昭和62(オ)311 損害賠償

裁判年月日・裁判所
平成4年7月14日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所 昭和61(ネ)896
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【DRY-RUN】主    文      本件上告を棄却する。      上告費用は上告人の負担とする。          理    由  上告代理人遠藤誠の上告理由第一、第二及び第六点について  死刑の確定裁判を受け

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判決文本文2,587 文字)

主    文      本件上告を棄却する。      上告費用は上告人の負担とする。          理    由  上告代理人遠藤誠の上告理由第一、第二及び第六点について  死刑の確定裁判を受けた者が刑法一一条二項に基づき監獄に継続して拘置されて いる場合には、死刑の時効は進行しないものと解するのが相当である(最高裁昭和 六〇年(ク)第二五六号同年七月一九日第一小法廷決定・裁判集民事一四五号二七 一頁)。けだし、刑の時効は刑の言渡が確定したのち一定の期間その執行を受けな いことによって完成するが(同法三二条)、刑法一一条二項所定の拘置は死刑の執 行行為に必然的に付随する前置手続であるから、死刑の確定裁判を受けた者が右規 定に基づいて拘置されている間は、確定裁判の執行が継続中の状態にあるものとし て、死刑の時効は進行しないものと解されるのであり(同法三二条にいう「其執行」 とは、「刑ノ言渡ノ執行」すなわち「刑を言い渡した裁判の執行」の意味に解すべ きである)、また、死刑の確定裁判を受けた者が右規定に基づき拘置されている場 合には、刑の時効が認められた制度の趣旨は妥当しないものと考えられるからであ る。これと同旨の原審の判断は正当として是認することができ、原判決に所論の違 法はない。論旨は、時効の停止の制度(同法三三条参照)が存在することから、ま た、刑法一一条二項所定の拘置が時効の中断事由(同法三四条参照)として規定さ れていないことから、死刑の確定裁判を受けた者が拘置されている間も時効が進行 する旨主張するが、刑法三三条は、確定裁判の執行が法令により猶予され又は停止 された期間内は時効が進行しないことを明らかにしたにとどまるというべきであり、 また、刑法一一条二項所定の拘置を時効の中断事由として定めなければならない理 由もなく、これが時効の中断事由として規定されていな た期間内は時効が進行しないことを明らかにしたにとどまるというべきであり、 また、刑法一一条二項所定の拘置を時効の中断事由として定めなければならない理 由もなく、これが時効の中断事由として規定されていないことは、何ら前記解釈の - 1 - 妨げとなるものではない。右論旨を含め、所論はいずれも独自の見解に基づいて原 判決の違法をいうものにすぎず、採用することができない。  同第三点について  所論は違憲をいうが、その主張するところは、刑法一一条二項の規定に基づいて 拘置されている者に刑の時効の完成が認められないとすることは、逃亡した者に刑 の時効が認められることと対比して均衡を失するという観点から、上告人(亡A) につき刑法三二条の規定が適用されるべきことをいうものであって、その実質は、 刑の時効に関する法令の解釈適用についての原審の判断の誤りをいうものにすぎな い。前示のとおり、右の点についての原審の判断は正当であって、原判決に所論の 違法はない。論旨は採用することができない。  同第四点について  刑法一一条二項所定の拘置は、死刑の執行行為に必然的に付随する前置手続であ って、死刑の執行に至るまで継続すべきものとして法定されている。したがって、 所論のような拘置の後に死刑を執行することは、当裁判所大法廷の判例(昭和二二 年(れ)第一一九号同二三年三月一二日大法廷判決・刑集二巻三号一九一頁、昭和 二六年(れ)第二五一八号同三〇年四月六日大法廷判決・刑集九巻四号六六三頁) の趣旨に徴すれば、憲法三六条にいう残虐な刑罰に当たらないことが明らかという べきである(前掲最高裁昭和六〇年七月一九日第一小法廷決定)。原判決に所論の 違法はない。その他、記録によって認められる本件訴訟の経緯に照らすと、原審が 所論釈明権の行使をしなかったことにも違法はない。論旨は採用することができな い。 月一九日第一小法廷決定)。原判決に所論の 違法はない。その他、記録によって認められる本件訴訟の経緯に照らすと、原審が 所論釈明権の行使をしなかったことにも違法はない。論旨は採用することができな い。  なお、原審の確定した事実関係によれば、上告人は死刑判決確定後、昭和三〇年 六月二二日の再審請求を最初として、原審口頭弁論終結時までに一七回の再審請求 及び五回の恩赦出願をし、右再審請求及び恩赦出願の結果、その手続の行われてい - 2 - る期間を除く右死刑判決確定後の期間はわずか八二日間にすぎなかったというので あるから(旧刑訴法五三八条、現行刑訴法四七五条参照)、右のような事実関係の 下においては、上告人に対する拘置が相当の長期間に及んだことにもやむを得ない 事情があったものといわなければならない。  同第五点について  旧刑訴法四九六条ただし書(現行刑訴法四四二条ただし書)は、検察官は再審の 請求についての裁判があるまで刑の執行を停止することができる旨を規定している が、再審の請求があった場合に刑の執行を停止するかどうかは、検察官が諸般の事 情を考慮してその裁量に基づいて決定すべきものであるから、上告人が再審の請求 をしている間、検察官が上告人に対する刑の執行(拘置を含む)の停止の措置を採 らなかったからといって、上告人に対する刑の執行が違法となるべき理由はない。 右刑の執行が違法であることを前提とする所論違憲の主張は、その前提を欠く。論 旨は採用することができない。  よって、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主 文のとおり判決する。      最高裁判所第三小法廷          裁判長裁判官    可   部   恒   雄             裁判官    坂   上   壽   夫             裁判官    貞    最高裁判所第三小法廷          裁判長裁判官    可   部   恒   雄             裁判官    坂   上   壽   夫             裁判官    貞   家   克   己             裁判官    園   部   逸   夫             裁判官    佐   藤   庄 市 郎 - 3 -

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