主文 1 被告B及び被告Cは、TOYOTIRE株式会社に対し、連帯して1億3828万8810円及びこれに対する平成28年9月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告らは、TOYOTIRE株式会社に対し、連帯して2000万円及び これに対する平成28年9月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用(補助参加によって生じた費用を除く。)は、①原告に生じた費用を80分し、その49を原告の負担、その27を被告B及び被告Cの負担、そ の余を被告らの負担とし、②被告Aに生じた費用を20分し、その19を原告の負担、その余を被告Aの負担とし、③被告Bに生じた費用を80分し、その49を原告の負担、その余を被告Bの負担とし、④被告Cに生じた費用を80分し、その49を原告の負担、その余を被告Cの負担とし、⑤被告Dに生じた費用を20分し、その19を原告の負担、その余を被告Dの負担とし、補助参 加によって生じた費用は、これを80分し、その49を原告の負担とし、その余は被告ら補助参加人の負担とする。 5 この判決は、第1項及び第2項に限り、仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 被告らは、TOYOTIRE株式会社に対し、連帯して3億円及びこれに対する平成28年9月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告らは、TOYOTIRE株式会社に対し、連帯して1億円及びこれに対する平成28年9月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 事案の要旨 本件は、TOYOTIRE株式会社(本店:兵庫県伊丹市藤ノ木2丁目2番13号。以下「本 月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 事案の要旨 本件は、TOYOTIRE株式会社(本店:兵庫県伊丹市藤ノ木2丁目2番13号。以下「本件会社」という。)の株主である原告が、本件会社の子会社が建築基準法所定の国土交通大臣による認定において定められた技術的基準に適合しない建築用免震積層ゴム(以下、単に「免震積層ゴム」という。)を販売していたことについて、①本件会社の取締役であった被告らは、平成26 年9月19日に予定されていた免震積層ゴムである後記の本件出荷品の出荷の停止を判断すべき善管注意義務等を負っていたにもかかわらず、その履行を怠り、そのため前記の免震積層ゴムが出荷され、本件会社に免震積層ゴム交換費用等に係る損害として合計3億円の損害が生じ、また、②被告らは、平成26年9月以降、免震積層ゴムに係る問題を国土交通省(以下「国交省」という。) に報告するとともに一般に公表する判断をすべき善管注意義務を負っていたにもかかわらず、その履行を怠り、そのため本件会社に信用毀損による損害及び社外調査チーム設置費用に係る損害として合計3億0771万0197円の損害が生じたと主張して、被告らに対し、本件会社の会社法423条1項による損害賠償請求権に基づき、連帯して、①につき3億円及びこれに対する履行の 請求をした日の後の日(訴状送達の日の後の日)である平成28年9月2日から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法(以下「改正前民法」という。)所定の年5分の割合による遅延損害金、②につき前記3億0771万0197円のうちの一部請求として1億円及びこれに対する前記同日から支払済みまで改正前民法所定の年5分の割合による遅延損害金を本件会社に 支払うよう求める株 損害金、②につき前記3億0771万0197円のうちの一部請求として1億円及びこれに対する前記同日から支払済みまで改正前民法所定の年5分の割合による遅延損害金を本件会社に 支払うよう求める株主代表訴訟に係る事案である。 なお、原告は、本件において、被告らの他に本件会社の取締役12名に対しても、同様の訴えを提起していたが、後にそれらの訴えをいずれも取り下げた。 2 免震積層ゴムの安全性に関する法令の定め⑴ 建築基準法の定め ア建築基準法37条(平成30年法律第33号による改正前のもの。以下 同じ。)は、建築物の基礎、主要構造部その他安全上、防火上又は衛生上重要である政令で定める部分に使用する木材、鋼材、コンクリートその他の建築材料として国土交通大臣が定めるもの(以下「指定建築材料」という。)は、①その品質が指定建築材料ごとに国土交通大臣の指定する日本工業規格又は日本農林規格に適合するもの、又は、②指定建築材料ごとに 国土交通大臣が定める安全上、防火上又は衛生上必要な品質に関する技術的基準に適合するものであることについて国土交通大臣の認定(以下「大臣認定」という。)を受けたものでなければならない旨を規定する。 イ建築基準法68条の26(平成26年法律第54号による改正前のもの)は、大臣認定(同条1項にいう「構造方法等の認定」)について、次のと おり規定する。 (ア) 国土交通大臣は、大臣認定のための審査に当たっては、審査に係る構造方法、建築材料又はプログラムの性能に関する評価に基づきこれを行うものとする。 (イ) 国土交通大臣は、指定性能評価機関(建築基準法77条の56参照) に、大臣認定のための審査に必要な評価の全部又は一部を行わせることができる。 (ウ) 前記(イ)の場合、大臣認定の (イ) 国土交通大臣は、指定性能評価機関(建築基準法77条の56参照) に、大臣認定のための審査に必要な評価の全部又は一部を行わせることができる。 (ウ) 前記(イ)の場合、大臣認定の申請をしようとする者は、同条7項のときを除き、指定性能評価機関が作成した当該申請に係る構造方法、建築材料又はプログラムの性能に関する評価書を申請書に添えて、当該 申請をしなければならない(以下、大臣認定の取得に当たり、申請者が国土交通大臣及び指定性能評価機関に対して提出する性能評価に関する各書類を「黒本」という。)。 ⑵ 指定建築材料及びその技術的基準に係る建設省告示の定め平成12年建設省告示第1446号は、指定建築材料及びその技術的基準 について、次のとおり規定する。 ア免震材料(平成12年建設省告示第2009号第1第1号に規定する免震材料その他これに類するものをいう。以下同じ。)は、指定建築材料とする。 ここでいう免震材料には、建築材料のうち、建築物に作用する地震力を低減する機能を有する、積層ゴムその他これに類する弾性体を材料と する弾性系の支承材(水平に設置され、主として建築物に作用する鉛直荷重を支持し、建築物の水平方向の変形性能を確保するもの)が含まれる。 イ免震材料に関しては、適合すべき日本工業規格の定めはなく、大臣認定に係る技術的基準について、次の定めがある(以下、大臣認定において認 定された製品の性能指標の基準値を「大臣評価基準」という。)。 (ア) 支承材につき、等価剛性(免震積層ゴムが水平方向に変形した際の復元力に関する性能指標をいう。以下「水平剛性」という。)、等価粘性減衰定数(免震積層ゴムの振動を吸収する力に関する性能指標をいう。以下「減衰定数」という。)等のうち、必要な基準値 向に変形した際の復元力に関する性能指標をいう。以下「水平剛性」という。)、等価粘性減衰定数(免震積層ゴムの振動を吸収する力に関する性能指標をいう。以下「減衰定数」という。)等のうち、必要な基準値が定められて いること(イ) 支承材につき、水平剛性及び減衰定数の各基準値に対するばらつきの基準値(以下「乖離値」という。)が定められていること 3 前提事実(争いのない事実、顕著な事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実) ⑴ 当事者等ア本件会社は、各種タイヤ及び各種ゴム製品の製造、加工並びに販売等を目的とする株式会社であり、本件訴え提起時、大阪市西区に本店を置いていたが、その後、兵庫県伊丹市に本店を移転した。 イ原告は、本件会社の1単元(100株)以上の株式である100株の株 式を、平成27年11月17日以降、継続して保有する者である。(甲ア 1の1・2、甲ア2の1)ウ被告らは、平成26年3月から平成27年3月までの間、いずれも本件会社の取締役を務めていた。 エ被告ら補助参加人は、亡E(平成▲年▲月▲日死亡)の妻である。Eは、平成27年7月に辞任するまで、本件会社の代表取締役を務めていた。 オ東洋ゴム化工品株式会社(英語表記は「ToyoChemicalIndustrialProductsCo.,Ltd」である。以下「CI」という。)は、平成25年1月、本件会社の完全子会社として設立された。(甲ケ20)⑵ 本件会社の事業及び組織等本件会社の当時の主な事業としては、タイヤ事業とダイバーテック事業が ある。そのうちタイヤ事業は、本件会社の主幹事業であり、平成26年度の本件会社の売上高の約8割を占める事業部門であった。ダイバーテック事業は、平成26年 は、タイヤ事業とダイバーテック事業が ある。そのうちタイヤ事業は、本件会社の主幹事業であり、平成26年度の本件会社の売上高の約8割を占める事業部門であった。ダイバーテック事業は、平成26年当時、鉄道車両用の防振ゴム、空気バネ等の様々なゴム製品を製造・販売していた。本件で問題となる免震積層ゴムは、ダイバーテック事業の一製品であり、その売上高は本件会社グループ全体の0.2%程度で あった。 ダイバーテック事業分野のうち化工品の製造・開発・販売部門は、平成24年までは本件会社に置かれていたが、平成25年1月、CIに移管された。 (甲ア5の2、甲ケ20)⑶ 本件会社及びCIの関係者及び役職 ア Fは、平成26年当時、CIの代表取締役社長を務めていた。(甲ケ32)イ Gは、平成26年4月から、本件会社の兵庫事業所長に加え、CIの取締役、執行役員及び技術生産本部長を務めていた。(甲ケ18)ウ Hは、平成26年当時、本件会社ダイバーテック事業本部自動車ゴム製 品ビジネスユニット自動車ゴム製品技術本部長を務めていた。(甲ア5の 2)エ Iは、昭和63年4月に本件会社に技術者として入社し、平成8年頃から本件会社の明石工場において免震積層ゴムの開発に携わっていた。 Iは、平成25年1月、CIの発足と同時期に、本件会社の開発技術部からCIの営業技術部に異動した。(甲ア5の2、甲ケ23、甲ケ24) オ Jは、平成24年8月に本件会社に入社し、本件会社の明石工場においてIと共に高減衰ゴム系積層ゴム支承の設計を担当した。 Jは、平成25年1月、CIの設立に伴ってCIに出向し、前任者であるIから免震積層ゴムの性能検査後に行われていた補正作業や大臣評価基準を満たすかどうかの合否判定業務を引き継いだ。(甲ケ20、甲 。 Jは、平成25年1月、CIの設立に伴ってCIに出向し、前任者であるIから免震積層ゴムの性能検査後に行われていた補正作業や大臣評価基準を満たすかどうかの合否判定業務を引き継いだ。(甲ケ20、甲ケ 21)⑷ 免震積層ゴムア免震積層ゴムとは、ゴムと鋼板を交互に積み重ねた構造を持つ建築材料であり、地面と建物との間に組み入れ、地震発生時に水平方向に変形してエネルギーを吸収し、地震の揺れを建物に伝わりにくくする性能を有する ものである。(甲ア12、甲ケ1)イ本件会社及びCIの製品である免震積層ゴムには、せん断弾性係数(物質の固さの程度を示す指標)、素材等の種別により、次の製品があった。 (甲ア5の2)(ア) 「SHRB-E4」タイプ(せん断弾性係数G:0.39N/㎟) の製品名「高減衰ゴム系積層ゴム支承」(以下「G0.39」という。 なお、G0.39は、本件会社において通称で「E4」と呼称されていた。)(イ) 「SHRB-E4」タイプ(せん断弾性係数G:0.35N/㎟)の製品名「高減衰ゴム系積層ゴム支承」(以下「G0.35」という。) (ウ) 「SHRB-E6」タイプ(せん断弾性係数G:0.62N/㎟) の製品名「高減衰ゴム系積層ゴム支承」(以下「G0.62」という。)(エ) 製品名「天然ゴム系積層ゴム支承」(以下「天然ゴム支承」という。)(オ) 製品名「弾性すべり支承」(以下「弾性すべり支承」という。)ウ本件会社及びCIで製造する免震積層ゴムには、その外側に円筒形の形状をしたフランジという付属部品があり、免震積層ゴムとその他の部品と を接続する機能を果たしている。本件会社の製品には、免震積層ゴムとフランジが別体として製造され、設置時に組み合わせるフランジ別体型と、これらが一体 付属部品があり、免震積層ゴムとその他の部品と を接続する機能を果たしている。本件会社の製品には、免震積層ゴムとフランジが別体として製造され、設置時に組み合わせるフランジ別体型と、これらが一体として製造されたフランジ一体型がある。(甲ア5の2、乙Aア4の2)⑸ 免震積層ゴムの開発に際して実施される試験等 ア本件会社は、免震積層ゴムの開発過程において、免震積層ゴムの試験体が大臣評価基準に適合するかを確かめるため、載荷試験(構造物等に一時的な静的荷重を加え、荷重が構造物等に及ぼす変形等の影響を調べる試験をいう。以下同じ。)を実施していた。 載荷試験は、荷重(力)を加えた状態で免震積層ゴムを振動させ、そ れによる免震積層ゴムの変位量(位置の変化量)を計測することにより行われる。水平剛性、減衰定数等の実測値(試験機による実際の測定により得られた変位及び荷重の数値に対し、摩擦による影響を解消するための補正等を行うことにより得られた性能指標の数値をいう。以下同じ。)を求める際には、水平方向の荷重を加え、水平方向の変位を計測する載 荷試験を実施する。(甲ア5の2、甲ア12、甲ア30の25)イ本件会社及びCIには、G0.39の載荷試験に関し、実物大の試験体を最大0.015ヘルツ(約66秒に1回)の振動で試験できる26メガニュートン機と、スケールモデル(実物大の規格より直径の小さい実験用の規格の試験体をいう。以下同じ。)を最大0.5ヘルツ(2秒に1回) の振動で試験できる2メガニュートン機があった。 実物大の試験体について0.5ヘルツの振動を加えた際の水平剛性、減衰定数を測定するには、試験体を26メガニュートン機と2メガニュートン機で測定した結果を踏まえ、振動数の差異、温度の差異又は試験機の差異等を 試験体について0.5ヘルツの振動を加えた際の水平剛性、減衰定数を測定するには、試験体を26メガニュートン機と2メガニュートン機で測定した結果を踏まえ、振動数の差異、温度の差異又は試験機の差異等を解消するための補正係数を決定した上、実物大の試験体を0.015ヘルツで測定した実測値に、前記補正係数による補正を加え た測定値(実測値に対し、振動数の差異、温度の差異又は試験機の差異等を解消するための補正を行うことにより得られた数値をいう。以下同じ。)を算出する。(甲ア5の2、甲ア12、甲ケ34、乙Bア2)⑹ 大臣認定の取得等ア本件会社は、平成12年12月14日から平成24年2月17日までの 間に、G0.39について5回、G0.35について7回、G0.62について2回、天然ゴム支承について6回、弾性すべり支承について2回の大臣認定を受けた。(甲ア5の2)イ本件会社が平成23年10月25日に受けた、G0.39フランジ一体型に係る最新(5回目)の大臣認定では、水平剛性及び減衰定数の乖離値 は、いずれも個々の製品につき基準値±20%、ある物件に用いられる製品全体の平均につき基準値±10%と定められていた。(甲ア5の2)⑺ 消防本部庁舎建設工事用免震積層ゴムの出荷に至る経緯ア株式会社淺沼組(以下「淺沼組」という。)は、平成26年2月19日、枚方寝屋川消防組合(以下「本件消防組合」という。)との間で、新消防 本部庁舎の建設工事請負契約を締結し、同年4月以降、商社を通じ、CIに対し、前記工事に使用するG0.39フランジ一体型(直径1050mm)19基(以下「本件出荷品」という。)を発注した。(甲ケ7、甲ケ10、甲ケ16)イ CIの担当者は、平成26年9月3日頃、本件出荷品につき、性能検査 成績書を作成 体型(直径1050mm)19基(以下「本件出荷品」という。)を発注した。(甲ケ7、甲ケ10、甲ケ16)イ CIの担当者は、平成26年9月3日頃、本件出荷品につき、性能検査 成績書を作成し、同月4日、淺沼組の担当者と共に本件出荷品のうち1基 につき立会検査を実施して、立会検査性能試験成績書を作成した。前記各書面には、水平剛性及び減衰定数の乖離値は、いずれも個々の製品につき基準値±20%、製品全体の平均につき基準値±10%の範囲内にあり、検査に合格した旨の記載がある。(甲ケ5)ウ CIは、平成26年9月19日、本件出荷品を出荷した(以下「本件出 荷」という。)。(甲ケ18)⑻ 出荷停止及び国交省への報告本件会社は、平成27年2月2日、同月13日に予定されていたG0.39の立会検査の延期及び出荷停止の判断をし、同月9日、国交省に対し、G0.39が使用されている55物件について、大臣認定の性能評価基準に適 合しない免震積層ゴムが使用されている疑いがある旨の報告を行った。(甲ア5の2)⑼ 事実の公表本件会社は、平成27年3月13日、CIを通じて製造・販売していた免震積層ゴムの一部が大臣評価基準に適合していなかったとして、次の内容を 公表した。(甲ア12)ア本件会社は、大臣認定を受け、子会社であるCIを通じて建築物の基礎部材として指定建築材料『高減衰ゴム系積層ゴム支承』(高減衰ゴム)を製造・販売していたが、今般、出荷していた高減衰ゴムの一部が、大臣評価基準に適合していないとの事実が判明し、国交省に報告をした。 イまた、本件会社は、過去に複数回、高減衰ゴムの大臣認定を取得していたが、その一部の認定に際し、技術的根拠のない性能評価基準の申請により、大臣認定を受けていた事実も判明した。本 をした。 イまた、本件会社は、過去に複数回、高減衰ゴムの大臣認定を取得していたが、その一部の認定に際し、技術的根拠のない性能評価基準の申請により、大臣認定を受けていた事実も判明した。本件会社は、これについても国交省に自主的に取下げを申請し、本日付けで当該認定の取消しを受けた。 ウこれにより、前記イの大臣認定を前提としていた高減衰ゴムは、大臣認 定を受けた指定建築材料として認められないこととなる。前記大臣認定の 性能評価基準に適合していなかった製品及び技術的根拠のない申請による大臣認定に基づき出荷されていた製品(当該製品)を、建築物の基礎や主要構造部等に使用する建築物(対象物件)は、建築基準法37条に違反することとなる。 エ本件会社としては、かかる建築基準法違反の問題について、国交省の指 導を仰ぎながら適切に対応する所存であり、まずは、対象物件の各建設会社及び各設計事務所に対し、「建築物としての安全性に問題のないこと」の検証(構造計算)を行っていただくよう依頼を始めている。併せて、対象物件の所有者、居住者等に連絡を取り、誠意をもって今後の対処について相談を進める。また、これらと並行して、当該製品についての大臣認定 を改めて取得すべく、その手続を進める。 ⑽ 社外調査の実施等本件会社は、前記⑼に係る同社及びCI製造の免震積層ゴムの構造方法等が大臣評価基準に適合していなかった件について、本件会社及びCIと利害関係を有しない弁護士によって構成された社外調査チームに調査を依頼した。 同調査チームは、平成27年6月19日、本件会社に調査報告書(甲ア5の2)を提出した。同報告書には、本件会社における免震積層ゴムに関する問題行為として、次の記載がある。(甲ア5の2)ア大臣認定を取得する際の問題 成27年6月19日、本件会社に調査報告書(甲ア5の2)を提出した。同報告書には、本件会社における免震積層ゴムに関する問題行為として、次の記載がある。(甲ア5の2)ア大臣認定を取得する際の問題行為本件会社は、平成12年12月14日から平成24年2月17日まで の間、免震積層ゴムについて、合計20回にわたり、延べ24個の大臣認定を取得しているが、Iは、これら各認定のうち、少なくとも合計16回、延べ20個の大臣認定の取得に際し、技術的根拠のない乖離値(又は乖離値の平均値)を記載して申請を行い、大臣認定を取得する等の問題行為を行った。 具体的には、①補正を名目として、技術的根拠なく算出した乖離値を 黒本中に記載したり、②載荷試験を現実に実施せずに推定により算出した技術的根拠のない乖離値を黒本中に記載したり、③出荷時の性能検査において顧客に対して交付された技術的根拠のない乖離値を黒本中に記載したりすることにより、免震積層ゴムの試験体又は製品の性能指標が各大臣認定の黒本中で前提とされている基準内に収まるかのように記載 し、大臣認定を取得していたものである。 イ出荷時の性能検査における問題行為本件会社又はCIは、平成12年11月から平成27年2月までの間に、合計175物件に対して、免震積層ゴムを出荷している。Iは、平成12年11月から平成24年12月までの間に、免震積層ゴムの出荷 時の性能検査において、技術的根拠のない恣意的な数値を用いて、免震積層ゴムの性能指標が大臣評価基準に適合しているかのように社内の品質保証部等の担当者に対して報告し、真実を知らない社内担当者をして、実際には大臣評価基準に適合していない免震積層ゴムを出荷に至らせていた。 また、Iの後任のJ及びその他の者も、認識の程度に 質保証部等の担当者に対して報告し、真実を知らない社内担当者をして、実際には大臣評価基準に適合していない免震積層ゴムを出荷に至らせていた。 また、Iの後任のJ及びその他の者も、認識の程度に差異はあったものの、平成22年11月から平成27年2月までの間に、免震積層ゴムの出荷時の性能検査において、技術的根拠のない恣意的な数値を用いて、免震積層ゴムの性能指標が大臣評価基準に適合しているかのように社内の品質保証部等の担当者に対して報告し、真実を知らない社内担当者を して、実際には大臣評価基準に適合していない免震積層ゴムを出荷に至らせていた。Jらは、Iからの引継ぎ等に従い、基本的にはIと同様の方法を踏襲していたものである。 なお、本件会社及びCIが技術的根拠に基づくと考える方法により実施した再検証の結果、本件会社及びCIが免震積層ゴムを出荷した前記 175物件のうち、本件出荷品を含む129物件が大臣評価基準に適合 しなかった。また、4物件については、データ欠損等の理由により、厳密な再検証が実施できなかった。 ウ検査成績書作成における問題行為本件会社及びCIの品質保証部の担当者は、平成13年1月から平成25年3月までの間、顧客に対して交付する免震積層ゴムの性能試験の 結果を記載した検査成績書の作成において(G0.39、G0.35、G0.62及び天然ゴム支承の一部に限る。)、開発技術部から受領した免震積層ゴムの性能指標の測定結果の数値をそのまま転記せず、技術的根拠のない恣意的な数値に書き換えた上で、当該検査成績書を顧客に対して交付していた。 ⑾ 本件出荷についての刑事事件CIは、平成29年12月12日、枚方簡易裁判所において、次の犯罪事実の要旨のとおり、平成27年法律第54号による改正前の不正競 客に対して交付していた。 ⑾ 本件出荷についての刑事事件CIは、平成29年12月12日、枚方簡易裁判所において、次の犯罪事実の要旨のとおり、平成27年法律第54号による改正前の不正競争防止法22条1項、21条2項5号に反するものとして、罰金1000万円に処された。 (犯罪事実の要旨)被告人CIは、ゴム製品の製造販売等の事業を営むものであるが、同社取締役G及び同社従業員らにおいて、平成26年9月3日頃、同社が淺沼組から受注して製造し、本件消防組合新消防本部庁舎に設置する本件出荷品につき、実際には、大臣評価基準に適合していないにもかかわらず、同基準に適 合しているとの内容虚偽の性能検査成績書を作成し、さらに同月4日、本件出荷品のうち1基につき、前同様の内容虚偽の立会検査性能試験成績書を作成した上、同月17日頃、運送業者らを介して、前記淺沼組の事務所において、前記内容虚偽の性能検査成績書及び立会検査性能試験成績書を含む免震積層ゴム支承検査成績書を同社大阪本店建築部所長に交付し、もって商品の 品質について誤認させるような虚偽の表示をしたものである。(甲ア28) ⑿ 提訴請求等ア原告は、平成28年5月17日、本件会社の監査役に対し、被告らを含む取締役が、本件出荷を停止しなかった上、免震積層ゴムが大臣認定の性能評価基準に適合していない疑いがあったにもかかわらず、これを公表しなかったことについて、会社法847条1項所定の責任追及等の訴えを提 起するよう請求した。なお、振替機関は、平成28年7月14日付けで、社債、株式等の振替に関する法律154条3項に基づき、本件会社に対し、原告についての個別株主通知をした。(甲ア1の1・2、甲ア2の1・2)イ本件会社の監査役は、平成28年7月14日付け 付けで、社債、株式等の振替に関する法律154条3項に基づき、本件会社に対し、原告についての個別株主通知をした。(甲ア1の1・2、甲ア2の1・2)イ本件会社の監査役は、平成28年7月14日付け書面により、原告に対し、責任追及等の訴えを提起しない旨を通知した。(甲ア3) ウ原告は、平成28年7月29日、本件訴えを提起した。被告Bに対しては平成28年8月12日に、被告C、被告A及び被告Dに対してはいずれも同月11日に、それぞれ訴状の送達がされて履行の請求がされた。 4 争点本件の争点は、次のとおりである。 ⑴ 本件出荷の停止等に係る任務懈怠の有無(争点⑴)⑵ 国交省への報告及び一般への公表に係る任務懈怠の有無(争点⑵)⑶ 任務懈怠による損害の有無及び額(争点⑶) 5 争点に関する当事者の主張⑴ 争点⑴(本件出荷の停止等に係る任務懈怠の有無)について (原告の主張)ア被告Bの任務懈怠について(ア) 被告Bの役職等CIが属する本件会社ダイバーテック事業本部化工品ビジネスユニットの経営決定権者の序列は、最高位が本件会社の代表取締役社長であ るE、2番目が本件会社の取締役でダイバーテック事業本部長である 被告B、3番目が本件会社の執行役員で化工品ビジネスユニット長であるK、4番目がCIの代表取締役社長であるFであった。このように、本件会社ダイバーテック事業本部長であった被告Bは、本件会社の非タイヤ部門のトップとしてCIに指図し、実質的にCIの意思決定を支配する立場にあり、同時に子会社であるCIを監督すべき立場 にあった。 (イ) 被告Bの認識等aG0.39が大臣評価基準を満たしていない旨を認識したこと被告Bは、平成26年5月12日、本件会社で行われた会議におい であるCIを監督すべき立場 にあった。 (イ) 被告Bの認識等aG0.39が大臣評価基準を満たしていない旨を認識したこと被告Bは、平成26年5月12日、本件会社で行われた会議において、G0.39の出荷時の性能検査の際、補正係数が一定ではなく、 技術的根拠のない数値を用いて検査結果を大臣評価基準に適合させていたようである旨の報告を受け、この問題についてCIのみによる対応を認めず、本件会社で判断する旨を述べた。 その後、被告Bは、平成26年5月26日の会議までに大臣評価基準の範囲に収めるために設定した数値を補正係数として用いていたこ とを認識し、同年6月2日の会議において、平成16年12月以降の製品性能の合否判定に問題があったことを認識して、早急に是正が必要であると判断した。 被告Bは、平成26年7月上旬、CIがG0.39につき大臣認定を取得する際に架空データを提出したことを認識し、同月8日、製品 の品質保証(QualityAssurance)に関する問題について開催されるQA委員会の委員長である被告Cに対し、G0.39に関して大臣評価基準から外れている疑いの製品が出てきた旨を報告した。 被告Bは、平成26年7月17日の会議において、ダイバーテック事業本部長として、部下に説明をさせる形でG0.39に関する報告 を行い、推測した数値を用いて認定を取得したこと、平成16年12 月以降の製品の合否判定の補正係数の変更根拠が技術的妥当性を欠き、継続販売には技術的に問題があること等を報告した。 そして、被告Bは、平成26年8月下旬頃、本件会社ダイバーテック事業本部及びCIにおいて、同年9月以降G0.39の新規受注を行わない方針を決定し、同年9月11日の会議において、本件会社内 で事態の解明 被告Bは、平成26年8月下旬頃、本件会社ダイバーテック事業本部及びCIにおいて、同年9月以降G0.39の新規受注を行わない方針を決定し、同年9月11日の会議において、本件会社内 で事態の解明、リスク対応などには限界があり、建築関係に明るい弁護士等との相談を進めなければ限界があると報告した。 b 弁護士の助言を得たこと被告Bは、平成26年9月12日、CSR統括センター法務部長らと共に法律事務所を訪れて弁護士に相談し、弁護士から、G0.39 を出荷停止にすべきであり、国交省への報告が必要であると助言を受けた。 c 平成26年9月16日午前の会議の結果被告Bは、同日午前の会議において、現在、G0.39は規格を満足しておらず、改善によって規格を満たすことは困難である旨を把握 し、同会議で、本件消防組合へのG0.39の出荷停止が決められるとともに、国交省へ報告することとされた。 d 平成26年9月16日午後の会議の結果被告Bは、同日午後の会議において、G0.39の性能判定の基準振動数として0.015ヘルツを採用し、2メガニュートン機と26 メガニュートン機の機差補正を1.40として計算すれば、G0.39は大臣評価基準を充足する旨のHによる報告(以下「H報告」という。)を受け、その技術的根拠や妥当性について検討せず、本件出荷を許可した。 (ウ) 被告Bの本件出荷の停止を判断すべき義務 以上のように、本件会社のダイバーテック事業本部長でCIを監督す べき立場にあった被告Bは、本件出荷品が大臣評価基準に適合していないことを認識しており、H報告の技術的根拠や妥当性について何ら検討せず同報告に依拠して一旦行った出荷停止の判断を変更することにも全く合理性はなかったのであるから、不正競争防止法22 準に適合していないことを認識しており、H報告の技術的根拠や妥当性について何ら検討せず同報告に依拠して一旦行った出荷停止の判断を変更することにも全く合理性はなかったのであるから、不正競争防止法22条1項、21条2項5号に違反しないよう、本件出荷の停止を判断すべき注意 義務を負っていた。 しかるに、被告Bは、かかる義務を怠り、一旦行った出荷停止の判断を覆し、本件出荷を行う判断をして前記義務に違反し、その任務を懈怠した。 イ被告Cの任務懈怠について (ア) 被告Cの役職等被告Cは、平成26年3月、本件会社の取締役に就任したほか、ダイバーテック品質保証部を含む4部門から構成される技術統括センターのセンター長であったのであるから、技術部門の最高責任者として、免震積層ゴムの品質に関して最終的な責任を負う地位にあり、また、 製品の品質保証に関する問題について開催されるQA委員会の委員長でもあった。 (イ) 被告Cの認識等aG0.39が大臣評価基準を満たしていない旨を認識したこと被告Cは、平成26年7月8日、被告Bから免震積層ゴムについて 調査の協力を求められ、同月17日の会議に出席し、出荷時の性能検査及び大臣認定の申請時に技術的根拠のない補正が行われていたこと、G0.39の性能指標が大臣評価基準に適合していないこと、大臣認定の申請において黒本に記載した数値に実測値に基づかないものが含まれること、試験機が10年以上メンテナンスされていないこと等に ついて認識した。 その後、被告Cは、平成26年8月13日、会議において、免震積層ゴムの補正係数の不正等について報告を受け、大臣評価基準に適合する免震積層ゴムを試作するため、材料ゴム配合について検討すること、平成16年12月以降に出荷した免震積 月13日、会議において、免震積層ゴムの補正係数の不正等について報告を受け、大臣評価基準に適合する免震積層ゴムを試作するため、材料ゴム配合について検討すること、平成16年12月以降に出荷した免震積層ゴムについて大臣評価基準からどの程度外れているか等の検討を指示し、平成26年8月1 8日、同月25日及び同年9月1日の会議に出席して、立会検査や出荷が予定されている免震積層ゴムの全てが、技術的に妥当と考えられる補正を行った場合に大臣評価基準に適合しない旨の報告を受けた。 また、被告Cは、平成26年9月11日の会議に参加し、Eから、本件消防組合に納入する免震積層ゴムの出荷を停止するか、又は出荷 する場合でも淺沼組に大臣評価基準に適合していないことを伝えるよう指示を受けた。 b 平成26年9月16日午前の会議被告Cは、平成26年9月16日午前に行われた本件会社の会議に参加し、弁護士から本件出荷品の出荷を停止する助言を受けたことを 認識し、同会議で、本件消防組合へのG0.39の出荷停止が決められるとともに、淺沼組に事実を伝え、国交省へ報告することとされた。 c 平成26年9月16日午後の会議被告Cは、同日午後の会議において、G0.39の性能判定の基準振動数として0.015ヘルツを採用し、機差補正を1.40として 計算すれば、G0.39は大臣評価基準を充足する旨のH報告を受けたが、日本の地震は通常0.33ヘルツ~0.5ヘルツで振動するにもかかわらず、0.015ヘルツ(66秒間に1回の振動数)を基準振動数とすることに合理性がないことや、26メガニュートンの試験機は10年以上メンテナンスされておらず、1.40との機差補正も 不正確な数値であることなどの検討もせず、本件出荷を許可した。 (ウ) 被告Cの本 ないことや、26メガニュートンの試験機は10年以上メンテナンスされておらず、1.40との機差補正も 不正確な数値であることなどの検討もせず、本件出荷を許可した。 (ウ) 被告Cの本件出荷の停止を判断すべき義務等以上のように、ダイバーテック品質保証部を含む4部門から構成される技術統括センターのセンター長として技術部門の最高責任者の立場にあり、かつ、取締役として本件会社の業務執行を決定する立場にあった被告Cは、本件出荷品が大臣評価基準に適合していないことを認 識しており、H報告も平成26年9月16日午前の会議で決定された出荷停止の判断を覆すだけの説得力のあるものではなかったのであるから、不正競争防止法22条1項、21条2項5号に違反しないよう、本件出荷の停止を判断すべき注意義務を負うとともに、取締役である被告Bに対する監視義務の一環として、被告Bに対して本件出荷の停 止を命ずべき注意義務を負っていた。 しかるに、被告Cは、かかる義務を怠り、一旦行った出荷停止の判断を覆し、本件出荷を行う判断をして前記義務に違反し、その任務を懈怠した。 ウ被告Aの任務懈怠について (ア) 被告Aの役職等被告Aは、平成25年3月、本件会社の取締役に就任するとともに、平成26年8月末には、Eから代表取締役への就任の打診を受け、ダイバーテック事業を含めた本件会社の業務を執行する地位に就任することを予定していた者であり、実際に同年11月に代表取締役に就任 していた。 (イ) 被告Aの認識等aG0.39が大臣評価基準を満たしていない旨を認識したこと被告Aは、平成26年8月13日の会議に出席し、免震積層ゴムの補正係数の不正や大臣認定の不正取得があったこと、試験機のメンテ ナンスが行われていないこと等 準を満たしていない旨を認識したこと被告Aは、平成26年8月13日の会議に出席し、免震積層ゴムの補正係数の不正や大臣認定の不正取得があったこと、試験機のメンテ ナンスが行われていないこと等について認識した。被告Aは、同年9 月11日の会議において、出荷を停止するか、又は出荷する場合でもG0.39が大臣評価基準に適合していないことを出荷先に伝えること、弁護士と相談することが必要であると認識した。 b 平成26年9月16日午前の会議被告Aは、同日午前の会議に途中から出席した際、出荷停止の判断 及び国交省への報告が決定されており、国交省への説明の担当者について議論されていた一方で、Hが新たな補正方法を用いて検査を実施しており、検査結果によっては本件出荷が行われる可能性があるといった議論はされなかった。 c 平成26年9月16日午後の会議以降の経過 被告Aは、同日午後、出張のために出荷停止の判断が撤回された会議には出席せず、同月18日頃、H報告によって出荷停止の判断が撤回され、国交省への報告が取りやめになった旨を知ったが、Hが免震積層ゴムの専門知識を有していないにもかかわらず、H報告の具体的な内容や根拠を確認しなかった。 (ウ) 被告Aの本件出荷の停止を指示すべき義務等以上の事情によれば、被告Aは、他の取締役が平成26年9月16日午後の会議において本件出荷の停止を撤回する判断をしたことを知った際、他の取締役に対する監視義務として、被告B及びEに対し、本件出荷の停止を指示すべき義務を負っていたというべきであり、又は、 出荷をするとしても淺沼組に対し本件出荷品が大臣評価基準に適合していない可能性があることを伝えるように指示する義務を負っていた。 しかるに、被告Aは、かかる義務を怠り、前記義務 あり、又は、 出荷をするとしても淺沼組に対し本件出荷品が大臣評価基準に適合していない可能性があることを伝えるように指示する義務を負っていた。 しかるに、被告Aは、かかる義務を怠り、前記義務に違反し、その任務を懈怠した。 エ被告Dの任務懈怠について (ア) 被告Dの役職等 被告Dは、平成26年春から、本件会社のCSR統括センターの担当取締役を務め、本件会社のコンプライアンスに関する事項についての最終責任者であり、本件会社における製品出荷についての法的判断やコンプライアンス委員会の開催についての判断を行い、自らは技術者の経歴を有しないとしても、部下に命じて技術的事項について調査 を行うことが可能な立場にあった。 (イ) 被告Dの認識等aG0.39が大臣評価基準を満たしていない旨を認識したこと被告Dは、平成26年8月13日の会議に出席し、免震積層ゴムの一部の製品について、大臣評価基準を外れている可能性があり、調査 を行っている旨の報告を受け、出荷すべきでない製品が出荷されていることを認識し、同年8月18日の会議において、大臣評価基準を満足していない旨の説明を改めて受けた。 被告Dは、平成26年8月25日の会議に出席しなかったが、部下を出席させ、同年9月11日の会議には自ら参加し、予備加振による 物性変動調査において期待値が得られなかったとの報告を受け、納入済み物件の改修費用の見積り、免震積層ゴムの具体的な交換の手順の確認を行い、国交省への報告や弁護士と相談することが必要であると認識し、その後、被告Bが同月12日に弁護士と相談した結果、本件出荷を停止した方がよいとの助言を得た旨の報告を受けた。 b 平成26年9月16日午前の会議被告Dは、同日午前の会議に出席し、同会議に の後、被告Bが同月12日に弁護士と相談した結果、本件出荷を停止した方がよいとの助言を得た旨の報告を受けた。 b 平成26年9月16日午前の会議被告Dは、同日午前の会議に出席し、同会議において、現在、G0. 39は規格を満足しておらず、改善によって規格を満たすことは困難である旨を把握し、本件出荷の停止及び国交省への報告を決定した一方で、Hが新たな補正方法を用いて検査を実施しており、検査結果に よっては本件出荷が行われる可能性があるといった議論はされなかっ た。 c 平成26年9月16日午後の会議以降の経過被告Dは、同日午後、出荷停止の判断が撤回された会議には出席せず、同日夕方、新しい技術的見解に基づくと大臣評価基準を充足する旨のH報告がされ、前記会議の出席者が出荷停止の判断を撤回し、国 交省への報告を取りやめた旨を知ったが、同日午後の会議の内容の報告を10分程度受けたのみで、Hが免震積層ゴムの専門知識を有していないにもかかわらず、H報告の具体的な内容や根拠を確認しなかった。 (ウ) 被告Dの本件出荷の停止を指示すべき義務等 以上の事情によれば、被告Dは、他の取締役が平成26年9月16日午後の会議において本件出荷の停止を撤回する判断をしたことを知った際、他の取締役に対する監視義務として、被告B及びEに対し、本件出荷の停止を指示すべき義務を負っていたというべきであり、又は、出荷をするとしても淺沼組に対し本件出荷品が大臣評価基準に適合し ていない可能性があることを伝えるように指示する義務を負っていた。 しかるに、被告Dは、かかる義務を怠り、前記義務に違反し、その任務を懈怠した。 オ H報告を採用すべきではなかったこと被告らは、H報告を基に、信頼の原則に基づき、本件出荷を停止すべ 。 しかるに、被告Dは、かかる義務を怠り、前記義務に違反し、その任務を懈怠した。 オ H報告を採用すべきではなかったこと被告らは、H報告を基に、信頼の原則に基づき、本件出荷を停止すべ き義務は生じていないなどと主張するが、次のとおり、根拠がない。 基準振動数については、日本の地震が通常0.33ヘルツ~0.5ヘルツの振動数を持つということに加え、黒本の技術資料の測定値は0. 5ヘルツで測定されており、0.015ヘルツを基準にしてはならなかった。 2メガニュートン機と26メガニュートン機の機差補正については、 後者のメンテナンスが長期間実施されておらず、摩擦力や摩擦係数が明らかでないため、摩擦補正をしないで算出されたもので、機差の数値に幅が生じ、正確なものではなかった。そもそも、平成26年9月16日午前の会議では、振動数の差異を解消するための補正が必要であることが検討され、機差についても、Gは、機差はないと判断すると述べてい た。そして、2メガニュートン機で測定した実測データを基にして、同機で測定できず、26メガニュートン機でのみ測定できる大きさの試験体のデータを推定することは、データの範囲外を推定する「外挿」であり、誤差が出やすい数値の推定であった。 以上の疑問点のあるH報告は、これまで約半年以上にわたって積み上 げられてきた議論を覆すに足りるものではなかった。 カ被告らが親会社の取締役であることを理由に責任を免れるものではないこと被告らは、いずれも平成26年9月16日までには、G0.39補正係数の不正問題について知悉していたのであるから、本件は子会社従業 員の不正行為の存在を知っていた「有事」のケースに当たる。 また、CIは、本件会社の完全子会社であって、実質的には本件会社の一部 の不正問題について知悉していたのであるから、本件は子会社従業 員の不正行為の存在を知っていた「有事」のケースに当たる。 また、CIは、本件会社の完全子会社であって、実質的には本件会社の一部門であり、CIの取締役には実質的な経営決定権限がなく、指揮命令系統は、本件会社の取締役でダイバーテック事業本部長である被告Bが代表取締役のEに次いで高位の者であり、被告A、被告C及び被告 Dも、本件会社の取締役会の構成員として本件会社の業務執行を決定する立場にあるから、本件出荷を現実に行ったのがCIであるとしても、被告らは本件会社に対してそれぞれ前記ア~エの義務を負うというべきである。 (被告Bの主張) ア本件出荷の停止を判断すべき注意義務を基礎付ける事実がないこと (ア) 平成26年5月の対応被告Bは、平成26年5月26日、免震積層ゴムの性能について、性能検査において乗じる補正係数に疑問が生じており、平成20年3月頃から、本来あるべき性質より固い製品が出始めたことや、26メガニュートン試験機の測定について、誤差が含まれる可能性がある旨 の報告を初めて受け、自らは免震積層ゴム事業に関わった経験を有しないものの、測定結果に変動が生じている原因の調査を指示した。 なお、被告Bは、平成26年5月21日、大臣評価基準の範囲内とするために補正係数を設定している旨の報告を受けた事実はない。 (イ) 平成26年6月の対応 被告Bは、平成26年6月2日の会議に参加し、各地の大地震を経験しても、免震積層ゴムが健全性を維持していることから、G0.39の安全性能に問題がない旨の報告を受け、2メガニュートン機の検査結果は正しい数値であるのに対し、26メガニュートン機が異なる数値を示している理由を明らかにする必要が 維持していることから、G0.39の安全性能に問題がない旨の報告を受け、2メガニュートン機の検査結果は正しい数値であるのに対し、26メガニュートン機が異なる数値を示している理由を明らかにする必要があると考え、CI担当者 にヒアリングを実施することとした。 また、被告Bは、平成26年6月末頃、Gから、試験機のメーカーに確認したところ、同業他社においても、実測により得られる値に年2~3%の変動が生じている旨の報告を受け、26メガニュートン機の測定結果に検討すべき課題があると認識した。 (ウ) 平成26年7月の対応被告Bは、平成26年7月2日及び同日3日、CIの担当者であるJ及びIにヒアリングを実施したところ、Jの報告は、免震積層ゴムが大臣評価基準を満たしていないとするものの、26メガニュートン機が校正されておらず、実測により得られる値に10年で20%の変 動が生じうる可能性を考慮していない一方で、Iの報告は、試験デー タを得るための免震積層ゴムの製造には期間と費用を要するため、過去に出荷した量産品データを解析し、補正係数に影響を与える数値を推定し、26メガニュートン機の校正ができていない可能性を考慮したものであり、Iの報告に明らかな問題があると認識することはなかった。 また、被告Bは、平成26年7月18日、①大臣認定取得の際の申請データが推計に基づくものである、②出荷時に製品性能の合否判定を行う際の補正係数の変更根拠が技術的妥当性に欠けるとの指摘を受けた。しかし、①については、高減衰ゴムの技術的特殊性から、どのような申請データを用いるかはメーカーに一任され、推計値を用いる ことに特段問題はないとの報告を受け、同月23日のヒアリングにおいても、大臣認定取得につき技術的根拠を有することを 性から、どのような申請データを用いるかはメーカーに一任され、推計値を用いる ことに特段問題はないとの報告を受け、同月23日のヒアリングにおいても、大臣認定取得につき技術的根拠を有することを後追いで確認した旨の報告を受け、②についても、特性値のずれが及ぼす影響について、建物構造設計では、免震装置の特性変化が考慮され、設計地震力にも余裕度が見込まれているから、想定している地震の範囲では建 物に被害が及ぶとは考えにくく、実際の地震で建物被害がなかった旨の報告を受けたから、製品の安全性が保たれていることは確認された上で、出荷時の合否判定の適否に係る補正係数変更についての技術的妥当性を引き続き検証することとし、G0.39の販売継続が問題となる状況にはなかった。 (エ) 平成26年8月の対応被告Bは、平成26年8月6日の会議に参加したが、26メガニュートン機のロードセル(荷重を検出するセンサーをいう。以下同じ。)の校正が未了であることによる影響や摩擦係数の問題について議論されており、Iの報告が誤りであることを基礎付ける根拠は見当たらな かった。 被告Bは、平成26年8月13日の会議に参加し、特性値のずれについて製品性能はメーカーが自主的に決めることができるという認識の下、製品性能を変更して特性値のずれを修正することを検討しているとともに、想定された地震で建物に被害が及ぶとは考えにくいとの報告がされ、また、同月18日の会議では、直近の出荷品については、 現状の方法の性能検査で対応するものとされ、Iが説明する補正係数の考え方が誤りとの結論には至っていなかった。 (オ) 平成26年9月前半の対応a 被告Bは、平成26年9月1日の会議に参加したが、同会議では、大臣認定取得時の技術的妥当性の問題に する補正係数の考え方が誤りとの結論には至っていなかった。 (オ) 平成26年9月前半の対応a 被告Bは、平成26年9月1日の会議に参加したが、同会議では、大臣認定取得時の技術的妥当性の問題については解決済みであること を前提に、補正係数の設定根拠について議論されており、量産が開始された以降の補正係数に関して追試で再測定を実施するという状況にあった。 b その後、26メガニュートン機の校正には、平成26年11月まで要し、本件出荷時までに完了しないことを前提に、2メガニュート ン機と26メガニュートン機の測定結果の差のうち、未校正による誤差を取り除く係数を検討の上、本件出荷の可否を判断することとなり、10年間における製品のゴム配合の変化や26メガニュートン機の摩擦係数の変化等の事情を考慮し、各製造年における適切な補正係数を算出することが検討され、Hが黒本を精査した結果、基準振動数が明 記されていないため、振動数の差異の補正を行わないこととされた。 なお、黒本に付属する技術資料において基準振動数を0.5ヘルツとして性能検査を行った事実が判明したのは平成27年1月であり、被告Bは、平成26年9月時点でこの事実を認識しておらず、減衰定数は、加振を行う速度の影響を受けず、0.5ヘルツと0.015ヘ ルツで測定した場合で有意な差が生ずることはないと認識していた。 c 平成26年9月11日の会議では、G0.39につき、減衰定数に関する乖離値が大臣評価基準に適合するかが最終的な課題となり、2メガニュートン機と26メガニュートン機の機差測定の結果次第では、大臣評価基準を満たす可能性があったが、出荷判断の期限が迫っていたため、弁護士に相談することとなった。 d 被告Bは、平成26年9月12日、弁護士に相談 ニュートン機の機差測定の結果次第では、大臣評価基準を満たす可能性があったが、出荷判断の期限が迫っていたため、弁護士に相談することとなった。 d 被告Bは、平成26年9月12日、弁護士に相談した結果、減衰定数が大臣評価基準を満たすか確認できないことから、本件出荷を停止することとしたが、この判断は確定的なものではなく、機差の測定を含めた検証を継続しており、機差を織り込んだ結果、大臣評価基準を満たすことが確認できた場合は本件出荷をすることとされていた。 (カ) 平成26年9月16日の対応被告Bは、平成26年9月16日午前の会議に参加し、直径600mmのスケールモデルを用いた機差の測定が未了であり、機差が明らかではなかったため、大臣評価基準を満たさないと判断された場合は出荷しないという方針に基づき、本件出荷を停止する判断をした。 そして、被告Bは、平成26年9月16日午後の会議において、CIの明石工場とテレビ会議を実施し、試験結果をまとめた資料の提示を受け、Hより、2メガニュートン機と26メガニュートン機で共通に測定可能な直径600mmの試験体を測定したところ、試験機による機差は1.4となり、当該機差を織り込み、振動数を0.015ヘ ルツとすると、減衰定数も含めて大臣評価基準に全て適合する旨の報告が30分程度行われ、その結果、前記の適合が確認された場合は本件出荷を行うとの一貫した方針に基づき、本件出荷をする判断をしたものである。 イ信頼の原則に照らして、H報告を採用することが相当であったこと (ア) 信頼の原則の適用について 被告Bは、大学では工学部化学機械工学科で学び、ゴムに関わる研究に携わることはなく、大学卒業後、本件会社に入社し、その後は長年にわたり主としてタイヤ部門や免震 ) 信頼の原則の適用について 被告Bは、大学では工学部化学機械工学科で学び、ゴムに関わる研究に携わることはなく、大学卒業後、本件会社に入社し、その後は長年にわたり主としてタイヤ部門や免震部門とは異なるウレタン事業に関与してきた。被告Bは、平成25年、本件会社の非タイヤ部門であるダイバーテック事業本部長に就任し、これに伴い、CIの担当取締役 となったが、平成26年9月16日時点においても、ゴムや免震事業に関する専門知識を有していなかった。また、被告Bは、同年5月26日にGから本件に関わる報告を受けて以降、担当取締役として調査を指示し、調査結果の報告を受けてきたが、免震事業や免震積層ゴムに対する専門的知識・経験がある者として調査に携わっていたわけで はない。 他方、Hは、平成26年当時、本件会社の自動車ゴム製品技術本部長の地位にあり、免震積層ゴムではないものの自動車防振ゴムの技術者として専門知識を有していた。また、Hは、本件会社の免震積層ゴム事業に関与しておらず、客観的な立場から本件の調査が可能な人物で もあった。被告Bも、Hについて、ゴムに関する技術的知識・経験を豊富に有する人物であり、その経歴等からも、Hによる調査は信頼できるものと考えていた。 (イ) H報告について被告Bは、J及びIの各ヒアリングを始め必要な調査を行い、Gの報 告を踏まえても、平成26年9月16日までの時点において不正があったとは認識していなかった。同月12日の時点では、唯一、機差補正の点のみが検証項目として残っていたのであり、出荷するかしないかの判断枠組みは、0.015ヘルツでの載荷試験を行って得た実測値に、振動数の差異を解消するための補正を施さずに測定値を算出す るという方法に基づき品質評価を実施した場合、良品領 するかしないかの判断枠組みは、0.015ヘルツでの載荷試験を行って得た実測値に、振動数の差異を解消するための補正を施さずに測定値を算出す るという方法に基づき品質評価を実施した場合、良品領域に入る場合 は出荷する、良品領域に入らない場合は出荷しない、というものであって、同月16日午後は、その判断枠組みを維持したままH報告の機差補正を当てはめて算出した結果、良品領域に転ずることになったのであり、出荷が可能であるにもかかわらず出荷しないとの判断をすることはできなかった。 平成26年10月6日、以前に出荷した製品についてH報告の計算式を用いて再計算していくと、少なくとも同年9月16日以前に出荷済みの3物件については、性能指標の乖離値が大臣評価基準から大きく外れているとの報告がされた。その後、H報告の妥当性が改めて検証され、結果的に、0.015ヘルツでの載荷試験を行って得た実測値 に、振動数の差異を解消するための補正を施さずに測定値を算出するという方法は正しいものではなかったことが明らかになったが、この結論は、何か月もかかって出されたものであった。 ウ親会社取締役の子会社管理子会社の業務執行についてまず責任を負うのはあくまで子会社の取締 役であり、親会社の取締役が子会社の業務執行について責任を負うには、実質的に子会社の意思決定を支配したと評価できることを要する。CIは本件会社の子会社ではあるが、独自の営業・販売拠点を有し、相当数の従業員を雇用し、平成26年9月当時、取締役5名、監査役1名がおり、事業規模に対応する組織体制を備えた法人である。平成26年9月 16日午前及び午後の出荷判断が行われた会議についても、CI代表者は本件会社本社において、CI担当者はCIの明石工場から電話又はテレビ会議の 応する組織体制を備えた法人である。平成26年9月 16日午前及び午後の出荷判断が行われた会議についても、CI代表者は本件会社本社において、CI担当者はCIの明石工場から電話又はテレビ会議の方法でそれぞれ参加し、本件出荷に係る判断はCIの代表取締役及び担当役員が関与してなされたものであって、子会社の判断とは異なる判断を親会社が代わりにしたものでもない。 エ以上の事情によれば、被告Bが、平成26年9月に認識し得た事情に基 づいてG0.39である本件出荷品が大臣評価基準に適合すると認識したことに不合理な点はなく、被告Bに本件出荷の停止の判断をすべき注意義務があったとはいえない。 (被告Cの主張)ア本件会社の組織形態等に照らして信頼の原則が適用されること 本件会社は、タイヤ事業とダイバーテック事業を主力事業とし、多数の国内拠点と海外拠点を有する巨大企業であり、各取締役は自らの担当業務に対応する体制が採られており、免震積層ゴムは、ダイバーテック事業本部の被告Bが担当していた。 被告Cは、タイヤ事業のみを担当した後に技術統括センター長に就任 し、本件会社がISO9001の認定を受けていたことから、国際的な品質管理基準に基づき、品質保証体制の構築、その体制の監査、年度計画の進捗確認等を担当していた一方で、免震積層ゴムの品質保証は、CIの品質保証部長や技術本部長の担当であったから、免震積層ゴムに関する業務上の意思決定には信頼の原則が適用される。 イ被告Cに本件出荷の停止を判断すべき義務等がなかったこと(ア) 平成26年7月17日の説明被告Cは、免震積層ゴム事業を担当した経験を有さず、平成26年7月17日の会議において、免震積層ゴムに関する説明を初めて受けたが、説明資料のスライドは一部 (ア) 平成26年7月17日の説明被告Cは、免震積層ゴム事業を担当した経験を有さず、平成26年7月17日の会議において、免震積層ゴムに関する説明を初めて受けたが、説明資料のスライドは一部が示されたのみで、資料として配布 されず、その専門的内容を直ちに理解することは困難であった。被告Cは、免震積層ゴムが大臣評価基準に適合していないということが発生したが、試験機のメンテナンスが長期間行われていないことに問題があり、製品の安全性には問題がない旨等をかろうじて認識したものの、架空データで大臣認定を申請した等の不正行為があった旨の断定 的な説明を受けていない。 (イ) 平成26年8月の対応被告Cは、平成26年8月末頃、被告Aの指示に基づき、ゴム製品について技術的能力の高いHに対し、免震積層ゴムに関する調査を依頼し、26メガニュートン機のメンテナンスがされていないため、2メガニュートン機の測定結果との誤差が生じたと考えられたことから、 両方の試験機で使用可能なサンプルを用いて誤差を測定するように求めた。 (ウ) 平成26年9月16日より前の対応被告Cは、平成26年9月12日の会議において、Hから、振動数を0.015ヘルツとして性能試験を行った点について、振動数の基準 がメーカーの自主判断に委ねられ、黒本にも記載がないことから、振動数の補正が不要である旨の説明を受けており、高度に技術的な内容について、Hの説明を基礎とすることに不合理はなかった。 (エ) 平成26年9月16日の対応被告Cは、平成26年9月16日午前の会議に参加し、弁護士の助 言を受けて本件出荷を停止する前提で対応を協議したが、同日午後、Hから、振動数の補正を行わず、試験機の機差と摩擦係数等の補正を行うことで、出荷予定 年9月16日午前の会議に参加し、弁護士の助 言を受けて本件出荷を停止する前提で対応を協議したが、同日午後、Hから、振動数の補正を行わず、試験機の機差と摩擦係数等の補正を行うことで、出荷予定の製品が大臣評価基準に適合する旨のH報告を受け、製品が基準値を外れていれば出荷をせず、適合すれば出荷をするという従前からの一貫した方針に基づいて本件出荷を判断した。 (オ) 以上のように、被告Cの認識は、本件出荷品を含む製品の安全性には問題がないというものであり、また、Hという社内でもトップレベルの優秀な技術者による調査結果として、前記の報告を受けていたのであるから、かかる報告を信頼して本件出荷をすべきとの判断をすることは許されるものである。さらに、ダイバーテック事業本部長であ る被告B自身がH報告に納得していたものでもある。 これらの点に照らせば、被告Cが、本件出荷の停止を判断すべき注意義務を負っていたということはできないし、被告Bに対して本件出荷の停止を命ずべき注意義務を負っていたということもできない。 (被告Aの主張)ア本件会社において信頼の原則が適用されること 本件会社は、グローバルな大企業であり、免震ゴム事業は、ダイバーテック事業本部の事業で、本件会社の総売上高の約0.2%にすぎない。 そして、被告Aは、タイヤ事業の責任者であり、免震ゴム事業に直接関わったことがなく、代表取締役であったEが体調不良となってから、その職務の代行や社長就任に向けた準備、社長就任後の業務に忙殺されて いた。したがって、被告Aの善管注意義務違反の有無の判断に当たっては、信頼の原則が適用され、ダイバーテック事業本部担当取締役であった被告Bの職務執行に対する監視義務が問題となるにとどまる。 イ免震ゴム事業がCIに移 告Aの善管注意義務違反の有無の判断に当たっては、信頼の原則が適用され、ダイバーテック事業本部担当取締役であった被告Bの職務執行に対する監視義務が問題となるにとどまる。 イ免震ゴム事業がCIに移管され、本件会社取締役は基本的に責任を負わないこと 免震ゴム事業は、CIに移管、統合されていたところ、CIは、東京本社に加え、全国の主要都市に営業拠点を有し、全国に約400名の従業員を雇用して、役員は取締役5名、監査役1名を有する体制であった。 このようなCIの規模や体制からしても、本件会社は、CIの株主にすぎず、CIの経営を決定する権限を有さず、したがって、本件会社の取 締役は原則としてCIの業務執行の結果について責任を負うことはなく、被告Bは、CIの業務執行の監視という間接的な責任の有無が問題となるにすぎず、被告Bの監視義務を負う被告Aの監視義務は、更に間接的な責任が問題となるにすぎない。 ウ被告Aに本件出荷の停止を指示すべき義務等がなかったこと (ア) 平成26年8月13日の対応 被告Aは、平成26年8月13日の会議で、過去に出荷した免震積層ゴムのデータに信頼性の乏しい可能性があるが、安全性については、耐震シミュレーション及び東日本大震災を経験した実際の建物でも問題がなかったという報告を受けた一方で、大臣評価基準に適合しない製品が出荷されているとの具体的報告を受けておらず、大臣評価基準 を満たしていた平成16年7月出荷の物件と同じ方法で免震積層ゴムを生産するようにとの発言をし、被告Cに対し、Hを調査に加えるように進言した。 (イ) 平成26年9月1日及び同月11日の会議被告Aは、平成26年9月1日及び同月11日の会議において、大 臣評価基準がメーカーの裁量に委ねられることを前提に、 えるように進言した。 (イ) 平成26年9月1日及び同月11日の会議被告Aは、平成26年9月1日及び同月11日の会議において、大 臣評価基準がメーカーの裁量に委ねられることを前提に、どの点を守る必要があるか、過去に出荷した物件のデータがどのようなものかを中心に検討し、Hから、黒本では基準振動数について0.015ヘルツの採用も可能であるとの報告を受け、Eからは大臣評価基準を満たすものは出荷する旨の発言がされていたことから、今後の出荷につい て弁護士からの助言を受ける必要があるとは認識していなかった。 (ウ) 平成26年9月16日午前の会議被告Aは、平成26年9月16日午前、タイヤ事業本部長として重要なタイヤ需給会議に出席している最中に呼出しを受け、本件に係る会議に途中から参加したところ、出荷停止の判断が既にされ、国交省 に誰が説明に行くのかを議論している状況であった。 また、CI代表者のF及び技術生産本部長のGは、本件出荷の停止に関する進言をしなかった。 (エ) 平成26年9月16日午後以降の経過被告Aは、平成26年9月16日午後に行われた本件出荷の最終判 断をするための会議に参加しておらず、同月18日午前中に会議内容 の報告を受けたにすぎない。 そして、担当取締役の被告B、代表取締役のE及び技術統括センター長の被告Cは、直接にH報告を聞いて本件出荷の判断をしたものであり、信頼の原則に照らして被告Bに対して、本件出荷を停止すべきである旨を伝えるべき義務を負っているとはいえない。 (オ) 免震積層ゴムに係る大臣評価基準の適合性は、法令に性能指標の基準が明確に定められておらず、現実に想定される地震の振動数で性能指標を検証する環境が整備されていないこと等から、複数の判定方法が想 オ) 免震積層ゴムに係る大臣評価基準の適合性は、法令に性能指標の基準が明確に定められておらず、現実に想定される地震の振動数で性能指標を検証する環境が整備されていないこと等から、複数の判定方法が想定され、黒本の記載に照らして許容されるか否かの検証が困難であるなど技術的問題を含むことに照らせば、被告Aにおいて、担当取 締役である被告Bの判断やH報告を信頼することに問題はなく、被告Aが、被告BやEに対し、本件出荷の停止を指示すべき義務や淺沼組に本件出荷品が大臣評価基準に適合していない可能性があることを伝えるように指示する義務を負っていたということはできない。 (被告Dの主張) ア本件会社において信頼の原則が適用されること本件会社は、CSR統括センター、経営企画本部、技術統括センター、タイヤ事業本部、ダイバーテック事業本部など様々な部署が設けられている大規模で分業されている会社であるから、信頼の原則が適用されるというべきである。 そして、被告Dは、大学経済学部を卒業し、文系総合職として本件会社に入社して以来、主に人事総務・企画等の部署で勤務し、技術的な知識を有していなかった上、平成26年8月に初めて免震積層ゴムに関する報告を受け、その出荷判断については、他の取締役や従業員の報告を信頼するほかなかった。特に免震積層ゴムについては、CIにおいて専 らIが担当しており、CIの技術担当の取締役においても理解が容易な ものではなく、被告Dにおいて、自ら問題点を発見することは困難であったといえる。 イ被告Dに本件出荷の停止を指示すべき義務等がなかったこと(ア) 平成26年8月13日の対応被告Dは、平成26年8月13日の会議で、免震積層ゴムが大臣評 価基準に適合しない可能性がある旨の報告を初めて 出荷の停止を指示すべき義務等がなかったこと(ア) 平成26年8月13日の対応被告Dは、平成26年8月13日の会議で、免震積層ゴムが大臣評 価基準に適合しない可能性がある旨の報告を初めて受けたところ、当該報告には曖昧な点が多く、適合性を判定する試験機のメンテナンスが10年間にわたって行われていないことから、前記可能性の指摘にとどまると考えられたため、G0.39が大臣評価基準に適合するかを判定するため、Hに調査を依頼することとなった。 (イ) 平成26年9月16日より前の対応被告Dは、平成26年8月及び同年9月、免震積層ゴムに係る取締役の会議全てに出席を求められておらず、一部の会議に欠席していた。 (ウ) 平成26年9月16日の対応被告Dは、平成26年9月16日午前の会議に出席し、G0.39 が大臣評価基準に適合しない可能性があれば、本件出荷を停止し、適合するのであれば本件出荷をするという方針に基づき、適合しない可能性を払拭できないことから、本件出荷を停止する判断をした。 そして、被告Dは、平成26年9月16日午後、購買本部の会議に出席したため、本件出荷を判断する会議に参加しておらず、会議終了 後に、G0.39が大臣評価基準に適合することを確認した旨のH報告があったため、本件出荷をする旨の判断がされた旨を聞き、同年10月6日に参加した会議においても、本件出荷に係る製品が大臣評価基準に適合する旨の報告を受けた。 (エ) 以上によれば、被告Dが、他の取締役及び従業員によるG0.39 が大臣評価基準に適合する旨の報告を信頼することに何ら躊躇を覚え させるような事情はなく、被告BやEに対し、本件出荷の停止を指示すべき義務や淺沼組に本件出荷品が大臣評価基準に適合していない可能性があるこ 準に適合する旨の報告を信頼することに何ら躊躇を覚え させるような事情はなく、被告BやEに対し、本件出荷の停止を指示すべき義務や淺沼組に本件出荷品が大臣評価基準に適合していない可能性があることを伝えるように指示する義務を負っていたということはできない。 ⑵ 争点⑵(国交省への報告及び一般への公表に係る任務懈怠の有無)につい て(原告の主張)ア報告・公表義務の根拠免震材料である製品の安全性や性能について何らかの疑いを認識した場合には、取締役らには、建築物の安全性の程度、一般消費者に与える 不安感、自社の社会的信用に与える影響その他の事情をも考慮した上で、直ちに国交省への報告、一般に対する公表等必要な措置を採るべき義務がある。 法令違反行為を含む企業不祥事には、それ自体世間からの強い批判が向けられる。加えて、不祥事が起きた際、これを隠蔽する企業には、不 祥事に対する非難にも増して隠蔽という行為に対しても強い批判が向けられる。さらに、当該会社の自浄能力やガバナンスに対しても大きな疑問が向けられる。速やかな事実の調査及び公表は、当該会社の透明性及び自浄能力を世間に示し、風評被害等の損害を当該会社が被ることを防止することにもなる。会社利益の最大化を図るべき取締役としては、法 令違反行為を含む会社不祥事を会社内外から指摘された場合には、速やかに事実の調査に努め、その調査結果を公表する判断をすることが善管注意義務の内容として求められる。 イ被告Bの報告・公表に係る義務違反(ア) 平成26年9月16日時点の報告・公表に係る義務違反 被告Bは、平成26年5月12日、免震積層ゴムが大臣評価基準を 満たしていないことを知り、調査に必要な期間が経過した上で、同年9月16日午前には会議におい 報告・公表に係る義務違反 被告Bは、平成26年5月12日、免震積層ゴムが大臣評価基準を 満たしていないことを知り、調査に必要な期間が経過した上で、同年9月16日午前には会議において国交省への報告を決定していたのであるから、同日時点において、免震積層ゴムが大臣評価基準を満たしていないことについて、国交省への報告をする判断をすべき義務(以下「報告義務」という。)及び一般への公表をする判断をすべき義務 (以下「公表義務」という。)を負っていたというべきである。しかるに、被告Bは、かかる義務を怠り、前記義務に違反し、その任務を懈怠した。 なお、既に出荷されたG0.39が東日本大震災等を経験しても安全性が担保されているという点については、わずか3物件を抽出した シミュレーションにすぎず、これをもって「安全性が担保されている」といえるかは疑問である。また、安全性が担保されていたとしても、単なる結果論であって、大臣評価基準に適合していない製品を長年にわたって出荷し続けていたことを公表しない理由にはならない 。 (イ) 平成26年10月23日時点の報告・公表に係る義務違反 被告Bは、平成26年10月6日時点で、G0.39が出荷された過去の物件のうち、少なくとも3物件については、Hが報告した方法で再計算しても大臣評価基準から大きく外れた旨の報告を受け、同月17日に被告Cからの電子メールにより免震積層ゴムに係る問題を隠し続けることは不可能であることを確定的に認識し、同月23日には QA委員会の開催が予定されていたのであるから、被告Bは、同日時点で、免震積層ゴムが大臣評価基準を満たしていないことについて、国交省への報告義務及び一般への公表義務を負っていたというべきである。しかるに、被告Cは、かかる義務を たのであるから、被告Bは、同日時点で、免震積層ゴムが大臣評価基準を満たしていないことについて、国交省への報告義務及び一般への公表義務を負っていたというべきである。しかるに、被告Cは、かかる義務を怠り、前記義務に違反し、その任務を懈怠した。 ウ被告Cの報告・公表に係る義務違反 (ア) 平成26年9月16日時点の報告・公表に係る義務違反被告Cは、平成26年7月8日、被告Bから免震積層ゴムが大臣評価基準を満たしていない旨の報告を受け、Eから調査の指示を受けたことで、大臣認定を不正取得していた可能性を認識し、同年9月16日午前には会議において国交省への報告を決定していたのであるから、 同日時点において、免震積層ゴムが大臣評価基準を満たしていないことについて、国交省への報告義務及び一般への公表義務を負っていたというべきである。しかるに、被告Cは、かかる義務を怠り、前記義務に違反し、その任務を懈怠した。 (イ) 平成26年10月23日時点の報告・公表に係る義務違反 被告Cは、平成26年10月6日又は同月10日の会議で、G0. 39が出荷された過去の物件のうち、少なくとも3物件については、Hが報告した方法で再計算しても、大臣評価基準から大きく外れた旨の報告を受け、同月10日、同月23日午後にQA委員会を開催することを決定して他の取締役に通知し、同月17日に被告Bに対するメ ールで大臣認定の不正取得を隠し続けることは不可能である旨を述べていた。 したがって、被告Cは、平成26年10月23日時点で、免震積層ゴムが大臣評価基準を満たしていないことについて、QA委員会を招集し、国交省への報告義務及び一般への公表義務を負っていたというべ きである。しかるに、被告Cは、かかる義務を怠り、同日午後に開催 ムが大臣評価基準を満たしていないことについて、QA委員会を招集し、国交省への報告義務及び一般への公表義務を負っていたというべ きである。しかるに、被告Cは、かかる義務を怠り、同日午後に開催予定のQA委員会の直前にその開催を見送るとともに、国交省への報告や一般への公表もせず、前記義務に違反し、その任務を懈怠した。 エ被告Aの報告・公表に係る義務違反 (ア) 平成26年9月16日頃の報告・公表に係る義務違反 前記⑴(原告の主張)ウの事情によれば、被告Aは、他の取締役が平 成26年9月16日午後の会議において本件出荷の停止を撤回する判断をしたことを知った際、免震積層ゴムが大臣評価基準を満たしていないことについて、国交省への報告義務及び一般への公表義務を負っていたというべきである。しかるに、被告Aは、かかる義務を怠り、前記義務に違反し、その任務を懈怠した。 (イ) 平成26年10月23日時点の報告・公表に係る義務違反被告Aは、平成26年10月6日又は同月10日の会議で、G0. 39が出荷された過去の物件のうち、少なくとも3物件については、Hが報告した方法で再計算しても、大臣評価基準から大きく外れた旨の報告を受け、同月23日午前に行われた会議において、G0.39 の補正係数の設定が不適切であり、48物件の客先データについての再検証の結果、48件中44件が規格外、再々検証の結果48件中26件が規格外とされたことを認識した。 したがって、被告Aは、平成26年10月23日時点で、免震積層ゴムが大臣評価基準を満たしていないことについて、国交省への報告義 務及び一般への公表義務を負っていたというべきである。しかるに、被告Aは、かかる義務を怠り、前記義務に違反し、その任務を懈怠した。 オ被告Dの たしていないことについて、国交省への報告義 務及び一般への公表義務を負っていたというべきである。しかるに、被告Aは、かかる義務を怠り、前記義務に違反し、その任務を懈怠した。 オ被告Dの報告・公表に係る義務違反(ア) 平成26年9月16日時点の報告・公表に係る義務違反 前記⑴(原告の主張)エの事情によれば、被告Dは、他の取締役が平成26年9月16日午後の会議において本件出荷の停止を撤回する判断をしたことを知った際、免震積層ゴムが大臣評価基準を満たしていないことについて、国交省への報告義務及び一般への公表義務を負っていたというべきである。しかるに、被告Dは、かかる義務を怠り、 前記義務に違反し、その任務を懈怠した。 (イ) 平成26年10月23日時点の報告・公表に係る義務違反被告Dは、平成26年10月6日又は同月10日の会議で、G0. 39が出荷された過去の物件のうち、少なくとも3物件については、Hが報告した方法で再計算しても、大臣評価基準から大きく外れた旨の報告を受け、同月23日午前に行われた会議において、G0.39 の補正係数の設定が不適切であり、48物件の客先データについての再検証の結果、48件中44件が規格外、再々検証の結果48件中26件が規格外とされたことを認識した。 したがって、被告Dは、平成26年10月23日時点で、免震積層ゴムが大臣評価基準を満たしていないことについて、国交省への報告義 務及び一般への公表義務を負っていたというべきである。しかるに、被告Dは、かかる義務を怠り、前記義務に違反し、その任務を懈怠した。 (被告Bの主張)ア平成26年9月16日時点で報告・公表に係る義務違反がないこと 前記⑴(被告Bの主張)の各事情によれば、被告Bは、平成26年 記義務に違反し、その任務を懈怠した。 (被告Bの主張)ア平成26年9月16日時点で報告・公表に係る義務違反がないこと 前記⑴(被告Bの主張)の各事情によれば、被告Bは、平成26年9月16日時点で判明した事実を前提に、H報告に基づき、G0.39が大臣評価基準に適合するものであって本件出荷をすることが可能であり、過去に出荷した製品は、同日午後に報告された基準に基づいて検証を進める予定であったから、同日時点で被告Bに国交省への報告義務及び一 般への公表義務があったということはできない。 イ平成26年10月23日時点で報告・公表に係る義務違反がないこと平成26年10月6日時点では、フランジ別体型の3物件が大臣評価基準から外れており検証が必要とされた一方で、現流動品は特性を満足していると報告がされた。また、同月23日時点においても、摩擦係数 の経年変化の再分析、フランジ無し製品の規格外れが多いことの追加要 因の探索が必要とされ、耐震シミュレーションの結果や東日本大震災を経験した建物も健全性が維持されていることを確認した上で、大臣評価基準に適合していない製品を特定するため、更なる検証を行うこととされていた。 したがって、平成26年10月23日時点では、免震積層ゴムの性能 について、建物の安全性には問題がないことが確認されている状況であり、大臣評価基準に適合しない製品を特定し、交換対応等の方針・体制を整えた上で公表等をすべきであったのであるから、被告Bに同日時点で国交省への報告義務及び一般への公表義務があったとはいえない。 (被告Cの主張) ア平成26年9月16日時点の報告・公表に係る義務違反について取締役は、法令遵守義務を負う一方で、会社のために信用を保持すべき義務を負うから あったとはいえない。 (被告Cの主張) ア平成26年9月16日時点の報告・公表に係る義務違反について取締役は、法令遵守義務を負う一方で、会社のために信用を保持すべき義務を負うから、会社の製品に何らかの問題が生じた場合、正確な調査を行い、事実関係を把握した上で、適切な時期に消費者への公表、所轄官庁への報告等の措置を行うべき注意義務を負う。 被告Cは、平成26年9月16日午前、製品の測定値が基準を外れる疑いがあったので出荷停止としたが、同日午後、基準値内であることが判明したために本件出荷を決定したものであり、同日時点で会社の信用を毀損する情報についての報告義務及び公表義務があったとはいえない。 イ平成26年10月23日時点の報告・公表に係る義務違反について 被告Cは、平成26年10月10日の会議において、納入済みの48物件のうちフランジ別体型の3物件が大臣評価基準に適合しない旨の報告を受け、QA委員会の委員長として同月23日にQA委員会を開催する旨を決定した。 そして、被告Cは、前記のQA委員会の前に開催された平成26年1 0月23日午前の会議に参加し、Hから、出荷済みの製品について再計算 をしても、26物件が大臣評価基準に適合しない旨の報告を受け、ダイバーテック事業本部及びCIの担当者から、前記製品につき社内特例としてリコールの対象としない旨の意見を述べられたが、被告Cは、被告A及び被告Dと共に、前記製品が大臣評価基準に適合しないため、社内基準には反するが公的基準には適合する場合における社内特例には当たらないとし て、CIの意見に明確に反対し、会議後の打合せにおいて、被告A及び被告D等と社内特例とするのは不適切である旨を確認した。 他方で、製品のリコールに当たっては対象範囲の確 特例には当たらないとし て、CIの意見に明確に反対し、会議後の打合せにおいて、被告A及び被告D等と社内特例とするのは不適切である旨を確認した。 他方で、製品のリコールに当たっては対象範囲の確定が必要となるものであり、平成26年10月23日午前の会議において、フランジ一体型か別体型かという免震積層ゴムの型が大臣評価基準の適合性に影響するか の調査、試験機のメンテナンスが行われていないことによる摩擦係数についての測定方法の調査が必要であると判断され、平成26年11月頃に完成するフランジ別体型のサンプルを用いて検査を行ってリコールの対応を行うこととしたため、同年10月23日のQA委員会の開催を一旦中止としたものであり、同日時点で必要な調査は完了していなかったところであ る。 このように、被告Cに平成26年10月23日時点で国交省への報告義務及び一般への公表義務があったということはできない。 (被告Aの主張)ア平成26年9月16日時点の報告・公表に係る義務違反について 担当取締役の被告B及び代表取締役のEは、平成26年9月16日、本件出荷に係るG0.39につき大臣評価基準に適合する旨のH報告に基づき、本件出荷を行う旨の判断をしたものであり、被告Aを含む取締役らには、本件出荷が法令に違反するという認識は全くなく、H報告に基づき、過去の出荷製品については、個別に大臣評価基準の適合性を検 討する段階にあったから、平成26年9月16日時点で被告Aに報告義 務及び公表義務があったということはできない。 イ平成26年10月23日時点の報告・公表に係る義務違反について被告Aは、QA委員会の委員ではなく、平成26年10月6日の会議に出席しておらず、被告Cと被告Bの間のやりとりも知らなかった。 そし 成26年10月23日時点の報告・公表に係る義務違反について被告Aは、QA委員会の委員ではなく、平成26年10月6日の会議に出席しておらず、被告Cと被告Bの間のやりとりも知らなかった。 そして、被告Aは、平成26年10月23日午前の会議で、免震積層 ゴムを社内特例でリコール不要とする旨のダイバーテック事業本部による提案に反対しており、また、リコールの実施を前提に報告・公表を行うには、不適合品の範囲と原因等を特定するための調査をする必要があったから、同日時点で被告Aに国交省への報告義務及び一般への公表義務があったということはできない。 (被告Dの主張)ア平成26年9月16日時点の報告・公表に係る義務違反について前記⑴(被告Dの主張)のとおり、被告Dは、平成26年9月16日午後、購買本部の会議に出席したため、本件出荷を判断する会議に参加しておらず、会議終了後に、G0.39が大臣評価基準に適合すること を確認した旨のH報告があったため、本件出荷をする旨の判断がされた旨を聞いており、本件出荷に係る製品が大臣評価基準に適合しない可能性は払拭されていた。 そして、過去の出荷分については、調査が未了であり、不確実な情報を公表・報告できる状況にないから、平成26年9月16日時点で被告 Dに報告義務及び公表義務があったということはできない。 イ平成26年10月23日時点の報告・公表に係る義務違反について平成26年10月6日時点では、過去の出荷分について大臣評価基準に適合しない可能性が浮上していたが、不適合との調査結果が正確なものか、不適合となる製品の範囲やその原因が明らかではなく、調査が必 要な状態にあり、不適合となる製品についての交換等の具体的な対応方 法についても検討が必要な状況にあっ 査結果が正確なものか、不適合となる製品の範囲やその原因が明らかではなく、調査が必 要な状態にあり、不適合となる製品についての交換等の具体的な対応方 法についても検討が必要な状況にあった。 そして、被告Dは、CI担当者が社内特例によりリコールを不要とする意見を述べたのに対して反対し、調査を継続した結果、本件出荷品も含めて大臣評価基準に適合していなかったことが判明したため、平成27年1月に速やかに報告・公表が行われたものである。 したがって、平成26年10月23日時点で被告Dに国交省への報告義務及び一般への公表義務があったということはできない。 ⑶ 争点⑶(任務懈怠による損害の有無及び額)について(原告の主張)ア本件出荷の停止等に係る任務懈怠による損害 本件会社は、被告らの本件出荷の停止等に係る任務懈怠によって、全154棟に及ぶ免震積層ゴムの交換工事を要する等の損害を被った。当該損害を金銭的に評価すると、本件会社の平成27年12月期の第4四半期までの累計の特別損失が466億7400万円であることに照らせば、合計3億円(被告1名当たり7500万円)を下らない。 仮に前記の評価が困難であるとしても、本件出荷の停止等に係る任務懈怠がなければ、本件会社は、納期に遅れることなく大臣評価基準に適合する製品又は市場で調達した代替品を納入することが可能であり、本件消防組合に支払った補償費用1754万6907円及びその他の費用2億3929万9808円の合計2億5684万6715円を負担する 必要はなかったから、同額が前記任務懈怠と相当因果関係のある損害である。 イ国交省への報告及び一般への公表に係る任務懈怠による損害被告らの報告及び公表に係る任務懈怠がなければ、国交省に対する報告及び ったから、同額が前記任務懈怠と相当因果関係のある損害である。 イ国交省への報告及び一般への公表に係る任務懈怠による損害被告らの報告及び公表に係る任務懈怠がなければ、国交省に対する報告及び一般への公表は実際より早く行われ、社内調査のみで足りたにも かかわらず、前記任務懈怠によって、本件会社は、全国紙等の報道にお いて自浄作用を欠くと評価され、社外調査チームを設置し、その費用2億0771万0197円を支出せざるを得なかったから、前記費用は任務懈怠と相当因果関係がある損害である。 また、被告らの報告及び公表に係る任務懈怠によって、本件会社は企業統治体制や法令遵守の姿勢が欠如しているとの社会的非難を浴び、そ の信用が毀損されたところ、民訴法248条を勘案して信用毀損を金銭的に評価すれば、1億円を下らない。 (被告らの主張)ア本件出荷の停止等に係る任務懈怠による損害について原告が主張する損害について、その根拠は不明であり、損害の発生に ついての立証がされていない。 また、仮に平成26年9月16日に本件出荷を停止する判断をしていたとしても、本件出荷品を出荷する契約は締結済みであり、代替品の取得費用、代替品の加工費用、設置工事費用、代替品納入までの遅延損害金、代替システム関連費用等の損害を回避することはできないから、こ れらの損害については出荷停止の判断をしなかったことと相当因果関係がない。 イ国交省への報告及び一般への公表に係る任務懈怠による損害について仮に国交省への報告義務及び一般への公表義務が生じていたとしても、信用毀損により1億円の損害が生じた旨の原告の主張は、根拠がない。 また、本件では、平成27年2月9日、国交省に対し報告を行って事態が公表されており、公表時期の違いによ が生じていたとしても、信用毀損により1億円の損害が生じた旨の原告の主張は、根拠がない。 また、本件では、平成27年2月9日、国交省に対し報告を行って事態が公表されており、公表時期の違いによりその損害額に差があるとは考えられないから、報告義務違反及び公表義務違反に基づく損害として信用毀損による損害1億円が発生したと認められる余地はない。また、社外調査チームは設置されたであろうから、社外調査チーム設置費用と報 告義務違反及び公表義務違反とは相当因果関係がない。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実前記前提事実並びに証拠(甲ア4、甲ア5の2、甲ア30の1・4・5・6・9・13・14・15・16・18・19・20・21・22・23・25・26・27・30・31、甲イ2、甲イ3、甲イ5、甲ケ3、甲ケ18、 甲ケ20、甲ケ21、甲ケ22、甲ケ24、甲ケ26、甲ケ32、甲ケ37、乙Aア3、乙Aア5、乙Aア6、乙Bア1、乙Bア2、乙Cア1、乙Dア1、証人G、証人H、証人F、被告B本人、被告C本人、被告A本人、被告D本人)及び弁論の全趣旨を総合すれば、次の事実が認められる(認定に用いた主たる証拠等を各項の末尾に掲記する。)。 ⑴ 本件会社とCIの組織体制等ア本件会社は、タイヤ事業として、各種タイヤの製造販売等を、ダイバーテック事業として、自動車用部品、鉄道車両用部品、断熱・防水資材、産業・建築資材等の各種ゴム製品の製造販売等を行っており、平成27年の売上高は4077億8900万円、同営業利益は633億8100万円で、 平成27年12月31日時点において、資本金の額は304億8462万7991円、連結従業員数は1万1333名、国内に14事業所を有し、連結子会社は国内で16社、海外では30社に及んでいた 、 平成27年12月31日時点において、資本金の額は304億8462万7991円、連結従業員数は1万1333名、国内に14事業所を有し、連結子会社は国内で16社、海外では30社に及んでいた。 本件会社には、取締役会の下に、業務執行機関としての代表取締役社長が置かれ、その直轄組織としてCSR統括センター、経営企画本部、 技術統括センター及び中央研究所があるほか、購買本部、管理本部、タイヤ事業本部、ダイバーテック事業本部が設けられていた。 ダイバーテック事業本部には、自動車ゴム製品ビジネスユニット、化工品ビジネスユニット等があり、化工品ビジネスユニットに属する免震積層ゴムを含む化工品の製造・開発・販売部門は、平成24年までは本 件会社に置かれていたが、平成25年1月、CIの設立に伴い、CIに 移管された。(前記前提事実⑵、甲ア4、甲ケ37、弁論の全趣旨)イ CIは、自動車用部品、鉄道車両用部品、断熱・防水資材、産業・建築資材等の各種ゴム製品を製造販売しており、東京都に本社を、大阪市等に支店を、兵庫県明石市に工場を有していた。 CIは、本件会社のグループ会社内での組織上、化工品ビジネスユニ ットの一部門に位置付けられ、同ユニットでは、毎月1回、本件会社の本社又はCIの東京本社で幹部会議を開催し、CIを含む子会社の役員等が出席し、本件会社のダイバーテック事業本部長や化工品ビジネスユニット長から事業方針等について指揮監督を受けていた。(甲ケ18、甲ケ37) ⑵ 被告ら及び関係者の経歴、担当職務等ア被告Bは、昭和54年に本件会社に入社し、主に化工品部門のウレタン事業の業務に従事し、平成25年3月、本件会社の取締役に、その後、ダイバーテック事業本部長に就任して、これに伴い、CIの担当取締役となっ Bは、昭和54年に本件会社に入社し、主に化工品部門のウレタン事業の業務に従事し、平成25年3月、本件会社の取締役に、その後、ダイバーテック事業本部長に就任して、これに伴い、CIの担当取締役となったが、免震積層ゴムの製造、出荷業務に直接従事した経験はなかった。 (乙Bア2)イ被告Cは、昭和52年に本件会社に入社し、主にタイヤ事業の業務に従事し、平成25年4月に執行役員、技術統括センター長に、平成26年3月に取締役に就任し、製品のリコールの判断を含めて製品の品質保証を担当するQA委員会の委員長の地位にあったが、免震積層ゴムの製造、出荷 業務に直接従事した経験はなかった。 技術統括センター長は、本件会社の①タイヤ品質保証部、②ダイバーテック品質保証部、③安全衛生・防災推進部、④特許部を統括する地位にあり、前記の品質保証部は、品質管理・保証体制の構築、監査及び計画等を担当していた。なお、製品の品質管理及び保証は、各事業部及び 製造工場の品質保証部が担当していた。(乙Cア1、被告C本人) ウ被告Aは、昭和55年に本件会社に入社して以来、タイヤ事業本部に所属し、平成25年3月、本件会社の取締役常務執行役員タイヤ事業本部長に就任し、平成26年7月16日、代表取締役専務執行役員、タイヤ事業本部長に就任した後、同年11月1日、代表取締役社長に就任したが、免震積層ゴムの製造、出荷業務に直接従事した経験はなかった。(乙Aア3、 乙Aア6)エ被告Dは、昭和55年に文系出身の総合職として本件会社に入社し、人事総務・企画・財務・マーケティング関係の業務に従事し、平成21年頃に管理本部長に、平成25年3月に取締役常務執行役員、管理本部長に就任したが、免震積層ゴムの製造、出荷業務に直接従事した経験はなかった。 財務・マーケティング関係の業務に従事し、平成21年頃に管理本部長に、平成25年3月に取締役常務執行役員、管理本部長に就任したが、免震積層ゴムの製造、出荷業務に直接従事した経験はなかった。 被告Dは、管理本部長として、人事部、総務部、経理部及び資金部を統括するほか、法務を含むコンプライアンス関係業務を行うCSR統括センターを担当しており、執行役員であるLが同センター長を務めていた。(乙Dア1、被告D本人)オ Fは、昭和49年に本件会社の子会社に入社し、平成26年1月、本件 会社ダイバーテック事業本部に在籍しつつ、CIに出向して、CIの代表取締役社長に就任した。(前記前提事実⑵、甲ケ32、証人F)カ Gは、昭和58年、本件会社に入社し、平成26年4月、本件会社の兵庫事業所長に加え、CIの取締役、執行役員及び技術生産本部長に就任した。(前記前提事実⑵、甲ケ18、証人G) キ Hは、平成26年当時、本件会社ダイバーテック事業本部自動車ゴム製品ビジネスユニット自動車ゴム製品技術本部長を務め、自動車ゴム製品の製造業務に従事していたが、免震積層ゴムについては、CIの明石工場から月1回の報告を受ける程度で、自らは免震積層ゴムについて技術的知識を有していなかった。(前記前提事実⑵、証人H) ⑶ 免震積層ゴムの補正係数に関する問題が発覚した経緯 ア Jは、平成24年8月、本件会社に入社して明石工場で勤務するようになり、平成25年1月、CIの設立に伴い、CIの開発技術部設計グループに配属され、免震積層ゴムの性能検査後に行われていた補正作業や大臣評価基準の合否判定等の業務を担当するようになった。 Jは、同じ試験機で性能検査が行われている免震積層ゴムにつき、試 験機の摩擦による影響を解消するための補正係数と に行われていた補正作業や大臣評価基準の合否判定等の業務を担当するようになった。 Jは、同じ試験機で性能検査が行われている免震積層ゴムにつき、試 験機の摩擦による影響を解消するための補正係数として異なる数値が用いられていること、摩擦による影響を解消するため以外にも趣旨不明な補正が行われていること等から、前任のIから引き継いで使用していた摩擦係数や補正係数の根拠が明確でないと考え、実験を重ねた結果、補正係数に技術的根拠がないのではないかとの疑いを持ち、平成25年6 月、上司であったCIの開発技術部長のMに補正係数がおかしい旨の報告をした。Mは、これを当時のCIの上層部及び本件会社に報告をしなかった。(甲ア5の2、甲ケ18、甲ケ20、甲ケ21)イ Jは、平成26年2月頃、Mの上司であるCIの技術生産本部長のNに対し、免震積層ゴムの出荷時の性能検査において技術的な根拠が不明な補 正が行われている旨の報告をした。 Fは、平成26年2月26日、N及びJから、一部の免震積層ゴムについて技術的根拠が不明な補正が行われ、その結果、大臣評価基準を満たしていない製品が製造・販売されている可能性がある旨の報告を受け、出荷済みのG0.39について不正があるか否かの調査を行うように指 示した。(甲ア5の2、甲ア30の1、甲ケ18、甲ケ21、証人F)ウ Gは、平成26年4月、Nの後任としてCIの技術生産本部長に就任し、同月中旬頃、G0.39の補正係数に係る問題について、Nから引継ぎを受けるとともに、Jから説明を受け、親会社である本件会社に報告を行うこととした。(甲ケ18、証人G) ⑷ 平成26年5月の本件会社に対する報告等 ア Gは、平成26年5月12日、本件会社で行われた会議において、F、M及びJと共に、被告B 告を行うこととした。(甲ケ18、証人G) ⑷ 平成26年5月の本件会社に対する報告等 ア Gは、平成26年5月12日、本件会社で行われた会議において、F、M及びJと共に、被告B及びKに対し、G0.39の出荷時の性能検査において、補正のために乗じている数値が一定でなく、技術的に根拠のない数値を用いている可能性がある旨の報告をし、以後、被告Bの指示を受けて調査を行うこととなった。(甲ア5の2、甲ケ18、甲ケ21、証人G) イ Iは、平成26年5月21日頃、Fが同席する下、G及びJに対し、G0.39の出荷時の性能検査において、測定値の算出のために行ってきた補正の根拠を説明したが、温度による差異を解消するための補正が水平剛性にのみ行われ、減衰定数についてされていない場合があること、出荷時の性能検査ごとに温度による差異等を解消するための補正がされる場合と されない場合がある根拠について合理的説明がないことなどから、G及びFらは、Iの説明が技術的根拠を有するものとは判断しなかった。 また、Iは、26メガニュートン機についてロードセルの校正や必要なメンテナンスが行われていないこと等を説明した。(甲ア5の2、甲ケ18、甲ケ22、甲ケ24、証人G、証人F) ウ被告Bは、平成26年5月26日、本件会社で行われた会議に参加し、G及びJから、G0.39(E4)に係る出荷時の性能検査について、製品の測定値の算出に用いる補正係数の技術的根拠に疑問が生じており、平成20年3月頃から、本来あるべき性質よりも固い製品が出始めた等の説明を受けた。(甲ア5の2、甲ア30の4、乙Bア1、乙Bア2、証人G、 被告B本人)エ Eは、平成26年5月27日、CIの事業に係る定例の近況報告の中で、Fから、免震積層ゴムの性能指標に 明を受けた。(甲ア5の2、甲ア30の4、乙Bア1、乙Bア2、証人G、 被告B本人)エ Eは、平成26年5月27日、CIの事業に係る定例の近況報告の中で、Fから、免震積層ゴムの性能指標にばらつきがあり、その詳細を調査中である旨の報告を受けた。(甲ア5の2、甲ア30の5、証人F)⑸ 平成26年6月及び7月の調査等 ア被告Bは、平成26年6月2日、CIの明石工場において、G及びJか ら、平成16年12月以降の納品について、G0.39の補正係数が変化しており、スケールモデルの物性は変化していないにもかかわらず、実物大の製品の物性が固く変化している、実物大の製品を測定する26メガニュートン機のロードセルの校正が10年以上行われていない旨の説明を受けた。 なお、同日の会議に用いられた「W製品検査データの信頼性と技術的妥当性の検証」との表題のスライドには、①平成16年12月以降出荷の物件では、基準となる設計値に合わせるために補正係数を変更しており、その根拠が技術的に妥当とはいい難く、合否判定の仕方に問題がある、②技術的に妥当と考えられる補正係数に基づく検査値によって性能 検査の合否判定を行うと、開発時及び平成16年6月出荷の物件では規格値内であったが、現在の製品ではその多くが規格値を満足しないと推測できる旨の記載がされていた。(甲ア5の2、甲ア30の6、乙Bア1、乙Bア2、被告B本人)イ被告Bは、前記アの会議での報告を受け、実物大の製品の物性が固く変 化した原因の調査と26メガニュートン機のロードセルの校正を指示したところ、平成26年6月中旬頃、ロードセルの校正には同年11月まで要するとの報告を受けた。(乙Bア2、被告B本人)ウ Jは、平成26年6月から7月頃、Gから指示を受け、出荷済み ルの校正を指示したところ、平成26年6月中旬頃、ロードセルの校正には同年11月まで要するとの報告を受けた。(乙Bア2、被告B本人)ウ Jは、平成26年6月から7月頃、Gから指示を受け、出荷済みのG0. 39の性能指標について、自らが技術的根拠に基づくと考える方法により 再計算したところ、平成16年7月に出荷された製品の性能指標は大臣評価基準に適合するが、同年12月以降に出荷された製品の性能指標は適合しないものであり、G0.39の3回目の認定から5回目の認定までの各申請に係る試験体の性能指標が、黒本内で前提とされる基準に適合していなかったことが判明した。(甲ア5の2) エ被告Bは、平成26年6月30日、Gから、26メガニュートン機のロ ードセル校正に関し、試験機のメーカーに確認したところ、他に免震積層ゴムを製造している会社においても、年2~3%、測定される値の変動が生じているとの報告を受けた。(乙Bア1、乙Bア2、被告B本人)オ被告Bは、平成26年7月2日、CIの明石工場においてJに対し、同月3日、本件会社本社においてIに対し、それぞれヒアリングを実施し、 ①性能検査時における基準振動数はメーカーの判断によるものであること、②CIにおいて、基準振動数は0.015ヘルツ~0.5ヘルツを用いて行っていること、③CIには、実物大の製品を試験するための26メガニュートン機(振動数は最大0.015ヘルツ)とスケールモデルを最大0. 5ヘルツの振動数で試験できる2メガニュートン機があり、双方の試験結 果を総合して特性変化を定量化するための補正係数を算出し、これを乗じることで実物大の性能指標を求めていること、④2メガニュートン機におけるスケールモデルでの性能検査では、水平剛性を含む全ての数値が大臣評価基準に適 変化を定量化するための補正係数を算出し、これを乗じることで実物大の性能指標を求めていること、④2メガニュートン機におけるスケールモデルでの性能検査では、水平剛性を含む全ての数値が大臣評価基準に適合しているが、26メガニュートン機の性能検査では、水平剛性にばらつきがあり、前記基準に適合しないものがある等の説明を受け た。 また、被告Bは、Iに対するヒアリングにおいて、26メガニュートン機が未校正であるほか、実測値の算出に当たって試験機の摩擦による影響を取り除くための摩擦係数を平成15年と平成25年以外に測定していないことから、摩擦係数の経年変化の影響について、過去に出荷し た量産品のデータから補正すべき値を推定し、出荷時の性能検査に用いている式の補正係数に織り込んでいる旨を確認した。(乙Bア1、乙Bア2、被告B本人)カ Jは、平成26年7月上旬頃、CIの共有ファイルの中から、「ダミー」という名前が付されたファイルを発見し、Iから、実測に基づく値ではな く、虚偽のデータに基づいて免震積層ゴムの大臣認定を取得した旨の説明 を受け、同月9日、前記ファイルを発見したことや当該説明の内容をGにメールで報告した。(甲ケ18、甲ケ21、証人G)⑹ 本件会社における平成26年7月の対応等ア被告Cは、平成26年7月上旬頃、Eから、ダイバーテック事業本部の免震積層ゴムでトラブルが起こっているため、詳しい話を聞いて対処する よう依頼を受け、以後、現場の担当者から報告を受けて必要に応じて指示をする形で社内調査に関与することとなった。(甲ア5の2、乙Cア1)イ被告Bは、平成26年7月14日、本件会社において、K、G及びJと共に会議を行った。 被告Bは、Jから、平成16年12月以降、G0.39の大臣認定の なった。(甲ア5の2、乙Cア1)イ被告Bは、平成26年7月14日、本件会社において、K、G及びJと共に会議を行った。 被告Bは、Jから、平成16年12月以降、G0.39の大臣認定の 取得について、実際の測定に基づく値ではなく、推定値を用いて大臣認定を取得している可能性があると聴取し、Gに対してIへのヒアリングを指示した。 また、被告Bは、Gから、26メガニュートン機を用いた検証結果を基に性能検査を実施しているところ、数値にばらつきがあること、2メ ガニュートン機では実測値が不変であることから、測定において材料の配合特性を考慮する必要はないなどの報告を受けた。(甲ア5の2、乙Bア1、乙Bア2、被告B本人)ウ E、被告B、被告C、K、F及びGは、平成26年7月17日、本件会社において、免震積層ゴムの品質に関する会議に参加した。Gは、G0. 39の出荷時の性能検査及び大臣認定の申請時に技術的根拠のない補正が行われていたこと、G0.39の性能指標が大臣評価基準に適合していないこと、大臣認定申請において黒本中に記載した数値の中に実測値に基づかないものが含まれること、試験機の摩擦係数の定期的確認や、ロードセル校正が10年以上行われていないことについて説明をした。 被告Cは、前記説明を受け、技術的見地から更に調査が必要と考え、 Gらに対して、実測値を含め具体的な数値を用いた再報告を行うように指示した。(甲ア5の2、甲ア30の9、乙Bア2、乙Cア1、証人G、証人F、被告C本人)エ G及びJは、平成26年7月23日、CIの明石工場で、Iに対してヒアリングを実施し、G0.39の平成14年6月、平成15年2月に取得 した大臣認定の各申請において提出したデータの中に実測値に基づかないものが含まれている点 3日、CIの明石工場で、Iに対してヒアリングを実施し、G0.39の平成14年6月、平成15年2月に取得 した大臣認定の各申請において提出したデータの中に実測値に基づかないものが含まれている点について確認したところ、Iは、大臣認定の申請において黒本に記載した数値に実測値に基づかない数値が含まれている事実を認めたが、当該数値は合理的な推測に基づくものであり、技術的根拠があることは、大臣認定取得後における製品の出荷時の性能検査により後追 いで確認したために何ら問題がない旨を述べた。(甲ア5の2、乙Bア2)オ Eは、平成26年7月28日から同年8月27日まで入院をした。(甲ア5の2)⑺ 本件会社における平成26年8月の対応ア被告ら及びGは、平成26年8月13日、本件会社で行われた会議に参 加し、Gから、G0.39につき、大臣評価基準に適合していない可能性があること、地震発生時の建築物への影響を評価する免震設計シミュレーションの結果に基づき、地震が発生した場合の建築物への影響は限定的であること、東日本大震災を経験した宮城県及び福島県の物件で具体的な問題は生じていないこと、試験機のメンテナンスを長期間行っていないこと 等が報告された。 被告Aは、同日時点で、代表取締役専務執行役員に就任して約1か月が経過した頃であり、免震積層ゴムに係る問題について初めて詳細な報告を受けたものであったが、その後、報告内容が理解しづらいものであったことから、被告Cに対し、ダイバーテック事業本部の自動車ゴム製 品技術本部長を務め、ゴム製品に関する技術的知識を有するHを調査に 参加させることを求めた。また、被告Dも、前記の会議において、初めて免震積層ゴムに係る問題の存在を知った。(甲ア5の2、甲ア30の13、乙Aア6、乙 製品に関する技術的知識を有するHを調査に 参加させることを求めた。また、被告Dも、前記の会議において、初めて免震積層ゴムに係る問題の存在を知った。(甲ア5の2、甲ア30の13、乙Aア6、乙Bア1、乙Bア2、乙Dア1、証人G、被告A本人、被告D本人)イ被告B、被告C、被告D、F及びGは、平成26年8月18日、本件会 社で行われた会議に参加し、①直近に予定されている出荷においては現在の製造方法に基づくG0.39を出荷するとともに、②恒久的な対策としてはG0.39の製造方法を改良することにより大臣評価基準に適合する製品を製造できるようにすることが、ダイバーテック事業本部としての今後の方針であるとの報告がされた。 被告Dは、大臣評価基準を満たさない免震積層ゴムが使用された建築物が違法になるのかと質問し、会議後、Gが作成した打合せ及び指摘事項メモに、この問題について、本件会社内の専門家又は弁護士を探す必要がある旨記載された。(甲ア5の2、甲ア30の14、乙Bア1、乙Bア2、乙Dア1、証人F、被告D本人) ウ被告Dは、前記イの会議後、翌19日頃までに、グループ会社の一級建築士から、大臣評価基準を満たさない免震積層ゴムが使用された建築物は建築基準法に反する違法建築物になる旨の回答を得た。(被告D本人)エ被告B、K及びGは、平成26年8月中旬頃から、大臣認定取得時に提出した黒本には、振動数の基準が明示されておらず、いかなる振動数を基 準として定めるかは、メーカーの自主的な判断に委ねられているという見解を前提として、0.015ヘルツで載荷試験を行って得られた、振動数の差異を解消するための補正を行う前の実測値が、基準となる設計値(大臣認定の取得に当たり、製品の基本性能として示した数値をいう。)にかなり近 して、0.015ヘルツで載荷試験を行って得られた、振動数の差異を解消するための補正を行う前の実測値が、基準となる設計値(大臣認定の取得に当たり、製品の基本性能として示した数値をいう。)にかなり近いものであることに着目し、この実測値に対して振動数の差異を解 消するための補正を行わなければ、大臣評価基準からの乖離を小さくする ことが可能ではないかとの考えに注目するようになった。(甲ア5の2、乙Bア2)オ被告Bは、平成26年8月22日の会議において、Gから、26メガニュートン機につき、試験機のロードセル校正だけではなく、その他の試験機メーカーが推奨する項目についてもメンテナンスを実行していなかった 旨の報告を受けた。(乙Bア1、乙Bア2)カ被告B、被告C、K、F、L、G及びJは、平成26年8月25日、本件会社で行われた会議に参加し、①恒久的な対策として改良品の開発を行うこと、②今後出荷する製品の出荷時の性能検査において、測定値を算出するための補正の方法を検討すること、③技術的根拠のある補正方法が決 定した場合には、それに基づいて出荷済み製品の性能指標を再計算することが、ダイバーテック事業本部の今後の方針として報告された。(甲ア5の2、甲ア30の15、乙Bア1、乙Bア2、証人F、被告D本人)キ本件会社のダイバーテック事業本部及びCIは、平成26年8月下旬頃、同年9月1日以降、G0.39の新規受注をしない方針を決定した。(甲 ア5の2)ク Hは、平成26年8月末頃から、被告Cの指示を受け、免震積層ゴムの問題に係る社内調査に関わるようになった。(甲ア5の2、乙Aア6、乙Bア2、証人H)⑻ 本件会社における平成26年9月前半の対応 ア被告ら、E、H、K、F及びGは、平成26年9月1日、 問題に係る社内調査に関わるようになった。(甲ア5の2、乙Aア6、乙Bア2、証人H)⑻ 本件会社における平成26年9月前半の対応 ア被告ら、E、H、K、F及びGは、平成26年9月1日、本件会社で行われた会議に参加し、これまでの被告B、K及びGらによる検討内容が報告された。この頃までには、複数の会議出席者から、G0.39以外の免震積層ゴムは問題がないのかと指摘がされるようになっていたが、ダイバーテック事業本部及びCIの担当者間では、G0.62については、G0. 39と同様の補正の方法が行われているため、調査が必要であるが、G0. 35及び天然ゴムについては、補正の方法が異なり、技術的根拠のないデータ処理を介在させる余地に乏しいため問題ないと認識されていた。(甲ア5の2、甲ア30の16、乙Aア6、乙Bア1、乙Bア2)イ Iを含むCIの担当者らは、平成26年9月4日、発注者である淺沼組の担当者と共に、本件出荷品の立会検査を実施した。(甲ケ21、甲ケ2 6)ウ被告Bは、平成26年9月5日から7日頃までの間に、CIの明石工場において、G及びHから、これまでの検証結果について報告を受けた。 そして、被告B、H、K及びGは、平成26年9月8日頃、本件会社で行われた会議において、0.015ヘルツでの載荷試験を行って得ら れた実測値に、振動数の差異を解消するための補正を施さずに、測定値を算出するという方法をG0.39の出荷時の性能検査において用いるという方針を決定した。 しかし、当該方針に基づき、0.015ヘルツで載荷試験を行って得られた実測値に、振動数の差異を解消するための補正を行わなかったと しても、一部のG0.39についての減衰定数の乖離値は、大臣評価基準に適合しなかったため、この点を解決する 載荷試験を行って得られた実測値に、振動数の差異を解消するための補正を行わなかったと しても、一部のG0.39についての減衰定数の乖離値は、大臣評価基準に適合しなかったため、この点を解決するための技術的根拠のある説明の方法がないか、引き続き検討されることとなった。特に、2メガニュートン機と26メガニュートン機との差異を解消するための補正を行うことによる説明が注目され、被告Cの指示を受け、両試験機で測定可 能な試験体を作成し、前記説明の検証作業が進められることとなった。 (甲ア5の2、乙Bア2、乙Cア1、証人H)エ被告ら、E、K、F及びGは、平成26年9月11日、本件会社において行われた会議に参加し、前記ウのとおり、0.015ヘルツで載荷試験を行って得られた実測値に、振動数の差異を解消するための補正を行わな かったとしても、一部のG0.39についての減衰定数の乖離値は、大臣 評価基準に適合しない旨の報告を受け、本件出荷を停止するか否かを判断するため、弁護士に相談する方針とした。 他方で、前記ウのとおり、2メガニュートン機と26メガニュートン機の機差の検証を実施し、当該機差を解消するための補正を行うことで、大臣評価基準の範囲内に収まるかが引き続き検討されることとなった。 (甲ア5の2、甲ア30の18、乙Bア2、被告B本人)オ被告Bは、平成26年9月12日、CSR統括センター長のLと共に、外部の法律事務所を訪問し、本件出荷の可否について相談したところ、弁護士から、本件出荷を停止した方がよい、大臣評価基準に満たない場合には国交省への報告が必要になる旨の助言を受けた。 被告Bは、前記の助言を受け、Kに対し、本件出荷を停止し、公表措置を採ることになる旨を伝え、出荷停止及び公表の手順を示した資料を準 い場合には国交省への報告が必要になる旨の助言を受けた。 被告Bは、前記の助言を受け、Kに対し、本件出荷を停止し、公表措置を採ることになる旨を伝え、出荷停止及び公表の手順を示した資料を準備するよう指示をした。(甲ア5の2、甲ア30の19、乙Bア2、乙Dア1、被告B本人)⑼ 本件会社における平成26年9月16日午前の対応 被告B、被告C、被告D、E、K及びFは、平成26年9月16日午前、本件会社で行われた会議(ただし、正式な取締役会ではない。)に最初から参加し、本件出荷の可否について相談した弁護士から出荷を停止した方がよい旨の助言を受けたことの報告もされて、G0.39につき、減衰定数の乖離値が大臣評価基準に適合しないことから、同月19日に予定されているG 0.39に係る本件出荷を停止する方針が採られ、直ちに国交省に本件出荷の停止等について報告することが確認された。 一方、被告Aは、同日、別の会議に出席しており、呼出しを受けて途中から前記の会議に参加したところ、本件出荷の停止の方針と国交省に報告を行うことが既に決定され、国交省に対する報告内容及び報告の担当者について 議論がされており、議論の結果、CIの代表者であるFと技術的説明の担当 であるHが報告に行くこととなった。 なお、同日の会議に用いられたスライドは、「W案件」という表題のものであり、平成26年9月11日の会議での結論として、「本件出荷に係る物件は、同月4日に立会検査済みであるが、現在構築中の換算式では、規格を満足していない。換算式の精度をアップしたとしても、規格内に入ることは ないと想定し、NG品とジャッジする。出荷を停止する。今後の対応としては、弁護士事務所と相談し、早急にアクションを起こす。」旨の記載がされていた。(甲ア5の プしたとしても、規格内に入ることは ないと想定し、NG品とジャッジする。出荷を停止する。今後の対応としては、弁護士事務所と相談し、早急にアクションを起こす。」旨の記載がされていた。(甲ア5の2、甲ア30の20、乙Dア1、被告B本人、被告C本人、被告A本人、被告D本人)⑽ 本件会社における平成26年9月16日午後の対応等 ア被告Bは、平成26年9月16日午後、CIの明石工場にいるHから、明石工場で行っていた2メガニュートン機と26メガニュートン機の機差検定の結果を織り込むと、本件出荷に係る製品は、大臣評価基準に適合するので出荷停止の必要はない旨の連絡を電話で受けたため、本件会社の本社会議室とテレビ会議で接続し、詳細に報告するように指示し、本件会社 本社にいた本件会社の取締役らに対し、Hから報告がある旨を連絡した。 (乙Bア2、被告B本人、被告C本人)イ被告B、被告C、E、L及びFは、平成26年9月16日午後、本件会社の本社会議室において、CIの明石工場にいたH、Gらとテレビ会議で接続し、会議(ただし、正式な取締役会ではない。)を実施した。 Hは、試験結果のグラフを示した上で、26メガニュートン機と2メガニュートン機で共通に測定可能な直径60センチメートルの試験体を測定したところ、両者の実測値には1.4倍程度の差異が生じるとの試験結果が出ており、0.015ヘルツで載荷試験を行って得られた実測値に、振動数の差異を解消するための補正を行わない方法を採用し、か つ、試験機の機差を解消するための補正(1.40倍の機差補正)及び その他必要な補正を行うと、本件出荷に係るG0.39の性能指標を大臣評価基準に適合させることが可能であるとの報告(H報告)をした。 前記会議では、H報告の内容について、被告 の機差補正)及び その他必要な補正を行うと、本件出荷に係るG0.39の性能指標を大臣評価基準に適合させることが可能であるとの報告(H報告)をした。 前記会議では、H報告の内容について、被告Bや被告Cも含めて異論は出されず、かかるH報告を受けて、同日午前の会議で確認された本件出荷の停止の方針が撤回され、予定どおり同月19日に本件出荷を行う こととされた。 なお、同月16日の時点で、26メガニュートン機のロードセルの校正は完了しておらず、校正は平成27年7月に行われた。 被告A及び被告Dは、平成26年9月16日午後、別の会議に出席する予定であったため、本件出荷を決定した前記会議には出席していなか った。(甲ア5の2、甲ケ3、甲ケ32、乙Bア2、乙Dア1、証人G、証人H、証人F、被告B本人、被告A本人、被告D本人)ウ被告Dは、平成26年9月16日夕方頃、前記イの会議に参加していたLから、然るべき補正をすれば、本件出荷品は大臣評価基準を満たす旨のH報告がされ、E、被告B及び被告Cは、H報告に異論を述べず、本件出 荷が実施されることになった旨の報告を受けた。(乙Dア1、被告D本人)エ被告Aは、平成26年9月18日午前頃、前記イの会議において、H報告が行われ、その内容を踏まえて本件出荷が実施されることとなった旨の報告を受けた。(乙Aア5、乙Aア6)⑾ 本件出荷 CIは、平成26年9月19日、本件出荷をした。(前記前提事実⑺ウ)⑿ 平成26年10月22日頃までの対応等ア被告B、被告C、被告D、E、K、F及びGは、平成26年10月6日、本件会社において行われた会議に出席し、過去に出荷されたG0.39のうち、少なくともフランジ別体型の3物件については、H報告に基づいて 再計算をした場合 K、F及びGは、平成26年10月6日、本件会社において行われた会議に出席し、過去に出荷されたG0.39のうち、少なくともフランジ別体型の3物件については、H報告に基づいて 再計算をした場合でも、減衰定数の乖離値が大臣評価基準に適合しないこ とが報告された。 なお、被告Aは、同日、休暇を取得しており、前記会議に参加していなかった。(甲ア5の2、甲ア30の21、乙Aア5、乙Aア6、乙Bア1、乙Bア2、乙Dア1、証人F、被告D本人)イ被告Cは、平成26年10月10日、H報告に基づき過去の出荷物件を 再計算しても減衰定数に大臣評価基準の不適合が認められること、被告Cが調査に関与してからある程度の期間が経過したことから、同月23日午後にQA委員会を開催する旨を決定し、被告B、被告D、被告A、K、F及びGらに対して出席を依頼する旨の連絡をした。(甲ア30の22、乙Cア1、被告C本人) ウ被告Cは、平成26年10月17日、被告Bに対し、①被告Cが調査に関与してから3か月が経過したことから、QA委員会を延期せずに開催すべきである、②同月23日の決定以降は、担当者の処分を含め、大きな問題が表面化し、辛い決断が続くが、もう我々は逃げられないと覚悟している旨のメールを送信した。(甲ア30の23、乙Cア1、被告C本人) ⒀ 平成26年10月23日の会議ア被告ら、E、H、K、F及びGは、平成26年10月23日午前、同日午後のQA委員会の開催を控えて本件会社で行われた会議に参加した。 Hは、これまでIらによって行われてきた補正の方法は技術的根拠が乏しく、補正係数の設定が適切でなかったことなど従前の社内調査の総 括的な報告をするとともに、0.015ヘルツで載荷試験を行って得られた実測値に振動数の差異を解消す た補正の方法は技術的根拠が乏しく、補正係数の設定が適切でなかったことなど従前の社内調査の総 括的な報告をするとともに、0.015ヘルツで載荷試験を行って得られた実測値に振動数の差異を解消するための補正を行わず、かつ、試験機の差異を解消するための補正及びその他の必要となる補正を行ってもなお、過去に出荷されたG0.39に関して、出荷されたG0.39の性能指標の乖離値(ある物件に用いられた全G0.39の平均値)が± 10%を超え、大臣評価基準に適合しない物件が26件あり、さらに、 個々の製品ごとの性能指標の乖離値についてみても、大臣評価基準である±20%を超える物件が少なくとも4件存在することを報告した。 他方で、Hは、ダイバーテック事業本部及びCIの担当者である被告B、K、H、F及びGらの総意として、これらの物件については社内特例として処理し、出荷済みのG0.39のリコールは不要であるとの見 解を示した。また、Hは、リコールした場合のリスクとして、本件会社で過去に免震積層ゴムの交換を行った実績がなく、本件会社独自で設計依頼、工事手配等の対応が必要となること、免震積層ゴムの信頼性が崩壊すること、膨大な対応費用が発生することなどを指摘する一方で、リコールしない場合のリスクとして内部通報があり得ることを挙げた。 被告C、被告A及び被告Dは、前記のHの見解に反対し、会議の結果、引き続き社内での調査検討を継続すべきであるとされ、当日午後に予定されていたQA委員会の開催は見送られることとなった。 被告Cは、フランジ一体型と別体型の違いが大臣評価基準への適合に影響しているかを確認するため、Hに対し、生産が終了していたG0. 39フランジ別体型のサンプルを作成して、検査を行うように依頼した。 (甲ア5の2、甲ア3 別体型の違いが大臣評価基準への適合に影響しているかを確認するため、Hに対し、生産が終了していたG0. 39フランジ別体型のサンプルを作成して、検査を行うように依頼した。 (甲ア5の2、甲ア30の25、乙Cア1、乙Dア1、証人H、被告B本人、被告C本人、被告A本人、被告D本人)イ被告C、被告A及び被告Dは、同日、前記アの会議の後、打合せを実施し、社内特例として、リコール等の対外的な対応を何ら行わないというダ イバーテック事業本部及びCIの提案は適切ではないことを前提として、今後の対応方針を協議した。 被告Dがまとめた前記打合せの内容のメモには、今後の方針として、要旨、①大臣評価基準に適合しないG0.39が用いられている物件を10件未満とすることを理想として技術的検証を継続することとし、摩 擦係数の経年変化の再分析や、フランジ別体型に大臣評価基準に適合し ない製品が多い原因の探索を行うこと、②G0.39が用いられている建物全体の安全性や基本的な免震性能への影響が小さいことを社内で確認すること、③前記②が確認できた場合には、第三者である免震分野の権威に相談してアドバイスを仰ぎ、不良品対応として国交省への報告が不要であること及び物件の建替えやG0.39の交換が不要であること の確認の取得がポイントであるなどの記載がされている。(甲ア5の2、甲ア30の26、乙Dア1、被告A本人、被告D本人)⒁ 平成26年10月末以降の対応ア本件会社中央研究所のOは、平成26年10月末頃から、被告Cの指示を受け、免震積層ゴムに関する調査に加わり、以降、H及びGと共に技術 面の調査を行い、被告B及び被告Cに報告を行う体制となった。(甲ア5の2)イ Gは、平成26年12月6日、被告B、K、F及びHに対し、黒本に基 関する調査に加わり、以降、H及びGと共に技術 面の調査を行い、被告B及び被告Cに報告を行う体制となった。(甲ア5の2)イ Gは、平成26年12月6日、被告B、K、F及びHに対し、黒本に基準振動数は明記されていないが、黒本の技術資料の補正式から逆算すると基準振動数が0.5ヘルツと分かる、国交省の調査が入れば、基準振動数 を0.015ヘルツとするロジックは成立しない旨を記載した資料をメールで送信した。(甲ア5の2、甲ア30の27)ウ平成26年12月末頃にG0.39フランジ別体型の試験体が作成され、同試験体につき試験を行った結果、平成27年1月10日頃、2メガニュートン機と26メガニュートン機との間での実測値の差異が1.2倍にと どまること、0.015ヘルツで載荷試験を行って得られた実測値に振動数の差異を解消するための補正を行わず、かつ試験機の差異を解消するための補正及びその他必要となる補正を行っても、性能指標の乖離値の個々の値が大臣評価基準に適合しないG0.39フランジ別体型の出荷済み製品が多数あることが判明した。(甲ア5の2、乙Cア1) エ Oは、平成27年1月19日頃、黒本の記載内容を検証し、黒本に記載 されている補正式に照らして、G0.39の載荷試験においては、0.5ヘルツを基準振動数として行うことが前提とされていることを確認した。 そして、O、H及びGは、平成27年1月27日、被告Cに対して、黒本において、G0.39の載荷試験は0.5ヘルツを基準振動数として行うことが前提とされており、0.015ヘルツを基準振動数として載荷試 験を行うことは、黒本の記載に明白に反し、正当化できず、技術的な根拠がない旨を報告した。(甲ア5の2、甲ア30の30)⒂ 出荷停止の判断被告C、被告 15ヘルツを基準振動数として載荷試 験を行うことは、黒本の記載に明白に反し、正当化できず、技術的な根拠がない旨を報告した。(甲ア5の2、甲ア30の30)⒂ 出荷停止の判断被告C、被告A及び被告Dは、平成27年1月30日、本件会社で行われた会議に参加し、Oから、0.015ヘルツを基準振動数として載荷試験を 行うことに技術的な根拠がないこと、黒本の記載によれば、載荷試験は0. 5ヘルツを基準振動数として行うことが前提にされていると解さざるを得ないこと、載荷試験においては0.5ヘルツを基準振動数とすべきであること等の報告を受けた。当該報告を踏まえ、外部の弁護士への相談が行われ、平成27年2月2日、同月13日に予定されていたG0.39の立会検査の延 期及び出荷停止の判断がされた。(甲ア5の2、甲ア30の31)⒃ 国交省への報告本件会社は、平成27年2月9日、国交省に対し、G0.39が使用されている55物件について、大臣評価基準に適合しない免震積層ゴムが使用されている疑いがある旨の報告を行った。(甲ア5の2、乙Cア1) ⒄ 本件会社による損害賠償金等の支払ア本件会社及びCIは、平成27年5月20日、本件消防組合、新消防本部庁舎の設計会社及び淺沼組との間で、本件出荷品が大臣評価基準に適合していなかったことに伴う補修費用、本件消防組合に生じた工期の遅れに対する損害賠償金等を、本件会社及びCIが支払う旨の覚書(以下「本件 覚書」という。)を作成した。(甲イ2) イ本件会社は、平成27年4月21日から平成29年1月20日の間に、本件出荷品が大臣評価基準に適合していなかったことに伴う構造性能評価手数料、交換製品代、改修工事費、運送費及びその他費用として、合計2億3929万9808円を第三者に ら平成29年1月20日の間に、本件出荷品が大臣評価基準に適合していなかったことに伴う構造性能評価手数料、交換製品代、改修工事費、運送費及びその他費用として、合計2億3929万9808円を第三者に支払った。(甲イ5)ウ本件会社は、平成28年7月20日、本件消防組合に対し、本件覚書に 基づき、工期遅れに対する損害金及び不正問題に係る人件費、旅費として1754万6907円を支払った。(甲イ3、甲イ5)エ CIは、本件出荷品が大臣評価基準に適合していなかったことに伴う損害賠償金等を第三者に支払っていない。(甲イ5) 2 争点⑴(本件出荷の停止等に係る任務懈怠の有無)について ⑴ア本件では、本件会社がその完全子会社であるCIを設立し、化工品の製造・開発・販売部門をCIに移管し、CIにおいて免震積層ゴムを製造、出荷していたところ、本件出荷に先立って、免震積層ゴムが大臣評価基準に適合していない疑いが生じ、被告らを含む本件会社及びCIの取締役らが参加した会議等による検討・判断を経て、同基準に適合するものとして CIが本件出荷をしたが、実際には本件出荷品が大臣評価基準に適合していなかったため(甲ア5の2、甲ア12、甲イ2、甲ケ18、甲ケ22、甲ケ24、甲ケ32、甲ケ33)、本件会社が本件出荷に伴う損害賠償金を負担するに至ったものである。 イところで、企業がその生産した製品を市場に出荷するに際しての取締役 による製品出荷の可否の判断は、一般的には、経営判断の問題であり、当該製品に関わる事情や当該製品の出荷により当該会社に生じる利害得失等の種々の事情に基づき判断されるべきものではあるが、他方で、本件出荷品のように、当該製品について、法令や法令に係る技術的基準に適合するものとする大臣認定によって、備えるべき品質や性能 じる利害得失等の種々の事情に基づき判断されるべきものではあるが、他方で、本件出荷品のように、当該製品について、法令や法令に係る技術的基準に適合するものとする大臣認定によって、備えるべき品質や性能等についての一定の 基準が定められ、かかる基準に適合していることを前提に当該製品が販売 されている場合には、そのような法令等に反する製品を販売することは許されず、当該製品が前記の基準を備えていないときは、取締役には、出荷停止によって当該会社に生じる直接的な損失の存在を考慮しても、当該製品の出荷の停止を判断することが求められているというべきである。 もっとも、このような判断は、取締役にとって、限られた情報の下で 時には迅速に行う必要のある性質のものであるから、当時得られた情報の下では出荷停止の判断に至らなかったものの、事後的にみると前記の備えるべき品質や性能等についての基準に適合していなかったときに、当該取締役が当然に善管注意義務違反に係る責任を負うということはできず、事後的にみると前記の基準に適合していなかったときにおいても、 当該取締役の地位や担当職務等を踏まえ、前記の基準に適合すると認識ないし評価した取締役の当時の当該認識ないし評価に至る過程が合理的なものである場合には、かかる認識ないし評価を前提に、当該判断の当否について検討すべきである。 ウそして、当該会社が大規模で分業された組織形態となっている場合には、 取締役が各種の業務を分担する各部署で検討された結果を信頼してその判断をすることは、取締役に求められる役割という観点からみても合理的なものということができ、そのような場合には、当該取締役の地位及び担当職務、その有する知識及び経験、当該案件との関わりの程度や当該案件に関して認識していた事情等を踏まえ、 という観点からみても合理的なものということができ、そのような場合には、当該取締役の地位及び担当職務、その有する知識及び経験、当該案件との関わりの程度や当該案件に関して認識していた事情等を踏まえ、下部組織から提供された事実関係や その分析及び検討の結果に依拠して判断することに躊躇を覚えさせるような特段の事情のない限り、前記の基準に適合するとの認識ないし評価に至る過程は合理的なものということができる。 また、前記の備えるべき品質や性能等に係る基準が、当該製品や当該製品をその要素とする完成品の安全性に関わるものである場合には、こ のような製品等が供給されると、その使用者等の生命、身体又は財産を 危険にさらすおそれのあるものであり、また、当該会社としても、その信頼を大きく損ない多額の賠償責任を負う可能性もあるものであるから、前記の基準が当該製品等の安全性に関わるものである場合には、取締役としては、前記の基準に適合するとの認識ないし評価に至る過程が合理的なものであるのか、すなわち、下部組織から提供された事実関係やそ の分析及び検討の結果に依拠して判断することに躊躇を覚えさせるような特段の事情があるか否かについて、より慎重に検討することが求められるというべきである。 ⑵ 被告Bの任務懈怠についてア(ア) 以上を前提に、被告Bの任務懈怠の有無について検討するに、まず、 被告Bは、平成26年9月に認識し得た事情に基づいて本件出荷品が大臣評価基準に適合すると判断したことに不合理な点はなく、被告Bに本件出荷の停止を判断すべき注意義務があったとはいえない旨の主張をするところ、前記認定事実⑷から⑾までで認定した経緯等のほか証拠(乙Bア2、被告B本人)を総合すれば、被告Bは、平成26年 9月16日午後の会議で、 べき注意義務があったとはいえない旨の主張をするところ、前記認定事実⑷から⑾までで認定した経緯等のほか証拠(乙Bア2、被告B本人)を総合すれば、被告Bは、平成26年 9月16日午後の会議で、H報告を受けて、本件出荷品が大臣評価基準に適合すると認識ないし評価し、同人の出席した前記会議において、出荷停止の方針が撤回されて本件出荷をすることが決められて、その結果に従い、CIによって本件出荷品が出荷されたということができる(なお、原告は、被告Bは本件出荷品が大臣評価基準に適合しない ことを認識していた旨の主張をするが、かかる事実を認めるに足りる証拠はない。)。 (イ) そして、本件会社は、前記認定事実⑴アのとおり、平成27年の売上高は4000億円を超え、同年12月31日時点の連結従業員数は1万1333名であるなどの経営規模の極めて大きな会社であり、その 業務も専門性等に応じて種々の部署で分担されているなど、大規模で 分業された組織形態となっているということができるから、被告Bの本件出荷品が大臣評価基準に適合するとの前記の認識ないし評価に至る過程が合理的であるかについては、被告Bの地位及び担当職務、その有する知識及び経験、大臣評価基準との適合性に係る問題との関わりの程度や同問題に関して認識していた事情等を踏まえて、H報告な どの下部組織から提供された事実関係やその分析及び検討の結果に依拠して判断することに躊躇を覚えさせるような特段の事情があるか否かという観点から検討することとなると解される。 イ(ア) そこで、被告Bの前記の認識ないし評価に至る過程が合理的なものであったのか否かに関し、まず、被告Bの地位及び担当職務について検 討すると、被告Bは、本件会社において、主に化工品部門のウレタン事業の業務に従 の前記の認識ないし評価に至る過程が合理的なものであったのか否かに関し、まず、被告Bの地位及び担当職務について検 討すると、被告Bは、本件会社において、主に化工品部門のウレタン事業の業務に従事していたが、当時、本件会社の取締役及びダイバーテック事業本部長に就任していて、CIの担当取締役の地位にあり、免震積層ゴムの製造、出荷業務に直接従事した経験はなかったものの、CIの担当取締役として同社による同業務の一般的な指揮監督を行う 立場にあったということができる(前記認定事実⑴、⑵)。 (イ)a 次に、被告Bの有する知識及び大臣評価基準との適合性に係る問題に関して認識していた事情等についてみると、被告Bは、平成26年5月12日、G0.39の出荷時の性能検査について、補正のために乗じている数値が一定でなく、技術的に根拠のない数値を用いてい る可能性がある旨の報告を受け、以後、免震積層ゴムに係る問題の対応に当たり、J及びGら関係者から報告を受けるとともに調査等を指示し、技術的に妥当な補正係数の確認作業等を通じて大臣評価基準への適合性を検討するようになった(前記認定事実⑷~⑻)。 そして、被告Bは、その検討過程において、度々、補正係数の技 術的根拠に疑問があるなどG0.39が大臣評価基準に適合していな いことを示唆する報告を受けるとともに、実物大の製品の物性が固く変化していることや、技術的に妥当と考えられる補正係数により性能検査を行うと現在の製品ではその多くが規格値を満足していないことなども報告を受け(前記認定事実⑷~⑻)、また、試験機自体についてみても、実物大の試験体を用いた載荷試験を行う26メガニュート ン機のロードセルの校正が10年以上行われておらず、同機についてその他の試験機メーカーが推奨する項目 ⑻)、また、試験機自体についてみても、実物大の試験体を用いた載荷試験を行う26メガニュート ン機のロードセルの校正が10年以上行われておらず、同機についてその他の試験機メーカーが推奨する項目についてもメンテナンスを実行していなかったことの報告も受けていた(前記認定事実⑸~⑺)。 さらに、被告Bは、26メガニュートン機の摩擦係数の測定が定期的に行われていないため、出荷時の性能検査において、量産品のデータ から補正すべき値を推定し、補正係数に織り込んでいること等を認識し、また、基準振動数はメーカーの自主的な判断に委ねられているとの見解を前提として、0.015ヘルツでの載荷試験を行って得られた実測値に、振動数の差異を解消するための補正を施さずに測定値を算出するという方法をG0.39の出荷時の性能検査において用いる 方針を決定したものの、前記の方針により測定値を算出しても、一部のG0.39についての減衰定数の乖離値は大臣評価基準に適合せず、かかる事実も認識したものである(前記認定事実⑸、⑺、⑻)。そして、被告Bは、前記の結果を受けて本件出荷の可否について相談した弁護士から、本件出荷を停止した方がよい旨の助言も受け、本件出荷 は停止することになると考えて出荷停止に向けた準備を指示し、実際に、平成26年9月16日午前に行われた会議で、本件出荷を停止する方針が採られたところでもある(前記認定事実⑻、⑼)。 b このように、被告Bは、出荷停止の判断をしていたにも関わらず、平成26年9月16日午後の会議で、Hから、「0.015ヘルツで 載荷試験を行って得られた実測値に、振動数の差異を解消するための 補正を行わない方法を採用し、かつ、試験機の機差を解消するための補正(1.40倍の機差補正)及びその他必要な補正を行う 載荷試験を行って得られた実測値に、振動数の差異を解消するための 補正を行わない方法を採用し、かつ、試験機の機差を解消するための補正(1.40倍の機差補正)及びその他必要な補正を行うと、本件出荷に係るG0.39の性能指標を大臣評価基準に適合させることが可能である」とのH報告を受け、その内容に異論を唱えず、同報告を信頼して、本件出荷品が大臣評価基準に適合するとの認識ないし評価 に至り、本件出荷を停止しないとの判断をしたものである。 被告Bが依拠したH報告を作成したHは、確かに、当時、本件会社の自動車ゴム製品技術本部長を務めていた者ではあるが、免震積層ゴムについては、CIの明石工場から月1回の報告を受ける程度で、自らは免震積層ゴムについて技術的知識を有していなかった者であり (前記認定事実⑵キ)、また、H報告の内容をみても、振動数の差異を解消するための補正を行わないことの当否を措くとしても、同報告は、26メガニュートン機と2メガニュートン機との機差を解消するため1.40倍の機差補正をするものであるが、前記のとおり、26メガニュートン機のロードセルの校正が10年以上行われておらず、 同機についてその他の試験機メーカーが推奨する項目についてもメンテナンスが実行されておらず、その基本的性能は不明といわざるを得ない状況で、1.40倍の機差補正が正当なものであるということができるのか、したがって、H報告に依拠して大臣評価基準に適合するとの判断をすることができるのか、技術系の業務に従事しダイバーテ ック事業本部長などを歴任してきた被告Bには疑問を感じることができたものであるほか、その他の補正についてみても、前記のとおり、26メガニュートン機の摩擦係数の測定が定期的に行われておらず、補正に用いる補正係数は推定 を歴任してきた被告Bには疑問を感じることができたものであるほか、その他の補正についてみても、前記のとおり、26メガニュートン機の摩擦係数の測定が定期的に行われておらず、補正に用いる補正係数は推定に基づくものであったのであって、この点からみても、H報告によって直ちに本件出荷品を含むG0.39の 大臣評価基準への適合があるというには疑義を感じさせるものであっ たということができる。 さらに、被告Bは、平成26年5月から免震積層ゴムに係る問題への対応に当たるようになって以降、度々、補正係数の技術的根拠に疑問があるなどG0.39が大臣評価基準に適合していないことを示唆する報告を受けるなどし、H報告を受ける直前には、それまでの検討 を踏まえて決定した方針によっても本件出荷品を含むG0.39は大臣評価基準に適合しないものがあることを認識し、相談した弁護士からも本件出荷を停止した方がよい旨の助言も受けていたものでもある。 そして、免震積層ゴムである本件出荷品は、建物に作用する地震力を低減する機能を有する指定建築材料であり、建物の耐震性能の維持 に直結する機能を有するものであって、本件出荷品を用いる建物の安全性に関わるものであるから、かかる製品を販売する企業の取締役としては、より慎重に、本件出荷の当否を判断すべきであったということができるものである。 (ウ) このような、被告Bの地位及び担当職務、その有する知識及び経験、 大臣評価基準との適合性に係る問題との関わりの程度や同問題に関して認識していた事情等を踏まえて考慮すると、建物の安全性に関わる本件出荷品の出荷について、被告Bには、H報告等に依拠して判断することに躊躇を覚えさせるような特段の事情があったということができ、したがって、被告Bの本件出荷品が大臣評価基準 、建物の安全性に関わる本件出荷品の出荷について、被告Bには、H報告等に依拠して判断することに躊躇を覚えさせるような特段の事情があったということができ、したがって、被告Bの本件出荷品が大臣評価基準に適合するとの 認識ないし評価に至る過程は合理的なものであるということはできない。 ウ以上のとおり、大臣評価基準に適合していなかった本件出荷品について、大臣評価基準に適合するとの被告Bの認識ないし評価は合理的なものではなく、かかる認識ないし評価を前提に判断することはできず、かえっ て、前記のとおり、それまでの検討を踏まえて決定した方針によっても 本件出荷品を含むG0.39は大臣評価基準に適合しないものがあり、本件出荷の可否について相談した弁護士からも本件出荷を停止した方がよい旨の助言を受けていて、一旦は本件出荷を停止する方針も採っており、被告Bが出席した会議で報告されたH報告の内容も前記のとおりのものであって、さらに、本件出荷品はこれを用いる建物の安全性に関わ るものでより慎重に判断すべきものであったことなど、前記で認定説示の事情を総合考慮すると、当時、本件会社のダイバーテック事業本部長の地位にあるとともにCIの担当取締役として、CIによる免震積層ゴムの出荷業務等についての一般的な指揮監督を行う立場にあった被告Bは、本件出荷の停止を判断すべき注意義務を負っていたというべきであ る。 しかるに、被告Bは、かかる義務を怠り、一旦行った出荷停止の判断を覆し、本件出荷を行う判断をして前記義務に違反し、その任務を懈怠したということができる。 エなお、被告Bは、子会社の業務執行についてまず責任を負うのはあくま で子会社の取締役であり、親会社の取締役が子会社の業務執行について責任を負うには、実質的 したということができる。 エなお、被告Bは、子会社の業務執行についてまず責任を負うのはあくま で子会社の取締役であり、親会社の取締役が子会社の業務執行について責任を負うには、実質的に子会社の意思決定を支配したと評価できることを要するところ、本件会社とCIについて前記評価を基礎付ける事情はない旨の主張をする。 しかし、CIは、本件会社の完全子会社として設立され、本件会社は その化工品の製造・開発・販売部門をCIに移管してCIにおいて免震積層ゴムを製造、出荷しており、CIは、本件会社のグループ会社内での組織上、化工品ビジネスユニットの一部門に位置付けられていたこと(前記前提事実⑴、⑵、前記認定事実⑴)、また、CIの代表取締役ないし取締役であるF及びGは、本件会社の従業員としての地位を有し、毎 月1回、本件会社の化工品ビジネスユニットの幹部会議に出席して、本 件会社のダイバーテック事業本部長等から事業方針等について指揮監督を受けていたこと(前記認定事実⑴~⑶)は前記認定のとおりであり、そして、CIで製造する免震積層ゴムの大臣評価基準への適合性が問題となった際も、本件会社の取締役である被告B及び被告Cは、CIで製造する免震積層ゴムについて、CIの担当者から報告を受けるとともに 調査を指示して(前記認定事実⑷~⑹)、被告らは、CIの担当者の報告に基づいてG0.39の出荷の可否を検討し、被告B及び被告Cが参加した会議において、本件出荷が決定され(前記認定事実⑻~⑽)、本件出荷による損害賠償金も本件会社が支払っているところである(前記認定事実⒄)。 以上のとおり、本件会社は、自ら製造等していた免震積層ゴムの事業を子会社であるCIに行わせ、その事業方針等の指揮監督を行うほか、本件会社の従業員をCI るところである(前記認定事実⒄)。 以上のとおり、本件会社は、自ら製造等していた免震積層ゴムの事業を子会社であるCIに行わせ、その事業方針等の指揮監督を行うほか、本件会社の従業員をCIの役員に選任し、本件出荷という具体的な業務執行の意思決定についても本件会社の取締役によってされ、本件出荷に伴う損害賠償金も本件会社が負担していることなどに照らせば、本件出 荷に係る判断は、本件会社の業務執行の一環として行われたものというべきであり、被告Bの前記主張は、CIの担当取締役としてCIによる免震積層ゴムの出荷業務等についての一般的な指揮監督を行う立場にあったというべき被告Bの注意義務に係る前記判断を左右するものではない。 オ以上によれば、被告Bは、前記の任務懈怠によって本件会社に生じた損害を賠償すべき責任を負う。 ⑶ 被告Cの任務懈怠についてア被告Cは、本件出荷品は大臣評価基準に適合するなど安全性に問題はないと認識していたなどとして、被告Cが、本件出荷の停止を判断すべき 注意義務を負っていたということや被告Bに対して本件出荷の停止を命 ずべき注意義務を負っていたということはできない旨の主張をするところ、前記認定事実⑹から⑾までで認定した経緯等のほか証拠(乙Cア1、被告C本人)に照らせば、被告Cは、平成26年9月16日午後の会議で、H報告を受けて、本件出荷品が大臣評価基準に適合すると認識ないし評価し、同人の出席した前記会議において、出荷停止の方針が撤回さ れて本件出荷をすることが決められて、その結果に従い、CIによって本件出荷品が出荷されたということができる(なお、原告は、被告Cは本件出荷品が大臣評価基準に適合しないことを認識していた旨の主張をするが、かかる事実を認めるに足りる証拠はない 果に従い、CIによって本件出荷品が出荷されたということができる(なお、原告は、被告Cは本件出荷品が大臣評価基準に適合しないことを認識していた旨の主張をするが、かかる事実を認めるに足りる証拠はない。)。 そして、前記⑵ア(イ)のとおり、本件会社の規模等に照らせば、被告C の本件出荷品が大臣評価基準に適合するとの前記の認識ないし評価に至る過程が合理的であるかについては、被告Cの地位及び担当職務、その有する知識及び経験、大臣評価基準との適合性に係る問題との関わりの程度や同問題に関して認識していた事情等を踏まえて、H報告などの下部組織から提供された事実関係やその分析及び検討の結果に依拠して判 断することに躊躇を覚えさせるような特段の事情があるか否かという観点から検討することとなると解される。 イ(ア) そこで、被告Cの前記の認識ないし評価に至る過程が合理的なものであったのか否かに関し、まず、被告Cの地位及び担当職務について検討すると、被告Cは、本件会社において、主にタイヤ事業の業務に 従事し、免震積層ゴムの製造、出荷業務に直接従事した経験はなかったものの、平成25年4月に技術統括センター長に、平成26年3月には取締役に就任し、QA委員会の委員長の地位にあった。被告Cが就任していた技術統括センター長は、本件会社のダイバーテック品質保証部を含む部署を統括する地位にあり、前記品質保証部は品質管 理・保証体制の構築、監査及び計画等を担当していたほか、被告Cが 委員長を務めていたQA委員会は、製品のリコールの判断を含め製品の品質保証を担当していたものであるから(前記認定事実⑵)、そのような地位にあった被告Cは、本件出荷品の大臣評価基準への適合性については、必要があればその権限を行使し更なる調査を求めるなどして大臣 の品質保証を担当していたものであるから(前記認定事実⑵)、そのような地位にあった被告Cは、本件出荷品の大臣評価基準への適合性については、必要があればその権限を行使し更なる調査を求めるなどして大臣評価基準に適合しない製品が出荷されないように取り組むべき 責任を負う立場にあったということができる。 (イ)a 次に、被告Cの有する知識及び大臣評価基準との適合性に係る問題に関して認識していた事情等についてみると、被告Cは、平成26年7月上旬以降、Eの指示を受けて免震積層ゴムに関する社内調査に関わるようになり(前記認定事実⑹)、その調査の過程において、G0. 39に係る出荷時の性能検査について、補正係数の技術的根拠に疑問が生じたこと、26メガニュートン機のロードセルの校正が10年以上行われておらず、同機についてその他の試験機メーカーが推奨する項目についてもメンテナンスを実行していなかったことなどを認識し、Hに対して補正方法の検討を含めた社内調査に加わるように指示し、 それまでの検討結果を踏まえて、基準振動数はメーカーの自主的な判断に委ねられているという見解を前提として0.015ヘルツでの載荷試験を行って得られた実測値に、振動数の差異を解消するための補正を施さずに測定値を算出するという方法をG0.39の出荷時の性能検査において用いる方針が決定されたものの、前記の方針により測 定値を算出しても、一部のG0.39についての減衰定数の乖離値は大臣評価基準に適合しないことも認識したものである(前記認定事実⑹~⑻)。そして、被告Cは、平成26年9月16日午前に行われた会議において、本件出荷の可否について相談した弁護士から出荷を停止した方がよい旨の助言を受けたことの説明もされて、同会議で、本 件出荷を停止する方針が Cは、平成26年9月16日午前に行われた会議において、本件出荷の可否について相談した弁護士から出荷を停止した方がよい旨の助言を受けたことの説明もされて、同会議で、本 件出荷を停止する方針が採られたところである(前記認定事実⑼)。 b このように、被告Cは、出荷停止の判断をしていたものの、平成26年9月16日午後の会議で、Hから、H報告を受け、その内容に異論を唱えず、同報告を信頼して、本件出荷品が大臣評価基準に適合するとの認識ないし評価に至り、本件出荷を停止しないとの判断をしたものである。 しかし、H報告については、前記⑵イ(イ)bのとおり、26メガニュートン機の基本的性能は不明といわざるを得ない状況で機差補正を1.40倍とするH報告に依拠して大臣評価基準に適合するとの判断をすることができるのかなど、技術系の業務に従事し技術統括センター長やQA委員会の委員長などを歴任してきた被告Cには疑問を感じ ることができたものであるほか、被告Cは、平成26年7月上旬に免震積層ゴムに係る問題に関わるようになってから、補正係数の技術的根拠に疑問があることを認識し、H報告を受ける直前には、それまでの検討を踏まえて決定した方針によっても本件出荷品を含むG0.39は大臣評価基準に適合しないものがあることを認識して、相談した 弁護士からも本件出荷を停止した方がよい旨の助言を受けていたことも認識していたものである。 (ウ) このような、被告Cの地位及び担当職務、その有する知識及び経験、大臣評価基準との適合性に係る問題との関わりの程度や同問題に関して認識していた事情等を踏まえて考慮すると、建物の安全性に関わる 本件出荷品の出荷について、被告Cには、H報告などの下部組織から提供された事実関係やその分析及び検討の結果に依 度や同問題に関して認識していた事情等を踏まえて考慮すると、建物の安全性に関わる 本件出荷品の出荷について、被告Cには、H報告などの下部組織から提供された事実関係やその分析及び検討の結果に依拠して判断することに躊躇を覚えさせるような特段の事情があったということができ、したがって、被告Cの本件出荷品が大臣評価基準に適合するとの認識ないし評価に至る過程は合理的なものであるということはできない。 ウ以上のとおり、大臣評価基準に適合していなかった本件出荷品について、 大臣評価基準に適合するとの被告Cの認識ないし評価は合理的なものではなく、かかる認識ないし評価を前提に判断することはできず、かえって、前記のとおり、それまでの検討を踏まえて決定した方針によっても本件出荷品を含むG0.39は大臣評価基準に適合しないものがあり、本件出荷の可否について相談した弁護士からも本件出荷を停止した方がよい旨の助 言を受けていて、一旦は本件出荷を停止する方針も採っており、被告Cが出席した会議で報告されたH報告の内容も前記のとおりのものであって、さらに、本件出荷品はこれを用いる建物の安全性に関わるものでより慎重に判断すべきものであったことなど、前記で認定説示の事情を総合考慮すると、当時、本件会社の技術統括センター長及びQA委員会の委員長とし て、本件出荷品の大臣評価基準への適合性について必要があればその権限を行使し更なる調査を求めるなどして大臣評価基準に適合しない製品が出荷されないように取り組むべき責任を負う立場にあった被告Cは、本件出荷の停止を判断すべき注意義務を負っていたというべきである。 しかるに、被告Cは、かかる義務を怠り、一旦行った出荷停止の判断 を覆し、本件出荷を行う判断をして前記義務に違反し、その任務を懈怠し の停止を判断すべき注意義務を負っていたというべきである。 しかるに、被告Cは、かかる義務を怠り、一旦行った出荷停止の判断 を覆し、本件出荷を行う判断をして前記義務に違反し、その任務を懈怠したということができる。 エ以上によれば、被告Cは、前記の任務懈怠によって本件会社に生じた損害を賠償すべき責任を負う。 ⑷ 被告Aの任務懈怠について ア被告Aは、平成26年9月16日午後に急遽行われた会議には別の予定があったため欠席し、同月18日午前頃、前記の会議において、H報告がされ、その内容を踏まえて本件出荷が実施されることとなった旨の報告を受け、これにより、前記の会議で本件出荷品が大臣評価基準に適合するものと判断されたと考え、その旨の認識ないし評価をしたということができ る(前記認定事実⑺から⑽まで、甲ケ33、乙Aア6、被告A本人。なお、 原告は、被告Aが、G0.39が大臣評価基準を満たしていないことを認識した旨の主張をするが、かかる事実を認めるに足りる証拠はない。)。 イ(ア) そして、被告Aの前記の認識ないし評価に至る過程が合理的であるかに関し、被告Aの地位及び担当職務について検討すると、被告Aは、本件会社に入社して以来、タイヤ事業本部に所属し、免震積層ゴムの 製造、出荷業務に直接従事した経験はなく、また、当時、本件会社の取締役常務執行役員タイヤ事業本部長であり(前記認定事実⑵)、前記⑵ア(イ)のとおり大規模で分業された組織形態となっている本件会社において、本件出荷品を含む免震積層ゴムの大臣評価基準への適合性の確保やその品質管理に直接携わる地位や職務には就いていなかったも のである。 (イ)a 次に、被告Aの有する知識及び大臣評価基準との適合性に係る問題に関して認識していた事情等につい 適合性の確保やその品質管理に直接携わる地位や職務には就いていなかったも のである。 (イ)a 次に、被告Aの有する知識及び大臣評価基準との適合性に係る問題に関して認識していた事情等についてみると、被告Aは、平成26年8月13日、G0.39につき、大臣評価基準に適合していない可能性がある旨の報告を受けた後、同年9月1日の会議で被告B、K及び Gらによる検討内容が報告され、同年9月11日の会議において、0. 015ヘルツで載荷試験を行って得られた実測値に、振動数の差異を解消するための補正を行わなかったとしても、一部のG0.39についての減衰定数の乖離値は、大臣評価基準に適合しない旨の報告を受け、本件出荷を停止するか否かを判断するための法的意見を得るため、 弁護士に相談する一方で、試験機の差異を解消するための補正を行う方法で大臣評価基準に適合させることが可能であるかの検討を行うものとされたものである(前記認定事実⑺、⑻)。また、被告Aは、平成26年9月16日午前の会議には途中から参加したところ、参加した時点で本件出荷の停止の方針が既に決定されていて、H報告のあっ た同日午後に急遽行われた会議には別の予定があったため欠席し、同 月18日午前頃に、当該会議において、H報告がされてその内容を踏まえて本件出荷が実施されることとなった旨の報告を受け、前記のとおり、本件出荷品が大臣評価基準に適合すると認識ないし評価したものである(前記認定事実⑼、⑽)。 b そして、H報告には、前記⑵イ(イ)bの事情があるものであるが、 被告A自身は、この問題に関与するようになった後、平成26年8月13日や同年9月11日に大臣評価基準との適合性に係る問題の報告を受けるなどしていた程度で、同年8月13日の会議での報告内容 が、 被告A自身は、この問題に関与するようになった後、平成26年8月13日や同年9月11日に大臣評価基準との適合性に係る問題の報告を受けるなどしていた程度で、同年8月13日の会議での報告内容も理解しづらいものであったのであり、被告Aが性能検査に際しての補正係数や26メガニュートン機等の試験機の状態などそれまでの具体 的な検討経過や問題点等を十分に認識していたといえるのかは疑問が残る上、平成26年9月16日午後の会議に欠席していた被告AはH報告の内容やその根拠等について直接に説明を受けたものでもないものであり、被告Aが、H報告の内容に疑義を感じることができたのかは疑問があるところである。 また、確かに、被告Aも、前記aのとおり、G0.39が大臣評価基準に適合していない可能性がある旨の報告を受けるなどしていたが、他方で、本件会社は大規模で分業された組織形態となっていたところ、本件出荷品が大臣評価基準に適合するか否かについては、CI担当の取締役である被告Bや被告Cのほか、調査の指示を受けたHら において検討されており、前記の被告Aの大臣評価基準との適合性に係る問題との関わりの程度も考慮すると、このような調査等を行ってきた同人らによる本件出荷品は大臣評価基準に適合するとの検討結果を信頼して考えることには一定の合理性があるといえるところでもあり、かかる事情を総合すると、被告Aにおいて、H報告の内容やそれ による本件出荷品が大臣評価基準に適合するとの評価が技術的根拠を 欠くものであるとの疑いを抱くことは困難であったといえる。 (ウ) そうすると、被告Aが、本件出荷が実施される旨の報告を受けた際、H報告及びCIの担当である被告Bを含む取締役らがした本件出荷に係る検討結果に依拠して判断することに躊躇を であったといえる。 (ウ) そうすると、被告Aが、本件出荷が実施される旨の報告を受けた際、H報告及びCIの担当である被告Bを含む取締役らがした本件出荷に係る検討結果に依拠して判断することに躊躇を覚えさせるような特段の事情があったとは認められず、被告Aの判断の前提となった事実等 の認識ないし評価に至る過程は合理的なものということができる。 ウ前記イのとおり、被告Aが、本件出荷品が大臣評価基準に適合していると認識ないし評価するに至る過程は合理的なものということができるところ、前記認識等を前提とした場合、本件出荷を停止すべきであったなどということはできず、被告Aが、被告B及びEに対して、本件出荷の停止を 指示すべき義務や、淺沼組に対し本件出荷品が大臣評価基準に適合していない可能性があることを伝えるように指示する義務を負っていたということはできない。 エ以上によれば、被告Aに任務懈怠があったとは認められない。 ⑸ 被告Dの任務懈怠について ア被告Dは、平成26年9月16日午後に急遽行われた会議には別の予定があったため欠席し、同日夕方頃、前記の会議において、H報告がされ、その内容を踏まえて本件出荷が実施されることとなった旨の報告を受け、これにより、前記の会議で本件出荷品が大臣評価基準に適合するものと判断されたと考え、その旨の認識ないし評価をしたということができる(前 記認定事実⑺から⑽まで、乙Dア1、被告D本人。なお、原告は、被告Dが、G0.39が大臣評価基準を満たしていないことを認識した旨の主張をするが、かかる事実を認めるに足りる証拠はない。)。 イ(ア) そして、被告Dの前記の認識ないし評価に至る過程が合理的であるかに関し、被告Dの地位及び担当職務について検討すると、被告Dは、 文系出身の総 事実を認めるに足りる証拠はない。)。 イ(ア) そして、被告Dの前記の認識ないし評価に至る過程が合理的であるかに関し、被告Dの地位及び担当職務について検討すると、被告Dは、 文系出身の総合職として本件会社に入社して以来、人事総務・企画・ 財務・マーケティング関係の業務に従事し、免震積層ゴムの製造、出荷業務に直接従事した経験はなく、また、平成26年当時、管理本部長として、人事部、総務部、経理部及び資金部を統括するほか、法務を含むコンプライアンス関係業務を行うCSR統括センターを担当していたが(前記認定事実⑵)、前記⑵ア(イ)のとおり大規模で分業され た組織形態となっている本件会社において、本件出荷品を含む免震積層ゴムの大臣評価基準への適合性の確保やその品質管理に直接携わる地位や職務には就いていなかったものである。 (イ)a 次に、被告Dの有する知識及び大臣評価基準との適合性に係る問題に関して認識していた事情等についてみると、被告Dは、平成26 年8月13日、G0.39につき、大臣評価基準に適合していない可能性がある旨の報告を受けて会議に参加し、同月18日の会議で今後の方針についての報告を受けた後、一級建築士からの回答により本件出荷品が大臣評価基準に適合しない場合にはこれを使用した建築物は建築基準法違反となることを認識し、同年9月1日の会議では被告B、 K及びGらによる検討内容の報告を受け、さらに、同年9月11日の会議において、0.015ヘルツで載荷試験を行って得られた実測値に、振動数の差異を解消するための補正を行わなかったとしても、一部のG0.39についての減衰定数の乖離値は、大臣評価基準に適合しない旨の報告を受けて、本件出荷を停止するか否かを判断するため の法的意見を得るため、弁護士に相談す を行わなかったとしても、一部のG0.39についての減衰定数の乖離値は、大臣評価基準に適合しない旨の報告を受けて、本件出荷を停止するか否かを判断するため の法的意見を得るため、弁護士に相談することとされたものである(前記認定事実⑺、⑻)。また、被告Dは、同年9月16日午前の会議において、他の取締役らと共に本件出荷を停止する方針を採る旨の判断をした後、Lから、同日午後の会議において、然るべき補正をすれば本件出荷品は大臣評価基準を満たす旨のH報告があり、被告B及 び被告Cら出席した取締役らによって本件出荷が決定された旨の報告 を受け、前記のとおり、本件出荷品が大臣評価基準に適合すると認識ないし評価したものである(前記認定事実⑼、⑽)。 b そして、H報告には、前記⑵イ(イ)bの事情があるものであるが、被告Dは、文系出身の総合職であり、免震積層ゴムの製造や出荷業務に直接従事した経験もなく、技術についての専門的知識を有しなかっ たものである上、平成26年9月16日午後の会議に欠席していた被告DはH報告の内容やその根拠等について直接に説明を受けたものでもないものであり、被告Dが、H報告の内容に疑義を感じることができたのかは疑問があるところである。 また、確かに、被告Dも、前記aのとおり、G0.39が大臣評価 基準に適合していない可能性がある旨の報告を受けるなどし、また、被告Dは本件出荷を停止した方がよいとの弁護士からの回答も聞いていたと考えられるが、他方で、前記⑵ア(イ)のとおり大規模で分業された組織形態となっていた本件会社において、本件出荷品が大臣評価基準に適合するか否かについては、CI担当の取締役である被告Bや 被告Cのほか、調査の指示を受けたHらにおいて検討されており、前記の被告Dの大臣評価基準と 件会社において、本件出荷品が大臣評価基準に適合するか否かについては、CI担当の取締役である被告Bや 被告Cのほか、調査の指示を受けたHらにおいて検討されており、前記の被告Dの大臣評価基準との適合性に係る問題との関わりの程度も考慮すると、このような調査等を行ってきた同人らによる本件出荷品は大臣評価基準に適合するとの検討結果を信頼して考えることには一定の合理性があるといえるところでもあり、かかる事情を総合すると、 被告Dにおいて、H報告の内容やそれによる本件出荷品が大臣評価基準に適合するとの評価が技術的根拠を欠くものであるとの疑いを抱くことは困難であったといえる。 (ウ) そうすると、被告Dが、本件出荷が実施される旨の報告を受けた際、H報告及びCIの担当である被告Bを含む取締役らがした本件出荷に 係る検討結果に依拠して判断することに躊躇を覚えさせるような事情 があったとは認められず、被告Dの判断の前提となった事実等の認識ないし評価に至る過程は合理的なものということができる。 ウ前記イのとおり、被告Dが、本件出荷品が大臣評価基準に適合していると認識ないし評価するに至る過程は合理的なものということができるところ、前記認識等を前提とした場合、本件出荷を停止すべきであったなどと いうことはできず、被告Dが、被告B及びEに対して、本件出荷の停止を指示すべき義務や、淺沼組に対し本件出荷品が大臣評価基準に適合していない可能性があることを伝えるように指示する義務を負っていたということはできない。 エ以上によれば、被告Dに任務懈怠があったとは認められない。 3 争点⑵(国交省への報告及び一般への公表に係る任務懈怠の有無)について⑴ 免震積層ゴムである本件出荷品を含むG0.39は、建築基準法に係る技術的基 務懈怠があったとは認められない。 3 争点⑵(国交省への報告及び一般への公表に係る任務懈怠の有無)について⑴ 免震積層ゴムである本件出荷品を含むG0.39は、建築基準法に係る技術的基準に適合するものとする国土交通大臣による大臣認定によって、備えるべき品質や性能等についての一定の基準が定められ、かかる基準に適合していることを前提に販売されているものであるほか、建物に作用する地震力 を低減する機能を有する指定建築材料として建物の耐震性能の維持に直結する機能を有するものであって、G0.39を用いる建物の安全性に関わるものであるから、かかる製品を販売する企業の取締役としては、出荷済みの製品が大臣評価基準に適合しないものであった場合には、可及的速やかに国交省に報告するとともに、一般に向けてかかる事実を公表することが求められ るというべきである。 そして、大臣評価基準に係る基準違反の内容、それによる影響の程度、改修の方法及び可否等の事情が明らかでないまま不正確ないし不確実な報告・公表をした場合、かえって不必要な混乱を招くなど当該製品や当該製品を用いる建物の安全性に対する信頼を損ねるおそれもあるものの、そのような調 査に要するとして長期にわたって報告・公表をしないことは通常は相当では なく、また、基準違反の内容やそれによる影響の程度等によっては、調査の途中においても速やかに何らかの報告・公表をすべき場合もあると考えられる。 そうすると、かかる製品を販売する企業の取締役の国交省への報告及び一般への公表に係る注意義務については、その地位及び担当職務を前提に、大 臣評価基準への適合性についての調査の進捗状況及び内容、基準違反の内容やそれによる影響の程度、当該取締役が認識した事情等の具体的な事実関係等を踏まえ ついては、その地位及び担当職務を前提に、大 臣評価基準への適合性についての調査の進捗状況及び内容、基準違反の内容やそれによる影響の程度、当該取締役が認識した事情等の具体的な事実関係等を踏まえて、当該時点における報告・公表に係る具体的な注意義務の有無について判断されることになると解される。 ⑵ 平成26年9月16日頃の報告・公表に係る義務違反について ア被告B及び被告Cの報告・公表に係る義務違反について本件出荷品が大臣評価基準に適合するとの被告B及び被告Cの認識ないし評価は合理的なものではなく(前記2⑵、⑶)、かえって、被告B及び被告Cは、それまでの検討を踏まえて平成26年9月8日頃に決定した方針によっても本件出荷品を含むG0.39は大臣評価基準に適合し ないものがあることを認識し(前記認定事実⑻)、さらに、本件出荷の可否について相談した弁護士からは、出荷を停止した方がよい、大臣評価基準に満たない場合には国交省への報告が必要になる旨の助言を受けていたところでもある(前記認定事実⑻)。 しかし、同年9月11日に行われた会議では、2メガニュートン機と 26メガニュートン機の機差の検証を実施し、当該機差を解消するための補正を行うことで大臣評価基準の範囲内に収まるかが引き続き検討されることとされていて、前記2⑵イ(イ)bのとおり、同月16日のH報告によって直ちに本件出荷品を含むG0.39の大臣評価基準への適合があるというには疑義を感じさせるものであったものの、前記の事情によ っても大臣評価基準に違反することが明らかとなっていた状況ではなく、 引き続き調査が必要な状況であったところでもある。 このような事情に照らせば、被告B及び被告Cが、平成26年9月16日の時点で、免震積層ゴムが大臣評価基準を満た かとなっていた状況ではなく、 引き続き調査が必要な状況であったところでもある。 このような事情に照らせば、被告B及び被告Cが、平成26年9月16日の時点で、免震積層ゴムが大臣評価基準を満たしていないことについての国交省への報告義務や一般への公表義務を負っていたということはできない。 イ被告A及び被告Dの報告・公表に係る義務違反について前記2⑷及び⑸で説示したとおり、被告A及び被告Dが、本件出荷品が大臣評価基準に適合していると認識ないし評価するに至る過程は合理的なものであり、被告Aや被告Dが本件出荷の停止を指示すべき義務等を負っていたということはできないことに鑑みると、被告Aが平成26 年9月16日頃の時点で、被告Dが同日の時点で、それぞれ免震積層ゴムが大臣評価基準を満たしていないことについての国交省への報告義務や一般への公表義務を負っていたということはできない。 ⑶ 平成26年10月23日時点の報告・公表に係る義務違反についてア前記認定事実⒀によれば、被告らは、平成26年10月23日、Hから、 ①従前行われてきた補正の方法に技術的根拠が乏しく、補正係数の設定が適切でなかったこと、②H報告に基づき、0.015ヘルツで載荷試験を行って得られた実測値に振動数の差異を解消するための補正を行わず、かつ、試験機の差異を解消するための補正及びその他の必要となる補正を行ってもなお、過去に出荷されたG0.39に関して、出荷されたG0.3 9の性能指標の乖離値(ある物件に用いられた全G0.39の平均値)が、大臣評価基準に適合しない物件が26件あり、さらに、個々の製品ごとの性能指標の乖離値について大臣評価基準に適合しない物件が少なくとも4件存在することの報告を受け、被告C、被告A及び被告Dは、G0.39のリ 基準に適合しない物件が26件あり、さらに、個々の製品ごとの性能指標の乖離値について大臣評価基準に適合しない物件が少なくとも4件存在することの報告を受け、被告C、被告A及び被告Dは、G0.39のリコールは不要であるとのダイバーテック事業本部及びCIの見解に反 対の意見を述べているところである。 被告らは、それまでの検討を踏まえて平成26年9月8日頃に決定した方針によっても本件出荷品を含むG0.39は大臣評価基準に適合しないものがあることを認識し(前記認定事実⑻)、本件出荷の可否について相談した弁護士からは、出荷を停止した方がよい、大臣評価基準に満たない場合には国交省への報告が必要になる旨の助言を受けていた中で、 G0.39の大臣評価基準への適合性を支える最後の根拠ともいうべきH報告について、前記のとおり、同報告によってもG0.39の大臣評価基準への適合性を否定する状況になっていたものであり、加えて、同年10月23日の会議で被告C、被告A及び被告DによってG0.39のリコールは不要との見解に反対の意見が述べられ、同日、同人らが協 議した内容を被告Dがまとめたメモをみても、大臣評価基準に適合しないものがあることを前提として今後の対応方針が協議されていた(前記認定事実⒀)ことからすれば、もはや、被告らの間で、G0.39の中に大臣評価基準に適合しないものがあることは明らかとなっていたというべきである。そして、G0.39が、建物の耐震性能の維持に直結す る機能を有し出荷済みのG0.39を用いている建物の安全性に関わるもので、既に相当数の建物で現に使用されていたこと、かつ、G0.39やこれを用いる建物の改修方法等を示して報告・公表するには今しばらく時間を要するような状態であり、これを待って報告・公表していてはい ので、既に相当数の建物で現に使用されていたこと、かつ、G0.39やこれを用いる建物の改修方法等を示して報告・公表するには今しばらく時間を要するような状態であり、これを待って報告・公表していてはいつ公表できるか全く明らかではない状況であったこと(前記認定事 実⒀)からすれば、被告らは、平成26年10月23日の時点で、G0. 39に大臣評価基準を満たしていないものがあることについて、国交省に報告する判断をすべき義務(報告義務)を負うとともに、一般への公表をする判断をすべき義務(公表義務)を負っていたというべきである(なお、原告は、免震積層ゴムについての報告義務及び公表義務を主張 するが、G0.39以外の免震積層ゴムについても同日の時点で報告義 務及び公表義務があったということはできない。)。 しかるに、被告らは、平成26年10月23日の会議において、G0. 39について引き続き社内での調査検討を継続すべきであると判断し(前記認定事実⒀)、過去に出荷されたG0.39の中に大臣評価基準に適合しないものがあることについて、国交省に報告する判断や一般への 公表をする判断をせずに、前記の各義務に違反したものである。 イこれに対し、被告Bは、平成26年10月23日時点では、免震積層ゴムの性能について、建物の安全性には問題がないことが確認されている旨の主張をするとともに、被告らは、要すると、大臣評価基準に適合しない製品の範囲や原因を特定し、交換対応等の方針・体制を整えた上で公表等 をすべきであり、同日に国交省に報告する判断や一般への公表をする判断を行う義務があったとはいえない旨の主張をする。 しかし、仮に被告Bがいうように東日本大震災を経験した建物もその安全性に具体的な問題が生じていなかったとしても、立地条件等 の公表をする判断を行う義務があったとはいえない旨の主張をする。 しかし、仮に被告Bがいうように東日本大震災を経験した建物もその安全性に具体的な問題が生じていなかったとしても、立地条件等によっても異なってくるものであり、少なくとも、大臣評価基準に適合すること によって満たされる安全性に係る性能は有していないもので、そのような状態にあることが既に明らかとなって、他方で、交換対応等の方針・体制がいつ整うのか具体的な見通しも明らかでなく(実際、国交省に報告されたのは、平成26年10月23日から3か月以上経過した平成27年2月9日のことである。)、むしろ、被告Bはリコールは不要である との立場を採り(前記認定事実⒀ア)、被告Dが平成26年10月23日に行われた打合せの内容をまとめたメモをみても、大臣評価基準に適合しないG0.39が用いられている物件を少なくするための技術的検証の継続のほか、物件の建替えやG0.39の交換工事が不要であることの確認の取得などに言及されていて(前記認定事実⒀イ)、前記のとおり G0.39の中に大臣評価基準に適合しないものがあることは明らかと なっていたのに、その時点では交換や補修等の対応が行われる見込みがあったのかさえ疑義のある状況であったというべきものであって、本件における事実関係等の下では、被告らの前記主張をもって、被告らの平成26年10月23日時点における報告義務及び公表義務を否定することはできない。 ウ以上のとおり、被告らには、平成26年10月23日の時点で、G0. 39に大臣評価基準を満たしていないものがあることを国交省に報告する判断をすべき義務及び一般への公表をする判断をすべき義務を怠った任務懈怠があるということができる。 4 争点⑶(任務懈怠による損害の 9に大臣評価基準を満たしていないものがあることを国交省に報告する判断をすべき義務及び一般への公表をする判断をすべき義務を怠った任務懈怠があるということができる。 4 争点⑶(任務懈怠による損害の有無及び額)について ⑴ 被告B及び被告Cの本件出荷の停止に係る任務懈怠による損害についてア原告は、本件会社が、被告らの本件出荷の停止等に係る任務懈怠によって、全154棟に及ぶ免震積層ゴムの交換工事を要する等の損害を被り、当該損害を金銭的に評価すると、本件会社の平成27年12月期の第4四半期までの累計の特別損失が466億7400万円であることに照らせば、 合計3億円(被告1名当たり7500万円)を下らない旨を主張する。 そこで検討すると、証拠(甲イ1)によれば、平成28年2月15日、本件会社は、本件会社又はCIが出荷していた製品の一部が大臣評価基準に適合していない事実及び免震積層ゴムの大臣認定取得に際してその一部に技術的根拠のない申請があった事実が判明し、全154棟の免震 積層ゴムの交換を行うこととなったとして、平成27年12月期の第4四半期までの累計で、製品補償引当金繰入額及び製品補償対策費の合計466億7400万円を特別損失として計上したことが認められる。 しかしながら、本件会社又はCIは、平成12年11月から平成27年2月までの間に合計175物件に免震積層ゴムを出荷していたと考え られること(前記前提事実⑽イ)に照らせば、前記特別損失の大部分は、 本件出荷以前に出荷された免震積層ゴムについての交換工事等のための費用であると考えられるところ、本件出荷の停止に係る任務懈怠がなければ、前記費用の支出を避けることができたとはいえないし、前記の特別損失のうち、本件出荷の停止に係る任務懈怠がなければ支出を避け めの費用であると考えられるところ、本件出荷の停止に係る任務懈怠がなければ、前記費用の支出を避けることができたとはいえないし、前記の特別損失のうち、本件出荷の停止に係る任務懈怠がなければ支出を避けることができた部分も明らかではないところである。 したがって、原告の主張する特別損失をもって本件会社に3億円を下らない損害が生じたということはできず、原告の前記主張は採用することができない。 イ(ア) 次に、原告は、本件出荷の停止等に係る任務懈怠がなければ、本件会社は、納期に遅れることなく大臣評価基準に適合する製品又は市場 で調達した代替品を納入することが可能であり、本件消防組合に支払った補償費用1754万6907円及びその他の費用2億3929万9808円の合計2億5684万6715円を負担する必要はなかったから、同額が前記任務懈怠と相当因果関係のある損害である旨の主張をする。 (イ) そこで検討すると、本件会社は、平成27年4月21日から平成29年1月20日の間に、本件出荷品が大臣評価基準に適合していなかったことに伴う構造性能評価手数料、交換製品代、改修工事費、運送費及びその他費用として、合計2億3929万9808円を第三者に支払っている(前記認定事実⒄)。 そして、前記費用のうち、改修工事費について、本件出荷品の交換には、建物をジャッキアップして代替品の免震積層ゴムと取り換える費用1億3099万0948円を要したことが認められ(甲イ5、甲ケ9)、この改修工事費は、本件出荷の停止に係る任務懈怠がなければ、支出することがなかったものと認められるから、被告B及び被告Cの 本件出荷の停止に係る任務懈怠と相当因果関係のある損害と認められ る。 他方で、本件出荷を停止した場合、代替品を納入する契約上 ることがなかったものと認められるから、被告B及び被告Cの 本件出荷の停止に係る任務懈怠と相当因果関係のある損害と認められ る。 他方で、本件出荷を停止した場合、代替品を納入する契約上の義務があり、納入が履行期限に遅れた場合は、履行遅滞に係る損害賠償責任が発生するところ、前記2億3929万9808円のうち、改修工事費以外の交換製品代、構造性能評価手数料、運送費及びその他費用は、 本件出荷を停止し、代替品を納入する場合にも生じ得る費用であるか、もしくは本件出荷を停止しなかったために生じた費用といえるのか本件証拠上明らかでない費用であるから、本件出荷の停止に係る任務懈怠と相当因果関係のある損害と認めることはできない。 (ウ) また、本件会社は、平成28年7月20日、本件消防組合に対し、 本件覚書に基づき、工期遅れに対する損害金及び不正問題に係る人件費、旅費として1754万6907円を支払ったところ(前記認定事実⒄)、このうち、枚方市及び本件消防組合による不正問題への対応に係る人件費及び旅費は729万7862円であったと認められ(甲ケ11)、この費用は、被告B及び被告Cの本件出荷の停止に係る任務懈 怠がなければ、支出することがなかったものと認められるから、前記任務懈怠と相当因果関係のある損害と認められる。 他方で、本件出荷を停止した場合、代替品を納入する契約上の義務があり、納入が履行期限に遅れた場合は、履行遅滞に係る損害賠償責任が発生するから、本件覚書に基づく支払額のうち、工期遅れに対する 損害金は、本件出荷を停止し、代替品を納入する場合にも生じ得る費用であり、本件出荷の停止に係る任務懈怠と相当因果関係のある損害と認めることはできない。 ウ以上によれば、被告B及び被告Cの本件出荷の停止を判断すべき を停止し、代替品を納入する場合にも生じ得る費用であり、本件出荷の停止に係る任務懈怠と相当因果関係のある損害と認めることはできない。 ウ以上によれば、被告B及び被告Cの本件出荷の停止を判断すべき注意義務違反に係る任務懈怠による損害は、前記イ(イ)の改修工事費(1億30 99万0948円)と前記イ(ウ)の不正問題への対応に係る人件費及び旅 費(729万7862円)の合計である1億3828万8810円であると認められる。 ⑵ 国交省への報告及び一般への公表に係る任務懈怠による損害についてア原告は、被告らの国交省への報告及び一般への公表に係る任務懈怠がなければ、国交省に対する報告及び一般への公表は実際より早く行われ、社 内調査のみで足りたにもかかわらず、前記任務懈怠によって、本件会社は、全国紙等の報道において自浄作用を欠くと評価され、社外調査チームを設置し、その費用2億0771万0197円を支出せざるを得なかったから、前記費用は任務懈怠と相当因果関係がある損害である旨を主張する。 しかしながら、本件会社又はCIは、平成12年11月から平成27 年2月までの間に合計175物件に免震積層ゴムを出荷し、うち154棟の免震積層ゴムの交換を行うこととなり、平成27年12月期の第4四半期までの累計で合計466億7400万円の特別損失を計上する事態に至ったところ(前記前提事実⑽イ、前記⑴ア、甲イ1)、平成26年10月23日時点で国交省への報告及び一般への公表についての判断を 行っていたとしても、前記物件の大部分は既に出荷済みであり、その不正の規模に照らしてみても、社内調査のみで足り、社外調査チームの設置が不要であったと認めることはできない。 したがって、原告の前記主張は採用することができない。 イまた、原告は、 であり、その不正の規模に照らしてみても、社内調査のみで足り、社外調査チームの設置が不要であったと認めることはできない。 したがって、原告の前記主張は採用することができない。 イまた、原告は、被告らの報告及び公表に係る任務懈怠によって、本件会 社には企業統治体制や法令遵守の姿勢が欠如しているとの社会的非難を浴び、その信用が毀損されたところ、民訴法248条を勘案して信用毀損を金銭的に評価すれば1億円を下らない旨を主張する。 そこで検討すると、今回明らかとなった免震積層ゴムについての不正は、全154棟の免震積層ゴムを交換することとなったもので、平成2 7年12月期の第4四半期までの累計で合計466億7400万円もの 特別損失を計上する規模のものであり、かつ、平成26年2月頃には、免震積層ゴムについて技術的根拠が不明な補正が行われて大臣評価基準を満たしていない製品が製造・販売されている可能性があることが判明し(前記認定事実⑶)、同年10月23日の時点では既に被告らの間でG0.39が大臣評価基準に適合しないことが明らかとなっていた(前記 3⑶ア)にもかかわらず、その国交省への報告及び一般への公表が遅れたものである。 特に、本件会社においては、平成19年10月、工場、倉庫、店舗等の壁、天井用に製造販売していた硬質ウレタン製断熱パネルの一部製品について、実際の生産では使用しない物質を混入させた技術的根拠のな いデータを用いて、防火認定についての国土交通大臣の認定を複数回にわたって不正に取得していた問題が発覚し、平成20年1月にその原因及び再発防止策を公表しており(甲ア5の2、甲ア7~11、甲ア16)、本件会社やその製品に対する社会的信用の回復が図られていたところであったにもかかわらず、大臣評価基準に適合しない 年1月にその原因及び再発防止策を公表しており(甲ア5の2、甲ア7~11、甲ア16)、本件会社やその製品に対する社会的信用の回復が図られていたところであったにもかかわらず、大臣評価基準に適合しない製品を出荷したとい う同種の問題について、速やかに報告・公表を行わなかったものであり、このような姿勢に対する本件会社の信用の失墜の程度は大きいといわざるを得ない。 また、CIは、平成26年10月23日以降も、平成27年2月までの間に、G0.39を5物件に出荷し(甲ア5の2)、本件会社は、同月 9日、国交省に対し、G0.39が使用されている55物件について大臣評価基準に適合しない免震積層ゴムが使用されている疑いがある旨の報告を行っているが(前記認定事実⒃)、被告らが平成26年10月23日の時点で国交省への報告及び一般への公表をする判断を行っていれば、前記5物件の出荷は行われなかったと考えられ、報告・公表が遅れたた めにそのような免震積層ゴムを出荷していたことによる本件会社の信用 失墜の程度も看過できないものである。 そして、実際に、本件会社について、不正の可能性を把握してから国への報告まで1年を要してその間も製品の出荷が続いたことを批判する複数の報道もされていたところである(甲イ8の1~3)。 以上の事情のほか、本件に現れた一切の事情を総合考慮すれば、国交 省への報告及び一般への公表に係る任務懈怠によって本件会社の信用が毀損され、これによって本件会社には信用毀損による損害として2000万円の損害が生じたと認めることができる。 第4 結論以上によれば、原告の請求は、①被告B及び被告Cに対し、本件会社の会社 法423条1項による損害賠償請求権に基づき、連帯して1億3828万8810円及びこれに対する平 できる。 第4 結論以上によれば、原告の請求は、①被告B及び被告Cに対し、本件会社の会社 法423条1項による損害賠償請求権に基づき、連帯して1億3828万8810円及びこれに対する平成28年9月2日から支払済みまで改正前民法所定の年5分の割合による遅延損害金を本件会社に支払うよう求め、②被告らに対し、本件会社の会社法423条1項による損害賠償請求権に基づき、連帯して2000万円及びこれに対する平成28年9月2日から支払済みま で改正前民法所定の年5分の割合による遅延損害金を本件会社に支払うよう求める限度で理由があるからその範囲で認容し、その余は理由がないからいずれも棄却することとして(なお、訴訟費用についての仮執行宣言は相当でないからこれを却下する。)、主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第4民事部 裁判長裁判官谷村武則 裁判官三重野真人 裁判官黒田吉人
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