令和3(ワ)3707 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
令和5年5月11日 大阪地方裁判所
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判決文本文68,202 文字)

- 1 -令和5年5月11日判決言渡令和3年(ワ)第3707号 損害賠償請求事件 主文1 被告は、原告に対し、5万5000円及びこれに対する平成31年35月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由第1 請求主文同旨10第2 事案の概要本件は、生活保護法による保護を受けていた原告が、α市福祉事務所長から、α市福祉事務所に来訪して生活状況等を明らかにすることを求める旨の書面による指導指示(同法27条)に従わなかったこと等を理由として、保護を廃止する旨の決定(同法62条3項。以下「本件廃止処分」という。)を受けたた15め、本件廃止処分は保護を廃止すべき場合に当たらないのに保護を廃止したものであり違法であるなどと主張して、被告に対し、国家賠償法1条1項に基づき、慰謝料及び弁護士費用合計5万5000円及びこれに対する上記保護が廃止された日である平成31年3月13日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下同じ。)所定の年5分の割合による遅延20損害金の支払を求める事案である。 1 関係法令の定め等(1) 生活保護法の定めア 27条(指導及び指示)生活保護法27条1項は、保護の実施機関は、被保護者に対して、生活25の維持、向上その他保護の目的達成に必要な指導又は指示(以下「指導指- 2 -示」という。)をすることができる旨定める。 生活保護法27条2項は、同条1項の指導指示は、被保護者の自由を尊重し、必要の最少限度に止めなければならない旨定める。 イ 28条(報告、調査及び検診)生活保護法28条1項は、保護の実施機関は、保護の決定若しくは実 導指示は、被保護者の自由を尊重し、必要の最少限度に止めなければならない旨定める。 イ 28条(報告、調査及び検診)生活保護法28条1項は、保護の実施機関は、保護の決定若しくは実施5等のため必要があると認めるときは、要保護者の資産及び収入の状況、健康状態その他の事項を調査するために、厚生労働省令で定めるところにより、当該要保護者に対して、報告を求め、若しくは当該職員に、当該要保護者の居住の場所に立ち入り、これらの事項を調査させ、又は当該要保護者に対して、保護の実施機関の指定する医師若しくは歯科医師の検診を受10けるべき旨を命ずることができる旨定める。 ウ 60条(生活上の義務)生活保護法60条は、被保護者は、常に、能力に応じて勤労に励み、自ら、健康の保持及び増進に努め、収入、支出その他生計の状況を適切に把握するとともに支出の節約を図り、その他生活の維持及び向上に努めなけ15ればならない旨定める。 エ 61条(届出の義務)生活保護法61条は、被保護者は、収入、支出その他生計の状況について変動があったとき、又は居住地若しくは世帯の構成に異動があつたときは、速やかに、保護の実施機関又は福祉事務所長にその旨を届け出なけれ20ばならない旨定める。 オ 62条(指示等に従う義務)生活保護法62条1項(平成30年法律第44号による改正前のもの。 以下同じ。)は、被保護者は、保護の実施機関が同法27条の規定により被保護者に対して必要な指導指示をしたときは、これに従わなければなら25ない旨定める。 - 3 -生活保護法62条3項は、保護の実施機関は、被保護者が同条1項の規定による義務に違反したときは、保護の変更、停止又は廃止をすることができる旨定める。そして ら25ない旨定める。 - 3 -生活保護法62条3項は、保護の実施機関は、被保護者が同条1項の規定による義務に違反したときは、保護の変更、停止又は廃止をすることができる旨定める。そして、生活保護法施行規則19条は、同法62条3項に規定する保護の実施機関の権限は、同法27条1項の規定により保護の実施機関が書面によって行った指導指示に、被保護者が従わなかった場合5でなければ行使してはならない旨定める。 (2) 「生活保護法による保護の実施要領について」(昭和38年4月1日社発第246号厚生省社会局長通知。以下「局長通知」という。甲50、乙6の1)ア 局長通知は、厚生省社会局長(現在の厚生労働省社会・援護局長)が各10都道府県知事等に宛てて発出した通知であり、地方自治法245条の9第1項及び第3項の規定による処理基準に当たる。 イ 局長通知第11の2(1)は、保護受給中の者については、同第11の1と同様の助言、指導を行うほか、特に次のような場合においては必要に応じて生活保護法27条による指導指示を行うこととする旨定め、上記の場合15として、世帯の変動等に関する生活保護法61条の届出の義務を怠り、このため保護の決定実施が困難になり、又は困難になるおそれがあるとき(同ク)、最低生活の維持、向上又は健康の保持等に努めていない等被保護者としての義務を怠っていると認められるとき(同シ)、その他、保護の目的を達成するため、又は保護の決定実施を行うため、特に必要があると認20められるとき(同ス)などを挙げる。 また、局長通知第11の2(4)は、生活保護法27条による指導指示は、口頭により直接当該被保護者に対して行うことを原則とするが、これによって目的を達せられなかったとき又は目的を達せられないと また、局長通知第11の2(4)は、生活保護法27条による指導指示は、口頭により直接当該被保護者に対して行うことを原則とするが、これによって目的を達せられなかったとき又は目的を達せられないと認められるとき、及びその他の事由で口頭により難いときは、文書による指導指示を行25うこととし、当該被保護者が文書による指導指示に従わなかったときは、- 4 -必要に応じて同法62条により所定の手続を経た上で、当該世帯又は当該被保護者に対する保護の変更、停止又は廃止を行うことを定めている。 (3) 「生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて」(昭和38年4月1日社保第34号厚生省社会局保護課長通知。以下「課長通知」という。甲11)5ア 課長通知は、厚生省社会局保護課長(現在の厚生労働省社会・援護局保護課長)が各都道府県民主主管部(局)長宛てに発出した通知であり、地方自治法245条の9第1項及び第3項の規定による処理基準に当たる。 課長通知の第11の問1(指導指示に従わない場合の取扱い)は、被保護者が書面による指導指示(生活保護法27条)に従わない場合の取扱い10の基準として、要旨、次のイのとおり定める。 イ 被保護者が書面による指導指示に従わない場合には、必要と認められるときは、生活保護法62条の規定により、所定の手続を経た上で、保護の変更、停止又は廃止を行うことになるが、当該要保護者の状況によりなお効果が期待されるときは、これらの処分を行うに先立ち、再度、同法2715条により書面による指導指示を行うこと。なお、この場合において、保護の変更、停止又は廃止のうちいずれを適用するかについては、次の(ア)ないし(ウ)の基準によること。 (ア) 当該指導指示の内容が比較的軽微な場合は、その実情に応じて適当 お、この場合において、保護の変更、停止又は廃止のうちいずれを適用するかについては、次の(ア)ないし(ウ)の基準によること。 (ア) 当該指導指示の内容が比較的軽微な場合は、その実情に応じて適当と認められる限度で保護の変更を行うこと。 20(イ) (ア)によることが適当でない場合は保護を停止することとし、当該被保護者が指導指示に従ったとき、又は事情の変更により指導指示を必要とした事由がなくなったときは、停止を解除すること。 なお、保護を停止した後においても引き続き指導指示に従わないでいる場合には、さらに書面による指導指示を行うこととし、これによって25もなお従わない場合は、同法62条の規定により所定の手続を経た上で、- 5 -保護を廃止すること。 (ウ) (イ)の規定にかかわらず、次のいずれかに該当する場合は保護を廃止すること。 a 最近1年以内において当該指導指示違反のほかに、文書による指導指示に対する違反、立入調査拒否若しくは検診命令違反があったとき。 5b 同法78条により費用徴収の対象となるべき事実について以後改めるよう指導指示したにもかかわらず、これに従わなかったとき。 c 保護の停止を行うことによっては当該指導指示に従わせることが著しく困難であると認められるとき。 2 前提事実(当事者間に争いがないか、掲記の証拠又は弁論の全趣旨により容10易に認められる事実。以下、証拠番号は、特に記載しない限り枝番号を全て含むものとして掲げる。)(1) 当事者等ア 原告等原告(昭和40年生まれ)は、平成30年10月17日から、α市にお15いて、生活保護法に基づく保護を受けている者である。 Aは、原告の夫である。 イ α市福祉事務所長等α市福祉事務所 (昭和40年生まれ)は、平成30年10月17日から、α市にお いて、生活保護法に基づく保護を受けている者である。 Aは、原告の夫である。 イ α市福祉事務所長等α市福祉事務所長は、保護の実施機関であるα市長から委任を受けて、生活保護法に基づく保護の決定及び実施等の事務を行う機関である(同法 19条1項、4項参照)。 Bは、被告の職員であり、平成30年4月から令和2年3月まで被告(α市)の生活福祉課(以下、単に「生活福祉課」という。)に所属し、平成30年9月頃から令和2年3月まで、α市福祉事務所において原告の担当ケースワーカーであった者である。 Cは、被告の職員であり、平成30年4月から令和4年3月まで、生活- 6 -福祉課の課長であった者である。 (2) 原告のα市への転居に至るまでの事情ア原告とAの婚姻等(甲25、26)原告は、平成27年9月、Aと結婚し、以後、神戸市(住所省略)に居住していた。原告とAは、平成29年8月23日、神戸市β福祉事務所長か ら生活保護法による保護の開始決定を受け、以後、保護を受けて生活していた。 なお、原告には、前夫との間の子である長男及び長女がいる。 イ Aの逮捕及び原告のα市への転居等(甲22、33)Aは、平成30年1月28日、自身が経営する理容院に放火したという 現住建造物等放火の容疑で逮捕された。なお、Aは、その後起訴され、同年9月13日に現住建造物等放火等の罪により懲役6年の刑に処する旨の有罪判決を受け、収監された。 原告及びAは、平成30年8月20日、α市に転居した。 (3) α市における保護の開始等(甲1、乙5) 原告は、平成30年9月21日、α市福祉事務所長に対し、体調不良のため れた。 原告及びAは、平成30年8月20日、α市に転居した。 (3) α市における保護の開始等(甲1、乙5)15原告は、平成30年9月21日、α市福祉事務所長に対し、体調不良のため就労することが困難であるなどとして、保護の申請をした。 原告は、平成30年10月17日、α市福祉事務所長から、保護の開始決定を受けた。 (4) 書面による指導指示等(甲3、13、乙5)20ア α市福祉事務所長は、平成31年2月22日、原告がα市福祉事務所からの連絡等に対して応答しない状況が続いているため、生活実態を把握できず、適切な保護の実施ができないなどとして、原告に対し、生活保護法27条1項に基づき、現在の生活状況を明らかにすることを求める指導指示を行うことを決定した。 25Bは、平成31年2月22日午後4時52分頃、α市福祉事務所のD主- 7 -査と共に原告宅を訪問し、「生活保護法第27条1項に基づく指導指示書」と題する文書(以下「本件指導指示書」といい、本件指導指示書による指導指示を「本件指導指示」という。甲3の1)を原告宅のポストに投函した。本件指導指示書には、「期日内に必ず来所し、現状の生活状況等について明らかにするよう…指導・指示します。」などと記載され、来所日時5とその場所につき、「平成31年2月26日午前10時00分(時間厳守)」、「生活福祉課窓口(本庁3階)」と記載されていた。 イ 原告は、本件指導指示書に記載された来所日時の平成31年2月26日午前10時までに、α市福祉事務所を訪れなかった。 なお、α市福祉事務所は、α市役所の庁舎の3階に所在しているところ、10原告宅からα市福祉事務所(α市役所)までの道のりは約1.5kmである。 (5) 本件廃止処分に至る経緯等 。 なお、α市福祉事務所は、α市役所の庁舎の3階に所在しているところ、 原告宅からα市福祉事務所(α市役所)までの道のりは約1.5kmである。 (5) 本件廃止処分に至る経緯等ア弁明の機会に関する通知(甲4、乙5)α市福祉事務所長は、平成31年2月26日、原告に対し、本件指導指 示に違反したことについて、弁明の機会を付与することを決定した。Bは、同日、原告宅を訪問し、本件指導指示の不遵守につき弁明の機会を与える旨及びその期限を同月28日午後5時30分までとする旨が記載された「弁明の機会について(通知)」と題する文書(以下「本件弁明機会通知」という。甲4の1)を原告宅のポストに投函し、弁明の機会を付与した旨 を通知した。 イ原告が送付した手紙(甲5)平成31年2月28日、α市福祉事務所に、原告から手紙(以下「本件手紙」という。甲5)が届いた。本件手紙には、①本件弁明機会通知を読んだが、原告は、平成30年のうちに、Bに対し、平成31年2月に入ると 神戸地方検察庁(以下「神戸地検」という。)に行く回数が増えると伝えて- 8 -いたはずである、②自分が関わっている裁判の判決が宣告される同年3月7日までは来所することができないなどと記載されていた。 ウ弁明期限の延長(甲6、乙5)α市福祉事務所長は、平成31年3月1日、本件手紙を受けて、原告につき、弁明の機会の期限を同月14日午後5時30分まで延長することを 決定し、原告に対してこれを通知した。 エ原告の弁明(乙5)原告は、平成31年3月12日、α市福祉事務所を訪れ、Bと面談した。 原告は、上記面談において、Bに対し、平成30年12月にBと面談した際に、平成31年2月には神戸地検 原告の弁明(乙5)原告は、平成31年3月12日、α市福祉事務所を訪れ、Bと面談した。 原告は、上記面談において、Bに対し、平成30年12月にBと面談した際に、平成31年2月には神戸地検に行かなくてはならない旨を伝えたは10ずであるなどと述べ、弁明した(以下、原告が同日にBと面談して弁明をした手続を、「本件弁明手続」という。)。 オ 本件廃止処分(甲7、乙5)α市福祉事務所長は、平成31年3月13日、原告について、本件指導指示に違反したことが認められ、弁明内容等を踏まえても、保護の停止に15よっては指導指示に従わせることが著しく困難であるとして、保護を廃止する旨の本件廃止処分をした。 Bは、平成31年3月14日、α市福祉事務所において、原告に対し、本件廃止処分の理由等が記載された保護廃止決定通知書(以下「本件決定通知書」という。甲7)を交付した。 20(6) 大阪府知事の裁決による本件廃止処分の取消し等(甲8、9)原告は、平成31年4月25日、大阪府知事に対し、本件廃止処分について、生活保護法62条3項に違反するものであるなどとして、審査請求をした。 大阪府知事は、令和3年3月3日付けで、原告の上記審査請求について、25本件指導指示の実現は著しく困難であったとする原告の主張が一定程度理解- 9 -できるものであることを踏まえると、本件指導指示に対する指示違反の程度が重大で悪質であるとまで評価することはできないから、保護の停止を経ないで直ちに保護を廃止したことは重きに失するものであるなどとして、本件廃止処分を取り消す旨の裁決をした。 3 争点5原告は、①本件指導指示が違法無効であるから、本件指導指示に違反したことを理由として本件廃止処分をすることは違法 であるなどとして、本件廃止処分を取り消す旨の裁決をした。 3 争点5原告は、①本件指導指示が違法無効であるから、本件指導指示に違反したことを理由として本件廃止処分をすることは違法である、②仮に本件指導指示が違法無効でないとしても、本件廃止処分には比例原則に反するなどの違法があるなどと主張して、α市福祉事務所長が本件廃止処分をしたことは国家賠償法1条1項の適用上違法である旨主張している。 10そこで、本件の争点は具体的には次のとおりである。 (1) 本件指導指示が違法無効であるため、α市福祉事務所長が本件廃止処分をしたことは国家賠償法1条1項の適用上違法であるか否か(2) (本件指導指示が適法であるとしても)α市福祉事務所長が本件廃止処分をしたことは国家賠償法1条1項の適用上違法であるか否か15(3) 損害の発生及びその額4 争点に関する当事者の主張(1) 争点(1)(本件指導指示が違法無効であるため、α市福祉事務所長が本件廃止処分をしたことは国家賠償法1条1項の適用上違法であるか否か)について20(原告の主張)本件指導指示は、生活保護法27条1項及び2項に違反し、違法無効なものである(下記ア)。また、本件指導指示は手続的にも違法である(下記イ)。 そうすると、そのような違法無効な本件指導指示に違反したことを理由として本件廃止処分をしたことは、国家賠償法1条1項の適用上違法である。 25ア 本件指導指示が生活保護法27条1項及び2項に違反し、違法無効であ- 10 -ること(ア) 生活保護法27条に基づく指導指示が違法となる場合生活保護法27条1項及び2項の文言や立法趣旨に加え、同法1条が被保護者の自立を助長することを保護の目的として掲げて -ること(ア) 生活保護法27条に基づく指導指示が違法となる場合生活保護法27条1項及び2項の文言や立法趣旨に加え、同法1条が被保護者の自立を助長することを保護の目的として掲げていることなどを踏まえれば、同法27条1項に基づく指導指示が、事案の性質や経緯、5被保護者又はその世帯の個別事情などに照らし、保護の目的達成のために必要とは認められない場合や、必要と認められる場合であっても最少限度を超えるものである場合には、当該指導指示は同法27条1項及び2項に反し、違法というべきである。 そして、生活保護法27条1項に基づく指導指示が、被保護者におい10て実現不可能又は著しく実現困難である場合には、被保護者が当該指導指示に応ずることを期待できず、被保護者の生活の維持、向上その他法が定める保護の目的が達成されないから、そのような指導指示は、必要かつ最少限度のものとはいえず、違法である。 (イ) 本件指導指示の内容が必要性を欠き、又は必要の最少限度を超えるも15のであることa 3週間程度面接できないことを理由として指導指示をすることはできないことそもそも、被保護者に対して来所を求めることができるのは、保護の実施に必要な事項について、被保護者が不在であるなどの理由によ20り確認できないため、それらの事項を聴取する必要がある場合などであり、単に3週間程度面接できないことを理由として来所を求める指導指示をすることはできない。 原告は、α市において保護を受け始めた平成30年10月17日以降、平成31年1月28日までの3か月余りの間に、Bと9回にわた25り面談や電話連絡などをしていたから、α市福祉事務所において、原- 11 -告との間で一切連絡が取れないというような状況ではなかった。また、 月28日までの3か月余りの間に、Bと9回にわた り面談や電話連絡などをしていたから、α市福祉事務所において、原- 11 -告との間で一切連絡が取れないというような状況ではなかった。また、原告がBと最後に電話をした同日から本件指導指示がされた同年2月22日までの期間は、わずか3週間余りにすぎないし、この間に、原告に対して来所を求めて事実確認を行わなければならないような事情が新たに生じたわけでもなかった。そうすると、本件指導指示は、生 活実態の把握の必要性や保護の適正実施の必要性に基づくものではなく、単に面接できないという理由のみで来所を指示したものであるから、保護の目的達成に必要なものとはいえないし、必要の最少限度のものであるともいえない。 b 保護費の支払方法を窓口支給に変更することで足りること 仮に、原告に来所させてその生活状況を把握する必要性があるとしても、このような場合には、保護費の支払方法を口座振込から窓口支給に変更するという方法をとることが一般的であり、その効果も高い。 このように、保護費の支払方法の変更という、より制限的ではなく、かつ、効果も高い方法があるにもかかわらず、そのような方法を試すこ となくされた本件指導指示は、必要の最少限度を超えるものであって、違法である。 c 原告の世帯の個別事情が全く考慮されていないことAが実行した現住建造物放火等は、Aの知人であるEに指示されて行ったものであり、AはEに逆らうことができないほどに支配され、 服従させられていた。Aや原告はEを非常に恐れていたところ、原告は、Aが逮捕された後、Eやその関係者である暴力団関係者から危害を加えられるおそれがあるため、神戸市からα市へ転居してきたのであり、α市福祉事務所においても、原告がα市に転居するに至 たところ、原告は、Aが逮捕された後、Eやその関係者である暴力団関係者から危害を加えられるおそれがあるため、神戸市からα市へ転居してきたのであり、α市福祉事務所においても、原告がα市に転居するに至った上記の事情を認識していた。また、原告は、平成30年12月6日にBと25面談した際に、平成31年2月頃には、Eを被告人とする公判(裁判員- 12 -裁判)の証人尋問のために、神戸地検や神戸地方裁判所(以下「神戸地裁」という。)にたびたび出頭しなければならないこと等を伝えていたが、Bはこれを聞き流すなど、不適切な対応をした。原告は、平成31年1月ないし2月頃は、上記の証人尋問を控えていたところ、自身が恐れているEの面前で証言しなければならないことなどから、精神的5にも肉体的にも極限状態にあり、高血圧も相まって気分が優れず、腰痛等により立ち上がれないこともあり、電話がかかってきても電話を取れないような状況であった。 Bは、原告が精神的にも肉体的にも極限状態にあったという上記の事情を考慮することなく、面談や電話のたびに、就労、復職すること10や、求職活動をして求職活動状況申告書を提出することばかりを求めていた上、原告に寄り沿う姿勢を見せることなく、多数回にわたり電話連絡などをしたものである(このような経緯に照らせば、原告がこれらの連絡等に応答することができなかったこともやむを得ない。)。 そうすると、本件指導指示は、十分なケースワークの努力を経た上15でされたものとはいえないし、事案の性質や経緯、原告の世帯の個別事情を踏まえた必要性及び合理性を十分考慮されることなくされたものであるから、保護の目的達成に必要なものとはいえないし、必要の最少限度のものであるともいえない。 (ウ) 実現が著しく困難な指導指示である 必要性及び合理性を十分考慮されることなくされたものであるから、保護の目的達成に必要なものとはいえないし、必要の最少限度のものであるともいえない。 (ウ) 実現が著しく困難な指導指示であること20本件指導指示は、平成31年2月26日(火曜日)午前10時にα市福祉事務所に来訪することを求めるものであるが、原告は、同日は神戸地検に出頭する予定があったのであるから、本件指導指示は当初から実現が著しく困難な指導指示である。 また、本件指導指示書が投函されたのは平成31年2月22日(金曜25日)の午後4時52分(来所を求められた日の4日前の夕方)であり、- 13 -そもそも来所を求める日時までの期間が短いものであった。しかも、同月23日及び24日は土曜日と日曜日であり、α市福祉事務所の閉庁日であるから、原告がこれらの日にα市福祉事務所を訪問することなどはできず、原告が電話連絡等をすることができたのも同月25日の1日のみであった。以上に加え、原告が、同月23日及び26日に神戸地検へ5の出頭を求められており、上記(イ)のとおり精神的にも肉体的にも極限状態であったことを踏まえれば、来所の期限を同日午前10時とする本件指導指示は、来所の期限までの期間が短すぎるものであって、原告において著しく実現困難な指導指示である(しかも、Bらは、本件指導指示後に原告に対して電話や家庭訪問等により連絡を試みることもして10いない。)。 したがって、本件指導指示は、著しく実現困難なものであって、保護の目的達成に必要なものとはいえないし、被保護者の自由を尊重した最少限度のものであるともいえない。 (エ) 小括15上記のとおり本件指導指示は生活保護法27条1項及び2項に違反して違法無効な ないし、被保護者の自由を尊重した最少限度のものであるともいえない。 (エ) 小括15上記のとおり本件指導指示は生活保護法27条1項及び2項に違反して違法無効なものであり、α市福祉事務所長においても、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くしていれば、そのことを十分に認識することができた。そうすると、α市福祉事務所長が本件廃止処分をしたことは、国家賠償法1条1項の適用上違法である。 20(オ) 被告の主張について被告は、原告につき、稼働能力の不活用、生活上の義務違反、届出義務違反等があった、調査の忌避(生活保護法28条5項)又はこれに準ずる状態にあったなどと主張するが、いずれも本件指導指示書に記載のない事情であるから、本件指導指示の適法性とは関係しない事情である。 25また、①原告には高血圧や腰痛などの持病があり、十分な稼働能力が- 14 -ない中で、可能な範囲で求職活動をするなどしていたのであるから、稼働能力の不活用の状態にあったとはいえないし、②生活の維持、向上に努めなかったというような事情もないから、生活上の義務に違反したともいえない。加えて、原告は、③申告すべき収入等は申告していた上に、無職無収入であったから、求職活動状況申告書の提出を怠ったことをも5って、生活保護法61条の届出義務に違反したとはいえないし、④α市福祉事務所長から生活保護法28条1項の報告等を求められたこともないから、調査忌避又はこれに準ずる状態にあったともいえない。 したがって、被告の上記主張は理由がない。 イ 本件指導指示は、口頭による指導指示との連続性を欠き、手続的に違法10であること局長通知及び課長通知の内容等に照らせば、原則として、書面による指導指示 は理由がない。 イ 本件指導指示は、口頭による指導指示との連続性を欠き、手続的に違法10であること局長通知及び課長通知の内容等に照らせば、原則として、書面による指導指示をする前に、口頭による指導指示を行い、被保護者ができる限り自発的に指導指示に従うことを促すべきである。そうすると、口頭による指導指示と、その後の書面による指導指示には、内容の同一性・一貫性が求15められるというべきである。 本件において、原告は、平成30年12月6日にBから口頭指導(以下「本件口頭指導」という。)を受けているが、その内容は、自立に向けて必要な行動をするよう促すものであり、本件指導指示とは内容において同一性・一貫性が認められない(しかも、本件口頭指導は、ケース検討会議を20経た上でされたものではなく、組織的検討を経ていない。)。そうすると、本件指導指示は、書面による指導指示に先立って口頭による指導指示がされていないから、手続的に違法である。 (被告の主張)次のとおり、本件指導指示は、保護の目的を達成するために必要かつ最少25限度のものであり(下記ア)、指導指示の内容が客観的に実現不可能又は著- 15 -しく実現困難なものでもない上に(下記イ)、その手続にも違法はない(下記ウ)。したがって、本件指導指示は適法なものであって、本件指導指示に違反したことを理由として本件廃止処分をすることが国家賠償法1条1項の適用上違法であるとはいえない。 ア 本件指導指示が生活保護法27条1項及び2項の要件を満たしているこ5と(ア) 本件指導指示以前の原告の状況原告は、α市において保護を受けるようになってから、①軽労働が可能と診断され、稼働能力を有していたにもかかわらず、無断欠勤等により勤務先を 5と(ア) 本件指導指示以前の原告の状況原告は、α市において保護を受けるようになってから、①軽労働が可能と診断され、稼働能力を有していたにもかかわらず、無断欠勤等により勤務先を退職するなど、稼働能力を活用する意思がうかがわれず、平10成30年12月6日にBから本件口頭指導を受けた後もその意思はうかがわれなかった(稼働能力の不活用)。また、原告は、②繰り返し体調不良を主張しているにもかかわらず、通院回数は月に1回程度と少なく、本件口頭指導後も通院回数を増やすなどして自立に向けた努力をすることがなかった上に(生活上の義務違反)、③Bから提出を求められてい15ることを知りながら、求職活動状況申告書も一切提出しなかった。加えて、④Bらからの複数回にわたる電話、家庭訪問又は連絡票(原告に対し、来所や電話連絡等を求める旨記載された文書)の投函等により、生活実態の報告等を求められていることを認識していたにもかかわらず、原告は、これらの連絡に対して、意図的に、全く又はほとんど応じてお20らず(原告は、平成30年12月14日から平成31年1月24日まで1か月以上にわたり音信不通の状況であり、その後も同月28日以降、Bからの上記電話等に対して全く応答しなかった。)、調査忌避又はこれに準ずる状態にあった。 このように、原告は、生活保護法60条の生活上の義務に違反し、ま25た、同法61条の届出の義務にも違反したといい得るような状況であっ- 16 -た(少なくとも同法28条1項には違反する状況であった)上に、連絡に対する応答という、社会における最も基本的な原則・ルールに違反している状況であったのであり、原告の一連の対応等は悪質であったというべきである。 (イ) 原告の世帯の個別事情を踏まえた、保護の目的達成 という、社会における最も基本的な原則・ルールに違反している状況であったのであり、原告の一連の対応等は悪質であったというべきである。 (イ) 原告の世帯の個別事情を踏まえた、保護の目的達成に必要な最少限度5の指示であること生活保護法1条及び27条の趣旨に照らせば、保護の実施機関は、被保護者の個別的、具体的な事情を踏まえた上で指導指示を適切に行うことが求められているが、その前提として被保護者との間の信頼関係を構築する必要があることなどに照らせば、被保護者においても上記信頼関10係の構築のために最低限の努力をすることが求められている。 しかし、原告は、上記(ア)のとおり、生活上の義務等に違反した状態でありながら、Bからの電話等に対して意図的に応答しないという対応を長期間にわたり続けていたところ(Bからの電話に対して折り返すなどと述べたきり連絡をしなかったこともあった。)、信頼関係の構築のた15めには実施機関の担当者からの連絡及びこれに対する被保護者の応答が前提であることにも照らせば、原告の対応は、信頼関係の構築を困難にするものであり、保護関係そのものの破綻につながる悪質な対応というべきである。 このように、本件指導指示をした時点において、α市福祉事務所にお20いては、原告の求職活動の状況、身体の状況、生活環境等を含めた生活状況が不明であったのであるから、保護の公平性の観点に照らしても、原告の生活実態を把握する必要性があるといえる。特に、原告は、高齢者、障害者、傷病者であることなどを理由として保護を受けていたのではなく、「その他世帯」として保護を受けており、就労など世帯状況の25変動が多く、その時点の世帯状況に合わせた短期的な支援方針が増える- 17 -ことが多いから、一般的にみても、連絡を交わす はなく、「その他世帯」として保護を受けており、就労など世帯状況の25変動が多く、その時点の世帯状況に合わせた短期的な支援方針が増える- 17 -ことが多いから、一般的にみても、連絡を交わす必要性が高い世帯であったところ、上記(ア)のように、稼働能力を活用する意思の有無が不明であったり、報告を求められていた求職活動状況申告書等を一切提出せず、原告自ら収入を積極的に申告したことがないなど、届出義務にも違反するといい得るような状況であったのであるから(なお、原告が求職活動5をする旨をBに対して伝えていたことなどからすれば、実際に収入等が発生していた可能性もある状況であった。)、原告の生活実態を把握する必要性はなおさら高かったというべきである。 また、Bは、原告の求職活動を支援したり、原告の体調を気遣って通院を促したり、原告の親族に対しても支援を依頼したりするなどしてい10るほか、求職活動状況申告書の提出を含め、必要な報告を指示するなどして、生活保護制度を適切に利用してもらうための配慮をした。加えて、原告と連絡がつかなければ、原告宅を訪問してコミュニケーションを図るなどしている。このようなBの働きかけは、信頼関係を構築するために十分なケースワークをしたといえる。なお、原告がEを被告人とする15公判に証人として出廷予定であったことや、そのことにより原告が体調不良であったことについては、原告から聞かされていなかった以上、Bにおいて配慮することができなかったとしてもやむを得ないものである。 そうすると、本件指導指示は、保護の目的達成のために必要な最少限20度の指示であるから、適法である。 (ウ) 本件指導指示をする前に、保護費の支払方法を窓口支給に変更すべきであったとはいえないこと原告は、仮に被保 的達成のために必要な最少限20度の指示であるから、適法である。 (ウ) 本件指導指示をする前に、保護費の支払方法を窓口支給に変更すべきであったとはいえないこと原告は、仮に被保護者に来所を求める必要がある場合であっても、保護費の支払方法を窓口支給に変更することが一般的であるから、まず、25そのような一般的な方法をとるべきであった旨主張する。しかし、本件- 18 -廃止処分をした平成31年時点では、全国的に保護費の窓口支給を縮減することが求められており、国や大阪府等からの指導においても、被保護者に対して対面で指導を行う必要があるとの理由により保護費の支払方法を窓口支給に変更することは不適切な対応である旨の指摘がされている。これらの事情に照らせば、保護費の支払方法を窓口支給に変更す5ることは、平成31年時点において既に一般的な方法ではなく、むしろ不適切な対応であるから、本件指導指示に先立ち保護費の支払方法を窓口支給に変更しなかったことをもって、本件指導指示が違法であるとはいえない。 イ 客観的に実現不可能又は著しく実現困難ではないこと10原告宅とα市福祉事務所の距離は約1.5㎞であり、徒歩で20分程度の距離であるから、本件指導指示を受けた原告が来所することは容易である。また、原告は、本件指導指示を受けた当時、就労していなかったから、来所する時間的余裕もあった。さらに、原告に高血圧症や腰椎症等の持病があり、左手のしびれ、歩行立位での腰痛等の症状があるとしても、原告15の供述によれば、体調不良は遅くとも半日程度で回復し、少なくとも3、4日に1回は遠出をしていたというのであるから、原告の病状等により来所が困難であったというような事情もない。以上に加え、本件指導指示以前から、Bが電話連 良は遅くとも半日程度で回復し、少なくとも3、4日に1回は遠出をしていたというのであるから、原告の病状等により来所が困難であったというような事情もない。以上に加え、本件指導指示以前から、Bが電話連絡等を求める旨の連絡票を原告宅のポストに投函していたことなどの事情を踏まえれば、本件指導指示の内容が客観的に実現不 可能又は著しく実現困難であるとはいえない。 この点について、原告は、Bに対し、平成31年2月になると神戸地検に出頭する回数が増える旨(同月23日及び26日は検察庁に出頭する必要がある旨)をあらかじめ伝えていた旨主張するが、原告がBに対して上記の旨を伝えたことはない(仮にそのような予定を伝えていたのであれば、 ケース記録に記載されていないのは不合理であるし、当該予定がある時期- 19 -にBが繰り返し自宅訪問等をすることも不合理である。)。また、原告は、実際には平成31年2月26日に神戸地検に出頭することを取りやめたのであって、同日にα市福祉事務所を訪れることは可能であったし、同月25日についても特段用事があったわけではないのであるから、同月25日又は26日に来所することは可能であった。そうすると、本件指導指示に 従うことが不可能又は著しく困難であったとはいえない。 なお、原告は、本件指導指示がされた頃は、Eを被告人とする公判に証人として出頭する予定があったこと等により、精神的にも肉体的にも極限状態にあった旨主張するが、原告はそのような状態であったこと(体調が悪いこと)などをBに伝えていないし、仮にそのような状態であったとし ても、原告が所有する携帯電話でα市福祉事務所に連絡して状況を説明したり、出頭する日時の変更を求めたりすることはできるのであるから、本件指導指示の内容が客観的に実現不可能又は著し あったとし10ても、原告が所有する携帯電話でα市福祉事務所に連絡して状況を説明したり、出頭する日時の変更を求めたりすることはできるのであるから、本件指導指示の内容が客観的に実現不可能又は著しく実現困難であるとはいえない。 ウ 本件指導指示は手続的にも適法であること15本件指導指示は、Bが平成30年12月6日にした口頭による指導指示を前提とするものではなく、原告から電話の折り返しがないことや、Bが原告宅のポストに投函した連絡票に対する応答がない状態が続いていたことなどを踏まえて、局長通知に定められた「その他の事由で口頭によりがたいとき」に当たると判断して書面による指導指示を行ったものである。 20したがって、本件指導指示の前に口頭による指導指示が行われていない点につき、手続的な違法はない。 (2) 争点(2)((本件指導指示が適法であるとしても)α市福祉事務所長が本件廃止処分をしたことは国家賠償法1条1項の適用上違法であるか否か)について25(原告の主張)- 20 -仮に、本件指導指示が適法なものであるとしても、原告が本件指導指示に違反したとはいえない(下記ア)。また、仮に原告が本件指導指示に違反したものであるとしても、生活保護法62条3項に基づく処分をする前に、再度、書面による指導指示をすべきであったし(下記イ)、本件廃止処分は、軽微な違反に対する過重な処分であるから、比例原則に違反し、違法である(下5記ウ)。さらに、本件廃止処分については、処分の理由の提示も不十分であり、この点も違法である(下記エ)。そうすると、α市福祉事務所長がこのような違法な本件廃止処分をしたことは、国家賠償法1条1項の適用上違法である。 ア 指導指示に違反した事実がないこと10 り、この点も違法である(下記エ)。そうすると、α市福祉事務所長がこのような違法な本件廃止処分をしたことは、国家賠償法1条1項の適用上違法である。 ア 指導指示に違反した事実がないこと10原告は、本件弁明機会通知に記載された弁明の期限内である平成31年2月28日までに、本件手紙をα市福祉事務所に送付し、同日時点の原告の生活状況(神戸地検に出頭する用事があったこと、高血圧で体調が悪いことなど)を明らかにした上で、本件指導指示に従ってα市福祉事務所を訪れて更に生活状況を明らかにする意思を表明しているから、本件指導指15示に応じていたというべきである。 また、原告が、延長後の弁明期間内である平成31年3月12日にα市福祉事務所を訪れて生活状況について説明していることに照らせば、本件指導指示の内容である「来所し、現状の生活状況等について明らかにすること」は十分に履行されていたというべきであるから、原告が本件指導指20示に違反したとはいえない。 したがって、本件廃止処分は、原告が本件指導指示に違反していないにもかかわらずこれに違反したとしてされたものであるから、生活保護法62条3項に違反するというべきである。 イ 本件指導指示後に再度の書面による指導指示がされていないこと25(ア) 生活保護法62条3項は、実施機関による濫用を防止するために、被- 21 -保護者に対して義務の履行を求めたにもかかわらず義務が履行されなかった場合に初めて保護の変更、停止及び廃止等の制裁を与えることにしたものであるから、その運用に当たっては慎重な運用が求められる。課長通知においても、上記の趣旨を踏まえ、被保護者の状況によりなお効果が期待されるときには、同項の処分を行うに先立ち、再度、同法275条に基づく書面に の運用に当たっては慎重な運用が求められる。課長通知においても、上記の趣旨を踏まえ、被保護者の状況によりなお効果が期待されるときには、同項の処分を行うに先立ち、再度、同法27 条に基づく書面による指導指示を行うことを定め、手続的に慎重を期すことを担保している。そうすると、再度の書面による指導指示によりなお効果が期待されるにもかかわらず、被保護者が1回目の書面による指導指示に違反したことを理由として同法62条3項の処分(保護の変更、停止又は廃止)をすることは、手続的に違法である。 (イ) 本件において、α市福祉事務所長は、原告が平成31年2月26日に来所しなかったことをもって、直ちに指導指示違反があるとした上で、本件廃止処分に向けた弁明の機会の付与等の手続を進めている。しかし、本件において再度の指導指示による効果が期待できない特段の事情はないから、α市福祉事務所長においては、同日の時点で、再度の指導指示 をすべきであった。また、仮に同日時点ではそのようにいうことができないとしても、①遅くとも本件手紙が届いた同月28日においては、原告に来所の意向があることが明らかにされ、再度の指導指示による効果が十分期待できることが明確になったといえるし、②少なくとも原告が来所した同年3月12日の時点においては、再度の指導指示による効果 が十分期待できることが明らかになっていた。 したがって、本件において、再度の書面による指導指示をすることなく本件廃止処分をしたことは、手続的に違法である。 ウ仮に指導指示に違反した事実があるとしても、本件廃止処分は軽微な違反に対する過重な処分であり、比例原則に違反すること (ア) 軽微な指導指示違反に対して保護の廃止等の重い不利益処分をするこ- 22 -とは違法 るとしても、本件廃止処分は軽微な違反に対する過重な処分であり、比例原則に違反すること (ア) 軽微な指導指示違反に対して保護の廃止等の重い不利益処分をするこ- 22 -とは違法である(比例原則)。課長通知が、被保護者が指導指示に違反した場合について、原則として保護の変更、保護の停止、再度の書面による指導指示、弁明の機会の付与などの各処分や手続を段階的に経た上で、最終的に保護の廃止をすることを定め、直ちに保護の廃止処分をすることができる場合を、悪質性や被保護者の改善困難性が顕著である場 合に限定していることも、比例原則を手続的に具体化したものといえる。 そうすると、被保護者が指導指示に違反した場合であっても、①処分の根拠となる指導指示の内容の相当性、②指導指示違反に至る経緯、③指導指示違反の悪質性、④保護の廃止がもたらす被保護世帯の生活の困窮の程度、⑤被保護者が将来において指導指示を履行する可能性、⑥保 護の停止を経ることなく直ちに保護を廃止する必要性・緊急性を総合的に考慮して、保護の廃止処分が、指導指示違反の内容、態様との均衡を欠くなど比例原則に反する場合には、当該廃止処分は違法であるというべきである。 (イ) 本件指導指示は、来所して現状の生活状況等について明らかにするこ とを求めるというものであるが、上記(1)(原告の主張)ア(イ)及び(ウ)のとおり、このような指導指示の内容は著しく不相当である(上記①)。 また、α市福祉事務所が原告と連絡を取ることができなかったのはわずか3週間程度にすぎず、原告がその間に保護に関して虚偽の申告や不正受給等をしたものではない上に、原告が生活状況について知らせる本件 手紙を差し出しており、平成31年3月12日には来所して生活状況を説明したという 、原告がその間に保護に関して虚偽の申告や不正受給等をしたものではない上に、原告が生活状況について知らせる本件20手紙を差し出しており、平成31年3月12日には来所して生活状況を説明したという経緯に照らせば、指示違反の程度や態様は、極めて軽微なものというべきであるし(上記②、③)、将来において本件指導指示を履行する可能性も十分に認められる(上記⑤)。これに対し、原告は保護費以外に収入がないのだから、保護の廃止がもたらす生活困窮の程25度は深刻であるし(上記④)、上記のような軽微な指導指示違反に対し- 23 -ては、保護費の支払方法を窓口支給に変更するなど、保護の変更によることで十分に対応可能であり、直ちに保護を廃止する必要性・緊急性はない(上記⑥)。 したがって、保護の変更や停止を経ることなく行われた本件廃止処分は、指導指示違反の内容、態様との均衡を著しく欠き、比例原則に反す5るから、生活保護法62条3項に反する。 エ 理由の提示が不十分であること本件決定通知書には、本件廃止処分の根拠規定である生活保護法62条3項の記載がなく、不利益処分を基礎付ける根拠法規の記載を欠くものである。また、保護の廃止処分については、課長通知が処分基準に当たると10ころ、本件決定通知書には、上記課長通知に記載された基準をどのように適用したかについて記載されていない。 そうすると、本件決定通知書の記載は、行政手続法14条1項及び3項に違反するものであって、このように理由付記に不備がある本件廃止処分をしたことは、職務上通常尽くすべき注意義務に違反するものである。 15オ 被告の主張について被告は、原告には、①稼働能力の不活用、②生活上の義務違反、③届出義務違反があり、また、④原告が調査の忌避(生活保護法2 尽くすべき注意義務に違反するものである。 15オ 被告の主張について被告は、原告には、①稼働能力の不活用、②生活上の義務違反、③届出義務違反があり、また、④原告が調査の忌避(生活保護法28条5項)又はこれに準ずる状態にあった旨主張するが、被告が主張する上記事情はそもそも本件指導指示書に記載されたものではないし、上記(1)(原告の主張)20ア(オ)のとおり、原告が上記の各義務違反をしたなどともいえない。加えて、上記事情は、いずれも保護の廃止という重大な処分を正当化するものとはいえない。 (被告の主張)本件廃止処分は、本件指導指示に違反した原告に対し(下記ア)、適切な25手続を経て適切な処分をしたものであり(下記イ、ウ)、また、処分の理由の- 24 -提示にも違法はない(下記エ)。したがって、α市福祉事務所長が本件廃止処分をしたことが国家賠償法1条1項の適用上違法であるとはいえない。 ア 原告は本件指導指示に違反したこと原告は、本件指導指示により定められた期限である平成31年2月26日午前10時までに、α市福祉事務所(生活福祉課。α市役所庁舎3階)5を訪れず、あらかじめ来所しない旨の連絡もしなかったから、本件指導指示に違反したといえる。 原告は、本件手紙や本件弁明手続における説明により本件指導指示の内容は実現された旨主張するが、上記(1)(被告の主張)ア(ア)、(イ)のような本件指導指示以前の原告の状況に照らせば、上記の手紙や説明によっても、10神戸地検に出頭する理由や原告の体調・通院状況等に関する具体的な説明がされたとはいえず、α市福祉事務所が原告の自立に向けた援助を検討することができる程度に生活状況が明らかにされたとはいえないから、上記の手紙や説明をもって、本件指 調・通院状況等に関する具体的な説明がされたとはいえず、α市福祉事務所が原告の自立に向けた援助を検討することができる程度に生活状況が明らかにされたとはいえないから、上記の手紙や説明をもって、本件指導指示の内容が実現されたとはいえない。 イ 保護の廃止をする前に2回の文書指導指示が必要ではないこと15原告は、上記(1)(被告の主張)ア(ア)、(イ)のとおり、α市福祉事務所からの連絡にほとんど応じず、稼働能力の不活用、生活上の義務違反等の状態が継続しており、本件口頭指導を受けた後も改善がされず、保護関係を破綻させるような対応をしていた。加えて、原告は、本件指導指示書に、来所しない場合には保護費の支払方法を窓口支給に変更する旨の記載があ20るにもかかわらず、一切連絡をしないまま、本件指導指示に従わなかった。 さらに、本件指導指示がされる前にも、Bが原告宅のポストに来所や電話を求める旨の連絡票を複数回投函し、原告もこれらをポストから回収して認識していたにもかかわらず、意図的に全く連絡をしていなかったのであり、原告は、被保護者が守るべき「連絡に対する応答」という最も基本的25なルールに従っていなかったのである。これらの各事情を踏まえれば、原- 25 -告については、書面による指導指示を再度発出したとしても効果が期待できない事情があったといえるから、課長通知に定められた「当該要保護者の状況によりなお効果が期待されるとき」には当たらないというべきである。 したがって、本件廃止処分をする前に、原告に対して、書面による指導5指示を2回行うこと(本件指導指示後に更に書面による指導指示を行うこと)が必要であったとはいえない。 なお、α市福祉事務所長は、本件手紙が届いたことを踏まえて弁明の機会の期限を延長するなどの適切な措置をとっ うこと(本件指導指示後に更に書面による指導指示を行うこと)が必要であったとはいえない。 なお、α市福祉事務所長は、本件手紙が届いたことを踏まえて弁明の機会の期限を延長するなどの適切な措置をとっているし、その上で実施された本件弁明手続においても、本件指導指示に従わなかった理由や連絡等が 取れなかったことについての合理的な理由が説明されなかったのであるから、本件手紙が届いた時点や本件弁明手続を終えた時点においても、改めて2回目の書面による指導指示を行うべきであったとはいえない。 ウ本件廃止処分は軽微な違反に対する過重な処分ではないこと(ア) 指導指示の内容が軽微とはいえないこと 上記(1)(被告の主張)ア(ア)のとおり、本件指導指示がされた時点において、原告は生活上の義務違反や届出義務違反をしており、調査忌避又はこれに準ずる状態が継続していたため、求職活動の状況、身体の状況(体調、病状、通院状況等)及び生活環境など、生活状況が全般的に不明であった。このような状況に照らせば、来所して現状の生活状況等を 明らかにするという本件指導指示の内容は、被保護者の就労状況、健康状態、生活環境等の生活状況を把握して援助に反映させ、保護を適切に実施するために重要なものであるし、保護に求められる公平性の観点からも重要である。したがって、本件指導指示の内容が比較的軽微なものとはいえない。 (イ) 違反に至る経緯、違反の程度も悪質であったこと- 26 -原告は、上記(ア)の状況が続いていたにもかかわらず、本件指導指示に従って来所しないだけでなく、一切の連絡もしなかったのであり(なお、来所や連絡ができない合理的な理由もなかった。)、本件指導指示に違反するに至った経緯は悪質である。また、本件弁明手続においても 示に従って来所しないだけでなく、一切の連絡もしなかったのであり(なお、来所や連絡ができない合理的な理由もなかった。)、本件指導指示に違反するに至った経緯は悪質である。また、本件弁明手続においても、どのような生活状況であるかを尋ねるBの質問に対して、原告は、神戸地 検への出頭日や通院日以外の日は何もせず寝ていただけである旨答えるのみで、詳細な説明をせず、最後には何も話さなくなったのであるから、このような原告の説明態度に照らせば、原告が期限までに来所しなかった理由(本件指導指示に従うことができなかった理由)や生活状況を明らかにしようとする意思も見受けられなかったというべきであり、指導 指示違反の程度も悪質である。このような原告の指導指示違反に至る経緯、違反の程度の悪質性、その後の説明態度などに照らせば、保護の停止を行うことにより、原告が将来において本件指導指示を履行する可能性があったとはいえない。 (ウ) 本件廃止処分により原告が著しく深刻な生活困窮に陥るものではない こと原告は、軽労働が可能である旨の診断を受けており、本件廃止処分がされた時点において就労が困難であったわけではないし、原告宅の近くには原告の母と妹が生活している実家があるから、親族から生活上の援助を受けることも不可能ではなかった(実際に、原告は、本件廃止処分 がされるよりも前から、実家において母と共に食事をするなど、親族から生活上の援助を受けていた。)。また、原告は、本件廃止処分の日までの保護費は受給することができた。そうすると、本件廃止処分により原告が著しく深刻な生活困窮に陥るものではないから(なお、本件廃止処分後も、Bは定期的に家庭訪問をするなどして原告の生活状況を確認す る予定であった。)、本件廃止処分が過重な処分であ 分により原告が著しく深刻な生活困窮に陥るものではないから(なお、本件廃止処分後も、Bは定期的に家庭訪問をするなどして原告の生活状況を確認す る予定であった。)、本件廃止処分が過重な処分であるとはいえない。 - 27 -(エ) 保護を廃止する必要性・緊急性等上記(ア)ないし(ウ)のとおり、本件指導指示に至る原告の一連の対応が悪質であることや、本件指導指示の違反の程度も悪質であることに照らせば、直ちに保護を廃止する必要性・緊急性があるというべきである。 (オ) 小括 上記(ア)ないし(エ)によれば、原告については、重要な指導指示に違反し、その違反に至る経緯や違反の程度も悪質であり、保護を廃止する必要性・緊急性もあったと認められるから、「保護の停止を行うことによっては当該指導指示に従わせることが著しく困難である」場合に当たる。 したがって、保護の停止を経ることなく直ちに本件廃止処分をしたこ とが違法であるとはいえず、α市福祉事務所長が本件廃止処分をしたことが国家賠償法1条1項の適用上違法であるとはいえない。 エ理由の提示も適切にされていること本件決定通知書には、生活保護法62条3項の記載はないが、指導指示に違反したことにより保護を廃止することが記載されており、同条1項に 違反したことにより同条3項が適用されたことが示されているといえる。 また、本件指導指示をしたことや、本件指導指示が履行されなかったこと、そのことについて弁明の機会を付与したこと等、本件廃止処分に至るまでの経緯・手続も記載されている。これに加えて、本件指導指示書に、指導指示に従わない場合には同項により保護の変更、停止又は廃止を行う旨記 載されていたことを踏まえれば、本件決定通知書の記載自 での経緯・手続も記載されている。これに加えて、本件指導指示書に、指導指示に従わない場合には同項により保護の変更、停止又は廃止を行う旨記 載されていたことを踏まえれば、本件決定通知書の記載自体から、本件廃止処分の根拠条文や具体的な理由を知ることができるといえる。 なお、課長通知は、処分基準として詳細かつ複雑なものとまではいえないから、本件廃止処分において、課長通知の適用について殊更に詳細に記載すべきとはいえないし、本件決定通知書には、課長通知の適用関係につ いても十分に理解できる理由が示されている。 - 28 -したがって、本件決定通知書の記載は、行政手続法14条1項及び3項に違反しない。 (3) 争点(3)(損害の発生及びその額)について(原告の主張)本件廃止処分により、原告は、一切の保護費の支給を受けることができな くなり、生活基盤そのものが危機にさらされるという精神的苦痛を被った。 また、原告は、本件廃止処分により被った財産的損害を回復するために、自ら審査請求等の法的手続を行う必要が生じた。これらの経緯を踏まえれば、原告には、財産的損害がてん補されてもなお慰謝されない精神的損害がある。 そして、原告が被った上記の精神的損害の性質・内容に照らせば、慰謝料 としては5万円が相当であり、弁護士費用としてはその1割の5000円が相当である。 (被告の主張)仮に、本件廃止処分をしたことが国家賠償法1条1項の適用上違法であるとしても、原告が本件廃止処分により被った財産的損害はその後の裁決を経 て既にてん補されている。そして、①原告は、本件廃止処分時点においても就労が困難であったわけではないこと、②原告は、保護費の一部の返納があったとはいえ、3月分の保護費(7万円余り) 裁決を経15て既にてん補されている。そして、①原告は、本件廃止処分時点においても就労が困難であったわけではないこと、②原告は、保護費の一部の返納があったとはいえ、3月分の保護費(7万円余り)を受給していたこと、③保護が再開されるまでの期間が9日間と短期間であり、その間の不支給額も2万3600円程度と少額であったこと、④原告宅の近くには、原告の母と妹が20生活する実家があったこと、⑤Bが、本件廃止処分をした際に原告に対して保護を再申請することが可能である旨伝えていることなどの各事情に照らせば、原告において、財産的損害がてん補された場合にもなお慰謝すべき精神的損害が生じたといえるような特段の事情はない。以上に加えて、原告の従前の行動や本件弁明手続における説明態度等があいまって本件廃止処分に至25ったものであることにも照らせば、原告に、損害賠償により慰謝すべき精神- 29 -的損害はないというべきである。 第3 当裁判所の判断1 認定事実等前記前提事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨を総合すれば、以下の事実が認められる。 5(1) 神戸市からα市への転居等ア Aが起こした放火事件等Aは、平成29年1月頃、理容院の客であったEと知り合って親しく付き合うようになり、原告をEに紹介するなどした。しかし、Aは、次第にEから暴行を受けたり金銭を要求されたりするようになり、同年10月頃10には顔面等を多数回殴打されるなどの暴行を受けた。 EとAは、平成29年11月、共謀の上で、火災保険の保険金をだまし取ることを企図して、Aが上記理容院に放火して焼損させる現住建造物等放火事件を起こした。(以上につき、甲19、39、40・9頁、79・3~8頁、原告本人1~4頁)15イ Aの逮捕及び原告の転 取ることを企図して、Aが上記理容院に放火して焼損させる現住建造物等放火事件を起こした。(以上につき、甲19、39、40・9頁、79・3~8頁、原告本人1~4頁)15イ Aの逮捕及び原告の転居の経緯等Aは、平成30年1月28日、上記アの現住建造物等放火の容疑で逮捕され、その後、起訴された。Aは、逮捕当初から、警察に対し、原告がEから危害を加えられるおそれがある旨述べたため、原告は、Fに保護された。 原告は、Fから帰宅する際、警察官から、Eとその関係者である暴力団関20係者が原告を探しており、神戸市の自宅に戻るのは危険である旨の注意を受けたため、神戸市β福祉事務所に相談の上、原告の母が居住するα市に転居することにした。なお、Eは、同年2月、Aに対する傷害容疑等で逮捕された。 原告は、転居先を探すなどした後、平成30年8月20日、当時保釈さ25れていたAと共に、α市に転居した。(以上につき、甲25・10~15- 30 -頁、甲33、42・31~33頁、甲79・8~11頁、原告本人4~7頁)ウ 神戸市からα市へのケース移管等原告及びAは、平成29年8月から、神戸市において生活保護法による保護を受けていたところ、原告は、上記保護の開始前に、Aと共に神戸市5β福祉事務所の担当ケースワーカーと面談し、保護に関する説明(収入申告や資産申告の必要があることなど)を受けたことがあった。原告及びAが神戸市において受けていた保護は、上記イのα市への転居に伴い廃止された。(甲23・6、10頁、甲25・1、6頁、甲26の2、33)。 神戸市β福祉事務所の担当ケースワーカーは、平成30年8月8日、α10市福祉事務所の担当者に対し、原告の世帯に関する世帯員の情報、転居の経緯等のケース情報を連絡した上で、同月2 2、33)。 神戸市β福祉事務所の担当ケースワーカーは、平成30年8月8日、α 市福祉事務所の担当者に対し、原告の世帯に関する世帯員の情報、転居の経緯等のケース情報を連絡した上で、同月20日頃、α市福祉事務所に対し、神戸市β福祉事務所において作成された原告及びAに係るケース記録等を送付した(乙5・1頁、乙8、10)。 (2) 原告がα市において保護を受けるに至った経緯等 ア保護の申請に至る経緯等(平成30年8月ないし9月)原告及びAは、α市に転居した後の平成30年8月22日、α市福祉事務所を訪れ、同事務所の職員と面談し、生活保護法による保護の制度等について説明を受けるなどした(乙5・2頁)。 Aは、平成30年9月13日、上記(1)アの現住建造物等放火等につき懲 役6年の有罪判決を受け、収監された(甲22)。 原告は、平成30年9月21日、α市福祉事務所を訪れ、保護の申請をした。その際、原告は、同事務所の職員に対し、原告が高血圧症、糖尿病、腰痛症を患っている旨説明し、申請の理由として、体調不良により働くことが難しく、生活が大変である旨記載した保護開始申請書を提出した。(甲 1、乙5・3頁)- 31 -イ原告の稼働能力等に関する医師の意見等(平成30年9月)原告は、α市において保護を受けるため、医療機関において医師の検診を受けたところ、同医師は、平成30年9月27日付けで、原告について、腰痛症であり、痛いときは身体を動かすことが困難である程の腰痛があると申告していること、胸椎レントゲン写真において異常は認められないこ と、診療の要否等については、鎮痛剤内服で軽減することから投薬中心の通院で十分であること、稼働能力の程度については「軽~中程度の労働が可能と思われる」こと ゲン写真において異常は認められないこ5と、診療の要否等については、鎮痛剤内服で軽減することから投薬中心の通院で十分であること、稼働能力の程度については「軽~中程度の労働が可能と思われる」ことなどを記載した健診書を作成し、α市福祉事務所長に提出した(乙1)。 ウ 生活実態の調査等(平成30年10月1日)10原告の担当ケースワーカーであるBは、平成30年10月1日、原告宅を訪問し、原告の生活実態の調査等を行った。Bは、同日、原告に対し、Eやその関係者である暴力団関係者から避難するためにα市に転居したと聞いている旨伝えたところ、原告は、α市に転居した後はEやその関係者からの特段の被害はないこと、Aは懲役6年に処する旨の有罪判決を受けた15こと、Eも既に逮捕されて懲役10年に処する旨の判決が下されたと警察から聞いていること、EとAが起こした現住建造物等放火等の事件に暴力団関係者は関与していないことなどを述べた。Bに同行した査察指導員であるGは、原告の上記回答を受けて、Eが捕まっているのであれば、神戸市に住み続けることも可能であったのではないかなどと尋ねたところ、原20告は、原告自身は神戸市に住み続けてもよいと思っていたが、警察や神戸市β福祉事務所の職員から転居を勧められた旨述べるなどした。 また、Bは、原告から提出された預金口座の通帳に、弁護士から49万円の振込みがあった旨の記載がされていたことを踏まえ、原告が上記振込みについて神戸市β福祉事務所へ申告をしているか尋ねたところ、原告が25申告していない旨答えたため、保護を受けている期間中の収入については- 32 -申告義務があることなどを教示した。 加えて、Bは、原告は軽度から中程度の労働が可能とされているから、求職活動をする必要があることな えたため、保護を受けている期間中の収入については- 32 -申告義務があることなどを教示した。 加えて、Bは、原告は軽度から中程度の労働が可能とされているから、求職活動をする必要があることなどを伝えた。(以上につき、甲79・14頁、乙5・7、8頁、証人B2~4頁、原告本人9頁)エ原告の就職先の決定等(平成30年10月2日ないし同月15日) 原告は、平成30年10月2日ないし同月15日までの間に、α市が行う総合就労支援事業等を活用して求職活動をしたところ、同日頃、α市に所在するH病院に採用され、同病院で働くことが決まった。原告は、同日、Bに対し、H病院で介護助手として働くことが決まった旨やその勤務時間等を伝えたところ、Bは、原告に対し、就労先報告書を記入して提出する ように伝えた。(甲63~65、乙5・8~11頁、乙43・3、4頁)オ Bによる原告の親族からの聞き取り等(平成30年10月中旬)Bは、平成30年10月11日、α市に居住する原告の母と連絡を取り、原告との交流状況等について確認したところ、原告の母は、原告とはあまり会っていないこと、暴力団関係者等からの被害等はないこと、原告の母 自身が高齢であり経済的な余裕もないため、原告に対して経済的援助をするのは困難であることなどを述べた。これを受けて、Bは、原告の母に対し、原告に対する精神的な援助を依頼した。 また、Bは、平成30年10月15日、京都府内に居住する原告の長女とも連絡を取り、交流状況等について確認したところ、原告の長女は、原 告とは少し前に久しぶりに会ったものの、普段は会うことが少ないこと、原告の長女には子供が4人いるため、原告に対して経済的援助をするのは困難であることなどを述べた。これを受けて、Bは、原告の長女 0告とは少し前に久しぶりに会ったものの、普段は会うことが少ないこと、原告の長女には子供が4人いるため、原告に対して経済的援助をするのは困難であることなどを述べた。これを受けて、Bは、原告の長女に対し、原告に対する精神的な援助を依頼した。(以上につき、乙43・4、5頁、証人B4、5頁)25カ 保護の開始決定等(平成30年10月17日)- 33 -α市福祉事務所長は、平成30年10月17日、原告について、生活保護法による保護を開始する旨の決定をした。なお、保護費については、原告の預金口座に振り込まれる方法により支給されることとされた。(乙5・11、12頁、乙43・5、6頁)(3) 保護開始後の原告の生活状況、Bとの連絡状況等5ア 保護開始時に原告が受けた説明等(平成30年10月23日)Bは、平成30年10月23日、原告に対し、生活保護のしおり及び生活保護不正受給防止に関する確認書を交付して、生活保護法の制度の概要や、収入の申告義務、各種の努力義務、生活上の義務、届出義務、指導指示に従う義務等の被保護者の義務、医療機関を受診する際には交付された医10療券を医療機関に提出する必要があることなどを説明した。その際、Bは、原告が神戸市において保護を受けていた際に未申告の収入があったことを指摘するなどして、注意を促した。(乙2、3、5・12、13頁、乙43・6、7頁、証人B5、6頁)他方、原告は、Bに対し、H病院において正社員として雇用されたこと15や、腰痛がひどくなってきたことなどを伝えた(乙5・13頁、証人B6頁)。 イ 平成30年10月ないし11月頃の連絡状況等(ア) 原告は、平成30年10月26日、Bに対して電話をかけ、3日前から体調不良であり どを伝えた(乙5・13頁、証人B6頁)。 イ 平成30年10月ないし11月頃の連絡状況等(ア) 原告は、平成30年10月26日、Bに対して電話をかけ、3日前から体調不良であり、前週の金曜日(同月19日)に早退してから仕事に20行くことができていないこと、休みが続いたため、看護師長から正社員として働くのは難しい旨告げられ、パート勤務となったことなどを伝えた。 Bは、平成30年11月16日、20日及び21日午前中に、原告に電話をかけたが、応答がなかった。Bは、同日、原告に対して2回目の電25話をかけたところ、原告が応答し、血圧の変動が多く、体調不良により- 34 -H病院に出勤できていないことなどを述べたため、Bは、引き続き通院加療に努めるよう述べるとともに、H病院において勤務していた期間の収入申告をするように伝えた。これに対し、原告は、H病院に給与明細書の郵送を依頼する旨述べた。 原告は、平成30年11月28日、Bに対して電話をかけ、H病院の5給与明細書が届いていないこと、体調が少し良くなってきたため、仕事に復帰できるようにH病院と相談する予定であることなどを伝えた。これに対し、Bは、仕事に復帰することが決まった場合には連絡するよう依頼するとともに、給与明細についてはH病院から原告の手元に届き次第提出するよう伝えた。(以上につき、乙5・13~15頁)10(イ) 他方、Bは、平成30年11月下旬頃、原告の体調等について確認するため、実態調査として、医療機関に対して原告の健康状態等を照会したところ、同月12月17日、上記医療機関から回答書が届いた。上記回答書には、原告につき、高血圧、糖尿病、頚椎脊柱狭窄症及び腰痛症の各疾病を有していること、稼働能力につき、左上肢 健康状態等を照会したところ、同月12月17日、上記医療機関から回答書が届いた。上記回答書には、原告につき、高血圧、糖尿病、頚椎脊柱狭窄症及び腰痛症の各疾病を有していること、稼働能力につき、左上肢のしびれ、立位及び 座位における腰痛があるため、長時間の労働は難しいが、3時間までは労働が可能である(軽労働は可能である)ことなどが記載されていた。 (甲2、乙43・15、16頁)ウ神戸地検検察官からの原告に対する証人出頭依頼等原告は、平成30年11月末頃、神戸地検の検察官から連絡を受け、E の公判において証人として出頭して証言をしてもらいたい旨依頼された。 原告は、Eの前で証言することに不安がある旨述べたところ、上記検察官は、証人(原告)と被告人(E)との間を遮蔽する措置をとることができる旨述べたため、原告は上記依頼を受けることにした。原告と上記検察官は、上記依頼に関する打ち合わせを平成31年2月23日及び26日に神戸地 検で行うこととした。(原告本人11、12、55、56頁)- 35 -エ Bによる本件口頭指導等(平成30年12月6日)(ア) Gは、平成30年12月5日、大阪府内のパチンコ店でパチンコをしている原告を見かけたため、原告に対し、翌日にα市福祉事務所を訪れるように伝えた(乙5・16頁、原告本人13、14頁)。 (イ) Bは、平成30年12月6日、α市福祉事務所において原告と面談し た。Bは、原告から、前日はパチンコで遊んでいたことなどを聴取したため、生活保護法60条の生活上の義務や同法61条の届出の義務等について説明した上で、原告が腰痛症と高血圧を患っており、座位の状態が長時間継続するパチンコは心身にとって負担が大きく、治療に努めているとはいい難いものであるから、原告がパチン 61条の届出の義務等について説明した上で、原告が腰痛症と高血圧を患っており、座位の状態が長時間継続するパチンコは心身にとって負担が大きく、治療に努めているとはいい難いものであるから、原告がパチンコに興じていたことは10生活上の義務に反するものであること、パチンコで得た収入も含めて、収入については速やかに申告する義務があり、届出を怠ることは不正受給になり得るものであることを説明した。Bは、上記説明をした上で、原告に対し、生活保護法27条に基づく口頭による指導指示として、今後は自立に向けて必要な行動をとるように指導した(なお、原告は、同15日、パチンコにより得た収入に関する申告書を提出した。)。 原告は、Bに対して謝罪するとともに、勤務先であるH病院を退職することになった旨報告し、改めて求職活動を行い、早期の自立を目指す旨を伝え、求職活動の進捗についてはBに報告する旨述べた。(以上につき、甲79・15、16頁、乙5・16、17頁、乙43・10~1220頁、証人B9~12頁、原告本人13~16頁)(ウ) Bは、上記(イ)の面談の後、原告が勤務していたH病院に電話をし、原告の雇用状況について尋ねたところ、同病院の職員から、原告は平成30年10月16日から3日間勤務した後、体調不良を理由に欠勤しているところ、当初は欠勤の連絡があったが、次第に連絡が取れなくなり、25折り返しの連絡等もなくなったことから、これ以上在籍させることはで- 36 -きず、退職してもらうことになった旨を聴取した。そこで、Bは、α市の総合就労支援事業の担当者に連絡し、原告の求職活動への協力を依頼したところ、同担当者から、原告への連絡がつながりづらい旨の報告がされた。Bは、原告に電話し、原告に対して連絡してもつながらないことが多く、折り返 事業の担当者に連絡し、原告の求職活動への協力を依頼したところ、同担当者から、原告への連絡がつながりづらい旨の報告がされた。Bは、原告に電話し、原告に対して連絡してもつながらないことが多く、折り返しの電話等もないことを指摘し、原告の軽率な対応に5より関係者に迷惑がかかっているため、今後は報告・連絡・相談をしっかり行うように伝えた。(乙5・17頁、証人B13~16頁)オ 原告との連絡状況等(平成30年12月ないし平成31年1月)(ア) 原告は、平成30年12月13日、Bに対し、求職活動の状況について、特別養護老人ホームの採用面接を受けることになった旨報告したと10ころ、Bは、原告に対し、面接結果が判明したら連絡してもらいたい旨述べた。 Bは、原告から上記報告の後に連絡がなかったため、平成31年1月8日、原告に電話をかけたが、原告は応答せず、折り返しの連絡等もなかった。Bは、同月9日、11日、18日、22日及び24日にも原告に15電話をかけたが、原告は応答せず、折り返しの連絡等もなかった。(以上につき、乙5・18、19頁、証人B17頁)(イ) Bは、上記(ア)のとおり原告と1か月以上にわたり連絡が取れなかったため、平成31年1月24日、原告宅を訪問したところ、原告が応対し、風邪を引いているなどと述べた上で、Bの連絡に応答しなかったことに20関し、同月28日にα市福祉事務所に行こうと考えていたなどと述べた。 そこで、Bは、原告に対し、電話に出られない場合でも折り返しの連絡をしてもらえれば構わないが、折り返しの連絡等すらないと、Bとしても不安になるため、今後は必ず折り返しの連絡をしてもらいたい旨伝えた。原告は、同日、Bに対して、求職活動の状況に関し、上記(ア)の特別25養護老人ホームの採用面接の結 連絡等すらないと、Bとしても不安になるため、今後は必ず折り返しの連絡をしてもらいたい旨伝えた。原告は、同日、Bに対して、求職活動の状況に関し、上記(ア)の特別25養護老人ホームの採用面接の結果は不採用であったこと及び同月30日- 37 -に別の病院の採用面接を受ける予定であることを伝えた。これを受けて、Bは、原告に対し、まずは同月28日にα市福祉事務所に来て求職活動状況申告書を提出するように伝えたところ、原告は同日15時に来所する旨述べた。(乙5・19頁、乙43・16~18頁、証人B17~19頁、原告本人64、65頁)5(ウ) Bは、平成31年1月28日、原告が来所予定の時刻を過ぎても来所しなかったため、原告に電話をかけたところ、原告は応答しなかったが、その後、原告から折り返しの電話があった。原告は、上記の電話において、同日に採用面接の予定が急に入ったこと、その面接の結果はその週のうちに判明すること、同月30日に別の病院の採用面接を受ける予定10であることなどを述べたため、Bは、求職状況の確認のために病院の連絡先等を教えてもらいたい旨述べたところ、原告は、いったん連絡先等を調べてからかけ直す旨述べて電話を切った。しかし、原告は、その後、Bに対して電話をかけなかった。(乙5・19頁、乙43・18、19頁、証人B19、20頁)15カ Bによる家庭訪問等(平成31年1月30日ないし2月19日)(ア) Bは、平成31年1月30日、原告に電話をかけたが、原告は応答せず、折り返しの連絡もなかった。 Bは、原告に対して求職活動及び生活等の状況について説明を求める必要があると考え、平成31年1月31日、原告宅を訪問して原告の名20前を呼ぶなどしたが、応答等はなかった。そこで、Bは、α市福祉事務所へ 告に対して求職活動及び生活等の状況について説明を求める必要があると考え、平成31年1月31日、原告宅を訪問して原告の名 前を呼ぶなどしたが、応答等はなかった。そこで、Bは、α市福祉事務所への来訪を依頼する旨記載した連絡票を、原告宅のポストに投函した。 なお、原告宅のポストは、玄関扉の外側に取り付けられていたが、箱型ではなく上部が開いた籠状のものであるため、外部からポストの中(郵便物の有無等)を見ることができた。 原告は、上記連絡票が投函されてから遅くとも数日以内に、上記連絡- 38 -票を自宅のポストから回収して受け取った。(以上につき、甲77、乙5・20頁、乙43・19頁、証人B20、21頁)(イ) Bは、平成31年2月8日及び12日、原告に電話をかけたが、原告は応答せず、折り返しの連絡もなかった。 Bは、平成31年2月13日、原告宅を訪問したが、原告の応答等は なかった。そこで、Bは、同月14日にα市福祉事務所に来訪するか、又はBに対して連絡をするように依頼する旨記載した連絡票を原告宅のポストに投函した。なお、同日、上記ポストには、水道料金を知らせる料金伝票が入っていた。 原告は、平成31年2月13日又は14日、上記連絡票を自宅のポス トから回収して受け取った。(以上につき、乙5・20頁、乙43・19頁、証人B21頁)(ウ) 原告は、平成31年2月14日、α市福祉事務所を訪れず、Bに対して電話をかけるなどの連絡もしなかった。 Bは、平成31年2月15日(金曜日)、原告宅を訪問したが、原告の 応答はなかった。また、Bは、原告宅のポストを確認したところ、Bが同月13日に投函した上記(イ)の連絡票はポストに入っていなかったが、上記(イ)の水道料金の伝票は引き続きポストに入っていた。Bは、 応答はなかった。また、Bは、原告宅のポストを確認したところ、Bが同月13日に投函した上記(イ)の連絡票はポストに入っていなかったが、上記(イ)の水道料金の伝票は引き続きポストに入っていた。Bは、同月19日の午後3時にα市福祉事務所に来訪するか、又はBへの連絡をするように依頼する旨記載した連絡票を、原告宅のポストに投函した。 20原告は、遅くとも平成31年2月19日までに、上記連絡票を自宅のポストから回収して受け取った。(以上につき、乙4、5・21頁、乙43・19、20頁、証人B21、22頁)(エ) Bは、平成31年2月19日(火曜日)、上記(ウ)の連絡票で来所を依頼した午後3時になっても原告がα市福祉事務所を訪れず、連絡もなか25ったため、午後5時30分頃、原告に電話をかけたが、原告は応答せず、- 39 -原告からその後の折り返しの連絡もなかった(乙5・21頁、乙43・20頁、証人B22頁)。 (4) 本件指導指示等ア ケース検討会議における検討内容等α市福祉事務所においては、上記(2)及び(3)の経緯を踏まえ、平成315年2月22日(金曜日)、原告についてのケース検討会議が開かれ、C、生活福祉課の課長補佐、G、D、Bらが出席した。Bは、上記ケース検討会議において、上記(2)及び(3)の経緯等を報告し、原告につき一定の労働が可能であると診断されているにもかかわらず、H病院を体調不良により退職し、その後、求職活動状況申告書の提出もないこと、原告とは極めて連絡10が取りづらい状況が続いていることなどを説明した。また、会議の参加者からは、疾病等の特段の事情がないにもかかわらず、ケースワーカーからの連絡等に対して連絡が長期間ないような状況は初めてであるなどといった意見が出された。 上記ケー を説明した。また、会議の参加者からは、疾病等の特段の事情がないにもかかわらず、ケースワーカーからの連絡等に対して連絡が長期間ないような状況は初めてであるなどといった意見が出された。 上記ケース検討会議の結果、会議の参加者らは、長期間にわたり原告と15連絡が取れない状況が続いた上に、原告には稼働能力の活用を求める必要があるにもかかわらず求職活動状況申告書の提出等もなく、保護費も概算で支給せざるを得なくなっているなど、保護の適正な実施に支障をきたしている状況であることに照らせば、原告の求職活動状況、身体の状況、生活環境等を含め、原告の生活状況全般が不明であり、収入状況の確認とい20う観点に照らしても原告の生活実態を把握する必要性が認められると判断し、生活保護法27条に基づき、α市福祉事務所を訪れて生活実態を明らかにすることを求める指導指示をすることが妥当であると判断した。 また、来所の期限を決めるに当たっては、Bから、原告については無職である可能性が高く、ポストに投函した連絡票等が抜き取られていること25等に照らして自宅で引き続き生活していると思われる上に、連絡や来所の- 40 -妨げとなるような事情があるとは思われない旨の説明がされたため、原告においてα市福祉事務所に来訪する時間的余裕が十分にあるはずであると判断され、指導指示による来所の期限は平成31年2月26日(火曜日)の午前10時と決定された。加えて、原告に来所を促すために、指導指示に従わない場合には保護費の支払方法を口座振込から窓口支給に変更する5旨の文言を本件指導指示書に記載することとされた。(以上につき、乙5・21頁、乙43・20~23頁、乙44・2~5頁、証人B23~27頁、証人C3~5頁)イ 本件指導指示の内容本件指導指示書には、指示事 件指導指示書に記載することとされた。(以上につき、乙5・21頁、乙43・20~23頁、乙44・2~5頁、証人B23~27頁、証人C3~5頁)イ 本件指導指示の内容本件指導指示書には、指示事項・内容として、「あなたにはこれまで幾10度も架電を行い、家庭訪問も行いましたが、当所からの呼びかけに対し一切連絡のない状況が続いています。この為、生活実態の把握の必要性があります。このままでは生活保護の適正なる実施を行う事が出来ません。つきましては、期日内に必ず来所し、現状の生活状況等について明らかにするようこの文書により指導・指示します。なお、期日内までに来所されな15い場合、3月保護費の支給方法を生活福祉課窓口支給と変更します。」と記載され、来所日時として「平成31年2月26日午前10時00分(時間厳守)」と、場所として「生活福祉課窓口(本庁3階)」とそれぞれ記載されていた。 また、本件指導指示書には、本件指導指示が生活保護法27条1項に基20づくものである旨及び正当な理由なくこれに従わないときは同法62条3項により保護の変更、停止又は廃止のおそれがある旨が記載されており、同法27条、60条、61条及び62条の条文が引用されて記載されていた。(以上につき、甲3、乙5)ウ 本件指導指示書の投函等25Bは、平成31年2月22日(金曜日)午後4時52分頃、Dと共に原- 41 -告宅を訪問したが、原告からの応答がなかったため、本件指導指示書を原告宅のポストに投函した。このとき、Bは、同月15日に投函した連絡票(上記(3)カ(ウ))がポスト内に残っていないこと及び原告宅の前に駐輪されている原告の自転車の位置が同月15日の訪問時とは異なっていることを確認した。(乙5・22頁、乙43・23、24頁、証人B27頁 記(3)カ(ウ))がポスト内に残っていないこと及び原告宅の前に駐輪されている原告の自転車の位置が同月15日の訪問時とは異なっていることを確認した。(乙5・22頁、乙43・23、24頁、証人B27頁)5(5) 本件廃止処分に至る経緯ア 本件指導指示の不遵守(平成31年2月26日)原告は、本件指導指示により来所の期限とされていた平成31年2月26日午前10時を過ぎてもα市福祉事務所を訪れず、Bに対して連絡等もしなかった。これを受けて、Bは、同日昼頃、原告宅を訪問したところ、本10件指導指示書は原告宅のポスト内に残っていなかった。なお、同ポスト内には、従前から投函されていた水道料金を知らせる料金伝票と、新たに投函されたガス会社からの郵便物が入っていた。(乙5・22、23頁、乙43・24頁、証人B27、28頁)イ 本件弁明機会通知の発出(平成31年2月26日)15原告が本件指導指示に記載された期限までに来所しなかったことを踏まえ、α市福祉事務所においてケース検討会議が開かれ、原告につき、本件指導指示に違反したことに関する弁明の機会を与えることが決定された。 また、併せて、原告につき平成31年3月分の保護費の支給方法を口座振込から窓口支給に変更することが決定された。 20Bは、平成31年2月26日の夕方、Dと共に原告宅を訪問したが、原告の応答がなかったため、原告に弁明の機会を付与し、その期限を同月28日午後5時30分までとする旨記載された本件弁明機会通知(なお、保護費の支給方法を窓口支給に変更した旨は記載されていない。)を、原告宅のポストに投函し、弁明の機会の付与について通知した。Bは、翌2725日に原告宅を訪問してポストの中を確認したところ、本件弁明機会通知は- 42 - 変更した旨は記載されていない。)を、原告宅のポストに投函し、弁明の機会の付与について通知した。Bは、翌27 日に原告宅を訪問してポストの中を確認したところ、本件弁明機会通知は- 42 -同ポスト内には残っていなかった。(以上につき、甲4、乙5・22、23頁、乙43・24~26頁、証人B28~30頁、証人C13頁)ウ原告の親族への確認等(平成31年2月27日)Bは、平成31年2月27日、原告の母に対して電話をかけ、原告と連絡が取れない状況が続いているため、このままでは保護の変更、停止又は 廃止がされる可能性がある旨伝えた上で、原告の状況について把握している事情があるか否か尋ねたが、原告の母は原告の状況については分からない旨答えた。 なお、原告は、実際には、平成30年12月から平成31年3月頃までの間は、原告の母宅(原告の実家)を定期的に訪問して食事や生活用品の 提供を受けるなどしていたが、原告の母は、原告が親族から必要な援助が受けられることを理由に保護を廃止されてしまうと困ると考え、原告の状況は分からない旨回答したものであった。原告は、同年2月27日から遅くとも数日以内に、α市福祉事務所から原告の母に上記の電話があったことを知ったが、Bに対して連絡等をしなかった。(以上につき、乙5・23 頁、乙43・26頁、証人B29、30頁、原告本人45~48頁)エ本件手紙及び弁明の期限の延長等(平成31年2月28日)原告は、本件弁明機会通知を確認し、平成31年2月28日頃、本件手紙を書いてα市福祉事務所に送付した。本件手紙には、①原告が、Bに対し、平成30年12月の時点で、平成31年2月に入ると神戸地検に行く 回数が増える旨を伝えていたはずである、②現在、神戸 件手紙を書いてα市福祉事務所に送付した。本件手紙には、①原告が、Bに対し、平成30年12月の時点で、平成31年2月に入ると神戸地検に行く20回数が増える旨を伝えていたはずである、②現在、神戸地検の人に送迎をしてもらっている、③原告は1つずつしか対応できないため、裁判が終わるまではα市福祉事務所に行くことはできない、④その裁判の判決は同年3月7日に宣告される予定であるから、α市福祉事務所に行くのは同日以降になる、などと記載されていた。本件手紙は、同日、α市福祉事務所に25到着した。(甲5、原告本人22頁)- 43 -本件手紙を受けて、α市福祉事務所長は、平成31年3月1日、弁明の機会を同月14日午後5時30分まで延長することを決定した。Bは、同日、原告宅を訪問し、原告宅のポストに弁明の機会の期限の延長を通知する文書を投函した。(甲6)オ 本件弁明手続(平成31年3月12日)5原告は、平成31年3月12日午後5時10分頃、事前に連絡することなくα市福祉事務所を訪れ、在所していたBと面談した。 Bは、上記面談において、原告が平成31年1月下旬頃から一切連絡がつかない状況であった理由等について質問したところ、原告は、同年2月には神戸地検に行かなくてはならない旨をあらかじめ平成30年12月に10Bに伝えたはずであるなどと述べたため、Bは、原告に対し、そのようなことは一切聞いていない旨答えた。また、Bは、神戸地検に出頭する用事があるため多忙であったのであれば、平成31年1月や2月に、Bに対して折り返しの連絡などをしてその旨伝えてもらえばよかったのではないかなどと尋ねたが、原告は答えなかった。 15Bは、原告に対し、原告から連絡がないと心配であることを述べるとともに、原告宅のポストに連 しの連絡などをしてその旨伝えてもらえばよかったのではないかなどと尋ねたが、原告は答えなかった。 15Bは、原告に対し、原告から連絡がないと心配であることを述べるとともに、原告宅のポストに連絡票を投函して連絡や来所を求めたにもかかわらず原告から連絡等がなかったため本件指導指示書を発出したことなど、本件指導指示に至った経緯等を説明した上で、神戸地検に出頭した日時を尋ねたところ、原告は、平成31年2月23日及び26日である旨回答す20るとともに、同月27日及び28日も出頭の予定があったが断った旨述べた。 また、Bは、原告の通院状況について尋ねたところ、原告から同年1月に1日間、同年2月に2日間、それぞれ医療機関に通院した旨の回答があったため、上記医療機関に確認したところ、原告が述べた通院日は誤って25おり、同年2月の通院日数も1日であること、当該通院に係る医療券(保- 44 -護を受けている者が、通院前に福祉事務所から受領し、医療機関に提出するもの)が発行されていないことなどが判明した。Bは、上記の確認等をした後、原告に対し、神戸地検に出頭した日や通院した日以外の日は何をしていたか尋ねたところ、原告は、何もしておらず寝ていた旨答えた。これを受けて、Bは、原告に対し、用事がなかった日に来所や連絡ができな5かった理由を尋ねたり、その間に求職活動等をしていたのではないかと尋ねたりしたところ、原告は、高血圧で体調が悪かった旨を述べたが、具体的にどの程度体調が悪化していたかやどのように日々を過ごしていたかなど、その詳細については答えなかった。Bは、原告がBからの質問に対して黙ったまま答えないことが続いたため、仮に平成31年2月26日は検10察庁に出頭していたとしても、同月25日に来所又は連絡をすることができたのではな えなかった。Bは、原告がBからの質問に対して黙ったまま答えないことが続いたため、仮に平成31年2月26日は検 察庁に出頭していたとしても、同月25日に来所又は連絡をすることができたのではないかなどと尋ねたが、原告はこれにも答えなかった。 Bは、原告の上記対応を踏まえ、①原告の説明で、本件指導指示に従うことができなかった理由として十分であると考えているか、他に話しておきたいことはないか、②Bが何度も電話による連絡や原告宅の訪問をして いたにもかかわらず、これを無視し続けるのは悪質ではないか、などと尋ねたが、原告は何も答えなかった。 Bは、原告との面談をしている間に閉庁時刻(午後5時30分)が過ぎていたため、原告に対し、後日ケース検討会議が開かれて原告に対する措置が決定される旨説明し、原告との面談を終えた。(以上につき、乙5・2 5、26頁、乙43・28~33頁、証人B31~37、68、69頁、原告本人26~30、57~59、63頁)カ本件廃止処分に至るケース検討会議α市福祉事務所においては、平成31年3月13日、原告についてケース検討会議が開かれ、C、生活福祉課の課長補佐、G、D及びBが出席し た。Cは、同会議において、出席者に対し、本件指導指示書には保護の廃- 45 -止処分があり得る旨記載されているが、保護の停止処分も含めて、原告に対する処分を検討するように指示した。上記会議において、Bからは、本件指導指示に至る経緯や本件弁明手続における原告の弁明内容(上記ア~オ)、原告が平成31年3月分の保護費を受け取りに来ていない状況等が報告された。これを踏まえて会議の出席者において検討がされた結果、原 告については、①本件指導指示の発出前から生活保護法上の義務に違反し 告が平成31年3月分の保護費を受け取りに来ていない状況等が報告された。これを踏まえて会議の出席者において検討がされた結果、原 告については、①本件指導指示の発出前から生活保護法上の義務に違反している状態であり、Bから本件口頭指導がされたにもかかわらず改善がみられず、複数回の原告宅訪問や電話連絡に対しても一切応答せず、そのことにつき合理的な理由がないという状況等に照らせば、Bやα市福祉事務所に対する原告の一連の対応は悪質といわざるを得ないこと(実施機関と の信頼関係が破壊されていること)、②保護の停止、廃止等の処分がされ得る旨の記載がある本件指導指示書を読んでいるにもかかわらず、連絡もないまま来所しなかったことにつき合理的理由はないこと、③原告の弁明内容では、保護の実施のために必要な生活状況等の説明としては不十分であると考えられること、④本件弁明手続における原告の受け答えの状況等 に照らしても、原告には生活状況等を明らかにしようとする意思が見受けられないことなどの各事情を踏まえると、「保護の停止を行なうことによっては当該指導指示に従わせることが著しく困難であると認められるとき」に当たるとして、保護を廃止することが決定された。(乙5・26頁、乙43・33~35頁、乙44・7~10頁、証人B37~39頁、証人C 6~10、19、20頁)なお、上記会議においては、保護の廃止をした場合に原告が支援を受けられる可能性がある親族の有無について確認がされ、Bから、原告宅の近くに原告の母と妹が住んでいることや、京都府に原告の長女が住んでいることなどが報告された。また、上記会議においては、原告に対して保護が 廃止されたことを伝える際には、保護を再度申請することが可能である旨- 46 -を必ず伝えておくこと 告の長女が住んでいることなどが報告された。また、上記会議においては、原告に対して保護が25廃止されたことを伝える際には、保護を再度申請することが可能である旨- 46 -を必ず伝えておくことや、保護の廃止後もBが原告の状況確認などをすることなどが確認された。(乙43・35、36頁、乙44・10頁、証人B39、40頁、証人C19、20、24頁)キ 本件廃止処分α市福祉事務所長は、平成31年3月13日、原告について、保護の停5止では改善が見込めず、保護の停止によっては指導指示に従わせることが著しく困難であるとして、本件廃止処分をした(乙5・27頁、乙43・35頁、証人B39頁)。 原告は、平成31年3月14日、α市福祉事務所を訪れ、本件廃止処分を通知する旨の本件決定通知書をBから受け取った。本件決定通知書には、10原告が受けていた保護を同月13日をもって廃止する旨のほか、廃止の理由として、「指導指示義務違反により廃止します。(これまで幾度も連絡・訪問を行うも貴方は長期間音信不通でした。平成31年2月22日に来所の指導指示文書を貴方に通知しましたが期限の26日を迎えても一切の連絡がありませんでした。同26日に弁明の機会を与える通知を付与しまし15たが、来所・連絡はなく期限の28日『2月は多忙である』との手紙が届いたため、弁明の機会の期限を3月14日に延期しました。3月12日貴方が来所したため弁明を聴取しましたが、用件があった日数は3日間のみであり、その他の日についても『何もしていなかった』と答えたため、これでは多忙であったと認めることはできません。また事実と異なる弁明も20されました。弁明が不十分なものであったと判断し、指導指示義務違反により廃止します。)」と記載されていた。(甲7) 、これでは多忙であったと認めることはできません。また事実と異なる弁明も されました。弁明が不十分なものであったと判断し、指導指示義務違反により廃止します。)」と記載されていた。(甲7)原告は、本件決定通知書を受け取った後、平成31年3月分の保護費12万0410円(生活扶助費8万1410円及び住宅扶助費3万9000円)を受領するとともに、本件廃止処分がされた同月13日以降の保護費 (生活扶助費)に当たる4万9897円を返還した。原告は、その際、B- 47 -から、今後どのようにしていくのかを問われたため、Bに謝罪するとともに、原告が悪かったと考えている旨述べた。Bは、原告に対し、いつでも保護の再申請が可能であるため、原告が希望するのであれば、α市福祉事務所に再度相談に来るように伝えた。(甲7、乙5・27頁、乙15、証人B40頁) (6) 本件廃止処分後の再度の保護の開始等原告は、平成31年3月22日、α市福祉事務所長に対し、保護開始申請書を提出した。これを受けて、同事務所長は、同年4月5日、原告に対する保護を開始する決定をした。(乙20の1、38の1、43・41頁)原告は、平成31年4月5日、同年3月22日から同月31日までの保護 費として、3万8841円を受け取った(乙38)。 また、原告は、大阪府知事の裁決により本件廃止処分が取り消された後の令和3年3月12日に、平成31年3月13日から同月21日までの保護費として2万3636円を受け取った(甲10)。 (7) その他の原告の生活状況等 ア原告の持病、体調等原告は、平成30年ないし平成31年当時、高血圧、糖尿病、頚椎脊柱管狭窄症、メニエール病、腰痛症などの持病を有しており、1か月に1回程度通院していた。原告は、これらの持 ア 原告の持病、体調等原告は、平成30年ないし平成31年当時、高血圧、糖尿病、頚椎脊柱管狭窄症、メニエール病、腰痛症などの持病を有しており、1か月に1回程度通院していた。原告は、これらの持病により、頭痛やめまいなどの症状が出ることがあり、長いときは半日以上横になって休むなどし、症状に20応じて痛み止めを飲むなどしていた。(甲2、38、79・13、14頁、原告本人1、53、54、58、60頁)また、原告が平成31年2月21日に医療機関を受診した際の血圧は、140/72mmHgであった(甲38・5頁)。 イ 原告の検察庁への出頭等25Eは、上記(1)アの現住建造物等放火事件等の容疑により逮捕・起訴され、- 48 -これらの事件に係る公判が、平成31年2月27日(第1回公判)から同年3月7日(第5回公判)まで、神戸地裁において開かれた。Eの公判に関し、検察官が原告を証人として証拠請求したところ、神戸地裁は、同年1月17日に原告を証人として採用する旨の決定をした上で、同年2月22日の第5回公判前整理手続において、原告の証人尋問においては原告と5Eとの間に遮蔽措置(証人と被告人との間に遮蔽物を設置して互いに見えなくする措置)をとる旨の決定をした。(甲17、18)原告は、平成31年2月23日、神戸地検に出頭し、検察官と打合せをした。原告は、同月26日も神戸地検に出頭する予定であったが、同月25日頃、上記検察官に対して電話をかけ、体調不良を理由として同月2610日の検察官との打合せの予定を断った(原告本人19頁)。 Eの公判において、原告の証人尋問手続は平成31年2月28日に予定されていたが、検察官は、同日の第2回公判期日において、原告を証人とする証拠請求を撤回し、Eの公判において原告の証人尋問は行われな Eの公判において、原告の証人尋問手続は平成31年2月28日に予定されていたが、検察官は、同日の第2回公判期日において、原告を証人とする証拠請求を撤回し、Eの公判において原告の証人尋問は行われなかった(甲17、18、調査嘱託に対する神戸地検からの回答)。 ウ原告の経済状況等原告が保護費の振込先として指定した預金口座の、平成31年1月ないし3月頃の残額は、おおむね14万円以下であった。原告は、同年2月4日に同月分の保護費の振込入金(12万0410円)を受けた後、同月5日に10万円を、同月8日に5000円を、同月20日に1万円をそれぞ れ上記預金口座から引き出したため、上記預金口座の残高は1000円程度になった。なお、原告のその他の預貯金口座の同時期の残高は、1万円以下であった。(乙23)原告は、平成30年12月ないし平成31年3月頃は、原告宅において生活しており、3日ないし4日に1回程度、日用品の買い物に出かけるな どしていたほか、1か月に1回程度、Aの面会に行くなどしていた。また、- 49 -原告は、同年1月ないし2月頃は、就労していなかったが、求職活動をしており、上記期間に採用面接を3回受けるなどしていた。(原告本人38、45、66、67頁)原告は、平成30年12月ないし平成31年3月頃は、原告の母宅を訪れて食事や生活用品を提供してもらうなどしており、同月分の保護費をす ぐに使用する必要はない状況であったため、平成31年3月14日まで、預金口座に同月分の保護費が振り込まれていないことには気づいていなかった(原告本人45、46、49頁)。 エ本件廃止処分後の原告の勤務状況等原告は、平成31年4月4日、マンションの清掃員として採用され、以 後、清掃員として勤務している(乙3 いていなかった(原告本人45、46、49頁)。 エ本件廃止処分後の原告の勤務状況等原告は、平成31年4月4日、マンションの清掃員として採用され、以 後、清掃員として勤務している(乙32、43・41頁)。 2 事実認定の補足説明(1) 平成30年10月1日の調査時の原告の説明内容について原告は、平成30年10月1日に原告宅を訪問したG及びBに対し、EがAと共謀して起こした現住建造物等放火事件等につき既に懲役10年の有罪 判決を受けた旨述べたことはなく、Eに宣告される判決は懲役10年を下らない見込みであると警察から聞いた旨述べたにすぎない旨主張し、原告もこれに沿う供述をする(原告本人10頁)。 しかし、α市福祉事務所が作成した原告についてのケース記録(乙5)は、職務上その都度作成される記録であり、保護の実施に関する詳細な記載内容 等に照らしても、一般的な信用性は高いものといえる。そして、上記ケース記録のうち平成30年10月1日の調査時の記載内容は、G及びBの2名が原告から聞き取った内容であり、聞き間違いや誤解が介在する可能性は比較的低い上、その記載内容は相当具体的かつ詳細なものであり、体裁や内容等につき特段不自然なところもなく、その信用性は高いというべきである。そ うすると、原告は、同日の調査時に、G及びBに対し、Eについても既に懲- 50 -役10年の有罪判決を受けている旨発言したと認められる。 (2) 平成30年12月6日の面談時の原告の説明内容について原告は、平成30年12月6日の面談時に、Bに対し、平成31年2月は検察庁に行く回数が増える旨伝えていた旨主張し、本人尋問においても、上記面談時に、Bに対し、平成31年2月には検察庁に2回程度出頭する必要 があ 12月6日の面談時に、Bに対し、平成31年2月は検察庁に行く回数が増える旨伝えていた旨主張し、本人尋問においても、上記面談時に、Bに対し、平成31年2月には検察庁に2回程度出頭する必要 がある旨を伝えていた旨供述する(原告本人16、41、56、57頁)。 しかし、Bは、平成30年12月6日に、原告から平成31年2月に検察庁に出頭する予定がある旨を聞いたことはない旨証言している(証人B12、13頁)。そして、Bは、同日時点においては、A及びEの公判は既に終了して判決がされているとの認識を有していたところ(認定事実(2)ウ)、仮に原 告がBに対して上記の旨を伝えていたのであれば、原告の担当ケースワーカーであるBにおいては、検察庁に出頭するという特殊な出来事について、誰のどのような裁判のために検察庁に出頭する予定であるのかを確認したり、そのやりとりをケース記録に残したりするのが自然である。特に、Bは、当初、原告がEやその関係者である暴力団関係者からの被害を避けるためにα 市に引っ越してきたと認識していたところ、生活実態の調査(平成30年10月1日。認定事実(2)ウ)の際に、原告から、Eは既に実刑判決を受けていることや、EとAが起こした現住建造物等放火の事件に暴力団関係者は関与していないことなどを説明され、驚いたという経緯があったのであるから(ケース記録には上記の経緯が詳細に記載されている。)、原告が検察庁への出 頭という刑事事件に関する予定を伝えた際に、Bがそのことについて関心を示さないとか、適当に聞き流すということは通常考え難いし、Bが、原告の神戸地検への出頭予定をあらかじめ聞いていたにもかかわらず、そのことを失念していたとも考え難い。 かえって、原告は、Bが幾度となく訪問したり電話したりしても、数週間 考え難いし、Bが、原告の神戸地検への出頭予定をあらかじめ聞いていたにもかかわらず、そのことを失念していたとも考え難い。 かえって、原告は、Bが幾度となく訪問したり電話したりしても、数週間 以上にわたりBに電話1本かけることすらせず、ことごとく無視する不誠実- 51 -な対応を続け、いよいよ保護の廃止等がされるかもしれないという弁明の機会の段階になって、ようやく本件手紙を送付し、検察庁への出頭の予定がある旨をBに伝えていたことなどを記載しているという経緯等に照らせば、Bが原告から伝えられていた予定を聞き流したり失念したりしていたという可能性よりも、原告の後付けの弁解や記憶間違いである可能性の方がはるかに 高いといわざるを得ない。 そうすると、Bの上記証言は信用することができ、これに反する原告の供述は信用することができないから、原告が、平成30年12月6日の面談時に、Bに対し、平成31年2月には検察庁に行く回数が増える旨伝えていたとは認められない。 (3) Bが原告宅のポストに投函した連絡票や本件指導指示書の受領についてBが平成31年1月31日、同年2月13日及び同月15日に原告宅のポストにそれぞれ投函した連絡票や、同月22日に投函した本件指導指示書は、いずれもこれらの日から数日後には同ポストに入っていなかったのであるから、原告は、これらの連絡票や本件指導指示書が投函されてから遅くとも数 日以内にはポストから回収して受け取った上で、その内容も確認したものと認められる。この点につき、原告は、上記連絡票や本件指導指示書を受け取っていない又は見ていない可能性がある旨供述するが(原告本人20、21、66頁)、Bからの電話に折り返すことすらしていなかった原告の不誠実な対応(上記(2))からすれば、こ や本件指導指示書を受け取っていない又は見ていない可能性がある旨供述するが(原告本人20、21、66頁)、Bからの電話に折り返すことすらしていなかった原告の不誠実な対応(上記(2))からすれば、これらの連絡票等がポストから勝手になくなっ ていたという可能性よりも、原告が連絡票等をその都度受け取っていたがあえて連絡等をしなかったと考える方が自然であるし、本件弁明手続において、Bがこれらの連絡票や本件指導指示書を投函するなどして連絡や来所を求めたという経緯を説明しているにもかかわらず、原告がこれらの連絡票等を受け取っていない又は見ていない旨を述べていないことにも照らせば(認定事 実(5)オ。証人B32頁参照)、原告は、これらの連絡票や本件指導指示書を- 52 -受領し、その内容を確認していたと認められる。 3 争点(1)(本件指導指示が違法無効であるため、α市福祉事務所長が本件廃止処分をしたことは国家賠償法1条1項の適用上違法であるか否か)について原告は、①本件指導指示は、保護の目的を達成するために必要かつ最少限度のものともいえない上に、実現が不可能又は著しく困難なものであって、生活 保護法27条1項及び2項に違反し違法である、②本件指導指示は、口頭による指導指示との連続性を欠くものであるから、手続上も違法であるなどと主張するため、以下、順に検討する。 (1) 本件指導指示が生活保護法27条1項及び2項に違反するため、本件廃止処分をしたことが国家賠償法1条1項の適用上違法であるか ア国家賠償法上の違法性の判断枠組み国家賠償法1条1項は、国又は公共団体の公権力の行使に当たる公務員が個別の国民に対して負担する職務上の法的義務に違背して当該国民に損害を加えたときに、国又は公共団体が 法性の判断枠組み国家賠償法1条1項は、国又は公共団体の公権力の行使に当たる公務員が個別の国民に対して負担する職務上の法的義務に違背して当該国民に損害を加えたときに、国又は公共団体がこれを賠償する責任を負うことを規定するものであるから、公務員による公権力の行使に同項にいう違法があ15るというためには、当該公務員が職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と当該行為をしたと認め得るような事情があることが必要である(最高裁昭和60年11月21日第一小法廷判決・民集39巻7号1512頁、最高裁平成5年3月11日第一小法廷判決・民集47巻4号2863頁参照)。 20イ 本件指導指示が必要性を欠き、又は最少限度を超えるものであるかについて(ア) α市福祉事務所を訪れて生活状況等を明らかにするように求める点について原告については、Bと平成30年12月13日に電話をした後、採用面25接の結果等の報告を求められていたにもかかわらず連絡をせず、平成31- 53 -年1月24日に至るまで、1か月以上もの間、Bからの電話連絡等にも応じず、原告と連絡が取れない状況が続いていた上に(認定事実(3)オ(ア))、同日のBの家庭訪問を受けて来所を約束した日(同月28日)にα市福祉事務所を訪れることもなく、同日にBと電話した後も、Bに対して電話をかけ直す旨伝えていたにもかかわらず、同年2月22日に至るまで、Bか5らの電話に対して全く応答や折り返しの連絡をせず(認定事実(3)オ(イ)、(ウ))、Bが原告宅を複数回訪問しても、不在であるか又は応答しないなど、全く連絡が取れない状況が続いていたというのであるから(認定事実(3)カ)、α市福祉事務所において、原告の生活状況等が把握できない状況が続いていたものと認め しても、不在であるか又は応答しないなど、全く連絡が取れない状況が続いていたというのであるから(認定事実(3)カ)、α市福祉事務所において、原告の生活状況等が把握できない状況が続いていたものと認められる。そして、原告のように、持病による体10調不良等が原因で十分な収入を得るための労働が困難な被保護者については、その具体的な体調や生活環境に応じて、自立を助長するために必要な支援の具体的な内容や方法が大きく異なり得るのであるから、α市福祉事務所においては、原告の体調等の心身の状況、通院状況、生活環境、就労状況等を一定の期間ごとに確認し、これらを把握する必要性が高かった15ものと認められる。 しかも、原告については、医師から軽労働が可能である旨の診断を受けるなど(認定事実(2)イ、(3)イ(イ))、一定の稼働能力があると認められる状況であったところ、原告は、Bと面談や電話をした平成30年12月6日、13日、平成31年1月24日及び28日に、Bに対し、求職活動20をしていることや採用面接を受ける具体的な予定などを伝えていたのであるから(認定事実(3)エ~カ)、就労や収入の有無という、保護を実施する必要性の有無の判断や保護費の算定等に関する重要な事情に変動が生ずる可能性が十分に存在したものと認められる(なお、原告は、求職活動状況申告書も一切提出せず、求職活動の状況については口頭による報告25をしていたのみであったところ、その内容も、α市福祉事務所において原- 54 -告の求職活動の状況を的確に把握するには不十分なものであったといわざるを得ない。)。そうすると、α市福祉事務所においては、原告につき、必要な保護を適正に実施するために、就労状況等を含めた生活状況を速やかに把握する必要性が特に高かったものと認められる(なお、生活 ざるを得ない。)。そうすると、α市福祉事務所においては、原告につき、必要な保護を適正に実施するために、就労状況等を含めた生活状況を速やかに把握する必要性が特に高かったものと認められる(なお、生活保護手帳別冊問答集〔乙41〕においても、収入について正確に把握することの5重要性が指摘されている。)。 また、原告については、上記のとおりその体調や心身の状況等も含めて生活状況を把握する必要があったところ、電話やメール、手紙等によっては、原告の様子等を直接目視して確認することができないから、体調や生活状況を十分に把握することが困難である。これに加えて、原告がBから10の連絡等に対して全く応答しない状況であったことなどに照らせば、原告に対し、文書の提出や電話による報告、説明等を求める指導指示をするのみではもはや不十分な状況であったといえるから、α市福祉事務所に来訪することを求めた点についても、必要かつ最少限度の範囲内のものであったと認められる。 15以上によれば、α市福祉事務所を訪れて生活状況等を報告することを求めた点は、保護の目的を達成するために必要で、かつ最少限度の範囲内のものであったと認められる。 (イ) 来所の期限を平成31年2月26日午前10時とした点について原告については、1か月以上にわたり連絡が取れなくなった後、いった20んはBの原告宅の訪問に応対し、その4日後にも電話連絡に応ずるなどしたものであるが、これらの対応によって明らかになった原告の生活状況等は、採用面接を受ける予定等の断片的なものといわざるを得ず、原告は、その後更に1か月近くにわたり、Bからの電話連絡のみならず、Bの原告宅訪問にも応答しなかった(認定事実(3)オ、カ)。そうすると、原25告については、体調の変化のみならず、就労及 得ず、原告は、その後更に1か月近くにわたり、Bからの電話連絡のみならず、Bの原告宅訪問にも応答しなかった(認定事実(3)オ、カ)。そうすると、原25告については、体調の変化のみならず、就労及び収入の有無等の変動が生- 55 -じていた可能性もあり、収入の発生により保護費を不正に受給している可能性も否定し難い状況が続いていたと認められるから、α市福祉事務所において、原告の生活状況等を速やかに確認する必要性は高かったと認められる。 しかも、Bは、平成31年1月31日、同年2月13日、15日の3回5にわたり、来所やBへの連絡を依頼する旨記載した連絡票を原告宅のポストに投函していたところ、原告は、これらの連絡票を遅くともそれぞれ数日以内には同ポストから回収して受け取っていたのであり(認定事実(3)カ)、本件指導指示がされた日の3週間程度前から、α市福祉事務所への連絡や来訪を求められていることを認識していたのであるから、こ10のような本件指導指示に至る経緯を踏まえれば、本件指導指示がされた同月22日から4日後を来所の期限としたことも、なお必要の最少限度の範囲内にとどまるものであったと認められる。 (ウ) 小括したがって、本件指導指示については、保護の目的を達成するために必15要であり、かつ、最少限度の範囲内のものであったと認められ、これらの点につき、生活保護法27条1項及び2項に反する違法があったとは認められない。 ウ 本件指導指示の内容が、客観的に実現が不可能又は著しく困難なものであるかについて20本件指導指示は、本件指導指示書が原告宅のポストに投函された4日後である平成31年2月26日午前10時を来所の期限とするものであるところ、同月22日が金曜日であることも踏まえれば、原告が本件指導指示 件指導指示は、本件指導指示書が原告宅のポストに投函された4日後である平成31年2月26日午前10時を来所の期限とするものであるところ、同月22日が金曜日であることも踏まえれば、原告が本件指導指示に応じてα市福祉事務所を訪れたり、Bに電話したりすることができるのは、同月25日(月曜日)及び26日(火曜日)の午前10時までの比較的 短期間に限られているといえる(なお、本件指導指示書において、「期日- 56 -内に必ず来所し」、「期日内までに来所されない場合」などの記載があることに照らせば、本件指導指示は、同月26日午前10時までに来所して生活状況等を明らかにすることを求める趣旨のものと認められる。)。 しかし、原告は、平成31年2月当時、就労しておらず、基本的には自宅又はその周辺で日常生活を営んでいた上に、同月25日及び26日につ いても、用事等のために外出していたとは認められず、自宅で過ごしていたものであるから(認定事実(7)イ、ウ)、これらの日にα市福祉事務所を訪れる時間的余裕がなかったとは認められない(なお、原告は、当初、同月26日に神戸地検に出頭する予定であったが、同月25日頃にその予定を断っているから、同月26日も含めて、来所する時間的余裕があったと 認められる。)。そうすると、原告宅から約1.5kmの距離(徒歩で約20分程度)にあるα市福祉事務所(α市役所庁舎3階)への来訪を求めるという本件指導指示の内容は、客観的にみて、実現が不可能又は著しく困難なものではなかったといえる。 また、原告は、当時、高血圧や腰痛等の持病を有していたが、平成31 年2月の血圧は140/72mmHgと正常範囲を少し超える程度であったし、原告がこの頃に日常的な買い物やAとの面会のために出かけたり、採用面接を複数回受けた 等の持病を有していたが、平成3115年2月の血圧は140/72mmHgと正常範囲を少し超える程度であったし、原告がこの頃に日常的な買い物やAとの面会のために出かけたり、採用面接を複数回受けたりしていたこと(認定事実(7)ウ)などに照らせば、上記の原告の持病や症状をもって、α市福祉事務所を訪れて生活状況等を説明することが客観的に不可能又は著しく困難であったとは認められな20い。また、原告は、Eの刑事事件に係る精神的負担等により体調が悪かった旨を述べるが、来所することが不可能又は著しく困難であるほどに原告の体調が悪かったことを裏付ける客観的な証拠は見当たらず、これまでに説示した原告の不誠実な対応等に照らしても、当時の体調に関する原告の上記供述等をたやすく信用することはできない。なお、仮に、原告の体調25が悪く来所することが不可能又は著しく困難であったとしても、α市福祉- 57 -事務所への電話をかけることすらできないとは考え難いし(なお、原告は、同月25日頃、神戸地検に電話して予定をキャンセルしている。甲79・17頁、原告本人17頁)、原告がそのような体調不良等をα市福祉事務所に連絡していない(なお、原告が、本件廃止処分までの間に、来所や電話による連絡等が困難であったほどに体調が悪かった旨を明らかにしたと5も認められない。)以上、α市福祉事務所長において、体調が悪いため来所することが不可能又は著しく困難であることを認識し得たとはいえないから、本件指導指示の実現可能性やその困難性について、α市福祉事務所長に注意義務違反があるということはできない。 以上のとおり、本件指導指示の内容が、客観的に実現不可能又は著しく10実現困難なものであったとは認められない。また、仮に、原告の体調が悪く来所することが不可能又は著しく いうことはできない。 以上のとおり、本件指導指示の内容が、客観的に実現不可能又は著しく10実現困難なものであったとは認められない。また、仮に、原告の体調が悪く来所することが不可能又は著しく困難であったとしても、そのことによりα市福祉事務所長に注意義務違反があるということはできない。 エ 小括上記イ、ウのとおり、本件指導指示の内容は、必要かつ最少限度の範囲15内にとどまるものと認められる上、客観的に実現不可能又は著しく実現困難なものとも認められないから、本件指導指示が、生活保護法27条1項及び2項に反するとは認められない。したがって、本件指導指示が同条1項及び2項に反することを前提に、本件廃止処分をしたことが国家賠償法1条1項の適用上違法であるとする原告の主張は、その前提を欠くもので20あって採用することができない。 オ 原告の主張について(ア) 単に面接できないことを理由とする指導指示である旨の主張について原告は、本件指導指示は、生活実態を把握する必要性や、保護の適正な実施のための必要性に基づくものではなく、単に面接できないという25理由のみで来所を指示したものである旨主張する。 - 58 -しかし、原告と連絡が取れなかった期間や、その前後の原告の就労状況、心身の状況、採用面接の予定に関する言動等に照らして、α市福祉事務所において、原告の生活状況を速やかに把握する必要があったと認められることは上記イ(ア)のとおりであるから、原告の主張は採用することができない。 5(イ) 保護費の支払方法を窓口支給に変更することで足りる旨の主張について原告は、仮に生活状況を把握する必要があるとしても、まずは保護費の支払方法を窓口支給に変更する方法によるべきであるから、本件指導指示 の支払方法を窓口支給に変更することで足りる旨の主張について原告は、仮に生活状況を把握する必要があるとしても、まずは保護費の支払方法を窓口支給に変更する方法によるべきであるから、本件指導指示は最少限度を超えるものであるなどと主張し、証人Iもこれに沿う10供述をする(証人I14、33頁)。 しかし、本件指導指示の内容は、α市福祉事務所に赴いて生活状況を説明することにすぎず、都合が悪ければ電話して日程を変更してもらうことなどもあり得るのであって、保護費の支払方法を窓口支給に変更し来所を事実上強制する方法が、原告の立場から見て、負担として軽いも15のとは必ずしもいえない。また、生活保護法施行事務監査に関する通達においても、保護費の窓口支給を縮減することが求められ、被保護者に対して対面で指導をすることを目的として保護費の支払方法を窓口支給とすることは不適切であるとされていること(乙46)にも照らせば、本件指導指示をする前に保護費の支払方法を窓口支給に変更すべきであ20ったということはできない。 したがって、原告の上記主張は採用することができない。 (ウ) 本件指導指示が原告の世帯の個別事情を全く考慮されずにされたものであるとの主張について原告は、平成31年2月当時、Eの公判に証人として出廷することや25高血圧等が原因で、精神的にも肉体的にも極限状態にあったにもかかわ- 59 -らず、Bはこのような原告の状況を全く考慮することなく、原告に寄り添った十分なケースワークをせずに本件指導指示をしたものであるから、本件指導指示は違法である旨主張する。 しかし、原告は、Bに対してEが既に実刑判決を受けている旨伝えていたのであるし(認定事実(2)ウ)、平成30年12月6日の面談におい5て、Eの公判の証人とし 指導指示は違法である旨主張する。 しかし、原告は、Bに対してEが既に実刑判決を受けている旨伝えていたのであるし(認定事実(2)ウ)、平成30年12月6日の面談におい て、Eの公判の証人として出廷する予定であることや、その準備のために神戸地検に出頭して検察官とも打合せを行う予定であることを伝えたこともなく、本件指導指示が発出されるまでに、Eの公判に証人として出廷予定であるため体調が悪化していることを伝えたこともなかったと認められる(認定事実(3))。しかも、原告は、本件指導指示の前に最後 にBと面会した平成31年1月24日においても、風邪を引いている旨述べた程度で、体調が非常に悪いことをうかがわせるようなことは述べておらず、同月28日のBとの電話においても、同日に採用面接を受ける予定である旨伝えていたというのである(認定事実(3)オ)。このような経緯に照らせば、Bにおいて、原告の心身の状況等が、来所したり連 絡したりすることすらできないほどに悪化していると認識することは客観的にみて困難であり、原告が主張するような原告の心身の状況につき配慮を求めることは、不可能を強いるものといわざるを得ない。 したがって、原告の上記主張は採用することができない。 (エ) 小括 以上のとおり、本件指導指示の内容が違法である旨の原告の主張は、いずれも採用することができない。 (2) 本件指導指示が口頭による指導指示との連続性を欠き、違法であるかについて原告は、局長通知及び課長通知によれば、原則として、書面による指導指 示をする前に口頭による指導指示を行う必要があるところ、本件指導指示は、- 60 -本件口頭指導とその内容等において連続性を欠くため、口頭による指導指示がされていないものとして よる指導指 示をする前に口頭による指導指示を行う必要があるところ、本件指導指示は、- 60 -本件口頭指導とその内容等において連続性を欠くため、口頭による指導指示がされていないものとして手続に違法がある旨主張する。 しかし、局長通知においては、生活保護法27条に基づく指導指示につき、口頭により難いときは、書面による指導指示を行うとされている(関係法令の定め等(2)イ参照)。そして、原告については、既に説示したとおり、Bか らの電話に対して応答がない状況が1か月以上続いた後、平成31年1月下旬の原告宅での面会及び電話を1回ずつ経た後、再び連絡が取れなくなり、連絡や来所を依頼する連絡票を投函しても連絡等が全くない期間が1か月近くにわたり続いていたのであるから、本件指導指示を口頭により行うことは事実上不可能であったと認められる。そうすると、本件指導指示をするに当 たっては、口頭により難い事由があったと認められるから、本件指導指示をする前に口頭による指導指示がされていないことをもって、本件指導指示の手続に違法があるとはいえない(なお、本件指導指示書には、本件指導指示の理由として、原告に対し連絡や家庭訪問を行ったところ、原告から一切連絡がないため、生活実態の把握の必要性があるなどと記載されているのであ って、本件指導指示が、本件口頭指導の指導内容の不遵守等を理由としてされたものとは認められないから、原告の上記主張はこの点からもその前提を欠くものである。)。 以上によれば、本件口頭指導との連続性を欠くため本件指導指示の手続に違法がある旨の原告の主張は、採用することができない。 (3) 小括上記(1)、(2)のとおり、本件指導指示が生活保護法27条1項及び2項や局長通知及び課長通知に反すると に違法がある旨の原告の主張は、採用することができない。 (3) 小括上記(1)、(2)のとおり、本件指導指示が生活保護法27条1項及び2項や局長通知及び課長通知に反するとは認められないから、本件指導指示が違法であることを前提として、本件廃止処分をしたことが国家賠償法1条1項の適用上違法であるとする原告の主張は、その前提を欠くものであって採用す ることができない。 - 61 - 4 争点(2)((本件指導指示が適法であるとしても)α市福祉事務所長が本件廃止処分をしたことは国家賠償法1条1項の適用上違法であるか否か)について原告は、要旨、①原告は本件指導指示に違反していない、②本件廃止処分には、書面による指導指示が1回しかされなかったという手続上の違法がある、③本件廃止処分は、軽微な指導指示違反に対する過重な処分であり、比例原則 に反する、④本件廃止処分は適法な理由の提示を欠き、違法であるなどとして、本件指導指示が適法であるとしても、α市福祉事務所長が本件廃止処分をしたことは国家賠償法1条1項の適用上違法である旨主張する。 そこで、以下、検討する。 (1) 本件廃止処分につき、前提となる指導指示違反の事実を欠くため、国家賠 償法上の違法があるかについてア検討本件指導指示は、原告に対し、平成31年2月26日午前10時までにα市福祉事務所を訪れて生活状況等を明らかにすることを求めるものであるところ、原告は、来所の期限とされた上記日時までに来所せず、その旨を事 前に連絡することもなかったのであるから、本件指導指示に違反したものと認められる。 イ原告の主張について原告は、本件手紙や本件弁明手続において生活状況を説明しているなどとして、本件指導指示に することもなかったのであるから、本件指導指示に違反したものと認められる。 イ 原告の主張について原告は、本件手紙や本件弁明手続において生活状況を説明しているなどとして、本件指導指示に違反したとはいえない旨主張するが、本件手紙がα20市福祉事務所に送付されたのは平成31年2月28日であり、本件弁明手続も同年3月12日に行われたものであって、いずれも本件指導指示において期限として設定された同年2月26日午前10時よりも後に送付されたり行われたりしたものであるから、原告が主張する上記各事情は、原告が本件指導指示に違反したとの上記認定を左右するものではない。原告の上記主張25は採用することができない(なお、原告が主張する上記事情については、処- 62 -分の必要性等に関連する事情であるから、下記(2)及び(3)において別途考慮する。)。 (2) 再度の書面による指導指示をすることなく本件廃止処分をしたことが、国家賠償法1条1項の適用上違法であるかについて上記3(1)イ(ア)で説示したとおり、原告は、平成30年12月13日以降、5約1か月間にわたり連絡が取れないことが近接した時期に2回続いた上、本件指導指示についても何ら連絡をすることなく従わなかった。しかも、原告は、本件指導指示を受ける前から、Bを含めたα市の職員等から連絡があった場合には折り返しの連絡等をするように、Bから伝えられていたにもかかわらず(認定事実(3)エ(ウ)、オ(イ))、Bからの連絡等に応じない状況が続10いていた。このような経緯に照らせば、本件指導指示に違反した平成31年2月26日時点においては、原告は、保護の実施機関からの連絡等や指導指示に応答する意思を欠き、本件指導指示を軽視する態度が顕著であったといえる。 他方、原告は、本 件指導指示に違反した平成31年2月26日時点においては、原告は、保護の実施機関からの連絡等や指導指示に応答する意思を欠き、本件指導指示を軽視する態度が顕著であったといえる。 他方、原告は、本件指導指示に違反した後ではあるが、本件手紙や本件弁 明手続における説明により、生活状況等の一部について一応の説明をしたものと認められ、本件指導指示の趣旨に従って生活状況等を明らかにする姿勢を一部示していたといえる。しかし、原告は、本件手紙においても、検察庁に出頭する必要があったことなど、断片的な生活状況等の事情を明らかにしたにとどまる上、本件弁明手続において、Bから本件指導指示の来所期限ま でに来所できなかった理由を尋ねられても回答せず、神戸地検や病院に行った日以外の日に何をしていたかなどの質問に対しても、寝ていたなどと答えるのみで、具体的な生活状況等を回答せず、Bの訪問や連絡を無視し続けていたこと等について問われても何も答えなかったというのであるから(認定事実(5)オ)、本件指導指示の趣旨に従う姿勢を一部では示しつつも、なお も拒否的な態度を続けていたものといえる。 - 63 -このような原告の対応や態度等を踏まえれば、当時の状況においては、再度の書面による指導指示を行っても原告の拒否的な対応や態度等が大きく変わるものとは考え難く、原告につき、再度の書面による指導指示をすることによりなお効果が期待される状況であったとは認められないし、少なくとも、それまでの原告の一連の対応や態度等は、そのように判断されてもやむ を得ないものであったといえる。 そうすると、なお効果が期待されるときは再度の書面による指導指示を行うこととする課長通知の定めに照らしても、α市福祉事務所長において、再度の書面による指導指示を選択することな のであったといえる。 そうすると、なお効果が期待されるときは再度の書面による指導指示を行うこととする課長通知の定めに照らしても、α市福祉事務所長において、再度の書面による指導指示を選択することなく、原告につき生活保護法62条3項に基づく処分をすべきであると判断したことが、手続の選択に係る裁量10権の範囲を超えるほどに不合理な判断であったとは認められないし、少なくとも、注意義務違反と評価すべきほどの明らかな誤りがあるとは認められない(なお、保護の廃止ではなく保護の停止や変更にとどめるべきであったかどうかについては、これとは別の問題である。)。 したがって、α市福祉事務所長が、本件廃止処分に先立ち、再度の書面に15よる指導指示をしなかったことにつき、国家賠償法1条1項の違法があるとは認められない。以上に反する原告の主張は、いずれも採用することができない。 (3) 本件廃止処分をしたことが、比例原則に違反し、国家賠償法1条1項の適用上違法であるかについて20ア 保護の廃止の適否に係る判断枠組み被保護者が生活保護法27条に基づく指導指示に違反したと認められる場合には、保護の実施機関は、その裁量により保護の変更、停止又は廃止をすることができるが(同法62条3項)、保護の変更や停止ではなく保護の廃止を選択した実施機関の判断が、その基礎とされた重要な事実に誤25認があること等により重要な事実の基礎を欠くこととなる場合、又は、事- 64 -実に対する評価が明らかに合理性を欠くこと、判断の過程において考慮すべき事情を考慮しないこと等によりその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合には、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法となると解される。 そして、上記裁量権の行使に係る基準として こと等によりその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合には、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法となると解される。 そして、上記裁量権の行使に係る基準として、課長通知において、いか5なる場合に保護の変更、停止又は廃止をすべきであるかが示されているところ、保護の廃止は、保護の実施を終了するという、被保護者にとって最も重い処分であることなどに照らせば、課長通知の上記基準に示された保護の廃止をすべき場合(本件においては、保護の停止を行うことによっては当該指導指示に従わせることが著しく困難であると認められるとき)に10該当するか否かの判断に当たっては、処分の根拠となった指示の内容の相当性、指示違反に至る経緯、指示違反の悪質性、将来において指示事項が履行される可能性、保護の停止を経ることなく直ちに保護を廃止する必要性・緊急性及び保護の廃止がもたらす被保護者(被保護世帯)の生活の困窮の程度等を総合考慮すべきである。 15そこで、以下、これらの各事情をそれぞれ検討した後(下記イ)、総合的に検討する(下記ウ)。 イ 比例原則違反を基礎付ける各種事情の検討(ア) 指導指示の内容の相当性原告については、約1か月間にわたり連絡が取れなくなることが2回20続いており、その前後の原告の言動等にも照らせば、就労して収入が生じている可能性も十分にあったといえる(上記3(1)イ(ア)参照)。また、原告については、持病(高血圧や腰痛等)の症状の程度等に応じて必要な支援も異なってくるのであるから、保護の適正な実施のためには、原告の生活状況を速やかに確認する必要性が高かったといえる。 25以上のとおり、本件指導指示の内容は、高い必要性に裏付けられた相- 65 -当なものであったと認められる 適正な実施のためには、原告の生活状況を速やかに確認する必要性が高かったといえる。 以上のとおり、本件指導指示の内容は、高い必要性に裏付けられた相- 65 -当なものであったと認められる。 (イ) 指導指示に至る経緯や指導指示違反の悪質性次に、指導指示に至る経緯や指示違反の悪質性についてみると、原告は、平成30年12月13日に、Bから採用面接の結果等が分かり次第連絡するように言われていたにもかかわらず、連絡をすることなく、平 成31年1月24日までBからの電話に応じず、折り返しの連絡もしなかった。また、原告は、同日に原告宅を訪問したBから、今後は必ず折り返しの連絡等をしてもらいたい旨言われていたにもかかわらず、同月28日の電話以降、1か月近くにわたり、Bからの電話に対して全く応答や折り返しの連絡をせず、電話連絡や来所を求める連絡票を受領しても 対応しなかった。そして、原告は、本件指導指示書を受領した後も、Bに対して何ら連絡をすることなく、来所の期限とされた同年2月26日午前10時までに来所せず、本件指導指示に違反したものである。 このように、原告は、繰り返し連絡や来所等を求められていることを認識していたにもかかわらず、これらに応じなかったため、本件指導指 示を受けるに至ったものである。また、本件指導指示についても何ら連絡等をすることなく従わず、本件指導指示を軽視する態度が顕著であったのであるから、原告の体調が悪い日もあったとうかがわれること、Eの公判に証人として出廷する日が近づいており、原告が精神的負担を感じていたとうかがわれることなど、一定の酌むべき事情があることを踏 まえてもなお、原告の対応は全く不十分で不誠実なものであり、それが意図的なものか性格的なものかはともかく、原告にはこの点につき じていたとうかがわれることなど、一定の酌むべき事情があることを踏20まえてもなお、原告の対応は全く不十分で不誠実なものであり、それが意図的なものか性格的なものかはともかく、原告にはこの点につき相応の落ち度があったといわざるを得ない(なお、仮に体調が非常に悪い日があったとしても、Bに対して電話すらできなかった合理的な理由があるとは認められないし、そのような状況が間断なく続いていたとも認め25られない。)。加えて、原告は、本件指導指示に違反した後も、Bが原告- 66 -の母に対して原告の生活状況等を確認していたことを認識していたにもかかわらず、Bに対して連絡等をすることもなかったのであり、本件指導指示に違反したことについても軽く考えていたことがうかがわれる(認定事実(5)ウ)。 そうすると、指導指示に至る経緯については、原告の対応に相応の落5ち度があったと認められるし、指導指示違反の態様等についても、意図的で悪質なものと評価されてもやむを得ないというべきである。 (ウ) 将来において指示事項が履行される可能性他方、将来において指示事項(α市福祉事務所に赴いて生活状況等を明らかにすること)が履行される可能性についてみると、原告は、本件10指導指示に違反した後、本件手紙を送付し、平成31年2月は検察庁に行く用事があったことや、原告が関与している裁判が終わるまではα市福祉事務所に行くことはできないが、当該裁判の判決日は同年3月7日であるため、同日以降に来所することなどを伝えている。このように、原告は、断片的な情報ではあるものの、原告の生活状況等の一部を説明15し、本件指導指示に従うことができなかった理由を説明しようとしている上、それほど遠い時期ではない大まかな来所時期等も伝えているから、本件手紙を送付した時点にお 、原告の生活状況等の一部を説明15し、本件指導指示に従うことができなかった理由を説明しようとしている上、それほど遠い時期ではない大まかな来所時期等も伝えているから、本件手紙を送付した時点において、将来において本件指導指示の内容を履行する意思を一応示していたものと認められる。また、原告は、同月12日にα市福祉事務所を訪れ、Bと面談(本件弁明手続)していると20ころ、その際には、神戸地検に出頭した日(又は出頭予定であったが最終的に出頭を断った日)や、通院回数・通院日を伝えるなどしていた上に、これらの日以外は寝ていた旨回答し、少なくとも就労等はしていなかったことなどを明らかにしている(恒常的な収入の有無についても一応明らかにしたといえる。)。 25この点につき、確かに、原告は、本件弁明手続において、Bから検察- 67 -庁に出頭した日や通院日以外の日は何をしていたか尋ねられた際に、何もしておらず寝ていただけである旨答えた上、求職活動をしていたか否かを尋ねる質問や、平成31年2月25日などに来所等ができなかった理由を尋ねる質問に対しては何も答えず、本件指導指示に従うことができなかった理由として他に話しておくべきことがあるか否かを尋ねられ5ても何も答えなかったというのであるから(認定事実(5)オ)、本件弁明手続における原告の説明内容は、生活状況等の説明として不十分な面があったことは否定し難く、原告の態度も拒否的なものであったといえる。 しかし、本件手紙に加え、本件弁明手続における原告の説明内容によれば、原告につき、少なくとも神戸地検に出頭するという用事が本件指導10指示に従うことができなかった理由の1つであること、同年3月12日時点においてはそのような用事があったことに伴う原告側の問題が一応解消されたことは理解でき 地検に出頭するという用事が本件指導10指示に従うことができなかった理由の1つであること、同年3月12日時点においてはそのような用事があったことに伴う原告側の問題が一応解消されたことは理解できるのであるから、再度の書面による指導指示によりなお効果が期待できるとはいえないとしても(上記(2))、現実に保護費の支給が停止されるなどすれば、将来において指示事項が履行さ15れる可能性は一定程度存在したと認められる(特に、保護の停止については、保護費が支給されなくなり経済的影響が大きいものであるから、このような重大な処分が課せられた場合には、原告が拒否的な態度等を改め、指導指示を履行するようになる可能性は十分にあったといえる。)。 なお、本件においては、平成31年3月分の保護費につき、支払方法20が窓口支給に変更され、原告は通常の保護費の支給日(各月4日。証人B55頁参照)を経過しても直ちに保護費を受け取るために来所せず、支給日から10日遅れた同月14日にこれを受領したことが認められる。しかし、少なくとも本件弁明手続に至るまで、原告に保護費の支給方法等が実際に変更されたことが明確に伝えられていなかったのである25し(認定事実(5)イ~オ)、同変更後わずか半月程度で本件廃止処分をし- 68 -ていることに照らせば、上記事情をもって、保護の停止や変更により指示事項が履行されるようになる可能性が否定されるものではない。 以上のとおり、原告は、本件手紙や本件弁明手続において、必ずしも十分とはいえないものの、その生活状況等を明らかにしているのであって、このような原告の対応等に照らせば、いきなり保護の廃止をしなく5とも、保護の停止や変更がされれば、原告が拒否的な態度等を改め、指導指示を履行するようになる可能性が存在したと認め いるのであって、このような原告の対応等に照らせば、いきなり保護の廃止をしなく5とも、保護の停止や変更がされれば、原告が拒否的な態度等を改め、指導指示を履行するようになる可能性が存在したと認められるし、このことは、従前の経緯や原告の態度等を踏まえてもなお、十分想定可能なものであったと認められる。 (エ) 保護の停止を経ることなく直ちに保護を廃止する必要性・緊急性10原告については、求職活動状況申告書の提出がない、通院を重ねて稼働能力の活用に向けた十分な努力をしていないなど、生活保護法の定める生活上の義務等を十分に果たしていないといえる部分はあるが、少なくとも本件弁明手続を経た後の時点においては、保護費の不正受給等が強く疑われるなど、保護を直ちに廃止しなければ他の被保護者も含めた15生活保護制度全体の適正な運用に支障が生ずるような事情等があるとはいえないし、上記(ウ)のとおり、本件手紙や本件弁明手続により、将来において指示事項が履行される可能性も出てきていたのであるから、保護の停止や変更により様子をみることも十分あり得たというべきであり、保護の停止を経ることなく直ちに保護を廃止する必要性や緊急性は低か20ったものといわざるを得ない。 (オ) 保護の廃止がもたらす被保護世帯の生活の困窮の程度等平成31年1月ないし3月頃の原告の経済状況は、生計を維持するために十分な貯蓄があるとはいえず(認定事実(7)ウ)、毎月受給する保護費により生計を維持していたと認められるから、保護の廃止により保護費が25受給できなくなった場合には、近いうちに生活が困窮していたものと推認- 69 -される。ただし、原告は、α市に居住する原告の母宅を訪れて、食事を提供してもらうなどしていたというのであるから(認定事実( できなくなった場合には、近いうちに生活が困窮していたものと推認- 69 -される。ただし、原告は、α市に居住する原告の母宅を訪れて、食事を提供してもらうなどしていたというのであるから(認定事実(7)ウ)、親族等の援助を受けることが全くできないような被保護者と比較すれば、保護の廃止がされた場合に直ちに生活が困窮するものではなかったといえる。 (カ) その他の事情等5Bは、本件廃止処分がされた翌日である平成31年3月14日に、原告に対し、本件廃止処分がされた旨を伝えるとともに、再度、保護を申請することは可能である旨教示しているのであるから(認定事実(5)キ)、α市福祉事務所長においては、再度の保護の開始も念頭に置きつつ、保護が廃止されて原告の生活が困窮した場合に備え、一定の配慮をしていたもの10といえる。 ウ 各考慮要素を踏まえた総合的検討上記イによれば、本件廃止処分については、その前提となる本件指導指示の内容は相当なものであり、原告の対応が不十分で不誠実なものであったために本件指導指示に至ったものであるし、指導指示違反の悪質性につ15いても低いとはいい難いものである(上記イ(ア)(イ))。 しかし、来所して生活状況等を説明するという本件指導指示の指示事項は、その後の本件手紙や本件弁明手続により、不十分ながらも履行された状況となり、原告がα市福祉事務所長からの指導指示や連絡等に全く応答しない状況はいったん解消されていた。また、原告は、本件廃止処分に至20るまでに全く生活状況等を明らかにしなかったものではなく、何らかの処分をすることにより将来において指導指示内容が履行される可能性も一定程度存在していたと認められる。しかも、保護を廃止する前に、保護をいったん停止又は変更して原告の しなかったものではなく、何らかの処分をすることにより将来において指導指示内容が履行される可能性も一定程度存在していたと認められる。しかも、保護を廃止する前に、保護をいったん停止又は変更して原告の対応を見極める方法等によっても、来所して生活状況等を説明するという指示事項の内容が実現される可能性は高か25ったと考えられ、保護費の不正受給等が強く疑われる事情等も認められな- 70 -かったことからすれば、保護の停止を経ることなく直ちに保護を廃止する必要性や緊急性は低かったというべきである(上記イ(ウ)(エ))。加えて、保護の廃止により保護費が受給できなくなった場合には、近いうちに原告の生活は困窮していたものと推認される(上記イ(オ))。 以上によれば、α市福祉事務所長において、原告の保護が廃止されて原5告の生活が困窮した場合に備え、一定の配慮をしていたこと(上記イ(カ))などの事情を考慮してもなお、原告につき、課長通知にいう「保護の停止を行なうことによっては当該指導指示に従わせることが著しく困難であると認められるとき」に当たるということはできず、課長通知に反してもなお保護の廃止を行うべき特段の事情があったということもできない。 10そうすると、原告に対し、保護の停止又は変更を経ることなく、保護の廃止を選択したα市福祉事務所長の判断は、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用するものとして違法であるといわざるを得ない。 そして、上記の事情等に照らせば、α市福祉事務所長は、保護の廃止をすべき場合(保護の停止を行うことによっては当該指導指示に従わせるこ15とが著しく困難であると認められるとき等)に該当しないことを容易に認識し得たというべきであるから、α市福祉事務所長が、保護の停止又は変更を経ることなく、保護の廃止(本件廃止処分 に従わせるこ とが著しく困難であると認められるとき等)に該当しないことを容易に認識し得たというべきであるから、α市福祉事務所長が、保護の停止又は変更を経ることなく、保護の廃止(本件廃止処分)をしたことは、職務上通常尽くすべき注意義務に違反するものとして、国家賠償法1条1項の適用上違法というべきである。また、以上に説示した点に照らせば、α市福祉事 務所長にはこの点につき過失があると認められる。 エ被告の主張について(ア) 被告は、本件指導指示をした時点で、原告には稼働能力を活用する意思がみられず、通院状況等に照らしても自立に向けた努力をしていなかったなど、生活上の義務に違反する状況であった上に、求職活動状況申 告書等も一切提出しないまま、α市福祉事務所(B)からの連絡等に対- 71 -して意図的に応じないなど、調査忌避又はこれに準ずる状態であったなどとして、原告の一連の対応等が悪質であった旨主張する。また、被告は、原告がBからの連絡等を意図的に無視していたことは、連絡とこれに対する応答という、被保護者が遵守すべき最も基本的な義務に違反したものであり、このような対応が悪質である旨主張する。 この点につき、Bからの連絡等に応答しなかったことにつき原告に相応の落ち度が認められ、本件指導指示に至る原告の上記の対応が悪質であったことは被告の主張するとおりであるが、他方で、原告は、本件手紙や本件弁明手続における説明等により、生活状況等の一部を明らかにしているのであって、少なくとも本件廃止処分に至るまでには原告の対 応は部分的に改善されたと認められるから、保護の停止や変更を経ることなく直ちに保護を廃止すべきほどの事情があったとはいえない。したがって、被告が主張する上記の点を考慮してもなお、α市福 の対 応は部分的に改善されたと認められるから、保護の停止や変更を経ることなく直ちに保護を廃止すべきほどの事情があったとはいえない。したがって、被告が主張する上記の点を考慮してもなお、α市福祉事務所長は処分の選択を誤った(比例原則違反)というべきであって、上記認定判断が左右されるものではない。 (イ) また、被告は、本件弁明手続において、原告が、本件指導指示に従うことができなかった理由や生活状況を十分に明らかにしようとする意思が見受けられなかった旨主張する。 しかし、仮に、原告の説明が不十分であり、上記の各用事があった日以外は自宅で寝ていたとの原告の説明も容易に信用することができな かった上に、原告がBからの質問に対して途中から答えなくなり、拒否的な態度を示したという経過があったとしても、原告が、本件弁明手続のためにα市福祉事務所を訪れ、少なくとも検察庁への出頭、通院状況、これらの用事がある日以外は自宅で寝ていたことなど、生活状況等の一部を一応明らかにしたものと認められることは既に説示したとおりで あり、直ちに保護を廃止しなければ、今後も指導指示に従うことが期待- 72 -できない状況ではなかったことは前述のとおりであって、この点も上記認定判断を左右するものとはいえない。 (ウ) 被告は、原告が母から食事の提供等を受けており、保護の廃止を受けたとしても生活が著しく深刻に困窮するものではないことなども主張するが、上記イ(エ)のとおり保護の停止を経ることなく保護を廃止する 必要性や緊急性が低い状況においては、かかる事情は、保護の廃止(本件廃止処分)を選択したことの合理性を基礎付けるには足りないというべきである。 その他、原告については、神戸市において保護を受けていた際に、必要な収入 況においては、かかる事情は、保護の廃止(本件廃止処分)を選択したことの合理性を基礎付けるには足りないというべきである。 その他、原告については、神戸市において保護を受けていた際に、必要な収入申告をしなかったこと(乙5・6頁、原告本人35~37頁)、10α市に転居した後も、少なくとも部分的には母から食事等の援助を受けることができる状況であったにもかかわらず、そのような親族からの援助の有無等についても意図的に明らかにしていなかったこと(認定事実(5)ウ、原告本人45、46、67頁)などがうかがわれ、生活保護法に定められた被保護者の義務等を軽視していたことがうかがわれるが、原15告によるこのような保護の利用状況が、保護の廃止という被保護者に重大な影響を与える処分を直ちに課すことが相当であるほどに重大な違反行為とはいい難いから、このような事情をもって、直ちに保護を廃止する必要性や緊急性があったということもできない。 (エ) 以上によれば、被告の主張はいずれも採用することができない。 20オ 小括したがって、α市福祉事務所長が、保護の停止や変更を経ることなく、保護の廃止(本件廃止処分)を選択したことは、国家賠償法1条1項の適用上違法であり、α市福祉事務所長にはそのことにつき過失があると認められる。 25(4) 本件廃止処分をしたことにつき、理由の提示を欠くため、国家賠償法1条- 73 -1項の適用上違法であるかについてア 判断枠組み行政手続法14条1項本文が、不利益処分をする場合に同時にその理由を名宛人に示さなければならないとしているのは、名宛人に直接に義務を課し又はその権利を制限するという不利益処分の性質に鑑み、行政庁の判5断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するととも の理由を名宛人に示さなければならないとしているのは、名宛人に直接に義務を課し又はその権利を制限するという不利益処分の性質に鑑み、行政庁の判5断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を名宛人に知らせて不服の申立てに便宜を与える趣旨に出たものと解される。そして、同項本文に基づいてどの程度の理由を提示すべきかは、上記のような同項本文の趣旨に照らし、当該処分の根拠法令の規定内容、当該処分に係る処分基準の存否及び内容並びに公表の有無、当該処分の性質及10び内容、当該処分の原因となる事実関係の内容等を総合考慮してこれを決定すべきである(最高裁平成23年6月7日第三小法廷判決・民集65巻4号2081頁参照)。 そうすると、本件廃止処分をするに当たり、α市福祉事務所長において、理由の提示を要する旨定めた行政手続法14条1項の上記趣旨に照らし、15職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と不十分な理由を付記したと認められる場合には、国家賠償法1条1項の適用上違法となり得るというべきである。 イ 検討原告は、本件決定通知書(甲7)には、①本件廃止処分の根拠規定であ20る生活保護法62条3項の記載がない、②課長通知に記載された基準をどのように適用して、本件廃止処分をするに至ったかが記載されていないなどと主張する。 しかし、本件決定通知書には、本件指導指示に違反したことにより保護を廃止する旨が明確に記載されているのであって、生活保護法62条3項25という根拠規定が明示的に記載されていないとしても、同項に基づく処分- 74 -であることは読み取ることができるといえる。したがって、本件決定通知書に根拠規定である同項の記載がないことをもって、行政手続法14条1項に反する違法があると としても、同項に基づく処分- 74 -であることは読み取ることができるといえる。したがって、本件決定通知書に根拠規定である同項の記載がないことをもって、行政手続法14条1項に反する違法があるとはいえず、α市福祉事務所長が職務上通常尽くすべき注意義務に違反したということもできない。 また、本件決定通知書には、原告がBからの電話や原告宅の訪問に全く 応答せず、長期間音信不通であったこと、原告が何らの連絡等もなく本件指導指示に違反したこと、α市福祉事務所長においては、原告が弁明手続においてした弁明では、本件指導指示に従うことができなかった理由として全く不十分であると考えており、弁明においては事実と異なる弁明がされたとも考えていることなどが記載されているのであるから、これらの記 載に照らせば、α市福祉事務所長において、保護の停止や変更ではなく、保護の廃止を選択せざるを得ないと判断した理由が十分に読み取れるものとなっている。以上に加え、課長通知の第11の問1(指導指示に従わない場合の取扱い)の基準は特に複雑なものではなく、「保護の停止を行うことによっては当該指導指示に従わせることが著しく困難であると認めら れるとき」に該当する旨のものであることは本件決定通知書の記載から了解可能であるから、課長通知の上記基準やその適用関係等が明示されていないことをもって、行政手続法14条1項に反する違法があるとはいえず、α市福祉事務所長が職務上通常尽くすべき注意義務に違反したものとも認められない(なお、課長通知の上記基準は特に複雑なものではなく、保護 の廃止処分の理由書に課長通知の内容を逐一記載すべきとはいえないし、東京都等の他の自治体においてもそのような運用が一般化していたとは認められない〔甲55・369頁参照〕。)。 その 保護20の廃止処分の理由書に課長通知の内容を逐一記載すべきとはいえないし、東京都等の他の自治体においてもそのような運用が一般化していたとは認められない〔甲55・369頁参照〕。)。 その他、本件決定通知書につき、理由の提示として不十分な点があるとは認められない。 25したがって、α市福祉事務所長が本件廃止処分の理由として本件決定通- 75 -知書に記載された理由を提示したことにつき、行政手続法14条1項に反する違法があるとはいえず、国家賠償法1条1項の適用上違法であるとは認められない。 (5) 小括以上によれば、α市福祉事務所長は、原告につき、直ちに保護を廃止すべ5き場合に当たらないことを認識し得たにもかかわらず、漫然と本件廃止処分を選択した点について、職務上通常尽くすべき注意義務に違反したものというべきであるから(上記(3))、α市福祉事務所長が本件廃止処分をしたことはこの点において国家賠償法1条1項の適用上違法である。 5 争点(3)(損害の発生及びその額)について10(1) 精神的損害について原告は、保護費を日常の生活費に充てることにより生活を営んでいたと認められ、十分な金額の預貯金も有していなかったと認められるところ、生活保護法による保護が、最低限度の生活を保障するために実施されるものであることにも照らせば、保護を廃止された原告においては、今後の生活につき15大きな不安を抱き、精神的苦痛を受けたものと認められる。また、原告は、本件廃止処分により、再度の保護の申請を余儀なくされた上、本件廃止処分の取消しを求めて審査請求をすることとなるなど、様々な負担が生じたものと認められる。 他方で、本件指導指示に至った経緯は、原告がBからの連絡等に応答しな20かったという専ら原 、本件廃止処分の取消しを求めて審査請求をすることとなるなど、様々な負担が生じたものと認められる。 他方で、本件指導指示に至った経緯は、原告がBからの連絡等に応答しな かったという専ら原告の落ち度によるものであること、原告は、本件廃止処分がされる前から、近所に住む母から食事の提供を受けるなど一定の援助を受けていたこと、Bは、原告に対して本件決定通知書を交付する際に、保護の再申請が可能である旨伝えていること、本件廃止処分から約3週間後に再び保護の開始決定がされていることなどといった事情もある。 そこで、本件に現れた一切の事情を総合考慮すれば、原告が本件廃止処分- 76 -により被った精神的苦痛に対する慰謝料としては、5万円が相当である。 (2) 弁護士費用について原告は、本件廃止処分がされたことにより、弁護士に委任して訴訟提起・追行をしているところ、事案の難易、請求額、認容額その他諸般の事情を総合考慮すると、α市福祉事務所長の職務上の注意義務違反と相当因果関係のある 弁護士費用は、5000円が相当であると認められる。 (3) 小括したがって、違法な本件廃止処分がされたことにより原告が被った損害の額は、5万5000円と認められる。 6 まとめ 以上によれば、α市福祉事務所長が本件廃止処分をしたことは、処分の選択を誤った点(比例原則違反)において国家賠償法1条1項の適用上違法であり、これに関し、被告は原告に対し慰謝料等5万5000円及びこれに対する本件廃止処分の日である平成31年3月13日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を支払う義務を負うというべきである。 第4 結論よって、原告の請求は理由があるからこれを認容することとし、仮執行宣言は相当 3日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を支払う義務を負うというべきである。 15第4 結論よって、原告の請求は理由があるからこれを認容することとし、仮執行宣言は相当でないからこれを付さないこととし、主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第7民事部 20 裁判長裁判官 徳地 淳 25裁判官 太田章子- 77 - 裁判官 関 尭熙 5

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