平成16(ネ)759 損害賠償請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
平成17年1月27日 福岡高等裁判所 大分地方裁判所 平成15(ワ)366
ファイル
hanrei-pdf-4127.txt

判決文本文5,408 文字)

主文 1 原判決を次のとおり変更する。 (1) 控訴人は,被控訴人に対し,408万9488円及びこれに対する平成14年7月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2) 被控訴人のその余の請求を棄却する。 2 訴訟費用は,第1,2審を通じて5分し,その2を控訴人の,その余を被控訴人の負担とする。 3 第1項(1)は,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決中,控訴人敗訴部分を取り消す。 2 被控訴人の請求を棄却する。 3 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。 第2 事案の概要等1(1) 本件は,被控訴人が,自動車損害賠償保障法3条本文に基づき,加害二輪車の保有者である控訴人に対し,後記する本件事故により被った損害のうち一部965万2890円(平成16年3月31日までに発生した損害。後遺障害分は含まない。)及びこれから支払済みの自賠責保険金を控除した残額に対する本件事故日である平成14年7月18日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を請求したものである。 (2) 事案の概要は,次のとおり原判決を補正し,次項2のとおり当審における主張を補足するほか,原判決の「事実及び理由」中の「第2 事案の概要」欄(1頁末行から5頁8行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 ア 2頁11行目の「加害車両(」の次に「ホンダNC31,排気量390cc。」を加える。 イ 「A」をすべて「A’」に改める。 ウ 3頁14行目の「甲11の1,2」の次に「,18の1から5」を,16行目の「通誠会博愛病院」の次に「(甲19の1,2,5,6)」を,それぞれ加え,17行目の「同3日」を「同7日」に改める。 エ 4頁17行目から19行目までを「① 治 ,18の1から5」を,16行目の「通誠会博愛病院」の次に「(甲19の1,2,5,6)」を,それぞれ加え,17行目の「同3日」を「同7日」に改める。 エ 4頁17行目から19行目までを「① 治療費合計285万3610円」に,5頁4行目の「997万5355円」を「900万2267円」に,5行目の「120万円」を「22万6912円」に,それぞれ改める。 (3) 原審は,ア控訴人が加害二輪車の運行供用者であることを認めた上,イ平成16年3月31日までの治療費,入院雑費,付添看護費,通院交通費,入通院慰謝料,装具代として912万5355円の損害を認定し,ウ被控訴人の過失相殺による減額は認めず,自賠責保険からの既払額120万円を控除した792万5355円及び弁護士費用79万円,以上合計871万5355円及びこれに対する本件事故日である平成14年7月18日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の限度で,被控訴人の請求を認容した。 (4) そこで,これを不服とした控訴人が,第1のとおり控訴したものである。 2 当審における補足主張(過失相殺について)(控訴人)原審は,被控訴人がA’の無免許を知っていたとは認められないとして,全く過失相殺をしなかったが,被控訴人,A’,B及びCの4人は,仲が良く毎日顔を合わせており,自動二輪車の免許を持っているのはBだけであり,他の三人は免許を持っていないことを互いに熟知していた。仮に,被控訴人がA’の無免許を知らなかったとしても,互いに高校を卒業して大学に入ったばかりの未成年者である上,校則も自動二輪車の使用を禁止しているのであるから,免許を持っていないのが通常であり,被控訴人はA’に免許の有無を尋ねるべき注意義務があったというべきである。 入ったばかりの未成年者である上,校則も自動二輪車の使用を禁止しているのであるから,免許を持っていないのが通常であり,被控訴人はA’に免許の有無を尋ねるべき注意義務があったというべきである。 本件事故は,A’の無免許による運転操作の不慣れが原因で発生したものである。控訴人は,加害二輪車の保有者というだけであって,被控訴人ら4人組が企画・実行した深夜の無免許で無謀なツーリングには何ら関与していないものである。 したがって,大幅な過失相殺をすべきである。 (被控訴人)被控訴人のみならず,BもA’が無免許かどうか知らなかったと証言しており,4人が互いに免許の有無を知っていたということはない。また,校則で禁止されているのは,自動二輪車を寮に持ってくることだけである。控訴人は「無謀」なツーリングというが,被控訴人はA’が時速100キロメートル以上で運転することは事前に知り得なかった。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所は,原審の判断(上記第2の1(3))のうち,ア(運行供用者責任)は相当であるが,イ(損害額の認定)の一部及びウ(過失相殺)は相当でなく,認定された被控訴人の損害について4割の過失相殺をすべきであるから,主文記載の限度で請求を認容すべきであると判断する。その理由は以下のとおりである。 2 控訴人の運行供用者責任について原判決を次のとおり補正するほか,原判決の「第3 争点に対する判断」欄の1(5頁10行目から7頁6行目まで)に記載のとおり(ただし,「A」を「A’」に改める。)であるから,これを引用する。 (1) 5頁11行目の「甲」の次に「1,」を加え,「15,」の次に「乙3,」を加える。 (2) 同15行目の「原告」の次に「(昭和59年2月6日生。当時18歳)」を,「A」の次に「(昭和58年9月22日生。当時18 の「甲」の次に「1,」を加え,「15,」の次に「乙3,」を加える。 (2) 同15行目の「原告」の次に「(昭和59年2月6日生。当時18歳)」を,「A」の次に「(昭和58年9月22日生。当時18歳)」をそれぞれ加える。 (3) 同18行目の「Bは,」の次に「普通自動車及び自動二輪車の運転免許を有しており,」を,同21行目の末尾に「なお,A’は,普通自動車の運転免許を有しており,自動二輪車の免許は持っていなかったものの,自動二輪車の運転はできると話していたことから,2台の自動二輪車を借りて,BとA’が運転し,運転できない被控訴人とCが同乗することになったものである。」を,それぞれ加える。 (4) 同23行目の「BもしくはAが被告の部屋から同人の承諾を得て」を「BとA’は控訴人の部屋を訪れて」に改める。 (5) 6頁7行目末尾に「事故後,転倒していた被控訴人の頭部にはヘルメットが装着されておらず,ヘルメットは事故現場に転がっていた。」を加える。 (6) 同13行目から16行目にかけての括弧書き部分を「(Bは,控訴人からバイクの鍵を借りるため,A’と二人で控訴人の部屋を訪れ,中に入ったが,A’が寝ていた控訴人に声をかけたところで,自分は着替えのために隣室の自分の部屋に戻ったため,控訴人から鍵を受け取ったのはA’である旨証言し,他方,控訴人は,寝ていたところBから起こされてバイクの鍵を同人に貸した旨供述している。これらの証言・供述の信用性を検討するに,Bは前にも控訴人から加害二輪車を借りたことがあったことから,今回も鍵を借りるためにA’とともに控訴人の部屋に行き,部屋の中に入ったのに,控訴人に鍵を貸してくれと声もかけずに直ちに自分の部屋に着替えのために戻ったというのは,行動の流れが不自然である。他方,寝ているところを起こされたとは もに控訴人の部屋に行き,部屋の中に入ったのに,控訴人に鍵を貸してくれと声もかけずに直ちに自分の部屋に着替えのために戻ったというのは,行動の流れが不自然である。他方,寝ているところを起こされたとはいえ,控訴人はBが鍵を借りに来たのでBに貸したと明言していることなどを総合すると,Bが単独かA’とともに控訴人から加害二輪車の鍵を借りたものである可能性が高いというべきである。)」に改める。 (7) 同22行目から7頁6行目までを削る。 3 過失相殺について(1) 引用にかかる原判決認定の事実(当審で補正後のもの)によれば,以下の事情が認められる。 加害二輪車を運転していたA’は,自動二輪車の免許は持っていなかったところ,被控訴人は,A’が自動二輪車の免許を持っているかどうか確認することなくA’が運転する加害二輪車の後部座席に同乗したものであるが,A’は当時18歳で大学に入学したばかりであり,加害二輪車の所有者でもないことを認識していたから,A’が自動二輪車の運転免許を持っていると考える根拠はなく,むしろ,自動二輪車の免許は持っていないと考える方が通常であるのに,免許の有無を確認することなく(A’の免許の有無に関心を払っていたことを窺うことはできない。),しかも危険性が高くなる二人乗りで同乗し,その結果,A’の運転技術の未熟さと思われる原因で道路脇の車庫の鉄柱に加害二輪車を衝突させるという事故を惹起させたものであって,被控訴人自ら危険に接近し,かつ,危険を拡大させたものであることが認められる。また,被控訴人は,本件事故により外傷性頭蓋内出血,脳挫傷の傷害を負っているが,ヘルメットを被ってはいたものの,あごひもを確実に絞めて正しく装着することはしていなかったことが窺われる。他方,控訴人は,BかA’に加害二輪車を一時貸与したにすぎず 血,脳挫傷の傷害を負っているが,ヘルメットを被ってはいたものの,あごひもを確実に絞めて正しく装着することはしていなかったことが窺われる。他方,控訴人は,BかA’に加害二輪車を一時貸与したにすぎず,本件事故には全く関与していない者である。 なお,控訴人は,被控訴人らは無謀なツーリングを行ったのであるから過失相殺において考慮すべきであると主張するので検討するに,確かに,A’が本件事故現場直前の直線道路で高速運転を始めたことは認められるが,それまでも高速運転等無謀な運転をしていたことは認められないのであって,急にA’が高速運転を始めたことについて,後部座席に同乗していたにすぎない被控訴人を非難することは相当でない。 以上のような事情を総合考慮すると,損害の公平な分担という視点から過失相殺の規定を類推適用し,被控訴人が控訴人に対し請求できる損害額は,弁護士費用を除いた全損害額から4割を減じた金額とするのが相当である。 (2) なお,控訴人は,被控訴人は危険を承知で加害二輪車に同乗し,その予見範囲内の事故にあったのであるから,信義則上,控訴人に対し損害賠償請求できないとも主張するが,控訴人指摘の事情は,上記のとおり,過失相殺の事情として考慮することができるにとどまり,損害賠償請求自体を許すべきでないとはいえない。 4 被控訴人の損害について(1) 治療費その他合計814万9147円被控訴人の治療費,入院雑費,付添看護費,通院交通費,入通院慰謝料,装具代については,次のとおり原判決を補正するほか,原判決の「第 3 争点に対する判断」欄の3の(1)から(7)(7頁16行目から8頁8行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 ア 7頁17行目から21行目までを次のとおり改める。 「(1) 治療費合計285万04 る判断」欄の3の(1)から(7)(7頁16行目から8頁8行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 ア 7頁17行目から21行目までを次のとおり改める。 「(1) 治療費合計285万0490円証拠(甲4,5の1から4,6の1から17,8,9,10の1から5,11の1から3,17の1の1,2,17の2の1,2,17の3の1から3,17の4,5,17の6の1,2,17の7の1,2,17の8の1,2,17の9,17の10の1,2,18の1から5,19の1から9)によれば,被控訴人主張の治療費285万3610円のうち285万0490円を認めることができる(被控訴人は謙誠会博愛病院の治療費として2万9640円を請求するが,平成15年12月1日支払分の3120円(甲19の1)が重複して請求されているので,これを減じた。)」イ 8頁8行目の「小計 912万5355円」を「小計 814万9147円」に改める。 (2) 過失相殺その他上記(1)の金額について,4割の過失相殺をすると,488万9488円(円未満切り捨て)になるところ,自賠責保険から120万円(甲13)が支払われているので,これを控除すると368万9488円になる。 本件訴訟経過,認容額等を考慮すると,控訴人が負担すべき弁護士費用としては40万円が相当である。 以上によれば,被控訴人の請求は,408万9488円及びこれに対する本件事故日である平成14年7月18日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。 5 よって,上記判断と一部異なる原判決は相当でないから,主文のとおり判決する。 福岡高等裁判所第1民事部裁判長裁判官簑田孝行裁判官駒 上記判断と一部異なる原判決は相当でないから,主文のとおり判決する。 福岡高等裁判所第1民事部裁判長裁判官簑田孝行裁判官駒谷孝雄裁判官岸和田羊一

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る