【DRY-RUN】主 文 一 原判決中被控訴人a、同b、同c、同dに関する部分を次のとおり変更する。 1 控訴人は、 (一) 被控訴人aに対し、六二万四九五四円及び内三一万二四七七円に対する昭和 六三年一月二二日か
主文 一原判決中被控訴人a、同b、同c、同dに関する部分を次のとおり変更する。 1 控訴人は、(一) 被控訴人aに対し、六二万四九五四円及び内三一万二四七七円に対する昭和六三年一月二二日から、内三一万二四七七円に対する本判決確定の日の翌日から、各支払済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。 (二) 被控訴人bに対し、一〇万六三五二円及び内五万三一七六円に対する昭和六三年一月二二日から、内五万三一七六円に対する本判決確定の日の翌日から、各支払済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。 (三) 被控訴人cに対し、一六万五六八四円及び内八万二八四二円に対する昭和六三年一月二二日から、内八万二八四二円に対する本判決確定の日の翌日から、各支払済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。 (四) 同dに対し、二四万四三二二円及び内一二万二一六一円に対する昭和六三年一月二二日から、内一二万二一六一円に対する本判決確定の日の翌日から、各支払済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。 2 被控訴人a、同b、同c、同dのその余の請求を棄却する。 二被控訴人eに対する本件控訴を棄却する。 三控訴人と被控訴人eとの間の控訴費用は控請人の負担とし、控訴人とその余の被控訴人らとの間に生じた訴訟費用は、第一、二審を通じて三分し、その一を控訴人の、その二をその余の被控訴人らの各負担とする。 四この判決は主文第一項1(一)ないし(四)につき仮に執行することができる。 事実 一当事者の求めた裁判 1 控訴人(一) 原判決を取り消す。 (二) 被控訴人の請求を棄却する。 (三) 訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。 2 被控訴人ら(一) 本件控訴を棄却する。 (二) 控訴費用は控訴人の負担とする。 二被控訴人らの請求原因 1 控 控訴人の請求を棄却する。 (三) 訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。 2 被控訴人ら(一) 本件控訴を棄却する。 (二) 控訴費用は控訴人の負担とする。 二被控訴人らの請求原因 1 控訴人会社はタクシーによる旅客運送業を営む株式会社であり、被控訴人らはいずれもその従業員で、タクシーの運転業務に従事しているものである。 2(一) 控訴人会社の従業員の内タクシー運転従業員は四四名でその多数従業員が高知県観光社員会(以下「観光労組」という。)を結成しているが、被控訴人ら五名を含む九名はこれに加入せず、何らの労働組合にも属しない未組織労働者であり、労使関係は個々の労働契約のほか観光労組と控訴人会社間の労働協約の準用、労働慣行及び就業規則によっている。 (二) 被控訴人らと控訴人会社との個々の労働契約によると、賃金は、各人の月間に乗客から支払われた運賃の合計額(以下「水揚高」という。)に一定割合を乗じて算定した額を月額とし、その乗ずる割合は試用期間中は〇・四二(四二パーセント)、正社員となった後は〇・四五(四五パーセント)、さらに勤務年数が古くなった者の内控訴人会社が指名した者(以下「指名者」という。)は〇・四六(四六パーセント)となっている。 (三) 観光労組と控訴人会社間の労働協約は被控訴人らがこれに従う限り準用されると解すべきところ、その労働協約によると、月間一五日勤務で、勤務時間の定めは、開始時間が変則的で、各人が自由に定め会社に届け出た時間に出勤し、それから所定内労働時間一六時間(その間休憩時間二時間を含み拘束一八時間)、深夜労働時間月間約三〇時間(協定時期により異なる。)であり、終了時間の定めがない。 (四) 労働慣行によると、月間一五日出勤、労働時間は各人の希望により控訴人会社に届け出た時間からほぼ一六時間(その間に二時間 月間約三〇時間(協定時期により異なる。)であり、終了時間の定めがない。 (四) 労働慣行によると、月間一五日出勤、労働時間は各人の希望により控訴人会社に届け出た時間からほぼ一六時間(その間に二時間の休憩を含む。通常は午前八時出勤、翌日午前二時退社)で、その内何時間が所定内労働時間であるか、終業時間が何時であるか等については明確な労働慣行がなく、翌日の午前七時ころまでの内各人が自由に選択した時間まで運転業務に従事していた。 (五) 就業規則によると、昭和六一年一一月二六日改正前は、午前八時から午後五時までが所定内労働時間であり、改正後は一日八時間、別に定める変形所定内労働時間となっている。 3(一) 被控訴人らは次の(二)のように所定外及び深夜労働時間に運転業務に従事しているので、控訴人会社は各被控訴人に対し、労働基準法(以下「法」という。)三七条の規定に従い、それぞれの所定外労働に対する割増賃金二五パーセント、深夜労働に対する割増賃金二五パーセント、所定外深夜労働に対する割増賃金五〇パーセントを支払う義務がある。 (二) 控訴人会社との間では労働時間の定め及びその内訳について争いがあるが、被控訴人ら主張は次のとおりである。被控訴人ら割増賃金算定根拠の内、各人の試用期間、正社員期間、指定者期間、総労働時間、所定内(午前八時から午後五時までとして計算した。 )、所定内深夜(午後一〇時から午前二時まで)、所定外深夜(午前二時から午前五時まで)、所定外(その余の時間)、労働時間一時間当たり賃金、月間水揚高平均、請求月数、各割増賃金額は、別紙一ないし五の各1の各被控訴人主張のとおりであり(もっとも、各被控訴人とも各請求全期間中の労働時間、実際に支払われた賃金額については、控訴人会社にもそれを確定できる資料が保存されていないので、控訴人会社に保存さ 1の各被控訴人主張のとおりであり(もっとも、各被控訴人とも各請求全期間中の労働時間、実際に支払われた賃金額については、控訴人会社にもそれを確定できる資料が保存されていないので、控訴人会社に保存されている一部の資料から月間のこれらの関係数値を推認する方法によった。)、被控訴人の本訴各請求の割増賃金額は右別紙記載のとおりである。なお、各被控訴人が控訴人会社から、各期間の各被控訴人月間水揚高に試用期間は〇・四二、正社員期間〇・四五、指名者期間〇・四六を乗じた賃金につき既に支払を受けているが、それには割増賃金が入っていない。 4 よって、各被控訴人は控訴人会社に対し、割増賃金として、右各記載の割増賃金請求額及びこれに対する支払期日後の昭和六三年一月二二日(本件訴状送達の翌日)から支払済に至るまで民事法定利率年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。 5 法一一四条の規定による付加金として、各被控訴人は控訴人会社に対し、各割増金合計額と同額の金員及びこれに対する本判決確定の日の翌日から支払済に至るまで民事法定利率年五分の割合による遅延損害金を支払うべき旨の裁判を求める。 三被控訴人らの請求原因に対する控訴人の答弁、抗弁 1 被控訴人らの請求原因1の事実は認める。 2(一) 同2(一)の事実は認める。 (二) 同(二)の事実(労働契約による賃金の約定)は認める。 (三) 同(三)の事実(被控訴人と観光労組との労働協約による労働時間)は認めるが、その効力の点は争う。 (四) 同(四)の事実(労働慣行)は争う。被控訴人主張のように遅い時間までを労働時間とする労働慣行はなかった。 (五) 同(五)の事実は認める。 3(一) 同3(一)の事実は争う。 (二)(1) 同(二)の事実は争う。但し、控訴人会社には、各被控訴人の請求全期間の各労働時間、賃金支払額の資料 慣行はなかった。 (五) 同(五)の事実は認める。 3(一) 同3(一)の事実は争う。 (二)(1) 同(二)の事実は争う。但し、控訴人会社には、各被控訴人の請求全期間の各労働時間、賃金支払額の資料は一部しか保存していないため、一部資料により推認するのも止むを得ず、その被控訴人の割増賃金計算表の内、試用期間、正社員期間、指名者期間、月間総労働時間(その何時間が所定外、所定内深夜、所定外深夜に当たるかは除く。)、一時間当たり賃金額、月間水揚高平均、請求月数については認める。一部保存の資料によると、各被控訴人の実際の労働時間(所定内、所定外、深夜の内訳を除く。)は各被控訴人のタコメーターのとおりである。 労働時間は、月間の出勤日数は試用期間中が一三日、正社員、指名者はいずれも一五日であり、一日の労働時間は、終了時間午前二時まで(それ以後の就業は認めない。)拘束一八時間、その間休憩二時間の変形八時間労働時間制で、各人の申し出た時間により、所定内、所定外、深夜(所定内と所定外とを含む。)に分かれるが、控訴人らとの間ではその変形労働時間の届出がない。 (2) 控訴人が被控訴人らと各個別の労働契約により定めた賃金率の内、水揚高に乗ずる割合が試用期間中の者〇・四二の場合〇・〇三、正社員〇・四五の場合〇・〇五、指名者〇・四六の場合〇・〇六の各割合部分がそれぞれ所定外労働及び深夜労働に対する各割増金の合計額であり、被控訴人は各控訴人に対し、基本賃金はもとより、割増金も右割合により既にその全額を支払済である。 4 同4の事実は争う。 5 同5の事実は争う。 四控訴人の抗弁に対する被控訴人らの再答弁被控訴人主張三3(二)(2)の事実(割増金弁済)は争う。労働契約の賃金率の中に割増賃金が入っているとしても、その一部であり、大部分はそれに含まれていない。 五証 抗弁に対する被控訴人らの再答弁被控訴人主張三3(二)(2)の事実(割増金弁済)は争う。労働契約の賃金率の中に割増賃金が入っているとしても、その一部であり、大部分はそれに含まれていない。 五証拠関係(省略) 理由 一控訴人の請求原因1、2(一)、(二)、(三)(但し、その効力の点を除く。)は当事者間に争いがない。 二1(一) 観光労組と控訴人会社との間の労働時間に関する労働協約は、法三六条の協定であり、控訴人会社と観光労組に属する個々の組合員が労働契約を締結する基準となるが、労働協約は組合代表者が個々の組合員の代理人として控訴人会社と労働契約をしたものではなく、個々の組合員はその協約自体では労働時間に関する権利義務が発生せず、控訴人会社は右組合に属する個々の組合員との間で、労働時間に関する労働契約をすることにより、その具体的な就労の権利義務が発生するものである。 (二) 使用者である控訴人会社が従業員の過半数を占める観光労組とした労働協約は、一方においてその協約の側面を有するとともに、特段の事情がない限り、他方においてそれに加入していない従業員との関係では、使用者と過半数従業員代表者との書面による協定がされたものとみることができ、その点では観光労組に未加入の者に対しても効力を持ち、その意味で未加入組合員である各被控訴人と使用者控訴人会社との個々の労働契約の基準とすることができる。しかし、未加入労働者である各被控訴人は、組合員の場合と同様に、控訴人会社と個々の労働契約を締結しない限り、その協約の存在自体ではその労働時間に関して、就労の義務もなければ使用者の明示ないし黙示の意思に反して就労する権利もなく、たとえその協約に定めたとおり就労したとしても、その協約どおりの賃金請求権は発生しない。本件において、各被控訴人が して、就労の義務もなければ使用者の明示ないし黙示の意思に反して就労する権利もなく、たとえその協約に定めたとおり就労したとしても、その協約どおりの賃金請求権は発生しない。本件において、各被控訴人が控訴人会社との間で右趣旨の労働時間に関する個別的な労働契約をしたことを認めることのできる的確な証拠はなく、従って、各被控訴人は観光労組と控訴人会社との間の労働時間に関する労働協約に準じた労働時間につき、就労する権利義務がなく、その点からはその時間帯に就労したとしても賃金請求権は発生しない。 2 労働慣行、就業規則についてみると、各原本の存在と成立に争いのない甲第一一号証の一、二、第一二号証、各成立に争いのない乙第一ないし第四号証、第五号証の一ないし七、原審証人f、同gの各証言、原審被控訴人b本人尋問の結果を総合すると、次の事実が認められる。 (一) 控訴人会社は昭和六一年一〇月一七日高知労働基準監督署から、種々の監督指導を受けたが、その指導対象となった事項は概ね労働慣行(控訴人会社、タクシー運転従業員ら間に黙示の合意があった。)として行われていた事項である。その内労働時間に関する労働慣行によると、正社員、指名者の出勤日は隔日に月間一五日で、その余の一五日は非勤務日で休日と同一であり、試用期間中の者は月間一三日出勤でその余は非勤務日である。出勤日の労働時間は、始業午前八時、終業午後五時(実働八時間、午後零時から午後一時まで一時間の昼食休憩を含み拘束九時間)が、就業規則(改正前の一三条)の所定内労働時間であるが、その他の時間は変形所定内か所定外かの区別がなく、夕食休憩午後六時から午後七時まで一時間で、概ね翌日の午前二時まで就労しており、それが労働慣行となっていた。 (二) 右労基署は、休日労働、所定内及び所定外労働時間の区別がないことの労働慣行が法 く、夕食休憩午後六時から午後七時まで一時間で、概ね翌日の午前二時まで就労しており、それが労働慣行となっていた。 (二) 右労基署は、休日労働、所定内及び所定外労働時間の区別がないことの労働慣行が法三二条、三五条に違反しているので、法三六条により控訴人会社が過半数従業員で組織する労働組合と労働協約を締結するか、過半数従業員の代表者との間で書面により協定することを監督指導した。控訴人会社従業員中過半数の従業員がその後観光労組を組織し、控訴人会社と観光労組との間に、月間一五日出勤、一日の所定内労働時間一六時間(休憩二時間を含む拘束一六時間)、所定外及び深夜労働時間月間概ね各三〇時間ずつ(その後さらに若干増加された。)等の労働協約が成立した。 (三) 他方、控訴人会社は、就業規則を昭和六一年一一月一六日から改正し、一日の所定内労働時間を八時間とし、四週を平均して一週間四八時間の限度を超えない範囲で特定の週に四八時間を超えて勤務させることができる(三五条。変形所定内労働時間)とし、過半数を超える従業員で組織した労働組合との労働協約等により法三五条の終業時間を超えて勤務させ(所定外労働時間)、又は、休日に勤務を命ずることができる(四二条。改正で新設した。)旨定めたが、控訴人会社は被控訴人らについては、その変形所定内及び所定外労働時間、休日勤務の労基署への届出をしていない。従って、被控訴人らとの関係では労働時間、休日労働に関しては、従前の労働慣行をそのまま踏襲している。 以上のとおり認められる。 3 右2認定の事実により検討する。 (一) 法四〇条は、労働時間の定めは、法の示した基準に近いものであって、労働者の福祉及び健康を害しないものでなければならない旨宣言しており、法三二条で一週四八時間を超える労働を禁止し、他方、月間の総労働時間の制限はせず労使 の定めは、法の示した基準に近いものであって、労働者の福祉及び健康を害しないものでなければならない旨宣言しており、法三二条で一週四八時間を超える労働を禁止し、他方、月間の総労働時間の制限はせず労使双方の良識に委ねているけれども、現在経済界の一般的な傾向では週休二日制(月間二二日勤務)を妥当としてその実現に向かい努力中で、労基署でもその指導をしていることは公知の事実である。そのようにすることが、昼は働き夜は休息して文化を享受し人間的な生活を営み明日の労働力を回復するという一般労働者の人間本来の自然の生活リズムに合致し、その実現に努力することこそ、使用者、労働者が互いに基本的人権を尊重しそれを実現することになるものであり、タクシーの運転業務がこれに反する限り扱いを絶対的に必要とするような特段の事情も見当たらない。しかし、本件においては、控訴人会社が一五日出勤、一五日休日(実質上)制を採りその休日に出勤を命ぜず、従業員が必要な生活費を得るには、一五日間しか働けず、その労働のみ(法で定める一週四八時間の所定内労働時間は二以上の勤務先の場合に通算されるから、勤務時間外に他の勤務先に勤務して収入を得るには、他の勤務先の勤務に使用できるだけの所定内労働時間が計算上残っていなければ、法に従って働けないが、本件では、観光労組と控訴人会社間の前記認定の労働協約から見る限りその時間は残っておらず、各被控訴人についても同様と推認される。)で一か月分の賃金を得ようとするため、出勤日にはなるべく長く二四時間に近い時間タクシー運転業務に従事しているものであり、その結果、控訴人会社の労働時間の定めは一般的にみて従業員の福祉及び健康を害するものといわざるを得ない。なお、その対策としては、月間七日程度の休日出勤を命ずるか、変形所定内労働時間としては、始業時間を従業員に選 人会社の労働時間の定めは一般的にみて従業員の福祉及び健康を害するものといわざるを得ない。なお、その対策としては、月間七日程度の休日出勤を命ずるか、変形所定内労働時間としては、始業時間を従業員に選択させ、月間出勤二二日として現行一五日との差七日間の所定内労働時間計五六時間を、出勤する一五日に均分し振り替えて加える程度の変形は適法といえる。 (二)(1) 各被控訴人は、観光労組に加入しておらず、個々の労働契約でも出勤日の所定内及び所定外労働時間につき定めがなく、従って、各人の変形所定内労働時間に関する具体的な定めにつき労基署への法所定の届出がないから、変形所定内労働時間の適用はない。 (2) 被控訴人らの労働時間の基準となるのは労働慣行であり、それによると、始業午前八時、終業翌日の午前二時で、その内所定内が何れの時間かについては何ら定まっていない。しかし、被控訴人らについては、控訴人会社が就業規則改正後にも改正前のそれを踏襲して取り扱っていた実体を考慮すると、改正前の就業規則に定める午前八時から午後五時までが所定内労働時間、午後五時から翌日午前二時までの内夕食休憩一時間を除く時間が所定外労働時間であり、その内午後一〇時から翌日午前二時までが所定外深夜労働時間であるということができる。 (3) しかし、翌日午前二時から同午前八時までは労働時間とする労働慣行がなく、従って、各被控訴人が午前二時以後には就労する法的根拠を欠き、就労義務がない反面就労しても何ら賃金請求権が発生しないといえる。(なお、控訴人会社が右午前二時以降に就労していた被控訴人b、同c、同e、同dら従業員に対し、それが職場秩序を乱すとして、長期間の出勤停止等の懲戒処分を繰り返していることは公知の事実(本訴請求原因でも同被控訴人らがその懲戒処分を受けた旨述べている。)であり、控訴 同e、同dら従業員に対し、それが職場秩序を乱すとして、長期間の出勤停止等の懲戒処分を繰り返していることは公知の事実(本訴請求原因でも同被控訴人らがその懲戒処分を受けた旨述べている。)であり、控訴人会社としては午前二時以後の就労は明示的に黙示的にもこれを容認していないことが明らかであるから、原審が午前二時以後の就労を所定外深夜として取り扱うことについては当事者間に争いがないとしたのは相当ではない。 また、控訴人会社は一部の期間、被控訴人らを含む一部の従業員に対し、午前二時以後の賃金支払をしているが、その支払は右の点から違法であり、そのことをもって、その労働時間が適法であり賃金を請求できる根拠とすることはできない。)。 三1 控訴人会社には現在各被控訴人らのタコメーター、賃金支払に関する資料の一部しか保存されておらず、各被控訴人の各請求期間中における各計算はその一部資料から推認するほかないこと、別紙一ないし五各1の各被控訴人主張の割増計算の内、同各2の期間欄及び請求月数(J欄)、一時間当たり賃金(E欄)、月間水揚高平均(G欄)が各被控訴人主張のとおりであることは当事者間に争いがない 2 前記甲第一一号証の一、二、第一二号証、各原本の存在と成立に争いのない乙第九号証の一ないし二九、第一一号証の各一ないし四二、第一五号証の一ないし二四、第一六号証の一ないし四三、第一七号証の一ないし四五、原審証人f、新村節雄の各証言、原審被控訴人b本人尋問の結果を総合すると、次の事実が認められる。 (一) 各被控訴人の月間労働時間は、前記説示に従い各被控訴人のタコメーターの記載から読み取った概数の月間平均値によると、別紙一ないし五の各2認定(各被控訴人分)の所定内(A欄)、所定外(B欄)、深夜(C欄)各労働時間及びこれらを月間の所定内労働時間に換算した数値(D欄)の 記載から読み取った概数の月間平均値によると、別紙一ないし五の各2認定(各被控訴人分)の所定内(A欄)、所定外(B欄)、深夜(C欄)各労働時間及びこれらを月間の所定内労働時間に換算した数値(D欄)の各該当欄記載のとおりである(但し、変形労働時間に準じて出勤した者の取扱は、午前八時以前出勤の場合午前八時までの時間は所定外とし、午前八時以後に出勤した場合それより遅れた時間だけ、午後五時から午後一〇時までの就労時間の内から所定内に繰り込み、所定内は原則として八時間になるように計算し、午後一〇時以後就労している場合は常にそれより午前二時までの時間を所定外深夜労働時間とし、午前二時以後は就労していても、前記説示の点から就労しない場合と同視してこれを零と計算した。)。月間に支払われるべき賃金額(F欄)は各被控訴人につき各該当欄記載のとおりである。 (二) 各被控訴人と控訴人会社との間の個別の労働契約で定めた賃金は各月間水揚高につき試用期間中〇・四二、正社員期間〇・四五、指名者期間〇・四六を乗じた額であり、その中には(全部かどうかは暫く置いて)幾分かの割合による割増金が含まれており(観光労組との協定の際そのことが議題となり、観光労組もそれを原則として肯定していた。)、各被控訴人が控訴人会社から各主張の期間中の賃金として右賃金比率による賃金の支払を受けている(この事実は争いがない。)。 (三) 割増賃金が既に支払った賃金の一部に含まれているものとしてその割増賃金の不足額(I欄)、割増賃金不足合計額(K欄)はそれぞれ右認定表の計算により算定できる。以上のとおり認められる。もっとも、(1) 右計算の基礎となった水揚高、総労働時間には前記違法とした午前二時以後の労働時間のものも含まれているが、本件で争いとなった全期間の右説示の基準に従った適法な労働時間、水揚 られる。もっとも、(1) 右計算の基礎となった水揚高、総労働時間には前記違法とした午前二時以後の労働時間のものも含まれているが、本件で争いとなった全期間の右説示の基準に従った適法な労働時間、水揚高に限定するとそれを確定することのできる証拠がなく、当事者間に争いのない算定額によるほか適切な方法がないので、これによることとした。 (2) 右認定に反する甲第一、第三、第七ないし第九号証の各一、二(各被控訴人の昭和六一年分、昭和六二年分賃金台帳)の支払金額の記載は、前記説示と異なり休憩時間を除く全ての就労時間を適法な労働時間とし、所定内、所定外、深夜の各時間の区別につき、観光労組員の場合に準じて処理しているが、その取扱は前記各説示に反する点で違法であるから、その計算額は採用しない。 他に右認定を左右する証拠はない。 四1 従って、各被控訴人の本訴請求中割増賃金は、控訴人会社に対し、被控訴人aが三一万二四七七円、同bが五万三一七六円、同cが八万二八四二円、同eが三七万三二九四円、同dが一二万二一六一円、及び各金員に対する履行遅滞後の昭和六三年一月二二日(本件訴状送達の翌日であることは記録上明らかである。)から各支払済に至るまで民事法定利率年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があり、その余は理由がない。 2 前記争いのない事実及び各説示によると、法一一四条により、控訴人会社が各被控訴人に対し、右各認容額と同額の付加金を支払うことを命ずるのが相当であり、その余の各付加金請求は理由がない。 五以上のとおりであるから、各被控訴人の本訴請求は前記説示の限度で理由があるのでこれを認容し、その余は理由がないので棄却すべきところ、その認容すべき額が原判決の認容額を超える被控訴人eについては被控訴人から附帯控訴による請求拡張の申立がないので原判決 示の限度で理由があるのでこれを認容し、その余は理由がないので棄却すべきところ、その認容すべき額が原判決の認容額を超える被控訴人eについては被控訴人から附帯控訴による請求拡張の申立がないので原判決を相当として本件控訴を棄却するのに止め、その余の被控訴人については原判決を右説示のとおり減額して変更し、控訴人と各被控訴人との間に生じた各訴訟費用の負担につき民事訴訟法九五条、九六条、九二条、八九条、主文第一項1の(一)ないし(四)に関する仮執行宣言につき同法一九六条の規定に従い、主文のとおり判決する。 (裁判官高木積夫孕石孟則高橋文仲)別紙<03669-001><03669-002><03669-003><03669-004><03669-005><03669-006><03669-007>
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