令和4(ワ)70058 特許権侵害差止等請求事件

裁判年月日・裁判所
令和6年10月18日 東京地方裁判所
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令和6年10月18日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 令和4年(ワ)第70058号特許権侵害差止等請求事件口頭弁論終結日令和6年7月16日判決 原告松本システムエンジニアリング株式会社 同訴訟代理人弁護士田中伸一郎 松野仁彦 同訴訟代理人弁理士弟子丸健 渡邊徹 工藤由里子 被告オカダアイヨン株式会社 同訴訟代理人弁護士木村圭二郎 元氏成保 同訴訟代理人弁理士藤田隆 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由 第1 請求 1 被告は、別紙被告製品目録記載のグラップルバケット装置を製造し、使用し、譲渡し、貸し渡し、若しくは輸出し、又は譲渡若しくは貸渡しの申出をしてはならない。 2 被告は、別紙被告製品目録記載のグラップルバケット装置を廃棄せよ。 3 被告は、原告に対し、7500万円及びこれに対する令和4年12月8日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。 第2 事案の概要等 1 事案の要旨本件は、発明の名称を「グラップルバケット装置」とする特許第5911250号の特許権(以下、「本件特許権」といい、これに係る特許を「本件特許」という。)及び意匠に係る物品を「カッター付グラップルバケット」とする意匠登録第1565620号の意匠権(以下、「本件意匠権」といい、これに係る意匠を「本件意匠」という。)をそれぞれ保有する原告が、被告に対し、 に係る物品を「カッター付グラップルバケット」とする意匠登録第1565620号の意匠権(以下、「本件意匠権」といい、これに係る意 匠を「本件意匠」という。)をそれぞれ保有する原告が、被告に対し、被告が製造、販売及び販売の申出をする別紙被告製品目録記載の各製品(以下、項番に従って「被告製品1」などといい、これらを総称して「被告製品」という。)は、いずれも本件特許に係る発明の技術的範囲に属し、かつ、本件意匠に係る登録意匠に類似するから、被告製品の製造等は本件特許権及び本件意匠権を侵害す ると主張して、(1) 特許法100条1項及び2項並びに意匠法37条1項及び2項に基づき、被告製品の製造等の差止め及び廃棄を、(2) 民法709条に基づき、損害金7500万円(特許法102条2項及び意匠法39条2項により算定される額)及びこれに対する令和4年12月8日 (訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定年3パーセントの割合による遅延損害金の支払を、それぞれ求める(本件特許権に基づく請求と本件意匠権に基づく請求との選択的併合)事案である。 2 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲の各証拠(以下、特記しな い限り枝番を含む。)及び弁論の全趣旨により容易に認定できる事実)(1) 当事者原告は、フォークリフト・クレーン及び建設機器の荷役作業用及び林業作業用アタッチメントの開発、設計、製造販売等を目的とする株式会社である。 被告は、建設機械、鉱山機械及び同部品並びに同付属品の製造、販売、整 備、修理、賃貸、割賦販売、設計並びに組立業等を目的とする株式会社であ る。 (2) 本件特許ア本件特許権の設定登録原告は、平成23年9月28日、発明の名称を「グラップルバケット装置」として、本件 売、設計並びに組立業等を目的とする株式会社であ る。 (2) 本件特許ア本件特許権の設定登録原告は、平成23年9月28日、発明の名称を「グラップルバケット装置」として、本件特許に係る特許出願(請求項の数4。以下、「本件出願」 といい、本件出願の願書に添付した明細書を「本件明細書」という。なお、明細書の発明の詳細な説明中の段落番号を【0001】などと記載する。)をした(甲1、2、13)。 特許庁長官は、平成25年8月22日、本件出願に係る公開特許公報(特開2013-163889号公報。以下「甲13文献」という。)を公 開した。甲13文献には、別紙本件明細書図面目録記載の【図4】、【図7】及び【図10】の各図面が掲載されていた(甲13)。 特許庁審査官は、原告に対し、平成27年6月30日付けで、特開2008-133640号公報(以下「甲27文献」という。)、特開平06-306884号公報(以下「甲28文献」という。)等に記載された発明に 基づいて当業者が容易に発明をすることができたとして、進歩性欠如を理由とする拒絶理由を通知した(乙2)。 原告は、同年9月4日付けの補正書により、特許請求の範囲の全文と本件明細書の一部を変更する旨の補正(以下「本件補正」という。)をした(甲30)。 原告は、平成28年4月8日、本件特許権の設定登録(請求項の数2)を受けた。 イ本件特許の特許請求の範囲本件特許の特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである(以下、同請求項に係る発明を「本件発明」という。なお、鉤括弧で括った部 分は、本件補正によって追加、変更された部分である。また、同第3段落 中の「則縁」は、「側縁」の誤記である。)。 【請求項1】上下方向に回動する建設機 なお、鉤括弧で括った部 分は、本件補正によって追加、変更された部分である。また、同第3段落 中の「則縁」は、「側縁」の誤記である。)。 【請求項1】上下方向に回動する建設機械のアームの先端部に、上下方向に回動可能に、かつアームの延長方向の軸心にたいして回動可能にして設けたバケットと、このバケット「の両側壁に隣接して位置し、両側壁」の開口面との 間で木材等の被グラップル材をグラップルできるグラップル部材を、バケットの開口基端部に、バケットの開口部を閉じる方向に回動可能に枢支してなるグラップル装置と、を設けたグラップルバケット装置において、バケットの一方の側壁部に、上記バケットの両側壁の開口面とグラップル部材との間でグラップルした被グラップル材を切断する切断装置を設け、 この切断装置は、バケットの側壁の外側あるいは内側の一方側に位置してバケットの開口縁から離れた位置からバケットの側壁に沿う位置にわたって側壁に沿う方向に回動し、かつバケットの開口縁側に対向する側の則縁に切刃を有してバケットの開口基端部に枢支された切断刃と、上記切断刃の回動基部に連結し「て上記切断刃を回動させる」油圧シリンダとから なり、「切断刃の切刃を、切断刃の回動中心と油圧シリンダの連結点を結ぶ線に対して切断刃の切断方向側にずれた位置に設けるとともに、この切刃の切断方向への回動方向に対して後方へ円弧状に反らせたことを特徴とする」グラップルバケット装置。 ウ本件発明の構成要件の分説本件発明は、次のとおりの構成要件に分説することができる(以下、各構成要件につき、頭書の符号に従って「構成要件A」などといい、構成要件D1及びD2を併せて「構成要件D」ということがある。なお、「則縁」に係る誤記を「側縁」と修正した後の することができる(以下、各構成要件につき、頭書の符号に従って「構成要件A」などといい、構成要件D1及びD2を併せて「構成要件D」ということがある。なお、「則縁」に係る誤記を「側縁」と修正した後の表現に基づいて、構成要件Cを認定 した。)。 A 上下方向に回動する建設機械のアームの先端部に、上下方向に回動可能に、かつアームの延長方向の軸心にたいして回動可能にして設けたバケットと、このバケットの両側壁に隣接して位置し、両側壁の開口面との間で木材等の被グラップル材をグラップルできるグラップル部材を、バケットの開口基端部に、バケットの開口部を閉じる方向に 回動可能に枢支してなるグラップル装置と、を設けたグラップルバケット装置において、B バケットの一方の側壁部に、上記バケットの両側壁の開口面とグラップル部材との間でグラップルした被グラップル材を切断する切断装置を設け、 C この切断装置は、バケットの側壁の外側あるいは内側の一方側に位置してバケットの開口縁から離れた位置からバケットの側壁に沿う位置にわたって側壁に沿う方向に回動し、かつバケットの開口縁側に対向する側の側縁に切刃を有してバケットの開口基端部に枢支された切断刃と、上記切断刃の回動基部に連結して上記切断刃を回動させる油 圧シリンダとからなり、D1 切断刃の切刃を、切断刃の回動中心と油圧シリンダの連結点を結ぶ線に対して切断刃の切断方向側にずれた位置に設けるとともに、D2 この切刃の切断方向への回動方向に対して後方へ円弧状に反らせたE ことを特徴とするグラップルバケット装置。 (3) 本件意匠ア本件意匠権の設定登録原告の代表取締役であるX(以下「X」という。)は、平成27年12月14日、意匠に係る物品を「カ ことを特徴とするグラップルバケット装置。 (3) 本件意匠ア本件意匠権の設定登録原告の代表取締役であるX(以下「X」という。)は、平成27年12月14日、意匠に係る物品を「カッター付グラップルバケット」として、本件意匠に係る意匠登録出願(意願2015-27848)をした。 Xは、平成28年11月18日、本件意匠権の設定登録を受けた。 イ本件意匠権の移転Xは、令和3年6月7日、本件意匠権を原告に譲渡し、その登録がされた(甲3、16)。 また、Xは、同日、原告に対し、被告に対する本件意匠権に係る損害賠償請求権を譲渡した。 ウ本件意匠本件意匠は、別紙本件意匠図面目録記載のとおりであり、実線で表された部分が、意匠登録出願の願書に添付した図面における部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。 (4) 被告による被告製品の製造等 ア被告製品の製造、販売及び販売の申出被告製品は、フェラーバンチャ(樹木の伐倒等に使用される機械)の油圧ショベルのアーム先端に取り付けられる林業作業用アタッチメントで、本件意匠に係る物品である「カッター付グラップルバケット」と同一の物品である(甲7)。 被告は、被告製品を、令和3年6月に展示会に出展し、同年11月に販売を開始するなどして、その製造、販売及び販売の申出をしている。 イ被告製品の構成被告製品は、次の構成(以下、頭書の符号に従って、「構成a」などという。)を有している(別紙被告製品説明書参照)。 a 上下方向に回動する建設機械(1′)のアーム(3′)の先端部に、上下方向に回動可能に、かつアーム(3′)の延長方向の軸心にたいして回動可能にして設けたバケット(22′)と、このバケット(22′)の両側壁に隣 回動する建設機械(1′)のアーム(3′)の先端部に、上下方向に回動可能に、かつアーム(3′)の延長方向の軸心にたいして回動可能にして設けたバケット(22′)と、このバケット(22′)の両側壁に隣接して位置し、両側壁の開口面との間で木材等の被グラップル材をグラップルするグラップル部材(15a′、15b′)を、バ ケット(22′)の開口基端部に、バケット(22′)の開口部を閉じ る方向に回動可能に枢支してなるグラップル装置(9′)と、を設けたグラップルバケット装置(21′)である。 b バケットの側壁(22a′)に、上記バケットの両側壁の開口面とグラップル部材との間でグラップルした被グラップル材を切断する切断装置(23′)を設けている。 c この切断装置(23′)は、バケットの側壁(22a′)の内側に位置してバケット(22′)の開口縁から離れた位置から側壁に沿う位置にわたって側壁に沿う方向に回動し、かつバケットの開口縁側に対向する側の側縁に切刃(25a′)を有してバケット(22′)の開口基端部に枢支された切断刃(25′)と、上記切断刃を回動させる油圧シリ ンダ(26′)からなる。 d 切断刃(25′)の切刃(25a′)を、切断刃(25′)の回動中心と上記油圧シリンダの連結点を結ぶ線に対して切断刃(25′)の切断方向側にずれた位置に設けており、切断刃の切刃は、その刃渡りの基端側のほぼ半分(L1)まで上記切断刃の回動中心と油圧シリンダの連 結点を結ぶ線とほぼ平行に直線状に延び、残りの半分(L2)は傾斜角(α)約150度でこの切刃の切断方向への回動方向に対して直線状に後方へ折れている。 e グラップルバケット装置である。 ウ被告製品の意匠 被告製品の意匠は、別紙被告意匠目録記載のとおりで )約150度でこの切刃の切断方向への回動方向に対して直線状に後方へ折れている。 e グラップルバケット装置である。 ウ被告製品の意匠 被告製品の意匠は、別紙被告意匠目録記載のとおりである(以下、被告製品1ないし3に係る意匠を総称して「被告意匠」という。)。 また、被告製品の切断刃の形状は、別紙被告製品切断刃図面目録記載のとおりである。 エ被告製品の構成要件充足性 被告製品は、本件発明の構成要件AないしC及びEをいずれも充足する。 3 争点(1) 本件特許権侵害の成否(争点1)ア構成要件Dの充足性(争点1-1)イ均等侵害の成否(争点1-2)(2) 本件意匠権侵害の成否(争点2) ア本件意匠と被告意匠との類否(争点2-1)イ無効の抗弁の成否(争点2-2)(3) 差止め等の必要性(争点3)(4) 損害の有無及びその額(争点4)第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1-1(構成要件Dの充足性)について(原告の主張)(1) 構成要件D1の「切断刃の切刃を、切断刃の回動中心と油圧シリンダの連結点を結ぶ線に対して切断刃の切断方向側にずれた位置に設ける」の意義ア技術的意義(作用効果) 別紙原告主張図面目録記載【図1】に示すように、切断刃の切刃を切断刃の回動中心と油圧シリンダの連結点を結ぶ線(以下「回動中心線」という。)に設けると、切断刃の移動方向(太い矢印で示したもの。以下「切刃移動方向」という。)は、切刃の垂直方向(細い矢印で示したもの。以下「切刃垂直方向」という。)に一致する。そのため、切刃の力は、切刃に対 し垂直方向のみに対象物に作用し、刃が当該対象物に対し水平方向に動かないため、スムーズな切断ができず、当該対象物に割れが生じる 刃垂直方向」という。)に一致する。そのため、切刃の力は、切刃に対 し垂直方向のみに対象物に作用し、刃が当該対象物に対し水平方向に動かないため、スムーズな切断ができず、当該対象物に割れが生じる。 これに対し、別紙原告主張図面目録記載【図2】に示すように、切断刃の切刃を回動中心線に対して切断刃の切断方向側にずれた位置に設けると共に、切刃を回動中心線と平行な直線状とすると、切刃が切断方向側にず れ、切刃は同【図2】の左方向に移動しながら回転運動をするから、切刃 移動方向(太い矢印)と切刃垂直方向(細い矢印)は一致せず、切刃移動方向(太い矢印)が切刃垂直方向(細い矢印)に対して左方向に傾く。これにより、切断刃が対象物を押しながら滑るように動く(引き切り)ことになり、対象物をスムーズに切断することができる。 このように、本件発明は、まず、「切断刃の切刃を、切断刃の回動中心と 油圧シリンダの連結点を結ぶ線に対して切断刃の切断方向側にずれた位置に設ける」ことにより、回転運動による引き切りを可能とし、単に切刃を回転させるだけでは、対象物に垂直方向の力のみが作用し、スムーズな切断ができないという上記問題点を解決している。 イ文言解釈 構成要件D1は、文言上、「切断刃」の全ての部分が「切断方向側にずれた位置に設け」られていると規定していないから、切断刃の一部分が切断方向の逆側に設けられることを妨げない。このことは、切断刃の先端側の一部が切断方向の逆側に設けられていても、前記アのスムーズな切断を実現する機序に変わりがないことからも明らかである。 (2) 構成要件D2の「回動方向に対して後方へ円弧状に反らせた」の意義ア技術的意義(作用効果)別紙原告主張図面目録記載【図2】に示すように、切断刃の切刃の ことからも明らかである。 (2) 構成要件D2の「回動方向に対して後方へ円弧状に反らせた」の意義ア技術的意義(作用効果)別紙原告主張図面目録記載【図2】に示すように、切断刃の切刃の全箇所を直線状にすると、切断刃の回動中心から遠くなるほど、切刃移動方向(太い矢印)の切刃垂直方向(細い矢印)に対する傾き角度θが小さくなる、 すなわちθ1″>θ2″>θ3″>θ4″となる。この傾き角度θの値が大きいほどスムーズな切断が可能となるところ(引き切り作用)、回動中心から遠い切刃の部分では角度θの値が小さいため、スムーズな切断効果が十分に発揮されない。 回動中心から遠い部分でも引き切り作用を保ちスムーズな切断を可能と するためには、対象物に当たる切断刃の傾き角度θの値が大きく保たれる ことが必要となる。本件発明は、別紙原告主張図面目録記載【図3】のように、切刃を回動中心から遠ざかるにつれて反らせる、すなわち「後方へ円弧状に反らせた」ことにより、対象物に当たる切断刃の傾き角度θの値を大きく保つことを達成している。 イ文言解釈 「円弧状」との文言のうち、「状」の語は、「すがた、ありさま」(広辞苑(第7版))、「〔一〕実際のありさま、すがた・かたちや、なりゆき。〔二〕名詞に付いて、…のような形である、…に似たようすである、などの意を表す。」(大辞泉)ものであるから、「円弧状」とは、文言上、円弧のような形であることを意味すると理解される。 また、本件明細書の【図7】に示されている切断刃の形状は、大きな曲率半径から小さな曲率半径に変化している形状であり、単一の曲率半径を有する「円弧」ではないし、本件明細書の【0034】に記載された「青龍刃形」との記載からも、構成要件D2の「円弧状」は、円弧のよう 率半径から小さな曲率半径に変化している形状であり、単一の曲率半径を有する「円弧」ではないし、本件明細書の【0034】に記載された「青龍刃形」との記載からも、構成要件D2の「円弧状」は、円弧のような形であることと理解すべきである。 さらに、「反る」の語は、「①体やその一部が後方へ曲がりかえる。のけぞる。②物が弓なりに曲がる。」(広辞苑(第7版))との意味を有する。 (3) 被告製品の構成及びあてはめア被告製品においては、「切断刃(25′)の切刃(25a′)を、切断刃(25′)の回動中心と上記油圧シリンダの連結点を結ぶ線に対して切断刃 (25′)の切断方向側にずれた位置に設けて」(構成d)おり、構成要件D1の「切断刃の切刃を、切断刃の回動中心と油圧シリンダの連結点を結ぶ線に対して切断刃の切断方向側にずれた位置に設け」との規定と一致する。 イまた、被告製品の「切断刃の切刃は、その刃渡りの基端側のほぼ半分 (L1)まで上記切断刃の回動中心と油圧シリンダの連結点を結ぶ線とほぼ 平行に直線状に延び、残りの半分(L2)は傾斜角(α)約150度でこの切刃の切断方向への回動方向に対して直線状に後方へ折れている」(構成d)。すなわち、被告製品の切断刃は、直線で根元部分は小さな角度で下方に傾斜し、更に中央部において約150度で下方に折れて、円弧のような形となっている。 ウさらに、被告製品の切断刃の切刃は、切刃の基端部(根元側)の半分は、回動中心線とほぼ平行な直線のようではあるが、別紙原告主張図面目録記載【図4】に示すように、回動中心から遠くなるにつれて回動中心線に近づくように下方に傾斜し、更に残りの刃先側の半分のところで約150度の角度で下方に折れており、構成要件D2の「切刃の切断方向への回動方 4】に示すように、回動中心から遠くなるにつれて回動中心線に近づくように下方に傾斜し、更に残りの刃先側の半分のところで約150度の角度で下方に折れており、構成要件D2の「切刃の切断方向への回動方 向に対して後方へ反った」形状となっている。 エ以上の被告製品の構成は、前記(1)ア及び(2)アの本件発明と同じ機序で動き、同じ作用効果を奏するものである。 (4) 小括以上によれば、被告製品は構成要件Dを充足する。 (被告の主張)(1) 構成要件D1の「切断刃の切刃を、切断刃の回動中心と油圧シリンダの連結点を結ぶ線に対して切断刃の切断方向側にずれた位置に設ける」の意義構成要件D1においては、「切断刃の切刃を、切断刃の回動中心と油圧シリンダの連結点を結ぶ線に対して切断刃の切断方向側にずれた位置に設ける」 と、「切断刃の切刃」のどの部分を「切断刃の回動中心と油圧シリンダの連結点を結ぶ線に対して切断刃の切断方向側にずれた位置に設ける」のかについて、特段の限定がされていないから、この文言の通常の意味からすると、「切断刃の切刃」の全部を「切断刃の回動中心と油圧シリンダの連結点を結ぶ線に対して切断刃の切断方向側にずれた位置に設ける」ものと解される。本件 明細書の【図7】に示されている切断刃も、切断回動中心(同図のО1)と 油圧シリンダの連結点(同図のО2)を結ぶ線(同図に付されている破線)に対し、その切刃の全ての部分が切断方向側にずれた位置に設けられている。 このように、本件特許の特許請求の範囲の文言の通常の意味のみならず、本件明細書の記載及び図面を参酌しても、「切断刃の切刃を、切断刃の回動中心と油圧シリンダの連結点を結ぶ線に対して切断刃の切断方向側にずれた位 置に設ける」とは、「切断刃の切 常の意味のみならず、本件明細書の記載及び図面を参酌しても、「切断刃の切刃を、切断刃の回動中心と油圧シリンダの連結点を結ぶ線に対して切断刃の切断方向側にずれた位 置に設ける」とは、「切断刃の切刃」の全ての部分が、「切断方向側にずれた位置に設け」られていることを意味するというべきである。 (2) 構成要件D2の「回動方向に対して後方へ円弧状に反らせた」の意義「円弧」は「円周の一部分」を、「状」は「すがた、ありさま」をそれぞれ意味する語である(広辞苑(第7版))から、「円弧状」とは、円周の一部分 を切り取った形・姿を意味する。したがって、特許請求の範囲の文言上、構成要件D2の「円弧状」の「切断刃の切刃」とは、円周の一部分を切り取った形・姿の形状の刃としか理解できない。 また、本件明細書の【0034】に、切断刃の形状として「青龍刃形」と記載されているものの、「青龍刃」というのは俗語であり、それが必ずしも 「青龍偃月刀」を意味する訳ではないから、当該「青龍刃形」という表現によって、具体的な形状が特定されるものではない。仮に、構成要件D2の「円弧状に反らせた」との語を、「青龍偃月刀のような状態で反らせた」と解釈したとしても、「青龍偃月刀」は、曲線の連続からなる形状の刃であるから、構成要件D2の技術的範囲は、曲線の連続からなる形状で「反らせた」切断刃 を有するものにしか及ばない。 (3) 被告製品の構成及びあてはめア被告製品2のうち、OHB-200(初期型)の切断刃の形状は、別紙被告製品切断刃図面目録記載【図2】のとおりであり、刃の一部が、切断刃の回動中心と油圧シリンダの連結点を結ぶ線に対し、切断刃の切断方向 側とは逆側に設けられている。 このように、被告製品2のうち、OHB-200(初期型 あり、刃の一部が、切断刃の回動中心と油圧シリンダの連結点を結ぶ線に対し、切断刃の切断方向 側とは逆側に設けられている。 このように、被告製品2のうち、OHB-200(初期型)の切断刃は構成要件D1の「切刃を、切断刃の回動中心と油圧シリンダの連結点を結ぶ線に対して切断刃の切断方向側にずれた位置に設け」を充足しない。 イまた、被告製品に採用されている切断刃の切刃は、切断刃の回動中心から切断刃の途中までが直線で、そこで傾斜角約150度で後方に(山形状 に)折れ曲がり、切断刃の先端部分まで更に直線となっている形状、すなわち直線の刃と直線の刃とが重なって鈍角を形成している形状(山形刃)である。 この形状は、円周の一部分を切り取った形・姿の形状ではないし、連続した曲線からなる「青龍偃月刀」のような形状でもないから、「円弧状」で はない。 さらに、二つの直線が交差して折れた形状は、一つの曲線が連続した繋がりで曲がっていることを表す「反らせた」形状とは明らかに異なるものである。 このように、被告製品の切断刃の切刃は、「円弧状」でも「反らせた」形 状でもないから、構成要件D2の「円弧状に反らせた」を充足しない。 (4) 小括したがって、被告製品は、構成要件Dを充足しない。 2 争点1-2(均等侵害の成否)について(原告の主張) 仮に、被告製品における「切断刃の切刃は、その刃渡りの基端側のほぼ半分(L1)まで上記切断刃の回動中心と油圧シリンダの連結点を結ぶ線とほぼ平行に直線状に延び、残りの半分(L2)は傾斜角(α)約150度でこの切刃の切断方向への回動方向に対して直線状に後方へ折れている」との構成(構成d)が、構成要件Dの文言上の規定を充足しないとしても、以下のとおり、均等侵 分(L2)は傾斜角(α)約150度でこの切刃の切断方向への回動方向に対して直線状に後方へ折れている」との構成(構成d)が、構成要件Dの文言上の規定を充足しないとしても、以下のとおり、均等侵 害が成立する。 (1) 第1要件(発明の本質的部分でないこと)についてア本件特許の出願前には、本件発明に係る「グラップルした被グラップル材を切断できるようにしたグラップルバケット装置」は存在せず、本件発明は革新的なパイオニア発明であるから、「グラップルした被グラップル材を切断できるようにしたグラップルバケット装置」であること自体が、従 来技術にはなかった本件発明の本質的部分(従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴部分)である。 すなわち、本件発明の技術的思想の本質は、「地面の掘削と木材のグラップルの双方を行うことができ、特に木材をグラップルした状態で建設機械を走行することにより、木材を所定の場所に集積すること」(【0014】) を可能にする「グラップルバケット装置」において、「切断装置」により、「グラップルした木材等の被グラップル材をグラップルした状態で切断することができるようにして、伐採後の被グラップル材や伐採前の立木を簡単に切断及び伐採できて、上記作業員の負担を軽減できると共に、グラップル装置にてグラップルした被グラップル材を搬送する前に、これが長尺の 場合にはグラップルした状態であらかじめ切断することにより、被グラップル材が他のものに接触する等のトラブルが生じることなく搬送できるように」(【0019】)したという、従来技術にない効果をもたらしたことにある。 この本件発明の技術的思想の本質からすると、本件発明の構成要件B、 C及びDは、「切断装置」が、「地面の掘削と木材のグラ 0019】)したという、従来技術にない効果をもたらしたことにある。 この本件発明の技術的思想の本質からすると、本件発明の構成要件B、 C及びDは、「切断装置」が、「地面の掘削と木材のグラップルの双方を行うことができ、特に木材をグラップルした状態で建設機械を走行することにより、木材を所定の場所に集積すること」を可能にするという「グラップルバケット装置」本来の機能を害することなく、「グラップルした木材等の被グラップル材をグラップルした状態で切断することができるように」 するように限定している。そして、本件発明のグラップルバケット装置は、 木材をグラップルした状態で建設機械を走行することを妨げるものであってはならず、更に立木の伐倒作業が切断刃で行えるものでなければならない(【0018】等)。 そのため、本件発明においては、木材をグラップルした状態で建設機械が走行できるように、構成要件C及びDで切断装置における切断刃の位置、 回動する態様、その形状が定められており、また、切断力の観点からも、引き切り作用によって切断力を補うため、構成要件D1の「切断刃の切刃を、切断刃の回動中心と油圧シリンダの連結点を結ぶ線に対して切断刃の切断方向側にずれた位置に設ける」との構成に限定されている。 イ被告製品の「切断刃の切刃は、その刃渡りの基端側のほぼ半分(L1) まで上記切断刃の回動中心と油圧シリンダの連結点を結ぶ線とほぼ平行に直線状に延び、残りの半分(L2)は傾斜角(α)約150度でこの切刃の切断方向への回動方向に対して直線状に後方へ折れている」との構成(構成d)は、グラップルする際に障害を生ずることなく、「地面の掘削と木材のグラップルの双方を行うことができ、特に木材をグラップルした状 態で建設機械を走行 直線状に後方へ折れている」との構成(構成d)は、グラップルする際に障害を生ずることなく、「地面の掘削と木材のグラップルの双方を行うことができ、特に木材をグラップルした状 態で建設機械を走行することにより、木材を所定の場所に集積すること」を害さず、また「グラップルした木材等の被グラップル材をグラップルした状態で切断することができる」ものであって、本件発明の本質的部分を変更するものでないことは明白である。 ウ以上によれば、被告製品は第1要件を充足する。 (2) 第2要件(置換可能性)についてア構成要件D2の「回動方向に対して後方へ円弧状に反らせた」との構成は、前記1(原告の主張)(2)アのとおり、回動中心から遠い部分で引き切り作用の効果が十分に発揮できないという問題点を解決するために、刃先が対象物に斜めに当たる形状を採用することによって、押し切り抵抗を小 さくするものである。 イ被告製品においては、「切断刃の切刃は、その刃渡りの基端側のほぼ半分(L1)まで上記切断刃の回動中心と油圧シリンダの連結点を結ぶ線とほぼ平行に直線状に延び」ているものの、この回動中心から切刃のほぼ半分までの構成は、刃先が対象物に斜めに当たる形状となっているから、前記アの引き切りの作用の効果を発揮していることに変わりはない。また、回動 中心から半分より遠い部分についても、切刃の回動方向に対して傾斜角約150度で後方に折れているとの構成により、対象物に対して刃先が斜めに当たり、押し切り抵抗が小さくなるとの効果が生ずる。 したがって、被告製品の構成に置換されても、構成要件Dの構成と変わらない作用効果が生ずる。 ウ以上によれば、被告製品は第2要件を充足する。 (3) 第3要件(置換容易性)について円弧の たがって、被告製品の構成に置換されても、構成要件Dの構成と変わらない作用効果が生ずる。 ウ以上によれば、被告製品は第2要件を充足する。 (3) 第3要件(置換容易性)について円弧の形状を表すために、円弧の両端及びその中間点等を結ぶ線分である弦を用いることも良く行われている。本件明細書においても、「円弧状」を「青龍刃形」と表現したり(【0034】)、切断刃が山形状に近い図面(【図 8】)が含まれているように、「円弧状」との語を厳密に真円の円弧のみを指すものとはしていない。 したがって、当業者は、構成要件Dが規定する「後方へ円弧状に反らせた」切刃を、被告製品のように、傾斜角約150度で直線が後方に折れるものとすることを当然に想到することができた。 以上によれば、被告製品は第3要件を充足する。 (4) 第4要件(公知技術との同一性又は容易推考性がないこと)について被告製品は、本件特許の出願時における公知技術と同一のものではなく、当業者が出願時において公知技術から容易に推考できたものではない。 (5) 第5要件(意識的除外等の特段の事情がないこと)について 原告は、本件補正により、本件特許の特許請求の範囲の請求項1に構成要 件Dを加える補正をしたが、この補正によって加えられた構成要件Dに係る構成は、本件出願当初の特許請求の範囲の請求項3に記載されていたものである。すなわち、本件補正は、実質的には、本件出願当初の特許請求の範囲の請求項3を請求項1に変更したものにすぎないから、何ら限定を加えたものではない。 また、前記1(原告の主張)(2)アのとおり、構成要件D2の「この切刃の切断方向への回動方向に対して後方へ円弧状に反らせた」との構成は、構成要件D1の構成に基づく引き切り作用 のではない。 また、前記1(原告の主張)(2)アのとおり、構成要件D2の「この切刃の切断方向への回動方向に対して後方へ円弧状に反らせた」との構成は、構成要件D1の構成に基づく引き切り作用の効果が減ずることを補うために周知の構成を付加したものであって、その効果は直線であっても何ら変わらないのであるから、この観点においても、円弧状以外の形状を意識的に除外した ものでないことは明らかである。 したがって、被告製品に係る構成が本件特許の出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情はない。 (6) 小括よって、被告製品は、本件特許の特許請求の範囲(請求項1)に記載され た構成と均等なものであって、本件発明の技術的範囲に属する。 (被告の主張)(1) 第1要件(発明の本質的部分でないこと)についてア 「この切刃の切断方向への回動方向に対して後方へ円弧状に反らせた」との構成(構成要件D2)が本件発明の本質的部分であること (ア) 本件明細書の【0037】には、「引き切り作用による無理のないスムーズな切断」との作用効果との関係で、「切断刃25の切刃25a が切断方向への回動方向に対して後退する方向へ円弧状に反らせてあること、及び切断刃25の切刃25a が切断刃25の回動中心O1とアーム28の油圧シリンダ26との連結点O2とを結ぶ線に対して切断方向側へずれ た位置となっていることにより、上記グラップル装置9にてグラップル された木材20を切断刃25にてスムーズに押し切り切断することができる。」と記載されている。この記載から明らかなとおり、本件発明の作用効果である「引き切り作用による無理のないスムーズな切断」は、「切断刃の切刃を、切断刃の回動中心と油圧シリ し切り切断することができる。」と記載されている。この記載から明らかなとおり、本件発明の作用効果である「引き切り作用による無理のないスムーズな切断」は、「切断刃の切刃を、切断刃の回動中心と油圧シリンダの連結点を結ぶ線に対して切断刃の切断方向側にずれた位置に設ける」(構成要件D1)という 構成によりもたらされるものとはされていない。 実際、別紙被告主張図面目録記載【図1】の構成を想定すると、「切断刃の切刃を、切断刃の回動中心と油圧シリンダの連結点を結ぶ線に対して切断刃の切断方向側にずれた位置に設ける」という構成要件D1の構成を充足しているものの、切断対象に当たる刃先側の角度θは先端側に 向けて徐々に小さくなることから、原告が主張するような本件発明の作用効果(引き切り作用)が生じることはない。 したがって、「切断刃の切刃を、切断刃の回動中心と油圧シリンダの連結点を結ぶ線に対して切断刃の切断方向側にずれた位置に設ける」との構成要件D1の構成を本件発明の本質的部分と解する余地はない。 (イ) むしろ、原告が別紙原告主張図面目録記載【図3】を用いて主張するとおり、切刃移動方向(太い矢印)の切刃垂直方向(細い矢印)に対する傾き角度θにつき、「切刃を後方に反らせる」ことで、切刃の回動中心から遠い部分の角度θ4も十分に大きく保つことができ、切刃を直線状にした切断刃の例(別紙原告主張図面目録記載【図2】)において生じた 回動中心から遠い切刃の部分では切刃のスムーズな切断効果が十分に発揮されないとの問題点を引き切り作用により解決したとの説明は、合理性を有する。そうすると、「この切刃の切断方向への回動方向に対して後方へ円弧状に反らせた」という構成要件D2の構成が存在しない場合には、本件発明の作用効果が生じることはない。 の説明は、合理性を有する。そうすると、「この切刃の切断方向への回動方向に対して後方へ円弧状に反らせた」という構成要件D2の構成が存在しない場合には、本件発明の作用効果が生じることはない。 イ原告の主張について 原告は、グラップルバケット装置において、切断装置により被グラップル材をグラップルした状態で切断できるようにした構成が、本件発明の本質的部分であると主張する。 しかし、特許庁審査官は、本件出願当初の特許請求の範囲の各請求項記載の発明が、バケットの開口縁側に対向する側の側縁に切刃を有してバケ ットの開口基端部に枢支された切断刃を有している点について、甲27文献及び甲28文献に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたと判断し、進歩性を欠くとして拒絶理由を通知した。 これに対し、原告は、請求項1に「切断刃の切刃を、切断刃の回動中心と油圧シリンダの連結点を結ぶ線に対して切断刃の切断方向側にずれた位 置に設けるとともに、この切刃の切断方向への回動方向に対して後方へ円弧状に反らせた」(構成要件D)との文言を追加する本件補正をし、本件特許権が設定登録された。 以上の経過にかんがみれば、切断装置により被グラップル材をグラップルした状態で切断できるようにしたグラップルバケット装置であるという 構成が進歩性を欠くことは、特許庁のみならず、原告も承認するところであるから、当該構成が本件発明の本質的部分ではないことは明らかである。 ウまとめ以上のとおり、「この切刃の切断方向への回動方向に対して後方へ円弧状に反らせた」との構成(構成要件D2)は、本件発明の本質的部分である ところ、前記1(被告の主張)のとおり、被告製品は構成要件D2を充足しない。 したがって、被告製品は第 対して後方へ円弧状に反らせた」との構成(構成要件D2)は、本件発明の本質的部分である ところ、前記1(被告の主張)のとおり、被告製品は構成要件D2を充足しない。 したがって、被告製品は第1要件を充足しない。 (2) 第2要件(置換可能性)について本件発明が目的とする特徴的な作用効果は、「引き切りによる無理のないス ムーズな切断が行われる」こと、すなわち引き切り作用である。そして、前 記(1)アのとおり、この作用効果は、「この切刃の切断方向への回動方向に対して後方へ円弧状に反らせた」という構成要件D2の構成によってもたらされている。そうすると、構成要件D2を充足しない被告製品の切断刃の切刃の形状(角度θは、回動中心から遠い部分においても大きく保たれていない形状)によって、「引き切りによる無理のないスムーズな切断が行われる」た めの物理的な力が働くことはないから、本件発明の目的及び本件発明と同一の作用効果を奏することはない。 このように、本件発明の構成要件D2の「この切刃の切断方向への回動方向に対して後方へ円弧状に反らせた」との構成を被告製品の構成に置換することによって、本件発明の目的が達成されることはないし、本件発明と同一 の作用効果を奏することもない。 したがって、被告製品は第2要件を充足しない。 (3) 第5要件(意識的除外等の特段の事情がないこと)について構成要件D2の「この切刃の切断方向への回動方向に対して後方へ円弧状に反らせたこと」との構成は、本件発明の作用効果を生じさせるために本件 補正によって付け加えられたものである。 そうすると、本件補正で付加された上記構成を充足しない形状の切刃は、特許請求の範囲から意識的に除外されたものである。 したがって、被告製品は第5要件を 補正によって付け加えられたものである。 そうすると、本件補正で付加された上記構成を充足しない形状の切刃は、特許請求の範囲から意識的に除外されたものである。 したがって、被告製品は第5要件を充足しない。 (4) 小括 以上によれば、被告製品は、本件特許の特許請求の範囲(請求項1)に記載された構成と均等なものではなく、本件発明の技術的範囲に属しない。 3 争点2-1(本件意匠と被告意匠との類否)について(原告の主張)(1) 本件意匠の構成態様 本件意匠の基本的構成態様及び具体的構成態様は次のとおりである。 ア基本的構成態様A 上下方向のベース面(1)から先端側に離れて、幅方向の寸法がほぼ一定のバケット(2)が設けられ、バケット(2)は、下向きの開口部(3)を有し、バケット(2)の先端側天井壁(4)は、ベース面(1)よりも上に位置する上端位置(5)からベース面(1)の側 方に位置する先端位置(6)まで斜め下方に延び、バケット(2)の背面側の側壁(7)は、バケット(2)を越えてベース面(1)まで延び、バケット(2)の正面側の側壁(8)は、ベース面(1)から離れており、バケット(2)の基端側天井壁(9)は、上端位置(5)からベース面(1)に向かって斜め下方に延び、バケット(2)とベ ース面(1)は、正面側の支持プレート(10)と背面側の支持プレート(11)によって連結されている。 B グラップル(12)と切断刃(13)がベース面(1)の側方かつ下方に設けられた回転軸(14)を中心に回動するように設けられ、切断刃(13)は、背面側の側壁(7)に沿って設けられ、グラップ ル(12)を駆動する油圧シリンダ(15)が、正面側の支持プレート(10)と背面側の支持プレート(11)の するように設けられ、切断刃(13)は、背面側の側壁(7)に沿って設けられ、グラップ ル(12)を駆動する油圧シリンダ(15)が、正面側の支持プレート(10)と背面側の支持プレート(11)の間に設けられ、切断刃(13)を駆動する油圧シリンダ(16)が、背面側の支持プレート(11)と背面側の側壁(7)の間に設けられている。 C 切断刃(13)を収納するカバー板(17)が、背面側の側壁(7) と一体的に設けられている。 D 先端側天井壁(4)の先端に、先に向かって薄くなる複数の爪(18)が設けられている。 イ具体的構成態様E 開口部(3)は、正面視及び背面視において、角の丸い「横L」字 状をなしている。 F 切断刃(13)は、先端に向かって下方に傾斜している。 G 開口部(3)は、切断刃(13)に対する受部を構成し、角の丸い「横L」字状の開口部(3)と、先端に向かって下方に傾斜している切断刃(13)とによって形成される領域(19)における上下方向の長さは、基端側から先端側に向かって、徐々に大きくなった後、急激 に広がっている。 H 切断刃(13)の上縁と下縁は、全体的に下方に湾曲している。 I 背面側の側壁(7)のうちのベース面(1)に隣接した上縁部(30)は、2か所でコブ状に湾曲している。 J 先端側天井壁(4)は僅かに湾曲している。 K 爪(18)の個数は5である。 (2) 被告意匠の構成態様被告意匠の基本的構成態様及び具体的構成態様は次のとおりである(別紙被告意匠目録記載の各図面中の符号は、以下のア及びイの各部分の数字に添え字符号(被告製品1は「a」、被告製品2は「b」、被告製品3は「c」)を それぞれ付したものに対応する。)。 ア基本的構成態様a 上下 図面中の符号は、以下のア及びイの各部分の数字に添え字符号(被告製品1は「a」、被告製品2は「b」、被告製品3は「c」)を それぞれ付したものに対応する。)。 ア基本的構成態様a 上下方向のベース面(1)から先端側に離れて、幅方向の寸法がほぼ一定のバケット(2)が設けられ、バケット(2)は、下向きの開口部(3)を有し、バケット(2)の先端側天井壁(4)は、ベース 面(1)よりも上に位置する上端位置(5)からベース面(1)の側方に位置する先端位置(6)まで斜め下方に延び、バケット(2)の背面側の側壁(7)は、バケット(2)を越えてベース面(1)まで延び、バケット(2)の正面側の側壁(8)は、ベース面(1)から離れており、バケット(2)の基端側天井壁(9)は、上端位置(5) からベース面(1)に向かって斜め下方に延び、バケット(2)とベ ース面(1)は、正面側の支持プレート(10)と背面側の支持プレート(11)によって連結されている。 b グラップル(12)と切断刃(13)がベース面(1)の側方かつ下方に設けられた回転軸(14)を中心に回動するように設けられ、切断刃(13)は、背面側の側壁(7)に沿って設けられ、グラップ ル(12)を駆動する油圧シリンダ(15)が、正面側の支持プレート(10)と背面側の支持プレート(11)の間に設けられ、切断刃(13)を駆動する油圧シリンダ(16)が、背面側の支持プレート(11)と背面側の側壁(7)の間に設けられている。 c 切断刃(13)を収納するカバー板(17)が、背面側の側壁(7) と一体的に設けられている。 d 先端側天井壁(4)の先端に、先に向かって薄くなる複数の爪(18)が設けられている。 イ具体的構成態様e 開口部(3)は、正面視 、背面側の側壁(7) と一体的に設けられている。 d 先端側天井壁(4)の先端に、先に向かって薄くなる複数の爪(18)が設けられている。 イ具体的構成態様e 開口部(3)は、正面視及び背面視において、角の丸い「横L」字 状をなしている。 f 切断刃(13)は、先端に向かって下方に傾斜している。 g 開口部(3)は、切断刃(13)に対する受部を構成し、角の丸い「横L」字状の開口部(3)と、先端に向かって下方に傾斜している切断刃(13)とによって形成される領域(19)における上下方向の 長さは、基端側から先端側に向かって、徐々に大きくなった後、急激に広がっている。 h 切断刃(13)の上縁は、基端側の直線状の部分と、それから角度約150度で下方に傾斜するように接続された先端側の直線状の部分を有し、切断刃(13)の下縁は、全体的に下方に湾曲している。 i 背面側の側壁(7)のうちのベース面(1)に隣接した上縁部(3 0)は、1か所でコブ状に湾曲している。 j 先端側天井壁(4)は直線状である。 k 爪(18)の個数は4である。 (3) 本件意匠と被告意匠との対比ア共通点 本件意匠と被告意匠とは、基本的構成態様(A、a)ないし(D、d)及び具体的構成態様(E、e)ないし(G、g)において共通する。 イ差異点(ア) 具体的構成態様(H、h)につき、本件意匠では、切断刃(13)の上縁と下縁は、全体的に下方に湾曲しているのに対し、被告意匠では、 切断刃(13)の上縁は、基端側の直線状の部分と、それから約150度下方に傾斜するように接続された先端側の直線状の部分を有し、切断刃(13)の下縁は、全体的に下方に湾曲している点(以下「差異点H」という。)(イ) 具体的構 の直線状の部分と、それから約150度下方に傾斜するように接続された先端側の直線状の部分を有し、切断刃(13)の下縁は、全体的に下方に湾曲している点(以下「差異点H」という。)(イ) 具体的構成態様(I、i)につき、本件意匠では、背面側の側壁(7) のうちのベース面(1)に隣接した上縁部(30)は、2か所でコブ状に湾曲しているのに対し、被告意匠では、背面側の側壁(7)のうちのベース面(1)に隣接した上縁部(30)は、1か所でコブ状に湾曲している点(以下「差異点I」という。)(ウ) 具体的構成態様(J、j)につき、本件意匠では、先端側天井壁(4) は僅かに湾曲しているのに対し、被告意匠では、先端側天井壁(4)は直線状である点(以下「差異点J」という。)(エ) 具体的構成態様(K、k)につき、本件意匠では、爪(18)の個数が5であるのに対して、被告意匠では、爪(18)の個数が4である点(以下「差異点K」という。) (4) 被告意匠が本件意匠と類似すること ア需要者需要者は、フェラーバンチャの作業者並びにカッター付きグラップルバケットの販売者及び購入者である。 イ本件意匠の要部カッター付きグラップルバケットの意匠としては、本件意匠に係る意匠 登録出願の日の前である平成25年8月22日に公開された甲13文献に部分的に記載されているもの(以下「従来意匠」という。)が存在する。本件意匠と従来意匠とを比較すると、本件意匠は、バケットやグラップルバケットに対して新しく追加された機能である立木の伐採を行う箇所である切断刃と、受刃に相当するバケットの開口部の縁部の形状が新しく、背面 視において、本件意匠のバケットの開口部は角の丸い「横L」字状であるのに対し、従来意匠のバケットの開口部 採を行う箇所である切断刃と、受刃に相当するバケットの開口部の縁部の形状が新しく、背面 視において、本件意匠のバケットの開口部は角の丸い「横L」字状であるのに対し、従来意匠のバケットの開口部は、「へ」の字状である。これに対し、その他の部分は、本件意匠も従来意匠も、従来のバケットやグラップルバケットの形態を利用している。 したがって、需要者であるフェラーバンチャの作業者、カッター付きグ ラップルバケットの販売者や購入者が特に着目する本件意匠の要部は、切断刃とバケットの開口部の縁部の形状、すなわち具体的構成態様EないしGである。 ウ本件意匠と被告意匠の共通点の評価前記(3)アのとおり、本件意匠と被告意匠とは、要部において共通してい る。 エ本件意匠と被告意匠の差異点の評価(ア) 差異点Hについて差異点Hは、本件意匠と被告意匠に共通する具体的構成態様(F、f)の更に具体的な構成態様であり、全体的に見れば具体的構成態様(F、 f)に埋没する程度の微差であるから、類否判断に与える影響は小さい。 切断刃の形状が異なる意匠が本件意匠の関連意匠として登録されているところ(意匠登録第1708574号(甲5))、このことからも差異点Hが類否判断に与える影響が小さいことが裏付けられる。 (イ) 差異点Iについて差異点Iは、全体的に僅かな部分である上、上縁部がコブ状に湾曲し ている箇所が1か所となっている意匠及び2か所となっている意匠のいずれもが甲13文献に記載されている公知なものであるから、特徴的なものであるとはいえない。 したがって、差異点Iは、本件意匠と被告意匠に共通する基本的構成態様及び具体的構成態様(E、e)ないし(G、g)に埋没する程度の 微差であり、類否判断に与える影響 ものであるとはいえない。 したがって、差異点Iは、本件意匠と被告意匠に共通する基本的構成態様及び具体的構成態様(E、e)ないし(G、g)に埋没する程度の 微差であり、類否判断に与える影響は小さい。 (ウ) 差異点Jについて差異点Jは、全体的に僅かな部分である上、先端側天井壁が僅かに湾曲しているものの直線状であるとの形状は、本件意匠の出願時におけるバケット又はグラップルバケットの公知意匠(平成14年6月4日発行 の意匠登録第1142360号公報(甲14。以下「甲14文献」という。)及び平成24年3月26日発行の意匠登録第1436754号公報(甲15。以下「甲15文献」という。)にそれぞれ記載された意匠)においても備わっているものであって、特徴的なものとはいえない。 したがって、差異点Jは、本件意匠と被告意匠に共通する基本的構成 態様及び具体的構成態様(E、e)ないし(G、g)に埋没する程度の微差であり、類否判断に与える影響は小さい。 (エ) 差異点Kについて差異点Kは、全体的に僅かな部分である上、爪の個数が4つでも5つでも良いことは従来意匠や甲14文献に記載されていることからも明ら かである。 したがって、差異点Kは、本件意匠と被告意匠に共通する基本的構成態様及び具体的構成態様(E、e)ないし(G、g)に埋没する程度の微差であり、類否判断に与える影響は小さい。 オ類否判断前記ウ及びエのとおり、被告意匠は本件意匠と要部において共通してい る一方で、差異点HないしKが類否判断に与える影響は小さい。そうすると、共通点が需要者に与える印象は、差異点が需要者に与える印象を凌駕するものであるから、本件意匠と被告意匠は全体として共通の美感を生じさせるといえる。 したがって 断に与える影響は小さい。そうすると、共通点が需要者に与える印象は、差異点が需要者に与える印象を凌駕するものであるから、本件意匠と被告意匠は全体として共通の美感を生じさせるといえる。 したがって、被告意匠は本件意匠に類似する。 (被告の主張)(1) 本件意匠の構成態様について原告が主張する本件意匠の構成態様は、次のように付加、修正されるべきである。 ア基本的構成態様A′ 基本的構成態様Aに加え、バケット(2)の上部天井壁頂部(5)が鋭利に角張っている。 イ具体的構成態様E′具体的構成態様Eの開口部(3)は、正面視及び背面視において、切断刃(13)の部分付近でやや山なりになっている上、先端の爪(18)の 部分に向けて下方に伸びている。 ウ具体的構成態様J′具体的構成態様Jに加え、先端側天井壁(4)の方が基端側天井壁(9)よりも明らかに長い。 エ具体的構成態様K′ 具体的構成態様Kに加え、爪(18)は、長方形と先端部分での台形が 組み合わされた形状である。 オ具体的構成態様L′バケット(2)の背面側の下縁部が逆山形状になっている。 カ具体的構成態様M′バケット(2)の背面側の下縁部の側面にピンを抜くためと思われる貫 通穴がある。 (2) 被告意匠の構成態様について原告が主張する被告意匠の構成態様は、次のように付加、修正されるべきである。 ア基本的構成態様a′ 基本的構成態様aに加え、バケット(2)の上部天井壁頂部(5)が「へ」の字状に緩やか湾曲し、丸みを帯びている。 イ具体的構成態様e′具体的構成態様eの開口部(3)は、切断刃(13)の部分で先端側に膨らみがあり、先端の爪(18)の部分に向けて先端側にほぼ水平に伸び か湾曲し、丸みを帯びている。 イ具体的構成態様e′具体的構成態様eの開口部(3)は、切断刃(13)の部分で先端側に膨らみがあり、先端の爪(18)の部分に向けて先端側にほぼ水平に伸び た形状となっている。 ウ具体的構成態様j′具体的構成態様jに加え、基端側天井壁(9)は直線状であり、先端側天井壁(4)の長さと基端側天井壁(9)の長さの差は小さい。 エ具体的構成態様k′ 具体的構成態様kに加え、爪(18)は、先端部分にくぼみを伴うほぼ長方形の形状である。 オ具体的構成態様l′バケット(2)の背面側の下縁部が水平に伸びている。 カ具体的構成態様m′ バケット(2)の側面に、長方形のくぼみやボルト用の貫通穴がある。 (3) 本件意匠と被告意匠との対比本件意匠と被告意匠とを対比すると、原告の主張する差異点H及びIに加えて、以下の差異点がある。 ア基本的構成要素(A′、a′)につき、本件意匠では、バケット(2)の上部天井壁頂部(5)が鋭利に角張っているのに対し、被告意匠では、 当該部分が「へ」の字状に緩やか湾曲し、丸みを帯びている点(以下「差異点A′」という。)イ具体的構成態様(E′、e′)につき、本件意匠では、開口部(3)が、切断刃(13)の部分付近でやや山なりになっている上、先端の爪(18)の部分に向けて下方に伸びているのに対し、被告意匠では、開口部(3) が、切断刃(13)の部分で先端側に膨らみがあり、先端の爪(18)の部分に向けて先端側にほぼ水平に伸びた形状となっている点(以下「差異点E′」という。)ウ具体的構成態様(J′、j′)につき、本件意匠では、先端側天井壁(4)の方が基端側天井壁(9)よりも明らかに長く、先端側の天井壁が僅 かに湾 なっている点(以下「差異点E′」という。)ウ具体的構成態様(J′、j′)につき、本件意匠では、先端側天井壁(4)の方が基端側天井壁(9)よりも明らかに長く、先端側の天井壁が僅 かに湾曲しているのに対し、被告意匠では、先端側天井壁(4)と基端側天井壁(9)がいずれも直線状でその長さの差が小さい点(以下「差異点J′」という。)エ具体的構成態様(K′、k′)につき、本件意匠では、爪(18)の個数が5個で、長方形と先端部分での台形が組み合わされた形状であるのに 対し、被告意匠では、爪(18)の個数が4個で、先端部分にくぼみを伴うほぼ長方形の形状である点(以下「差異点K′」という。)オ具体的構成態様(L′、l′)につき、本件意匠では、バケット(2)の背面側の下縁部が逆山形状になっているのに対し、被告意匠では、当該部分が水平に伸びている点(以下「差異点L′」という。) カ具体的構成態様(M′、m′)につき、本件意匠では、バケット(2) の背面側の下縁部の側面にピンを抜くためと思われる貫通穴があり、バケット(2)の側面に長方形のくぼみやボルト用の貫通穴がないのに対し、被告意匠では、バケット(2)の背面側の下縁部の側面にピンを抜くためと思われる貫通穴がなく、バケット(2)の側面に長方形のくぼみやボルト用の貫通穴がある点(以下「差異点M′」という。) (4) 被告意匠が本件意匠と類似しないことア本件意匠の要部本件意匠に係る意匠登録出願前に公開された甲13文献には、山形のバケット、その開口部並びに切断刃の輪郭形状及び位置関係において本件意匠と基本的構成を同じくする意匠(以下「甲13意匠」という。別紙被告 主張図面目録記載【図2】参照)が開示されているから、その後に出願された本件 びに切断刃の輪郭形状及び位置関係において本件意匠と基本的構成を同じくする意匠(以下「甲13意匠」という。別紙被告 主張図面目録記載【図2】参照)が開示されているから、その後に出願された本件意匠が有効なものであるとすると、本件意匠の要部は、甲13意匠の上記基本的構成とは関係のない個別的・具体的な細部にしか存在し得ないことになる。 また、カッター付きグラップルバケットという本件意匠に係る物品の機 能に照らせば、需要者である土木工事業者は、バケットの開口部や切断刃の形状のみならず、土木工事において地面を掘削する際に地面に接することとなる爪の形状や本数や、掘削後の地面を地ならしする際に地面に接したり土砂を積載したりする掬い部の形状に関心を抱くから、これらの形状も需要者の視覚を通じて生じさせる美感に大きな影響を与える要素である。 さらに、カッター付きグラップルバケットには、切断刃を使用しない際にこれを収納する鞘(収納部分)が設けられているところ、鞘(収納部分)及び切断刃からなる切断機構の形状も、需要者である作業者や購入者の注意を引く要部である。 したがって、切断刃とバケットの開口部の縁部の形状に加え、爪の形状 や本数、掬い部の形状及び切断刃の鞘(収納部分)の形状等も、本件意匠 の要部である。 イ本件意匠と被告意匠の差異点の評価(ア) バケット及び切断刃の形状を中心とする全体的形状の基調の差異(差異点A′、E′、H、I 及びJ′)について需要者の注意がまず向かうバケットそのものの形状の中でも、差異点 A′すなわち上部天井壁頂部が角張っているか湾曲しているかの違いは、需要者に与える美感においても大きな違いをもたらす。 また、差異点A′、I 及びJ′に基づくバケットの上部の形状の違いにより A′すなわち上部天井壁頂部が角張っているか湾曲しているかの違いは、需要者に与える美感においても大きな違いをもたらす。 また、差異点A′、I 及びJ′に基づくバケットの上部の形状の違いにより、バケットの側面全体の形状につき、本件意匠では細めの形状となっているのに対し、被告意匠では台形状に広がった形状となっている。 さらに、バケットの形状と切断刃の形状とを併せて観察すると、差異点A′、E′、H、I 及びJ′によって、先端側天井壁、バケットの開口部分及び切断刃は、本件意匠では3本の曲線で構成される形状となっているのに対し、被告意匠では4本の直線で構成される形状となっていることから、両意匠の全体的形状の基調は「曲線」対「直線」と顕著に異 なっており、その看者において明らかに異なった美感を生じさせる。 (イ) 切断刃とその鞘(収納部分)の差異(差異点H及びM′)について本件意匠の切断刃の上縁と下縁は下方に湾曲しており、バケットの開口部の縁部から切断刃の先端にかけての部分と相まって、犬が舌を出している様子を連想させるような丸みを帯びた曲線で形成されており、ゆ るやかな印象で統一されている。 これに対し、被告意匠の切断刃の上縁は、基端側の直線状の部分と、それから約150度下方に傾斜するように接続された先端側の直線状の部分を有していることに加え、切断刃の下縁は鋭く下方に屈曲していて、全体として山形で形成されており、切れ味の良いシャープな印象を与え るものとなっている。また、被告意匠には、側面に切断刃の収納部分に あたる長方形のくぼみがある。 このように、本件意匠と被告意匠とでは、要部である切断刃及び鞘(収納部分)からなる切断機構の形状に顕著な差異があり、これによって看者において明らかに異なる美感 あたる長方形のくぼみがある。 このように、本件意匠と被告意匠とでは、要部である切断刃及び鞘(収納部分)からなる切断機構の形状に顕著な差異があり、これによって看者において明らかに異なる美感を生じさせる。 (ウ) バケットの上部天井壁頂部及び側面部の差異(差異点I、L′及び M′)について差異点Iが存在する部分は、アームの動きに関わるシリンダ及び切断刃の動きに関わるシリンダの固定ピンが設けられる箇所であるところ、グラップルバケットの中心的部位であるバケットの直後に位置することから、需要者は上記シリンダ及び固定ピンが設けられる箇所にも着目す る。 また、差異点L′及びM′が存在する部分についても、カッター付きグラップルバケットの中心的部位である切断刃の根元に位置することから、需要者は当該部分にも着目する。 したがって、差異点I、L′及びM′は、本件意匠と被告意匠の看者 において顕著に異なる美感を生じさせるものである。 (エ) 爪の個数や形状の差異(差異点K′)について本件意匠と被告意匠とでは、爪の個数の差に応じて、爪と爪との隙間の間隔が明らかに異なっており、一見して異なる外観を呈している。また、本件意匠では爪と爪との間に特段の特徴がないのに対し、被告意匠 では、爪と爪との間に顕著な突起が存在しており、両者の間で異なる美感を生じさせる。 ウ類否判断本件意匠及び被告意匠の共通点である山形のバケット、開口部及び切断刃の輪郭形状及び位置関係からなる基本的構成態様は、公知又はありふれ た形状であるのに対し、要部であるバケット及び切断刃の形状を中心とす る全体的形状の基調、切断刃とその鞘(収納部分)並びに掘削用の爪の個数や形状における差異は、需要者に対して明らかに異なる美感を生じさ 対し、要部であるバケット及び切断刃の形状を中心とす る全体的形状の基調、切断刃とその鞘(収納部分)並びに掘削用の爪の個数や形状における差異は、需要者に対して明らかに異なる美感を生じさせるものであるから、これらの差異点が類否判断に与える影響は大きい。 そうすると、差異点が需要者に与える印象は、共通点が需要者に与える印象を凌駕するものであるから、本件意匠と被告意匠は全体として異なる 美感を生じさせる。 したがって、被告意匠は本件意匠に類似しない。 4 争点2-2(無効の抗弁の成否)について(被告の主張)原告が主張する被告意匠に係る基本的構成態様及び具体的構成態様と同一又 は類似の構成態様を備える甲13意匠は、本件意匠の意匠登録出願前に甲13文献において開示されていた。 したがって、仮に被告意匠が本件意匠と類似するのであれば、本件意匠は、意匠法3条1項3号により新規性を欠く。 (原告の主張) 争う。 5 争点3(差止め等の必要性)について(原告の主張)被告は、業として、本件発明の技術的範囲に属し、かつ、本件意匠に類似する被告製品の製造、販売及び販売の申出をしている。 したがって、被告製品の製造、販売及び販売の申出の差止め並びに廃棄を命じる必要がある。 (被告の主張)争う。 6 争点4(損害の有無及びその額)について (原告の主張) 被告は、被告製品を、約2年半にわたって少なくとも年間30個、合計75個販売した。また、被告製品の限界利益は、1個当たり100万円を下回らない。 したがって、特許法102条2項及び意匠法39条2項により算定される原告に生じた損害の額は、7500万円(=100万円×30個/年×2.5年) である。 (被告の主 00万円を下回らない。 したがって、特許法102条2項及び意匠法39条2項により算定される原告に生じた損害の額は、7500万円(=100万円×30個/年×2.5年) である。 (被告の主張)争う。 第4 当裁判所の判断 1 本件明細書の記載事項等 (1) 本件明細書(甲2)の「発明の詳細な説明」には、以下の記載がある(下記記載中に引用する図面については、別紙本件明細書図面目録参照。なお、鉤括弧で括った部分は、本件補正によって追加、変更された部分である。)。 ア 【技術分野】【0001】 本発明は、地面の掘削と、木材等の被グラップル材のグラップル(掴持)と、さらにグラップルした被グラップル材を切断できるようにしたグラップルバケット装置に関するものである。 イ 【背景技術】【0002】 上下方向に回動する建設機械のアームの先端部に、上下方向に回動可能に設けたバケットと、このバットの開口幅と略同一間隔に離隔した2本のグラップル部材をバケットの開口基端部に、バケットの開口部を閉じる方向に回動可能に枢支してなるグラップル装置とからなるグラップルバケット装置が特許文献1にて知られている。 【0003】 この従来のグラップルバケット装置の構成を図1から図3にて説明する。 【0004】図1において、1は通常のパワーショベル用の車体、2はこれに起伏可能に設けたブーム、3はこのブーム2の先端に連結されたアーム、4, 5はそれぞれを起伏回動するためのブーム用、及びアーム用のシリンダ装置である。そしてこの図中6はアーム3の先端に装着されるグラップルバケット装置である。 【0005】このグラップルバケット装置6は図2から図3に示すようになってい て、アーム3の ンダ装置である。そしてこの図中6はアーム3の先端に装着されるグラップルバケット装置である。 【0005】このグラップルバケット装置6は図2から図3に示すようになってい て、アーム3の先端に上下方向に回動自在に連結されるブラケット7と、このブラケット7の先端に、アーム3の延長方向の軸心を中心にして回転自在に支持されたバケット8と、このバケット8の開口基端部にバケット8の開口部と対向する方向に回動自在に設けたグラップル装置9とからなっている。 【0006】…【0007】グラップル装置9は、バケット8の開口基部に設けられたブラケット13にバケット8の開口幅方向と平行に枢支された回転軸14と、この 回転軸14の両端部に基部を固着され、かつバケット8の開口部に対向して凹状に湾曲した2本のグラップル部材15a,15bとからなっている。そしてこの両グラップル部材15a,15bの先端は長尺材をグラップルしやすいように、補強を兼ねて連結板16にて連結されている。 … 【0008】 上記回転軸14にはブラケット18が突設してあり、このブラケット18に、一端部をバケット8の基部に設けたブラケット13の内側に枢支したグラップル用のシリンダ装置19の先端が連結してあり、このシリンダ装置19の伸縮動作により上記グラップル部材15a,15bがバケット8に対して回動するようになっている。 【0009】このように構成されたグラップルバケット装置6は、ブーム用、アーム用及びバケット用のシリンダ装置4,5,10を伸縮動してブーム2、アーム3を起伏回動すると共にバケット8を回動することによりグラップルバケット装置6の上下方向及び前後方向の位置の姿勢が変えられ、 さらにバケット8をブラケット 5,10を伸縮動してブーム2、アーム3を起伏回動すると共にバケット8を回動することによりグラップルバケット装置6の上下方向及び前後方向の位置の姿勢が変えられ、 さらにバケット8をブラケット7に対して回転することによりバケット8の左右方向の姿勢が変えられる。 【0010】木材のグラップル作業時には、上記動作に加えて、グラップル用のシリンダ装置19を伸縮動してグラップル部材15a,15bをバケット 8に対して回動する。これにより図3の鎖線で示すように、このグラップル部材15a,15bとバケット8の開口両側壁との間で木材20がグラップルされる。…【0011】地面の掘削作業時には、グラップル用のシリンダ装置19を伸長動し てグラップル部材15a,15bをバケット8側へ入り込ませておく。 これにより、図3の実線で示すようになり、このグラップル部材15a,15bの先端部がバケット8の両側内面に沿ってバケット8内に入り込み、また連結板16もバケット8の掘削爪8aより奥側でバケット8の底壁面に沿わされる。 【0012】 この状態で上記グラップル部材15a,15bの先端部及び連結板16がバケット8の掘削作業の邪魔になることがなくなり、上記各シリンダ装置4,5,10を伸縮動することにより、バケット8により掘削作業がなされる。 【先行技術文献】 【特許文献】【0013】【特許文献1】特開平11-36355号公報ウ 【発明が解決しようとする課題】【0014】 上記従来のグラップルバケット装置にあっては、地面の掘削と木材のグラップルの双方を行うことができ、特に木材をグラップルした状態で建設機械を走行することにより、木材を所定の場所に集積することができるという 来のグラップルバケット装置にあっては、地面の掘削と木材のグラップルの双方を行うことができ、特に木材をグラップルした状態で建設機械を走行することにより、木材を所定の場所に集積することができるという作用効果を期待することができた。 【0015】 しかしながら、グラップルした木材が長尺である場合には、これをグラップルした状態での搬送中に、この木材が他のもの、例えば林道脇の木立に接触してしまって搬送不能になってしまうことがあった。 【0016】このような場合は、所定以上の長さを有する木材をチェーンソー等の 切断装置を用いて作業員が所定の長さに切断しなければならなかった。 【0017】また、伐採後の木材を所定長に切断する場合にも、従来はいちいち作業員が行っており、この切断作業自体も重労働であり、作業員の負担になっているのが現状であった。 【0018】 その上、従来のグラップルバケット装置にあっては立木の伐採作業を行うことはできなかった。 【0019】本発明は上記のことに鑑みなされたもので、グラップル装置にてグラップルした木材等の被グラップル材をグラップルした状態で切断するこ とができるようにして、伐採後の被グラップル材や伐採前の立木を簡単に切断及び伐採できて、上記作業員の負担を軽減できると共に、グラップル装置にてグラップルした被グラップル材を搬送する前に、これが長尺の場合にはグラップルした状態であらかじめ切断することにより、被グラップル材が他のものに接触する等のトラブルが生じることなく搬送 できるようにしたグラップルバケット装置を提供することを目的とするものである。 エ 【課題を解決するための手段】【0020】上記課題を解決するために、本発明は、上下 じることなく搬送 できるようにしたグラップルバケット装置を提供することを目的とするものである。 エ 【課題を解決するための手段】【0020】上記課題を解決するために、本発明は、上下方向に回動する建設機械 のアームの先端部に、上下方向に回動可能に、かつアームの延長方向の軸心にたいして回動可能にして設けたバケットと、このバケット「の両側壁に隣接して位置し、両側壁」の開口面との間で木材等の被グラップル材をグラップルできるグラップル部材を、バケットの開口基端部に、バケットの開口部を閉じる方向に回動可能に枢支してなるグラップル装 置と、を設けたグラップルバケット装置において、バケットの一方の側壁部に、上記バケットの両側壁の開口面とグラップル部材との間でグラップルした被グラップル材を切断する切断装置を設け、この切断装置は、バケットの側壁の外側あるいは内側の一方側に位置してバケットの開口縁から離れた位置からバケットの側壁に沿う位置にわたって側壁に沿う 方向に回動し、かつバケットの開口縁側に対向する側の則縁に切刃を有 してバケットの開口基端部に枢支された切断刃と、上記切断刃の回動基部に連結し「て上記切断刃を回動させる」油圧シリンダとからなり、「切断刃の切刃を、切断刃の回動中心と油圧シリンダの連結点を結ぶ線に対して切断刃の切断方向側にずれた位置に設けるとともに、この切刃の切断方向への回動方向に対して後方へ円弧状に反らせたことを特徴とする」 グラップルバケット装置を提供する。 【0021】上記グラップルバケット装置において、バケットの側壁部に、切断刃が没入可能にした押し切り受け枠を設け、切断刃にて切断する被グラップル材をこの押し切り受け枠にて受けるようにした。 オ 【発明の効果】【 バケット装置において、バケットの側壁部に、切断刃が没入可能にした押し切り受け枠を設け、切断刃にて切断する被グラップル材をこの押し切り受け枠にて受けるようにした。 オ 【発明の効果】【0024】本発明によれば、グラップルバケット装置にてバケットの開口側にてグラップルされた木材等の被グラップル材を、このグラップル装置にてグラップルした状態で切断装置にて切断することができる。 【0025】したがって、伐採後の木材を、このグラップルバケット装置の切断装置にて簡単に切断できて作業員の負担を軽減できる。そしてグラップル装置にてグラップルした被グラップル材を搬送する前に、これが長尺の場合にこれをあらかじめ切断することにより、被グラップル材が他のも のに接触する等のトラブルを防止することができる。 【0026】また、本発明によれば伐採前の立木であっても、この立木をグラップル装置にてグラップルした状態で容易に切断することができ、チェーンソー等による伐採作業に比較して短時間で、かつ労力を要することなく 伐採することができる。 カ 【発明を実施するための形態】【0029】本発明の要部の実施の形態を図4以下に基づいて説明する。…【0030】アーム3の先端に装着されるグラップルバケット装置21は、アーム 3の先端に上下方向に回動自在に連結されるブラケット7と、このブラケット7の先端に、アーム3の延長方向の軸心を中心にして回転自在に支持されたバケット22と、このバケット22の開口基端部に、バケット22の開口部と対向する方向に回動自在に設けたグラップル装置9と、バケット22の幅方向のどちらかの一側部、この実施の形態では開口部 を下側へ向けた状態での右側部に設けられた切断装置23 ケット22の開口部と対向する方向に回動自在に設けたグラップル装置9と、バケット22の幅方向のどちらかの一側部、この実施の形態では開口部 を下側へ向けた状態での右側部に設けられた切断装置23とからなっている。…【0031】切断装置23はバケット22の上記右側の側壁22aと、この側壁22aとこの側壁22aの外側へ所定の間隔をあけて設けた枠壁22bと からなる押し切り受け枠24と、この押し切り受け枠24の間にあって、上記グラップル装置9の回動軸14に回動自在に支持された切断刃25と、この切断刃25を回動駆動するシリンダ装置26とからなっている。 【0033】図6において、切断刃25のボス部材27は、上記グラップル装置9 のシリンダ装置19にて回転される回転軸14に回転自在に枢支されていて、このボス部材27に突設したアーム28に上記シリンダ装置26の先端が連結されており、シリンダ装置26の伸縮動により切断刃25が上記押し切り受け枠24に対して出没する方向に回動するようになっている。… 【0034】 切断刃25は上記押し切り受け枠24内に没入する側の側縁が切刃25aとなっており、この切刃25aは押し切り受け枠24側への回動方向に対して後退する方向に円弧状に反られていて、いわゆる青龍刃形になっている。この切断刃25の切刃25aは図7に示すように、切断刃25の回動中心O1とアーム28の油圧シリンダ26との連結点O2を 結ぶ線に対してバケット22の開口縁側へ寸法aにわたってずれた位置に設けられている。 【0035】上記構成において、グラップル装置9を作動して木材20をバケット22の開口縁との間にグラップルした状態で、切断装置23のシリンダ 装置26を伸長動して切断刃25をバ ている。 【0035】上記構成において、グラップル装置9を作動して木材20をバケット22の開口縁との間にグラップルした状態で、切断装置23のシリンダ 装置26を伸長動して切断刃25をバケット22側へ閉じる方向に作動することにより、上記木材20はこの切断刃25にて押し切り切断される。この場合、バケット22をアーム3に対して回転してこのバケット22の姿勢を変えることにより、伐採されて横倒し状になっているもの、あるいは伐採前の立木状になっているもののいずれの場合の木材も切断 装置23にて切断することができる。 【0036】このときの木材20はバケット22側の押し切り受け枠24にて支持され、切断刃25はこの押し切り受け枠24の枠間内に向けて作動することにより、木材20は切断刃25による切断力に対して押し切り受け 枠24にて傾くことなく支持される。 【0037】このときにおいて、切断刃25の切刃25aが切断方向への回動方向に対して後退する方向へ円弧状に反らせてあること、及び切断刃25の切刃25aが切断刃25の回動中心O1とアーム28の油圧シリンダ2 6との連結点O2とを結ぶ線に対して切断方向側へずれた位置となって いることにより、上記グラップル装置9にてグラップルされた木材20を切断刃25にてスムーズに押し切り切断することができる。 (2) 前記(1)の記載事項によれば、本件明細書には、本件発明に関し、以下のとおりの開示があると認められる。 従来のグラップルバケット装置では、グラップルした木材が長尺である場 合、これをグラップルした状態での搬送中に、この木材が林道脇の木立に接触して搬送不能になってしまうことなどがあるため、所定以上の長さを有する木材をチェーンソー等の切断装置を用いて作 尺である場 合、これをグラップルした状態での搬送中に、この木材が林道脇の木立に接触して搬送不能になってしまうことなどがあるため、所定以上の長さを有する木材をチェーンソー等の切断装置を用いて作業員が所定の長さに切断しなければならず、作業員の負担になっていたほか、立木の伐採作業を行うことができなかったといった課題があった(【0014】ないし【0018】)。 本件発明は、この課題を解決するため、グラップル装置でグラップルした木材等の被グラップル材をグラップルした状態で切断することができるようにし、作業員の負担を軽減すると共に、グラップル装置でグラップルした被グラップル材を搬送する前に、これが長尺の場合にはグラップルした状態であらかじめ切断することにより、被グラップル材が他の物に接触する等のト ラブルが生じることなく搬送できるようにすることを目的として、上下方向に回動する建設機械のアームの先端部に、上下方向に回動可能に、かつアームの延長方向の軸心に対して回動可能にして設けたバケットと、このバケットの両側壁に隣接して位置し、両側壁の開口面との間で木材等の被グラップル材をグラップルできるグラップル部材を、バケットの開口基端部に、バケ ットの開口部を閉じる方向に回動可能に枢支してなるグラップル装置と、を設けたグラップルバケット装置において、バケットの一方の側壁部に、上記バケットの両側壁の開口面とグラップル部材との間でグラップルした被グラップル材を切断する切断装置を設け、この切断装置は、バケットの側壁の外側あるいは内側の一方側に位置してバケットの開口縁から離れた位置からバ ケットの側壁に沿う位置にわたって側壁に沿う方向に回動し、かつバケット の開口縁側に対向する側の側縁に切刃を有してバケットの開口基端部 置してバケットの開口縁から離れた位置からバ ケットの側壁に沿う位置にわたって側壁に沿う方向に回動し、かつバケット の開口縁側に対向する側の側縁に切刃を有してバケットの開口基端部に枢支された切断刃と、上記切断刃の回動基部に連結して上記切断刃を回動させる油圧シリンダとからなり、切断刃の切刃を、切断刃の回動中心と油圧シリンダの連結点を結ぶ線に対して切断刃の切断方向側にずれた位置に設けるとともに、この切刃の切断方向への回動方向に対して後方へ円弧状に反らせたと の構成を採用したものである(【0019】及び【0020】)。 本件発明によれば、グラップルバケット装置にてバケットの開口側にてグラップルされた木材等の被グラップル材を、このグラップル装置にてグラップルした状態で切断装置にて切断することができることから、伐採後の木材を、このグラップルバケット装置の切断装置にて簡単に切断できて作業員の 負担を軽減できる上、グラップル装置にてグラップルした被グラップル材を搬送する前に、これが長尺の場合にこれをあらかじめ切断することにより、被グラップル材が他のものに接触する等のトラブルを防止することができ、また、伐採前の立木であっても、この立木をグラップル装置にてグラップルした状態で容易に切断することができ、チェーンソー等による伐採作業に比 較して短時間で、かつ労力を要することなく伐採することができるとの効果を奏する(【0024】ないし【0026】)。 2 争点1-1(構成要件Dの充足性)について(1) 構成要件D2の「回動方向に対して後方へ円弧状に反らせた」の意義について 証拠(甲12、乙1)によれば、「円弧」とは「円周の一部分」との意味を、「状」とは「すがた、ありさま」及び「名詞に付いて、…のような形である に対して後方へ円弧状に反らせた」の意義について 証拠(甲12、乙1)によれば、「円弧」とは「円周の一部分」との意味を、「状」とは「すがた、ありさま」及び「名詞に付いて、…のような形である、…に似たようすである」との意味を、「反る」とは「物が弓なりにまがる」との意味を、それぞれ有する語であると認められる。 また、本件明細書の【図7】に示されている切断刃の形状は、切刃部分全 体が曲線によって構成されているものと認められる。 以上の「円弧」、「状」及び「反る」の通常の用語の意味並びに本件明細書の記載に照らせば、構成要件D2の「円弧状」とは、全体が曲線によって構成されている円周の一部分のような形を意味するものであり、同「円弧状に反らせた」とは、円周の一部分のような形で弓なりに曲がる形状を意味すると解するのが相当である。 (2) 被告製品の構成及びあてはめについて前提事実(4)イのとおり、被告製品の切断刃の切刃の形状は、「その刃渡りの基端側のほぼ半分(L1)まで上記切断刃の回動中心と油圧シリンダの連結点を結ぶ線とほぼ平行に直線状に延び、残りの半分(L2)は傾斜角(α)約150度でこの切刃の切断方向への回動方向に対して直線状に後方へ折れ ている」、すなわち二つの直線が鈍角に交差するような形状であることが認められる。 そして、二つの直線が鈍角に交差するような形状は、円周の一部分のような形で弓なりに曲がる形状とはいえないから、被告製品の切断刃の切刃の形状は、「円弧状に反らせた」ものと認めることはできない。 (3) 原告の主張についてア原告は、本件明細書の【図7】に示されている切断刃の形状は、単一の曲率半径を有する「円弧」ではないし、【0034】に記載された「青龍刃形」との記載からも、 (3) 原告の主張についてア原告は、本件明細書の【図7】に示されている切断刃の形状は、単一の曲率半径を有する「円弧」ではないし、【0034】に記載された「青龍刃形」との記載からも、構成要件D2の「円弧状」は、円弧のような形と理解すべきであるから、直線で根元部分は小さな角度で下方に傾斜し、更に 中央部において約150度で下方に折れている被告製品の切断刃のような形状も、これに含まれると主張する。 イ確かに、原告が主張するとおり、前記(1)において認定した「円弧」及び「状」の通常の用語の意味に照らせば、構成要件D2の「円弧状」は、厳密な意味での真円の一部分以外の形状を含むものといえる。 しかし、「状」が「ような形」を意味するとしても、構成要件D2の「円 弧状」について、「円弧」が意味するところの「円周の一部分」と離れた直線に近いものまで当然に含むとまで解釈するのは無理がある。そして、前記(1)において認定したとおり、本件明細書の【図7】に示されている切断刃の形状は、切刃部分全体が曲線によって構成されているものであるところ、このような形状に限定されるとはいえないものの、少なくとも二つの 直線が鈍角に交差するような切断刃の形状は、「円弧状」のものとして想定されていないと理解することができる。 また、【0034】の「この切刃25aは押し切り受け枠24側への回動方向に対して後退する方向に円弧状に反られていて、いわゆる青龍刃形になっている。」との記載についても、本件明細書には「青龍刃形」との語が 具体的にどのような形状を表しているのかを示す記載はないから、結局のところ、当該記載は、切刃の形状が「円弧状」であることを説明しているにすぎないと解される。したがって、「青龍刃形」との記載を根拠として 体的にどのような形状を表しているのかを示す記載はないから、結局のところ、当該記載は、切刃の形状が「円弧状」であることを説明しているにすぎないと解される。したがって、「青龍刃形」との記載を根拠として、構成要件D2の「円弧状」が二つの直線が鈍角に交差するような形状を含むものと解釈することはできない。 さらに、本件明細書には、構成要件D2の「円弧状」について、全体が曲線によって構成されている形状以外のもの、特に被告製品の切断刃のごとく二つの直線が鈍角に交差するような形状のものまでも含まれることを示す記載は、何ら存在しない。 そうすると、構成要件D2の「円弧状」は、その通常の用語の意味及び 本件明細書の記載に照らせば、厳密な意味での真円の一部分以外の形状を含むものの、全体が曲線によって構成されている必要があるというべきである。 ウこのほか、原告は、本件発明の作用効果に基づいて種々の主張をするが、特許発明の技術的範囲は、願書に添付した特許請求の範囲の記載に基づい て定めなければならず(特許法70条1項)、これまで検討してきたとおり、 被告製品の構成は、特許請求の範囲に記載された構成要件D2を充足しない以上、争点1-2の均等侵害の全ての要件の検討を経ることなく、同じ作用効果を奏することのみをもって、本件発明の権利範囲に属するものと解することはできないから、同主張はいずれも失当というべきである。 エしたがって、被告の前記主張を採用することはできない。 (4) まとめ以上によれば、その余の点について判断するまでもなく、被告製品は構成要件Dを充足するとは認められない。 3 争点1-2(均等侵害の成否)について(1) 判断基準 ア特許請求の範囲に記載された構成中に相手方が製造等をする製 るまでもなく、被告製品は構成要件Dを充足するとは認められない。 3 争点1-2(均等侵害の成否)について(1) 判断基準 ア特許請求の範囲に記載された構成中に相手方が製造等をする製品又は用いる方法(以下「対象製品等」という。)と異なる部分が存する場合であっても、①同部分が特許発明の本質的部分ではなく、②同部分を対象製品等におけるものと置き換えても、特許発明の目的を達することができ、同一の作用効果を奏するものであって、③上記のように置き換えることに、当 該発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(当業者)が、対象製品等の製造等の時点において容易に想到することができたものであり、④対象製品等が、特許発明の特許出願時における公知技術と同一又は当業者がこれから同出願時に容易に推考できたものではなく、かつ、⑤対象製品等が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に 除外されたものに当たるなどの特段の事情もないときは、同対象製品等は、特許請求の範囲に記載された構成と均等なものとして、特許発明の技術的範囲に属するものと解するのが相当である(最高裁平成6年(オ)第1083号同10年2月24日第三小法廷判決・民集52巻1号113頁参照)。 イまた、前記ア①の要件(第1要件)における特許発明における本質的部 分とは、当該特許発明の特許請求の範囲の記載のうち、従来技術に見られ ない特有の技術的思想を構成する特徴的部分であると解すべきであり、特許請求の範囲及び明細書の記載に基づいて、特許発明の課題及び解決手段とその効果を把握した上で、特許発明の特許請求の範囲の記載のうち、従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分が何であるかを確定することによって認定されるべきである。す 課題及び解決手段とその効果を把握した上で、特許発明の特許請求の範囲の記載のうち、従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分が何であるかを確定することによって認定されるべきである。すなわち、特許発明の本 質的部分は、特許請求の範囲及び明細書の記載、特に明細書記載の従来技術との比較から認定されるべきであり、そして、従来技術と比較して特許発明の貢献の程度が大きいと評価される場合には、特許請求の範囲の記載の一部について、これを上位概念化したものとして認定されるが、従来技術と比較して特許発明の貢献の程度がそれ程大きくないと評価される場合 には、特許請求の範囲の記載とほぼ同義のものとして認定されると解される。 ただし、明細書に従来技術が解決できなかった課題として記載されているところが、出願時の従来技術に照らして客観的に見て不十分な場合には、明細書に記載されていない従来技術も参酌して、当該特許発明の従来技術 に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分が認定されるべきである。そのような場合には、特許発明の本質的部分は、特許請求の範囲及び明細書の記載のみから認定される場合に比べ、より特許請求の範囲の記載に近接したものとなり、均等が認められる範囲がより狭いものとなると解される。 (2) 第1要件についてア前記(1)の判断基準に基づいて、本件発明の本質的部分について検討する。 (ア) 本件明細書には、特開平11-36355号公報にて知られる従来のグラップルバケット装置では、グラップルした木材が長尺である場合、これをグラップルした状態での搬送中に、この木材が林道脇の木立に接 触して搬送不能になってしまうことがあるため、所定以上の長さを有す る木材をチェーンソー等の切断装置を用いて作 これをグラップルした状態での搬送中に、この木材が林道脇の木立に接 触して搬送不能になってしまうことがあるため、所定以上の長さを有す る木材をチェーンソー等の切断装置を用いて作業員が所定の長さに切断しなければならず、作業員の負担になっていたほか、立木の伐採作業を行うことができなかったとの課題があったとの記載がある(【0002】ないし【0018】)。そして、本件明細書において、本件発明は、上下方向に回動する建設機械のアームの先端部に、上下方向に回動可能に、 かつアームの延長方向の軸心に対して回動可能にして設けたバケットと、このバケットの両側壁に隣接して位置し、両側壁の開口面との間で木材等の被グラップル材をグラップルできるグラップル部材を、バケットの開口基端部に、バケットの開口部を閉じる方向に回動可能に枢支してなるグラップル装置と、を設けたグラップルバケット装置において、バケ ットの一方の側壁部に、上記バケットの両側壁の開口面とグラップル部材との間でグラップルした被グラップル材を切断する切断装置を設け、この切断装置は、バケットの側壁の外側あるいは内側の一方側に位置してバケットの開口縁から離れた位置からバケットの側壁に沿う位置にわたって側壁に沿う方向に回動し、かつバケットの開口縁側に対向する側 の側縁に切刃を有してバケットの開口基端部に枢支された切断刃と、上記切断刃の回動基部に連結して上記切断刃を回動させる油圧シリンダとからなり、切断刃の切刃を、切断刃の回動中心と油圧シリンダの連結点を結ぶ線に対して切断刃の切断方向側にずれた位置に設けるとともに、この切刃の切断方向への回動方向に対して後方へ円弧状に反らせたとの 構成を採用することにより(【0020】)、グラップル装置でグラップルした木材等の被グ 断方向側にずれた位置に設けるとともに、この切刃の切断方向への回動方向に対して後方へ円弧状に反らせたとの 構成を採用することにより(【0020】)、グラップル装置でグラップルした木材等の被グラップル材をグラップルした状態で切断することができるようにし、作業員の負担を軽減すると共に、グラップル装置でグラップルした被グラップル材を搬送する前に、これが長尺の場合にはグラップルした状態であらかじめ切断することにより、被グラップル材が他 の物に接触する等のトラブルが生じることなく搬送できるようにして (【0019】)、従来技術が有していた課題を解決するもの(【0024】ないし【0026】)とされている。 (イ) その一方で、本件出願の日の前である平成20年6月12日に公開された甲27文献の記載によれば、同文献には、「走行機構の上に水平方向へ回動し得る旋回体が搭載され、該旋回体から延びる起伏可能なブーム 機構を備え、該ブーム機構の先端に作業装置が装着されたショベル型掘削機の構造を有し、前記作業装置は、前記ブーム機構先端部の軸線回りに回転可能に支持された可動体と、該可動体を前記軸線回りに回転させるための軸転駆動部と、前記可動体を前記ブーム機構に対し前記起伏面に沿って回動させるための縦振り駆動部と、前記可動体を前記起伏面に 垂直で且つ前記ブーム機構先端部の軸線を含む面に沿って回動させるための横振り駆動部と、前記可動体に支持された開閉駆動可能な把持部と、該把持部の開閉動に沿う面に対向して配置され、該面に沿う方向に揺動駆動される切断装置とを備えていることを特徴とする枝切り走行装置」(請求項1及び【0008】)及び「前記可動体が、パワーショベル又は バックホーのバケットを備え、前記把持部は該バケットの開口縁にお される切断装置とを備えていることを特徴とする枝切り走行装置」(請求項1及び【0008】)及び「前記可動体が、パワーショベル又は バックホーのバケットを備え、前記把持部は該バケットの開口縁における一方の側部に設けられ、前記切断装置は前記バケットの開口縁における他方の側部に設けられていることを特徴とする」枝切り走行装置(請求項3及び【0010】)が開示されていることが認められ、さらに、切断装置の具体例として、チェーンソー及びナイフ状カッター(【0026】 ないし【0031】、【図5】及び【図6】。両図面については別紙甲27文献図面目録参照)が開示されていることも認められる。 (ウ) 前記(イ)によれば、本件特許の出願時において、グラップルバケット装置において、グラップルした木材が長尺である場合、所定以上の長さを有する木材をチェーンソー等の切断装置を用いて作業員が所定の長さに 切断しなければならないとの課題については、甲27文献において開示 された従来技術によって解決することが可能であったから、本件明細書において従来技術が解決できなかった課題として記載されているところは、出願時の従来技術に照らして客観的に不十分であると認められる。 そうすると、本件発明の従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分を認定するに当たり、甲27文献に記載されている技術 的事項も参酌することが許されるというべきである。 (エ) 前記(ウ)において検討したところによれば、本件特許の出願前に、甲27文献において、一方の側部に把持部、他方の側部に切断装置が装着されているバケットを備えた枝切り走行装置が開示されていたと認められるから、本件発明と従来技術との相違は、当該切断装置の構成に係る部 分にすぎず、グラップルし 持部、他方の側部に切断装置が装着されているバケットを備えた枝切り走行装置が開示されていたと認められるから、本件発明と従来技術との相違は、当該切断装置の構成に係る部 分にすぎず、グラップルした被グラップル材を切断できるようにしたグラップルバケット装置であること自体ではないと認められる。そうすると、従来技術と比較して本件発明の貢献の程度が大きいと評価することはできないから、本件発明の本質的部分については、これを上位概念化したものとして認定することはできず、特許請求の範囲の記載とほぼ同 義のものとして認定されるというべきである。 したがって、前記(ア)及び(イ)に照らし、本件発明における従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分は、グラップル装置に設けられた切断装置について、バケットの側壁の外側あるいは内側の一方側に位置してバケットの開口縁から離れた位置からバケットの側壁 に沿う位置にわたって側壁に沿う方向に回動し、かつバケットの開口縁側に対向する側の側縁に切刃を有してバケットの開口基端部に枢支された切断刃と、上記切断刃の回動基部に連結して上記切断刃を回動させる油圧シリンダとからなり、切断刃の切刃を、切断刃の回動中心と油圧シリンダの連結点を結ぶ線に対して切断刃の切断方向側にずれた位置に設 けるとともに、この切刃の切断方向への回動方向に対して後方へ円弧状 に反らせたとの構成、すなわち構成要件C及びDに係る構成を採用することによって、回動中心から遠い部分でも、刃先が対象物に当たる傾き角度θの値を大きく保つことで、引き切り作用を保ちスムーズな切断効果を発揮できるようにしたことと認めるのが相当である。 イ前記2のとおり、被告製品は構成要件D2を充足するとは認められない ところ、前記 大きく保つことで、引き切り作用を保ちスムーズな切断効果を発揮できるようにしたことと認めるのが相当である。 イ前記2のとおり、被告製品は構成要件D2を充足するとは認められない ところ、前記アのとおり、本件発明の構成要件C及びDに係る構成を採用することによって、回動中心から遠い部分でも、刃先が対象物に当たる傾き角度θの値を大きく保つことで、引き切り作用を保ちスムーズな切断効果を発揮できるようにしたことが本件発明の本質的部分であるから、被告製品が本件発明の本質的部分を備えているとは認められず、本件発明と被 告製品とが異なる部分が本件発明の本質的部分ではないとはいえない。 したがって、被告製品は第1要件を充足しない。 (3) まとめ以上によれば、その余の点について判断するまでもなく、被告製品は、本件発明の特許請求の範囲に記載された構成と均等なものとはいえず、本件発 明の技術的範囲に属するものと解することはできない。 4 争点2-1(本件意匠と被告意匠との類否)について(1) 判断基準登録意匠とそれ以外の意匠が類似であるか否かの判断は、需要者の視覚を通じて起こさせる美感に基づいて行うものとされており(意匠法24条2項)、 この類否の判断は,両意匠の構成を全体的に観察した上、意匠に係る物品の性質、用途、使用態様を考慮し、更には公知意匠にない新規な創作部分の存否等を参酌して、当該意匠に係る物品の看者となる取引者及び需要者の視覚を通じて最も注意を惹きやすい部分(要部)を把握し、この部分を中心に対比して認定された共通点と差異点を総合して、両意匠が全体として美感を共 通にするか否かによって判断するのが相当である。 (2) 本件意匠に係る物品との同一性前提事実(4)アのとおり、被告製品は、本 差異点を総合して、両意匠が全体として美感を共 通にするか否かによって判断するのが相当である。 (2) 本件意匠に係る物品との同一性前提事実(4)アのとおり、被告製品は、本件意匠に係る物品である「カッター付グラップルバケット」と同一の物品である。 (3) 本件意匠の構成態様本件意匠は、別紙本件意匠図面目録記載の実線で表された部分が部分意匠 として意匠登録を受けようとする部分であるところ(前提事実(3)ウ)、その基本的構成態様及び具体的構成態様は次のとおりと認められる。 ア基本的構成態様A′ 上下方向のベース面(1)から先端側に離れて、幅方向の寸法がほぼ一定のバケット(2)が設けられ、バケット(2)は、下向き の開口部(3)を有し、バケット(2)の先端側天井壁(4)は、ベース面(1)よりも上に位置する鋭利に角張った上部天井壁頂部(5)からベース面(1)の側方に位置する先端位置(6)まで斜め下方に延び、バケット(2)の背面側の側壁(7)は、バケット(2)を越えてベース面(1)まで延び、バケット(2)の正面側の 側壁(8)は、ベース面(1)から離れており、バケット(2)の基端側天井壁(9)は、上部天井壁頂部(5)からベース面(1)に向かって斜め下方に延び、バケット(2)とベース面(1)は、正面側の支持プレート(10)と背面側の支持プレート(11)によって連結されている。 B′ 切断刃(13)がベース面(1)の側方かつ下方に設けられた回転軸(14)を中心に回動するように設けられ、切断刃(13)は、背面側の側壁(7)に沿って設けられ、グラップル(12)を駆動する油圧シリンダ(15)が、正面側の支持プレート(10)と背面側の支持プレート(11)の間に設けられ、切断刃(13)を駆 3)は、背面側の側壁(7)に沿って設けられ、グラップル(12)を駆動する油圧シリンダ(15)が、正面側の支持プレート(10)と背面側の支持プレート(11)の間に設けられ、切断刃(13)を駆 動する油圧シリンダ(16)が、背面側の支持プレート(11)と 背面側の側壁(7)の間に設けられている。 C 切断刃(13)を収納するカバー板(17)が、背面側の側壁(7)と一体的に設けられている。 D 先端側天井壁(4)の先端に、先に向かって薄くなる複数の爪(18)が設けられている。 イ具体的構成態様E′ 開口部(3)は、正面視及び背面視において、先端の爪(18)の部分に向けて下方に伸び、切断刃(13)の部分付近で、やや山なりになっている。 F 切断刃(13)は、先端に向かって下方に傾斜している。 G 開口部(3)は、切断刃(13)に対する受部を構成し、角の丸い「横L」字状の開口部(3)と、先端に向かって下方に傾斜している切断刃(13)とによって形成される領域(19)における上下方向の長さは、基端側から先端側に向かって、徐々に大きくなった後、急激に広がっている。 H 切断刃(13)の上縁と下縁は、全体的に下方に湾曲している。 I 背面側の側壁(7)のうちのベース面(1)に隣接した上縁部(30)は、2か所でコブ状に湾曲している。 J″ 先端側天井壁(4)の方が基端側天井壁(9)よりも明らかに長く、先端側天井壁(4)は僅かに湾曲しているが、基端側天井壁 (9)は直線状である。 K′ 爪(18)の個数は5で、長方形と先端部分での台形が組み合わされた形状である。 L′ バケット(2)の背面側の下縁部が逆山形状になっている。 M′ バケット(2)の背面側の下縁部の側面にピンを 爪(18)の個数は5で、長方形と先端部分での台形が組み合わされた形状である。 L′ バケット(2)の背面側の下縁部が逆山形状になっている。 M′ バケット(2)の背面側の下縁部の側面にピンを抜くためと思わ れる貫通穴がある。 (4) 被告意匠の構成態様被告意匠は別紙被告意匠目録記載のとおりであって(前提事実(4)ウ)、その基本的構成態様及び具体的構成態様は次のとおり(別紙被告意匠目録記載の図面中の符号は、後記ア及びイの各部分に付された数字に符号(被告製品1は「a」、被告製品2は「b」、被告製品3は「c」)をそれぞれ付加したも のに対応する。)と認められる。 ア基本的構成態様a′ 上下方向のベース面(1)から先端側に離れて、幅方向の寸法がほぼ一定のバケット(2)が設けられ、バケット(2)は、下向きの開口部(3)を有し、バケット(2)の先端側天井壁(4)は、 ベース面(1)よりも上に位置する「へ」の字状に緩やか湾曲し、丸みを帯びている上部天井壁頂部(5)からベース面(1)の側方に位置する先端位置(6)まで斜め下方に延び、バケット(2)の背面側の側壁(7)は、バケット(2)を越えてベース面(1)まで延び、バケット(2)の正面側の側壁(8)は、ベース面(1) から離れており、バケット(2)の基端側天井壁(9)は、上部天井壁頂部(5)からベース面(1)に向かって斜め下方に延び、バケット(2)とベース面(1)は、正面側の支持プレート(10)と背面側の支持プレート(11)によって連結されている。 b′ 切断刃(13)がベース面(1)の側方かつ下方に設けられた回 転軸(14)を中心に回動するように設けられ、切断刃(13)は、背面側の側壁(7)に沿って設けられ、グラップル(12)を駆動 b′ 切断刃(13)がベース面(1)の側方かつ下方に設けられた回 転軸(14)を中心に回動するように設けられ、切断刃(13)は、背面側の側壁(7)に沿って設けられ、グラップル(12)を駆動する油圧シリンダ(15)が、正面側の支持プレート(10)と背面側の支持プレート(11)の間に設けられ、切断刃(13)を駆動する油圧シリンダ(16)が、背面側の支持プレート(11)と 背面側の側壁(7)の間に設けられている。 c 切断刃(13)を収納するカバー板(17)が、背面側の側壁(7)と一体的に設けられている。 d 先端側天井壁(4)の先端に、先に向かって薄くなる複数の爪(18)が設けられている。 イ具体的構成態様 e′ 開口部(3)は、切断刃(13)の部分で先端側に膨らみを見せた後、先端の爪(18)の部分辺りで先端側にほぼ水平に伸びている。 f 切断刃(13)は、先端に向かって下方に傾斜している。 g 開口部(3)は、切断刃(13)に対する受部を構成し、角の丸 い「横L」字状の開口部(3)と、先端に向かって下方に傾斜している切断刃(13)とによって形成される領域(19)における上下方向の長さは、基端側から先端側に向かって、徐々に大きくなった後、急激に広がっている。 h 切断刃(13)の上縁は、基端側の直線状の部分と、それから角 度約150度で下方に傾斜するように接続された先端側の直線状の部分を有し、切断刃(13)の下縁は、全体的に下方に湾曲している。 i 背面側の側壁(7)のうちのベース面(1)に隣接した上縁部(30)は、1か所でコブ状に湾曲している。 j′ 先端側天井壁(4)の長さと基端側天井壁(9)の長さの差は小さく、先端側天井壁(4)と基端側天井壁(9)は のベース面(1)に隣接した上縁部(30)は、1か所でコブ状に湾曲している。 j′ 先端側天井壁(4)の長さと基端側天井壁(9)の長さの差は小さく、先端側天井壁(4)と基端側天井壁(9)はいずれも直線状である。 k′ 爪(18)の個数は4で、先端部分にくぼみを伴うほぼ長方形の形状である。 l′ バケット(2)の背面側の下縁部が水平に伸びている。 m′ バケット(2)の側面に、長方形のくぼみやボルトの為の貫通穴がある。 (5) 本件意匠の要部ア意匠に係る物品の需要者及び用途、使用態様等前提事実(3)ア及び証拠(甲2)によれば、本件意匠に係る物品は「カッ ター付グラップルバケット」、すなわち、建設機械のアームの先端部に装着して、地面の掘削、木材等のグラップル及びグラップルした被グラップル材の切断をするための装置であるから、その取引者及び需要者は、地面の掘削、木材等のグラップル及びその切断作業を行う、森林作業者や土木工事業者であると認められる。 そして、上記の用途や使用態様にかんがみれば、「カッター付グラップルバケット」の取引者及び需要者は、地面の掘削作業や木材等のグラップル及びその切断作業を的確に行えるか否かに関心があるのが通常であって、それらの作業に直接関係する部分に着目して当該物品を観察すると考えられるから、取引者及び需要者の注意を惹きやすい部分は、バケットの外縁 である基端側から先端側にかけての上部天井壁及び開口部の縁部の形状、切断刃の形状並びに爪の個数及び形状であるといえる。 イ公知意匠本件意匠の出願時において、バケット又はグラップルバケットに関し、甲13文献、甲14文献及び甲15文献に各記載の意匠が存在していたこ とが認められる(前提事実(2)ア、甲 。 イ公知意匠本件意匠の出願時において、バケット又はグラップルバケットに関し、甲13文献、甲14文献及び甲15文献に各記載の意匠が存在していたこ とが認められる(前提事実(2)ア、甲14、15)。 これらの意匠は、先端側から基端側にかけての山形状の天井壁と、対向する二つの側壁と、開口部を有する形状のバケットが記載されている点で共通するものといえる。 ウまとめ 前記アのとおり、「カッター付グラップルバケット」の取引者及び需要者 の属性並びに用途、使用態様等にかんがみれば、本件意匠の構成のうち取引者及び需要者の注意を惹きやすい部分は、バケットの外縁である基端側から先端側にかけての上部天井壁及び開口部の縁部の形状、切断刃の形状並びに爪の個数及び形状であるといえる。また、前記イのとおり、先端側から基端側にかけての山形状の天井壁と、対向する二つの側壁と、開口部 を有するとのバケット全体の形状は、本件意匠の出願時においてバケット又はグラップルバケットに概ね共通して見られる公知の形状であったことが認められる。 そうすると、本件意匠の構成のうち取引者及び需要者の最も注意を惹きやすい部分は、バケットの基端側から先端側にかけての上部天井壁及び開 口部の縁部の形状、切断刃の形状並びに爪の個数及び形状であるといえ、この部分が本件意匠の要部であると認められる。 (6) 本件意匠と被告意匠との対比本件意匠と被告意匠とを対比すると、次の共通点及び差異点があることが認められる。 ア共通点本件意匠と被告意匠とは、基本的構成態様(B′、b′)ないし(D、d)並びに具体的構成態様(F、f)及び(G、g)において共通する。 イ差異点本件意匠と被告意匠とは、次の各点において差異がある。 意匠とは、基本的構成態様(B′、b′)ないし(D、d)並びに具体的構成態様(F、f)及び(G、g)において共通する。 イ差異点本件意匠と被告意匠とは、次の各点において差異がある。 (ア) 差異点A′基本的構成態様(A′、a′)につき、本件意匠では、バケット(2)の上部天井壁頂部(5)が鋭利に角張っているのに対し、被告意匠では、当該部分が「へ」の字状に緩やか湾曲し、丸みを帯びている点(イ) 差異点E′ 具体的構成態様(E′、e′)につき、本件意匠では、開口部(3) が、切断刃(13)の部分付近でやや山なりになっている上、先端の爪(18)の部分に向けて下方に伸びているのに対し、被告意匠では、開口部(3)が、切断刃(13)の部分で先端側に膨らみがあり、先端の爪(18)の部分に向けて先端側にほぼ水平に伸びた形状となっている点(ウ) 差異点H 具体的構成態様(H、h)につき、本件意匠では、切断刃(13)の上縁と下縁は、全体的に下方に湾曲しているのに対し、被告意匠では、切断刃(13)の上縁は、基端側の直線状の部分と、それから約150度下方に傾斜するように接続された先端側の直線状の部分を有し、切断刃(13)の下縁は、全体的に下方に湾曲している点 (エ) 差異点I具体的構成態様(I、i)につき、本件意匠では、背面側の側壁(7)のうちのベース面(1)に隣接した上縁部(30)は、2か所でコブ状に湾曲しているのに対し、被告意匠では、背面側の側壁(7)のうちのベース面(1)に隣接した上縁部(30)は、1か所でコブ状に湾曲し ている点(オ) 差異点J″具体的構成態様(J″、j′)につき、本件意匠では、先端側天井壁(4)の方が基端側天井壁(9)よりも明らかに長く、先端側天井壁(4) 、1か所でコブ状に湾曲し ている点(オ) 差異点J″具体的構成態様(J″、j′)につき、本件意匠では、先端側天井壁(4)の方が基端側天井壁(9)よりも明らかに長く、先端側天井壁(4)は僅かに湾曲しているが、基端側天井壁(9)が直線状であるのに対し、 被告意匠では、先端側天井壁(4)と基端側天井壁(9)がいずれも直線状で、その長さの差が小さい点(カ) 差異点K′具体的構成態様(K′、k′)につき、本件意匠では、爪(18)の個数が5個で、長方形と先端部分での台形が組み合わされた形状である のに対し、被告意匠では、爪(18)の個数が4個で、先端部分にくぼ みを伴うほぼ長方形の形状である点(キ) 差異点L′具体的構成態様(L′、l′)につき、本件意匠では、バケット(2)の背面側の下縁部が逆山形状になっているのに対し、被告意匠では、当該部分が水平に伸びている点 (ク) 差異点M′具体的構成態様(M′、m′)につき、本件意匠では、バケット(2)の背面側の下縁部の側面にピンを抜くためと思われる貫通穴があるものの、バケット(2)の側面に長方形のくぼみやボルトの為の貫通穴がないのに対し、被告意匠では、バケット(2)の背面側の下縁部の側面に ピンを抜くためと思われる貫通穴がないものの、バケット(2)の側面に長方形のくぼみやボルトの為の貫通穴がある点(7) 本件意匠と被告意匠の類否ア前記(6)のとおり、本件意匠と被告意匠とは、①切断刃及びグラップルを駆動するシリンダの位置関係の点(基本的構成態様(B′、b′))、②切 断刃を収納するカバー板の位置関係の点(同(C、c))、③先端側天井壁(4)の先端に、先に向かって薄くなる複数の爪が設けられている点(同(D、d))、④切断 的構成態様(B′、b′))、②切 断刃を収納するカバー板の位置関係の点(同(C、c))、③先端側天井壁(4)の先端に、先に向かって薄くなる複数の爪が設けられている点(同(D、d))、④切断刃が先端に向かって下方に傾斜している点(具体的構成態様(F、f))、⑤開口部が、切断刃に対する受部を構成し、角の丸い「横L」字状の開口部と、先端に向かって下方に傾斜している切断刃とによ って形成される領域における上下方向の長さは、基端側から先端側に向かって、徐々に大きくなった後、急激に広がっている点(同(G、g))において共通している。 イこれに対し、前記(6)のとおり、本件意匠と被告意匠との間には、複数の差異点が存在するところ、これらの看者の美感に与える影響について、次 の点を指摘することができる。 まず、差異点A′につき、本件意匠では、バケット部分の上部天井壁頂部が鋭利に角張っていることから、鋭い印象を与えるのに対し、被告意匠では、当該部分が「へ」の字状に緩やか湾曲し、丸みを帯びていることから、柔らかい印象を与えるものといえる。 また、差異点Hにつき、本件意匠では、切断刃の上縁と下縁は、全体的 に下方に湾曲していることから、緩やかに流れるような印象を与えるのに対し、被告意匠では、切断刃の上縁は、基端側の直線状の部分と、それから約150度下方に傾斜するように接続された先端側の直線状の部分を有し、切断刃の下縁は、全体的に下方に湾曲していることから、鋭い印象を与えるものといえる。 さらに、差異点K′につき、本件意匠では、爪の個数が5個で、バケットの開口部の幅と比較すると、細かい印象を与えるのに対し、被告意匠では、爪の個数が4個で、爪と爪との間が若干空いていることから、粗い印象を与えるものといえる 、本件意匠では、爪の個数が5個で、バケットの開口部の幅と比較すると、細かい印象を与えるのに対し、被告意匠では、爪の個数が4個で、爪と爪との間が若干空いていることから、粗い印象を与えるものといえる。 ウ前記(5)のとおり、本件意匠の構成のうち取引者及び需要者の最も注意を 惹きやすい部分は、バケットの基端側から先端側にかけての上部天井壁及び開口部の縁部の形状、切断刃の形状並びに爪の個数及び形状であるといえるところ、差異点A′、H及びK′は、いずれもこの要部に係る差異点に当たる。 特に、差異点A′は、バケット全体の外縁を構成する形状に係る差異点 であり、差異点Hは、カッター付きグラップルバケットの中心的機能を担う切断刃の形状に係る差異点であることからすると、いずれも看者の注意を特に惹きやすい部分であるといえ、類否判断に与える影響は大きいというべきである。 そして、差異点A′及びHは、本件意匠及び被告意匠の看者に対し、上 部天井壁頂部と切断刃について、鋭さ、緩やかさとの点でそれぞれ逆の印 象を与える(本件意匠では、上部天井壁頂部が鋭く、切断刃が緩やかであるとの印象を与えるのに対し、被告意匠では、上部天井壁頂部が緩やかで、切断刃が鋭いとの印象を与える。)ものといえる。 これらの点を総合すると、本件意匠と被告意匠との差異点から生じる印象は、共通点から受ける印象を凌駕するものであり、取引者及び需要者に 対して全体として異なった美感を生じさせるものと評価できる。 したがって、被告意匠について、本件意匠に類似するものと認めることはできない。 第5 結論以上によれば、その余の点について判断するまでもなく、原告の請求はいず れも理由がないから、これらをいずれも棄却することとして、主文のと 主文 以上によれば、その余の点について判断するまでもなく、原告の請求はいずれも理由がないから、これらをいずれも棄却することとして、主文のとおり判決する。 理由 事実 争点 判断 東京地方裁判所民事第29部 裁判長裁判官 國分隆文 裁判官 間明宏充 裁判官 木村洋一

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