【DRY-RUN】主 文 本件各上告を棄却する。 理 由 各被告人の弁護人斎藤忠昭ほか七名の上告趣意のうち、判例違反をいう点は、所 論引用の判例は事案を異にし本件に適切でなく、
主 文 本件各上告を棄却する。 理 由 各被告人の弁護人斎藤忠昭ほか七名の上告趣意のうち、判例違反をいう点は、所 論引用の判例は事案を異にし本件に適切でなく、その余は、単なる法令違反、事実 誤認の主張であつて、いずれも刑訴法四〇五条の上告理由にあたらない。 なお、原判決が認定したところによると、本件の気動車運転士兼機関士Aは、急 行列車千秋二号(仙台発秋田行)を運転して国鉄小牛田駅に到着し、右列車の運転 室内で他の運転士と乗務の引継・交替を行い、運転当直助役の許に赴いて終業点呼 を受けるため同駅ホームを歩行していた際に被告人Bらから原判示第一の暴行を受 けたというのであり、右の終業点呼は、国鉄仙台鉄道管理局の動力車乗務員執務標 準により、運転状況、動力車の状態の報告をすることなど乗務に直結する内容をも つて構成されていることが記録上明らかであるから、被告人Bらは右Aが公務を執 行するにあたり右暴行に及んだものと解するのが相当である。 よつて、刑訴法四一四条、三八六条一項三号により、主文のとおり決定する。 この決定は、裁判官団藤重光の反対意見があるほか、裁判官全員一致の意見によ るものである。 裁判官団藤重光の反対意見は、次のとおりである。 国鉄の行う事業ないし業務は、実態において民営鉄道のそれとなんら異なるとこ ろはないから、業務妨害罪の規定(刑法二三三条、二三四条)にいう「業務」の中 に含まれるというのが、当裁判所の判例である(昭和四一年一一月三〇日大法廷判 決・刑集二〇巻九号一〇七六頁)。ただ、右判決は、国鉄の現業業務の執行に対す る妨害であつても、その態様のいかんによつて公務執行妨害罪(同法九五条)が競 合的に成立する可能性をも認めているが、これは右の基本的な考え方とは矛盾する。 - 1 - なるほど国鉄は公法人であ 行に対す る妨害であつても、その態様のいかんによつて公務執行妨害罪(同法九五条)が競 合的に成立する可能性をも認めているが、これは右の基本的な考え方とは矛盾する。 - 1 - なるほど国鉄は公法人であり、その職員は法令により公務に従事する者とみなされ ているが(日本国有鉄道法二条、三四条)、国鉄職員が現業業務に従事するかぎり においては、それは公務執行妨害罪の規定にいう公務員の職務の執行からは除外さ れるものと解しなければならない(なお、昭和五二年(あ)第九三九号同五三年五 月二二日第一小法廷決定・刑集三二巻三号四二七頁および昭和五一年(あ)第三一 〇号同五三年六月二九日第一小法廷判決・刑集三二巻四号八一六頁におけるわたく しの補足意見参照)。わたくしは、その限度において、右判例は修正されるべきも のと考える。 これを本件についてみると、Aは気動車運転士兼機関士として国鉄の現業業務に 従事していたのであるから、被告人B、同C、同D、同E、同Fの原判決判示第一 の所為は、威力業務妨害罪(刑法二三四条)と傷害罪(同法二〇四条)との観念的 競合を構成するのは格別、公務執行妨害罪と傷害罪との観念的競合を構成するもの ではないというべきであり、原判決は、その限度において、刑訴法四一一条一号に よる破棄を免れないものと考える。ちなみに、鉄道公安職員はひとしく国鉄職員で あつても、その職務の執行が刑法九五条の規定にいう公務員の職務の執行にあたる ことはあきらかである(鉄道公安職員の職務に関する法律参照)。 昭和五四年一月一〇日 最高裁判所第一小法廷 裁判長裁判官 戸 田 弘 裁判官 団 藤 重 光 裁判官 藤 崎 萬 里 裁判 判官 戸 田 弘 裁判官 団 藤 重 光 裁判官 藤 崎 萬 里 裁判官 本 山 亨 裁判官 中 村 治 朗 - 2 -
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