主文 本件訴えのうち,甲事件原告A,乙事件原告B及び乙事件原告Cの各訴えを,いずれも却下する。 甲事件原告Aを除くその余の甲事件原告ら並びに乙事件原告B及び乙事件原告Cを除くその余の乙事件原告らの請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は甲事件原告ら及び乙事件原告らの負担とする。 事実 及び理由第1請求(甲事件及び乙事件共通) 甲事件被告兼乙事件被告財団法人DがE有限会社及び株式会社Fに対して平成17年10月11日付けでした確認番号×××××本建確×××の建築確認処分を取り消す。 甲事件被告兼乙事件被告財団法人DがE有限会社及び株式会社Fに対して平成17年10月11日付けでした確認番号×××××本建確×××の建築確認処分を取り消す。 東京都知事は,E有限会社及び株式会社Fに対して,別紙土地目録記載の各土地上に建築中の別紙建築物目録記載の建築物の建築工事禁止命令をせよ。 東京都知事は,E有限会社及び株式会社Fに対して,別紙土地目録記載の各土地上に建築中の別紙建築物目録記載の建築物について建築基準法9条1項に基づき撤去命令をせよ。 第2事案の概要本件は,甲事件被告兼乙事件被告財団法人D(以下「被告D」という。)が E有限会社及び株式会社F(以下,2社を併せて「本件建築主」という。)に対して,平成17年10月11日付けで別紙建築物目録記載の建築物(以下「本件建築物」という。)についてした建築基準法6条の2第1項に基づく2つの確認の処分(以下,併せて「本件各確認処分」という。)について,甲事件原告ら及び乙事件原告ら(以下,併せて「原告ら」という。)が,被告Dに対し,建築基準法令等の規定に違反する違法事由があるなどと主張して本件各確認処分の各取消しを求めるとともに,甲事件被告兼乙事件被告東京都(以下「被 告ら(以下,併せて「原告ら」という。)が,被告Dに対し,建築基準法令等の規定に違反する違法事由があるなどと主張して本件各確認処分の各取消しを求めるとともに,甲事件被告兼乙事件被告東京都(以下「被告東京都」という。)に対し,同法9条1項に基づく命令(以下,この命令一般を「是正命令」といい,特に,請求3及び同4に係る命令を併せて「本件各是正命令」という。)を本件建築主に対して発令することの義務付けを求める事案である。 東京都建築安全条例(昭和25年東京都条例第89号。以下「本件条例」という。)の定め(1)1条建築基準法(以下「法」という。)第40条(法第88条第1項において準用する場合を含む。)による建築物の敷地,構造及び建築設備並びに工作物に関する制限の附加,法第43条第2項による建築物の敷地及び建築物と道路との関係についての制限の附加,建築基準法施行令(昭和25年政令第338号。以下「令」という。)第128条の3第6項による地下街に関する令と異なる定め並びに令第144条の4第2項による道に関する令と異なる基準については,この条例の定めるところによる。 (2)1条の2 第4条,第10条の2,第10条の3,第22条,第41条及び第82条の規定は,都市計画区域及び準都市計画区域内に限り適用する。 (3)4条ア1項延べ面積(同一敷地内に2以上の建築物がある場合は,その延べ面積の合計とする。)が1000平方メートルを超える建築物の敷地は,その延べ面積に応じて,次の表に掲げる長さ以上道路に接しなければならない。 延べ面積長さ1000平方メートルを超え,2000平方メートル以6メートル下のもの2000平方メートルを超え,3000平方メートル以8メートル下のもの3000平方メートルを超えるもの10メートルイ 1000平方メートルを超え,2000平方メートル以6メートル下のもの2000平方メートルを超え,3000平方メートル以8メートル下のもの3000平方メートルを超えるもの10メートルイ2項延べ面積が3000平方メートルを超え,かつ,建築物の高さが15メートルを超える建築物の敷地に対する前項の規定の適用については,同項 中「道路」とあるのは,「幅員6メートル以上の道路」とする。 ウ3項第2項の規定は,建築物の周囲の空地の状況その他土地及び周囲の状況により知事が安全上支障がないと認める場合においては,適用しない。 (4)9条この章の規定は,次に掲げる用途に供する特殊建築物に適用する。 1号から3号まで省略4号自動車車庫,自動車駐車場若しくは自動車修理工場(自動車整備場を含む。以下同じ。)で,これらの用途に供する部分の床面積の合計が50平方メートルを超えるもの,(以下略)(5)10条の2ア1項次の表に掲げる用途に供する特殊建築物の敷地は,用途に応じて,同表に掲げる幅員以上の道路に接し,かつ,当該道路に面して当該敷地の自動車の出入口を設けなければならない。ただし,建築物の周囲の空地の状況その他土地及び周囲の状況により知事が安全上支障がないと認める場合は,この限りでない。 用途幅員(い)1号省略6メートル2号自動車車庫,自動車駐車場,自動 車修理工場(床面積が50平方メートルを超えるものに限る。),自動車洗車場又は自動車教習所3号以下省略イ2項前項の表に掲げる用途以外の用途に供する建築物に附属する自動車車庫又は自動車駐車場が,次のいずれかに該当する場合においては,同項の規定は,適用しない。 1号自動車車庫又は自動車駐車場の用途に供する部分の床面積の合計が200平方メートル以下の場合 する自動車車庫又は自動車駐車場が,次のいずれかに該当する場合においては,同項の規定は,適用しない。 1号自動車車庫又は自動車駐車場の用途に供する部分の床面積の合計が200平方メートル以下の場合において,その敷地に設ける自動車の出入口が幅員4メートル以上の道路に面し,かつ,交通の安全上支障がないとき。 2号自動車車庫又は自動車駐車場の用途に供する部分の床面積の合計が300平方メートル以下の場合において,その敷地に設ける自動車の出入口が幅員5メートル以上の道路に面するとき。 3号自動車車庫又は自動車駐車場の用途に供する部分の床面積の合計が400平方メートル以下の場合において,その敷地に設ける自動車の出入口が幅員4メートル以上の道路に面し,かつ,その道路とその道路に沿った敷地の一部とが幅員6メートル(当該床面積の合計が300平方メートル以下のものの敷地にあっては,5メートル)以上の道路状をなし,当該道路状をなす部分が他の幅員6メートル(当該床面 積の合計が300平方メートル以下のものの敷地にあっては,5メートル)以上の道路に有効に通ずるとき。 ウ3項共同住宅又は寄宿舎の用途に供する建築物に附属する自動車車庫又は自動車駐車場に対する前項の規定の適用については,同項中「200平方メートル」とあるのは「300平方メートル」と,「300平方メートル」とあるのは「400平方メートル」と,「400平方メートル」とあるのは「500平方メートル」とする。 (6)27条自動車車庫等の用途に供する建築物の敷地には,自動車の出入口を次に掲げる道路のいずれかに面して設けてはならない。ただし,交通の安全上支障がない場合は,第5号を除き,この限りでない。 1号道路の交差点若しくは曲がり角,横断歩道又は横断歩道橋(地下横断歩道を含む。)の昇降口から5 れかに面して設けてはならない。ただし,交通の安全上支障がない場合は,第5号を除き,この限りでない。 1号道路の交差点若しくは曲がり角,横断歩道又は横断歩道橋(地下横断歩道を含む。)の昇降口から5メートル以内の道路2号勾配が8分の1を超える道路3号道路上に設ける電車停留場,安全地帯,橋詰め又は踏切から10メートル以内の道路4号児童公園,小学校,幼稚園,盲学校,ろう学校,養護学校,児童福祉施設,老人ホームその他これらに類するものの出入口から20メートル以内の道路5号前各号に掲げるもののほか,知事が交通上支障があると認めて指定した道路 前提事実本件の前提となる事実は,次のとおりである。証拠及び弁論の全趣旨により認めることができる事実は,その旨付記してあり,その余は,当事者間に争いのない事実である。 (1)当事者等ア原告らは,本件建築物の建設予定地である東京都渋谷区(以下「渋谷区」という。)α××番1及び××番12(以下,併せて「本件敷地」という。)の周辺である肩書地にそれぞれ居住する者である。原告らの各居住地と本件敷地との位置関係は別紙図面のとおりである。(乙1,2)イ乙事件原告B(以下「原告B」という。)と乙事件原告C(以下「原告C」といい,原告Bと併せて「原告Bら」という。)は,いずれも甲事件原告A(以下「原告A」といい,原告Bらと併せて「原告Aら」という。)の子であるが,本件敷地付近にある渋谷区立中央図書館児童室(以下「本件児童室」という。)を利用している小学校5年生と同2年生の児童である。(甲40)ウ被告Dは,建築基準法77条の18から77条の21までの規定の定めるところにより指定を受けた者(以下「指定確認検査機関」という。)である。(弁論の全趣旨)(2)本件各確認処分及び本件各訴訟に至る経 告Dは,建築基準法77条の18から77条の21までの規定の定めるところにより指定を受けた者(以下「指定確認検査機関」という。)である。(弁論の全趣旨)(2)本件各確認処分及び本件各訴訟に至る経緯等ア本件建築物の建設計画の概要本件建築主は,平成17年6月11日,本件敷地の周辺住民に対し,本件建築物の建築計画に関する説明会を開催し,別紙建築計画目録記載のと おりの本件建築物の建築計画の概要等を記載した「(仮称)β新築工事について」と題する書面を配布した。(甲2,5)イ本件各確認処分に先立つ本件敷地の周辺住民による申入れ本件敷地の周辺住民が構成するG代表者Hは,被告Dを含む複数の指定確認検査機関に対し,平成17年8月16日付け申入書をもって,周辺住民と本件建築主との協議が整うまで,本件建築主に対し本件建築物に関する建築基準法6条の2第1項に基づく確認の処分をしないように申入れをした。(甲2,弁論の全趣旨)ウ本件各確認処分に先立つ東京都知事によるいわゆる一団地認定本件建築主は,平成17年8月2日,東京都知事に対し,本件建築物の建設に関する下記の計画について,建築基準法86条1項の規定による認定(いわゆる一団地認定)を申請し,同年9月6日,東京都知事からその認定を受けた。(丙1)記建築場所渋谷区α××番1の一部及び××番12の一部建築物又はその部分の概要区域面積6008.01m2敷地面積6008.01m2建築面積3491.85m2延べ面積2万2956.44m2建築物の数申請に係る建築物の数2棟申請区域内の他の建築物の数0棟 エ本件各確認処分本件建築主は,被告Dに対し,平成17年9月21日,建築基準法6条の2第1項の確認の申請(以下「本件確認申請」という。)をし,被告Dは,本件建築主に対して, 建築物の数0棟 エ本件各確認処分本件建築主は,被告Dに対し,平成17年9月21日,建築基準法6条の2第1項の確認の申請(以下「本件確認申請」という。)をし,被告Dは,本件建築主に対して,同年10月11日付けで本件各確認処分(以下,確認番号×××××本建確×××号の確認処分を「本件確認処分1」といい,同×××××本建確×××号の確認処分を「本件確認処分2」という。)をした。(甲3,4)オ本件各確認処分に係る審査請求原告Aら及び乙事件原告I(以下「原告I」という。)を除くその余の原告らを含む本件敷地の周辺住民41名は,東京都建築審査会に対し,平成17年12月14日,本件各確認処分について審査請求(以下「本件審査請求」という。)をした。審査請求人らが本件審査請求に当たって主張した本件各確認処分の違法事由は,以下のとおりであった。(甲6)(ア)本件建築物の自動車駐車場(以下「本件駐車場」という。)の接面道路への出入口は,本件児童室の専用出入口から20m以内に設けられているが,児童,幼児及びその保護者のみが利用する本件児童室は,本件条例27条4号に例示列挙する用途の建築物に類するものである。したがって,本件条例27条に違反する。 (イ)本件建築物を建設する本件敷地は幅員6mの道路に接しなければならないところ,本件敷地が接面する道路は,位置指定道路であるが,私道で神社の参道であるという制限を受け,出入口部に堅固なゲートが設置されており,その実効幅は3.15mしかないだけでなく,その終端 部は長さ5.8mに及ぶ約17%の急な勾配になっており,建築基準法42条2項道路に接する部分には鋼鉄製ポールの障害物が設置されているので,両端を閉じられた状態に等しく,防災上機能不全の欠陥道路であるから「道に関する基準」に違反していることは っており,建築基準法42条2項道路に接する部分には鋼鉄製ポールの障害物が設置されているので,両端を閉じられた状態に等しく,防災上機能不全の欠陥道路であるから「道に関する基準」に違反していることは明白である。したがって,本件条例4条及び10条の2に違反する。 (ウ)本件建築物の地盤面には1.35mの変更があり,渋谷区の基準によれば,本来都市計画法29条に基づく開発許可が必要であったにもかかわらず,本件建築主は,開発許可の手続を経ておらず,公共施設の整備という負担を免れるため,開発許可逃れをしたことが明白である。被告Dは,開発許可が不要であるとの渋谷区の回答のみを前提に,それ以上何ら自らの責任で事実を確認することなく,本件各確認処分をしたという違法がある。 カ本件審査請求に対する裁決東京都建築審査会は,平成18年10月16日,本件審査請求に対し,請求を棄却する旨の裁決(以下「本件裁決」という。)をした。本件裁決に当たり,同建築審査会は,以下のとおり判断した。(甲6)(ア)本件駐車場の出入口は,本件児童室の専用出入口からおおむね17m以内に位置していること,本件児童室は,総床面積3440mを有す る図書館の1階の一画に設けられた床面積100m余りの空間であり, 児童用の座席として6人分程度が用意されていること,1階のその余の部分には,図書館の玄関,事務室,新聞コーナー等が設置され,同玄関とは別の位置に本件児童室の専用出入口があることが認められる。 ところで,本件条例27条が,自動車車庫等の用途に供する建築物の敷地に関して,同条の1号から4号までに規定する施設等と自動車の出入口の設置位置との距離について規制をしているのは,自動車の出入口がこれらの施設等の間近にあると,交通の安全上好ましくないという趣旨によるものであり,同 1号から4号までに規定する施設等と自動車の出入口の設置位置との距離について規制をしているのは,自動車の出入口がこれらの施設等の間近にあると,交通の安全上好ましくないという趣旨によるものであり,同号が「児童公園,小学校,幼稚園,盲学校,ろう学校,養護学校,児童福祉施設,老人ホーム」と定めているのは,これらの施設の利用者とされている児童,視力又は聴力の障害者及び高齢者は,交通の危険に対して,これを予測し,あるいは回避するための判断や行動を自ら適切に行うことを十分に期待することができないいわゆる交通弱者ということができ,これらの者が出入りする上記施設の出入口の間近に自動車車庫等の出入口が設けられると,車庫等に出入りする自動車によりこれら施設の利用者が受傷する等の事故が生じやすいので,当該出入口から20mの範囲内に自動車の出入口を設置することを禁止することにより,そのような事故の発生を防止することを目的としているものと解される。同号には,上記諸施設に加え「その他これらに類するもの」と定められているので,上記諸施設のほかにこれらと同視し得る施設も含まれると解されるが,同号は,およそ児童その他の交通弱者が利用者として出入りする施設であればそのすべてを対象とするというものではなく,交通弱者が多数日常的に出入りするような規模の施設に限定して対象としているものと解すべきである。 まず,図書館の利用者には,児童その他の交通弱者も通常含まれているにもかかわらず,本件条例27条4号が図書館そのものを明記してい ないことからすると,むしろこれを対象としていないものと解すべきである。そして,本件児童室は,図書館の一部分に設けられたものであり,同号の例示列挙する諸施設と比較した場合,これらの諸施設が通常有している規模よりも相当に小規模であることは明らかで ものと解すべきである。そして,本件児童室は,図書館の一部分に設けられたものであり,同号の例示列挙する諸施設と比較した場合,これらの諸施設が通常有している規模よりも相当に小規模であることは明らかであり,特に児童公園や幼稚園,上記諸学校等と比較した場合,本件児童室の利用者は限定されているから,本件児童室をもって,同号の「その他これらに類するもの」に該当するということはできない。 したがって,本件条例27条4号違反という審査請求人らの主張は採用することができない。 (イ)本件建築物の延べ面積の合計は3000mを超え,かつ,高さが1 5mを超え,また,本件駐車場の床面積が500mを超えるので,本件 敷地は幅員6m以上の道路に接しなければならず,かつ,当該道路に面して当該敷地の自動車の出入口を設けなければならないところ,本件敷地は,幅員6mとして道路位置の指定を受けた道路に接しており,当該道路に面して自動車の出入口が設けられているので,これらの要件に適合しているとして,本件各確認処分がされている。 審査請求人らは,当該位置指定道路には,本件敷地に接する手前においてゲートが設置されており,終端部分には勾配があり,障害物として鋼鉄製ポールが設置されていることから,当該位置指定道路は両端が閉じられた状態に等しく,防災上機能不全の欠陥道路であるとして,本件条例4条及び10条の2の各規定に違反する旨主張するが,各規定の道路の幅員は,実効幅員によるものではなく,道路位置の指定がされた際 の幅員によるものであり,当該位置指定道路は,上記のとおり6mとして道路位置の指定を受けているのであるから,幅員6mの道路に接するとしてされた本件各確認処分は上記各規定に適合していると認められる。 したがって,本件条例4条及び10条の2違反をいう審査請求人らの主 て道路位置の指定を受けているのであるから,幅員6mの道路に接するとしてされた本件各確認処分は上記各規定に適合していると認められる。 したがって,本件条例4条及び10条の2違反をいう審査請求人らの主張は採用することができない。 (ウ)本件建築主は,建築基準法6条各号に規定する建築物を建築し,又は大規模の修繕等をしようとする場合には,事前にその建築計画が建築基準関係規定に適合するものであることについて,確認を申請し,建築主事又は指定確認検査機関(以下「建築主事等」という。)の確認を受けなければならず(建築基準法6条1項,6条の2第1項),開発許可について定める都市計画法29条の規定は,この建築基準関係規定とされている(建築基準法施行令9条12号)から,建築主事等は,建築物に関してのみならず,その敷地に関しても建築基準関係規定適合性を審査する必要があるものと解される。そして,建築主事等は,開発行為について許可権者による許可又は不許可の処分がされていない場合には,確認の処分をするに際して,開発行為の存否及び開発許可の要否について審査しなければならない。 本件建築物の建築計画に関しては,開発許可権者による開発許可又は不許可の処分が存在しないことから,開発行為の存否及び開発許可の要否について,被告Dが審査しなければならないところ,被告Dは,開発許可権者である渋谷区長に対して照会し,開発許可担当部局から開発行為はないと認められる旨の回答を得て,本件各確認処分を行った。 渋谷区において,1m以上の盛土ないし切土が「形質の変更」として開発許可の対象とされていることから,この点に関して,審査請求人らは,本件敷地南側において1.35m,同北側において1m以上の地盤面の変更があるから,これが許可を要する開発行為に該当すると主張するものであるが,一般 れていることから,この点に関して,審査請求人らは,本件敷地南側において1.35m,同北側において1m以上の地盤面の変更があるから,これが許可を要する開発行為に該当すると主張するものであるが,一般的に,地面に新たに土を盛り,あるいは,地面を掘り下げる行為がすべて盛土あるいは切土として「形質の変更」と評価されるものではなく,本件にように既存の擁壁を造り替える行為は,形質の変更に該当しない。審査請求人らの上記主張は,本来開発行為に該当しないこのような行為を開発行為に該当するとするものである。そのほか,本件建築物の建設に関し,審査請求人らが提出した図面及び写真等から直ちに許可を要する開発行為に該当する行為があったと認めることは困難である。渋谷区が開発行為はないと回答している事実,それを踏まえて被告Dが本件各確認処分をしたこと及び各証拠に基づくと,本件敷地において開発行為に該当するものとして開発許可の取得を必要とする行為があると認めることはできない。 したがって,審査請求人らの都市計画法29条1項違反の主張は採用することができない。 キ再審査請求甲事件原告J(以下「原告J」という。)及び同K(以下「原告K」という。)は,国土交通大臣に対し,平成18年11月20日,本件各確認処分についての再審査請求をした。この再審査請求については,現在審理中であり,結論は出ていない。(甲7,弁論の全趣旨) ク本件各訴えの提起(ア)甲事件原告らは,平成19年3月9日,本件各確認処分の各取消し及び被告東京都に対する本件各是正命令の発令の義務付けを求めて,甲事件に係る訴えを提起した。(当裁判所に顕著な事実)(イ)乙事件原告らは,平成19年5月14日,本件各確認処分の各取消し及び被告東京都に対する本件各是正命令の発令の義務付けを求めて,乙事件に係る 事件に係る訴えを提起した。(当裁判所に顕著な事実)(イ)乙事件原告らは,平成19年5月14日,本件各確認処分の各取消し及び被告東京都に対する本件各是正命令の発令の義務付けを求めて,乙事件に係る訴えの追加的併合の申立てをした。(当裁判所に顕著な事実) 争点 (1)本案前の争点ア争点1ー原告適格の有無(ア)原告らは,本件各確認処分の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」(行政事件訴訟法9条1項)であるか否か。 (イ)原告らは,本件各是正命令の発令の義務付けを求めるにつき「法律上の利益を有する者」(行政事件訴訟法37条の2第3項,4項,9条)であるか否か。 イ争点2ー本件各確認処分取消訴訟における審査請求前置の有無(原告Aら及び原告I)本件審査請求において審査請求人となっていない原告Aら及び原告Iが,建築基準法96条所定の審査請求前置の要件を満たしているということができるか否か。 (2)本件各確認処分の違法性の有無(被告D) ア争点3ー建築基準法42条1項5号の趣旨違反の有無本件各確認処分は,位置指定がされた目的や経緯の異なる2つの位置指定道路を連結された道路としてとらえた上で,本件建築物の建設という大規模開発の目的に利用し,これをもって接道義務を満たすとしている点において,位置指定道路の本来の制度趣旨に反するから,建築基準法42条1項5号の趣旨に違反し,違法であるか否か。 イ争点4ー本件条例4条及び10条の2違反の有無本件各確認処分は,接面道路の幅員等規制を定める本件条例4条及び10条の2に違反し違法であるか否か。 ウ争点5ー本件条例27条4号違反の有無本件各確認処分は,本件敷地から道路への自動車の出入口の設置位置に関する規制を定める本件条例27条4号に違反し,違法であるか否か。 エ争点6ー都市 か否か。 ウ争点5ー本件条例27条4号違反の有無本件各確認処分は,本件敷地から道路への自動車の出入口の設置位置に関する規制を定める本件条例27条4号に違反し,違法であるか否か。 エ争点6ー都市計画法29条1項違反の有無本件各確認処分は,都市計画法29条1項で定める開発行為の許可を取得することなくされている点において,違法であるか否か。 (3)争点7ー本件各是正命令を発令しないことの違法性の有無(被告東京都)本件建築物は,前記(2)のような法令違反があるとして,本件各是正命令の対象となるか。また,東京都知事が本件建築物につき本件各是正命令の発令をしないことが,その裁量権の範囲を超え,又はその濫用となるということができるか否か。 争点に関する当事者の主張の要旨(1)本案前の争点 ア争点1(原告適格)について(原告らの主張)(ア)原告Aらを除くその余の原告らについて行政事件訴訟法9条の「法律上の利益を有する者」とは,同条2項に規定されているように,当該法令と目的を共通にする関係法令があるときは,その趣旨,目的をも参酌して判断すべきである。本件において,原告らは,建築基準法,都市計画法及び本件条例の諸規定に基づき本件各確認処分の取消しを求めるものであるが,原告適格の有無を判断するに当たっては,建築基準法,都市計画法及び本件条例の諸規定だけでなく,ほぼ同様の立法目的を持つ「東京都中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例」(以下「東京都建築紛争予防条例」という。)及び「渋谷区中高層建築物等の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例」(以下「渋谷区建築紛争予防条例」という。)をも参酌すべきである。 東京都建築紛争予防条例は,中高層建築物の建築に係る良好な近隣関係の保持並びに地域における健全な生活環境の維持及び向 に関する条例」(以下「渋谷区建築紛争予防条例」という。)をも参酌すべきである。 東京都建築紛争予防条例は,中高層建築物の建築に係る良好な近隣関係の保持並びに地域における健全な生活環境の維持及び向上を目的とするものであり,同条例2条4号イによると,近隣関係住民とは,「中高層建築物の敷地境界線からその高さの2倍の水平距離の範囲内にある土地又は建築物に関して権利を有する者及び当該範囲内に居住する者」と定義され,近隣関係住民として説明会開催の対象者となるし(同条例6条),紛争が生じた場合にあっせんや調停の主体となることができる(同条例7条,9条)。このような地位が与えられているのは,上記の ような近隣関係住民が,中高層建築物により生活環境に影響を受けるからである。 渋谷区建築紛争予防条例も,東京都建築紛争予防条例と同様の目的を有し,同条例2条4号アないしエによると,近隣関係住民とは,「ア中高層建築物等の敷地境界線からその高さに等しい水平距離の範囲内に居住する者」,「イ冬至日における真太陽時の8時から16時までの間に中高層建築物等から受ける日影が2時間以上となる範囲内に居住する者」,「ウア及びイに規定する範囲内にある土地又は建築物に関して権利を有する者」及び「エア,イ及びウに掲げる者を除き,中高層建築物等の敷地境界線からその高さの2倍の水平距離の範囲内に居住する者及び当該範囲内にある土地又は建築物に関して権利を有する者」とされている。そして,上記のような近隣関係住民は,説明会開催の対象者となるし(同条例6条),紛争が生じた場合にあっせんや調停の主体となることができる(同条例7条,9条)。このような地位が与えられているのは,上記のような近隣関係住民が,中高層建築物により生活環境に影響を受けるからであり,特に,中高層建築物等の敷地 や調停の主体となることができる(同条例7条,9条)。このような地位が与えられているのは,上記のような近隣関係住民が,中高層建築物により生活環境に影響を受けるからであり,特に,中高層建築物等の敷地境界線からその高さに等しい水平距離の範囲内に居住する者にあっては,生活環境への影響が特に著しいからである。 さらに,原告適格を検討する上では,最高法規である憲法も参酌されるべきである。圧迫感を受けない利益,プライバシーの利益,視界及び眺望を遮られない利益は,憲法13条において人格権として保護される利益であり,人格権は,憲法が構成する法秩序の最も根本に位置する基 本原理である個人の尊厳にかかわる権利である以上,行政事件訴訟法9条の「法律上の利益」に含まれ,原告適格を基礎付ける根拠になるというべきである。 本件において,原告Aらを除くその余の原告らは,いずれも本件敷地の境界線から本件建築物の最高の部分の高さ30.09mの水平距離の1倍の範囲内に居住しており,これは,本件建築物の火災に伴う延焼のおそれ,地震による本件建築物の倒壊のおそれ,日影の影響,風害,圧迫感及びプライバシー侵害が及ぶ範囲内である。 したがって,原告Aらを除くその余の原告らは,本件各確認処分がされたこと及び本件各是正命令が発令されないことにより,建築基準法及びこれと目的を共通にする関係法令が直接に保護している利益を侵害されていることが明らかであるから,本件各確認処分の取消訴訟及び本件各是正命令の発令の義務付け訴訟における原告適格を有する。 (イ)原告Aらについて行政事件訴訟法9条にいう「法律上の利益を有する者」といえるか否かは,近隣住民で生活環境に重大な影響を及ぼされる者を広くとらえるべきである。 本件駐車場の出入口は,本件児童室の専用出入口のほぼ真正面,約6mしか離れ にいう「法律上の利益を有する者」といえるか否かは,近隣住民で生活環境に重大な影響を及ぼされる者を広くとらえるべきである。 本件駐車場の出入口は,本件児童室の専用出入口のほぼ真正面,約6mしか離れていない場所に設置されるところ,本件駐車場に出入りしようとする車両は,本件児童室の専用出入口の直近で直角に転回することになるため,本件児童室の利用者である児童や幼児を連れた母親等の交通弱者の生命及び身体に計り知れない危険を及ぼすことになる。 原告Aは,その子である原告Bらを日常的に本件児童室に通わせている保護者であり,原告Bらは通っている当人たちである。したがって,上記のように,本件条例27条4号に違反する本件駐車場出入口が設置されることは,原告Bらの交通安全上の身体及び生命への侵害のおそれを生じさせるものであるから,原告Aらは,本件各確認処分の取消訴訟及び本件各是正命令の発令の義務付け訴訟において,行政事件訴訟法9条1項にいう「法律上の利益を有する者」に当たるというべきである。 また,原告Bが数年後に進学する予定の中学校のプールが本件建築物から丸見えであり,原告Bが水泳中本件建築物からのぞかれることにより重大犯罪に結び付くかもしれない危険にさらされており,この点でも,原告Aらは行政事件訴訟法9条1項にいう「法律上の利益を有する者」に当たる。 したがって,原告Aらは,本件各確認処分の取消訴訟及び本件各是正命令の発令の義務付け訴訟における原告適格を有する。 (被告Dの主張)(ア)原告Aらを除くその余の原告らについてa一般論として,日照被害について,その侵害のおそれのある者が法律上の利益を有する者に該当することは認める。 しかし,風害又はプライバシー侵害を受けないという利益は建築基準法によって保護される利益ということができないから,風害 いて,その侵害のおそれのある者が法律上の利益を有する者に該当することは認める。 しかし,風害又はプライバシー侵害を受けないという利益は建築基準法によって保護される利益ということができないから,風害及びプライバシー侵害のおそれのある者が建築基準法上法律上の利益を有する者として本件各確認処分の取消訴訟の原告適格を有するということ はできない。 また,本件条例4条2項は,火災の際に,避難,消火及び救出の活動を迅速かつ適切に行う必要がある大規模な中層階建築物が存する敷地の前面道路について最低幅員を定めた規定であるが,関係する不特定多数者全員の個別的利益を一律に保護する趣旨を含むものとは考え難い。 都市計画法は,都市計画の内容及びその決定手続等の都市計画に関し必要な事項を定めることにより,都市の健全な発展と秩序ある整備を図ることを目的とするものであり(同法1条),都市計画区域について無秩序な市街化を防止し,計画的な市街化を図るため,優先的かつ計画的に市街化を図るべき市街化区域と,市街化を抑制すべき市街化調整区域との区分をする(同法7条)ことに加えて,開発許可制度を採用する(同法29条から52条まで)ことにより,良好な市街地の計画的で段階的な整備を図るものである。しかし,開発許可は,開発許可基準を含め,良好な市街化形成という一般的公益の確保を目的とするものであり,都市計画法の上記各規定は,敷地に接する道路の通行上利害関係のある者全員の個別的利益を保護する趣旨を含むものではない。したがって,同法29条1項を根拠に,敷地に接する道路の通行上利害関係のある者につき,当該敷地に係る建築確認処分の取消訴訟等の原告適格を肯定することはできない。 bところで,本件において,原告Aらを除くその余の原告らは,本件建築物による日照被害について,受忍限度を のある者につき,当該敷地に係る建築確認処分の取消訴訟等の原告適格を肯定することはできない。 bところで,本件において,原告Aらを除くその余の原告らは,本件建築物による日照被害について,受忍限度を超える被害を受けないこ とが明らかであるから,同原告らは本件各確認処分の取消訴訟の原告適格を有しないものと解すべきである。 (イ)原告Aらについて仮に,原告Bらが本件児童室に通っているとしても,本件条例27条は,交通の安全を図るために設けられたものであるが,同条に列挙されている施設に通う不特定多数者全員の個別的利益を保護する趣旨を含むものとは考え難いから,それだけでは原告Aらが行政事件訴訟法9条1項にいう「法律上の利益を有する者」に当たるということはできない。 したがって,原告Aらは,本件各確認処分の取消訴訟の原告適格を有しないというべきである。 (被告東京都の主張)(ア)原告らについて建築基準法は,第2章及び第3章において,一般的公益のみならず周辺建築物の居住者及び所有者個人の個別具体的な利益を保護していることが認められるから,このことに関する事情は,本件各是正命令の義務付け訴訟における原告適格を基礎付ける事情となり得るものである。しかし,原告らの主張する眺望及び視界を妨げられない利益,本件建築物により圧迫感を受けない利益又はプライバシーを保護される権利は,そもそも建築基準法第2章及び第3章により保護された利益ではないから,本件各是正命令の発令の義務付け訴訟における原告適格を基礎付けるものとはならない。 (イ)原告Aらを除くその余の原告らについて 甲事件原告L(以下「原告L」という。),原告J及び原告Kは,いずれも,本件建築物から約10mから約30m程度離れた位置に居住する者であり,乙事件原告M,同N,同O,同I及び同P 告らについて 甲事件原告L(以下「原告L」という。),原告J及び原告Kは,いずれも,本件建築物から約10mから約30m程度離れた位置に居住する者であり,乙事件原告M,同N,同O,同I及び同P(以下「原告Mら」という。)は,いずれも,本件建築物から約10mから約25m程度離れた位置に居住する者である。このように,いずれの住居も,本件建築物に隣接しておらず,本件建築物との間に道路や少なくとも1棟の建物が存在するなど,本件建築物の建築によって,直接的に日照,採光又は通風の阻害や火災等の災害の危険を受けるおそれのあるものとはいい得ず,原告J,原告L,原告K及び原告Mらの利益は,法律上保護されている利益といえる程度に具体的なものということはできない。 また,本件建築物は,建築基準法2条9号の2で規定する「耐火建築物」であり,火災への防火機能の確保に限らず,隣家からの火災の延焼防止及び火熱のための変形や倒壊の防止が見込まれる建築構造であり,法的には耐火につき最上の構造に位置付けられるものであるから,本件建築物と直接隣接する土地上に存する建築物ではない原告らの居住する建築物に延焼の危険が生ずるおそれはない。また,本件建築物は,木造建築物等に比べると倒壊する危険の少ない免震構造の鉄筋コンクリート造りの堅固な建築物であり,中庭を有し,南側は9階建てで高さ30mであるが,北側は2階建てで高さ8m程度であり,根こそぎ横転する事態が想定されるような高層ビルとは異なる。 したがって,原告J,原告L,原告K及び原告Mらは,本件各是正命令の発令の義務付け訴訟における原告適格を有しない。 (ウ)原告Aらについて原告Aは,自身の固有の立場において法律上保護された利益が存することが必要なのであって,原告Bらが交通事故に遭遇する危険があるという事情は原告 る原告適格を有しない。 (ウ)原告Aらについて原告Aは,自身の固有の立場において法律上保護された利益が存することが必要なのであって,原告Bらが交通事故に遭遇する危険があるという事情は原告Aの原告適格を基礎付ける事情とはなり得ない。しかも,原告Aらの主張する交通事故が生じるおそれは,本件建築物の建築そのものによって生じる被害ではなく,本件建築物が使用されることによって生じる可能性のある被害にすぎないから,建築基準法によって法律上保護された利益ということはできない。本件建築物からのぞかれることにより重大犯罪に結び付くかもしれない危険があるという原告Aらの主張についても同様である。 さらに,原告Aらの居住地は,本件建築物と直線距離にして約400m程度離れており,本件建築物から直接延焼等の被害を受けるおそれはない。 したがって,原告Aらは,本件各是正命令の発令の義務付け訴訟における原告適格を有しない。 イ争点2(審査請求前置)について(原告Aら及び原告Iの主張)建築基準法96条は,審査請求に対する建築審査会の裁決を経た後でなければ訴訟を提起することができないと規定しているが,同条の趣旨は,建築問題の専門機関にまず紛争の解決をゆだねることが望ましいというものであるにすぎず,この趣旨に反するものでなければ,例外を認めても差し支えないと解すべきである。 特に,原告Aは,その子である原告Bらを本件駐車場出入口付近に位置する本件児童室に通わせている者であり,本件各確認処分の取消訴訟は,同処分が本件条例27条4号に違反する違法なものであることを理由とするものであるところ,本件審査請求においても,本件各確認処分が同号に違反するか否かが争点の1つとして審議され,原告Aは,本件審査請求の手続において,本件児童室を利用する児童の母親として, を理由とするものであるところ,本件審査請求においても,本件各確認処分が同号に違反するか否かが争点の1つとして審議され,原告Aは,本件審査請求の手続において,本件児童室を利用する児童の母親として,仕事上の通称名であるQ名義で陳述書を証拠として提出したものである。したがって,原告Aは,その主張する争点につき本件審査請求で既に審査を受け,裁決を経たということができるから,審査請求前置の要件を満たしているというべきである。 原告Bら及び原告Iも,本件審査請求における審査請求人らの一部が提訴した甲事件に追加的に提訴する形で共同訴訟人となったものであり,その主張する違法事由は既に審査を受けて裁決を経たものであるから,建築問題の専門機関にまず紛争の解決をゆだねることが望ましいという趣旨に反するものではなく,審査請求前置主義の例外を認めてよいと解される。 (被告Dの主張)原告Aら及び原告Iは本件審査請求において審査請求人となっておらず,本件各確認処分に関し審査請求を経由することなく本件訴えを提起した。 したがって,審査請求を前置していないのであるから,原告Aら及び原告Iの本件各確認処分の取消しを求める訴えは,不適法である。 (2)争点3から6まで(本件各確認処分の違法性の有無)についてア争点3(建築基準法42条1項5号の趣旨違反)について (原告らの主張)位置指定道路は,本来,大きな私有地を細分化してそれぞれの敷地に建築物を建てる場合の便宜のために設けられるものである。 本件建築物に係る接道義務を果たすべき道路は,公道(補助24号線)から宗教法人Rの正面を通る位置指定道路(平成元年指定4号)と,R正面から本件建築物の南側の2項道路に接続する位置指定道路(平成14年指定5号)の2つの道路であるが,この2つの道路は,それぞれ異なる経緯で位置指 の正面を通る位置指定道路(平成元年指定4号)と,R正面から本件建築物の南側の2項道路に接続する位置指定道路(平成14年指定5号)の2つの道路であるが,この2つの道路は,それぞれ異なる経緯で位置指定されたものである。 それにもかかわらず,本件建築物に関し,この2つを連結された道路としてとらえ,本件条例4条2項,10条の2に定める幅員6m以上の道路と判断した本件各確認処分は,位置指定道路の本来の制度趣旨に反し,建築基準法42条1項5号の趣旨に適合せず,違法である。 (被告Dの主張)特定行政庁から位置の指定を受けた道路は,建築基準法上の「道路」であり(建築基準法42条1項5号),これを建築基準法に基づく条例である本件条例上の道路として扱うことに何の問題もない。 また,建築基準法42条1項5号の規定からも明らかなように,道路位置指定の権限は,特定行政庁にあり,指定確認検査機関には,その権限も義務もない。指定確認検査機関としては,特定行政庁において道路として指定されたものであることを確認すれば足りる。 そして,被告Dは,本件敷地に接面する位置指定道路の存在並びにその幅員及び長さにつき,建築計画概要書(甲3,4),配置図(丙2)及び 1階平面図(甲16)により確認した。 したがって,この点に関する原告らの主張は,理由がない。 イ争点4(本件条例4条及び10条の2違反)について(原告らの主張)本件敷地が接面する道路は,幅員6mでなければならないにもかかわらず,公道から本件敷地に接面する位置指定道路への出入口部分には堅固なゲート施設として遮断機が設置されており,また,長さ7.11mにわたり,実効幅員3.1mにすぎず,2車線交互通行ができない部分が存在する。このように,本件敷地が接面する道路は,災害時に消防車,救急車及び警察車両といった緊急車両 れており,また,長さ7.11mにわたり,実効幅員3.1mにすぎず,2車線交互通行ができない部分が存在する。このように,本件敷地が接面する道路は,災害時に消防車,救急車及び警察車両といった緊急車両の円滑な通行が確保されておらず,防災上機能不全の欠陥道路というべきである。 したがって,本件各確認処分は,本件条例4条及び10条の2に違反する違法なものである。 (被告Dの主張)(ア)本件建築物の延べ面積の合計は,本件確認処分1に係る計画が1521.99mで本件確認処分2に係る計画が1万1481.49mであ るから,いずれも3000mを超える。また,本件建築物の高さは,本 件確認処分1に係る計画が29.80mで本件確認処分2に係る計画が30.09mであるから,いずれも15mを超える。加えて,本件駐車場の床面積は,本件確認処分1に係る計画が1907.39mで本件確 認処分2に係る計画が1610.10mであるから,それぞれ500mを 超える。 したがって,本件敷地は,幅員6m以上の道路に接していなければならず(本件条例4条),かつ,当該道路に面して当該敷地の自動車の出入口を設けなければならない(同条例10条の2)。 (イ)本件敷地は,幅員6mとして道路位置の指定を受けた道路(平成14年指定第5号)に接しており,当該道路に面して本件敷地からの自動車の出入口が設けられているので,これらの要件に適合している。 被告Dは,本件敷地に接面する道路が幅員6m以上の道路であること(本件条例4条2項,10条の2第1項)につき,建築計画概要書(甲3,4),配置図(丙2)及び1階平面図(甲16)により確認した。 したがって,本件各確認処分は,本件条例4条,10条の2に違反しない。 (ウ)建築基準法42条1項5号に基づく道路としての位置指定は 3,4),配置図(丙2)及び1階平面図(甲16)により確認した。 したがって,本件各確認処分は,本件条例4条,10条の2に違反しない。 (ウ)建築基準法42条1項5号に基づく道路としての位置指定は,特定行政庁の権限であり,指定確認検査機関である被告Dには,その権限も責務もない。 仮に,実態が道路位置の指定を受けた当時の状況と異なる部分があるのであれば,その是正については特定行政庁が別途行うべきことであり,建築確認の処分とは全く関係がない。 指定確認検査機関としては,申請図書等書類上,道路位置指定の有無を確認すれば足り,被告Dには,現状を確認する義務まではない。 ウ争点5(本件条例27条4号違反)について(原告らの主張)本件条例27条は,「自動車の出入口を次に掲げる道路のいずれかに面 して設けてはならない。」とし,同条4号において,「児童公園,小学校,幼稚園,盲学校,ろう学校,養護学校,児童福祉施設,老人ホームその他これらに類するものの出入口から20m以内の道路」とする。同条は,児童や高齢者などの交通弱者の道路における交通の安全を図る趣旨から距離制限をおいたものであり,同号は,例示列挙であるから,児童や高齢者などの交通弱者が一般的に出入りする施設はおよそ「その他これらに類するもの」に含まれると解すべきであり,本件児童室は,正に,これに該当するというべきである。 そうすると,本件駐車場の出入口は,本件児童室の専用出入口の直前に設けられているのであるから,本件各確認処分は,本件条例27条4号に違反し違法である。 (被告Dの主張)(ア)本件児童室は,あくまでも図書館の一部であり,図書館は,本件条例27条4号に明示されていない。また,同号は,児童,高齢者その他の交通弱者が多数日常的に出入りする規模の施設に限定して列挙していると解さ 件児童室は,あくまでも図書館の一部であり,図書館は,本件条例27条4号に明示されていない。また,同号は,児童,高齢者その他の交通弱者が多数日常的に出入りする規模の施設に限定して列挙していると解されるところ,本件児童室は,図書館の1階の一画に設けられており,同号に列挙されている施設と比較して相当小規模であり,かつ,利用者が限定されているため,同号にいう「その他これらに類するもの」ということもできない。 (イ)東京都建築審査会も,本件審査請求の審査において,上記(ア)と同様に判断している。 (ウ)被告Dは,本件条例27条の規定に従い,本件駐車場出入口の設置 位置及び本件敷地が同条各号に定める施設に面していないことにつき,付近見取り図(丙3),配置図(丙2)及び1階平面図(甲16)により確認した。 なお,被告Dは,後日,東京都渋谷区に照会し,平成18年2月13日付けで東京都渋谷区立中央図書館が本件条例27条4号に該当しない旨の回答を得た。 (エ)以上のとおりであるから,本件各確認処分は,本件条例27条4号に違反していない。 エ争点6(都市計画法29条1項違反)について(原告らの主張)建築基準法6条1項,6条の2第1項で審査される建築基準関係規定には,都市計画法も含まれる。そして,同法29条で定める開発行為とは,同法4条12項によると「土地の区画形質の変更」である。 本件建築物の建築計画には,北側の新擁壁を建設するために地盤面を1m以上切土した上,1m以上盛土する計画が含まれているが,このような幅2m,高さ1m以上,長さ約50mにわたって地盤の切土及び盛土をする変更工事は,「土地の区画形質の変更」に当たるから,都市計画法29条1項に基づく開発許可が必要な開発行為である。 それにもかかわらず,本件建築主は,都市計画法29条1項に基 て地盤の切土及び盛土をする変更工事は,「土地の区画形質の変更」に当たるから,都市計画法29条1項に基づく開発許可が必要な開発行為である。 それにもかかわらず,本件建築主は,都市計画法29条1項に基づく開発許可を取得するための手続を経ず,公共施設の整備という負担を免れるため,開発許可逃れをした。 したがって,開発許可を取得することなくされた本件各確認処分は,都 市計画法29条1項に違反し違法である。 (被告Dの主張)(ア)都市計画法29条1項の開発許可に関する権限は,許可を要するか否かの判断を含め,都道府県知事等にあり,指定確認検査機関にはない。 したがって,被告Dは,指定確認検査機関として,開発許可については「建築基準法に基づく指定検査機関等に関する省令」23条1項第一チに従い,当該「規定に適合していることを証する書面をもって行う」こととし,許可書がない場合には,建築基準法77条の32第1項に基づき,確認の適正な実施のために必要な事項として,開発許可の有無について特定行政庁に照会し,許可が不要であることを確認することとしている。 (イ)被告Dは,本件各確認処分をするに際し,申請図書の中に上記(ア)の適合証明書面(許可書)がなかったため,建築基準法77条の32第1項に基づき,確認の適正な実施のために必要な事項として,開発許可の要否について渋谷区に建築計画概要書(甲3,4)を添えて照会した。 渋谷区は,本件建築主から事前相談を受けており,その際に本件建築主が提出した相談図書を基に,平成17年10月11日,開発許可は不要である旨の回答をした。被告Dは,上記回答を受けて,本件各確認処分をしたものである。 (ウ)なお,一般に,地面に新たに土を盛り,又は地面を掘り下げる行為がすべて盛土又は切土として「形質の変更」と評価されるものではない 。被告Dは,上記回答を受けて,本件各確認処分をしたものである。 (ウ)なお,一般に,地面に新たに土を盛り,又は地面を掘り下げる行為がすべて盛土又は切土として「形質の変更」と評価されるものではない。 例えば,建築物の建築工事のために建築物の底面の形で地面を掘り下げ るいわゆる根切りのような行為や既存の擁壁を造り替える行為は,形質の変更に該当しないことは明らかである。本件建築物の建設に当たり,既存の擁壁を造り替える行為をもって,「土地の区画形質の変更」に当たるという原告らの主張は,失当である。 (3)争点7(本件各是正命令を発令しないことの違法性の有無)について(原告らの主張)ア重大な損害が生ずるおそれがあることについて(ア)建築基準法42条1項5号及び本件条例4条2項に違反して,道路の幅員規制に違反しているということは,火事などの災害時には,本件建築物の本件敷地前道路には,緊急車両が円滑に出入りすることができないことを意味する。これでは,本件建築物の住民はもちろん,火の粉などが降りかかり延焼のおそれのある原告らにも計り知れない物的及び人的な損害が生ずるおそれがある。 (イ)本件条例27条4号に違反して,本件児童室の真正面に本件建築物の駐車場出入口が設置されることは,本件児童室に通っている児童らが交通事故に遭遇する危険性が相当高くなるのであって,当該児童ら及びその家族に計り知れない人的な損害が生ずるおそれがある。 (ウ)都市計画法29条1項に違反して,本来取得すべきであった開発許可を取得することなく本件各確認処分がされたのであるから,本件建築物を撤去し,これにかかわる開発行為及び周辺地域の基盤の整備をやり直す必要がある。特に,本件では,上記(ア)のとおりの接面道路の状況であり,はしご車も本件建築物の前まで入ることができな ら,本件建築物を撤去し,これにかかわる開発行為及び周辺地域の基盤の整備をやり直す必要がある。特に,本件では,上記(ア)のとおりの接面道路の状況であり,はしご車も本件建築物の前まで入ることができない。したがっ て,防災上も十分ではない。周囲の道路や空き地との関連を十分に考慮した建築をやり直さなければならない。 イ損害を避けるために他に適切な方法がないことについて本件建築主は,原告らを含む本件建築物の周辺住民の要望に応える意思は全くないので,原告らの上記アの損害を避けるためには,東京都知事から本件建築主に対し本件各是正命令を発令してもらう以外に適切な方法はない。 ウ東京都知事の裁量権の逸脱又は濫用があることについて①本件建築物及び本件敷地には,前記争点3から6までの(原告らの主張)に述べた各違法事由があり,②その違反の内容及び程度は著しく,③これにより行政目的が著しく阻害され,④近隣住民らの生命及び身体やこれに直結する良好な住環境が害されており,⑤本件建築主による自発的な違反解消の見込みは全くない。 このような状況において,東京都知事が是正命令を発動すべきか否かの裁量権は収縮し,正に,本件建築物の違法性を除去するため本件各是正命令を発令する義務が生じているというべきである。 したがって,東京都知事が本件各是正命令の発令権限を行使しないことは,裁量権の逸脱又は濫用に当たるというべきである。 なお,仮に,本件各確認処分が,本件条例4条2項及び10条の2違反,すなわち,幅員6m以上の接道義務の基準を満たしていないという点において違法であると認められる場合には,少なくとも高さ15m以上の建築物を建築してはならないことになる。したがって,そのような場合には, 原告らは,東京都知事に対し,是正命令として,本件建築物のうち少なくとも6階 められる場合には,少なくとも高さ15m以上の建築物を建築してはならないことになる。したがって,そのような場合には, 原告らは,東京都知事に対し,是正命令として,本件建築物のうち少なくとも6階以上の部分の撤去を命ずるよう求める。 (被告東京都の主張)ア是正命令は,特定行政庁において,建築基準法が規定する行政目的達成のために,同法に違反する建築物又は建築物の敷地について,①違反の有無,内容及び程度,②違反によって阻害される行政目的の内容及び程度,③違反により周辺住民の受ける被害の内容及び程度,④是正命令により建築主の受ける不利益の程度,⑤建築主による自発的な違反解消の見込みなどの諸般の事情を考慮した上で,その合理的な判断に基づいて,だれに対し,どのような内容の是正命令を発するか,いつ是正命令を発令するか,どのような手続を経て是正命令を発令するか等を決して,発するものであり,これらの各判断は,特定行政庁の裁量にゆだねられているものと解される。 したがって,本件において,このような行政庁に裁量がゆだねられた行為について,具体的事情の下において,当該権限が付与された趣旨及び目的に照らし,当該権利を行使しないことが著しく不合理であり,裁量権を逸脱し,又は濫用したと認められるような特段の事情があることについて,原告らが主張し立証すべきである。 イところで,本件建築物及び本件敷地について,原告らは,争点3から6までの(原告らの主張)のとおりの違法事由の主張をするが,これらがいずれも理由がないものであることは,以下の(ア)から(エ)までのとおりである。 (ア)建築基準法42条1項5号の趣旨違反の点について本件建築物は,延べ床面積の合計が2万2800.85mであり, 最高の高さが30.09mであるから,建築物の敷地と道路との関係 ある。 (ア)建築基準法42条1項5号の趣旨違反の点について本件建築物は,延べ床面積の合計が2万2800.85mであり, 最高の高さが30.09mであるから,建築物の敷地と道路との関係では,本件条例4条2項が適用されるところ,同項は,同条例1条からも明らかなとおり,建築基準法43条2項による建築物と道路との関係についての制限を附加した規定であり,同条を前提とするものであって,同条例において明示的に道路の概念を定義する規定は存在しないから,同条例4条の「道路」は,建築基準法43条の「道路」と同義であると解されるところ,同条の「道路」の定義は,同法42条に規定されているとおりであって,同条1項5号により位置指定道路も同法43条の「道路」に含まれている。 そうすると,建築物と道路との関係において,当該建築物の敷地が接しなければならない「道路」(建築基準法43条及び本件条例4条)とは,建築基準法42条に定める「道路」であって,大規模開発だから同法42条1項5号に定める位置指定道路に接することが許されないという根拠はない。 したがって,本件敷地の接道義務を満たす道路が位置指定道路であることをもって,建築基準法42条1項5号の趣旨に違反するという原告らの主張は失当である。 (イ)本件条例4条及び10条の2違反の点についてa本件建築物は,延べ床面積の合計が2万2800.85mであり, 高さが最高30.09mであるから,建築物の敷地と道路との関係 では,本件条例4条1項及び2項が適用され,幅員6m以上の道路に10m以上の長さで接しなければならず,また,自動車駐車場の用途に供する部分の床面積の合計が3367.49mであるから, 同条例10条の2第1項の表(い)欄2号により,幅員6m以上の道路に接し,かつ,当該道路に面して自動 ればならず,また,自動車駐車場の用途に供する部分の床面積の合計が3367.49mであるから, 同条例10条の2第1項の表(い)欄2号により,幅員6m以上の道路に接し,かつ,当該道路に面して自動車の出入口を設けなければならない。 そして,本件敷地は,渋谷区により幅員6mとして道路位置の指定を受けた道路に10m以上の長さで接しており,当該道路に面して自動車の出入口が設けられているから,本件条例4条及び10条の2第1項に何ら違反していない。 b原告らは,本件敷地に接面する位置指定道路にゲート施設である遮断機が設置されており,また,実効幅員が3.1mしかない部分が長さ7.11mにも及んでおり,災害時に消防車,救急車及び警察車両の緊急車両の円滑な通行が確保されていないなどと主張する。 しかし,位置指定道路の一部に幅員6mが確保されていない部分があっても,その長さはわずか7m程度にすぎないこと,位置指定道路上に存在する遮断機や車止めは,違法駐車を排除する必要があったことから,当該道路を所有するS神社が消防署及び警察署と事前に協議するなど緊急車両等の進入に支障がないこと等を確認し,緊急の場合の対処方法の合意をした上で設置したものであり,実際上緊急車両の通行に支障がないことなどからしても,原告らの上記主張の事実をもって,本件敷地が本件条例4条及び10条の2第1 項違反となる余地はない。 (ウ)本件条例27条4号違反の点についてa自動車車庫等の用途に供する建築物の敷地に関して,本件条例27条が,同条1号ないし4号に規定する施設等と自動車の出入口の設置位置との距離について規制をしているのは,自動車車庫等の出入口がこれらの施設等の間近に設けられると,交通の安全上好ましくないことによるものである。中でも,同条4号が「児童公園,小学校,幼稚 の設置位置との距離について規制をしているのは,自動車車庫等の出入口がこれらの施設等の間近に設けられると,交通の安全上好ましくないことによるものである。中でも,同条4号が「児童公園,小学校,幼稚園,盲学校,ろう学校,養護学校,児童福祉施設,老人ホームその他これらに類するものの出入口から20メートル以内の道路」に自動車車庫等の出入口の設置を禁止しているのは,「児童公園,小学校,幼稚園,盲学校,ろう学校,養護学校,児童福祉施設,老人ホーム」は専ら児童,視力や聴力の障害者又は高齢者が日常的に利用する独立した施設であるところ,一般人に比して,これらの者は交通の危険に対してこれを予測し,あるいは回避するための判断や行動を自ら適切に行うことを十分に期待できない,いわゆる交通弱者であり,施設全体が専らこれらの者の日常的な利用に供される施設であった場合,その出入口の間近に自動車車庫等の出入口が設けられると,出入りする自動車によりこれらの施設の利用者が受傷する等の事故が生じやすいことから,当該施設の出入口から20mの範囲内において自動車車庫等の出入口の設置を禁止することにより,このような事故の発生を未然に防止するためにある。 そうすると,本件条例27条4号の「その他これらに類するも の」も,「児童公園,小学校,幼稚園,盲学校,ろう学校,養護学校,児童福祉施設,老人ホーム」と同様,施設全体が専ら児童,視力や聴力の障害者又は高齢者のような交通弱者の日常的な利用に供される施設と解すべきである。 bこれを本件についてみると,そもそも図書館の児童室は,子供たちが気軽に図書館を訪れ,図書を通して楽しく学ぶことにより読書への興味や関心を寄せるようにすることを目的として,子供たちが利用しやすいよう,児童図書を一箇所に集め,一般利用者とは別に閲覧場所を設け ちが気軽に図書館を訪れ,図書を通して楽しく学ぶことにより読書への興味や関心を寄せるようにすることを目的として,子供たちが利用しやすいよう,児童図書を一箇所に集め,一般利用者とは別に閲覧場所を設けた図書館の児童図書コーナーであって,図書館と別個独立した施設ではない。実際に,本件児童室についても,図書館出入口とは別に出入口が設けられているとはいえ,図書館とは内部の入口でつながっており,利用者は自由に行き来するがことでき,トイレも図書館と共用になっているなど,構造上,図書館の一部である。そして,本件児童室専用出入口は,午後5時で閉鎖されるが,本件児童室自体は,図書館の開館時間中は内部の入口を通じて自由に利用することができるのであるから,本件児童室は,あくまで図書館の児童図書コーナーであり,施設全体が専ら児童の日常的な利用に供される施設には当たらない。 したがって,本件児童室は,本件条例27条4号所定の施設に該当しないから,原告らの主張は,理由がない。 (エ)都市計画法29条1項違反の点について是正命令を出し得るのは,建築基準法9条1項により「建築基準法 令の規定又はこの法律の規定に基づく許可に付した条件に違反した」場合に限られるところ,上記の「建築基準法令の規定」とは,建築基準法並びにこれに基づく命令及び条例の規定をいうのであるから(建築基準法6条1項本文参照),建築基準法令以外の法令違反は,たとえその法令が建築物に関する技術的基準を定めたものであり,かつ,建築基準法6条の確認の対象となるものであっても,そもそも是正命令の対象とはならない。 原告らは,被告東京都に対し,都市計画法違反を理由に本件各是正命令を発令するよう求めているのであるから,その前提において誤りがあり,主張自体失当である。 ウそうすると,本件建築物及び本件敷地 い。 原告らは,被告東京都に対し,都市計画法違反を理由に本件各是正命令を発令するよう求めているのであるから,その前提において誤りがあり,主張自体失当である。 ウそうすると,本件建築物及び本件敷地について,原告らが主張するような法令違反は認められないのであるから,その余の事情を考慮するまでもなく,原告らの被告東京都に対する請求は,行政事件訴訟法37条の2第5項に定める要件を充足しないというべきである。 したがって,東京都知事が本件各是正命令を発令しないことにつき,裁量権の逸脱又は濫用はない。 第3争点に対する判断 本案前の争点について(1)争点1(原告適格)についてア行政事件訴訟法9条は取消訴訟の原告適格について規定するが,同条1項にいう当該処分の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」とは,当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され, 又は必然的に侵害されるおそれのある者をいうのであり,当該処分を定めた行政法規が,不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず,それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には,このような利益もここにいう法律上保護された利益に当たり,当該処分によりこれを侵害され,又は必然的に侵害されるおそれのある者は,当該処分の取消訴訟における原告適格を有するものというべきである。そして,処分の相手方以外の者について上記の法律上保護された利益の有無を判断するに当たっては,当該処分の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく,当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮すべきであり,この場合において,当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たっては,当該法令と目的を共通に ることなく,当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮すべきであり,この場合において,当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たっては,当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌し,当該利益の内容及び性質を考慮するに当たっては,当該処分がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案すべきものである(同条2項参照)(以上につき,最高裁平成16年(行ヒ)第114号同17年12月7日大法廷判決・民集59巻10号2645頁参照)。 イそこで,まず,建築確認の処分の取消訴訟における原告適格について検討する。 (ア)建築基準法6条の2第1項は,同法6条1項各号に掲げる建築物の計画が,建築基準関係規定に適合するものであることについて,指定確 認検査機関の確認を受け,確認済証の交付を受けなければ,建築主は当該工事に着手することができない旨を規定しているところ,建築基準法令の規定のうち,同法21条(大規模の建築物の主要構造部),52条(容積率),55条(第一種低層住居専用地域又は第二種低層住居専用地域内における建築物の高さの限度),56条(建築物の各部分の高さ)及び56条の2(日影による中高層の建築物の高さの制限)の各規定に適合するものであることについて確認することができなければ,当該建築物の建築等の工事をすることができないこととしているのは,①当該建築物並びにその居住者の生命,身体の安全及び健康の保護を図り,②当該建築物及びその周辺の建築物における日照,通風及び採光等を良好に保つなど快適な居住環境を確保することができるようにするとともに,③地震及び火災等により当該建築物が倒壊し,又は炎上するなど万一の 当該建築物及びその周辺の建築物における日照,通風及び採光等を良好に保つなど快適な居住環境を確保することができるようにするとともに,③地震及び火災等により当該建築物が倒壊し,又は炎上するなど万一の事態が生じた場合に,その周辺の建築物やその居住者に重大な被害が及ぶことのないようにするためであると解される。 そして,以上のような建築基準法6条の2第1項の趣旨及び目的,同項が同法6条1項各号に掲げる建築物の計画が建築基準法令の規定に適合するものであることの確認において保護しようとしている利益の内容及び性質等のほか,同法が建築物の敷地,構造等に関する最低の基準を定めて国民の生命,健康及び財産の保護を図ることなどを目的としていること(同法1条)をも考慮すると,同法6条の2第1項は,同項による確認に係る建築物並びにその居住者の生命又は身体の安全及び健康を保護し,その建築等が市街地の環境の整備改善に資するようにするとと もに,当該建築物に火災が発生したり倒壊した場合に延焼又は損傷したりするなどの直接的な被害が及ぶことが想定される周辺の一定範囲の地域に存する他の建築物についてその居住者の生命及び身体の安全並びに財産としてのその建築物並びに当該建築物により日照を阻害される周辺の他の建築物に居住する者の健康を個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むものと解するのが相当である。 (イ)また,建築基準法43条1項は,「建築物の敷地は,道路(…(略)…)に2メートル以上接しなければならない。ただし,その敷地の周囲に広い空地を有する建築物その他の国土交通省令で定める基準に適合する建築物で,特定行政庁が交通上,安全上,防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したものについては,この限りでない。」と規定しているところ,これ 土交通省令で定める基準に適合する建築物で,特定行政庁が交通上,安全上,防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したものについては,この限りでない。」と規定しているところ,これは,道路が,平常時における通行の場として必要であるのみならず,当該建築物及びこれに隣接する建築物等における日照,通風,採光等を良好に保つとともに,当該建築物に火災等の災害が発生した場合における避難,消火及び救助の活動を迅速かつ適切に行うために必要であり,道路のないところに建築物が相当の密度で立ち並ぶことは,当該建築物の居住者等のみならずこれに隣接する建築物等の居住者等の平時の利用に不便なばかりでなく,その災害時の避難や消火活動にも大きな支障を来すことから,原則として,建築物の敷地は一定の広さを有する道路に接していなければならないとしたものであると解される。そうであるとすると,同項の規定は,当該建築物及びこれに隣接する建築物等における日照,通風,採光等を良好 に保つことのほかに,当該建築物に災害が発生した場合に,当該建築物及びその隣接する建築物等についてその居住者等の生命,身体の安全等及び財産としてのその建築物を保護することをもその目的に含むものと解するのが相当である。また,同条2項は,「地方公共団体は,…(略)…延べ面積(…(略)…)が1000平方メートルを超える建築物の敷地が接しなければならない道路の幅員,その敷地が道路に接する部分の長さその他その敷地又は建築物と道路との関係についてこれらの建築物の用途又は規模の特殊性により,前項の規定によつては避難又は通行の安全の目的を充分に達し難いと認める場合においては,条例で,必要な制限を付加することができる。」と規定しているところ,これは,一定の用途や規模を有する建築物の場合,それらの建築 つては避難又は通行の安全の目的を充分に達し難いと認める場合においては,条例で,必要な制限を付加することができる。」と規定しているところ,これは,一定の用途や規模を有する建築物の場合,それらの建築物の敷地が同条1項の規定する幅員4m(特定の区域内では6m)の道路に2m以上接しなければならないという制限だけでは,平常時における通行の確保並びに火災等の災害の発生時における迅速かつ適切な避難,消火及び救助の活動ができないおそれがあることから,地方公共団体の条例で,建築物の用途又は規模の特殊性に応じて,各地方の実情に合わせて必要な制限を付加することができる旨規定したものと解するのが相当である。上記規定を受けて,本件条例4条1項は,「延べ面積(…(略)…)が1000平方メートルを超える建築物の敷地は,その延べ面積に応じて,次の表に掲げる長さ以上道路に接しなければならない。」と規定し,同条2項は,「延べ面積が3000平方メートルを超え,かつ,建築物の高さが15メートルを超える建築物の敷地に対する前項の規定の適用に ついては,同項中「道路」とあるのは,「幅員6メートル以上の道路」とする。」と規定しているところ,これらの規定が設けられたのは,建築基準法43条2項の趣旨も考慮すると,そのような一定の規模を超える建築物について,平常時における通行を確保するためだけではなく,火災等の災害が発生した場合に,これに隣接する建築物等やその居住者等に重大な被害が及ぶことのないように避難,消火及び救助の活動を迅速かつ適切に行うことができるようにするためであると解するのが相当である。 以上のような本件条例4条1項及び2項の趣旨や目的,これらの規定を通して保護しようとしている利益の内容や性質等を考慮すると,これらの規定は,当該建築物の火災等による被害が直接的に のが相当である。 以上のような本件条例4条1項及び2項の趣旨や目的,これらの規定を通して保護しようとしている利益の内容や性質等を考慮すると,これらの規定は,当該建築物の火災等による被害が直接的に及ぶことが想定される周辺の一定範囲の地域に存する他の建築物についてその居住者の生命,身体の安全等及び財産としてのその建築物を,個々人の個別的利益として保護すべきものとする趣旨を含むものと解するのが相当である。 そうすると,建築物の火災等により直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に存する建築物に居住し,又はこれを所有する者は,当該建築物の建築確認の処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有するものと解するのが相当である。 (ウ)以上のとおりであり,建築確認に係る建築物の倒壊又は炎上等により直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に存する他の建築物に居住し,又はこれを所有する者並びに当該建築物により日照を阻害される周辺の他の建築物の居住者は,当該建築確認の取消しを求めるに つき法律上の利益を有する者として,その取消しの訴えにおける原告適格を有すると解するのが相当である。 ウ以上の検討の結果は,建築基準法令の規定に違反する建築物又は敷地を取り締まる目的の建築基準法9条に基づく是正命令の義務付け訴訟における原告適格についても,基本的に妥当するものというべきである。すなわち,当該建築物の倒壊又は炎上等により直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に存する他の建築物に居住し,又はこれを所有する者並びに当該建築物により日照を阻害される周辺の他の建築物の居住者は,当該建築物が建築基準法令に違反する建築物であることを理由として,特定行政庁に対し,建築基準法9条1項に基づく除却等の是正命令の発動を求める義務付け訴訟の原告適格を有す 周辺の他の建築物の居住者は,当該建築物が建築基準法令に違反する建築物であることを理由として,特定行政庁に対し,建築基準法9条1項に基づく除却等の是正命令の発動を求める義務付け訴訟の原告適格を有すると解するのが相当である(行政事件訴訟法37条の2第3項,4項,9条2項)。 エなお,原告らは,眺望及び視界を妨げられない利益,本件建築物により圧迫感を受けない利益並びにプライバシーを保護される権利を建築確認の処分の取消訴訟における原告適格を基礎付ける法律上保護された利益である旨主張するが,これらの利益又は権利は,建築物について規制を定める建築基準法第2章及び第3章の諸規定が個別的,具体的利益として保護していると解することは困難であるから,上記主張は失当である。また,建築基準法9条1項に基づく是正命令の発令の義務付け訴訟についても,これらの利益又は権利が原告適格を基礎付けるものとはならないことは,同様である。 オ(ア)原告Aらを除くその余の原告らについて a証拠(甲3から5まで,41,乙1,2)によると,本件建築物の高さは,北側が2階建てで高さが約8mであるが,南側が9階建てで高さが30.09mであること,原告Aらを除くその余の原告らは,いずれも本件敷地の境界線から直線距離で約10mから約30mの範囲内に存する建築物に居住していることを認めることができる。 そうすると,原告Aらを除くその余の原告らが居住する建築物は,いずれも本件建築物が炎上又は倒壊すれば,直接損傷を受ける蓋然性がある範囲内に在るということができる。 したがって,原告Aらを除くその余の原告らは,本件各確認処分の取消しを求める原告適格及び本件各是正命令発令の義務付けを求める原告適格をそれぞれ有するものというべきである。 bこれに対し,被告東京都は,原告Aらを除くその余 くその余の原告らは,本件各確認処分の取消しを求める原告適格及び本件各是正命令発令の義務付けを求める原告適格をそれぞれ有するものというべきである。 bこれに対し,被告東京都は,原告Aらを除くその余の原告らの住居はいずれも本件建築物に隣接せず,本件建築物との間に道路や少なくとも1棟の建築物が存在するなどしているから,本件建築物の建築によって災害の危険を直接受けるとはいい得ず,同原告らの利益は法律上保護されている程度に具体的なものとはいえず,また,本件建築物は耐火建築物であるから本件建築物と直接隣接する土地上に存しない建築物に延焼及び倒壊の危険が生ずるおそれはないなどと主張する。 しかし,原告適格を判断するに当たり,当該建築物の倒壊炎上等の災害のおそれがあることを理由として建築確認処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有するというためには,その者の居住し,又は所有する建築物が当該建築物の建築によって直接阻害されるという関 係があることをもって足り,それは社会通念に照らし,合理的に判断すべきものであって,そのためには,建築確認に係る建築物の敷地の境界線からその高さと同程度の距離の範囲内に存する建築物の居住者及び所有者であれば,必ずしも当該建築物に隣接しているものでなくても,その生命,健康又は財産に直接の影響を受ける者として原告適格を有する者と解すべきである。現実に当該建築物が倒壊ないし炎上するおそれがあるか否か,建築確認処分が建築基準法令の規定における防火上の規制や耐震性の規制等に適合するか否かといったことは,それによって原告適格を否定すべき事柄ではなく,本案の問題として判断されるべきものであると解するのが相当である。 したがって,被告東京都の上記主張は,採用することができない。 (イ)原告Aらについてa証拠(乙1,2)及び弁 べき事柄ではなく,本案の問題として判断されるべきものであると解するのが相当である。 したがって,被告東京都の上記主張は,採用することができない。 (イ)原告Aらについてa証拠(乙1,2)及び弁論の全趣旨によると,原告Aらは,本件建築物から直線距離で約400mの位置に存する建築物に居住していることを認めることができる。 そうすると,原告Aらの居住する建築物は,本件建築物が炎上又は倒壊したとしても,直接損傷を受ける蓋然性がある範囲外に在るというべきであるし,本件建築物により日照の被害を受けることがないことも明らかである(乙3)。 したがって,原告Aらは,本件各確認処分の取消しを求める原告適格及び本件各是正命令発令の義務付けを求める原告適格を有しないというべきである。 bこの点に関し,原告Aらは,本件駐車場の出入口の設置位置に関し,本件児童室の専用出入口との関係において,自動車車庫等の用途に供する建築物の敷地から道路への自動車の出入口の設置位置に関する規制である本件条例27条4号が適用されるところ,同号は,本件児童室の利用者である児童及びその親の交通安全上の身体及び生命の安全を保護する趣旨の規定であるから,原告Aの子である原告Bらが日常的に本件児童室に通っており,本件駐車場に出入りする車両による交通事故に巻き込まれる危険性があるから,原告Aらは,いずれも行政事件訴訟法9条1項にいう「法律上の利益を有する者」に当たると主張する。 確かに,自動車車庫等の用途に供する建築物の敷地に関して,本件条例27条が,同条1号ないし4号に規定する施設等と自動車の道路への出入口の設置位置との距離について規制をしているのは,自動車車庫等の出入口がこれらの施設等の間近に設けられると,交通の安全上好ましくないことによるものである。中でも,同条4号が「 と自動車の道路への出入口の設置位置との距離について規制をしているのは,自動車車庫等の出入口がこれらの施設等の間近に設けられると,交通の安全上好ましくないことによるものである。中でも,同条4号が「児童公園,小学校,幼稚園,盲学校,ろう学校,養護学校,児童福祉施設,老人ホームその他これらに類するものの出入口から20メートル以内の道路」に自動車車庫等の出入口の設置を禁止しているのは,「児童公園,小学校,幼稚園,盲学校,ろう学校,養護学校,児童福祉施設,老人ホーム」は専ら児童,視力や聴力の障害者又は高齢者が日常的に利用する独立した施設であるところ,一般人に比して,これらの者は交通の危険に対してこれを予測し,あるいは回避するための判断や行 動を自ら適切に行うことを十分に期待することができない,いわゆる交通弱者であり,当該施設全体が専らこれらの者の日常的な利用に供される施設であった場合,その出入口の間近に自動車車庫等の出入口が設けられると,出入りする自動車によりこれらの施設の利用者が受傷する等の事故が生じやすいことから,当該施設の出入口から20mの範囲内において自動車車庫等の出入口の設置を禁止することにより,このような事故の発生を未然に防止するためである。そうすると,同号の「その他これらに類するもの」は,「児童公園,小学校,幼稚園,盲学校,ろう学校,養護学校,児童福祉施設,老人ホーム」と同様,施設全体が専ら児童,視力や聴力の障害者又は高齢者のような交通弱者の日常的な利用に供される施設と解すべきであり,同号の趣旨は,同号に列挙した諸施設に通う児童,障害者,高齢者等の交通弱者の交通安全上の保護を図ることにあるから,その生命及び身体を個別的に保護する趣旨を含むものであると解すべきである。 ところで,原告Aらの上記主張によっても,本件児童室に 童,障害者,高齢者等の交通弱者の交通安全上の保護を図ることにあるから,その生命及び身体を個別的に保護する趣旨を含むものであると解すべきである。 ところで,原告Aらの上記主張によっても,本件児童室に通っているのは,原告Bらであるというのであるから,本件条例27条4号を根拠に原告適格を基礎付けることができるとしても,それは,原告Bらについてのみであって,原告A自身の固有の立場における法律上保護された利益ではないから,原告Bらが交通事故に遭遇する危険があるという事情は,原告Aの原告適格を基礎付ける事情とはならないというべきである。 そこで,本件児童室に通う原告Bらの本件条例27条4号を根拠と する原告適格の有無を判断する上で,本件駐車場の出入口の設置位置に関し,本件児童室の専用出入口との関係において同号の規定が適用されるか否か,すなわち,本件児童室が同号の「その他これに類するもの」に該当するか否かを検討する。 証拠(甲6,17の1及び2,18の1から3まで,19から21まで,41)によると,本件児童室は,子供たちが利用しやすいように,児童図書を一箇所に集め,一般利用者とは別に閲覧場所を設けたものであり,児童用の座席が6人分程度用意されていること,本件児童室は,図書館出入口とは別に専用出入口が設けられているが,図書館の1階の一画に位置する100m余りの空間であり,1階の他の部 分とは内部の出入口でつながっており,図書館の利用者は誰でも自由に行き来することでき,トイレも図書館の一般利用者と共用になっていること,本件児童室は,専用出入口が午後5時で閉鎖されるが,図書館の開館時間中内部の出入口を通じて自由に利用することができることを認めることができる。そうすると,本件児童室は,構造上も機能上も図書館の一部であり,これと別個に独立した施設 時で閉鎖されるが,図書館の開館時間中内部の出入口を通じて自由に利用することができることを認めることができる。そうすると,本件児童室は,構造上も機能上も図書館の一部であり,これと別個に独立した施設として存在するものではないというべきであるから,施設全体が専ら児童の日常的な利用に供されるものということはできないというべきである。 したがって,本件児童室を一部に含む図書館が本件条例27条4号の「その他これに類するもの」に該当しないというだけでなく,本件児童室自体としてもこれに該当しないというべきであるから,本件駐車場の出入口の設置位置に関し,本件児童室の専用出入口との関係に おいて,同号の規制は及ばないというべきである。 そうすると,原告Bらは,本件敷地から道路への自動車の出入口の規制に関し,本件児童室の専用出入口との関係において本件条例27条4号が適用されることを前提に,同号を根拠に原告適格を有する旨主張するものであるが,その前提を欠くというべきである。 したがって,原告Bらが本件児童室に通っているとしても,そのことは本件各確認処分の取消訴訟及び本件各是正命令の発令の義務付け訴訟における原告適格を基礎付ける事情とはなり得ないから,原告Bらに原告適格を認めることはできないといわなければならない。 cまた,原告Aらは,原告Bが数年後に本件建築物に近接する中学校に通う予定であるが,同校のプールが本件建物からのぞかれることにより原告Bが重大犯罪に巻き込まれるおそれがあるから,原告Aらは,いずれも行政事件訴訟法9条1項にいう「法律上の利益を有する者」に当たると主張する。 しかし,原告Bが上記のような重大犯罪に巻き込まれるおそれがあるとしても,それが原告A及び同Cの原告適格を基礎付ける事情とならないことはいうまでもなく,また,原告Bについても に当たると主張する。 しかし,原告Bが上記のような重大犯罪に巻き込まれるおそれがあるとしても,それが原告A及び同Cの原告適格を基礎付ける事情とならないことはいうまでもなく,また,原告Bについても,重大犯罪に巻き込まれる危険というものは,本件建築物の建築や存在自体によって生じる被害ではなく,本件建築物の使用方法いかんによって生じる可能性のある被害にすぎないから,このような被害を可能な限り回避して身体及び生命の安全を図ることは確かに平穏な生活を送る上で重要なことではあるが,建築基準法その他これと目的を共通にする関係 法令によって法律上保護された利益ということはできず,本件各確認処分や本件各是正命令とは直接的な関連性がないものといわざるを得ないから,本件各確認処分の取消訴訟及び本件各是正命令の義務付け訴訟における原告適格を基礎付ける法律上保護された利益ということはできない。 d以上のとおりであり,原告Aらには,その主張するいずれの観点からも,原告適格を認めることはできない。 カ以上のとおりであり,原告Aらを除くその余の原告らは,本件各確認処分の取消しを求める原告適格及び本件各是正命令発令の義務付けを求める原告適格をそれぞれ有するものというべきであるが,原告Aらはいずれの訴えについても原告適格を有しないというべきである。 (2)争点2(審査請求前置)についてア建築基準法96条は,指定確認検査機関の処分の取消しの訴えは,当該処分についての審査請求に対する建築審査会の裁決を経た後でなければ,提起することができないと定めているところ,同条は,処分に対する救済の方法として,処分に不服のある者は,訴えによる救済を求めるに先立ってまず行政上の不服申立ての手続を経由すべきであることを要求しているのであり,このように訴えを提起するについて不 ,処分に対する救済の方法として,処分に不服のある者は,訴えによる救済を求めるに先立ってまず行政上の不服申立ての手続を経由すべきであることを要求しているのであり,このように訴えを提起するについて不服申立手続の前置が定められている場合においては,原則として訴えを提起する者(以下「訴訟提起者」という。)自身が同不服申立手続を経ていることが予定されているものと解するのが相当である。したがって,訴訟提起者自身がその手続を経由していない以上,たまたま他の者が当該処分について訴訟提起者の主 張と同一の理由に基づいて審査請求を経ていたとしても,両者が当該処分に対し一体的な利害関係を有し,実質的にみれば,その者のした審査請求は同時に訴訟提起者のための審査請求でもあるといえるような特段の事情が存しない限り,訴訟提起者の訴えについて当然に審査請求が経由されたと同視して,これを適法な訴えと解することはできないというべきである(最高裁昭和58年(行ツ)第75号同61年6月10日第三小法廷判決・集民148号159頁参照)。 本件においては,前記前提事実(2)オのとおり,原告Aら及び原告Iは,本件各確認処分につき自らは審査請求をすることなく直接本件各確認処分の取消訴訟を提起したものであるので,原告Aら及び原告I以外の原告らが本件審査請求の手続を経たことによって審査請求前置の要件が満たされるといえるような特段の事情があるか否かが問題となる。原告Aらは,前記(1)のとおり本件のいずれの訴えについても原告適格を有しないから,重ねてこの点を検討する必要はないので,以下,原告Iについてのみ検討する。 イ証拠(甲6)によると,原告Aら及び原告Iを除くその余の原告らが本件審査請求において主張した本件各確認処分の違法事由(前記前提事実(2)オ参照)は,本件各確認処分の 告Iについてのみ検討する。 イ証拠(甲6)によると,原告Aら及び原告Iを除くその余の原告らが本件審査請求において主張した本件各確認処分の違法事由(前記前提事実(2)オ参照)は,本件各確認処分の取消訴訟において原告Iが主張する本件各確認処分の違法事由(争点3から6まで参照)と同旨のものである。 そうすると,東京都建築審査会としては,本件審査請求の手続中において,原告らが主張した違法事由について審査をする機会が十分にあったのであり,実際,東京都建築審査会は,前記前提事実(2)カのとおり,これら の違法事由がいずれも存在しないと判断した上で,本件審査請求を棄却したものである。他方,原告Iの利害状況についてみるに,証拠(乙2)によると,原告Iは,原告Pと道路を1本隔てた隣り合う建築物に居住していると認めることができ,本件建築物の建築に伴う被害の内容及び程度等は,原告Pとほぼ同じということができる。そうすると,原告Iは,本件審査請求を経た原告Pを含む他の乙事件原告らの共同訴訟人として乙事件に係る訴えを提起したものであるが,本件各確認処分について原告Iが主張する各違法事由を改めて東京都建築審査会に審査させる必要性は乏しいものというべきであり,また,前記前提事実(2)カのとおりの本件裁決の理由に照らせば,原告Iが上記各違法事由を主張して改めて本件各確認処分につき審査請求をしたとしても,東京都建築審査会により,その違法事由の主張が採用されることを期待することは困難であったということができる。 したがって,原告Iと本件審査請求をした他の原告らとは,本件各確認処分に対し一体的な利害関係を有し,実質的にみれば,その者らのした本件審査請求は同時に原告Iのための審査請求でもあるといえるような特段の事情があるというべきである。 ウ以上によると,原告I 各確認処分に対し一体的な利害関係を有し,実質的にみれば,その者らのした本件審査請求は同時に原告Iのための審査請求でもあるといえるような特段の事情があるというべきである。 ウ以上によると,原告Iの本件各確認処分の取消訴訟は,審査請求の手続が経由されたと同視して,これを適法な訴えと解することができる。 (3)小括以上のとおりであり,原告Aらの各訴えはいずれも不適法であるが,その余の原告らの各訴えはいずれも適法であるというべきである。 そこで,以下,争点3以降につき,原告Aらを除くその余の原告らとの関係において検討を進める。 本件各確認処分の違法性の有無について(1)争点3(建築基準法42条1項5号の趣旨違反の有無)について原告Aらを除くその余の原告らは,本件敷地が幅員6m以上の道路に10m以上の長さで接していなければならないところ,この接道義務を満たす道路が位置指定道路とされている点,及び2つの異なる経緯で指定された位置指定道路を1つの道路として本件建築物の建設という大規模開発の目的に利用している点において,本件各確認処分は建築基準法42条1項5号の趣旨に違反する旨主張する。 そこで検討するに,証拠(甲3,4,乙4,5)によると,本件建築物は,延べ床面積の合計が2万2800.85mであり,高さが30.09mであ ることが認められるから,建築物の敷地と道路との関係では,本件敷地は本件条例4条1項及び2項により幅員6m以上の道路に10m以上の長さで接しなければならならない。そして,証拠(甲3から5まで,9,乙4,5)によると,本件各確認処分において,幅員6m,長さ108.17mの位置指定道路,すなわち平成14年12月18日に道路位置の変更がされた指定第5号の位置指定道路に,本件敷地が長さ102.86mにわたり接面している 各確認処分において,幅員6m,長さ108.17mの位置指定道路,すなわち平成14年12月18日に道路位置の変更がされた指定第5号の位置指定道路に,本件敷地が長さ102.86mにわたり接面している点をもって,上記の接道義務を満たすものとされたことが認められる。 ところで,本件条例4条1項及び2項は,同条例1条からも明らかなとおり,建築基準法43条2項による建築物の敷地及び建築物と道路との関係についての制限を付加した規定であるから,同条を前提とするものであるとこ ろ,同条例において明示的に「道路」の概念を定義する規定は存在しないから,同条例4条にいう「道路」とは,同法43条の「道路」と同義であると解される。そして,同条の「道路」の定義は,同法42条に規定されているとおりである。そうすると,同法42条1項5号の位置指定道路は,特定行政庁が行政処分によって私道の存否又は位置を明確にするためにするものであり,建築基準法上の「道路」とされているのであるから,同法43条の「道路」に含まれており,同法に基づく条例である本件条例上の「道路」として扱うことができるというべきである。原告Aらを除くその余の原告らが主張するように,当該位置指定道路が指定を受けるきっかけとなった当初の目的のためだけに存在する「道路」であって,その目的以外には建築基準法上の「道路」と扱うことは許されないなどという理由を見いだすことはできない。 したがって,本件敷地が位置指定道路により接道義務を満たすとすることは許されず,建築基準法42条1項5号の趣旨に違反するという原告Aらを除くその余の原告らの主張は,根拠がないものというほかなく,失当である。 (2)争点4(本件条例4条及び10条の2違反の有無)についてア前記(1)のとおり,本件敷地と道路との関係では,本件敷地は本件条例 の余の原告らの主張は,根拠がないものというほかなく,失当である。 (2)争点4(本件条例4条及び10条の2違反の有無)についてア前記(1)のとおり,本件敷地と道路との関係では,本件敷地は本件条例4条1項及び2項により幅員6m以上の道路に10m以上の長さで接しなければならず,また,証拠(甲3,4,乙4,5)によると,自動車駐車場の用途に供する部分の床面積の合計が3367.49mであるから,同条 例10条の2第1項の表(い)欄2号により,幅員6m以上の道路に接し,かつ,当該道路に面して自動車の出入口を設けなければならないところ, 証拠(甲3から5まで,9)によると,本件敷地は,その東部から東南部において,渋谷区により幅員6mとして道路位置の指定を受けた位置指定道路に102.86mの長さで接しており,当該道路に面して自動車の出入口が設けられていることが認められるから,本件条例4条及び10条の2第1項に違反していないということができる。 イこの点に関し,原告Aらを除くその余の原告らは,本件敷地に接面する位置指定道路にゲート施設である遮断機が設置されており,また実効幅員が3.1mしかない部分が長さ7.11mにわたって存在し,災害時に消防車,救急車及び警察車両といった緊急車両の円滑な通行が確保されておらず,防災上機能不全の欠陥道路というべきであり,この点から本件条例4条及び10条の2第1項違反である旨主張する。 しかし,証拠(甲7から9まで,11から13まで)及び弁論の全趣旨によると,本件敷地に接面する位置指定道路の北西端は,平成元年8月30日に道路位置の変更がされた指定第4号の位置指定道路に通じ,さらに,同道路から公道に通じるものであること,本件敷地に接面する位置指定道路及び指定第4号の位置指定道路は,S神社の私道であり,指定第4号 日に道路位置の変更がされた指定第4号の位置指定道路に通じ,さらに,同道路から公道に通じるものであること,本件敷地に接面する位置指定道路及び指定第4号の位置指定道路は,S神社の私道であり,指定第4号の位置指定道路上に,同神社がゲート施設として遮断機を設置していること,この遮断機には,さお受けポールがあるため,車道部分の幅員が約3.1mと狭くなっており,さお受けポールを取り外して歩道部分を含めても幅員約4.4mしかないこと,このように6mの幅員が確保されていない部分は,指定第4号の指定道路のうち7.11mの長さにわたること,本件敷地の接面する位置指定道路は,本件駐車場出入口の接面部分を含め全長 にわたり幅員6mが確保されていることを認めることができる。 加えて,証拠(甲11,12,14,16)によると,上記遮断機は,本件敷地に接面する位置指定道路及び指定第4号の位置指定道路が原宿竹下通りの裏手に位置し,私道のため警察の取締りが及ばず,違法駐車が跡を絶たなかったことから,S神社が設置したものであり,緊急車両等の通行を確保するために,同神社が24時間操作可能な管理体制を執っていること,遮断機のさお受けポールは人力で容易に引き抜くことができるものであること,大型消防車であるはしご車の車幅は2.45mであり,さお受けポールを引き抜かなくても遮断機を通過する上で支障がないことが渋谷消防署と同神社との設置前協議において確認されている上,同神社と警察署及び消防署との間で,緊急の場合には,遮断機のバーを破壊したり,持ち上げて進入したりする旨合意されていること,本件敷地に接面する位置指定道路の西端には,南京錠で施錠された引抜式の車止めが2箇所設置されており,その先は,幅員4m未満の建築基準法42条2項道路に通じているが,車止めは,南京錠を開錠して引 と,本件敷地に接面する位置指定道路の西端には,南京錠で施錠された引抜式の車止めが2箇所設置されており,その先は,幅員4m未満の建築基準法42条2項道路に通じているが,車止めは,南京錠を開錠して引き抜くことが可能であり,鍵は同神社が管理しているが,東京都清掃局も合鍵を管理しており,ゴミ収集時には開錠してゴミ収集車が本件敷地に接面する位置指定道路と建築基準法42条2項道路を通行していること,本件建築主は,渋谷消防署との事前協議を踏まえ,本件建築物の建築計画には,本件敷地に接面する位置指定道路の車止め手前で本件敷地内に消防車等の緊急車両が進入する出入口及び緊急車両用の幅員6mの敷地内通路を設けたことを認めることができる。 そうすると,遮断機,車止め等が存在することや,本件敷地に接面する位置指定道路に進入する手前において一部幅員6mが確保できていない道路が存在するからといって,本件敷地が本件条例4条2項及び10条の2の接道義務を満たしているという判断が覆ることはないのは前記のとおりであるが,それだけではなく,前記認定事実によれば,本件敷地に接面する位置指定道路が防災上機能不全の欠陥道路であるという原告Aらを除くその余の原告らの主張も直ちに採用することはできないというべきである。 ウ以上のとおりであり,本件敷地は本件条例4条及び10条の2に違反するものではなく,原告Aらを除くその余の原告らの主張は理由がない。 (3)争点5(本件条例27条4号違反の有無)について原告Aらを除くその余の原告らは,本件児童室が本件条例27条4号に定める「児童公園,小学校,幼稚園,盲学校,ろう学校,養護学校,児童福祉施設,老人ホームその他これらに類するもの」に当たるから,本件児童室出入口の20m以内に本件駐車場の出入口を設けることは,本件児童室に通う児童 ,小学校,幼稚園,盲学校,ろう学校,養護学校,児童福祉施設,老人ホームその他これらに類するもの」に当たるから,本件児童室出入口の20m以内に本件駐車場の出入口を設けることは,本件児童室に通う児童の道路における交通の安全を脅かすものであり,同号に違反する旨主張する。 ところで,取消訴訟は,原告とのかかわりを離れて広く違法な処分の是正を図ることを目的とするというものではなく,違法な処分によって侵害された原告の権利利益を救済するための訴訟であるから,行政事件訴訟法10条1項は,原告が自己の法律上の利益に関係のない違法を取消しの理由として主張することができない旨規定している。そして,この「自己の法律上の利益に関係のない違法」とは,行政庁の処分に存する違法のうち,原告の権利 利益を保護する趣旨で設けられたものではない法規に違反した違法を意味するものと解される。 そうすると,原告Aらを除くその余の原告らの上記違法事由の主張は,自己の法律上の利益に関係のない違法をいうものであることは明らかであるから,行政事件訴訟法10条1項により主張自体失当というべきである。 したがって,原告Aらを除くその余の原告らの上記主張は理由がない。 (4)争点6(都市計画法29条1項違反の有無)についてア原告Aらを除くその余の原告らは,本件敷地の造成に当たり,都市計画法29条1項に基づく開発許可が必要であったにもかかわらず,本件建築主は,これを免れて本件各確認処分を得たものであり,同項に違反する旨主張する。 イしかしながら,原告Aらを除くその余の原告らが都市計画法29条1項の許可を要する開発行為に当たると主張する行為は,本件建築物の北側に位置する既存の擁壁を造り替える行為であるところ,このような行為が都市計画法29条に基づく許可が必要な開発行為である「土地の区画 項の許可を要する開発行為に当たると主張する行為は,本件建築物の北側に位置する既存の擁壁を造り替える行為であるところ,このような行為が都市計画法29条に基づく許可が必要な開発行為である「土地の区画形質の変更」(同法4条12項)に当たるとはいい難い上,証拠(甲6,14,23,25から27まで,38,42の1及び2,乙1,2)により認められる北側擁壁の造替え工事の内容や当該擁壁に隣接する宗教法人Rの敷地の存在及び当該擁壁と同原告らの居住する各建築物との位置関係からすると,たとえ当該擁壁の造替え工事に関し何らかの瑕疵があり,当該擁壁が崩れることがあったとしても,隣接する宗教法人Rの敷地に被害が及ぶおそれはあっても,同原告らの居住する各建築物又は各敷地に被害を及ぶ おそれはないとうかがわれることや同法29条の開発行為の許可の規制が,同法の目的とする都市の健全な発展と秩序ある整備並びに健康で文化的な都市生活及び機能的な都市生活の確保という公共の利益の実現のために行われるものであることを考慮すると,本件敷地外の周辺住民である同原告らにとっては,仮に同法29条1項に違反する事実があったとしても,それは,行政事件訴訟法10条1項にいう「自己の法律上の利益に関係のない違法」というべきものであり,同原告らは,同項により,都市計画法29条1項違反の事実を本件各確認処分の取消しの理由として主張することはできないというべきである。 争点7(本件各是正命令発令の義務付けの要件の充足の有無)について(1)前記1(1)オ(イ)のとおり,原告Aらは,本件各是正命令の発令の義務付けを求める訴えの原告適格を有していないから,原告Aらの同訴えは,いずれも不適法である。 そこで,以下,前記1(1)オ(ア)のとおり原告適格が認められる原告Aらを除くその余の原告らに の発令の義務付けを求める訴えの原告適格を有していないから,原告Aらの同訴えは,いずれも不適法である。 そこで,以下,前記1(1)オ(ア)のとおり原告適格が認められる原告Aらを除くその余の原告らについて検討する。 (2)ア建築基準法を始めとする法令上,是正命令を求める申請権は規定されておらず,是正命令は特定行政庁が職権で行うものということができることからすると,本件各是正命令の発令の義務付けの訴えは,行政事件訴訟法3条6項1号,37条の2所定のいわゆる非申請型の義務付けの訴えであると解すべきであるところ,同条1項は,「一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれ」があることを非申請型の義務付けの訴えの適法要件としている。 そこで,まず,本件各是正命令が発せられないことにより原告Aらを除くその余の原告らに「重大な損害を生ずるおそれ」があるか否かにつき検討する。 イこの点について,原告Aらを除くその余の原告らは,本件各是正命令が発せられないことにより,①本件建築物が適法な接道義務を果たしておらず接道幅が不十分なため,本件建築物の火災の際の消火活動や災害時等の救急活動等に支障が生じ,周辺に火災等の拡大をもたらすおそれがあること,②本件児童室に通う児童ら及びその家族に交通安全上の被害が及ぶこと,③都市計画法29条1項に違反する本件建築物が近隣地域の住環境に悪影響を及ぼすことを指摘し,これらを理由として「重大な損害を生ずるおそれ」がある旨主張する。 ウそこで検討するに,行政事件訴訟法37条の2第1項が同法3条6項1号のいわゆる非申請型の義務付けの訴えにおいて,「重大な損害を生ずるおそれ」があることを訴えの適法要件としたのは,このような内容の義務付けの訴えを認めることは,法令上の申請権がない者にあたかも申請権を認めることと 請型の義務付けの訴えにおいて,「重大な損害を生ずるおそれ」があることを訴えの適法要件としたのは,このような内容の義務付けの訴えを認めることは,法令上の申請権がない者にあたかも申請権を認めることと同じような結果となることから,このような内容の訴訟上の救済を認める場合とは,義務付けの訴えによる救済の必要性が高い場合に限られるべきであると考えたからであると解することができる。したがって,行政事件訴訟法37条の2第1項にいう「重大な損害を生ずるおそれ」があることとは,義務付けの訴えによって救済されることが必要であると主張する原告自身に「重大な損害を生ずるおそれ」があることをいい,第三者に損害が生ずるおそれがある場合を含まないと解すべきである。 これを本件についてみると,前記イ①から③までのいずれの点についても,原告以外の周辺住民等第三者に損害が生ずるおそれがあることを主張している部分は,そのような損害を理由として,行政事件訴訟法37条の2第1項にいう「重大な損害を生ずるおそれ」を認めることはできないというべきである。 そうすると,原告Aらを除くその余の原告らは,本件児童室との関係を主張立証していないから,前記イ②の点に関する主張は第三者の損害を理由とするものといわざるを得ないので,前記イ②の点において重大な損害を生ずるとする同原告らの主張は,失当である。 また,前記イ③の点についても,前記2(4)のとおり,都市計画法29条1項違反の有無は,原告Aらを除くその余の原告らの法律上の利益と直接的には関係しない事柄というべきであり,したがって,前記イ③の点において重大な損害が生ずるとする同原告らの主張は,理由がない。 しかしながら,原告Aらを除くその余の原告らは,前記イ①の点,すなわち,本件建築物が接道義務を満たしておらず,不十分なものであるか の点において重大な損害が生ずるとする同原告らの主張は,理由がない。 しかしながら,原告Aらを除くその余の原告らは,前記イ①の点,すなわち,本件建築物が接道義務を満たしておらず,不十分なものであるから,火災の際の消火活動や災害時等の救急活動等に支障が生じ,周辺に火災等の拡大をもたらすおそれがあることを理由として,「重大な損害を生ずるおそれ」があると主張するところ,前示のとおり接道義務は,当該建築物に火災が発生した際の消火活動や災害時等の救急活動等に支障が生ずることのないように,近隣住民の住居との関係においても,本件建築物の火災の際の消火活動や災害時等の救急活動等に支障が生じ,周辺に火災等の拡大をもたらすおそれがあるので,これを防止するために規制されているも のであるから,仮に本件建築物が接道義務を果たしていないものであるならば,同原告らの居住する各建築物と本件建築物の位置関係からして,その居住する各建築物に火災等が拡大して身体及び生命に危険が及ぶおそれがあるのであって,これは「重大な損害を生ずるおそれ」であるというべきである。 そこで,本件建築物が接道義務を満たしていないのであれば本件各是正命令が発せられないことにより,原告Aらを除くその余の原告らに「重大な損害を生ずるおそれ」があるということができるので,更に,検討を進める。 (3)ア建築基準法9条1項に基づく是正命令は,特定行政庁において,同法が規定する行政目的達成のために,同法に違反する建築物又は建築物の敷地について,①違反の有無,内容及び程度,②違反によって阻害される行政目的の内容及び程度,③違反により周辺住民の受ける被害の内容及び程度,④是正命令により建築主の受ける不利益の程度,⑤建築主による自発的な違反解消の見込みなどの諸般の事情を考慮した上で,その合理的な判断に 内容及び程度,③違反により周辺住民の受ける被害の内容及び程度,④是正命令により建築主の受ける不利益の程度,⑤建築主による自発的な違反解消の見込みなどの諸般の事情を考慮した上で,その合理的な判断に基づいて,誰に対し,どのような内容の是正命令を発するか,いつ是正命令を発令するか,どのような手続を経て是正命令を発令するか等を決して,発するものであり,これらの各判断は,特定行政庁の裁量にゆだねられているものと解される。そうすると,特定行政庁の裁量にゆだねられたこのような行為に関し,具体的事情の下において,当該権限が付与された趣旨及び目的に照らし,当該権利を行使しないことが著しく不合理であり,裁量権を逸脱ないし濫用したものであると認められるような特段の事情があ るかどうかが問題となる。 イこれを本件についてみるに,まず,原告Aらを除くその余の原告らは,本件建築物が接道義務を果たしておらず,建築基準法42条1項5号,本件条例4条及び10条の2に違反する旨主張する。 しかしながら,本件敷地が接道義務を満たしているものであることは,前記2(1)及び(2)のとおりであるから,本件建築物及び本件敷地は,建築基準法42条1項5号,本件条例4条及び10条の2に違反するものではない。 よって,同原告らの上記主張は理由がない。 ウ次に,原告Aらを除くその余の原告らは,本件駐車場の出入口が本件児童室の専用出入口に近接した位置に設けられていることから,本件条例27条4号に違反する旨主張する。 しかし,上記主張は,前記(2)ウのとおり,同原告らに重大な損害をもたらすことのない,いわば自己の法律上の利益に関係のない違法をいうものであるから,行政事件訴訟法10条1項の準用により主張自体失当というべきである。 エさらに,原告Aらを除くその余の原告らは,本件建築主が とのない,いわば自己の法律上の利益に関係のない違法をいうものであるから,行政事件訴訟法10条1項の準用により主張自体失当というべきである。 エさらに,原告Aらを除くその余の原告らは,本件建築主が都市計画法29条1項に基づく開発許可を免れて本件各確認処分を取得し,本件建築物の建設をしているから,本件建築物は同項に違反し,是正命令の対象となる旨主張する。 しかしながら,特定行政庁が建築基準法9条1項に基づく是正命令を発することができるのは,「建築基準法令の規定又はこの法律の規定に基づ く許可に付した条件に違反した」場合に限られるところ(同項),同法6条1項本文によると,「建築基準法令の規定」とは,建築基準法並びにこれに基づく命令及び条例の規定をいうのであるから,仮に都市計画法違反の事実があったとしても,そのことを理由として是正命令を発することはできないというほかない。 オ以上のとおりであるから,原告Aらを除くその余の原告らの主張するいずれの点においても,本件建築物又は本件敷地が建築基準法令の規定に違反するということはできないのであって,東京都知事が本件各是正命令を発令する前提を欠くというべきである。 よって,原告Aらを除くその余の原告らの請求は理由がない。 第4 結論 よって,本件訴えのうち,原告Aらの各訴えは不適法であるからいずれも却下し,その余の原告らの各訴えに係る請求は理由がないからいずれも棄却することとし,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民訴法61条,65条1項本文を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第38部裁判長裁判官杉原則彦裁判官小田靖子 裁判官島村典男 部裁判長 裁判官杉原則彦 裁判官小田靖子 裁判官島村典男
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