平成23(ワ)40428等 不正競争行為差止等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成26年5月16日 東京地方裁判所
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判決文本文80,174 文字)

平成26年5月16日判決言渡同日原本交付裁判所書記官本訴事件平成23年(ワ)第40428号不正競争行為差止等請求本訴事件反訴事件平成24年(ワ)第5243号不正競争行為差止等請求反訴事件口頭弁論終結日平成26年2月28日判決東京都中央区<以下略>本訴原告(反訴被告) 東洋興商株式会社(以下「原告」という。)同訴訟代理人弁護士佐久間 篤 夫東京都中央区<以下略>本訴被告(反訴原告) 株式会社カルモア(以下「被告カルモア」という。)東京都江東区<以下略>本訴被告 Aⅰ(以下「被告Aⅰ」という。)東京都江東区<以下略>本訴被告 Aⅱ(以下「被告Aⅱ」という。)被告3名訴訟代理人弁護士福本修也 主文 1 被告カルモアは,別紙物件目録記載の商品並びにその広告若しくは取引に用いる書類及び被告カルモアの営業に係るウェブサイトその他の宣伝広告物に,別紙誤認表示目録記載1ないし3の表示をしてはならず,別紙誤認表示目録記載1ないし3の表示をした別紙物件目録記載の商品を譲渡し,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのために展示してはならない。 2 被告カルモアは,別紙物件目録記載の商品並びにその広告又は取引に用いる書類及び被告カルモアの営業に係るウェブサイトその他の広告宣伝物における別紙誤認表示目録記載1ないし3の表示を抹消せよ。 3 被告カルモアは,原告に対し,348万1500円 の広告又は取引に用いる書類及び被告カルモアの営業に係るウェブサイトその他の広告宣伝物における別紙誤認表示目録記載1ないし3の表示を抹消せよ。 3 被告カルモアは,原告に対し,348万1500円及びうち233万1500円に対する平成24年1月11日から,うち115万円に対する同年2月3日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 原告の被告カルモアに対するその余の請求並びに被告Aⅰ及び被告Aⅱに対する請求をいずれも棄却する。 5 原告は,被告カルモアに対し,330万円及びこれに対する平成23年1月31日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 6 原告は,被告カルモアの取引先その他第三者に対し,別紙物件目録記載の商品について,脱臭方法の説明(ただし,別紙誤認表示目録記載の表示に係る説明を除く。)が虚偽であり,脱臭性能がないなどの虚偽の事実を告知又は流布してはならない。 7 原告は,被告カルモアの取引先その他第三者に対し,別紙資料目録記載1の報告書を配布し,閲覧させるなどしてはならない。 8 原告は,別紙資料目録記載1の報告書を廃棄せよ。 9 被告カルモアのその余の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は本訴反訴ともにこれを10分し,その1を被告カルモアの負担とし,その余を原告の負担とする。 11 この判決は,第3項及び第5項に限り仮に執行することができる。 事実 及び理由第1 請求 1 本訴請求(1) 被告らは,別紙物件目録記載の商品並びにその広告若しくは取引に用いる書類及び被告カルモアの営業に係るウェブサイトその他の広告宣伝物に別紙被告表示目録1ないし8記載の各表示を表示し,別紙被告表示目録1ないし8記載の各表示を表示した別紙物件目録記載の商品を譲渡し,引き渡し,譲渡 カルモアの営業に係るウェブサイトその他の広告宣伝物に別紙被告表示目録1ないし8記載の各表示を表示し,別紙被告表示目録1ないし8記載の各表示を表示した別紙物件目録記載の商品を譲渡し,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのために展示してはならない。 (2) 被告らは,別紙被告表示目録1ないし8記載の各表示を表示した別紙物件目録記載の商品及びその広告又は取引に用いる書類を廃棄せよ。 (3) 被告らは,別紙物件目録記載の商品並びにその広告又は取引に用いる書類及び被告カルモアの営業に係るウェブサイトその他の広告宣伝物における別紙被告表示目録1ないし8記載の各表示を各抹消せよ。 (4) 被告らは,原告に対し,各自1億8210万円及びこれに対する被告カルモアについては平成24年1月11日から,被告Aⅰ及び被告Aⅱについては同月8日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 反訴請求(1) 原告は,被告カルモアに対し,1500万円及びこれに対する平成23年1月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2) 原告は,被告カルモアの取引先その他第三者に対し,被告カルモアの商品である「カルモアマグセライド」について,脱臭方法の説明が虚偽であり,脱臭性能がないなどの虚偽の事実を告知・流布してはならない。 (3) 原告は,被告カルモアの取引先その他第三者に対し,別紙資料目録1及び2の各報告書を配布し,閲覧させるなどしてはならない。 (4) 原告は,別紙資料目録1及び2の各報告書を廃棄せよ。 第2 事案の概要 1 本訴事件本件は,各種脱臭装置の販売等を業とする原告が,被告カルモアの販売する 別紙物件目録記載の商品(以下「被告商品」という。)のカタログ,資料又は被告カルモアのウェブサイトに掲載さ 件本件は,各種脱臭装置の販売等を業とする原告が,被告カルモアの販売する 別紙物件目録記載の商品(以下「被告商品」という。)のカタログ,資料又は被告カルモアのウェブサイトに掲載されている別紙被告表示目録1ないし8記載の各表示(以下「本件表示1」などといい,小項目を含めて表示する場合には「本件表示1-1」,本件表示8については「本件表示8の①」などといい,これらを併せて「本件表示」という。)は,被告商品の品質及び性能に関しそれらを誤認させる説明をしたものであるから,被告商品の広告等に本件表示をし,又は本件表示を付した被告商品を譲渡等する行為は,不正競争防止法(以下「不競法」という。)2条1項13号所定の不正競争に該当するものであり,被告らの上記不正競争により,原告はその営業上の利益を侵害され又は侵害されるおそれがあると主張し,被告らに対し,①同法3条1項に基づき,本件表示を被告製品の広告宣伝物等に表示すること及び本件表示をした被告商品を販売等することの差止めを求めるとともに,②同法3条2項に基づき,主位的には本件表示をした商品等の廃棄を,予備的には被告商品等からの本件表示の抹消を求め,さらに,③被告らに対し,同法4条,民法719条1項(被告Aⅰ及び被告Aⅱについては,選択的請求として,会社法429条1項及び同法430条に基づく取締役としての損害賠償責任)に基づき,1億8000万円(不競法5条2項)及び弁護士費用210万円の合計額である1億8210万円(附帯請求として,被告らに対する各訴状送達日の翌日〔被告カルモアにつき平成24年1月11日,被告Aⅰ及び被告Aⅱにつき同月8日〕から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金)の支払を求める事案である。 2 反訴事件本件は,被告カルモアが,同被 4年1月11日,被告Aⅰ及び被告Aⅱにつき同月8日〕から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金)の支払を求める事案である。 2 反訴事件本件は,被告カルモアが,同被告と原告は脱臭装置の販売に関し競争関係にあるところ,原告が,別紙原告記載事項目録記載1(1)・(2)及び2記載の事項(以下,同目録記載1(1)の記載を「本件記載1」,同1(2)の記載を「本件記載2」,同目録記載2の記載を「本件記載3」という。)を記載した別紙資料 目録記載1及び2の各報告書(以下,それぞれ「本件報告書1」などといい,これらを併せて「本件報告書」という。)を被告カルモアの取引先等に配布するとともに,上記取引先等に,「被告商品の脱臭方法の説明が虚偽であり,脱臭性能がない」などと口頭で告知した行為は,被告カルモアの営業上の信用を害する虚偽の事実を告知又は流布するものであって,不競法2条1項14号所定の不正競争に該当すると主張し,原告に対し,①同法3条1項に基づき,被告の取引先等の第三者に対する上記事実の告知・流布及び本件報告書の配布・閲覧等の差止めを求めるとともに,②同法3条2項に基づき,本件報告書の廃棄を求め,さらに,③同法4条に基づき,前記不正競争により被告カルモアが被った信用毀損の無形損害1000万円及び弁護士費用500万円の合計額である1500万円(附帯請求として平成23年1月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金)の支払を求める事案である。 3 前提事実(争いのない事実以外は,証拠等を末尾に記載する。)(1) 当事者等ア原告は各種脱臭装置の設計,製造,施工及び販売等を業とする株式会社である。 イ被告カルモアは脱臭・消臭機器,装置及びその部品の販売等を業とする株式会社である。 。)(1) 当事者等ア原告は各種脱臭装置の設計,製造,施工及び販売等を業とする株式会社である。 イ被告カルモアは脱臭・消臭機器,装置及びその部品の販売等を業とする株式会社である。 ウ被告Aⅰは,平成2年4月2日(被告カルモアの設立時)から平成21年6月22日までの間,被告カルモアの代表取締役を務めていた者であり,同日以降,被告カルモアの取締役を務めている者である(甲1の1・2,乙1の1・2)。 エ被告Aⅱは,平成18年6月26日から平成21年6月22日までは被告カルモアの取締役を務め,同日以降は被告カルモアの代表取締役を務めている者である(甲1の1・2,乙1の1・2)。 (2) 原告と被告の競争関係 ア原告は,主として事業者向けに,光触媒脱臭方式の脱臭装置(以下「原告装置」という。)を製造販売している(甲3)。 イ被告カルモアは,平成17年4月頃から,主として事業者向けに,「カルモアマグセライド」との名称の脱臭装置(以下「被告装置」という。)を製造販売している(甲4ないし9)。 ウ原告と被告カルモアは,上記のとおり,いずれも主として事業者向けの大型脱臭装置を製造販売する者であり,両者は上記装置の販売において競争関係にある(甲3ないし9)。 (3) 被告商品ア被告商品は,被告脱臭装置のユニット内にスライド型フィルターの形で設置される脱臭フィルターである(甲4)。 イ被告商品は,セピオライト,アタパルジャイト等の含水珪酸マグネシウム粘土鉱物等をハニカム状に成形したものを脱臭剤として用いるものであるところ,被告は,上記物質に,その開発段階においては「ハニカムW」,商品化後は「マグセライド」との名称を付している(以下,上記物質を,名称変更の前後を通じて「マグセライド」という。)(甲4ない あるところ,被告は,上記物質に,その開発段階においては「ハニカムW」,商品化後は「マグセライド」との名称を付している(以下,上記物質を,名称変更の前後を通じて「マグセライド」という。)(甲4ないし7,14の2,乙20)。 (4) 被告カルモアによる本件表示ア被告カルモアが配布し,かつ,その管理運営するウェブサイト(以下「被告サイト」という。)上にその電子データを掲載している「カルモアマグセライド」紹介カタログ(その内容は本判決末尾添付別紙被告製品紹介データ1のとおり。)(被告サイト上における電子データ掲載箇所:http://<以下略>)には,同別紙の着色部分のとおり,本件表示1及び2を掲載した部分がある(甲4)。 イ被告サイトの「製品紹介」ページ(その内容は本判決末尾添付別紙被告製品紹介データ2のとおり。)(http://<以下略>)には,同別紙の着 色部分のとおり,本件表示1ないし3を掲載した部分がある(甲5)。 ウ被告サイトの「セラミック触媒方式/マグセライド脱臭フィルター」紹介ページ(その内容は本判決末尾添付別紙被告製品紹介データ3のとおり。)(http://<以下略>)には,同別紙の着色部分のとおり,本件表示1-2~9,本件2,本件表示4を掲載した部分がある(甲6)。 エ被告カルモアが配布し,かつ,被告サイト上にその電子データを掲載している「Magceride基礎知識」と題する資料(その内容は本判決末尾添付別紙被告製品紹介データ4のとおり。)(被告サイト上における電子データ掲載箇所:http//<以下略>)には,同別紙の着色部分のとおり,本件表示5及び6を掲載した部分がある(甲7)。 オ被告サイトの「脱臭装置(フィルター方式)」ページ及び同ページのリンク先ページ(その内容は本判決添付別紙被告製品紹 は,同別紙の着色部分のとおり,本件表示5及び6を掲載した部分がある(甲7)。 オ被告サイトの「脱臭装置(フィルター方式)」ページ及び同ページのリンク先ページ(その内容は本判決添付別紙被告製品紹介データ5のとおり。)(http://<以下略>)には,同別紙の着色部分のとおり,本件表示1-2・3(ただし本件表示1-2については「水珪酸マグネシウム粘土鉱物を主な触媒」と,本件表示1-3については「触媒作用による吸着,分解」と表示),本件表示7,本件表示8の①ないし⑤を掲載した部分がある(甲8)。なお,上記データ12頁と13頁には同一の表が掲載されている(以下,いずれも本件表示8の③として扱う。)。 カ被告カルモアが配布している「マグセライド脱臭装置納入実例集」と題するカタログ(その内容は本判決添付別紙被告製品紹介データ6のとおり。)には,同別紙の着色部分のとおり,本件表示8の⑥ないし⑮を掲載した部分がある(甲9)。なお,上記カタログ2頁目には,大丸新東京店における脱臭効率につき,一覧表が掲載されているところ,上記表は,排気系統名が「厨房A」,「厨房B」ではなく「総合厨房」,「実演厨房」と,「洋食A」,「洋食B」,「洋食C」ではなく「洋食1」,「洋食2」,「洋食3」と各表示されているが,その内容において,本件表示7 と同様のものであると認められる(以下,甲9の上記表についても「本件表示7」として扱う。)。 キ被告は,以上アないしカの本件表示を,被告商品の量産を始めた平成17年4月頃から行っている。 原告による本件報告書の作成等ア原告は,平成21年12月頃,東京都千代田区丸の内1-9-1所在の大丸東京店の物件所有者である株式会社鉄道会館及び同店運営者であるJ.フロントリテイリング株式会社(以下,両社を併せて「鉄道会 ア原告は,平成21年12月頃,東京都千代田区丸の内1-9-1所在の大丸東京店の物件所有者である株式会社鉄道会館及び同店運営者であるJ.フロントリテイリング株式会社(以下,両社を併せて「鉄道会館等」という。)に対し,原告の費用負担による臭気測定を申し入れ,同月23日,同店16階の鰻蒲焼店「伊勢定」の厨房排気系統に設置された被告装置について,臭気濃度の測定等の臭気調査を行った(甲10,乙9)。 上記臭気調査結果をまとめた平成22年1月29日付け本件報告書1には,「なお,この調査は平成21年12月1日に株式会社鉄道会館・経営企画部,平成21年12月11日にJ.フロントリテイルング株式会社・業務本部(大丸,松坂屋持株会社)の依頼により,平成21年12月23日に株式会社環境管理センターと東洋興商株式会社が実施した」との記載(1頁「1.目的」欄)(本件記載1)及び「現段階(設置後2年程度)でマグセライド脱臭装置には脱臭効果が認められず。」(6頁「5.まとめ」欄)との記載(本件記載2)がある(甲10)。 イ原告は,平成22年4月15日,原告従業員,東海大学理学部化学科准教授(当時)のAⅲ(以下「Aⅲ教授」という。)及び大学院生1名の立会いにより,上記大丸東京店16階の「伊勢定」厨房排気系統に設置された被告装置内の被告商品のフィルター1個(縦5cm×横10cm)を採取して持ち帰り,そのフィルターの中央部及び端部の2か所から,欠片を採取し,Aⅲ教授に依頼して上記脱臭材の分析を行った(甲11)。 Aⅲ教授が上記分析結果をまとめた同年5月18日付け本件報告書2に は,「セピオライト系試料を用いてアセトアルデヒドガスに対する除去試験を行った結果,用いた試料にはアセトアルデヒド分解活性がないことがわかった。」(6頁「4.結論」欄)との記載 報告書2に は,「セピオライト系試料を用いてアセトアルデヒドガスに対する除去試験を行った結果,用いた試料にはアセトアルデヒド分解活性がないことがわかった。」(6頁「4.結論」欄)との記載(本件記載3)がある(甲11)。 4 争点(1) 本訴請求についてア本件表示の品質等誤認表示該当性(争点1-1)イ被告らに対する差止め及び廃棄請求の可否(争点1-2)ウ被告らの損害賠償責任の成否(争点1-3)エ原告の損害額(争点1-4)(2) 反訴請求についてア原告の行為の不競法2条1項14号所定の不正競争該当性(争点2-1)イ差止め及び廃棄請求の可否(争点2-2)ウ被告カルモアの損害額(争点2-3)第3 争点に対する当事者の主張 1 争点1-1(本件表示の品質等誤認表示該当性)(原告の主張)(1) 脱臭方法に関する表示(本件表示1ないし6)についてア本件表示1ないし6の内容本件表示1ないし5は,被告商品が,「含水珪酸マグネシウム粘土鉱物」を主成分とするものであり,それが「触媒作用」をもち,「酸化・加水分解」を行って「脱臭後,臭気を拡散・希釈」することから,「自己再生する脱臭フィルター」として機能するものであり,「ロングライフ・低ランニングコスト」であって,このような「加水分解」を行うのは「カルモアだけ」であるというものである。 また,本件表示6は,被告商品の脱臭原理を,「原臭から油脂・におい分子を吸着した後,被告商品本体へ吸収し,酸化分解及び加水分解を行う。 上記酸化分解反応は,『O+』が『攻撃(酸化分解)』を行うものであり,上記加水分解反応は『OH-』が『攻撃(加水分解)』を行い炭素鎖が切れるものである。上記酸化・加水 ,酸化分解及び加水分解を行う。 上記酸化分解反応は,『O+』が『攻撃(酸化分解)』を行うものであり,上記加水分解反応は『OH-』が『攻撃(加水分解)』を行い炭素鎖が切れるものである。上記酸化・加水分解により,低級アルコールの一種であるメタノールが生成される。上記分解反応により生じたCO2,N2,H2O,アルコールは,一部の原臭とともに排気され,被告商品は自己再生して新品同様に戻る」というものであると説明したものである。 イ上記表示が品質等誤認表示に該当すること触媒作用について一般的知見による裏付けがないこと「含水珪酸マグネシウム粘土鉱物」とは,含水珪酸マグネシウムを主成分とする粘土状の鉱物の意味で,その代表例としてはパリゴルスカイト(アタパルジャイト),セピオライト等が挙げられる。このうち,パリゴルスカイトは,化学物質の吸着・回収に用いられる素材であるが,化学的には不活性であると報告されており,触媒作用を有するものではない。 被告らの提出する証拠が,いずれも脱臭方法に関する被告らの主張を裏付けるものではないことa 神奈川産総研の受託研究結果報告書等(乙5の1ないし3)について被告らは,神奈川県産業技術総合研究所(以下「神奈川産総研」という。)の受託研究結果報告書等(乙5の1ないし3)から,被告商品が触媒作用によりサラダ油を酸化・加水分解するものであることが裏付けられると主張する。しかし,産業技術総合研究所(以下「産総研」という。)のAⅳ氏(以下「Aⅳ氏」という。)が,上記反応の程度は自動酸化の程度とあまり変わらない旨の見解を述べている(甲15)とおり,上記実験結果は,サラダ油が空気中に存在する酸素によって酸化されて 各種アルデヒド類が生成されたことを示すものにすぎず,これによってマグセライドの触媒作用 解を述べている(甲15)とおり,上記実験結果は,サラダ油が空気中に存在する酸素によって酸化されて 各種アルデヒド類が生成されたことを示すものにすぎず,これによってマグセライドの触媒作用による分解反応を裏付けることはできない。 b 被告特許公報(甲14の1・2,乙3の2)について特許第4833521号は,被告カルモアと富士工業株式会社との共同出願に係る特許権であり,その公開特許公報(乙3の2)には,「含水珪酸マグネシウム粘土鉱物自らの触媒作用でその油脂分,臭い成分を酸化及び加水分解反応する」との記載がある。しかし,特許を付与するか否かは,特許法が定める特許要件を満たすかという法律判断にすぎず,特許権が成立したことにより,被告らが主張する化学的作用効果があることが証明されたわけではない。 c 受託研究結果報告書(乙20),質疑応答録取書(乙21)について上記報告書(乙20)は,被告商品につき実験を繰り返し行っても同一の実験結果が得られたことを示すものではなく,「繰り返し用いることができる」との触媒の要件を満たすことを裏付けるものではない。また,質疑応答録取書(乙21)は,化学的知見のない弁護士により作成されたものであって,真実,応答者が陳述した内容を記載したものであるのか疑わしく,信用できない。 d マグセライドフィルター分析結果報告書(乙22,23)についてⅰ 上記報告書記載の調査結果は,マグセライドと共に封入されたサラダ油の自動酸化の結果を示すものにすぎず,マグセライドによる有機物の分解反応を証明したものとは断定できない。そもそも,油脂の分解が生じていることを証明するためには,酸素の減少量と,生成物質の増加量を経時変化により測定して,その変化が油脂の分解特性に合致しているかどうかを判断する必要があるが 定できない。そもそも,油脂の分解が生じていることを証明するためには,酸素の減少量と,生成物質の増加量を経時変化により測定して,その変化が油脂の分解特性に合致しているかどうかを判断する必要があるが,乙22号証では酸素量の測定をしておらず,このような検討ができない。したがって,乙22号証により,被告商品の触媒作用による油脂分解を裏付けることは できない。 ⅱ 油脂が自動酸化すると,ハイドロパーオキサイドが生成され,更にカルボン酸化合物やカルボニル化合物が生成されるものであるが,乙22号証の検証実験結果によれば,実験開始から72時間後にカルボニル化合物であるアルデヒド類が検出されたとされる一方,ハイドロパーオキサイドは全く検出されていない。また,二酸化炭素はアルデヒド類の分解により生ずるものであるから,アルデヒド類よりも後に増加すべきところ,上記検証実験結果によれば,二酸化炭素濃度は時間とともに上昇している。このように,乙22号証には不自然な点がみられる上,乙22及び23号証の調査及び検証実験を行ったNECファシリティーズ株式会社は被告カルモアの販売代理店であって,上記調査及び検証実験が被告カルモアの意向に沿うものとなっている疑いがあり,同号証は信用性を欠く。 e 比表面積測定結果(乙33),GPC分析御報告書(乙34)についてⅰ 被告らは,上記報告書によれば,マグセライドの比表面積や平均細孔直径がセピオライトやアタパルジャイトよりも劣るにもかかわらず,試料中の高分子量及び低分子量における二重結合量が,マグセライドにおいて最も大きいことから,マグセライドにおいて,自動酸化では説明し切れない何らかの分解反応が寄与している旨主張する。 ⅱ しかし,GPC分析御報告書記載の実験実施条件に関する情報からは,平均細孔直径の大 も大きいことから,マグセライドにおいて,自動酸化では説明し切れない何らかの分解反応が寄与している旨主張する。 ⅱ しかし,GPC分析御報告書記載の実験実施条件に関する情報からは,平均細孔直径の大小関係と分子量の大小関係とを一義的に関連付けて論じられる条件が整っていない。さらに,多波長紫外可視吸収検出器を用いたGPC法による測定結果によって二重結合量の大小を比較することは不可能である上,二重結合量は酸化反応とともに減少するから,二重結合量の大きさをもって分解反応が進んでいることを裏 付けることもできない。したがって,GPC-UVでの分子量分布曲線をもって二重結合量の大小関係を論じ,比表面積や平均細孔直径の大小関係と組み合わせて分析評価することに意味はない。 ⅲ そもそも,「何らかの分解反応」が「寄与している可能性がある」からといって,被告商品が触媒としての作用を果たしているということができるものではなく,上記報告書等は被告らの主張を裏付けるものではない。 f 以上のとおり,被告らの提出する証拠からは,サラダ油を構成する脂肪酸の一部がアセトアルデヒド等に分解されていることがうかがわれるにとどまり,上記分解が被告商品の触媒作用によるものであることや,これらの分解生成物が更に「H2O,CO2,低級アルコールなどの低分子ガスまで分解」されるものであることを認めるに足りるものではない。したがって,上記証拠によって,本件表示1ないし6が品質等誤認表示に当たらないことを裏付けることはできない。 触媒作用についての品質誤認被告らは,粘土鉱物が触媒として利用されてきた例がある旨主張するが,被告らの引用する文献(乙40)は,粘土鉱物が触媒の担持体として利用されてきたことを示すものにすぎず,粘土鉱物自体には触媒としての性質がないこと 鉱物が触媒として利用されてきた例がある旨主張するが,被告らの引用する文献(乙40)は,粘土鉱物が触媒の担持体として利用されてきたことを示すものにすぎず,粘土鉱物自体には触媒としての性質がないことを示すものである。 したがって,含水珪酸マグネシウム粘土鉱物に触媒作用があるとは考えられない。被告らは,被告商品を「触媒」と称することに問題はない旨の意見書(乙46ないし48)を提出するが,上記意見書は,いずれも触媒の定義を示しているものの,その定義に合致する証拠を裏付けるデータに関する具体的な記述や解説がなく,化学的根拠なく被告らの主張に沿った結論を述べるものにすぎない。 そもそも,「触媒」とは,実用条件下で反応を促進する機能を発揮す るものであり,かつ,繰り返し使用できるものでなければならないところ,被告商品がこのような性質を有することを検証する証拠は何ら提出されていない。 吸着・分解・拡散作用についての品質誤認a 原告は,大丸東京店に設置されていた被告商品からマグセライドを採取し,Aⅲ教授に依頼してその物性評価及びアセトアルデヒド除去試験を行い,本件報告書2(甲11)によりその結果の報告を受けたところ,上記試験結果によれば,マグセライドのうち,排煙にさらされていなかった部分について,水及び二酸化炭素の生成がみられず,マグセライドにアセトアルデヒドを酸化分解する能力がないことが判明した(甲11)。これは,及び被告商品に臭気成分を吸着し,酸化分解する作用がないことを意味する。 b 被告カルモア従業員執筆に係る論文(甲23)には,マグセライドが焦げ臭成分であるアセトアルデヒドの吸着・分解を得意としている旨の記載がある。にもかかわらず,マグセライドにアセトアルデヒドの除去性能及び分解性能が認められない以上,被告商品に臭気 ,マグセライドが焦げ臭成分であるアセトアルデヒドの吸着・分解を得意としている旨の記載がある。にもかかわらず,マグセライドにアセトアルデヒドの除去性能及び分解性能が認められない以上,被告商品に臭気成分を除去・分解する能力がないことは明らかである。被告らは,本件報告書2が中間生成物の存在を考慮していないと論難するが,本件報告書2記載の試験結果は,試験開始から50時間経過後も二酸化炭素濃度に有意な増加が認められなかったというものであるところ,本件表示が,被告商品が数時間で臭気成分を二酸化炭素等に分解する旨表示したものである以上,本件報告書2の試験結果をもって,被告商品に本件表示において表示されているような臭気成分の分解性能がないと結論付けることに何ら不合理な点はない。 c 仮に,被告らの主張するとおり,被告商品が油脂成分をアセトアルデヒド,プロピオンアルデヒド等の物質に分解して徐々に排出すると ともに,油脂分分解の結果として生じる重合物を内部に保持し続けるものであるとすれば,アセトアルデヒド等が悪臭防止法で特定悪臭物質に指定されているものである以上,被告商品は,特定悪臭物質による臭気を水や二酸化炭素等に分解せずにそのまま放出し,かつ,分解し切れない悪臭物質を内部に蓄積する「特定悪臭物質製造機」と称されるべき装置であることを意味することになり,「臭気を分解して放出」,「H2O,CO2,低級アルコールなどの低分子ガスまで分解されて排出」等の表示(本件表示1-5・11,本件表示2,本件表示4-3,本件表示6)は虚偽のものに当たることになる。 d さらに,「O+」との化学記号で表される活性酵素は存在せず,また,常温常圧下で「OH-」の「攻撃(加水分解)」により炭素鎖が切れることもあり得ないから,本件表示6のうち,「O+」が炭化水 る。 d さらに,「O+」との化学記号で表される活性酵素は存在せず,また,常温常圧下で「OH-」の「攻撃(加水分解)」により炭素鎖が切れることもあり得ないから,本件表示6のうち,「O+」が炭化水素を「攻撃(酸化分解)」するとの図解説明及び加水分解反応に関する図解説明には化学的根拠がない。また,「O+」との表記がマーケティング用語として広く使われている事実も認められない。したがって,本件表示6は,化学的に発生し得ない反応を,被告商品の「脱臭原理」として表示したものであり,被告商品の品質及び性能に関する虚偽の説明及び表示に当たる。 自己再生についての品質誤認本件報告書2の試験結果によれば,上記マグセライドのうち,排煙にさらされていた部分にはアセトアルデヒド除去能力がないことが判明した。これは,被告商品に自己再生による脱臭性能の維持がみられないことを意味する。 ロングライフ・低ランニングコストについての品質誤認原告が一般財団法人ベターリビングに依頼して行った被告商品のアセトアルデヒド破過試験結果(甲51)によれば,被告商品におけるアセ トアルデヒド除去性能は短期間で急速に喪失することが判明している。 したがって,被告商品が自己再生するものであり,ロングライフ・低ランニングコストである旨の表示も虚偽の説明又は表示に当たる。 以上によれば,本件表示のうち,被告商品に触媒作用があるとの表示や,触媒作用による吸着・分解により脱臭を行うとの表示,吸着した臭気を分解して放出し,自己再生する旨の表示,被告商品が酸化・加水分解作用を有する旨の表示,ロングライフ・低ランニングコストであるとの表示は,いずれも,被告商品の品質及び性能に関する虚偽の説明及び表示に当たる。 (2) 脱臭性能に関する表示(本件表示7及び8)について 有する旨の表示,ロングライフ・低ランニングコストであるとの表示は,いずれも,被告商品の品質及び性能に関する虚偽の説明及び表示に当たる。 (2) 脱臭性能に関する表示(本件表示7及び8)についてア本件表示7及び8は,被告商品を装着した被告装置の脱臭効率が極めて高い旨を表示したものであるところ,これらの表示には,上記脱臭効率の計測時点が明示されていない。他方,被告商品については,「自己再生する脱臭フィルター」,「脱臭と同時に自己再生」,「数時間かけて吸着した臭気を分解して放出,自己再生」,「吸着作用のみの脱臭素材に比べ,ロングライフ・低ランニングコストを実現」等の表示がされており,被告商品の需要者は,本件表示7,8のみではなく,これらの表示も併せて参照して,その購入を検討するものと解される。したがって,上記需要者は,これらの表示と併せて本件表示7,8に接することにより,被告装置が長期間にわたって当該表示に係る高い脱臭効率を維持することができるものと理解することになる。 イ本件表示7,8が品質等誤認表示に該当すること前記(1)のとおり,被告商品の脱臭方法に関する記載は虚偽のものであるから,被告商品を装着した被告装置が本件表示7,8のような高い脱臭効率を達成することはあり得ない。 本件報告書1記載のとおり,原告が大丸東京店に設置された被告装置 の脱臭装置を実測したところ,被告装置入口の臭気濃度よりも被告装置出口の臭気濃度の方が高く,脱臭効率はマイナス58%という結果であった(甲10)。なお,被告らは,上記装置はグリスフィルターのメンテナンス不良により正常に機能していない被告装置を故意に狙い撃ちしたものであると主張するが,上記装置の異常が確認されたのは平成23年4月12日であり(乙10の3),原告が,上記実測時点 ルターのメンテナンス不良により正常に機能していない被告装置を故意に狙い撃ちしたものであると主張するが,上記装置の異常が確認されたのは平成23年4月12日であり(乙10の3),原告が,上記実測時点である平成21年12月23日時点で上記異常を知って調査を行うことは不可能である。 原告が,一般財団法人ベターリビングに依頼して行った被告商品の脱臭性能測定試験結果(甲51)によれば,その脱臭効率は90%であった。上記脱臭効率は,煙や油の表面に付着したり,油煙から二次的に発生したりした臭気も一緒に吸着した結果,高めの数値が計測されたものと考えられるが,被告商品の使用を継続して,その表面が油煙で覆われることにより,上記脱臭性能は急速に低下することが予想される。したがって,被告商品(新品の状態)の脱臭効率が90%よりも向上することはないものと考えられる。 また,原告は,被告商品におけるアセトアルデヒドの破過試験も実施したところ,これによれば,被告商品において,30分ないし90分経過時点で入口と出口のアセトアルデヒド濃度が同一レベルに達しており(「破過」),被告商品のアセトアルデヒド除去能力は短時間で喪失することが判明した。したがって,被告商品において,その使用に伴い脱臭性能が短時間で急速に喪失することが明らかである。 よって,本件表示7,8において,被告商品の脱臭効率として90%を上回る表示をしているのは,虚偽の説明及び表示である。 したがって,本件表示7,8は品質等誤認表示に当たる。 ウ被告らの提出する証拠が,いずれも脱臭効率に関する被告らの主張を裏 付けるものではないこと乙7号証について乙7号証には,試料採取日及び試験日(測定日)は平成17年1月27日・同年2月4日,関係者立会試験日は同年1月28日及び2月 の主張を裏 付けるものではないこと乙7号証について乙7号証には,試料採取日及び試験日(測定日)は平成17年1月27日・同年2月4日,関係者立会試験日は同年1月28日及び2月2日と記載されている。また,試験対象となった試料は,いずれも「依頼者採取」と記載されている。したがって,上記試料採取は,関係者を立ち会わせることなく,被告らにおいて行ったものであるから,被告らに都合のよい試験結果が出るように臭気サンプルを加工して検査機関に持ち込んだ可能性が排除できず,乙7号証の試験結果は信用できない。 乙10号証の1ないし3について乙10の1ないし3の臭気測定において,臭気サンプルの採取は,いずれも被告カルモア関係者が関与して行われたものであり,臭気サンプルを細工して被告らに有利な結果が出るよう操作することが可能なものである。また,公益社団法人におい・かおり環境協会発行の「新訂臭気の嗅覚測定法」(甲16)では,調査対象事業所に対し利害関係のある者はパネルから外すものとされているところ,乙10の1は,被告カルモア自身が臭気測定を行った結果を記載したものであって,その測定結果を操作する可能性がある。なお,被告らは,上記におい・かおり環境協会の実施するクロスチェックを毎年受けていると主張するが,上記クロスチェックは,当該事業所が公平中立の立場で臭気測定を実施できることを意味するものではない。また,被告カルモアがクロスチェックに参加した結果として示す乙19の2が被告カルモアのデータであるかどうかも明らかではない。加えて,被告カルモアは,上記におい・かおり環境協会に対し第2種認定事業所としての登録申請を行ったにもかかわらず,上記認定を受けられていないのであって(甲20),その臭気測定精度には疑問がある。 カルモアは,上記におい・かおり環境協会に対し第2種認定事業所としての登録申請を行ったにもかかわらず,上記認定を受けられていないのであって(甲20),その臭気測定精度には疑問がある。 また,乙10の3記載の検査結果は,原告が行った臭気調査(甲10)の1年4か月後に,その結果を知った上で行われたものであり,原告の上記臭気調査結果を釈明するために検査結果をねつ造することさえ可能なものである。 したがって,乙10の1ないし3の測定結果は,いずれも信用することができない。 乙24号証について乙24号証の「パネルテスト会場」の「日本環境(株)臭気官能試験室」との記載からは,上記パネルテストを実施し集計表を作成したのは,第2種臭気測定認定事業所の日本環境研究所株式会社であることが推測できるが,このような認定事業所が作成した臭気測定報告書であれば,表紙が付けられているはずであるところ,これが提出されていないから,乙24号証が,実際に日本環境研究所株式会社が作成した報告書であるか否かは確認できない。 また,乙24号証には,「原臭採取場所」として,1枚目には「厨房排気」,2枚目には「KAF-1S」と記載されており,同じ脱臭装置の同じ系統の排気入口・出口で採取されたものであるのかどうか全く分からない。また,そもそも,これらの原臭採取場所が脱臭装置の「入口」と「出口」で採取されたものか否かについても記載がなく,上記原臭採取場所が脱臭装置の入口と出口であったのかすら疑わしい。 加えて,乙24号証の「原臭採取開始時刻」には時刻の記載がないから,臭気サンプルは依頼者持ち込みによるものと解され,この点でも信用性に疑義がある。 なお,原告が高砂熱学工業株式会社に照会したところ,同社は乙24号証の作成時期に日本環境 時刻の記載がないから,臭気サンプルは依頼者持ち込みによるものと解され,この点でも信用性に疑義がある。 なお,原告が高砂熱学工業株式会社に照会したところ,同社は乙24号証の作成時期に日本環境株式会社に臭気測定調査依頼費用を支払った事実がないことが判明した。 以上によれば,乙24号証には信用性がない。 乙30号証について乙30号証の2枚目には,試料名称として「脱臭装置入口(フライヤー直近)」,臭質として「調理臭(油様臭)」,臭気指数測定結果として「45」,臭気濃度測定結果として「32000」との記載がある。 他方,同号証の3枚目には,試料名称として「脱臭装置出口」,臭質として「樹脂様臭」,臭気指数測定結果として「16」,臭気濃度測定結果として「40」との記載がある。 厨房内排気は,フライヤー近辺で特に濃度が高くなるから,フライヤー直近で採取された試料を,排気ダクトを通じて厨房外に設置された脱臭装置入口で採取された試料と同一に扱うことはできず,乙30号証は,脱臭効率を実際よりも高く算定したものであって,不適切である。 また,当初の臭質が「調理臭(油様臭)」であったにもかかわらず,脱臭装置を通過した出口で臭質が「樹脂様臭」に変化することも不自然であり,実際に同じ脱臭装置の同一系統の入口と出口で採取された試料の測定結果が組み合わされた結果であるのか疑わしい。 したがって,乙30号証は,乙24号証と同様に,異なる脱臭装置の入口と出口の臭気計測数値を組み合わせ,あたかも同一の脱臭装置の入口と出口の臭気測定結果であるように見せかけて作成されたものである疑いがあり,信用できない。 (被告らの主張)(1) 原告の主張は争う。 (2) 脱臭方法に関する表示(本件表示1ないし6)についてア本件表示の内容 ように見せかけて作成されたものである疑いがあり,信用できない。 (被告らの主張)(1) 原告の主張は争う。 (2) 脱臭方法に関する表示(本件表示1ないし6)についてア本件表示の内容「触媒作用」,「常温酸化触媒」等の表示について とおり,厨房排気中の油脂・臭気成分を吸着した上で,自らの作用により,自らは変化することなく,何らかの化学反応を起こし,又は自動酸化を促進して,上記油脂・臭気成分をエタノール等に酸化・加水分解することができる。 本件表示のうち,「触媒作用」,「常温酸化触媒」等の表示(本件表示1-2・3・11,本件表示2,本件表示3-1・2,本件表示4-1・3,本件表示6)は,含水珪酸マグネシウム粘土鉱物のこのような作用を捉えて「触媒作用」,「常温酸化触媒」等と表現したものである。 「自己再生」,「酸化・加水分解」等の表示について被告商品は,厨房排気中の油脂・臭気成分を吸着するものであり,吸着される油脂成分は,オレイン酸,リノール酸,リノレン酸等の高分子量かつ高沸点の物質である。被告商品は,含水珪酸マグネシウム粘土鉱物を主成分とするものであるところ,上記含水珪酸マグネシウム粘土鉱物は,上記のとおり吸着した油脂・臭気成分を,自らの作用により,自らは変化することなく,アセトアルデヒド,プロピオンアルデヒド,ブチルアルデヒド,ヘキサナール,エタノール等の低沸点かつ低分子量の物質に酸化・加水分解することができる。上記分解物質は,分解前の物質に比べ,低沸点であるために常温で気化されやすく,被告商品から自然に脱着して排気ガスとともに排出される。これにより被告商品は新たに油脂・臭気成分の吸着が可能となる。 本件表示のうち,「自己再生」,「吸着した臭気を分解して放出,自己再生」,「酸化・加水分解 自然に脱着して排気ガスとともに排出される。これにより被告商品は新たに油脂・臭気成分の吸着が可能となる。 本件表示のうち,「自己再生」,「吸着した臭気を分解して放出,自己再生」,「酸化・加水分解によって徐々に分解して排出」,「加水分解により生成された低級アルコール」等の表示(本件表示1-1・4・5・7・9~11,本件表示2,本件表示4-2・3,本件表示5-1・2,本件表示6)は,被告商品におけるこのようなメカニズムを表示したものである。 「脱臭後臭気を拡散,希釈」等の表示被告商品は,オレイン酸等の高分子量の油脂成分をアセトアルデヒド等の低分子量の物質に分解するものであるところ,拡散は分子運動であるから,分子量が小さいほど拡散速度は速くなり,拡散・希釈効果は高くなる(乙17)。 「脱臭後臭気を拡散,希釈」等の表示(本件表示1-8・10,本件表示2,本件表示4-2,本件表示6)は,上記分子運動を捉えて「拡散・希釈」等と表現したものである。 「ロングライフ・低ランニングコストを実現」との表示について臭気成分の吸着を目的とした一般的な脱臭素材(活性炭フィルター等)は,濾材の多孔質部分が臭気成分の吸着により埋まれば臭気除去効果を失うため,通常は3か月から1年程度でフィルターの交換を要する。 これに対し,被告商品は,多孔質部分に吸着された臭気成分を分解し,時間の経過とともに脱着することで,臭気成分の継続的除去が可能となるため,フィルターの交換頻度が,数年単位と大幅に軽減され,ランニングコストも低いものとなる。 本件表示1-6は,このような点を捉えて「吸着作用のみの脱臭素材に比べ,ロングライフ・低ランニングコストを実現」と表現したものである。 「O+」等を用いた脱臭原理の表示(本件表示6)被告商品が 示1-6は,このような点を捉えて「吸着作用のみの脱臭素材に比べ,ロングライフ・低ランニングコストを実現」と表現したものである。 「O+」等を用いた脱臭原理の表示(本件表示6)被告商品が,酸化・加水分解反応により,油脂成分を分解するものであることは,前述のとおりであるところ,本件表示6は,活性酸素を「O+」の記号を用いて表記するなどして,上記分解反応を分かりやすく説明したものである。 「加水分解反応はカルモアのみ!」との表示(本件表示6)被告商品が加水分解反応により油脂成分を分解するものであることは 前述のとおりであるところ,本件表示6は,被告商品と同様の方式による脱臭装置が見当たらないことから,「加水分解反応はカルモアのみ!」と表現したものである。 イ本件表示1ないし6が被告商品の品質等を誤認させるものに当たらないこと触媒作用についての一般的知見の存在一般的に,「触媒」に分類される物質中には「粘土鉱物」が含まれているのであり(乙40の1・2),マグセライドに何らかの化学反応を起こす特性が認められる以上,これを「触媒」と称することは,何ら虚偽の表示に当たるものではない。 実験結果等によれば,被告商品が,含水珪酸マグネシウムの触媒作用により酸化・加水分解を行うものであることa 神奈川産総研が実施した試験結果(乙5の2)によれば,マグセライドとサラダ油との接触により,サラダ油の酸化分解反応が促進されていることが確認されている。すなわち,上記試験結果によれば,マグセライドとサラダ油を接触させた結果,アルデヒド類等の生成が確認される一方,サラダ油のみの場合や,マグセライドとサラダ油を窒素雰囲気下で接触させた場合には,アルデヒド類等の生成が確認されなかった。したがって,マグセライドがサラダ 果,アルデヒド類等の生成が確認される一方,サラダ油のみの場合や,マグセライドとサラダ油を窒素雰囲気下で接触させた場合には,アルデヒド類等の生成が確認されなかった。したがって,マグセライドがサラダ油の酸化反応を促進させたことは明らかであり,マグセライドが触媒作用をもっていることが証明されている。 b この点に関し,原告は,マグセライドの比表面積が大きいことから,サラダ油と空気・水の接触機会が増大し,自動酸化が促進されたとも考えられる旨の意見を述べるが(甲15),マグセライドと同様に大きな内部表面積を有する疎水性ゼオライトによるサラダ油の分解率の測定結果(甲14の2【表1】~【表3】)との比較によれば,マグ セライドの優位性は明らかであるから,比表面積の大きさによって上記分解反応を説明することはできず,マグセライドに触媒作用があるとしか考えられない。 c マグセライドの分解促進効果が,単に細孔面積の差による自然酸化の促進の結果ではないことは,マグセライド,疎水性ゼオライト,セピオライト,アタパルジャイトに接触させたサラダ油の分子量分布測定結果(乙34)から明らかである。 すなわち,マグセライド等の比表面積測定結果(乙33)によれば,各物質の比表面積の大きさは,疎水性ゼオライト>セピオライト>アタパルジャイト>マグセライドの順であり,平均細孔直径の大きさは,アタパルジャイト>セピオライト>マグセライド>疎水性ゼオライトの順であることが確認されている。また,GPC分析御報告書(乙34)記載のGPC-RI,GPC-UVでの分子量分布曲線(乙34のFig1~13)によれば,アタパルジャイト>セピオライト>マグセライド>サラダ油のみの順位で高分子量化・低分子量化を起こしていることが確認されているから,比表面積の大きさよりも 分布曲線(乙34のFig1~13)によれば,アタパルジャイト>セピオライト>マグセライド>サラダ油のみの順位で高分子量化・低分子量化を起こしていることが確認されているから,比表面積の大きさよりも平均細孔直径の大きさの方が分解に寄与していること(疎水性ゼオライトは,平均細孔直径が小さいことから,サラダ油が細孔に入り込めず,その結果,サラダ油のみの場合とほぼ同じ分解結果となったこと)がうかがわれる。 他方,上記報告書によれば,マグセライド>セピオライト>アタパルジャイト>サラダ油の順で,高分子量・低分子量ともに二重結合量の分布が多いことが確認されている。二重結合量が多いほど分解が進んでいることを示すところ,比表面積及び平均細孔直径のいずれの点においてもセピオライト及びアタパルジャイトに劣るマグセライドが,上記のとおり二重結合量においてこれらの物質より優位にあることは, 自動酸化だけでは説明しきれない何らかの新しい分解反応が寄与していることを示すものというべきである。原告側専門家であるAⅳ氏及びAⅲ教授も,マグセライドにおいて何らかの化学反応が起きていることや,他の鉱物より重合物を生じやすいことは認めている(甲34,35)。 上記実験結果は,被告商品における酸化・加水分解反応が自動酸化にすぎない旨の原告の主張に対する反証として十分なものであり,被告らにおいて,上記分解反応が具体的にどのようなものであるかまで特定すべき責任はない。 d 被告カルモアは,マグセライドを用いた脱臭材を具備するレンジフードファンにつき特許出願を行っているところ,上記特許出願経過において,特許庁審査官から,含水珪酸マグネシウムが触媒作用を有することの証明を求められたのに対し,ハニカムWによりサラダ油の各種脂肪酸が95%以上分解されたこと 行っているところ,上記特許出願経過において,特許庁審査官から,含水珪酸マグネシウムが触媒作用を有することの証明を求められたのに対し,ハニカムWによりサラダ油の各種脂肪酸が95%以上分解されたことが確認されている旨の神奈川産総研作成の「受託研究結果報告書」(甲14の3)を提出することにより,特許査定を受けるに至っているのであり,この点からも,含水珪酸マグネシウムが触媒作用を有することが裏付けられる。 e 原告は,触媒とは繰り返し用いることができるものである必要があると主張するが,被告商品が多数の納入先において長期間問題なく使用できていることや,設置3.5年後の測定結果において,そのほとんどの系統で脱臭効果が維持されていること(乙10の3)に照らせば,被告商品が繰り返し分解反応に用いることができるものであることが明らかである。また,原告は,被告商品における分解速度が遅いことから,実用的な触媒とはいえない旨も指摘するが(甲35),被告商品が,臭気成分を吸着し,分解した上で,時間を掛けて着脱・放出するというものである以上,分解反応に数日を要したとしても何ら 問題はない。 f 以上によれば,被告商品の含水珪酸マグネシウム粘土鉱物が触媒作用を有する旨の記載が,被告商品の品質との間に齟齬はなく,上記表示が品質等誤認表示に当たらないことは明らかである。 実験結果等によれば,被告商品において,油脂・臭気成分の酸化・加水分解が行われていることa 神奈川産総研作成の前記試験結果報告書(乙5の2)によれば,被告商品に吸着されたサラダ油成分の分解生成物として,エタノールが確認されている。また,NECファシリティーズ株式会社作成の「マグセライドフィルター分析結果報告書」(乙22)及び「マグセライドフィルター分析結果御報告資料」(乙23) 解生成物として,エタノールが確認されている。また,NECファシリティーズ株式会社作成の「マグセライドフィルター分析結果報告書」(乙22)及び「マグセライドフィルター分析結果御報告資料」(乙23)によれば,サラダ油成分が被告商品に吸着した後,時間をかけて一部が水素,二酸化炭素,アルコールまで分解された事実が証明されている。したがって,被告商品において,油脂成分の酸化・加水分解が行われていることは明らかである。 b これに対し,原告は,マグセライドにアセトアルデヒド単体を完全分解する能力がないことを根拠に,被告商品に臭気成分を分解する作用がないと主張する。 しかし,原告がその根拠とする報告書(甲11)は,大量の油が付着して劣化したマグセライドを検体に用いたものであり,上記実験結果を被告商品に一般化するのは不適切である。また,上記報告書は,通常想定される中間生成過程(酢酸等の発生の有無)を考慮することなく,二酸化炭素の発生がないことのみをもって,被告商品にアセトアルデヒド分解活性がないと結論付けたものであり,上記結論も不適切である。 そもそも厨房臭気は多数の臭気分子で構成されているものであり, アセトアルデヒド単体の分解活性の有無をもって,被告商品の臭気成分分解作用を論じることはできない。 c さらに,原告は,被告商品が分解により発生させる物質はアルデヒド類であって,特定悪臭物質を発生させているものであるから,上記分解をもって「脱臭」と表現すべきではない旨も主張するが,アルデヒド類が悪臭として認識されるか否かは臭気濃度の問題であって,分解過程でアセトアルデヒド類を生成したとしても,総合的に臭気が除去され,臭気濃度が低減されれば,これを「脱臭」と表現することに何ら問題はない。 d 以上によれば,被告商品が触媒作用 題であって,分解過程でアセトアルデヒド類を生成したとしても,総合的に臭気が除去され,臭気濃度が低減されれば,これを「脱臭」と表現することに何ら問題はない。 d 以上によれば,被告商品が触媒作用により臭気成分を酸化・加水分解し,脱臭を行う旨の記載と,被告商品の品質との間に齟齬はなく,上記表示が品質等誤認表示に当たらないことは明らかである。 e なお,「O+」は,活性酸素を示す表示として広く用いられているものであり,被告カルモアが酸化分解反応を分かりやすく表記するために便宜的に用いたものにすぎない。上記記号により表示される酸化分解反応が存在する以上,このような記号を用いたことをもって,本件表示6が品質誤認表示に当たることはない。 被告商品において臭気成分が脱着し,自己再生するものであり,ロングライフ・低ランニングコストを実現しているものであることa 被告商品において吸着された高分子量物質が低分子量物質に分解さ着することは物理的に考えて当然のことである。これは,被告商品の納入から3.5年経過後において,被告商品が,なお最大90%以上の脱臭効率を維持していることからも証明される。 b 原告は,被告商品につきアセトアルデヒドの破過試験を行った結果,被告商品は短期間でアセトアルデヒドの吸着能力を失ったから,被告 商品は自己再生するものでもロングライフのものでもないと主張する(甲52)。しかし,被告商品は数百の臭気分子が複合化された厨房排気臭を脱臭することを目的としたものであり,単体物質の除去を目的とするものではない。また,原告は,上記試験において,アセトアルデヒド能力を嗅覚閾値の3000倍である4ppmに設定しているが,厨房排気から上記量のアセトアルデヒドが出るという前提及び根拠はどこにもない。なお,原告の行った脱臭効率 上記試験において,アセトアルデヒド能力を嗅覚閾値の3000倍である4ppmに設定しているが,厨房排気から上記量のアセトアルデヒドが出るという前提及び根拠はどこにもない。なお,原告の行った脱臭効率測定試験におけるアセトアルデヒド濃度は,0.051ppmとなっている。加えて,上記試験は,通常,多段式で用いられる被告商品からマグセライドを取り出し,薄く(50mm×50mm×29mm)カットして試験に用いたものであり,このような条件(多段式のものを1段のみで用い,単体を薄くカットするという条件)で試験を行えば破過が早くなるのは当然である。 したがって,上記破過試験は,臭気を単体物質にすり替えて実験を行っているものであることに加え,実験条件の設定においても不当なものであり,上記試験結果をもって被告商品の脱臭能力を論ずることは極めて不当である。 (3) 脱臭性能に関する表示(本件表示7及び8)についてア本件表示7及び8の内容 一般的に脱臭装置の効果を確認する場合,納入時の初期性能を検証するのが通例であり,本件表示7及び8も,被告脱臭装置の納入直後に脱臭効率の測定を行った結果が各記載のとおりの数値であることを表示したものである。 原告は,需要者は,「ロングライフ」等の記載と相まって,本件表示7,8を,長期間にわたり上記効率が維持できる旨の記載と理解するものと主張する。しかし,上記のとおり,資料記載の脱臭効率が納入時の 初期性能を記載したものであることが一般的であることに加え,通常人であれば,本件表示8が物件概要や導入日とともに表示されていることから,同表示が納入直後の測定であることは当然に理解できるものであり,需要者において原告の主張するような内容の理解をすることはない。 また,長期間使用を続けても脱臭 や導入日とともに表示されていることから,同表示が納入直後の測定であることは当然に理解できるものであり,需要者において原告の主張するような内容の理解をすることはない。 また,長期間使用を続けても脱臭効率が落ちない脱臭装置など存在しないことは需要者における常識である。 したがって,本件表示7及び8は,被告装置の初期性能を表示したものとして認識されるものである。 イ本件表示7,8が被告商品の品質等を誤認させるものではないこと 本件表示7は,被告カルモアが,関係者立会いの下,悪臭防止法に則り実施した脱臭効果測定結果(乙10の1の5頁)を分かりやすく表示したものであり,正当な測定結果に基づき記載されたものである。また,本件表示8も,同様に,正当な測定結果に基づき記載されたものである。 この点に関し,原告は,上記臭気測定報告書(乙10の1)が被告カルモアの測定に係るものであり,信用性を欠く旨主張する。しかし,上記報告書は,納入先が測定方法を決定し,上記納入先立会いの下に臭気を採取し,悪臭防止法に即した臭気濃度測定法により測定したものであり,その測定方法に何ら問題はない。また,被告カルモアは,公益社団法人におい・かおり環境協会が実施する三点比較式臭袋法のクロスチェックを受けるなどして測定精度の維持に努めており,その測定精度及び信用性に問題はない。原告は,被告が認定事業所ではないことを指摘するが,クロスチェックでその測定精度が評価されていることは,認定事業所であるか否かとは無関係である。 さらに,原告は,被告装置設置3.5年後点検報告書(乙10の3)において,測定結果が保証値効率を下回っているものがあると指摘するが,被告装置における保証値効率は保証期間(1年間)内における脱臭 効率値であり,合格 置3.5年後点検報告書(乙10の3)において,測定結果が保証値効率を下回っているものがあると指摘するが,被告装置における保証値効率は保証期間(1年間)内における脱臭 効率値であり,合格基準値より高い値に設定されている。むしろ,保証期間経過後である3.5年時点で,10系統中8系統が合格基準値78%をクリアしていることは,被告商品の脱臭効率と耐久性能の高さを裏付けているものである。 被告商品が高い脱臭効率を有するものであることは,被告カルモアが「日本橋三井タワー」の厨房排気臭対策用メーカー選定のため,客先の指示により株式会社南野建築環境研究所(以下「南野研究所」という。)に依頼して行った立会測定結果報告書(乙7)からも明らかである。上記報告書の試料採取者は南野研究所の臭気測定士であり,測定検査の主体も南野研究所であって,事前測定・立会測定とも同研究所が主導して行ったものであり,被告カルモアが臭気サンプルを加工して検査機関に持ち込むなどあり得ない。 被告商品の脱臭効率の高さについては,高砂熱学工業株式会社が第三者機関を用いて測定を行った結果(乙24)や,株式会社環境管理センターが実施した「嗅覚測定法試験結果報告書」(乙30),脱臭効率測定結果(乙32の1・2)からも裏付けられる。これらの測定は被告カルモアとは無関係に実施されたものであり,その信用性に疑いの余地はない。原告は,乙30号証の試料がフライヤー直近で採取されたことを問題とするが,脱臭装置の設置状況から上記箇所で採取せざるを得なかったものであり,上記採取方法は客先も了解済みである。仮に排気ダクトへの臭気排出時に臭気濃度が10分の1に薄まったとしても脱臭効率は98%以上,100分の1に薄まったとしても脱臭効率は87%以上となるのであり,いずれ 採取方法は客先も了解済みである。仮に排気ダクトへの臭気排出時に臭気濃度が10分の1に薄まったとしても脱臭効率は98%以上,100分の1に薄まったとしても脱臭効率は87%以上となるのであり,いずれも本件表示7,8記載の脱臭効率を裏付けるに問題ない。 原告は,被告商品にアセトアルデヒド分解活性がないこと(甲11)や,二酸化炭素と水に完全分解する反応が確認できないこと(甲15) から,被告商品が高い脱臭効率を達成することはあり得ないと主張する。 しかし,被告商品にアセトアルデヒド分解活性がないと結論付けることが不適切であることは前述のとおりである。また,本件報告書2の図6では,マグセライドにおいてアセトアルデヒドが相当量除去(吸着)されていることが明らかであり,被告商品においてアセトアルデヒドの除去(脱臭)がされていることが明白である。 加えて,被告商品は,厨房から排出される様々な悪臭物質を吸着し,徐々に分解してその一部を脱着させるとともに,油脂分分解の結果として不可避的に生じる重合物等を吸着・保持し続けることで悪臭の放出を緩和するものであり,悪臭成分を水と二酸化炭素に完全分解することを目的とするものではない。したがって,これらの点から被告商品の脱臭効率を否定しようとする原告の主張は当を得ないものである。 原告は,本件報告書1から,被告商品の脱臭効率が虚偽のものであることが裏付けられると主張するが,上記報告書における測定結果が,グリスフィルターのメンテナンス不良による異常系統に係るものであることは,争点(2)アにおける被告カルモアの主張のとおりであり,上記測定結果を被告装置につき一般化して適用することができないことは明らかである。 原告は,被告商品の脱臭効率確認試験(甲51)の結果,脱臭効率が90%であったから, モアの主張のとおりであり,上記測定結果を被告装置につき一般化して適用することができないことは明らかである。 原告は,被告商品の脱臭効率確認試験(甲51)の結果,脱臭効率が90%であったから,90%を超える脱臭効率の表示は虚偽のものであるとも主張する。 しかし,被告カルモアは,被告商品単体での販売を原則として行っていないから,上記試験に用いられたのが被告商品であるという点にそもそも疑問がある。 また,原告は,日本橋室町東地区再開発及び恵比寿ガーデンプレイス工事において納入された被告装置のユニット寸法等から試験体の通過面 風速を4m/secに設定したと主張しているが,上記案件においては,ユニット内空間が限られているという事情から,マグセライドをダクト断面に対しV字型に設置することで通過面風速を低減しているのであって,原告の設定条件はこれを無視したものであり,実際と大きくかけ離れたものである。被告装置のようなフィルター式脱臭装置においては,排気と装置との接触時間は脱臭効果を上げる上で極めて重要であり,フィルター面を通過する面風速が早くなれば,必然的に脱臭効率は低下する。被告装置の推奨面風速は「1~0.5m/sec」であり(甲4~6),原告は,これを知りながら,あえて殊更に通過面風速が高くなる計算をひねり出して試験を行っているものである。 このように,本来の通過面風速の2.6倍ないし4倍の状態で試験が行われたにもかかわらず,脱臭効率90%と極めて高い結果が出ている以上,本来の推奨面風速下であれば,更に高い脱臭効率があることが推察されるのであり,原告は,被告商品の高い脱臭効率を逆説的に証明したことになる。 原告は,被告商品の内部に油煙が入ることなどによって被告商品の脱臭効率は急速に低下することが予想される旨 とが推察されるのであり,原告は,被告商品の高い脱臭効率を逆説的に証明したことになる。 原告は,被告商品の内部に油煙が入ることなどによって被告商品の脱臭効率は急速に低下することが予想される旨も主張するが,被告商品は,油煙対策用のグリスフィルターを前処理として設置して使用するものであり,原告の主張するような理由により脱臭効果が急速に低下することはあり得ない。 したがって,上記脱臭効率確認試験によって,原告の主張を裏付けることはできない。 以上によれば,被告商品の脱臭性能に関する表示(本件表示7及び8)は,いずれも品質等誤認表示に当たらない。 2 争点1-2(被告らに対する差止め及び廃棄請求の可否)(原告の主張) (1) 被告カルモアは,前記前提事実(4)のとおり,被告商品の広告,取引書類,ウェブサイト等において,本件表示を行い,かつ,そのような表示をした商品を譲渡等しているところ,被告Aⅰ及び被告Aⅱは,これらの表示等をすることにつき,被告カルモアの取締役として業務執行上の意思決定を行っているから,被告らは,いずれも,不正競争防止法2条1項13号所定の不正競争を行う主体に当たる。 (2) 差止請求(不正競争防止法3条1項)原告と被告カルモアは,事業者向けの大型脱臭装置の製造販売において競合しているから,被告らの上記不正競争により,原告の製造販売する商品よりも被告脱臭装置の方が脱臭性能に優れた商品であると誤解した事業者が被告脱臭装置を購入することにより,原告商品の販売機会が奪われ,原告の営業上の利益が侵害されるおそれがある。 加えて,被告カルモアは,被告商品に関する不正競争を全面的に否定して争う姿勢を明らかにしているから,被告カルモアによる不正競争を差し止めなければ,原告の営業上の利益が将来に れるおそれがある。 加えて,被告カルモアは,被告商品に関する不正競争を全面的に否定して争う姿勢を明らかにしているから,被告カルモアによる不正競争を差し止めなければ,原告の営業上の利益が将来にわたって侵害される蓋然性が高い。 したがって,原告の営業上の利益の侵害を停止し,将来における侵害を予防するため,被告らに対し,本件表示の差止め及び本件表示をした被告商品の譲渡,引き渡し,譲渡又は引渡しのための展示の差止めをする必要がある。 (3) 廃棄・除却請求(不正競争防止法3条2項)ア主位的請求被告カルモアが被告商品に関する不正競争の成立を全面的に争っていることからすれば,被告らが上記不正競争を継続することが明白であるから,原告の営業上の利益の侵害を予防するため,被告らが所持し,かつ,原告の営業上の利益を侵害する行為を組成する物である被告商品を廃棄させる必要がある。 イ予備的請求 仮に被告商品の廃棄請求が認められない場合であっても,原告の営業上の利益の侵害を予防するためには,被告らが所持する本件表示を付した被告商品の広告又は取引書類を廃棄させ,かつ,被告サイトその他の宣伝広告物から本件表示を抹消させる必要がある。 (被告らの主張)原告の主張は争う。 3 争点1-3(被告らの損害賠償責任の成否)(原告の主張)(1) 不競法4条に基づく損害賠償責任ア被告らは,本件表示が品質等誤認表示に当たることを知りながら,又は過失によりこれを知らずに本件表示をし,又は被告カルモアの取締役として上記表示をすることにつき意思決定を行い,不競法2条1項13号所定の不正競争に及んだものであるから,上記不正競争により原告が被った営業上の利益侵害による損害につき,連帯して賠償すべき責任を負う(不競 記表示をすることにつき意思決定を行い,不競法2条1項13号所定の不正競争に及んだものであるから,上記不正競争により原告が被った営業上の利益侵害による損害につき,連帯して賠償すべき責任を負う(不競法4条,民法719条1項)。 イ被告Aⅰ及び被告Aⅱに上記不正競争につき故意又は過失があったと認められることは,次のとおりである。 被告Aⅰは理科系の素養を有し,本件表示が科学的根拠に基づいた正確なものであるかどうかを判断する知識と能力を持ち合わせていた。にもかかわらず,被告Aⅰは,被告商品の販売開始前の旧製品(「カルモアセラブロック」)の販売時から,10年以上にわたり,科学的根拠に基づかない虚偽の説明と表示を続けてきたものであるから,故意により前記不正競争に及んだものであることが明らかである。 仮に被告Aⅰが本件表示に虚偽の内容が含まれることを知らなかったとしても,同被告は,本件表示の正確性について十分な確認と検証を行うことで,本件表示が虚偽の内容を含むことを認識することが可能であ ったはずである。したがって,被告Aⅰには,上記確認及び検証を行わなかったことにつき,被告カルモアの取締役として重大な過失があった。 被告Aⅱは,被告カルモアの取締役又は代表取締役として,被告商品の宣伝広告における本件表示が,被告商品の品質についての正確な記載であるか否かを十分な注意を払って確認すべき義務があった。にもかかわらず,被告Aⅱは,上記義務を果たさず,被告Aⅰの行為を放任したものであるから,この点につき少なくとも重大な過失があった。 (2) 被告Aⅰ及び被告Aⅱの取締役としての損害賠償責任(被告Aⅰ及び被告Aⅱにつき,上記(1)との選択的請求)被告Aⅰらは,被告カルモアの取締役として,その職務の執行につき善管注意義務を負 2) 被告Aⅰ及び被告Aⅱの取締役としての損害賠償責任(被告Aⅰ及び被告Aⅱにつき,上記(1)との選択的請求)被告Aⅰらは,被告カルモアの取締役として,その職務の執行につき善管注意義務を負い(会社法330条,民法644条),被告カルモアの取引先等に損害を与えないよう業務執行を行うべきところ,同被告らが,故意又は重大な過失により本件表示を行うことにつき業務執行上の意思決定を行ったことは前述のとおりである。被告Aⅰらは,その結果,原告に損害を与えたのであるから,被告カルモアの取締役として,原告の被った損害につき,連帯して賠償すべき責任を負う(会社法429条1項,430条)。 (被告らの主張)原告の主張は争う。 4 争点1-4(原告の損害額)(原告の主張)(1) 被告らは,①日本橋室町東地区開発計画,②恵比寿ガーデンプレイス,③東京駅丸の内駅舎復原・保存工事の3件の建設工事案件において,被告商品を装着した被告装置を納入した。上記案件のような大規模工事案件の設計担当者は,製品の選定に当たり,第一には設計仕様を満たす性能や機能を備えているかどうか,第二には導入時にかかる費用の多寡を重視するものであり,例外的に製品の性能や機能が特に優れている場合に,多少の費用がかか ってもそのような製品を選ぶことがある(甲45)。上記3案件において,被告商品が採用されたのは,被告らが,専門知識の乏しいサブコン担当者に対し,虚偽の内容である本件表示を記載した資料を提供し,被告商品の性能等につき虚偽の説明を繰り返すことにより,サブコン担当者が,被告商品の機能や性能を誤信したことによるものである。このように,メーカーが提供した資料に虚偽の内容が含まれていることが判明すれば,当該メーカーの製品が採用されることは考えられないとこ ン担当者が,被告商品の機能や性能を誤信したことによるものである。このように,メーカーが提供した資料に虚偽の内容が含まれていることが判明すれば,当該メーカーの製品が採用されることは考えられないところ,被告らの前記不正競争がなければ,上記3案件において次に優位にあった原告装置が採用された可能性が高い。したがって,原告は,被告らの前記不正競争によって,上記3案件において,原告装置の納入販売の機会を失ったものであり,被告らの前記不正競争と,原告の上記販売機会喪失による損害との間に相当因果関係が認められる。 上記3案件における具体的事情は次のとおりである。 ア日本橋室町東地区開発計画原告は,日本橋室町東地区開発計画において,平成21年2月26日,新日本空調株式会社に対し見積書を提出し,原告装置の採用を提案したが,被告らの前記不正競争により,被告商品が採用された。 上記計画には,原告及び被告カルモアの他に3社が見積書を提出したものであるが,上記3社が製造する脱臭装置の脱臭原理の説明内容(甲37ないし41)には,いずれも化学的根拠に乏しいと思われる事項が含まれている。そして,当該計画に係る脱臭装置に要求される脱臭性能規格(脱臭効率約92%)を達成できた可能性のあるのは,原告装置及び被告装置に限られる。したがって,上記計画において,採用可能性があった業者は原告と被告カルモアのみであったというべきところ,本件表示が虚偽であることが判明していれば,原告装置が採用された可能性は極めて高い。 被告は,上記案件における担当者の陳述書(乙41)を提出して,上記案件において被告装置が採用されなかった場合にも,原告装置が採用された余地はないと主張する。 しかし,上記陳述書の添付資料2は,①その作成日付が被告装置の納入が完了して (乙41)を提出して,上記案件において被告装置が採用されなかった場合にも,原告装置が採用された余地はないと主張する。 しかし,上記陳述書の添付資料2は,①その作成日付が被告装置の納入が完了していた時期とされ,この資料をもとに脱臭装置の機能比較がされたはずがないこと,②原告が提出した見積書(甲54)には,原告装置の外形寸法及び重量が記載されていたにもかかわらず,これらの点が「不明」と記載されていること,③原告装置の年間コスト及び10年間累計コストが,原告が提出した累計試算表(甲55)に記載した上記コストよりも著しく高い数値(年間コストにつき2.5倍,10年間累計コストが約2.3倍)に書き換えられていること,④その作成者である野尻慎一氏は,上記書面を当時の勤務先である三井不動産アーキテクチュアル・エンジニアリング株式会社において作成したとしているところ,同社にはこのような形式の書類が存在しないことが判明していること(甲62)から,同社の正式文書として作成されたものではない。上記陳述書は,このような書面を添付して作成されたものであるところ,陳述書の内容が被告らの主張と符合していることや,記名押印のみで署名がなく,作成者の関与なく体裁を整えることが可能なものであることから,その成立の真正には重大な疑義があり,原告は,その成立の真正を争う。 また,仮に上記陳述書が真正に成立したものであるとしても,上記作成者において,被告らの依頼により虚偽の文書である添付資料2を作成し,被告らに迎合する内容の陳述をしたものである疑いがあり,信用性を欠く。 したがって,上記陳述書により,原告装置の採用可能性がなかったとみることはできない。 イ恵比寿ガーデンプレイス原告は,平成21年12月24日,恵比寿ガーデンプレイス株式会社 したがって,上記陳述書により,原告装置の採用可能性がなかったとみることはできない。 イ恵比寿ガーデンプレイス原告は,平成21年12月24日,恵比寿ガーデンプレイス株式会社の見積依頼に応じて見積書を提出し,原告商品の採用を提案したが,被告らの前記不正競争により,被告商品が採用された。 上記見積依頼には,原告及び被告カルモアの他に1社が応じたが,見積書を提出したのは原告と被告カルモアのみであったから,上記案件では,原告と被告カルモアの事実上の一騎打ちであったものである。これは,恵比寿ガーデンプレイス株式会社の取締役施設部長であったAⅴ氏の陳述書(甲58)からも明らかである。したがって,本件表示が虚偽であることが判明していれば,原告装置が採用された可能性は極めて高い。 ウ東京駅丸の内駅舎保存・復原工事原告は,東京駅丸の内駅舎保存・復原工事において,平成23年7月4日,三機工業株式会社に対し見積書を提出したが,被告らの前記不正競争により,被告商品が採用された。 上記工事において原告及び被告カルモア以外にも1社が見積書を提出しているものの,上記1社は形式的に追加されたものにすぎず,実質的に受注の可能性があったのは原告及び被告カルモアのみであった。したがって,本件表示が虚偽であることが判明していれば,原告装置が採用された可能性は極めて高い。 被告らは,ジェイアール東日本建築設計事務所の担当者の陳述書(乙42)を提出して,上記案件において被告装置が採用されなかった場合においても,原告装置が採用される余地はなかったと主張する。しかし,上記陳述書の添付資料2には,「光触媒(T社)」の脱臭装置に係る情報として,納入実績等に関し,原告装置とは異なる情報が記載されているものであり,上記情報は原告装置に関する かったと主張する。しかし,上記陳述書の添付資料2には,「光触媒(T社)」の脱臭装置に係る情報として,納入実績等に関し,原告装置とは異なる情報が記載されているものであり,上記情報は原告装置に関する情報ではない。また,上記 案件において実際に作成された比較表(甲57)においては,原告装置につきスペースへの収まりの良さを評価され,被告装置の方が収まりの悪さを指摘されていた。したがって,上記添付資料2はねつ造又は改ざんに係るものであり,上記陳述書は,このようにねつ造又は改ざんに係る資料を添付し,陳述者に署名させたものであり,信用性を欠くものである。したがって,上記陳述書によって,原告装置に採用可能性がなかったとみることはできない。 (2) 被告が上記侵害行為によって受けた損害額ア被告カルモアは,上記(1)アないしウの案件を受注することにより利益を得ているところ,上記受注金額は1件当たり1億5000万円(3件合計で4億5000万円),その利益率は40%と推測される。したがって,被告の利益額は1億8000万円と推測され,同額が原告の被った損害となる(不競法5条2項)。 イ原告らの前記不正競争により,原告は弁護士費用として210万円の出費を余儀なくされた。上記費用も,上記不正競争と相当因果関係を有する損害に当たる。 (被告らの主張)(1) 原告の主張は,事実についてはその一部を否認し,法的主張は争う。 (2) 原告は,①日本橋室町東地区開発計画,②恵比寿ガーデンプレイスⅡ期工事,③東京駅丸の内駅舎保存・復原工事において,被告らの不正競争により,原告装置の納入機会を喪失したと主張するが,そのような事実はない。 ア厨房排気用脱臭装置メーカーは原告及び被告カルモア以外にも多数存在し,被告カルモアが営業に注力したものの原告 の不正競争により,原告装置の納入機会を喪失したと主張するが,そのような事実はない。 ア厨房排気用脱臭装置メーカーは原告及び被告カルモア以外にも多数存在し,被告カルモアが営業に注力したものの原告が受注した案件も存在するのであって(乙37),原告,被告カルモアのいずれも失注し,競業他社が受注した案件も多数あることが容易に想像できる。客先は,価格,性能,実績,信用等の種々の条件を考慮して商品を選択するのであり,原告と被 告カルモアの間においてのみ,被告カルモアなかりせば原告が受注し得たという関係など存在しない。 イそもそも,上記3案件において,施主・設計者は,各メーカーの脱臭原理・方式ではなく脱臭効果に第一の関心があり(乙41,42,43の1・2),被告装置の実績,第三者機関による脱臭性能試験結果,既納入先への現場見学等に基づき,被告装置を選定したものであって,被告装置における「触媒効果」が厳密な意味で「触媒」には該当しなかったとしても,機種選定において何の影響もない。しかも,①及び③の案件においては,原告装置は性能,収納可能性等の点から選定対象から外されていた上,原告の営業方法が施主・設計者らの不評を買っていたというのであって,原告が上記案件において受注する可能性など皆無であった。また,②の案件に係る建物には,従前,被告カルモアの旧製品(カルモアセラブロック)が入っており,施主の信頼を得ていたことから,当初から被告装置が圧倒的に優位にあった案件であり,原告と一騎打ちの状態になどなかった(乙44)。 ウなお,原告は,上記①の案件において,92%以上の脱臭効率を達成した業者は原告と被告カルモアのみであったと主張するが,原告装置が上記脱臭効率を達成したことを裏付ける証拠は存在しない。また,上記案件においては,原告,被告 案件において,92%以上の脱臭効率を達成した業者は原告と被告カルモアのみであったと主張するが,原告装置が上記脱臭効率を達成したことを裏付ける証拠は存在しない。また,上記案件においては,原告,被告カルモアほか2社が92%以上の脱臭効率を達成可能と回答しているのであり(甲36),原告の主張は事実に反するものである。 エしたがって,被告カルモアによる上記受注と原告の損害との間に相当因果関係など存在しない。 (3) 原告は,上記3案件における受注金額は合計4億5000万円,利益率は40%と主張するが,上記3案件の受注金額は合計7450万円(消費税別)である。また,被告カルモアにおける原価率等を競業者である原告に知 られると,今後の競合案件において極めて不利な立場に置かれ,回復し難い打撃を被ることから,被告らは,その仕入れ原価等を開示することを拒絶するが(不正競争防止法7条1項但し書き),激しい価格競争下において,被告装置の利益率が相当低いものであることは,原告も当然認識しているはずである。 5 争点2-1(原告の行為の不競法2条1項14号所定の不正競争該当性)(被告カルモアの主張)(1) 原告の行為ア原告は,大丸東京店内の鰻蒲焼店の厨房排気系統に設置された被告装置が,その前段処理装置であるグリスフィルターのメンテナンス不良により著しく機能低下していることを知り,鉄道会館等に対して自社費用による臭気調査を申し入れた上,上記のとおり劣化して問題のある脱臭装置の排気口のみを狙って調査を行い,本件報告書1を作成し,さらに,鉄道会館等に無断で被告装置から脱臭材の一部を削り取って持ち帰って分析を行い,本件報告書2を作成した。 原告は,このようにして作成した本件報告書1及び2を,平成22年頃に鉄道会館等に,平成23年 館等に無断で被告装置から脱臭材の一部を削り取って持ち帰って分析を行い,本件報告書2を作成した。 原告は,このようにして作成した本件報告書1及び2を,平成22年頃に鉄道会館等に,平成23年1月頃に「東京駅丸の内駅舎保存・復原工事」の請負業者である鹿島建設株式会社に,同年5,6月頃に「大丸東京新店Ⅱ期新築工事」の設計会社である株式会社日建設計にそれぞれ提出し,これらの業者らに対し,「被告装置の脱臭方法の説明が虚偽であり,脱臭性能がない」などと口頭で告知し続けている。 イこの点に関し,原告は,上記鰻蒲焼店の被告脱臭装置の劣化が判明したのは被告カルモアが設置後3.5年点検を実施した平成23年4月12日であるから,平成21年時点で原告が上記劣化を知ることは不可能であると主張する。しかし,上記店舗のグリスフィルターに異常があったことは大丸担当者において明言している内容であり(乙11の2),上記被告装 置が平成23年4月12日以前から劣化が進んでいたことは明らかであって,原告がこれをビル管理会社のルート等から知り得た可能性が十分にある。 また,本件報告書1からは,排気出口で最も臭いの強い装置を意図的に調査対象にしたことがうかがえる上,同報告書には,「試料採取時,…不快な油様臭を感じた。排気口は…周辺に油の付着が目立ち,黄色く変色していた。」と記載されているのであるから,原告が,上記装置の異常を認識していたことが明白である。 本件報告書1が「被告カルモアの営業上の信用を害する虚偽の事実」を記載したものであることア争点1-1において主張したとおり,被告装置は,含水珪酸マグネシウム粘土鉱物を主成分とする連続多孔構造の脱臭材が油脂分・臭気成分を吸着するとともに,その触媒作用により,油脂分・臭気成分を酸化・加水分 点1-1において主張したとおり,被告装置は,含水珪酸マグネシウム粘土鉱物を主成分とする連続多孔構造の脱臭材が油脂分・臭気成分を吸着するとともに,その触媒作用により,油脂分・臭気成分を酸化・加水分解するものであり,その脱臭性能は神奈川産総研において証明済みであり,その特許登録も完了しており,更には,納入時及びその後の定期検査においてもその性能は確認済みである。また,被告カルモアが大丸東京店について被告装置設置後3.5年目に行った臭気点検検査においても,被告装置は,10系統中8系統が脱臭効率合格基準値(78%以上)を維持していたのであり,設置後2年程度における被告装置の脱臭性能に問題がないことは明らかである。 イにもかかわらず,原告は,上記(1)のとおり,グリスフィルターのメンテナンス不良により大量の油に晒され性能が著しく劣化した被告装置1基のみを狙い撃ちにして臭気測定を行い,当該測定結果のみに基づき,本件報告書1において,「現段階(設置後2年程度)でマグセライド脱臭装置には脱臭効果は認められず。」と,被告装置の性能を一般化して結論付ける記載(本件記載1)をしているのであり,本件記載1は虚偽のものであ る。 また,原告による上記調査は,原告が鉄道会館等に押しかけ,調査をさせてほしいと頼み込んで行ったものであるから,本件報告書1のうち,本件調査が鉄道会館等の依頼により実施したものである旨の本件記載2は虚偽のものであるところ,本件記載2は,原告が行った調査の経緯に関する記載であって,読み手に,本件報告書1の信用性を誤信させるものであるから,本件記載1と併せて,被告カルモアの営業上の信用を害する虚偽の事実に該当する。 (3) 本件報告書2が「被告カルモアの営業上の信用を害する虚偽の事実」を記載したものであること本件報告 るから,本件記載1と併せて,被告カルモアの営業上の信用を害する虚偽の事実に該当する。 (3) 本件報告書2が「被告カルモアの営業上の信用を害する虚偽の事実」を記載したものであること本件報告書2は,劣化したマグセライドからサンプルを採取して検査に用いたものであり,そのサンプリング自体に問題がある。また,本件報告書2のテストデータの「ppm範囲」が「200ppm単位」と非常に幅が広く,データ算出における有意水準等の記載も一切ないにもかかわらず,上記検査結果のみで酸化分解反応がないと結論付けることはできない。さらに,本件報告書2は,アセトアルデヒドが酸化分解すると水と二酸化炭素が生成されるという前提で,二酸化炭素濃度の変化を指標として,被告商品のアセトアルデヒド分解能力を検証しているが,アセトアルデヒドは,酢酸を経てから水と二酸化炭素に酸化分解されるものであって,酢酸の生成段階では二酸化炭素は発生しない。このように,本件報告書2は,通常想定される中途分解過程について何ら検証しないまま,マグセライドにアセトアルデヒド分解活性がないと断定したものであり,本件記載3は虚偽の事実を記載したものである。 (4) 本件報告書に基づき,「被告脱臭装置の脱臭方法の説明が虚偽であり,脱臭性能がない」などと告知する行為が,「被告カルモアの営業上の信用を害する虚偽の事実」の告知に該当すること ア被告装置の脱臭方法の説明が虚偽のものでないこと及びその脱臭性能に問題がないことは,争点1-1で主張したとおりである。 イにもかかわらず,原告は,本件報告書に基づき,被告装置の脱臭方法の説明が虚偽であり,脱臭性能がない旨を告知し続けているところ,本件報告書が,異常状態にあった被告装置1基のみを狙い撃ちにしたものであり,その結果を ,原告は,本件報告書に基づき,被告装置の脱臭方法の説明が虚偽であり,脱臭性能がない旨を告知し続けているところ,本件報告書が,異常状態にあった被告装置1基のみを狙い撃ちにしたものであり,その結果を被告脱臭装置の性能に一般化することが不当であることは前述のとおりである。 ウそもそも,被告装置は,数百の成分からなる厨房排気の油脂分・臭気分を吸着した上で,その後,時間をかけて徐々に油脂分や臭気成分を酸化・加水分解し,放出することで,臭気の低減を図る装置であるから,アセトアルデヒド単体の酸化分解のみを捉えて被告商品の性能を問題とすること自体が不当である。 また,原告が検査に用いたマグセライドのうち,劣化が激しい箇所(フィルター中央部)から採取した検体と,劣化の程度が比較的軽い箇所(端部)から採取した検体とで,アセトアルデヒド濃度の減少効果に差が出ている(甲11の添付図6)のであるから,正常なマグセライドを用いた検査では,有意なアセトアルデヒド除去効果が認められることが明らかである。なお,本件報告書2でも,「アセトアルデヒドに対する除去性能は有する」と明記されているのであって,本件報告書2でも,マグセライドが脱臭材として有効であること自体は認められているというべきである。 エしたがって,本件報告書に基づき,被告装置の脱臭性能の説明が虚偽であり,被告装置に脱臭性能がない旨を告知する行為は,被告カルモアの営業上の信用を害する虚偽の事実の告知に該当する。 (5) 以上によれば,被告カルモアの競合業者である原告が,被告カルモアの取引先に対し,本件報告書を配布し,閲覧させる行為及び「被告脱臭装置の脱臭方法の説明が虚偽であり,脱臭性能がない」などと口頭で告知する行為 は,いずれも不競法2条1項14号所定の不正競争に該当する。 し,本件報告書を配布し,閲覧させる行為及び「被告脱臭装置の脱臭方法の説明が虚偽であり,脱臭性能がない」などと口頭で告知する行為 は,いずれも不競法2条1項14号所定の不正競争に該当する。 (原告の主張)(1) 被告カルモアの主張は,事実については一部を否認し,法的主張は争う。 原告は,被告商品を装着した被告装置の脱臭性能に疑問を抱き,その事実を確認するため,大丸東京店の協力及び了承を得て調査を行ったものにすぎず,被告カルモアに対する不正競争の目的で調査を行ったものでも,「押しかけで」調査を行ったものでもない。また,原告が,本件報告書を,平成22年頃にJ.フロントリテイリング株式会社及び株式会社鉄道会館に,平成23年1月頃,鹿島建設株式会社にそれぞれ提出したことは事実であるが,原告が本件報告書を平成23年6月頃に株式会社日建設計に提出した事実はない。加えて,原告は,本件報告書の上記提出に当たり,各報告書記載の調査結果等を説明したことはあるが,被告商品の性能が劣悪である旨述べて誹謗中傷したことはない。 (3) 原告の告知内容が虚偽のものではないことア本件報告書1について原告は,鉄道会館等に対し,大丸東京店の臭気調査の実施を申し入れ,最終的には,原告が費用を負担する条件で鉄道会館等から調査の実施について了解を得たものであるから,鉄道会館等の依頼による調査であるとの本件記載2が虚偽とはいえない。また,仮に調査を実施するに至った経緯に関し虚偽の記載があったとしても,実際の調査が確立された調査・検査手法に従い化学的に正当な方法で実施されている以上,上記経緯の記載が,本件報告書1の信用性等に影響を与えることはあり得ない。 被告カルモアは,被告商品に脱臭性能があることを証明する証拠を何ら提出していないから,被告商 な方法で実施されている以上,上記経緯の記載が,本件報告書1の信用性等に影響を与えることはあり得ない。 被告カルモアは,被告商品に脱臭性能があることを証明する証拠を何ら提出していないから,被告商品に脱臭性能がない旨の表示が虚偽であることは証明されていない。また,被告カルモアは,本件報告書1記載の臭気測定の約1年前及び約1年4か月後の点検報告書(乙10の2・ 3)を提出するのみで,本件報告書作成時点における被告商品の脱臭性能に問題がなかったことを示す資料を提出しておらず,「現時点(設置後2年程度)でマグセライド脱臭装置には脱臭効果は認められず」との表示が虚偽であることも何ら証明されていない。 イ本件報告書2について原告は,被告カルモアが,被告商品のカタログ等において,被告商品が酸化・加水分解により臭気成分を水,二酸化炭素及び低級アルコールなどの低分子ガスまで分解する旨を記載していることから,被告商品がアセトアルデヒドを酸化分解し,二酸化炭素と水を生成するかどうかを調べる実験を行ったものであるところ,上記実験の結果,二酸化炭素が検出されなかったのであるから,上記実験結果をもって,被告商品にアセトアルデヒド分解活性がないと結論付けるに十分である。被告商品にアセトアルデヒド分解活性があるのならば,被告カルモアにおいて,実験によりこれを立証することは容易であるはずであるにもかかわらず,そのような実験結果が提出されていないことも,本件記載3が虚偽のものではないことを裏付けている。 ウ被告商品に脱臭性能がない(脱臭性能が劣悪である)旨の告知について争点1で主張したとおり,被告商品の脱臭方法及び脱臭性能に関する本件表示はいずれも虚偽であり,被告商品に脱臭性能は認められないから,被告商品に脱臭性能がない旨を原告 悪である)旨の告知について争点1で主張したとおり,被告商品の脱臭方法及び脱臭性能に関する本件表示はいずれも虚偽であり,被告商品に脱臭性能は認められないから,被告商品に脱臭性能がない旨を原告が告知したとしても,上記告知内容は虚偽のものに当たらない。被告カルモアは,アセトアルデヒド除去試験結果のみをもって被告商品の脱臭性能を結論付けることは不当である旨も主張するが,調理に伴う悪臭成分として知られ,悪臭防止法上も特定悪臭物質と定められているアセトアルデヒドの除去性能すら有意に確認できない被告商品は,脱臭剤として有用なものとはいえず,上記試験結果をもって被告商品に脱臭性能がない旨結論付けることは何ら不当なものではない。 6 争点2-2(差止め及び廃棄請求の可否)(被告カルモアの主張)(1) 原告は,本件報告書を被告カルモアの取引先等に配布し,被告脱臭装置について脱臭方法の説明が虚偽であり,脱臭性能がないなどの虚偽の事実を告知する行為を続けているのみならず,本件報告書に基づき本件訴訟の提起まで行っているものであり,今後も原告が前記不正競争を継続することは明白である。 したがって,被告カルモアの営業上の利益の侵害を停止・予防するためには,虚偽の事実の告知・流布及び本件報告書の配布・閲覧の差止め並びに本件報告書の廃棄をする必要がある(原告の主張)被告カルモアの主張は争う。 7 争点2-3(被告カルモアの損害額)(被告カルモアの主張)(1) 原告が,本件報告書を東京駅丸の内駅舎保存・復原工事の請負会社である鹿島建設株式会社に提出する等の不正競争に及んだことにより,本件報告書は,鹿島建設から上記工事の発注者である東日本旅客鉄道株式会社や上記工事の設計者である株式会社ジェイアール東日本建築設計事務所へと 鹿島建設株式会社に提出する等の不正競争に及んだことにより,本件報告書は,鹿島建設から上記工事の発注者である東日本旅客鉄道株式会社や上記工事の設計者である株式会社ジェイアール東日本建築設計事務所へと流れ,被告脱臭装置の性能不安が広がり,被告カルモアの代理店宛てに事実確認の問い合わせがくるに至った。また,原告が,「大丸東京新店Ⅱ期新築工事」の設計会社である株式会社日建設計に本件報告書を提出するなどの不正競争に及んだことにより,上記日建設計から被告カルモア宛てに事実確認の問い合わせがされた。さらに,原告が本件報告書の内容を被告カルモアの取引先に言いふらしていることにより,判決が出るまでは被告装置を取り扱わないとの理由で失注する案件も生じている。 以上のとおり,原告の前記不正競争によって,被告カルモアの顧客及び潜 在的顧客に不安・不信を与え,事実確認の問い合わせが来るに至るなど,実損が生じているものであり,前記不正競争により被告カルモアが被った信用毀損の無形損害は少なく見積もっても1000万円は下らない。 原告の前記不正競争により,被告カルモアは反訴請求を余儀なくされたところ,これに要する弁護士費用は500万円を下らない。 (3) したがって,前記無形損害1000万円及び弁護士費用500万円の合計額である1500万円が,原告の不正競争により被告カルモアが被った損害に当たる。 (原告の主張)(1) 被告カルモアの主張は争う。 被告カルモアは,平成23年以降,同被告に事実確認の問い合わせが来るなどし,被告商品につき信用不安が広がったと主張するが,被告カルモアは「東京駅丸の内駅舎保存・復原工事」,「大丸東京新店Ⅱ期新築工事」において被告装置の受注に成功しているのであるから,被告カルモアに信用毀損の無形損害は発 用不安が広がったと主張するが,被告カルモアは「東京駅丸の内駅舎保存・復原工事」,「大丸東京新店Ⅱ期新築工事」において被告装置の受注に成功しているのであるから,被告カルモアに信用毀損の無形損害は発生していない。 第4 当裁判所の判断 1 争点1-1(本件表示の品質等誤認表示該当性)(1) 不競法2条1項13号は,事業者が商品等の品質,内容等につき誤認を与えるような表示を行うことで,需要者の需要が不当に喚起され,公正な競争秩序が阻害されることとなることを防止するため,商品等にその品質,内容等について誤認させるような表示をする行為等を不正競争と定め,禁ずるものである。 同号の上記趣旨に照らせば,ある表示が同号所定の「その商品の原産地,品質,内容,製造方法,用途若しくは数量…について誤認させるような表示」(品質等誤認表示)に該当するか否かについては,当該事案における表示の内容や取引の実情等の諸般の事情を考慮した上で,当該商品の取引者, 需要者に商品の品質,内容等につき誤認を生じさせるおそれがあるか否かという観点で判断するのが相当である。 以下においては,本件表示が上記観点において品質等誤認表示に該当するか否かを,本件表示1ないし6と,本件表示7及び8に分けて検討する。 本件表示1ないし6についてア本件表示1ないし6の内容は,前記前提事実(4)のとおりであり,被告商品に用いられている含水珪酸マグネシウム粘土鉱物が触媒作用を有し,その脱臭方法又は脱臭原理が本件表示1ないし6において表示されているとおりのものであって,自己再生するものであることにより,吸着作用のみの脱臭剤との比較においてロングライフ・低ランニングコストである旨を表示したものである。 これらの表示は,被告カルモアが配布し,又は被告サイトにおいて掲載 再生するものであることにより,吸着作用のみの脱臭剤との比較においてロングライフ・低ランニングコストである旨を表示したものである。 これらの表示は,被告カルモアが配布し,又は被告サイトにおいて掲載されている被告装置のカタログ,被告装置の「製品紹介」又は被告装置の説明用資料において,被告商品が技術開発により新技術を導入して販売されるに至った旨の表示(甲4の2頁目)や,東京工業大学大学院理工学研究科教授等の指導の下,被告カルモアほか1社によって開発された旨の表示(甲7の2頁目)等とともに,被告装置に装着される脱臭用フィルターである被告商品の化学的性質を示し,被告商品における脱臭方法等を化学的に説明するものとして表示されているものであると認められる(甲4ないし8)。したがって,本件表示1ないし6に接した被告商品の取引者又は需要者は,これらの表示において示されている被告商品の性質や,被告商品における脱臭方法等の説明が,一般的知見若しくは被告カルモアにおける実験結果等により化学的に裏付けられており,又は化学的に裏付け若しくは説明が可能なものであると認識する蓋然性が高いものと解される。 そうすると,本件表示1ないし6において示されている被告商品の性質や,被告商品における脱臭方法等の説明が,このような裏付け又は説明可能性 を欠くものであれば,本件表示1ないし6は,被告商品の取引者又は需要者につき,被告商品の品質等についての誤認を生じさせるものというべきことになる。 イそこで,まず,触媒作用についての一般的知見による裏付けの有無について検討すると,前記前提事実(3)イのとおり,被告商品において脱臭剤として用いられているマグセライドは,含水珪酸マグネシウム粘土鉱物を主成分とするものであると認められる。しかし,本件各証拠によっても,上記 ると,前記前提事実(3)イのとおり,被告商品において脱臭剤として用いられているマグセライドは,含水珪酸マグネシウム粘土鉱物を主成分とするものであると認められる。しかし,本件各証拠によっても,上記物質が,一般に本件表示1ないし6において表示されているような性質(油脂成分又は臭気成分を触媒作用により酸化・加水分解する性質)を有するものとして知られているものとは認められない。なお,被告らは,粘土が触媒の担体として利用されてきたものであり,セピオライトを触媒として扱ってきたとする文献があること(乙40の1)や,触媒を構造によって分類した場合に,層状化合物として分類されるものの実例として粘土鉱物が挙げられていること(乙40の2)を示すが,粘土鉱物又はセピオライトが触媒である場合があり得るからといって,含水珪酸マグネシウム粘土鉱物を主成分とするマグセライドが触媒に当たるものであると直ちに結論付けることはできない。 したがって,本件表示1ないし6において表示されている被告商品の触媒作用が,一般的知見によって裏付けられているものとは認められない。 ウそこで,次に,実験結果等による裏付け又は説明可能性の有無について検討するに,被告らから提出された,マグセライドの性質又は脱臭方法等に関する実験の内容等は次のとおりである。 神奈川産総研作成の平成16年11月5日付け「受託研究『厨房用脱臭装置の評価』経過報告」(乙5の2)(以下「乙5の2報告書」という。)a 乙5の2報告書は,粉末状のマグセライドに接触させたサラダ油を 一定時間後抽出してHPLCにて分析し,未反応サラダ油と比較し,また,①粉末状のマグセライド,サラダ油及び水,②粉末状のマグセライド及びサラダ油,③粉末状のマグセライド及びサラダ油(窒素雰囲気下),④サラダ油のみを HPLCにて分析し,未反応サラダ油と比較し,また,①粉末状のマグセライド,サラダ油及び水,②粉末状のマグセライド及びサラダ油,③粉末状のマグセライド及びサラダ油(窒素雰囲気下),④サラダ油のみをそれぞれ6日間保存した後にガスクロマトグラフにて成分を確認したものである。さらに,各種食用油と粉末状のマグセライドを接触させたときに発生する低分子化合物のガスクロマトグラフによる確認も実施されている。 b 上記実験の結果,マグセライドと接触したサラダ油は,トリアシルグリセロール量が軽減し,重合物及び分解物を生じたことが確認された(乙5の2別紙1上段)。また,サラダ油のみ又は窒素雰囲気下で粉末状マグセライドと接触したサラダ油において分解ガスがほとんど検出されない一方,粉末状マグセライドと接触したサラダ油において,アセトアルデヒド,プロピオンアルデヒド,ブチルアルデヒド,エタノール,ペンチルアルデヒド,ヘキサナールが検出され,その量は,水を加えた場合の方が顕著であった(乙5の2別紙1下段)。なお,各種食用油と粉末状マグセライドの接触実験結果においても,同様に,上記物質等の検出が確認された(乙5の2別紙2)。 神奈川産総研作成の平成17年2月24日付け「受託研究『厨房用脱臭装置の評価』経過報告」(乙5の3)(以下「乙5の3報告書」という。)a 乙5の3報告書は,ボトル内に油を浸透させたマグセライド断片を入れて保存し,一定時間後に気相の成分を分析したものである。 b 上記実験の結果,ボトル内の気相中にプロピオンアルデヒド及びヘキサナールの存在が確認されるとともに,酸素量の減少(開始時21. 4%,50時間後13.9%)が確認された。 神奈川産総研作成の平成16年5月24日付け受託研究結果報告書 (乙20)(以下「乙20報告書」 認されるとともに,酸素量の減少(開始時21. 4%,50時間後13.9%)が確認された。 神奈川産総研作成の平成16年5月24日付け受託研究結果報告書 (乙20)(以下「乙20報告書」という。)a 乙20報告書は,①ハニカム状脱臭剤による油煙捕捉効率の評価,②ハニカムZ(アタパルジャイト,石膏及び有機性バインダーを混合し,ハニカム状に成形,焼成した脱臭材。マグセライドが含水珪酸マグネシウム粘土鉱物としてアタパルジャイト及びセピオライトを含むのに対し,ハニカムZはアタパルジャイトのみを含む点及び滑剤として石膏を含む点でマグセライドと異なる。),アタパルジャイト,石膏,モンモリナイト,セピオライト,シリカ,疎水性ゼオライト及びマグセライド(ハニカムW)のサラダ油分解評価(分解率の測定,ガスクロマトグラフによるサラダ油分解の経時変化及びサラダ油分解生成物の評価),③ハニカムZにおける油脂分解性能の赤外分光分析による評価を行ったものである。 b 上記実験①の結果,油煙の99%以上がハニカム状脱臭剤によって捕捉されたことが確認された(乙20の6頁)。また,上記実験②の結果,マグセライド(ハニカムW)に浸潤させたサラダ油成分中の各種脂肪酸のピークが経時的に低下し,その相当量が分解されること(特にリノール酸,リノレン酸の分解率が高く,オレイン酸も40%以上分解されている。)が確認されるとともに(乙20の13頁・表14及び図3),ノナナール,オクタナール,ヘキサナール等のアルデヒド類,ペンタノール等のアルコール類の検出が確認された(乙20の16頁・図4)。なお,サラダ油の分解率については,ハニカムZやセピオライト等でも同様の高い結果が得られる一方,疎水性ゼオライトの分解率は低く,また,石膏ではサラダ油の分解はほとんどみられなか 0の16頁・図4)。なお,サラダ油の分解率については,ハニカムZやセピオライト等でも同様の高い結果が得られる一方,疎水性ゼオライトの分解率は低く,また,石膏ではサラダ油の分解はほとんどみられなかった(乙20の8~11頁)。さらに,上記実験③の結果,3400cm-1以上の複数のピーク(-OHに帰属)が経時的に変化することが確認された(乙20の22頁・図14)。 NECファシリティーズ株式会社作成の平成24年9月12日付けマグセライドフィルター分析結果報告書(乙22)及び同年10月26日付け分析結果報告資料(乙23)(以下,これらを併せて「NEC報告書」という。)aNEC報告書は,マグセライドとサラダ油を接触させ,経過時間変化(0時間,3時間,6時間,72時間)による分解生成物の検証を行ったものである。 b 上記実験の結果,0ないし6時間経過後には有機成分の存在はわずかしか認められない一方,72時間後には,二酸化炭素,アセトアルデヒド,エタノール等の種々の有機成分が存在するに至ったことが確認された(乙22の3頁・図4,4頁・図5)。また,上記のとおり増加した有機物が,アセトアルデヒド,プロパナール,ヘキサナール,ペンタノール等であることも確認されている(乙22の19頁・図15,29頁・図25)。 c なお,原告は,NEC報告書の作成者であるNECファシリティーズ株式会社が被告カルモアの取引先であること,上記実験においてハイドロパーオキサイドが検出されていないこと及び二酸化炭素が経時的に増加していることから,NEC報告書は信用性を欠く旨主張するが,いずれも同報告書の信用性を左右するに足りるものではない。 以上の実験結果に照らせば,マグセライドを含むハニカム状脱臭剤は,セライドとサラダ油を接触させることにより, は信用性を欠く旨主張するが,いずれも同報告書の信用性を左右するに足りるものではない。 以上の実験結果に照らせば,マグセライドを含むハニカム状脱臭剤は,セライドとサラダ油を接触させることにより,サラダ油中のリノール酸,オレイン酸等が分解され,アセトアルデヒド等のアルデヒド類及びヘキないしことを認めることができる。また,マグセライドとサラダ油の接触によ るアルデヒド類等の生成に伴い,酸素量が減少していること及び窒素雰は,アルデヒド類の上記生成が酸化反応によるものであるとみることができる。さらに,-OH由来のピークが経時的に変化していること(上水分解反応の存在もうかがうことができる。加えて,油を大気中に単に放置した場合に有機物(アルデヒド類,アルコール類)の生成がほとんどみられないのに対し,油をマグセライドに接触させて放置した場合にドと油の接触により,油を単に大気中に放置した場合との比較において,油脂成分の分解が促進されたものと評価することができる。 この点に関し,原告は,上記油脂成分の分解は自動酸化の程度と同等であり,被告商品において,特段,油脂成分の分解が促進されたものとは評価できないと主張する。しかし,油を大気中に単に放置した場合に比べ,油をマグセライドに接触させた場合に,分解生成物の量に差異がみられることは前記のとおりであって,被告商品において,上記比較の限度においては油脂成分の分解が促進されていることを否定することができるものではない。 エ触媒作用に関する表示について原告は,さらに,仮に被告商品において分解反応が促進されているものと認められるとしても,上記反応は,自動酸化が促進されていることによるものにすぎず,マグセライド(含水珪酸マグネシウム粘土鉱物)に触媒作用があることの裏付けとはならないと主 反応が促進されているものと認められるとしても,上記反応は,自動酸化が促進されていることによるものにすぎず,マグセライド(含水珪酸マグネシウム粘土鉱物)に触媒作用があることの裏付けとはならないと主張し,他方,被告らは,マグセライドにおける上記油脂成分の分解促進をもって,マグセライドに上記分解反応を促進する触媒作用があると評価されるべきであると主張するので,この点について検討する。 「触媒」の定義に関し,「触媒化学」(上松敬禧ほか著,朝倉書店・乙40の2)には,次の記載がある。 「現在の触媒の定義1.触媒(物質)は,反応物でも生成物でもなく,反応に関与する第3物質である。したがって,溶媒と同様に化学反応(の量論式)には現われない。 2.触媒は,少量で反応を促進する。しかし,その化学平衡を変化させることはできないが,反応速度を高める機能を持つ。 3.触媒は,化学反応のルート(素反応の経路)を新しく創造するか,既存のルートの活性化エネルギーを低下させることで,結果として全体の反応速度を増大させる。 4.触媒(物質)は素反応段階では,反応物または反応中間体と相互作用を通してそれ自体は変化することもあるが,全体の反応が完結した段階では元の状態に戻り,繰り返し働くことにより,化学反応を促進する。」Aⅳ氏の意見書(甲15,26)には,触媒の定義に関し,「反応の前後でそれ自身は変化せず,反応の促進に繰り返し使用できる物質」とする部分があるが,上記「触媒化学」における触媒の定義と同旨を述べるものと解される。 「触媒」の上記定義に照らせば,ある物質が化学的にみて「触媒」に当たると評価されるためには,化学反応において,当該物質が作用することにより,化学反応のルートの創造や既存ルートの活性エネルギーの低下等を 媒」の上記定義に照らせば,ある物質が化学的にみて「触媒」に当たると評価されるためには,化学反応において,当該物質が作用することにより,化学反応のルートの創造や既存ルートの活性エネルギーの低下等を引き起こし,反応速度を増大させることを要するものと解することができるしかし,マグセライドが上記のような化学反応ルートの創造や既存ルートの活性エネルギーの低下を引き起こし,反応速度を増大させている ことをうかがわせる証拠はない。 むしろ,マグセライドはハニカム構造を有するものであることから,その比表面積値が大きく(乙33によれば92.9m2/g),サラダマグセライドの表面においてサラダ油成分が広く吸着され,サラダ油成分と酸素及び水との接触機会が増大することにより,単に大気中にサラダ油が放置された場合と比較して自動酸化反応が促進されているものと認めるのが相当である。そして,マグセライドにおける油脂成分の分解反応の促進が,上記のような機序によるものであるとすれば,これは,マグセライドが,その構造上の特性から,酸化分解反応の機会を増大させたというにとどまるものであって,マグセライドが酸化分解反応に作用し,反応速度を増大させているものとみることはできない。 そうすると,マグセライドのこのような特性を捉えて,これを「触媒」と評価することは,「触媒」の上記定義に沿わないものというべきである。 この点に関し,被告らは,マグセライドと同様に比表面積の大きい物質である疎水性ゼオライトにおいて,油脂成分の分解率がマグセライドおける酸化反応の促進を,比表面積の大きさによる自動酸化の促進のみで説明することはできず,これを「触媒作用」と結論付けることに問題はない旨主張する。 確かに,疎水性ゼオライトの比表面積は370.5m2/gであり 促進を,比表面積の大きさによる自動酸化の促進のみで説明することはできず,これを「触媒作用」と結論付けることに問題はない旨主張する。 確かに,疎水性ゼオライトの比表面積は370.5m2/gであり,比表面積値においてマグセライド(92.9m2/g)を大きく上回る(乙33)。これにもかかわらず,疎水性ゼオライトの油脂分解率は, しかし,マグセライドの平均細孔直径が8.39nmであり,マグセライドと同様に高い油脂分解反応が認められたアタパルジャイト,セピ イト),9.328nm(セピオライト)であるのに対し,疎水性ゼオライトの平均細孔直径は1.668nmであることが認められる(以上につき乙33)。このように平均細孔直径が小さい場合には,当該細孔に油脂成分が入り込むことができず,比表面積が大きいとしても,吸着面積は小さいものとなり,又は,当該細孔に油脂成分が吸着することにより,酸化分解反応に必要となる酸素分子等が細孔内に容易に入り込むことができなくなって油脂成分と酸素等の接触が不十分となり,酸化分解反応が進まない可能性が考えられる。これは,被告らが提出した株式会社近畿分析センター作成の平成25年6月26日付けGPC分析報告書(乙34)において,平均細孔直径の大きいアタパルジャイト,セピオライト,マグセライド(ハニカムW)の順に,サラダ油の分解生成物の分子量分布が,低分子領域に広がっていることが認められる一方,疎水性ゼオライトについては,このような広がりがみられず,サラダ油のみの場合とほぼ同じ分子量分布曲線となっていること(乙34の2頁の図A,9頁のFig.3),上記試験結果に関し,Aⅵ作成の意見書(乙35)において,疎水性ゼオライトにおいては平均細孔直径が小さくサラダ油の分子が吸着されなかったため分解反応が進まなかったもの 頁の図A,9頁のFig.3),上記試験結果に関し,Aⅵ作成の意見書(乙35)において,疎水性ゼオライトにおいては平均細孔直径が小さくサラダ油の分子が吸着されなかったため分解反応が進まなかったものと推測される旨が記載されていることからも裏付けられる。 そうすると,マグセライドと疎水性ゼオライトとの油分解率の差は,このような構造上の差異(平均細孔直径の差異)によって,自動酸化の機会に差が生じたことによるものと考えることができるのであって,このように,マグセライドと疎水性ゼオライトの油脂分解率の差を,自動酸化の枠内で説明することが可能である以上,上記分解率の差異をもって,マグセライドにおいて,自動酸化以外の反応が生じていると結論付けることはできない。 被告らは,上記GPC分析報告書(乙34)によれば,マグセライドは,比表面積及び平均細孔直径においてセピオライトやアタパルジャイトよりも劣るにもかかわらず,マグセライドと接触させた試料の二重結合量が多いことから,マグセライドにおいて自動酸化では説明しきれない何らかの分解反応が寄与していることを示すものであるとも主張する。 そこで上記報告書を見ると,上記報告書は,①活性白土,②疎水ゼオライト,③タルク,④セピオライト,⑤アタパルジャイト,⑥マグセライド(ハニカムW)をそれぞれサラダ油に含浸させたもの及び⑦サラダ油を,それぞれ室温環境下で7日間放置した後,クロロホルムを用いてソックスレー抽出を行ったものを試料とし,これにつき,GPC-RI及びGPC-UVの測定を行ったものである(乙34,39)。 このうち,GPC-RIの測定結果については,試料①(活性白土),④(セピオライト),⑤(アタパルジャイト),⑥(マグセライド)において,低分子量及び高分子量の物質の含有比が高 34,39)。 このうち,GPC-RIの測定結果については,試料①(活性白土),④(セピオライト),⑤(アタパルジャイト),⑥(マグセライド)において,低分子量及び高分子量の物質の含有比が高く,特に高分子量(分子量約2000以上)の含有比が高いため,これらの試料(試料①,④,⑤,⑥)における重量平均分子量が他の試料(試料②,③,⑦)よりも高くなっていることを指摘することができる(乙34の表A,Fig.1~3)。これにより,活性白土,セピオライト,アタパルジャイト及びマグセライドは,サラダ油単体の場合やサラダ油を疎水性ゼオライト等と共存させた場合に比べ,サラダ油と共存した場合に,サラダ油成分を低分子量化及び高分子量化することができるものであり,とりわけ,高分子量化が顕著であることを読み取ることができるものである。 また,GPC-UVの測定結果については,①活性白土及び⑥マグセライドにおいて,波長400nmのGPC-UV曲線においてもピークが検出される一方,その他の試料では上記曲線において顕著なピークが検出されていないこと(乙34の図B,Fig.4~10,13)を指 摘することができる。上記ピークの検出は,①活性白土及び⑥マグセライドに含浸された試料について,他の物質にサラダ油が含浸された場合又はサラダ油のみの場合に比べ,波長400nm領域において検出されやすい物質が多く生成されたことを示すものであるということができる。 この点について,被告らは,上記検出結果は,⑥マグセライドに含浸された試料において二重結合量が多いことを示すものであると主張する。 しかし,被告らの主張によっても,波長400nm領域において検出されやすい物質が,二重結合を有するものに限られるとは解されないから,上記検出結果(ピークの出現)と,上記 示すものであると主張する。 しかし,被告らの主張によっても,波長400nm領域において検出されやすい物質が,二重結合を有するものに限られるとは解されないから,上記検出結果(ピークの出現)と,上記試料における二重結合量が,定量的に一致するものとは解することができない。また,仮に,上記検出結果が,マグセライドに含浸された試料において二重結合量が多いことを示すものであるとみることができるとしても,二重結合量が,分解の進行度を示す指標であると認めるに足りる証拠はないから,これをもって,マグセライドにおいて,油脂成分の分解がより促進されたものと評価することができるとも解されない(むしろ,マグセライド含浸試料において二重結合量が多いことは,GPC-RI測定結果において,同試料における高分子量物質の含有比が高いこととも相俟って,マグセライドにおいて,油脂成分の高分子量化が進んでいることを裏付けるものともみることができる。)。 なお,これらの測定・検出結果,とりわけ,マグセライドにサラダ油を接触させた試料において,高分子量化が進んでいること及び上記試料において,サラダ油を他の物質(自動酸化を促進させることができる点でマグセライドと同様であるセピオライト,アタパルジャイト等)に接触させた場合には生成されない物質が検出されていることがうかがわれることに照らせば,マグセライドにおいて,自動酸化では説明しきれない反応が生じている可能性自体は認められるものというべきである(依 田英介作成の意見書〔乙48の1〕も同旨を述べるものと解される。)。 しかし,本件表示において,マグセライドが「触媒」である旨の表示は,「触媒作用による吸着+分解」(本件表示1-3),「触媒作用による酸化分解・加水分解でH2O,CO2,低級アルコールなどの低分子ガスま し,本件表示において,マグセライドが「触媒」である旨の表示は,「触媒作用による吸着+分解」(本件表示1-3),「触媒作用による酸化分解・加水分解でH2O,CO2,低級アルコールなどの低分子ガスまで分解されて排出」(本件表示1-11),「触媒作用により酸化分解・加水分解」(本件表示2),「触媒作用による酸化分解・加水分解で,低級アルコールなどの低分子ガスまで分解されて排出」(本件表示4-3)等,酸化・加水分解と関連付けて表示され,又は,マグセライドが臭気・油脂を酸化・加水分解する旨の表示と併せて表示されているものであるところ,被告商品の需要者は,本件表示のうち,「触媒」部分のみを読むのではなく,これらの表示の前後を含め,カタログ,資料又はウェブページ全体を併せて読み,その内容を理解するものと解される。そうすると,マグセライドが「触媒」である旨の表示は,その他の表示と相俟って,需要者において,臭気・油脂成分の酸化・加水分解反応に作用し,反応を促進するという意味において「触媒」に当たると表示したものと理解されるのが通常であると解されるのであるから,マグセライドが,このような作用とは別の,自動酸化では説明しきれない反応を生じさせるものであるとしても,これをもって,マグセライドが本件表示1ないし6で表示されているところの意味においての「触媒」に当たると結論付けることはできない。 被告らは,マグセライドによる酸化分解反応の促進が,比表面積の大きさ及び細孔直径の大きさに起因するものであったとしても,これを「触媒」と呼ぶことに差し支えないと主張し,その旨の意見書(乙46でみたとおりのものであって,マグセライドの作用が上記定義に沿わないものであると解される以上,これを「触媒」と呼ぶことは化学的正確 さを欠くものであって,適切ではなく の旨の意見書(乙46でみたとおりのものであって,マグセライドの作用が上記定義に沿わないものであると解される以上,これを「触媒」と呼ぶことは化学的正確 さを欠くものであって,適切ではなく,採用することができない。 以上によれば,マグセライドに,本件表示1ないし6に表示されている意味において触媒作用があると評価することはできないものである。 したがって,本件表示1ないし6のうち,マグセライド又はその主成分である含水珪酸マグネシウム粘土鉱物が「触媒」である旨を表示した部分及び被告商品において「触媒作用」による分解が行われる旨を表示した部分(本件表示1-2,1-3,1-11,2,3-1,3-2,4-1,4-3のうち,「触媒」又は「触媒作用」に関する部分及び本件表示6の「触媒作用による」との部分)は,いずれも化学的にみて正確さを欠くものであって,被告商品の需要者に,被告商品の品質等につき誤認を生じさせるものに当たると認められる。 また,本件表示6には,「触媒作用によるO2→O+→攻撃(酸化分解)」,「触媒作用によるH2O→H+,OH-→攻撃(加水分解)」の表示から,炭化水素の化学式に向けて矢印を延ばし,炭素又は水素の結によれば,被告商品において上記のような反応が起こっていることが化学的に裏付け又は説明可能なものとは認められない。これは,「O+」の表示がマーケティング用語として一般に用いられているものであるか否かによって左右されるものではない。 したがって,本件表示6のうち上記部分(別紙誤認表示目録記載3の表示部分)も,品質等誤認表示に該当するものと認められる。 オ吸着・拡散・分解作用に関する表示上記ウでみたとおり,被告商品は,油脂成分(油煙)を捕捉し吸収した上でこれを酸化分解することにより,二酸化炭素,アセ 等誤認表示に該当するものと認められる。 オ吸着・拡散・分解作用に関する表示上記ウでみたとおり,被告商品は,油脂成分(油煙)を捕捉し吸収した上でこれを酸化分解することにより,二酸化炭素,アセトアルデヒド類,アルコール類等に分解することのできるものであり,かつ,加水分解反応も行うものであって,上記反応が,6時間経過後からみられるよ うになり,72時間程度の経過により顕著となることが,実験結果によって化学的に裏付けられているものということができる。 そして,油脂成分が,臭気の原因物質でもあると解されること,アセトアルデヒド類,アルコール類は,油脂成分であるリノール酸,オレイン酸,パルミチン酸,ステアリン酸,リノレン酸等に比べ分子量が小さく,かつ,低沸点の物質であるところ(乙17),分子量の平方根と拡散速度は反比例するものであり(乙18),分子量が小さいほど拡散速度が速くなるものと解されること,サラダ油とマグセライドとの接触試験において,72時間経過後に水の量の増加が認められていること(乙22の29頁),被告商品を脱臭用フィルターとして用いた被告装置において,高い脱臭効率が達成されており(甲8,9,乙7,10の1ないし3,24,30),下記(3)で詳述するとおり,これらの脱臭効率が,いずれも被告装置の性能を正しく反映したものとみられることを併せて考慮すれば,被告商品は,臭気成分を吸着し,少なくともその一部を数時間ないし数十時間かけて酸化・加水分解することにより,水(H2O),二酸化炭素(CO2),低級アルコール等の低分子ガスに分解し,徐々に拡散させて脱臭を行うものであると認めることができる。 したがって,本件表示1ないし6のうち,「吸着+分解」,「数時間かけて吸着した臭気を分解して放出」,「酸化,加水分解によっ に分解し,徐々に拡散させて脱臭を行うものであると認めることができる。 したがって,本件表示1ないし6のうち,「吸着+分解」,「数時間かけて吸着した臭気を分解して放出」,「酸化,加水分解によって徐々に分解して排出」,「加水分解により生成された低級アルコールの作用により,脱臭後臭気の拡散・希釈効果を大幅にUPすることが可能」,「酸化分解・加水分解でH2O,CO2,低級アルコールなどの低分子ガスまで分解されて排出」等の表示(本件表示1-3,1-5,1-7~1-11,2,4-2,4-3,5-1,5-2,6)は,上記趣旨を表示したものであると解されるのであって,化学的裏付けを有するものであるから,上記表示部分が品質等誤認表示に当たるものとは認めら れない。 この点に関し,原告は,被告商品には臭気成分であるアセトアルデヒド分解活性が認められない上,被告らによる上記実験結果によれば,被告商品は,油脂成分の分解により,悪臭物質であるアセトアルデヒド等を生じるものであるから,本件表示のうち,被告商品が臭気成分を分解して排出することにより脱臭する旨の部分は虚偽の表示に当たると主張する。 しかし,被告商品の需要者が,本件表示の前後を含めてカタログ,資料又はウェブページ全体を併せて読み,理解するものと解されることは前述のとおりであるところ,本件表示1ないし6が表示されたカタログ等には,被告商品が,臭気成分,油脂成分を低分子ガスに分解して排出する旨の表示がみられる(甲4ないし6)上,炭素数を5以下にすれば無臭化できる旨の表示もみられる(甲7)のであるから,分解されるべき成分としては,高分子量の物質,とりわけ炭素数が5より多い物質が予定されているものとみるのが相当である。 そうすると,アセトアルデヒドが炭素数2,分子量44.0 7)のであるから,分解されるべき成分としては,高分子量の物質,とりわけ炭素数が5より多い物質が予定されているものとみるのが相当である。 そうすると,アセトアルデヒドが炭素数2,分子量44.05の低分子ガスであること(乙17)に照らし,本件表示1ないし6において,アセトアルデヒドを分解する旨が表示されているとみることはできない。 また,厨房の臭気成分は,アセトアルデヒドのみで構成されるものではなく,多数の成分によって構成されるものであることがうかがわれるのであって,このうち,油脂成分につき,被告商品における分解反応の促進が認められることは前述のとおりなのであるから,被告商品においてアセトアルデヒド分解活性が認められないとしても,この点をもって,本件表示1ないし6における臭気成分を分解する旨の表示が品質等誤認表示に当たるものとは認められない。 なお,被告商品において,アセトアルデヒド分解活性が認められない としても,本件表示において,被告商品は,臭気を吸着及び分解することによって脱臭を行うものとして表示されているものであり,次のとおり,被告商品において,アセトアルデヒドを吸着して除去する性能が認められる以上,被告商品が「脱臭」を行う旨の本件表示が,品質等誤認表示に当たるものとは認められない。 すなわち,本件報告書2において,マグセライドのうち,排煙に曝露されていない部分(マグセライドB)については,サンプリングバッグ内にアセトアルデヒドガスとともに入れて封入したところ,時間の経過に伴いアセトアルデヒド濃度の減少がみられたとされる(甲11の5~6頁)。また,マグセライドフィルターを50mm×50mm×29mmにカットしたものを用いたとされるアセトアルデヒドガスの流通式ワンパス試験においても,アセトアルデヒドガス たとされる(甲11の5~6頁)。また,マグセライドフィルターを50mm×50mm×29mmにカットしたものを用いたとされるアセトアルデヒドガスの流通式ワンパス試験においても,アセトアルデヒドガスの除去性能自体は認められることが示されている(甲52)。以上によれば,被告商品にアセトアルデヒドの吸着による除去性能が認められる。 原告は,分解による生成物質がアセトアルデヒド等の悪臭物質であることや,分解により,悪臭の原因となり得る重合物が生じ,被告商品内部に蓄積されるものであることを問題とするが,後記(3)で詳述するとおり,被告商品を脱臭用フィルターとして用いた被告装置において,高い脱臭効率が達成されているものと認められること(甲8,9,乙7,10の1ないし3,24,30)に照らし,被告商品において,分解後の生成物の排出により,脱臭と評価できない程度の臭気が生じているものとは認められないのであるから,これにより,「脱臭」の表示が虚偽のものとなることはない。 したがって,原告の主張はいずれも採用することができず,上記表示が品質等誤認表示に当たるものとは認められない。 カ自己再生の表示について 本件表示1ないし6において,「自己再生」の表示は,吸着した臭気・油脂成分を分解して放出する旨の表示と併せて表示されているものであるから(甲4ないし7),上記表示は,被告商品において,吸着した成分を分解して放出することにより,新たに成分の吸着及び分解が可能になることを表示したものと認められる。 被告商品において,その比表面積の広さ及び平均細孔直径の大きさから,油脂成分等を広く吸着することができ,かつ,これをアセトアルデヒド等に分解して排出することができることは,前記オでみたとおりである。そうすると,被告商品が,吸着した成分 び平均細孔直径の大きさから,油脂成分等を広く吸着することができ,かつ,これをアセトアルデヒド等に分解して排出することができることは,前記オでみたとおりである。そうすると,被告商品が,吸着した成分を分解して排出することにより,被告商品において新たに成分の吸着及び分解が可能になることについては,化学的に裏付け又は説明が可能なものということができる。 この点に関し,原告は,被告商品から採取したマグセライドがアセトアルデヒド除去能力を喪失していたこと(甲11)及び被告商品を用いたアセトアルデヒド破過試験において,被告商品が短時間でアセトアルデヒド除去能力を失ったこと(甲52)から,被告商品に自己再生能力がある旨の表示は虚偽のものであると主張する。 しかし,本件表示1ないし6における「自己再生」の表示は,被告商品を通常の用法に従って使用した場合における被告商品の能力又は作用として記載されたものであると解される。そして,本件報告書2においてアセトアルデヒド除去試験に用いられたマグセライドは,排気口(出口側)において不快な油様臭を感じ,他の排気口に比べ,油の付着が目立ち,黄色く変色していた系統に設置されていた被告商品から抜き取られたものである(甲10の1,11)。上記系統においては,平成23年4月12日時点において異常が確認されており(乙5の3),上記異常は,グリスフィルターのメンテナンス不良によるマグセライドへの油の付着によるものであるとされるところ(乙5の1),本件報告書2に おける試料の採取時において,上記のとおり,他の排気口付近とは異なる臭気が感じられたことや,排気口付近に油の付着が目立ったこと等に照らせば,上記採取時において,既に上記異常が発生していたものとみるのが相当である。 そうすると,本件報告書2におい 近とは異なる臭気が感じられたことや,排気口付近に油の付着が目立ったこと等に照らせば,上記採取時において,既に上記異常が発生していたものとみるのが相当である。 そうすると,本件報告書2においてアセトアルデヒド除去試験に用いられたマグセライドは,通常の用法に従って使用されていた被告商品から採取されたものとは認められない上,上記試験においてアセトアルデヒド除去性能がないと結論付けられた試料(「マグセライドA」)は,その中でも,排煙への曝露が認められた部分であるとされる(甲11の2頁「2.1 試料」)のであるから,上記試料においてアセトアルデヒド除去性能が認められなかったからといって,上記実験結果を,通常の用法に従って用いられているマグセライド全般に敷えんして,マグセライドが時間の経過によりアセトアルデヒド除去能力を失うものであり自己再生能力がないと結論付けることはできないものというべきである。 また,Aⅲ教授が実施したアセトアルデヒド破過試験は,マグセライドを厚さ29mmにカットした試料に,4ppmの濃度のアセトアルデヒドガスを通過させて行ったものであるとされる(甲52の「2.1試料」及び「2.2 試験方法」)。被告商品におけるマグセライドは,厚さ60mmのものを2個で1組として用いられるものであり,かつ,臭気の状況等に応じて,数段を重ねて使用されるものであるとされるから(甲4ないし9),上記破過試験は,通常の使用態様におけるマグセライドよりも相当程度薄いものを試料として用いたものであるということができる。加えて,上記アセトアルデヒド濃度(4ppm)は,嗅覚閾値(0.0015ppm)の約2600倍に及ぶものである。他方,原告が,被告商品の厨房排気脱臭性能試験に用いた排気におけるアセトアルデヒド濃度が0.051ppmであり ヒド濃度(4ppm)は,嗅覚閾値(0.0015ppm)の約2600倍に及ぶものである。他方,原告が,被告商品の厨房排気脱臭性能試験に用いた排気におけるアセトアルデヒド濃度が0.051ppmであり,上記排気の臭気濃度が16 00であって(甲51の4頁),被告カルモアにおける被告装置納入実例集(甲9)記載の事例と比較しても,特に臭気濃度が低いものとはみられないことや,原告自身,原告装置の見積りに当たり提出したメンテナンスコストの試算表(甲55)において,アセトアルデヒド濃度を0. 5ppmと想定して試算を行っていることに照らすと,上記破過試験は,厨房排気として通常予想されるアセトアルデヒド濃度と比較して,著しく高濃度のアセトアルデヒドガスを用いたものであると評価することができる。 そうすると,上記のように,被告商品の通常の用法に比して相当薄くカットされたマグセライドに,通常の用法において予想されるよりも著しく高濃度のアセトアルデヒドガスを通過させた場合に,上記マグセライドが30分ないし90分後にアセトアルデヒド除去能力を喪失したからといって,被告商品におけるマグセライドが,通常の用法下において,同様に短時間でアセトアルデヒド除去能力を喪失するものと評価することはできない。 原告は,ほかに,被告装置の脱臭効率に関する表示(本件表示7及び8)が虚偽のものであり,被告装置が上記表示に係るような高い脱臭効率を達成するものではないこともその根拠として挙げるが,上記脱臭効率が虚偽のものとは認められないことは後記(3)でみるとおりである。 以上によれば,本件表示のうち,「自己再生」の表示が虚偽のものであると認めるに足りず,かつ,上記表示は化学的に裏付け又は説明可能なものと認められるから,上記表示は品質等誤認表示に当たらない。 以上によれば,本件表示のうち,「自己再生」の表示が虚偽のものであると認めるに足りず,かつ,上記表示は化学的に裏付け又は説明可能なものと認められるから,上記表示は品質等誤認表示に当たらない。 キ 「ロングライフ・低ランニングコスト」について被告らは,上記表示は,一般的な吸着式脱臭素材が3か月から1年程度でフィルターの交換を要するものであるのに対し,被告商品の交換頻度が数年単位であることを表現したものである旨主張しているところ, 原告は,被告商品に臭気の分解能力及び自己再生能力がないことを理由として,上記表示が虚偽のものであると主張する。 しかし,被告商品が臭気成分を分解するものであること及び自己再生するものであることが,化学的に裏付けられており,又は説明可能なものであることは前述のとおりである。また,原告がアセトアルデヒド除去能力試験に用いたマグセライドが,グリスフィルターのメンテナンスであるから,上記実験結果(甲11)をもって,通常の用法に従って用いられている被告商品が,上記マグセライドと同様に,設置後2年程度でその能力を喪失するものとは認めることができない。 ほかに,被告商品のフィルターの交換頻度等が被告らの主張するとおりのものであることを疑わせるに足りる証拠はないから,上記表示が品質等誤認表示に当たるものとは認められない。 ク本件表示1ないし6のうち,その他の表示(「加水分解反応はカルモアのみ!」等)についても,これを疑わせるに足りる事情の主張立証はないから,当該表示が品質等誤認表示に当たるとは認められない。 ケ小括以上によれば,本件表示1ないし6のうち,別紙誤認表示目録記載の各表示部分(以下「本件誤認表示」という。)は,不競法2条1項13号にいう品質等誤認表示に該当する。本件表示1ないし ケ小括以上によれば,本件表示1ないし6のうち,別紙誤認表示目録記載の各表示部分(以下「本件誤認表示」という。)は,不競法2条1項13号にいう品質等誤認表示に該当する。本件表示1ないし6のその余の表示は,品質等誤認表示に該当するものとは認められない。 (3) 本件表示7,8についてア本件表示7,8の表示内容について本件表示7は,被告サイトの「脱臭装置(フィルター方式)導入事例紹介」ページにおける「厨房排気臭対策/事例1:都内某駅前商業施設」のリンク先及び被告カルモアの「マグセライド脱臭装置納入実例 集」の2頁目にそれぞれ掲載されているものである。上記表示は,事業会社等から臭気対策について相談があったことから,臭気拡散シミュレーションに基づく計算結果に基づき設計を行い,提案を行った結果,被告装置が採用・導入されるに至った旨の記載とともに表示されている(甲8,9)。 本件表示8は,8の①ないし⑤については被告サイトの「脱臭装置(フィルター方式)導入事例紹介」ページにおける「集合住宅におけるキッチン排気臭対策」,「OA取入口から侵入する厨房排気の対策/事例2:都内某音楽スタジオ」,「厨房排気対策/事例3:某日本橋商業施設」,「厨房排気対策/事例4:某大阪駅前再開発ビル」のリンク先に掲載されているものであり,8の⑥ないし⑮については被告カルモアの「マグセライド脱臭装置納入事例集」の3頁目以降に掲載されているものである。上記表示のうち,8の①は,キッチン排気臭苦情の課題を解決するため開発された脱臭装置が東京都心の高層マンション138戸に導入されるに至った旨の記載に続けて表示されているものであり,8の②ないし⑮は,いずれも,事業者等から相談があり,提案の結果,被告装置が採用・導入されるに至った旨の記載とと 高層マンション138戸に導入されるに至った旨の記載に続けて表示されているものであり,8の②ないし⑮は,いずれも,事業者等から相談があり,提案の結果,被告装置が採用・導入されるに至った旨の記載とともに表示されている(甲8,9)。 上記のとおり,本件表示7,8は,いずれも,具体的事例において,被告カルモアが施主側から相談を受け,提案を行った結果,被告装置が導入されるに至った旨の表示とともに掲載されているものである。このような表示の態様に照らせば,本件表示7,8に接した被告商品の取引者,需要者は,上記表示を,被告装置の導入時点における脱臭効率を表示したものと理解する蓋然性が高いものと解される。原告は,上記表示は,被告装置が長期間にわたって上記脱臭効率を維持することができる旨を表示したものと理解されると主張するが,本件表示7,8の表示態 様が上記のとおりのものであることに照らし,採用できない。 そこで,被告装置の品質が,本件表示7,8から生じる取引者,需要者の上記認識と齟齬するものであるか否か,すなわち被告装置がその導入時点において本件表示7,8に表示されている脱臭効率を達成した旨が虚偽であると認められるか否かにつき,以下検討する。 イ本件表示7について本件表示7の原資料の信用性被告カルモアが大丸東京店に被告装置を導入した際に実施した臭気測定結果報告書(乙10の1)5頁及び6頁には,項番号1ないし10(それぞれ,本件表示7における「厨房A」,「厨房B」,「天ぷら」等に対応するものであると認められる。)の入口臭気濃度・臭気指数,出口臭気濃度・臭気指数が,本件表示7のとおりであった旨が記載されている。なお,「中華」の入口臭気濃度については,本件表示7において「790」と表示されているのに対し,上記報告書では「80 気指数,出口臭気濃度・臭気指数が,本件表示7のとおりであった旨が記載されている。なお,「中華」の入口臭気濃度については,本件表示7において「790」と表示されているのに対し,上記報告書では「800」と表示されているが,この点が取引者・需要者の認識において差異をもたらすものとは解されない。 そうすると,本件表示7は,上記報告書(乙10の1)に基づくものと認められるところ,原告は,上記報告書は,被告カルモアの関与の下で作成されたものであるから,上記報告書は信用性を欠くと主張する。 しかし,上記報告書を見ると,臭気採取は株式会社大丸等,被告装置納入先の関係者の立ち会いの下でされたことがうかがわれるのであり,測定内容等を見ても,不適切な点を具体的に見いだすことはできない。 原告は,①被告商品の脱臭方法に係る本件表示が虚偽のものであること,②大丸東京店における臭気濃度測定結果がマイナス58%というものであったこと(甲10の1),②原告が一般社団法人ベターリビングに依頼して行った被告商品の脱臭性能測定試験結果(甲51)に照らせ ば,被告装置が90%を超える高い脱臭効率を達成することはあり得ないことから,被告商品を装着した被告装置が,本件表示7に表示されているような高い脱臭効率を達成することはあり得ず,前記報告書(乙10の1)は信用性を欠くものであり,本件表示7は品質等誤認表示に該当するとも主張する。 しかし,まず,①被告商品の脱臭方法に関しては,被告商品が臭気成分等を高い確率で捕捉・吸収するものであること及び被告商品において,吸着した臭気成分等の酸化・加水分解が行われるものであることは,前イドが触媒作用を有する旨の表示は品質等誤認表示に当たると認められるものであるが,これは,マグセライドにおける油脂成分の分解反応の促進が,マ 臭気成分等の酸化・加水分解が行われるものであることは,前イドが触媒作用を有する旨の表示は品質等誤認表示に当たると認められるものであるが,これは,マグセライドにおける油脂成分の分解反応の促進が,マグセライドの物質的関与によるものではなく,その構造上の特性によるものであると解され,上記作用を「触媒」と称することが化学的正確性を欠くものと評価されるためであって,被告商品において脱臭が行われていること自体を否定するものではない。したがって,上記の点をもって,被告商品の脱臭性能につき疑念を生じさせることはできない。 次に,②大丸東京店における臭気濃度測定結果(甲10の1)については,上記測定が,油の付着等の異常が発生している系統について行わのように,異常発生下にある被告装置における臭気濃度測定結果を,被告装置一般に敷えんして,被告装置が高い脱臭効率を達成することがあり得ない旨の結論を導くことはできない。 また,③脱臭性能測定試験結果(甲51)について見ると,上記試験は,マグセライド4個で1ユニットのフィルター層を合計4層設け,ここに,試験体の通過面風速が4m/sになるよう風量を設定して,調理 臭を通過させ,入口及び出口における臭気指数及び臭気濃度を測定したというものである。 上記試験結果によれば,臭気指数及び臭気濃度の測定結果は次のとおりである。 臭気指数臭気濃度(希釈倍率)入口 1600フィルター1層目通過後 26 出口 しかし,被告装置におけるフィルターの段数は事例によって異なるものとされ(甲4),実際に,大丸東京店におけるマグセライド段数には,5段のものもみられるところ(乙10の1・6頁),フィルターの段数が多いほど,出口における臭気濃度は低くなるも 事例によって異なるものとされ(甲4),実際に,大丸東京店におけるマグセライド段数には,5段のものもみられるところ(乙10の1・6頁),フィルターの段数が多いほど,出口における臭気濃度は低くなるものと解される。加えて,被告装置における通過面風速の設計基準値は1ないし1.5m/sであるとされ(甲4),大丸東京店における実測値は0.83から2.16m/sであったとされるところ(乙10の1・8頁),通過面風速が低いほど,臭気が被告装置内にとどまる時間が長くなり,脱臭効率は向上するものと解される。 そうすると,上記報告書は,マグセライド設置段数及び風速の点において,大丸東京店による測定結果(乙10の1)よりも脱臭効率が劣るべき条件で実施されたものということができるところ,これらの点にもかかわらず,上記報告書(甲51)において,脱臭効率が90%に及ぶとの結果が報告されていることは,むしろ,被告装置において,本件表示7記載の脱臭効率が実際に達成されたものであることを裏付けるものというべきである。 加えて,被告らの提出した,その他の臭気濃度測定結果に関する資料(乙7,10の2・3,24,30)には,経年変化はみられるものの, いずれも,被告装置において高い脱臭効率が達成された旨の記載があるのであるから,この点からも,本件表示7記載の脱臭効率が虚偽のものではないことが裏付けられるものというべきである。なお,原告は,これらの資料の信用性を争うが,原告がこれらの資料の信用性を疑うべき点として挙げる事情は,いずれも単なる可能性又は疑念を表明するものにすぎず,上記資料の信用性を具体的に疑わせるに足りるものではない。 以上によれば,本件表示7が虚偽の表示であるとは認められない。 ウ本件表示8について本件表示1ないし6に品質等誤 るものにすぎず,上記資料の信用性を具体的に疑わせるに足りるものではない。 以上によれば,本件表示7が虚偽の表示であるとは認められない。 ウ本件表示8について本件表示1ないし6に品質等誤認表示に該当する部分が認められることにより,被告装置の脱臭効率に疑念を生じるものではないこと及び原告による大丸東京店での臭気濃度測定結果(甲10の1)により,被告装置の脱臭性能を一般的に結論付けることができないことは,前記イでみたとおりである。 本件表示8は,被告商品の設置段数,通過面風速,入口における臭気濃度・臭気指数において様々である事例につき,脱臭効率を表示したものである。 原告は脱臭性能測定試験結果(甲51)の結果をもって本件表示8は品質を誤認させるものであると主張するところ,同試験は,被告商品の設置段数を4段,試験体の通過面風速を4m/s,入口における臭気濃度(臭気指数)を1600(32)と設定して行われたものであること しかし,上記測定試験結果が,被告装置の設計基準値を上回る通過面風速を設定して行われたものであることに加え,入口における臭気濃度が低いほど,脱臭効率は低く算出されるものと解されること,本件表示8の中には,上記測定試験結果におけるよりも入口臭気濃度が高いものがみられること(本件表示8の①〔ニンニク〕,③,⑦,⑨,⑪)も考 慮すれば,上記測定試験結果をもって,本件表示8において表示されている事例において,被告装置が上記測定試験結果(脱臭効率90%)よりも高い脱臭効率を示すことがあり得ないとの結論を導くことができないことは明らかである。 なお,上記測定試験結果における通過面風速は,本件表示8のうち,⑮の事例(恵比寿ガーデンプレイス)の風量等から算出したものであるとされるのであって,上記事例(本件 きないことは明らかである。 なお,上記測定試験結果における通過面風速は,本件表示8のうち,⑮の事例(恵比寿ガーデンプレイス)の風量等から算出したものであるとされるのであって,上記事例(本件表示8-⑮の事例)においては,上記測定試験結果が通過面風速においてより不利な条件を設定したものとはみることができない。しかし,上記事例においては,被告装置はV字状に設置されているものであり(甲9),臭気の通過条件が上記測定試験結果とは異なるものであることがうかがわれる。さらに,上記事例においては,入口臭気濃度は800と,上記測定試験結果におけるよりも低い濃度に設定されている上,その脱臭効率は,83.8%と,上記測定試験結果よりも低い数値として表示されているのであるから,上記測定試験結果における脱臭効率が90%であることをもって,恵比寿ガーデンプレイスにおける脱臭効率の表示が虚偽のものであると結論付けることはできない。 被告らの提出した臭気濃度測定結果に関する資料(乙7,10の1ないし3,24,30)によっても,被告装置が高い脱臭効率を有するこ 以上によれば,本件表示8が虚偽の表示であるとは認められない。 エ小括したがって,本件表示7,8は,いずれも品質等誤認表示に当たるものと認められない。 2 争点1-2(被告らに対する差止め及び廃棄請求の可否)(1) 前記1でみたところによれば,本件表示のうち,別紙誤認表示目録記載 の表示は品質等誤認表示に該当するものであるから,被告カルモアが,被告商品のカタログ若しくは被告商品を広告する被告サイトに上記表示を掲載し,又は上記表示をした被告商品を譲渡する行為は,不競法2条1項13号所定の不正競争に該当する。 原告は,事業者向けの大型脱臭装置の製造販売において被告カルモ を広告する被告サイトに上記表示を掲載し,又は上記表示をした被告商品を譲渡する行為は,不競法2条1項13号所定の不正競争に該当する。 原告は,事業者向けの大型脱臭装置の製造販売において被告カルモアと競競争により,営業上の利益を侵害され,又は侵害されるおそれがあるものと認められる。また,被告カルモアは,被告商品のカタログ及び被告サイトのうち,被告商品の紹介用ページ(宣伝用ページ)に本件誤認表示を掲載し,そのような表示をした被告商品を譲渡し,引き渡し,又は譲渡若しくは引渡しのために展示しているものと認められる(前記前提事実(3) したがって,原告は,被告カルモアに対し,これらの行為の差止めを求めることができる。 (3) 他方,本件誤認表示は,被告カルモアのカタログ及び被告サイト上の表示のごく一部を構成するにとどまるものであるから,侵害の停止又は予防のためには,被告カルモアに対し,その広告,取引書類及び被告サイトから本件侵害表示を抹消することを命ずることで十分であり,上記表示をした広告若しくは取引書類を廃棄し,又は被告商品そのものを廃棄することが必要であるとは認められない。したがって,原告のこれらの請求は認められない。 不競法2条1項13号所定の不正競争の主体は,同号の商品等を譲渡等する者であると解されるところ,被告Aⅰ及び被告Aⅱは,被告カルモアの取締役又は代表取締役であるが,自ら被告商品の広告等に本件誤認表示をして,被告商品を譲渡するなどしているものとは認められない。したがって,被告Aⅰ及び被告Aⅱが上記不正競争の主体となるものとは認められず,同被告らに対する差止め又は廃棄請求は認められない。 3 争点1-3(被告らの損害賠償責任の成否) (1) 被告カルモアの行為が不競法2条1項13号所定の不正競争に該当する められず,同被告らに対する差止め又は廃棄請求は認められない。 3 争点1-3(被告らの損害賠償責任の成否) (1) 被告カルモアの行為が不競法2条1項13号所定の不正競争に該当するものであることは前記2のとおりであるところ,被告カルモアは,少なくとも過失により上記不正競争に及んだものと認められるから,同法4条により,上記不正競争によって生じた損害を賠償すべき責任を負う。 被告Aⅰ及び被告Aⅱは,被告カルモアの取締役又は代表取締役を務めていた者であり(前記前提事実(1)ウ,エ),その業務執行につき,善管注意義務(会社法330条,644条)を負う。 しかし,被告カルモアによる本件誤認表示の掲載等が不正競争に当たるとされるのは,マグセライドが「触媒」に当たり,又は「触媒作用」を有する旨の表示等が化学的にみて正確さを欠くことを理由とするものであるところ,上記結論が,被告商品等に関する種々の実験結果の分析と,「触媒」の化学的定義への上記分析結果の適用の検討によって導かれるものであることは,前記1でみたとおりである。そうすると,被告Aⅰが理科系の素養を有するとされること(甲47)を考慮しても,被告Aⅰ及び被告Aⅱが,本件誤認表示が品質等誤認表示に当たることを知っており,又はこれを知らなかったことにつき重大な過失があったと認めるに足りない。 したがって,同被告らが,取締役としての損害賠償責任(会社法429条430条)を負うものとは認められない。 4 争点1-4(原告の損害額)(1) 証拠(各認定事実の末尾に摘示する。)によれば,被告カルモアは,下記アないしウのとおり,次の3案件において,下記受注年月日に,下記金額で被告装置の納入を受注し,これを納入したことが認められる。 ア日本橋室町東地区開発計画(乙38の1,4 ば,被告カルモアは,下記アないしウのとおり,次の3案件において,下記受注年月日に,下記金額で被告装置の納入を受注し,これを納入したことが認められる。 ア日本橋室町東地区開発計画(乙38の1,45)受注年月日平成21年9月14日受注金額合計3750万円(税込み3937万5000円)イ恵比寿ガーデンプレイス1期工事(乙45) 受注年月日平成22年3月受注金額 3950万円(税込み4147万5000円)ウ東京駅丸の内駅舎保存・復原工事(乙38の3,45)受注年月日平成24年2月3日受注金額 2500万円(税込み2625万円)エ上記アないしウの受注金額合計 1億0710万円(税込み)オなお,上記案件の受注において,被告カルモアが施主側に本件誤認表示を付した広告等を提示等した事実の有無は明確ではない。しかし,被告カルモアが,上記案件の受注時点において,本件誤認表示を掲載したカタログ等を配布していたものと認められること(甲4ないし8,弁論の全趣旨),被告装置のカタログ等において,「マグセライド」の表示と「触媒」である旨の表示が併せて表示されていること(甲4ないし8)を考慮すれば,上記案件の受注に当たり,施主側に,本件誤認表示のいずれかが示されていたものと認められる。 主として事業者向けに光触媒脱臭方式の原告装置を製造販売しており,上記3案件において,原告装置につき見積書を提出して入札に参加したが,採用には至らなかったものである(甲36,42ないし44,46,50,54,55,56の1・2,57)。したがって,上記3案件において,原告に損害が発生しているものと認められるから,被告カルモアが上記3案件において本件不正競争により得た利益額は,原告の損害額と推定 54,55,56の1・2,57)。したがって,上記3案件において,原告に損害が発生しているものと認められるから,被告カルモアが上記3案件において本件不正競争により得た利益額は,原告の損害額と推定される(不競法5条2項)。 イこの点に関し,原告は,上記3案件に加え,上記イの恵比寿ガーデンプレイス1期工事の後に予定されていた2期工事により被告カルモアが得た利益についても,本件不正競争による原告の損害として推定されるべきであると主張する。 しかし,本件各証拠に照らしても,原告が上記第2期工事の入札に参加 したがこれを失注した等の事実は認められない。また,上記工事の発注元であるサッポロ不動産開発株式会社(旧商号:恵比寿ガーデンプレイス株式会社)によれば,第1期工事における納入業者が第2期工事を自動的に受注するという関係にはなく,第2期工事についても,性能,イニシャルコスト等の要素を総合的に考慮して判断して選定したものとされているのであって(乙43の2),原告が第1期工事を失注したことと,第2期工事を受注することができなかったこととの間に相当因果関係があるものとも認められない。 したがって,恵比寿ガーデンプレイス2期工事による被告カルモアの利益を,原告の損害とみることはできず,原告の上記主張は採用できない。 (3) そこで,上記3案件において被告カルモアの得た利益額について検討する。 ア原告は,上記3案件における被告カルモアの利益率は4割と推測される旨主張するところ,被告カルモアは,上記利益率を否認するが,その仕入れ原価等を具体的に明らかにしない。したがって,上記3案件における被告カルモアの利益率については,原告の主張する利益率である4割とみるほかないというべきである。 そうすると,上記3案件の受注により被告カ 等を具体的に明らかにしない。したがって,上記3案件における被告カルモアの利益率については,原告の主張する利益率である4割とみるほかないというべきである。 そうすると,上記3案件の受注により被告カルモアが得た利益額は,次の計算式のとおり,4284万円となる。 1億0710万円×0.4=4284万円イしかし,被告カルモアは,被告カルモアによる上記3案件の受注と原告の損害との間の相当因果関係の存在を争っており,上記主張は,不競法5条2項に基づく損害額の推定の覆滅を主張する趣旨であると解される。 そこで,上記推定覆滅事情の有無について検討する。 ウまず,日本橋室町東地区開発計画については,原告,被告カルモアのほか,神鋼アクテック株式会社,進和テック株式会社,ミドリ安全エア・ク オリティ株式会社が入札に参加し,見積書等を提出したものであることが認められる(甲36)。そして,原告の提出した,上記案件における施主側(株式会社新日本空調株式会社又は清水建設株式会社)作成に係る見積内容比較表(甲36)において,原告装置は,「脱臭効果(3200→250以上の脱臭効果は可能か)」につき「可能と言っているが問題あり」,「特記事項(考察)」として「活性炭フィルタは可燃性のため消防法上使用不可能,採用する場合納入先の実態調査が必要,脱臭効果に問題あり」との評価がされており,「脱臭性能から比較すると触媒脱臭式(東洋興商),吸着脱臭方式(ミドリ安全)は他社の脱臭方式と比較するとやや劣る」,「酸化触媒方式(進和テック,日本エアフィルター)は今回の案件に於いては,コストで吸着脱臭方式(カルモア),酸化触媒方式(神鋼アクテック)と比較して割高である。」,「以上脱臭性能・省エネ性,経済性から吸着脱臭方式(カルモア),酸化触媒方式(神鋼アクテック) に於いては,コストで吸着脱臭方式(カルモア),酸化触媒方式(神鋼アクテック)と比較して割高である。」,「以上脱臭性能・省エネ性,経済性から吸着脱臭方式(カルモア),酸化触媒方式(神鋼アクテック)2社から採用が望ましいと考える。」との考察がされているのであって,これらの記載に照らせば,被告装置が採用されなかった場合において,原告装置が採用された可能性は相当低いものであったと認められる(甲36,乙49)。 この点に関し,原告代表者は,原告装置が消極評価された理由のうち,脱臭性能及び消防法上の制限に関する点は,施主側担当者の誤解であると陳述する(甲44)。しかし,上記見積内容比較表(甲36)作成に先立ち,原告が,既に,原告装置の脱臭性能に関する資料(甲42)を施主側に提出していたとされるにもかかわらず(甲44),上記比較表において,原告装置につき,上記のとおりの評価がされていることからすれば,原告が上記評価を覆し,上記案件の受注に至ることは相当困難であったというべきである。また,原告代表者は,その他の入札業者(ミドリ安全,神鋼アクテック,日本エアフィルター)の商品の脱臭方法に関する説明はいず れも疑わしい旨も陳述するが(甲44),上記説明が品質等誤認表示に当たることを認めるに足りるものではなく,これによって,上記比較表における原告装置の上記評価にもかかわらず,原告装置が採用された可能性が高いと認めることができるものではない。 なお,原告は,上記案件に関し,被告らが提出した,施主側担当者の陳述書(乙41)の成立の真正を争い,また,上記陳述書には信用性がない旨の主張をする。しかし,上記陳述書には,作成者の押印が存在することから,真正に成立したものと推定されるところ(民訴法228条4項),上記陳述書の記載内容は,原告装置の脱臭 記陳述書には信用性がない旨の主張をする。しかし,上記陳述書には,作成者の押印が存在することから,真正に成立したものと推定されるところ(民訴法228条4項),上記陳述書の記載内容は,原告装置の脱臭効果に疑問をもったとする点や,原告装置の導入に消防法上の問題があると考えたことなどについて,原告の提出した上記見積比較表(甲36)の記載内容と概ね一致していることが認められる。また,確かに,上記陳述書添付別紙2においては,寸法及び重量が「不明」と表示され,また,ランニングコストが,原告が提出したとする資料(甲55)記載のものよりも高く算出されていることが認められるが,上記陳述書の添付資料は,施主側において,その評価に基づき作成されたものであるとされるのであるから,上記資料に原告の提出した資料が正確に反映されていないとしても,これをもって,上記資料が偽造されたものであると認めるに足りるものではない。 したがって,原告の主張は,上記陳述書の成立の真正の推定を覆すに足りるものではないところ,上記陳述書には,前記のとおり,上記見積比較表(甲36)と同じく,脱臭性能及び消防法上の制限のため,原告装置の採用は考えにくかった旨が記載されているのであって,原告装置が採用された可能性が相当低いものであったことを裏付けているというべきである。 加えて,これらの証拠(甲36,乙41)からは,上記案件において,各メーカーの脱臭装置における圧力損失の程度,脱臭効率(3200→250以上の脱臭効果達成の可否),メンテナンス費用,イニシャルコスト, 納入実績等を重要な要素として考慮して脱臭装置の選定が行われたことがうかがわれる。 本件において,被告商品につき品質等誤認表示該当性が認められる部分が,マグセライドが「触媒」に当たり,又は「触媒作用」を有すると表 な要素として考慮して脱臭装置の選定が行われたことがうかがわれる。 本件において,被告商品につき品質等誤認表示該当性が認められる部分が,マグセライドが「触媒」に当たり,又は「触媒作用」を有すると表示した部分にとどまり,被告装置において,臭気成分等の分解が行われていることや,被告商品が「自己再生」するものであること,ロングライフ・低ランニングコストであること,被告装置の脱臭効率が高いものであること等について品質等誤認表示に当たると認められないことは前記1でみたとおりである。また,品質等誤認表示該当性が認められた表示についても,マグセライドにおける分解反応の促進をもって「触媒」と評価することが,化学的にみて正確さを欠くことから品質等誤認表示該当性が認められたにとどまり,その作用効果自体が裏付けを欠くものと認められたものではない。 そうすると,被告カルモアは,施主側が重視したものとうかがわれる上記実用的要素において,何ら品質等誤認表示に当たる表示をしたものではないというべきである。なお,上記案件における見積内容比較表(甲36)においても,「考察」欄において,被告商品が「触媒」である旨は特に記載されていない。 したがって,本件不正競争が上記案件における受注に寄与した割合は,極めて低いものとみるべきである。 以上を総合考慮すると,上記案件において,被告カルモアの得た利益のうち,本件不正競争と相当因果関係があると認められる部分は,その3%にとどまり,その余の部分については,損害額の推定を覆滅する事情があるものと認められる。 エ次に,恵比寿ガーデンプレイス及び東京駅丸の内駅舎保存・復原工事について検討する。 恵比寿ガーデンプレイスについては,原告及び被告カルモアのほか1社が見積依頼を受けたものの,上記1社については見積書 デンプレイス及び東京駅丸の内駅舎保存・復原工事について検討する。 恵比寿ガーデンプレイスについては,原告及び被告カルモアのほか1社が見積依頼を受けたものの,上記1社については見積書の提出がされなかったことが認められる(甲58)。 また,東京駅丸の内駅舎保存・復原工事については,原告及び被告カルモアのほか1社が入札に参加し,被告カルモアの次点が原告,次々点が他1社であったことが認められる(甲57,乙42)。 被告カルモアは,東京駅丸の内駅舎保存・復原工事案件における担当者の陳述書(乙42)を提出して,上記案件において原告装置は設置予定スペースに収まらないことから最終的に選考から外された旨主張する。 しかし,原告は,この点に関し,原告装置の方がむしろスペースへの収まりにおいて優れると評価されていた旨主張し,上記陳述書添付の資料2とは異なる内容が記載された「丸の内駅舎脱臭装置品質機能展開表」(甲57)を提出しているところ,これらの資料のいずれが上記案件における施主側の最終的な判断を反映したものであるとも認めるに足りない。したがって,上記案件において,原告装置が採用された可能性がなかったとまで認めることはできない。 しかし,上記2案件においても,施主側は,脱臭装置の選定に当たり,脱臭性能,イニシャルコスト,ランニングコスト,メンテナンスコスト,実績等を考慮したことがうかがわれるところ(乙42,43の1・2),被告カルモアに,これらの点に関し不正競争の成立が認められないことは前記のとおりである。そうすると,これらの案件についても,上記日本橋室町東地区開発計画案件におけるのと同様に,本件不正競争が原告の損害に寄与した割合は低いものとみるべきである。 以上によれば,上記案件において,被告カルモアの得た利益のうち, いても,上記日本橋室町東地区開発計画案件におけるのと同様に,本件不正競争が原告の損害に寄与した割合は低いものとみるべきである。 以上によれば,上記案件において,被告カルモアの得た利益のうち,本件不正競争と相当因果関係があると認められる部分は,その10%にとどまるものであって,その余の部分については,損害額の推定覆滅事 情があると認められる。 オしたがって,被告カルモアの不正競争により,原告が上記3案件について被った損害額は,次のとおり,合計318万1500円と認められる(不競法5条2項)。 日本橋室町東地区開発計画3937万5000円×0.4×0.03=47万2500円 恵比寿ガーデンプレイス1期工事4147万5000円×0.4×0.1=165万9000円 東京駅丸の内駅舎保存・復原工事2625万円×0.4×0.1=105万円 318万1500円カ原告の支出した弁護士費用のうち,被告カルモアの前記不正競争と相当因果関係を有する部分は30万円とみるのが相当である。 キ以上の原告の損害のうち,日本町室町東地区開発計画及び恵比寿ガーデンプレイス1期工事に係る部分並びに弁護士費用のうち3分の2については,被告カルモアに対する本訴状送達日の翌日(平成24年1月11日)よりも前の不法行為によって生じたものと認められる。他方,東京駅丸の内駅舎保存・復原工事に係る部分及び弁護士費用のうち3分の1ついては,被告カルモアが上記案件を受注した日(平成24年2月3日)に原告の損害が発生したものであるから,遅延損害金の起算日も同日とするのが相当である。 5 本訴請求についての結論よって,原告の被告らに対する本訴請求は,被告カルモアに対し,①被告商品並びにその 損害が発生したものであるから,遅延損害金の起算日も同日とするのが相当である。 5 本訴請求についての結論よって,原告の被告らに対する本訴請求は,被告カルモアに対し,①被告商品並びにその広告若しくは取引に用いる書類及び被告カルモアの営業に係るウェブサイトその他の宣伝広告物に本件誤認表示を表示し,又は本件誤認表示を 表示した被告商品を譲渡し,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのために展示することの差止め,②被告商品並びにその広告又は取引に用いる書類及び被告カルモアの営業に係るウェブサイトその他の宣伝広告物における本件誤認表示の抹消,③348万1500円及びうち233万1500円に対する平成24年1月11日から,うち115万円に対する平成24年2月3日から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があり,被告カルモアに対するその余の請求並びに被告Aⅰ及び被告Aⅱに対する請求については理由がないことに帰着する。なお,上記①及び②については,仮執行宣言は適切ではないためこれを付さない。 6 争点2-1(原告の行為の不競法2条1項14号所定の不正競争該当性)(1) 証拠(各認定事実の末尾に摘示する。)及び弁論の全趣旨によれば,上記争点に関し,次の事実が認められる。 ア前記前提事実(5)アのとおり,原告は,平成21年12月頃,鉄道会館等に対し,原告の費用負担による臭気調査を申し入れ,同月23日,同店16階の鰻蒲焼店「伊勢定」の厨房排気系統に設置された被告脱臭装置につき,臭気濃度の測定等の臭気調査を行った(甲10,乙9)。 イ上記臭気測定結果等をまとめた平成22年1月29日付け本件報告書1には,「なお,この調査は平成21年12月1日に株式会社鉄道会館・経営企画部,平成21年12月11日にJ. た(甲10,乙9)。 イ上記臭気測定結果等をまとめた平成22年1月29日付け本件報告書1には,「なお,この調査は平成21年12月1日に株式会社鉄道会館・経営企画部,平成21年12月11日にJ.フロントリテイルング株式会社・業務本部(大丸,松坂屋持株会社)の依頼により,平成21年12月23日に株式会社環境管理センターと東洋興商株式会社が実施した」との記載(甲10の1の1頁「1.目的」欄)(本件記載1)」がある。また,同報告書には,臭気試料採取に当たり,排気口入口付近では「魚のコゲ様臭」が感じられたが,出口では酸化が進んだ油のような「不快な油様臭」を感じ,排気口には,他の排気口に比べ,周辺に油の付着が目立ち,黄色く変色していた旨が記載されている(甲10の1の2頁「3.測定結 果」)。 上記測定の結果によれば,脱臭装置入口付近の臭気濃度は500(臭気指数27),出口付近の臭気濃度は790(臭気指数790),脱臭効率は-58%であった(甲10の1の「表3-1」)。 本件報告書1には,マグセライドの臭気軽減機序等に関する推測を記載した上で,「マグセライドは,吸着した成分を吸着に要した時間以上の長い時間をかけ放出することにより臭気を軽減しているものと考えられる。 今回の調査において,入・出口で明らかに臭質が異なり,入口は主に「魚のコゲ様臭」が感じられたのに対し,出口側では酸化が進んだような「不快な油様臭」が感じられ入・出口で臭気指数の逆転が見られた。動植物性油脂類は空気中の酸素,水分,微生物あるいは酵素などの作用によって,劣化して不快なにおいを発するようになりやすい。今回の逆転は,吸着槽内で油脂類の空気酸化が進み,不快なにおいが発生したためと考えられる。」との記載がされている(甲10の1の3頁「4.結果に対するコメント て不快なにおいを発するようになりやすい。今回の逆転は,吸着槽内で油脂類の空気酸化が進み,不快なにおいが発生したためと考えられる。」との記載がされている(甲10の1の3頁「4.結果に対するコメント」)。また,「まとめ」として,「現段階(設置後2年程度)でマグセライド脱臭装置には脱臭効果が認められず。」(本件記載2),「マグセライドの材質に関する情報,排気口周辺の油の状況,今回の測定結果から,マグセライドにはメーカーが言うようなオイルミスト及び臭気成分の分解効果は無いか,或いは装置の設計上に不備があるものと推測された。」との記載がされている(甲10の1の6頁「5.まとめ」)。 ウ前記前提事実(5)イのとおり,原告は,平成22年4月15日,上記大丸東京店の「伊勢定」厨房排気系統に設置された被告装置内の被告商品のフィルター1個(縦5cm×横10cm)を採取して持ち帰り,Aⅲ教授に依頼して,アセトアルデヒド除去試験等を行った(甲11)。 上記試験は,上記のとおり採取したマグセライドのフィルター中央部(排煙を処理した箇所)及び端部(支持金具で覆われていた箇所)から欠 片を採取し,粉体としたもの0.5gをフッ素樹脂製サンプリングバッグにアセトアルデヒドガスとともに密閉し,一定期間後にバッグ内の空気を採取してアセトアルデヒド及び二酸化炭素濃度を測定することにより行われた(甲11)。 上記試験の結果,マグセライドのうち,フィルター端部から採取されたもの(マグセライドA・排煙に曝露されていない部分)については200ppmのアセトアルデヒド濃度の減少が認められたが,フィルター中央部から採取されたもの(マグセライドB・排煙に曝露されていた部分)については,アセトアルデヒド濃度の減少は認められなかった。また,上記のとおりアセトアルデ ド濃度の減少が認められたが,フィルター中央部から採取されたもの(マグセライドB・排煙に曝露されていた部分)については,アセトアルデヒド濃度の減少は認められなかった。また,上記のとおりアセトアルデヒド濃度の減少が認められたマグセライドについても,二酸化炭素濃度の有意な増加は認められなかった。 本件報告書2には,結論として,「セピオライト系試料を用いてアセトアルデヒドガスに対する除去試験を行った結果,用いた試料にはアセトアルデヒド分解活性がないことが分かった。」(6頁「4.結論」欄)との記載(本件記載3)がされている(甲11)。 エ原告は,本件報告書を,平成22年頃,J.フロントリテイリング株式会社及び株式会社鉄道会館に,平成23年1月頃,鹿島建設株式会社に対し各提出し,これらの企業等に対し,被告商品の脱臭性能に関する説明が虚偽であり,脱臭性能がない旨の説明を行った(乙42,44,弁論の全趣旨)。鹿島建設株式会社は,東京駅丸の内駅舎復元・保存工事の建設請負会社であったところ,本件報告書は,同社から上記工事の施主である東日本旅客鉄道株式会社,三井不動産株式会社及び設計業者であるジェイアール東日本建築設計事務所に交付された(乙42,44,弁論の全趣旨)。 また,株式会社日建設計も,原告から又は上記企業のいずれかから,本件報告書を入手するに至った(乙9)。 オ上記ジェイアール東日本建築設計事務所は,被告カルモアに対し,本件 報告書記載の内容について確認を求め,被告カルモアは,大丸東京店に対する事実経緯の確認,同店に対し納入済みであった被告装置の全系統における点検・測定,上記伊勢定系統に設置されていた被告商品の劣化分析(洗浄テスト)等を実施し,上記ジェイアール東日本建築設計事務所,株式会社大丸松坂屋百貨店等に対し説明・報告を行 被告装置の全系統における点検・測定,上記伊勢定系統に設置されていた被告商品の劣化分析(洗浄テスト)等を実施し,上記ジェイアール東日本建築設計事務所,株式会社大丸松坂屋百貨店等に対し説明・報告を行った(乙10の3・4,11の1・2,42,44)。 上記認定に関し,原告は,鹿島建設株式会社等に本件報告書を交付するに当たり,原告が被告商品の性能が劣悪である等と述べて誹謗中傷した事実はないと主張する。しかし,原告は,本件報告書を上記企業等に提出するに当たり,本件報告書記載の調査結果や試験結果について説明を行ったことにつ原告は,本訴請求において,本件報告書記載の測定結果等を根拠として,被告商品の脱臭性能に関する説明が虚偽であり,被告商品には脱臭機能がない旨を主張しているのであるから,上記企業等に対しても,同様の説明を行ったものとみられるのであって,前記(1)エのとおり,上記企業等に対し,上記説明を行ったものと認められる。 (3) そこで,上記企業等に対し,本件記載1ないし3のある本件報告書を交付し,又は被告商品の脱臭方法に関する説明が虚偽であり,被告商品には脱臭機能がない旨の説明をすることが,「競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実」を告知等する行為(不競法2条1項14号)に該当するか否かについて検討する。 ア本件報告書1について本件報告書1の本件記載1は,設置後2年程度の段階で被告装置に脱臭効果が認められない旨を記載したものである(本件報告書1「5.まとめ」)。上記記載は,脱臭効果が認められないとする対象を,伊勢定系統に設置された被告装置に限定することなく記載したものである上, 本件報告書1には,被告装置において脱臭効率が-58%となった理由に関し,マグセライドが油脂分を吸着し,吸着した成分を長い時間 に設置された被告装置に限定することなく記載したものである上, 本件報告書1には,被告装置において脱臭効率が-58%となった理由に関し,マグセライドが油脂分を吸着し,吸着した成分を長い時間をかけて放出することにより臭気を軽減するものと考えられることを挙げた上で「今回の逆転は,吸着槽内で油脂類の空気酸化が進み,不快なにおいが発生したためと考えられる。」と結論付ける記載もみられるのであって(上記(1)イ),上記記載は,上記脱臭効率の低さが,被告装置の脱臭機序に起因するものであると説明するものとみられるのであるから,本件記載1は,伊勢定系統に設置された被告装置に限らず,被告装置一般につき,設置後2年程度で脱臭効果が認められなくなる旨を記載したものと解されるところである。 なお,大丸東京店の伊勢定系統に設置された被告装置の臭気調査の結果,脱臭装置入口付近の臭気濃度が500(臭気指数27),出口付近の臭気濃度が790(臭気指数790),脱臭効率は-58%であったことは前記(1)イのとおりである。そして,上記測定時点である平成21年12月23日時点において,上記装置の脱臭効率が上記のとおりであったことについては当事者間に実質的に争いがなく,また,乙10の1ないし3によれば,上記装置が上記時点において設置後2年程度であったことが認められる。 しかし,上記脱臭装置については,平成23年4月の点検の結果,グリスフィルターのメンテナンス不良により,上記脱臭装置の圧力損失が大幅に上昇し,マグセライドの内部に油が浸透していることが確認されているところ(乙10の3・4,11の2),上記測定時において,当該脱臭装置の排気口では,他の排気口と異なり,不快な油様臭が感じられ,周囲に油の付着が目立ち,黄色く変色していたとされる(上記(1)イ)ので ころ(乙10の3・4,11の2),上記測定時において,当該脱臭装置の排気口では,他の排気口と異なり,不快な油様臭が感じられ,周囲に油の付着が目立ち,黄色く変色していたとされる(上記(1)イ)のであるから,上記測定時点において,油の浸透等の異常が既に発生していたことがうかがわれるというべきである。 そうすると,上記のような異常状態下にあった脱臭装置に係る脱臭効率を,被告装置一般に敷えんすることは相当ではないものというべきである。 る調査結果を被告装置一般に敷えんし,設置後2年程度の被告装置に脱臭性能がない旨を表示したものである。 原告は,上記脱臭装置に係る脱臭効率を被告装置一般に敷えんすることができないとしても,被告性能にはそもそも脱臭性能がないから,本件記載1は虚偽の事実の記載ではないとも主張するが,被告装置に脱臭性能がないものとは認められず,初期調査における被告装置の脱臭効率に係る表示(本件表示7,8)が品質等誤認表示に当たるものとも認められないことは,争点1でみたとおりである。また,大丸東京店に設置された被告装置については,平成23年4月12日付けで,設置3.5年後点検が実施されているところ,油汚れが特に大きいものとされた伊勢定系統の被告装置を除き,68%から90%の脱臭効率が達成されているのであるから,被告装置が,一般に,設置後2年程度で脱臭性能を失うものとも認められない。 以上によれば,本件報告書1の本件記載1は,虚偽の事実を記載したものに当たる。 また,本件報告書1には,同報告書記載の調査が,鉄道会館等の依頼により実施されたものである旨の記載(本件記載2)があるところ,上記調査が,原告から,原告の費用負担により行うことを申し入れることにより実施されたものであることは前記(1)アのとおりであるか の依頼により実施されたものである旨の記載(本件記載2)があるところ,上記調査が,原告から,原告の費用負担により行うことを申し入れることにより実施されたものであることは前記(1)アのとおりであるから,本件記載2は,虚偽の記載であると認められる。 被告カルモりであるところ,前記前提事実(1)イのとおり,被告カルモアは,脱 臭・消臭機器等の販売等を業とする会社であるから,その製造販売する脱臭装置である被告装置に設置後2年程度で脱臭性能がなくなる旨の本件記載1が,被告カルモアの営業上の信用を害する事実に当たることは明らかである。また,本件記載2は,被告カルモアの脱臭装置の納入を受けた鉄道会館等が,被告カルモアの競合企業である原告に被告装置の調査を依頼した旨のものであるところ,上記記載は,被告カルモアの取引先が被告装置の性能に疑問をもっており,かつ,上記取引先において被告カルモアが信用されていないとの印象を与えるものであり,本件記載1と相俟って,被告カルモアの営業上の信用を害する事実に当たるものと認められる。 したがって,本件報告書1の本件記載1及び2は,いずれも「競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実」の記載に当たるものであり,このような記載を含む本件報告書1を,被告カルモアの取引先である鉄道会館等や鹿島建設株式会社に交付する行為は,不競法2条1項14号所定の不正競争に該当する。 イ本件報告書2について本件報告書2の本件記載3は,アセトアルデヒド除去試験の結果,上記試験に用いた試料(前記伊勢定系統の被告装置から採取されたマグセライド)にはアセトアルデヒド分解活性がないことがわかった旨を記載したものである。 本件報告書2において実施されたアセトアルデヒド除去試験の内容は前記(1)ウでみたとおりで から採取されたマグセライド)にはアセトアルデヒド分解活性がないことがわかった旨を記載したものである。 本件報告書2において実施されたアセトアルデヒド除去試験の内容は前記(1)ウでみたとおりであるところ,アセトアルデヒドが酸化分解された場合,理論的には二酸化炭素が発生するものであると認められるのであるから(甲11の5頁),上記試験が中間生成物の有無を考慮していないことを考慮しても,実験開始から50時間経過後に二酸化炭素が有意に増加しなかったことをもって,用いた試料にアセトアルデヒド分 解活性がない旨を結論付けることが,化学的にみて誤りであるとまでは認められない。 したがって,本件報告書2の本件記載3が,「競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実」に当たるものとは認められないから,本件報告書2を,被告カルモアの取引先である鉄道会館等に提出する行為は,不競法2条1項14号所定の不正競争に該当するものとは認められない。 ウ告知行為について本件報告書2からは,実験開始から50時間経過時において,被告商品に有意なアセトアルデヒド分解活性がなかったことが裏付けられるのみであって,上記報告書によって,被告商品の脱臭方法に関する説明が虚偽であることや,被告商品に脱臭性能がないことが裏付けられるものではないことは,争点1-1に関する当裁判所の判断でみたとおりである。また,本件報告書1から,被告装置に一般的に脱臭性能がないとの結論を導くことができないことは,前記アのとおりである。 さらに,被告商品の脱臭方法に関する説明が,本件誤認表示を除き,品質等誤認表示に当たるものと認められず,被告装置に脱臭性能がないとも認められないことは,争点1に関する当裁判所の判断でみたとおりであるところ,被告商品の脱臭方法に関する説明 ,本件誤認表示を除き,品質等誤認表示に当たるものと認められず,被告装置に脱臭性能がないとも認められないことは,争点1に関する当裁判所の判断でみたとおりであるところ,被告商品の脱臭方法に関する説明が虚偽であり,被告装置には脱臭性能がない旨の事実が,被告カルモアの営業上の信用を害するものであることは明らかであるから,原告が,被告カルモアの取引先である鉄道会館等や鹿島建設に対し,本件報告書1,2を提出するに当たり,被告商品の脱臭方法に関する説明(ただし,本件誤認表示に係る説明を除く。)が虚偽であり,被告商品には脱臭性能がない旨の説明をすることは,「競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実」の告知に当たり,不競法2条1項14号所定の不正競争に該当する。 7 争点2-2(差止め及び廃棄請求の可否)(1) 差止請求について前記6(1)エ及びオでみたとおり,原告の前記不正競争により,本件報告書1の交付及び原告の説明を受けた取引先等は,被告カルモアに対し事実確認の問い合わせをするなどし,被告カルモアは,事実経緯の確認,納入済みの被告装置の全系統における点検・測定,上記伊勢定系統に設置されていた被告商品の劣化分析(洗浄テスト)等の実施,取引先への説明・報告等を余儀なくされたものであるから,原告の前記不正競争により,被告カルモアは,その営業上の利益を侵害されたものと認められる。また,原告は,被告商品の脱臭方法に関する説明が虚偽であり,被告装置に脱臭性能がない旨を主張して本件訴訟を提起しており,本件報告書1を,上記主張を裏付けるものとして本件訴訟に提出しているのであるから(甲10,当裁判所に顕著),今後も,同様の不正競争に及び,被告カルモアの営業上の利益を侵害するおそれがあるものと認められる。 したがって,被告 のとして本件訴訟に提出しているのであるから(甲10,当裁判所に顕著),今後も,同様の不正競争に及び,被告カルモアの営業上の利益を侵害するおそれがあるものと認められる。 したがって,被告カルモアは,原告に対し,前記不正競争(被告カルモアの取引先その他第三者に対し,被告カルモアの商品である「カルモアマグセライド」について,脱臭方法の説明〔ただし,本件誤認標示に係る説明を除く。〕が虚偽であり,脱臭性能がないなどの虚偽の事実を告知・流布する行為及び本件報告書1を配布し又は閲覧させる行為)の停止を求めることができる。 廃棄請求について本件報告書1が,原告の営業上の信用を害する虚偽の事実を記載した部分(本件記載1及び2)を含むものであり,上記報告書を交付することが不競法2条1項14号所定の不正競争に該当することは,前記6(3)アでみたとおりである。 そうすると,本件報告書1は,本件侵害行為を組成した物に当たるもので あるところ,本件記載2は,本件報告書1に記載された実験の契機及び目的について述べた部分であり,本件記載1は,上記実験の結果をまとめ,結論付けたものである。したがって,本件記載1,2は,本件報告書1の記載内容全体と不可分一体に結びついているものというべきであるから,本件報告書1全部の廃棄を認めるのが相当である。 8 争点2-3(被告カルモアの損害額)(1) 前記6(1)エ及びオでみたとおり,原告の前記不正競争により,被告カルモアの取引先各社に本件報告書1が出回るに至ったものであるところ,これらの取引先の一部は,被告カルモアに対し,本件報告書1記載の内容についての確認を求め,被告カルモアは,これに対し,事実経緯の確認,納入済みの被告装置の全系統における点検・測定,上記伊勢定系統に設置されて 取引先の一部は,被告カルモアに対し,本件報告書1記載の内容についての確認を求め,被告カルモアは,これに対し,事実経緯の確認,納入済みの被告装置の全系統における点検・測定,上記伊勢定系統に設置されていた被告商品の劣化分析(洗浄テスト)等の実施,取引先への説明・報告等を余儀なくされたものであり,被告カルモアは,原告の前記不正競争によって,その営業上の信用を害されたものと認められる。前記不正競争の態様等も考慮すると,上記信用毀損に係る損害は,300万円とみるのが相当である。 被告カルモアの支出した弁護士費用のうち,原告の前記不正競争と相当因果関係を有する部分は30万円とみるのが相当である。 (3) 原告は,平成22年頃及び平成23年1月頃に前記不正競争に及んだものと認められるから(前記6(1)エ),前記不正競争の終期は,遅くとも平成23年1月31日であると認められ,被告カルモアは,同日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めることができる。 9 反訴請求についての結論よって,被告カルモアの原告に対する反訴請求は,原告に対し,①被告カルモアの取引先等の第三者に対し,被告商品の脱臭方法についての説明(ただし,本件誤認表示に係る説明を除く。)が虚偽であり,被告商品には脱臭性能がない旨の事実の告知・流布及び本件報告書1の配布・閲覧等の差止め,②本件報 告書1の廃棄,③330万円及びこれに対する平成23年1月31日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があり,その余の請求についてはいずれも理由がないことに帰着する。 第5 結論したがって,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第29部 裁判官 はいずれも理由がないことに帰着する。 主文 したがって,主文のとおり判決する。 理由 事実 争点 判断 東京地方裁判所民事第29部 裁判官 西村康夫 裁判官 森川さつき 裁判長裁判官 大須賀滋は,転補のため署名押印することができない。 裁判官 西村康夫

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