令和4(ネ)2510 損害賠償請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
令和6年1月26日 大阪高等裁判所 破棄自判
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判決文本文25,269 文字)

令和4年(ネ)第2510号損害賠償請求控訴事件令和6年1月26日大阪高等裁判所第4民事部判決 主文 1 原判決を次のとおり変更する。 2 被控訴人は、控訴人1に対し、1100万円及びこれに対する令和2年1月28日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 3 被控訴人は、控訴人2に対し、220万円及びこれに対する令和2年1月28日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 4 控訴人2のその余の請求を棄却する。 5 訴訟費用は、控訴人1と被控訴人との関係では第1、2審を通じて被控訴人の負担とし、控訴人2と被控訴人との関係では第1、2審を通じてこれを5分し、その1を被控訴人の、その余を控訴人2の各負担とする。 事実 及び理由第1 控訴の趣旨 1 原判決を次のとおり変更する。 2 主文2項同旨 3 被控訴人は、控訴人2に対し、1100万円及びこれに対する令和2年1月28日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 4 訴訟費用は、第1、2審とも被控訴人の負担とする。 第2 事案の概要(以下、略語は原判決の例により、原判決を引用する場合、「原告」を「控訴人」、「被告」を「被控訴人」とそれぞれ読み替える。) 1 本件は、旧優生保護法(平成8年法律第105号による改正前のもの)に基 づく不妊手術(優生手術)を受けさせられたとする控訴人1及びその夫である控訴人2が、旧優生保護法が、子を産み育てるか否かについて意思決定をする自己決定権、リプロダクティブ・ライツ、平等権等の憲法上の権利を侵害する違憲な法律であるにもかかわらず、国会議員において、旧優生保護法を立法したこと及び被害救済法の立法をしなかったことがいずれも違法である旨主張して、被控訴人 ・ライツ、平等権等の憲法上の権利を侵害する違憲な法律であるにもかかわらず、国会議員において、旧優生保護法を立法したこと及び被害救済法の立法をしなかったことがいずれも違法である旨主張して、被控訴人に対し、国家賠償法1条1項に基づき、それぞれ、3300万円(慰謝料3000万円、弁護士費用相当損害金300万円)の一部請求として損害賠償金1100万円(慰謝料1000万円、弁護士費用相当損害金100万円)及びこれに対する不法行為の日の後である令和2年1月28日(訴状送達の日の翌日)から各支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下、特に断らない限り、同じ。)所定の年5%の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 原審は、控訴人らの請求をいずれも棄却したところ、これを不服とする控訴人らが本件控訴を提起した。 2 前提事実等、争点及び争点に対する当事者の主張は、別紙2当審における控訴人らの補充主張及び別紙3当審における被控訴人の補充主張を加えるほかは、原判決「事実及び理由」欄の第2の1~3記載のとおりであるから、これを引用する。ただし、原判決を次のとおり補正する。 ⑴ 原判決8頁20行目の「そうすると、」から21行目の「本件において」までの部分を「他に控訴人1の既往症に関する証拠が提出されていないため」と改める。 ⑵ 原判決10頁20行目の「厚生労働省」を「厚生省(当時。以下同じ)」と、21行目の「厚生労働省」を「厚生省」とそれぞれ改める。 ⑶ 原判決22頁25行目の「したがって、」の次に「国家賠償法4条、」を加える。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所は、控訴人1の請求(1100万円及びこれに対する令和2年1月28日から支払済みまで年5%の割合による金員の支払を求めるもの)は理由があ る。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所は、控訴人1の請求(1100万円及びこれに対する令和2年1月28日から支払済みまで年5%の割合による金員の支払を求めるもの)は理由があり、控訴人2の請求は、220万円及びこれに対する前同日から支払済みまで年5%の割合による金員の支払を求める限度で理由があると判断する。その理由は、次のとおりである。 2 認定事実次のとおり補正するほかは、原判決の「事実及び理由」欄の第3の1に記載のとおりであるから、これを引用する。なお、補正して引用した原判決の認定事実を「補正後認定事実」という。 ⑴ 原判決23頁12行目の「上記争いのない事実等」を「上記前提事実等」と改める。 ⑵ 原判決23頁15行目の「昭和23年7月13日、」及び原判決25頁25行目から26目にかけての「平成8年6月18日」の次に、それぞれ「議員立法により」を加える。 ⑶ 原判決25頁9行目の「上記」を「当時の」と改め、9行目から10行目にかけての「当時の」を削除する。 ⑷ 原判決27頁1行目から3行目までの部分を次のとおり改め、11行目の「令和元年」から26行目末尾までの部分を「(甲11、26、27、弁論の全趣旨)」と改める。 「 控訴人らは、いずれも、その当時、どのような手続で控訴人1が手術を受けることになったのかについて、誰からも聞かされなかった。その後、控訴人1が妊娠出産することはなく、控訴人らが子をもうけることもなかった。(甲6の1、甲8、10、32、33、原審控訴人1本人、原審控訴人2本人、弁論の全趣旨)」⑸ 原判決28頁1行目の「オ」を「エ」と改め、5行目の「平成9年9月に求める会を結成し、」の次に「厚生省に対し謝罪と補償を求める要望書を提 出し(乙30)、」 、弁論の全趣旨)」⑸ 原判決28頁1行目の「オ」を「エ」と改め、5行目の「平成9年9月に求める会を結成し、」の次に「厚生省に対し謝罪と補償を求める要望書を提 出し(乙30)、」を加え、6行目、7行目から8行目にかけて及び8行目の各「厚生労働省」をいずれも「厚生省」と改め、20行目の「質問に対し、」の次に「「今はそこまで考えて、率直なところ、おりません。」などと答えた上で、最後に」をそれぞれ加える。 ⑹ 原判決29頁17行目の「平成29年2月16日には、」の次に「被控訴人において、」を加える。 ⑺ 原判決30頁15行目を次のとおり改める。 「イ一時金法は、平成31年4月24日に議員立法により成立し、同日に公布、施行された。同法は、旧優生保護法が施行されていた間(昭和23年9月11日~平成8年9月25日)に優生手術等を受けた者に対し、一時金320万円(一律)を支給するものであり、一時金法の前文には、「昭和23年制定の旧優生保護法に基づき、あるいは旧優生保護法の存在を背景として、多くの方々が、特定の疾病や障害を有すること等を理由に、平成8年に旧優生保護法に定められていた優生手術に関する規定が削除されるまでの間において生殖を不能にする手術又は放射線の照射を受けることを強いられ、心身に多大な苦痛を受けてきた。このことに対して、我々は、それぞれの立場において、真摯に反省し、心から深くおわびする。 今後、これらの方々の名誉と尊厳が重んぜられるとともに、このような事態を二度と繰り返すことのないよう、全ての国民が疾病や障害の有無によって分け隔てられることなく相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向けて、努力を尽くす決意を新たにするものである。ここに、国がこの問題に誠実に対応していく立場にあることを深く自覚し、 って分け隔てられることなく相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向けて、努力を尽くす決意を新たにするものである。ここに、国がこの問題に誠実に対応していく立場にあることを深く自覚し、この法律を制定する。」と規定された。なお、具体的な手続に関し、一時金法7条は、一時金を請求しようとする者は、所定の事項を記載した請求書を提出しなければならないと定め、「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律施行規則」(以下 「一時金法施行規則」という。)1条2項2号は、上記請求書には「請求に係る生殖を不能にする手術又は放射線の照射を受けたかどうかについての医師の診断の結果が記載された診断書」を添えなければならないと定めている。」⑻ 原判決31頁8行目の末尾の次に改行の上、次のとおり加える。 「オまた、控訴人ら長男は、平成31年4月頃、控訴人1の母に電話で、控訴人1の手術について事情を確認した(控訴人1の父は既に他界していた。)。その際、控訴人1の母は、控訴人ら長男に対し、控訴人1について不妊手術がされたこと、子宮は切除せずに結さつしたこと、子供が1人いるからこれ以上はいらないと思ったこと、事前に控訴人1の同意を得ていないことなどを説明した。また、控訴人1の母は、不妊手術について事前に控訴人1の同意を得ていない理由について、「あの子は頭がおかしい」旨の発言をしており、控訴人1の母は、控訴人1について、知的障害があるもの(精神薄弱)と認識していた。(甲12、36、原審証人控訴人ら長男、弁論の全趣旨)カそこで、控訴人ら長男は、控訴人1が優生手術を受けたことの確認のための診断書の作成を求めて、主治医や一時金法のことを宣伝するポスターを張っている病院、大阪府の職員が紹介した病院など 全趣旨)カそこで、控訴人ら長男は、控訴人1が優生手術を受けたことの確認のための診断書の作成を求めて、主治医や一時金法のことを宣伝するポスターを張っている病院、大阪府の職員が紹介した病院など、40を超える大阪府内の病院及び診療所に対して電話や訪問などにより相談・打診をしたが、いずれの病院等も診断書の作成を断った。 並行して、控訴人ら代理人の辻󠄀川弁護士は、大阪府の旧優生保護法一時金受付・相談窓口の担当者に対し、病院の紹介を打診したが、一時金支給認定のための手術痕の診断書を作成する病院の紹介はしていないと回答された。その後、大阪府担当者が大阪府医師会に相談したところ、大阪府医師会から声をかけられるなどした●●●内の総合病院(以下「本件病院」という。)が診断書の作成を承諾したことなどから、令和元年7月31日、 控訴人らに対し本件病院が紹介された。 控訴人1は、令和元年8月5日、本件病院で診察を受け、同病院の医師は、一時金法に基づく一時金支給請求のための定型の診断書の書式を用いて、その中に、控訴人1の下腹部の切開創(補正後認定事実⑹ウ)が優生手術の術式の1つであった腹式両側卵管結紮術の痕跡として矛盾はない旨を記載した診断書(以下「本件診断書」という。)を作成した。 控訴人らは、令和元年12月13日、本件診断書(甲11)の写しを訴状に添付して、大阪地方裁判所に本件訴訟を提起した。(甲11、36、45、46、原審証人控訴人ら長男)キなお、控訴人1は、令和元年5月18日、A県個人情報保護条例に基づき、A県知事に対し、控訴人1が昭和49年頃に受けた優生手術に関して同県が作成した一切の記録について開示を請求したが、同月24日、請求に係る個人情報が記録された公文書が存在しないとして個人情報非開示の A県知事に対し、控訴人1が昭和49年頃に受けた優生手術に関して同県が作成した一切の記録について開示を請求したが、同月24日、請求に係る個人情報が記録された公文書が存在しないとして個人情報非開示の決定がされた。また、控訴人1が控訴人ら長男を出産して優生手術を受けた病院は、平成6年以前に廃院しており、控訴人1の優生手術に関する診療記録について、控訴人らが入手することは不可能となっていた。(甲13、28、46)」 3 争点1(控訴人1に対する優生手術の有無)について当裁判所も、控訴人1の母は、控訴人1の保護者の立場から、控訴人1が旧優生保護法12条所定の事由のうちの「精神薄弱」に該当するものとして、控訴人1に対し不妊手術をすることを決めてこれに同意し、控訴人1は、昭和49年●月●日、A県内の病院において、同条の申請に基づく不妊手術、すなわち優生手術を受けたものと判断する。 その理由は、原判決の「事実及び理由」欄の第3の2⑴に記載のとおりであるから、これを引用する。ただし、原判決31頁11行目の「前記認定事実⑹ ウ」を「補正後認定事実⑹ウ、⑽カ」と、15行目から16行目にかけての「前記認定事実⑹ア、エ、オ」を「補正後認定事実⑹ア、エ、⑽オ」とそれぞれ改める。 4 争点2(国会議員による旧優生保護法の立法行為の違法性)について当裁判所も、①旧優生保護法4条ないし13条の規定(以下「本件各規定」という。)は、子を産み育てるかどうかについて意思決定をする自由及び自己の意思に反して身体への侵襲を受けない自由を明らかに侵害するとともに、特定の障害等を有する者に対して明らかに合理的な根拠のない差別的取扱いをするものであり、明らかに憲法13条及び14条1項に反して違憲である、②国会議員による本件各規定に係る立法行為は、そ とともに、特定の障害等を有する者に対して明らかに合理的な根拠のない差別的取扱いをするものであり、明らかに憲法13条及び14条1項に反して違憲である、②国会議員による本件各規定に係る立法行為は、その立法の内容が国民に憲法上保障されている権利を違法に侵害するものであることが明白であるにもかかわらず行ったものということができる、③控訴人らはこのような違憲な旧優生保護法12条に基づく優生手術により憲法上保障されている上記権利を侵害されたのであるから、国会議員による本件各規定に係る立法行為は、控訴人らとの関係において、国家賠償法1条1項の規定の適用上、違法の評価を受ける、④また、本件各規定の立法を行った国会議員には、少なくとも過失がある、と判断する。 その理由は、原判決の「事実及び理由」欄の第3の3に記載のとおりであるから、これを引用する。ただし、原判決33頁10行目から14行目までの部分を次のとおり改める。 「また、憲法13条は、「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」と規定しているところ、自己の意思に反して身体への侵襲を受けない自由が、人格的生存に関わる重要な権利として、同条によって保障されていることは明らかである(最高裁令和2年(ク)第993号同5年10月25日大法廷決定・裁判 所時報1826号37頁参照)。」 5 争点3(国会議員による被害救済法の立法不作為の違法性)について当裁判所も、①本件答弁があった平成16年3月24日の時点において、国会議員において、優生手術の被害者についての被害救済のために必要不可欠な立法の内容がどのようなものであったかが明白であったとはいえず、優生手術 本件答弁があった平成16年3月24日の時点において、国会議員において、優生手術の被害者についての被害救済のために必要不可欠な立法の内容がどのようなものであったかが明白であったとはいえず、優生手術の被害救済の立法措置が執られなかったことが、国家賠償法1条1項の適用上、違法の評価を受けるものではない、②被控訴人が、同日以降一時金法の制定まで何らの立法措置を執らなかったことを踏まえても、立法の不作為の違法性が認められないという結論を覆すに足りない、と判断する。 その理由は、原判決の「事実及び理由」欄の第3の4に記載のとおりであるから、これを引用する。 6 争点4(控訴人らに対する損害の発生及びその額)について⑴ 損害賠償請求権の発生これまでに説示したとおり、国会議員による本件各規定の立法行為は、控訴人らとの関係において、国家賠償法1条1項の規定の適用上違法の評価を受けるものであるところ、控訴人1は、昭和49年●月●日、旧優生保護法12条に基づく優生手術を受けたことにより、自己の意思に反して身体への侵襲を受けない自由を侵害されて生殖機能を不可逆的に失い、子を産み育てるかどうかについて意思決定をする自由を侵害されて個人の尊厳を著しく損なわれ、合理的な理由なく健常者と差別され精神的・身体的被害を受けたものと認められる。そして、控訴人2もまた、控訴人1の夫として、控訴人1が上記優生手術を受けて生殖機能を不可逆的に失ったことにより、子を産み育てるかどうかについて意思決定をする自由を侵害されて個人の尊厳を著しく損なわれ、精神的苦痛を受けたというべきである。 したがって、控訴人らは、被控訴人に対し、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求権を取得したものと認められる。 ⑵ 慰謝料旧優生保護法12条に基づく優生手術に きである。 したがって、控訴人らは、被控訴人に対し、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求権を取得したものと認められる。 ⑵ 慰謝料旧優生保護法12条に基づく優生手術による生殖機能の不可逆的喪失は、身体への強度の侵襲であり、労働者災害補償保険法施行規則別表第1の7級の13及び自動車損害賠償保障法施行令別表第2の7級13号が規定する両側の睾丸を失ったものに匹敵する重篤な後遺障害に該当すること、不良な子孫の出生を防止するという非人道的かつ差別的な目的を実現するために、控訴人1に対し優生手術が施され、子を産み育てるかどうかについて意思決定をする自由を侵害されて個人の尊厳を著しく損なわれたことを踏まえると、控訴人1の肉体的及び精神的苦痛に対する慰謝料は、1300万円と認めるのが相当である。 また、控訴人1の配偶者である控訴人2においても、子を産み育てるかどうかについての意思決定をする自由を侵害されて個人の尊厳を著しく損われたことから、精神的苦痛は著しいものと認められるところ、控訴人1に対する上記慰謝の措置が講じられることも踏まえ、控訴人2の精神的苦痛に対する慰謝料は、200万円と認めるのが相当である。 ⑶ 弁護士費用相当損害金国会議員による本件各規定の立法行為と相当因果関係のある弁護士費用に係る損害としては、控訴人1については130万円、控訴人2については20万円と認めるのが相当である。 ⑷ まとめ以上より、控訴人1が被った損害の額は1430万円(1300万円及び130万円の合計額)、控訴人2が被った損害の額は220万円(200万円及び20万円の合計額)となる。 7 争点5(除斥期間の適用による控訴人らの損害賠償請求権の消滅の有無)について⑴ 民法724条後段の法的性質及び除斥期間の起算 損害の額は220万円(200万円及び20万円の合計額)となる。 7 争点5(除斥期間の適用による控訴人らの損害賠償請求権の消滅の有無)について⑴ 民法724条後段の法的性質及び除斥期間の起算点について ア当裁判所も、民法724条後段の規定の法的性質は、不法行為による損害賠償請求権の除斥期間を定めたものであり、本件における除斥期間の起算点は、控訴人1に対する優生手術が実施された昭和49年●月●日であると判断する。 その理由は、原判決の「事実及び理由」欄の第3の5⑵及び⑶に記載のとおりであるから、これを引用する。 イこの点、控訴人らは、別紙2当審における控訴人らの補充主張の第2のとおり主張し、本件における除斥期間の起算点は、どんなに早くとも厚生労働大臣による本件答弁のあった平成16年3月24日であるから、除斥期間は未経過であり、控訴人らの国家賠償請求権は消滅していないと主張する。 しかしながら、控訴人らは、国会議員が職務上の法的義務に反して本件各規定の立法行為を行ったことが不法行為に該当し、控訴人1が旧優生保護法12条に基づく優生手術を昭和49年●月●日に受けさせられたことに基づき、控訴人らの人権が侵害され、甚大な苦痛を被ったとして、慰謝料を請求するものであり、その主張が認められることは前記のとおりであるから、これによれば、同日には、不法行為は終了し、同時に損害の発生も確定しているものということができる。そうすると、同日が民法724条後段にいう「不法行為の時」に該当することになり、また、同日以降に不法行為に基づく損害賠償請求権の除斥期間が開始すると解すべき理由は見当たらない。前記の当審における控訴人らの補充主張は、採用できない。 ⑵ 除斥期間の適用の制限についてア上記⑴の判断を本件に形式 為に基づく損害賠償請求権の除斥期間が開始すると解すべき理由は見当たらない。前記の当審における控訴人らの補充主張は、採用できない。 ⑵ 除斥期間の適用の制限についてア上記⑴の判断を本件に形式的に当てはめると、控訴人らの被控訴人に対する国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求権は、国家賠償法4条及び民法724条後段に基づき、昭和49年●月●日から20年後である平成 6年●月●日の経過により消滅することになるが、控訴人らは、除斥期間内に被控訴人に対する権利行使ができなかったのは、被控訴人が作出した社会的差別や司法アクセスに対する制約によるものであり、このような場合に、除斥期間を適用して、本件のような国家による重大な人権侵害の被害者である控訴人らの犠牲の下、加害者である被控訴人の利益を保護することは、著しく正義・公平に反する結果となるから、その適用は制限されるべきである旨を主張するので(争点5及び別紙2当審における控訴人らの補充主張の第3)、以下、この点について、判断する。 イ民法724条後段の除斥期間の規定は、不法行為をめぐる法律関係の速やかな確定を意図するものであり、被害者側の認識のいかんを問わず一定の時の経過によって法律関係を確定させるため請求権の存続期間を画一的に定めたものと解される(最高裁平成元年12月21日第一小法廷判決・民集43巻12号2209頁参照)。 ただ、このような除斥期間の規定も例外を一切許容しないものではなく、不法行為の被害者が当該不法行為を原因として心神喪失の常況にあるのに法定代理人を有しなかった場合(最高裁平成10年6月12日第二小法廷判決・民集52巻4号1087頁参照)や、被害者を殺害した加害者が被害者の相続人において被害者の死亡の事実を知り得ない状況を殊更に作出し、そのために相 った場合(最高裁平成10年6月12日第二小法廷判決・民集52巻4号1087頁参照)や、被害者を殺害した加害者が被害者の相続人において被害者の死亡の事実を知り得ない状況を殊更に作出し、そのために相続人がその事実を知ることができず、民法915条1項所定のいわゆる熟慮期間が経過しないために相続人が確定しないまま、上記殺害の時から20年が経過した場合(最高裁平成21年4月28日第三小法廷判決・民集63巻4号853頁参照)など、被害者や被害者の相続人による権利行使を客観的に不能又は著しく困難とする事由があり、しかも、その事由が、加害者の不法行為に起因している場合のように、例外的に、正義・公平の観点から、時効停止の規定の法意(民法158ないし160条)等に照らして除斥期間の適用が制限される場合があることは、法解釈上想定さ れるところである。 ウこれを本件についてみれば、前記のとおり、そもそも旧優生保護法12条に基づく優生手術の規定自体、非人道的なものであって、控訴人らが受けた人権侵害の程度は、非常に大きいものである。一方で、補正後認定事実、⑹イ、⑻、のとおり、都道府県優生保護審査会の審査を要件とする優生手術は、昭和24年から平成8年までに1万5000件以上実施されてきたにもかかわらず、旧優生保護法の優生思想等が問題視された平成8年改正の後も、平成30年1月の仙台訴訟まで、優生手術に係る国家賠償請求訴訟の提起は一切なかったこと、控訴人らも、控訴人1が不妊手術を受けたことは知っていたものの、それが優生手術であったことについては長期間知らされていなかった上、控訴人1は、自らが障害者であるために控訴人1の母の判断で不妊手術を受けさせられたものと理解していたことから、不妊手術を受けさせられたことを家族以外には打ち明けるこ は長期間知らされていなかった上、控訴人1は、自らが障害者であるために控訴人1の母の判断で不妊手術を受けさせられたものと理解していたことから、不妊手術を受けさせられたことを家族以外には打ち明けることもできず、それが旧優生保護法に基づく優生手術であったことを知り得る状況になかったことが認められる。そして、このような事情の背景としては、控訴人らが有していた聴覚障害等のほか、優生手術の対象となった障害者に対する社会的な差別・偏見やこれを危惧する家族の意識・心理の下、控訴人らが、訴訟提起の前提となる情報や相談機会へのアクセスが著しく困難な環境にあったことが大きな要因であったものとみるのが相当である。 そして、控訴人らが有する障害そのものは勿論のこと、障害者一般に対する差別や偏見についても、様々な歴史的・社会的要因、当時の科学的知見の不足等が複合的に影響して創出・助長されたと考えられるのであって、被控訴人において、控訴人らが優生手術に係る国家賠償請求訴訟の提起ができない状況を意図的・積極的に作出したと認めることはできない。 しかし、日本国憲法は、個人の尊重を基本理念として、特定の障害ない し疾患を有する者も人は平等に取り扱われることを明らかにしているものであり、被控訴人は、その趣旨を踏まえた施策を推進していくべき地位にあったにもかかわらず、補正後認定事実⑴、⑵のとおり、非人道的な優生手術を制度化して、優生思想に基づく優生政策を積極的に推進し、これによって、高等学校で用いられる教科書や大衆雑誌にも優生思想や優生政策を推奨する記載がされるなど、広く優生思想及び優生政策の正当性を国民に認識させる状況を作出したことが認められる。 そうすると、国家によるこのような立法及びこれに基づく施策が、広く国民に対し、旧優生保護法の規 記載がされるなど、広く優生思想及び優生政策の正当性を国民に認識させる状況を作出したことが認められる。 そうすると、国家によるこのような立法及びこれに基づく施策が、広く国民に対し、旧優生保護法の規定の法的効果をも超えた社会的・心理的影響を与え、同法の優生手術の対象となった障害ないし疾患につき、かねてからあった差別・偏見を正当化・固定化した上、これを相当に助長してきたものとみるのが相当である。 加えて、補正後認定事実⑶、⑺、⑼のとおり、被控訴人は、旧優生保護法の平成8年改正後も種々の被害救済の要請があったものの、被害救済の具体的な措置をとることについては仙台訴訟が提起されるまで長らく消極的であったといわざるを得ないことも併せ考慮すれば、昭和50年代以降の各種法改正、旧優生保護法の平成8年改正等を踏まえても、なお、その後も被控訴人が正当化・固定化し、相当に助長した社会的差別・偏見による影響が大きく作用して、控訴人らにおいて、優生手術に係る国家賠償請求訴訟を提起するための前提となる情報や相談機会へのアクセスが著しく困難な環境が続いたものというべきである。 また、控訴人らの被控訴人に対する国家賠償請求権の行使という権利行使を客観的に不能又は著しく困難とする事由があるかについては、観念的ではなく、実態や法令に即して検討されなければならない。 すなわち、控訴人らも含め、優生手術を受けた者が、国(被控訴人)に対し、国家賠償法1条1項に基づき損害の賠償を求めても、国(被控訴人) はこれを争うことは明らかであるから、控訴人らの権利行使というものは、畢竟、民事訴訟の提起とその遂行によるほかない。 この点、民事訴訟法(平成8年法律第109号)134条は、民事訴訟の提起は、請求の趣旨及び原因を記載した訴状を裁判所に提出してしな 使というものは、畢竟、民事訴訟の提起とその遂行によるほかない。 この点、民事訴訟法(平成8年法律第109号)134条は、民事訴訟の提起は、請求の趣旨及び原因を記載した訴状を裁判所に提出してしなければならないと規定し、平成9年まで適用されていた旧民事訴訟法224条1項においても、訴状の必要的記載事項は同一であったから、優生手術を受けた者が国家賠償法に基づく損害賠償請求権を行使するためには、①自らが不妊手術を受けたこと、②それが旧優生保護法に基づく優生手術に当たること、③旧優生保護法が憲法に違反していることを記載した訴状を裁判所に提出しなければならないことになる。また、優生手術を受けた者は、単に上記事由を主張するだけではなく、本件訴訟において被控訴人が上記事由を争う(優生手術を受けたことについては、高度の蓋然性をもった立証を求める)ことからも明らかであるように、上記事由を立証しなければならない。民事訴訟規則53条1項は、訴状には、請求の趣旨及び請求の原因を記載するほか、請求を理由づける事実を具体的に記載し、かつ、立証を要する事由ごとに、当該事実に関連する事実で重要なもの及び証拠を記載しなければならないこと、同規則55条2項は、立証を要する事由につき、証拠となるべき文書の写し(書証の写し)で重要なものを添付しなければならないことを規定しており、旧民事訴訟法下においても、民事訴訟を提起し遂行するためには同様の作業が必要であることは、立証責任の所在に照らし明らかである。 そして、憲法32条は、「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪われない。」と定めているものの、民事訴訟の提起が事実上又は法律上の根拠を欠く場合には不法行為を構成する可能性もあることから、権利行使(訴訟提起)に当たっては、事実上の根拠及び法律上の根拠について裏付けを 。」と定めているものの、民事訴訟の提起が事実上又は法律上の根拠を欠く場合には不法行為を構成する可能性もあることから、権利行使(訴訟提起)に当たっては、事実上の根拠及び法律上の根拠について裏付けを得なければならない。 しかしながら、優生手術を受けた者を取り巻く状況は、前記のとおりであり、被控訴人が正当化・固定化した上に相当に助長した社会的差別・偏見による影響で、優生手術に係る国家賠償請求訴訟を提起するための前提となる情報や相談機会へのアクセスにさえ著しく困難な環境が続く状況の下において、訴訟提起のために上記の準備を整えることは、客観的にみて、更に著しく困難な状況にあったといわなければならない。特に、上記①の事由(自らが不妊手術を受けたこと)及び②の事由(それが旧優生保護法に基づく優生手術に当たること)の主張立証という観点からみると、被控訴人の立法及びこれに基づく施策によりもたらされた優生手術を受けた者を取り巻く上記環境が相当長期間にわたって継続することは、当該優生手術についての優生保護審査会の審査、決定等に関する記録及びその診療記録という決定的な証拠の消滅を招くこととなる。そして、優生手術を受けた者において、上記環境の下において上記決定的証拠が失われた場合には、これに代えて専門医の診断書等による立証が必要となるところ、この代替立証のために専門医による診断を受ける機会が確保されるまでは、訴訟提起のための準備を整えることについて、客観的にみて著しく困難な状況が続いているといわざるを得ない。この困難さの程度は、不妊手術を受けた者が、当該手術が旧優生保護法に基づく優生手術であることを認識していなかった場合には、一層深刻であり、その診断を経ずに訴訟提起のための準備を整えることは、客観的にみて社会通念上不能と評価すべきで た者が、当該手術が旧優生保護法に基づく優生手術であることを認識していなかった場合には、一層深刻であり、その診断を経ずに訴訟提起のための準備を整えることは、客観的にみて社会通念上不能と評価すべきである。 以上によれば、控訴人らの被控訴人に対する損害賠償請求権について、除斥期間の適用をそのまま認め、平成6年●月●日の経過により権利の消滅を認めることは、著しく正義・公平の理念に反するというべきであり、権利行使を客観的に不能又は著しく困難とする事由がある場合に、その事由が解消されてから6か月を経過するまでの間、時効の完成を延期す る時効停止の規定(民法158ないし160条)の法意に照らし、控訴人らの権利行使を客観的に不能又は著しく困難とする事由が解消されてから6か月を経過するまでの間、除斥期間の適用が制限されるものと解するのが相当である。 ⑶ 控訴人らに対する除斥期間の適用の制限についてア次に、控訴人らの権利行使を客観的に不能又は著しく困難とする事由が解消されてから6か月を経過するまでに本件訴訟が提起されたかにつき、検討する。 イこの点、優生手術を受けた者を取り巻く状況は、前記⑵のとおりであるから、平成31年4月24日に一時金法が制定されるまでは、優生手術を受けた者が、旧優生保護法が憲法に反していることを主張し、その裏付けを準備して民事訴訟を提起することは、著しく困難な状況にあったといわなければならない。 また、優生手術を受けた者が、いつどこで不妊手術を受けたか、それが優生手術に当たるかを主張し、その証拠を準備することについても、優生手術が平成8年改正前に実施されたものであるため、当該優生手術についての優生保護審査会の審査、決定等に関する記録及び診療記録等は既に失われて久しいことが通常であり、控訴人 備することについても、優生手術が平成8年改正前に実施されたものであるため、当該優生手術についての優生保護審査会の審査、決定等に関する記録及び診療記録等は既に失われて久しいことが通常であり、控訴人1の優生手術についても、これに関しA県が作成した一切の記録は既に存在せず、優生手術を受けた病院は平成6年以前に廃院しており、診療記録を入手することは不可能となっていた(補正後認定事実⑽キ)。そうすると、その代替立証として、少なくとも専門医の診断書等の提出が求められる(この点、一時金法施行規則1条2項2号で生殖を不能にする手術を受けたかどうかについての医師の診断の結果が記載された診断書を請求書に添付することが求められている。)。特に、控訴人1のように、不妊手術を受けた者が、当該手術が旧優生保護法に基づく手術であることを認識していなかった場合には、訴訟提起の判断のた めに専門医の診断を受ける必要性は高い。確かに、控訴人1は、平成30年頃に仙台訴訟が始まった旨のニュースを見た控訴人ら長男及びその妻から、優生手術の被害者でないかとの指摘を受けたが(補正後認定事実⑽イ)、これだけで訴訟提起するに足りる情報を得たことにはならず、専門医の診断を受ける必要性に変わりはない。しかしながら、補正後認定事実⑽カのとおり、一時金法は平成31年4月24日に施行されたものの、大阪府内においては、令和元年7月31日までは、控訴人ら長男が、控訴人1が優生手術を受けたことの確認のための診断書の作成を相談・打診しても、40を超える病院等で断られ、また、控訴人ら代理人弁護士が、大阪府の旧優生保護法一時金受付・相談窓口の担当者に病院の紹介を求めても、一時金支給認定のための手術痕の診断書を作成する病院の紹介はしていないと回答がされ、専門医の診断を受けるための態勢 弁護士が、大阪府の旧優生保護法一時金受付・相談窓口の担当者に病院の紹介を求めても、一時金支給認定のための手術痕の診断書を作成する病院の紹介はしていないと回答がされ、専門医の診断を受けるための態勢は整備されておらず、一時金法所定の診断書作成のための医療機関が見つけられない状況であったものと認められる。そうすると、控訴人らが本件病院の紹介を受けた同月末日までは、弁護士に相談してその支援を受けても、控訴人らは、いつどこで不妊手術を受けたか、それが優生手術に当たるかを確認して、その主張をし、その裏付けとなる書証を添付して、被控訴人に対し損害賠償を求める民事訴訟を提起することは、客観的に不能又は著しく困難な状況にあったということができる。 ウこのような状況の下において、控訴人1は、令和元年8月5日に本件病院で診察を受け、下腹部の切開創が優生手術の術式の痕跡として矛盾はない旨の診断を受け、その旨を記載した本件診断書を取得したのであるから(補正後認定事実⑽カ)、これにより、控訴人らが国家賠償請求訴訟を提起することを客観的に不能又は著しく困難としていた上記事情が解消したというべきである。そして、控訴人らは、同年12月13日に本件訴訟を提起しているから(補正後認定事実⑽カ)、控訴人らの権利行使を客観的に不能又は 著しく困難とする事由が解消されてから6か月を経過するまでに訴訟提起がされたものとして、時効停止の規定の法意に照らし、除斥期間の適用が制限され、民法724条後段の効果は生じないものと解するのが相当である。 したがって、控訴人らの本訴請求権が除斥期間の経過により消滅したとはいえない。 ⑷ これに対し、被控訴人は、別紙3当審における被控訴人の補充主張記載のとおり、主張するが、いずれも採用できない。その理由は、こ 、控訴人らの本訴請求権が除斥期間の経過により消滅したとはいえない。 ⑷ これに対し、被控訴人は、別紙3当審における被控訴人の補充主張記載のとおり、主張するが、いずれも採用できない。その理由は、これまでの説示のとおりであるが、以下、付言する。 ア被控訴人は、除斥期間の例外を幅広く認める解釈を採った場合は、除斥期間の趣旨、目的が損なわれ、法秩序を著しく不安定にすると主張する。 しかしながら、控訴人らの被控訴人に対する損害賠償請求権については、社会通念に照らして権利行使を客観的に不能又は著しく困難とする事由があり、しかも、その事由が被控訴人の立法及びこれに基づく施策によりもたらされたというべきところ、除斥期間の適用をそのまま認めることは、著しく正義・公平の理念に反するというべきであり、このような場合に法定安定性の要請が一定程度後退することはやむを得ないところである。そして、このような例外的な場合に限り除斥期間の適用を制限することにより、法秩序が不安定になることもないというべきである。 イ被控訴人は、時効停止に係る個別規定ではなく、「時効停止の規定の法意(民法158ないし160条)」として、「権利行使を不能又は著しく困難とする事由がある場合に、その事由が解消されてから6か月を経過するまでの間、時効の完成を延期する」という法意を見いだし、かかる法意に照らし、除斥期間の適用が制限されると判断することについて、漠然かつ包括的であり、具体的内容に欠けるものであり、民法の時効停止制度を無視し、正面から抵触する法創造をするものであるなどとも主張する。 しかしながら、時効停止の法意に照らし除斥期間の適用を制限する解釈に より導いた上記要件は、不明確でも漠然としたものでもない。また、時効停止に係る個別規定も、権利行使を客 。 しかしながら、時効停止の法意に照らし除斥期間の適用を制限する解釈に より導いた上記要件は、不明確でも漠然としたものでもない。また、時効停止に係る個別規定も、権利行使を客観的に不能又は著しく困難とする事由の典型的な場合を規定しているにすぎず、これ以外の場合に時効停止の規定の類推適用の余地を否定するものではない。除斥期間においては、時効停止のような規定がない以上、その法意に照らして判断することは、民法の時効停止制度を無視するものでも、法を創造するものでもなく、許される除斥期間の法解釈とその適用の問題である。 ウまた、被控訴人は、控訴人らが損害賠償請求権を行使することを不能又は著しく困難とするような客観的な事由があったとはいえないと主張する。 前記のとおり、控訴人らが被控訴人に対して本件訴訟を提起するためには、①自らが不妊手術を受けたこと、②それが旧優生保護法に基づく優生手術に当たること、③旧優生保護法が憲法に違反していることを主張し、その裏付けとなる書証の写しを添付する必要があり、特に旧優生保護法に基づく優生手術であることを認識していなかった控訴人らにおいて、専門医の診断を経ずに訴訟を提起することが客観的にみて社会通念上不能又は著しく困難な状況が続いたことは、前記⑶イで説示したとおりである。被控訴人は、控訴人らにおいて優生手術であることを認識する機会がなかったとはいえず、平成8年改正の後は権利行使が不可能又は著しく困難であったとはいえない旨主張するが、平成30年1月まで優生手術に係る国家賠償請求訴訟の提起が一切なかった前記事実を無視するものというべきである。 また、そもそも、被控訴人の主張によっても、平成8年改正は旧優生保護法が憲法に違反することを理由にしたものではなく、この点は、一時金法の制定も同 一切なかった前記事実を無視するものというべきである。 また、そもそも、被控訴人の主張によっても、平成8年改正は旧優生保護法が憲法に違反することを理由にしたものではなく、この点は、一時金法の制定も同様であるし、一時金法が施行された平成31年4月当時でさえ、控訴人1が優生手術を受けたことを裏付ける専門医の診断を受けてその診断書を取得することが覚束ない状況であったのであるから、仮に控訴人らが平成8年改正後直ちに訴訟を提起しても、法的及び事実的裏付けのない訴訟 にならざるを得なかったことは火を見るよりも明らかであって、被控訴人の上記主張は、民事訴訟法規ないし実態に即しない観念論といわざるを得ない。 エさらに、被控訴人は、除斥期間の経過による効果を控訴人らに甘受させることが著しく正義・公平の理念に反すると評価することはできないとも主張する。 この点、遅くとも平成8年の旧優生保護法の改正時においては、優生思想ないし優生条項について、障害者差別につながっているとの問題意識が広く社会に認識され得る状況にあり、被控訴人は、優生手術の対象であった障害者等に対する差別等の温床ともなり得る法律について、必要な改正を行うなどといった障害者等に対する差別等を解消するための取組みを行ってきたこと、一時金法が制定され、優生手術を受けた者に対し、一時金320万円(一律)を支給されるなど、除斥期間の経過による不利益も考慮した法整備がされているなどの被控訴人主張の事実は、何ら否定しない。 しかしながら、前述のとおり、被控訴人の主張によっても、平成8年改正は旧優生保護法が憲法に違反することを理由にしたものではないし、一時金法の制定も同様である。また、優生手術による生殖機能の喪失は、生殖機能を永続的に喪失させることを企図したものであり、現に、 年改正は旧優生保護法が憲法に違反することを理由にしたものではないし、一時金法の制定も同様である。また、優生手術による生殖機能の喪失は、生殖機能を永続的に喪失させることを企図したものであり、現に、これにより、子をなすことができなくなったのであるから、これは、両側の睾丸を失ったものに匹敵する重篤な後遺障害に該当するものである。これが交通事故により生じた場合は、自動車損害賠償保障法施行令別表第2の7級13号に、労災事故により生じた場合は、労働者災害補償保険法施行規則別表第1の7級の13に該当し、それを基準に被害者は被害の回復を受けることになるが、その際の賠償又は補償の額と比較した場合、一時金法の定める320万円は、明らかに低額であり、生殖機能喪失に対する損害賠償ないしそれに代替しうる処置と評価することはできない。 そうすると、被控訴人が主張する、被控訴人の長年にわたる取組みというものは、旧優生保護法に基づく優生手術を受けた者に対する損害賠償に関する取組みではない。そして、優生手術に係る国家賠償請求権の行使を客観的に不能又は著しく困難とする事由があり、その事由が被控訴人の立法及びこれに基づく施策によりもたらされたというべき状況の下において、ただ除斥期間の経過による効果のみを控訴人らに甘受させることは、まさしく、著しく正義・公平の理念に反するものというべきである。 ⑸ なお、控訴人らは、除斥期間の規定が憲法17条に反し、意味上の一部違憲である旨、控訴人らの取得した国家賠償請求権について除斥期間の規定を適用することは同条に違反して違憲である旨を主張するが、控訴人らの本訴請求権については、上記の理由により除斥期間の適用が制限され、民法724条後段の効果は生じないことから、上記主張については判断の要をみない。 第4 結論 て違憲である旨を主張するが、控訴人らの本訴請求権については、上記の理由により除斥期間の適用が制限され、民法724条後段の効果は生じないことから、上記主張については判断の要をみない。 第4 結論以上によれば、控訴人1の請求(1100万円及びこれに対する令和2年1月28日から支払済みまで民法所定の年5%の割合による遅延損害金の支払を求めるもの)は全て理由があるから、これを認容し、控訴人2の請求は損害賠償として220万円及びこれに対する前同日から支払済みまで民法所定の年5%の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから、その限りで認容し、その余の請求を棄却すべきである。 よって、これと異なる原判決を変更することとして、主文のとおり判決する。 大阪高等裁判所第4民事部 裁判長裁判官阪本勝 裁判官遠藤俊郎 裁判官大野祐輔 (別紙1)当事者目録は、記載省略 (別紙2)当審における控訴人らの補充主張 第1 本件の特殊性本件は戦後最大の人権侵害事案であり、障害者であることのみをもって「不良」と決めつけ、障害者を狙い撃ちにして断種しようとした、非人道的行為の極みたる行為にかかる国家賠償請求権の存否が問題となっている事案である。 国際社会に目を向ければ、集団殺害罪の防止及び処罰に関する条約(いわゆるジェノサイド条約)は、第2条において集団殺害(ジェノサイド)を定義するところ、同条(d)は、集団内における出生を防止することを意図する措置を課すことを 団殺害罪の防止及び処罰に関する条約(いわゆるジェノサイド条約)は、第2条において集団殺害(ジェノサイド)を定義するところ、同条(d)は、集団内における出生を防止することを意図する措置を課すことをジェノサイドであると規定する。旧優生保護法の制定及び優生手術は、このジェノサイドにすら該当するものであり、国際法上の犯罪になり得る非人道的かつ残虐な行為である。 以上の点において、本件は一般的な不法行為事案あるいは国家賠償請求事件とは一線を画する重大な事件である。また、類例のあり得ない戦後最大の人権侵害事案における法解釈や判断が他事件へ影響を与えることなどない。本件においては、この点を考慮して判断されなければならない。 第2 除斥期間の起算点について原判決は、除斥期間の起算点を控訴人1に対する優生手術の実施時(昭和49年●月●日)であるとするが、誤りである。戦後最大の人権侵害事案である本件において、除斥期間の起算点を優生手術の時と解することの正当性は何もない。当該起算点から除斥期間の進行を認めることが被害者にとって著しく酷であり、かつ、当該起算点から相当の期間が経過した後に被害者が現れて損害賠償請求がなされることを予期すべき事情も存するときには、当該起算点から除斥期間を進行させることは認めず、それとは異なる起算点を別途措定するという考え方があることは、過去の最高裁判決から明白であり、本件がこれに当 たることも明らかであるから、優生手術の時を起算点とすることはできず、それとは異なる起算点を別途措定する必要がある。 そして、厚生労働大臣の本件答弁は、被控訴人(国)が初めて、優生手術の被害の実態調査とそれに対する補償等の必要性(換言すれば、優生手術が違法であった、という可能性)に言及したもので、それまでは、優生手術の被害者の 働大臣の本件答弁は、被控訴人(国)が初めて、優生手術の被害の実態調査とそれに対する補償等の必要性(換言すれば、優生手術が違法であった、という可能性)に言及したもので、それまでは、優生手術の被害者の支援者ですら優生手術が違法である可能性すら認知できていなかったのである。 したがって、本件における除斥期間の起算点は、どんなに早くとも平成16年3月24日であるから、除斥期間は未経過であり、控訴人らの国家賠償請求権は消滅していない。 第3 除斥期間の適用制限について 1 適用制限の要件について原判決は、除斥期間の適用制限との関係で、時効の停止に関する規定(民法158条ないし160条)の法意の参酌を強いるが、誤りである。除斥期間の適用が制限される理由は、除斥期間の適用をそのまま認めることが著しく正義・公平の理念に反する点にあり、これで十分である。とりわけ、戦後最大の人権侵害事案である本件において、除斥期間の適用を認める余地などない。 2 6か月の期間について仮に除斥期間の適用を排するためには、他の条文の法意の参照を要するとしても、その参照の結果、「6か月」という線引きがなされる論理的な必然性はない。非人道的かつ差別的な烙印を押され、社会的な差別や偏見に晒されてきた優生手術の被害者が有する国家賠償請求権に係る除斥期間との関係で、時効の停止に関する「6か月」という期間をそのまま適用することなど到底できない。 別途、民法1条等の法意をも参照する余地も否定されないから、戦後最大の人権侵害であることをも考慮して、例えば、国家が蔓延させた差別・偏見に起因する、控訴人らの権利行使を著しく困難にしている事由が解消された時から5年間は除斥期間の適用が制限される余地も十分にある。 3 訴訟提起の前提となる情報や相談機会へのアク に起因する、控訴人らの権利行使を著しく困難にしている事由が解消された時から5年間は除斥期間の適用が制限される余地も十分にある。 3 訴訟提起の前提となる情報や相談機会へのアクセスが著しく困難な環境そのものが解消された時期について原判決は、平成30年1月30日(仙台で優生手術に関する国家賠償請求訴訟が提起された日)から間もない時期において、「訴訟提起の前提となる情報や相談機会へのアクセスが著しく困難な環境そのもの」が解消されたものとみるのが相当と判示するが、誤りである。そもそも原判決が依拠する、訴訟提起の前提となる情報や相談機会へのアクセスが著しく困難な環境そのものが解消されたか否かを基準とする判断定式自体が是認できない。仮に、その点を措くとしても、ここにいう「情報」は、「訴訟提起の前提となる」情報であるから、「控訴人1が優生手術の被害者である」という情報も当然に含まれると解するほかないところ、平成30年1月30日から間もない時期においては、依然として、控訴人らは同情報にアクセスできていなかった。控訴人ら長男は、同情報を確認する上で最も基礎的な資料である診断書を取得するために数々の病院に診断書作成を打診したが、旧優生保護法の下で生み出された非人道的かつ差別的な烙印に起因して、依然として色濃く社会に残存する優生手術の被害者に対する社会的な差別や偏見ゆえに病院をたらい回しにされ、診断書を取得するのに実に約4か月を要し、やっとの思いで現に診断書を取得し、控訴人らが、自らが優生手術の被害者であることを客観的に確認できる資料を取得し、訴訟提起の前提となる情報にアクセスできたのは令和元年8月5日である。「訴訟提起の前提となる情報や相談機会へのアクセスが著しく困難な環境」が解消されたのは、どんなに早くとも同日であり、そ を取得し、訴訟提起の前提となる情報にアクセスできたのは令和元年8月5日である。「訴訟提起の前提となる情報や相談機会へのアクセスが著しく困難な環境」が解消されたのは、どんなに早くとも同日であり、それから約4か月後に本訴を提起しているのであるから、除斥期間の適用制限が否定される余地などない。 第4 補充原判決言渡後、本件と同じく優生手術の被害者が提訴した国家賠償請求事件(当庁令和3年(ネ)第2139号国家賠償請求控訴事件)の第二審判決が言い渡されたが、同判決は、当該事件における控訴人らの国家賠償請求を一部認容 した。同判決は、大要、優生手術の被害者自身が優生手術を受けたことを認識したことに加え、被控訴人が優生条項を憲法の規定に違反していると認めた時、又は、優生条項が憲法の規定に違反していることが最高裁判所の判決により確定した時のいずれか早い時期から6か月を経過するまでの間は、除斥期間の経過による法律効果が発生しないものと解するのが相当である旨判示した。同判決が認定した事実及び同認定事実に照らして示した法的判断も踏まえれば、本件において、控訴人らの国家賠償請求権が除斥期間の経過によって消滅することなどあり得ない。 以上 (別紙3)当審における被控訴人の補充主張 第1 除斥期間の経過による効果を制限するための要件について最高裁平成10年6月12日第二小法廷判決・民集52巻4号1087頁(以下、ここでは「最高裁平成10年判決」という。)及び最高裁平成21年4月28日第三小法廷判決・民集63巻4号853頁(以下、ここでは「最高裁平成21年判決」という。)は、民法724条後段が除斥期間を定めたものと解した最高裁平成元年12月21日第一小法廷判決・民集43巻12号2209頁(以下、 63巻4号853頁(以下、ここでは「最高裁平成21年判決」という。)は、民法724条後段が除斥期間を定めたものと解した最高裁平成元年12月21日第一小法廷判決・民集43巻12号2209頁(以下、ここでは「最高裁平成元年判決」という。)を踏襲した上で、個別の事案に応じた判断を示したものであり、例外が認められないはずの除斥期間の経過による権利消滅の効果について例外を認めたものであり、その射程距離は極めて限定されたものである。除斥期間の例外を幅広く認める解釈を採った場合、最高裁平成元年判決が判例として示した不法行為をめぐる法律関係の画一的な確定を図るという除斥期間の趣旨、目的が損なわれ、法秩序を著しく不安定にすることは明らかである。 そして、最高裁平成10年判決及び最高裁平成21年判決が判例法理として示した除斥期間が経過しても民法724条後段の効果が制限される「特段の事情」が認められる場合とは、①時効停止に係る各規定のように、その法意を参照することにより除斥期間の経過による効果を制限する根拠となる明文の規定と当該規定により法定された客観的な事由に相当する事由があり(基準①)、かつ、②基準①に係る客観的な事由が債務者の不法行為に起因するため、除斥期間の経過による効果を債権者に甘受させることが著しく正義・公平の理念に反するといった極めて例外的な場合(基準②)に限られるというべきである。 しかるに、本件においては、基準①及び基準②の要件を充足するとはいえ ないから、除斥期間が経過しても民法724条後段の効果が生じない「特段の事情」は認められない。 第2 控訴人らには除斥期間経過の効果を制限する根拠となる明文の規定に法定された事由がないこと 1 除斥期間の経過による効果を制限する根拠となる規定により法定された客観的な事由 は認められない。 第2 控訴人らには除斥期間経過の効果を制限する根拠となる明文の規定に法定された事由がないこと 1 除斥期間の経過による効果を制限する根拠となる規定により法定された客観的な事由に相当し、権利行使の措置を執ることを不能又は著しく困難とする「客観的な事由」が認められることを要するものであるところ、原判決の挙げる事情は、民法158条ないし160条が定める事由に相当する「客観的な事由」のいずれにも該当しない。 また、法律の一般条項や明文の規定に基づかない条理を根拠として、除斥期間の規定の適用又は除斥期間の経過による効果を制限することは、同法158条1項又は160条という時効停止に係る個別規定の法意が妥当することを要求した最高裁平成10年判決及び最高裁平成21年判決の考え方と全く整合しない。 2 この点、原判決は、時効停止に係る個別規定ではなく、「時効停止の規定の法意(民法158ないし160条)」として、「権利行使を不能又は著しく困難とする事由がある場合に、その事由が解消されてから6か月を経過するまでの間、時効の完成を延期する」という法意を見いだし、かかる法意に照らし、除斥期間の適用が制限されると判断している。 しかし、原判決がいうところの時効停止の規定の法意の内容は、漠然かつ包括的であり、具体的内容に欠けるものといわざるを得ない。また、原判決が「時効停止の規定(民法158条から160条まで)」に共通する法意として被害者や被害者の相続人による権利行使を客観的に不能又は著しく困難とする事由があり、しかも、その事由が、加害者の不法行為に起因している場合に時効停止の規定による時効完成の効果発生を猶予するというのであれば、そのような時効停止に係る規定の解釈が、一般に「権利行使や時効中断の措置を執ることが不能又 行為に起因している場合に時効停止の規定による時効完成の効果発生を猶予するというのであれば、そのような時効停止に係る規定の解釈が、一般に「権利行使や時効中断の措置を執ることが不能又 は著しく困難である場合」に時効停止を認めるという法規整の在り方を採用せず、そのような場合の一部の事由を個別に列挙し、当該事由がある場合に限って時効停止を認めるという法規整の在り方をあえて採用している我が国の民法の時効停止制度を全く無視し、このような法規整の在り方を正面から抵触する法創造をするものにほかならず、そもそも法解釈の限界を超え許されないし、それを消滅時効よりも更に法的安定性を図ることを本質的機能として有している除斥期間に及ぼすという解釈は、除斥期間の趣旨、目的に反し許されない。 第3 控訴人らが損害賠償請求権を行使することを不能又は著しく困難とするような客観的な事由があったとはいえないこと旧優生保護法上、優生手術実施の事実を秘密として扱うことを前提とする規定はなく、優生手術を受けた者がそのことを認識できないような仕組みにはなっていなかった。本件においても、控訴人らが、自己又は配偶者の受けた不妊手術が、旧優生保護法の規定に基づく優生手術であることを認識することができないような仕組みとはなっていなかった。控訴人らについて、意思能力に問題があったとはうかがわれないところ、自己又は配偶者が旧優生保護法に基づく優生手術を受けたことを認識し得たし、自己又は配偶者の受けた不妊手術が旧優生保護法に基づく優生手術であることを認識する機会がなかったとはいえない。控訴人らが自己又は配偶者に不妊手術が実施された根拠を調査し、あるいは、検討することは可能であり、自己又は配偶者に実施された不妊手術が聴覚障害を理由とする強制されたものであること、それが旧 えない。控訴人らが自己又は配偶者に不妊手術が実施された根拠を調査し、あるいは、検討することは可能であり、自己又は配偶者に実施された不妊手術が聴覚障害を理由とする強制されたものであること、それが旧優生保護法に基づく優生手術であることを認識する機会がなかったとはいえない。 そうすると、遅くとも平成8年改正の後は、これを契機として、いわゆる優生思想や優生手術に関する規定や文言に何らかの法的問題があったことについて検討することが不可能であったとか、著しく困難であった、又はそのような状況が継続していたとはいえない。なお、原判決の挙げる事情は、そもそも「主観的な」事由であって、「客観的な」事由に当たらないものと いうべきである。 第4 除斥期間の経過による効果を控訴人らに甘受させることが著しく正義・公平の理念に反すると評価することはできないこと被控訴人あるいは国会議員において、優生思想及び優生条項についての問題意識が明確化されていき、これらが障害者に対する差別となっていることが明らかにされた上で、平成8年の旧優生保護法の改正に至ったこと、被控訴人が、同法に基づく優生手術の対象であった障害者等に対する差別等の温床ともなり得る法律について、必要な改正を行うなどし、昭和50年代から平成8年法律第105号の施行前後を通じ、一貫して障害者等に対する差別等を解消するための取組みを行ってきたことは、事実として認められる。 遅くとも平成8年の旧優生保護法の改正時においては、優生思想ないし優生条項について、障害者差別につながっているとの問題意識が広く社会に認識され得る状況にあり、被控訴人は、優生手術の対象であった障害者等に対する差別等の温床ともなり得る法律について、必要な改正を行うなどといった障害者等に対する差別等を解消するため 題意識が広く社会に認識され得る状況にあり、被控訴人は、優生手術の対象であった障害者等に対する差別等の温床ともなり得る法律について、必要な改正を行うなどといった障害者等に対する差別等を解消するための取組みを行ってきたのであるから、これらの事実を併せて考慮すれば、本件において、除斥期間の経過による効果を控訴人らに甘受させることが著しく正義・公平の理念に反すると評価することはできない。 以上

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