平成26年9月11日判決言渡平成26年(行ケ)第10077号審決取消請求事件口頭弁論終結日平成26年7月10日判決 原告株式会社アクセル 訴訟代理人弁理士濱 田 百合子同北島健次同小栗昌平 被告特許庁長官 指定代理人小林裕和同橘 崇生同内山 進主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求特許庁が不服2013-12326号事件について平成26年2月18日にした審決を取り消す。 第2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯等(当事者間に争いがない。)原告は,意匠に係る物品を「携帯情報端末」とする意匠について,平成23 年11月17日に意匠登録出願(意願2011-26663号。以下「本願」という。)をしたが,平成25年3月25日付け(同年4月2日発送)で拒絶査定を受けたので,同年6月28日,これに対する不服の審判を請求した。 特許庁は,この審判を,不服2013-12326号事件として審理した結果,平成26年2月18日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決をし,審決の謄本を,同年3月4日,原告に送達した。 原告は,同月28日,上記審決の取消しを求めて本件訴えを提起した。 2 本願意匠の形態別紙審決書写しの「別紙第1」の記載及び図面に記載されたとおりのものである(以下,原告が部分意匠として意匠登録を受けようとする画像部分を,審決に倣い,「本願画像部分」ということがある。)。 3 審決の理由別紙審決書写しのとおりであり,要するに,本願意匠は,当業者が下記の各画像及び意 匠として意匠登録を受けようとする画像部分を,審決に倣い,「本願画像部分」ということがある。)。 3 審決の理由別紙審決書写しのとおりであり,要するに,本願意匠は,当業者が下記の各画像及び意匠の形態等の公知の形状の結合に基づいて容易に創作をすることができた意匠に該当するから,意匠法3条2項の規定により,意匠登録を受けることができないというものである。 ア 「週刊アスキー」2011年5月31日23号20頁の左下右側所載の「タスク管理アプリ搭載」と表示された,携帯情報端末機の画像(別紙審決書写しの「別紙第2」のとおり。以下「画像1」という。)イソフトバンクモバイル株式会社がインターネットを通じて掲載した「PANTONE® SLIDESoftBank 825SH|SoftBank」との表題のページ(掲載確認日(公知日):2008年8月18日,アドレス:http://mb.softbank.jp/mb/product/3G/825sh/)に掲載された「携帯電話機」の画像(左端の「メモリダイヤル呼び出し時」と表示された画像)(別紙審決書写しの「別紙第3」のとおり。以下「画像2」という。) ウソフトバンクモバイル株式会社がインターネットを通じて掲載した「OMNIAPOPSoftbank 931SC|SoftBank」との表題のページ(掲載確認日(公知日):2009年7月14日,アドレス:http://mb.softbank.jp/mb/product/3G/931sc/)に掲載された「携帯電話機」の画像(別紙審決書写しの「別紙第4」のとおり。以下「画像3」という。)エ意匠登録第1383719号の意匠(別紙審決書写しの「別紙第5」のとおり。以下「意匠1」という。)審決は,上記結論を導くに当たり,本願意匠に関し 第4」のとおり。以下「画像3」という。)エ意匠登録第1383719号の意匠(別紙審決書写しの「別紙第5」のとおり。以下「意匠1」という。)審決は,上記結論を導くに当たり,本願意匠に関して次のとおり認定した。 「本願画像部分は,携帯情報端末正面の縦長長方形画面の表示部分で,その中に,動画メニュー選択のための縮小動画を表示する矩形部が複数個配置されており,それらの矩形部を指で触ることによって,動画メニューの選択操作を行うものであり,その態様は,(A)全体は,縦長長方形画面を横方向の直線で分割し,上端の細幅帯状部(以下「上端細帯状部」という。)と,その下方の太幅帯状部(以下「下方太帯状部」という。)4段の構成とし,(B)上端細帯状部内には,ジャンル選択キーとして,上端細帯状部のほぼ横幅一杯に,3個の略同形同大の扁平な等脚台形のタブを,隣接する下端部が重なるように配し,(C)各下方太帯状部には,左端寄りに,選択対象動画表示枠として,同形同大の矩形枠を,下方太帯状部の幅(高さ)よりやや幅狭で,この帯状領域の約3分の1程度の領域を占めるやや横長の長方形として,縦一列に配した態様で,(D)選択対象動画表示枠に表示された動画を選択することにより,その動画が縦長長方形画面の表示部分に拡大表示され,(E)動画一覧表示部に表示された選択対象動画は,スライド操作により上 下又は左右に移動可能としたものである。」(以下,審決が摘記した上記(A)ないし(E)の各態様を,順次,「態様(A)」,「態様(B)」などと特定する。)第3 原告主張の取消事由審決には,①引用意匠の認定の誤り(取消事由1),②本願意匠の創作容易性の判断の誤り(取消事由2)及び③手続違背(取消事由3)があり,これらは,いずれも審決の結論に影 第3 原告主張の取消事由審決には,①引用意匠の認定の誤り(取消事由1),②本願意匠の創作容易性の判断の誤り(取消事由2)及び③手続違背(取消事由3)があり,これらは,いずれも審決の結論に影響するものであるから,審決は取消しを免れない。 1 取消事由1(引用意匠の認定の誤り)本願意匠は,一覧表示される複数動画の画像自体が,拡大表示及び上下左右の移動のための操作画面となっているという,操作性に係る構成態様に特徴付けられたものである。 これに対し,画像1ないし3及び意匠1(以下,併せて「画像1等」という。)は,いずれもこのような構成態様を備えたものではなく,当業者が本願意匠の創作に当たり基礎にするようなものとは到底想定できない。 よって,審決がこれらを引用意匠として認定したのは誤りである。 2 取消事由2(本願意匠の創作容易性の判断の誤り)態様(A)についての判断の誤り審決は,態様(A)について,画像2及び3並びに意匠1を引用して創作容易であると判断した。 しかしながら,これらの画像や意匠は,いずれも動画がそのまま動画として一覧表示されて操作画面とされるという操作性に係る態様を備えたものではない。 また,画像2及び3並びに意匠1は「上端の細幅帯状部」や「太幅帯状部4段の構成」に相当する構成が示されていない点で,画像2及び3は画面上端の「太い帯状部」及び画面下端の「細幅帯状部」が一体的に表示されている点で,態様(A)とは構成態様が全く異なるから,これらの画像等から態 様(A)を想起することはできない。 さらに,操作性に係る態様を欠いた,相互に全く関連のない画像2及び3並びに意匠1を組み合わせる動機付けもない。 よって,審決の上記判断は誤りである。 態様(B)についての判断の誤 い。 さらに,操作性に係る態様を欠いた,相互に全く関連のない画像2及び3並びに意匠1を組み合わせる動機付けもない。 よって,審決の上記判断は誤りである。 態様(B)についての判断の誤り審決は,態様(B)について,画像1ないし3を引用して創作容易であると判断した。 しかしながら,これらの画像は,いずれも動画がそのまま動画として一覧表示されて操作画面とされるという操作性に係る態様を備えたものではなく,これと関連する「等脚台形」を含む態様(B)とは無関係である。 また,画像1及び3は本願意匠のような態様で位置をずらしたタブを設けたものではない点で,画像2及び3は画面上端の「太い帯状部」及び画面下端の「細幅帯状部」が一体的に表示されている点で,態様(B)とは構成態様が全く異なるから,これらの画像から態様(B)を想起することはできない。 さらに,操作性に係る態様を欠いた,相互に全く関連のない画像1ないし3を組み合わせる動機付けもない。 よって,審決の上記判断は誤りである。 態様(C)についての判断の誤り審決は,態様(C)について,意匠1を引用して創作容易であると判断した。 しかしながら,意匠1は,動画がそのまま動画として一覧表示されて操作画面とされるという操作性に係る態様を備えたものではない。意匠1の左端の正方形状に見える白抜き部分は,意匠1の登録部分ではなく,これを正方形状の「表示枠」と見ることも難しいから,この白抜き部分が本願意匠の「動画メニュー選択のための縮小動画を表示する矩形部」と対比できるかの ように判断した審決は誤っている。 また,審決は,矩形枠の態様に様々なバリエーションがあったとするが,何らの証拠を示しておらず,これを動画表示枠として横長長方形とした本願意匠 きるかの ように判断した審決は誤っている。 また,審決は,矩形枠の態様に様々なバリエーションがあったとするが,何らの証拠を示しておらず,これを動画表示枠として横長長方形とした本願意匠には,創作非容易性が認められるべきである。 よって,審決の上記判断は誤りである。 態様(D)及び(E)についての判断の誤り審決は,態様(D)及び(E)について,この種物品分野において広く知られた手法であるとして創作容易であると判断した。 しかしながら,これらの態様は,この種物品分野において広く知られた手法ではなく,本願意匠において実現されたものである。審決の上記判断は,何の証拠も示しておらず,全く根拠のない誤った判断である。 さらに,これらの態様は,一覧表示される複数動画の画像自体が操作画面である本願意匠に係る態様であるにもかかわらず,この点について実質的な審理判断をしていない審決は誤りである。 「動画表示枠に動画を表示する点」についての判断の誤り審決は,本願意匠が横長長方形枠内に動画が表示されるという新規な機能を有するとしても,そこに表示される動画そのものは意匠の対象とはならないし,その技術的な革新性はともかく,機能に関わる事項に対する評価であって画像部分そのものの意匠的評価とは異なるものであり,本願画像部分の横長長方形枠は,動画を表示するための単なる表示枠であるとして,新規な機能を有することを理由に創作容易ではないとすることはできない旨判断した。 しかるに,本願意匠は,審決も認める「新規な機能」や「技術的な革新性」を意匠的に実現した,新規にして創作性のある操作性に係る態様を含む意匠である。意匠法に,「動画が表示される」形態が意匠の対象にならないとの規定はないこと,同法2条2項は操作画像が意匠の対象に 新性」を意匠的に実現した,新規にして創作性のある操作性に係る態様を含む意匠である。意匠法に,「動画が表示される」形態が意匠の対象にならないとの規定はないこと,同法2条2項は操作画像が意匠の対象になると規定す ることなどからすれば,本願意匠の創作容易性の判断に当たっては,動画が動画のまま表示される操作性に係る態様についての本願意匠の着想の新しさないし独創性を判断対象とすべきである。 そして,本願画像部分の複数の動画表示枠は,単なる表示枠にととまらず,画像自体が操作画面となっており操作のための操作画像の表示が別途に必要ではないことから,極めて簡潔で均整のとれた美感を見る者に与えるとともに,誤作動を防止することができる形態を備えるなど,使用感につながる視覚的な印象を異ならしめるといえる創作性を有しており,引用意匠から容易に創作することができるものではない。 よって,審決には,これらの点についての判断の誤りがある。 3 取消事由3(手続違背)審決は,態様(D)及び(E)について,何らの証拠を示すことなく,この種物品分野において広く知られた手法であるとして創作非容易性を否定しており,態様(D)及び(E)を含む本願意匠について,拒絶理由を通知することなく審決をした違法及び実質的な審理判断をしなかった判断遺脱の違法がある。 第4 被告の反論 1 取消事由1について本願画像部分において意匠として保護対象となる「物品の操作の用に供される画像」は矩形部(横長長方形枠)であり,矩形部内に表示される動画自体の態様については,その動画自体の態様(動画の中に映っているもの)には操作を行わないし,矩形部内には何の画像も表されていないので,保護対象に含まれない。 審決による本願意匠の認定はこれに沿うものであり,動画の内容や, 画自体の態様(動画の中に映っているもの)には操作を行わないし,矩形部内には何の画像も表されていないので,保護対象に含まれない。 審決による本願意匠の認定はこれに沿うものであり,動画の内容や,動画の中に映っているものは本願意匠とは無関係である。 そして,審決は,このことを前提に,態様(A)ないし(C)に係る本願画像部分の形態が記載された画像1等を引用したのであり,審決における引用意 匠の認定に誤りはない。 本願意匠は操作性に係る態様を備えた構成態様であると審決が認定した旨の原告の指摘は,操作画面の対象が動画自体であることをことさら強調するものであって,操作の用に供される画像が表示枠であり,動画自体を含むものではないことからすれば,理由がない。よって,審決が,引用意匠の認定に当たり,本願意匠の操作性に係る態様の考慮を欠いたとの原告の主張は,失当である。 2 取消事由2について態様(A)ないし(C)についての判断の誤りについて審決による本願意匠の認定に動画自体の態様が含まれないこと,審決による引用意匠の認定に誤りはないこと,審決が,引用意匠の認定に当たり,本願意匠の操作性に係る態様の考慮を欠いたとの原告の主張が失当であることは,いずれも前記1のとおりである。 そして,審決は,原告の主張する操作性に係る態様の有無にかかわらず,引用意匠に基づいて態様(A)ないし(C)の創作容易性を肯定したのであり,かかる審決の判断に誤りはない。 本願意匠の態様に関係しない要素が引用意匠に認められたとしても,創作容易性の判断が,当業者の観点から見て意匠の創作が容易であるかの判断であり,需要者の観点から見た意匠の美感の異同についての判断ではないことからすれば,本願意匠と引用意匠の美感の相違を指摘する原告の主張は失当で が,当業者の観点から見て意匠の創作が容易であるかの判断であり,需要者の観点から見た意匠の美感の異同についての判断ではないことからすれば,本願意匠と引用意匠の美感の相違を指摘する原告の主張は失当である。 また,態様(C)に関しては,意匠1の白抜き部分は部分意匠として意匠登録を受けようとする部分ではないものの,「意匠に係る物品の説明」には,「例えばダウンロード可能なアプリケーションのリストを表示する」との記載があるので,携帯情報端末の分野の当業者の知識に照らせば,この白抜き部分にはアプリケーションのアイコン画像が表示されることは明らかである。 さらに,携帯情報端末の分野において,静止画や動画のようなコンテンツの 縮小画像(サムネイル画像)が横長であるものは,本願出願前に広く知られているから,動画表示枠の形態について創作非容易性を肯定すべきとする原告の主張は誤りである。 よって,審決の判断に誤りはない。 態様(D)及び(E)についての判断の誤りについて表示枠内の画像が静止画であるか動画であるかにかかわらず,表示枠内のコンテンツを選択して拡大表示させたり,コンテンツを上下左右に移動させたりすることは,本願の意匠に係る物品である携帯情報端末の分野では本願の出願前に広く知られた手法である。 審決は,このような広く知られた手法によれば,態様(D)及び(E)は特段創意を要するものではないと判断したのであり,誤りはない。 「動画表示枠に動画を表示する点」についての判断の誤りについてア本願意匠において操作に使用される画像は,動画を表示する横長長方形枠であり,枠内に表示される動画自体の態様は保護対象に含まれない。複数の横長長方形枠内に動画を動画のまま表示させ,移動させたり拡大表示させたりすることは,ソフトウェア技術上 動画を表示する横長長方形枠であり,枠内に表示される動画自体の態様は保護対象に含まれない。複数の横長長方形枠内に動画を動画のまま表示させ,移動させたり拡大表示させたりすることは,ソフトウェア技術上の創作であって,意匠法が保護対象としている物品の部分の形態の創作ではない。よって,本願画像部分には動画自体は含まれないものとして本願意匠を認定し,その創作容易性を判断した審決の認定判断に誤りはない。 イ画像一覧表示部に複数の静止画やアイコンを並べ,複数のそれらを移動させる仕組みや,それらの一つを選択するとその静止画が拡大表示されたり,アプリケーションが起動したりする仕組みは,携帯情報端末の分野においては,本願出願前から普通に実現している仕組みである。 一方,テレビ番組において,スタジオを映した画面の中に現場を映した画面を細い枠線を使ってはめ込むことや,細い境界線で画面を上下二つに分けてそれぞれに異なる映像を表示すること,並んでいる画像から一つを 選び,それを画面一杯に拡大して表示することは,いずれも本願出願前からごく普通に行われている視覚効果である。 これらの従来からある視覚効果の組合せによれば,画像一覧表示部に複数の動画を並べて,一つの動画を選択すると動画が拡大表示されたり,複数の動画を移動させたりする仕組みは,容易に思いつくものと認められる。 よって,本願画像部分が創作容易であるとした審決の判断に誤りはない。 3 取消事由3について当業者にとってある手法がありふれたものであることが,審査官にとって顕著な事実と認められる場合には,拒絶理由においてその手法の提示を要しない。 そして,複数表示された静止画や動画等の選択表示枠をクリックすることにより当該画像等を拡大表示したり,静止画や動画等の選択表示枠を左右又は上 られる場合には,拒絶理由においてその手法の提示を要しない。 そして,複数表示された静止画や動画等の選択表示枠をクリックすることにより当該画像等を拡大表示したり,静止画や動画等の選択表示枠を左右又は上下の移動操作に合わせて移動させることは,携帯情報端末の当業者にとって本願の出願前に極めて広く知られた手法であるから,審決がこれを顕著な事実と認め,その手法を理由中に提示しなかった点に,拒絶理由を通知しなかった違法や判断遺脱の違法はない。 第5 当裁判所の判断当裁判所は,原告の主張する取消事由は理由がないものと判断する。その理由は以下のとおりである。 1 本願意匠の構成について原告は,本願意匠が,一覧表示される複数動画の画像自体が操作画面となっているという操作性に係る構成態様を有すると主張し,このような操作性に係る態様を備えていない画像1等を引用意匠に認定したことの誤り(取消事由1),これらを引用意匠とするなどして本願意匠が創作容易であるとした判断の誤り(取消事由2)を主張する。 かかる原告の主張は,要するに,本願画像部分において再生されながら表示される複数の動画の画像自体が「物品の操作の用に供される画像」として 意匠を構成するにもかかわらず,審決が引用意匠の認定や本願意匠の創作容易性の判断に当たり,これを無視したとの主張であると解される。 そこで,上記各取消事由の判断に先立ち,本願意匠が原告の主張する構成態様を有するか否かについて検討する。 なお,原告が,審決による本願意匠の認定自体の誤りを主張するのか否かは定かではないものの,その主張内容に照らして,審決による本願意匠の認定の当否についても併せて検討することとする。 本願の願書(平成24年9月7日付け手続補正後のもの。甲1,4)によれば,本願意匠に係 ではないものの,その主張内容に照らして,審決による本願意匠の認定の当否についても併せて検討することとする。 本願の願書(平成24年9月7日付け手続補正後のもの。甲1,4)によれば,本願意匠に係る物品は,携帯電話機能,インターネット機能,データ記憶機能,メディア再生機能,ゲーム機能などの複合機能を有する携帯情報端末であり,本願画像部分は,同端末の縦長長方形の表示部に表示された同形の画像であり,画像の構成は,画面を横方向に5段に分割して画面上端の細帯状部1段とその下のそれぞれ等幅の太帯状部4段とし,上端細帯状部にはジャンル選択キーとして3つの扁平な等脚台形のタブを配置し,下方太帯状部のそれぞれに同形同大のやや横長の長方形の動画表示枠を左端寄りに1つずつ配置し,それぞれの動画表示枠に選択メニューとしての動画が縮小動画として表示されるというものである。 そして,本願画像部分の操作方法は,操作者が視聴を希望する縮小動画の表示された動画表示枠を指で触ると,その動画が表示部上半分に拡大表示され,また,一覧表示された縮小動画は,指を画面に当てたままスライドさせることにより,上下又は左右に移動させることができるというものである。 この縮小動画の移動機能は,動画コンテンツの数が4の動画表示枠数を超えて存在する場合であっても,動画表示枠に縮小動画を順次表示させることにより,動画の検索及び選択を容易にすることを可能にするためのものであると考えられる。 本願画像部分中に表示される動画については,本願の願書にはその内容が 特定されておらず,動画の表示態様が参考図に示されているにすぎないことからすれば,その内容自体は当該物品の操作の用に供されるものではなく,当該物品とは独立した内容のものとして操作者による視聴の対象になるものであると認められ 示態様が参考図に示されているにすぎないことからすれば,その内容自体は当該物品の操作の用に供されるものではなく,当該物品とは独立した内容のものとして操作者による視聴の対象になるものであると認められる。 意匠法2条2項は,「物品の操作(当該物品がその機能を発揮できる状態にするために行われるものに限る。)の用に供される画像であつて,当該物品又はこれと一体として用いられる物品に表示されるもの」について,「物品の部分の形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合」に含まれるものとして,これを意匠法の保護対象としており,これによれば,ある意匠に含まれる画像が,意匠法2条2項の規定する画像を構成するためには,当該物品の機能を発揮できる状態にするための操作に用いられる画像であることが必要である。 そうすると,意匠法2条2項の画像を含む意匠として出願された画像中に,当該物品とは独立した内容の画像が表示されている場合,当該画像の表示部の配置や形状については,当該物品の操作の用に供される画像の一部を成すものとして意匠の対象となり得るとしても,その内容については,当該物品の操作の用に供されるものということはできないから,意匠を構成するものではないこととなる。そして,このことは,画像の内容が静止画であると再生中の動画であるとを問わないから,「表示部に表示される画像が再生中の動画であること」は,意匠の構成要素を成すものではないというべきである。 また,意匠法上の意匠として保護されるためには,当該意匠が具体的なものとして特定されていることが必要であると考えられるところ,物品とは独立した内容の画像については,それ自体としては静止画であれ動画であれ具体的なものとして特定されていないから,当該画像については,この点においても意匠の構成要素を成すものではないと ところ,物品とは独立した内容の画像については,それ自体としては静止画であれ動画であれ具体的なものとして特定されていないから,当該画像については,この点においても意匠の構成要素を成すものではないと考えられる。 これを本願画像部分についてみると,動画一覧表示部に表示される動画は, 意匠に係る物品である携帯情報端末とは独立した内容のものである上,それ自体としては具体的なものとして特定されたものではないから,意匠の構成要素を成すものではなく,画像の選択及び拡大や上下ないし左右への移動の操作の用に供されているのは,動画一覧表示部に表示された個々の縮小動画というよりも,むしろ,個々の動画コンテンツを表象する枠(矩形部)であると考えるのが相当であり,かかる用に供される枠と動画の表示部とを一致させたからといって,本来意匠法の保護対象としての意匠を構成しない動画それ自体が意匠を構成することとなるものではないというべきである。 よって,本願画像部分において,動画一覧表示部に表示された個々の縮小動画は意匠を構成せず,したがって,「表示部に表示される画像が再生中の動画であること」が,本願意匠の構成要素を成すものということはできない。 以上によれば,本願意匠が,一覧表示される複数動画の画像自体が操作画面になっているという操作性に係る構成態様を有するとの原告の主張は採用することができない。 そして,審決構成態様を態様(A)ないし(E)のとおり認定するところ,かかる審決の認定は,動画表示枠に表示される再生中の動画自体が意匠の対象とはならないとの趣旨を含む限り,その点において誤りはなく,また,本願の願書の記載に照らし,その余の点においても誤りがあるとは認められない。 よって,以下,本願意匠の構成態様については,態様(A)ないし(E) の趣旨を含む限り,その点において誤りはなく,また,本願の願書の記載に照らし,その余の点においても誤りがあるとは認められない。 よって,以下,本願意匠の構成態様については,態様(A)ないし(E)のとおりの構成を有するものとして判断することとする。 2 取消事由1(引用意匠の認定の誤り)について原告は,本願意匠が,一覧表示される複数動画の画像自体が操作画面になっているという操作性に係る構成態様を有するにもかかわらず,かかる構成態様を備えたものではない画像1等を引用意匠として認定したのは誤りであると主張する(前記第3の1)。 しかしながら,本願意匠が原告の主張するような構成態様を有するということはできないのは前記1のとおりである。そして,画像1等は,いずれも,後記3において検討するとおり,本願意匠の態様(A)ないし(C)と構成上の共通点を有するものであるから,本願意匠の創作容易性の有無を検討するに当たり,これらの画像を引用意匠として用いることが不適切であるということはできない。 よって,原告の上記主張は採用することができない。 3 取消事由2(本願意匠の創作容易性の判断の誤り)について画像1等の態様について審決が引用意匠として挙げた画像1等は,いずれも操作画面に関する画像ないしは部分意匠であり,画像が表示される物品は,画像1及び意匠1は携帯情報端末,画像2及び3は携帯電話機である。そうすると,これらの画像及び意匠は,携帯型の電子情報機器の操作画面に関するものであるという点で共通する。 そして,審決が認定したこれらの画像及び意匠の態様は下記アないしエのとおりであり,別紙審決書写しの「別紙第2」ないし「別紙第5」の記載内容に照らして,これらの認定に誤りがあるとは認められない。 ア画像1 が認定したこれらの画像及び意匠の態様は下記アないしエのとおりであり,別紙審決書写しの「別紙第2」ないし「別紙第5」の記載内容に照らして,これらの認定に誤りがあるとは認められない。 ア画像1僅かに縦長の長方形画面の,下方大部分を,僅かに横長の長方形として区画し,この横長長方形の上辺の左略3分の1部を,略横長長方形状のタブとして突出させ,下方の横長長方形の,右端寄りに,5個の横長長方形を,最上段だけ下段のものよりさらに横長として,右揃えに縦一列に配し,左端寄りには,4個の略矩形状模様を,右端寄りの下方4段の横長長方形と下揃えとして配した態様である。 イ画像2 縦長長方形画面の,上端の細帯状部とその下方の太帯状部,及び下端の帯状部を除いた,画面の大部分を占める縦長長方形部分において,その上方を横方向の直線により細帯状に区画して,上端細帯状部を形成し,下方を多段に情報を表示する構成とし,上端細帯状部内には,そのほぼ横幅一杯に,3個の略同形同大の扁平な等脚台形のタブを,隣接する下端部が重なるように配して,各タブの中央に模様を配し,下方の多段に情報を表示する構成部分には,左端寄りに,模様が縦一列に配された態様である。 ウ画像3縦長長方形画面の,上端の細帯状部とその下方の太帯状部,及び,下端の帯状部を除いた,画面の大部分を占める縦長長方形部分において,その上方を,横方向の直線により太帯状に区画して上端太帯状部とし,下方を,等幅で5段の太帯状部とし,上端太帯状部の左略3分の1部に,略横長長方形状のタブを形成して,タブ中央には,上端太帯状部内に3個の模様を左右均等に配したうちの一個である左側の模様を配しており,各下方太帯状部には,右端寄りに,5個の,それぞれ中央に模様を配した隅丸正方形を を形成して,タブ中央には,上端太帯状部内に3個の模様を左右均等に配したうちの一個である左側の模様を配しており,各下方太帯状部には,右端寄りに,5個の,それぞれ中央に模様を配した隅丸正方形を縦一列に配し,左端寄りには,模様を縦一列に配した態様である。 エ意匠1縦長長方形画面を横方向の直線で分割し,縦長長方形の上下端部を除いた大部分に,同幅の帯状部を5段形成し,各帯状部の左端寄りに同形同大の矩形枠を縦一列に配し,矩形枠は,その高さが帯状部の幅よりやや幅狭,横の長さが画面の横の長さの4分の1弱の正方形とした態様である。 態様(A)の創作容易性についてア態様(A)は,縦長長方形画面を横方向の直線で分割し,上端の細幅帯状部(上端細帯状部)と,その下方の太幅帯状部(下方太帯状部)4段の構成としたものである。 この点,縦長長方形画面の全部あるいはその大部分を占める縦長長方形部分に,態様(B)に摘記されたタブを表示するための横方向の帯状部と,その下方にアプリケーションやファイル等を表象する複数の横方向の帯状部を設ける構成は,画像2及び画像3に見られるように,携帯型の電子情報機器の操作画面においてごく普通のものであるし,これらの帯状部の幅を変更したり,アプリケーションやファイル等を表象する帯状部の段数を変更することは,上記各画像や意匠1に様々な態様のものがあるとおり,当業者が適宜行い得るものである。 そうすると,態様(A)は,携帯型の電子情報機器の当業者において容易に創作することができたものであると認められ,これと同旨の審決の判断に誤りはない。 イ原告は,画像2及び3並びに意匠1はいずれも動画がそのまま動画として一覧表示されて操作画面とされるという操作性に係る態様を備えたものではないし,こ られ,これと同旨の審決の判断に誤りはない。 イ原告は,画像2及び3並びに意匠1はいずれも動画がそのまま動画として一覧表示されて操作画面とされるという操作性に係る態様を備えたものではないし,これらの画像等は「上端の細幅帯状部」や「太幅帯状部4段の構成」に相当する構成が示されていないなど,態様(A)とは構成態様が全く異なる,また,相互に全く関連のないこれらの画像を組み合わせる動機付けもない,と主張する(前記第3の2)。 しかしながら,本願意匠が,原告の主張する操作性に係る構成態様を有するとはいえず,動画表示枠に動画が表示されることが本願意匠を構成するものではないことは前記1のとおりであるから,この点について引用意匠からは創作が容易ではない旨の原告の主張は失当である。 また,原告の指摘する本願意匠との構成上の相違があるからといって, 画像2及び3に共通する上記のようなごく普通の構成を抽出することに特段の困難はない。 加えて,画像2及び3並びに意匠1は,いずれも携帯型の電子情報機器の操作画面という点で共通し,その画面構成にも共通するところがあるから,同一ないし類似の物品に属すると考えられる携帯情報端末の操作画面を創作するに当たり,これらを組み合わせる動機付けがないとはいえない。 よって,原告の上記主張は採用することができない。 態様(B)の創作容易性についてア態様(B)は,上端細帯状部内に,ジャンル選択キーとして,上端細帯状部のほぼ横幅一杯に,3個の略同形同大の扁平な等脚台形のタブを,隣接する下端部が重なるように配したものである。 この点,アプリケーションやファイル等の選択対象を分野ごとのシートにまとめた複数のシートを重ねた状態として画面上に表示し,それらのシートに付けられたタブを選択すること ように配したものである。 この点,アプリケーションやファイル等の選択対象を分野ごとのシートにまとめた複数のシートを重ねた状態として画面上に表示し,それらのシートに付けられたタブを選択することにより各シートを選択するようにするために,各シートの上辺に位置をずらしたタブを設けて全てのタブを視認可能とした態様は,画像1や画像2,画像3に見られるように,携帯型の電子情報機器の操作画面においてごく普通のものであり,タブの形状を扁平な等脚台形とし,これを隣接する下端部が重なるように配置することも,画像2に見られるとおり,普通に見られるありふれた態様である。 そうすると,態様(B)は,携帯型の電子情報機器の当業者において容易に創作することができたものであると認められ,これと同旨の審決の判断に誤りはない。 イ原告は,画像1ないし3はいずれも動画がそのまま動画として一覧表示されて操作画面とされるという操作性に係る態様を備えたものではないし,これらの画像は,タブの形状や画面上端・下端の態様等の点で態様(B) と相違するから,これらの画像から態様(B)を想起することはできない,また,相互に全く関連のないこれらの画像を組み合わせる動機付けもない,と主張する(前記第3の2)。 しかしながら,本願意匠が,原告の主張する操作性に係る構成態様を有するとはいえず,動画表示枠に動画が表示されることが本願意匠を構成するものではないことは前記1のとおりであるから,この点について引用意匠からは創作が容易ではない旨の原告の主張は失当である。 また,原告の指摘する画像1ないし3と本願意匠との構成上の相違があるからといって,画像1ないし3に共通する上記のようなごく普通のありふれた構成を抽出することに特段の困難はない。 さらに,画像 また,原告の指摘する画像1ないし3と本願意匠との構成上の相違があるからといって,画像1ないし3に共通する上記のようなごく普通のありふれた構成を抽出することに特段の困難はない。 さらに,画像1ないし3は,いずれも携帯型の電子情報機器の操作画面という点で共通し,その画面構成にも共通するところがあるから,同一ないし類似の物品に属すると考えられる携帯情報端末の操作画面を創作するに当たり,これらを組み合わせる動機付けがないとはいえない。 よって,原告の上記主張は採用することができない。 態様(C)の創作容易性についてア態様(C)は,各下方太帯状部の左端寄りに,選択対象動画表示枠として,同形同大の矩形枠を,下方太帯状部の幅(高さ)よりやや幅狭で,この帯状領域の約3分の1程度の領域を占めるやや横長の長方形として,縦一列に配した態様である。 この点,携帯型の電子情報機器の操作画面において,アプリケーションやファイル等を表象する帯状部の左端部に,それぞれの項目内容の表示部として同形同大の矩形枠を設ける態様は,意匠1に見られるところである。そして,それぞれの矩形枠の形状を,画像を表示するためにやや横長の長方形とすることは,当業者がごく普通に思い付くものであるし,その大きさを,矩形枠の上下辺が各帯状部の上下辺より内側になるように矩形 枠の縦幅を調整するとともに,矩形枠の横幅を帯状部の横幅の3分の1程度とすることも,当業者が適宜行い得ることである。 そうすると,態様(C)は,携帯型の電子情報機器の当業者において容易に創作することができたものであると認められ,これと同旨の審決の判断に誤りはない。 イ原告は,意匠1は動画がそのまま動画として一覧表示されて操作画面とされるという操作性に係る態様を備えたものではないし,意 ことができたものであると認められ,これと同旨の審決の判断に誤りはない。 イ原告は,意匠1は動画がそのまま動画として一覧表示されて操作画面とされるという操作性に係る態様を備えたものではないし,意匠1の白抜き部分を「表示枠」と見ることは難しいから,審決がこれを本願意匠の「縮小動画を表示する矩形部」と対比したのは誤りである,さらに,矩形枠を動画表示枠として横長長方形とした点に創作非容易性が認められるべきであると主張する(前記第3の2)。 しかしながら,本願意匠が,原告の主張する操作性に係る構成態様を有するとはいえず,動画表示枠に動画が表示されることが本願意匠を構成するものではないことは前記1のとおりであるから,この点について引用意匠からは創作が容易ではない旨の原告の主張は失当である。 また,意匠1の「意匠に係る物品の説明」には,「正面図…に表された画像は,本件意匠の物品「携帯情報端末」で選択可能な情報リストの表示機能,例えばダウンロード可能なアプリケーションのリストを表示する機能を発揮するために行われる操作に用いられる画像」であるとの記載がある(甲13)。そうすると,携帯情報端末の分野の当業者の知識に照らせば,意匠1の白抜き部分にはアプリケーションのアイコン画像や静止画や動画のようなコンテンツの縮小画像が表示されるものと理解することができるから,審決がこれを表示枠として本願意匠と対比した点に誤りはない。 さらに,静止画や動画の表示画面が一般的にやや横長の長方形であることは,本願出願前に広く知られているから,動画表示枠の形態について容易に創作することができないとはいえない。 よって,原告の上記主張は採用することができない。 態様(D)及び(E)の創作容易性についてア態様(D)は,選択対象動画表示枠 いて容易に創作することができないとはいえない。 よって,原告の上記主張は採用することができない。 態様(D)及び(E)の創作容易性についてア態様(D)は,選択対象動画表示枠に表示された動画を選択することにより,その動画が縦長長方形画面の表示部分に拡大表示されるというものである。 この点,遅くとも本願出願時にはインターネット上で公開されていたと認められる「iPhoneユーザガイド」(乙5の1及び2)及び「Android2.3ユーザーガイド」(乙6)には,スマートフォン端末の操作画面上に複数表示された静止画(静止画で表された動画コンテンツを含む。)の表示枠をタップ(指先等で軽くたたくことを意味するものと解される。)して選択することにより,当該画像を拡大表示するとの態様が示されており,これらの証拠によれば,かかる態様は,本願出願当時,この種の物品の分野において広く知られた手法であったと認められる。 そして,表示枠に表示される画像が再生中の動画であることが本願意匠を構成するものではないことは前記1のとおりであるから,この点を捨象すると,態様(D)は,携帯情報端末を含む携帯型の電子情報機器の当業者において,上記の広く知られた手法から容易に創作することができたものであると認められ,これと同旨の審決の判断に誤りはない。 イ態様(E)は,動画一覧表示部に表示された選択対象動画を,スライド操作により上下又は左右に移動可能としたものである。 この点,「iPhoneユーザガイド」(乙5の1及び2)には,スマートフォン端末の操作画面上に拡大表示された静止画(静止画で表された動画コンテンツを含む。)の表示枠を,画面を指でフリック(スライドさせることを意味するものと解される。)することにより順送りすることができること の操作画面上に拡大表示された静止画(静止画で表された動画コンテンツを含む。)の表示枠を,画面を指でフリック(スライドさせることを意味するものと解される。)することにより順送りすることができることが示され,また,「Android2.3ユーザーガイド」(乙6)には,スマートフォン端末の操作画面上に複数表示された静止画 (静止画で表された動画コンテンツを含む。)の表示枠を左右にスワイプ(指で触れたまま横に滑らせることを意味すると解される。)することによりスクロールする(順次移動させる)ことができることが示されている。 これらの証拠によれば,この種の物品の分野において,操作画面上に一覧表示された選択対象となる複数の静止画の枠をスライド操作により移動可能としたり,複数の静止画をスライド操作により隣接する表示枠に順次移動可能とすることは,本願出願当時,広く知られた手法であったと認められる。 そして,表示枠に表示される画像が再生中の動画であることが本願意匠を構成するものではないことは前記1のとおりであるから,この点を捨象すると,態様(E)は,携帯情報端末を含む携帯型の電子情報機器の当業者において,上記の広く知られた手法から容易に創作することができたものであると認められ,これと同旨の審決の判断に誤りはない。 ウ原告は,態様(D)及び(E)は,いずれもこの種の物品分野において広く知られた手法ではなく,また,審決は,一覧表示される複数動画の画像自体が操作画面である本願意匠に係る態様について実質的な検討判断をしていないと主張する(前記第3の2)。 しかしながら,態様(D)及び(E)が携帯情報端末の当業者にとって広く知られた手法であったと認められること,態様(D)及び(E)の創作容易性について検討する際,表示枠に表示される画像 )。 しかしながら,態様(D)及び(E)が携帯情報端末の当業者にとって広く知られた手法であったと認められること,態様(D)及び(E)の創作容易性について検討する際,表示枠に表示される画像が再生中の動画であること自体は捨象すべきであることは,いずれも前記ア及びイのとおりであり,原告の上記主張は採用することができない。 「動画表示枠に動画を表示する点」についての判断の誤りについて原告は,本願意匠の創作容易性の判断に当たっては,動画が動画のまま表示される操作性に係る態様についての本願意匠の着想の新しさないし独創性を判断対象とすべきであり,本願画像部分の複数の動画表示枠は,単なる表 示枠にとどまらない視覚的な創作性を有すると主張する(前記第3の2)。 しかしながら,表示枠に表示される画像が再生中の動画であることが本願意匠を構成するものではなく,本願意匠の創作容易性について判断する際にはその点は捨象されることは前記ないしのとおりである。 また,原告の指摘する本願画像部分の視覚的な創作性を踏まえても,その態様は当業者が容易に創作できることも前記ないしのとおりである。 よって,原告の上記主張は採用することができない。 4 取消事由3(手続違背)について原告は,審決が,態様(D)及び(E)について何らの証拠を示すことなく,この種物品分野において広く知られた手法であるとして創作非容易性を否定した点で,拒絶理由を通知することなく審決をした違法及び判断遺脱の違法があると主張する(前記第3の3)。 しかるに,当該物品分野において広く知られた手法については,発明の属する技術の分野における周知技術と同様,当業者が熟知している事項であるため,本来,審決においてその認定根拠を示すまでもないのであり,この るに,当該物品分野において広く知られた手法については,発明の属する技術の分野における周知技術と同様,当業者が熟知している事項であるため,本来,審決においてその認定根拠を示すまでもないのであり,このような認定根拠となる文献を示さなかったとしても,意匠法50条3項の準用する特許法50条に違反するということはできない。 そして,態様(D)及び(E)に係る手法が携帯情報端末の当業者にとって広く知られた手法であると認められることは,前記3のとおりであるから,審決において,特段の証拠を示すことなく同旨の判断を示したことは,意匠法50条3項の準用する特許法50条に違反するものではない。また,この点に関して判断の遺脱があったということもできないから,意匠法52条の準用する特許法157条に違反するということもできない。 よって,原告の上記主張は採用することができない。 5 結論以上によれば,原告の請求は理由がないからこれを棄却することとし,主文 のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第3部 裁判長裁判官石井忠雄 裁判官田中正哉 裁判官神谷厚毅
▼ クリックして全文を表示