平成30(ワ)20178 特許権侵害差止等請求事件

裁判年月日・裁判所
令和4年11月30日 東京地方裁判所
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令和4年11月30日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成30年(ワ)第20178号特許権侵害差止等請求事件 口頭弁論終結日令和4年7月15日判決 原告 フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム 同訴訟代理人弁護士 古城春実 堀籠佳典 牧野知彦 同訴訟復代理人弁護士 岡田健太郎 同補佐人弁理士 須田洋之 被告 ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン合同会社 同訴訟代理人弁護士 設樂隆一 塚原朋一 岡崎士朗 尾関孝彰 本高廣 水野秀一 佐藤慧太 石川裕彬 菅原高志 高橋美智留 伊藤晴國 同訴訟復代理人弁理士 今村玲英子 同訴訟復代理人弁護士 大野聖二 伊藤晴國同訴訟復代理人弁理士今 村 玲英子 同訴訟復代理人弁護士大野聖二 小林英了同補佐人弁理士小曳満昭池田成人 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 3 この判決に対する控訴のための付加期間を30日と定める。 事実及び理由 第1 請求 1 被告は、別紙物件目録記載の製品を譲渡し、輸入し、輸出し又は譲渡の申出 をしてはならない。 2 被告は、その占有に係る前項記載の製品を廃棄せよ。 3 被告は、原告に対し、1億円及びこれに対する平成30年7月5日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 事案の要旨本件は、発明の名称をいずれも「加熱器が改善された電気加熱式喫煙システム」とする特許第6210610号の特許(以下「本件特許1」という。)に係る特許権(以下「本件特許権1」という。)及び特許第6210611号の特許(以下、「本件特許2」といい、本件特許1と併せて「本件各特許」とい う。)に係る特許権(以下、「本件特許権2」といい、本件特許権1と併せて「本件各特許権」という。)の特許権者である原告が、被告に対し、別紙物件目録記載の加熱式喫煙具(以下「被告製品1」という。)が本件特許1の特許請求の範囲の請求項1、3(ただし、請求項1に従属するもの)及び4(ただし、請求項1及び3に従属するもの) 被告に対し、別紙物件目録記載の加熱式喫煙具(以下「被告製品1」という。)が本件特許1の特許請求の範囲の請求項1、3(ただし、請求項1に従属するもの)及び4(ただし、請求項1及び3に従属するもの)に係る各発明(以下、「本件発明1- 1」、「本件発明1-3」などという。)並びに本件特許2の特許請求の範囲 の請求項1、6(ただし、請求項1に従属するもの)及び7(ただし、請求項1及び6に従属するもの)に係る各発明(以下、「本件発明2-1」、「本件発明2-6」などという。)の技術的範囲に属し、被告による被告製品1の輸入、販売、輸出及び販売の申出が本件各特許権の侵害に該当し、また、被告による加熱式タバコ「Neostiks」(以下、「被告製品2」といい、被告 製品1と併せて「被告各製品」という。)の輸入、販売、輸出及び販売の申出が本件特許1の特許請求の範囲の請求項8(ただし、請求項1、3及び4に従属するもの)に係る発明(以下「本件発明1-8」という。)並びに本件特許2の特許請求の範囲の請求項8(ただし、請求項1、6及び7に従属するもの)に係る発明(以下、「本件発明2-8」といい、本件発明1-1、1-3、1 -4及び1-8並びに2-1、2-6及び2-7と併せて「本件各発明」という。)についての特許法101条1号又は2号の間接侵害に該当すると主張して、同法100条1項に基づき、被告各製品の譲渡、輸入、輸出及び譲渡の申出の差止めを、同条2項に基づき、被告各製品の廃棄をそれぞれ求め、民法709条に基づき、合計1億円(被告製品1につき本件特許権1又は本件特許権 2を侵害したことによる損害賠償請求(選択的併合)の一部請求として5000万円、被告製品2につき本件特許権1又は本件特許権2を侵害したことによる損害賠償請求(選択的併合 許権1又は本件特許権 2を侵害したことによる損害賠償請求(選択的併合)の一部請求として5000万円、被告製品2につき本件特許権1又は本件特許権2を侵害したことによる損害賠償請求(選択的併合)の一部請求として5000万円)及びこれに対する訴状送達日の翌日である平成30年7月5日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下同じ。)所定の年5分の割合に よる遅延損害金の支払を求める事案である。 2 争いのない事実(1) 当事者ア原告は、タバコ及びタバコ関連製品の開発、製造、輸入、販売等を業とするフィリップ・モーリスグループに属するスイス法人である。 原告の製品には、平成26年に日本で発売された加熱式タバコ用の加熱 器「IQOS」並びに「IQOS」専用の加熱式タバコ「HEETS」及び「HEATSTICKS」がある。 イ被告は、タバコ及びタバコ関連製品の輸入、販売を業とする合同会社であり、その取り扱う製品には、加熱式タバコ用の電気式加熱器及びタバコ材料を含む加熱式タバコが含まれる。 (2) 本件各特許ア原告は、平成29年4月10日、本件特許1に係る特許出願(特願2017-77351号、優先日平成21年10月29日、優先権主張国欧州特許庁)をし、平成29年9月22日、本件特許権1の設定の登録(請求項の数10)を受けた(以下、同特許出願の願書に添付した明細書及び図 面を併せて「本件明細書1」という。また、明細書の発明の詳細な説明中の段落番号を【0001】などと、図面を【図1】などと、それぞれ記載する。)。 イまた、原告は、平成29年4月10日、本件特許2に係る特許出願(特願2017-77354号、優先日平成21年10 落番号を【0001】などと、図面を【図1】などと、それぞれ記載する。)。 イまた、原告は、平成29年4月10日、本件特許2に係る特許出願(特願2017-77354号、優先日平成21年10月29日、優先権主張 国欧州特許庁。以下、同優先日と本件特許1に係る優先日とを併せて「本件優先日」という。)をし、平成29年9月22日、本件特許権2の設定の登録(請求項の数10)を受けた(以下、同特許出願の願書に添付した明細書及び図面を併せて「本件明細書2」といい、本件明細書1と併せて「本件各明細書」という。)。 (3) 本件各発明に係る特許請求の範囲ア本件特許1の特許請求の範囲の請求項1、3、4及び8の各記載は、以下のとおりである。 (ア) 【請求項1】エーロゾル形成基体を受け取るための電気加熱式喫煙システムであっ て、 前記エーロゾル形成基体を加熱してエーロゾルを形成するための少なくとも1つの加熱器と、前記少なくとも1つの加熱器に電力を供給するための電源と、を含み、前記少なくとも1つの加熱器は、電気絶縁基体上に1つ又はそれより も多くの導電トラックを含み、前記電気絶縁基体は、ポリイミドで形成されており管状に巻かれ、前記少なくとも1つの加熱器は、前記エーロゾル形成基体を取り囲み又は部分的に取り囲む、ことを特徴とするシステム。 (イ) 【請求項3】前記1つ又はそれよりも多くの導電トラックは、各部分が前記電源に別々に接続可能である複数の部分を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電気加熱式喫煙システム。 (ウ) 【請求項4】 はそれよりも多くの導電トラックは、各部分が前記電源に別々に接続可能である複数の部分を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電気加熱式喫煙システム。 (ウ) 【請求項4】 前記1つ又はそれよりも多くの導電トラックの異なる部分が、異なる持続時間にわたって加熱されるか、異なる温度で加熱されるか、又は、異なる持続時間にわたって異なる温度で加熱されるように、前記電源から前記少なくとも1つの加熱器までの電力の供給を制御するように配置された電子回路を更に含むことを特徴とする請求項3に記載の電気加熱 式喫煙システム。 (エ) 【請求項8】前記システムは、加熱時に前記エーロゾル形成基体から放出される揮発性タバコ香味化合物を含有するタバコ含有材料を含むエーロゾル形成基体を含むことを特徴とする請求項1から7までのいずれか1項に記載 の電気加熱式喫煙システム。 イ本件特許2の特許請求の範囲の請求項1及び6ないし8の各記載は、以下のとおりである。 (ア) 【請求項1】エーロゾル形成基体を受け取るための電気加熱式喫煙システムであって、 前記エーロゾル形成基体を加熱してエーロゾルを形成するための少なくとも1つの加熱器であって、前記少なくとも1つの加熱器が電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含み、前記電気絶縁基体が管状である、少なくとも1つの加熱器と、前記少なくとも1つの加熱器に電力を供給するための電源と、 前記加熱器を絶縁するために前記加熱器の周りに配置された熱絶縁要素であって、前記熱絶縁要素が金属を含む、熱絶縁要素と、を含む少なくとも1つのことを特徴とする と、 前記加熱器を絶縁するために前記加熱器の周りに配置された熱絶縁要素であって、前記熱絶縁要素が金属を含む、熱絶縁要素と、を含む少なくとも1つのことを特徴とするシステム。 (イ) 【請求項6】前記1つ又はそれよりも多くの導電トラックは、各部分が前記電源に 別々に接続可能である複数の部分を含むことを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載の電気加熱式喫煙システム。 (ウ) 【請求項7】前記1つ又はそれよりも多くの導電トラックの異なる部分が、異なる持続時間にわたって加熱されるか、異なる温度で加熱されるか、又は、 異なる持続時間にわたって異なる温度で加熱されるように、前記電源から前記少なくとも1つの加熱器までの電力の供給を制御するように配置された電子回路を更に含むことを特徴とする請求項6に項記載の電気加熱式喫煙システム。 (エ) 【請求項8】 前記システムは、加熱時に前記エーロゾル形成基体から放出される揮 発性タバコ香味化合物を含有するタバコ含有材料を含むエーロゾル形成基体を含むことを特徴とする請求項1から7までのいずれか1項に記載の電気加熱式喫煙システム。 (4) 本件各発明の構成要件の分説ア本件発明1-1、1-3、1-4及び1-8は、以下の構成要件に分説 することができる(以下、各構成要件につき、頭書の記号に従って「構成要件1A」などという。後記イにおいても同じ。)。 (ア) 本件発明1-11A エーロゾル形成基体を受け取るための電気加熱式喫煙システムであって、 1B 前記エーロゾル形成基体を加熱してエーロゾルを形成するた 本件発明1-11A エーロゾル形成基体を受け取るための電気加熱式喫煙システムであって、 1B 前記エーロゾル形成基体を加熱してエーロゾルを形成するための少なくとも1つの加熱器と、1C 前記少なくとも1つの加熱器に電力を供給するための電源と、を含み、1D 前記少なくとも1つの加熱器は、電気絶縁基体上に1つ又 はそれよりも多くの導電トラックを含み、1E 前記電気絶縁基体は、ポリイミドで形成されており管状に巻かれ、1F 前記少なくとも1つの加熱器は、前記エーロゾル形成基体を取り囲み又は部分的に取り囲む、 1G-1 ことを特徴とするシステム。 (イ) 本件発明1-31H 前記1つ又はそれよりも多くの導電トラックは、各部分が前記電源に別々に接続可能である複数の部分を含む1G-3 ことを特徴とする請求項1に記載の電気加熱式喫煙システ ム。 (ウ) 本件発明1-41I 前記1つ又はそれよりも多くの導電トラックの異なる部分が、異なる持続時間にわたって加熱されるか、異なる温度で加熱されるか、又は、異なる持続時間にわたって異なる温度で加熱されるように、前記電源から前記少なくとも1つの加 熱器までの電力の供給を制御するように配置された電子回路を更に含む1G-4 ことを特徴とする請求項3(ただし、請求項1に従属するもの)に記載の電気加熱式喫煙システム。 (エ) 本件発明1-8 1J 加熱時に前記エーロゾル形成基体から放出される揮発性タバコ香味化合物を含有するタバコ含有材 るもの)に記載の電気加熱式喫煙システム。 (エ) 本件発明1-8 1J 加熱時に前記エーロゾル形成基体から放出される揮発性タバコ香味化合物を含有するタバコ含有材料を含むエーロゾル形成基体を含むことを特徴とする1G-8 請求項1、3(ただし、請求項1に従属するもの)及び4(ただし、請求項1及び3に従属するもの)のいずれか1項 に記載の電気加熱式喫煙システム。 イ本件発明2-1、2-6、2-7及び2-8は、以下の構成要件に分説することができる。 (ア) 本件発明2-12A エーロゾル形成基体を受け取るための電気加熱式喫煙シス テムであって、2B 前記エーロゾル形成基体を加熱してエーロゾルを形成するための少なくとも1つの加熱器であって、2C 前記少なくとも1つの加熱器が電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含み、 2D 前記電気絶縁基体が管状である、少なくとも1つの加熱器 と、2E 前記少なくとも1つの加熱器に電力を供給するための電源と、2F 前記加熱器を絶縁するために前記加熱器の周りに配置された熱絶縁要素であって、前記熱絶縁要素が金属を含む、熱絶 縁要素と、2G-1 を含む少なくとも1つのことを特徴とするシステム。 (イ) 本件発明2-62I 前記1つ又はそれよりも多くの導電トラックは、各部分が前記電源に別々に接続可能である複数の部分を含む 2G-6 ことを特徴とする請求項1に記載の電気加熱式喫煙システム。 (ウ) 本件発明2-7 ラックは、各部分が前記電源に別々に接続可能である複数の部分を含む 2G-6 ことを特徴とする請求項1に記載の電気加熱式喫煙システム。 (ウ) 本件発明2-72J 前記1つ又はそれよりも多くの導電トラックの異なる部分が、異なる持続時間にわたって加熱されるか、異なる温度で 加熱されるか、又は、異なる持続時間にわたって異なる温度で加熱されるように、前記電源から前記少なくとも1つの加熱器までの電力の供給を制御するように配置された電子回路を更に含む2G-7 ことを特徴とする請求項6(ただし、請求項1に従属する もの)に項記載の電気加熱式喫煙システム。 (エ) 本件発明2-82H 前記システムは、加熱時に前記エーロゾル形成基体から放出される揮発性タバコ香味化合物を含有するタバコ含有材料を含むエーロゾル形成基体を含むことを特徴とする 2G-8 請求項1、6(ただし、請求項1に従属するもの)及び7 (ただし、請求項1及び6に従属するもの)のいずれか1項に記載の電気加熱式喫煙システム。 (5) 被告による被告各製品等の販売等被告は、平成28年12月から、被告各製品の輸入、販売、輸出及び販売の申出をしている。 また、被告は、令和元年7月29日から、被告製品2を挿入して使用することができる加熱式喫煙具「glopro」(以下「訴外被告製品」という。)のテスト販売を開始し、同年10月3日から、オンラインストア及び全国10都道府県での先行販売を開始し、同年12月5日から、そのほかの都道府県において販売を開始した。 (6) 被告各製品等の構成及び構成要件充足性ア被告製品 インストア及び全国10都道府県での先行販売を開始し、同年12月5日から、そのほかの都道府県において販売を開始した。 (6) 被告各製品等の構成及び構成要件充足性ア被告製品1は、以下の構成を有している。 (ア) 被告製品2のタバコ葉加工体を有する部分を受け入れる空間を内部に有する電気加熱式喫煙システムである。タバコ葉加工体は、エーロゾルフォーマーを含んでいる。 (イ) タバコ葉加工体を加熱してエーロゾルを発生させるヒータを有している。 (ウ) 電力をヒータに供給するバッテリーを備えている。 (エ) ヒータは、挿入された被告製品2のタバコ葉加工体のある部分の周りを取り囲むように構成されている。 イ被告製品2は、以下の構成を有している。 タバコ葉加工体を含んだ部分を有しており、このタバコ葉加工体は、揮発性タバコフレーバー化合物を含んでおり、加熱されてタバコ香味化合物のエーロゾルを放出するエーロゾル形成基体ウ被告製品1は、構成要件1A、1B、1C、1E、1F、1G-1、2 A、2B、2D、2E及び2G-1を充足する。また、被告製品1に被告 製品2を挿入したものは、構成要件1J及び2Hを充足する。 他方で、訴外被告製品は、本件各発明の技術的範囲に属しない。 3 争点(1) 被告各製品が本件各発明の技術的範囲に属するか等ア被告製品1が構成要件1D及び2Cを充足するか (ア) 被告製品1が「導電トラック」を備えるか(争点1-1-1)(イ) 被告製品1が「電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含」む構成を備えるか(争点1-1-2)イ被告製品1が構成要件1H及び2Iを充足するか(争点1-2) )(イ) 被告製品1が「電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含」む構成を備えるか(争点1-1-2)イ被告製品1が構成要件1H及び2Iを充足するか(争点1-2)ウ被告製品1が構成要件1I及び2Jを充足するか(争点1-3) エ被告製品1が構成要件2Fを充足するか(争点1-4)オ被告製品2について間接侵害が成立するか(ア) 特許法101条1号の間接侵害が成立するか(争点1-5-1)(イ) 特許法101条2号の間接侵害が成立するか(争点1-5-2)(2) 無効の抗弁の成否 ア本件各発明についての国際公開第2007/039794号(以下「乙1公報」という。)を主引用例とする進歩性欠如(争点2-1)イ本件各発明についての米国特許第5530225号明細書(以下「乙66公報」という。)を主引用例とする新規性及び進歩性欠如(争点2-2)ウ本件各発明についての独国特許出願公開第19854005号明細書 (以下「乙68公報」という。)を主引用例とする進歩性欠如(争点2-3)エ本件発明2-1、2-6、2-7及び2-8についての米国特許第5353813号明細書(以下「乙39公報」という。)を主引用例とする新規性及び進歩性欠如(争点2-4) オ本件発明1-1、1-3、1-4及び1-8についての米国特許第53 22075号明細書(以下「乙7公報」という。)を主引用例とする進歩性欠如(争点2-5)カ本件各発明についての明確性要件違反(争点2-6)キ本件発明1-4、1-8、2-7及び2-8についての実施可能要件違反(争点2-7) ク本件各発明についてのサポート要件違反(争 各発明についての明確性要件違反(争点2-6)キ本件発明1-4、1-8、2-7及び2-8についての実施可能要件違反(争点2-7) ク本件各発明についてのサポート要件違反(争点2-8)(3) 損害額(争点3)(4) 差止め等の必要性(争点4)第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1-1-1(被告製品1が「導電トラック」を備えるか)について (原告の主張)(1) 被告製品1が構成要件1D及び2Cの「導電トラック」を備えることア 「導電トラック」の解釈特許請求の範囲には、「導電トラック」が温度センサとしての作用を有しなければならないことを記載した文言はないし、一般的な意味として、 「導電トラック」は、センサとしての機能を有するという特殊な限定が加わった用語として理解されるものでもない。本件各明細書においても、「導電トラック」が加熱器及び温度センサの両方の作用をするものでなければならないことを示す記載はない。 したがって、「導電トラック」は、導電路として機能する「トラック」 であれば足り、加熱機能と温度センサの両方の機能を持つものに限定されるものではない。 イあてはめ被告製品1は、ポリイミド層上に導電路となるステンレススチールの導電性配線を備えており、この導電性配線が「導電トラック」に相当する。 したがって、被告製品1は構成要件1D及び2Cの「導電トラック」を 備える。 (2) 被告の主張に対する反論被告は、「導電トラック」について、抵抗加熱器及び温度センサとして両方の作用をするものでなければならないと主張する。 しかし、本件各明細書は、「製造がより簡単でその 張に対する反論被告は、「導電トラック」について、抵抗加熱器及び温度センサとして両方の作用をするものでなければならないと主張する。 しかし、本件各明細書は、「製造がより簡単でその構成に必要な構成要素 がより少ない電気加熱式喫煙システムを提供すること」(【0004】)を発明の解決課題として挙げ、【0005】以下において、その課題を解決するための手段として採用し得る様々な構成を挙げており、【0005】ないし【0011】では、「本発明の第1の態様」として、電気的絶縁基体上に形成される「導電トラック」、これに関連する電子回路や電源、熱絶縁材料 等について説明し、【0012】以下では、「本発明の第2の態様」として、「本発明」の別の側面を説明しているところ、【0021】以下の「本発明のいずれかの態様」による実施形態の説明では、加熱器に関して、「導電トラック」が温度センサを兼ねるということは一切記載されていない。 また、上記の課題は、「導電トラック」が抵抗加熱器と温度センサとして の両方の作用をしなくとも、薄い電気絶縁基体の上に「導電トラック」を形成し、必要な電子機器、配線及び接続部の一部又は全部を同じ電気絶縁基体上に組み込んで加熱器を構成することによって解決できる。このことは、本件各明細書の【0008】に、「導電トラック」が温度センサの機能を兼ね備えるか否かに依存しない内容が記載されていることからも明らかである。 さらに、本件各明細書の【0078】には、「電気絶縁基体上に形成された導電トラックを含む加熱器を使用すること」により、サイズの縮小が可能となり、電気絶縁基体を薄くし、更なるサイズの縮小が可能となり、必要な電子機器、配線及び接続部の全部又は一部を同じ電気絶縁基体上に組み込むことが 含む加熱器を使用すること」により、サイズの縮小が可能となり、電気絶縁基体を薄くし、更なるサイズの縮小が可能となり、必要な電子機器、配線及び接続部の全部又は一部を同じ電気絶縁基体上に組み込むことができると記載され、【0079】には、「導電トラック」を「望むよ うにかつ好ましい熱分布を与えるように電気絶縁基体に直接に配置する」こ とにより、従来技術よりも直接的かつ効率的に加熱器を製造することができると記載されており、「導電トラック」に加熱器と温度センサの両方の機能を持たせなくとも、サイズの縮小や薄型化、製造の容易性といった課題が解決可能であることが示されている。さらに、【0080】には、「加えて、導電トラックのために使用される材料が適切な抵抗温度係数特性を有するも のと仮定すると、導電トラックは、抵抗加熱器及び温度センサとして両方の作用をすることができる。それによって…電気加熱式喫煙システムのサイズを更に縮小することができる。」と記載されており、「導電トラック」の材料に「適切な抵抗温度係数特性を有する」ものを採用すれば、サイズを更に縮小したものを得られるという追加的な利点があることが記載されている。 以上によれば、本件各明細書には、「導電トラック」が加熱要素と温度センサの両方の機能を持つ場合と、「導電トラック」が単なる加熱要素であって温度センサの機能を持たない場合の両方があることが示されており、「導電トラック」がこれら二つの機能を有することは、発明の目的を達成する上での任意的な選択事項にすぎず、本件各明細書に示された他の種々の特徴に よっても、発明の目的が達成され得ることは明らかであるから、「導電トラック」を被告が主張するように限定して解釈することには理由がない。 (被告の主張)( 示された他の種々の特徴に よっても、発明の目的が達成され得ることは明らかであるから、「導電トラック」を被告が主張するように限定して解釈することには理由がない。 (被告の主張)(1) 被告製品1が構成要件1D及び2Cの「導電トラック」を備えないことア 「導電トラック」の解釈 本件各発明の課題及び作用効果は、「製造がより簡単でその構成に必要な構成要素がより少ない電気加熱式喫煙システムを提供すること」であり(【0004】)、その課題解決手段は、「導電トラック」が抵抗加熱器及び温度センサとして両方の作用をする点にある(本件明細書の【0005】ないし【0008】においても、このことが繰り返し記載されてい る。)。そうすると、「導電トラック」が抵抗加熱器及び温度センサとし て両方の作用をするものであることは、本件各発明の課題解決手段であり、その技術思想の本質的部分である。 また、「導電トラック」という用語は、当業者にとって、その技術上の意味が明らかでない用語であるため、明細書の記載を参酌してその意味を定める必要があるところ、本件各明細書には、「導電トラック」が温度セ ンサの作用を兼ねなくとも課題を解決することができる旨の記載はない。 したがって、本件各明細書の記載を考慮して特許請求の範囲の用語を解釈すれば、「導電トラック」は、抵抗加熱器及び温度センサとして両方の作用をするものでなければならない。 イあてはめ 被告製品1の導電性配線は、単なる抵抗加熱配線であり、温度センサの作用を有せず、導電性配線と温度センサ用の銅配線及び温度センサとが別々に配置されている。また、被告製品1は、●省略●の上に配置されている。 したがって、被告製品1は、「製造 温度センサの作用を有せず、導電性配線と温度センサ用の銅配線及び温度センサとが別々に配置されている。また、被告製品1は、●省略●の上に配置されている。 したがって、被告製品1は、「製造がより簡単でその構成に必要な構成 要素がより少ない電気加熱式喫煙システムを提供する」(【0004】)という本件各発明の作用効果を奏しないから、構成要件1D及び2Cの「導電トラック」を備えない。 (2) 原告の主張に対する反論原告は、「導電トラック」が抵抗加熱器及び温度センサとして両方の作用 をするものでなければならないと解することは、特許請求の範囲に記載のない限定を加えるものであるし、本件各明細書の【0078】ないし【0080】には、「導電トラック」が単なる加熱要素であり、温度センサの機能を有しない場合が記載されていると主張する。 しかし、本件各明細書には、「導電トラック」が温度センサの作用を兼ね なくとも本件各発明の課題が解決される旨の記載は存在せず、【0078】 ないし【0080】においても、「導電トラック」が温度センサの作用を有しなくとも本件各発明の課題が解決されることについて、何ら記載されていない。 したがって、当業者は、「導電トラック」を抵抗加熱器及び温度センサとして作用するものとして理解することになるから、原告の上記主張は理由が ない。 2 争点1-1-2(被告製品1が「電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含」む構成を備えるか)について(原告の主張)(1) 被告製品1が構成要件1D及び2Cの「電気絶縁基体上に1つ又はそれよ りも多くの導電トラックを含」む構成を備えることア 「電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの 主張)(1) 被告製品1が構成要件1D及び2Cの「電気絶縁基体上に1つ又はそれよ りも多くの導電トラックを含」む構成を備えることア 「電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含み」の解釈「電気絶縁基体上」に「導電トラックを含」むとは、文字どおり、「電気絶縁基体」の「上」に「導電トラック」が「含」まれて存在することを 意味し、特別な解釈を必要としない。 イあてはめ被告製品1は、次の図のとおり、●省略●(「電気絶縁基体」)の上に、●省略●(「導電トラック」)を設けている。 ●省略● したがって、被告製品1は構成要件1D及び2Cの「電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含み」を備える。 (2) 被告の主張に対する反論被告は、被告製品1の●省略●一体として「電気絶縁基体」を構成してお り、導電性配線は一体となった●省略●の中に設けられているから、被告製品1は「電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含み」を備えないと主張する。 しかし、被告製品1の●省略●それぞれが明瞭に区別された層であり、「電気絶縁基体」として一体となるものではない。すなわち、被告製品1で は、●省略●したがって、被告製品1の●省略●が「電気絶縁基体」に相当し、「電気絶縁基体上」に「導電トラック」である導電性配線(スチール配線)が設けられていることは明らかである。 また、本件各発明には、「電気絶縁基体上」の「1つ又はそれよりも多くの導電トラック」がむき出しになっているとの限定はないから、●省略●を 設けることは、本件各発明を実施する上での付加的態様にすぎないといえる。 は、「電気絶縁基体上」の「1つ又はそれよりも多くの導電トラック」がむき出しになっているとの限定はないから、●省略●を 設けることは、本件各発明を実施する上での付加的態様にすぎないといえる。 以上によれば、●省略●が一体として「電気絶縁基体」を構成し、導電性配線は「電気絶縁基体上」にないとする被告の上記主張は理由がない。 (被告の主張)(1) 被告製品1が構成要件1D及び2Cの「電気絶縁基体上に1つ又はそれよ りも多くの導電トラックを含」む構成を備えないことア 「電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含み」の解釈「電気絶縁基体上」に「導電トラックを含」むとは、その文言どおり、「電気絶縁基体」の「上」、すなわち表面に「導電トラック」が配置され る構成をいうのであり、「電気絶縁基体」の内部に「導電トラック」が配置されるものは含まれない。 本件各発明のこの構成による作用効果として、本件各明細書には、「電気絶縁基体上に形成された導電トラックを含む加熱器を使用することにより、いくつかの利点がもたらされる。電気加熱式喫煙システムに必要とさ れる構成要素のサイズは、縮小することができる。これによって電気加熱 式喫煙システムのサイズが縮小される。更に、電気絶縁基体は、非常に薄くすることができ、更なるサイズの縮小を可能にする。更に、必要な電子機器、配線、及び接続部の一部又は全ては、加熱器として同じ電気絶縁基体上に組み込むことができる。」(【0078】)と記載されている。すなわち、「電気絶縁基体上に形成された導電トラックを含む加熱器」とい う構成により、構成要素のサイズの縮小、電気加熱器システムのサイズの縮小、「電気絶縁基体」が非常に薄くなる、必要 れている。すなわち、「電気絶縁基体上に形成された導電トラックを含む加熱器」とい う構成により、構成要素のサイズの縮小、電気加熱器システムのサイズの縮小、「電気絶縁基体」が非常に薄くなる、必要な電子機器、配線及び接続部の一部又は全てを加熱器と同じ「電気絶縁基体」上に組み込むことができるという作用効果を奏する。これらの作用効果は、「導電トラック」が「電気絶縁基体」の表面に存在しなければ、奏しないものである。 イあてはめ被告製品1の「加熱器」に相当するヒータ部分の構成は、次の図のとおりである。 ●省略● これによれば、被告製品1において電気絶縁機能を果たすものは、●省略●である。被告製品1では、抵抗加熱配線が●省略●内部に配置され、温度センサが電気絶縁基体●省略●の表面に配置されているから、被告製品1の導電性配線は、「電気絶縁基体上」(表面)ではなく、「電気絶縁基体」の内部に配置されている。 そして、被告製品1は、上記のような構成をしているため、構成要素のサイズを縮小すること、電気加熱式喫煙システムのサイズを縮小すること、電気絶縁基体を非常に薄くすること、必要な電子機器、配線及び接続器の全部又は一部を加熱器と同じ電気絶縁基体上に組み込むことができること(【0078】)といった本件各発明の作用効果をいずれも奏しない。ま た、被告製品1の製法は、●省略●非常に複雑なものであるため、「製造がより簡単でその構成に必要な構成要素がより少ない電気加熱式喫煙システム」(【0004】)という本件各発明の課題も解決していない。 その代わりに、被告製品1では、上記のような構成をとることにより、各構成要素の電気絶縁性の強化及び耐熱性の向上を図 喫煙システム」(【0004】)という本件各発明の課題も解決していない。 その代わりに、被告製品1では、上記のような構成をとることにより、各構成要素の電気絶縁性の強化及び耐熱性の向上を図ったものであり、本 件各発明とは、異なる構成により、異なる作用効果を奏するものであって、その技術思想が異なるものである。 したがって、被告製品1は構成要件1D及び2Cの「電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含」む構成を備えない。 (2) 原告の主張に対する反論 原告は、被告製品1における●省略●本件各発明には「電気絶縁基体上」の「1つ又はそれよりも多くの導電トラック」がむき出しになっているとの限定はないから、●省略●を設けることは本件各発明を実施する上での付加的態様にすぎないと主張する。 しかし、●省略●のみでは、本件各発明の「電気絶縁基体」に該当しない。 本件各発明は、構成要素のサイズを縮小すること、電気加熱式喫煙システムのサイズを縮小すること、電気絶縁基体を非常に薄くすること、必要な電子機器、配線及び接続器の全部又は一部を加熱器と同じ電気絶縁基体上に組み込むことができること(【0078】)といった作用効果を奏するものであるから、「電気絶縁基体」及び「導電トラック」の上に更に●省略●を設け ることは全く想定されておらず、このような構成を排除しているというべきである。 また、被告製品1の「電気絶縁基体」に相当する部分は、●省略●の全てを強固に接着しているものである。そのため、●省略●は、特殊な道具により強引に剥離しようとしない限り、剝離するものではなく、通常の使用方法 では剥離しない。被告製品1を構造的及び機能的に見ると、被告製品1の 「電 そのため、●省略●は、特殊な道具により強引に剥離しようとしない限り、剝離するものではなく、通常の使用方法 では剥離しない。被告製品1を構造的及び機能的に見ると、被告製品1の 「電気絶縁基体」に相当する部分は、●省略●というほかなく、●省略●ではない。 したがって、●省略●を設けることが本件各発明を実施する上での付加的態様にすぎないとする原告の上記主張は理由がない。 3 争点1-2(被告製品1が構成要件1H及び2Iを充足するか)について (原告の主張)(1) 被告製品1が構成要件1H及び2Iの「1つ…の導電トラックは、各部分が前記電源に別々に接続可能である複数の部分を含む」構成を備えることア 「1つ…の導電トラックは、各部分が前記電源に別々に接続可能である複数の部分を含む」の解釈 「導電トラック」とは、導電材料が「トラック」と観念できる形態の導電路を形成していることをいい、一端から他端にわたって一方向に電流が流れることまで要求するものではない。また、「部分」とは、「全体をいくつかに分けたものの一部」又は「着目する全体の中を分けて考えた一つ」を意味する。 したがって、「1つ…の導電トラックは、各部分が前記電源に別々に接続可能である複数の部分を含む」とは、導電路がいくつかの部分を有しており、その各部分がそれぞれ電源に接続できることを意味し、本件各明細書の【0022】にはその一つの形態が説明されている。 イあてはめ 被告製品1は、次の図のとおり、電気絶縁性のポリイミド層1上にステンレススチールの導電性配線が設けられているところ、中央の接続点4に対して左右略対象の二つの部分(以下、左側の部分を「部分1」、右側の部分を「部分 次の図のとおり、電気絶縁性のポリイミド層1上にステンレススチールの導電性配線が設けられているところ、中央の接続点4に対して左右略対象の二つの部分(以下、左側の部分を「部分1」、右側の部分を「部分2」という。)を有している。 そして、接続点4に接続する、ポリイミド層2とポリイミド層3の間に設けられた銅配線は、バッテリーの一方の電極に接続され、接続点6及び8に接続する、ポリイミド層2とポリイミド層3の間に設けられた各銅配線は、いずれもバッテリーの他方の電極に並列接続されているため、部分1と部分2は、別々にバッテリーに接続することができる構造になってい る。 したがって、被告製品1は構成要件1H及び2Iの「1つ…の導電トラックは、各部分が前記電源に別々に接続可能である複数の部分を含む」を備える。 (2) 被告の主張に対する反論 ア被告は、「異なる部分が異なる持続時間にわたって加熱される」(【0021】)ことや「加熱器の特定部分がいずれの時点でも導通されること」(同)といった機能は、「複数の部分」だけでなく、「それよりも多くの導電トラック」(構成要件1H及び2I)によっても実現可能であるから、「それよりも多くの導電トラック」という構成と一つの「導電トラック」 における「複数の部分」という構成とを区別することができないと主張する。 しかし、異なる二つの構成により同様のことを実現することができることは何ら奇異なことではないし、二つの構成を区別することができないことにもならないから、被告の上記主張には理由がない。 イ被告は、「導電トラック」とは、ⓐ→ⓑ→ⓒのようにその一端から他端にわたって電流が一方向に流れているものでなけれ 別することができないことにもならないから、被告の上記主張には理由がない。 イ被告は、「導電トラック」とは、ⓐ→ⓑ→ⓒのようにその一端から他端にわたって電流が一方向に流れているものでなければならず、ⓐ→ⓑ及び ⓒ→ⓑと電流が流れるものやⓑ→ⓐ及びⓑ→ⓒと電流が流れるものは、一つの「導電トラック」に該当しないと主張する。 しかし、本件各発明における「導電トラック」にいうところの「導電」とは、単に電気が流れやすい性質であることを意味するにすぎず、「トラック」とは、細長い通路又は路のようなものを指すから、一つの「導電ト ラック」とは、電流の通路となり得るものであれば足り、一端から他端に向かって一方向に電流が流れることまでは要求していないというべきである。どことどこの間をどのような向きで電流が流れるかは、「導電トラック」にどのように電源を接続するかで決まるものであって、その接続方法は、「前記1つ又はそれよりも多くの導電トラックは、各部分が前記電源 に別々に接続可能である複数の部分を含む」(構成要件1H及び2I)と定められているのである。本件各明細書では、「本発明のいずれかの態様による一実施形態において、1つ又はそれよりも多くの導電トラックは、複数の部分を含み、各部分は、電源に別々に接続可能である」(【0021】)ことにより、異なる部分を異なる時間で加熱することができるなど の利点があることを説明し、「1つ又は複数の導電トラックは、導電材料の単一のトラックを含む。」(【0022】)とした上で、「単一のトラックの第1の端部は、電源に接続可能であり、単一のトラックの第2の端部も、電源に接続可能である。その場合、電源はまた、各部分が電源に個々に接続可能である複数の部分を提供するために単一のトラックの1つ又 の第1の端部は、電源に接続可能であり、単一のトラックの第2の端部も、電源に接続可能である。その場合、電源はまた、各部分が電源に個々に接続可能である複数の部分を提供するために単一のトラックの1つ又 はそれよりも多くの中心区画に接続可能である。」(同)という形態を説 明しており、トラックの両端と中心部に電源を接続することにより、トラックを複数(二つ)の部分に分けることができることを述べている。 したがって、「導電トラック」は電流の向きに関係しないから、一端から他端にわたって電流が一方向に流れなければならないとする被告の上記主張は理由がない。 ウ被告は、被告製品1は配線AないしFの6本のスチール配線から成るところ、これらはそれぞれ並列に接続されており、それぞれ異なる方向に電流が流れているから、それぞれが「導電トラック」に該当すると主張する。 しかし、被告製品1の導電性配線であるスチール配線は、連続して途中で切れるところがないから、その一方の端から他方の端まで電流を流すこ とが可能である。そして、このような導電性配線について、部分1(配線AないしC)及び部分2(配線DないしF)として特定した各部分は、前記(1)イのとおり、それぞれ接続点4及び6、接続点4及び8で、別々にバッテリーに接続されており、その結果として、部分1(配線AないしC)と部分2(配線DないしF)は、部分ごとに加熱をコントロールすること ができるようになっている。 したがって、配線AないしFのそれぞれが「導電トラック」に該当するという被告の上記主張は理由がない。 (被告の主張)(1) 被告製品1が構成要件1H及び2Iの「1つ…の導電トラックは、各部分 が前記電源に別々に接続可能である ラック」に該当するという被告の上記主張は理由がない。 (被告の主張)(1) 被告製品1が構成要件1H及び2Iの「1つ…の導電トラックは、各部分 が前記電源に別々に接続可能である複数の部分を含む」構成を備えないことア 「1つ…の導電トラックは、各部分が前記電源に別々に接続可能である複数の部分を含む」の解釈(ア) 「部分」について、本件各明細書には、「第1に、異なる部分が異なる持続時間にわたって加熱されるようになり、それによってエーロゾル 形成基体の性質に応じて喫煙体験を高めることができる。第2に、異な る部分が異なる温度で加熱されるようになり、それによってエーロゾル形成基体の性質に応じて同じく喫煙体験を高めることができる。第3に、これは、加熱器の特定部分がいずれの時点でも導通されることを可能にする。それによってエーロゾル形成基体の一部分だけがいずれの時点でも加熱されるようになる。これは、エーロゾル形成基体の各部分が一度 だけ加熱され、かつ再加熱されないことを意味するので有利であると考えられる。」(【0021】)、「電源はまた、各部分が電源に個々に接続可能である複数の部分を提供するために単一のトラックの1つ又はそれよりも多くの中心区画に接続可能である。」(【0022】)と記載されている。 しかし、 上記各機能は、構成要件1H及び2Iの「複数の部分」だけでなく、「それよりも多くの導電トラック」によっても実現可能である。また、「中心区画に接続可能」(【0022】)というのも、「中心区画」が単なる接続区画を意味するものであるとすると、「複数の部分」の接続区画と複数の「導電トラック」の接続区画を区別することが できない。このように、本件各明細書及び特許請求の のも、「中心区画」が単なる接続区画を意味するものであるとすると、「複数の部分」の接続区画と複数の「導電トラック」の接続区画を区別することが できない。このように、本件各明細書及び特許請求の範囲の記載からは、何をもって「それよりも多くの導電トラック」といい、何をもって一つの「導電トラック」における「複数の部分」というのかが極めて不明確である。 (イ) あえてこれらを区別するとすれば、一つの「導電トラック」の「複数 の部分」とは、一端から他端に向かって一方向に流れる1本の電流の通路である「導電トラック」があり、これを中心区画(接続区画)によって二つ以上に分けたものであると解するほかない。すなわち、一端から中心区画(接続区画)を経由して他端へ、一方向に電流が流れるものが「導電トラック」であり、そのような「導電トラック」のうち中心区画 (接続区画)によって二つ以上に分けられたものを「部分」というべき である。 したがって、中心区画(接続区画)があっても、一端から他端に向かって一方向に電流が流れないもの、換言すれば、それぞれの電流の流れる方向が異なるものは、「複数の部分」ではなく、「それよりも多くの導電トラック」であるというべきである。例えば、次のイメージ図のと おり、ⓐ→ⓑ→ⓒと一端から他端へ一方向に電流が流れるものは、ⓐⓑ間及びⓑⓒ間がそれぞれ「部分」に該当するといえるが、ⓐ→ⓑ及びⓒ→ⓑと電流が流れるものやⓑ→ⓐ及びⓑ→ⓒと電流が流れるもののように、一端(ⓐ)から他端(ⓒ)へ一方向に電流が流れないもの(電流の流れる方向が異なるもの)については、ⓐⓑ間及びⓑⓒ間は、いずれも 「部分」ではなく、「導電トラック」に該当するというべきである。 イあてはめ が流れないもの(電流の流れる方向が異なるもの)については、ⓐⓑ間及びⓑⓒ間は、いずれも 「部分」ではなく、「導電トラック」に該当するというべきである。 イあてはめ被告製品1の構成は、次の図のとおりであるところ、接続点6と接続点8が同じ極であり、接続点6と接続点4、接続点8と接続点4がそれぞれ異なる極である。そうすると、配線AないしC及び配線DないしFはそれ ぞれ並列で接続されていることになり、配線Aと配線DないしF、配線Bと配線DないしF、配線Cと配線DないしFもそれぞれ並列で接続されていることになるから、一端から他端へ、つまり、接続点6から接続点4を経由して接続点8へ、あるいは、接続点8から接続点4を経由して接続点 6へは、電流は流れない。 したがって、配線AないしC及び配線DないしFはいずれも一つの「導電トラック」の「複数の部分」に該当するものではなく、配線AないしCのグループと配線DないしFのグループがそれぞれ異なる方向に電流が流れているため、配線AないしFはそれぞれが「導電トラック」に該当し、 「複数の部分」が存在しないことになる。仮に、配線AないしC、配線DないしFをそれぞれ一つの「導電トラック」と解したとしても、配線AないしCはいずれも接続点4及び6に接続され、配線DないしFはいずれも接続点4及び8に接続されているから、「各部分が前記電源に別々に接続可能」ではない。 以上によれば、被告製品1は構成要件1H及び2Iの「1つ…の導電トラックは、各部分が前記電源に別々に接続可能である複数の部分を含む」を備えない。 (2) 原告の主張に対する反論原告は、「導電トラック」とは、一端から他端に向かって 「1つ…の導電トラックは、各部分が前記電源に別々に接続可能である複数の部分を含む」を備えない。 (2) 原告の主張に対する反論原告は、「導電トラック」とは、一端から他端に向かって一方向に電流が 流れることまで要求するものではなく、「1つ…の導電トラックは、各部分が前記電源に別々に接続可能である複数の部分を含む」とは、導電路がいく つかの部分を有しており、その各部分がそれぞれ電源に接続することができることを意味すると主張する。 しかし、上記のように解すると、「導電トラック」と「部分」を区別することができず、構成要件1H及び2Iの一つの「導電トラック」の「複数の部分」が、同時に「それよりも多くの導電トラック」にも該当することにな り、本件各発明の技術的範囲をいたずらに不明確にするものであるから、被告の上記主張は理由がない。 4 争点1-3(被告製品1が構成要件1I及び2Jを充足するか)について(原告の主張)(1) 被告製品1が構成要件1I及び2Jの「異なる部分が、異なる持続時間に わたって加熱されるか、異なる温度で加熱されるか、又は、異なる持続時間にわたって異なる温度で加熱される」構成を備えることア 「異なる部分が、異なる持続時間にわたって加熱されるか、異なる温度で加熱されるか、又は、異なる持続時間にわたって異なる温度で加熱される」の解釈 「加熱される」とは、「導電トラック」に電力の供給がされていること(これにより電流が流れることで加熱されること)を意味している。 そして、「異なる持続時間にわたって加熱」とは、時間軸が異なる加熱をいい、「異なる温度で加熱」とは、特定の時間における異なる部分の加熱の状態をいい、「異なる持続時間にわたって 味している。 そして、「異なる持続時間にわたって加熱」とは、時間軸が異なる加熱をいい、「異なる温度で加熱」とは、特定の時間における異なる部分の加熱の状態をいい、「異なる持続時間にわたって異なる温度で加熱」とは、 その両者、すなわち時間軸を異ならせて異なる温度で加熱することを示している。 イあてはめ被告製品1のヒータ部分のうち、部分1(「Portion1」)及び部分2(「Portion2」)の電圧を測定して、加熱サイクルを明ら かにすると、次の図のとおりとなる。部分1は、部分2より先に電源が入 り、一時的に電源が切れる短い時間を除き、ほぼ全体にわたって、電源が入っている。これに対して、部分2は、部分1に遅れて電源が入り、何度か一時的に電源が切れている。 したがって、被告製品1においては、各部分が別々に電源に接続可能であり、部分1と部分2で加熱の「持続時間」が異なっている。 また、被告製品1のヒータ部分のうち、部分1及び部分2の温度プロファイルを明らかにすると、次のグラフのとおりとなる。例えば、青の矢印で示した加熱サイクルの後半の時間帯における部分1及び部分2の各温度は、それぞれ約210℃、約240℃となっているから、部分1と部分2は異なる温度で加熱されている。 したがって、被告製品1は構成要件1I及び2Jの「異なる部分が、異なる持続時間にわたって加熱されるか、異なる温度で加熱されるか、又は、異なる持続時間にわたって異なる温度で加熱される」構成を備える。 (2) 被告の主張に対する反論ア被告は、前記(1)イの下のグラフによれば、部分1及び部分2はいずれも 0秒の時 異なる持続時間にわたって異なる温度で加熱される」構成を備える。 (2) 被告の主張に対する反論ア被告は、前記(1)イの下のグラフによれば、部分1及び部分2はいずれも 0秒の時点から温度が増加しており、0秒から300秒に至る同一の持続時間にわたって加熱されていると主張する。 しかし、「導電トラック」の「各部分」は「電源に別々に接続可能」であり(構成要件1H及び2I)、電源からの電力の供給により加熱されるものであるから、「加熱される」(構成要件1I及び2J)とは、「導電 トラック」に電力の供給がされていること(それによって加熱されること)を意味すると解すべきである。被告は、電力の供給がない状態でも、当初温度(同グラフの0秒の時点の温度)より高い温度となっていることをもって「加熱され」ているとするが、これは「加熱される」の解釈を誤ったものであり、前記(1)イの上の図によれば、明らかに電力の供給時間(加熱 時間)が異なっているから、被告の上記主張は理由がない。 イ被告は、「異なる温度で加熱」とは加熱によって到達すべき温度(設定された最高温度)が異なることをいうと解すべきであるところ、部分1及び部分2の各最高温度はいずれも240℃であるから、被告製品1は「異なる温度で加熱される」を備えないと主張する。 しかし、「異なる温度で加熱」にいうところの「温度」とは、加熱サイクルにおける最高温度(最高到達温度)を意味するものではなく、「異なる温度で加熱」とは、特定の時間における加熱温度が「異なる部分」で異なることをいうものである。本件各発明は、「導電トラック」の「異なる部分」を別々に温度制御できるようにしたものであり、「それによってエ ーロゾル形成基体の性質に応じて喫煙体験を なる部分」で異なることをいうものである。本件各発明は、「導電トラック」の「異なる部分」を別々に温度制御できるようにしたものであり、「それによってエ ーロゾル形成基体の性質に応じて喫煙体験を高めることができる。第2に、 異なる部分が異なる温度で加熱されるようになり、それによってエーロゾル形成基体の性質に応じて同じく喫煙体験を高めることができる。第3に、これは、加熱器の特定部分がいずれの時点でも導通されることを可能にする。それによってエーロゾル形成基体の一部分だけがいずれの時点でも加熱されるようになる。」(【0021】)との作用効果を奏することにな るから、「異なる温度で加熱」が加熱サイクルにおける最高温度が異なることを意味するものではないことは明らかである。 したがって、被告の上記主張は理由がない。 (被告の主張)(1) 被告製品1が構成要件1I及び2Jの「異なる部分が、異なる持続時間に わたって加熱されるか、異なる温度で加熱されるか、又は、異なる持続時間にわたって異なる温度で加熱される」構成を備えないことア 「異なる部分が、異なる持続時間にわたって加熱されるか、異なる温度で加熱されるか、又は、異なる持続時間にわたって異なる温度で加熱される」の解釈 「異なる持続時間にわたって加熱される」とは、単に「導電トラックの異なる部分」が、異なる持続時間、加熱されることを意味し、「異なる温度で加熱される」とは、加熱によって到達すべき温度(設定された最高温度)が異なることを意味する。 イあてはめ 前記(原告の主張)(1)イの図及びグラフのとおり、被告製品1においては、原告が主張する部分1及び部分2の加熱の持続時間はいずれも300秒であり、設定 る。 イあてはめ 前記(原告の主張)(1)イの図及びグラフのとおり、被告製品1においては、原告が主張する部分1及び部分2の加熱の持続時間はいずれも300秒であり、設定された最高温度はいずれも240℃である。 したがって、被告製品1は、異なる部分が同一の持続時間で加熱され、かつ、異なる部分の最高温度が同一に設定されているから、構成要件1I 及び2Jの「異なる持続時間にわたって加熱される」及び「異なる温度で 加熱される」構成を備えない。 (2) 原告の主張に対する反論ア原告は、「加熱される」とは、「導電トラック」に電力の供給がされていること(それによって加熱されること)を意味すると主張する。 しかし、「異なる持続時間にわたって加熱される」とは、「導電トラッ ク」の異なる部分が異なる持続時間で加熱されることを意味することは文言上明らかであり、本件各明細書及び特許請求の範囲においても、電力が異なる持続時間で異なる部分に供給されるとは記載されていない。そして、前記(原告の主張)(1)イの下のグラフによれば、部分1及び部分2は、いずれも0秒の時点から温度が上昇しており、0秒から300秒に至る同一 の持続時間にわたって加熱されているから、原告の上記主張は理由がない。 イ原告は、「異なる温度で加熱」とは特定の時間における異なる部分の加熱の状態をいい、「異なる持続時間にわたって異なる温度で加熱」とは両者を合わせた概念であり、時間軸を異ならせて異なる温度で加熱することを示していると主張する。 しかし、「異なる温度で加熱」にいうところの「温度」が、加熱されるべき温度(設定された最高温度)でなく、特定の時間における異なる部分の加熱の状態を ことを示していると主張する。 しかし、「異なる温度で加熱」にいうところの「温度」が、加熱されるべき温度(設定された最高温度)でなく、特定の時間における異なる部分の加熱の状態を意味し、加熱されるべき温度(設定された最高温度)は同一であってもよいとすれば、あえて「異なる持続時間にわたって加熱されるか、異なる温度で加熱されるか、又は、異なる持続時間にわたって異な る温度で加熱される」というように三つの加熱条件を示したことと整合しない。すなわち、異なる部分の最高温度を同一に設定した場合、時間軸をずらして加熱すれば、必然的に特定の時間における各部分の温度は異なることとなる。このような場合まで「異なる温度で加熱される」に該当すると解すると、「異なる持続時間にわたって加熱」する場合、必然的に「異 なる温度で加熱」することとなり、上記のとおり、三つの加熱条件を示し た意味がないと考えられる。また、異なる部分の最高温度を同一に設定し、同一の温度プロファイルとなるように制御した場合、時間軸をずらして加熱すると、それぞれ最大温度が同一であり、同一の温度プロファイルで制御されるにもかかわらず、特定の時間における各部分の温度は異なることになるが、これをもって「異なる温度で加熱される」に該当すると解する のは、特許請求の範囲の文言から乖離しているというべきである。 したがって、少なくとも「異なる温度で加熱」とは加熱によって到達すべき温度(設定された最高温度)が異なることをいうと解すべきであるから、これとは異なる解釈をする原告の上記主張は理由がない。 5 争点1-4(被告製品1が構成要件2Fを充足するか)について (原告の主張)(1) 被告製品1が構成要件2Fの「熱絶縁要素が金属を含 解釈をする原告の上記主張は理由がない。 5 争点1-4(被告製品1が構成要件2Fを充足するか)について (原告の主張)(1) 被告製品1が構成要件2Fの「熱絶縁要素が金属を含む」構成を備えることア 「熱絶縁要素が金属を含む」の解釈「熱絶縁要素は金属を含む」とは文字どおりの意味であり、「熱絶縁要 素」は、熱を反射する金属に限定されるものではない。 イあてはめ被告製品1は、ヒータ部分の周りに金属性の真空チューブが設けられており、この真空チューブは、その金属製の筐体部分と筐体内に設けられた空洞部分によって、熱絶縁効果を提供している。 したがって、被告製品1の金属製の真空チューブは「熱絶縁要素」に該当し、当該真空チューブの筐体部分が金属で構成されているから、被告製品1は構成要件2Fの「熱絶縁要素は金属を含む」構成を備える。 (2) 被告の主張に対する反論被告は、「熱絶縁要素が金属を含む」について、「金属」が熱を反射する ことにより熱絶縁の作用を果たす必要があると主張する。 しかし、本件各明細書には、「金属は、電気加熱式喫煙システム内に熱を反射することができるので有利である。」(【0015】)と記載されてはいるが、「金属」を熱絶縁材料として使用した場合には、反射という副次的効果も得られるので有利であることを述べたにすぎず、この記載から、「熱絶縁要素が金属を含む」との記載における「金属」がその反射により熱絶縁 の効果をもたらす必要があると解することはできず、ましてや、金属自体が熱絶縁の効果をもたらす要素として働く必要があるということはできない。 むしろ、本件各明細書には、「好ましくは、熱絶縁材料は、複数の空気腔を もたらす必要があると解することはできず、ましてや、金属自体が熱絶縁の効果をもたらす要素として働く必要があるということはできない。 むしろ、本件各明細書には、「好ましくは、熱絶縁材料は、複数の空気腔を含む。」(【0016】)と記載されていることからすると、熱絶縁材料が空気腔に相当する熱絶縁効果を提供する空洞等の構造を有するものを含むこ とは明らかである。 したがって、「金属」が熱を反射することにより熱絶縁の作用を果たす必要があるとする被告の上記主張は理由がない。 (被告の主張)(1) 被告製品1が構成要件2Fの「熱絶縁要素が金属を含む」構成を備えない ことア 「熱絶縁要素が金属を含む」の解釈「熱絶縁要素が金属を含む」とは、「金属」自体が「熱絶縁要素」、すなわち、「金属」が熱を反射することにより熱絶縁の作用を果たすことを意味する。 したがって、「熱絶縁要素が金属を含む」を備えるというためには、「金属」が熱を反射する「熱絶縁要素」として機能することにより熱絶縁を実現するものであることが必要である。 イあてはめ被告製品1においては、金属製真空チューブの中の真空自体が熱絶縁の 作用を果たすものであり、金属自体が熱を反射することにより熱絶縁の作 用を果たすものではない。 したがって、被告製品1 は構成要件2Fの「熱絶縁要素が金属を含む」構成を備えない。 (2) 原告の主張に対する反論原告は、被告製品1の真空チューブがヒータ部分の周りに存在し、金属製 の筐体部分と筐体内に設けられた空洞部分により熱絶縁効果を提供しているから、被告製品1は構成要件2Fの「熱絶縁要素が金属を含む」構成を備えると主張する。 ヒータ部分の周りに存在し、金属製 の筐体部分と筐体内に設けられた空洞部分により熱絶縁効果を提供しているから、被告製品1は構成要件2Fの「熱絶縁要素が金属を含む」構成を備えると主張する。 しかし、本件各明細書には、熱絶縁材料として金属を用いた場合に、金属が熱反射することにより熱絶縁の機能が提供される技術思想のみが記載され ており、反射による熱絶縁の機能を有しない金属及び空気腔を用いて熱絶縁を提供する技術的思想は何ら記載されていない。また、本件各明細書には、「好ましくは、熱絶縁材料は、複数の空気腔を含む。」(【0016】)と記載されているが、被告製品1で熱絶縁の作用を果たしているのは、真空自体であり、「空気腔」は存在しない。 したがって、被告製品1は構成要件2Fの「熱絶縁要素が金属を含む」構成を備えるとする原告の上記主張は理由がない。 6 争点1-5-1(特許法101条1号の間接侵害が成立するか)について(原告の主張)(1) 被告製品2が「その物の生産にのみ用いる物」であること 被告製品2が本件発明1-8及び2-8に係る電気加熱式喫煙システムの「生産にのみ用いる物」に該当しないというためには、被告製品2に、被告製品1に挿入して使用する以外に、社会通念上、経済的、商業的又は実用的な他の用途が存在することが必要であり、単に被告製品1以外の器具に挿入して使用する抽象的、理論的な可能性が存在するだけでは足りない。 被告製品1は本件発明1-1、1-3、1-4、2-1、2-6及び2- 7の各技術的範囲に属し、被告製品2が被告製品1に挿入されることにより、本件発明1-8及び2―8の各技術的範囲に属することになるところ、被告製品2は、被告製品1専用の電気加熱 6及び2- 7の各技術的範囲に属し、被告製品2が被告製品1に挿入されることにより、本件発明1-8及び2―8の各技術的範囲に属することになるところ、被告製品2は、被告製品1専用の電気加熱式タバコスティックであるから、本件発明1-8及び2―8に係るシステムの生産にのみ使用される電気加熱式タバコスティックである。そして、被告製品2には、被告製品1に挿入して使 用する以外に、社会通念上、経済的、商業的又は実用的な他の用途は存在しない。 したがって、被告製品2は「その物の生産にのみ用いる物」に該当するから、特許法101条1 号の間接侵害が成立する。なお、被告は、被告製品1と加熱方式の異なる新製品である訴外被告製品を発売したが、そのことは、 訴外被告製品の発売前における間接侵害の成立に何ら影響を及ぼさない。 (2) 被告の主張に対する反論ア被告は、乙1公報に発明の実施例として記載された加熱式喫煙具等にも被告製品2を使用することができるから、被告製品2には他の用途が数多くあり得ると主張する。 しかし、特許公報に記載された実施例は、実際に実用化された製品を意味するものではなく、経済的、商業的又は実用的な観点で使用可能な器具の存在を示すとはいえないから、被告の上記主張は理由がない。 イ被告は、被告製品2を使用することができる被告製品1以外の加熱式喫煙具として、「Ocean-CG1」や「AOKEYC&O」が日本 において現に販売されていると主張する。 しかし、「Ocean-CG1」を販売するAmazonのウェブページ上には、「GLO互換機」との記載があるだけで、実際にこれが被告製品2の使用に適した喫煙具であるかは不明であり、「Ocean-CG1」がいつ日 an-CG1」を販売するAmazonのウェブページ上には、「GLO互換機」との記載があるだけで、実際にこれが被告製品2の使用に適した喫煙具であるかは不明であり、「Ocean-CG1」がいつ日本で発売され、入手可能となったかも不明であるし、平成 31年3月24日時点で、同ウェブページから「Ocean-CG1」 を購入することはできなくなっている。また、「AOKEYC&O」についても、その販売時期や販売台数は不明である。 仮に、いずれかの時点で「Ocean-CG1」や「AOKEYC&O」が入手可能であったとしても、これらの販売数は、被告製品1の販売数(発売初期の約1年間で累計200万個)及びそこから推認される被 告製品2のユーザ数に照らせば、極めて微々たるものにすぎず、被告製品2の圧倒的多数は被告製品1に挿入して使用されるから、被告製品2は、その経済的、商業的又は実用的な使用可能性として、被告製品1にしか使用することができないというべきである。 さらに、そもそも、加熱器具(被告製品1)とタバコスティック(被告 製品2)は、セットで開発されており、被告自身、第三者の製品と組み合わせると被告製品1の本来の効用や正常な動作を達成することができないとして、被告製品2を被告製品1の専用タバコとして販売しているものであるから、被告製品2は、形が合えばいかなるデバイスでも使用してよいという汎用的な製品としては販売されていないといえる。 したがって、被告製品2には、被告製品1に使用する以外の経済的、商業的又は実用的な他の用途は存在しないから、被告の上記主張は理由がない。 (被告の主張)(1) 被告製品2が「その物の生産にのみ用いる物」ではないこと る以外の経済的、商業的又は実用的な他の用途は存在しないから、被告の上記主張は理由がない。 (被告の主張)(1) 被告製品2が「その物の生産にのみ用いる物」ではないこと 被告製品2には、被告製品1以外に、客観的に、経済的、商業的又は実用的な他の用途があった。すなわち、被告製品2を挿入する空間を有し、これを適切に加熱することができる喫煙具であれば、被告製品2を使用することができるのであり、例えば、乙1公報に発明の実施例として記載された加熱式喫煙具も、被告製品2と同じサイズのタバコスティックを挿入して適切に 加熱することができるような空間を有しさえすれば、被告製品2を使用する ことができるから、被告製品2の他の用途は数多くあり得る。 また、被告製品2には、本件各発明の技術的範囲に属しない製品である訴外被告製品や、「AOKEYC&O」、「Ocean-CG1」等の加熱式喫煙具に使用することができるという他の用途が存在する。 したがって、被告製品2は「その物の生産にのみ用いる物」に該当しない。 (2) 原告の主張に対する反論原告は、少なくとも訴外被告製品が発売される前の被告製品2は「その物の生産にのみ用いる物」に該当すると主張する。 しかし、被告製品2については、その発売当初から、客観的に、経済的、商業的又は実用的な他の用途があったから、「その物の生産にのみ用いる物」 に該当しない。すなわち、BritishAmericanTabaccop.l.c.及びBritishAmericanTabacco(Investments) Limitedによる訴外被告製品の製造販売の準備行為としての特許出願日(優先日)は、平成27年8月31日及び平成28年1 ritishAmericanTabacco(Investments) Limitedによる訴外被告製品の製造販売の準備行為としての特許出願日(優先日)は、平成27年8月31日及び平成28年10月19日であり、被告製品2の販売開始日である同年12 月12日より前であった。また、被告製品1と互換性のある加熱式喫煙器具として、訴外被告製品が発売される前から、「AOKEYC&O」、「Ocean-CG1」等が継続的に販売されていた。 したがって、被告製品2が「その物の生産にのみ用いる物」に該当するという原告の主張には理由がない。 7 争点1-5-2(特許法101条2号の間接侵害が成立するか)について(原告の主張)(1) 被告製品2が「その発明の課題の解決に不可欠なもの」であること被告製品2は、電気加熱式喫煙具である被告製品1とセットで使用するように特別に開発されたものであり、実際、被告製品1の挿入口に適合する小 さな口径とし、電気加熱式のデバイスでのエーロゾルの発生を容易にするた めに、エーロゾル形成剤が配合されているなど、従来型のタバコとは異なる多くの特徴を有している。したがって、被告製品2は、本件発明1-8及び2-8の「課題の解決に不可欠なもの」に該当するといえる。 そして、被告製品2は、「日本国内において広く一般に流通しているもの」、いわゆる汎用品ではなく、被告は、被告製品2の発売時、又は、遅く とも本件訴訟の訴状送達時から、本件各特許権の存在並びに被告各製品が本件発明1-8及び2-8の実施に用いられることを知っていたから、被告製品2について、特許法102条2号の間接侵害が成立する。 (2) 被告の主張に対する反論被告は、本件各発明の技 本件発明1-8及び2-8の実施に用いられることを知っていたから、被告製品2について、特許法102条2号の間接侵害が成立する。 (2) 被告の主張に対する反論被告は、本件各発明の技術的特徴が、専ら加熱器の構成に関するものであ り、エーロゾル形成基体に関するものではないから、エーロゾル形成基体である被告製品2は本件各発明の課題の解決手段とは無関係のものであり、本件発明1-8及び2-8の課題解決に不可欠なものではないと主張する。 しかし、特許法101条2号は、同条1号では侵害につながる蓋然性の高い行為を規制することができなかったという問題を踏まえ、行為者の主観的 要件を新たに加える代わりに、同号の「その物の生産にのみ用いられる物」という要件を緩和して新たな間接侵害類型を設けたものであり、「その発明による課題の解決に不可欠のもの」との要件は、その発明が解決しようとする課題とは無関係に従来から必要とされてきたものを除外する趣旨であると解される。そして、このような考慮に基づき、同条2号は、「その発明の課 題」ではなく、「その発明による課題の解決に不可欠なもの」と規定しているのであるから、ここにいう「課題」は、明細書に「発明の課題」として記載されたものに限られるものではなく、従来技術や出願当時の技術水準を踏まえ、「その発明による課題の解決」が何であるかを客観的に把握すべきである。 本件各発明は、従来の燃焼するタバコ(煙の出るタバコ)に代わる新しい 喫煙の手段を提供することに関わるものであるから、そのような新しい喫煙体験を提供する加熱器具(被告製品1)とこれに適合するように作られたタバコスティック(被告製品2)は、両者があいまって、煙の出るタバコに代わる新しい喫煙の手段を提供す あるから、そのような新しい喫煙体験を提供する加熱器具(被告製品1)とこれに適合するように作られたタバコスティック(被告製品2)は、両者があいまって、煙の出るタバコに代わる新しい喫煙の手段を提供するという課題の解決に不可欠なものであり、どちらか一方でも欠ければ、発明としても商品としても成り立たないという 関係にある。このように、被告製品2は、喫煙者に対して喫煙を体験する手段を提供する上で不可欠なものであるから、「製造がより簡単でその構成に必要な構成要素がより少ない電気加熱式喫煙システムを提供すること」(【0004】)という本件各明細書に記載された課題との関係においても、課題解決に不可欠なものであることは明らかである。 したがって、被告製品2が「その発明による課題の解決に不可欠なもの」に該当しないという被告の主張には理由がない。 (被告の主張)(1) 被告製品2が「その発明の課題の解決に不可欠なもの」ではないこと本件発明1-8及び2-8の課題は、「製造がより簡単でその構成に必要 な構成要素がより少ない電気加熱式喫煙システムを提供すること」(本件各明細書【0004】)である。 そして、本件各明細書には、その課題の解決手段として、「加熱器及び温度センサとして両方の作用をすることができる導電トラックを電気絶縁基体上に含む加熱器を使用することにより、電気加熱式喫煙システムに必要とさ れる構成要素の数およびサイズを低減することができる。」(【0008】)と記載されている。しかし、上記解決手段との関係では、エーロゾル形成基体についての記載は全くない。 したがって、本件各発明に技術的特徴があるとすれば、加熱器に関するものであり、エーロゾル形成基体に関するものでないことは明らかであるから との関係では、エーロゾル形成基体についての記載は全くない。 したがって、本件各発明に技術的特徴があるとすれば、加熱器に関するものであり、エーロゾル形成基体に関するものでないことは明らかであるから、 エーロゾル形成基体である被告製品2は、本件各発明の課題の解決手段とは 無関係なものであり、本件発明1-8及び2-8の課題解決に不可欠なものということは到底できない。 (2) 原告の主張に対する反論原告は、被告製品2が、電気加熱式喫煙具である被告製品1とセットで使用するように特別に開発されたものであり、従来型のタバコとは異なる多く の特徴を有しているから、本件発明1-8及び2-8の「その発明の課題の解決に不可欠なもの」に該当すると主張する。 しかし、「その発明による課題の解決に不可欠なもの」とは、従来技術の課題を解決するための方法として、当該発明が新たに開示する従来技術に見られない特徴的技術手段について、当該手段を特徴付けている特有の構成を いうものと解される。特許請求の範囲に記載された部材、成分等であっても、課題解決のために当該発明が新たに開示する特徴的技術手段を直接形成するものに当たらないものは、「その発明による課題の解決に不可欠なもの」に該当しないというべきである。 本件発明1-8及び2-8において、エーロゾル形成基体は、電気加熱式 喫煙システムにおける通常のタバコスティックにすぎず、電気加熱式喫煙システムにおけるエーロゾル形成基体を挿入する部分のサイズさえ合えば、どの電気加熱式システムにも使えるものであることが前提となっており、本件発明1-8及び2-8に係るシステム専用の特殊なエーロゾル形成基体を要求するものではないから、エーロゾル形成基体のみならず、エーロゾル形成 熱式システムにも使えるものであることが前提となっており、本件発明1-8及び2-8に係るシステム専用の特殊なエーロゾル形成基体を要求するものではないから、エーロゾル形成基体のみならず、エーロゾル形成 基体の口径やエーロゾル形成剤は、本件各発明の課題解決手段とは無関係なものである。 そして、被告製品2は、一般的な外形的形状を有するタバコスティックであり、加熱要素を構成するものでないことは明らかであるし、電気加熱式喫煙システムの製造を簡単にすることや構成要素をより少なくすることに寄与 するものではない上、加熱器具を効率よく製造し、柔軟に設計することがで きることに資するものでもないから、課題解決のために本件発明1-8及び2-8が新たに開示する特徴的技術手段を直接形成するものに当たらず、本件各発明の「課題の解決に不可欠なもの」に該当しないことは明らかである。 したがって、被告製品2が「その発明による課題の解決に不可欠なもの」に該当するという原告の主張には理由がない。 8 争点2-1(本件各発明についての乙1公報を主引用例とする進歩性欠如)について(被告の主張)(1) 乙1公報に記載された発明乙1公報には、以下の各発明(以下、順に、「乙1発明1」、「乙1発明 2」及び「乙1発明3」という。)が記載されている。 ア乙1発明1無煙方式でシガレットを使用するための点火器であって、前記シガレットを加熱してエーロゾルを形成するための少なくとも1つの加熱アセンブリ50と、 前記少なくとも1つの加熱アセンブリ50に電力を供給するためのバッテリ70と、前記加熱アセンブリ50を絶縁するために前記加熱アセンブリ50の周りに配置されたジャケット62と、 と、 前記少なくとも1つの加熱アセンブリ50に電力を供給するためのバッテリ70と、前記加熱アセンブリ50を絶縁するために前記加熱アセンブリ50の周りに配置されたジャケット62と、を含み、 前記少なくとも1つの加熱アセンブリ50は、実質的に均一な壁厚を有し、かつほぼ円形断面を有するほぼ円筒形の要素60を含み、前記要素60は、フィルムや成形リボンのような1つ又はそれよりも多くの表面装着抵抗加熱部材を有し、前記少なくとも1つの加熱アセンブリ50は、前記シガレットを取り囲 む、 点火器。 イ乙1発明2無煙方式でシガレットを使用するための点火器と前記シガレットを含むシステムであって、前記点火器は、 前記シガレットの少なくとも一部分を加熱してエーロゾルを形成するための少なくとも1つの加熱アセンブリ50と、前記少なくとも1つの加熱アセンブリ50に電力を供給するためのバッテリ70と、前記加熱アセンブリ50を絶縁するために前記加熱アセンブリ50の周 りに配置されたジャケット62と、を含み、前記少なくとも1つの加熱アセンブリ50は、実質的に均一な壁厚を有し、かつほぼ円形断面を有するほぼ円筒形の要素60を含み、前記要素60は、フィルムや成形リボンのような1つ又はそれよりも多くの表面装着 抵抗加熱部材を有し、前記点火器は、前記要素60への通電を制御するための電子回路を有し、前記電子回路には、必要に応じて調節可能な所定の期間、加熱要素60に通電するタイマ回路82、及び、前記加熱チャンバ内温度を特定の範囲内で調節及び維持する温度制御装置84を有し、 前記少なくとも1つの加熱アセンブリ50は、前記シガレットを取り囲む、 に通電するタイマ回路82、及び、前記加熱チャンバ内温度を特定の範囲内で調節及び維持する温度制御装置84を有し、 前記少なくとも1つの加熱アセンブリ50は、前記シガレットを取り囲む、システム。 ウ乙1発明3無煙方式でシガレットを使用するための点火器と前記シガレットを含む システムであって、 前記点火器は、前記シガレットを加熱してエーロゾルを形成するための少なくとも1つの加熱アセンブリ50と、前記少なくとも1つの加熱アセンブリ50に電力を供給するためのバッテリ70と、 前記加熱アセンブリ50を絶縁するために前記加熱アセンブリ50の周りに配置されたジャケット62と、を含み、前記少なくとも1つの加熱アセンブリ50は、実質的に均一な壁厚を有し、かつほぼ円形断面を有するほぼ円筒形の要素60を含み、前記要素6 0は、フィルムや成形リボンのような1つ又はそれよりも多くの表面装着抵抗加熱部材を有し、前記少なくとも1つの加熱アセンブリ50は、前記シガレットを取り囲む、システム。 (2) 一致点及び相違点ア本件各発明と乙1発明1ないし3との一致点及び相違点(ア) 本件発明1-1と乙1発明1を対比すると、一致点及び相違点は以下のとおりである。 a 一致点 本件発明1-1と乙1発明1は、以下の点で一致する。 エーロゾル形成基体を受け取るための電気加熱式喫煙システムであって、前記エーロゾル形成基体を加熱してエーロゾルを形成するための少なくとも1つの加熱器と、 前記少なくとも1つの加熱器に電力を供給するための電源と、 を含み、 エーロゾル形成基体を加熱してエーロゾルを形成するための少なくとも1つの加熱器と、 前記少なくとも1つの加熱器に電力を供給するための電源と、 を含み、前記少なくとも1つの加熱器は、電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含み、前記電気絶縁基体は、管状に巻かれ、前記少なくとも1つの加熱器は、前記エーロゾル形成基体を取り囲 み又は部分的に取り囲む、ことを特徴とするシステム。 b 相違点本件発明1-1の「電気絶縁基体」が「ポリイミドで形成されて」いる(構成要件1E)のに対し、乙1発明1の「要素60」はそのよ うな構成を有するものに限定されていない点(以下「相違点1」という。)で、両者は相違する。 (イ) 本件発明1-3と乙1発明2を対比すると、一致点及び相違点は以下のとおりである。 a 一致点 前記(ア)aと同じ。 b 相違点相違点1に加え、本件発明1-3の「1つ又はそれよりも多くの導電トラック」が「各部分が前記電源に別々に接続可能である複数の部分を含む」(構成要件1H)のに対し、乙1発明2の「1つ又はそれ よりも多くの表面装着抵抗加熱部材」はそのような構成が特定されていない点(以下「相違点2」という。)で、両者は相違する。 (ウ) 本件発明1-4と乙1発明2を対比すると、一致点及び相違点は以下のとおりである。 a 一致点 前記(ア)aと同じ。 b 相違点相違点1及び2に加え、本件発明1-4の「電子回路」が「1つ又は おりである。 a 一致点 前記(ア)aと同じ。 b 相違点相違点1及び2に加え、本件発明1-4の「電子回路」が「1つ又はそれよりも多くの導電トラックの異なる部分が、異なる持続時間にわたって加熱されるか、異なる温度で加熱されるか、又は、異なる持続時間にわたって異なる温度で加熱されるように」電力の供給を制御 するもの(構成要件1I)であるのに対し、乙1発明2の「電子回路」は「1つ又はそれよりも多くの導電トラックの異なる部分が、異なる持続時間にわたって加熱されるか、異なる温度で加熱されるか、又は、異なる持続時間にわたって異なる温度で加熱されるように」電力の供給を制御するものであるかが不明である点(以下「相違点3」とい う。)で、両者は相違する。 (エ) 本件発明1-8と乙1発明3を対比すると、一致点及び相違点は以下のとおりである。 a 一致点本件発明1-8と乙1発明3は、前記(ア)aに加え、「前記システム は、加熱時に前記エーロゾル形成基体から放出される揮発性タバコ香味化合物を含有するタバコ含有材料を含むエーロゾル形成基体を含むことを特徴とする電気加熱式喫煙システム」である点で一致する。 b 相違点相違点1ないし3で、両者は相違する。 (オ) 本件発明2-1と乙1発明1を対比すると、一致点及び相違点は以下のとおりである。 a 一致点本件発明2-1と乙1発明1は、以下の点で一致する。 エーロゾル形成基体を受け取るための電気加熱式喫煙システムであ って、 前記エーロゾル形成基体を加熱してエーロゾル 乙1発明1は、以下の点で一致する。 エーロゾル形成基体を受け取るための電気加熱式喫煙システムであ って、 前記エーロゾル形成基体を加熱してエーロゾルを形成するための少なくとも1つの加熱器であって、前記少なくとも1つの加熱器が電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含み、前記電気絶縁基体が管状である、少なくとも1つの加熱器と、前記少なくとも1つの加熱器に電力を供給するための電源と、 前記加熱器を絶縁するために前記加熱器の周りに配置された熱絶縁要素と、を含む少なくとも1つのことを特徴とするシステム。 b 相違点本件発明2-1の「熱絶縁要素」が「金属を含む」(構成要件2F) のに対し、乙1発明1の「ジャケット62」は金属を含むか否かが不明である点(以下「相違点4」という。)で、両者は相違する。 (カ) 本件発明2-6と乙1発明2を対比すると、一致点及び相違点は以下のとおりである。 a 一致点 前記(オ)aと同じ。 b 相違点相違点4に加え、本件発明2-6の「1つ又はそれよりも多くの導電トラック」が「各部分が前記電源に別々に接続可能である複数の部分を含む」(構成要件2I)のに対し、乙1発明2の「1つ又はそれ よりも多くの表面装着抵抗加熱部材」はそのような構成が特定されていない点(以下「相違点5」という。)で、両者は相違する。 (キ) 本件発明2-7と乙1発明2を対比すると、一致点及び相違点は以下のとおりである。 a 一致点 前記(オ)aと同じ。 b 相 (キ) 本件発明2-7と乙1発明2を対比すると、一致点及び相違点は以下のとおりである。 a 一致点 前記(オ)aと同じ。 b 相違点相違点4及び5に加え、本件発明2-7の「電子回路」が「1つ又はそれよりも多くの導電トラックの異なる部分が、異なる持続時間にわたって加熱されるか、異なる温度で加熱されるか、又は、異なる持続時間にわたって異なる温度で加熱されるように」電力の供給を制御 するもの(構成要件2J)であるのに対し、乙1発明2の「電子回路」は「1つ又はそれよりも多くの導電トラックの異なる部分が、異なる持続時間にわたって加熱されるか、異なる温度で加熱されるか、又は、異なる持続時間にわたって異なる温度で加熱されるように」電力の供給を制御するものであるかが不明である点(以下「相違点6」とい う。)で、両者は相違する。 (ク) 本件発明2-8と乙1発明3を対比すると、一致点及び相違点は以下のとおりである。 a 一致点本件発明2-8と乙1発明3は、前記(オ)aに加え、「前記システム は、加熱時に前記エーロゾル形成基体から放出される揮発性タバコ香味化合物を含有するタバコ含有材料を含むエーロゾル形成基体を含むことを特徴とする電気加熱式喫煙システム」である点で一致する。 b 相違点相違点4ないし6で、両者は相違する。 イ原告の主張に対する反論(ア) 相違点1’が存在しないこと原告は、本件発明1-1が「電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含」む(構成要件1D)のに対し、乙1発明1はこのような構成が特定されていない点(以下「相違 しないこと原告は、本件発明1-1が「電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含」む(構成要件1D)のに対し、乙1発明1はこのような構成が特定されていない点(以下「相違点1’」という。)で、 両者は相違すると主張する。 しかし、乙1公報には、「加熱アセンブリ50は、…要素60を含むことができる。…要素60は、…1つ又はそれよりも多くの表面装着抵抗加熱部材…を有することができる。」(乙1公報の訳文に相当する特表2009-509521号公報(以下「乙2公報」という。)【0015】)と記載されている。ここで、「表面装着抵抗加熱部材」が何ら かの表面に装着された抵抗加熱部材を意味することは、その文言から明らかである。そして、この表面が装着される抵抗加熱部材の短絡や漏電を避けるため電気絶縁性を有することは当然である。また、原告が出願した米国特許第5369723号明細書(乙57)及び同第5865185号明細書(乙58)には、電気絶縁性を有する基体の表面に装着さ れる(「mounted」)加熱部材について記載されており、加熱部材は電気絶縁基体上の表面に装着されることが当然の前提とされている。したがって、乙1発明1の「要素60」に電気絶縁基体が存在することは明らかである。 さらに、本件発明1-1の「導電トラック」(構成要件1D)は、形 状について何ら限定されていないから、導電路であれば足りるところ、乙1発明1の「フィルムや成形リボンのような1つ又はそれよりも多くの表面装着抵抗加熱部材」にいうところの「フィルム」や「成形リボン」も導電路たり得るから、「1つ又はそれよりも多くの導電トラック」に相当する。 したがって、相違点1’は存在しないから 装着抵抗加熱部材」にいうところの「フィルム」や「成形リボン」も導電路たり得るから、「1つ又はそれよりも多くの導電トラック」に相当する。 したがって、相違点1’は存在しないから、原告の上記主張は理由がない。 (イ) 相違点2’が存在しないこと原告は、本件発明1-1が「電気絶縁基体」が「管状に巻かれ」ている(構成要件1E)のに対し、乙1発明1はこのような構成が特定され ていない点(以下「相違点2’」という。)で、両者は相違すると主張 する。 しかし、本件発明1-1は物の発明であり、本件各明細書には、「本発明のいずれかの態様の第2の実施形態において、電気絶縁基体は、管状であり、1つ又はそれよりも多くの導電トラックは、管状電気絶縁基体の内側になる。…熱絶縁材料は、電気絶縁基体上に設けることができ、 外部加熱器は、導電トラックが管の内側に向き、熱絶縁材料が管の外側に向くように電気絶縁基体をローリングすることによって形成することができる。」(【0025】)と記載されていることに照らしても、また、プロダクト・バイ・プロセス・クレームについて判示した最高裁平成24年(受)第2658号同27年6月5日第二小法廷判決・民集6 9巻4号904頁に照らしても、「管状に巻かれ」とは、単に管状であることを意味するというべきである。そして、乙1発明1の「ほぼ円形断面を有するほぼ円筒形の要素60」という構成は、「要素60」が有する電気絶縁基体の構成でもあり、このような「要素60」が「ほぼ円形断面を有するほぼ円筒形」という管状をしているから、乙1発明1の 電気絶縁基体は「管状に巻かれ」たものである。 したがって、相違点2’は存在しないから、原告の上記主張は理由が 円形断面を有するほぼ円筒形」という管状をしているから、乙1発明1の 電気絶縁基体は「管状に巻かれ」たものである。 したがって、相違点2’は存在しないから、原告の上記主張は理由がない。 (ウ) 相違点3’が存在しないこと原告は、本件発明2-1が「電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多 くの導電トラックを含」む(構成要件2C)のに対し、乙1発明1はこのような構成が特定されていない点(以下「相違点3’」という。)で、両者は相違すると主張する。 しかし、相違点1’に係る前記(ア)と同様の理由により、相違点3’は存在しないから、原告の上記主張は理由がない。 (3) 容易想到性 ア相違点1’について本件発明1-1の「導電トラック」(構成要件1D)が本件特許1の実施形態に示されるような形状の発熱導体であると仮定したとしても、同様の形状の発熱導体は、乙7公報【図2】及び【図3】の「加熱要素201」、特開2004-355882号公報(乙10)【図1】ないし【図 3】の「発熱体2」、特開平8-69862号公報(乙11)【図1】、【図2】及び【図4】の「ヒータエレメント2」、特開2005-26045号公報(乙12)【図2】の「ヒート部材13」等として記載されているとおり、当業者における周知技術にすぎない。また、「国際特許分類第8版(2006)アドバンストレベル第8巻 H セレクション電 気」(乙42)において、「抵抗加熱」の下位の分類として、「導体が絶縁基体にそう着されているもの」、「絶縁基体に取り付けられた発熱導体」及び「発熱導体が絶縁基体に取り付けられているもの」が挙げられていることからしても、抵抗加熱部材を電気絶縁基体上に設 、「導体が絶縁基体にそう着されているもの」、「絶縁基体に取り付けられた発熱導体」及び「発熱導体が絶縁基体に取り付けられているもの」が挙げられていることからしても、抵抗加熱部材を電気絶縁基体上に設けることは極めて一般的であった。 したがって、本件優先日当時、上記のような形状を乙1発明1の表面装着抵抗加熱部材に適用することは設計事項にすぎないから、相違点1’に係る「電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含」む構成について容易に想到することができたというべきである。 イ相違点1について (ア) 相違点1につき容易に想到することができたこと乙1公報には、「要素60は、例えば、セラミック材料、断熱材料、又は熱伝導材料を含む適切な従来の材料で作ることができる。」(乙1公報の訳文に相当する乙2公報【0015】)と記載されており、乙1発明1において、「要素60」の材料は、適切な既知の材料の中から適 宜選択すべきものとされている。 そして、ポリイミドは、好適な機械特性、高い耐熱性及び高い絶縁性を有する周知の材料であり、電気絶縁基体として使用された例は枚挙に暇がない。また、本件優先日前に公開された原告の社内文書(乙63及び64)にも、ポリイミドが加熱式タバコの加熱器に使用される電気絶縁基体として特に適していることが記載されていた。 したがって、ポリイミドは、乙1発明1の「要素60」に求められる諸特性を兼ね備えた最良の材料であり、電気絶縁基体の材料としてポリイミドを採用することには強い動機付けがあるといえるから、乙1発明1に周知技術を組み合わせることにより、相違点1に係る構成について容易に想到することができたというべきである。 基体の材料としてポリイミドを採用することには強い動機付けがあるといえるから、乙1発明1に周知技術を組み合わせることにより、相違点1に係る構成について容易に想到することができたというべきである。 (イ) 原告の主張に対する反論原告は、ポリイミドは可撓性材料で、熱を加えたときの堅固さにおいて乙1公報に例として記載されたセラミックに比べてはるかに劣り、また、熱伝導性が低いため、熱伝導性を向上させるためにポリイミドを薄くすれば強度が確保されず、強度を得るために厚くすれば熱伝導に悪影 響が出るので、「要素60」にポリイミドを採用することには阻害要因があると主張する。 しかし、非熱可塑性ポリイミドは、セラミックほどの剛性はないものの、加熱式タバコの加熱中に変形しない程度の剛性を有する比較的剛性の高い材料である。乙1発明1における加熱温度は160ないし200 ℃であるから、ポリイミドの耐熱性(―269ないし400℃)(甲29)に照らして、加熱を繰り返すことにより劣化したり変形したりすることはあり得ず、熱を加えたときの堅固さに問題はない。 また、各種ポリイミドの熱伝導率は0.033ないし1.73W/m・Kであり、セラミックの一例であるジルコニアの熱伝導率1.7な いし2.7W/m・Kと近接している上、体積当たりの比熱はポリイミ ドの方がアルミナやジルコニアよりも小さいから(乙111の2)、ポリイミドがセラミックよりもはるかに熱が伝わりにくいということはなく、これら二つの材料の熱伝導性に大きな差はないというべきである。 したがって、電気絶縁基体の材料としてポリイミドを採用することについて、阻害要因は認められないから、原告の上記主張は理由がない。 材料の熱伝導性に大きな差はないというべきである。 したがって、電気絶縁基体の材料としてポリイミドを採用することについて、阻害要因は認められないから、原告の上記主張は理由がない。 ウ相違点2’について抵抗加熱部材を備えるポリイミドシートを巻いて管状にすることは、前記アで指摘した乙7公報等に記載されている周知技術である。また、前記イのとおり、乙1発明1において、「表面装着抵抗加熱部材」が装着される絶縁体の一つとしてポリイミドを選択することは、当業者にとって容易 に想到し得るものであり、ほぼ円筒形の「要素60」をその構成に含む乙1発明1を実施するに当たり、ポリイミドシートを巻いて管状に構成することは、単なる設計事項にすぎず、当業者にとって自然な作業であり、そこに何らの困難性もない。 したがって、相違点2’に係る構成について容易に想到することができ たというべきである。 エ相違点2について(ア) 相違点2につき容易に想到することができたこと「1つ又はそれよりも多くの表面装着抵抗加熱部材」を加熱器の部材として備える、エーロゾル形成基体を加熱する電気加熱式喫煙システム において、その「1つ又はそれよりも多くの表面装着抵抗加熱部材」を「各部分が電源に別々に接続可能である複数の部分を含む」(構成要件1H)ように構成することで、エーロゾル形成基体の全体を同時に加熱するのではなく、エーロゾル形成基体の複数の部分を順次に異なる時間帯において加熱するようにすることは、乙66公報、乙68公報等から も明らかなように、本件優先日のはるか以前である1990年代からご く普通に行われていたことであり、単なる周知技術であるという以上に、電気加熱式 とは、乙66公報、乙68公報等から も明らかなように、本件優先日のはるか以前である1990年代からご く普通に行われていたことであり、単なる周知技術であるという以上に、電気加熱式喫煙システムの標準的な構成ともいえる。 また、乙1公報には、「1つ又はそれよりも多くの表面装着抵抗加熱部材」(乙1公報の訳文に相当する乙2公報【0015】)、「上述のシステムにより、加熱されるシガレットの少なくとも一部分が所定の時 間間隔にわたって…加熱される」(同【0032】)と記載されている。 ここで、シガレットの同じ部分が加熱され続けると、その部分が過熱され、望ましくない味が生じる一方で、加熱されない他の部分からエアロゾルが形成されないことになり、そのような使用態様は通常あり得ないから、他の部分も別のタイミングで加熱されることが当然の前提となっ ていると解される。したがって、乙1公報に接した当業者としては、「加熱されるシガレットの少なくとも一部分が所定の時間間隔にわたって…加熱される」(同【0032】)ためには、上記のエーロゾル形成基体の複数の部分を順次に異なる時間帯において加熱するという周知技術を用いるものと当然に理解する。 そうすると、乙1発明2において、味が悪くなるなどの好ましくない結果を防止するために、「1つ又はそれよりも多くの導電トラック」(構成要件1D)に相当する「1つ又はそれよりも多くの表面装着抵抗加熱部材」を、「各部分が前記電源に別々に接続可能である複数の部分を含む」ように構成し、エーロゾル形成基体の複数の部分を順次に異な る時間帯において加熱できるようにすることの動機付けがある。 以上によれば、乙1発明2に周知技術を組み合わせることにより、相違点2に係る構 ロゾル形成基体の複数の部分を順次に異な る時間帯において加熱できるようにすることの動機付けがある。 以上によれば、乙1発明2に周知技術を組み合わせることにより、相違点2に係る構成について容易に想到することができたというべきである。 (イ) 原告の主張に対する反論 原告は、乙1発明2における円筒形の加熱器は、全加熱時間にわたり 喫煙物品の全体を均一に加熱するように構成されることが不可欠であると主張する。 しかし、乙1公報には、「加熱部材は、…チャンバ52内で半径方向及び軸線方向の両方に実質的に均一な温度を得て維持することができる。」(乙1公報の訳文に相当する乙2公報【0015】)と記載され ているが、あくまで、加熱部材によって「チャンバ52」内の一度に加熱される範囲が、半径方向及び軸線方向の両方に実質的に均一な温度に維持することができることを意味するにすぎず、一度に加熱される「チャンバ52」内の範囲が喫煙物品の全体でなければならないことまでは意味していない。また、乙1公報には、「シガレットロッドの少なくと も一部分を加熱し、同時にそれを所定の時間にわたって予め選択した温度に維持する方法。」(同【請求項8】)、「加熱されるシガレットの少なくとも一部分が所定の時間間隔にわたって予め選択した温度に維持される」(同【0032】)と記載されていることからすると、「チャンバ52」内の一度に加熱される範囲は、「チャンバ52」の全体に限 られないと理解することができるし、「均一な温度」とは、単に所定の時間間隔において、その時間に加熱されるシガレットの一部分を含む「チャンバ52」の部分において、温度が変動しないことを表しているだけで、「チャンバ52」の全体を全て 、「均一な温度」とは、単に所定の時間間隔において、その時間に加熱されるシガレットの一部分を含む「チャンバ52」の部分において、温度が変動しないことを表しているだけで、「チャンバ52」の全体を全ての時間において均一な温度に維持することを意味しない。 したがって、乙1発明2における円筒形の加熱器が、全加熱時間にわたり喫煙物品の全体を均一に加熱するように構成されることが不可欠であるとはいえないから、原告の上記主張は理由がない。 オ相違点3について(ア) 相違点3につき容易に想到することができたこと 前記エ(ア)のとおり、「1つ又はそれよりも多くの導電トラック」(構 成要件1D)を加熱器の部材として備えた、エーロゾル形成基体を加熱する電気加熱式喫煙システムにおいて、異なる部分を異なる持続時間にわたって加熱することや、異なる部分を異なる温度で加熱することは、いずれも周知の構成であった。このような構成によって、喫煙者の喫煙体験を高めることができ、有益であることは明らかである。 また、乙1公報には、「1つ又はそれよりも多くの表面装着抵抗加熱部材)」(乙1公報の訳文に相当する乙2公報【0015】)と、「表面装着抵抗加熱部材」が複数あることが記載されており、「加熱されるシガレットの少なくとも一部分が所定の時間間隔にわたって予め選択した温度に維持されるか又はそこまで加熱される」(同【0032】)こ とも記載されている。このような記載に接した当業者であれば、乙1発明2は、シガレットロッドの「点火器20」に挿入された部分のある一部分を、複数の「表面装着抵抗加熱部材」のうちのある一つで加熱し、所定の時間間隔にわたって予め選択した温度に維持し、また、挿入された部 2は、シガレットロッドの「点火器20」に挿入された部分のある一部分を、複数の「表面装着抵抗加熱部材」のうちのある一つで加熱し、所定の時間間隔にわたって予め選択した温度に維持し、また、挿入された部分の他の一部分についても、複数の「表面装着抵抗加熱部材」のう ちの他の一つで加熱して、所定の時間間隔にわたって予め選択した温度に維持する態様を含むと理解する。 そうすると、「1つ又はそれよりも多くの表面装着抵抗加熱部材」を有する喫煙システムである乙1発明2においても、喫煙者の喫煙体験を高めることは自明の課題であり、上記の周知の構成を採用する動機付け がある。 したがって、乙1発明2に周知技術を組み合わせることにより、相違点3に係る構成について容易に想到することができたというべきである。 (イ) 原告の主張に対する反論原告は、乙1発明2は、複数回のパフの継続時間中、挿入されたシガ レットを均一に同一時間、同じ温度で加熱してエーロゾルを形成する発 明であり、加熱器の一部を異なる温度や時間で個別に加熱することについての動機付けがなく、むしろ、加熱器の一部を異なる温度や時間で個別に加熱することは、喫煙者が複数回のパフにわたる喫煙時間内に1本のシガレットからのエーロゾル香味を安定して楽しむという乙1発明2の特徴を損なうものであるから、阻害要因があると主張する。 しかし、前記エ(イ)のとおり、乙1公報には、喫煙物品の一部を所定の時間間隔において均一な温度に維持することが記載されているだけで、その全体を全ての時間において均一な温度に維持することについては、何ら記載はない。 したがって、原告の上記主張は理由がない。 カ相違点4につい が記載されているだけで、その全体を全ての時間において均一な温度に維持することについては、何ら記載はない。 したがって、原告の上記主張は理由がない。 カ相違点4について(ア) 相違点4につき容易に想到することができたこと乙1公報には、「ジャケット62は、加熱アセンブリ50の外側に配置され、点火器20を保持するための手段を提供し、同時に喫煙者の手及び指を加熱アセンブリ50から絶縁する。そのために、ジャケット6 2は、例えば、セラミック、フェノール、又は木材などのような絶縁材料で作られる。」(乙1公報の訳文に相当する乙2公報【0017】)と記載されていることからも明らかなように、乙1発明1において「熱絶縁要素」(構成要件2F)に相当する「ジャケット62」は、既知の熱絶縁機能を有する部材の中から適宜選択されるべきものである。 既知の熱絶縁機能を有する部材には、金属によって輻射熱を反射するもの、熱伝導を低減する多数の気孔を含むポーラス金属を使用するもの、熱伝導を低減する真空を囲む壁材として金属を使用するもの等、金属を含むものが多数あり、電気加熱式喫煙物品にも使用されていた。 そうすると、乙1発明1における「ジャケット62」に、周知技術で ある金属を含む熱絶縁機能を有する部材を使用することについての動機 付けがあるといえるから、乙1発明1に周知技術を組み合わせることにより、相違点4に係る構成について容易に想到することができたというべきである。 (イ) 原告の主張に対する反論原告は、金属は熱伝導性の極めて高い材料であり、熱伝導性は熱絶縁 にとって有害な性質であるから、あえて金属を採用する動機付けはなく、むし (イ) 原告の主張に対する反論原告は、金属は熱伝導性の極めて高い材料であり、熱伝導性は熱絶縁 にとって有害な性質であるから、あえて金属を採用する動機付けはなく、むしろ阻害要因に該当すると主張する。 しかし、金属の高い熱伝導性が熱絶縁にとって有害というのであれば、「熱絶縁要素が金属を含む」(構成要件2F)という本件発明2-1の構成においても同様であるから、そもそも「熱絶縁要素が金属を含む」 という構成の意義が不明である。また、前記(ア)のとおり、金属を含む熱絶縁要素は、様々な技術分野や製品に適用可能なものとして知られており、その技術分野には電気加熱式喫煙物品も含まれているから、乙1発明2が属する技術分野その他全ての技術分野において適用可能である。 したがって、原告の上記主張は理由がない。 キ相違点5について(ア) 相違点5につき容易に想到することができたこと前記エ(ア)と同じ。 (イ) 原告の主張に対する反論前記エ(イ)と同じ。 ク相違点6について(ア) 相違点6につき容易に想到することができたこと前記オ(ア)と同じ。 (イ) 原告の主張に対する反論前記オ(イ)と同じ。 (4) 小括 以上によれば、本件各発明は、乙1発明1、乙1発明2及び乙1発明3を主引用発明とし、これに周知技術を組み合わせることにより、容易に発明することができたといえるから、本件特許1の請求項1、3、4及び8並びに本件特許2の請求項1、6、7及び8に係る特許は無効にされるべきものと認められ、原告は被告に対しその権利を行使することができない(特 ことができたといえるから、本件特許1の請求項1、3、4及び8並びに本件特許2の請求項1、6、7及び8に係る特許は無効にされるべきものと認められ、原告は被告に対しその権利を行使することができない(特許法1 04条の3第1項、123条1項2号、29条2項)。 (原告の主張)(1) 相違点ア相違点1’について(ア) 相違点1’が存在すること 乙1公報には、「表面装着抵抗加熱部材」が装着される電気絶縁基体についての記載はない。また、乙1公報には、「要素60は、例えば、セラミック材料、断熱材料、又は熱伝導材料を含む適切な従来の材料で作ることができる。」(乙1公報の訳文に相当する乙2公報【0015】)との記載があるだけで、どのような材料であるかや、熱以外にど のような材料物性が好ましいかについては記載されておらず、「要素60」が有する抵抗加熱部材や成形リボンにしても、それらがいかなる形状のものであって、どのような態様で「要素60」に存在しているかも不明である。このように、乙1公報には、「電気絶縁基体」や「電気絶縁基体上」に「導電トラックを含む」(構成要件1D)ことについての 記載がない。 したがって、本件発明1-1が「電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含」むのに対し、乙1発明1はこのような構成が特定されていない点(相違点1’)で、両者は相違する。 本件発明1-3、1-4及び1-8と乙1発明1を対比したときも同 様である。 (イ) 被告の主張に対する反論a 被告は、乙1発明1の「要素60」が有する「表面装着抵抗加熱部材」は何らかの表面に装着された抵抗加熱部材を意味し、この表面は、装着される (イ) 被告の主張に対する反論a 被告は、乙1発明1の「要素60」が有する「表面装着抵抗加熱部材」は何らかの表面に装着された抵抗加熱部材を意味し、この表面は、装着される抵抗加熱部材の短絡や漏電を避けるため、電気絶縁性を有することは当然であるから、「要素60」には電気絶縁基体が存在す ると主張する。 しかし、乙1公報には、「Theelement 60 mayhaveoneormoresurface-mountedresistanceheatingmemberssuchasfilms, orshapedribbons.」と記載されているところ、「要素60」が有するものとして、「surface-mountedresistanceheatingmemberssuchas films(表面に装着される抵抗加熱部材(一例としてフィルム))」を挙げ、別の例として、「shapedribbons(成形リボン)」を挙げたにすぎず、その記載からは、「電気絶縁基体」の存在も、「電気絶縁基体上」に「導電トラック」となった形態で電気導体が形成されていることも導き出せない。また、「表面装着抵抗加熱部材」の具体的内容は、乙1 公報からは不明であり、技術常識に照らしても直ちに理解することができるものではない。乙1発明1は、加熱器全体を均一に加熱することを基本コンセプトとしているから、導電材料を回路状のパターンとして配置してトラックとする理由はなく、例えば、1枚の金属箔をセラミックの円筒体に直接付着させることで足り、このような場合、導 電材料相互間を電気的に分離する電気絶縁基体は不要である。さらに、乙1発明1の「成形リボン」の具体的内容は必ずしも明らかではないが、 クの円筒体に直接付着させることで足り、このような場合、導 電材料相互間を電気的に分離する電気絶縁基体は不要である。さらに、乙1発明1の「成形リボン」の具体的内容は必ずしも明らかではないが、リボン状に形成した導電材料を樹脂で絶縁被覆したリボンヒータと考えるのが自然であるところ、そのようなものを使う場合、「要素60」に電気絶縁基体を設ける必要は全くない。 したがって、「要素60」に電気絶縁基体は存在しないから、被告の 上記主張は理由がない。 b 被告は、本件発明1-1の「導電トラック」は形状について何ら限定されていないから、導電路であれば足り、乙1発明1の「フィルム」や「成形リボン」も導電路たり得るから、これらは「1つ又はそれよりも多くの導電トラック」に相当すると主張する。 しかし、本件各明細書には、「電気絶縁基体を準備し、導電ペーストのパターンを形成するように」導電トラックを形成することが記載され(【0031】、【0033】及び【0035】)、細長い線でコース状となった導電路を示した図(【図4】及び【図5】)が紹介されており、これらの記載に照らすと、本件発明1-1の「導電トラ ック」は、導電材料等の素材にパターンを形成するなどして得られるものであって、一定の形状を含意する用語であることは明らかである。 そして、「トラック」とは、「地面や何らかの面における細長く続く通路・コース。」を意味するとされている。そうすると、本件発明1-1における「導電トラック」とは、導電材料が「トラック」といえ るような細長く続く通路・コースのような形状となったものを意味している。 一方、乙1公報には、「表面装着抵抗加熱部材」の例として挙げられているのは「フィル 「トラック」といえ るような細長く続く通路・コースのような形状となったものを意味している。 一方、乙1公報には、「表面装着抵抗加熱部材」の例として挙げられているのは「フィルム」のみであるところ(乙1公報の訳文に相当する乙2公報【0015】)、「フィルム」とは、「薄い膜状の素材」 を指すから、「導電トラック」についての記載があるとはいえない。 また、仮に、「成形リボン」も「表面装着抵抗加熱部材」の一例であると解したとしても、「成形リボン」がリボンヒータのようなものを指しているのであれば、その周囲は、通常、電気絶縁性材料でコーティングされているから、「要素60」にそのまま巻き付けて使うのが 自然であり、電気絶縁基体を設ける必要はない。 したがって、乙1公報には「導電トラック」に関する記載はないといわざるを得ないから、被告の上記主張は理由がない。 イ相違点2’について(ア) 相違点2’が存在すること本件発明1-1の「管状に巻かれ」(構成要件1F)とは、「電気絶 縁基体」が管状に巻かれた構造を特定したものであり、単なる管の形状であることを規定するものではない。このことは、本件各明細書【0063】及び「電気絶縁基体」を巻いた図である【図2e】の各記載からも明らかである。そして、本件発明1-1がこのような構成を採用しているのは、「電気絶縁基体」として「ポリイミド」という柔軟性のある部 材を用い、その上に「導電トラック」を形成したものを巻くことによって、簡易に「電気加熱式喫煙システム」(構成要件1A)を設計しようというものであるから、「管状に巻かれ」とは、文字どおり、管状に巻かれた形状を示しているのであって、最初から管になっている部材は含まれ て、簡易に「電気加熱式喫煙システム」(構成要件1A)を設計しようというものであるから、「管状に巻かれ」とは、文字どおり、管状に巻かれた形状を示しているのであって、最初から管になっている部材は含まれないというべきである。 一方、乙1公報には、そもそも「導電トラック」を含む「電気絶縁基体」の記載がなく、「管状に巻かれ」た「電気絶縁基体」の記載も当然ない。 したがって、本件発明1-1の「電気絶縁基体」が「管状に巻かれ」ているのに対し、乙1発明1はこのような構成が特定されていない点 (相違点2’)で、両者は相違する。 本件発明1-3、1-4及び1-8と乙1発明1を対比したときも同様である。 (イ) 被告の主張に対する反論被告は、本件発明1-1の「管状に巻かれ」とは、管状であることを 意味し、乙1発明1の「ほぼ円形断面を有するほぼ円筒形の要素60」 という構成は、「要素60」が有する電気絶縁基体の構成でもあり、それが「円筒形」、すなわち管状であることを表しているから、相違点2’は存在しないと主張する。 しかし、特許請求の範囲にあえて「管状に巻かれ」と記載されているのであるから、単なる管ではない形態を指していることは明らかである し、「管状に巻かれ」た場合、もともと端部であった部分を認識することができるような形態になっているから、単なる管状とは形状及び構造において区別される。 したがって、被告の上記主張は理由がない。 ウ相違点3’について (ア) 相違点3’が存在すること本件発明2-1と乙1発明を対比したとき、相違点1’と同様の相違点が存在する。 したがって、本件発明 相違点3’について (ア) 相違点3’が存在すること本件発明2-1と乙1発明を対比したとき、相違点1’と同様の相違点が存在する。 したがって、本件発明2-1が「電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含」む(構成要件2C)のに対し、乙1発明1 はこのような構成が特定されていない点(相違点3’)で、両者は相違する。 本件発明2-6、2-7及び2-8と乙1発明1を対比したときも同様である。 (イ) 被告の主張に対する反論 前記ア(イ)と同じ。 (2) 容易想到性ア相違点1’について(ア) 相違点1’につき容易に想到することができなかったこと乙1発明1は、同一円周上に並立する加熱器ブレードの配列の中にシ ガレット等を挿入し、1パフごとに1本の加熱器ブレードを順に短時間、 高温で加熱するという方式(乙66公報に記載された発明等に代表される。)を採用した製品が失敗に終わったことを受け、これと全く発想を変え、全面を均一に加熱する方式として構想されたものである。このように、乙1発明1は、円筒形の加熱器の全体を、一律かつ均一に1回の喫煙の全時間にわたって加熱する(その間に複数回のパフがされる。) ことを基本思想とするものであるから、導電材料を回路状に配置するという「導電トラック」(構成要件1D)の発想はないし、ましてや「導電トラック」を複数の部位に分け、別々に通電を制御することにより、加熱部位を変えたり、部位ごとに加熱の温度や時間を制御したりするという発想は見られず、むしろ、加熱部位を変えることは、乙1発明1の 均一な加熱という基本思想に反するものである。 し 熱部位を変えたり、部位ごとに加熱の温度や時間を制御したりするという発想は見られず、むしろ、加熱部位を変えることは、乙1発明1の 均一な加熱という基本思想に反するものである。 したがって、乙1発明1に「電気絶縁基体上の導電トラック」という構成を採用することには動機付けがないから、相違点1’に係る構成を容易に想到することができたとはいえない。 (イ) 被告の主張に対する反論 被告は、本件発明1-1の「導電トラック」のような形状の発熱導体は乙7公報等に記載されており、当業者における周知技術にすぎないと主張する。 しかし、本件優先日当時、電気加熱式喫煙システムはほとんど実用化されておらず、周知技術などは存在しなかった。そのような状況下で、 タバコのような小型の携帯用装置である電気加熱式喫煙システムの加熱器において、あえてトラックのような形状をした要素を採用しようと当業者が考えるのには、相応の動機付けが必要であるというべきであるが、乙7公報は電気式のフレーバ生成器の発明であり、構造や使用方法が全く異なっているし、その他の公報も技術分野が乙1発明1とは異なって おり、乙1発明1に適用できる周知技術を示しているとはいえない。 したがって、被告の上記主張は理由がない。 イ相違点1について(ア) 相違点1につき容易に想到することができなかったこと乙1発明1の加熱器は、シガレットを繰り返し挿入し、これを加熱して使用するため、その「要素60」の材料は、機械的な強度(堅固さ) と、加熱を繰り返しても劣化することなく同じ形及び寸法を保つ安定性が要求される。また、シガレットは加熱要素から伝わる熱によって加熱されなければならず 要素60」の材料は、機械的な強度(堅固さ) と、加熱を繰り返しても劣化することなく同じ形及び寸法を保つ安定性が要求される。また、シガレットは加熱要素から伝わる熱によって加熱されなければならず、かつ、乙1発明1は、乙1公報に明示されているとおり、加熱器全体を均一に加熱するものであるから、「要素60」の材料は、全体を均一に加熱し、熱を迅速かつ均一にシガレットに伝える 良好な熱伝導性を持っていることも条件となる。乙1公報では、唯一、具体的な材料としてセラミックが挙げられているところ(乙1公報の訳文に相当する乙2公報【0015】)、セラミックはこれらの要請をすべて満たす材料である。 一方、ポリイミドがセラミックとは性質も用途も全く異なる異質の材 料であることは、周知の事実である。すなわち、ポリイミドは、その典型的な形態がフィルムであることに示されるように、可撓性材料であり、樹脂の中では耐熱性が高いとされるものの、熱を加えたときの堅固さにおいて、セラミックに比べてはるかに劣ることは技術常識である。また、ポリイミドの熱伝導性が低いことも周知であり、熱伝導性の悪さは、パ フの開始から短時間に、「要素60」からの熱エネルギーを迅速にシガレットに伝え、全体を均一に加熱することにより、各パフを通じて十分な量のエーロゾルを発生させることを基本コンセプトとする乙1発明1にとって、好ましくない性質である。さらに、ポリイミドを「要素60」の材料として用いる場合、熱伝導性を向上させるためにポリイミドを薄 くすると強度が確保されず、強度を得るために厚くすると熱伝導に悪影 響が出るという二律背反が生じる。 そうすると、機械的強度や熱伝導性といった乙1発明1の「要素60」によって不可欠な性質を両立させ ず、強度を得るために厚くすると熱伝導に悪影 響が出るという二律背反が生じる。 そうすると、機械的強度や熱伝導性といった乙1発明1の「要素60」によって不可欠な性質を両立させることができないという点で、「要素60」にポリイミドを採用することには阻害要因がある。 したがって、相違点1に係る構成を容易に想到することができたとは いえない。 (イ) 被告の主張に対する反論被告は、乙1公報には「要素60は、例えばセラミック材料、断熱材料、又は熱伝導材料を含む適切な従来の材料で作ることができる。」(乙1公報の訳文に相当する乙2公報【0015】)と記載されており、「要 素60」の材料は適切な既知の材料の中から適宜選択すべきであるところ、ポリイミドは好適な機械特性、高い耐熱性及び高い絶縁性を有する周知の材料であり、電気絶縁基体の材料としてポリイミドを採用することには強い動機付けがあると主張する。 しかし、「従来の材料」の例として挙げられているのは、全て熱伝導性 の観点から選ばれたものであるから、電気絶縁基体の材料としてポリイミドを選択するという前提は誤りである。また、乙1発明1は、加熱要素を全体的に均一に加熱することを基本思想とするものであるから、導電材料をトラック状にする必要はなく、そうである以上、トラック同士の導通を防ぐための層としての電気絶縁基体も本来不要であり、ポリイ ミドを用いる必要はない。乙1公報に挙げられたセラミックは、一般に、絶縁性材料として知られているから、この点からも電気絶縁基体を設ける必要はなく、電気絶縁材料として周知のポリイミドを採用することを想到するということはない。 したがって、被告の上記主張は理由がない。 れているから、この点からも電気絶縁基体を設ける必要はなく、電気絶縁材料として周知のポリイミドを採用することを想到するということはない。 したがって、被告の上記主張は理由がない。 ウ相違点2’について 本件発明1-1は、ポリイミドという比較的柔軟性のある部材を用い、これに薄い導電トラックを形成したものを巻くことにより、簡易に電気加熱式喫煙システムを設計したものであるが、乙1発明1は、もともとセラミック等を円筒に形成したものを加熱器とするというものであるから、電気絶縁基体を巻く必要がなく、動機付けが存在しない。 被告は、乙7公報等を挙げて、ポリイミドを巻いて管状にする構成は周知技術であると主張するが、技術分野を無視ないし軽視した主張である。 したがって、「電気絶縁基体は、…管状に巻かれ」(構成要件1E)という構成を採用することには動機付けがないから、相違点2’に係る構成を容易に想到することができたとはいえない。 エ相違点2について(ア) 相違点2につき容易に想到することができなかったこと乙1公報には、「ほぼ円筒形のチャンバ内でタバコの着火温度よりも低く約160℃から約200℃の範囲に入る実質的に均一な温度を維持するように作動可能なほぼ円筒形の加熱器」(乙1公報の訳文に相当す る乙2公報【請求項1】)、「使用される加熱部材とは関係なく、加熱部材は、…チャンバ52内で半径方向及び軸線方向の両方に実質的に均一な温度を得て維持することができる。」(同【0015】)と記載されていることからすると、乙1発明2は、シガレットの加熱器に挿入された部分の全体を均一に加熱する発明である。乙1公報のその他の記載 を見ても、加 することができる。」(同【0015】)と記載されていることからすると、乙1発明2は、シガレットの加熱器に挿入された部分の全体を均一に加熱する発明である。乙1公報のその他の記載 を見ても、加熱要素の特定の部分を異なる温度や時間で個別に加熱することが可能であるとする記載も示唆もなく、むしろ、回路図(同【図5】)を見ると、個別に加熱することはできない構造となっている。そして、「予め選択した温度は、その時間間隔中の吸煙間で、かつ吸煙がない時は所定の時間間隔の継続期間にわたって実質的な中断なしに維持 される。」(同【0032】)として、吸煙期間にわたって中断のない 温度維持が重要であることが示唆され、上記回路図(同【図5】)を見ても、同じ温度、同じ時間で加熱することしかできない構造が記載されている一方で、加熱要素の一部を異なる時間で加熱することについては一切言及がない。 これらの記載に照らすと、乙1発明2は、シガレット等の喫煙物品を、 加熱器への挿入部位の全体にわたって均一に、比較的低い温度(160ないし200℃)でじっくりと加熱することにより、可視煙を生じさせることなくタバコ風味のエーロゾルを発生させ、その全加熱時間内に、喫煙者が複数回のパフを行うことができるようにしたものであり、その円筒形の加熱器は、全加熱時間にわたり、喫煙物品の全体を均一に加熱 するように構成されることが不可欠である。そのような加熱器において、「1つ又はそれよりも多くの導電トラック」が「各部分が前記電源に別々に接続可能である複数の部分を含む」(構成要件1H)との構成は不要であり、このような構成を採用することの動機付けを欠く。 したがって、相違点2に係る構成を容易に想到することができたとは いえない。 部分を含む」(構成要件1H)との構成は不要であり、このような構成を採用することの動機付けを欠く。 したがって、相違点2に係る構成を容易に想到することができたとは いえない。 (イ) 被告の主張に対する反論被告は、乙1発明2の「1つ又はそれよりも多くの表面装着抵抗加熱部材」を「各部分が電源に別々に接続可能である複数の部分を含む」ように構成することは、本件優先日のはるか以前からごく普通に行われて いたことであり、電気加熱式喫煙システムの標準的な構成であると主張する。 しかし、被告が周知として挙げる例は、いずれも、個々の加熱器ブレードで順に短時間、高温で加熱していく加熱器に係るもので、単一の筒体の加熱器の全体を均一に加熱しようとする乙1発明2とは、基本的発 想、加熱方式及び加熱器構造の全てにおいて異なるものであるから、そ れらを乙1発明2に適用することの動機付けは認められない。 したがって、被告の上記主張は理由がない。 オ相違点3について(ア) 相違点3につき容易に想到することができなかったこと乙1発明2は、複数回のパフの継続時間中、挿入されたシガレットを 均一に同じ温度、同じ時間で加熱してエーロゾルを形成する発明であるから、加熱器の一部(換言すれば、シガレットの一部)を異なる温度や時間で個別に加熱することについての動機付けがなく、むしろ、乙1発明2の基本的な内容(技術思想)と逆行するものである。 また、乙1発明2の上記特徴は、喫煙者の側からすると、複数回のパ フにわたる喫煙時間内に、1本のシガレットからのエーロゾル香味を安定して楽しむことを可能にするものであるところ、喫煙物品の部分ごとに異 1発明2の上記特徴は、喫煙者の側からすると、複数回のパ フにわたる喫煙時間内に、1本のシガレットからのエーロゾル香味を安定して楽しむことを可能にするものであるところ、喫煙物品の部分ごとに異なる温度や時間で加熱を行うことは、喫煙者の喫煙体験にとって重要な乙1発明2の上記特徴を損なうものであるから、そのような加熱を行うことには阻害要因があるといえる。 したがって、相違点3に係る構成を容易に想到することができたとはいえない。 (イ) 被告の主張に対する反論被告は、エーロゾル形成基体を加熱する電気加熱式喫煙システムにおいて、異なる部分を異なる持続時間にわたって加熱することや、異なる 部分を異なる温度で加熱することは、いずれも周知の構成であったと主張する。 しかし、前記エ(イ)のとおり、被告が周知技術であるとして挙げる乙66公報等は、いずれも、個々の加熱器ブレードで順に短時間、高温で加熱していく加熱器に係るもので、単一の筒体の加熱器の全体を均一に加 熱しようとする乙1発明2とは、基本的発想、加熱方式、加熱器構造の 全てにおいて異なるものであるから、それらを乙1発明2に適用することの動機付けが認められない。また、前記ア(ア)のとおり、これらの例は、原告の開発過程において失敗に終わった加熱方式に係るものであり、その失敗を踏まえて、乙1発明2においては、これらと全く異なる均一加熱という方式が提案されているのであるから、乙1発明2の技術思想に 真っ向から反する技術を採用することはあり得ない。 したがって、被告の上記主張は理由がない。 カ相違点4について(ア) 相違点4につき容易に想到することができなかったこと金属 用することはあり得ない。 したがって、被告の上記主張は理由がない。 カ相違点4について(ア) 相違点4につき容易に想到することができなかったこと金属は熱伝導性の極めて高い材料であるところ、熱伝導性は熱絶縁に よって有害な性質であるから、あえて金属を採用する動機付けはなく、むしろ、そのような構成を採用することについては阻害要因がある。 したがって、相違点4に係る構成を容易に想到することができたとはいえない。 (イ) 被告の主張に対する反論 被告は、既知の熱絶縁機能を有する部材の中には、金属を含むものが多数あると主張する。 しかし、被告が指摘する既知の熱絶縁機能を有する部材は、種々の異なる技術分野からの寄せ集めにすぎず、乙1発明2に適用し得る周知技術の存在を示すものではない。また、ある技術が一般によく知られてい たとしても、それは、その技術が分野を横断した一般的なものであるということを意味するにすぎず、その技術が、発明が属する技術分野や発明が解決すべき技術的課題との関係で周知であるということを意味するものではない。 したがって、被告の上記主張は理由がない。 キ相違点5について (ア) 相違点5につき容易に想到することができなかったこと前記エ(ア)と同じ。 (イ) 被告の主張に対する反論前記エ(イ)と同じ。 ク相違点6について (ア) 相違点6につき容易に想到することができなかったこと前記オ(ア)と同じ。 (イ) 被告の主張に対する反論前記オ(イ)と同じ。 9 争点2-2(本 (ア) 相違点6につき容易に想到することができなかったこと前記オ(ア)と同じ。 (イ) 被告の主張に対する反論前記オ(イ)と同じ。 9 争点2-2(本件各発明についての乙66公報を主引用例とする新規性及び 進歩性欠如)について(被告の主張)(1) 乙66公報に記載された発明乙66公報には、以下の発明(以下「乙66発明」という。)が記載されている。 シガレット23を挿入及び取り出し可能なライター25と、ライター25に挿入されたシガレット23を含む電気加熱式喫煙システムであって、前記ライター25は、前記シガレット23を加熱してエーロゾルを形成するための加熱器と、前記加熱器の加熱要素122に電力を供給するための電源37と、 所定の量のエネルギーを前記電源37から前記加熱要素122に送達する電気制御回路41と、金属ベースの材料を含む硬い耐熱性の材料から作られ、前記加熱器を取り囲むハウジング31と、を含み、 前記加熱器は、複数の導電性の前記加熱要素122を含み、各加熱要素1 22の一端には、それぞれ正のコンタクトパッド124が設けられ、他端には、それぞれ負のコンタクトパッド126又は全ての加熱要素122に共通して接続されるコンタクト材料128が設けられ、前記加熱器は、電気絶縁基体上に加熱要素122、コンタクトパッド124、及び、コンタクトパッド126又は共通して接続されるコンタクト材料 128が堆積され、前記電気絶縁基体は、管状であり、前記加熱器は、前記シガレット23を取り囲み又は部分的に取り囲んでおり、前 共通して接続されるコンタクト材料 128が堆積され、前記電気絶縁基体は、管状であり、前記加熱器は、前記シガレット23を取り囲み又は部分的に取り囲んでおり、前記加熱要素122は、それぞれ前記電源37に別々に接続可能である、 電気加熱式喫煙システム。 (2) 一致点及び相違点ア本件各発明と乙66発明との一致点及び相違点(ア) 本件発明1-1と乙66発明を対比すると、一致点及び相違点は以下のとおりである。 a 一致点本件発明1-1と乙66発明は、以下の点で一致する。 エーロゾル形成基体を受け取るための電気加熱式喫煙システムであって、前記エーロゾル形成基体を加熱してエーロゾルを形成するための少 なくとも1つの加熱器と、前記少なくとも1つの加熱器に電力を供給するための電源と、を含み、前記少なくとも1つの加熱器は、電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含み、 前記電気絶縁基体は、管状に巻かれ、 前記少なくとも1つの加熱器は、前記エーロゾル形成基体を取り囲み又は部分的に取り囲む、ことを特徴とするシステム。 b 相違点本件発明1-1の「電気絶縁基体」が「ポリイミドで形成されて」 いる(構成要件1E)のに対し、乙66発明の「電気絶縁基体」はそのような構成を有するものに限定されていない点(以下「相違点7」という。)で、両者は相違する。 (イ) 本件発明1-3と乙66発明を対比すると、一致点及び相違点は以下のとおりである。 ような構成を有するものに限定されていない点(以下「相違点7」という。)で、両者は相違する。 (イ) 本件発明1-3と乙66発明を対比すると、一致点及び相違点は以下のとおりである。 a 一致点本件発明1-3と乙66発明は、前記(ア)aに加え、「前記1つ又はそれよりも多くの導電トラックは、各部分が前記電源に別々に接続可能である複数の部分を含む電気加熱式喫煙システム。」である点で一致する。 b 相違点相違点7で、両者は相違する。 (ウ) 本件発明1-4と乙66発明を対比すると、一致点及び相違点は以下のとおりである。 a 一致点 前記(イ)aと同じ。 b 相違点相違点7で、両者は相違する。 また、本件発明1-4の「電子回路」が「1つ又はそれよりも多くの導電トラックの異なる部分が、異なる持続時間にわたって加熱され るか、異なる温度で加熱されるか、又は、異なる持続時間にわたって 異なる温度で加熱されるように、前記電源から前記少なくとも1つの加熱器までの電力の供給を制御するように配置され」ている(構成要件1I)のに対し、乙66発明の「電気制御回路」はこのような加熱制御を行っているかが不明である点(以下「相違点8」という。)で、両者は相違するように見える。 しかし、乙66公報には、「単一の加熱器及び対応する加熱器ブレードのパルス駆動によって得られるパフよりも長いパフが望ましい場合、制御ロジックは、最初の加熱器のパルス駆動の直後、又は最初のパルス駆動の最終部分の間に、別の加熱器又は追加の加熱器(1つ以上)をすぐに点火して、シガレットの他のセグメン りも長いパフが望ましい場合、制御ロジックは、最初の加熱器のパルス駆動の直後、又は最初のパルス駆動の最終部分の間に、別の加熱器又は追加の加熱器(1つ以上)をすぐに点火して、シガレットの他のセグメントを加熱するよう に構成される。追加の加熱器は、放射状に連続する加熱器又は別の加熱器とすることができる。」(乙66公報の訳文である乙75・14頁)と記載されていることからすると、乙66発明は、長いパフが望ましい場合、一つ又はそれよりも多くの「放射状に連続する」(隣接する)「加熱器ブレード」が、「最初の加熱器のパルス駆動の直後、 又は最初のパルス駆動の最終部分の間に」点火されるものである。そうすると、喫煙者が通常のパフの長さより長い持続時間のパフを行ったとき、隣接する2本の「加熱器ブレード」(「導電トラックの異なる部分」に相当する。)は、通常の長さのパフを行ったときに加熱される単一の「加熱器ブレード」と比べ、より長時間加熱され、より高 い温度になる。 本件発明1-4の「導電トラックの異なる部分が、異なる持続時間にわたって加熱される」における「導電トラックの異なる部分」について、被告製品1のように、「導電トラック」全体のうちの複数の配線(例えば、前記3(被告の主張)(1)イの配線AないしC)であって も、同時に加熱される場合には一つの「部分」に相当すると解すると、 乙66発明の隣接する2本の加熱器ブレードも、ほぼ同時に、あるいは連続して加熱される場合には一つの「部分」となり得る。 したがって、乙66発明において、喫煙者が通常のパフの長さより長い持続時間のパフを行ったときに加熱される隣接する二つの「加熱器ブレード」は、一体として、本件発明1-4の「導電トラック」の 「部分」に って、乙66発明において、喫煙者が通常のパフの長さより長い持続時間のパフを行ったときに加熱される隣接する二つの「加熱器ブレード」は、一体として、本件発明1-4の「導電トラック」の 「部分」に相当するというべきである。 そうすると、相違点8は実質的な相違点ではない。 (エ) 本件発明1-8と乙66発明を対比すると、一致点及び相違点は以下のとおりである。 a 一致点 本件発明1-8と乙66発明は、前記(イ)aに加え、「前記システムは、加熱時に前記エーロゾル形成基体から放出される揮発性タバコ香味化合物を含有するタバコ含有材料を含むエーロゾル形成基体を含むことを特徴とする前記加熱式喫煙システム」である点で一致する。 b 相違点 相違点7で、両者は相違する。 また、相違点8で両者は相違するように見えるが、前記(ウ)bのとおり、相違点8は実質的な相違点ではない。 (オ) 本件発明2-1と乙66発明を対比すると、全て一致し、相違点はない。 本件発明2-6、2-7及び2-8と乙66発明を対比したときも同様である。 (カ) 本件発明2-6と乙66発明を対比すると、全て一致し、相違点はない。 本件発明2-6、2-7及び2-8と乙66発明を対比したときも同 様である。 (キ) 本件発明2-7と乙66発明を対比すると、一致点及び相違点は以下のとおりである。 a 一致点本件発明2-7と乙66発明は、以下の点で一致する。 エーロゾル形成基体を受け取るための電気加熱式喫煙システムであ って、前記エーロゾル形成基 点本件発明2-7と乙66発明は、以下の点で一致する。 エーロゾル形成基体を受け取るための電気加熱式喫煙システムであ って、前記エーロゾル形成基体を加熱してエーロゾルを形成するための少なくとも1つの加熱器であって、前記少なくとも1つの加熱器が電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含み、前記電気絶縁基体が管状である、少なくとも1つの加熱器と、 前記少なくとも1つの加熱器に電力を供給するための電源と、前記加熱器を絶縁するために前記加熱器の周りに配置された熱絶縁要素であって、前記熱絶縁要素が金属を含む、熱絶縁要素と、を含む少なくとも1つのことを特徴とし、前記1つ又はそれよりも多くの導電トラックは、各部分が前記電源 に別々に接続可能である複数の部分を含むことを特徴とするシステム。 b 相違点本件発明2-7の「電子回路」が「1つ又はそれよりも多くの導電トラックの異なる部分が、異なる持続時間にわたって加熱されるか、異なる温度で加熱されるか、又は、異なる持続時間にわたって異なる 温度で加熱されるように、前記電源から前記少なくとも1つの加熱器までの電力の供給を制御するように配置され」ている(構成要件2J)のに対し、乙66発明の「電気制御回路」はこのような加熱制御を行っているかが不明である点(以下「相違点9」という。)で、両者は相違するように見える。 しかし、相違点7に係る上記(ウ)bと同様の理由により、相違点9は 実質的な相違点ではない。 (ク) 本件発明2-8と乙66発明を対比すると、一致点及び相違点は以下のとおりである。 相違点7に係る上記(ウ)bと同様の理由により、相違点9は 実質的な相違点ではない。 (ク) 本件発明2-8と乙66発明を対比すると、一致点及び相違点は以下のとおりである。 a 一致点前記(キ)aと同じ。 b 相違点相違点9で両者は相違するように見えるが、前記(キ)bのとおり、相違点9は実質的な相違点ではない。 イ原告の主張に対する反論(ア) 相違点4’が存在しないこと a 原告は、本件発明1-1の「加熱器」が「電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含」む(構成要件1D)のに対し、乙66発明の「加熱器」はこのような構成を有しない点(以下「相違点4’」という。)で、両者は相違すると主張する。 しかし、乙66発明の「加熱器」は、電気絶縁基体上に、「加熱要 素122」、「コンタクトパッド124」及び「コンタクトパッド126」又は「コンタクト材料128」が堆積されている。そして、乙66発明では、複数の「加熱要素122」、「コンタクトパッド124」及び「コンタクトパッド126」又は「コンタクト材料128」から形成される導電パターンが「導電トラック」を構成するものであ る。 b 原告は、「導電トラック」とは、「電気絶縁基体」の面における通路又はコースを示すもので、その面積が「電気絶縁基体」より小さいものでなければならないと主張する。 しかし、「導電トラック」の表面の面積について、それが「電気絶 縁基体」より小さいものでなければならないとする理由はない。乙6 6公報に示される複数の導電パターン(「加熱要素122」、「コンタクトパッド124」及び「コンタクトパ れが「電気絶 縁基体」より小さいものでなければならないとする理由はない。乙6 6公報に示される複数の導電パターン(「加熱要素122」、「コンタクトパッド124」及び「コンタクトパッド126」からなる部分)が、管状に配列された櫛歯状の電気絶縁基体により形成される面における電流の通路ないしコースであることは明らかであるから、上記導電パターンは、本件発明1-1の「導電トラック」に相当するといえ る。 c 原告は、「導電トラック」は「電気絶縁基体」上に望ましい熱分布を与えるように配置されるものであるから、導電材料が通路又はコースとなるようなものでなければならないと主張する。 しかし、本件各明細書には、「導電トラックは、望むようにかつ望 ましい熱分布を与えるように電気絶縁基体上に配置することができる。」(【0008】)、「導電トラックは、望むようにかつ望ましい熱分布を与えるように電気絶縁基体上に簡単に配置することができる。」(【0017】)と記載されていることからすると、「導電トラック」が望ましい熱分布を与えるように配置されることは、本件発 明1-1の特定事項とは無関係であり、「導電トラック」の形状と「電気絶縁基体」の形状の関係を表すものでもない上、望ましい熱分布は、導電性材料のあるところが電気絶縁基体の全部の領域を占めていたとしても、実現可能である。 d したがって、原告の前記aないしcの各主張はいずれも理由がない から、相違点4’は存在しない。 (イ) 相違点5’が存在しないことa 原告は、本件発明1-1の「電気絶縁基体」が「管状に巻かれ」ている(構成要件1E)のに対し、乙66発明の「加熱器ブレード」はこのような構成を有しない点(以下「相 5’が存在しないことa 原告は、本件発明1-1の「電気絶縁基体」が「管状に巻かれ」ている(構成要件1E)のに対し、乙66発明の「加熱器ブレード」はこのような構成を有しない点(以下「相違点5’」という。)で、両 者は相違すると主張する。 しかし、前記8(被告の主張)(2)イ(イ)のとおり、「管状に巻かれ」とは、単に管状であることを意味するところ、乙66発明の「加熱器ブレード」は管状である。 b 原告は、乙66発明の「加熱器」は櫛歯状となっており、このようなものを巻いても「管状」には該当しないと主張する。 しかし、本件各明細書において「管状アレイを開示している。」(【0002】)として記載された「US-A-5 353 813」(乙39公報)には、板紙の「補強チューブ40」の周りに櫛歯状の「導電性ブレード11」が管状に配列されている様子が示されていることから、原告自身、櫛歯状のブレードであっても「管状」に該当す ることを認めている。また、乙66公報には、「セラミック基体121は、このようにして、好ましくは概ね管状又は円筒状となるように製造される。」(乙66公報の訳文である乙75・17頁)と記載されており、櫛歯状の「セラミック基体121」が乙66公報の【図4】等に示されるように管状に巻かれることによって製造される様子が表 されていることは明らかである。 c 原告は、乙66公報では、セラミック基体やその上の導電性加熱材料を巻くことによって形成することを事実上否定していると主張する。 しかし、乙66公報には、「本発明では、加熱要素122は、チューブへと巻回される前のシートではなく、チューブに堆積されること が好ましい。これ を事実上否定していると主張する。 しかし、乙66公報には、「本発明では、加熱要素122は、チューブへと巻回される前のシートではなく、チューブに堆積されること が好ましい。これは、巻回に起因する応力を軽減するためである。」(乙66公報の訳文である乙75・16頁)と記載されており、チューブ(セラミックチューブ)が巻回することができないということを意図したものではなく、チューブを巻回した上で、その後に加熱要素を堆積することが好ましいことを記載したものである。実際に、乙6 6公報の「発明の概要」には、「他の方法では、加熱要素部片は、1 枚のシートから複数のブレードを切り出し、そのカット済みシートを巻いて、複数のヒートシンクブレードを有するセラミック部片と嵌め合うための円筒体にすることにより製造される。」(同5頁)と記載されており、セラミック基体を巻回することによって形成することを否定していない。 d したがって、原告の前記aないしcの各主張はいずれも理由がないから、相違点5’は存在しない。 (ウ) 相違点6’が存在しないこと原告は、本件発明1-3の「1つ又はそれよりも多くの導電トラック」が「各部分が前記電源に別々に接続可能である複数の部分を含む」(構 成要件1H)のに対し、乙66発明の「1つ又はそれよりも多くの抵抗加熱部材」はそのような構成を有しない点(以下「相違点6’」という。)で、両者は相違すると主張する。 しかし、乙66発明では、「ハブ110」から延びている複数の「加熱要素122」は、「電源37」に別々に接続されるものであるから、 「導電トラック」の「複数の部分」を構成する。そして、原告が主張するように(前記3(原告の主張)(1) ら延びている複数の「加熱要素122」は、「電源37」に別々に接続されるものであるから、 「導電トラック」の「複数の部分」を構成する。そして、原告が主張するように(前記3(原告の主張)(1))、複数本の導電性配線をまとめて「導電トラック」と解し、1本の導電性配線のみならず、複数本の導電性配線のまとまりも「部分」に相当するという解釈を前提とすると、乙66発明の複数の導電パターンがまとめて「導電トラック」に相当し、 そのうち「電源37」に別々に接続可能な複数の「加熱要素122」の1本又は複数のまとまりが「部分」に相当することになる。 したがって、相違点6’は存在しない。 (エ) 相違点8が存在しないこと原告は、本件発明1-4の「電子回路」が「1つ又はそれよりも多く の導電トラックの異なる部分が、異なる持続時間にわたって加熱される か、異なる温度で加熱されるか、又は、異なる持続時間にわたって異なる温度で加熱されるように」電力の供給を制御するもの(構成要件1I)であるのに対し、乙66発明の「電子回路」はそのような構成を有しない点(相違点8)で、両者は相違すると主張し、乙66公報には、「異なる部分が、異なる持続時間にわたって加熱される」ことも、「異なる 部分が、…異なる温度で加熱される」ことも記載されていないと主張する。 しかし、乙66公報には、「8つの加熱要素は、バイナリデバイスを用いた電気制御に適している。所望の回数のパフ、例えば、挿入された1本のシガレットごとに5~16、好ましくは6~10、の間の任意の 回数、又は8回のパフを生じさせることができる。」(乙66公報の訳文である乙75・7頁)と記載されており、これは、「8つの加熱要素」を有する「ライタ ~16、好ましくは6~10、の間の任意の 回数、又は8回のパフを生じさせることができる。」(乙66公報の訳文である乙75・7頁)と記載されており、これは、「8つの加熱要素」を有する「ライター25」において、所望の回数のパフ、例えば、5ないし16回の間の任意の回数のパフを生じさせることができるということを意味している。このことと、「長いパフが望ましい場合」、1つ又 はそれよりも多くの放射状に連続する(隣接する)加熱器ブレードが、「最初の加熱器のパルス駆動の直後、又は最初のパルス駆動の最終部分の間に」点火されるとの乙66公報の記載(同14頁)を併せ考えると、乙66公報には、任意の所望の回数のパフを生じさせることが記載されていると理解することができ、このことは、乙66公報に、喫煙者が通 常より長いパフを行った場合に、それに合わせて「加熱器ブレード」を点火するタイミングを変えることが記載されていることを意味している。 そうすると、乙66公報には、乙66発明の「ライター25」が、複数の部分に対する加熱の持続時間を、ユーザが喫煙する際のパフの時間の変化に合わせて変更することができる加熱器構造を有することが記載 されたものであるといえる。 したがって、乙66公報には、「異なる部分が、異なる持続時間にわたって加熱される」こと及び「異なる部分が、…異なる温度で加熱される」ことが記載されているから、前記ア(ウ)bのとおり、相違点8は実質的な相違点ではない。 (オ) 相違点7’が存在しないこと 原告は、本件発明2-1の「加熱器」が「電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含」む(構成要件2C)のに対し、乙66発明の「加熱器」はこのような構成を有しない と 原告は、本件発明2-1の「加熱器」が「電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含」む(構成要件2C)のに対し、乙66発明の「加熱器」はこのような構成を有しない点(以下「相違点7’」という。)で、両者は相違すると主張する。 しかし、相違点4’に係る前記(ア)と同様の理由により、相違点7’は 存在しない。 (カ) 相違点8’が存在しないこと原告は、本件発明2-1の「電気絶縁基体」が「管状である」(構成要件2D)のに対し、乙66発明の「加熱器ブレード」はこのような構成を有しない点(以下「相違点8’」という。)で、両者は相違すると 主張する。 しかし、相違点5’に係る前記(イ)と同様の理由により、相違点8’は存在しない。 (キ) 相違点9’が存在しないことa 原告は、本件発明2-1が「加熱器を絶縁するために前記加熱器の 周りに配置された熱絶縁要素であって、前記熱絶縁要素が金属を含む」(構成要件2F)のに対し、乙66発明はそのような構成を有しない点(以下「相違点9’」という。)で、両者は相違すると主張する。 この点、本件各明細書の記載(【0015】)によれば、「熱絶縁」とは、熱損失を軽減し、電気加熱式喫煙システムを手に持っていると きに、ユーザをやけどから保護することを意味する。そして、68℃ の温度でわずか1秒接触しただけでも、やけどを生じるとされるところ(乙120)、乙66発明の「加熱器」は、使用時に約200ないし900℃の高温に達することからすると、仮に、1ブレード当たり1ないし2秒で加熱部位(ブレード)が順次移動するとしても、乙66発明においてやけどの防止を考慮することは当然で 、使用時に約200ないし900℃の高温に達することからすると、仮に、1ブレード当たり1ないし2秒で加熱部位(ブレード)が順次移動するとしても、乙66発明においてやけどの防止を考慮することは当然である。 また、使用者が喫煙具を持つ位置は使用者によって異なるところ、ハウジングのいずれの部位であっても、使用者が加熱器の作動中に手を触れる可能性があり、バッテリーを覆う部分(加熱器により熱くならないと思われる部分)しか手を触れないという保証はないから、加熱器の周りに存在する「ハウジング31」も、ユーザのやけどの防止 に寄与しているといえる。 さらに、乙66発明における「ハウジング31」は、金属ベース等の耐熱性材料で作られており、加熱器具の周りに配置され、熱を遮蔽し、ユーザのやけどの防止に寄与しているといえるから、「金属」を含む「熱絶縁要素」に相当する。 したがって、相違点9’は存在しない。 b 原告は、「ハウジング31」は喫煙具が当然備えるべき筐体で、加熱器の熱から絶縁されるべき対象そのものであると主張する。 しかし、「ハウジング31」が原告の主張するようなものであったとしても、「ハウジング31」自体が、使用時に約200ないし90 0℃もの高温に達する加熱要素を喫煙システムの外側から遮蔽することで、加熱要素により熱せられた空気が移動することによって外部に熱が伝達することを抑制し、ユーザのやけどの防止に寄与しているから、熱絶縁性を有していることは明らかである。 したがって、原告の上記主張は理由がない。 (ク) 相違点10’が存在しないこと 原告は、本件発明2-6の「1つ又はそれよりも多くの導電 る。 したがって、原告の上記主張は理由がない。 (ク) 相違点10’が存在しないこと 原告は、本件発明2-6の「1つ又はそれよりも多くの導電トラック」が「各部分が前記電源に別々に接続可能である複数の部分を含む」(構成要件2I)のに対し、乙66発明の「1つ又はそれよりも多くの抵抗加熱部材」はそのような構成を有しない点(以下「相違点10’」という。)で、両者は相違すると主張する。 しかし、相違点6’に係る前記(ウ)と同様の理由により、相違点10’は存在しない。 (ケ) 相違点9が存在しないこと原告は、本件発明2-7の「電子回路」が「1つ又はそれよりも多くの導電トラックの異なる部分が、異なる持続時間にわたって加熱される か、異なる温度で加熱されるか、又は、異なる持続時間にわたって異なる温度で加熱されるように」電力の供給を制御するもの(構成要件2J)であるのに対し、乙66発明の「電子回路」はそのような構成を有しない点(相違点9)で、両者は相違すると主張する。 しかし、相違点8に係る前記(エ)と同様の理由により、相違点9は実質 的な相違点ではない。 (3) 容易想到性ア相違点7について(ア) 相違点7につき容易に想到することができたこと乙66公報には、電気絶縁基体の材料としてセラミック又は他の電気 不導体が記載されているが、このセラミックに関して、「多くのセラミックは、巻回に必要な柔軟性を有さない。」(乙66公報の訳文である乙75・16頁)とも記載されており、セラミックよりも柔軟性があり、巻回に適した材料の使用を示唆するものである。 そして、前記8(被告の主張 柔軟性を有さない。」(乙66公報の訳文である乙75・16頁)とも記載されており、セラミックよりも柔軟性があり、巻回に適した材料の使用を示唆するものである。 そして、前記8(被告の主張)(3)イ(ア)のとおり、ポリイミドは、好 適な機械特性、高い耐熱性及び高い絶縁性を有する周知の材料で、電気 絶縁基体として使用された例は枚挙に暇がない。これに加えて、本件優先日前に公開された原告の社内の文書(乙63及び64)にも、ポリイミドが加熱式タバコの加熱器に使用される電気絶縁基体として特に適していることが記載されていた。 したがって、乙66発明における電気絶縁基体の材料としてポリイミ ドを採用することには強い動機付けがあるといえるから、乙66発明に周知技術を組み合わせることにより、相違点7に係る構成について容易に想到することができたというべきである。 (イ) 原告の主張に対する反論a 原告は、乙66発明の電気絶縁基体にはセラミックを採用する必要 があると主張する。 しかし、乙66公報には、「ハブ110がセラミック又は他の電気不導体であるため」(乙66公報の訳文である乙75・15頁)、「好ましくは、加熱器ブレード120は、加熱器ハブ110と一体的に形成され、…このような構成は、後述するように製造を単純化し、 また、接合線又は溶接線を減らすことによって機械的一体性を高める。」(同13頁)と記載されており、好ましい形態では、「加熱器ブレード120」が「加熱器ハブ110」と一体的に形成されるため、「加熱器ブレード120」は、「セラミック又は他の電気不導体である」ことになる。これらの記載からすると、乙66発明における電気 絶縁基体は、セラミックに限定され 0」と一体的に形成されるため、「加熱器ブレード120」は、「セラミック又は他の電気不導体である」ことになる。これらの記載からすると、乙66発明における電気 絶縁基体は、セラミックに限定されておらず、ポリイミドを使用することは妨げられていない。 b 原告は、「加熱器ブレード」の材料が乙66公報にいうヒートシンクに適した熱的特性を備える必要があると主張する。 しかし、乙66公報には、「加熱器は比較的薄いセラミック層を介 して熱エネルギーのパルスを供給するので、加熱要素122からシガ レット23への熱移動の効率が著しく悪くなることはないはずである。」(乙66公報の訳文である乙75・18頁)と記載されており、これを前提として、基体の材料としては、「比較的中度から低度の熱伝導率を有するセラミック」(同19頁)を使用することが想定されている。そして、ポリイミドは、セラミックと同程度の熱伝導性を有 するのであるから、ポリイミドも、セラミックに匹敵する、適した熱伝導性と適した熱的特性も有するといえる。 c 原告は、乙66発明では、「加熱器ブレード」はギャップ等によって物理的に分離されているから、基体が電気的絶縁性を有する必要はないと主張する。 しかし、乙66発明の加熱器が(セラミックに限定されない)電気絶縁基体を含むのは事実であるから、基体を電気的に絶縁する必要があるかどうかを検討するまでもない。また、「加熱器ブレード」のギャップ等の有無にかかわらず、特に、シガレットを挿入する側の導電性の加熱要素等をむき出しにすると、例えば、誤ってシガレットを受 け入れる部分に金属等が混入した場合や、挿入したシガレットが湿っている場合、エーロゾルが凝縮して液体を生じた場 挿入する側の導電性の加熱要素等をむき出しにすると、例えば、誤ってシガレットを受 け入れる部分に金属等が混入した場合や、挿入したシガレットが湿っている場合、エーロゾルが凝縮して液体を生じた場合に、短絡して漏電等を引き起こすおそれがあるから、電気絶縁基体は必要である。したがって、「加熱器ブレード」の基体が電気絶縁性を有する必要はないということはない。 d 原告は、ポリイミドはセラミックと比較して機械的強度や耐熱性においてはるかに劣ると主張する。 しかし、ポリイミドは、剛直な性質を有するものであり、また、剛性(機械的強度)は厚さを変化させることによって適宜調整することができる。ポリイミドフィルムは、エンドレスベルト上にポリアミッ ク酸溶液をキャスト(流延)した後、ポリイミド化して作成されると ころ(乙112)、エンドレスベルト状にキャストするポリアミック酸溶液の量を調整すれば、作成されるフィルムの厚さを任意に調整することができる。 また、耐熱性について、乙66公報には、「本発明の様々な実施形態は、有効な量の香味付きタバコ反応を喫煙者に標準使用条件下で送 達できるようにすべて設計されている。…このような送達を達成するために、加熱器ブレード120は、シガレット23と伝熱関係にあるときに、約200℃~約900℃の間の温度に到達可能であるべきことがわかっている。更に、加熱器ブレード120は、好ましくは約5~約50ジュールの間のエネルギー、より好ましくは約10ジュール ~約25ジュールの間のエネルギー、いっそう好ましくは約15~20ジュールの間のエネルギーを消費すべきである。」(乙66公報の訳文である乙75・18頁)と記載されている。つまり、「加熱器ブレード」は 約25ジュールの間のエネルギー、いっそう好ましくは約15~20ジュールの間のエネルギーを消費すべきである。」(乙66公報の訳文である乙75・18頁)と記載されている。つまり、「加熱器ブレード」は、約200~900℃で設定された最高温度に到達可能であることが記載されているのであるから、乙66公報の「加熱器ブレ ードは、約800℃~900℃の間の温度に達した。」(同14頁)という記載は、あくまで例示である。そして、カプトンやユーピレックスのようなポリイミドは、約500℃の温度まで変形分解せず、構造的完全性を失わないとされるから、これらのポリイミドが乙66発明の「加熱器ブレード」の基体の材料として問題なく使用することが できることは明らかである。 e したがって、原告の上記各主張はいずれも理由がない。 イ相違点8について(ア) 相違点8につき容易に想到することができたこと「1つ又はそれよりも多くの導電トラック」(構成要件1D)を加熱 器の部材として備えた、エーロゾル形成基体を加熱する電気加熱式喫煙 システムにおいて、異なる部分を異なる持続時間にわたって加熱することも、異なる部分を異なる温度で加熱することも、いずれも周知の構成であり、このような構成により喫煙者の喫煙体験を高めることができ、有益であることは、前記8(被告の主張)(3)オ(ア)のとおりである。そして、喫煙システムの発明である乙66発明においても、喫煙者の喫煙 体験を高めることは自明の課題であるから、「電気制御回路41」について、上記周知技術を実現するように制御することは、当業者にとって容易であった。その上、乙66公報には、「パフの回数及び/又は持続時間を、タバコの主観的な品質を犠牲にすることなく変え 回路41」について、上記周知技術を実現するように制御することは、当業者にとって容易であった。その上、乙66公報には、「パフの回数及び/又は持続時間を、タバコの主観的な品質を犠牲にすることなく変えるための改修方法が簡明な加熱器構造を提供する」(乙66公報の訳文である乙7 5・4頁)等の記載があり、このような記載に接した当業者には、上記周知技術を実現する制御方法を想到する明確な動機付けがある。 したがって、相違点8に係る構成について容易に想到することができたというべきである。 (イ) 原告の主張に対する反論 原告は、乙66発明は、パフごとに均質な加熱を志向するものであり、加熱器ブレードを順次又は所定の順序に従って点火し、均一な条件で加熱することを特徴とする発明であるから、「導電トラックの異なる部分」を「異なる持続時間」又は「異なる温度」で加熱するという技術を組み合わせる動機付けがないと主張する。 しかし、乙66公報には、パフごとに均質な加熱を志向するものであるなどということは記載されていない。むしろ、原告の上記主張は、乙66公報の「約2秒の通常の連続着火とは異なる着火シーケンスを許容し」(乙66公報の訳文である乙75・22頁)との記載や、「単一の加熱器及び対応する加熱器ブレードのパルス駆動によって得られるパフ よりも長いパフが好ましい場合、制御ロジックは、最初の加熱器のパル ス駆動の直後、又は最初のパルス駆動の最終部分の間に、別の加熱器又は追加の加熱器(1つ以上)をすぐに点火して、シガレットの他のセグメントを加熱するように構成される。」(同14頁)等の記載と矛盾するものである。また、仮に、乙66発明が原告の主張するような加熱方法を志向するものであっ 以上)をすぐに点火して、シガレットの他のセグメントを加熱するように構成される。」(同14頁)等の記載と矛盾するものである。また、仮に、乙66発明が原告の主張するような加熱方法を志向するものであったとしても、「導電トラックの異なる部分」を 「異なる持続時間」又は「異なる温度」で加熱する構成を採用することの妨げになるものではない。 したがって、原告の上記主張は理由がない。 ウ相違点9について(ア) 相違点9につき容易に想到することができたこと 上記イ(ア)と同じ。 (イ) 原告の主張に対する反論上記イ(イ)と同じ。 (4) 小括以上によれば、本件発明1-1、1-3、1-4及び1-8は、乙66発 明を主引用発明とし、これに周知技術を組み合わせることにより、容易に発明することができたといえるから、本件特許1の請求項1、3、4及び8に係る特許は無効にされるべきものと認められ、原告は被告に対しその権利を行使することができない(特許法104条の3第1項、123条1項2号、29条2項)。 また、本件発明2-1、2-6、2-7及び2-8は、乙66公報に記載された発明であるといえるから、本件特許2の請求項1、6、7及び8に係る特許は無効にされるべきものと認められ、原告は被告に対しその権利を行使することができない(同法104条の3第1項、123条1項2号、29条1項3号)。 (原告の主張) (1) 相違点ア相違点4’について(ア) 相違点4’が存在すること本件発明1-1は、「加熱器は、電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含み」(構成要件1D)と規定し ア相違点4’について(ア) 相違点4’が存在すること本件発明1-1は、「加熱器は、電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含み」(構成要件1D)と規定しているところ、 当該「電気絶縁基体」は、「ポリイミドで形成されており管状に巻かれ」たもの(構成要件1E)に特定されている。つまり、「電気絶縁基体(ポリイミド)」とその上に形成される「導電トラック」が共に「管」になるように「巻かれ」て、エーロゾル形成基体(シガレット等)を受け取る際に、これを取り囲む加熱器とすることが規定されている。また、 「トラック」とは、何らかの広がりのある領域(面)の存在を前提に、その中における通路又はコースを示すものであるから、「導電トラック」は、「電気絶縁基体」が「管状」の面となっていることを前提に、その上の導電材料が通路又はコースとなっているものを意味する。そうすると、本件発明1-1における「導電トラック」は、巻くことができるよ うな連続した面を持つ「電気絶縁基体」上に、望ましい熱分布を与えるように、導電材料が通路又はコースとなるように設けられたもの(当然、その占める領域は、電気絶縁基体の面積よりも狭い。)であり、このような「導電トラック」と「電気絶縁基体」の関係が「電気絶縁基体上に…導電トラックを含み」と特定されているものである。 これに対して、乙66発明は、複数の加熱器ブレードをハブから櫛歯状に伸びるように同一円周上に並列配置して加熱器とし、その加熱器ブレードの配列の中にシガレット等を挿入して加熱する電気加熱式喫煙物品の発明である。そして、乙66公報には、「図7に示すように、ギャップによって境界を定められる領域のすべてが、加熱器ブレード120 として機能することがで 等を挿入して加熱する電気加熱式喫煙物品の発明である。そして、乙66公報には、「図7に示すように、ギャップによって境界を定められる領域のすべてが、加熱器ブレード120 として機能することができる。」(乙66公報の訳文である乙75・2 2頁)と記載されていることや【図3】ないし【図7】及び【図9】によれば、乙66発明の「加熱器ブレード」は、ギャップによって(あるいは、ギャップ及びバリアブレードによって)隔離されて独立しており、その全幅及びほぼ全長にわたって一面に電気抵抗性の導電材料が堆積されて、1本のブレードの全面が加熱要素として機能するようになってお り、パフごとに、順次又は予め設定した順序で加熱されるようになっている。しかし、このような構成では、何らかの広がりのある領域(面)内に導電材料による通路又はコース(「トラック」)が形成されているとはいえず、また、導電材料が全部の領域に存在することにより加熱器ブレードの全体がそのまま加熱領域となっているから、好ましい熱分布 を与えるために導電材料を通路又はコースとなるように電気絶縁基体上に配置する余地もない。 したがって、本件発明1-1の「加熱器」が「電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含」むのに対し、乙66発明の「加熱器」はこのような構成を有しない点(相違点4’)で、両者は相 違する。 本件発明1-3、1-4及び1-8と乙66発明を対比したときも同様である。 (イ) 被告の主張に対する反論被告は、望ましい熱分布を与えるかどうかは、本件発明1-1の特定 事項と無関係であり、「導電トラック」の形状と「電気絶縁基体」の形状の関係を表すものでもないから、相違点4’は存在しないと主張する。 、望ましい熱分布を与えるかどうかは、本件発明1-1の特定 事項と無関係であり、「導電トラック」の形状と「電気絶縁基体」の形状の関係を表すものでもないから、相違点4’は存在しないと主張する。 しかし、本件各明細書の「加熱器は、設計の大きな柔軟性を可能にし、すなわち、導電トラックは、望むようにかつ望ましい熱分布を与えるように電気絶縁基体上に配置することができる。」(【0008】。【0 017】も同旨。)との記載は、「導電トラック」が「電気絶縁基体」 上に望むような熱分布を与えるように配置することができるものであること、そして、これにより、加熱器の柔軟な設計が可能となることを述べたものである。このような記載は、「加熱器は、電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含み、」(構成要件1D)を当業者がどのようなものとして理解するかという意味において重要な記載 であるから、特許請求の範囲で特定されていないというだけの理由で無視されるべきではない。また、同様に、シート状の電気絶縁基体上に、既知の方法で導電体のパターンを形成し、これを巻くことにより管状にして、ヒータを作ることを説明している本件各明細書の記載(【0031】、【0033】及び【0035】)も、「導電トラック」を理解す る上で重要な記載である。これらの記載に照らせば、「電気絶縁基体」上に含まれる「導電トラック」は、前記(ア)のとおり理解されるべきである。 したがって、被告の上記主張は理由がない。 イ相違点5’について (ア) 相違点5’が存在すること本件発明1-1の「電気絶縁基体」が「管状に巻かれ」たもの(構成要件1E)とは、「電気絶縁基体」とその上に形成される「導電トラック (ア) 相違点5’が存在すること本件発明1-1の「電気絶縁基体」が「管状に巻かれ」たもの(構成要件1E)とは、「電気絶縁基体」とその上に形成される「導電トラック」が共に「管」(「断面が円形で中が空になっている細長いもの。通常、液体や空気を通すのに用いるもの。」を意味する。)となるように 「巻かれ」たもの、典型的には、導電材料のパターンを形成した1枚のシート状の電気絶縁基体が巻かれて「管」になったものを規定している。 このような構成が、「製造がより簡単でその構成に必要な構成要素がより少ない電気加熱式喫煙システムを提供する」(本件各明細書【0004】)という課題の解決に好適であること、すなわち、「電気絶縁基体 を準備し、導電材料を用いて電気絶縁基体の実質的に全表面を覆い、導 電材料のパターンを形成するマスクを用いて導電材料の各部分を保護し、かつ導電材料の保護されていない部分を除去する」(同【0033】)という一連の工程で実現できることから、「前記電気絶縁基体は、…管状に巻かれ、」と規定されたものである。 したがって、本件発明1-1の「管状」とは、文字どおりの「管」に なっていることを意味するのであって、櫛歯状のもの(長い部材を、隙間を開けて並立させたもの)は「管状」に当たらない。 これに対し、乙66発明は、互いに分離された加熱器ブレードが同一円周上に並立しているものにすぎないから、「管」になっているとはいえない。また、乙66公報には「巻く」ことによって加熱器を形成する ことの記載もないから、乙66発明は電気絶縁基体が「管状に巻かれ」たものでもない。 以上によれば、本件発明1-1の「電気絶縁基体」が「管状に巻かれ」ているのに対し、乙6 成する ことの記載もないから、乙66発明は電気絶縁基体が「管状に巻かれ」たものでもない。 以上によれば、本件発明1-1の「電気絶縁基体」が「管状に巻かれ」ているのに対し、乙66発明の「加熱器ブレード」はこのような構成を有しない点(相違点5’)で、両者は相違する。 本件発明1-3、1-4及び1-8と乙66発明を対比したときも同様である。 (イ) 被告の主張に対する反論a 被告は、「電気絶縁基体は、…管状に巻かれ」とは「電気絶縁基体」が管状であれば足り、乙66発明の「加熱器ブレード」は管状である と主張する。 しかし、「管状」の意味は前記8(原告の主張)(1)イ(イ)のとおりであるところ、本件各明細書では、1枚のシート状の電気絶縁性基体上にスクリーン印刷やエッチングで導電トラックのパターンを形成し、これを巻くことで、導電トラックを有する電気絶縁基体を「管状」に して加熱器を構成することが説明されており、実施態様も、全て連続 する一つ(1枚)の電気絶縁基体が「管」の形態に形成され、かつ、その電気絶縁基体上の特定の一部領域に導電物質のパターン(トラック)が形成されており、それ以外の形態は一切記載されていない。 また、本件各明細書には、「USA-5 353 813は、…ブレード付き管状アレイを開示している。」(【0002】)と記載さ れているが、これは、「USA-5 353 813」(乙39公報)に示された「ブレード」の「アレイ」(配列)について述べたものであり、当該記載における「管状アレイ」は、ブレードが同一円周上に並んだ「配列」を指して用いられているにすぎず、むしろ、本件各明細書では、わざわざ「ブレード付き管状アレイ」 配列)について述べたものであり、当該記載における「管状アレイ」は、ブレードが同一円周上に並んだ「配列」を指して用いられているにすぎず、むしろ、本件各明細書では、わざわざ「ブレード付き管状アレイ」との語を用いて、単 なる「管状」と区別しているから、乙66発明の「加熱器ブレード」が「管状」であることを意味するものではない。 b 被告は、乙66公報では、セラミック基体を巻くことによって加熱器を形成することは否定されていないと主張する。 しかし、乙66公報では、一貫して、セラミックのチューブ(円筒 体)を切り出すことでブレードを形成すると説明され、「本発明では、加熱要素122は、チューブへと巻回される前のシートではなく、チューブに堆積されることが好ましい。これは巻回に起因する応力を軽減するためである。また、多くのセラミックは、巻回に必要な柔軟性を有さない。」(乙66公報の訳文である乙75・16頁)と記載さ れており、セラミックが巻回するのに不向きな材料であることや、導電材料をシートに堆積した後に巻回することは、応力の関係から好ましくないことを指摘しているから、巻回する方法によることを事実上否定している。 c したがって、被告の上記各主張はいずれも理由がない。 ウ相違点6’について (ア) 相違点6’が存在すること前記ア(ア)のとおり、乙66発明の「加熱器」は、「電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含」む(構成要件1D)という構成を有しないから、「前記1つ又はそれよりも多くの導電トラック」が含む「複数の部分」が「電源に別々に接続可能である」(構成要件1 H)という構成の前提が存在しない。また、乙66発明は、「加熱 う構成を有しないから、「前記1つ又はそれよりも多くの導電トラック」が含む「複数の部分」が「電源に別々に接続可能である」(構成要件1 H)という構成の前提が存在しない。また、乙66発明は、「加熱器ブレード」を順に加熱していくため、各ブレード上の導電材料がそれぞれ電源に接続された構成を示しているにすぎず、本件発明1-3の「前記1つ又はそれよりも多くの導電トラックは、各部分が前記電源に別々に接続可能である」という構成とは全く異なるものである。 したがって、本件発明1-3の「1つ又はそれよりも多くの導電トラック」が「各部分が前記電源に別々に接続可能である複数の部分を含む」のに対し、乙66発明の「1つ又はそれよりも多くの抵抗加熱部材」はそのような構成を有しない点(相違点6’)で、両者は相違する。 本件発明1-4及び1-8と乙66発明を対比したときも同様である。 (イ) 被告の主張に対する反論被告は、乙66発明では、「ハブ110」から延びている複数の「加熱要素122」が「電源37」に別々に接続されているから、「導電トラック」の「複数の部分」を構成すると主張する。 しかし、乙66発明は、一つ一つが独立した「加熱器ブレード」に導 電材料が堆積されたものであり、連続した1枚の電気絶縁基体上に形成された導電パターンを前提とするものではないから、複数の「加熱要素122」は「導電トラック」にも「複数の部分」にも該当しない。 したがって、被告の上記主張は理由がない。 エ相違点8について (ア) 相違点8が存在すること 本件発明1-4の「電子回路」が「1つ又はそれよりも多くの導電トラックの異なる部分が、異なる持続 エ相違点8について (ア) 相違点8が存在すること 本件発明1-4の「電子回路」が「1つ又はそれよりも多くの導電トラックの異なる部分が、異なる持続時間にわたって加熱されるか、異なる温度で加熱されるか、又は、異なる持続時間にわたって異なる温度で加熱されるように」電力の供給を制御するもの(構成要件1I)であるのに対し、乙66発明の「電子回路」はそのような構成を有しない点 (相違点8)で、両者は相違する。 本件発明1-8と乙66発明を対比したときも同様である。 (イ) 被告の主張に対する反論被告は、喫煙者が通常のパフの長さより長い持続時間のパフを行った場合、隣接する2本の加熱器ブレードが、通常のパフの場合、すなわち、 単一の加熱器ブレードを加熱する場合より長時間加熱され、加熱温度もより高くなると主張する。 しかし、乙66公報には、喫煙者が通常より長いパフを行ったときに、これに合わせて点火タイミングを変えることは記載されていない。乙66公報には、「提供されるパフの回数及び/又は持続時間を、タバコの 主観的な品質を犠牲にすることなく変えるための改修方法が簡明な加熱器構造を提供することである。」(乙66公報の訳文である乙75・4頁)と記載されており、その趣旨は、乙66発明の「加熱器」は、所定のパフの回数や持続時間を変える「改修方法」が簡明な構造になっているということにすぎない。また、「長いパフが好ましい場合、制御ロジ ックは、最初の加熱器のパルス駆動の直後、又は最初のパルス駆動の最終部分の間に、別の加熱器又は追加の加熱器(1つ以上)をすぐに点火して、シガレットの他のセグメントを加熱するように構成される。」(同14頁)が意味 加熱器のパルス駆動の直後、又は最初のパルス駆動の最終部分の間に、別の加熱器又は追加の加熱器(1つ以上)をすぐに点火して、シガレットの他のセグメントを加熱するように構成される。」(同14頁)が意味することは、「長いパフが好ましい場合」には、別のブレードを最初のブレードと同様に点火するような制御ロジックを採用 することにより、「長いパフ」に対応する加熱器を実現することができる ということにすぎない。むしろ、乙66公報の記載全体を通して読めば、乙66発明は、あくまでも、「加熱器ブレード」を制御プログラムのシーケンスに従って、一定の規則的な順序で加熱していく発明であることが明らかであり、上記「制御ロジック」の記載からも、それ以上のことは読み取れない。したがって、乙66公報には、「異なる部分が、異なる持 続時間にわたって加熱される」ことは記載されていない。 さらに、乙66公報には、異なる温度で加熱することも記載されておらず、むしろ、乙66公報の記載からすれば、どのような制御であれ、各「加熱器ブレード」は同じ条件で加熱されるといえる。したがって、乙66公報には、「異なる部分が、…異なる温度で加熱される」ことも 記載されていない。 以上のとおり、相違点8は実質的な相違点である。 オ相違点7’について(ア) 相違点7’が存在すること本件発明2-1と乙66発明を対比したとき、相違点4’と同様の相 違点が存在する。 したがって、本件発明2-1の「加熱器」が「電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含」む(構成要件2C)のに対し、乙66発明の「加熱器」はこのような構成を有しない点(相違点7’)で、両者は相違する。 「電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含」む(構成要件2C)のに対し、乙66発明の「加熱器」はこのような構成を有しない点(相違点7’)で、両者は相違する。 本件発明2-6、2-7及び2-8と乙66発明を対比したときも同様である。 (イ) 被告の主張に対する反論前記ア(イ)と同じ。 カ相違点8’について (ア) 相違点8’が存在すること 本件発明2-1の「管状」(構成要件2D)とは、前記イ(ア)のとおりに解すべきところ、乙66発明の「加熱器ブレード」は櫛歯状であり、管になっていない。 したがって、本件発明2-1の「電気絶縁基体」が「管状である」のに対し、乙66発明の「加熱器ブレード」はこのような構成を有しない 点(相違点8’)で、両者は相違する。 本件発明2-6、2-7及び2-8と乙66発明を対比したときも同様である。 (イ) 被告の主張に対する反論前記イ(イ)と同じ。 キ相違点9’について(ア) 相違点9’が存在すること本件各明細書には、「熱絶縁材料は、加熱器からの熱損失を低減し、かつ電気加熱式喫煙システムを使用するユーザをやけどから保護する。熱絶縁材料は、好ましくは、最大限の熱絶縁を提供するようにエーロゾル 形成基体の周りに位置決めされる」(【0015】)と記載されている。このように、「熱絶縁要素」(構成要件2F)は、加熱器からの熱損失を低減するものであり、これをエーロゾル基体の周りに配置することによって、ユーザをやけどから保護するものである。そして、「前記加熱器の周り」(構成要件2F)とは、本件発明2-1において からの熱損失を低減するものであり、これをエーロゾル基体の周りに配置することによって、ユーザをやけどから保護するものである。そして、「前記加熱器の周り」(構成要件2F)とは、本件発明2-1においては、エーロゾル形成 基体が加熱器に受け取られる構造になっていることから、本件各明細書の上記記載によれば、熱絶縁要素が「前記加熱器の周り」という特定位置に配置されることを規定したものである。また、本件各明細書には、「金属は、電気加熱式喫煙システム内に熱を反射することができるので有利である。」(【0015】)と記載されており、熱絶縁要素としては、 ハニカム構造をとり得ること(【0016】)等も記載されている。 これに対し、乙66公報に記載された「ハウジング31」は、喫煙具が当然に備えるべき筐体(ケーシング)を表すものすぎず、熱絶縁要素ではないし、金属を含むことの記載もない。 したがって、本件発明2-1が「加熱器を絶縁するために前記加熱器の周りに配置された熱絶縁要素であって、前記熱絶縁要素が金属を含む」 のに対し、乙66発明はそのような構成を有しない点(相違点9’)で、両者は相違する。 本件発明2-6、2-7及び2-8と乙66発明を対比したときも同様である。 (イ) 被告の主張に対する反論 被告は、金属ベース等の耐熱性材料から造られた「ハウジング31」は、加熱要素を喫煙システムの外部から遮蔽することで、熱の伝達を抑制し、熱絶縁の機能を果たすから、「熱絶縁要素」に相当すると主張する。 しかし、ハウジングは、加熱器具の筐体として必ず存在するものであ るから、これを「熱絶縁要素」と捉えると、およそあらゆるタバコ用電気式加熱器具は熱絶縁要 に相当すると主張する。 しかし、ハウジングは、加熱器具の筐体として必ず存在するものであ るから、これを「熱絶縁要素」と捉えると、およそあらゆるタバコ用電気式加熱器具は熱絶縁要素を備えているということになってしまい、不合理である。 そもそも、熱絶縁とは、AとBを熱的に無関係(無縁)なものにするということであるから、常識的には、Aに相当するのが加熱器であり、 Bに相当するのがAから熱的に絶縁されるべき対象であって、その間に設けられるものが「熱絶縁要素」である。乙66発明の筐体(ケーシング)を「熱絶縁要素」であると解すると、Bに相当するものがなくなってしまうから、そのような解釈は明らかに不合理である。また、本件発明2-1は、「加熱器の周りに配置された」という限定を付した上で、 「熱絶縁要素」を特許請求の範囲に記載しているのであるから、文言を 常識的に解釈すれば、器具が必ず備えるハウジングとは別の「熱絶縁要素」となる部材が存在することを規定していることは明らかである。 さらに、乙66発明においては、1ブレード当たり1ないし2秒という短い加熱時間で、加熱部位(ブレード)が順次移動するようになっており、また、乙66公報の【図1】のように、「加熱器具39」と「ハ ウジング31」との間に、熱容量を持った部材が介在し、相当の距離もあるから、加熱器ブレードで発生した局所的な熱が、やけどからの保護が必要になるほどの高温になるまで「ハウジング31」の温度を上げることはない。さらに、乙66発明の全体をみても、使用者が持つ部位は、全体のほぼ2/3を占めるバッテリーに近い部分である。 これに加えて、「耐熱性」(熱に耐える性質)と「熱絶縁」は別のものであって、耐熱性のあ の全体をみても、使用者が持つ部位は、全体のほぼ2/3を占めるバッテリーに近い部分である。 これに加えて、「耐熱性」(熱に耐える性質)と「熱絶縁」は別のものであって、耐熱性のある材料が熱絶縁性であるとは限らないから、「熱絶縁要素」が記載されていることについても、それが「金属を含む」ことについても、乙66公報に記載があることの理由となるものではない。 したがって、被告の上記主張は理由がない。 ク相違点10’について(ア) 相違点10’が存在すること本件発明2-6と乙66発明を対比したとき、相違点6’と同様の相違点が存在する。 したがって、本件発明2-6の「1つ又はそれよりも多くの導電トラック」が「各部分が前記電源に別々に接続可能である複数の部分を含む」(構成要件2I)のに対し、乙66発明の「1つ又はそれよりも多くの抵抗加熱部材」はそのような構成を有しない点(相違点10’)で、両者は相違する。 本件発明2-7及び2-8と乙66発明を対比したときも同様である。 (イ) 被告の主張に対する反論前記ウ(イ)と同じ。 ケ相違点9について(ア) 相違点9が存在すること本件発明2-7と乙66発明を対比したとき、相違点8と同様の相違 点が存在する。 したがって、本件発明2-7の「電子回路」が「1つ又はそれよりも多くの導電トラックの異なる部分が、異なる持続時間にわたって加熱されるか、異なる温度で加熱されるか、又は、異なる持続時間にわたって異なる温度で加熱されるように」電力の供給を制御するもの(構成要件 2J)であるのに対し、乙66発明の「電子 間にわたって加熱されるか、異なる温度で加熱されるか、又は、異なる持続時間にわたって異なる温度で加熱されるように」電力の供給を制御するもの(構成要件 2J)であるのに対し、乙66発明の「電子回路」はそのような構成を有しない点(相違点9)で、両者は相違する。 本件発明2-8と乙66発明を対比したときも同様である。 (イ) 被告の主張に対する反論前記エ(イ)と同じ。 (2) 容易想到性ア相違点7について(ア) 相違点7につき容易に想到することができなかったことa 乙66発明は、隙間(ギャップ)等で分離された複数の細長い自立型の「加熱器ブレード」を、パフの都度、順次、急速に高温加熱して、 これに接するシガレットから所定量のエーロゾルを発生させるものである。「加熱器ブレード」は、端部ハブから同じ方向に細長く延び、各々が自由端部を有する構造であり、これらの「加熱器ブレード」配列の中に、シガレットが繰り返し挿入される。したがって、乙66発明の「加熱器ブレード」には、繰り返しの挿入等に対しても変形する ことなく、シガレットを密着保持する形態を保つことができる機械的 強度と、繰り返される急激な高温加熱(800ないし900℃)に対して変質や変形が起こらないだけの耐熱性が要求される(乙66公報の訳文である乙75・3、13及び18頁)。 また、乙66発明の「加熱器ブレード」は、ブレード(基体)の上に加熱要素(導電材料)を堆積して構成されており、導電材料が発し た熱は、ブレードからシガレットに伝達される。加熱時間は1本の「加熱器ブレード」について1パフ(せいぜい1、2秒)という短い時間であるから、1回の加熱(1パフ)中に十分 ており、導電材料が発し た熱は、ブレードからシガレットに伝達される。加熱時間は1本の「加熱器ブレード」について1パフ(せいぜい1、2秒)という短い時間であるから、1回の加熱(1パフ)中に十分な量のエーロゾルを発生させるためには、「加熱器ブレード」のほぼ全域を加熱領域とする必要があり、そのため、加熱要素となる導電材料は、「加熱器ブレ ード」の全幅及びほぼ全長にわたって堆積される。また、発生した熱は、効率的かつ迅速にシガレットに伝達される必要があるから、「加熱器ブレード」は、迅速かつ効率的な熱伝達を可能にする熱伝導性をもった材料でなければならない。このような観点から、乙66公報には、機械的強度や「加熱器ブレード」の基体からシガレットへの効率 的な熱伝導の必要性、そのための加熱器の構成及び寸法等について詳細な説明がある(乙66公報の訳文である乙75・13、14、18及び19頁)。 さらに、乙66公報には、加熱器の一形態として、「加熱器ブレード」の基体と同じ材料からなるバリアブレードを有する構成が記載さ れ、バリアブレードがヒートシンク機能(乙66公報では、通常のヒートシンクとは異なり、パフとパフの合間に、加熱されたブレードに接するシガレットの部分とは異なる部分に熱が伝わることを防止する機能を指す。)を有することが説明されており(乙66公報の訳文である乙75・4頁)、このことから、「加熱器ブレード」の材料は、 乙66公報にいうヒートシンクに適した熱的特性も備える必要がある ことが理解される。 これらの機械的特性、耐熱性及び熱伝導性を全て満たす材料として、乙66公報には、唯一具体的な材料名でセラミックと記載されている(乙66公報の訳文である乙75・5頁)。 。 これらの機械的特性、耐熱性及び熱伝導性を全て満たす材料として、乙66公報には、唯一具体的な材料名でセラミックと記載されている(乙66公報の訳文である乙75・5頁)。 b これに対して、ポリイミドについては、セラミックのような堅固さ (機械的強度)や良好な熱伝導性等の特性を兼ね備えた材料であるという一般的な認識は存在せず、耐熱性においてセラミックにはるかに及ばないことも技術常識である。 また、乙66発明においては、前記aのとおり、一端だけがハブに取り付けられているというヒータブレードの構成が採用され、シガレ ットが何度も抜き差しすることになるところ、当業者は、乙66発明のようなシガレット挿入用の内部空間を有する形状を維持し、かつ、効率的な加熱のためにシガレットと良好な熱接触を維持するために、ヒータブレードは十分な剛性と強度を有する必要があることを理解する。このような乙66発明の内容を考慮すると、セラミックをポリイ ミドに置き換えることは、想定される使用温度で加熱器としての剛性を保つことができず、強度を持たせるため厚くすると、熱伝導性が悪化し、短時間でエーロゾル発生温度まで被加熱物を加熱することができなくなるといえる。さらに、特殊なポリイミド(低流動性ポリイミド)を使用することを考えても、そのようなポリイミドは、成形する ことが困難である上、低流動とするために添加されるフィラー材料が熱せられ、その毒性が懸念される。そのほかにも、ポリイミドを使用した場合、金属(導電材料)との熱膨張率の差による反りによって、ヒータブレードと被加熱物の密着性を確保することができず、加熱器からシガレットへの熱伝達の効率が低下する可能性がある。 c 以上によれば、乙66発明 膨張率の差による反りによって、ヒータブレードと被加熱物の密着性を確保することができず、加熱器からシガレットへの熱伝達の効率が低下する可能性がある。 c 以上によれば、乙66発明において、セラミックの代わりにポリイ ミドを使用することについては動機付けがなく、むしろこれを使用することについて阻害要因があるというべきであるから、相違点7に係る構成を容易に想到することができたとはいえない。 (イ) 被告の主張に対する反論a 被告は、ポリイミドは好適な機械特性、高い耐熱性及び高い絶縁性 を有する周知の材料であり、セラミックよりも柔軟性があり、巻回に適した材料であるから、乙66発明における電気絶縁基体の材料としてポリイミドを採用することには強い動機付けがあると主張する。 しかし、乙66公報には、加熱器の基体としてセラミックを使用することが記載されているが(乙66公報の訳文である乙75・5頁)、 これは、セラミックが加工しやすく、かつ、必要な機械的強度を有するからであり、セラミックの電気絶縁性に着目したものではない。また、乙66公報には、セラミックよりも巻回するのに適した柔軟性のある材料の使用を示唆する記載は存在しない。さらに、乙66発明においては、「加熱器ブレード」はギャップ等によって物理的に分離さ れているから、基体が電気絶縁性を有する必要もなければ、電気絶縁性の材料を設ける必要もない。むしろ、ポリイミドの機械的強度、耐熱性(特に高温時の剛性の欠如)、熱伝導性の悪さ等は、乙66発明においてセラミックを採用する阻害要因となるというべきである。 b 被告は、乙66発明の電気絶縁基体の材料はセラミックに限定され ていないから、ポリイミドを用いるこ 等は、乙66発明においてセラミックを採用する阻害要因となるというべきである。 b 被告は、乙66発明の電気絶縁基体の材料はセラミックに限定され ていないから、ポリイミドを用いることも妨げられないと主張する。 しかし、乙66公報には、「加熱器ブレード」が櫛歯状に並列した構造しか記載されておらず、そのような「加熱器ブレード」の基体として「セラミック又は他の電気不導体」と記載されているところ(乙66公報の訳文である乙75・15頁)、当業者であれば、上記構造 及びポリイミドの機械的強度(特に剛性)を考慮して、「セラミック 又は他の電気不導体」に代わりにポリイミドを使用することは適さないと考えることは明らかである。 c 被告は、乙66発明の「加熱器ブレード」は、約200~900℃で設定された最高温度に到達可能であるとされており、乙66公報の「加熱器ブレードは、約800℃~900℃の間の温度に達した。」 (乙66公報の訳文である乙75・14頁)との記載は例示にすぎないと主張する。 しかし、電気加熱式喫煙具においては、1回のパフで、使用者が満足できる量のエーロゾルを発生させ得ることが必須の命題であり、これを可能とするために、乙66発明では、パフの都度、個別のブレー ドを順次加熱していく方式を採用し、乙66公報において、1回のパフの短い時間内に加熱器が達する温度として約800ないし900℃という高い温度が記載されているものであるから、その記載は、単なる例示にとどまるものではない。 d したがって、被告の上記各主張はいずれも理由がない。 イ相違点8について(ア) 相違点8につき容易に想到することができなかったこと ではない。 d したがって、被告の上記各主張はいずれも理由がない。 イ相違点8について(ア) 相違点8につき容易に想到することができなかったこと乙66発明は、パフの回数に応じた本数の「加熱器ブレード」を設け、パフごとに加熱する「加熱器ブレード」を変えていくものであって、当然のことながら、パフごとに均質な加熱を志向するものである。そして、 乙66公報には、「加熱器ブレード」の数が通常のパフの回数の2倍である実施形態において、「約2秒の通常の連続着火とは異なる着火シーケンスを許容し、また、好ましくは、加熱要素122の数がパフ回数に対応する実施形態のために、放射状に順次の着火シーケンスを許容する。」(乙66公報の訳文である乙75・22頁)と、着火(点火)の タイミングに関する記載はあるが、複数の「加熱器ブレード」は、設計 された着火シーケンスに従って、いずれも同じように加熱されるのであって、それ以外の加熱態様は想定されていない。 したがって、乙66発明には、「導電トラックの異なる部分」を「異なる持続時間」や「異なる温度」で加熱する(構成要件1I)という発想がそもそも存在せず、むしろ、乙66発明は、「加熱器ブレード」を 順次又は所定の順序に従って点火し、均一な条件(温度及び時間)で加熱することを特徴とする発明であるから、「導電トラックの異なる部分」を「異なる持続時間」又は「異なる温度」で加熱するようにすることは、乙66発明の特徴的な部分を変更することになる。 以上によれば、相違点8に係る構成を容易に想到することができたと はいえない。 (イ) 被告の主張に対する反論被告は、「導電トラックの異なる部分」を「 。 以上によれば、相違点8に係る構成を容易に想到することができたと はいえない。 (イ) 被告の主張に対する反論被告は、「導電トラックの異なる部分」を「異なる持続時間」又は「異なる温度」で加熱することは周知技術であり、これを乙66発明に適用することについての動機付けがあると主張する。 しかし、被告が上記技術の根拠とする文献は、いずれも、原告がほぼ同じ時期に行った特許出願に係る明細書であり、個別の加熱器ブレードを順次高温で、短時間加熱していくことを特徴とする同一技術をベースに、電力の制御、空気流路の構成、エーロゾル滓の除去等、電気加熱式喫煙システムに必要な様々の要素の変形例や改良に関わるものである。 そのため、出願の主たる目的ではない事項については、先行する出願の記載がほぼそのまま使い回されており、一見すると数が多いように見えるが、そこに記載された事項は周知技術といえるようなものでない。また、そもそも、個別の加熱器ブレードを順次加熱するようにした電気加熱式喫煙物品において、1回のパフごとに変化を持たせることが使用者 の喫煙体験を高める上で意味を持つとは考えられない(むしろ、使用者 にとっては、数回のパフを通じて、ほぼ同じ量及び風味のエーロゾルが供給されることこそが重要であって、それらが一定しないことは、かえって不満の原因となり得る。)。そうである以上、パフごとに変化を持たせるために異なる温度や時間で加熱するように制御することの動機付けとなるものではない。 したがって、被告の上記主張は理由がない。 ウ相違点9について(ア) 相違点9につき容易に想到することができなかったこと前記イ(ア)と同じ。 したがって、被告の上記主張は理由がない。 ウ相違点9について(ア) 相違点9につき容易に想到することができなかったこと前記イ(ア)と同じ。 (イ) 被告の主張に対する反論 前記イ(イ)と同じ。 10 争点2-3(本件各発明についての乙68公報を主引用例とする進歩性欠如)について(被告の主張)(1) 乙68公報に記載された発明 乙68公報には、以下の発明(以下「乙68発明」という。)が記載されている。 エーロゾル形成材料の加熱によって吸入可能なエーロゾルを供給する電気加熱式喫煙システムであって、エーロゾル形成材料を取り囲む導電性の包覆部は、多層性であって、内側 の非導電性物質の外側に、導電性フィルムを蒸着もしくは吹付塗布で付けて製造されてなり、包覆部には、比較的高い導電性を有する複数の区域13、15が形成され、各区域13、15がエーロゾル形成材料を加熱してエーロゾルを放出するための独立した抵抗加熱機器を形成する、基体部分と、ハウジング50と、基体部分の少なくとも1つの抵抗加熱機器へ電気的出 力を供給するために電圧源と接続されている、共通の環状コンタクトと各区 域13、15を別々に制御する複数の個別のコンタクトとを備える吸入装置とを有する、システム。 (2) 一致点及び相違点ア本件各発明と乙68発明との一致点及び相違点 (ア) 本件発明1-1と乙68発明を対比すると、一致点及び相違点は以下のとおりである。 a 一致点本件発明1-1と乙68発明は、以下の点で一致する。 エーロゾル形成 発明1-1と乙68発明を対比すると、一致点及び相違点は以下のとおりである。 a 一致点本件発明1-1と乙68発明は、以下の点で一致する。 エーロゾル形成基体を受け取るための電気加熱式喫煙システムであ って、前記エーロゾル形成基体を加熱してエーロゾルを放出するための少なくとも1つの加熱器と、前記少なくとも1つの加熱器に電力を供給するための電源と、を含み、 前記少なくとも1つの加熱器は、電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含み、前記電気絶縁基体は、管状に巻かれ、前記少なくとも1つの加熱器は、前記エーロゾル形成基体を取り囲み又は部分的に取り囲む、 ことを特徴とするシステム。 b 相違点本件発明1-1の「電気絶縁基体」が「ポリイミドで形成されて」いる(構成要件1E)のに対し、乙68発明の「非導電性物質」はそのような構成を有するものに限定されていない点(以下「相違点10」 という。)で、両者は相違する。 (イ) 本件発明1-3と乙68発明を対比すると、一致点及び相違点は以下のとおりである。 a 一致点本件発明1-3と乙68発明は、前記(ア)aに加え、「前記1つ又はそれよりも多くの導電トラックは、各部分が前記電源に別々に接続可 能である複数の部分を含む電気加熱式喫煙システム。」である点で一致する。 b 相違点相違点10で、両者は相違する。 (ウ) 本件発明1-4と乙68発明を対比すると、一致点及び相違点は以下 のとおり ム。」である点で一致する。 b 相違点相違点10で、両者は相違する。 (ウ) 本件発明1-4と乙68発明を対比すると、一致点及び相違点は以下 のとおりである。 a 一致点前記(イ)aと同じ。 b 相違点相違点10に加え、本件発明1-4の「電子回路」が「1つ又はそ れよりも多くの導電トラックの異なる部分が、異なる持続時間にわたって加熱されるか、異なる温度で加熱されるか、又は、異なる持続時間にわたって異なる温度で加熱されるように、前記電源から前記少なくとも1つの加熱器までの電力の供給を制御するように配置され」ている(構成要件1I)のに対し、乙68発明はこのような加熱制御を 行っているかが不明である点(以下「相違点11」という。)で、両者は相違する。 (エ) 本件発明1-8と乙68発明を対比すると、一致点及び相違点は以下のとおりである。 a 一致点 本件発明1-8と乙68発明は、前記(イ)aに加え、「前記システム は、加熱時に前記エーロゾル形成基体から放出される揮発性タバコ香味化合物を含有するタバコ含有材料を含むエーロゾル形成基体を含むことを特徴とする電気加熱式喫煙システム」である点で一致する。 b 相違点相違点10及び11で、両者は相違する。 (オ) 本件発明2-1と乙68発明を対比すると、一致点及び相違点は以下のとおりである。 a 一致点本件発明2-1と乙68発明は、以下の点で一致する。 エーロゾル形成基体を受け取るための電気加熱式喫煙システムであ って、前記 a 一致点本件発明2-1と乙68発明は、以下の点で一致する。 エーロゾル形成基体を受け取るための電気加熱式喫煙システムであ って、前記エーロゾル形成基体を加熱してエーロゾルを形成するための少なくとも1つの加熱器であって、前記少なくとも1つの加熱器が電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含み、前記電気絶縁基体が管状である、少なくとも1つの加熱器と、 前記少なくとも1つの加熱器に電力を供給するための電源と、前記加熱器を絶縁するために前記加熱器の周りに配置された熱絶縁要素とを含む少なくとも1つのことを特徴とするシステム。 b 相違点 本件発明2-1の「熱絶縁要素」が「金属を含む」(構成要件2F)のに対し、乙68発明の「ハウジング」はそのような構成が特定されていない点(以下「相違点12」という。)で、両者は相違する。 (カ) 本件発明2-6と乙68発明を対比すると、一致点及び相違点は以下のとおりである。 a 一致点 本件発明1-1と乙66発明は、前記(オ)aに加え、「前記1つ又はそれよりも多くの導電トラックは、各部分が前記電源に別々に接続可能である複数の部分を含む電気加熱式喫煙システム。」である点で一致する。 b 相違点 相違点12で、両者は相違する。 (キ) 本件発明2-7と乙68発明を対比すると、一致点及び相違点は以下のとおりである。 a 一致点前記(カ)aと同じ。 b 相違点相違点12に加え、本件発明2-7の「 対比すると、一致点及び相違点は以下のとおりである。 a 一致点前記(カ)aと同じ。 b 相違点相違点12に加え、本件発明2-7の「電子回路」が「1つ又はそれよりも多くの導電トラックの異なる部分が、異なる持続時間にわたって加熱されるか、異なる温度で加熱されるか、又は、異なる持続時間にわたって異なる温度で加熱されるように、前記電源から前記少な くとも1つの加熱器までの電力の供給を制御するように配置され」ている(構成要件2J)のに対し、乙68発明はこのような加熱制御を行っているかが不明である点(以下「相違点13」という。)で、両者は相違する。 (ク) 本件発明2-8と乙68発明を対比すると、一致点及び相違点は以下 のとおりである。 a 一致点本件発明2-8と乙66発明は、前記(カ)aに加え、「前記システムは、加熱時に前記エーロゾル形成基体から放出される揮発性タバコ香味化合物を含有するタバコ含有材料を含むエーロゾル形成基体を含む ことを特徴とする電気加熱式喫煙システム」である点で一致する。 b 相違点相違点12及び13で、両者は相違する。 イ原告の主張に対する反論(ア) 相違点11’が存在しないことa 原告は、本件発明1-1が「エーロゾル形成基体を受け取るための 電気加熱式喫煙システム」(構成要件1A)であるのに対し、乙68発明はこのような構成を有しない点(以下「相違点11’」という。)で、両者は相違すると主張する。 しかし、本件特許1の請求項8では、「前記システムは、…エーロゾル形成基体を含むことを特徴とする請求項1…に記載の い点(以下「相違点11’」という。)で、両者は相違すると主張する。 しかし、本件特許1の請求項8では、「前記システムは、…エーロゾル形成基体を含むことを特徴とする請求項1…に記載の電気加熱式 喫煙システム」と規定しており、現にエーロゾル形成基体を収容しているシステムについて、「エーロゾル形成基体を受け取るための電気加熱式喫煙システム」と記載した請求項1の記載を引用しているから、「エーロゾル形成基体を受け取るための電気加熱式喫煙システム」とは、エーロゾル形成基体を受け取ることができるように設計されたシ ステムという意味であり、本件発明1-8のように、現にエーロゾル形成基体を受け取っているシステムも含まれる。 そして、乙68発明のシステムは、加熱器とエーロゾル形成基体が一体に形成されたものを現に受け取っているから、「エーロゾル形成基体を受け取るための…システム」に含まれる。 また、乙68発明のシステムは、エーロゾル形成基体を受け取ると同時に、加熱要素も受け取り、加熱器を備えることとなるから、「電気加熱式喫煙システム」の要件も充足する。 したがって、相違点11’は存在しない。 b 原告は、「エーロゾル形成基体を受け取るための電気加熱式喫煙シ ステム」について、エーロゾル形成基体と加熱器を含む電気加熱式喫 煙システムが別体であること、すなわち、エーロゾル形成基体を受け取るシステム側に加熱器が設けられていることを意味すると主張する。 しかし、このようなことは、本件特許1の請求項1において規定されておらず、特許請求の範囲の文言から離れて、本件各明細書に記載された実施形態や態様を基に限定して解釈することは相当でない。ま しかし、このようなことは、本件特許1の請求項1において規定されておらず、特許請求の範囲の文言から離れて、本件各明細書に記載された実施形態や態様を基に限定して解釈することは相当でない。ま た、本件各発明の「製造がより簡単でその構成に必要な構成要素がより少ない電気加熱式喫煙システムを提供すること」(本件各明細書【0004】)という課題は、エーロゾル形成基体と加熱器とが別体であるか否かを問わず、電気絶縁基体上に導電トラックを含む加熱器を使用することで解決するから、エーロゾル形成基体と加熱器とが別 体であることは、本件各発明の課題解決にも関係ない。 したがって、原告の上記主張は理由がない。 (イ) 相違点12’が存在しないこと原告は、本件発明2-1が「エーロゾル形成基体を受け取るための電気加熱式喫煙システム」(構成要件2A)であるのに対し、乙68発明 はこのような構成を有しない点(以下「相違点12’」という。)で、両者は相違すると主張する。 しかし、相違点11’に係る前記(ア)と同様の理由により、相違点12’は存在しない。 (ウ) 相違点13’が存在しないこと a 原告は、本件発明2-1が「加熱器を絶縁するために前記加熱器の周りに配置された熱絶縁要素」を含む(構成要件2F)のに対し、乙68発明はそのような構成を有しない点(以下「相違点13’」という。)で、両者は相違すると主張する。 しかし、原告の解釈によれば、「熱絶縁要素」とは、加熱器の周り に配置され、加熱器により熱せられた周囲の空気がユーザの手に向か って移動することを妨げる物理的な障壁であり、加熱器からの熱の一部がユーザの手に伝わることを妨げるものを 器の周り に配置され、加熱器により熱せられた周囲の空気がユーザの手に向か って移動することを妨げる物理的な障壁であり、加熱器からの熱の一部がユーザの手に伝わることを妨げるものを意味するところ、乙68公報の図5によれば、乙68発明における「キャップ52」を含むハウジングがこのような構成を有していることは明らかであるから、「加熱器を絶縁するために前記加熱器の周りに配置された熱絶縁要素」 に相当する。 したがって、相違点13’は存在しない。 b 原告は、乙68発明における「ハウジング」は、加熱器から熱絶縁されるべき対象そのものであって、熱絶縁するために加熱器の周りに配置された部材とはいえないと主張する。 しかし、「前記加熱器を絶縁するために前記加熱器の周りに配置された熱絶縁要素」(構成要件2F)の文言からして、「熱絶縁要素」は、加熱器を熱絶縁するために加熱器の周りに配置された要素であれば足り、加熱器から熱絶縁されるべき対象そのものであったとしても、「熱絶縁要素」に該当しないとする根拠とはならない。 したがって、原告の上記主張は理由がない。 (3) 容易想到性ア相違点10について(ア) 相違点10につき容易に想到することができたこと前記8(被告の主張)(3)イ(ア)のとおり、電気絶縁基体に適した材料 として、ポリイミドは周知であった。また、本件優先日前に公開された原告の社内の文書(乙63及び64)にも、ポリイミドが、加熱式タバコの加熱器に使用される電気絶縁基体として特に適していることが記載されていた。このように、ポリイミドは、本件優先日のはるか前から、加熱式タバコに使用される電気絶縁基体に好適である ミドが、加熱式タバコの加熱器に使用される電気絶縁基体として特に適していることが記載されていた。このように、ポリイミドは、本件優先日のはるか前から、加熱式タバコに使用される電気絶縁基体に好適であることが知られてい たのである。 そして、乙68公報には、「この包覆部をまず非導電性の物質で形成し、続いてエーロゾル形成材料を包覆する以前に若しくはその後に、導電性のフィルムを例えば蒸着若しくは吹付塗布によって付けることである。」(乙68公報の訳文である乙77・4頁)との記載があるところ、この「非導電性の物質」が電気絶縁基体に相当する。 したがって、乙68発明における電気絶縁基体の材料としてポリイミドを採用することには強い動機付けがあるといえるから、乙68発明に周知技術を組み合わせることにより、相違点10に係る構成について容易に想到することができたというべきである。 (イ) 原告の主張に対する反論 a 原告は、乙68公報に記載された「紙若しくはシートタバコ」(乙68公報の訳文である乙77・4頁)よりもはるかに高価で、廃棄による環境への負荷が大きいポリイミドに置き換えることに阻害要因があると主張する。 しかし、タバコの大きさを考えれば、乙68発明で使用するポリイ ミドの量はごくわずかであり、非常に優れた性能を有するポリイミドの使用を阻害するほど、ポリイミドが高価であるとも、環境への負荷が大きいともいえない。また、乙68公報には、「導電性の包覆部3は導電性の添加物(金属又はグラファイト/炭素)が加えられている紙若しくはシートタバコ、又は同じく添加物によって導電性にされた 合成樹脂からなり得る。」(同4頁)と記載されているところ、ポリイミド 性の添加物(金属又はグラファイト/炭素)が加えられている紙若しくはシートタバコ、又は同じく添加物によって導電性にされた 合成樹脂からなり得る。」(同4頁)と記載されているところ、ポリイミドも合成樹脂である。さらに、マウスピース部分の材料としても、紙ロールのほかに、セルロースアセテートやポリプロピレンのような合成樹脂も例示されている(同6頁)。 本件各明細書には、固体エーロゾル形成基体を構成する管状担体の 例として、「紙、又は紙状材料、不織カーボン繊維マット、低質量開 放メッシュ金属スクリーン、又は穿孔された金属箔、又はいずれかの他の熱安定性ポリマーマトリックスで形成することができる。」(【0040】)と記載されており、本件各明細書においても、廃棄が予定されている部分の材料として、高価で環境への負荷が大きい合成樹脂や金属が例示されている。さらに、乙7公報においても、使用 後に廃棄される「可撓性基体205」の材料として、極端な温度条件下でも安定性及び可撓性を維持することができるカプトンやユーピレックスのようなポリイミドが好ましいことが記載されている(乙7公報の訳文である乙79・4頁)。 したがって、ある程度高価であったり、環境への負荷があったりし たとしても、ポリイミドへ置き換えることに阻害要因があることにはならないから、原告の上記主張は理由がない。 イ相違点11について(ア) 相違点11につき容易に想到することができたこと乙68発明は、基体部分の少なくとも一つの抵抗加熱器に電気的出力 を供給するために電圧源と接続され、各区域を別々に制御する複数の個別のコンタクトを備えている。このように、乙68発明の各抵抗加熱器は、他とは独立して の少なくとも一つの抵抗加熱器に電気的出力 を供給するために電圧源と接続され、各区域を別々に制御する複数の個別のコンタクトを備えている。このように、乙68発明の各抵抗加熱器は、他とは独立して加熱することができるように別々に電源に接続されている以上、本件発明1-4と同様に、「前記電源から前記少なくとも1つの加熱器までの電力の供給を制御するように配置された電子回路」 を備えることは明らかである。 そして、乙68公報には、「それぞれ1つの区域13ないしは15に逐次的に電流供給をすることで、基体部分のそれぞれ1つの新しい部分が加熱され、それによって複数の吸引に渡って均質なエーロゾル収量が達成される。これは吸引ごとにほぼ一定の香味が供給されるという結果 になる。制御は、例えば使用者による空気の吸引の際の圧力変化に反応 する吸引センサを介して実施されることができ、」(乙68公報の訳文である乙77・6頁)と記載されていることからすると、乙68発明における電子回路は、吸引の際の圧力変化に対し、複数の各吸引の間、均質なエーロゾル収量、すなわち吸引ごとに一定量の香味が供給されるように、各区域への逐次的な電流供給を制御するものといえる。このよう に、乙68公報では、各区域への逐次的な電流供給を制御するものであるから、各抵抗加熱器に供給される電力量や温度を調節する機能を有することが示唆されている。 この点、異なる温度又は異なる時間で抵抗加熱器を加熱するための電流供給の具体的な制御方法については、乙68公報に明記されていない が、「1つ又はそれよりも多くの導電トラック」を加熱器の部材として備えた、エーロゾル形成基体を加熱する電気加熱式喫煙システムにおいて、異なる部分を異なる持続時間にわたって に明記されていない が、「1つ又はそれよりも多くの導電トラック」を加熱器の部材として備えた、エーロゾル形成基体を加熱する電気加熱式喫煙システムにおいて、異なる部分を異なる持続時間にわたって加熱することも、異なる部分を異なる温度で加熱することも、いずれも周知の構成であり、このような構成により喫煙者の喫煙体験を高めることができ、有益であること は、前記8(被告の主張)(3)オ(ア)のとおりである。 したがって、乙68発明に周知技術を組み合わせることにより、相違点11に係る構成について容易に想到することができたというべきである。 (イ) 原告の主張に対する反論 a 原告は、乙68発明においては、導電性の「区域15」の各々が全て同じ動作をする構成とすることにより、複数の吸引にわたって均質なエーロゾル収量を達成するものであるから、加熱する温度や時間を変えることについての動機付けはなく、むしろ、乙68発明の本質的な構成を変更することになるから、阻害要因があると主張する。 しかし、乙68公報には、導電性の「区域15」の各々が全て同じ 動作をするなどということは記載されていない。また、異なる部分を異なる持続時間にわたって加熱することは、複数の吸引にわたって均質なエーロゾル収量を達成する技術であり、異なる部分を異なる温度で加熱することは、そのことを背景に、喫煙に変化を持たせる技術であるから、乙68発明にこれらの周知技術を適用することについて阻 害要因はないというべきである。さらに、乙68発明の目的の1つは、「従来の紙巻タバコに類似した香味印象を提供」(乙68公報の訳文である乙77・2頁)することであり、より一般的には、喫煙体験を向上させることであるところ、 である。さらに、乙68発明の目的の1つは、「従来の紙巻タバコに類似した香味印象を提供」(乙68公報の訳文である乙77・2頁)することであり、より一般的には、喫煙体験を向上させることであるところ、喫煙体験を高めるために乙68発明の喫煙システムに上記周知技術を適用することには、動機付けがあると いえる。 b 原告は、被告が指摘した周知技術を裏付ける資料は、いずれも器具の側に複数の加熱器ブレードを配列した加熱器が存在し、そこにシガレット等を挿入して加熱する方式のものであり、乙68発明における加熱方式とは異なるものであるから、乙68発明との関係における周 知技術といえるものではないと主張する。 しかし、被告が指摘した文献と乙68公報とは、電気加熱式喫煙システムという点で共通の技術を記載したものであり、加熱方式が異なるからといって、これを適用する動機付けがないということにはならない。 c したがって、原告の前記a及びbの各主張はいずれも理由がない。 ウ相違点12について(ア) 相違点12につき容易に想到することができたこと前記8(被告の主張)(3)カ(ア)のとおり、本件優先日当時、熱絶縁要素として金属を含むものは多数存在した。そして、乙68発明において は、安全性を高めるために、「熱絶縁要素」(構成要件2F)に相当す る「ハウジング50」や「キャップ52」に金属を用いることの動機付けがあり、金属を含む熱絶縁要素を採用することができない理由は見当たらない。 したがって、乙68発明に周知技術を組み合わせることにより、相違点12に係る構成について容易に想到することができたというべきであ る。 (イ) 原告の主張 当たらない。 したがって、乙68発明に周知技術を組み合わせることにより、相違点12に係る構成について容易に想到することができたというべきであ る。 (イ) 原告の主張に対する反論a 原告は、金属は熱伝導性材料であるから、「ハウジング50」に金属が含まれるとすると、使用者に熱を伝えてしまい、やけどからの保護に役立たないと主張する。 しかし、この主張は何ら根拠のないものであるばかりか、熱絶縁要素として金属を使用する全ての先行技術と矛盾するものである。 b 原告は、「キャップ52」を旋回して開け、その開口部から「基体部分1」をハウジングに挿入する乙68発明の構造上、「基体部分1」の周囲に、金属を含む熱絶縁要素を配置することは困難であり、阻害 要因となると主張する。 しかし、加熱器の周りにある「キャップ52」を含む「ハウジング50」の全体が「熱絶縁要素」であるから、乙68発明の加熱器の周りに既に「熱絶縁要素」が存在する。このように、「キャップ52」は「熱絶縁要素」の一部であり、ハウジングの他の部分と同様に、 「キャップ52」にも金属を含むことが容易であったといえる。そうすると、「基体部分1」の周囲に、金属を含む熱絶縁要素を新たに配置することが困難であるということはない。 c 原告は、「熱絶縁要素」に金属を使用することと安全性との関係が全く不明であり、本件発明2-1の「熱絶縁要素」は最大の熱絶縁を 提供するように設けるものであるから、熱伝導性を有する金属をあえ て使うことについて動機付けがないと主張する。 しかし、ここにいう安全性とは、持ち手が熱くなることによる使用者の手のやけどの防止を意味するこ 、熱伝導性を有する金属をあえ て使うことについて動機付けがないと主張する。 しかし、ここにいう安全性とは、持ち手が熱くなることによる使用者の手のやけどの防止を意味することは明らかであり、前記8(被告の主張)(3)カ(ア)のとおり、熱絶縁要素として金属を含むものは周知である。そうすると、このような意味での安全性を高めるために、 「熱絶縁要素」に相当する「ハウジング50」及び「キャップ52」を、金属を含むものとすることに動機付けがあるという被告の主張に、何ら不明なところはない。仮に、原告が主張するように、金属は熱伝導性が高いため、熱絶縁にとって有害であるというのであれば、本件発明2-1の「熱絶縁要素が金属を含む」という構成の意義そのもの が不明となる。 d したがって、原告の前記aないしcの各主張はいずれも理由がない。 エ相違点13について(ア) 相違点13につき容易に想到することができたこと上記イ(ア)と同じ。 (イ) 原告の主張に対する反論上記イ(イ)と同じ。 オ相違点13’について(ア) 相違点13’につき容易に想到することができたことハウジング及びキャップとして、安全性を高めるために、周知技術で ある熱絶縁要素を設けることの動機付けがあるというべきである。 したがって、乙68発明に周知技術を組み合わせることにより、相違点13’に係る構成について容易に想到することができたというべきである。 (イ) 原告の主張に対する反論 原告は、乙68発明では、加熱ゾーンとエーロゾル形成材料が密着し ており、一つの加熱ゾーンが加熱される時間 うべきである。 (イ) 原告の主張に対する反論 原告は、乙68発明では、加熱ゾーンとエーロゾル形成材料が密着し ており、一つの加熱ゾーンが加熱される時間は短く、加熱ゾーンは順次移動していくことなどから、加熱ゾーンの局所的な加熱によって「ハウジング50」の温度がやけどを生じさせるほどの高温に上がることはないと主張する。 この点、乙68公報に加熱時の温度は記載されていないが、乙1公報 には、「約160℃は、喫煙体験を提供するタバコから揮発成分を放出するための閾値を構成する。」(乙1公報の訳文に相当する乙2公報【0016】)と記載されており、最低でも160℃以上に加熱しないとエーロゾルは発生しないといえる。このような高温の加熱器を使用する以上、やけどの防止を考慮すべきことは当然である。また、使用者は、 加熱器の作動中にハウジングのいずれの部位も手に触れる可能性があり、バッテリーを覆うハウジング部分にしか手を触れないという保証はない。 したがって、原告の上記主張は理由がない。 (4) 小括以上によれば、本件各発明は、乙68発明を主引用発明とし、これに周知 技術を組み合わせることにより、容易に発明することができたといえるから、本件特許1の請求項1、3、4及び8並びに本件特許2の請求項1、6、7及び8に係る特許は無効にされるべきものと認められ、原告は被告に対しその権利を行使することができない(特許法104条の3第1項、123条1項2号、29条2項)。 (原告の主張)(1) 相違点ア相違点11’について(ア) 相違点11’が存在すること本件発明1-1の「エーロゾル形成基体を受け取るための電 (原告の主張)(1) 相違点ア相違点11’について(ア) 相違点11’が存在すること本件発明1-1の「エーロゾル形成基体を受け取るための電気加熱式 喫煙システム」(構成要件1A)は、「エーロゾル形成基体」と加熱器 を含むものとして規定されている「電気加熱式喫煙システム」とが別体であり、後者が前者を受け取る構成を規定したものである。すなわち、特許請求の範囲の記載によれば、「エーロゾル形成基体を受け取るための」ものが「電気加熱式喫煙システム」であるから、「エーロゾル形成基体」と加熱器を含む「電気加熱式喫煙システム」とが別体であること は、特許請求の範囲の文言上一義的に明らかである。「受け取る」とは、「自分の所へきたものを手で取って持つ。」ことを意味する語であって、自分の所へ来る前の状態と、自分の所へ来たものを手で取って持つ状態が存在することを前提としており、「受け取るための」とわざわざ記載しているのは、「電気加熱式喫煙システム」に自分の所へ来る前の状態 を観念し得るからであって、これは両者が別体でなければ成り立たない。 また、本件各明細書の記載は、全て、「エーロゾル形成基体」と加熱器を含む「電気加熱器式喫煙システム」とが別体であることを前提としたものとなっており、【図4】にも端的に別体の構成が示されている一方で、両者が一体であってもよいことを示唆する記載は全くない。 さらに、本件各明細書の「エーロゾル形成基体」についての説明(【0038】以下)においても、加熱器を含む部材を「エーロゾル形成基体」とは呼ばず、「エーロゾル形成基体」自体が加熱器を備える構成であってもよいことを示唆する記載は全くない。むしろ、「外部加熱器は、 038】以下)においても、加熱器を含む部材を「エーロゾル形成基体」とは呼ばず、「エーロゾル形成基体」自体が加熱器を備える構成であってもよいことを示唆する記載は全くない。むしろ、「外部加熱器は、エーロゾル形成基体を取り囲むように又は部分的に取り囲むように使用するこ とができる。一実施形態において、エーロゾル形成基体は、固体であり、かつ円筒形プラグ形態としている。その場合、好ましくは、外部加熱器の内径は、エーロゾル形成プラグの外径と同じか又はそれよりも僅かに大きい。」(【0025】)と記載されていることからすると、明らかに、「エーロゾル形成基体」と加熱器を有する「電気式喫煙システム」とが 別体であることを示している。この記載において、加熱器の内径と「エ ーロゾル形成基体」の外径の各寸法をわざわざ記載しているのは、両者が別体であって、後者が前者に挿入される関係にあるからである(両者が一体であれば、各々の内径や外径の大小を問題にする必要がない。)。 一方、乙68発明では、エーロゾル形成材料と加熱器(「包覆部3」に縞状に設けられた導電材料)が一体となって「基体部分1」を構成し ているから、エーロゾル形成材料を「受け取るための」電気加熱式喫煙システム(当該システムに加熱器が含まれる。)という構成が存在しない。そして、乙68発明において、エーロゾル形生材料を含む「基体部分1」を受け取る側の部材として記載された「吸入装置」は、電源や制御回路等を有するのみで、加熱器を有していない。 したがって、本件発明1-1が「エーロゾル形成基体を受け取るための電気加熱式喫煙システム」であるのに対し、乙68発明はこのような構成を有しない点(相違点11’)で、両者は相違する。 また、構成要 、本件発明1-1が「エーロゾル形成基体を受け取るための電気加熱式喫煙システム」であるのに対し、乙68発明はこのような構成を有しない点(相違点11’)で、両者は相違する。 また、構成要件1B、1D、1E及び1Hは、「エーロゾル形成基体」と加熱器とが別体であることを前提とするものであるから、相違点11’ が存在する以上、これらの構成要件との関係においても相違点となる。 本件発明1-3、1-4及び1-8と乙68発明を対比したときも同様である。 (イ) 被告の主張に対する反論被告は、請求項8では「前記システムは、…エーロゾル形成基体を含 むことを特徴とする請求項1…に記載の電気加熱式喫煙システム」と規定しており、現にエーロゾル形成基体を収容しているシステムについて、「エーロゾル形成基体を受け取るための電気加熱式喫煙システム」と記載した請求項1の記載を引用しているのであるから、「エーロゾル形成基体を受け取るための電気加熱式喫煙システム」とは、エーロゾル形成 基体を受け取ることができるように設計されたシステムという意味であ ると主張する。 しかし、請求項8は、本件各明細書の「作動中に、エーロゾル形成基体は、電気加熱式喫煙システム内に完全に収容することができる。その場合、ユーザは、電気加熱式喫煙システムのマウスピースを吸煙することができる。」(【0047】)との記載に基づいて、電気加熱式喫煙 システムがエーロゾル形成基体を収容した後の状態となったものを、請求項1とは別の発明として規定したものにすぎず、請求項8が請求項1の記載を引用しているという理由のみで、請求項1に記載された「電気加熱式喫煙システム」がエーロゾル形成基体と一体のものを含むということ 項1とは別の発明として規定したものにすぎず、請求項8が請求項1の記載を引用しているという理由のみで、請求項1に記載された「電気加熱式喫煙システム」がエーロゾル形成基体と一体のものを含むということはできない。 この点について、下位の請求項の記載を参酌して上位の請求項を解釈するというのであれば、請求項8の従属項である請求項9では、「作動中に、前記エーロゾル形成基体は、前記電気加熱式喫煙システム内に部分的に収容されることを特徴とする請求項8に記載の電気加熱式喫煙システム。」として、エーロゾル形成基体が、加熱器が設けられた電気加 熱式喫煙システム(受け取る側)とは別体であることを明示しているから、請求項8の発明の中にも別体の構成が含まれているのであって、請求項1の発明が別体の構成を規定したものと解することと何ら矛盾しない。 したがって、被告の上記主張は理由がない。 イ相違点12’について(ア) 相違点12’が存在すること本件発明2-1と乙68発明を対比したとき、相違点11’と同様の相違点が存在する。 したがって、本件発明2-1が「エーロゾル形成基体を受け取るため の電気加熱式喫煙システム」(構成要件2A)であるのに対し、乙68 発明はこのような構成を有しない点(相違点12’)で、両者は相違する。 また、構成要件2B、2C及び2Dは、「エーロゾル形成基体」と加熱器とが別体であることを前提とするものであるから、相違点12’が存在する以上、これらの構成要件との関係においても相違点となる。 本件発明2-6、2-7及び2-8と乙68発明を対比したときも同様である。 (イ) 被告の主張に対する反論 存在する以上、これらの構成要件との関係においても相違点となる。 本件発明2-6、2-7及び2-8と乙68発明を対比したときも同様である。 (イ) 被告の主張に対する反論前記ア(イ)と同じ。 ウ相違点13’について (ア) 相違点13’が存在すること本件発明2-1の「熱絶縁要素」(構成要件2F)は、前記9(原告の主張)(1)キ(ア)のとおり、加熱器からの熱損失を低減するものであり、「加熱器の周り」に配置されたものである。 これに対して、乙68公報には、「加熱器の周り」に「熱絶縁要素」が 配置されることの記載はない。乙68発明の「ハウジング50」は、単なる筐体であり、使用時にユーザが持つ部材であるから、むしろ加熱器から熱絶縁されるべき対象そのものであって、熱絶縁のために「加熱器の周り」に配置された「熱絶縁要素」ではない。 したがって、本件発明2-1が「加熱器を絶縁するために前記加熱器 の周りに配置された熱絶縁要素」を含むのに対し、乙68発明はそのような構成を有しない点(相違点13’)で、両者は相違する。 本件発明2-6、2-7及び2-8と乙68発明を対比したときも同様である。 (イ) 被告の主張に対する反論 被告は、「熱絶縁要素」は加熱器を熱絶縁するために加熱器の周りに 配置された要素であれば足り、筐体であったとしても、加熱器から熱絶縁されるべき対象が「熱絶縁要素」に該当しないとする根拠はないから、乙68発明におけるハウジングは「熱絶縁要素」に相当すると主張する。 しかし、ハウジングが「熱絶縁要素」に該当しないことは、前記9(原告の主張)(1)キ(イ) ないとする根拠はないから、乙68発明におけるハウジングは「熱絶縁要素」に相当すると主張する。 しかし、ハウジングが「熱絶縁要素」に該当しないことは、前記9(原告の主張)(1)キ(イ)のとおりである。むしろ、本件発明2-1は、 「加熱器の周りに配置された」(構成要件2F)という限定句を付して「熱絶縁要素」を特定しているから、器具が必ず備えるハウジングとは別に「熱絶縁要素」となる部材が存在することを規定していることは明らかである。そして、乙68公報には、ハウジングとは別の「熱絶縁要素」に相当する部材は記載されていない。 したがって、被告の上記主張は理由がない。 (2) 容易想到性ア相違点10について(ア) 相違点10につき容易に想到することができなかったこと乙68発明は、エーロゾル形成材料の表面(いわば紙巻タバコの巻紙 に相当する部分)に加熱要素を直接設けたものであり、本件発明1-1とは全く異なる構造であるから、仮に、その一部にポリイミドを採用したとしても、本件発明1-1には至らない。 また、乙68公報には、「基体部分1の製造は簡易な方法で従来のタバコストランド形成機械で行うことができる。」(乙68公報の訳文で ある乙77・4頁)と記載されているところ、ポリイミドは、従来のタバコストランド形成機械による製造プロセスには不適な材料であるから、当業者は乙68発明の利点を失わせてしまうような材料を使おうとは思わない。したがって、乙68発明にポリイミドを採用することについては、阻害要因が認められる。 以上によれば、相違点10に係る構成を容易に想到することができた とはいえない。 (イ) 被告の主張に ドを採用することについては、阻害要因が認められる。 以上によれば、相違点10に係る構成を容易に想到することができた とはいえない。 (イ) 被告の主張に対する反論被告は、乙68発明の「基体部分1」の包覆部は多層性であり、その内側を非導電性物質で形成し、外側を導電性物質で形成するとされ、この非導電性物質が、本件発明1-1の「電気絶縁基体」に相当するとし た上で、これにポリイミドを採用することの動機付けが認められると主張する。 しかし、乙68発明の「基体部分1」は、1回の喫煙ごとに廃棄されるものであり、ここで非導電性物質として例示されているものは「紙若しくはシートタバコ」(乙68公報の訳文である乙77・4頁)である。 このような使い捨ての「基体部分1」を構成するものとして、樹脂として比較的高価で、廃棄による環境への負荷が大きいポリイミドを採用することには、阻害要因があるといえる。 したがって、被告の上記主張は理由がない。 イ相違点11について (ア) 相違点11につき容易に想到することができなかったこと乙68公報には、「それぞれ1つの区域13ないしは15に逐次的に電流供給をすることで、基体部分のそれぞれ1つの新しい部分が加熱され、それによって複数の吸引に渡って均質なエーロゾル収量が達成される。これは吸引ごとにほぼ一定の香味が供給されるという結果になる。 制御は、例えば使用者による空気の吸引の際の圧力変化に反応する吸引センサを介して実施されることができ、」(乙68公報の訳文である乙77・6頁)と記載されているところ、これは、【図2b】又は【図2c】に関する記載であり、【図2c】から明らかなとおり、こ 応する吸引センサを介して実施されることができ、」(乙68公報の訳文である乙77・6頁)と記載されているところ、これは、【図2b】又は【図2c】に関する記載であり、【図2c】から明らかなとおり、ここで対象としている構成は、マイナス側のコンタクトが一つであり、導電性の 「区域15」の各々が全て同じ動作をする構成である。このように、乙 68発明では、加熱部分(導電性の「区域13」及び「区域15」の各部分)は全て同じ動作をするように構成されており、このような構成にすることで、「複数の吸引に渡って均質なエーロゾル収量が達成される。」(同6頁)ことになるのである。 したがって、乙68発明において、「異なる部分が、異なる持続時間 にわたって加熱されるか、異なる温度で加熱されるか、又は、異なる持続時間にわたって異なる温度で加熱されるように、…電力の供給を制御する」(構成要件1I)ことの動機付けがないばかりか、むしろ、「複数の吸引に渡って均質なエーロゾル収量が達成される。」という乙68発明における本質的な構成を変更してしまうものであり、阻害要因があ るといえる。 以上によれば、相違点11に係る構成を容易に想到することができたとはいえない。 (イ) 被告の主張に対する反論被告は、乙68発明における電子回路は、吸引の際の圧力変化に対し、 複数の各吸引の間、吸引ごとに一定量の香味が供給されるように、各区域への逐次的な電流供給を制御するものであり、異なる部分を異なる持続時間にわたって加熱することも、異なる部分を異なる温度で加熱することも、いずれも周知の構成であると主張する。 しかし、乙68公報には、「それぞれ1つの区域13ないし15に逐 次的に電力供給 って加熱することも、異なる部分を異なる温度で加熱することも、いずれも周知の構成であると主張する。 しかし、乙68公報には、「それぞれ1つの区域13ないし15に逐 次的に電力供給をすることで、基体部分のそれぞれ1つの新しい部分が加熱され、それによって複数の吸引に渡って均質なエーロゾル収量が達成される。これは吸引ごとにほぼ一定の香味が供給されるという結果になる。」(乙68公報の訳文である乙77・6頁)と記載されているところ、基体の通電された区域に接する部位を加熱して、エーロゾルを発 生させる構造を採用したことにより、複数の吸引に渡って均質なエーロ ゾル収量を達成することができるということを述べたものであって、それ以上に、「区域13」又は「区域15」の各々を異なる持続時間や異なる温度となるように通電を制御することまでは一切記載しておらず、その示唆もない。 むしろ、乙68公報を通読すれば、乙68発明が複数の吸引に渡って 均質なエーロゾル収量を達成することを目指したものであることは明らかであり、そうである以上、「区域13」又は「区域15」の各々を異なる持続時間や異なる温度で加熱するよう制御する構成を採用することには何ら動機付けがないばかりか、乙68発明における前提事項を根本から変えて設計しなければならないという意味において、阻害要因があ るというべきである。 また、乙68公報には、「制御は、例えば使用者による空気の吸引の際の圧力変化に反応する吸引センサを介して実施されることができ、また切替え装置を介して区域13ないしは15の1つに電流を供給することを行う。」(同6頁)と記載されているが、これは単に、一つの「区 域13」又は「区域15」の加熱から次の「区域13」又 き、また切替え装置を介して区域13ないしは15の1つに電流を供給することを行う。」(同6頁)と記載されているが、これは単に、一つの「区 域13」又は「区域15」の加熱から次の「区域13」又は「区域15」の加熱への切替えを、使用者による吸引動作(パフ)をトリガー(引き金)にして行うことを述べているにすぎない。乙68発明では、加熱される「区域13」又は「区域15」から次に加熱される「区域13」又は「区域15」への切替えは、使用者が新しい吸引(パフ)を始めたこ とを検知して行われるから、「区域13」又は「区域15」における実際の加熱の持続時間(さらには、その加熱時間によって達成される加熱温度)を決定しているのは、使用者の動作(吸引動作)であり、本件発明1-4及び2-7のような電子回路による加熱の温度や時間の制御ではない。 さらに、被告が指摘する周知技術を裏付ける資料は、いずれも、器具 の側に複数の加熱器ブレードを配列した加熱器があり、そこにシガレット等を挿入して加熱する方式のものであって、シガレット形状の「基体部分1」の包覆部に加熱区域(「区域13」又は「区域15」)を設けた乙68発明とは全く異なるタイプのものであるから、乙68発明との関係における周知技術といえるものではない。 したがって、被告の上記主張は理由がない。 ウ相違点12について(ア) 相違点12につき容易に想到することができなかったこと相違点12は、相違点13’と併せて、本件発明2-1が「加熱器を絶縁するために前記加熱器の周りに配置された熱絶縁要素であって、前 記熱絶縁要素が金属を含む」(構成要件2F)のに対し、乙68発明はそのような構成を有しない点で相違すると理解する が「加熱器を絶縁するために前記加熱器の周りに配置された熱絶縁要素であって、前 記熱絶縁要素が金属を含む」(構成要件2F)のに対し、乙68発明はそのような構成を有しない点で相違すると理解することができる。 したがって、後記オ(ア)のとおり、上記の各相違点に係る構成を容易に想到することができたとはいえない。 (イ) 被告の主張に対する反論 後記オ(イ)と同じ。 エ相違点13について(ア) 相違点13につき容易に想到することができなかったこと前記イ(ア)と同じ。 (イ) 被告の主張に対する反論 前記イ(イ)と同じ。 オ相違点13’について(ア) 相違点13’につき容易に想到することができなかったこと乙68発明のシステムは、このままの構造で喫煙具として完成しており、熱の問題は生じていないから、これに更に熱絶縁要素を設ける動機 付けはない。すなわち、乙68発明では、加熱要素を「エーロゾル形成 材料」と一体の「包覆部」に設けることにより、「熱源とエーロゾル形成物の可能な限り近い空間的配置に基づい」(乙68公報の訳文である乙77・3頁)た構造となっており、しかも、加熱ゾーンの一つ一つを、1パフの短い時間ごとに順に加熱していく方式であるため、熱損失を低減するための熱絶縁要素の必要はなく、器具自体が特に高温になること もないから、熱損失を低減して加熱器の温度を保ち、使用者をやけどから保護するための熱絶縁要素を設けることは必要でない。その上、そのような部材が金属を含む必要は全くない。 仮に、乙68発明の「ハウジング50」が熱絶縁要素であり、これに熱伝導性の高い材料である金属が含まれる 要素を設けることは必要でない。その上、そのような部材が金属を含む必要は全くない。 仮に、乙68発明の「ハウジング50」が熱絶縁要素であり、これに熱伝導性の高い材料である金属が含まれるとすると、使用者に熱を伝え てしまい、やけどからの保護に役立たないから、金属を含ませる動機付けがない。 さらに、乙68公報の【図5】では、「キャップ52」を旋回して開け、その開口部から「基体部分1」をハウジングに挿入するようになっているところ、このような乙68発明の構造上、「基体部分1」の周囲 に金属を含む熱絶縁要素を配置することは困難であり、阻害要因となる。 したがって、相違点12及び相違点13’に係る構成を容易に想到することができたとはいえない。 (イ) 被告の主張に対する反論a 被告は、使用者にやけどをさせないために熱絶縁要素が必要である と主張する。 しかし、乙68発明では、加熱ゾーンとエーロゾル形成材料が密着している(エーロゾル形成材料の包覆部の一部となっている。)上、一つの加熱ゾーンが加熱される時間は短く、加熱ゾーンが順次移動していくようになっているから、熱損失を低減する必要性もなければ、 特に高い加熱温度も必要とされない。また、乙68発明では、【図5】 のように、「ハウジング50」と加熱ゾーンの間には一定の距離がある上、乙68発明を構成する部位の熱容量もあるから、加熱ゾーンにおける局所的な加熱によって、「ハウジング50」の温度がやけどを生じさせるほどの高温に上がることはない。全体の外観を見ても、使用者が持つ部位は、乙68発明の吸入装置全体の3分の2弱を占める、 バッテリーに近い部分である。したがって、乙68発明では、あえて 生じさせるほどの高温に上がることはない。全体の外観を見ても、使用者が持つ部位は、乙68発明の吸入装置全体の3分の2弱を占める、 バッテリーに近い部分である。したがって、乙68発明では、あえて「熱絶縁要素」を設ける必要がなく、仮に被告が主張するように「ハウジング」が熱絶縁要素であるとしても、熱絶縁要素としてのハウジングに「金属」を含ませる必要はない。 b 被告は、乙68発明の「ハウジング50」や「キャップ52」に安 全性を高めるために金属を用いることの動機付けがあると主張する。 しかし、金属を使用することと安全性との関係は全く不明である。 本件発明2-1の「熱絶縁要素」は、最大の熱絶縁を提供するように設けるものであるから、熱伝導性という熱絶縁に有害な性質を有する金属をあえて熱絶縁に使うことには、動機付けがないというべきであ る。 c したがって、被告の前記a及びbの各主張はいずれも理由がない。 11 争点2-4(本件発明2-1、2-6、2-7及び2-8についての乙39公報を主引用例とする新規性及び進歩性欠如)について(被告の主張) (1) 乙39公報に記載された発明乙39公報には、以下の発明(以下「乙39発明」という。)が記載されている。 電気加熱式喫煙物品中にタバコフレーバ媒体63又はタバコフレーバ材料67を含む電気加熱式喫煙システムであって、 前記電気加熱式喫煙物品は、 前記タバコフレーバ媒体63又はタバコフレーバ材料67を加熱してエーロゾルを生成するための加熱素子10であって、前記加熱素子10が、板紙製の補強チューブ40の上に、リング12で相互に接続された複数の導電性ブレード11を含み、前記補強チ レーバ材料67を加熱してエーロゾルを生成するための加熱素子10であって、前記加熱素子10が、板紙製の補強チューブ40の上に、リング12で相互に接続された複数の導電性ブレード11を含み、前記補強チューブ40が管状である、前記加熱素子10と、 前記加熱素子10に電力を供給するための電源と、前記電源から個々の前記複数の導電性ブレード11に選択的に通電するための電力及び制御モジュール72と、前記加熱素子10の周りに配置され、内面が金属を含む導電性材料70により被覆された外側保護チューブ64と、 を含むことを特徴とする電気加熱式喫煙システム。 (2) 一致点及び相違点ア本件発明2-1、2-6、2-7及び2-8と乙39発明との一致点及び相違点 (ア) 本件発明2-1と乙39発明を対比すると、全て一致し、相違点はない。 本件発明2-6、2-7及び2-8と乙39発明を対比したときも同様である。 (イ) 本件発明2-6と乙39発明を対比すると、全て一致し、相違点はな い。 本件発明2-7及び2-8と乙39発明を対比したときも同様である。 (ウ) 本件発明2-7と乙39発明を対比すると、一致点及び相違点は以下のとおりである。 a 一致点 本件発明2-7と乙39発明は、以下の点で一致する。 エーロゾル形成基体を受け取るための電気加熱式喫煙システムであって、前記エーロゾル形成基体を加熱してエーロゾルを形成するための少なくとも1つの加熱器であって、前記少なくとも1つの加熱器が電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含み 、前記エーロゾル形成基体を加熱してエーロゾルを形成するための少なくとも1つの加熱器であって、前記少なくとも1つの加熱器が電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含み、前記電 気絶縁基体が管状である、少なくとも1つの加熱器と、前記少なくとも1つの加熱器に電力を供給するための電源と、前記加熱器を絶縁するために前記加熱器の周りに配置された熱絶縁要素であって、前記熱絶縁要素が金属を含む、熱絶縁要素と、を含み、 前記1つ又はそれよりも多くの導電トラックは、各部分が前記電源に別々に接続可能である複数の部分を含み、前記電源から少なくとも1つの加熱器までの電力の供給を制御するように配置された電子回路を更に含む、電気加熱式喫煙システム。 b 相違点本件発明2-7の「電子回路」が「1つ又はそれよりも多くの導電トラックの異なる部分が、異なる持続時間にわたって加熱されるか、異なる温度で加熱されるか、又は、異なる持続時間にわたって異なる温度で加熱されるように」電力の供給を制御するもの(構成要件2J) であるのに対し、乙39発明の「電力及び制御モジュール」は「異なる持続時間にわたって加熱されるか、異なる温度で加熱されるか、又は、異なる持続時間にわたって異なる温度で加熱されるように」電力の供給を制御するものであるかが不明である点(以下「相違点14」という。)で、両者は相違する。 (エ) 本件発明2-8と乙39発明を対比すると、一致点及び相違点は以下 のとおりである。 a 一致点本件発明2-8と乙39発明は、前記(ウ)aに加え (エ) 本件発明2-8と乙39発明を対比すると、一致点及び相違点は以下 のとおりである。 a 一致点本件発明2-8と乙39発明は、前記(ウ)aに加え、「前記システムは、加熱時に前記エーロゾル形成基体から放出される揮発性タバコ香味化合物を含有するタバコ含有材料を含むエーロゾル形成基体を含む ことを特徴とする電気加熱式喫煙システム」である点で一致する。 b 相違点相違点14で、両者は相違する。 イ原告の主張に対する反論(ア) 相違点14’が存在しないこと 原告は、本件発明2-1が「エーロゾル形成基体を受け取るための電気加熱式喫煙システム」(構成要件2A)であるのに対し、乙39発明はこのような構成を有しない点(以下「相違点14’」という。)で、両者は相違すると主張する。 しかし、相違点11’に係る前記10(被告の主張)(2)イ(ア)と同様 の理由により、相違点14’は存在しない。 また、原告は、「エーロゾル形成基体」と加熱器が別体であることを前提に、乙39発明が構成要件2B、2C2D及び2Iに係る構成を有しないと主張するが、上記のとおり、相違点14’は存在しない以上、構成要件2B、2C2D及び2Iとの関係においても、これが相違点と なることはない。 (イ) 相違点15’が存在しないこと原告は、本件発明2-1が「加熱器を絶縁するために前記加熱器の周りに配置された熱絶縁要素」を含む(構成要件2F)のに対し、乙39発明はそのような構成を有しない点(以下「相違点15’」という。) で、両者は相違すると主張する。 しかし、乙39発明の 要素」を含む(構成要件2F)のに対し、乙39発明はそのような構成を有しない点(以下「相違点15’」という。) で、両者は相違すると主張する。 しかし、乙39発明の「外側保護チューブ64」は、「加熱素子10」の周りに配置され、「加熱素子10」により熱せられた周囲の空気がユーザの手に向かって移動することを抑制することにより、加熱器から発せられ、喫煙物品の外側に伝わる熱を阻害して、熱絶縁するものである。 そうすると、乙39発明の「外側保護チューブ64」は、「前記加熱器 を絶縁するために前記加熱器の周りに配置された熱絶縁要素」に相当する。 したがって、相違点15’は存在しない。 (3) 容易想到性ア相違点14について (ア) 相違点14につき容易に想到することができたこと乙39発明は、「電源」から各「導電性ブレード11」への電力の供給を選択的に制御する「電力及び制御モジュール72」(電子回路)を備えており、これは、「前記電源から前記少なくとも1つの加熱器までの電力の供給を制御するように配置された電子回路」(構成要件2J) に相当する。 そして、乙39公報には、異なる温度又は異なる持続時間で抵抗加熱器を加熱するために電流供給を制御する具体的な方法についての記載はないが、前記8(被告の主張)(3)オ(ア)のとおり、「1つ又はそれよりも多くの導電トラック」(構成要件2C)を加熱器の部材として備えた、 エーロゾル形成基体を加熱する電気加熱式喫煙システムにおいて、異なる部分を異なる持続時間にわたって加熱することも、異なる部分を異なる温度で加熱することも、いずれも周知の構成であり、これらの周知技術によって喫煙者の喫煙体験を高めるこ 熱式喫煙システムにおいて、異なる部分を異なる持続時間にわたって加熱することも、異なる部分を異なる温度で加熱することも、いずれも周知の構成であり、これらの周知技術によって喫煙者の喫煙体験を高めることができるので、有益である。 そうすると、喫煙システムである乙39発明についても、喫煙者の喫 煙体験を高めることは自明の課題であるから、「電源」から各「導電性 ブレード11」への電力の供給を選択的に制御する「電力及び制御モジュール72」(電子回路)による制御方法について、喫煙者の喫煙体験を高めるのに適した上記周知技術により制御することは、当業者にとって容易である。 したがって、乙39発明に周知技術を組み合わせることにより、相違 点14に係る構成について容易に想到することができたというべきである。 (イ) 原告の主張に対する反論原告は、乙39発明は、「前記1つ又はそれよりも多くの導電トラックは、各部分が前記電源に別々に接続可能である複数の部分を含む」 (構成要件2Ⅰ)の構成を有しないから、異なる部分を異なる持続時間にわたって加熱したり、異なる部分を異なる温度で加熱したりする周知技術を適用する余地がないと主張する。 しかし、前記(2)イ(ア)のとおり、相違点14’は存在せず、乙39発明は構成要件2Iの構成を有するから、上記周知技術を適用することは 可能である。 したがって、原告の上記主張は理由がない。 イ相違点15’について(ア) 相違点15’につき容易に想到することができたことエーロゾルを発生させるためには、最低でも160℃以上の加熱が必 要であり、このような高温の加熱器を使用する以上、ユーザの (ア) 相違点15’につき容易に想到することができたことエーロゾルを発生させるためには、最低でも160℃以上の加熱が必 要であり、このような高温の加熱器を使用する以上、ユーザのやけどの防止を考慮すべきことは当然である。 したがって、乙39発明にやけどを防止するための周知技術を組み合わせることにより、相違点15’に係る構成について容易に想到することができたというべきである。 (イ) 原告の主張に対する反論 原告は、乙39発明においては、空気の流路となるチャンバ75を設けることが必要であり、空気の流れを確保しなければならないから、加熱器ブレードの周囲に金属を含む熱絶縁要素を設けることができないと主張する。 しかし、前記(2)イ(イ)のとおり、乙39発明においては、外側保護チ ューブ64が熱絶縁要素に該当し、空気の流路となるチャンバ75の機能は確保されているから、加熱器ブレードの周囲に新たに金属を含む熱絶縁要素を設けることができないということはない。 したがって、原告の上記主張は理由がない。 (4) 小括 以上によれば、本件発明2-1及び2-6は、乙39公報に記載された発明であるといえるから、本件特許2は無効にされるべきものと認められ、原告は被告に対しその権利を行使することができない(特許法104条の3第1項、123条1項2号、29条1項3号)。 また、本件発明2-7及び2-8は、乙39発明を主引用発明とし、これ に周知技術を組み合わせることにより、容易に発明することができたといえるから、本件特許2の請求項1、6、7及び8に係る特許は無効にされるべきものと認められ、原告は被告に対しその権利を行使す に周知技術を組み合わせることにより、容易に発明することができたといえるから、本件特許2の請求項1、6、7及び8に係る特許は無効にされるべきものと認められ、原告は被告に対しその権利を行使することができない(同法104条の3第1項、123条1項2号、29条2項)。 (原告の主張) (1) 相違点ア相違点14’について(ア) 相違点14’が存在すること本件発明2-1の「エーロゾル形成基体を受け取るための電気加熱式喫煙システム」(構成要件2A)とは、「エーロゾル形成基体」と加熱 器を含む「電気加熱式喫煙システム」とが別体であり、後者が前者を受 け取ることができることを意味している。 これに対して、乙39発明は、「タバコフレーバ媒体63」を「導電性ブレード11」上に堆積した電気喫煙物品を、コネクタを介して制御モジュールに接続して用いるものであり、この「導電性ブレード11」と「タバコフレーバ媒体63」の両方を含む電気喫煙物品は、使い捨ての 物品として提供されるものであるから、乙39発明では、「エーロゾル形成基体」に相当する「タバコフレーバ媒体63」と加熱器に相当する「導電性ブレード11」が一体となっており、加熱器を含む「電気加熱式喫煙システム」が「エーロゾル形成基体」を受け取ることができるという構成を有していない。 したがって、本件発明2-1が「エーロゾル形成基体を受け取るための電気加熱式喫煙システム」であるのに対し、乙39発明はこのような構成を有しない点(相違点14’)で、両者は相違する。 また、構成要件2B、2C、2D及び2Iは、「エーロゾル形成基体」と加熱器が別体であることを前提とするものであるから、相違点 ような構成を有しない点(相違点14’)で、両者は相違する。 また、構成要件2B、2C、2D及び2Iは、「エーロゾル形成基体」と加熱器が別体であることを前提とするものであるから、相違点14’ が存在する以上、これらの構成要件との関係においても相違点となる。 本件発明2-6、2-7及び2-8と乙68発明を対比したときも同様である。 (イ) 被告の主張に対する反論前記10(原告の主張)(1)ア(イ)と同じ。 イ相違点15’について(ア) 相違点15’が存在すること本件発明2-1の「熱絶縁要素」とは、前記9(原告の主張)(1)キ(ア)のとおり、加熱器からの熱損失を低減するものであり、「加熱器の周り」に配置されたものである。 これに対して、乙39発明の「外側保護チューブ64」は、乙39発 明の装置の外装にすぎず、「加熱素子10」からの熱損失を低減し、ユーザをやけどから保護するものではないから、「熱絶縁要素」ではない。 したがって、本件発明2-1が「加熱器を絶縁するために前記加熱器の周りに配置された熱絶縁要素」を含むのに対し、乙39発明はそのような構成を有しない点(相違点15’)で、両者は相違する。 本件発明2-6、2-7及び2-8と乙68発明を対比したときも同様である。 (イ) 被告の主張に対する反論被告は、乙39発明の「外側保護チューブ64」は、「加熱素子10」の周りに配置され、「加熱素子10」により熱せられた周囲の空気がユ ーザの手に向かって移動することを抑制することにより、加熱器から発せられ、喫煙物品の外側に伝わる熱を阻害して、熱絶縁するものである りに配置され、「加熱素子10」により熱せられた周囲の空気がユ ーザの手に向かって移動することを抑制することにより、加熱器から発せられ、喫煙物品の外側に伝わる熱を阻害して、熱絶縁するものであるから、「前記加熱器を絶縁するために前記加熱器の周りに配置された熱絶縁要素」に相当すると主張する。 しかし、「外側保護チューブ64」は、「加熱素子10」と「タバコ フレーバ媒体63」が一体となった喫煙物品のいわば外装にすぎず、「加熱素子10」からの熱放出を防止するためのものではない。 また、乙39発明は、「タバコフレーバ媒体63」が堆積された複数本の「導電性ブレード11」を1回のパフごとに順に加熱していくものあり、個々の「導電性ブレード11」の加熱時間は1パフ(1秒程度) という短い時間であり、加熱部位も次々と移動する上、「導電性ブレード11」の外側に空気の流通路となる「チャンバ75」が存在し、この「チャンバ75」が「外側保護チューブ64」との熱絶縁の役割を果たすから、乙39発明において「熱絶縁要素」を設ける必要はない。 したがって、被告の上記主張は理由がない。 (2) 容易想到性 ア相違点14について(ア) 相違点14につき容易に想到することができなかったこと前記(1)アのとおり、本件発明2-1においては、「エーロゾル形成基体」と加熱器を含む「電気加熱式喫煙システム」とが別体となっており、構成要件2Iもこのことを前提としているところ、「導電性ブレード1 1」と「タバコフレーバ媒体63」が一体となった乙39発明は、「前記1つ又はそれよりも多くの導電トラックは、各部分が前記電源に別々に接続可能である複数の部分を含む」(構成要件2I 性ブレード1 1」と「タバコフレーバ媒体63」が一体となった乙39発明は、「前記1つ又はそれよりも多くの導電トラックは、各部分が前記電源に別々に接続可能である複数の部分を含む」(構成要件2I)の構成を有しないから、相違点14に係る構成の前提を欠いている。 したがって、相違点14に係る構成を容易に想到することができたと はいえない。 (イ) 被告の主張に対する反論被告は、乙39発明に周知技術を組み合わせることにより、相違点14に係る構成について容易に想到することができたと主張する。 しかし、前記(ア)のとおり、乙39発明は、相違点14に係る構成の前 提となる構成要件2Iの構成を有しないから、周知技術の存否如何にかかわらず、相違点14に係る構成を容易に想到することができたとはいえない。 したがって、被告の上記主張は理由がない。 イ相違点15’について (ア) 相違点15’につき容易に想到することができなかったこと乙39発明は、「外側保護チューブ64」と「導電性ブレード11」の間に空気の流通路となる「チャンバ75」が存在する構造であり、喫煙時には、「空気がチャンバ75内に流入し、吸い出される空気と入れ替わ」(乙39公報の訳文である乙78・5頁)るから、「導電性ブレード11」 で発生する熱は、積極的に外部に排出され、「導電性ブレード11」の周 囲に熱絶縁要素を設ける必要性は存在しない。 また、乙39発明では、1パフごとに個々の「導電性ブレード11」を順次加熱するため、「導電性ブレード11」1個当たりの加熱時間は短く、また、加熱要素である「導電性ブレード11」上に直接「タバコフレーバ媒体63」 明では、1パフごとに個々の「導電性ブレード11」を順次加熱するため、「導電性ブレード11」1個当たりの加熱時間は短く、また、加熱要素である「導電性ブレード11」上に直接「タバコフレーバ媒体63」が薄く堆積されているため、加熱するために各「導電 性ブレード11」に供給されるエネルギーも、熱絶縁要素を必要とするほどの大きさではない。 むしろ、乙39発明は、空気の流路となる「チャンバ75」を設けることが必要であり、空気の流れを確保しなければならないから、「導電性ブレード11」の周囲に金属を含む熱絶縁要素を設けることはできな いという阻害要因が存在する。 したがって、相違点15’に係る構成を容易に想到することができたとはいえない。 (イ) 被告の主張に対する反論被告は、エーロゾルを発生させるには最低でも160℃以上の加熱が 必要であり、このような高温の加熱器を使用する以上、やけどを防止するために熱絶縁要素を設けることは容易に想到することができたと主張する。 しかし、乙39発明は、もともと、器具の外側(使用者が持つ部分)が熱くなりすぎるという問題を生じない構造であるから、当業者が、必 要もない熱絶縁要素を加熱器の周りに設ける構成を採用することについて、容易に想到することができたとはいえない。 したがって、被告の上記主張は理由がない。 12 争点2-5(本件発明1-1、1-3、1-4及び1-8についての乙7公報を主引用例とする進歩性欠如)について (被告の主張) (1) 乙7公報に記載された発明乙7公報には、以下の発明(以下「乙7発明」という。)が記載されている。 1つ又はそれよりも多くの加 (被告の主張) (1) 乙7公報に記載された発明乙7公報には、以下の発明(以下「乙7発明」という。)が記載されている。 1つ又はそれよりも多くの加熱要素201、413上にフレーバ生成媒体202が堆積された喫煙物品10を含む電気加熱式喫煙システムであって、 前記フレーバ生成媒体202を加熱してエーロゾルを形成するための電気抵抗加熱器110と、前記電気抵抗加熱器110に電力を供給するための電源121、V+と、前記電源121、V+から前記電気抵抗加熱器110への電力の供給を制御するように構成された電力/制御部分12と、 を含み、前記電気抵抗加熱器110は、可撓性基体205上に、単一の共通接続部203と、加熱要素201、413ごとの加熱要素接続部204とを有する、1つ又はそれよりも多くの加熱要素201、413を含み、前記可撓性基体205は、非導電性のものであり、ポリイミドで形成され て管状に巻かれており、前記抵抗加熱器110の前記加熱要素201、413、前記共通接続部203及び前記加熱要素接続部204は、直線状に配置され、前記フレーバ生成媒体202は、各加熱要素201上に堆積され、前記1つ又はそれよりも多くの加熱要素201、413は複数の部分を含 み、各部分は前記電源121、V+に別々に接続可能であり、前記電力/制御部分12は、前記電源121、V+から前記電気抵抗加熱器110への電力の供給を制御するように構成されており、それにより前記加熱要素201、413は、異なる持続時間にわたって加熱されるか、異なる温度で加熱されるか、又は、異なる持続時間にわたって異なる温度で加熱 供給を制御するように構成されており、それにより前記加熱要素201、413は、異なる持続時間にわたって加熱されるか、異なる温度で加熱されるか、又は、異なる持続時間にわたって異なる温度で加熱 され、 前記フレーバ生成媒体202は、加熱時に前記フレーバ生成媒体202からエーロゾルとして放出されるタバコ又はタバコフレーバ化合物を含む、電気加熱式喫煙システム。 (2) 一致点及び相違点ア本件発明1-1、1-3、1-4及び1-8と乙7発明との一致点及び 相違点(ア) 本件発明1-1と乙7発明を対比すると、一致点及び相違点は以下のとおりである。 a 一致点本件発明1-1と乙7発明は、以下の点で一致する。 エーロゾル形成基体を受け取るための電気加熱式喫煙システムであって、前記エーロゾル形成基体を加熱してエーロゾルを形成するための少なくとも1つの加熱器と、前記少なくとも1つの加熱器に電力を供給するための電源と、 を含み、前記少なくとも1つの加熱器は、電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含み、前記電気絶縁基体は、ポリイミドで形成されており管状に巻かれる、ことを特徴とするシステム。 b 相違点本件発明1-1の「加熱器」が「エーロゾル形成基体を取り囲み又は部分的に取り囲む」もの(構成要件1F)であるのに対し、乙7発明の「電気抵抗加熱器」はそのような構成を有しない点(以下「相違点15」という。)で、両者は相違する。 (イ) 本件発明1-3と乙7発明を対比すると、一 1F)であるのに対し、乙7発明の「電気抵抗加熱器」はそのような構成を有しない点(以下「相違点15」という。)で、両者は相違する。 (イ) 本件発明1-3と乙7発明を対比すると、一致点及び相違点は以下の とおりである。 a 一致点本件発明1-3と乙7発明は、前記(ア)aに加え、「前記1つ又はそれよりも多くの導電トラックは、各部分が前記電源に別々に接続可能である複数の部分を含む電気加熱式喫煙システム。」である点で一致 する。 b 相違点相違点15で、両者は相違する。 (ウ) 本件発明1-4と乙7発明を対比すると、一致点及び相違点は以下のとおりである。 a 一致点本件発明1-4と乙7発明は、前記(イ)aに加え、「前記1つ又はそれよりも多くの導電トラックの異なる部分が、異なる持続時間にわたって加熱されるか、異なる温度で加熱されるか、又は、異なる持続時間にわたって異なる温度で加熱されるように、前記電源から前記少な くとも1つの加熱器までの電力の供給を制御するように配置された電子回路を更に含む電気加熱式喫煙システム。」である点で一致する。 b 相違点相違点15で、両者は相違する。 (エ) 本件発明1-8と乙7発明を対比すると、一致点及び相違点は以下の とおりである。 a 一致点本件発明1-8と乙7発明は、前記(ウ)aに加え、「前記システムは、加熱時に前記エーロゾル形成基体から放出される揮発性タバコ香味化合物を含有するタバコ含有材料を含むエーロゾル形成基体を含むこと を特徴とする電気加熱式喫煙システム」である点で一致する。 加熱時に前記エーロゾル形成基体から放出される揮発性タバコ香味化合物を含有するタバコ含有材料を含むエーロゾル形成基体を含むこと を特徴とする電気加熱式喫煙システム」である点で一致する。 b 相違点相違点15で、両者は相違する。 イ原告の主張に対する反論(ア) 相違点16’が存在しないこと原告は、本件発明1-1が「エーロゾル形成基体を受け取るための電 気加熱式喫煙システム」(構成要件1A)であるのに対し、乙7発明はこのような構成を有しない点(以下「相違点16’」という。)で、両者は相違すると主張する。 しかし、相違点11’に係る前記10(被告の主張)(2)イ(ア)と同様の理由により、相違点16’は存在しない。 (イ) 相違点17’が存在しないこと原告は、本件発明1-4が「電子回路」が「1つ又はそれよりも多くの導電トラックの異なる部分が、異なる持続時間にわたって加熱されるか、異なる温度で加熱されるか、又は、異なる持続時間にわたって異なる温度で加熱されるように、前記電源から前記少なくとも1つの加熱器 までの電力の供給を制御するように配置され」ている(構成要件1I)のに対し、乙7発明はこのような構成を有しない点(以下「相違点17’」という。)で、両者は相違すると主張する。 しかし、乙7公報には、「物品10を作動させるために、消費者はノブ122を用いて1つの加熱器要素201を選択し、モーメンタリーオ ン押しボタンスイッチ125を押して回路をつなぎ、選択した加熱器201に通電して、加熱を開始させる。」(乙7公報の訳文である乙79・3頁)と記載されていることからすると、当業者は、「モーメンタリ ン押しボタンスイッチ125を押して回路をつなぎ、選択した加熱器201に通電して、加熱を開始させる。」(乙7公報の訳文である乙79・3頁)と記載されていることからすると、当業者は、「モーメンタリーオン押しボタンスイッチ125」を押している間だけ加熱する実施形態においては、消費者は吸引する間(特定の刺激に相当する時間)だ け同ボタンスイッチを押すと理解する。 また、乙7公報には、「特定の刺激(例えば、使用者の吸引)に応じて加熱を開始し、各フレーバチャージの加熱の持続時間を制御する制御器を含んでいる。」(同4頁)と記載されていることからすると、加熱の持続時間を自動化したものと解され、使用者が吸引しない間は加熱しないようにする制御、換言すれば、特定の刺激に相当する時間に応じた 各加熱要素に対する制御がされていると解すべきである。そして、特定の刺激に相当する時間は必ずしも毎回同じではないため、「加熱要素201、413」が加熱される時間は当然に異なるし、各「加熱要素201、413」が異なる持続時間にわたって加熱される場合には、各「加熱要素201、413」は当然に異なる温度で加熱されることにもなる。 さらに、乙7公報には、「最大の電力を受け取るように選択されなかった加熱要素が二次的な経路を経由して幾分か電力を受け取ってもよい。」(同8頁)と記載されていることからすると、「加熱要素413」のうち、「最大電力」を受け取る部分と「幾分か電力」を受け取る部分とは、当然に異なる温度で加熱されることになる。 以上によれば、乙7発明における「電力/制御部分12」は、導電トラックの異なる部分を異なる温度で加熱するように制御する電子回路であるから、相違点17’は存在しない。 ( 以上によれば、乙7発明における「電力/制御部分12」は、導電トラックの異なる部分を異なる温度で加熱するように制御する電子回路であるから、相違点17’は存在しない。 (3) 容易想到性ア相違点15について (ア) 相違点15につき容易に想到することができたこと乙7発明の「電気抵抗加熱器110」は、管状で櫛歯状ではない可撓性基体(本件発明1-1の「電気絶縁基体」に相当するもの)と、管状で櫛歯状の共通接続部及び加熱要素とを有しているが、「フレーバ生成媒体202」が堆積された「加熱要素201」は、ポリイミドで形成さ れた管状の基体から外側を向いている。 しかし、管状で櫛歯状の共通接続部及び加熱要素を有する電気抵抗加熱器について、加熱要素を内側に向け、フレーバ生成媒体を取り囲むようにしたものは、本件優先日より前から周知であった。 また、公知文献である「複数の抵抗加熱要素を有する管状の抵抗加熱ユニット」(乙81)には、乙7発明と同様の管状加熱器が記載されて いるところ、加熱要素に相当する「抵抗性要素16」は内側を向いており、「フレーバ生成媒体18」は内側に向いた「抵抗性要素16」の表面に配置されている。上記文献には、加熱器の作製方法として、可撓性を有する平面状のセラミック基体上に「抵抗性要素16」を印刷した後、「抵抗性要素16」と共に基体を管状に巻き、「抵抗性要素16」上に 「フレーバ生成媒体18」を堆積させて、「抵抗性要素16」が「フレーバ生成媒体18」を取り囲むようにすることが記載されている。そして、上記のとおりに基体を管状に巻く際、加熱要素が外側を向くように巻くか、内側を向くように巻くかは、設計事項にすぎない。し 」が「フレーバ生成媒体18」を取り囲むようにすることが記載されている。そして、上記のとおりに基体を管状に巻く際、加熱要素が外側を向くように巻くか、内側を向くように巻くかは、設計事項にすぎない。したがって、上記文献に接した当業者であれば、乙7発明の「可撓性基体205」を、 上記文献のセラミック基体と同様に巻いて、「電気抵抗加熱器110」が「フレーバ生成媒体202」を取り囲むようにすることは容易に想到することができたといえる。 さらに、乙7発明において、上記のように「電気抵抗加熱器110」が「フレーバ生成媒体202」を取り囲む構成をとることについての阻 害要因はない。このことは、乙7発明で上記のような「電気抵抗加熱器110」が「フレーバ生成媒体202」を取り囲む構成を採用しても、乙7発明の目的の達成は何ら妨げられないことや、乙7公報の特許請求の範囲の記載において、「フレーバ生成媒体202」と「電気抵抗加熱器110」の位置関係につき何らの限定もされていないことからして、 明らかである。 したがって、乙7発明に周知技術を組み合わせることにより、相違点15に係る構成について容易に想到することができたというべきである。 (イ) 原告の主張に対する反論a 原告は、本件発明1-1の構成は、「エーロゾル形成基体」が別体となっていることを前提に、これを「加熱器」で取り囲むことにより、 「エーロゾル形成基体」を「加熱器」で加熱できるようにし、喫煙終了後は、使用済みの「エーロゾル形成基体」だけを交換することができるようにしたものであると主張する。 しかし、本件各明細書及び本件特許1の特許請求の範囲には、本件発明1-1が原告の主張するようなものであることにつ 形成基体」だけを交換することができるようにしたものであると主張する。 しかし、本件各明細書及び本件特許1の特許請求の範囲には、本件発明1-1が原告の主張するようなものであることについての記載は 一切ない。 b 原告は、乙7発明は、「部分11」内の「電気抵抗加熱器110」に「加熱要素201」及び「フレーバ生成媒体202」を一体に構成して、消費者が吸い終わるたびに、「部分11」ごと交換することを特徴とする発明であり、このような乙7発明において、「加熱器」が「エ ーロゾル形成基体」を取り囲む構成を採用する動機付けはないと主張する。 しかし、乙7発明は、原告が主張するような内容を本質的な要素とする発明ではないし、加熱要素及びフレーバ生成媒体が一体的に構成されているか否か、加熱器が交換可能か否かは、当業者が乙7発明に おいて「加熱器」が「エーロゾル形成基体」を取り囲む構成を採用する動機付けがあるかどうかとは無関係である。 c 原告は、「加熱要素201」が「フレーバ生成媒体202」を取り囲む構成を採用することについて、「加熱要素201」の外側に「フレーバ生成媒体202」が配置された乙7発明における気体の流路をあえ て変えてまで、乙7発明の構成を変更する動機付けはないし、使い捨 てが予定されている「部分11」と吸入器具の関係や、発生したフレーバの流路等を根本的に変更しなければならないから、当業者は到底考えもしないと主張する。 しかし、乙7発明は、空気の流路構成に特徴を有する発明ではなく、また、喫煙具と吸入器具の関係に特徴を有する発明でもないから、 「加熱要素201」が「フレーバ生成媒体202」を取り囲む構成を採用するために、流路構成を変 の流路構成に特徴を有する発明ではなく、また、喫煙具と吸入器具の関係に特徴を有する発明でもないから、 「加熱要素201」が「フレーバ生成媒体202」を取り囲む構成を採用するために、流路構成を変更したり、喫煙具と吸入器具の関係を適切なものにしたりすることは容易である。 d したがって、原告の前記aないしcの各主張はいずれも理由がない。 イ相違点16’について (ア) 相違点16’につき容易に想到することができたこと電気加熱式喫煙システムにおける技術は、本件優先日よりはるか前に、乙7発明のようなエーロゾル形成基体と加熱器を含む電気加熱式喫煙システムが一体となった構成から、エーロゾル形成基体と加熱器を含む電気加熱式喫煙システムが別体となり、エーロゾル形成基体、すなわちシ ガレットが使用者によって挿入されるように設計された構成に向かい、本件優先日までには、後者のシガレットを挿入する構成(シガレットを取り囲む構成)が完全に主流になっていた。また、米国特許第5613504号明細書(乙71)及び同第5249586号明細書(乙90)には、前者の構成(加熱要素を再利用することができない構成)を従来 技術として指摘した上で、この課題を解決すべく、後者のシガレットを挿入する構成を採用したことが記載されている。これらの事情によれば、シガレットを挿入する構成(シガレットを取り囲む構成)を採用することに対する動機付けが認められる。 そして、乙7公報の請求項1は、請求項2と対比すると、フレーバチ ャージが加熱要素から分離してよいことを示しているといえ、シガレッ トを挿入する構成を包含していることは明らかであるから、乙7発明には、このような構成を採用することにつき阻害 チ ャージが加熱要素から分離してよいことを示しているといえ、シガレッ トを挿入する構成を包含していることは明らかであるから、乙7発明には、このような構成を採用することにつき阻害要因はない。 したがって、乙7発明に周知技術を組み合わせることにより、相違点16’に係る構成について容易に想到することができたというべきである。 (イ) 原告の主張に対する反論原告は、「電気抵抗加熱器110」に「加熱要素201」及び「フレーバ生成媒体202」を一体に構成した使い捨ての「部分11」は、乙7発明における基本構成であるから、これを変更して、フレーバ生成媒体を受け取る方の装置に加熱器を設ける構成に変えることは、容易に想 到することができたとはいえないと主張する。 しかし、前記(ア)のとおり、乙7公報の請求項1は、請求項2と対比すると、シガレットを挿入する構成(シガレットを取り囲む構成)を包含していることは明らかであり、また、乙7公報には、「本発明の上記および他の目的は、導電性材料および抵抗材料を可撓性の基体上へ印刷す ることによって製造された電気抵抗加熱器を提供することにより、本発明の原理に従って達成される。」(乙7公報の訳文である乙79・1頁)と記載されていることからすると、乙7発明は、加熱器に加熱要素及びフレーバ生成媒体が一体に構成されていることを基本構成とした発明ではない。 したがって、原告の上記主張は理由がない。 ウ相違点17’について(ア) 相違点17’につき容易に想到することができたこと乙7発明は、1つ又はそれよりも多くの「加熱要素201、413」の各複数の部分は「電源121、V+」に別々に接続可能 (ア) 相違点17’につき容易に想到することができたこと乙7発明は、1つ又はそれよりも多くの「加熱要素201、413」の各複数の部分は「電源121、V+」に別々に接続可能であり、当該 各部分への電力の供給を制御するための「電力/制御部分12」を備え ている。これは、本件発明1-4における「前記電源から前記少なくとも1つの加熱器までの電力の供給を制御するように配置された電子回路」(構成要件1I)に相当する。 そして、異なる温度又は異なる持続時間で抵抗加熱器を加熱するための電流供給の具体的な制御方法については、乙7公報に明記されている わけではないが、「1つ又はそれよりも多くの導電トラック」を加熱器の部材として備えた、エーロゾル形成基体を加熱する電気加熱式喫煙システムにおいて、異なる部分を異なる持続時間にわたって加熱することや、異なる部分を異なる温度で加熱することは、各種文献(乙21、58、67、70ないし72)によれば、いずれも周知の構成であり、こ のような構成によって、喫煙者の喫煙体験を高めることができる。 そうすると、喫煙システムである乙7発明についても、喫煙者の喫煙体験を高めることは自明の課題であるから、「電源121」から各「加熱要素201、413」の各部分への電力の供給を制御する「電力/制御部分12」による制御方法について、喫煙者の喫煙体験を高めるのに 適した上記周知技術により制御することは、当業者にとって容易である。 したがって、乙7発明に周知技術を組み合わせることにより、相違点17’に係る構成について容易に想到することができたというべきである。 (イ) 原告の主張に対する反論 原告は、乙7発明に 明に周知技術を組み合わせることにより、相違点17’に係る構成について容易に想到することができたというべきである。 (イ) 原告の主張に対する反論 原告は、乙7発明に係る構成においては、どのパフでも均一な量のフレーバが発生することこそが使用者にとって満足を与えるものであるから、あえて温度を変えたり、時間を変えたりして、フレーバの量を不均一にするような構成にするはずはないと主張する。 しかし、乙7発明のような構成だからといって、どのパフでも均一な 量のフレーバが発生することこそが使用者にとって満足を与えるもので あるとする根拠がない。 また、加熱器の加熱温度や持続時間の制御を変えることによって、フレーバの量が不均一になったり、使用者の満足度が減少したりすることには根拠がない。仮に、加熱温度や持続時間の制御を変えることが使用者の満足度を減少させるというのであれば、構成要件1Iには利点がな く、構成要件1Iは無意味であるか、本件発明1-4を改悪する構成であるということを意味し、不合理である。 さらに、電源に蓄積されたエネルギーはパフのたびに消費されるため、電源によって供給される電圧はパフごとに変化し得るから、パフごとに決まった量のエーロゾルを発生させるためには、むしろ、電源の電圧変 化に応じて、加熱の持続時間をパフごとに変化させる必要があるといえる。 したがって、原告の上記主張は理由がない。 (4) 小括以上によれば、本件発明1-1、1-3、1-4及び1-8は、乙7発明 を主引用発明とし、これに周知技術を組み合わせることにより、容易に発明することができたといえるから、本件特許1の請求項1、3、4及び8に係る 発明1-1、1-3、1-4及び1-8は、乙7発明 を主引用発明とし、これに周知技術を組み合わせることにより、容易に発明することができたといえるから、本件特許1の請求項1、3、4及び8に係る特許は無効にされるべきものと認められ、原告は被告に対しその権利を行使することができない(特許法104条の3第1項、123条1項2号、29条2項)。 (原告の主張)(1) 相違点ア相違点16’について(ア) 相違点16’が存在すること本件発明1-1の「エーロゾル形成基体を受け取るための電気加熱式 喫煙システム」とは、「エーロゾル形成基体」と加熱器を含む「電気加 熱式喫煙システム」が別体であり、後者が前者を受け取ることができることを意味している。 これに対して、乙7発明は、「電気抵抗加熱器110」の「加熱要素201」上に「フレーバ生成媒体202」を堆積することにより、「エーロゾル形成基体」に相当する「フレーバ生成媒体202」と加熱器に 相当する「電気抵抗加熱器110」を一体にした構成であるから、加熱器を含む「電気式喫煙システム」が「エーロゾル形成基体」を受け取ることができるという構成を有していない。 したがって、本件発明1-1が「エーロゾル形成基体を受け取るための電気加熱式喫煙システム」(構成要件1A)であるのに対し、乙7発 明はこのような構成を有しない点(相違点16’)で、両者は相違する。 また、構成要件1B、1D、1E及び1Hは、「エーロゾル形成基体」と加熱器が別体であることを前提とするものであるから、相違点16’が存在する以上、これらの構成要件との関係においても相違点となる。 本件発明1-3、1-4及び1 、「エーロゾル形成基体」と加熱器が別体であることを前提とするものであるから、相違点16’が存在する以上、これらの構成要件との関係においても相違点となる。 本件発明1-3、1-4及び1-8と乙7発明を対比したときも同様 である。 (イ) 被告の主張に対する反論前記10(原告の主張)(1)ア(イ)と同じ。 イ相違点17’について(ア) 相違点17’が存在すること 乙7公報には、「フレーバ生成材料の複数の局所化されたチャージを選択的に加熱」(乙7公報の訳文である乙79・1頁)する従来技術に触れた上、その問題点として、チャージを選択的に加熱しようとすると、電力供給に必要な電気接続の数が増えてコストが高くなってしまうことを指摘し、発明の目的の一つとして、「最小限の数の電気接続を使用し て、幾つかの個別フレーバ生成チャージのうちの任意の1つを選択的に 加熱する加熱器を提供すること」(同1頁)を挙げ、「2次元配列構成で接続された複数の加熱要素」によって、「個別の加熱器要素に電力を選択的に集中させるために最小限の数の電気接続」(同2頁)が可能となることが記載されている。そして、加熱の制御について、「ヒータは2次元アレイ状に電気接続された複数の加熱素子を含むことができる。 この2次元アレイによれば、最低限の数のコネクタで加熱素子に選択的に電力を送ることができる」(同2頁)、「本発明に係る物品のより好ましい実施形態は、どのチャージを加熱するかを自動的に選択し、特定の刺激(例えば、使用者の吸引)に応じて加熱を開始し、各フレーバチャージの加熱の持続時間を制御する制御器を含んでいる。」(同4頁)、「消費 者がパフを開始するたびに、制御ユニット12 し、特定の刺激(例えば、使用者の吸引)に応じて加熱を開始し、各フレーバチャージの加熱の持続時間を制御する制御器を含んでいる。」(同4頁)、「消費 者がパフを開始するたびに、制御ユニット12が1つ以上の加熱要素201に電力を供給する。電力を供給された1つの加熱要素は、フレーバ生成媒体の未使用の1回分202(図3)を加熱し、フレーバ含有エーロゾルを放出する。」(同4頁)と記載されている。 しかし、これは、パフ(吸引)があったときに加熱を開始することを 述べているにすぎず、それ以上の複雑なコントロールをすること(例えば、パフの長さを検知して、それに応じ加熱時間を変えること等)については全く記載されていないし、ユーザのパフ時間を検知するようなセンサや、パフ時間に応じて可変な加熱制御を示唆する記載も全く存在しない。 したがって、本件発明1-4が「電子回路」が「1つ又はそれよりも多くの導電トラックの異なる部分が、異なる持続時間にわたって加熱されるか、異なる温度で加熱されるか、又は、異なる持続時間にわたって異なる温度で加熱されるように、前記電源から前記少なくとも1つの加熱器までの電力の供給を制御するように配置され」(構成要件1I)て いるのに対し、乙7発明はこのような構成を有しない点(相違点17’) で、両者は相違する。 本件発明1-8と乙7発明を対比したときも同様である。 (イ) 被告の主張に対する反論a 被告は、乙7公報には、「物品10を作動させるために、消費者はノブ122を用いて1つの加熱器要素201を選択し、モーメンタリ ーオン押しボタンスイッチ125を押して回路をつなぎ、選択した加熱器201に通電して、加熱を開始させる。」(乙7公報 に、消費者はノブ122を用いて1つの加熱器要素201を選択し、モーメンタリ ーオン押しボタンスイッチ125を押して回路をつなぎ、選択した加熱器201に通電して、加熱を開始させる。」(乙7公報の訳文である乙79・3頁)と記載されていることからすると、当業者は、「モーメンタリーオン押しボタンスイッチ125」を押している間だけ加熱する実施形態においては、消費者は吸引する間(特定の刺激に相当 する時間)だけ同ボタンスイッチを押すと理解すると主張する。 しかし、同ボタンスイッチをどのくらい長く押すかを決めるのは使用者であり、加熱の持続時間が電子回路によって制御されているわけではないから、「導電トラックの異なる部分」が異なる持続時間や異なる温度で加熱するように制御する電子回路について記載がないこと に変わりはない。 b 被告は、乙7公報には、「特定の刺激(例えば、使用者の吸引)に応じて加熱を開始し、各フレーバチャージの加熱の持続時間を制御する制御器を含んでいる。」(乙7公報の訳文である乙79・4頁)と記載されていることからすると、特定の刺激に相当する時間に応じた 各加熱要素に対する制御がされると解すべきであると主張する。 しかし、上記記載は、好ましい実施形態が「どのチャージを加熱するかを自動的に選択し、特定の刺激(例えば、使用者の吸引)に応じて加熱を開始し、各フレーバチャージの加熱の持続時間を制御する制御器を含んでいる」(同4頁)ことを述べたものにすぎず、特定の刺 激に相当する時間に応じて加熱の持続時間を制御することまでは記載 されていない。 c 被告は、乙7公報には、「最大の電力を受け取るように選択されなかった加熱要素が二次的な経路を経由して幾分か に応じて加熱の持続時間を制御することまでは記載 されていない。 c 被告は、乙7公報には、「最大の電力を受け取るように選択されなかった加熱要素が二次的な経路を経由して幾分か電力を受け取ってもよい。」(乙7公報の訳文である乙79・8頁)と記載されていることからすると、「加熱要素413」のうち、「最大電力」を受け取る 部分と「幾分か電力」を受け取る部分とは、当然に異なる温度で加熱されることになると主張する。 しかし、乙7公報の上記部分は、正しくは、「選択しない加熱要素に二次的な経路から電力が流れ込んでしまう。」と訳すべきであり、これに続いて、「二次的な経路は、減少又はなくすことができる。」 と記載され、二次的な経路からの電力流入という不都合な事態を避ける方法が記載されていることからすると、パフ時間に応じて加熱時間を変えられることを述べたものと理解することはできない。 d したがって、被告の前記aないしcの各主張はいずれも理由がない。 (2) 容易想到性 ア相違点15について(ア) 相違点15につき容易に想到することができなかったこと本件発明1-1において、「前記少なくとも1つの加熱器は、前記エーロゾル形成基体を取り囲み又は部分的に取り囲む」(構成要件1F)としているのは、「エーロゾル形成基体」が別体となっていることを前提に、 「エーロゾル形成基体」を「加熱器」で取り囲むことにより、「エーロゾル形成基体」を「加熱器」で加熱できるようにし、かつ、喫煙終了後は、使用済みの「エーロゾル形成基体」だけを交換することができるようにするためである。 これに対し、乙7発明は、「部分11」内の「電気抵抗加熱器110」 に「 、かつ、喫煙終了後は、使用済みの「エーロゾル形成基体」だけを交換することができるようにするためである。 これに対し、乙7発明は、「部分11」内の「電気抵抗加熱器110」 に「加熱要素201」及び「フレーバ生成媒体202」を一体に構成し て、消費者が吸い終わるたびに、「部分11」ごと交換することを特徴とする発明であるから、このような乙7発明において、「加熱器」が「エーロゾル形成基体」を取り囲む構成を採用する動機付けはない。 また、乙7発明では、「加熱要素201」上に堆積される「フレーバ生成媒体202」は、「加熱要素201」の外側に配置されているので、発 生したフレーバをユーザに届けるための気体の流路も、これに対応したものとなり、「フレーバ生成媒体202」及び「加熱要素201」の外側に形成されることになるが、このような流路をあえて変えてまで、乙7発明の構成を変更する動機付けはどこにもない。 さらに、「加熱要素201」が「フレーバ生成媒体202」を取り囲む 構成を採用するとなると、上記のとおり、使い捨てが予定されている乙7発明の「部分11」と吸入器具の関係や、発生したフレーバの流路、これに関連する器具の構造等を根本的に変更しなければならないから、そのようなことは、当業者が到底考えもしないことである。 したがって、相違点15に係る構成を容易に想到することができたと はいえない。 (イ) 被告の主張に対する反論被告は、乙7発明においては、「フレーバ生成媒体202」が「加熱要素201」の外側に堆積されているが、加熱要素を内側に向けて、フレーバ生成媒体を取り囲むようにした喫煙物品は、本件優先日より前か ら周知であったから、「フレー レーバ生成媒体202」が「加熱要素201」の外側に堆積されているが、加熱要素を内側に向けて、フレーバ生成媒体を取り囲むようにした喫煙物品は、本件優先日より前か ら周知であったから、「フレーバ生成媒体202」を「加熱要素201」の内側に堆積することは容易に想到することができたと主張する。 しかし、被告の主張する加熱要素がフレーバ生成媒体を取り囲む構成は、乙7発明とは全く別の形態の電気加熱式喫煙システム(例えば、別体のエーロゾル形成基体を、複数ブレードの配列から成る加熱器に挿入 するタイプのもの)に係るものであって、加熱要素にフレーバ生成媒体 を堆積したタイプに係るものではない。 したがって、「フレーバ生成媒体202」を「加熱要素201」の内側に堆積することは容易に想到することができたという被告の上記主張は理由がない。 イ相違点16’について (ア) 相違点16’につき容易に想到することができなかったこと乙7発明は、「電気抵抗加熱器110」に「加熱要素201」及び「フレーバ生成媒体202」を一体に構成した使い捨ての「部分11」と、繰り返し使用するバッテリー及び制御回路を有する制御ユニットで構成されている。そして、「部分11」には、1回分のパフに相当するフレー バ生成媒体(1チャージ)がそれぞれ堆積された複数の加熱要素があり、全てのチャージが加熱済みとなったら、「部分11」は廃棄される。このような別体の構成は、乙7発明における基本構成であるから、これを変更して、加熱器を含む「電気加熱式喫煙システム」が「エーロゾル形成基体を受け取る」本件発明1-1の構成とすることは、容易に想到する ことができたといえるものではない。 したがっ 更して、加熱器を含む「電気加熱式喫煙システム」が「エーロゾル形成基体を受け取る」本件発明1-1の構成とすることは、容易に想到する ことができたといえるものではない。 したがって、相違点16’に係る構成を容易に想到することができたとはいえない。 (イ) 被告の主張に対する反論被告は、電気加熱式喫煙システムには、エーロゾル形成基体と加熱器 を含む電気加熱式喫煙システムが一体の構成と、エーロゾル形成基体(シガレット)が使用者によって挿入されるように設計された構成の二つがあり、本件優先日までに、後者の構成が完全に主流になっていたから、乙7発明において、後者の構成を採用することは容易に想到することができたと主張する。 しかし、後者の構成が主流になったのであれば、それは、単に、乙7 のような前者の構成が廃れて採用されにくくなったことを意味するだけであり、乙7発明にわざわざ後者の構成を採用する理由にはなり得ない。 また、乙7発明は、「消費者が吸うたびに、単一の加熱要素を用いて、フレーバ生成材料からなる層の全体が加熱される」ものや「フレーバ生成材料の複数の局所化されたチャージを選択的に加熱するもの」(乙7 公報の訳文である乙79・1頁)等の従来の電気加熱式喫煙物品における問題点を解決するものとして、個々の加熱要素の上に直接フレーバ生成媒体を堆積すると構成を採用しているのであるから、乙7公報に接した当業者が、逆戻りともいえるエーロゾル形成基体を受け取る構成を採用しようと考えることはあり得ない。 したがって、被告の上記主張は理由がない。 ウ相違点17’について(ア) 相違点17’につき容易に想到することができなか 用しようと考えることはあり得ない。 したがって、被告の上記主張は理由がない。 ウ相違点17’について(ア) 相違点17’につき容易に想到することができなかったこと乙7発明は、フレーバ成形媒体が1回分のパフに相当する個別のチャージに分割され、それぞれ各「加熱要素201」に堆積されており、1 回のパフごとに、個々の「加熱要素201」が所定の順序で点火されるようになっている。このような構成では、どのパフでも均一な量のフレーバが発生することこそが使用者にとって満足を与えるものであるから、あえて温度を変えたり、時間を変えたりして、フレーバの量を不均一にするような構成にするはずはない。 そうすると、乙7発明の構成を変更することは全く無意味であるから動機付けがなく、むしろ使用者の満足度を損なうものであるから阻害要因があるというべきである。 したがって、相違点17’に係る構成を容易に想到することができたとはいえない。 (イ) 被告の主張に対する反論 被告は、加熱器の異なる部分を異なる持続時間にわたって加熱することや、異なる部分を異なる温度で加熱することは、いずれも周知の構成であるから、乙7発明において相違点17’の構成を採用することは容易であると主張する。 しかし、上記技術が周知であることを裏付けるものとして被告が指摘 する各種文献は、いずれも、加熱器を備えた繰り返し使用する形の吸入器具にシガレット等を挿入し、ブレード状の加熱素子によって、挿入されたシガレットの異なる領域を外周に沿って逐次加熱していく方式の電気加熱式喫煙具に係るものであって、加熱器に加熱要素及びフレーバ生成媒体を一体に構成し を挿入し、ブレード状の加熱素子によって、挿入されたシガレットの異なる領域を外周に沿って逐次加熱していく方式の電気加熱式喫煙具に係るものであって、加熱器に加熱要素及びフレーバ生成媒体を一体に構成して使い捨ての部品とした乙7発明とは、加熱の方 式も装置自体の構成も全く異なる。このような基本的構成を全く異にする発明から、その前提となっている事項を無視して特定の側面だけを取り出したものを、乙7発明に適用することができる周知技術ということはできない。 したがって、被告の上記主張は理由がない。 13 争点2-6(本件各発明についての明確性要件違反)について(被告の主張)(1) 「導電トラック」(構成要件1D、1H、1I、2C、2I及び2J)について「導電トラック」とは、単なる導電路ではなく、特定の形状を持った導電 路を意味すると解されるところ、本件各明細書においては定義されておらず、また、この用語自体、電気加熱式喫煙物品の分野において一般的に使用されているものでもないため、どのような形状を有する導電路であるのか、当業者は理解することができない。 原告は、本件各明細書の記載や「トラック」という用語の一般的な意味か らすると、「導電トラック」とは、細長く続いた通路ないしコースのような 形状となった加熱部材を意味すると解することができると主張するが、「トラック」という用語の辞書的意味は、通路、道等であって、細長く続くコースのような形状を指すものではない。 したがって、「導電トラック」の意味するところが不明確であるから、本件各発明は明確性要件に違反する。 (2) 「それよりも多くの導電トラック」及び「複数の部分」(構成要件1H及び2I)について って、「導電トラック」の意味するところが不明確であるから、本件各発明は明確性要件に違反する。 (2) 「それよりも多くの導電トラック」及び「複数の部分」(構成要件1H及び2I)について本件各明細書に記載された「異なる部分が異なる持続時間にわたって加熱されるようになり、それによってエーロゾル形成基体の性質に応じて喫煙体験を高めることができる。」(【0021】)等の機能は、「複数の部分」 だけでなく、「それよりも多くの導電トラック」によっても実現可能である。 また、本件各明細書には、「電源はまた、各部分が電源に個々に接続可能である複数の部分を提供するために単一のトラックの1つ又はそれよりも多くの中心区画に接続可能である。」(【0022】)と記載されているが、「中心区画」が単なる接続区画であるとすると、「複数の部分」の接続区画 と「それよりも多くの導電トラック」の接続区画を区別することができない。 したがって、「それよりも多くの導電トラック」及び「複数の部分」の意味するところが不明確であるから、本件発明1-3、1-4、1-8、2-6、2-7及び2-8は明確性要件に違反する。 (3) 小括 以上によれば、本件各発明は、明確性要件に違反するものであるから、本件特許1の請求項1、3、4及び8並びに本件特許2の請求項1、6、7及び8に係る特許は無効にされるべきものと認められ、原告は被告に対しその権利を行使することができない(同法104条の3第1項、123条1項4号、36条6項2号)。 (原告の主張) (1) 「電トラック」(構成要件1D、1H、1I、2C、2I及び2J)について本件各明細書の記載や「トラック」という用語の意味からすると、「導電 (原告の主張) (1) 「電トラック」(構成要件1D、1H、1I、2C、2I及び2J)について本件各明細書の記載や「トラック」という用語の意味からすると、「導電トラック」とは、細長く続いた通路ないしコースのような形状となったもの(例えば、本件各明細書【図4】及び【図5】)を意味することは明らかで ある。 したがって、本件各発明は明確性要件に違反するものではない。 (2) 「それよりも多くの導電トラック」及び「複数の部分」(構成要件1H及び2I)について前記(1)のとおり、「導電トラック」(「それよりも多くの導電トラック」) の意味するところは明確である。また、前記3(原告の主張)(1)アのとおり、「部分」(「複数の部分」)の意味するところも明確である。 被告は、「複数の部分」によって実現される機能は「それよりも多くの導電トラック」によっても実現することができるから、これらを区別することができないと主張するが、異なる二つの構成によって同様のことを実現する ことができることは何ら奇異なことではないし、これをもって二つの構成を区別することができないということを意味しない。 したがって、本件発明1-3、1-4、1-8、2-6、2-7及び2-8は明確性要件に違反するものではない。 14 争点2-7(本件発明1-4、1-8、2-7及び2-8についての実施 可能要件違反)について(被告の主張)「導電トラックの異なる部分が、異なる持続時間…異なる温度で…加熱されるように、…電力の供給を制御する…電子回路」(構成要件1I及び2J)については、本件各明細書の【0021】に記載があるだけであり、「電子回路」 について、本件各明細書 異なる温度で…加熱されるように、…電力の供給を制御する…電子回路」(構成要件1I及び2J)については、本件各明細書の【0021】に記載があるだけであり、「電子回路」 について、本件各明細書には、実施例の記載もそのほかの説明的な記載も一切 ない。 発明の具体的な開示のない明細書が、実施可能要件に違反するものではないとして許容されるのは、当業者が、その発明の内容を、出願時のどのような周知技術の応用であるかを当然に特定することができ、その周知技術に基づいてどのように実施するかを理解することができる場合である。しかし、原告が、 上記「電子回路」が周知の構成でなかったと主張するのであれば、本件発明1-4及び2-7の上記「制御する…電子回路」について、周知技術が存在しなかったこととなるから、当業者はどのように実施するか理解することができないこととなる。 したがって、本件発明1-4、1-8、2-7及び2-8は実施可能要件に 違反し、本件特許1の請求項4及び8並びに本件特許2の請求項7及び8に係る特許は無効にされるべきものと認められるから、原告は被告に対しその権利を行使することができない(特許法104条の3第1項、123条1項4号、36条4項1号)。 (原告の主張) 「導電トラックの異なる部分が、異なる持続時間…異なる温度で…加熱されるように、…電力の供給を制御する…電子回路」(構成要件1I及び2J)について、本件各明細書【0021】を読めば、電子回路についての技術常識を有する当業者は、上記「電子回路」の構成をいくらでも考えつく。 したがって、実施可能要件違反は認められない。 15 争点2-8(本件各発明についてのサポート要件違反)について(被告の主張) 電子回路」の構成をいくらでも考えつく。 したがって、実施可能要件違反は認められない。 15 争点2-8(本件各発明についてのサポート要件違反)について(被告の主張)(1) 「導電トラック」(構成要件1D、1H、1I、2C、2I及び2J)についてア本件各明細書には、本件各発明の課題として、「製造がより簡単でその 構成に必要な構成要素がより少ない電気加熱式喫煙システムを提供するこ と」(【0004】)と記載されているところ、これを解決する手段としては、抵抗加熱器及び温度センサの両方の作用を兼ねる「導電トラック」を使用することのほかに、具体的な方法は何ら記載されていない。仮に、「導電トラック」が抵抗加熱器及び温度センサの両方の作用を兼ねる必要はなく、導電路全般を含むものであると解した場合、このような「導電ト ラック」によって上記課題を解決できる理由は、本件各明細書には何ら記載されておらず、本件各特許の出願時の技術常識に照らしても認識することができないから、当業者は、本件各発明が本件各明細書に記載された課題を解決することができると認識することができないことは明らかである。 したがって、「導電トラック」の意味するところが、抵抗加熱器及び温 度センサの両方の作用を兼ねる必要はないということであれば、本件各発明は、当業者が課題を解決することができると認識することができる範囲を超えているから、サポート要件に違反する。 イ原告は、本件明細書の【0008】第3ないし6文、【0078】ないし【0080】には、「導電トラック」が温度センサとしての機能を有 しないとしても、本件各発明の課題を解決することができることが記載されていると主張する。 しかし、 0078】ないし【0080】には、「導電トラック」が温度センサとしての機能を有 しないとしても、本件各発明の課題を解決することができることが記載されていると主張する。 しかし、文と文をつなげる際に「更に」という用語が使われた場合、後の文は、前の文を受けた記載となり、前の文を基礎として議論を続ける意味を持つことになる。そうすると、本件各発明の作用効果について説 明した【0008】第3ないし6文は、いずれも「更に」でつながれた文であるから、第1文、すなわち「加熱器及び温度センサとして両方の作用をすることができる導電トラックを電気絶縁基体上に含む加熱器を使用すること」という特徴により達成することができる効果を前提とするものと解される。 また、本件各明細書には、温度センサとしての機能がない「導電トラッ ク」を電気絶縁基体上に形成するだけで、本件各発明の課題がどのように解決されることになるのか、そのメカニズムや理由について何ら記載がない。さらに、電気加熱式喫煙システムにおいて、電気絶縁基体上に(温度センサとしての機能がない)「導電トラック」を設ける構成は周知技術であるから、(温度センサとしての機能がない)「導電トラック」を 電気絶縁基体上に配置することのみにより、上記周知技術よりもサイズの縮小、基体の薄型化及び製造の容易性といった点が改善されるものではない。 したがって、原告の上記主張は理由がない。 (2) 「熱絶縁要素が金属を含む」(構成要件2F)について ア本件特許2の出願時の特許請求の範囲には「熱絶縁材料」と記載されていたところ、原告は、後にこれを「熱絶縁要素」と補正し、本件各明細書の【0016】によるサポートがあると説明した。 し ア本件特許2の出願時の特許請求の範囲には「熱絶縁材料」と記載されていたところ、原告は、後にこれを「熱絶縁要素」と補正し、本件各明細書の【0016】によるサポートがあると説明した。 しかし、本件各明細書には、「熱絶縁材料は、加熱器からの熱損失を低減し、かつ電気加熱式喫煙システムを使用するユーザをやけどから保護す る。…熱絶縁材料は、電気加熱式喫煙システムにおいて到達する高温度で劣化しないことになる材料でなければならない。…好ましくは、熱絶縁材料は、金属又は別の不燃材料を含む。…金属は、電気加熱式喫煙システム内に熱を反射することができるので有利である。」(【0015】)と記載されており、金属又は別の不燃材料を「熱絶縁材料」として用いること により、ユーザをやけどから保護する技術的思想が記載されているといえるが、このような「熱絶縁材料」とは異なる概念である「熱絶縁要素」については、本件各明細書に全く記載がない。また、「熱絶縁要素が金属を含む」とあるが、金属以外の部分により熱絶縁の効果がもたらされることについて、本件各明細書には記載がない。 したがって、「熱絶縁要素が金属を含む」の意味するところが、金属自 体が熱絶縁の効果をもたらす要素として働く必要はないということであれば、本件各明細書に記載された範囲を超えるものであるから、本件発明2-1、2-6、2-7及び2-8は、当業者が課題を解決できると認識することができず、サポート要件に違反する。 イ原告は、本件各明細書の【0077】には、ハニカム構造のように、金 属メッキにより形成された構造体の内部に空気腔が設けられ、これにより熱絶縁の効果がもたらされることが記載されていると主張する。 しかし、本件各明細書には、金属 ニカム構造のように、金 属メッキにより形成された構造体の内部に空気腔が設けられ、これにより熱絶縁の効果がもたらされることが記載されていると主張する。 しかし、本件各明細書には、金属が熱を反射することにより熱絶縁の効果がもたらされることは記載されているものの、そのほかに熱絶縁の効果をもたらす構成は記載されていない。また、「好ましくは、熱絶縁材料は、 複数の空気腔を含む。」(【0016】)と記載されているが、単に熱絶縁材料が複数の空気腔を有する構造であってもよいことが記載されているにとどまり、空気腔が熱絶縁の効果を奏する旨の記載はない。さらに、「熱絶縁反射ハニカム構造」(【0074】及び【0075】)とあるが、ここにいう「熱絶縁反射」とは、金属であるメッキ層自体が熱を反射する ことを意味すると解するのが相当であり、「ハニカム構造」が熱絶縁の機能を果たすことが記載されているものではない。 したがって、原告の上記主張は理由がない。 (3) 小括以上によれば、本件各発明は、サポート要件に違反するものであるから、 本件特許1の請求項1、3、4及び8並びに本件特許2の請求項1、6、7及び8に係る特許は無効にされるべきものと認められ、原告は被告に対しその権利を行使することができない(同法104条の3第1項、123条1項4号、36条6項1号)。 (原告の主張) (1) 「導電トラック」(構成要件1D、1H、1I、2C、2I及び2J)につ いて被告は、本件各明細書には、「導電トラック」が抵抗加熱器及び温度センサの両方の作用をするものしか記載されていないから、「導電トラック」の意味するところが抵抗加熱器及び温度センサの両方の作用を兼ねる必要はないという 細書には、「導電トラック」が抵抗加熱器及び温度センサの両方の作用をするものしか記載されていないから、「導電トラック」の意味するところが抵抗加熱器及び温度センサの両方の作用を兼ねる必要はないということであれば、サポート要件に違反すると主張する。 しかし、本件各明細書には、「電気絶縁基体は非常に薄くすることができ、更にサイズを縮小することができる。」、「必要な電子機器、配線、及び接続部の一部又は全ては、加熱器と同じ電気絶縁基体上に組み込むことができる。」、「加熱器は、各加熱要素を個々に形成する必要がある一部の従来技術の加熱器よりも直接的かつ費用効率よく製造することができる。」、「加 熱器は、設計の大きな柔軟性を可能にし、すなわち、導電トラックは、望むようにかつ望ましい熱分布を与えるように電気絶縁基体上に配置することができる。」(【0008】第3ないし6文)と記載されており、「導電トラック」が温度センサの機能を有していなかったとしても、「製造がより簡単でその構成に必要な構成要素がより少ない電気加熱式喫煙システムを提供す ること」(【0004】)という本件各発明の課題が、薄い電気絶縁基体の上に「導電トラック」を形成し、必要な電子機器、配線及び接続部の一部又は全部を同じ電気絶縁基体上に組み込んで加熱器を構成することにより、解決され得ることを示している。 また、本件各明細書の【0078】ないし【0080】には、「導電トラ ック」が抵抗加熱器及び温度センサの両方の作用をするものではなかったとしても、サイズの縮小化、基体の薄型化及び製造の容易性という課題が解決可能であることが記載されている。特に、「加えて、導電トラックのために使用される材料が適切な抵抗温度係数特性を有するものと仮定すると、」(【0080】 、基体の薄型化及び製造の容易性という課題が解決可能であることが記載されている。特に、「加えて、導電トラックのために使用される材料が適切な抵抗温度係数特性を有するものと仮定すると、」(【0080】)と記載されていることからすると、「導電トラック」が抵 抗加熱器の作用のみであることを実施形態の前提とした上で、付加的な特徴 として、温度センサの機能を持たせる場合を説明したものということができる。 したがって、本件各明細書には、「導電トラック」が温度センサとしての機能を有しない構成であっても本件各発明の課題を解決することができることが記載されているから、本件各発明がサポート要件に違反するとはいえな い。 (2) 「熱絶縁要素が金属を含む」(構成要件2F)について被告は、本件各明細書には、「熱絶縁要素」についての記載は全くなく、また、金属以外の部分により熱絶縁の効果がもたらされることについて記載がないと主張する。 しかし、本件各明細書には、「熱絶縁材料は、導電トラックに加えて電気絶縁基体上に設けることができる。それによって導電トラック及び熱絶縁材料の単一要素としての製造が可能になる。一部の製造方法の場合、導電トラック及び熱絶縁材料は、同じ工程の一部として作ることができる。代替的に、熱絶縁材料は、個別の要素として電気加熱式喫煙システムに設けることがで きる。」(【0016】)と記載されており、電気加熱式喫煙システムが、「熱絶縁材料」を使用した熱絶縁のための「要素」、すなわち「熱絶縁要素」を備えるものであること、「熱絶縁要素」を設ける場合、「熱絶縁要素」を電気絶縁体上のトラックを含む加熱器と一体に形成してもよく、加熱器とは別個に形成して個別の要素としてもよいことが記載されてい 素」を備えるものであること、「熱絶縁要素」を設ける場合、「熱絶縁要素」を電気絶縁体上のトラックを含む加熱器と一体に形成してもよく、加熱器とは別個に形成して個別の要素としてもよいことが記載されているものである。 また、本件各明細書の【0077】には、例えば、ハニカム構造のように、金属メッキにより形成された構造体の内部に空気腔が設けられた態様において、空気腔により熱絶縁の効果がもたらされることが記載されている。 したがって、本件発明2-1、2-6、2-7及び2-8は、本件各明細書に記載されたものであるから、サポート要件に違反するものではない。 16 争点3(損害額)について (原告の主張)被告が本件各特許権を侵害する被告各製品を販売等したことにより、原告が被った損害額は、被告製品1につき5000万円を、被告製品2につき5000万円を、それぞれ大きく超える。 (被告の主張) 否認ないし争う。 17 争点4(差止め等の必要性)について(原告の主張)被告が被告各製品を販売等することにより本件各特許権を侵害するおそれがあるので、被告に対し、被告各製品の譲渡、輸入、輸出及び譲渡の申出の差止 め並びに廃棄を求める必要性がある。 (被告の主張)否認ないし争う。 第4 当裁判所の判断 1 本件各明細書の記載事項等 (1) 本件明細書1について本件明細書1の発明の詳細な説明には、以下のとおりの記載がある(下記記載中に引用する図については、別紙本件図面目録記載のとおり)。 ア 【技術分野】【0001】 本発明は、エーロゾル形成基体を加熱するための加熱器を含む電気加熱式喫煙 に引用する図については、別紙本件図面目録記載のとおり)。 ア 【技術分野】【0001】 本発明は、エーロゾル形成基体を加熱するための加熱器を含む電気加熱式喫煙システムに関する。 【背景技術】【0002】US-A-5 353 813は、電気喫煙物品に外部加熱要素として 使用するためのブレード付き管状アレイを開示している。加熱要素は、螺 旋巻き板紙の補強管の周りに配置されたいくつかのカーボンブレードを含む。ブレードの自由端に1つの電気接続部が形成され、一方、カーボンの共通リングが、カーボンブレードの他方の端部に接続して共通電気接続部を形成する。ブレードに電力が供給されると、それらは、加熱して300℃から約900℃の範囲の温度を有する加熱区間をもたらす。 【発明が解決しようとする課題】【0004】本発明者は、製造がより簡単でその構成に必要な構成要素がより少ない電気加熱式喫煙システムを提供することが有利であると考えられると認めたものである。 イ 【課題を解決するための手段】【0005】本発明の第1の態様により、エーロゾル形成基体を受け取るための電気加熱式喫煙システムを提供し、システムは、基体を加熱してエーロゾルを形成するための少なくとも1つの加熱器と、少なくとも1つの加熱器に電 力を供給するための電源とを含み、少なくとも1つの加熱器は、電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含み、1つ又はそれよりも多くの導電トラックは、1つ又はそれよりも多くの導電トラックが抵抗加熱器及び温度センサとして両方の作用をすることができるような抵抗温度係数特性を有する。 トラックを含み、1つ又はそれよりも多くの導電トラックは、1つ又はそれよりも多くの導電トラックが抵抗加熱器及び温度センサとして両方の作用をすることができるような抵抗温度係数特性を有する。 【0006】本発明の第1の態様により、電気加熱式喫煙システムに使用するための加熱器も提供し、加熱器は、電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含む。 【0007】 本発明の第1の態様により、電気加熱式喫煙システムにおける加熱器の 使用も提供し、加熱器は、電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含み、1つ又はそれよりも多くの導電トラックは、1つ又はそれよりも多くの導電トラックが抵抗加熱器及び温度センサとして両方の作用をすることができるような抵抗温度係数特性を有する。 【0008】 加熱器及び温度センサとして両方の作用をすることができる導電トラックを電気絶縁基体上に含む加熱器を使用することにより、電気加熱式喫煙システムに必要とされる構成要素の数及びサイズを低減することができる。 それによって電気加熱式喫煙システムのサイズが低減される。更に、電気絶縁基体は、非常に薄くすることができ、更にサイズを縮小することが可 能である。更に、必要な電子機器、配線、及び接続部の一部又は全ては、加熱器と同じ電気絶縁基体上に組み込むことができる。更に、加熱器は、各加熱要素を個々に形成する必要がある一部の従来技術の加熱器よりも直接的かつ費用効率よく製造することができる。加熱器は、設計の大きな柔軟性を可能にし、すなわち、導電トラックは、望むようにかつ望ましい熱 分布を与えるように電気絶縁基体上に配置することができる。 【0009】 とができる。加熱器は、設計の大きな柔軟性を可能にし、すなわち、導電トラックは、望むようにかつ望ましい熱 分布を与えるように電気絶縁基体上に配置することができる。 【0009】好ましくは、電気加熱式喫煙システムは、電源から少なくとも1つの加熱器までの電力の供給を制御するように配置された電子回路を更に含む。 【0010】 好ましくは、電源は、1つ又はそれよりも多くの導電トラックによって感知された温度及び望ましい温度に基づいて少なくとも1つの加熱器に電力を供給する。すなわち、電源が加熱器及びエーロゾル形成基体の温度を特定の望ましい温度に維持することを可能にするフィードバックが提供される。これは、個別の温度センサの必要なく達成される。好ましくは、電 気加熱式喫煙システムは、この目的のように配置された電子回路を含む。 好ましくは、望ましい温度とは、加熱器がエーロゾル形成基体を加熱するが燃やさない温度である。 【0011】好ましくは、電気加熱式喫煙システムは、少なくとも1つの加熱器を絶縁するための熱絶縁材料を更に含む。熱絶縁材料は、電気加熱式喫煙シス テムの外側から材料を絶縁することができる。好ましくは、加熱器は、その上に熱絶縁性又は/及び反射性構造体を有する電気絶縁基体の一部分を含む。 【0012】本発明の第2の態様により、エーロゾル形成基体を受け取るための電気 加熱式喫煙システムを提供し、システムは、基体を加熱してエーロゾルを形成するために電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含む少なくとも1つの加熱器と、少なくとも1つの加熱器に電力を供給するための電源と、少なくとも1つの加熱器を絶縁するための熱 ルを形成するために電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含む少なくとも1つの加熱器と、少なくとも1つの加熱器に電力を供給するための電源と、少なくとも1つの加熱器を絶縁するための熱絶縁材料とを含む。 【0013】本発明の第2の態様により、電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含む加熱器を有する電気加熱式喫煙システムに使用するための熱絶縁材料も提供する。 【0014】 本発明の第2の態様により、電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含む加熱器を有する電気加熱式喫煙システムにおける熱絶縁材料の使用も提供する。 【0015】熱絶縁材料は、加熱器からの熱損失を低減し、かつ電気加熱式喫煙シス テムを使用するユーザをやけどから保護する。熱絶縁材料は、好ましくは、 最大の熱絶縁を提供するようにエーロゾル形成基体の周りに位置決めされる。熱絶縁材料は、電気加熱式喫煙システムにおいて到達する高温度で劣化しないことになる材料でなければならない。全ての熱絶縁材料が適切になるとは限らない。好ましくは、熱絶縁材料は、金属又は別の不燃材料を含む。一例では、金属は、金である。別の例では、金属は、銀である。金 属は、電気加熱式喫煙システム内に熱を反射することができるので有利である。 【0016】好ましくは、熱絶縁材料は、複数の空気腔を含む。空気腔は、規則的なパターンで配置される。1つの好ましい実施形態において、空気腔は、六 角形であり、ハニカム構造に配置される。熱絶縁材料は、導電トラックに加えて電気絶縁基体上に設けることができる。それによって導電トラック及び熱絶縁材料の単一要素としての製 おいて、空気腔は、六 角形であり、ハニカム構造に配置される。熱絶縁材料は、導電トラックに加えて電気絶縁基体上に設けることができる。それによって導電トラック及び熱絶縁材料の単一要素としての製造が可能になる。一部の製造方法の場合、導電トラック及び熱絶縁材料は、同じ工程の一部として作ることができる。代替的に、熱絶縁材料は、個別の要素として電気加熱式喫煙シス テムに設けることができる。 【0017】本発明の第1の態様におけるように、電気絶縁基体は、非常に薄くしてサイズを縮小することができる。更に、必要な電子機器、配線、及び接続部の一部又は全ては、同じ電気絶縁基体上に加熱器として組み込むことが できる。更に、加熱器は、各加熱要素を別々に形成する必要がある一部の従来技術の加熱器よりも直接的かつ費用効率よく製造することができる。 加熱器は、かなり柔軟な設計を可能にし、すなわち、導電トラックは、望むようにかつ望ましい熱分布を与えるように電気絶縁基体上に簡単に配置することができる。 【0018】 好ましくは、電気加熱式喫煙システムは、電源から少なくとも1つの加熱器までの電力の供給を制御するように配置された電子回路を更に含む。 【0019】好ましくは、電源は、望ましい温度に基づいて少なくとも1つの加熱器に電力を供給する。好ましくは、電気加熱式喫煙システムは、この目的の ように配置された電子回路を含む。好ましくは、望ましい温度とは、加熱器がエーロゾル形成基体を加熱するが燃やさない温度である。 【0020】好ましくは、1つ又はそれよりも多くの導電トラックは、1つ又はそれよりも多くの導電トラックが抵抗加熱器及び温度センサとして作用 体を加熱するが燃やさない温度である。 【0020】好ましくは、1つ又はそれよりも多くの導電トラックは、1つ又はそれよりも多くの導電トラックが抵抗加熱器及び温度センサとして作用するこ とができるような抵抗温度係数特性を有する。 【0021】本発明のいずれかの態様による一実施形態において、1つ又はそれよりも多くの導電トラックは、複数の部分を含み、各部分は、電源に別々に接続可能である。これは、いくつかの利点を提供する。第1に、異なる部分 が異なる持続時間にわたって加熱されるようになり、それによってエーロゾル形成基体の性質に応じて喫煙体験を高めることができる。第2に、異なる部分が異なる温度で加熱されるようになり、それによってエーロゾル形成基体の性質に応じて同じく喫煙体験を高めることができる。第3に、これは、加熱器の特定部分がいずれの時点でも導通されることを可能にす る。それによってエーロゾル形成基体の一部分だけがいずれの時点でも加熱されるようになる。これは、エーロゾル形成基体の各部分が一度だけ加熱され、かつ再加熱されないことを意味するので有利であると考えられる。 【0022】本発明のいずれかの態様による一実施形態において、1つ又は複数の導 電トラックは、導電材料の単一のトラックを含む。単一のトラックの第1 の端部は、電源に接続可能であり、単一のトラックの第2の端部も、電源に接続可能である。その場合、電源はまた、各部分が電源に個々に接続可能である複数の部分を提供するために単一のトラックの1つ又はそれよりも多くの中心区画に接続可能である。本発明のいずれかの態様による別の実施形態において、1つ又は複数の導電トラックは、各トラックが電源に 個 の部分を提供するために単一のトラックの1つ又はそれよりも多くの中心区画に接続可能である。本発明のいずれかの態様による別の実施形態において、1つ又は複数の導電トラックは、各トラックが電源に 個々に接続可能である導電材料の複数のトラックを含む。 【0023】本発明の両方の態様では、導電トラックは、エーロゾル形成基体を加熱するのに最も適切な構成で電気絶縁基体上に配置される。あらゆる数の構成が利用可能である。 【0024】本発明のいずれかの態様の第1の実施形態において、電気絶縁基体は、剛体であり、かつエーロゾル形成基体内に挿入されるように配置される。 電気絶縁基体は、適切に寸法決めされて剛体である場合、エーロゾル形成基体内に直接に挿入することができる。電気絶縁基体は、十分な剛性を提 供するために補強することができる。その場合、熱絶縁材料が提供される場合には、それがエーロゾル形成基体を取り囲むように提供することができる。 【0025】本発明のいずれかの態様の第2の実施形態において、電気絶縁基体は、 管状であり、1つ又はそれよりも多くの導電トラックは、管状電気絶縁基体の内側になる。そのような構成は、外部加熱器として使用することができる。外部加熱器は、エーロゾル形成基体を取り囲むように又は部分的に取り囲むように使用することができる。一実施形態において、エーロゾル形成基体は、固体であり、かつ円筒形プラグ形態をしている。その場合、 好ましくは、外部加熱器の内径は、エーロゾル形成プラグの外径と同じか 又はそれよりも僅かに大きい。第2の実施形態において、熱絶縁材料が提供される場合、それは、エーロゾル形成基体及び外部加熱器を取り囲むように提供される エーロゾル形成プラグの外径と同じか 又はそれよりも僅かに大きい。第2の実施形態において、熱絶縁材料が提供される場合、それは、エーロゾル形成基体及び外部加熱器を取り囲むように提供される。熱絶縁材料は、電気絶縁基体上に設けることができ、外部加熱器は、導電トラックが管の内側に向き、熱絶縁材料が管の外側に向くように電気絶縁基体をローリングすることによって形成することができ る。 【0026】本発明のいずれかの態様の第3の実施形態において、電気絶縁基体は、管状であり、1つ又はそれよりも多くの導電トラックは、管状電気絶縁基体の外側にある。そのような構成は、内部加熱器として使用することがで きる。内部加熱器は、エーロゾル形成基体内に挿入することができる。一実施形態において、エーロゾル形成基体は、固体であり、かつエーロゾル形成基体の中空管を含む。その場合、好ましくは、内部加熱器の外径は、エーロゾル形成基体の管の内径と同じか又はそれよりも僅かに小さい。その場合、熱絶縁材料が設けられる場合には、それは、エーロゾル形成基体 を取り囲むように設けられる。 【0027】本発明の両方の態様では、少なくとも1つの加熱器は、エーロゾル形成基体の端部を加熱するための端部加熱器を含むことができ、端部加熱器は、電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含む。一実施 形態において、端部加熱器は、円形又は実質的に円形の電気絶縁基体上に螺旋導電トラックを含む。 【0028】本発明の両方の態様では、導電トラックは、好ましくは、電気抵抗材料を含む。より好ましくは、導電トラックは、金属性である。最も好ましく は、導電トラックは、銀、プラチナ、銅、ニッケル、及びパ 本発明の両方の態様では、導電トラックは、好ましくは、電気抵抗材料を含む。より好ましくは、導電トラックは、金属性である。最も好ましく は、導電トラックは、銀、プラチナ、銅、ニッケル、及びパラジウムのう ちの1つ又はそれよりも多くを含む。例えば、電気「伝導性」セラミック(例えば、ケイ化モリブデンのような)、カーボン、グラファイト、金属合金、及びセラミック材料及び金属性材料で作られた複合材料のような他の材料も利用可能である。そのような複合材料は、ドープ又は非ドープセラミックを含むことができる。適切なドープセラミックの例は、ドープ炭 化珪素を含む。適切な金属の例は、上に列挙したもの、並びにチタン、ジルコニウム、及びタンタルを含む。適切な金属合金の例は、ステンレス鋼-、ニッケル-、コバルト-、クロム-、アルミニウム-、チタン-、ジルコニウム-、ハフニウム-、ニオブ-、モリブデン-、タンタル-、タングステン-、錫-、ガリウム-、マンガン-、及び鉄-含有合金、及び ニッケル、鉄、コバルト、ステンレス鋼-ベースの超合金、Timeta1(登録商標)、及び鉄-マンガン-アルミニウムベースの合金を含む。 Timeta1(登録商標)は、Co1orado州Denver、1999、Broadway、Suite、4300所在の「TitaniumMeta1sCorporation」の登録商標である。複合材 料では、エネルギ移送の動力学及び必要とされる外部物理化学特性に応じて、電気抵抗材料は、任意的に、絶縁材料に埋め込むか又は封入され、又は絶縁材料で被覆されるか又はその逆とすることができる。 【0029】本発明の両方の態様では、導電トラックは、保護層を用いてメッキする ことができる。導電トラックは 、又は絶縁材料で被覆されるか又はその逆とすることができる。 【0029】本発明の両方の態様では、導電トラックは、保護層を用いてメッキする ことができる。導電トラックは、金、ニッケル、及びガラスの1つ又はそれよりも多くを用いてメッキすることができる。導電トラックをメッキすることは、導電トラックが何らかの方法で簡単に酸化又は腐食する材料を含む場合に有利とすることができる。 【0030】 本発明の両方の態様では、好ましくは、電気絶縁基体は、紙、ガラス、 セラミック、陽極酸化金属、被覆した金属、及びポリイミドの1つ又はそれよりも多くを含む。セラミックは、アルミナ(Al2O3)又はジルコナ(ZrO2)を含むことができる。他の適切な材料を使用することもできる。 【0031】本発明のいずれかの態様の第1の実施形態において、少なくとも1つの 加熱器は、電気絶縁基体を準備し、導電ペーストのパターンを形成するようにテンプレートを使用して電気絶縁基体上に導電ペーストを堆積させ、かつ導電ペーストを乾燥させて導電トラックを形成することによって形成される。 【0032】 その第1の実施形態において、電気絶縁基体は、あらゆる適切な電気絶縁材料とすることができるが、セラミック又は陽極酸化金属が好ましい。 その第1の実施形態において、導電ペーストは、あらゆる適切なペーストとすることができるが、好ましくは、金属粒子を含む。金属は、銀とすることができる。導電ペーストはまた、結合剤及び可塑剤を含むことができ る。 【0033】本発明のいずれかの態様の第2の実施形態において、少なくとも1つの加熱器は、電気絶縁基体を準備し、導 ペーストはまた、結合剤及び可塑剤を含むことができ る。 【0033】本発明のいずれかの態様の第2の実施形態において、少なくとも1つの加熱器は、電気絶縁基体を準備し、導電材料を用いて電気絶縁基体の実質的に全表面を覆い、導電材料のパターンを形成するマスクを用いて導電材 料の各部分を保護し、かつ導電材料の保護されていない部分を除去することによって形成される。 【0034】その第2の実施形態において、電気絶縁基体は、あらゆる適切な電気絶縁材料とすることができるが、ポリイミドが好ましい。その第2の実施形 態において、導電材料は、あらゆる適切な材料とすることができるが、好 ましくは、金属合金を含む。金属は、銅とすることができる。導電トラックは、1つ又はそれよりも多くの保護層を用いてメッキすることができる。 一実施形態において、銅の導電トラックは、ニッケルの第1の層及び金の第2の層を用いてメッキされる。 【0035】 本発明のいずれかの態様の第3の実施形態において、少なくとも1つの加熱器は、電気絶縁基体を準備し、金属フィルムを用いて電気絶縁基体を被覆し、フォトレジスト材料の層を用いて金属フィルムを被覆し、導電ペーストのパターンを形成するマスクを用いてフォトレジスト材料の部分を保護し、光源及び化学物質を使用してフォトレジスト材料の保護されてい ない部分を取り除き(露出したフォトレジスト材料は、特定の溶剤に溶解する)、フォトレジスト材料によって保護されていない金属フィルムの部分を取り除き、かつフォトレジスト材料の残りの部分を取り除いて導電トラック形態の金属フィルムを露出することによって形成される。 【0036】 その いない金属フィルムの部分を取り除き、かつフォトレジスト材料の残りの部分を取り除いて導電トラック形態の金属フィルムを露出することによって形成される。 【0036】 その第3の実施形態において、電気絶縁基体は、あらゆる適切な電気絶縁材料とすることができるが、セラミックが好ましい。最も好ましくは、基体は、アルミナ(Al2O3)又はジルコナ(ZrO2)である。その第3の実施形態において、金属フィルムは、あらゆる適切な金属フィルムとすることができるが、プラチナフィルムが好ましい。導電トラックは、1つ 又はそれよりも多くの保護層を用いてメッキすることができる。一実施形態において、導電トラックは、ガラスの層を用いてメッキすることができる。 【0037】本発明の両方の態様では、エーロゾル形成基体は、好ましくは、加熱時 にエーロゾル形成基体から放出される揮発性タバコ香味化合物を含有する タバコ含有材料を含む。代替的に、エーロゾル形成基体は、非タバコ材料を含むことができる。 【0038】本発明の両方の態様では、好ましくは、エーロゾル形成基体は、エーロゾル形成剤を更に含む。適切なエーロゾル形成剤の例は、グリセリン及び プロピレングリコールである。 【0039】本発明の両方の態様では、エーロゾル形成基体は、好ましくは、固体基体である。好ましい実施形態において、エーロゾル形成基体は、少なくとも1つの加熱器を収容するための空洞を有する管状基体を含む。固体基体 は、例えば、ハーブ葉、タバコ葉、タバコ葉脈の破片、再構成タバコ、均質化タバコ、押し出し成形タバコ、及び発泡タバコのうちの1つ又はそれよりも多くを含有する粉末、顆粒、ペレット、 む。固体基体 は、例えば、ハーブ葉、タバコ葉、タバコ葉脈の破片、再構成タバコ、均質化タバコ、押し出し成形タバコ、及び発泡タバコのうちの1つ又はそれよりも多くを含有する粉末、顆粒、ペレット、細片、スパゲッティ、ストリップ、又はシートのうちの1つ又はそれよりも多くを含むことができる。 固体基体は、ばら詰め形態とするか、又は適切な容器又はカートリッジに 入れて提供することができる。任意的に、固体エーロゾル形成基体は、基体の加熱時に放出される付加的なタバコ又は非タバコ揮発性香味化合物を収容することができる。 【0040】本発明の両方の態様では、固体エーロゾル形成基体は、任意的に、熱安 定性担体上に又はそこに埋め込んで提供することができる。好ましい実施形態において、担体は、その内面、又はその外面、又はその内外面の両方に堆積させた固体基体の薄い層を有する管状担体である。そのような管状担体は、例えば、紙、又は紙状材料、不織カーボン繊維マット、低質量開放メッシュ金属スクリーン、又は穿孔された金属箔、又はいずれかの他の 熱安定性ポリマーマトリックスで形成することができる。代替的に、担体 は、粉末、顆粒、ペレット、細片、スパゲッティ、ストリップ、又はシートの形態を取ることができる。 【0041】本発明の両方の態様では、固体エーロゾル形成基体は、例えば、シート、フォーム、ゲル、又はスラリの形態の担体の表面上に堆積させることがで きる。固体エーロゾル形成基体は、使用中に不均一香味を送出するために、担体の全表面上に又は代替的にある一定のパターンで堆積させることができる。 【0042】本発明の両方の態様では、代替的に、担体は、内部にタバコ化合物が組 送出するために、担体の全表面上に又は代替的にある一定のパターンで堆積させることができる。 【0042】本発明の両方の態様では、代替的に、担体は、内部にタバコ化合物が組 み込まれた不織繊維又は繊維束とすることができる。不織繊維又は繊維束は、例えば、カーボン繊維、天然セルロース繊維、又はセルロース誘導体繊維を含むことができる。 【0043】本発明の両方の態様では、代替的に、エーロゾル形成基体は、液体基体 とすることができる。液体エーロゾル形成基体が提供される場合、電気加熱式喫煙システムは、好ましくは、液体を保持するための手段を含む。例えば、液体エーロゾル形成基体は、容器内に保持することができる。代替的に又は追加的に、液体エーロゾル形成基体は、多孔性担体材料内に吸収させることができる。多孔性担体材料は、例えば、発泡金属又はプラスチ ック材料、ポリプロピレン、テリレン、ナイロン繊維、又はセラミックのようなあらゆる適切な吸収プラグ又は吸収体から作ることができる。液体エーロゾル形成基体は、電気加熱式喫煙システムの使用前に多孔性担体材料内に保持することができ、又は代替的に、液体エーロゾル形成基体材料は、使用時又は使用直前に多孔性担体材料内に放出させることができる。 例えば、液体エーロゾル形成基体は、カプセル状で提供することができる。 カプセルのシェルは、好ましくは、加熱する時に溶解して多孔性担体材料内に液体エーロゾル形成基体を放出する。カプセルは、任意的に、液体と組み合わせて固形物を収容することができる。 【0044】エーロゾル形成基体が液体エーロゾル形成基体の場合、電気加熱式喫煙 システムは、一度に少量の液体を加熱するための手段を更に含 せて固形物を収容することができる。 【0044】エーロゾル形成基体が液体エーロゾル形成基体の場合、電気加熱式喫煙 システムは、一度に少量の液体を加熱するための手段を更に含むことができる。一度に少量の液体を加熱するための手段は、例えば、液体基体と連通している液体通路を含むことができる。液体エーロゾル形成基体は、典型的には毛管力によって液体通路内に強制的に押し込まれる。少なくとも1つの加熱器は、好ましくは、使用中に容器内の液体ではなく液体通路内 の少量の液体エーロゾル形成基体だけが加熱されて揮発するように配置される。 【0045】代替的に又は追加的に、エーロゾル形成基体が液体エーロゾル形成基体の場合、電気加熱式喫煙システムは、液体エーロゾル形成基体源と接触し て少なくとも1つの加熱器を含む噴霧器を更に含むことができる。加熱器に加えて、噴霧器は、圧電要素のような1つ又はそれよりも多くの電気機械要素を含むことができる。追加的に又は代替的に、噴霧器はまた、静電気、電磁気、又は空気効果を使用する要素を含むことができる。電気加熱式喫煙システムは、更に、凝縮チャンバを含むことができる。 【0046】本発明の両方の態様では、エーロゾル形成基体は、代替的に、例えば、気体エーロゾル形成基体、又は様々な形式のエーロゾル形成基体のあらゆる組合せのようないずれかの他の種類のエーロゾル形成基体とすることができる。 【0047】 本発明の両方の態様では、作動中に、エーロゾル形成基体は、電気加熱式喫煙システム内に完全に収容することができる。その場合、ユーザは、電気加熱式喫煙システムのマウスピースを吸煙することができる。代替的に、作動 方の態様では、作動中に、エーロゾル形成基体は、電気加熱式喫煙システム内に完全に収容することができる。その場合、ユーザは、電気加熱式喫煙システムのマウスピースを吸煙することができる。代替的に、作動中に、エーロゾル形成基体は、電気加熱式喫煙システム内に部分的に収容することができる。その場合、エーロゾル形成基体は、個別の物 品の一部を形成し、ユーザは、個別の物品を直接に吸煙することができる。 【0048】本発明の両方の態様では、電気加熱式喫煙システムは、ユーザが吸煙していることを示す空気流を検出するセンサを更に含むことができる。その実施形態において、好ましくは、センサは、電源に接続され、システムは、 センサが、ユーザが吸煙していることを感知すると、少なくとも1つの加熱器に通電するように配置される。代替的に、システムは、ユーザが吸煙を開始するために手動で作動可能なスイッチを更に含むことができる。 【0049】本発明の両方の態様では、好ましくは、電気加熱式喫煙システムは、エ ーロゾル形成基体を受け取るためにユーザによって把持されるように設計されたハウジングを更に含む。ハウジングは、好ましくは、少なくとも1つの加熱器、電源、及び電子回路のようなシステムに必要ないずれかの他の構成要素を収容する。一実施形態において、ハウジングは、シェル及び交換可能なマウスピースを含む。 【0050】本発明の両方の態様では、1つの好ましい実施形態において、電源は、DC電圧供給源である。一実施形態において、電源は、リチウムイオンバッテリである。代替的に、電源は、ニッケル-金属水素化物バッテリ、ニッケルカドミウムバッテリ、又はリン酸リチウムバッテリとすることがで きる。 一実施形態において、電源は、リチウムイオンバッテリである。代替的に、電源は、ニッケル-金属水素化物バッテリ、ニッケルカドミウムバッテリ、又はリン酸リチウムバッテリとすることがで きる。 【0051】本発明の1つの態様に関して説明した特徴は、本発明の別の態様にも同じく適用可能であるとすることができる。特に、本発明の第1の態様に関して説明した抵抗加熱器及び温度センサの両方として作用する1つ又はそれよりも多くの導電トラックの特徴及び利点は、本発明の第2の態様にも 同じく適用可能とすることができる。本発明の第2の態様に関して説明した熱絶縁材料の特徴及び利点も、本発明の第1の態様に同じく適用可能とすることができる。 【図面の簡単な説明】【0053】 【図2e】電気喫煙システムのための加熱器を形成する方法の第2の実施形態を示す図である。 【図4】電気加熱式喫煙システムに使用するための加熱器の第1の実施形態を示す図である。 【図5a】電気加熱式喫煙システムに使用するための加熱器の第2の実施 形態を示す図である。 【図5b】電気加熱式喫煙システムに使用するための加熱器の第2の実施形態を示す図である。 ウ 【発明を実施するための形態】【0054】 上述のように、本発明は、加熱器を含む電気加熱式喫煙システムを提供する。加熱器は、電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含む。加熱器は、いくつかの異なる製造工程によって形成することができる。図1aから1dは、第1の製造工程を示す図である。図2aから2dは、第2の製造工程を示している。図3aから3dは、第3の製造工 程を示し いくつかの異なる製造工程によって形成することができる。図1aから1dは、第1の製造工程を示す図である。図2aから2dは、第2の製造工程を示している。図3aから3dは、第3の製造工 程を示している。 【0059】図2aから2eは、電気加熱式喫煙システムのための加熱器の第2の製造工程を示している。この製造工程は、本発明の第1又は第2の態様と共に使用することができる。この製造工程は、PCB製造技術に基づいている。図2aを参照すると、第1に電気絶縁基体201が準備される。ここ でもまた、電気絶縁基体は、あらゆる適切な電気絶縁材料を含むことができる。この例では、電気絶縁基体201は、ポリイミドを含む。 【0060】図2bを参照すると、第2に、実質的に電気絶縁基体201全体にわたって金属箔205が付加される。これは、積層によって又は物理蒸着(P VD)工程により、続いて化学反応電気補強によって達成することができる。あらゆる適切な金属を使用することができるが、一例では、金属箔は、銅である。銅は、抵抗温度係数が高いという利点を有する。これは、それが、導電トラックを温度センサとして並びに加熱器として使用するために比較的簡単であることを意味すると考えられる。これは、以下でより完全 に説明する。他の金属を使用することもできるが、例えば、以下に限定されるものではないが、ニッケル又はプラチナを使用することができる。 【0061】金属箔205が電気絶縁基体に付加された後に、減法を用いて銅の不要な区域が取り除かれる。図2cを参照すると、通常は化学エッチングと組 み合わせてマスク207が使用され、それによってマスクによって保護されていない全区域の銅が溶解す 後に、減法を用いて銅の不要な区域が取り除かれる。図2cを参照すると、通常は化学エッチングと組 み合わせてマスク207が使用され、それによってマスクによって保護されていない全区域の銅が溶解する。それによって導電区域209を備えた電気絶縁基体201を含む図2cに示すデバイスがもたらされる。 【0062】図2dを参照すると、導電区域209は、次にメッキすることができる。 図2dは、簡単にするために1つの導電区域209を示している。メッキ は、銅を使用する場合、銅が急速に酸化するので有利である。酸化層が既に形成されている場合、必要な接続部を形成するために銅を半田付けすることが困難であることがある。この例では、導電区域209は、ニッケルの第1の層211と続いて金の第2の層213とを含む二重層を用いてメッキされる。結果は、1つ又は複数の導電トラック203をその上に有す る電気絶縁基体201である。1つ又は複数の導電トラックは、加熱抵抗器及び必要な接続パッドを含む。 【0063】最後に、電気絶縁基体201及び導電トラック203は、電気加熱式喫煙システム内で加熱器として使用するための適切な形態に形成される。図 2eを参照すると、電気絶縁基体201は、導電トラック203が電気絶縁基体の内側に位置するように(図2e(i))、管状の形態に巻くことができる。その場合、管は、エーロゾル形成基体のための外部加熱器として機能することができる。代替的に、電気絶縁基体201は、導電トラックが電気絶縁基体の外側に位置するように(図2e(ii))、管状形態 に巻くことができる。その場合、管は、内部加熱器として機能し、かつエーロゾル形成基体内に直接に挿入することができる。代替的に、電気絶 絶縁基体の外側に位置するように(図2e(ii))、管状形態 に巻くことができる。その場合、管は、内部加熱器として機能し、かつエーロゾル形成基体内に直接に挿入することができる。代替的に、電気絶縁基体に十分剛性があるか又は何らかの方法で補強されている場合、電気絶縁基体及び導電トラックの一部又は全ては、単に電気絶縁基体及び導電トラックをエーロゾル形成基体内に直接挿入することにより、内部加熱器と して使用することができる(図2e(iii))。 【0072】図4と5a及び5bは、本発明の加熱器の2つの代替的な実施形態を示している。 【0073】 図4は、エーロゾル形成基体と共に使用される加熱器の第1の実施形態 を示している。図4では、加熱器400は、導電トラック403をその上に有する平坦で剛体の電気絶縁基体401を含む(加熱器は、図1d(iii)又は図2e(iii)に示す形態とすることができる)。導電トラックは、接続部405を通じて電源(図示せず)に接続可能である。加熱器400は、概略407に示したエーロゾル形成基体のプラグ内に直接挿 入することができる。図4に示す加熱器は、本発明の第1又は第2の態様のいずれにも使用することができる。導電トラックが適切な抵抗温度係数特性を有する場合、それらは、抵抗加熱器として並びに温度センサとして作用をすることができる。加熱器は、それと共に使用される電気加熱式喫煙システムの外側から少なくとも1つの加熱器を熱絶縁するための熱絶縁 材料と組み合わせることができる。 【0074】図5a及び5bは、加熱器の第2の実施形態を示している。図5a及び5bでは、加熱器は、電気絶縁基体501を含む。電気絶縁基体の第1の と組み合わせることができる。 【0074】図5a及び5bは、加熱器の第2の実施形態を示している。図5a及び5bでは、加熱器は、電気絶縁基体501を含む。電気絶縁基体の第1の部分509上には、導電トラック503がある。導電トラック503は、 接続部505を通じて電源(図示せず)に接続可能である。電気絶縁基体501の第2の部分511上では、電気絶縁基体上に熱絶縁反射ハニカム構造体507が形成される。図5aの加熱器は、導電トラックを有する電気絶縁基体の部分509が内側になり、かつ熱絶縁ハニカム構造体507を有する電気絶縁基体の部分511が外側になるように、左から右に管内 に巻かれるように設計される。好ましくは、熱絶縁材料はまた、高反射性である。得られる加熱器は、図5bに概略示されている。ハニカム構造体は、次に、加熱器を熱絶縁するように使用され、好ましくは、金属とすることができる。図5bに示す加熱器は、それと共に使用される電気加熱式喫煙システムの外側から加熱器を絶縁するように、熱絶縁反射ハニカム構 造体507を外側にして外部加熱器を使用することができる。それによっ て熱損失が低減し、またユーザの手がやけどから保護される。 【0075】図5a及び5bでは、熱絶縁反射ハニカム構造体が加熱器の一体部分として示されている。しかし、代替的に、ハニカム構造体は、個々に形成されて独立要素として電気加熱式喫煙システムに使用することができる。外 部加熱器の場合、ハニカム構造体は、電気絶縁基体及び導電トラックの周りに包むことができる。内部加熱器の場合、ハニカム構造体は、エーロゾル形成基体の周りに設けることができる。更に、熱絶縁材料のための代替的な構造的配置が可能である。 体及び導電トラックの周りに包むことができる。内部加熱器の場合、ハニカム構造体は、エーロゾル形成基体の周りに設けることができる。更に、熱絶縁材料のための代替的な構造的配置が可能である。 【0076】 図5a及び5bに示す加熱器はまた、本発明の第1の態様に使用することができ、すなわち、導電トラックが適切な抵抗温度係数特性を有する場合、それらは、抵抗加熱器として並びに温度センサとして作用することができる。 【0077】 既に上述のように、図2aから2eに示す製造工程はまた、ハニカム構造体507を作り出すために使用することができる。図2dと類似の方法で、電気絶縁基体の個々の区域をメッキすることができる。下にある区域が次に溶解するか又は別の方法で取り除かれると、メッキが熱絶縁を提供する空気腔を形成することになる。好ましい構成では、空気腔は、ハニカ ム構造体内に設けられるが、他の構成も考えられる。更に、例えば、いくつかの層を巻くか又は積み重ねることによって熱絶縁構造体のいくつかの層が使用されると、最大の熱絶縁を提供する。有利な態様では、メッキは、1つの金の層だけを含むことができる。金は、電気加熱式喫煙システムの内側に向けて熱を反射させて熱損失を更に低減することになるので特に有 用である。代替的に、メッキは、銀のような別の金属の1つの層を含むこ とができる。代替的に、メッキは、図2dに示すものと類似の2つの層を含むことができる。 【0078】電気絶縁基体上に形成された導電トラックを含む加熱器を使用することにより、いくつかの利点がもたらされる。電気加熱式喫煙システムに必要 とされる構成要素のサイズは、縮小することができる。それによって電気 基体上に形成された導電トラックを含む加熱器を使用することにより、いくつかの利点がもたらされる。電気加熱式喫煙システムに必要 とされる構成要素のサイズは、縮小することができる。それによって電気加熱式喫煙システムのサイズが縮小される。更に、電気絶縁基体は、非常に薄くすることができ、更なるサイズの縮小を可能にする。更に、必要な電子機器、配線、及び接続部の一部又は全ては、加熱器として同じ電気絶縁基体上に組み込むことができる。 【0079】加えて、加熱器は、各加熱要素を別々に形成する必要がある一部の従来技術の加熱器よりも直接的かつ費用効率よく製造することができる。加熱器は、かなり柔軟な設計になり、すなわち、導電トラックは、望むようにかつ望ましい熱分布を与えるように電気絶縁基体上に直接に配置すること ができる。 【0080】加えて、導電トラックのために使用される材料が適切な抵抗温度係数特性を有するものと仮定すると、導電トラックは、抵抗加熱器及び温度センサとして両方の作用をすることができる。それによって個別の温度センサ を必要としないことになるので、電気加熱式喫煙システムのサイズを更に縮小することができる。ここで、これをより詳細に以下に説明する。 (2) 本件明細書2について本件明細書2の発明の詳細な説明の記載は、本件明細書1の発明の詳細な説明の記載と同一である。 (3) 本件各発明について 前記(1)及び(2)の記載事項によれば、本件各明細書には、本件各発明に関し、以下のとおりの開示があると認められる。 アエーロゾル形成基体を加熱するための加熱器を含む電気加熱式喫煙システムに関し、従来、電気喫煙物品に外部加熱要素とし 各明細書には、本件各発明に関し、以下のとおりの開示があると認められる。 アエーロゾル形成基体を加熱するための加熱器を含む電気加熱式喫煙システムに関し、従来、電気喫煙物品に外部加熱要素として使用するためのブレード付き管状アレイが存在したが、その加熱要素は、螺旋巻き板紙の補 強管の周りに配置されたいくつかのカーボンブレードを含み、ブレードの自由端に一つの電気接続部が形成され、一方、カーボンの共通リングが、カーボンブレードの他方の端部に接続して共通電気接続部を形成し、ブレードに電力が供給されると、それらが過熱して300℃から約900℃の範囲の温度を有する加熱区間をもたらすものであった(【0001】及び 【0002】)。 これに対し、「本発明者」は、製造がより簡単で、その構成に必要な構成要素がより少ないものが有利であると認めた(【0004】)。 イ 「本発明」は、前記アの課題を解決するため、第1の態様として、エーロゾル形成基体を受け取るための電気加熱式喫煙システムで、基体を加熱 してエーロゾルを形成するための少なくとも1つの加熱器と、少なくとも1つの加熱器に電力を供給するための電源とを含み、少なくとも1つの加熱器は、電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含む構成を採用した(【0005】)。また、第2の態様として、エーロゾル形成基体を受け取るエーロゾル形成基体を受け取るための電気加熱式喫煙 システムを提供し、システムは、基体を加熱してエーロゾルを形成するために電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含む少なくとも1つの加熱器と、少なくとも1つの加熱器に電力を供給するための電源と、少なくとも1つの加熱器を絶縁するための熱絶縁材料とを含む構成を採用した(【0012】 れよりも多くの導電トラックを含む少なくとも1つの加熱器と、少なくとも1つの加熱器に電力を供給するための電源と、少なくとも1つの加熱器を絶縁するための熱絶縁材料とを含む構成を採用した(【0012】)。 電気絶縁基体上に形成された導電トラックを含む加熱器を使用すること により、電気加熱式喫煙システムに必要とされる構成要素のサイズを縮小することができ、これに伴って、同システムのサイズを縮小することができ、また、電気絶縁基体を非常に薄くすることができ、これに伴って、同システムのサイズが更に縮小され、必要な電子機器、配線及び接続部の一部又は全てを、加熱器として、同じ電気絶縁基体上に組み込むことができ る(【0078】)。さらに、上記加熱器は、各加熱要素を別々に形成する必要がある一部の従来技術の加熱器より、直接的かつ費用効率よく製造することができるとともに、かなり柔軟な設計をすることができ、上記導電トラックは、望むように、かつ、望ましい熱分布を与えるように、電気絶縁基体上に直接に配置することができる(【0079】)。加えて、導 電トラックのために使用される材料が適切な抵抗温度係数特性を有するものと仮定すると、導電トラックは、抵抗加熱器及び温度センサとして両方の作用をすることができ、それによって個別の温度センサを必要としないことになるので、電気加熱式喫煙システムのサイズを更に縮小することができる(【0080】)。 2 被告各製品が本件各発明の技術的範囲に属するか等(1) 被告製品1が構成要件1D及び2Cを充足するかア争点1-1-1(被告製品1が「導電トラック」を備えるか)について(ア) 本件発明1-1及び2-1の特許請求の範囲には、「エーロゾル形成基体を受け取るための電気加熱式喫煙シス Cを充足するかア争点1-1-1(被告製品1が「導電トラック」を備えるか)について(ア) 本件発明1-1及び2-1の特許請求の範囲には、「エーロゾル形成基体を受け取るための電気加熱式喫煙システム」(構成要件1A及び2 A)、「前記エーロゾル形成基体を加熱してエーロゾルを形成するための少なくとも1つの加熱器と、」(構成要件1B及び2B)、「前記少なくとも1つの加熱器に電力を供給するための電源と、を含み、」(構成要件1C及び2E)、「前記少なくとも1つの加熱器は、電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含み、」(構成要件1 D及び2C)との記載がある。そして、「導電性」とは「電流が流れや すい性質。」(甲22)を、「トラック」とは「通り道、通路、進路、航路。」(甲15)を、それぞれ意味することを考慮すると、「導電トラック」とは、「電源」に接続され、「加熱器」として機能する電気の通路をいうものと理解することができ、本件各特許に係る特許請求の範囲には、これ以上に「導電トラック」の機能を特定する記載はない。 また、本件各明細書には、「本発明者は、製造がより簡単でその構成に必要な構成要素がより少ない電気加熱式喫煙システムを提供することが有利であると考えられると認めたものである。」(【0004】)、「本発明の第1の態様により、エーロゾル形成基体を受け取るための電気加熱式喫煙システムを提供し、システムは、基体を加熱してエーロゾ ルを形成するための少なくとも1つの加熱器と、少なくとも1つの加熱器に電力を供給するための電源とを含み、少なくとも1つの加熱器は、電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含み、1つ又はそれよりも多くの導電トラックは、1つ又はそれよりも多くの導電トラ に電力を供給するための電源とを含み、少なくとも1つの加熱器は、電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含み、1つ又はそれよりも多くの導電トラックは、1つ又はそれよりも多くの導電トラックが抵抗加熱器及び温度センサとして両方の作用をすることがで きるような抵抗温度係数特性を有する。」(【0005】)、「本発明の第2の態様により、エーロゾル形成基体を受け取るための電気加熱式喫煙システムを提供し、システムは、基体を加熱してエーロゾルを形成するために電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含む少なくとも1つの加熱器と、少なくとも1つの加熱器に電力を供給 するための電源と、少なくとも1つの加熱器を絶縁するための熱絶縁材料とを含む。」(【0012】)、「本発明の第1の態様におけるように、電気絶縁基体は、非常に薄くしてサイズを縮小することができる。 更に、必要な電子機器、配線、及び接続部の一部又は全ては、同じ電気絶縁基体上に加熱器として組み込むことができる。更に、加熱器は、各 加熱要素を別々に形成する必要がある一部の従来技術の加熱器よりも直 接的かつ費用効率よく製造することができる。加熱器は、かなり柔軟な設計を可能にし、すなわち、導電トラックは、望むようにかつ望ましい熱分布を与えるように電気絶縁基体上に簡単に配置することができる。」(【0017】)、「好ましくは、1つ又はそれよりも多くの導電トラックは、1つ又はそれよりも多くの導電トラックが抵抗加熱器及び温度 センサとして作用することができるような抵抗温度係数特性を有する。」(【0020】)、「電気絶縁基体上に形成された導電トラックを含む加熱器を使用することにより、いくつかの利点がもたらされる。電気加熱式喫煙システムに必要とされる構成要 な抵抗温度係数特性を有する。」(【0020】)、「電気絶縁基体上に形成された導電トラックを含む加熱器を使用することにより、いくつかの利点がもたらされる。電気加熱式喫煙システムに必要とされる構成要素のサイズは、縮小することができる。それによって電気加熱式喫煙システムのサイズが縮小される。 更に、電気絶縁基体は、非常に薄くすることができ、更なるサイズの縮小を可能にする。更に、必要な電子機器、配線、及び接続部の一部又は全ては、加熱器として同じ電気絶縁基体上に組み込むことができる。」(【0078】)、「加えて、導電トラックのために使用される材料が適切な抵抗温度係数特性を有するものと仮定すると、導電トラックは、 抵抗加熱器及び温度センサとして両方の作用をすることができる。それによって個別の温度センサを必要としないことになるので、電気加熱式喫煙システムのサイズを更に縮小することができる。」(【0080】)との記載がある。 これらの記載から、本件各発明は、「製造がより簡単でその構成に必 要な構成要素がより少ない電気加熱式喫煙システムを提供すること」を課題とし、その課題を解決するため、第1の態様及び第2の態様に共通する構成として「電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含」む「加熱器」を採用することにより、「電気加熱式喫煙システムに必要とされる構成要素のサイズは、縮小することができる。」、 「電気絶縁基体は、非常に薄くすることができ、更なるサイズの縮小を 可能にする。」、「必要な電子機器、配線、及び接続部の一部又は全ては、加熱器として同じ電気絶縁基体上に組み込むことができる。」などの作用効果を奏するものと理解することができる。他方で、第1の態様における「1つ又はそれよりも多くの導電トラッ び接続部の一部又は全ては、加熱器として同じ電気絶縁基体上に組み込むことができる。」などの作用効果を奏するものと理解することができる。他方で、第1の態様における「1つ又はそれよりも多くの導電トラックは、1つ又はそれよりも多くの導電トラックが抵抗加熱器及び温度センサとして両方の作用 をすることができるような抵抗温度係数特性を有する。」との構成については、「好ましくは、…抵抗加熱器及び温度センサとして作用することができるような抵抗温度係数特性を有する」、「加えて、導電トラックのために使用される材料が適切な抵抗温度係数特性を有するものと仮定すると、導電トラックは、抵抗加熱器及び温度センサとして両方の作 用をすることができる」とされ、付加的なものとして記載されていると理解できる。 そうすると、本件各明細書に記載された「導電トラック」が「抵抗加熱器」のみならず「温度センサ」としての作用を有する態様は、本件各発明の好適な態様として記載されたものであって、「導電トラック」は、 「加熱器」として機能するために「抵抗加熱器」としての作用を有する必要があるものの、「温度センサ」としての作用を有することは必須ではないというべきである。 以上を総合すると、「導電トラック」とは、電源に接続され、加熱器として機能する電気の通路と解するのが相当である。 (イ) 証拠(甲6、8)によれば、被告製品1のうち、これに挿入された被告製品2等のエーロゾル形成基体を加熱するヒータ部分には、ポリイミド基体上に、導電性のステンレススチールの配線が設けられており、この配線は、被告製品1内のバッテリーに接続されていることが認められる。 上記認定事実によれば、被告製品1のステンレススチールの配線は、 電源であ 配線が設けられており、この配線は、被告製品1内のバッテリーに接続されていることが認められる。 上記認定事実によれば、被告製品1のステンレススチールの配線は、 電源であるバッテリーに接続され、電流を流すための通路であり、通電することにより、エーロゾル形成基体を加熱するものであるから、被告製品1は「導電トラック」を備えると認めるのが相当である。 (ウ) これに対して、被告は、「導電トラック」は「抵抗加熱器及び温度センサとして両方の作用をする」ものでなければならないと主張する。 しかし、前記(ア)のとおり、本件各特許に係る特許請求の範囲の記載及び本件各明細書の記載からは、「導電トラック」は、「電源」に接続され、「加熱器」として機能する電気の通路であることのほかに、「温度センサ」としての作用を有する必要があるとまでは理解できず、「温度センサ」としての作用を有する態様が好適なものとして記載されている にすぎないといえる。 したがって、被告の上記主張は採用することができない。 イ争点1-1-2(被告製品1が「電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含」む構成を備えるか)について(ア) 本件発明1-1及び2-1の特許請求の範囲には、「前記少なくとも 1つの加熱器は、電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含み、」(構成要件1D及び2C)との記載がある。この記載によれば、「加熱器」に含まれる「導電トラック」が「電気絶縁基体」の上に存在すると理解できる。 また、本件各明細書には、「本発明者は、製造がより簡単でその構成 に必要な構成要素がより少ない電気加熱式喫煙システムを提供することが有利であると考えられると認めたものである。」(【0004】)、 た、本件各明細書には、「本発明者は、製造がより簡単でその構成 に必要な構成要素がより少ない電気加熱式喫煙システムを提供することが有利であると考えられると認めたものである。」(【0004】)、「本発明の第1の態様により、エーロゾル形成基体を受け取るための電気加熱式喫煙システムを提供し、システムは、基体を加熱してエーロゾルを形成するための少なくとも1つの加熱器と、少なくとも1つの加熱 器に電力を供給するための電源とを含み、少なくとも1つの加熱器は、 電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含み」(【0005】)、「更に、電気絶縁基体は、非常に薄くすることができ、更にサイズを縮小することが可能である。更に、必要な電子機器、配線、及び接続部の一部又は全ては、加熱器と同じ電気絶縁基体上に組み込むことができる。」(【0008】)、「本発明の第2の態様によ り、エーロゾル形成基体を受け取るための電気加熱式喫煙システムを提供し、システムは、基体を加熱してエーロゾルを形成するために電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含む少なくとも1つの加熱器と、少なくとも1つの加熱器に電力を供給するための電源と、少なくとも1つの加熱器を絶縁するための熱絶縁材料とを含む。」 (【0012】)、「本発明の第1の態様におけるように、電気絶縁基体は、非常に薄くしてサイズを縮小することができる。更に、必要な電子機器、配線、及び接続部の一部又は全ては、同じ電気絶縁基体上に加熱器として組み込むことができる。…加熱器は、かなり柔軟な設計を可能にし、すなわち、導電トラックは、望むようにかつ望ましい熱分布を 与えるように電気絶縁基体上に簡単に配置することができる。」(【0017】)、「電気絶縁基体上に形成された なり柔軟な設計を可能にし、すなわち、導電トラックは、望むようにかつ望ましい熱分布を 与えるように電気絶縁基体上に簡単に配置することができる。」(【0017】)、「電気絶縁基体上に形成された導電トラックを含む加熱器を使用することにより、いくつかの利点がもたらされる。電気加熱式喫煙システムに必要とされる構成要素のサイズは、縮小することができる。 それによって電気加熱式喫煙システムのサイズが縮小される。更に、電 気絶縁基体は、非常に薄くすることができ、更なるサイズの縮小を可能にする。更に、必要な電子機器、配線、及び接続部の一部又は全ては、加熱器として同じ電気絶縁基体上に組み込むことができる。」(【0078】)と記載されている。これらの記載から、「導電トラック」が「電気絶縁基体」の上にあることにより、「製造がより簡単でその構成 に必要な構成要素がより少ない電気加熱式喫煙システムを提供する」と の「本発明」の課題を解決するための作用効果を奏するものと理解できる。 そして、本件各特許に係る特許請求の範囲及び本件各明細書において、他に「導電トラック」と「電気絶縁基体」との位置関係を明らかにする記載はない。 以上によれば、「電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含み」とは、「1つ又はそれよりも多くの導電トラック」が「電気絶縁基体」の上にあれば足りると解するのが相当である。 (イ)証拠(甲6、8、乙6、55)によれば、① 被告製品1のヒータ部分は、被告製品2等のエーロゾル形成基体を収納するインナーメタル チューブに巻かれていること、② 上記ヒータ部分は、平面状にすると、以下に示す図のとおり、ポリイミドで構成される●省略●(インターメタルチューブ側から●省略●から成り、●省 るインナーメタル チューブに巻かれていること、② 上記ヒータ部分は、平面状にすると、以下に示す図のとおり、ポリイミドで構成される●省略●(インターメタルチューブ側から●省略●から成り、●省略●⑤ ポリイミドは、電気絶縁性を有することが認められる。 ●省略● 上記認定事実によれば、電気絶縁性を有するポリイミドで構成される●省略●は「電気絶縁基体」に、●省略●は「導電トラック」に、それぞれ該当すると認められ、●省略●の上にあるから、被告製品1は「電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含み」を備え ると認めるのが相当である。 (ウ) これに対して、被告は、① 「電気絶縁基体上」に「導電トラックを含」むとは、「電気絶縁基体」の表面に「導電トラック」が配置される構成をいい、「電気絶縁基体」の内部に「導電トラック」が配置されるものは含まない、② 構成要素のサイズを縮小すること、電気加熱式喫煙シス テムのサイズを縮小すること等の本件各発明の作用効果によれば、「電気絶縁基体」及び「導電トラック」の上に更に複数の●省略●を設けることは全く想定されていない、③ 被告製品1においては、●省略●、通常の使用方法では剥離せず、このような被告製品1を構造的及び機能的に見ると、被告製品1の「電気絶縁基体」に相当する部分は、●省略● ではなく、●省略●というべきであると主張する。 しかし、上記①については、前記(ア)のとおり、「電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含み」とは、「1つ又はそれよりも多くの導電トラック」が「電気絶縁基体」の上にあれば足りると解すべきところ、前記(イ)のとおり、被告製品1について、「導電トラック」 に相当する●省略●の上 を含み」とは、「1つ又はそれよりも多くの導電トラック」が「電気絶縁基体」の上にあれば足りると解すべきところ、前記(イ)のとおり、被告製品1について、「導電トラック」 に相当する●省略●の上にあるといえ、このことは、●省略●等が存在したとしても異なるものではない。また、本件各特許に係る特許請求の範囲及び本件各明細書には、「導電トラック」が、「電気絶縁基体上」において、これを覆うものがない、むき出しの状態になければならないとする記載はない。 また、上記②については、「電気絶縁基体」及び「導電トラック」の上に複数の●省略●等が存在したとしても、直ちに構成要素のサイズを縮小すること等の本件各発明の作用効果を奏しなくなるとはいえない。 さらに、上記③については、上記のとおり、「電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含み」とは、「1つ又はそれより も多くの導電トラック」が「電気絶縁基体」の上にあればよく、「導電トラック」が「電気絶縁基体上」においてむき出しの状態になければならないというものではないところ、被告製品1のヒータ部分を構成する●省略●を各層ごとに剝離することができるか否かは、被告製品1が「電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含み」と する要件を備えることと関係がない。 したがって、被告の上記各主張はいずれも採用することができない。 (2) 争点1-2(被告製品1が構成要件1H及び2Iを充足するか)についてア本件発明1-3、1-4、2-6及び2-7の特許請求の範囲には、「前記1つ又はそれよりも多くの導電トラックは、各部分が前記電源に別々に接続可能である複数の部分を含む」(構成要件1H及び2I)、「前 記1つ又はそれよりも多くの び2-7の特許請求の範囲には、「前記1つ又はそれよりも多くの導電トラックは、各部分が前記電源に別々に接続可能である複数の部分を含む」(構成要件1H及び2I)、「前 記1つ又はそれよりも多くの導電トラックの異なる部分が、異なる持続時間にわたって加熱されるか、異なる温度で加熱されるか、又は、異なる持続時間にわたって異なる温度で加熱されるように、前記電源から前記少なくとも1つの加熱器までの電力の供給を制御するように配置された電子回路を更に含む」(構成要件1I及び2J)との記載があり、これらの記載 から、「前記1つ…の導電トラック」が「複数の部分」を含み、この「複数の部分」が「電源に別々に接続可能」であり、「導電トラックの異なる部分が、異なる持続時間にわたって加熱される」などするように「電源から…加熱器までの電力の供給を制御するように配置された電子回路」が存在するものと理解できる。 また、本件各明細書には、「本発明のいずれかの態様による一実施形態において、1つ又はそれよりも多くの導電トラックは、複数の部分を含み、各部分は、電源に別々に接続可能である。これは、いくつかの利点を提供する。第1に、異なる部分が異なる持続時間にわたって加熱されるようになり、それによってエーロゾル形成基体の性質に応じて喫煙体験を高める ことができる。第2に、異なる部分が異なる温度で加熱されるようになり、それによってエーロゾル形成基体の性質に応じて同じく喫煙体験を高めることができる。第3に、これは、加熱器の特定部分がいずれの時点でも導通されることを可能にする。それによってエーロゾル形成基体の一部分だけがいずれの時点でも加熱されるようになる。これは、エーロゾル形成基 体の各部分が一度だけ加熱され、かつ再加熱されないことを意味する ることを可能にする。それによってエーロゾル形成基体の一部分だけがいずれの時点でも加熱されるようになる。これは、エーロゾル形成基 体の各部分が一度だけ加熱され、かつ再加熱されないことを意味するので 有利であると考えられる。」(【0021】)、「本発明のいずれかの態様による一実施形態において、1つ又は複数の導電トラックは、導電材料の単一のトラックを含む。単一のトラックの第1の端部は、電源に接続可能であり、単一のトラックの第2の端部も、電源に接続可能である。その場合、電源はまた、各部分が電源に個々に接続可能である複数の部分を提 供するために単一のトラックの1つ又はそれよりも多くの中心区画に接続可能である。本発明のいずれかの態様による別の実施形態において、1つ又は複数の導電トラックは、各トラックが電源に個々に接続可能である導電材料の複数のトラックを含む。」(【0022】)との記載があり、これらの記載から、「単一のトラック」の両端部が「電源に接続可能」であ り、さらに、「単一のトラック」中の「複数の部分」もそれぞれに「電源に接続可能」であって、これにより、「単一のトラック」中の「異なる部分」が「異なる持続時間にわたって加熱され」、「喫煙体験を高めることができる」などの作用効果を奏すると理解できる。 上記各記載に加え、前記(1)ア(ア)のとおり、「導電トラック」とは「電 源」に接続され、加熱器として機能する電気の通路と解されること、「部分」とは「全体をいくつかに分けたものの一部。また、小分けしたもの。」(甲23)を意味することを併せ考慮すると、「前記1つ…の導電トラックは、各部分が前記電源に別々に接続可能である複数の部分を含む」とは、一つの一体となった電気の通路が、それぞれに電源に接続することができ 23)を意味することを併せ考慮すると、「前記1つ…の導電トラックは、各部分が前記電源に別々に接続可能である複数の部分を含む」とは、一つの一体となった電気の通路が、それぞれに電源に接続することができ る通路を成す一部を複数有することを意味すると解するのが相当である。 イ証拠(甲6、8)によれば、① 被告製品1のヒータ部分のうち、●省略●の上のスチール配線は、以下に示す写真のとおり、接続点6から3本の線に分かれ、接続点4において一旦収束してつながっており、さらに、接続点4から3本の線に分かれ、接続点8において収束してつながっている こと、② 接続点4は、●省略●の間の銅配線と接続し、当該銅配線は電源 の一方の電極に接続しており、接続点6及び8は、●省略●の間の銅配線と接続し、当該銅配線は電源の他方の電極に接続していることが認められる。 上記認定事実によれば、被告製品1のヒータ部分のうち、●省略●の上にあるスチール配線は、全体として、接続点4、6及び8でつながった一 つの一体となった電気の通路となっており、接続点4から接続点6までのスチール配線(部分1)及び接続点4から接続点8までのスチール配線(部分2)は、それぞれ、上記の一つの一体となった電気の通路のうちの、通路を成す一部を構成し、接続点4と接続点6及び接続点4と接続点8によって、上記各一部が電源にそれぞれ別々に接続されているから、被告製 品1は「前記1つ…の導電トラックは、各部分が前記電源に別々に接続可能である複数の部分を含む」を備えると認めるのが相当である。 ウこれに対して、被告は、① 本件各明細書及び特許請求の範囲の記載からは、「それよりも多くの導電トラック」と「複数の部分」を機能的に、あるい の部分を含む」を備えると認めるのが相当である。 ウこれに対して、被告は、① 本件各明細書及び特許請求の範囲の記載からは、「それよりも多くの導電トラック」と「複数の部分」を機能的に、あるいは構造的に区別することができず、何をもって「それよりも多くの導 電トラック」といい、何をもって一つの「導電トラック」における「複数の部分」というのかが不明確である、② 一端から中心区画(接続区画)を 経由して他端へ、一方向に電流が流れるものが「1つの…導電トラック」であり、中心区画(接続区画)によって二つ以上に分けられたものが「複数の部分」であると主張する。 しかし、上記①については、前記アのとおり、「前記1つ…の導電トラックは、各部分が前記電源に別々に接続可能である複数の部分を含む」と は、一つの一体となった電気の通路が、それぞれに電源に接続することができる通路を成す一部を複数有することを意味すると解され、その内容は明確である。「それよりも多くの導電トラック」は、一体となった電気の通路が一つよりも多いことを意味し、「複数の部分」は、一体となった電気の通路に通路を成す一部が複数あり、それぞれに電源に接続することが できるものを意味することは明らかである。 また、上記②について、本件各明細書及び特許請求の範囲には、「1つ…の導電トラック」に電流が流れる向きを特定する記載はなく、「1つ…の導電トラック」が果たす役割から、流れる電流の向きが一義的に定まるものとはいえない。 したがって、被告の上記各主張はいずれも採用することができない。 (3) 争点1-3(被告製品1が構成要件1I及び2Jを充足するか)についてア本件発明1-3、1-4、2-6及び2-7の特許請求の範囲には 告の上記各主張はいずれも採用することができない。 (3) 争点1-3(被告製品1が構成要件1I及び2Jを充足するか)についてア本件発明1-3、1-4、2-6及び2-7の特許請求の範囲には、「前記1つ又はそれよりも多くの導電トラックは、各部分が前記電源に別々に接続可能である複数の部分を含む」(構成要件1H及び2I)、「前 記1つ又はそれよりも多くの導電トラックの異なる部分が、異なる持続時間にわたって加熱されるか、異なる温度で加熱されるか、又は、異なる持続時間にわたって異なる温度で加熱されるように、前記電源から前記少なくとも1つの加熱器までの電力の供給を制御するように配置された電子回路を更に含む」(構成要件1I及び2J)との記載がある。 そして、本件各明細書には、「好ましくは、電源は、1つ又はそれよりも 多くの導電トラックによって感知された温度及び望ましい温度に基づいて少なくとも1つの加熱器に電力を供給する。すなわち、電源が加熱器及びエーロゾル形成基体の温度を特定の望ましい温度に維持することを可能にするフィードバックが提供される。これは、個別の温度センサの必要なく達成される。好ましくは、電気加熱式喫煙システムは、この目的のように 配置された電子回路を含む。好ましくは、望ましい温度とは、加熱器がエーロゾル形成基体を加熱するが燃やさない温度である。」(【0010】)、「本発明のいずれかの態様による一実施形態において、1つ又はそれよりも多くの導電トラックは、複数の部分を含み、各部分は、電源に別々に接続可能である。これは、いくつかの利点を提供する。第1に、異 なる部分が異なる持続時間にわたって加熱されるようになり、それによってエーロゾル形成基体の性質に応じて喫煙体験を高めることができる。 続可能である。これは、いくつかの利点を提供する。第1に、異 なる部分が異なる持続時間にわたって加熱されるようになり、それによってエーロゾル形成基体の性質に応じて喫煙体験を高めることができる。第2に、異なる部分が異なる温度で加熱されるようになり、それによってエーロゾル形成基体の性質に応じて同じく喫煙体験を高めることができる。 第3に、これは、加熱器の特定部分がいずれの時点でも導通されることを 可能にする。それによってエーロゾル形成基体の一部分だけがいずれの時点でも加熱されるようになる。これは、エーロゾル形成基体の各部分が一度だけ加熱され、かつ再加熱されないことを意味するので有利であると考えられる。」(【0021】)との記載がある。 上記各記載によれば、本件発明1-3、1-4、2-6及び2-7にお いては、加熱器に対する電力の供給を制御することにより、加熱器及びエーロゾル形成基体を特定の望ましい温度に維持することが企図されているものと理解できるから、「前記1つ…の導電トラックの異なる部分が、異なる持続時間にわたって加熱される…ように、前記電源から前記少なくとも1つの加熱器までの電力の供給を制御するように配置された電子回路を 更に含む」とは、「電子回路」が電源に接続された「前記1つ…の導電トラ ックの異なる部分」のそれぞれを、「異なる持続時間にわたって」通電することにより、「加熱される」ように制御する構成を含むことを意味すると解するのが相当である。 イ証拠(甲8)によれば、被告製品1に被告製品2等のエーロゾル形成基体を挿入し、電源を入れて喫煙しようとしたとき、横軸を時間として、ポ リイミド層1の上にあるスチール配線の部分1(「Portion1」)及び部分2(「Portion2」) 2等のエーロゾル形成基体を挿入し、電源を入れて喫煙しようとしたとき、横軸を時間として、ポ リイミド層1の上にあるスチール配線の部分1(「Portion1」)及び部分2(「Portion2」)に通電されている時間(「電源ON」の時間)を表すと、以下に示す図のとおりになることが認められる。 上記認定事実によれば、部分1と部分2で、異なる持続時間にわたり、通電されていると認められるから、被告製品1は、「前記1つ…の導電ト ラックの異なる部分が、異なる持続時間にわたって加熱される…ように、前記電源から前記少なくとも1つの加熱器までの電力の供給を制御するように配置された電子回路を更に含む」を備えると認めるのが相当である。 ウこれに対して、被告は、「加熱される」とは「導電トラック」の異なる部分が異なる持続時間で加熱されることを意味し、部分1及び部分2にお ける時間による温度変化を見ると、いずれも0秒の時点から温度が上昇し、0秒から300秒に至る同一の持続時間にわたって加熱されていると主張する。 しかし、「加熱される」とは、電源に接続された「前記1つ…の導電トラックの異なる部分」のそれぞれに通電することによって温度が上昇することを意味すると解されるから、「加熱される」持続時間と当該「部分」に通電される持続時間は等しく、ある「部分」が通電され、温度が上昇したことに伴って、別の「部分」が温められることは含まないというべきで ある。 したがって、部分1及び部分2がいずれも0秒の時点から温度が上昇していたとしても、同一の持続時間にわたって「加熱され」たとはいえないから、被告の上記主張は採用することができない。 (4) 争点1-4(被告製品1が構成要件2Fを いずれも0秒の時点から温度が上昇していたとしても、同一の持続時間にわたって「加熱され」たとはいえないから、被告の上記主張は採用することができない。 (4) 争点1-4(被告製品1が構成要件2Fを充足するか)について ア本件発明2-1の特許請求の範囲には、「前記加熱器を絶縁するために前記加熱器の周りに配置された熱絶縁要素であって、前記熱絶縁要素が金属を含む、熱絶縁要素と、」(構成要件2F)との記載があるが、「金属」が具体的にいかなる態様で用いられ、いかなる作用をするかについては何ら記載されていない。 そして、本件各明細書には、「本発明の第2の態様により、エーロゾル形成基体を受け取るための電気加熱式喫煙システムを提供し、システムは、基体を加熱してエーロゾルを形成するために電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含む少なくとも1つの加熱器と、少なくとも1つの加熱器に電力を供給するための電源と、少なくとも1つの加熱器 を絶縁するための熱絶縁材料とを含む。」(【0012】)、「熱絶縁材料は、加熱器からの熱損失を低減し、かつ電気加熱式喫煙システムを使用するユーザをやけどから保護する。熱絶縁材料は、好ましくは、最大の熱絶縁を提供するようにエーロゾル形成基体の周りに位置決めされる。熱絶縁材料は、電気加熱式喫煙システムにおいて到達する高温度で劣化しない ことになる材料でなければならない。全ての熱絶縁材料が適切になるとは 限らない。好ましくは、熱絶縁材料は、金属又は別の不燃材料を含む。一例では、金属は、金である。別の例では、金属は、銀である。金属は、電気加熱式喫煙システム内に熱を反射することができるので有利である。」(【0015】)、「好ましくは、熱絶縁材料は、複数の空気腔を含 例では、金属は、金である。別の例では、金属は、銀である。金属は、電気加熱式喫煙システム内に熱を反射することができるので有利である。」(【0015】)、「好ましくは、熱絶縁材料は、複数の空気腔を含む。 空気腔は、規則的なパターンで配置される。1つの好ましい実施形態にお いて、空気腔は、六角形であり、ハニカム構造に配置される。熱絶縁材料は、導電トラックに加えて電気絶縁基体上に設けることができる。それによって導電トラック及び熱絶縁材料の単一要素としての製造が可能になる。 一部の製造方法の場合、導電トラック及び熱絶縁材料は、同じ工程の一部として作ることができる。代替的に、熱絶縁材料は、個別の要素として電 気加熱式喫煙システムに設けることができる。」(【0016】)との記載がある。これらの記載によれば、「熱絶縁材料」は、高温度で劣化しないような材料である必要があり、好適なものとして、金属又は別の不燃材料が挙げられており、さらに、金属は、電気加熱式喫煙システム内に熱を反射することができるので有利であるとし、その他の熱絶縁方法の例とし て、六角形のハニカム構造に配置される空気腔が挙げられていることからすると、「熱絶縁要素」に含まれる「金属」は、熱反射の機能を有するものとしてだけではなく、耐久性の高い素材として位置付けられており、また、熱絶縁方法については、金属による熱反射や空気腔を利用することがあるが、これらに限定するものとはいえない。 以上によれば、「熱絶縁要素が金属を含む」とは、「熱絶縁要素」を構成する部品の一部又は全部に金属が用いられていれば足り、金属そのものが熱絶縁の効果を奏するものである必要はないと解するのが相当である。 イ証拠(甲6)によれば、被告製品1においては、ヒータ部分に相当するインナ 全部に金属が用いられていれば足り、金属そのものが熱絶縁の効果を奏するものである必要はないと解するのが相当である。 イ証拠(甲6)によれば、被告製品1においては、ヒータ部分に相当するインナーメタルチューブ及びこれに巻かれた3層のポリイミド層等の外側 に、金属製真空チューブがこれを取り囲むように設けられており、当該チ ューブが熱絶縁効果を奏することが認められる。 上記認定事実によれば、熱絶縁効果を有する真空チューブに金属が用いられているから、被告製品1は「熱絶縁要素が金属を含む」を備えると認めるのが相当である。 ウこれに対して、被告は、① 「熱絶縁要素が金属を含む」を備えるという ためには、「金属」が熱を反射する「熱絶縁要素」として機能することにより熱絶縁を実現するものであることが必要である、②「好ましくは、熱絶縁材料は、複数の空気腔を含む。」(本件各明細書【0016】)とあるが、被告製品1で熱絶縁の作用を果たしているのは真空自体であって「空気腔」は存在しないと主張する。 しかし、上記①については、本件特許2の特許請求の範囲においては、「金属」が果たすべき機能は特定されていないし、本件各明細書には、「好ましくは、熱絶縁材料は、金属又は別の不燃材料を含む。」とした上で、「金属は、電気加熱式喫煙システム内に熱を反射することができるので有利である。」(【0015】)との記載があることからすると、「金 属」により熱反射がされることが必須であると理解することはできない。 また、上記②について、本件各明細書には、「好ましくは、熱絶縁材料は、複数の空気腔を含む。」(【0016】)と記載されていることからすると、空気腔を利用した熱絶縁は好適な一例を紹介したにすぎず、熱 また、上記②について、本件各明細書には、「好ましくは、熱絶縁材料は、複数の空気腔を含む。」(【0016】)と記載されていることからすると、空気腔を利用した熱絶縁は好適な一例を紹介したにすぎず、熱反射や空気腔以外の方法による熱絶縁であっても「熱絶縁要素」となり得る と理解することができる。 したがって、被告の上記各主張はいずれも採用することができない。 (5) 小括以上によれば、被告製品1は、構成要件1D、1H、1I、2C、2F、2I及び2Jをいずれも充足し、前記前提事実(6)ウのとおり、構成要件1A、 1B、1C、1E、1F、1G-1、2A、2B、2D、2E及び2G-1 も充足するから、本件発明1-1、1-3、1-4、2-1、2-6及び2-7の各技術的範囲に属すると認められる。 3 無効の抗弁の成否事案に鑑み、被告製品2についての間接侵害の成否(争点1-5-1及び1-5-2)を措き、無効の抗弁の成否のうち争点2-3について判断する。 (1) 争点2-3(本件各発明についての乙68公報を主引用例とする進歩性欠如)についてア乙68公報の記載事項(ア) 乙68公報には、以下のとおりの記載がある(乙68、77)(下記記載中に引用する図については、別紙乙68図面目録記載のとおり)。 a 特許請求の範囲1.吸入可能なエーロゾルを供給するためのシステムであって、-少なくとも1つの抵抗加熱気器(3、13、15)を備え、包覆部(3)中にエーロゾル形成材料(2)を含み、前記包覆部(3)が空気流入口とエーロゾル流出口とを備える、基体部分(1、1’、 1”)と、-ハウジング(20、40、50)と 覆部(3)中にエーロゾル形成材料(2)を含み、前記包覆部(3)が空気流入口とエーロゾル流出口とを備える、基体部分(1、1’、 1”)と、-ハウジング(20、40、50)と、前記基体部分(1、1’、1”)を保持するための受入装置と、前記基体部分(1、1’、1”)の前記少なくとも1つの抵抗加熱気器(3、13、15)へ電気的出力を供給するために、電圧源(31、31’、51)と接 続されている若しくは接続部にもたらすことが可能なコンタクト(21、22;41、42;55、57)とを備える吸入装置とを有する、システム。 b 明細書(a) 本発明は、吸入可能なエーロゾルを供給するためのシステム並び にそのようなシステムの構成要素に関する。このシステムは、特に 喫煙者用の喫煙エーロゾルを供給するための喫煙具として適している。 従来の紙巻タバコを喫煙する際には、タバコの大部分は、吸入中ではなく吸入休止中に燃焼される。これはいわゆる副流煙の形成に繋がり、それは非喫煙者にはしばしば迷惑と受け取られる。 この問題を克服するために、吸入休止中はその中ではタバコが燃焼されない、多数の新しい喫煙具が提案されている。このような開発の共通の原理は、タバコの燃焼熱ではなく別のエネルギー源が喫煙エーロゾルの放出のために用いられることである。それにより副流煙の成立が十分に回避されるだけではなく、吸入中の変更された 温度管理によって、好ましい香味物質の放出が達成され、また刺激性の又は望まれない副産物の形成が低減され得る。提案された喫煙具では、タバコに代わり、特殊なシートタバコ又は香味物質が加えられた担体材料のような代替材料がエーロゾル形成のためにしば 成され、また刺激性の又は望まれない副産物の形成が低減され得る。提案された喫煙具では、タバコに代わり、特殊なシートタバコ又は香味物質が加えられた担体材料のような代替材料がエーロゾル形成のためにしばしば使われる。 (b) エーロゾル形成材料2は、例えば刻まれたタバコの葉、刻まれたタバコの葉脈、再生タバコ、又は香味物質で処理された担体材料からなることができる。 (c) 導電性の包覆部3は導電性の添加物(金属又はグラファイト/炭素)が加えられている紙若しくはシートタバコ、又は同じく添加物 によって導電性にされた合成樹脂からなり得る。多層性の包覆部も使用可能であって、内側の層は紙若しくはシートタバコからなり、外側の層が前述の導電性の材料からなる。 同じく可能であるのは、この包覆部をまず非導電性の物質で形成し、続いてエーロゾル形成材料を包覆する以前に若しくはその後に、 導電性のフィルムを例えば蒸着若しくは吹付塗布によって付けるこ とである。 基体部分1の製造は簡易な方法で従来のタバコストランド形成機械で行うことができる。まず成形部内でタバコ又は代替材料の無限なストランドが形成され、これが卷回ロールから製造方向に加えられた、導電性の被覆材量で周りを囲まれ、つなぎ目で糊付けされる。 続いて望まれるサイズに裁断が行われる。製造の別の可能性は、適したエーロゾル形成材料を円状ノズルを介して押出成形し、押し出し成形物をそれに続いて被覆及び切断することである。 (d) 好ましい実施形態においてこの基体部分1は、図2aに示されているように、共通の包覆部11によってマウスピース10と連結さ れている。このような連結物の製造はフィルタ付き紙巻タバ (d) 好ましい実施形態においてこの基体部分1は、図2aに示されているように、共通の包覆部11によってマウスピース10と連結さ れている。このような連結物の製造はフィルタ付き紙巻タバコの製造の専門家は熟知している。この基体部分1は、吸入装置(下記参照)内のコンタクトとの電気的接続をより良くするために、付加的に区域12内で、例えば区域12内で金属フィルムを蒔きつけることで、それ以外の包覆部と比べてより高い導電性を有することがで きる。 (e) 図2aの基体部分の実施形態において、基体部分が1つにまとめられた唯一の抵抗加熱気器として設けられているのに対して、別の基体部分の実施形態では、包覆部の導電性の分節状若しくは区間状の分割が設けられている。これは例えば図2bに若しくは図2cに 示されているように実施され得る。 図2bの基体部分の包覆部は、比較的高い導電性を有する、いくつかの環状の区域13を備え、それぞれ2つの隣接した区域13は絶縁性の区域で分離されている。各々の区域13は1つの独立した抵抗加熱気器を形成し、それは基体部分に適合された吸入装置内に おいて、個々に吸入装置内の対応するコンタクトを介して電流が供 給される。このようなコンタクトの位置は図2b内に矢印で、また極性「+」及び「-」によって符号がつけられている。この実施形態の変形形態では、個々の区域13は基体部分の全範囲に渡って延びているのではなく、それぞれ絶縁された遮断部を有している。別の変形形態では、この区域13は基体部分の長手方向に伸延する、 導電性の1つの区域にまとめられ、それは例えば図2bのコンタクト位置「-」(又はコンタクト位置「+」)に沿って延びており、その結果吸入装置内ではこの極に 域13は基体部分の長手方向に伸延する、 導電性の1つの区域にまとめられ、それは例えば図2bのコンタクト位置「-」(又はコンタクト位置「+」)に沿って延びており、その結果吸入装置内ではこの極に対してアースの一種として1つのコンタクトのみが存在する。 図2cに示されている基体部分の実施形態では、この基体部分の 包覆部は、周方向に相互にずらされて、また相対して絶縁された導電性の区域15をいくつか備える。この独立した抵抗加熱気器として使われる区域15は基体部分の長手方向へと延びる。基体部分の終端部領域で、区域は1つの環状のコンタクト領域14に、導電的にまとめられ、このコンタクト領域14の電気抵抗は区域15の電 気抵抗よりも小さいことが好ましい。この終端部上には、基体部分に適合された吸入装置においては、「-」コンタクトのみが必要であり、他方で他の端部にはいくつかのコンタクトが設けられていて、それは図2c内に矢印で符号がつけられ、また極性「+」で示されている。この「+」コンタクトは区域15を別々に制御することを 可能にする。必要となる、基体部分の吸入装置内での定義された角度位置での方向付けを保証するために、例示的実施形態では方向付け装置が切り込み16の形で設けられていて、基体部分を吸入装置へ嵌め込む際に、吸入装置上の対応する案内突起がその切り込みの中に嵌入する。 (f) 葉巻に似た形を有する、この喫煙装置の一部片の実施形態が、図 5に示されている。ハウジング50は前端部上にねじり外すことができるキャップ53を備え、これを介して電池ないしは蓄電池51の交代が可能である。旋回され開かれた状態で示されている旋回可能なキャップ52は、基体部分1”の挿入に使用される。キャップ り外すことができるキャップ53を備え、これを介して電池ないしは蓄電池51の交代が可能である。旋回され開かれた状態で示されている旋回可能なキャップ52は、基体部分1”の挿入に使用される。キャップ52を開く際には、基体部分1”の挿入を容易にするために、図示 されていない棒を介して、同時に受入部分55がコイルばね56の力に抗して後方へ移動する。閉鎖されたキャップ52の場合は、コイルばね56の力は、コンタクト57と、同時に対抗コンタクトとして作用するところの受入部分55との間で基体部分1”を固定することに作用する。スイッチ60を閉鎖することによって、コンタ クト55、57間に、基体部分1”の導電性の包覆部を介して電流が流れ、その結果これが暖められる。喫煙エーロゾルは、受入部分55内に差し込まれたマウスピース10”へ牽引することで取り出すことができ、マウスピース10”は独立した構成要素として構成されていて、またこの例示的実施形態では基体部分1”とは固定式 に連結されていない。この際に空気は導管54を通って流入し、基体部分1”の前方面上で基体部分1”内に入る。 (g) それぞれ1つの区域13ないしは15に逐次的に電流供給をすることで、基体部分のそれぞれ1つの新しい部分が加熱され、それによって複数の吸引に渡って均質なエーロゾル収量が達成される。こ れは吸引ごとにほぼ一定の香味が供給されるという結果になる。制御は、例えば使用者による空気の吸引の際の圧力変化に反応する吸引センサを介して実施されることができ、また切替え装置を介して区域13ないしは15の1つに電流を供給することを行う。次の吸引の際に、切替え装置は再び作用するが、1つの電気式スイッチが、 それに属するコンタクトを介して今回は別の、まだ使用され 置を介して区域13ないしは15の1つに電流を供給することを行う。次の吸引の際に、切替え装置は再び作用するが、1つの電気式スイッチが、 それに属するコンタクトを介して今回は別の、まだ使用されていな い区域13ないしは15に加熱電流が加えられることを配慮する、等々。 (イ) 前記(ア)の記載事項によれば、乙68公報には、以下の乙68発明が記載されていると認められる。 エーロゾル形成材料の加熱によって吸入可能なエーロゾルを供給する 電気加熱式喫煙システムであって、エーロゾル形成材料を取り囲む導電性の包覆部は、多層性であって、内側の非導電性物質の外側に、導電性フィルムを蒸着もしくは吹付塗布で付けて製造されてなり、包覆部には、比較的高い導電性を有する複数の区域15が形成され、各区域15がエーロゾル形成材料を加熱してエ ーロゾルを放出するための独立した抵抗加熱機器を形成する、基体部分と、ハウジング50と、基体部分の少なくとも1つの抵抗加熱機器へ電気的出力を供給するために電圧源と接続されている、共通の環状コンタクトと各区域15を別々に制御する複数の個別のコンタクトとを備える吸 入装置とを有する、システム。 イ一致点及び相違点の認定(ア) 本件発明1-1と乙68発明との対比本件発明1-1と乙68発明を対比すると、一致点及び相違点は以下 のとおりである。 a 一致点エーロゾル形成基体を受け取るための電気加熱式喫煙システムであって、前記エーロゾル形成基体を加熱してエーロゾルを放出するための少 なくとも1つの加熱器と、 前記少なく け取るための電気加熱式喫煙システムであって、前記エーロゾル形成基体を加熱してエーロゾルを放出するための少 なくとも1つの加熱器と、 前記少なくとも1つの加熱器に電力を供給するための電源と、を含み、前記少なくとも1つの加熱器は、電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含み、前記電気絶縁基体は、管状に巻かれ、 前記少なくとも1つの加熱器は、前記エーロゾル形成基体を取り囲み又は部分的に取り囲む、ことを特徴とするシステム。 b 相違点本件発明1-1の「電気絶縁基体」が「ポリイミドで形成されて」 いる(構成要件1E)のに対し、乙68発明の「非導電性物質」はそのような構成を有するものに限定されていない点(相違点10)で、両者は相違する。 (イ) 本件発明1-3と乙68発明との対比本件発明1-3と乙68発明を対比すると、一致点及び相違点は以下 のとおりである。 a 一致点前記(ア)aのシステムで、前記1つ又はそれよりも多くの導電トラックは、各部分が前記電源に別々に接続可能である複数の部分を含む電気加熱式喫煙システム。 b 相違点相違点10で、両者は相違する。 (ウ) 本件発明1-4と乙68発明との対比本件発明1-4と乙68発明を対比すると、一致点及び相違点は以下のとおりである。 a 一致点 前記(イ)aの電気加熱式喫煙システム。 b 相違点相違点10に加 、一致点及び相違点は以下のとおりである。 a 一致点 前記(イ)aの電気加熱式喫煙システム。 b 相違点相違点10に加え、本件発明1-4の「電子回路」が「1つ又はそれよりも多くの導電トラックの異なる部分が、異なる持続時間にわたって加熱されるか、異なる温度で加熱されるか、又は、異なる持続時 間にわたって異なる温度で加熱されるように、前記電源から前記少なくとも1つの加熱器までの電力の供給を制御するように配置され」ている(構成要件1I)のに対し、乙68発明はこのような加熱制御を行っているかが不明である点(相違点11)で、両者は相違する。 (エ) 本件発明1-8と乙68との対比 本件発明1-8と乙68発明を対比すると、一致点及び相違点は以下のとおりである。 a 一致点前記(イ)aのシステムで、前記システムは、加熱時に前記エーロゾル形成基体から放出される 揮発性タバコ香味化合物を含有するタバコ含有材料を含むエーロゾル形成基体を含むことを特徴とする電気加熱式喫煙システム。 b 相違点相違点10及び11で、両者は相違する。 (オ) 本件発明2-1と乙68発明との対比 本件発明2-1と乙68発明を対比すると、一致点及び相違点は以下のとおりである。 a 一致点エーロゾル形成基体を受け取るための電気加熱式喫煙システムであって、 前記エーロゾル形成基体を加熱してエーロゾルを形成するための少 なくとも1つの加熱器であって、前記少なくとも1つの加熱器が電気絶縁基体上に1つ又はそれ あって、 前記エーロゾル形成基体を加熱してエーロゾルを形成するための少 なくとも1つの加熱器であって、前記少なくとも1つの加熱器が電気絶縁基体上に1つ又はそれよりも多くの導電トラックを含み、前記電気絶縁基体が管状である、少なくとも1つの加熱器と、前記少なくとも1つの加熱器に電力を供給するための電源と、前記加熱器を絶縁するために前記加熱器の周りに配置された熱絶縁 要素とを含む少なくとも1つのことを特徴とするシステム。 b 相違点本件発明2-1の「加熱器を絶縁するために前記加熱器の周りに配置された熱絶縁要素であって、前記熱絶縁要素が金属を含む」(構成 要件2F)のに対し、乙68発明は「熱絶縁要素」を有するかが不明である点(相違点13’)及び「熱絶縁要素」が「金属」を含むかが不明である点(相違点12)で、両者は相違する。 (カ) 本件発明2-6と乙68発明との対比本件発明2-6と乙68発明を対比すると、一致点及び相違点は以下 のとおりである。 a 一致点前記(オ)aのシステムで、前記1つ又はそれよりも多くの導電トラックは、各部分が前記電源に別々に接続可能である複数の部分を含む電気加熱式喫煙システム。 b 相違点相違点12及び13’で、両者は相違する。 (キ) 本件発明2-7と乙68発明との対比本件発明2-7と乙68発明を対比すると、一致点及び相違点は以下のとおりである。 a 一致点 前記(カ)aの電気加熱式喫煙システム。 b 本件発明2-7と乙68発明を対比すると、一致点及び相違点は以下のとおりである。 a 一致点 前記(カ)aの電気加熱式喫煙システム。 b 相違点相違点12及び13’に加え、本件発明2-7の「電子回路」が「1つ又はそれよりも多くの導電トラックの異なる部分が、異なる持続時間にわたって加熱されるか、異なる温度で加熱されるか、又は、 異なる持続時間にわたって異なる温度で加熱されるように、前記電源から前記少なくとも1つの加熱器までの電力の供給を制御するように配置され」ている(構成要件2J)のに対し、乙68発明はこのような加熱制御を行っているかが不明である点(相違点13)で、両者は相違する。 (ク) 本件発明2-8と乙68発明との対比本件発明2-8と乙68発明を対比すると、一致点及び相違点は以下のとおりである。 a 一致点前記(カ)aのシステムで、 前記システムは、加熱時に前記エーロゾル形成基体から放出される揮発性タバコ香味化合物を含有するタバコ含有材料を含むエーロゾル形成基体を含むことを特徴とする電気加熱式喫煙システム。 b 相違点相違点12、13’及び13で、両者は相違する。 ウ相違点についての検討(ア) 相違点11’及び12’の有無a 原告は、本件発明1-1及び2-1が「エーロゾル形成基体を受け取るための電気加熱式喫煙システム」であるのに対し、乙68発明はこのような構成を有しない点(相違点11’及び12’)で、両者は 相違すると主張する。 この点について、本件発明1-1及び2- ステム」であるのに対し、乙68発明はこのような構成を有しない点(相違点11’及び12’)で、両者は 相違すると主張する。 この点について、本件発明1-1及び2-1の特許請求の範囲には、「エーロゾル形成基体を受け取るための電気加熱式喫煙システムであって、」(構成要件1A及び2A)、「前記エーロゾル形成基体を加熱してエーロゾルを形成するための少なくとも1つの加熱器と、」(構成要件1B及び2B)、「前記少なくとも1つの加熱器に電力を 供給するための電源と、を含み、」(構成要件1C及び2E)と記載されている。また、本件発明1-8及び2-8の特許請求の範囲には、「前記システムは、加熱時に前記エーロゾル形成基体から放出される揮発性タバコ香味化合物を含有するタバコ含有材料を含むエーロゾル形成基体を含むことを特徴とする」(構成要件1J及び2H)、「請 求項1から7までのいずれか1項に記載の電気加熱式喫煙システム。」(構成要件1G-8及び2G-8)と記載されている。そして、「受け取る」に関し、本件各明細書には、「本発明の第1の態様により、エーロゾル形成基体を受け取るための電気加熱式喫煙システムを提供し、」(【0005】)、「本発明の第2の態様により、エーロゾル 形成基体を受け取るための電気加熱式喫煙システムを提供し、」(【0012】)等の記載があるのみで、「受け取る」の内容に係る具体的な記載は見当たらない。 以上を踏まえて検討するに、「受け取る」とは、一般的に、「自分の所へ来たものを手で取って持つ。」(甲25)ことを意味するとこ ろ、本件発明1-1及び2-1の特許請求の範囲の上記各記載からすると、「エーロゾル形成基体」を「受け取る」のは、「電気加熱式喫煙システム」であり、そ って持つ。」(甲25)ことを意味するとこ ろ、本件発明1-1及び2-1の特許請求の範囲の上記各記載からすると、「エーロゾル形成基体」を「受け取る」のは、「電気加熱式喫煙システム」であり、そのうち「エーロゾル形成基体」を収容する具体的な部材については特定されていない。また、この「電気加熱式喫煙システム」について、上記各記載のとおり、本件発明1-1及び2 -1においては「加熱器」や「電源」を「含み」とされ、本件発明1 -8及び2-8においては「エーロゾル形成基体」を「含む」とされていることから、「加熱器」、「電源」及び「エーロゾル形成基体」が「電気加熱式喫煙システム」を構成する要素として規定されていると理解することができ、かつ、これらの要素がユーザが喫煙する時点までには「電気加熱式喫煙システム」を構成する必要があると解され るものの、どの時点で「電気加熱式喫煙システム」に備わるかについては特定されていないというべきである。 さらに、本件各明細書において、「製造がより簡単でその構成に必要な構成要素がより少ない電気加熱式喫煙システムを提供すること」(【0004】)が本件各発明の課題であって、「電気絶縁基体上に 形成された導電トラックを含む加熱器を使用すること」(【0078】)により本件各発明の作用効果を奏することが記載されていることから、本件各発明は「加熱器」そのものの構成に特徴があるといえるが(このことは、本件各特許の発明の名称が「加熱器が改善された電気加熱式喫煙システム」であることからも明らかである。)、これ らの課題や作用効果からも、本件各発明における「加熱器」と「エーロゾル形成基体」との関係及び「受け取る」の具体的な態様は明らかにはならない。 そうすると、本 である。)、これ らの課題や作用効果からも、本件各発明における「加熱器」と「エーロゾル形成基体」との関係及び「受け取る」の具体的な態様は明らかにはならない。 そうすると、本件発明1-1及び2-1においては、「電気加熱式喫煙システム」が「エーロゾル形成基体」を「受け取る」、すなわち 収容する構成である必要はあるものの、それ以上の構成は特定されていないと解するのが相当である。 b 前記アによれば、乙68発明の「エーロゾル形成材料2」、「抵抗加熱器」及び「吸入装置」は、本件発明1-1及び2-1の「エーロゾル形成基体」、「加熱器」及び「電気加熱式喫煙システム」にそれ ぞれ該当すると認められる。そして、乙68発明においては、「エー ロゾル形成材料2」と高い導電性を有する「区域15」を備え、「エーロゾル形成材料2」を包む「包覆部3」を含む「抵抗加熱器」から成る「基体部分1」を「吸入装置」にはめ込むことにより、エーロゾルを吸入することができるところ、「吸入装置」から見ると、「エーロゾル形成材料2」を含む「基体部分1」がはめ込まれ、「エーロゾ ル形成材料2」を収容しているといえる。 したがって、乙68発明は、本件発明1-1及び2-1の「エーロゾル形成基体を受け取るための電気加熱式喫煙システム」の構成を備えると認めるのが相当であるから、相違点11’及び12’は存在しない。 c これに対して、原告は、① 本件発明1-1及び2-1の「エーロゾル形成基体を受け取るための電気加熱式喫煙システム」は、「エーロゾル形成基体」と加熱器を含むものとして規定されている「電気加熱式喫煙システム」が別体であり、後者が前者を受け取る構成を規定したものである、② 本件各明細書の の電気加熱式喫煙システム」は、「エーロゾル形成基体」と加熱器を含むものとして規定されている「電気加熱式喫煙システム」が別体であり、後者が前者を受け取る構成を規定したものである、② 本件各明細書の【図4】は、「エーロゾル形成基体」 と加熱器を含む「電気加熱器式喫煙システム」が別体であることを端的に示している一方で、両者が一体であってもよいことを示唆するものではない、③ 本件明細書には、「エーロゾル形成基体」と加熱器を含む「電気加熱器式喫煙システム」が別体であることを前提に、加熱器の内径と「エーロゾル形成基体」の外径の各寸法が記載されている と主張する。 しかし、上記①については、前記aのとおり、本件発明1-1及び2-1に係る特許請求の範囲の記載からは、「電気加熱式喫煙システム」が「エーロゾル形成基体」を「受け取る」、すなわち収容すること、「エーロゾル形成基体」及び「加熱器」が「電気加熱式喫煙システム」 の要素であることを理解できるものの、それ以上に、「エーロゾル形成 基体」と「加熱器」の関係については何ら特定されていないというほかない。 また、上記②について、本件各明細書の【図4】は、1実施例を示したものにすぎないし、「エーロゾル形成基体」と「加熱器」が一体であってもよいことを示唆する記載がないことをもって、これらが一体 であってはならないと解することはできない。 さらに、上記③については、「加熱器」が「エーロゾル形成基体」を取り囲む構成を採用した場合に「加熱器」の内径と「エーロゾル形成基体」の外径とが問題になり得ることを示す記載にすぎず、「エーロゾル形成基体」と「加熱器」が別体であることを示唆するものとはいえ ない。 したがって 」の内径と「エーロゾル形成基体」の外径とが問題になり得ることを示す記載にすぎず、「エーロゾル形成基体」と「加熱器」が別体であることを示唆するものとはいえ ない。 したがって、原告の上記各主張はいずれも理由がない。 (イ) 相違点13’の有無被告は、乙68発明のハウジングは、加熱器からの熱の一部がユーザの手へ伝わることを防ぐために加熱器を熱絶縁するものであるから、相 違点13’(本件発明2-1が「加熱器を絶縁するために前記加熱器の周りに配置された熱絶縁要素」を含むのに対し、乙68発明はそのような構成を有しない点)は存在しないと主張する。 しかし、乙68公報には、ハウジングが熱に対してどのような特徴を有しているかについての記載は見当たらないし、加熱されることにより 「区域15」の温度がどの程度上昇するかも明らかではない。 したがって、本件発明2-1が「加熱器を絶縁するために前記加熱器の周りに配置された熱絶縁要素」を含むのに対し、乙68発明はそのような構成を有しない点(相違点13’)で、両者は相違すると認めるのが相当である。 エ容易想到性についての検討 (ア) 相違点10の容易想到性a 相違点10の構成に関し、以下の記載を有する文献が存在する。 (a) 平成6年6月21日に発行された特許に係る乙7公報には、フレーバ生成媒体を電気的に加熱することにより喫煙体験を得る電気加熱式喫煙物品に関する発明において用いられ、その上に加熱器全体 が設けられる「可撓性基体205」について、「典型的には、誘電率の低い非導電性の耐熱材料である。基本は、可撓性に加えて、良好な熱的および機械的強度特性を示さなけれ 用いられ、その上に加熱器全体 が設けられる「可撓性基体205」について、「典型的には、誘電率の低い非導電性の耐熱材料である。基本は、可撓性に加えて、良好な熱的および機械的強度特性を示さなければならない。すなわち、基体は、望ましくない揮発性物質を放出したり、溶融、泡立ちその他の現象によって構造的完全性または柔軟性を失ったりすることな く、極端に高い温度(タバコエーロゾルの抽出に必要な400〜450℃超)に耐えることができなければならない。特定のポリアミドポリマーは、これらの極端な温度条件下で安定性および可撓性を維持することが分かっている。具体的には、ICIが販売する Upilex(登録商標)および DuPontが販売するKapton (登録商標)という2つのポリマーは、500℃を超える温度でさえ分解も変形も示さなかった。」と記載されている(乙7、79)。 (b) 平成13年に発行された「エレクトロニクス実装学会誌」に掲載された論文「ポリイミドの構造と物性」には、「1960年にアメリカDuPont社によって開発され、1965年に実用化された 芳香族ポリイミド(いわゆる「Kapton®」ポリイミド)は高度の耐熱性をもつ有機高分子材料の代表格であり、その後40年を経た現在でも、その王者の地位を保ち続けているすばらしい材料である。」、「このポリピロメリトイミドを中心とする一群のポリイミドは、高度の耐熱性に加えて、優れた機械特性、電気特性(高絶 縁性、低誘電率、低誘電損失など)…などの特性のために、フィル ム、絶縁ワニス、成形品などの形で広く電気・電子機器、…などの高性能部品として、…利用されており、」と記載されている(乙6)。 (c) 発明の名称を「エアゾール発生器及びエ ム、絶縁ワニス、成形品などの形で広く電気・電子機器、…などの高性能部品として、…利用されており、」と記載されている(乙6)。 (c) 発明の名称を「エアゾール発生器及びエアゾール生成方法」とする国際公開第2005/106350号には、「流路20は、非導 電性材料(例えば、アルミナのようなセラミック、ガラス、若しくはデュポン社(米国デラウェア州ウィルミントン所在)から市販のポリイミド材料であるカプトン(KAPTON)のようなポリマー)又は半導性材料(例えば、シリコン)製のものとすることができ、」(【0025】)と記載されている(乙8、9)。 (d) 発明の名称を「面状発熱体」とする特開2009-9835号公報には、「前記のような発熱素子の両面は、…ポリイミド樹脂シート…等の電気絶縁材により被膜され、」(【0003】)と記載されている(乙3)。 (e) 発明の名称を「面状ヒータ並びにそれを用いた定着装置、静電潜 像担持体及び画像形成装置」とする特開2009-245729号公報には、「本発明で使用する基板11としては、絶縁性と耐熱性を有するものであれば特に限定はないが、成形性や取り扱い性などの観点からはポリイミド樹脂が好適である。」(【0038】)と記載されている(乙4)。 b 前記aの各文献によれば、本件優先日(平成21年(2009年)10月29日)当時、ポリイミドは、電気加熱式喫煙物品の分野を含め、シート状にすることができ、熱絶縁性及び電気絶縁性に優れた素材として周知であったと認めるのが相当である。 そして、乙68公報には、特に喫煙者用の喫煙エーロゾルを供給す るための喫煙具に適した、吸入可能なエーロゾルを供給するためのシ 素材として周知であったと認めるのが相当である。 そして、乙68公報には、特に喫煙者用の喫煙エーロゾルを供給す るための喫煙具に適した、吸入可能なエーロゾルを供給するためのシ ステムの構成要素として、「エーロゾル形成材料2」とこれを包む「包覆部3」から成る「基体部分1」についての記載があるところ(前記ア(ア)a、b(a))、この「包覆部3」は多層にすることもでき、内側を「非導電性物質」で形成し、その後に導電性のフィルムを付けることが可能である(同b(c))とされている。 そうすると、乙68公報には、上記のとおり電気絶縁性に優れている点やシート状にして「包覆部3」を形成しやすい点において特性を有するポリイミドを乙68発明の「非導電性物質」として使用することについての示唆があるというべきである。 したがって、乙68発明の「非導電性物質」としてポリイミドを使 用することについての動機付けが認められるから、当業者は、乙68発明に周知技術を組み合わせることによって、相違点10に係る構成を容易に想到することができたと認めるのが相当である。 c これに対して、原告は、① 乙68発明は「エーロゾル形成材料」の表面に加熱要素を直接設けたものであり、本件発明1-1とは全く異 なる構造であるから、その一部にポリイミドを採用したとしても、本件発明1-1には至らない、② 乙68公報には、「基体部分1」の製造は従来のタバコストランド形成機械で行うことができると記載されているところ、ポリイミドはこのような製造プロセスには不適な材料であるから、当業者はポリイミドを使用しようとは考えない、③ 「包 覆部3」は使い捨ての「基体部分1」の一部であるところ、樹脂として比較的 ろ、ポリイミドはこのような製造プロセスには不適な材料であるから、当業者はポリイミドを使用しようとは考えない、③ 「包 覆部3」は使い捨ての「基体部分1」の一部であるところ、樹脂として比較的高価なポリイミドを使い捨ての部分に使用することにより、コストが増加することになるし、環境に対する負荷が大きいと主張する。 しかし、上記①については、その余の相違点の有無及び容易想到性 に関する前記ウ及び後記(イ)及び(ウ)の判断を前提にすれば、ポリイミ ドを採用したとしても、本件発明1-1に至らないということはない。 また、上記②について、乙68公報においては、「基体部分1の製造は簡易な方法で従来のタバコストランド形成機械で行うことができる。」(前記ア(ア)b(c))と記載されており、「基体部分1」については「従来のタバコストランド形成機械で行う」方法以外の製造方法 も存在することがうかがわれるし、他方、ポリイミドをエーロゾル形成材料を取り囲む包覆部の一つの層として設けることが構造上困難であることを示唆する記載は見当たらないから、「基体部分1」の製造プロセスが、当業者がポリイミドを使用することの妨げになるとはいえない。 さらに、上記③について、乙68公報には、「導電性の包覆部3は導電性の添加物(金属又はグラファイト/炭素)が加えられている紙若しくはシートタバコ、又は同じく添加物によって導電性にされた合成樹脂からなり得る。」(前記ア(ア)b(c))と記載されており、「包覆部3」に合成樹脂を使用することが示唆されているところ、ポリイ ミドも合成樹脂の一種であると認められる(乙6)。また、乙68発明のシステム自体、さほど大きなものではなく、「基体部分1」は更に小さ 」に合成樹脂を使用することが示唆されているところ、ポリイ ミドも合成樹脂の一種であると認められる(乙6)。また、乙68発明のシステム自体、さほど大きなものではなく、「基体部分1」は更に小さいから、エーロゾル形成材料を取り囲む包覆部にポリイミドを使用するとしても、大量のポリイミドを必要とするものではない。さらに、その程度の量のポリイミドを使用することで、特にコストが増 加したり、環境負荷が大きくなったりすることを認めるに足りる証拠はなく、むしろ、乙7公報によれば、複数回のパフにより全てのチャージが加熱されれば廃棄される「部分11」のうち、加熱器が設けられた「可撓性基体205」の材料として、「Dupontが販売するKapton(登録商標)という…ポリマー」、すなわちポリイミド が紹介されており(乙79・4頁)、ポリイミドが使い捨ての材料と されている。 したがって、原告の上記各主張はいずれも理由がない。 (イ) 相違点11及び13の容易想到性a 相違点11及び13の構成に関し、以下の記載を有する文献が存在する。 (a) 平成8年4月9日に発行された米国特許第5505214号の明細書には、「タバコ香味媒体を加熱してタバコ香味を放出する喫煙物品に関する」発明について、「更に、本発明では、制御された量のエネルギーを本発明の加熱器に供給することにより、香味送達を選択的に変化させることもできる。例えば、第1の加熱器に供給さ れるエネルギー量(例えば、20ジュール)が、第2の加熱器に供給される量(例えば、15ジュール)よりも大きい場合、第1の加熱器が達成する温度は、第2の加熱器が達成する温度よりも高くなる。したがって、第1の加熱器は、…第2の加熱器よりも )が、第2の加熱器に供給される量(例えば、15ジュール)よりも大きい場合、第1の加熱器が達成する温度は、第2の加熱器が達成する温度よりも高くなる。したがって、第1の加熱器は、…第2の加熱器よりも多くのエアロゾル又は香味材を生成する。このようにして、パフごとにエネ ルギー供給量を変化させることにより、エアロゾル又は香味材の生成を選択的に制御することができる。」、「制御回路24は、電源22が各加熱器に供給するエネルギーの総量も制御する。電源22によって供給される電圧はパフごとに変化しうるので、各加熱器が同じ時間にわたって作動させられるとすれば、電源22によって供 給される電力およびエネルギーは、一般に、パフごとに変化することになる。本発明によれば、制御器24は、個々のパフごとの定エネルギー供給に対応している。例えば、一定のエネルギーを供給するために、制御回路24は、加熱器が作動している間、電源22の負荷電圧を監視し、約20ジュールのエネルギーが供給されるまで 加熱器に電力を供給し続ける。このため、1.2Ω加熱器および4. 8ボルトの負荷電圧(すなわち、N50−AAAカドニカ型ニッケルカドミウム電池が4個直列に接続されている)の場合、制御回路24は、約1秒の所定時間にわたって加熱器に電力を供給する。したがって、もし負荷電圧が4.0ボルトしかなかったとすれば、より低い電圧に対応するために約1.6秒の所定時間にわたって電力が 供給される。」と記載されている(乙21、76)。 また、平成9年5月25日に発行された米国特許第5613504号、平成10年3月24日に発行された米国特許第5730158号及び平成11年2月2日に発行された米国特許第5865185号の各明細書には、上記記載と同様の 5日に発行された米国特許第5613504号、平成10年3月24日に発行された米国特許第5730158号及び平成11年2月2日に発行された米国特許第5865185号の各明細書には、上記記載と同様の記載がある(乙58、70、 71)。 (b) 国際公開第94/06314号には、電気加熱式喫煙具に関する発明について、「更に、本発明では、制御された量のエネルギーを加熱器要素43に供給することにより、香味付きタバコ反応を選択的に変化させることができる。例えば、第1の加熱器要素43に供 給されるエネルギーの量(例えば20ジュール)が、第2の加熱器要素に供給されるエネルギーの量(例えば15ジュール)よりも大きい場合、第1の加熱器が達成する温度は、一般に、第2の加熱器のそれよりも高い。したがって、第1の加熱器要素は、一般に、第2の加熱器要素よりも、より多くの香味付きタバコ反応を生成する。 このようにして、パフごとにエネルギー供給量を変化させることにより、香味付きタバコ反応の量を選択的に制御することができる。」、「タイミング回路網197は、好ましくは、定ジュールエネルギータイマであり、FET加熱器スイッチ201~208の一つを所定の期間にわたってオンにすることにより加熱器要素の一つ が作動させられた後、論路回路195にシャットオフ信号を供給す るために使用される。本発明によれば、タイミング回路網197は、加熱器要素の加熱中に減少する電源電圧の関数として定められる期間の後、シャットオフ信号を論理回路195に供給する。」、「電源37によって供給される電圧はパフごとに変化しうるので、各加熱要素43を同じ時間だけ作動させることにより、可変量の電力及 びエネルギーを提供する場合よりも、各パフに対して一 供給する。」、「電源37によって供給される電圧はパフごとに変化しうるので、各加熱要素43を同じ時間だけ作動させることにより、可変量の電力及 びエネルギーを提供する場合よりも、各パフに対して一定量のエネルギーを供給することが好ましい。一定のエネルギーを供給するために、制御回路541は、加熱器要素43が作動させられている間、電源37の負荷電圧を監視し、所望のジュール値のエネルギーが供給されるまで加熱器要素に電力を供給し続ける。」、「各ヒータ4 3A〜43Hは電源37の負荷電圧に依存することなく、一定量のエネルギー(例えば、約5から40ジュール、またはより好ましくは約15から25ジュールの範囲内のエネルギー)が各加熱器に供給されるように、ある時間にわたって作動させられることが好ましい。したがって、端子591Aは、加熱器抵抗が既知であり一定で ある(すなわち1.2Ω)と想定して、各加熱器43のターンオン時間および電源37の負荷電圧に関する情報をタイミング回路網591に提供する。次に、端子591Bは、一定量のエネルギーの送出に対応する時間を示すシャットオフ信号を論理回路570の端子578に供給する。」と記載されている(乙67)。 (c) 国際公開第98/23171号には、電気加熱式喫煙具に関する発明について、「電源37の電圧も、加熱器ブレード120の点火中に監視され、電圧が所定の値を下回ると、加熱器ブレードの点火が中断される。」、「一実施形態では、パフの停止時に、FETが加熱要素を遮断して、過剰なエアロゾルの望ましくない発生を防止 する。」、「論理回路が、持続的圧力低下又は空気流が検出された という信号をパフ感知センサー45から受信すると、論理回路は、電力を節約するため、パフ中に光 望ましくない発生を防止 する。」、「論理回路が、持続的圧力低下又は空気流が検出された という信号をパフ感知センサー45から受信すると、論理回路は、電力を節約するため、パフ中に光センサー53をロックアウトする。 論理回路は、タイマー回路網に信号を送信して、定ジュールエネルギー制御タイマーをアクティブにする。論理回路はまた、ダウンカウント手段によって、8つの加熱器要素のどれを加熱するかを決定 し、適切な端子を介して信号を送信して、FET加熱器スイッチのうちの適切な1つをオンにする。所定の加熱器エネルギーが電源から引き出されたと制御タイマーロジックが判断するまで、適切な加熱器ブレード120がオンのままとなる。」と記載されている(乙18、74)。 b 前記aの各文献によれば、本件優先日(平成21年(2009年)10月29日)当時、電気加熱式喫煙物品の分野において、加熱要素の異なる部分が異なる持続時間にわたって加熱されるように電力の供給を制御することによって、エーロゾル発生量を調整することは、周知技術であったと認めるのが相当である。 そして、乙68公報には、特に喫煙者用の喫煙エーロゾルを供給するための喫煙具に適した、吸入可能なエーロゾルを供給するためのシステムの構成要素として、抵抗加熱器として機能するいくつかの「区域15」があり(前記ア(ア)a、b(a))、このいくつかの「区域15」は導電性を有し、それぞれに電力を供給することができる構成になっ ているところ(同b(e))、それぞれ一つの「区域15」に対して逐次的に電力を供給することにより、基体部分のそれぞれ一つの新しい部分が加熱され、複数の吸引にわたり、均質なエーロゾル収量が達成され、吸引ごとにほぼ一定の香味が供給され れ一つの「区域15」に対して逐次的に電力を供給することにより、基体部分のそれぞれ一つの新しい部分が加熱され、複数の吸引にわたり、均質なエーロゾル収量が達成され、吸引ごとにほぼ一定の香味が供給される(同b(g))との記載がある。 このように、均質なエーロゾルを供給し、吸引ごとにほぼ一定の香 味が得られるようにするために、別々に加熱することができる異なる部分が存在し、これらに逐次的に電力を供給することにより、順次、新しい部分が加熱されることが記載されていることからすると、乙68公報においては、加熱要素の異なる部分が異なる持続時間にわたって加熱されるように電力の供給を制御し、エーロゾル発生量を調整す るという上記周知技術を用いることについての示唆があるというべきである。 したがって、乙68発明について、加熱要素となる複数の「区域15」のうち異なる部分が、異なる持続時間にわたって加熱されるように電力の供給を制御することについての動機付けが認められるから、 当業者は、乙68発明に周知技術を組み合わせることによって、相違点11及び13に係る構成を容易に想到することができたと認めるのが相当である。 c これに対して、原告は、① 乙68発明では、加熱部分(導電性の「区域15」の各部分)が全て同じ動作をするように構成され、これ により均質なエーロゾル収量が達成されることになるから、異なる持続時間や異なる温度となるように通電を制御する動機付けがないし、そのような制御を行うことは、均質なエーロゾル収量が達成されるという乙68発明の本質的な構成を変更することになるから、阻害要因となる、② 乙68公報には、「区域15」について、異なる持続時間 や異なる温度となるように通 均質なエーロゾル収量が達成されるという乙68発明の本質的な構成を変更することになるから、阻害要因となる、② 乙68公報には、「区域15」について、異なる持続時間 や異なる温度となるように通電を制御することの示唆がない、③ 被告が指摘する周知技術を裏付ける資料は、いずれも器具の側に複数の加熱器ブレードを配列した加熱器があり、そこに喫煙物品を挿入して加熱する方式のものであって、シガレット形状の「基体部分1」の包覆部に加熱区域(「区域15」)を設けた乙68発明とは全く異なるタ イプのものであるから、乙68発明との関係における周知技術といえ るものではないと主張する。 しかし、上記①について、乙68公報には、「好ましい実施形態においてこの基体部分1は、図2aに示されているように、共通の包覆部11によってマウスピース10と連結されている。このような連結物の製造はフィルタ付き紙巻タバコの製造の専門家は熟知している。 この基体部分1は、吸入装置(下記参照)内のコンタクトとの電気的接続をより良くするために、付加的に区域12内で、例えば区域12内で金属フィルムを蒔きつけることで、それ以外の包覆部と比べてより高い導電性を有することができる。」(前記ア(ア)b(d))と記載された上で、「図2aの基体部分の実施形態において、基体部分が1つ にまとめられた唯一の抵抗加熱気器として設けられているのに対して、別の基体部分の実施形態では、包覆部の導電性の分節状若しくは区間状の分割が設けられている。これは例えば図2bに若しくは図2cに示されているように実施され得る。」(同b(e))と記載され、「それぞれ1つの区域13ないしは15に逐次的に電流供給をすることで、 基体部分のそれぞれ1つの新しい部分が加熱され、 くは図2cに示されているように実施され得る。」(同b(e))と記載され、「それぞれ1つの区域13ないしは15に逐次的に電流供給をすることで、 基体部分のそれぞれ1つの新しい部分が加熱され、それによって複数の吸引に渡って均質なエーロゾル収量が達成される。これは吸引ごとにほぼ一定の香味が供給されるという結果になる。制御は、例えば使用者による空気の吸引の際の圧力変化に反応する吸引センサを介して実施されることができ、また切替え装置を介して区域13ないしは1 5の1つに電流を供給することを行う。」(同b(g))と記載されている(図2a、図2b及び図2cは、別紙乙68図面目録のFig.2a、Fig.2b及びFig.2cをそれぞれ指す。)。これらの記載によれば、一つの実施例として、加熱器が一つだけの図2aに記載された構成を紹介した後、これを改良したものとして、それぞれが加 熱器となる複数の「区域15」を有する図2cに記載された構成を紹 介し、「区域15」を有する実施例においては、逐次的に電流が供給され、それぞれ一つの新しい部分が加熱されていくことにより、均質なエーロゾル収量が達成されるとするものであると理解できる。そうすると、これらの記載は、部分ごとに加熱を調整することにより、より高い喫煙体験が得られることを示唆しているといえるから、異なる 持続時間となるように通電を制御することの動機付けとなるものである。さらに、乙68発明の電気加熱式喫煙システムは、「電池ないし蓄電池51」を「電圧源」として電力を供給するところ(同b(f))、前記a(a)及び(b)の各文献の記載を踏まえると、このような電源を使用することにより、電源電圧が徐々に低下し、同じ持続時間、通電し たとしても、同じだけの電気エネルギーを供給す b(f))、前記a(a)及び(b)の各文献の記載を踏まえると、このような電源を使用することにより、電源電圧が徐々に低下し、同じ持続時間、通電し たとしても、同じだけの電気エネルギーを供給することができなくなり、その結果、均質なエーロゾル収量が達成されなくなると考えられる。そうすると、むしろ、乙68発明において均質なエーロゾル収量を達成するためには通電を制御する必要があるといえ、そのような制御を行っても同発明の本質的な構成を変更することにはならないから、 通電を制御することに阻害要因は認められないというべきである。 また、上記②について、上記各記載によれば、乙68公報には、「区域15」について、均質なエーロゾルを供給し、吸引ごとにほぼ一定の香味が得られるように、異なる持続時間となるように通電を制御することの示唆があるというべきである。なお、原告は、乙68公 報の「制御は、例えば使用者による空気の吸引の際の圧力変化に反応する吸引センサを介して実施されることができ、また切替え装置を介して区域13ないしは15の1つに電流を供給することを行う。」(前記ア(ア)b(g))との記載について、単に、一つの「区域15」の加熱から次の「区域15」の加熱への切替えを、使用者の新しい吸引 (パフ)を検知し、これをトリガー(引き金)にして行うことを述べ ているにすぎず、電子回路による加熱の温度や時間の制御を意味するものではないと主張する。しかし、前記bのとおり、加熱要素の異なる部分が異なる温度で加熱されたり、異なる持続時間にわたって加熱されたりするように、電力の供給を制御することは周知技術であり、上記のとおり、乙68公報においては、部分ごとに加熱を調整するこ とにより、より高い喫煙体験が得られること る持続時間にわたって加熱されたりするように、電力の供給を制御することは周知技術であり、上記のとおり、乙68公報においては、部分ごとに加熱を調整するこ とにより、より高い喫煙体験が得られることが示唆されていることから、乙68発明に上記周知技術を組み合わせる動機付けはあるというべきである。 さらに、上記③について、前記aの各実施例と乙68発明とでは、いずれも電気加熱式喫煙具に関する発明であって、技術分野が共通し ている上、喫煙者が、これを使用することにより、より優れた喫煙体験を得るという共通の課題を解決しようとするものであるから、加熱方式に差異があったとしても、乙68発明に前記bの周知技術を適用することの妨げになるものではない。 したがって、原告の上記各主張はいずれも理由がない。 (ウ) 相違点12及び13’の容易想到性a 相違点12及び13’の構成に関し、以下の記載を有する文献が存在する。 (a) 平成8年4月9日に発行された米国特許第5505214号の明細書には、電気加熱式喫煙具に関する発明について、「チューブ3 1は、耐熱プラスチックまたはアルミニウムから作ることができる。」と記載されている(別紙周知技術図面目録記載1参照。乙21)。 (b) 考案の名称を「エチケットパイプ」とする実開平8-942号公報には、「この考案は、紙巻きたばこを吸うときに用いる喫煙用具 に関し、具体的にはタバコの喫煙可能な部分を覆うエチケットパイ プに関する。」(【0001】)、「本考案のエチケットパイプAは、たとえばセラミック製または金属製の内筒やカバーを用いて構成することができる。また石綿やグラスウールなどの断熱材を前記隙間Gに プに関する。」(【0001】)、「本考案のエチケットパイプAは、たとえばセラミック製または金属製の内筒やカバーを用いて構成することができる。また石綿やグラスウールなどの断熱材を前記隙間Gに充填してもよい。さらに内筒とカバーをステンレス製とし、その間に水などの液体の断熱材を入れたり、あるいは真空にするよ うにしてもよい。またカバーに各種のデザインを施すことも任意である。しかし図1の実施例のように透明の耐熱ガラスで内筒を構成し、透明のプラスチック製のカバーを用いると、喫煙者がタバコTを見ることができ、かつタバコTが燃えていく様子を目で追えるので、タバコを吸っている実感が損なわれない利点がある。」と記載 されている(別紙周知技術図面目録記載2参照。乙23)。 (c) 発明の名称を「電気的喫煙物品に使用するための管状加熱器」とする特表平8-511176号公報には、「本発明は電気的喫煙物品に使用するための加熱器に関し、特に電気的喫煙物品に使用するための管状加熱器に関する。」、「ハウジング31は硬い耐熱性材 料で作られることが好ましい。好適な材料は金属ベースの材料又はさらに好ましくはポリマーベースの材料を含む。」と記載されている(別紙周知技術図面目録記載3参照。乙20)。 (d) 発明の名称を「喫煙物品」とする特開2009-148233号公報には、「本発明は、喫煙物品に関する。」(【0001】)、 「図2は、本発明に係る喫煙物品の他の例を概略的に示す断面図である。図2に例示する喫煙物品は、香味発生材自体を燃焼させず、発熱体からの熱によって香味発生材から香味成分等を放出させる、いわゆる非燃焼型のシガレットである。」(【0034】)、「この喫煙物品は、筒状体90を有している。筒状体90は、筒 材自体を燃焼させず、発熱体からの熱によって香味発生材から香味成分等を放出させる、いわゆる非燃焼型のシガレットである。」(【0034】)、「この喫煙物品は、筒状体90を有している。筒状体90は、筒状、典 型的には円筒状であり、ラッパー91と断熱材92とを含んでい る。」(【0035】)、「ラッパー91は、筒形状に巻かれている。断熱材92は、ラッパー91に対して外側に位置している。」(【0036】)、「ラッパー91は、断熱材92と比較して、より優れた耐熱性及びより高い熱反射性を有している。ラッパー91は、例えばアルミニウム箔などの金属箔を含んでいる。」(【00 37】)と記載されている(別紙周知技術図面目録記載4参照。乙17)。 (e) 発明の名称を「喫煙物」とする国際公開第2009/092862号には、「ヒートチャンバは、断熱層及び/又は蓄熱層を具えていてもよい。ヒートチャンバは、例えばアルミニウムのような熱伝 導性物質でできている場合、断熱層を設けることが好ましい。この断熱層は、テキスタイルやペーパーボードあるいはポリスチレンのような天然または合成重合体材料か、あるいはセラミックベース、ガラスベース、あるいは金属ベースの材料で作ることができる。」(【0024】)と記載されている(乙25、26)。 b 前記aの各文献によれば、本件優先日(平成21年(2009年)10月29日)当時、電気加熱式喫煙物品の分野において、加熱器を熱絶縁するために、加熱器の周りに熱絶縁要素を設けること、金属が耐熱性及び熱反射性の点において熱絶縁要素としてふさわしいものであることは、いずれも周知であったと認めるのが相当である。 そして、乙68公報には、特に喫煙者用の喫煙エーロ 属が耐熱性及び熱反射性の点において熱絶縁要素としてふさわしいものであることは、いずれも周知であったと認めるのが相当である。 そして、乙68公報には、特に喫煙者用の喫煙エーロゾルを供給するための喫煙具に適した、吸入可能なエーロゾルを供給するためのシステムの構成要素として、「抵抗加熱器」を形成する複数の「区域15」があり(前記ア(ア)a、b(a))、「区域15」に電流供給をすることにより、「エーロゾル形成材料2」を含む「基体部分1」を加熱 し、エーロゾルを吸収することができる(同b(g))との記載がある。 そうすると、乙68公報には、喫煙者が「エーロゾル形成材料」を加熱する「抵抗加熱器」によりやけどすることがないように、「抵抗加熱器」の周辺に、耐熱性及び熱反射性に優れた金属が用いられた熱絶縁要素を設けることについての動機付けがあるというべきであるから、当業者は、乙68発明に上記周知技術を組み合わせることによっ て、相違点12及び13’に係る構成を容易に想到することができたと認めるのが相当である。 c これに対して、原告は、① 乙68発明では、加熱要素を「エーロゾル形成材料」と一体の「包覆部」に設け、これらが近接した構造となっており、加熱は加熱ゾーンの一つ一つを短い時間ごとに順に加熱し ていく方式であるため、熱損失を低減する必要はなく、器具自体が特に高温になることもないから、熱絶縁要素を設けることは必要ではない、② 「ハウジング50」が熱絶縁要素であり、これに熱伝導性の高い材料である金属が含まれるとすると、使用者に熱を伝えてしまい、やけどからの保護に役立たないから、熱絶縁要素に金属を含ませる動 機付けがない、③ 「キャップ52」を旋回して開け、その開口 の高い材料である金属が含まれるとすると、使用者に熱を伝えてしまい、やけどからの保護に役立たないから、熱絶縁要素に金属を含ませる動 機付けがない、③ 「キャップ52」を旋回して開け、その開口部から「基体部分1」をハウジングに挿入するという構造上、「基体部分1」の周囲に金属を含む熱絶縁要素を配置することは困難であり、阻害要因があると主張する。 しかし、上記①について、乙68公報には、「エーロゾル形成材料」 を何℃まで加熱する必要があるかについての記載はないが、乙1公報には、「約160℃は、喫煙体験を提供するタバコから揮発成分を放出するための閾値を構成する。この範囲の高い方の温度、すなわち、約200℃は、それより下の温度では点火器の周りで可視喫煙が起きない加熱温度を規定する。」(乙1公報の訳文に相当する乙2公報 【0016】)と、乙7公報には、「基体は、望ましくない揮発性物 質を放出したり、溶融、泡立ちその他の現象によって構造的完全性または柔軟性を失ったりすることなく、極端に高い温度(タバコエーロゾルの抽出に必要な400〜450℃超)に耐えることができなければならない。」(乙7公報の訳文である乙79・4頁)、乙39公報には、「電子喫煙物品内で加熱素子として使用するためのブレードの 管状アレイ、及びそれに基づくそのような物品のためのタバコフレーバ要素が提供される。…各ブレードは、好ましくは約300℃~約900℃の範囲内、又はそれ以上の温度を提供するように、所望の抵抗を有する。」(乙39公報の訳文である乙78・12頁)と、乙66公報には、「本発明の様々な実施形態は、有効な量の香味付きタバコ 反応を喫煙者に標準使用条件下で送達できるようにすべて設計されている。…このような送達を達成す である乙78・12頁)と、乙66公報には、「本発明の様々な実施形態は、有効な量の香味付きタバコ 反応を喫煙者に標準使用条件下で送達できるようにすべて設計されている。…このような送達を達成するために、加熱器ブレード120は、シガレット23と伝熱関係にあるときに、約200℃~約900℃の間の温度に到達可能であるべきことがわかっている。」(乙66公報の訳文である乙75・18頁)と、それぞれ記載されており、これら の記載によれば、エーロゾルを放出させるためには、「エーロゾル形成材料」を、100℃を優に超える温度まで加熱する必要があるといえる。そして、乙68発明の「吸入装置」が従来の紙巻タバコに代わる喫煙具を提供するものであり、当然にこれを手に持って使用することが予定されていることを併せ考えると、「区域15」を短時間しか 加熱しないものであったとしても、熱絶縁要素を設ける必要性は否定できないというべきである。乙68発明の「基体部分1」は、加熱要素及びエーロゾル形成基体が一体となったものであるが、乙68発明においては、喫煙者の手の位置が、加熱要素から発せられる熱がおよそ届くことのないほど「基体部分1」から離れていると特定されてい るものでもない。 また、上記②については、前記bのとおり、金属が耐熱性及び熱反射性の点において熱絶縁要素としてふさわしいものであることは周知であり、熱伝導性が高い金属を熱絶縁要素として用いるに当たっては、使用者に熱を伝えないような構成にすればよいから、熱伝導性を理由として熱絶縁要素に金属を含ませる動機付けが否定されるものではな い。 さらに、上記③については、熱絶縁要素の形状や材料は様々なものが考えられるから、必ずしも「基体部分1」の周囲に金 て熱絶縁要素に金属を含ませる動機付けが否定されるものではな い。 さらに、上記③については、熱絶縁要素の形状や材料は様々なものが考えられるから、必ずしも「基体部分1」の周囲に金属を含む熱絶縁要素を配置することが困難であるとはいえない。乙68公報の【図5】(Fig.5)のとおり、「キャップ52」を旋回して開け、そ の開口部から「基体部分1」をハウジングに挿入するとしても、熱絶縁要素を設ける余地が全くないわけではないし、そもそも上記【図5】(Fig.5)は乙68発明の一実施例を示すものにすぎない。 したがって、原告の上記各主張はいずれも理由がない。 (2) 小括 以上を総合すると、その余の点を判断するまでもなく、本件各発明は、乙68発明を主引用発明とし、これに周知技術を組み合わせることにより、容易に発明することができたといえるから、本件各特許は無効にされるべきものと認められ、原告は被告に対しその権利を行使することができない(特許法104条の3第1項、123条1項2号、29条2項)。 第5 結論以上の次第で、原告の請求は、被告製品2についての間接侵害の成否を判断するまでもなく、いずれも理由がないから、これらを棄却することとして、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第29部 裁判長裁判官 國分隆文 裁判官 小川暁 裁判官 小川暁 裁判官 間明宏充 (別紙) 物件目録 以下の商品名及びモデル番号の加熱式喫煙具 1 商品名 glo モデル番号 G001 2 商品名 glo モデル番号 G002 3 商品名 glo モデル番号 G003 4 商品名 glo モデル番号 G004ただし、GLO、Gloと表記されるものを含む。 以上 (別紙) 本件図面目録 【図2e】 【図4】 【図5a】 【図5b】 以上 (別紙) 乙68図面目録 以上 (別紙) 周知技術図面目録 以上 以上

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