令和3(行コ)68 損害賠償請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
令和3年12月22日 大阪高等裁判所
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判決文本文4,955 文字)

- 1 - 令和3年12月22日判決言渡令和3年(行コ)第68号損害賠償請求控訴事件(原審・大阪地方裁判所平成28年(行ウ)第244号) 主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人は,A株式会社に対し,不法行為に基づく損害賠償金又は不当利得金1億3500万円及びこれに対する平成30年2月23日(訴訟告知書送達の日の翌日。以下の3~5項について同じ。)から支払済みまで年5分(平成29年法律第44号による改正前の民法所定。以下の3~5項について同じ。)の割合による遅延損害金又は利息を支払うよう請求せ よ。 3 被控訴人は,B有限会社に対し,不法行為に基づく損害賠償金又は不当利得金1億3500万円及びこれに対する平成29年3月31日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金又は利息を支払うよう請求せよ。 4 被控訴人は,Eに対し,不法行為に基づく損害賠償金1億3500万円 及びこれに対する平成29年3月31日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金を支払うよう請求せよ。 5 被控訴人は,Fに対し,不法行為に基づく損害賠償金1億3500万円及びこれに対する平成29年3月31日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金を支払うよう請求せよ。 第2 事案の概要(以下,略語は原判決の例による。) - 2 - 1 α町は,その所有する粗大ごみ破砕施設(本件破砕施設)に不具合等が生じて運転停止となったことから,C株式会社及びB有限会社を構成員とするC・B共同企業体(本件共同企業体)との間で,本件共同企業体に本件破砕施設の更新 る粗大ごみ破砕施設(本件破砕施設)に不具合等が生じて運転停止となったことから,C株式会社及びB有限会社を構成員とするC・B共同企業体(本件共同企業体)との間で,本件共同企業体に本件破砕施設の更新工事等(本件破砕施設について,既存の機械・設備を完全に新しい機械・設備に入れ替える工事等。本件工事)を請け負わせる工 事請負契約(本件契約)を締結した。 本件は,α町の住民である控訴人が,α町と本件共同企業体との間で締結された本件契約は地方自治法施行令167条の2第1項2号所定の「その性質又は目的が競争入札に適しないもの」に該当しない違法かつ無効な随意契約であり,本件契約の締結によりα町は損害を被ったなどと主張し て,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,α町の執行機関である被控訴人を被告として,Cを吸収合併したA株式会社,B,本件契約の締結当時α町長であったE及びα町の職員であったFに対し,それぞれ請負代金相当額1億3500万円及びこれに対する遅延損害金又は法定利息の支払を請求することを求めた住民訴訟である。 原審は,控訴人の請求をいずれも棄却する判決をしたところ,これを不服とする控訴人が控訴を提起した。 2 関係法令の定め,前提事実,争点及び争点に関する当事者の主張は,下記3のとおり原判決を補正し,下記4のとおり当審において控訴人が追加補充した主張を加えるほか,原判決「事実及び理由」中の第2の2から5 までに記載のとおりであるから,これを引用する。 3 原判決の補正⑴ 12頁23行目の末尾に「なお,同項5号の緊急性について,町長決裁時には随意契約の正当性の根拠とされていたが,最終的に議会の採決時には削除されている。」を加える。 ⑵ 13頁6行目の「可能であったこと」の次に「,③実際にも 号の緊急性について,町長決裁時には随意契約の正当性の根拠とされていたが,最終的に議会の採決時には削除されている。」を加える。 ⑵ 13頁6行目の「可能であったこと」の次に「,③実際にも,本件破砕 - 3 - 施設の運転停止後,本件破砕施設を更新するとの方針が決まったのは運転停止から約4か月も後の平成27年7月であったし,運転停止後に持ち込まれる粗大ごみも一定額の業務委託料を支払えば処理することが可能であったから,早急に粗大ごみを処理する必要に迫られたという事実はないこと」を加える。 ⑶ 15頁10行目の「特殊技術が一切存在せず,」の次に「一定の大きさの建屋の中に既成の切断機と破砕機を設置し,その間をベルトコンベヤーでつないで最終的に焼却炉に投入するだけの」を加える。 ⑷ 16頁22行目の末尾に「随意契約が問題視されるのは往々にしてこのような地元特定企業と行政との不明朗な選定関係である。」を加える。 ⑸ 24頁2行目の「徴取しなかった。」の次に「確かに,α町契約規則37条本文には2人以上の者から見積書を徴さなくてはならないことについて「なるべく」との記載があるが,随意契約の相手方が地元関連企業であるという不明朗な要素がある場合には2人以上の者から見積書を徴さないことは違法というべきである。」を加える。 4 当審において控訴人が追加補充した主張⑴ 控訴人の主張α町のごみの総量は,平成12年度が1306トンであったのに対し,平成20年度は281トンと大幅に減少していたから,平成26年度の本件破砕施設で破砕を要するごみの総量は1046トンではなく,もっと少 なかった。したがって,α町においては,そもそも自前で粗大ごみ破砕施設等を有するのではなく,周辺自治体のように広域焼却施設 件破砕施設で破砕を要するごみの総量は1046トンではなく,もっと少 なかった。したがって,α町においては,そもそも自前で粗大ごみ破砕施設等を有するのではなく,周辺自治体のように広域焼却施設に参入することも検討すべきであり,少なくとも従前のごみ処理能力を上回る粗大ごみ破砕施設は不要であった。それにもかかわらず,本件契約が本件破砕施設のごみ処理能力を従前の1.5倍とするという過大な内容となったのは, α町が,競争入札であれば受けられた参加各社からの説明を受けることが - 4 - できず,随意契約の際に必要な2人以上の見積もりを徴することや予定価格を定めることをせず,本件共同事業体が作成した過大な見積書を鵜呑みにしたためである。 ⑵ 被控訴人の主張控訴人は,α町のごみの量は減少していたと主張するが,その根拠と して挙げる平成12年度及び平成20年度のごみの量の数値は本件破砕処理施設で処理したごみの一部(大型ごみ〔可燃物〕)の数値である。α町は,直近の平成26年度における本件破砕施設を利用するごみの総量を参考としたものであって,正当である。 また,本件契約における本件破砕施設のごみ処理能力は従前と同じで ある。切断機及び電動機の動力は上げているが,これは,切断機及び電動機の能力を超えるごみが入るとそれを取り除く作業を要し,故障にもつながることから,そのリスクを低くするためであって,合理的である。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も,控訴人の被控訴人に対する請求は理由がないと判断する。 その理由は,原判決を下記2のとおり補正し,下記3のとおり当審において控訴人が追加補充した主張に対する判断を加えるほか,原判決「事実及び理由」中の第3の1から6までに記載のとおりであるから,これを その理由は,原判決を下記2のとおり補正し,下記3のとおり当審において控訴人が追加補充した主張に対する判断を加えるほか,原判決「事実及び理由」中の第3の1から6までに記載のとおりであるから,これを引用する。 2 原判決の補正 ⑴ 38頁13行目及び14行目の「により」をいずれも「による」に改める。 ⑵ 47頁1行目の「可能であったこと」の次に「,③実際にも,本件破砕施設を更新するとの方針が決まったのは運転停止から約4か月も後の平成27年7月であったし,運転停止後に持ち込まれる粗大ごみも一定額の 業務委託料を支払えば処理することが可能であったから,早急に粗大ごみ - 5 - を処理する必要に迫られたという事実はないこと」を加える。 ⑶ 47頁13行目の「考慮しないものにすぎない。」の次に「上記③については,補正の上引用した上記認定事実⑴エのとおり,本件工事の補正予算案の議決が行われたのは本件破砕施設の運転停止から約4か月後であるが,議決に先立ち予算案を同年6月12日に配布予定であったこと(乙 33の2)を踏まえると,実質的な検討期間は約3か月であり,むしろ,α町としては可能な限り短期間で方針を決定したものといえるし,Gに委託した粗大ごみの前処理が緊急の対応であって長期間にわたり行うことが相当であるとはいえなかったことは上記⑵アで判示したとおりであるから,早急に粗大ごみを処理する必要に迫られていたことが認められる。」 を加える。 ⑷ 49頁23行目を次のとおり改める。 「また,控訴人は,本件破砕施設は一定の大きさの建屋の中に既成の切断機と破砕機を設置してその間をベルトコンベヤーでつないで最終的に焼却炉に投入するだけの単純な構造であり,何ら特殊技術を要するものでは 訴人は,本件破砕施設は一定の大きさの建屋の中に既成の切断機と破砕機を設置してその間をベルトコンベヤーでつないで最終的に焼却炉に投入するだけの単純な構造であり,何ら特殊技術を要するものでは ないとも主張するが,本件破砕施設の機械・設備の設計図の作成,製造,既存機械・設備の解体撤去には一定の技術を要するものと認めるのが相当である。 したがって,控訴人の上記各主張はいずれも採用することができない。」 ⑸ 50頁7行目から9行目までを削る。 ⑹ 52頁12行目の末尾に行を改め次のとおり加える。 「これに対し,控訴人は,随意契約の相手方が地元関連企業である場合には2人以上の者から見積書を徴取しなければ違法となる旨主張するが,α町契約規則37条本文及びただし書は随意契約の相手方が地元企業であ るか否かによって複数の見積書の必要性を区別していないから,控訴人の - 6 - 上記主張は採用することができない。」 3 当審において控訴人が追加補充した主張に対する判断控訴人は,平成26年度のごみの総量はα町作成の資料に記載されている1046トンより少なかったと主張し,その根拠として,α町の平成20年度に本件破砕処理施設で処理したごみの一部(大型ごみ〔可燃物〕) の量が平成12年度と比較して著しく減少したことを挙げる。 しかし,どの程度の規模,処理能力の粗大ごみ破砕施設とするかという問題は,競争入札か随意契約かという契約締結方法選択以前の発注仕様の問題であり,その当否が,随意契約をもって本件契約をしたことの違法といかなる関連性を有するものか判然としない。この点を措くとしても,控 訴人の主張は,本件破砕処理施設において処理されるごみの一部にすぎない大型ごみ(可燃物)の平成12年度 約をしたことの違法といかなる関連性を有するものか判然としない。この点を措くとしても,控 訴人の主張は,本件破砕処理施設において処理されるごみの一部にすぎない大型ごみ(可燃物)の平成12年度と平成20年度の数値の対比のみに依拠しているが,本件契約の直近の時期における適正な規模・処理能力を論ずる根拠として不十分と言わざるを得ない。かえって,証拠(甲43,乙25,証人F)によれば,被控訴人は,平成26年度の粗大ごみの年間 持ち込み量(1046トン)を踏まえて,本件破砕処理施設の規模・処理能力を設定したものと認められる。 したがって,控訴人の当審において控訴人が追加補充した主張は採用することができない。 4 以上によれば,控訴人の請求はいずれも理由がないからこれらを棄却す べきところ,これと同旨の原判決は相当である。よって,控訴人の本件控訴は理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。 大阪高等裁判所第13民事部 裁判長裁判官宮坂昌利 - 7 - 裁判官杉浦徳宏 裁判官田辺麻里子

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