平成14(ワ)62 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
平成15年5月28日 神戸地方裁判所
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判決文本文9,794 文字)

主文 1 被告らは連帯して原告に対し,金450万円及びこれに対する被告会社,被告A,被告Bは平成14年1月20日から,被告Cは平成14年2月15日から各完済まで年5分の割合による金員を支払え。 2 訴訟費用は被告らの負担とする。 3 この判決は仮に執行することができる。 事実 第1 当事者の求める裁判 1 原告(請求の趣旨)(1) 主位的請求主文と同旨(2) 予備的請求ア被告会社は,原告に対し,金450万円及びこれに対する平成13年7月28日から完済まで年6分の割合による金員を支払え。 イ訴訟費用は被告会社の負担とする。 ウこの判決は仮に執行することができる。 2 被告ら(請求の趣旨に対する答弁)(1) 原告の請求を棄却する。 (2) 訴訟費用は原告の負担とする。 第2 当事者の主張 1 原告(請求原因)(1) 主位的請求原因ア被告ら(ア) 被告会社は,コンピューターの通信機器及び通信装置の販売等を目的とする株式会社である。 (イ) 被告Aは平成13年2月から現在まで被告会社の代表取締役であり,被告B,被告Cは平成13年2月から現在まで被告会社の取締役である。 イ被告Aの不法行為(ア) 被告Aの詐欺-主位的主張a 被告Aは,被告会社の代表取締役として,平成13年5月10日,原告との間で,JAVAソリューション技術(以下「JAVA技術」という。)に関する技術提携契約(甲1,以下「本件技術提携契約」という。)を締結した。 そして,原告は,本件技術提携契約に基づき,被告会社に対し,JAVA技術の実施契約金として,平成13年 関する技術提携契約(甲1,以下「本件技術提携契約」という。)を締結した。 そして,原告は,本件技術提携契約に基づき,被告会社に対し,JAVA技術の実施契約金として,平成13年5月16日に180万円,同年6月25日に180万円,同年7月28日に90万円,以上合計450万円を支払った。 b しかし,被告会社は,JAVA技術の所有者であるD社とは,単なる秘密保持契約を締結していたのみであり,JAVA技術を提供する能力や権限を有していない。 被告Aは,原告(E社長)に対し,被告会社はJAVA技術を有しておらず,JAVA技術を提供する権限も有していないのに,それを有しているかのように嘘を言って,原告を騙し,原告にそのように信じさせて,原告との間で本件技術提携契を締結したのである。 c そのため,原告は,被告Aの詐欺により,本件技術提携契約に基づく実施契約金として被告会社に450万円を支払い,これを騙し取られたものである。 (イ) 被告Aの取引的不法行為-予備的主張a 被告会社が原告にJAVA技術の使用許諾をするためには,被告会社が,D社から,①JAVA技術を使用することの許諾,及び②原告にJAVA技術の使用許諾を与えることの許諾を得なければならない(上記2つの許諾を以下「本件2許諾」という。)。 b ところが,被告Aは,D社から本件2許諾を得ていないにもかかわらず,被告会社の代表者として,自らJAVA技術の使用を許諾することができるかのように述べ,原告に本件技術提携契約を締結させ,原告から実施契約金名目で450万円を交付させたものである。 c したがって,仮に百歩譲って,被告Aの行為が詐欺とまでは言えないとしても,営業を代行 告に本件技術提携契約を締結させ,原告から実施契約金名目で450万円を交付させたものである。 c したがって,仮に百歩譲って,被告Aの行為が詐欺とまでは言えないとしても,営業を代行しようと考えていたにすぎない被告Aが,本件2許諾をD社から得ておらず,また,事後的にも本件2許諾を得られないことを容易に知り得るにもかかわらず,漫然と本件技術提携契約を締結して,結局,本件2許諾を得ることができず,本件技術提携契約を履行できなかったのであるから,被告Aの行為は取引的不法行為に当たる。 ウ被告らの責任(ア) 被告Aは,原告を騙し詐欺行為(予備的に取引的不法行為)をしたのであるから,原告に対し,民法709条の不法行為責任を免れない。 (イ) 被告Aは,被告会社の代表取締役としての職務を行うにつき,原告を騙し詐欺行為(予備的に取引的不法行為)をしたのであるから,被告会社は,原告に対し,民法44条所定の不法行為責任を免れない。 (ウ) 被告B及び被告Cは,被告会社の取締役として,被告会社にはJAVA技術を提供する能力や権限がないことを知っていたか,少なくともそれを知ることが容易にできたのに,被告Aが,被告会社の代表者として,原告との間で本件技術提携契約を締結し,原告を騙し詐欺行為(予備的に取引的不法行為)をするのを放置したものである。 したがって,被告B及び被告Cは,被告会社の取締役としての職務を行うにつき悪意又は重大な過失により原告に損害を与えたものであり,原告に対し,商法266条ノ3所定の損害賠償責任を免れない。 エ結論よって,原告は,被告らに対し,損害賠償金450万円,及びこれに対する訴状送達の日の翌日(被告会社,被告A,被告Bは 条ノ3所定の損害賠償責任を免れない。 エ結論よって,原告は,被告らに対し,損害賠償金450万円,及びこれに対する訴状送達の日の翌日(被告会社,被告A,被告Bは平成14年1月20日,被告Cは平成14年2月15日)から完済まで民法所定年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める。 (2) 予備的請求原因仮に,前記(1)の主位的請求原因が認められないとすると,原告は,被告会社に対し,次のとおり予備的に主張する。 ア被告会社は,D社から本件2許諾を得ることができず,もはや,本件技術提携契約に基づき,原告に対し,JAVA技術の提供・使用許諾をすることは,社会通念上履行不能になったと評価できる。 イそこで,原告は,原告の平成14年5月9日付け準備書面をもって,被告会社に対し,被告会社の履行不能を理由として,本件技術提携契約を解除する旨の意思表示をした。 ウよって,原告は,本件技術提携契約解除に基づく現状回復請求権に基づき,被告会社に対し,実施契約金450万円の返還,及びこれに対する平成13年7月28日(実施契約金の最終支払日)から完済まで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める。 2 被告ら(請求原因に対する認否)(1) 請求原因(1)(主位的請求原因)についてア請求原因(1)ア(被告ら)は認める。 イ請求原因(1)イ(被告Aの不法行為)について(ア) 請求原因(1)イ(ア)(被告Aの詐欺)について請求原因(1)イ(ア)のうち,同a(本件技術提携契約の締結,実施契約金450万円の支払)は認めるが,同b(被告Aの詐欺),同c(実施契約金450万円の騙取)は否認ないし争う。 請求原因(1)イ(ア)のうち,同a(本件技術提携契約の締結,実施契約金450万円の支払)は認めるが,同b(被告Aの詐欺),同c(実施契約金450万円の騙取)は否認ないし争う。 (イ) 請求原因(1)イ(イ)(被告Aの取引的不法行為)は否認ないし争う。 ウ請求原因(1)ウ(被告らの責任)は争う。 (2) 請求原因(2)(予備的請求原因)について請求原因(2)ア(本件技術提携契約の履行不能)は争う。 3 被告ら(反論)(1) 本件技術提携契約(甲1)は,あくまでも,被告会社が開発したシステムやソフトの使用等の許諾契約である。被告会社は,本件技術提携契約に基づき,原告から具体的案件の依頼を受けるたびに,原告との協議等により,原告が必要とするシステムやソフトの内容を確定し,それを,JAVA技術を有するD社に発注することを予定していたものである。 (2) 被告会社は,D社との間で,包括的(基本取引約定的)な技術提携契約は締結していなかったが,個別案件毎に協力を受けることができる旨の了解は得ていた。したがって,被告会社は,原告から個別案件の依頼を受けるたびに,D社との間で,同案件に応じたJAVA技術を利用したシステムやソフト開発の下請契約を締結することを予定していたものである。 (3) したがって,被告会社がD社との間で包括的な技術提携契約を締結していなかったからといって,何ら,本件技術提携契約の債務不履行を構成するものではないし,取引的不法行為に当たらないことは勿論のこと,ましてや詐欺となる余地は全くない。 (4) これまで具体的に提案された個別案件はゴルフ場の案件であり,同案件はD社のF社長を交えて積極的に検討が進められていたが,最終的に原告側で予算が ,ましてや詐欺となる余地は全くない。 (4) これまで具体的に提案された個別案件はゴルフ場の案件であり,同案件はD社のF社長を交えて積極的に検討が進められていたが,最終的に原告側で予算が合わない等の理由で実現しなかったにすぎず,被告会社側の債務不履行ではない。 原告は,自らの資金不足等から,本件事業への取組意思を一方的に失ったものであり,他方,被告会社は,本件技術提携契約の履行に向けて誠実に対応していたものであり,本件技術提携契約が社会通念上履行不能になった事実はない。 理由 第1 争いのない事実請求原因(1)ア(被告ら),同(1)イ(ア)a(本件技術提携契約の締結,実施契約金450万円の支払)は,当事者間に争いがない。 第2 事実の認定前記第1の争いのない事実に,証拠(甲1~7〔枝番を含む〕,乙2,証人F,原告代表者本人,被告A本人〔一部〕)及び弁論の全趣旨によると,次の事実が認められる。 1 被告会社の実態等(1) 被告会社は,平成4年6月22日に設立された資本金1000万円の株式会社である。 被告A,被告B,被告Cは,JAVA技術関連のIT推進を営業内容とする会社を設立することを計画し,既に設立済みの被告会社に目をつけ,平成13年2月,被告会社の本社を兵庫県加古川市から神戸市に移転し,被告会社の代表取締役,取締役に就任する方法により,その目的を達した(本件訴訟記録の第3分類に編綴された被告会社の商業登記簿,被告A本人調書104項,被告らの平成14年3月22日付け準備書面第2の1(2))。 なお,被告会社の商号「Dシステムズ株式会社」は,JAVA技術を有する著名な会社であるD社の商号に似せたものである。被告会社とD社との間には,資本関係や 22日付け準備書面第2の1(2))。 なお,被告会社の商号「Dシステムズ株式会社」は,JAVA技術を有する著名な会社であるD社の商号に似せたものである。被告会社とD社との間には,資本関係や人的関係は一切ない。 (2) ところで,平成13年5月当時,被告会社の従業員はわずか5人であり,被告A,被告B,被告Cの3取締役を除けばわずか2人にすぎなかった。被告会社の従業員5名の中には,JAVA技術を習得している技術者は一人もいない。被告会社は,コンピューターの通信機器及び通信装置の販売等を目的とする単なる営業会社にすぎない(被告A本人調書105~107,110,111項)。それゆえ,被告会社は,平成13年5月当時,JAVA技術などは全く有していないし,JAVA技術に関する実績も皆無であった。 また,被告会社は,JAVA技術を有するD社との間で,包括的(基本取引約定的)な技術提携契約も締結していなかった。それゆえ,被告会社は,平成13年5月当時,D社から,①JAVA技術を使用することの包括的な許諾も得ていなかったし,②第三者にJAVA技術の使用許諾を与えることの許諾も得ていなかった(本件2許諾を得ていなかった)。被告会社は,平成13年4月1日,D社との間で,秘密保持契約を締結していただけである(乙2)。 それゆえ,被告会社は,平成13年5月当時も,原告に対し,韓国内でJAVA技術を使用,販売及び拡布する権限がなく,原告からそれに伴うロイヤリティを取得できる地位にもなかった。 (3) しかも,被告会社の事実上の会社設立から現在までの売上は,本件技術提携契約に基づき原告から受領した500万円(韓国政府の源泉徴収された50万円を控除すると450万円)だけである(被告Aの本人調書108,109項,原告代表者の本人調書 ら現在までの売上は,本件技術提携契約に基づき原告から受領した500万円(韓国政府の源泉徴収された50万円を控除すると450万円)だけである(被告Aの本人調書108,109項,原告代表者の本人調書6,7項)。 被告会社は,事実上の会社設立から現在に至るまで,営業活動面でも殆ど何もしていない実態のない会社であると言って過言ではない。 2 本件Aの詐欺行為等(1) 被告Aは,被告会社の代表取締役として,原告(E社長)に対し,真実は次のアのとおりであるのに,次のイのとおり嘘を言って原告(E社長)を騙し,その旨誤信した原告との間で,平成13年5月10日,JAVA技術に関する技術提携契約(本件技術提携契約)を締結した。 ア真実(ア) 被告会社は,平成13年5月当時,JAVA技術など全く有していなかった。 (イ) また,被告会社は,JAVA技術を有するD社との間で,包括的(基本取引約定的)な技術提携契約も締結していなかった。したがって,被告会社は,平成13年5月当時,D社から,①JAVA技術を使用することの包括的な許諾も得ていなかったし,②第三者にJAVA技術の使用許諾を与えることの許諾も得ていなかった。 (ウ) それゆえ,被告会社には,原告に対し,韓国内でJAVA技術を使用,販売及び拡布する権限がなく,原告からそれに伴うロイヤリティを取得できる地位にもなかった。 イ騙し文句(ア) 被告会社は,平成13年5月当時,JAVA技術に基づき開発したシステムやソフトを所有しており,また,JAVA技術を所有する著名な会社であるD社から,①JAVA技術を使用することの包括的な許諾を得ているし,②第三者にJAVA技術の使用許諾を与えることの許諾も得ている。 を所有しており,また,JAVA技術を所有する著名な会社であるD社から,①JAVA技術を使用することの包括的な許諾を得ているし,②第三者にJAVA技術の使用許諾を与えることの許諾も得ている。 (イ) それゆえ,被告会社には,原告に対し,韓国内でJAVA技術を使用,販売及び拡布する権限があり,原告からそれに伴うロイヤリティを取得できる地位にある。 (2) そして,原告は,本件技術提携契約に基づき,韓国内でJAVA技術を独占的に使用,販売及び拡布できることの実施契約金として,被告会社に対し,平成13年5月16日に180万円,同年6月25日に180万円,同年7月28日に90万円,以上合計450万円を支払った。そのため,原告は,被告Aの詐欺により,本件技術提携契約に基づく実施契約金として,合計450万円(源泉徴収して韓国政府に納付した50万円を加算すると500万円)を被告会社に騙し取られたものである。 (3) 被告B及び被告Cは,被告会社の取締役として,被告会社にはJAVA技術を提供する能力や権限がないことを知っていたのに,被告Aが,被告会社の代表者として,原告との間で本件技術提携契約を締結し,原告から450万円を騙し取るのを知りながら,それを放置していたものである。 第3 前記認定の補足説明 1 本件技術提携契約書の記載(1) 本件技術提携契約書(甲1-1枚目)には,次のとおり記載されている。 ア第1条甲(被告会社)は,乙(原告)が甲(被告会社)によりJAVAソリューション開発されたシステムやソフトを韓国内で独占的に使用,販売及び拡布することを許諾する。 イ第2条乙(原告)は,前条の許諾の対価として,500万円の技術実施契約金を甲(被告会社)に支払う。 (2) しかし 国内で独占的に使用,販売及び拡布することを許諾する。 イ第2条乙(原告)は,前条の許諾の対価として,500万円の技術実施契約金を甲(被告会社)に支払う。 (2) しかし,被告会社にはJAVA技術に関する技術者はおらず,被告会社がJAVA技術に関して開発したシステムやソフトは皆無である。また,被告会社は,JAVA技術を有するD社との間で,包括的(基本取引約定的)な技術提携契約も締結していなかった。それゆえ,被告会社には,原告に対し,韓国内でJAVA技術を使用,販売及び拡布する権限がなく,原告からそれに伴うロイヤリティを取得できる地位にもなかった(前記第2の1(2))。 (3) したがって,被告会社は,原告に対し,JAVA技術を提供する能力や権限を有していなかったのに,有していると嘘を言って原告を騙し,その旨信じた原告から,本件技術提携契約に基づく実施契約金名目で450万円を騙し取ったことは,本件技術提携契約書の第1条,第2条の文言からも明らかである。 2 営業協力覚書の記載(1) 本件技術提携契約書添付の営業協力覚書(甲1-3枚目)には,次のとおり記載されている。 ア第1項甲(被告会社)は,JAVAソリューション技術の活用を目的とした乙(原告)の営業活動について,その導入実施に必要な技術説明及び相手方企業のビジネス展開における効用や派生する価値,可能性などの展開ビジネスについての説明業務を支援する。 イ第1項補足事項■ これまでの甲社(被告会社)の開発実施例の提示① ユーザー登録NET ② 社販NET ③ 地域コミュニティーサイトなど■ 今後の甲社(被告会社)開発実施事例の提示(2 会社)の開発実施例の提示① ユーザー登録NET ② 社販NET ③ 地域コミュニティーサイトなど■ 今後の甲社(被告会社)開発実施事例の提示(2) 上記営業協力覚書の記載は,被告会社が,JAVA技術を提供する能力や権限を有していることを誇示するものである。しかし,被告会社にはJAVA技術に関する技術者はおらず,被告会社がJAVA技術に関して開発したシステムやソフトは皆無である。また,被告会社は,JAVA技術を有するD社との間で,包括的(基本取引約定的)な技術提携契約も締結していなかった(前記第2の1(2))。 (3) したがって,被告会社は,原告に対し,JAVA技術を提供する能力や権限を有していないのに,有していると嘘を言って原告を騙し,その旨信じた原告から,本件技術提携契約に基づく実施契約金名目で450万円を騙し取ったことは,上記営業協力覚書の第1項,第1項補足事項の文言からも明らかである。 第4 被告ら主張の検討 1 被告ら主張被告らは,次のとおり主張する。 (1) 本件技術提携契約は,あくまでも,被告会社が開発したシステムやソフトの使用等の許諾契約である。 (2) 被告会社は,本件技術提携契約に基づき,原告から具体的案件の依頼を受けるたびに,原告との協議等により,原告が必要とするシステムやソフトの内容を確定し,それを,JAVA技術を有するD社に発注することを予定していたものである。 被告会社は,D社との間で,包括的(基本取引約定的)な技術提携契約は締結していなかったが,個別案件毎に協力を受けることができる旨の了解は得ていた。したがって,被告会社は,原告から個別案件の依頼を受けるたびに,D社との間で,同案件に応じたJAVA技術を利用したシステム 結していなかったが,個別案件毎に協力を受けることができる旨の了解は得ていた。したがって,被告会社は,原告から個別案件の依頼を受けるたびに,D社との間で,同案件に応じたJAVA技術を利用したシステムやソフト開発の下請契約を締結することを予定していたものである。 (3) したがって,被告会社がD社との間で包括的な技術提携契約を締結していなかったからといって,何ら,本件技術提携契約の債務不履行を構成するものではないし,取引的不法行為に当たらないことは勿論のこと,ましてや詐欺となる余地は全くない。 2 検討(1) 被告会社のJAVA技術に関する能力についてア被告らは,「本件技術提携契約は,あくまでも,被告会社が開発したシステムやソフトの使用等の許諾契約である。」と主張する(前記第4の1(1))。 イしかし,前示第2の1(2)のとおり,被告会社自身が開発したJAVA技術に関するシステムやソフトは皆無である。被告らの上記アの主張自体からも,被告Aが原告に対し,被告会社のJAVA技術に関する能力について虚偽の事実を告げていたことを認めているものといえる。 (2) 被告らが本訴で主張する本件技術提携契約の内容についてア被告らが本訴で主張する本件技術提携契約の内容と,被告Aが本件技術提携契約の締結に際して原告に説明した内容とは,次のとおり根本的に異なっている。 (ア) 被告らが本訴で主張する本件技術提携契約の内容(前記第4の1(2))a 被告会社は,本件技術提携契約に基づき,原告から具体的案件の依頼を受けるたびに,原告との協議等により,原告が必要とするシステムやソフトの内容を確定し,それを,JAVA技術を有するD社に発注することを予定していたものである。 b 被告 的案件の依頼を受けるたびに,原告との協議等により,原告が必要とするシステムやソフトの内容を確定し,それを,JAVA技術を有するD社に発注することを予定していたものである。 b 被告会社は,D社との間で,包括的(基本取引約定的)な技術提携契約は締結していなかったが,個別案件毎に協力を受けることができる旨の了解は得ていた。 c したがって,被告会社は,原告から個別案件の依頼を受けるたびに,D社との間で,同案件に応じたJAVA技術を利用したシステムやソフト開発の下請契約を締結することを予定していたものである。 (イ) 被告Aが本件技術提携契約の締結に際して原告に説明した内容(前記第2の2(1)イ)a 被告会社は,平成13年5月当時,JAVA技術に基づき開発したシステムやソフトを所有しており,また,JAVA技術を所有する著名な会社であるD社から,①JAVA技術を使用することの包括的な許諾を得ているし,②第三者にJAVA技術の使用許諾を与えることの許諾も得ている。 b それゆえ,被告会社には,原告に対し,韓国内でJAVA技術を使用,販売及び拡布する権限があり,原告からそれに伴うロイヤリティを取得できる地位にある。 イこのように,被告らが本訴で主張する本件技術提携契約の内容を前提としても,被告Aが本件技術提携契約の締結に際して原告に説明した内容は,被告会社がJAVA技術に関して有する能力,権限について虚偽であり,被告らが本訴で主張する本件技術提携契約の内容であれば,原告が被告に対し450万円もの技術実施契約金を支払う筈がなく,被告Aが原告を騙し450万円を騙取したことに変わりはない。 (3) まとめ以上の次第で,被告らの前記第4の1(1)( 告に対し450万円もの技術実施契約金を支払う筈がなく,被告Aが原告を騙し450万円を騙取したことに変わりはない。 (3) まとめ以上の次第で,被告らの前記第4の1(1)(2)の主張(前記11,12頁)を前提としても,被告Aが原告(E社長)を騙し,技術実施契約金名目で450万円を騙取したことに変わりがなく,被告らの前記第4の1(3)の主張(前記12頁)は採用できない。 第5 被告Aの不法行為,被告らの責任の検討以上の第2ないし第4の認定判断によると,主位的請求原因イ(ア)(被告Aの詐欺-前記2,3頁),同ウ(被告らの責任-前記4頁)が認められる。 第6 結論以上によると,原告の本件損害賠償請求(主位的請求)は全て理由があるので,これを認容し,主文のとおり判決する。 神戸地方裁判所第2民事部裁判官紙浦健二

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