がない部分があったとしても,そのことを認識することは極めて困難であるといわざるを得ない。 (4) したがって,六面図の不整合から,本件願書添付写真上に看取されるぼかし模様が影であることが認識されることを前提として,特殊な意匠の範囲の定め方をすべきようにいう原告の主張は失当である。 (5) なお,ぼかし模様が本件意匠の構成態様に含まれるとすると,本件意匠の範囲は,原告の意図とは異なったものになるが,証拠(甲12ないし14)及び弁論の全趣旨によれば,ライティングを工夫すればそのような影が生じないように写真撮影をすることは技術的に可能であったことがうかがえるし,そもそも原告は,写真によらずに図面を願書に添付して出願することが可能だったはずである。そして何より,本件願書添付写真が,意匠を現した以外の画像を含み,そのため図面代用写真の要件を定めた意匠法6条2項, 意匠法施行規則4条1項,2項の要件を満たさないものであり,そのため登録意匠の範囲を定めるにつき不利益が生じるかもしれないことは,本件意匠の出願時において原告には明らかであったはずであるから,そのような写真を図面代用写真で用いた不利益は原告において甘受するほかないというべきである。 またさらに,ぼかし模様が本件意匠を構成しないと仮定して検討するとしても,その場合,本件意匠は,本件願書添付写真からぼかし模様を除去した画像を想定して,その範囲を定めなければならないことになるが,原告の主 に,ぼかし模様が本件意匠を構成しないと仮定して検討するとしても,その場合,本件意匠は,本件願書添付写真からぼかし模様を除去した画像を想定して,その範囲を定めなければならないことになるが,原告の主張する「まだら模様部」にある灰色の斑点模様と灰色のぼかし模様との境は明確に区別できるものとは認められないから,そもそもぼかし模様だけを除いた灰色の斑点模様を認識することはできず,そのため本件意匠は不明確な部分を含むという問題が生じてしまうことになる。すなわち,ぼかし模様を除去して本件意匠の範囲を定めるように求める原告の主張は,本件意匠登録には,対象とする意匠が明確でないという無効理由(意匠法3条1項柱書,48条1項1号)があることの認定を積極的に求めると同様にならざるを得ないのであって,したがって,この点で原告主張はやはり採用することができないといわざるを得ない。 (6) 本件意匠の構成以上を前提とすると,本件意匠の範囲は,原則どおり,ぼかし模様を含んだものとして,本件願書添付写真に基づき定められるべきであり,その基本的構成及び具体的構成は,別紙本件意匠・イ号意匠対比表(裁判所認定)及び別紙本件意匠・ロ号意匠対比表(裁判所認定)の「本件意匠」欄記載のとおりと認められる(甲2,乙1)。 2 争点(2)(イ号意匠及びロ号意匠は本件意匠と類似するか)について(1) 登録意匠とそれ以外の意匠の類否の判断は,需要者の視点を通じて起こさせる美感に基づいて行うとされているところ(意匠法24条2項),その判 断に当たっては,両意匠を全体的観察により対比し,当該意匠に係る物品の性質,用途,使用態様,さらには登録意匠における公知意匠にない新規な創作部分の存否等を参酌して,登録意匠について需要者が視覚を通じて注意を惹きやすい特徴 全体的観察により対比し,当該意匠に係る物品の性質,用途,使用態様,さらには登録意匠における公知意匠にない新規な創作部分の存否等を参酌して,登録意匠について需要者が視覚を通じて注意を惹きやすい特徴的部分(要部)を把握し,この特徴的部分を中心に両意匠を対比した上で,両意匠が全体的な美感を共通にするか否かによって類否を決するのが相当である。 (2) 各意匠の形態ア本件意匠の形態本件意匠はカラーコンタクトレンズに係る意匠であり,その形態は,本件願書添付写真のとおりであり,その基本的構成態様及び具体的構成態様は前記1(6)で認定したとおりである。 イイ号意匠及びロ号意匠の構成(甲3及び4(各枝番を含む。),10,弁論の全趣旨)イ号意匠及びロ号意匠は,いずれもカラーコンタクトレンズに係る意匠であり,それぞれ別紙イ号意匠説明図及び同ロ号意匠説明図のとおりである。その構成態様は,それぞれ別紙本件意匠・イ号意匠対比表(裁判所認定)及び別紙本件意匠・ロ号意匠対比表(裁判所認定)の「イ号意匠」及び「ロ号意匠」欄記載のとおりである。 (3) 本件意匠の特徴的部分(要部)の認定アカラーコンタクトレンズの性質,用途,使用態様カラーコンタクトレンズは,人の眼に装着して使用されるものであり,色彩,模様が付されるが,一般的には自然な目元でありながら需要者が希望する目元の印象を得るために使用されるものであることからすると,その基本的構成態様は,必然的に自然な瞳の構造に沿い,使用時に眼の瞳孔部分に対応する円形状の中心部と,虹彩部に対応する内周部と,強膜との境界を形作る虹彩部の周囲に対応する外周部とからなることになる(弁論 の全趣旨)。 イ公知意匠本件意匠の出願日(平成24年10月30日)より 部と,虹彩部に対応する内周部と,強膜との境界を形作る虹彩部の周囲に対応する外周部とからなることになる(弁論 の全趣旨)。 イ公知意匠本件意匠の出願日(平成24年10月30日)より前に公開された韓国の意匠公報(乙2,3)には,意匠に係る物品がコンタクトレンズで,球面体の一部を平面により切り取った曲面体の中央部に小円形状の中央部と,その周囲を囲む色の付いた多数の点による模様のある内周部と,球面体の中心点からみて放射状に延びる黒色線が多数配された外周部とからなる意匠が示されており,当該黒色線は,内周部方向の端部の長さが不規則となっている。 また,本件意匠の出願日前に販売されていたカラーコンタクトレンズ(乙13の1,2)には,外周部が中心点からみて放射状に延びる多数の黒色線よりなり,その線の長さが不均一で,黒色線の両端は,内周部及び球面体の外側に対し不規則に配置されている意匠が示されている(乙13の1,2,4,5)。 なお,原告は,乙13意匠については,その公知性の根拠として主張される乙13の1のウェブページの公開日が信用できない旨主張し,ウェイバックマシーンによるウェブページの保存内容と保存日時との間には時間的な齟齬があること等を指摘する。しかし,ウェイバックマシーンによる保存内容の信用性はさておくとしても,証拠(乙13の5)によれば,乙13意匠の物品を製造販売しているPOLYTOUCH社が,被告からの問い合わせに対し,同物品を2010年(平成22年)前半に製造を開始し,同年12月にウェブサイトに掲載したとの回答をしていることが認められる。そして,そのPOLYTOUCH社による回答の信用性を疑わせる特段の事情は認められないのであるから,同社による回答に基づき,本件意匠出願日(平成24年10月30日)より約2年前 ことが認められる。そして,そのPOLYTOUCH社による回答の信用性を疑わせる特段の事情は認められないのであるから,同社による回答に基づき,本件意匠出願日(平成24年10月30日)より約2年前には乙13意匠に係るカラーコンタクトレンズは製造され,したがってその意匠が公 然知られることになっていたものと認めるのが相当である。すなわち,その公知性を争う上記原告主張は採用できない。 ウ検討前記アによれば,カラーコンタクトレンズにおいては,使用時において人の眼の瞳孔部分に対応する円形状の中心部と,虹彩部に対応する内周部と,強膜との境界を形作る虹彩部の周囲に対応する外周部とからなる基本的構成態様を有する意匠は周知であったものと認められるが,これを前提に商品選択をする需要者の使用に関する希望からすると,需要者は,目元の印象を決める要素であるところの虹彩部に対応する内周部にどの程度どのような模様を付され,色付けされているのか,また,強膜と虹彩部の境界を形作る部分に対応する外周部にどのような色彩でどの程度の強弱を付けられているのかという要素を重視して商品を選択するものと認められる。 他方,前記イのとおり,前記基本的構成態様を備えたカラーコンタクトレンズのうち,内周部が点状の模様で構成されること,外周部に放射線状に不規則に配置された長さが不均一な黒色線が用いられることは公知であったといえる。 したがって,本件意匠において需要者の注意を惹きやすい特徴的部分(要部)は,その虹彩部に対応する内周部及び外周部の色彩,模様のデザインのうち,内周部の点状の模様の色彩及び形状,黒色線の形状,配置等の細かな具体的構成態様そのものであり,加えて,本件意匠においては通常は透明であるべき瞳孔部分に対応する中心部に及んだぼかし模様が施されている点も 部の点状の模様の色彩及び形状,黒色線の形状,配置等の細かな具体的構成態様そのものであり,加えて,本件意匠においては通常は透明であるべき瞳孔部分に対応する中心部に及んだぼかし模様が施されている点も需要者の注意を惹きやすい特徴的部分(要部)であるものと認められる。 (4) 本件意匠とイ号意匠の対比検討ア意匠に係る物品本件意匠に係る物品及びイ号意匠に係る被告製品は,いずれもカラーコンタクトレンズであって同一である。 イ基本的構成態様について本件意匠とイ号意匠は,基本的構成態様において共通する。 ウ具体的構成態様について(ア) 共通点内周部に灰色の斑点と赤みを帯びた薄茶色の斑点とが,全体に及んで配されている点,外周部には,球面体の中心点からみて放射状に延びる黒色線が200本程度配されており,その長さは不均一であり,その両端は,内周部及び球面体の外側に対し不規則に配置されている点が共通する。 (イ) 差異点① 中央部a 中央部の全体に占める割合は,本件意匠が約47%であるのに対し,イ号意匠は約38%である。 b 本件意匠には中央部に三日月状の灰色のぼかし模様があるのに対し,イ号意匠は全て透明である。 ② 内周部a 本件意匠には【平面図】においてその約3分の2の領域に灰色のぼかし模様があるのに対し,イ号意匠にはそれが存在しない。 b 本件意匠においては,赤みを帯びた薄茶色の斑点状の模様は外周に向けて放射状に延びる幅のある棒状形状となっており,その太さや長さは一様ではないのに対し,イ号意匠においては,内周部の内縁から外周部に向かってフレアー状の形態を形成するように配されている。 c 本件意匠においては,赤みを帯びた薄茶色の斑点状の模様は,外周部に一部, ではないのに対し,イ号意匠においては,内周部の内縁から外周部に向かってフレアー状の形態を形成するように配されている。 c 本件意匠においては,赤みを帯びた薄茶色の斑点状の模様は,外周部に一部,重なって施されているのに対し,イ号意匠においては,外周部にはほとんど重なっていない。 エ検討(ア) 基本的構成態様の共通点について本件意匠とイ号意匠とは,全ての点で共通する。 (イ) 具体的構成態様の共通点及び差異点について本件意匠とイ号意匠とは,内周部に灰色の斑点と赤みを帯びた薄茶色の斑点とが,全体に及んで配されている点,外周部には,球面体の中心点からみて放射状に延びる黒色線が200本程度配されており,その長さが不均一であり,その両端が内周部及び球面体の外側に対し不規則に配置されている点で共通する。 しかし,本件意匠の内周部の模様は,赤みを帯びた薄茶色の斑点状の模様が外周に向けて放射状に延びる幅のある棒状形状で,灰色斑点模様に混ざり合うような形状となっていることから,虹彩部分には自然に明るい雰囲気を作るのに対し,イ号意匠のそれにおいては,本件意匠に比して狭い中央部を囲む内周部の内側から赤みを帯びた薄茶色の模様が周囲にフレアー状になるように配されていることから,虹彩部において中心部から相当程度赤色の色味が強く看取できることが特徴的となっている。 さらに,本件意匠は,中央部の全体に占める割合が広く,その中央部には三日月状のぼかし模様があるのに対し,イ号意匠は中央部が本件意匠に比して狭く,中央部は全て透明となっている点で異なっている。また,内周部の模様にも,本件意匠には灰色の斑点状の模様だけでなく約3分の2に及んでぼかし模様が存在する点で異なっている。 (ウ) 類否前記 央部は全て透明となっている点で異なっている。また,内周部の模様にも,本件意匠には灰色の斑点状の模様だけでなく約3分の2に及んでぼかし模様が存在する点で異なっている。 (ウ) 類否前記(3)認定のとおり,本件意匠において,需要者の注意を惹きやすい特徴的部分(要部)は,その虹彩部に対応する内周部及び外周部の色彩,模様のデザインのうち,内周部の点状の模様の色彩及び形状,黒色線の 形状,配置等の細かな具体的構成態様そのものと,通常は透明であるべき瞳孔部分に対応する中心部に及んで施されたぼかし模様である。 そうすると,イ号意匠は,本件意匠の要部である黒色線の形状,配置等を備えているが,内周部の点状の模様の色彩及び形状の具体的構成態様で相当異なるのみならず,中心部に及んだぼかし模様が施されていないという点でも異なっていることから全体的に需要者に異なる美感を与えるものというべきであって類似しているとはいえない。 なお,原告は,両意匠の共通点と認定した黒色線状の形状,配置等につき,外周部を黒色線状により表現し,外周部の外縁を不規則(シャギー状)とすることで使用時の自然さを表現することを意識した点が,公知意匠にない最も特徴的な部位であるから,この点が同じイ号意匠は,本件意匠に類似する旨主張する。しかし,前記のとおり,黒色線が不規則に配置されている意匠は公知意匠にも存するのであるし,仮に公知意匠にないとしても,本件意匠とイ号意匠は内周部の点状の模様の色彩及び形状の具体的構成態様で相当異なるのみならず,中心部に及んだぼかし模様が施されていないという点でも異なっているのであるから,特徴的部分の一部が共通するからといって,それだけで両意匠を類似しているということはできない。 オ結論したがって,本件意匠とイ号意 いないという点でも異なっているのであるから,特徴的部分の一部が共通するからといって,それだけで両意匠を類似しているということはできない。 オ結論したがって,本件意匠とイ号意匠とは類似しているということはできない。 (5) 本件意匠とロ号意匠の対比検討ア意匠に係る物品本件意匠に係る物品及びロ号意匠に係る被告製品は,いずれもカラーコンタクトレンズであって同一である。 イ基本的構成態様について 本件意匠とロ号意匠は,基本的構成態様において共通する。 ウ具体的構成態様について(ア) 共通点外周部に,球面体の中心点からみて放射状に延びる黒色線が200本程度配されており,その長さは不均一であり,その両端は,内周部及び球面体の外側に対し不規則に配置されている点が共通する。 (イ) 差異点① 中央部a 中央部の全体に占める割合は,本件意匠が約47%であるのに対し,ロ号意匠は約38%である。 b 本件意匠には中央部に三日月状の灰色のぼかし模様があるのに対し,ロ号意匠は全て透明である。 ② 内周部a 本件意匠には【平面図】においてその約3分の2の領域に灰色のぼかし模様があり,灰色の斑点状の模様が全体にあるのに対し,ロ号意匠にはぼかし模様がなく,黄色の斑点状の模様が配されている。 b 本件意匠においては,赤みを帯びた薄茶色の斑点状の模様は,外周に向けて放射状に延びる幅のある棒状形状となっており,その太さや長さは一様ではないのに対し,ロ号意匠においては,オレンジ色の斑点状の模様が,内周部の内縁から外周部に向かってフレアー状の形態を形成するように配されている。 c 本件意匠においては,赤みを帯びた薄茶色の斑点状の模様は,外周部に一部,重なって施さ レンジ色の斑点状の模様が,内周部の内縁から外周部に向かってフレアー状の形態を形成するように配されている。 c 本件意匠においては,赤みを帯びた薄茶色の斑点状の模様は,外周部に一部,重なって施されているのに対し,ロ号意匠においては,オレンジ色の斑点状の模様が外周部にはほとんど重なっていない。 エ検討(ア) 基本的構成態様の共通点について 本件意匠とロ号意匠とは,全ての点で共通する。 (イ) 具体的構成態様の共通点及び差異点について本件意匠とロ号意匠とは,外周部には,球面体の中心点からみて放射状に延びる黒色線が200本程度配されており,その長さが不均一であり,その両端が内周部及び球面体の外側に対し不規則に配置されている点で共通する。 しかし,本件意匠の内周部の模様は,赤みを帯びた薄茶色の斑点状の模様が外周に向けて放射状に延びる幅のある棒状形状で,灰色斑点模様に混ざり合うような形状となっていることから,虹彩部分には自然に明るい雰囲気を作るのに対し,ロ号意匠のそれにおいては,本件意匠に比して狭い中央部を囲む内周部の内側からオレンジ色の模様が周囲にフレアー状になるように配されていることから,虹彩部において中心部から相当程度オレンジ色の色味が強く看取できることが特徴的となっている。 さらに,本件意匠は,中央部の全体に占める割合が広く,その中央部には三日月状のぼかし模様があるのに対し,ロ号意匠は中央部が本件意匠に比して狭く,中央部は全て透明となっている点で異なっている。また,内周部の模様にも,本件意匠には灰色の斑点状の模様だけでなく約3分の2に及んでぼかし模様が存在する点で異なっており,さらに,斑点状の模様については,その色彩も異なっている。 (ウ) 類否ロ号意匠が,本件 本件意匠には灰色の斑点状の模様だけでなく約3分の2に及んでぼかし模様が存在する点で異なっており,さらに,斑点状の模様については,その色彩も異なっている。 (ウ) 類否ロ号意匠が,本件意匠の要部である黒色線の形状,配置等を備えているが,内周部の点状の模様の色彩及び形状の具体的構成態様で相当異なるのみならず,中心部に及んだぼかし模様が施されていないという点でも異なっていることから全体的に需要者に異なる美感を与えるものというべきであって類似しているとはいえないことは,イ号意匠について判 断したところと同じである。 また,本件意匠の黒色線状の形状,配置等に公知意匠にない最も特徴的な部位があるとの原告の主張についても,要部認定に用いた公知意匠がないとした上でも,本件意匠とロ号意匠は内周部の点状の模様の色彩及び形状の具体的構成態様で相当異なるのみならず,中心部に及んだぼかし模様が施されていないという点でも異なっていることから類似といえないとすることも,イ号意匠について判断したところと同じである。 オ結論したがって,本件意匠とロ号意匠とは類似しているということはできない。 3 結論以上のとおり,本件意匠とイ号意匠及びロ号意匠は類似しないから,原告の請求は,その余の点を判断するまでもなくいずれも理由がないことになる。 よって,原告の被告に対する請求をいずれも棄却することとし,訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第21民事部 裁判長裁判官森崎英二 裁判官 裁判長 裁判官 森崎英二 裁判官 田原美奈子 裁判官 林啓治郎 別紙意匠公報,同イ号意匠説明図及び同ロ号意匠説明図添付その余の別紙は掲載省略

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る