平成15(ハ)2916 不当利得返還

裁判年月日・裁判所
平成15年5月26日 東京簡易裁判所
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判決文本文3,686 文字)

平成15年5月26日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成15年(ハ)第2916号不当利得返還請求事件平成15年5月19日口頭弁論終結判決 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は,原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告は原告に対し,金75万円及びこれに対する平成15年3月20日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 請求原因(1) 原告は,被告が営むクレジット・カードサービスを利用している者である。 (2) 被告は,クレジットカード・旅行関連サービスを営む会社である。 (3) 被告は,原告に対し,市場とは異なる独自のレート計算により,手数料を請求しているが,その独自レート計算の仕組みは,会員規約9条4号に「当社所定の換算率」と記載されているのみで,極めて暖昧漠然としている。本来,海外利用分については,円換算日及び換算率が明示されているべきであるのにその明示がない。これでは,手数料請求の根拠が特定されているとはいえず,債権としての特定性に欠け,被告が請求する手数料について,原告と被告間において,合意が成立しているとはいえない。被告が原告に対し請求する手数料部分は,クレジット契約の効果として請求できない性質のものである。よって,被告が請求する手数料は,法律上原因のないものである。 (4) 原告は,平成12年6月16日から平成14年8月12目までの分においては,訴状添付の「別紙損失額計算書」記載のとおり,金15万1969円の損失を蒙っている。そうすると,原告の蒙った損失,言い換えれば,被告の得た利益は少なく見積もっても,2年間で15万円であることが推認される。そうすると,被告 計算書」記載のとおり,金15万1969円の損失を蒙っている。そうすると,原告の蒙った損失,言い換えれば,被告の得た利益は少なく見積もっても,2年間で15万円であることが推認される。そうすると,被告は原告に対し,過去10年間分の手数料名目の金員である金75万円の不当利得をしており,原告は同額の損失を蒙っていることとなる。 (5) よって,原告は被告に対し,不当利得返還請求権に基づき,金75万円及びこれに対する本件訴状が被告に送達された日の翌日である平成15年3月20日から支払済みまで年6分の割合による遅延損害金の支払いを求める。 2 請求原因に対する被告の認否及ぴ主張(1) 請求原因(1)(2)は認め,同(3)のうち,被告が,会員規約9条4項に従って,日本国外において生じた外国通貨建てのカード利用代金等を「独自のレート計算」により,日本円に換算し,原告に請求していたことは認め,その余は否認し,同(4)は否認する。 (2) 被告の原告に対するカード利用代金の請求は,原告と被告間で成立しているカード会員契約に基づいて行っているものであるところ,この会員契約では,海外におけるカード利用額についての円換算日及び換算率を「当社またはその委託を受けた者がカード利用代金等の処理を行う日の当社所定の換算率」とするとの明確な合意(甲1号証の会員規約9条4項)があり,被告は,この合意に従って,原告の海外利用分を被告所定の換算率により,円換算した金額を原告に請求しているものであり,原告に送付したカード利用代金明細書(甲5号証及び甲6号証)において,海外利用分の円換算率を明示している。 (3) 訴状添付の「別紙損失計算書」において,「為替レート」と記載する数字は,すべて同損失額計算書において「○○○○換算レート」と記載する数字に0.97を乗じた の円換算率を明示している。 (3) 訴状添付の「別紙損失計算書」において,「為替レート」と記載する数字は,すべて同損失額計算書において「○○○○換算レート」と記載する数字に0.97を乗じた数字であるにとどまる。原告は,同損失額計算書に「為替レート」として記載するものが,あたかも当時の実際の為替レートであると主張するもののようであるが,その根拠は明らかではない。そもそも,変動為替相場制の下では,一義的に決定される為替レートが存在するものではなく,外国為替市場における資金調達コスト等の各金融機関の状況に応じて当該金融機関の提示する為替レートが異なることになることに鑑みると,原告の主張する「為替レート」の意味は不明である。 3 主たる争点本件カード契約における,円換算日と換算率の明示の有無第3 争点に対する判断 1 証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実を認めることができる。 (1) 被告はアメリカ合衆国デラウェア州法に準拠して設立された法人(以下「被告会社」という。)である。 (2) 原告は,被告会社との間で,少なくとも10年前ころ,被告会社の制定する会員規約を承諾の上,Aカード(以下「カード」と略称する。)会員契約を締結した。 (3) カード会員規約には,本件と関連する部分の要旨として,次のような規定がある。 アカード会員(以下「会員」という。)は,カードを使用して行った物品の購入又はサービスの利用に係る代金,通信販売に係る代金,キャッシング・サービスの利用額,その他の料金又は手数料及びこれらに課せられる消費税等(以下「カード利用代金等」という。)を別途定める毎月の所定日に締め切り,会員宛に「ご利用代金明細書」を送付する。被告会社は,カード会員がこのご利用代金明細書を受け取ってから2週間以内に申し出がない限り,このご 利用代金等」という。)を別途定める毎月の所定日に締め切り,会員宛に「ご利用代金明細書」を送付する。被告会社は,カード会員がこのご利用代金明細書を受け取ってから2週間以内に申し出がない限り,このご利用代金明細書記載の内容を承認したものとみなされる。 イ会員は,ご利用代金明細書記載の毎月の請求金額を日本円で支払う。カード利用代金等が外貨で生じた場合には,被告会社又はその委託を受けた者がカード利用代金等の処理を行う日の被告会社所定の換算率により,日本円に換算して請求する。この換算率は,会員がカードを使用した日の換算レートとは異なることがある。航空会社等の運輸会社がカード利用代金等を換算した場合には,これらの運輸会社が用いたレートで請求する。ただし,運輸会社の換算金額を更に日本円に換算する必要があるときは,被告会社所定の換算率を用いて請求する。 (4) 被告会社においては,為替レートの計算方法について,米国法との関係から,換算手数料の加算に関して数段階に分かれた計算方法を採用しており,米ドル以外の通貨の海外利用分は,いったん米ドルに換算した上で,円に換算している。 2 そこで判断するに,被告会社の,会員規約9条4項は,海外におけるカード利用額についての円換算日及び換算率を「当社またはその委託を受けた者がカード利用代金等の処理を行う日の当社所定の換算率」としている。この規定は,外国通貨建てで生じたカード利用代金等を日本円に換算する際の換算レートを規定する一方,その換算レートは,被告会社の所定の換算率としているものと認められる。この規約において,円換算日は明示されていると考える。次に,換算率について,原告は,規約の文言が「当社所定の換算率」となっていることをもって,不明瞭であると主張するが,被告会社は,その換算率を,カード利用代金明細書 ( 換算日は明示されていると考える。次に,換算率について,原告は,規約の文言が「当社所定の換算率」となっていることをもって,不明瞭であると主張するが,被告会社は,その換算率を,カード利用代金明細書 (甲5号証及び甲6号証)において原告に明らかにしているので,規定文言によっても明らかであるばかりでなく,結果的に原告に明らかにしていることをもって,換算率も明示しているというべきである。更に,付け加えるに,規約が「当社所定の換算率」という文言になっているのは,被告会社が,米国法との関係から,換算手数料の加算に関して,数段階に分かれた計算方法を採用しており,米ドル以外の海外利用分は,いったん米ドルに換算した上で,円に換算されるという手続きが加わるので,被告会社においては,このような複雑な換算方法を開示することが技術的に困難なため,このように,規約上は「当社所定の換算率」との記載になっているという事情があることもこの判断をする理由となっている。 原告は,これらの事情を充分認識の上,自由な意思に基づいて本件カード会員契約を締結したものと推認されること,この換算率が他の同種会社のそれと比較して異常に高いなどの特段の事情が認められない本件においては,この判断を覆す理由は見あたらない。 従って,被告会社の本件手数料請求は,法律上の根拠を有するものであり,原告の不当利得返還請求の主張は,その余の要件を判断するまでもなく採用できない。 東京簡易裁判所民事第1室裁判官岡田洋佑

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