【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 理 由 弁護人伊藤環の上告趣意について。 被告人が原審公判において、所論のごとく近親者に数名の精神病者がある旨の供 述をしたこ
主文 本件上告を棄却する。 理由 弁護人伊藤環の上告趣意について。 被告人が原審公判において、所論のごとく近親者に数名の精神病者がある旨の供述をしたことは、記録上明らかである。(尤も、被告人は第一審の公判では裁判長の右に関する問に対して、姉の子だかに気が狂つて縊死したものがあるそうですが、そのほかには気が狂つた者があるとは聞いたことはない旨答えているので、原審は右第一審における被告人の供述から推して、原審における多数近親者に精神病者がある旨の供述を直ちに措信しなかつたものとも推測される。かつ、原審において、右のごとき被告人の供述があるにかゝわらず、立会の弁護人からも、特に被告人の精神鑑定を申請した形跡のないところからみても、右原審における被告人の供述は、その真実性に多分の疑を抱く余地がある。)しかし、たとえ、被告人が公判において、右のごとく、その近親者ことに母、兄等に多くの精神病者がある旨の供述をしても、原判決の認定した本件犯行の動機、経過、事後の処置等については、特に犯人の精神状態の異常を思わしむるような点もないのであつて、かゝる場合に、裁判所が右犯罪の情状及び被告人の公判廷における言語、動作、その他諸般の状況からして、被告人の精神状態について、別段疑惑を挾むべき徴候を認めないときは、特に専門家の精神鑑定に付することなくして、被告人の犯行当時の精神状態に異常はなかつたものと判断しても、これをもつて、所論のごとく原審に審理不尽の違法ありということはできない。論旨は理由がない。 被告人の上告趣意について。 論旨は、要するに、原審の事実誤認を主張するに過ぎないのであつて、原判決の法律違背を理由とするものでないから、適法なる上告の理由とはならない。 - 1 -よつて旧刑事訴訟法第四四六条に従 いて。 論旨は、要するに、原審の事実誤認を主張するに過ぎないのであつて、原判決の法律違背を理由とするものでないから、適法なる上告の理由とはならない。 - 1 -よつて旧刑事訴訟法第四四六条に従い主文のとおり判決する。 この判決は裁判官全員一致の意見である。 検察官長谷川瀏関与昭和二四年六月二九日最高裁判所大法廷裁判長裁判官塚崎直義裁判官長谷川太一郎裁判官沢田竹治郎裁判官霜山精一裁判官井上登裁判官栗山茂裁判官真野毅裁判官小谷勝重裁判官島保裁判官斎藤悠輔裁判官藤田八郎裁判官岩松三郎裁判官河村又介裁判官穂積重遠- 2 -
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