主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人の請求をいずれも棄却する。 第2 事案の概要(以下、略語は原判決の例による。) 1 被控訴人の請求、原判決及び控訴⑴ 被控訴人は、控訴人に対して令和2年度分及び令和3年度分のふるさと納 税の返礼品の発注等に関する業務を委託した。被控訴人は、控訴人が令和2年度分の返礼品の一部を発送することができず、当該債務不履行について被控訴人が控訴人に対して支払った委託料相当の損害が発生し、また、令和3年度分について委託業務の控訴人による履行は不能であったから被控訴人は契約を解除したと主張して、控訴人に対し、次のとおり請求した。 ア令和2年度分の契約について主位的に債務不履行に基づく損害賠償請求として、予備的に民法656条及び646条に基づく前払費用の返還請求として、3766万2240円及びこれに対する履行期限の翌日である令和4年3月1日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の支払 イ令和3年度分の契約について業務委託契約の解除に伴う違約金として41万6563円及びこれに対する履行期限の翌日である令和4年3月1日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の支払⑵ 原審は、被控訴人の上記⑴アの主位的請求を全て認め、上記⑴イの請求の うち、円未満を切り捨てる計算方法を採用して1円のみ棄却し、その他の請 求を認めた。控訴人は、敗訴部分を不服として控訴したと解される。 2 前提事実、争点及び争点に関する当事者の主張後記3のとおり当審における控訴人の補充主張を付加するほかは、原判決の「第2 求を認めた。控訴人は、敗訴部分を不服として控訴したと解される。 2 前提事実、争点及び争点に関する当事者の主張後記3のとおり当審における控訴人の補充主張を付加するほかは、原判決の「第2 事案の概要」の1から3の記載を引用する。 3 当審における控訴人の補充主張 ⑴ 被控訴人は、控訴人の債務の未履行によっても、寄附金から提供商品代金及び委託料を差し引いた残額に相当する利益を得ているから、損害は、生じていない。 ⑵ 被控訴人が控訴人と協議して対応策を検討する義務を怠ったにもかかわらず、控訴人から受け入れ可能な具体的な提案がなかったとして、控訴人に帰 責性がないとはいえないと判断するのは、相当でない。 ⑶ 令和3年契約に関し、令和3年8月段階では、返礼品の規模が判明しておらず、履行不能かどうか判断できない。なお、契約解除時の覚書に違約金の記載がない。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も、被控訴人の請求は原判決主文の限度で理由があると判断する。 その理由については、後記2のとおり当審における控訴人の補充主張に対する判断を付加するほかは、原判決の「第3 当裁判所の判断」の記載を引用する。 ただし、原判決第3・2⑶(令和2年契約についての損害に関する判断部分)第2段落を次のとおり改める。 「 控訴人の債務不履行により被控訴人が得られなかった利益は、控訴人による役務であり、得られなかった役務を填補するための費用は、未履行部分の業務委託料に相当する金額を下回るものではない。仮に調達・発送が未履行である返礼品につき、返礼品の発注、寄附者からの問合せ、苦情等の対応など控訴人が何らかの業務を行っていたとしても、委託業務の根幹である返礼 品の調達・発送業務を他者が代替して行う場合の費用等は、未履行部分の業 、返礼品の発注、寄附者からの問合せ、苦情等の対応など控訴人が何らかの業務を行っていたとしても、委託業務の根幹である返礼 品の調達・発送業務を他者が代替して行う場合の費用等は、未履行部分の業 務委託料に相当する金額を下回らないと推認される。 したがって、被控訴人の填補賠償による損害は、未履行部分の業務委託料に相当する金額と評価できる。」 2 当審における控訴人の補充主張に対する判断⑴ 控訴人は、被控訴人は、控訴人の債務の未履行によっても、寄附金から提 供商品代金及び委託料を差し引いた残額に相当する利益を得ているから、損害は生じていないと主張する。 しかし、控訴人は、多数の返礼品送付の事務をしておらず、得られなかった役務を填補するための費用は、未履行部分の業務委託料に相当する金額を下回らない。被控訴人が寄附金から利益が得られていたとしても、被控訴人 は、控訴人の債務不履行により、多大な信用棄損、記者会見や寄附者への対応、代替品の調達・発送業務の費用などが生じており、補正して引用する原判決第3・2⑶の填補賠償がされなければ、控訴人が債務を履行した場合の利益より減少していることは、明らかである。 したがって、被控訴人が寄附金から利益を得ていることによって、被控訴 人に損害が生じていないことにはならない。 ⑵ 控訴人は、被控訴人が控訴人と協議して対応策を検討する義務を怠ったにもかかわらず、控訴人から受け入れ可能な具体的な提案がなかったとして、控訴人に帰責性がないとすることは不当であると主張する。 しかし、控訴人は、令和2年契約及び令和3年契約により、返礼品の発注、 購入及び発送業務を受託し被控訴人に対し、同業務を遅滞なく適正に行う債務を負う。その業務を行うための取引業者の選定や当該取引業者の 控訴人は、令和2年契約及び令和3年契約により、返礼品の発注、 購入及び発送業務を受託し被控訴人に対し、同業務を遅滞なく適正に行う債務を負う。その業務を行うための取引業者の選定や当該取引業者の管理は、控訴人の責任で行うべきである。有償業務委託契約の委託者である被控訴人において、報酬支払義務のほか、控訴人の義務の履行に関し、信義則上、協力義務が認められるとしても、取引上の経験則に照らして、控訴人の取引先 である返礼品提供事業者の信用不安がある場合、当該返礼品提供事業者が負 う代金債務を被控訴人が直接支払う義務を負うとまでは認められない。また、被控訴人は、控訴人による返礼品の調達・発送が遅延していることを把握した際、出荷遅延について打ち合わせをし、対応案を考えるよう依頼している。 被控訴人が対応策の検討につきそれ以上の協力をしなかったとしても、控訴人の上記責任に照らして、控訴人の帰責性を否定する事情とは認められない。 ⑶ 控訴人は、令和3年契約に関し、令和3年8月段階では、返礼品の規模が判明しておらず、履行不能か判断できないため、同契約の解除は不当であると主張する。 しかし、原判決第3・2⑷を引用して説示したとおり、令和2年契約の履行状況や令和2年契約と同じ返礼品提供事業者からの調達が含まれていたこ とから、控訴人の責めに帰する事由により履行期限までに委託業務を完了する見込みがないとして解除事由(令和3年契約9条1項1号、2号)に該当すると認められる。 なお、控訴人は、契約解除時の覚書に違約金の記載がないと指摘するが、違約金は、令和3年契約に基づき発生するもので、同覚書で違約金を請求し ない旨の清算条項が定められたものでもないため、違約金の請求を妨げるものではない。 ⑷ 以上のとおり、控訴人の主 るが、違約金は、令和3年契約に基づき発生するもので、同覚書で違約金を請求し ない旨の清算条項が定められたものでもないため、違約金の請求を妨げるものではない。 ⑷ 以上のとおり、控訴人の主張はいずれも採用できない。控訴人は、その他種々の主張をするが、本件の結論は、左右されない。 3 結語 よって、原判決は相当であり、本件控訴は理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。 福岡高等裁判所第3民事部裁判長裁判官久留島群一 裁判官山下隼人 裁判官渡邊典子
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