主文 原告の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は,原告の負担とする。 事実 及び理由第1請求処分行政庁が原告に対し平成18年2月28日付けでした,原告の平成14年分,平成15年分及び平成16年分の所得税に係る各更正処分のうち,平成14年分の総所得金額254万0962円,納付すべき税額13万8400円を超える各部分,平成15年分の総所得金額315万1604円,納付すべき税額19万2800円を超える各部分及び平成16年分の総所得金額314万5812円,納付すべき税額18万4300円を超える各部分並びに上記各年分の所得税に係る過少申告加算税の各賦課決定処分を取り消す。 第2事案の概要本件は,柔道整復師である原告が,平成14年から平成16年までの各年分の所得税について,租税特別措置法26条1項(社会保険診療報酬の所得計算の特例)の適用を前提として同項所定の率の必要経費を控除して確定申告をしたところ,処分行政庁から,柔道整復師は同項に規定する「医業又は歯科医業を営む個人」に当たらないことを理由として各更正処分(以下「本件各更正処分」という。)及び過少申告加算税の各賦課決定処分(以下,「本件各賦課決定処分」といい,本件各更正処分と併せて「本件各処分」という。)を受けたのを不服として,本件各更正処分のうち原告の各申告額を超える部分及び本件各賦課決定処分の取消しを求めている事案である。 関連法令の定め(1)租税特別措置法26条1項「医業又は歯科医業を営む個人」が,各年において,社会保険診療(同条2項各号に掲げる給付(健康保険法その他の諸法律の規定に基づく療養,更 生医療,養育医療,育成医療,療育又は医療の給付)又は医療,介護,助産若しくはサービスをいう。後記(8)イを除き,以下同じ。)につき支払を受けるべき金額 険法その他の諸法律の規定に基づく療養,更 生医療,養育医療,育成医療,療育又は医療の給付)又は医療,介護,助産若しくはサービスをいう。後記(8)イを除き,以下同じ。)につき支払を受けるべき金額を有する場合において当該支払を受けるべき金額が5000万円以下であるときは,その年分の事業所得の金額の計算上,当該社会保険診療に係る費用として必要経費に算入する金額は,当該支払を受けるべき金額の2500万円以下の部分についてはその72パーセント,2500万円を超え3000万円以下の部分についてはその70パーセント,3000万円を超え4000万円以下の部分についてはその62パーセント,4000万円を超え5000万円以下の部分についてはその57パーセントに相当する金額の合計額とする(租税特別措置法26条1項)。 (2)所得税法155条2項税務署長は,居住者の提出した青色申告書に係る年分の総所得金額,退職所得金額若しくは山林所得金額又は純損失の金額の更正(不動産所得の金額,事業所得の金額及び山林所得の金額以外の各種所得の金額の計算又は所得税法69条から71条までの規定の適用について誤りがあったことのみに基因するものを除く。)をする場合には,その更正に係る国税通則法第28条2項(更正通知書の記載事項)に規定する更正通知書にその更正の理由を附記しなければならない(所得税法155条2項)。 (3)所得税法施行令207条ア所得税法73条1項に規定する医療費とは,医師又は歯科医師による診療又は治療,治療又は療養に必要な医薬品の購入その他医療又はこれに関連する人的役務の提供の対価のうち通常必要であると認められるものとして政令で定めるものをいう(同条2項)。 イ上記アの所得税法73条2項(医療費の範囲)に規定する政令で定める対価は,次に掲げるものの対価 人的役務の提供の対価のうち通常必要であると認められるものとして政令で定めるものをいう(同条2項)。 イ上記アの所得税法73条2項(医療費の範囲)に規定する政令で定める対価は,次に掲げるものの対価のうち,その病状その他財務省令で定める状況に応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額とする (所得税法施行令207条)。 ①医師又は歯科医師による診療又は治療(1号)②治療又は療養に必要な医薬品の購入(2号)③病院,診療所(これに準ずるものとして財務省令で定めるものを含む。)又は助産所へ収容されるための人的役務の提供(3号)④あん摩マツサージ指圧師,はり師,きゆう師等に関する法律(昭和22年法律第217号。以下「あん摩師等法」という。)3条の2(名簿)に規定する施術者(同法12条の2第1項(医業類似行為を業とすることができる者)の規定に該当する者を含む。)又は柔道整復師法2条1項(定義)に規定する柔道整復師による施術(4号)⑤保健師,看護師又は准看護師による療養上の世話(5号)⑥助産師による分べんの介助(6号)(4)柔道整復師法(昭和45年法律第19号)ア柔道整復師法において,「柔道整復師」とは,厚生労働大臣の免許を受けて,柔道整復を業とする者をいい(同法2条1項),「施術所」とは,柔道整復師が柔道整復の業務を行う場所をいう(同条2項)。 イ医師である場合を除き,柔道整復師でなければ,業として柔道整復を行ってはならない(同法15条)。 ウ柔道整復師は,外科手術を行い,又は薬品を投与し,若しくはその指示をする等の行為をしてはならない(同法16条)。 エ柔道整復師は,医師の同意を得た場合のほか,脱臼又は骨折の患部に施術をしてはならない。ただし,応急手当をする場合は,この限りでない(同法17条)。 (5) 行為をしてはならない(同法16条)。 エ柔道整復師は,医師の同意を得た場合のほか,脱臼又は骨折の患部に施術をしてはならない。ただし,応急手当をする場合は,この限りでない(同法17条)。 (5)あん摩師等法(以下,柔道整復師法(昭和45年法律第19号)による改正前のもの(題名・あん摩マツサージ指圧師,はり師,きゆう師,柔道整復師等に関する法律)を「旧あん摩師等法」という。) アあん摩師等法(現行)(ア)医師以外の者で,あん摩,マッサージ若しくは指圧,はり又はきゅうを業としようとする者は,それぞれ,あん摩マッサージ指圧師免許,はり師免許又はきゅう師免許を受けなければならない(あん摩師等法1条)。 (イ)何人も,同法1条に掲げるものを除くほか,医業類似行為を業としてはならない。ただし,柔道整復を業とする場合については,柔道整復師法の定めるところによる(同法12条)。 (ウ)旧あん摩師等法の公布の際引き続き3か月以上同法1条に掲げるもの以外の医業類似行為を業としていた者であって,昭和39年法律第120号による改正前の旧あん摩師等法19条1項の規定による届出をしていたものは,あん摩師等法12条の規定にかかわらず,当該医業類似行為を業とすることができる。ただし,その者が同法1条に規定する免許(柔道整復師の免許を含む。)を有する場合は,この限りでない(同法12条の2第1項)。 イ旧あん摩師等法(ア)医師以外の者で,あん摩,マッサージ若しくは指圧,はり,きゅう又は柔道整復を業としようとする者は,それぞれ,あん摩マッサージ指圧師免許,はり師免許,きゅう師免許又は柔道整復師免許を受けなければならない(旧あん摩師等法1条)。 (イ)何人も,同法1条に掲げるものを除くほか,医業類似行為を業としてはならない(同法12条)。 (6)医師 師免許,きゅう師免許又は柔道整復師免許を受けなければならない(旧あん摩師等法1条)。 (イ)何人も,同法1条に掲げるものを除くほか,医業類似行為を業としてはならない(同法12条)。 (6)医師法17条医師でなければ,医業をしてはならない(医師法17条)。 (7)医療法1条の2第1項医療は,生命の尊重と個人の尊厳の保持を旨とし,医師,歯科医師,薬剤 師,看護師その他の医療の担い手と医療を受ける者との信頼関係に基づき,及び医療を受ける者の心身の状況に応じて行われるとともに,その内容は,単に治療のみならず,疾病の予防のための措置及びリハビリテーションを含む良質かつ適切なものでなければならない(医療法1条の2第1項)。 (8)地方税法(平成19年法律第4号による改正前のもの。以下同じ。)ア(ア)個人の行う事業に対する事業税は,個人の行う第一種事業,第二種事業及び第三種事業に対し,所得を課税標準として事務所又は事業所所在の道府県において,その個人に課する(地方税法72条の2第3項)。 (イ)上記(ア)の「第三種事業」とは,次に掲げるものをいう(同条9項)。 ①医業(1号)②歯科医業(2号)③薬剤師業(3号)④助産師業(4号)⑤あん摩,マッサージ又は指圧,はり,きゅう,柔道整復その他の医業に類する事業(両眼の視力を喪失した者その他これに類する政令で定める視力障害のある者が行うものを除く。)(5号)⑥獣医業(6号)⑦装蹄師業(7号)⑧弁護士業(8号),司法書士業(9号),行政書士業(10号),公証人業(11号),弁理士業(12号),税理士業(13号),公認会計士業(14号),計理士業(15号)及び社会保険労務士業(15号の2)⑨コンサルタント業(15号の3),設計監督者業(16号),不動産鑑定業(16号の 業(12号),税理士業(13号),公認会計士業(14号),計理士業(15号)及び社会保険労務士業(15号の2)⑨コンサルタント業(15号の3),設計監督者業(16号),不動産鑑定業(16号の2),デザイン業(16号の3)及び諸芸師匠業(17号) ⑩理容業(18号),美容業(18号の2),クリーニング業(19号)及び公衆浴場業(政令で定める公衆浴場業を除く。20号)⑪上記①から⑩までに掲げる事業に類する事業で政令で定めるものイ上記ア(イ)①から⑤まで(同条9項1号から5号まで)に掲げる事業を行う個人が社会保険診療(同法72条の23第2項各号に掲げる給付(健康保険法その他の諸法律の規定に基づく療養,更生医療,養育医療,育成医療,療育又は医療の給付)又は医療,介護,助産若しくはサービス)につき支払を受けた金額は,総収入金額に算入せず,また,当該社会保険診療に係る経費は,必要な経費に算入しない(地方税法72条の49の8第1項ただし書)。 前提事実(争いのない事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1)昭和31年に発出された通達(昭31.1.25直所2-8)(以下「本件通達」という。)には,租税特別措置法26条に規定する「医業及び歯科医業」とは,医師又は歯科医師による医業又は歯科医業をいうものであるから,助産婦,あん摩師,はり師,きゅう師,柔道整復師等による助産婦業,あん摩業,はり業,きゅう業,柔道整復業等は含まれないことに留意する旨が記載されていたところ,同通達は,平成12年に廃止された。(乙11)(2)原告は,柔道整復師の免許を受け,遅くとも平成12年5月ころから柔道整復業を営んでいる者である。(弁論の全趣旨)(3)原告は,平成14年分の所得税につき総所得金額254万0962円,納 (2)原告は,柔道整復師の免許を受け,遅くとも平成12年5月ころから柔道整復業を営んでいる者である。(弁論の全趣旨)(3)原告は,平成14年分の所得税につき総所得金額254万0962円,納付すべき税額13万8400円,平成15年分の所得税につき総所得金額315万1604円,納付すべき税額19万2800円,平成16年分の所得税につき総所得金額314万5812円,納付すべき税額18万4300円(ただし,ここにいう平成16年分の納付すべき税額は,予定納税額合計 12万8400円を控除する前の金額(平成16年分所得税更正通知書(甲3)にいう<35>「申告納税額」)であり,予定納税額控除後の納付すべき税額(同更正通知書にいう「確定納税額」のうちの<38>「納付すべき税額」)は5万5900円である。以下,後記(4),(6)及び第3の6において,同年分の所得税について「納付すべき税額」というときは,後者を指す。)とする各確定申告を各申告期限内に行った。 (4)処分行政庁は,平成18年2月28日,別紙1「本件更正処分等の経緯」の各年分「更正処分等」欄記載のとおり,本件各処分をした。その後の異議申立て及び審査請求並びにこれらに対する決定及び裁決の経緯は,同別紙記載のとおりである。(甲1ないし8)(5)原告は,平成19年8月3日,本件訴訟を提起した。(顕著な事実)(6)本件各更正処分及び本件各賦課決定処分の根拠及び計算は,別紙2「課税の根拠及び計算」記載のとおりである。 争点 (1)原告(柔道整復師)が租税特別措置法26条1項にいう「医業又は歯科医業を営む個人」に該当するかどうか(同項の適用の有無)。 (2)本件各処分の理由附記に不備があるかどうか。 (3)本件各処分は信義則に違反するかどうか。 (4)本件各処分は憲法84条の租税 歯科医業を営む個人」に該当するかどうか(同項の適用の有無)。 (2)本件各処分の理由附記に不備があるかどうか。 (3)本件各処分は信義則に違反するかどうか。 (4)本件各処分は憲法84条の租税法律主義に反するかどうか。 (5)本件各処分は憲法14条の法の下の平等に違反するかどうか。 争点に関する当事者の主張の要旨(1)原告(柔道整復師)が租税特別措置法26条1項にいう「医業又は歯科医業を営む個人」に該当するかどうか(同項の適用の有無)(争点(1))。 (被告の主張の要旨)租税特別措置法26条1項の特例は,従来行われていた医師及び歯科医師の社会保険診療の収入による所得に対する課税上の取扱いを法制化したもの であり,上記特例にいう「医業又は歯科医業を営む個人」とは,医師及び歯科医師並びに医師又は歯科医師を雇用して医業又は歯科医業を営む個人をいうと解される。単に医師及び歯科医師と規定されなかったのは,医師又は歯科医師でない無資格者であっても,開設地の都道府県知事の許可を受けて,病院又は診療所を開設することができ(医療法7条1項),こうした病院又は診療所も上記特例の対象とする必要があったためである。したがって,上記特例は,柔道整復業を営む者には,適用されない。 原告は,柔道整復は医行為に該当し,これを業として行うことは「医業」に当たる旨主張するが,柔道整復は医業類似行為に含まれ,医行為ではない。 (原告の主張の要旨)租税特別措置法26条1項には,柔道整復師を除外する旨の定めはない。 むしろ,柔道整復業の性質,あん摩師等法1条,12条,柔道整復師法2条,15条,17条及び医師法17条の各趣旨,これまで行政庁により発出されている累次の通知の内容,所得税法施行令207条及び地方税法上,柔道整復師と医師とが同じ取扱いをされていること等によれ 師法2条,15条,17条及び医師法17条の各趣旨,これまで行政庁により発出されている累次の通知の内容,所得税法施行令207条及び地方税法上,柔道整復師と医師とが同じ取扱いをされていること等によれば,柔道整復師は医療法1条の2にいう「その他の医療の担い手」に当たり,柔道整復を業とすることは,医業に当たるというべきである(特に,柔道整復師法の制定に際し,あん摩師法において,柔道整復師は明らかに医業類似行為の主体から除外されているのであり,同法の立法経過からも,柔道整復師が医業の主体として位置付けられていることは明らかである。)。医師法17条の解釈としても,脱臼又は骨折の患部に対する柔道整復の施術を業として行うことは,同条にいう「医業」の一部とみなされるとの厚生省の回答(乙1)がある。したがって,柔道整復業を営む者は,上記特例にいう「医業又は歯科医業を営む個人」に該当する。 (2)本件各処分の理由附記に不備があるかどうか(争点(2))。 (原告の主張の要旨) 本件各処分には,前記特例にいう「医業又は歯科医業を営む個人」を具体的に定義する法律上の根拠及び柔道整復師がこれに該当しないとする法律上の根拠が全く示されておらず,原告がこれらの点を明らかにするよう求めても,処分行政庁は一切回答しなかった。したがって,本件各処分は,所得税法155条2項に違反する。 (被告の主張の要旨)本件は,納税者と法的見解を異にすることを理由とする,いわゆる評価否認の場合であり,本件各処分においては,本件特例を適用することができない理由として,原告が上記特例にいう「医業又は歯科医業を営む個人」に当たらないと明示した上で,本件特例を適用しないで算定した事業所得の金額を明示しているのであるから,処分理由の記載は十分に具体的であり,処分行政庁の恣意抑制及び不服申立 業又は歯科医業を営む個人」に当たらないと明示した上で,本件特例を適用しないで算定した事業所得の金額を明示しているのであるから,処分理由の記載は十分に具体的であり,処分行政庁の恣意抑制及び不服申立ての便宜という理由附記の制度の趣旨・目的に照らし,その記載の程度に何ら欠けるところはないというべきである。 (3)本件各処分は信義則に違反するかどうか(争点(3))。 (原告の主張の要旨)原告は,平成12年分の確定申告の際,豊島税務署,所沢税務署及び東京国税局税務相談室から,原告の問い合わせに対し,柔道整復師に租税特別措置法26条1項が適用される旨の回答を受け,その後も,同項の適用を前提として確定申告をしてきたが,本件各処分の税務調査まで,何らの指導もなく,従前の確定申告が是認されてきたのであるから,本件各処分は信義則に反する。 (被告の主張の要旨)信義則の法理の適用の是非については,税務官庁が納税者に対し信頼の対象となる公的見解を表示したことにより,納税者がその表示を信頼してその信頼に基づいて行動したところ,後に当該表示に反する課税処分が行われ,そのために納税者が経済的不利益を受けることになったものであるかどうか 等を考慮して判断すべきところ,本件では,税務官庁が原告に対し公的見解を表示した事実はなく,また,申告額を超えて課税していない状況があったとしても,これによって税務官庁が公的見解を表示したことにならないことも明らかである。 (4)本件各処分は憲法84条の租税法律主義に反するかどうか(争点(4))。 (原告の主張の要旨)本件通達には,柔道整復師は医業及び歯科医業に含まれない旨の定めがあったが,この通達は平成12年に廃止されたのであるから,この通達を根拠として租税特別措置法26条1項を解釈することは,憲法84条に違反する。 (被 柔道整復師は医業及び歯科医業に含まれない旨の定めがあったが,この通達は平成12年に廃止されたのであるから,この通達を根拠として租税特別措置法26条1項を解釈することは,憲法84条に違反する。 (被告の主張の要旨)法令の解釈を示した通達の発出後,当該通達に示された解釈が長期間にわたり反復継続された結果,当該解釈が関係行政機関全体で統一されるに至った場合には,行政の統一性の確保という通達発出の目的が達成されたことにより,当該通達が廃止されることがあるが,この場合であっても,関係行政機関は,当該通達の廃止後も,既に確立された統一的解釈を行うべきものである。本件通達は,上記のとおり,その内容とする解釈が関係行政機関全体で統一的に行われ,通達発出の目的が達成されたことにより,平成12年に廃止されたものである。 (5)本件各処分は憲法14条の法の下の平等に違反するかどうか(争点(5))。 (原告の主張の要旨)被告の解釈によれば,柔道整復師が医師を雇用し,その医師に柔道整復の施術をさせたときは,前記特例が適用され,医師を雇用しない柔道整復師が柔道整復の施術を施した場合には,同じ柔道整復の施術を施しているのに適用されないという不平等が生じる。また,柔道整復師は医療従事者に関する法体系の中に位置付けられ,法律上は医師と全く同格であるにもかかわらず,前記特例の適用を受けられないのは,合理性がなく,憲法14条に違反する。 第3争点に対する判断 争点(1)(租税特別措置法26条1項の適用の有無)について(1)被告は,租税特別措置法26条1項にいう「医業又は歯科医業を営む個人」とは,医師及び歯科医師並びに医師又は歯科医師を雇用して医業又は歯科医業を営む個人をいい,柔道整復の施術は,医業類似行為に含まれるのであるから,柔道整復師はこれに含まれない 又は歯科医業を営む個人」とは,医師及び歯科医師並びに医師又は歯科医師を雇用して医業又は歯科医業を営む個人をいい,柔道整復の施術は,医業類似行為に含まれるのであるから,柔道整復師はこれに含まれない旨主張する。 これに対し,原告は,柔道整復は,本来,医業に当たり,医師でなければ業として行ってはならないものであるが,法律に特別の定めがあるため,医師でない者が行うことが許されるとの見解を前提として,柔道整復師は「医業又は歯科医業を営む個人」に当たる旨主張する。 そこで,以下,租税特別措置法26条1項の特例規定の立法趣旨(後記(2)及び(3)),関係法律上の「医業」及び「医業類似行為」の概念との関係(後記(4))について,順次検討する。 (2)前記前提事実,証拠(乙3,5,10ないし14)及び弁論の全趣旨によれば,租税特別措置法26条1項の特例規定の制定過程及び制定後の運用について,以下の事実が認められる。 ア昭和26年,医師の社会保険診療報酬の単価の引上げを求める要望があったことから,昭和26年及び昭和27年分の所得税については,国税庁の運用上の特別措置として,医師の社会保険診療報酬の所得率(収入に対する所得の割合)を一律に30パーセント(状況によっては35パーセント)とする取扱いがとられた(乙5)。 イ昭和28年には,上記アの運用上の特別措置はとられなかったが,昭和29年の第20回国会で,租税特別措置法が改正され,改正後の同法26条1項において,医業又は歯科医業を営む個人が,各年において,所定の支払を受けるべき金額がある場合において,その年分の医療等に係る経費として必要な経費に算入する金額は,当該支払を受けるべき金額の72パ ーセントに相当する金額とする旨の特例が定められた(乙5)。 ウ上記イの租税特別措置法26条1項の特例規定の 医療等に係る経費として必要な経費に算入する金額は,当該支払を受けるべき金額の72パ ーセントに相当する金額とする旨の特例が定められた(乙5)。 ウ上記イの租税特別措置法26条1項の特例規定の制定過程(国会審議)において,政府委員からは,同規定は,従来国税庁が行っていた上記アの運用上の特別措置を法制化したものである旨の説明がされた(乙3)。 そして,昭和30年に公刊された当時の国税庁所得税課の職員の執筆に係る同規定の解説には,(a)同規定は,本来は医師又は歯科医師を対象として設けられたものであるが,医師又は歯科医師ではないが医師又は歯科医師を雇用して医業又は歯科医業を行う者も併せて対象とする必要があったため,「医業又は歯科医業を営む個人」という文言になったとの説明に加え,(b)したがって,同規定は,医師若しくは歯科医師又は医師若しくは歯科医師を雇用して医業若しくは歯科医業を行う者に限り適用され,助産婦や柔道整復師には適用されない旨の解釈が記載されていた(乙5)。 エ昭和31年には,租税特別措置法26条1項の適用対象である「医業又は歯科医業」の範囲について,国税庁長官により,本件通達が発出された。 同項の規定の解釈に関する本件通達の内容は,上記ウ(b)と同旨であった(乙11)。 オ本件通達は,平成12年に廃止されたが,その後も,平成15年に公刊された東京国税局の職員の執筆に係る同規定の解説には,本件通達及び上記ウの解説と同旨の説明が記載されている(乙13)。 (3)そして,上記(2)の認定に係る租税特別措置法26条1項が医師に対する国税庁の運用上の特別措置を法制化した特例規定であるという制定の趣旨・沿革,同規定の文言の立案の経緯,同規定の制定当時の国税庁の解釈及び同規定の制定後の運用を踏まえると,租税特別措置法26条1項にいう「医 の運用上の特別措置を法制化した特例規定であるという制定の趣旨・沿革,同規定の文言の立案の経緯,同規定の制定当時の国税庁の解釈及び同規定の制定後の運用を踏まえると,租税特別措置法26条1項にいう「医業又は歯科医業を行う者」とは,同規定の立法趣旨に沿った解釈としては,医師若しくは歯科医師又は医師若しくは歯科医師を雇用して医業若しくは歯科医業を行う者をいうものであり,柔道整復師はこれに含まれないと解するの が相当である。 (4)次に,この点に関し,関係法律上の「医業」及び「医業類似行為」の概念との関係について検討する。 ア医師法17条は,医師でなければ医業をしてはならないと定めているところ,ここにいう「医業」とは,反復継続する意思で医行為を行うことをいい(大審院大正5年2月5日判決・刑録22輯109頁参照),医行為とは,人の疾病の診療を目的とする行為であって,医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼすおそれのある行為をいうと解するのが相当である(最高裁昭和30年5月24日第三小法廷判決・刑集9巻7号1093頁,同昭和34年7月8日大法廷判決・刑集13巻7号1132頁参照。なお,乙6参照)。 これに対し,柔道整復とは,打撲,捻挫,脱臼,骨折等に対して,応急的又は医療補助的方法により,その回復を図る施術をいうものと解される(乙6参照)ところ,これらの措置の一部に上記医行為に重複するものがあり得るとしても,柔道整復師による施術は,医師とはその資格・技能を異にしている以上,上記措置の限られた一部が重複することから直ちに,柔道整復が上記医行為と一般的に同質のものであるということはできない。 イそして,あん摩師等法12条は,本文において,何人も医業類似行為を業としてはならないとの原則を定めた上で,その例外として,同法1 道整復が上記医行為と一般的に同質のものであるということはできない。 イそして,あん摩師等法12条は,本文において,何人も医業類似行為を業としてはならないとの原則を定めた上で,その例外として,同法1条に掲げるあん摩マッサージ指圧師免許,はり師免許又はきゅう師免許を受けている場合を挙げるとともに,ただし書において,柔道整復を業とする場合については,柔道整復師法の定めるところによると定めている。また,あん摩師等法12条の2も,ただし書において,例外的に同法の公布前から引き続き医業類似行為を業とすることができる者として,柔道整復師の免許を有する者を,あん摩マッサージ指圧師,はり師又はきゅう師の免許を有する者と並列して掲げている。 上記の各規定の文言・内容によれば,あん摩師等法12条及び12条の2は,柔道整復が,あん摩,マッサージ,指圧,はり及びきゅうと同様に,医業類似行為に含まれることを前提とした上で,医業類似行為としての柔道整復を業として行うことの一般的な禁止の例外として,柔道整復師の免許を有する場合その他の柔道整復師法の定めによる場合を掲げているものと解するのが相当である(後記エのとおり,同法による改正後,あん摩師等法12条の文言上,ただし書の規定形式が採られたことにより,そのことはより明らかになったものといえる。なお,上記改正前の旧あん摩師等法における同条につき,最高裁昭和39年5月7日第一小法廷判決・刑集18巻4号144頁も,同条の文言上,柔道整復が医業類似行為の例示と解し得ることに言及している。)。 ウ上記ア及びイに検討したところにかんがみると,関係法律の体系上,柔道整復は,医行為としての医業でなく,医業類似行為として位置付けられており(後記(6)オのとおり,地方税法72条の2第9項5号も,柔道整復をあん摩,マッサージ, にかんがみると,関係法律の体系上,柔道整復は,医行為としての医業でなく,医業類似行為として位置付けられており(後記(6)オのとおり,地方税法72条の2第9項5号も,柔道整復をあん摩,マッサージ,指圧,はり及びきゅうとともに「医業に類する事業」の例示として掲げている。),その主体である柔道整復師も,医業の主体である医師とは異なる位置付けをされていると解するのが相当である。現に,衆議院議員の質問趣意書に対する内閣総理大臣の平成18年5月23日付け答弁書においても,政府見解として,あん摩師等法及び柔道整復師法に定める柔道整復は,あん摩,マッサージ,指圧,はり及びきゅうと同様に,医業類似行為であるとの解釈が明確に示されており(乙18の1・2),この政府見解の解釈も,上記と同様の趣旨によるものと解される。 エこれに対し,原告は,柔道整復師法の制定に際し,あん摩師法において,柔道整復師は明らかに医業類似行為の主体から除外されているのであり,同法の立法経過からも,柔道整復師が医業の主体として位置付けられてい ることは明らかである旨主張する。 しかしながら,前記のとおり,あん摩師等法が,12条本文において医業類似行為の禁止の原則を定める一方で,柔道整復師法の制定に伴う改正により設けられた12条ただし書及び12条の2ただし書において,その例外として柔道整復師の業務について明示的に規定していることによれば,柔道整復師法の制定後も,柔道整復師の業務は,法形式上はあん摩師等法とは別の単行法しての柔道整復師法によって規制されることになったが,その医業類似行為としての位置付け及び規制の内容は,同法の制定の前後を通じて何ら変わりがないと解するのが相当であり,柔道整復師の業務が医業類似行為として位置付けられることは,同法の制定後のあん摩師等法12条におい としての位置付け及び規制の内容は,同法の制定の前後を通じて何ら変わりがないと解するのが相当であり,柔道整復師の業務が医業類似行為として位置付けられることは,同法の制定後のあん摩師等法12条において上記ただし書の規定形式が採られたことによって,むしろより明らかになったものということができる。そして,このことは,柔道整復師法の制定に際して,医療法,医師法等の医業に関連する諸規定について何らの手当もされていないこと(例えば,柔道整復師法24条には,柔道整復師の広告の制限が定められているが,「医業」の広告に関する医療法6条の5には,医業が専ら医師によって行われるものであることを前提とした規制が定められており(同条1項1号等),同条において柔道整復師の広告については何ら言及されていない。)からも容易にうかがわれるというべきである。以上によれば,柔道整復師法の立法経過から柔道整復師が医業の主体として位置付けられていることが明らかである旨の原告の上記主張は,関係法律の解釈として到底採り得ないものといわざるを得ない。 (5)そうすると,柔道整復は医業類似行為に当たり,柔道整復師は医業類似行為を行う者というべきであるから,柔道整復師が租税特別措置法26条1項にいう「医業又は歯科医業を行う個人」に含まれないとの上記(3)の立法趣旨に沿った解釈は,関係法律上の「医業」及び「医業類似行為」の概念と も整合する相当なものであるということができる。 (6)アこれに対し,原告は,すべての医業類似行為は一切許容されないものであることを前提として,柔道整復業が,あん摩,マッサージ,指圧,はり及びきゅうの各業と同様に法律によって許容されていることは,これらの施術が医療類似行為に該当しないことの証左である旨主張し,甲22の意見書には,これに沿う部分がある。しか 摩,マッサージ,指圧,はり及びきゅうの各業と同様に法律によって許容されていることは,これらの施術が医療類似行為に該当しないことの証左である旨主張し,甲22の意見書には,これに沿う部分がある。しかしながら,上記(4)のとおり,あん摩師等法の規定(旧規定を含む。)は,柔道整復が,あん摩,マッサージ,指圧,はり及びきゅうと同様に,医業類似行為に含まれることを前提とした上で,医業類似行為を業とすることの一般的な禁止に対する法律の定めによる例外として,同法又は柔道整復師法の定めにより柔道整復業が許容される場合を規定しているものと解されるので,上記主張は理由がない。 なお,原告は,医業類似行為の概念等につき,①最高裁35年1月27日大法廷判決・刑集14巻1号33頁,②同判決に関する厚生省(当時)医務局長の各都道府県知事あて通知(昭和35年医発247の1「いわゆる無届医業類似行為業に関する最高裁判所の判決について」。乙2),③厚生省職員の執筆に係る文献(甲9,10)の記載内容をその主張の根拠として挙げるが,上記①の最高裁判決は,旧あん摩師等法12条が,同条1項に掲げるものを除くほか,医業類似行為を業としてはならないと規定していること及びその理由(当該業務行為が人の健康に害を及ぼすおそれと公共の福祉)を,同条違反行為の処罰の適法性に関する判断の中で説示しており,これは,前掲最高裁昭和39年5月7日第一小法廷判決と同様,柔道整復業も医業類似行為に含まれ,同法の定める要件の下で許容されていることを前提とする趣旨であると解することができ,上記②の通知も,その内容にかんがみ,同旨のものと解されるし,上記③の文献は,法に定める要件を有する者以外の者による医業類似行為を禁止した趣旨を説明す る(甲10の92頁等)とともに,このように法令上禁止される狭義 内容にかんがみ,同旨のものと解されるし,上記③の文献は,法に定める要件を有する者以外の者による医業類似行為を禁止した趣旨を説明す る(甲10の92頁等)とともに,このように法令上禁止される狭義の医業類似行為について論ずるなど,全体として,あん摩師等法12条等(旧規定を含む。)の規範の前提として広義の医業類似行為(特に法令上許容される医業類似行為)に柔道整復が含まれることと整合的に解し得るものといえる(甲10の97,98頁参照)ので,いずれも,上記(4)の判断を左右するに足りるものとは解されない。 イ原告は,柔道整復師法15条が,医師である場合を除き,柔道整復師でなければ業として柔道整復を行ってはならない旨定め,同法17条が,柔道整復師は,医師の同意を得た場合のほか,脱臼又は骨折の患部に施術してはならないが,応急手当をする場合はこの限りでない旨定めていることから,柔道整復師は医師の業務の一部を行うことができるとして,柔道整復師が行う業務は医業の一部である旨主張し,その根拠として,昭和25年2月16日付け厚生省医務課長の山形県知事あて回答(昭和25年医収第97号。乙1)に,脱臼又は骨折の患部に対する柔道整復の施術を業として行うことは「理論上医師法第17条に所謂「医業」の一部と看做される」旨の記載があることを指摘する。 しかしながら,乙1によれば,上記回答は,当時の旧あん摩師等法(当時の題名は「あん摩,はり,きゅう,柔道整復等営業法」)5条(現行の柔道整復師法17条に相当)が,あん摩師及び柔道整復師が原則として医師の同意を得た場合のほか脱臼又は骨折の患部に施術をしてはならないと定めていることを踏まえて,医師の免許を受けずに柔道整復を業としている者が業として脱臼又は骨折の患部に施術をした場合には,医師法17条違反として処罰すべきか, 又は骨折の患部に施術をしてはならないと定めていることを踏まえて,医師の免許を受けずに柔道整復を業としている者が業として脱臼又は骨折の患部に施術をした場合には,医師法17条違反として処罰すべきか,当時の旧あん摩師等法1条違反として処罰すべきかという照会に対する回答である。上記の場合,脱臼又は骨折の患部に対する措置が,医師により医行為として行われる場合と,柔道整復師により柔道整復の施術として行われる場合の双方があり得ることから,その意 味では,両者の各措置の内容の一部が重複することはあり得るところであるが,そうであるとしても,前記(4)アで検討したところに加え,当該患部への柔道整復の施術の適応に医師の同意又は応急手当を要件とする制限が課せられていることからもうかがわれるように,柔道整復による施術は,医師とはその資格・技能を異にしている以上,医行為とは性質を異にするものであり,当時の旧あん摩師等法5条及び柔道整復師法17条の各規定も,上記のとおり当該患部への柔道整復の施術が例外的に許容される場合の要件を定めたものにすぎず,柔道整復師法15条の規定を含め,柔道整復師が医業類似行為としての施術の範囲を超えて医行為を行うことまで許容するものとは解されない。上記回答も,こうした理解を前提とした上で,免許を受けないで柔道整復を業とする者が業として脱臼又は骨折に対する施術を行った場合,理論上,その施術が医師法17条に違反し同法の処罰規定の構成要件に該当するものと構成することもできる旨を述べた上で,当該場合には,当時の旧あん摩師等法違反として処罰されるべきことを回答したにとどまるものと解されるのであり,柔道整復が一般的に医行為に当たる旨を述べたものとみることはできない。したがって,上記回答は,関係法律の体系において柔道整復が医業類似行為として位 きことを回答したにとどまるものと解されるのであり,柔道整復が一般的に医行為に当たる旨を述べたものとみることはできない。したがって,上記回答は,関係法律の体系において柔道整復が医業類似行為として位置付けられるとの上記(4)の判断を左右するものとは解されない。 ウ原告は,柔道整復師は,医療法1条の2にいう「その他の医療の担い手」に含まれるから,柔道整復が医行為に当たる旨主張するが,上記イのとおり,柔道整復師が柔道整復師法17条の要件(医師の同意又は応急手当)を満たす場合に,例外的に,医師による医行為と重複する内容の施術(脱臼・骨折の患部への施術)が許容されるとしても,そのことから,柔道整復が一般的に医行為に当たるということはできず,上記(4)のとおり,あん摩師等法(旧規定を含む。)及び柔道整復師法等の定め,柔道整復の施術の性質・内容等によれば,柔道整復は医業類似行為に当たると解する のが相当であるから,上記主張は採用することができない。 エ原告は,所得税法施行令207条が,医療費の範囲について,柔道整復師による施術の対価を掲げ,かつ,その施術と医師又は歯科医師による診療又は治療とで同じ取扱いを定めていることから,柔道整復業は医業に当たる旨主張する。 しかしながら,同条4号が,柔道整復師による施術のみならず,あん摩マッサージ指圧師,はり師及びきゅう師による施術を併せて列記し,かつ,あん摩師等法12条の2により「医業類似行為を業とすることができる者」による施術を含む旨を明記していること,同条3号が病院,診療所等又は助産所へ収容されるための人的役務の提供の対価を,同条5号が保健師,看護師又は准看護師による療養上の世話の対価を,同条6号が助産師による分べんの介助を対象としていること等にかんがみると,上記所得税法施行令207条の定めは, 的役務の提供の対価を,同条5号が保健師,看護師又は准看護師による療養上の世話の対価を,同条6号が助産師による分べんの介助を対象としていること等にかんがみると,上記所得税法施行令207条の定めは,医業の対価に加え,医業類似行為の対価を広く対象とし,医療に関連する行為以外の行為の対価も一定の範囲で対象に含めた上で,これらを包括的に所得控除の対象として規定したものということができるので,同条の定めの存在及び内容は,柔道整復が医業類似行為に当たるとの上記判断を左右するものではなく,むしろこれと整合するものというべきである。 オ原告は,地方税法(平成19年法律第4号による改正前)72条の2第3項,第9項及び72条の49の8も,同様に,柔道整復師による施術と医師又は歯科医師による診療又は治療とで同じ取扱いをしていることから,柔道整復業は医業に当たる旨主張する。しかしながら,同法72条の2第9項が,5号において,柔道整復をあん摩,マッサージ,指圧,はり及びきゅうとともに「医業に類する事業」の例示として明記するとともに,他の各号において,医業のみならず,医業以外の多種多様な事業を列挙していることに照らすと,同法の上記定めの存在及び内容も,柔道整復が医業 類似行為に当たるとの上記判断を左右するものではなく,むしろこれと整合するものというべきである。 カ原告は,仮にあん摩,マッサージ若しくは指圧,はり又はきゅうが医行為に含まれないとすると,医師がそれを行った場合,それによる収入は,医師の社会保険診療報酬の所得計算の特例の適用外としなければならないが,そのような取扱いはされていない旨主張する。 しかしながら,仮に,医師が,治療目的で,あん摩,マッサージ若しくは指圧,はり又はきゅうを行った場合には,それは,当該医師による医行為の一環とみることがで そのような取扱いはされていない旨主張する。 しかしながら,仮に,医師が,治療目的で,あん摩,マッサージ若しくは指圧,はり又はきゅうを行った場合には,それは,当該医師による医行為の一環とみることができ,上記特例の適用を受けるものと解されるので,所論は理由がない。 キ原告のその余の主張も,租税特別措置法26条1項の解釈に関する上記(3)及び(4)の判断を左右するに足りるものとは解されない。 (7)以上によれば,柔道整復は医業類似行為に当たるものであって,これを業として行うことが医業に当たるということはできず,したがって,柔道整復師は,医業類似行為を行う者であって,租税特別措置法26条1項にいう「医業又は歯科医業を営む個人」に当たるということはできない。 争点(2)(理由附記の不備の有無)について(1)原告は,本件各処分には租税特別措置法26条1項にいう「医業又は歯科医業を営む個人」を具体的に定義する法律上の根拠及び柔道整復師がこれに該当しないことの法律上の根拠を全く示さず,原告がこれらの点を明らかにするよう処分行政庁に求めても一切回答がなかったことが,更正通知書に更正の理由を附記すべき旨を定めた所得税法155条2項に違反する旨主張する。 (2)ところで,同項が青色申告書に係る所得税について更正をする場合の更正通知書に更正の理由を附記すべきものとしているのは,青色申告に係る所得の計算については,それが法定の帳簿組織による正当な記載に基づくもの である以上,その帳簿の記載を無視して更正されることがないことを納税者に保障した趣旨にかんがみ,課税庁の判断の慎重,合理性を担保してその恣意を抑制するとともに,更正の理由を相手方に知らせて不服申立ての便宜を与える趣旨に出たものというべきである。したがって,帳簿書類の記載自体を否認して更正 ,課税庁の判断の慎重,合理性を担保してその恣意を抑制するとともに,更正の理由を相手方に知らせて不服申立ての便宜を与える趣旨に出たものというべきである。したがって,帳簿書類の記載自体を否認して更正をする場合には,更正をした根拠を帳簿記載以上に信ぴょう力のある資料を摘示することによって具体的に明示することを要するが,帳簿書類の記載自体を否認することなく更正をする場合には,納税者による帳簿書類の記載を覆すものではないから,そのような資料の摘示は必ずしも必要がなく,更正の根拠を課税庁の恣意抑制及び不服申立ての便宜という理由付記制度の趣旨目的を充足する程度に具体的に明示するものである限り,所得税法の要求する更正理由の附記として欠けるところはないというべきである(最高裁昭和60年4月23日第三小法廷判決・民集39巻3号850頁参照)。 (3)これを本件各処分について検討するに,証拠(甲1から3まで)及び弁論の全趣旨によれば,本件各処分は,柔道整復師が租税特別措置法26条1項にいう「医業又は歯科医業を営む個人」に含まれないとの法的評価に基づき,原告の所得から控除されるべき費用額を算定したものであるから,原告の帳簿書類の記載自体を否認してされたものではないので,帳簿記載以上に信ぴょう力のある資料の摘示は必要とされないというべきである。そして,本件各処分に係る各通知書には,いずれも,更正の理由として,「あなたは,租税特別措置法第26条(社会保険診療報酬の所得計算の特例)第1項に規定する医業又は歯科医業を営む個人には当たらないため,租税特別措置法第26条第1項の適用はありませんので更正します。したがって,平成(略)年分の事業所得の金額は,租税特別措置法第26条第1項の規定を適用しないで計算した(略)円となります。」と記載されていた(甲1から3まで) 1項の適用はありませんので更正します。したがって,平成(略)年分の事業所得の金額は,租税特別措置法第26条第1項の規定を適用しないで計算した(略)円となります。」と記載されていた(甲1から3まで)のであり,同各通知書に,このように判断した法令解釈の根拠が示されなかっ たとしても,それだけで上記理由附記制度の趣旨目的が損なわれたということはできず,本件各処分に係る各通知書の理由の記載は,課税庁の恣意抑制及び不服申立ての便宜という理由附記制度の趣旨目的を充足する程度に理由を具体的に示したものといえるから,その理由の記載に所得税法の要求する更正理由の附記として欠けるところはないというべきである。 争点(3)(信義則違反の有無)について(1)原告は,原告の平成12年分の確定申告の際,豊島税務署,所沢税務署及び東京国税局税務相談室から,原告の問い合わせに対し,柔道整復師に租税特別措置法26条1項が適用される旨の回答を受け,その後も,同項の適用を前提として確定申告をしてきたが,本件各処分の税務調査まで,何らの指導もなく,従前の確定申告が是認されてきたのであるから,本件各処分は,信義則に違反する旨主張する。 (2)しかしながら,信義則の法理の適用により,租税法規に適合する課税処分を違法なものとして取り消すことができる場合があるとしても,それは,租税法規の適用における納税者間の平等,公平という要請を犠牲にしてもなお当該課税処分に係る課税を免れさせて納税者の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別な事情が存する場合に,初めて同法理の適用の是非を考えるべきものである。そして,かかる特別な事情が存するかどうかの判断に当たっては,少なくとも,税務官庁が納税者に対し信頼の対象となる公的見解を表示したことにより,納税者がその表示を信頼しそ 是非を考えるべきものである。そして,かかる特別な事情が存するかどうかの判断に当たっては,少なくとも,税務官庁が納税者に対し信頼の対象となる公的見解を表示したことにより,納税者がその表示を信頼しその信頼に基づいて行動したところ,後にその表示に反する課税処分が行われ,そのために納税者が経済的不利益を受けることになったものであるかどうか,また,納税者が税務官庁の当該表示を信頼しその信頼に基づいて行動したことについて納税者の責めに帰すべき事由がないかどうかという点の考慮が不可欠である(最高裁昭和62年10月30日第三小法廷判決・集民152号93頁参照)。 (3)これを本件についてみるに,特定の税務官庁が原告に対し柔道整復師が租税特別措置法26条1項の適用を受ける旨の解釈を当該官庁の公式の見解として示す正式の回答をした事実を認めるに足りる的確な証拠はなく,また,平成12年分及び13年分の原告の所得税につき,同項の適用を前提とした確定申告に対し,原告が主張するように処分行政庁から指導がなかったとしても,積極的に是正の措置をとらなかったにとどまるのであって,これをもって,納税者に対し信頼の対象となる公的見解を表示した場合に当たるということはできない。また,原告が,柔道整復師が租税特別措置法26条1項の適用を受けるものと誤信したとしても,その信頼に基づいて行った原告の行動は,租税法規を正当に適用した場合の税額を下回る額の所得税を納付したにすぎないのであって,そのことによって,原告が経済的不利益を被ったと評価することはできない。 したがって,本件において,原告に本件各処分による課税を免れさせてその信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別な事情の存在は認められず,信義則の法理の適用により本件各処分の違法を論ずることはできないという おいて,原告に本件各処分による課税を免れさせてその信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別な事情の存在は認められず,信義則の法理の適用により本件各処分の違法を論ずることはできないというべきである。 争点(4)(憲法84条(租税法律主義)違反の有無)について(1)原告は,租税特別措置法26条1項に規定する医業に柔道整復業が含まれないとしていた本件通達が平成12年に廃止されているから,この通達を根拠として同項の規定を解釈することは,憲法84条に違反する旨主張する。 (2)憲法84条は,「あらたに租税を課し,又は現行の租税を変更するには,法律又は法律の定める条件によることを必要とする」と規定し,いわゆる租税法律主義を定めている。この租税法律主義は,法律の根拠に基づくことなしには,国家は租税を賦課徴収することはできず,国民は租税の納付を要求されないということを意味し,課税が法律に基づいて行われることを要求するものであるから,課税庁が法律の解釈につき通達を発出したとしても,当 該通達自体が法規の性質を有するものとして課税の根拠になるものではなく,また,課税庁が当該通達を廃止したとしても,当該通達に係る解釈に影響を及ぼし得る関係法律の改廃又は社会事情の変更がなく,当該解釈が引き続き課税の根拠となる法律の解釈として相当と認められるものであれば,その廃止によって当該解釈に係る法律の根拠が失われるものではなく,憲法84条違反の問題が生ずるものでもない。 (3)これを本件についてみると,前記1(2)及び(3)によれば,本件通達が租税特別措置法26条1項に規定する医業に柔道整復業が含まれないとしていたのは,前記1(2)ないし(4)の説示に係る立法の趣旨・経緯等及び関係法律の規定等を根拠として導かれる租税特別措置法26条1項の解釈を確 置法26条1項に規定する医業に柔道整復業が含まれないとしていたのは,前記1(2)ないし(4)の説示に係る立法の趣旨・経緯等及び関係法律の規定等を根拠として導かれる租税特別措置法26条1項の解釈を確認的に関係機関に示達したものと解されるのであって,本件通達自体が法規の性質を有するものとして課税の根拠になるものではなく,本件通達の存在によって初めて上記解釈に基づく取扱いが許容されるわけではない。 そして,前記1(3)及び(4)のとおり,本件通達発出後の柔道整復師法の制定及びこれに伴うあん摩師等法の改正も,柔道整復の法的性格など租税特別措置法26条1項の解釈に影響を及ぼし得るものではなく,他にその前後を通じて同項の解釈に影響を及ぼし得る関係法律の改廃又は社会事情の変更は見受けられず,当該解釈が引き続き同項の解釈として相当と認められる以上,本件通達の改廃の有無にかかわらず,本件通達に示された同項の解釈は引き続き法律上の根拠に基づくものであるというべきである。現に,前記1(2)オのとおり,本件通達の廃止後も,東京国税局の職員の執筆に係る同規定の解説の文献には,本件通達と同旨の説明が記載されており(前記1(4)ウのとおり,本件通達の廃止後も,その前提となる柔道整復が医業類似行為であるとの解釈は,質問趣意書への答弁書の中で政府見解として明記されている。),このことからも,本件通達に示された同項の解釈が本件通達の廃止後も税務当局の公的見解として維持されていることが推認されるということ ができる。 したがって,本件通達の廃止後も,同通達に示された租税特別措置法26条1項の解釈は引き続き法律上の根拠に基づくものということができるから,その解釈に基づいて課税を行うことが憲法84条に違反するということはできない。 (4)なお,原告は,原告が複数の税務 置法26条1項の解釈は引き続き法律上の根拠に基づくものということができるから,その解釈に基づいて課税を行うことが憲法84条に違反するということはできない。 (4)なお,原告は,原告が複数の税務署に対し,電話で照会したところ,職員から本件通達と異なる内容の回答がされており,同通達による解釈又は取扱いが同通達の廃止後は維持されていない旨主張し,甲16及び23には,これに沿う部分がある。 しかしながら,前記1(2)オのとおり,本件通達が廃止された後も,東京国税局の職員の執筆に係る同規定の解説の文献には,同通達と同旨の説明が記載されており,逆に税務当局の職員の執筆に係る文献で同通達と異なる解釈を明示したものが発表された形跡は窺われず,甲16及び23によっても,税務当局の公的見解として同通達と異なる解釈が正式に示された事実の存在を認めるには足りないので,上記主張も,上記の判断を左右するに足りるものではない。 (5)また,原告は,租税特別措置法26条1項に「医業」の定義規定がないことを論難するが,上記1(4)のとおり,柔道整復があん摩,マッサージ,指圧,はり及びきゅうと同様に医業類似行為であることは,あん摩師等法及び柔道整復師法等の関係法律の規定から導かれる解釈として十分に明確に読み取れるものというべきであり,同法が殊更に「医業」の定義を明文で規定していないことをもって租税法律主義に反するものということはできない。 争点(5)(憲法14条(法の下の平等)違反の有無)について(1)原告は,柔道整復師は医療従事者に関する法体系の中に位置付けられ,法律上は医師と全く同格であるにもかかわらず,前記特例の適用を受けられないのは,合理性がなく,憲法14条に違反する旨主張する。しかしながら, 前記1(4)ウのとおり,医師による医業としての医行為 法律上は医師と全く同格であるにもかかわらず,前記特例の適用を受けられないのは,合理性がなく,憲法14条に違反する旨主張する。しかしながら, 前記1(4)ウのとおり,医師による医業としての医行為と柔道整復師による医業類似行為としての施術は,その性質を異にし,関係法律上も異なる位置付けがされているので,税法上もその取扱いを異にすることには合理性があるというべきであるから,原告の主張は理由がない。 (2)また,原告は,被告の解釈によれば,柔道整復師が医師を雇用し,その医師に柔道整復の施術をさせた場合と,医師を雇用しない柔道整復師が柔道整復の施術を施した場合とで,不平等が生じる旨主張する。しかしながら,柔道整復師が医師を雇用しても,専ら柔道整復業を営んでいる場合には,当該柔道整復師は租税特別措置法26条1項にいう「医業又は歯科医業を営む個人」に該当しないのであるから,医師を雇用しないで柔道整復業を営んでいる柔道整復師との間で,税法上の取扱いは何ら異なるものではない。なお,柔道整復師が医師を雇用して医業全般を営んでいる場合には,当該柔道整復師は,租税特別措置法26条1項にいう「医業又は歯科医業を営む個人」に当たり,当該医師が行う柔道整復の施術もその医行為の一環として行われるものというべきであるから,医師を雇用しない柔道整復師が専ら柔道整復を行う場合との間で,税法上の取扱いが異なることには合理性があるというべきである。したがって,いずれにしても,原告の主張は理由がない。 以上によれば,柔道整復師が租税特別措置法26条1項にいう「医業又は歯科医業を営む個人」に当たるということはできないから,柔道整復師に租税特別措置法26条1項の適用があるということはできない。 このことを前提として,原告の平成14年分から平成16年分までの各年分の所得税に を営む個人」に当たるということはできないから,柔道整復師に租税特別措置法26条1項の適用があるということはできない。 このことを前提として,原告の平成14年分から平成16年分までの各年分の所得税についてみると,被告が本訴において主張する別紙2「課税の根拠及び計算」の1記載の本件各更正処分の根拠はいずれも相当であり,かつ,その根拠に基づいて算定した原告の上記各年分の納付すべき税額は,同別紙の1(1)カ,(2)カ及び(3)キ記載のとおりであると認められ,別紙1記載の本件各更正処分における上記各年分の納付すべき税額と一致するから,本件各更正処 分は,適法というべきである。 そして,本件各更正処分が適法であった場合に賦課すべき上記各年分の過少申告加算税の額は,別紙2「課税の根拠及び計算」の2(1)ないし(3)記載のとおりであるところ,原告は,上記各年分の所得税について,納付すべき税額を過少に申告していたものであり,納付すべき税額を過少に申告していたことについて国税通則法65条4項に規定する正当な理由があった旨の具体的な主張・立証もないことから,これと同額の税額を課した本件各賦課決定処分も,適法というべきである。 よって,原告の請求はいずれも理由がないから棄却することとし,訴訟費用の負担について,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第2部裁判長裁判官岩井伸晃裁判官本間健裕裁判官倉澤守春 (別紙2)課税の根拠及び計算 本件各更正処分の根拠及び計算被告が,本訴において主張する原告の平成14年分から平成16年分までの所得税の総所得金額及び納付すべき税額は,次のとおりである。 (1)平成14年分(別表1)ア総所得金額(別表1順号⑤ 及び計算被告が,本訴において主張する原告の平成14年分から平成16年分までの所得税の総所得金額及び納付すべき税額は,次のとおりである。 (1)平成14年分(別表1)ア総所得金額(別表1順号⑤)396万4983円上記金額は,原告の平成14年分の事業所得の金額であり,下記(ア)の金額から,(イ)及び(ウ)の金額を控除した金額である。 (ア)総収入金額(別表1順号①)986万2358円上記金額は,原告の平成14年分の社会保険診療報酬852万0928円と自由診療の収入134万1430円の合計額であり,原告の平成14年分の所得税の確定申告書(以下「平成14年分確定申告書」という。)に記載された金額と同額である。 (イ)原価及び経費の総額(別表1順号②)534万7375円上記金額は,上記(ア)の総収入金額に係る原価及び経費の額であり,平成14年分確定申告書に添付された青色申告決算書に記載された金額と同額である。 (ウ)青色申告特別控除額(別表1順号③)55万円上記金額は,租税特別措置法25条の2(平成16年法律第14号による改正前のもの。以下同じ)の規定により算出した金額であり,平成14年分確定申告書に記載された金額と同額である。 なお,ここでは,原告が平成14年分確定申告書において,事業所得の必要経費に算入していた,社会保険診療分の経費と租税特別措置法26条による金額との差額(以下「措置法差額」という。)142万4021円は,必要経費に算入していない。 イ所得控除の合計額(別表1順号⑥)81万0770円上記金額は,所得控除(所得税法72条ないし84条及び86条)の合計額であり,平成14年分確定申告書に記載された社会保険料控除,生命保険料控除,損害保険料控除及び基礎控除の金額の合計額である。 ウ課税される総所得金額 (所得税法72条ないし84条及び86条)の合計額であり,平成14年分確定申告書に記載された社会保険料控除,生命保険料控除,損害保険料控除及び基礎控除の金額の合計額である。 ウ課税される総所得金額(別表1順号⑦)315万4000円上記金額は,所得税法89条2項の規定に基づき,前記アの金額396万4983円から前記イの金額81万0770円を控除した金額(ただし,国税通則法(以下「通則法」という。)118条1項の規定により1000円未満の端数を切り捨てた後のもの)である。 エ差引所得税額(別表1順号⑧)31万5400円上記金額は,前記ウの金額315万4000円に,所得税法89条1項(平成18年法律第10号による改正前のもの。以下同じ。)に規定する税率を乗じて算出した金額である。 オ定率減税額(別表1順号⑨)6万3080円上記金額は,経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律(平成17年法律第21号による改正前のもの。以下「負担軽減法」という。)6条の規定により算出した金額である。 カ納付すべき税額(別表1順号⑩)25万2300円上記金額は,原告の平成14年分の納付すべき税額であり,前記エの金額31万5400円から前記オの金額6万3080円を差し引いた金額(ただし,通則法119条1項の規定により100円未満の端数を切り捨てた後のもの)である。 (2)平成15年分(別表2)ア総所得金額(別表2順号⑤)573万0554円上記金額は,原告の平成15年分の事業所得の金額であり,下記(ア)の 金額から,(イ)及び(ウ)の金額を控除した金額である。 (ア)総収入金額(別表2順号①)1114万0812円上記金額は,原告の平成15年分の社会保険診療報酬947万3552円と自由診療の収入 金額から,(イ)及び(ウ)の金額を控除した金額である。 (ア)総収入金額(別表2順号①)1114万0812円上記金額は,原告の平成15年分の社会保険診療報酬947万3552円と自由診療の収入166万7260円の合計額であり,原告の平成15年分の所得税の確定申告書(以下「平成15年分確定申告書」という。)に記載された金額と同額である。 (イ)原価及び経費の総額(別表2順号②)486万0258円上記金額は,上記(ア)の総収入金額に係る原価及び経費の額であり,平成15年分確定申告書に添付された青色申告決算書に記載された金額と同額である。 (ウ)青色申告特別控除額(別表2順号③)55万円上記金額は,租税特別措置法25条の2の規定により算出した金額であり,平成15年分確定申告書に記載された金額と同額である。 なお,原告が平成15年分確定申告書において,事業所得の必要経費に算入していた措置法差額257万8950円は,必要経費に算入していない。 イ所得控除の合計額(別表2順号⑥)74万1600円上記金額は,所得控除(所得税法72条ないし84条及び86条)の合計額であり,平成15年分確定申告書に記載された社会保険料控除,生命保険料控除,損害保険料控除及び基礎控除の金額の合計額である。 ウ課税される総所得金額(別表2順号⑦)498万8000円上記金額は,所得税法89条2項の規定に基づき,前記アの金額573万0554円から前記イの金額74万1600円を控除した金額(ただし,通則法118条1項の規定により1000円未満の端数を切り捨てた後のもの)である。 エ差引所得税額(別表2順号⑧)66万7600円 上記金額は,前記ウの金額498万8000円に,所得税法89条1項に規定する税率を乗じて算出した金額である。 オ定率減税額(別 の)である。 エ差引所得税額(別表2順号⑧)66万7600円 上記金額は,前記ウの金額498万8000円に,所得税法89条1項に規定する税率を乗じて算出した金額である。 オ定率減税額(別表2順号⑨)13万3520円上記金額は,負担軽減法6条の規定により算出した金額である。 カ納付すべき税額(別表2順号⑩)53万4000円上記金額は,原告の平成15年分の納付すべき税額であり,前記エの金額66万7600円から前記オの金額13万3520円を差し引いた金額(ただし,通則法119条1項の規定により100円未満の端数を切り捨てた後のもの)である。 (3)平成16年分(別表3)ア総所得金額(別表3順号⑤)672万9052円上記金額は,原告の平成16年分の事業所得の金額であり,下記(ア)の金額から,(イ)及び(ウ)の金額を控除した金額である。 (ア)総収入金額(別表3順号①)1127万7032円上記金額は,原告の平成16年分の社会保険診療報酬1014万7762円と自由診療の収入112万9270円の合計額であり,原告の平成16年分の所得税の確定申告書(以下「平成16年分確定申告書」という。)に記載された金額と同額である。 (イ)原価及び経費の総額(別表3順号②)399万7980円上記金額は,上記(ア)の総収入金額に係る原価及び経費の額であり,平成16年分確定申告書に添付された青色申告決算書に記載された金額と同額である。 (ウ)青色申告特別控除額(別表3順号③)55万円上記金額は,租税特別措置法25条の2の規定により算出した金額であり,平成16年分確定申告書に記載された金額と同額である。 なお,原告が平成16年分確定申告書において,事業所得の必要経費に 算入していた措置法差額358万3240円は,必要経費に算入してい であり,平成16年分確定申告書に記載された金額と同額である。 なお,原告が平成16年分確定申告書において,事業所得の必要経費に 算入していた措置法差額358万3240円は,必要経費に算入していない。 イ所得控除の合計額(別表3順号⑥)84万1000円上記金額は,所得控除(所得税法72条ないし84条及び86条)の合計額であり,平成16年分確定申告書に記載された社会保険料控除,生命保険料控除及び基礎控除の金額の合計額である。 ウ課税される総所得金額(別表3順号⑦)588万8000円上記金額は,所得税法89条2項の規定に基づき,前記アの金額672万9052円から前記イの金額84万1000円を控除した金額(ただし,通則法118条1項の規定により1000円未満の端数を切り捨てた後のもの)である。 エ差引所得税額(別表3順号⑧)84万7600円上記金額は,前記ウの金額588万8000円に,所得税法89条1項に規定する税率を乗じて算出した金額である。 オ定率減税額(別表3順号⑨)16万9520円上記金額は,負担軽減法6条の規定により算出した金額である。 カ予定納税額(別表3順号⑩)12万8400円上記金額は,平成16年分確定申告書に記載された予定納税額である。 キ納付すべき税額(別表3順号⑪)54万9600円上記金額は,原告の平成16年分の納付すべき税額であり,前記エの金額84万7600円から前記オの金額16万9520円及び前記カの金額12万8400円を差し引いた金額(ただし,通則法119条1項の規定により100円未満の端数を切り捨てた後のもの)である。 本件各賦課決定処分の根拠及び計算原告に課されるべき過少申告加算税の額は,原告が本件各更正処分により新たに納付すべきこととなった税額(通則法118条3項の規定により1 り捨てた後のもの)である。 本件各賦課決定処分の根拠及び計算原告に課されるべき過少申告加算税の額は,原告が本件各更正処分により新たに納付すべきこととなった税額(通則法118条3項の規定により1万円未 満の端数を切り捨てた後の金額。以下同じ。)を基礎として,通則法65条の規定に基づき算出した次の(1)ないし(3)のとおりである。 (1)平成14年分1万1000円上記金額は,平成14年分の所得税の更正処分により,原告が新たに納付すべきこととなった税額11万円(当該更正処分に係る納付すべき税額25万2300円から確定申告に係る納付すべき税額13万8400円を控除した額)に,通則法65条1項の規定に基づき,100分の10の割合を乗じて計算した金額である。 (2)平成15年分3万4000円上記金額は,平成15年分の所得税の更正処分により,原告が新たに納付すべきこととなった税額34万円(当該更正処分に係る納付すべき税額53万4000円から確定申告に係る納付すべき税額19万2800円を控除した額)に,通則法65条1項の規定に基づき,100分の10の割合を乗じて計算した金額である。 (3)平成16年分4万9000円上記金額は,平成16年分の所得税の更正処分により,原告が新たに納付すべきこととなった税額49万円(当該更正処分に係る納付すべき税額54万9600円から確定申告に係る納付すべき税額5万5900円を控除した額)に,通則法65条1項の規定に基づき,100分の10の割合を乗じて計算した金額である。
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