平成24年2月9日判決言渡平成21年(行ウ)第5号損害賠償履行請求事件口頭弁論終結日平成24年1月12日主文 1 被告が,別紙不動産目録記載1の土地の占有者A1に対し,平成16年2月1日から同20年7月1日までの間の占有料相当額を請求していないことが違法であることを確認する。 2 被告が,別紙不動産目録記載2及び同目録記載3の各土地の占有者A2に対し,それぞれ平成16年2月1日から同20年5月31日までの間の占有料相当額を請求していないことが違法であることを確認する。 3 被告が,別紙不動産目録記載4の土地の占有者A3,同目録記載5の土地の占有者A4,同目録記載6及び同目録記載7の各土地の占有者A2,同目録記載8の土地の占有者A5,同目録記載9及び同目録記載12の各土地の占有者A6,同目録記載10の土地の占有者A7,同目録記載11の土地の占有者A8並びに同目録記載13の土地の占有者A9に対し,それぞれ平成17年4月14日から同20年5月31日までの間の占有料相当額を請求していないことが違法であることを確認する。 4 被告は,A1に対し,4万2407円を請求せよ。 5 被告は,A2に対し,9万0335円を請求せよ。 6 被告は,A3に対し,5万9450円を請求せよ。 7 被告は,A4に対し,2万6463円を請求せよ。 8 被告は,A5に対し,8700円を請求せよ。 9 被告は,A6に対し,6万8730円を請求せよ。 10 被告は,A8に対し,7万6850円を請求せよ。 11 被告は,A7に対し,6万5975円を請求をせよ。 12 被告は,A9に対し,1万5950円を請求せよ。 13 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 14 訴訟費用はこれを2分し,その1を原告の,その余を被告の各負担とする。 事実 をせよ。 12 被告は,A9に対し,1万5950円を請求せよ。 13 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 14 訴訟費用はこれを2分し,その1を原告の,その余を被告の各負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 主文第1項,第2項,第4項ないし第7項,第9項ないし第12項と同旨 2 被告が,別紙不動産目録記載4の土地の占有者A3,同目録記載5の土地の占有者A4,同目録記載6及び同目録記載7の各土地の占有者A2,同目録記載8及び同目録記載14枝番9の各土地の占有者A5,同目録記載9及び同目録記載12の各土地の占有者A6,同目録記載10の土地の占有者A7,同目録記載11の土地の占有者A8,同目録記載13の土地の占有者A9,同目録記載14枝番1の土地の占有者A10,同目録記載14枝番2の土地の占有者A11,同目録記載14枝番3の土地の占有者A12,同目録記載14枝番4の土地の占有者A13,同目録記載14枝番5及び同目録記載14枝番6の各土地の占有者A14,同目録記載14枝番7の土地の占有者A15並びに同目録記載14枝番8の土地の占有者A16に対し,それぞれ平成16年2月1日から同20年5月31日までの間の占有料相当額を請求していないことが違法であることを確認する。 3 被告は,A5に対し,2万0378円を請求せよ。 4 被告は,A10に対し,3万4596円を請求せよ。 5 被告は,A11に対し,7万1820円を請求せよ。 6 被告は,A12に対し,12万5820円を請求せよ。 7 被告は,A13に対し,2万1348円を請求せよ。 8 被告は,A14に対し,13万4100円を請求せよ。 9 被告は,A15に対し,13万6512円を請求せよ。 10 被告は,A16に対し,3万0204円を請求せよ。 11 被告は,B せよ。 8 被告は,A14に対し,13万4100円を請求せよ。 9 被告は,A15に対し,13万6512円を請求せよ。 10 被告は,A16に対し,3万0204円を請求せよ。 11 被告は,Bに対し,37万6307円及びこれに対する平成21年1月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を請求せよ。 第2 事案の概要本件は,被告が本巣市の所有である別紙不動産目録記載1ないし14の各土地(以下,これらを併せて「本件土地」といい,このうちの各土地を別紙不動産目録の番号ごとに「土地1」のようにいう。)の占有者らに対し占有料相当額を請求しないことは,債権の管理を怠る事実であるとして,本巣市の住民である原告が,被告に対して,地方自治法(以下「法」という。)242条の2第1項3号に基づき,被告が,本件土地の占有者らに対して平成16年2月1日から同20年5月31日まで(ただし,土地1の占有者に対しては同年7月1日まで)の間の占有料相当額を請求しないことが違法であることの確認,同項4号に基づき,怠る事実に係る相手方である本件土地の占有者らに対し,土地1の占有者に対して同18年1月1日から同20年7月1日まで,土地2ないし13の占有者らに対して同18年1月1日から同20年5月31日まで,土地14(別紙不動産目録記載14の枝番1ないし同枝番9の土地を併せて「土地14」といい,各枝番ごとに「土地14-1」のようにいう。)の占有者らに対して同18年1月1日から同20年12月31日までの占有料相当額を請求すること及び本巣市長であるBに対し,同17年1月1日から同年12月31日までの本件土地の占有料相当額の損害賠償請求権を消滅時効にかからせたことにより本巣市が被った損害を損害賠償請求することを求めた事案である。 1 前提事実(争いのない事実並びに後 から同年12月31日までの本件土地の占有料相当額の損害賠償請求権を消滅時効にかからせたことにより本巣市が被った損害を損害賠償請求することを求めた事案である。 1 前提事実(争いのない事実並びに後掲証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1) 当事者等ア原告は,本巣市の住民である。 イ Bは,平成20年3月から本巣市長の職にある者である。 ウ本件土地は,昭和49年6月21日,本巣郡a町(以下「旧a町」という。)が岐阜県から公衆用道路として使用するために払下げを受け,平成16年2月1日に,旧b町,旧c町,旧a町及び旧d村の市町村合併により本巣市が発足したことに伴い,本巣市の所有となった土地である。 本件土地は,本巣市e(以下「e地区」という。)に所在するものであるところ,これは,昭和8年の揖斐川上流改修工事に伴いできた廃川地の堤防敷地の一部である。(乙6の1,12,弁論の全趣旨)エ別表「不動産目録番号」欄の1ないし13の「本件土地」欄の「占有者」欄に記載の相手方らは,後記(2)ア及びイの分筆の時から後記(3)アの売却の時又は同イの占有料徴収開始の時までの間,また,別表「不動産目録番号」欄の14-1ないし14-9の「本件土地」欄の「占有者」欄に記載の相手方らは,後記(2)ウの面積確定の時点で,別表「不動産目録番号」欄の番号に対応する本件土地をそれぞれ占有していた者である。(弁論の全趣旨)(2) 本件土地の分筆ないし面積確定等ア旧a町は,平成6年5月13日,土地1から土地3までの各分筆登記を完了した。(乙2の1ないし3)イ本巣市は,平成17年4月14日,土地4から土地13までの各分筆登記を完了した。(乙2の4ないし13)ウ本巣市は,平成21年1月頃,土 筆登記を完了した。(乙2の1ないし3)イ本巣市は,平成17年4月14日,土地4から土地13までの各分筆登記を完了した。(乙2の4ないし13)ウ本巣市は,平成21年1月頃,土地14の占有者ごとの各占有面積を確定した。(弁論の全趣旨)(3) 本件土地の占有料徴収等ア本巣市は,平成20年7月2日,土地1を訴外Cに売った。(甲3の1)イ本巣市は,平成20年6月1日から,土地2ないし13の各占有者から占有料を徴収し始めた。 ウ本巣市は,平成21年2月1日から,土地14の各占有者から占有料を徴収し始めた。 エ本巣市は,上記アの売却の時並びに上記イ及びウの占有料徴収開始の時より前は,本件土地の各占有者から占有料を徴収していなかった。 オ本件土地の1平方メートル当たりの月額占有料相当額は,別表「占用料」欄の「/㎡」欄に記載のとおりである。 (4) 本訴に至る経緯ア原告は,平成20年12月24日,本巣市監査委員に対し,法242条1項に基づき,本件土地の占有者らのうち土地1ないし13の占有者らに対して同18年1月1日から同20年5月31日まで(ただし,土地1の占有者に対しては同年6月30日まで),土地14の占有者らに対して同18年1月1日から監査請求時までの各土地の占有料相当額の損害金を本巣市に支払わせるための必要な措置及び本巣市長Bに対して同17年1月1日から同年12月31日までの本件土地の占有料相当額の損害賠償請求権の行使を怠り時効にかからせることによって本巣市に生じさせた損害金を本巣市に支払わせるための必要な措置を求める監査請求(以下「本件監査請求」という。)をした。(甲1)イ本巣市監査委員は,平成21年2月19日,「本巣市は本件土地の現況調査及び占有者との を本巣市に支払わせるための必要な措置を求める監査請求(以下「本件監査請求」という。)をした。(甲1)イ本巣市監査委員は,平成21年2月19日,「本巣市は本件土地の現況調査及び占有者との使用料交渉等を行っており漫然と当該賠償請求権の行使を怠っていたという事実はなく,本件監査請求にはこれらの点につき違法・不当とする事実の主張又は理由の摘示はない。」として,本件監査請求を却下する旨の決定をし,原告は,同日付けで,同決定の通知を受けた。 (甲2)ウ原告は,平成21年3月17日,本訴を提起した。 2 争点〔本案前の争点〕適法な監査請求の欠如について〔本案の争点〕(1) 本巣市長が,本件土地の占有者らに対し,平成16年2月1日から,土地1については同20年7月1日まで,土地2ないし13については同年5月31日まで,土地14については同年12月31日までの占有料相当額の請求をしないことは債権の管理を違法に怠る事実といえるか否か。 (2) Bは,本巣市長として,平成17年1月1日から同年12月31日までの本件土地の占有料相当額の損害賠償請求権を時効にかからせたことによる不法行為に基づき,本巣市に対して占有料相当額の損害賠償義務を負うか。 3 争点に関する当事者の主張〔本案前の争点〕適法な監査請求の欠如について(被告の主張)住民監査請求の対象は,公金の支出などの財務会計上の行為及び怠る事実に限られるところ,本件監査請求は,財務会計上の具体的行為及び具体的な怠る事実の違法性,不当性の主張とは認められないものとして不適法却下されたものである。そのため,実体的判断による予防の機会が与えられたものではないことが明らかであり,また,監査が適法に行われ,不適法に却下された事実も存しな 主張とは認められないものとして不適法却下されたものである。そのため,実体的判断による予防の機会が与えられたものではないことが明らかであり,また,監査が適法に行われ,不適法に却下された事実も存しないから,原告の訴えは,住民監査請求前置の要件を欠く不適法なものである。 すなわち,複数の不法占有者に対する損害賠償請求権等の行使を怠る事実の違法確認を求める場合においては,怠る事実は相手方である不法占有者ごとに別個というべきことから,相手方を特定した上,請求権の発生原因事実(不法占有の場所や占有時期等)を他から識別できる程度に特定するのを原則とするべきところ,本件監査請求では,相手方と地番は特定しているものの(もっとも,一部誤りがある。),その他の請求権の発生原因事実は全く特定されていない。 よって,本件訴えは,住民監査請求を適法に経ておらず,不適法である。 (原告の主張)争う。 〔本案の争点〕(1) 争点(1)(本巣市長が,本件土地の占有者らに対し,平成16年2月1日から,土地1については同20年7月1日まで,土地2ないし13については同年5月31日まで,土地14については同年12月31日までの占有料相当額の請求をしないことは債権の管理を違法に怠る事実といえるか否か。)について(原告の主張)ア本巣市長は,遅くとも本巣市が土地4ないし13を分筆した時期である平成17年4月には,土地1ないし13の占有者らに占有料相当額の請求ができたはずであり,上記時期以降これを請求していないのは,債権の管理を怠る事実にあたることは明らかである。 また,土地14の占有者らに対しても,遅くとも平成16年度に行った測量の際に占有者を特定し,同17年度以降は占有料相当額の請求をすることが可能であったため,同17年 ることは明らかである。 また,土地14の占有者らに対しても,遅くとも平成16年度に行った測量の際に占有者を特定し,同17年度以降は占有料相当額の請求をすることが可能であったため,同17年4月以降にこれを行っていないことは債権の管理を怠る事実に該当する。 イ旧a町は,土地区画整理事業のために堤防敷地の測量を行っており,これは平成10年初旬には完了していた。この測量では,廃川地との境界が測量されていた。(甲7の1ないし3,13)測量をする以上,廃川地と堤防敷地の境界を明らかにするためには,堤防敷地の占有状況を把握し,占有場所の境界の確定が必要不可欠である。 したがって,旧a町は,上記測量が完了した平成10年の初旬には,占有者の存在並びに占有場所について認識していたことが明らかである。 よって,占有部分の測量が容易であるにもかかわらず,これを行っていない本巣市長の対応に過失があることは明らかである。 ウこれに対して被告は,平成17年の段階では土地14の占有者らを確定することができなかったことを理由として,土地14の占有者らとの平等などに配慮して土地1ないし13の占有者らから占有料相当額の徴収を行わなかったと主張するが,被告のこの主張は,怠る事実が違法でないことを基礎付ける事実とはならない。 また,土地14の測量を早期に行うことが困難であったとの被告の主張は,否認し争う。 エ後記被告の主張エは争う。本件土地を含む堤防敷地は,公衆用道路とするために払下げを受けたのであるから,行政政策上,測量を行うべき土地であった。 (被告の主張)ア土地1ないし13について,分筆が完了していたにもかかわらず,平成20年6月より前に占有料を徴収できなかった事情は以下のとおりである。 本 うべき土地であった。 (被告の主張)ア土地1ないし13について,分筆が完了していたにもかかわらず,平成20年6月より前に占有料を徴収できなかった事情は以下のとおりである。 本件土地は,すべてが同一自治会に属しており,公平に占有料を徴収するには,土地14の面積確定が急務であった。しかしながら,この地域の高齢者は,昭和49年の岐阜県からの払下げ以前から,自らが堤防を道路として使用できるようにし管理もしていたという意識が強く,土地に対する執着心があり,平成15年度に旧a町が公共工事として道路維持工事を施工した際も堤防道路のセンターにしかU字溝が入れられなかった経緯もあり,現状道路(幅員1.5メートル)以外の土地に立ち入ることが難しく,占有面積を確定することが困難であった。 こうした中,土地14の利用形態を見るに,住民側において境界確定型の所有権主張のほか,時効取得等他の法的構成で所有権や占有権を主張する可能性も否定できず,地元住民の同意を得ない占有料徴収開始は,土地14はもちろんのこと,既に分筆の済んでいる土地1ないし13における住民との法的紛争に発展する危険性を内在していた。 そのため,本巣市としては,地元住民の同意を得ることを最優先とし,境界確定も含め地元住民との話合いを続けてきたところ,平成20年4月に実施した占有者への戸別訪問時に世代交代もあり,本巣市の土地を占有している話を子息ら次世代に説明して理解してもらい,土地14の占有者らに対し,同年12月5日に説明会を開き,占有面積が確定できる運びとなった。このとおり,土地14の解決の方向性が見えた同年6月頃,先行して土地2ないし13の占有料を徴収し始めたのである。 したがって,本巣市において占有料徴収を不合理に怠っていたわけではないか た。このとおり,土地14の解決の方向性が見えた同年6月頃,先行して土地2ないし13の占有料を徴収し始めたのである。 したがって,本巣市において占有料徴収を不合理に怠っていたわけではないから,平成17年4月以後,土地1ないし13の占有料相当額を請求しなかったことは,許容範囲内の裁量期間であるというべきであり,違法とはいえない。 イ土地14についての平成20年12月以前の占有料不徴収について,債権の管理を違法に怠る事実であるとする原告の主張は,争う。 ウ原告は,平成10年初旬には,旧a町は,本件土地の占有者の存在及び占有場所について認識したはずであると主張するが,この時点での測量は,堤防敷地の隣地との境界が決まっていない現況測量図面という意味合いしかなく(隣人の立会いすら不明で一方的測量の可能性もある。),隣人らの旧a町所有土地の不法占有は確定していない。 エ原告は,占有料徴収を目的とする測量を行うべきであった時点を仮定して,その時点以降について占有料を徴収しないことの違法を主張するようであるが,全国には国から市町村に所有権が移転された法定外公共物(いわゆる赤道,青道)が多数存在しており,これを測量する費用と徴収可能な占有料とを比較衡量するなら,開発等行政政策の実行上必要な場合にのみ地方自治体が測量を行うという従来の実務的処理が妥当するというべきであり,占有料徴収のための測量を行うべき一般的な義務が地方自治体にあると解すべきでない。したがって,住民との立会いにより測量が行われ占有面積が確定するまでは,地方自治体に占有料徴収義務があると解することはできない。 また,占有面積が確定した後も,それまでの経緯を踏まえ,ある程度の期間の未徴収は許容されるべきである。 (2) 争点(2)(Bは,本巣市長として,平 有料徴収義務があると解することはできない。 また,占有面積が確定した後も,それまでの経緯を踏まえ,ある程度の期間の未徴収は許容されるべきである。 (2) 争点(2)(Bは,本巣市長として,平成17年1月1日から同年12月31日までの本件土地の占有料相当額の損害賠償請求権を時効にかからせたことによる不法行為に基づき,本巣市に対して占有料相当額の損害賠償義務を負うか。)について(被告の主張)ア損害について本件土地の占有者らに対しては,不法行為に基づく損害賠償請求権のほか,不当利得に基づく占有料相当額の返還請求権も併存するのであり,後者の消滅時効期間は10年であるから,平成17年1月から同年12月までの占有料相当額の不当利得返還請求権は未だ消滅時効期間を経過していない。 したがって,本巣市長Bの不作為によって未だ本巣市に損害は発生していないから,不法行為に基づき,上記期間の占有料相当額をBに対し損害賠償請求をするよう求める請求には理由がない。 イ過失についてBは,平成20年3月7日から本巣市長として職務を遂行しており,それ以前(原告の主張する3年の消滅時効との関係においては,平成17年3月7日以前の占有料)に関しては,権利行使をしようにもできないため,過失がない。 (原告の主張)被告の主張アは,特に争わない。 被告の主張イは,争う。 第3 当裁判所の判断 1 前掲前提事実に後掲括弧内に掲記の証拠及び弁論の全趣旨を総合すると,以下の事実を認めることができる。 (1) 前掲前提事実記載のとおり,本件土地は,e地区に所在するものであるところ,これは,昭和8年の揖斐川上流改修工事に伴いできた廃川地の堤防敷地の一部である。 (2) 上記(1)の廃川地及び堤防敷 前掲前提事実記載のとおり,本件土地は,e地区に所在するものであるところ,これは,昭和8年の揖斐川上流改修工事に伴いできた廃川地の堤防敷地の一部である。 (2) 上記(1)の廃川地及び堤防敷地は,岐阜県の所有であったところ,前掲前提事実(1)ウのとおり,岐阜県は,昭和49年6月21日,堤防敷地を公衆用道路用地として旧a町に無償譲渡(払下げ)した。同払下げ当時,堤防敷地の幅は最大で18メートルであったが,実際に道路として利用されていた幅員約2メートル以外は,当時既に宅地若しくは畑などとして地元住民によって占有されていた(廃川地化により堤防としての機能が不要となった堤防敷地は,いつ頃からかは不明であるが,周辺の造や耕作地への土入れなどのため徐々に周辺土地と同じ高さまで削られ,その結果堤防であった頃の堤上辺にあった幅員2メートルの道路部分のみが残され,その余が周辺住民により占有されるに至った。)。同払下げ以前,宅地以外の目的で使用していた占有者は,岐阜県に対し特に占有料を支払っていなかった。(乙1,12,弁論の全趣旨)(3) 他方で,岐阜県は,昭和44年3月31日,上記揖斐川上流改修工事に伴いできた廃川地のうち26万3819平方メートルを,財団法人D公社に無償譲渡し,さらに同公社は,同49年,これを各地域の自治会などに無償譲渡した。このうちe地区に位置する廃川地のうち3万5063平方メートルについては,自治会であるE区(現在のF自治会。e地区の世帯はすべて,この一つの自治会の区域に居住している。)が譲り受けたが,登記簿上はa町名義とされた。(乙12,弁論の全趣旨)昭和47年,e地区の廃川地を管理するため,G管理組合(組合員になる資格は,同年3月1日現在E区に現に居住する世帯の世帯主で,均等割負担金400円を納 義とされた。(乙12,弁論の全趣旨)昭和47年,e地区の廃川地を管理するため,G管理組合(組合員になる資格は,同年3月1日現在E区に現に居住する世帯の世帯主で,均等割負担金400円を納入した者)が組成され,同53年,同組合は,H管理組合(以下「上部組合」という。)に名称変更された。同組合の規約には,廃川地の開発及び管理の徹底を図るために,同組合の下部に廃川地の北部を管理するI組合(別称「J管理組合」ともいう。以下「北部組合」という。)と,南部を管理するK組合(別称「L管理組合」ともいう。以下「南部組合」といい,北部組合と併せて「下部組合」という。)が置かれることとされていた。 (甲10,乙11,12)E区所有の廃川地は,昭和58年にa町上水道浄水場,平成3年に特別養護老人ホーム,同4年にM工業団地,同5年にスポーツプラザ駐車場,同6年に町道fからg1号線,同17年にN多目的広場が設けられるなどして開発された。(乙6の2,12,弁論の全趣旨)(4) E区所有の廃川地及び本件土地を含むe地区の堤防敷地は,いずれも登記簿上,旧a町名義となっていたことから,廃川地と堤防敷地の境界が明確にされてこなかった。そのため,これらの廃川地と堤防敷地の測量は,廃川地の各個別の開発などに必要な範囲でのみ,順次なされていくこととなった。 (弁論の全趣旨)(5) 前掲前提事実記載のとおり,旧a町は,平成6年5月13日,e地区の堤防敷地のうち,土地1ないし3の各分筆登記を完了した。(乙2の1ないし3)(6) 旧a町は,平成9年終わり頃,E区所有の廃川地の区画整理事業を実施してこれを市街化区域に編入することを検討し始めた。(乙10,証人O)旧a町は,平成10年,e地区の堤防敷地のうち,土地3ないし4の付近から土 り頃,E区所有の廃川地の区画整理事業を実施してこれを市街化区域に編入することを検討し始めた。(乙10,証人O)旧a町は,平成10年,e地区の堤防敷地のうち,土地3ないし4の付近から土地11ないし14の付近までの道路範囲の測量をした。(甲7の2及び3,13,乙6の1,証人O)その後である平成12年頃,旧a町は,前記区画整理事業につき地元への説明会などを行うも,様々な問題があり,結局,同事業は実現に至らなかった。(乙10,証人O)(7) 北部組合長は,平成15年9月,旧a町に対し,e地区の堤防敷地の払下げを受けたい旨申し出た。これに対し,旧a町側は,任意組合が法人化されれば,払い下げる方向で検討できるという結論に至り,組合側にこれを伝えた。(乙10,証人O)旧a町は,平成16年1月頃,E区所有の廃川地の利用に関し,北部組合及び旧a町議会の三者の間で覚書を締結し,約8500平方メートルの廃川地を,将来的に必要となる上水道の浄水施設やスポーツプラザの駐車場などの公共用地とするため,合併後の本巣市が買収して整備することや,買収時の坪単価のほか,堤防敷地のうち公共用地として利用した残りの土地(以下「余剰地」という。)は2分の1ずつ地元と旧a町に権利があることなどを取り決めた。そして,E区の住民らは,廃川地を本巣市が買収したときには,本巣市が堤防敷地をE区側へ払い下げることを希望し,本巣市側もこれを了承していた。(乙10,11,証人O)本巣市は,平成16年10月から,堤防敷地占有者及び廃川地使用者の立会いのもと,e地区の堤防敷地及び廃川地の測量調査を開始し,これらの総面積を確定する作業に着手した。(甲5,乙10,11,証人O)前掲前提事実記載のとおり,本巣市は,平成17年4月14日,e 会いのもと,e地区の堤防敷地及び廃川地の測量調査を開始し,これらの総面積を確定する作業に着手した。(甲5,乙10,11,証人O)前掲前提事実記載のとおり,本巣市は,平成17年4月14日,e地区の堤防敷地のうち土地4から土地13までの各分筆登記を完了した。(乙2の4ないし13)本巣市は,平成17年4月14日,E区所有の廃川地の分筆登記を完了し,同年8月23日に行われた議会の議決により,廃川地をE区から譲り受けるための本契約を締結し,同年12月までにその代金を支払った。(乙10,11,証人O)しかしながら,平成17年9月頃,余剰地の配当金の配当方法について,上部組合と下部組合の意見が合わないなどの問題が生じたことから,本巣市は,これらの対立が解けるまで堤防敷地の払下げは先延ばしにした方が良いとの北部組合長からの申入れを受け,しばらくこれを静観することとした。 (乙10,証人O)本巣市は,平成19年頃,境界確定後においても堤防敷地の一部を地元住民が占有し利用していることを長期間放置しているのは不適切との判断から,本件土地の占有料を徴収するための地元住民との話合いなどを始め,前掲前提事実記載のとおり,土地1については同20年7月2日に住民に払下げをし,土地2ないし13については同年6月1日から,土地14については同21年2月1日から占有料を徴収し始めた。(乙10,証人O)(8) 原告は,平成17年10月1日,本巣市市議会議員となった者であるところ,同18年12月4日の市議会定例会の協議会及び同月19日の市議会定例議会において,e地区の堤防敷地の占有料を徴収していないことに関し質問した。これに対し,当時の本巣市長Pは,原告からの指摘を受けるまでこれを認識していなかった旨及び今後早急に検討する 日の市議会定例議会において,e地区の堤防敷地の占有料を徴収していないことに関し質問した。これに対し,当時の本巣市長Pは,原告からの指摘を受けるまでこれを認識していなかった旨及び今後早急に検討する旨の答弁をした。(甲17,乙10) 2 〔本案前の争点〕適法な監査請求の欠如について被告は,本件監査請求は,本件土地の占有者である相手方と地番は一応特定しているものの,その他の請求権の発生原因事実は全く特定されていないため,請求の特定が欠如しており不適法である旨主張する。 住民監査請求においては,対象とする財務会計上の行為又は怠る事実(以下「当該行為等」という。)を,他の事項から区別し特定して認識することができるように個別的,具体的に摘示することを要するが,監査請求書及びこれに添付された事実を証する書面の各記載,監査請求人が提出したその他の資料等を総合して,住民監査請求の対象が特定の当該行為等であることを監査委員が認識することができる程度に摘示されているのであれば,これをもって足りるのであり,上記の程度を超えてまで当該行為等を個別的,具体的に摘示することを要するものではないというべきである(最高裁平成元年(行ツ)第68号同2年6月5日第3小法廷判決・民集44巻4号719頁)。 これを本件についてみるに,本件監査請求において,原告は,本件土地の地番及び占有期間を特定し,占有者らの氏名も一部に誤りこそあるものの特定しているのであるから,住民監査請求の対象を,当該占有期間における本件土地の占有者らに対する本巣市の不法行為に基づく損害賠償請求権(又は不当利得に基づく返還請求権)の不行使であることを監査委員が認識することができる程度に摘示しているというべきであり,請求の対象の特定に欠けるところはない。 また,本巣市監査委員は,本 権(又は不当利得に基づく返還請求権)の不行使であることを監査委員が認識することができる程度に摘示しているというべきであり,請求の対象の特定に欠けるところはない。 また,本巣市監査委員は,本件監査請求を,「本巣市は本件土地の現況調査及び占有者との使用料交渉等を行っており漫然と当該賠償請求権の行使を怠っていたという事実はなく,本件監査請求にはこれらの点につき違法・不当とする事実の主張又は理由の摘示はない。」などとして却下したが,本件監査請求を不適法ならしめる理由が摘示されているとは認められず,本件は,適法になされた住民監査請求が不適法として却下された場合にすぎない。 したがって,本件訴えは,適法になされた住民監査請求を経たものというべきである。 3 〔本案の争点〕(1) 争点(1)(本巣市長が,本件土地の占有者らに対し,平成16年2月1日から,土地1については同20年7月1日まで,土地2ないし13については同年5月31日まで,土地14については同年12月31日までの占有料相当額の請求をしないことは債権の管理を違法に怠る事実といえるか否か。)についてア総論地方公共団体が,その所有する土地を権原なく占有する者に対し,明渡しを求めず,占有料(使用料相当損害金を含む。以下同じ。)も請求しないでいることは,公共財産の管理として適切でないことは明らかである。 また,地方公共団体が有する債権の管理について定める法240条,法施行令171条から171条の7までの規定によれば,客観的に存在する債権を理由もなく放置したり免除したりすることは許されず,原則として,地方公共団体の長には債権の行使又は不行使についての裁量はないというべきである(最高裁平成12年(行ヒ)第246号同16年4月23日第2小法廷判決・民集58巻4号892 ことは許されず,原則として,地方公共団体の長には債権の行使又は不行使についての裁量はないというべきである(最高裁平成12年(行ヒ)第246号同16年4月23日第2小法廷判決・民集58巻4号892頁)。 しかしながら,他方,法施行令171条の5などに鑑みれば,地方公共団体は,その有する債権を行使することに経済合理性がないと認められる場合には,これを行使しないことができるものとするのが法の趣旨であると解される。 以上に照らして,地方公共団体が所有土地の占有者に対し占有料を請求・徴収しなければならない場合(請求しなければ違法となる場合)について検討するに,占有料を請求するためには,占有者の特定,取得時効の成否等権原の存否に関する調査,当該占有する土地範囲の確定ないしその土地範囲を測量することによる占有面積の確定を行うことが事実上必要となることも明らかであるところ,これらを実行するためには,筆界確定紛争などの紛争の発生を回避できる場合であっても,相当な人的・経済的負担が必要となることが予想され,このような負担が生じる可能性を勘案してもなお占有料を請求・徴収することに経済合理性があるか否かは,事案ごとに容易に判断し得ることではないと考えられるから,占有者ないし占有面積が確定していない土地については,これらを確定することが容易であり,経済合理性に適うというべき特段の事情のない限り,占有料を請求しないことをもって直ちに債権の管理を違法に怠るものと評価することはできないというべきである。 これに対し,当該土地について,権原なく占有する者が特定され,その者が占有する土地範囲ないしその面積も確定したときには,特段の事情のない限り,当該占有者に対し占有料を請求することが可能となったものというべきであるから,地方公共団体としては,そのとき以降 れ,その者が占有する土地範囲ないしその面積も確定したときには,特段の事情のない限り,当該占有者に対し占有料を請求することが可能となったものというべきであるから,地方公共団体としては,そのとき以降にこれを請求しないでいることは,債権の管理を違法に怠るものというべきである。 もっとも,占有者ないし占有面積が確定したからといって,その確定した占有者ないし占有面積が,その確定した時より前においても同一であったとは必ずしも推定されないというべきであり,また,その時より前の占有者ないし占有面積を調査・立証することには相当な困難を伴うのが通例と考えられることからすると,上記により請求すべき占有料とは,原則として,占有者ないし占有面積が確定した時以降の分であって,その時より前の分まで請求すべきであると直ちに認めることはできない。 イ土地1ないし13について(ア) 土地1ないし13の怠る事実に係る相手方らは,前掲前提事実記載のとおり,前掲前提事実(2)ア及びイの分筆登記の時から同(3)アの売却の時又は同イの占有料徴収開始の時までの間,本巣市の所有であるこれらの土地を権原なく占有していることが認められ,また,上記分筆登記が完了したときには,本巣市としてこれらの土地の占有者ないし占有面積を確定したというべきであるから,上記アに説示したところによれば,被告は,土地1ないし3については平成16年2月1日から,土地4ないし13については同17年4月14日から,占有者である相手方らに対し,上記各占有に係る別表「占用料」欄の「月間占用料」欄の占有料相当額の損害賠償請求権又は不当利得返還請求権を行使すべきであったと認められ,したがって,これを行使しないことは,特段の事情のない限り,債権の管理を違法に怠る事実に該当するというべきである。 相当額の損害賠償請求権又は不当利得返還請求権を行使すべきであったと認められ,したがって,これを行使しないことは,特段の事情のない限り,債権の管理を違法に怠る事実に該当するというべきである。 (イ) 被告は,占有者らの土地に対する権利意識が強かった土地14の占有料徴収のための占有面積の確定が困難であったことから,同一の自治会に属する,平成17年4月までには分筆が完了していた土地1ないし13についても,取得時効を主張されるなどの法的紛争に発展することを回避するために占有料徴収を見合わせる必要があったと主張し,その背景として,土地10ないし14の関係者は,北部組合と南部組合の構成員が入り組んでおり,南部組合構成員関係者の土地である土地14を未確定未徴収のままそれ以外の土地の占有料を徴収することは,北部組合及びその組合員の反発を招きかねなかったという事情が存することを主張する。 確かに,証人Qによれば,平成15年12月頃に土地14が面している町道の側溝新設工事を行った際,土地14の占有者らの中に,官民境界確定のために土地に立ち入ることに同意しない者があったことが認められ,また,前示のとおり平成17年9月頃に余剰地の配当金の配当方法に関し上部組合と下部組合の意見が合わないという問題が発生していたことなど,土地1ないし13について占有料を徴収しようとする場合に抵抗が予想されるような状況が存したことが窺われる。 しかしながら,証人Oによれば,平成16年10月以降に土地4ないし13を含む堤防敷地について本巣市により行われた測量は,廃川地開発のための測量に付随して行われたものであるところ,土地14の測量がその際に行われなかった理由は,同土地が当該開発計画とは直接関係しない土地であったためであることが認められ,また た測量は,廃川地開発のための測量に付随して行われたものであるところ,土地14の測量がその際に行われなかった理由は,同土地が当該開発計画とは直接関係しない土地であったためであることが認められ,また,前記1(7)記載のとおり,本巣市が土地2ないし13の占有料徴収を開始した(土地1については,訴外第三者に払い下げた。)契機は,平成16年1月頃の旧a町,北部組合及び旧a町議会との間の覚書締結に先立ち事実上合意されていた本件土地を含む堤防敷地の本巣市から北部組合側への払下げが,上部組合と下部組合との意見対立等によって先延ばしとされていたところ,同19年頃に至り,上記払下げの時期について目処が立たないことから,長期間にわたり不法占有者から占有料を徴収しないのは不適切と考えられたためであると認められ(なお,払下げが予定されている土地であるからといって,当然に占有者に対し占有料を徴収しない理由とすることはできない。),さらに,証人Oは,「土地1ないし13については,測量完了段階で(占有料を)徴収することが可能だったと思う」旨述べ,土地1ないし13について測量完了後に本巣市が直ちに占有料を徴収しなかった理由については「分からない」と述べているのであって,その理由が土地14と一律に処理する必要からであったとは述べていないこと,さらに,前示のとおり,土地1ないし13の占有料は,結局,土地14に先んじて徴収が始められたこと,以上の証拠状況に照らせば,本巣市が土地1ないし13の占有料を徴収しないでいた理由が土地14と一律に処理する必要があったからであると認めることはできない。 そうすると,本巣市が,土地1ないし13について,測量完了後に直ちに占有料を徴収しないでいたことについて,上記(ア)に示した特段の事情があると認めることはできない。他 とはできない。 そうすると,本巣市が,土地1ないし13について,測量完了後に直ちに占有料を徴収しないでいたことについて,上記(ア)に示した特段の事情があると認めることはできない。他に当該特段の事情についての主張立証はない。 (ウ) 以上によれば,本巣市長は,土地1ないし3については平成16年2月1日から,土地4ないし13については同17年4月14日から,同20年5月31日(ただし,土地1については同年7月1日)まで,占有者である相手方らに対し,上記各占有に係る別表「占用料」欄の「月間占用料」欄の占有料相当額の損害賠償請求権又は不当利得返還請求権を行使すべきであり,これを行使しないでいることは,債権の管理を違法に怠る事実にあたるというべきである。 そして,本訴請求に係る土地1ないし13の平成18年1月1日から同20年5月31日(ただし,土地1については同年7月1日)までの占有料相当額は,別表「損害賠償請求(市長請求額)」欄の「占用料相当損害金」欄記載のとおりである。 ウ土地14について原告は,土地14について,遅くとも平成16年度に行った堤防敷地の測量の際に,土地14の占有者ごとの占有面積についても測量していれば,それ以降は,占有者に対し占有料相当額の請求が可能であったから,遅くとも同17年4月以降に占有料相当額を請求していないことは債権の管理を違法に怠る事実であるという趣旨を主張する。 しかしながら,土地14について占有者ないし占有面積が確定したのは,前掲前提事実記載のとおり平成21年1月頃であり,それ以前の同土地の占有者ないし占有面積を明らかにする証拠があるとは認められない上,それ以前の同土地の占有者ないし占有面積を確定して占有料を徴収することが容易であり,経済合理性 21年1月頃であり,それ以前の同土地の占有者ないし占有面積を明らかにする証拠があるとは認められない上,それ以前の同土地の占有者ないし占有面積を確定して占有料を徴収することが容易であり,経済合理性にも適うというべき特段の事情があるとも認められないから,上記アに説示したところにより,本巣市長がそれ以前の占有料を徴収しないことをもって債権の管理を違法に怠るものと評価することはできないというべきである。 そうすると,土地14につき,本巣市長が平成16年2月1日から同20年12月31日までの占有料相当額を占有者らに対し請求していないことは,債権の管理を違法に怠る事実に該当するとはいえないから,これに関する原告の請求は,いずれも理由がない。 (2) 争点(2)(Bは,本巣市長として,平成17年1月1日から同年12月31日までの本件土地の占有料相当額の損害賠償請求権を時効にかからせたことによる不法行為に基づき,本巣市に対して占有料相当額の損害賠償義務を負うか。)について原告は,Bが本巣市長として平成17年1月1日から同年12月31日までの本件土地の占有料相当額の損害賠償請求権を時効にかからせたことにより本巣市に損害を生じさせたと主張する。 しかしながら,前記(1)の認定判断によれば,上記期間中,土地4ないし13については平成17年4月14日より前の期間,また,土地14については全期間は,本巣市が占有料を徴収しないことが債権の管理を違法に怠る事実にあたるとは認められないのであるし,そもそも,占有料が発生したと認められる部分についても,不当利得返還請求権の消滅時効期間である10年が未だ経過していないことが明らかなことからすれば,占有料相当額の損害が本巣市に発生しているとは認められない。 そうすると,原 れる部分についても,不当利得返還請求権の消滅時効期間である10年が未だ経過していないことが明らかなことからすれば,占有料相当額の損害が本巣市に発生しているとは認められない。 そうすると,原告の上記主張は採用できない。 4 結論以上の次第で,原告の請求は,土地1ないし3につき平成16年2月1日から,土地4ないし13につき同17年4月14日から,それぞれ同20年5月31日まで(ただし,土地1については同年7月1日まで),占有料相当額の請求をしていないことが違法であることの確認及び土地1ないし13につき,同18年1月1日から同20年5月31日まで(ただし,土地1については同年7月1日まで)の占有料相当額を占有者である相手方らに対して請求することを求める限度で理由があり,その余は理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。 岐阜地方裁判所民事第1部 裁判長裁判官針塚遵 裁判官戸崎涼子 裁判官笹邉綾子
▼ クリックして全文を表示