平成3(オ)1817 所有権移転仮登記抹消登記手続、所有権移転登記手続

裁判年月日・裁判所
平成6年9月8日 最高裁判所第一小法廷 判決 破棄差戻 名古屋高等裁判所 金沢支部 平成2(ネ)150
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判決文本文2,258 文字)

主文 原判決中上告人敗訴部分を破棄する。 右部分につき本件を名古屋高等裁判所に差し戻す。 理由 上告代理人藤井輝明の上告理由について一原審の確定した事実は、次のとおりである。(1) 第一審判決添付物件目録一記載の土地(以下「本件土地一」という。)は、もとD(以下「D」という。)の所有であり、農地であったが、上告人は、具体的な使用目的を定めないで、昭和三二年九月三〇日右土地をDから買い受け、同三三年五月三〇日までに代金全額を同人に支払った。(2) 上告人は、本件土地一につき昭和三七年一月二五日受付で所有権移転仮登記を経由した。(3) Dは昭和四六年五月二四日死亡し、被上告人が本件土地一を相続し、相続を原因とする所有権移転登記を経由した。(4) 上告人は、昭和六二年五月ころ本件土地一を中学校の敷地として使用することを確定した。 (5) 被上告人は、本件土地一を占有している。 原審は、右事実関係の下において、次の理由により、被上告人が上告人に対して本件土地一の仮登記の抹消登記手続を求める請求は認容すべきであり、上告人が被上告人に対して本件土地一の所有権移転登記手続及びその明渡しを求める請求は棄却すべきであると判断した。すなわち、本件売買は農地法所定の富山県知事の許可が法定条件となっていたところ、上告人が被上告人に対して有していた同県知事に対する許可申請協力請求権は、本件売買の成立した昭和三二年九月三〇日から一〇年を経た同四二年九月三〇日の経過とともに(仮に、Dが同三七年一月二五日に本件土地一につき前記仮登記手続に応じていることを時効中断事由としての承認と解しても、それから一〇年を経た同四七年一月二五日の経過とともに)時効によって消滅し、これにより右法定条件が成就しないことに確定し、本件土 き前記仮登記手続に応じていることを時効中断事由としての承認と解しても、それから一〇年を経た同四七年一月二五日の経過とともに)時効によって消滅し、これにより右法定条件が成就しないことに確定し、本件土地一の所有権は- 1 -上告人に移転しないこととなった、というのである。 二しかしながら、原審の右判断は是認することができない。その理由は、次のとおりである。 地方公共団体が、買主として、使用目的を定めないで農地の売買契約を締結した後に、当該農地を農地法五条一項四号、農地法施行規則七条六号所定の用途に供することを確定したときには、その時点において、売買は、都道府県知事の許可を経ないで効力を生ずるものと解するのが相当である。けだし、農地法が農地に係る権利の移転等について原則として都道府県知事の許可を要するとしながら、農地法施行規則七条六号に定める要件を備える場合に例外として許可を不要としたのは、公共の利益となる事業のための農地の利用に係る権利の移転等については規制をする必要がないと認められることによるものであって、同条六号に定める要件を具備するに至ったのが売買契約の成立後であったとしても、規制の必要性が認められないことに変わりはないからである。そして、農地の買主が売主に対して有する都道府県知事に対する許可申請協力請求権の時効による消滅の効果は、時効期間の経過後に売主が右請求権についての時効を援用したときに初めて確定的に生ずるものであるから(最高裁昭和五九年(オ)第二一一号同六一年三月一七日第二小法廷判決・民集四〇巻二号四二〇頁)、農地の買主が売主に対して有する都道府県知事に対する許可申請協力請求権の消滅時効期間が経過しても、その後に買主である地方公共団体が当該農地を農地法施行規則七条六号所定の用途に供することを確定した場合には、買主に所有 対して有する都道府県知事に対する許可申請協力請求権の消滅時効期間が経過しても、その後に買主である地方公共団体が当該農地を農地法施行規則七条六号所定の用途に供することを確定した場合には、買主に所有権が移転し、その後にされた時効の援用は効力を生じないと解すべきである。 これを本件についてみるに、農地法五条一項四号、農地法施行規則七条六号によれば、市町村が学校教育法一条に規定する学校の敷地に供するため、その区域内にある農地を取得する場合には、農地法所定の都道府県知事の許可を要しないから、- 2 -上告人が昭和六二年五月ころ本件土地一を中学校敷地として使用することを確定した後に、被上告人により本件許可申請協力請求権の消滅時効の援用がされたのであれば、本件売買は、右使用目的が確定した時点において当然に効力を生じ、被上告人は本件土地一の所有権を喪失するに至ったというべきであって、本件許可申請協力請求権の時効消滅は問題とする余地がないこととなる。 したがって、被上告人の消滅時効の援用と本件土地一の使用目的の確定の各時点の先後関係について審理判断しなかった原判決には、法令の解釈適用の誤り、ひいては審理不尽、理由不備の違法があるものというべきであり、この違法をいう論旨は理由があるから、原判決中上告人敗訴部分は破棄を免れない。そして、本件については、更に審理を尽くさせる必要があるから、これを原審に差し戻すのが相当である。 よって、民訴法四〇七条一項に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。 最高裁判所第一小法廷裁判長裁判官高橋久子裁判官大堀誠一裁判官小野幹雄 長裁判官高橋久子裁判官大堀誠一裁判官小野幹雄裁判官三好達- 3 -

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